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1966-03-04 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月四日(金曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 岩動 道行君    理事 辻  寛一君 理事 長谷川四郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 大出  俊君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       臼井 莊一君    加藤 高藏君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       保科善四郎君    堀内 一雄君       前田 正男君    湊  徹郎君       稻村 隆一君    村山 喜一君      米内山義一郎君    伊藤卯四郎君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         人事院事務官         (職員局長)  大塚 基弘君         総理府総務副長         官       細田 吉藏君         総理府事務官         (人事局長)  増子 正宏君         総理府事務官         (中央青少年問         題協議会事務局         長)      赤石 清悦君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  井原 敏之君         検     事         (矯正局長)  布施  健君         検     事         (保護局長)  本位田 昇君         文部事務官         (社会教育局         長)      宮地  茂君  委員外出席者         文部事務官         (大学学術局学         生課長)    笠木 三郎君         労働事務官         (婦人少年局年         少労働課長)  松浦 干城君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  総理府設置法及び青少年問題協議会設置法の一  部を改正する法律案内閣提出第七五号)      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  総理府設置法及び青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)委員 総理府設置法及び青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律案について、順次お尋ねをいたしたいと思います。  青少年問題については、この間一時間ほど質疑をさせてもらいまして、少しはきょうははずせる面があると思いますが、そこでこの青少年局を設置するということについて、提案理由説明の中にも書いてありますように、国の次代をになう青少年心身ともに健全な育成をはかることがきわめて必要であるし、しかも、この青少年対策というものは広範囲にわたっておるので、関係省庁との連係をよくし、相互調整の上に立って効果をあらしめたいというので青少年局を設置する、こういうことになっております。なお、青少年問題協議会を今度名称を改めるということになっておるわけでありますが、名称を改めてどう違うのかという疑問があるわけであります。大体本案を出された総括的なお考え方と、そして協議会審議会に切りかえなければならぬという内容をまず説明を願いたいと思います。
  4. 安井謙

    安井国務大臣 従来の青少年問題協議会を改組いたしまして青少年局というものを総理府の内局につくりましたその根拠といいますか、理由についてというお尋ねであろうと思います。御承知のように、中央青少年問題協議会は、総理府付属機関としてございまして、従来青少年に対する全般の各種の調査あるいは対策の御協議を願っておりまして、かたがたまた各部門連絡調整の任にも当たっていただいたのでございますが、何と申しましても付属機関でございまして、ことに調査あるいは対策を立てるというような意味での御検討には十分な効果をいただいておりましたが、青少年問題を全体として総合調整をやっていく、各省にまたがっている行政総合調整をやるという意味からいきますと、何といっても力が弱いという実況にございました。そこで、内部局として青少年局を設けまして、各省全般にわたります青少年問題の強力な総合調整をやり、また各省に属さない部分についての強い行政力を発揮いたしたいというのが、青少年局を新たに設けた理由でございます。したがいまして、そういった総合調整の面、行政の面を強化した部分は、青少年局に移します。そのあと残りました青少年問題に対する調査及びその長期的視野に立っての対策の樹立、こういう機関につきましては、従来の中青協のうちの調査部門をそのまま審議会という形で残していただきまして、依然としてそういうものの仕事は今後は政府諮問機関としてお働きをいただく、こういう趣旨で分けた次第でございます。
  5. 田口誠治

    田口(誠)委員 前段のほうはそのとおりわかりました。ただ、中央青少年問題協議会をこの際審議会に改めることが、中身は何も変わってないようにいまの答弁では承ったのでありますが、あえて改正しなければならないということは、その仕事中身が若干強化されるとか、あるいは拡充されるとか、いろいろあろうと思うのですが、その点をひとつ聞かせていただきたい。
  6. 安井謙

    安井国務大臣 ただいま申し上げましたように、中青協のほうは、全体の青少年問題に対する調査と長期的な施策の立案及びいろいろな青少年問題行政に関する調整という、行政的な役割りを兼ねて持っておったわけでございます。しかし、付属機関でございますし、外部の学識経験者を入れた機関でございますので、強い意味総合調整役割りを果たすには非常に不十分だという関係で、中青協における総合調整部門あるいは行政に関する部門、これを青少年局で一本に統一をいたしたわけでございます。従来やっていただいておりました調査あるいは長期計画に立つ立案、これは今後総理大臣諮問に応じて答申をいただくという審議会形式のものを残しておく、こういう形に相なります。
  7. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、この審議会というのは、答申をするだけですか、それとも建議ができるのですか。
  8. 安井謙

    安井国務大臣 これは必要に応じて建議お願いできる、こういうふうに考えております。
  9. 田口誠治

    田口(誠)委員 それと地方との関係は、どういうことになっておりますか。
  10. 安井謙

    安井国務大臣 地方には、従来そういった連絡及びその調査機関を兼ねた地方青少年協議会がございまして、これは依然としてそのまま地方機関として残っております。しかし、これは直接総理府自身の組織の延長ではありません。各地方自治体そのものがおつくりをいただいておるものでありますから、これはそのまま残しておきまして、それに対する行政部門の指導は青少年局でやり、またいろいろな調査連絡等の事項につきましては、審議会でもこれの御連絡を願う、こういうように考えております。
  11. 田口誠治

    田口(誠)委員 いま青少年に対しての一番の隘路は、何といっても不良化防止犯罪を撲滅することであろう。したがって、古い資料は持っておりますけれども、最近の犯罪動向等がわかりませんので、その動向について御説明を願いたい。それには私の申し上げるとおりに、調査がしてあるかないかわかりませんけれども、一番わかりやすい方法としては、いわゆる十八歳未満青少年に該当する人がどれだけおって、その中で犯罪、いわゆる鑑別所のやっかいになった者がどれだけ、そしてなお鑑別所から少年院へ送られておる数はどの程度であるか、これをお聞きして、あと内容をお聞きしたいと思います。
  12. 安井謙

    安井国務大臣 具体的な問題でございますので、政府委員のほうからお答えを申し上げさせたいと思います。さらにこまかい数字統計等につきましては、後ほど資料でお届けをさせていただければと思います。
  13. 赤石清悦

    赤石政府委員 いま大臣からお話ございましたように、こまかい点になりますと法務省、警察、それぞれ資料をそろえましてお答え申し上げるよりほかないと思いますが、ごく新しい最近の資料、警察庁の資料に基づきましたものを簡単に御報告申し上げますと、刑法犯は、全数から申しますと、昭和四十年度はやはり若干ふえております。しかしながら、内容から申しますと、道路交通関係過失致傷罪が多量に含まれておりますので、いわゆる主要刑法犯はやや減じておるのでございます。つまり一般的に申しますれば、少年犯罪はやや鈍化というきざしを見せ始めておる、こういう報告に相なっております。数字を申し上げますと、刑法犯少年は十九万八百六十四人でございまして、前年、つまり三十九年の十九万四百四十二人に比べて若干の増でございますが、いま申しましたような内容でございます。触法少年、十八歳未満数字は、これは八・九%ほどの減になっております。こういった傾向でございますし、それから犯罪のおもな傾向を申しますと、いま申しましたように、自動車交通事故等による犯罪が多くなっております。それから脅迫犯昭和四十年度において若干増加しておりますが、粗暴犯とか窃盗犯知能犯は、それぞれ減少いたしております。年齢的に見ますと、十八歳と十七歳のところがふえております。ただし、これは人口比数字がまだ出ておりませんが、十七、八歳のところがベビーブームの影響がございますので、若干そういう影響じゃなかろうかと思っております。従来中学生に該当する少年が非常にふえておるということでございましたが、これまた人口減影響で、それぞれやや減じております。しかし、人口比のほうの正確な数字がまだ出ておりませんので、やはりそれぞれの年齢層犯罪少年との人口比を正確にあげませんと、正確に論じられないと思います。  大体そういう傾向でございます。鑑別所とか、いろいろの数字のことにつきましては、いずれ後日、資料をそろえましてお答え申し上げたいと思います。
  14. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしますと、四十年度はやや数字的には増しておるけれども、総体的には、最近は八・九%ほど犯罪件数が減になっておる、こういうことですね。
  15. 赤石清悦

    赤石政府委員 もう一ぺん申し上げますと、昭和四十年は、三十九年に比べまして、犯罪に触れた少年の数は、若干、つまり〇・二%ほど、人数にいたしまして四百四十二人ふえております。ただし、いま非常に問題になっておりますように、犯罪と申しましても、自動車事故等による犯罪は、普通の刑法犯とやや性質が違うじゃないか、こういう観点からいいまして、主要刑法犯ということになりますれば、それぞれ若干減じておるのもございますので、私どもは、一応少年犯罪昭和四十年度において鈍化のきざしを見せ始めておる、つまり努力すれば日本の少年犯罪も減る可能性がある、こういうふうに見た、こう考えておる次第でございます。
  16. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでは、法務省の方は見えておりますか。——聞いておっていただいたか知りませんが、いま犯罪の動きをお聞きいたしました。それで私のほうからお願いをいたしましたことは、現在青少年として取り扱われておる該当人員が、総人員が何名で、そのうちで犯罪を犯した者が何名で、その中で鑑別所のやっかいになっておる者が何名、なお少年院へ送られておる人が何名、こういう数字的なことを最初にお聞きいたしたわけでございます。この点については、法務省のほうでないとわからないということがございましたので、数字的にわかればお示しをいただきたいし、わからないというならば、次へ進みたいと思います。
  17. 布施健

    布施政府委員 お答えいたします。実は御質問のございました犯罪人員という点は、ちょっと数字がはっきりいたしません。私どもは、鑑別所に相談に来る、あるいは鑑別所に収容される、それから少年院へ収容されるというものを対象として、矯正行政をやっておるわけでございます。その関係数字についてお答え申し上げたいと思います。  まず、鑑別所関係でございますが、昭和四十年度の鑑別受付人員は、八万四百十八人でございます。その内容を申しますと、家庭裁判所からの依頼、これが約半数の四万三千四百四十七八、それから検察庁その他法務省関係からの依頼は四千九百三人、それから学校とかその他一般からの依頼が三万二千六十八人でございます。この受け付け数は、年によりまして多少の増減はございます。たとえば三十九年度では、全体で七万七千四百十九でございまして、それよりはふえております。三十八年度では八万五千六百四という数字でございます。年によりまして多少の増減はございますが、おおむね八万件程度を受け付けて、これを処理いたしておるわけでございます。そのうち、身柄を収容されて鑑別所へ入ってくる者、これが昭和四十年度におきましては、三万八千六百四十六人という数字になっております。鑑別所は大体二週間、一度更新しましてさらに二週間、在所期間が短いものでございますから、一日を平均いたしますと、鑑別所に毎日入っております数は、平均しまして、昨年度は二千二十四人という数になっております。  次に少年院でございます。少年院は、昭和四十年度、これは年末をとらえておりますが、収容者の数が九千四百四十七人。この内訳は、少年院には、御承知のとおり、四種類ございまして、初等中等、特別、それから医療とございますが、初等が千三百四十一人、中等が五千六百二十三人、特別が千六百四十六人、医療が八百三十七人という数でございます。  この全体の収容人員九千四百四十七人というものを過去五カ年間と比較してみますと、たいした変動はございません。前年の三十九年は九千四百十八人、年末でございます。わずかに三十人程度四十年度はふえておるという形でございます。大体九千五百、六百、七、八百という順でございます。入っております数は以上でございます。
  18. 田口誠治

    田口(誠)委員 犯罪別数字というものはわかりますか。そちらのほうの大別でもよろしゅうございますが、私のほうから注文してもよろしゅうございますが。
  19. 布施健

