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1966-02-17 第51回国会 衆議院 法務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月十七日(木曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 大久保武雄君    理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君    理事 小島 徹三君 理事 濱田 幸雄君    理事 井伊 誠一君 理事 坂本 泰良君    理事 細迫 兼光君       鍛冶 良作君    唐澤 俊樹君       佐伯 宗義君    四宮 久吉君       田中伊三次君    千葉 三郎君       中垣 國男君    馬場 元治君       濱野 清吾君    神近 市子君       中嶋 英夫君    山田 長司君       山本 幸一君    横山 利秋君       志賀 義雄君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      日原 正雄君         法務政務次官  山本 利壽君         検     事         (大臣官房経理         部長)     勝尾 鐐三君         検     事         (刑事局長)  津田  實君         法務事務官         (人権擁護局         長)      鈴木信次郎君         自治事務官         (選挙局長)  長野 士郎君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         保安課長)   雨森 和雄君         厚 生 技 官         (薬務局麻薬参         事官)     久万 楽也君         自治事務官         (行政局行政課         長)      松浦  功君         判    事         (最高裁判所事         務総局経理局         長)      岩野  徹君         専  門  員 高橋 勝好君     ――――――――――――― 二月十七日  委員森下元晴君及び山口シヅエ辞任につき、  その補欠として鍛冶良作君及び横山利秋君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員鍛冶良作君及び横山利秋辞任につき、そ  の補欠として森下元晴君及び山口シヅエ君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月十六日  神戸拘置所尼崎支所設置反対に関する陳情書  (第五号)  会社更生法の一部改正に関する陳情書  (第四三号)  外国人登録証国籍選択自由保障に関する陳情  書外一件(  第一〇八号)  恩赦即行に関する陳情書  (第一〇  九号)  神戸拘置所尼崎拘置支所田近野移転反対に関  する陳情書(第一  一〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  法務行政及び裁判所司法行政に関する件(昭  和四十一年度法務省関係予算及び裁判所関係予  算)  法務行政及び検察行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 大久保武雄

    大久保委員長 これより会議を開きます。  裁判所司法行政に関する件並びに法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。  昭和四十一年度法務省関係予算及び裁判所関係予算について、当局から説明を聴取することといたします。  まず、法務省関係予算について説明を求めます。勝尾経理部長
  3. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 お手元に配付してございます「法務省所管昭和四十一年度予算について」と題します印刷物に基づきまして、四十一年度予算の概要を説明申し上げたいと存じます。  昭和四十一年度の予定経費要求額は五百九十四億八千五百六十万二千円でありまして、これを前年度の当初予算額五百四十三億三千六百三十四万三千円と比較しますと、五十一億四千九百二十五万九千円の増額となっております。前年度の補正予算額五百五十七億六千六百五十二万一千円と比較しますと三十七億一千九百八万一千円の増額となっております。増額分内訳を大別いたしますと、第一は、人件費の四十二億八千七百六十九万六千円であり、第二は、一般事務費の八億五千五百六十万二千円であり、第三は、営繕施設費の五百九十六万一千円でありますが、このほかに、法務本省第二新館新営費が前年度に引き続いて建設省所管に三億一千七百万円計上され、前年度に比して一億二千二百六十八万二千円の増額となっております。  まず、人件費四十二億八千七百万円の増加でありますが、これは、昨年九月から実施された人事院勧告公務員給与ベース改定等に伴う所要経費及び昇給原資としての職員俸給等増額がその大部分でありまして、そのほか、検事法務事務官等百七十二名、但し欠員より振りかえ充当の増員に必要な経費増額等が含まれております。  増員につきましては、法務省としましては最も重点を置いたところでありますが、その内容について申し上げますと、第一に、公判審理の迅速・適正化をはかるため、検事五名、検察事務官十名が増員となっております。東京ほか主要都市検察庁における公判立会専従体制を確立して、その迅速化に資するためのものであります。なお、検事については検察事務官欠員より振りかえ充当することとなっております。  第二に、非行青少年対策のため、前年度の少年院教官等四十名の増員に引き続いて、二十五名の増員となっております。  その内容は、一、少年院教化活動充実のため、教官二十名、二、少年鑑別所鑑別業務充実のため、技官五名でありまして、青少年犯罪防止及び犯人改善を強力に推進するためのものであります。  第三に、法務局において事務官百二名が増員となっております。これは、登記事件経済規模拡大に伴い増加し、処理能率化をもってしても、職員事務負担量はその限界をこえる状況にありますので、登記事務の迅速・適正化をはかるため、前年度の八十名の増員に引き続いて行なわれたものであります。  第四に、日本国に居住する大韓民国国民法的地位及び待遇に関する日本国大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法に基づいて、大韓民国国民に対する永住許可事務を行なうため、入国管理局事務官七名、地方入国管理事務所入国審査官二十三名、計三十名が増員となっております。これにより、永住許可事務処理の適正、迅速化をはかるためのものであります。  なお、以上御説明いたしました増員は、いずれも内部組織凍結欠員の解除の方法により振りかえ充当することとなっておりますが、在外公館要員として、法務事務官一名が外務省所管振りかえ計上されることになっておりますので、来年度の法務省の定員は、一名減員となっております。  次に、一般事務費八億五千五百万円の増加内容について御説明申し上げます。  まず、全般的に申し述べますと、法務行政充実をはかるための経費のほか、職員執務環境改善保護司人権擁護委員矯正収容者等処遇改善等に必要な経費増加がなされおります。  そのうち、おもな事項について申し上げます。  第一は、法務行政充実をはかるために必要な経費増額でありますが、そのおもなものについて申し上げますと、まず各組織に共通なものとして、旅費類単価是正により二億一千二百六十四万九千円、賃金の単価是正により四百八十一方四千円等が増額となっております。  法務局関係につきましては、登記諸費、すなわち法務局地方法務局において登記、台帳、供託、戸籍等事務処理するために要する経費につきましては、登記登録旅費単価是正分を除きまして二百一万五千円、庁費三千五百五十二万三千円、供託金利子三千万円、計六千七百五十八万三千円の増額となっております。なお、能率器具購入費及び消耗品費二千二百七十九万九千円、商業登記簿ファイル化経費二百万円が増額となっております。  検察庁関係につきましては、検察費、すなわち検察庁において処理する一般刑事事件その他各種犯罪事件の直接検察活動に要する経費につきましては、検察旅費六百五十六万九千円、庁費二千六百八万五千円、精神鑑定依頼等謝金二百万円の増額となっております。なお、事務能率化等器具整備費五百四十九万七千円が増額となっております。  矯正関係につきましては、最近の被収容者収容人員増加に伴い、一日平均の収容人員数が、刑務所千人、少年院三百人、計千三百人増員となっており、それに伴う収容経費四千五百四十三万五千円の増額暴力団関係収容者等処遇の適正をはかるための分散拘禁等護送旅費四百八十二万一千円の増額大通拘置支所等移転に必要な備品整備等経費一千五百三十五万円、看護人養成経費百三十万五千円が増額となっておりますが、滋賀松江刑務所帯広少年院等の四十年度移転に伴う経費八千四百七十一万円が減額となっております。  犯罪者予防更生法等に基づく補導援護につきましては、保護観察強化するため、補導援護旅費百二十七万九千円が増額となっております。  訟務関係につきましては、訟務費、すなわち訟務局、法務局地方法務局において、国を当事者とする民事・行政事件等訴訟事務処理するために要する経費につきましては、諸謝金七十三万七千円、旅費九十六万五千円、庁費百三万一千円、計二百七十三万四千円が増額となっております。  人権擁護関係につきましては、貧困者訴訟援助強化をはかるため、法律扶助協会補助金一千万円が増額となっております。  第二は、刑務所作業費の四千二百八十四万九千円の増額であります。これは刑務所収容者に対し作業を行なわせるために必要な経費でありまして、原材料費が相当額増額されたほか、作業形態紙細工等の低格作業から金属、印刷等有用作業に転換するための機械器具更新費作業付帯経費充実するために必要な経費及び少年受刑者職業訓練用機械器具整備費増額となっております。  第三は、職員執務環境や、人権擁護委員保護司矯正関係収容者処遇改善に必要な経費増額でありますが、そのおもなものについて申し上げますと、職員執務環境改善につきましては、各組織を通じまして非常勤職員手当単価是正二百七十七万二千円、検察官・訟務官執務環境整備として検察庁図書室整備費五百万円、訟務官資料費八十四万円、外国人登録事務委託費、すなわち都道府県市町村吏員給与改善費等に八百九十万九千円、検察事務官研修強化経費百二十万円が増額となっております。  矯正関係収容者につきましては、刑務作業等賞与金支給計算基準を一〇%引き上げるための三千二百二十七万六千円が増額となっております。  次に、被収容者に支給する精神薬品消化器系薬品日刊新聞等日用品教化教育資材寒冷地燃料職業補導費等収容経費二千二百四十万六千円、宗教教誨師謝金二百万円が増額となっております。  次に、被収容者食糧費でありますが、米価改定に伴う主食費単価増八・六%により七千四百六十四万五千円が増額となっており、また、菜代単価を最近の物価の趨勢にかんがみて昨年に引き続いて是正することとし、被収容者一人一日当たり二円五十五銭ないし三円三十五銭増額するのに要する経費として、七千七百三十六万五千円が増額となっております。  保護関係につきましては、更正保護会充実をはかり、収容者更正に万全を期するため、更正保護委託費について、食事つき宿泊費現行一人一日当たり百九十一円二十銭を二百十七円二十五銭に、宿泊費現行六十七円四十六銭を七十五円七十八銭に、また事務費現行百二円を百九円五十二銭に、それぞれ単価是正が行なわれたため千六百六十五万六千円の増額となり、なおこれに伴って更正保護会補助金事務費についても、現行一人一日当たり二十四円五十銭が二十六円に改定されております。また保護司実費弁償金については、補導費現行単価一件一カ月当たり四百八十円を、保護観察内容の難易により最高六百円から最低五百十円に是正すること等により九千二百八十四万六千円が増額となっております。  人権擁護関係につきましては、人権侵犯事件調査強化をはかるため、人権擁護委員実費弁償金を一人当たり三千三百円一〇%増平均として二百七十二万二千円が増額となっております。  以上が一般事務費増額となったおもなるものでありますが、このほか四十一年度予算におきまして次の事項について新規に予算が計上されております。  その一は、昭和四十年六月三日第四十八回通常国会で成立した農地被買収者等に対する給付金の支給に関する法律法律第百二十一号に基づいて、法務局地方法務局が所掌する農地等所有関係証明事務を行なうに必要な経費として一億四百八十七万円が計上されております。  その二は、昭和四十年度補正予算に計上されま一したが、いわゆる出入国管理特別法に基づいて、入国管理局関係永住許可事務処理を円滑適正に実施するに必要な経費として、前述しました増員三十名のほかに、協定永住事務委託費等として六千四百三十六万九千円が計上されております。  次に、営繕施設費でありますが、検察庁法務局等庁舎の新常費、特に登記所施設整備を前年度に引き続いて充実するための経費を含めて二億一千六百三十三万五千円、刑務所少年院等収容施設の新営整備等施設費九千九百七十五万一千円、工事量増加に伴う附帯事務費八百四十八万三千円、不働産購入費三千万円が増額しなっておりますが、四十年度に計上されました滋賀松江刑務所特別取得費三億四千八百六十万八千円が減額となりましたので、施設費関係としましては当初申し上げましたように五百九十六万一千円の増額となっております。  以上来年度予算増額内容について概略申し上げました。  次いで、法務省におきましては、昭和四十一年度予算において、治安対策充実強化非行青少年対策登記事務処理適正化主要事項として取りまとめておりますので、前述しましたところと多少重複いたしますが、これについて簡単にその内容を申し上げたいと思います。  第一の、治安対策充実につきましては、前述検事等十五名の増員及び従事職員人件費を含めて五十三億四千三百八十八万二千円を計上し、前年度に比して三億七千五百七十八万七千円の増額となっております。これにより、組織暴力、公安、交通事犯等に対処して適切な検察権を行使し、矯正施設収容者の衆情の安定をはかり、破壊活動調査機能充実して社会不安の根絶を期したいと考えております。  その増額分について申し上げますと、まず検察庁関係として二十六億三千九十一万八千円を計上しておりますが、公判審理迅速化をはかるための検事五名等の増員のほか、直接検察活動に必要な検察費千二百四十四万六千円、交通切符制度運営調査関係経費百八十八万円の増額分が含まれております。  次に、矯正関係として二千四百七十四万七千円を計上しておりますが、暴力団関係収容者分散拘禁旅費、並びに警備用器具等六百三十二万五千円が増額となっております。  次に、公安調査庁関係として二十六億八千八百二十一万七千円を計上しておりますが、調査活動費三千七百五十万六千円の増額分が含まれております。  第二に、非行青少年対策でありますが、前述少年院教官等二十五名の増員及び従事職員人件費並び収容経費を含めて八十五億六千五百二十三万六千円を計上し、前年度に比して八億七千九百七十七万八千円の増額となっております。これにより、粗暴化、低年令化している青少年犯罪に対処する検察体制充実をはかり、少年院少年鑑別所機能を人的、物的に整備し、同時に青少年に対する保護観察機能強化して犯人改善、再犯の防止をはかりたい所存であります。  その増額分について申し上げますと、まず、検察庁関係として三十七億九千四百四十四万一千円を計上しておりますが、検察取り締まり経費、すなわち検察費として三千七百九十九万円の増額分が含まれております。  次に、刑務所関係として、五千四百二十三万七千円を計上しておりますが、少年受刑者職業訓練充実するための訓練用機械器具整備費九百五十七万五千円が増額となっております。  次に、少年院関係として、二十二億三千五百九十万四千円を計上しておりますが、少年院教官二十名の増員のほか、初等少年院教化教育経費日用資材医療薬品寒冷地燃料菜代等収容経費職業補導経費等、四千五百七十六万五千円の増額分が含まれております。  次に、少年鑑別所関係として、十億二百六十三万五千円を計上しておりますが、鑑別技官五名の増員のほか審判少年護送旅費鑑別器具費菜代等収容経費千四百二十万四千円の増額分が含まれております。  次に、保護関係として、十四億七千八百一万九千円を計上しておりますが、前述補導援護経費、すなわち、更生保護委託費保護司実費弁償金等について、それぞれ単価是正等が行なわれたことに伴う八千二百七十六万二千円の増額分が含まれております。  第三に、登記事務処理適正化でありますが、前述事務官百二名の増員及び従事職員人件費を含めて、五十九億六百五十七万九千円を計上し、前年度に比して六億四千九百八十八万三千円の増額となっております。これにより、経済規模拡大公共事業活発化等に伴う登記事件増加に対処して、処理の適正・迅速化に一そうの改善をはかりたい所存であります。その増額のおもなものは、増員を育む人件費のほか、複写機等事務能率器具整備事務合理化等経費八千十三万六千円であります。  以上で法務省所管歳出予算について御説明いたしました。  なお、このほか、昭和三十三年二月二十一日の閣議了解に基づく東京拘置所、その他の施設を処分することにより、新たに東京拘置所多摩刑務所仮称)、川越少年刑務所浦和拘置支所仮称)を含む)、岡山刑務所旭川刑務所の各施設を取秘するため総額五十七億三千五十九万九千円の国庫債務負担行為を要求しており、これにより刑務所移転対策促進をはかる所存であります。  終わりに、当省主管歳入予算について、一言御説明いたします。  昭和四十一年度法務省主管歳入予算額は、三百七億五千八百五十八万三千円でありまして、前年度当初予算額二百十八億一千九百四十五万一千円と比較しますと、八十九億三千九百十三万二千円の増額となっております。  なお、前年度の補正予算額三百一億一千二百三十五万一千円と比較しますと、六億四千六百二十三万二千円の増額となっております。  これは、過去の実績等を基礎として算出されたものでありまして、その増額のおもなるものは、二百五十七億円余の罰金及び科料と四十六億円余の刑務作業収入であります。  以上をもって、法務省関係昭和四十一年度予算についての御説明を終ります。
  4. 大久保武雄

