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1966-03-11 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十一日(金曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 岩動 道行君    理事 辻  寛一君 理事 藤枝 泉介君    理事 大出  俊君 理事 田口 誠治君    理事 山内  広君       臼井 莊一君    江崎 真澄君       海部 俊樹君    野呂 恭一君       藤尾 正行君    堀内 一雄君       前田 正男君    三原 朝雄君       湊  徹郎君    村山 喜一君       楢崎弥之助君   米内山義一郎君       受田 新吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第二部長)  真田 秀夫君         人事院事務官         (職員局長)  大塚 基弘君         総理府総務副長         官       細田 吉藏君         総理府事務官         (人事局長)  増子 正宏君         総理府事務官         (中央青少年問         題協議会事務局         長)      赤石 清悦君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  井原 敏之君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    財満  功君         防衛庁事務官         (防衛施設庁労         務部長)    江藤 淳雄君         外務政務次官  正示啓次郎君         外務事務官         (大臣官房長) 高野 藤吉君         外務事務官         (アジア局長) 小川平四郎君         外務事務官         (北米局長)  安川  壯君         外務事務官         (中南米・移住         局長)     廣田しげる君         外務事務官         (経済協力局         長)      西山  昭君         外務事務官         (条約局長)  藤崎 萬里君         外務事務官         (国際連合局         長)      星  文七君         外務事務官         (情報文化局         長)      新関 欽哉君  委員外出席者         防衛庁書記官         (長官官房法制         調査官)    安田  寛君         防衛庁書記官         (防衛局第一課         長)      井口 孝文君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 三月十日  中小企業省設置法案中村重光君外十八名提出、  衆法第二〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)  在外公館名称及び位置を定める法律の一部を  改正する法律案内閣提出第二九号)  在外公館に勤務する外務公務員給与に関する  法律の一部を改正する法律案内閣提出第八三  号)  総理府設置法及び青少年問題協議会設置法の一  部を改正する法律案内閣提出第七五号)      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  外務省設置法の一部を改正する法律案在外公館名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 大臣冒頭に承っておきたいことが一つあるのですが、ベトナムグエン・カオ・キ政権なるものはアメリカかいらい政権だ、こういう認識をしていいかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  4. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 われわれは、かいらい政権だとは思っておりません。
  5. 大出俊

    大出委員 ところで、横山特使なる方が、この新聞で見ると、あす出発なんですから、二月十八日出発をされたわけになる。この方は資格は、正式に申しますと、一体どういうことになりますか。
  6. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 外務省顧問、そして海外出張中は大使称号を用いてもよろしい、こういう許可を与えております。
  7. 大出俊

    大出委員 そのこともちょっとはっきりしないのですが、私、いま二つ質問したのですけれども一つベトナムグエン・カオ・キ政権なるものはかいらい政権だと認識していいかという質問をしたら、われわれはそう思っておらない、こういう御答弁ですね。ところで、横山さんの資格はという質問をいたしましたら、外務省顧問であって、外遊中は、いまのお話ですと、大使称号を使ってもいい。ということになると、これは特派大使ということになりますか、なりませんか、どっちですか。
  8. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 それは正確な意味ではそうなりません。
  9. 大出俊

    大出委員 もう一ぺん承りたいのですが、その大使称号を使ってもいいというのは、身分的には——使ってもいいというと、ずいぶん不安定ですが、法律関係はどうなりますか。条文その他説明してください。
  10. 高野藤吉

    高野政府委員 大使には、御承知のとおり、在外公館長たる特命全権大使、それからもう一つ、国際的にいろいろの慶弔、たとえば大統領が就任するとかいう場合お祝いに行くために、特派大使という特別の名称がございます。それ以外に、いろいろ国際会議とか外交要務のために外国に行きまして、外交上の地位と申しますか、待遇を与えるために、普通の大使というのが、名称大使と申しますが、ございまして、今度の横山顧問の場合には、外国大使という名前を使ってもよろしいということになっておるわけでございます。
  11. 大出俊

    大出委員 そうすると、国際会議あるいは外交要務その他でまあ大使という——これは大使になるのじゃないですか。大使と理解していいですね。
  12. 高野藤吉

    高野政府委員 さようでございます。
  13. 大出俊

    大出委員 どうやらそれでまあはっきりしたと思いますけれども、ところで横山さんが三月四日に、外電の伝えるところによりますと、パリに入られてからいろいろフランス要人、たとえばクーブドミュルビル外相あるいはマナク・アジア局長ショーベル国連大使というような方々とお会いになって、そのあと記者会見をされておりますね。この記者会見の中で、ベトナムグエン・カオ・キ将軍政府は、私としては米国のかいういにすぎないと考えている、こういう発言をされておりますね。これは御存じのとおりだと思うのですが、まずもって御承知かどうかを承りたい。
  14. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 発言を行なっておるということを新聞で見たのでありますが、その後公電によりますと、横山氏がフランスの官辺及び中立系ベトナム人パリにおいて接触をして、その結果得た印象として、これらの人々考え方は、南ベトナム政権アメリカかいらい政権であるという考え方をしておるという、自分意見ではなくて、これらの人々に接触した印象として述べたというのが真相でありまして、自分考えを述べたのではないということがはっきりいたしました。
  15. 大出俊

    大出委員 そう簡単にはいかないので、私は、共同通信外電あるいは毎日その他幾つかこの問題に触れた外電を調べてみたわけです。だれかと言ってしまってもどうかと思うのですが、外務省から共同通信に対して、そこのところの外電の最初の電文の修正方といいますか、よくやる手なんで、これはあたりまえのととのように思いますけれども、そこのところだけはうまくないから、ひとつよろしく取り扱ってくれというような形の話があって、共同のほうは次の外電から変わった内容になって入ってきておりますが、ほかのほうはそのまま入ってきているのがある。こういうかっこうになっていますが、その辺のことについて御存じですか。
  16. 高野藤吉

    高野政府委員 いま大臣が御説明申されたとおりでございまして、共同を直すということは東京では聞いておりませんが、現地でこれは間違っているからということはあり得ると思います。要するに、真相大臣がおっしゃったとおりで、聞き違いないしはそこがおかしいじゃないかという注意を与えたことはあるかもわかりませんが、しかし、私はそれはつまびらかにしません。
  17. 大出俊

    大出委員 あなたがそんなことを言うと、これは問題になりますよ。事実人間がいるのだから、そんなことを言っても。それじゃもう少し詳しく話しますが、私はこれは非常に大きな問題だと思うから、大臣に直接承っておるのですが、パリから入ってきている外電の中で、私もずいぶん詳しく調べてみたのだけれども名前を言ってもいいけれども、ある記者横山さんのこの発表に対して非常に心配をされて、日本記者ですから、あなたそういうことを言っていいのですかというので念を押しているわけですね。この外電そのままでいけば、ころなっているわけです。そのあとで「私個人としては」という発言をあえてして、そして南ベトナムグエン・カオ・キ政権アメリカのかいらいだということを言い切ったわけですね。そこで日本記者が、あなたがそういうことを言うと、大使なんだから、たいへんな国際的な問題になるからいいんですかと言ったら、私は日本を出るときに十分そこのところを話し合ってきているのだ、こういうふうに言って、ついに取り消されなかった、そこまで明らかになっている。しかも、それを聞いた記者名前もはっきりしている、こういうことなんですよ。私は、ここで横山氏のことを妙なふうに扱おうとは思わない。だから、さっきからあなた方のほうでものの言いやすいように私は言っているのです。ところで、そのような事実が現にあるわけですよ。これは身分を聞いているのですけれども大使だということになるとすれば、その簡単に見のがせない問題だから、私はあなた方の考え方をはっきりさしておきたい。将来滞在日程もあるようだから、そこのところはどうですか。
  18. 高野藤吉

    高野政府委員 先ほど申し上げたとおり、パリにおける経緯はそうでございまして、しかも最近ロンドンで、そういうあれが出ているけれども、あれはパリにおける自分のいろいろ会った人の印象をまとめたものであって、自分個人意見でないとロンドンで言っておられますから、本人意見を尊重すべきだと思います。
  19. 大出俊

    大出委員 そうしますと、そのあと外務省としては本人といろいろ連絡をとっておる、こういうことになりますね。
  20. 高野藤吉

    高野政府委員 新聞でそういう報道があるから言動に注意しろということは言っております。
  21. 大出俊

    大出委員 東京新聞の側からいきますと、「グエン・カオ・キ政権米国のかいらいで、南ベトナム国民を代表しているとは考えられない。南ベトナム国民はいま完全なツンボさじきに置かれている。このような政権がたとえ新ジュネーヴ会議にのぞんでも話し合いがつく可能性はまずあるまい。ベトナム国民としては和平への機会が訪れるまでに北ベトナムとも話し合える真に南側を代表する政府を樹立するよう心がけるべきだ。」ここまで東京新聞に出ているのです。これは日本人の目にみんな触れている新聞記事です。四十一年三月四日の新聞です。このほうは東京新聞、これは外電が違う。こちらのほうは毎日新聞、これはパリ三好特派員が送ってきているものがありますよ。そうなると、このことをいまあなたが言うように簡単に、どこかの人がロンドンに行ったときに新聞に出ていたから聞いてみたら、全く個人意見ではなくて、聞いた印象だと言ったというけれども、それに信が置けますか。
  22. 高野藤吉

    高野政府委員 私のほうは、そういう報告を受けておりますので、それに信を置かざるを得ません。
  23. 大出俊

    大出委員 あなたにいま私が、本人連絡をとりましたかと言ったら、とっていないとはっきり言った。とってないならわかるはずがないでしょう。君、何でそうなったのかと聞いたら、ロンドンに行ったらそういうことが新聞に出ておるから、あれはベトナム中立系その他の要人に会った印象だと言った。あなたは連絡をとっていないと言ったでしょう。そうであるなら、どうしてそんなことがわかるのですか。
  24. 高野藤吉

    高野政府委員 私のことばが足りなかったから誤解を与えたかもしれませんが、新聞にこういうように報ぜられておるから、ことばに気をつけてという訓令と申しますか、電報は出しましたし、現地におけるその当時のいきさつと申しますか、横山大使のことは大使館から報告を受けておりますということでございます。
  25. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 いまちょっと抜けておるととがありますから……。これらの要人なりあるいは中立系ベトナム人と接触する場合には、常に大使館から書記官がついていっております。記者会見のときももちろんついていっておるのでございまして、そのときの横山大使発言をそのとおり大使館のほうから通報があったわけですから、間違いないのであります。
  26. 大出俊

    大出委員 幾つ新聞があるわけですよ。外電幾つも入ってきておる。共同が入って、毎日その他が入ってきておるわけです。だれが打ってきたかという、電報名前まで書いてある。それがまさかでたらめを出すわけじゃない。しかも一人で聞いたわけじゃない。あなたもパリに行って見たわけじゃない。東京新聞が詳細に載せておる外電内容らいきますと、さっき私が読み上げたように、グエン・カオ・キ政権ベトナム国民を全部つんぼさじきに置いて、全くアメリカのかいらいだ。だから、平和交渉をやるという意思を持つ限りは、真に南ベトナム住民を代表する政府をつくらなければいけない。こう言い切っておる。もう一つ申し上げますが、これは非常に大きな問題だけれども、「米国平和交渉という前にまず紛争当事者である北ベトナム、ベトコンと真剣に交渉すべきである。」こういうものの言い方です。さらに、「しかし米国グエン・カオ・キ政権をもり立てている限りインドシナにかんするジュネーヴ協定に基づく平和の機運はもり上がらないだろう。」こう言い切っておるわけです。けさ南ベトナムの第一軍司令官解任をしたという新聞記事が載っております。この新聞記事けさ私、電車の中で読んできたわけですけれども米軍の絶対的な援護のもとに、飛行機までサイゴンの上空に飛ばして、この第一軍司令官、つまり勢力が同等だといわれるライバルを解任をしたわけでしょう。非常に政情不安定になっておるわけです。そうなると、横山特使がこういう発言をしたという点について、さっきの身分らいくと外務省責任なしとしない。責任なしとしないということとあわせて、いま横山大使が述べておるこの種のことについて、三つ申しましたが、外務大臣、あなたは一体どういうふうにお考えになっておりますか。
  27. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これはフランス要人及びベトナム人中立系連中に次から次に会ったその印象として述べておるのであって、横山大使自分意見はこうであるというようなことを、それは気違いでない限り、そんなことを言うはずがない。この問題について、どうすれば問題の解決がつくか、とにかくあらゆる機会あるいは人間のルートを通じて和平の道を探索するという、その糸口をつかむ意味において自由に行動してきてほしいということについては十分に話し合って行っているのですから、それを出先でまるで断定的なことを自分意見として言うはずがない。これはもう、もしそんなことを言うとすると、全くそれが事実であるとすると、これは横山大使人選したその根本にさかのぼって問題がある。私はそう思います。しかし、こういうことは私はあり得ないと思うし、多くの人に会った印象はこうであったということを、いろいろ質問をされて、それをそのまま話したということは、これは確かな筋だと私は確信をしておるわけであります。大使館としてもそういろ確信に基づいて公電を打ってよこしたのですから、まあ私どもはこれを信頼しておる。また、いまあなたの言われたようなことは、もうほとんどあり得ない、普通の常識を備えた人間なら、そんなことを言うはずがない、私はこう思います。
  28. 大出俊

    大出委員 気違いでない限りと、こう言われるのですが、気違いなど大使なんかにしたらえらいことになる。そんなばかげた話はないことになるのですが、幾ら否定をされても——もう一ぺん読みますが、これはパリ三好特派員が送ってきた外電、これを私は調べました。ここに第一に「南ベトナム政府米国かいらい政権だから、その出先と会ってもたいして参考にはならないと考えている。」こういうふうに述べて、私個人としてはグエン・カオ・キ政権米国のかいらいにすぎない。こういうふうに述べた。それから「記者団から「グエン・カオ・キ将軍政府米国のかいらいにすぎない」という言明について、懸念が出されたが、同大使は「私個人としてはそう思っている」と述べた。」こう書いてあるのですね。いいですか、これは私が調べてみたところが、これは日本人記者だから非常に心配した。日本記者だけ聞いたのではないのだから、心配をして、大使、あなたはそういうことをおっしゃってだいじょうぶかということを念を押した。それがここに言っておる懸念が出された、ここに書いてあるとおりです。そうしたら、おれは出てくる前に十分相談をして来ているのだから、そんな心配はない、こういうふうに言った。私のほうから新聞社を通じて調べてもらったら、こういうわけですよ。そうなってくると、あなたは、言うはずがない、言ったとすると気違いだと言うわけですから、まさに気違いだ、言ったのだから。即刻横山大使をやめさせたらどうですか。どうですか、大臣
  29. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういう事実を私は信ずるわけにいかない。
  30. 大出俊

