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1966-02-28 第51回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二十八日(月曜日)    午前十時八分開議  出席分科員    主査 荒木萬壽夫君       灘尾 弘吉君    松浦周太郎君       三原 朝雄君    小川 三男君       大原  亨君    楯 兼次郎君       泊谷 裕夫君    中井徳次郎君       武藤 山治君    兼務 川俣 清音君 兼務 肥田 次郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村 寅太君  出席政府委員         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  井原 敏之君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局長)  稲木  進君         厚生事務官         (社会局長)  今村  譲君         運輸事務官         (大臣官房長) 深草 克巳君         運輸事務官         (船員局長)  岡田 良一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      堀  武夫君         運輸事務官         (自動車局長) 坪井 為次君         運輸事務官         (航空局長)  佐藤 光夫君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   荒巻与四郎君         文部事務官         (大学学術局審         議官)     木田  宏君         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道常         務理事     今村 義夫君     ————————————— 二月二十八日  分科員永井勝次郎君及び竹本孫一委員辞任に  つき、その補欠として泊谷裕夫君及び山下榮二  君が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員泊谷裕夫委員辞任につき、その補欠と  して藤田高敏君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員藤田高敏委員辞任につき、その補欠と  して稻村隆一君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員稻村隆一君委員辞任につき、その補欠と  して小川三男君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員小川三男委員辞任につき、その補欠と  して中井徳次郎君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員中井徳次郎君及び山下榮二委員辞任に  つき、その補欠として武藤山治君及び竹本孫一  君が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員武藤山治委員辞任につき、その補欠と  して永井勝次郎君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  第四分科員川俣清音君及び第三分科員肥田次郎  君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計予算運輸省所管  昭和四十一年度特別会計予算運輸省所管  昭和四十一年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 荒木萬壽夫

    荒木主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和四十一年度一般会計予算及び昭和四十一年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十一年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  まず、昭和四十一年度一般会計予算及び同特別会計予算運輸省所管並びに同政府関係機関予算中日本国有鉄道関係について、説明を求めます。中村運輸大臣
  3. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 昭和四十一年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  初めに、予算規模について申し上げます。  まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は、二十三億五千五百万一千円、歳出予算総額は、他省所管計上分百六億八千四百二十三万二千円を含み、一千百六十六億五千百九十六万一千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと、百四十五億三千六百五十三万六千円の増加となっており、約一四%の増加率を示しております。  この増加額内訳を見ますと、行政費では、七十一億六千三百三十三万九千円、公共事業費では七十三億七千三百十九万七千円の増加となっております。  次に特別会計について申し上げます。  まず、木船保険特別会計歳入歳出予算額は三億七千百五十一万五千円で、前年度に比較して約五千万円の減少となっております。  自動車損害賠償責任保険特別会計につきましては、加入対象車両数増加と新たに原動機つき自転車保障事業対象にすること等によりまして、歳入歳出予算額を前年度予算額の約五割増に当たる九百五十六億三千五百二十二万四千円といたしております。  港湾整備特別会計歳入歳出予算額は、新港湾整備五カ年計画の第二年度として港湾整備推進するため、前年度より約七十五億円を増額して六百二十七億八千八百四十万八千円といたしております。  自動車検査登録特別会計歳入歳出予算額は、二十二億七千四百七十一万五千円で前年度に比較して約四億九千万円の増加となっております。このほか、昭和四十一年度財政投融資計画中には、当省関係分といたしまして、約三千九百二十六億円が予定されております。  昭和四十一年度予算におきましては、当省は、経済社会発展に伴って投資不足弊害が目立つ交通関係社会資本充実をはかり、国際収支の安定のため貿易外収支改善船舶鉄道車両等輸出振興につとめることとしております。また、物価安定に資するため、生産性の低い運輸関係事業近代化基盤強化をはかり、さらに、交通機関基本的使命である交通安全対策推進すること等に重点を置き、諸施策を積極的に推進する所存であります。  次に、日本国有鉄道予算について申し上げますと、昭和四十一年度の予算編成にあたりましては、まず四十一年度におけるわが国経済見通し及び国鉄輸送需要動向並びに運賃改定による増収を考慮して収支を見積もり、損益勘定において収入支出予算八千五百三十八億円を計上し、資本勘定において収入支出予算四千四百十三億円を、工事関係において収入支出予算三千六百億円を計上いたしまして、新長期計画の第二年度として、引き続き大都市通勤輸送改善及び主要幹線輸送力増強、並びに保安対策強化等推進してまいりたいと考えております。  運輸省関係予算部門別重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十一年度運輸省予算大綱及び昭和四十一年度日本国有鉄道予算説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  なお、お手元に配付してあります予算説明につきましては、主査におかれまして会議録に掲載していただくよう御配慮をお願いいたします。
  4. 荒木萬壽夫

    荒木主査 それではお手元に配付してあります昭和四十一年度運輸省関係予算、同日本国有鉄道関係予算説明は、便宜これを会議録に掲載することといたしますので、御了承を願います。     —————————————   昭和四十一年度運輸省予算の大綱  昭和四十一年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  はじめに、予算の規模について申し上げます。  まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は二十三億五千五百万一千円、歳出予算総額他省所管計上分百六億八千四百二十三万二千円を含み一千百六十六億五千百九十六万一千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと百四十五億三千六百五十三万六千円の増加となっており、約十四パーセントの増加率を示しております。  この増加額の内訳をみますと、行政費では七十一億六千三百三十三万九千円、公共事業費では七十三億七千三百十九万七千円の増加となっております。  次に特別会計について申し上げます。  まず、木船再保険特別会計歳入歳出予算額は三億七千百五十一万五千円で、前年度に比較して約五千万円の減少となっております。  自動車損害賠償責任保険特別会計につきましては、加入対象車両数増加と新たに原動機付自転車保障事業対象にすること等によりまして、歳入歳出予算額を前年度予算額の約五割増に当たる九百五十六億三千五百二十二万四千円といたしております。  港湾整備特別会計歳入歳出予算額は、新港湾整備五カ年計画の第二年度として港湾整備を推進するため、前年度より約七十五億円を増額して六百二十七億八千八百四十万八千円といたしております。  自動車検査登録特別会計歳入歳出予算額は二十二億七千四百七十一万五千円で、前年度に比較して約四億九千万円の増加となっております。  このほか、昭和四十一年度財政投融資計画中には、当省関係分といたしまして約三千九百二十六億円が予定されております。  昭和四十一年度予算におきましては、当省は、経済社会の発展に伴って投資不足の弊害が目立つ交通関係社会資本の充実を図り、国際収支の安定のため貿易外収支改善船舶鉄道車両等の輸出の振興に努めることとしております。また、物価安定に資するため、生産性の低い運輸関係事業近代化基盤強化を図り、さらに、交通機関基本的使命である交通安全対策を推進すること等に重点をおき、次に申し述べる諸施策を積極的に推進する所存であります。  以下部門別重点施策の要旨を御説明申し上げます。  まず海運関係について申し上げます。  第一に、外航船舶建造に必要な資金として日本開発銀行からの融資七百六十三億円を予定しております。これによりまして、昭和四十年度の百八十万総トンに引き続き、四十一年度において二百万総トンの外航船舶建造し、邦船の積取比率を高めて、近年赤字の増大しつつある貿易外収支改善に貢献いたしたいと考えております。  第二に、外航船舶建造融資にかかる海運企業金利負担を軽減して、わが国海運国際競争力強化するため、利子補給に必要な経費として、市中金融機関分十七億八千二十一万七千円、日本開発銀行分四十六億四千三百六十三万六千円を計上しております。  なお、二十二次船の利子補給についての国庫債務負担行為限度額として、市中金融機関分四十二億四千四百八万一千円、日本開発銀行分百七十二億七千二百万二千円を計上いたしております。  第三に、海運の国際競争力強化対策の一環として老朽化、不経済化の著しい外航船腹船質改善を進めることとし、これに必要な資金として日本開発銀行からの融資十億円を予定しております。  第四に、三国間輸送を促進して外貨の獲得と海運市場の拡大を図るため、三国間輸送助成金七億七千四百万円を計上しております。  第五に、国が策定した移住者の送り出しと一般旅客輸送のために、昭和四十年度において移住客船を運航することによって生じた欠損と移住者運賃差額に対する補助金として一億七千七百九十万円を計上いたしております。  第六に、内航海運近代化に必要な資金として財政融資五十五億円を予定しております。これは、老朽船を解撤して内外航船舶建造を行なうため、これに要する財政資金特定船舶整備公団に対し融資しようとするものであります。  第七に、離島航路整備に必要な経費として、補助金一億三千二百七十万二千円と財政融資三億円を計上いたしております。これは、離島住民交通を確保するため、昭和四十一年度から新たに離島航路整備計画を定め、これに基づく改善を行なう離島航路事業者に対してその航路を維持させるため補助金を交付するとともに、老朽船代替建造小型船大型化、新船の建造を行なうために必要な財政資金特定船舶整備公団融資することといたしております。  第八に、国内旅客船整備に必要な資金として、特定船舶整備公団に対する財政融資七億円を予定し、老朽旅客船代替建造を推進して海上旅客の安全と利便の増進を図りたいと考えております。  次に船舶関係につきましては、船舶技術開発に必要な経費として五百十三万三千円を計上しております。これによりまして、綜合研究としての巨大船に関する技術的研究開発の指針を策定するとともに、新たな内航輸送方式開発に関する調査を行なうこととしております。  次に船員関係につきましては、船員需給対策強化労働災害防止の推進に必要な経費として三千百五十六万円を計上しております。これによりまして、船員を量的にも質的にも確保するため海員学校高等科増設等船員教育機関の充実を図るとともに、船員労働災害防止を図るため短波放送を利用して航行中の船舶に対して安全衛生指導を積極的に行なうことといたしております。  次に港湾関係について申しあげます。  第一に、前年度に策定された港湾整備五カ年計画の第二年度たる昭和四十一年度におきましては、港湾整備事業費として当省所管一般会計予算に三百七十九億四千五百三十一万五千円、総理府並び労働省所管予算に八十八億三千六百六十万円を計上し、これに対応いたしまして港湾整備特別会計の規模を六百二十七億八千八百四十万八千円といたしております。これによりまして、外国貿易港、主要航路並びに新産業都市及び工業整備特別地域の中核となる港湾整備重点をおき、横浜港ほか三百三十八港の整備を行なうとともに、石油港湾鉄鋼港湾及び石炭港湾として堺港ほか十港について特定港湾施設整備を行なう予定であります。  第二に、港湾整備に併行して公共の用に供せられる上屋、荷役機械引船等港湾機能施設整備するため、四十一年度におきましては、これらの港湾機能施設整備を行なう港湾管理者に対し地方債の起債のあっ旋百四十三億円を予定しております。なお、このほかに、特定船舶整備公団港湾運送業者との共有方式によるはしけ、引船、荷役機械整備のため、同公団に対する融資五億円を予定しております。  第三に、港湾管理者の行なう臨海工業用地都市開発用地等の造成を促進するため、地方債の起債のあっ旋四百億円を予定しております。  第四に、港湾都市防災事業の推進に必要な経費として、当省町管予算に九十六億八千三百四十九万五千円、総理府並び労働省所管予算に三億八千五百四十三万二千円を計上しております。これによりまして、東京港、大阪港その他主要港湾都市における高潮、地盤沈下等災害を防止するため、海岸事業計画的に進めるとともに災害復旧を強力に推進する所存であります。  次に鉄道関係について申し上げます。  第一に、国鉄につきましては、新長期計画の二年度目として、大都市通勤輸送改善過密ダイヤの緩和並びに保安対策強化を図るために必要な経費として、四十一年度は財政融資一千八百五十億円を予定しております。なお、国鉄関係予算につきましては、後程、別途御説明させていただきたいと思います。  第二に、日本鉄道建設公団による鉄道新線建設を推進するため、同公団に対し産業投資特別会計からの政府出資三十五億円を計上し、財政融資として六十五億円を予定しております。さらに、同公団の経営の健全化を図るため、公団が無償で貸し付ける鉄道施設に対する貸付料相当額の一部を補助するために必要な経費一億八千五百五十八万一千円と、同公団の発行する鉄道建設債券の金利と資金運用部資金等からの借入金利との差等を勘案して交付する補給金四億九千五百三十一万四千円を計上しております。  第三に、大都市における地下高速鉄道網整備を促進するため、建設所要資金として財政融資並びに地方債の起債のあっ旋四百九十億円を予定するとともに、三十九年度並びに四十年度における地下鉄建設費の一部を補助するために必要な経費八億六百四十万円を計上しております。  第四に、大都市における輸送力の増強と保安対策強化を図るため、日本開発銀行からの融資五十五億円を予定しております。これによりまして、郊外私鉄の都心乗入れ、踏切道立体交差化等を促進することとしております。  第五に、中小私鉄助成に必要な経費として一億七百二十四万五千円を計上しております。これによりまして、地方鉄道軌道の新線建設又は欠損に対して補助するとともに、豪雪地帯における防除雪設備整備を促進して、地方住民のための交通を確保し、民生の安定に寄与することとしております。  次に自動車関係について申し上げます。  第一に、日本自動車ターミナル株式会社に対する政府出資二億五千万円を計上し、前年度に引き続き、東京郊外におけるトラックターミナル建設を推進して、都市の再開発道路交通円滑化並びに自動車輸送合理化を図ることにいたしております。  第二に、離島バス助成に必要な経費として五百六万四千円を計上しております。これによりまして、離島における交通機関として不可欠なバス路線のうち、適正な運営にもかかわらず欠損を生じた事業者に対し、老朽車両を代替するための費用の一部を補助することとしております。  第三に、自動車の激増に対処し、自動車検査登録事務を円滑に処理するため、自動車検査登録特別会計において二十二億七千四百七十一万五千円を計上いたしまして、検査場十三か所十六コースを整備するほか、検査登録要員を百五名増員して業務体制強化することといたしました。  次に航空関係について申し上げます。  第一に、日本航空株式会社に対する助成策として産業投資特別会計からの出資十五億円を計上いたしまして、激化する国際競争に備え、日本航空国際航空路線を増強するとともに、同社の資本構成健全化を図ろうとするものであります。  第二に、新東京国際空港建設のため必要な経費として、大蔵省所管予算に新東京国際空港公団に対する出資十億円と財政融資十五億円を計上いたしております。なお、このほかに公団債務負担行為限度額として二十億円が予定されております。新東京国際空港は、昭和四十五年度までに第一期工事の完成を目途としておりますが、近く候補地が決まり次第、事業に着手することといたしております。  第三に、国際及び国内空港整備に必要な経費として、当省所管予算に五十八億四千五百九十万円、総理府所管予算に四億六千二百二十万円を計上いたしております。これによりまして、東京国際空港の第二期整備工事、大阪国際空港拡張工事を行なうとともに、鳥取ほか一空港継続整備、名古屋ほか二十二空港改良工事等を行なう予定であります。  第四に、航空の安全強化に必要な経費として九億五千二百四十一万四千円を計上しております。これによりまして、前年度に引き続き、航空交通管制業務自動化を推進するとともに、航空保安施設整備等を行なうことといたしております。  第五に、航空機乗員養成施設整備拡充を図るため、航空大学校に新たにYS−11型航空機二機を購入するほか、同校の教育用語施設整備するため二億九千七百十八万八千円、国庫債務負担行為額十一億八千七十八万円を計上しております。  次に観光関係につきましては、国際観光振興会に対する助成策として補助金七億七千五百七十六万六千円を計上しております。これによりまして、新たに国際会議誘致事業を実施するほか、海外宣伝事業を充実させる等、国際観光振興会業務拡充強化を行なって国際観光振興を図ることといたしております。  次に海上保安関係について申し上げます。  第一に、遠洋における海難に対処するため大型巡視船大型航空機による遠距離救難体制を確立するとともに、海上における安全の確保と治安の維持を図るため、二千トン型一隻を含む巡視船艇十二隻の代替建造、YS−11型航空機一機の購入を行なうほか、航空基地整備することとし、十四億四千七十九万六千円、国庫債務負担行為額十四億三千七百十万七千円を計上しております。  第二に、海上警察力強化のため必要な経費として八千八百七十二万円を計上しております。これによりまして、悪質な海上犯罪の発生に対処して、海上警察力効率化並びに国境警備体制強化を図ることとしております。  第三に、航路標識整備航路標識業務用船代替建造に必要な経費として十六億一千二百七十八万八千円を計上しております。これによりまして、港湾標識障害標識電波標識等の新設並びに改良改修を行なうとともに、老朽設標船代替建造を行なって浮標を能率的に設置することといたしております。  次に気象関係について申し上げます。  第一に、予報、通信及び観測施設整備強化を図るため五億九千五百万円を計上しております。これによりまして、高性能の電子計算機を導入して予報精度の向上を図るほか、通信施設整備と観測測器の近代化を図ることといたしております。  第二に、農業気象業務整備に必要な経費として八千四百三十八万四千円を計上しております。これによりまして、農業気象業務対象地域を拡張して、天然現象による農作物の被害を防止軽減することに努めたいと考えております。  第三に、遠洋気象業務整備に必要な経費として八千五百四十七万六千円を計上しております。これによりまして、遠洋の漁船が観測した気象資料をすみやかに集収するとともに、的確な予警報を迅速に伝達するために、釧路ほか十四か所の漁業用海岸局気象庁本庁との間にテレタイプ回線を整備することとしております。  なお、海上保安関係で御説明いたしました巡視船艇代替建造のうち二千トン型につきましては、遠洋気象業務にも役立たせるべく気象観測機器を積載できるようにいたしております。  最後に、科学技術関係につきましては、電子航法評価試験体制強化衛星航法システム開発に必要な経費として一億三千七百六十二万八千円を計上いたしました。これによりまして、電子航法評価試験体制の拡充を図るとともに、新たに人工衛星による航行援助方式の研究、開発を推進することとしております。  以上をもちまして昭和四十一年度の運輸省関係予算についての御説明を終りますが、何卒充分御審議のうえ、すみやかに御賛成下さいますよう御願い申し上げます。     —————————————   昭和四十一年度日本国有鉄道予算説明  昭和四十一年度日本国有鉄道予算の概況につきまして御説明申し上げます。  昭和四十一年度の予算の編成にあたりましては、まず、四十一年度におけるわが国経済見通し及び国鉄輸送需要の動向並びに運賃改訂による増収を考慮して、収入を見積るとともに、設備投資としては、新長期計画の第二年度として引き続き大都市通勤輸送改善及び主要幹線輸送力増強並びに保安対策強化重点をおいて支出予算を組んだ次第であります。  以下収入支出予算について、損益、資本及び工事の各勘定別に御説明申し上げます。  まず、損益勘定について申し上げます。  収入といたしましては、鉄道旅客輸送人員を六十九億九千三百万人、輸送人キロを一千八百三十八億人キロと想定いたしまして、旅客収入を対前年度一千五百九十八億円増の五千九百四億円と見込み、また、鉄道貨物輸送トン数を二億九百万トン、輸送トンキロを五百九十六億トンキロと想定いたしまして、貨物収入を対前年度二百五十二億円増の二千三百三十五億円と見込んでおります。以上の旅客及び貨物収入のほかに、雑収入等を見込みまして、収入合計八千五百三十八億円を計上いたしております。  他方、支出といたしましては、経営費のうち人件費につきましては、四十一年度の昇給と期末手当奨励手当四・一カ月分を見込みまして、二千九百八十八億円を計上いたしております。なお、給与の総額は、ほかの勘定の分を加えまして、三千四百九十九億円といたしております。物件費につきましては、節約に特段の努力を払わせることにいたしておりますが、おもなものといたしまして動力費五百三十三億円、修繕費一千百二十七億円等を見込んでおります。これらをあわせまして経営費総額は五千九百五十二億円となっております。以上の経営費のほかに、受託工事費四十億円、利子及び債務取扱諸費八百四十三億円、減価償却費等資本勘定へ繰入一千六百三億円、予備費百億円を見込みまして、支出合計八千五百三十八億円を計上いたしております。  次に資本勘定について申し上げます。  収入といたしましては、さきほど申し上げました損益勘定からの受入一千六百三億円に資産充当三十億円、資金運用部からの借入金等一千八百五十億円、利用債、縁故債二百八十億円、特別債券六百五十億円を加えまして、収入合計四千四百十三億円を計上いたしております。  他方、支出といたしましては、このうち三千六百億円を工事勘定に繰り入れるほか、借入金等の償還に七百十九億円、日本鉄道建設公団等への出資に九十四億円を予定いたしております。  最後に工事勘定について申し上げます。  昭和四十一年度は、新長期計画に基づいて、大都市通勤輸送改善及び主要幹線輸送力の増強並びに保安対策強化重点をおき、通勤輸送の混雑緩和、主要幹線の複線化、電化・電車化、ディーゼル化、さらに踏切及び保安施設の改善等を図るために三千六百億円を計上いたしております。  以下工事勘定の内容について御説明申し上げます。  まず、通勤輸送対策につきましては、東京附近五百五十六億円、大阪附近百二十五億円、電車増備六百十六両、百三十億円計八百十一億円を計上し、輸送需要の増大に対処するとともに混雑緩和を図ることにいたしました。  次に幹線輸送力増強につきましては、前年度より三百五億円増額いたしまして一千三百八十四億円を計上し、函館、室蘭、東北、常磐、羽越、奥羽、上信越、中央、北陸、山陽及び鹿児島本線等輸送能力の限界近くまで利用されている諸幹線の輸送力の増強を図り、これらの線区における輸送のあい路をできるだけすみやかに解消することにいたしました。  次に電化・電車化、ディーゼル化につきましては、工事費百三十六億円を計上し、現在工事中の東北、常磐、信越、中央及び日豊本線等の電化を促進いたしますとともに、既電化区間の電車化を積極的に行ない、また、非電化区間につきましてはディーゼル化を促進することによって輸送力の増強を図るとともに、サービスの改善と経営の合理化に資することにいたしました。  次に諸施設の取替及び改良につきましては、五百十一億円を計上し、緊急に整備を要する踏切及び信号保安施設の大幅な改良をはじめとして、諸施設の取替及び改良を図ることにいたしました。  次に車両関係につきましては、車両費五百八十億円を計上し、前記工事の完成に見合う輸送力の増強を図ることにいたしました。  以上のほかに、総係費百七十八億円を加えまして、支出合計三千六百億円を計上いたしております。これらに要する財源といたしましては、資本勘定から受け入れます三千六百億円を充てることにいたしております。  以上御説明申し上げました日本国有鉄道の予算につきましては、予定されました収入をあげ、予定されました工事計画を完遂するために特段の努力が必要であろうと考えられますので、公共企業体として今一層の経営合理化を図り、もってわが国経済の発展に資するよう指導監督してまいる考えであります。  以上、昭和四十一年度日本国有鉄道の予算につきまして御説明申しげましたが、よろしく御審議のほどをお願いいたします。     —————————————
  5. 荒木萬壽夫

    荒木主査 以上をもちまして説明は終わりました。     —————————————
  6. 荒木萬壽夫

    荒木主査 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。川俣清音君。
  7. 川俣清音

    川俣分科員 大臣のおられる間にまとめてお尋ねをしたいと思いますが、日本国有鉄道で通行税を取っておられますが、一般の利用者から言うと、これは運賃のように考えられて支払いをされておりますが、運輸省はこの通行税をどういうふうに理解をしておられるのか。早く言うと流通税だという考え方に立つのか、あるいは使用税的な奢侈税だというふうにお考えになっておるのか、この点をひとつ明らかにしてほしいと思います。
  8. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 通行税は、出発の当初は大体奢侈税的な考え方に立って設けられたものである、かように考えております。
  9. 川俣清音

    川俣分科員 しかし世界的にこれを見ますと、大体流通税だという考え方のようでございます。そこで流通税であり奢侈税であり、当然利用者に還元さるべきものだと思うのであります。したがって、これが国の財政に一ぺん入って、また国鉄一般会計から出資をするという形をとっておりますけれども、こういうまだるっこしい遠回りをするよりも、どうせ資金繰りに困難をしておる国鉄に対して、この通行税をそのまま利用させるほうがむしろ明確であると同時に、負担者に対しても好影響を与えるのじゃないか、いまさら運賃を上げなければならぬときに、税として一ぺんしぼり取り、そのほかに運賃があるということよりも、運賃とあわせて通行税は支払われておるのでありますから、代価として支払われるのでありますから、これはむしろ国鉄の中に利用させるほうが乗客に対してよりサービスでもあると思うのですが、運輸大臣はどのようにお考えになります。
  10. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 この税は、先ほども言いますような経過をもって設けられたものと思いますが、現時点におきましては、これは廃止するほうがいいのではないか、こう考えますので、政府といたしましては、廃止の方向で努力をして、できるだけ早い機会にこれを廃止したい、かように考えております。
  11. 川俣清音

    川俣分科員 いま運賃を上げなければならないというときでありますから、廃止することのほうがよろしいのか、運賃分として乗客にサービスをするという方向をとるべきなのか、まだ十分検討されなければならぬと思うのです。廃止するということは、運賃を安くするという印象を与えるでしょうが、実際は安くならない。むしろ高いものを払うほうが運賃が安くなるというふうになりましょうから、そのほうがよいのか、あるいはもっとこの通行税をサービスの改善に向けて投入するほうがいいのか、国鉄としてはどういうふうにお考えになるか。
  12. 石田禮助

    ○石田説明員 通行税と運賃は全然性質が違うのでありますから、やはり通行税は通行税、運賃は運賃と別々に扱うほうがよいかと思います。したがって、国鉄の一方に対する通行税というのは、航空税だとか船税あたりに比べて非常に不均衡だ、そこでこれは通行税は通行税で廃止して、国鉄の乗客の負担を減らす、運賃は運賃で上げて、それだけは負担してもらう、こういうことにするのが適当だと考えております。
  13. 川俣清音

    川俣分科員 いま運賃を無理に上げなければならないときでありますから、運賃を上げるかわりに通行税の収入を考れば、運賃の上げ率が少なくて済むじゃないか、こういうことなんです。そんなことは一年生でもわかる算術じゃないですか。いま通行税を上げないというなら別ですけれども、値上げするというなら上げる率をできるだけ少なくするために、通行税がそのまま収入になるならば、上げる割合を少なくすればいいでしょう。そういうことが考えられないか。しかし、通行税を廃止するという方向でいかなければならぬことは私どもも認めておる。なぜかというと、国鉄が競争をしておるところのバスや何か、あるいは最近は長距離バスまで通る、これは通行税がない。かなりりっぱなシートをつけて、おそらく一等車に相当するようなサービスをしておっても通行税がない。それと競争していかなければならぬのだからして、もっとサービスの改善をしなければならぬでしょうし、その分をサービスの改善として運賃と見るか、あるいは一般会計へこの運賃が税として納入されるであろうけれども、国鉄はただ取り次ぐだけでしょう。取り次ぐことよりも、運賃の中に加算して通行税をやめて、それだけ運賃を安くするか、これはどうですか。あなたのほうの採算からいえば、どちらでもいいはずなんです。回りくどい取り立てをして、また一般会計からもらわなければならぬ。総裁が頭を下げて、あるいは運輸省が頭を下げてもらわなければならぬよりも、そのほうがよりサービスについても徹底するのじゃないか。それはお客さんから取れば、お客さんに還元するというのが通行税の考え方でなければならぬ。流通税というものはそういうものだ。だから、還元する方法をもっと積極的にお考えになったらどうか。別にいま運賃の値上げのことを言っているんじゃないですよ。上げなければならないというときだから、ちゃんと取っているものがあるんじゃないですか。これをやめればそれだけ運賃の値上げでない感じになる、一般からいって。あるいはそうするのか、せっかくいままで惰性的にも取っておるのだから、それをサービスのほうへ入れるのか、あるいは運賃として見てこれを還元するのか、どちらをおとりになりますか、こう言っておる。
  14. 石田禮助