    大久保委員長 次に、裁判所関係予算について説明を求めます。岩野経理局長
  5. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 お手元に差し上げました書面に基づいて御説明申し上げます。  昭和四十一年度裁判所所管予定経費要求額について、御説明申し上げます。昭和四十一年度裁判所所管予定経費要求額総額は、三百十五億五千七百二十六万一千円でありまして、これを前年度予算額二百八十三億七千十万六千円に比較いたしますと、差し引き三十一億八千七百十五万五千円の増加になっております。  この増加額内訳を大別して申し上げますと、人件費において二十一億二千百七十三万円、営繕費において四億八千四百六十八万九千円、裁判費において三億九千六十二万九千円、その他司法行政事務を行なうために必要な旅費庁費等において一億九千十万七千円となっております。  次に、昭和四十一年度予定経費要求額のうちおもな事項について、御説明申し上げます。  一が臨時司法制度調査会意見実現経費でございます。  昭和三十九年八月、臨時司法制度調査会が決定しました意見を実現するに必要な経費として、最高裁判所裁判官退職手当増額に要する経費二千五百八十七万五千円、執務体制確立、いわゆる宅調廃止に伴う施設整備に要する経費二億五千九百二十五万八千円、補助機構充実として、地方裁判所調査官六人の増員に要する人件費五百三十七万六千円、裁判事務処理に要する能率器具自動車等整備経費八千四百六十八万七千円、裁判所配置改善に要する経費百三十万四千円、新任判事補補修に要する経費百五十三万一千円、合計三億七千八百三万一千円が計上されております。  次は、裁判官等増員に必要な経費であります。  最高裁判所における事件処理正常化訴訟促進をはかるため、判事二十七人、裁判所書記官二十七人、の増員に要する人件費六千二百四十四万一千円、家庭裁判所事件処理につき、家庭裁判所調査官二十五人の増員に要する人件費一千二百三十五万三千円、合計七千四百七十九万四千円が計上されております。  次が、営繕に必要な経費であります。  裁判所庁舎継続工事二十四庁舎新規工事庁舎の新営工事費として二十五億一千百三十九万一千円、その他、法廷の増築、庁舎補修等施設整備費として二億二千百十七万五千円、庁舎新営に伴う敷地買収のための不動産購入費及び換地清算金として四千二百四十六万円、以上の諸経費と、前に申し上げました臨時司法制度調査会意見実現経費のうち執務体制確立に伴う施設整備に要する経費とを合わせまして、合計三十億三千四百二十八万四千円が計上されております。  また、このほかに、最高裁判所庁舎敷地取得のため、十五億円を限り、昭和四十二年度において、国庫負担となる契約を、昭和四十一年度に結ぶことが認められております。  次は、裁判に必要な経費であります。  これは、裁判に直接必要な経費ありますが、国選弁護人報酬、証人、調停委員等の日当、その他裁判に直接必要な旅費庁費等といたしまして、二十三億一千六百九十二万七千円が計上されております。  なお、この経費には、執行吏国庫補助基準額増額するに必要な経費として二百七十四万八千円、国難弁護人報酬を約一〇%増額するに必要な経費として二千六百三十三万五千円、合計二千九百八万三千円が含まれております。  以上が昭和四十一年度裁判所所管予定経費要求額の大要でございます。  なお、お手元資料には、昭和四十一年度の裁判所所管予算使途別分類表を掲げておきました。これで目につきますのは、旅費増額裁判費増額が著しいものでございますが、これは主として旅費改定及び事件増等によって生じたものでございます。なお、営繕費は、継続工事を多数持っておりますために、約一九%の増加となっております。  その次が、裁判所予算のうち重点事項を表として御参考までに掲げておきました。
  6. 大久保武雄

    大久保委員長 これにて予算説明は終わりました。     —————————————
  7. 大久保武雄

    大久保委員長 法務行政及び検察行政に関する件について質疑の申し出があります。順次これを許します。坂本泰良君。
  8. 坂本泰良

    坂本委員 警察庁がまだ来ておりません。横山委員質疑警察庁のほうが来なくてもいいそうですから、そちらを先にやっていただきます。
  9. 大久保武雄

  10. 横山利秋

    横山委員 最近凶悪犯罪やあるいは産業的ないろいろな事故が相次いでいます。過般の参議院のピストル事件、あるいは京都のピストル事件をはじめ、全日空から、今度は名古屋の造船所事故、あるいは地方自治体のほうにおきましては、東京都の汚職問題から、あるいは新潟事件から、あるいはまたこれから質問いたしたいと思っています兵庫県の問題から、あるいは熊本の問題から、きわめて各方面にわたってこの種の事故ないしは犯罪が続出をしておりますことはまことに遺憾にたえませんし、見のがすわけにはまいらないと思います。  そこで私は、まず、地方自治体のほうできわめて全国各都道府県において山積いたしておりますもののうちで、あとから新潟の御意見も出るでありましょうが、兵庫県と熊本県の問題の中にどういうことが隠されておるか、政府側として、調査に当たった人々としては、どういうことをこの事案から学んでいるのかという点をお伺いしたいと思うのであります。  そこでまず兵庫県の事案を、時間の関係上新聞を借りて事案の内容を簡単に申し上げますが、石井武夫前兵庫会議長を中心とする参議院全国区山内一郎議員(自民)派の買収事件を調べている神戸地検参院選違反取り締まり本部は、九月十日、一部起訴済みの県議二人、処分保留のまま釈放していた逮捕議員十二人、身柄不拘束のまま取り調べた在宅議員三人の計十七県議(いずれも公正会)を公職選挙法違反、買収、被買収で一括起訴した。また逮捕、取り調べを受けた元県議、土木業者ら三十四人の処分も同時に行ない、二カ月余り続いた事件の捜査は終了、同取り締まり本部を正式に解散した。  同事件は、県下で戦後最も大がかりな選挙違反といわれるだけに、取り調べを受けた者は県議二十数人はじめ、石井県議に買収資金を献金した土木業者、石井県議からシャツ生地を受け取った県土木出張所長など百人近くにのぼり、うち起訴された者二十五人(追起訴を含む)、起訴猶予二十六人となった。  起訴されたのは石井武夫ら逮捕議員十四人と、前公正会幹事長藤井議員、前公正会副幹事長山名利議員、公正会副政調会長田中の三県議の計十七県議を含む二十五人。起訴状によると、石井武夫県議は参院全国区に立候補した山内一郎氏の県下の最高責任者で、ことし春から六月中旬までの間に、県会議長室や県議員会館で県議十六人、元県議三人、元県土木部長ら有力者五人の計二十四人に三万円から百五万円の現金を渡したほか、三月十七日にも土木出張所長会議に出席した十六土木出張所長に仕立て券つきカッターシャツ生地を贈り、山内氏への票の取りまとめを頼んだ。また起訴された県議ら二十四人は選挙運動の謝礼と知りながら現金を受け取った。シャツ生地を受け取った土木出張所長、石井県議に買収資金を寄付した土木業者七人については犯罪の成立は認められるが、ともに犯罪になるという認識がなかった上、土木業者はたまたま寄付した当時、国または公共企業体と工事契約を結んでいた七人だけが罪に問われると不公平を招くなどの事情から全員起訴猶予になった。  この大がかりな買収事件は、投票日二日後の六日早朝、兵庫県警参議院選挙違反取り締まり本部が山内候補の選挙事務所を文書違反で捜索した際、押収した石井メモから発覚した。同取り締まり本部は神戸地検と合同で同夜石井県議を逮捕したのを皮切りに、これまで捜査線上に浮んだ県議二十数人をはじめ、百人にのぼる容疑者を取り調べ、二十四人、うち県議十四人を逮捕した。逮捕議員のうち十二人は二十日間の拘置満了で処分保留のまま釈放されたが、総元締めの石井県議と宗行県議は余罪追及のため、起訴拘置で身柄拘束のまま取り調べを受け、宗行議員は八月二十八日一カ月ぶり、石井議員は今月六日二カ月ぶりに保釈された。  概要を申し上げますとそういう状況でありますが、まさに戦後最大の、兵庫県始まって以来の大選挙違反であります。そこで、この事案についてもそうでありますが、次に質問をいたしたい熊本県の事案もまたそうであり、参議院のピストル事件もまたそうであり、名古屋造船の災害事故、それらの共通点として必ず土木業者が浮かんでくるということを、かりに偶然と考えましても、やはり土木関係の中に潜在的にそういう要素があるということを考えざるを得ないのであります。  まず第一に、その後の調査の状況について差しつかえない点を伺いたいと思うのですが、この戦後兵庫県始まって以来の大騒動を起こした出発点が、買収資金が大手の業者の中から出ておる。しかもそれが、選挙が終わった二日後、捜査本部が押収した兵庫県県会議長の石井氏のメモから出てきたというのであります。いまもってそのメモの内容については十分に知られていないのでありますが、石井メモはどういう内容のものであったか。起訴状の中にも出てくると私は思っておるのでありますが、どういう内容のものであったか、伺いたいのであります。
  11. 津田實

