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1966-06-23 第51回国会 参議院 地方行政委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十三日(木曜日)    午前十一時四十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岸田 幸雄君     理 事                 小林 武治君                 沢田 一精君                 加瀬  完君                 原田  立君     委 員                 小柳 牧衞君                 津島 文治君                 天坊 裕彦君                 中村喜四郎君                 林田悠紀夫君                 占部 秀男君                 鈴木  壽君                 林  虎雄君                 松澤 兼人君                 松本 賢一君    衆議院議員        修正案提出者   渡海元三郎君        修正案提出者   細谷 治嘉君    国務大臣        自 治 大 臣  永山 忠則君    政府委員        自治省行政局長  佐久間 彊君        自治省財政局長  柴田  護君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方公営企業法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査  (ILO八十七号条約関係改正国内法のタナ上  げ部分政令施行に関する件)     —————————————
  2. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方公営企業法の一部を改正する法律案(閣法第一〇七号)を議題といたします。  まず、提案理由説明を願います。永山自治大臣
  3. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) ただいま議題となりました地方公営企業法の一部を改正する法律案について、その提案理由とその内容要旨を御説明申し上げます。  近年、地方公営企業は、国民生活水準の向上、地域開発の進展に伴い、事業量事業数ともに急速な拡大発展を続けておりますが、一方その経営状況は悪化の一途をたどり、昭和三十九年度における累積赤字は、年間料金収入の二三%に当たる六百六十億円の巨額に達するに至っております。  地方公営企業経営がこのように悪化した原因としては、人件費資本費等のコストの増加、料金改定の遅延、経営合理化の不徹底等があげられますが、基本的には、企業管理体制給与制度料金決定方法等、現行の地方公営企業制度にも問題があると考えられるのであります。したがいまして、今後地方公営企業が健全な発展を続けていくためには、その合理的、能率的運営が可能となるよう地方公営企業制度所要改善を加えるとともに、過去に生じた赤字を計画的に解消するための措置を講ずることが必要となった次第であります。  このため、地方公営企業制度調査会答申趣旨に基づいて、地方公営企業法所要改正を加えることとしたのであります。  次に、順を追って、この法律案改正概要について御説明申し上げます。  第一は、地方公営企業制度改正についてであります。これは、地方公営企業の合理的、能率的な運営を確保し、その健全な発展をはかる見地から規定改正を行なうものであります。  その一は、この法律適用範囲拡大であります。  地方公共団体経営する水道事業工業用水道事業軌道事業自動車運送事業地方鉄道事業電気事業及びガス事業には、すべてこの法律適用することとし、これらの事業とは性格を異にする病院事業につきましては、この法律財務に関する規定のみを適用することといたしました。なお、簡易水道事業はこの場合の水道事業には含まれないことを明確にいたしております。  その二は、管理者地位の強化であります。  地方公営企業には、管理者を置くことといたしますが、大規模なもの以外はあえて専任の管理者を置く必要がない場合もありますので、政令で定める基準以下の企業には管理者を置かないことができることといたしました。  管理者権限につきましては、予算原案を作成すること、管理者限りで契約を結ぶことができること、その権限に属する事務の一部を他の管理者に委任する場合に地方公共団体の長の同意を要しないこととすること等、その権限を強化し、管理者が自主的に企業運営を行なうことができるようにいたしました。なお、管理者権限を強化することに伴い、かつ、広く人材を求め得るよう、その身分特別職とし、任期は四年といたしました。  その三は、企業会計一般会計等との経費負担区分明確化であります。  地方公営企業経費負担原則を確立するため、地方公営企業に要する経費のうち、その性質経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費及び企業性質経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難な経費は、地方公共団体一般会計等において負担するものとし、これらの経費以外の経費につきましては、企業自体においてまかなうことといたしました。  その四は、財務制度改善であります。  地方公営企業料金につきましては、能率的な経営のもとにおける適正な原価基礎とし、地方公営企業の健全な運営を確保することができるものでなければならないことといたしました。  次に、地方公営企業予算につきましては、地方公共団体一般会計予算と異なり、毎事業年度業務予定量及びこれに関する収入、支出の大綱を定めるものであることを明らかにいたしました。  また、地方公営企業の出納を取り扱う金融機関につきましては、管理者地方公共団体の長の同意を得て指定するものとし、監査委員は、地方公営企業公金収納または支払いの事務について金融機関監査することができることといたしました。  なお、地方公営企業の用に供する資産のうち、その種数及び金額について政令で定める基準に従い条例で定めるものの取得及び処分につきましては、従来、個別に議会議決を得ることとされていたのでありますが、これも毎事業年度予算に含めて一括して議会承認を得ることといたしました。  その五は、職員給与制度合理化であります。  地方公営企業職員給与につきましては、その職務に必要とされる技能、職務遂行困難度等職務内容責任に応ずるものであり、かつ、職員の発揮した能率が十分に反映されるものでなければならないものとするとともに、その決定にあたっては、同種の国及び地方公共団体職員並びに民間企業従事者給与を考慮し、かつ、その地方公営企業経営成績を考慮しなければならないものといたしました。  その六は、企業団制度の確立であります。  地方公営企業経営に関する事務を共同処理する一部事務組合につきましては、企業経営能率的かつ機動的に行なうことができるようにするため、次の改正を行なうことといたしました。  まず、地方公営企業経営するための一部事務組合の名称を企業団とするとともに、企業団管理者として企業長を置き、企業管理者権限企業長が行なうことといたしました。  企業長は、規約で別段の定めをしない限り、企業団組織する地方公共団体の長が共同して任命するものとし、企業長任期資格要件等、その身分取り扱いにつきましては、企業管理者とほぼ同様の取り扱いとするものといたしました。  企業団監査委員につきましては、その定数は二人または一人とし、企業長企業団議会同意を得て事業経営管理について専門知識経験を有する者の中から任命するものといたしました。  企業団議会議員定数につきましては、十五人をこえることができないものとし、経過措置として、法律施行後四年間は、従前の定数によることができるものといたしました。  以上のほか、地方公営企業制度につきまして所要改正を行なうことといたしております。  第二は、地方公営企業財政再建についてであります。  まず、再建対象事業は、昭和三十九年度において赤字を有する水道事業建設にあたって国庫補助を受けていない工業用水道事業軌道事業自動車運送事業地方鉄道事業電気事業ガス事業及び病院事業の八事業といたしました。これらの企業経営する地方公共団体は、議会議決を経ておおむね五年度以内に赤字を解消することを内容とする財政再建計画を定め、自治大臣承認を受けて財政再建を行なうことができることといたしております。  次に、再建企業に対する国の財政援助措置としましては、財政再建債の発行を認めるとともに、その利子に対し年六分五厘をこえる部分について利子補給を行なうこととするほか、企業債償還繰り延べ等措置について配慮することといたしております。  なお、企業の健全な経営を担保するため、政令で定める年度以降の年度においては、赤字企業財政再建を行なう場合でなければ企業債を起こすことができないことといたしております。  また、昭和四十年度以降の年度において赤字を有する企業につきましても、財政再建を促進する必要がありますので、これらの企業財政再建を行なう場合には、財政再建債及びこれに対する利子補給に関する規定等を除き、財政再建に関する諸規定を準用することといたしております。  以上のほか、企業財政再建につきましては、地方財政再建促進特別措置法相当規定を準用することといたしております。  以上が地方公営企業法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 本法律案は、衆議院において修正議決されておりますので、衆議院修正部分について説明を願います。渡海元三郎君。
  5. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) ただいま議題となっております内閣提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正趣旨及びその内容について御説明申し上げます。  御承知のとおり、内閣提出法案は、地方公営企業の健全な発展をはかるため、地方公営企業制度所要改正を加えるとともに、過去に生じた赤字を計画的に解消するための財政再建措置を講じようとするものでありますが、この際、財政再建債に対する国の利子補給拡大償還年限延長等地方公営企業に対する国の財政援助措置を強化するとともに、職員給与並びに赤字企業に対する自治大臣財政再建勧告権及び企業債制限に関する規定等所要修正を行なうことといたしたのであります。  以上が本法案について修正を行なった趣旨であります。  次に、修正のおもな内容について御説明いたします。  その一は、地方公営企業に対する国の財政援助措置を強化したことであります。  すなわち、国は、地方公営企業の健全な運営を確保するため必要があると認めるときは、法令の範囲内において資金事情の許す限り、企業債償還、借りかえ等につき特別の配慮をすることといたしました。また、財政再建債対象となる赤字は、政府案におきましては、昭和三十九年度末の赤字としておりましたが、これを昭和四十年度末の赤字とし、当該財政再建債に対する国の利子補給につきましても、政府案では、年六分五厘をこえるものについて年一分五厘を限度とするとしておりましたが、これを年三分五厘をこえるものについて、政令で定める基準により、年四分五厘を限度として利子補給するとともに、財政再建期間及び財政再建債償還年限につきましても、政府案のおおむね五年度をおおむね七年度に延長することといたしました。  その二は、給与等に関する規定修正であります。  すなわち、給与改正に関する政府案は、企業職員給与は、職員の発揮した能率が十分に反映され、かつ給与決定にあたっては生計費並びに同一または類似の職種の国及び地方公共団体職員並びに民間事業従事者給与に加えて当該地方公営企業経営状況を考慮して定めなければならないとしておりましたが、給与決定にあたってはこれら以外の諸要素をも総合的に考慮する必要があると認められますので、当該地方公営企業経営状況のみならず、その他の事情も考慮しなければならないものとするとともに、「能率が充分に反映されなければならない」という字句を「能率が充分に考慮されなければならない」と修正いたしました。また、赤字企業財政再建策は、これを長期的に見る必要があり、法律で一律に強制することは好ましくないとの見地から、自治大臣赤字企業経営する地方公共団体に対し財政再建を行なうよう勧告することができる旨の規定及び財政再建を行なわない赤字企業に対する企業債制限に関する規定を削除いたしました。  その他、適当な準備期間を置く趣旨から、地方公営企業組織財務等に関する規定施行期日政府案昭和四十一年十月一日を昭和四十二年一月一日とすることといたしました。  以上が修正趣旨及びその内容概要であります。  何とぞ御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  6. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 次に、補足説明を願います。柴田財政局長
  7. 柴田護

