運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-03-31 第51回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月三十一日(木曜日)    午前十一時五分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     主 査         田中寿美子君     副主査         宮崎 正雄君     委 員                 青柳 秀夫君                 小沢久太郎君                 大谷藤之助君                 松野 孝一君                 稲葉 誠一君                 鈴木 一弘君    担当委員外委員                 木村禧八郎君    国務大臣        国 務 大 臣  安井  謙君    政府委員        内閣参事官兼内        閣総理大臣官房        会計課長     高橋 弘篤君        国防会議事務局        長        北村  隆君        内閣総理大臣官        房広報室長    三井 芳文君        内閣総理大臣官        房臨時在外財産        問題調査室長   栗山 廉平君        総理府人事局長  増子 正宏君        総理府恩給局長  矢倉 一郎君        中央青少年問題        協議会事務局長  赤石 清悦君        宮内庁次長    瓜生 順良君        皇室経済主管   並木 四郎君        北海道開発庁総        務監理官     小熊  清君        北海道開発庁主        幹        窪田  譲君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総長       岸  盛一君        最高裁判所事務        総局総務局長   寺田 治郎君        最高裁判所事務        総局経理局長   岩野  徹君        最高裁判所事務        総局刑事局長   佐藤 千速君    事務局側        事 務 総 長  宮坂 完孝君        人 事 課 長  植木 正張君    国立国会図書館側        館     長  河野 義克君        副  館  長  岡部 史郎君    説明員        内閣官房内閣調        査室長      大津 英男君        内閣総理大臣官        房審議室参事官        補        乾  真雄君        日本学術会議事        務局長      鵜飼肥佐男君        会計検査院事務        総長       白木 康進君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和四十一年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) ただいまから予算委員会第一分科会を開会いたします。  前回に続いて、昭和四十一年度総予算中、内閣及び総理府所管を議題として質疑を行ないます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 内閣調査室のことについてちょっとお尋ねしますが、これはいつごろ、どういう目的でできたのですか。
  4. 大津英男

    説明員大津英男君) 内閣調査室は、昭和二十七年の四月に内閣総理大臣官房に設置せられたのでございまして、その任務といたしましては、内閣法の第十二条、それから第十七条、内閣官房組織令第四条の規定に基づきまして、内閣重要政策に関する情報収集及び調査、各行政機関の行なう情報収集及び調査であって、内閣重要政策にかかわるものの連絡調整、こういうことを行なうことになっておるのでございます。
  5. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 実際には、調査室自身でやるのと、ほかに委託してやるのとあるわけですが、その割合はどの程度になるわけですか。大ざっぱでいいですよ。
  6. 大津英男

    説明員大津英男君) 内閣調査室の四十一年度の予算から申しますと、六億一千五百四十二万円、これが情報収集及び調査に必要な経費でございますが、このうち、外に、民間の団体情報調査委託費として計上いたしておりますものが五億七千五百九十九万八千円、こういうふうなことになっておるわけでございます。
  7. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その調査委託費というのは、ここ四、五年どの程度ふえてきておるわけですか。
  8. 大津英男

    説明員大津英男君) 三十八年度から申し上げますと、三十八年度が四億一千六百一万八千円、三十九年度が四億五千九十八万四千円、四十年度が五億八百九十九万八千円、四十一年度お願いしておりますのが五億七千五百九十九万八千円、こういう数字でございます。
  9. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはおもにどういうふうなことを頼むんですか。頼んだ結果として、何か報告でもちゃんと受けるということになるわけですか。ただ渡したきりで、その後については別にどうということはないということになるわけですか。
  10. 大津英男

    説明員大津英男君) 委託をいたしておりまするのが、団体といたしまして日本放送協会内外情勢調査会共同通信社ラジオプレス共同通信社開発局海外事情調査所世界政経調査会東南アジア調査会国際情勢研究会国民出版協会民主主義研究会、この十一の団体調査お願いをいたしておるということでございまして、その調査委託をいたしました結果につきましては、資料として提出をいただいておる、こういうことでございます。
  11. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 NHKや何かはわかりますけれども、その他のいまの団体代表者はどなたになっているわけですか。
  12. 大津英男

    説明員大津英男君) 内外情勢調査会長谷川才次、それから共同通信社は御存じのとおりでございますので省略します。ラジオプレス中田格郎、それから共同通信社開発局菊地幸作、それから海外事情調査所小林正雄世界政経調査会広岡謙二東南アジア調査会横山正幸国際情勢研究会花井忠国民出版協会横溝光暉民主主義研究会が淺井清、こういう人が代表者になっております。
  13. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのうちで警察出身の人はだれですか。広岡さんが警察出身かな。
  14. 大津英男

    説明員大津英男君) まあ警察出身と言っていいかどうかわかりませんけれども世界政経調査会広岡さんは、もと警察におられた人でございます。
  15. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは全体にNHK共同を除きますと、大体あれですか、政府の施策について、ことばは悪いけれども協力的なところという意味ですか。
  16. 大津英男

    説明員大津英男君) 協力的と言いますよりも、こういう団体政府重要政策に関する情報収集調査ということに適当な団体であるということからお願いをしておるということでございます。
  17. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのほかに、こういう情報調査委託するに関連して、ほかの団体、たとえば公安調査庁、こういうふうなところと連絡はとっているんじゃないですか。
  18. 大津英男

    説明員大津英男君) もちろん、私どものほうでは、他の政府省庁機関の行なう情報収集調査との関係におきまして、連絡調整という意味で、随時会議その他で連絡をとっておりますが…。
  19. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういう情報収集連絡をとっているところは、おもにどこですか。どういう役所があるわけですか。
  20. 大津英男

    説明員大津英男君) 外務省あるいは警察庁法務省、海上保安庁、国防会議事務局、こういうようなところが主たるところでございます。
  21. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 こういうようなところでなくて、はっきりどことどこだというふうに、ちょっとはっきりしてくれませんか。たとえば法務省と言っても、法務省の中では公安調査庁でしょう。外務省ではどこだといろいろあるわけですね。そういう点、もうちょっとはっきり聞きたい。
  22. 大津英男

    説明員大津英男君) 大体正規のメンバーは次官になっておりますけれども、来られますのは、法務省で言えば公安調査庁であります。外務省では情文局とか、そういうふうな関係でございますけれども警察庁では警備局というような関係でございます。
  23. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、実際にその情報収集にあたって連絡会議をやっておるのは、公安調査庁なり、あるいは警備局ということになってまいりますと、おのずから一定の目的を持ってそういう情報収集をやっているというふうにも考えられるわけですけれども、これは見解の相違ですから、これ以上追及しませんけれどもね。公安調査庁なり警備局内閣調査室とが、一体なぜ情報交換を定期的にやらなければならないのか。何かこう、まるで取り締まりの材料を得るためにやっておるような印象を与えられるわけですがね。どういう情報収集をしているのですかね。こういう情報ということは大体きまっているのですか。全体がそういうふうに集まりますね、集まったときの主管はどこなんですか。内閣調査室主管なんですか。
  24. 大津英男

    説明員大津英男君) 大体私ども幹事役のようなことで会議の際は運営のほうに当たっております。
  25. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはあなたのところにいま求めるのは、あるいは無理かと思うけれども、これは各省ごとに求めればわかると思いますが、いま言った公安調査庁、あるいは警備局外務省情報文化局、その他のいわゆる情報収集機関が、こういう情報収集費として一体幾らぐらいのものを持っているのか、これは大ざっぱにはわかりますか。あなたの主管でないから、わからなければこれはあと確かめますが…。
  26. 大津英男

    説明員大津英男君) ほかの省庁予算のことは、ちょっといま手元資料もございませんし、私存じておりません。
  27. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 公安調査庁だけで七億か八億くらい持っているんじゃないかと思いますが、これは直接ここの話じゃありませんから、別の機会に、いわゆる政府全体としての情報収集機関が、そういう公安調査庁なり警備関係中心として一つの目的を持った形で情報収集が行なわれている実態があるわけですが、これは別なときに明らかにしますが、内閣調査室は、大体集まっている方は警察官の方が多いのですか。
  28. 大津英男

    説明員大津英男君) 必ずしも警察出身者ばかりで構成しておるというわけではございませんで、まあ警察から――私も警察のほうから参りましたけれども外務省法務省防衛庁、運輸省、それに警察関係通産関係というように、ほかの省庁からも参っておられる方がたくさんおるわけでございます。
  29. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 内外情勢調査会というのですか、これはいわゆる反共団体的な色彩が非常に強いものではないですか。親米だからすぐ反共だとは言えませんけれども、いわゆるそういう色彩が非常に強いのじゃないですか、長谷川才次さんのところは。そういうところばかり選んでいるんじゃないかな。
  30. 大津英男

    説明員大津英男君) 内外情勢調査会は、内外情勢に関する情報収集調査分析、それから、それに基づいて一般国民の時局に対する知識向上と理解の増進をはかるという目的でつくられておるわけでございまして、内外放送、ニュース、その他情勢に関する資料収集、それから、そういう資料の翻訳、調査分析収集配付、発行、あるいは研究会講演会懇談会パンフレット図書類配付、こういったようなことをやっておられるわけでありまして、特にどちらに偏向しておるということは別段にない、こういうふうに考えております。
  31. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 内閣調査室のいま言ったような情報収集の問題については、ぼくはいろいろな問題がそこにあると思いますし、この実態などはもっと明らかにしなければいけない点があると思います。特に公安調査庁なり警備局との関係で、どうも密接な連絡をとっているし、委託される団体が、NHKとか共同なんかは別として、どうも少し色合いが片寄っているところに情報収集委託をしているように考えられるものですから、これはこの前も、どこへどのくらい委託をしているかというものをもらいましたから、それによって内容をよく調べます。きょうは、私は時間の関係もあるから、この程度にしておきます。
  32. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 第三次防がいよいよ上がってくるわけですけれども防衛庁長官の答弁によるというと、六月ごろに大体国防会議にかけたい。そうすると、やはり前もってこの国防会議に上がってくる前には、実際に国防会議を、議長である総理が出席して開く前に、準備段階というのがかなりあると思うのですが、どのような順序で、また、どのくらいの準備というのが必要か、それをお伺いしたい。
  33. 北村隆

    政府委員北村隆君) お答えいたします。  まず、事務局研究する問題が一つございます。事務局では、昨年以来三次防の基礎になるような事項について準備研究をし、また、陸海空の長期にわたる構想等をそれで聴取いたしまして、その増減事項を現在研究中でございます。この防衛庁作業が進みまして、一応提出されますならば、各省でもって構成しております参事官会議及び幹事会、ここで練り上げまして、そこで資料が大体でき上がったところで国防会議へ御相談する、こういう段取りになります。
  34. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 防衛庁から提出されて、参事官会議幹事会と通すわけですけれども、その事務段階を通して提出されてから、事務段階を受けて国防会議に上がるまでには、かけるまでには、何カ月ぐらい事務段階というのはかかるんですか、通常。
  35. 北村隆

    政府委員北村隆君) これは、その内容によりまして、事務段階からまた国防会議の議員さんの会議と並行してやる場合がございます。たとえば、情勢判断というようなものが出ました場合には、これは実体の三次防計画はまだ事務段階ではございますが、情勢判断だけは先に上がりまして、事務段階から国防会議にもうかかっておるとこういうようなことがございます。
  36. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 情勢判断だけが入っている。いわゆる防衛計画大綱であるとか、あるいはその計画に対しての産業等調整計画大綱ですか、そういうようなことはきまってくる。しかし、それ以上のこまかい点については、どうなるんですか。そうすると、これは国防会議にかけない。いわゆる大綱だけでもって、総額何ぼというような発注量があるであろうとか、こういう産業についてウエートを置かなきゃいけないとかという大きなところだけはきまるわけなんですか。
  37. 北村隆

    政府委員北村隆君) この三次防の防衛力整備の具体的な装備その他の内容につきましては、事務段階を通りまして国防会議に上がっております。第二次防の例を申し上げますと、大体国防会議へ上がりました情勢判断なり、全体の防衛構想は、四月の十二日に国防会議で行なわれております。それから、実体的な内容が上がりましたのは、六月になってからでございます。
  38. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは防衛庁長官でなけりゃわからないことだと思いますけれども、六月に国防会議にかけたいというのは、おたくのほうで受け取っているニュアンスというのは、印象というのは、四月に大体提出をされて六月ごろに、いままでの第二次防の経過から言えば、これを終了するというのか、それとも、六月に防衛庁から回ってきて、そうして八月ごろまでかかって実体的な内容の検討まで終了するというのか、どういうような印象ですか。
  39. 北村隆

    政府委員北村隆君) まあ三次防でございまするから、できるだけ早く決定いたしたいということを考えておりますが、防衛庁作業が意外にまだ調整が手間どっておりますので、まだいつ正式にこちらへ提出されるかわからない段階でございます。提出されたならば何カ月で済むかという問題につきましても、これはその内容の難易によりまして期間が必ずしも一定しない。六月までに必ず上がる、そういうことはちょっと今日では申し上げかねると思います。
  40. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは国防会議のほうの性格から伺っておきたいのですけれども防衛庁長官某所において、経済界会合と財界の会合で、七千三百億円の第三次防は発注があるだろうというようなことを言っている。そういうことがすでに言われているわけですが、国防会議大綱も決定しないうちにそういうことが発言されるということは、これはちょっと会議それ自体というのは有名無実のような感じがするわけですけれどもね。まあ法律の性格上からいってどうなっているのでしょうか、その辺は。
  41. 北村隆

    政府委員北村隆君) 防衛庁長官から某所においてそういう御意見があったということは、新聞で拝見しました。私の観察するところでは、各種のまだ仮定的な要素があろうと思います。その当否につきましては、この第三次防衛計画装備の更新、近代化というようなものが中心になってくると思いますが、ちょうどMAPも打ち切りになるので、国内主要装備品を生産するというぐあいが非常に多くなると思います。しかし、その具体的な装備品国内で生産するのが適当であるかどうかということは、さらに防衛庁でも御研究中だろうと思います。また、国防会議でもそれを検討しなきゃならぬ問題だと思います。大体の目安をお話しになったのじゃないかと思います。
  42. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そういう放言があったとすると、国防会議を開く前に拘束をされたような形になるわけですね。それでは何のための会議だかわからないと思います。
  43. 北村隆

    政府委員北村隆君) これは具体的内容につきまして、最後に国防会議で決定すべき問題でございまして、それは放言的な問題ではないと思うのであります。長官の御構想お話しになったのじゃないかと存じます。
  44. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これはいずれにしても、構想にしても、具体的な数字が出てくるというのはいいかげんな構想じゃないと思いますからね、無計画でもって出てくるわけはないのですから。  じゃ次に、この国防会議の項の中に、総理がはからねばならない問題に、防衛出動可否というのがあるのでありますが、これは具体的に防衛出動をするときのことを言っているのか。まあ、この場合はできる、この場合はできないというような、そういう、たとえば先日ありました沖縄出兵問題等についての可否というような問題まで、具体的な、現在の問題でない問題もおやりになるのかどうなんですか。その範囲を教えていただきたい。
  45. 北村隆

    政府委員北村隆君) これは自衛隊法の七十六条の、実際の防衛出動の必要が起きた場合に、総理閣議におはかりになる前に、その出動をしていいかどうかというのを、さらに各省資料も取り寄せて、十分に慎重にお考えになって、その出動可否国防会議におはかりになる。それによりまして可となれば閣議にかけ、国会の御承認を得て発動する、こういうかっこうになっておりまして、あらかじめこういう抽象的な問題では扱っておりませんです。
  46. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 国防会議はこのぐらいにしておきます。  長官がお見えなったようですから伺っておきたいのですが、最初に、総理府所管予算の中で、図書等購入と配布について伺っておきたいのですが、非常に、四十一年度予算を見ますというと、いままでのいわゆる「政府の窓」であるとか、あるいは「フォト」というのが、部数についても倍近くに伸びている。予算金額においても、二千五百五十四万、三十九年度であったものが、四十一年度には四千九百三十六万というようにかなり伸びております。三十九年に比べて膨大な量の増加を見ている。三十八年、三十九年の間を見るというとふえておりませんが、そういうように急激に増加していったということはどういうことなんですか。この理由をお伺いしたいと思います。
  47. 安井謙

    国務大臣安井謙君) ただいま三十九年度、四十年度の比較数字をおあげになりましたのですが、いまとりあえず手元にございますのが四十と四十一年度の比較で、あと後ほど数字で申し上げますが、御承知のように、広報室仕事は、政府のあらゆる具体的な行政政策国民に知っていただくということで、雑誌、パンフレット及び新聞、それからラジオテレビ、こういうものを使用しての宣伝広報費でございまして、仕事がふえますにつれまして、毎年ある程度ずつ予算がふえていっておる。おもなふえ方は、しかし大体は新聞等あるいはテレビ等でございまして、たとえば、ことしの四十年度と四十一年度を比較いたしますと、四十年度の当初予算が六億五千七百五十一万一千円、これに対しまして四十一年度が七億四千十二万三千円、そのうち、おもなものを申し上げますと、四十年度が放送関係で、いわゆるラジオテレビ関係でございますが、これが四十年度が三億一千五百九十六万八千円、四十一年度が三億四千七百七十一万六千円、約三千万円ふえております。それから出版につきましては、四十年度が一億八千三百九十六万一千円、それに対しまして四十一年度が二億二千五百十四万一千円、これのうち、ふえましたおもなものは新聞広告関係でございます。あと事務費公聴費といったようなものがふえておりまして、たとえば「政府の窓」あるいは「フォト」といったようなものにつきましては、四十年度、四十一年度は同額を計上しておるような次第でございます。
  48. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは総理府から私のところへいただいた資料なんですが、「政府の窓」について、購入先そのほか全部わかっておりますが、主要経費については、「フォト」にしても「政府の窓」にしても、「フォト」等は三十八年、三十九年は四万三千部でふえていない。いまのお話ですと、四十年、四十一年と同じだとすれば、急に七万七千部というような増加をしている。「政府の窓」にしても、三十八年に四万三千部であったものが、三十九年四万七千部です。いま徐々にふえているとおっしゃられたのですが、実際には四十一年には七万七千部というような膨大なふえ方をしている、政府提出した資料がインチキであれば別ですけれども
  49. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これは実はどこでどういう事情でお出ししましたか、昭和四十年十一月九日の資料によっているかと思いますが、これは当時予算を請求しましたときの概算要求が七万七千部でございまして、予算決定同額の四万七千部ということで前年と同額になっております。
  50. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 「フォト」も同じですか。
  51. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 「フォト」はちょっとふえております。四万三千が四万七千でございます。これも七万七千が四万七千に査定された。最初数字要求予算でございます。
  52. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 わかりました。要求予算のほうで私は見たものですから、これは膨大なことになったと。特にこういう図書等購入でほかのほうのも、各省のも全部ここにございますけれども、調べてみても、このように膨大にふえていくというのは見当たらないわけです。冗費節約と一方で言っていながら、特定のところで出しているものについてだけ政府が援助を与えるような形、これは相当遠慮してもらわなければならない、その点で質問したわけです。今後も、その冗費節約ということから考えていって、政府としては宣伝につとめなければならぬかもしれませんけれども、その点の両方をどういうふうに両立させていくか、その考え方だけ承っておきたいのですが、この問題については。
  53. 安井謙

