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1965-12-29 第51回国会 参議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十二月二十九日(水曜日)    午前十時十八分開会     —————————————    委員異動  十二月二十八日     辞任         補欠選任      植木 光教君     小山邦太郎君  十二月二十九日     辞任         補欠選任      小山邦太郎君     植木 光教君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西田 信一君     理 事                 青柳 秀夫君                 植木 光教君                 日高 広為君                 成瀬 幡治君                 中尾 辰義君     委 員                 青木 一男君                 伊藤 五郎君                 大竹平八郎君                 大谷 贇雄君                 栗原 祐幸君                 木暮武太夫君                 西川甚五郎君                 林屋亀次郎君                 藤田 正明君                 木村禧八郎君                 柴谷  要君                 田中 寿美君                 戸田 菊雄君                 瓜生  清君    衆議院議員        修正案提出者   山中 貞則君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵大臣官房財        務調査官     吉国 二郎君        大蔵省主計局次        長        岩尾  一君        大蔵省主税局長  塩崎  潤君        大蔵省理財局長  中尾 博之君        大蔵省証券局長  松井 直行君        大蔵省銀行局長  佐竹  浩君        農林省農林経済        局長       森本  修君        通商産業省鉱山        局長       大慈彌嘉久君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○農業共済保険特別会計歳入不足をうめるた  めの一般会計からの繰入金に関する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○石油ガス税法案内閣提出衆議院送付) ○昭和四十年度における財政処理特別措置に関  する法律案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 西田信一

    委員長西田信一君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十二月二十八日、植木光教君が委員辞任され、その補欠として小山邦太郎君が委員に選任せられました。また、本日、小山邦太郎君が委員辞任され、その補欠として植木光教君が委員に選任せられました。     —————————————
  3. 西田信一

    委員長西田信一君) まず、理事辞任の件についておはかりいたします。  西川甚五郎君から、都合により理事辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、ただいまの理事辞任を含めまして、本委員会に現在理事が二名欠員となっておりますので、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事青柳秀夫君及び植木光教君を指名いたします。     —————————————
  6. 西田信一

    委員長西田信一君) 農業共済保険特別会計歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。福田大蔵大臣
  7. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま議題となりました農業共済保険特別会計歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  昭和四十年度におきましては、低温、台風等により水陸稲被害が異常に発生し、これに伴い農業共済保険特別会計農業勘定における再保険金支払いが増加したこと等のため、同勘定支払い財源に約十六億三千百万円の不足が生ずる見込みでありますので、一般会計からこの金額を限り、同勘定繰り入れることができることとしようとするものであります。  なお、この繰り入れ金につきましては、将来この会計農業勘定におきまして、決算上の剰余が生じた場合には、再保険金支払い基金勘定繰り入れるべき金額を控除した残額を一般会計に繰り戻さなければならないことといたしております。  以上が、この法律案提案理由及び概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  8. 西田信一

    委員長西田信一君) 引き続いて、補足説明を聴取いたします。岩尾主計局次長
  9. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 農業共済保険特別会計歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案提案理由及び概要補足して御説明申し上げます。  昭和四十年度におきましては、北日本の冷害、東北、北陸、中国及び九州の集中豪雨台風第二十三、第二十四号等により、農作物災害が多発いたしまして、この結果、この会計農業勘定における再保険金支払い見込み額は、水稲におきましては、当初予算額六十一億六千万円(当初の元受け見込み被害率五・一九五%)に対しまして、八十六億七千三百万円(被害率五・六%)、陸稲におきましては、当初予算額二億三千九百万円(当初の元受け見込み被害率一四・五五二%)に対し三億五千五百万円(被害率一七・五%)、麦におきましては、当初予算額六億五千万円(当初の元受け見込み被害率七・三三六%)に対し十億九千六百万円(被害率九・九%)、蚕繭におきましては、当初予算額三億七千五百万円(当初の元受け見込み被害率春蚕繭七・二%、夏秋蚕繭九・〇%)に対し二億円(被害率春蚕繭二・七%、夏秋蚕繭四・三%)、合計におきまして、当初予算額七十四億二千四百万円に対し、支払い見込み額百三億二千四百万円となり、差し引き二十九億円の不足を生ずる見込みであります。  また、連合会等交付金につきまして、この交付金は、共済掛け金額国庫負担割合農作物につきましては単位共済組合基準共済掛け金率を一定の級に区分し、その区分に応じ二分の一を最低とする超過累進割合によっており、水稲の場合全国平均は四十年度予算において六一・五%)を乗じて算出した共済掛け金国庫負担金のうち、保険料及び共済掛け金に充てるため連合会及び組合等に交付するものでありますが、今回は水稲の場合、当初見込み引き受け収量が七百三十八万トンに対し、実績では七百八十二万トン(伸び率五・九%)、当初見込み単位共済金額が三十九円二十銭に対し、実績では四十七円七十銭(伸び率二一・七%)となる見込みであるので、これに伴い連合会等交付金は、予算計上額四十二億七千九百万円に対し、支払い見込み額五十四億三千六百万円となり、差し引き十一億五千七百万円の不足を生ずる見込みであります。  したがって、右両者を合わせて四十億五千七百万円の不足を生ずる見込みとなります。  この会計には、異常災害に備え、再保険金支払い基金勘定を設けており、当初予算においてこの勘定から農業勘定資金繰り入れることとし、予備費として使用することになっておりますが、この予備費を使用いたしましても、なお三十億五百万円が不足する見込みであります。  ところが、財源といたしましては、四十年度の再保険金の歳出に含まれる四十年産麦(三十九年度保険料収納のもの)についての未経過保険料分十億四千七百万円及び四十年度予備費に含まれる再保険金支払い基金勘定からの受け入れ金十億二千五百万円については、すでに三十九年度において再保険金支払い財源に充てられたため、本年度への繰り越し資金が二十億七千二百万円の減少となる見込みであります。  その結果、農業勘定における本年度財源不足額は、両者合わせて五十億七千七百万円に上がりますが、これに対し、すでに今国会において成立をいたしました昭和四十年度予算補正におきまして、三十九年度共済掛け金国庫負担分精算額として三十四億四千六百万円の繰り入れが見込まれておりますので、差し引き十六億三千百万円が不足する見込みであります。このため、農業共済保険特別会計農業勘定に対し一般会計から繰り入れを行なうことができることとする法律を制定する必要があるわけであります。  なお、この繰り入れ金は、保険計算長期均衡性にかんがみ、後日被害率が低い年があって同会計農業勘定剰余が生じた場合において一般会計へ繰り戻すことといたしておりますが、その場合は、農業共済保険特別会計法第六条第二項の規定により、同勘定から再保険金支払い基金勘定繰り入れるべき金額をまず控除してなお残余がある場合に限り、これを一般会計に繰り戻すことといたしておる次第であります。  以上、農業共済保険特別会計歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案提案理由及び概要補足して御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。
  10. 西田信一

    委員長西田信一君) 本法律案に対し質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この問題につきましては、ただ一つだけお尋ねをしますから、大蔵当局のほうから明確な御答弁が願いたいと思います。  御案内のとおり、災害等がございまして、黒字の県もございますけれども、赤字の県が多い。そして基金状況を見ますと、四十二億ある。それは出資金とそれからいままでの利息等積み立て金十二億、寄せて四十二億ある。しかし、その金では足りませんから、六億農林中金から借り入れをしておるというのが実情だと思います。  そこで、三十九年度のときは、なるほど、御指摘のとおり、これは衆議院岩尾次長答弁された速記録の要点でもございますけれども、なるほど四十八億に対して一銭五厘の利息を取っておりましたから、その利息が大体二億七千万円ほど入っておった。しかし、三十九年度はそうであったけれども、四十年度の四月一日から二十四億六千七百万円というものをたな上げしたために、これの利子一銭五厘というものが全然入ってこなくなった。しかも、農林中金から六億借りておりますが、このお金は四月一日から九月三十日までは二銭三厘、それから十月一日からは二銭二厘に下がっておりますけれども、大体その利息が大ざっぱに申しまして六千万、そうしますと、この農業共済基金健全化をずっとやってまいりますと、大ざっぱに申しまして大体六千万円の収入はあるわけです。益金があるといいましょうか、あるわけなんです。しかし、これは経常費に使われるわけなんですね。そこで、四十一年度をどういうふうに見るかというのが非常に問題になってくるわけです。  そうなってまいりますと、やっぱり四十一年度農林中金からの逆ざやで借りておるお金はどうしても解消をしなければ、健全化というわけにはまいらぬじゃないか。農林省なりあるいは農業共済団体が、この農中から借りておるところの六億を、三億ぐらいずつ出し合って、そして六億にして、逆ざや解消をしたい。健全化というものをしていきたいというふうに考えておるときに、大蔵省はこれは反対なんだ。これはできない。農業共済基金健全化のためには、農林中金の六億の借り入れ金解消をしたほうがいい、こういうふうに農林省なりあるいは農業共済団体が考えておるのに協力して、あるいはそれをバックアップしていくという姿勢をおとりになろうとしておるのかどうか、四十一年度予算のこれに関連して、明確な御答弁がひとつ伺いたい。
  12. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 農業共済基金の来年度資金に対する御質問でございますが、私、衆議院でも御説明をいたしましたけれども、来年の話でございますので、現在農林省のほうからも御要求がございますし、現在検討しておる段階でございまして、その検討段階における状態を御説明申し上げたわけでございます。  いま先生からお話しいただきましたけれども、共済基金の大体四十一年度に予想されますバランスシートを申し上げますと、貸し付け金が、いま先生お話しになりましたように、無利息のものが二十五億ぐらいございます。それから、利息のつくものが二十二億ございます。そこで、同基金収支といたしましては、いま申しました二十二億の分の利子が入ってまいります。これが大体一億二千万くらいになるかと思います。あと経費その他を見まして、大体とんとんになるのではないかというのが私らのいまの考え方でございます。これはなお予算折衝の際に農林省のほうともよくお話をして、そうして将来の方針をきめたいと思っておりますが、大体そういう状況でございますので、さような意味での御説明衆議院ではいたしたわけでございます。
  13. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたのおっしゃる一億二千万の利息収入なんていうことは、私も納得いたします。しかし、農中から借りておるのは二銭二厘に下がったとはいえ、一銭五厘で貸し出しいたしますから、七厘の差がある。それを大ざっぱに計算いたしますと、昭和四十年度では約六千万、四十一年度からは五千万くらいになると思います。そうしますと、一億二千万から五千万引くと七千万ということなんです。七千万で全体の経費をまかなえということは、赤字になるんじゃないか。これが黒字になる、収支とんとんとあなたは考えておみえになるのか。災害等があれば、当然赤字になるんじゃないですか。あなた、やらぬというのか、検討中というのか、どっちなんだ。
  14. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) まだ予算ができておりませんので、やらぬというふうには現在申し上げるわけにはまいりません。依然としてやはり検討中でございますが、いま先生お話ございましたが、現在基金には約四億円の損失てん補準備金が存在いたしております。かりに融資所要額が増大いたしまして、農中よりおっしゃいましたような逆ざやの分が参りましても、全体の収支をどういうふうにして見るか、ある程度の逆ざやが生ずれば全部その分は手当てしなければならぬか、その手当てのしかたをどうするか、いろいろの問題がございますので、現在なお検討中ということでございます。
  15. 西田信一

    委員長西田信一君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。−別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。農業共済保険特別会計歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  18. 西田信一

