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1966-06-24 第51回国会 衆議院 法務委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十四日(金曜日)    午前十一時三十七分開議  出席委員    委員長 大久保武雄君    理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君    理事 小島 徹三君 理事 濱田 幸雄君    理事 井伊 誠一君 理事 坂本 泰良君       宇野 宗佑君    鍛冶 良作君       坂村 吉正君    四宮 久吉君       中垣 國男君    中川 一郎君       馬場 元治君    藤尾 正行君       森下 元晴君  早稻田柳右エ門君       落合 寛茂君    神近 市子君       畑   和君    横山 利秋君       志賀 義雄君    田中織之進君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      日原 正雄君         法務政務次官  山本 利壽君         検    事         (刑事局長)  津田  實君         法務事務官         (人権擁護局         長)      堀内 恒雄君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      中原龍之助君  委員外出席者         厚 生 技 官         (公衆衛生局精         神衛生課長)  鈴木 一男君         農林事務官         (農地局管理部         管理課長)   斎藤 誠三君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      降矢 敬義君         判     事         (最高裁判所事         務総局刑事局         長)      佐藤 千速君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 六月二十四日  委員唐澤俊樹君、佐伯宗義君、田中伊三次君、  千葉三郎君、濱野清吾君、早川崇君、山口シヅ  エ君及び山田長司辞任につき、その補欠とし  て早稻田柳右エ門君、鍛冶良作君、中川一郎君、  坂村吉正君、藤尾正行君、宇野宗佑君、落合寛  茂君及び畑和君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員宇野宗佑君、鍛冶良作君、坂村吉正君、中  川一郎君、藤尾正行君、早稻田柳右エ門君、落  合寛茂君及び畑和辞任につき、その補欠とし  て早川崇君、佐伯宗義君、千葉三郎君、田中伊  三次君、濱野清吾君、唐澤俊樹君、山口シヅエ  君及び山田長司君が議長指名委員に選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  裁判所司法行政に関する件  法務行政及び検察行政に関する件  人権擁護に関する件  請 願   一 更生保護会に対する国の委託費及び補助     金増額に関する請願外二百四十三件(上     村千一郎紹介)(第一二二八号)   二 高知刑務所移転に関する請願田村良平     君紹介)(第一四一二号)   三 借地法等の一部を改正する法律案に関す     る請願田中伊三次君紹介)(第三六四     五号)   四 鹿児島地方法務局蒲生出張所存置に関す     る請願村山喜一紹介)(第四一八五     号)   五 民事訴訟法の一部改正に関する請願(田     中伊三次君紹介)(第四三五六号)   六 借地法等の一部を改正する法律案の修正     に関する請願田中伊三次君紹介)(第     四三五七号)   七 鹿児島地方法務局蒲生出張所存置に関す     る請願中馬辰猪紹介)(第四三八六     号)   八 神戸拘置所尼崎支所田近野地区移転反     対に関する請願山下榮二紹介)(第     四四九二号)   九 同外十九件(山口丈太郎紹介)(第四     五一八号)  一〇 印章法制定に関する請願亀山孝一君紹     介)(第四八五六号)  一一 鹿児島地方法務局蒲生出張所存置に関す     る請願外一件(池田清志紹介)(第四     九一六号)  一二 印章法制定に関する請願奥野誠亮君紹     介)(第四九五七号)  一三 同(星島二郎紹介)(第四九五八号)  一四 ベトナム中央歌舞団日本公演実現に関     する請願赤松勇紹介)(第四九五九     号)  一五 同(茜ヶ久保重光紹介)(第四九六〇     号)  一六 同(秋山徳雄紹介)(第四九六一号)  一七 同(井谷正吉紹介)(第四九六二号)  一八 同(大出俊紹介)(第四九六三号)  一九 同(大柴滋夫紹介)(第四九六四号)  二〇 同(岡良一紹介)(第四九六五号)  二一 同(岡田春夫紹介)(第四九六六号)  二二 同(岡本隆一紹介)(第四九六七号)  二三 同(加賀田進紹介)(第四九六八号)  二四 同(勝澤芳雄紹介)(第四九六九号)  二五 同(黒田壽男紹介)(第四九七〇号)  二六 同(河野密紹介)(第四九七一号)  二七 同(佐野憲治紹介)(第四九七二号)  二八 同(重盛寿治紹介)(第四九七三号)  二九 同(下平正一紹介)(第四九七四号)  三〇 同(東海林稔紹介)(第四九七五号)  三一 同(楯兼次郎君紹介)(第四九七六号)  三二 同(戸叶里子紹介)(第四九七七号)  三三 同(堂森芳夫紹介)(第四九七八号)  三四 同(中井徳次郎紹介)(第四九七九     号)  三五 同(中澤茂一紹介)(第四九八〇号)  三六 同(中嶋英夫紹介)(第四九八一号)  三七 同(成田知巳紹介)(第四九八二号)  三八 同(野原覺紹介)(第四九八三号)  三九 同(畑和紹介)(第四九八四号)  四〇 同(穗積七郎紹介)(第四九八五号)  四一 同(松本七郎紹介)(第四九八六号)  四二 同(武藤山治紹介)(第四九八七号)  四三 同(柳田秀一紹介)(第四九八八号)  四四 同(山本幸一紹介)(第四九八九号)  四五 同外十九件(岡田春夫紹介)(第五一     八三号)  四六 同外一件(川俣清音紹介)(第五一八     四号)  四七 同外一件(黒田壽男紹介)(第五一八     五号)  四八 同(河野密紹介)(第五一八六号)  四九 同(戸叶里子紹介)(第五一八七号)  五〇 同外一件(中村高一君紹介)(第五一八     八号)  五一 同外一件(原彪紹介)(第五一八九     号)  五二 同外一件(松浦定義紹介)(第五一九     〇号)  五三 同外一件(山花秀雄紹介)(第五一九     一号)  五四 人権侵害に対する適正処理等に関する請     願(坂本泰良紹介)(第五三八七号)  五五 印章沫制定に関する請願灘尾弘吉君紹     介)(第五三八八号)  五六 ベトナム中央歌舞団日本公演実現に関     する請願加藤進紹介)(第五四一一     号)  五七 同外二件(赤松勇紹介)(第五五一六     号)  五八 同外五件(岡田春夫紹介)(第五五一     七号)  五九 同外五件(黒田壽男紹介)(第五五一     八号)  六〇 同外二件(河野密紹介)(第五五一九     号)  六一 同外三件(鈴木茂三郎紹介)(第五五     二〇号)  六二 同外三件(戸叶里子紹介)(第五五二     一号)  六三 同外四件(原彪紹介)(第五五二二     号)  六四 同(帆足計紹介)(第五五二三号)  六五 同外六件(穗積七郎紹介)(第五五二     四号)  六六 同外三件(細迫兼光紹介)(第五五二     五号)  六七 同外三件(松浦定義紹介)(第五五二     六号)  六八 同外二件(山花秀雄紹介)(第五五二     七号)  六九 同外五件(石野久男紹介)(第五六五     四号)  七〇 同外三件(坂本泰良紹介)(第五六五     五号)  七一 刑法の一部を改正する法律案反対に関す     る請願外八件(坂本泰良紹介)(第五     九八九号)  七二 同外十一件(横山利秋紹介)(第五九     九〇号)      ————◇—————
  2. 大久保武雄

    大久保委員長 これより会議を開きます。  裁判所司法行政に関する件、法務行政及び検察行政に関する件、並びに人権擁護に関する件について調査を進めます。田中織之進君。
  3. 田中織之進

    田中(織)委員 他の同僚諸君質問もありますので、できるだけ簡潔にお伺いをしたいのであります。  私、伺いたい問題は、いずれも人権擁護に関連する裁判事件でございまして、最初にお伺いしたいのは、先年、相当新聞紙等で騒がれました狭山市の女子高校生殺し事件石川君に関する裁判のことであります。これは私も、現在東京高裁控訴中の案件であるということは承知をいたしております。また高裁における裁判進行状況につきましては、私も数回傍聴いたしておりますし、高等裁判所裁判進行については、きわめて公正な審理を進めていただいておることについては、敬意を表しておる一人でございますので、この点については裁判に立ち至ってのことは、きょうは質問を申し上げないことにいたしたいと思うのであります。一応この事件は一審で死刑判決を受けたのでございますが、判決と同時に本人から控訴の申し立てがございまして、現在高裁審理中の案件なのであります。一審の審理過程において、私、本委員会一つ取り上げた問題がございます。それは、ある意味から見れば捜査段階のことに関連するかもしれませんが、重大な殺人事件につきまして、これは裁判段階であったかと思うのでありますけれども現場検証を行なったのでございますが、殺人事件現場検証に、私の承知する限りにおきましては、犯人であるいわゆる被告人が、現場検証に立ち会っていないということを伺いましたので、一体そういうことがあり得るのかということで、私は委員会でちょっと指摘したことがあるわけです。そういう関係からいたしまして、高裁審理関係捜査段階におけるいろいろな問題が出てまいってきておると思うのであります。  私がなぜこの裁判に係属中の問題をあえて本委員会で取り上げるかということでありますが、問題は、犯人石川君というのがいわゆる未解放部落青年なのであります。そういう意味で、捜査過程から、石川なる青年は未解放部落青年であるからこうした殺人事件を起こしたのではないかという一つの予断の上に捜査を進めたのではないか、こういう疑いがあるのであります。事件当時、まだ捜査段階でも、私、本委員会で取り上げたことがあるわけであります。それがたまたま高裁審理過程でも幾つかの問題で出てきておるように実は受け取れるのでございます。  その意味で一、二確めたいと思うのでありますが、まず裁判所当局からこの事件審理が現在どういう段階にあるかということについては、一応他の同僚委員諸君の本問題に対する認識を呼び起こしていただく意味におきましても、差しつかえのない範囲内で御報告をいただきたいと思うのであります。
  4. 佐藤千速

    佐藤最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  御指摘の事件は、第一審におきまする審理において、これは浦和地方裁判所でございますが、公判を十二回開廷いたしまして証人や検証等が行なわれて、判決の言い渡しが昭和三十九年三月十一日死刑判決、翌十二日に被告人控訴がございまして、東京高裁にただいま係属しているわけでございますが、東京高裁におきましては公判を十数回開きまして慎重な審理が続けられている、こういうふうに承知いたしております。
  5. 田中織之進

    田中(織)委員 高裁では十数回審理が進められているというのですが、それはこの種の事件上級裁判所における審理状況は、私、専門家でないのでわからぬのですけれども、俗に、事実審理高裁段階で再開しているというふうに理解してよろしいものでしょうか。その点はいかがでしょうか。
  6. 佐藤千速

    佐藤最高裁判所長官代理者 御承知のごとく、現在の控訴審におきます刑事の構造は事後審ということになっております。しかしこれは法律審ではございませんので、事実審でもあるわけでございます。ことにこのような死刑事件でございますので、その点をも考慮に入れまして審査を続けている、かように了解するわけでございます。
  7. 田中織之進

