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1966-03-17 第51回国会 衆議院 社会労働委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十七日(木曜日)    午前十時十三分開議  出席委員    委員長 田中 正巳君    理事 小沢 辰男君 理事 藏内 修治君    理事 齋藤 邦吉君 理事 澁谷 直藏君    理事 竹内 黎一君 理事 伊藤よし子君    理事 河野  正君 理事 吉村 吉雄君       伊東 正義君    熊谷 義雄君      小宮山重四郎君    坂村 吉正君       地崎宇三郎君    西村 英一君       橋本龍太郎君    藤本 孝雄君       松山千惠子君    粟山  秀君       山村新治郎君    淡谷 悠藏君       石橋 政嗣君    滝井 義高君       辻原 弘市君    堂森 芳夫君       長谷川 保君    八木 一男君       吉川 兼光君    谷口善太郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君  出席政府委員         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚 生 技 官         (医務局長)  若松 栄一君         厚生事務官         (薬務局長)  坂元貞一郎君         厚生事務官         (保険局長)  熊崎 正夫君         厚生事務官         (社会保険庁医         療保険部長)  加藤 威二君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   平井 廸郎君         文部事務官         (大学学術局審         議官)     木田  宏君         文部事務官         (大学学術局大         学病院課長)  板谷 健吾君         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 三月十一日  委員西岡武夫辞任につき、その補欠として羽  田武嗣郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員羽田武嗣郎辞任につき、その補欠として  西岡武夫君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員足鹿覺辞任につき、その補欠として松井  誠君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松井誠辞任につき、その補欠として足鹿  覺君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十日  児童扶養手当法の一部を改正する法律案内閣  提出第六五号)  重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法  律案内閣提出第六六号) 同月十五日  こどもの国協会法案内閣提出第一一四号)(  予) 同月十四日  戦争犯罪裁判関係者補償に関する請願(相川  勝六君紹介)(第一六六九号)  同(石井光次郎紹介)(第一六七〇号)  同(小川半次紹介)(第一六七一号)  同(逢澤寛君紹介)(第一六八四号)  同(大久保武雄紹介)(第一六九五号)  社会保険診療報酬支払期日法制化に関する請  願(中嶋英夫紹介)(第一六八五号)  調理師免許制度の存続に関する請願中村庸一  郎君紹介)(第一七一二号)  老後の生活保障のため年金制度改革に関する請  願外一件(森下元晴君紹介)(第一七二六号)  全国一律最低賃金制確立に関する請願有馬輝  武君紹介)(第一七五〇号)  国立岐阜療養所災害補償等に関する請願(金  子一平紹介)(第一七五一号)  陸中海岸国立公園地域拡張等に関する請願  (森田重次郎紹介)(第一七六一号)  保育所拡充強化に関する請願八木昇君紹  介)(第一七七七号)  製菓師法制定に関する請願足鹿覺紹介)(  第一七九七号)  国民年金法改正に関する請願宇野宗佑君紹  介)(第一八六四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一七号)      ————◇—————
  2. 田中正巳

    田中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井委員 健康保険法等の一部を改正する法律案について質問をいたしたいと思いますが、初めにお願いをいたしておきたいのは、国鉄運賃と並んで今度の国会における非常に重要な法案でございます。したがって、私たちも、でたらめなことを言って審議を引き延ばす意思は毛頭ございません。十分われわれも勉強をしてまいって御質問を申し上げたいと思います。いまから十年前に、同じく健康保険が非常な赤字に直面をいたしまして審議した当時においては、この法案は三十四時間か五時間くらいの時間をとったわけです。当時私は、わりあい元気がようございましたが、そのうち二十八時間やらしてもらいました。きょうは、あれから十年たちましたから実際年とったわけですが、まあ十時間くらいはやるつもりで勉強をいたしております。質問が重複したり、もう与党のほうでそれはだめだということになればいつでもやめさしていただきます。ひとつ大臣のほうも十分勉強をして、この審議を通じて、混迷の中に漂っている健康保険法の問題についての打開の糸口を見つけていただきたいと思います。  そこで、まず第一にお尋ねをいたしたいのは、政府は、この混迷の中にある医療保険の問題を抜本的に解決をする、そのためには非常にたくさん問題があるので、問題点をある程度まとめて、そして方向を示すために、厚生省牛丸事務次官委員長とする医療保険基本問題対策委員会というものをおつくりになったということを、昨年新聞その他で拝聴したわけです。一体、この委員会進捗状態というのはどういう状態にいまあるのか、これをまず御説明願いたい。
  4. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 ただいま滝井さんからお尋ねがありましたように、現在、医療保険制度には幾つかの改善改革を必要とする問題があると考えておるわけであります。その一つは、現在実施されております各種の医療保険制度があるわけでございますが、その各制度間におきまして、給付の内容におきましても、また被保険者負担の面からいたしましても非常な格差がそこにある、アンバランスがあるのでございます。どうしても、国民に適正な医療給付を与え、また負担均衡をはかるという面からいたしまして、こういう各制度間のアンバランスはできるだけ早くこれを是正しなければならない、かように考えておるのであります。また一面、現在の診療報酬体系、これも技術を尊重するという観点に立ちまして、物と技術を分離し、技術を正当に評価をする、また、物に対する適正な価格というものを算定していく、そういうような面も私は必要であると考えておるのであります。そういうような観点からいたしまして、今後中央医療協あるいは社会保障制度審議会社会保険審議会等諮問をいたし、御意見を伺いながら制度の抜本的、根本的な改善をはかってまいりたい、こう考えておるのでありますが、これらの審議会等諮問いたしますにあたりましての問題点を、厚生省の中でただいま検討をいたしておるのでございます。  そのおもな点を申し上げますと、健康保険収支両面にわたる財政基盤安定対策として総報酬制あるいは一部負担制度等の問題、それから第二点は医療保険における給付水準の問題、第三点は技術尊重を主眼とした診療報酬体系合理化の問題、第四の点は医療保険制度問における給付水準格差是正及び負担均衡をはかるための対策、私が総括的に前段で申し上げたような点を中心といたしまして、ただいまのような項目につきまして検討を進めておるところでございます。
  5. 滝井義高

    滝井委員 いまのようなもろもろの点を検討しておるのはわかるわけですが、その進捗状態はどういうことになっておりますか。御存じのとおり、医療と非常によく似ている問題に石炭政策があるわけです。この石炭政策は、昭和三十年ごろから石炭鉱業合理化というものが叫ばれたわけです。そしてスクラップ・アンド・ビルド方式をとったわけですね。能率の悪い山はつぶします。能率のいい山は生かしていきます。そのかわりに、油と競争したら石炭は負けるんだから、能率をあげてもらわなければいかぬのだ、こういうスクラップ・アンド・ビルド方式をとりましてやってきた。ところが、政府が三十年ごろから幾度か、抜本政策をやる、抜本政策をやると言ったんだけれども、抜本政策が成功しなかった。そして、ちょうど医療協議会の会長である有沢さんが、同じくやはり石炭のほうの石炭鉱業審議会でもキャップになって、調査団を組織して第一次調査団、第二次調査団とおつくりになった。そして初めのうちは、油と競争するためには石炭価格を千二百円、昭和三十四年から三十八年までの間に引き下げなければならぬといって、引き下げさしたわけです。引き下げるのは引き下げた。ところが、それより早く石油の値段が下がってしまった。そしてやっていけなくなって、今度は、昨年になりまして、石炭値段を上げなければならぬということになってきた。やっぱりだめなんですね。一般炭三百円、原料炭二百円上げたけれども、やはりだめなんです。そして、御存じのとおり、労働者の首を切るために千億以上の負債を背負ってしまった。そしてその利子で石炭産業はどうにもこうにもいけなくなった。そして今度は、その石炭山の背負っている負債を肩がわりするために、交付公債というものをいま発行しようかという検討が、今年の六月を目途に行なわれているわけです。しかし、これだってうまくいくかどうか、われわれ疑問に思っているのです。そして同じことが、ちょうど昭和三十年ごろから健康保険にも起こってきている。政府は、幾度抜本政策をやる、抜本政策をやると言ってきたのです。そして抜本政策が立たないうちに、いまや、人間の命を救う医療保険自体が瀕死の状態にあるということです。ちょうど石炭とよく似ておる。しかも、もう一つよく似ているのは、やはりこの石炭政策も、抜本政策をやるためには石炭鉱業審議会意見を聞かなければなりません、あるいはエネルギー調査会意見を聞かなければなりませんと言って、政府は他のものの意見を聞くことばかり一生懸命になって、自分の意見を出さなかった。いま、まだ出していない。ちょうど医療も同じですよ。中央社会保険医療協議会意見を聞かなければだめです。社会保障制度審議会意見を聞かなければだめです。社会保険審議会意見を聞かなければだめです。しからば、政権を握っている政府は何をなさんとするか、さっぱりわからぬ。  そこで、私は、きょうは審議会のことはしばらくおいて、大臣の足元にある牛丸君の委員長基本問題対策委員会は、一体どういうことだ、行政の諮問機関じゃない、大臣じかのいわば幕僚の問題の処理のしかたがどうなっておるかということが非常に重要なので、質問方向を変えて、本丸に先にやいばを向けようとしておる、いわゆるメスを入れようとしたわけですね。ところが、やはり同じように、諮問機関諮問する問題点をいまのようにいろいろお出しになっているけれども、こんなことは十年前にわかっておる、十年前も同じように答弁をしておる。十年前の速記を持ってくると、やっぱりこういうことを言っておる。だから石炭と同じで、ちっとも政府政策は進歩していない。それじゃいかぬ。そこで私は、きのうも石炭委員会で悪たれをちょっとついた、だめですよと。今度は、私たちはもう諮問機関にまかせるわけにはまいらぬ、国会みずからが今度は政策を出しますよ、だから政府は、諮問するものを全部国会に先に出しなさい、そうして諮問機関と並行して国会がやります。そうでなければ、この石炭関係法案は通すことはできません、われわれはこう言った。今度も同じです。諮問機関にあなた方があっちこっち持って回ったところで、病気を悪くするばかりです。だから、国会という名医がみずからの手で医療問題というものの方向を示す、政権を担当しておる自由民主党がこの方向を示す、この方向について異議のある方は言ってください、建設的な意見のある人は言ってください、これでいいと思うのです。それをいままで歴代の大臣は全部やらなかった。そこで、われわれもこの法案を今度は通すからには、自由民主党方向がはっきりしなければだめです。通せないでしょう。通したって意味ない。もう何回、私たちはあつものを飲ませられたかわからぬ。今度はなますでも吹かなければならぬことになる。昔から、あつものにこりてなますを吹くということがある。何回も煮え湯を飲まされたから、今度は冷たい水を出しても吹いてみなければならぬ、こういうことになるわけです。  そこで、いまの進捗状態を見ると、との問題、いま健康保険収支面における財政暫定対策で、総報酬制とか一部負担とかいうことが言われました。それから医療保険給付水準技術尊重、各制度格差是正均衡化というようなことを言われましたが、一体収支面の安定をはかるために、また政府は、総報酬制とか一部負担というのを持ってくるのですか。
  6. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私は、保険財政改善のために、今回保険三法の改正案を提案し、御審議をわずらわしておるわけでありますが、これは当面の窮迫した保険財政に対する臨時応急的な対策でございます。ただこれだけでは長期にこの医療保険制度を安定させる、また発展させるということは不十分であるのでありまして、そういうような観点からいたしまして、この財政対策というのは各医療保険全体を通じてどうあるべきかということを検討する必要があると思うのであります。国民健康保険におきましては総報酬制をとっておる、政府管掌健康保険等においては標準報酬制をとっておるということで、制度間におきましてもそのたてまえがいろいろ分かれておるのであります。こういう点につきましても、各制度を通じて今後の保険財政あり方はどうあるべきかということにつきましても、今回の暫定対策とは別に根本的な検討を要するものである、このように考えておるのであります。
  7. 滝井義高

