○受田
委員 大学の
自治的な
管理体制を確立することを侵すわけにはいかない、それに対して
私学振興の基本問題を
前提にして
考えるという
意味で
調査会も生まれたわけですが、そうすると総理の指示というのは
調査会を何とか早くやれという
意味だけの指示だったらたいした
意味がないと私は思うのです。
調査会の
答申を急がせいというような
意味の指示であったとすれば、
調査会は
調査会でいま一生懸命にやっておる。もう
一つ基本的な
文部省の構想というものも別途あっていいので、
答申が出ればそれは尊重せなければいけませんけれ
ども、これは
答申待ちでなくて、当面は
大学急増対策、
大学のいろいろの学内紛争、法政
大学などにも去年は使い込みの人間があらわれたりしてから、歴代総長がやめにゃいけぬというような運命を持っている、さきの国士館の問題もある、いろいろと当面する重要問題があるのです。
私学振興方策のほうの
答申待ちということだけでは、これは緊急体制はとれないと思うのです。
答申を急がしておったって、中間報告などをやらせたって、それは間に合わない。そこに文部行政の責任者の
私学振興に対する熱意が別途なければ私はいけぬと思うのですが、総理の指示がもしそういうような指示のしかたであれば、総理自身もこれはなまぬるいですよ。
答申待ち、
答申を急がせよというだけの
意味なら、それは
意味がはなはだ軽いことになってしまうので、そういう総理の意図であれば、これは総理自身も注意せにゃいかぬと思うのです。もっと当面する問題を、
調査会の
答申を待つまでもなく、急ぐ大問題がある。急増対策は、これは非常に急ぐ問題です。いまの教職員の確保の問題、かつて十年くらい前でしたか、
文部省は
大学管理機関を設置する法案を用意したことがあったわけでございますが、これはいろいろな反対にあったわけでございます。
中村先生のような人間としての魅力を持ち、強大な
政治力を持ったお方が
文部省におられる期間に、これはひとつすかっとした
私学振興方策について、この四月に急増対策のスタートをすると同時に、
文部省が何かの手を打っていただきたいと思うのです。そうすると、今度は
調査会の
委員の諸君がむくれるというようなことがあれば、これは
調査会は
調査会で別にあなた方の問題は基本的に
考えるのだ、当面は緊急措置だということでやられていいと思うのですが、私はその
意味では当面は非常に急ぐ問題があると思うのです。いまの
私学振興の税法の問題などでも、講師の謝礼にまで税金をかけておる。こんなことじゃ
私学はとても浮かばれませんよ。税金の面からもう少し優遇してあげぬと……。
国立は一人前八十万円もかけて国民の税金で勉強をしている。
私学は講師の謝礼にまで税金をかけて四苦八苦させられておる。それから奨学資金のごときでも、
日本育英会の奨学金を見てもわかります。
国立は
私立の三倍からもらっておりますよ、該当人員においても金額においても。国公
私立を通じて
大学生には公平に奨学資金を均てんするようなかっこうでなければ、私は
私学振興ということはとても期待できないと思うのです。こういうものでも
国立ばかり優遇さして、
私学はその三分の一以下の冷遇をしているというような育英資金、奨学金の
制度の生かし方、育英資金以外の奨学金もありますけれ
ども、そういうものの生かし方がなぜ
国立中心主義になっているのか、こういうことを
考えると、
私学は施設面においても、給与の面においても、またいまの
研究費においても、育英会の利用度においても非常に大きな差別を受けているわけですね。これでは
私学振興はかけ声だけになり、
私学に学ぶ
学生たちに、自由の天地という旗じるしが一方にあったとしても、一方で
経済的な非常な苦痛を受けるという現実を無視できないことになると思うのです。いま私が
指摘した点で、急速に
大臣の
政治力を発揮していただく時期が来ていると思うのでございます。いかがでございましょう。