    田中(織)委員 私も先ほど申し上げましたように、数回公判を傍聴しておりますので、高裁審理の進め方につきましては、未解放部落民の権利と自由を伸長することを目的としおる民間の団体である部落解放同盟書記長という立場で、事件の推移にきわめて深い関心を持つ立場高裁審理状況敬意を表しておるのでございます。どうかひとつこの点につきましては、弁護士団とも相談をいたしたのでありますが、ことに新証拠その他の問題についてきわめてデリケートな段階にあるというので、事後審ではあるけれども、ことに死刑判決の出ておる人権に関する重大な案件であるだけに、事実審理というような面に進んでおるこの状況を、ひとつ十分審理を尽くしていただきたいということで希望だけを述べておきたいと思うのであります。  それに関連して現在まだ捜査中だと見られます徳島市の笹山明君に関連する事件についてお伺いをいたしたいと思うのであります。これは、本年三月七日に小松島港長谷部清美さんという女の方の死体コンクリートブロックにいわえつけられて沈められていたのが浮かび上がってきたという関係事件でございます。私、委員会でこの問題を取り上げたいと考えておった当時には、実は笹山明君の所在が生死不明のような段階にあったのでありますが、私、委員会にこのことを御相談申し上げてからすでに半月余経過するわけでありますが、十日ほど前にその笹山明君なる青年岐阜でいわばつかまったということで、現在徳島ですでに起訴されたかどうかということについてはわかりませんけれども、現在取り調べ中のようについ数日前に伺ったのであります。  そこで、まずこの事件はいまどういう段階にあるかということ、それからすでに本人自供がなされておる。日本人自供状況では、この笹山明さんと長谷部清美さんが結婚の約束というか、事実上結婚状態にあったわけですが、たまたま笹山明君は、石川青年などと同じように未解放部落出身青年なんです。相手の、なくなった長谷部清美さんというのは、部落外女性であります。それで事実上の結婚状態にあって、笹山君の家にいろいろ鏡台等も持ち込んで、事実上同棲するような状況にあったようでありますが、笹山君が部落青年であるということで相手女性親たち、特に母親たちが猛烈に反対をいたしまして、結婚にゴールインができないということからこの事件が起こったように私どもは聞いておるのでございます。そこで詳細はよくわかりませんが、三月七日よりかなり前のことのようでありますが、一月二十三日から清美さんと笹山君の所在が不明になったのでありますが、何でも本人が最近つかまって徳島へ護送された。調べ段階で、二人で死のうということになってお互いに首を絞め合ったが、相手女性が先に息が切れてしまったので、本人が事の意外な発展に驚いて、死体の処置に困ってブロックをつけて沈めた、そういう点から見れば一種の心中事件、あるいは嘱託殺人事件、そういうような性格もあるやに実は聞いておるのでありますが、質問を進めるにあたりまして刑事局長から現在捜査段階がどういうようになっておるか、あるいは犯罪動機等の問題についてはすでにお調べができておるのかどうかという点について、簡潔でけっこうですからひとつ経過をお聞きしたいと思います。
  8. 津田實

    津田政府委員 ただいまお尋ねの件は、笹山明にかかる殺人被疑事件であると思います。この事件は、本年の三月七日、小松島港岸壁付近におきまして女の水死体が発見されました。そこで、その者の身元は長谷部清美であるということがわかったのであります。捜査の結果、被害者が行くえ不明になった本年の一月二十二日と同日に、笹山明なる者が行くえ不明になっておる。笹山はかつて被害者恋愛関係にあった。その他この死体に縛りつけてあったロープ等関係から、笹山に関する被疑事件である、笹山殺人事件であるというふうに考えられまして逮捕状発付がなされた。  そこで、この事件につきましては指名手配中でありましたところ、本年六月十七日、岐阜市内において職務質問により逮捕されまして徳島に護送され、六月十七日、徳島東警察署から徳島地方検察庁殺人被疑事件として送致を受けまして、同二十日勾留請求がなされ、勾留状発付いたしまして目下勾留取り調べ中であります。  被疑事実の要旨は、被疑者笹山徳島市立園瀬病院運転手として勤務しておりましたところ、昭和三十七年ごろから同病院事務員であります長谷部清美恋愛関係におちいり、同女の両親等の反対にもかかわらず結婚を強く望んでいたのでありますが、本年一月中旬ごろから同女がかねてから親交のあった吉永某結婚しようと考えていることを察知いたしまして、一月十二日、同女を自己が運転する乗用車にいざない、小松島新港一万トン岸壁に至り、午後八時ごろその車内において同女に対して結婚の申し込みをしたが、拒否されたのでこれを殺害しようと決意してタオルをもって絞め殺し、さらにコンクリートブロックを同女の体に縛りつけて岸壁付近の海中に投棄して溺死させ、殺害したものである、こういう事実でございます。  ただいま取り調べ中でございまして、犯行の動機原因等についてはいろいろの供述をいたしておるようでございますけれども、まだ確定した認定ができませんので取り調べ中であるという状態でございます。
  9. 田中織之進

    田中(織)委員 捜査経過についてはいまの刑事局長答弁承知をいたしましたが、なぜ二人が恋愛中で——私の調べたところによれば、すでに事実上結婚をいたしまして、そうしてその二人の間に子供が生まれようとしたのを、二回にわたって手術をしておるというような事実もあるようであります。いまの刑事局長の御答弁の中にもありましたように、本人たちはそういう恋愛関係にあったが、長谷部さんの両親たち反対によって結婚できなかった、こういうことであります。私はそこに一つの問題があると思うのです。結婚は、申し上げるまでもなく憲法二十四条で両性の合意によって成立するわけなんであります。しかし、古い日本家族制度から、結婚にも今日なお、たとえば両親の承諾であるとか、昔の家と家との結婚であるとか、そういうやはり非民主的なものが残存をしておるというところに、当事者の間の意思が一致いたしておりましても親たち反対結婚ができないという事例は非常に多いのであります。刑事局長のいまの答弁にありますように、当人たちの間に恋愛関係もあり、すでに事実上結婚状態にあったとも言われておるのであります。両親反対によって結婚できなかった。しかもその理由は、これは今後お取り調べをいただきたいと思いますけれども笹山君がいわゆる未解放部落青年であるという点に難点があったやに私どもは聞いておるのであります。したがいまして、私は特に今後の取り調べ裁判段階において——この種の事件はたいていの場合は、たとえば部落出身女性部落でない青年結婚したあとで——そういうのを私ども部落差別問題と言っておりますが、そういう問題が出てまいりまして部落出身女性自殺したという事例は間々あるわけであります。それは、先年長野県の出身女性が愛媛県で子供二人まで生まれて、結局その女性部落出身者であるということで周囲の迫害に耐えかねて自殺をしたという事件があります。これは、その後家族の者から慰謝料請求等の問題で裁判にもなったかと私は思うのであります。あるいは私の和歌山県では、そういうことで相手女性がやはり結婚ができないという問題で、相手の男のアパートで自殺をしたという事件がございます。奈良県では、そういうことで結婚を破棄した相手に対して硫酸をぶっかけたという事件もあります。こういうような問題にまで発展するほど同じ日本人でありながら部落民であるということの差別が結婚の障害になり、いわゆる被害者である部落女性——たいていの場合女性でありますけれども、みずから命を断つというような悲劇を実は生んでおるのでございまして、私はそういう意味でこの殺人事件については、いま本人が申し立てておるとかいうような、あるいはどうしても結婚ができないということから、いっそ一緒に死のうというようなことになったのではないかということも推察にかたくないのであります。そういうような事情については、今後裁判過程においても十分審理を尽くしていただきたいと思うのでございますけれども、どうかひとつ、この問題が、何がゆえにそういう事実上結婚状態になっておったものが結婚ができなくなったかということに、差別問題がからんでおったということについては、今後こういう問題はないとは限らないと思うので、私はやはり——ことに内閣で五年前に設置された同和対策審議会が、御承知のように昨年の十一月にこの問題について、民主主義の今日、部落問題が残っておるということは非常に遺憾なことであり、そういうことを残しておることは国の責任であるという答申を受けて、最近に同和対策協議会というものが内閣に発足をいたしまして、もう会期末でありますから出ないと思うのでありますが、その答申に基づいて同和対策の促進に関する法律が国会に提案をされようというような状況にあるだけに、犯罪動機となった結婚ができなかったという問題について部落問題が伏在しておるという事実を、私は捜査当局も、あるいは今後の裁判に当たられる裁判官諸君も考えていただかなければならぬ重要な問題だ、このように考えるのでありますが、それらの問題については、私このことの通告をいたしましてから相当時日がございますが、警察なりあるいは地元の検察当局から中央に対して、そういう問題が介在しておるということについての報告があったかどうかということについてのお尋ねをいたしたいと思います。
  10. 津田實

    津田政府委員 先ほど申し上げましたように、この事件につきましては、ただいま容疑事実として申し上げた内容のごとき関係が存在して、この殺人事件、ないしは正確に殺人事件といえるかどうかわかりませんが、少なくとも殺人事件容疑として取り調べを受けておるわけでございますから、事殺人に関しましては、その動機原因十分捜査当局においても究明する必要があるわけであります。したがいまして、もしいろいろな問題が介在しておるとすれば、当然それは捜査の対象にもなりますし、もし将来公判に係属するということになれば、当然公判における動機原因、あるいは情状の問題等にもなろうと私は思うのでございますが、ただいま何と申しましても勾留を始めて数日のことでございまして、まだ詳しく報告を受けておりません。お尋ねがありますので、容疑事実及び逮捕の事実だけを承知しておるのでございます。
  11. 大久保武雄

    大久保委員長 国政調査に関する質疑を暫時中断いたします。      ————◇—————
  12. 大久保武雄

    大久保委員長 この際、閉会審査に関する件についておはかりいたします。  まず、閉会審査申し出の件についておはかりいたします。  すなわち、田中武夫君外二十名提出の会社更生法の一部を改正する法律案、並びに裁判所司法行政に関する件、法務行政及び検察行政に関する件、国内治安及び人権擁護に関する件、以上の各案件につきまして、閉会中もなお審査を行ないたいと存じますので、この旨議長に対し申し出たいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 大久保武雄

    大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次におはかりいたします。  刑法の一部を改正する法律案について、閉会審査申し出をいたしたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  14. 大久保武雄

    大久保委員長 起立多数。よって、本案について閉会審査申し出をすることに決しました。     —————————————
  15. 大久保武雄

    大久保委員長 次におはかりいたします。  閉会審査に関し、最高裁判所の長官、またはその指定する代理者から出席説明の要求がありました場合には、そのつど委員会にはかることなく、その取り扱いを委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 大久保武雄

    大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     —————————————
  17. 大久保武雄

    大久保委員長 次に、閉会中の委員派遣に関する件についておはかりいたします。  閉会審査のため、実地調査の必要がある場合には委員派遣を行なうこととし、派遣委員、派遣地及び期間等、その他議長に対する承認申請の手続等、すべて委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 大久保武雄

    大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  19. 大久保武雄

    大久保委員長 これより請願審査に入ります。  今国会において、本委員会に付託せられました請願は七十二件であります。  請願日程第一より第七二までを一括して議題といたします。  まず、審査の方法についておはかりいたします。  各請願の内容については文書表で御承知のことでもありますし、また、先ほどの理事会で御検討願ったところでありますので、この際、各請願について紹介議員よりの説明聴取等は省略し、直ちに採決に入りたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 大久保武雄

    大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。  請願日程中第一、第二、第四、第七、第一〇ないし第二二、第五五の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決し、第三、第六の両請願は、いずれも議決を要しないものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 大久保武雄

    大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました請願以外の各請願は、いずれもその採否を留保いたしますので、御了承を願います。  次におはかりいたします。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議こざいませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 大久保武雄