    委員長西田信一君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  20. 西田信一

    委員長西田信一君) 次に、石油ガス税法案議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。福田大蔵大臣
  21. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま議題となりました石油ガス税法案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、最近における自動車燃料用石油ガス消費状況に顧み、揮発油に対する課税との権衡等を考慮して、新たに石油ガス税を設けることとするため、この法律案提出した次第であります。  以下、この法律案内容についてその大要を申し上げます。  この法律案は、自動車用石油ガス容器に充てんされている石油ガスについて、石油ガス充てん場からの移出または保税地域からの引き取り課税原因として、その充てん者または引き取り者に対し、石油ガス一キログラムにつき十七円五十銭、一リットルに換算いたしますとほぼ十円の税率石油ガス税を課することといたしております。  石油ガス税申告及び納付免税制度等所要規定につきましては、他の間接国税の例にならって定めることといたしております。  なお、石油ガス税収入額の二分の一は、道路整備緊急措置法規定により、国の道路整備財源に充当し、他の二分の一は、地方道路整備財源として、石油ガス譲与税法規定により、地方に譲与することといたしております。  以上が石油ガス税法案提案理由及び概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  22. 西田信一

    委員長西田信一君) 引き続いて、補足説明を聴取いたします。塩崎主税局長
  23. 塩崎潤

    政府委員塩崎潤君) 補足説明を申し上げます。  まず第一に、本法案の創設の理由補足でございます。ガソリンとの関係におきまして石油ガスに対して課税をしようというものでございますが、この理由は、先ほどの提案理由説明にございましたように、最近の営業乗用車を中心といたしまして、その燃料揮発油から石油ガスに転換するものが非常に増加しているのでございます。たとえば営業乗用車についてこれを見てみますと、昭和三十八年九月に石油ガス車は一万六千台でございましたが、四十年の九月にはこれが六万二千台と、四倍ばかりに増加いたしております。一方、揮発油を使うところの乗用車は、三十八年の九月に九万台でございましたが、四十年の九月には七万九千台、逆に一割以上も減少しているのでございまして、こういった傾向を反映いたしまして、現在の道路整備財源となっておりますところのガソリン税収入は伸び悩みの状況でございます。これを数字について申し上げますと、昭和三十五年には、前年に対しまして二割も自然増収がありました揮発油税は、四十年には一割しか増加をしないという傾向をたどっているのでございます。このようなことが道路整備財源のために高率の課税をいたしておりますガソリン税との関係から、石油ガスに対しましてはどうしても課税せざるを得ない、こういう理由でございます。以上が石油ガス課税趣旨でございます。  第二は、これから法案につきまして簡単に概要を御説明申し上げたいと思います。  第三条が課税物件規定となっております。課税物件自動車用石油ガス容器に充てんされている石油ガス、これに対して課税することになっております。石油ガスは種々の用途がございますが、自動車用だけに課税する趣旨でございます。  第四条は、納税義務者規定でございます。製造課税にするか、あるいはスタンド課税にするか、非常に争いのあったところでございます。しかし、御存じのように、石油ガスのうち自動車に使われるものは約二割でございまして、製造から蔵出しされるときには、これが自動車に使われるかどうか判明しないものが多いわけでございます。そこで、やむなくいわゆるLPスタンド、こういう販売業者納税義務者にする、こういうたてまえをとっているのでございます。いわば軽油引取税引取税に似たような制度でございます。  その次は、第九条の課税標準でございます。これも何を課税標準にするか、なかなか税額計算上大事な規定でございますが、重量課税標準といたしております。容量にいたすか重量にするか、これもまた争いのあったところでございますが、本法案は公平の見地から重量課税標準といたしております。しかし、取引は、容量によって取引をするものもございます。このときには換算方法規定することにいたしております。  その次は、第十条の税率でございます。現在揮発油税地方道路税との合計額は二十八円七十銭でございます。これとの競争関係にありますところの石油ガスに対する消費税をどういうふうにきめるか、なかなかむずかしい問題でございますが、効率あるいは新規課税等を考慮いたしまして、一リッター十円を目標にいたしました。これを先ほど申しました重量に換算いたしまして、一キログラム十七円五十銭としているのがこの法案でございます。なお、衆議院におきましてこの点は修正されております。  その次は、第十六条から第十九条に規定してありますところの申告納付規定でございます。申告納付の手続は、大体間接税の例にならいまして規定してございます。間接税の例と申しますと、販売課税につきましては、販売した翌月末までに申告納付でございます。さらにまた、保税地域から引き取るものは、そのつど納税でございますが、販売と同じような性格を持つこの石油ガス課税につきましては、移出ということばに置きかえておりますが、販売に近いものでございますから、翌月末までの申告納付でございます。  二十条には、その取引の実態にかんがみまして、徴収猶予規定を設けております。申告提出期限までに申告書を出し、石油ガス税に相当するところの担保を提供した場合には、一カ月の徴収猶予をすることができる、納付期限を延長することができるという規定がございます。これもまた他の間接税にもある制度でございます。これにならいましてでき上がった制度でございます。これも衆議院におきまして修正されたところがございます。  以下他の規定は大体間接税にならいましてつくってございます。保全担保開廃業申告記帳義務、職員の検査権限等は、いずれもいま申しました間接税と同じような制度が取り入れられておるのでございます。  なお、附則の第一項に施行期日が四十一年一月一日と規定されてございます。この点は衆議院で修正されております。  なお、ただいま提案理由説明にありましたように、この石油ガス税揮発油税等と同一の趣旨のもとに課税されるものでございますから、その収入額に相当する金額はすべて道路整備財源に充当することにいたしております。なお、収入額の半分は地方に譲与することになっておるのでございます。  以上、簡単でございますが、石油ガス税法補足説明でございます。
  24. 西田信一

    委員長西田信一君) この際、本案に対する衆議院における修正点について、修正案提出者衆議院議員山中貞則君より説明を聴取いたします。山中衆議院議員
  25. 山中貞則

    衆議院議員山中貞則君) ただいま委員長の御指名がございましたとおり、衆議院におきまして修正案提出をされ、可決されておりますので、その内容について概略の御説明を申し上げます。  詳しい修正案そのものにつきましては、お手元に配付してございますが、手続規定等繁雑な表現になりますので、さらに一枚紙の要綱という紙をごらんいただきたいと存じます。  これは経過を申し上げますと、自民、社会、民社、三党の共同修正にかかるものでございまして、委員会においては満場一致、並びに本会議においても通過をいたしたものでございます。そこで、その要綱について一応朗読をいたします。    石油ガス税法案に対する修正案要綱  一、税率暫定的軽減   石油ガス税税率(本則では、一キログラムにつき十七円五十銭)を、石油ガス税法の施行日(昭和四十一年二月一日)から昭和四十一年十二月三十一日までは、一キログラムにつき五円に、昭和四十二年一月一日から同年十二月三十一日までは、一キログラムにつき十円に軽減する。  二、施行期日の延期   石油ガス税法施行期日政府原案では、昭和四十一年一月一日)を昭和四十一年二月一日に延期する。また、これとの見合いにおいて、自動車用石油ガス容器である旨の表示義務の規定施行期日政府原案では、昭和四十一年二月一日)を昭和四十一年三月一日に延期する。  三、移出に係る課税石油ガスについての石油ガス税の納期限の延期   移出に係る課税石油ガスについての申告納税石油ガス税の期限内申告による納付の期限(政府原案では、申告書提出期限)を申告書提出期限から一月以内に延期する。また、移出に係る課税石油ガスについての賦課課税石油ガス税の納期限(政府原案では、移出をした日の属する月の翌月末日)を移出をした日の属する月の翌翌月末日に延期する。  四、課税石油ガス販売代金の領収不能の場合の税額の控除等   課税石油ガス販売代金の領収不能の正当性について所轄税務署長の承認を受けたときは、翌月以後の申告税額から領収不能分に対する税額を控除する。また、この場合、領収不能として税額の控除を受けた課税石油ガス販売代金を領収したときは、その領収分に対する税額を申告納税しなければならないこととする。  五、関係規定の整理   以上の修正に伴い、関係規定について、所要の整理を行なう。  以上でありますが、参議院におきましては、衆議院に議席の現在ございません公明党、並びに大蔵委員会に議席のございません共産並びにその他の諸派の各位がおられなかった立場にございますので、自民、社会、民社三党の共同提案による満場一致で可決されたものではありますが、一応その趣旨について概略の補足を加えたいのございます。  この法案は、提案理由説明並びにその補足説明でも明快になっておりまするとおり、特定の業者に対して特定の目的をもって新たに税を課して重圧を加えようという趣旨は毛頭存在しない。現在の道路特定財源ガソリン税のあるべき姿の上において、一方において同じ能力を有するエネルギーであるLPガスに課税がされないことの結果起こってまいりまする現象が、飛躍的にLPガスの非課税のカロリーのほうへ自動車のエネルギー源が移りつつあるこの現象を、私どもといたしましては、課税の公平という見地から純粋に考えて、このアンバランスを是正したい、かように考えてきたものでございます。  しかしながら、やはり新規の課税は新規の課税に変わりはないものでありますので、これらの点を勘案をいたしまして、議案の提出までにすでに相当の配慮を行なってまいりました。すなわち、ガソリン税税率をそのまますなおにスライドいたしまして、求められるべき価格よりも低い価格を原案といたし、さらに施行期日も三四半期の余裕を置いて、来年の一月一日という、税法からは一見奇妙な日付をもって定める等の配慮を行なったことがこれでございます。  しかしながら、国会に提案をいたしますと、やはり新しく課税される税でありまするだけに、当事者間あるいは国会の委員各位の間においても論議が集中をいたしまして、通常国会並びに臨時国会において、二回継続審議、先般の臨時国会においては国会手続上は廃案の立場に立ったいわくづきの法案でございます。したがいまして、今回は私どもはやはり税制の公平の見地から、何がしかの課税は必要であろう。それについては、しかし納税者の激変の緩和をする措置が必要であるという点に三党意見が一致をいたしまして、ただいま御説明申し上げましたごとく、これまた刻み方が若干普通の税法とは違いますが、来年、四十一年十二月三十一日まで五円、そして翌年の四十二年十二月三十一日まで十円。したがって、結果四十三年一月一日から、税法施行規定の原則税率でありまするキロ十七円五十銭の税率と相なるわけでございます。  このような段階を刻みまして配慮をいたしましたことによりまして、納税者の御理解、御協力をいただくとともに、われわれの本来の、当初賛意を表してまいりましたガソリン税とのバランスの立場上、やむを得ない目的にも沿い得る修正と存ずる次第でございます。  しかしながら、要綱で読みました第二点で、施行期日を二月一日に延期をいたしました。これは単にただいまの時点が歳末ぎりぎりであるという事態から考えれば、これはもう物理的にやむない修正にすぎないのでございますが、しかし、そのことは実は説明申し上げました要綱第三における納付の期限のさらに一カ月延長という事態とからんでまいりまして、現在計上されておりまする国庫の当該税目の予定収入に大幅な減収を来たすという結果を招来することに実は関連があるわけでございます。  すなわち、第三におきましては、現在、申告納税石油ガス税の納期限は一カ月となっておりまするものを、提出期限をさらに一カ月以内ということに延期をいたしましてさらに加えまして税法上の一般手続の三十日の納税猶予の期限を加算いたしますと、合計九十日の余裕が実は出るわけであります。私どもがなぜこのようなこまかい配慮をいたしたかと申しますと、実はこの法案を制定いたしまする際に、本来このような税の性格は蔵出し課税で行なわれるべきであるという観点からの議論をいたしました結果、一般家庭用LPガスについての課税の意思は現在ありませんし、将来を考えておらない。しかし、そのような立場からすると、蔵出しでは、自動車用に回るのか家庭用に回るのかについて、その段階納税の時期にとらえることは非常に技術的に困難であるし一不可能である。このような結論から、ではやむを得ず末端の小売り業者であるスタンド業者に納税義務者になっていただく低かないという配慮をせざるを得なかったわけでありますが、その後、法案審議の長引く過程におきまして、その実態等について手落ちがないかどうかのしさいな検討をいたしましたところ、タクシー業界よりガス販売業者の受け取りまする手形のサイトが六十日ないし九十日の長期にわたる事実を発見いたしまして、やはり私どもといたしましては、その商慣習の是非について論ずることは差し控えることとして、この現実の前には、やはり新規納税義務者の立場を唐突に賦与された感のある第一線のスタンド業者の方々に対する配慮として、その手形サイトを納期限延長を加えることによってカバーしてあげたいという、かような配慮によるものがこの第三でございます。  その結果、第二点の施行期日が二月一日と相なったことと関連をいたしまして、昭和四十年度予算の歳入におきまして、当該税目に十五億円余りの歳入不足を生ずる結果と相なる次第でございます。この事実について、政府当局は遺憾の意を表明いたしたのでありますが、目的のためにやむを得ない措置であるという、また反面の了解をも公式に得ておる次第でございます。  第四の石油ガス税販売代金の領収不能の場合の税額控除の問題でございますが、これは今日皆さん御承知のとおり、国税の間接税体系に全くその例を見ない特殊なものでございます。地方税におきましては、本来納税義務者が個々の人であるにもかかわらず、それを代理して徴収する特別納税義務者の存在がございました。すなわち、一例としては料理飲食等消費税の特別納税義務者でございますが、このような方々には、本来の納税者ではないが、便宜上かわって、義務者の形をとってほしいという了解のもとに、なっていただいておる立場もございまして、これらの人々が領収不能になった場合の税金について、県税事務所の認定がありまするならば、税額が控除される、そういう措置がございます。しかし、国税においては、間接税体系において全く前例を見ないところでございます。しかし、われわれはこの点につきましても、先ほど第三の点で配慮をしたと同じように、第一線のスタンド業者がこのような新規の課税納税義務者の立場を負わされることに配慮をいたしまして、掛け倒れ等の事実が存在いたしました場合に、貸し倒れ金そのものは、これは一般税法の損金経費等で落とされるわけでございますが、国庫に納付すべき義務者としては、利子分につきまして、税金分につきまして、これを所轄税務署長が認定をいたしました金額、その問題に限って税額から控除してあげましょうという配慮を示しまして、これによるさらに一般の関係者の協力あるいはまた納税に対する支援というものを望みたいあまりの配慮でございました。全くの間接税法の特例であり、異例の措置であるということを強調いたしておきたいと存じます。  私どもといたしましては、かような点の修正をいたしまして、幸いにして各党の共同提案として可決されましたが、願わくは参議院においてもこのようなわれわれの意思を尊重して審議いただきますことを希望いたしますとともに、徴税当局におきましては、衆議院においても指摘いたしましたが、新規課税であることに深く思いをいたしまして、税法そのものの周知徹底をはかるとともに、税の徴収事務その他については懇切丁寧な指導を行なって、そうして関係業界の協力を得て、もってこの税の施行が円滑に、そうして順調に運営されていくことを期待する旨の要望もいたしておいた次第でございます。よろしくお願いをいたします。
  26. 西田信一