    滝井委員 今度の財政対策とは別に根本的な政策検討する必要があるとおっしゃいますけれども、臨時応急的な政策の中にこうして法律までお考えになって出すのですから、当然これは、その臨時応急的な政策の中に恒久的政策への萌芽がずっと方向づけられていなければならぬわけですよ。それが、私たち読んでみてもわからぬわけです。一体政府は、三十九年、四十年と赤字が七百億累積しておりますよ。四十一年度でやはり七百二十億をこえますよ。千四、五百億の赤字で、ちょうど石炭と同じような赤字を持っておるわけです。一日二億円ずつの赤字が出る、こうおっしゃるわけでしょう。そうすると、そういう現実がもうはっきりしておる。それは三十九年や四十年に突如として起こった問題ではないわけです。もう三十七年度ごろから赤字累積傾向を示しておったのですよ。三十七年度には、なるほど積み立て金は少し残っておりました。残っておりましたけれども、とにかく三十七年度から赤字傾向に転化したことは明らかです。だから、もうその段階から医療問題というのは非常に論議をされてきておったのですから、抜本政策というのはなければならぬ。また、医療費基本問題調査員とかいうものを置いておやりになっておるし、それから昔は七人委員会の報告も出ておったし、あれも抜本策をやるためにつくったのですから。だから、幾度石炭と同じように抜本策抜本策と言うけれども、ちっとも抜本策が出てこない。昔、オオカミが来た、オオカミが来たと何回も言うから、ほんとうに来たかと思って逃げておったところが、どうもうそだというのでぐずぐずしているために、ほんとうに来たときにかみつかれたというのと同じになってしまう。だからこれは、もうあまり諮問機関とかなんとか言わずに、政府が案を出して、具体案諮問機関にはかる、この勇気がないと話にならぬわけです。政党政治でないわけです。いま鈴木さんのいろいろるる述べておることを私ちょっとノートしてみるのですが、就任したときと同じことしか言っておらぬ。ちっとも前進がない。それでは困るのです。鈴木さんの三代前くらいの大臣も同じことを言っている。そういう堂々めぐりのことでは、この問題の解決はだめですよ。これはいわばガンが相当転移していますよ。だから、ラジカルオペラチオンというものをやらなければならぬ。いまもう内科的な対症療法では日本社会保険はなおらないです。だから、メスを入れて手術をやらなければならぬということです。  そこで、あなたの基本的なものの考え方はわかった。いまのを聞いてみて、牛丸さんのところもたいしたことをやっていないことがわかった。結論らしいものは出ていない。抽象論しか出ておらない。こういう具体的な問題を審議するのですから、もう少し具体的に出してもらいたい。だから私は、これからきわめて具体的に一つ一つ質問をしていきます。まずしょっぱなからどうもかみ合わぬのですけれども、しょうがない。かみ合わぬ分はあとに残して、総理なり大蔵大臣に来てもらいます。そこで、私がきょう御質問を申し上げるのは、こういう形で整理して御質問申し上げます。  まず、医療供給する体制というものは一体どうなければならぬかということ、それから医療需要の側の体制というものはどうなければならぬか。需要供給とが出てくれば、この二つ橋渡しをするものは何かといえば診療報酬体系です。だから医療供給体制需要体制、両者の橋渡しをする診療報酬体系、この三つに分けて質問をいたします。できるだけ整理をして御質問を申し上げますから、明快にお答えを願いたいと思います。  まず、私たちが問題にしなければならぬのは、医療供給体制において、御存じのとおり公的医療機関私的医療機関という二つの形がある。病院で言えば大病院と普通の小さな診療所日本に大企業があり、同時に中小企業があると同じような形が、日本医療供給体制にも明白に出てきております。普通の企業においていま不況カルテル、あるいは企業合同が行なわれておるようなほどすさまじい状態ではございませんけれども、そういう形があるわけです。大臣、大病院実態が、いまどういう実態であるかということは御存じでしょうね。大病院というものには、大臣、池田さんが御病気になってがんセンター等にお行きになったことがあると思うのですが、あの姿はどういう姿ですか。
  8. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 医療保険制度のもとにおきますところの医療機関あり方医療供給の問題につきましてお尋ねがあったわけでありますが、医療保険が皆保険である、こういう観点からいたしまして、医療機関は全国民を対象として医療給付を十分行ない得るような配置がなされ、また整備がなされなければならないということが基本の問題であろうか、私はこう思うわけでございます。そういう観点からいたしまして、僻地でありますとかあるいは離島でありますとか、そういう地方におきまして医療機関整備、あるいは医師の確保というような点がおくれておりまして、皆保険下医療供給が必ずしも十分でないという点が、私が就任以来一番頭を痛めておる点でありまして、この点につきまして僻地医療対策等事務当局を督励いたしまして努力を重ねておるところでございます。さらに、大病院診療所、あるいは開業医等の経営の内容的な問題、これもいろいろあると思います。また、総合的な病院のほかに専門的な療医機関が必要であるという問題もそこにあると考えておるのでありますが、いずれにいたしましても、これらの医療機関がそれぞれの分野においてまたそれぞれの機能を十分に発揮いたしまして、皆保険下における医療給付がこれによって十分できますように今後指導してまいりたいと考えておるのであります。
  9. 滝井義高

    滝井委員 一般論としては、私そのとおりだと思うのです。きょうは健康保険法審議しておりますので、私、健康保険法的な観点から問題を見て実は質問したいと思いますので、御答弁もそういう方向お願いをしたい。  私たち健康保険を今日これほど問題にしておるのは、まず当面は、健康保険財政が非常な赤字になって、もはやにっちもさっちもいかなくなっておるということ、同時に、そこにおいてはそういう赤字が大きな重圧になって、真に良心的な医療が行ない得ない憂うべき現状が出つつあるということ、こういうことを健康保険法のこの改正解決してくれなければ無意味なんです。そういう観点から実は私は言うわけです。  そこで、私が大臣お尋ねをしておる真意は、大病院現状大臣御存じですかという問いに対して、大臣は、僻地医療対策を述べ、病院診療所との間の機能問題等をお述べになったわけです。私は回答としてはそれでいいと思いますけれども、しかし、問題の核心は、われわれ、頭にどういうことが浮かぶかというと、いまごろ大病院に行ってごらんになると患者がわんさとおります。そして待つ時間が三時間から四時間待たせられます。診察時間は二分から三分、それで終わってしまいます。そして大病院の投薬の窓口でお薬をもらってごらんなさい。ふろしきを持っていかなければ薬が持って帰れぬほど、たくさんのお薬をくれるのです。少ないところでも一週間、多いところは十日から二十日分もくれます。これは保険経済にどういう関係があるかということなんです。これを考えてみなければいかぬのです。それは一体何を意味するかというと、皆保険政策のおかげでもありますが、大病院感冒とか胃炎とかいう軽い患者がわんさと押しかけておるということです。これは東京大学病院に行ってもわかります。わんさと押しかけている。これは一体そういうあり方でいいのかどうかということですよ。これは一体どう思いますか。金殿玉樓のごときりっぱな大病院を、われわれ国民から集めた国民年金やあるいは厚生年金積み立て金還元融資によって建てた。しかし、そこには感冒胃炎患者がわんさ押しかけて、そして一日の半ばを費やして、帰るときには薬をふろしきに包んでわんさとかついで持って帰らなければならぬというこの実態というものは、保険経済のいまの実態日本保険医療のこの危機とは、無関係ではないわけですよ。大いに関係がある。これを一体どう厚生省当局は考えておるのかということです。厚生省自身所管をしておる、あるいは熊崎さん自身所管をしておる健康保険の模範的な病院に行ってもその実態ですよ。国立病院もその実態ですよ。これを一体そのまま放置しておっていいのかどうかということ、まず、いろはのここの第一歩から、診療所、大きな病院に入ったその待合室から問題をひとつ解決していこうじゃないですか。
  10. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 先ほど御答弁申し上げた中に、実はそういうことも含めてお答えをしたつもりでございます。総合的な大病院は、大病院としての機能を発揮するようにすべきである。これは診断等をいたします場合に、病気実態原因等をいろんな角度から、専門的な観点から診断をする、そして病気診断が確定いたしますれば、治療につきましてはあるいは町の診療機関、個人の医者の方々の治療を受けるとか、そういうようなぐあいに、私は大病院診療所あるいは開業医等のそれぞれの医療上における役割り分野、またそういう働きの面というものがあるべきだと思うわけでありまして、御指摘のように大病院にたくさんの外来患者を吸収する、集めるというような最近の風潮につきましては、十分私たちも戒心をして、今後病院等あり方について十分な指導をやる必要があるということを、先ほど簡単でございましたけれども、申し上げたような次第でございます。  また、薬の問題等につきましては、いろいろ問題が提起されておりまして、これは昭和三十五年以来の薬価基準がいろんな医療問題の紛糾のために改定をされずに、ようやく昨年の十月、十一月に二回にわたって薬価基準改定ができた、実勢薬価に近いものに改定ができた、こういうようなことも、今後、薬をたくさん使えば使うほどその価格の差額が収入になるというようなこと等も是正をされてまいるわけでございますので、今後におきましては、御指摘になりましたように、必要以上の薬をたくさん持たして帰すというような弊害等も漸次改善されるのではないか、またそういう方向にいかなければ現在の医療保険財政は、これはどうしてもそういう面から破綻をしていく、こういう問題もあるわけであります。また、これに関連いたしまして、問題を提起するようではなはだ恐縮なんでありますけれども、神田大臣当時一部負担の問題が諮問されたことがあるのでありますけれども、この一部負担制度につきましても、これは単に保険財政財政収入をふやすというだけでなしに、適正妥当な診療、そういうものを確保する面から一部負担という制度があっていいではないかというような観点等も含まれまして、ああいう諮問がなされたものと私は理解いたしておるわけでありますが、いずれにいたしましても、今後そういう乱診あるいは濃厚診療、あるいは薬の過度の使用等々、こういう問題を是正いたしますためには、あらゆる角度からやはり対策が必要ではなかろうか、こう考えておるわけであります。
  11. 滝井義高

    滝井委員 一部負担やら、それから濃厚診療、乱診乱療の問題は、いずれあとで、また基金の問題等もありますから、そこで詳細に触れていきますが、まだまだ、そもそもごめんくださいといって病院に行った入り口の話からいま始まっておるわけですから……。そこで、いまの病院に行ったら待ち時間が三時間で、お薬をもらうための診察は三分間で終わっちゃった、帰るときには薬をどっさりもらったということについて、大臣は今後検討してやるとおっしゃるけれども、今後検討するのではもう間に合わないのですよ。ここからがそもそも問題の始まりなんですよ。ここをまずどうするかという問題をきめずして社会保険赤字を論ずることは、木によって魚を求むるたぐいと同じなんですね。ここをやらなければいかぬわけですよ。これはもう同時解決です。こういうことは。医療供給体系のそもそもごめんくださいといって戸をあけて入ったその第一歩においてこの混雑があるのですから、交通整理はもとからやってこなければ末のほうはだめですよ。だから、まずここの交通整理を一体どうやるかということです。そうすると、いまのように薬をよけい持って帰らせないようにするとおっしゃるなら、今度は、いま一週間分とか十日分薬をくれますが、これを普通の開業医がやっているように二日分か三日分にしたら、もはや公的医療機関、大病院の待合室は雑踏で入れなくなっちゃう、待合室をもう一つつくらなければならぬということになる。いま保険局長縦に首を振っておるけれども、そのとおりなんですよ、そうなるんですよ。だから、これを一体どうするかということになれば、もはや決断は一つしかない。軽い患者はそんな大病院に行かないような制度を打ち立てる以外にないのです。そうでしょう。そうして、いつでもそういう優秀な病院に行ける体制というものをつくる以外にないですよ。これはこのままにしておいて保険財政赤字をやるんだ、薬をどうするといったって、それは言うだけのことですよ。もう私はくろうとですから、言うだけのことではだめですよ。政治は実践の中に初めて政治の価値があるんだから、そうでしょう。だから、まず、ここを一体どうするかということを腹をきめてもらわなければいかぬ。病院診療所機能ほんとうに分化するなら分化する、そうして待合室で三時間も四時間も待たされて、そして三分か四分見てもらって、帰るときはどっこいしょとふろしきに薬を入れて帰らなければならぬ事態というものを一体いかにやめさせるかということです。そうでしょう、この回答が出なかったらだめです。これはどうするんです。
  12. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 滝井さんの御意見と私の先ほど来申し上げておることには、ほとんど意見の食い違いはないように私考えておるのでございます。そこで、すぐやるかどうかという問題でございますが、この点につきましては、過去においても歴代の大臣がそう言ったというような御指摘であろうかと思うのでありますけれども、私は、就任以来当委員会を通じてお約束を申し上げましたことにつきましては、一つ一つ及ばずながら実行に移してまいったつもりでございまして、ここで私が御答弁として申し上げておりますことは、相当の決意を持ちましてこれに対処していきたいという考えを申し上げておるわけでございまして、この委員会だけを適当に言いのがれればいいというような考えはごうまつも持っておりません。真剣に取り組んでおる所存でございます。
  13. 滝井義高