    政府委員柴田護君) 地方公営企業法の一部を改正する法律案につきまして、条を追いまして補足して御説明を申し上げます。便宜上お手元にお配りいたしておりまする新旧対照表をごらん願いたいと存じます。  第一条の改正は、再建に関しまする規定を入れましたことに伴いまする字句修正であります。  第二条は、法律適用を受ける企業範囲に関しまする規定でございまするが、従来は従業員の数によって縛っておりました規定を改めまして、水道事業以下一定の事業につきましては当然適用といたしました。また簡易水道事業につきましては、従来から含まれていないという解釈でございましたが、条文をもってこれを明確化いたしました。また、病院事業につきましては、財務に関しまする規定だけをこれを当然に適用することといたしました。  第四条の改正規定は、地方公営企業設置に関しまする基本規定でございまするが、従来は「基本計画を定めるもの」とされておりましたが、むしろ地方自治法第二百四十四条の二の規定趣旨に沿いまして、公営企業設置及びその経営基本に関する事項につきましては、公の施設として条例で定めることといたしました。  第五条の二は、国の行政機関の長の業務執行に関しまする義務規定であります。この規定は、地方公営企業が健全に運営されますように国が各種の業務に関しまする処分その他の事務執行については、そういう方向によって行なわなければならないという規定を置きまして、国の協力を求めることといたしたのでございます。  第六条の改正点は、条文整理であります。  第七条は、管理者設置に関しまする規定でありまするが、長と管理者関係を従来の扱いと変えてまいりましたことに伴いまして条文整理いたしました。なお政令で定める地方公営企業につきましては管理者を置かないことといたしました。これは非常に企業規模が大きくなっておりますものにつきましては管理者を必置にいたしました。企業規模がそう大きな規模に達していないもの等につきましては、むしろ管理者は長が管理者の任務を遂行することが適当と考えたからであります。政令予定いたしておりますのは、職員数給水能力あるいは車両数等によりまして、相当大規模と考えられますものに限定いたしたい考えであります。  第七条の二は、管理者の選任及び身分取り扱いに関しまする規定であります。管理者は長の補助機関補助職員であるが、一般的な指揮監督を受けない、任期を持つ特別職というようにいたしたのであります。企業機動性を十分発揮させまして、公営企業の目的を達成さしたいという観点から、管理者に大幅な権限を持たせることが適当だというように判断をされますので、そのような取り扱いにいたしました。任期を四年といたしまして、それぞれ資格要件を定めております。  第八条は、管理者地位及び権限に関する規定であります。これは「基本計画案を作成すること。」は、公営企業設置条例の中においてきめることといたしましたことに伴いまして、これを落としております。その他はそれぞれ条文整理をいたしております。  第九条は、管理者の担任する事務でございます。第三号の改正は、従来の予算扱い方を企業性格に伴いますものに変容いたしましたこと、管理者地位権限を強化いたしましたことに伴いまして、管理者予算原案をつくるということにいたしました。また、予算に関する説明書につきましては、予算実施計画というのが新しい予算中身となりまするので、説明書というようにして、字句整理いたしました。六号、九号、十三号、それぞれの改正規定は、それぞれ従来の規定解釈明確化等をはかったものでございます。  第十一条及び第十二条の改正規定は、管理者資格要件規定をいたしましたことに伴いまして、従来の就職及び在職の禁止の規定が不要になりますので、削除いたしました。  第十三条は、管理者代理及び委任に関する規定でありますが、管理者に対する機動性を付与する意味合いから、管理者に事故があったとき、それから管理者が欠けましたときは、管理者が長の同意を得てあらかじめきめる、指定する上席の職員が当然にその職務を行なうということにいたしました。代理者が欠けたことによりまして業務が渋滞することのないようにいたしたのであります。  第十五条の改正規定は、補助職員に関します規定であります。従来補助職員につきましては、一般の者と幹部の者との扱いを異にいたしておりましたが、これを統一化いたしましたことに伴いまする字句整理でございます。  第十六条は、管理者地方公共団体の長との関係規定でございます。管理者地位の変容に伴いまして、従来の長の指揮監督というものを指示に改めました。その指示を受ける場合につきましては、住民の福祉に重大な影響がある公営企業業務執行に関しその福祉を確保するために必要があるとき、またはほかの機関に属します事務執行とその企業業務執行との間に調整をはかる必要があるとき、というふうに限定をいたしました。  第十七条は、財務に関する特別会計設置規定でございます。政令で定めるところによって条例で二つ以上の事業を通じて一つ特別会計を設けることができるという規定を置きました。政令で定めることということを加えたわけでございますが、これは乱に流れないように基準を定めようとするものであります。たとえば軌道事業自動車運送事業地方鉄道事業あるいは水道事業等を考えております。  第十七条の二は、経費負担区分規定でございます。地方公営企業公共性経済性との調和をはかりまするために、地方公営企業の中で一般会計負担させるもの、あるいは他の特別会計において負担させるもの、そのことが適当と考えられますものについては、政令でこれを明確化いたしまして、企業負担に帰属せしめられるものにつきましては、その企業内部の収支でもってこれを完結せしめるという態度をとったのであります。政令予定いたしておりますものは、たとえば水道事業で申し上げますると、消火せんの設置管理、その他水道消防用に使うための経費、あるいは交通事業でございますれば、地下または高架の高速鉄道への転換のための軌道撤去経費病院事業等につきましては看護婦養成所伝染病救急医療集団検診医療相談等保健衛生行政の一部として行なわれまする事務に要する経費、また法第十七条第一号、第二号該当のものといたしましては、地下鉄等建設事業の一部あるいは不採算地区病院付属僻地診療所等に要する経費等予定いたしております。  第十七条の三の規定補助規定でございます。従来の規定をそのまま置いておりまするが、負担区分規定との関係は、負担区分原則規定をきめましたほかにも、特別の事由によって補助をする必要がある場合もございますので、この想定を存置いたしました。  第十八条は、条文整理でございます。第十八条も同様でございます。  第二十一条は、料金に関しまする規定でございまするが、料金につきましては、従来の規定がやや不明確でございましたので、これを明確化いたしました。公正妥当なものでなければならないこと、また、能率的な経営のもとにおける適正な原価基礎とし、地方公営企業の健全な運営を確保することができるものでなければならないという規定を置きました。  第二十四条は、予算に関しまする規定でございます。企業予算企業活動の目標を設定するという意味を持っているという意味合いから、従来の予算に、さらに業務予定量、これを企業予算中身といたしたのでございます。  第二十五条は、予算の考え方を変えましたことに伴いまする字句整理であります。  第二十六条、第二十七条、それぞれこまかい字句整理を行なっておりまするが、いずれも整理でございます。  それから二十七条の二、公金収納等監査、それから決算の監査に関しまする規定等、それぞれ自治法改正に伴いまするものとの調整、それからこまかい字句整理をいたしております。  三十三条の二に、公金徴収または収納委託規定をいたしました。これは経営合理化を推進する意味で、それぞれ公金徴収または収納委託を私人に委託することができることといたしました。政令で定めることといたしておりまするのは、料金の払い込み、その他の会計上の取り扱い規定予定をいたしております。現在施行令の十六条の二第三項以下の規定予定をいたしております。  第三十四条は、職員賠償責任に関しまする規定であります。原則自治法と同じでございまするが、ただ、組織及び業務特殊性によりまして、額の決定管理者がやる、責任免除条例できめるのほか、管理者決定をして不服がある場合には、長に審査請求をするといったような公営企業特殊性から読みかえ規定を置いております。  第三十四条の二は、条文整理でございます。  第四章の職員身分取り扱いの確保に関しまする規定は、第三十六条、第三十七条、それぞれ条文整理でございます。  第三十八条は給与に関しまする規定でございますが、従来給与に関しまする規定は必ずしも明確でございません。解釈上各般の疑義が出てきましたので、疑義を明確にする意味におきまして規定を明記いたしました。この分につきましては、先ほど御説明がございましたように衆議院修正がなされております。  第三十九条は、地方公務員法適用除外でございますが、条文整理でございます。  第三十九条の二以下は、一部事務組合合理化に関しまする改正規定でございまするが、公営企業に関しまする一部事務組合をむしろ企業団という呼び名にいたしまして、企業団管理者企業長と呼ぶ、つまり管理者を置かないことを原則といたします。また議会につきましては、その企業機動性を強めますために定員を十五人というように制限をいたしました。ただし、これらにつきましてはいずれも暫定規定を置きまして、混乱を避ける配慮をいたしております。  第六章雑則のところは、第四十条の規定は、自治法適用除外規定でございまするが、契約、それから、財産取得処分につきまして、それぞれ自治法適用を排除いたしております。財産取得処分につきましては、重要なものは予算を通じまして議会審議を経ることといたしております。  第四十条の二は条文整理でございます。  第四十条の三も条文整理でございます。  第四十二条は、地方公共企業体に関しまする規定でございまするが、地方公営企業制度調査会答申にもございます。公営企業間接経営でもって遂行することが望ましいといったような答申もございましたので、間接経営方式一つとして、地方公共企業体を設けることができるという根拠条文を置いたのでございます。  第七章は財政再建規定でございまして、新しく加えたものでございます。大体は一般会計におきまする、普通会計におきまする地方財政再建促進特別措置法規定に準拠をいたしておりまするが、適用企業につきましては、補助を受けて行ないまする工業用水は再建から一応除外いたしております。それは補助を受けます工業用水につきましては、他の企業とは取り扱いを異にしておりまして、補助金を含め負担区分のあり方等につきましては基本的な問題が残っておりますので、一応保留という形にいたしたのでございます。三十九年度末において赤字を持っておりまする企業については財政再建計画を立て、これを執行することを条件として財政再建債を認めるということでございます。この点は先ほど御説明がありましたように、三十九年度末が四十年度末に衆議院修正をされ、財政再建計画の期間は、おおむね五年程度と予定いたしておりましたが、これを七年程度に修正をいたされました。  第四十四条は、再建計画の承認規定、四十五条は財政再建債、いずれも普通会計におきまする財政再建と同じような規定でございます。  第四十六条は償還に関する規定でございます。  第四十七条は利子補給規定でございまするが、これも先ほど御説明がございましたように修正をいたされております。  第四十八条は、企業債償還繰り延べ等に関する規定であります。公営企業債の特性に基づきまして、再建団体につきましては企業債償還繰り延べ等財政再建を促進する措置について配慮をするという規定を置いたのであります。  第四十九条は、四十年度以降において赤字を生じた場合におきまするいわゆる準用再建規定であります。趣旨一般財政再建と同じようなやり方でもって財政再建を行なう。ただし、これには再建債の許可と利子補給はございません。これも普通会計の場合と同じであります。  第五十条は、赤字企業企業債制限規定でございまするが、これは修正をされております。  第五十一条は、地方財政再建促進特別措置法の準用規定でございます。再建計画の公表、あるいは計画の承認通知、各省の協力義務、あるいは国の負担金の場合、負担金についての自治大臣への通知あるいは議会の再議、再建債の協議、それから結果の報告とか、あるいは公表等に関する規定、それから再建計画に沿った運営がなされない場合におきましては、予算のうち多額にのぼる部分執行停止等の措置要求、それからそれを怠った場合の利子補給の停止等の条文でございます。  附則は、それぞれこれに関連いたしまする混乱を避けますために必要な規定を置いたわけであります。施行は、再建関係規定は公布の日から。管理者企業団組織に関します規定は十月一日から。予算に関しますものは四十二年の四月一日、つまり四十二年度から。それから適用範囲負担区分、決算等に関しまする改正規定は、四十二年の四月一日から施行することを予定をいたしております。  以上簡単でございますが、補足説明を終わらしていただきます。
  8. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) それでは、午後一時半まで休憩いたします。    午後零時二十分休憩      —————・—————    午後二時十三分開会
  9. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  ILO八十七号条約関係改正国内法のタナ上げ部分政令施行に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  10. 占部秀男

