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1966-03-08 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月八日(火曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 岩動 道行君    理事 辻  寛一君 理事 長谷川四郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 大出  俊君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       臼井 莊一君    小川 半次君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       堀内 一雄君    湊  徹郎君       稻村 隆一君    中村 高一君      米内山義一郎君    受田 新吉君  出席国務大臣         文 部 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         検     事         (刑事局長)  津田  實君         法務事務官         (人権擁護局         長)      鈴木信次郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     齋藤  正君         文部事務官         (大学学術局         長)      杉江  清君         文部事務官         (管理局長)  天城  勲君  委員外出席者         自治事務官         (財政局指導課         長)      及川 謙三君         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 三月八日  委員青木正君、大高康君及び塚田徹君辞任につ  き、その補欠として小川半次君、海部俊樹君及  び三原朝雄君が議長の指名で委員に選任され  た。     ――――――――――――― 三月七日  同和対策審議会答申完全実施に関する陳情書  外八件  (第一四四号)  同(第二一九号)  旧軍人等に対する恩給処遇に関する陳情書外一  件  (第一九九号)  引揚者在外私有財産補償促進に関する陳情書外  一件  (第二〇〇号)  靖国神社の国家護持に関する陳情書外一件  (第  二〇一号)  建国記念日制定に関する陳情書外六件  (第二〇二号)  紀元節復活に関する陳情書  (第二〇三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  文部省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二三号)      ――――◇―――――
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。稻村隆一君。
  3. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 最近の私立大学騒動につきましては、この前の委員会でほかの委員の方々から質問がありましたから、私はその点については繰り返しませんが、最近の学校騒動というものは、私は非常に重大な問題だと思うのです。昔から学校騒動はありましたけれども、いまの学校騒動は、われわれの時代学校騒動とはかなり異なった問題を含んでおると思うのです。このままに放置していけば、私はたいへんなことになると思う。問題は、いまの大学制度が完全に行き詰まっておるのじゃないか、こう私は思うのです。つまり、いまの大学は、むろんアメリカ占領軍等によって変革はありましたけれども明治時代伝統と惰性の上に立っておるのじゃないか、こう思うのです。明治時代には帝国大学というのがありまして、これはむろんこれなりに近代日本建設に非常な重要な役割りを果たしたと思っております。たとえば優秀な官僚を養ったということ、官僚が優秀であることは、日本は世界のいかなる国家にも劣らないことは事実です。それから自然科学において非常に国立大学が貢献をした。一方、私立大学というのは、その創立者である福沢諭吉あるいは大隈重信というような人が、民権の伸長の立場から、そういう考えのもとにあの学校創立して、それが立憲政治と、それから官学と違った意味において近代日本建設に非常な功績があったと思うのです。そしてその伝統の上にいま立っていると思うのですけれども、しかし、時代がすでに違っておるのであって、昔のようにはいかない。そこで、いわゆる時代の変遷というものが、今日の大学のいろんな問題を起こしていると私は思うのです。たとえば私立大学でいうならば、私立大学に入る人は、やはりかりに慶応とか早稲田とかというふうな伝統にあこがれて入ってくる、こういう人もずいぶん多いと思うのです。ほかの私立大学もおのおのみな特徴を持っておりますから、むろん国立に入れない人が入るということもあるであろうけれども、やはりおのおのの私学伝統と誇りに対して理想を持って入ってくる人が多いと思うのです。ところが入ってみますというと、私学の現実とそれは全く相いれない。私学経営は、非常に何と申しますか、一面からいうならば困った状態になっておるのじゃないか。このままでは、だんだん堕落の傾向をたどるのじゃないかという半面も見えてくる。それから、われわれの時代には、授業料値上げとかなんとかというふうなことでストライキなんか全然なかった。全く政治的、思想的なものでありましたが、いまの授業料の問題は非常に学生にとって苦痛であるというふうなこと、そういう経済上の問題もからんで学校に対する反抗が起きてくるのじゃないか。ところが、現在の私学は、経営難から、経営関係から——経営難でないところもあるが、経営授業料をますます上げるような傾向にある。昨年の十一月、日本私立大学協会加盟校が百二十七校ですか、学費値上げ四カ年計画を発表しておりますが、それによれば、今後毎年前年度の学費の五〇%を値上げし、昭和四十四年度には四十年度の五倍に引き上げるという、つまり昭和四十四年度には入学に必要な学費文科系で八十万、理科系で約三百万、こういうふうな計画を立てておるわけです。こういうところから、いろいろな私立大学寄付が問題になってくるわけでありまして、こういうことが進行いたしますと、今後あらゆる私立大学騒動が起こるようなことになるのではないか。しかも学校でありながらゴルフ場経営したり、あるいはまたホテル経営したり、土地投機をやったりしておるものもあります。その学校の名誉のために私はここで名前は出しませんけれども……。また、教授の給与はできるだけ切り下げる、できるだけ一人の教授にたくさんの学生を持たせるというふうなことをやって、授業料はできるだけ多くとる、こういうふうなことをずっと続けていっておる。たとえば学校法人は課税の対象からはずされておりますから、決算とか予算をひた隠しにしておるのが、私立大学現状なんです。こういう事態に対しまして、むろんわれわれは大学自治に干渉しようというのではありませんけれども国家から補助をもらっておるのですから、私は、こういう点を指導というか、助言文部省はしていかなければならないと思っておるのです。そこでとにかく、いま一律に補助をやっておるけれどもストライキが起こると、みんな簡単に補助金を出せ、こう言うのです。補助金が足らないからそうだと言う。いまの私立大学経営やり方、これは大学当局からいえば当然なんです。経営的にはこれはどうしてもそういうことをやらなければならないのでしょうけれども、一律補助ということは間違っておるのじゃないか、こういうふうに私は思っておるのですが、こういう問題に対しまして文部大臣はどう考えておられるか、お尋ねしたいと思います。
  4. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 御指摘のように、いまの私立大学にはいろいろな問題がございますので、私どもも心配をし、また今後大いに力を注いで検討を加えていきたいと思っておる次第でございます。お話のように、大学創立当時には、創立者の熱意と信望、それから一つの貫かれた精神、こういうものが脈々として生きておって発展をしたのが私立大学の歴史であると思いますが、そういう創立者なりあるいは創立者に近い関係者がだんだんいなくなってきておるというところに、いろいろ学校経営上問題があるのと、もう一つは、これは全部ではありませんが、総合大学になりまして、初めは法律専門大学とか、政治中心とした大学、あるいは経済中心とした大学といったように発生過程はありましたが、そのうちにだんだん総合大学になり、それがだんだん拡張されて、まあ、俗に申しますマンモス大学になってきておる関係上、大学の運営上にも非常にむずかしい点が多々起きてきてきておると思うのです。それから経済の面からいいましても、世の中全体が大きなビルができたり、ホテルができたりする時代でありますから、そういうものとの関連において大学設備も新しくしなければならない、校舎も見ばえのするものにしなければならないというようなことで多額の投資が行なわれるというようなことで、経済的にも非常な行き詰まりを来たしておる。この経済行き詰まりを今後どう打開すべきか、これは非常に私どもも苦慮いたしておりますところで、そういう点から臨時私立学校振興方策調査会ができまして、鋭意検討を始めておる段階でございますが、今後この私学振興考える場合に、どういう問題点をどうさばき、またどういうふうに対処すべきか、非常にむずかしい問題が多過ぎるほどありますので、私どもとしましては、この私学振興方策調査会検討過程におきまして、あらゆる角度から問題を取り上げ、場合によりましては、大学管理体制にいたしましても、かつては単科大学あるいは小ぢんまりした大学時代と今日は非常に様相が違っておる。しかし、法律制度上では、学校法人としては、小さい学校も非常にマンモス化した大学も同じ学校法人組織でいっておりますから、こういう組織の面でも問題があるのじゃないか、こういう点もあわせて十分御検討を願いまして、われわれとしては、何とか最近のいろいろな勃発します事態にかんがみまして、急速に適切な結論を得たいというように考えておりまする次第で、われわれもいろいろな角度から考えてはおりますけれども文部省がこういう考えであるということを打ち出しますよりは、やはり学識経験者あるいは私学関係者も入りまして研究をいたしております調査会結論を得て、その結論を得た上で、われわれは具体的な方策を樹立するというほうが妥当であろう、こういうふうに考えまして、できるだけすみやかに調査会のしかるべき答申のいただくことのできるように期待をしておるような現状でございます。
  5. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 大臣考え、私もまことにけっこうでございます。ただ、政府教育問題に対する確固たる方針を立てることが必要ではないかと、私は思うのであります。調査会答申の結果を待って態度を決定することはむろんでございましょうけれども、何と言っても文部省自体が、やはり確固たる方針を持つことが必要じゃないかと思うのであります。それで私はこの点を申し上げたいのですが、補助の問題ですけれども学校経営の内容をむろん検討しているのでしょうけれども、ただ困るから一律に補助するというふうなやり方は間違っているのじゃないか。そういうことは決してその大学のためにならないと私は思っているのです。私は、これは自分意見を提案申し上げてお尋ねしたいのですが、理科系だけは全額国庫負担前提として——いますぐ全額国庫負担なんかできないでしょうけれども全額国庫負担前提として検討しないというと、私立大学はやっていけない。そこに私は、私立大学の破綻の重大な問題がひそんでいるのじゃないかと思うのですが、この点について大臣はどうお考えでありますか。
  6. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 現在も、理科系大学について、設備補助は御承知のとおり三十七、八億円いたしておりますが、今後もそういう設備補助に国が力を入れるということは、たいへん意義のあることでありますし、私どもとしては、この点は重点として今後考えてしかるべきであろうというように考えております。
  7. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 医科とか工科というものは、私立学校にとっても収入経営の上からかなりいい収入であるかもしらぬけれども、私はこういうものはやはり国家が負担してやらないと、いつかは壁にぶつかると思うのです。たとえばいまの私立大学でありますけれども医科大学でありますが、私も子弟から頼まれて、入れてくれなんて言われて交渉に行ったことがある。そうすると、ある学校では二百何十万取った、ある学校は五百万、こういうふうなものを一応取るわけです。むろんそれは入学できなければ返してよこす。これは、私は学校経営者から言えば、決して悪いことであると言えないのですよ。というのは、学校ブローカーがばっこするから、それで学校は公然と取って、成績が悪くて入学できなければその金を返す、こういうふうなことは、これはしかたがないと思うのです。むしろ学校ブローカーのばっこを防止する意味からも、実際上そのほうが私はいいと思うのです。いろいろ新聞にも出ているとおり、学校ブローカーがばっこして、これに金を何百万だまされたなんていう人がずいぶん多いのですから、そういうことで、必ずしも寄付を取るのは学校経営の上からいって悪いとは言わない。また、自分の子供を何百万も金を出して学校にやれるという人は、これは特殊な人なんですよ。入れる人は、必ず借金をしたり無理をして学校に入れているわけです。出てくると、その人はやはり借金を返さなければいかぬから、そこで開業医としていろいろなことをやる。実は、話は横道にそれますけれども、医者なんていうものは、ほんとうは公務員にすべきなんですが、これはここの問題ではありませんから、私はその問題については申しませんけれども、大体何百万も入学金を出して、それで学校に行く。そうして出たら必ず開業医をやって、そこで無理な注射を打ったりいろいろなことをして金を取って、営利主義になってしまう。それが非常に国民の健康に重大な影響を及ぼすということになるわけです。ですから、私は、こういう医科学校というものは、実は国立であることが望ましいし、私立でも、いま私立国立にするなんというわけにいかないから、これはやはり全額国庫負担前提としてやっていく、そういうふうにする。そうすれば、文科系においては私は大した補助は必要ないんじゃないか、こう思っている。いまのような私立学校状態では、そう言っては悪いですけれども、率直に言って、だんだん大学の質が低下をしていって、いろいろな問題が今後ともずっと起きて、それが非常に悪い影響子弟まで及ぼすんじゃないか、こう私は思うのですが、その点は、文部省においてこの理工科系全額国庫負担ということをぜひとも検討してもらうことが第一の問題じゃないか、こう思うのですが、その点について大臣の御意見を伺いたいのであります。
  8. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 御指摘全額国庫負担ということもいろいろ問題があろうかと思いますが、私どもとしては、そういう理科医科工科等の系統の大学に対しましては、つとめてそういうような特殊の学生負担が起こらないように、できるだけ設備補助等を充実いたしまして、りっぱな、近代的な設備のもとに教育が遂行されるように最善を尽くしていきたい。特に御指摘のように、理工科系についてはそういう考え方で今後の方策を進めてまいりたい。考え方としてはそういうふうに考えております。
  9. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 ある有名な大学教授が、最近こういうことを言っている。日本大学アメリカ大学の逆だというのです。アメリカ大学は、私立は小規模の小研究をやっておる。州立大学大衆教育をやっている。こういうことになっているそうです。日本と逆だというのです。日本私立が大衆的な学校になっておるわけなんですが、その教授意見では、いまのような大学状態では、一流の数学者とか物理学者はみんな海外へ流れてしまって、日本にはいなくなる。技術は外国からの輸入パテント工業化だけになる。大学卒業者仕事のレベルはだんだん低くなって、他の国の科学に従属するよりほかなくなる。こういうことを言っているわけです。私も実は最近の日本大学傾向というものを見ますと、そういうふうになるのじゃないかということを非常に心配するわけです。いまの大学制度というものは明治伝統のもとにまだあるのであって、むろん占領軍による学制改革等はありましたけれども、しかし、時代は変遷しているのですから、過去においてそれなりの使命を果たしてしまったのですから、今後日本大学制度に対しては、もっと各方面から根本的な検討を加えて、そうして根本的な大学政策を確立する時代に立ち至っているのじゃないか、こう私は思うのです。そういう意味におきまして、これは単に私学問題だけでなくして、全体の大学に対する審議会を、各方面専門家もしくは権威者を集めてつくって、今日の大学はどうあるべきかということを再検討するときではないかと私は思うので、そういう点につきまして文部大臣は何かお考えはないかどうか、お尋ねしたいと思います。
  10. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 目下のところでは私学振興方策調査会検討をしておりますので、私学についてはここであらゆる問題を取り上げて御検討願う。いま御指摘のありました理科系大学につきましては、設備を充実する。設備さえ完全に充実してりっぱな教授が配置されておれば、運営そのものについては委託研究その他、私立大学私立大学のまたよさを発揮して、大いに民間産業等も、あるいは世論の要望する諸問題についてこれを取り上げて具体的に学理的に研究をするというようなこともできると思いますから、まず設備の充実が先決問題であると思いますが、こういうこともあわせて研究を願いたいと思っておる次第でございます。  国立大学につきましては、国立大学協会もできておりますから、こういう機関とよく協議をいたしまして、いま御指摘のような大学あり方等については、改善方について鋭意研究を進めてまいりたいと思っております。
  11. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 文部省はもちろん大学に対していろいろな助言をする立場にあるでしょうけれども、これの自治には干渉できないことになっております。むろん私は、文部省大学自治にかれこれ容喙をしないほうがいいと思います。しかし、今日の私立大学の中にはいろいろな最も悪い点が出てきている一つの例があるのでありますが、それは国士館大学の問題です。実は国士館大学学長柴田徳次郎氏は私の昔からの知り合いでありますが、ただこの学校は、はたして大学というふうなものとしてわれわれが正当に評価するかどうか、はなはだ疑わしい多くの問題を持っているわけです。これは最近の私立大学における最も悪い面の傾向があらわれて、社会的に見て絶対放置できない問題がある。その学校から解雇になった人々の中に私の知り合いもありまして、実はいろいろ陳情を受けて、そこで私はきょう文部省当局にお尋ねしたいと思っているし、この間の予算委員会の第一分科会におきまして、石井法務大臣にもお尋ねしたわけでありますが、これはとうてい黙認できないことをやっている学校なんです。私は、時間の節約上、簡単に申し上げますが、この学校選挙権銀行倶楽部というのがあるのですね。これはちょっと時代離れした一つの綱領を持っているのですが、そういうことは自由でありますから、これに対してかれこれ私は言うのじゃない。ただ参考までに私は申し上げますが、この選挙権銀行倶楽部というものを見ますと、いろいろ詳しいことは書いてありますが、大体こういうことなんです。  第一番目は、占領軍原爆政治の大洪水のあとを掃除する、これはいいでしょう。天皇の御心のままの政治、これは明治憲法時代思想です。日共革命暴動を応援するソ連中共の侵入を自力で撃退し得る国防力を充実する。これはその人の考え方ですから、かれこれ言うわけじゃない。私は別の問題でこういう点は申し上げます。アメリカソ連が戦争する場合は、樺太、千島を取り返す実力を準備する。共産党を法律で禁止する。ストはすべて三カ年間禁止する。外交では、ソ連中共とも復交をするが、その条件として、彼らが飼育した日本共産党員社会党員を全員即時引き取らせること。ソ連が終戦の際、日本人を強制労働させ、婦女を暴行虐殺した謝罪及び賠償としてウラル以東シベリア全域日本に割譲させること。こういう選挙権銀行倶楽部というのがあるのです。こういうことは思想の自由ですから、いまここで私はかれこれ言うのじゃないけれども、とにかく問題は、これに学生を強制的に加入させる。これに加入しないと、倫理はゼロになるから卒業できないわけなんです。そういうふうなことをやっているのです。これは実にひどい話であって、こういう時代錯誤的なものに強制的に加入させて、そしてそれに入らない者は卒業させない。倫理という点をゼロにするから卒業できない。だからして、生徒は反抗しながらもしかたない、みんなそこへ入る、こういうふうなことになっているのです。こういう事実は、文部省は知っておいでですか。
  12. 天城勲