    滝井委員 いまのように、とにかく胃炎とか感冒とかという軽い患者、たいした検査も必要としないような人が、わんさと大病院の施設に行っているということです。そうなりますとどういうことになるかというと、まずそこにいい医者がおるということも一つあります。しかし、やはりわれわれが行くときには、デラックスなものに行きたくなるのは常ですよ。そこでデラックスの競争が始まる。隣の県立病院がデラックスにしたんだから、今度はわが日赤もデラックスにせざるを得ない、わが済生会もデラックスにせざるを得ない、わが国立病院もデラックスにせざるを得ない、デラックス競争が始まります。デラックス競争が始まると、金を借りなければ一般経費——国立病院でも一般会計から出してくれなくなっちゃったから、国立病院の特別会計をつくって、年金福祉事業団から金を借りてもいいことになったから金を借りて建てる。金を借りて建てれば、元金に利子をつけて払わなければならぬことになる。そうすれば診療の競争が起こる。だから、どういうことになるかというと、大臣の言うように二日分、三日分の薬しか要らない、しかし、利子をつけて返さなければならぬから、どうしても一週間分やっておった薬が十日分になり、十日分が二週間分になってくる。そこにどういう結果が起こるかというと、投資の二重のむだが起こってきておる。輪奐の美を競った病院が、一つの地区に四つも五つも並ぶ必要は何もない。それが並ぶのです。並んだ結果どうなるかというと、地域の零細な病院を圧迫する。だから、零細病院も、今度はやはりデラックスにしなければならぬことになる。だから、何か優秀なリニアックならリニアックの機械をどの病院も持たなければ患者が吸収できない。二重のむだはさらに二重、三重のむだを呼んでいる、こういう実態ですよ。だから、ここの根本のところにメスを入なければだめです。そういう二重の投資のほかに、今度は内部の実態を見てくださいよ。いまや保険医療というものは、昔われわれが軍隊で見ておったと同じ形が出てきた。昔の軍隊は、病人並べ、君どこだ、胃が悪いんです。はい君は、足のかいせん、君は、ひざのけが、よし、かいせんとけがの者一歩前へ出ろ、衛生兵、ヨーチン塗れ、マーキュロ塗れ、これだ。次に胃炎の者二歩前へ、はい、衛生兵、健胃錠渡せ、これだったんです。いまの病院に行ってごらんなさい。袋をかついで帰りつつある。一体ふろしきの中にどんな薬が入っていますか。製薬企業がつくった錠剤の、銀紙できらきらして、緑やら青やら、色美しいものでつくったものをはさみで切って入れてくれるでしょう。そうして帰って、待て待て、先生からもらった薬を、これは朝飲む、これは昼飲む、これは夕方飲む、三通りも四通りもの錠剤の薬をもらってやっておるでしょう。こういう実態でしょう。もっとはなはだしいのは分包機というのが出ている。これは何をするのかというと、いま言ったように錠剤で買えば高くつくわけですから、今度は健胃錠と同じように、成分を、重曹の粉末とジアスターゼをまぜたものを、どんどん分けて、出てくるときにはこれがきちっと打たれておるわけです。それで紙の中にきちっと入ってしまうわけです。たとえばこういう薬紙の中に、もうきちっと四角に包まれて入っちゃうわけです。ここにミシンで打たれる形になる。薬が続いたものが出てくるわけです。そうすると一週間分なら二十一、こういうのをちょっと切って、それをやりさえすればいいのですが、分包機というものが出ている。看護婦を雇って一々包むのでは間に合わない、こういう形になっているのです。だから、もはや保険財政のことを言う場合に、ああ保険財政がどうだ、医者の不正がどうだなんと言うことの前に、そもそもごめんくださいといって医者に行ったときから問題が発足しておるのです。そうして、見てごらんなさい。きのうの朝刊の社会面を見てごらんなさいよ。天下の心臓外科の名医が、もはや技術では私は天下に名が売れません、投票用紙を集めて学術会議の議員にならなければならぬと言い始めたじゃないですか。こういう形になったのです。もはや優秀な技術者というものが技術では飯が食えなくなった。(「関係ない」と呼ぶ者あり)関係ないことはない。関係ないと思うから間違いなんですよ。こうなっちゃったのです。技術は評価されない。だから技術者は、ほんとう技術を生かすという気持ちにならなくなった。患者のほうもデラックスのところに競って行く。腕とかなんとかじゃないのです。もうデラックスなところに行って、とにかくふろしき一ぱいいい薬をもらえばいいんだという気持ちになっちゃった。こういう形になったのですよ。だから、あなた方が保険という経済ばかりに気をとられておる間に、もはや医療機関供給体制というものには、ちょうど二十世紀における月の世界に人工衛星が飛ぶような変化が、医療の内部における精神的な変化が起こってきてしまっているわけです。だから、ここらあたりをもうちょっときちっとやってもらわぬことには話にならぬ。これは若松さんのほうの責任かもしれないけれども、これはしっかりやらなければならぬ。見てごらんなさいよ、千葉大学から三島の病院に腸チフスを持っていったなんということは、昔はこんなことはなかったのですよ。これはもう、医の倫理というのが地に落ちたとかなんとかいう問題ではなくなってしまったわけですね。もはやそこには医の良心を駆使するだけのものが、その環境がなくなっちゃったのですよ。だから、ここらあたりをもう少しほんとうに真剣に取り組んでやらないことには、金が要るからとかなんとかと言うが、金が要ったら国債を発行したらいい。大企業が困ったときには七千三百億もの国債を発行して、そして何をつくるのか、見てごらんなさい、道路と住宅しかつくらないじゃないか。道路と住宅をつくるんでしょう。あなた方にもし政治力があったら、あの中から千億こっちに持ってこい、千億持ってきたらいい。すでに発行する七千三百億のうち千億持ってきたら、日本医療保険というものはまず当面は解決しますよ。それをやらない。あとで予算面に触れますが、ことしの予算というものはちっともふえていないのです。総体のパーセンテージはふえておらない。だから金だけでは解決しないから、そういう側面とともに、金というものを同時につけてこなければいかぬわけです。ところが、口頭禅に終わって金をつけないでしょうが。ああやりたい、こうやりたい、諮問しております。研究しております。検討しております。考慮中であります。努力します。こういうことばの連続に終わっているのですね。だから、いまのように投資が二重になり、さらに二重の投資が三重、四重のむだな投資を呼んでおる、こういうことですよ。だから私は、ここのところを少し、ひとつ大臣、ふんどしを締め直してやってもらわなければならぬ、こういうことなんです。この問題について、大臣、何かあれば伺っておきたい。
  14. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 病院あるいは診療所の、まあ滝井さんはデラックス競争、投資の重複、こういうような点を御指摘になりまして、その回収のために保険財政の悪化を招くようないろいろな問題がそこから発生してくるのだという御指摘があったわけでございますが、この医療機関の適正配置、整備という問題につきましては、私どももこの点に意を用いまして、一般の金融機関にまかせることなしに、医療金融公庫を設置いたしまして、そしてその融資にあたりましては、一地域に医療機関が過度に集中しないように、適正に配置されるようにというような観点に立ちまして審査を行なって、そういう面から医療機関整備が比較的計画的に進められておるわけでございます。しかし、一面、医療公庫のみから設備資金が出るわけではございません。自由経済のもとでございますから、他の金融機関から融資が受けられるもの等は、これはどうしても押えることができないという点もあるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、医務局等におきましては、医療行政の面からいたしまして、そういう一地域に過度にベッド数や設備が集中しないように、そういう点は十分意を用いまして行政を進めておるわけでございます。  また、薬の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、薬をたくさん使うことによってもうかるんだというような、そういうあり方、これは早急に改善を要するということで、薬価基準改定は、昨年十月、十一月に続きまして、今後とも毎年少なくとも一回は、実勢薬価薬価基準の間に差額を生じました場合、そういう傾向が出ました場合には、薬価基準改定を年一回に限らず、随時必要に応じて薬価基準改定をやっていく。そして薬を多く使うことによってもうかるというような、そういう誤った制度の運営がなされないように、十分是正をしてまいる考えでございます。
  15. 滝井義高

    滝井委員 私がふろしきに薬を一ぱいもらって帰ると言うことは、薬を使うからもうかるという側面で、私はこの問題をとらえていないのです。そういう大臣のものの考え方が間違っておるのです。薬の問題は、あとで論議しますけれども、そうじゃないのです。国立病院その他は、もはや患者さんがよけいに来て、そうして薬を十日分とか二週間分やらなければ機能が停止してしまうのです。そういう観点からやっているのです。もうかるからという側面は、これはサラリーマンの医者ですから、そこにはもうかろうともうかるまいと、たいして問題にしていないのです。私もサラリーマンの医者をやったが、自分は一生懸命医学的良心で最高の薬を使ってやる。ところが、それをチェックしてくるのは、薬局が、先生、いい薬をやっては困りますといって、むしろ薬局からチェックをしてくるのです。医者はそういう大臣の言うような考えはあまり持たないのです。私自身もやったことがあるのですが、持たないのです。そういう問題のとらえ方ではない。そういう側面もないとは言わない、保険経済からいえばありますから。いまはそういうようにやらなければ、国立病院の待合室はもう雑踏が激しくなって、おまわりさんを五人ぐらい入れなければ、赤ちゃをおんぶした婦人は、赤ちゃんの窒息死が起こるという状態なんです。極端な言い方をすれば。(「オーバーだ」と呼ぶ者あり)オーバーだと言うけれども、癌研あたりでは、行ってごらんなさい、そんなに簡単に、きょう行ったらすぐ見てもらえるというものじゃないですよ。私もこのごろ自分で行って見てもらったが、簡単にはいかないのだ。私ども、特別時間がありませんからお願いしますと言って、午後行ってあいている時間に見てもらう。こういう形でしかできない。普通の状態で行ったら簡単にできないんですよ、一週間も待たなければ。いわんや榊原さんのところの心臓手術なんというものは、半年か一年待たなければ順番が回ってこないのだ。それと同じ形が起こっているわけです。だから、いまの側面というものは、もうかるから薬をよけいにやるんだという側面はむしろ少ないのです。公的医療機関というのは、もうける必要はないのです。いわば国立病院、若松さんの所管のところなんかは、そんなむちゃくちゃに商業主義的なことをやる必要はない。商業主義的傾向はあるけれども、そういう露骨な商業主義というものは出していないのです。むしろいま言った、非常に雑踏してそれをやらざるを得ない。それから人間を制限するためには、分包機みたいなべのを使わざるを得ない、こういうやむを得ざる状態に追い込まれてしまっておるのです。そのことが偶然、よけい薬をやるからもうかるという形につながってきておる、私はこういう解釈をしておるのです。そこは大臣、ひとつ間違いないようにしておいてもらいたいと思うのです。  そこで、この問題は、病院機能というものを、診療所と分けるかどうかという決断をしなければならぬという段階にきているということを大臣は認識していただいて、おれは約束したことはやっていくんだという決意のようでございますから、これはやっていただきたいと思う。ここがはっきりしないと、社会保険財政というもののえりを正すことができないということを私は指摘しておきます。  それからいま一つ、御承知のとおり、最近の日本列島における人口構造、人口の移動というものは、非常に大きな変動が起こりつつある。昭和三十五年の人口調査と四十年の十月の国勢調査とを見ると、非常に違ってきた。どういうように違ってきたかというと、大ざっぱな言い方をすれば、東京から神戸までの間に人口が集中してしまいつつあるということです。そのことは、保険財政医療供給体制医療機関における収支のバランスに非常に大きな影響を与えつつあるのです。あとで数字を示しますが、非常に大きな影響を与えつつある。どういうことが起こるかというと、農村地帯にある病院というものが採算がとれなくなりつつある。一番集中的にあらわれているのは、われわれの筑豊炭田です。いままで筑豊炭田には、炭鉱のデラックスな病院がたくさんあった。ところが、いまや炭鉱は第二会社になり、あるいは三千人、五千人おった炭鉱の労働者が、石炭の斜陽化のためにいなくなって、炭鉱病院をどんどん閉鎖し始めて、なくなりつつある。そうして、いわば無医地区のような状態が局部的に起こりつつあるわけです。そういうことは、もっと大きな観点から見ると、日本の農村がそういう形になりつつある。たとえば郡部で言えば、ここ四、五年の間に人口が二千から五千とぐんぐん減っている。だから、いなかでは、衆議院の選挙区の是正でも、十九の選挙区の是正というものは、公平な観点から見ると、いなかの代議士を減らして都会に持っていかなければならぬ。ところが、いなかから出ている代議士さんは、既得権だ、困ると言っている。私も代議士の一員だけれども、代議士さんは、自分の選挙区の人口が減ったのに、自分のところの定員を減らすことは反対している。それなら、病院がかんこ鳥が鳴くのはどうなるか、こういうことになる。今日、農村から若い者が抜けてしまって、じいちゃん、ばあちゃんになりたら、これは国民健康保険負担財政力がなくなりつつあるということですよ。ということは、その病院にかかれなくなることを意味する。その人たち一体どこへ行ったか。東京から神戸までの間に人口が集中して、ここにデラックスの病院が集中し始めた。ここに優秀な医者が集まり始めた。そうすると、いなかの人口変動に基づく病院の配置というものは、急速に考えられなければならぬ問題です。いままでのように、どこでもここでも町に病院を建てるわけにいかなくなってしまった。付近の農村が財政力が弱くなって、人間も少なくなってきているのです。そうして病気になる人は、みな財政力の弱い人間ばかりがなる。なるけれども、一部負担があって、かかれない。医者に見てもらえない。こういう実態、こういう矛盾が起こってきた。これはあとの国民健康保険にも関連しますが、そのことは、保険財政に非常に大きな影響を及ぼしてきております。これは、まず、そういう人口の移動に伴って、日本医療政策というものを一体どういうふうに政策的に転換していくつもりか。
  16. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 滝井さんが御指摘のとおり、近年におけるわが国の人口動態の推移、これは大きな変貌を見せておるわけであります。滝井さんが御指摘のように、農村から都市並びに都市周辺等に人口が集中するということも、そのとおりでございます。と同時に、もう一つ顕著なことは、国民全体の寿命が急速に延びてまいりまして、老人年齢層が相当ふえてきた、それに伴う成人病、老人病といいますか、そういうものに対する医療の面からの対策が大きな問題としてここに提起されておる、こういう問題もあるわけであります。だから、こういう人口の推移、また年齢構成の変化というものに対応いたしまして、医療機関の配置なりあるいは医療あり方というものがそれに即応して改善を加えていかなければならないということは、私は御指摘のとおりだと思います。政府といたしましても、この成人病対策や、近年特に急激に強まってまいりました人口の都市集中化に対応しての医療機関の問題、あるいは医師の確保の問題、それとは逆に農村方面の診療所等の経営が困難になっておる、そのために医者がだんだんそういうところを離れて都市に集まってくる傾向、こういう問題に対しまして、各県、各市町村等と連絡をとりながら、地方の医療機関整備なりあるいは医師の確保という面につきましては特に意を用いてまいりたいと考えております。
  17. 滝井義高

