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1966-03-18 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十八日(金曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 岩動 道行君    理事 辻  寛一君 理事 長谷川四郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 大出  俊君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       臼井 莊一君    纐纈 彌三君       塚田  徹君    野呂 恭一君       藤尾 正行君    保科善四郎君       堀内 一雄君    前田 正男君       湊  徹郎君   茜ケ久保重光君       稻村 隆一君    村山 喜一君       楢崎弥之助君   米内山義一郎君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 松野 頼三君         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         内閣官房長官 橋本登美三郎君         内閣官房長官 竹下  登君         内閣審議官         (内閣官房内閣         審議室長)   高柳 忠夫君         内閣法制局参事         官         (第一部長)  関  道雄君         内閣法制局参事         官         (第二部長)  真田 秀夫君         人事院事務官         (職員局長)  大塚 基弘君         総理府総務副長         官       細田 吉藏君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房臨時在外財         産問題調査室         長)      栗山 廉平君         総理府事務官         (賞勲局長)  岩倉 規夫君         総理府事務官         (人事局長)  増子 正宏君         総理府事務官         (恩給局長)  矢倉 一郎君         総理府事務官         (中央青少年問         題協議会事務局         長)      赤石 清悦君         宮内庁次長   瓜生 順良君         防衛庁参事官         (長官官房長) 海原  治君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  福田  勉君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第一五号)  内閣法の一部を改正する法律案内閣提出第一  〇〇号)  総理府設置法及び青少年問題協議会設置法の一  部を改正する法律案内閣提出第七五号)      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題とし、趣旨説明を聴取いたします。松野防衛庁長官
  3. 松野頼三

    松野国務大臣 今回提出いたしました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案提案理由及び内容概要について御説明申し上げます。  まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。  前年度に引き続き、第二次防衛力整備計画にのっとり、防衛力内容充実につとめることとし、昭和三十九年度の定員を改め、防衛庁本庁職員を千五百五十三人増加することとしております。その千五百五十三人のうち千四百九十八人は自衛官であり、残りの五十五人が自衛官以外の職員であります。  自衛官の増加は、海上自衛隊及び航空自衛隊自衛官でありまして、海上自衛隊における増員は五百九十八人で、艦艇の増強並びに航空部隊整備及び後方支援部門等充実のために充てるものであり、航空自衛隊増員は九百人で、飛行部隊及びナイキ部隊新編等を行なうにあたって必要となる人員であります。  自衛官以外の職員五十五人は海上自衛隊の要員に充てるものであります。  次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  第一に、自衛隊予備勢力確保のため予備自衛官三千人の増員を行なうこととしております。  第二に、第七航空団司令部の所在地を移転することとしております。  以上、法律案内容を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。      ————◇—————
  4. 木村武雄

    木村委員長 内閣法の一部を改正する法律案議題とし、趣旨説明を聴取いたします。橋本内閣官房長官
  5. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 ただいま議題となりました内閣法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  まず、内閣官房長官は、内閣の直接の補佐としての内閣官房における複雑多岐にわたる事務を統轄し、閣議にかかる重要事項に関する総合調整事務を統轄して行政各部統一保持の衝に当たり、また、国内及び国外に対して機敏に内閣重要政策に関する広報を行なうなど、きわめて重要かつ広範にわたる国務を処理しているのでありまして、その職責は、まことに重要であります。このような内閣官房長官職責にかんがみまして、この際、内閣官房長官国務大臣をもって充てることとし、これがため現在の国務大臣定数を一人増加する措置を講ずる必要があるのであります。  次に、内閣法第十二条第二項に定める内閣官房事務のうち、財政経済政策に関する総合調整及び内閣重要政策に関する広報などの事務量の増大にかんがみ、内閣官房に、この分野における内閣官房長官の職務を専門的に補佐する特別職職員二人を置く必要があるのであります。  以上のような観点から、内閣法の一部を改正して、内閣官房長官国務大臣をもって充てることとし、これがため国務大臣定数を一人増加して十八人以内とするほか、内閣官房内閣調整官及び内閣報道官各一人を置き、内閣法第十二条第二項の内閣官房事務のうち、内閣調整官は、財政経済政策に関する総合調整にかかるものについて、また、内閣報道官は、広報にかかるものについて、それぞれ内閣官房長官を助けることとするものであります。  なお、内閣調整官及び内閣報道官身分取り扱い等については、その職責にかんがみ、内閣官房長官と同様とする等関係法につき所要の改正をしようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及び概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。      ————◇—————
  6. 木村武雄

    木村委員長 総理府設置法及び青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。臼井莊一君
  7. 臼井莊一

    臼井委員 総理府設置法の一部改正関連いたしまして、目下総理府在外財産問題審議会におきまして審議されております設置後の経過の大要をお伺いいたしたいわけであります。実は、私もその審議会設置の際の責任者の一人で、それだけにその後の経過とか今後の問題につきましても関心を持っておるわけでありますので、この際総務長官でも室長でもけっこうでございますから、経過を簡単にお願いしたいと思います。
  8. 安井謙

    安井国務大臣 在外財産問題審議会審議状況につきましては、設立の責任者であられます臼井委員も、いろいろと当初の計画については十分御承知のことと思います。回を重ねること二十三回に至りまして、非常に熱心な御討議を願っておる次第でございます。  まず、法律的にいわゆる賠償義務と申しますか、補償義務があるかどうかの問題。また、あるとした場合に、適用範囲はどうなるか、あるいは国内のそれぞれの事情、外国のそれぞれの事情、非常に問題が広範にわたっておりますので、目下熱心な御討議をいただいておりますが、いま、いつこれが結論が出るという見通しがはっきりつきかねるという状況にございます。
  9. 臼井莊一

    臼井委員 この問題は戦後二十年たちましても、まだ全般、ことに引き揚げ者が納得し得る段階になっていないこと、第一次の調査会以来、ずいぶん委員の各位が熱心に、また政府もいろいろ努力をされても、根本的に了解するまでに至らぬということは、事の問題の複雑さと困難さがあるということは了解されるのでありますけれども、しかしながら、よくこの問題につきまして、もしこれを補償するということになると、内地戦災者等の問題にもいろいろ関連してくるからというようなことを非常に心配されることももっともでありますが、ただ、この点非常に違うのは、私どもども事業所事務所が戦災にあい、またその前に疎開された分もありまして、疎開されたときは、補償の紙はもらっても何も受けていない、こういうこともありますが、ただ海外から引き揚げられた方は裸一貫で引き揚げてきた、そして内地における信用というものはむしろゼロに近い方々が多い。それに反して、内地でかりに戦災あるいは疎開にあいましても、引き続いてやはり内地にいる関係信用がありますので、借金もでき、かりに借金をしても立ち上がることができる、そういうところに非常に大きな差があるので、そういう観点からも、私は海外引き揚げ者方々に非常に御同情申し上げる点があると存じます。  そこで、ことしの七月で委員任期が切れますが、いま伺うと、慎重にやるということですが、それまでに結論が得られるのか。もし得られなかった場合に、今後どういうふうに政府措置せられるか、その点につきまして一言伺いたい。
  10. 安井謙

    安井国務大臣 お話のとおりに、引き揚げ者補償問題という問題は、他の同じような種類の問題とも若干の関連があるという見方もございましょうし、そういう意味からも、答申につきましては全国民の御納得のいくような、筋の通った御答申をいただきたいということで、政府は非常に急ぎながらも、また一面、慎重な御答申期待をしておるわけでございます。そういう意味から、七月に一応民間学識経験者方々任期満了ということになりますが、できればそれまでにきめていただきたいという期待は持っておりますが、いまの審議会進行状況自身について、私どもまだこれがどうだという見通しがつけ得ない状況にございます。したがいまして、これは仮定の問題でございますが、万一七月までにどうしても終わらないというような場合がありますれば、審議会期間自身には制限ございませんので、再任をいたしてさらにお願いをする場合もあり得るかと思います。しかし、これはいまこの時点で当然出ないであろうから再任というふうに考えているわけじゃございません。できるだけ急いで合理的な結論、御答申をいただきたいという態度でいま進めております。
  11. 臼井莊一

    臼井委員 この審議会をつくる際にも、引き揚げ者要望国会要望等もありまして——各党要望と言ったほうがいいでしょうが、二十人の委員で、国会議員——各党代表的な方に六名御参加いただいております。したがいまして、国会各党の意向というものもその中で相当反映され審議もされておられるのでありますが、一方、昨年一月に在外財産については政府補償をする責任がある、憲法第二十九条から見ても責任があるということで提訴されて、第一審では政府には責任なしということであったのですが、第二審で責任ありということになって、これがさらに最高裁審議されておるように伺っておりますが、これとやはり今度の審議会とも関連を持ってお考えでございますか、その点について伺いたいと思います。
  12. 栗山廉平

    栗山政府委員 ただいまの臼井先生の御質問は、いわゆるカナダ裁判について先生おっしゃったことだろうと思いますが、この点につきましては、審議会において数回にわたりまして紹介、それから学説並びに判例批評がたくさん出ておりますから、それの御紹介を申し上げ、検討いたしてもらっております。
  13. 臼井莊一

    臼井委員 いずれにいたしましても、この問題は非常に広範囲に影響の及ぶ問題でございますから、慎重に審議するということは当然かと思います。しかし一方、当初申し上げたように、戦後二十年になって裸一貫同様で帰ってきた人がいまだに非常な不満を持っておるというので、相当政治問題にもなっておる際でございますので、結論につきましては、できるだけすみやかに結論ができるように、これは審議会がやることですから政府としてどうというわけにいかぬかもしらぬが、ひとつできるだけ、臨時在外財産調査室も骨を折っておられますが、そういう面に協力と御指導を願いたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  14. 安井謙

    安井国務大臣 承知いたしました。
  15. 木村武雄

  16. 大出俊

    大出委員 ただいまも臼井さんから質問が出ておりましたが、在外財産問題に関しまする中心点について、重ねて私のほうからもお尋ねをいたしたいわけでありますが、一昨日、関係在外財産補償獲得期成同盟総本部主催による在外財産問題審議会即時答申絶対要求引揚者全国大会というのが開かれたわけであります。私も参りましたが、久保講堂には関係各党議員方々がずいぶんたくさんお見えになっておりまして、スローガン内容等については、各党方々とも御存じだと思うわけでありますが、念のために申し上げれば、中心的なスローガンは、審議会即時答申を絶対要求するという文言、並びに政府答申立法予算措置をとれ、さらに立法は四十一年度完全解決をはかれ、さらに私権尊重憲法の精神であり国民の声である、政府国民の声を無視するな、こういうようなものが中心になっているわけであります。  そこで承りたいわけでありますけれども、いまの御答弁の中で気になる点があるわけで、まずその点から明らかにしていただきたいのでありますが、七月任期であることは私も百も承知でありますけれども、あるいはこの任期をそのまま延長しなければならぬやもしれぬというお話がありましたが、そういうことでは困ると私ども思っておるわけであります。二十三回とにかく開かれておりまして、近く二十何日かに二十四回目が開かれる。これの運営にあたりましては、私どもの党から出ている方々も非常に努力をされて、月一回だというのを二回に強引にしていただいて審議を進めているような事情にあるわけなんです。してみると、七十何万の方々のこういう大会等もあるやさきでもありますし、無理からぬことだと私は思いますから、そうなると、一刻も早くこれは結論を出してもらうということでなければならぬ筋合いだと思うのでありまするが、ここまできて、長官の口から任期延長などということばが出てくるということ自体が解せぬわけでありまして、そこのところを、まずもってどういう御真意でいまのようにお答えになったかということを明らかにしていただきたいと思います。
  17. 安井謙

    安井国務大臣 ごもっともなお尋ねでございまして、私は、出ないであろうから再任を願うという趣旨で、臼井委員に御答弁したつもりではないのでございます。あくまでこれは早急に、しかも合理的な御答申をなるべく早くにいただきたい、これは事あるごとに政府の意思として審議会へも御希望をいたしておるような次第で、ただ法的な措置その他について、もしそういうような場合にどういうことに相なるんだという仮定の問題になりますれば、これは形式上の措置、あるいは事実上の措置として、七月以降再任という方法がないことはないんだという事情だけ申し上げましたので、決して再任をしていただいて、ごゆっくり願いたいのだという趣旨で申し上げたつもりは毛頭ございません。
  18. 大出俊

    大出委員 慎重であるということと、それから結論を早急に出すということとは、私は別だと思っておりまして、慎重にしかも急がなければならない、こういう事情にある問題だというように思いますから、そこのところは、いまの御答弁で大体私がいま重ねて申しておるような趣旨でお考えいただいておるというふうに理解をいたします。  特につけ加えておきますのは、在外財産問題については、皆さん御存じのように、昭和二十九年の七月一日にいわゆる第一次審議会ができ上がって、それなり結論をこのときに出し、かつまた処理をいたしておりますが、さらに第二次の審議会が三十年の六月に持たれ、さらに改組が三十一年の四月十六日に行なわれて、ここでも例の引き揚げ者に対する給付金の支給あるいは生業資金の貸し付け、職業のあっせん、補導、住宅事情の緩和などを中心にして幾つかの決議が行なわれ、答申政府に出されておるわけでありますが、さらに第三次の審議会をつくる必要があったわけですね。あったからつくったわけですが、そこで第三次の審議会では、総理から旧来諮問内容にさらに一項つけ加えて諮問をされておるわけであります。つまり在外財産問題の処理方針いかんという諮問であったわけでありますけれども、先ほど臼井さんも触れておられましたが、改組をして国会議員等も入れて、そして在外財産問題処理のための引き揚げ者に関する措置方針いかんというのを重ねて諮問をされたという事情まであるわけであります。してみると、これはこのときにすでに総理諮問でありますから、政府は相当な責任を負わなければならぬ筋合いだと私は思うわけでありまして、政治的には、社会党の横路当時の国対委員長、自民党の園田国対委員長相互間で、いろいろ話をされて、進めてこられたといういきさつまであるわけでありますから、したがって、私はどうしてもこれは一日も早く、この事の経緯から見て、政府の格段な御努力をいただいてそこに持ち込む、こういうことにしていただかなければならぬと思うわけであります。  そこで、承りたいわけでありますが、いま公務員制度審議会どもございますけれども、あの議事録を読んでもそう思うのでありますが、政府関係方々がいかに資料を集めて、いかに行き届いた趣旨説明関係委員方々にされるかということが、つまり審議促進をされるされないにかかわるわけでありまして、そういう意味からいきますと、政府の御努力いかんでは、これは審議会をある意味拘束云々という意味じゃなくて、政府関係方々の御努力いかんでは、おぜん立てがよろしきを得て審議は進む筋合いでございまして、その意味では公務員制度審議会などでも、人事局長以下皆さんがだいぶそういう御苦労もされておるようでありますが、同じ意味で、これからひとつ大馬力を皆さんにかけていただかなければならぬと思いますが、そこのところあたりはどのようにお考えになっておりますか。
  19. 安井謙