    ○石田説明員 川俣さんのおっしゃることは、通行税を取っておるのだから、それを運賃を上げるかわりに通行税を返さないで、通行税で運賃を上げるのをやめればどうか、こうおっしゃるのですが、やはり通行税は通行税、運賃は運賃、こういう筋は二つになっておるのですから、片一方のものをこっちへ持ってくるというのは、私は筋が立たぬと思うのです。いずれにしましても、手数はどうか知りませんが、一等客に対しはやはり運賃の上げは運賃の上げとして負担していただく。そのかわり、通行税は廃止になりましたので、これはお返しする、こういうことのほうが筋が通ってはっきりしていると思いますので、いずれにしても、一等乗客のほうは同じことですから、これは別に議論の余地はないと思います。
  15. 川俣清音

    川俣分科員 私は、国鉄総裁は優秀な経営者であるから、経営者の頭から見て考えられると思うのですが、通行税と運賃の違うことは何もいまさら言うことはない、通行税はあなたのほうの収入ではなく、国の収入になっておる、税ですから。そしてまた国から出資してもらっておる。そこでこの通行税というものは、流通税であるかあるいは奢侈税であるにしても、お客に還元すべきである。あなた方の通行税を取っておる列車を見てごらんなさい。これで通行税を取れるような列車になっておりますか。なっていないじゃないですか。なっていると思いますか。もっとサービスを改善しなければならぬ、車両をもっと改善しなければならぬじゃないですか。通行税、奢侈税、流通税なりを取っておったならば、これをお客に還元するということでなければ営業はできないはずです。そんな精神では営業なんかできるわけはないじゃないですか。いま私一例を言ったでしょう。長距離バスと競争して競争負けしておるじゃないですか。これはサービスが悪いからですよ。これを改善しなければいつまでたっても国鉄なんか立ち直るわけがないじゃないですか。私はあなたはりっぱな経営者だと思ってことば少なくしたわけです。そういう競争もできないような国鉄で、赤字で因る。あたりまえのことじゃないですか。当然のことですよ。やることをやらないで赤字なんて、あたりまえのことですよ。これは赤字だと思うから間違いなんです。私は国鉄なんて赤字だと思っておりません。それでは運輸大臣に聞くけれども、いま国鉄を一般に売り出してごらんなさい。株がプレミアムがついて売れますよ。なぜか、経営がうまくいけば黒字になることがわかるからです。いまのやり方が悪いから赤字になる。いまこの資産を売ってごらんなさい。民間がやってごらんなさい。プレミアムがついて株が上がりますよ、将来の見通しがいいから。見通しの悪いのはいまの国鉄だけなんです、あるいは運輸省だけなんです。能力がないからです。なぜないかというと——例をあげましょうか。これは私はあまり指摘したくなかった。総裁は国鉄のために一身をささげるお考えのようですが、運輸省の幹部なんというものは——そういう者に監督されておるのですが、何を考えておるのですか。交通なんてものは考えておりませんよ。どこか自分の行く先をさがしておるだけじゃないですか。三等級以上の者がどこに行ったか。私これはやかましく言って法律を出して——営利企業への就職の承認に関する年次報告が出ております。どこに行っておるんですか。みなどこかのバス会社に行くとか、あるいはタクシー会社をつくるとか、そういうところに行っておるじゃないですか。経験がある——経験なんというものは、ただ給料をもらったという経験はあるけれども、営業経験というものはないですよ。許可認可ということから持っておる権限だけなんです。どうしてそういう説明をあなたから大蔵省にできないのですか。どうせ競争しなければならぬ、競争して勝たなければならぬでしょう。あえてバス会社と競争せいとは私は言いませんよ、公共企業体であるから。しかし向こうのほうがサービスがいい、改善されておる。合理的であるとか近代化するとか言うけれども、ことばだけじゃないですか。競争ということばが悪ければ、どれだけ近代化する、どれだけサービスをするかということに力を入れない営業というものは、成り立たないのはあたりまえです。営業の熱心でないものが成功した例がどこにありますか。世界じゅうないでしょう。あると思うなら日本の国鉄だけですよ。だから、料金を上げることが必ずしも悪いとここでいま私は言っておるのじゃないんですよ。いまはそういうことを言うのじゃない。奢侈税にしろ流通税にしろ、取っておるからにはそれを乗客に還元するという考え方でなしに運賃を上げると言うから私は問題にしておる。佐藤総理は何と言ったんですか。利益のあるものは一般にも還元してやる。通行税などは当然乗客に還元していく、設備の改善でサービスで還元していく、これが流通税の考え方であると同時に奢侈税の考え方なんです。使用税です。使用者へ還元していくというところに喜んで税を支払う気持ちにもなるでしょう。利用する気持ちにもなる。利用する気持ちを起こさせないで運輸業なんていうものはできるわけがない。なぜ将来性があるかというと、人口がふえるだろうし、交通がひんぱんになってくるであろうし、国鉄の将来は明るいんですよ。明るいけれどもやれない、能力がなければ。これは運賃上げたって同じことです。この前の運賃を上げるときに、私が予算委員会でやはりこの点を追及した。いや、今度上げれば、改善をしてもっと旅客がふえて、あるいは貨物がふえて黒字になる予定だと、こう言う。いま上げて設備を改善しないというと、収益は低下する、それを上げた以上にサービスに還元されるととろに乗客の収容力も出てきて収益率も高くなる、あるいは荷物の運賃も量がふえて収益があがるという説明をされたはずですが、これは間違いですか。ああいう説明をしたのはあなたじゃないですが、私はこれは間違いでないと思う。乗客にサービスもしないで、こわれたような、あぶないような貨車を使ったり、あるいは乗客も心配だというような、一等車かもしれませんけれども、名前は一等車でも料金を取るための一等車であって、乗せるような一等車じゃないじゃないですか。だんだん一等客が減ってくるじゃないですか。もっとサービスに力を入れて、収益率をあげたらいいじゃないですか。収益率をあげられないから、私はこれを指摘しているんですよ。あげられるなら何も言わぬ。みんな利用したいという者に利用させていない。窓口を狭くしているのは国鉄じゃないですか。赤字が出るのはあたりまえですよ。利用者が恩恵を受けないような態度でありますならば、それは営業不振になることはあたりまえです。何もあれは税金だと思って払っているわけじゃない。利用しているから利用税だというつもりで支払っているし、あるいは高い運賃を払うのは、少し奢侈的であるかもしれないけれども、サービスがいいから、設備がいいから払うという考え方でないですか。あなたはいつもただで乗っているものだからあまり感じないでしょう。金を払って乗っている人のことを考えてごらんなさい。利用させてもらうんだから金を払うという気になるけれども、そんなサービスが悪くて設備の悪いものに乗って使用料を取られるなんて、あるいは奢侈なんて言えないようなものから奢侈税を取るという考えでは、乗る人が減るのはあたりまえです。利用者が減るのはあたりまえです。あるいは私鉄に吸収されたり、あるいはバスに吸収されてしまって、鉄道がから運転をするのはあたりまえのことなんです。赤字のほうへばく進しているじゃないですか。だから運賃を上げたって意味がないですよ、いまの国鉄じゃ。上げることによってさらに収益率があがる、上げた分で収益率があがるんじゃないですよ。上げた分であがるんじゃなくて、それがさらに拡大されていくという方向にいかなくちゃ、運賃を上げる意味がないじゃないですか。運賃を上げたことだけで満足するようなことであっては。運賃を上げることによって乗客のサービスを向上する、キロ数をふやして、車両をよくして、そうして利用率を高めていった結果、収益が増大する。これは当然に交通経理の面からいって、そうあるべきなんです。これを知らないで——国鉄経営学をやり直さなければだめですよ。交通経営学というものは確かにあるでしょう。これに反するようなことをやって収益をあげたい、運賃を上げたい、そんなことなら子供だってできますよ。運賃を上げれば楽になるというのなら、子供だってできます。これは経営者じゃないですよ。いまタクシーだって運賃を上げたらもうかるにきまっていますよ。そんな目先のそろばんよりできないような経営人をたくさん並べているならば、国鉄なんて民間に払い下げたほうがいい。もっとりっぱな成績をあげますよ。株を募集してごらんなさい。おそらく一年か二年でプレミアムがつく、プレミアムがつくということは黒字になるということでしょう。配当が大きいということでしょう。民間から出てきた人が民間の企業を知らないなんというのは——総裁は知っているかもしれぬけれども、あなたのほうは幕僚が悪いかもしれない。あるいは監督している運輸省が悪いかもしれない。あなた一人いかにがんばったってだめなんです、組織だから。ただ、運賃上げれば経営が楽になるというような経営者であるならば、その経営者というものは国民からの負託にたえ得る経営者だとは言えない。ことばは少し荒過ぎますよ。しかし、いまにしてふん切りをつけなければいけないときだと思うのです。そこで通行税をわざわざ持ち出したのです。これをどう考えているか。これによって経営者の経営の頭のぐあいがわかるだろう、勉強のぐあいがわかるだろうということでわざわざ提供した。総裁ひとつ御答弁を願います。
  16. 石田禮助

    ○石田説明員 まず第一は、通行税の問題でありますが、これは国鉄が乗客にかけたものじゃないのです。大蔵省がかけたもんなんです。それで一等客から申しますれば、一等乗客運賃を払って、プラス通行税を払う、これははなはだお気の毒である。とにかくほかの汽船の一等客等に比べましても、汽車の一等客の負担というものは通行税だけでも不当に負担をしている。これはやはり一等客の立場から考えて、大蔵省にお願いをするのに、ぜひこの通行税はやめてくれ、こういうことで言っているのでありまして、もしも幸いに大蔵省がこの通行税を廃止してくださったら、これは一等客に対する通行税はやめる、こういうことなんです。その点はひとつ川俣さんに御了承を得なければならぬ。通行税を廃止されたからといって、それを国鉄の運賃のほうに振りかえるというようなことはちょっと筋が立たぬ。なぜならば道が違うのだから。違った道を歩いているのですから、その点はひとつ考えていただかなければならぬ。  それからもう一つ、この国鉄というものは一向営業精神がないじゃないか、私はその点については決してノーとは言わぬ。確かに国鉄には営業精神は欠けていると思っています。かるがゆえに、私は常に監査委員長時代から「国鉄人よ、君たちはうしろに日の丸の旗が立っているという不沈艦精神というものを捨てなければならぬ、国鉄というものは公共企業体であるがゆえに、企業精神を発揮するということがわれわれの義務なんだ、だからどこまでも企業精神を発揮する、企業精神とは一面からいえば営業精神である。」これは川俣さんの御希望になっているところでありますが、何と申しましても、つまりはやはり官僚なんだ。これを急に営業人になれなんて、なかなかできませんよ。その点はやはりかすに時をもってしてください、こういうことです。  それで、社会党の今度出ている国鉄に対する問題なんかにしても、国鉄は一部には非常に営利心を発揮しておる、こういうようなことを言っていますが、私はこれはけっこうなことだと思うのです。とにかく一部にでも営利心を発揮しているというふうに見られるということは、それだけやはり企業精神を発揮するようになってきた。ただこれは私から言えば、まだ足らない。ひとつ今後とも大いに企業精神を発揮して乗客にサービスを提供する。今度の運賃値上げにいたしましても、現在の国鉄のサービスというものはなっておらぬのです。第一が通勤輸送の問題にしても、これは全くラッシュアワーの交通地獄だ。何とかこれを改善しなければいかぬということ、それからさらに幹線にいたしましても、過密ダイヤでもって、ややともすると大きな事故を起こすような事項が潜在している。輸送の安全に徹しなければならぬ国鉄としては、何とかこれは改善して、お客にいいサービスを提供するようにしなければならぬ、こういうことなので、これによってお客さんをふやすということよりは、現在のお客さんに対してのサービスを改善するということが根本問題なのです。そういうことでありますから、これは川俣さん何か誤解されているように考えますが、私はひとつ今後とも国鉄人の企業精神を大いに高揚させるように努力いたしまして、乗客の御満足、ことにいま問題になっておる物価問題にいたしましても、国鉄の流通機構というものを改善して、運賃を上げる以上にいいサービスを与えて、これが結局物価の上において寄与するところが大いにあるようにいたしたい、こういうことに考えているのが私の根本精神であります。どうか誤解のないようにひとつお願いいたします。
  17. 川俣清音

    川俣分科員 少しも誤解をしておりません。私は時間がないから、基本的な話を避けたのですけれども、一体交通経営からいけば、あるいは鉄道経営からいけば、いつも何を一番の主題として考えなければならぬかというと、国の交通政策です。これに反するようなことをやっておったのでは、交通経営というものは成り立たない。あるいは国民の動向というものを無視したのでは、交通経営というものは成り立たない。鉄道経営は成り立たない。私鉄であろうと、国鉄であろうと同じです。もう一つは、あなたがいま日の丸を指摘したのですけれども、自分の力でもないのを大きな営業権があるようなことの考え方が営業不振の原因だ、ラッシュアワーです。私鉄がもっと都内に乗り入れたいというときに、それを拒んだのはだれなのです。われわれの手で収容する力があるのだということで拒んだのじゃないですか。拒んだから、交通地獄になっておる。この責任は国鉄なのです。乗客じゃないのです。もっともっとラッシュアワーにならないような、あるいはそれを目的にして私鉄等が乗り入れしたがったのですが、営業権があるといってこれを拒んだのはだれなのです。国鉄じゃないですか。運べもしないのに、交通政策に合わないように拒んでおって、ラッシュアワーになった。利益があがって還元して、さらにそのラッシュを軽減できるなら別です。全然経営能力もなしに、ただ乗ってきたお客の運賃を取ればいいという搾取だけをやっておったから、こんなラッシュアワーになったのじゃないですか。山手線以内には一切乗り入れさせない、全部都内に入ってくる者は国鉄交通を引き受けるのだという誇大妄想狂的な考え方が今日のラッシュアワーになっておる。経営を守ることならいいけれども、営業権なんというものを守ろうとした日の丸的な考え方が、今日の状態じゃないですか。これはどうなのです。日の丸を言うならば、これも日の丸なのです。営業権がないのに、営業権があるなんて、どこから営業権をもらったのです。もらいもしない、自分が蓄積もしない営業権なんてどこにある。営業権というものは、収益をあげて、そこに営業権が出てくるなら別にして、赤字でいながら営業権がありますなんて、一体どこから出てくる。拒む力がどこにある。みんな独占で人を運ぼうとして運び切れないところに責任ができたのです。運ぶことができるならいいですよ。総裁も運輸大臣もあのラッシュアワーをごらんになっているでしょう。あんなひどい状態で運びながら運賃を払いなさい、人間扱いしないで運賃を払いなさいなんて言えますか。人を人として扱わないで、人のけつを押すみたいにして乗せて、あれが人間に対する態度ですか。あなた見てごらんなさいよ。人を人として扱わないようなところへ金を支払って運んでもらう、それで運賃をいただきます、定期券を上げなければなりませんなんて、一体どこに運賃を支払ってもらうような待遇をしておりますか。だから、人間に対するサービスが悪いために、国鉄はいよいよ営業不振になる。自分みずから招いた不振じゃないですか。みずから招いた赤字じゃないですか。公共のためにサービスして不振だなんというようなことは、とんでもないことですよ。あの状態を見てごらんなさいよ。公共のためにサービスしておる、輸送しておる姿ですか。交通地獄なんというものは最も慎しまなければならないことなんです。運賃を上げればあのラッシュアワーが緩和できますか。倍にしたって三倍にしたって緩和できません。緩和できたときは国鉄はお手あげで、ほかの私鉄なりバスなりにとられて、国鉄はこれで終わりでございますという宣言をされるだけですよ。運賃さえ上げればいいのだという考え方よりも、もっと国鉄経営なり運営なりというものの基本に触れていかなければ——鉄道でもそうでしょう。まず運賃を上げることよりも、通行税をどうするかというような問題から解決していかなければならぬ。一番手っとり早い方法は、運賃を上げていけば収入になる、これですよ。運賃を上げるということは、自分の営業はだんだん先細りだということなんですよ。だからいまの経営者の間はいいでしょう。先細りになったらどうするのです。先が伸びていくというところに国鉄が明るくなる原因もありましょう、国民の信頼も加わってくる。ですから国鉄はもうおやめになって、私鉄にしてごらんなさいよ。ただしその場合は、運輸省の幹部あるいは国鉄の幹部は遠慮願わなければならないということにはなりましょう。経営能力のない者が、おれは経験者だなんて言えないということになれば……。この私鉄の会社は、名前は何であろうと、国有鉄道という名前を使おうと使うまいと、株式会社をつくってごらんなさい。りっぱな経営ができます。そのときには私が総裁になってやってもいいです。もっとうまくやります。全く経営する能力ないですよ。どこかよその会社に行くとかなんとか、そういう考え方だけですよ。運輸省は特にそうなんです。いま名前をあげましょうか。あげないでもいいけれどもちゃんと出ている、「営利企業への就職の承認に関する年次報告」に。しかし幾らか良心的になったのだ。従来は運輸省が一番多かった。去年一年の報告を見ると、今度は大蔵省が三十、通産省がふえて二十八、運輸省が十九になっている。減ってきています。いままでは断然類を抜いて多かったのです。だいぶ私どもに毎年やかましく言われておるものですから、人事院が運輸省というと少しやかましくしだしたとみえて、だいぶ減ってきました。こういう人たちに監督されておって、いい営業成績なんてあげられますか。どこに行くかわからない者に監督され指導されているのに、国鉄経営がうまくいきますなんということを考えること自体がおかしいですよ。何も運輸省におって、運輸行政をうまくやろうなんという考え方はないのです。どこかの営業会社に早く行きたいということです。そういう人たちに監督されて、うまくいくわけがないじゃないですか。運輸大臣どう思いますか。あなたの時代になってから、だいぶみんなさばいてますね。これは運輸大臣の許可がなければ行けないですからね。だいぶ許可を与えているじゃないですか。こういうことで国鉄を監督するとか指導するとかいっても、赤字になるような指導をしておるようなものです。私も通行税と運賃と別々だというようなことはよくわかりますよ。しかし運賃であろうと通行税であろうと、これを乗客のサービスに入れて将来の収益性を上げていくのだという考え方でなければ、赤字というものは解消されないということなんです。総裁のように、通行税と運賃は違うのだ——そんなこと、税の体系から見て違うことはあたりまえのことですよ。しかし、とった通行税をやめることも一つの方法でしょう。やめて改善できるならなおのこといいのです。それを、やめるために運賃を上げなければならないということは間違いだと言うだけで、運賃にせよ通行税にせよ、それを運輸業の改善のために使っていくのだという考えなしには、将来の発展性はないということです。乗客からそっぽを向かれて、ますます客が減るだけです。そっぽを向かれるなら、一等車なんかやめたほうがいいですよ。これをさらに乗客をふやしていこうという方向でなければ、営業方針は成り立たないのですよ。営業なんというものは、ただ働けとけつをたたいただけで、号令しただけで成り立つものじゃありません。一番どなっているのは中小企業のおやじですよ。小さな店に行ってごらんなさい。中小企業のおやじというのは、うちの中で営業方針を一番多くどなっているのです。石田総裁以上ですよ。しかしどなっただけでは、営業は改善されていないじゃないですか。おやじの頭が切りかえられない限り、どんなに小僧や番頭をいじめたところで、教育したところで営業成績はあがらないじゃないですか。おやじの頭の切りかえなしには、最近の近化産業は成り立たないのですよ。運輸業も同様です。初めのころは、総裁が大いにどなるものだから、頼もしく思われたけれども、このごろだれも頼もしいなんて思っていないですよ。初めは勇壮だから、何かやるであろうと期待したところが、期待はずれで、赤字やラッシュアワーになって、何がよくやってくれたのかわからない、これが一般の定評ですよ。初めは、あなたが号令かけるものだから、おそらくうまくやくだろうとほんとうに頼もしく思った。事故も少なくなるであろうし、ラッシュも解消されるであろうと期待した。最近やや事故はなくなってまいりましたものの、これはいつ起きるかわかりません、あんな車両の整備では。事故が起きないにしても、新幹線を見てごらんなさい。新幹線の使命なんというものは、達成できていないじゃないですか。ですから、このごろ国鉄を団体で利用するのは新興宗教くらいなもんです。あとの団体はみんなバスになっちゃった。これは国鉄が信用がないから、サービスが悪いからです。一般大衆の利益にならないで、新興宗教だけにたよるなんというのは、これはいよいよ邪道というか、もはや価値のない国鉄に堕落してきたようなもんです。経営者の頭を切りかえない限り、運輸省の頭が変わらない限り改善されない。そのために私通行税の問題を出したのですよ。これは税として取っているのだから、還元していこうという頭になれば、通行税の意味が出てくる。廃止するのもいい。ただ従来からこれは惰性で取っている。いま国会議員でない人に聞いてごらんなさい。大阪へ行く一等の運賃は幾らですか。通行税入っていて幾らになるなんて知っている者どこにある。だれも知らぬ。通行税の入った運賃を運賃と称している。運賃と両方なんて言うのは国鉄の人だけです。窓口の人だけです。一般のお客見てごらんなさい。通行税を別なものだ——あたりまえのことですが、あたりまえのことがあたりまえでないように運賃だと取られておる。しかも通行税が一等車だけということになるならば、私は一等車に特別サービスせいと言うのじゃない。運賃というものが乗客に還元していくような方向をとらない限り、交通から収益の上がってくるという方法はないのだ。これをひとつ考えない限り、私どもは——時間ないそうですから……。
  18. 石田禮助

    ○石田説明員 国鉄の今日におけるラッシュアワーの状態、それから幹線におけるサービスの問題その他については、何と誹謗されてもしかたがない。そこにおいてこれを何とか改善しなければならぬということで、第三次計画を立てて根本的にやり直そうということに決心した次第であります。川俣さんは国鉄あるいは運輸省とか盛んに両者を攻撃なさいますが、一体国鉄のような状態にしたのはだれか。戦争がまず第一にぶちこわした。これが根本問題です。その次は進駐軍ですよ。進駐軍には国鉄を愛するなんて気持ちはありやせぬ。これは斜陽産業としてちっとも愛してくれない。またその当時の国民一般の気分でも、これからは自動車の時代であり、鉄道の時代でないということで、国鉄というものに対する愛護精神が足らぬ。進駐軍しかり、国民一般の空気しかり。そこにおいてどういうことになりますかというと、戦争でぶちこわされた国鉄の修理なんというのも、予算の不足のためにろくすっぽ修理ができなかった。かくのごときことが累積して、ついに国鉄をしてもうやむにやまれず第一次五カ年計画というものを立てまして、まずもって修理をしようということにした。ところが、その間に日本の国の経済というものは非常に発展して、輸送需要というものは非常にふえた。とても国鉄輸送力じゃこれは応じ切れぬということで第二次計画、なおかつそれでも足らぬということで、ついに今度の第三次計画になったんですが、その間に、私は川俣さんにお願いしたいのは、進駐軍もかわいがらず、国民一般の空気もかわいがらず、いわばろくすっぽ兵糧もくれず、弾薬もくれないで戦争をさせられたのが国鉄なんだ。社会党にも国鉄におられた方があるからよく私はおわかりのことだと思いますが、そこへもってきて川俣さん、あなたに申し上げたいのは、非常に運賃を安く押えられたということなんだ。全くどこにも投資はしてくれない、そうしてまた、運賃も安く押えられた、こういうことで一体どうして国鉄のサービスが改善できますか。川俣さんの理論からいえば、サービスを改善して、しかして後に運賃値上げをする、全くそのとおりだ。そのとおりなんだが、今日の国鉄の状態では、もう国鉄がせっちん詰めになっておりまして、そんな常道でいくだけの余裕も何にもないですよ。これはいつかあなたにここで申し上げたように、逆手でいくより方法がない。まずお客さんから金を先にちょうだいしておいて、そうしてサービスを改善する。とにかくあなた、一般の物価なんというものは三百五十倍、四百倍になっている。電電公社でさえ昭和十一年に比べて昭和二十九年において二百三十三倍になっておるのに、国鉄の運賃というものは三十二年と三十六年二回運賃の値上げをして、なおかつ今日百六十一倍だ。こういうふうにしたことについては、私はこれは政府も責任があり、国会にも責任があるのじゃないかと考えますが、あるなんと言うとおこられますから、あるんじゃないかと私は考える。そこへもってきてさらにいけないことは国鉄がだらしがなかったのですよ。もう少し強くいけばよかったのですよ、しりをまくって。(川俣分科員「いまでもだらしがないじゃないか」と呼ぶ)いや少し近ごろはしりをまくってきたんだ。
  19. 荒木萬壽夫

    荒木主査 答弁は簡潔に願います。
  20. 石田禮助

    ○石田説明員 そういう状態でございますので、今日の運賃値上げなんというのは全く逆手でありまして、定石でありませんけれども、これはどうにもしかたがない。どうぞこの点は御了承願わなければならぬと考えております。
  21. 荒木萬壽夫