    ○津田政府委員 ただいまお尋ねの兵庫県県会議長等にかかる公職選挙法違反でありますが、ただいまお尋ねの石井メモと申しますか、そういう種類の証拠物があることは事実でございますが、その内容につきましては、本件は公判にかかっておる事実でありますので、その立証をまってこれから明らかになるものというふうに御了解を願いたいと思います。
  12. 横山利秋

    横山委員 しかしながら、この兵庫県の調査にあたっては、客観的に世間の見るところ、捜査の方針について疑惑があるのです。といいますのは、私の調査したところによりますと、地検から最高検に対する報告等私は読んでいませんし、仄聞するところでありますが、それらの中にも兵庫県警の協力に消極的なところがあったといううわさが方々に、兵庫県下においてうわさされておる。兵庫県の県警がその石井メモに端を発して捜査陣を張ったことについては事実である。しかしながらその後、先ほどちょっと読み上げました土木業者の不起訴のしかた、それから県会議員の起訴のあり方、金をもらった人、留置をした人等にアンバランスがあるという疑惑が伝えられておるのです。したがいまして私は、これは県警のためにも、あるいは地検のためにも、その信頼感のためにもよくないことだ、したがいまして、多少差しつかえがあるかもしれませんけれども、この際ひとつそういう世論の疑惑を解くためにも、兵庫県のこの選挙違反の問題については、できる限り事態というものを明らかになさるということが必要であると私は考える節がある。いかがでしょう。
  13. 津田實

    ○津田政府委員 本件につきましては、すでに石井武夫はじめ現職の県会議員三十人を含みます。十人を取り調べたわけであります。その結果、昨年九月十日までに県会議員十七人を含む二十五人を公判請求をいたしておりまして、その余を不起訴処分に付しておるわけであります。そこで不起訴処分に付された者、あるいは起訴された者、県会議員の中ではいろいろな形になっておるわけでありまするけれども、それは検察庁におきまして十分の取り調べを行ないまして、それによりまして証拠関係を当たりました結果、かような処分になったものであります。しかしながら、何がゆえに現在不起訴になっておる者があり、起訴されておる者があるかということにつきましては、具体的に一々御説明を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。というのは、現在この事件の大部分といいますか多数の者につきましては、県会議員について起訴をされておりますので、この事件がいかように進展するかにつきましては、検察庁のほうとしては非常に関心事であります。少なくともこの点につきましては、検察官が認めました起訴事実については完全立証され、完全有罪の判決を得べく検察官は努力いたしておるわけであります。そこで、すべての事件は証拠あるいは情状において非常に関連しておりますので、どの部分を申し上げどの部分を申し上げないというわけにちょっといかないわけでございます。そういう意味におきましてこの事件は将来の公判において明らかになっていくということによって御承知を願いたいというふうに存ずるわけであります。
  14. 横山利秋

    横山委員 私が申し上げておる一つの焦点は、本件について兵庫県警の協力が消極的でなかったか、こういうような問題が流布されておる、警察と地検の協力がなぜうまくできなかったであろうか、そこに何か問題があるのではあるまいか、そういうことがうわさをされておることに何らかの問題がありはしないかということなんです。あなたはその事案の内容を私に説明しようととしておるのだけれども、私は事案の内容についてまたあとで聞くのだけれども、そういうことが神戸地検から最高検への報告の中に、私は見たことはないが、出ていると見られる節がある。それが流布されておるということで私は問題を提起しておる。この事案よりも、この種の問題の取り扱いについて今回欠けたるものはなかったかという点について、あなたは全然御存じありませんか。
  15. 津田實

    ○津田政府委員 本件につきまして、司法警察職員と検察官との間にどのようないきさつがあったかということは私は実は承知いたしておりませんが、そのような円滑化を欠いたということは私は聞いておりません。ただ、御承知のように、警察も検察庁も独自の捜査権を持っておる現在におきましては、いろいろその独自の捜査権を発動する基本において考え方に相違があるわけでございまして、検察庁といたしましても、警察の捜査に全面的に賛意を表しがたいという場合も、これはなきにしもあらずであり、警察の場合でも検察庁に対してさような考えを持つ場合もなきにしもあらずであります。しかし、それはそれ自体として、やはり警察と検察庁と独自の捜査権があるということに一つの意味があることだと思います。したがって、その捜査の結果、あるいは捜査の過程においてどのようなことがあったということは、それぞれの難件にいろいろあるかと思いますけれども、しかしながら、最終的には起訴、不起訴をきめる検察官において、責任を持って、起訴、不起訴をきめておるのでありまして、そこにまた検察官の捜査に制限があるわけでもありませんので、そういう意味におきましては私は間然するところはないというふうに考えております。
  16. 横山利秋

    横山委員 意見が違うということで問題を提起しておるのです。県警が消極的であった、本件に積極的でなかったということが流布されておる。それで地検のほうが、それではならぬという立場をとったというふうに流布されておる。そういうことを私は遺憾に思う。捜査の方法について意見の相違があったというならまだしも、一方が消極的であり、他方が積極的であって、そこに問題を生じたというふうに流布されておる。警察庁、おいででございますね。こういう事案を聞いておりませんか。
  17. 日原正雄

    ○日原政府委員 警察としては、今度の事件につきまして県会議員十三人を逮捕しておるわけでございまして、決してこの事件について手控えるような態度で捜査に臨んではおらなかったつもりでございます。ただお話のようなうわさがあったとすれば、まことに遺憾なことでございまして、私ども決してそういうことはないと考えております。いろいろ原因が考えられるわけでございますが、一つは、警察は県の関係に、予算その他の関係で弱いんじゃないか、こういう目で見られがちなんでございます。しかしこの事件では、すでに先ほども申したとおり相当な県会議員を逮捕しておりますし、またそのほかの事件につきましては、そういう疑惑を持たれがちなだけに、われわれとしては十分戒心してやってまいらなければならないと考えておるわけでございます。  もう一つ、この事件については検察官が一名独自の立場で逮捕しておるということがありまして、それが誤解を生んだ種ではないかとも考えるのでございます。ですが、これはこの捜査の進展中に、その県会議員にかかる別な事件を検察官が認知して、それで逮捕したというふうに聞いておるわけでございまして、これは別な理由によるものでございます。  それから、土木出張所等の不起訴の関係につきましては、これは警察としては全部送致いたしておるわけでございますので、検察官のほうでいろいろな判断から不起訴処分にされたわけでございます。これがやはり警察がこの事件について手心を加えたというような誤解を生んだとすれば、それは全然警察としては関知してない点でございます。  捜査の途中の段階におきまして、確かに警察の考え方と検察の考え方と違う点はちょいちょいございます。これはほかの事件でもそうでございますが、強制捜査の時期その他の面におきましていろいろ意見が違うことはございます。それはそのつどお互いに意見を交換し合って、妥当な解決点を見出しておるわけでございまして、それがその経過の途中において意見の違うことが外に漏れてそういうような誤解を生んだとすれば、これもまた私どもとしては遺憾に思っておる点でございます。いずれにいたしましても、一つの事件を警察の手から検察官に送り、公判に送っていくという段階を踏むわけでございますので、それぞれの見解を披瀝しながらも、お互いに連絡し合ってやってまいっておるつもりでございますので、この事件につきましても、特に両方でどうしても意見の調節ができずに、もんちゃくのまま残っておるというようなふうには私どもは聞いてはおりません。見解の相違はありましても、そのつどお互いに連絡し合ってやってまいったというふうに聞いておるわけでございます。
  18. 横山利秋

    横山委員 私の調査しましたところによりますと、新潟の事案でもそうでありますが、とにかく献金をする、見つかる、返す、返せばいいだろうというようなことになっておる。兵庫県下の土建業者が、当時議長でありました石井に対して、総額九百四十万円の献金をしておる。この献金の内容を見ますと、新井組が百万献金して返還された額が百万であります。松田組が百万で百万、川嶋氏が百五十万の百五十万、熊田工務店が百万の百万、大橋組は百五十万献金してゼロ、それから曾根組が百万のゼロ、神崎組が五十万の五十万、中島組は三十万の三十万、それから株本建設が二十万の二十万、日本国土開発五十万のゼロ、それから王子建設三十万の三十万、松村組が十万のゼロ、それから県の建築業組合姫路支部が五十万の五十万、総計しますと九百四十万の献金額がある。この献血額は、昭和三十九年度の指名回数並びに落札回数、これを統計をとって、それに匹敵するように献金をされておる。ということは、だれがやったか想像がつきますが、少なくともこういう土木業者でなくして、公職者ないしはしかるべき監督者が、その指名回数並びに落札回数を勘定して、それに比例配分されて割り当てられたと思われる。そしてそれに対して、その後返還された数字が六百三十万であります。まだ三百十万というものはそのままになっておる。この土建業者に対する措置は、先ほどちょっと新聞のところで私は言いましたが、起訴、不起訴の関係並びにその法的な立場、土建業者に対してはどういう措置がされ、どういう解釈がされたか伺いたい。
  19. 津田實

    ○津田政府委員 ただいまお尋ねの件でありますが、十三業者から寄付のありましたものは九百四十万円であります。しかしながら、そのうち公職選挙法の百九十九条の一項に該当する金額は六百万円であります。そこで、なぜそういうことになるかと申しますと、これは当時この業者のうちで、国または公共企業体と請負契約がなかったものがあるわけでありまして、そのものは要件に該当しないわけであります。したがいまして、そういう差を生じておるわけであります。  そこで、検察庁といたしましては、この当時、国または公共企業体と請負契約の関係になかったものは、犯罪は成立しない、ただ、これに請負契約の関係にあったものにつきましては、犯罪が成立すると判断いたしましたが、この点については、起訴猶予にいたしております。  それから、受けたほうの石井につきましては、当時現に国または公共企業体と契約関係にあったという認識に関する証拠が不十分でありましたので、これは嫌疑不十分にいたしております。  そこで、犯罪の成立する寄付業者についての処分の理由でありますが、本件につきましては、先ほどお述べになりました国土開発株式会社関係を除きましては、特別の関係がなく、通常の寄付の形でいたしたものでありますけれども、これは石井側の示唆によるということで業者が出したというような理由、それから全額につきまして返還を受けておりますので、そういうことを考慮いたしまして、その業者側は起訴猶予にいたしておる、こういうことであります。
  20. 横山利秋

    横山委員 当時契約があったものとなかったものとに差別をしておる、こういうわけですね。ところが、この十三業者は、この献金額のリスト、並びに指名回数並びに落札回数、それぞれ比例配分でなされておるわけですね。そのときたまたまこの献金をした時期に契約がなかっただけの話であります。趣旨としては、請負を、この献金をすることによって、させる、将来あり得る、また、事実その経験があるということによって、献金がされておる。この事実は、あなたもそこから目をはずすわけにはまいりますまいね。どうです。
  21. 津田實

    ○津田政府委員 この各業者について、百五十万円ないし十万円——犯罪になるものについては二十万円が最低でありますが——の額の寄付が行なわれておりますが、この寄付の額のよってきたる根拠は、私は承知いたしておりません。  それから、先ほどお尋ねの一部にあります、請負業者であることはあったかもしれないのでありますが、公職選挙法の百九十九条第一項は、現に請負業者であるというふうに解釈せざるを得ません。というのは、契約が始まってから、契約の履行が完全に終わったときには、もう契約の関係にはないわけでありますから、公職選挙法の百九十九条の解釈としては、その寄付をした当時契約関係になければ、犯罪は成立しないと、これは解釈せざるを得ませんので、それはその解釈に従っておるわけでございまして、その前後に、国と、あるいは公共企業体と請負関係にあったかどうかということは、これには直接関係がないということになると思うのであります。
  22. 横山利秋

    横山委員 公職選挙法においてそういう狭義の解釈をすれば、または厳密な解釈をすれば、そういうことになる。それは私もわからないではない。けれども、あなたの言われたように——もうあなたと私と、この事実問題については相違ないでしょうね。この献金額並びに返金額と名前について、相違はないでしょうね。その事実問題について見解の相違があるといけないのですが、これはないでしょうね。
  23. 津田實

    ○津田政府委員 寄付をなされました額が九百四十万円であり、返還を受けた額が六百三十万円であることは、お尋ねのとおりであります。ただ、個々の業者の名前は、本件は起訴猶予になっておりますので、一々名前を全部羅列して申し上げることは、差し控えさせていただきたいと思います。
  24. 横山利秋