    大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は付録に掲載〕     —————————————
  23. 大久保武雄

    大久保委員長 なお、本委員会に参考送付されております陳情書は、神戸拘置所尼崎支所設置反対に関する陳情書外十四件で、お手元に配付してありますとおりであります。この際、御報告いたしておきます。      ————◇—————
  24. 大久保武雄

    大久保委員長 国政調査の質疑を続行いたします。田中織之進君。
  25. 田中織之進

    田中(織)委員 刑事局長のきわめて慎重な答弁でありますが、これが公判になるかならないか、請求されるかどうかは、これからの捜査進行状況だと思うのでありますが、特に私が先ほど申し上げたような問題が原因になり、動機でなかったかという点については十分ひとつ究明をしていただきたい。  そこで、先ほどの刑事局長答弁のうちで一つ気がかりになる点でありますが、捜査段階のことでありますが、自動車の中でタオルで首を締めて、それにロープをつけて、ロープにコンクリートブロックをくくりつけて小松島港に投棄して溺死させた云々という点があったわけであります。この点が新聞報道によると、まだ清美さんが生きておるのにコンクリートブロックをつけて、生きている人間を沈めたんだ、こういうふうに新聞報道されていることと、刑事局長の言われた海中に投棄して溺死させて殺害した、こういう報告とはどうも一脈通ずるところがあるような形で、気になるのであります。二人が事実上結婚状態にあり、また笹山明君という青年は非常にまじめな青年でございまして、市長その他公共団体の関係から幾たびか表彰された、いわば模範青年なんです。したがって、やはり二人の間でどうしても結婚できないというようなことからともに死ぬというような話が出た形で、たまたま相手のほうが不幸にして先になくなった、そういうことで処置に困ってそういうことをやったのではないか。いずれ国会が終わりましたならば私も一度徳島へ参りまして、現地の状況なり捜査当局の事情もお差しつかえない範囲でお聞きをいたしまして調査をいたしたいと思うのです。新聞には、言外に、これは部落の人間だから、生きている者におもしをつけて海中へ投棄したのではないか、あたかも非常に残忍なやり方をするのだというような印象を与えるような新聞記事になっているようなので、これも私の手元にその新聞がまいりませんので、調査しなければならぬと思うのでありますが、刑事局長の御答弁の中にありました、まあ溺死させたということになると、まだ息のあるのを海中へ投棄したということになり、新聞の報道と軌を一にする。ところが事件直後、この死体を解剖された徳島大学の四方教授は、詳しい死因は今後さらに精密検査をしないと断定できないということでございますし、本人が全然水を飲んでいない、したがって、溺死ではなくて、すでになくなったものが海中へ投棄されたというのではないかということは、当時の新聞に出ておるわけです。その点から見ると、刑事局長の御答弁、溺死させて云々という文言がちょっと私は気になるのでありますが、まあそこまで詳しい報告があるいはあがってきてないのかとも考えられるのでありますが、その点はいかがでしょう。
  26. 津田實

    津田政府委員 一応認定した事実といたしましてその点を認めておるということは、先ほど申し上げたとおりでありますが、これはあくまで被疑事実なのであります。いずれ、死後に海中に落ちたものであるか、あるいは生存中に落ちたものであるかということは、これはやはり科学的に十分な調査を遂げた結果でないとわかりませんし、問題だと思いますし、同時に、被疑者自身が、どのような考え方を持っておるか、どのような事実を供述するかというようなことにもかかっているかと思うのであります。その辺はまだ捜査中でございますので、私のほうでもまだわかっておりません。
  27. 田中織之進

    田中(織)委員 その問題も含めまして、もしまだ仮死の状態、いわば息のある状態でやったということになれば、これはもう情において弁護の余地がないような犯意だと判断しなければならぬことになるのでありますが、当時の新聞の報道によりますと、四方教授も言っているように、水を飲んでいない、したがって、すでにもう海中に入る前に息が切れていたのではないかということを客観的に判断できるような報道もあったやさきでございますので、溺死させて云々ということになると新聞報道と軌を一にするので、気になったから重ねてお伺いしたわけであります。この点も正しく事実を究明していただきたいと思います。  それからそのことに関連をして、本人が、先ほど申されたように十七日に岐阜市内で職務尋問でつかまったということです。死体が上がってから最近に至りますまでの過程における——もちろん検察庁の指示を仰いでだと思うのでありますが、警察取り調べ状況というものがひとつ問題ではないかと私は思います。笹山明君のおかあさん、あるいはにいさんのお嫁さんであるとか、あるいは姉婿であるとかいうような関係者に、笹山君と連絡があるかどうか、参考人としてそういうような事情を聞かれるのは私当然のことだと思うのでありますが、ところが、おかあさんのごときは、三十分くらいだということで連れていって夜おそくまで取り調べる、ことに兄嫁等に対しましては連続三日間にわたって夜おそくまで、しかも、あなたはやはり義理ある立場で、本人がどこかにひそんでいるのを隠しているのじゃないかというような形で、かなり執拗な、ある意味からみれば過酷な取り調べをやったということが私ども報告がきておるのであります。もちろん笹山君が逮捕されてみれば、生きておったわけでありますから、捜査当局が参考人としていろいろ事情を聴取された点はありますけれども、それはあくまで参考人だと思うのであります。そういう点から見て、警察取り調べ段階に私は行き過ぎがあったのじゃないか、こういうふうに心配をするのでありますが、警察関係ではその関係の事情をどういうように報告を受けておるのか。ことに、徳島東署に田上正という刑事課長補佐であります警察官がおるそうでありますが、この田上君というのは、いまから五、六年前、笹山君と同じ部落青年が何か交通事故を起こしたときに、県警から何十名かの機動隊を派遣して、その交通事故の加害者といいますか、そういうものを捜査されたことがあるのであります。そのときに、とにかく交通事故関係運転手捜査か何かに機動隊を大ぜい動員してまで出向いてきたので、部落の人たちが何事だろうということで、あるいは警察官との間に若干のトラブルがあったかもしれないと私は思う。そうすると、部落の人たちを騒擾罪で束にして検挙してやる、実はこういう暴言を吐きまして、その当時、いまはなくなりましたけれども、私ども部落解放同盟の副委員長松田喜一君、米澤正雄君という二人が現地に参りまして、県警なりあるいは徳島東署に抗議をいたしたことがあるわけです。そうすると、警察のほうでは、当時巡査部長か何かであったのではないかと思いますけれども、この田上という人を東京のほうへ転勤させ、それが最近戻ってまいりまして、笹山君のこの事件が起こりますと、これが取り調べの中心になって、先年のいわばかたき討ちをやるのだというような形の言動を行なっておるということを聞いておるのでありますが、現在この田上正なる警察官が東署におるのかどうか。  それから、その取り調べ状況について私ども伺ったところによると、ねえさんのお婿さんは、名前は申し上げませんが、ある全国的に一流の建設会社の現場の所長なのですが、そういう意味で、とにかくその建設会社の全国の飯場を洗ってやるんだ。もちろんそういうことであるならば、私も名前はあえて申し上げませんけれども、全国的に一流の建設会社でありますから、それは建設会社との間で十分話をつけて、そういう笹山君に該当する人物がもぐっておるかどうかというようなことについてお調べになることはいいと思うのです。しかし、義兄を参考人として呼び出す過程で、警察のそういうような形では、自分はその建設会社にもうとてもいたたまれないというようなことも私ども関係者に申し立てるような状況があるのであります。何か部落青年がやったんだというような形から、捜査当局が、部落民ならやりかねないというような一つの予断をもって捜査をやられておったのではないかというような懸念があるのですけれども、その点は警察庁のほうにはどういうような報告が参っておるか。私も現地へ参って、その取り調べを受けたという人たちに直接ぶつかってみなければ真相は明白にならないと思うのでありますが、私どもにはそういう報告が入っておるのでありますが、いかがなものでしょうか。
  28. 日原正雄

    ○日原政府委員 今回の捜査につきまして、警察としてはお話しのような偏見を持って捜査をしたようなことはございません。親族の方々に被疑者の逃走先を聞いた点は、これは被疑者が最初北海道に逃走いたしましたときに捜索願いが出ておるわけでございますが、その後一たん家へ帰っております。そしてまた逃走をいたしておるわけでございます。その間かくまわれておったというようなこともございまして、親族が逃走先を知っておるのじゃないかというような疑いを持ったわけでございます。そういう点で、親族の方々から逃走先をいろいろお聞きしたわけでございます。  それから田上警部の関係は、現在捜査一課の強行犯の担当の課長補佐でございます。お話しのように小松島署の刑事課長であったわけでございますが、その当時騒擾罪になるというふうに言った事実はないという報告を受けております。  その他本件につきましてお話しのような偏見を持った捜査ということは、私どもの受けております報告では一切聞いておりません。
  29. 田中織之進