    荒木主査 川俣君に申し上げます。申し合わせの発言時間は経過いたしました。他に質疑通告も多数ありますので、御協力を願います。
  22. 川俣清音

    川俣分科員 もう一点だけ。一体国鉄経営合理化なんてはかっていないという一例だけちょっと申し上げて終わりにします。  私鉄なんか、あれだけ投資してすぐ黒字になるなんということを考えた経営なんてない。交通経営なんというのはそういうものじゃないのですよ。投資して何年かたたなければ黒字にならないのが交通経営なんです。私鉄がすぐ、開通すると同時に運賃値上げをしてごらんなさい。高い運賃を取ってごらんなさい。その私鉄はつぶれます。赤字を犠牲として将来を期待するところに私鉄の運営があるだけですよ。私鉄の運営というのはそういうものです。初めから高い運賃を取ったら、これはどうです。たとえば小田急のようなところは初めから運賃を高く取ったでしょう。いつまでもあれは立ち直れないでおった。どうです。運賃さえ上がれば収入が上がるのだなんというのは、交通経営者の言うことじゃないのです。大道商人の言うことです。大道商人は高く売ればもうかるにきまっている。だましても高く売れればもうかる。合理化してないのに、あなたりっぱなことを言うけれども、払うものは払っていないじゃないですか。たとえば電柱の使用料。電話線や何か、土地を借りて電柱を立てているでしょう。あれは払っていないじゃないですか。なぜ払わないのですか。契約書には払うことになっていながらなぜ払わないのですか。わずかな金ですよ。払っていないじゃないですか。あなたのほうの決算書を見てごらんなさい。払っている、受け取りもありますと言うが、受け取りなんてありっこないのですよ。あると言うなら一ぺん調べましょうか。もしなかったらどうしますか。総裁責任を負いますか。運輸大臣責任を負いますか。払っている、受け取りがあると言うが、これはないのですよ。なぜかというと、農協に委託をしてあるだけで、農協にちゃんと積んでいるか、ときには返してもらっているだけじゃないですか。受け取りはあるわけがないじゃないですか。もしも受け取りがあるならば、私はもう何人かの人に訴訟を起こさせますよ。これは、合理的にやっておる、これから鉄道はやりますなんと言うから言うのです。何でも運賃さえ上げればいい、人を犠牲にしても運賃を上げればいいという考え方の一例だという例をあげているにすぎないのです。これは電柱電柱と言って、よほど前から資料を出すように言っておるのです。そうしたら、全部受け取りがありますと言う。決算では受け取りがあることになって、受け取りがないものは決算いたしません、こういうことですが、資料を出せないのです。ほんとうは払ってない。まだ中間にあるだけなんです。農協から仮受け取りぐらいはとっています。委託してあるだけです。払ったのじゃない。払う途中にあるだけです。あなた、こんなのは合理的だと言えますか。事ほどさようにりっぱなことは言えないという例を出してみたにすぎない。あなたのほうで、何で電柱を問題にしますかと聞きに来た人がいる。ここなんです。合理的にやっていますとかなんとか言うけれども、一つの例をあげてもこんなに合理的でない。人から土地を借りて電柱を立てながら何年も払わない。何年もほんとうに払わないのですよ。わずか一円以下のものです。それを払わない。国鉄はどんなに赤字だといっても、一円以下のものを支払えないという経営でありますならてんで問題にならない。一円以下のものさえ支払う能力がないなんという国鉄でありますなら、ここでそんな大きな声を出せませんよ。それであったら、声を出すよりもまず一円以下のものを払ってごらんなさい。多額の金でやりくりがつかないというなら話はわかりますよ。一円以下のものを件数にして何万件も払わないでおいて——それをいま追及しようと思うのではないのです。こういう事態でいながら、運賃さえ上げればいいというところにだけ頭がいっているという、大道商人的な考え方なんです。  これで最後にしておきますが、営利を追求する、それも悪くはないでしょう。また運輸省は汽車弁を上げるらしいですがね。大体食堂車などのものを見てごらんなさい。私は何回か投書して知っていますよ。人間に食わせるような料理じゃないです。お客に食わせるような料理じゃないですよ。私は国鉄なんかで遊びに行きたいと思っているが、ああいう料理を食わせるならとてもたまらぬと思って行く気がしないのです。国鉄はああいうところで営業精神が強いのですよ。食堂車に対してはもっときびしくやらなければならぬ。なぜかといえば国鉄出身の者が食堂車へ入っているために取り締まれない。恩恵に浴するものにはなるかもしれないけれども、取り締まったり指導したりするかっこうにないじゃないですか。サービス精神があるならば、従来の弁当屋でなくても幾らでも弁当をつくる人がおるのです。縁故です。すべてそのようなやり方であるから、総裁は官僚的と言ったが、官僚的過ぎるのです。目先のことに小りこうで将来性をおもんばからぬところに官僚性の最も堕落した姿があるのです。官僚の悪いところは何かというと、自分の責任を他に転じてやろうとするところにあるのです。たとえば運賃を上げてやっていこうというような考え方が官僚的な考え方なんです。営業的な考え方でないのです。運賃を上げなければならぬ、いいですよ。上げてどうするのだということがないじゃないですか。こうすれば黒字になる、それだけじゃないですか。黒字にはなりませんよ。運賃を上げて黒字になんか絶対になりませんよ。国鉄がいよいよ衰微するだけです。従来上げて成績がよくなったですか。貨物輸送は減ってきた。なぜ減ってきたのです。運賃を上げてごらんなさい、もっと減りますよ。減らして、運賃だけ上げたら入ってくるだろうと思うのは官僚的な考え方、総裁的な考え方と言わざるを得ないのです。そろばんは、運賃を上げれば上がることになりますからね。それだけの貨物が動くか人間が動くかというのを考えないのです。いままで動いた人間に運賃をかければ黒字になる、そんな経営がありますか。旅客が減るのか、運賃を上げたところで、このラッシュアワーは解消しない。非難だけが出てくる。運賃を上げて緩和できるかといえば、運賃を上げたって、あのラッシュアワーは緩和できないでしょう。能力ないでしょう。まああまり時間がないそうですから、ただ私は国民の立場に立って、運賃だけを上げて糊塗するようなことでありますならば、これは運輸省に対しても、運輸大臣をはじめとして国鉄首脳部に対して重大な戒告をしなければならぬということだけを申し上げて、私の質問を終わります。
  23. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 川俣委員の御意見等十分考えまして、今後検討を続けてまいりたいと思っております。
  24. 川俣清音

    川俣分科員 実際いうと、道路のほうは、毎年指摘しているとおり、無償で貸し付けを受けておる。そうでしょう、道路整備法及び公団法によって国有地は、道路は無償貸し付けを受けたり、無償譲渡を受けている。公共性が強いといわれるならば、国有地は無償で貸与を受けるとかあるいは譲渡を受けることをやったらどうですか。たびたび警告しているのです。ただ運賃を上げるというだけ考えて、そういう問題を解決しないじゃないですか。できるだけ固定資産のための資金が要らないようにすることが、運輸業として最も成り立つ方法なんです。そういうものをやらないでおいて、ただ運賃だけ上げるというのです。どうせ公共性が強いんだから、国有地は無償で借りるあるいは無償で譲渡を受ける、こういうこともならないところに、拳拳服膺してというけれども、私は問題があると思うのです。具体的にも私は何回も指摘しておる。運輸大臣、あなたひとつ在任中考えてごらんなさい。  以上をもって終わります。
  25. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 今後十分検討してまいりたいと思います。
  26. 荒木萬壽夫

    荒木主査 大原享君。
  27. 大原亨

    ○大原分科員 私は運賃の問題は少しですが、全日空の問題、航空問題と、それから海運行政、船員の養成問題、こういう問題について質問いたすのですが、最初に、運輸大臣、あなたの運輸行政は、空を見ると全日空の問題があるのです。陸を見ると運賃値上げで、国民の監視、注視の的ですね。それから海行かば海上保安庁の問題が出てきました。あらゆる面において国の政治の中で今日重要な問題をひっかついでいるようなのが運輸大臣の立場です。あるいは国民の注目、怨嗟の的になっているかもしれない。しかしただ一つ、最近国民の中で非常に喜ばれている問題があるのです。それは運輸大臣、国鉄総裁、どういうことを喜ばれているかあなたたちわかりますか。批判をしてぼろっかすに言うだけが能じゃないから一つだけ。それは何かといえば——お答えあったら言ってもらえばいいのですが、何かといいましたら、いま御承知のように、早稲田問題その他があるのですが、いまずっと三月末まで受験生が移動しているのですよ。運賃が上がっていないものですから、安い料金、旧料金で行きおるのです。これは国民に喜ばれております。皆さん非常に喜んでおられまして、父兄は学校の費用や、受験料やその他で非常に負担が多いのに、運賃だけは旧料金で動かれるから非常に喜ばれている。運輸大臣どうですか、やはり運賃の問題はゆっくり慎重審議してやったほうがいいでしょう。運賃問題に対する見解を御答弁願いたい。
  28. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は目の前の問題としては、大原委員が言われるようなことがあるかと思いますけれども、国の輸送事情等を全体的に見ますときに、このまま放置しておくということは、輸送不安を起こすようなところまで逼迫しておる状態から考えまして、一刻も早く運賃の是正を皆さん方によって賛成していただいて、根本的に運輸事情の逼迫しておる状態を緩和しまして、国民に安心して交通の利用のできるような体制をつくることが、やはり根本的に必要な問題だ、かように考えて今回の運賃是正をお願いをいたしておる次第でございます。
  29. 大原亨

    ○大原分科員 いまのは私のところへ投書のあったのを出して話をしたのですが、物価値上がりで、みんな教育費やその他値上がりで非常に困っているわけですよ。だから運賃についても、やはり国民は深刻な気持ちや要求を持っている、こういうことを理解して川俣先輩からいろいろ議論がありましたが、私はこのことが主たる質問ではないのです。一日が四億円というふうに言われているのですが、十五日間ほどおくれましたならば六十億円。たまたまこの間新聞に、国鉄総裁の五十億、七十億は、国鉄は大世帯だからそんなに問題ないという、あなたの放言か真実の吐露か知りませんが出ておりました。その点は、やり繰りについてはお困りならぬだろうと思うのです。国鉄総裁はその点については、少々おくれたところで問題ない、こういうお気持ちだろうと思うが、運輸大臣の深刻な答弁より少し変わるわけで、見解があれば聞きたいわけですけれども、それはともかくといたしまして、やはりこの問題は非常に重要な問題である、こういう点をひとつ御理解をいただきたい。十分理解をいただいて、政府全体、与野党一致いたしまして処理したい、こういうふうに思います。  次に、質問に入っていくのですが、全日空の事故の原因調査を徹底的にやるとあなたは国会で言われたのですが、一体どこに原因があるのか、いまの調査の段階について、ひとつ御答弁をいただきたい。
  30. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 御承知のように、全日空のたいへんな事故を起こしまして、直ちにこの事故の原因がどこにあるかということを究明いたしまして、再びこういうようなことを起こさないようにというたてまえをとっておるのでございます。御承知のように、事故調査団を編成いたしまして、そうしてあらゆる技術陣、あらゆる学識者を集めて、この究明に対処しておる、取り組んでおるわけでございます。正確な日にちをいま記憶しておりませんが、大体一週間ぐらい前に遭難機の機材は八、九〇%引き揚げたと思っておりますが、それ等を十分に検査をいたしまして、事故の原因の究明に当たっておる段階でございます。詳細にわたりましては航空局長からひとつ答えさしていただきたいと思います。
  31. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 二月四日の全日空のボーイング727型機の事故でございますが、御承知のように、本事故によりまして乗員、乗客合わせて百三十三名の方が遭難されたのでございますが……
  32. 大原亨

    ○大原分科員 そんなに長いことは要らない。
  33. 荒木萬壽夫

    荒木主査 要点だけ簡潔に答弁を願います。
  34. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 承知いたしました。  現在、遺体の収容を実施するとともに、大臣から申し上げましたように、事故機の機体の引き揚げ作業が大部分完了した状態でございます。この原因につきましては、事故技術調査団を設けて現在原因を究明する段階でございまして、まだ原因の調査中の段階でございます。
  35. 大原亨

    ○大原分科員 いま調査団を設けて調査の段階だと言われるのですが、もう相当時間もたっていて、いろいろ意見が方々から出ているのですよ。国民は非常に注目しておるわけです。問題点だけでも、ひとつあげてみてください。ここに問題があったのではないか、こういう問題にしぼって検討をやっているのだという、こういう問題点だけでもしぼって答弁してください。
  36. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 技術調査団は現在総会を六回開会いたしておりますが、問題を特にしぼってどの点をやるということでなくて、全体についての調査をいたしまして、その中から問題を整理していくという調査方法をとっているわけでございます。したがいまして、その中でどの問題がどういう答えになってきているというような調査方法を現在とっていないわけでございます。
  37. 大原亨

    ○大原分科員 いつごろまでにできるのですか。
  38. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 調査団にわれわれのほうからお願いしておりますのは、慎重に、しかも急いでお願いしたい、できましたならば大体二カ月以内ぐらいには中間的の報告でもしていただきたいというお願いはいたしてございます。
  39. 大原亨

    ○大原分科員 ちょっと私聞いてみるのですが、アメリカのボーイングの会社はどういう形で調査に参加しておるのですか。
  40. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 ボーイング社からも調査団が参りましたけれども、これはわがほうの調査とは関係ございません。
  41. 大原亨

    ○大原分科員 私は、ボーイング社がかってに調査団を派遣するのはいいと思うのですが、調査団のオブザーバーになってやっておるというふうなことで、ほとんど一体でやっておる、こういうお話を聞きますね。現地その他打ち合わせその他は一体でやっておる。非公式か公式か知らぬが、形式上はオブザーバーという形かもしらぬ、あるいはそういう形があるなしにかかわらず、ほとんど一体でやっておる、こういう話です。いかがですか。
  42. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 調査の必要上、米国における事故の事例について一度出席を求めてオブザーバーとしての事実に関する説明を聞きました以外は、一緒に調査をしておるというような事実はございません。
  43. 大原亨

    ○大原分科員 この飛行機を日本に売り込んでいる営業会社が、先入観を与えるような、自主的な調査を妨害するような、アメリカから来る当初からそういう宣伝をしながら現地に乗り込んできて、日本の調査団と一緒になってやっておるというふうなことは、これは営業と——つまり、端的に言うともみ消しということ、もみ消しをやっているのじゃないか、こういう印象を国民は持っているのですよ。その点は私はけじめを明確にしてもらいたい。いかがですか。
  44. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 大原委員のおっしゃられましたそういう懸念が国民に持たれてはならぬ、かようなことを考えまして、私は当初から、アメリカから来ておるものはどこまでも、日本の調査団の技術的な研究に必要な場合にのみ参考人として意見を聞くことは認めるが、その他一切これと混同するようなことのないようにという厳重な指図をいたしておるわけでございます。
  45. 大原亨

    ○大原分科員 いままで三回、同じ機種の727について事故があって、その事故があった結果について、結果を分析をして原因を究明することもできぬような、そういう連中が来て何を調査するんだ。調査の妨害以外ないでしょう。そんなことについては、大臣は言われましたけれども、一般には、一緒になってやっているということ、あれじゃ結論が出っこないじゃないか、こういう意見がある。この点は私は厳重に警告しておきます。  それから、アメリカの航空局、FAA、それからアメリカの民間航空委員会、CAB、これはどういう形で調査に参加しているのですか、いろいろと見解を表明しているそうですが。
  46. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 これはわがほうの調査について協力を申し入れておりますので、事実について必要な知識を得るために協力をしてもらっておるわけであのまして、FAA、CABが直接調査するのじゃなくて、わがほうの調査に協力をするということになっておるわけでございます。
  47. 大原亨

    ○大原分科員 ボーイング会社はオブザーバーで参加しておるし、それから二つの機関は協力するというふうなことになっておるわけですね。そのアメリカの航空局、FAAやアメリカの民間航空委員会は、いままで三回の事故についてどういう結論を持っていますか。何が原因だという考えを持っているのですか。
  48. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 まだ結論は出ておりません。
  49. 大原亨

    ○大原分科員 FAAがこの技術改善について一応の結論を持っている、それから、もう一つのCABのほうは持っていない、こういうふうに言われているわけですね。これは抽象的に一部の報道は出ている。それは独自の立場で検討したことがありますか。
  50. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 新聞等の報道についてはわれわれも在外公館等を通じて逐次情報は集めて検討いたしております。
  51. 大原亨

    ○大原分科員 その中で、今回の事故と関係のあるような問題点がありますか。そのくらいはあなたは、どういうところに問題点があるくらい言ったほうがいいでしょう。こんな百三十三名という事故がこういうふうに起きて、相当時間がたって、そうして解明が進んでいますから、そういうことをずっとひた隠しにしておいて、わからなかったとか、引き延ばしをするというふうなことは、これは国民といたしましてもおかしいですよ。私は問題点を持っていますけれども、何か問題点がありますか。
  52. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 一番問題は、本機の設計について明瞭な瑕疵があるかどうかという点でございます。その点につきましていま御指摘のように、FAAは去る二月の十七日に会議をし、あるいはFAA独自で米国の設計等を再検討して、それについての一つの、中間的に設計自体について瑕疵はないという答えを出したという点がございます。しかし、われわれとしては、その結論いかんにかかわらず、先ほど来申し上げておりますように、事故調査団において別個の立場で全体の事故原因の究明ということで現在検討を進めていただいておる段階でございます。
  53. 大原亨

    ○大原分科員 いろいろな事故の結果に基づいての事故の改善内容の中に、低空で大きな降下率を持っているというこの飛行機の特色が出ておるわけです。低いところで非常に他の飛行機に比べて降下率が高い、こういうのが一つあるわけなんです。こういうことは、いま民間の専門的な人やそういう評論家的な人、そういう人を含めて非常に議論になっているわけです。このボーイング727にそういう他の機種に見られないところの一つの大きな特色というか、欠陥があるのではないか、そのことが機長の当時の判断や、いままでのいろんな事故で繰り返されていることらしいのですけれども、そういうことが結合してこの事故が多くなっているんじゃないかという議論が提示されているのです。この点についてどういうふうにあなたは考えておりますか。
  54. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 御指摘の点も含めて、現在検討を進めていただいておる段階でございます。
  55. 大原亨

    ○大原分科員 これはもう、二カ月の間ですから、四月くらいまでにはやる、こういうことですか。四月くらいまでには結論を出す、こういうことですね。
  56. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 われわれとしてはそういうお願いを申し上げておりますが、調査団としてはいろいろな調査方法を考えて調査を進めていただくということになりますので、期間をここで、調査団ではいつ答えが出るということを申し上げる状態ではございません。
  57. 大原亨

    ○大原分科員 二カ月間にできるだけ早くやってもらいたいという要請も出して、調査団に調査を進めてもらっているということですが、運輸大臣、これはずっと延ばしておいて、わからなかったということをしないで、すみやかに今日の技術あるいは科学、そういうものを総動員して、し得る範囲の原因を徹底的に究明して、できる範囲の——決定的なことについては出ないかもしれません。しかし、おそらくこれは間違いないだろうというふうな点について、私は確信が持てるような、あるいはみんなが納得できるような結論をすみやかに出すようにしてもらいたい。うやむやのうちにずっとこれが延びていって、そしてもみ消されたようなかっこうになって、そしてボーイング727はそのまま続くというふうなことになってはいけない。私どももしばしば代表質問その他で言っておるように、われわれとしては、疑わしきは許さず、疑わしきは使わない、生命に関することだから。そういうことであるから、アメリカでも議会においてそういう議論をしているそうだ。結局原因がわからぬというようなことは、そういう飛行機を使うな、こういう当然の議論が出てくるのですよ、人命を預かっているのですから。ましてや、東京から札幌、東京から大阪というふうに——一時間で九百キロも飛ぶような飛行機なんです。九百キロ以上、千キロも飛ぶのです。それが三十分で行くところを捜査するのでしょう。だったら、はたしてこんなところにジェット機を使う必要があるのかどうかという議論があるのですから、原因がわからなかったならば、そいつは使うに値しない、こういうふうにはっきりと結論を出すべきである。原因が不明のまま、これをのんべんだらりと、メーカーの立場だけで使っていくというようなことは許せない。これはいけない。理屈にも合わないし、国民の常識からも離れておる。もし結論が出ないということならば、これは使わない、こういう方針でいくべきである。はっきりそういう態度を示すべきである。運輸大臣いかがですか。
  58. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 ただいまお願いしております事故原因究明のための技術調査団の学識、経験それから技術に信頼を持ちまして、一日も早く結論を出していただくようにお願いいたしておるところでありまして、いま大原委員が言っておられますように、私らも、一日も早くとの事故の原因がはっきりして、そして何らかの処置をしたいと考えておりますので、調査団の研究調査に信頼を持って一任しておるわけであります。気持ちといたしましてはできるだけ早くということでお願いをしておりますから、いま申されるような点も十分向こうに伝えまして、調査を急いでもらうように取り計らいたいと思っております。
  59. 大原亨

    ○大原分科員 私が言うのはこういうことですよ。二カ月以内にとにかく結論を出してもらいたい、ここだといってばしっとわかるような結論を出さなくても、こういう点が問題だ、それに基づいて改善しなければならないという結論が出ることが一つでしょう。しかも、いままで三回重なった航空事故が四回重なっておるのですから、だれもが納得できるような結論が出なかったならば、ボーイング727は日本においては使わない、こういうはっきりした態度をとってやるべきである、私はそう言っておるのです。原因がわからないものを漫然と、事故が半カ年のうちに三回も四回もあるという飛行機を使うのは、これは許しておるほうの責任である。ほんとうに日本の自主的な立場でやってもらいたい。アメリカでも国会においてそういう議論があるんです。私どもと同じような意見ではないけれども、727はやめるべきだ、こういうことをはっきり言っておるわけですね。いかがですか。その点はっきり答弁してください。
  60. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、事故調査団のお答えの出るのを待って、その時点に立って事をきめてまいりたい、かように思っております。
  61. 大原亨

    ○大原分科員 私はこう言っておるのです。三回も四回も事故を重ねておる、事故の原因がわからないままに、いままでのようにのんべんだらりとした結論が出るのであるならば、わが国としてはボーイング727は使わない、原因がわからないままで事故が重なっておる、こういう事実に基づいて使わない。これは航空会社とは関係なしに、運輸大臣としては国民の命を守る日本の航空行政の立場ではっきり方針を出すべきですよ。いかがですか。その点、私が言ったことについて答弁を願いたい。
  62. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、調査団の調査の結果を待ちまして、国民の信頼にこたえるような処置をしてまいりたい、かように思います。
  63. 大原亨

    ○大原分科員 あなたは私の言っておることに答弁してない。私の言っておることに反対ですか。反対なら反対と言って答弁しなさい。
  64. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、この問題の処置は調査団の調査の結果を待って善処したい、かように申し上げておるのであります。
  65. 大原亨

    ○大原分科員 あなたは答弁といえばそれだけしか言わない。ここに質疑応答で問題を発展させていこうという、そういう見識も責任感もないと私は見ますよ。大臣として航空行政をまかされておる責任感はないと思う。その点について石田総裁に聞いてみてもいいのだけれども、問題外だけれども、石田総裁は新幹線を使ってくれと言われるかもしれないが、これは話は別です。あなたはおかしいですよ。国民の常識に反しておりますよ。原因がわからなかったから、こんなあぶないものは使わないという航空行政をとるといっても、何も不当じゃない。今回だけの責任じゃない。一部では技術士の問題点が出ておるのだから、この点うやむやにしてもらいたくない。この点強く要望しておきます。問題点として一つ指摘しておきます。  それから、念のためにお聞きしておきたいのですが、羽田の飛行場に民間機と軍用機はどのくらいの比率で発着しておりますか。
  66. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 昭和四十年の十月までの集計でございますが、民間機の着陸合計が四万一千六百九十七機でございます。それに対しまして米軍関係が八百八十三機ございます。
  67. 大原亨

    ○大原分科員 それでは次の質問に移ります。  これは海運行政の関係です。海行かばのほうです。これは造船量は世界で日本は四割四分くらいですか、五割近く占めて、世界で一位と、こういうことですね。それから海運のほうも、少しは問題がありましたけれども、これは相当上げ潮になっておるわけですね。やはり日本は海の国ですから、工業立国、貿易立国という点もあることでございます。海運行政の中で、これから数年間に船員というか、技術者というか、これの需要がどういうふうになっていくか。どのくらい船員が求められておるか。今後四、五年間でもいいし、あるいは資料があるだけの範囲で——貨物船の大型化その他相当いろいろな問題等がございまして、専門的な知識を持っておる、経験を持っておる船員が必要であると思うのですが、そういう点で、どういう需要があるだろうか。それからもう一つは、これに対してどのように必要な人員を供給しようとする考えを持っておるのか。こういう二つの点をひとつ質問いたします。
  68. 岡田良一

    ○岡田(良)政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、中期経済計画に基づきまして、七百四十三万トン建造計画というものを現在実施しておるわけでありますが、それに関連いたしまして、船員の養成がどういうふうになっておるかということでございます。この船員の養成と申しますのは、船員は御承知のとおり、職員と部員から成っております。職員のほうは、これは運輸省が行なっております試験を受けまして、それによって船舶職員としての免許を受けた者だけが職員として使われるわけでございます。それから部員のほうは、別にそういう制度がございませんので、いわば中学校なり高等学校を出た者をそのまま会社が使いまして、だんだん訓練をしていくという方法をとることも可能でありますが、職員のほうはやはり試験を受けて免許をとらなければならないということになっておりますので、これの養成計画が一番問題になるかと思います。  そこで、今後中期建造計画によります職員の増加の需要の数を見ますと、四十一年度といたしまして約千名程度、四十二年度といたしまして千三百名程度、四十三年度は千六百名程度というふうに大体想定をしております。
  69. 大原亨

    ○大原分科員 中期経済計画は一応御破算になっているので、新しくやり直しておるんですが、四十三年に中期経済計画が一応終わるわけですから、その中で七百四十三万トンの船腹の増大、その中で船員が千名、千三百名、千六百名と、こういうふうに技術者が要るということであります。そこで質問をできるだけはしょって申し上げるんですが、申し上げたように、大型船舶化する点もあるし、あるいは世界じゅうを回るということもあるでしょうし、量からいっても質からいっても相当高度になっていると思うので、いままでの上級中等教育、これは文部省がやっておるわけですが、いままでの上級中等教育の商船学校、それではやはり教育の期間が短いのではないか。もう少し専門的な教育、大学卒業で充足できない場合においても、専門的な教育——これは評判は、最近入学者その他、あまりよくないらしいんですが、工業専門学校の構想があったらしい。あったのですが、これはどういう観点からか、不景気もあるでしょうが、あまり志望者が、中途はんぽで、ないというのです。しかし船員については、そういう専門的な知識や経験ということからも、私はいまの高等学校程度にこれを引き上げて、五年制というか、そういうほんとうの中堅的な技術者をつくっていく教育が必要になってくるのではないか、こういうふうに考えているわけです。各方面からそういう意見もちょいちょい聞くわけですが、それにつきまして、運輸省はどういうお考えを持っておられるか、運輸大臣の御答弁もほしいし、それから文部省ほどういうお考えでやられるか、お答え願いたい。
  70. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 商船高等学校を高専に昇格する問題につきましては、昭和三十九年の七月に、運輸大臣の諮問機関でございます海技審議会で、これを高等専門学校に昇格して教育内容等も充実をはかるべきであるという答申がなされました。本来この学校は文部省所管でございますので、文部省に対しまして、これをその方向で進めてくれるように強く要請して、いま文部省ではこれを受けまして、省内に高等専門学校の商船高等専門学校の基準等に関する調査の会議を持ちまして検討中でございます。いまそういう状態であります。高等専門学校に昇格していこうという一つの方向で検討中である、こうお考え願いたいと思います。
  71. 木田宏

    ○木田説明員 海技審議会のほうから、船員の養成につきまして、現在の段階よりももう少し充実した教育機関を考えるべきである、端的に申しまして、工業高等専門学校と同様の中堅職員の養成という観点での学校制度を考えるべきだという御意見をちょうだいしております。昨年の春以来でございますが、文部省に関係者の研究会を設けまして、高等専門学校として船員養成を実施いたします場合に、どのような内容、どういう考え方のもとで、現在立てられております面等専門学校という学校制度のワクに出てはめ得るような内容の教育ができるか、船員につきましては、船員としての技術要請もございますので、その教育課程に普通の専門教育の場合と違った御要請がかなりございますので、それをどういうようにして高等専門学校という制度の中に加えて考えていくことができるかどうか、そういう点を中心にいたしまして、現在かなり熱心に御検討をいただいております。現在の段階では、もっぱらその教育課程の組み立て方に関係者の御意見が集中しているわけでございまして、できるだけ早い機会に高等専門学校として取り上げました場合のワク組みというものについての輪郭を得たいと考えている段階でございます。
  72. 大原亨

    ○大原分科員 具体的にこれからどうするというふうなことがありますか。  そのついでに、現在の高等学校、いわゆる中等教育の上級ですね。その程度の、高等学校程度の商船学校の数、それから卒業生の数、それから商船高等学校をつくるとすればどういう規模でつくるか、大体こういうふうにしたほうがいいという、新しい技術やその他の面からの意見もあるようですから、普通教育も大切であるし、一般教育も大切であるし、それに技術を加えていくということにおいて、これは最も五年制にふさわしいのではないか、こういう議論があるので、その点についてもう少し詳しく聞きたい。
  73. 木田宏

    ○木田説明員 現在船員養成の学校といたしましては、御案内のように、東京と神戸に商船大学がございまして、定員としては、そこから、合わせまして約三百二十名の学生が毎年出ているということになっております。なおまた、いま御指摘のございましたような商船高等学校が国立で五校ございまして、それから、合わせまして約四百名の生徒が毎年卒業してくるという段階になっております。  ただいま私どものほうでいたしております段階は、高等専門学校として船舶職員の養成を考えました場合に、どういう性格の内容を盛ったものが考え得るか、その教育方法がどのようにできるか。また、一面から考えますならば、制度論として、特殊な養成形態をとっております船員養成につきまして、高等専門学校という教育制度のワクがどのように運営され得るかという制度論を中心に考えております。また、その場合には、高等学校程度の卒業生をもってしては外航船の乗り組み員の資格として十分でないという御意見もございますので、その外航船の乗り組み員として基幹たる職員の養成課程というものをどのように充実し得るかということを考えておるわけでございます。一応当初からの問題の経緯といたしましては、商船高等学校の格上げという現実の御要請もあるわけでございますが、現在は、その教育論といたしまして、学校制度論としてどういう位置づけができるかということの研究をいたしていただいております。手順といたしましては、それをもとにして、高等専門学校制度は現在工業に関するものだけというふうに現行法で示されておるわけでございますが、工業以外の分野におきましても、その高等専門学校の制度というものが制度としてりっぱに成り立ち得るかどうかという問題を、まず第一段階としてけじめをつけていきたい。その上で、これからの将来計画として、主としてやはり外航船の乗り組み員ということになろうかと思いますけれども、その将来の数の問題等々を勘案いたしまして、つくるべき高等専門学校が幾つであるかといったような問題に、次の段階としてその課題を取り上げることになろうかと思います。したがいまして、現在では何校つくるかというようなところまで検討は進んでおりませんで、現行の教育制度のワクの中でどのような形で船員養成の高等専門学校を設け得るかという点をもっぱら中心に検討いたしておる段階でございます。
  74. 大原亨