    委員長西田信一君) 本法案に対し質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  27. 柴谷要

    ○柴谷要君 提案者の山中先生には委員長として衆議院で大役をお引き受け願いまして、十一時から御出席のようでございますが、ただ一問だけお尋ねしておきたいと思います。  このような重要な法律案が三党共同提案で修正になって参議院送りになってまいりました。しかし、いまこれを見ますると、私は即成ではないか、時日をかけて十分審議をして、衆議院の皆さんがほんとうに納得の上で参議院送りをされてきた法案とは私は受け取れない感が深いのです。提案説明によりますというと、全会一致ということと、それから特例が設けられて、石油ガスの問題等についてはこれで対処できたのだ、こういう御説明でございますので、その点は了解ができますけれども、ほんとうに衆議院として審議を尽くしてりっぱな修正案が参議院に送り込めたと今日でもお考えになっておられるかどうか、これが一問。  それから、第四項の課税石油ガス販売代金の領収不能の場合の税額の控除という特例が設けられました。これが国税の他の類に重大な影響を及ぼすことになりはしないか、こう私は思うのです。  この二つについてお答えをいただいて、私の質問に満足なお答えができましたら、お引き取りいただきたい、こう思うのです。
  28. 山中貞則

    衆議院議員山中貞則君) どうも丁重にして辛らつな御質問でございますが、審議そのものは何ぶん三国会にわたったわけでありますから、審議はもう十分いたしてございます。それは、しかし反対は反対、通さないぞという意味の審議が重ねられたわけでございますが、さて、修正案については、非常に熟慮した結果の修正であるかと言われますと、正直に申し上げまして、私と社会党の諸君とで、民社を加えまして、日曜日に急遽つくり上げたものでございます。これが真相でございます。しかし、内容は、私自身はまたこれを作成いたす際からの関与者でもございますので、時間的には急選、三党の意見をこの点で一致せしめたという最大公約数のきらいはございますが、私は妥当な案である、結果としては妥当であり、決していけないという点は私自身としてはないと思います。  それから、第四点に関する領収不能の場合の税額控除の特例は、他の間接税体系に波及しないかという御配慮は、大蔵委員会といたしまして当然の御質問であろうかと思います。私どももこの措置に踏み切るにあたりましては相当考えました。したがって、税務実務当局並びに主税税制当局並びに大蔵大臣等の関係者の意向等も十分配慮をいたしまして、今回のような新たな税が起こされて、しかもそれが間接税の体系で、先ほど申しました本表ならば蔵出しで順調にいくべきものが、事実上小売り業者にかかるというような特異な形態のものがあれば、これは将来考えなければならない事態があるとしても、目下のところは想像できないことでありまするし、過去にあります間接税体系には現在のところ影響は絶対に与えないであろうという確信を持って、このような手段をとった次第でございます。
  29. 柴谷要

    ○柴谷要君 修正案説明されましたが、修正案については納得いたしました。政府としては、この修正案が参議院で可決されて実施された場合にたいへんなそごを来たすのではないか。よけい税収が減ってくるのでありますが、大体四十一年度の減収はどのくらいになりますか。その点からひとつお答えをいただきたいと思います。
  30. 塩崎潤

    政府委員塩崎潤君) ただいま御指摘のとおり、衆議院におきまして税率が初年度におきまして三分の一程度に下げられ、さらにまた、翌年度におきまして半分程度に下げられておりますので、減収が生ずるわけであります。各年度に申し上げますと、本年度の補正後の予算額に対しましては十五億五千八百万円の減収でございます。四十一年度におきましては、現在確定した見積もりを立てておりませんけれども、一応通産省の需要想定を基礎といたしましてかりに算出いたしますと、納期限の延長という改正もございますので、これを見込みますと、四十一年度におきまして約七十億円程度の減収になろう、かように見積もられるところでございます。
  31. 柴谷要

    ○柴谷要君 実は、一月一日から実施が二月一日になり、しかも非常に低い額にきめられて、まあこれから予算を立てられることですから、大蔵省としてはそのような予算でいけばいいと思いますけれども、ところが、重大なことには、石油ガス税を設定するがために、大蔵省の皆さんは御存じないかと思うのですけれども、ガソリンを使っておったところが、ガソリン税が高くなって営業車としては採算が合わなくなってきたので、今度は石油ガスを使うようになった。ようやく息をついてきたところへ、今度はガス税がかかってきた、こうなってきたので、いま業者はまたまた違うものを使おうと考えている。場所によっては白灯を使い始めてきた。これについて通産省の鉱山局長は、これが自動車に使われた場合に危険度があるのかないのか、それからこれが普及をされてきた場合にどういう結論が出てくるのか、この問題についてひとつ見通しがあったらば御説明をしていただきたいと思います。使用の形態が変わってくると思うのです。営業を守るためには使用の形態が変わってくると思う。すでにもう白灯を使っているところがある。これなどは非常に危険なんですね。それはその税金をかけられるためにそういうふうな変わり方をしてくるのですが、これに対してどういうふうに通産省のほうはお考えになっておられるか、この点をひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  32. 大慈彌嘉久

    政府委員(大慈彌嘉久君) 灯油をガソリンのかわりに使うという問題でございますが、灯油自体を使う自動車の研究が進んでおるということは聞いておりますが、詳細をまだ承知をしておりません。昨年はガソリンの中に灯油を混入しているのではないか、いわゆる不良ガソリン問題ということがございましたが、これは抜き取り検査をいたしたりいろいろいたしまして、ガソリン自体に灯油をまぜる、いわゆる不良ガソリンを生ずるということは極力防いでまいりまして、最近ではほとんどそういうガソリンに混入している石油ガソリンはなくなっておると存じておりますが、灯油自体を——いまの先生の御質問は灯油自体を使う自動車ということではないかと思います。まだ試作の段階というふうにちょっと聞いておりましたが、詳細をまだ存じていないのです。
  33. 柴谷要

    ○柴谷要君 実はきょう時間がありますれば、運輸省を呼んで非常にこまかい点について質問したいと思うのですけれども、大蔵省と通産省ではその行政の方面もわかりませんので、いささかお尋ねしておきたいことは、いま言ったように、すでにもう関西方面では白灯を使い始めている。これは非常に危険が伴う。それは何のためかというと、税金をかけられるから採算が合わなくなる、できるだけ利益をあげようと業者は考える、そこでこういう結果が出てきますので、これらの点については通産省として大いに注意をしてもらうということが必要ではないか、こう考える。  そこで、話はもとに戻りますが、一体税額が年間集めてもたいした額じゃないですね、これは。これは前の田中さんがお考えになって成案をされて、何回か国会で継続審議、あるいは審議未了になった法律案なんですが、これはどうしてもこれに税金をかけて取らなければならぬという結論なんでございますか。それとも、まあまあこのくらいの額だから中止してもいいというお考えをいまお持ちになっておりませんでしょうか。この点をひとつ大臣から率直にお聞かせいただきたいと思います。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは税額という点ではないのです。問題はガソリン税との権衡ということなんです。もしこれをガソリン税と不均衡のままでほおっておきますと、LPのほうヘガソリンがどんどんと転移してしまう、こういうことで、ガソリン税収入の確保ができない、こういうふうに考えますので、その権衡をとろうというところに難点があるわけであります。
  35. 柴谷要

    ○柴谷要君 三十八年に一万六千台が現在では六万二千台に変わってきている。ガスを使うように車がどんどん転換してきて、確かに揮発が減ってきておるとは思うのです。しかし、ガスに税金をかけることによって、しからばそのガスをやめてそれでは揮発を使うようになり、ガソリンを使うほうに車が変わっていくかというと、そうはならないのではないかと私は思うのですね。むしろそれじゃ家庭的な乗用車、自家用車あたりがそれじゃガスを使うかというと、おそらく自家用車のようなものがガスを使うような時期にはなかなかなってこないじゃないか。ただ営業車が、今日の情勢の中では揮発が非常に高い税率なものですから採算が合わぬということで、この方面に車を変えているだけで、そう今日の段階が急激な変化を来たして、揮発の上に、ガソリンの上に相当重大な影響のある結果が出てくるのではないかとあまりにも心配し過ぎるのではないかというふうに思うのですが、政府はどのように考えておられるか。もっともっとガスのほうに変わってきて、ガソリンのほうの税収がぐんと減ってくる。現在一〇%ですね、三六%以上にふえていたのが現在では一〇%ぐらいしかふえていない、これもわかるのですが、今日以上にもっと減ってくると、こういうふうにお考えになっておられるのか、この点もちょっとお聞かせ願いたい。
  36. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) もし税法の改正を、新税の創設をやらぬと、どんどんとガスのほうへ転化していくんじゃないか、そういうふうなことをおそれておるわけであります。
  37. 柴谷要