    大出委員 信ずる信じないの問題じゃない。事実を信じないという、事実を信じなきゃ、あなたどうするのですか。
  31. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 大使館責任のある公電を私は信じております。
  32. 大出俊

    大出委員 それじゃあなた方は出先でこういう人が何を言っても、事実幾ら言っても、それが事実であってもあなたは信じない、こういうことじゃ、そういうのを因業というのです。
  33. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 公電を私は信じております。
  34. 大出俊

    大出委員 それじゃ公電はどうあったのですか。
  35. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 公電は、私が先ほど申し上げたように、フランス要人あるいは中立系ベトナム人の数人に会った印象はこうこうである、それらの連中考え方がこうである、こう言っているのですから、横山自身意見ではない。
  36. 大出俊

    大出委員 大臣、これはあなたはそう答弁をせざるを得ないだろうとは思う。私の言うことを認めたら、えらいことになる。すぐ呼んでこいということになる。だから、それは認められないだろうと思うけれども、事実として存在をする。しかも特派員が事実を認めて、聞いて書いて電報を打ってきている。それに対して、共同の分については外務省からクレームらしきものがついている。どう言われたという話が書いてある。そうなってくると、御心配のほどはわかるけれども、この点についての責任ある措置をあなた方はとっていただかぬと、これはやはり国際問題なんだから。あなた方がそのとおりだと認定され、認められるならそれでいいですよ。ただ、私が冒頭にあなたに聞いたら、そう思っていないとおっしゃるのだから、外務省として責任ある立場でそう思っていないのに、外務省顧問であって、かつ大使の任務を持っておる方が、かいらい政権だということを言い切る、こうだとすれば、これはあなた、当面はともかくとして、しかるべき打つべき手を打たなければ、国際的にたいへんな誤解を生みますよ。そこのところはどうなんですか。
  37. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私どもは、あくまで大使館公電を見て判断する以外にない。それによると、これは横山当人考え方でなくて、いろいろな中立系連中に会って話し合ったその印象がこうであったということを言っているにすぎないということが、はっきりしたと通報されておるのであります。それによって私はお答えしておるわけです。
  38. 大出俊

    大出委員 もう一つ聞きますが、こういうことがありましたか。二月十七日の日本経済新聞ですが、出発の前の日の夕刊に、「あす出発」と、こういうわけです。これによりますと、佐藤総理の口ききで、和平への火を絶やさぬようにというわけで、好機がきたらわが国もフランスその他と一緒になってベトナム平和解決ということに努力しなければならぬ、そういう意味特使派遣だ。何もしない日本外交という世論の非難を封ずるための国内対策という思惑も含んで考えた。これに対して外務省は、同特使に期待をかけるのは無理だという冷淡な見方を隠そうとしない。こう書いてある。あなた方は隠していない。この見方の背景には、特使人選の際、同省が必ずしも適任とは見ていなかった横山氏が、首相周辺の強い推薦できまったという経緯もからんでいる。しかし、同省の指摘するように、むずかしい交渉を本気でまとめたい場合に、鳴りもの入りではでな特使派遣をすることは、相手国の反発を招くおそれがあるというようなこと、それから北爆再開後だから、タイミングが悪いというようなこと、いろいろこう書いてありますよ。だから、横山特使は、首相官邸外務省の感覚の差のまん中にあって本人も非常に悩んでいるということを最後に書いてある。こういういきさつ、こういうことが出発の前の晩に新聞に出ていた。さて、パリに行ったら、こういうことを言い出して、しかもあなたは公電だけしか信じないじゃないか。こういう外交のやり方、あり方ということについて、あなた、大臣としてどうお考えになりますか。
  39. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 公電と反対のことを信じようがない。  それからいまの前の晩のいろんな新聞記事は、これはもう推測記事でありますから、何を書こうとごかってでございますけれども、さようなことはございません。
  40. 大出俊

    大出委員 それじゃあなたのほうは、この問題について、横山大使に対して、私がいま申し上げたようなことを日本新聞に全部詳細に出ているのですから、この真相について正式にあなたのほうで確かめる、私はその責任があると考えるのですが、そこのところはどうですか。
  41. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 なお必要とあれば、その真相パリ大使館をして調べさせ、報告をさせたい、こう考えております。
  42. 大出俊

    大出委員 必要とあらばなんということじゃなくて、この内容を見たら、特派大使なんだから、正式な佐藤総理のお声がかりで行っている大使なんですから、こういうふうに国際的に流れていれば、東京でしゃべったことが三十分もすればサイゴンで発表されるという世の中なんだから、当然これは外務省としてはいままでに尽くすべき手は全部打たれていて、公電なんていうことでなくて、あなたのほうからやはり正式にこうだああだという形の正確なものの言い方で明らかにしておく責任があるのじゃないですか、初めから。いまごろになって必要とあればなんてないでしょう。
  43. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 とにかく横山大使意見としてでなくて、受けた印象を取りまとめて話したというのが、真相でございます。それ以上は、いま調べる必要はないと私は考えております。ただしかし、後日のなににもなりますし、いろいろな参考資料として、なおこれを中心とした周辺事情をできるだけ調べておくように適当な機会に指示を与えておこうかと思いますが、とにかく問題は、そういったようなことが横山大使意見であるかどうかということがポイントであります。その問題だけを私は調べて、そしてこれに対して南ベトナム政府に対しても十分に事情を説明をしておいた、こういう状況であります。
  44. 大出俊

    大出委員 先ほど大臣答弁された中に、そういうことを言ったとすればこれは気違いだろう、さもなければ人選が間違ったということになる、こういう話をされた。いま新聞は何言ってもかまわぬとあなたは言うけれども、そんなものじゃない。そんなことを言ったら、新聞記者さんおこりますよ。火のないところに煙は立たないのだから、全く架空の記事を書くはずはない。あなたも、いみじくもさもなければ人選がということを口にされる。外務省と首相側近との間で人選についてさんざんもめている。外務省のクラブの人たちは、みんな知っている。だから一前日の新聞に載った。あなたの先ほどの答弁も、ずいぶん冷淡な答弁ですよ。こんなことを言うとすれば気違いだというところから始まって、さもなければ人選の間違いだというのだから。そうでしょう。そういうことでは困る。それだけでは済まない。日本外交のきわめて重要な一環なのだから。だとすれば、やはりいまあなたが言われるように——これからまだあと滞在日程があるのでしょう。まずそこから聞きましょう。滞在日程はどのくらいあるのですか。どこを回るのですか。
  45. 小川平四郎

    ○小川政府委員 約三カ月の予定で出発なさいましたから、まだ一カ月半ほど、もとの予定は残っております。
  46. 大出俊

    大出委員 三カ月のうちの半分の一月半でこれだけの放言を至るところでやってしまっているのだから、そうでしょう、そうだとすれば、あと一月半で何が出てくるかわからぬじゃないですか。そのたびに公電しか信用しない、こう言ったって、それじゃ世の中おさまらぬ。あと一カ月半あるのだとすれば、先々外務省のここで答弁をされる皆さんの言い分と外地から入ってくる外電に乗っかってくる横山さんの言い分とが、まっ正面から食い違うようなことをさしおいていいことにはならぬでしょう、大事な責任がある政治の立場からすれば。その責任はどうなのですか。そういうことのないように、あなたのほうではそれ相当の措置をとってしかるべきじゃないですか。
  47. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 いままで誤解を生んだことは、全く事実に反するということがはっきりしております。でありますから、横山君がその任にたえる人で、その行動をとっておるものと私ども考えておる。しかし、とかく誤解をされるようなことは、これは近づかないほうがいいのでありますから、そういう意味において、言動については今後とも気をつけてくれという注意はいたしてあります。でありますから、今後の一月半が二カ月になっても、そういう非常識な言動はしないはずです。十分に使命を達して帰ってくるものと信じております。
  48. 大出俊

    大出委員 あげ足をとりませんが、そういう非常識な言動はしないはずとなると、したから、してはいけないと言った、したがってしないはずだと、こうなるのだけれども、それはとにかくとして、ともかくあと一月半、しかも相当な地域にわたって北ベトナムのほうとも接触をしたい云々と言っているわけですから、これだけ重要な国際的な、しかも平和の問題の中心課題、ここに接触を保とうとしている人ですからして、勘ぐればいろいろなことが考えられるんだけれども、これは慎重にあなた方のほうが対処すべきですよ、当然。ところでひとつ承りたいのですが、そういう御注意をされたのはいつですか。
  49. 高野藤吉

    高野政府委員 それが新聞に報ぜられまして、それから公電が参りまして、新聞では間違ったというか、違ったことが報道されているから、言動は今後とも注意するように指示したわけであります。
  50. 大出俊

    大出委員 それでは、あなたのほうは、さっき連絡を全然とらないというんだけれども連絡はとったわけですね。
  51. 高野藤吉

    高野政府委員 連絡をとらないとは絶対に申し上げません。公電が来ている、それから指示してある、そういうことを申し上げました。
  52. 大出俊

    大出委員 そうしますと、途中で聞くようで恐縮だけれども心配だから聞くのです。明らかにしていただきたいのですが、ここに載せられている内容というのは、さっき読み上げましたように、きわめて具体的なのですね。グエン・カオ・キ南ベトナム政権米国かいらい政権だ、国民はつんぼさじきだというところから始まって、平和交渉を前提としてものを考えるなら、このグエン・カオ・キの南ベトナム政権というのは国民の政権に、国民を真に代表する政権にかえなければだめだと言い切っている。それらのことを逐一あなたのほうは、そういうふうに伝えられているが、そう言ったのかどうかということと、言わないとすれば、そういうふうな誤って受け取られやすい言動を云々することは将来どうとかいうふうに、具体的にこれを指示しなければ指示にならぬでしょう。そこらあたりはどういうふうになっていますか。
  53. 高野藤吉

    高野政府委員 先ほどから申し上げておりますように、横山大使現地における会った人の感触を述べられたので、それが個人意見として伝えられているから、今後とも言動に注意しろ、そういう指示をしておるわけです。
  54. 大出俊

    大出委員 外務大臣、それはほかならぬ、先ほど来申し上げている当面の日本外交の非常に中心的な一つの問題点ですから、あと一カ月半もあるのだというならば、その一カ月半に行かれる先々についても、十二分にひとつ配慮をしておいていただかぬと、食い違いが起こるとわれわれも迷惑しますから、そこらのところを確認をいたしておきたい。いいですね。  もう一点、これは防衛庁の方おいでになったようですから、大きな意味でひとつ外務省の皆さんのほうにも私のほうからお願いを申し上げておきたいことがあるのでありますが、ベトナムの野戦病院、つまりベトナムの負傷者を日本に連れてきて入れている病院は、どのくらいあって、どのくらいの病床——病床と聞きますから、どのくらいの病床だというようにお考えになっておりますか。
  55. 財満功

    財満政府委員 お答えいたします。私どものほらに米側から通報が参っておりますのは、ジョンソン飛行場、それからキャンプ王子、岸根兵舎地区、米陸軍医療センター、キャンプ朝霞の五カ所でございます。ジョンソンにつきましては五百ベッド、それからキャンプ王子については千ベッド、岸根兵舎地区につきましては千二百ベッド、米陸軍医療センターにつきましては三百五十ベッド増設ということであります。キャンプ朝霞につきましては千ベッドということに通報を受けております。
  56. 大出俊

    大出委員 ちょっと計算しにくいのですが、合計どのくらいですか。
  57. 財満功

    財満政府委員 四千五十ベッドになります。
  58. 大出俊

    大出委員 私は横浜の出身なんですが、横浜の相模原、それから岸根、三百と五百ぐらいだと思いますけれども、二つある。それで、これは前々からその周辺に、私は岸根のほうに近いところにおるせいもありますが、運び込まれた云々ということで町じゅうのうわさになっているわけです。おまけにこれは病院でないものを改造したのです。岸根の場合は病院でない施設を病院に改造したのですから、その意味で、どういうふうに収容しているのかという、周辺地域の非常な心配もあるわけです。最近、静岡の三島病院の、例の副院長までおなくなりになったというチフス等の新聞記事が出まして、これは問題が違うのだけれども、またまた町の方々が相当な不安を感じているわけです。私のところに、入国にあたっての検診はどうなっているのですかと言うから、いや地位協定の関係で権限がないと言った。ところがこれはペストだの、コレラだの、発しんチフスだの、つまり東南アジアからくるわけですから、そういう罹病率の非常に高いところから帰ってくる兵隊さん、しかも負傷されているということになると、これはその周辺地域にどういう被害が及ばないとも限らない。しかも入国にあたっての検診その他についても、日本責任ある行政官庁の手が及ばない、こうなっているのだとすれば、これはどういうことになるのだということで、非常な不安があるわけですね。これは相模原の市会でも問題になっていますし、横浜でもそうです。県でもそうです。だからそこらあたり——実は私は、これは国防省の関係がありますから、主として防衛庁のほうではあると思うのだけれども、防衛庁のほうというのはある意味では事務的になってしまう、政治的な面ではなかなか手が打ちにくい、これが、私の防衛庁の皆さんとやりとりしてきている現実ですよ。してみると、外務省という立場も含めて事に当たっていただかないと、どうしても心配が残るという意味で、私はこの席で承りたいわけなんですが、そこらの町の庶民の心配について、あなた方のほうはどういう方法をお考えになっておりますか。
  59. 安川壯

    ○安川政府委員 ただいまのお話は、主として検疫の問題に関係があると思いますので、私からお答え申し上げますが、検疫につきましては、わがほうと米側との間に前々から取りきめがございまして、検疫をするというたてまえになっております。ただ、やり方としましては、日本の普通の港あるいは飛行場に着く場合には、厚生省の検疫官が直接一般の日本人あるいは外国人等の入国の場合と同様の検疫をすることになっております。ただ、飛行場なり港なり米軍の施設に直接入ります場合には、あらかじめ厚生省の検疫官と米側の検疫官の方が打ち合わせをしまして、一応米側の検疫官が検疫をやりまして、その結果についてもし日本側の検疫上に問題が生ずる場合には、日本側の検疫官と先方の検疫官が相談をしまして事後の措置をきめる、こういうことになっております。でございますから、実質的には、検疫につきましては一般の入国者と同様な取り扱いにするということになっております。
  60. 大出俊

    大出委員 検疫権があるとおっしゃるのだけれども、そう確認していいですか。
  61. 安川壯

    ○安川政府委員 でございますから、一般の日本の港に入る場合には、日本側が直接検疫をするわけでございます。ただ、直接米軍の施設に入ります場合には、向こう側の検疫官がかわって検疫をする。実質的には、日本の検疫法がそのまま適用されておると同じ状態にあるわけであります。
  62. 大出俊