    ○大原分科員 中期経済計画の中での需要ということで、四十一年千名、千三百名、千六百名と、こういうふうに四十三年までありましたが、これは内航、外航もあるでしょうから、これは内容は分析しなければわかりませんが、現状では、船員養成というものは、大学を含めまして、いま日本の将来を考える際には、きわめて不足をしておるのではないだろうか、こういうふうに思うわけです。だから、そういう点についての考え方を運輸省も文部省も十分検討していただいて、すみやかに、それについての需要に応ずるような、そういう時代に適応するような方針を出していかれるべきではないか。ひとつ、いまの点と、具体的にはいつごろを目途に諮問をし、結論を出し、実行に移すということに相なるのか、こういう点について具体的にお答えを願いたい。
  75. 木田宏

    ○木田説明員 当初は年度内に一応制度論上のめどをつけたいということで、委員の方にも週に一回、場合によりますと週に二度もお願いをするようなことで一時は御研究を急いでいただいたのでございますが、教育課程の組み方につきまして、いろいろな御要請もあり、関係者の意見もまだ最終的に固まる段階にきておりません。いまの状態で進んでまいりますと、大体四月末見当に、教育内容の面におきましての一応のめどを伺い得るのではないかというふうに私ども思っておるわけでございます。その他の点につきましては、またそれから漸を追いまして、私どもも事務側ベースに乗っけるように考えてまいりたいと思っておる次第であります。
  76. 大原亨

    ○大原分科員 四十年度、四十一年度を準備段階とし、四十二年度ぐらいを実施の手がかりの目標にするような方向でいく、こういうように理解してよろしいですか。
  77. 木田宏

    ○木田説明員 その問題は関係の多くの方からたいへん熱心に御要望をいただいておりますので、私どももできるだけ精一ぱい急いで考えなければならぬ課題だというふうに考えておるわけであります。
  78. 大原亨

    ○大原分科員 運輸大臣、運輸行政の面から、この点を熱意をもってお進めいただく、こういうことは閣議やあるいは大蔵省、行管その他についてもお考えになる——あなたはいつまでも運輸大臣をやっておられるかわからぬですけれども、それは別にいたしまして、こういう点についてあなたの御決意のほどをひとつ……。
  79. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 この問題は日本の海運のために非常に重大な問題であるし、しかも急ぐ問題でございますので、文部当局あるいは大蔵省等とも折衝を急ぎまして、できるだけ早い機会にそういう設備を整えていきたい、こういうことで最善の努力をしてまいりたいと考えております。
  80. 大原亨

    ○大原分科員 次の問題は、行政事務の再配分の問題です。  一つは、臨時行政調査会とかいろんなところで議論になっておることで、中途半ぱな行政は全部地方へおろせ、臨時行政調査会、こういう十ぱ一からげの議論をしておられますね。私は、その議論は原則としていいわけですけれども、しかし、いまの地方自治体の実情その他を考えなければいかないということが一つです。  前に国会でその一つとして問題になっておるのは、地方事務官たる国家公務員の身分、監督の一元化の問題であります。私ども議論をした中では、たとえば東京都で保険の汚職事件があったのです。つまり、同じところで東京都の吏員と地方事務官たる国家公務員とが机を並べておりまして、地方公務員たる吏員が課長で、部長でという体制の中で、給与も違う。給与が違うものだから東京都が差額を出していく、こういうふうなこと。それから、地方によってはそれを全然出さないで、給与体系も違うし、そういう監督の筋も違う、こういうことでごたごたしておる。そのすき間に、責任分野が明確にならぬで、汚職事件が東京都の保険官僚の中にあったわけであります。そのときには、一元化の問題で私どもはきびしく政府に対しまして、改善を要求したわけです。これは各方面からいろいろな意見が出ておるわけです。これらの問題で、同じデスク、部屋の中で仕事をしていて、そうして身分や監督その他のそういう関係も全部、行政事務の関係についても違うということは、これはおかしいのであります。  しかし私は、きょうは運輸省の関係ですから、陸運局その他陸運事務所の問題ですけれども、陸運事務所というのは、地方事務官たる国家公務員が仕事をしているわけですね。一元化するのはどっちへ一元化したらいいかという問題がある。私は、どっちにしても一元化すべきだと思うのです。できるだけ地方自治体が持つということがいい。しかし、行政の質によってやはりこれは考えていかなければならぬ。機械的に考えてはいけない、こういうふうに思うわけです。行管のほうで御答弁いただく前に、いまの陸運事務所というのは、県知事との関係は仕事の上においてどういう関係なんですか。身分は国家公務員です。仕事上も陸運局長の指揮下にあるわけです。知事との関係はどうですか。これは政府委員でいいですよ。
  81. 坪井為次

    ○坪井政府委員 陸運事務所は府県知事の監督のもとに置かれておりまして、所属しておりますが、職員につきましては、国家公務員であり、また所要の経費等はすべて運輸省でまかなっておる、こういう変則的なかっこうになっております。
  82. 大原亨

    ○大原分科員 昔任官職員がありましたけれども、身分は国家公務員で、知事が委嘱しておるのですか、知事は具体的な仕事ではどういう関係を持っているのですか。
  83. 坪井為次

    ○坪井政府委員 事実上、職務に関して指揮監督をしておるわけですが、形だけでございまして、大臣がすべて任命権を有しておりますので、実質的には国家公務員である、仕事の上だけ、形の上で県知事の指揮を受けるという形になっております。
  84. 大原亨

    ○大原分科員 それでこれは判こだけ持っているのですかね。県知事の判こだけ持って、別に知事とは関係なしに判こを押してやる。そこでそのことは早晩、臨時行政調査会の結論がなくても、私どもは整理しなければならぬと思うのです。そこで私が調べた範囲では、それは全然ないですね、東京都の地方事務官たる保険事務官のような、給料の差額をもらって同じところで仕事をしているのは。全然仕事の性質も別だし、全然関係なしに、これは陸運局の系列下で仕事をしておる、こういう実情ですね。ですから、この問題は議論すればいろいろ時間もかかるわけですが、その点は私は運輸省としても態度を明確にすべきではないかと思うのです。また、運輸省の考えに対して、行政管理庁は大体どういうお考えを持っておられるか。これは私はやはり仕事の内容に即して、臨調のように十ぱ一からげの答申でなしに、具体的に、私が申し上げましたことが行政事務の円滑な推進と効率的な運営をはかる上において必要だろう、こう思うのでありますが、運輸省のほうから先に御意見を伺いたい。
  85. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は運輸行政と地方におきます陸運局との関連を考えますときに、仕事の内容あるいは仕事の性質から考えまして、名実ともに運輸省の出先機関としての形で整理すべきである、そういう考えを持っておりまして、行管あるいは自治省とも関連がございますので、話し合いを進めて、そういう線で明確にしていきたい。かように考えております。
  86. 井原敏之

    ○井原政府委員 臨調が行政事務の再配分という観点で、いま御指摘の問題を検討いたしまして、行政事務再配分に関する勧告のくだりの「地方事務官制度等の改善」というところで問題を提起しておるわけであります。ただ私ども承知しておりますところでは、臨時行政調査会は地方自治の尊重ということを非常に強くうたっております。もう一点は、企画事務と実施事務というふうに行政事務を一応分けて考えまして、実施事務については、全国的な地域性を持っているようなものは別といたしまして、なるべく地方におろして現地で処理するのが国民のための行政であろう、こういう原則を立てたわけでございます。  そこで事務の再配分をいたしまして、特にいま御指摘の問題の点は、地方事務官制度の問題でありますが、これは御承知のように地方自治法附則八条で「当分の間」と書いてありまして、その「当分の間」が今日に及んでおる。機関委任事務の処理につきまして、こういう体制というのははなはだ異例である、こういうことを臨調は言っておるわけでございます。そこでこの異例の関係ははっきりさせるべきだということで運輸、労働、厚生についてのそれぞれの地方事務官について検討しろという提案をしておるわけでありますが、ただいまこの勧告につきまして、行政管理庁といたしましては調査を開始しておる段階でございます。こういう考え方を具体化させるにつきましては、臨調の勧告を尊重するという政府のたてまえがございますので、これを具体化させるについて事務的にどういう問題が起こるであろうかということを、せっかく調査をいたしておる段階でございます。
  87. 大原亨

    ○大原分科員 この歴史的な経過をちょっと調査してみましたら、行政民主化の原則に従って、警察の取り締まりと分けたわけです。自動車輸送の管理行政と自動車の登録や検査業務については分化させたのです。これも一つの民主化の原則だったのです。警察の取り締まり行政と分けてやる。これはいま、自動車の事故で罰金をたくさんとっているが、それは何が目的だということでいろいろ議論があるわけですが、これは別にいたしまして、分けたわけです。スピード化する時代だし、自動車もふえている、広域化する時代であるので、私の意見は、一元化するということはいいと思うのです。しかし一元化する方向としては、行政事務の内容によってきめるべきである。運輸行政などという行政事務のほうは——地方事務官たる厚生関係、保険、職安、そういう労働関係等と、いままでいろいろ議論した中では、この議論は別の議論を持っておりますが、陸運行政については、自治体にやりましても、自治体ごとにセクト的になったり連絡がとれなかったり、そのために中央陳情になったり、あるいはいろいろなところに支障があったり、いろいろなところで、陳情政治その他から見てみましても、そういうことは陸運行政の中で一貫してやるのがいいのじゃないか、私はいままでの議論を通じてこう考えておるわけです。もとのように警察でひっくくってぴしっとやるという考えではいけない。特に地方自治体のボスの介入等の問題もあるわけですからね。だから、私はそういう意見を持っているわけです。地方事務官だということで、いまのような知事の判こだけ持っおって、何も関係なしに知事の判こをどんどん押しておいて、知事は実質上その職務を遂行していない、少なくともこういう形は一つの無責任体制だと思うのです。だからこれは一元化して、陸運行政の中でやるということのほうがいいのじゃないかと思う。特に自動車等がものすごいスピードでふえていっているわけです。そこでいまのスタッフではこれを消化しきれないというのが実情ですよ。そういう実情等々を考えてみまして、この行政事務の内容については、トラックの問題とかいろいろな問題が議論されておりますが、これは別にいたしまして、事務の一元化という方向では、やはり国家公務員なら国家公務員にして、広域行政として、つまり警察行政と分化させるという方向で明確化したほうがよろしいのではないかと私は思うのですが、行政管理局長は、私の意見につきまして、いま調査の段階でどういう考えを持っておられますか。
  88. 井原敏之

    ○井原政府委員 先刻お答えを申し上げましたように調査の段階でございますし、政府全体といたしましては臨調の意見を尊重するというたてまえを立てております。したがって、この臨調の提案したくだりを、初めから問題ありという精神をもって臨むというわけにまいりません。臨調は、機関委任事務の遂行を地方事務官制度という形でやることは異例である、こうはっきり言い切っております。それを尊重するというたてまえで調査を始めておりますので、いま私がこの段階で三つの省にわたる地方事務官について、陸運関係はやや異例の要素を持っているとかなんとかいうことをかれこれ私見を申し上げることは、ちょっとはばかられるわけでございます。  なお、調査を遂行しております監察局長も参っておりますので、私は全体のそういう事務の配分というような問題の観点で、臨調の経過等を含めてお答えをしたわけでありますけれども、場合によっては、監察の現段階について必要があればお答えをさせていただきたいと思います。
  89. 稲木進

    ○稲木政府委員 陸運事務所の関係の問題についていろいろ御意見を拝聴したのですが、地方事務官制度の問題につきましては、先ほど管理局長から申し上げましたように、臨調の答申の中でいろいろ政府として取り上げるべき事項があるわけでありますけれども、行政管理庁にできました監理委員会のほうの意向もありまして、この問題について政府として今後どう持っていくかということについて至急検討したい、こういうこともありましたので、その地方事務官制度の問題について行政管理庁として調査を始めたのであります。調査を始めますのには、こういう現行のような制度について問題になっているということをいろいろ問題として取り上げられるということでは、やはり現行制度についての不備欠陥といいますか、そういう問題もあるということが一応観念的には考えられると思います。しかし現行の制度を、たとえば臨調が言っているように改めるということにした場合において、しからばどうなるか、そういう場合の具体的な問題点もいろいろあると思います。そういう意味合いにおきましてわれわれとしてはそうした問題を研究したい、こういう意味で調査をしておるわけであります。
  90. 大原亨

    ○大原分科員 その点は、いまのままで不合理を温存したってしようがないし、原則的な包括的なそういう意見については、自治体へできるだけ還元するということもそうです。しかしいま三割自治といわれておる実情で、中央へ陳情せい、陳情せいということにならなければいかぬときに、そういう行政の民主化の線できたものに対して、広域行政の問題が議論になっているので、私は結論を早く出せばできると思うのです。その点を一元的にやっていくという方針で、実情に即して言っている。これは多くの人の議論です。それはぴしっとやったほうがいい。ほかの問題はそれぞれ事務の量と質に従ってやっていくということでよろしいと思うのです。運輸大臣、あなたは主管大臣ですが、仕事が一ぱいあるから何だけれども、いまの点いかがですか。
  91. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は運輸行政をやってみての経験から申しましても、運輸行政はやはり原則的な総合的な計画の上に乗って、しかも都道府県を越えた広域政策というようなものが多分に考えられなければ、日本の交通行政の円滑化ははかられない、こういう見解を持ちますので、先ほども申しましたように、運輸省の出先機関として名実ともに整備した形に持っていきたい、かように考えて、行管その他自治省等と協議をいたしまして、その方向で一日も早くこれを実現さしていきたい、かように考えて努力中であります。
  92. 大原亨

    ○大原分科員 私の所定の時間が二十三秒くらい余っておりますから、以上で終わりますが、いまの点は運輸大臣、あなたの具体的な答弁はそれだけしかないのですが、それをひとつ早くやって自動車、トラックはものすごくふえておるわけですよ。だからそれに適応できるような事務体制をとっていって、そうして警察の取り締まり行政と民主的な運輸行政とのけじめをぴしっとつけて、ボス的な介入を排除しながら広域行政を進めていくことが必要ではないか、こういう私の希望を申し述べまして私の質問を終わります。
  93. 荒木萬壽夫

  94. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 私は当面するきょうの問題だけひとつ大臣にお尋ねしたいのですが、きょうからニューヨークで開かれている太平洋運賃会議がありますね、日米航空機の料金問題。このお尋ねに入る前に一言申し上げておきたいのですが、日米航空協定があれだけ国会で問題にたりまして、前の松浦運輸大臣の際にも、この不平等を是正するために、手段として廃棄やむなしという強硬な態度でアメリカ側と折衝した。運輸委員会の与野党の委員が議員外交ということでアメリカに乗り込んだ。そうしてアメリカの新聞もたいへん好評の中で、この日米航空協定が締結されたわけですが、その際運輸委員会の議論の最も大きな点は、形だけもらっても実体の伴わないことは中村運輸大臣かんべんしてくださいよということを、与野党の議員が口をすっぱくして申し上げたつもりです。内容の伴わないものは何かというと、ニューヨーク・ビヨンドだけ紙の上でもらったが、大圏を通行する飛行機がマイル計算をやられたり、料金政策でダウンが出てきたりしたのでは、日本航空は何としても伸び切らない、この点大臣として十分な配慮を願う、そのため大臣の行動が行き過ぎになっても、それは国会としてあなたを保護するであろう、こういう意見が総じて出ておったのですが、協定が締結して間もなく、具体的にこの日米航空料金のエコノミスト一五%ダウンということがアメリカ側から提案されてきた、この事実について大臣はどうお考えですか。まず、この当面しております問題に対する大臣の考え方を明らかにしてほしいと思います。
  95. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は運賃の問題は、経済情勢等によってときどき変わるということもあり得ると思いますが、現在やっております日本航空経営に危殆を生ずるような運賃改定には賛成をしない、そういうことは実現しないようにやっていく方向を考えたいと思っております。
  96. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 大臣、この前からの議論がございますが、アメリカではとにかく飛行機は余って困っておるわけだね。そういうことで、太平洋路線における強硬な姿勢をとって、太平洋上における航空人口を掌握しようという動きがあることは明らかにされておるわけですけれども、この航空協定の際にこの点についてもきっちりしたくさびを打ってもらう、あるいは羽田から軍用機の帰りに、マッツで半額以下で宣教師や学生を出すということはとめてもらう、こういう話も出したのですが、そういう話は協定上はっきりしておりますか。
  97. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 政府委員からお答えさせます。
  98. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 お尋ねの点でございますが、泊谷委員御承知のように、運賃の問題について米国が航空協定に関連して何らかの取りきめをしたいという意思を持っておったことは事実でございますが、結局それは何らの取りきめをしないということに航空協定改定の際に結論になったわけでございます。  それからもう一つ、いわゆるマッツ輸送の問題でございますが、これについても何らか有利な取りきめをしたいという考え方が米側にあったようでございますが、これについても前回の航空協定交渉においては何らの取りきめをいたしません。つまりこの二点については、米側が会議の議題から取り下げたということでございます。
  99. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 この運賃協定の関係については、シカゴ条約できっちりしていますね。シカゴ条約で取りきめがされまして、国際航空運送協会でこれが調整されるわけでありますが、新聞によりますと、きょうから日航の人が入って具体的な運賃調整会議に入っておるのですが、何か運輸省として日航から派遣されるのに指示を与えましたか。
  100. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 これは泊谷委員御指摘のように、やはりIATAの太平洋関係の小委員会がございまして、それについてわが方から特に運賃についてああしろこうしろという指示は与えておりません。
  101. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 この会議が終わったら必ず当該政府がこれに対して態度を示さなければなりませんね、間違いありませんね。
  102. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 この会議の結果、かりに運賃の改定というような問題が起これば、当然政府に対して認可申請が出てくるわけでございます。
  103. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 佐藤航空局長、この会議運賃改定という問題が起こればとなっていますが、ほとんどの新聞がこれを一斉に書き立てていますね。運賃の問題で会議が持たれたのでしょう。間違いですか。
  104. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 お話のとおりでございます。
  105. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 そうしますとこの条約、協定からいきまして、まず最初は航空企業の人々が集まって運賃の調整をやりますね。最終的には当事者の国の責任者がこれに対して意思表示することになっておるのだが、誤りありませんねと尋ねておるのですが、どうですか。
  106. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 さようでございます。
  107. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 運輸大臣、その場合あなたはどういう態度をおとりになりますか。
  108. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 日本の航空企業の経営を健全な形で行なうことのできるように処置をしたいと考えます。
  109. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 中村さん、健全なということばにしないでください。私のお尋ねしたいのは、私は一五%でも下がるというと——一般的には料金が安くなるということは好ましいことだと思う、だが、日本の航空行政をながめれば、異常な問題でしょう。太刀打ちできない企業とぶつかり合うということだ。それが国際的に保護されておるものについて、日航の折衝過程は過程として、あなたが最終的にこれに対する態度をどうとられるかということをお示しいただきたい。こういうことです。
  110. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は日航の経営が成り立つような線で処置してまいりたい、こう思います。
  111. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 それはダウンする場合もあり得るということですか、それとも、現状では日航は運賃をダウンされては企業が持たないからこれには同意できないという、後段のほうを意味するのですか、どちらですか。
  112. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 日航の経営の健全性を保持していくという立場でございます。
  113. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 運輸委員会でも大臣にはずいぶん苦情を申し上げたので再度という気があって、私自身心苦しいのですが、前の松浦大臣のようにわかりやすく聞かしてもらえませんか。私は一五%下げよう——アメリカ側は機材が豊富でどうにもならないのだから、太平洋上における市場を握ろうというのは、あなたもこの前の委員会でそうだと思うと言っていたが、現実に一五%下げたいと出てきている。日航の皆さんに運輸省から直接ものは言ってない、それはわかった。だけれども、そのあと当事者の国が意思表示する場合に、あなたは現状において一五%下げることは無理だ、こう考えているかどうか。無理だと考えているならば、その態度を明らかにしてもらえますか、こう聞いているのです。
  114. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 航空局長から答えさせます。
  115. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 ちょっと大臣からお答えする前に、今回の会議についてもう少し詳しく申し上げたほうがよろしいのではないかと思います。  今度の会議につきましては……
  116. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 時間がないから結論だけ聞きたいのです。あとは運輸委員会でじっくりやらしてもらいますから。
  117. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 要するに一五%みんなが下げるという約束をするのじゃなくて、一部そういう案があって、そういう問題を中心にして検討するということで、必らずしも一五%案がこの会議においてきまるというふうにわれわれ考えておりませんし、またきまった案について、大臣から申し上げておりますように、日航の経営状態あるいは全体の収支その他の観点からさらに政府として検討するという立場にあるということを申し上げているわけでございます。
  118. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 必ずしも一五%下がるとは思ってない、一五という数字はわかりました、一〇であるか五であるかということに数字で逃げ場があるようですけれども、じゃあなた方は日航に——これは全会一致でなければきまりませんね、日航には、このダウンに同意したら絶対にうまくないぞというような指導でもされたんですか。
  119. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 先生御指摘のように、経営上の立場あるいは競争上の立場は日航は十分承知しておりますので、われわれは特にそれに対して具体的な指示を与えていないということでございます。
  120. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 いやぼくは、日航は本来は胸を張って、ここは困る、こう言ってほしいと思うところですが、機材の世話を受けたりその他のため——もちろん立場が違いますから、アメリカから機材を買わなくたって、イギリスだって何だって余って困っているんだが、日本の国内航空はどうしても現実の問題としてそれには弱い。ここら辺のくさびになってやるのには、せっかく国際間で認められており、条約で保護されておるから、日本政府としていま一五%落とされるということは好ましくないという態度を出すことが、日本の航空行政を支援する姿勢だと思うのです。なぜかというと、あなた方は中期経済計画はほごにされましたけれども、道路に四兆一千億の金をつぎ込み、国鉄に二兆九千七百二十億、港湾に六千五百億の金をつぎ込んでおるけれども、航空行政に対してはびた一文も出してないでしょう。国は本来航空企業の保護策を立ててやらなければならぬのに何もやらないで、相手から攻撃を受けたものに対してさえやるものをやらぬというのは、これはどういうのですか。私はこの際政治家らしく、もう少しぴしっとものを言ってもらいたいと思う。航空局長が詳しいのはわかってます。だが、あなたは日米、日ソ、そして今度の727で忙殺されておるので、これは外務省もありますけれども、中村寅太さん、あなたの仕事でなければならぬ、これは運輸大臣として姿勢をきっちりするという態度をこの委員会で明らかにしてほしい、こう思います。
  121. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は日本航空経営の健実さを守るということにつきましては万全の処置をとりたい、かように考えておりまして、運賃等の問題につきましても、下げるということによって日本航空経営が危機に瀕するということがあれば、これは下げることは承知しないという処置をとるということでございます。
  122. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 現状においては、日航の経理事情から見て下げるということは承知しないというふうに受け取りました。それに誤りがあるなら修正してもらってけっこうですが、そう私が受け取るのは大体間違いなかろう。であれば、中村さんの立場として、運輸大臣として、このことをアメリカ側にわかるように何らかの談話発表なり意思表示をするという用意がありますか。
  123. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は航空企業を、日航の経営自体を健全にしていくという気持ちは十分持っておりますので、日航自体が協議をいたして結論を出す、かように信じておりますから、いまの段階で大臣として尻押しすることはない、かように考えております。
  124. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 できるだけ意見交換になることを避けないと思うのですが、大臣、私のほうから感じますと、そこが中村さんのおもしろくないところなんです。あなたは事務担当官じゃない。なかなかさわりのよい答弁をされまして、間違いはないですよ、だけれども運輸大臣なんでしょう。国際線は、すべてのいままでの航空答申を見ましても、運輸委員会の議論を聞きましても、ほかの国の国際線に対する国のてこ入れ、助成というものはほとんど九割方やっているでしょう、まるまる持っているところもありますが、いまの日本政府は日航にそれだけの応援体制をとっていないでしょう。今度はニューヨーク・ビヨンドを得て世界一周路線を取ろうとすれば、当然各国と同じように赤字覚悟でその中に突っ込んでいかなければならぬでしょう。現状飛んでおります飛行機が、向こうの都合で運賃をダンピングされるということになりますと、まずそれを防ぐのが筋ではないですか。出すものも出さないでおいて日航の経営健全化なんて、あなた方大それたこと言えますか。世間並みのこともしないでおいて。とにかく火の粉かぶったものだけでも消すという気魄があっていいんじゃないですか、その点どうですか。
  125. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は日航自体が自主的にこの問題は解決し得るものであると、かように信じております。もしも日航自体の力で解決し得ない場合には、私の立場で協力していくということはあり得ると思いますけれども、現段階では日航自体の立場で処理して目的は達し得るものである、かように考えております。
  126. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 大臣、くどいようですが、それじゃ、日航がかりに、いろいろ事情があって一五というものが一〇なり五ということで押し切られそうになったという場合には大臣として、日本政府としてそれは好ましくないという意思表示をしてくれるというふうに理解していいですか。
  127. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、新たな事態が起こりました場合は、その事態の時点に立って態度をきめていきたい。現在では、先ほども申しますように、日航自体に一切をまかせておいてよろしい、私はかように考えております。
  128. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 その日航にまかせるというのは、日航自体でこれを阻止できるとお考えなのかどうか。きょうはこの一題だけにしぼってお尋ねしますと言ったから私は申し上げないのですが、かりにいまここでアメリカ側の要請にこたえたとすれば、次は北極回りのマイル計算ですよ。SSTができるでしょう。うちのほうも五機買うことにいたしましたけれども、パイロットの養成だって何だって現実にやってないでしょう。次の問題として今度は北極回りのマイル計算が出されてくるでしょう。なしくずしにされますから、ここは大きな問題だから、最も大きなとびらを持っております政府として、どうしても私どもの事情も聞いてくれなければ航空協定の取り扱いについても考えなければならぬというような切り札を使えるのは、あなた方しかないでしょう。それをやっていただけないのですかと、ぼくは聞いているのです。日航独自でそれは阻止できるという解釈ですか。それなら泊谷の心配していることはない、日航が断固がんばって、全会一致だから、一〇%も一五%もダウンすることはないからおまえ心配するなというなら、それでもいいです。どちらなんです。
  129. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は日航自体がこの問題に対処して必ず善処するということを信頼いたしておりますが、もしも日航自体の力でどうにもならぬというような事態が起こりました場合には、その時点に立って政府の態度をきめてまいりたい、善処してまいりたい、かように考えておるわけであります。
  130. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 どうも中村さんとやっていると、同じところをぐるぐると回されて、こっちが疲れてしまうのですけれども、現状においては日航であろうと政府であろうと、とにかく下げることは好ましくないですね。政府の考え方はどうなんですか。
  131. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 料金の問題につきましては、経営の全般を握っております日航を私は信頼をして、日航の対処に期待をしておる。先ほど申しますように、日航の力が及ばぬような場合には、さらに日航とよく相談をして日航の健全性をこわさないように対処していきたい、こういうことでございます。
  132. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 同じようなことを尋ねてもそれしか出ないのかもしれませんが、あなたの言う健全経営というのは私は全然いただけない話なんです。この間から全日空の727があれだけ政治的な問題になっています。航空企業の再編成の問題もあります。どこの国を見たって国内線の利潤をもって国際線の赤字を埋めさせて国営金業だなんてふんばっているところは一国もありませんよ。不吉な話ですが、かりにいま国内航空で880か何かつまずきがあってごらんなさい。国内航空なんか再起不能でしょう。適正な経営単位も与えられない。だから必然的に、日航はあげて国際線に出して、赤字は国で助成しようという筋が数多い答申の骨でしょう。政府として金も十分に出し得ない。相手のアメリカのほうはどんどん力で押してくる。幸いにシカゴ航空条約があって、これは両方同じ条件でなければ世界的にお互いの相互乗り入ればとめられるのです。その切り札があるのに、何でアメリカだけにこんなに憶病になるのか。ソビエトのほうはシベリア上空の通過だ。ぼくらも確かに協力しました。ウラジオ−新潟路線というのは、ぼくらの党の書記長が行ってきめてきたのを、運輸委員会が反対して、これはきめないであなた方のほうに賛成しました。片一方ではそれだけ強いことを要求して、アメリカのほうには何でそんなに憶病にびくびくしなければならないのですか。あなたが、こうこうで日航は経営がもつ、どう運賃が改定になっても経営がもっと言うなら、その具体的な理由を説明してください。できないでしょう。できないから、当面運賃の値下げというものについては、日本の政府としては困りますということぐらいは言いなさいと言うのですよ。それは言えないのですか。
  133. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、日航の健全な経営というものは、日航の責任者がちゃんと責任を持ってやっておると思います。その日航の立場に立って運賃改定の問題に対処するのでございますから、日航はどこまでもみずからの健全性を保持していくことにつとめるであろうと信頼しております。そこで日航の力が及ばないときには政府の持っている力でこれをカバーしていくというのが筋だと私は思います。現段階では日航を信頼いたしまして、日航がこの問題に対処をしておるのを期待しておるということでございます。
  134. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 これでおしまいにします。それでは中村さん、日航が押されそうになったときには、大臣としては、それは好ましくないということはお考えなんだろうから、そのときには意思発動していただけるというふうに理解したいのですが、よろしいですか。
  135. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 それは、私が先ほど申し上げておるのはそういう意味でございます。
  136. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 わかりました。
  137. 荒木萬壽夫