    ○占部秀男君 この問題について、自治省のほうで施行通達なども出たようでありますから、二、三お尋ねをしたいと思います。  まず、大臣にお尋ねをしたいと思います。それは、十三日の総会で出されました公務員制度審議会答申につきましては、相当問題点もあり、疑義があると思うのであります。第一、この審議会は三者構成であるわけでありますが、あの答申が出されたときには、この総会にはもう労働者側委員は、総評だけでなく、同盟会議のほうも、労働者側委員というのは全部これは六人とも全く出席しない、いわゆる不参加のまま議決されたものであって、これは非常に正常な答申とはわれわれは考えられない。また、特にこの未施行規定部分については、たとえば職員団体の構成であるとか、あるいは登録制度については、この答申の中の審議の経過という第一の条項にも、幾らか触れて討議されたということがありますけれども、一体、問題の在籍専従の制度のこと、あるいは管理職の範囲のこと、あるいは交渉手続などについては、議事録で明らかなように、審議しないまま、未審議のまま、施行はやむを得ない、かような答申が出されておるわけであります。こういう点の疑点、あるいはまた今度の答申が、公務員の労働基本権の中の一番基礎である団結権、争議権などについて触れられていない、全然未審議のままで答申されておる。こういうようないろいろな疑義があるわけですが、きょうは率直に言って時間の限定もあり、当面、いまの緊急の問題について私もお聞きしたいと思いますので、こういう点については、きょうはひとつ触れないことにして、またの機会にひとつ詳しく聞きたいと思います。  そこできょうは、十四日に出された政令ですね、この政令の中で、御存じのように、六月の十四日に施行する部分と、在籍専従などのように十二月十四日までに施行する分とあるわけでありますが、いずれにしても、政令の施行にあたっては審議会答申である未施行規定取り扱いに関する意見、こういうものが結論として答申されておるわけでありますから、この答申を尊重して、この政令の施行にあたってはいろいろな行政指導、あるいはまた措置をすべきである、かように私は思うのですが、大臣はこの審議会答申の意見について尊重することだとは思いますけれども、一応尊重するかどうかの見解を聞いておきたいと思います。
  11. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) 答申を尊重してやる考えでございます。
  12. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、先ほど言いましたように、今度の答申は、第一に「審議の経過」、第二には「審議内容」、これは労働者側委員と政府側委員と、公益委員とのいろいろの問題点についての意見の内容が書かれ、第三には、「未施行規定の取扱いに関する意見」と、この三部分に分かれておるわけでありますが、第一、第二の問題は、確認しておきたい事項が相当あるのですが、きょうは触れません。一番大事な、当面の問題として大事なのは、第三の未施行規定取り扱いに関する意見、この意見についての自治省の取り扱い方、これが一番大事だと思いますので、この点についてひとつお伺いしたいと思いますが、もちろん全体とし、いま大臣も、答申は尊重するというのでありますから、これはもうもちろんこの意見については尊重し、この意見に従った方向で今度の未施行規定の施行について、自治省のほうとして、何といいますか、行政的な方針といいますか、あるいは指導といいますか、いろいろな措置をしてもらえる、かように私は考えるのですが、その点はよろしゅうございますか。
  13. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) 未施行規定関係につきましても、審議会の意見を十分尊重していきたいと思います。
  14. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、私は具体的に今度の問題点について、たとえば管理職の範囲の問題、あるいは団体交渉の問題、あるいは登録の問題等、具体的に五つ、六つの点をお聞きしたいと思いますが、この点は大臣の御答弁をいただくと一番けっこうなんですけれども、やはり技術的な問題がありますので、もし大臣の御答弁をいただけなければ、佐久間局長の御答弁でもけっこうでありますが、いずれにしても、その点はそっちのほうにおまかせしてお願いしたいと思います。  そこで、第一にお伺いしたいことは、在籍専従についての問題でありますが、この答申には、「未施行規定の取扱いに関する意見」のうちの(1)、(2)、(3)とありますが、第(3)の項に「在籍専従制度に関する規定について」ということについて、審議会としての意見がここに述べられております。で、この意見には、「在籍専従制度に関する規定については、実情の把握が十分でなく、かつ、その適用に二年間の猶予期間があることからいって、この際は、その施行を一応見合せるのが妥当であると思われる。」、こういうように述べておるわけであります。ところが、これを受けて今度の政令では、一応施行期日を区分した中で、在籍専従の問題は、先ほど私言いましたように、六月十四日に施行する分と、十二月十四日までに施行する分と分けて、それであとの分の中に在籍専従を入れておる。こういうような扱い方になっておるわけであります。その意味では、一応審議会の意見というものは、この際、施行を一応見合わせるのが妥当であると、この審議会の意見というものが入れられたかに見えるのでありますけれども、しかし政令内容をよく見てみると、そうでもないわけであります。というのは、十二月の十四日までに施行すると、きまらなくても施行する、答申があった場合には、その答申基礎にして施行するのだと、こういうことになっておるわけでありますから、かりに審議会が今後開かれて、在籍専従の問題を討議したとしても、審議したとしても、政府側の委員が、労働者側の主張に対してノー、ノー、ノーと、これは言い続ければ、十二月の十四日には当然現状、この法のままで施行される。これは必然的に施行されると、こういうことになるので、これはわれわれの考え方からいえば、たな上げでなくて、単に時期を十二月の十四日まで延期したと変わりがないと、かようにわれわれは考えられるわけであります。  そこで、この問題をほんとうに解決するためには、答申にも書かれておりますように、この審議会答申には、未施行規定の当否に関する当審議会の意見は、後日なるべくすみやかに逐次答申する予定であるから念のためと、こういうような在籍専従の問題についても、必ず答申するから、念のためというような意見が述べられておるわけでありますから、したがって、大臣としては、自治省としては、政府としてはと言ってもいいのですが、すみやかに審議会を再開さして、在籍専従の問題について十二月の十四日までに答申を必ず得ると、こういうように措置すべきであると思うのですが、この点はいかがでございますか。
  15. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) その点は、先生のおっしゃいますように私どもも考えております。
  16. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、その審議の方向の問題なんでありますが、先ほども申しましたように、この期限つきで、もういわば首を絞められた中でこの審議が行なわれる、こういうことでありますから、したがって、この審議の方向については、相当政府側としても慎重に考えてもらわなければならない。そうしなければ、この政令でたな上げされた理由といいますか、たな上げされた効果が少しも、少しもというわけではないけれども、ほとんどないような結果が私は生まれてくるのじゃないかと思うのです。というのは、今度のこの答申の第一の「審議内容」の中で、この未施行規定の分についての在籍専従の問題についての労働者側と政府側の意見というものを書いてありますものを見ますと、労働者側の委員は、在籍専従制度の内容は、労使の交渉によってきめるべきものである。したがって、在籍専従制度についての未施行規定は不当であって、法律をもって画一的に規律すべきものではない、こういう意見を出している。ところが使用者側のほうは、同じこの問題について、在籍専従は全廃してしかるべきものであるけれども、わが国の職員団体の実情等にかんがみて、一定の制限を設けてこれを認める、これがいいのだ、いわゆる改正法のそのままがいいのだ、こういうふうに意見が全く対立しているわけです。これをこのままにしておいたのでは、先ほど申しましたように、首を絞められた中で改正案そのものが押しつけられる、こういう結果になるわけであります。  そこで私は、この問題については、大臣や局長はもうもちろん御存じでありますが、四十年でしたか、いわゆる社会党の河野現副委員長と自民党の当時の労働部会の会長でありましたか、ILO問題の調査会長でありました倉石さん、これによって両党間の、いわゆる倉石・河野案という妥協が一時できた。この妥協の中では、三年ごとに専従の更新ができ、従来の例により、所属長の承認があれば引き続いて更新できるように行政措置をすることを確認して、いわゆる約束事項として確認しているわけなんであります。また、ドライヤー委員会の、いわゆるドライヤー勧告、これは例の調査団のドライヤー勧告にも、この問題についてはこういうような勧告が両者に行なわれているわけです。本委員会は、現在三年間に制限されている在籍専従役員に与えられる法定の許可の期間を、一般的合意によって延長し得るようにすべきである。——一般的合意というのは、結局労働者側と政府側との交渉の合意、こういうことだろうと思いますが、延長し得るようにすべきであって、公務員制度審議会はこの方向で何らかの満足のいく解決を検討すべきことを勧告する、こういうことになっているわけです。  これは結局倉石案というものをまあ認めたというのじゃなくて、その基礎の上に立って、結局更新できる、こういう点を考えて、こういうことを勧告しているわけです。したがって、政府の改正案によると、これは更新できない、こういうことになるわけなんですから、この点については、せめてこの線まででも、更新できる線まででも、倉石案程度の線、あるいはドライヤー委員会の勧告の線、この線まででも政府側として歩み寄った答申の結論を出さなければ、この問題は解決できない。労働者側と政府側とはまっこうから対立しているのですから、やはりドライヤー委員会の勧告なり、あるいはまた、この倉石妥協案なる確認事項といいますか、この線に沿ってやるように、政府側委員の審議の方向を定めるべきであると、方向づけるべきだと、かように考えるんですが、この点は自治省としてはいかがでございますか。
  17. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 在籍専従の検討の方向といたしまして、御指摘ございました点は、一つの貴重な御意見と存じます。ただこの問題は、公務員制度審議会で御審議をいただいている最中でございますので、政府としては審議会答申を待って措置をしたい、かような考えでございます。
  18. 占部秀男

    ○占部秀男君 いまの局長のお考え、御答弁はですね、筋としては私はそのとおりだと思う、筋としてはそのとおりである。だから、私は決してそれを否定はしない。ただ問題は内容の問題なんですね。つまり、先ほど申しましたように、政府側委員と労働者側委員とがまっこうから対立しておる。そういう実態にあるわけです。そこでその実態を乗り切っていくためには、労働者側委員が政府側の現在施行された改正案をのむか、あるいはまた政府側委員が、まずドライヤー勧告、あるいはまた倉石案のようなところ、あるいはそれに近いところまで後退——後退というか、譲るか、どっちかしなければ、この問題は決着がつかないわけですね。そこで、政府側の委員の、こういう問題についての考え方をまとめる場合には、自治省は自治省として、やはり政府側の意見の中に自治省の意見を入れるわけでありますから、そのときにはそういう方向で何らかのこの決着点を見出すように、まあ私は率直に言って、きょうここで大臣なり、あるいは行政局長から、そうすると言い切ることはできない事情はよくわかっておりますから、そういう面についてはひとつ努力をしてもらいたい、かように考えるのですが、この点大臣いかがでございますか。
  19. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) 公益委員を中心として、労使の間に良識的な結論を見出されることを期待をいたしておるのでございますが、自治省といたしましては、御意見の点もひとつ考慮に入れて、検討いたしたいと思っております。
  20. 占部秀男