    田中(織)委員 ほかの人の質問がありますのど、あと二点ばかり。  この件については、田上氏がそういう問題を起こして部落解放同盟の本部から糾明をされて、徳島県の県警が一時徳島県外に出しておったという事実があるやに私どもは聞いておるのでありまして、この点については私どももさらに調べて別の機会にとの笹山事件の推移とともに伺うことにいたしたいと思います。  私はなぜそういうことを伺うかということは、公判で係属中の事件でありますから、私は多くはきょうは申し上げませんでしたが、たまたま狭山事件関係石川君の問題についても警察段階において、たとえば証拠品だという関係の物件、これも一つではございません。たとえば警察で井戸ざらいまでして、あるいは天井板をひっぱぐまでして家宅捜索をやったにもかかわらず、そのときには出なかったものが、数日後に出てきておるというような事実も公判審理過程で明確になってきておるのであります。あるいはこの当時に別件の関係者として逮捕されたある青年は、その後別件関係は不起訴で釈放されたのでありますが、何か警察関係で就職をいたしておるということであります。ところが、この裁判進行過程裁判所のほうから証人に、これは弁護側からの証人申請でありますが、申請をいたしましても、警察が就職あっせんしたということまでわかっておるのでありますが、本人の居どころがわからないということで、裁判所から検察当局に対してどうしても証人として出せという命令が出されておるというようなことも私聞いておるのでありますが、そういう関係から何かこの種の事件について、本庁の諸君はそういうことはないと思いますけれども、現場の諸君等がやはり偏見を持った扱いをしておるのではないか。石川君の場合等においては、これは新聞等にも出たのでありますが、いよいよ別件で釈放される時日がきて再逮捕してからあとは、川越の警察で使っていない庁舎を特別に修理をいたしまして、厳重なる警戒のもとに石川君を取り調べたということが当時の段階で出てきておるのでありますが、そういう点から見て、本人死刑判決を受けたとたんに、警察官との間のやりとりと違う結果が出たということから控訴を申し立ててきておるという点に、私はやはり、少なくとも捜査段階において大きな疑惑を持たざるを得ないのであります。そういういまわしい前例もございます。これはいずれ公判廷で明らかになることだということを私は確信をするのであります。そういう観点がございますので、先ほどすでに検察当局の手に移ったということでございますから、刑事局長には特に捜査段階でのお願いをしたのでありますけれども、今後この種の問題、部落民に起こりました取り扱いの問題、一つは熊本県で公務執行妨害事件で私どもの熊本県連の書記長委員長逮捕された問題等のことについても、熊本県でちょうど暴力団狩りをやっている関係で、解放同盟のれっきとした役員を暴力団と同じような扱いで、すでに県の当事者との間で多少のいざこざがあったことについては十分了解がついたにもかかわらず、公務執行妨害で検挙いたしまして、現に裁判中の事件等もございます。私はそういう意味で、何か警察官がこの部落問題、あるいは部落解放運動に対する間違った考え方の上に取り調べなり、あるいは捜査をやるというようなことは、絶対に改めてもらわなければならないと思いますので、その点についてあえてこの問題を取り上げたわけであります。さらに十分実情を調べていただきたいと思う。  なお、この点については笹山君の場合におきましても、いわゆる部落差別問題が犯罪動機にかりに私どもの理解するようになっているとすれば、人権上ゆゆしい問題だと思いますので、人権擁護局のほうでも家族等からは人権擁護局へ申し立てをするようにということを指導いたしておりますが、まだ出していないかもわかりませんけれども、国会で取り上げられた機会に人権擁護局でもやはり職権で調査をしていただきたいということを私はお願いしたいと思うのです。  それから最後の問題は、質問通告にはなかった問題でありますけれども、群馬県高崎市根小屋町第二区に酒井大重郎という人がおるのです。三年越しにいわゆる村八分事件が起こっておるのであります。この人が後添えの奥さんをもらって、その奥さんが、実は部落出身ではないのでありまするが、この奥さんも再婚でありますけれども、この人の前の奥さんが部落の人であったということから、部落民を嫁にもらうような者との間のつき合いはやらないということで、自治会で決議をいたしました。現在近所つき合いをやってないのです。明らかに村八分なんです。そのために、たとえば水道料の問題であるとか、し尿処理の問題であるとか、高崎市役所からのいろいろな問題については、通例は自治会を通じてやるのでありますが、市役所が直接この酒井さんに現在もいろいろの通達その他をやっているというような状況です。この酒井さんはかなり前から、前橋の法務局の人権擁護部に人権問題だとして提訴しておるようでありまするけれども、前橋の法務局としては、この問題についてははたして部落問題であるという観点から取り上げないのかどうか、いまだに取り上げてない。ことに対象が、奥さんが実際は部落出身者ではないのでありまするけれども部落民を嫁にもらう、相当な資産のある方だそうでありますが、何も部落出身の者を後添えにもらうことはないじゃないかということがこの村八分事件原因になった。すでに法務局にはそういう意味で申告しておるということでありますけれども、法務局のほうではいまだにこれを取り上げない、こういうことは今度の予算で、同対審の答申が出てから、人権擁護局では同和問題についてはさらに取り上げるということで、予算も増額されて特別な対策に乗り出しておるように先般法務省の予算説明のときに伺っておりまするけれども、現地の法務局がそういう行動をとっておらないというふうに伺っておりまするので、この点は突然のことですから、人権擁護局長もお調べにはなってないかもしれませんけれども、ひとつどうかこれは早急に調べて、この委員会で適当な人権擁護問題の機会に報告をしていただきたいということをお願いして私の質問を終わります。
  30. 大久保武雄

  31. 坂本泰良

    坂本委員 過般の法務委員会におきまして、茨城県岩井町長吉原三郎にかかる背任収賄事件及び選挙違反事件について御質疑をして、調査を願っておったわけでありますが、まず捜査状況はどうなっておりますか、刑事局長と検察庁のほうにお聞きしたい。
  32. 津田實

    津田政府委員 お尋ね事件は、荒井重一外町議会議員八名が、岩井町長吉原三郎を公職選挙法違反事件で告発したという事件であると思われますが、この告発は、本年の四月八日水戸地方検察庁において受理いたしましたが、同時に茨城県警察本部にも同様の告発がありましたため、水戸地検と茨城県警本部と協議をいたしまして、第一次の捜査警察が行なうことにいたしていたのでありますが、去る六月八日検察庁に在宅事件で送付されて、現在捜査中でございます。  その事実の要旨は、被告発人は本年四月四日施行の茨城県猿島郡岩井町長選挙に際しまして、同選挙に立候補し当選をしたものでありますが、自己に当選を得る目的をもって、立候補届け出前である昨年九月中旬ごろから本年二月中旬ごろまでの期間、前後五十回にわたりまして同選挙区の有権者二千三百二十一名に対し、自己のため投票並びに投票取りまとめ等の選挙運動を依頼いたしまして、その報酬として清酒一升びん詰め四百五十二本等を供与したというものであります。  なお、岩井町長吉原三郎につきましては、同じく荒井重一外八名から背任収賄罪によりまして、水戸地検に告発がありました。これも公職選挙法違反事件と同様、茨城県警本部で第一次捜査を行なうこととなりましたが、その後本月十日、検察庁に送付されて、現在両事件を合わせて鋭意真相を糾明中でございます。  その背任告発事件は、被告発人は岩井町長であって、同町の公有財産の管理及び出納関係等全般につき総括掌理するものでありますが、その任務にそむき、同町大字鵠戸、聯合紙器株式会社利根川工場に利益を与える目的で、昭和三十六年四月ごろから四十年三月ごろまでの間、同町役場において右会社に対しまして、鵠戸沼土地改良区に支払うべき動力費年間百七十万円、計六百八十万円を不法に同町の財産より支出して改良区に支払い、同期間ごろ、同町において右会社がその改良区に支払うべきサンドポンプ船施設費計二百一万二千二百五十円を、昭和三十六年度及び昭和三十七年度にわたり不法に同町の財産より支出して同改良区に支払い、同期間ごろ同町において右会社の負担すべき施設の新設及び補修等の費用を、昭和三十六年度より昭和三十七年度にわたり、計九百十二万一千八百八十二円を不法に同町財産より支出して同改良区に支払い、もって岩井町に対しまして合計二千二百八十万五千二百五十七円相当の財産上の損害を与え、その次は、そのころ同町において右行為をなした謝礼の趣旨であることを知りながら、顧問料名儀で右会社から合計二百六十万円の贈与を受けてこれを収受した、こういう事実であります。この事実につきましては目下鋭意捜査中でございます。
  33. 坂本泰良

    坂本委員 そこで、農林省のほうにお聞きしたいのですが、先般、この土地改良区の工場誘致によって設立しました会社ですね。これは聯合紙器株式会社利根川工場を誘致したわけですが、この聯合紙器株式会社との間に、いま告発にありましたようなことは会社が支出する、そういうことになっている。しかるにさらに町から支出をした、こういうことになっているのだが、この鵠戸沼土地改良区はどういうふうにして受け入れておるか、その点の調査をお願いしておいたのですが、その点はいかがですか。
  34. 斎藤誠三

    ○斎藤説明員 お答えいたします。  先日、さっそく県のほうへ連絡いたしまして事情を聞きましたところ、鵠戸沼の土地改良区では聯合紙器あての請求書と受領書を発行して金銭を授受しております。実際の事実上の受け渡しは、請求書と受領書は備わっておりますが、役場の経済課のほうへ出向きまして、そこから会社あての請求書によりまして金をもらっておるということで、改良区といたしましては会社あてで経理を処理しておるとのことでございます。
  35. 坂本泰良

    坂本委員 そうしますと、この金は岩井町役場から支出したのを受け取って、その領収証が聯合紙器になっておるというわけなんですか、その点いかがですか。
  36. 斎藤誠三

    ○斎藤説明員 その点は三十六年九月十三日の聯合紙器と土地改良区との間の協定に基づきまして請求しておりまして、ただその間に役場の経済課のほうへ出て金をもらっておるということで、土地改良区としてはあくまで聯合紙器あての協定による金をもらっておるという書類になっておるわけでございます。
  37. 坂本泰良

    坂本委員 どうもそれはおかしいですね。聯合紙器あての領収証を出したら聯合紙器から受け取ったわけですね。それでは町から受け取っていないわけですか。そうしますと、町議会の議決を経て出したのもあるし、あるいは議決を経ないものもあるらしいのですが、出したということになれば町からは金は出していないことになる。少なくとも町議会の承認を経た金については、町長は町の執行官として出していないということになるわけですが、その点いかがですか。これは自治省にもお伺いしたいのです。
  38. 降矢敬義

    ○降矢説明員 ただいま土地改良区の領収の状況につきまして、土地改良区が聯合紙器あての受領書を出しておるということでありますれば、町との関係で領収関係がどうなっておるかという御趣旨だろうと思いますが、その点はいま私たち初めて聞く問題でございます。実は先生からこの前調査の御命令がございまして調査を命じまして、それで課長補佐と行政係長が現地に趣きまして実際調査したのでございますが、その書類が実は届いておりません。きのう調査状況を率直に聞きまして……。
  39. 坂本泰良

    坂本委員 そうすると自治省のほうはまだ調査ができておらないからわからぬ、こういうわけですか。
  40. 降矢敬義

    ○降矢説明員 ただいま御指摘の点は承知しておりません。
  41. 坂本泰良

    坂本委員 これはこの前にこういうふうにして町議会の議決を経ておるからその執行として町長が当然支出をしておる、こう思うのですよ。支出をしていなければそれはどうなっているかまた問題になるわけですが、私がこの前ここでお願いしておいたのは、町から支出をしておる。それなら、土地改良区と聯合紙器の間に誘致についての契約があるわけですが、そうして町長も仲介人としてそれを承知をしておる。ところがそれは隠していた。しかしながら営利会社である聯合紙器は約束は履行しなければならぬ。だから約束を履行したとなれば改良区は両方から取っておることになるから、その会計はどうなっておるか、その点を詳細にひとつ調査をしてもらいたい、こういうふうなお願いをしておいたわけですが、農林省のほうは町役場に行ったのですか改良区に行ったのですか、どっちに行ったのですか。そうして改良区は町の経理に行って、領収証は聯合紙器の領収証で金は受け取ってきたとこういうわけでしょう。それはどっちですか。はっきりと町からは受け取っていないかどうか。そういう点ぐらいは農林省が調査するならばはっきりしてこなければわからないじゃないですか。どうです、その点。
  42. 斎藤誠三

    ○斎藤説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように改良区が役場へ行きまして、聯合紙器あての請求書と受領書で金を授受してきておるわけでございます。  土地改良区の検査について申し上げますと、四十年度にも茨城県で検査を実施いたしましたが、その間やや理解に苦しむ点がございましたので、理事者に対してその辺の処理について善処方を検査官が要望いたしておりますが、その後それが是正をされないままに現在まできておるわけでございます。
  43. 坂本泰良

    坂本委員 これは重大なる問題ですから、農林省は監督省としてよく調査しなければならぬ。聯合紙器の領収証を出して役場から金をもらうというところがおかしいのです。もちろん役場が預かっていてやったといえばこれは別です。それなら代理か何かになるわけですが、そういう場合なら代理なら代理の委任状があるはずなんです。そういうものがないところに四十年度に理解に苦しむということになったのだと思う。あなた方のほうは理解に苦しむということでそのままにされておるようだが、これは農民の重大なる水利に関係することですよ。そんなルーズな調査でいいのですか。こういう問題は全国的にたくさんあると思うわけですが、その監査の方法なんかは、年に一回か二回ただ報告を聞いただけでそのままにされておるのですか。どうですか、その点をお伺いしたい。
  44. 斎藤誠三