    横山委員 わかりました。まあしかし、私の読み上げたことと相違ないものとして判断をしてお尋ねをするのですが、そのときたまたま契約をまさにその日にしてなかった、ないしは前日に完了した、だから法律違反にはならない、なるほどそうかもしれない。けれども、あなた自身もそこに、業者の中で、あいつは運がよかったなあ、おれは損した、ばかみたということが流布されておることは、御想像に尽きると思う。しかし、その点をあなたに言ってもしようがないから、自治省に聞きたいのですが、いま私と津田さんとの質疑応答の中で、行政的に考えられるべき点がなければならないと思うのですが、どうです。
  25. 長野士郎

    ○長野政府委員 百九十九条の第一項の解釈の問題につきましては、御承知のとおり、衆議院議員や参議院議員の国の選挙に関しましては、国や公共企業体との間におけるところの請負その他の特別な契約の当事者であるかないかということ、それから地方公共団体の議会の議員や長の選挙につきましては、今後はその地方公共団体との間における請負その他の特別な契約の当事者であるかないかということでございます。したがいまして、お話のような意味で、私ども事実関係を詳しくは存じませんが、今後また契約の当事者になるかもしれない、あるいは国との関係はないとしても、地方公共団体との間では契約があるという場合もあり得ることであろうと思います。しかし、ただそういう実質上のといいますか、何か利害関係とか影響とかというものが考えられるか考えられないかということになれば、いろいろな条件や事情で考えられないとも言い切れないと思いますが、現在この法律のたてまえは、国の場合には国との関係、地方の場合には地方との関係、そしてそれも契約の当事者との間におけるということに解釈されるべきものであると思っておりますので、それ以外の具体的ないろいろな注意すべきこと、あるいは指導上の問題というようなことはいろいろ出てくるかもしれませんが、法律関係としては、先ほど来関係の方の御説明になったとおりだろうと思います。
  26. 横山利秋

    横山委員 そらっとぼけちゃ困る。あなたには法務省とは別の行政上の立場で聞いておるのだ。この金を出したのは県下土木業者であり、受け取ったほうは県会議長か県会議員であり、そして県に対する入札並びに指名、落札がそれによってやられておるということは歴然たる事実ではありませんか。そうでしょう。それを地方自治体には本件は関係ありません、公職選挙法ですから関係ありませんというふうに言うことが、私は、あなたはそらっとぼけておる、こう言うのです。明年度予算がいま予算委員会で審議中でありますが、公共事業というものを政府としては非常にふやす、こう言っている。そのためにはさらに上半期に六〇%繰り上げという国の作業は進むかもしれませんが、地方の作業はなかなか進まないと私は考える。それをあえて進ませようとするためには、繰り上げ契約、繰り上げ工事、繰り上げ支出という例年にない、まあ大蔵省的な言い方をすれば、革命的な公共事業の推進をはからなければならぬというときだ。そのときにあたって、選挙違反なり、あるいは熊本の県市町村商工会議所を席巻をしている土建暴力なりそういうことを考えますと、本年の状況が思いやられると私は思う。しかも本年は衆議院議員選挙が予想されておる、そういうときに、最も寒心にたえないのは、最近の地方自治体における汚職である。そして選挙につながる汚職である。そう私は痛感しているから、自分のところのことでもないこの兵庫熊本を題材にあげて、また新潟東京を題材にあげて、自治省として戒心をしなければならぬところだ、この意味で言っている。あなたには法律論を聞いているんじゃないですよ。その点について、心がまえを伺いたい。
  27. 長野士郎

    ○長野政府委員 ただいま具体的な事件についてめお話であろうというふうに考えましたので、先ほど申し上げたようなお答えをいたしたわけでございますが、国との関係だから地方とは関係がないというようなことではなしに、そういう意味でいろいろな利害関係が錯綜する中で、お話のような土建業者と地方議会との間にいろいろな事件が起こるというようなことについていいか悪いか、どういうような指導に立つべきかということになれば、これはそういう事件の起こらぬことがもちろん一番いいわけでありますが、自治省として、そういう意味で地方団体に最近いろいろな事件が各地で起こっておりまして、それが地方自治体の信用と申しますか、信頼に対していい影響を与えないということについては非常に心配もいたしているわけであります。自治体の運営が国民の信頼を失うということが一番おそろしいといいますか、憂慮すべきであるという点については私どもも全く同感でございます。
  28. 横山利秋

    横山委員 それでは行政課長が来ているので、私の意見について、長野さんは選挙局長としてのお答えでしたが、行政的にいかにすべきかというとについて御意見がありましたら、お答えを願いこたい。
  29. 松浦功

    ○松浦説明員 どういう角度からお答えを申し上げるべきか、問題が非常に広範でございますので、非常に御説明申し上げにくい問題でございますが、自治法の中で、請負業者と議員の兼職の制度の問題でございますが、こういう制度がはたして制度的にいいのかどうかというような意味を含めてお尋ねがあったものという前提を置いてお答えを申し上げます。  現在の自治法の仕組みの上においては、これ以上の制限を実質的にすることは、法律的にもなかなか困難ではなかろうかという感じを持っておりますが、なお慎重に検討すべき必要もあろうかと存じております。  一般的にお答えを申し上げますならば、議会の議員の心がまえというものについて、もっと厳格な気持ちで議員個人にお考えをいただきたいという気持ちが強いというのがいつわらざる自治省の立場でございます。
  30. 横山利秋

    横山委員 あわせて熊本の問題についてお伺いしたいのでありますが、これも同僚諸君に理解していただくために、ある新聞を、ちょっと古いのでありますが、要約して申し上げますと、「県警土建暴力特捜本部の摘発は昨年十月の富剛、大久保組手入れにはじまり新年早々村山県議、高広政幸熊本市議(暴力団高広組長)の逮捕と急ピッチで進み、田端末記三名市議(土建業)、富田義雄本渡商工会議所会頭(同)、福岡国輔(暴力団福岡組長)、味岡正章(同味岡組長)といずれも村山県議の息のかかった有力な土建業者がぞくぞく洗い出された。すでに逮捕者は二十二人。暴力行為、威力入札妨害、恐かつ、脅迫、職務強要、傷害、トバクなどと容疑は広範囲。村山関係だけでも三十数件の犯罪がハッキリしており、同本部は「これまでの余罪捜査だけでも地検が村山を起訴するのに必要な材料はそろった」と強い自信のほどを示している。いちばん心配された被害者の協力もこれまでになくスムーズに行っており、組織的な土建暴力を打ち砕く民警一致の壊滅作戦は順調に進んでいる。こんごの捜査について景山県警本部長は二十一日「全体からみると二十分の一程度。まだ序の口だろう。暴力を背景とした土建業者は村山派、反村山派を問わず片っ端からつかまえて見せる。決してしりつぼみさせない。ここ一——二週間がもっとも捜査上大事な時期となる」と言っている。」まあ、これは記事としてはちょっと古いのでありますが、ともあれ熊本県を、まさにこれも席巻をして、しかもこれは県、市町村、商工会議所、それに巣食う土建関係の問題として、公務員、政界のくされ縁までにも発展をした問題であります。  そこで、時間の関係上端的に伺いたいのでありますが、何か聞くところによれば、この過程におきまして、この土建暴力の摘発特捜本部のあり方について、政治的にこれを押えようとする手が動いたということが県下において流布されておるのであります。そのような事実はあったのでありますか。
  31. 日原正雄

    ○日原政府委員 この事件につきまして、これを押えようとするような動きがあったということは聞いておりません。むしろ県民あげて歓迎をしておるというふうに聞いております。
  32. 横山利秋

    横山委員 表へ出ておるのは、そのように県民あげてこの推進を歓迎しておると私も聞いておるが、陰でそういう話がひそひそと伝えられる。そうしてあげくの果ては、この特捜本部の最高責任者の更迭が近くあるとうわさされる。これはきわめてゆゆしいうわさでありますが、そういううわさを聞かれたか、またそういう可能性があるかどうか。この問題の解決が完全にされない過程において、もしそういう更迭があるとすれば、そのうわさが事実となって証明される。こういうことになろうと思いますが、その点を明確にしてもらいたい。
  33. 日原正雄

    ○日原政府委員 こういう土建業界に巣くった非常に大がかりな事件になりますと、表面的には、お話のとおり、また先ほど私が申し上げたとおり、歓迎されるわけでございますが、しかしまた、被疑者側から一部そういう動きがあったかもしれません。しかし、私どもとしては、不正は断固摘発するという態度でのぞんでおりますので、そういう動きがありましても、決してそれに影響されることなしに、徹底的にやってまいるつもりでございますので、その点は御安心を願いたいと思います。  なお、これに関連して本部長云々というお話でございますが、そのようなことは全然私は聞いておりません。またそのようなことはあり得ないことでございます。決してそのようなことはございません。また、あってはならないことであると思います。われわれとして落度がなくて不正を摘発して、そういうことになれば、安心して職務を奉じていくわけにはまいりませんので、そういうことはあり得ないと考えております。
  34. 横山利秋

    横山委員 関連して、熊本の場合において、私は大蔵委員をやっておるので、なるほどという感じがいたすのでありますし、先般来本委員会においても、暴力団と課税の問題について国税庁の意思を確かめたのでありますが、熊本におきましていわゆるビンはねをされた。この村山氏をはじめ、暴力団に押え込まれて、請負は落札をしたけれども、そこでピンはねをされた。そのピンはねをなかなか言わない。言わないから、警察としては国税局に申し入れて、被害者がそれを言ったならば、それは損金に認めてやってくれという依頼をされ、国税局はこれを了承されたという話であります。こういうような国税局とそれから警察との協力態勢というものは、私は弊害が絶対ないとは言いませんけれども、しかし事、暴力団のお礼参り、そういうような暴力団退治の意味においては、これは国税局と県警察、その他との連絡が十分にされるように特に、その問題に限定して、私は要望をいたし、これは了承したのであります。ただしかし、その際にも警察側と国税局側とのニュアンスの相違がありました。それは単独で国税局がやる場合におけるいわゆる税務署側に対するお礼参り、これに対して警察が十分に協力ができるのかという危惧と、それから警察が証拠その他について十分に国税局側に回すのかというような点がありました。熊本県にしても、あるいは兵庫県にしても、新潟県にしても、あるいは東京においても、この種の問題について贈収賄その他について、それじゃあそのものの税金は一体どうなるのだという問題が、税法上、必ず浮かび上がってまいるのであります。事、内容においてそういうことをしてやることが、熊本県のように、庶民的に、それはけっこうだ、やってやれ、やってやれという場合と、そうでない場合も多少あるような気がするのでありますが、この点については捜査当局としては国税局との協力、その内容、税法上の問題はどのように扱っておいでになりますか。
  35. 日原正雄

    ○日原政府委員 暴力団対策というものを強力に進めてまいったのでございますが、暴力団対策として従来やっておりました粗暴犯関係の強力な取り締まりというものも、最近の情勢では、暴力団が多少低姿勢になっておる関係もあって、取り締まりが非常にできていない。そこで、今後はそう  いうものの取り締まりと同時に、資金源を取り締まっていかなければならぬということで、資金源関係の取り締まりに相当力を入れているわけでございますが、お話しの税金との関係につきましては、私どものほうもあらゆる資料を税務当局に提供いたしまして、また徴税、課税、あるいはお礼参りその他の面については、私どもの協力が必要な面は幾らでも協力するからという申し入れをし  ております。  ただ、税務当局としていろいろな証拠資料その他の関係からして、課税がなかなか私どもの思うとおりには進んでおらない面もございますが、私どもとして協力できる限りにおいてはあらゆる協力をするからというふうに申し入れて、お互いに提携しながらやってまいっておる現状でございます。
  36. 横山利秋