    天城政府委員 いま御指摘の、国士館大学柴田学長がいわゆる選銀倶楽部というものを設置されたいきさつは、昨年国会でも取り上げられましていろいろ御指摘がございまして、その後事情をいろいろ聞いてみますと、結局これは学校の行事ではない、柴田個人考えで始めた仕事であるということで、当時学内にこの選銀倶楽部の本部に当たる部屋があったわけでございますので、それも学校教育と非常にまぎらわしいということで、学外に出すという措置も学校側もいたしておりまして、私たち聞いておりますところでは、この選銀倶楽部というのは学校とは別で、しかも政治資金規正法による届け出をして、別の団体になっているというふうに了解しておるわけでございます。
  13. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 ところが、これに入らなければ倫理というものを零点にして卒業できないというのだから、それが問題です。そういう点を調べましたか。そういう点知りませんか。
  14. 天城勲

    天城政府委員 一々こまかいことは私も聞いておりませんけれども、その選銀倶楽部学校教育との関係で、この倶楽部に加入しないといろいろ学校教育上の不利があるという話があるので、そういうことを聞いたところが、学校としては別にそのことによって扱いを別にしていないということを私たちに言っておるわけであります。
  15. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 それは全然私の調べたのとは違いまして、実際上そこへ入らないと倫理がゼロになって卒業できないというのが事実らしいですから、そういう点はもっとよく調べてもらいたいですね。  なお、この学校は、この間も私は法務大臣予算委員会分科会で質問したのですが、学長教授生徒に対する暴行が普通なんですね。たとえば佐藤英夫教授に対する暴力行為解雇ですか、これは医学博士で同校の体育学部教授なんです。これがみんなの前でステッキでなぐられまして——その問題は、この間法務大臣に質問しましたから、ここでは詳しいことは省きますけれども、とにかくどんな事情があっても、たくさんの人の前でステッキでなぐって二カ月の重傷を負わして、それで世田谷署のパトカーで送られて病院に入ったわけです。これは告訴事件になっておるようでありますが、こういうふうな問題がある。  これは中学校から高等学校大学までやっているんですね。そうでしょう。どうですか。
  16. 天城勲

    天城政府委員 付属の高等学校中学校を持っております。
  17. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 高等学校から大学までですね。——それで教授教諭に対する不当解雇がしょっちゅう行なわれるのですね。三十九年十一月に佐藤嘉祐三上弘之教授を解任しているわけです。これは選銀倶楽部設立に対する反対意見をやったからだ。表面の理由は汚職をやったということを捏造してやったわけです。それから、四十年三月に村岡安教諭解雇している。卒業式の際の生徒取り締まり不行き届き理由にして。四十年五月、高校の笹島賢二郎教諭解雇をやっている。病気欠勤届け出をしているのに、一カ月さかのぼって解雇、こういうことをやっている。四十年十一月には、桑田博、今川八乗外三教諭解雇している。桑田に対しては、親睦会を組織しようとしたというので——つまり親睦会とか、学長の許可を得ないであらゆる会をつくることは絶対いけないということになっておる。お互いの親睦会を組織したというので解雇しておる。他の四名の人は、桑田氏と親しいというだけの理由解雇している。こういう事実を文部省は御存じですか。
  18. 天城勲

    天城政府委員 いま先生御指摘の事件、一々私どうも承知いたしておりませんが、校医である佐藤教授の殴打事件、これに関連します三上教授以下の解雇事件、これら傷害事件として告訴されておったり、あるいは不当解雇で訴訟になっている事件等については、承知いたしております。
  19. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 それから四十一年二月には鹿島宗二郎教授解雇している。三上、両佐藤教授不当解雇に反対し、親睦会の組織活動の中心であり、さらに学園の非民主的、暴力的実態を社会的に訴える行動をとったというので、これは解雇したのですね。これは提訴中です。  以上、わずか一年三カ月の間に、佐藤英夫教授解雇を含めて六件、十一名の不当解雇という事態があるわけです。これを見ても、この学園というものは正常じゃない。こういうふうな学校、これは一種の暴力教室ですよ。こういうふうな点は、絶対に私は見のがすことができないと思うのです。  それから学生生徒に対する暴行事件がまたある。こういう学生に対する暴行事件等についても御存じですか。
  20. 天城勲

    天城政府委員 いまの学生の暴行事件その他につきましては、一々詳細は承知いたしておりません。
  21. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 これはやはり文部省としてもよく調査をして——こういうふうな学校の存在を許しておくということは、どうもいかぬと私は思うのです。まだいろいろな問題があるわけです。この学校は守衛がいないというのです。というのは、何か口実をつけて停学させる。停学さした学生を使っておる。用務員も門衛も何もいない。学生が清掃に使役されておる。掃除をサボってやり方が悪い者は、夏季や冬季の休暇を取り消されて、学校の雑務に使役されるなどということをやっておる。こういうふうなことがあり、またこの学校に入ると、学生が必ず後輩誘致をやらなければならない。後輩誘致をやらないというと卒業できない、こういうような事実がある。だから、学生のほうではおこって落書きをした。ここに写真がありますが、後輩誘致はとんでもありません、私は反対運動をします、こういうふうなことを落書きしておる写真が、ここに出ております。それからいろいろの問題がある。たとえば学生の寄宿舎をコンクリートの四階建ての上に木造でバラックを建てて、それを寄宿舎にしている。これは八分どおりできあがっているのであるが、あぶなくてしようがない。何かあった場合に逃げ場がない。運動場の掃除をしているが、そこにテントを張って学生の寄宿舎にしている。こういうふうなむちゃくちゃなことをやっているのです。  それから、そのほかに大学院を許可していますね。これはあとでいたしますけれども文部省学生に対するそういう事実を知っていますか。
  22. 杉江清

    ○杉江政府委員 大学院につきましては、昨年——本年度でなくて、四十年度に許可いたしております。
  23. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 これは全く大学院の実体を持っていないのを、文部省は許可にちゅうちょしたという事実がありますか、そういうことは聞いておりますか。
  24. 杉江清

    ○杉江政府委員 審査には、いずれの場合も相当慎重に審査いたしますし、ある点においては疑問の点もあり、十分な審査が行なわれたということは聞いておりますが、特に大きな問題点があったことは私は承知いたしておりません。
  25. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 これは大学院の実体を持っておらない、こういうことがいろいろ資料で出ておりましたが、私はここに持ってきておりませんが、こういうふうな乱暴な学校に対して、文部省は調査をして、何か学校に警告か何か与えたことがありますか。何もちっともかまわないのでしょう。
  26. 杉江清

    ○杉江政府委員 本年度学部の新設を認めております。そういった際に折衝の機会がありましたので、私は全般的に、いろんな問題があるので十分に注意されたい、この旨を学長にお話ししております。
  27. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 きょう人権擁護委員会の方が来ておられますね。この柴田学長の教職員に対する人権じゅうりんと暴力行為、たとえば佐藤教授に対する暴力行為、それから給与体系、就業規則は全く皆無、すべて学長の一方的権限でやる。給与体系と関連しておりますが、ボーナスとか家族手当、交通費などは全く皆無なんですね。それからPTA、教職員組合、親睦会など一切の集会・組織は絶対にこれを許されない。これなんかやったらすぐ首だ、こういうふうになっておるのですが、こういう点について人権擁護委員会解雇された方々から訴えが出ておるはずでありますが、その点はどうですか。
  28. 鈴木信次郎

    ○鈴木(信)政府委員 昨年の十二月十日に国士館大学教授の鹿島宗二郎外二名の方から不当解雇と総長の学内における暴行による人権侵犯という標題で人権侵犯の申告が出ておりまして、現在所轄の東京法務局においてこの事件を調査中であります。  その申告の内容は、ただいま御指摘の点と大部分同じでありますけれども、若干違うのであります。その概要を申し上げますと、まず第一に、総長は、自分考えと少しでも違うことをすると、その学生、教職員の身分を問わず、平手やあるいはステッキでなぐり、灰ざらを投げる等の暴行をする。それから第二点といたしまして、同総長は、天皇が国家の象徴であることを不満として元首復位を目標とする政治運動を起こし、これは先ほど御指摘のありました選挙権銀行倶楽部という組織の拡大をはかるため、その本部を学内に置き、会員募集に学生、父兄を強制的に動員している。また、募集成績の悪い学生に対しては、総長担当の科目の点数を悪くしておる。それから第三点といたしまして、同総長は、右運動に反対する教職員が親睦会という団体を持つことを禁止し、これに反対する申告者三名を不当解雇した。こういう申告事実でございます。  これに対して現在東京法務局におきまして調査中でありまして、まだその結論を出す段階にまでは至っておらないのでありますが、引き続き調査を督励いたしまして、できるだけ早く結論を出したい、かように考えております。
  29. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 それで、一月二十五日、不当解雇を受けた人々が人権擁護部法務事務官近江屋成隆さんという人に会って、鹿島教授が聞いたところが、近江屋氏は、いっそう全部の先生がおやめになったほうがよろしいのではないですか、他にどこでも就職先はあるでしょう。学問の自由ということがあるのだから、学長がどんな教育をしようと自由です。要するに内部で行なわれたことですからね。こういうふうなことを言って、積極的にこういう問題に対して取り組もうというふうな考えがなかったというふうなことを聞いておりますが、こういう事実がありますか。
  30. 鈴木信次郎