    ○柴谷要君 これで質問を終わります。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一点だけ簡単に……。大蔵大臣、これは目的税になっているわけですね。目的税ではない、目的税的ですか。ところが、今度公債発行をやりますと、公共事業費、道路整備費等が公債の対象になる。そういうことでガソリン税、あるいはLPガスの税ですね、これは税体系からいえば、税の原則からいけば、目的税ということはわれわれは反対です。前から目的税というものは反対です。そこで、最初は目的税にはっきりするようであったけれども、反対があって、前の田中大蔵大臣のときに目的税的ということになっているのですがね。実際は目的税だと思うのです。こういう目的税というものについて再検討する必要が出てくるんじゃないか、この点はどうなんですか。その点伺っておきます。
  39. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 歳出は一般の財源をもってこれに充てる。つまり、支出はこれを総合的に、また収入は総合的にこれを考えることが、財政の機動性を確保するという立場からは望ましいわけであります。ぜひそういう主義を貫いていきたいと思っております。ただ、道路だけはいかにもこれはおくれておる。そうしてその道路を使うのはだれかと、こういうことになると、トラックだとか乗用車だとか、そういうものである。そういうことを考えて、特に特例を設けまして、ガソリン税についてはこれを目的税的に考えようと。そうしておくれておる道路整備を推進していこう、こういう考え方です。どこまでもこれは異例の措置であります。これを拡大しようとか、そういう考え方を持っておるわけではございません。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、公債発行による財源、その総合主義の場合を考えて、特定の目的にのみ使うのじゃないということになると、公債発行の財源は公共事業費ばかりではなくて、一応公共事業費のための公債発行として財源調達しましても、歳入は総合的に使われるものですから、いま大蔵大臣お述べになったように。ですから、防衛費にも使われる。教育費にも使われるし、社会保障にも使われる。プールされるわけですから、総合主義の立場からいえば、あれでしょう、公債発行による財源、これは特定の財源、特定の目的にのみ使うべきではない、そういうことになるんではないか。
  41. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それはですね、財政法第四条でも、公債はこういうふうなものには発行し得るというのに基づいて、今度は公債を発行しようとしているのですが、公債発行するその限度をきめる対象として、それは考えられておるわけです。しかし、もちろん、予算全体の立場からいいますれば、ただいまあなたがおっしゃるような特定した形はとりません。歳出は総合的に編成されるわけです。ですから、歳入財源は、これは公債を含めて総合的に使われるわけです。ただ、その限度額がどういうようになっているかというチェックのために存在するということと、また何ゆえにチェックする必要があるのかというその根源にさかのぼると、資本的支出、つまり見合いがあとに残る、そういうものをもって限度とすべきものであるというように財政法第四条は考えておる。そういう解釈に立つのであります。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 またあとで特例法のとき質問いたします。これで終わります。
  43. 西田信一

    委員長西田信一君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  45. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、社会党を代表いたしまして、本法律案に反対をいたします。  政府説明によりますと、揮発油税との均衡、それから道路整備財源の緊急性、この二点から新規課税が必要であるという提案趣旨のようでございますが、揮発油税との負担の均衡ということなら、何も片一方のあるほうに増税をしなくても、揮発油税というものの減税をしても負担の均衡はとれると思う。  それからもう一つ、道路整備財源の問題でございますが、これはたとえば一般会計の問題等いろいろな問題がございまして、こういうものについてはわれわれもわからぬわけではございません。しかし、単にそういうことについても増税でいつでも事を解決していくこと、そのこと自体に私は問題があると思う。特に新しい課税をするということはよほど私は重大な問題だと思っております。  今回のこの増税が、新規課税というものがどういうふうに影響を及ぼしてくるかといえば、やはりこれは増税でございますから、これが結局タクシー代の値上げ、そういうような物価の値上げというようなことにはね返ってこやしないか。二つ目は、いやいや、もう物価は、タクシー代の値上げというものは押えていくのだということになるかもしれませんが、そういうことになれば、そういうところに働く人たちの労働強化というような形にこれがはね返ってくるのじゃないか。三つ目に考えられる点は、このLPGについては、たとえばどこかで爆発が起きたとかなんとかというようなことがございます。こういうような問題については、その研究が十分なされなかったという点もございましょうし、なおそういうことに対するところの予防措置としての費用というものが十分にかけられなかったことによっての災害だと思います。これが税金をかけられることによってそういうような費用が回らなくなって、かえって災害を発生するようなことになるのじゃないかというような点も心配されるわけでございます。いや、そんなことはないのだと、タクシー界のLPGを使っているところは相当な利潤があるだろう、こういうような言い方もあるかもしれません。しかし、提案説明によりますと、単に揮発油税とのバランスの問題、揮発油税の増収になるのが、このLPGが出てきたためにどうも伸び悩んできた。それが道路財源のほうに影響したので、それで税金をかけるのだというような点も、あまりにもイージーな取り方じゃないか。もう少しこういう新規課税をするというような問題については、国民生活にこういうものがどういうふうに影響してくるか、詳しくいえば、先ほど述べましたように、物価の値上げとしてどうなるのか、労働強化になりはしないか、危険防止ということについてはどういうことができるのかというような点を検討をされ、万般の上においてこういうことをなさるべきである。  こういう理由から反対をいたしまして、討論を終わります。
  46. 西田信一

    委員長西田信一君) 他に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。石油ガス税法案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  48. 西田信一

    委員長西田信一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  50. 西田信一

    委員長西田信一君) 昭和四十年度における財政処理特別措置に関する法律案議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。福田大蔵大臣
  51. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま議題となりました昭和四十年度における財政処理特別措置に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における経済情勢に顧み、昭和四十年度における租税及び印紙収入の異常な減少等に対処するため、必要な財政処理特別措置を定めようとするものであります。  以下、この法律案内容について御説明申し上げます。  第一は、公債の発行であります。昭和四十年度におきましては、経済活動の停滞に伴い、租税及び印紙収入は、当初見込み三兆二千八百七十七億円に対し三兆二百八十七億円と、二千五百九十億円の大幅な減少を来たす見通しであります。かかる異常な事態に対処し、この減少を補うため、昭和四十年度限りの臨時特例として、政府は、財政法第四条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができることとするものであります。  次に、右の国会の議決を経ようとするときは、その公債の償還計画を国会に提出しなければならないこととしております。  また、この公債の発行は、昭和四十年度一般会計歳出予算の翌年度繰り越し額の範囲内で、昭和四十一年度においても行なうことができることとしております。  第二は、交付税及び譲与税配付金特別会計につきまして、一般会計からの繰り入れ額の特別措置及び借り入れの措置を講ずることであります。  今国会におきましては、別途昭和四十年度分の地方交付税の特例等に関する法律案提案いたしておりますが、これによりますと、さきに申し述べました租税及び印紙収入の減少見込み二千五百九十億円のうち、所得税、法人税及び酒税の三税の収入見込み額の減少は千七百三十四億円となり、これに伴って昭和四十年度地方団体に交付すべき地方交付税の総額は、右の金額の二九・五%に相当する五百十二億円だけ減額することとなるのでありますが、昭和四十年度については、地方団体の財政事情の現況にかんがみ、特にその減額を行なわず、これを当初予算計上額どおりとすることといたしております。また、後年度において、昭和四十年度分のこの地方交付税については、国税三税の収入決算額の増減による精算を行なわないこととしております。  この措置に対応いたしまして、交付税及び譲与税配付金特別会計法により一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れられる金額についても、右の趣旨に従い、その額の算定についての特例を設けようとするものであります。  次に、今般、地方公務員の給与改定に要する経費財源に資するため、昭和四十年度限りの特例措置といたしまして、地方団体に交付すべき地方交付税の総額を三百億円増額することとし、このことを、さきに申し上げた昭和四十年度分の地方交付税の特例等に関する法律案において提案いたしておりますが、この措置に対応いたしまして、交付税及び譲与税配付金特別会計におきまして、地方交付税交付金を支弁するため必要があるときは、昭和四十年度において、三百億円を限り、借り入れ金をすることができることとし、右の金額については、昭和四十一年度以降七カ年度にわたり返済が行なわれるよう措置いたしますとともに、利子支払いに充てるため、必要な金額は、予算で定めるところにより、一般会計からこの会計繰り入れることといたしております。  なお、これらの措置に伴い国債に関する法律第一条を改める等所要規定の整備をはかることとしております。  以上が、この法律案提案理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  52. 西田信一

    委員長西田信一君) 引き続いて、補足説明を聴取いたします。岩尾主計局次長
  53. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 昭和四十年度における財政処理特別措置に関する法律案につきまして、その提案理由補足して御説明申し上げます。  第一は、公債の発行についてであります。ただいま提案理由で御説明申し上げましたとおり、昭和四十年度におきましては、租税及び印紙収入は当初見込み三兆二千八百七十七億円に対し三兆二百八十七億円と、二千五百九十億円の大幅な減少を来たす見通しであります。この減少を補いますために、昭和四十年度限りの臨時特例として、政府は、国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとするものであります。  この場合、本法に基づく公債は、公共事業費、出資金及び貸し付け金財源とする場合に限って公債を発行することを認めている財政法第四条第一項の規定によらず、昭和四十年度限りの特例措置として、租税及び印紙収入の減少を補うために発行されるものであり、したがって、本法第二条は財政法第四条第一項に対し特別法の地位に立つものでありますので、その点を明らかにする意味におきまして、第二条第一項においては「財政法第四条第一項の規定にかかわらず」と規定いたしたわけであります。  次に、さきに申し上げた公債発行限度額についての国会の議決を経ようとするときは、その公債の償還計画を国会に提出しなければならないこととしておりますが、これは、財政法第四条の公債について、同条第二項において償還計画を国会に提出しなければならないこととしているのと同様の趣旨によるものであります。  また、昭和四十年度一般会計歳出予算の翌年度繰り越し額については、昭和四十年度中には支払い資金を準備する必要がなく、昭和四十一年度になって現実に支出される時期に支払い資金があればよいのでありますから、本法による公債の発行は、昭和四十年度一般会計歳出予算の翌年度繰り越し額の範囲内で、昭和四十一年度においても行なうことができることとしております。  なお、国債の利率、発行価格、償還期限等のいわゆる発行条件については、従来から、明治三十九年に制定された国債に関する法律第一条に基づき、大蔵大臣が決定してきたところでありますが、同条の規定は表現上やや不明瞭な点がありますので、一般会計において公債を発行することといたしましたこの機会に、国債に関する法律第一条についても、その趣旨を明瞭ならしめるようあわせて改正を行なうことといたしております。  第二は、交付税及び譲与税配付金特別会計につきまして、一般会計からの繰り入れ額の特例措置及び借り入れ金借り入れ措置を講ずることについてであります。  さきに申し述べましたとおり、昭和四十年度におきましては、租税及び印紙収入は二千五百九十億円の大幅な減少が見込まれ、このうち、所得税、法人税及び酒税の三税の収入見込み額の減少は千七百三十四億円となっており、すでに今国会で成立いたしました昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)においてその額だけ歳入予算を修正減少しておりますが、地方交付税法第六条第二項において、主税収入見込み額として歳入予算に計上された額の二九・五%に相当する額をその年度に交付すべき地方交付税の総額とすることとされております関係上、今回の補正予算による三税収入予算額の修正減少に伴って、本来ならば三税収入予算減少額千七百三十四億円の二九・五%に相当する五百十二億円だけ地方交付税の総額を減額することになるわけであります。しかしながら、地方団体の財政事情の現況から見て、このような減額を行なえば地方行政の計画的な運営に重大な支障を生ずると考えられますため、昭和四十年度については、特にその減額を行なわず、これを当初予算計上額どおりとすることとし、また、後年度において、昭和四十年度分の地方交付税については、国税三税の収入決算額の増減による精算を行なわないこととし、別途昭和四十年度分の地方交付税の特例等に関する法律案提案いたしております。  この措置に対応いたしまして、交付税及び譲与税配付金特別会計法により一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れられる金額についても、右と同様の趣旨により、昭和四十年度に限り、特に主税収入見込み額の減少に伴う減額を行なわず、当初予算計上額どおりとするとともに、後年度において、国税三税の収入決算額の増減による精算を行なわないこととする特例を設けようとするものであります。  次に、地方公務員につきまして、さきの人事院勧告の趣旨に沿い、九月一日から所要の給与改定が実施された場合には、その一般財源所要額は四百九十三億円、うち交付団体分の所要額は三百六十八億円と見込まれておりますが、この財源につきましては、地方団体の経費節減を行なってもなお三百億円の不足が見込まれるに至っております。このため、昭和四十年度限りの特例措置といたしまして、地方団体に交付すべき地方交付税の総額を三百億円増額することとし、このことを、さきに申し上げた昭和四十年度分の地方交付税の特例等に関する法律案において提案いたしております。  この措置に対応いたしまして、前年度の場合と同様に、交付税及び譲与税配付金特別会計におきまして、この会計の負担において、総額三百億円の措り入れ金をすることができることといたしております。  この借り入れ金については、後年度地方交付税交付金から順次償還することを予定しておりますが、その償還につきましては、昨年度借り入れ金の百五十億円の返済をもあわせ考え、期限を昭和四十七年度までの七カ年と、昨年度の五カ年より長期に考え、また、毎年度の返済額を初年度に少なく、後年度に漸次増額する不均等の返済を考える等、慎重な配慮を行なっているのであります。  この結果、昨年度借り入れ金分を含めた昭和四十一年度以降の各年度の償還額は、昭和四十一年度四十億円、昭和四十二年度から昭和四十五年度まで各六十億円、昭和四十六年度及び四十七年度各七十億円となりますが、この程度の償還であれば、一般財源状況から見て、地方財政に支障を生ぜしめるおそれはないと考えております。  なお、この借り入れ金は、七カ年の長期債を認めたものではなく(給与財源補てんのための長期借り入れ金は不適当と考えられますので)、また、実際問題としてでき得る限り利子負担の軽減をはかることが望ましいという見地から、昨年度借り入れ金と同様に、一年内償還を予定しております。すなわち、この借り入れ金は、国庫余裕金の状況等を勘定しながら、その繰りかえ使用を行なうことによって一年内に一たん借り入れ金全額を償還し、あらためて年度の終わりごろに次の借り入れの措置をとるといういわば借りかえ的措置を昭和四十一年度から四十六年度まで繰り返すということを考えておるわけであります。この場合、昭和四十一年度から四十六年度までの各年度におきましては、三百億円から順次毎年度の償還額を引いた額で借りかえ的措置をとっていくというのが、特別措置法第四条第二項の規定であります。  このほか、借り入れ金利子支払いに充てるため必要な額を、予算の定むるところにより一般会計から繰り入れるものとし、また、借り入れ金の償還及び利子支払いについては、国債整理基金特別会計を通じて行なうこととしている点は、昨年度借り入れ金と同様であります。  なお、一言つけ加えますが、この三百億円の借り入れ金分を地方団体に配分するにあたりましては、昨年度の百五十億円の借り入れ金と同様に、既定の地方交付税の総額にこの借り入れ金の額三百億円を加算したものを昭和四十年度地方交付税の総額とし、これを地方団体に配分することになっており、この点は、別途提案されております昭和四十年度分の地方交付税の特例等に関する法律案第一条第一項に規定されているわけでありますが、これを受けて、本法におきましても、昭和四十年度地方交付税交付金を右の借り入れ金による三百億円を含めたものとする旨の同様の規定を置いているわけであります。  以上、昭和四十年度における財政処理特別措置に関する法律案について、提案理由補足して御説明申し上げた次第であります。     —————————————
  54. 西田信一