    ○斎藤説明員 お答えいたします。  土地改良区の検査は、検査の実施機関がいろいろ種類が分かれておりますが、県段階におきましては千町歩以下の土地改良区につきましておおむね三年に一回の検査をしております。それで茨城県の場合には、県庁みずからではなくて、地方事務所が検査に当たっておりまして、現地へ行きまして一、二日経理その他を調べまして、指摘する事項があればそれぞれ指摘いたしまして、事後にその対策がどれだけ実行されたか等を指導いたしております。現在は毎年というわけにはいっておりませんで、おおむね三年に一回ということになっておりますが、指摘したことの励行につきましては各機関を通じましてできるだけの指導をやっておるわけであります。
  45. 坂本泰良

    坂本委員 この点についてはまだ疑惑があるわけですが、時間の関係で先へ進みますけれども、聯合紙器と改良区との契約は年間ですか一日ですか、三万六千トンということになっている。それが今度五万トンになっている。ことしから五万トンを支給するということになっているそうですか、その点は調査されておりますか。
  46. 斎藤誠三

    ○斎藤説明員 お答えいたします。  その点は前のとおりのものだとわれわれは理解しておりまして、その点は、きょう初めてお聞きするわけであります。
  47. 坂本泰良

    坂本委員 自治省のほうにお聞きしますが、三万五千トンを五万トンにふやした、それは町から無償で聯合紙器のほうに支給するのだということも聞いておりますが、今回調査に行かれたわけですか。その点はいかがですか。
  48. 降矢敬義

    ○降矢説明員 ただいまの点は承知しておりません。
  49. 坂本泰良

    坂本委員 それからもう一つお聞きしたいのは、この告発状の第一条の第二のサンドポンプ船施設費ですね、これが二百一万二千二百五十円になって三十六年度から三十七年度にわたって支出されておる、こういうことになっておりますが、利根シンチョウ有限会社、こういう会社がありまして、いわゆるトンネル会社とわれわれは思うわけですが、その役員は代表が古矢正、島村明、この方は岩井町の町会議員、それから滝本勝己、この会社がサンドポンプ船の使用をしておる、こういうふうに聞いているわけです。これはわずか二百万の金ですが、その点はどうなっておるか、自治省は調査しておられますか、あるいはわかっておりますか。
  50. 降矢敬義

    ○降矢説明員 茨城県の地方課からの報告にはその点はまだ含まれておりません。
  51. 坂本泰良

    坂本委員 聯合紙器と改良区との間に契約ができた後において、この会社がこの仕事をやっておる。そして相当の手数料を——これだけの会社ですから相当の費用なんかも使っておると思うのですが、これはいわゆるトンネル会社で町長があるいは収入しているかもわからぬ、あるいは岩井町でどういうふうな状況になっておるかわからぬわけですが、非常に疑問があるのです。土地改良区のほうは、こういう船の点は、これは専門的にこの船をどうするかということを私ここにはっきり申し上げるだけの知識を持っておりませんが、なくてはならぬものであるし、聯合紙器がここにできてからこの施設ができておるのです。そうしたならば、これは農林省、自治省が知らぬということは私は言えないと思うわけですが、それは全然両省ともわかっていないかどうかお聞きしておきます。
  52. 降矢敬義

    ○降矢説明員 自治省といたしまして、ただいま御指摘の点は、前に御答弁申し上げましたとおり、茨城県の報告では指摘されておりませんので、その点はあらためて調査をするようにお願いいたしたいと思います。
  53. 坂本泰良

    坂本委員 なおこの点は畑委員のほうから御質問があると思いますからあれですが、刑事局長にお願いしておきたいと思うのです。いまお聞きのとおり、改良区では役場に行って、聯合紙器の受け取り証を出して、その金をもらってきておる、こういうわけです。そうしますと、聯合紙器が金を出しておるというふうに一応見られる。聯合紙器が金を出していなかったら、役場の金から、この町議会なんかの承認を経た金が出ておる、こういうことです。あるいは改良区は両方からもらっているとするならば二重取りになる、こういう疑惑がある。この事件についてはこれだけでも背任収賄の事件が成立するのではないか、こういうふうに思われる事件でありますし、さらに町長が毎月五万円を顧問料名義で取っておるということは明らかでありますから、ひとつこの点は警察調べでは私は不十分だと思うのです。やはり町の勢力があれば、警察調べでは非常に足らない点が私はあるだろうと思う。たとえば東京都にいたしましても、前回の選挙に警視総監をされた田中榮一氏の選挙違反事件は警視庁ではあがらなかった。警視庁ではそんな選挙違反なんかないというふうな報告をしたのではないかと聞いておりましたが、やはり東京地検において捜査をされて、あのばく大な選挙違反事件が出ておるわけです。なおまた、先般の東京都議会の問題も、これはやはり警視庁ではあげ切れなかった。やはり東京地検の厳正中立なその捜査によってあれが出て、十八名の都会議員が逮捕されて、いま裁判中になっておりますが、あの事件ができたわけです。私はこの岩井町の事件も同じだと思うのです。ことに現在、場所は工場誘致について最適地でありますし、他に二十数社の会社も誘致されておるということも聞いておるわけでありますから、非常に疑惑のある、またはそういう事犯の起こっておるということが予想されるわけでありますから、ひとつこれは検察庁の手によって厳格に捜査をお願いしたい。なおまた、そのほかのことについては畑委員から御質問があると思いますから、これをまずお願いしておきたい。
  54. 大久保武雄

  55. 畑和

    ○畑委員 坂本委員から質問があり、自治省、並びに農林省の関係者から、私も実はもっと詳しい答弁を用意してこられたと思ったが、この前のわれわれの質問したのを思い起こしてみますとこれは十日の日であります。それからもう相当たっておるのでありますから、もっと詳しく現地について調べていると思ったが、あのときの事情を聞いておる人が実は両方とも来ておらない、そういうのはまずいと思うのです。一緒に付き添ってくるとか、あるいはよく聞いてそれで出てこなければならぬと思う。これは結局調査を十分にしていないからそういうことになると思うのです。この点は、これで国会が終わったわけではありませんから、またそのうちに始まるでしょうし、よくひとつ調べておいてもらいたい。そのことがないと、実はわれわれの質問も先に進まぬことになると思うのです。しかしまあそう申してもなんですから質問をいたすのですが、大体自治省の関係についてひとつ聞きたいのです。  いままでわれわれの調べ、これは警察調べをほのかに聞いたのですが、順序はこういうことになっておるのです。  まず最初に昭和三十五年十二月五日、これが一番最初、岩井町と聯合紙器との間で土地売買契約をやった。これは結局町で取得しまして、その農民から買った土地八万六千三百五十九坪、こういう面積の土地を代金坪当たり四百十円、四千三百十七万九千五百円で聯合紙器に売り渡した売買契約、その第七条に聯合紙器のために水は無償で岩井町が責任を持って供給する。その他付帯工事も同様とする。こういうような趣旨の契約がなされておるわけです。これが一番そもそもの岩井町長と聯合紙器とのなれ合いであります。  それからその次が、今度は翌年の三十六年の九月の十三日に聯合紙器と土地改良区との取水契約、これは坂本委員からも私からもしばしば申しました。すべて聯合紙器でそういった施設を持つ。それからその後の維持管理費も持つというようなことで、要するに土地改良区に取水施設をやってもらう、こういう契約、これも隠された契約です。一番最初のものも隠されております。  それからその次に岩井町と聯合紙器との間の今度は覚え書きというのが、聯合紙器と土地改良区との取水契約のなされた三日後、三十六年の九月の十六日になされております。この覚え書きの要点は、聯合紙器と土地改良区の契約事項は一切町が責任を持つ、こういうことです。すなわち、第一の最初の契約に含まれていることをさらに確認したような、第三の岩井町と聯合紙器との間の覚え書きがあるわけです。  それからその次に、今度は第四といたしまして、三十七年の二月の二十八日に聯合紙器と岩井町との間の協定書がかわされております。この要点は、聯合紙器は岩井町に五百万円を寄付する。それで岩井町はこの五百万円でブルドーザを購入して改良区内の導水路をつくる、こういう責任を持つ負担つき贈与、負担つき寄付であります。そのほかもう一つは、岩井町の責任においてサンドポンプ船を一台購入する。その維持は聯合紙器において行なう、こういうような趣旨でありました。実際におきましてはブルドーザは買っておりません。ブルドーザと五百万円の寄付が見返りになっておるわけです。それがブルドーザは買っておらぬ。サンドポンプ船だけは買った。そういうことになりました。こういう経過があるわけなんでありますけれども、そこで、これをこのとおり事実といたしますならば、——おそらく事実と思います。警察関係調べで初めてわかってまいった。議会関係は一切ノータッチです。議会はそのつどつどの支出のことにつきまして議決を求められて、何が何だかよくわからないうちに議決をさせられたという形になっておるのでありますが、こういった義務負担行為を町長が議会にはからずに、条例の定めも何もなくて次々とやっておるわけです。こういうことは自治法上どういうことになるのか。自治法のどこにそういうことがかってにやれるということが書いてあるのか。私は議会の権限の中のどの条文かにこれはあると思うのです。その権限を犯して町長がかってにこういう契約をしておる。ただ小出しにそれに該当するようなことで、そのままじゃなくて別の形で、次々とそのつどそのつど補助、助成というようなことを個々の場合にはやっております。やってはおりますけれども、そういう基本的な契約を何ら示されない。それこそ隠された契約、こういうことが堂堂とまかり通っておるわけです。   〔大久保委員長退席、大竹委員長代理着席〕  こういった三つ四つあります契約書は、すべて議会の知らぬことでございまして、今度の警察捜査で明るみに出てきた、こういうことなんでありまするが、こういう契約を町長が締結することは、自治法上どういうことになるのか、それを承りたい。
  56. 降矢敬義

    ○降矢説明員 ただいま先生の御指摘の中で、聯合紙器から五百万円を町に寄付をして、その寄付はブルドーザを買うという負担つき寄付ということでございましたが、これは地方自治法九十六条の第一項の第八号で、「負担附きの寄附」を受けることというのが議会の議決事項でございます。  それから最初の約四千三百万円の土地売買契約につきましては、現行法は文面がちょっと変わっておるのでありますけれども、当時の条文で申しますと、条例で定める重要な契約については議会の議決事項であるという条文がございました。現在は「政令で定める基準に従い」というのが入っておりますけれども、三十五年でございますので、したがって条例の定める——どういう条例をつくっておるか承知いたしておりませんけれども、契約の金額等によって定めておるのが普通でありますが、その条例の定むるところによって契約案件そのものを議決事件として取り扱う必要が生ずる場合があります。もとより当該施設に関する金額は、歳出予算として議決を要することは当然でございます。  それから、その他隠された契約と言いますか、覚え書きと申しますか、それは法律的に直ちに債務負担行為になるかどうか、率直に申しましてこういう問題になると思うのであります。この点は議会の予算の審議におきまして、個別的に歳出予算を議会が議決するときに、この歳出が適正かどうかということを当然判断しておられる、そういう意味で議会の議決事項になるわけでございます。ただ先生ただいま御指摘のように、そういう予算を審議する際に提案する付属書類と申しますか、説明と申しますか、そういうものを十分出されずに——隠されたというのはおそらくそういう意味だろうと思いますが、十分出されずに議会の審議が行なわれることは、言うまでもなく適正を欠いておるというふうに考えておるわけでございます。
  57. 畑和