    ○鈴木(信)政府委員 東京法務局のこの事件の担当官がただいま御指摘のような言辞を弄しましたことは、これは遺憾ながら事実でありまして、まことに申しわけないと思っておる次第でございます。その点に関する東京法務局からの報告によりますと、本年の二月十一日午前十一時五十分ごろ、国士館大学付属高校の桑田教諭が法務局においでになりました際に、同局の事務官が、この桑田教諭とはすでに三回も面接しておりますため、気やすい気持ちになりました際でもあり、右教諭と雑談の際に、同情的な意味でじょう談まじりに、全職員がおやめになったら学長も困るでしょう、おそらく先ほど来御指摘のように、相当多数の教授が同総長からやめさせられておるというふうなこともあったからではないかと思いますが、そういった趣旨のことを言ったのでありますが、当時の両者間の雰囲気といたしましては、この桑田教諭を誹謗するような、そういったものでは全くない。また担当事務官も決してそれ以上の他意があったわけではないという報告を受けておるわけであります。が、いずれにいたしましても、事件関係者に対しましてそのようなことばを用いることは、これは妥当を欠く行為でありまして、厳重に今後の注意をしておいたような次第であります。あしからず御了承をお願いしたいと思います。
  31. 受田新吉

    ○受田委員 法務省に、時間がないそうですから、この機会に青少年問題に関連した法務省の態度をちょっとお伺いしておきます、いまは関連質問ですから、簡単に申し上げます。  総理府設置法について、法務省の教育、擁護に関係する青少年問題でございますが、学校教育過程で、十八歳から二十歳までの少年、学生といえども、少年法の適用を受ける年齢層です。この層を、少年法改正によって、年齢の切りかえによって、十八歳から二十歳までを厳罰主義で臨もうとする法務省の一部の見解がある。一方、最高裁その他の、教育主義的な立場でこの青少年の非行を防止しようという主義がある。この調節を法務省は苦慮されておると承っておるのでございますが、十八歳から二十歳までの少年というならば、大体高等学校を出て大学の二年、三年ごろまでの年齢層が、学生の間で該当する年齢層です。そういう年齢層を少年法の改正によって厳罰主義で臨もうとする考え方、これに対して後ほど文部大臣にもお聞きしようと思ったわけでございますが、法務省は結論としてはまだ答えが出ておらぬと思いますけれども、この教育主義か刑罰主義かといった行き方に対して、各省との十分の連絡・調節もはかられて意見が煮詰められようとされておるのか。特に、学校教育を受ける学生たちには、教育の力でこの青少年の非行を防止できると思うのでございますが、そういう点について、特に法務省として、現時点において把握している御見解を承りたいと思います。
  32. 津田實

    ○津田政府委員 ただいまお尋ねの事柄は、先般来新聞にいろいろ掲載されました少年法改正問題を中心とする現在の青少年非行対策の問題だというふうに理解いたしますが、法務省といたしましては、当時他の委員会におきまして、予算委員会であったかと思いますが、法務大臣が申しましたように、ただいまの段階におきましては、少年法改正問題につきましては、年齢等の関係も含めましてあらゆる構想を考えておるわけです。そのうち、複数の構想を遠からず世に公表いたしまして、大方の方々の、あるいは有識者の方々の御批判を得まして、それによりまして、最も相当と思われる、大多数の御納得をいただく案をつくりまして、これを法制審議会に付議しようという考え方でございます。したがいまして、ただいまこうなければならぬという一個の考え方を固執しておるわけではございません。ただ、少年法の改正問題がやかましく論議されるに至ります理由は、いろいろ考え方がございましょうが、やはり現行の少年法の青少年対策としての立場が、適当でない、あるいは相当の非難すべき点があるということであるというふうに考えておるわけです。したがいまして、これを何らかの形において改善をしなければならぬというたてまえから、数年前からこの作業が始まったわけでございます。よく、刑罰主義か保護主義かというようなことを言われます。あるいは責任主義か教育主義かとか、いろいろなことを言われますが、法務省といたしましては、刑罰主義ということを考えているわけでもなく、また保護主義一辺倒ということを考えておるわけでもございません。現在の少年法の運用そのものが、家庭裁判所によりまして、やはり保護主義の場合もあり、刑罰主義の場合もあるわけであります。ただそのバランスがどうかということが、現在の少年法改正問題の最も重点になっておるということでありますので、どちらかに一辺倒するという考えは、毛頭法務省として持っておるわけでございません。その意味におきまして、複数の構想を世に問うて結論を出し、それを原案に組み入れたいというふうに考えておるのが現状でございます。
  33. 受田新吉

    ○受田委員 この触法少年という立場が十四歳から二十歳までにわたっているわけでありますが、新聞などでは、これらの年齢該当の犯罪者に対しては、A少年とかB少女とか、仮名を用いて、公表を避けている。この気持ちはよくわかります。しかし、ここで問題になるのは、学校教育を受ける年齢層の子供たちは、学校教育のしかた、家庭教育、社会教育、いろいろ教育の方法がありますので、そういうところで十分その非行を是正する手が一つある。それから検察官あり、家庭裁判官あり、警察官ありというようなかっこうで、いろいろの法律的に関与する機関もある。そういうところで私たちとしては十分これを保護する道があると思いますが、しかし、犯罪を犯した者に対する責任を負わす意味においては、仮名を用いる必要は私はないと思う。これは堂々と名乗りを上げて、その少年がこういうことをしたという事実を訴えるべきであって、事実を否定してこれをおおい隠す必要はない。それを保護をするという立場で、人権に関係するという気持ちをお持ちでしょうけれども、そのことを犯したことは事実なんですから、事実を事実として公表していくという形であってしかるべきである。そして、それをまた保護・育成する道は幾らでもあるわけです。それを外部に発表することを避けるという気持ちは、もうこのあたりですっきりさしていただいていいじゃないか。  もう一つ、民法三条の成年年齢を二十歳とすることとの関係でございますが、これを忘れては、この少年法の改正は私はできないと思う。むしろ民法の二十歳を十八歳に引き下げるとかという立場であるならば、少年法の改正も筋が通るわけですが、民法の改正へひっくるめて考えるというお気持ちはないのでございますか。少年法だけ二十歳を十八歳に引き下げたとしても、それは意味をなさないので、十八歳からは責任年齢として、成年として扱うという気持ちを同時に持つような方策をお立てにならないと、この少年法改正は私は効果がないと思う。その二つにわたってお答え願いたいと思います。
  34. 津田實

    ○津田政府委員 まず、成年年齢をどうするかという問題は、これは非常に大きな問題でありまして、外国の法制等ももちろん考えられるわけでありますが、この問題は、いまさしあたりは問題となってはおりませんわけでございます。この点につきましては、もちろん私の所管でございませんけれども、法務省全体として申し上げますと、さようなことはただいまは問題になっておりません。ただ、少年の問題といたしましても、民法の成人の年齢とこれを合わせなければならぬ必然性があるかどうかという問題でございます。現在は十八歳あるいは十六歳以上につきまして、ある程度の成人の能力と申しますか、そういうものの一部を相当与えられている面がございます。営業の関係にいたしましても、あるいは自動車の運転等の関係にいたしましても、そういうことがあるわけです。そこで営業、そういう自動車の運転というようなことについて一人前に扱われている者を刑罰の面におきましては少年として扱うことが、はたして適当なものであろうかどうかというような問題がございますわけであります。民法におきましても、たとえば営業を許された者についてはどうするというようなことがやはり考えられておりますので、そういう意味の問題として必然的に成人年齢と少年法適用の年齢とが同じでなければならないという結論には、どうもならないように私ども考えておる次第でございます。要は、青年の心身の発育の不十分ということをカバーするために、どの程度の犯罪行為に対して刑罰あるいは処分をもって臨むことが適当かという問題に帰着するのではないかと考えておるわけでございます。  それからもう一つのお尋ねの、少年の犯罪等におきましては、本人のためにその氏名等を公表しないという立場が現在の少年法で行なわれておりますが、この点は、その考え方といたしましては、やはり少年の場合に、犯した犯罪については、まあ若げの至りと申しますか、ことばは適当ではありませんが、そういうようなことからであるという者については、成人以後には問題にしてやらないということが必要ではないか。全く成人になれば帳消しになってしまっておるということで、その人の更生をはかるのが適当ではないかという見地から、名前そのものを公表しないという立場がとられておるものと思うのであります。したがいまして、この点は全く事実そのものは世に問う必要がありますけれども、その人の将来ということを考えた場合に、やはりそういう態度をとっていくというのは、現在の少年を保護するという立場からいえば適当な措置ではないかということを考えるわけであります。一般予防的見地等を考えますれば、あるいは公表したほうがいいというようなこともありますし、現在捜査の必要上公開捜査というような点から、少年法のこの規定によらないで措置をするということもおりには行なわれておりますけれども、やはり全体的にさようなことにすることが適当かどうかという点は、相当問題があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  35. 受田新吉

    ○受田委員 そこまでにします、関連ですから。
  36. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 この間予算委員会分科会で、刑事局長佐藤英夫教授に対する国士館の柴田徳次郎学長の暴行に対してお尋ねをしておったのですが、その後検事局の調べは進展しておりますか。
  37. 津田實

    ○津田政府委員 現在までに七人の取り調べを一応終わりましたが、なお事実の点につきましては参考人あるいは告訴人あるいは被告訴人の間にかなり食い違いがあるわけでございます。したがいまして、なおまだ数人の取り調べを必要とするという段階でございますので、引き続き次の取り調べの人もきめておりまして、取り調べを続行しておる次第でございます。それらの取り調べが終わりますれば、これは処分をどうするかという段階になろうかというふうに考えておる次第でございます。
  38. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 この学校の人権じゅうりん、暴行、それから不当解雇、これは私は明瞭だと思うのです。こういうものに対しまして、何らかの——文部省が決して大学自治に干渉するという意味ではなくて、これはやはり処置すべきではないかと私は思うのですが、その点文部大臣はどうお考えになりますか。率直に言えば、そういう大学は認可の取り消しをしたらいいのじゃないか、その点につきましてどうお考えになりますか。
  39. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 私も実情はつまびらかにいたしませんが、どうも聞くところによりますと、学校の規則等を見ましても、柴田学長大学経営やり方は、昔の塾のような行き方をしておるように感ずるわけであります。そこで、問題は学校教育のあり方という点から見て、文部省としてもいろいろ研究すべき点があると思います。ただ、御承知のとおり大学自治からいって、あまり経営方針それ自体について干渉がましいことはいかがなものかということで、いろいろ苦慮し、検討しておるのが現段階であると思います。先ほど御質問のありました法務省の事件等の推移を見まして、われわれとしては検討いたしたい、目下のところさように考えております。
  40. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 これで終わります。
  41. 木村武雄

    木村委員長 田口誠治君。
  42. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 いま稻村先生が国士館大学の内容について披露され、それに対していろいろ説明されたわけでありますが、いま質疑応答を聞いておりまして法務省のほうへお伺いをいたしたいと思いますことは、事件の内容を提訴されてきた場合の最後の取扱いとして注意を与えた、こういうことでございますが、人権擁護委員会としては、この問題を正式の人権擁護委員会にはかって勧告とか注意とかいろいろありますが、そういう手続をとられたのかどうかということをお聞きいたしたいし、それから注意ということでは私はもの足らないと思います。これは最高の勧告をしてもらわなくてはならない問題ではないか、こういうように考えておるわけでありますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  43. 鈴木信次郎

    ○鈴木(信)政府委員 注意と先ほど申しましたが、これは先ほどそのつもりで御説明いたしましたが、あるいはことばが不十分でそのような誤解をお与えしたかと思いますが、注意と申しますのは、この事件そのものに関するのではなくて、事件を担当しました法務局の担当職員が、この事件についておいでになりました国士館大学の桑田教諭に対しまして、半分冗談まじりに、そのようないやな学校ならもう全職員がやめたらいいじゃないか、やめれば学長もお困りになるでしょうねという、担当者としてはなはだまじめさを欠くことばを使った。そのことばを使ったことに対しまして、私どもの職員に今後そういうことをしてはいかぬという注意をしたということでございまして、事件には直接関係ないということでございます。  それから人権擁護委員会に対して成規の手続をとったかどうかという御質問でございますが、御承知のように、現在法務省の人権擁護の方法と申しますか、組織といたしましては、法務大臣を頂点といたしまして、地方法務局の人権擁護部あるいは人権擁護課におきまして、人権侵犯事件の申告を受け、調査し、結論を出すという一つのいわゆる体系、それからいま一つは、全国の各市町村から推薦を受けまして、法務大臣が委嘱される人権擁護委員、これは現在全国で九千二百名ばかりおりますが、人権擁護委員、これがやはり同様に人権侵犯事件の申告を受け、調査し、それからその結論を出す、二つの方法があるわけでございます。これはもちろん双方十分連絡をとってやっておるわけでありますが、ただいまの国士館関係の事件につきましては、最初の方法、すなわち先ほどもお話しいたしましたように、鹿島宗二郎外二名の方が東京法務局に申告をされた。そこで東京法務局の職員のほうで、現在これを調査中であります。こういう段階になっておりまして、将来の見通しとして、法務局としてこれに対する結論を出すか、あるいは人権擁護委員が人権擁護委員会あるいはその連合会というものをつくっておりますが、そのほうの系統に乗せて、そちらのほうで検討の上結論を出すか、これはまだきまっていないわけであります。現在のところでは、これは法務局で受けた事件でございますから、おそらく法務局で結論を出す、こういうふうになろうかと存じます。
  44. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 聞き落としたかもわかりませんが、まだ調査の段階であるということでございますが、そもそもその問題の発端というのは三十九年からであります。それから今日まで質問者が非常に質問されたように、全く目に余る行動を行なっておるわけです。したがって、法務局のほうへ提訴してきたのがいつであったかということですね。それからそれがいま調査の段階だということですが、およそいつごろになればこの問題のけりがつくのでございますか。いままで事件を取り扱われた経験から、およそのことはめどがつくと思いますが、その点ひとつお聞きをしておきたいと思います。
  45. 鈴木信次郎