    国務大臣安井謙君) いまお話しのとおり、私どもで出しておりました資料がちょっと要求当時の資料をお出ししたりなんかして誤解をいただきました点は不手ぎわでおわびを申し上げます。  いまのように、一般出版物フォト」であるとか「政府の窓」といったものは、大体前年度同額、同じようなケースで出しております。  なお、新聞テレビ番組等につきまして、若干それぞれ増加いたしております。これは新聞の記事の段数を若干ふやすといったようなことでふえておりますが、いま御指摘のように、政府広報宣伝国民に熟知していただきますことは非常に大事でありますと同時に、これはやはり国民の税金から出る金でございまするから、できるだけ有効に、そうして、むやみな使用乱費にならないように今後も気をつけていきたいと思っております。
  54. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それから、これは大臣、特に伺っておきたいのですが、国民健康体力増強費というのが今回も一億二千万円ですか、ついております。これは河野一郎さんのあれで起きたんだろうと思うのですけれども、どうしていつまでもこれを総理府でかかえていなければならないのですか。
  55. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これは河野一郎さんのあれといいますより、当時オリンピックのあとでいろいろな国民の体力問題について批判が出まして、そうして選手だけではなくて、ぜひ国民全体にこの体力増強をやる運動が必要じゃないかという話が出まして、四十年度の予算以来この予算をつける、その仕事はやはり青少年にも非常に関係の多い総理府、また、国民全体を対象にするのでございますから、ほかの各省へ置くより、やはり全体に関連のある総理府の行事、所管の行事としたほうがよかろうということで、現在総理府に計上しておるような次第でございます。
  56. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 体力づくり運動ということでしょうけれども、全国にこの増強費を配分している団体は幾つあるのですか。それで、実際に聞いたところでは二百団体もある。そうなっていくと、四十年度から予算が一億ついて、四十年、四十一年と続いてきておるわけでありますけれども、効果というものはほとんど考えられないじゃないかと心配をしておるわけであります。むしろ、そういうような総理府国民全体の問題である、青少年の問題であるというよりは、体力関係ということになれば、何といっても文部省が一番中心のところでもある、そういうほうに、思いつきのようにつくられたこの国民健康体力増強費などというものは移していくほうがいいんじゃないですか。
  57. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 一億二千万円の内訳でいきますと、全国のこの委託事業で県のほうへ事業委託として渡しますものが、約半分の六千万円ということになっております。これはいまも申し上げましたように、各省どこがやりましても、ちょっとそぐわないということで、総理府が、各省に専属で属せざる事項というような意味から、ただいま体力づくりの所管を総理府ということに、実は相なっておるわけでございます。  内訳については、もし必要ございましたら、局長のほうから答弁させます。
  58. 乾真雄

    説明員(乾真雄君) 申し上げます。  国民健康体力増強費の総額一億二千万でございます。そのうち、事務費系統でございますが、これが千四百八十六万、体力づくり運動推進中央事業委託費四千五百万、同じく体力づくり運動推進地方事業委託費六千万、合わせて一億二千万ということになります。
  59. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その六千万の、地方へ出している体力づくり運動推進のためというのが、県のほうへ出している。あとの残りの六千万円というのは、中央と事務費ということになっておるわけですが、これはほとんど会合等に使われているのじゃないかという声が出ているのですが、その辺の実態はどうなっているのですか。
  60. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 残りの約半分につきましては、その大部分が中央の体力づくり推進事業のために、いわゆる中央大会を開きますとか、あるいはいろいろな催しものをするとか、あるいは指導者の講習会をやる、あるいはそれの関係広報宣伝をやる、そういった中央で企画し中央で実施をしておるものに使っておりますものが、大体四千五百万、あといろいろな会合費、あるいは競技会の費用というものが千四百八十六万、大体そんなことになっております。
  61. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは長官国民の体力をつくっていくという問題が、ただの体力づくり運動ぐらいでできると考えていらっしゃるのか、という基本的な問題があると思うのです。ほんとうはそんなことではできない。戦後、子供たちの体位が向上したというのも、食生活の変化その他のことがありますけれども、やはり教育の力にもよったことが一番多いだろうと思う。やはり、いままででき上がっているものの体力云々というよりも、次代の体力ということを考えていったほうが、先々、日本国民の体力とか国民の健康というものは増してくることは明らかですよ。それをなぜ文部省等にまかせられないでやっているか。これは国民全体のことで、どこにも入れられない、あるいは厚生省にも入れられないというのはおかしい、私はそう思うのですね。うわさに聞けば、先ほど長官は、河野さんというわけではありませんけれどもというお話だったわけですけれども、実力者が言ったためにやむを得ぬ、提唱されたからこうしたのだということで、総理府に一たん置いたからには、その関係の事務も必要であるということから、今度再び総理府から切れなくなった、そういうような考えだったら困るし、また、はっきりと、こういうのは、政府の現在の冗費節約云々ということから考えていっても、効果のあがる文部省そのほか厚生省等に私は移すべきだと思うのです。どうにもならぬというような、たとえばほかへどうにもいきょうがないという、ごみためみたいな感じで、失礼な言い方でありますけれども総理府が何でもかんでも引き受けるという行き方は考え直さなければならぬじゃないか。ほかの新生活運動その他いろいろありますけれども、どうも総理府というのはそういうような傾向があります。その点、もっとはっきりした態度で、体力増強ということならば、まず、次代の国民ということに考えをいたしていって、そちらのほうにウエートを置くというような方向転換を考えるなりなさったほうがいいんじゃないかと思うのです。
  62. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 鈴木さんのお話も、非常にごもっともなところもありますし、私どもも、今後も御意見傾聴してまいりたいと思いますが、この体力づくりは、文部省に置かなければいかぬという理屈には、私はなるまいと思う。文部省は、御承知のように、体育局もございますが、これは主としていわゆるスポーツを中心にした、それぞれの特定のスポーツ選手を対象にしたものに対する指導あるいは育成が中心になっている。しかも、それは学生を中心にしたものである。この体力づくりは、国民全体、老いも若きも全部ひっくるめて、国民全体を対象にした体力づくり、したがって、たとえば今度青少年局を設けまして、青少年の教育あるいは育成というような場合にも、それぞれに全国で各省が分担しております以外のもの、あるいは、それを総合したものをやはり引き受ける場所、これは、いまのところ職制の上からも、総理府ということになっております。  それから、これではたいして効果ないじゃないかという御批判、これも見方だろうと思いますが、これは、この程度の金で、いまの一億人の人口を対象にしてどれだけのことができるのだということになれば、これは、はなはだ乏しい予算でございますが、しかし、それはそれなりに、相当な効果は私どもはあげていると思っております。たとえば地域的に、いま体力づくり国民大会というようなものをやっておりまして、たとえば昨年やりました姫路市なんかでも、一万数千人、二万人近い老若男女が、文字どおり幼稚園から養老院というとあれですが、もう六十、七十のおばあさん、おじいさんまでが集まられまして、相当大きな運動を巻き起こしている。そういう質のものを、今後もできるだけ都道府県あるいは大きな市町村を中心に動かしていこう。これは私、見方ですし、これだけの陣容と予算で、それはたいしたことはできないといえばそうでありますが、加盟団体も、百数十団体加盟しておりますし、それぞれ相当な効果は、私は、過去一年におきましても、持ってきたというふうに考えております。
  63. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 新生活運動の助成費の中で、国民健康づくり協会というのに助成が出ていますね。国民健康体力増強費ということになって、体力づくりということになれば、食生活から、生活の合理化から、生活の環境整備から、すべてを含まなければできないことだろうと思う。そうすると、新生活運動などと非常にラップするというか、重なる部分が多くなってくる。総理府でどうしても長官、おやりになりたいというお考えであれば、新生活運動などと、合併するというとおかしいけれども、一本にしてやるということはできないのですか。
  64. 安井謙

    国務大臣安井謙君) それも、私どもかねがね考えているわけでございます。新生活運動は、御存じのように、十年以上の歴史を持ちまして、それなりにこれは環境の浄化、生活の向上、合理化、あるいは国産品愛用、そういった方面で活動しております。ただいまのお話のように、健康づくりというのが、これがいわゆる数年前から、政府が提唱したというより、民間で自主的に、その中の一環として、健康づくりという運動も起こっているわけであります。しかし、いまの御指摘のように、若干同じような目的を持っているというような点もありまして、その点は、今後ひとつ合理化をはかっていこう、そうして、できるだけ一本化して総合的に運営をしていこう、そういう趣旨で考えていきたいと思っております。
  65. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 できるだけ今後一本化して、総合的にやっていきたいということですが、新生活運動の助成費の、そのものの内容を見ると、三千万円が国民健康づくり協会、二千万円が小さな親切運動のほうへいっている。新生活運動協会のほうには二億四千万円という金額がいっているということですね。そうすると、新生活運動自体に、はっきりそれプロパーでいくということになれば、二億四千万のほうだけでいいわけです。あと国民健康づくり協会とか、小さな親切運動というようなものはちょっとはずれてくるような気がするし、といって、入れるとなれば、先ほど長官も統一したいと言っていましたが、国民健康体力づくり増強の関係ですね、そのほうも含めたような形でなければ、ほんとうの体力増強なんていうのはできないし、新生活運動といいましても、環境ばかりよくなっても、体力が増強されなければ何にもならぬ新生活ということになるし、だから検討という段階じゃなくて、積極的に進めてほしいと思うのですが。
  66. 安井謙

    国務大臣安井謙君) お話の点もよくわかりますし、そういう方向で実はものを考えておるわけでありまして、単なる検討というわけでもございません。というのは、いまの健康づくりと体力増強のほうは、これはまあ大体同じようなかっこうでございまするから、本年度からこれを一緒にしまして、さらに合理化した活動に持っていきたいということで話を進めよう。小さい親切運動は、実はこれはことし初めて出てきたものでございますから、これは実は新生活運動のほうの看板借りをして、そこで新生活運動に違いないという意味で入っておるものでございますが、これは組織が全然別なものでございます。御承知かと思いますが、これは茅先生が、小中学校の生徒の道徳、マナーといいますか、自然な親切運動というものを提唱されまして、別個の運動をずっとここ数年来、二、三年来おやりになって、非常に、これもまた、小学生の、あるいは中学生の生活上非常に見るべきものがあるということで、これは単独で二千万円の補助を差し上げるということで、ただ、まだその項目を新生活運動へ借りておりますので、これははっきり区別をして考えております。
  67. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 恩給のことで若干伺っておきたいのですが、恩給を申請することの基礎資料というのが厚生省の援護局に保存されていると。そこで、申請書類というのは厚生省に一たん提出しなければならないようになっていますね。一たんそこを通らなければならない……。
  68. 安井謙

    国務大臣安井謙君) ちょっとお待ちください。済みません、局長すぐ来ると思いますから。――すぐ恩給局長参って的確なお答えを申し上げると思いますが、おそらく、援護局の関係というのは、軍人恩給につきましての資料が援護局にあるということであろうと思いまして、私ども、この援護の費用と、あるいは社会福祉関係の費用と恩給というものは、やはり性格的に別ものであろうという考え方から、恩給は恩給として独立した仕組みを持ち、またその運営もはかっていくということにいたしております。――ちょっと済みません、すぐ来ますから。
  69. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それじゃ、これを先やっちゃいましょうか。  学術会議来ていますか。学術会議、先お伺いいたします。  学術会議の選挙違反のことがかなり大きく取り上がったわけでありますけれども、大体の経過を、簡単でけっこうですから、言っていただけませんか。
  70. 鵜飼肥佐男

    説明員鵜飼肥佐男君) 選挙の仕組みにつきまして少し申し上げましょうか。
  71. 安井謙

    国務大臣安井謙君) いまの実態を先にお話しして……。
  72. 鵜飼肥佐男

    説明員鵜飼肥佐男君) 今回の選挙にありましては、昨年の十一月の二十五日に選挙が行なわれたのでございますが、三件の異議の申し立てがございまして、その一件は、第七部――と申しますとこれは医学関係でございます――有権者の箕島高氏によりますところの、当選人であります吉岡博人氏の当選無効の申し立てでございます。その次は、第二といたしましては、同じ申し立て人によりますところの、第七部の榊原仟さん、三上美和さん両氏の選挙権及び被選挙権を停止してもらいたいという申し立てでございます。以上の二件は、榊原さん、三上さんともに東京女子医科大学の教授でございまして、同大学長でありますその立候補しました吉岡さんの当選をはかるために、大学関係者に投票用紙の白紙の送付依頼をいたしまして、吉岡氏はこれを知りながら放置したという事由によるものでございます。  最後の第三でございますが、これは第四部関係、いわゆる理学部関係でございますが、理学関係の有権者の小野岡さんから、同じく第四部の有権者の上中宗太郎氏の選挙権及び被選挙権を停止してもらいたいという申し立てでありまして、その事由といたしましては、上中氏は立候補者でありますが、自己の編集発行にかかります新聞で、「上中氏会員選挙に立候補」との記事その他を掲載いたしまして、多数の有権者に配付したものでございます。  以上の三件でございますが、経過を申し上げますと、最初の吉岡氏の当選無効の申し立てでございますが、これは棄却をされたわけでございます。理由は、榊原氏が投票用紙を集めるのに必要な依頼文書の作成頒布を、学長その他何人にも連絡をせずに自分一人の責任で行なったものであるという回答でありまして、一方、吉岡さんのほうは、この事実については全く自分は知らなかったと答えておりました。知っておったと推定をされることはされるのでございますが、その推定を十分に立証するだけの十分の資料がないと、こういうことでございます。  それから榊原氏の選挙権及び被選挙権の停止の申し立ては、これは認められました。三上氏のそれは、それの申し立ては棄却をいたされました。榊原氏は管理委員会の照会に対して、この違反行為を認めまして、まことに遺憾であったという意思の表明がありまして、また三上さんは、依頼文書は榊原さんと三上さんの連名になっているけれども、自分は全く関知していないと答えておりますし、この点は、榊原氏の自分の単独責任で行なったという回答と一致いたしているのであります。ただし、関知していたと推定することも可能のようでありますが、やはりこれもそれを立証するだけの十分の資料が存在いたしませんので、これは棄却ということに相なった次第であります。  第三の上中氏の選挙権及び被選挙権の停止の申し立てでございますが、これはまだ現在審理中でございまして、決定を見ておりません。選挙管理委員会の任期が今月の三月十五日で終了いたしましたので、次期委員による選挙管理委員会で報告をして審査いたすことになっております。
  73. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 上中氏のは、ずいぶんおかしな変な事件ですけれども、いままでもこういうような投票用紙を集めたのではないかと言われるようなうわさがあった選挙が何回かあったという話ですが、その点は、申し立てみたいのものはないにしても、大体おつかみになっている回数等がございますか。
  74. 鵜飼肥佐男

    説明員鵜飼肥佐男君) 選挙運動につきましては、違反がありますような場合には、選挙が終わりまして、当選人の告示がありまして、初めて異議の申し立てがございます。そういうような関係がございますので、私のほうではそういう調査をいたしておりません。
  75. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そこで問題なのは、学術会議の選挙の規則でも、白紙を集める場合は必ず選挙違反であるということははっきりしておりますけれども、そういう白紙集めができるような制度がまずいのじゃないですか。選挙のあり方、やり方ですね、その点については選挙制度の検討をこれからやるということが前にもきめられているわけですね。いつの日にきめられたのですか。
  76. 鵜飼肥佐男

    説明員鵜飼肥佐男君) 二月の二十五日に運営審議会をいたしまして、選挙制度小委員会というものを運営審議会の中に設けることにきまりまして、これは運営審議会のメンバーの中から各部から一人ずつ、それから副会長が一人で八名、それから先ほど申し上げました、今後できますところの選挙管理委員会から約同数の人を入れまして、そこで検討をする予定でございます。
  77. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 昭和三十八年に選挙制度の検討をしたいということで特別委員会ができたわけですね。それがどうしていままで新しい選挙制度というものができなかったのですか。
  78. 鵜飼肥佐男

    説明員鵜飼肥佐男君) ただいまお話がありました選挙制度特別委員会の問題でございますが、これは今第七期の選挙をやります上のいろいろ選挙事務の手続につきまして検討をいたしまして、ただいまお話のありましたような基本的な問題には、一応触れたことは触れたのでございますが、結論に至っていなかった次第でございます。
  79. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この選挙の規則を見ると、第二十条あたりに、投票用紙の送付の問題にしても、大封筒に入れて本人からじかに選挙管理会ですか、に到達するように郵送してくれと。しかし、これは本人から確実に郵送したかどうかということは絶対確認ができないようになっているのですね。当然初めから不正を許すということをやっておいて、許すような穴抜けの規則でもって、そうなれば当然本人からじかに送ったということでほかの人が集めてやるということだって想像できるわけです。規則があったって、そんなことはありませんとお互いに口を閉じれば全然わからない。三十八年の四月から直さなきゃならぬということが言われているのに、こういうようなままで、ずっといた理由がよくわからないのです、どうも。
  80. 鵜飼肥佐男

    説明員鵜飼肥佐男君) 学術会議の選挙の問題でございますが、これは一番最初は、もう全然選挙運動等につきましては制限を設けておりません。そして、これはもっぱら学者の高い英知と良識をまって、そして恥ずかしくない選挙をするんだ、こういう趣旨で出発をいたしまして、そして法律にございますように、選挙関係の事務のこまかい規則は全部学術会議規則にゆだねられておるのも、そういう趣旨であろうと思うのでございます。それで、いろいろこの前も問題ございましたし、今度も問題ございまして、学術会議の内部におきましても、ただいま御指摘のような議論も相当活発にございますけれども、なおかつ、学術会議性格から見まして、学者は良識を持って恥ずかしくない選挙をするような覚悟を新たにすることが必要だ、そういう方向でいくべきだというような議論もあるわけでございまして、その点まだ、今後の委員会等でもいろいろ議題になることと思いますが、学術会議としては、ただいま述べましたような状況でございます。
  81. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 結局、いままでの考えは、いまも言われたように、確かに世界に類例のないものである、したがって、学者の高度な道徳の上に立って、違反なんかは行なわれない、理想選挙が行なわれるのであろう、そういう期待でいままでの規則はあったわけです。世界に類例がないということは、そういう選挙であるということは、逆に言えば、世界各国のいわゆる学術会議系統のその選挙の規則よりはものすごくゆるいということなんですか。
  82. 鵜飼肥佐男

    説明員鵜飼肥佐男君) 外国で日本の学術会議のような選挙をしておるところは少ないと思うのでございます。
  83. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 結局、このような規則が穴抜けのために――本人か今回は運悪くと言っちゃ悪いけれども、票集めがわかったわけです。いままでもそういううわさが何度も何度もあった。そうすると、運が悪いということより、いままであったのがある程度見のがされているから、そういううわさが出ていたが何でもないから白紙を集めている。実際に聞いてみても、研究室の中で今度おまえがこれに入れろと、はっきり指名される。おまえはおれによこしておけと預けられる、そういうのがかなりはっきりいわばわかるわけです。それは、学術会議の選挙ほどインチキなものはない。それにさからえば、自分のほうが今度は教授からの受けがよくなくなる、しかたがないから何も書かないで出している。それを書いて、いや私は私の意思でやるということを言えば、圧迫が始まる、こういうことが言われているわけですし、実際にそういう声を聞いているわけです。そうなれば、なるほど、これはかっこうでは理想選挙と学術会議のほうでうたっていても、中身はずいぶんとひどい派閥選挙みたいなかっこうじゃないですか。むしろ、そうならば、やはり学者の良心にまかせてと言ったって、良心が何だかわからないようになっているのじゃ話にならないのですから、規則というものを厳重に私はする必要があるのじゃないか、どうですか。
  84. 鵜飼肥佐男

    説明員鵜飼肥佐男君) この点は、ただいまお話のありましたのはしごくごもっともな御意見でございまして、今後開かれます選挙制度小委員会におきましても、そういうことがかなり出ることと思います。その検討の結果を待ちたいと思います。
  85. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 確かに、榊原教授が選挙違反をやったために権利停止を行なったのは、いまの規則からいって悪いことは悪い、それははっきりしておりますが、そういうような風潮を生んだ責任はだれにあると思いますか。
  86. 鵜飼肥佐男

    説明員鵜飼肥佐男君) 風潮といいましても非常にどうもむずかしい問題でございますが、やはり学術会議の会員、有権者の自覚と申しますか、反省と申しますか、そういう点がまだ十分でなかったということにあろうかと存じます。
  87. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 きょうは学術会議の会長に来てもらえればよかったのですけれども、やむを得ませんが、一応選挙管理会の決定文の中に、道義的責任は選挙されたほうの吉岡学長にもあるということをうたっております。それは学長を傷つけないという意味で道義的責任と言ったのか、それとも、学術会議の責任を回避するために道義的責任という決定をしたのか、どちらですか。
  88. 鵜飼肥佐男