    委員長西田信一君) この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  本案の審査のため、来たる一月十七日の本委員会参考人の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認めます。  なお、参考人の人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  57. 西田信一

    委員長西田信一君) それでは、これより本案質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  58. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣、何か十二時四十五分までということですから、取り急いでお尋ねしておきます。  第一は、昨日、予算編成方針が発表されました。その中で、公債発行と長期減税ということがございました。一体、これは切り離せないものかどうかということが一つと、もう一つは、長期とはどのくらいのことを言っておみえになるのか。
  59. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それは党のほうの、自由民主党の予算編成方針で、まだ、私も、その長期というのが、党のほうで一体どういう程度のものを言っておられるのか、聞いておりませんけれども、私も、長期的な構想を考えたい、そういうふうに考えているわけです。たとえば所得税について言いますれば、課税最低限はどこまで持っていきたいというようなことを、まあ三年ないし五年ぐらいのところで考えていきたい、こういうふうに考えているわけです。そうして、常に努力をしていく。  ただ、私の考えでは、第一年度に幾ら、第二年度に幾ら、第三年度に幾らだということを政府が想定して、これを発表すると、非常に将来の財政の機動性、弾力性を失わしめるおそれがある、そういうふうに考えますので、その目標を達成する各年度の進行度ですね、これは、そのときどきの財政事情によってやっていく、こういうふうなことをいま考えているのです。
  60. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 なるほど、発表されたのは自由民主党の党の政調会の発表です。しかし、大臣もそういうことを言っておられる。たしか本会議でも答をしておみえになるから、尋ねているわけです。したがって、あなたのおっしゃることと党がぴったり一致した。  そこで、いまお答えによりますと、三年ないし五年を考えている、こうおっしゃいます。そのことは、三年ないし五年の間は、公債も出すが、減税もするぞ、こういうことでよろしゅうございますか。
  61. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま申し上げましたように、さあ目標を掲げたから昭和四十二年度もやるのか、四十三年度はどうだ、こう言われると、その各年度のことは、そのときの財政の状況で考えていきたい。しかし、おおむね目標はそこに置いて、できる限りの努力をいたしていきたい、こういう気持ちを表明しておきたい、かように考えているわけであります。
  62. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは衆議院速記録を全部読んだわけじゃございませんので、あなたは四十三年度までは公債を発行するというような御答弁をされたように、私は何かで読んだ記憶があるわけです。ですから、いまのあなたのおっしゃることと、少しそこらあたりが食い違ってくるわけです。ですから、重ねてお尋ねをいたしますが、どうなんですか。
  63. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、今日の経済状態はその根が非常に深いと見ているのです。それで、そう簡単には正常に戻らない。つまり、低圧過剰の状態がここ三年くらいは続くであろう。そういう状態におきましては、政府財政が積極的に出動する必要がある。つまり、公債政策を積極的に活用する必要がある、こういうふうに考えるのです。そういう見通しから、まあ昭和四十三年度までは少なくとも公債は発行することになるであろうということを申し上げておきます。
  64. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、片方では、大体公債は三年間の四十三年、ここではそれが少し延びて三年ないし五年、こういうふうに受け取ってよろしいわけですね。  このことは、先ほど御説明になったように、主張としては、有効需要を喚起するために、金融政策ではどうにもならなくなったものだから、そこで、公債を出して不況というものの景気浮揚を願う。そうして不況というものがある程度上がってきた。しかし、その景気をささえているのは公債だ。その足をはずしても、なお景気が下がらないという段階で、公債というのはやめるのだ、減税もやめるのだ、こういうふうに割り切ってよろしゅうございますか。
  65. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 減税のほうは、私は景気対策ばかりり見地じゃないのであります。減税につきましては、私はなるべく国民負担も軽くして企業と家庭の蓄積を高める方向の努力をすべきである、そういうふうに考えておるわけなんであります。したがいまして、これは今日の不況が解決されたから減税という考え方をやめるのだというふうな御理解でないことを希望します。  それから、公債のほうは、この不況状態が回復されれば、積極的な意味において多額の公債を出すということはやめたいと思います。しかし、私は、そのときの状況にもよりますが、千億、二千億くらいの公債が出ておる状態でありましても、決してこれを財政の基本方針に関係があるというほどには考えておりません。つまり、こういう考え方を持っております。不況時には多額の公債を発行する、好況時にはこれを引っ込める、ゼロまで引っ込める場合もあるし、さらに引っ込めた上減税をする。すわって歳出を縮小する場合もありますけれども、しかし、そこまでいかぬで、千億、二千億というような程度にとどめる場合もある。しかし、それは私がここに言うところの積極的な意味における公債ではございません。そういう考え方をいたしております。
  66. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 次に、この間本会議で質問して答弁がございませんでしたから、そのことに関連してお尋ねしたいわけですけれども、今後の金利体系というものは、どうしたっていままでの公定歩合からいくと公債中心になるんじゃないだろうか。いままでのあなたの話を聞いておりますと、公債はどうも続くというふうに、ずっと続くというふうに解釈する。あなたはゼロになる場合もあるとおっしゃるけれども、公債がゼロになるということは考えられない。公債を一ぺんやってしまえば、次々と出していかなくちゃならないというのが、これは常識です。そして金利体系というものは今後、われわれが予想すれば、やはり公債というものが中心になってくるのじゃないか。そういった場合に、公債の応募者利回りの六分七厘九毛五糸というのが一つの大きな基準になってくる。そうなってくると、片一方のほうではいろいろな、たとえば預金金利をどうするんだ、たとえば定期はどうするのだ、いろいろな問題が出てくるわけですが、こういうようなことについては何かお考えになっておるのか。たとえば、臨時金利調整法というようなものがございますですね。いまそういうようなものをなくするとか、いろいろなことが私は考えられてくるわけですけれども、そういうようなことは目下検討中ですか、何も考えておいでにならぬということですか。
  67. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 申し上げるまでもないのですが、金利には長期金利と短期金利があるわけです。日本銀行の公定歩合、これはですな、短期金利の中軸をなすわけです。短期金利は公定歩合  の操作で動くわけでありますが、いわゆる私どもが当面しておる公債の問題ですね、これは長期金利体系の一つなんです。で、長期金利体系の中では、私はこれだけの国債が出るということになれば、これが相当指導力を持ってくると思います。で、私は金利はですね、なるべく長期金利の水準ですね、これはなるべく低いほうがいい、そういうふうに考えておるわけであります。ただ、低いがいいが、それを人為的、強制的に操作をすべきものではない。低くなるような環境をつくって、そうして自然に金利がそういう方向に動くというふうに誘導していかなければならぬというふうな考え方を持っておるわけであります。お話しの金利調整法は、これは短期金利の問題でありまして、ただいま公債発行をいたしますが、私は公債発行に関連いたしまして金利調整法を変えるというようなことをいまは考えておりません。
  68. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 たとえばですね、郵便貯金の定期のものが五分五厘ですね、それから銀行の定期も大体五分あるいは一年ものになれば五分五厘になりますが、そうしますと、これは公債を買ったほうが得になってきますね。そうしますと、こういう郵便貯金なりあるいは銀行の定期ですね、こういうものがあなたの、こっちのほうの公債のほうに移行することをこいねがっておいでになると思いますが、片一方では、市中金融引き受け機関のほうではこういう長期資金というのが減るということもまた事実なんです。そういうようなことと関連して、何かお考えになっているんじゃないか。いや、こういうようなことについては何も考えておらないよ、金利は自主的なもので何か銀行なら銀行のほうでおきめになればけっこうだ、郵便のほうは郵政省のほうでおきめになればけっこうだと、こういうふうに考えておられるのかどうか、その辺のところがわかりかねる。
  69. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 金利調整法のほうを考えておるかと、こういうから、金利調整法のほうはいま考えておりませんと、こう申し上げておるわけです。ただ、長期金利ですね、これにつきましては、私はいまも申し上げましたが、なるべく低いほうがいい。産業負担を軽減するという問題、ことに自由化の世界経済の中におけるわが日本の産業活動力を増すという意味からいいますれば、どうしてもこれは低いほうがいいのです。いいんだが、これは人為的にはしないと、こういうことなんです。ただ、そういう低いほうがいいという気持ちから、今度は国債の金利も大体政府保証債、つまり準国債ですね、それよりも二厘五毛下げる。手数料を含めますと三厘下げになるでしょう。そういうことを考えておりまして、この法律案が通過いたしましたならば、シンジケートとの間でそういう話をきめていきたい、こんな気持ちでおります。
  70. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 何かあなたは手数料とか言うんですが、これは手数料は今度の公債発行でも手数料を出すでしょう。これは証券会社ももらうのか、これは金融機関までもらうのか、そこらのところはわかりませんけれども、何にしましても、私どもは納得できないわけです。何か聞くと、あなたは税金を引くといいとかいいますけれども、やはり預金コストのほうをいろいろ見ますと、法人税を除いても逆ざやになっておるわけです。どうもよくわからないのですが、私の質問のしかたが悪いのか、あなたの答弁のしかたが悪いからわからぬのか、もう少しそこらのところを割り切って答弁してもらいたいと思います。いわゆるあなたのほうの方針ですから、何もしないならしないでいい、やるならやるでいい。私は方針を聞いておるのです。
  71. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 方針は、金利調整法については、いま検討いたしておりません。これは短期金利の問題です。それから、長期金利に関係のある国債ですね、これについてはなるべく低位であるほうがいい。しかし、同時に、これは市中で消化されなければならないわけです。その消化という点が私はずいぶん心配し、まあ努力もしておるわけですが、しかし、私、国会、国民に対してこれは最大の努力をして、非常に安いところでやっておるというこの実績も御説明していかなければならぬわけです。その非常にデリケートな一線ですね、これが今日の経済情勢では六分七厘九毛五糸というところにあると、こういうふうに考えております。しかし、今後も公債が発行され、また産業事業債ですね、これと地方債あるいは政府保証債も発行されている、そういうことを考えますと、なるべく低いほうがいいんだと、そういう環境をつくって自然にそういうふうになっていくほうがいいと、こういう考え方を持っておるわけです。
  72. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そこで、新しく発行される今後の公債のことは別として、いま現に発行済みの公債がございますわけですね。それを書きかえをどうせされなくちゃならないわけです。その場合に、いまのあなたのおっしゃったものでいくと、いままで低いのですね。これを上げようじゃないかという意見がある。すなわち、今度の公債、応募者利回りに合わせようじゃないかという意見と、二つあると思う。そこで、どちらに、今度のその既発国債の問題について、どういうふうに対処しようとされるのか。さしあたって、もうすでに四十  一年度でおやりにならなくちゃならない問題だと思うのですが、どういうふうに考えておられるか。