    ○畑委員 そうしますと、条例できめてあれば、その条例に従って契約を締結してもよろしい。ところが、本町の場合には誘致条例というきめもないようであります。あなたのほうは必ずしも誘致条例を意味しておるのではなく、そういう契約を締結することについて、条例で一般的に基準がきめてあって、その条例の趣旨、精神に基づく契約を締結するならばよろしいのだ、こういうことだと思います。誘致条例に関しては、誘致条例というものは別にないようでございます。そういう点からも私は違法だと思うのですが、それをひとつ調べてください。この前取り調べろと坂本さんが言われたそうですか、それが調べてない。いま私、こまかく問題を提起しましたから、それをひとつ調べてもらいたい。私が申し上げたことが違法か、違法でないかここで答弁するだけでなく、さらによく調べた上でひとつ適正な指導をしてもらって、間違っておることは正す、こういうことでやってもらいたい。そのうちにまたわれわれもう一回質問するような機会があると思いますから、それまでにこういう処置をいたしましたと、きちっと答弁ができるように自治省のほうでもお願いいたしたい。またこの点は農林省のほうでも同じでありますので、つけ加えて申し上げておきます。  それから予算のときに項目で並べてある。しかし、それは議決が通っておっても、そのときの説明資料というようなことで、いま言ったような契約をつけるということであれば、それが承認される。ところが、それがないということは不適当だというお説ですか。
  58. 降矢敬義

    ○降矢説明員 およそ議会に予算を提出する以上、その予算の説明としては最も適切な説明をすべきものであります。したがって、当該契約があればそういう契約を出し、契約の内容について説明をした上で御審議をいただくのが当然であるという意味で申し上げた次第でございます。
  59. 畑和

    ○畑委員 そうすると、私もよく自治省のことはわからぬのだけれども、予算外義務負担ということがよく言われますし、もし予算に盛られないとした場合、そういうことにはならないのですか。
  60. 降矢敬義

    ○降矢説明員 予算外義務負担という制度でございますが、現行法、三十八年以降は国と同じように予算の定めるところにより予算総則というものに予算外義務負担の内容を書いて審議を受けることに手続を直しております。三十五年当時は予算外義務負担につきましては、それぞれ単独の案件として議決を受けることになっております。ただいま御指摘のような裏の関係が予算——覚え書きとか名称はいろいろあるようでございますが、それが直ちに町の債務として生ずるものかどうかという判断のことになると思いますが、これは普通でありますれば、契約という形式で明確にいたしまして、そういうものに基づいた町の将来にわたる負担というものを明確にしたものを予算外義務負担というふうに観念しております。したがって、その覚え書きとかそういうことでやられても、直ちにこの予算外義務負担という考え方がとられるかどうかということは、ちょっと正直に申し上げまして疑問であるというふうに考えております。
  61. 畑和

    ○畑委員 それは議論はいつまでしても切りがないから先に進みますが、先ほど坂本委員から言われましたように、予算面の議決におきましては、一、二の例外を除いては全部がこの件に関しましては土地改良区への助成みたいな形になっておりまして、直接この聯合紙器に対する助成というものは一回くらいのようでありまして、ほとんどが全部土地改良区への支出ということになって議決を経ておるわけであります。ところが、先ほどの坂本委員質問でもわかるように、土地改良区ではこの契約に従って聯合紙器から受け入れたような形になっている。お金は役場からもらっておるということなんです。確かに考えようによっては二重取りした場合もあるし、二重取りでないとしても議会のほうでは土地改良区へ出したことになっておる。それだのに土地改良区のほうでは議会から助成されたようにはなっておらぬ。受け取りは全部聯合紙器からもらったような形になっているわけです。まことに奇怪しごくなんでありまして、この辺は自治省並びに農林省両方ともよく調べてもらいたいですね。これがやはり坂本先先の言われたような背任に直接つながるものだと思うのです。これはなぜかというと、私が先ほど三つか四つ隠された契約書ということで言いましたけれども、こういう隠された契約書があるからこそそういう変なやり方をやるわけです。その町で助成を土地改良区へしたということになっている。それだのにその金を土地改良区はもらいに行くけれども、受け取りはそうじゃなく聯合紙器から受け取ったような形になっておる。これは隠された契約書があるから、したがってそこに背任がある、ここに刑事局長もおられますけれども、おそらくそういうところに問題があると考えられておるところだと思います。ひとつさらに詳細に調べてもらいたいと思います。  それから、サンドポンプの件です。先ほど坂本委員も言われましたが、このサンドポンプがまたまことにおかしい。利根シンチョウ有限会社というのは幽霊会社ではなかろうかと思われる。このサンドポンプが利根シンチョウ有限会社の資産台帳を見ましてもない、それから聯合紙器の資産台帳にもない、こういうことになっておる。もちろん土地改良区のほうにもないはずです。どこにも台帳に記入がない。何百万円とするサンドポンプがたいのですね。これはまことにおかしい。町の財産にもない。ところが町ではそれの金として出しておる。こういうことなのです。この辺もひとつ農林省も自治省も調べてもらいたい。特にこの辺を力を入れて調べてもらいたいと思います。これは、これ以上質問しても、この点につきましてはいまの現状ではちょっと無理だと思いますからお聞きしません。   〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕  ただもう一つ自治省に聞きたいことがございます。それは、ここの町では、この前私申し上げましたが、助役も収入役も十五年間置いておりません。地方自治法によりますると助役は一人を市町村では置くことになっております。条例をもって置かないことをきめることはできる、こういうことになっておる。収入役もやはり同様かと思います。ところでこの置かないでもよろしいという条例があるかないか調べてみますと、そういう条例はございません。逆に助役は二人置く、それから副収入役を一人置く、こういう条例のきめがあることを私調べました。逆に置くのです。置かないという条例のきめではない。逆に副収入役まで置く、助役は二人も置く、こういう条例がきまっておるのに、十五年間独裁を遂げるためにこういうじゃまな機関は置かないという独裁的な町長。この点自治法にきまっておるけれども必ずしも置かなくてもいいということになっておるからその辺は違法ではありませんと、この前来られた方がおっしゃいました。しかし現実は調べた結果そうなっておりますが、この点はどういうことになるのですか。こういうことは普通どこにもないことだと思う。どこか規制するところがほかになきやならないと思う。さもなければ自治法の規定が何にもならぬ。地方自治法もそうですから何ともいたし方ありません、町長の言うとおりでしかたありません、こういうことならしかたないけれども、そういうことがあろうはずはなかろうと思う。したがって、この場合にこうして置くようになっておる。置かないことができるという条例はない、こういう岩井町に対してどういうふうなことを指導するつもりか。まず違法であるか、その違法であるとすれば、あるいは不適当であるとすればどうするか、この点をお聞きしたい。
  62. 降矢敬義

    ○降矢説明員 その点は、合併後約十余年間、合併したのは三十年のようでございますが、その後、当時合併のときに助役を二人置くということで発足をしたのでございますが、御指摘のように助役並びに収入役は置いておりません。もとより条例上置くというたてまえでありまするから、置くべきが筋でございます。ただ実際問題としまして、まあこれは実情になりますけれども、人選その他の関係である程度の期間、まあ二年間のブランクがあった例もございます。したがって県といたしましては、少なくともまず注意を申し上げたのは、収入役は置けということは以前にも注意を申し上げたようでございます。助役につきましても、ほんとうに置く意思がなければ条例を改正する手続をとるのが当然の考え方であろう、こう思います。
  63. 畑和

    ○畑委員 これは坂本委員のさきの質問にも関連するんですけれども、今度の捜査警察がやりましたね、検察庁に告発をした上で、検察庁から警察のほうへ連絡があって、一体君のほうでやるかやらないか、やるのがむずかしそうであればおれのほうでやる、こういうことを言ったそうですか、一応やらしていただきますということを県警が言われたので、まず県警にまかした、こういうことです。捜査段階で非常にたくさんの人を呼ばなければならぬから、めんどうはめんどうだろうと思いますけれども、それをおまえらは、こんなつまらぬことをするからというような式の、何かいやみ式なことを警察が言ったらしいのです。御苦労は御苦労ですよ。たくさん記録が、こんなにありますから、御苦労だけれども、そういうことを言う裏に、やっぱり何かあるような感じがいたすのです。それには、この町長もずいぶんいままで警察にも気を配っていたらしいのです。それで四十年度も選挙を前に控えてですが、年間大体三百万円ぐらい駐在所の新設、修理、そういうものに支出をいたしております。それから警察後援会助成費という名で年間四十九万円も出しておる、こういう事実があります。大体警察後援会の助成なんというのはなくなったはずです。あってはいかぬことになったはずなんですが……。そういうことからすると、どうも先ほど私が申し上げましたようなことが、必ずしもどうもただ骨が折れるからというだけの不平じゃないのじゃないかというような感じがいたすのでありますが、この辺いろいろ言われるところもございますが、警察庁のこの辺に対する態度、考え方を一般的に承りたいと思います。
  64. 日原正雄

    ○日原政府委員 警察犯罪捜査をすることが当然の職務でございますから、手数がかかりましてもやらなければならないことは当然のことでございます。それを不服がましく言ったことがあるとすれば、非常に間違いでございまして、当然やらなければならない。ただ、いろいろたくさん仕事があることは事実でございます。  それから町長から、警察後援会——その間どんなような金が防犯関係か、その他の交通安全のために出ておるのか知りません。その点は承知しておりませんが、これは町長から出ているのではなくて、町全体から出ている場合はあり得るわけでございます。私ども決して町長個人からもらっておるというつもりで受け取っておるはずはないと思うのでございます。決してそんな気持ちは持っておりません。やはり悪いものはあくまで悪いものとしてたださなければならぬわけでございます。この点は誤解のないようにお願いしたいと思います。
  65. 坂本泰良

    坂本委員 ちょっといまのに関連して。  そこで農林省と自治省にお願いしておきたいのだけれども、あなた方は調査に行くけれども、はれものにさわるような調査をしている。大体今度調査に行くなら、私たちが質疑の際に、隠された契約書がある、——この契約書はあなたは見てきたですか。農林省も自治省も契約書を見るとか、それからそのとき土地改良区がどこから受け取っておるか、その点は、いま役場に行って聯合紙器からの領収書で金をもらっておる、それなら当然調査に行ったら、議会の議決になっておるならその点はどうなっておるかぐらいの調査はするはずです。しなければならぬはずですよ。それを調査しないというなら調査にならぬと思います。だから、これは休会中に質疑をします。特に私お願いしたいのは、この聯合紙器から金が出ている、それをたとえばサンドポンプを買ったなら、このサンドポンプの所有権はだれが持っているか、私は当然土地改良区が持っていると思ったら、利根シンチョウ有限会社というものをつくって、これがこの船を使ってやっている、そしてその会社が手数料その他を取っていると思うんですよ。ですから、これはいわゆるトンネル会社か幽霊会社でこういうことをやっている、そういうものをよく調査して見定めることが自治省や農林省の役目じゃないですか。ですから、その領収書も聯合紙器からどういうふうに出ているか、聯合紙器に行って、金をいつ払ってどうしたかということも、当然そこまで調査しなければ調査にならぬと思うのです。ですから、先ほど畑委員からも申しました警察で初めてわかっているのが、三十五年十二月五日の聯合紙器と岩井町の土地売買契約、これは小さいものじゃないですよ。面積が八万六千三百五十九坪、代金が四千三百十七万九千五百円、坪当たり四百十円、そういう中にまだ付帯の工事その他の契約があるわけです。こういう契約書を見たならば、はたしてこの契約書が履行されているかどうかまで調査し、指導するのが農林省、自治省のお役目じゃないか、こういうふうに思うわけです。  さらに三十六年九月十三日には土地改良区と聯合紙器の取水契約書の取りかわしというのがある。それから三十六年の九月十六日に岩井町と聯合紙器との間の覚え書き取りかわしというのがある。それから三十七年の二月の二十八日に協定書の取りかわしがある。これは岩井町と聯合紙器との関係で、先ほど畑委員質問された負担つき贈与です。負担つき贈与ならば、ブルドーザーを持っているかどうか。三十七年だから、もう履行していなければならぬはずです。フルに町のために使ったら、もうこわれているはずですよ。どうなっているかということを調べなければならぬ。ですから、子供の使いみたようで、ただ行って、向こうが説明して、はい、そうですかで帰るようなことではいけないと思います。行政官庁としての職務はつとまらぬと思いますから、私はいま一例をあげましたが、その詳細についてこれを調べて、そうして早急に指導しなればならぬと思う。  それから刑事局長には先ほどお願いしましたけれども、いまここに出てきただけで十分な容疑がございますから、これはひとつ強制捜査に乗り出して、ぴしぴしやってもらわなければ、ほんとうのどろを吐かぬだろうと思う。ですから、これはもちろん捜査当局、検察庁にはエキスパートがおられますから、ひとつ行政問題も行政問題ですけれども刑事問題としてこれは徹底的に究明していただかなければ、この岩井町の紊乱は粛正できない、こういうふうに思いますから、重ねてお願いを申し上げておくわけです。
  66. 落合寛茂