    説明員鵜飼肥佐男君) この道義的責任と申しますのは、吉岡さんに対するものであると考えております。また、それは、ひいては、この決定文の最後のところに書いてございますが、被申し立て人並びに関係者の深い認識と反省を求めながら、主文のとおりに決定をする、こういうふうに結んでおる次第でございます。
  89. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私はこの機会に、罰則のないような、いわゆる罰則といっても選挙権の停止程度の罰則しかないというような、こういう規則はもう本格的に全面的に改定していかなければならない。しかも、内容からいえば、悪いことに、先ほど申し上げたように、研究室の助手やそのほかのいろいろな人から聞いてみると、腐りに腐っているんですよ。何も理想選挙が学者の良心によってなんてやっていやしない。これは実態ですよ。そういうものを押し返して、一人一人の自分の意思によって候補者に投票できるというようにさせなければならない。それは規則で縛るよりも学者の良心にまかせるということのほうがきれいでしょう。また、うまくいくだろうとは思う。うまくいくというか、うわべはよく飾れるかもしれないが、内容は全然実情と合わないようになってくる。むしろ、そういうようなことを防止する上からも、本人郵送なんていうんじゃなくて、一カ所一カ所に投票所ぐらい設けて、本人が行かなければ投票できない、そういうふうな点にも制度そのものを改めなければならない。厳重にこれをやるということを、あなたのほうは事務局ですから案はつくられるのかしりませんから、案の段階において、この規則をつくるのに、改定するのに本気になって考えてほしいと思います。その点の心証を聞きたい。
  90. 鵜飼肥佐男

    説明員鵜飼肥佐男君) ただいまお話のありました点はまことにごもっともでございまして、われわれの会員の中にも、いまお話しのような考え方をお持ちの方は相当に有力な方に相当ございますし、今後の検討小委員会におきまして、その点を十分に討議してもらうことにいたしたいと思います。
  91. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは学術会議長官には関係ないんですな。
  92. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これは御承知のように、総理府機関ということになっております。ただ、公正取引委員会とか学術会議といったようなものは、総理府機関ではございますが、半分独立したような運営をやって、内容には私どもはタッチをしないというようなたてまえでやっております。しかし、いま御指摘のような問題につきましては、やはり政府としても一応二応責任のある問題だと思いますので、よく選挙管理委員長なり、学術会議の議長なりにも、いまの御趣旨をよく伝えまして、ひとつ善処してもらうようにやりたいと思います。
  93. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 半分独立したような、半分はある程度ものが言えるようなというようなお話でありますが、政府でも学術会議の独立性におまかせするという点は、まかせなければならない点がうんとあると思いますが、しかし、世上にそう言われたり、実際の有権者から、こういうふうに強制されて私たちはやっているのだ、自分の意思なんかでやったことはない、投票用紙が来たときに初めから配られない、私のところなんか手元に来ない、私が預かっておりますよと教授が言うだけだ、私にまかせろ、こういうような状態で全部投票が行なわれているのだ。これじゃ、真の民主化された学術会議、ほんとうに会員の意思を反映して、日本の学術会議目的にうたっているように、文化の興隆、進歩発展に尽くせないということになる。半分しかないと言われるかもしれませんが、いまの善処しますということを中身を言えば、かなり強力に示唆もするし、対策も考えよう、こういうことで了解してよろしいでしょうか。
  94. 安井謙

    国務大臣安井謙君) そのとおりだと思います。
  95. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 学術会議はこれで終わりにしておきます。  それから、先ほど恩給のことでお伺いしましたのですが、現在、恩給の基礎資料というのは厚生省の援護局にあるわけですね。そのために、書類というのは一応厚生省を通らなければならない。しかし、裁決は総理府の恩給局がやると、そのために非常に行政事務というものが渋滞しているというように考えられるわけですけれども、その点はどうなんでしょうか。
  96. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) ただいま先生のお尋ねの件でございますが、現在、御指摘いただいております案件は、軍人恩給の関係だと考えられます。で、御承知のように、実は恩給受給者は軍人に限らず、文官もございまして、文官につきましては、それぞれの退職時の省庁が本属庁としてのいろいろお世話をするということになっております。ところが、御承知のように、軍人につきましては、現在は本属庁がございません。したがって、本属庁としての役割りをどこが果たしているかと申しますと、厚生省でございまして、そうして都道府県においても同じくお世話をするということになっております。したがって、現在の記録をもとにして整えますところは、旧陸軍軍人につきましては都道府県の世話課、または援護課がやるわけでございます。それから旧海軍軍人につきましては、厚生省の援護局がその本属庁としてのお世話をすることになっております。そこで、この文官につきましては、それぞれの本属庁が資料等につきましては十分整備したものを持っておるわけで、この点は比較的早く処置がつくことに相なります。ところが、軍人につきましては、終戦時のいろいろな混乱等がございまして、資料整備は実は都道府県とか、あるいは厚生省援護局というものがやる役割りになっておるのでありますが、資料散逸等で非常に整備が困難だというかっこうになっておりまして、そのことのゆえに、非常に事務的に実は整備のお世話をするのに日がかかっておるというふうな実態がございます。で、いま厚生省のそういう役割りは、あたかも各省庁が自己の所属職員について資料整備をすると同じような立場でいたしますときに、その資料整備の遅延ということが、したがって関係する方々に御迷惑をかけておる、かようなことに相なっておるわけでございます。
  97. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 年間どのくらい申請があるのですか。
  98. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 申請の件にきましては、たとえば傷病恩給につきまして見てみましても、年間の件数が二万件というふうに、その他すべての件数を見てみますと、軍人については約十五万件の年間の件数がございます。
  99. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ほかにそのほかのものがかなりあるわけですね。
  100. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 御承知のように、昨年度新たにいわゆる恩給増額の措置をいたしましたときには、その増額措置に伴うところのいわゆる事務処理がございまして、これは約百九十万件の処理というふうなかっこうになっております。
  101. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 現在の係官はどのくらいの人数がいるわけですか。
  102. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 現在、人員は七百二十名ばかりでございます。
  103. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 一人当たりの件数は。取り扱い件数ですね、年間。
  104. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) いまの七百二十人というその人間だけですべての処理ができない関係がございますので、したがって、いま申し上げましたような恩給額改定等につきましては、非常勤職員というものを雇用いたしまして、これを処理するということに相なっておりますので、その非常勤職員も、大体多いときに三百名程度の人数を使いまして処理をいたします。したがって、それらの人数の、平均延べ人数をもっていま申しました案件を割ってみることに相なろうかと考えます。
  105. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いずれにしても、一人当たりの件数はかなり多いということですね。いままでにも一つの申請がされてから決裁に至るまでに、半年から一年というのが通常です。そのために、受給者あるいは申請者のほうから望んでいることは、事務の能率化ということをもっと早くしてもらいたい、何とかやってほしいということが強くうたわれているわけです。実際、特に書類の不備、そのほかの点もあると思いますけれども、申請する人にとっては、かけがえのないような金額でもあるということから、この能率化は特に要望されているわけですけれども、特別に現在何か考えておられますか。
  106. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 御指摘の点につきましては、私たちも実は恩給受給者という立場からいきますと切実な課題でございますので、本問題についての処理については、先生の御指摘のとおり、遅滞をすることの影響の大きさということを十分配慮いたしておりますので、できるだけこの事務処理の迅速化をはかっておるわけでございますが、恩給局に参りましてからの裁定は、比較的早くいたしておるのでございますが、いま申し上げましたように、都道府県を経由してまいりますという関係上、かなりの期間を要し、長いのは半年を要するというふうな、あるいはもっとひどいのは一年もかかるという場合も、いまの資料整備等でかなり窓口の段階において時間がかかる。そのようなことでございますので、私たちは都道府県の職員及び市町村役場にも一応の書類が入ってまいりますので、そこでそういう関係者の、いわゆるこれらの事務処理についての知識の十分な補給をするという必要がございますので、そこで限られた経費ではございますが、そういう窓口事務を扱っている人たちの訓練ということに注意を向ける。現在までもいろいろなブロックでの会合等におきまして、処理の方法等についての注意を促したり、あるいは御承知と存じますが、この中で一つの問題になりますのは傷病恩給でございます。傷病恩給は、御承知のように公務性ということが一つの問題になりますので、したがって公務との因果関係ということが問題に相なりますところから、この判断にかなりの問題があると思いまするので、そこで御承知のように、恩給局には顧問医制度というのがございます。顧問医の方々にも、実はそれぞれの地域に出ていただきまして、関係の医師等につきまして、こういった判断の基準になるようなことの知識補給をいたす、かようなことに努力をいたしているわけでございます。反面、私たちのほうの局の職員の仕事がおくれては、これこそ申しわけございませんので、そこで部内職員の研修ということについては常に配慮しておりまして、毎年新しく入る職員及び古くからいる職員につきましては、それなりの実は訓練の機会を持つということで、しかも一方では、先ほど御指摘のとおり仕事の能率の関係がございますので、事務量のいわゆる絶えず一応の目標というものをきめまして、その目標がどの程度に実績をあげているかということを絶えず幹部でにらんでいく、かようなことで、鋭意仕事の促進に努力を重ねておるわけでございます。
  107. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 少なくもその事務をスムーズにするというために、現在の厚生省の援護局に基礎資料があるわけでありますが、そういうのと、少なくも恩給事務だけは援護局関係のほうだけでも総理府の恩給局に一本にまとめ上げていく、こういうようなことを考えたことはないのですか。
  108. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) ただいま御説明を申し上げましたように、実は本属長をどうするかという考え方できめておりますので、そこでもしもそれをやるということになりますと、すべての恩給のいわゆる実施の問題も、恩給局が全部つかさどらなければならぬということに相なりまするので、現在のところではいまのような機構の形で実施することが適切ではないかと考えております。
  109. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 恩給事務の行政指導ということで、かなりのことがされているわけですが、実際聞いてみると、申請書をせっかく書いたんだけれども、書類不備で戻ってくる。市町村の段階ではよかったんだけれども、恩給局から突っ返してきたというようなのがかなりあるらしいですね。その書類不備で、こちらに来た中で戻るというのは、どのくらいの量に上がっていますか。
  110. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 戻る件数は、いま詳細資料としては持っておりませんのでございますが、その件数は恩給局まで参りました場合は、比較的少ないと考えております。
  111. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまかなり恩給局のほうではスピードを上げてやっておるということですが、こちらにきてから二カ月ぐらいかかることがあるでしょう。それをもっと詰めてもらいたいということです。
  112. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 確かに、いまお話のごとく私たちのほうで一番早い処理方法をしておるのは、やはり一カ月かからないで処理をしておる案件もあるわけでございます。というものは内容が非常に単純な場合には、これは私たちのほうも裁定が比較的簡単にできるわけでございますが、ただ内容によりましては、非常に複雑なものがございますし、それから御承知のように、すでに二十年以前の資料を一応書面をもとにしての審査という形になりますので、したがって私たちはこの案件がもしもたとえば恩給受給権というものがないという決定をいたしますような場合には、格別にそれについての慎重な配慮が必要だと考えますので、そういうような関係から若干期間がおくれるという場合がございますが、先ほどお話し申し上げましたごとく、一応のつまり処理の目標というものを、明確に各それぞれの担当課が持つということによりまして、いまの促進に十分な配慮をしたい。さらに先生の御指摘もございますので、実はこの点について、私は一そうにこれからの処置について注意を払いたいと思いますが、また反面、関係団体からも事務促進の問題については、常に実は私のほうも陳情を受けておりますので、この件について私たちは無関心であってはならない、かように考えておるわけでございます。
  113. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 無関心であってはならないと考えておるだけではなくて、実際にスピードを上げてほしい。これは要望だけにとどめておきますが、先ほど各都道府県に対して恩給事務についての指導をやっておるということですね。年に一回か二回かわかりませんが、やっていらっしゃる。ところが、地方に行ってみますというと、恩給事務についての指導をやったあとで、急激に各都道府県に配置転換が行なわれる。そのために何のためにそういうような指導をやったかということがわからない、効果が全然あらわれないという問題が起きてくる、そういうような配置転換が行なわれたときに、再びもう、一度事務処理の指導について綿密にやらなければならないのですが、その点はどうなっておるのですか。
  114. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 実は都道府県で確かにいまお話しのごとく配置転換が行なわれます。特に私たちが考えておりますのは、この恩給の関係業務というものは、非常にじみな仕事でございます。したがって、都道府県ではどちらかというと非常に重要な仕事であるにもかかわらず、ある意味では下部の仕事と言えないこともないかもしれません。さような意味で配置転換をやめてくれと申すわけに参りませんので、そこで、私たちは新たに職員の配置転換が行なわれたような場合にも、何とか恩給事務が進められるようにということでいろいろな書面を通してのいろいろなやり方もいたしておりますが、中にまた恩給という雑誌が一つ出ておりまして、この内容に、できるだけそういうふうな手続的なことを解説もし、あるいは恩給関係についての事務処理の基準になるような冊子を通して考えていきたい、かように思っておるわけでございます。
  115. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それは前から出ておるわけです。そういうことでなくて、先ほどは実際にいろいろな打ち合わせをやると言われた。ところが、担当がかわってしまえば、何のためにやったのかわからなくなるし、効果も薄れてくる。再びそういう打ち合わせというものが必要ではないかということを言っておるわけです。
  116. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 確かに御指摘のごとく、かわりましたそのつどいま申し上げましたような恩給の指導が行なわれれば、非常によろしいわけでございますが、限られた経費の中で行ないますので、ことに旅費の点からいきますと、やはりそのかわりましたたびごとに指導に参るということは、かなり困難でございますが、今後はできるだけ御趣旨に沿うような措置を進めてまいりたい、かように考えております。
  117. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これはちょっと大臣に伺っておきたいのですが、現在の恩給制度というものは、いわゆる年俸体系というような形になっている。そこで、どうしても上厚下薄ということになる。特に軍人恩給の場合、階級差ではっきりそういう差が出てくるわけです。これは根本的な問題ではございますが、勤続年数、その点から考えた、特に軍人恩給の場合には、一番苦労したのが兵隊であったというようなこともあるわけでありますから、それだけに勤続年数等を中心とした一律支給というような方法に、これは当然変えていかなければならない、私どもそう思っているわけですけれども、その点についてのお考えはどうですか。
  118. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 過去の階級制によらないで一律に、その年数等によって公平に均一に支給する考え方はどうか、こういうお話だと思います。考え方によりますと、そういう考え方も生まれるかとも思いますが、やはり過去におけるいろいろな実績、あるいは退職時の状況といったようなものから、いま直ちに恩給制度だけをそういうような均一性に持っていくことは困難ではなかろうかと思っております。しかし、将来そういう均衡をできるだけとるように、あるいは上厚下薄というのですか、そういうことがだんだんと縮まっていくようにいたす配慮は、十分しなければなるまいと思っております。
  119. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 恩給制度ということは、逆に言えば所得の再配分計画ということですね。再配分ということになれば、でき得る限り平等に持っていくようにしたほうがいい。いままでの高給者がそのまま高給者でずっと恩給のほうもいくという考え方は、これは考えなければならない。むしろ勤続年数等によって考えてあげたほうが所得再配分、いわゆる民主化ということに進むわけです。一方で、政府は民主化と言っておきながら、他方では、いわゆる所得の差別を生ずるような方法を考えているというのは、どうも納得できないわけです。将来においては――急激にはできないということはよくわかりますけれども、いままでも多少ずつは変更はされてきていることは知っておりますが、この度合いを強めていくという考えはありませんか。
  120. 安井謙

    国務大臣安井謙君) そういう問題につきましても、これは将来の問題としても十分考えて、検討していかなければなるまいと思います。幸いといいますか、今度出しております恩給審議会といったような機関もございますので、そういう点でも、いまのような御趣旨の点は十分御検討願いたいと思っております。
  121. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) ただいま先生の御指摘の件でございますが、恩給につきましての運用のしかたは、最近は御承知のように上薄下厚という点で、むしろ上に薄く、下に厚くという趣旨で、軍人恩給も文官恩給等もいずれも措置をしてまいっておりますので、先生の御趣旨にできるだけ沿うような改善のしかたが、次第に実を結びつつあるということだと考えます。ただこれにつきまして、恩給の基本的な問題が、御承知のように退職時ということが一応基本になりますので、そこで退職時の基本というものを考慮しつつ、実質価値をどう高めていくかということは、いまの上薄下厚的措置というものによって、いまの御趣旨が実現するような方向が、次第に恩給制度の合理化、改善の中で行なわれてきていると見ていいのではないかと考えております。
  122. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その退職時の云々ということが、将来金科玉条に守るべきものであるか、それを改正すべきであるかの問題であると思います。私どももそういうような退職時のその人の所得、給与というものを基準にするというような考え方というものは、改めていかなければならないということを申し上げているわけです。これは研究課題として、ただの意見になるわけでしょうからやめておきますが、先ほど恩給審議会の設置のお話が出てきたわけですけれども、この人選の問題で国会議員とか恩給関係団体、そういうような人たちは入らないというふうに考えてよろしいですか。
  123. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 今回は純粋に学識経験者の専門家だけにお願いするという予定でおりまして、国会議員、あるいはその関係団体に直接関係をしていらっしゃる方は、お入り願わないというつもりでおります。
  124. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 かなり強力に恩給関係議員やその他の圧力があると思うのです、審議会委員の人選については。それについてのお覚悟はどうでしょう。
  125. 安井謙

    国務大臣安井謙君) いまの御趣旨を、何とかぜひ貫徹をしたいと思っております。
  126. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 したいと思っているというくらいにしてほしいわけです。  そこで、今度は小さい問題になりますが、先ほどの傷病恩給の場合に、いわゆる指定医師が必要になるわけですね。また指定の病院でなければならないことになってくる。非常に場所が遠いのがある。県に一カ所か二カ所しかないという不便があるわけです。そこで申請者の中には、生活困窮で非常に困っている、程度も低い。そういう指定病院に行く鉄道賃だけでもまかない切れない乏しい人があるわけです。そういう実情がある。もよりの病院に行きさえすればいいんだというふうな方法はないですか。
  127. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 傷病恩給につきましては、ただいま申し上げてまいりましたように、恩給局の裁定のしかたが書面調査になっておりますので、そこで原則が書面調査でありますために、いわゆる診断書の内容というものが、非常に重要なウエートを持ってまいります。そこで、その診断書というもののウエートを高めております関係上、この診断の関係について検診依頼をするときに、できるだけ国立病院とか、そういう権威のあるところに求めようとする一応の方針をきめておるわけでございます。そのときその指定医を選ぶ選び方といたしまして、御本人の住所地にできるだけ近い地域を選ぶというような措置をとっておるわけでありますが、この指定医という御指摘の点は、検診を依頼する検診ということでございますので、これらの検診につきまして、さらに私たちのほうでは顧問医の判断というようなものによって、その公務性の度合いを判断いたしますので、現在の状態の中では、一応いまの先生の御指摘のように、まあ確かに検診をお受けになる方々に生活困窮の方々もあることは、私たちのほうも承知いたしておるわけでございますが、現状においては、これに旅費を出すという措置がまだできない状態でございます。今後の課題として、いまの先生の御指摘の点については、十分研究をいたしてまいりたいと考えております。
  128. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは研究するまでもないことです。鉄道運賃を出すわけにはいかないということはわかるのですが、それなら特別にもよりの病院というものを指定をしてやればいいじゃないですか。実際は距離の近いところというふうにならないのです。そのためにバスに乗って電車に乗ってというような、その旅費でもって悲鳴をあげているのがいる。当然近くにあるけれども行かれない。
  129. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 確かに先生の御指摘のごとく、かなり距離があって、検診をお受けにいらっしゃるには、それなりの費用もかかることでございますので、そこでできればそういう医師の派遣でもできれば、われわれのほうでは一番いいのではないかというふうなことも考えられるわけでございますが、現状においての私たちの予算の範囲では、そこまで参りませんので、かような点についても、いま先生の御指摘のような点についての検討をしてみたいと考えておるわけでございます。
  130. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私の言っているのは検討するまでもないことだと思う。近くの病院に検診を求められて、それで済むようにしてやれということですから、そんなむずかしいことじゃないじゃないですか。
  131. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) いまのはこちらから検診を依頼する場合でございますが、御本人が診断をされて、診断の関係書類をお出しになり、それが証拠書類になるということは事実でございますので、この点につきましては、私のほうでその御本人の診断書として御提出になりました件について、なおこれによっての十分な心証が得られない場合、そこで検診という形になりますので、さような点から言えば、その指定医の検診を省略すれば、結局関係の先生の御診断そのものに準拠して考えていくというかっこうになろうかと考えます。
  132. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 長官どうですか、いまの問題ですが、非常に生活困窮の人の場合にはそういう問題が起きて、実際に至るところで声を聞かされるわけです。そういうところに目を配ってあげなければ、ほんとうの政治ではないだろうと思う。
  133. 安井謙