    ○占部秀男君 それでは次の問題に移りたいと思います。  それは交渉団体に関する問題であります。二十一日の日に自治省から「地方公務員法の一部を改正する法律の施行について」という通知が行政局長名で都道府県知事あてに出されておるわけであります。これは施行通達ですね、施行通達が出されておるわけであります。この施行通達を見ますと、その第三項で「職員団体との交渉」という項目がありまして、その中で登録団体の場合は別でありますが、登録を受けない職員団体についての交渉の問題が書かれておるわけです。いわゆる非登録団体ですね、交渉の問題が書かれておる。これを見ますと、「地方公共団体の当局が、これと交渉することが職員の勤務条件の維持改善のために望ましいと判断するときは、これらの職員団体と交渉することができるものであることに注意されたい。」、こういう指導がこの文面の中に行なわれているわけであります。これは、非登録団体とも交渉してもいいんだということで、そのこと自体については、われわれはもちろん賛成であり、その方向がILO八十七号条約、あるいは九十八号ですか、その趣旨に沿うものであるということは、われわれも認めるわけです。ただ内容は、こういう書き方をしておるのですけれども、この内容は、今度の地方公務員制度審議会答申の意見を受けてこれはやったものであると、私は考えておるわけであります。というのは、この「未施行規定取り扱いに関する意見」の中の第一、「職員団体の構成及び登録に関する規定について」意見が述べられた中で、この審議会は、こういうことを言っておるのですね。登録されない職員団体が当局に交渉を求めた場合においても、実際上、合理的な理由がない限り、当局側が恣意的にその求めを拒むべきでないことを、これを強く主張しておるわけなんですね。したがって、この自治省が出されたいわゆる「地方公共団体の当局が、これと交渉することが職員の勤務条件の維持改善のために望ましいと判断するときは、これらの職員団体と交渉することができるものであることに注意されたい。」、こういう指導の内容というものは、いま言った答申の意見を内容として持つものであると、かように私は考えるのでありますが、この点はいかがでございますか。
  21. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 通達にうたいましたのは、先生の御賢察のとおり、この法律には登録を受けた職員団体の交渉に関する規定をいたしておりまするので、登録を受けない職員団体についてはどうなのか、こういうような御質問が国会審議の過程におきましてもしばしばあったわけでございまするし、また、おそらく一般の地方の関係者におきましてもそういう質問があろうかと思いますので、この点につきましては、登録を受けない職員団体でありましても、交渉能力を持っているのだという趣旨を施行通達に明らかにしておきたいと、こういうのがこの趣旨でございます。したがって、この答申の(I)のところも、表現は変わっておりまするけれども、そういう観点から書きましたわけでございまして、この規定の今度運用に当たりましては、答申に書いてありますように、実際上の配慮をしていくということにつきましては、私どももそのとおりにすべきものと考えておる次第でございます。
  22. 占部秀男

    ○占部秀男君 いまの局長の明快な御答弁で、この問題は割り切ることができるわけですけれども、ただ私は、なぜこういうことをお聞きしたかというと、この自治省の通達には、いま言ったように「職員の勤務条件の維持改善のために望ましいと判断するときは、」と、こういうことばを使っておるわけであります。これは悪意にとって裏を返すと、当局側の主観的な判断だけで望ましいと思わないときは、交渉しなくてもいいのだと、こういうように誤解される余地が十分にあると私は思うのです。この点についてはドライヤー委員会の勧告では、御存じのようにこうなっております。本委員会は、登録の範囲、または少なくとも登録団体と非登録団体との間に存する交渉権の範囲に関する差異を除去することをさらに考慮すべきものと勧告すると、こういうようにドライヤー委員会でも言っておるのでありますから、私の考えによれば、むしろこの部分は、この審議会答申内容、意見の内容そのままを実は忠実に文章化してもらうと、誤解がなかったんではないかと、結局これは非常に、われわれは使われるほうの側の立場に立つものですから、幾らかひがんでおるかもしれませんけれども、当局に故意に悪用される心配はないか、こういうふうに私は思うわけです。そういうような意味合いからこの通達がさらに同じ項目の中で、「なお、従来、各地方公共団体において定められていた「職員団体の交渉に関する条例」は、改正法の施行に伴い、廃止すべきものであるので、申し添える。」、こういうようなことも申し添えられてあるわけですから、従来の団体交渉の条例は廃止すべきであると、こういうふうなわけですから、なおさらにこの点については心配がふえるわけです。  そこで、行政指導にあたっては、答申の意見の内容と同一趣旨であるということを自治省の側として徹底していただきたい、かように思うのですが、この点はよろしゅうございますか。
  23. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 指導にあたりましては、お話のような心組みでやりたいと思います。
  24. 占部秀男

    ○占部秀男君 なおこの場合に、登録を受けない団体とは何か、こういう問題があるいは具体的には起こってくるかもしれないですが、一応その問題を明確にしておきたいと思うのですが、たとえば市役所なら市役所で、一般職が大部分一般職の組合員がたくさんいた。そこにわずかに四、五十人の水道職員がいて、これが一緒の組合をつくった。いわゆる混合団体といいますか、こういうものは、この場合における非登録の団体に該当するのじゃないか。あるいはまた東京都の場合に、一般職の組合と交通の組合と、水道の組合、これは地方公営企業の組合ですが、公企労のほうですが、これは市労連なり、都労連というか、各地で市労連をつくる、こういうような場合とか、いろいろ形はあると思うのでありますが、同一の地方団体の職員がいずれにしても結集したこの職員団体、これは登録はかりにできなくとも、これは非登録団体として職員団体の交渉という通達の中に該当するものである、かようにわれわれは考えるわけでありますが、この点はいかがでありますか。  なお、地方公務員と一部国家公務員が一緒になっている場合もあると思う。たとえば労働関係ですね、あるいはまた社会保険関係、陸運関係、いろいろありますわね。これが一緒になった場合に、同じような意味で非登録団体として一応交渉には移すことができるのだと、登録団体の交渉じゃありませんよ、いわゆる非登録団体についてもここに当たるものであるというふうに私は理解しておるのですが、その点はいかがでございますか。
  25. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 法律の概念からいたしますと、職員団体ということばにつきましては改正法で定義がございます。その定義に当てはまらない、また地方公務員の構成をしておりまする団体もございます。そこでこの職員団体と申しますのは、職員が主体性を持ってその勤務条件の維持改善をはかることを目的にして組織する団体でございます。それで、ここでいっております職員一般職員をさしておるわけでございますから、地方公営企業関係職員は含まれていないわけでございます。公営企業関係職員は、これは労働組合をつくると、こういうたてまえになっております。  そこで、職員団体と労働組合とが一つの連合体をつくるという、その連合体は、この法律でいう職員団体にはならないわけでございます。ただその公営企業関係職員が別に労働組合をつくらないで、一般職員のつくっている職員団体の中にごく少数入っているというような場合には、これは職員団体といっていいわけでございます。ただその場合には、登録は職員団体は受けられない、こういうふうなことになるわけでございます。  したがいまして、いま先生のおっしゃいました中で、一般職員が主体で水道職員などが、公企職員が若干入っておるというような職員団体であれば、それは登録を受けない職員団体という中に入ると思いますし、それから職員団体と労働組合とで構成している連合組織というものは、一つの労働者団体ではありますけれども、法律でいう職員団体ではない。したがって、まあ私ども、これは法律の施行通達でありますから、法律的に観念をいたしておるのでありますが、ここで言っておる登録を受けない職員団体というものには、そういうものは入らないと、かように考えておるわけでございます。  そこで、その次には、それでは職員団体に入らない都労連のようなものについてはどうかということでございますが、これも国会の御審議の過程でいろいろ質疑応答があったところでございますが、そういうものについても団体の結成は自由でございまするし、それらのものが交渉能力を持つということも法律で認められているところでございます。しかし、そういうものは、地方公務員法でいう職員団体ではありませんから、これらのものと交渉に当たって、どういう当局との間で交渉を持つかということは、それぞれ双方の話し合いによると申しますか、慣行によると申しますか、そういうことになろうかと思うのでございます。
  26. 占部秀男

    ○占部秀男君 前者の場合は、いま局長言われたところで明確なんですが、なお後者の市労連、都労連の連合体の場合ですね、一般職と公企労の関係、これはそうすると、そういう連合体を結成することは、事実上これは自由があるから、したがって東京都なり大阪府なりというような当局と交渉することも、両方が合意すれば、交渉しても決して差しつかえないのだ、こういうふうに解していいと、こういうわけですか。
  27. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) さようでございます。
  28. 占部秀男

    ○占部秀男君 次に、交渉の手続の問題についてお伺いしたいと思うのですが、今度施行された、いわゆる未施行規定を含んだこの地方公務員法改正は、これは言うまでもなくILO八十七号条約の批准に伴う国内法の改正であることは、これは明らかです。一体ILO条約は、その批准をするにあたっては、従来の労働慣行や国内法規あるいはまた裁定の事実、あるいは地方公務員にはいわゆる労働協約がないわけでありますが、協約事項、こういうものは現行のものを、批准したからといって下ってはならないということは、ILO憲章の中にはっきりと出ていることは御存じのとおりです。そこで施行についての通達の中で、「改正法においては、交渉の手続等に関する規定の整備がなされたが、これは交渉における秩序を確保し、よき労働慣行の確立に資することを目的とするものであるから、その趣旨を体して運用にあたられたい。」、こういうような指導が書かれておるわけでありますが、結局、これはつづめて言えば、従来の慣行に大幅な変更は来たさないのだ、運営面においては、ということを意味してそういう指導を行なおうとするものだと、こういうように私は考えるのですが、この点はいかがでございますか。ちょっとその前に、局長、問題がだいぶ複雑微妙な点がありますから、回りくどく言いますけれども、その点はひとつ勘弁していただきたい。
  29. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 交渉手続に関する規定は、これは従来条例できめておったものが多いわけでございますが、国家公務員については人事院規則できめられたものでございますが、今回これを法律規定をすることが、交渉における秩序を確保して、よき労働慣行の確立に資するゆえんであろう、こういうことで法定をいたした次第でございます。でありますから、ここに書かれてありますことは、従来のよき労働慣行としてすでに行なわれておることばかりであろうと思います。民間の労働組合におきましても、別段法律に明文はございませんでも、このようなことが大体労働慣行として行なわれておると思うのでございます。  したがいまして、この規定につきましては、先生のおっしゃいますようなお気持ちで、従来のでき上がっておるよき労働慣行というものを別段否認するものじゃないという趣旨にもむしろ合致しているのじゃなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  30. 占部秀男

    ○占部秀男君 そうして、このよき労働慣行にもいろいろとり方があるわけですね。これはやはり従来のよき慣行というものを制約しないような方向でひとつ運用をはかってもらいたい、かように思うのですが、この点いかがなものですか。
  31. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) そういう心組みでまいりたいと存じます。
  32. 占部秀男

    ○占部秀男君 なお、この交渉の手続について、交渉の対象といいますか、交渉の問題の中に、法律では、管理運営の事項は交渉の対象とすることはできないというような交渉の内容を新たに制約した問題があって、それが今度の未施行規定の事項の中に一つの問題としてあるわけです。事実この管理運営の事項といっても、これは非常に広いのですね、内容は非常に広い。この中には、職員身分であるとか、あるいは職員給与、賃金であるとか、あるいは職員の勤務状況、いわゆる労働条件に関するこの事項も相当あるわけなんです。したがって、先ほど申しました倉石・河野の合意案といいますか、妥協案、これには確認事項として、管理運営に関する事項であったとしても、労働条件に関する事項については交渉事項の対象とすることを、このお互いの話し合いの議事録の中で確認をし合い、これを両党間で、国会の中で具体化していこう、こういうことがあったことは、佐久間局長も御存じのとおりだと思う。また、このドライヤー勧告でもこの点については、「本委員会は、「管理及び運営」に関する事項と団体交渉の対象とすることのできる事項とを区別する境界線を実際上どこに引くべきかについて、より良き了解に達するよう努めることを勧告する。」こういう勧告が出ているわけですが、今度のこの施行通達では、この点についてだろうと思うのですが、こういう文章が指導として書かれているわけです。この交渉の際に、「これらの規定を形式的に理解し、職員団体の交渉を不当に制限することがないよう、あわせて配意されたい。」、こういう点が出ておるのですが、結局この書かれている意味は、管理あるいはまた運営の事項であっても、事直接の労働条件に関する事項については、これはやはり交渉の対象となり得る場合があるのだ、こういう点を、これはもう内容として暗示するか指示するか、これは方向づけるというか、そういうふうにしていくのじゃないかと思うのですが、この点についての御見解はいかがですか。
  33. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 管理運営事項でありましても、それが勤務条件に関係する面があるものがあることはお話のとおりでございます。で、そういうものにつきましては、勤務条件に関する限りにおいて、やはり交渉事項になるというふうに理解をいたしております。  それからなお、通達の中で、「これらの規定を形式的に理解し、」云々ということを書きましたのは、公務員制度審議会答申の中にも指摘されている文句でございますが、これは特に管理運営事項の解釈をめぐってということを念頭に置いたわけではございませんで、実は自治労の諸君などと意見の交換をしております際に出た話でございますが、当局が非常識に人数とか時間を制限をして、それによって結局交渉を拒絶しようというような運用も行なわれる懸念もあるというようなお話も承ったりいたしましたので、そういうようなことにこの規定を運用するということはこれはいかぬということで、ような気持ちで書き置いた次第でございます。
  34. 占部秀男