    滝井委員 この急激な人口の移動によって、農村地帯その他の既存の医療機関がうまくやっていけないという事態が起こりつつあるということは事実なんです。われわれの産炭地なんというものはやっていけない。炭鉱病院はみんな閉鎖です。やっていけない。したがって、今度はそれにかわるものをつくらなければならぬ。そうすると、各市町村が競って国民健康保険なら国民健康保険の直営診療所をつくるということになると、つくったとたんに、各市町村とも人口が一万か二万で非常に少なくなっているから採算がとれなくなる、開業医との競争が起こる、こういう形が出てきておるわけですね。それでやはり医療機関の適正な配置の問題とともに、そこのスタッフその他を充実する、人的な整備の問題とあわせてやらないことにはどうにもならぬ、そういう責任というものが、皆保険体制をとるからには、これは国がある程度、最小限の責任というものは持たなければならぬのは当然です。そういうことを国が一体やっておるかというと、何もやっていないでしょう。だから、これを一体どういうようにやるか。たとえば、ことしの医療金融公庫は二百七億円ですね。それから年金福祉事業団と病院という項目として出ておるものだけを見ても、百億円くらいにはなる。そうすると、こういう政府のコントロールのきく金を出す場合に、そういう東京から神戸までの集中の状態と、それから非常に過疎になるところですね、過密と過疎の状態が対照的に、コントラストに出てきておるわけです。過密のところの対策と過疎のところの対策というものは、おのずから違ってこなければならぬ。これをやはりわれわれは医療保険の問題として解決をしないと、皆保険政策をとる場合に、過密と過疎のものが医療アンバランスだけでございますというような非常に表面的な現象的な見方だけで、この問題は解決できないものがあるのです。だから、この過密対策と過疎対策についての政策というものを一体政府はどう持つかということ、これをはっきりしないと医療保険というものがうまくいかない。過疎のところのものは保険料が集まらないですよ。
  18. 若松栄一

    ○若松政府委員 人口の移動等に伴いまして、非常に集中的に人口の増加するところと逆に減少するところがある。それによって医療機関の配置もまたアンバランスが生じてくるのではないかという御疑問でございます。私どもも、観念的に、そういうような事態がかなり深刻に起こりはしないかということを実は内々心配しております。ところが、実際のデータを若干見てみますと、たとえば病院のベッドだけについて見ますと——これは有床診療所のベッドを除いております。病院のベッドだけについて見てみますと、人口三十万以上の都市、これは大体大都市に属するわけでございますが、人口三十万以上の都市では、主十五年から三十九年、五カ年の間に、万単位の人口に比例したベッドが約一二%伸びておる。それに対しまして、人口十万以上の市の病院ベッドは、同じ五年間で人口対比二一%伸びておる。さらに、人口五万以上の都市におきましては二六%伸びておる。さらに、その他といたしまして人口五万以下に属する小さな市、郡部の病院ベッドの伸びが四七%でございます。そういうふうに、この最近の五カ年間においてすら、むしろ現在のベッドの伸びというものは、中小都市ないしは郡部のほうにベッドが率としては非常に伸びておるという状態でございまして、この問題は、おそらく地方における、郡部における医療需要が相当高まってきており、かつそれに適応するような体制が自然的にとられているものではないかというぐあいに存じております。  なお、一方診療所について見ますと、つまり開業医でございますが、診療所について見ますと、これも大都市の集中がだんだん減っております。たとえば東京、神奈川あるいは愛知、兵庫、大阪というような大都市を含めた府県におきましては、診療所の人口一万単位の数が減少し始めております。これを数字で申し上げますと、東京では、三十五年に人口万単位で九・四でありましたのが三十九年には九・二に減少する、同じように、この五カ年間で神奈川県は六・七から六・三に減少する。愛知が五・七から五・五、それから大阪が八・二から七・六、兵庫が、平衡状態でございまして七・七が七・七、このように、大都市におきましては診療所の数が平衡状態ないしは減少するという傾向をたどっておりまして、それに比べまして郡部を多く持っておる県におきましては大体若干ずつ、あるいはかなり大幅に増加いたしております。たとえば九州地方あたりについて見ますと、佐賀県では六・四が七・三というように大幅に増加し、長崎県では五・四が六・二、あるいは福岡県では六・三が七・〇というぐあいに、診療所の数としては、地方府県におきましては、人口万単位の数で見ましてむしろ増加いたしております。このことは、結局私どもが観念的に考えておりました医療機関の都市集中ということがある程度頭を突きまして、現在ではむしろいなかのほうへもかなり広く医療受療機会の均等化という動きが出ているように見受けられるのであります。このことは、農村の老齢化というようなことによる自然的な疾病の増加、医療需要ということもございますが、おそらくまた、国民健康保険等の給付水準の向上というようなこともあり得るであろうと思います。
  19. 滝井義高

    滝井委員 大都市、特に三十万以上、それから十万以上、五万以上、その他全部伸びたということは、これは年間三千人ずつの医者が出て、そしてそれぞれ大学に残り、あるいは病院診療所に入る。そうすると、最終的にはやはり開業していく、こういうような形もあって、これは自然にふえるのは当然のことなんです。死ぬ数よりか医師になる数のほうが多くなってきているのですから、そして三千人も出るわけですから。その建設する病院の数というのはそれに比較して少ないわけですから、これは自然に一ぱいになったところから出ていってやるというのは当然です。それで問題は、国民保険になって健康保険の本人その他の入院その他は頭打ちになる。しかし、五割給付から七割給付になることによって、受診頻度が高くなることは御存じのとおりです。したがってそれだけに患者の数もふえてくる。患者の数がふえれば、いま言ったように大病院というものは交通巡査を入れなければならぬように殺倒しているから、また大きなものができてもいいことになるわけです。したがって都市にはふえる。ところが、そういう大病院が都市にふえるということになると、零細な病院は食えなくなるから、どこか安住の地といって、いなかにその面から出ていくことになるわけです。むしろそういう傾向がある。問題は、このできた一割二分とかあるいは郡部その他に伸びている病院が、一体順当な拡大生産のできるような黒字の状態であるかどうかということが問題なんです。ほんとうにそこで医療技術が駆使されて、学問的な良心的な治療がうまく完全に行なわれているかどうかが問題なんです。これらの病院はみな赤字で四苦八苦です。問題はそこにあるのです。だから、やむを得ず伸びていくけれども、それはもはやどうにもならぬという状態だ。どうにもならぬという状態をカバーするためにはどうするかというと、いま言ったように、薬をよけいやるとかなんとかいう問題にも関連が出てくるわけです。あるいはデラックスな傾向が、いなかでもデラックスになってきたという形にならざるを得ないのです。だから、こういう点は十分ひとつ考えていただいて——都市はちゃちなものがなくなりつつあるわけです。そのかわりデラックスなものができつつある。これが医療技術的な側面と、それから建物その他の物的な側面における集中が都市に行なわれる。農村地帯にも、それは病院はできますよ。病院はできますけれども、そこはいわば魂の入らない病院なんです。いい医者が来ないという形で出てきているわけです。それはどうして来ないかというと、高い給料を払えない。なぜ払えないか。病院赤字経営だからです。だから行ってごらんなさい、静岡県の浜松あたりでも、日赤の病院ができたけれども、簡単には開業できなかったでしょう。そういう状態が出てきている。それからあなたのいま言われるように、それはなるほど診療所についても伸びるけれども、都会では食えなくなる。そんなデラックスなものを建てられない。医療金融公庫の金を借りるにしても、せいぜい二百万から三百万しか借りられない。これ以上のものを借りたら返せない、こういう限界がある。だから、そのくらいのものでやる。そのくらいのものが郡部にふえるということは何を意味するかというと、郡部には、いざ鎌倉というときに大手術をする施設がそこには育たないということを意味するわけです。やろうといったって、いま言ったようにいい医者も来てくれないし、デラックズな設備をやれば赤字になってしまう。だから、病院だけはりっぱにできたけれども、内容はきわめて空疎なものになる、こういう実態があるわけですよ。こういうことが重なり重なって、回り回って薬にしわが寄り、財政赤字が出てくるという形になって、鈴木大臣の言う乱診乱療をセーブしなければならぬというような形になってくるわけです。だから、こういう根本のところの過密の問題と過疎の問題については、違った政策というものをあなた方は立てなければいかぬわけです。ただ統計がこうなっておりますから、私どもはのほほんと手をこまねいて見ておってもだいじょうぶですということにはならないのですよ。私が言いたいのはそこなんです。そこまで突っ込んであなた方はやっていただかなければいかぬ。それで、その対策というものをひとつ具体的に出してもらわなければならぬ。  そこで、そういうような状態だが、それでは一体保険局の各県の収支の状態というものはどうなっておるか伺いたい。大ざっぱな傾向だけでけっこうです。
  20. 加藤威二

    ○加藤(威)政府委員 具体的な数字の資料はちょっと手持ちがございませんけれども、概括的に申し上げますれば、やはり大府県が黒字でございます。私の記憶では、全国で黒字の都府県が五つあったと思います。大体東京とか神奈川、埼玉、大阪、兵庫、そんなところだったと思います。要するに若くて健康な労働力の集中しているというところ、しかも、そういうところはやはり各種の事業所がたくさんございまして、保険料もたくさん入る、また標準報酬も比較的高いということなどで、そういうところは黒字でございますけれども、その他のところは大体赤字、こういう現状でございます。
  21. 滝井義高