    布施政府委員 年末在院者犯罪名別人員でございますが、これを申し上げますと、昭和四十年度、これも年末の在院者でございますが、先ほど申し上げました九千四百四十七名につきまして、窃盗が四千三百二十八人、四五・八%、強盗が五百四十八、五・八%、詐欺が百三十二人、一・四%、恐喝千八十人、一一・四%、横領が三十七人、〇・四%、わいせつ姦淫が九百四人、九・六%、暴行傷害——傷害が大半でございますが、これが六百三十八人、六・八%、殺人が七十九人、〇・八%、放火が五十一人、〇・五%、あと住居侵入七十一人、〇・八%、その他の刑法犯で二百七十二人、二・九%、それから特別法犯、これは道交を除きます、三百七十七人、四%、虞犯九百二十一人、九・七%という数でございます。   〔委員長退席藤枝委員長代理着席〕  これを三十六年までさかのぼりまして過去五年間の比較をいたしてみまして申し上げられますことは、窃盗につきましてはおおむね変動はございません。強盗もおおむね変動がないようでございます。詐欺もほとんど変わっておりません。恐喝が、あまり変わりはないのですが、若干減っておる。三十九年が一二%、三十八年が一二・四%、三十七年が一二%を占めておりましたのが、四十年末で一一・四%というふうになっております。それから横領は、わずかずつですが、だんだん減少しておるということがいえます。  それからたいへん恐縮でございますが、先ほど罪名を申し上げましたときに一つだけ落としましたので、つけ加えさせていただきます。賭博がございます。これも言うほどの数ではございませんが九人、〇・一%となっております。  それからわいせつ姦淫、これがふえております。パーセントで申し上げますと、三十六年が七%、三十七年が七・四%、三十八年は八。二%、三十九年が九。一%、四十年末の在院者につきましては九。六%、若干ふえておるわけであります。それから暴行傷害、これも三十九年から若干増加しておるやに見受けられます。  総じて申し上げますと、少年院在院者につきましては、財産犯窃盗が一番おもになりまして大体半分、それから強盗恐喝、それから暴行傷害殺人放火といったような凶悪犯罪、あるいは粗暴犯、こういうものがおおよそ二五%で、残りの半分のうちのさらに半分といったようなことになっております。わいせつ姦淫、これが多少ずつでございますがふえておりますという点は、注目しなければならないと考えております。
  20. 田口誠治

    田口(誠)委員 どうもありがとうございました。まあ数字をお聞きいたしますると——これは昭和四十年の末、昭和四十年の十二月の数字ですね、年度末ではなく。——そこで、この数字というのは、最初、大体横ばいをしておるということになっておるわけですが、ただここでお聞きをいたしたいことは、十六、十七、十八歳の青少年犯罪が一番多いという率になっておりますけれども、これは内容はどういうものであって、原因はどういうところにあったのか、あなたのほうでおわかりになればお答えいただきたい。特に十七、十八というところが数的に多いですね。
  21. 布施健

    布施政府委員 年齢関係について申し上げますと、これは年末の在院者でございますが、昭和四十年度におきましては、先ほど申し上げました九千四百四十七名のうち、十五歳以下が千七十六人、一一・四%、十六歳が千四百七十五人、一五・六%、十七歳が二千百二十七人、二二。五%、十八歳が二千四百七十二人、二六・二%、十九歳が千七百二十六人、一八・三%、二十歳から二十二歳が五百七十一人、六%……。
  22. 田口誠治

    田口(誠)委員 その辺でよろしいです。年齢は。
  23. 布施健

    布施政府委員 その十七歳でございますが、少年院では十八歳が一番多く、次が十七歳というふうになっております。十五歳以下が特にふえているということはございませんで、これはむしろ昨年あたりは減っております。  これらの年齢別犯罪の態様でございますが、私どものほうでその少年院在院者についての年齢別犯罪者資料をいまちょっと用意しておりませんけれども、大極の傾向を申し上げますと、年少少年には財産犯が多く、年齢が進むに従って凶悪犯粗暴犯わいせつ姦淫を含めまして、そういうものがふえているということでございます。
  24. 田口誠治

    田口(誠)委員 これは今後の青少年不良化防止一つ資料にもなることでございますので、あえて数字をお伺いをいたしたのですが、十七、十八というところが飛び抜けて多い。それから十九歳、二十歳になるとまた減になる。そこで十七、十八歳のときは、高校の二年、三年、卒業するという時期になるわけですが、それに該当する年齢なんです。したがって、職業別からいきますと、これは職業別といっても、大まかなところで勤労青少年、それから高校生とか中学生、十五歳以下のは、これはまた別途数字が出ておりますが、どういうところにいる人が一番多いかということを参考にお知らせをいただきたい。
  25. 布施健

    布施政府委員 資料を用意してまいりませんでしたので、資料を取り寄せまして後刻お答え申し上げます。  おおよそのことを申し上げますと、半数無職であります。その無職の中に中学、高校の生徒あるいは学生が入っておるわけでございます。職業を持っておる者につきましては、少年院に入ってくる者は、これは記憶でございますが、サービス業等に従事しておる者が一番多いわけであります。あとは後ほど資料に基づきましてお答え申し上げたいと思います。
  26. 田口誠治

    田口(誠)委員 数字ばかりお聞きして迷惑だろうと思いまするが、そうした区別をしてみなければ、この青少年犯罪対策をどうしたらいいか、どこに重点を置いたらいいか、このことがわかりませんので、あえて数字をお聞きいたしたわけです。   〔藤枝委員長代理退席委員長着席〕 いずれにいたしましても、十七、十八歳の年齢層、十六歳からパーセンテージがうんとふえておりまするが、高校年齢に該当する層が一番多いというわけです。それから学生を含む無職が多いということであります。それで、無職といっても、学生の場合とその他の無職とは違いまするが、この区別はわかるかわからないか。わからなければわからないとおっしゃってください。
  27. 布施健

    布施政府委員 その点も資料を取り寄せましてお答え申し上げたいと思います。
  28. 田口誠治

    田口(誠)委員 そういたしますると、資料の上から私のほうが突っ込んで御質問を申し上げることがちょっと不可能でございまするが、年齢層からいきまして、現在高校生該当年齢が一番多くて、無職が一番多い、こういうことですから、そういう点にどういう内容犯罪が多くて、それを防止するにはどうしたらいいかということが、今後の対策として立てられなければならないと思うわけでございます。したがって、鑑別所においていろいろ補導されて、家庭裁判所を経て少年院へ送る者と、なお何年かの期限をつけて保護司お願いをして補導していただくのと、二つあるわけなんです。そこで保護司お願いをするという点でございまするが、これはどういうように把握されておるか知りませんが、現在の保護司方々は、社会奉仕的なつとめをやっておいでになるわけです。実際に何人かの不良青少年に対して責任を持ち、たいへん苦労しておられるけれども、それに対する手当というものはきわめて少ないというようなことから、地方で最も適任者お願いをしようとしたときに、手当が少ないということからお願いのできない面があるわけなんです。そこで、現在やっておられる方は、たとえば元町内会長とか、その他社会全般に対して、それからまた村づくり人づくりにも力を入れたような経験者とか、あるいは婦人会役員をやっていて、年もある程度とったから若い人たち役員は譲って、まだ遊んでいるのも何だか手持ちぶたさである、生活はわりと保障されておるというような方に多くお願いがしてあるわけなんです。それで、この方々は、全く適任者の方もあれば、そういうところにねらいを置くために、ぼくらから見ても、この人はそんなに適任者でもないと思える方にも、長々とお願いがしてあるわけです。したがって、私は、鑑別所でいろいろな科学的な犯罪動機鑑別をして、少年院送り保護司のほうへ預ける分とあるのだから、重要な仕事をしていただくのであるから、保護司の方に対する待遇ということも、もう少し——もう少しぐらいではない、相当多く見てやる必要があるのではないか。そうして適任者の方には、ある程度犠牲はあろうとも、協力をしてもらう体制をつくらなければならないのではないかと思うわけなんです。それで、矯正局長さんのほうで把握しておられる現在の保護司方々は、私がただいま申しましたような内容の方だというように把握されておるのか、全く適材適所ということでお願いをしているということに尽きておるのか、その辺のところをどういうように把握しておられるかお伺いをして、そうして私の申し上げたことも勘案して、将来この人たちに対する待遇の面をよくしてやっていただきたい、かように考えておりますが、その点についてひとつ御説明をいただきたい。
  29. 本位田昇

    本位田政府委員 私、法務省保護局長でございます。保護関係は私どもの所管になっておりますので私から申し上げますけれども、先ほど来矯正局長説明いたしました少年鑑別所あるいは少年院という関係は、いわゆる社会施設の中で処遇するという考え方に立っておる部分であります。更生保護仕事は、いわゆる社会内処遇ということばで言われておりますが、たとえば家庭裁判所でこの少年保護観察にして社会の中で見守って更生させていくのがいいのだということになりますと、家庭裁判所保護観察処分ということをするわけでございます。そのほか、たとえば先ほどの説明にありました、少年院に収容する措置が講ぜられましても、これを適当な時期に社会に出して、社会内で処遇しながら更生をはかるということもあるわけでございます。この場合は、少年院を仮退院ということで出てまいります。そして保護観察が働いていくということになるわけでございます。  そこで、これを扱いますものは、現場の仕事は、各県に置かれております保護観察所が扱うわけでございまして、保護観察所は、このことを専門に扱いますところの保護観察官というものが配置してございます。しかしながら、もともとの考え方が、施設の中で、国の権力の中で教育するということで、足りないところを社会の中で、社会と融和しながらその中で社会化をはかっていく、犯罪性を除去するという考えに立ちますので、いわゆる役人だけの力でやるのが適当かどうかということもございます。そのために保護観察官の専門性というものと、民間から委嘱いたしました保護司という方々の民間性、あるいは地域性というものとを結びつけまして、いわゆる俗なことばで言いますと、二人三脚の形でこれを指導、監督、補導、援護してまいるということになるわけでございます。  保護司のことでございますが、定数は五万二千五百人ということになっております。五万二千五百人以内でございます。いろいろ異同がありまして、まあ五万人程度が常時委嘱されておるということに御理解いただいてけっこうと思いますが、これらの方々を委嘱するにつきましては、各県に置かれております保護観察所にそれぞれ保護司選考会というものが制度上ございまして、各地方裁判所あるいは家庭裁判所の所長あるいは検事正あるいは矯正施設の長、保護観察所の所長、保護司の代表その他各県におきます公安委員会の委員長であるとか、あるいは教育委員会の委員長であるとか、その他学識経験者方々にもお願いいたしまして、そういうことで原則的には各県ごとに選考していただいておるわけでございます。ただ、これに対する指導といたしましては、やはり仕事の性質がきわめて重要なものでございますので、何とか十分に働いていただける方ということを目途にして選考していただくように、私どものほうでもお願いしておるわけであります。ただ、御指摘にございましたように、まわりから見まして、あまり働いておらぬじゃないかというようなことがときたま聞こえてまいります。でありますけれども、これは先ほど申しました保護司というものの性格からいたしまして、非常に犯罪の少ない地域にもやはり保護司というものは委嘱しておかなければならぬということもございます。そういう方は、場合によりましては、年間を通じて一件も仕事をされないで終わってしまうということもございます。それからまた、非常に活動を期待して委嘱申し上げたけれども、その後健康状態があまりよくないとか、あるいは個人的ないろいろな事情ができまして、ある年度は全然委嘱申し上げなかったということもあると思います。しかし、一般的には、こういう方々には私どもとしては十分お働きいただくということを考えておるわけでございます。場合によりましては名誉職化しているんじゃないかということばも聞きますけれども、私どもは、そういうことはまっ正面からそのとおりでございますというような考えを持っておりません。やはり個々の場合にいろいろ指導と申しますか、いろいろ話し合いもいたしまして、十分にお働きいただけるように心がけておるわけでございます。
  30. 田口誠治