  138. 肥田次郎

    肥田分科員 私はまず、一つの質問は、運輸省の方針として、都心における交通緩和の対策として、大体対象は地方鉄道、いわゆる私鉄を中心にこれを高架化する、こういうことでもうすでに、おそらく四年くらいだと思いますが、綾部大臣、それから松浦大臣、そしてこのたびというふうに、これが予算の獲得の要求をされました。ところがそのたびにこれが流れてしまっているのです。少なくとも運輸省が四年も引き続いて都市鉄道の高架公団、これは運輸省の名称ですが、都心に乗り入れているところの鉄道の高架化を目ざす、あるいは必要に応じては地下化を目ざす、これら事業団的性格のものに対する予算を要求せられたにもかかわらず、どうしてこれが四年間も実現をしないのか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。  私が問題をしぼってお伺いをしておるのは、今日交通問題というものはきわめて重大な問題となって、政府でそのとおりに認識されておるにもかかわらず、これがいささかも政策としてあらわれてこない。なるほど運輸省というものは交通万般に対する責任を持っておるようだけれども、実は運輸省のやっておるのはそういう大きな国家的見地からの仕事ではなしに、ただ運輸行政上の免許とか監督とか、こういうものだけをやっておるのじゃないか。そういうことで予算が獲得できないのじゃないか、こういう不信感というものもあるわけですが、この点に対して簡単でよろしいからひとつ経過を御説明いただきたいと思います。
  139. 堀武夫

    ○堀政府委員 高架公団につきましては、先生のおっしゃるように三年か四年予算要求をいたしておりますが、なかなか実現の運びに至らないのでございます。どうしてなかなか実現ができないのかという点を考えて見ますと、一つは高架化ということに非常に膨大な資金がかかるわけでございます。これは道路側と鉄道側と両方分担することにせざるを得ないわけでありますが、道路側につきましてはすでに道路予算というものは長期計画で四兆一千億の予算が絡まれております。その中にはこういう高架化というものをあまり予想してなかった。そのために道路からの金の分担ということがすぐにはなかなか困難である。計画を組みかえなければならぬからという問題が一つあります。  もう一つは、公団をつくるという組織の問題がありまして、行政管理庁その他臨時行政調査会等、国のそういう機関をふやすということに対して非常に強い反対的な態度があるわけでございます。その面からも、ことしのごときは一切公団はまかりならぬという強い政府の方針があったわけでありまして、こういう面からもなかなか実現が困難だ。大体こういう二つの面からなかなか実現でがきなかった、こういう経過でございます。
  140. 肥田次郎

    肥田分科員 私もこの事業を目的にするいわゆる建設公団といいますか、あるいは事業団というか、そういう名称は、これは問題ないと思うのです。いわゆる大都市に乗り入れておる地方鉄道の高架化あるいは地下化という問題を政府としてどういうふうに認識されておるか、問題は私はここにあると思うのです。踏切道整備をされても、これは事故防止あるいは若干の交通整理の目的は達することはできるでしょうけれども、しかし本来の目的であるところの輸送緩和、これには何ら寄与するところはないと私は思うのです。ですから、少々費用がかかろうとも高架にするか、あるいは地下にするか、それ以外に路面におけるところの交通緩和というものに対する対策というものは立てられないだろう、こう思うのです。政府のほうで、省議として決定せられてからすでに四年以上にもなるのに、それが助成策なら助成策としてあらわれてくるとか、いずれかにはっきりしなければいかぬと私は思うのです。ことしはたまたま総理の考え方で、公団というものは一切押えられるというようなこともありました。私は公団だとかあるいは事業団とかいうようなものに対する論議はしようとは思っていないのです。要は交通緩和ということを問題として、交通政策上どのような方針をこれからとろうとせられるのか。公団として予算がとれなければ、具体的に高架化する、あるいは地下化するところの融資対策、こういうものを講じられればいいと私は思うのです。たとえば地方鉄道はもう確かに分担その他について問題があると思います。ですからそれぞれが計画しています。これはもう運輸省は頼むに足らずということではないでしょうが、いつまで運輸省を待っておってもとても企業体が考えるような案は出してくれないだろう、そのうちにますます困難になってくる、電車そのものの運行に支障を来たしてくる、こういうことから結局は自己資本でやらざるを得ない。こういうことになってきておる。結局それは運賃値上げだとかなんとかいう面に転嫁されてきますね。私は政府の態度というものは、そういう意味では無責任だと思うのです。だから、公団の実現ということが政府の方針としてだめだということになるなら、民営なら民営でやらせるような、できるような方策というものを考えてやるべきものではないか。これが私は運輸政策、交通政策だと思うのです。運輸省がただ単に監督やそれから免許の事務だけを取り扱っているというようなそういう状態ではないと思います。そういうふうに転換されるのかどうか。具体的にこの高架化あるいは地下化ができるような財政措置というものを政府として積極的に考えてやろうということになるのか、ひとつはっきりした考え方を、もうたしか四年経過しておると思いますから、聞かしてもらいたいと思います。
  141. 堀武夫

    ○堀政府委員 立体交差につきましては、従来踏切道改良促進法によりまして指定をして、開銀の融資等によってこれをやってきておるわけでありますが、いまや大都市周辺においては立体交差化だけではもうとても追っつかない。したがって、ずっと高架でもって持ってくるというのが一番いい方法であることは明らかでありまして、今後は新線をつくるときは、もう全部高架でなければほとんど認めないというふうに持っていくより方法がないと思います。そしてすでにある既設線につきまして、これから高架化するということはおそらく一キロ二十億以上都市周辺においてはかかる。ところが高架化することそれ自体によっては運賃の増収がないわけでありまして、したがって、鉄道事業者の負担において高架を全部やらせるということは非常に困難であります。そこで何とか国の資金を入れて、そして民間資金も導入してそれを達成する方法はないかというので考え出したのが高架公団の方式でございます。それで、この高架化によって一番大きなメリットがあるのは路面交通、道路側の交通の渋滞がこれでもって省けるというところにあるわけでありまして、この資金分担をどういうふうにやるかという段になりますと、われわれといたしましては道路のほうにやはり相当この資金の分担をお願いしなければならぬ、かように思っておるわけであります。ところが道路管理者側のいろいろな資金の状態、財政状態、あるいは道路計画に組まれておるそういうものの予算という観点に立ちますと、ことしも要求したのでありますが、建設省その他の話し合いがつきにくかった、こういうことでございまして、これは今後さらにこの方向で何とか——新しい公団がいけないというなら、いろいろ議論をされるのでありますが、現在ある鉄道建設公団でやったっていいじゃないか、こういう議論もありますので、その点今後の進め方について十分検討したいと思います。とにかく都市周辺は高架化していく、考え方としてはそういう方向で今後進めていきたい、こういうことでございます。
  142. 肥田次郎

    肥田分科員 大蔵省はどなたか来ておりますか。——それでは大蔵省にひとつお伺いしたいのですが、ことし、ただいま私が問題にしている高架公団予算がとれなかったということについて、これは公団をことしはつくらないという方針だけでこれの予算が出せなかったのか、あるいはその必要性について大蔵省としてどういうふうに理解をせられておったのか、この点ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  143. 荒巻与四郎

    ○荒巻説明員 都市の近傍の交通が非常に混雑してまいっておる実情、そしてこれを緩和するための施策を講ずる必要は大蔵省といたしましても十分認識しております。ただ、鉄道高架につきましては、踏切道の関係から、先ほど鉄監局長からもお話がございましたが、増収を伴わないために、私鉄側として全部を負担するわけにもいかない。そういたしますと、地方の市町村道の負担の関係も出てまいります。私どももその関係で、自治体と運輸交通業者との関係がどういうふうに詰まっておるのか、そういう点も十分調査をいたしまして善処をするほうがいいのじゃないか、こういうふうに考えまして、公団の新設の抑制という面もございますけれども、まず地方負担との関係を詰めるということが必要ではないかと考えた次第でございます。
  144. 肥田次郎

    肥田分科員 重ねてお伺いしますが、それは地方機関との関係も当然そういうことになると思いますが、しかし現実に交通緩和という根本的な対策が必要だという認識の上に立てば、何らかの形でこれを予算化することが考えられなければいかぬと思うのです。けれども、先ほどからお聞きになったと思うのですが、この運輸省の考え方というものが決定をして、もう四年以上もたっておる。毎年毎年これの予算要求をされておる。今日なおこれが実現を見ない。このことは大蔵省が金がないから出せないということなら、これは問題は別です。しかし現実にその必要性の認識というものが、どういうふうに考えられておるか疑問を持つのです。そういう意味で運輸省の主張力が足りないのか、それとも説得力が足りないのか、いずれかに問題点があると思うのですが、その点はどういうことなんですか。
  145. 荒巻与四郎

    ○荒巻説明員 都市近傍の交通緩和の方策といたしましては、高架の方法もございますけれども、一方には、地下鉄によりまして郊外の私鉄を都心に乗り入れさせる、また国鉄のほうとの相互乗り入れを行なうという方策も考えられるわけでございます。四十一年度予算におきましては、地下鉄につきまして四十年度三億三千万程度の補助金でございましたが、これを八億程度に増額いたしまして、東京、名古屋、大阪等の地下鉄を促進するというふうに努力をいたしました、そのほか地方債の面でも、自治体に対して起債を大幅に増額いたしまして、そちらのほうでカバーするということで、四十一年度のところはごしんぼうをいただくという状況でございます。高架の面につきましても、なお運輸省と、自治体を監督いたします自治省方面で、お話が詰められるかと思いますが、その結論を十分伺った上で善処したいと考えております。
  146. 肥田次郎

    肥田分科員 私は高架に限定してものを言っているわけじゃないのです。高架化するか、あるいは地下化するか、いずれかの手段をとらないと、都心における交通緩和ということができない。この事実を大蔵省で運輸省と同じように認識されておれば、これはこれで打ち切りますが、その点はそういうことで理解して間違いないですね。
  147. 荒巻与四郎

    ○荒巻説明員 先ほど冒頭に申し上げましたように、鉄道によります都市近傍の交通の混雑の緩和ということにつきましては運輸省と認識は同じでございます。今後ともこの点につきましては運輸省と協議をいたしまして善処したいと思います。
  148. 肥田次郎

    肥田分科員 そこで新しい問題が出てくるわけなんですが、その前に、いまおっしゃったように一応信用いたしましょう。ただ矛盾する状態があるのです。これはあなたのほうも聞いておってくださいよ。自動車ターミナルには政府と東京都で半々出資、去年は五千万円、ことしは二億五千万、こういうふうになっています。しかしこれはまだ東京都議会では自動車ターミナルの出資が決議されておらないにもかかわらず、四十一年度では二億五千万円の出資がきまりました。こういうことがあるのです。私は自動車ターミナルが必要じゃないとは申しません。これはわれわれも賛成をして通した法案ですから……。ところが場所もきまらないのに、まだ東京都議会の決議もないのに、このほうには二億五千万円の出資をされておる。そうして、こういう悪口を言う者があります。あれは多分大蔵省の高官をかかえておるから、それで金を出したんだ。こういうことが言われておる。そうすると今度は、都市鉄道の高架公団でも、大蔵省のだれか役人をかかえれば金が出るじゃないかということになりますよ。世間はそう見ますよ。私はそうは思いませんが、世間はそう見る。たとえば今度の、これはあとでまた問題にしますが、いわゆる第二空港問題です。第二空港の必要性、これはだれもわかり切っておる。けれども、いろいろな問題点があるからこれにはわれわれは反対をしました。けれどもこれにはちゃんと予算がついておるじゃないですか。場所もきまらないのに予算がついておる。現実に運輸省もあなたのほうも同じように理解をされておるというのにこれに対しては予算がつかない。これは納得しろといわれてもなかなか納得できないことです。  それからもう一つは、あなたのほうでそういう交通問題について緩和するための一つの施策として、地方債その他の準備もしておる、確かにそのとおりです。こちらに載っておりますが、実は問題が一つあって、自治省にこのことをただしたことがあります。そうすると、あれはいや運輸省じゃありません、こう言うのです。聞いておいてくださいよ。あれは私のほうで一生懸命努力して、東京と名古屋と大阪、それから神戸、こういうところに対して、交通緩和のために、地下鉄、鉄道その他の助成のために、約四百億くらいの融資というものを取ってきたんです、こう言っておる。そこで問題になるのは、その融資あるいは起債のあっせんというものはそれでいいと思うのです。ところが、簡単に済まされない問題がある。いま問題になったのは単純に私は考えておられるような気がするので、この問題をひとつ提起しておきたいのですが、高架鉄道をつくるのでもキロ二十億かかるという。建設費は年々高くなっていきますね。地下鉄は東京都の営団が手をつけた四、五年前には二十億くらいだった。今日では四十億以上要するようになってきました。もう一、二年しないうちに、いわゆる現在持っておるところの東京都の地下鉄計画、名古屋の地下鉄計画——東京は五十年まで、名古屋は五十五年まで、大阪は五十年までそれぞれで計画を持っておる。たとえば大阪の例を一つ持ってきても、百キロ近いところの地下鉄を建設し終わったころには、大阪市は地下鉄建設のために、おそらく四千億から五千億近いところの投資というものを行なわなければならぬ。そうするとこれに対する利子にしたって幾らかかると思いますか。年々三百五十億から四百億近いところの利払いをしなければならぬ。ただ金を融資してやったということだけでは済まないので、たいへんな問題だと思うのですよ。私鉄といえど私企業である。本来地方自治体なりがそういうばく大な経費を投じてやらなければならぬ性質のものなのかどうか。これは当然国が負担をしてしかるべき分野があるじゃないか、こういうことになる。ただ起債のあっせんだとか何とか、そんなものは当然やらなければならぬことであって、それ以上にやらなければならぬものである。もし一地方自治体が、そういう地下鉄という事業のために、四千億も五千億も投資して、年間三百五十億、四百億も利払いをしなければならぬという場合に、これが運賃収入でペイできるか、絶対にできないと思う。何十年何百年かかったってできない。利払いだけで精一ぱい。運賃は政策運賃ですから、地方自治体がやれば……。国鉄がやったってそんな高い利息を簡単に払い得るはずはない。よく考えてみればこれはたいへんな間違いがありますということなんです。本来、地下鉄をつくるということになると、——地下鉄というものは、これは路面の道路と同じ地下道路だ、こういう解釈に立たなければいかぬ、こうおっしゃる。これは私も同感です。私は早くからそのことを、日本の交通政策上、そういう考え方が一般に持たれることを望んでおった。すると結論は、道路をつくるのは、これは国がつくるのです。私道はともかくとして、その他でつくれるというところはまずありません、国がつくるべき性質のものですから。いわゆる地下トンネルは国がつくる、そして走らすところの電車だとかあるいはレール、駅、こういうものの施設は、これは地方自治体か企業の中でやってもいい、これが私は今後の交通政策の重要な課題じゃないかと思うのです。ですから、たまたまこの都市鉄道の高架公団というものが四年間もかかって予算が一つもとれない、しかもその目的ははっきりしておるのですから、予算がとれないという原因は一体どこにあるのか。これは結局今日の交通政策というものが政府自身にない。これは私は運輸省だけに言うのでもない。自治省だけで考えてもどうにもできないことなんです。これは国全体が、政府として交通政策というものをはっきり明確に打ち出して、そしてその中から実現をはかっていくということでなければ、私は、幾ら融資をしてもらったり起債をしてもらっても解決できる問題じゃないと思います。こういう点について、大蔵省と、それからこれは運輸大臣、あなたのほうでも、この考え方に対してどういうふうにお考えになっておるか、ひとつ承っておきたいと思います。
  149. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 肥田委員の仰せられますように、航空行政がすべての航空企業との関連があることはきわめてそのとおりでありますし、大都市の過密化あるいは交通事情の逼迫しているのを緩和していきますのにも、高架あるいは地下鉄、その他いろいろの方法を総合的に組み合わせて解決をはからなければならないということは、肥田委員の仰せられるとおりであります。政府といたしましても、高架の問題あるいは地下鉄の問題等も含めまして、総合的に交通政策を樹立いたしまして、そうしてそれの推進を積極的にはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  150. 荒巻与四郎

    ○荒巻説明員 交通機関公共性を持っておりますことは私が申し上げるまでもないことでございます。しかしながらやはり交通機関というのは、それを利用する方々に、運賃という形で経費を負担していただくというのが本来の姿であろうかと思います。ただ建設費等が相当ふえてくる、特殊な地下鉄とか高架、こういう関係になりますと、いろいろ問題があろうかと思いますが、長期間をとりますと、たとえば地下鉄の営団の銀座線、これは戦前に建設されましたけれども、いまは黒字になっておる、こういう状況もございますので、そういう線も考えますと、当面借り入れ金でやっていっても、ある期間をとれば採算が合う場合もあり得ると考えております。ただその期間をどう考えるか、その間の、全体の企業体として持つかというような問題もございますので、この辺は運輸省のほうの他の交通機関に対する行政との均衡とか総合的な御検討がおありかと思いますので、今後十分いろいろな面を運輸省と協議いたしまして考えてまいりたいというふうに考えております。
  151. 荒木萬壽夫

    荒木主査 肥田君に申し上げます。申し合わせの時間になりました。他に質疑の通告者も多数おられますので、御協力を願います。
  152. 肥田次郎

    肥田分科員 運輸大臣、そうすると、要約すると、自治大臣の言われたような考え方と同じだというふうに理解してよろしいのですね。  それから主計官、あなたのほう、ひとつ注文つけておきたいと申しますか、地下鉄の銀座線が黒字になるというような——これは建設の基礎件数が違うと思うのですよ。こういうことはあなたのほうでよく御承知だと思うのですが、今日道路公団が道路をつくっても、それから地下鉄をつくる場合でも、工事費というものはおおよそ二割だといわれておるのです。あとはみんな補償費だといわれておるのです。ですから昔いわゆる政府が力を持って、そうしてその力のある中でものごとがやれておった、こういうときとはおよそ性格が変わってきております。ですから今日、四十億キロ当たりの建設費がかかるとすれば、実に三十二億というものはもう補償費に取られておるということなんです。これはもうおよそ建設と何の関係もないと言われていい性格を持っておるのです。ですから、地下鉄を建設してペイさせようと思えば、キロ二十円、三十円じゃなしに、これは百円取ったって二百円取ったってなかなか容易なことではペイできないのです。およそ今日の出資は、十年返済ということで初めてペイができる、こう言われているのです。たとえば東京交通営団が完成した暁には、おそらく二千円億から三千億くらいな負債をかかえてそうして利払いということになると思うのです。これは何らかの形でいわゆる国が利息負担をしてやらなければ地下鉄というものは成り立つものじゃないのです。そういう性質のものですから、これは最初から地下鉄というものがどういう性格のものかということの理解をきっちりしておいてもらわないと、私はとんでもない計算違いが起きると思う。三十年や五十年で建設費が償還できるというようなものじゃなかろうと思うのです。この点をひとつ特に理解をしておいていただきたいと思います。
  153. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 高架等の問題につきましては、これはきわめて緊急性を帯びておりますし、あらゆる交通機関との関連があるし、建設省、自治省等ともきわめて関係の深い仕事でございますので、運輸省といたしましては、建設省あるいは自治省ともよく協議をいたしまして、そうして高架によっての交通緩和が前進いたしますように努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  154. 肥田次郎

    肥田分科員 大臣、私はそういう遠回しの返事ではちょっと困るのです。極端に言うと、先ほど私が申し上げましたように、自治省でも、自治体として公営企業として路面電車を廃止したその身がわりということで交通問題を、自治体自身が責任を持つ意味から地下鉄をやらなければならぬ、これを別な企業体に移すかどうかということについては検討中だ、こういうことなんです。しかし、本質的なものの考え方としては、これはやはり国が負担すべきもの、それから企業体自身が負担しなければならぬものと、これをはっきり区別しなければならぬ。これはもっと簡単に言うと、いわゆる道路に対して路面電車を敷いていると同じような理解に立たないと地下鉄建設はできない、こういうふうに言っておるのです。自治省がそう言っておるのですよ。ですから私は、運輸省としてはこれ以上もっと進んだ考え方が建設省との関係に関する限りはあってさしつかえないと思うのです。単純な路面建設じゃないのです。たとえばあなたは、あれは鳴戸ですか、四国かどこかへおいでになったときに、夢のかけ橋について、何か万国博までに実現したい、こう言っておる。そうして鳴戸−明石間が一番いいとおっしゃっておった。これはどこでやらせるつもりですか。この橋はだれにかけさせるつもりですか。これは国が全然知らぬ顔できぬでしょう。これよりもっと必要性のあるのが、いわゆる大都市におけるところの地下鉄と高架だ、こう言っておるのです、どうでしょうか。
  155. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 そういう点は私もあなたと同じような気持ちを持って、これは早く解決しなければならない課題であると思っておりますが、先ほど言いますように、これは建設省とか自治省とかも非常に関連もございますので、そういうところと協議をしながら早く進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。これは国家財政等の関係もございますから、国が幾ら金を出すとかいうようなことを簡単にきめにくい問題でございますので、そういう点を含めまして早期に、高架等によって輸送事情を緩和していかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  156. 肥田次郎

    肥田分科員 これで終わりますが、私が申し上げているのは、究極は金を出すか出さないかということになりますよ。しかし金を出さすようにするためには意思の統一がはかられなければならぬ。ですから、押しつけがましい私の質問ですが、私が先ほど、言ったような考え方と大臣の考え方は同じだというふうに理解してよろしいですね。そして大臣はそれのために努力するのだ、こういうふうにおっしゃっておると理解してよろしいですか。
  157. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 大体においてそういうことであります。
  158. 荒木萬壽夫

  159. 小川三男

    小川(三)分科員 運輸大臣に伺いますが、新国際空港について昨年の十一月十八日に内定を発表されておりますが、あの内定は閣僚会議の決定によって発表されたのですか。運輸省独自で発表されたのですか。
  160. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 関係閣僚会議にはかって内定いたしたものです。
  161. 小川三男

    小川(三)分科員 そうしますと、十一月の十八日に内定を発表して以来じんぜんとして口を過ごしておりますが、それについてどういう措置をなさろうとするのか、どう処理をされるのか。
  162. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 御承知のように新空港は関係閣僚会議で内定いたしまして、これを閣議決定をいたします。閣議決定のときには政令で新空港公団の発足をしなければなりません。そういう事務的な処理があるのでございますが、現在では、これはやはり地元に協力を求めなければなりませんので、地元との関連において地元の協力を得るようにいま努力中でございまして、政府といたしましてはできるだけ早い機会に新空港公団の発足ができるように進めてまいりたいという気持ちを持ちながら地元といろいろ関連を持っておるわけでございます。
  163. 小川三男

    小川(三)分科員 そうしますと、閣議決定はされて内定という形になっているのですか。閣僚会議で単に話し合いをした結果、内定として発表されたのか。閣議で内定を発表することは決定されているのか。
  164. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 閣僚会議でこれが決定しまして、そうしてそれを閣議にはかるのでございます。まだ閣議にはそれをはかっておらぬのでございます。閣議にはかるためには新空港公団の発足のできるような事務的な措置等も関連がございますので、やはり地元との話し合いをつけながら閣議決定をしたい、かように考えておる段階でございます。
  165. 小川三男

    小川(三)分科員 この問題は三十八年の八月に発表されて以来、問題をこね回して現在に至っております。これは地元の千葉県当局の協力を得なければ、これからかりにどこの県でやろうともやりようがないでしょう。ところが、あなたのほうで内定を発表する前に佐藤総理と地元の知事との間には事前に連絡し協議するという話し合いができていたわけです。ところが独自に内定を突然として発表してしまっている。これは佐藤総理その点知っているのですか。佐藤総理と千葉県知事との話し合いということは、これは川島副総裁が中に入って話し合いをきめたわけなんです。ところがあなたのほうでは千葉県当局に何らの話し合いもせずに内定を発表しているでしょう。これはどういう経過なんですか。
  166. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は総理と千葉県知事との話し合いの詳細なことについては、大体承知いたしておらぬのでありますが、ただ総理と千葉県知事との間に事前によく相談をするという話し合いがあったというようなことは、あとで聞きました。
  167. 小川三男

    小川(三)分科員 そうしますと、内定をあなたのほうで発表されたあとで聞かれたのですね。経過からいうとそういうことになるでしょう。あなたは運輸大臣として内定を発表して、そのあとで事前の話し合いがあるんだということを聞かれたわけですね。
  168. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私はその点具体的な話し合いはどうなっておったかよく承知いたしておりませんので、その点については、私のほうの進め方は、少しはそういう点に欠けた点があったのではないかと思いまして、千葉県に行きましたときにも、私から皆さんにおわびをして御了解を得るように話をしたわけでございます。
  169. 小川三男