    安井国務大臣 お話のとおりに、第一回目の給付五百億というものはかりにいたしたようなかっこうでございますが、これでは、国内外の情勢上そのままでは不適当であるという趣旨から、今後いかに措置すべきかという具体的な答申政府としては期待をいたしておるわけであります。そういう意味合いからも、各党派から御選出を願っておる委員先生方も非常に御熱心でございます。また民間方々も非常に御熱心で、出席率等も非常にいい出席率になっております。それにこたえまして、政府としても要求されます資料、あるいはその措置につきましては特別の組織を設けまして、これに対応する万全を期した資料提出等をいままでもいたしておりますし、また今後も十分これは配慮して促進に相つとめたいと思っております。
  20. 大出俊

    大出委員 ところで、先ほど調査室長さんでしたか、カナダ裁判の問題についての回答が出ておりましたが、これまた審議会内容は、個々の委員方々が話をされたことについては、委員相互の了解のもとに、外部に対して云々しないというふうになっておるように承っておりますから、そのことについては触れようとは思いませんが、政府責任ある立場方々ということで、審議会内容は常に把握されておらなければならぬ責任があると私は思っておるわけであります。しかも、先ほどのカナダ裁判東京高裁判決、これは昨年の一月三十日でありますけれども、この問題等に関しては、御存じでものを言われておるように聞きとりましたので、そういう意味でこれは政府考え方を聞きたいわけなのでありますが、旧来サンフランシスコ平和条約第十四条の(a)項2になるかと思いますが、その(1)によって、連合国にある在外財産の処分を連合国にまかしたことについて、外交保護権の行使を放棄したというところから始まりまして、一審の判決等ともからみますけれども政府責任問題所在云々をされてきたわけであります。これが昨年の一月三十日の東京高裁判決からいきますと、国内補償の義務づけという形のものが明らかにされていると私は考えるわけでありますが、ここのあたりをめぐりまして、つまり言い直せば、国民にとって、政府との関係においては全く国内法上の問題、そういう意味政府補償責任がある、ただ手続法がない、だから法制定をまたなければ払えない、簡単に言ってしまえばこういう筋書きの内容が出ておるわけでありますが、ここらあたりを現時点においてどのようにお受け取りになっておるか、ここのところをひとつ簡単に御説明をいただいておきたいと思うわけであります。
  21. 栗山廉平

    栗山政府委員 ただいま仰せのごとく、昨年の一月三十日に、いわゆるカナダ裁判東京高裁の第二審判決があったわけであります。第一審の判決は、いわゆる敗戦によって生じた損害であるから認められないという、非常に簡単でございますがそういう趣旨判決がございまして、それに対しまして第二審の判決におきましては、ただいま仰せのごとく、趣旨は、賠償に充てられた趣旨と認められる、よって国において何らかの方策を講ずる必要がある、ただし、それにつきましては、憲法から直接請求権は出てこないので、国会において定められた法律に従ってその請求は受ける以外にない。その国会における法律につきましては、各般事情を勘案した上で定められるべきものであるといったような趣旨判決でございました。提訴人はこれに対しまして、自分の要求が結果においては認められませんでしたので、さらに二月の十一日に最高裁に上告をいたしておるような次第でございます。したがいまして、われわれの調査室といたしましては、最終的にはこの最高裁の結果を待つ以外にないかと存じますけれども、従来政府国会等において答弁されました点につきましては、憲法問題といたしましては、二十九条三項というものにはそこから直接出てこないというのが、従来の政府見解のようでございます。
  22. 大出俊

    大出委員 実は私どもの党のほうで特別委員会をつくりまして、私その事務局長をやっておりますので、経過は全部承知しているのでありますが、四回長い論議をいたしました結果、まず国際法的な立場あるいは国内法的な立場、さらに、いま申し上げた判決というふうな法的な面からの検討と、もう一つ各般戦争犠牲があるわけであります。この戦争犠牲の分類をずっとしていきますと、ずいぶんたくさんなものになるわけでありますが、それらのたくさんの中で、在外財産処理の問題をどう取り扱ったらいいかということについて、いろいろ検討をしたわけでありますけれどもそれなり結論を実は持ってものを考えてきているわけであります。したがって、政府の御見解を承るという意味で実は二、三点それらの関連で御質問申し上げるわけでありますけれども、非常に常識的にわかりやすく言えば、戦争犠牲という形で引き揚げてこられたが、海外におられるときに相当な苦労をして一つの地位を築かれた方々、単に有形財産が持ち帰れなかったというだけでなくて、長年築き上げた無形財産である信用を失って帰ってきた。かつ職業選択の自由はありますけれども国内的には各種の職業を選ばれている中におくれて参画をする形になっておりますから、あらゆる意味における有形無形の損失をその上にさらにこうむっている、こういう事情にある。きわめて常識的に考えれば、そういうものの見方が成り立つわけであります。そういうことをきわめて常識的に一つの前提といたしまして、ところでイタリアの例なりあるいはドイツの例なりいろいろ例がありますけれども各般戦争犠牲がある中で、私どもとしては、当面在外財産問題の処理、これは各種の戦争犠牲に優先をして、途中から農地報償などが出てまいりましたが、これらのものに優先をして処理されるべき筋合いのものである、かつそれは国に法律的に補償責任がある、こういう立場をとる、こういうふうに結論を得ているわけであります。国際法的にも例の原爆被害の補償であるとか、あるいは占領軍の被害補償であるとか、あるいは在外財産補償であるとかたくさんあります。国内法的にも軍人軍属の戦病死等の補償、未帰還者の留守家族の補償、学徒動員の被害の補償、あるいは徴用被害、接収家屋の損害、強制疎開の補償などというところから始まりまして、不特定な対象として郵便貯金であるとか、火災保険であるとか、預金封鎖とか、いろいろなものがあるわけであります。こういう中で何ものにも優先して、とにかく在外財産補償政府に法的義務ありという見解をおとりいただく。こういうふうに進めて、その責任の上に立って補償をしてもらうというふうに考えてきたわけなのであります。  そこで、まず一つだけ明らかにしていただきたいのは、政府のいまの立場というものは、審議会にまかせたから政府はその結果を待つというだけで、政府みずからどうという御見解をお持ちであるのかどうか。もう一つ法律的な見解、裁判の判決が出ておりますけれども、あわせて政府としての見解というものがあるのかないのか。本来ならば、あった上でしかも審議会の議を経てものを考える、あるいは最高裁判決が出てくる、その結果に基づいてものを考える、こうでなければならぬと私は思っているわけでありますが、そこらのところの政府中心になるものの考え方というものがあるのかないのか、そこのところをひとつ承っておきたいと思います。
  23. 安井謙

    安井国務大臣 何らかの措置をとるべきものであろうという趣旨の上から、三十二年度におきまして五百億という給付措置も一応とったわけであります。そういう趣旨からいたしましても、これもむろん一応この審議会答申を待ったわけでございますが、政府は何らかそういうことをすることが当然であった、またあるというような基本的な考えには変わりはなかろう。ただ、それが現在の時点においてどういう方法、どういう形でやるべきかは、いろいろな諸条件があるから、これはひとつ審議会答申を待った上でこれを善処するというふうに考えておる次第でございます。
  24. 大出俊

    大出委員 ところで、いまこれはちょっと長官の口の端にまたのぼったので、これはもちろんことばじりではございませんから、そう受け取らぬでお答えいただきたいのですが、私がいま非常に心配しておることが一つある。それはなぜかといいますと、つまり臼井長官のときに——先ほどここで御質問されておりましたが、私、各種の陳情団を引き受けまして臼井総務長官のところに陳情にお伺いしたことが再三あるのです。そのときに、長官とのやりとりがたび重なってあったわけであります。しかし、それを事こまかにこういう席上で明らかにするわけにはまいりません。まいりませんが、私の印象という言い方でひとつ聞いていただきたいのですけれども、農地報償の問題が世上に論議をされていたときでありますが、早い話が、結局法律的に政府補償義務補償責任があるのだということにしないで、法律的には補償責任がない、もしくはあいまいである、こういうことにしておいて、さて、しかし何らかの措置はしなければならない——いま長官が言われる意味の何らかの措置はしなければならないということに、ものごとを落ちつかせるということになると、つかみでたいへんでしたということで給付金を差し上げたわけでありますが、それをまたつかみで少し足らなかったからもう少し、世の中も落ちついてきたので、経済情勢もかつての時代に比べれば相当に好転もしているなどというようなことで、かくかくしかじかくらいのものをというやり方になりそうな印象を受けるわけです。  もう一つは、審議会の中身、個々の方々の御意見については遠慮しますけれども、いままでの経過を私はそれなりに聞くべき人に聞いているのでありますが、その限りで言いますと、国会の中に各党がございますけれども各党の意見が一致すれば審議会結論結論として、国会結論を求められるわけでありますけれども、どうも一致しない。各党見解——一つの党を代表されるとまでは思いませんけれども、しかし、しきりに法的な政府補償責任はないのだという、そういうふうに受け取れる相当強い御意見が出ているやに聞いているわけであります。  したがいまして、そうなると、そういう御意見をはく方は、しからば結論は何だといえば、法的な政府補償責任補償義務はないけれども、しかし何らかの措置はしなければならない、こういうものの言い方になっておるわけです。そうすると、先ほどちょっと長官が触れられていたことばと相通ずるものが所々方々散見をする。そうなると、先ほど私は、政府責任ある方々審議促進結論を早く求める、これについて格段の御努力をいただきたいと申し上げたのですが、それらとあわせましてそこのところが非常に心配になるわけであります。  したがって、そこらを頭に置いて、先ほど、政府の御見解が本来あって、審議会に預けた面は預け、かつ裁判が行なわれておりますから、その結果を勘案をする、こういうことなのかどうかという点を聞いたわけなんです。重ねて承りたいのですが、長官のいま言われた御趣旨、これは口にお出しになったのですが、できれば私は、何らかの措置などと言わないで、そこのところはひとつ取り消しておいていただきたい。法的な補償義務があるのかないのかという点で、政府の御見解があればおっしゃっていただきたいし、なければ、ないということを明らかにしておいていただきたい。
  25. 安井謙

    安井国務大臣 御懸念のように、政府補償責任はないのだが、何らかの措置をやらなければならぬという趣旨をあらかじめきめて、いま審議会でおはかりをしておるというふうには私ども考えておりません。そういう問題もくるめまして、そうして公正妥当な結論をひとつ早急に出していただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  26. 大出俊

    大出委員 しからば、ひとつあわせて承りたいのですが、先ほどの高裁判決でありますけれども、国際法上の権利の放棄、つまり国民個々人の財産権というものとあわせまして、国際法上請求権がある云々という問題、基本的な権利を、政府がこれをかわって抹殺をするわけにはいかない。これは一つの前提になっているわけですが、しかし国内法上の請求権政府がかわって放棄をした、逆に言えば、外交保護権の放棄、こう前に言っていた政府のものの考え方なんですけれども、つまり自国民国内法上の請求権を国家が放棄すること、これは国際法上可能であるという説を、判決内容を見てみますと、とっているように見えるわけですね。  ところで、その場合に、日本国民連合国国民個人に対して権利として賠償請求をすることができるかどうか、こういう問題を提起して、それはできないということになると、連合国内の国内法上の権利をもあわせて失うという結果になる。こういうことになるという立論をして、日本人の所有者が財産所在国で国内法上の財産返還請求をする、その権利を消滅をさした、こういう結果になっているということを前提にして、政府補償責任がある、こういうふうに東京高裁判決内容は筋立てを立てておられるわけであります。  ところで、手続法がないという、それが理由中心になっておりまして、したがって手続法がないから、請求をしても、これは法律がないのですから、そういう意味で前判決と同じような意味結論になっているという、中身、結論は似たようなものになっておりますけれども、ここのところがたいへんに違うわけです。つまりこの趣旨でいけば、手続法の制定を待てということになる。そうなると、手続法をつくるのは国会責任だという筋書きになる、こういうふうに考えますから、ここのところ、つまり東京高裁判決趣旨、それを政府がどのように受け取っておられるのかということです。これさえ明らかにしていただければ、政府の態度というものは明確になると私は思っているのですが、そこのところをひとつお答えいただきたい。
  27. 栗山廉平

    栗山政府委員 ただいまカナダ裁判の第二審のお話でございますが、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、政府の従来の国会におきまする見解としましては、憲法二十九条三項から直接出てこないという見解は、従来ずっと出ておりますので、その点でひとつ御了承願いたいと思います。
  28. 大出俊

    大出委員 したがってそこを聞いておるわけなんですが、明確にならないので、もう一ぺんお答えをいただきたいのです。二十九条は、財産権なるものは平たく言えば——理屈を言えば、ここに一ぱい書いてありますから言ってもいいのですが、時間がありませんから、平たく言えば、財産というものは世の中の経済状態その他を含めて各般事情によって変化をする。たとえば公共のために必要であるとすれば個人財産も収用される場合もあり得る。だから請求権というものはまさに、膠着化したものではない、そういう解釈を多数説としてとっておるということと関連をして、しきりに政府が、前から学者流に言えば、この種の在外財産請求などというものを予測して二十九条ができているのじゃないという立論などをされて反論をされてきているわけです。ところが、この高裁の判決というのは、いわば政府が公共の用に供してしまった。つまりサンフランシスコ条約はこの賠償云々という問題とからんで請求義務がある、ない、いずれにも触れていない。イタリアなんかと違いまして触れていないのだから、これは補償しろとも、しないとも言っていないということになるわけなんです。そうだとすれば、政府賠償義務遂行という意味をも含めて、日本人の連合国なる国の中にある財産の外交上の保護権を放棄したという筋立ては、ある意味では日本人の財産を大きな公共的な目的という意味の中に阻却をしてしまったということになる。ということになるとすると、先ほどの国内法的な手続その他を含めて日本政府に法的な補償義務が存在をする、こういう進め方になっているわけですね。ですから、おっしゃる意味憲法上の論議、解釈は、お説のとおりとっておって、その上でなおかつ国に法的な補償義務が存在をする、こういう筋書きになっているわけですね。これは内容に書いてありますから、私も読んでおりますが、お読みのとおりだと思う。  そうだとすれば、いまの御答弁だけではこれは足らぬのです。高裁の三十日判決を前提にしてものを考えるならば、かつまたそれをいい、悪いという立論をされるならば、いまおっしゃった御答弁をいただいただけでは、これは御答弁になりませんから、そこのところを再度御答弁をいただきたいと思います。これは審議会じゃございませんから、判決ですからお答えいただきたい。
  29. 栗山廉平