    横山委員 関連質問もありますから、もう二点ばかりで終わりたいと思うのですが、第一に、私が先ほどなぜこういう問題を取り上げたか。政府の公共事業の支出が非常にふえ、それによって地方の仕事が非常にふえる。そうして本年は衆議院の選挙があり、来年は地方議会の選挙。この展望の上に立ちますときに、地方自治体として、土建関係について十分な措置をする必要がある、配慮をする必要がある、こういうように私は考える。  同時に、地方自治体に、私はそういう意味において、三つばかり意見として申し上げたいのですが、登録業者に対する資格査定の適正化について少し網を広げる必要がある。第二番目には、入札制度の欠陥を是正する必要がある。第三番目には、人事のくされ縁である、停滞した人事である。  この人事というものが、村山県議の場合を考えますと、課長のいすにどんとすわって、足を机の上になげかけて、おい、こら、こう言っているような雰囲気だそうです。そういうことは一体どこから生まれるか。部長や課長は、そのとき何をしておったんであろうか、こういうふうに考える。  これらの問題について、ただ議員の良識をもってするということだけでは、私は地方自治体というものは改善されないと思う。(「寺木知事が悪い」と呼ぶ者あり)寺本県知事の話が出ましたが、県知事の場合は、最初のうちは、職員がぼやぼやしておってと言い、わしが陣頭に立つと言っておりましたが、これが突き上げられて、最後には、職員はしっかりやっていると言い直したそうでありますが、地方自治体において改善をする必要がある。  もう一つの意見として、今朝の新聞で見て痛感したのでありますが、選挙違反でやめたないしはやめさせられた厚生省関係の高級官僚でありますが、これがいつの間にやら、あれは公職停止にならなかったんだからもういいじゃないかというわけで、どんどんと復職しておる。これもさっきの津田さん流じゃないけれども、そのときに契約していなかったからもらったっていいじゃないか、法律違反にならない。法律はそうかもしれない。厚生省もあるいはそうかもしれない。けれども、それは政治常識というものが役所に欠けている証拠である。こう私は痛感し、ジャーナリズムがこれを一斉に取り上げて、世論の共鳴を求めている。私は世論としても大いに共鳴しているところだろうと思う。  したがいまして、なるほど選挙法の問題はあろうけれども、なるほど法律解釈の問題はあろうけれども、行政的に措置をすべきことと、それから人事の問題について国民の向かうところを考え、田尻の考えるところを考えて人事をしなければならぬ、こういうふうに私は痛感をするわけであります。法律に違反してなければ罪には落とせぬ、法律に違反していなければ引き続き請負させてもよろしい、どんどん仕事をさしてもよろしい、そういうような雰囲気、そういうような態度が、土建業者、県会議員であろうとも土建業者が、課長の机の上に足をほうり出して、おいこらと言うような態勢をつくらしてしまう地方自治体のあり方に問題がある、こう私は考えるのです。これ、どなたに御答弁願えますか、どなたに御返事をしていただけますか。——じゃ法務次官にひとつ……。
  37. 山本利壽

    山本(利)政府委員 ただいまの横山委員の御意見は、横山委員としてのいまのお気持ちはもっともだと思いますし、また先ほど来関係係官からいろいろ答弁いたしましたが、実際にこの刑を考え、いろいろ処罰をしようという立場の者からいえば、これはあくまで法律に基づいてする以外にはないのでございまして、自分の感情や想像や、いろいろなことをまぜて裁定いたしますと、そこからまた別の問題が起こってくるわけでございますから、警察官、検察官、その他係官としては、あくまで厳正に法律に基づいて裁いていくのが私は当然だと思います。しかしながら、国民全体の福祉のための政治を考えます場合におきましては、政治に当たる者はもちろん、国民全体がそういう面についての民主的な、文化的な要素を備え、こういったような違反事件が起きないように努力することが必要でざいますし、法律の点において欠けたるところがございますならば、この国会におきまして、この法律の欠点を補うていただくようにいたしたいと考えるものでございます。
  38. 横山利秋

    横山委員 ちょっと、それは次官の答弁、不満なのです。あなたが官僚みたいなことを言ってもらっては困る、私が要望したのは、役所の中として、行政的に制度上の欠陥として三つあげた。それから人事上の問題としてやはり希望を述べた。そういうことは法務政務次官としては、法務省の管轄範囲内でおれはきちんとやっておればいいとおっしゃるけれども、あなたの言われるように予防措置といいますか、そういうことは役所として慎しまなければならぬのだ、犯罪ではないにしても犯罪の温床になる、そういうところについては、私、は責任を持って自治省に申し入れ、そしてかかることのないようにいたしましょう、——これでこそ名法務次官と私は思います。
  39. 山本利壽

    山本(利)政府委員 繰り返すようでございますが、私も国会議員の一員でもございますし、政治家として、横山委員のおっしゃったことについて、そのお気持ちには同感でございます。また法律と申しましても、その法を当てはめます場合においては、相当の幅のあるものと私は考えます。そのときにおきます事情に応じ、あるいは国民感情等もよく勘案して最後の判断が下されるべきものだと考えますので、十分お気持ちはわかりますけれども、きょうは私、政務次官としてすわっておりますので、この程度の御答弁でごかんべんを願います。
  40. 大久保武雄

  41. 坂本泰良

    坂本委員 当法務委員会におきましては、一昨年暴力法の改正がありましてから、一昨年は近畿、北海道方面の調査をいたしました。昨年は九月十九日から九月二十三日までにわたりまして九州福岡、長崎、これを重点にしまして休会中の調査をいたしました。  その第一は、暴力事犯、青少年犯罪の実態調査と、その他裁判所法務省関係の施設整備状況その他、現地の要望事項等を目的といたしまして調査をいたしたわけであります。その際に、福岡におきましては福岡地方検察庁、福岡県警本部、長崎におきましては長崎検察庁、長崎県警本部、これから詳しい資料が出されまして、その説明があったわけであります。その他の九州の熊本あるいは宮崎あるいは大分、佐賀等におきましては、書面による暴力事犯についての報告がありまして、福岡、長崎のように、やはり全県下にわたってこの暴力事犯についての検察並びに警察当局の非常に熱意ある取り締まり等を伺ったわけであります。熊本においては、書面の報告で、当時まではそうなかったわけでありますが、昨年の十月の末からやはり暴力団の検挙が始まりまして、県警に特別捜査本部が設けられて、先ほど横山委員が申されましたような徹底的の取り締まりと逮捕その他が行なわれております。この衝に当たっておる方々に対しては、その努力に対して深甚の敬意を表するわけであります。たまたま本日は兵庫熊本の問題がここに浮かび上がったわけでありますが、これはやはり全国各県にわたるところの問題でありまして、今後各県においても兵庫熊本のような取り締まり、検挙、ことに土建暴力に対しては徹底的に究明をしてもらって、そうしてしりつぼみにならないようなこの方針をやっていただきたいと思います。熊本の問題については、熊本日日新聞を中心としまして、各新聞の熊本版に、毎日のように大々的に記事が載っているわけでありますが、これは県会議員一名、市会議員数名、町村会議員あるいは商工会議所の会頭、こういう検挙が行なわれているのでありますが、この点についての概略を警察と検察庁のほうと両方から承っておきたいと思います。
  42. 日原正雄

    ○日原政府委員 熊本県警察が建設業を営んでおる県会議員一名、それから市会議員二名を含む不良建設業者等三十数名検挙いたしておりますが、まだ捜査中でございまして、ただ概要を申し上げますと、ことしの一月の初めに暴力行為等処罰に関する法律違反、それから恐喝罪、脅迫罪、賭博罪というような容疑で不良建設業者を検挙いたしまして、大体現在まで三十数名検挙をいたしております。なお、引き続き捜査中でございます。それからこの事件の捜査から県市の土木関係職員を数名収賄容疑で検挙いたしておりまして、これも現在引き続き捜査中でございます。たくさんの人員と、それから容疑罪名、それぞれたくさんございますので、一々申し上げかねますが、概要は以上のとおりでございます。
  43. 津田實

    ○津田政府委員 ただいま警察のほうから申し上げました、昨年十月以来、熊本会議員村山義雄外八十八名にかかる暴力行為等処罰に関する法律違反、競売入札妨害等の事件で送致を受けまして捜査を遂げました結果、昨年十月三十日から現在までの間に村山義雄外三十二名を起訴いたしております。その他につきましては目下取り調べ継続中であります。おもな罪名といたしましては、競売入札妨害あるいは暴力行為等処罰に関する法律違反、脅迫、職務強要、詐欺、恐喝、贈賄、それから不正談合、大体そういう罪名になっております。
  44. 坂本泰良

    坂本委員 この問題につきましては、熊本熊本日日新聞には、一月の二十八日から「政治と暴力」という題で載りまして、これが二月の初めまでで八回にわたって掲げられておりますが、われわれ国民並びに県民が言わんとしたようなことが書いてある、こういうふうに私も読んでおるわけでありますが、そのことに関連して、この新聞で読みますと、二月の十日までに「送検すでに五十九人、被害額はこんご増大、近く別の系列にメス」、やはり村山と別な反対派がもう一つありまして、そっちのほうにもひとつメスを入れなければならぬ、そういうような記事が載っておるわけであります。さらにまた、土木公務員にも拡大するというので、熊本市の土木課長が逮捕され、市役所が家宅捜索を受ける。さらに県の公務員も逮捕されて、家宅捜索が行なわれる。こういうような件があるわけです。  そこで私たちが一番心配しますのは、横山委員も触れられましたが、まだ検挙されない、また捜索等も受けない県会議員あるいは市会議員が、また町村会議員もおるかもわかりませんが、おるわけであります。それに対する捜査は、今後なお一そう強力にやられると思うのですが、警察の態度をお聞きしておきたい。
  45. 日原正雄

    ○日原政府委員 先ほども申し上げましたとおり、この事件はまだ捜査をしております最中でございまして、捜査続行中でございます。まだ延びると思いますが、一応犯罪容疑事実の明らかな者については、固まり次第検挙をしていく方針でございます。
  46. 坂本泰良

    坂本委員 「政治と暴力」の記事の中の一つですが、「景山本部長の勇断一下二十七署はガッチリスクラム組んで見事な“暴力団封じ込み”を展開、被害者も警察の息込みに進んで証言してくれるようになった。」また、それに基づくいわゆる特別捜査本部のことなんかもいろいろありますが、そういうような体制で進んでおると思うわけですが、一般の県民あるいは国民からは、村山が検挙されて、ほかの県会議員はどうしてまだ検挙されぬのだろう、市会議員はどうして検挙されぬのだろう、こういううわさがあるわけです。さらにまたそのうわさに加えて、彼らは中央に飛んでいって、そうして中央において有力な政治家に働きかけておる、それだから捜査が少し鈍っておるのじゃないか、こういうようなうわさも聞くわけです。かてて加えて、先ほど横山委員が言われましたように、県警本部長の更迭説まで出る。こういうようなことを総合いたしますと、何だか村山県議逮捕まで、またそれに関連する商工会議所の会頭の逮捕等までには非常な勇断をもってやられたと思うけれども、その後のいわゆる反対派といわれる者、あるいは検挙されていない者、そういう点については何だかこれは少し捜査が鈍っているのじゃないか、こういうような懸念が一般県民並びに国民にあるわけです。そういうようなことがないようにひとつこの際やらなければならぬと思うのですが、これは警察の上のほうにも働きかけるだろうし、あるいは検察庁最高検その他にも働きかける、こういうように推測されるわけですが、その点についての検察、警察の御決意をひとつ承っておきたいと思います。
  47. 日原正雄

    ○日原政府委員 この事件、お話の新聞記事で見ますと、卒然として検挙が本部長の断でできたように思いますが、そうでなくて、実際問題はやはり相当な内偵期間を置きまして、この事件もそうですし、広島の事件もそうでございますが、詳しく内偵を続けて、そうしてようやく検挙に着手できたわけでございます。  なお、本部長の更迭の問題などのお話も出ましたが、決してこの事件のために人事が左右されるようなことはあり得ないわけでございます。それはまたほかの勤務期間その他のいろいろなことを勘案してのことなら別でございますが、正しい職務をして更送というようなことは決してあり得ないことでございます。  それから、これが相当大がかりな事件になったがために、そろそろ圧力がかかってきて、手控えておるのじゃないかというようなお話でございますが、他の県会議員というようなことは私も聞いておりません。どういうふうに発展するかは、これからの問題でございます。またこの事件について手控えるというようなことは決して現地も思っておりませんし、私どもも考えておりません。ただ、これによってさらにまたあちこち検挙できるはずだというお話があるのかもしれませんが、私どもはやはり犯罪を検挙いたしますのにはそれ相応の証拠をそろえて、そうして検挙に着手するわけでございますので、その面におきましては、従来これが検挙できなかったのも、十分な協力が得られない、あるいは証人になる人が得られないというようないろいろな関係があるのが普通でございます。いろいろな苦心の末、協力を得て検挙に踏み切ったわけでございますので、検挙に踏み切りますとまたいろいろな協力がさらに得られるという状況にあろうと思いますが、ひとつ今後とも、県民でそういう被害にもしかかったような方々があれば、どしどし協力をしていただいて、そうして不正を摘発するという形に進んでまいりたいというふうに考えております。
  48. 津田實