    ○占部秀男君 いまの前の問題については、局長の御答弁で明確になったわけでありますが、あとの問題で、結局この文章の意味するところは、たとえば交渉の問題については、交渉を打ち切ることができる場合があるわけですね。そういうような場合においては、やり方によっては職員団体の交渉権を非常に弱める結果になる。そこで当局としては、この非常に恣意的判断で一方的に制約することがないようにやはり気をつけていかなければならぬ、こういう点を一つの例ですが強調された、かように解していいわけでございますか。
  35. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) これも法律規定は、お読みになったとおりでございますが、やはりこういう規定を書きました趣旨も、交渉における秩序を確保して、よき労働慣行の確立に資そうという趣旨でございますから、そういう趣旨を体して、お互いに良識をもってその辺の運用に当たってもらいたい、こういうことでございます。
  36. 占部秀男

    ○占部秀男君 これは念を入れたのは、いま局長がさっき言われた自治労の方との話し合いの中でできたような事実が相当あるのですね。したがって、そういう点については特にひとつ留意して、指導もはっきりとしていただきたい、かように思うわけです。  そこで、この交渉の問題についてはこのくらいで打ち切って、次に登録制度の問題についてお伺いを一、二したいと思うのですが、自治省が出された施行通達の第1、第2の2で職員団体の登録という問題を書いておるわけですが、読んでみますと職員団体の登録の申請に関する事項だけであって、登録に伴う法人格の問題は未解決のまま置かれておると、かように私はこれを読んで考えるわけです。この点について審議会の未施行規定取り扱いに関するこの答申では、「登録されない職員団体も法人格を取得することができるように政府においてすみやかに検討すべきであると強く希望をする」、こういう意見が述べられておりますし、それからドライヤー勧告でも、本委員会は全国的労働組合団体が法人格を享有し得るように法律改正を考慮すべきであると勧告をすると、かようにはっきりと勧告が出ておるわけです。そこで登録をされないからといって、職員団体に法人格を認めないということになるというと、ILO八十七号条約の第七条に私は違反するということばがいいか、もとるということばがいいか、わかりませんが、いずれにしても違反する結果となることは私は明確であると思うのです。そこで登録されない団体にも法人格を取得することができるように、すみやかに政府としては今後検討していって法律改正をすべきであると私は考えるのですが、この点についての自治省の見解を承りたいと思います。
  37. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 登録されない職員団体にも法人格を取得できるようにすべきでないかという御意見が、公務員制度審議会審議過程におきましても相当出たように承っております。この点につきましては、答申の中にも御指摘のように希望が述べられておりまするので、政府におきましても、よく検討をしてまいるべきものと、かように考えておるのでございます。
  38. 占部秀男

    ○占部秀男君 この点について特に大臣なり局長なりにお願いしたいのは、各県市町村の単位の組合は、登録すると、これは法人格を得るわけですね。ところが、これが集合した全国団体、たとえば自治労であるとか、あるいは日教組であるとか、いろいろな組合がありますが、これはいわゆる登録団体ではないわけで、そのために法人格は得られない。そのために全国の職員が集まってたとえば会館をつくる、あるいは厚生施設をつくる。いろいろ福利厚生の面も含めて組合としてやる。ところが、このやることが、法人としての登録ができないので、御存じのとおり非常に支障を来たしておる。そのために職員の労働関係がゆがめられておる一面があるわけです。ひとつ日本の健全な労働運動を発達させるためにも、早くこの問題の決着をつけるように努力をしていただきたいと思います。この点は先ほど御答弁いただきましたから、希望だけ申し上げておきたいと思います。  なお、この登録の問題について次にお伺いしたいのは、切りかえについてなのでありますが、これが非常に実は問題点があるわけであります。というのは、これは私が言うまでもないのですが、国家公務員の場合は、法が施行されて後一年間は余裕期間があるわけです。ところが地方公務員の場合は三カ月以内に切りかえを完了しなければならない、こういうことになっておる。ところで管理職の人事院の指定、これが指定がありますと、これに基づいて各地方の人事委員会あるいは公平委員会がその点についての指定をし、その結果、指定ではっきりと管理職その他が分離をすると、明確に線がなると、それから後に規約の変更だとか、あるいはまた改組のいろいろな措置の問題をとっていかなければならない、こういう具体的な手続の問題になってくるわけです。  そうするとかりに、私がつい一日、二日前に聞いた話では、人事院の管理職指定はおそらく今月の末、二十七日か八日ごろ出るだろうといわれておりますが、これが出ますと、これに従って各都道府県の人事委員会、市町村の公平委員会が、一応法には管理職の範囲をきめろというふうにきまっておりますから、そこでこれをきめて、早くても七月の半ば、おそくなると七月一ぱい私はかかると思うのです。それから今度は組合が、いまこの改正法に定められた規定に従った手続で規約の改正を行ない、公示をしたり、組合員が討議をする、あるいは直接無記名投票−役員の場合も、役員を公示し、立候補さして、これを締め切る、これには一カ月や一カ月半は必要である。その上に組合員が討議したり、無記名投票をする、そういう非常に入り組んだ登録の切りかえについての手続問題があるわけです。これを実行していくと、これはとうてい九月の十四日、三カ月というと九月の十四日ですが、九月の十四日では、これはどう計算しても、物理的にもう不可能である、かようにわれわれはどうしても考えられてならない。この点については、無理に私たちはこれをあまり引き延ばそうというような組合のやり方をする、それはいかぬけれども、そうではない場合は、この問題についてはやはり弾力性を持ってもらいたいと思うのです。というのは、未施行規定取り扱いに関する審議会答申の意見でも、こう書かれておるわけですね。「職員団体の登録の切換えにあたっては、無用の混乱を生じないように配慮すること、」おそらくこういう部面も考えられて配慮が行なわれていると思うのです。  ところで、これは法律事項になっておりますから、簡単に考え方だけで曲げられない点もあるかとは思うのですけれども、運営扱いとしては何らかの措置をやはりしてもらわないと、実際上物理的にできないということになると、その結果はどうなるかというと、せっかく登録したいという団体も、これは非登録の団体にその間は置かれてしまう。同時に非登録の団体になると、専従問題もまた起こってくる。これはもう一つの連鎖反応で、いろいろな問題が起こるわけですから、したがって、そういう点については弾力のある運用の措置を適宜にひとつとってもらいたいと思うのですが、この点はいかがですか。
  39. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 初めにちょっと御説明申し上げておきたいと思いますが、国家公務員が一年で、地方公務員が三カ月の余裕期間だということに法律がなっております趣旨でございますが、国家公務員は人事院だけが登録機関でございます。人事院が千数百にわたる職員団体の登録事務を扱わなければなりませんので、一年くらいはどうしても必要なんじゃなかろうかと思いますが、地方公務員の場合は各人事委員会、公平委員会が登録機関でございますから、一人事委員会、公平委員会が取り扱うものが多くても二つか三つくらいでございます。普通は、一つという場合が多いわけでございます。したがって、これは三カ月で切りかえができるということで、差ができておるわけでございます。  そこで、地方公務員の場合の三カ月の期間でございますが、これは法律にきちんと書かれておる期間でございますから、私どもが法律を無視して運用するということも、これはできませんので、しかし、御心配になられますように、この登録の切りかえに無用な混乱が生じて期間内にできないというような事態が生じては困りますので、その辺の手続の扱いの上におきましては、この期間内にスムーズに登録の切りかえが行ない得るように手続上の扱いの上では十分ひとつ配慮していきたいと、かように考えておるわけでございます。
  40. 占部秀男

    ○占部秀男君 時間がないので、その答弁、あとまた別の機会にいたします。  で、次は、これはまあ管理職の範囲についての問題ですが、この施行の規定では、施行通達では、「管理職員等の範囲を定める規則(参考例)」、これを送付するので、この決定にあたってはこれを参照されたい、こういうふうに言われておるのですね、この参考例といいますか、これはいつごろ送付されるものであるか、また、その内容は大まかに言って、府県の場合、あるいは市の場合、町村の場合、どの程度のところにその線を置く考え方でいま作業をされておるか、そういう点をひとつお伺いしたいと思います。
  41. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 管理職の範囲についての参考例でございますが、これもできるだけ早く実はこの通達と一緒に出したいと思っておったのでございます。しかし、先生のお話にもございましたように、人事院の作業がだいぶおくれておるようでございます。それで、内容的に国家公務員の扱いとの振り合いも見て慎重を期するほうが適当な措置であろう、かように考えましたので、一応私どもとしてはある程度の案は固めておるわけでございますが、これを地方へ連絡いたしますのは、国家公務員のほうの人事院の作業とにらみ合わせて時期をきめたい、かように考えております。それから、現在一応固めております案の大まかな考え方ということでございますが、府県の場合におきましては本庁では部長、次長、課長、これはもう当然管理職になる。それから課長補佐も原則的には管理職に入る。ただ、課長補佐が数名あります場合に、事務の分掌の上で、労働関係と申しますか、人事関係につきまして権限を持っていない、たとえばもっぱら技術だけの権限しかないというような課長補佐がございましたならば、それは管理職の範囲から除くということでございます。それからなお、人事課、あるいは秘書課、庶務課等で、いわゆる職員団体に関する機密の関係の仕事を扱っているようなもの、これは係長、また必要によっては係長でない一般職員管理職に含めるという考えをいたしております。それから府県の出先でございますが、これも出先機関の長は原則として管理職に入る。出先機関規模が大小区々でございまするので、非常に小さいような、職員数もごくわずかのような場合におきましては、人事関係も直接本庁で扱っているという例もございまするので、そういうものにつきましては、人事委員会においてよく実態を検討いたしまして、出先機関の長でありましても管理職に入らないという場合もあり得ると思います。それから、出先機関の、たとえば地方事務所なんかの場合には、さらに次長とか課長というような者も入る。課長なんかについても、これは一律にまいりませんから、いま申しましたように、その権限の実態を見まして、人事委員会が、課長であっても除くという場合もあり得ると思っております。それから市の場合でございますが、市の場合についても、これも規模が大小さまざまでございまするが、普通の標準的な場合を考えてみますというと、部長、課長というものは管理職に入る。課長補佐、係長というような者につきましては、府県の場合に申しましたようなことに準じて考えていく。それから町村におきましては、これはまあ課長制をとっているところは、課長は管理職に原則として入るであろう。それから、そのほか人事、文書、秘書、あるいは庶務というような仕事をやっている者は、係長、あるいはそれ以下の者までというようなことを考えております。それから市町村の出先でありますが、これも大小区々でありますが、相当大きいものは、その長は当然管理職になると思いますが、ごく二、三人ぐらいの職員しかいないような出先の場合におきましては、これについてはやはり公平委員会が権限の配分と実態を検討した上で管理職から除く場合もあるというような考え方をいたしております。
  42. 林虎雄