    大出委員 昭和二十七年五月の日米合同委員会で日米両国が承認をした、日米行政協定に基づく——当時行政協定ですからね、新協定ではございませんから。日米行政協定に基づく合衆国軍隊の構成員、軍属、家族、船舶及び航空機の出入国に関する取りきめ、この中で、米軍への提供施設、同水域内では、米軍責任を持って検疫を行なうよう規定されているということでしょう。その意味では日本側の検疫権は認められていない、こういう解釈になるのですがね。はっきりそういうふうにしておいていただきたい。そうでないと、あなたの言うのはきわめてあいまいだから。日本の規定で同じようなことをやっているのだというけれども、これでいけばないのですよ。ないということを明らかにしてください。
  63. 安川壯

    ○安川政府委員 純法律論から申しますと、地位協定上、たとえば米軍の出入国につきましては、一般の日本の出入国の法令は免除されておるわけでございます。しかし、この検疫という問題は、法律論を離れまして、やはり日本の公衆衛生と申しますか、そういうことと密接に関係がございますので、ただ出入国の手続を免除するだけでは済まされませんから、実質的には日本の検疫官が実施するのと同じ措置を、合同委員会の合意としてとっておるわけでございます。でございますから、純法律論としましてはないと申してもいいと思いますけれども、実質的には適用されていると同じ状態にあるということでございます。
  64. 大出俊

    大出委員 私は、県の渉外部その他を通じて調べた。ない。明確にこれは米軍と話し合ったが、ない。ないから、あなたは法律論を離れてと、こうおっしゃるが、そこらを明らかにしておかぬと、町の中に誤解を生むのですよ。ないものはないでいい。なければ、しからばどうするか。いまおっしゃるように、手続がないという上に立って、しかしそれでは事が済まない、そういう性格のものだということをあなたはおっしゃっている。だから、純法律論を離れてと、こういう御答弁をいまされておるわけでしょう。もし何かが起こったら、必要以上に何もアメリカはけしからぬという言い方を町に植えつけなくてもいいのだ。そうでしょう。してみると、出入りの商人もいれば、従業員もいれば、駐留軍の労働者もいる。どういう間違いが起こるかわからぬ。もし何かその近くの町に罹病患者でも出て、経路をたどってみたらそこだったということになったら、えらい騒ぎになる。一ぺんでどけてくれと大問題になる。ですから、そうだとすれば、ないものはないとして、法律論を離れて、しからば何とかしなければいけないのだというならば、いけないのだという範囲におけるどういう措置をか責任ある立場でおとりにならなければいかぬでしょう。これは何かおやりになっていますか。
  65. 安川壯

    ○安川政府委員 それでございますから、日本の港に入るときには、厚生省の検疫官が検疫するわけでございます。それから米軍の施設に直接入るときには、米軍の検疫官が日本側にかわりまして検疫をしまして、そのときに問題がある場合には、わがほうの厚生省の検疫官と事後の措置を相談するわけでございますから、そこで実質的にはベトナムから入ってくるほかの外国人と同じ取り扱いを受けるわけでございます。  それから御参考のために申し上げておきますが、過去におきましても、そういう検疫法という問題を離れまして、たとえば台湾にコレラがはやったというような場合には、向こうが自発的に台湾に寄港した軍艦は日本に入港させないという措置をとっております。それから今回の病院につきましても、米軍の参謀長が私のところに直接手紙をよこしまして、検疫については万全の措置をとるからということを念のために言ってきておる、こういう状況でございます。
  66. 大出俊

    大出委員 ところで、皆さんのほうは、これだけ数あるベトナム野戦病院と称せられているところについて、どなたか行って直接ごらんになったことがありますか。
  67. 安川壯

    ○安川政府委員 厚生省の担当官のほうであるいは見に行かれたことがあるかもしれませんが、外務省として直接見に行ったという事実はございません。
  68. 大出俊

    大出委員 厚生省と連絡の上でしかるべく措置をとっておくのがほんとうだと私は思うのですが、そこらは大臣どうお思いになりますか。
  69. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御指摘のとおりだと思います。
  70. 大出俊

    大出委員 お認めになりましたから私は申し上げるのですが、岸根、相模原に関する限り、厚生省のほうから直接どなたか出かけていったという話は聞いてない。ただし、私どもやかましく言って、県から渡辺という、課長さんだと思いますけれども、行って見てもらった。つい最近です。たしかきのうかおとといかになりますが、それで一応の事情はわかりかけている。しかし、それでは地域は納得しない。何とかこれはもうちょっと責任ある国の立場で、実際に調べてみたがこうこうこういうことになっておるので心配はない、そういう責任ある立場で処置をしていただかないと、国民的な問題ですから、そこらあたりをどういうふうにお考えになっているか、承っておきたい。
  71. 安川壯

    ○安川政府委員 周辺の方々に不安を与えるということはたいへん望ましくないと思いますので、さらに厚生省と十分打ち合わせをいたしたいと思います。
  72. 大出俊

    大出委員 私は、実はこの委員会理事会その他で御相談をいただきたいと思っていた問題なんですが、先ほどお答えがありましたように、四千何百病床でしょう。人員に触れますと、これは米軍との関係の問題ですから、たいへん皆さんに御無礼に当たるので念を押しておきますが、岸根の状態は、この病床に入り切れぬのですね。しかも全部仮設です。病院じゃないところでやったのですから。そうしますと、それだけに施設も不完全ではないかということもあったりいろいろするのです。そこで県の衛生部の渡辺という予防課長さんが、米軍の第一〇六総合病院、これが例の港北区の岸根ですが、そこに行かれて、日本側の衛生監視がノータッチになっていたのでは地域住民の不安もあるということから、それらに努力をされているわけです。このリードという岸根の病院長さん、中佐の方ですが、つい最近やかましくなりましたので、この方々に案内を求めて、一応は見て回っている。ところが、フィリピンで治療をやっていたのだけれども、どうにも手に負えない、そういうことで日本に運び込んだんだ、こういうことなんですね。そこで、これは患者を一応特別病棟というのに二週間隔離をしてみて、はたして発病するかしないかというようなことを二週間の期間を置いてみて、それから一般病棟に移す、こういうことなんですよ。ところで隔離病棟をつくって、そこで数日の経過を待ってみるなどという措置をとっていることは、入港のときに一応の、例の検疫はするでしょうが、それだけで確信が持てない。したがって隔離をして、しばらく、二週間なら二週間の期間は様子を見て、それからというようなことになると、病菌云々の危険がなきにしもあらずということで、そういう措置をとっておる、こういうことになるわけです。そういうふうな記事が出てきますと、危険があるから隔離病棟か何かに入れておくのだということになってしまう。ですから、それは県の予防課長さんが苦労して行ってごらんになったということだけで、あとはないのです、そういうことではなくて、やはり外務省なりあるいは関係のある防衛施設庁なり、さらに担当の厚生省なりというところで御相談をいただいて——これが減っていってやがてなくなってしまうならいいですよ。ところが、いまの、状況を見てみますと、この岸根の病院に入り切れぬ状態です。それで仮設ベッドを別のほうにつくったということになっておる。そうなると、これは将来に向かってふえるととはあっても減らない。いま四千何百という病床もふやさなければならぬということになるかもしれない。そうなると、政治的な問題は別として、これらの点については、本来ならば担当委員会、内閣なら内閣から厚生省の人を連れていって一緒に見てきて、こうこうなんだ、万全の措置でだいじょうぶだという責任をとった姿を明らかにしないといかぬと思っておるぐらいなんです。だから、そういう意味で、御答弁としてはわかるけれども、そういう責任ある措置について、外務大臣がおられるので、あえて私は質問しておるのですけれども、国防、国務両省の関係がいろいろあったりいたしますけれども、実は全体的に見れば大きな問題で、対米関係なんですから、そういう意味で、それらのしかるべき措置を早急におとりをいただきたいのですが、外務大臣いかがでしょうか。
  73. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御趣旨に沿うて万全の措置をとりたいと考えております。
  74. 大出俊

    大出委員 それではいまの問題はできるだけひとつすみやかに御相談をいただいて、その辺の点について、地域の住民の心配の種になっておりますから、御連絡賜わりたい、こういうふうに思うわけでございます。  それから先般の衆議院の予算委員会その他で、国連協力云々という玉置さんの質問に対して外務大臣がお答えになったわけなんですが、これをめぐってその後いろいろな場所でいろいろと論議がされてきておりますけれども、時間がたつに従って、新聞あるいは総合誌あるいは雑誌等々に当時のいきさつがいろいろと報ぜられるようになってまいりました。そういう中でどうも少し当時の皆さんの答弁が納得のいかない節がたくさん出てきておるように思うわけでありまして、そういう意味で、私どもの整理の必要もありますから、たび重なる質問だと思いますけれども、そういう角度からお答えをいただきたいと思うわけであります。  私は、松野防衛庁長官にこの問題について質問をいたしました。椎名さんが民社党の玉置さんの質問にあのようにお答えになったが、それは防衛庁が相談にあずかっての上のことではないかという質問をした。ところが、何と松野さんが答えたかというと、椎名さんはあなたも御存じのとおりのお人柄なんで、ああいうことをおっしゃったのだろうと思う、したがって、私のほうはあずかり知らぬところだという言い方をされております。その後のいろいろな資料によりますと、前の晩に松野さんが椎名さんに電話をかけて、あしたはおれのほうに質問がくるのだけれども全く知らぬということに答弁しておくからなどということで、打ち合わせの上でどうもあずかり知らぬという答弁をされたといういろいろな事実が出てきておるわけであります。これは疑惑を招きますから、自衛隊法というのは防衛庁の所管のほうでもありますから、そういう意味で、両者相談の上でおやりになっておるのだと私は考えておりますので、そこらのところをそうならそうというふうにひとつ明らかにしておいていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
  75. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 この問題はだんだん話題として発展してきておりますから、もちろん防衛庁長官とはその後話しておりますが、玉置委員の質問の際には、全く防衛庁とは打ち合わせはいたしておらないのであります。おらないので、私、自分ことばをはっきり記憶しておりませんけれども、とにかく憲法上はいわゆる海外派兵というものに該当しない、武器を取って武力行動に出るというようなことは考えられない、つまり軍事専門的な知識を活用するという趣旨で出かける場合には、憲法上差しつかえないということを法制局も言っておるし、これは問題がない。ただし、自衛隊法は海外の派遣を許さないということに現行法ではなっておるのであります。その問題については変更するということはかなり重大な問題になりますが、しかし、一方において国連の事情というものは、やはり加盟国にそういう要請をするというような段階にもうすでになっておるし、今後もそういうことが予想されるのであるからして、そろそろこの問題については研究しなければならない。研究はしておるけれども、まだ成案は得ていない、こういうことを話したのでございます。
  76. 大出俊

    大出委員 国防会議なんかもあるのですし、これは外務大臣の立場からぼっとそういうふうにあのときの発言をされれば、相当な波紋を呼ぶことは私は当然だと思うのです。そこで、二、三点承っておきたいのですけれども、防衛庁に防衛研修所というのがございますね。防衛研修所というのは何をやっておるのですか。——聞き直しましょう。外務省の官房直属の国際資料調査室、ここは何をやっておるのですか。
  77. 高野藤吉

    高野政府委員 御承知のように、外務省は局別と申しますか、地域別の局がございますが、それ以外に総合的にいろいろ情報を集めて検討しております。
  78. 大出俊

    大出委員 月に一回ないし何回か軍事専門家と言われるような人たちを集めて、核戦略の問題とか、あるいは国連警察軍の問題とか、核軍縮あるいは核武装地帯、あるいは核の拡散防止などというような、当面するいろいろな問題をテーマに、つまり情報の交換、検討などというようなことを続けておられますね。そういうとともおやりになっておりますか。
  79. 高野藤吉

    高野政府委員 外務省は、外交上の関係から、軍縮問題に関連して専門家の意見を聞いております。
  80. 大出俊

    大出委員 先般防衛庁の関係で、ベトナムで飛行機に乗って、そのことが問題になっておやめになったような形になっている方等が、最近いろいろなものを書いたりしておられますが、そういういろいろな面からこまかく読んでみますと、この国際資料調査室なるものと防衛研修所の関係の方々との間は相当に密接である、しかも、いま私が例にあげました方なども、国際資料調査室などのいろいろな会合に出席されて、中心的な役割りを果たされている、こういう事実がある。そうなりますと、防衛庁の研修所、それから外務省の官房直属の国際資料調査室、この関係には常時密接な連絡が保たれて今日まできておる。それが当然だと思うのです。防衛庁は防衛庁でかってなことを研究している、外務省外務省でかってな情報を集めておるでは困ると思いますが、そこらあたりはどういうふうに——私は相当密接に連絡がとられているという事実をもって申し上げるのですが、そう理解をしてよろしゅうございますか。
  81. 高野藤吉

    高野政府委員 国際資料部におきましては、いろいろテーマがございまして、大学ないしは民間の専門家からいろいろな問題につきまして意見を聞いております。単に防衛研修所とばかり連絡しているという筋合いのものではございません。
  82. 大出俊

    大出委員 したがって、この研究テーマが、つまり国連警察軍だとか、外務大臣が言われている国連協力法などというふうなもののテーマに相からむ問題が幾つかテーマにあげられたりして、レポートの交換なりあるいは研究なりいろいろやられているわけでありますけれども、そういうことになりますと、国連協力法などというものも、防衛庁と無関係で進められた筋合いのものではない、こういうふうに理解をせざるを得ないと私は思いますし、もう一つあわせて承っておきたいのは、外務省筋に私もいろいろ友人、知人もおりますから、調べてみたのですけれども、国連協力法なるものの案——どの程度の案かといういろいろ問題はありますけれども、とにかく案と申し上げておきますが、案というものが今日存在をする、それらの点を土台にして大臣がああいうふうに言われている、こういうふうに考えられるわけでありますが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  83. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 いや、そういう問題は、日常の防衛庁の業務あるいは当面しておる外務省外交業務というものを離れて、もっと別の次元で基本的な研究をしておるものと私は考えております。こういったようなことをここから引き出しているわけではない。
  84. 大出俊

    大出委員 ちょっとそこがわからないのですが、そういった案があることは事実じゃないですか。それが表に出せる、出せないということは別問題。そんなことはみんな知っていることでしょう。外務省のクラブへ行って聞いてごらんなさい。新聞記者の皆さんはみんな知っている。だから、そういう案がある。その案があることをお認めになって別にふしぎはないでしょう。
  85. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 もしそういうことを研究しておるとすれば、たまたまこれは一致している、同じことをやっているというのであって、ここの研究なり、ここの考え方に基づいてこの間の答弁をしたのじゃないです。
  86. 大出俊

    大出委員 あなた、お人柄のいい大臣としては、そんな見えすいたことを言われても困る。しゃべったことと外務省の中でやっていることとがたまたま一致しているなんという、そういう答弁は私はないと思うのです。ですから、もう一ぺん聞きますが、あるものはあるものでいいじゃないですか。あるはずじゃないですか。課長さんたちが集まって相談してつくっているじゃないですか。
  87. 星文七