    小川(三)分科員 あなたのほうで昨年の十二月、これを発表される六日から約一週間くらいにわたって、運輸省当局として千葉県当局といろいろ話し合いをしておりますね。その上で千葉県当局から四つの問題を提示されてあるはずです。一つは、土地の補償について。二は、代替地について。三は、騒音の対策について。四は、職業転換対策について。この四つの項目を示された千葉県知事は、地元を説得するに足る資料をあなたのほうから提示されたら地元へ臨む。こういってこの四条件を提示したわけなんです。いまもってその四条件についての回答を千葉県当局に出しておらないのは、一体これは成案がないのか、それともどういう経過で提示されておらないのか。
  170. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 千葉県当局のほうから私のほうに要求がありました四つの条件。土地の補償につきましては、これは大体私のほうは千葉県知事におまかせする。ある程度おまかせして、ひとつ処理していただきたい。これは政府のほうで幾ら考えましても、やはり千葉県知事が実際に土地の事情等も勘案して折衝していただかねばなりませんので、大体は千葉県知事の意向を尊重してやりますということで、おまかせするというようなことを申し上げております。  それから代替地につきましては、おおよその必要な土地の坪数等を検討いたしまして、いろいろこれについては国有地を充てるとか、あるいは県有地を買うてもらうとか、あるいは民有地等も買収してそれに充てるというようなことで、おおよそ必要な量はひとつそろえますということでお答えしておるわけでございます。  それから騒音の措置につきましては、他の航空基地等との関連もございまして、ほかのところでやっておるような騒音に対する措置はできるだけいたしますということを申し上げておるわけであります。  それから転業対策につきましては、転業することによって犠牲におとしいれるようなことは絶対にいたしません。できるだけの措置をして、転業していただく人にも納得していただけるような措置をとりたい。  大体かような非公式な答えをいたしまして、正式にはやはり千葉県知事さんが総理と会うて総理から確約させたほうが県としてもいいのではないかということで、そういう運びにすることにいたしておる次第でございます。
  171. 小川三男

    小川(三)分科員 そうすると代替地についておおよそと言っていますが、おおよそというのはどんな基準で言っておられるのですか、
  172. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 具体的には政府委員から答えさせます。
  173. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 本件については、御承知のように、いま大臣から申しましたが、事前に県側と非公式に、大体どういうような考え方ということで申し上げた内容でございまするので、そういう趣旨でお聞き取りを願いたいと思うのでございますけれども、大臣が申し上げましたように、代替地につきましては、原則として一対一で考えましょう、しかし、面積が必ずしもそのとおりにならない場合、その場合には質的にそういうふうになるように考えましょうというような基本的な考え方を出しておるわけでございます。  そこで、具体的にどうなるかというような検討を、実は県と私のほうと事務的にいろいろしたわけでございますが、原則として代替地についてはそういう考え方でひとつ県の具体的の案も聞いてきめていきたい、こういうことでございます。
  174. 小川三男

    小川(三)分科員 大体代替地、国有地あるいは県有地と言っておりますが、代替地をあの付近にお持ちになっているのですか。国有地をお持ちになっているのですか。
  175. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 御承知のように、代替地を提供する場合には、その所有の関係いろいろあるわけでございまして、国有のものにつきましてはわれわれとしては、国有の土地を供出するように努力をいたしたいと考えておるわけでございます。また、県有地につきましては県のほうで、わがほうでも十分その点を検討する考えであるということをおっしゃっておられるわけでございます。
  176. 小川三男

    小川(三)分科員 ですから、国有地はどこにあるのかということですよ。千葉県のあの周辺にお持ちになっているのか。たとえば運輸省の所管、農林省の所管、所管は別として、国有地がどれだけの面積をどこにお持ちになっておるのか、その点伺いたい。
  177. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 したがいまして、これは具体的にこれからの話になるわけでございますが、千葉県内にある国有地の現状はどうかという御質問であろうかと思いますので、そういう趣旨でお答え申し上げます。  千葉県内にある国有地のうちでおもなるものは、宮内庁所管の行政財産でございます下総御料牧場、約百二十九万坪がございます。次に農林省所管の普通財産といたしまして、開拓財産約四百六十五万坪、それから国有の農地五十六万坪がございます。三番目に林野庁の所管の企業用財産といたしまして、国有林野約二百四十万坪がございます。
  178. 小川三男

    小川(三)分科員 これは場所はどこなんです。下総の御料牧場はわかります。この隣接地であるということは、そのあとは……。
  179. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 これが現実に代替地として適当であるかどうかという問題でございますが、二番目に申し上げました開拓財産及び国有農地並びに三番目の国有林野は、規模、分布状況から見て、必ずしも直ちに農地として、代替地としては適当ではないというふうに考えられる次第でございます。
  180. 小川三男

    小川(三)分科員 所在地はどこなんですか。
  181. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 いずれにしても、いま申し上げましたものは千葉県内でございますが、先生御承知のように、この開拓財産、国有林野等は県南部分が多うございます。
  182. 小川三男

    小川(三)分科員 そうすると、この四条件についての提示は、佐藤総理と千葉県知事との間で話し合いをするということで、運輸省はこれには現在の時点ではタッチしておらないということですか。
  183. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 大体事務的には、当初知事のほうから二月末日までにいろいろ知らしてもらいたいということでございましたから、大体の方向は事務当局で連絡はしておりますけれども、やはりこれは知事さんとしての立場も、総理と話をなさったほうが地元との話をなさるについても力強いのではないかというようなことを配慮いたしまして、そういうことにしておるわけでございまして、全然運輸省がノータッチというわけではございません。
  184. 小川三男

    小川(三)分科員 これは飛行場の位置を閣議で決定して政令で公布するでしょう。そうして初めて空港公団が発足する。これは法律のたてまえはそうなっております。そこで、あそこで仕事をするものはどこであろうとも、起業者は空港公団でしょう。したがって、用地の売収や取得やそういうものは空港公団が当たらなければならないのでしょう。だれが当たるのですか。運輸省の航空局が当たるのか、どんな機関が当たるのか。法律のたてまえからいえば空港公団が当たる以外にないと思いますが、どうなんですか。
  185. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 お話のとおり、現実に用地の取得の現場事務をやるのは新東京国際空港公団でございます。ただ、いま問題になっておりますのは、県側がこれに対して政府に対して、実際の仕事を進める前に政府の意見を聞き、県側の意見を話して、その意思統一をしたいということで、先ほど申し上げましたように、県とわがほうとそういうような話し合いをしておる内容であるということでございます。
  186. 小川三男

    小川(三)分科員 これは千葉県知事の仕事じゃないのですよ。政府の当たるべき仕事なんです。空港公団の当たるべき仕事なんです。ところが、それを千葉県知事に押しつけてしまって、千葉県知事はいま窮地に陥っていますよ。きょう二十八日に県会が開かれているので所信の表明をするはずですが、その前に二十六日に自民党出身の県会議員全部と県選出の国会議員団がヒルトンホテルで会合していますが、その結論としては、県会議員団の中には、返上しろという強硬な意見があります。けれども、川島さんが調整をして、いま千葉県知事は静観する。二十六日に知事と会ったときにも、もはや地元を説得する能力がない、地元は説得不可能な状態です、したがって、私は、もうこの問題には携わりたくない、こう言っています。おそらくきょうも静観するという表明をするでしょうが、一体これは千葉県知事の仕事じゃないのです。あなたのほうの仕事なんです。  それから、地元の実情は、富里や八街、山武町、これは飛行場にかかる地域です。これをはじめとして八ヵ町村が全部反対の議決をしています。一週間ほど前に行なわれた山武町の町長の選挙も村長の補欠選挙も全部空港反対同盟が勝っているのです。そのようにいま地元の説得は県知事としては不可能であると言っているのは、地元は、三十八年以来もう転々として霞ケ浦へいくとかあるいは富里とか言われて、今度内定をあなたのほうが突如として発表しているのです。そのため、学校の子供たちまでが非常な不安に襲われて、これは最近先生たちの出した文集として出てきますが、子供たちの日記にまで、空港の問題で悩まされている。それから、この中にあなたのほうでは、気象条件とかあるいは土地の条件とかということを航空審議会は答申していますが、航空審議会の諸君はあの現地へなんか一度も行っておりません。運輸省の諸君も行っていません。したがって何を調査をしたのか。あそこの答申をするにあたってあなたのほうで何を調査しているのか。航空審議会は一度も行っていない。あなたのほうも行っていないでしょう。その点明確に伺っておきたい。
  187. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 これは小川委員に前回もお答え申し上げたわけでございますが、この用地を決定する際の要件といたしまして、航空管制上の調査、建設技術上の調査、それから気象関係の調査、用地対策の調査、その他関連の調査というような各項目について調査を実施いたしております。
  188. 小川三男

    小川(三)分科員 問題は気象の問題や土質の問題でなくて、あそこに住む人間の問題ですよ。なくなられた河野さんは、五百戸の農家を動かすなんということはとうてい不可能であると答えておられるのです。ところがつかみ方によっては、千五百戸も動かさなければならない状態を、どうしてできるのか。  それからあなたのほうでは、地方自治体の意向を全然聞いてないでしょう。あなたはここがよろしいのだと言っても、地方自治体の意向などというものを全然聞いてないでしょう。自治体が議決した場合に、あなたのほうでは、この自治体の議決権に対してどう考えているのか、その点を伺っておきたい。
  189. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 先生御指摘のように、地方で非常に反対があり、議決をなさっていることはわれわれもよく承知しております。しかし先ほど来大臣から申し上げておりますように、まず県に具体的にお話を非公式にして、県の御協力も得、また地元についても御協力をいただいて、この仕事を進めるというふうに、ただいちずに考えておる現状でございます。
  190. 小川三男

    小川(三)分科員 私の伺っているのは、地方自治体が正式に議会を開いて反対を議決した場合に、その自治権に対してあなたのほうはどう考えるのか、その点です。
  191. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 政府といたしましては、この富里地区に候補地をきめます際に、いま小川委員も仰せられますように、あそこに生活をしていられる方に、かなり立ちのきをお願いしなければならないような事情がありますので、できるだけそういうところでない場所をということで、あらゆる地域を綿密に調査をいたしたのでございます。ところが飛行場は御承知のように、いろいろの地理上あるいは土質、あるいは空のというようなふうに、あらゆるものを備えておらなければならぬという条件がございまして、そういう観点からいろいろ調査をいたしまして、できるだけああいう、人が住んでおられるところを避けたいというたてまえで調査をいたしましたけれども、どうしてもほかにない、富里地域以外にないという結論に達しましたので、国家的な施設でございますから、地元の人を犠牲にするようなことのない形で新空港建設していくというたてまえは政府としてどこまでも堅持いたしまして、そうして国の将来にわたる大きな施設でございますので、地元の人の御協力を得たい。地方公共団体はもちろん、県当局を中心に地元住民の方々の御協力を得まして、円満にこの空港建設いたしたいというような念願であらゆる努力をいたしておるのでございます。
  192. 小川三男

    小川(三)分科員 あなたのほうでは努力されていると言うけれども、地元の町村長などに運輸省の者がどなたでも行って、こういう実情だと説明された事実はないでしょう。それは協力を求めることじゃないですよ、無視していることですよ。  それからこの問題、結論から言いますと、千葉県知事、千葉県当局が協力しない、返上をすると言われたら、あなたのほうでこれを強行する考えでありますか。
  193. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 できるだけ地元の知事はじめ県当局あるいは地元の自治体等の御協力を得まして、地元の皆さん方にも納得していただくような線で工事を進めてまいりたいという気持ちで、万全の努力を続けておる次第でございます。
  194. 小川三男

    小川(三)分科員 あなたのほうで地元の人の実情をもっと調査されたら、ああいうところが適地だというように発表されるはずがない。あそこには小河内ダムから追われて八街に移って、八街の陸軍の飛行場で追われて富里に移った人がたくさんおります。それから立川の飛行場で追われて八街に来て、八街の飛行場で追われて富里に移っておる。これがまた飛行場のために追われるということであったら、ある土地に行ってようやくこれでというまでには二十年かかる。したがって生涯の間に三カ所も転々として移されるというようなことは断じてできません。私は家に火をつけられてもここは動きません、こう言って反対しておる。地元の人たちは、あなたのほうに何人かの誘致派が来るかもしれないけれども、いま住民投票をやってごらんなさい。山武町の例から言っても八分どおりは反対なんですよ。しかもあそこにあなたのほうで説得に行こうとしても、千葉県当局が説得に行こうとしても、入れないんですよ。なぜ入れないかと言えば、あきかんをさげて、知らない人が来るとみんなたたき、竹やりを持って集合するんですよ。現場は殺気立っておるんです。したがって千葉県当局、知事ははっきり言っております。私にはあそこに入って説得することは不可能だと考えておりますと。そういう状態に地元の住民を追い込んだのはあなたのほうですよ。あなたのほうが地元の住民の協力を得なければならない、協力を求めると言いながら、地元の住民をああいう窮地に追い込んでしまって激昂させてしまったのはあなたのほうの責任なんですよ。これを発表したのは運輸大臣が楢橋さんのときですよ。以来、中村さんあなたまで四人目ですよ。あなたのほうはかわればよろしいかもしれないが、地元はそうはいかない。ですからあそこを強行しようとしたら、おそらく流血の惨事を起こしますよ。はっきり言っておきます。この間もそうですよ。県庁に抗議のデモで女の人たちが約五百人くらいで行って、用を足さなければならないからあけてくれと言ったら、県庁の玄関の戸を全部締めて職員がスクラムを組んで入れさせなかった。ですからあのガラスをこわしたという事件が起こった。そうして三人が検挙されて、一人は同日釈放されておりますが、六時に逮捕状を持っていって検挙して、二時間の後には八百人の人たちが県庁に押しかけてきておる。それほどに、もうすでに女の人たちまでが行動隊をつくってやっておる状態なんですよ。おばあさんなどは、もうおやじさんにまかせておけないと言って、婦人たちが最前線に出てきておる実情なんです。こういうような状態の中で、千葉県知事が何で説得に行けますか。私が千葉県知事にお合いしたときにも、説得に行く能力がない、したがって返上したいのだ、けれども、いまの立場上それもならないでおります、ですから静観する、何のために静観と言っておるのか。この事態をどう解決するのか、どこからどう解きほぐして解決するのか、あらためて航空審議会の構成を全然白紙に返して候補地を物色するか、あくまで富里を強行しようとするのか、するとするならばその事態の解決をどこに求めるのか、その点を具体的に伺っておきたいと思います。
  195. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は先般千葉県にまいりまして、千葉県知事の世話で地元の人たちとお会いしまして、いろいろ事情をお話し申し上げて懇談をいたしたのでございますが、あそこの地元の人たちは、小川委員も御承知だと思いますが、きわめてまじめな、りっぱな農村の人でございまして、私が応対をいたしましたときの地元の人たちの態度も、ほんとうにりっぱな紳士的な態度でございまして、あとで知事のほうから聞きましたが、いろいろ集会等やったあとはちり、ごみ等を片づけて帰るくらいりっぱな人たちである、こういうことでございました。私はそういうりっぱな農民の人たちに立ちのいてもらうというような御迷惑なことを、これは国の新しい施設のためとはいいながら、まことに恐縮いたしておる次第でございますが、先ほど言いますように、東京周辺という一つの限られた地域の中で、日本が国際舞台に立って航空政策を推進していく上に、将来の人の輸送あるいは貨物の輸送等を考えましても、国際航空舞台の中で日本が優位な地位を占めていこうとする場合には、どうしてもいまの羽田だけではどうにもならない。これは国内の航空事情から考えましてもどうにもならない、そういうせっぱ詰まった立場から、あらゆる面を配慮いたしまして考えて検討いたしまして、小川委員が心配なさるような、いわゆる地元の人たちの立ちのきの少ない場所をということでいろいろさがしてみましたけれども、どうしてもない、こういう事情でございますので、富里地区というものを一応内定いたしたわけでございます。政府といたしましては、やはり地元の人たちに納得をしてもらうためにも、早く新空港公団を発足させていただいて、地元の人たちの納得のいくように、補償の問題とかあるいは転退職の問題とか、あるいはかえ地の問題とか等を地元の人の間で懇談して、話をスムーズに進めていくことのできますように、一日も早く新空港公団の発足に御協力願いたい、それがやはり地元の人たちの納得を進めていく第一段階である、かように考えておりまして、地元の人たちにも心から御協力をお願いしておるような次第でございます。
  196. 荒木萬壽夫

    荒木主査 小川君に申し上げます。申し合わせの時間になりました。午後の質疑の都合もありますので、御協力をお願いいたします。
  197. 小川三男

    小川(三)分科員 運輸大臣、昭和四十五年までには第一期工事を完成しなければならないということになっておりますね。そうすると地元の八割の者たちが条件なしなんです。どこに代替地を求めるとか補償を求めるとかではない。地元の人たちは無条件絶対反対なんです。あれほど団結した農民なんですから、昭和四十五年までにあそこに工事を強行するならば流血の事態が起こってくる。しかもその結果は四十五年までには絶対にできない。そういう事態なんです。したがって、これは、そんなことで日と時間をつぶして住民に迷惑をかけておる前に、新たに航空審議会なりに白紙に返してもう一度再検討させる意思はないのですか。
  198. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 先ほど申し上げますように、他の地点があれば立ちのきの方々に御迷惑をお願いしなければならないことになることをできるだけ避けようというたてまえで、あらゆる地点を技術的に検討いたしました結果、ほかになくて、富里という地点が内定されたわけでありまして、いまの段階では地元の人たちに、先ほど申しますように手を尽くして御納得していただいて国の施策に御協力をお願いしたい、かように考えておる次第でございます。
  199. 荒木萬壽夫

    荒木主査 午後二時十五分より再開いたしまして、運輸省所管につき質疑を続行いたします。  暫時、休憩いたします。    午後一時四十四分休憩      ————◇—————    午後二時二十分開議
  200. 荒木萬壽夫

    荒木主査 休憩前に引続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。中井徳次郎君。
  201. 中井徳次郎

    ○中井分科員 私はおもに国鉄輸送といいますか、ダイヤといいますか、そういう問題に関連して、線路計画なにかについてお尋ねをいたしたい。  その前に、大臣が二時十五分と言ってあるのに来ないですね。いけませんね。来ましたらあらためて御質問申し上げます。  国鉄当局にお尋ねしますが、私はいま毎日中央線を利用しております。国立から四谷まで国会へ通っておるのでありますが、八時前後に向こうを出ますと、いわゆる過密ダイヤのまっただ中で呻吟しておるわけであります。いわゆる二分ごとの運転といいますか二分半の運転、まことに当局の皆さん御苦労さんだと思います。ほんとうに敬意を表します。しかしながら、たとえば、これを排除するための施設をいまやっておるが、この施設——いま中野から三鷹あたりまでの複々線立体の工事をやっておられるけれども、私はしろうとでありまするが、あまりどうも工事の進捗ははかばかしいとは思えません。実にどうも、はっきりいえばぐうたらです。こういうことについて、石田さんは民間出身の方でございまするし、御視察になればあなたも感じられると思うが、もう少し基本的なものとして——予算がないからじゃないと私は思う。予算がないからなら四月から十二月までやってあとストップとか、そういうこともあると思いますが、そういうことじゃなくて、だらだら、だらだらといたしておる。用地の買収ももう済んでおると思うのですが、実にどうもやり方がおそい。そうして政府は政府で、ことしは景気を早く回復するために予算は上半期に六割まで出そう、こう言うておるが、それに即応した体型をなしておらぬわけであります。こういうことにつきまして、まず私は国鉄総裁のあなたが、総裁になられてから国鉄関係の工事のやり方についてどう思っておられるか、ひとつ伺ってみたい。
  202. 石田禮助

    ○石田説明員 ただいま中央線の工事の問題についてお話がありましたが、実は通勤の問題につきましては、私なんか非常に責任があるのだ。第一、監査委員長をしている時分に、とにかく国鉄は常に幹線の輸送について非常な過密ダイヤでやっておるじゃないか、大体通勤なんというのはこれは都の仕事じゃないか、国鉄は幹線の輸送にまず全力を尽くして、そうして通勤のほうの問題は主として都にやらしたらどうだというようなことを申したのですが、そのうち国鉄総裁になりましてから、実際の状況を見て、そしてあの非常な多数の人が国鉄に生命を託して、国鉄を利用してくださるということを見る場合においては、これは都の問題であるとか、これは国鉄の問題であるとか言っている性質のものじゃない、国鉄はこの際思い切ってやらなければいかぬ。こういうことで、第二次五カ年計画においては、その予算はわずかに七百七十七億であったのを、今度は七カ年計画において五千二百億を投じて、ひとつ東京、大阪を主としての通勤通学を大いにやろう、こういうようなことでだいぶおくれがちながら馬力をかけておる次第でございます。工事の弛緩につきましては、これは今村君から御説明いたさせます。
  203. 中井徳次郎

    ○中井分科員 私が見ると、実に工事のテンポがのろいのだ。これはもう皆さんに要望しておく。それから広告だけは一人前で、中央線四十三年終わりに完成とか書いてある。四十三年度終わり、荻窪までは何かことしの四月ですか、完成とか、広告だけはいいが、ぼくに請け負わしたらぼくは一年じゅうにあれを三鷹まで実際やってみます。ああいうことは私はおととしも新幹線の建設のときに聞いた。これは石田さんは覚えておるかどうか知らぬが、千八百五十億であると言っておきながら、三千八百億円使って——四千億円以下で押えなければならぬということで、使ってやった。それで工事はどうだ、一番たくさん請け負っているのは鹿島に違いないが、その次は大林ぐらいだろうといって、一覧表を出せと言ったら、一週間たってから出てきました。私の予想どおり、こうなっておる。何というのか、あんまりきまり切ったことなんだな。ちっとも創意くふう、斬新な頭でやっておらぬ。それでそれを拝見をして、新幹線の中で故障が起こるのは、名古屋、岐阜のほうだな、そう思いました。なぜかというと、名古屋と岐阜の請負は私の名前の聞いたことのないものばかりです。小さいものです。だれかが横やりを入れたか、注文が入ったのです、政界のいやらしいほうから。ですからこれはでき上がってから二、三年たったいまでも、時間がおくれたり、何かくいを打ってみたりしているのはみんなあの方面です。そういうことは私はやはり皆さんのお仕事をなさる全体の気分といいますか、気魄といいますか、それがないからだとおっしゃるだけではないと思いまするので、冒頭に私はこのことだけ指摘をして、今後はそういうことのほんとうにないように、どう言いまするか、石田さんのような老人にしかり飛ばされて、ようやく動いておるような国鉄ではだめだと私は思うのです。若い衆がもっとはっきりして、石田さんみたいな人は隠居してもらってもいいというような国鉄に早うなってほしいから実は申し上げるわけですが、あまり要らぬことばかり言っておってもなんですから本論に入ります。  そうやって私は二分あるいは二分半の過密ダイヤで毎日中央線を利用しておりまするが、月に一回ばかり郷里に帰りますと、これは名古屋から湊町に参りまする関西線に私は乗るのであります。これはまた実にゆっくりしたものでございます。関西線はでき上がってから大かた六、七十年たつと思うのですが、私は幼少のころ、五十年前に郷里から名古屋に出ますのに大体三時間でございました。いま郷里から名古屋に出るのに何時間かかるかといいますると、三時間十分かかります。五十年かかりまして十分おくれておる、こういう運営でいいのかどうか、まことにどうも慨嘆にたえませんので、それに関連してお尋ねをいたしますが、大体名古屋と湊町の間は何キロで、何時間で普通列車が走っておるか、ひとつお答えをいただきたい。
  204. 今村義夫

    今村説明員 名古屋−湊町間は百七十五キロでございまして、普通列車では大体五時間半くらいかかっております。
  205. 中井徳次郎

    ○中井分科員 百七十五キロで六時間というと、一時間二十五キロですか。そんな汽車、どうなんです。  それで、名古屋と大阪の間は、交通機関がたくさんございます。関西線、新幹線、近畿日本鉄道、東海道線と、こう四つある。そのうち一番近いのはどこですか。これはまるでテレビの懸賞問題みたいだが、この四つありまして、距離の一番近いのはどの線ですか。
  206. 今村義夫

    今村説明員 近鉄が三夜近いと思います。
  207. 中井徳次郎

    ○中井分科員 一番近いのは関西線なんです。関西線が一番近くて時間が一番長くかかる。だめですよ。  新幹線が一時間十分。関西線よりだいぶん遠い近鉄が、急行が三時間、特急が二時間二十分。関西線は六時間。関西線の準急というのがあるのです。百円取られる。それが何時間かというと、三時間十五分かかる。近畿日本鉄道の急行というのはそんなもの要りません。券も何も要りません。これで三時間以内で走る。単線だからだという簡単な回答では、私は受け取れないのです。どういうところにこういう原因があるのか。国鉄当局としてはこういう問題をどうお考えであるのか、それをまず伺ってみたいと思います。
  208. 今村義夫

    今村説明員 いま関西線のダイヤが非常におそいというおしかりを受けましたが、この点は、御承知のように単線でございまして、輸送量からいたしましても、サービスが悪いから近鉄のほうによけい乗るというか、あるいはそういうことになるからだんだんサービスが悪くなるか、まあいろいろ問題がございますけれども、私どもとしましては、関西線の将来計画といたしまして、東海道線が行き詰まってきた場合に関西線を利用するということも当然考えなければなりませんので、そういう方面からいろいろ検討をいたしておるわけでございます。したがって、将来輸送が行き詰まる名古屋−四日市間あるいは大阪方面の線増をやるということで計画をいたしておりまして、それができれば若干でもスピードアップができるのではないか。もろちん、先般、湊町までは行っておりませんけれども、特急列車も入れたわけでございまして、そういうことで徐々にサービスの改善をはかっている段階でございます。
  209. 中井徳次郎

    ○中井分科員 特急列車を入れたといいますが、これは名古屋から東和歌山へ行くので三時間半かかる。こんなものは、走らしたいところで、新幹線で名古屋から一時間でみんな大阪へ着きますから、大阪から和歌山が一時間ですから、よほどののんきな人でないと、これは乗り手がありませんね。いつもがらあきで、私は乗りますが、一等車に乗っている者は私と二、三人、たいていパスの人ですな。これをあなた方は、それじゃ赤字だからやめようというのです。そうじゃないのですよ。スピードアップすればいいのです。赤字だから、それじゃもう汽車は一時間に一本くらいにしておこう。近畿日本鉄道は一時間に十本走って満員なんです。たとえば名古屋−四日市間というのは全く並行しておるのです。近畿日本鉄道は一時間に十本走って満員、関西線は二時間に一本走ってがらがら。関西線ておまんのか、中井先生、こう言うておる。だれがそんなことにしたのか、赤字だからやめておけ、やめておいたらなお乗らぬ。また赤字、それじゃやめておけ。これでは料金何ぼ値上げしたってだめですよ。いわゆる企業努力というものが少しも見られない。どうお考えか。  それで、あなたは近畿日本鉄道と関西線は並行線のような感覚ですが、並行線じゃありませんよ。百七十五キロのうちで、並行しているのは四十キロ、三十何キロしかありません。それは名古屋−四日市間だけです。しかも名古屋−四日市間は、複線にしてもまだまだ足らぬほどの需要がございます。もし国鉄が複線にして十分ごとに出してごらんなさい、半年たったら一ぱい乗りますよ。近鉄にみんなまかした、近鉄さんのために関西線を犠牲にされている、地元はみんなそう言っていますよ。国鉄というのはのんきなところやな、赤字や言うておるが、あれは銭もうけ忘れとるんや、それで赤字やな、こう言うておる。料金改定どころじゃない、とんちんかんなところが非常に多いのだ。  たとえば四日市から津まで、今度、伊勢線というので短絡線で工事をやりました。そこを複線でやりたいなどといって、蛇がネズミをのんでまん中がふくらんでいるようなもので、名古屋−四日市間の肝心のところは四十五年とか六年とか言っているし、ちょうど、東京の付近で比較いたしますと、東京−千葉間を単線にして、二時間ごとに一本走らせているというのが日本の国鉄です。なぜそういうところをほうっておかれるのか、私はちょっと伺ってみたい。計画があるなら、どういう計画か。一刻も早く、一年も早うやればもうかるにきまっている。いまは赤字です、それはだれも乗らないのだから赤字ですよ。二時間に一本、三時間に一本で、準急とか特急とか、ときどき走っておるけれども、そんな特急に四日市から名古屋まで乗る——横浜から東京の間、特急に乗る人はありませんわね。それで一向乗客はないなんて文句を言ってみたって、それはだめ。どこか間違っていやしませんか、ひとつ見解を聞きたい。
  210. 今村義夫