    ○鈴木(信)政府委員 申告がございましたのが、昨年、すなわち昭和四十年の十二月十日でございます。それからいつごろ結論が出るかという点でございますが、これはもちろん今後調査を進めてみなければはっきりしたことはお答えいたしかねるわけでありますが、大体におきまして、現在人権侵犯事件は年間に約七千件扱っておりますが、そのうちの六割くらいは半年以内に結論を出しております。それから七割五分強を一年以内。逆に申しますと、二割五分以下、二割五分を欠けるくらい、四分の一弱の事件につきましては、遺憾ながら年を越しておるというのが実情でございますが、この事件につきましても、将来のことで想像になって恐縮でありますが、半年ないし一年の間、ですからこれは昨年十二月申告の事件ですから、本年六月以降になれば、普通の進行状況では結論が出ると思います。あるいはその前に出るかもしれませんが、現在のところ、これほど問題になった事件でありますから、調査を促進させまして、できるだけ早く結論を出したい、かように思っております。
  46. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 成規の手続によって厳正な調査をしていただいて、そして私どもがあとから聞かしていただいても遺憾のない勧告等を行なって、こうした問題が将来なきようにひとつ努力をしていただきたいとお願いをいたしておきます。  それからなお、いまお聞きをいたしますると、事件によっては相当年月がたたなければ解決がしないわけなんです。もちろんこれは人権擁護課の課員の不足とか、あるいは委員会を開くわけなんですから、委員の先生方がいろいろと都合が悪くて開けないというようなこともありましょうけれども、いずれにいたしましても日時がかかり過ぎるわけなんです。この問題でなくして、全国的に見て日時がかかり過ぎる。私どものほうで取り扱っておる問題で、ダムができるので強制執行をする、したがって、その場合の補償等が非常に不平等な取り扱いをされておって、人権擁護委員会のほうに提訴されておる問題が福井にございます。そしてなお別に自由法曹団が人権擁護委員会をつくっておりまする、ここへも提訴をしておるわけなんですが、こうした結論が早く出ないがために、補償の問題等の片づきが非常に悪い。悪いというよりも、この問題を解決しないうちに結論を出すということになると、不平等な取り扱いになるということになるわけなんで、そういうような問題が法務局のほうへかかった場合には、相当日時を要するということで不便を感じておりますので、いつか私は定員の関係等の不足について強く要望いたしておいたわけなんですが、そういうようなことから、非常にこの問題も法務局としては人権擁護委員会に提訴するまでに至る調査とかそういう点で手間どりまするので、早くできるような態勢をつくっていただくように希望を申し上げておきます。どうも呼びとめまして御苦労さまでした。  そこで、次に大臣にお聞きしたいのですが、これはいま国士館大学の実例をもって質問をされたのですけれども、全国にはこれと同じではありませんけれども、これに類したような非常にワンマン的な運営がなされて、しかもその子弟が暴行をたびたびやられ、そうしてなおそういう教育をしておるものだから、中には青少年のことですから不良にくずれていくという人も非常に多いわけで、そういうところが他にもあるわけなんです。私は学校の名誉のために名前は申し上げませんけれども、そういう学校の監督、指導、管理というような点については法律に基づいてなされるということを私が聞きますると答弁をされるわけなんだが、その辺のところを十分に把握をしておってもらって、その法律に基づいての指導助言なり監督なりをやっていただかなければならないのじゃないか、こう考えておりまするので、この点についても、やはり大臣のほうから将来の問題としてひとつ御意見を承っておきたいと思います。
  47. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 大体学校制度あるいは文部省の監督の権限というものは、学校というものは良識に基づくものだという前提の上に立って仕組まれておりますので、いろいろ問題になるような脱線といいますか、芳しくないことがありましても、一体どこまで文部省はこれに対して発言をしたらいいか、こういう点が非常にむずかしい点だと思うのです。   〔委員長退席、辻委員長代理着席〕 できれば、本来からいえば、文部省なら文部省政府なら政府というものは、国家国民のために存立し、また国民の福祉を築いていくのが使命ですから、何かもう少しはっきりした権能が制度上示されておればいいのでありますが、こういう点がどうもなかなかむずかしい点であると思います。しかし、そういうような不都合な点がございましたら、お聞かせをいただきまして、われわれとしましては行き過ぎない程度の注意は十分に払いまして、教育というものは、あくまで下は幼稚園の教育から大学教育に至るまで、これは愛情を込めたものでなければならないはずでありますから、そういう方向に向かいまして許された範囲の指導につとめてまいりたい、かように考えております。
  48. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その辺の努力をひとつ強く要請をいたしておきます。  そこで、いまもお聞きになったように、この問題で非常に問題になろうと思いますことは、思想的な考え方の上に立って学内に政治結社的な、クラブ的なものをつくって、そうして運動をしようということですから、あくまでもそれに参加するものは自由でなければならないのに、参加しないものは片っ端から解雇をしたり、いろいろな制裁を加えたりすることは、非常にこれは問題だろうと思います。しかもこの内容が常識的に考えてみてやむを得ないと思えるようなものなら別ですけれども、現在の憲法におけるところの天皇の象徴というこの形は不満であるのだ、戦前の天皇政治に復活すべきだというような考え方を持った、そうして日共の革命的暴動を応援するソ連中共の侵入を自力で撃退するような国防力を充実せよというような、日本国防力関係したようなことも項目にあげております。それからアメリカソ連が戦争する場合には、樺太や千島を取り返す実力を準備する。これは防衛庁の肩持ちを——迷惑になるような肩持ちをやろうとしておるのです。これは幾つか項目がありますが、すべてこの項目は、どの項目を見ましても、どうも私は問題になろうと思うのです。これがもし担当の文教委員会で取り上げられたとするならば、私は次から次へと関連質問があって、そうしてそういう学校を一度調査にいこうじゃないか、調査団の派遣とか、あるいは参考人として呼んで参考人から聴取をするというようなことも、これは該当委員会だとやる内容だと思うのです。こういうような問題がいま提起されたのでございますから、内閣委員会で設置法の改正に伴っての関連に質問をされたわけですからあまり突っ込んだ質問にはならなかったと思いますが、十分にこういう点をひとつ配慮をしていただきたいと思います。  そこで、次の質問に移りたいと思います。問題は小さな問題でございますが、小さな問題であっても、地方へ参りますと非常に大きく取り上げられ、各家庭で悩まされておるのは、ますます学校教育に対するところの税外的な負担が多くなってきておるということです。これは調査されておると思いますが、一番近い年度の税外負担はどの程度になっておるか、自治省からも来ていただいておりますので、ひとつお示しをいただきたいと思います。
  49. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 文部省では、調査局におきまして毎年父兄負担の調査をいたしておりますが、これは家庭をサンプルで選びまして、克明に学校教育あるいは家庭教育に必要な経費につきまして調査をいたすものでございます。もう一つは、国、地方を通じます教育費の調査を決算面からいたしましたものと二通りございまして、その中にそれぞれ父兄負担なり、あるいは公費によらずして出ました教育費等があるわけでございます。これは現在三十九年度の決算に基づくものを集計中でございますが、いまその数字等の資料を私持ってきておりませんので、ここでちょっとお答えしかねるわけでございますが、調査としては、文部省としてかなり綿密に調査をいたしております。
  50. 及川謙三

    ○及川説明員 詳細の数字をただいま手元に持っておりませんが、三十八年度の決算の数字では約百五十億ほど、これは教育費以外の消防とかいろいろなものを含めましての税外負担の状況でございます。三十九年度の数字も約同程度の額のように記憶しております。
  51. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 これは自治省のほうへお伺いいたしたいと思いますが、税外負担は財政法上の違法行為になっておりますので、そういう点は極力少なくするように、また禁止をさせるように努力をされておりますが、学校教育に対する税外負担の関係も、私の調べた範囲内では、年々比率が多くなっておるわけであります。こういう点は、あなたのほうの調査とは相違があるかどうか、その点を明確にしてもらいたい。
  52. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 実は三十八年度の調査でございまして、父兄負担と申しましてもいろいろございますが、本来公費をもって負担をすべきものがPTA等による寄付でまかなわれているというものが、三十八年度の調査によりまして、学校施設設備の整備が五十五億、教材教具等の購入費が三十六億、その他の経費、すなわち消耗品等でございますが、六十五億、計百五十六億という数字が出ております。これに対しまして文部省といたしましては、教材費関係につきましては年々向上をはかっておりまして、四十一年度の予算におきましても、約言〇%を引き上げております。これはおそらく教材費の単価といたしましては、この十年間におよそ二〇〇から二二〇ぐらいの指数で伸びてきております。それから交付税の還付につきましても、年々改善をはかってきていただいております。また、施設の関係におきましては、これは一般の校舎等の公立文教施設あるいは初中局で所管しておりますところの産業教育の施設設備につきましては、年々単価の是正をはかり、これが実態に合うようにいたしまして、あるいは鉄筋等の構造比率の改善を含めましてその改善をはかり、できるだけ実態に即するような補助が行なわれるように努力をしてまいりました。この点につきましても、四十一年度の予算については、相当の改善をいたして努力をしておるわけでございます。
  53. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、明確にしておいていただきたいと思いますのは、地方財政法の四条の五、国は、もちろん国家行政組織法の第八条の規定に基づいて規定されておるもの、裁判所法の第二条に規定されているもの、こういうものを含めまして、直接、間接を問わず、公共団体または住民に対して寄付金等の割り当てを行なって徴収することはしてはならないという点が規定されておるのですが、この点、学校教育の場合に割り当て寄付というのが一番多いわけなんです。したがって、これをどういうように見ておられるか、そしてこういう法違反になっておるものを将来どういうようになくしていく努力をされようとするのか、承りたいと思うのです。これは放任しておいていただく筋合いのものではないと思うので、幾ら学校教育に費用がかかっても、これは法を無視して、法違反を行なって割り当て等の寄付を徴収するというようなことは、非常に迷惑なことですから、学校教育に必要な費用は、予算に組み入れて正規な出し方をするようにしなければならないと思うわけです。実態はただいま申しましたような実情ですから、これをどの程度把握しており、また将来どういうようにこれを解消していく考えであるのか、その点をお示しをいただきたい。
  54. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 地方財政法の関係におきまして、学校の職員等の給与に関するもの、あるいは校舎の維持、修繕等の経費に対する寄付というものは、禁止をされておるのであります。実態といたしまして、これらのものが実は絶無になっておらないことは、はなはだ遺憾でございますが、これも三十八年度の地方教育費調査によりますと、これらの事務補助員あるいは給食調理員等の給与費について、PTA等の負担が五億、それから校舎の維持、修繕費等が十六億、計二十一億という数字が三十八年度について出ております。そこで、文部省といたしましては、この職員の給与関係につきましては、地方交付税の単位費用の積算の基礎となる員数、単価等をいろいろ改善をはかっていただいております。たとえば給食調理員につきましては、三十七年度の三人、三十九年度の三・五人を四人まで引き上げるというような措置、あるいは校医手当等の増額をはかっております。また一面、事務職員につきましては、三十八年度の標準法の改正によりまして、四十三年度を目標といたしまして、年々事務職員を増加をはかってきており、所要の財源措置もいたしておるわけでございます。  以上のようなことで、これらの法の禁止の趣旨に触れるようなものにつきましては、なお今後ともその解消のため、超過負担の軽減の具体的な施策を進めてまいりたい、かように思います。
  55. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、どうしてこういう強制的に類する割り当て寄付が多くなってくるかといえば、国としては、一つ予算措置として、校舎を改築する場合には何分の一、二分の一とか三分の二とか、いろいろ補助の規定があるわけなんですが、その単価が非常に安いわけです。だから、単価の安い分はどこからか補わなくてはならない。だから、地方自治体は五を出す、中央から五の補助があるといってみたとて、単価が安いということから、必然的にそれだけでは学校の改築はできない、あるいはプールができない、いろいろ問題が起きまして、最後には、父兄のあるいは父兄だけでなしに、全住民の寄付を割り当てて徴収して、そして改築なり新築なりあるいはプールなりをつくっておるというのが、いまの実態であるわけです。だから、この単価の面については、もう少し実態に沿うような単価をきめていただいて、それにのっとって寄付の解消をはかっていただかなければならないと思うのです。この辺から税外負担を寄付でとるということが非常に多く出ておるわけですが、そういう点はどういうようにお考えですか。
  56. 天城勲