    ○星政府委員 国連局では、そういった法律案というものをつくっておりません。
  88. 大出俊

    大出委員 国連局政治課に入ってくるいろいろな情報がありますね。それに基づいて、つまり国連協力法案——たたき台だろうと私は思いますけれども、そういうものをこしらえて、課長さんの段階等でまとめられている。これは皆さんが隠されても、事実なんです。もう一ぺん聞きますが、国連局長はないというが、下のほうで聞いてみたらあるというのだから、それをもう一ぺん答弁していただきたい。これから先の問題で、あとであったなどと言われては困る。
  89. 星文七

    ○星政府委員 国連局といたしましては、国連に対する協力というようなことでいろいろな案を検討していることは、私たちの職務上のことじゃないかと思います。しかし、いまおっしゃいましたような法案というものは全然ございませんから、その点は誤解のないようにしておきたいと思います。
  90. 大出俊

    大出委員 まとめておられるのは法案じゃない。しかし、国連の理事国になっている日本、松井さんが議長にもなっている日本という立場からすれば、しかも国連中外交を唱えておられるわけだから、どういうふうな形でやれば国連に協力ができるかというふうな、そういう素材といいますか、そういうふうなものは検討されておる。ただしかし、法案と名づけたものはない、こういうことでいいのですか。
  91. 星文七

    ○星政府委員 いまおっしゃったとおりでございます。
  92. 大出俊

    大出委員 そうしますと、法案とは名づけぬけれども、いかにすれば国連協力がより積極的に行ない得るかということの素材、そういうふうな形のものを政治課の情報その他も集めて御検討になっておるということが一つの素材になって、それこそ大臣の御発言になっている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  93. 星文七

    ○星政府委員 先ほども申しましたように、局とすれば、どうすれば国連強化といいますか、国連との協力というものが十分できるかということを常々考えております。
  94. 大出俊

    大出委員 そうすると、大臣が御発言をされた内容も、そういう国連局その他を中心として検討されているところに基礎が置かれている、こういう理解でよろしゅうございますね。
  95. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 大体お話のとおりでございます。
  96. 大出俊

    大出委員 ところで、防衛庁からい外務省籍で海外に派遣されている方々は、何名くらいおられますか。
  97. 高野藤吉

    高野政府委員 十五名でございます。
  98. 大出俊

    大出委員 もう一つ、自衛隊の方で沖繩に行っておられる方々は年々ふえているようですけれども、ことしは何名くらい行っておられますか。
  99. 井口孝文

    ○井口説明員 説明員でございますので、おのずから答弁に限度がございますが、私の承知しておる限りでは、沖繩に行っておるということがよくわかりません。
  100. 大出俊

    大出委員 私の調べた範囲では、最初百人くらいからふえまして、いま七百人くらいおられるはずであります。これが近々千人くらいにふえるのじゃないかというふうに考えておりますが、実はこれは関係があるから聞いているので、このあたりについて、どなたか答弁できませんか。
  101. 安川壯

    ○安川政府委員 私が聞いておると申しますか、承知しておる範囲では、研修を終わった自衛官と申しますか、それが見学というようなことで沖繩に行っているという話を聞いておりますけれども、これは外務省と直接関係はございませんので、正確な人数とか正確な目的というものを承知しておりませんが、私の聞いておりますのは、研修を終わった自衛官が見学のために出張した例は、過去にあるというふうに聞いております。
  102. 大出俊

    大出委員 ところで、二つばかり質問があるのですが、十五人派遣、これは外務省籍ですね。自衛隊の高官の方々が——いまの官房長の海原さんなんかだって、前に外国に行っておったのですから、そういう方々は主としてどういう任務におつきになっておられますか。
  103. 高野藤吉

    高野政府委員 任国の軍事情勢をいろいろ研究しております。
  104. 大出俊

    大出委員 そうすると、外務大臣、先ほど派遣ということばをお使いになりましたが、派遣、これを広義に解釈をいたしますと、いま十五名と、こういうわけでありますけれども、これが多少ふえてみても、そういうやりくりというとおかしいですが、派兵ではない派遣、こういう範囲、これはどの程度に考えてよろしゅうございますか。
  105. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これはどうも法律的にどう解釈するのか知りませんが、海外派遣ということになると、内地から海外に派遣される、外務省籍の者をAの外国からBの外国に勤務がえをするというのでございますから、これは派遣にならないのじゃないかと思います。しかし、私はどうも法律専門家に聞いたほうがもっと正確にわかると思います。
  106. 大出俊

    大出委員 私は、いま沖繩に行っているつまり自衛隊の方、外務省籍でない方と、それから外務省籍で十五名行っている方、二つを例にあげたわけなんですが、いま国会審議の過程でよく出てくる派兵、派遣、そのうちの派遣、これはさっき大臣も口にされましたが、派遣ならいいという解釈が高辻さんからも出ておるようですし、何か何となく論議をしてまいりますと、派遣ならいいのだという、そういう雲行きにいまなってきておる。そこで私は、派遣とは一体何ぞやという、外務省籍にしてまったらこれは派遣ではないのかという問題、つまり自衛隊の高官であっても……。そこらあたり非常にあいまいになっているわけですね。ですから、そこらあたりを皆さんのものの考え方をはっきりさしておいていただきたい。そうでないと、あとでちょっと質問に困るのですから、それで聞いているのです。
  107. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 従来はっきりいたしておりますのは、海外派兵ということが憲法上も禁止されておるということでございまして、そのほかの、派遣ということばがどういう前後の関係で使われてきたか存じませんけれども、派兵に該当しない場合を総括的に言ったのかと思いますが、ただいま例示されました防衛庁からの人の海外在勤の命令でございますとか、あるいは出張で海外に行く、そういう場合は海外派兵に該当しないということは、これは明瞭だろうと思います。
  108. 大出俊

    大出委員 どうもそこがわからぬのです。私は法律を引っぱってみたりいろいろしているのですが、派遣ならいいのだ、こういう言いっぷりをある意味では口ぐせのように椎名さんも言われるわけでありますが、先ほども冒頭の私の質問に、派兵でなくて派遣だという意味のことをちょっと言われておるのですけれども、いまのお話もきわめてあいまいで、条約局長ともあろう方ですから、そこのところをもうちょっと、私がそうかというふうに納得できるような言い方をしていただけませんか、派遣とは何ぞやということについて。
  109. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 派遣という観念が先に概念がはっきりしておって、派遣ならいいというふうな結論が出てきたのじゃなくて、私が先ほど申し上げました趣旨は、海外派兵はいけないということは、これははっきりしておりますから、それ以外のものを概括的に派遣と言ったのではなかろうかという推測を申し上げたわけでございます。もしそういうふうに派遣といろことばを使うならば、自衛官が外務省に出向して外国に勤務するとか、あるいは自衛官が海外に見学のため出張するとか、そういうことは海外派兵に当たらないということは明瞭であろう、こういうふうに御説明いたしたわけでございます。
  110. 大出俊

    大出委員 の言われる派遣の中に監視などという任務もあわせて、新聞などによりますと、話しておられるのですけれども、そこらあたりは、どういう見解を派遣とからんでお持ちになっておりますか。
  111. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 派遣の意味は、いま条約局長が言ったのでよかろうと思います。派兵の問題にあらざる、派兵でない場合の海外に出かけること、こういう場合には派遣で、じゃ派兵とは何ぞやということでありますが、私の承知するところは、武力行動、武力行使の目的をもって海外に出動する場合、それが派兵である。武力行使を目的としないで海外に出かける、こういう場合がいわゆる派遣であって、監視団なんかは武力行使は必要としない、ただ一応武官でございますから、飾りみたいなもので剣や何かつっているかもしれませんが、もっぱら軍事知識を行使する、こういう目的を持っていくのでございまして、これは派兵ではない、こう考えております。
  112. 大出俊

    大出委員 たしかローデシアですか、経済封鎖みたいな形をとって、国連監視団などという形のもの、こういうふうなことを一つ例に引いて言われておったように記憶するのですが、たとえば国連関係各国が、経済的には物を送らない、輸出しない。ところが日本は、通産省を調べてみても、鉄鋼その他をどんどん平気で輸出している。相当方々から文句が出る、こういうふうな状態があの前後にありましたのですが、そういうことをおさしになっているように新聞では承ったわけです。国連監視団の中に日本からもしかるべく人を入れて——それでいま言われるような理解からいきますと、条約局長の言いぶりからいけば、簡単に言ってしまえば派兵でないものが派遣だということになる。いま大臣の言われるのは、武力行使を目的としない平和目的の場合、こういうことになるんだと思うのでありますが、そうなると、とにかくどういう籍にするかは別として、それならば相当な人員になってもいいんだということになってきそうなんでありますけれども、そこらあたりはどういうふうにお考えになっておりますか。
  113. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 私は、先ほど派遣ということば意味はどうかとお尋ねでございましたので、私が考えるところを申し上げたわけでございますが、これは私がそういうふうに使われているのだろうという考えを申し上げただけで、どこかで定義がきまっておるという趣旨で申し上げたわけじゃないわけでございます。海外派兵ということばと対照的に派遣ということばを用いる場合には、海外派兵以外の目的で自衛隊が行くことを総称するような意味で使われているのだろう、そういうような意味で申し上げたので、したがって、海外派兵に該当するような場合には、これは派遣だからということで逃げ口上になるというような趣旨で申し上げたわけじゃないのでございます。
  114. 大出俊

    大出委員 そうしますと、さっき沖繩の例とか十五人行っておる例をあげましたが、これはいずれも派遣ですか。
  115. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 先ほど申し上げましたように、何が派遣であるというとすぐ誤解を生じますので、海外派兵に該当することはない、そういうふうに申したほろが、誤解がないかと思います。
  116. 大出俊

    大出委員 私言い直しますが、憲法との関係で、今日の自衛隊の法に規定されている行動の中でいろいろな面が、ものの考え方の相違はございますけれども、それなりに論議をされてきまして、できないことが一つある。それは何かといったら海外派兵だ、こういうわけですね。ところが、派兵は憲法上疑義がある。だから、外務大臣がああいうふうにしゃべったあとで、前の晩に電話をかけられたそうですけれども、松野さんがお答えになったのは、憲法そのものから考え直さなければいけないのだ、そうでなければ自衛隊法の改正ということは考えがたいということを言われたわけです。私はあずかり知らぬ、こういうことなんですが、いずれも憲法との関連において派兵が禁ぜられているという前提に立って国連協力なんということを中心に考えた場合に、さてどういう方法があるかといろ、そこらあたりが一つの論点になって、派兵ではない、派遣だ、こういうことばが出てくるわけなんですよ。そうだとすると、これは何回も出てきていることばですから、派遣というのはばくとしておって何が何だかさっぱりわからぬということでいいということにはならぬと私は思う。ここまでくると、派遣とは何ぞやということをいずれにしても明らかにしなければならぬ。そうでないと、誤解を生ずることになる。それではいま大臣が言うように、武官だからピストルをぶらさげて何千人出ていっても、これは派遣だということにもなりかねない。これはいろいろありますよ。そうなると、それこそ防衛の限界じゃないけれども、派遣とは一体何なんだということになるわけですよ。国民の疑惑の的にもなる。だから、そこらあたりは、私ははっきりさしていただかぬと困る、こう思うのです。ちょっとくどいようですけれども、もう一度。
  117. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 私は、防衛庁長官がどういうふうなことをおっしゃったか直接存じませんが、しかし、憲法で禁ぜられておりますところまでも再検討するという趣旨でないことは、これははっきりいたしております。それでは憲法上禁ぜられておるのは何かといいますと、武力行使の目的をもって自衛隊を海外に派遣すること、つまり海外派兵、これが禁ぜられておるのである。これはいままでの法制局長官以下の答弁、全部一致しておるところでございます。ただ、国連に協力する場合には、それ以上に自衛隊法の制限があるわけでございまして、憲法には触れないけれども自衛隊法には触れるという面があるので、そこのところを研究する必要があるということが問題の焦点でございまして、憲法をいじろうとかどうとかいうことは、全然研究の対象にはなっておらないのであります。それから派遣の問題でございますが、先ほども申し上げましたように、派遣だからいいという理由づけのために派遣などということばは使えるはずがないのでございまして、それよりは海外派兵に該当するものはいけない、そういうふうに言ったほうがものごとははっきりすると思います。
  118. 大出俊

    大出委員 海外派兵の肩がわりと受け取られる派遣はいけない、こういうことになりますか。
  119. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 海外派兵という概念がはっきりしておれば、それに該当しないものもまたはっきりしてくるわけでございまして、海外派兵というのは、要するに武力の行使の目的をもって武装した部隊を海外に出すことである、こういうことであります。
  120. 大出俊

    大出委員 そうすると、武力の行使を目的としないで海外に行く自衛隊の方々の場合は、派遣だ、一応そういうことになりますか。
  121. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 それを派遣だというふうにどこかできまっておるわけではございませんが、そうおっしゃるならそれでもけっこうでございますけれども、それは海外派兵には該当しないということでございます。
  122. 大出俊

    大出委員 そこをはっきり願いたいのですが、あまり長くなってもあれですからいいかげんにしますけれども、海外派遣というのは、私がいまこの席で言ったんではないのですよ。先ほどの大臣の御答弁の中に派遣ということばが出てきたから、皆さんが派遣ということばをお使いになる限りは、用語というのはこれは大切ですからね。日韓条約のときにも、用語説だちょうちんだということでたくさんもめたでしょう。だから聞いておるのですが、皆さんが派遣とおっしゃられるならば、事外務大臣がおっしゃるならば、それ相当の御解釈があって派遣ということばを使われるのだろうと思う。だから、その派遣ということばの持っておる内容意味、実体というものをつまびらかにしていただきたい。これが私の言い分なんです。それだけなんです。ところが、大臣の言うのは、武力行使を目的とするものは派兵だろう、これは憲法に触れる。しかし、そうでない平和の目的その他という意味になる場合は、派遣ということだろうというわけですね。となると、この平和の目的を持っている派遣とは一体何だと、こうまたなるわけですね。そこにまた、国連協力局のいうところの監視団云々なんという問題とのからみ合いが出てくる。だから、そこらのところをもう少しつまびらかにしていただけないか。例としてはさっき二つ出た、十五人ばかり行っている方もあるし、沖繩に行っている人たちもいる。それも最初は百人くらいでしょうが、これが七百人、八百人、そうして千人にもなると、それでも派遣かということになってくる。そういうことになると、派遣というものを明らかにしておかないと、この問題は、将来そのことばの使い方あるいは実体等からいろいろな問題が起こってきそうな気がするので、条約局長、そこらがもうちょっとはっきりわかるようなぐあいになりませんか。
  123. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 派遣だからいいんだというふうにおっしゃいますと、実体は派兵なのに派遣という名前をつければそれがいいことになるのかというふうな意味合いのことを言われるような気がするもんですから、私もこだわるわけでございますが、結局そのいいかどうかは実体によるわけでございまして、実体は、武力行使の目的をもって武装した軍隊を海外に出す場合が派兵、これ以外は海外派兵には該当しない。したがって、憲法の禁ずるところではない。それ以外の場合を派遣ということばで使うならばそれもいいでしょうけれども、それは定義がどこかできまっているわけではない。そういうふうに申し上げているわけであります。
  124. 大出俊