    田口(誠)委員 ぼくの認識では、保護司方々は相当多忙だというように認識をしておるわけです。それは全く特定のところで、一人も引き受けておらないというような方もあるかもわかりませんが、私の把握している範囲内では、どちらかといえばたいへんな努力をしておられる。しかも、これは実際に鑑別所から少年院送りするかしないかという家庭裁判を受けて、そして六カ月の猶予を見る、家庭で補導をするんだ、その間にまた事故が起きれば前の罪は加算されるんだというような言い渡しで、家庭のほうへ帰された人なんかを引き受けた者は、始終その家へ行って、そして親御さんとも話をし、その子供さんとも話をし、そうして日常の状態を直接、間接に監督をしておらなければならない。たまたま昨年私はそういうのにぶつかりまして、ちょうど少年院送りになるか、それとも家庭で期限を切って補導するかというところであったので、まあお許しをいただいて特別弁護をして、あとはそれでは私が六カ月めんどうを見ましょうと言って引き受けましたが、それはたいへんな心配があるわけです。だから、そういう方々が何人か持っておられると、これはたいへんな重荷である。それに対する待遇というものは全く少ないものであって、社会奉仕的にやっていただいておる。したがって、こういう社会奉仕的なお願いをするということはこの際考え直して、もう少しその労苦に報いる報酬というか、お礼を出すべきではないか、こう考えておるのですが、その点の予算要求はなかなかむずかしいですか。
  31. 本位田昇

    本位田政府委員 ただいま御質問の中で具体的な事例としておっしゃいましたことは、それはあるいは家庭裁判所の試験観察の場面であったかと思います。保護司の本来の仕事は、保護観察家庭裁判所で付される——保護観察というのは終局決定で、試験観察は中間決定で、これは家庭裁判所がおやりになるわけでございます。私ども保護観察の終局決定のあったものを保護観察所のほうに引き取りまして、主任官を定めて、そしてその主任官からさらに保護司に委託されまして、二人三脚の形で仕事を進めてまいるわけでございます。ただいま御指摘がございましたように、本来非常にむずかしい仕事なのでございます。全国の現在員からしますと、保護観察所の扱っております保護観察事件の数と対比しますと、平均しますと一人が一・八あるいは二件足らずのものを担当するという計算ではございますが、実際には、先ほど申しましたように担当しておられない方もございますので、犯罪の非常にたくさんある地域におきましては、保護司方々が五件とか、あるいは多い場合には十件という保護観察事件を担当していただいておる場面もございます。何と申しましても、これは犯罪を犯した者の事後の処遇でございます。しかも社会の中で自由にさせておきながらする処遇でございますので、非常にむずかしい問題がいろいろございます。ところが、先ほど申しましたように 保護司と申しますものは 成り立ちから申しまして民間性というのが大切なんだということで、無給の国家公務員ということに本来されて、法律的にもなっておるわけであります。そこで、いろいろ費用などもお出しになってお仕事をしていただく。それに対しましては、実費弁償という形で最小限お償い申し上げるという考え方で、従来予算的にもこれをなるべくふやしていただくという努力をしてまいったわけでございます。昭和四十年では、保護観察事件一件担当されまして、一カ月四百八十円の実費弁償を差し上げるということでございました。これは何と申しましても、常識的に非常に低いのでございますので、いま出ております四十一年度の予算原案では、大蔵省のほうの考えも入りまして、従来四百八十円一本ということでございましたけれども、これを五百十円ないし六百円以内ということで、幅を持った考えで原案が出ております。これは事件によりましては、それぞれ軽重難易がございますし、仕事をしていただく幅の広さもやはり違ってまいりますので、実際に働いていただいた方には六百円までは差し上げられるということで、少しはよくなったと思います。もちろんこれで十分とは申せませんが、今後ともいろいろ努力いたしまして、それが実質的に少なくとも実費はお償いできるような態勢に持ってまいりたい。努力する所存でございます。
  32. 田口誠治

    田口(誠)委員 既存の審議会協議会がたくさんあります。そこの委員手当は御存じのとおりピンからキリまでありますけれども、このような安い実費というのか、手当を支給しておるところはないわけです。したがって、仕事内容からいって、大蔵省は予算要求のときにはあれこれ言っても、今後総合調整役をやっていただく総理府の新局においても、また長官においても、よくこの点を研究をしていただいて、こんな程度の安い手当でなしに、もう少しかっこうのついたものを支払いをして、そして大いに協力をしていただかなければならないと思います。なかなかあの仕事の、協力の報酬ということから金額を出せば、相当の金額を出さなければならないと思いますけれども、先ほど来申しておりますように、無給の公務員というところから発して今日になっておるのだから、私どもの望んでおるようなことはできないでしょうけれども、やはりその点はもう少し考えていただかなければなりませんから、そのことを強く要望をしておきますが、大臣、いかがでございますか。
  33. 安井謙

    安井国務大臣 これは実費弁償といたしましても、非常に低い額であることは御説のとおりでございます。できるだけ予算の機会ごとにふやしていただくような要望もいままでもいたしてまいっておる次第でございますが、一挙にまいりません。しかし、今後もそういう方針を予算編成等の際に要請として強く出していきたいと思っております。
  34. 田口誠治

    田口(誠)委員 少年院へ入所しておる青少年少年院を出た後の保護、監督というような点については、現在はどういうような方法でやっておりますか。
  35. 本位田昇

    本位田政府委員 少年院から出てまいる形は、満齢退院、要するに年齢的に限度が過ぎまして出てまいる場合と、仮退院で出てまいる場合がございます。仮退院の考え方は、先ほどちょっと触れましたように、施設の中におきましておしまいまで置いても、どれくらい効果があがるか、それよりも、ある程度見通しが立てば社会の中に出して、それには保護観察をしながら社会の中で見守っていくということがいいかという問題がございます。最近では、少年院の場合では、ほとんどがいま申しましたような仮退院で退院いたします。この場合には、法制上も必ず保護観察がつくことになっております。そのあとは、先ほど申しましたように、保護観察所で保護観察官と民間から委嘱しました保護司によって指導、監督、補導、援護をやりながら更生を助けていくということに相なるわけでございます。
  36. 田口誠治

    田口(誠)委員 そういう手を尽くしていただいておりますけれども、二回、三回と入ってくるのがあるわけです。こういう人たちは、どういう原因が一番原因になっておるのか、まずお聞きいたしたい。  もう一つは、犯罪を犯した青少年たちで少年院の中で一つのグループをつくって、退院した後は組織的な犯罪行為を行なっておることがたまたまあるわけなんです。したがって、こういうものに対してはどういう見解で、今後その解消にどう努力されようとしておるのか、ちょっとお考え方をお示しいただきたいと思います。
  37. 本位田昇

    本位田政府委員 ただいま御質問のございました二つの問題のうち、あとのほうの問題は矯正局長からお答えするのが適当かと存じます。  先ほど申しましたように、たとえば仮退院した少年保護観察をやってまいります。ところが、保護観察中は、わりあいに再犯というものが率から申しましても起こらないのでございますが、これもいつまでも保護観察のひもをつけておくということにもまいりませんで、いずれはそれから離れてまいるわけであります。そうしたあとの再犯というのがかなりあるということが申せると思います。その原因ということになりますと、これはもうたいへんいろいろな問題が錯綜いたしまして、本人の資質的な問題もございましょうし、あるいは戻ってきた社会における環境と申しますか、まわりから誘われてまたもとのグループに入ってしまうとか、あるいはほかの成人なんかの影響を受けて再び悪い道に入るとか、いろいろな態様がございます。私ども保護観察を担当しておる者の考え方といたしましては、できる限り保護観察期間にそういうおそれを除いてしまうことにいたしたいわけでございますが、現実の問題といたしましては、非常にむずかしい、幅の広い問題がございまして、なかなか思うようにまいっておりません。この上とも努力いたしたいと思います。
  38. 布施健

    布施政府委員 御指摘のように少年院の中でグループ化し、それが外へ出て一緒になって悪いことをするという点につきましては、私どもとしても非常に心配いたしておるところでございまして、さようなことのないように在院中に、出れば正業につける、さようなことで、一般的に申しまして再非行におちいらないようにということで努力しておる次第でございます。
  39. 田口誠治

    田口(誠)委員 抽象的にはただいま御答弁のあったような努力をしていただいておるのだが、実際に少年院入所中にいろいろとグループができて、その人たち社会へ出たときに、今度は組織的に凶悪な行動を起こすというのが往々にしてあるわけなんです。だから、その人たち犯罪というのは、考えてみて非常に悪質の犯罪であるわけです。したがって、こういうものを防止しなければならないのだが、少年院としてはこれを除くためには、いまのところでは方法があるのかないのかということがまず一つあるわけです。それから出た場合に、これはいまお話のありました社会の環境、家庭の受け入れ態勢、周囲を取り巻く情勢、いろいろあろうと思いまするけれども、そういう現在の問題を解決されるためにどう行なったらいいかという一つの施策がなければならないと思うのです。そのことをお伺いしておるのですが、ひとつ具体的に説明をしていただきたい。
  40. 布施健

    布施政府委員 先般ある地方少年院を出た少年がグループをつくって何か暴力団的なものをつくったという話も聞いておりますけれども少年院に在院しておる者について調べてみますと、そのような事実は裏づけがないやに見受けられます。ほかに他の少年院でグループをつくって、院内におるときにグループをつくって、院内で横暴をきわめておるというような事実は、ただいまのところでは見ておりません。少年院の中におきましては、社会適応化をはかりますためにやっておりますことを具体的に申し上げますと、おおよそ三つでございます。一つは学校教育法にのっとりました教科教育、それから一つ職業補導、一つは生活指導でございます。  この概略を申し上げますと、生活指導は、在院中通じての問題でございますけれども、おおむねこれを三期くらいに分けまして、反社会的な考え方や行動様式、これを矯正する、健全な社会性を発達させるということを目途としておりますが、第一期、これは入ってきました初期の段階でございますが、少年院というところがどういうところであるということもわからないわけでございますので、少年院の生活はこういうものだという、いわゆるオリエンテーションというものをまずやるわけでございます。そして将来一生懸命やって少年院で何かを身につけていこうという考え方を植えつけるようにつとめております。  第二期、中間の期間におきましては、何といいましても落後いたしましたのは、社会における人間関係というものが非常に大きな要素をなすものでございます。少年院におりますと、たくさん入っておるわけですから、その中で特に人間関係というものをうまくやっていくように指導いたしておるわけであります。  最後の第三期に入りますと、これは出てからのことを中心に考えまして、出院後の生活に必要な心がまえあるいは態度というようなものを教えるようにいたしておるわけでございます。  それから職業補導でございますが、これは先ほども申し上げましたが——この機会に先ほど御質問数字がまいりましたのでちょっと申し上げておきます。  年齢別には資料をとってございませんので、たいへん恐縮に存じますが、三十九年度の新収容者、新しく入院してきた者、その職業別を申し上げますと、学生生徒が千二百九十八人、工員が千六十二人、商店等の店員が六百二十六人、農業八十三人、たいへん大ざっぱな分け方でございますが、その他が千二百二十七人、それから全くの無職、学年も除いた全くの無職が四千百人、合計しまして八千三百人でございます。それから先ほど申し上げましたサービス業といったようなものは、その他の中に入っておるわけであります。  それから職業補導でございますが、これは中等少年院あるいは特別少年院においては、この職業補導に重点を置いておるわけでございます。ただいま申し上げましたように、これは年齢別にはわかりませんが、無職の者もかなり多いわけでございまして、一つのねらいは、一般には職業のいろいろな基本的技能、知識を与えて、出てから職を選ぶ能力を養うということを第一に目ざしておるわけであります。それから能力もあり、適性もあるというような者は、これは選び出しまして、職業補導の重点施設というのへ送りまして——この職業補導重点施設は、ただいまのところ各矯正管区で大体一カ所ないし二カ所、全部で九所ございます。これを職業補導重点施設ということにいたしまして、職業の教育を授けておるわけでございます。ただいまやっております補導の種目でございますが、補導の種目は、建築大工それからブロック建築、機械製図、溶接、板金、活版印刷、電工、ラジオ、テレビ修理、自動車整備あるいは自動車運転、理容、クリーニング、農業、こういうものがございます。女子につきましては洋裁、手芸、タイプ、簿記、珠算といったようなものがありますが、この重点施設では、これらのもののうち三つないし六つぐらいの種目を選んで専門的に職業補導をしておるわけでございます。ここでの職業補導は、職業訓練法にのっとったものでありまして、一年間千八百時間使いまして、技能検定の資格を得るわけでございます。この千人百時間を履修いたしますと、労働省からの履修証明書をもらうというようなことにいたしております。  そこで、次は教科教育、教科教育はやはり初等少年院が中心になっております。初等少年院は、御承知のように十四歳から十六歳までということでございますが、義務教育未修了者が比較的多いわけでございます。これらに対しましては学校教育法にのっとりました教科教育を行なうということで、現在これまた全国で八つの施設を指定いたしまして、教科教育重点施設といたしております。ここで学業を終わりますと、修了証書ないし卒業証書を渡すわけであります。そのような教育のほかに、あとは通信教育等も受けさせておるわけでございまして、こういうことをやりますことによりまして、技能、職業を身につけさせ、出てから困らないようにしてやる、ものの考え方を正しくする、そういったような努力を重ねておるわけでございます。
  41. 田口誠治