    ○林虎雄君 ちょっと関連して。いまの管理職の範囲ですけれども、いまのお答えによれば、参考例も出て、大体の標準というものは出ると思いますけれども、しかし、府県の場合人事委員会、あるいは市町村の場合は公平委員会の判断の余地というものはかなりあると考えてよろしいのか。それとも、結果的には全国——都道府県あるいは市町村というものは画一的になることの結果になるのか。そういうことを期待しているのか。その点どうなんですか。
  43. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 管理職の範囲は、職制や権限の分配に基づきまして、管理、監督の地位にあるかどうか、機密の事務を扱っているかどうかということで客観的に定められるべきものでございます。ただ、具体の認定になりますと、人事委員会、公平委員会の権限になるわけでございます。そこで、そういうふうに理論的に客観的に本来定められるべき筋合いのものでございまするから、でき上がりました姿は、同様な団体におきまして、同じような内容職務につきましては、大体同様な判断がなされるということが、これは当然であろうと思うのでございます。したがいまして、私どものほうの示す参考例も、これは一つの参考でございまして、別段これによって全国画一的に規制をしようという考えは毛頭ございませんけれども、大体これは客観的な妥当性のあるものではなかろうか。現在御承知のように、すでに労働組合法に基づきまして、地公労なり三公社なりについてはできておるわけでございますけれども、そういうものも十分参考にいたしましたし、なお申しつけ加えておきたいことは、実は人事委員会や公平委員会も、昨年改正法が成立いたしましてから、早晩自分たちがこの問題に取り組まなければいかぬということで非常に関心を持って、連合会でしばしばお互いの研究会をやっております。そして、お互いの思想統一もはかってきております。そういう席上に私どもの担当官も出席をいたしまして、いろいろそれらの御意見も伺ってきておりますし、また、関係職員団体の方々の御意見も伺ったりしておりまして、まあ私どものほうでお示しする参考例は、そういう皆さん方の御意見も十分伺った上でつくっておりまするので、その点につきましては、客観的に相当妥当性のあるものと御批判をいただけるのではなかろうかと信じております。
  44. 林虎雄

    ○林虎雄君 もう一点だけ。その参考例なるものは、大体いつごろ都道府県へ送付することになる予定ですか。
  45. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 私どもの手元では、大体いま申しましたような関係機関なり関係職員団体の方々の御意見も承り終わって、検討も終わっております。ただ、先ほども申し上げましたように、国家公務員の扱いとの振り合いを見てさらにもう一度見直すということで慎重を期したいと思っておりまするので、人事院の作業が終わる時期をにらみ合わせてこちらのほうも地方に出すということに考えております。
  46. 占部秀男

    ○占部秀男君 私もその点を聞きたいと思ったのですが、いま局長から、参考例で画一的に押えようとは思っていないのだと、こういう御答弁があったわけですね。そこで私は具体的にお伺いするのですが、それならば人事委員会規則あるいは公平委員会規則というものは、管理職の範囲についての基準を定めて、それで個々の認定についてはやはり労使の協議したというような点を組み入れるというか、参考とするというか、資料とするというか、そういうような扱い方が行なわれても、これは別に違法でもなければ、また自治省のこの方針と違反する、こういうふうには言い切れないと思うのですが、そういう点はいかがですか。
  47. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) これは法律規定で、管理職員等の範囲は人事委員会規則または公平委員会規則で定めるとなっておりまして、先生のおっしゃいますように、基準を定めるようにしたらどうか、こういう倉石問題点での案もありましたが、それらも検討されました上で、基準ではない、範囲をそのものずばり人事委員会規則、公平委員会規則で定めるのだ、こういうことで法律が成立をいたしました経過がございまするので、私どもとしてはさような解釈をいたしておる次第でございます。
  48. 占部秀男

    ○占部秀男君 しつこいようですが、そうすると、ずばりそのものは人事委員会規則、公平委員会の規則できめるのだ、しかし、そのきめ方は必ずしも参考例に画一的に縛られなくてもいいのだと、こういうふうにとっていいわけですね。
  49. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) それはそのとおりでございます。
  50. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで私は問題があるのは、いま局長が言われた線の引き方の問題なんですが、これは時間がありませんから簡単に私申しますが、いつでしたか、日にちを言えばいいのですけれども、この前のILOの特別委員会のときに衆議院の質問の中で、管理職の範囲の線の引き方については、労組法第二条ですか、あそこにいわゆる民間の引き方がある、これにならってやるのだという答弁が行なわれておるわけです。ところが、地方公務員の団体——日教組もそうですか、地方公務員の団体の場合は、昭和二十五年の地公法が御存じのようにできるまで、それまでは労働組合であった。地公法ができて初めてこれがいわゆる地公法上の職員団体になった。そのときに登録がえを今日と同じようにやったわけです。登録がえというか登録をしたわけですね。人事委員会に登録をしなければつまり認められない、非登録団体になるので、そこで登録をした。そのときに、この管理職の範囲基準をどうするかというこういう問題が出て、その当時は、地方公務員法そのものが人事行政についての規定を中心として規定した法律であって、やはりこの任命権というものを中心にこの管理、監督ということばを考えなければならない。そこで、それを考える場合には、地公法の任命の章がありますね、あそこには、長が上級の地方公務員に委任できる、こういうことがあって、しかも、あなたのほうから出された昭和二十七年ですか、行政実例ですか、この復委任はできないという、こういう行政実例を出されておるのですね。そういうことから関連をして、当時課長までは、これはやっぱり任命権者の委任を受ける、その管理、監督の者じゃないか。しかし、課長以下の、課長補佐がその当時あったかどうか知りませんけれども、課長補佐、その当時は係長と言ったかもしれない。これはもう復委任の問題になってくるので、いわゆる任命権のこの委任された責任者という範囲には入っていないということで、課長以下は全部と言っていいほど組合員であったまま認定の書類をみんなもらっておるわけです。これは各組合にその当時の認定の書類があるからはっきりするわけなんですがね。今度は私は、この線の引き方については、特に審議会答申では、職務の実態を十分に把握して慎重に行なうということが書かれてあって、これを尊重するたてまえからいえば、いま言った実態的なものですね、課長で線を引いておる。これは本省関係、まあ本局関係と言ってもいい。やはりこの実態に即してこういう問題の基準をとってもらうようにしないと、その当時の考え方と今日の考え方との間にズレが出てきておる。そのズレは低い形のズレである。で、ILO条約ができても、従来の慣行あるいは線の引き方、これを下がってはならないということがはっきりと条約の憲章で出ておるのですから、そういう点については、もう一度ひとつこれを再検討してもらいたいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  51. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 地方公務員法制定当時のいろいろ御事情、お話がございましたが、地方公務員法におきましては、従来管理職と一般職員と区別をして、管理職は一般職員職員団体に入れない、こういう規定がございませんでしたので、今日で申しますれば、管理職に該当する者も職員団体に自由に加入ができたわけでございます。今回は法律規定で、管理職は一般職員組織する職員団体には加入ができない、こういうことになりましたので、管理職の範囲をあらためて検討する必要が出てきたわけでございます。そこでまあ管理職の範囲をきめるにつきましてでございますが、ただいまこの任命権の委任の問題がございましたが、むろん任命権を委任されるような職は当然管理職でございますけれども、いわゆる管理、監督の地位にある職務というものはそれよりももっと広いものであるというふうに理解をいたしております。で、その場合に、一応の参考の先例となりますのは、労働組合法の規定でございまして、規定趣旨から申しますと、大体同じ考え方で考えていいのじゃないか、そして現に公務員関係のものにつきましても、公労法、地公労法の適用を受ける職員につきましてはその考え方で管理職の範囲を相当詳細にきめられておるわけでございます。したがいまして、私どももそういう先例を十分参考にしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。むろん、それらと違う職務の実態もあるわけでございまするし、さらに、地方団体によりましていろいろなバラエティーがあるわけでございますから、職務の実態を十分検討した上できめていくという趣旨は御指摘のとおりに考えておる次第でございます。
  52. 占部秀男

    ○占部秀男君 いま局長が言われたように、改正前にも地方公務員法には管理職、非管理職という分け方がなかったことは事実です。しかし、労組法から地公法上の登録団体になったときには、事実上の問題として管理職は入れないようにしようじゃないか、あれはたしか佐久間さん具体的に御存じだと思うんですが、入れないことにしようじゃないかということで、労組法の二条に基づいて引き方をした、こういう事実があるのであります。その事実のときに課長のところで線を引いたという実態があるわけです。その実態をぼくは言っているんです。ですから、そういう実態というものは、これはいわゆる既得権ですね。いわゆる慣行というか既得権というか、そういう問題があるのだから、やはりILO批准の問題とからんで、そういう実態的な既得権を下げないようにしてもらうのがほんとうじゃないか、こういうふうに私は考えたから言ったんですが、この点は、時間がありませんから、ひとつもう一ぺん検討してみてもらいたいと思います。  最後に、もう時間がないので、私は、給与を受けながら活動できる範囲が、あなたの出された、自治省の出された職員団体の通達の中の職員団体のための職員の行為の制限、この中に二つの条件しかない。一つは、適法な交渉の期間、一つは休日、有給休暇、休職の場合ですか、ということだけなんですけれども、これでは実際は動きがとれないですよ。というのは、たとえばこの今度の改正法に従って登録をしようということは法で命じておる、改正法で命じておる。その登録をする場合に、たとえば大会なり中央委員会なり議決機関を経なければならない、あるいはさっき申しましたように規約の問題、役員の問題について無記名投票をしなければならない、そういうふうないろいろな組合活動がこの法の規定に従って必然的に行なわれるんですね。そういうような場合に、これはみんな給与のカットの条項にこれが入ってくるわけです。投票といっても、簡単に十分や二十分で投票できるものじゃない。千人、二千人という組合員がいますと、やはり、これに投票させるには相当の期間が要る。おそらくいま三十分以上これが上司の命令を、何といいますか、あれがなくてやればこれは勤務をしなければならぬという条例がありますから、これにひっかかって賃金カットの場合も出てくる公算があるわけです。ですから、この問題は私は決して広くは考えないですけれども、やはり一定の基準を置いて、これ以外にこの任命権者が、たとえばこれはまあ法の規定する組合活動として必要である、こういうように認めたような場合に、これは範囲は、基準はきめていいですよ。たとえば議決機関に出席するとか、あるいは投票入れるとか、そういうふうにきめてあるのだから、そういう場合にはやはり賃金カットしないようにしてもらわぬと、せっかく地方公務員法改正が行なわれても、実態的には組合は動けない、こういう事態が起こるのですから、これは答弁は、そのことについて答弁要りません、時間がないですから。検討はひとつしてもらいたいと思いますが、その点はいかがですか。
  53. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) この職員団体のための行為の制限の問題でございますが、これは考え方といたしましては、これも労働組合法の二条二項でございますか、ありまするが、使用者の職員団体、労働組合に対する経理援助の範囲の問題として、一つの先例がございます。労使双方が自主運営というたてまえから考えてみますと、やはりここは一つのけじめはつけておく必要があると思うのでございます。それで従来とても地方公共団体一般の場合におきましては、交歩の場合は別でございまするけれども、そのほか組合大会に出席をするというような場合も賃金カットをしないで当然いけるのだというような、たてまえとしては、そういうふうにはなっていなかったと思うのでございます。おそらく年次有給休暇を使って実際問題としてはカットはしないのだというようなことではなかったかと思うのでございます。そこで、今回は法律改正でそういう賃金カットをしない場合を条例で明確に定めなければならぬということになりましたので、この問題が起こってきたわけでございます。私どもの考え方は、さっき申したような考え方で、国家公務員の場合におきましても、従来も人事院規則の上から申しますと、私どもの今回の準則のような考え方でおりましたし、今後もこういう考え方でいくようでございますし、この際改正法の趣旨にかんがみまして、その辺についてけじめをつけておくべきではなかろうかという考えから準則をきめたわけでございます。
  54. 占部秀男