    大出委員 そうすると、国連の監視団なんかで何十名かよこしてくれ、あるいは何百名かよこしてくれというような場合は、どういうことになりますか。
  125. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 武力の行使の目的でない限りは、憲法には触れないと思います。
  126. 大出俊

    大出委員 そうすると、経済封鎖みたいな目的で、かつて外務大臣が言われておったのだが、国連の監視団云々なんというようなことで出かける。これはいまの条約局長の御解釈でいけば、憲法には触れない、こういうことになりますね。
  127. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 それは武力をもって封鎖するということでございますから、武力の行使に該当すると思います。
  128. 大出俊

    大出委員 そうすると、それはできないというわけですな。どっちなんですか、その点は。
  129. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 憲法論といたしましては、そういう武力の行使の目的をもって海外に自衛隊を派遣することはいけない、こういうことでございます。
  130. 大出俊

    大出委員 先ほどから申し上げているように、具体的例を申し上げれば、国連関係各国が経済断交みたいな形をとって、ローデシアならローデシアに対して監視団を派遣する。物資の輸入、輸出その他についてこれを押えるという場合、日本の場合なんかでも、通産省のほうは鉄鋼その他どんどん輸出しているのを認めてしまっていますね。そういう中で、外務大臣は、監視団の中に入れる、入れないという問題が出てきて、まさにそれはいいのだと言わんばかりの話だ。そうすると、通産省のほうは、今度は逆に、これは記者クラブ筋にいろいろ当たってみると、そんなまねをされたらとんでもない話だという。これは通産のなわ張りでやってきたわけですが、外務省関係あるいは自衛隊の海外派遣なんということで、そっちのほうからやられたらというようなことで、だいぶ文句があるなんという内部事情が、当時私、調べてみたら耳に入ってくる。これはずいぶん具体性のある話として進んでいたもの、私はこういう理解ができるわけです。そこで、事実あった具体的な事実、大臣が口にされた事実をつかまえて聞いている。条約局長、先ほどの御解釈でいくならば、どっちに入るのか、認められるのか、認められないのかといろ点を聞きたい。
  131. 星文七

    ○星政府委員 先ほど来経済封鎖のために自衛隊を派遣するというふうなことをおっしゃっておりますけれども、南アフリカの問題にしても、ポルトガルの問題にしても、あるいは南ローデシアの問題にしても、たとえば武器弾薬はそういった国には出さない、こういう安全保障理事会の勧告というものがあるわけです。これは、海外派遣をしてそういうことを監視するということは、それと全然別でございます。国連の決議は、輸出をしない、あるいは輸入をしないということを勧告している、そのことだけでございます。ですから、人の問題は伴っていないわけです。
  132. 大出俊

    大出委員 しかし、外務大臣はものを言っているわけです。ここに新聞記事がありますから、私は聞いている。
  133. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 何ですか。
  134. 大出俊

    大出委員 大臣は「他国の国際紛争について高い見地から平和を維持する措置が国連でとられる時これに協力するのは憲法に抵触しないと考える。法制局で検討してもらっている。」こう言っているわけです。これは読売新聞の二月二十五日号です。この中で、「紛争の再発防止のため現地へ派遣する監視機関に、自衛隊員を参加、派遣させるのは憲法に違反するものではないと思う。憲法においては、国際紛争の当事国として武力行使をすることを禁じているが、他国の国際紛争について」——「他国の国際紛争」ですよ。「他国の国際紛争について高い見地から平和を維持ずる措置が国連でとられる時これに協力するのは憲法に抵触しないと考える。法制局で検討してもらっている。」こういうことです。これは議事録を読んでもそうですよ。こうお述べになっているわけです。この問題について、具体的にこれをお取り消しになっていない。だとすると、法制局の検討らしきものもきのうあたり高辻さんが言っておられるけれども、このあたりについて、いまの派遣問題とからんで、どう——大臣の言う趣旨ならば憲法に抵触しないということになる。そこで、先ほどの条約局長答弁は、それが経済的な封鎖を意味する監視団ということになれば、監視機関ということになれば……。だとすれば、そこのところは違っていれば違っていてもいいですよ。いずれかにはっきりしていただきたいから、大臣がこういうことを言っているから、私は回り道をしているけれども、ここまでもってこようと思って質問しているのですから、そこのところをはっきりひとつ、違っていれば違っているで答えてください。はっきりしておきたいのです。
  135. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 法制局の見解では、全く理想的な国際社会ができて、そうしてその国際社会というものの秩序——これはいつそういう世界が実現するかわからないけれども、そういう国際社会の秩序というのを維持する上において、かりにこれを破壊する行為があるとかあるいはこれを撹乱するというような行為がある、そういう場合に、国際社会のいわゆる警察的な機能を持つ強制措置を必要とする、そういうような場合に加盟国が派遣をする、いわゆる国際紛争を武力をもって解決するということではないようなそういう場合には、おそらく日本の憲法も許さざるを得ないのではないかということを、法制局長官からしばしば言われております。しかし、そういう現実はいまない、こういうことであります。いつ言ったかいま覚えておりませんけれども、そのことを私が口まねして言ったのではないかと思います。  それから武力行使というものを全然考えない、さっき申し上げたように、軍事知識あるいは軍事的な経験というものをもっぱら使う意味において、国境をお互いに侵さないという約束を監視する意味のいわゆる監視団というものが国連から派遣される場合に、それの構成員として何がしかの人員を提供するということは、これはいまの自衛隊法を改正しなければならぬようであるけれども、憲法上の問題としてはこれは九条に全然違反しないということが、すでに法制局でもはっきり結論を出しておりますから、われわれはそれを正しいものだと思って、そういうことを御答弁しております。  それからもう一つ、ローデシアのようた場合には、人間でこの輸出入をとめるとかいうことでなしに、やり方としては三つあるわけですが、強制力を用いて何もかもここから出さないのだというやり方もあるかもしれない。あるかもしれないけれども、国連が考えているのはそうじゃない。そこへ輸出しない、あるいは輸入しないということをはっきりとやってほしいということを言っているわけです。それには行政措置で、ただ官と民とが妥協して話し合いをつけるというのではなく——それもいいのです。それは行政指導でやるという方法もあるが、それではどうも間に合わない場合がある。それからすぱっといかぬ。それで、そういう場合には法律をつくっておいて、この法律を発動するとか、しないとか、というやり方をとっている国もあるのです。これはいま列挙するとはっきりいたしますが、相当の国がそういう国連協力法といって総括されるような名前で出しておる国があります。日本の場合はいまそれがないのです。しかし、行政指導でいまやっている。だから、三木通産大臣が行政指導でほとんど九十点以上のところまでやっているのですから、大体国連もこれで満足しているのではないか。しかし、どうかするとすぱっといかぬ場合があるから、行政指導で一々やるということはどうも完全じゃない、こういうことを言っているのでありまして、通信をとめるとか、外の運輸関係をとめるとか、あるいは物の出し入れをとめるという場合には、強制力を使うということは考えていない、そういうふうに考えております。
  136. 大出俊

    大出委員 いまの御答弁の中で三つ、簡単にもう一度承っておきたいのですが、一番おしまいから申しますと、他の外国の例からいって、行政指導ということでは完全を期しがたい面があるので、何らかの国内法の必要が出てくる。したがって、そこのところもひとつ考えなければいかぬ、こういう意味のことが一つある。これは三番目ですね。外国の例というのは一体どういう例かということを、差しつかえなければ例をあげていただきたいのと、それから、そういう法的措置をしなければ完全に行ない得ないとすれば、国連協力の義務という面からいって、やはり問題は起こると思う。したがって、そうだとすれば、国内法を何らか考える、こういうお考えがあるやにいま受け取るのですけれども、そこの問題、それをひとつ最初に……。
  137. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ですから、いま当面しているローデシアの問題等については、そういう法律がなくとも大体はめてもらえるだけの実績はいまあらわしておりますからいいのでありますが、なかなかそう簡単にはいかぬ場合が出てくると思うのであります。そういう場合のことを考えて、そろそろ準備をする必要があるのではないかという程度のことを考えておりますが、ぜひ今国会に法案をなどというような段階ではまだない。  それから、いま例をあげろとおっしゃいましたが、国連局長から申し上げます。
  138. 星文七

    ○星政府委員 私どもの調査いたしました範囲では、たとえばアメリカでございます。国連参加法というものがございまして、経済、通信等の断絶措置をとり得るようになっております。それからフランスも、安全保障理事会の決定を自動的に実施される。安全保障理事会の総会の勧告についても、政府の政治判断に基づき国内法の範囲内で協力する。それからイタリアにも国連憲章実施法というものがございます。それからオランダにも制裁法がございます。それからカナダも、既存の関係法によって、経済、通信等の断絶措置ができることになっております。
  139. 大出俊

    大出委員 そういう国内法を考えるということも、ある意味では国連協力ということの形を明らかにする、こういう意味になりますな。  そこで、いまのお話は、この国会にどうこうというのではないが、そろそろ準備しなければならない段階だろう、こういうようにお考えになる、こういうわけですね。そう理解してよろしゅうございますね。——じゃ、よろしいそうですから、もう二つだけ前の御答弁について承りたいのですが、高い意味の国際社会の秩序、それが今日の段階ではなかなか完全に守られがたいというところから、いろいろ問題が起こる。その場合に、二つに分けて申されておりますが、監視機関のような形で、それが攻撃をする云々という意味の武力ではないけれども、監視という限りは、監視的な意味のそういう任務を持っている。その場合に、自衛隊法の改正が必要にはなると思うけれども、憲法には抵触しないと考えているというのが一つ。それからもう一つは、高辻さんが言われるように、全く平和目的、つまり武力の行使云々でない、こういう場合に、これまた憲法に違反しない、こういう意味の二つお話があったわけですが、さっきの派遣とからみますから、この二つをそういう意味で確認をしておいていいかという問題と、もう一つ、自衛隊法の改正が必要になるのではないかということを言われましたがそこらあたり改正をされる、こういうお気持ちがおありになりますか。もちろんいまという意味ではありませんが……。
  140. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 いまの国際連合がもう少し理想的な形になったならば、そっちのほうは国際連合が強制行動をとる場合でも、これに協力することが憲法に違反しないだろう、そういう趣旨でございます。その手前の平和的な紛争解決の手続の一環といたしまして、国境監視とかいうような任務の場合には、これは武力の行使を目的とするものではないから、現在の段階でも憲法に触れることはない、そういうふうに分けて考えたほうがはっきりすると思います。
  141. 大出俊

    大出委員 憲法に抵触するものではないが、自衛隊法そのものとはどうなんですか。
  142. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 自衛隊法とは、あとに述べました監視団に人員を出すことについても疑問である。自衛隊法はそこまで許さないであろうというのが、現在の政府の解釈でございます。
  143. 大出俊

    大出委員 そういうことになりますと、その解釈からいけば自衛隊法の改正が必要になる、こういうことになりますな。
  144. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 これは有権的に外務省の者が言えることじゃございませんが、そういうふうなのが政府当局の現在の解釈であると了解いたしております。
  145. 大出俊

    大出委員 くどいようですが、もちろんいまの問題ではございませんけれども、その辺も検討しているとか、あるいは将来に向かって検討するとか、そういうお考えはございますか。
  146. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 外務省として、国連にそこまで踏み切って協力する必要がどうしてもある、こう認めた場合には、関係省として防衛庁に協議をして、完全なる了解のもとに実行しなければならぬ、こう考えております。
  147. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 関連して一つだけ。いまの海外派兵とそれから派遣の関係ですが、いままでの答弁らいきますると、派兵ということになりますると、憲法に禁止されておることだからこれはできないのだ。それ以外のものは派遣をすることになるのだという大まかな答弁です。  そこで私は、実例をあげて答弁をいただきたいと思うのでありますが、いまベトナム、韓国へ——韓国は計画中ですが、自衛隊がいわゆる派遣をされて調査をしておるわけなんです。特にベトナムの調査は戦況の調査が含まっておるのです。したがって、こういうものは、員数は少なくとも派兵というようにぼくらは受け取れるのですが この辺のところは派兵になるのか、派遣になるのか。派遣はこの辺までやってもいいのかどうかということをお聞きいたしたい。
  148. 高野藤吉

    高野政府委員 韓国には私聞いておりませんが、ベトナムに出張しておりまして、調査というのですか、あの地域の軍事情勢を検討しているわけでございます。しかし、これは先ほど来御議論のあった派兵とか派遣というものではなくて、自衛隊法上、先ほどの駐在武官——防衛官と言っておりますが、それとか、それから自衛隊の人でも海外にいろいろ出張していますから、そういうことで、先ほど来御議論の派兵とか派遣には当たらぬと私ども考えております。
  149. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 在外公館員という資格なんですか、ベトナムに行っておる人、いま出張と言われるけれども、出張というのは日時に限度がありまするし、それから目標というものもおのずから違っておるわけです。したがって、戦況を調査するということになりますと、単なる出張で戦況の調査ということはできない。
  150. 高野藤吉

    高野政府委員 駐在武官がおらない場合に、そこに何か問題が起きた場合に、出張をして事情を調べるということは可能だと思います。日時は別に長い場合には出張にならぬということはございませんで、国際会議についても、一年くらい続く場合に、出張ということで事務上ではしておる、そういうこともあります。
  151. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますと、あなたのほうで派遣と出張というのはどういう仕分けをきれるのですか。
  152. 高野藤吉

    高野政府委員 派遣ということば、これは法律的な厳密な意味じゃなくて、派遣という広い意味らいけば、兵隊が外へ行くのがこれが派遣、これを派兵といま御議論をされておるのですが、いま議論のあれになっておるのは、国際監視団とか特別の職務を持って行くという場合に、派遣ということで一応言いあらわされます。それ以外に駐在している場合、それから外国を旅行するという場合には、これは広い意味ではもちろん派遣かと思いますが、いまの議論の中心の派遣ではないと理解していいと私は思います。
  153. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それではベトナムにしぼっていきますが、あれは出張だというお話です。これは目的は何ですか。戦況の調査をやっておるじゃないですか。
  154. 高野藤吉