    田口(誠)委員 数字的には上がってきておらないから、先ほどのような答弁があったと思いますが、こまかい数字的な資料を答弁していただいてその点はありがとうございました。ただ、答弁の中で、少年院へ入所しておるうちにグループができたり、そして今度は用所してから社会でその人たちが組織的な凶悪な犯行を行なうようなことは聞いておらぬ、こう言われましたが、これはそういう報告はどういうような経過を経て上へ上がるようになっておるか知りませんけれども、その中の入所中のグループ活動というのは、そのグルプがきちんとできておって、それでこのグループの人たちが出たらどうしようか、こうしようかというようなことをやっておるのではなくて、共通の犯罪を犯しておるのだから、そういう共通な人たちが陰に陽に、言わず語らずそういうグループ的なものができておって、そうしてそれが社会へ出た場合には組織的な凶悪な犯行をやっておるという事実は、これはあるわけなんです。そういう報告がきておらぬということなら、これはもう少し検討をしていただかなくてはならぬと思いまするが、こういう組織的な犯罪があるから、これを防止する必要があろうと思いまして申し上げたので、あなたのほうでは報告がないからそういうものはないと言い切られるけれども、その点はそれは誤りですから、ひとつ了解をしていただきたい。よろしいですね。
  42. 布施健

    布施政府委員 御指摘をいただきました点につきまして、私申し上げましたのは、少年院の中におります間にグループをつくって処遇に困るという事例を報告を受けていないと申し上げたのでありまして、御指摘のような点は、あるいはそれは否定できないかもしれないと思います。私どもといたしましては、ただいま申し上げましたような矯正教育を通じて、さようなことがないようにいたしたい、かように考えておるということでございす。
  43. 田口誠治

    田口(誠)委員 いま職業補導の関係を幾つか並べられまして、そうして職業補導も熱心にしていただいておるようでございます。その結果から履修証明書というのを出して、そうして社会へ出て職場へ入ったときに有利な立場でそれぞれの仕事に従事できるようにというお話でございまして、これはたいへんけっこうだと思いますが、婦人の刑務所でも、美容なんかの場合は完全に国家試験まで取らせて、そうして社会へ出たら堂々と美容院を開業できるような、そういう報告をとっておるのですから、私は、この少年たちに対する職業の補導についても、これは全部というわけにはいきませんけれども、中には、自動車の場合ならば修理工の一つの資格を取らせるとか、あるいは免許の資格を取らせるとか、そういうところまで補導を伸ばしていただいたほうがいいのではないか、こう考えておりますので、その点は希望として申し上げておきます。  そこで、これらの人を補導してくれる少年院の職員の方、これの定員が非常に不足しておるようですが、それはどのように把握されておりますか。
  44. 布施健

    布施政府委員 御指摘のように、私どもといたしましても、少年院の職員の数がこれで十分だというふうには考えておらないのでございます。したがいまして、大蔵当局とも協議いたしまして、特に少年院の教官でございますが、これにつきましては勤務の体制基準というようなものもつくりまして、それに従って毎年増員を要求し、これまで年々認められてきたわけでございます。四十一年度も、いま国会で御審議いただいております予算が通りますれば、二十人の増員ができることになるわけでございます。そのようにして増員につきましては今後とも努力いたしていきたい。かように思います。
  45. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうして定員のこともいろいろ気をつかっていただいておるのですが、収容人員に対して何名とかいうような定員の積算の基礎があるのかどうかということと、それから、まあ大体これでやれるという定員のように承りましたが、私どもは実際少年院を訪れていろいろと職員からお話を聞いたりその実態を見たりしますると、非常に定員が足らない、特に時間外の仕事をやらなくてはなりませんので、それらの手当等も、一般の民間企業につとめておる人と比較すると、問題にならないくらい待遇が悪いわけなんです。したがって、実際に現場を見てのそれはお話なのか、大体いままでの慣例からいって、この程度の定員でいいというのか。下部のほうから定員が足りないと言ってきているのだから、予算措置をする場合に、定員をことしは二十名ふやした、こんなことではとても追いつかないというふうに私は実態を見て考えておるわけなんです。だから、ほんとうに現場の実態を知ってただいまのような努力をしていただいておるものかどうかという点に疑問をいだくわけなんです。その点どうなんですか。
  46. 布施健

    布施政府委員 私も、もちろん少年院に行ったことはございます。機会あるごとに施設を見て、十分実態を把握した上で行政をやっていきたい、かように存じておるわけでございますので、見ておりますが、そういう機会にも、少年院の施設からの声を聞き、また年々監査というのをやっておりまして、矯正局のほうから少年院に行きまして、事務量その他も調べ、できるだけ施設の声を聞いて、それをもとにして私どもも検討し、適正であろうと思う線に従って増員に努力しておるということでございます。
  47. 田口誠治

    田口(誠)委員 希望だけ申し上げておきます。  現場のほうの声というのは、定員が足りないということ、それからもう少し待遇をよくしてもらわなければ困る、こういうことでございますので、矯正局長さんのほうで調査をされる場合には、どういう調査資料によって定員等をおきめになるかわかりませんけれども、実際行ってみて私どもの感ずることは、非常に定員が足りない、そして待遇も悪い、こういう点が下部の声であるということを知っておいていただいて、この人たち待遇の万全を期して、そして少々労働強化があっても、無理があっても、喜んで自分の職務に専念をでき、また成果のあげられるように職員を使っていただかなくてはならないと思います。存外、役所というところは、部門によっては相当定員に余裕を持っているところもありますし、部門によっては非常に定員が足らずに労働強化がなされ、そうしてそのことがひいてはその職務の遂行にも支障を来たすというところが多いわけなんです。私は、この少年院の職員等の数の問題については、そういう点がひとつの隘路になっておろうと思いますので、今後その点について、青少年犯罪を防止するために努力していただくように希望を申し上げておきます。  そこで、いよいよお聞きいたしたいと思いますることは、先ほど、年齢的にいきましても高等学校の年齢層に多いということ、それから学生、工員に多いということが、職業別にも明確になっておるわけです。特に工員に多いという点は、いろいろ隘路があろうと思うわけでございまするが、まず学生に多いということ、これは文部省のほうでも——文部省は学生課長さんと社会教育局長さんがおいでになりますね。どういうように受けとめておられますか。
  48. 笠木三郎

    ○笠木説明員 私のほうでは主として大学の学生関係の問題を扱っておりますので、高等学校段階での生徒指導関係につきましては所管外でございますので、ちょっと私、お答えしかねるわけでございます。  私、大学の学生に限って申し上げますと、現に大学におりまするところの学生犯罪関係につきましては、実は詳細に調べたことがございませんが、私の記憶では、法務省その他でお調べになっております犯罪統計関係では、特に大学におります学生犯罪は少ないように実は記憶しているわけでございます。しかしながら、昨年、たとえば東京農大のワンダーフォーゲルのしごき事件等もございまして、そういう学生間あるいは対社会的な犯罪行為がございます点については、各大学におきましてできるだけ十分な指導を行なうように、特に大学におきます生活指導の問題は、必ずしも十分な現状でございませんので、そういう面の指導をできるだけ緻密に大学で行なわれますように、いろいろ指導しているわけでございます。
  49. 田口誠治

    田口(誠)委員 答弁をしていただく方が、あまりぴったりとこないですね。  先ほど数字的に伺いましたら、学生が多いということですけれども、その年齢層に占める員数が多いということならば、パーセントとしてはどうなるかということは、必ずしもその層が非常に多いということにもならないと思うのです。これはただその入所員数を職業別に報告があっただけで、このパーセントというものはないわけでございまするので、いまのお話のようなことも、これはあまり否定することもできないと思います。  そこで、工員の関係ですが、これは学校教育とも関係があるわけなんですが、大体今日都市で申しますると、進学希望者の八〇%以上が高校へ入学できるという状態になっておりまするので、一般常識からいきますると義務教育ではないけれども高校までは準義務教育というような考え方社会は持っておりまするし、また一般もそういう考え方の上に立って青少年の教育をするという考えに立っているわけなんです。   〔委員長退席藤枝委員長代理着席〕 この高校に進学できなかった人が家に無職でいる場合と、それからもう一つは民間企業へ入っている場合とあるわけなんですが、そのころの考えというものは、非常に向学に燃えておりまするし、ものを覚えても早い。そうしてまた、悪いことに染まるにも染まりやすい。こういう時期でございまするから、学校に進学できなかった者に対する社会へ出てからの社会教育ということをやらなければなりませんが、この点については、幾つかの方法が現在もあるわけなんです。万全ではありませんけれども、あるわけなんですが、ただ、工員の場合に、定時高校へ通っている者、またその他の学校等で勉強している人たちでも、日曜は、六日働いて一日休むという、健康保持ということから日曜があるのですから、これを勉強に充てるということになりますると、また健康を阻害するということになるわけなんです。特にそういうことも考えられて、労働基準法では十八歳未満青少年に対する一つ保護基準が規定されておるわけです。そのくらいでございますから、私考えまするに、いま有給休暇というのが法に定められて自由に獲得することができるわけでございまするが、この十八歳未満青少年の場合は、比較としてはどうかと思いまするけれども、女子従業員の生理休暇というようなものが別にあると同じように、勉学をするために必要な休日がもう少し欲しいということです。だから、有給休暇を現在法に定められている以上に特別に十八歳未満の者に対しては与える必要があるのではないか。それにはやはり与え方においても、休日を与えてパチンコに行ってもらってもいけませんので、それは勉強に努力しておるという人たちに限ってということでもいいが、いずれにいたしましても、働きつつ勉強するということになりますと、現在の休日だけでは非常に足りないわけです。幸いに労働基準法においても、そうした保護基準があるくらいでございますから、これをもう少し拡大して、有給休暇の日数をふやしてもらう必要があるのではないか、こう考えておりまするが、労働省のほうからは、松浦年少労働課長さんはおいででございますか。——ひとつその点を伺いたいです。
  50. 松浦干城