    ○占部秀男君 ちょっと希望申し上げておきたいのは、いまの法の規定運営の面、これはあなたが言われたように、現在規定されておらなくても実際行なわれている。それは決して放漫にやっていたわけではなくて、必要な限度において行なわれているのですから、そういう点についての運営については、あまり機械的にいかれないように考慮をひとつ払ってもらいたいと思うのですが、これはあとで、こまかい点がありますから、もう一度この点についてはあとでひとつ質問したいと思います。きょうはこれで。
  55. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。     —————————————
  56. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 地方公営企業法の一部を改正する法律案に対する質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  57. 小林武治

    ○小林武治君 私はこの公営企業法の修正について二、三質問をいたします。特に提案者である与党の方から御答弁を得たいと思いまするのは、これは私が申すまでもなく、政府提案というものは与党と政府が責任を持って提出した案でありまするから、中途において与党からみだりに修正などはすべきでない、こういうことはよく御存じのはずであります。さような意味からいたしまして、このたびの修正がどういういきさつで修正になったか、この経緯をひとつ伺っておきます。
  58. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 現在の政党政治のもとにおきましては、政府と与党の間におきましては意思が統一されているという関係におきまして、みだりに院において与党の立場において修正などあり得べきでない、これはごもっとものことだろうと思います。私たちも、その姿におきまして、ほんとうに提案されるまでにおきましては、与党という立場から修正など行なわないよう十分な検討を続けてまいったのでございますが、この法案は各省との関係も非常にたくさんございます。提案までに日数もございまして、何と申しますか、提案までにもこの法案にそういった点の妥協点、したがって、やむを得ざる妥協点を温存しつつ提案されたのが本提案ではなかったかと思います。そういう意味におきまして、委員会に付託されてから鋭意検討を加えまして、野党の意見も聞きまして、私たちも常々考えておりました点につきまして、かく修正するほうがよいということもございましたので、修正をしたような次第でございます。その意味合い修正させていただきましたので御了承賜わりたいと思います。
  59. 小林武治

    ○小林武治君 だから、その経緯を聞きたい。中には相当重大な修正を加えております。特に政府部内でいろいろお話もあろうし、また、大蔵省関係のことも、この法案提出するまでに政府部内の意見をまとめないで、いまごろになってこんな修正をすることは、私どもには納得できない。
  60. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 小林先生も与党のお一人でございます。しかも、与党の中にあります地方行政部会の御一人でございますので、その間の経緯は十分御存じだと思いますが、便宜私のほうから一口申し上げます。  問題点の一番大きな点は、利子補給並びに年度の点ではなかろうかと思います。修正要綱に載っております第四の、財政再建債対象となる赤字昭和四十年度までの赤字とする、政府提案では三十九年度となっております。御承知のとおり、国会に出ましたのが、たしか二月の終わりか三月の初めじゃなかったかと思います。三十九年度と書きましたのは、四十年度年度途中の提案でございましたから、四十年度赤字の額等がまだ決定していない、しかも、四十年度赤字を出さないようにやるのだという趣旨のもとに運営しておりましたから、法案提出にあたりましては、三十九年度まで、私たちがこの法案審議中に年度を過ぎ、四十年度までには赤字が相当出るということが確定いたしましたので、この点は四十年度というふうに修正さしていただいた次第であります。  なお、利子補給の点につきましては、政府提案においては六分五厘をこえるものに一分五厘を限度としておりましたので、六分五厘から八分の間の利子補給をやるということになっております。私たちも予算編成の当時、この点は修正いたしましたとおり三分五厘をもって、以上のものは利子補給をしろということを強く要求したのでありますが、予算折衝の機会におきましては、それを達することはできませんでした。法案提案の際にもそれらのことを申し上げたのですが、なかなかできませんでした。ただ、こういうふうになりましたときに、予算の点において詰めておいたらよかったのじゃないかという点もございますが、私まだ一年生議員でしたので十分存じておりませんでしたが——当時は一年生議員でした。前の一般会計再建債が行なわれたときも、こういったいきさつで六分五厘で、以上を利子補給するという姿で出されたのを、国会におきまして修正されて三分五厘にされたというようないきさつがございまして、そういった関係で六分五厘で出されたんでありますが、国会の審議の間において、一般会計のときのように利子補給の点については引き下げもあり得るものだという点と、もう一つは、予算に組み入れますのに、全然種がなかったならば法案を出すこともできない、六分五厘で当時大蔵省と折り合いまして、一応一億五千万円ですか、予算の中にも種は残っておる、しかも、六分五厘に相当するものでございますが、財政投融資の面におきましても、予測される二百億という額を組んでおるというような点もございましたので、私たちも提案は時間の関係もございましたので、この程度にいたしたのでございますが、その当時から与党の内部におきましては、利子補給を何とか下げたいという点につきまして、相当の御意見があったということも聞いております。なお、参考人の御意見におきましても、この点強く主張されましたようないきさつもございましたので、私たちももちろん与党の立場でございますので、委員も万能ではございませんので、この点再三再四折衝を行ないまして、政府と連絡をとる。政府、大蔵省当局におきましても、私たち与党議員の言を十分聞いて、それならばということで完全な了解のもとに修正をいたしましたので、この点御了解願いたいと思います。
  61. 小林武治

    ○小林武治君 それなら、この法案は三月四日提案しておる。何をあわてて出すか。そんな話がつくなら、十分に話し合いをつけてから出すべきで、三カ月も衆議院で握っておる。いまごろになってさあやれと、こういうことは私どもとしては納得できない。あなた方政府部内で詰める点があるならば、こんなに早く出さないで、もう少し間を置いてお出しになったらいいのではないか。
  62. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 小林先生も御承知のとおり、予算関連法案は確かに二月の二十五日ごろまでに出せということが基準だと思います。本法案は、その意味からいいましたら、そういった点の詰めができないためにおくれた。おくれたが、その最小限において出したのが、たしかあの日にちになったのではないかと思います。衆議院におきまして審議がおくれまして、非常に参議院に回してまいりますのがおくれて申しわけないのでございますが、本会議にかかりまして、われわれの委員会に付託されます日にちが非常におくれましたのと、もう一つは、参りましてから不測の状態で、あるいは会期延長の問題、あるいはILOの問題等で、話し合いを進めながら、委員会審議の日程が、本法案審議関係のない点でおくれましたので、今日に至りましたのでございますが、この点の努力は当時から重ねておりましたので、日時、その他の点につきましては、ただいま申しましたような点でおくれましたので御了承を賜わりたいと思います。
  63. 小林武治

    ○小林武治君 予算関係というのは、予算を一分五厘しか計上してない。四分五厘を今度必要だ。予算関係であっても、実際予算の裏づけのない法案修正であると思うと、こういう気がしますが、どうですか。
  64. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 予算関係法案と申しますのは、予算関係法案のことでございまして、この法案が、金額が少ないから予算関係法案ではないと言い得るのではないか、これは考えようでございますが、私たち政府は、これを予算関係法案として取り扱ったのではないかと、かように考え、しかも、そういう意味で提案を督促されまして、したがって、それに間に合わせるように私たち部会におきましても努力してきたことは、小林先生も部会の一員として御了承のとおりでございます。しかもなお政府間の折衝ができなかったものでございますから、やむなく、たしか一週間かほどおくれて三月初めごろにやっと出したというのが提案のいきさつではなかったかと、かように考えております。
  65. 小林武治

    ○小林武治君 私は、あなたが衆議院の代表だから多少苦言を呈して申しわけないですが、一体いまごろ——あなたのほうは三月の四日から三カ月持っておった、あなたのほうは札幌に行き、大阪に行って公聴会までやっておる、いろいろ審議しておるが、私のほうにいまごろ持ってきて何をしろと言うのですか。何も審議しないで通せ、こういう御意向ですか。私は衆議院に申し上げたいのです。法案の送り方について、こういうこと、いかにも、別のことばで言うと、参議院を軽視しておる、こう言わざるを得ない。自分たちはいろいろ審議したけれども、われわれには審議の機会をろくに与えない、そしてこれを通せということは、衆議院のわがままではないか、こういうふうに思います。
  66. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) お説ごもっともでございます。日にちは、大体衆参の両院におきましても、相当日数をもって審議の期間を置いておくということは、先に審議する院の責任であると思います。私たちも、この意味におきまして、できるだけ早くこの法案審議していただくように、野党の方ともよく折衝をやってきました。しかしながら、ただいま申しましたように、私たちに付託されるまでに相当の日数がかかりましたこと、並びに審議に入りましてから、他の要素でもっていろいろおくれたという点で、私たちが審議をいたしますのに必要十分なる時間がなかったために、この参議院に御迷惑をかけたことは申しわけないと思っております。しかしながら、その間におきまして、やむを得ず私たちの審議方がそうなりましたので、決して、参議院はこれだけの日数さえあればできるのだとか、あるいは参議院を軽視したとか、そういった意思は毛頭ございませんから、その点だけはひとつ御了解賜わりたいと思います。
  67. 小林武治

    ○小林武治君 これはもう私も結論的にそう言わざるを得ない。あなたは衆議院代表で来ておるから、あなた方の衆議院の仲間にひとつ注意を喚起しておいてもらいたい。こういう送り方は困る。今後の問題もあるから……。私どもはきょうこれをぶっつけられても、参考人を呼ぶひまも、公聴会を開くひまもない。めくらでこれは通せということになる。これは衆議院に対して注意を喚起したい。その点はあなたの罪じゃないけれども、私は衆議院の代表としてあなたに申し上げておく。
  68. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) その点は御注意として、私も衆議院のほうによく、与野党を通じまして、そのことは、こういう御意見があったということは申しておきます。しかしながら、私は、与野党を通じまして、ただいま小林先生が言われました衆議院の時間の点に対しては、やむなくこうなったのであって、参議院がそれだけの日数でよいのだとか参議院を軽視したとかいうことのない点だけはさらに重ねて申し上げさしていただきますから、この点は御了解を賜わりたいと思います。
  69. 小林武治