    国務大臣安井謙君) いまの局長がお答えしたかと思いますが、普通ならば一般の診断書をもとに認定をする。それについてもう一回再診をしなければならぬというわけで、これは特別の指定医ということに相なっておると思いますが、ただ、いまお話しのように、非常に遠い距離をしばしば足を踏まなければいかぬというようなことについては、何らかもう少し便宜な措置を考えられれば考えたほうがよろしいと思いますので、これはひとつ検討さしていただきたいと思います。
  134. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 総理府は私は終わります。
  135. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  136. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) では速記をお願いします。  以上をもちまして内閣及び総理府所管に対する質疑は終了したものと認めます。     ―――――――――――――
  137. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) 昭和四十一年度総予算中、皇室費、裁判所及び会計検査院所管を便宜一括して議題といたします。  まず、慣例では政府側から説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略して、お手元配付してあります資料をごらん願うこととし、直ちに質疑に入ります。  また、その説明資料は、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  それでは御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  139. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 簡単にやっておきたいと思いますが、会計検査院のほうですが、国有財産に関係してちょっと聞いておきたいのですが、かなりここで国有財産の問題が取り上がったわけですが、これの結末、そのほかについて会計検査院としてはどのように、いろいろ検査院の報告にはありましたけれども、最終的な報告はおそらく検査院あると思いますが、その経過、その中途についてはどういうように聞かれているわけですか。
  140. 白木康進

    説明員(白木康進君) 御質問の趣旨、若干はき違えておるかと思いますが、国有財産の管理処分につきましては、近来特に国会においても詳細御審議になっておりまして、私どもでも戦後国有財産の処分は、特に私どもの重点的な対象といたしまして、まず第一にその実態の把握、それからそれの整理の進捗状況、さらに管理処分が適正であるかどうか、そういったものについて常時検査をしておりまして、まあ特に問題のあるものについては、検査報告にも指摘しておりますし、また国会等においても御質問に応じ種々御説明申し上げておるわけでございます。
  141. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 最近指摘された問題がかなりあったわけですが、それについては、どのようにつかんでおりますか。方向はどういうふうにきまったか。
  142. 白木康進

    説明員(白木康進君) 先ほども申し上げましたように、不当と認められた事項については、検査報告に掲記しておりますし、また特に昭和三十九年度の検査報告に掲記しておりますが、四十年中に管財当局の国有財産の管理状況全般につきまして、総括的な検査を実施いたしまして、その結果特に管理上留意を要すると認められるようなもののおもなるものについては、ここに掲げまして、当局に対して是正改善の処理を要求いたしておるわけでございます。これは三十九年度の検査報告に詳細指摘してございます。
  143. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 まだはっきり終わらない、終わらないというか、契約をする、契約はしてあるけれども、これからどういうふうに使われるか、一応は契約の事項はできておるけれども、その契約の内容が変更されている、こういう場合もいろいろあるわけです。その政府のほうから、大蔵省あるいはそのほかの省から報告がなければ、検査院は動けないだろうと思いますけれども、そういう場合、絶えず国有財産が払い下げられたときに、売却されたときに、これは目的は、使用としてはこうである、指定用途どうりになっておるか、そういうふうに運ばれておるかどうかということも、常時に見ていくということはないのですか。
  144. 白木康進

    説明員(白木康進君) ただいま御指摘のとおりに、国有財産を処分いたした場合には、通常用途の指定を行なっておるわけでございますが、そういう場合には、もちろん指定条件が順守されているかいないか、これは用途指定の期間にもよりますけれども、少なくとも期間中に用途指定が順守されておるかどうかは、常に私どももその実情を聴取し、また調査して関心を払っておるわけでございます。
  145. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 実際にはそのようになっていないのですね。人数も足らないんだろうと思いますけれども、これだけ騒がれているときだけにこれをどこに売り払われたのか、用途指定どおりになっているのかあるいはなっておらないのか、それは常時見てほしいと思うのです。これはこの前伺ったときに、その辺についてちょっとわからぬというのですが、こういうのが実際に調べてみてあるわけです。検査院の現状から見れば、それほどできないということはわかりますけれども、問題が問題になっているだけに、国民の財産であるだけに、その点についてはやってほしいと思うのです。
  146. 白木康進

    説明員(白木康進君) 用途指定の問題につきましては、従来、ごく最近まで具体的にもいろいろ問題がございますし、私どもも関心を持っておりますこと、並びに状況の把握につとめておりますことは、先ほど申し上げたとおりでございますが、これは私ども実地検査の場合に調査しております。それから管財当局においてその順守状況について把握をしておられることをこっちで聴取する、こういうようなことでございますので、先生御指摘のように私どもの目の行き届きかねておる面もあるいはあろうかと思いますが、まあ国有財産の管理並びに処分の重要性ということから見まして、指定用途については今後もなお十分に注意いたしたいと思います。
  147. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 次に、不正行為による国損の問題でありますけれども、いわゆるいろんな種類がある。たとえば公務員が拐帯していってしまった場合、そして起訴したけれども取り切れない場合もあると思いますし、あるいはこの間の国有財産の楽石社の九千万円の訴訟を起こしておりますけれども、たとえ訴訟に勝ったとしても、あの場合相手側に支払い能力があるとは認められない。二番、三番抵当に入っているという状態です。その場合九千万円の国損が出てくるわけです。それは一体検査院としては検査報告の中には出てくるんですか。
  148. 白木康進

    説明員(白木康進君) 不正行為につきましては、これは検査報告に事態並びに金額等について詳細掲記されます。もちろん、掲記の基準につきましては、たとえばそれが全額弁償をされておるとかというような関係のものは、もちろん省いておりますけれども、その他のものはすべて検査報告に掲記しているわけでございます。なお掲記しました不正行為の亡失額と申しますか、損出額と申しますか、それのその後の処理状況、これはすべて全部回収に至るまで私どもでトレースしているわけでございます。ただ御指摘のように普通不正行為に基づきます損出額においては、回収がきわめて困難であるということで、長期にわたってなお補てんに至らないものも多々あるわけでございます。
  149. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ここで私が指摘したいのは、表にあらわれる、いわゆる本来ならば予算書に出てこなければならない、違約金そのほかの問題として、しかし裁判で勝ったにしても取る見込みがないとなれば、予算書にも入ってこない。そうすると決算書にも出てこないと、国会議員のほうからチェックする場所が全然出てこないわけですよ。検査院のほうではそれはつかまえられるかもしれないけれども、しかしそれも報告の説明書の中に出てくるだけです、詳しくは。そうすると、具体的にどこで一体つかまえたらいいのか、そういうのをどうやって予算の上にはあらわすべきなのか、それが出てこなければ欠損はわからないわけです。私たちとしてはチェックのしようがない。そういう問題についての改善策は考えておられませんか。
  150. 白木康進

    説明員(白木康進君) ただいま御指摘のような点は、歳入歳出の決算の面では、これは当該年度だけでございますので出てまいりませんけれども、御案内のとおり債権の増減については、法律に基づきましてその増減状況を明細書として私どもへもちろん提出し、私どもではそれに基づいて検査もいたしておりまして、これは国会にも提出することになっておりますので、まあその面において国損の額の状況というものが、一応わかるようにはなっておるわけでございます。
  151. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 国が持っている債権については、結局決算のときにはっきりするということでしょう。そうすると、あらかじめの予算のときにはわからないということですね。
  152. 白木康進

    説明員(白木康進君) 予算書、決算書には、先ほど申し上げましたように当該年度の収入支出という関係だけが掲記されるわけでございまして、既往年度における国の債権というようなものは、これは予算、決算とは全然別個の扱いで処理されておるわけでございまして、その内容については、これもいろんな法律に基づきまして、たとえば国の債権でありましても、いかなるものをこれに計上するかという若干の制限はございますけれども、ただいま御指摘のような国の不正行為に基づく債権等はすべて債権の増減計算として処理されることになっているわけでございます。
  153. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 国会に報告しなければならないのですから、それは債権の現在高というのは、年度末に出てきますよ。しかし今年度取れる予定の債権というのはどうなっているのかというのです、私は。
  154. 白木康進

    説明員(白木康進君) これは予算作成の際に、個別的にしろあるいは概括的にしろ、特にこれを徴収することができる、徴収可能であるというようなものについては、これは歳入予算として計上される場合もあると思いますが、まあ通常の場合には、予算書等にはあらわれない。入ってきた場合に、そのつどこれは弁償及び違約金とかいうような形で決算に上がってくるだけというような取り扱いになろうかと考えております。
  155. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 違約金として予算書には確かにありますよ、項は。しかしそれを見ているというと、どの債権が取れる予定ということでできているものじゃないのです、あれは。去年までがこうだからことしはこうであろうという目の子です。しかし、それははっきりした債権の取り立てということも目安なしでしょう。言いかえれば羅針盤なしに船を出しているようなものです。むしろ国損の大きなものでございますから、金額はたいしたことはないかもしれないけれども国民にとっては最大の関心を持たなければならない。そういうものが羅針盤なしでもってきめられるというのは、これは考えられなければならない。確かに債権の年度末の現在高報告書は出ます。しかしそれだけでは済まないのではないか、片方のほうが目の子でいくのでは。それは努力しなければ全然取らないで済んでしまう、最後には欠損ということで終わってしまうということになれば、これはつかまえられるものは債権報告書以外にはないということになる。国の努力、一体どうやったのかということのつかみようがない。むしろ予算書をきめる場合に、そういうものを入れるようにすべきだという意見を、私どもは持っておるわけですけれども
  156. 白木康進

    説明員(白木康進君) これは確かに先生おっしゃいますとおりに、現在の取り扱いでは、そうした犯罪に基づく不法行為金額の回収に対して、どういう努力を当局は払っておるか、また、どういうそれぞれについて見込みがあるかとかいうことについては、御指摘のようにこれはあまりはっきりいたさないたてまえになっております。ただ、会計検査院といたしましては、いやしくも犯罪等の亡失金額については、これは一円でも、残っておる限りは、これは特に厳格に従来からトレースをしておりまして、当局においても、その徴収等については、逐次私どもには報告をしてまいっておるというような事情になっております。
  157. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 検査院のほうはいいですが、今度は宮内庁、皇室関係です。下田の御用邸の計画というのがあるわけですね。
  158. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 特に下田のところに御用邸を設けるという計画は、まだないわけであります。
  159. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私どもが聞いたのでは、葉山の御用邸が、海が濁ってきていて、だいぶ公害が多いということで、下田の京浜急行の現在持っておる土地と交換をしたい、こういうような予定だということですが、そういうことがかなり伝わってきているし、実際に京浜急行の問題を調べていきますと、そういう計画を聞くわけです。計画がないわけないでしょう。
  160. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この葉山の御用邸、あるいは沼津の御用邸、いろいろ検討する余地もあります。特に沼津の御用邸につきましては、特に検討する余地もありますので、なお一方、何かこう伊豆の海岸あたりに、それにかわる何か御用邸が設けられるならばよりいいのじゃないかという考え方はあるのでありますけれども、しかしそれはまだ具体的に、それならそれをどこにしようかというところまでは進んでいないのであります。で、いまお尋ねの下田の狼煙崎のあたりの土地につきまして、これは例の高輪南町の御用邸を皇室財産から解除いたしました際に、将来、これはそのまま解除するが、御用邸の用地として皇室の限定用地が必要な場合においては、大蔵省のほうでひとつ十分に考えてほしいということを申し入れ、大蔵省のほうでも、それでは十分考えるからというお答えがありました。そういう言質に基づいて、大蔵省のほうでその狼煙崎の土地を将来の御用邸の用地の候補地として考えようじゃないかというふうにして、いろいろ検討されているというのが実情でありますが、まだ、それじゃそこを御用邸の土地としてきめるかどうかというような具体的なところまでは進んでいないというのが、実情なんであります。
  161. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは京浜急行の高輪御用邸をめぐっての国有財産の処理というのは、非常に不正な問題が多いということは、御存じのとおりだろうと思うのです。それだけに私どもとしては、そういうものに皇室が乗っかって、宮内庁が乗っかるようなかっこうというものは、非常にこれは好ましくない。むしろお求めになるならば、葉山が非常に無理で、伊豆の西海岸あるいは東海岸が必要ということであれば、別途にこれは考えるほうがいいのじゃないか。また高輪の土地とあるいは金沢の泥亀町にある土地の問題、横浜市といろいろにからみ合っているわけなんです。非常に複雑怪奇であって、どう考えていっても、正常な行為ではないというようなことが多いわけです。たとえば九億円で土地造成をやって、その九億円のうちの一部分を九億円で国に納めてしまうというね、そういう京浜急行一社だけがほくそえむというような非常に不安の点が多い国有財産のこういうふうな問題になっているわけです。それだけに、そのような京急の土地と交換をしてやっていこうというような考え方は、これは慎んだほうがよろしいのではないか。むしろすっきりした形で別のところをお考えになったほうがいいのじゃないか、このように思っているわけですけれども、じゃ、将来はこういうほうにいまのところお考えになっているということですから、それならばそのようなすっきりした形でいかれるということをお約束できましょうか。
  162. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この問題につきましても、大蔵省のほうでいろいろ考えられて、狼煙崎を一応御用邸の候補地として考えて仕事をある程度進められたことを聞いておりますが、しかしながら、宮内庁といたしましては、もっとこの問題については慎重に検討したいと思っております。いま先生のおっしゃいましたようなそういう精神を腹において、慎重に検討したいと存じます。
  163. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 宮内庁としてはこの狼煙崎には行かれたことはないのですか、候補地をごらんになられたことは。
  164. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 伊豆の海岸について、ある程度ずっと調べた事実はございます。その一つとしてそこを見た事実もございますが、それはそれだけで、そこを有力候補地としてという、そういう強いものではございません。
  165. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これはほんとうに慎重に検討したいということですから、一応了承しておきますけれども、そういうような黒いうわさ、黒い霧があるようなところについては、これは厳重に考えないと、宮内庁自身が巻き込まれたということになれば、皇室にも影響が及ぶということですから、慎重になお一そう考えてほしい、これを要望しておきます。これで宮内庁について私は終わりたいと思います。
  166. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) ちょっと速記をとめて。   〔主査退席、副主査着席〕
  167. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 じゃ裁判所関係を簡単にお聞きします。  いま刑事で再審が出ているのは、どの程度ありますか。
  168. 佐藤千速

    最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 現在のだけでよろしゅうございましょうか。
  169. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ええ。
  170. 佐藤千速

    最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) お答えいたします。四十年におきまして七十六件再審の請求がございまして、それに対して何らかの裁判がございましたのが七十一件でございます。
  171. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはまた別の委員会で詳しく聞きます、きょうは時間がございませんから。  それから、最高裁で破棄差し戻しになった刑事事件は、最高裁が始まってからどの程度あるわけですか。
  172. 佐藤千速

    最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 実は破棄理由別に調べたものが二十六年からしかございませんので、その点で御了承いただきたいと思いますが、破棄だけでよろしゅうございますか。
  173. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 破棄――まだ自判はないでしょう、あまり。
  174. 佐藤千速

    最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 自判はあまりございません。破棄だけを申し上げますと、昭和二十六年以降三十九年の末までにおきまして二千六百十件でございます。
  175. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは刑事で上告審の最高裁判所が破棄差し戻ししたものですか。
  176. 佐藤千速

    最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 仰せのとおりでございます。
  177. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私もこんなにあると思っていなかったのですが、ずいぶんあるのですね。そうすると、理由を分けるとどういうふうになりますか。
  178. 佐藤千速

    最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 理由を分けて申し上げますると、第一に多いのは、何と申しましても刑の廃止、変更、大赦、これでございまして、これが二千二百三十一件というふうに非常に多数にのぼっております。それから順に申し上げますると、法令違反、実体法、手続法の違反でございまするが、これが二百五十三件で第二番でございます。三番目に参りますると判例違反五十四件、パーセンテージにいたしまして二二%でございます。それから四番目に事実誤認、三十五件でございまして、パーセンテージは一・三%でございます。
  179. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの資料は、これはここの委員会で出すのか、あるいは別の委員会のほうで詳しく請求してお尋ねしたいと思いますが、法令違反というのは――ちょっと言われたのは何ですか、逮捕の手続、勾留の手続に違反した、こういうわけですか。
  180. 佐藤千速

    最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 法令違反の二百五十三件でございまするが、実体法の適用の誤りと訴訟法の適用の誤りと、こういうことでございます。
  181. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それから無罪の判決は、どの程度出ているのですか。大体どの程度ありますか。
  182. 佐藤千速

    最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) お尋ねは、最高裁判所でございましょうか。
  183. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いやいや、最高裁ということでなくして、下級裁判所も……。
  184. 佐藤千速

    最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 全体のやつでございますね。ちょっとお待ちください、統計を調べますから。
  185. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あとでいいですよ。高裁別と、それから地裁なりあるいは簡裁と分けて見ると、無罪判決がどの程度出ているのか。それから、その理由はどういう理由なのかということ。これはいまでなくてもいいと思いますがね。
  186. 佐藤千速

    最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) お尋ねの資料は、後ほど作製いたしまして、提出いたします。
  187. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 世間で、これは常識から見るとおかしいんですけれどもね。たとえば、高裁で死刑判決があった。一審も死刑判決、二審も死刑判決だと。上告でそれが差し戻しになって無罪になったと、こういうふうな場合に、世間的に見るというと、それは刑事補償の問題もあるし、それから国家賠償の問題もありますけれども、一審なり二審なりのそういう、結果的には間違った判決になるんですが、それを判決をした裁判官が、あれですか、その責任というとおかしいんですけれども、責任にも、内容はいろいろありますけれども、そういうのは具体的に内部ではどういうふうになるわけですか。たとえばそこに過失があった、裁判の中で過失があったということになれば、これはまあ不法行為の責任が起きるとか起きないという議論があると思いますが、具体的にはどういうふうになるのですか。裁判官は独立だから、死刑の判決を下したあとでひっくり返ってきて、そしてあとで無罪の判決が確定したという場合でも、別に、いわゆる責任といいますか、法律的な責任なり何なりは全然無関係だ。司法権の独立の考え方からいってこれは出てくるのは、法律家のあれでわかりますけれども一般人から見ると、何となく割り切れないようなあれになるんですが、そういうことはどういうふうになっているわけですか。
  188. 佐藤千速

    最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 非常にむずかしい問題で、通常はいわゆる事実誤認の問題、事実問題で発生すると思うのでございます。一審におきましての事実認定と、上訴審が、結局それは疑いがある、あるいは間違っているということにいたした場合のことだと思うのでございます。もちろん、故意過失がございますれば、国家賠償というような問題もございまするが、そういうことでない場合がむしろ問題であろうかと思いますが、御承知のとおり、訴訟の発展性ということが言われるとおり、一審におきまする資料と、それから上訴審におきましてまた資料が加わるということにおきまして、全体の証拠の価値判断というものが変わってくるというようなことがあるのではないかと、かように思っているわけなんでございます。
  189. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはきわめて常識論なんですよ。たとえばいま刑事訴訟法の中では、手持ち証拠を出さなくていいわけですわね。検察官が持っている証拠、この証拠を出せば被告人が無罪になるのだというふうなことがわかるような証拠であっても、それを出さないような場合がありますね。そういう場合、検事のほうが出さないでおって判決がおりてしまった、死刑の判決がおりたと、こういうふうな形になった。それがあとでひっくり返る場合もありますし、ひっくり返らないでそのまま執行される場合があると思いますね。そのまま執行された場合にはわからないかもしれないけれどもあとでそれが破棄差し戻しになって、無罪の判決になった。しかし、それが検察官の手持ちであった証拠を出せば無罪になるのに出さなかったという、それで事実がかりに認定されてくるとした場合に、どうなるか。その検察官はどういう責任をやはり負うことになるのですか。これは裁判所にお尋ねするのもおかしいのだけれども、便宜、常識論としてお尋ねするわけです。
  190. 佐藤千速