    滝井委員 大臣いまお聞きのように、太平洋ベルト地帯が主として黒字になっておるのです。東京とか、大阪とか、神奈川とか、静岡とか、埼玉とかいうようなところが黒字です。この五つですよ。東京、大阪、神奈川、埼玉、静岡、その五つが黒字のトップグループですよ。ところが、今度は赤字の一番激しいところを見ると、やはり斜陽的なところです。福岡、北海道、京都です。いわば革新的な知事のおるところですな。(笑声)みんな貧乏人が多いんです。産炭地が多くて——こういう形になってきている。いまの五つが黒字で、あとはみんな赤字なんですからね。だから、社会保険の経済というものは、もはやこの地域の産業の経済と密接不可分なんですね。とにかくいまの太平洋ベルト地帯で人口の集中したところが黒字であって、あとのところの経済というものはもう悲鳴を上げているわけです。したがって、五つが黒字であとは全部赤字だということは、保険経済から見たら、もはや保険経済というものはいかんともしがたいということです。赤字のトップのところの福岡からよけい保険料が取れるかというと取れない。八幡製鉄も、もはや鉄鋼の不況でどうにもならぬ状態である。九州の地場産業である石炭産業は、斜陽でいかんともしがたい。こういうところから総報酬制をやり、一部負担をやって、そうして西に沈んでいる太陽を東に上げようなんということは、これはもう不可能なことなんですよ。そういう状態になっておるのです。それならば東京や大阪ばかりからよけいに取っていいかというと、そんな状態にもこれはならないのですね。だから、こういうように、いわば日本経済が非常に大きな、目に見えない、大地に水がしみ込むようにしんしんとして変化が毎日起こってきている。その変化が起こってきておるものの変化を見過ごして、そうしていまから十年前にやっておったと同じような総報酬制とか一部負担というような、相変わらずのことをやっておったんではだめなんですね。だから、もはや内科的な療法では、重体に瀕しておる日本国民経済というものはだめです。ここでひとつ熊崎主治医は、ふんどしを締めかえて頭の転換をはからなければいかぬ。これを政策転換というのです。政策転換をやらなければだめです。それを主治医であるあなたが、いわば最高の責任者である鈴木善幸さんにどういうように献策をするかということにかかってきておるわけです。保険局長は、保険経済のどこが黒字でどういう状態になっておるかということを、少なくともたなごころをさすがごとく、あなたがさつと立って答弁ができないというようなことがあったんじゃだめですよ。昔、安達謙藏という人がおりまして、日本の全選挙区の状態をたなごころをさすがごとく知っておって、あそことあそこに立てれば必ず民政党が勝つ、こういうことを知っておった。あなたも、保険行政に一生を打ち込んでこれで飯を食っていこうとしているのだから、情熱を傾けていただいて、そのくらいのことはやはり知っておいてやらないことには、それじゃとてもできませんよ。保険部長をして答弁させるというようなことではいかぬ。大臣が言うのならいいが、あなたが言うのはいかぬ。あなたはそれをきちっとやらなければいかぬ。  そこで、そういうようにいま私は病院状態を言ってきた。それから今度は、いまのような産業構造の変化の状態を言ってきた。そうすると、こういうところにきちっとした対策と方針とを明確に立てておらずして、その上部構造の、そこから出てきたその結果だけを見て、赤字になったからどうしようかこうしようかということだけでは、もうこれはだめだということですよ。もはや健康保険対策というものは、いまの供給体制から産業構造にまで及ぶ非常に高い見地からメスを入れてこないとだめだということなんですね。そのことは、さいぜん言ったように七千三百億の国債の問題にも関連してくるのですよ。これは何も、七千三百億の国債を発行して、これは建設国債とそれから市中消化をやるのだ、この二つが歯どめだ、その方式を持ってきて、今度は、福田さんが言うようにもう歯どめは一部負担や、一部負担をよけい取れば歯どめやという国債の方式をそのまま健康保険に持ってくるような大蔵大臣の言うことを、また黙って聞く鈴木さんでもないと思うのだけれども、それを黙って聞いておって、冒頭に総報酬制、一部負担だというオウム返しではだめなんですよ。あとでわれわれのあれも言いますけれども、保険財政の収入の基盤というものが、いま言ったように五つしか黒字の基盤はないのですからね。それ以下のところに取ろうとすれば、これはあとでも触れますが、血と肉をささげなければ保険料は出せませんよ。大蔵省のことしの免税点は、六十三万二千何がしということの免税点を出しておる。このごろ百八十六円八十七銭ですか、今度献立がついておらぬじゃったけれども、先日長谷川さんから献立を出せと言っておりましたが、イカのさしみにしょうゆのついてないような献立を出したのじゃ困るので、それ以下の、六十三万円以下の人が政府管掌健康保険の被保険者ですからね。それに病気になったときに一部負担を取るのじゃ、ボーナスまで今度かけてしまうのじゃということになれば、この人たちは血と肉を供出して保険料をかけることになる。それじゃ病気になったときになおらぬですよ、栄養をとらないのだから。そういうことは自明の理だ。自明の理をあえてやろうとすることはいけないことだ。政治としては策の下なるものなんですね。したがって、いまの保険料の徴収の基盤というものは非常に大きな変化を来たして、トップグループ、いわゆる黒字になるのは太平洋ベルト地帯の中の指折り数えるほどしかない。片手五指しかない。あとは、四十一都道府県というものは全部赤字だ、こういう事態というものをまず認識しておいていただきたいと思うのです。  次は、そういう認識に立つと、一体病院というものは、独立採算制というものを強行していくのかどうかということです。公的医療機関に例をとって、これは政府としては独立採算制というものをずっとやっていく方針なのかどうか。
  22. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 今回、公営企業に対する法制的な改正をしようということで、自治省が中心になりまして法案の作成に当たったわけでございますが、その際私どもは、病院は公営企業法の面で独立採算制になじまない、こういう従来からの考え方は、これは私ども変える必要はない、そういうことで、今回の公営企業法の改正にあたりましても、この病院につきましてはこれを独立採算制の一般のものと分離いたしまして、はっきりと区別をするようにいたした一わけでございます。ただ、一般会計からの補てん支出を必要とする面もございますので、その点は負担区分を明確にするということにいたした次第でございます。したがいまして、公的医療機関の独立採算制をとらないということと、一般会計からの財源の補てんについてははっきり法律に、こういう場合、こういう場合には一般会計から補てん支出をするという負担区分を明確にいたした次第でございます。私は、今回の公営企業法の改正では、病院に関しましては病院経営の実態に即するようにすることができた、かように考えております。
  23. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、病院というのは独立採算制をとらずに、一般会計から財源の補てんをやる部分を明確にしていくということでございますが、それならば、病院経営における、公的医療機関に限局して差しつかえないのですが、一般会計から負担をする区分というのは、どういうところを一般会計から負担する原則を確立することになるわけですか。
  24. 若松栄一

    ○若松政府委員 今度の公営企業法の改正におきまして、負担区分の問題は政令にゆだねられることになっております。したがって、まだ政令が確定する段階にはなっておりません。これは四十二年度以降予算的な裏づけ等もからみまして、政令がはっきり具体的になることと思います。原則的な考え方といたしましては、たとえば看護婦の養成事業であるとかいうような、医療収入をもって充てることが適当でないもの、あるいは災害時の復旧であるとかいうような特殊な状態、あるいはさらに、一般的な問題といたしましては不採算地区、たとえば本来ならば病院を建てても採算が合わないはずのものでも、民衆の需要にこたえるために無理をしても病院を建てる、あるいは特殊な地域に特殊な医療目的を達成するために、高度の医療内容を備えさせるために人的、物的な設備をするというような、不採算を前提にした高度医療を行なうというような場合、いろいろの場合が考えられております。
  25. 滝井義高

    滝井委員 このところが非常に重要なポイントになるわけです。今後保険財政を確立する上において、いわゆる診療報酬体系をどう組むかということとこれは非常に密接に関連をしてくるわけです。  そこで、いままで診療報酬体系というのは単純再生産だったですね。
  26. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 単純再生産ということばをどういう意味で滝井先生おっしゃったのかわかりませんが、現在の診療報酬の立て方の中には、資本利子分あるいは減価償却部分、そういったものは一応入っておりまして、そういったものが一応再生産のために必要だという形においては、経費として見込まれていると私ども考えております。
  27. 滝井義高

    滝井委員 だから、したがって百万円のレントゲンを買えば、その百万円のレントゲンを償却する分だけの金は見るけれども、さらに技術が進歩して、二百万円のものを買うという経費は入っていないわけですね。
  28. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 そのとおりでございます。
  29. 滝井義高

    滝井委員 したがって、大臣御存じのとおり、これは単純再生産というわけです。とにかく現状を維持するだけで、科学技術が進歩して、もはやちゃちなレントゲンではだめだ。リニアックを買わなければいかぬというような場合に、二千万円のものを買うだけのあれはないわけです。そこで、そういう拡大再生産の部分について、一体独立採算制の場合に、いまあなたの御説明の中における負担区分で、そういう拡大再生産をしなければならぬ、科学技術が進歩すれば——いま病院で一番困るというのは、建物のほかに、こういう機械の設備というのがどんどん進歩していくので、新しいものを買わなければいかぬ、これのやり繰りがなかなかつかないわけでしょう。たとえばガン照射のための新しい装置をつくろうというなら、これは百万円とか二百万円でできないですからね。千五百万とか二千万円かかるわけです。そうすると、百ベッド、二百ベッド持っている市立病院が、一挙に千五百万とか二千万円の装置を買うということは、これはもう単純再生産ではできないわけですよ。だから、買おうとすれば一般会計から入れてくれるか、そういうものは今度はさらに新しくなる拡大再生産の形をとっておいてもらわないと、独立採算制というのは絵に描いたもちになってしまうのです。ここに診療報酬との関係が出てくるわけです。そうすると、診療報酬の中には、今後看護婦の養成費とか災害時の特殊なものとかいうのは全部入れませんと、いま言ったように、単純再生産では科学技術に対応するものをそこにつけることができない。私はあるところで調べたら、ある優秀な病院が百円かせぐために百四十三円金が要る。百円かせぐのに百四十三円金が要るなら、もうかせがぬで、じっとしていたほうが得じゃないかというけれども、医療というものはそういうわけにいかぬわけですよ。百円かせぐのに百四十三円要ってもやらざるを得ない。ところが、単純再生産ではその四十三円の赤字というものは累積してくるわけです。この解消の方法がない。その総和がいまあらわれている、いわゆる四十一年度末になったら千四百億をこえる赤字健康保険財政に積もるという形で、集約的に、集中的に別の形で出てきているということなんだ。ここのところを言えばそういうことなんだ。だから、独立採算制をおやめになるということは一つの前進です。独立採算制を否定するということは一つの前進です。そうすると、独立採算制を否定する見地というものは、診療報酬に結びついてくるわけです。今度は、診療報酬における拡大再生産をとるかとらぬか。いままでは単純再生産です。それを拡大再生産の方向に持っていくのかどうかということです。ここが、さいぜんるる述べたところにも重要な関連を持ってくるわけです。
  30. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 ガンの専門の医療機関整備、またそこに特別な非常に進んだ器具器械等を設備する、そういう特殊な場合におきましては国としても一般会計から助成をする、補助を出すというようなことも考えておるわけでありまして、また医療金融公庫あるいは事業団等からの融資も考えてまいりまして、そういう設備の整備、拡充というようなことにつきましては、財政的、金融的な面からこれを助成していくということでございまして、従来の収入だけから今後の新しい設備を整備するという、それだけをしいておるわけではございません。そういうものを助けていく、補完する財政金融上の措置をとろう、かように考えておるわけでありまして、また、そういう進んだ設備等の償却等につきましては、今後物と技術を分離して、それぞれ正当に、適正にこれを評価して、これを診療報酬体系の中に組み入れていくということを冒頭に私が申し上げたのは、そういうことも考えておるような次第でございます。
  31. 滝井義高