    ○津田政府委員 暴力排撃、ことに暴力団の検挙につきましては、これは数年来、検察、警察を通じて、一大主要点と考えて推進してまいったところでございます。検察庁におきましてもここ数年間、あらゆる検察官の会議を通じましてこの推進を支持しておるわけです。今日といえども、その点は少しも変わっておりません。本件はまさに暴力を背景とするひとつの事件でありまして、これにつきましてはあらゆる方法を用いまして、先ほど横山委員がお話しになりました税法の問題、あるいは金融関係の法規の問題等、あらゆる問題を通じて、暴力団、その他暴力関係事件の検挙をはかりたいということで努力をいたしておりますので、この問題に関して検挙に手心を加えるというようなことは絶対にあり得ないことであります。さようなことはとうてい認められない検察庁の中の体制になっておるわけでございます。
  49. 坂本泰良

    坂本委員 検察庁並びに警察の決意を承りまして、われわれ国民もやはりその捜査に協力して、この際暴力団を撃滅しなければ、この暴力団が姿を変えて、あるいは擬装解体をする、さらにまた進んで地方議会に食い込んで、そうしてその地位を利用してやるという方面が、これは兵庫熊本に限らずあると思います。さらにまた選挙にも関係するというようなこともありますから、ぜひひとつこの際、徹底的にこれを糾明してもらいたい。ただに兵庫熊本、あるいは新潟だけでもないから、各県についても検察庁はひとつこの際暴力団の絶滅をして、この秋に総選挙が行なわれますならば、ほんとうの公明選挙を推進するということで、できたら、やはりその結果が、ほんとうに日本の政治を行う、こういうことにも大きくはなろうかと存じますから、ぜひひとつ、その点を御要望いたしまして、こまかいことはいろいろありますけれども、時間もありませんからこれで打ち切ります。
  50. 神近市子

    ○神近委員 関連して一問。これはきょう検察庁刑事局長がお見えになっておるからちょっと伺っておきます。  私は年少者の暴力化等の問題についていろいろ御質問したいのですが、予定しておりませんでしたのでとの次にいたしますけれども、一問だけちょっと伺いたいことがあります。それは昨年倉地武雄という人が息子のためにマンションの中で殺されたあの事件は、少年がつかまってそれきりほとんどジャーナリズムにも何も報道がない。あれはどの程度まで調査が進んでいるかということだけをお伺いいたしたい。
  51. 津田實

    ○津田政府委員 その事件は、私も承知いたしておりますが、その後の経過については、いま私手元資料がありませんので、調査をした上お答えいたします。
  52. 神近市子

    ○神近委員 これは私がここへちょっと準備している材料と何か非常にからみ合っているような感じがいたしますから、ぜひ詳しい御調査を伺わせていただきたい。その上でいろいろまたお伺いしたいと思います。
  53. 大久保武雄

    大久保委員長 志賀義雄君。
  54. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 最近新聞によると、アメリカの軍用モルヒン・シレットがずいぶん民間に流れている。これが広局県で発見されました。葵産業というところを捜査して発見されたということでありますが、これは例の参議院議員の秘書であった藤野淳介のピストル密売事件の藤野産業と同じ建物の中にあるのでありますが、この経過はいまどういうふうになっておりますか。警察庁のほうで御報告願いたいと思います。
  55. 雨森和雄

    ○雨森説明員 ただいま御質問の事件は、岡山県警で摘発いたしました事件でございまして、三名被疑者がございます。広島県尾道市久保町一三三の一の藤井孝行、三十八歳、広島県福山市霞町三丁目四の一三の三原弘敏、三十九歳、岡山県岡山市大供一九二の葵産業の社員林郁夫、二十五歳でございますが、事犯の内容は、林がいま御指摘のような酒石酸のモルヒネ注射液を持っている容疑がございましたので、逮捕いたしまして調べましたところ、これを十本所持しておったわけでございます。これをどこから入手したかということでございますが、これは藤井孝行が商用で韓国へ参りまして、韓国のホテルに滞在中に、何か麻薬のようなものがあればほしいということを話したところ、旅行の世話をしてくれた人からそういうものをあっせんされて、もらって持ち帰った、それをいま申し上げました三原が受け取って林に渡した、林はそれを所持いたしておりまして、いずれかに売ろうと思っておったのかもしれませんけれども、そのうち、これを全然人手に渡さないうちに逮捕されました。こういう事犯でございます。  いま御指摘のように葵産業というのが藤野産業と同じ建物の中にあるのではございますけれども、岡山県警で調べ、またわれわれが調べましたところでは、この間には全然関係はない、麻薬の違反に関しましては全然関係はない、こういうふうになっております。
  56. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 葵産業のほうの重役名簿に、藤野淳介の名前がありますかどうか。また、葵産業と藤野産業とは、あるいは下請とか何とか、こういう関係にあるかどうか。その点はいかがですか。
  57. 雨森和雄

    ○雨森説明員 葵産業の重役の名簿の中には藤野氏の名前はございません。仕事の関係で、藤野産業の持っております砂利の採取の仕事を葵産業にやらせておった、こういう関係があるだけでございます。
  58. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そうすると、いままでの調べでは、藤野は関係ない、こういうふうにおっしゃるわけですね。
  59. 雨森和雄

    ○雨森説明員 そのとおりでございます。
  60. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 では伺いますが、これはアメリカ軍用モルヒン、シレットであることには間違いございませんね。
  61. 雨森和雄

    ○雨森説明員 これはたいへん似てはおるのでございますが、いま照会中でございまして、確認という程度には至っておりません。麻薬であることには間違いございません。
  62. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 どちらに照会されているのですか。
  63. 雨森和雄

    ○雨森説明員 それは米軍のほうに照会いたしております。
  64. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 米軍と申しましても、麻薬については、日本では厚生省にもありますし、今度の犯罪では警察が関与しておりますが、アメリカ軍のどこに照会しておられるか。
  65. 雨森和雄

    ○雨森説明員 私どもの保安課では、常に米軍のほうには窓口がございまして、米空軍の調査部のほうに照会をいたしております。
  66. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 米空軍の調査部と申しましても、その名称はOSIでございますか。オフィス・オブ・シークレット・インベスティゲーションですか。どういうことですか。
  67. 雨森和雄

    ○雨森説明員 そのとおりでございます。
  68. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そのOSIについては常に警察が関係しておられるのか。こういう事件が発生したときに、協力されるときにやっておられるのか。それとも、厚生省では麻薬取り締まり官が百五十名、地方が百二十名ですかおりますが、厚生省ではOSIと常に連絡をとっておられるのか。おのおの、警察のほうと厚生省のほうから、お答え願いたいと思います。
  69. 雨森和雄

    ○雨森説明員 私のほうでは、こういう事件につきましては、OSIと連絡をいたしております。
  70. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 厚生省から……。
  71. 久万楽也

    ○久万説明員 厚生省のほうも、麻薬の事件がございますと、そのつど照会、あるいはこちらと連絡いたしております。
  72. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 今度の事件で、厚生省ではOSIと連絡していろいろとお調べになりましたかどうか。
  73. 久万楽也

    ○久万説明員 今度の事件は、警察が手をつけられ、そして警察の事件としてやっておりますので、私たちのほうとしては、それには、岡山の事件については関知しておりません。
  74. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 OSIに対してどういうことを照会されたか、その経路について、いろいろとOSIのほうに取り調べを依頼されたのか、そういう点はどうでしょう。またOSIだけに照会されたのかどうか、そのほかのアメリカ軍の機関に連絡をされたのかどうか、その点はいかがですか。
  75. 雨森和雄

    ○雨森説明員 先ほども申し上げましたように、私のほうはこういう事件についてはOSIが窓口でございますので、そこに照会をいたしただけでございます。
  76. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 OSIは場所はどこにございますか。OSIの機関は日本のどこにございますか。
  77. 雨森和雄

    ○雨森説明員 われわれが連絡いたしますのは青山墓地の下に事務所がございます。
  78. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 新聞によりますと、大使館では、アメリカ軍関係の問題で直接関係はない、軍から連絡はなかったので全く知らなかった、検察庁はじめ日本の関係当局とアメリカ軍の間で問題になるようだったら、大使館としても調査に乗り出す、こういうふうにアメリカ大使館ではある新聞社に言っておられるようであり、またアメリカ軍のワーレス報道部長の談話では、共同通信のニュースで知っているが、アメリカ軍からはまだ何にも連絡もきていない、韓国にはブラック・マーケットなどがあり、その地下組織はいろいろなものを密売しているから、その組織から持ち込まれたのではないか、こちらとしてもアメリカ軍司令官に問いただしてみるつもりである。これが二月十六日の新聞に載っておりますが、OSIとの連絡の結果、あるいは大使館がこういうことをやっているという事実を御存じでしょうか。
  79. 雨森和雄

    ○雨森説明員 まだ、照会の結果については、全然回答がございません。
  80. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 モルヒン・シレットが二月十日横浜でも発見されたということでありますが、警察庁御存じでしょうか。
  81. 雨森和雄

    ○雨森説明員 全然聞いておりません。
  82. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 厚生省のほうではどんなふうでありますか。
  83. 久万楽也

    ○久万説明員 私のほうもそういうことは聞いておりません。
  84. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 発見されたモルヒン・シレットは一本、一本ばらばらになったものでありましたか、何か包装されたものでありましたか、捜査の結果はどうでありましたか。
  85. 雨森和雄

    ○雨森説明員 発見されました当初には、ちり紙にばらばらに包んでございました。
  86. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 警察の推定では、発見された十本以外にまだあると推定されておりますかどうか。推定されるとすれば、おおよそどれくらい入っているというふうに見られているか、新聞にはちらちらそれが出ておりますので、出るとすれば警察以外になかろう、あるいは厚生省から出たのかと思いますので、新聞だけでなくてここでも言っていただきたい。
  87. 雨森和雄

    ○雨森説明員 調べの結果では、藤井が腹巻きに入れて十本だけ持って帰ったということで、ほかには全然出ておりません。
  88. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そうしますと、このモルヒン・シレットのメーカー、あるいは保管の場所、そういうものを表示するものは全然つかめないのですか。
  89. 雨森和雄

    ○雨森説明員 押収しましたチューブに張ってありますところでは、ニューヨークの商会がつくったものということになっております。
  90. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ニューヨークの何という商会ですか。
  91. 雨森和雄

    ○雨森説明員 ニューヨークのE・R・スクイブ・サンズ商会。
  92. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そのほかに何か目じるしになるものございませんか。数字、あるいはアルファベットであらわしたものはございませんか。捜査のときには必ずそれを記入されるはずでありますが……。はっきり申しましょう、ロット番号が書いてあるでしょう、ロット番号は写しとられましたか。
  93. 雨森和雄

    ○雨森説明員 その裏には登録番号が載っております。
  94. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ロット番号ではございませんか、その登録番号は。
  95. 雨森和雄

    ○雨森説明員 これは登録としてその番号が載っております。
  96. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 厚生省の久万さんに、ロット番号について少し法務委員会説明していただきたいと思います。
  97. 久万楽也

    ○久万説明員 ロット番号と申しますのは、その製品をいつつくったか、一つの仕込みを大体一ロットとして記載して、そのあとでその製品で事故が起こった場合に、それがどのロットのものかということがわかるように、そういう確認のためつけたものであります。
  98. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 どれにもついておるわけなんですね、大体チューブごとに。
  99. 久万楽也

    ○久万説明員 大体医薬品にはついております。私、米軍のほうはちょっと存じませんけれども、たぶんついていると思います。
  100. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それでは344のAまたは334のAという番号がありますかどうか、あるいはそれに近い数字……。
  101. 雨森和雄

    ○雨森説明員 いま御指摘の数字は登録の番号の下に載っております。
  102. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 これは会社が納入したときに記入するものですか。あるいは各軍に配布するときにその番号を登録するのか。その点いかがですか。
  103. 雨森和雄

    ○雨森説明員 その点はちょっと私はよくわかりません。
  104. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それをお調べになる必要があるのじゃございませんか。あなたは入手経路を、腹巻きに入れて十本ほど韓国から持ってきたと言われます。もう一つ岩国基地という名前が新聞にも出ておりますが、岩国基地のほうには照会なさいましたか。
  105. 雨森和雄

    ○雨森説明員 岩国基地の事件は、これとは全然別でございまして、昨年の八月に、これに非常に似た薬品が盗難にあった、こういう届けが山口県警に対してございましたので、これは共同で捜査をいたしたことがございます。ただ、まだそれにつきましては、その後犯人の逮捕にも至っておりませんし、そのまま捜査が進展はいたしておりません。
  106. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 その岩国基地の共同調査と言われますね。これは地位協定にも第十七条ですか、はっきりとそういうことをすべしと書いてございますが、その共同調査の岩国基地の相手の機関の名前は何といいますか。
  107. 雨森和雄

    ○雨森説明員 報告によりますと、昨年の八月十七日に米海軍の情報部の岩国基地の情報部から連絡があったということになっております。
  108. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 正確な名称は何ですか。
  109. 雨森和雄