    高野政府委員 あそこでいま紛争が起きておりますので、現実の情勢を外務省としても知る必要があるわけで、それのために出張しているということでございます。
  155. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 紛争が起きておるから、外務省としても調査をして把握しておく必要がある、それはあるかもわかりません。あるかもわかりませんが、自衛官を派遣をして戦況を専門家に調査をさしておるということは、これは自衛隊から派遣をされておるものだ、こういうように受け取れるわけなんです。これを出張といわれても、これはおそらく意見の対立するところであろうと思いますが、派遣という分類に入るのではないか。したがって、その分類に入ることになりますと、しからば派遣は何と何を派遣というか、出張は何と何を出張というか、こういうような分類がなければ、わからぬままにほかの名称を使って自衛隊が武力行為に通ずるところの戦況の調査等を行なうものは、結局禁止されておるところに解釈されていくのではないか、こう思っておるのです。したがって、いま国会で一番論議されて心配をしておる海外派兵ということは、これは憲法の禁止するところであるからできないんだ。ただし、出張とか派遣ということは違憲にはならないのだ、こういうことでございますから、派遣とか出張とかいう名目をつけて、そうしていわゆる派兵に通ずる行為を行なっておることは、これは問題になろうと私は思うのです。したがって、こういう点をやはり国民は心配をしておるわけで、この点は明確にしていただかなければならないのではないか、こう思うわけです。
  156. 高野藤吉

    高野政府委員 広い意味で出張も派遣というふうには言えるかと存じますが、目的によりまして、派兵とか派遣とか、それから自衛官の量も関係してくるかと思います。ことばの定義であって、広い意味では出張も派遣という、そういうふうに了解することも可能かと思います。
  157. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ベトナムの関係は、単に外務省が実態を知る、実態を把握するということならば、別に自衛官を派遣して調査をさせる必要はない。外交の専門家を派遣して調査をさしても達成できるわけなんですが、ここに専門家の自衛官を派遣して戦況をつぶさに調査をさしておるというこの事実は、非常にあいまいな態度をとっているのではないか、こう解釈されるので、いま質問をしておるわけです。きょう明確な答弁にならなければ、これは関連質問ですからこれでやめて、私の本番のときにゆっくりやりたいと思いますが、答弁がありますれば、大臣のほうからでも答弁をしていただきたいと思います。
  158. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 まあ出かけることなんですね、結局出張も派遣も。ただ、派遣の場合には、おまえ行ってこい、つかわすのですから、そういう現象をとらえればこれを派遣、それから出かける人間らいえば出張する。問題はどっちでもいいので、派兵ということだけは完全にわれわれは把握して、武力行使の目的をもって、武装した自衛官が隊伍を整えて海外に出動するということが派兵であって、これは問題なんです。それ以外は派遣といってもいいし、場合によっては出張もあるだろうし、出かけてこい、こういう場合もあるだろうし、何も派遣なんということばを用いる必要はないのです。とにかくそれ以外に海外に出かけることは差しつかえない、こういうようにわれわれは考えております。
  159. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 これでやめますが、大臣答弁らいきますと、海外に出かけることが派遣ともいえば出張ともいう、こういうことであるわけです。したがって、派兵ということは、これは簡単に言えば戦争に行くんだ。そうすれば、銃を持ち、砲を持ち、武装をして行く場合にのみ派兵というのであって、その他軍の戦略戦術によって派遣をするということは派兵にはならないのだ、こういう解釈ですから、これは大きな疑問を残しておりますので、私の本番のときにゆっくりやらしていただきます。関連質問ですから、私はこれでやめます。
  160. 山内広

    ○山内委員 防衛庁設置法のときに防衛庁長官にお尋ねするのが筋だと思いますけれども、だいぶ話が深く入りましたから、この際一点だけここで明らかにしておいていただきたい。  それは、自衛隊法六十条との関連で非常に疑問があるわけです。それは自衛隊員を外務省の職員に身分をかえて海外に出張する場合、いわゆる派遣ですか、やる場合、その自衛隊の職員の身分といいますか、資格といいますか、これは外務省との兼職になるかどうか、その点を一点明らかにしていただきたい。
  161. 高野藤吉

    高野政府委員 自衛隊の方が単に海外旅行、出張される場合には、兼職にはなっておりません。ただし、在外公館に駐在する場合には、外務事務官と兼職になっております。
  162. 山内広

    ○山内委員 先ほど十五名の人が一応外務省の機関を通じて海外に行っておるというお話です。そこで、いまの答弁は少しあいまいになるのですが、自衛隊法の六十条の二項によりますと、他の国家機関との兼職を禁止しておるわけです。この場合に、自衛隊員が外務省の職員と一緒になるのがはたして自衛隊法に違反しないのかどうか、この点を明らかにしていただきたい。
  163. 安田寛

    ○安田説明員 六十条二項になるほどいまの規定がございますが、自衛隊法施行規則のほうに、他の国家機関の職を兼ねることを認める規定がございます。その規定の準用によりまして二つの身分を兼ねておるわけでございます。
  164. 山内広

    ○山内委員 それがけしからぬというのです。自衛隊法施行規則のたしか六十条です。自衛隊法がなぜ他の国家機関との兼職を禁止しておるか、これはおもに出たところは、何々審議会とか協議会とか、そういうものに入り込んでいって自衛隊員が給料をもらったり何なりしてはいかぬという一つの秩序保持の規定だと思うのです。それをあなた方のほうでは拡張解釈をして、そして外務省身分がえをして海外へどんどん派遣をしていく、この規定をはっきりさしておきませんと、こういうところにも国連協力の名において外国に兵隊を出させるような拡張解釈をきれる心配があるわけです。もう少し明らかにしてもらいたい。
  165. 安田寛

    ○安田説明員 ただいま規定にございますとおり、私どもこれを適正に適用してただいまの措置が行なわれていると信じております。
  166. 山内広

    ○山内委員 これは適正に行なわれているんじゃないのです。それならば、防衛庁がみずから必要があったら、自分名前でもって出向させ、派遣し、あるいは出張させたらいいじゃないですか。
  167. 安田寛

    ○安田説明員 ただいまの在外公館の職員の身分は、外務省の職員でございますので、防衛庁から直接在外公館に差し出すことはできないと思います。
  168. 山内広

    ○山内委員 ですから、そういう解釈をされますと、この六十条の二項に反する。他の機関の職員という身分がえをして行くのでしょう。これは抵触するじゃありませんか。これはむしろ防衛庁長官の見解を聞くべきであって、外務省としても、これは利用されたきらいがあるので、この点だけではちょっとお気の毒な立場だと思いますので、また防衛庁のほうから御意見を聞く必要があれば、あなた方にも来ていただいて、この点を明らかにしたいと思います。きょうはこれで終わります。
  169. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 関連。昨日参議院の予算委員会において、佐藤総理が、沖繩が攻撃をされた場合には、同胞のために防衛をするのだ、この見解を表明をされたわけです。これにつきましては、安保条約の締結の際においての論議を通じて、岸総理が明確に否定をいたしております。その後の協定文等におきましても、あるいは昨年の予算委員会の石橋質問の中においても、そういうような誤解を与えるような発言佐藤総理がいたしましたので、それを追及をしたところ、取り消した事実があります。ところが、今回の、この新聞によります速記の内容を見てまいりますと、きわめて重要な問題が、前向きの形でという意味も含めて表明をされているようにわれわれは見受けるのであります。これにつきまして高辻法制局長官をはじめ、下田次官並びに条約局長、それに北米局長が、官房長官室でこの問題についての外務省としての統一見解というものをまとめたというふうに聞いているのでありますが、これに対しまして外務省はどういうような見解を出したのか、われわれ社会党としてはきわめて重要な問題としてこの点を見ておりますので、外務大臣をはじめ、それぞれの外務省責任者の人たちがこの席に見えておりますから、この際明らかにしておきたい点でございます。まず大臣から答弁を願います。
  170. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ずっと各委員会を回っておりまして、まだその結論が出たのか出ないのか聞いておりません。
  171. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 私も御相談にあずかったことは事実でございますが、私が承知している段階まででは、何も統一見解というようなものは作成されたようには承知いたしておりません。
  172. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 外務大臣、私は関連質問でありますから、きょうはこの程度にしておきますが、いつ外務省としての見解をまとめられますか。
  173. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 統一見解云々というような必要も別にないと思いますが、どういうことでございますか、その必要もまだ別にないと思います。
  174. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 外務省としては、佐藤総理ことばは、そのままにしておいて差しつかえない、従来とってきた外務省の態度というものと変わらないのだ、佐藤総理発言はそういうふうに受け取るのだということですか、統一見解をまとめるかいなかについてはわからぬということは。
  175. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 どうも仮定に基づいた質問であったので、必ずしも答弁の趣旨がはっきりいたしません。質問者にわかっていなかったようでございますけれども、最後に、とにかく抑止力があるので、そういきなり攻撃を受けるなんていうことはほとんど予想されない、こういうことであったようでございまして、われわれは、これは正しい見解である、こう考えております。
  176. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 何が正しい見解なんですか。佐藤総理の見解が正しい見解として外務省もそのとおりだということで受けとめられて間違いないですか。
  177. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 沖繩が攻撃されたという場合にどういう措置をとるかということは、合意議事録である段階までははっきりしているのです。防衛は米軍がやる、施政権を持っているのですから。それで日本としては、やはり潜在主権があるというような立場もあり、民生の福祉というものを中心にして必要な措置をとる、こういうことが一応はっきりしております。おりますけれども、実際問題として一体日本が何も手伝わないでいいのか、見殺しにしていいのかというお話があったようでございまして、そういうことは現実問題として予想できないという見解を述べられたわけでございます。これは正しい答弁だと私は思います。
  178. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 現実はわからないということ、しかし、そのまま済ましてしまうわけにはいかぬわけですが、いままで外務大臣が述べられたことは、前の外務大臣でありました藤山さんが言われた内容のことであります。とするならば、佐藤総理発言内容らいたしますと、従来の解釈よりもさらに一歩前に、勇み足といいますか、はみ出ていることは事実ですが、その問題については、参議院の予算委員会で出た問題でありますから、向こうのほうでさらに詰めることになるだろうと思います。  私は、この際委員長に資料の要望をいたしておきたいと思います。というのは、外務省に籍のある自衛官十五名が海外の大使館あるいは公使館等に駐在武官という形で現在いるわけでございますが、その内訳はどういうふうになっているのか、それの任務は一体どういうような任務を持っているのか、そうしてまた、公式のいろいろな会合等には制服をつけて出席をいたしているようでありますが、それは自衛隊法施行令によります服装を着まして出席しておる。それは身分は一体今日どういう状態にあるのか。そういうような服務関係の内容の問題とも関連がありまするので、今日まで通産省とかあるいは農林省その他から出てきております各省庁出身の外務省出向職員といいますか、そういうような人たちの勤務国別の定員数というものを、各省別に明らかにした資料を委員会のほうに提出を願いたい。
  179. 大出俊

    大出委員 関連がいま三委員からございまして、先ほどの私の質問の結末がついておりませんから、とにかくそれだけ始末をつけて相談いたしたいと思います。  先ほどの私の質問をした限り、大臣から御答弁があり、条約局長から補足がございました点、私が確認を求めました点は、お考えのほどはそれなりによくわかります。ところで、私、実はいまの問題の最後に村山さんから関連のありました問題に触れておきたいと思ったわけでありますが、たまたま問題が出ましたので、そのことを含めて、ひとついまの問題の結論を出しておきたいと思うのです。  平和条約の第三条によりまして、沖繩は米国の施政権下にある、もうこれは厳然たる事実でございます。さらに安保条約の第四条というところで、日米の軍事行動の開始の協議、第五条はその遂行、こういうかっこうになっておりまして、さらに合意議事録がある、こういうかっこうですね。合意議事録の面からいきますと、沖繩に武力攻撃があったときには、日米両国で緊密に協議する、日本は島民の福祉のためにとることのできる措置を米国と協議する、こうなっているわけでありまして、このところを外務大臣が昨日参議金の予算委員会で、沖繩問題の総理答弁とからんでお答えになっておるのだと思うわけであります。ただ、しかし問題は、先ほどのお話にもありましたように、前回答弁が行き過ぎまして取り消した経緯があるわけでありまして、そのことが沖繩島民に与えた影響等、いろいろ当時取り消した答弁に対する逆に批判等もあった経過がございます。したがって、沖繩に行ってこられた総理の立場その他がありますから、そういうことを背景に、気持ちの上でおそらくああいうふうに言われたんだと私は思うわけであります。ありますが、しかし、あの御答弁というのは、私、調べてみましたが、外務大臣答弁をされた平和条約第三条に基づく施政権、これが一つ前提になり、合意議事録にいうところの島民の福祉のためにとるべき協議という限度を持っての話と食い違っていることだけは、間違いない事実なんであります。その食い違いについて、先ほど外務大臣は想定された問題についての答弁だから、ああいうふうになったんだけれども、別にこれは食い違いがないんだと言わんばかりのお話なんでありますが、いま私が申し上げたように、明確な食い違いである、こういうふうに思いますから、それは将来の想定に基づく質疑でありましても、ああいう答弁が世の中に明らかにされた以上は、いまの合意議事録等との関係におけるはっきりした態度をお示しいただいておかないと困ると思いますので、統一見解云々ということとは別に、外務大臣のお考え、所見のほどを、その点に関していただきたい。
  180. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 とにかく一応あの合意議事録によって沖繩住民の福祉のためとるべき措置を協議の上とる、こういうことだけははっきりしております。そう答えたあとで、今度はなおかつ見殺しにするんですかとかなんとかいうことで、結局それ以上は想定だと思うのです。だから、想定ということになると、いろいろこれはもう千種万態であろうと思うのです。これはその想定に基づいていったら時間もないし、だからどういうことを想定するのか、政府としても簡単に答弁のしようがなかった。結局概括的に抑止力によって十分にそろいう事態がないようになっているんだから、そういうことは想定できない、そういう想定に対しては答えられぬという趣旨において最後に締めくくりをしたんですから、答弁として私は間違いはないし、見解も間違いない、こう考えております。
  181. 大出俊