    栗山政府委員 どうもたいへん専門的な御質問でございますけれども、実はこの問題は法律問題でございまして、たいへんむずかしい問題でございますが、法制局なり、あるいは国際問題でございますれば条約局なりという方から責任ある御答弁をいただきませんと、ちょっと私のほうでまだそこまで突き詰めておりませんので、御了承願いたいと思います。
  30. 大出俊

    大出委員 調査室長さんを困らせるつもりで私は質問をしておるわけではありませんから、そういう御関係があるとすれば、それはそれなりにわかります。ただ、私が申し上げたいのは、さっきも触れましたように、学者諸先生方を網羅をしての審議会ではありますけれども、さっき公務員制度審議会等の例も申しましたように、相当の資料その他を、請求があったからつくるというだけでなしに、相当慎重にというおことばもあったように、政府に早く結論を出させて、七十数万の方々の心配をなくしてあげようというのだとするならば、今日までの間に相当至れり尽くせりの準備をされて資料を提供しながら進めていかないと、その議論というものは百出をするものですから、なかなか審議が進展をし早急な結論を求めるというわけにいかない、こういう心配が実はあるわけなんです。そういう意味で、実はいまの高裁の判決等をめぐりまして、担当の調査室長さん等は専門的な方々とも相談をされて、それらしい資料をいろいろお整えになって、おそらく審議会の進行をはかる意味での側面的な御援助をなさっておるだろう、実はこういう私の推測で、少し立ち入った質問をしたようでありますけれども、いまの点について政府が、前回のサンフランシスコ条約の十四条をとらえての政府見解はかくかくしかじかだったけれども、最近は東京高裁判決等も出てきて、多少ニュアンスも変わってこういうふうに考えているのだということになるとすれば、私は先行き非常に明るいものを感ずるわけなんでありますけれども、そこまでは言えない、こういう意味にとれるわけであります。  ひとつそこのところは、審議促進をも兼ねまして、できるだけこの種のことは前向きにものを処理していただかなければ困りますし、高裁判決内容からいきましても、学説のうちの多数であるということまで付しておりますから、そういうことが事実だとするならば、これは専門の裁判官が言っておられるのですから、私はうそではないと思う。だとすれば、できるだけとるべき多数決はとって、前向きで法的な補償義務、ただ、しかし、国家的な財政規模もございますし、経済情勢もございますから、その意味では満足なことにならぬにしても、かつまた、戦争ということを中にはさみましたから、個々人の財産管理ができないままにしておかれた期間等も、これも国の責任ではありますけれども、あったというようなことからの財産評価の減額などということも、諸外国の例からすればあるわけですから、それらのことが加味されてくることは、私はそれなりに一般通念として認めるにやぶさかではございません。しかし、それにしても、やはり理論づけというものは前向きで政府にお考えをいただかなければ、なかなか審議会というものも、最近はそう手放しで考えているとおりになるところばかりではございませんから、持って回った言い方で恐縮であるけれども、そこらあたりは前向きで審議促進をおはかりを賜わりたい、こう思うのですが、長官いかがですか。
  31. 安井謙

    安井国務大臣 いまのお話、非常にごもっともでございますし、高裁の判決趣旨につきましても、それなり政府としても理解はいたしておるつもりでございますが、何ぶん結論をこちらから出すということより、そういう問題を全部丁寧にひっくるめて提出をいたしまして、審議会結論を待つ、こういうことでやっておる次第でございます。
  32. 大出俊

    大出委員 もう二点ほど承りたいのでありますが、これも政府答弁をしていただける筋合いのものでございまして、審議会審議にじゃまを入れる、水を入れるという筋合いのものではございませんから、御答弁を賜わりたいのです。  台湾につきまして、日本人の台湾における財産、これは当時の日本という国のいきさつからいたしまして、日本の法律で保障されていたわけであります。これは当然なことであります。ところで、分離地域という形に講和条約以降なったわけでありますけれども、この場合に、台湾と私ども日本との間の取りきめ——当時中国というのでありますか、中華民国というのでありますか、これによってこの財産権は処置される筋合いだったわけであります。ところが、国有財産は新しい国に引き渡すということで、私有財産についての口上書が四回ばかり取りかわされて、相互に請求するものを出し合ってどう処理するかということをきめる、こういうふうに外交手続上は進んだわけであります。ところが、旧満州国あるいは注政権というふうな財産がございまして、これは二十六億とかいろいろいわれておりますけれども、この財産を台湾に行ったところの中国の政権が引き継ぐというようなこと、それに対して日本政府、特に外務省あたりは応じたくないというようなこと等の事情がございまして、台湾を引き揚げるときに、日本人は向こうの政府の諸君の立ち会いのもとに、あなたの財産は幾ら幾らに評価されますよという証明書までもらって引き揚げている方々が大多数なのでありますが、それが今日、証明書を渡されながらも、にっちもさっちもいかないままに捨ておかれている。つまり留置した日本人の財産について、今日では財政上の理由もあって、台湾政府は台湾人あるいは中国から入っていった人に売却などをしてしまっているわけですね。財政上使ってしまっている。これはもう事実です。この金は一般会計に入って台湾政府が使ってしまっているわけですから、そうすると、特別取りきめができていれば、それなり処理のしかたが外交手続上出てくる筋合いだと私は思っているわけであります。ところが、台湾の側は、この取りきめについて目下準備中であるといって逃げてしまっている。ということになると、先ほどお話しにございました憲法二十九条の問題等々ともあわせまして、請求権は日本の国内法で明確に保障されていたのです。ところが、外交手続が終わっていないからその検討なり処理ができない。これは一体何に基因するかということになると、外交保護権というふうなもの、かつまた口上書のやりとりが四回もあったという事実等からいたしまして、政府がそれらの外交行為についてきわめて怠慢であるということになると私は思うわけでありますが、ここらあたり在外財産問題審議会を担当される総理府の皆さんとして、どのように御理解を賜わっているかという点を承っておきたいと思います。
  33. 栗山廉平

    栗山政府委員 特別取りきめがなるべく早くつくられるように、われわれは要請をいたしておるわけでございます。
  34. 大出俊

    大出委員 これはおそらく審議会の中でも出る意見、あるいは将来出る意見だと思うのでありますが、外務省との関係はどうなっておりますか。
  35. 栗山廉平

    栗山政府委員 外務省に対しましては、なるべく早く特別取りきめが取りかわされるようにということをお願いしているわけでございます。
  36. 大出俊

    大出委員 長官に承りたいのですが、外務省は取りきめたくないのではないかと思っているのでありますが、中国、台湾との関係がございまして政治的に非常に複雑でございますから、後ほども一つ質問したいのですけれども、今日の毛沢東中国政権との関係もございまして、これも講和未締結でございますから、そういう意味でこれは外務省には相当いろいろな意見があると私は思っているわけであります。したがって、どうなっているかと聞いているのでありますから、そう簡単におっしゃらないで、言えないということならば、これはまたやむを得ません。あらためて外務省にでも聞きますけれども、お答えをいただきたいと思います。
  37. 安井謙

    安井国務大臣 外務省に当方からもいろいろ交渉いたしております。外務省自身もこの問題については十分な理解を持ってもらっておると私ども考えております。しかし、何ぶん相手のある仕事でございまして、相手との交渉条件がまだととのわないやに私どもは伺っております。
  38. 大出俊

    大出委員 相手があってと申しましても、台湾とは非常に仲のいい方々も時の政治の中心になっている方々におありなんですから、かくかくしかじかとか、こうなっているということがあるのだろうと思う。そこらあたり、何かございましたら、御説明いただきたいと思います。
  39. 安井謙

    安井国務大臣 具体的な交渉内容につきましては、まだ私どもここで申し上げるわけにはいかないと思います。
  40. 大出俊

    大出委員 事の成り行き、いきさつが皆さんにおわかりいただければ、きょう私が質問している目的は達しますから、お含みをいただいて、それなり審議促進のほうにあわせて御努力いただきたい、こういう趣旨なんですから、あえてこれ以上深入りはいたしません。  質問は三つと申しましたが、二つ目は、かっての満州国、これは各国の承認をほとんど得ていない国であります。得たところもあるでしょうけれども……。国際法上、はたして国であったかどうかという議論もあるでしょう。あるいは注政権なんというものも国際法上の政権であったかどうかという点もございましょう。きわめて不確定の要素がございます。それから賠償というものをめぐりましても、先ほど触れました段階でも実はあるわけでありますけれども、第一次大戦後の国際慣行のような形で敵国の財産というようなものは賠償としてとってしまう、そのかわり賠償請求をしないなどということがあらわれているわけでございますが、そうだとすれば、賠償に引き当てられたということになる。だから、日本も敵国であったという意味では、日本人財産は侵略による果実なんだから財産として認めない、こういう考え方も一面出てくるわけであります。この辺の事情が一番根強く残っているのが中国、満州、こういうところになるわけでありまして、国際法上没収はあたりまえだ、こういうことだと思うのであります。しかし、中国には日本の治外法権が存在したわけです。だから、そういう意味の国際法的なものの解釈からいきますと、日本の法律によって財産を持っていたということになる、こういう立論が成り立つわけであります。したがって、そうだということになると、財産権はあるということも言えるわけであります。しかも中国にあった銀行などというところが預金を預かっておりましたし、この銀行は日本にも財産を持っておって、戦後日本にある財産を処分をしているなどという例もある。だとすると、なぜ補償ができないかという問題も出てくるわけであります。それらの分離地域といたしましては関東州なども含みますけれども、そういうふうなところについて、これまた在外財産を取り扱う問題の処理に当たられる総理府としては、どういうふうな外交手続その他をおとりになっておるか、あるいはどういう御見解をお持ちになっているか。これは審議会の問題ではございません。日本の政府という立場でどういうふうにお考えになっているか。各省に関係のある問題であり、したがって、かつ総理府の所管になっているわけでありますから、その辺についても承っておきたいと思います。
  41. 栗山廉平

    栗山政府委員 ただいまたいへんむずかしい問題を質問いたされたのでございますが、われわれの承っておりますところでは、中国、満州等につきましてまだ外交上の問題が全然整っておりませんので、したがいまして、在外財産の点につきましても、法的な意味の問題は、まだこれからの問題ということに相なっております。
  42. 大出俊

    大出委員 戦後二十年もたっておりまして、この種の在外財産問題の処理審議会も、先ほど申し上げましたように三回を数えているわけでありますし、しかもその三回目の第三回審議会なるものは、先ほど申しましたように二十三回を数え、近く二十四回をお開きになる。しかも月一回というのを、国会から出ておられる方々の御努力で二回にして進めてきている、こういう事情があるわけでありますから、いまにしてどうもこのあたりについては、国交がということで——国交や何かをみんな抜いても、日本の銀行も横浜正金銀行なんというのが満州にもあったのですから、そうなると、そこへ預けた預金は、一体どうなっちゃったんだということになる。したがって、そういう銀行は日本国内財産もあるということになるわけでありますから、そうなると、それらが全くいまのようだということになると、私はどうも審議促進をあえて叫ばざるを得なくなるわけでありますけれども、しかし、これ以上御答弁をしていただきたいと申すことのほうが無理なようでありますから、もう一つだけ承ります。これで終わりますけれども、日韓特別委員会で石橋政嗣氏から、朝鮮つまり韓国の問題について、在外財産という意味での質問が出ておりました。これは御承知のとおりだと思います。これは当時の占領軍等の関係もございまして、放棄をしたような形になっていた。あるいは財産権の移転、あるいは移譲などということも言われていた。これをめぐりまして、時の外務省で出していたパンフレット等も例にとられて、当然これは政府が日韓条約の請求権問題をめぐる取りきめのときに含めて、つまりあの有償無償五億ドル云々というときに、韓国にあった日本人財産というものはかくかくしかじかな額であるということで取りきめられなければおかしかったではないか、こういうやりとりが続けられて、再三今日までの経過の中では、日韓条約締結のときに処理をする、こういうことになっていたにもかかわらず、なぜしないのか、そのことをあなた方は考えずにやったのかという質問に対して、椎名外務大臣は、そのことを頭に置いて処理に当たりましたと言ったわけであります。頭に置いたのなら、一体どの程度考慮されたのかと言ったら、頭に置いたということと考慮するということは別だという答弁でありまして、結果的に佐藤総理は、審議会結論を待ってこれを尊重する、こういうふうにまとまったわけであります。それがつまり昨年末あれだけ長く苦労してハンストまでおやりになってがんばっておられた方々が、それらのことを一つの契機として、政府の誠意ある措置が近い将来において行なわれる、こういうことで、あれだけ集まっておられた方々が帰られたといういきさつもあるわけであります。そういう事情からするならば、例の日韓条約締結のときに、政府責任があった、これだけはお認めになっておると思うのです。したがって、そうだとすれば、韓国にあったところの日本人の財産は、今日の片や審議会が進められておる段階では、政府としてはどのようなことをお考えになっているかということは明らかにしていい筋合いだと思うわけでありますが、これらのところは、どういうふうにあの経過を踏んでお考えになっているかという点を承っておきたい。
  43. 安井謙

    安井国務大臣 日韓の条約の経過にかんがみましても、この問題自身が、現在審議されております審議会で当然検討の対象になるものと心得ております。その審議会検討によって私ども結論を得たいと思っております。
  44. 大出俊

    大出委員 そうしますと、先ほど私が念を押しました点に返りますけれども、何らかの措置をということばがつい口の端にのぼるのでありますけれども、その何らかの措置というのは、私は先ほど該当の方に御迷惑をかけるから遠回しにものを言ったので、長官おわかりだと思いますけれども、法的な根拠をなるべく抹殺して、悪い言い方で言えば、法的に根拠がないのだが、しかし何とかしなければならぬ、つまり肩の荷が軽くなったということで、そこでかっての三十一年当時の給付金等にプラス何がしという形のやり方になりそうな、非常に大きな心配を私は持っておるわけであります。したがって、実はこれだけしゃべったわけでありますが、そう簡単にはいきませんよということを皆さんに申し上げておるつもりでありますけれども、もう一ぺん最終的な総まとめの意味で御答弁を賜わりたいのですが、その一つ審議促進という点について、ひとつ十分な資料を大馬力でそろえていただいて、いま私があげたようなことは、審議会の詰めの段階では一々問題になるところですから、それを皆さんのほうでしかるべき資料を取りそろえておかなければ、法律的に詳しい学者先生であっても、なかなか自分の専門以外のそっちのほうまで資料を求めて云々ということはできるわけはないのでありますから、そういう点を詳細慎重な、先ほど申し上げたように前向きで、とり得る説はとって——それが多数であるということまでつけ加えられておる判例があるわけでありますから、とって、前向きの処理をし、かつ、額については、今日の財政事情その他をあわせてかくかくだという説得力のあるものの解釈ができるわけでありますから、その辺のところでそういうぐあいにお進めいただけるかどうかということ、つまり早急な結論を求めるということとあわせまして、この辺についてひとつ長官から御答弁を賜わっておきたい。
  45. 安井謙