    ○雨森説明員 米海軍情報部岩国基地情報隊長でございます。
  110. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 略称ONI、オフィス・オブ・ネーバル・インベスティゲーションでしょうか。
  111. 雨森和雄

    ○雨森説明員 この報告は日本語で参っておりますので、その点はわかりません。
  112. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 岩国と申しますと、山口県にも広島県にも厚生省の麻薬取り締まり官が駐在しておられるでしょう。それと、この調査には参加しておられますかどうか。
  113. 久万楽也

    ○久万説明員 私のほうは八月の二十三日に調査しております。それで、海軍情報部、略称UIO調査票にはUIOと書いてあります。
  114. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それと、連絡してやっておられる、——この事件には関与しておられますかどうか。
  115. 久万楽也

    ○久万説明員 この調査には関与しております。
  116. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 岩国基地から出たのは別の薬品だと言われますが、やはり麻薬ですか。その麻薬の種類は何であるか、そういう点はお調べになりましたか。
  117. 雨森和雄

    ○雨森説明員 岩国で盗まれましたものは、備えつけの救急用麻薬であったということ、それから、その外装、外見が今度のものと非常に似ておる、同一ではない、しかし非常に似ておる、こういうことでございます。
  118. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それはアメリカ軍のフィールド・エイド・フォア・ソールジャーズ、野戦救急法といいますか、それに記載された薬品かどうか。
  119. 雨森和雄

    ○雨森説明員 そういうものに記載されているかどうかは承知いたしておりません。
  120. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そのこともお調べにならなければ、五里霧中で調査されていることになるじゃございませんか。捜査が進展しないと言われますが、それはやはりチューブ入りのものだったのか、ロット番号があるのか、メーカーが記載してあるのか、そういう点はいかがですか。
  121. 雨森和雄

    ○雨森説明員 これはやはりチューブ入りのものでございまして、メーカーは先ほど申し上げました商会と同じ商会でございます。
  122. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 やはりロット番号が記載されておりますか。
  123. 雨森和雄

    ○雨森説明員 これはロット番号とおっしゃるものに該当するかどうかは、確信を持ってお答えできないのですけれども、番号は載っております。
  124. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 先ほど私が申しました番号はあなたのほうでも確認なさった。またいま岩国基地から出たものにも番号がある。その番号はどういう性質のものかということ、それから記載があるのですから、それをお調べになるのが警察として当然だろうと思いますが、それは向こうに照会してお調べになりましたか。どういう回答がありましたか。
  125. 雨森和雄

    ○雨森説明員 今回の事件がありましたので、両方あわせて照会しております。
  126. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 回答があったかと聞いているのです。
  127. 雨森和雄

    ○雨森説明員 回答はまだございません。
  128. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 実はこの番号がかぎになっておると私は思います。どこから、どういう経路でそれが製造会社から納められ、つまり経路と申しますのは、製造会社からアメリカ国内の軍当局に納められ、それがいつ、どういう経路で戦地に送られ、あるいは基地に送られる、こういうことはわかるはずであります。何月何日基地においてはそれを受け入れた、そういうことがわかるはずでございますが、私でさえわかるようなことをなぜお調べにならないのですか。そういう点でお調べになったかどうか、それをお答え願いたいと思います。
  129. 雨森和雄

    ○雨森説明員 御指摘の点は、照会はいたしておりますけれども、そういうことを詳細に知るということが国内の捜査に絶対必要かと申しますと、私は必ずしもそういうことはなくても捜査は十分できる、こういうふうに考えております。
  130. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 地位協定の第十七条ですか、はっきり規定してありますね、アメリカ軍と日本の当局とがこういう犯罪捜査には協力すべしということは。そうして、いまのロット番号をはっきりさせれば、韓国から持ち帰ったということですね、それがほんとうかどうか、別の経路で入ったのか、そういうこともわかるはずでございます。  そこで、私は厚生省に伺いたいのでありますが、いまのような番号がこれまであなたのほうの取り調べの御経験で、あったか、そうしてそういう点についてどういうふうにお調べになったか。警察当局の調査ではどうもそこがはっきりしません。あなた方ベテランはどういうふうにやっておられるか、その点を伺いたいと思います。
  131. 久万楽也

    ○久万説明員 ロット番号を追って、事件としてあげたものは、米軍関係ではございませんけれども、日本の国内の問題としてはございます。それは岩手県で落としまして、それを拾得しまして、それをたどっていきましたら、東京から岩手県に転出した歯科のお医者さんですけれども、夫婦で中毒で、その方が東京の卸から買っていったということを見つけたものはございます。しかし米軍関係では私どもではまだございません。
  132. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 いまのように、岩手県で落とした、それを見ると、その番号をさぐっていくと、東京の卸、そこがすぐわかるでしょう。そうすれば、この点はやっていけば、どこからどういう経路でいったかということ、アメリカ軍では必ずロット番号なり、いま言ったような番号——なりこれはどの部隊に配置した、どこに送った、麻薬取り締まりはアメリカでもきびしいです。犯罪捜査は、FBIがアメリカ国内ではやっている。麻薬の担当は、特に紙幣偽造とともに財務省が非常に厳重にやっているのです。どういう経路でいったか、アメリカ軍からどういう経路で出てきたか、そこまではアメリカ軍に照会すればできるはずです。警察はそのように要求なさいましたか。
  133. 雨森和雄

    ○雨森説明員 この番号につきましては、これがどういう意味のものであるかということを照会いたしておりますが、それについてまだ回答がきていない、こういう状態でございます。
  134. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 これがロット番号であるか何かということを、あなたははっきり、お答えになりません。しかし、いま厚生省の経験でも、岩手県で拾ったというものが、すぐ薬屋まではわかりますね。そういう性質のものなんです。そうすれば、こちらに出てきたものが、最後に日本人に渡るまでアメリカ軍ではどういう経路でいったか、その経路はわかるはずです。朝鮮経由であるか、どこかの基地の経由であるか、あるいは飛行機で日本に休養に帰ってくる軍人が持ってきたのか、これはほんの一例にすぎませんけれども、そういうことはわかるはずです。番号を控えておかれながら、そういう要点をお聞きになったかどうか、ただ漫然と照会するということだけでなく、いまの久万参事官の言われた例から、そこはアメリカ側でもすぐわかるはずであります。そこまで突っ込んでお聞きになりましたかどうか、それを伺うのです。
  135. 雨森和雄

    ○雨森説明員 この点につきましては、一般に、私照会を申し上げましたけれども、照会をいたしますれば、必要なことは通知がくる、こういうふうに考えております。
  136. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 岩国基地の場合、日本の不良出入り商人に渡ったのか、あるいは基地にいるアメリカ人が出て、どこかで売ったか、こういうふうに新聞にはいわれております。産経新聞にたしか出ておりました。そういう点はどういうふうに調査されているのですか。それからまた基地内では、いまこういうふうに捜査しているんだ、岩国の基地ですね、ONIならONIにあなた方が連絡なさったとき、向こうではこういうふうに捜査しているんだ、私の知るところでは、岩国基地では、今度の問題が起こってからもう一度調べ直している様子でありますが、そういう点の連絡はありますか。
  137. 雨森和雄

    ○雨森説明員 これにつきましては、相互に十分連絡をとりつつ捜査をやっておりまして、今度韓国から持って帰った件もございますので、あらためてこれについてももう一度、現在までの捜査資料を検討いたしまして捜査をやり直しております。
  138. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 どうもたよりない。韓国から十本持ってきた。それにいまのようにみんな番号が入っている。メーカーもわかった。それはアメリカ当局に照会なさいましたか。いまのOSIならOSIに……。
  139. 雨森和雄

    ○雨森説明員 これは先ほどお答え申し上げたとおり照会いたしております。
  140. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 いや、照会するときに、こういう点を調べてくれと——この番号の性質ですね。いま厚生省の久万参事官が言われたように、こちらではこういうように思う、日本ではこういう例があるからここを調べればわかると思うが、そういうこともあわせてお聞きになっておるかという意味です、私の言うのは。
  141. 雨森和雄

    ○雨森説明員 御指摘のような点を総括的に照会をいたしたわけでございます。
  142. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 どうも肝心の点——それで麻薬取り締まりができるものですか。ことに麻薬国際取り締まり会議に日本は昨年加入いたしましたね。アメリカは加入しておりませんね。そうですね。どうですか、その点、久万参事官にお願いします。
  143. 久万楽也

    ○久万説明員 単一条約のことだと思いますが、単一条約にはアメリカはまだ加入しておりません。
  144. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そこに一つの盲点があろうと思います。そういう点について、この際こういう問題をはっきりと捜査されるために、アメリカ側の当局に対して、現に先ほど申しましたようにワーレス報道部長も自分のほうでも調査に乗り出すと言っているでしょう。あなた方に調査に乗り出すと言いましたかどうか、それすらも返答がない。新聞社で聞くと調査に乗り出している。新聞社は麻薬取り締まりの権限は持っていない、そこでもわかることを、照会したけれどもまだ返答がないで麻薬取り締まりの責任が果たせますか。日原刑事局長、いかがですか。
  145. 日原正雄

    ○日原政府委員 これは私どもの所管ではございませんので、ちょっと意見は差し控えさせていただきます。
  146. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 じゃ、担当官のほうでお答え願います。もう一度申しますが、新聞には、アメリカ軍のワーレス報道部長が、いよいよ調査に乗り出すと言っている。新聞社にそういうことを言っている。ところがあなたのほうは、照会してみたもののまだ返事がない、それで麻薬取り締まりができますかと聞いているのです。その点いかがですか。
  147. 雨森和雄

    ○雨森説明員 それは、私の御説明が不十分であって申しわけないのですが、はっきり返答があったかどうかということは、役所のほうでは文書で照会したものですから、正式の回答がまだきておらない。その間にいろいろ状況を説明し合っている、こういうことはあります。
  148. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 警察が手をつけた麻薬取り締まりは、警察に敬意を表して厚生省のほうでおやりにならないのですか。協力なさるのですか。
  149. 久万楽也

    ○久万説明員 事件によっては、警察のほうからこの事件に関連してこういうことを厚生省は知らないか、あるいは一緒にやらないかということがございますればやります。それから、今回の場合みたいに、もう警察がはっきり手をつけ、そしてこちらが関与する立場はないというときはやりません。
  150. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 先ほど、第五十四条と申しましたが、麻薬取締法の第五十四条第五項には、「麻薬取締官は、厚生大臣の指揮監督を受け、麻薬取締員は、都道府県知事の指揮監督を受けて、この法律、大麻取締法若しくはあへん法に違反する罪、刑法第二編第十四章に定める罪又は麻薬若しくはあへんの中毒により犯された罪について、刑事訴訟法の規定による司法警察員として職務を行う。」第六項には「前項の規定による司法警察員とその他の司法警察職員とは、その職務を行なうにつき互に協力しなければならない。」とありますが、この場合は協力をなさっていないのですね。警察からも協力方の申し入れはございませんか。
  151. 久万楽也

    ○久万説明員 今回の場合は協力ということはございません。ただわれわれのほうと検察庁と共助協定というものを次官同士で結んでおりまして、それによっていろいろなことを行なっております。
  152. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 直接協力はされないが、これらの事件は厚生省でも独自に調べておられますかどうか。全然調べられませんかどうか。全然調べられないというのでは職務が済むまいと思いますが、その点いかがですか。案外厚生省のほうが警察よりもこの事件について岩国基地の問題その他についてもよく御存じではないか。ただ警察に敬意を表されたのか、管轄上の争いがあるのか存じませんが、遠慮しておられるのか、警察やるならやってみろ、おれのほうが詳しいというのか、そういう点はいかがですか。
  153. 久万楽也

    ○久万説明員 少なくとも岡山事件については、私のほうとしてはその事件そのものとしては関与しておりません。ただそのあとにお話がありました岩国基地の盗難、そういうことに関連して私たちのほうとしてはある指示はいたしております。
  154. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 お差しつかえなければ、そのある指示というのを聞かしてください。
  155. 久万楽也

    ○久万説明員 それは最近いろいろと米軍の出入りが激しいものですから、そういう基地のそういうものは調べてくれ。それからその基地周辺についてはわれわれのほうとしては少ない人員ですけれども、特別捜査班というのを置いて、警戒に当たっております。
  156. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ただいま委員長もお聞きのように、まことにたよりないことでございます。こういう点を今後は当法務委員会でももう少し注意してみなければなるまいと思いますが、なおこれに関連して、ちょっと藤野は関係ないと言われるのでありますが、また現閣僚の私設秘書が、何かピストルの事件に関係して、任意出頭か何かで調べられたという事件がございます。このピストルで、結局だれが刑法の対象になることになりますか。その点、落ちはどういうふうになっておりますか。
  157. 日原正雄