    ○松浦説明員 この十八歳未満の年少者につきましては、いろいろと保護の規定がございますことは御承知のとおりであります。年次有給休暇につきましては、年少者に特別の規定というわけではなくて、一般的な成人を含めた規定といたしまして、一年勤続、八割出勤の場合に最低六日を与え、さらに一年の勤続を増すごとに一日ずつふやしていきまして、二十日を限度として与えるという規定がございます。先ほどお話のように、勤労学生につきましてはいろいろと配慮が必要だということが考えられますが、この有給休暇につきましては、請求があった場合に与えるということになっておりますので、請求がなくても与えるという規定になっておりませんので、十分法律に認められた線までとっておるというところまでいっていないところもございますが、しかし、非常に理解のある事業主におきましては、法律の線を上回って与えておるところもあるやに聞いております。この就学の援助という点につきましても、私ども平素啓発活動におきまして、できる限り就学が可能であるように経済的あるいは時間的な援助を与えてくれるように、事業主の理解を求めておる次第でございます。御承知のように、毎年十一月に働く年少者の保護運動をやっておりますし、また中小企業団体におきましても、その内部に年少労働福祉員という制度の設置を勧奨いたしまして、全国二万名に達したところでございますが、常時活動といたしましては、そういった中小企業団体の置かれております福祉員の制度をさらに積極的に進めていくという形において、年少者のそういった就学の援助方についての啓発をやっていきたいというように考えておる次第でございます。
  51. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいま答弁のありましたように、労働基準法においては、有給休暇の規定があって、それぞれそれにのっとって労働者は休日をとっておるわけであります。そのことはいいわけです。  それからもう一つ、対照に出された、また私も出しました女子従業員の生理休暇の問題も、生理になったら休みたくなくても休むというわけでなしに、生理が仕事上に支障があるという人は申し出て、そうして申し出れば与えなければならないということになっておるのであって、その点もそれはわかるのです。だから、私の引き合いに出しましたことは、婦女子の場合には、生理という特殊な一つの生理現象があるのですから、それに対して母体保護ということから、生理休暇の制度を認めておるわけなんです。だから、ただいま質問申し上げておることは、高校へ進学できなかった人たちが、定時制高校なり、あるいは通信教育なり、その他の教育を受けておる場合には、通信教育にいたしましても、通信勉強しておるだけでなしに、一定の日にちを切って試験をしなくちゃならない。この間は休まなければならないわけです。で、こういう日にちを、有給休暇をためておいて、結局職場でもらうわけなんです。したがって、そういうことからいきますると、現在基準法で認められておる一般的な有給休暇だけではなしに、そうした勉学にいそしみつつ勤労しておる青少年に対しては、特別に配慮する必要があるのではないか。したがって、生理休暇と同じように、必要なら申し出によってとれるという、こういうワクをもう少しつくってもらう必要があるのじゃないか、こういうことをお聞きしておるのです。
  52. 松浦干城

    ○松浦説明員 おっしゃるように、そういうような点の配慮は必要かと思いますが、御承知のように、基準法につきましては、一人使っておる場合でも適用があるわけでございます。そういう意味におきまして、基準法を改正して、そういうようにしたらどうかという御意見かどうか、どうもはっきりわかりませんが、そういう意味ですと、目下のところでは基準法を改正するようなことは労働省としては考えていないわけであります。
  53. 田口誠治

    田口(誠)委員 課長さん、あんたは頭から基準法は万全なものだという考え方で、改正する余地がないと言われるが、それじゃ一つ一つ基準法についてやってみましょうか、幾らでも改正しなければならない険路があるわけなんです。したがって、あんたの、そういう隘路に対して全然変える必要はない、基準法は万全だという答弁は、ちょっと思い上がった答弁ではないですか。あんたで答弁ができないのなら、私の地位ではそれ以上の答弁はできませんというまじめな答弁をしなさい。
  54. 松浦干城

    ○松浦説明員 ただいまの説明、不十分であったと思いますが、基準法は完全だという答弁ではなくて、目下のところ改正については労働省としては考えていないという答弁をいたしたわけでございます。また、現在のものにつきましても、できるかぎり法を守るように、まず法を守るという形で事業主の理解を積極的に高めていくという形で、現在のところ進めておる次第でございます。
  55. 田口誠治

    田口(誠)委員 あなたは労働法を全然変える意思はない、いまそういう考え方は持っておらぬと言われるけれども、今年の社内貯金の基準は変えるんじゃないですか。そうでしょう。一つ一つ検討してみれば、変えなくてはならぬような内容が幾らでもあるわけなんです。ただ、それを変えるようなところまでに検討されて、法案として出てきておるか出てきておらぬかというだけで、幾らでも内容を変える必要があるわけなんです。だから、いま私が言っておるように、勤労青少年が定時制高校なり、通信教育なり、その他の教育をしておる場合には、休日をとって勉強しなければ卒業証書のもらえない者があるわけなんです。だから、そういう人たちには配慮をして、配慮をするなら、私の考え方では有給休暇を特別にそういう人たちには与えられるという、こういう法の改正が将来必要ではないか、こう考えておるのですよ。必ず十八歳未満の者には何日間与えるということでなしに、生理休暇のように、生理のためにどうしても仕事に支障のある人は申し出によって与えられるととがあるということなんですから、そういうような方法をとってでも、もう少し勤労青少年のために配慮をしていただかなくてはなりませんし、きょうわざわざ来ていただいたのは、非常にこの青少年が次の時代をになう重要な人づくりであるから、特に佐藤総理が人間尊重、それから人つくり——これは池田総理時代からいろいろいわれておりまするが、そういうことから考えてみますると、現在の犯罪内容を、先ほど時間がありませんでしたからあまりこまかいことを突っ込んで分析はできなかったけれども、進学したいけれども進学できなかったために不良青年になる方が相当あるわけなんです。こういう人をどうして救うかということになりますれば、その欲望を達してやらなければならない。欲望を達してやるということになれば、全日制の高校へ行けなかったとしても、定時制高校なり、あるいは通信教育なり、その他の教育で自分が勉強を身につけるという形をとってやって、そしてそういうような犯行行為を行なうような不良青少年にならないように相互が努力をしていただかなくてはならないと思うわけなんです。きょう出されておるところの青少年局を設置する問題は、ただいまのような問題を総合調整をして、それでは労働省のほうではここを改正をして、こういうような恩恵を与えてやってもらいたい、便宜を与えてやってもらいたい、厚生省ではこれをこうしてもらいたいというようなことをよく調整をするために法律案が出されておるわけなんでございますので、せっかくこの法律案を通して目的を達成させようとすれば、関係のある各省庁が積極的に協力をしてもらわなければ効果はあがらないわけなんで、あなたのように金科玉条のように、いまの労働法なり、基準法は万全なものであって、改正する考えは全然ないというようなことを、一課長がそんな言い切るというようなことはできないと思うのです。この国会にすら出ておるのだから。だから、そういうものは必要だから今後検討するというぐらいな考え方になってもらわなければ、私は困ると思うのです。そうでなかったら、こういう局を設けて労働省に協力をしてもらおうと思ったって、職業補導の面についても、そうして出かせぎの問題についても、どういう問題についても、幾つか労働省に関係のある問題があるわけなんです。それが、労働省がこれに理解がないということになりますると、青少年局を設置いたしましても目的は半減するわけなんで、したがって私はそういうことから質問を申し上げておるのですよ。答弁なかったらそれでよろしいし、答弁あったら、ひとつ答弁してください。
  56. 松浦干城

    ○松浦説明員 田口先生のおっしゃることは十分わかりましたので、今後十分に検討さしていただきたいと思います。
  57. 田口誠治

    田口(誠)委員 文部省関係のことは、まだ設置法もございまするので、そのときに譲ることにいたしまして、この程度で、どうも御苦労さまでございました。  そこで、大臣にお聞きをし、また希望を申し上げたいと思いまするが、ただいまお聞きになったように、各省庁の調整役を青少年局が行なうということになりますると、非常に理解のない省庁では、むずかしい問題にぶつかろうと思うわけなんです。したがって、ここに提案されておりまするように、地方における協議会なり、また中央の審議会なり、これに相当の建議する権限を与えてもらい、そうしてそういうものも十分に参考にし、それを取り入れて、そうして各省庁にも協力をしてもらわなければ、せっかく総理府でお考えになっておったことが、法律案は通っても実際にはだめであるということになっては、非常に残念だと思いまするので、その点についての心がまえと抱負があれば、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  58. 安井謙

    安井国務大臣 青少年問題が各省にわたっておる仕事が非常に多いということは、御説のとおりでございます。また、その総合連絡調整というものを十分に果たすのでなければ、青少年局の意義も非常に薄れるということであることは、よく存じております。いまの御説のような御趣旨に沿いまして、私どもは内閣全体としてこの青少年問題が進められるよう、できるだけ強い総合調整をしてまいりたいと考えております。
  59. 田口誠治

    田口(誠)委員 この青少年白書を見ましても、そうしていままでの各議員からいろいろ隘路のあるところを質問でただし、政府の今後の施策を強く要望されたことで一つ落ちておりますることは、農村の青少年が、自分の家は根城だけで、都会でつとめて、都会のいろいろな環境、文化のほうになじんでおって、そうして帰ってきて休むだけの、こういう青少年が多くあるわけなんです。いままでこの青少年白書に取り上げてあったり、また質問でも出ておりまするのは、季節的な出かせぎの問題とか、あるいは農山村から都会へ出てきておる青少年の問題とか、こういう問題は取り上げてあるわけなんです。取り上げてありまするけれども、根城は農山村に置いて、そうして年がら年じゅう生活をしておる、仕事をしておるところは都会であるというこの青年たちが、非常に荒っぽい方向に向いていくことが多いわけなんです。それで、この問題はどういうふうに今後対策を立てていけばいいかということは、いままでの白書の中にもあまりありませんので、ひとつその点を伺いたいと思うわけであります。
  60. 安井謙

    安井国務大臣 家庭を農村に持って、それから通勤しながら都会で働いている、これが都会の悪い慣習に染まる危険があるじゃないかという御説、これはごもっともだと思います。私ども、できるだけこれは雇用主あるいはその働く場所においてのいろいろなしつけ、またグループ活動というものを強化いたしまして、なるべくそういった環境の悪いところからはずれていくというふうなできるだけの補導といいますか、をいたし、また同時に、家庭にありましても、できるだけ家庭でのあたたかい理解、あるいは周囲の家庭環境を浄化することによってそういったものをできるだけ少なくしていきたいと思っております。
  61. 田口誠治

    田口(誠)委員 抽象的ではありますけれども、その方向に努力していただかなければ、これはいままでの質疑応答やら政府に要望したこともありませんし、白書の中にもあまりその内容を触れておりませんので、ひとつ新しい問題として検討をしていただきたいと思います。  それからもう一つ心配になりますことは、最近産業が発展をして、大都市、中都市には工場等が大きくふえておりますので、したがって、住宅をつくろうと思いましても、なかなか宅地が高くて住宅を自分でつくるわけにはいきませんし、また、公営住宅というようなものも、安い宅地を選ばなければならないということから、いままで交通の便のなかったところでも、交通の便を別にそこだけふやしてでもずっといなかのほうへいって集団的な住宅が建てられておるわけなんです。これはもう各所にあるわけなんです。そうしますと、そこにおいて、子供たちは昔からの農村の、そこの住民の子供たちと環境が幾ぶん違うのか、学校へ行きましても、どうもぐあいよく溶け合わない。そしてそこの住宅だけが孤立をしたようなかっこうになっておる。このことが青少年の健全な育成強化に支障を来たしかけておるということなんです。だから、この問題を何か解決しなければなりませんが、これは学校において解決する方法と、その他社会環境においてやる方法と、いろいろあろうと思いますが、それに対するお考え方があれば述べていただいて、そうしてまたとの問題も新しい問題として検討をしていただきたい、かように考えております。御所見をいただきたいと思います。
  62. 安井謙

    安井国務大臣 私は、本質的に言いまして、あまり遠隔の地へ集団住宅をつくるということは、必ずしもいいことではなかろう、全体からいま御指摘のような弊害も出ますし、できれば将来工場の付近に、高層住宅にして、できるだけそこから通えるというふうな形のものが好ましいのではないかと思いますが、現在そればかりも言っておれませんので、相当な距離へ、非常に離れたところへ集団住宅ができるという場合に、やはり家庭、PTA、あるいはそのアパートなり集団住宅の全体の雰囲気と申しますか、おとなの交流を円滑にすることによって、子供に対する芦別なりあるいは感覚の相違をできるだけなくしていく。また学校でもそれを心得て、融和をしていくというふうに、できるだけ各方面に、文部省なりその他の方面にもそういった点をお願いをしてやってもらいたいと思っております。
  63. 田口誠治