  73. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 理財局長から……。
  74. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) 従来の借りかえにおります。発行いたしております公債は、利回りにおきまして六分四厘三毛二糸程度に回ります。したがいまして、今回市中消化を前提といたしまするところの新規の公債の条件とは、格差が出てまいることになると思います。で、これにつきましては、新規の公債の発行の条件が確定いたしました節におきましては、それに合わせるということでございます。新規の公債の条件に合わせて借りかえてまいるという、現在のところそういうつもりでおります。
  75. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、あなたがおっしゃるように、既発のほうが、既発国債のほうが六分四厘三毛二糸ですね。それと、今度は六分七厘九毛五糸に引き上げると、既発のものを借りかえのときに引き上げると。そうすると、いま大臣がおっしゃったように、長期の展望に立てば、長期の金利というものは低いほうが好ましいと、こういうことですね。ですから、これから、これ一ぺんやりますと、引き上げますと、私は、借りかえの場合はしょっちゅう引き上げていかなくちゃならぬ。したがって、引き上げるのが、その当時の、そのときの利子に合わせるのが原則なんだ。だから、その原則に基づいて今度は引き上げると、こう了解していいわけですか。
  76. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) そのとおりでございます。そのつどの市中の実勢に応じまして円滑なる消化をはかり、かつ国民負担を最小限度にとどめるように、新規の公債の条件というものはきまると思いますが、それと同じ配慮によりまして、今度借りかえのために発行いたしまする公債の条件も、そこに落ちつくようにお話し合いをいたしまして運用してまいりたいということでございます。
  77. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いま成瀬君の質問に対してのお答えですがね、大蔵大臣、ぼくもすわって質問しますから、大蔵大臣も一々立たなくてけっこうですから、答弁していただきたい。  一つは、今度の利回り六分七厘九毛五糸ですか、これは大蔵大臣言われるように、市中消化を期待するために公債利回りにしたと。ところが、これはいまのこの金利の現状をもとにして、この程度にしないと市中消化ができないというのでやったと思う。ところが、景気対策としては、やはり低金利政策をとっていかなければならぬわけで、このような利回り、かなり高い利回りの公債発行いたしますと、日本の高金利の状態を固定化していく危険性が出てくるのですね。そこが問題だと思うのですよ。大蔵大臣はデリケートと言いましたが、もちろんデリケートです。アメリカが四分から四分五厘に引き上げたために、一そう低金利政策がとりにくくなった点もあるでしょうが、このいまの企業の金利負担というものはたいへんなものだと思うのですよね。したがって、政府は、今後の金利政策として、いわゆるこの低金利政策を放棄したのか、あるいは今後やはり低金利政策をとっていこうとしているのか。それが今度の公債の利回りが、これは六分七厘九毛五糸というようにかなり高目に出回ると、長期金利につきましては、そうした高い水準で固定化するから、そういう矛盾が出てくると思う。そこが問題だと思うのですよ。この点について成瀬君が質問していると思うのですが、その点ですね。
  78. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それはね、いままでの長期金利は、国債に準ずる政保債ですね、政保債でいいますと、表面金利が七分です。それで利回りからいいますと、七分五毛三糸になっていますね。それから、地方債でいいますともっとひどいので、七分三厘の表面で、そして利回りは七分三厘五毛四糸と、こういうふうにまあなっているわけです。事業債なんかになりますともっとひどい。電力債は七分三厘で、利回りは七分四厘八糸とまでいっているのですね。これで落ちついているのですよ。均衡がとれてきておる現状であります。そこへ六分五厘、利回りでいいますと六分七厘九毛五糸という低位のものを出すわけなんですね。  それで、これは私ずいぶん考えたわけなんですが、私の基本的な考え方は二つあるわけです。一つは、出す公債ですね、来年は七千億見当出す。これが完全に消化されなければならないというこのことですね。それから同時に、国民に対してその負担をできる限り減らしていかなければならぬという考え方です。その二つのプリンシプルが両々満足される一点はどこかということを、ずっと検討してきておるわけですが、それが今日の状態では、政府保証債その他に比べますと、非常に低位ではありますけれども、六分七厘九毛五糸と、こういう点であると、こういうふうに判断をいたしておるわけなんです。
  79. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この問題はまだいろいろありますが、まあ来年も審議されますから、そのときに詳細に質問したいと思うのですが、結局いまの不況の一つの大きな原因としては、負債過剰による金利負担が非常に重いということも一つの大きな原因ですよね。他には設備過剰、生産過剰で、操短で効率が落ちているというようなこともありますが、何といっても負債過剰のデフレ的な景気の状態。いまお話ししたように、どうも金利を下げるということが、一つの企業の利潤率を低下せしめている原因を除く一つの方法なんですね。しかし、そうでないとすると、現状の金利に追随しなければ公債消化が困難である。低金利に政府が指導的にやっていこうとすると、公債消化が困難だ。そこで、低金利政策とれないというジレンマにおちいっちゃっているわけですよ。正直にそうだと思うのです。しかも、アメリカが五厘上げちゃった。これは公定歩合下げれば、短期資金が逃げていく。これ以上公定歩合下げられない。それから、公債利回りをこの程度にすれば、預金金利はとても下げられませんよね。そういう矛盾が出てぐる。そうすると、結局私は、この負債過剰による企業の利潤率低下を緩和していく方法は、これは長期的に見て、インフレよりはほかに方法なくなってくると思うのです。インフレーション——通貨価値を減価させて、そうして企業の負債を軽くしていくという方法よりなくなってくると思う。そういう方向にいかざるを得ないと思う。これはまた公債発行がインフレになるかならないかの問題について、大蔵大臣と相当私は考えが違いますので、これはまた論争したいと思いますが、きょうは時間も制約されておりますから、主として二点について重点的に伺っておきたいと思うのです。  その一つは、本会議でも問題にしましたが、償還計画、特にこの二千五百九十億の歳入不足に見合う公債発行ですね、この償還計画につきまして、特例法ではこの二千五百九十億という公債の銘柄の償還計画を国会に提出しなければならないということになっているわけなんです。それで、国際整理基金特別会計による、その財源による償還ではいけないわけですよね。この償還計画ではいけない、特にこの銘柄を規定しているわけですから。これは四十一年度の公債発行についてもこの問題はつきまとっています。四条二項に、やはり四十一年度の発行される公債、その銘柄の償還計画を国会に出さなければならないわけなんです。  そこで、伺いたいのは、外国ではどういう償還計画を立てているか。第二は、日本における外債の償還計画はどういうふうになっているか。第三は、財政法二十八条による既発債の償還計画はどうなっているか。この三つの点についてお伺いします。
  80. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 具体的な問題でございますから、私から御説明申し上げます。  まず第一点が、外国の公債の償還計画はどういうふうになっているかということでございます。外国では、いま申されましたような償還計画を国会に事前に出すという制度は、アメリカ、イギリス、フランス、西ドイツ等ございません。特に西ドイツ、アメリカ等は事後報告という形でございます。  それから、償還についての考え方でございますが、アメリカにおきましては、先生も御承知のように、予算は債務負担権限を付与するという予算になっておりまして、実際の現金収支は別個に総合現金収支として計上するという形をとっております。その場合に、手持ち現金高が増減した場合に、その赤字を補てんするために公債発行が行なわれ、また逆に黒字になればそれを償還する、こういうふうな形をとっております。  それから、イギリスにおきましては、従来画線上あるいは画線下ということでございまして、画線上のものは経常収支を掲げ、画線下のものにつきましては政府貸し付け金関係収支があげられるということになっておりますが、この場合は従来の画線下に当たるものの財源としては、画線上に当たる一般会計剰余と、それから公債の収入というものを充てる。そうして画線上に当たる一般勘定についても財源不足が生じた場合は借り入れを行なうというような形をとっております。  それから、フランスにおきましては、昔は専売益金というものを財源としまして償還を行なうということをやっておったわけでございますが、現在この制度を廃止されまして、国債の償還は、中期、長期、短期を問わず、すべて国庫が特別なファンドを設けないでやるということで、特にフランスでは抽せんによる償還の平準化ということがなされております。  それから、西独におきましては、減債基金は設けられておりません。したがいまして、一般会計に歳計剰余が生じたときに、その剰余をもって起債額の減少あるいは債務の償還に使用するということになっておりますが、実際上はこの条文は死文化しておりまして、戦後適用された例はございません。公債の元利償還費は個別予算で普通歳出に計上をして行なっておる、こういう形をとっております。  それから、外債のほうは、理財局長から御説明することにいたしますが、二十八条の関係でございますが、先生もよく御承知のように、二十八条で予算に添付する書類を規定しております。そこで、たしか十号でございますが、十号に、参考となる書類は国会に提出をしなければならぬということになっておりまして、現在この法律によって御審議を願っております償還計画表というのは、実はその書類ではないのでございまして、法文をごらんいただきますと、償還計画表を提出しなくてはならぬということになっております。そういう意味で、参考書類ではあるけれども、内閣その他が提出をするかどうかという判断をする余地のない書類であるという意味で、これは参考書類ではない、国会の御審議をいただく参考として出す書類である、こういうふうに、二十八条の参考書類ではないというふうにわれわれは解しております。  そこで、二十八条の、先生のおっしゃいました国債の年次償還でございますか、たしか五号であったかと思いますが、その規定でございますが、これは毎会計年度予算においては予算に添付する書類として提出をいたしております。ただ、補正予算におきましては、補正予算は財政法によりまして本予算の手続に準じて作成する、こういうふうになっておりまして、準じてということは大体のっとるということでございますので、そのとおりということではございませんので、補正予算の規模、内容等によりまして、必要最小限度の書類を提出するということで、現在は歳入歳出経費明細書というふうなものを提出をいたしまして御審議をお願いいたしておる次第でございます。したがいまして、現在出しております償還計画表と、それから本予算提出いたしております償還年次表と、両方をひとつごらんいただきまして御審議をお願いいたしたいと思います。
  81. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いま外国の例、それから日本における外国債、内国債の……
  82. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) いま岩尾次長の御説明申し上げたことで大体尽きるのでございますが、外債についてちょっと補足いたします。  外債につきましては、現在産業投資特別会計で発行いたしております。これにつきましての償還計画を、財政法と同じように規定で、予算に付して国会に提出する資料ということになっておりますので、こういうことで予算で償還計画をお願いいたしております。  それにつきましては、もちろんこれは公債のことでございますから、相手との話し合いによりまして条件がきまってまいります。したがって、償還の計画の実行にあたりましてきまるわけでございます。したがって、その予定を立てます場合にはたいへん苦慮いたすのでございますが、一応想定せられますところの仮定に立ちまして、たとえばことしでございますれば六千五百万ドルというものを発行を予定いたしましてお願いをいたしておるわけですが、その実行にあたりましては、あるいはアメリカ、あるいはドイツ、あるいはスイスというような、いろいろなマーケットが考えられるわけでございまするが、確定はできません。したがって、最も行なわれそうな見込みの強い、その見込みに従いまして一応ドイツで四千万ドル、アメリカで二千五百万ドルというような仮定を立てまして、しかもその条件、償還の計画も、日本の国債と違いまして、全部満期に払うものではございません。アメリカでございますれば、毎年減債基金に対して繰り入れるという形の償還が大部分である。ドイツにおきましては均等償還が原則になっているというようなことから、直近の過去における発行事例の要件を、現にそれでいく場合にはということでそれを用いまして、一応償還計画というものをつくっておる次第でございます。