    安井国務大臣 初めにも申し上げましたように、あらかじめものをきめておいて、義務はないのだが何かやるのだという態度でこれを扱っておるわけではございません。と申しまして、これが義務があるからするのだということをきめ切ってしまうわけにもまいらぬわけであります。しかし、いま御指摘の非常にデリケートな問題、あるいは非常に複雑な解釈を要する問題等につきましては、お話のように、ひとつ遺憾なきを期して、資料等については、十分に審議会委員方々の御納得のいく御判断の材料になり得るように最善を尽くしてやりたいと思っております。
  46. 大出俊

    大出委員 それでは私は、これは理事会等で私どもの党の立場でお願い申し上げておる筋合いでありますが、何とかたくさんの団体の方々の御要望を——これは時の政治のあり方として、営々として築き上げた財産を失った方々ですから、御心労のほどもあるわけでありますし、自後の二十年にわたる御苦労もあるわけでありますから、政治というものは、ときにそういう一番皆さんが困っておられる、あるいは苦しいというところに手を当ててこれを直していく責任があると思うわけであります。そういう意味で、この方々が、各党の意をそろえていただいて早急に結論を求める、そしてこの問題の処理をはかっていただくという意味の決議をしてくれというようなことを、各党に申し入れておるようであります。ぜひともそういうことで御協力をいただきたいものだと思っているのでありますが、つまり在外財産処理についてすみやかな結論を得るように、政府で特段の努力をいただきたいということ、この在外財産問題の処理についてという意味は、これは補償というものを含めて、あるいは補償等に関連をするものを含めて処理をしていただかなければならぬわけでありますから、そういう意味処理という考え方なんですけれども、何とかそういうことであわせて政府のほうも御協力を賜わりたいと思っております。重ねて最後にひとつ御答弁を賜わりたいと思います。
  47. 安井謙

    安井国務大臣 私も引き揚げ者の一人でございます。引き揚げ者皆さんのお気持ちにつきましては、十二分にわかっておるつもりでもございます。また、超党派で、各党派を通じまして政府のすみやかな処置を促進されるという御趣旨につきましては、これは十分に尊重いたしまして、これからも善処してまいりたいと思っております。
  48. 木村武雄

    木村委員長 村山喜一君。
  49. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 先般、国家公務員の基本的人権の問題につきまして、長官見解並びに人事院、法制局の見解を問いただしてまいったのでございますが、十一月の十九日に出されました「国家公務員のデモ等への参加について」という文書を見まして、さらに二、三の点について見解をただしてまいりたいと思うわけでございます。  先般、物価値上げ反対というような一つの運動があった。これに対して、国家公務員が勤務時間外に参加をする場合においては、人事院規則の十四の七から見ましても、また政府見解から見ても、何ら差しつかえないのだという答弁長官からもらったのでありますが、御承知のように、そういうような行動をいたします際において、やはりプラカード等に、特定の内閣反対というようなプラカードを掲げた者がまじる場合があります。しかしながら、目的は物価値上げ反対というのが目的であり、佐藤内閣を打倒するというのが目的ではないわけであります。佐藤内閣打倒が目的であるならば、そのための会合が開かれるでありましょう。しかしながら、物価値上げ反対というのは、国民的な一つの大きな要求の声であります。だから、警察庁が予測をしたものよりもよけいに集まった。そういうようなことから、永山自治大臣が閣議の席においてこの問題を取り上げまして、非常に考えなければならない問題だという指摘をされた。それに伴って、いわゆる人事局を主管をいたしまする総理府が、この問題についての調査を進めているという報告をされているのであります。そこで私は、この問題についてすでに臨時行政調査会のほうからの答申もございます、さらにまた憲法の上から見まして、基本的人権をどういうふうに制限をするのかという問題があるわけでございまして、すでに幾多の学者も指摘をいたしておりまするように、行政組織理論、行政法の立場から見て、国家公務員法の百九条以下の罰則立法措置というものは、これは法制上も問題があるという見解等が出されているわけでございまして、やはりこの公務員関係を律する現在の法律体系の中から考えてまいりまするならば、あえてILO百五号条約を適用するまでもなく、懲戒権、いわゆる懲戒免職というものが限界であろうと思うのであります。そういう立場からあなた方が出されましたこの通達を見まして、見解お尋ねいたしたいのでありますが、「この種のデモ等に一部国家公務員が参加しており、また、今後もその参加が予想される実情にあることは誠に遺憾である。」私は遺憾であるというのは、これは一つ政府の政策、見解であろうと思うのです。これをもって直ちに、遺憾であるから処罰をするという考え方ではないと思うのでありますが、その点についてはどうでございますか。
  50. 安井謙

    安井国務大臣 公務員が一部の奉仕者じゃなくて全体に対する奉仕者であるという身分から、一定の政治活動に限界があるということは、私ども当然であると思っております。そこで、前回の物価デモというような集会が開かれました、あるいはデモが行なわれました場合に、これは物価値上げ反対のデモであって、それ以外のものではないのだ。だからその中に佐藤内閣打倒というプラカードがあっても、これは違反に当てはまらないじゃないか、こういう御見解もあるやにいま承りましたが、その点につきましては、佐藤内閣打倒というプラカードを持って歩く以上は、やはりこれはその人にそういう目的のもとに行為が一緒になっておるという判断をせざるを得ないというふうに私ども考えております。  罰則が憲法違反であるかどうかという点につきまして、これは御議論もおありであろうかと思いますが、この点につきましては、現在公務員法で定められておりまして、合法的にきめられておりますので、私どもは忠実にその法律の解釈どおりに解釈をしていきたいと思っております。  最後に御質問のございました、政府としては公務員がこういう種類のデモに直接参加することは遺憾である。これはいま御説のとおりに、私ども公務員はでき得べくんばそういうものには直接参加をしてほしくないという気持ちを十分に持っておることは事実でございますが、それかと申しまして、参加いたしましたがゆえにそれだけの理由でこれが処分の対象になる、あるいは刑法上の処罰の対象になるというふうには考えておりません。ただ、そういう参加者が、明らかに公務員法あるいは人事院規則で定められております政治的目的、政治的行為に違反しました場合には、これは違反として取り上げざるを得ないというふうに考えておる次第でございます。
  51. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 先般の説明では、人事院規則に触れるやに思われる行為があった、したがって調査するのだ、こういうことで、各省庁に対しまして調査を指示されておったようでございますが、その調査の結果は、どういうふうになったのですか。
  52. 安井謙

    安井国務大臣 諸般の状況から、そういった事情があったようなことを承りました。これは公務員にとってそういうことがあっちゃいかぬという意味での各省への注意を喚起をいたし、さらに実情の御調査を願っておることは事実でございますが、まだそれに対する、こういう事情があったとか、こういう人がこうやったといったような報告は、参っておりません。
  53. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、ここには四つほどそういうような行為をしたものに対するいわゆる注意規定が出されているわけでございますが、従来、この中の(二)につきましては、「公に右のような目的を有する意見を述べる行為」というのは、不特定多数に対して行なう行為であって、職員組合なり労働組合の会議等において特定の組合員だけが集まって話し合いをし、そういうようなところで指導者が話をするというのは禁止するものではない、こういうふうに解釈されておったわけでございますが、それはやはりそのとおりに考えて差しつかえないのかということをお尋ねしておきたいのでございます。そうでないと、今日、一部の国家公務員の組合の中に、具体例を後ほど申し上げますが、いわゆる集会の自由というものと結社の自由、こういうようなものが職権をもって制圧をされている事実がございます。そういうようなことから、その勤務時間外におけるそういうような集会等について、あたかも不特定多数のものを対象にするような取り締まりが行なわれるということになるならば、きわめてこれは重要な問題であろうと思いますので、その「公に」という解釈は従来と変わらないのかどうか、この点についてお答えを願っておきたいのです。
  54. 安井謙

    安井国務大臣 目下、政府が新しい解釈を出して、それで処置をしようというようなつもりを持っておるわけじゃございませんが、その詳しい事情につきましては、人事局長から御答弁いたさせます。
  55. 増子正宏

    ○増子政府委員 ただいま御質問の点でございますが、従来から御指摘になりましたように、この場合の内容としましては、特に「公に」ということばにつきましては、不特定多数人に対してなされることを意味するという解釈が明らかにされておるわけでございまして、例示としてあげられましたように、組合員だけの非公開の会合で行なわれるような場合、これは「公に」は該当しないということにされておるわけでございます。その点、これは人事院の従来の解釈でございます。私ども、これを変更する、あるいは変更したということはございません。
  56. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで第一項の問題ですが、これは特定の内閣を打倒をする目的の集会が開かれた。そういうようなものに、たとえそれであっても、一般の参加は排除されていない。その考えで差しつかえないわけですね。公務員でありましても、指導し、または企画をする、あるいは指導をする、あるいは援助する行為というものは排除されるけれども、しかしながら、それに参加する行為というものは禁止していない。ましてや特定の内閣打倒を目ざす集会でない、一般的な物価値上げ反対の集会であるというようなものにつきましては、これはデモに参加をするように、企画をした者も、あるいは指導をした者も処罰する意味のものではない。この点ははっきりしておきませんと、第四項の問題とは別個の問題であると私は思うのですが、その点についてはどういうような解釈をお下しになっておりますか。
  57. 増子正宏

    ○増子政府委員 この人事院規則の解釈につきましては、私どもから申し上げるよりは、人事院当局から申し上げる筋合いかと思いますが、私ども承知しておる限りにおきましては、いまお話しのような事例に関する限り、この場合の禁止されております行為というのは、政治的目的を持って多数の人の行進その他の示威運動を企画、組織もしくは指導し、これらの行為を援助することでございますので、まず「政治的目的をもって」という条件を満たさない場合には、全体として問題にならないわけでございます。  次に、政治的目的を持っておると判断された場合におきましても、この示威運動の企画、組織もしくは指導、これらの行為の援助ということに該当しない限り、やはりこの制限された行為に当たらないというふうに考えているわけでございます。
  58. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで次の問題ですが、それは四項です。文書、図画の回覧、掲示あるいは配布という問題であります。これは表現の自由権との関連性が当然憲法上の問題として出てくるわけでございますが、従来は、これについてはそういうような意思というものは問題外であって、文書、図画が政治的目的を有するものであることをもって足りる、こういうような解釈で、著作し、回覧をするものでなければよいが、プラカードを持って回るのはこれは回覧という見解なのだ、こういうような見解でありますが、それはそういうような見解を持っておられるわけでありますか。そうするならば、そういうような文書、図画が、そのような意思とは別の問題として、政治的目的を有するものであるということを認定をするのは、一体だれが認定するのか、こういうことでございますが、その認定者は一体だれでございますか。
  59. 増子正宏

    ○増子政府委員 通常の法規の解釈の慣例に従えば、この規則制定者の側におきます立法趣旨その他がございますので、この解釈に従った認定ということがこの機関によって行なわれるわけでございますれども、大体この政治行為の制限につきましては、それぞれ人事権者におきまして、その所属の職員に違反行為があったかなかったか、あるいはある場合にはその行政措置をとる等の義務が課せられておりますので、その意味におきましては、いわゆる人事権者、任命権者におきまして、まず第一次的な認定が行なわれるというふうに考えております。
  60. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 各省設置法等によりまして、任命権者は大臣ですね。あるいはその行政機関の長ということでしょう。そうすると、これには私は委任規定がなければならないと思うのですが、あるいは人事局長がやる、あるいはその他の課長がやる、あるいはその委員会のだれかに委任をした者がやる、こういうことになろうかと思うのでありますが、その認定はどういうふうにするのか、その問題についてお答えを願いたいのであります。  それと、先ほど私が申し上げました見解を人事院はとっておられるのかおられないのか。というのは、組合の機関紙等が出ます。その中に物価値上げの政策をとるのはけしからぬ、公共料金値上げ政策をとる佐藤内閣はけしからぬ、こういうようなのが組合の文書に出ると、これはイコール佐藤内閣を打倒するものとして認定をして機関紙活動というものを制限する、そういうようなものを焼き捨てるように、切り抜きをさせるように、そういう措置がとられた事例があるわけでありますが、そういうような問題について、認定の基準というものがなければならないと思いますので、その基準をどのようにしておられるのか、明らかにしてもらいたいのであります。
  61. 増子正宏

    ○増子政府委員 まず、私に答弁を求められたと思うことにつきまして申し上げます。  先ほど第一次的には任命権者の側においての認定というふうに申し上げました。もちろん任命権者と申しましても、大臣が常にすべて認定ということではないことは御指摘のとおりでございまして、それぞれ所管の局、課におきまして行なうわけでございます。この人事院規則の点につきましては、いわゆる人事当局でございますから、人事に関する主管の部局長のところにおいて事務的には行なうことになるわけでございますが、もちろん事宜によりましては大臣等の御判断を仰ぐということもあろうかと存じます。  それからなおつけ加えて申し上げますと、以上申しましたように、それぞれ各省庁においての認定ということがあるわけでございますけれども、そしてそれはそれなりに一応認められるわけでございますが、各省間におきましてその認定その他等につきまして非常に取り扱いが区々まちまちであるということは、必ずしも望ましいことではございませんので、そういった意味におきましての連絡調整ということ、その間におきまして私どもいろいろ御相談にあずかるということでございます。すなわち、人事局におきましては、そういった連絡調整的なことをやっておるわけでございます。  それからなお、この問題につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、第一次におきましてそれぞれの任命権者において行ないますが、人事院に対する報告、通報等がございますので、やはり人事院の解釈、人事院の認定ということも、そのうちでは問題になるわけでございます。そういう意味におきましては、私どもも、各省といたしましても、人事院の当局、それは職員局の所管でございますので、職員局の当局に私どもとしましてはいろいろ相談をいたしておるということでございます。  それからなお、政府部内全体といたしましては、申し上げるまでもございませんが、法制局等にもいろいろ御相談を申し上げるということをいたしております。  それからなお、法律的な最終的な認定ということになれば、申し上げるまでもなく裁判所の認定ということになるわけでございます。
  62. 大塚基弘