    滝井委員 物と技術を分離して、物を適正に評価して診療報酬体系の中に入れていく、こうおつしゃるわけですが、独立採算制を採用せずに——その前に、採用しないということの中には何が入ってくるかというと、そのためには看護婦の養成費とかあるいは不時の状態、すなわち災害復旧の経費、それから不採算地区、採算がとれない、いわゆるコマーシャルベースに乗らないというような地区に対してという三つ、非常にシビアーになってきたわけですね。そうしますと、いまのように、たとえばコバルトならコバルトを設備する。それは三分の一なら三分の一の補助金が出てくるわけです。そうすると、千五百万かかるなら五百万円については補助金が出るが、あとの千万円については、おまえは金を借りて払いなさいと、こうなるわけです。そうすると、その金を借りて払うということは、どこから払うかというと、公的な医療機関とすれば診療報酬の中から払う以外にないわけです。あるいは自治体の病院だったら、これは自治体の一般会計から入れてくれるかもしれませんが、御存じのように、いまや自治体は全国的に赤字の累積でどうにもならぬという状態です。そうなりますと、国民健康保険から出てくる医療費赤字も一般会計から相当入れる、それからいま言ったように、設備費までも入れるということにはならないのですよ。そうすると、コバルトならコバルトを市立病院に備えつけようとするなら、君、かせぎなさいとこうなる、これは人情ですよ。どこでもそうなっている。かせごうとすれば、その分は保険患者と一般の患者からかせぐ以外にないと、こうなる。だから、こういうものをわれわれは拡大再生産といわざるを得ないわけです。これは単純再生産ではできない。だから、こういう点をどうするかということは、医療供給体制に責任を持っておるあなたが、医療需要の責任者である熊崎君のほうに、ぴしっと若松さんのほうから言わなければならぬ。それが日本医療の中では言われていないのです。だから、私が、しょっちゅう言うように、若松さんのほうが医務局長でなくて、熊崎君のほうの医務課長になっているのです。いまや日本医療というもののつかさを握るのはどこが握っているかというと、若松さんと言うよりか浦田医療課長が握っている。熊崎さんのほうにいる医療課長が握っている、そういう実態になっているのです。だからこの実態を、少なくとも供給体制の側から、学問的に見ても、あるいはこれを、順当に再生産をしていくためにはこれだけの診療報酬というものが、医療供給体制にあって確立されなければならぬということを主張されたことが一回でもありますか。それがないのです。かつて曾田さんのときには、曾田さんはやった。やったけれども、これはあとでも触れていきますが、うまくいかなかった。曾田さんは非常に熱心なんで、うまくやった。私は、歴代の医務局長の中では、非常に素朴ではありましたけれども、曾田さんの情熱というものは高く評価している。日本医療史に特筆大書してもいいと思っている。あの人は非常に熱烈な情熱を傾けてやった。そのときには医務局がイニシアチブを握っておった。ところが、いまはそうではないわけですね。医療技術を最も知っているはずのあなたのほうが、医療技術を知らない、失礼な言い方だけれども、経済で割り切っていこうとする熊崎さんのほうに従属した形になっている。だから、それではいかぬわけです。急所を押えられている。ちょうど日本経済がアメリカによって急所を押えられておると同じ形になっている。それではいけないのです。だから、これはあなたのほうから今度言わなければならぬ。あなたのほうはどうですか。大臣の言ったように独立採算制はとらない、しかし単純再生産だ、こう言っている。支払いの側、いわば経済を握っている需要の側は単純再生産だと言っている。一体、単純再生産でいまの医療がうまくいきますか。いままで言ったような多くの矛盾が解決できますか。だんだん問題は、非常に広いところから始まって、マクロからミクロに入ってきますが、そのミクロの入り口の独立採算制はやらないと言った、そうすると今度は、片や単純再生産でいっていると言った、それならこの転換期にあたって、あなたは拡大再生産をとるかとらないということです医務局としてどうです。
  32. 若松栄一

    ○若松政府委員 もちろん、医療供給の側、つまり医療機関整備、配置、運営の面につきましては、当然私どもが責任を持っておるわけでございます。まず、保険経済というものに常に従属的に考えられることはまことに残念でございますが、われわれとしては医療の本質という面に立って、医療供給をすべき方法を検討し、推進しているわけでございます。そういう意味で一般の医療というものと、それから特殊な医療というものがございます。一般医療といいますと、大ざっぱに言って、一般病院診療所というようなもの、またそのときどきの国民衛生の主要目標というようなものもございまして、たとえば結核の時代に結核病床を大いに整備する、また結核の医療を推進するために医療費の公費負担を行なうというようなことをやる、あるいは精神衛生対策を推進し、あるいはさらに身体障害児対策に国が責任を負う、あるいはリハビリテーションの対策をやっていくという場合に、どうしても保険経済というもののかせがありますと、新しい政策というものがなかなか進展いたしません。そういう意味で、新しい政策というものは採算のとりにくい、宿命的なものを背負わされております。そういうものにつきましては、国は国家的な立場でできるだけの助成をするなり、あるいは公的な医療機関でこれを実施させるなりというような形をとり、また、そのようなことを民間でもある程度分担していこうという場合には、金融面、財政面の助成を行なうということにいたしておるわけでございまして、そういう意味で特に新しい政策あるいは特殊な対策というようなことになりますと、これは既存の支払い制度そのもののベースそのままではきわめて困難ですから、そういう意味で公的な援助、助成をする診療部門、比較的自由な医療経済にまかしていく部門と、両方あるわけでございまして、しかもいわゆる一般医療面におきまして、先ほど来申しますような不採算地区とか、あるいは不採算医療というようなものがございますので、それはまた公的医療機関なり何なりで分担させるというような意味で、特殊な面については、どうしても保険の支払い体制というものが多少時間のずれがあって即応してこない、多少は改善されるかもしれませんけれども、即応してこないという面がございますので、どうしても公的な対策と一般私的な医療機関あり方との二本立てでやっていかざるを得ないというふうに考えております。
  33. 滝井義高

    滝井委員 公的なものと私的なものがあるのです。あることは承知の上で質問をしているわけです。しかし、公的なものであろうと私的なものであろうと、一点単価が十円で、そうして診療報酬の甲乙二表のいずれかが適用されておることは間違いないわけです。そうしますと、収入のもとというものは、公的であろうと私的であろうと同じなんですよ。公的なものと私的なものと違うところはどこかといったら、ただ一つある。それは公的なものには税金がかからない、私的なものにはかかるということです。だから、私的なものは、税金をまかなって公的なものと同じことをやらなきゃならぬということなんですよ。税金がかかるのはよろしい。そうすると、同じ診療報酬というものの内容は、片や独立採算制をとらないと言うからには、災害の場合とか看護婦の養成とか、あるいは不採算地区の医療はちょっと例外としても、こういう二つのものについては国が見ます。今の答弁はこういうことでしょう。そうしますと、その面においては、公的なものと私的なものとにおける診療報酬の形態は違ってくるわけです。そうすると、診療報酬というものは、公的なものに適用する診療報酬と私的なものに適用する診療報酬と違うことになるかという議論に発展するわけです。いまはそういう議論がないのですよ。公的なものであろうと私的なものであろうとこれは一本のものでいきたい、あとで質問しますが、少なくとも甲乙両表を一本にしたいと言っておるのです。だから、まず一般論として、私的なものはややこしくなるからしばらくたな上げしておいて、純粋に公的なもので議論をしていけば、あとは、私的なものはその違う部面だけを切り捨てて議論をしていけば議論がわかりやすくなるから、公的なものを言っているわけです。公的なものは独立採算制をとらない。そのとらないという部面というものは、看護婦養成とか、それから災害のときに、設備の更新をやるときには国が金を出しますということなんですか、単純な質問をすればそれだけですかということなんです。そうすると、コバルトのようなものを買うときには、補助金はつくけれども、千五百万のうち三分の一の五百万は国からもらって、千万円はいま言ったように診療報酬からまかなう以外にありませんけれども、それはそれでよろしい、こういうことなんです。それであなたがそれでよろしいと言うならば、結局ていのいい単純再生産ということになってしまうのではないかということが私の疑問点なんです。だから、そういうものもひとつ国が利子補給をしますとかいう前進が出てくれば、これは持っていくわけです。少し石炭勉強してみるといいですよ。石炭は私企業です。私企業に利子補給するのですよ。いまも利子補給しているのです。ことしの予算を見れば五十億円を組んでおる。そうすると、人間の命を扱う公的な施設を改善するところに、利子補給というものを何もやらないのです。同じ保守党の政策の中で、企業についてはうんと金を出すけれども、人間の生命を扱う医療機関だって一つ企業だ、それに政府は利子補給というものをやろうとしない。零細な労働者から金を取り上げて、その赤字までまかなっていこうということ、これは政策としてはおかしいじゃないか、せんじ詰めて言えばこういうことなんです。石炭についてそういうことができるなら、医療についてできないはずがないじゃないかと言っておる。しかも炭鉱地帯においては、医療機関はみなつぶれておって、大災害が起こったとき、第二会社なんというものは入るところがなくなっておるという事態があるわけなんです。そういうものについて何か処置をしてやる必要があるんじゃないかと言うけれども、どうも若松さんは歯切れが悪い。だから、もう少し歯切れをよくしてもらいたい。あなたが供給体制の責任者ですよ。あなたがそれができないなら、医療課長にかわってもらったほうがいい。浦田君に来てもらって、浦田君に質問したほうがいい。一体どうするんです。いまのように回りくどいことを言わずに、いまのコバルトの例が一番いい例です。診療報酬からそれを払わしていくならいきますということでかまわぬのです。転換点だから、いままでどおりでそういうことでいけば、この健康保険赤字はいつまでも直りませんと言っておる。そう  いう設備のことから何から単純生産でやれというなら、医療内容を下げるか、二十年しか使えないものを三十年使ってやる以外にいま言ったような金は出てこない。それでなければ乱診乱療する以外にないのです。いまの日本医療はそういう事態に追い込まれている。医療の責任者のあなたがここで左せんか右せんか、もうハムレットのようなことじゃだめです。平重盛みたいなことではだめです。やっぱり清水の舞台から飛びおりるというならば、目をつぶっておりなければいかぬ。いまその時期が来ておるのです。おれは職をかけても、いまの診療報酬体系はいかぬからこういうように改めるんだと言えば、財源はまた政治家は考えますよ。医療を守るあなたが、やはりその方向だけはきちっと信念を持って示さなければいかぬ。歴代の医務局長は信念を持って示さなかった。曽田さんだけは信念を持って示したのです。だから信念を持って示してください。こういうふうにして鈴木さんを補佐する。鈴木さんはしろうとですから、あなたがこうだと信念を持って押していけば、鈴木さんはその方向に向きますよ。鈴木さんは頭をどっちへ向けていいかわからぬでおる。これをどっちに向けさせるかということが両局長の補佐です。いま熊崎さんの側に向いておって、あなたの側に向いておらぬのです。だから、これをあなたの側に向けさせなきやならぬところに来ている。どうしますか。
  34. 若松栄一