    落合委員 関連して。
  67. 大久保武雄

    大久保委員長 質疑者が多数残っております。議事の進行の都合もありますので、岩井町事件はこの程度にとどめるようお願いいたします。坂本君。
  68. 坂本泰良

    坂本委員 私は先般来数回御質疑を申し上げておりまする三名市の市長選挙違反について若干お聞きしたいと思いますが、先般の質疑の際に、警察庁の刑事局長の御答弁で、逃走中の者が一人おる。それを検挙してもらいたい、こういう要望もいたしておきましたが、これは坂口武雄という人で、五月の十九日に逮捕状がすでに出ておりましたが、行くえがわからなかった。六月七日の朝、三名署の猿渡課長外二名の方が入院先に逮捕に行かれた。入院しているところは熊本市内の杉村病院であって、この院長の杉村氏は、先般の土建暴力で熊本市議が二名欠員になりましたから、補欠選挙の際に自民党の公認で立候補されて、当選された方であります。この人のところに入院をしていて、逮捕されると身体に関係があるということで逮捕せずに帰っております。そうして十二日後の六月十九日の午前十一時に逮捕しているわけなんです。この方は市長に当選された川原氏の後援会長であって、実質上の出納責任者である、こういうふうに聞いておりますが、この点の捜査はどうなっておりますか、お聞きしておきたいと思います。
  69. 日原正雄

    ○日原政府委員 熊本県の三名市長選挙関係では、川原派の買収事件として、六月十四日までに百四十二件、百三十一名、これを買収罪で立件送致いたしております。そのほかに参考人として六十二件、六十二名がございます。これは被買収金の小さなものであります。立件送致した百三十一名のうち警察逮捕した者は二十一名、検察庁が逮捕した者が二名、合計二十三名で、そのうち二十二名が起訴されております。残り一名は、私ども報告で六月十三日にということになっておりますが、逮捕されまして、目下勾留中でございます。
  70. 坂本泰良

    坂本委員 それでこの選挙違反の関係は、川原派の選挙の体制は沼田一という県会議員が総括責任者です。それから三名市の中山市議会副議長、それから丸山市会議員、こういう方に対してはまだ何らの捜査がされておらない。そうして今度坂口氏が逮捕されると、三名署はもうこれで一切打ち切りだ、もう逮捕したからそれで終わりだというようなことが言われておるということを聞いておるわけですが、この実際上の出納責任者の坂口氏が逮捕されてもうだいぶになるわけですが、総括責任者とか、その他選挙事務所の重要な地位にあった方については何らの捜査が伸びていない、そして打ち切りだ、こう警察のほうで言われておるということが、非常に市民の不信になっておるようなわけでありますが、打ち切りでなくてこれからが親玉の捜査じゃないか、こういうふうにも推測されるわけでありますがその辺の見通し等はいかがでございますか。
  71. 日原正雄

    ○日原政府委員 坂口を六月十三日に逮捕いたしまして、竹下に現金二万円を供与した事実、それから島田と共謀の上、竹下に現金二十万円を供与した事実でもって立件送致いたしたわけでございます。捜査は随時端緒を得て検挙しておるわけでございますので、もちろん選挙違反は早急に完結する必要がございますが、この事件についてさらにまた追及する点があれば当然追及しなければならないわけでございます。したがって、そういう面では予断をもってこれで終わりだとかなんとかいうことは言うべきではないと思いますが、一応捜査の端緒がない以上は、これから捜査がどこにいくんだというようなこともまた言うべきでないわけでございます。そういう意味での話ではないかと思いますが……。
  72. 坂本泰良

    坂本委員 それから、いま大部分が検挙されておるのは大浜地区なんですが、そのほかの各地区に、私が指摘しました点が七、八カ所あるわけですが、そっちのほうも相当金がばらまかれておる、こういうことが一般市民の間に言われておる。それで大浜地区だけこうやって、ほかのところはやらない。手が足りないとか、いろんなことを警察では言われておるようでありますが、そうであれば、最初は県警のほうから五、六名応援にも来ておられたようですが、さらにそういう点についても捜査を進めないと、選挙違反はわかったものがあれで、わからなければのがれるんだ、こういうことになれば、来年の統一選挙も控え、さらに衆議院の解散で総選挙でもあれば、やはり買収選挙が行なわれれば、ほんとうの政策によるところの選挙が行なわれずに終わってしまうのではないか、こういうことが非常に懸念されておるわけでありますが、そういう点がありますから、なおさらもっとこの捜査を進めてもらいたい、こういうふうに思うわけですが、いかがですか。
  73. 日原正雄

    ○日原政府委員 先般、先生からお話がございまして、それから選挙違反——ある地区において一つの違反がありますと、他の地区も同様な状況にあるのではないかということが一応疑われるわけでございますし、坂本先生から資料は出してあるのだがという話がありまして、さっそくその点県警本部のほうに照会して資料も出してあるそうだがということで話したのですが、話は一応聞いておりますが、その中に捜査の端緒になるような資料がなかったということでございましたので、さしあたりのところとしては、捜査の端緒になるようなものが得られてないという状況にあるようでございます。また今後そういうものが出てまいりますれば別問題でございますが、この前お話があってから調査したところでは、そういう状況でございます。
  74. 坂本泰良

    坂本委員 それでは厚生省のほうにお伺いしたいのです。先般調査をお願いしておいたわけですが、医療法人信愛会、これが経営している三名病院という気違い病院があるわけなのですが、これの会計が逮捕され、先ほど刑事局長の話にありました、やはりその三名病院事務員の島田というのですか、これから竹下市会議員に二十万金が出ている、こういうような点がありまして、この三名病院については非常に会計が紊乱をしておる。たとえばベッドの数を減らして申告をしておる、それを今度は逆に水増しをして申告をする。そうすると昨年の、四十年の十二月現在では百四十五のベッドが、現在では百七十七になっておるわけです。そうすると三十人のベッドがふえるわけです。そして一人のベッドに対する食費その他、気違いですから、ついて三万円とすれば、三十にすれば三、三が九十万一カ月に浮くわけなのですね。月に九十万といいますと年に一千万近くなるのですね。そういう点が考えられますが、その点についての調査をお願いしたわけですが、その結果の御報告をお願いしたいと思います。
  75. 中原龍之助

    ○中原政府委員 三名病院につきましてでございますが、これは昭和四十年十二月現在で、病床数としては百七十七ベッドでございます。そして措置入院患者を収容するためのいわゆる指定ベッドとしてあるのが八十床でございます。こういうような状況でございますが、四十一年の四月末で入院患者数は総数が百八十名、そのうち措置入院患者が四十九名という状況になっております。これは全般的に申し上げられることなのですけれども、この数から見ましてもベッドに比べまして入院患者数が若干多い。これは現在精神ベッド全般に見ましてやはりベッド数が不足でございます。若干超過収容をせざるを得ないということで超過収容をしております。この点は事実上の問題として若干である場合においては、われわれとしても患者の医療保護に欠けない限りにおきましては、そのまま特にその規定のベッド以外は入れてはいけないというような指示はしておりません。
  76. 坂本泰良

    坂本委員 そうすると、三名病院はいま幾ら超過しておりますか。  それから、四十年の十二月、あなたは百七十七とおっしゃったが、百四十五じゃないですか。百四十五と届け出た、こういうように書いてありますが。
  77. 中原龍之助

    ○中原政府委員 向こうの病床数は百七十七ベッドでございます。そのうち指定病床数というものが八十ベッドであります。四月末現在で入っておりますのが。百八十名。
  78. 坂本泰良

    坂本委員 そこで問題は、実際百八十名ずっといたのか。去年は百四十五名でやっていたのです、実際は百八十名おるのに。それで三十五名のサバを読むことになっておるのじゃないですか、その点いかがです。
  79. 鈴木一男

    鈴木説明員 お答え申し上げます。  県庁の監査の結果でございますが、これは昭和三十九年一月二十九日に医療監視を行なっております。その結果、精神病床数は百三十五床を持っておりまして同年の六月には十二床増床を予定しておりました。当時の患者数は百五十三名でございます。うち措置患者五十五名、それから職員数では、看護婦が、基準看護、精神の場合は六人に一人ということになっておりますが、若干下回っておりましたので改善命令を発しまして、現在では基準看護になっております。こういう状況でございます。
  80. 坂本泰良

    坂本委員 精神病院は全部そうだと思うのですが、基準給食というのがあって、基準寝具とか給食というので三万円の、これは全部補助する場合もあるし、全部患者負担——患者負担というのは家族が負担する。あるいは半分とかあると思うの  ですが、そういう点はどうなのですか。
  81. 中原龍之助

    ○中原政府委員 これは患者のいわゆる入院治療に関する費用の問題であろうかと思いますので、その点につきましてお答えを申し上げたいと思います。  いわゆる措置入院患者といいますのは、自傷他害の疑いがありまして、知事の命令によりましてそこに入院させられるわけであります。そうしますとそれに対しまして、入院治療に要する費用というものは公費で負担されます。しかし金のある者につきまして、自己負担ができる者については自己負担をするということで、一定の基準がございまして、基準に従って自己負担額を定めております。また病院の施設、人員、そういうものから見まして、今度はいわゆる保険のほうの関係になってまいりますけれども、基準看護とか給食という面で、いわゆるそうでない者と違うような形になっております。そういう単価の定め方の問題で、その基準なら基準に合格しているかどうかということが判定になる。三名病院においてはそれに合っているということで、それによって費用を支払うということでございます。
  82. 坂本泰良

    坂本委員 だから、その費用は幾らかと言うのです。大体一人一カ月三万円と聞いておるのですが、そのとおりかどうか。
  83. 鈴木一男

    鈴木説明員 大体その見当になります。
  84. 坂本泰良

    坂本委員 それで、聞くところによりますとこの強制入院患者ですか、これは国庫が八割負担、県費が二割、こういう人が三名病院には五、六十人、それから医療扶助による人が九十人おる、こういうふうに聞いておりますが、その点は調査の結果いかがですか。
  85. 中原龍之助