    ○大塚政府委員 私への御質問は、いまお話がありました組合機関紙に、佐藤内閣はけしからぬというような表現があった場合に抵触するのかしないのかということのようでありますが、その前に人事局にお話の文書に関しまして御質問が重ねられておりますので、一応この文書をお出しになる前に、実は日韓条約反対にかかわるデモ等の問題に関しましては、非常にたびたび人事局と折衝がございまして、その折衝の結果といたしまして、この文書を人事局としては作成なされたわけでございますが、この文書自体に関しましては、われわれは別にあらかじめそれを拝見するというような手続はとっておりませんけれども、解釈に関しましては、大体全体に人事院が従来解釈をしてきたことと相違はない、こう思っております。問題の組合機関紙に佐藤内閣はけしからぬという表現で載っていたとすれば、焼き捨てなければならないというようなことになるというお話でありますが、われわれとしては、やはりそれが物価値上げ反対ということに関連したある結論のような表現をとっていたにいたしましても、明らかに佐藤内閣反対ということで表現されておるといたしますと、やはり特定の内閣を支持しまたはこれに反対することという政治目的に当たる文書になるのではないかと思っております。ただし組合機関紙を実際に拝見いたしませんと、その辺の表現のところがけしからぬのかどうなのか、つまりいろいろなニュアンスのあることで、さまざまな表現方法があると思いますので、決定的な判断ということではございませんけれども、おっしゃるとおりであれば、一応政治目的に当たるであろうと思われます。  それから焼き捨てろ云々ということばでございますけれども、われわれの承知しておる限りでは、別に焼き捨てろと指示をいたしたことはございませんし、選挙にかかわる場合に違反になるのではないかということを、組合機関紙をあらかじめ持ってまいってわれわれの意見を徴した組合もございましたので、そういう注意を申し上げて、その組合機関紙が回収されたということは記憶しておりますが、焼き捨てる云々という問題は、われわれ承知しておりません。
  63. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 この問題は、きわめて重要な内容を含んでいる問題でございます。というのは、いわゆる公務員の基本的人権である表現の自由権、これは憲法上の自然権中の自然権でありますが、その問題にいわゆる公共の福祉という概念論をもって制約を加える、あるいは特別権力関係における存在としてのその立場からの制約を加える、こういうような形の中で、処理がされているようであります。一つの具体的な例を提示いたしますが、建設省の九州地建で出た事件、公務員の給与については人事院勧告を九月から実施するという閣議の決定があった以上、一律七千円賃上げはもちろん、人事院の出した五月勧告を完全に実施せよという主張も、政府批判であり、違法行為である、こういうような指導がなされておる。それから建設省の中部地建の総務部長、これが全建労に対する機関紙の配布禁止ということで、国家公務員法に違反する文書が流れている疑いで警察も入っておる。こういうことを言いながら、この措置がされたという記事が出ている。それから天竜川の上流工事の事務所長と庶務課長が、やはり同じようなことをやっているわけですが、ポスター、ビラの文書活動、集会、演説活動、こういうようなものが事実上不可能になるような措置というものがとられているということであります。一体いまの政府見解なり人事院の見解をただしてまいりますと、どうもこれらの行為というものは行き過ぎた行為が行なわれておる。これはやはり人事局というものが設けられて、いまの人事院の解釈を変えたものではないのだ、従来のとおりにやっているのだということでありますけれども、事実上の問題としては、このような問題がすでに行政の末端においては出ているという問題が一つございます。こういうような問題について、どういうような措置をとっていかれるつもりなのか。もちろん不利益処分というような形で審査請求をしてくるならば、これは人事院が救済するという手もありましょうが、具体的には、それが行なわれる前にそのような一部を削り取って、はさみを入れて切り抜いたものを配らせる、あるいはそこを抹殺したものを配らなければだめだといって干渉をするというような事態が、現に出ている、こういうような状況でございます。さらに政府がこういうような見解を出すことによりまして、一つの中止的な効果というものを——行為を中止させるというような効果が生まれてくると同時に、行き過ぎた行為というものが派生をするのは、これは十分考えなければならない問題であると思うのであります。それと同時に、一体機関紙等の活動の中で、そういうようなことをなしたことによって、行政権者が注意をするということはあり得ても、これに対して、今度警察が国家公務員法違反であるということで捜査をする、こういうことがあり得ますか。また、そういうような打ち合わせをするような考え方をお持ちでありますかどうですか。
  64. 増子正宏

    ○増子政府委員 ただいまいろいろ地方の出先機関につきましての問題を御指摘になったのでございますが、私どもとしましては、先ほど来申し上げましたような趣旨におきまして、それぞれ各省の当局に指導を促し、また注意をいたしておるわけでございます。したがいまして、全国各地区における一々の事態をつまびらかにいたしておるわけではございません。事例がわかりましたときには、それぞれ私のほうから連絡をいたすこともありますし、また当該省庁からわれわれのほうへ連絡がまいることがあるのでありますけれども、いずれにしましても、こういった措置につきましては、行き過ぎという面あるいは行き足らずといいますか、いろいろな意味におきまして、この規則の趣旨が正しく理解されないということは、数々あることでございます。そういう意味におきまして、そういったことにつきましては間違いのないようにということが、私どもの指導といいますか、運用の方針でございます。  それから警察の問題でございますが、現実に違反がございますれば、これはいわゆる刑事犯ということになりますので、警察当局がその判断に基づきまして所要の措置をとるということは、あり得ることだというふうに考えておるわけでございます。
  65. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこが問題があるのですよ。というのは、人事院規則に法律で制定すべき内容のものを移譲をして、そして罰則規定が単に懲戒処分のみならず、刑事罰の処分として取り上げるようになっている。二年以下の懲役ですか、そういうようなことについては、これはILO百五号条約との関係があります。さらにまた、勤務時間外におけるそれらの政治活動というものに対して、どの程度までその制約ができるのか、これはきわめて重要な問題があるわけです。この前のILOの八十七号条約の審議をめぐりましても、大出君なりあるいはそのほかの各委員から指摘をされましたときにおいても、大橋国務大臣がILO百五号条約ともからめて今後において考えていかなければならないという言明をされております。さらにまた、今後は立法化して、国会法律の中でこの基本的人権に関する問題は審議をしてもらわなければならないと考えておる、こういうような説明もされているわけであります。とするならば、これらの問題につきましては、いわゆる公務員の労働基本権という問題にも関係をしてまいりますので、当然公務員制度審議会でこれらの問題についても検討をされるべきだと私は考えるのでありますが、この問題については、安井長官はどういうふうにお考えになっているのか。十一月十二日の新聞を見ますると、安井長官が、これらの問題については近く公務員制度審議会でも当然取り上げられるべき問題であろうというふうに述べておられるのでありますが、そういうような見解を今日においてもお持ちであるのか、この点についてお答えを願っておきたいのであります。  それと同時に、臨時行政調査会のほうでも、公務員に関する改革意見書の中で述べておりますように、タイピストなどのような、いわゆる単純な労務に携わる人、これは自由な政党活動をかりにしたとしても、一般国民の政党活動あるいは投票の自由というものは何ら制限をされないのだから、そういうような政策立案に直接該当するような公務員や、あるいは国民の基本的人権を行使するにあたって必要な一定の職員以外の者については、他の特別職公務員、いわゆる一般職公務員以外の公務員と同じように措置すべきではないかという答申も出されておるわけでありますから、これらの問題については、当然公務員制度審議会において論議されてしかるべき問題であると私は思うのでありますが、この辺についてのお答えを願っておきたいのであります。
  66. 安井謙

    安井国務大臣 私ども、現在の段階におきまして、国家公務員法第百二条の特定の政治行為の制限に関する規定、あるいはその具体的事例を人事院規則に譲っておる事例につきましては、特別これを現在どう変えなければならないというふうに考えておるわけではございませんが、いま御指摘のように、いろいろ世の中も変わってまいることでありますし、また新しい問題も出てくるという場合に、現在公務員制度審議会で公務員の労働の基本に関する問題を検討願っておるのでございますから、そういうような場でその関係の問題を御議論になることは、当然であろうと思います。また、御議論になった結果が出ますれば、その結果については十分尊重はいたさなければなるまい、そう思っております。
  67. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 大体この辺でやめますが、旧憲法下における官吏は、無定量の勤務原則のもとにその身分を保障され、そしてその行為については制約をされておった。ところが、近代国家になりました今日の国家公務員法においては定量勤務の原則だ。だから、八時間労働というものに対する対価として給与が支払われているのであって、管理職の人たちは超勤にかわるものとして特別の措置がなされておるわけであります。しかしながら、一般の公務員については、定量勤務の原則というものが確定をしているわけです。したがって、権力関係を発動してまいる立場にあります公務員については、当然のことながらその公務員の基本的人権については、その職務の遂行上からくる制約というものは最小限度の線において、認められなければならないといたしましても、公務以外の一国民として生活をしていく中において、それらの表現の自由権というものが大幅に制約されていくということは、これは明らかに憲法違反という見解も成り立ち得るわけであります。その問題をいわゆる公共の福祉という概念で割り切ろうとされましても、公共の福祉という概念自体が不確定の概念です。その立場から、合理的範囲内で云々ということでこの前法制局は説明をされましたが、その合理的範囲というものの基準の置き方が、中世紀的な身分、忠誠の原則のもとに行なわれておった過去の官吏の時代と、今日全体の奉仕者という立場において国民に奉仕をする公務員との間には、明らかに違いがあるわけなんですから、そういう立場から、はたして今日の公務員制度というものが合理的であるのかどうかということについては、私は非常に問題があろうかと思うのであります。一般職の公務員なるがゆえにそういうような制約が行なわれる。一般職の公務員でない特別職の公務員についても、その考え方の上からどのような差があるのか。たとえば郵政省の職員とそれから三公社の職員である電通の職員との間において、片方においては国家公務員法の適用をされる、片方においては公共企業体であるということで別な法律が適用される、そこには同じ公務という上において考えた場合においては、差があってよいはずはないし、また大衆の上に及ぼす影響というものから考えたら、事実上の問題として差がないのじゃないか。そういうような立場から考えていくならば、この問題については、特に罰則規定、刑罰上の規定を含めて、この公務員の身分制度という問題について刑事罰としてこれを処分をするという行為が、今日の日本国憲法の制定の趣旨から見ましても、条文の趣旨から見ても、認められるはずがないと私は思うのであります。そういうような点は、今後公務員制度審議会でも十分論議することになりましょうが、国会においても、問題が出てきた場合においては、絶えずこの問題を取り上げて論議しなくてはならないし、また行き過ぎた行為として現実にあらわれている問題等が派生をしているわけですから、こういうようなものについてはチェックしていく立場が、総理府としてはあろうかと思うのであります。いまの建設省のそういうような行為、解釈というものは、閣議で決定をしたとかということで、それは確定したものではないという従来からの解釈、給与というものは国会で最終的に決定する、だから、国会において給与が決定をするまでの間は政策として確定をしたものではないという従来からの解釈というものがあるのですから、こういうような行き過ぎは是正をされなければならないと思うのでありますが、この点について再度の答弁を願っておきたい。
  68. 安井謙

    安井国務大臣 公務員関係法律に限りません、法律、規則といったようなものが、その時代、客観的な状況に応じてそれぞれまた適当に変えられていくというような必要も、私は決して否定はいたしませんが、現在の場合、公務員法できまっております諸規定は、私どもとしては守っていかなければならないと思っている次第でございます。したがって、これが公務員制度審議会等でいろいろ御議論が出、そして労働の基本関係に関する問題としていろいろ提示されれば、それはその事態に応じて私どもも十分考えていきたいと思います。  それからなお、公務時間中以外なら一般国民と同じで自由じゃないかというお話でございますが、これもなかなかむずかしい問題だと思います。たとえば公務員たる身分、これは憲法できめられておりまするいわゆる一般に対する奉仕者であるという身分は、やはり勤務時間以外でも身分として取り除かれるものではなかろうと思います。せんだっても、これは冗談話でございましょうが、官房長官が、それじゃ勤務時間以外なら公務員が汚職してもいいのかという冗談話がお互いに出たという新聞記事がございましたが、これは冗談といたしましても、やはり時間外でありましても、公務員の身分上一定の制約を受けるということは、程度や議論の問題は別として、やむを得ないのじゃないかというふうに思っておるような次第でございます。
  69. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 これは一定の限界という問題をどのように解釈するかということに問題があるのですから、ここで議論を繰り返そうとは思いませんが、明らかに表現の自由権というものは、当然政府批判の自由権というものも含んでおるし、そして政治活動の自由権というものも含んでおる。しかし、勤務時間中においてそういうことがなされるということは当然排除されなければならないわけですが、一個人としてそういうような活動ができないということになると、これは憲法法律によって、あるいは解釈によって自由に制約をされていく、こういうような前憲法的な状態にかわってくるわけです。憲法の上においては、そういうような制限の条項というものはないわけであります。制限の条項のあり得るのは、ほかにそれぞれの条項——財産権の問題とかあるいは職業の自由権等については、その条項で指摘をされているわけですから、この点については、もう少し先ほどのような具体的な例——人事局長のほうでは、私が一例として建設省の問題を出したのですが、こういうようなものについてはどういうふうにされますか、それだけをお答え願っておきます。
  70. 増子正宏