    天城政府委員 いま建物の話が出たものでございますから、私からお答え申し上げます。  例として、公立学校の施設の負担について予算上の単価の措置が不十分ではないかという点でございます。公立学校施設の建築費につきまして父兄負担とか超過負担ということがいろいろいわれますが、その原因は、御指摘のとおり、単価の問題が非常に大きな影響がございます。なお鉄筋、鉄骨、木造の構造比率の問題、それから施設の基準の問題、それから事業量の問題、私たち、この四つの要素があると考えております。もちろん単価につきましては、御指摘のように、実施単価をとるべきでありまして、これについて年々努力をいたしておりますが、たとえば四十一年度で申し上げますと、大体鉄筋が中心になってまいりましたので、鉄筋に重点を置いておりますが、この鉄筋単価に一万二千百円という単価をとっております。   〔辻委員長代理退席、長谷川(四)委員長代理着席〕 これは前年度の約四・一%の増でございますが、ほとんど現実の実態に近い平均単価になったと思っております。これはたいへん残念でございますが、木造単価でまだ実態まで引き上げることが本年度できませんでしたので、これも一〇%ほどアップいたしましたけれども、まだ差があるので申しわけないと思います。全体が鉄筋、鉄骨のほうに移ってまいりまして、これの構造比率を高めていくと同時に、単価を適正にしていくという考え方をとっておるわけでございます。  それから一方、補助の基準がきわめて低いと、現実にはそれ以上上回った事業をしなければならぬというようなことから、従来問題がございましたので、逐次基準の改善をはかってまいりまして、四十一年度におきましては、教室のほうが大体基準の改定が終わりましたので、屋内運動場の基準の改定ということをただいま考えて、法律の改正も別途お願いいたしておるわけでございます。そういうような多角的な面から地方に対する不当な過重負担がないように努力いたしておりますとともに、その面の努力を続けていきたいと思います。
  57. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 基準の関係補助対象にするわけにはいきませんか。
  58. 天城勲

    天城政府委員 基準と申しますのは、補助の基準でございますので、たとえば……。
  59. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 備品も含まれているのですか。
  60. 天城勲

    天城政府委員 建物です。備品は別にお答えいたします。
  61. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 実験実習用の器材等については、先ほどお答えいたしました教材費の中に含まれております。なお、理科教育につきましては別に理科設備補助金がございますが、これも先ほど申しましたように、年々増額をしてまいりました。ただ、この教材費につきましては、先ほどお話のありました施設と違いまして、毎年度政令で単価をきめております。きめておりますが、どの部分を地方で持ち、どの部分を負担金にゆだねるかという基準については、現在再検討をいたしておりますので、その点が出てまいりますと、国で補助すべき、負担すべきものとの限界がはっきりいたすわけであります。なお、理科教育につきましては、これは四十一年度で従来の計画は一応基準についての予算措置が終わりましたので、四十一年度予算では、およそ従来の基準に比較いたしまして倍程度の新基準を設けまして、これに基づきまして年次計画で充足してまいりたい、かように考えております。
  62. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 時間がございませんのでこまかいことを申し上げることはできませんが、とにかく単価が安過ぎるから、教材費も実際と合うような単価を出していただきたいということを希望申し上げておきます。  それから岐阜の本巣郡真正町にある国立高専なんかは、ちょっと雨が降りますと一尺ぐらい水が入りまして、校舎に入るのにズボンをめくって行かなければならぬというようなことが、年にたびたびあるわけです。こういう排水路の関係なんかは、いままでに相当陳情が来ておると思いますけれども、なかなか手をかけていただけぬようですが、これは担当者おいでにたりませんでしたら……。
  63. 天城勲

    天城政府委員 たいへん申しわけございませんが、いま岐阜県の具体的なケースを存じておりません。ただ、全般といたしまして高専の整備につきましては年次計画を追って仕事をいたしておりますし、この計画の中には環境の整備まで全部含めておりますので、あるいは年次でおくれているのじゃないかと思っておりますが、計画といたしましては、そういう運動場、囲障、それから用排水の問題も、全部含めて計画を立てております。なお具体的によく検討いたしたいと思います。
  64. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その点をお願いしておきます。よく調べてみてください。  それから定員の関係がございますので、ちょっと頭へ浮かびましたので確認をしておきたいと思いますが、岐阜、兵庫、山口の医学部が国立移管になりまして、年次計画で地方公務員を国家公務員に編入し、あるいは施設も順次編入をする、こういうことになっておりますが、これは三県とも順調にいっておるかどうか、この点をお聞きをしたいと思います。
  65. 杉江清

    ○杉江政府委員 概観いたしまして、岐阜を除いて他の二つの公立大学のほうは順調に進んでおりますが、岐阜については、県で整備すべき具体的な内容についてまだ十分協議が整っておりませんので、いろんな問題が起こっております。なお、移管のやや具体的なことを申し上げますと、学年進行によってすでに三十九年度及び昭和四十年度においてそれぞれ医進課程並びに専門課程のうち、基礎講座の全部と臨床課程の一部を移管し、所属職員の身分の切りかえを行なってまいりました。引き続き四十一年度と四十二年度において臨床講座の移管を行なうことに進めております。なお付属病院所属教職員については、付属病院の移管の目途がきまり次第具体的にその移管措置を検討することにいたしております。
  66. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 三県のうちで岐阜を除いて順調にいっておるということですが、岐阜は何が順調にいっておらぬのですか。
  67. 杉江清

    ○杉江政府委員 いまの定員等の移管については他の二大学と同様に行なっているわけでありますけれども、この移管に際して県のほうで施設設備を整備していただきます具体的な内容について、協議が整わない状況でございます。その具体的な内容については管理局のほうで所管しておられますが、大体においてそういう状況でございます。
  68. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 地方公務員を国家公務員に切りかえる点については、三県とも同様に順調に進んでおる。岐阜の関係の順調に進んでおらないというのは、具体的な設備関係とかいろいろということでございますが、あのときに話のありましたことは、いまもう新庁舎ができて県庁が移転いたしましたが、旧県庁の庁舎を医学部のほうへ提供するとか、あの辺の土地を提供するとか、あるいはお金を何億だったか出すということになっておりましたが、そういうことが進んでおらぬわけですか、その他設備ということですが。
  69. 杉江清

    ○杉江政府委員 ただいまのお話のような点が、なかなか意見の一致を見ないままに現在に至っております。
  70. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 せっかく国立に移管をしてもらって、そして岐阜だけが順調に進んでおらぬということになると非常に残念ですが、これはやはり条件に無理があったのですか、どうなんですか。
  71. 杉江清

    ○杉江政府委員 基本的な考方えは三大学同じ考え方で、それぞれの御協力の範囲をお話し合いで進めてきたわけでございます。それで三大学とも、当初におきましてはかなり意見の食い違いがありましたけれども、いろいろ御相談の上、かなりのところまで煮詰まってきたのであります。そうして神戸と山口については十分な御了解のもとに意見の一致を見たわけでございますが、岐阜につきましては、かなり煮詰まっておったと私ども考えるのでありますけれども、しかし、ついに今日まで意見の一致を見ない状況にございます。私どもは、文部省がこれだけはと申し上げてきた内容については、他の大学の均衡等から考えましても無理なものではない、かように考えております。
  72. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、その内容は完全に具体的には私は知りませんが、大綱的には知っておりますけれども、岐阜の場合は、将来を含めてあそこに医学部を置くということは、環境的にちょっと無理だと思うのですが、そういうことを、将来のことも考え合わせていただいて問題を解決してもらうということになれば、話も早くいくのじゃないかと考えられるのだが、そういう話は全然出ておらないわけですか。
  73. 杉江清

    ○杉江政府委員 当初からそういうこともお話し合いの中で出たのでありますけれども、地元としてはあれを移してもらいたくないというかなり強い御希望があって、あの土地で整備する計画をつくったわけでございます。あの土地は御存じのとおり非常に狭くて、将来の発展の余地がない。そういう状況でどうするかということで、ほかの二大学と異なった問題としていろいろ御相談したわけであります。しかし、現在のように、あの地で整備するために私どもがこれだけはぜひと考えておりますことに十分な御協力がもし得られないとすると、そういったいまのお話のような点を含めて今後いろいろ考えていかなければならないのではないか、かように考えておりますけれども、その辺もまだ具体的な話し合いになっておりません。
  74. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、将来のことも考えて話をつけるということになれば、話の方向も変わって、少しはいい空気になるのではないかと思うのですが、ただ、いまお聞きをいたしますと、あそこは放したくないということは、これは付属病院がつくんだから、あまり僻地の不便なところへ持っていってもらっちゃ困るということだけで、だれが見ても、大学の医学部としてあの程度の敷地で、そうして校舎と病院と離れており、運動場も離れており、こういうようなかっこうのものは、将来どこかへ移転をしなければならないのじゃないかと思います。したがって、だんだん町は発展していき、郊外のほうにもそれぞれ住宅が建って、いまなら安く手に入るところでも、これが三年たち、五年たち、十年たちということになりますと、なかなか安く手に入らぬということから、私は、こういう問題も含めて、非常に内容が困難になっておれば、打開のほうを考えていただきたいと思います。したがって、おそらく与野党を問わず、こうした問題が停とんしておるということになりますれば、政治家としても直接県当局あるいは文部省のほうへそれぞれ話をつけていただくように努力しなければならないと思いますので、その点の今後の配慮をお願いいたしたいと思いますが、大臣もお聞きになって、約束どおり岐阜だけ実施されておらないということは、やぼと言えばやぼのように考えられるが、やはりそこにも何か問題がひそんでおろうと思いますので、こういう問題の解決に努力をしていただくという点で、ひとつ御答弁をお願いをいたしたいと思います。
  75. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 確かに、伺っておりますところ、現在の場所は非常に場所が狭隘であり、これ以上拡張改良の余地が非常に困難であるようでありますから、いまお話のように、新しい角度の相談及び検討も早く進めてみたほうがいいんじゃないか、こう思いますから、御指摘の点、よく担当の当局とも相談をしまして、現地の県当局とも協議をさせるようにつとめたいと思います。
  76. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それから、農学部、工学部は、いまあるところは飛行場の近くで、しかも昨年滑走路が拡張されて、F104Jの実験がなされるということで、なかなか環境的に悪くなった。したがって、同じ各務原市に置くとしても、これは場所を変えなければ、いまのところではちょうど滑走路の進行方向の下になるわけで、とても私は学校としては将来問題があろうと思いますので、そうした問題も文部省のほうへは上がって来ておると思いますが、こういう問題の解決もしていただかなくてはなりませんし、それから学芸学部は、またこれは別なところにあるわけです。総合的な大学をどこに置くかということ——もちろん総合大学を置くという場合には、医学部の場合は、場所によっては変わったところに置く必要があろうと思いますけれども、岐阜のようにばらばらになっておるものをどこかに統合させれば、一つの場所に置くことが非常にいいと思いますし、それで当面各務原市で問題になっておりますことは、飛行機の騒音に悩まされるということから、現在ある工学部、農学部の地点は変えなくてはならない。そうかといって他へ持っていかれると市がさびれるというので、ほかのほうに、同じ各務原のほうで飛行機の騒音に悩まされない土地を物色中だということも聞いております。こういうような問題が出ますと、周囲の市町村が学校の奪い合いをするということができるわけなんです。その奪い合い合戦が始まってから問題をきめようとすることは、これは文部省としても非常にむずかしいし、与野党を問わず、政治家としても、これに協力する場合にいろいろデリケートな面がございまして、むずかしいと思いますので、こうした問題もやはり早目に考えていただかなくてはならないと思いますが、F104Jの離着との関係で何か変わった考え方を持っておられるか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
  77. 杉江清

    ○杉江政府委員 大学としていろいろ研究されておられるわけです。具体的方法等についても研究はしておられますが、まだはっきり固まった御意見がなく、また固まった御意見としての御相談を受ける段階には至っておりません。
  78. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 農学部、工学部が、F104Jの離着が多くなれば、あの地点では妥当な土地ではない、何とかしなければならないということは、これはお考えなんでしょうね。そこまで言えませんか。
  79. 杉江清

    ○杉江政府委員 その辺も、詳細なところをよく聞いておりませんので、何とか移ったほうが、いろいろな点から考えて、学校の将来の発展のためには適当だろうということは考えられますが、いまの騒音等のために具体的にどの程度の支障があるか、そのために引っ越さなければならぬという程度に至っているかということは、私どもは承知をいたしておりません。
  80. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 医学部の問題の解決と同時に、こうした問題も、やはりすぐいまにも問題になって上がってこようと思いますので、ひとつ御配慮をいただきたいと思います。  それから、岐阜には農学、工学、それから学芸学部ですか、やはりああいう地方大学にも法学部か経済学部、どちらか文科関係を置く必要があり、またそういう強い要望があるわけです。人によっては経済がいいという人があれば、法科がいいという人もありますけれども、いずれにいたしましてもどちらか一つ置いていただく必要があろうと思いますし、そうして現在の国立大学で、学部によって夜学部をやっておるところがあるかどうかということなんです。
  81. 杉江清