    ○中原政府委員 入院患者の中の、いわゆる費用の面から見た区分別で申しますと、強制収容された措置患者、そのほかにいわゆる同意入院というのがございまして、それによる者は自費で見るのもありますし、ある者は社会保険で見ます。それから生活保護法に該当する者はいわゆる生活保護費で見るというような形になっております。内訳で見ますと、四十一年四月末で百八十名入院している。そのうち措置入院患者が四十九名、生保の患者が百十九名、社会保険で入っている者が五名、その他一般が七名、こういうような状態になっております。
  86. 坂本泰良

    坂本委員 そういたしますと、自由入院患者が七名、それから保険も国家からもらっておるわけですが、これが五名だといいますと、百八十名のうちほとんど全部が国家から金が出ておるわけなんですね。そこで一般の話は、大体一カ月に三万、国から金をもらって、結核病院になると頭がよかったり文句を言うのが多いからなかなか余らぬけれども、気違い病院のほうは何もそういうことがわからぬのだから、大体三万円かかるならその半分でやっていくのだ、こういうようなことを聞いておるわけですが、大体それがほんとうじゃないかと思うのです。あなた方も調査をなさってそんなものじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  87. 中原龍之助

    ○中原政府委員 私ども精神衛生法のほうの関係で言いますと、いわば措置入院患者がこの場合は直接対象になってくるわけでございます。要するにわれわれが措置入院させた患者について、その患者の医療保護というものに欠けることがないかどうかということが一番問題点でありまして、その問題点で医療保護に欠けないといったようなことをやっておりますれば、それに見合う費用を払っていくのが当然と考えておりまして、現在のところ、ただいま先生のおっしゃったようなことは私ども聞いておりません。
  88. 坂本泰良

    坂本委員 聞いていたらたいへんです。しかし、これは実際もう少し調べてやらないと、大体あれは気違いだから何をしてもいいというので半分ぐらいであがっておる。こういうことも聞くのですが、実は私も実際は知らぬけれども、やはりもっと慎重に調査をされなければならぬと思うのです。熊本県では精神病院が大体三十九カ所あるということですね。そのうちの三カ所は公立であって熊本医大とかその他、あとの三十六カ所は個人経営だそうです。個人経営は非常にもうかる、こういうことが言われておる。その原因はどこにあるかというと、一人三万円出ていて、実際はその半分ぐらいしかかけていないのだ。そういたしますと、半分でなくてかりに一万円にしましても、百八十人おれば一月に百八十万円でしょう。そうすると一年だとどれだけになりますか、二千万円以上の金になるわけでしょう。これは全国的な問題でなかろうかと私は思うわけですが、この点に行政指導の面においても十分調査してやらないと、いろいろ給食をごまかしたり、失対人夫の人数をごまかしたりしたのが摘発されておるということですね。こういうのは三万円かかったのだと言えば証拠がわからないでしょう。そしてその本人は気違いだものですから、何を食べさせてどうしたかわからないから、これはやはり国家事業としてやる以上は厳重にやらなければならぬじゃないかと思うわけです。  そこで今度の選挙の関係にも、島田がこの病院から二十万円も出したというなら、二十万円は氷山の一角じゃなかろうかと思うのです。病院は金持ちだと一般に言われているそうですか、もっとたくさんな金が出ているのじゃないか、こういうふうに考えられますから、刑事局長お尋ねしたいのです。単に二十万病院から出ておるだけでなくて、もっとばく大な金が出ておると思うのですが、刑事局長は、選挙違反についてその金の出場所をまず捜査しなければならぬ、こういうことですが、この川原派の選挙違反についての金の出場所はどういう捜査段階になっておるか、それをお聞きしておきたいと思います。
  89. 日原正雄

    ○日原政府委員 現在のところの供述では、坂口が自分の金を使ったという形になっております。
  90. 坂本泰良

    坂本委員 時間が参りましたから、それでは一つだけ伺います。  これは私、行って直接聞いたのですが、大浜地区では三十数名の方が逮捕されているけれども、この島田という人が、金を実際は個人がネコババしておるかもわからぬですが、だれにやったかという追及を受けて、実際もらっていないのを千五百円とかあるいは千円とかやったと、こういうわけですね。そうすると今度はもらった人が逮捕されて、これは実際もらっていないというわけですが、村上利秋という方は、千五百円やったと島田が言うものですから逮捕されておるのです。それを否認したから逮捕されて、勾留期間一ぱい、二十三日間勾留された。その間に二回島田と対質をさせられた。そうしたら島田は横を向いて何とも言わない。お前なんかようつき合いもないし、もらったことがないのに何でそんなことを言うかと言って、警察でも対質は二回やられたそうですか、実際もらっていないけれども警察の言うとおりにしなければ、もらったと言わなければ出さぬ、こういうことで、最後の警察の調書、それから検察庁の調書もそうなっているのじゃないかと思うのですが、そうして出ておるわけです。それはもらっていなけれども認めさせられた、 こう言っておるわけです。それは私も本人から聞いたのですから、多少疑いなきにしもあらずですが、それから古川達雄という方は九日間、北野末彦という人は二十日間、森俊一という人は三日間、これは全然もらっていないけれども勾留されておったというわけです。何とか救済のあれはないでしょうか。ということでそれは実際あなたがもらっていなければそんなことはないだろう。かりに略式が来てもそれは裁判になればいいけれども、一たん認めて調書を書いたらば、なかなかひっくり返すことはむずかしいでしょう、こういう話はしましたけれども、それからたいがい略式で済むようなのは略式にするが、それに対して異議はないか、結局、正式裁判の申し立てをしないか、こういうのに判を押されるそうですか、この四人の人は、少なくとも私が会いました村上という人は、そういうのにはまだ判は押してない、こういうわけなのですが、この点は、もらっておればこれは別ですけれども、実際もらっていなくて逮捕されたのが、金の出場所がわからずにやった場所、金額が合わぬものだから苦しまぎれに言ったことも推測されるわけなのです。そういうようなものについては、対質をさせれば警察でも大体わかると思うし、検察庁でも副検事が調べても、二回も立ち会わせてやれば大体どっちがうそを言っておるかはわかると思うわけです。そういう点について処分がまだこれから出るだろうと思うわけですが、そういう点についてはやはり実質を調べられた警察官あるいは検事の方によってその心証は明らかだから、これは調書はそう書かしたから起訴して裁判所の判断に待つというだけでなくて、そういう点については不起訴、あるいは起訴猶予の処分を配慮すべきじゃなかろうか、こういうふうにも考えますが、その点についての御所見を承っておきたいと思います。
  91. 津田實

    津田政府委員 本件に関しましては、島田外十六名を公判請求し、それから徳永忠雄外百三名を略式命令請求にしております。それからなおほかに四十四名ほど不起訴処分にしております。  それからただいま御指摘の、事実がどの分に該当するか、ちょっといまつまびらかにできないのでありますけれども、もちろんさような点については十分配慮いたして捜査をいたし、起訴あるいは不起訴にしたと考えております。なお、公判段階でその点が争われるということであれば、また、十分検討さしていただきたいと考えております。
  92. 坂本泰良

    坂本委員 それで三名の市長選挙の選挙違反はもう県下の世論になっておるわけでありまして、先般の毎日の安永道義支局長の論評にもありますように、新潟県知事はあの責めを負って知事を辞職して、それが結果で全部が不起訴になったかどうかはこれはまた別でありますが、やはりこういうような選挙違反をやって、わずか二十八票の差で勝ったというような当選者は、相当社会的責任を負って考えなければならぬ、こういうふうにも思うわけなのですが、三名市では七月九日にまた選挙粛正の大会もあるそうです。そういうようなことを聞くわけですが、もう天下に悪名を流した小林章なんかは、辞職勧告の参議院の決議があっても辞職せずに国会にも出ずにいたんだけれども、今度の国会、このごろになってから出ておる、こういうようなことも聞くわけです。やはりそういう点も糾明していかなければ、ほんとうの選挙の粛正の実はあげられない、こういうふうに思いますから、その点に対する政務次官の御所見と、それから他地区におけるあれもまだあるというようなことで、まだごうごうたる市民のうわさがあるわけなんです。したがって、この金の出場所、ただ川原個人の金だというだけの捜査では、それは天下に名をなす日本の検察陣と警察陣では私は納得できないと思うのです。ですから、いまあがっただけでもこの病院は相当もうかっている。金があるということも世論でいわれているし、何でも一カ月三万円といえばその半分は余るなんということは、それは別といたしまして、やはりそう要らぬじゃないかとも考えますから、これは行政指導の面もありますけれども、当面の選挙違反の摘発の問題として、ばく大な金が候補者から出ておるというのは事実でありますから、その出場所の点等については、やはり厳重に捜査を進めてやっていただきたいと思うのですが、検察、警察庁の御所見を承っておきたいと思います。
  93. 山本利壽

    山本(利)政府委員 ただいま坂本委員からいろいろ御意見のありましたように、選挙というものは最も公正なものでなければなりません。それが正しく行なわれない場合においては、国民全体の信用を失うわけでございまして、いかなるよい政策を行なうにしても、その出発点において不正が行なわれておるという場合においては国民が納得しないわけでございますから、選挙をする者はあくまで公正を期さなければならず、ことにその選挙において不正が行なわれたというような疑いがあります場合には、検察当局におきましても、あるいは警察におきましても、厳正中立な立場から国民全体の信用を得る点からいっても、この点は情実その他にとらわれることなく厳正な批判のもとで検挙し、あるいは指導していくべきだ、かように考えております。
  94. 津田實

    津田政府委員 ただいま関連いたしまして、この選挙違反に関する資金の出所ということは、情状にも影響するものと当然されておると思うのでありますけれども、もちろん従来の例で御承知のとおり、なかなかその出所が明らかにできないものもしばしば出ているわけであります。その点どの程度まで事実が解明されているかわかりませんけれども、その点の解明については極力努力いたすべきものであり、またいたしているものと私は考えております。
  95. 日原正雄

    ○日原政府委員 いろいろお話でありますけれども、私どものほうの捜査といたしまして、やはり一々証拠に基づいて進めていかなければならないという制約があるわけでございますので、できるだけの努力はそれぞれ捜査段階においてやっておるつもりでございます。いまの証拠ということになりますと、いろいろ制約がありまして、私ども自身が思うようにはかどらない場合もあるわけであります。今後できるだけ努力してやってまいりたいと思います。
  96. 大久保武雄

    大久保委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。      ————◇—————
  97. 大久保武雄

    大久保委員長 この際、一言ごあいさつ申し上げます。  第五十一回国会も、あと数日をもって終了する、ことになりました。百九十日の長期間でありましたが、本委員会の議事も、特別の事情のない限り本日をもって終了いたすことと相なりました。  この間、委員各位におかれましては、終始真摯なる態度で本委員会の審議に臨まれ、商法改正案をはじめ幾多の重要議案の議了と各方面にわたる国政調査を行なう等、多大の成果をあげることができました。また、円満に議事運営ができましたのも、委員各位の絶大なる御協力のたまものと深く感謝いたしております。ここに厚く御礼を申し上げる次第であります。  本委員会の議事を終了するにあたり、委員各位の今後の御健闘をお祈り申し上げ、ごあいさつといたす次第であります。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時十一分散会