  83. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いまの御説明で、諸外国におきましては法律規定はしていませんけれども、やはり償還の計画というものはあるんですよ。日本の場合は財政法二十八条がありますので、そこで、いまお話しのように内国債、外国債について償還計画がきめられておりまして、内国債につきましては三千百一億七千六百万円の年次別償還計画ができています。外国債におきましては八百六十億の償還計画というものができています。これが償還計画ですよ。そうでしょう。ただ、今度のいわゆる赤字公債の場合、満期が来たらその金額は払うと、それだけの金額を書かれるのが償還計画ではないです。はっきりと償還計画、いまお話しされたように、財政法二十八条できめられたようにちゃんとここに計画があるのですよ。これが償還計画なんです。あるいはまた減債基金を設けて償還するとか、これは一つの計画ですね。諸外国では最近は減債基金制度はあまりとらなくなっているというお話がありましたが、しかし、法律できめてなくても、償還計画というものはなければならないはずです。  それで、今度は特例法で、特にここで法律で公債の償還計画を国会に提出しなければならないときめているわけです。ですから、いまの償還計画とは何ぞやといえば、外国債についても内国債についてもちゃんとあるのですから、これにのっとってなぜ出さないか。しかも、これはこの法律によれば二千五百九十億の償還計画でなければならぬわけですね。それから、今度は四十一年度では財政法四条に基づく公債発行されます。それもやはりその年度に発行される公債の償還計画でなければならぬです。そうしますと、これまでの国債整理基金特別会計によるこの全体の公債の償還財源をいままで剰余金等から積み立ててやっていましたが、それではだめなんですよ。それではまかなえないのです。その法律どおりにやるとすれば。そこに問題があるのであって、これはまあただ責めるのではなくて、これから巨額の公債が発行される、それで私に言わせれば、あとで質問したいと思うのですが、この四十年度の税収不足による公債と、四十一年度以後の公債と何ら——大蔵大臣が一生懸命区別しようとしていますが、そんな区別できるものじゃないのですよ、これは。区別しないと困るから区別しているので、あとでなぜ区別できないか質問いたしますが。ですから、どう常識で考えても償還計画を出さなきゃならないのですよ。それが出されていない。ただわれわれに一行だけ、その満期が来れば二千五百九十億返済しますというああいう紙っぺら一枚出して、これが償還計画であるということは、常識から考えても承服できませんし、また事実問題としましても、これは新しい問題なんですよ。新しく起こってきちゃった問題。いままでこれは十分検討されてなかったのですね。だから、これからやはり検討し、そしてはっきりここで一つのこの財政法四条二項に基づく償還計画あるいは特例法に基づく償還計画というものをどういうふうにして出すのか、あるいはまたそれが大蔵大臣どうしてもだめだと言うなら、特に法律でこういうふうにきめているのですから、こうきめておるのはいいか悪いかも問題になるのですから、そういうものも含めて——しかし、もう法律にあるのですからこれは。現にあるのですから、これは守らなければなりません。ですから、どんなに困っても、どんなにむずかしくても、これは出さなければなりません。そうしなければ法律のたてまえ上ごまかして通るわけにはいかないのですよ。だから、やかましく言うのですよ。  諸外国の例、日本の外債、内国債の例も、償還計画というものは、政府が出しました紙っぺら一枚の満期が来ればそれだけの金額を払うというものは償還計画というものではないことが、内外の事例を通じていまはっきりしたわけですよ。そこで、大蔵大臣、どうするかということを伺います。
  84. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これはこの間、予算委員会でもあなたからお話がありまして、書類の形式とすればあれで私はしょうがないような気がするのです。しかしながら、今度は白紙な考え方でいたしますと、いかにもぐあいが悪そうなところがあるように考えられるのです。そこで、少し研究してみよう、こう思っているんですが、みんなが見てよくわかるように説明できるよう、どうすればいいのかということを研究してみようと思います。
  85. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 なぜあなたは予算委員会でそういうふうに答弁されなかったのですか。あれでよろしいのだと思いますと……。
  86. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 形式的には、形式が整っていないのじゃないか、こう言われると、形式的にはこれは整っているんだ、こういうふうにお答えせざるを得ない。しかし、実体的に見まするときに、どうも実がない、こういうふうに考えられますので、なおよく研究してみます。これは大事な問題だと思います。
  87. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは大臣ね、あなたのお立場もありますから、形式的にもまずいとは言えないかもわかりませんが、だから、私は諸外国の例、日本の例について伺ったわけですよ。形式的にも外国債、内国債にちゃんとこういう償還計画があるのでしょう。これが償還計画でしょう。ですから、形式的にも整っていないのですよ。これは一つの盲点だったわけですよ。大蔵大臣を責めるのもお気の毒かもしれませんが、しかし、大蔵当局として、まさかこういう問題が起こってくるとはちょっと考えなかった。われわれもいろいろ伺ってみましたところ、この四条二項を制定したその御本人に、いろいろ大蔵当局は聞いてみたそうですよ。大蔵大臣も御存じだそうです。名前を言っちゃ悪いけれども。しかし、本人自身がどうもこれはようわからぬ、どうしてこれを入れちゃったのか弱っている、そういうことだったという御報告であったのですよ、率直にいって。ですから、あまり立法者のそのときの考え自体がはっきりしていないのです。これは非常に問題と思うのですけれども、とにかくはっきりと法律に書かれております。  それから、また実質問題としても、これは重要な問題だと思うのです。今後、巨額の公債を発行するとすれば、公債の信用にも関することですし、大蔵大臣、ひとつこれは至急考えて、そして一月の十七日に参考人の御意見を聞き、十八日にあがるというように新聞では伝えられているんですが、それまでに何か研究してかっこうをつける。この法律改正もできないでしょう。それから、じゃあはっきりした償還計画を出す——困難であっても何とか出さなければならぬのですから、そこは筋の通るように一応考えていただきたい。そしてこれは来年になりますと四条に返るわけですから、四条の二項もやはり問題になるのですから、そのときまた蒸し返して、大蔵大臣を責めるのも非常に気の毒だと思いますから……。  それから、じゃこれに関して、もう一つ借りかえを行なうお考えがあるのですか。四十七年に満期になりますね。二千五百九十億借りかえ。
  88. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今度出す四十年度債、これについては、ただいま借りかえを予想しておりません。国債整理基金などいろいろ準備をして置いておきまして、満期償還をするつもりです。しかし、原則論としては、これは国債というものは常に借りかえというものがつきまとうわけです。しかし、この当該四十年度のこの問題につきましては、満期償還をするという考えです。
  89. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから、次に伺いますが、予算赤字の問題ですね、英語ではディフィシット。アメリカあたりでは、アメリカの一九六六年ですね、いまの予算赤字だといわれています。この赤字の中には公共事業費というものも歳出に含まれていると思うのです。どうですか。
  90. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 先ほど申し上げましたように、全体の現金収支でございますから、実際上支払い財源不足したものを公債その他によって補てんするという形をとっておりますので、公共事業費というものもあれば、そういうものについての支払い財源不足というものも含まれるということは当然あり得ると思います。
  91. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうした場合に、大蔵大臣に伺いますが、四十年度の二千五百九十億というこれは赤字であると思うのです。そういう通念からいって。で、アメリカだって公債を発行して、あれは赤字公債だといわれていますよ、一般的に。その中には、あの支出の中には公共事業費も入っているのですね。そういう場合、日本の二千五百九十億も赤字とあなた認めないのですか。
  92. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、いまアメリカの話が出ましたが、これはディフィシットはディフィシットですよ、日本だって。それに対して公債を発行する、これを赤字公債と呼ぶか、どういう名前をつけるか。これはあなたは赤字公債、赤字公債と言いますが、これは私は税収補てん公債だと、こういうまでの話であります。赤字公債というと、何かいやらしいにおいがありますので、私は赤字公債とは断じて言わない。健全な公債である、こう言っておるわけです。
  93. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 率直に伺いますが、大蔵大臣は赤字ということばを使うのを非常にちゅうちょされて、いやがられていますが、その根拠は一体どこにあるのですか。社会的通念として、赤字というものを、また財政学でもちゃんと使われておるのですよ。それだのに、特にあなたが赤字ということを非常に避けられる、ことばをですね。それは実際どこにあるのか、これははっきり聞いておきたい。というのは、赤字ということばを使うと何となく不健全なような感じがする、財政が。建設公債というと、いかにもそれが非常にどんどんたくさん出して、インフレを起こしても、建設公債だから不健全でないというように、ただ国民に印象を与える、そういうだけなんですか。
  94. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 赤字公債といいますと、使う人によりまして、二つのケースを考えておるのです。一つは、日銀引き受け、つまり市中消化でない安易な方法で発行する。それからもう一つは、経常費を支弁するというような意味の公債ですね、それを考えておる。まあまだほかにもあるかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、そういい意味じゃない、こういう響きがあるわけですね。私は、赤字公債というのはこれは俗称でありまして、使う人がどういう意味で言うのかわかりませんから、赤字公債とは私のことばとしては使わないことにしているのです。つまり、使う人によって、経常費をまかなうための公債のことをさして赤字公債と言っているのか、あるいは日銀引き受け、つまり消化されないような性格のものを言っているのか、これはちょっとわかりませんものですから、私としては率直に、歳入の不足を補う公債だ、特に税収の減少に対処する公債である、こう言っておるわけなんです。もっと法律的にいえば、財政法第四条によらざる公債である、こういうことなんです。
  95. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) ただいまの先生お話、ちょっと大臣の御説明補足させていただきたいと思いますが、普通に赤字公債と申します場合には、いま大臣がお話しになりましたように、いろいろな意味に使われていると思います。そこで、財政法第四条で、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」、こういう規定がございます。そこで、この場合の第一項のほうの、まあいま大臣のおっしゃいましたように、どんな財源にも使われ不特定の財源に幾らでも使えるというもののために出す公債が一つ赤字公債じゃないか。ところが、ただし書きで言っておる、財源を指定いたして公共事業費だけに出すというのはこれは建設公債ではないかという議論が一つ。それから、いま大臣のおっしゃいましたように、その引き受けの場合に、日銀が直接引き受ける、これも赤字ではないかという議論があるわけでございます。  ところで、今回の特例法で出します公債は、まずその使途につきまして税収の減だけに限っております。これはどんなものにも使ってよいという金ではないので、税収減だけに充てるという特例をしておるわけでございます。そういう意味合いで、われわれは財政法の改正ではなく、特に一般原則の例外として特例法を出しておるわけであります。  それから、いまお読みいたしました文句にございますように、財源ということばを使っております。これはいろいろ学説があろうかと思いますけれども、現在のような歳入が足りなくなったという場合に、財政法はどういう措置をとることを予定しておるのか、これは何にも規定がないわけでございます。そこで、われわれは、現在の財政法  の精神からいたしますと、歳出を切り詰め、まああるいは増税をするというようなことでつじつまを合わせなくちゃならないのではないかというふうに考えておるわけでございますが、まあ現在のように非常に大きな落ち込みでございますと、なかなか歳出を切るということもむずかしくございますし、大臣が再々御説明されておりますように、この状況で歳出削減するということは、経済に大きな影響を与えるという意味もございますので、そのために税収減という特別の使途に限って出す。しかも、それは財政法四条が予定しておる財源としてということは、まあはっきりは申し上げられませんけれども、むしろ前向きの、歳出と歳入というものを予算化する場合に、あいているものを全部埋めるのだというような、そういう公債が四条一項が予定しておるものであって、歳入欠陥のために出すものはこれは予定をしていないとはっきり言い切れるところまではいきませんけれども、この条文の本来の趣旨ではないということから、そういう意味合いで、税収減に限ってこの歳入欠陥を埋めるものは四条の以外のものであるというふうに考えておるので、したがって、大臣がおっしゃいましたように、これは税収補てん公債であって、四条一項に言うような赤字公債でもないし、日銀引き受けの赤字公債でもないということでございます。