    ○増子政府委員 先ほど申し上げたのでございますが、私どもは各出先機関の一々につきましては詳細に承知いたしておりませんので、お話のような事例につきましては、私どもとしても調査をいたしました上で必要な措置をとるということになるわけでございます。その点はひとつ御了承いただきたいと存じます。
  71. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 この問題については一応これでおいておきます。  次に、この法案の関係の中で、今回同和対策審議会が同和対策協議会ということに名前が変わっておりまして、内容は調査審議をすることになっているわけでございます。そうしてことしの予算関係も、これまた五割程度ふえておることも事実であります。私、総理府の所管する予算関係、厚生省、文部省、農林省その他に分かれておる内容のものをずっと比較検討して調べてみました。非常に各般にわたりまして、それぞれの主管庁が予算を持っておるわけであります。そしてそれを執行していく際にあたりましては、総理府に審議官がおって、その審議官が調整をしながら同和対策事業というものが行なわれるようであります。しかし、この基本的な問題を考えてまいります場合において、審議会というものから対策協議会というものに切りかえた理由説明が、まだなされておりません。この問題については、基本的な人権に関する問題、生存権に関する問題であります。事業内容を見てみましても、スラム街の解消であるとか、あるいは農道の改修であるとか、産業政策であるとか、あるいは教育、高校進学、特に恵まれないような地帯についての補助であるとか、あるいはそれらの基本的人権が守られるような協議会であるとかいうようなものに分かれているわけでありますが、従来政府がとってまいりました施策ではまだまだこの解決ができないとするならば、そこには長期的な展望のもとに計画を立てて、この同和対策というような状態がもう近代日本の中では必要がないようなところまで持っていかなければ、これは日本の恥のような存在だ、恥部のような存在に今日まで置かれているのではないかと思う。そういう点から考えてまいりますと、これは一つの社会改造といいますか、やはり一つの基本的人権がどういうふうに保障をされるかということに関する問題であると思っておりまするので、その長期的な構想計画というものがあるならば、お聞かせ願い、またこれに取り組む態度についての表明を願っておきたいと思うのであります。
  72. 安井謙

    安井国務大臣 同和問題は、わが国の民族にとりまして非常に大きな問題であると考えております。昨年の八月に同和対策審議会から適切な御答申をいただいた次第でありまして、その線に沿って私ども十分に施策を生かしたいと考えております。  そこで、従来あった審議会が今度協議会という名前に変わったのは、どういう意味かというお尋ね一つございます。これは非常に深い意味があるというわけではございませんが、第一には、その審議会答申の中に、今後は協議会にしてこれをひとつさらに具体的に進めるべきであるという御答申もございましたので、協議会という名前を使いましたのと、新しくどういう問題をどういうふうに考えるかというような白紙から出発する審議会と違いまして、やや具体的になっておりましたのを、今度は各省の機関も入れまして、お互いに実施段階で協議をしていくというほうがよりふさわしいという意味で、協議会ということに今回はいたしておるわけでございます。  さらに、この同和問題とどういうふうに取っ組んでいくつもりか、これは予算委員会等でもいろいろ御質疑がありました。佐藤総理も、これに対しましては完全に前向き姿勢で十分に積極的にこれから取っ組んでいくという答弁をされておりますし、私どももその線に沿って今後も強力に進めていくつもりでございますが、第一に、これにつきましては、基本法的なもの、あるいは特別法的なものをまず制定をいたしまして、それにのっとって政府各般をあげて精力的にこの問題に取っ組んでいく、その連絡調整をできるだけ十分に総理府において果たしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。この法案につきましては、私ども、超党派的な問題として、各会派でも十分御審議をあらかじめ願った上で、でき得ればこの国会にも間に合わせたいという心づもりで考えておるわけでございます。
  73. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 御趣旨は、そのとおりまことにけっこうなことでありますが、基本法が制定されるまでの間は、やはり現在のような、それぞれの所管各省庁において仕事をやるような体制というものをおつくりになる。なお一応のそういうような基本法ができ、それに伴う長期的な計画というものが生まれてくるであろうと思うのでありますが、そういうようなはしりがことしの予算の中にも一部あらわれているものだと、私は思うわけであります。そうするならば、そういうような長期的な構想に基づく計画というものを政府としては持っておられるのか、持っておられないのか、これについてお答えを願っておきたいのであります。  それから同和対策協議会の構成について、あるいは各省庁に関係がある仕事でありますから、それぞれ専門部会のような、専門委員会のような組織というものも必要であろうと思うのでありますが、その協議会の下部組織といいますか、構成の内容はどういうふうに考えておられるのか、これについても説明を願っておきたい。
  74. 安井謙

    安井国務大臣 大体長期的な具体策につきましては、さらに協議会等でも十分にお練りをいただきたいと思う次第でありますが、それと、出発と同時に基本的なものの考え方は法律で明らかにしたい。対象は何と申しましても、環境の浄化、あるいは職業の補導、あるいは教育、文化の均てん、福祉関係、そういった点で均等にして、かつ、公平な生活のできるような環境をつくり上げていく、そして何より大事な人種的といいますか、差別的な感情をなくしていくということに重点を置いた対策を立てていきたいと思っております。  なお、協議会につきましては、民間の有識者並びに各省のそれぞれの責任者、両者でもってこれに充てる計画にしておりまして、それによってまた協議会ができましてから、さらにいま御指摘のような分科会あるいは専門部会というようなものも、必要に応じてできることになろうかと思っております。
  75. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 この民間の有識者、それに各省庁の関係者、これで実際の事務的な仕事をやって審議をすると同時に調査をし、計画を立てるというところまでいくのであろうと思うのでありますが、人員の構成はどういうふうにお考えになっているのか、これは事務当局のほうから説明を願っておきたいのであります。  それと、国会議員等の対策協議会の委員というようなものは、考えているのかいないのか、これもついでに説明願っておきたい。
  76. 福田勉

    ○福田説明員 お答えいたします。同和対策協議会の構成は、委員が二十名以内、それから専門委員を五名以内、そのほかに幹事若干名をもって構成する予定でございます。なお、いずれも関係行政機関の職員及び民間有識者から任命することといたしまして、その中に国会議員をもって任命することは考えておりません。
  77. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 任期は。
  78. 福田勉

    ○福田説明員 任期は、本協議会が二年間でございますので、法律設置する期間が二年間でございますので、その間やっていただくわけでございます。
  79. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 恩給審議会の問題は、恩給法の改正等が出てまいりますので、そのときに内容的には触れますが、これの機構、人員その他の概要事務的に説明を願っておきたい。それでその説明が終わりましたら、私は質問を終わります。
  80. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 恩給審議会につきましては、その組織は、大体私たちのほうでいま政令の案を考慮中でございますが、その中で、審議会委員十人以内で構成するという予定をいたしております。そして委員は、学識経験ある者の中から内閣総理大臣が任命するという形態をとる予定でございます。委員任期が当然課題になろうかと思いますが、本審議会も実は二年を予定いたしておりますので、したがって、昭和四十三年の三月末日までの委員の委嘱という形に相なります。
  81. 木村武雄

    木村委員長 受田新吉君。
  82. 受田新吉

    ○受田委員 総理府設置法改正案で、まず新しく設置された機関の質問をさせていただきます。  青少年局の新設でありますが、これは従来の協議会の事務局を青少年局に移行をして、新しい局をつくると同時に、従来の協議会という形のものはそのまま残すという形態がとられているようです。   〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕 そうすると、この青少年問題を解決するためのお役所が一つできるわけでございますが、その局の実質的運営の背景に、青少年問題の中央協議会というものが終始知恵を授けて、その実施面に過誤なからしめるという努力をするという有機的結合というものがそのまま残されるような形になるのかどうか。協議会は協議会として別の意義を持ち、青少年局はまた青少年局としての独特の意義を持つような形になって、その間の有機的連絡に事が欠くようであっては、これは意味をなさないと思うのです。新しい局ができた、しかし、従来の協議会も残っている、こういう形のものですから、これはやはりよほど運営面においても考えていかなければならぬ問題です。事務局がなくなると、協議会なるものは一体仕事ができるのかどうかということも考えていかなければならぬ。そのことを含めて御答弁をいただきます。
  83. 安井謙

    安井国務大臣 従来の中央青少年問題協議会を一応改組いたしまして、その事務局部分につきましては、これは青少年局へ吸収された形に相なっております。そういたしまして、従来ありました協議会の審議部門、いろいろな青少年問題に対する対策樹立、献策、調査、そういった審議部門につきましては、これを審議会という形式で今度は別建てにいたしたいと思っておりますが、単なるほかにできます審議会とは一いま御指摘のように従来非常に密接な関係を持って、協議会自身が連絡調整的な役割りも果たしておったような事情もございますので、今度新しくなります審議会は、そういう意味では青少年局と相当血の通った、より血の通った存在に相なろうかと思っております。
  84. 受田新吉

    ○受田委員 青少年局をつくるかつくらぬかという議論がこの数年繰り返されてきて、やっとこのたび日の目を見ることになったわけですが、それほど政府部内にもいろいろな議論があって、昨年も日の目を見るに至らなかった。私は、各省の間、特に文部省と総理府の間における所管関係で、いわば対立、抗争が繰り返されて日の目を見ないというようなことになったと承っております。また、行管、大蔵省等の関与する機関の意思も統一されていない。しかし、私としては、青少年局を設置することは、総理府が青少年行政の大所高所からの根拠地をつくっておくことは大切であると、前からこの青少年局の設置に賛意を表してまいったものです。ところで、やっと政府部内の意見の調節もできて、これがスタートすることになった。しかし、職員の数は、青少年局の職員としてほんに数名をプラスする程度にとどまっているということで、はたして青少年局の新しい目的を果たすことが可能であるかどうか、お答え願いたいのです。
  85. 安井謙

    安井国務大臣 御説のように、ここ二、三年来いろいろと紆余曲折のあった青少年局の誕生でございます。四十一年度の予算編成に際しまして、幸い各省庁との調整もつき、新しく今度誕生いたすことでいま御審議を願っておるわけでございます。しかし、その内容たるや、六名程度の増員にすぎぬじゃないか、これで本来目ざすような仕事が一体できるかという御指摘、これは私どももまことにごもっともな御指摘と思っております。最初できました際でございますし、またいまの内閣が、人間の増につきましては非常に極端な圧縮政策をとっておるという事情もありまして、必ずしも十分と申せないかと思いますが、この二十六名の人選にあたりましては、精鋭主義をもっぱらにいたしまして、それぞれの部門において十分な能力ある人を充てまして、所期の効果をおさめたいと思っております。
  86. 受田新吉

    ○受田委員 ほんに数名の増員で新しい目的を果たすということが可能かどうかという問題ですね。こういうお役所をつくるときは、現在の機構をなるべく存置した形で、人員もふやさない形で、行管や大蔵省の承認をとるのに都合のいいような形で、いわば看板の塗りかえのような、たとえば協議会の事務局をそのまま移行させるような形でスタートしたのでは、青少年局というものの貫録実績はなかなかあがらない。このあたりで、少なくとも各省庁にわたる青少年問題を一括して、総理府が新しい角度から純粋な気持ちで運営されるような方向へ持っていく必要がある。これは青少年不良化防止というような問題に限らない。別途に、教育、家庭、教育、社会教育というような、文部省がやっている問題のほかに、またいろいろの青少年の環境をよくする問題等も含めて、十分ここへ人をそろえて、次代を背負う若人に希望を与えるような行政責任を果たしていただきたいと思うのですね。二十六名、この点について人間が少ないところからスタートするわけですけれども何らかの形で局の機構を地方の青少年問題と連絡しながら大いに強化させようという意思があるかどうか。地方の青少年問題協議会もありますけれども、文部省所管の青少年関係あるいは厚生省の関係等を含めて、中央、地方を通じての一貫性ある青少年行政というものをどう扱おうとされておるか。自治大臣の御経験を持っておられる長官としては、何かの夢をお持ちだと思います。
  87. 安井謙

    安井国務大臣 御指摘のとおり、青少年問題は、これは社会的にも非常に各般にわたっております。地域的に申しましても、これは中央だけが幾ら力み返っても地方と有機的な連絡がつかなければ、実効があがるものじゃないということは、私どももよく承知しております。そういう意味におきまして、これは将来は、さらに地方との有機的な関連、あるいは今度できました青少年局の主要な任務の一つである連絡、調整をさらに強化できるという体制は、もっと強化していかなければなるまいと思っております。ただ、考え方としまして、一部にあった、過程で議論がございましたが、青少年局をやる限りにおいては、各省が持っておった各種の青少年部門の業務をみな集めて、そこで強力な体制をしくべきではないかという議論も、これは私一理あると思うのでございますが、これは考え方でありまして各省がそれぞれ持っておる部門を寄せ集めてきて一つに集めても、必ずしもそれで従来各省にあったと同じような力が発揮できるかどうかという点については、いささかまた問題もございます。そこで、これは青少年問題全部は政府が全体として当たらなければならないというたてまえで、私のほうでは基本的な調査、あるいは政策の樹立、それから同時に各省間の強力な連絡、総合調整、さらに各省に属しない部分の仕事、こういうふうに限定をいたしてこの際は出発をいたしたいと思っております。
  88. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、連絡調整機関として、この法案が出る前に青少年調整局というような名称がかりに用いられた期間がありましたね。その調整局と青少年局の相違は、どういうふうに変わってきたのか。
  89. 安井謙

    安井国務大臣 今度の中でも、調整機能が青少年局の一つの重要な仕事の大きな比率を占めることは間違いないのでございますが、そのほかにも、基本的な対策の樹立、調査、あるいは他省に属しない、独自でやり得るというか、やらなければならない青少年対策行政もありますので、そういう意味からは、調整局というよりは、むしろ端的に青少年局にしたほうがいいのじゃないかということに、途中で意見が変わったわけであります。
  90. 受田新吉

    ○受田委員 私は、これは文部省の出先機関のような青少年局であってはならないと思うのです。文部省はまた文部省で独特の使命を持っておるのですから、その文部省が扱う青少年対策というものは、特に該当年齢の中に学生もおるわけです。大学生なども、これは青少年の青のほうに入る。そうした学生問題等を含めて、文部省にはまた独特の青少年指導体制ができておると思うのです。ところが、総理府の中に青少年局ができておるというところに一つの意義があるので、各省で所管している事項のほかに、いずれにも属しない事項、こういうのがある。たとえばどんなのがあるか、これは局長さんでけっこうですから、それを御答弁願い、また学生の問題等は、従来の青少年問題協議会でどういうふうに扱ってきたか、過去の実績をちょっと御答弁願っておきたいと思います。
  91. 赤石清悦