    ○若松政府委員 焦点をしぼってコバルトについて話をしろというお話でございますけれども、先ほど来公営企業の問題でも不採算地区ということを強調されましたけれども、不採算医療で申し上げますと、たとえば、いまのガン診療に特殊な、高度な機能を備えるためにコバルト六〇等を備えるということは、不採算医療に属することでございます。したがって、そのようなコバルト六〇等を特殊な公的病院に装着する場合、これは一般会計で援助すべきものというふうに申し上げておるわけでございます。
  35. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、自治体の病院に一般会計から援助すべきものだと言っても、一般会計は出さないですよ。これからガン対策をやろうというので、三十億要求したが二十億くらいしかとれなかったけれども、ガン対策をやろうというなら、国がこの金を出してその病院につけてやるべきものなんです。そうでしょう。ところが、それを三分の一くらいの補助金を出す。あとはおまえのところで独立採算制でやれ。自治体のほうは、院長おまえがやりたかったら、おまえのほうの採算でやれるならば許そう、こうなる。議会だってそうなっちゃう。それがいまの状態ですよ。だから、病院としてはかせがなければならぬ。だから、いまや公的医療機関は、もはや独立採算制の名のもとに独立採算制という手かせ足かせをはめられて、四苦八苦。かせがなければならぬから、したがって鈴木大臣の認識のように、実際はそれでもうけてやっていないけれども、薬でもうけてやっているように思われてしまう。したがって、病院も思われるからやらないと損だということでやる、みなこういう形になっておるのです。あなた、これは一般会計からすべきものだと言うならば、コバルトなんか各県に一つずつ据えつけてやっても、十億か二十億あったらできるのですよ。自民党の総裁選挙だって十億使うんだから、それくらいお出しなさいよ。そういう点がいかぬのです。ここは、ガンについては池田さんのあれもあるから罪滅ぼしに熱心だ。だから、ガン研究についてコバルトを出しておる。しかし、健康保険で見てもらえない。だから、かかる人は、金を持っておる一部の特権の人々でなければかかれないのです。こういう形でガンの対策についてうんと宣伝するけれども、その経費はわずかですよ。七千三百億公債を出すなら、その中から三百億出したら全部たちどころにできちゃ。ほんとうにガン対策をやるというならやらなければいかぬ。アメリカは四百四、五十億ガン対策に出すのですよ。池田さんが言うように、日本経済は、いまやアメリカとヨーロッパと日本の三本柱の一つにのし上がってきたというなら、アメリカの十分の一くらい出したら、いまのコバルトくらいのものはみんな国の負担でできちゃうのですよ。こういう政策というものはそういう形でやらないと、これはなけなしの保険財政の中からやるというなら、それは全部労働者負担することを意味するわけです。だから、鈴木大臣答弁ももらいますが、大蔵省としては、診療報酬体系を確立する場合に、独立採算制はやめた、やめたならば、いまのような重要な、その国の政策に合ったような政策費というものを、診療報酬の中から出させる政策というものを依然としてとっていくのか、それともこれはもうこの際やめるというつもりなのか。これは鈴木さんとあわせてひとつ主計局も答えてもらいたい。
  36. 平井廸郎

    ○平井説明員 先生のただいま御提出になりました問題は、診療報酬体系基本に触れる問題でございまして、四十二年度を目途として医療問題を基本的に御検討になる過程におきまして、その問題も検討されるであろうというふうに考えております。
  37. 滝井義高

    滝井委員 私たちは、基本になる問題だ、基本になる問題だと先に延ばされることは困るわけです。なるほど昔から、ものごとをそのときに解決せぬで、自分の時代より先に先に延ばした政治家は偉い政治家だとよく言うけれども、それはもう昔の政治家であって、いまや人工衝星の飛ぶ時代の政治家というものはそれではいかぬ。やはり自分の時代に起こった問題は、その時代に解決していかなければいかぬわけですよ。そういうことを政府が言うのならば、私たちもこの法案はひとつ待ってもらいたい。赤字がうんと積もれば積もるほど政府があわてていい対策を出してくるのだから、もっと赤字を積ませますよ。七百億や八百億の赤字じゃ足らぬから、あわてないから、これで二千億、三千億積もると、福田さんもこれじゃいかぬ、これにひとつ公債の半分を持っていって、道路はしばらくやめようということになると——私たちは道路はあとでいいと思う。道路よりかこれのほうが先だと思っている。何だったら、参議院にまだ予算がありますから、道路の予算をこっちに削りましょうよ。そうすれば、何も抜本対策が出なくたって解決できますよ。だから、いまのような答弁では、これは質問したって同じですよ。幾らわれわれが徹夜で勉強してきて質問をしたって、抜本策が出るまでは私たちは答えられません、これは一番ポイントでしょうが。一体いままでどおりの単純再生産でいくのか、拡大再生産をとってやるのかということは、今後の需要体制の問題にしても、診療報酬体系の問題にしても根本ですよ。この出発点のここが明らかにならなければ、供給体制は確立しないですよ。医療供給体制を確立しようとすれば、単純再生産のいままでどおりでいくのか。いまは独立採算制はもうやめた、こういうことです。これは一つ成果です。それならば、いま言ったように診療報酬体系に拡大再生産を加味するかどうか、これをあなたは答弁するのが当然じゃないですか。医務局長、どうですか、専門家として答弁できなければ、研究する時間を待ってもいいですよ。
  38. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 先ほど来お話を申し上げておりますように、公営の公的医療機関、これに対しましては負担区分というものを明確にする、そして政令によってこれを明確にいたしまして、一般会計から補てん、助成をする、こういうことを申し上げたのでありますが、そこで、これから実は自治省、大蔵省、関係当局とその政令の負担区分の問題でいろいろ折衝が行なわれるわけでございます。私どもは、せっかく医務局長から申し上げましたように、不採算地区あるいは不採算医療というような面につきましては、これは一般会計から補完、助成をすべきものである、こういう考え方でございますから、そういう面で関係当局と話し合いを進めたい、このように考えておるわけであります。そのほか、金融面につきましては、医療公庫でありますとかあるいは福祉事業団でありますとか、そういうところから長期低利の資金を融資いたしまして、できるだけ負担を軽減するように措置いたしておりますことは、滝井さん御承知のとおりでございます。
  39. 滝井義高

    滝井委員 大臣御存じのとおり、公営企業法の一部を改正する法律と、それから労働省の雇用対策法と、それから自動車の損害保険法律の三つというのが予算関係法のうち一番難航しておったが、公営企業も自動車損害保険解決して、いま予算関係法案で出ていないのは、たった一つ雇用対策法だけです。それで公営企業法は片づいたわけです。片づいたから出ている。問題の政令は提出をされて、近く本会議で提案理由を説明して、質問することになっておる。したがって、その政令の内容というものも明らかにするのは当然です。いまのように、公的医療機関については負担区分を明確にする、その内容は政令で定めて一般会計から補てんするようにしますと言うけれども、いま言ったようなぐあいに、実際に病院に一般会計から地方自治体が出すということを言わなかったらばそれまでなのです。よほど明確に政令で項目を書いておかなければやらないわけですね。そうすると、一体どういうものを書くかということが一番大事なのです。それは、法律を出したときにはきめておいてもらわぬことには、これは困るわけです。しかも一番大事な診療報酬問題の大問題でしょう。ここは、やはり中に入ったときの診療報酬体系をどうするかということのポイントになってくるのですよ。それをまだ何もやらぬというならば、これはひとつ私の次回の質問まで保留しておきますが、やっていただけますか。これは法案が出ているんですよ。
  40. 若松栄一

    ○若松政府委員 この法案提出いたします前に、自治省と私どもと協議をいたしまして、大体私どもとして予想している内容はこういうものであるということを申し入れ、向こうも、なるほどそういう問題が出てくるのだということを確認いたしております。これが正式に政令の条文にどういう形で載るかということにつきましては、まだそこまでの段階でございませんが、内容についての話し合いはすでにいたしております。
  41. 滝井義高

    滝井委員 それならば次回に自治省を呼んで、あなたのほうともう少し具体的に政令の内容を明示を願わぬことには、これはこまかく診療報酬体系の中に入っていけないですよ。私、これから質問するのもこれに関連があるのです。そこで、それはひとつ次会までに——次会、いつ私が質問させていただくかわかりませんが、残った分については質問させていただきますし、総理、大蔵両大臣も呼んでもらわなければならぬと存じますが、大臣、いまのところはぜひひとつ事務当局に命じて具体化してもらいたいと思うのです。それでその内容をもう一ぺん質問します。いいですね。いいそうですから……。  そうしますと、インターンの経費です。ことしの予算を見ますと一億三百四十九万六千円、いままでよりか三千三百二十五万円よけいに実地研修のための経費は計上されているわけです。その公的医療機関というものの一つの資格に、看護婦の養成とか、こういう実地修練制度を運営するだけの設備と人的な構成を持っているというものが、やはり公的医療機関としては非常に優秀な部類に格づけされるわけです。いまインターンの学生諸君が言うのには、身分を保障してくれ、指導体制を確立してくれ、それから同時に経済的な保障もしてくれ、こう言っているわけですね。これも三年か四年かになるけれども、一向に結論が出ないんですね。この経費は診療報酬の中から払うことになるんですか。
  42. 若松栄一

    ○若松政府委員 そういう経費は、当然診療報酬以外の経費としてまかなうことにしております。そういう意味でインターン施設に対する諸経費等を補てんするために、本年度約七千万円程度の経費を計上いたしたわけでございます。また、インターンを指導する先生についても、これは当然指導費としてある程度の手当てをしなければいかぬ。これも当然、診療収入以外のものであるとして国費でもって支出する。ただし、まだ十分とは言えない額であることは残念でございます。
  43. 滝井義高

    滝井委員 文部省いらっしゃっていますか。——いまの大学病院においては、インターン学生の身分を保障するということになれば、当然——司法修習生ですか、いわゆる裁判官や弁護士になる諸君、司法研修所ですか、それは月に二万円ずつもらっていますね。今後インターン制度を確立するということになれば、当然、いまのように国が全部経済的な保障をする金を出すことになるわけです。一万五千円とか二万円出すことになるでしょうが、いままでは大学病院は何か金を出していますか。
  44. 木田宏

    ○木田説明員 現段階では、大学病院として特別な措置はいたしておりません。
  45. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、指定をした大学病院以外のところは出しておりますね。
  46. 若松栄一

    ○若松政府委員 出しているところと出していないところとございます。数としては、大多数が若干ずつは出しております。金額は非常にまちまちでございまして、ごくわずかのところと一万数千円程度までございます。
  47. 滝井義高

    滝井委員 その金は主として公的医療機関が多いわけですが、それはいまは診療報酬から出しているわけですね。
  48. 若松栄一

    ○若松政府委員 現在のところはそうなっております。
  49. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、出しておるところが多いのに大学の病院はどうして出さないのですか。
  50. 木田宏

    ○木田説明員 現在、インターンの実施につきましては・厚生省の御当局でその体制について御処置をくださっておるわけでございまして、大学のほうはその配当を受けまして、配当を受けた事態においてその御指導を申し上げておるということでございます。事実上あるいは厚生省のほうで御処置をいただいている経費以外のものが、あるいは現実問題として出てきているかもしれませんけれども、予算上の措置として特別なものは私どもいたしておりません。
  51. 滝井義高

    滝井委員 それはちょっとおかしいです。予算上の措置として出ていないけれども、現実には出ているかもしれないという、そこはちょっとはっきり言ってください。これは同じインターン生で、ある指定された病院に行ったら一万数千円の金が出た、しかし、大学の病院に残ったらそれが出ない、こういう一つの教育課程の中において格差をつくっておいてはいかぬ。医療において格差是正します。是正しますと大きいことばかり言っているけれども、まず脚下照顧、自分の足もと、教育の第一歩からすでに格差をつくってやっているじゃないですか。そういうことじゃいかぬわけです。その経費はどういうところから出しているんですか。
  52. 木田宏

    ○木田説明員 私が申し上げますのは、現実に指導するときの経費が、病院の、特にインターンということでなくて、大学院学生とか研究生等の扱いと同じようなことで指導の処置がとられておりますときに、何がしかそういうことの掛かりが出ておるということはあり得るかというふうに私ども思っております。しかし、インターンの指導費として、特に大学病院側が特別の予算上の措置をしておることはないと実は申し上げたわけでございます。
  53. 滝井義高

    滝井委員 いや、もうちょっと明確に言ってください。インターン、いわゆる実地修練生に何ぼか金をやっていますか、こういうことを言っておるんです。
  54. 木田宏

    ○木田説明員 出しておりません。
  55. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、さいぜん出しておるというのは何を出しておるのですか。
  56. 木田宏

    ○木田説明員 それは事実上の指導費として、諸掛かりがかかっておることがあるであろうというふうに申し上げたわけでございまして、特にインターン生のための経費として支給をしておる、こういうものはないというわけでございます。
  57. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、他の病院はみな出しておるのにどうして大学だけ出さないのか。大学から生み出した同じインターン生ですよ。それをAという病院へ行ったら一万数千円出しておる。ところが、大学はそれを出さないのはどういうことか。片方出して、片方出さないのはおかしい。
  58. 木田宏