  96. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは経常収支の場合、税収が不足した場合にもこれは赤字が出ますね。また、歳出を不当にふやして、そして税収の落ち込みがなくても赤字が生ずる場合もありますよ。いずれにしても赤字に違いないですよ。で、特に公債発行する場合、減税の補てんである補てんであると言いますけれども、実際問題としてそんなことは、財源が御承知のようにプールされているんですから、さっき大蔵大臣言われました、総合的に考えるべきものなんですよ。そうなりますと、これは予算全体の不足なんであって、それが税収の落ち込みによろうが歳出が不当に大きかったことによろうが、それはいずれを問わないんです。どっちでも赤字赤字なんですよ。ですから、それに見合う公債発行は赤字公債であろうと思うんです。  その議論はまたあとでも残っておるんですが、一応質問を進めるために、もし四十一年度で四十年度と同じように公共事業費について公債を発行しないという前提で予算を組んだ場合、どのくらい赤字になりますか、いまのところでは。
  97. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それは予算の組み方です。これは組み方によって変わってくるので、歳入不足の状態にもなし得るし、あるいは均衡の状態にもなし得るし、それは幾らでも方法があるわけです。ただ、それが経済の実情と合わぬ、国政の状態にふさわしくない、こういう問題が起こってきますけれども、均衡させようとすれば、これは幾らでも手段はあります。公共事業費を大いに削減するとか、あるいは減税計画をやめちゃうとか、あるいは増税をするとか、幾らでも方法はあるのでありまして、四十一年度どうなるか、こうおっしゃられましても、それは答えようがないわけです。
  98. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう御答弁のしかたをするものじゃないと思います。私もじゃ質問のしかたが悪かったかもしれないが、すでに大体減税は、きょうも発表されましたね、税制調査会で。平年度大体三千億円程度ですね。公債は大体七千億ぐらい。これは自民党の方針ですけれども、しかし、大体大きなワクが二つ出ているわけです。税収も大体四十年の一〇%増。これは当初予算の千億ぐらい見込まれているんですよ。そうなってくると、大体わかってくるでしょう。それで大蔵省の頭のいい人が作業できないはずがない。それだけの材料を与えて、もし公債を発行しないとすればどのくらいの赤字になるかということは出てこなければならぬわけです。
  99. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公債を発行いたさないとすると、公債を取り止めただけの財源不足するわけです。
  100. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、七千億くらいの歳入不足ですよ。不足です。そうなると、佐藤総理大臣が衆議院で、もう再び四十年度のような赤字公債は出さぬと言ったでしょう。これは特例法に基づくような赤字は出さぬということですよ。特例法に基づく赤字は公共事業費というものを公債に依存していないでしょう、四十年度は。だから、四十一年度で公債に依存しないとすれば、七千億の赤字が出る、そういう赤字公債を発行しないということと同じことなんです。だから、総理大臣の今後赤字公債発行しないということは、つまり特例法に基づくような赤字公債を発行しないということだったんですよ。そうでしょう。ところが、特例法に基づく赤字というのは、これは公共事業費を公債に依存しなかったから出てきているんです。そうでしょう。だから、四十一年度は公共事業費を公債に依存しないとすればどのくらいの赤字が出るかといえば、大体公債発行を予定しているだけの赤字だとあなたはおっしゃるのです。そうすれば赤字公債じゃないですか。そうすればやはり特例法に基づく赤字公債と同じじゃないですか。
  101. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 総理大臣が言っておりますのは、税収不足を補うような、つまり財政法第四条によらざる公債はもう今年度限りですと、四十一年度以降は財政法四条に基づく公債を発行しますと、こういうことを言っているのです。
  102. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 だから、特例法に基づくような公債は発行しないというのでしょう。特例法ですよ。特例法が出ているのですよ。特例法によって赤字公債を出しているのでしょう。特例法によってですよ。つまり四条によってやらないのですよね。四条の特例法によって二千五百九十億という公債を発行しているのでしょう。そういうような公債は発行しないというのです。そうでしょう。そうしたら、四十一年度もこの特例法のほうは——公共事業というものは公債発行の対象になっていないのですから、そうでしょう。そこで赤字が出たのですから。そういう赤字は出さないということは、四十一年度も公共事業費を公債に依存しないで出てくる赤字と同じことじゃないですか。
  103. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いや、違うのです。四十年度の公債はあくまでも第四条の特例なんです。それから、四十一年度以降に考えておりますのは、財政法第四条による公債なんです。そこに本質的な違いがある。実体的にはどういう違いがあるかということをつけ加えますと、四十年度も、木村さんのように法律に詳しい、また財政、経済に明るい人でありますと、何も特例を設けぬでもいいじゃないかと、公共事業費が四十年度予算の中にもあるじゃないか、それを引き当てとして公債を出したらいいじゃないか、こういう議論をされることになるかと思うのです。しかし、これは私はどうもこじつけだと、こういうふうに思うわけです。つまり四十年度になぜ公債を出さなければならなくなったかというと、はからざる経済不況で税収が落ち込んだと、そのために出すんだと、つまり公共事業を対象とするという考え方と実質的に非常に違うのです。その実質的に違う点をちゃんとつかまなきゃいかぬ。これを公共事業費が六千億も四十年度予算の中にあるのですから、その財源として公債を出すというような構成をすべきじゃなくて、すなおにいきさつを是認して、第四条じゃないのですと、これはまあ税の落ち込みに対してやむを得ず出す公債ですという法律構成を考うべきである、こういうまあ私のほうからいえばきわめて民主的なる考え方によりまして御審議をお願いしたいと、こういう結論になったわけなんです。
  104. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点はわかります。それなら、そういう公債を発行しちゃいけないというのがこの四条の規定なんですよ。ですから、もうそれは正直でいいと思うのです。大蔵省の考え方は。もし、へ理屈をつけようと思えばつけられないこともないのですね。財源はプールされているのですからね。だから、この赤字公債の中には、財源の中でほかの税金をよそのほうに、公共事業以外のほうにどんどん使っちゃって、公共事業が足らなくなったから二千五百九十億の公債を発行するのだと、だからこれは四条違反でないという説明をつけようと思えばつけられないこともないのですね。しかし、それじゃいけないから、はっきりと特例法を出したと、こうおっしゃるのでしょう。それは正直でいいのですよ。しかし、そういうことをやっちゃいけないというのが四条の規定なんですよ。だから、そこまで考えられたら、なぜもっとほんとうの四条を守るような努力をしなかったかということを言いたいのです。  それから、いまのお話ですと、これは四十一年度の公債発行にもつながるわけですね。それは建設公債と名前は呼んでも、実際財源というものはプールされるのですから、どうでも理屈がつくんです。これを軍事公債、防衛費のための公債であるという理屈もつくのですよ。税金を公共事業のほうにうんと先に使ってしまったから、防衛費とかその他の費用が足りなくなるのでしょう。だから、そのための公債発行だという理屈もつかないことはないでしょう。ですから、特定の支出について、これが、そのための財源だとは言えないと思うのですよ。もう財源というのは、財源はプールされてしまうのですから。公債発行で出てきた、集まったお金、この一万円札は防衛費に使う——それは色がついているわけじゃないんですよ。防衛費のための一万円札なんて書いてないですよ。これは社会保障費に使うなんて書いてないでしょう。みんなプールして考えれば、結局赤字なんですよ。ですから、四十年度赤字公債と四十一年度赤字公債を区別すること自体が、財政の実態からいくとおかしいですよ。やっぱり赤字公債には違いないです。両方。  それをなぜ政府が、赤字公債であるが、赤字公債を発行せざるを得ないんだと。しかし、赤字公債を発行しても市中消化ならばインフレにならないとか、しかし赤字公債であるから、これは好ましいものじゃないから、むやみにこれを発行してはいけない、そういうふうに考え、そうすれば、なるべく赤字なんだから、これは発行しないように努力する歯どめのほうに向くんですよ。ところが、建設公債だということになると、建設的だからどんどん出してもいいような、そういうムードになる。歯どめとは逆のほうに行ってしまう、心理的に。ですから、赤字公債なんだと。だから、これはむやみに発行できないんだ、こういうように観念して発行するのと、いやこれは建設公債だからどんどん発行しても弊害がないと観念して発行するのと、非常に違うのです。  私どもは公債発行には反対だけれども、われわれが反対しても発行にどうしても踏み切る方向になってきているようですから、発行される場合には弊害がないようにわれわれは努力しなければならぬ。その場合の心がまえの問題、それにはやはり赤字と観念すべきですよ。赤字でないようにいろいろ理屈をつけて、もう実にめんどうな説明されているのですが、ようやくまあここまできたんですけれどもね、その点、率直に、大蔵大臣、言っていただきたい。
  105. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 木村委員の御見解はよくわかります。公債を発行する以上、公債のやり方についてはできる限り注意をしてやれ、まことにごもっともな意見と思うんです。ただ、あなたのおっしゃるようなやり方でいいますと、それは財政法第四条の公債じゃもうありませんね。何か一般財源を補てんをするような公債だから気をつけろ、こういうような御趣旨になってくるわけです。私は、財政法というものはこれは尊重すべきものである。しかも、財政法第四条においては公債を発行することを認めている。その認めている方式に従って公債を発行するのだから、これが一番私はすなおな行き方じゃあるまいか、そういうふうに考えているわけなんであります。財政法第四条を無視して、そうして別の観念をつくって公債を厳粛に運営していこうという考え方よりは、財政法にのっとって、そうしてこれを厳格に規制していくというほうがいいんだ、こういう考え方なんです。
  106. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう時間ありませんからやめますが、一言だけ。大蔵大臣、私は財政法第四条は、その規定によってやらねばならぬことはもちろんです。改正しない以上は。しかし、あの四条の規定は非常に不備であるということ、どうでも理屈がつくのです。先ほどお話したように、公共事業費のための公債発行というけれども、それは財源として見たときはどうでも理屈がつくのですよ。防衛費その他のほうへたくさん使っちゃって公共事業費が足りないから公債を発行するという場合に、四条にのっとったように見えるのです。ところが、今度公共事業費のほうにうんと税金使っちゃって、それで財源足りないという場合に、その公債は軍事公債、防衛費の公債とも解釈できるのです。ですから、あの規定自身が非常に不備なんですね。あれは何か歯どめになるようにわれわれ見たのです。最初は。ところが、いろいろ考えてみると、どうでも理屈がつくのですね。これではやはり歯どめにならぬ、こういう意味で私は御質問しているわけなんです。きょうはまあこの程度でやめます。
  107. 西田信一

    委員長西田信一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  108. 西田信一

    委員長西田信一君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日のところこの程度にとどめたいと存じますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認めます。  それでは、次回は来たる一月十六日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十二分散会      —————・—————