    今村説明員 先ほど申しましたように、名古屋−四日市間は今度の第三次計画に線増の計画が載っておりまして、これは第三次として着手するわけでございます。津までの、四日市間のあれは、新線建設ということで、伊勢線ということでやっておりますが、これは建設公団のあれでございますので、私どものほうとしては特別にすぐやらなければならぬ線だとは考えておりません。これは建設公団のほうでおやりになることだと思います。もちろんおっしゃるように、私どももサービスのスピードアップをする、あるいは列車を増発することによって営業の増進になるということはよく承知しておりますし、そういうところで複線の線増をまずやりたいという考え方に立っておるわけでございます。
  211. 中井徳次郎

    ○中井分科員 その第三次計画というのはいつでき上がるのですか。名古屋−四日市間複線工事は……。
  212. 今村義夫

    今村説明員 昭和四十六年までには完成するものと思います。
  213. 中井徳次郎

    ○中井分科員 いま四十一年ですから、五年かかるのですか。何か障害があるのですか。一体どういうことなのだろう、私はよくわからないが……。
  214. 今村義夫

    今村説明員 予算のつけ方にもよるわけでございますけれども、全国的に線増をやる、あるいは電化、その他御承知の第三次計画においてやるべき仕事は非常に多いわけでございますが、主要な幹線から重点的にやっていくということでございますので、若干この線図はおくれるのじゃないかというふうに考えております。
  215. 中井徳次郎

    ○中井分科員 赤恥にもならぬ、やったらもうすばらしいし、それのでき上がるころには四日市−津間の短絡線もできるし、これは鉄道公団だからおれは知らぬといっても、できたらそれはあなたのほうが運営しなければいかぬのだし、それから名古屋−大阪間の最短距離だし——新幹線ができたから当分直通の客のことはあまり考えなくてもいいかもしれませんけれども。そして何か工事のむずかしいところがあるかといったら、たんたんたる大平原ですね。関西線というのは、百七十四キロあるうち山岳地帯は二十五キロしかありませんよ。何でもない工事で、そしてぜひ必要であるし、やったら黒字になるというものを、なぜ今後五年間かからぬとできないのですか。これは四十六年などと言わずに、早くする考え方はありませんか。そんなものは二年もあればできるでしょう。
  216. 今村義夫

    今村説明員 要は改良計画に使う金の配分の問題だと思いますが、早期に着工できるかどうかという問題でございますけれども、これはいまの先生のお話も十分弧に入れて、さらに検討させていただきたいと思います。
  217. 中井徳次郎

    ○中井分科員 それから名古屋−四日市間ではまたあまり役に立ちませんので、少なくとも名古屋−亀山間までやらなければいけませんし、京都から津、伊勢、これはお伊勢参りの古い線路です。この線路は七十年ほど前にできておりますが、それと重復いたしますので、亀山−柘植間というものも、これはどうしても複線にしなければならぬ。したらすぐに黒字になる。いまのように時間がかかっておるから乗らないのだというようなことは、よく認識しておってもらいたい。そしていまの単線でも幾らでも早くできると私は思うのです。あなたは時間表を持っておられるから、私は逆にお尋ねするが、たしか奈良を十一時三十分ごろに出る準急があります。奈良から名古屋までおそらく距離としては百二、三十キロだと思います。その準急が奈良から名古屋まで二時間半かかる。割ってごらんなさい。準急が一時間四十キロのスピードですからね。そういうことを放置しておいて、そして赤字だ、黒字だ、それ料金改定だといったところで、それはもう私どもはわからない。もっともっと努力をしてもらわないと困る。いまのダイヤで、ちょっと私もうろ覚えですが、十一時半に出るやつは名古屋に何時に着くか知らせてください。
  218. 今村義夫

    今村説明員 お話のとおり、奈良を十一時半に出ます列車は、名古屋に二時二十分くらいに着いております。確かにおっしゃるとおりでございますが、これは途中で、御承知のとおり関西線は単線でございますから、「くろしお」という紀勢線の特急でございますが、これを待ち合わせるというようなことのために時間をとられて、結局到達時間がおそくなっておるという事情になっておるわけでございます。
  219. 中井徳次郎

    ○中井分科員 たいへんこまかいことを言うようですが、私も実はそういうことが好きで、子供のときから研究しておりますので言うのですけれども、その準急は亀山というところで十三分とまるのです。百三十分ばかりの汽車の旅の中で十三分、一割もとまられて、そして料金を百円とられて、準急だからパスを持っている通勤者を乗せない。ひどいですよ。一体何しているのです。なるべく関西線に乗らないで、回り回って近鉄に乗りなさいというダイヤです。いま近畿日本鉄道でダイヤを組んでいる人は、昔、関西線やら名古屋あたりでダイヤを組んでおった国鉄の職員だそうです。だからよく知ってまして、みんな、あれはやめたらまた近鉄へ行くんであんなゆっくり組んでおるんじゃろうという悪口を言ってますよ。ぼくはそんなことはあるまいと信じておりますが、幾らなんでも二時間ばかりの準急で百円とって、「くろしお」と交差するために十三分もとめている。あんなのは十分ばかりあとで出発したらどうですか。昼間、別に対抗する汽車もあまりありません。私もしょっちゅう乗ってますからよく知ってます。なぜそういうのんきなことをやるのか。  毎年何十万、何百万と小学生、中学生、高等学校の生徒が関西旅行に参ります。昔は全部この関西線を使いました。このごろはもう八割まで近畿日本鉄道を使うわけです。それは非常な不便だろうと思うのです。東北や関東から旅行しまするのに、切符を買いかえたり、交渉もたいへんだろうと思う。全部国鉄で行ければいいのですけれども、いかにしてもダイヤがない。あなたは単線だと言うが、昔三時間で来れたのが、いまは三時間十分かかったりする。昔は複線だったのと違うのです。昔も単線です。そうして昔はみんな機関車でした。このごろは全部ディーゼルなのです。始動も早いし、着くのも早いし、だいぶんスピードアップされている。それなのにおそい。  私はまだまだいろいろなことを伺っていますが、そんなことは言いたくありません。いずれにいたしましても、関西線の運行につきましては、どうもひど過ぎる。これはひとつ本社のほうにおかれても早急に厳重な調査をしてもらって——百七十キロばかりの線ですから、こんなにおそいなら準急などというものはやめなさい。昔もそういう時代がありました。各古屋−湊町間に一日五回も快速が通っていました。その時分は満員でした。このごろは同じところを時間が十分ばかりよけいかかって、金をよけいとられて、そうしてパスの人は乗れない。私に言わせると、全部近畿日本鉄道にお乗りくださいというダイヤをお組みになっておる。昭和の初期よりもおそい。敗戦後私がやかましく言いましたら、戦争に負けてまだいろいろめんどうなことがあるのでしばらく待ってくれということでした。もう二十年たちましたが、ちっとも直りませんので、きょうはもう総裁の前で、あなた方に申し上げておるわけですが、いかがですか。
  220. 今村義夫

    今村説明員 お話のとおり、関西線のサービスが決して十分であるとは申し上げません。われわれにしても十分反省をしなければならぬと思いますので、お話の点は今後よく検討してみたいと思います。
  221. 中井徳次郎

    ○中井分科員 準急はもうやめられますか。やめて快速にされますか。その辺どうです。
  222. 今村義夫

    今村説明員 準急を快速に格下げということは、いまのところ考えておりません。やはり私どもといたしましては、できるだけ準急ということで、営業の増進ということもありますので、これはごかんべんを願いたいと思うわけでございます。
  223. 中井徳次郎

    ○中井分科員 最後に総裁に申し上げたいのですが、こういうふうに非常な格差ができまして、ローカル線はだんだん放置されております。放置されておる根本は、おそらく私は総裁に向かっては事務当局は、どうも赤字でぐあいが悪いとか、経費の面とか言いますが、私はそんなものうそだと思う。もう少し努力をしてもらいたい。それは世界じゅうの鉄道が赤字で、単に日本だけではないと言いますけれども、しかし日本はきわめて人口稠密でありますから、何もヨーロッパやアメリカと同じように考える必要はないと私は思います。特に新幹線ができてどんどん延長されるということになれば、それとのつなぎですね、背骨が新幹線で、それから出る肋骨、各種の骨という骨組み、この骨組みをきちっとしてもらわないことには、私どもは実際どうも何か汽車に乗りながら笑い出してくる。あまりにのんきなひどいダイヤを組んでおられる。これは単に関西線だけではなくて、日本全国であろうと思います。福知山線だとか山陰線、中央線、私は拝見せぬでもわかっておる。新潟から福島のほうに行く線などというものは、ひどいものです。こういうものを少しスピードアップすることによって、人員がそんなに要るかといいましたら、ちっとも要りやしません。ガソリンがよけい要るかというと、ガソリンが要るわけではありません。むしろ乗務員の勤務時間が少なくなるくらいなことであります。この点は十分考えていただいて、何かいま国鉄の運賃値上げの問題が参議院にかかっておるようでありますが、どうなりますか。われわれ社会党は反対をいたしておりますけれども、いずれにいたしましても、そういう企業努力をほっておいてうまくやろうといったって、なかなかうまくはいかないと私は考えるのであります。  それから今度の値上げで、先ほどから話が出ております準急だとか特急だとかいう特急券、準急券の代金などは上がるのですか、どうですか。
  224. 今村義夫

    今村説明員 新幹線の料金はそのままでありますが、特急料金につきましては、いままで各停車駅当たりの運賃をつくっていますのを、キロ別に直していくわけであります。それから急行料金につきましても、ただいま二百円、三百円という二本立でございますが、これをキロ別に直しますので、その関係で若干値上げになるところがございます。しかし、今度準急料金というものは廃止しますけれども、百キロ以下は全部百円、いままでの準急料金と同じ料金でございますので、いままで二百円取られたところを、百キロ以下ならば急行列車にも百円で乗れるというかっこうになるわけでございます。
  225. 中井徳次郎

    ○中井分科員 それじゃもうちょっと伺いますが、大体準急とか急行とか特急とか、新幹線は別としましてありますが、これの標準ですね。一時間どれくらいのスピードで走るから準急だ、どれだけ走るから急行だという、その制限はあるのですか。
  226. 今村義夫

    今村説明員 特急は御承知のように、長距離を走る、それから車も優秀な固定編成の車を使うというようなことでやっておりますが、急行と準急の区別につきましては、だんだん準急の車両もよくなりますし、それからスピードも上がってきて、急行との差別がなくなってきつつある現状でございますので、今回は準急という——大体いままでの準急といっておりましたものはキロで区別する、百キロ未満を大体準急列車ということにして、あとは急行列車ということにしたい。ただし料金は、いま申し上げましたとおり百キロ未満は百円でいくということにしたいと思っております。
  227. 中井徳次郎

    ○中井分科員 だいぶ変わったようですが、いま私が尋ねましたのは、スピードの問題です。箱がいいとか悪いとかいう問題でない。一時間何キロ以上を準急といい、一時間何キロ以上を急行という、そういう規定があるのかないのかということです。
  228. 今村義夫

    今村説明員 いまスピードによる区別は一切いたしておりません。基準というものを設けてはおりませんけれども、大体特急でございますと、御承知のように百二十キロくらいのスピードで走る。それから急行、準急につきましては、実はあまり明確な差別はございません。
  229. 中井徳次郎

    ○中井分科員 特急は百二十キロであるということならば、いま関西線を走っております特急は、特急にも何もならぬでしょう。これは普通列車だ。どうもさっきのことにこだわりますが、だんだん聞いてみると、一時間四十キロ走るのが準急であったり、関西線を走っております特急は一時間六十キロです。あなたの言う百二十キロの半分です。また箱で区別するとは一体何ごとですか。いい箱だったら特急というのは……。そういうのはぼくらちょっと判断がつかぬ。急と書いてあるのだからね。どうなんですか、そういうものの考え方。
  230. 今村義夫

    今村説明員 私が百二十キロと申し上げましたのは、東海、山陽みたいな主要幹線キロを申し上げたわけですが、これも実は何キロ以上を特急とするという基準はございません。結果的にそうなっておるということを申し上げたつもりであります。したがって、関西線は非常におそいわけでございますが、これは実は車両の運用の関係で走らしたわけでございまして、したがってここは特別安い料金にしておると思います。
  231. 中井徳次郎

    ○中井分科員 運輸大臣、あなただいぶおくれて見えて、最初の問答はお聞きじゃなかったかと思いますが、大体国鉄は運営の面においてかなりたるんでおる。その一つのあらわれとして、ローカル線のダイヤの組み方なんかは実にのんきで、乗せてやっておるのだという考え方でやっておる。そのことが、私鉄の並行線がありますと——実際は並行線でありません。五キロも十キロも遠いところ走っておっても、全部それに乗る。こういうものをあなたのほうとしてどう考えておるか。運輸省は昔は一緒であったので、ぐるで考えておるのかということさえちょっと思うのです。いまもちょっとあなたの目の前で聞いてみたのですが、準急とは何キロ以上走るとか、急行とは何キロから何キロまで、特急とは何キロと、せめて十キロか二十キロくらいの幅でもってそれをきめておかなければ、何かいい車で東海道を走っておったのを、今度はローカルに回したから、車がいいから特急だ、これは国民はそういうふうには考えません。特急というものは速く走るものだというふうに思うのですが、この辺のところ一ぺん締め直す——企業体として、これは何も金のかかることではありません、締め直すお考えがありませんか。こういうことはたくさんありますよ。
  232. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 全国的にひとつ、そういうところがあるとすれば、やはりローカル線にもできるだけ気をつけるべきであると思いますので、よく調査をしまして、国鉄当局と打ち合わせまして、地方の人の期待に沿うように善処してまいりたいと思います。
  233. 中井徳次郎

    ○中井分科員 もうこれで終わりますが、総裁にもお願いしておきます。とにかく、鉄道ができてかれこれ九十何年になるわけです。関西本線などはおそらく七十年くらいになると思いますが、私が幼少のころ乗りましたのよりいまのほうがおそいということは、何としてもこれは、政治の貧困というか何というか——それから戦後特にしろうとがバランスとか言い出したのです。総裁はこれはよくおわかりだと思いますが、しろうとがこの線は赤字だからだめだ、この線は政治路線だからだめだといって、新聞にもいろいろ書かす。しかし、その赤字路線がないことには、東海道や山陽線が黒字にならぬのですね。これは一本の大きな木なんですから、その木の端のほうを、赤字だからはさんでおけということになれば木になりません。最近どんどん道路ができまして、私どものほうでも名阪国道というりっぱな道ができました。すばらしい道ができました。すばらしい道ができたから関西線はなくなるのじゃないかという議論をする人もありますが、私は、多々ますます弁ずで、いよいよお客がふえるだろうと言っておりましたら、ふえたそうであります。やはりたくさん来ますから、何割かは帰りは汽車に乗ろうということでふえたということを聞きますが、どうぞひとつ、何といいますか、こういうのんきな経営をうんとこの機会に締めて、そうして見当違いの赤字論議をやめてもらいたい、これをはっきりと申してお願いをしておく。  それからさらに、先ほども言いましたように、二時間ばかり走る準急に十三分も停車するというようなダイヤは即刻やめてもらいます。十三分といいますと、具体的に言いますと、亀山の次は四日市という例の工業都市でありますが、その間二十キロでありまするので、私はかんたちですから、亀山に着きますと、さっさとおりて自動車に乗って行くのです。そうすると十三分で四日市に着きますから。ですから、だれもそんなところから乗る人がありません。そういうダイヤの組み方は一刻も早く全国的に検討していただく、これを私は強く要望して質問を終わります。
  234. 石田禮助

    ○石田説明員 いま中井さんのお話を聞きまして、実は私も国鉄総裁として、こういうおかしなことを知らなかったということに対しましては、まことに申しわけないと思います。これは運輸大臣の責任である前に、私の責任だと思います。実は私は監査委員長のときに関西線について、これが二十七億も赤字になっておったということで一ぺん視察に行ったことがあります。とにかく何とか方法はないかということで準急が置かれたのでありますが、その前にたとえば奈良線のごとき、もと複線であったやつを戦争のために単線にした、ところが依然として単線でほうっておいて、しかも関西線のうちで奈良と大阪の間の旅客というものは相当なものでありまして、これはひとつ複線にしたらいいじゃないかということで複線にいたしました。こういうことであり、そしてまたこの赤字線につきましては、その培養効果というものをやはり国鉄も考えなければいかぬということで始終注意をしておるわけでありまするが、とにかくお話を聞いて、実はきょうは自分として大いに反省しなければならぬということを感じますので、御真意を体してもう少し細密に研究をいたしまして、御真意に沿うようにいたしたいと思います。
  235. 荒木萬壽夫

  236. 武藤山治

    武藤分科員 私は、特に身体障害者の乗車割引の件について、大臣並びに総裁にお尋ねをいたしたいわけであります。  まず冒頭に、大臣、現在身体障害者に対して国鉄の運賃はどういう措置をとっているか、あなたの認識のほどをまず最初に伺っておきたいと思います。——大臣、わからなければわからぬでよろしいですから……。
  237. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 身体障害者の場合は、ついておる人、介護者の場合は半額ずつ、半額の割引になっております。百一キロを越した場合は、普通の一人の場合は五割引き、まあその程度しか承知いたしておりません。
  238. 武藤山治

    武藤分科員 国鉄総裁、身体障害者に対する国鉄の割引ですね。どういう趣旨で、いつからおやりになったかわかりますか。
  239. 石田禮助

    ○石田説明員 この件につきましては私も存じませんので、関係常務理事をして答弁いたさせます。
  240. 武藤山治

    武藤分科員 それでは今村務理事にお尋ねいたしますが、身体障害者に対して、百キロ以上になった場合は、片道百キロ以上乗車する場合には五割の割引をする、この趣旨、目的は何ですか。
  241. 今村義夫

    今村説明員 身体障害者が普通の人と違うというところで、これに対する援護措置だというふうに感じております。
  242. 武藤山治

    武藤分科員 厚生省おりますか。——厚生省の社会局長がお見えのようでありますから、お尋ねいたします。  私どもが、地域に行きますと、身体障害者が列車に乗る場合に、百キロ以上乗らぬと割引がない、体の悪い者がそんなにちょいちょい百キロ以上乗る必要もないし、回数は非常に少ない、ところが国鉄は百キロという制限を相変わらず撤廃しないで、けしからぬじゃないか、非常に不満だ、こういう声を各地の身体障害者の会合に行って聞かされるのであります。ここにいる灘尾先生も、特に社会福祉関係の全国会の会長をやっておられまして、私どものところに陳情請願などよく届けられております。私鉄ではもうすでに百キロ制限を撤廃して、栃木県などは私鉄は何キロ乗っても五割引きになっておるのですが、国鉄は五割引きでないという、そういう不満の声を非常に聞くのでありますが、担当の厚生省としては、どのように実態の事実関係を把握しておりますか。私鉄と国鉄との関係……。
  243. 今村譲

    今村政府委員 お答え申し上げます。  二十五年にこの法律ができます当時は、実は私事務官でお手伝いをしておったのでございますが、そのときは相当重い人で、だれか介護者がなければ乗れないというふうな人については半々、二人で一人前という出発でございました。それが第一種、二級以上の重い人ですが、それからその後に、何年でございますか、二十八、九年ごろだと思いますが、一人で歩ける人でもやはり社会政策的な意味から何らかの減免措置をというふうな動きがございまして、そのときに私が聞いた話でありますが、学割りなんかも百キロ以上という例があるので、一人で歩ける人間については百キロ以上だけにしたいというふうなところで話がまとまったというふうに聞いております。それを、いまおっしゃいましたように、身障の団体は、二人のほうの人間の割引ももっと広げてもらいたい、と同時に一人で歩ける者についても、百一キロをせめて五十キロくらいまでにしてもらいたい、十キロ、十二キロというのはそういう必要はない、こういう要望がありますので、運輸省、国鉄のほうにもいろいろお願いを申し上げた、こういうふうなわけであります。
  244. 武藤山治

    武藤分科員 国鉄総裁、いま厚生省の答弁を聞いておわかりのように、身体障害者に百一キロ以上乗らないと割引しないというのは、人生のハンディを受けた身体障害者に対して、国としてどうも思いやりがないような気がするのでありますが、国鉄総裁の御意見いかがですか。何も知らぬことでも、いまの質疑応答で、大体なるほど制限があるということはわかったわけですが、総裁としてどうでしょう。
  245. 石田禮助

    ○石田説明員 お答えいたします。  この問題は、私は、国鉄が考える前に政府が考えるべき問題じゃないかと思うのです。要するに国鉄というものは独立採算制ということですが、幾多の公共負担を背負っておりまして、四十年度においてはその額が九百億にものぼっておる。四十一年度においてはそれは千億をこえる。しかもその独立採算制というものを維持していかなければならぬ。そして今度の第三次計画を立てるにつきましても、自己資金として非常に大きな金が要る、こういうことなので、これは私は、国鉄も考えるが、政府がまず考えるべき問題じゃないか、こういうことに考えております。
  246. 武藤山治

    武藤分科員 私鉄が制限を撤廃しておるのに国鉄が撤廃していない、そういう情勢のアンバランスを直すことは当然だと思うのです。しかし、あなたは独立採算制の企業を運営する最高責任者として、損の立つことはごめんじゃ、その気持ちはわかりますよ。そこで政府の閣僚の一人として連帯責任を持つ大臣にお尋ねしますが、大臣、いまの制限を撤廃することは私は当然だと思うのです。また身体障害者のその願いをかなえてやることは、ハンディのあるこれらの人たちに対する思いやりが政治として当然だと思うのです。大臣の御見解はいかがですか。——大臣にまず聞いておる。事務局にはあとで聞くからよろしい。
  247. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 この制度は百一キロ以上の場合は五割引きということになっておるようでございまして、短距離の場合は割引しないことになっておるようでございますが、おそらくこの起案いたしました当時は、遠距離はひとつ割引をするようにしよう、近距離は金額がかさまないから、そういう気持ちでそういう制度がおそらくできたのじゃないか。そのときのことは私よく知りませんから、想像いたすのでございますが、気持ちとしては身障者に対しはできるだけ割引してあげたいという気もありますけれども、国鉄に大きな公共負担的な割引を負担させることもどうか、かようなわけでございまして、そういう事情で、現在の状態では現在出しております案に落ちついておるものと解しております。
  248. 武藤山治

    武藤分科員 大臣の答弁は全然前向きじゃございませんな。現在そういう規定になっておる。現在の規定は大臣がやろうと思えば簡単にできる。この割引規定は昭和二十七年四月八日告示できめているのですよ。したがって、いま石田国鉄総裁がおっしゃるように、政府が政治的な立場からこれは当然身体障害者に対してはそれくらいのことはやってやろう、こういう決断をすれば、こんな告示はもう大臣の権限で朝飯前にできることなんです。問題はあなたの姿勢なんですよ、大臣。なるほどそういうものをはずしてやろう、あなたがこういう御決意を持ってくだされば、身体障害者の諸君は名運輸大臣だということで拍手かっさいをするんですよ。いまのような答弁では全然これは前向きにならぬです。  そこで堀鉄道監督局長、先ほど答弁したいと手をあげておりましたからお尋ねしますが、予算書を見ますと、国鉄の本年の収入の中に、一億一千九百九十一万三千円という一般会計よりの受け入れというのがある。これはおそらく身体障害者の割引の料金を政府が国鉄へ払い込む金じゃなかろうかと思うのですが、その内訳をちょっと発表してみてください。
  249. 堀武夫

    ○堀政府委員 それは身体障害者割引と申しますよりは戦傷病者の割引でございます。それで、戦傷病者の割引につきましては一定枚数、枚数に制限がございますが、それによりまして全然無料にいたしております。その分は国から、一般会計から国鉄にその予算をやっておるわけであります。普通の身体障害者につきましては、そういう予算というものは国鉄にやってない、したがって公共負担として国鉄が負担をする、こういうかっこうになっております。
  250. 武藤山治

    武藤分科員 そうしますと、いま百一キロ以上は五割割引をしておる。これの実損は一体国鉄は一年にどのくらいになりますか。
  251. 今村義夫

    今村説明員 身体障害者の場合には、鉄道運賃法では、介護者つきの場合にはもう無制限でいくことになっておりまして、単独の場合だけが百一キロ以上に限るということになっておるわけであります。そこでその両者を合わせまして大体四億三千万円程度になっておるわけでございます。
  252. 武藤山治

    武藤分科員 大臣、いまの答弁でおわかりのように、大体全国の身体障害者は、第一種身体障害者が四十二万二千人、第二種身体障害者が五十四万八千人おる。これらの人たちは、生まれながらにして人生のハンディを受けておる人たち、あるいは途中で事故によって身体障害者になった気の毒な人たち、とにかく一般の人たちと同様な人生を送れないという気の毒な人たちであります。文化国家である日本、特に福祉国家を目ざす自由民主党、そういうものが政権を担当しておる今日、こういう身体障害者に対する割引が、単独の場合には百一キロ以上でなければだめだなどという前近代的な割引では、身体障害者に対する思いやりがなさ過ぎると思うのです。四億円の予算を取れば、現在五割以上の人が四億、それをまたかりに全都ゼロにしたとしても八億ですね、百キロ制限をかりに置いたとしても。おそらく百キロ制限を撤廃するだけだったら、国がかりに出すにしても、私は幾らでもないと思うのです。だから大臣がほんとうにやろうという決意になりさえすれば、この問題は簡単に片づくのではないだろうか。大臣、七月までおやりになるか九月までおやりになるかわからぬから、責任ある答弁ができぬというのであればそれっきりでありますが、しかし、やはり内閣の連帯責任というか、今日は議院内閣制ですから、あなたの発言によって政府を動かすことができるのですから、ひとつ全国のこれらの人たちに前向きの声を委員会を通じて出してもらいたい。あなたの見解をひとつ……。
  253. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 身体障害者に対する運賃割引は、御承知のように、重い状態の人につきましては、介添え者を要するような人に対しては、距離のいかんにかかわらず五割の割引制度になっておりますが・軽い立場の人であると思いますけれども、そういう人には百一キロ以上の遠距離を旅行なさる場合には、五割の割引ということになっております。短距離の場合は、運賃がきわめて少ないということで、割引なしでごしんぼう願っておるというような状態でございます。いますぐそれを改正するという気持ちはいまのところ持っておりません。
  254. 武藤山治

    武藤分科員 最後がよくわからなかったのですが、改正するというようなことは考えていないというのですか、考慮しようというのですか、どうなんですか。
  255. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 いまの時点ではまだ考えておりません。
  256. 武藤山治

    武藤分科員 大臣はいまの段階では考えておらぬという、まことに非情な冷たい答えでありまして、全国の身体障害者はおこると私は推察するのでありますが、まことに自主性のない大臣の答弁で残念であります。しかし、私は、全国の身体障害者の意見を代表して、以下項目別にこまかに質問をいたしたいと存じます。  現在の第一種身体障害者と国鉄が認定をしている障害者の範囲というものは非常にきついのではないだろうか。したがってこのワクを広げなければいかぬ、こう考えますが、国鉄側はどう考えておりますか。
  257. 今村義夫

    今村説明員 身体障害者の対象のあれでございますが、これは国鉄がこの料金をきめておるわけですが、ただいまのところその対象者は大体九十五万人にのぼっておるわけでございまして、これを直ちに広げるということは、先ほど総裁が申し上げましたように、公共負担の是正をお願いしている現段階では、私どものほうとしては非常に困難かと思っております。
  258. 武藤山治

    武藤分科員 逆なんですよ。今度の運賃を値上げするから、身体障害者の負担がまた重くなるのですよ。だから当然その割引率は——値上げ前と同様の収入しか得られない身体障害者が多いのですから、身体障害者なんか、ベースアップがどんどんいくような職場になんかおらんのですよ。収入が固定しているのですよ。そういう人たちに対する思いやりを考えるならば、運賃を値上げするくらいの国鉄の内容だから、これはとても広げられぬというような冷たい答えではなくて、運賃が二割も三割もばっと上がれば、身体障害者にはね返りが少ないように割引を六割にしてやろう、こう出るのが親心じゃないですか。これが私はあたたかい為政者の心がけだと思います。こういう意味で、第一種身体障害者にどうしても百キロ制限撤廃ができないというなら、五割を六割にしてやったらどうですか。大臣、見解はいかがですか。
  259. 堀武夫