    ○杉江政府委員 現在、六つの学校が夜間の法経関係学部をやっております。
  82. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それで、岐阜のようなところでは、たとえば経済学部を新設していただくということになりますれば、それに夜学を含めて設立していただくことが、周囲の青年に対して、また勉強を志す人に対して非常に便利がいいと思いまするし、そういう要望が強くあるわけなんです。大都市と違いまして、ああしたいなかのほうへ行きますると、わずか三十五万や六万の都市になりますると、夜学がなければなかなか不便だ、夜学があれば相当希望者があって、そうして大学卒業の学識を持って社会に貢献させることができると思いまするので、こういう点については、これは岐阜県だけでなしに、その他にもあろうと思いまするが、何かお考えになったことはございませんか。
  83. 杉江清

    ○杉江政府委員 私ども、勤労青年のために夜間課程を置くことは、できるだけこれを助長してまいりたい、かように考えております。ただ、夜間課程を置くことについては、やはり大学の十分な御理解、御認識が必要なので、その申し出を待って措置することにしておりますが、そういうふうな御希望なりそういう御熱意のあるところについては、本年度予算におきましてもほとんどそのまま認めております。ただ、新しい学部をつくってそこに夜間学部を置くというほうに、いまの御発言がその点にもし重点が置かれておりますと、私どもいま大学収容力をふやすことに十分努力しておりますけれども、しかし、まず第一に考えるのはやはり既存学部における設備充実を通じて収容力をふやす、これをまず第一義的に考えていきたいと思っております。やはり新しい学部をつくるということは、教官の整備もたいへんでありますし、また施設の整備その他もたいへんであります。既存学部の整備がまだ不十分な状態でありますので、そちらのほうに重点を置くことにしております。したがって、夜間学部についても、新しい学部をつくってそこに夜間学部を置くというような構想であれば、これは慎重に考えざるを得ない問題だと思っております。
  84. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 どうですか、岐阜の大学経済とか法科、どちらか一学部ふやすというようなことは、非常に土地から要望されておることですし、だいぶその他にもあるでしょうね。それから岐阜の場合は法科、経済がないから、名古屋まで出ていかなければならない。名古屋に行けば、もと名古屋帝大といった名古屋大学があって、ここは東海の秀才でなければなかなか入れないというようなことで、そのほかは遠いところへ、東京とか京都とか大阪とか、その他私立大学のほうへ志望されていっておるというのが、実態であるわけです。いま私立大学で勉強させるということは非常に多額の金が要るわけでありますし、子供にそれだけの進学希望があっても、財政的になかなか負担ができぬということから、子供の要望を聞くことができぬという家庭が非常に多いわけです。したがって、そういうことから考えますると、法学部か経済学部を岐阜に一部置くことが、最も必要でもあり、また要望されておることですが、相当こういうことは無理ですか、どうなんですか。
  85. 杉江清

    ○杉江政府委員 先ほども申し上げましたように、いま大学の収容力をふやすという場合にあたって、やはり既存学部の整備をはかることを第一義的に考えていきたいと思います。新しい学部をつくることも、必要に応じては考えておりますけれども、それは最小限度において考えていきたい。いまもし考えるといたしましても、これはたいへん必要なる特殊な部面において考えるということにならざるを得ないと思うのですが、岐阜の場合はすでに四学部ございます。まだ二学部のところも相当たくさんある状況でありますが、岐阜についてはすでに四学部ありますし、まあいろんな状況を考えて、私はかなり困難だと考えております。
  86. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それは困難といわれるのは、つくる気がないから困難だと思いますが、私はやはり各県に、技術屋を養成する部門と、そうして文学関係のほうと、学芸学部を別にして一部くらいは置く必要がある、こういう考え方を持っておるわけなんです。これは岐阜県だけでなしに、どこの県へ行きましても、法科、経済のないところ、あるいは技術関係の学部のないところは、それぞれ要望をされている。それを志望しておる人は、遠いところへ下宿をして、そうして高い月謝を払って勉強しておるというようなことで、なかなか財政が伴わずに子供の希望を取り上げることができない家庭が、非常に多いわけです。私は、岐阜県に限らず、そういう必要があろうと思います。こういう問題は、将来の問題として検討していただく必要があろうと思いますので、その点も強く要望を申し上げておきます。  そこで、次にお聞きをいたしたいと思いますることは、これはちょっと前にもお聞きしたことがありますが、教授の待遇関係でございます。   〔長谷川(四)委員長代理退席、委員長着席〕 現在のところでは、知育公務員の場合には人事院の勧告にのっとってそれぞれ給与の改定がなされておるというような状態であるわけです。ところが、仕事関係から相当研究をしなければならない。その研究をするには、非常に研究費というものが少ないということから、私費で研究をするということでは、大学の先生は、いつまでたってもどの先生も貧乏をしていなければならない。これが現在の実態であろう。少なくとも最高学府の教授は、十分なる研究をして、そうして学生に十分なる教育のできるような、そういう体制をつくってやることが必要であろうと思うのでございます。この点が非常に大きな隘路だと思うのですが、その点どのようにお考えですか。
  87. 杉江清

    ○杉江政府委員 研究費の内容としまして、予算費目から見ますと、教官当たり積算校費と科学研究費の補助金がおもなるものでございます。これは国立大学について見ますと、その二つがおもなものでございます。公私立につきましては、研究費に対する助成、直接的ではございませんけれども、その公私立大学に対して行なわれております研究設備補助金、これが研究費に対する国の助成であります。そのほか、私学に対しては財団法人の私学研修福祉会を通じて特殊の研究のための経費を計上しておる、こういう状況でございますが、まず国立について見ますと、教官当たり積算校費、これは確かにまだ不十分でございます。前年度の程度にまでまだ及んでおりませんが、しかし、この数年間かなりの改善を見ております。明年度予算におきましても、今年度予算の一〇%増ということで処置いたしております。また科学研究補助金、これもまだ不十分でございますけれども、しかし、年々改善を見ております。明年度予算においては約一〇%増になっております。それから公立大学につきましては研究助成という意味で、新しく研究設備補助金を明年度四十一年度からつくることにいたしておるわけであります。私学研究設備補助金は前からありたものでございますが、これも相当の増額を見ております。私学研修福祉会に対する助成についても同様でございます。
  88. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 時間もございんませんので、そろそろ結論をつけますが、いま答弁をお聞きいたしますると、四十一年度から新しく私学のほうへの研究助成の制度をつくっていただいたということは進歩ですけれども、その一〇%の金額が上がったということは、資材等も高くなっておりまするし、一〇%上げたといってそう上げた顔をするほどの内容でもありませんので、私はこの質問を申し上げておるということは、実際に大学の先生たちが自分のお金で木を買い、あるいは資材の足りない面を私費で補って研究をしておられる。だから、先ほども申したようにどの先生を見ても非常に貧乏をしておる。大学教授というものは、貧乏がつきものということはそこにあるわけであります。それを見てやってもらいたい。ということは、教職員の面については給与改定のほうで、これは必要なれば特別に見るとかいろいろあろうと思いますけれども、私は、それは別としても、この研究費とかいうものが、実験費というようなものが十分でないから、先生方のふところから金を出し合って研究しておられる、あの実態を見ましたときに、何とかしてあげなければならないのではないか、こう考えておりますので、この点を強く申し上げておるのであって、今年度一〇%上げていただいてあるということはまことにけっこうですけれども、しかし、これが一〇%、一割上げたからといって、それだけ潤うか潤わないかということは、これは物価の上昇を考えてみましたときに私は半減すると思いますので、なお、この点に力を入れていただくように要望を申し上げまして、私の質問を終わります。
  89. 木村武雄

    木村委員長 受田新吉君。
  90. 受田新吉

    ○受田委員 設置法改正関係の直接の問題点と関連の問題点とを、一、二ずつお尋ねをします。  今度の改正の中に、定数増が三千有余見込まれておるわけでございますが、文部省の職員、特にこれは文部教官と思うのでありますが、大幅増員計画大学急増対策に伴うものと判断します。しかるところ、この大量採用の教職員は有資格者として認定をして採用されると思うのでございますが、大学設置審議会等における意見その他文部省の内規等によってこれだけの職員の有資格者が一挙に獲得できるのかどうか、お答え願いたいのです。
  91. 杉江清

    ○杉江政府委員 確かに非常にむずかしい状況にもありますけれども、いま何とか措置しているということが概観して言えると思います。具体的に申し上げますと、私立大学大学学部の設置にあたりましては、その教官組織について、これは完成年次までの全教官についてリストを提供していただきまして、その教官資格について専門家に十分審査していただいておるわけです。それに合格したものが認可されるわけであります。だから、その認可されたものにつきましては、教官の完成年次までの教官整備計画が整ったものについて認可されているわけでございます。本年度約二割程度が非許可となっております。そのかなりの部分が審査において合格しなかったものでございます。だから、合格したものについては、その教官整備ができる見通しが立ったものでございますので、そういう意味におきまして、何とか苦しい中で皆さん努力されてこの教官整備をやっておられるということが言えると思います。  それから国立につきましても、これは困難ではありますけれども、しかしそれぞれ努力して、結果においては現在のところ著しい支障なくその整備をみております。今後の見通しを考えましたときに、それはいま以上にかなりむずかしくなってくると思いますが、しかし、年次がたちますと、大学学生等の卒業者も漸次ふえてまいりますし、また他からの救援もいままで程度にはあるわけでありまして、私学も含めた全体としては相当困難になってくると思いますけれども、まだ今後ともかなりな見込みは立ち得ると考えております。
  92. 受田新吉

    ○受田委員 この三千九百十五名のうちで大学教官が何名おるかですが、それをいま審査されて二割が不合格になっておるというようなことでございますが、最初のスタートの際に基準に達した教授、助教授、助手、そういう方でもってそれが正規の数を確保できないで講師等をもって代用するとかという便宜措置を何らかでとられることになるのか、また私立の場合はなかなかむずかしい問題が一つあるわけなんですが、こうした教授陣容を確保するためにいろいろなテクニックも行なわれてくると思うのです。そういう問題を文部省として審議会機関を通じてどういうふうな処置をされるか、砂上の楼閣の教授陣容で大学急増対策をまかなうような愚かさは、私はこの機会に絶対に避けてもらいたいと思います。民間等に出ている人で有能な人材を途中から発掘する手もあるのですが、そういう際に民間の給与と今度の大学教授、助教授の給与と比較しても著しく低い。特に、私立の場合は、人事院勧告を見ても八三%ということで、民間給与の実態調査のほうが逆に安いのは、教員、教職員の場合です。つまり民間給与と比較するならば、国立大学の先生の給与をほんとうは逆に二割下げなければいかぬようになっておるのです。そういう特例を認めて、一応教職員の給与基準をきめておるわけでございますけれども、非常にここに私立の場合の悲劇が派生すると思うのです。文部省は、今度の大量教職員採用の有資格者とまたこれに伴う無資格者とのつり合い等を考えて基準としては充当されないような形のものを入れて当面を——この四月一日からでも法律が通ればやるわけですが、実施するということになるのじゃないか。私学を含めて御答弁を願いたい。
  93. 杉江清

    ○杉江政府委員 ただいまおあげになった数字は、国立大学に関するものと考えます。それは事務職員も含めた数字であると思います。国立大学については新しい学部をつくるとか大学をつくるというときには、公私立大学とほぼ同じやり方で教官の整備についての見込みを十分に審査いたします。いずれもその審査を経て見込みの立っておるものでございます。そのほかの学部とか大学の新設でない部分の教官増もございます。それらについて一般に国立大学についても教官の整備がなかなか容易でありませんが、そして学部、大学の新設以外については、大学においていろいろ苦労されながら経過的には非常勤講師等によってまかなうこともいたしますけれども、全体について何とか整備できているということが概観してはいえると思います。やはり国立大学については、身分の安定等の事情もあって、比較的得やすいということがいえると思います。  公私立、ことに私学でございますが、これについては新しく大学、学部を設置するものについてはいまのように厳重に審査しておるのでございます。その際、先ほど、基準では専任であるべきものを非常勤等によって代替するというような措置を講じているかというお話がありましたけれども、これは大学、学部を認可する際には、これだけは必ず専任で整えなければならぬという基準があるのでございます。それは必ず専任で整えさせるわけです。それを欠けばこれは認可しない。ただ認可した後においていろいろ計画にそごを来たした場合等の処置が現実には起こってまいります。しかし、原則的には新しく認可される場合には最低限度必要な専任教官数は整備するということで、その審査に合格したものでございます。しかし、そのほかの教官増もあるわけでございまして、これについてはかなり困難な状況にあるということはいえると思います。
  94. 受田新吉

    ○受田委員 これは文部省としてよほどよく考えていただきたいことで、新設当時はどこからかいろいろ教員をかき集めて、いかにもおぜん立てができたようなかっこうにしておる。一応認可してもらったらあとはもうがたがただというようなかっこうになる危険があるわけです。現に文部省はそういう事例をお考えになっておられるのじゃないかと思います。無理をして最初はよその職員を輸入するかっこうをとったりしてやっているが、実際は机上の空論のような陣容でいくような危険もあるわけです。それはその後もやはり監視していただかなければいけない。そうして、大学をりっぱな信用あるものに育成するように努力していただかなければならぬ。こういうことをひとつ考えていただきたい。これはあとから資格基準その他のことについては内部的に御相談いただくことにいたしまして、時間がありませんから、この点についてはこれ以上申し上げません。  そこで、学位を有する者は、一応教授の資格を持つという基準が一つあると思うのです。大学院を出て博士課程を経た者は、学位を有するから、これは教授の卵としては有資格者ですね。しかし一般に大学院に行かなくて学位を獲得できる道が従来あった。これが途中で三十五、六年でしたかに、資格を厳重にされて、大学院を出た者でなければ学位を与えないという規定をおつくりになった。その後において、外国語を履修してやる一般の学位獲得方法に緩和措置をとられたとも聞いておるのでございますが、一般人が学位を獲得する場合に、現時点における文部省方針はどういうかっこうになっておりますか。
  95. 杉江清