    ○赤石政府委員 お答えいたします。各省に属しないことでどういうことをやっているか、将来どういうことをやろうとしておるのかという御質問だと思いますが、現在やっておりますのは、たとえば非行対策の面で、各省庁に関係いたしますので、補導センターを設置し、それを指導する仕事を一つやっております。それから青少年に夢を与えるために、国際交流をはかることが非常に大きな使命を持っております。そこで青少年の海外派遣の仕事を現在いたしております。それからまた、本年度の二次的な仕事でございますが、世界青年会議という団体がございますが、これがたまたま今年昭和四十一年度は日本において国際会議を開きたい、こういうことでございますので、政府もこれを援助しようということになりまして、これの援助の仕事をいたすことになっております。それからまた、先ほど御指摘がございました地方の青少年問題協議会等との連携を緊密にいたさなければなりませんので、都道府県もしくは市町村の青少年問題協議会の指導のために、若干の予算をとる、その他適切な指導を行なうといったような仕事もいたしております。  将来の問題といたしましては、ただいま御審議を願っております予算の中に、やはり青少年対策を進めるためにはどうしても、政府はもちろんのことでございますが、国民全体が青少年対策のために大いにやらなければならない、つまり国民運動の問題でございますが、この国民運動を提唱いたして、それに対して政府としましてはできるだけお世話、御支援を申し上げたいという仕事も、一項含まれております。  それから学生の問題でございますが、従来中青協におきまして、特に学生だけを切り離して取り上げたことはなかったのではなかろうかと考えられます。と申しますことは、従来——将来もそうだと思いますけれども、特定の省庁だけで処理できる仕事につきましては、総理府が特に必要がある場合のほかは取り上げないといったような考え方がございます。御承知のように、学生は文部省において取り上げておりますので、特に学生についてだけ切り離して取り上げたことは、従来なかったのではなかろうかと考えております。
  92. 受田新吉

    ○受田委員 青少年問題、対象をどうするかということですが、年齢的には一体青少年はどこを目標にしておるのですか。青少年という限界。青年、少年という分類からでもけっこうです。
  93. 赤石清悦

    ○赤石政府委員 青少年と申しますと、実は各省庁によりまして、いろいろと行政目的の必要からいたしまして法律ではっきりきめている場合もございますし、また、法律ではございませんが、指導理念上およそこの辺からこの辺までときめてあるということで、各省まちまちでございます。それで、総理府におきましては、私どものほうで、従来もそうでございますし、今後もそうでございますが、そういったような各省庁の青少年行政の連絡、調整をはかる、こういう使命でございますので、その事柄によりまして、青少年はおよそ年齢的にこの辺を考えていこうじゃないかというふうになろうかと思います。たとえて申せば、少年法の改正の問題は、明らかにこれは、年齢をどうするかという問題であろうかと思います。しかし、たとえば海外派遣のときの青少年は、何歳ぐらいを考えるかと申しますと、これはやはり二十歳をこえまして、現在二十五、六歳までを資格ある者と考えていこうじゃないか。つまり省庁によりまして、いろいろとこの年齢に差があろうかと存じます。
  94. 受田新吉

    ○受田委員 私は、このあたり法律面における成年の年齢というものと、いまのような運営面における幅を持たすことは、やはり分離して考えていかなければならぬと思います。民法三条では満二十歳をもって成年とすることになっておる。ところが、これは法制局にもあとからお聞きしますが、天皇、皇太子は十八歳をもって成年とするという皇室典範の規定がある。この民主主義の国家に、天皇、皇太子に限って十八歳を成年とするということで、民法三条の例外を認めるそのことがどうかと私は思うのでございます。児童福祉法は、十八歳が限界になっておる。結婚年齢は男子十八歳、女子十六歳となっておる。自動車の免許をとる年齢も十八となっておる。少年法は二十歳という限界がある。こういうものは総務長官でなければ御答弁できないのですが、この成年の年齢というものがばらばらになっているので、いろいろな法の適用を別個に受けることになる。青少年指導に非常に混乱を来たすと私は思う。やはり法律的な年齢はどこをもって成年とするかという基本的な問題が、一つここへ出てくるのです。ロシヤのように、十八歳をもって成年齢としておる国もある。最近だんだんと成年齢は若返りつつある。このあたりで民法三条を十八歳と切りかえる改正という基本問題が解決すれば、少年法の問題も自然に解決する。これは赤石先生は文部省の御所管時代があったわけですが、成人式という、国民の祝日として成人をお祝いするのにも、満二十歳になった年をもってするのもあれば、その年に二十歳になる者を当てるところもある。また数え年二十のところを当てるとか、成年齢は全国がばらばらになっておるのです。いなかへ行くと、二回も三回も——三回はありませんが、成年式をやって、また次の年へいって成人式だ。それから成年式に全然列席することができないような運命の者もおるというような、国の指導は非常にここで年齢的にばらばらになっておるのですね。これは何とかひとつ統一して、あらゆる面で、行政面で法律的年齢と運営面の年齢とにちゃんとした規律をつけるのは、やはり青少年局がそういう問題は十分検討すべきじゃないかと思うのですが、あなたは国務大臣ですから、国政の一切の責任者として御答弁ができるわけです。
  95. 安井謙

    安井国務大臣 御指摘のとおり、青少年という年齢のワクも非常に幅がありますし、また法的にきめられた場合も、その行政目的の次第によってそれぞれに食い違っておる。これは一面から申しますれば、はなはだ矛盾したといいますか、都合のよろしくない事柄でもあろうと思います。しかし、現在までのいろいろな行政目的の特殊事情によってこの年齢がきめられておるという事情もございますが、いまお話しのように、どこかに統一の基準を求めたほうがいいじゃないかという御提案につきましては、たいへんごもっともだと思います。私どもも、今後十分検討をいたしたいと思います。
  96. 受田新吉

    ○受田委員 これは宮内庁次長おられるのですが、次長の答弁の範囲内でないので、法制局のほうにちょっとお聞きしたいのですが、天皇、皇太子、皇太孫、こういう形の方に、成年齢が民法三条の規定にかかわらず十八とされておる。これは摂政になられるときになるべく成年に達していたほうが都合がいい。その二年の差で、その二年のところが非常に大事だということがまた別にあればとにかく、大体国民の象徴天皇御一家について、国民と同じ基準というような形で成年というものはおきめになったほうがいいのではないか。典範の改正をされる必要がありはしないかと思いますが、いかがでしょうか。
  97. 関道雄

    ○関政府委員 ただいまお尋ねの点は、先生の御指摘のとおり、皇太子が践祚をされましたときに、十八歳未満で成年に達しておりませんと、摂政を置かなければならぬ。また、摂政になられる場合も、未成年でありますと、次順位者が摂政に当たることになる。また、国事行為の臨時代行に関する法律におきましても、未成年でありますと、その委任を受けることができないというような、いろいろな事情から十八歳ということで、いまのような不都合の起こらないチャンスを設けるために、二年だけ民法の年齢よりも引き下げてあるわけでございまして、その二年だけが適当であるかどうか、また他の国民全体につきましても、二十歳ということで、特にそこで二年の差を設ける必要があるかどうかということは、全般的に確かに検討の余地があるわけでございます。ただ、一般的な問題といたしまして、民法上の成年、その成年に達する年齢というものと、他の特別の必要に基づきまして、他の法律で何らか違った年齢を定めまして、その場合に成年に達したと同じような効果を認めるという必要が全くないかどうかということは、一がいには言えないのではないか、かように考えております。
  98. 受田新吉

    ○受田委員 それは一がいに言えるのです。その年齢というものは、もう法律的な行為能力を発揮させるための年齢というものはきちっとすべきで、民法三条が二十歳としてある。結婚をした場合のその権利関係などというものも、独特の形が出るけれども、やはり十八歳で結婚した者でも、二十歳にならなければ成年としての資格条件は満ち足りないことになるのです。天皇や皇太子の地位にあられる方だけが、十八歳になるとすべての行為能力に責任が持てるような、一般国民とは二年ほど早くりっぱに成熟されるということは、全然ないわけなんですから、これは全く同じですよ。同じである以上は、やはり成年齢は、天皇御一家といえども、また国民といえども、十八歳にするなら十八歳、二十歳にするなら二十歳、私は、全部統一すべきであって、特に天皇の地位にある、皇太子の地位にある方だけを十八歳にするということは、理解に苦しむわけです。別に何ら束縛される必要はない。もし二年間摂政を置かなければならぬという、摂政を置くのは便利が悪いとかいう立場は、これはそういうことがあってもいいじゃないですか。これはもう国民も納得するわけで、これはやはり皇室典範の成年齢を一般国民と同じにするということは、法律論からいっても、実際論からいっても、私は筋が通ると思うのですが、古い観念でなくして、新体制下の皇室という場合を考えたときに、皇室典範の改正の必要があるのではないかと思いますが、法律的に見ていかがでしよう。
  99. 関道雄

    ○関政府委員 一般に成年に達する年齢を画一的に定めるべきであるという御趣旨は、私も十分そのとおりであるというふうに考えます。ただいまの皇室典範は、民法で二十年ということになっておりますのを前提として考えられておるわけでございますので、かりに国民の最近のいろいろな発育の状況その他からいいまして、二十歳では少し年齢が高過ぎるということになって、十八歳にかりに統一をされるというような場合に、やはりそういう状況においては、皇室典範においては、さらにまたもう少し早くそういう摂政になられたりあるいは天皇になられた場合に摂政を置く必要がないような措置を講じたいという気持ちが、出てくるかもわかりません。その点で全くそういう必要がないんだというのは、ちょっといまこの際言い切れることではないんではないかというふうに考えております。
  100. 受田新吉

    ○受田委員 一般の成年齢が民法三条が改正されて十八歳になれば、今度は天皇陛下の場合は十六歳になるとかいうようなことになってくると、これはちょっとナンセンスですからね。やはりこのあたりで、法律的には成年齢を統一しておく、こういう形で御処理されることを私は希望しておくわけです。  これは古い観念で、皇室典範がその点でできているのです。できている点は、皇室典範については国会で論議はあまりされてないんです。この委員会しかできないのです。したがって、たとえば男系の男子だけが皇位を継承されるという問題も、皇太子のお子さまが男子の方が相次いでお産まれになったからほっとしたような形ですけれども、女性が産まれようと男性が産まれようと、やはり民主主義で男女平等の原則が憲法に保障されている限りは、英国式に女性の方も皇位継承権は持つようなそういう典範にしないと、これは男系尊重主義の皇室典範です。これも一つ問題がある。これはいかがでしょう。
  101. 関道雄

    ○関政府委員 仰せのごとく、必ず男系でなければならないということを、前の憲法と違いまして、いまの憲法はいっておるわけではございません。そこで、いま男系主義をとっておりますそういう制度そのものを理解するのにどう理解するかということで私なりの理解を申し上げますと、天皇が憲法第一条に基づきまして日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であるということになっております。その背景といたしまして、それはやはり国民の総意による、国民の象徴の問題でございますから、国民感情というものを無視できない。そこで、それが受田先生の仰せられるような観点から、いろいろまた別の考え方がないということを申し上げておるのではありませんが、いまのたてまえは、おそらく従来女帝が立たれた場合がないわけではないけれども、それは非常に異例に属する。そこで日本の国民感情として、天皇は男子の方が立たれるということが象徴ということの感情的な一つの背景、歴史的なと申しますか、一つの歴史によってつちかわれた感情が背景をなしておる、そういう考え方に立っておるのではないかというふうに考えます。そこで、絶対的に女子が天皇に立たれることを憲法が禁じているわけでもありませんので、国民感情の推移によりましては、先生の仰せられるようなことも不可能なことだというふうに私は考えてはおりませんが、いまの制度はそういうたてまえに立っておるのではないか、こういうふうに考えておるのでございます。
  102. 受田新吉

    ○受田委員 皇室典範第一条に、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」となっている、これは青少年問題にもやっぱり関係するのです。青少年の中で女性は、女性の天皇は生まれないんだというようなことになってきては、あとは全部男女平等の原則を憲法にいわれているのに、天皇御一家だけは、女性の天皇はいかなる場合でもできない。女性の天皇が出られるということになれば、女性も希望を持つわけです。青少年問題にこれは関係します。そういう意味でひとつ女性の天皇を生み出すという形に、典範を改正する必要があると思うのです。これは法案を出されるときは国務大臣ですから、国務大臣がひとつ御答弁いただきたい。
  103. 安井謙

    安井国務大臣 たいへんむずかしいあれでございますが、いま説明いたしましたように、目下のところ、四、五十年は当分必要もなさそうだというような状況もありまして、これが当面の問題にあるいはならぬのかと思いますが、たてまえ論の議論はまた別でございます。この点につきましては、もう少しよく検討させていただきたいと思います。   〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕
  104. 受田新吉

    ○受田委員 宮内庁は総理府の所管であるわけです。大臣としてはいまは何だということではなくて、たてまえはきちんとしておかなければいけないのです。いっでもそういう形になれるようにしておかなければいけない。これはひとつ検討をするということでございまするが、前向きで検討するのかうしろ向きでやるのか、ひとつ女性の天皇をおつくり申し上げる、皇位継承権に女性を加えることで前向きで検討されるかどうか、お答え願います。
  105. 安井謙

    安井国務大臣 これは前も横もうしろも十分に考えまして、慎重に検討いたしたいと思います。
  106. 受田新吉

    ○受田委員 それから典範にはだれも触れていない非常な問題点がある。たとえば「年齢十五年以上の内親王、王及び女王は、その意思に基き、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。」十五歳で身分を離れる年齢というものはとにかくおかしいのですよ。十五なら、一般には自分の意思決定権がまだない。昔であれば無能力者である。それをもう自分の意思で十五歳から自由に皇室の身分を離れることができるような規定がある。これは非常に問題があるのです。典範の改正ということは、もう一つ元号があるわけですね。一人の天皇が動いたときには、即位は直ちに元号を解決しない、こういう問題を何回か繰り返して言っておりますが、きょうは申し上げません。天皇がなくなられたら、どういう元号を用いるのか、あるいは元号をやめて西暦紀元を用いるのか、あるいは日本の昔の皇紀二千何ぼを用いるのか、いろいろ国民の中に意見がある。それがどれになるのか、ひとつもわからない。こういう問題を含めてひとつ検討を、前もうしろも見てやっていただく。それについて公式制度の調査会というのがちょっと生まれたようでございますが、国葬の問題をどう扱うか、あるいは国賓をどうするかというものを含めて、一応基本的な国の公式制度を検討するような調査会ができているようですが、総務長官はあまり重く用いていらっしゃらないのかどうか、御答弁をいただきたい。
  107. 安井謙

    安井国務大臣 公式制度連絡調査会というものを持ちまして、いろいろ検討はしておりますが、なかなか結論が出にくい問題でございます。しかし、いまおっしゃるように、元号その他の問題で、これは相当早くきめたほうがいいんじゃないかという問題は、たくさんあると思います。鋭意ひとつ、文字どおり前向きで検討さしていただきたいと思います。
  108. 受田新吉