    大出委員 いまの問題は、最後ですからもう一度聞いておきますが、こういう経過なんです。いま私が例にあげた平和条約第三条の施政権の問題、それから合意議事録、沖繩に対する日本の義務の問題、こう二つあって、外務大臣は沖繩に対する日本の義務の限度で、島民の福祉の限度において協議するという答弁をされた。そのあとで沖繩が直接攻撃をされた場合に、それは日本に対する攻撃とは考えないかというところから、質問が出たわけです。それに対して安保条約第三条に基づく施政権との関連がある。これが一つ出てまいりましたが、しかし、アメリカの側との話し合いで一致点が出れば、日本に対する攻撃、これと同等に考えるのがあたりまえだ。なぜならば、沖繩島民は日本の国民なんだから、こういうことで、積極的に沖繩を防衛をする、こういうふうにおっしゃられたのであります。そうなりますと、総理がそう言ってしまったそのあとで締めくくりに外務大臣がいま言われることばは、なぜああいうふうに言われたかというと、それはいま沖繩は米軍の核戦力を含めた中心基地なんだから、ここを攻撃するということはアメリカを攻撃することになる。そうなれば、アメリカには核抑止力なる強大なものがある。したがって、そういうことは万々起こり得ないということ、さらに日本の自衛力というものは、アメリカに比べて格段に低いんだから、したがって、沖繩が米軍の基地になっている限りは、そこを攻撃をするということで日本の自衛隊が守る云々ということを考えるという、そういうところまで現実の問題としては考えられない、こういう意味のことを言ったわけですね、したがって、私は、やっぱり前段の沖繩島民は日本の国民なんだから、したがって日本に対する直接攻撃と考える、同等だと考えて自衛権の発動をするんだという、ここのところは外務大臣のほうで明らかにしておいていただかないと困る。合意議事録なるものが存在をするのですから、したがって、それはどうも行き過ぎなら行き過ぎだ、勇み足なら勇み足、こういうことにしていただかなければはっきりしないと思う。そこのところはどうですか。
  182. 安川壯

    ○安川政府委員 これは条約論と申しますか、法律論でございますけれども、自衛隊が自動的と申しますか、行動をとらなければならない場合は、安保条約は第五条でございます。第五条で、日本の施政区域にある武力行使が起こった場合、この場合には当然自衛隊は行動するわけであります。しかし、沖繩は第五条の意味における日本の施政権、施政のもとにある領域に入らないわけでありますから、かりに沖繩に武力攻撃が起こっても、第五条によって自衛隊が行動するということはあり得ないわけです。
  183. 大出俊

    大出委員 だから、そうなれば答弁のほうが勇み足になる。だから、そのところははっきりしておいてくれと私は申し上げた。冒頭に私が申し上げたのは、それだからこそ平和条約の第三条の施政権、それから安保条約の第四条に基づく日米共同の軍事行動に入る開始の協議、第五条にいうところの軍事行動の遂行、こういうふうに私は例をあげた。そこで、さて合意議事録がある。してみると、第五条にいうところの軍事行動の遂行には該当しないだろう。ならば合意議事録だ。だから、外務大臣は合意議事録の範囲でものを言っておるのに、総理が、私がさっきここで申し上げたように御答弁をされたのだから、いまの条約の解釈からいっても、合意議事録からいっても、総理がお答えになったことは、仮定の問題であったということを含めて、勇み足だったということにしていただかなければ、筋が通らぬでしょう。そこのところを外務大臣から御答弁いただきたいと申し上げておるわけです。条約上の解釈からして、合意議事録からして、どうしたってそうなるじゃないですか。ここにありますよ。問答はここに全部書いてあります。
  184. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 総理大臣は一々条文のことをなにして、そういうちっぽけなことを——そういうことをことばの上で区別して言うはずはないし、だから、沖繩がもし攻撃を受けた場合には一緒になって防衛すると言っているわけじゃないんで、その場合に日本人らしくとにかくふるまいたい、こういうことを言っておるのですから、ぼくはそれでいいじゃないかと思いますがね。
  185. 大出俊

    大出委員 外務大臣は、防衛庁長官の松野さんも言っておったけれども外務大臣の御性格だからと、こういうのですね、本会議でいなくなったりされるのだから……。私は気持ちはわかる。しかし、これは気持ちでは済まぬ。ですから申し上げておるのです。つまり例の四十年度フライングドラゴンという、飛竜計画などというものをめぐって、社会党の小林進委員と時の松野防衛庁長官とがいろいろやりとりしたいきさつどもありますけれども、三矢からフライングドラゴン、つまり飛竜、こういうふうに進んできた過程で、私どもが入手し、調べている限りでは、先ほど申し上げました安保条約の第四条、第五条、合意議事録、こういうものが引き合いに出されて、施政権の問題とからむけれども、まさに総理が言うように、アメリカとの話がつけば、三十八度線で何かが起こる、つまり米軍はそちらのほうに主力を向けてしまう、沖繩は、じゃあどう守るというときに、日本の自衛隊は沖繩に出かけていくということになっているわけですよ。だから、そうだとすると、われわれの側からすれば、外務大臣が言うように簡単な問題では決してなくて、つい最近におけるエコノミストその他にまで人が書いているのがありますけれども、この例のフライングドラゴンなるもの、これらの問題がまた再燃してきそうになってきているやさきに、そのときに総理大臣が沖繩に対する防衛義務らしきものを口の端に乗せるということがあれば、これは小さな問題では済まなくなる。あれだけ松野防衛庁長官が、事実に基づく小林委員の質問に対して、知らないということで、フライングドラゴンという計画は、非常に処するために日本の自衛隊の幕僚幹部の皆さんと米軍との間で意思の疎通をはかったのだ、その点は小泉防衛庁長官が答えたように認める。そのことをメモにしてある、そのメモのニックネームがフライングドラゴンだ、こういうふうにお答えになっておるのですけれども、まさにそのフライングドラゴンはそこまで想定になって立っているのだから、そうだとすると、どこから考えてみても、やはり安保条約の第四条、第五条、合意議事録、こういうものとからむ。だから、私は簡単な問題ではないので、気持ちはわかるけれども、その答弁については、一国の総理なのですから、慎重を期した御答弁をいただかなければならぬので——言ってしまったことをいまからとやかくどう言ってもしょうがないから、勇み足なら勇み足で、つい言っちゃったならつい言っちゃったということで取り消しをいただきたい、こういうことを申し上げておるわけですよ。簡単なことなら、取り消しだって簡単なことでしょう。
  186. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 この問題については、委員長において速記録を検討するということになっておりますから、その検討の結果を待ちたいと思います。
  187. 大出俊

    大出委員 そうしますと、外務大臣がいま述べられた見解、条約局長が述べられた見解を、ここで確認しておきたいのです。平和条約第三条に関連する施政権の問題があり、安保条約第四条に共同軍事行動の協議があり、第五条にその遂行という条項があるわけですが、この第五条の中には、沖繩に自衛隊を出すということは含まれていない、先ほどそういうように明確に答弁されたのです。となると、残る問題は合意議事録で、外務大臣答弁されているように、島民の福祉のためにとることのできる措置を米国と協議をすると明確にこれは規定されておる。となると、第五条の行動半径に入らぬとするならば、しかも合意議事録にないとすれば、とりきめはない。そうなると、明らかに日本に対する攻撃と受け取って自衛隊を沖繩に出動させる、こういうことは法律条文、条約条文的にはあり得ない、こういう前提、ここはよろしゅうございますね。
  188. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 条約論ということになりますと、あるいは法律論となりますと、ちょっとまた問題があるかと思うので、やはり国際法上日本の自衛権が及ぶか及ばないかという問題にさかのぼらなくちゃいけないわけでございますが、これは私どもは、従来政府の見解は、そこまで及ぶものであるということに了解いたしております。
  189. 大出俊

    大出委員 ですから、先ほどあなたはお答えになったわけですよ。そう申されたでしょう。議事録にちゃんとある。もう一ぺん言ってください。平和条約の第三条、安保条約の第四条、第五条——第五条には入らない。あなたはそういうように明確にされた。合意議事録については、先ほど外務大臣のほうから、福祉についてとることのできる措置を協議する、こういうふうに明確に答弁があった。その点明確にしてください。
  190. 安川壯

    ○安川政府委員 私が申し上げましたのは、沖繩が武力攻撃を受けた場合に、安保条約の第五条に基づいて自衛隊が行動することはあり得ないということを申し上げたわけであります。ただいま条約局長が申し上げましたように、第五条を離れまして、一般の国際法上の自衛権に基づいて自衛隊が沖繩におもむくか、おもむかないかということと第五条とは、全然別の問題であると考えます。
  191. 大出俊

    大出委員 そうなると、もう一つ聞かなければなりませんが、国際法上の別の問題とは何ですか。
  192. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 一般国際法上できることが、日本の国内法上できない、あるいは条約でそこまで規定を広げていないということはよくあるわけでありまして、この日米安保条約におきましては、いわゆる条約区域というものを日本国の施政のもとにある地域だけに限ってありますので、沖繩こ対する武力攻撃の場合には、安保条約は発動しないということになるわけでございます。  それから、日本国憲法は、一般国際法上、日本は個別的集団的自衛権をほかの国と同じように持っているわけですが、憲法上のいろいろな自己制限がある。その自己制限があるけれども、沖繩については、日本は、日本の自衛権がやはり及ぶのだという、こういうのが、私は従来の政府の見解だと思っております。
  193. 大出俊

    大出委員 沖繩について自衛権が及ぶということは、言いかえれば、先ほど椎名外務大臣がおっしゃったことのほうがおかしくなる。だとするならば、沖繩も自衛権が及ぶという御解釈ならば、総理の答弁されたことといささかもその点の解釈に食い違いがないわけです。そこのところはどうなんですか。
  194. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 自衛権が及ぶということは、必ずそこを防衛するということではないのでありまして、武力攻撃を受けた場合に、それに対処するために日本が軍事行動をとっても、それは国際法上違反にならない。自衛の行動として、国際法上の違法性が阻却されると申しますか、合法的に防衛行動ができるというだけのことであります。
  195. 大出俊

    大出委員 だから、違法性が阻却されるという限りは、必ず防衛するということではないと言われるけれども、防衛することもあるということになる、そういう解釈ですか。
  196. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 防衛することが国際法違反にならないということでございます。
  197. 大出俊

    大出委員 ならないということは、必ず防衛するともしないとも言えない。ならないことはならない。だから、自衛権が及ぶということでしょう。だから、そうだとすれば、防衛するということもあり得るわけでしょう、当然。
  198. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 防衛することがあり得るというふうに言いますというと、すぐ政策問題に私が口を出すような感じが出てきますけれども、防衛しても国際法違反にならない、そこでとめておきたいと思います。
  199. 大出俊

    大出委員 外務大臣、いまのきわめて限度を明らかにした答弁の上に立って外務大臣がお考えになって、総理の答弁とからむから聞いているのですから、先ほどの言いっぷりからすると、最後の段階で、ころ締めくくったのだからそれでいいじゃないか、こういう言い方なんですけれども、いまの解釈からすると、その解釈の上に乗って佐藤総理答弁をされたのだとすると、総理の言ったことは、何も解釈上誤りがない、あるということにはならない、逆に総理の言ったことを外務省としては認める、こういう立場になるはずなんです。そこのところはどうですか。
  200. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 さっきも申し上げたように、一々総理は条文のはじっこを頭に置いて答弁すべきものでもないと思う。やはり沖繩は日本の潜在主権下にある。ただ、日米安保条約の上において、お互いがそこに混乱を来たすおそれがあるので、日本の領土と言わないで、日本の施政下にある地域に対して攻撃が加えられた場合にはと、こう用心深い用語を用いたのは、そこらあたりどうも混乱するおそれがあるというので、条約当局はそういうふうにことばをきわめて神経質に使ったものだと私は思うのです。でありますから、法律上のことを根拠において総理は言ったのじゃなくて、気持ちを言ったにすぎないと私は思うのです。これはりっぱな見解じゃないかと私は思います。
  201. 大出俊

    大出委員 ここでやりとりしていると時間がたちますから、念を押しておきますが、議事録を調べることになっている、こういうお話ですが、調べた結果、あなた方の態度というものを明らかにされますか。されますな。
  202. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 委員長において善処するということを言っておりますから、委員長はどういうことをやりますか知りませんが、何か相談があれば……。
  203. 大出俊

    大出委員 そうすると、この時点では、佐藤総理答弁というのは正しいのだ、こういうことで外務大臣以下外務当局はお考えだ、こういうことでいいですね。
  204. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 速記録を検討して云々ということを委員長が言っておりますから、一応は委員長のやり方におまかせいたしたいと思います。
  205. 大出俊

    大出委員 それでは、あとのほうは保留をさせていただきます。      ————◇—————
  206. 木村武雄

    木村委員長 総理府設置法及び青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。
  207. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 青少年行政の改革に関する意見書の臨時行政調査会の分に関する問題につきましては、行管が参りましてから取り上げてまいりたいと思います。  先般安井長官にも私の質問内容について触れておきましたので、準備をしていただいておるだろうと思うのでございますが、ILO第八十七号条約の批准に関連をいたしまして、当時の国会においていろいろと国家公務員の基本的な人権の問題につきましては論議をされておる。この内容を検討してまいりますると、これは国家公務員でありましても、やはり国民の一員であることには変わりはないわけです。そういう立場から従来の人事院規則十四の七の適用の由来を考えてまいりますと、御承知のように、政令二百一号が制定をされまして、公務員の政治活動の自由権を完全にアメリカの占領軍の命令によって奪い取られて、それをそのままそっくり受けて人事院規則が制定された歴史があるわけであります。しかも国家公務員法の中に法律事項として、この違反事項に対しましては、単なる行政処分の対象のみならず、いわゆる刑事罰として三年以下の徴役、十万円以下の罰金ということが処分方法が明示されておる。ところが、この問題につきまして、大橋労働大臣がILO第八十七号条約の審議の際において、将来はILO第百五号条約との関連においても、この問題については検討をしなければならない問題があるということも、はっきり言っておるわけであります。しかも当時これを関連法の国家公務員法の附則の中において、法律事項として暫定的に生かしていこうというような経過もございました。そろいうような中から、とりあえず現行のようにその取り扱いは人事院規則によってやるということになったのでございますが、しかし、その場合には、政治的目的と政治的行為というものが一致しなければならないという従来の人事院の解釈というものがございます。これはいまでも変わらないと私は思っておるのです。それからさらに、いわゆる政策の決定とは、国会で法律、条約が可決されたときだ、こういうふうに、運用方針に対する解釈も、今日においてもこれは変わっていないと思うのであります。しかしながら、実際どういう取り扱いをされておるのか、その内容が、われわれのところには新聞に伝える程度のものしかございませんので、いわゆる公務員の日韓反対デモの政府見解というものが示されておりますから、この内容をもとにして質問をしていくわけでございますが、政府がこういうようないわゆる公務員の政治活動に対する見解というものをまとめられた。そのまとめるのにあたりましては、安井長官が昨年の十一月十九日の閣議で報告をされた内容のものがあるわけであります。この中においていわゆる政治的目的と政治的行為というものが一つにならないで、たとえば政治的行為だけが存在をしておった場合に、それも処罰をするのではなかろうかと思われるような内容の意思表示のものがございますが、そういうようなものが一体どういうふうになっているのかという点でございます。これについては、最近におきましては永山自治大臣が、去る物価メーデーの場合における問題を指摘をいたしまして、閣議として違反行為の事実について調査をするといろ態度を決定をしておられるようであります。したがって、政府の解釈というものと、人事院の解釈というものと、またそれに関連をいたしまして、憲法上の問題が今度出てくるわけでございます。というのは、今日のいわゆる特別権力関係のもとにおける国家公務員、しかも一般職の公務員というものが、憲法上の規定するところの基本的人権をどの程度に享受し得るのか、どの程度において排除されるのかという基本的な問題があると思うのであります。そういうような点から見まして、現在の人事院規則というものが、法律によって包括的に人事院規則に定めるところにより云々という形で政治行為の規制がなされておる、その内容そのものがはたして適正であるのかどうかという点も問題になります。しかもこのことについては、ILO八十七号条約の審議を通じまして、これらの問題について十分に検討をしなければならない問題であるということになっているわけであります。政府答弁がそういうような態度になっている。その後においてどういうふうに検討されたのか。すでに御承知のように、臨時行政調査会のほうからもこのことについては公務員に関する改革意見書の中で指摘されておる。そういうような政治行為に対する画一的規制の排除という形で臨時行政調査会のほうからも報告をされている、答申をされている。これは全面的に政府としては尊重をして今後の方向というものをきめていこうということになっているのですから、そういう立場を踏まえて私は質問を申し上げてまいりたいと思うのであります。公務員の政治活動の限界に対する政府の見解というものは、これは政府が決定をされてしかるべきものなのか、それに強制力がどういうようなふうに及ぶのか、この点について、その内容を長官のほうから説明を願いたいのであります。  それと同時に、人事院の職員局長からは、いわゆる一四の七を制定をした目的というものから照らし合わせて、現在、政府がやっている行為というものははたして公務員の利益を守る立場に立って考えているのか、その見解をお聞かせを願っておきたいのであります。  それから公務員の基本的人権が、私は、職務の遂行と国民一般の人権享受に矛盾する限りにおいての制約というものは認めなければならないと思いますし、また、国民の生命安全維持のために制約を受けることがあり得ると思いますが、憲法上表現の自由権なりその他の基本的人権に対しては、特別権力関係のもとにあるからということで排除できるものではないと考えるのでありますが、これに対する法制局の見解を聞いておきたいと思います。
  208. 安井謙