    ○杉江政府委員 確かに原則は大学院課程を経るという制度に切りかわったわけでありますけれども、その他論文によってそれをとる道も残しておるわけであります。
  96. 受田新吉

    ○受田委員 そういう研究をする者を大いに発掘して、そういう熱心な専門家教授に迎えるような形をどんどん奨励する必要がある。これは民間の人材を発掘するという形で現にいま申されたような方法がある、特例があると言われましたが、どういう特例になっておりますか。外国語の履修を特に条件とするような規定があるのではないかと思うのですが、その点についてもお聞かせ願いたい。
  97. 杉江清

    ○杉江政府委員 学位規則の第五条に、博士の学位を授与することができる者として、「大学院に五年以上在学して所定の単位を修得したこと。」「当該大学院の行う博士論文の審査及び試験に合格したこと。」この二つの範疇があるわけであります。なお、第二項に、「博士の学位は、大学の定めるところにより、大学院の行なう博士論文の審査に合格し、かつ、前項第一号に該当する者と同等以上の学力を有することを確認された者にも授与することができる。」とありまして、この第二項で大学院にいない者についても、これと同等以上の学力があるということを確認された者には授与することができる制度が残されておるわけであります。
  98. 受田新吉

    ○受田委員 その改正の日時はいつですか、あとから追加されたように思うのですが。
  99. 杉江清

    ○杉江政府委員 それは昭和三十七年の改正によるものでございます。
  100. 受田新吉

    ○受田委員 その制度の周知徹底をはかり、民間の学究の徒を大いに見出していくというような措置をとり、大学の先生となれば一応権威を持たせなければいけない。そういう意味で人材を養成する点で、文部省が熱意をもってもらいたい。そのために研究費を出す。大学院を出ない先生、いま局長大学院を出る者もだんだん出てくるから、教授陣容はそのころになったらかたまるだろうとおっしゃったが、大学院を出なくても、もう教授、助教授の中で学位をどんどん自由にとれていくような道を開いて、研究費を与えていくということで、教授陣容は十分かたまるわけです。そのために、大臣、英国などの例を見ましても、大学研究費などというものは政府が一々干渉しないです。一括して研究費を大学に賦与する。そこの大学内の配分は大学の評議員会がきめておる。諸外国の例はこういうかっこうになっておるのです。日本は一々大蔵省がこれを統制しておる、政府が干渉しておる。そういうことでない研究費、かつ交付後の配分は大学自治にまかせる、こういうようなことで大幅な研究費を大学に賦与するという形で、その配分については干渉しないのです。これは私学にも当然であって、私学を育成しようとすれば、やはり研究費の大幅増額という措置が一番筋が通ると思うのです。大学自治干渉ということにならぬと思うのです。私学振興の場合に一つ例をとりますが、大いに教職員の研究費を増額する措置を私学振興のたてまえにされたらどうか。あなたはこの前総理から私学振興方策について指示をお受けになられたと聞いたんですが、現に臨時私立学校振興方策調査会とかいう名称の付属機関があるわけです。これがあるから、それが任務を持っておるから、そのほうがやるというような問題ではないと私は思うのです。総理の指示はどういうものであったのか、また、臨時私立学校振興方策調査会というものがいま一生懸命にやっておるのですから、それを抜きに、かってに別のほうで私学振興方策についての指示に基づいてやれるのかどうか、それがやれるとすれば調査会というものは意味がないものになるわけでございます。いま私が申し上げました研究費の増額、私学振興にはこれをひとつしっかりやるのがいいということと、いまの私学振興対策についての大臣の御意見を承ります。
  101. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 臨時私立学校振興方策調査会は昨年の国会で制度をきめていただきまして、たぶん昨年の七月人選をいたしまして発足したと思います。自来、私学の実情の根本的な討論、それからさらに実情の実態調査をいまやっておりますが、そういう調査段階でございまして、この調査会私学振興のあり方については多角的な研究をしていただくつもりでございますから、もちろんいま御指摘のありましたように、研究費のあり方はどうあるべきか、こういうようなことについても御研究をいただくことになっておる次第でございます。   〔委員長退席、藤枝委員長代理着席〕 総理からこの間御意見がありましたのは、要するに最近早稲田大学をはじめ、いろいろ私学については問題が多い。そこで早く結論を出すべきではないかという御指示がございまして、その際私としましては、早くといってもやはり拙速主義で催促をするわけにもまいりませんので、現状は総会を四、五回やり、さらに部会をつくりまして、部会で目下こういう作業中でございますので、できるだけ急いでもらいたいということは次の総会の機会に調査会のほうにも希望いたしますが、そう拙速主義というわけにもまいらないかと思う、しかし、できるだけ総理の意を体して、早くせめて一応の結論でもいいから出せるように要請をいたしますということで、先般ちょうど総会を開いていただく機会がございましたので、その機会にその旨は調査会委員の方々には要望いたしまして、その線に沿って研究を促進していただく手はずになっておるような次第でございます。
  102. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、研究費のほうは真剣に取っ組むということでございます。  もう一つ私学振興方策については総理の指示は、これは調査会答申をできるだけ早くするようにせよという意味の指示だけであったのかどうか、別に何か文部省として考えようという意味であったのか、そこがはっきりしなかったわけです。ひとつお答え願います。
  103. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 調査会の審議、検討が行なわれなければ、文部省で事務当局あるいはわれわれだけで検討して意見を出すことも好ましくないといいますか、いかがかと思いますから、われわれとしては、調査会の審議、検討を待って成案を得るのが妥当だと思っております。総理の御意見もその趣旨であったと思っております。
  104. 受田新吉

    ○受田委員 大学自治的な管理体制を確立することを侵すわけにはいかない、それに対して私学振興の基本問題を前提にして考えるという意味調査会も生まれたわけですが、そうすると総理の指示というのは調査会を何とか早くやれという意味だけの指示だったらたいした意味がないと私は思うのです。調査会答申を急がせいというような意味の指示であったとすれば、調査会調査会でいま一生懸命にやっておる。もう一つ基本的な文部省の構想というものも別途あっていいので、答申が出ればそれは尊重せなければいけませんけれども、これは答申待ちでなくて、当面は大学急増対策、大学のいろいろの学内紛争、法政大学などにも去年は使い込みの人間があらわれたりしてから、歴代総長がやめにゃいけぬというような運命を持っている、さきの国士館の問題もある、いろいろと当面する重要問題があるのです。私学振興方策のほうの答申待ちということだけでは、これは緊急体制はとれないと思うのです。答申を急がしておったって、中間報告などをやらせたって、それは間に合わない。そこに文部行政の責任者の私学振興に対する熱意が別途なければ私はいけぬと思うのですが、総理の指示がもしそういうような指示のしかたであれば、総理自身もこれはなまぬるいですよ。答申待ち、答申を急がせよというだけの意味なら、それは意味がはなはだ軽いことになってしまうので、そういう総理の意図であれば、これは総理自身も注意せにゃいかぬと思うのです。もっと当面する問題を、調査会答申を待つまでもなく、急ぐ大問題がある。急増対策は、これは非常に急ぐ問題です。いまの教職員の確保の問題、かつて十年くらい前でしたか、文部省大学管理機関を設置する法案を用意したことがあったわけでございますが、これはいろいろな反対にあったわけでございます。中村先生のような人間としての魅力を持ち、強大な政治力を持ったお方が文部省におられる期間に、これはひとつすかっとした私学振興方策について、この四月に急増対策のスタートをすると同時に、文部省が何かの手を打っていただきたいと思うのです。そうすると、今度は調査会委員の諸君がむくれるというようなことがあれば、これは調査会調査会で別にあなた方の問題は基本的に考えるのだ、当面は緊急措置だということでやられていいと思うのですが、私はその意味では当面は非常に急ぐ問題があると思うのです。いまの私学振興の税法の問題などでも、講師の謝礼にまで税金をかけておる。こんなことじゃ私学はとても浮かばれませんよ。税金の面からもう少し優遇してあげぬと……。国立は一人前八十万円もかけて国民の税金で勉強をしている。私学は講師の謝礼にまで税金をかけて四苦八苦させられておる。それから奨学資金のごときでも、日本育英会の奨学金を見てもわかります。国立私立の三倍からもらっておりますよ、該当人員においても金額においても。国公私立を通じて大学生には公平に奨学資金を均てんするようなかっこうでなければ、私は私学振興ということはとても期待できないと思うのです。こういうものでも国立ばかり優遇さして、私学はその三分の一以下の冷遇をしているというような育英資金、奨学金の制度の生かし方、育英資金以外の奨学金もありますけれども、そういうものの生かし方がなぜ国立中心主義になっているのか、こういうことを考えると、私学は施設面においても、給与の面においても、またいまの研究費においても、育英会の利用度においても非常に大きな差別を受けているわけですね。これでは私学振興はかけ声だけになり、私学に学ぶ学生たちに、自由の天地という旗じるしが一方にあったとしても、一方で経済的な非常な苦痛を受けるという現実を無視できないことになると思うのです。いま私が指摘した点で、急速に大臣政治力を発揮していただく時期が来ていると思うのでございます。いかがでございましょう。
  105. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 臨時私立学校振興方策調査会私学振興に関する研究と並行しまして、もちろん文部省当局としましても、現状にかんがみてどうあるべきかということについては、深刻に研究を続けてまいりたいと思いますが、根本的なことは、やはり調査会を設けて、学識経験者や、ことに私学関係者にも委員になって苦心をしていただいておりますから、それらの結論を得た場合に、早くその検討をできるようにこちらも十分の知識を持っておく必要がありますから、そういう検討はもちろん文部省当局としても続けておる次第でございます。  なお、当面する問題といたしましてはいろいろございますが、そのうちでも一、二をあげますと、たとえば私立大学等の学校に対する寄付金に対する免税措置等も、前年に比較しますと四十一年は相当免税の幅を広げてもらいました。こういうことによりまして、政府の援助もさることながら、できるだけ民間の方々が、篤志のある方々がこういう教育機関に寄付することに対して、その寄付のしやすいような方向を開いていく必要がありますので、根本的な問題はやはり調査会結論を得ないと十分なことはできないと思いますが、さしあたり、そういうような幅を広げることについては、大蔵当局とも折衝をし理解をいただきまして、今年から相当に免税の幅が広げられたような次第でございます。  なお、研究費の補助等につきましては、さしあたり考えておりますのは、理科系大学設備というものは非常な負担でありますから、こういう整備の補助等を増額をしたり、できることから手をつけてやっておるような次第でございます。  育英会の御指摘がございましたが、育英資金のほうもことしはさらに拡大すべく努力をいたしておりますが、なお、この点につきましては、世間にも誤解があるようでございます。たとえば東大と早稲田の制度上違いがあるかといいますと、違いはないのでありまして、一定の学力の水準、それから保護者といいますか、父兄の年額の収入、こういった一定の水準がありまして、この水準に当てはまった者に対しまして育英資金の交付をしておる。東大では二〇何%、数字はよく覚えておりませんが、早稲田では一〇何%とかになっているようでありますが、これらは父兄の所得の関係あるいは学力の関係でも若干の差はあるかもしれませんが、主としてあのパーセンテージの開きは、東大の場合は定員そのままの入学でありますし、早稲田の場合には定員を相当オーバーした実員があるものですから、実員に比較するとああいうふうなパーセンテージになってくるというような開きがあるようで、われわれとしましては、大いにこれからも国立私学と差別をしないような方向に逐次努力していきたい、こう思っております。
  106. 受田新吉

    ○受田委員 いまの免税措置についても、講師の謝礼などというものは、これはもう短期間の謝礼なんですから、これまでも税の対象になるようなことはおやめにならなければならぬわけだし、それからいまの寄付についての緩和方策、これは前進をした一つの例だと思うのですけれども、もう非常に思い切った手を打たぬと、私学というものはまた来年どういう事態が起こるかもしれないと思うのです。  それから、育英資金でも実際は定員をオーバーした場合は、それを対象外にしておるということでございますが、それは定員を対象にしてということですが、大学が定員をオーバーすることを文部省は一応認めておられると思うのです。実人員というものを認めている以上は、その現実の人員の中からそういう配分をきめるべきです。育英資金の貸し付けの問題で、国立、公立、私立の比率が出ていると思うのです。  それともう一つは、育英資金を返還する、一応社会的に高い地位にすわってりっぱな収入のある人間が、貸し付け金を返済しないで、わがままを言うて、われわれは国からもらったものだという不心得者が相当あるわけでありますが、これを処罰する規定はあるわけでありますか。これは一体どういうことか。あとから続く者のために、いま功成り名遂げた連中までが、これをただでもらったような不心得者がおれば、これは厳重に処置していいと思います。そういう者が社会的にいばっておることこそ門違いであって、この不道徳な人間を社会に公表して、その社会的地位を剥奪しなければならぬ、そういうことの措置を一向されておらぬ。つまり官報とかその他に公表するとか、何回か通告しても返事のこないような不届きな者が、依然として社会の指導者の地位にすわっておったりなんかしたら、これはもう道徳的にもゆゆしい問題が起こると思うのです。そういう問題を含めて、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  107. 杉江清