    最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) ただいまの仰せの点は、非常にむずかしい問題に実はお触れになっているわけで、いわゆる証拠の開示と言われる問題がそれでございます。で、わが国の場合には、検察官のほうにおきまして証拠とする意思決定をいたしたものを、取り調べを請求するというふうに、御承知のとおりなっているわけでございまして、証拠開示の機能というものをもっと広げまして、さらにすべて被告人に利益なものでございますね、そういうようなものまでもすべて開示するというところまで、証拠開示の機能というものを期待するかどうかということは、大げさに申しますと、世界的な問題であるように思われます。いまの刑訴の訴訟構造から申しまするというと、実はそこのところは、これは私の理解でございますが、現在では検察官が取り調べを請求する意思決定のあったものについて請求するということになっておりまして、さらに広く証拠開示の機能というものをするかどうかという点については、規定がそれほど広く規定されているわけではございません。これはいわゆる訴訟の当事者主義的な構造をとるかどうかというようなこととからみ合っている、本質的な問題であろうと理解しているわけでございます。
  191. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 英米法では検事控訴は認めないわけですが、日本の刑訴法が、英米法をとっていながら検事控訴を認めているというのはどこにあるのですか。
  192. 佐藤千速

    最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) これは実は現行刑訴の素案の当時からやはり問題になったことで、英米におきましてはいわゆる憲法上の二重の危険という考え方から、検事控訴を認めないという思想が強いように聞いているわけでございます。が、それだけではなくて、やはり一つの広い意味でポリシーと申しますか、そういうものも入っているやにも聞くのでございまして、陪審裁判ということとも関連しているのかもしれません。わが国の場合にも、現行刑訴法採用の際に、その点は検討されたと記憶いたしておりまするが、結局この控訴審におきましても、それは一つの事件の延長であるという考え方で、いわゆる二重の危険にはならないのだと、理屈の問題でございますが、そういうふうな理解のされ方であったと、私は了解いたしております。
  193. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの点なんか、これはほかの委員会で、具体的に再審の問題なりあるいは無罪の判決の場合、どういう理由で無罪判決が出たのか、それに対して一体警察官なり検察官が、自白の強要とか、人権のじゅうりんによって起きた場合が多いわけですが、そういう場合にどういうふうな反省をしているのか、また、反省をすべきかと、こういう点については、これはまた別な機会にお尋ねをしたいと思います。  で、最高裁判所の裁判官で、ことしじゅうに定年で退職の御予定の方は、どなたですか。
  194. 岸盛一

    最高裁判所長官代理者(岸盛一君) 本年退職される方は三名ございます。
  195. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはどなたか。
  196. 岸盛一

    最高裁判所長官代理者(岸盛一君) 山田裁判官、それから横田長官、五鬼上裁判官、この三名でございます。
  197. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで、最高裁判所の長官を選ぶのに、現在はどういうような手続で選ばれておるんでしょうか。それに対して最高裁側の意向というものは、これは聴取されないのですか。そこはどういうふうになっているんですか。
  198. 岸盛一

    最高裁判所長官代理者(岸盛一君) 最高裁判所長官は、御承知のとおり内閣の指名に基づいて天皇が任命されますので、これは裁判所の人事の中におきましても、もう秘中の秘と申しますか、絶対外部からはうかがえないような状態でございますので、ちょっと事務当局の者としてはお答えいたしかねます。
  199. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあ内閣が推薦というか指名するという制度、最高裁の長官もそうですけれども、ほかの裁判官もみんなそうですね。この制度が問題点はいろいろあるわけですが、これはここで事務当局にお尋ねするのは筋が違うというか、かえって御迷惑になるかと存じますので、それは省略をして、いずれ別な機会に、ことに今度は最高裁の長官が八月ですかかわられるわけですから、それに対してのいろいろないまから動きというものがありますから、どういうふうにしてどうこれを選ぶのが本筋であるのかというようないろいろなことについては、ここでは触れません。最高裁なり裁判所側の問題については、いまちょうどほかで、法務委員会で法案もかかっておりますので、そちらのほうでさらにこまかい点については聞きたい、こういうふうに考えまして、きょうはこれ以上は聞かないで終わります。
  200. 宮崎正雄

    ○副主査(宮崎正雄君) 以上をもちまして皇室費、裁判所及び会計検査院所管に対する質疑は終了したものと認めます。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  201. 宮崎正雄

    ○副主査(宮崎正雄君) それでは速記をつけて。     ―――――――――――――
  202. 宮崎正雄

    ○副主査(宮崎正雄君) 昭和四十一年度総予算中、国会所管を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  203. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 参議院の事務総長にお尋ねをいたしますが、参議院の職員の中で約六割は行(一)の給料表の適用者であると言われているわけですが、聞きますと、何か妙なアンバランスが給与についてある、これが非常に職場を不明朗にしたり能率的な事務の遂行の障害になっておって、いろいろ何といいますか、おもしろくない空気になっているので、これを何とか変えなければいけない、こういうことが盛んに言われておるわけですね。本人にしますと退職金なり、あるいは年金の計算の基礎になるわけですから、非常に将来にわたっても重要な問題になるわけですが、昭和二十四年から二十九年までの採用者というのは、その前後の採用者に比べて何か著しく不利になっているのだ。だからこれをすみかに是正してほしいという声があるわけですね、この点はどういうような形でこのアンバランスができて、どの程度実態はあるわけですか。
  204. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 給与のアンバランスの点につきましては、ここ長いこといろいろな問題になっておるのでございまして、貴族院から参議院に転換いたしましたときには、二百数十名の職員から二、三年の間に六百余名の職員に膨張いたしまして、そのような関係でございまして、いろいろな経歴がある職員を採用するのやむない状態であったのでございまして、個々人の特殊事情に基づく給与の不均衡と申しますか、それらは特に、具体的なことを申し上げますれば、社会、民間歴におきまして非常な不遇な地位にあった人が、参議院に入ってきたようなわけでございます。そういう人につきましては、個々的に処理いたしておるのでございまするが、二十三年の十二月に政府職員の新給与の実施に関する法律の一部を改正する法律によりまして、各省がアンバランスを是正したときに、私どもの職場は、大蔵省の特段の御配慮によりましてその当時の現状のままと申しますか、ほとんど現状といってもいい状態において認められました。自今採用におきましては、政府の厳格な基準によりまして、同一な法規によって処理いたしますのでありますから、その点以後の職員につきましては、行政庁の職員と変わらないのでございまするが、これらの職員とそれ以前に採用いたしました職員につきましては、かなりのアンバランスがあったわけでございますが、自今長いことかかりまして昇格及び特別昇給、それらの手段をもちまして逐年改善に努力してまいったのでございまして、いまでも全部解消したとは私は申しかねますが、かなり安定した空気に相なっているのではないかというふうに考えております。  それからまた御指摘があったかどうかちょっとはかりかねますが、給料表自体のアンバランスということにつきましては、これは最近の、御説明申し上げるまでもなく、初任給の是正等によりまして、若い職員が非常に有利な地位を持っておりますので、これらがそれ以前の、たとえばいま四等近くにおる職員に比べますと非常に有利な昇給になっておりますので、この点につきましては若干アンバランスのありますことは、私も認めております。それからまた、上級職員については、非常によく格上げされたのだというような組合の意見もありますが、これらの点を両々見まして、その中間地帯につきましては、何とかいろいろな措置をもって是正をしていきたいと、こういう希望に燃えておりますが、何といたしましても、これは国家の大きな公務員制度の点でございますので、私としてはいかんともいたしかたないところでございますが、予算それから定数の改定の点につきましては、種々な便法を用いまして、関係当局にお願いを申し上げておる次第でございます。定数の確保の点につきましては、人事担当者も極力努力をいたしておることを申し上げます。
  205. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 昭和三十年以降の採用者には、初任給調整の措置がとられたわけですか。だから二十四年から二十九年までの者が中だるみになっておるのですか。
  206. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) そういう点もございます。
  207. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その実態調査はしたことはあるのですか、どの程度数字なり統計が出てきておるわけですか。
  208. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 人事課長から……。
  209. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 私どもで、その点をつかまえまして特に実態調査をいたしたということはございません。ただ問題はその初任給調整手当にからみます下位等級の下位号俸ものでなくて、いま一番問題になっておりますのは、先ほど事務総長から申し上げましたが、過去に、二十三年以前に非常に高い俸給をとっておる者、それからその後の者でいまちょうど五等級の上位から四等級にかかっております者、ここの格差が非常に目立っております。その点がいま一番問題になっておるところだと思います。
  210. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それから昭和二十四年から二十九年までに採用になったというのは、全体の中でどのくらいおるのですか、大ざっぱに。全体はあれですか、千三百十四名ですか、行(一)の関係は。
  211. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 大体はっきりした数を実はつかんでおらないのでございますが、現在の職員が行(一)約七百何人、その中の約半数ということでございます。
  212. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま事務総長に言わせると、いろいろ改善してきて、安定してきた、こう言っておられますけれども、あなたのほうにはそういうふうに思えたのかもわからぬけれども、下部の実際の当事者たちは、そういうふうに安定しているというふうにはとっていないわけですね、これは率直に言えば。ある程度オーバーかもしれませんけれども。だけれども、いずれにいたしましても、どうもその点があって、中だるみになってきて、非常に困る。これを何らかの形で是正をして、大幅な調整措置をとってほしいということが、いろいろ要求されているわけですね。この点についての、あなた方のほうとしては、それはできるだけのことはしたい。結局、できるだけのことというのは、あれですか、現行の初任給基準を遡及的に適用して、給与基準法によって職員の給与を再計算して、これを是正するという方向に進みたい。直ちにそれができるという意味じゃなくて、そういう基本的な傾向で進みたい、こういうふうなことですか。
  213. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) この点につきましては、過去において一律に二回、是正の手段を講じました。それから、相当この点については、もう長く勤務した職員でございまするから、昇格の機会に恵まれておる諸君もあるわけでございまして、そのときには、その昇格にからんでこれを是正したものもございますが、特に昇格の恩恵に浴さないようなところに、多少のまだ開きがあるのじゃないか、こう思いますので、それらの点は十分調査いたしまして、ただいまおっしゃったような方針で善処していきたいと思います。
  214. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それから、三、四等級の予算定員が、これは非常に少ないのですか。これはどういうふうになっているのですか。そのために、同一学歴同一年次の採用者でも、昇任昇格が非常に違ってくるのだ、こういうことが言われていますけれども、だから結局、三、四等級の定員の増加をはかっていかなければならないのじゃないかと考えられるのですが、それはどうなんですか。
  215. 植木正張

    ○参事(植木正張君) ただいまお尋ねの三、四等級の定数は百一人でございます。これを実は昨年末の定数の改定にあたりまして、一番力を入れましたのは、この三、四等級の定数の増加ということでございます。来年度からは、これが百八――若干、数としては少ないのでございますが、百八にふえることになっております。そのうち、四等級からさらに三等級に上がり得る数というのも、この中にはたしか八人ぐらい含んでおります。
  216. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 予算定員とそれから現員と、だいぶ開きがあるのですか、三等級、四等級というのは。五等級も。
  217. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 三、四につきましては、できるだけ充実して埋めるという方針でおりますので、年間、七月に例年昇格を行なっておるのでございますが、その際にほとんど埋めるという方針でやっております。係長につきましては、定数が現在、百四十七でございます。この係長の昇格につきましては、私どもの職員構成上、若干のゆとりがございます。例年、大体男子の大学卒の諸君は、ほとんど基準に従って、係長に昇格いたしております。
  218. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あなたのほうで、行政職(一)で、一等級から八等級までの現員と、それから四十一年度の予算定員と、予算定員と現員との差、こういうふうなことで調査したことがありませんか。これは、いつ現在ということによって多少違いますからね。だからそうすると、たとえば三等級は現員が三十一名、予算定員は六十八名で、その違いが三十七ですか、マイナス三十七というのか、こうなってくると、三等級に三十七人上げることができるわけですか。どういうふうになっているのですか。
  219. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 課長補佐の定員といたしまして、全部で三、四合わせまして百一名ということでございます。その内訳といたしまして、三等級に四十、四等級に六十一、こういう内訳になっております。現在におきまして、三等級のほうは現在若干欠員がございますが、ほとんど三等級は埋めている。それから四等級におきまして数名の欠員がございますが、これも一ぱいになるというのが現状でございます。
  220. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いつのものですか、いつ現在で……。その現員表がこれだけいる、四十一年度の予算定員がこうなんだ、予算定員と現員との差がこうなんだというのを、一番新しいところで見て資料をつくって、あとで出していただきたいと思うのです、何かだいぶ開きがあるように聞くのですがね。ことに去年の九月末なんかは、ずいぶん開きがあるように聞くものですから、これは変だなという印象を受けるのですがね。
  221. 植木正張

    ○参事(植木正張君) かりにその点の、三等級に非常にあきがあるというお考えは、実は、三等級の中には暫定二等級にいっている者がございます。その暫定二等級にいった者は、定数は、三等級の定数でございます。したがいまして、そこで相当な差が出てくる。しかし、それは埋められない数字でございます。なお、私がいま申し上げておりますのは、本年三月一日現在の数で申し上げております。後刻、その資料を差し上げたいと思います。
  222. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、同一学歴で同一年次に採用になった人が、それはある程度開きが出てくるのはしかたがないとしても、三等級、四等級の予算定員が少ないために、少数の者だけが昇任昇格して、その他の者はそこまでいかない、こういうのはあるのですが。現実に出てきているのですか。
  223. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 私どもで昇格を行ないますときに、昇格の原簿をつくりまして、一応いわゆる昇格基準に達している者、こういう者は候補として全部出します。したがいまして、その中から選んでいくわけでございますが、そこにやはり課長補佐とか係長になりますと、若干能力的な問題、そういう問題を要素に加えてまいりますので、同じ学歴、同じ採用でも、必ずしも同一に上がるというわけにはまいっておりません。
  224. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 同一学歴同一年次採用者は、いつもずっと同じように上がっていくというのは、形式的な平等であって、それがいいかどうか、ぼくもそれを主張しているわけではないのですけれども、三、四等級というのは、採用になってから、大学卒とか、短大卒とか、高校卒とか、大体何年ぐらいかかるのですか。
  225. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 普通の大学卒でございますと、四等級にまいりますには経験年数十一年ということでございます。三等級にまいりますのには十五年、普通の高校卒で四等級になりますには十七年の経験年数、三等級になりますには二十一年を要するということになります。  現在のこの基準から見まして、実態がどうなっているかということでございますが、大体五等級から四等級の補佐に昇格するというのには、この基準からいきますと、平均で申し上げますと、大体四、五年、それから四等級から三等級に上がってまいりますのに、五年くらい基準からおくれているというのが実態でございます。
  226. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、ほかの役所でも大体そんなようなものですか。
  227. 植木正張

    ○参事(植木正張君) ほかの一般職につきまして、具体的には私ども聞いておりませんが、一般的な傾向としては、非常にここら辺が昇格がおくれているというふうに伺っております。
  228. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、参議院の中では、五等級から四等級になれる資格のある人がいて、それが何人ぐらい資格があって、そのうち何人ぐらいしか四等級になっていない――これは試験があるのですか。それから、四等級から三等級に上がる資格があるのに、三等級の定数が少ないためになれないというような、何というか、この程度の資格者があって、どの程度の人しかなれない、まあなれなかったかというのですか、そういうような統計みたいなものはあるのですか。
  229. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 特にそういう数字的な統計はいまのところつくっておりません。
  230. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、四等級から三等級になるときにはどういう形でするのですか、何か試験やるの、何やるの。
  231. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 私のほうでは、これは昇格につきまして特に試験ということは実施いたしておりません。方法といたしましては、この昇格の基準の資格表に従いまして、その資格がある者、これは一つは先ほど申し上げました経験年数と、もう一つは現在その等級に何年在級することが必要であるという数がございます。したがいまして、その数をすでにとっておる者、これを一応全部洗いまして、その洗った者の中からやり得る数を上げていくというやり方をいたしております。
  232. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはわかるのですが、だから全部の人がたとえば五等級から四等級にならないでしょう。そのときに五等級から四等級になるのを具体的にどうやって選ぶのですか、具体的にどうやって選ぶのかということです。
  233. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 考え方といたしましては、非常にその等級で高い号級にいつまでもいるという者をなるべく救うという考え方が一つございます。それからいま一つの考え方としては、次の、たとえば補佐に昇格させるのにはたして適格者であるかという問題もございます。で、一応その数に見合う分を各部の部長あるいは次長、総長というところまで持ち上げましてきめるわけでございます。
  234. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 持ち上げるのはあるでしょう。次長、総長なんかに持ち上げるのには、もっと下のほうでこの人を上げていいなら上げていいというのは、各課ごとに上申するのですか。そういう形で何か特別な委員会でもつくるのですか。
  235. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 部によりましては、その部から本年度の昇格はこういう者をされたいという内申が、私どもにまいる部もございます。それからそういう特に内申のない部もございます。出てきました者と、それから私どものほうでこれをやってしかるべしという者とを一応引っ張り上げまして、それにつきまして各部長と調整をし、最終的には一応総長のほうまでいってきめると、こういう形になっております。
  236. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 常任委員会の調査室の調査員ですね、これは三、四等級の定員が足りないんですが、それに何か外部から中途採用が多いと、そのために職員が非常に昇格がはばまれているというような事実があるわけですか。これはこのごろは常任委員会の調査室のほうは、外からあまり採らないで内部から採ると、上へ上げていくという方向をとっているわけですか。
  237. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) この点につきましては、調査室から一部そういう不平と申しますとどうかと思いますが、そのようなものがあるわけでございます。本院といたしましては、この四、五年は非常に人材が充実してまいりましたので、欠員が生じた場合に、その補充をいたす場合におきましては、原則として部内の者を充てるということが大方の原則になっておって、これを実施しておるわけでございますが、各職場の特殊な事情がございまして、その職場ではどうしても外部から採らなければならないというようなポストが一、二、調査室にあるわけでございます。たとえば稲葉先生御所属の法務委員会等におきましては、行政官出身の方が室長としております。この場合には、特に訴訟法等につきましては、どうしても法務関係の者から採らなければならない、こういう事情に相なっておりますので、法務委員会の調査室の一人は、毎回法務畑から専門家を招聘して、期間を限って勤務していただくというような事情に迫られておりますから、こういうような事情は、特にこれは最も典型的なものでございますが、各調査室に一、二件あるのはやむを得ないことであると思いまして、そういった人材の養成されるまでは部外から採る、また部外から採る場合には、あまり高給者は採らないようにしておりますけれども、やむを得ない場合には高給者をもって埋めなければならない実情に相なるわけであります。それ以外の点につきましては、調査室は非常にいろいろな機関を通しまして各職員練成をしておりますので、部内抜てきの実情は、以前に比較すれば理想どうりに相なっておるんじゃないかと私は考えております。
  238. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 職員の採用試験のことでございますけれども、これは図書館のほうでは国家公務員の上級職試験を通った者と大学を出てそれを通らない者とそういう区別をしない、図書館自身で一本で試験をやっておるのですか。衆議院のほうはどういうふうになっておるわけですか。
  239. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 国立国会図書館におきましては、図書館自体におきまして公開の競争試験をいたしまして、それも法律学、それから次に法律を除いた社会科学、それから人文科学、第四は自然科学、四つの部内につきまして相当高い程度の試験を行なっております。したがいまして、人事院の行なう試験とは直接相かかわらしめないでおります。すなわち人事院試験を通っただけでは、図書館に採用することはいたしませんし、逆に人事院の試験を通らない者でも、図書館自体の行なうそういったやや高度の試験に合格した者はこれを採用すると、こういうことにいたしております。これにつきましては、大学出、短大出、高校出、その別に従ってこれを行なっておるのが実情でございます。
  240. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 衆議院のほうは本会議があって帰られたんですが、衆議院で職員の採用試験のやり方、特に国家公務員上級職の甲、乙あるわけですが、その合格者と大学卒の普通採用者との間の不均衡といいますか、そういう問題は、衆議院のやり方と参議院のやり方と違うのですか、そこはどういうふうになっておりますか。
  241. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 現段階におきましては、衆議院でおやりになります甲の採り方、それから乙以下の採り方、それから私どものほうで実施しておるのとは、制度としては同じ方法と伺っております。
  242. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 制度としては同じだとしても、実際には違うんだということを言う人もあるんですがね。衆議院の人が帰っちゃったからわかりませんけれども、特に国家公務員の上級職試験を通ったからといって特別扱いをしない。参議院では何かそれを特別扱いをして、それを中心として補充的に大学卒を採ると、こういうやり方をとっておって、だから入ってから非常に開いてくるんじゃないですか。それが衆議院と参議院とで違うのですか、違うんじゃないの、それは。
  243. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 制度上違いはございませんが、ただ実際問題としまして、上級職甲としてふさわしい者が採用できるかできないかの問題がございます。私どもで伺っておりますのは、ここ、二、三年衆議院におきましては、そういう適格者がないということで採用しておらなかったというふうに聞いております。  それから昇格のテンポの問題になりますと、これはやはり昇格の資格基準表によりまして、大学出の甲と乙というふうに分けております。したがいまして、その間で昇進に差があるということでございます。
  244. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは特別職なんだし、国会図書館もそういう行き方をとっていて、参議院は参議院の独自の試験に一本化して、国家公務員の上級職の試験とは関連がない方向をとっていくべきなんだという意見が再三出されておって、衆議院ではそれで一本化していくという方向にいったんだと、いまあなたの話を聞くと、何かそういう適格者がないので自然そういうふうになったんだという意味にもとれるのですがね。参議院のほうではそういうことではなく、国家公務員上級職試験を受かった人とそうでない人と非常に開いてくるということですから、これは一般職の公務員ならそれもあれだと思いますけれども、それとは関係ないわけなんだから、それはおかしいじゃないか。何かいままで、あれじゃないですか、一本化にしてやると、試験制度を一本化をするというような意味のことを、去年あたりは、何か約束というか、そこまでいったんじゃないですか。そういう話をしたのじゃないですか。
  245. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) この点につきましては、前年、前々年、二回ばかりの分科会で御議論がありまして、いろいろな御要望を承ったのでありますが、この参議院が特に非常な知識水準を要求するような部署におきましては――たとえば調査室とか、そういった方面の要望にこたえられる人材を採用する場合におきましては、どうしても広い分野からこれを採らなければならないわけでございまして、お示しのような、大々的な試験を参議院事務局が主宰してこれを断行するというような点につきましては、実施する試験員、それに伴う費用等の関係で、そう大がかりな試験が簡単にはできかねるような事情に相なっておるのでございまして、勢い、天下の人材を集めて、大きな予算をもって実施しておられる人事院の試験に依存して、私たちはその配分を受けておる、こういうのが実情でございますので、いま急に参議院が試験を大がかりでやるというようなことにはいきませんのでございまするが、将来は、国会職員全般について、人事院的な機構でもって、できますればそこで実施を願って、天下の人材を国会に集めるというふうなことができますれば幸いでありまするが、いまさしずめの段階におきましては、人事院の試験の結果を私たちはちょうだいいたしておると、こういうことでございます。
  246. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 事務総長は議運のほうに行かれるということなんですから、その前にちょっとお聞きしておきますが、宿日直ですね、職員の。これがいまはどういう状態になっているのですか。何か三日か五日に一回ぐらい宿直をするのですが、非常に職員の健康の問題なりいろいろな問題で困るから、少なくとも十日に一ぺんぐらいにしてくれないかという要望があるわけですね。実態はどうなんですか。
  247. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 現在宿日直をいたしておりますところは、宿舎関係、それから衛視、警務部の関係でございます。それから自動車の運転手、あるいは公邸関係、こういうようなところがいたしております。それで、私どもの現在の方法といたしましては、宿直制度をとっておりませんで、全部夜間勤務という形をとっております。したがいまして、たとえば、実態を申し上げますと、清水谷の事務関係の夜間勤務と申しますのは、全体で四日ございまして、三日間それぞれ時間をずらして勤務いたして、四日目は休みと、こういう制度をとっております。確かに、たとえば清水谷におきましては、四部交代制で四名が当たっております。一人が休むというような事態が出ますと、そこに若干の無理が生ずるということがございます。ただ、これを全部充実するということになりますと、非常に人間が必要になってまいる、こういう形になっております。宿直勤務とはちょっと違う体制にございます。
  248. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはいろいろな特殊性があるかと思いますが、いずれにしても、宿直が三日に一ぺん、四日に一ぺんというのは相当多いので、ほかの官庁とはだいぶ違うのですか、その点は。
  249. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 他官庁でこういう夜間勤務の体制をどういうふうにいたしておりますか、ちょっとつまびらかにいたしませんが、私どもでやっておりますのは、たとえば夜泊まりますと、翌日はまるまる休みになるわけであります。したがいまして、実態から見て、月に数回になりますが、夜もつとめ、さらに翌日もつとめる、そういう勤務ではございませんので、その辺は、宿直をいたしまして、翌日はすぐつとめるという制度とは若干違うと思います。
  250. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 職員から、その宿直制度を、これを全面的に廃止するとかなんとかという意味じゃなくて、もっと回数を減らしてくれと、こういう要望が出ていることは御存じだと思うのですけれども、これに対してはどういう形かで努力をすると、完全にそのとおりいくかどうかは別として、そういう方向で努力するということは、これは職員の健康の問題、家庭の問題がありますから、そういう点についてはある程度のお約束はできるわけですか。
  251. 植木正張