    田口(誠)委員 これはまたいつかの機会——いつかの機会といっても、ことしでない、来年なりの機会にその成果をお聞きしたいと思いますが、これもやはり重要な問題ですから、地方協議会等の話題の一つにものせていただいたり、また指導する面においても、それから各省との調整の面においても、これも問題としてのせていただいて、問題の解決をはかっていただくように強く要望を申し上げておきたいと思います。  この辺で質問を終わります。
  64. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 村山喜一君。
  65. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 総理府青少年局を設置するということでございますが、この設置提案の段階に至るまでいろいろな動きがあったわけでございます。そこで、私はこの法文の内容を見ながら、今日に至るまでの経過を踏まえて、その設置をしなければならぬ理由というものについてお尋ねをしてまいるわけでございますが、初め行政管理庁としては、機構の新設については、反対であるという立場から、この問題についてもきびしい基準を作成をして、そうして不要部門の廃止が新しい部局の新設には条件である、こういう態度をとっておいでになったわけであります。これはまさに臨時行政調査会の答申の方向であり、今日官僚機構がきわめて膨大な姿になっておる、そういう状態の中において当面やらなければならないことだ、こういうような意味で、われわれもその行管の方針というものは支持しております。しかしながら、今回総理府にこの青少年局が設けられるという過程の中におきましては、当時伝えられておりますのは、文部省あるいは厚生省等におきまして、各関係各省と重複しない、事務の連絡調整だけならば、これまでの中央青少年問題協議会事務局で間に合うのではないかという意見等もありました。それから行政管理庁では、総理府のいわゆる社会保障制度審議会事務局というようなものについても、これを厚生省に吸収させることを一つの条件にしたらどうであろう、そういうふうな動きがあったわけでございますが、今日ここに青少年局を新設して、そして青少年の統一的な行政を推進しようというかまえを見せられた。そういうような意味においては、新しく設けられる局でございますので、きわめてこれは政治的に判断をして提案をされたものではないかと思うのでございます。  そこで私は、この内容をいわゆる所掌事務の内容に立ち至って見てまいりますと、今回の第九条の二において一号、二号、三号という各項目があげられております。一号、二号は、これはほとんど従来やっておりましたいわゆる中央青少年問題協議会の権限内容、所掌事務と変わりがございません。ただ、三号だけが新たに、他の行政機関の所掌に属しないものを云々というのがあるのみであります。そういう点から見てまいりますならば、新たに局というものを行政機構上設置をして、そして総理府総務長官の責任体制の中に組み入れて運営をやるというかまえをとらなければならないのが、行政の必然的な方向であるのか、それとも、今日のいわゆる審議会のように、各種の意見を——行政機関人たちもこれに参加をする、あるいは国会のほうも参加をする、こういう形の中において幅広く青少年行政というものを取り上げていくんだ、その事務は事務局で処理していくんだ、こういうような形態の中では消化できない問題は、どういうような具体的な問題があるのか、私はきわめて民主的な方法による青少年問題の総合的な処理調整であったと思うのでありますが、これをあなたのところにいわゆる行政機構上そういうような位置づけをして一部局としてこれを設定する、そして官僚機構の中においてそれらの問題を処理していくほうがより有効である、能率的である、そうして総合調整の機能が果たせる、こういうことになるんだという判断をお下しになった総理府総務長官の意見と、それからそういうことが日本の行政の価値水準というものを高める、こういう立場から私は行管は認めたものだと思うのでありますが、認めたその科学的な根拠、これについて説明お願いします。
  66. 安井謙

    安井国務大臣 前にもお答えいたしましたように、青少年問題は、御承知のとおり、各省にわたってそれぞれの行政事務を持っておる問題でございます。したがいまして、これを総合的に調整をするという機能はどうしてもどこかに要るということは、前からもいわれておりました。実は四十年度の予算編成の際にも、これは大きく佐藤内閣として取り上げられておったものでございますが、最後の段階におきまして、もう一年見送りという形になってまいっております。その後種々検討いたしまして、御承知のとおりこの中央青少年問題協議会、これは主として青少年問題を総合的に検討して調整をし、さらにその具体的な案を総理にも献策をすると同時に、地方的な部分については連絡調整をするという役割りも、一応持っておったわけでございます。これは何ぶんにも付属機関としてやはり審議あるいは調査といったようなほうへ重点を置いておりまして、いわゆる内部局としての行政機能を持った強い活動がこれでは不十分だというようなことで、全体を総合いたしますために、この内部局としての総合調整を中心にいたしました青少年局を設けたわけでございます。しかし、そのほかに各省でそれぞれやっておりましても、それはそれぞれの専門で効果をあげましても、まだいずれにも属さないといったような面の部分もたくさんあるわけであります。これはたとえば文部省だけでやっても片づかない、厚生省だけでも片づかない、あるいはそれの間をいくといったような問題がございます。たとえばこの青少年の環境浄化といったような場合に、マスコミ関係——昨年もいろいろ対策は講じましたが、このマスコミ関係によって環境の浄化をお互いに相談しながら強力に進めていこうというような仕事になってきますと、中青協協議会だけでは非常に力が足りない。また青少年問題を国民的な問題にして、やはりおとなの側からもこれに十分なひとつ関心を持ってこれを育てていくというような態勢、空気を盛り上げていくというような仕事になってまいりますと、これは各省のどこというわけにはまいりません。やはり青少年局といったような、そういったものをプロパーに扱う行政機構が必要であろうというような結論に達しまして、この中青協の組織を改組いたしまして、ただこの組織がふえるだけでは、これはまたいま御説のように行政機構はできるだけ全体としてふやさないという方針もできるだけ貫かなければなりませんので、中青協にありました事務局というものは解消いたしまして、それを中心にして若干の定員を総理府部内のやりくりによって増員をいたしまして、そして新しい総合調整及び他省に属せざる業務についての強力な推進をはかろう、こういうふうに考えて、今回御提案をし、御審議を願っておる次第でございます。
  67. 井原敏之

    ○井原政府委員 青少年局の新設について、行管の見解をおただしになったわけでありますが、実は昭和四十一年度の行政機構の審査にあたりましては、内閣の方針として非常にきびしい方針を決定したわけであります。と申しますのは、御承知のように、局の純増になる新設を認めないという態勢で臨んだのでありますが、一方青少年問題は非常に重要である、特に総合調整が重要であるという問題は、臨時行政調査会がはっきり提案をしておったいきさつもございまして、そういうことで新たに設けられました行政監理委員会としても、非常に言うなれば苦慮いたしまして、慎重な検討をやったわけでございます。その結果、やはりいまの国家行政組織法の八条機関であります中青協ないしその事務局という体制では、単なる連絡の場以上のことは権限上できないということになりまして、総理府に内局として青少年局を設置するということに最終的には監理委員会の意見も定まりまして、その意見を尊重して行管としては承認の線を出した次第でございます。ただ、いろいろ途中で新聞等にも出てお耳に入っていると思いますけれども、問題が重要でありますだけに、特に四十一年度の査定方針との関係もありまして、非常に曲折があったわけでありますが、結果的には総合調整のたいへん必要であるという結論になったわけであります。
  68. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 国家行政組織法の八条による機関では、総合調整の能力がない、内閣の補助機関である総理府、その中において機構的に総合調整の能力を与える、これによって他の行政機関に属しないものを、これを総合調整をしていくんだというかまえで出発をするわけですが、はたしてその実効性というものが、そういうような機構を設置するということによる行政効果というものが期待できるか、この点はこれからの問題に属するものでございますから、若干の人員の増加をやる、こうおっしゃる。すると、いわゆるスタッフはそうふえていないわけです。そしてこれにつながるいわゆる地方の機構というものはどういうような機構になるか、この点を考えてまいりますと、地方青少年問題協議会というのは、協議会の形で残っていくわけですね。そして中央のほうは行政機構の中に取り入れられた一つ部門として行政実務をやっていく。片方においては、総理府はその足がないわけですから、そして地方においてはそういうような協議会方式でやっていくとするならば、この行政の組織形態としては、非常にちぐはぐなものに私はなっているのじゃないかと思うのですが、そういうような形の中において、あなた方が企画をし、立案をし、実施をしていく——企画立案はできるでしょう。しかし、実施業務まであなた方がやられるような能力というものを、現在の人員、予算において持ち合わせがあるのかどうか。結局そういうことになると、通達行政によって各府県に仕事をさせる。府県の機構は地方青少年問題協議会という形で受けとめていく。これには地方財政計画やその他の中で、財源的な措置、機構というようなものについては、どういうような対応のしかたをしているのですか。
  69. 安井謙

    安井国務大臣 御説のとおりに、青少年局というものは、実態的に仕事の業務量を非常に多く持って、何か具体的な仕事を自分のところでプロパーでやろうというかまえにはなっておらぬわけであります。いわゆる全体の総合調整というものは、いまお話しの企画立案というものをやりまして、そういった問題についてはそれぞれ必要な責任の各省庁にこれを依頼いたしまして、内閣全体の青少年問題に対する対策の中心的な企画部門というものに相なるのが、一つの使命の大きなものでございます。しかし、同時にこれは各省庁に属せざるものであり、青少年局が中心になってやらなければならぬという仕事も、相当あろうと思います。こういうものにつきましては、これはそれぞれの面でまた強化してやっていくつもりでございます。したがいまして、地方におきましては、文部省なり、厚生省、労働省、法務省、警察、それぞれの部門でのいろいろな仕事のつながりをその各省から地方へ持っていき、強力にこれをやっていただく、その原動力になるというのが、仕事の目的の一つであろうと思います。   〔藤枝委員長代理退席委員長着席〕 また、各省に属せざる問題というようなことにつきましては、先ほど申し上げましたように、たとえば国民全体で、各種の青少年学生もあれば勤労青少年もある、その他の青少年もあるといったようなものを網羅して、全体としておとなの関心を強めていく一種の国民活動、国民組織といったようなもの々強力に進めていくというような仕事は、私どものところで推進していくことに相なろうかと思っております。
  70. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 考え方がいま安井長官から述べられたのですが、私の質問に対する具体的な答弁はまだなされておりません。これは事務局のほうから答弁をいただきたい。地方財政計画やその他の問題です。
  71. 赤石清悦

    赤石政府委員 お答えいたします。いま先生のお尋ね地方財政計画ということ、ちょっと私わかりにくい点もございますが、こういう意味でございましたらお答えできると思います。地方青少年関係行政総合調整も一そう強化しなければならない、そういう意味で都道府県青少年協を置いております。その運営の強化と申しますか、そういうことのためには、現段階におきましては、国から約二千万円の予算が計上されております。そういう意味でございますれば、今までも都道府県の青少協の運営を強化する意味で計上されてきております。一般の各省関係青少年行政のいろいろな財政措置は、これはそれぞれ各省ごとにそれぞれの立場で地方財政計画において措置されているわけでございます。
  72. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 いままで条例により、あるいは政令により、それぞれの機構というものができた。そうして地方青少年問題協議会として条例に基づいて発足をしたために、それが実際にやったものと、今日あなた方がこういう形で、法律の条項としてその権限、職務内容というものとは明確にしておいていただきたい。いままでは条例に委任しておった面が多いわけです。そうなってまいりますと、これに伴うところの財政需要が必要になろうかと思う。単に国の補助金が二千万円あるというだけでは、せっかく青少年局を設置し、総合調整の機能のみならず、各省にまたがらない、各省に属しないものを、いわゆる企画、立案をするだけでなくて、実施業務まであなた方はやろうとしておるわけです。とするならば、それに対応する行政組織、機能、並びにそれに伴う人員等の配置の問題なり、あるいは機構的な裏づけをする財源措置問題が講じられていなければ、この所期の目的を達成することはできないでしょう。だから、私はその点をあなたに質問をしておるわけです。今日までこの条例等によって設けられておった地方の組織は、一体どういうふうになっているか、それが不十分であったればこそ、あなた方はこういう法律改正ということで出されてきたと思う。だったら、そういう内容について経過を承っておかなければ、審議にならないじゃないですか。
  73. 安井謙