    ○日原政府委員 これは、お話は福田のことでございましょうか。
  158. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 私のほうから特に名前は言いません。あなたがおっしゃったから、福田という現閣僚が二人ございますが、どちらでありますか、おっしゃってください。
  159. 日原正雄

    ○日原政府委員 私は被疑者のほうを申し上げておるわけでございまして、決してほかの人のことは、同姓同名……。
  160. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それではその被疑者はどういう名前で、この事件をどういうふうに処理されましたか、ひとつ伺いたいのです。
  161. 日原正雄

    ○日原政府委員 昭和二十七年の夏ごろ、自動販売機賃貸し商をしていたNが、横浜の米軍施設あとで拳銃一丁を拾得し所持していたのを、昭和三十五年十月ごろ、その知人である福田某が譲渡を受けまして、昭和三十八年四月ごろまで不法に所有していたということで、これは昭和四十年八月十二日に取り調べをいたしまして、九月六日送致いたしました。十二月二十三日には罰金四万円の判決を受けております。
  162. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そのピストルを持っておったときに、これはその現閣僚の身辺を護衛するためと警察で本人が述べているようでありますが、それが事実か。または別説によると、あれは私設秘書でないというが、本人はどういうふうに申し立てておりましたか。
  163. 日原正雄

    ○日原政府委員 秘書でないということでございますけれども、本人の申し立てばお話のような状況でございます。
  164. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 どうもこれも何か要領を得ないようななにでございますが、事実そうでないのか、あるのか。本人がそう申し立てたら一応それをお調べになったのかどうか。お調べになった結果、私設秘書ではなかったか。本人はそう申し立てている、こういうことでしょうか、そこを伺いたいのです。
  165. 日原正雄

    ○日原政府委員 そういうことでございます。本人は、調べた結果、そうでなかったが、本人はそう申し立てておるということでございます。
  166. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 どこをお調べになったのでしょう。どこをお調べになったら私設秘書ではなかった。しかし本人は私設秘書として現閣僚の身辺を防衛するために、拳銃を——とこをお調べになって私設秘書でないということを証明なさったのでしょうか。
  167. 日原正雄

    ○日原政府委員 これは拳銃を受け取る際に、相手方にそういうようなことを言っておるわけでございます。そこで、そういうことを本人は言っておる。調べでもそういうことを言っておりますけれども、私どもの調べた範囲では秘書にはなっていないということでございます。
  168. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そういうことで、今日問題になる一つの例を申し上げましょう。昭和三十六年二月八日衆議院地方行政委員会法務委員会連合審査会で阪上安太郎委員が、先日問題になりました藤野元秘書、これが松葉会と関係あるということを尋ねました。そのときに公安調査庁でも警察でも、そういうことはないと思います、こう答弁されているのです。ところが、ことしになりましてそれがはっきり関係があることになってきましたね。そのときには特に阪上委員は池田総理にも聞かれた。総理は存じませんと言っておる。もしそのときにその点をはっきりお調べになったら今度のようなことはなかったろうと思います。本人がそう申し立てているが、調べてみたらそうでなかった。まして現閣僚のおいでしょう。そういう点に手抜かりがあるのじゃなかろうかと私は思うのです。  もう一つ例を申し上げますが、藤野は松葉会とは関係があるが、幹部の名簿にはないといわれておりますが、松葉会で四天王ということばがありますが、その四天王の名前は警察当局は御存じですか。
  169. 日原正雄

    ○日原政府委員 私ども世の中のことは何もかも存じておるわけでございませんので、犯罪が発生しました限りにおいては、その犯罪を十分に調べ、またそれの、たとえば拳銃ならば拳銃の経路を追って、それぞれの犯罪事実というものを明らかにしていく。あるいは共犯関係を明らかにしていくということはございまするけれども、そういう面については厳密な証拠を固めていくわけでございますが、それ以外の面につきまして、まあ余裕がありますればあらゆるいろいろな情報面も調べるのが当然だと思いますけれども、十分な調べができる場合とできない場合があるわけでございます。犯罪成立の面については、私ども確信をもって証拠で立証するわけでございますが、その周辺になりますると、十分徹底した捜索がなかなかいまの手数の中ではやりにくい関係がございます。
  170. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 刑事局長、あなたはお答えになりませんね。四天王の名前を知っているかと聞いているのです。
  171. 日原正雄

    ○日原政府委員 忘れましてどうも申しわけございませんが、松葉会員としてどういうものを把握しておるか、これはもちろん私ども雇っておるわけではございませんので、そうなりますと、私どものほうとして、会員にどういう者がおるかということをそれぞれ事件のきっかけ等を見つけまして、あるいは情報でとっておりまするけれども、これは私どもが探知した範囲内においてこれこれだということしか言い得ないわけでございます。暴力団員が年々ふえてまいったり、減ってまいったりしますけれども、これは私どもが探知した範囲内においてこういうふうになっておる。したがって、その中には、新たに暴力団員として私どもが把握した者と、それからその暴力団に加入した者があるということは、これは前から申し上げておるところであります。その点で厳密にどうだと言われますと、これは会員は私どもが把握している以外に絶対にないとは申し上げられません。ただ私どもの把握しておる範囲においては、先ほどの人物も会員としては把握されていないということでございます。通称いろいろなことを言われておるかもしれません。ただ私どもとしては、非常にじっこんの間柄であったということでありまして、会員としては把握しておりません。
  172. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 嶋中事件が起こりましたときに、警察庁から特に危険な行動団体として松葉会の名前を入れた名簿が、やはり地方行政委員会並びに法務委員会の連合審査会に出されております。その松葉会に四天王があり、その四天王の名前がわれわれにもわかっている。われわれは特別公務員で、法務委員でしかありません。あなた方は警察としてそういう名簿を提出するくらいだから、四天王とはだれであるかということは御存じのはずでありますが、それを言ってくださいと言っているのに、失礼しました、失礼しました、申しわけありませんと言う、出しおしみをしないで出しなさいよ。
  173. 日原正雄

    ○日原政府委員 私ども犯罪関係について氏名等を申し上げるのはございますが、一般的にいろいろな情報面について、ここで、この公開の場で申し上げることは差し控えたいと思います。
  174. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 公開の場で申し上げられないと言われる。そうすると四天王というものはだれだれであるということは御存じなんですね。御存じですか、御存じでないか。
  175. 日原正雄

    ○日原政府委員 通弥四天王と言われるのかどうか知りませんけれども、有力メンバーという面では把握しております。
  176. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 もう少しそこのところをお調べになりませんと、何だかピストル事件でもできるだけ一定の範囲に限定しようとする、こういうことが私は感じられる。また藤野産業と葵産業の関係についても、何だかここまでは調べるが、これ以上には広げないという、例の、これは津田刑事局長のほうにも当たりますけれども、どうも吹原事件も吹原、森脇、しかたなく大橋ぐらいのところまでやるが、それがそのほかに作用しないように細工をされているのではなかろうか、当時の法務大臣であった人までが、検察当局で調査途中であるにもかかわらず、政治家のほうは関係なかったという異例の発表をされたりする。そういう点で非常に疑惑が起こっているのですね。津田局長も御存じでしょう。日原局長も御存じでしょう。ことしの一月二十八日の施政方針演説で、特に青少年に対してなんていって、最後に例のうたい文句を佐藤総理が言われました。そのあと、ああいうピストル事件があり、それから麻薬事件が起こるというようなことですから、これではどうもわれわれは納得できません。そういう点について特に警察庁にお願いしておきますが、先ほどの番号でございますね、これがどういう性質のものであるか、ロット番号とどういう関係があるか、そういう点を厳重にアメリカ軍のOSIのほうに照会して、はっきりした答弁を得て、ここで報告をしていただきたいと思います。どうもきょうのところでは調べていないのじゃないかという声が委員席からも起こるくらいでございます。これでは私ども満足できません。  最後に一つ、人権擁護局長においでを願った事件は、国士館大学の問題でございます。去る二月十一日に国士館大学で紀元節の行事を行なっております。そのときに、早稲田大学の大浜総長が来賓として参加しておられます。そうして翌十二日には国士館の学生が、バス六台に分乗して早稲田大学にかけつけているということでありますが、いま御承知のとおり早稲田大学ではストライキが行なわれております。はたしてバス六台に分乗して行ったということが事実かどうか、何のために行ったのか、あのときには暴行事件も起っております。負傷者も出ております。そうして前の日には大浜総長が来賓として国士館大学の紀元節の行事に行っておられる。  国士館大学では非常に問題がありました。教授の名前を申し上げますが、東京法務局人権擁護部に昨年十二月、国士館大学教授、鹿島宗二郎氏及び同高等学校教諭、桑田、今川の両教諭ですが、国士館大学、高校における人権じゅうりんと暴力行為について訴えが出ております。これには人権擁護部法務事務官近江屋成隆が参加しておられますが、その進行状況はいかがでしょう。つまり六台のバスに分乗して早稲田大学にかけつけたというが、事実かどうか。何のために行ったのか。それからいまの人権擁護局への教授及び教諭からの許えについてはどういうふうに取り扱っておられるか。
  177. 鈴木信次郎

    ○鈴木(信)政府委員 国士館大学のただいまの御指摘の事件につきましては、昨年、すなわち昭和四十年十二月十日におっしゃるとおり同大学の鹿島宗二郎外二名の方、外二名の方は附属高校の教諭でありますが、この三名の方から、同大学の学長を相手方といたしまして、人権侵害の申告が出ております。その事件名は、不当解雇と学長の学内における暴行、こういうことになっております。  調査の状況はどうかと申しますと、現在調査中であるということまで判明しております。その詳細な内容につきましては、ちょうど一時間ほど前に電話で詳細を聞いておる途中で、当委員会から御連絡がございましたので、かけつけてまいったような次第で、どの程度調査ができているかということは、現布の段階では、まだ私どものほうではわかっておりません。  それから、順序が反対になりましたが、紀元節の日に早稲田の大浜総長が国士館大学にいらっしゃって、話をされた……
  178. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 来賓として行かれた。
  179. 鈴木信次郎

    ○鈴木(信)政府委員 それから国士館大学の学生がバス六台で早大にかけつけている、またその目的が何かということについては、私ども現在まで何ら報告を受けておりません。そういう事実がありますれば、これは情報を収集いたしまして、はたして人権問題として取り上げるような要素があれば、これは調査してみたいと思います。
  180. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 いまの問題について、日原局長、あのときに暴行傷害事件なんかも起こったと聞いておりますが、どういうことをしたのか。これは国士館大学の人権問題としては人権擁護局長に調査をお願いしましたが、その方面からも局長のほうでもお調べいただきたいのでございます。
  181. 日原正雄

    ○日原政府委員 調べてみます。
  182. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 なお、東京法務局人権擁護部に桑田教諭が行かれた際に、人権擁護部の係官の人が、いっそ全部の先生がおやめになったほうがよろしいでしょう、どこにでも就職口はあるでしょうと答えておられるそうです。これはどういうことでしょうね。
  183. 鈴木信次郎

    ○鈴木(信)政府委員 いやしくも法務局の人権擁護部に勤務する法務事務官が、そのようなことを申そうとはゆめゆめ思われない次第でありますが、国会議員の志賀先生からそのような御指摘があったのでありますから、やはりこれもさっそく調査をしてみる必要があると思います。
  184. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 前に大阪の、こういうノートブックで、コクヨというノートブックがありますね。ここの従業員が、配置転換でめちゃくちゃなことをやられた。女の子ですが、大きい重量物を運ぶところに移されたために、指がかたわのように曲がった事件があった。これを大阪の法務局の人権擁護部に訴えたところ、そんなひどいことをする会社になぜいつまでも、人権擁護部にまで来て居すわろうとするか、やめてほかに移りなさいと言った先例もある。一度あることは二度ある、二度あることは三度ある。だからこの際、あなたがゆめゆめないとは思われても、それじゃ困りますよ。場合によっては、桑田教諭とその係官をあなたが直接お呼びになって、お調べになる必要がありますね。どうです。やっていただけますか。
  185. 鈴木信次郎

    ○鈴木(信)政府委員 全く御指摘のとおりでございます。人権擁護に従事する職員が、そのようなことがあっては絶対いけないことでありますから、さっそく調査いたしまして、その是非を明白にいたしたいと思います。
  186. 大久保武雄

    大久保委員長 次会は、明十八日午後一時から理事会、午後一時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時十五分散会