    ○小林武治君 私はさらに自治省にも伺いたいのですが、今度のこの案は、政府案に比べて相当にいろいろな点で譲歩しておるというか、かさ上げをしておるし、この金もある程度私は要ると思う。これはいまたとえば一億何千万円の利子補給の金がある。これをすぐ四分五厘にすれば相当な影響がまたあると思います。その面、四十年度赤字にも入れたと、こういう面の影響はどのくらいに考えておりますか。
  70. 柴田護

    政府委員柴田護君) 具体的には、もしこの法案が成立いたしますならば、具体的に再建を申し出てくる団体によって数値が変わってくるわけでございます。現在は約二百億ぐらいの赤字について再建が行なわれるという前提で一応の予算が組まれております。その額が一億五千万でございます。しかしながら、四十年度末の赤字額は、大体九百四十六億、三十九年度末で六百五十八億でございます。その間相当の増加がございます。二百億見まして一億五千万のときも、再建団体の申し出いかんによってはその金額に変動を来たす、それに対しては必要な措置を講ずる、こういうことにいたしております。大体六百億ぐらいの計算をいたしまして、大体利子補給額は年間二十億前後というように考えるわけでございますが、四十一年度におきましては、申し出の期間が相当ずれますので、額は六百億とかりに勘定いたしましても、若干の増加にとどまるのじゃなかろうかというように考えております。
  71. 小林武治

    ○小林武治君 あなたのほうは一億五千万しか計上してない。いま三億要るというその始末はどうするのですか。
  72. 柴田護

    政府委員柴田護君) 当初から二百億の予定をして一億五千万を組みましたときから、実際に再建の申し出状況によりましては、それに応じて必要な措置を講ずる、地方債の額もそれから利子補給の額も、ともにその実態に応じてという約束に、大蔵省との間はなっております。したがいまして、この修正の結果、いろいろ申し出状況もあるいは変わってくるかもしれません。地方債の額も利子補給の額も当然に変動が出てくるものと思われます。それにつきましては、大蔵省と相談をいたしまして、当初の約束に従って必要な措置を講ずるというように考えております。
  73. 小林武治

    ○小林武治君 できるといったって予算はどこにあるのですか。また何か組みますか。
  74. 柴田護

    政府委員柴田護君) 現在の段階で予算を組むか組まぬかという問題は明言いたしかねると思いますが、この金額そのものは予算にすでに組み込まれているわけでございますが、必要があれば予備費支出ということになろうかと考えます。
  75. 小林武治

    ○小林武治君 それを必ず保証すると——大蔵省の人をここへ呼んできてよろしいですか。
  76. 柴田護

    政府委員柴田護君) 状況によりましては、必要な額につきましては必要な措置を講ずるという約束が事務的にはでき上がっております。
  77. 小林武治

    ○小林武治君 実はその法律については、何か衆議院の野党の諸君も早く通してくれということを言うておるらしい。野党というものは、大体法案の採決は遅延をしたり、阻止したり、そういうのが通常の傾向である。ところが、この法案についてだけは早くやってくれというような話があるが、よほど野党のお気に召したような修正をしたわけですか。
  78. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 野党の御協力に負うたということは私も聞かぬではございませんが、本来、現在の地方公営企業が困っている、これに何かしなければならないということに対しましては、与野党を通じましての私は必要なことでもありますし、要望のあるところじゃないかと思います。その法案の中に、野党という立場においてどうしてもこれはいけないのだという点があるために、あるいはこの法案をなにする。しかしながら、法案そのものは、私はこれは本来野党も与党もない。ともに地方自治を守る立場、あるいは地方自治法関係して、お互いに地方自治に参与すると申しますかに関係するものは、全部これは当然やらなければならぬことでございますので、その意味におきまして、私は野党の方たちもこの法案の早期の成立に御協力を賜わっていると考えております。
  79. 小林武治

    ○小林武治君 私は、公営企業改正法案は社会党は反対だからこれを通さないということを初めから言うておったことを聞いておる。ところが、この修正ができてから、早くやってくれ、早くやってくれ、こういうことであるからして、きわめてこれは野党のお気に召したような修正をあなた方はされたのであろうと私は考えております。
  80. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 野党の要望されたものは、私たちはもっとこのほかにたくさんのことを聞きましたが、全部受け入れたというようなことはございません。私たちは、これは野党の方々のお気持ちでございますからわかりませんが、まだまだ不足であっても、何としてもこれだけはやらなければいかぬというもの——私ども、この法案提出しました本則に触れるようなものは、私どもはがんとして譲らなかったことは何とか御了承を賜わりたいと思います。それだけは守り通したわけでありまして、ここに出された修正案は、私たちも進んでみずからも修正したいのだという気持ちのものも多分にございますし、またそうでないものもございましても、少なくとも与党のほうもこの法案はこういうふうに改めたほうがよいのじゃないかという気持ちのものばかりでございまして、決して通していただくために野党の方と妥協したということは私は全然ないと考えております。それをしも、そのようなものであるので野党が急変されまして積極的に協力に回られたということにつきましては、野党の方々のお気持ちですからわかりませんけれども、私は、戦術というものはいろいろございまして、十のことを取るために二十のことを言うて反対だ反対だと言う戦術もあるかと思いますから、その点、私たちが私たちの気持ちでやることに野党もそれに御協力いただいたのでありますから、その点御了承を賜わりたいと思います。
  81. 小林武治

    ○小林武治君 公営企業赤字を出したというのは、きのうきょうの問題ではない。これはいつから出たか聞きたいが、一体自治省もあと始末ばかりやっている。しりぬぐいばかりやっている。悪いことばだが、どらむすことは言わないが、そのあと始末をするようなことばかりやっている。なぜここまで来るまでに自治省はふだんから注意しておかないのか。いま六百六十億が九百億だという。まるで赤字の多いのを自慢しているようにわれわれには見える。こういう態度は私は自治省としてとるべきでないと思う。注意して、赤字にならぬようになぜもっといろいろなことをやらないか。一面からいえば、自治省は怠慢だ、こういうふうに言わざるを得ない。しかも、赤字は一年や二年で出たものではない。そういう点についてはどういう注意をいままでしておいたか伺います。
  82. 柴田護

    政府委員柴田護君) おしかりを受けるのはごもっともだと思います。赤字の増加状況は三十六年に百三十五億、三十七年に二百五十億、三十八年三百七十五億というように累増してきたのであります。お話しのように、私どもといたしましても、必ずしも公営企業赤字状態について、放置してきたというおしかりでありますけれども、放置してまいったわけではないつもりでございます。しかしながら、この赤字要因というものが、きわめていろんな状態が積み重なって出てきておるのであります。しかも、三十九年度におきましては、料金のストップ令といったようなこともいろいろございまして、その間に、交通で言いますなら交通の事情の変化、水道で言いますなら水道の水不足といったような事態が積み重なっておりました。それらのことをいろいろ考えてまいりますと、公営企業というものをやはり基本的にその方向を考えなければいかぬじゃないだろうかといったような考え方を持ちまして、三十九年度調査会を構成いたしまして、調査会で基本的なあり方について御審議をわずらわしたのであります。で、三十九年末には中間的に四十年度財政運営の処理について御答申をいただいております。それに従って運営もしてまいりました。ただ、各般の分野にわたりましていろいろの問題がございますので、一挙にこれを片づけることができなかった。むしろ、片づける努力よりか不利な条件の重なりであり、もちろん、公営企業自身の経営状態のやり方にも問題があるわけでございますけれども、そういったものが積み重なって今日の事態を招いた。時期が非常におくれたということにつきましては、まことに申しわけないんでございますけれども、しかしながら、企業内部でも再建という問題、あるいは公営企業基本的な方向づけといったようなものに対する自覚というものがなかなか芽ばえなかったということも、これも率直なところ事実でございます。したがいまして、ごく率直に申し上げますならば、私どもの努力が足りなかったことは、結果的に見て御指摘のとおりかと思いますけれども、しかし、そのほかにもいろいろな原因があったということを御了解いただきたいと思います。
  83. 小林武治

    ○小林武治君 私は、自治省のやり方を見ていると、いつでもものをあとから追いかけていると、こういうふうに見える。地方の要求があれば、もう単にこれに同調して代弁すると、こういうふうな傾向ばかりあって、地方自治とかあるいは地方財政の適正、こういうことにはあまり大きな関心を持っておらぬじゃないかと、こういうふうな疑いさえ私は持っておる。私は、すべていまの地方財政のやり方は国よりか非常に悪い点が多い、国のほうがよほどよくいっていると、こういう感じを持っている。こういう点は自治省にも警告しておきたいが、もっと地方自治団体に対して、あんた方の指導だか監督だか知らないが、監督とは言えない。ただ地方のために銭を取ってやると、こういうことだけじゃいけない。取ってやる以上、その使用ということについてあなた方も責任を持たなければいけないと、こういうふうに私は思う。与党の議員もそういうことが言える。一生懸命予算を取るが、あとは知らぬと、こういう傾向があるわけです。こういうことについては、私はみんな一緒になって一生懸命で予算を取って地方自治をうまくするようにするということはけっこうであるが、そのあとの使い方なりやり方なりについては、もっとひとつ目を注いでもらいたい、こういうことを私は特に申し上げたい。また、地方自治団体にしましても、都合のいいときは自治体だから口を出すなと、こういうことを言いながら、あとはまた政府ばかりたよっておる。こういう自治団体のやり方も私ははなはだ不満足であるわけでありまして、この点も私は反省を求めなければならぬと思う。たとえば、県などもわずかに一割ぐらいしか収入のないところがあるのに、そんなところでも、場合によると、おれは自治団体だから口を出すな、あとは全部を政府におんぶをしておる。こういう地方団体のやり方、あるいは地方自治のやり方などもきわめて私は穏当を欠く点があると思う。こういう点についてみんなが反省をしなければならないと思うのでございます。特に自治省等においては、ただ予算を取ってやるだけで能事足れりと、こういうことでもしあったとするなら、非常に大きな間違いだと思うのでありまして、そういう意味におきまして、自治省ももう少し地方自治団体というものについて実態を把握していくと、こういうことが必要じゃないかと思う。年末になれば予算の要求だけに狂奔する、そのあとはさっぱり知らぬ顔、こういうことに相なっておるのであります。こういうことをひとつ私は特に自治省に反省を求める。またわれわれ与党としてもこれは反省しなければならぬというふうに私は考えております。そういうことでありますが、そういうことについて大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  84. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) お説の点は、ごもっともであります。自治省並びに地方自治体も十分に反省をいたしまして、将来の自治体運営に対して万全を期すように最善を尽くしたいと存じます。
  85. 小林武治

    ○小林武治君 渡海議員には、どうも当面衆議院の代表として、私もたいへん苦言を呈して申しわけありませんが、これはあなたに対するものではありませんから御了承を願います。そういうわけでありまして、私は一応きょうはこの程度に質問をとどめておきます。十分ひとつ自治省当局においても反省をしていただきたいと、かように考えます。
  86. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) それでは、本案に対する本日の審査はこの程度にいたしておきます。次回は公報をもって通知申し上げますから、さよう御承知願います。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時七分散会      —————・—————