    ○杉江政府委員 まず育英会貸し付け金の返還、回収の状況について申し上げます。  この数年間御趣旨の線に沿って育英会としてもこの回収に非常な努力をいたしております。それで内部規定で、もし十分に督促してもなおかつ理由なく返還を怠る者については強制執行の措置をするようにいたしまして、現にそれを実行いたしているわけであります。そういうような努力の結果、この数年来その返還率は非常に改善をされております。昭和三十七年度には五九%でありましたが、四十年度にはおそらく八八%くらいまでその返還率は上昇すると思います。それで返済された金額の累計にいたしましても、昭和三十七年度末においては五十五億円でありましたが、昭和四十年度末には百四十三億と非常にふえるわけであります。私はこの返還、回収の点については、育英会の努力によって非常に改善されておる、おおむね所期する結果を得ている、こういうことを申し上げてよろしいと考えております。  それから育英奨学の対象になっております学生数を国公私立別に、まず実数を申し上げますと、国立大学は六万九百九十九人、公立大学が九千三百九十人、私立大学が五万二千八百八十一人であります。これを学生定員の上から見たその採用率を申し上げますと、国立大学学生定員の約三九・七%になります。公立大学は三一・九%になります。私立大学は一三・四%になります。
  108. 受田新吉

    ○受田委員 いま指摘したように、国立に比べると私立は三分の一ですね。
  109. 杉江清

    ○杉江政府委員 三分の一ではございません。率にいたしますと、国立学生定員に対して三九・七%、これに対して——失礼いたしました。そうです。比率では三分の一でございます。実数と間違えまして失礼いたしました。
  110. 受田新吉

    ○受田委員 そういうところに非常に不公平があるわけなんです。それで私学においては授業料その他の負担が大きい。家庭負担も大きくなっている。そういう実情も考慮して、安い授業料で安く学ぶ国立の皆さんと、高い授業料と高い負担で学ぶ者がむしろ逆くらいでもいいと思うのです。そういうところが、はっきり私立国立のすかっと三分の一というような比率になっておるという現実は、大臣、これはいま数字をあげられておわかりいただいたと思うのですが、非常な大きな私学冷遇です。そういうところにも、私学軽視の文部省の長い官僚思想のあらわれが出ておると思う。ひとつ根本的に問題を解決する手腕を中村先生御在任中にやっていただきたい。  時間もまいっておりますので、もう一つ、この間からいわゆる市中金融機関などから融資してもらった私学が、その融資に対して文部省が、政府が肩がわりしようという方策で百億案を出しておられるようですが、四十一年度三十億出そう。それで日歩二銭何厘ですか、年利に直して九分以上のものは安く肩がわりをしてあげようという温情のある御措置を一応御決定でしたね。ところが、実際は年利七分ということでございましたようですが、実際はもっと高いところにいくのではないかと懸念されるのでございます。これは実務担当の局長からでもいいですが、ちょっと実態を伺いたいのです。
  111. 天城勲

    天城政府委員 御指摘のように、私学の持っております固定負債の中で、市中金融機関から借りているものがかなりございます。その中には高利のものも含まれておりますので、当面これの肩がわりを、根本方策ができるまでの間でもやることが、経常費の圧迫をかなり緩和するのではないかと思いまして始めたわけでございますが、考え方は、一応利率の話がございましたけれども私学の持っております負債の中で、高いのは二銭七厘、これは九分九厘になりますが、二銭七厘以上のものもございますし、また二銭五厘、二銭三厘ぐらいのものもあるようでございます。これらにつきましては、ただ利率だけではございませんで、私学の持っております負債の資産状況に対します意味、あるいは経常費に対する構造上のウエート等を見ながらこれを肩がわりしていきたい、こう考えておるわけでございまして、必ずしも何銭以上は全部とって、何銭以下は一切切るというような考え方はとっておりませんが、一応二銭五厘というようなところが一つの線になろうかと思います。もちろん二銭五厘以下でも、いま申しましたような事情で肩がわりをしていきたい、こう考えておるわけでございます。
  112. 受田新吉

    ○受田委員 私がいまお尋ねしているのは、肩がわりしたときの利率がどうかということです。これをはっきりしていただきたい。
  113. 天城勲

    天城政府委員 肩がわりした場合の率でございますが、これは七分で肩がわりしていく考え方でございます。
  114. 受田新吉

    ○受田委員 これは間違いないのですね。はっきりしますよ。
  115. 天城勲

    天城政府委員 はい。
  116. 受田新吉

    ○受田委員 質問はこれで終わりますが、いま局長から私に言われた私学に対する措置は、もう当面の急務になっておることで、育英資金などの実際定員に対する比率ですよ。いまのワク外を入れて実人員からいったら、もっと比率が下がるのです。だからやはり私学であろうと、国立であろうと、そこに区別なくいくような英断を、育英資金の面でも、大臣が臨時私学振興方策調査会答申など待つまでもなく、これはすぐおやりにならなければいかぬ問題ですよ。   〔藤枝委員長代理退席、委員長着席〕 こういうことは調査会答申待ちなどという問題でないのです。またやっていただくという御答弁、それを先に答弁していただいて……。
  117. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 育英資金の活用につきましても、今後私どもとしては、緊急に検討してまいりたいと思います。世間のうちには、国立大学授業料が安いのだから、国立大学に対する育英はやめて私学に専門にやるべきじゃないかというような意見も耳にいたしますが、そういうような思い切ったこともいかがかと思いますが、とにかく十分に研究をして、育英資金の活用の道を考えてまいりたいと思っております。
  118. 受田新吉

    ○受田委員 返還金額もどんどんふえることですから、またその総額も広げて、国民が納得する問題ですから……。  おしまいに一つの質問、私、学園というものをもっといい環境でやらせてあげたいと思うのです。ごみごみしたスモッグの中で勉強すれば、頭も痛くなる、能率もあがらぬ。ひとつこのあたりりで郊外の環境のいいところへ大学を集中的に設置する、学園都市といいますか、そういう形のものを計画されることは、教育の能率をあげる上において非常にいいことだと思うのでございます。それから、都市の密集地帯から学生が郊外に出れば、それだけ都内の大学も開放されて、民間の住宅にもこれが利用できる、公会堂もできる、公園にもなる、非常に都市計画の上でもいいことだと思うのですが、大学の学園都市を郊外の適当なところに建設する、筑波山にそれに類似なようなものを政府自身がいま検討して準備を進めておられるようでございますが、この問題とあわせて、これは大臣の雄大な構想の中に入る問題だ、政治力を発揮せにゃいけぬ問題だと思いますので、御所見を伺いたいのです。
  119. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 いまお話の、筑波山麓の学園都市の問題などは、御指摘のような構想で考えておるわけでございますが、このほうも計画は立ちましたが、なかなか具体的な進行は、用地の買収等の関係で困難な面もあるようでありますが、私どもとしましては、そうした構想は大いに活発に推進すべきである、また一面、できれば、これもいろいろ国立学校特別会計の予算とか経済関係もありますが、本来、金が許すならば、地方大学を大いにりっぱなものに整備して、何もスモッグの東京へ来て勉強しなくても、それぞれの地方で勉強できる、あるいは、むしろ東京、大阪のスモッグの中の学生は、そういう環境のいいところの大学に留学して勉強できるというようなことが、ほんとうの理想から言えば望ましいと思うのです。したがって、地方大学にも統合整備の懸案のところが数カ所ございますが、こういうものにつきましては、算段のつく限り、私は地方大学の整備ということを急いで推進をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 地方大学の整理統合ということとあわせて、田園都市に対抗して学園都市の建設ということ、これはどうですか。つまり、いまある分をできるだけ郊外に出して、いい環境で教育させるということについての方策を聞いてみたいのです。
  121. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 方向として全く大賛成でございます。ただ筑波山麓の学園都市も、計画は推進されておりますし、また国立大学の中でも、教育大学あたりは学内においてあそこへ移転することを、大体意見の取りまとめをいたしておる最中でございますが、これは強制できるというわけにもいきませんから、学内の雰囲気というものとも大いに関係があるわけで、学内の意見がまとまって、みな快く行こうという態勢にならなければ困りますので、そうした社会環境といいますか、線を盛り上げて、その方向に進めていくことは私ども大賛成で、可能な限り進めていくことがよろしかろうと思っております。
  122. 受田新吉

    ○受田委員 これで質問を終わりますが、去年、当委員会で愛知前文相は、国立商船高校を商船高専にする構想を四十一年度からやりたいと宣言されたわけです。これは今度の計画にのっておらぬようでございますが、経緯と、並びにこの高専五校を一緒にやろうと言われた前愛知文部大臣の構想は、これははかなき夢としてついえたのか、そのあとを継承された中村文部大臣としては、ますます高等海員養成に熱を入れてみたいという構想があるのか、このことだけをお答え願えば私はもう質問を終わります。
  123. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 愛知前大臣が申し上げた考え方は消えておるわけではありませんで、私どもも推進いたしたいと思うのでありますが、ただ運輸省との関係、現在は実習を運輸省が受け持っておるものですから、これとの関連等でまだ懸案がさばけていかないというのが実情でございます。今後の課題として、私どもも十分に研究、推進を試みたい、かように考えております。
  124. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっと私理解に苦しむのですが、運輸省とのなにということなら、去年愛知大臣は、そういうふうにはっきりしたことを言われなかったと思う。一応話はついておるということだった。
  125. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 それではひとつ局長のほうから……。
  126. 杉江清

    ○杉江政府委員 愛知前大臣の御意向の線に沿って具体的な作業を進めておるわけでございます。商船高専をつくりますには、やはりまずもってその設置基準が必要なわけでございます。新しい種類の学校でござまいすから、それにはどんな施設設備が必要か、どんな教官組織が必要か、どんな教育課程が考えられるか、こういった点についての基準を作成することが必要であります。しかしこの商船高専は、教育形態としても特殊な面が非常に多いのであります。そういう意味で、それらの基準の作成がかなりむずかしいのであります。実は関係学識経験者による審議会をつくりまして鋭意審議を進めてまいりました。いろいろ基本的問題の討議に約七回を費やしましたあげく、その後まず教育課程の基準をつくろうということで、専門部会で作業を続けて、すでに七、八回その会を持っております。そして近く一応専門部会案ができ上がって総会にかける段階になっております。これをまず基本といたしまして、今度は教官の資格基準とか、施設設備の基準等を引き続いて作業を進める予定でございます。  なお、そういった作業の中で、かなり基本的な問題は、いわゆる船舶実習、乗船実習をどういうふうに教育課程の中で位置づけるか、その内容と方法をどうするかということは非常に大きな問題であります。しかし、そのことのほかにも、実はいま申し上げましたようないろいろな問題が解決されなければならぬわけでありまして、順を追うて鋭意それらの作業を進めて、できるだけ早い機会に商船高専をつくりたい、かように考えております。  ただ、幾つつくるかということについては、それらの基準ができ上がりまして、その基準によって、現在の商船高等学校の状況を基準に照らして、それが基準との隔たりがどの程度あるか、それをもし昇格するとした場合に、はたしてその基準に合うかどうか等のことをいろいろ吟味しなければなりません。なおまた、基本的にはそういった商船学校程度の卒業者の需要は一体幾らあるかという点も詰め、そういった需要者のほうの見込みもはっきりさせ、そうしてまた、そういった基準に照らして実際がどうなっているかというようなことも考え、なおまた商船高等学校というものがほんとうに今後全く必要ないかどうか等の判断もしなければならぬ。そういったいろいろな基本的な問題を今度は基準との関連で考えていく必要があるわけであります。そういう考え方で鋭意作業を進めておるということでございます。
  127. 受田新吉

    ○受田委員 これは私納得できないのです。去年は、四十一年度から五つを一緒にやろうと大臣が言明された。それで一年間たって、基準をどうやろうとか、需要がどうあるとか、まだあなたのおっしゃらぬのに教授のスタッフをどうするかという問題もある。そういう実習機関と教科の問題、それをまだいまもねっちりねっちりやりよるというのはおかしいじゃないですか。大体こういう基本問題というものは、もう大臣が言明されて四十一年度からやろうということになれば、一年間余裕があるのですから——準備期間が三カ月あるにしても、八カ月くらいあるのですよ。その間ゆっくりできたはずなんです。それを運輸省とのなわ張りという問題、大臣がくしくもおっしゃったが、運輸省と意見調整をするという問題でごたごたして、文部省が既定方針をくつがえすようなだらしなさでは、文部行政は安心できないです。もうきちっと既定方針どおり準備を早くやらなければならぬ。文部省の内部にはどうももたもたした空気がある。運輸省とのなわ張りなんて、文部省文部省としてきちっとやられていいのですから。高等海員の養成、いまの商船高校を高専にしたら、下級船員の養成所みたいなもの、商船高校にかわるようなものに何があるかというようなことは幾らも一緒に研究ができる。そんなに目をかけぬでもいい。海運国家になっているときに、高等海員の養成を一日も早く——需要も大量にあることははっきりしているのですから、文部省の既定方針をすかっと早めてもらいたいと思うのです。一言言っていただいて私は引き下がります。
  128. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 たいへんおくれておりますことは申しわけないと思いますが、鋭意努力して推進いたします。
  129. 木村武雄

    木村委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十七分散会