    ○参事(植木正張君) その問題で、この勤務を少し緩和するといいますか、そういうことになりますと、実際問題といたしましては、人数をふやすより方法はないわけであります。その人数をふやしますと、その人間が昼間よけいにいるという形になりますので、必ずしも人数を大幅にふやすことが実態に合うかどうかは一つの問題であろうと思います。しかし、まあ正規の休暇がとりにくいとか、そういうようなところもございますので、そこら辺は、人間の配置を機動的にいたしまして、そういう支障のないようにしてまいりたいと思います。
  252. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ILOに伴って国内法の改正問題があるわけですが、そうするとあれですか、たとえば管理職の組合というふうなことがいろいろ考えられてくるわけですね。こういう点については、事務総長のほうではどういうふうに考えているわけですか。
  253. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 国会職員につきましては、一般行政庁と異なった立場には立っておるのではございますが、根本は国家公務員の規制に順応していろんな制度がつくられておるのでございますから、公務員制度審議会の結果を待ってわれわれは努力しようと、こう考えております。衆参両院協議いたして研究はいたしておりますが、これらについては、ただいま申し上げるような結論はまだ出ておりません。
  254. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それで、そういう結論を出す段階において、いろいろ職員の人、職員の代表である組合といいますか、そういう人と十分話し合って、そういう人の意向をも聞くというふうな考え方ですね、この点はどうですか。
  255. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) これらの点につきましては、前国会ですか、修正ができたとき等、組合からいろいろな意見を私たちは聴取しておりまして、機会あるごとに組合の諸君と懇談いたしまして、研究はいたしておるのでございます。特に警察職の問題等につきましては、もう再三私は意見を聴取しております。
  256. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 何か特別昇給のこれは財源があるのですか。これは年間どの程度なんですかね。それを何かあれですか、勧奨退職者といいますか、その方面に使うという動きがこれは事務局のほうであるわけですか。そういう点を考えているのですか。特昇財源を勧奨退職のほうに使用すると、そういうふうなことがあるのですか。
  257. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 特別昇給の範囲、ワクにつきましては、大体年間全職員の一割と、こういうことに相なっておりますが、いま稲葉先生の御質問の趣旨は、そういうワクがあるのに、特別昇給を定年退職者に差し向けるというのは、ほかの職員のワクを削って持っていくので、はなはだ不当である、こういうふうな御見解かと承りますが、特別昇給につきましては、もちろん私から御説明申し上げるまでもなく、勤務の優秀な者を抜てきいたしまして、これに特別昇給を与えるのでございまして、職場の士気を高揚するという点につきましては非常な効果があるのでございまするが、これらはそうした趣旨を勘案いたしまして、いろいろな幅広い要望に実はこたえて実施してまいったのでございます。たとえば、一例を申し上げますれば、この分科会で御議論になりました、アンバランスの是正なんという方面にも使ってくれというような私は要求を受けておるわけでございまして、それらの点は種々勘案いたしまして、この制度の実施の本来の趣旨に沿うように解釈いたしまして実施いたしておるわけではございますが、特にこの退職者に特別昇給を与える場合におきましては、われわれは慎重に考慮いたしておるわけでございますけれども、私の手元にいま今年度の退職者の一覧表がございますが、これらの諸君は、みな長きは三十年、四十年、短き者といえどもわが職場だけでも二十年の者でもございまして、これらの諸君は健康にも恵まれ、勤務成績も非常に良好な者でございまして、特に私たちといたしましては、退職を願う制度になっておるのでございまするが、その立場には御同情申し上げておるわけでございまして、せめて一号なりとも昇給をさしてあげたいという希望に私どもは燃えておるわけでございます。特にここでこういうことを申し上げるのははなはだ失礼かと思いますが、われわれ国会事務局は、下級官庁を持っているわけではないし、外郭団体を持っているわけでもないので、非常にそういうお世話の点についても力が乏しいものでございますので、これらの諸君に対しましてはせめて一号の特別昇給をして、退職金なり年金等の点について有利になるようにと、こう思ってわれわれ配慮しているのでございまして、組合の諸君から言われるようなお立場もありましょうが、それらの点については十分私は懇談を通して、立場は違いますけれども、納得とまではいかないでしょうが、了解は得ているつもりでおります。
  258. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 特別昇給制度というものに対して、それが具体的にどういう働きをするかということについては、これは私は私なりに意見を持っているわけですが、それをいまここであれするのは別といたしまして、何かその財源をいま言った勧奨退職に使うというふうなことをするというのは、これは筋違いなんで、退職者を優遇するには退職手当法の改正をするというのが、これが本筋なわけですから、そういうふうにあまり流用というか、自在に使うということは、これは筋が違うんじゃないかと、こう思うわけです。これはまあそうなってくると、給与面のアンバランスに使うのもおかしいじゃないかという議論が出てくるかもしれないわけです、厳格に言うと。しかし、全体の能率的遂行を、給与のアンバランスがあるということでその遂行が阻害されるということになると、どっちに使うかということが全体としての、何といいますか、仕事を発展するということですから、この点については十分いろんな面で考えていただきたいと、こういうふうに思います。退職者の勧奨ということは、これは強制にわたってはいけないことですし、各人各人立場がありますから、十分考えてあたたかい方法をこれはとっていただきたい。これは事務総長言われましたので、これ以上深く触れませんけれども、いわゆる特別昇給の財源を勧奨退職者のほうに使うということは筋が違う。これをむしろ給与のアンバランスの面――給与のアンバランスの見方がだいぶ違うような気がしますね。二十五年から三十年までですか、これを非常に強く主張する人と、事務局側に言わせると、それほどでもないんだ、もうほとんど上がってきて、あまりないんだというようなことを言われるし、これは実態がはっきりしていないんですね。実態調査を至急にやって、これはもう事務局側と実際に働いている人とつき合わせて見て、よく納得がいくように話し合いを進めてやっていってもらいたい、こういうふうに思います。その点はいかがですか。
  259. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 特別昇給の点につきましては、もうお説のとおりでございまして、われわれもそういうふうな心がまえではやっておりますが、何ぶん過渡期なものでございまするから、いろいろな御迷惑をかけておりますが、将来退職法の改善の場合に、これらの点が解決されることを望んでおります。
  260. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 図書館の関係になるわけですが、国立国会図書館においての昇格基準というのは、これはどういうふうになっているんですか。何か、在級年数と経験年数とあわせて昇格基準にしているわけですか。
  261. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) やや具体的な御質問でございますので、副館長からお答え申し上げたいと思います。
  262. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 昇級昇格の基準は、基本的には国会職員の初任給、昇級昇格の基準に関する両院議長決定によっております。それに基づきまして、その規定は原則としては政府職員の例によるということになっておりますので、大筋におきましては人事院の定めている昇級昇格の基準を採用いたしております。すなわち、それぞれの等級につきまして、在級年数と経験年数を大学卒、短大卒、高校卒に分けて適用いたしております。
  263. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは資料は、いまのはどこにあるのですか。
  264. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) ただいま、申し上げますと、たとえば大学卒につきましては、四等級にありましては在級年数四年、これは上級、中級、初級でも同じでございますが、経験年数につきましては、大学卒が十一年、短大卒が十四年、高校卒が十八年ということになっておりますし、五等級につきましては、在級年数がおのおの五年、経験年数につきましては、上級が七年、中級が十年、初級が十三年というような基準でやっております。
  265. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 図書館の場合の昇格の実施基準というのは、在級年数と経験年数と両方あわせて、両方満たさないというと昇格させていないのですか、これはどうなんですか。
  266. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) そのとおり、そういうことで両方組み合わせてやっております。
  267. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 組み合わせるという意味が、ただ組み合わせるというだけでなくて、両方の条件をあわせて満たさないと昇格させないのですか。
  268. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 仰せのとおりの方針でやっております。
  269. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは何か人事院規則と比べると違うんだというじゃないですか。人事院規則の場合には、経験年数または在級年数が基準に達していればいいんですね。ですから、そこのところが人事院の細則ですか――と図書館でやっているのと何か違うのだという考え方があるんですがね。だから、人事院関係のほうがよくて、図書館の昇格の基準は人事院規則に比べて悪いのだという、こういう考え方があるわけですね。この点は実質的に実態調査や何かをやって、どうなんですか。
  270. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) これは、御承知のとおり、いま四等級、五等級を例にとって申し上げましたが、五等級というのは係長、あるいは四等級は課長補佐でありまして、これは各省を通じましても、あるいは衆参両院事務局国会図書館におきましても、相当中堅幹部の地位でございます。したがいまして、これらの職員を、すなわち係長から課長補佐へ、あるいは係員から係長の五等級へ選考いたします場合におきましては、すでにこの両方の基準を超過している者がその中から選ばれるということになりますので、各省の例の幹部候補というような制度が御承知のとおりございますが、この任用の場合におきましては、経験年数と在級年数との両者の条件を満たす場合でなくて、その片一方を満たせばとんとん行き得るというようなこともあるのでございますが、大体におきましては、先ほど来の御質問のとおり、全員がその基準に達したから全部係長あるいは課長補佐になるということじゃございませんので、実際の運用といたしましては、両者の条件を満たした者の中から、さらに勤務成績、能力、人柄、識見というようないろいろな要素や平素のものを考慮いたしまして、その上で、たとえば私のほうで申しますれば部局長会議を通じて選考するということになりますので、実際においては同じかと思っております。
  271. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 実際になるかならないかということの前段階には、資格を持つか持たないかという問題があるわけですね。そういう資格者になるのは、図書館のそういう基準と、人事院の規則ですか、九の八の二ですか、これと比べると違うのだと言うのですね。その点はどういうふうに判断するわけですか。
  272. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 確かに、先生のお尋ねのとおり、私はどっちか一方でやって合法だと思います。しかし、いま申し上げましたように、非常にたくさんの候補者の中からですから、この二つの条件を満たしても、まだ候補者が非常にたくさんある。たとえば二十人ある、その中からその係長、課長補佐のポストは四つか五つしかないのだということで、この二つの条件を満たすということだけでも、十分選考の範囲が広いものでございますから、そういうことでやっておるのでございますけれども、これをその一方だけで基準にして、もっと幅を広くして選考するということも考えられるのでございます。しかし、それがはたしていいかどうかということは、これは実情にかんがみませんと、たとえば一方の経験だけをやりますと、大学卒の者だけが早く選考の資格に入ってしまうというようなこともありますので、これどちらが実情に適するかどうかということは、お示しもございますので、今後検討いたしたいと思っております。
  273. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ワクが少ないのですから、実際には両方合わせた形でないというと上へ上がれないというのは、実際問題としてはあるいはそうかもわからぬのです。ぼくが言うのは、そのもう一つ前の段階の資格者になれるのはどういうふうなことかということになってくると、あなたのほうのあれは、結局原則としてやはり政府職員の例に準ずると、特別の場合は別として、政府職員の例に準ずることになっているわけなんでしょう。そういうふうになってくると、いま言う人事院規則できめた場合と、現に図書館でやっておるものとの開きが相当出てくるんじゃないですか。これは現実の運用で、その中で実際に上がる人というのは、いま言ったように上が少ないわけですから、かりに同じになったとしても、そういう資格を持っている人ということのそこできめることが非常に開いてくるんじゃないですか。それを私が言うわけです。そうすると、現実には、実際は別として、有資格者をきめるきめ方は国会図書館の場合と人事院規則の場合とは違う、これは認められるわけですか。
  274. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 仰せのとおりでございます。これは結局、人事院の基準は最大限をきめている、それに準じて各省はその省の実情に応じてそれを幾らか短縮して、窮屈にして運用していると思います。国会図書館もやはり、人事の実情に応じまして、この人事院の定めた基準を幾らか窮屈にして運用していることは事実なんです。その結果どうなりますかと申しますと、結局、いま申しましたとおり、ポストは少ないのに非常に幅の広い範囲が浮かんでくる、それがはたして全体の職員から見て実情に即するかどうか。たとえば、まだ中年の、短大卒、高校卒の経験の非常に豊かな人があるのに、学歴一本ですっときた人が候補者に上がって目につくというようなこともありますから、どちらがいいかわからぬ。また、人事院の基準につきまして、実情に即して幾らかこれを縮めてやるというのがどこの例でもあろうと思います。  それで、なお申し上げますと、図書館におきましては、かなりいままで人事院の基準をさらにいろいろ窮屈に縮めていた例がございますので、それをやはり不必要なものは除くべきだ、できるだけ人事院の基準に従うように、よけいなあまり窮屈なことにしないように、徐々に図書館限りでやっているワクはしばしば変えてやっていっておりますが、今後もそういうような検討は続けていきたいと思っております。
  275. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 窮屈という意味が、どういう意味なんですかはっきりしないのですが、人事院規則と比べて窮屈に……。
  276. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) その一つの例は、先生が仰せられた二者択一の条件でいいのを、こちらとしては両者をあわせて二つの条件を満たさなければいけないとか、それからさらに申しますと、課長補佐になるのには係長――単に五等級でなくて、あるいは係長になって二年間いなければ課長補佐にしないとか、その間の実情に応じてそういうようなワクをはめたことがございますので、そういうようなことはよけいなことだからというようなことではずしたことがございます。
  277. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、人事院規則よりもゆるやかにしているというのはあるのですか。きつくしていることはあるが、逆にゆるやかにしているということはないですか。
  278. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 全然ないわけではございませんが、何でも私どもは人事院の基準に従いたいと思います。人事院基準はかなり弾力性がありまして、この表面の基準よりも特例によってゆるやかにできるものもございますが、私どものほうもそういう特例によってゆるやかにするものもやらないわけではございません。
  279. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ですから、あなたのところでやっている昇格の実施基準と、それから人事院規則とを対比して、どこがどういうふうに違うのだということを、いまここで説明しろと言っても、全部するのはたいへんですから、あと資料にして出してくれませんか。
  280. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 承知いたしました。
  281. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 人事院規則に準すれば、三等級、四等級、五等級への昇格の有資格者は現在何人くらいいるわけですか。それが図書館の基準でいくと何人くらいになるわけですか。
  282. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 人事院の基準について計算したことはございませんけれども、図書館の基準に従いますと、毎年私どもは一年に四回この昇給昇格をやっておりますので、一年に四回、いまの基準に従いまして、何等級については何人候補者がいるか、それに対して上がり得るポストは幾つかというようなこと、これを等級によって、またその時期によって非常に違いますけれども、たとえて申しますと、課長補佐クラスの四等級については、最近の例では、三人のポストしかないのに、その有資格者は二十五人くらいあるというような例がございます。そういうように、ポストに対して有資格の基準は数倍になっているという実情でございます。
  283. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ポストに対して有資格が数倍になっている――それはどういうふうに現在なっているかということはいまわかりますか、わかっていれば詳しく資料に基づいて説明してください。
  284. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 全部でございませんけれども手元にあって覚えているのでは、四十一年の一月一日現在におきましては、先ほど申し上げましたとおり、四等級のポストは三つありますが、それに対して基準に該当するのが三十九人ございました。それから五等級のポストは同じく三欠員がございましたが、それに対して基準に達しているのは、すなわち大学卒、短大卒、高校卒を通じましてその基準に達しているのは二十九人というようなのがその一例でございます。他の等級のこういう例につきましては、後ほど資料で差し上げることにいたします。
  285. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、本年の予算定数の伸びはどうなっているのですか、三等級、四等級、五等級、六等級の。
  286. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 三等級の伸びは十三でございます。それで合わせて五十二に相なります。それから四等級が――これは四等級と三等級とは課長補佐で同じでございますから、三等級が伸びたために四等級が六つ減りまして、七十八に相なりました。それから五等級が四つふえて百五十九という数でございます。   〔副主査退席、主査着席〕
  287. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまのあなたの説明をお聞きしていますと、何かポストが非常に少ないわけですね。有資格者がいっぱいいるわけですから、一体有資格者はいつになったら昇格できるのでしょうか。何といいますか、前途に希望というか、光明を持てないような者が――これはほかにもあると思いますよ、国会図書館だけの問題ではないと思いますけれども、少なくとも図書館でいま言ったあなたの数字だけ見ると、これは非常に出てくるわけですね、図書館長。どうしたらいいわけですか。有資格者がいつまでたっても昇格できないわけですな、こうなってくると。いつまでといったって、十年も二十年もという意味じゃないとしても、非常にたまってしまって、昇格できないという、これをどういうふうにして打開していくのか、この点についてはどういうふうにお考えですか。
  288. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 実情はいま御指摘のようなことがあろうと思います。ただ、管理職――いまかりに各省の課長以上の待遇を受けている者を管理職と言いました場合に、全職員に対して管理職の占める比率は、私どもの図書館では各行政庁に比して格段に高いのであります。それから三等、四等、五等ぐらいの全職員に対する比率を考えましても非常に高いのでありまして、各行政庁に比しましてそういった管理職ないしは高位の役職が多いということは、はっきり統計から出ております。したがいまして、そういうポストとして非常に恵まれていないということは言いがたいと思いますが、ただ、御承知のとおり、図書館業務でございますから、非常に高度の知能、学識を持っている人に来てもらうのがしかるべきことと考えておったためでありましょうが、大学出の職員が占めている比率がまた非常に高いのであります。そういうことで、大学出の者は当然資格年数が少なくて済みますから、先ほど来御論議のような実情になってきていると思います。私どもは、さらに級別定数の増加に努力をいたしまして、職員みんなが希望を持って業務に励み得るように今後ともつとめたいと思います。なお補足する点があれば副館長から申し上げます。
  289. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 館長の考え方というか、決意というか、それはよくわかるんですけれども、具体性がなかなかむずかしいですね。どういう具体性がどこにあるのか、これをもう少し説明願いたいと思うわけです。
  290. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) ただいま稲葉先生から非常にありがたい御質問がございましたので、特につけ加えてお答え申し上げさせていただきたいと思いますけれども、いま館長からも申し上げましたとおり、職員が詰まっている実情はございますが、一面におきましては、職員の構成から見ますと、いわゆる役付でございますね、係長以上の役付というものは私どもの職域において五〇%をこえているのでございます。これは組織体といたしましては、役付が五〇%以上をこえて七〇%、八〇%まで伸ばせるかという根本問題がございます。それと同時に、私どもの職員構成が、大学出が五〇%をこえておるということもございます。それに対しまして、いまの八等級の職階制――これは個人的な意見になって非常に恐縮でございますけれども申し上げさしていただきたいと思うのでございますが、五等級以上が役付になっております。そうしますと、まあ八等級の上――大学出は七等級から入りますが、七等級、六等級にすぐなってしまいまして、あと五等級に上がるには必ず役付にならなければならない、ここに根本的な悩みがあると思いますし、それから五等級以上は暫定で、それぞれの階の定数を食いながら暫定で上がれる方々もございます。これから六等級という一般職員が五等級になれないで一番詰まるという問題がございますので、私はびほう的な措置としては、六等級に暫定の五等級――係長にならなくても暫定の五等級を認めるということと、それから役につかなくてもやはりある程度まで職階を延伸する方法で解決いたしませんと、その点が具体的に解決が非常に困難になるのじゃないかというようなことを感じておりますので、たいへん失礼でございますが申し上げさしていただきます。
  291. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) 分科会担当委員外委員木村禧八郎君から発言したい旨の申し入れがございますが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  292. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) 御異議ないと認め、発言を許します。
  293. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) 委員外発言を認めていただきまして、ありがとうございました。  図書館長に二つの問題を質問したいわけです。一つは未整理資料の処理の問題、もう一つは明治期刊行物所蔵図書目録の作成についてであります。  まず未整理資料の処理について伺いたいのですが、国立国会図書館では、現在なお二十数万冊の図書が未受け入れあるいは未整理等があると新聞等に最近特に報道されております。その整理のためにどういう対策を立てておりますか、それを伺いたいと思います。
  294. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) ただいま御指摘のございましたとおり、相当多数の未整理等の本があることは事実でございます。具体的に申し上げますると、未受け入れの図書が十四万余冊、未整理の図書か約十万弱――九万八千という数字でありますが、合計大ざっぱに言いまして約二十五万冊の受け入れを了さずないしは整理を了しない図書がございます。私どもといたしましては、相当多数の図書がそういう事情のために一般の閲覧に供せられず利用に供せられないということは何としても相済まぬことと存じまして、私は着任をいたしまして、すぐこのことに思いをいたしまして、特別の委員会をつくりまして、慎重にこれの処理の方針を練った次第でございます。相当周密な計画もできましたので、これが予算化を極力努力をいたしまして、当初の計画どおりには参っておりませんが、相当の予算も計上され、本年度からこれの本格的な処理を始め、おおむね五カ年を目途に――実際の実施の状況でいろいろ手直し等も必要でございましょうが、五カ年を目途にこの仕事を完遂をしたい、かように存じております。
  295. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) その未受け入れ、未整理のこの図書の整理に河野館長は着任早早着目して、これを一般の利用に供し得るように努力した、その点はわれわれも多とするわけです。ところで、いま五カ年計画で解決をしていきたいというお話でしたが、どのくらいの人員を要求したのですか、概算要求のときに。
  296. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 予算は、非常勤職員を二十九人当初要求したわけであります。
  297. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) それで幾人認められたのですか。
  298. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 非常勤職員は十一人、それから賃金形態の職員を十二人認められたわけであります。
  299. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) そうすると、当初計画では二十九人必要であると、そこで計画を立てた。それで二十九名は全部非常勤職員を要求したのですね。ところが、実際認められたのは、非常勤が十一名で、アルバイト十二名、こういうことになっている。当初の計画と違うわけです、要求と。これで実際できるのですか。最初計画は非常勤二十九名であったのが、内容が非常に悪くなったわけですよね、認められた内容が。実際できるのでしょうか。
  300. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 当初の計画予算が現実化したものが相違を来たしていることは、いま申し上げたとおりでございます。したがいまして、いろいろくふうを必要としなければならぬ面も多かろうと思います。予算が一月に確定をいたしましてから現実の実施計画、当初のは大綱的な計画でございましたが、それの実施上の現実の計画をずっと立ててまいりまして、いろいろ苦しい点はございまするけれども、大体これでやり得るという見込みを現在立てておる次第でございます。
  301. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) この削減された事情について、これは詳細に内閣から説明されておりますか。
  302. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 御承知のような財政事情であり、御承知のような政府予算編成方針でありますので、常任職員の増員は例外を除いては全然認めないという方針が、ひいてはいやしくも人件費的なものは極力抑制するという方針になっておったことは、御承知のとおりと思います。そういうことからいたしまして、この非常勤職員、ないしは賃金形態の職員でありましても、人の増すかっこうになるものにつきましては非常に峻厳な態度を大蔵省が持しておったことは、御承知のとおりであります。したがいまして、こういうものはこの年においては一切認められないということが先方の意向で当初あったわけでありますが、非常に何べんもねばり強く折衝いたしました結果が先ほど申し上げたようなことになったわけで、私どもといたしましては、なお不本意でございまするが、一般の財政事情予算編成方針等から、本年度はまあこれでスタートするほかないと考えた次第でございます。
  303. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) この財政法の十九条によりますと、御承知と思うのですが、「内閣は、国会、裁判所及び会計検査院の歳出見積を減額した場合においては、国会、裁判所又は会計検査院の送付に係る歳出見積について、その詳細を歳入歳出予算に附記するとともに、国会が、国会、裁判所又は会計検査院に係る歳出額を修正する場合における必要な財源についても明記しなければならない。」、こうなっておるのですね。そこで、この国会の歳出見積もりが削減されたわけですね、国立国会図書館は。これについて削減したのでありますから、この詳細は歳入歳出予算にしるされているのですか、よくまだ見てないのですが。
  304. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 財政法ないしは予算の権威であられる木村さんにいろいろ申し上げるのもおこがましいことでございますが、衆議院といわず、参議院といわず、われわれ国立国会図書館といわず、八月末に大蔵省に出します予算がそのとおりにまいらない。その後数次の折衝を経て落ちつくところに落ちついていることは、御承知のとおりでございます。ただいまの法規との関係でございまするが、法律上からいえば、われわれとしてもこれを了承したというかっこうになると思いますが、御承知のように、国立国会図書館の予算は両院の議院運営委員会の承認を得て出すことになっております。現実問題としては、議院運営委員会、別して両院の図書館小委員会が中心になってこれを審議されるわけでありまして、われわれは両院の図書館小委員会あるいは議運の委員長に対して十分これを説明し、またいろいろ御意見も伺いまして、それで最後的には諸般の事情を考察して、両院としてもこれこれだし、国立国会図書館の予算としてもこの程度で応ずべきだという両委員会の御判断等もあって、この姿に落ちついておる次第でございます。
  305. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) この国会予算は、これは他の官庁の予算と違うことは御承知のとおりですね、三権分立のたてまえから。ですから、この削減された場合は、国会なりあるいは裁判所、会計検査院はその歳出の修正を要求することができ、国会にこれを出すことができるのですね。その場合には財源を明記しなければならぬとなっておりますけれども、これは他の官庁と非常に違うところですね。ですから、この国立国会図書館のいま二十数万冊の図書の整理につきまして、この重要性はだれでも認めるわけです。その場合、削減された当初計画では二十九人の非常勤職員でやるということになったのが、これはその要員が満たされないという、それでまずいということになれば、最初計画自体がずさんであったということになるのですね。ですから、どうしてもこれだけが必要だと――これはあとで御質問しますが、われわれとしてはこれだけでほんとうにできるかどうか疑問に思われるのですが、そういうふうに説得して、なぜ予算要求の修正をされなかったのか。