    ○堀政府委員 身体障害者の割引の根拠は、運賃法の五条の二にあるわけでありますが、この法律の趣旨から考えてみますと、どうしても介護者がだれか付き添っていかなければ汽車に乗れないという人のための規定であります。ですから、付き添いがつくということは、割引しない限りは運賃が倍になるということであります。これではあまり気の毒だというので、そういう介護者がつかなければ汽車に乗れない人の場合だけ五割引きをしてやれということが法律に書いてあるわけであります。ですから、法律の根拠からいえば、身体障害者でも一人で汽車に乗れる人は、必ずしもこの法律の趣旨からいうと割引しなくてもいいというわけであります。しかしながら、いろいろの強い要望もございますし、非常に気の毒な方々のことも考えまして、近いところは運賃がそうかからないからまあいいではないか、遠いところにおいでになるときにはやはり運賃がかさみますから、それで百一キロ以上を五割引き、こういう趣旨で国鉄自身がそういう割引をやっておるわけでございます。  先ほども私鉄がみなやっておるじゃないかというお話がございましたが、私鉄の全部じゃございません。私鉄十四社について見ますと、全線五割引きをして先生の言うとおりにやっておるのは西鉄だけなんです。(武藤分科員「東武もやっておる」と呼ぶ)西武は五十キロ以上五割引きというので、あとは大体国鉄と同じようにやっておる。ですから、私鉄がみなやっておるのに国鉄だけやらぬのはけしからぬじゃないかということではございませんので、ひとつその辺は御了承をいただきたいと思います。
  260. 武藤山治

    武藤分科員 そういうのをへ理屈というのです。一社でも二社でも私鉄はやっておるのだ。民間は営利を目的としておる株式会社ですよ。いやしくも国鉄は、幾ら独立採算の企業でも、ある程度国民にサービスをしようという精神を変えちゃいかぬ。ですから、そういう国の国有鉄道が、私鉄は三社しかやっておらぬから、国鉄がやっておることが正しいので当然だ。それじゃ私鉄がみんなやめましょうということで、はずされたら、またまたこれらの身体障害者にえらい迷惑をかけるのですから、もう少し答弁は慎んでもらわなければならない。もしそういう法律があったら、国会があるのだから、大臣はそういう法律を直してまで国民の福祉を増進してやろう、あの身体障害者を守ってやろう、そういう気持ちになりさえすれば、法律は直せるのです。政治は法をつくる力と法を破る力を持っているのです。大臣、役人に引き回されたらだめですよ。大臣となったら政治家なんですから、国民全体の立場から見て、なるほど私鉄の二社がやっておるなら国鉄も少し緩和しよう、こういう方向にいくのが国の鉄道ではありませんか。私の見解は少しこじつけでしょうか。大臣いかがですか。私の見解は間違っておりましょうか。
  261. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は武藤さんの意見も一つの社会政策的な御意見であると思っております。ただ、現在の時点におきましては、政府といたしましては武藤さんの期待に沿い得ない、現在の割引率のところでごしんぼうをお願いいたしたいということでございます。
  262. 武藤山治

    武藤分科員 全然納得できぬし不満です。もしすぐ百キロ制限というものが撤廃できないならば、今回運賃が値上がりになるのを機会に、この制限を半分の五十キロに引き下げたらいかがか。これが思いやりの政治です。五十キロに引き下げることもだめですか。その点はいかがですか。検討する余地がありますか。これも全くノーと答えますか。国鉄側の見解をひとつ聞かしてもらいたい。
  263. 今村義夫

    今村説明員 先ほど鉄監局長からお話がありましたように、法律できめられておりますのは介護者つきの場合でございまして、現在百一キロ以上の単独旅行者について割引しておるのは国鉄限りでやっておるわけでございまして、これだけでもかなりな公共負担になるわけであります。したがいまして、運賃は今回是正をしていただきたいと思っておりますが、これができたからといって直ちに国鉄公共負担がさらにふえるということにつきましては、たえられないところでございまして、もしどうしてもそれが必要だというならば、政府のほうでごめんどうを見ていただきたいという感じを強く持っておるわけでございます。
  264. 武藤山治

    武藤分科員 さっき総裁は、ぴしゃりと、企業採算性の立場からもう国鉄の負担になることは一切ごめんだ、いい悪いは別として、こういうき然とした総裁の態度を一貫して事務局は貫いております。これに大臣が引き回されておったのでは私は情けないと思うのです。なるほどこれは直すべきだ、国民のために、人生のハンディのある者に対しては、ある者から負担をさせ、共済の理念から、お互いの助け合いの理念から、これはなるほどやってやらなければかわいそうだ、大臣はこうお思いにならないのでしょうか。大臣がそういう気持ちを持つと部下が協力しないということにおびえていて、ここでほんとうのあなたの人情ある答弁が出せないのでしょうか。それでは、いまの規定どおりで、急行に乗った場合には割引を認めるようにはしないか。いまはスピード時代になって、重症身体障害者でも急病だからどうしても急行でもって東京の病院にいこうと、百キロ以上乗りますよ。しかしこの規定は二等しかだめなんだから、急行に乗ったらこの割引を認めぬ、こういう方針を貫くのですか。大臣、いかがですか。
  265. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 身体障害者に対する割引の方法等につきましては、これはやろうという考え方ではいろいろあると思いますけれども、私は、現在の時点におきましては、先ほど申しますように、身体障害者として介添え者を要するような気の損な人には介添え者、本人ともに五割ずつ割引するし、それから軽度な方には百一キロ以上の遠距離の場合に限って五割の割引でひとつ今回はがまんしていただきたい、こういう気持ちでございます。
  266. 武藤山治

    武藤分科員 今回はという前置きがあるから、一応質問を続けますが、今回はということは、この国会で法律を改正しないのだ、現規定でこの国会はやるのだ。しかし来年も再来年もあるのですから、これらの期間の間に検討しようという気持ちはお持ちになりませんか。いまの質疑応答を通じて……。
  267. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 武藤委員の仰せられる気持ち、身体障害者の生活のいろいろ不便を感じていらっしゃることにつきましては、私も人間でございますから、非常に同情の念を持って考えるのでございますが、しかし、現時点ではひとつがまんしていただいて、将来の問題として検討する課題であるとは考えております。
  268. 武藤山治

    武藤分科員 堀鉄道監督局長、だいぶ強気なあなたの意見で、質問したところでむだだと思うのです。しかし私はまだ続けたいのです。戦傷病者には無料で、戦傷病者以外は無料でない。片方は国家のために、戦争という国家目的遂行のために行ったから、これはお返しとして無料にしている、そう答えるかもしらぬが、なぜ差をつけるのですか。
  269. 堀武夫

    ○堀政府委員 戦傷病者に関しましては、法律でもってそうしろということがはっきりきまっております。どうしてそう差がついておるのかということになりますと、これは考え方の問題でございまして、国家のために傷を負った、そういうところにウエートが置かれて、法律的にそういう差が出ておる、かように思います。身体障害者とか公共負担について、国鉄にいろいろ要望がたくさんあるわけなんです。一方、国鉄のほうから見ますと、こんな公共負担ばかりかつがされてはたまらぬという強い意見もございまして、過度の公共負担を国鉄が負い過ぎているのではないか、こういうような批判も往々にありまして、政府の考え方としては、できるだけそういう負担は過度なものは減らしていこう、軽減をしていこう、こういう方向でものを考えておるのであります。たくさんの要望を一つずつ——全然理由がないわけではありません。そういうような要望というものはみな必ず理屈はあるわけでございまして、それを一つずつ受け入れていきますと、いませっかく公共負担を少しでも軽減していこうというふうな考え方から言いますと、逆方向になるものでございますので、われわれとしては、できるだけいまの線以上に公共負担をかぶせることは何とかしてがまんしていただかないといかぬ、こういうような態度でものを考えておるわけでございます。
  270. 武藤山治

    武藤分科員 それは堀さんわかる。国鉄に勤務しておる人の気持ちはよくわかる。わかるけれども、やはり国家的全体の視野に立って、共済とか相互扶助とか、そういうふうな観点から考えるならば、戦傷病者だけは無料で——たとえば国家公務員が公務のために片足切断した、主張中に重傷を負った、事故にあった、そういうものだって国家のために仕事をしておって、やはりけが人になったのじゃないですか。そういう人は一ぱいおりますよ。そういう者と戦争に行った者と差をつけるのはいかぬです。平和国家になった今日、同列に扱わなければいかぬ。これは提案すべきですよ。灘尾さん、どう思いますか。灘尾さんは全国の社会福祉運動のキャップになっておって、一生懸命陳情書の代表者として私たちのところにも署名がきておる。自民党の大臣までになったえらい人が、なぜこんな陳情書を出さなければならぬのかという疑問まで感ずる。こんなに簡単なことが話し合いで通らぬといういまの姿勢について非常に不満です。これは国鉄総裁どうしても検討をしてもらう必要がある。戦争で身体障害者になった者と公務でなった者との差なんというものはつけられぬと思う。どうしても、これはいますぐできぬにしても、総裁、あなたが就任中に、いまここで質疑応答した身体障害者の問題については、検討を命じてみよう、そういう気持ちに総裁なれませんか、いかがですか。
  271. 石田禮助

    ○石田説明員 私は、私情においてはあなたのお説に賛成であります。しかし、国鉄のいまの立場を申しますと、第三次計画のもとをなした基本問題懇談会において、国鉄というものは、いままで政府からろくすっぽ兵糧ももらわず、鉄砲のたまもくれないで、しりっぺたをたたかれて酷使されてきたんだ。それが今日の通勤地獄であり、過密ダイヤであるものだから、国鉄としては、政府としてよろしく三千億か四千億の出資をしたらどうかということ、同時に公共負担というものに対して、ほんとうに真剣に考えてくれろ、こういうようなことを申し出ましたのですが、ついにいれられない。ために両方とも運賃値上げというような、みんなが喜ばないことを申し出ざるを得なかった。こういうような立場にありますので、いまさら私の私情をこの中に入れて考えるということは、ちょっと立場としてはぐあい悪い。どうかひとつその点は御了承願いたいと思います。
  272. 武藤山治

    武藤分科員 運輸大臣、これは大臣が真剣に検討する以外に国鉄はだめです。がんとして一銭でも損することはいやだ、こういうことなんですね。そこで運輸大臣、今度の通行税なんかも、国鉄当局に運輸大臣がもっとこまかく分析をして検討させるならば、方法は別にあると思うのです。いま国鉄が集めた通行税は幾ら国に納めていますか。
  273. 今村義夫

    今村説明員 三十九年度で年間大体二十七億でございます。
  274. 武藤山治

    武藤分科員 大臣どうですか。通行税なんというものは、国鉄職員が手間かかって金を集めて、その集金した金を大蔵省に、同じ政府が国鉄から納めさせるのでしょう。こんなものは本来なら廃止すべきです。しかし廃止できないで現実に取っておるなら、こういうものは目的税にして国鉄へそのまま還元させるとか、そういうようなきめこまかい検討が必要じゃないかと思うのです。そういうことをやるならば、この程度の、身体障害者に対する割引という思いやりのある方向にかじを動かしても、国鉄運営にはそう支障は来たさないでしょう。来たしますか、この程度の金で。どうでしょう、大臣。
  275. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 通行税の目的税について、こういう場合に考えろという武藤委員の考え方は、これは私は一つの考え方だと思います。いまのところ政府は通行税で目的税としていろいろ考えるという段階ではないようでございますが、私は、将来の問題として、私自身としてはこれは廃止の方向でいきたいと考えておりますが、しかしこれは目的税の形で検討してみるということも一つの考え方だと思います。将来そういうことまで含めまして、ひとつ身障者の点については検討をしてまいりたい。私は先ほどから武藤委員のお話を聞きながら考えたのでございますが、身体障害者の介添え者を要するような非常に重い人が、介添え者と身障者本人と五割を引きましても、結局一人分は完全に納めるということになっておりまして、こういう点考えますと、将来の一つの課題として検討さしていただきたいと思います。
  276. 武藤山治

    武藤分科員 身障者が介護者がなければだめだという考え方も、いまの自民党政府の方針には反するのですよ、大臣。いま政府は、重症心身障害者の収容施設を全国に本年五カ所つくろう、やがては全国の、付き添いがいなければどうにもならぬような者は、国が施設をつくって一カ所でめんどうを見よう、こういう方向を打ち出して、現実に本年の予算にもついてきている。それ以外の働ける人たち、所得を生む人たち、国家の富を増産する人たち、そういう身体障害者が一ぱいいるのですよ。そういう人たちは非常な困難を乗り越えながら苦難の人生を歩んでいるのですから、介護者がいなければ何も仕事ができない、付き添いがついて歩かなければ動けないという人だけを対象にするのは、もはや現実離れしているので、その点はひとつ大臣に十分私は検討願いたい。  国鉄総裁は、四億なら四億穴があく、五億なら五億穴があくから国鉄はごめんだという、まさに老いの一徹の主張ですけれども、私は、いざそうだとなれば、ひとつあなたに、最後ですから、一問ぴしゃっと答えを出してもらいたいのは、本年の予算書を見ると、一兆四千二百億の借金ですね。これを一体どういう方法で——名総裁として、あなた返済方針はどういう方法で返済できるのですか。あなたの青写真は、何年後なら返済できて、どうなるのですか、国民にわかるように端的に説明してください。
  277. 石田禮助

    ○石田説明員 国鉄が四十年度の末において一兆一千億の負債になるということは仰せのとおりであります。その上に、国鉄というものは、いま、通勤地獄の緩和、それから過密ダイヤの緩和、輸送の安全を確保することにおいて約三兆円の金がかかる。このうちの約一兆円というものは、借金をもってしてはいかんともすることができぬ。そのうちの約二兆に近いものというのは自己資金をもってやらなければいかぬということで、今度の運賃値上げということになった次第であります。武藤さんのおっしゃる身体障害者に対する問題は、金額からいえばそうたいしたものじゃないのです。たいしたものじゃないから、私は、私情としてはあなたのおっしゃることに対して同調したいと存ずるのでありますが、国鉄の現在の立場というものは、終始、出資しろ、あるいは公共負担というものを是正しろ、とにかく政府の政策を国鉄の犠牲においてやる。国鉄は、公共企業体であるがゆえに、できるだけこれに対して同調はしたいけれども、国鉄としてするだけのこともしないでおいてそういうことに同調するということは、これは矛盾している。これはひとつ政府としては考えてみたらどうか。これが公共負担のつまり是正の問題、その大方針にさからうようなことをやるということは、金額のいかんにかかわらず、これは少し僣越過ぎるのじゃないか。かるがゆえに、あなたのおっしゃることはごもっともなんでありますが、これはひとつ国鉄にあなたがただされる前に、政府に、ひとつ厚生省あたりにやってもらう、こういうことに向きを変えられたらどうか、こういうことを私は申し上げたい。
  278. 武藤山治

    武藤分科員 私は、国鉄経営自体の長期の将来を考えたときに、非常な不安を持つのです。本年の借金が七百十八億六千万円、一年間に返済するわけですね。一年間に七百十八億ずつかりになしていけたとしても、十年で七千百億です。そうすると、本年の予算書の借金一兆四千二百億円をなすだけでも二十年かかるわけです。その間にどんどん設備投資をやらなければならぬから、これは上積みする。これは大臣どうしても国が思い切って一兆億円くらいをばんと出す方法を考えないことには、国鉄は国民に何もサービスできぬ。ますます国民へのサービスは退化する。その反面重要物資だと称して、物価が上がるからだとか、あるいはこれは輸送賃がついてはたいへんだからといって、大企業の必要とするものはどんどん安くするような貨車運賃を、国が寄ってたかって吸いついておるわけです。だから私は、そういうような負担能力のある企業に寄ってたかってぶら下がられていて、身体障害者にわずかなものが処理できないという今日の血も涙もない国鉄当局のやり方、同時に、そういうことをさせざるを得ない政府の方針の無策、これを責めざるを得ませんよ。  時間がありませんから——運輸大臣に私はいやみを言うわけじゃありませんけれども、あなたもう少ししっかり、選挙区にも身体障害者は一ぱいおるのですから、全国の状況をよく把握して、もっと国鉄総裁を納得させるような、政治家としてのあなたのき然とした態度を求めますが、大臣に最後にひとつ所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
  279. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 将来、御指摘なさったような点につきましては、十分検討してまいりたいと思います。
  280. 荒木萬壽夫

    荒木主査 楯兼次郎君。
  281. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私は運輸大臣に簡単に一つ質問したいと思うのでございます。  いま武藤君と運輸大臣のやりとりを聞いておったのですが、身体障害者に対する割引が、この段階でいま直ちにとは言いませんけれども、検討するというような答弁ができないようではいかぬと思うのです。私は本予算委員会でも申し上げたのでありますが、いまは運賃が平均二五%通ればいいということの目先で政府は考えておられるようです。大体政府の物価指数は、四十一年度五・五%と言っておりますが、過去三、四年の例をとると、大体経済見通しより倍は上がっておるわけです。もうやがて、この長期計画というものは二、三年たてば資金面から修正せざるを得ない。これは火を見るより明らかだと思う。そういう見通しが立つにかかわらず、先ほど各委員が指摘をされておりましたように、理屈はどうにでもつきます。どうにでもつきますが、通行税を二十七億取ってよそのほうへやる。それから地方財政が赤字になったから、国鉄の施設が町村にあるから、固定資産税という名目ではぐあいが悪いので、納付金というような名前をつけたのだと思うのでありますが、それを年間百億円近い金を地方財政赤字の助成にやる。地方財政の赤字の助成はいいのですけれども、これは筋違いだと思うのです。公共負担も九百億だという。さらに問題はありますけれども、値上げをする国鉄から、当初の約束に反して相変わらず七十五億も建設公団出資をする、そうして身体障害者の割引はできぬ、こういう論はもう今国会が最後で、次の新しい問題が起きてきたときには通用しませんよ。だから私は、各委員が言っておりまするように、もう少し政府が財政的に腹をきめてめんどうを見るという立場に立たなければ、ことしは切り抜けても、もう来年、再来年からは処置できなくなってしまう。あなた方がこの席へ二年後、三年後来たって、もう答弁できませんよ。だから腹を据えて、いまの武藤君の質問もひとつ考えてもらいたいと思います。  そこで、私が質問をしようというのは、ここで運輸大臣をどうこう問詰するわけではないですが、いよいよ分科会が二日の日に終了いたしまして、四十一年度予算がいつ上がるかわかりませんけれども、審議をするということになる。ところが、二月の十五日からの運賃値上げがおくれております。きょう上がらないだろうと思いますが、きょうまででも一日四億円だと六十億円ですね。石田総裁はそういうことを言ったかどうか知りませんが、まあ六十億円くらい何とかなるだろう、大世帯だということを言ったか言わないか知りませんが、新聞等によりますると、そういうことが出ております。われわれが少なくとも予算を審議しておるたてまえ上、総裁の言われたようなことで、はいそうですかと言って、来年度予算を上げるわけにはいきません。したがって、どうしても再補正の道を講じなければ、この予算委員会は終了しないと思うのです。したがって値上げがおくれておる。機3号が通った。さらにおくれておる追加分はどういう措置をされるのか。その返答を承らないと、三日以降の本委員会の審議は私はできぬと思うのですが、どういう考えを持ってやられようとしておるのか、御意見を承りたいと思います。
  282. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 楯委員の仰せられますように、国鉄運賃是正の案をお願いいたしまして、いま最後の大詰めで非常に重大な段階であることは私も承知いたしておりますが、できるだけひとつ審議を進めていただきまして、そうして補正とかいうようなことをやらずに済むように、一日でも早く参議院のほうで可決していただきますように、目下御審議の進め方をお願いいたしておるわけでございます。そういう状態でございます。
  283. 楯兼次郎

    ○楯分科員 大臣が二月十五日以前にそういうことを言われるなら、話はまだわかるのです。早く上げてくれとおっしゃるのだが、上げたって、十五日ですから、今日までで幾日ですか、もう五、六十億おくれておるのです。その穴をどうするのかというあなた方の考えを聞かないうちは、やれ三次長期計画だ、これだけ資金が要る、運賃値上げでこれだけまかなう、こういうことをおっしゃっても、いやもう十五日、二十日おくれようとも、そんなものは適当になるのだでは、これはわれわれ議員を侮辱——侮辱といいますか、はかにしておるようなやり方じゃないですか。だからどういうふうにおくれておる穴のつじつまを合わされるのか。いまここでこれこれだとは要求いたしませんが、どういうふうにこの穴を埋めていくのかというその考え方、やり方を——二、三日たちますと分科会が済みまして、今度は予算委員会が開催されますから、どういうやり方をやるのかという運輸大臣の考え方をここで聞いておかなければならぬと思うのです。
  284. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 大体二月十五日を目途としておりましたのが今日までおくれました。その処置といたしましては、国鉄の企業努力によってできるだけこの穴を吸収してもらうということと、いろいろの資産を処理するというようなことによって、大体五十億見当の処置は考えるということでございます。それでそのワクの中で参議院のほうでひとつこの法案を通していただきたいということで、いま努力をいたしておる次第でございます。
  285. 楯兼次郎

    ○楯分科員 そういたしますと、企業努力だ、これは穴埋めをするだけ予算上より増収になった。この話は一応わかるわけだ。ところが、資産を処理して穴埋めをするというのは、これは三月三十一日までの金の勘定じゃないですか。資産処分を三月三十一日で——これは半月、一月かかって五十億処分できるわけじゃないでしょう。だから半年なり一年先にいけば、われわれの要求する再補正というのと意味が違ってくるのじゃないですか。その辺の見解はどうですか。
  286. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 国鉄のほうからひとつ答えていただきます。
  287. 堀武夫

    ○堀政府委員 これは大問題でございまして、(楯分科員「大問題じゃない。再補正を出せばいいのですよ。なぜ出さないか。」と呼ぶ)今日までおくれましたけれども、きょうまでに何とか運賃法が成立するようにということで、努力をいたしてまいったのでございます。それで今日までおくれた分をどうするのかということが、前の予算委員会でもお話がありました。五十億でしたか、資産処分その他で何とかそれを埋める努力をするということになって今日に至ったのでありますが、これをさらに三月に二日、三日と入ってきた分をどうするのか、こういうぐあいになってくるかと思います。それでこのあとの分をどうするかということにつきましては、非常に重大な問題でございますので、今後政府部内で大蔵当局とも相談いたさなければなりませんし、十分相談をして善処したい、かように考えております。
  288. 楯兼次郎

    ○楯分科員 どうも運輸省の態度がわからぬですよ。大蔵省その他政府と相談をして——できるできぬは別として、理屈はともかくとして、形式上は穴があいたのを再補正しなければいかぬでしょう。だから再補正するのがあたりまえですね。それができなければ三次七カ年計画の変更をしなければならぬ。再補正をするか、変更をしなければいかぬ、こう私は思うわけですよ。それからもう一つは、資産を処分するとおっしゃいますが、これは私会計法上のこまかい点は知りませんが、二、三日前にそれを思いついて、そうして四十年度内にそれを処分して三次長期計画の穴埋めに使えるものですか。使えぬのじゃないですか。手品師のようにわれわれは受け取るのですがね、あなたのおっしゃることは、だから運輸大臣は再補正をすればいいじゃないですか。なぜそれができないのですか。
  289. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 再補正をする方法をとらずに、先ほど私が申しました企業努力と、それからいろいろ資産の処分によって、大体五十億見当のものによってこれに対処していこうということを——どなたか、参議院の予算委員会のときにも、楯委員のいま仰せられるような質問がございました。政府では、そういうことで国鉄と話し合いまして、いこうということに考えておるのでありまして、一日も早く本法案を通していただくことによって、再補正措置をしないでいきたいという気持ちでやっておるわけでございます。
  290. 楯兼次郎

    ○楯分科員 どうも私はわからぬのですよ。五十億あるいは六十億あるいは八十億からの金になるかもしれぬですがね。それが企業努力だとか、まあことばの上では企業努力だとおっしゃるのですが、企業努力とかなんとかでできるものならば、機3号を二日間にわたって審議したわれわれはばかみたいなものですよ。あの機3号は二百六十二億ですよ。その半分に近い財源というものが、自由自在に手品師のように、あめん棒のように細工できるのを、なぜわれわれが大まじめになって議論をしなければならぬのか。私は常識的に考えて、どうしてもこの運賃の法案がおくれておる穴を埋めるためには、三月三十一日までに再補正の——将来は別ですよ。再補正をやる。機4号といいますか、これを出す。それができなければ長期計画の変更をやる。あるいは短期借り入れ金でやっておいて、次年度でその返済のための再補正をする。この三つしか私は道がないように思う、私は詳細に調べたわけじゃないですけれども、常識的に考えて、三つしかこれを処置する道がないように考えるわけです。そのいずれをも考えずに、ただ企業努力、何とかなりますでは、これは話になりませんよ。なぜ運輸省は政府に対して再補正を要求するという態度を固めないのですか。これは一番常道でしょう。これは常識ですよ。どうですか。答弁願います。
  291. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 何べんも同じことを言うようで恐縮でございますが、先ほど申しましたように、当初二月十五日を目標としておりましたのがずれましたことによって、その間の処置といたしましては、国鉄の企業努力と、それからさらに資産の売却によりまして、大体五十億円見当のものを補てんするというくふうをいたしまして、そうしていまその範囲内でひとつ国会を通していただきたいということで努力を続けておるわけでございます。
  292. 楯兼次郎

    ○楯分科員 その資産の売却とおっしゃるのですが、これは私もわからないのですから聞くのです。資産の売却は、これから相談をしてこれを売却しようというので、これは数日前に起こった問題ですから、売却しようとして、十月処分する金を四十年度にさかのぼって使えますか。これはどういう意味ですか。どうもわからぬな、あなた方のおっしゃるのは。
  293. 今村義夫

    今村説明員 先般予算委員会説明申し上げましたのは、資産の売却なり、あるいは不用施設の売却、貯蔵品の合理的使用、それから増収努力によって不足分を満たすという、内部の企業努力によって五十億程度を補てんしよう、こういうことでございますが、実際問題といたしましては、こういうことを実際に洗って出したわけでございまして、この点今後のあれでやっていかなければなりませんが、早く言えば、来年度の先食い的な性格にもなるかと思います。がしかし、私どもとしてはこれをできるだけやっていきたいという考えでございます。
  294. 楯兼次郎

    ○楯分科員 何だかわけのわからないような問答をしておるようでありますが、この穴埋めは、どういう形にするにしろ、はっきりと運輸省は態度をきめて予算委員会に提出してもらわなければ、本予算は成立しませんよ。それを警告申し上げておくことと、それから企業努力をするのだとか、十五日、二十日おくれても何らとか、今日あなた方はそういう言いわけで同じことを繰り返して通っておるかもしれませんが、来年度からは国鉄の補正予算というものはまじめに審議できませんよ。出てきたら何を言っているかと笑われますよ、そんな答弁をしておったら。これはまだ予算委員会、一週間ばかりありますが、この点を考えておいてください。これはこれ以上あなた方に話したって同じことの繰り返しだと思います。なぜ常識的なあたりまえのことがやれないのか、ふしぎですよ。常識どおりやってくださいよ。  質問は終わります。
  295. 荒木萬壽夫

    荒木主査 明一日は、運輸省所管に対する質疑を行なう予定でありましたが、都合により当日は午前十時より建設省所管に対する質疑を行なうことに変更いたしますので、御了承を願います。  次会は明一日午前十時より開会し、建設省所管について質疑を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。  午後四時五分散会