    ○安井国務大臣 公務員の政治活動を中心にしまして非常に広範な御質問でございますが、大体私のいまの受け取りました点で御答弁申し上げますと、公務員が全体の奉仕者としての職務を持っておるという憲法の規定からいきまして、政治活動には一定のおのずから制限が置かれている。その制限は、御指摘の国家公務員法百二条でこれを規定されておる。さらにその具体的な内容につきましては、人事院規則にまかせてあるといいますか、ゆだねてありまして、人事院規則が今日列記しているとおりであります。しかもそれにはお話しのとおり政治的目的、政治的行為とが相つながった場合にこれは問題になるといいますか、その違反の対象になるということでございまして、従来とっております政府の解釈、あるいは人事院の列記しております規則違反事項、そういったものにつきまして、今日といえども政府は何ら変わった見解をとっているわけではございません。従来どおりの見解に従っております。また、公務員の政治活動の内容等につきましても、現在政治活動で認められております政党加入の自由であるとか、あるいは選挙権の行使であるとか。そういったような問題について、何ら特別の規制を加えようというようなことを考えているわけじゃございません。  さらに、先般の物価デモに関してのお尋ねがございましたが、これも特に新しい見解を出して、それによってそれぞれの措置をするという考え方じゃございません。ただ、従来いわれておりますこの人事院規則に列挙されております事項にあるいは触れるのではないかと思われる点があるやに見受けられるのでありますが、その点についてはそれぞれの省庁において十分調査をするということがいわれておるわけでございまして、それ以上のものはございません。なお、昨年の十一月十九日に私の名前で出しました「国家公務員のデモ等への参加について」という文書につきましても、これは従来の人事院の解釈をいたしております範囲内でのものを、わかりやすく念のために反省を求めるという意味で列記したものでございます。それ以上に入っておるものでは何らございません。
  209. 大塚基弘

    ○大塚政府委員 御質問の点が多々あると存じますが、一応公務員法に基づいて人事院規則を制定した趣旨と申しますかそういうことと、それからいま総務長官から御答弁がありましたが、最近において政府が特に一四の七を非常にきびしく運用しておるのではないか、そういうふうに態度が変わってきているのではないか、こういう二点だと思います。  ところで、制定の趣旨は、申し上げるまでもなく、国家公務員が全体の奉仕者として政治的に中立でなければならない、それによって行政の継続性なり安定なりを維持する、あわせて政治的中立であるということはある意味では国家公務員の身分の保障にもなる、あるいは保護にもなると思われますが、そういう目的をもって制定された法令であろうと思います。実は御承知のとおり百二条及びそれに基づく人事院規則に関しましては、学者の間に相当いろいろな御議論がある。しかしながら、現在のところでは最高裁の判決も出ておりますので、一応違憲論という問題はないのではないか、われわれはそう考えております。しかし、そうした御議論もあることでありますし、人事院規則の制定のしかたそのものが、政治的目的と政治的行為というものを非常に厳密に、具体的に定義をいたしまして、その双方の要件を二つとも満たしているようなときに違法性が生じるということになっておりますし、かつ運用方針等において、規則の運用に関しては規則の解釈その他を詳細に規定しておりまして、運用のしかたも非常に厳格に運用されておるとわれわれは考えます。そういう点では、制定当初以来、人事院としては一貫した運用方針に基づきまして運用しておりますけれども、人事院の立場としては、解釈その他をぐらぐらさせたり、あるいは内容を広げたり狭めたりというようなことをやる意図はないのであります。  ところで、最近の日韓条約の反対のときのデモ云々の問題でございますが、それらの点に関しましても、人事局当局からの御照会その他ございまして、われわれとしては従来の解釈を変えないという態度でもって一貫しておるつもりであります。その後の事態に対しましては、ことさらに御照会等はごく最近の事象に関してはございません。それらの点で私どもといたしましては、別に人事局のおとりになっておる方針等が、現在の十四の七の運用に関してわれわれと見解が違うのだということは全然ないだろうと思っております。
  210. 真田秀夫

    ○真田政府委員 お答え申し上げます。国家公務員の政治的活動に対する制限の根拠は何か、特別権力関係ということでそういう結論をすぐ出していいのかどうかという点からの御質問だろうと存じます。先ほど御指摘ございましたように、憲法に表現の自由を保障する規定がございます。政治活動の制限は、ある意味においてはこの規定と衝突いたします。また、法のもとにおける平等との関連も出てくるかと思います。でありますけれども、憲法に保障しております基本的な人権あるいは平等といったものも、絶対に制限してはならないというものでないということは御承知のとおりであろうと存じます。公共の福祉のために合理的な範囲内において制限することは、憲法の禁ずるところではない。これはもう累次にわたる最高裁判所の判例もございますし、別に反対意見はないだろうと存じます。問題は、公務員に対する政治活動の制限をする合理的な理由をどこに求めるかということでありまするが、この合理性の説明のしかた、いろいろな考え方があろうかと存じます。先ほど先生が御指摘になりましたように、特別権力関係だからということで説明をしている方もいらっしゃると存じます。でありますけれども、私たちといたしましては、特別権力関係だから直ちに政活活動の制限がいいんだということには、少し論理の飛躍があるのではないかというふうに考えております。しからば、どういう理由でその合理性を求めるのかということになりますと、それは端的に申しますれば、やはり政治からの行政の独立、中立性、これを確保することであろうかと存じます。国家公務員法の百二条の違反が問題になりました事件につきましての最高裁判所の合憲説の理由も、さように書いてあったと記憶しております。
  211. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 委員長、きょうは時間がもうあと五分ぐらいしかないので、この広範な問題をその間に消化することはできません。それで、安井長官も先ほどからせっかくお見えになっておったんだから質問をしてくれということで始めたのですが、この問題につきましては次の機会に私は譲りたいと思います。  それで、十一月の十九日にあなたがお出しになりました、見解の内容についての詳細な通達を出されただろうと思うのでありますが、その内容を、ただ新聞によるだけでなくて、その文書をひとつわれわれのほうにも配付を願いたいと思いますので、次の委員会のときまでに出していただくよう、その点についてはお願いを申し上げておきたい。  そこで、私、きょうは井原行管局長が見えるまでとっておきました例の設置法に関連をする問題一つだけ取り上げておきたいと思いますので、その点だけ指摘を申し上げたいと思います。というのは、青少年行政の改革に関する意見書の中で、勧告として「青少年行政を担当する調整官と必要かつ適当な事務機構を設置する必要がある。」ということが書いてありますが、調整官といえば、これはいわゆる局とか課とかというようなそういう分配機能の形における行政機構ではなくて、いわゆる一つのヒエラルキー的な構成が不必要である。いわゆる専門官という調整官がスタッフ的な機能として存在をすればそれで足りるのだ、こういうような思想だと私は行政組織の上の理論形態としては考えるわけであります。そういうような立場から、この臨調の答申というものを極力尊重していくということでやっているわけなんですが、そのような意味において、むしろこの調整官というものがあって、その下に必要な事務機構というものを設置すれぱ足りるのではないか、青少年局というようなものはつくる必要はないんじゃないかというのが、この臨時行政調査会の勧告の内容であろうと私は見るのであります。こういうような勧告を受けておきながらなお局を新設をしなければならないというのが、どうもすっきりいたしません。そこで、この勧告に対してどういう方向であなた方がこの青少年局というものをつくろうとしたのか、その点一点だけ、それぞれの立場から説明を願います。
  212. 安井謙

    ○安井国務大臣 青少年問題に対しまして臨調の勧告は、いまお話しのとおり、調整官を設けろ、それに必要な機構を整備しろ、こういうことでございます。同時にしかし、それは総務庁といったようないまの内閣関係機構を全部統合したような大改革を前提のもとにいわれておる勧告でございまして、これはいまの場合、直ちに全面的採用というわけにまいっておらないわけであります。そこで、臨調で申しておられます精神の一つには、青少年問題は非常に複雑多岐にわたるから、これを調整すべき機能を果たすべきものとして調整官を置け、しかし、それを置くのには総務庁といったような官房、総理府、その他の機構を合併したような大機構を置いて、その中へ置けという前提であったわけでありますが、その前のほうの分は、今日直ちに実現をするわけにまいりませんので、一番必要な青少年問題に関する調整機能を発揮するための青少年局を総理府の中に置く、こういうふうにいたしたわけでございます。
  213. 井原敏之

    ○井原政府委員 青少年行政について臨調の答申が、今回の総理府設置法の段階では、むろん全面的に入れられておるわけではございません。それは、いま総務長官からも御答弁がありましたように、全般的に総合調整に関する機関は局というものの中におさめないという思想があるわけでございます。いまの段階では、まことに残念ながらそういう全面改正のところまでまいっておりませんので、そういう段階では、総理府も実はいろいろな内局を持っておるわけで、臨調の勧告の趣旨からいいますと、あるいは不徹底のそしりを免れないわけでありますけれども、現段階としては、次善の策としてやはり局ということを行管としても承認をいたした次第であります。
  214. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 総務庁というものができないから局をつくる。総務庁というものができたら調整官で足りるんだ。説明を承っておりますと、こういうふうに聞こえるのでありますが、そうですか。
  215. 安井謙

    ○安井国務大臣 臨調での御答申の趣意も、青少年問題については調整機構を持て、こういう御精神には変わりはないと思います。ただ、その形を置く場合には、もっと全体の機構を整備して、調整官のような仕事を仕組みにして内閣総務庁に置け、こういうようなお話しになっておると思うのでございますが、その全体の機構改正というものはいま直ちに実現というわけにまいりませんので、かねてから全体の調整機能を発揮する必要上、青少年局というものを今度置くということにいたしたわけでございます。
  216. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そのような総務庁という非常に強力な権限を持ち、総合調整の能力を持った官庁をつくるにいたしましても、しかしながら、青少年行政というのはその中にあって、いわゆる調整官で総合調整をやればよろしい、こういうような思想だと私は思うのです。だから、前段に言われた全体的な行政改革ができていないから云々というのは、一つの理由にならないのではないか。なぜかなれば、青少年行政の総合的な調整というのは、いわゆるその行政事務を一次的に、あるいは二次的に配分をするような、そういう系統的なものではなくて、やはり調整を主体にする考え方なんですから、専門官的な、いわゆるスタッフ的な機能というものによってやっていくんだという思想が、この臨調の一貫した思想だと思う。ですから、局長がおり、その下に審議官がおり、その下に課長がおり、係長がおるというような行政体系というものは、考えていないのじゃないですか。その点どうなんですか。これは行管の考え方というものをやはりはっきりしておかなければならない。
  217. 安井謙

    ○安井国務大臣 ちょっと補足してお答えいたしますが、いま言われますような調整官と同じようなものが青少年局長に当たると思いますが、その中に、いまの審議官とか課長とか部長とかいうような仕組みは考えておりませんので、その中には参事官をもってそれぞれ有機的な担当をさせるというように今度の機構は考えておりまして、そういう意味でも臨調の精神についてはできるだけくんでおるというつもりでおります。
  218. 井原敏之

    ○井原政府委員 臨調の勧告しました趣旨から申しますと、御説のとおりでございます。企画とか総合調整をやる機能は、局とか課とかいう御指摘のようなヒエラルキーの組織を持たないということは、プリンシプルがあったわけであります。特に中央省庁の改革の問題でも、そのことを言うておりますが、ただ問題は、先ほど来の繰り返しになりますけれども、現在の段階では、総合調整を担当しておる部局が、実は非常に圧倒的に局という名前に対する郷愁もあります、そういう際に、青少年行政の調整だけを一挙に局をやめて局長相当の調整官をもって充てるというところまでは、いまの時点としていき切らなかったというふろに私どもは理解して、したがって先ほど申し上げましたように、臨調の趣旨を生かすという意味らいいますと、次善の案とは思いますけれども、この段階ではやむを得なかった、行管としても承認をいたしたわけであります。
  219. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 もうこれでやめますが、いわゆる府なりあるいは省の内部における行政組織り分配理論の立場から考えてまいりますと、局というものは第一次的な分配なんですね。それで課というのが二次的な分配であり、行政組織の中核になっていくというような形をとって行政組織が成り立っておるわけなんですから、そういうような立場から考えれば、いわゆるヒエラルキー的な機構というものは不必要であるという立場で貫かれているこの臨調の精神というものが、局という名前を持った形で、内部の模様は参事官とかいうような話でありますけれども、そういうような行政機構的な形で姿をあらわしてくるというのは、私は少なくとも精神的には違反をしておるのじゃないか。これはやはり官僚の古い、局長になりたいという一つの郷愁といいますか、そういうようなものが、今度の行政機構のこり総理府設置法の中に思想的にあらわれているのじゃないか、こういうふうに受け取るのですよ。その点を見ましたときに、どうもおかしいなという印象を受けるわけです。その点からいまの青少年局の問題について質疑をいたしたわけですが、この次に残りの問題はやりたいと思います。終わります。
  220. 木村武雄

    木村委員長 次会は、来たる十五日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十七分散会