  306. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 御指摘のお話はよくわかります。私どもも当初の予算の姿でこれを貫徹したいということを強く考えておりました。ただお考えいただきたいことは、これが妥当であったかどうかということは別といたしまして、実は国立国会図書館が創設せられました二十三年間もないころから相当数の滞貨が加わり、ずっとそれが近年までその姿になってきたわけでありまして、実は本来的に言えばいまさらの問題でもなかったわけです。私をして言わしむれば、つとに手をつけるべきであったと思いまするけれども、そういう去年突然起こったことに対してではなくて、ずっと前からの問題に対して、ここで何か考えたいという初年度の問題といたしましては、いろいろな事情を踏まえて考査いたしますときには、折衝の結果この程度になることもあるいはやむを得なかった。私どもは今後なおこの問題について一そう努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  307. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) 私はこの際、やはり河野館長は、財政法十九条というものを、これは十分御存じと思うのですけれども、これはしっかりと、何と言いますか、認識しておいていただいて、そしてやはり独自の予算を、ほかの官庁と違って修正できるのですから、大蔵省の言いなりになってはいけないというわけではありませんけれども、ほかの官庁のようにぺこぺこする必要ないのですから、その点は国会の自主性を持ってやはり対処されたい、これは希望です。またわれわれ国会自身の問題でもあるのですけれどもね。それは河野館長だけに申し上げることだけではない、われわれの問題でもありますから。  それから次に伺いたいのは、どうも、新聞、雑誌の記事によりましても、これは未整理資料の中には、今日では求められないような貴重なものを含まれている。そこで、非常勤とかアルバイトという臨時の人たちに責任を持って処理できるかどうかという点なんです。それはいかがでしょう。
  308. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 相当、何ぶん数の多い図書でございまするから、その中には相当の文化的価値あるいは歴史的な価値を持つ図書があることは当然考えられるところでございます。そういう事柄につきまして非常勤の形態ではいかがであろうという御懸念も、まことにごもっともだと存じます。ただ、そういうこともございましたから、私どもといたしましては、中高年齢層の、相当読解力のある、いろいろ図書についての力も持ち得る年齢層の人を非常勤として求めており、かつ現実にそういう人たちに集まってもらうかっこうになっております。また、かなづかいが現在と違うことは、御承知のとおりでありまして、明治期の漢字あるいはかなづかい等をいまの若い人が読むのが困難なようなこともありまして、先ほど申し上げたような人を非常勤の職員にいたしておるわけであります。また、もちろん、そういう人たちだけにゆだねることではございませんで、この仕事を所管する部の部長、あるいは主任司書という課長同等の者がおりますが、こういう人以下、責任を持ってこれを指導して、りっぱに遂行したいと念願しておる次第でございます。
  309. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) まあかりに非常勤職員で処理できるとしましても、最初二十九名だったのですが、それが予算削減されて減った。その場合、五カ年ということだったのですが、ところがやはり依然五カ年というものを動かさないで、そして少ない非常勤の人、しかもアルバイトを雇うということになると、結局私は、現在の職員に仕事は過剰になる、負担を過重に押しつけることになるのではないか、そういうことが懸念されるのですけれども、その点はどうなんでしょう。
  310. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 算術計算的に見ましても、予算要求の人員と、現実に予算化された人員との関係から、おっしゃるようなことは考えられると思います。ただ、およそ当初政府要求した予算額が満額そのとおり認められて発足する事業というのも少ないだろうと思いますが、私ども予算が確定した後におきまして、実施上の具体的な計画をさらに練りまして、大体これでやり得る。また、そういう際に判明したものは、当初考えられておりましたよりも、重複図書等比較的多いようでございまして、そういうことから言いまして、当初の労働量がそのまま要るということでもないのでございます。しかし、理念的に申し上げますと、私は、当初の計画を、当初の人数のもとに、五カ年で遂行するということでいっておりますので、その理念的な関係からいえば、何が何でも五カ年でこれを片づけるのだ、そういう気持ちはございません。この仕事をりっぱにやりたいということを考えております。それで冒頭、この計画の実施をしていく過程においていろいろ手直しもあろうかということを申し上げたのも、そのためであります。ただ、現実の姿といたしましては、こういう滞貨を一日も早くなくしたいという、これは私のみならず、図書館職員の、図書館人としての非常に強い気持ちでございます。そういう気持ちとして、一体としていろいろくふうしながら努力すれば、私は五カ年でこれは行ない得るのじゃないかと、かように存じている次第でございます。
  311. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) これは、実際最初計画が、予算措置が予定どおりいかなかったことから、これから狂ってきているわけですよ、現実にね。ですから、それに応じてやはり弾力的に本の整理をしていくということも必要だと思う。これは、実際はまたその処理に当たるのは職員の方ですから、館長は、職員の人たちとよく話し合って、そうして労働過重にならぬように、平常業務にしわ寄せにならぬように、それから十分に職員の人たちの意見を尊重して、そうして実質的効果をあげられるようにということを期待したいと思うのですが、その点いかがですか。
  312. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) いまのお話は、私もそのとおり大切なことだと思いますので、そういう御趣旨を尊重して――尊重してと申しますか、私はかねがねそういう気持ちでおりますけれども、さらに御趣旨を体してまいりたいと思っております。
  313. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) それで、大体最初五カ年だから、機械的に五カ年を固執するということではない、弾力的にそう運営されるということですから、それは了としますが、滞貨の問題は、何も河野館長が就任されて急に問題になったのじゃない。これは、先ほどお話しのとおりに、従来から、ずっとあったわけですね。それをここで何とか処理したいという熱意、熱意が思いつきになって手をつけられたことは、非常にわれわれとしては評価するわけです。  この滞貨の原因ですね、原因は、大体要するに、処理能力が少ない、人手不足、それから大口寄贈というのがあるそうですね。それが一時にどかんと来る。それに対して受け入れ処理、どういうふうに受け入れするか、その方針がはっきりしていなかった、こういう二つの点にあるのじゃないかと見られているのですが、その点いかがでしょう。
  314. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 滞貨の生ずる原因としてはいろいろございましょうが、 いまおっしゃいました大口寄贈の問題がその最たるものであろうかと思います。それで、いま、職員の関係におきましては、日常カーレントに入ってくる図書に対して、これを処理する力は十分ございますし、のみならず、この日常の処理といたしまして、滞貨の形になっているものも処理しなければならぬし、また現実に少しずつやっていることも事実でございます。ただ、大口のものが入ってまいりますと、どうしても数がふえるというかっこうになります。それで、私どもといたしましては、文化的な価値の非常に高いものは喜んでこれをお受けするのは当然でありますが、必ずしもそうでないものについて無定見にこれを受け入れることはどうであろうかという気持ちを持っておりまして、現実に、昨年でありましたか、二件のお申し込みのうち、一件については御遠慮願ったようなこともあったかと思います。  ただ、欧米と違いまして、個人が、図書館事業といわず、一般の文化的な事業に金品を寄贈するというような社会的なりっぱな慣習が少ないわが国においては、図書館に蔵書を寄贈せられるという個人とか法人とかの志というものは、なみなみならぬものとしてありがたく受けるべきものと、国立国会図書館長としては考えております。それで、本来的にそういうものについてはそういう気持ちで接しなければならぬという面と、また図書館の現実の図書の処理能力、あるいは重複資料やなんかが九〇何%を占めているというようなことが想像されるような比較的文化価値の少ないもの等につきましては、これを総合勘案して、十分個々の具体的なケースについて考えたいと考えておるわけであります。
  315. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) 今後、いままでの人員、処理能力で、それで滞貨が生じないと、こういう保証あるのでしょうか。
  316. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 先ほど申し上げましたとおり、大口の寄贈等から、滞貨が今後といえども生ずる可能性があると思います。それで、それにつきましては、先ほど申し上げましたような考え方をもって、その寄贈を受けるかどうか慎重に考えたいと思いますが、当然お受けしなければならぬものも、国立図書館として当然あると思います。それで、そういうものにつきましては、本来的に日常業務として入ってくる以外のものでありまするから、こういう常任的なものでない立場で今後といえども処理しなければならないかとも思いますが、個々のものは臨時突発のものであっても、大勢を通観すれば、ある程度それが起こることが予測し得るというようなことにもなりますので、そこらをどう考えていくべきか、真剣に考えたいと思っております。
  317. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) その点は非常にまあむずかしい問題でしょうが、処理能力の限界を考えると、大口寄贈を受け入れたいけれども、また滞貨になっちゃうおそれもあると。それで、処理能力のほうから、せっかく受け入れてもいいようなものもちゅうちょをするような点も出てくるおそれもあると思いますね。ですから、大口寄贈というのは、ある年にどかんとあって相当期間ないというならまた別ですけれどもね、大体まあ一年に一回とか二回ぐらいあるものなんでしょう、大体ですね。そういうことになると、やっぱりこの処理能力のほうも考えて、そうしてまあ、今回は一応非常勤職員とアルバイトでやるとしても、やっぱり今後の大口寄贈というものを考えると、この国の文化財を守る、そういう点からいっても、処理能力のほうもやはりある程度高めると、ただ臨時職だけでなく、正規の職員をふやすという努力もこれはやはりする必要があるのじゃないでしょうか。
  318. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) そういうことについても、否定しがたいことでございますし、十分真剣に考えてまいりたいと思います。  ただ、私が責任者として率直に申し上げるならば、現在の事務能率もさらに向上を要する点もあり、いろいろ整理技術予ての他についてもくふう検討することもあり、また図書館の事務の機械化という面について、それが直ちに滞貨自体のことにその効果を生じないとしても、ほかの面で非常に人手をさき得れば、そのさいた人手をもってそのほうに充当することもできるわけでありますし、そういうことを十分考察してやってまいりたいと考えております。常任職員を増すということについても、当然その一つとして、私としては考えてまいりたいと思います。
  319. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  320. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) それでは速記をつけて。  暫時休憩いたします。    午後二時五十七分休憩      ―――――・―――――    午後五時八分開会
  321. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) それではただいまから予算委員会第一分科会を再開いたします。  昭和四十一年度総予算中、国会所管を議題といたします。  休憩前に引き続き、木村委員の質疑を行ないます。
  322. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) 先ほどに引き続き御質問したいんですが、大口寄贈の最近数年間の実績、それから処理の方針ですね、ちょっと伺っておきたいと思います。
  323. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 私ちょっと的確にお答えする用意がございませんので、かわって答弁をお許しをいただきたいと思います。
  324. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 私もいま手元にございませんけれども、存じておる限り申し上げますと、一三数年間におきます大口寄贈と申しますものは、量から申しますと、櫻田文庫と申しまして、もとの民政党所属の図書館の蔵書約四万五千冊を昨年の初めに御寄贈いただきました。これの数量が約四万五千冊でございます。少し詳しく申し上げてよろしゅうございましょうか。それから、その次は量から申し上げますと、御承知のように、日版でございますが、これが戦後の図書を日販として各出版社が出版した本を一部保存をしておいて、そして文化的な用途に使いたい、こう考えておりましたが、これが六、七万たまりましたので、その扱い方が非常に困難になってきましたものですから、これを当館に寄増する、しかしすべてその内容は当館との重複本だから比較的自由に使ってもらいたいというような条件で寄贈がありましたので、これもありがたくお引き受けいたしました。量から申せばこの二つが非常に大きなものでございますが、あと質的に貴重なものといたしましては、芦田先生が御生前、芦田先生の晩年でございましたが、約千五百冊ほど御寄贈いただきました。それからその次引き続きまして、これも六年ばかり前でございましたが、謙吉先生を記念する財団ができまして、その芳澤先生の記念財団のほうから中国関係の図書、これが約一万冊ぐらいのものだと思っておりますが、寄贈いただきました。そのほか、あとまとめたもので幸い購入してくれないかというような希望がありまして、若干の文庫を購入したというようなものがございますけれども、ここ数年の大きなコレクションといたしましては、そのようなものが寄贈を受けたものとしては大きなものでございます。
  325. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) これはもうみんな登録済みになっているのですか、いまの。
  326. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) そのうちで特に芦田先生のものは、さっそく御好意に報いなければなりませんというわけで、特別の措置をいたしまして、目録もつくって印刷いたしまして差し上げ、また関係者に配布をいたしました。それから櫻田文庫につきましては、これは非常に大量なものでございますので、いま整理中の段階でございます。それからお茶の水文庫と申しております日販から寄贈を受けたものにつきましては、これはそのうちのあるものは、沖縄関係からの希望もございましたので、当館と重複いたしますので、沖縄にだいぶ寄贈をいたしました。それからまたその中から、当館の欠本がございますので、欠本のために二千冊ぐらいは補充をいたしまして、それ以外のものはいま上野の図書館に置いておきまして重複本として活用したい、こう考えております。いま申し上、けたものではそういうような状態でございますので、そういうように、先ほど館長からも申し上げましたとおり、こういうコレクションというものはとかく滞貨として残る傾向にあるというのが実情でございます。
  327. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) 整理能力がやはり十分にないと、整理するにしても整理のしかたがいろいろあるわけですね、御承知のように。何というのですか、その問題別に、筆者別にいろいろ整理のしかたがあるでしょう。ところが、整理能力がないと、非常に簡単に整理してしまうということにもなるわけですね。ですから、それは人員が大ぜいあればあるにこしたことはないでしょうけれども、それは予算関係等で限界あるでしょうが、しかし国立国会図書館ですから、その点ではやはり十分予算を、これは国会のほうが推進しなければならぬ立場にあるのですけれども予算を取って、そうして何かただ名前だけの分類で一括やってしまうような、そういう粗末な整理のしかたもあるでしょうけれども、なるべくそういう貴重な本をたくさん寄贈される場合、丁寧に整理されるように要望したいわけなんです。それについては、やはりこの非常勤とかアルバイトだけではどうも心細いような気もしますので、やはり正社員、正式の社員を入れ、そうしてまたいろいろな教育をするんですね、図書館では。実はぼくの娘もある図書館につとめておるのですけれども、講習を受けていろいろやはりある程度のあれをしませんとできないのですね。そう簡単なものじゃないらしいのですね。やはりそういう養成をしなければならぬ、図書館としては。ですから、雇ったからすぐに整理できるというわけにいかないらしいですね。ですから、その養成期間も必要なんですから。そこで、ただ非常勤、アルバイト、これは緊急でやむを得ない場合にはしょうがないでしょうけれども、なるべく正社員もふやして、そうして滞貨の整理をしてもらいたい。その滞貨整理も、ただ粗末に整理するなら幾らもできるのですけれども、整理のしかたがやはりあるわけです。十分内容の充実した整理をしていただきたいと思う。その点についてもお伺いしたい。
  328. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 滞貨が相当あることは先ほど来申し上げたとおりでありまして、この整理につきまして、何か滞貨を早く処理しなければならぬという気持ちから、なおざりな整理をするということであっては、国立国会図書館としては何としても相済まないことだと思いますので、通常の基準による整理方法を実施をいたしたいと存じております。それで、その整理の方法等についても、専門家が集まっておる会議の中で十分に検討しまして、こういうふうにやって正常の整理をしようと、それである種の比較的価値の少ない洋書等については若干簡易な整理も考えられますが、それ以外の分については通常の整理をやろうということで方針を定めております。また、非常勤職員を迎え入れました場合におきまして、先ほど申し上げました、私どもでは整理部というところが主としてこの仕事をいたしますが、部長、課長以下、またそこに課長と同格な主任司書という人がおりまして、これが直接の指揮をいたしますのみならず、その下に常任の職員も非常勤職員の指導等を十分いたします。また、御指摘の研修めいたことも、今度来てもらいましたら、相当に日数を費やして、まず十分その作業の要領なり意味を教えまして、そして国立国会図書館として恥ずかしくない整理をいたすようにいたしたいと思っております。
  329. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) これはいままで非常に国会図書館としては怠慢であったわけですね。河野館長になってからは、未受け入れと未整理の図書の整理に積極的に取り組むことになって、ジャーナリズムなんかでも非常に大きく取り上げて、われわれ新聞社の報道を見まして、なるほど二十数万冊がまだ未整理あるいは未受け入れであったかということを知ったわけなんですよ。非常に熱意を持っておやりになる覚悟でおられるようですから、われわれも期待しているわけなんですが、いままで御答弁いただいた線に沿うて、五年間ということにあまりとらわれないで、そうしますと粗末に扱ったりして機械的になりますから。  それから、正職員の採用についても、国会のやはりバックアップがなければならぬと思いますが、財政法十九条があるんですから、ほかの官庁とは違いますから、独自性を持って十分にこれに当たっていただきたいと思います。これは希望しておきます。  それからその次、もうこれでおしまいですが、明治刊行物所蔵図書目録について質問したいと思うのです。  まず第一に、国立国会図書館では、旧上野の図書館の明治期の蔵書ですね、それから再整備資料というのですか、上野乙部図書というのですか、これを中心にして明治期の刊行所蔵図書目録を作成刊行する計画であるということが、これは昨年九月二十一日の毎日新聞に出ていたわけです。それで館長はこれを明治百年記念事業として行なう意向であると聞いておるのですけれども、その場合ですね、明治百年の位置づけというものについて、図書館長としてどういうふうにお考えになっているか、これについて伺いたいのです。
  330. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 私どもは、本来的に明治時代に刊行された図書の目録の完備したものが現在日本にないという現状におきまして、図書館人の一端といたしまして、はなはだ残念なことに思い、かつこれをどうしてもつくらなければならない非常に文化的な意義の高いものと考えているわけであります。したがいまして、これがどういう時期に際会する、しないということは、私どもの考えでは二次的、三次的なことでございまして、本質的に明治時代に刊行された図書の目録をつくりたいということが第一のことでございます。ただ、当時大蔵省等に出した予算要求の説明書等にもありますように、これがたまたま国立国会図書館の創設二十周年前後のところにもなりますし、さらに明治百年に相当する時代をはさむことにもなりますので、こういった文化的意義の高い事業を世人にも十分認識してもらい、国家的にも十分予算その他の点で理解を得やすからしむる点におきまして、たまたまそういう時期でもありますので、こういうことも付加をいたしまして、大いに協力を得てこれをやりたい、こういうのが私どもの真意でございます。
  331. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) 御承知のように、明治百年につきましては、いろいろな意見や立場が国民の中にあるわけですね。たとえば右翼の側からは、この維新百年祭に結集する動きがあると伝えられております。また政府は、明治から百年間のわが国の発展の歩みは世界史上まれに見るものである、そこで総理大臣を委員長とする官民合同の準備会を発足させて、盛大にこの記念行事を行なおうとしているわけです。これは御承知のとおりですね。また一方、明治維新後の日本は、多くの人々に悲惨な生活をしいたり、あるいは戦争と侵略の百年史であったこと等を考え合わせなければならないと思うのです。そういう事実のあったことはもうおおうことができないのですね。ですから、戦後の日本の文化はこうした戦争と侵略の強い反省の上に発展してきたとも言えるわけですね。この国立国会図書館法の前文に、「真理がわれらを自由にするという確信に立って、憲法に誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、」この国立国会図書館を設立するのだ、こういうふうに前文に書かれているわけですね、図書館法の前文に。ですから、国立国会図書館は厳に中立性を守るべき文化機関であるという性格を持っているわけです。したがって、ある一方の立場に偏するようになると、これは重大だと思うのです。だから、明治期の資料の整備と目録作成は、これは国立国会図書館にとってきわめて重要な仕事で、十分な体制を確立して完成していただきたい。そのこと自体にわれわれは異議はないわけですが、しかしそれはこの明治百年の記念事業に安易に便乗してやるのではいけないのであって、その高い文化的な意義にかんがみて、地道にかつ長期的構想で行なうべきではないか、十分に練ってですね。そうしませんと、この問題は非常にデリケートな性格を一つ持っているわけですから、十分想を練り、地道にひとつ取り組んでいただきたい。明治以前には岩波に非常にいい文献ものがあるのだそうですね。ですから、ああいうようなものを明治以降についてつくってもらいたい、できれば。これは予算も十分なければならぬと思いますけれども、そういうものを期待しているわけです。ですから、何かこの国立国会図書館の二十周年の記念ということももちろんあるわけですからね。そういう意味で記念したいというお気持ちもよくわかります。しかし、あまりそれにとらわれないで、それは加味してはいけないということはわれわれはもちろん言うわけじゃないのですけれども、それにとらわれちゃって、何でも二十周年記念のあれに合わせるようにやると、十分な、岩波の明治以前の目録のようななかなか質の高いものができにくいのじゃないかと思うのです。その点じっくりかまえる、取り組むという姿勢が必要じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  332. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) お説のとおり、慶応以前につきましては、一私企業である岩波が行ないました国書総目録という目録が出ておりまして、浩瀚なものであり、内容も相当吟味されておるものだと承知をいたしております。それで、私ども国立国会図書館の立場では、一私企業すらが着手しこれをやっているのに、明治時代以後のものについて総合的なものがないということは、何としても国立図書館の立場において相すまないことだと思いまして、それを何としてもやろうというのが思い立った発端でございます。それで、予算要求の際の説明書を見ていただいてもはっきりわかりますように、当館創設二十周年であり、明治百年に当たるからこういうことをやりたいというのではなくて、図書館人としてぜひともこういうことをやりたい。それがたまたま、当館二十周年にもなり、明治百年にもなるから、大いに世人の協力ないし認識もあるだろうということでやっておるわけでございます。したがいまして、事業も、八カ年計画という長い日子をかけまして、国立国会図書館として恥ずかしくない内容充実したものをつくりたいと思っております。特定の年限に合わせて、これを早くやり上げようというような気持ちはございません。また、明治維新の意義、明治百年の歴史の歩みについては、いろいろな考え方があるだろうということは、当然私どもとしてわかることでありまして、国立国会図書館としては、そういういろいろな考え方からは超越したものでありたいと思っております。政府政府の事業としていろいろやるということは、新聞等で私どもは承知いたしておりまして、政府が取り上げれば、国家機関としてこれを重きを置いて検討することは当然でありましょうが、私ども自体として特定の事業をやるとか、あるいは明治百年の歩みについて国立国会図書館としての特定の位置づけをしようという気持ちはございません。
  333. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) この事業のために、四十一年度の予算要求は、どういうような内容予算要求をされたわけですか。それでその結果はどうなったのですか。
  334. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 要求といたしましては、非常勤八人、金額にして百九十二万円を要求しまして、その結果、現実に予算化されましたのは、非常勤職員二名と、賃金形態の職員四人、非常勤職員二名の金額が四十六万九千円、賃金形態の四人の金額が六十六万円、合計百十二万九千円になろうかと思います。  また、庁費につきましては、若干の要求をしましたけれども、これは認められておりませんので、一般の庁費その他から支弁し得るものは支弁したいと思っております。いろいろ目録を作成するためのカードを調整したりなんかする事業がどうしても初め三年くらいかかりまして、第一分冊を刊行するのもその先のことになります。そういう場合には、相当膨大な印刷費が必要になってこようと思いますが、そういうものは初年度としての四十一年度の問題にはならないわけでございます。
  335. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) 大体どのくらいのボリュームになるのですか。
  336. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 全部で、現在国立国会図書館に所蔵する明治期刊行された図書の目録をつくるというので、その所蔵されているものは大体十八万冊と見られておりますが、重複しているものとか、あるいは合冊して一本とするのを相当とするようなものもありまして、現実に目録の対象となるものは十五万冊くらいではないかと存じております。これを三万タイトルずつ、五カ年にわたって出す。それで、一分冊に三万タイトルぐらい載るのではないかと思います。それで、その一分冊というのも大きさで違いますが、A5版というのがそうでございますが、相当大きい版で、千ページ分ぐらいの分量に一分冊がなるのであります。
  337. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) そうすると、全体で五分冊で、五千ぺ-ジになるということですね。
  338. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 目録自体は五分冊でございますが、それに上下二巻といいますか、二巻の索引がつきますので、索引を合わせますと七冊になります。
  339. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) 七分冊で、七千ページぐらいになるのですか。
  340. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) そういうことです。
  341. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) そうしますと、これも五カ年計画……。
  342. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 八カ年計画であります。
  343. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) それで五分冊ですね。どうも、せっかくこういういい仕事を着手されるのに、それでもずいぶん内輪の要求をされたと思うのです。八人で百九十二万円の要求だったのでしょう。それで、最初はすぐに印刷するわけじゃないのですから、そういう費用はかからぬけれども、しかし、これは全体の目録ができないと、一分冊もできないのですね、全体の総合的なあれで点検ができませんと。ですから、これはたいへんな大仕事になるわけでして、それで、どうも非常勤二名とアルバイト四名、これでは何かお粗末のように思うのですね。  それで、いまお話ですと、大体十五万冊ということですね、実際に目録を作成するのは。しかもまた、その対象になるのは十八万冊、それをまたより分けるわけですね。そうなると、御承知のように、明治初期の出版物は、印刷の形態も、内容も非常に複雑ですね。これからの整理にはかなり専門的な知識を必要とすると聞いているのです。この予算も、大体六割認められていないですね。六割以下になってしまうのですね、要求の。それから人員にしても、八人が、非常勤二名とアルバイト四名では、人員も非常に減っています。それから非常勤とアルバイト、これはかなり報酬は低いと思うのです。日給は、これは非常勤は幾らぐらいですか、それからアルバイトはどのくらいですか。
  344. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 予算単価は、非常勤について千百円、賃金について五百五十円であります。
  345. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) どうですかね。ずいぶんこの仕事の重要性、それから仕事の規模から見まして、その人員も、それから予算も、お粗末のように思うのですがね。  また、第一分冊は、大体聞くところによると、明治百年に当たる昭和四十三年の文化の日までに大体出したいということだそうですが、そうなんですか。
  346. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 計画といたしましては、昭和四十四年に第一分冊を出すかっこうになっております。  予算がきまりました際に、来年度はどういう事業をするかということで、実は新聞記者諸君がだいぶ参りまして、これは四十三年の文化の日にでも第一分冊が出ると非常にけっこうだねという話で、それで私も、ああそういけばけっこうだねえと、こう言いましたら、いろいろな新聞記事になっておったというのが実相でございます。
  347. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) それじゃ、やはり時期的に、機械的にとられているわけじゃないのですね、やはり内容でいくと。それならわかります。  前のこの未整理図書の整理も同じ性質を持っていると思うのですが、何か目標を置いておいて、どうしてもそこまでいかなければならぬということになりますと、さっきの岩波に匹敵するような、またあれ以上になるというと、非常に日数に追われてしまって、しかも予算も人員も不十分なことでやるということになると、お粗末なものになる可能性が出てきますから、その点、追われないということであれば了承できるわけです。それは、それならば、機械的に新聞記者が聞いたからといって一応まあそういうお答えをしたので、新聞が、何というのですか、誤伝ですね、しているのですということですか。
  348. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 先ほど新聞記事を引用なさったと思って、その実相を申し上げたのが先ほどの答弁でございます。第一分冊を出すという私どもの予定は四十四年でございます。ただ、何事によらず、相当な事業をいたします際には、一定の目途を立て、またそれによって全員が精励をしていくということは当然あるべきことでございまするから、また、目的の時期以前にできることは、これはけっこうなことで、これを排撃すべきことは一つもないと存じます。ただし、そういうことのために内容を落としたり安易にやるという考え方は、私どもはあくまで排してまいりたいと思っておるわけであります。
  349. 木村禧八郎