    安井国務大臣 御説のように、総合的な企画をやって仕事をやる場合に、地方に金がかかるじゃないか、そういった財政措置をどう考えるかという問題であろうと思います。これは来年以降の問題に相なりますが、これは私どものほうで、たとえば環境浄化のために、あるいはレクリエーションセンターをつくるために、こういう施設はぜひさらに進めてほしい。これは建設省なり文部省なり厚生省等に、それぞれの要求をいたします。そうなりますれば、厚生省なり建設省としては、その施設をやりますについての、従来と同じような方法で、補助金はこうきめる、あるいは交付税はこういうふうな算定の基礎に入れるということは、それぞれの従来の機構でやっていただくのが主体になろうかと思っております。したがいまして、私のほうで独自の、固有の、何か非常に金のかかる仕事をやるとか、あるいはそういう仕事を具体的に地方に押しつけるという形ではなく、全体で、たとえばいまできかかっております青少年問題育成のための国民会議といったようなものは、民間中心に起こっておりますので、そういうものをできるだけ私どものほうでは助成といいますか、御援助しましてやっていただくということで、国民全体あるいは各層に、この青少年問題に対する関心とそれに対する対策を、それぞれの部門で進めていただくようなもとになる働きをこちらではいたしたい。そういうような形でございますから、地方財政につきましては、いま申し上げたようなそれぞれの部門を通じての処置に相なろうかと思っております。
  74. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 各省庁がやる部分はそういうようなことになりましょうが、私は、第三号の中に、あなた方が新しく各省庁に属しないものについての権限内容、所掌事務を明らかにされましたので、その問題との関連性を聞いているわけです。
  75. 安井謙

    安井国務大臣 各省庁に属せざる所管事務ということにつきましては、私どもは、大きなものとしてはむしろ精神面に置いておるわけでございまして、たとえばこの青少年問題に関する国民的な関心を持っていただく。これは社会全般から、おとなに関心を持っていただくというような意味で、いまわれわれの主張に供応していただきまして、民間から青少年問題についての国民会議というような組織の発起人も、いま相当有識者を網羅してでき上がりつつあります。これはおそらく青少年局ができまして、と同時ぐらいにそういった組織もだんだん発足するようになっていくんじゃなかろうかと思います。そういう問題のもとになる、原動力になる活動を私どもはやっていこうということで、これは従来ありました中青協というようなものでは、なかなかその効率があがらないという面もございまして、だから各省に属せざる仕事というものは、ごく特定のものを除きましては、従来もやっておりました、たとえば世界各国との青少年の交流の問題そういうような特殊のものにつきましては、従来どおりやはりそれを強化していくという線でやりますが、格別に予算を食うとか、あるいけ何か施設をやるというようなことをじかに私どものほうでやるわけじゃございませんが、しかし、これは全体の有機的な関係では、青少年問題を進めていく上からはいろいろ貢献するところは多かろうと思っておるわけでございます。
  76. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 まあ、そういうような精神面であるならば、現在の組織、いわゆる権限内容で十分に私は対処できるのではないかと思うのです。というのは、何かそこにあなた方が新しい機構をつくり、そうして仕事をやるという必要性は、ただその各省庁間の連絡調整だけでは不十分だ、残されたものがあるからそれをおれたちがやるのだというかまえで発足をすれば、そこには独自のそういう必要性なりというものは認められるのです。その内容が、そうではなくて、それは精神面のものだということになりますと、一体いままでの中央協議会方式のやつでどうして救済ができないだろうか、それこそまさにそういうような面においては精神的な面において処理してこられたのだから、たとえばいま一例としておあげになりました青少年問題懇談会ですか、各層を広く集めて、そうしてやられる、こういうようなものは、そういうような現在の権限、所掌事務の内容においてできないことではないでしょう。新しい法律をつくらなければならないというような内容ではなさそうに私は説明を聞いて承るのですが、いかがですか。
  77. 安井謙

    安井国務大臣 さきにも申し上げましたように、まず第一にはこの総合調整でございます。これはいまの中青協協議会というような形の付属機関では、完全な強力な総合調整というものの力を発揮するのには非常に不便でございます。そういう意味で、これは行政機構としても、青少年局ができるということは、非常に有効な働きをすると思います。それからまた、いまの青少年問題に関する国民会議といったような組織にいたしましても、これをただ口だけで慫慂して、そして自然にでき上がるのを待っておるというだけでは足りません。それには相当中央におきましてもいろいろと直接の御援助といいますか、御協議を申し上げる場合もできてくると思います。また、それをさらに地方へ及ぼしまして、地方の各府県を中心に同じような組織をやっていただくというような場合の連絡調整にしましても、各知事さん方、地方団体の長やあるいは市町村長との連絡調整にいたしましても、これはやはり本省から直接いろいろな連絡をするという場合と、協議会から希望意見のような形でこれを伝達するという場合では、かなり大きな差があろうと思います。それからいままで各省がやっております仕事をぶんどってきて、ぶんどるといいますか、集合して新しく大きな機構にしてやるというのも一つの方法だと思いますが、これは私ども、その全体効率の上からいえば、むしろ各省に置いておいて、いろいろな各省のそれぞれの機関を動員して、そのほうへ力を向けていただくための調整を強くやったほうがよかろうというような形で、各省が従来やっております仕事については、新しくこれは起こさない。しかし、これからまだ問題としてはいろいろ各国との青少年の交流の問題もございましょうし、あるいは会議の問題もありましょうし、また全体を浄化するためのPR、広報活動、そういうような問題につきましては、これはやはり私どものほうでいろいろ新しく今度効率的にやる仕事もできてくると確信をいたしております。
  78. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 いままでは付属機関だったわけですね。その付属機関の場合には、中央協議会長の名において文書をお出しになっていたのですか。
  79. 安井謙

    安井国務大臣 ええ。
  80. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 付属機関であれば、あなたが所管大臣だから、並列の名前の記載でお出しになったのとは違うのですか。そういうようないわゆる中央協議会のほうから、直接知事部局に協力を求めるという通牒をお出しになっているのですか。
  81. 安井謙

    安井国務大臣 それは会長は実は総務長官ということに相なっておりますから、そういう形式上のことにつきましては、必ずしもそうそう変わったわけではございません。しかし、実際に内部部局になってそういう仕事を推進する場合と、そういった付属機関である協議会の名においてやる場合では、これは実際上の効果の違いが出てくることは間違いなかろうと思っております。
  82. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 まあ所掌事務の内容権限を明確にするということで、それだけは力の強いものが生まれるでしょう。しかし、それと一面において考えなければならないのは、国のいわゆる行政組織というものと、地方のいわゆる——あなた方手足がないわけです。地方行政機構というものとの関連性というものを、その目的を達成するためには考えなければならないでしょう。いまのところを見てみますと、新しい改正案の第六条ですか、この第六条は、地方青少年問題協議会というのが置かれることになっておる。これもやはりいままでも地方協議会というのがあったわけですね。そうしてその内容規定を見てみますと、これは従来第二条にあった内容のものをそっくり上のほうに掲げてきただけのことでしょう。そうするならば、中央のほうにおいては、いま安井長官がお話しになったように、そういうような行政組織、機構というものを整備をされて、地方のほうはそれに対応していないのではないですか。ということは、将来さらに地方も中央の機構整備に伴って改正をするのか、それとも現在のような形でやっていくつもりなのか、一体どうなんです。
  83. 安井謙

    安井国務大臣 私は、地方におきましても同じような機構ができることが望ましいと思っております。しかし、御承知のように、これは地方機関でございますので、政府がこれを強要するわけにまいりません。そこで、案といたしましては、できる限りまず中央でそういった機構をつくりまして、そういった働きかけをやることによって、それぞれ地方では順を追って、またこの活動にふさわしい機構をさらに強化していただくことをこれからも期待をいたし、またそれは進めていくつもりでございますが、何ぶんまず中央におきましてそのもとをつくらなければ、そういった活動のし出しをやりますにも不便でございますので、とりあえずまず中央でそういったものをつくることをお認めいただきたいということで、この御審議を願っておるわけでございます。
  84. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 抽象的には、青少年局の新設できわめて重大な青少年対策の問題を処理していくのだ、こういうことで、そのいまの説明でわかります。しかしながら、一体青少年局というものをつくったから、青少年行政というものが非常に統一的に、総合的に、一貫性を持った姿の中で推進をしていく、そうして青少年犯罪も少なくなり、きわめて優秀な成果が生まれる、こういうことをあなたは自信を持っておられるのですか、どうなんですか。その点、いわゆる青少年局をつくるのだという提案の理由説明を見てみますと、そう書いてあるのですから、どの程度の自信をお持ちになっているのですか。それからその行政目標、効果をどういうふうにおさめよう、たとえば局をつくってやる以上は、何か一つそこには目標がなければならないと思う。どういうような効果を期待して発足されるわけですか、具体的にひとつ答えてください。
  85. 安井謙

    安井国務大臣 たびたび申し上げましたように、青少年問題そのものを全体的に具体的に解決してまいりますのは、政府各省機関がみな同じような方向でやってもらわなければならない。その趣旨につきましては、佐藤総理御自身も、内閣全体として青少年問題は積極的に前向きでやっていこう。したがいまして、内閣の各省それぞれの機関が十分有効な働きを願わなきゃ——われわれ微力で、幾らさか立ちしましても、私どもの力で、青少年局ができたからすべて青少年問題が片づくなんという大それた気持ちは、一向に持っておらぬわけであります。しかし、青少年問題をさらに有効に、総合的に効果をあげるには、やはり全体を調整する機関行政機構としてもあったほうが非常にいいんじゃないか、そういうような意味で、私ども微力ながらそういういままで申し上げましたような目標で今後も努力をし、内閣全体で成果をあげるようにつとめていきたいと思っておる次第でございます。
  86. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 抽象的な見解、抱負というのは、いままでも聞いたのですから、それはいいのです。それで、これはやはり大臣が所掌の関係からそういうようなことになるわけでありますが、事務当局で、新設をされたらこういうようなことをやり、こういうような方向までは初年度としてはひとつやろうじゃないかという目標設定というものを、私はされていると思うのですよ。それがないままにばく然と出されるはずはないと思う。それを具体的に事務局長のほうから説明を願っておきたい。
  87. 赤石清悦