    ○受田委員 それではひとつ、一応その問題はそれでおくことにして、もう一つ付属機関の問題がある。恩給審議会は、恩給問題の中に公務員の新しい共済組合関係のものを一緒に審議するという性質でしかるべきだと私は思うのです。これは予算委員会でちょっと触れさせていただきましたが、その後御検討されたと思いますが、新しい恩給制度はそういうところで割り切って、公務員の全体の恩給、年金問題を検討する機関であるかどうか。もう歴史的に、恩給を受ける人は過去の人になっていくんです。もう何十年か後には、恩給法の適用を受ける人はおられなくなる。新しい共済組合制度、共済年金のほうへ移行するわけなんですが、ただ過去にずっと去り行く人だけの問題ではなくして、現職とその先輩の恩給を受ける人及び共済年金を受ける人を含めて、この恩給審議会が御審議されるというならば筋が通る。大蔵省もそのくらいの雅量はあろうと思うのです。
  109. 安井謙

    安井国務大臣 この前も御指摘いただきましたとおり、これはたしか関連をしなければうそだと思うのでございます。ただ、さしあたっての恩給審議会でございますから、現在、直接目的は恩給審議会がやりますが、それに関連した事項については、当然触れてくるというふうに考えます。
  110. 受田新吉

    ○受田委員 当然触れると同時に、たとえばスライド制にしても、スライドということばは変えて、原則が恩給法二条ノ二に出ておる。これなども、共済組合の該当者にも準用するような形になっておるのかどうか、そういう方針になっておると私は思うのでございますが、そういうことを含めて、終始恩給と年金とを総合的に検討するかどうか、これをひとつ。
  111. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 ただいまの件につきましては、恩給審議会という本質からいたしますと、一応恩給についての審議がたてまえでございますが、その関連として共済組合という問題が派生的に起こってくる場合がありますので、ただいま総務長官のお答えのとおりでございますが、ただ、現在私たちが考えております調整規定は、恩給法の中で取り上げます限りは、恩給についてのいわゆる物価、国民の生活水準、あるいは公務員給与、その他の諸事情に著しい変動があった場合に、これに合わせて調整していくという考え方でございます。御指摘のように、恩給そのものは、いわゆる旧来退職された方々の給与措置でございますので、それに現職の人たちが今後やめていった場合の措置は、当然共済組合法の適用になりますので、したがって、離職者という点においては同じような範疇に入ってくるところから、先生の御指摘のとおり、調整規定は必然的に共済組合に影響を及ぼす。そこで、今回の共済組合法の改正の案の中には、恩給法の調整規定とほぼ同趣旨の規定改正が行なわれる予定になっております。
  112. 受田新吉

    ○受田委員 そういう予定で各種共済組合——これは公務員の各種の共済組合ですね。そうですが。
  113. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 共済組合法は、国家公務員共済組合法、それから地方公務員共済組合法、それから公社関係の共済組合法、いずれも関連を持ちますので、同趣旨の規定が設けられるかと私は承知しております。
  114. 受田新吉

    ○受田委員 それに関連してほかの問題が出る。私学共済なども、また別の法律が出てくるわけですか。それは所管でないということで、大蔵省の御答弁をいただかなければならぬ。大蔵省はおられないようですから、その分はおきます。  そういうことで、この恩給審議会は、現職と退職者の処遇のバランスをとる。そういうところから、かねて申し上げた定年制などができても、安心してやめられるような情勢がまずつくられなければ意味をなさぬという意味で、このスライド制はりっぱに成功させるように御希望申し上げておきます。時間が予定どおりに進んでおりますから、予定どおりにやめますが、もう一つ、付属機間の在外財産問題審議会、これも私は委員の一人でありますから、この発言を実ははばかりたいのです。委員の一人としての発言と国会議員としてのこの場における発言と重なるようなことになるので、実際ははばかりたいのですが、きょうは伊藤委員が出席していませんので、私の党の立場からもちょっとお尋ねしておきたいのですが、この審議会委員が任命されていても、なかなか出席が思うようになっていない。御意見を伺う機会も少ない委員が、たくさんおられるわけです。大体、この付属機関の審議会委員に、一人でたくさん兼務しておられる方がある。いま兼務している中で、総理府だけでなくして、各省を通じての付属機関に兼務している一番ひどいのは、だれがおられるのか。政府は、これに対して閣議決定でなるべく兼務をやめさせるように、行管も付属機関を新設することは極力押えるとおっしゃっておられるけれども、現実に御出席の常でない委員方々がおられることを、われわれ身をもって体験しているわけであります。こういう無理をして顔役を委員に任命されるということになってくるから、そこで真剣な討議もできないような結論になってくる。できるだけ万難を排して出席して、その豊かな学識を大いに表明していただくような委員を任命されればいいと思う。この点をひとつ伺いたい。
  115. 安井謙

    安井国務大臣 お話しのとおり、審議会委員を任命します場合には、なるべく兼務を避けるという方針で当たっております。実際問題は、御指摘のような、まだ相当数を兼ねておられるために出席したくてもできないというような場合がかなりあることは、私ども存じておりますので、これはつとめて今後も直して、一定の制限下にしたいと思っております。なお、この在外財産のほうにつきましては、実は御注意もありまして、いろいろ調べてまいりましたが、ほかの委員会に比べましては非常に出席がよろしい。これは受田委員はじめ皆さんの御指導のよろしきかと思いますが、民間委員も非常に出席率がよろしいという報告をいただいております。
  116. 受田新吉

    ○受田委員 出席のよろしい審議会がこの在外財産審議会であるということを承って、ますます悲観したのでございますが、あとから国会議員が六名追加されて、国会議員の六名がそこに顔を見せることで、あの委員会の顔ぶれが一応そろうかっこうで、国会から出る六名がおらぬと、まことにりょうりょうたる委員の御出席の委員会が、しばしばあるわけなんです。これではわれわれ国会から行った者がおらぬという審議会になったら、もうほんとうに暁の星のようにおられる審議会なんて——それを見せてください。   〔安井国務大臣、受田委員資料を示す〕 これはやはり無理な形でお出になる委員は、できるだけ遠慮していただくようにしていただかぬと、われわれが御意見を伺おうと思っても、出席されないと御意見は伺えません。われわれ在外財産審議会ですが、ほかの審議会では、まだもっとひどいことがこれでようわかりました、これが一番いいというんですから。  そうすると、一人の人が総理府その他の各省を通じて審議会を一番多く兼務しているのは、最近の統計でよろしゅうございますが、どのくらいの委員を兼ねているのが一番多いのですか。
  117. 安井謙

    安井国務大臣 ちょっと恥ずかしいのですが、全銀連の会長岩佐さんの場合十七、円城寺さんが十三、植村甲午郎さんが十二、有沢廣己さんが十一、稲葉秀三さんが十といったようなところが、いま一番多い数でございます。ベストファイブがそのくらいでございますが、これは今後できるだけ整理をしていくというふうにいたしたいと考えております。
  118. 受田新吉

    ○受田委員 その方々が一カ月に一回か二回、多いのは三回出る。だから、十何ぼ兼ねておられれば、毎日毎日出てもまだ事足らざるような状態にきている。一日に四千円の日当をもらわれるにしても、一カ月で十二万円ほどそのほうからの収入もあるわけですよ、精励恪勤されれば。実際出席不可能な形で委員が任命されているというのは——十幾つ兼ねたのでは、とてもこれはできません。こういう不可能なことを前提にして委員を任命されるようなことは、おやめになっていただきたい。別に人材は幾らでもあると思うのです。人材の発掘をして、ひとつ大所高所から眼を開いてやっていただくことを要望いたします。その点、今後その委員の整理をすることについて、兼務をやめることについて所信を伺いたい。
  119. 安井謙

    安井国務大臣 極力お説のような点で整理をいたしていきたいと思います。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 それで、行管は委員会の整理をする方向、方針を立てておられると聞いておる。ところが、政府そのものはその審議会の整理もあまりやらない。今度の改正案で審議会の新設が三つ出ておる。毎年ふえておるのです。やめるのもありますがね。この審議会設置の方針は縮減の方針になっておると承っておっても、実際はそうなっていないということ、委員の兼務を圧縮すると同時に、付属機関の審議会その他を十分圧縮するという方針をもう一度確認したいのです。
  121. 安井謙

    安井国務大臣 御趣旨のとおりでありまして、今度総理府はたしか、やむを得ない審議会がふえましたが、そのかわり四つくらい落とす予定にいたしております。また、全体につきましても、御説のような方針を今後も強く打ち出していきたいと思っております。
  122. 受田新吉

    ○受田委員 各省のなわ張りなどもこの際おやめになって、大所高所から行管、総理府がひとつ範を示していただいてがんばっていただきたい。いまの在外財産問題審議会については、少なくとも任期一ぱいで問題が解決するという前提で、任期ができているはずなんです。第一回のときは任期前に答申が出ておる。今度は、任期がもう目の前にきても、その審議状況が進捗してないということなど考えて、ひとつこのあたりで——審議会審議促進については、政府自身のやり方で十分できるんです。とんでもないところからいろいろの資料がどんどん出てきたりするから、それに時間がかかってくることになる。審議促進しようとすれば、政府の手元で十分できるということを私は体験しておるのです。この点委員の出席を督促し、在外財産問題審議会審議期待をかけている多くの人々、多年苦労された人々のその切なる要望にこたえて、早く答えを出すということ——おそければいい案が出るというわけではないですよ。大体時期は十分任期中にやれるし、もっと早くやれる問題だと思っておるのですが、いまのように委員が兼務が多いものだから、その委員の出席の御都合を伺っておると、やはり一カ月に一回か二回しかできぬですよ。だから、兼務の多い委員には交代をしてもろうても、どんどん能率をあげるというのが、審議会の意義だと私は思います。兼務の委員の出席の御都合を伺っておって、任期一ぱいにはできないということになってはたいへんなことでありますので、この点総務長官責任国務大臣として、いまの委員会の運営については、政府が十分配慮をすることが大いに力になるということはおわかりだと思いまするので、この点を御答弁いただきます。
  123. 安井謙

    安井国務大臣 全くそのとおりでございますので、御意思の点に沿って今後も強力に運営したいと思います。
  124. 受田新吉

    ○受田委員 それで長官長官審議会の最初の会合でちょっと顔を見せてやるということでなくして、たまには長官もみずからその審議会の途中で顔を見せられて、よろしく御審議を願いたい、任期中にはぜひやっていただきたいというようなことを言っていただくことが、やっぱり影響力がありますから、御熱意のほどをお示し願いたい。
  125. 安井謙

    安井国務大臣 熱意を持って、出席をできるだけさしていただきたいと思います。
  126. 受田新吉

    ○受田委員 ちょうど一時半にやめますから…。  春の叙勲、秋の叙勲をお進めになっておられる。これは生存者叙勲でございますが、また死没者叙勲という、二つの方法があるわけですが、もうこのあたりでこの叙勲制度をひとつ法律に基づいて、仮称栄典法でも何でもいいですが、そういう法律に基いて実施するような形に切りかえる時期ではないですかね。政府の単独の考え、思いつきでいくような印象のない、基本的な栄典法をどう用意されておるか。これが第一。  国務大臣答弁が必要ですが、その前提として賞勲局長お尋ねしたいのです。いまの制度で生存者叙勲をやる場合に、審議会というのがあるようですね。それにある特定の人が入っておられるようですが、これにひとつ労働界、産業界その他の各界の責任者も加えたような形で、勲一等をもらった人だけがそれに入るというようなことでなくて、もっと位の低い人もそれに入って、また位のない人も入って、もっと広範囲に公正な立場から審議できるように審議会は運営をされる必要がないか。賞勲局長でお答えできることと、春の叙勲、秋の叙勲、それからいまの生存者、死没者の場合には、二百万に余る遺家族に対する最終的な叙勲の終末を告げる時期をどこに置いておられるか。春の叙勲、秋の叙勲で、生存者に対して七十歳を限定としたものをだんだんと年齢を若返らせる時期が来ておると思うのですが、現在の賞勲局の人員でこれが足りるのかどうか。基本的には栄典法をつくって、全国民国会で与野党が納得するかっこうで法律をつくって、それに基づいてやることが憲法七条の忠実な履行であると思うのですが、この点は最終的には政治的な発言として国務大臣、その前は賞勲局長の御答弁をもって私の質問を終わらしていただきます。
  127. 岩倉規夫

    ○岩倉政府委員 春、秋の叙勲の年齢の問題でございますが、第一回のときは八十歳、第二回七十五歳というふうにだんだん下げてまいりまして、第三回は七十歳まできたわけであります。戦後二十年間ストップになっておりました叙勲を、長老の方々がたくさんいらっしゃいますものですから、高年齢からやっておりますけれども、一部肉体的な勤労の方々につきましては、六十五歳あるいは今回は五十五歳というふうに、年齢を引き下げてまいっております。戦没者につきましては、二百万人戦死者がいらっしゃいまして、これらの方々の御遺族の心情を思って、できるだけすみやかに叙勲いたしたいというふうに考えておりまして、ただいままでのところ、約四十万の方々を済ませております。四十一年度は毎月三万五千ずつの方々を御叙勲申し上げて、当初は五年計画ということを考えておりましたけれども、最初のころは多少人数が出てこなくなったということもございまして、五年あるいは六年というようなところをめどに戦没者はいたしたいと考えております。
  128. 安井謙

    安井国務大臣 栄典法の制定も考えねばなるまいかと思いますが、いまの叙勲につきまして、お話のように、できるだけ広い視野から納得のいく標準をきめるという方針のもとに、今後そういった問題も検討さしていただきたいと思います。栄典法を含めまして検討するということでございます。
  129. 木村武雄

    木村委員長 これにて本案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  130. 木村武雄

    木村委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  総理府設置法及び青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  131. 木村武雄

    木村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  132. 木村武雄

    木村委員長 この際、岩動道行君外二名より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  本動議を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。岩動道行君。
  133. 岩動道行

    岩動委員 ただいま議題となりました、自民、社会、民社三党共同提案にかかる附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    総理府設置法及び青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案  在外財産問題の処理については、速かに結論を得るよう、政府において特段の努力を傾注すべきである。  右決議する。  決議案の趣旨につきましては、先ほど来の各委員質疑応答を通じてすでに明らかにされたところでありますので、説明を省略いたしますが、何とぞ御賛成をお願いいたします。
  134. 木村武雄

    木村委員長 本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  135. 木村武雄

    木村委員長 起立総員。よって、本案は岩動君外二名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、安井総務長官より発言を求められておりますので、これを許します。安井国務大臣
  136. 安井謙

    安井国務大臣 在外財産問題の答申につきましては、かねてから政府もその促進を志してまいりましたが、今回当委員会の御決議の趣旨に沿いまして、さらに一段と促進をいたしてまいりたいと存じます。     —————————————
  137. 木村武雄

    木村委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  139. 木村武雄

    木村委員長 次会は、来たる二十二日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十四分散会