    担当委員外委員木村禧八郎君) 館長は二つの大きな就任早々仕事に取り組まれたわけで、一つは未受入れと未整理の図書の整理の問題、もう一つはいまの明治期の刊行物の所蔵目録ですか、作成、これも非帯に大きな仕事で、意義があるわけです。せっかく非帯にいい仕事をされるわけですし、膨大なエネルギーを費やして作成、刊行するのですから、明治以降大正期についての一連の計画と、全国の総目録ですね、展望を持って、国会図書館内外の有識者の意見を十分にくみ入れて計画を立てられ、権威のある目録をつくっていただきたいと思う。われわれも非常に期待しています。ですから、さっきのあまり年限をいつまででなくちゃならぬとか、もちろんじんぜん日を過ごすのがいいわけではありませんけれども、それより質ですね、後世に残るのでありますから、貴重な文献をおつくりになるのですから、りっぱなものをつくってもらいたい。その意味で、本年度はしようがありませんから、来年はもう少し予算ですね、これはお粗末過ぎると思うんですよ、最初計画でも私はお粗末だと思うんです。八人で百九十二万円というのは、ずいぶん遠慮したあれだと思いますけれども、職員の増員をも含めまして、予算要求をされて、それでまた、これは職員の方がやはり熱意を持ってやらなければなりませんから、職員の人たちの意見も十分くみ入れて、万全の対策を立てられるようにしていただきたいと存じます。四十二年の予算要求のときは、われわれもバックアップしなければならぬと思いますけれども、ひとつりっぱなものをつくっていただきたいと思います。この点についての御意見を伺って、私の質問を終わります。
  350. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 予算が十分なものでないということは、御指摘のとおりかと思います。ただ、この仕事が非常な文化的な意義のある仕事であるということを確信しておりますから、何としてもこれをりっぱにやり遂げたいと存じておりますので、予算の手当て等につきましても、さらに意を新たにして、今後もやってまいりたいと思います。木村委員御自身もおっしゃったように、十分御支援、御指導をいただきたいと存じます。
  351. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) 以上をもちまして国会図書館に対する質疑は終了したものと認めます。  以上をもちまして、本分科会の担当事項であります昭和四十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣及び総理府のうち、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁を除く部分及び法務省並びに他の分科会の所管に属さないものに対する質疑は終了いたしました。  これをもって本分科会の審査を終了いたしました。  なお、予算委員会における主査の口頭報告の内容及び審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  352. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それではこれにて散会いたします。    午後五時四十五分散会      ―――――・―――――