    赤石政府委員 はっきりとこういうふうにいま予定をしておりますということは申し上げにくいかと思いますが、一応われわれとして考えておりますことは、たとえば、企画の面でまいりますれば、現在の青少年が健全に育成されますためには、環境の浄化ということがございます。その環境を構成するのはいろいろございますが、青少年関係の施設が非常に重視されております。これは各省庁にわたっておりまして、それぞれ各省庁努力しておられますが、西ドイツあたりに比べますと、なお青少年関係施設の総合的、長期的な計画が必ずしも政府全体としてはないという一点が指摘されておりますので、そうした施設の整備充実計画が第一に考えられます。それから今日の日本の青少年に夢を与え、大いに青少年が前向きにいこうとするために、国際交流が非常に重視されております。そこで、こうした青少年の国際交流というものが、外務省、文部省その他にわたって行なわれておりますが、やはり数省庁にまたがっておりますので、政府全体としてこうした青少年の国際交流の発展というものを将来考えてまいりたい。それからまた、しばしば御指摘いただきますが、現在一番問題になっておりますのが、青少年の非行の問題でございます。この非行の対策をどうして立てるかということは、これは多くの省庁にまたがっております。そこで、すでに中青協では政府に向かって意見具申をいたしておりますが、そうした意見具申に基づきまして、具体的に予算なり各種の施策なりにそれが効果をあげるような非行対策の具体的な展開のために、いろいろと研究していかなければならないと考えております。それから先ほど大臣が申し上げましたのですが、非行対策の一環として、これは環境浄化の一環でございますが、いろいろと環境もしくは好ましくないマスコミ等に対して、どうしたならば効果をあげられるであろうかといったようなことをも、具体的に考えてまいらなきゃならないだろうと思っております。こういったことが企画面の一つの将来の仕事でございます。  次に、調整でございますが、調整は、いろいろ協議会方面でも御指摘をいただきまして、各省庁がやっております仕事がダブったり、あるいは連絡がないために効果をあげかねておるといったような事例が、しばしば指摘されております。そうした現在各省庁で行なっております青少年関係行政効果をあげるため、どうすれば調整ができるかといったようなことを具体的に取り上げてまいりたい、こう考えるわけでございます。  それから第三といたしまして、各省庁に属さざる事務でございますが、先ほど来お話しございましたように、青少年局ができましても、この事務を非常に多く取り上げるということではございませんで、それぞれ実施事務を各省庁がおやりいただくわけでございますが、どうしてもある一つの省庁だけではできない、どうしても青少年対策を進めるためには、またがったような実施事務が予見されます。また、先ほど御指摘ございましたような国民運動の問題、もしくは非行対策一つの手段として補導センターの設置を奨励しております。あるいはまた海外派遣の仕事を取り上げております。こういったものを中青協としての段階では、中青協という法的な性格のものでは権限はないというふうに一般に解せられます。そこで、先ほどお話しございましたように、青少年局がこれを取り上げる。ただ、これについては、お話しございましたように、しいて言えば必要最小限度の、そうしてりっぱないい仕事を取り上げるということになろうかと思っております。  いま申し上げました二、三の事例、及び今後どういう事例が若干出てまいりますか、そうした仕事を全体の青少年対策効果があがりますように幾つか取り上げてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  88. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 アウトラインはわかりました。そこで私はお尋ねをしてまいりたいと思うのですが、いわゆる各省庁がそれぞれ所管をしている青少年行政部門があります。そういうようなところから、あなた方のほうで青少年局をつくるにあたっても、総合調整という程度の権限しか持ち得ないような形にしなければ、各省庁からの反発が非常に強かった。過去の法案の成立に至るまでの過程においてですね。こういうようなことを私たちは聞いているのでありますが、いまアウトラインとして行政目標が示されましたけれども、それを推進をしていくそのスタッフといいますか、これはいままでの中青協の事務局に毛のはえたような形で出発をされたのでは、それだけの仕事をやっていけるだろうかという危惧を私は持っておるのですが、その点は大丈夫ですか。
  89. 安井謙

    安井国務大臣 これは臨時行政調査会の答申の線等もありまして、非常に機械的な課長とか部長といったような制度でなくて、有機性を持たしたほうがよかろうというようなことで、今回は局長の下へ三人の参事官を置きまして、それでそれぞれ基本的な問題、いまの調整問題とか他省に属さざるものは一応は分担をしてやる。しかし、それにはそれぞれ各省から優秀なそういった方面のエキスパートをお願いをいたしまして、十分な連絡がとれるような仕組みにしたいというふうに考えております。  それから、各省仕事を持ってくるんじゃ抵抗が強くて成り立たなかったようないきさつもあろうかという御質問もございましたが、そういう面も実際なかったとは否定できませんが、私どもの考えは、根本的に各省からそれぞれの青少年問題のかなりの部分を持ってまいりまして、これで強力な局をつくるにいたしましても、それでほんとうに力強い対策に、あるいは行政の力になり得るかどうか、これにはまだ相当疑問を持っております。やはり文部省の中で、たとえば少年だけを扱う課がそれだけの仕事をやっておるかといいますと、そうじゃなくて、文部省のやはりそれに関連した各局あるいは各省庁、そういう人の協力のもとに文部省の少年対策行政というものは力強く存なわれておるのでありまするから、私は、やはり各省それぞれの部門を相当フルに置いたままでさらに躍進をしていただく。それの強い原動力といいますか、それを推進していく調整役を青少年局がとるということのほうが、現段階では妥当じゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  90. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 昨年この法案が流れたいきさつの中には、もちろんいろいろな法案のからみぐあいもありましたけれども、文部省の横やりというものが去年の一つの原因にもなっている。そしてまた、行政管理庁としては、せっかくそういうような青少年局というのをつくるのであるならば、現在各省の局課あたりにおいてやっている権限内容のものを縮小をして、そして統一あるものにすべきであるというのが、福田行政管理庁長官の見解でもあったはずですね。そうすることがいわゆる縦割り行政の弊害をなくすることであるという、臨時行政調査会の答申の方向に沿うものだということで主張されたわけでしょう。それが結局そういう形にならないで、いまのような形で、話を聞きますと、審議官ですか、参事官ですか、そういうような調整官を三人ほど置いて、それで調整をやっていくのだという形にならざるを得ないということは、これは中途半ぱな形における行政的な形態として生まれてきたのじゃないですか。その点は、行政管理庁はどういうふうに見ておりますか。
  91. 井原敏之

    ○井原政府委員 参事官を三人置きまして、その下に若干のスタッフをつけます。いまの問題は非常に根本論があると思いますが、これは臨調の意見以来の行管の考え方でございますが、総理府は、本来内閣の総合調整に関連を持つ機能に純化すべきである。大体どこかの省に縁のある実施事務は、それぞれ振り分けて、そういう企画調整総合調整の機能に純化しろというのが、臨調の意見でございまして、行管はそれを尊重する立場におるわけでございます。したがって、青少年行政の重要性はだれも異存がないわけでありますが、臨調でも関係各省青少年行政を全部まとめて、言うなれば一つの省をつくるというような議論も過程としてはあったわけでありますが、しかし、それはたいへんなことになりますし、これは行政の事務配分の問題の根本論がひっくり返るわけであります。やはり各省がそれぞれの側面で分担管理しておる仕事、それを青少年行政を強力に推進するという立場で総理府総合調整をするということがよろしかろうというのが、臨調の最後の考え方でもあったわけであります。したがって、この大部隊の実施機構をもちまして、総理府に頭でっかちの大きな機構をつくるということは、臨調の本意でもありませんし、行管もそういう考え方をとっておらぬわけであります。ただ、現在非常にわずかな機構で出発するようでありますが、これで十分という議論は必ずしも出ないと思うのです。しかし、その問題は別に人員の増員というものを極力押え込もうという別の配慮も働いておるわけでありまして、出発としてはささやかな機構でもあろうかと思いますけれども、一方においてはあくまでも総合調整ということでこの問題に対処していくんだという基本的な考え方があったわけであります。
  92. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 文部省は、これに対してことしはどういうような見解をおとりになっているか。この前は反対というお立場でおやりになって、ものにならなかった。しかし、中央青少年問題協議会の事務局長は、いつも文部省から出向してきているわけですね。そういうような人事の交流がある、そういう点から考えると、非常に問題になる考え方だと私は思うのだが、いまのような行管の立場、総合調整の機能という上から見たら、行政機構としては、調整能力という上においてそういうような実施的な事務を持たないほうがいいんだ、そしてそれは参事官なり審議官というものを置いて、それが調整の任に当たっていくという、そういうような一つの機構といいますか、縦割り機構ではなくて、そのような形における、内閣の調整の補佐的な機関としていくべきなんだという行政理論に基づいて、あなたがたのほうは実務官庁、実施官庁としての立場から主張をされたのかどうなのか。ことしはもうしようがないということで黙っておられたのか。その点はどうなんですか。
  93. 宮地茂

    ○宮地政府委員 お答え申し上げます。先ほど来村山先生のほうから、昨年は文部省はこの青少年局に反対した、ことしは賛成になっている、その間のいきさつはというような御質問でございますが、私、昨年のときに直接社会局にいませんでしたので、詳細は存じませんが、文部省といたしましては、巷間伝えられますように、役所のなわ張り的な考え方で、新たに類似のものができるのは困るといったような意味で反対したわけではないと存じます。何と申しますか、一つ行政をやります場合に、青少年問題が重要ではあるけれども、屋上屋を重ねたようなことにならないで、青少年自身がしあわせになるように、そういうところに焦点を置いてやるべきだといったような考えから、文部省の反対で青少年局ができなかったといったようなことではございませんで、一口に申しますれば、この問題を熱心に考えたり、あるいは相互に十分な理解なり、意思の疎通と申しましょうか、一致点を見出すまでに十分機が熱さなかったといったようなこともあったのではないかと考えます。したがいまして、去年は反対したがことしは賛成ということではなくて、十分いろいろ御意見を聞いたりこちらの言い分を述べたりした結果、お互いに意思の疎通もできまして、そういうことであればきわめていいことだということで、お互いに意見の一致に到達した。その意見の一致に到達するまでに、時間的に一年間近くもかかったというふうに私は考えておりますし、そうであったように思います。  それから、今度の青少年局の中に参事官云々というような問題につきましては、私どもといたしましては、青少年問題について基本的、総合的にこれを連絡調整され、企画されるということには十分関心を持ちますが、それ以上、そのために青少年局の中の一々の機構が、参事官を置いたほうがよいとか、あるいは課を幾つつくったほうがよいとか、そういったようなことはあまり私のほうでは関心を持ちませんし、そういう私どもの意見を述べた記憶はございません。
  94. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 よくわかりました。しかし、いまのところ、行政面における総合調整の機構的な仕組みというものは、これでできるのではなかろうかと私は思います。しかし、今度は、政治と行政調整機能というものをこの青少年局はどういうふうに消化していくか、この問題もやはり考えられる必要性があるのではないか。いま内閣に七名の内閣審議官がおりまして、それが内閣の持ついわゆる調整機能の役割りを果たしているようです。いま参事官を三名置くというような考え方は、私は、局長の下に次長を置く、あるいは課長を置いてやる、そういう行政の組織であってはならない。やはり参事官を置いて、それがいわゆる実施官庁の仕事でなくて、総合調整の任に当たるという構想をそれで立てられたら、十分だと思うのです。しかしながら、今度はやはり青少年行政に対する政治の要求という問題と、行政的にそれを受けとめるところ、これはいろいろな接点が各省庁にもありましょうが、それを——まあ佐藤内閣としては青少年対策というものを最重点的に取り上げてやるんだ、とするならば、やはりそこには青少年はかくあるべしという一つのビジョンというものをお持ちなんだろうと思う。これはまだ私は聞いておりませんので、大臣もどこか認証式にお出かけになるそうですから、時間がありませんから、この問題はこの次にひとつお聞かせ願いたい。  それから、私、この次でけっこうでございますが、先般この委員会の席上におきまして私が問題を提起して取り上げました、いわゆる公務員の政治活動の限界に関して、当時、佐藤内閣反対の集会に公務員が出かけていくというようなのは、政治的な目的が明確であるから、これはよくないとあなたもおっしゃった。しかし、物価値上げ反対というような政治的目的のために参加することは、これは差しつかえないとおっしゃった。ところがこの前の閣議で、御承知のように永山自治大臣が、そういうような行為に出た者は処罰をすべきであるということで、結局所掌事務は人事局をあずかるあなたのところになって、あなたのほうで調査しておられるようであります。この問題につきましては、いわゆる公務員の憲法上の基本的な人権の関係の問題、政治活動の範囲の問題等に関する問題がございます。したがって、憲法論争を中心にする特別権力関係のもとにおける公務員の基本的人権はいかにあるべきかという問題に関連をしてまいりますから、この次はひとつ人事院総裁や、あなたや、あるいはその他公務員の担当であります人事局長、それらに来ていただきまして、そうして総理府設置法の問題に関連をして論議してまいりたいと思いますので、あらかじめそのことを御用意をお願いを申し上げておきたい。  終わります。
  95. 木村武雄

    木村委員長 次会は、三月八日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十三分散会