    ○木田説明員 インターン生の処遇のことにつきましては厚生省のほうで御処置いただいておるわけでございまして、その厚生省のほうの御処置として配当になりましたものをお預かりしておるわけでございますから、特に大学でインターン生に対して何がしかの経費を支給しろというようなお話も伺っておりませんし、私どもとしては、体制としてはお預かりしてなすべきことは指導しておるということであります。
  59. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、大学では金は出せとは言っておらぬが、片方では出せと言っておるから出すのでしょう。出すなと言ったら出さないのです。インターン生は公の金を収賄しておる。診療報酬というのは公の金だ。大学の病院で出さなくてもいいものをほかのところで出せという、そんなばかなことはない。若松さんのほうでは、そういう指導をしておるんですか。だから出せないなら出せない、出せるなら出す、そのどっちかをきめなければならぬ。あるところは出しなさい——これは修練中でしょう。それをむちゃくちゃに、あるところは出すが、あるところは出さぬ。あるところは一万五千円、あるところは三千円しか出さぬ。そういうアンバランスはおかしい。そもそも医療は初めのところからアンバランスですよ。こういう教育が問題ですよ。だから、この保険財政は雲の上のことばかり言っておるけれども、そもそもイロハのイのところからあやまちをおかしてきておる。これが、大臣、いまの実情ですよ。さっぱりわからない。インターンに対する報酬はさっぱりわからぬ。一体金を出すのか出さないのか。出さないなら全部出すな。出すなら、文部省所管の大学病院だって出さなければならぬ。そうでしょう。そういうことをやっていないから混乱するんですよ。そうじゃないか。あなた方は七カ年間でなければいかぬ、諸外国に比べて一年は絶対にやっていなければ実力は落ちる、こうおっしゃるでしょう。これを一体出すか出さないか、四十一年度はどうするのか、全部出せるようにするのか。
  60. 若松栄一

    ○若松政府委員 実はこの問題につきましては、四十一年度の予算編成の過程におきましても私ども種々検討いたしました。インターンの指導内容の向上ということと、インターン生に手当を出すかどうかという二つの問題がございまして、指導内容の向上については、若干ながら、先ほど来申し上げましたような進展を見たわけでございます。ただ、手当の問題につきましては、現在のインターンというものは、卒業はしておりますが、まだ医師免許を持っていない修練中の者である。もし法律改正等をいたしまして、卒業後国家試験を行なって医師の資格を得てやらせるといたしましても、なお国が義務としてやらせるということで、やはり国が義務として修練をさせる段階であるというようなことになりますと、これは学校教育の延長ではないにしても医学修練の段階であるということで、いわゆる修練中の者として給料は出さないということが本義であるか、あるいは修練であっても修練を行なう行為それ自体が診療行為にもなり、ある意味では労働力として役立つという意味で若干の手当は出すべきではないかという二つの議論が出まして、結局修練ということでインターン実習期間に対して非常に重荷になる、そのためにいろいろな経費もかさむので経費の補充もしなければならない。一面労働力として、ことにインターンの後半期になりますと、どこの病院でもある程度の手助けになるということは認めております。そういう意味で、若干の労働力としての意味もあるということで、結局重荷になる面と労働力になる面と、両方がある。したがって、一人前の報酬ということは当然考えられないけれども、若干の手当は出すのが至当ではないかという気持ちを私どもは持っておりまして、しかし、この問題は、三千名というような非常に膨大な数になりまして、一挙に手当を出すというようなことがどうも現在の段階で困難であろうというようなことから、残念ながら見送った。  もう一つの問題は、この問題とすぐにからんでまいりますのが、いわゆる無給副手の問題。インターンのときには給料を若干ながらもらう、無給副手になると今度また給料がないという問題で、この問題の範囲が非常に拡大してまいりましたので、そういうことで、とうとう踏み切れなかったというのが実情でございます。
  61. 滝井義高

    滝井委員 その点御説明されたけれども、何も問題解決具体案が出てないわけです。ただ現状はこうなっておりますという矛盾を出しただけでしょう。だから、あなたが一挙に一から十まで解決しようとするからだめなんですよ。われわれは小学校から順々に習ってきて、いまになってきたのですからね。だから一年からやったらいい。インターンから解決したらいい。三千人おって二万円出したって、七億二千万円あったら十分解決するのでしょう。七億から八億あったら解決するのですよ。七億から八億ぐらい。四兆三千百四十二億、ヨサンデイイヨニナルというのなら、まず一歩からいいようにしていったらどうですか。それを今度は無給の医局員までだんだん拡大をして——それは大学の総長の給料までいきよったらいつまでたっても解決できない。百年河清を待つにひとしい。だから、まず七億二千万円を確保することですよ。たった一億しかとっておらぬじゃないですか。だからこれは、予備費か何かあれば、ここにもう八億ぐらい出しなさいよ。そうしてそこから解決したらいい。とにかく、ごめんくださいといって病院へ入ったときに問題がある。それを解決しない。医療供給体制の人間の第一歩から問題が解決されてないでしょう。もうこれは五、六年になりますよ、インターンの問題。何回われわれがここで言うかわからない。それも一千億もかかるというなら、それはたいへんです。しかし、十億以下で解決できる問題なら、一回の総裁選挙をちょっと延ばしたらいいじゃないですか。それで解決する問題なんです。何回も言うのだけれども……。だからこれは、こういうところをやらずに、いつまでもいつまでも延ばしておるからいけないのです。そしていま言ったように、あるところへ行ったら一万数千円くれます。しかし、こちらは金を出しません、こういうことでしょう。だから、鈴木さんどうですかね。インターンの経費というものは、診療報酬には入れないということははっきりした。これで医療費の中におけるロスというものは一つ省けるわけです。そうすると、そのロスを医療費の中に入れないといって外に出したのだが、外でこれをだれか引き受けてくれなければ問題の解決にならない。だれが引き受けるかということです。まず隗より始めよで、大学病院から始めなければならない。自分が生み出した子供のあと始末を、大学病院ができるなんというばかなことはない。だから、文部省の予算につけてやる必要があるわけです。文部主計官は来ておったかね。平井さんの所管ですか、そうじゃない。だれですか。これはぼくが数年前にここでやはり同じようにやっているのです。そして、これは検討します。もう数年前に、春山さんが大学課長のときだ。春山さんはどこに栄転されたかわからぬけれども、春山さんのときにやっている。それでまた同じことを言っても、ちっとも前進してない。もう私も白髪がはえておる。鬢髪白きを加えておる。青春の時代にやったのが、鬢髪白きを加えておる。これは話にならぬ。何と学のならざるのおそきよということになる。それではいかぬですよ。もう何回春が回ってきて、同じように花が咲いておるかわからぬが、インターンの問題は前進しておらぬ。そもそも医学の入り口ではないですか。これから実地修練をやろうという入り口の問題が解決しないなんて、ばかなことはないですよ。これもやはり文部大臣を連れてこなければだめなのかな。他の病院は、指定されたものは出しているところが多いのですよ。そうしますと、大学だけが出さぬなんて、大学が出したら他のものは全部出すのです。それを出してくれと言う権限は、若松さんのほうにはないのですか、あなたはそれは言えないのですか、文部省のほうに遠慮なさって言えないのですか。
  62. 若松栄一

    ○若松政府委員 そのように方針をきめれば、文部省と協力してやることになります。
  63. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、方針がきまればということになると大臣の決断ですね。いま言ったように、春山さんが大学課長のときから言っているのです。これは無給医局員のことも言っている。  そこで、大臣どうですか、すでに民間の指定された病院は、多いところは二万円、少なくたって一万数千円出しています。そうすると、あとは大学の病院が出す態勢をつくればいい。そのためには、これは診療報酬からは出せませんということを医務局長は言明したのだから、そうすると、診療報酬以外には一般会計からつけてやる以外にないのです。これをつけてやればいいわけですね。これをつければ、インターンの問題は解決してくるのですよ。指導体制の問題というのは、少ないながらも金がついているのですから。これを解決したら、来年、再来年に、徐々に無給医局員の問題を今度は解決していけばいい。それを一挙に無給医局員まで解決しようなんて、あまり隴を得て蜀を望むようなことを言うからいかぬ。まず隴を確保するということですよ。
  64. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 インターン生の問題につきましては、先般の四十一年度の予算編成にあたりましては、これを教育する、研修させるという受け入れ側に対する若干の財政的な措置をいたしたのでありますが、インターン生そのものに対して手当を出すかどうか、こういう問題につきましては、制度の問題とあわせて検討したい。つまり先ほど医務局長も申し上げましたように、インターンという修練期間を置いて、しかる後国家試験で医師の免状を与えておる現行制度を、大学を卒業すると同時に国家試験を受けさせて、医師の資格を与えてから義務的に修練期間を設けということに改めるかどうか、こういう制度の問題があるわけでございます。いま実は沖中虎の門病院長を委員長お願いをいたしまして、このインターン制度の問題につきまして御意見を伺っておるところでございます。私は、四十一年度の予算編成にあたりましては、遺憾ながらその明確な結論が出ていなかった段階でございますので、先ほど申し上げましたように、インターン生を預かる面の謝金あるいは設備費の一部ということで一億幾らの予算措置を講じた。今後この問題につきましては、インターン制度をどうするかという制度問題とあわせまして、四十二年度の予算の際に対策をはっきり確立をしたい、かように考えております。
  65. 滝井義高

    滝井委員 歴代の大臣、みんな同じことを言うのです。制度の問題があるからと言うけれども、これはいまだれも廃止しようという論は——一部の学生にはあります。しかし、自民党だって、政府だって、私たちだって、医学教育をインターンを含めて七年制を五年にしよう、六年にしようという意見はないのです。これは少数意見です。そうすると、実地修練はどうしたってやらなければならぬ。これはいまあなたのほうだって、これを制度的に廃止するということはない。そうすると、現実に指定された病院に行けば金を払っているのだから、問題は、国立病院その他が出すか出さないかということが大勢を決定してくるわけです。それさえ腹をきめれば、制度というものは確立をしてくるのですよ。私もむすこを医者にしておりますが、大学を六年もやって、今度またインターン一年、大学を卒業して四年も五年もすねをかじられたら、すねがなくなっちゃう。むすこがかじる親のすねは細くなってしまって、骨ばかりになってしまうのです。だから、それではいけない。そこにこういうものを、いままでほおかぶりをして診療報酬でやらしているところに問題があるのです。これが同時に、医療保険赤字の問題に関連をしてくる。だから、私どもこの保険経済を論議しようとすれば、そのぜい肉を切り落としてしまわなければいけないわけですよ。長生きをしてマラソンで勝とうとするなら、ぜい肉を切り落とさなければだめですよ。そういう意味で、私がいままでずっと初めから指摘してきているのは、そのぜい肉と思われる部面を、とぎのいいさしみぼうちょうで一つ二つ切り落としていこう。そして、ここに出てきた筋骨たくましいからだで一万メートルのマラソンをゆうゆうと飛んでいける保険経済にしなければいかぬというので、一つ一つ切り落していっているわけです。それについてもまた来年というなら、今年中に抜本対策を出すと言うけれども、来年、再来年、いつの日にかわからぬ、ますますしわがふえちゃうということになる。もうそのときには国会議員でなくなっちゃう。それではいかぬと思う。まず、インターンの七億二千万の問題じゃありませんか。ところが、これが七億二千万円だけれども、出発のときの七億二千万円というのは、深山幽谷から発するせせらぎもだんだん流れていくと、海に注ぐときには左岸と右岸とが呼べども答えず、はるかかなたになってしまうから、出発点が大事です。だから、こういう初めから格差をつけたような教育の方針でやっていくということではいけない。ほかのところがやっているなら、まず大学にもやりなさい。そういうことです。そのためには、七億二千万の金を中村文部大臣鈴木善幸厚生大臣が力を合わせて福田さんを説得すればできるはずです。七億二千万円取ったらいい。こういうことは私がいままで述べた中で一番やさしい、一番やりやすい政策ですよ。しかも佐藤内閣は、社会開発、人間尊重、青少年の生きがいのある世の中をつくろうとおっしゃっている。これも羊頭を掲げて狗肉を売るなら別ですが、少なくとも羊の肉を掲げておるなら、このくらいのことはやらなければいかぬ。またことしも取れぬから来年というなら、鈴木さんが厚生大臣だかどうだかわからぬ。だから、ことしからやるということにしなさい。いまならまだ間に合うのです。
  66. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 まず第一にはっきりいたしておきたい点は、民間の病院あるいは公的な病院等でインターンを預かりまして、一万円とか一万五千円とかあるいは数千円の手当を出しておる。これは医療保険の診療報酬の中から出しておるのではございません。これははっきり保険局長からもお答えできると思うのでございますが、現在診療報酬体系の中には、インターンの手当の分としての積算の基礎はございません。これは全然別でございまして、したがってこのために診療報酬が高くなっておる、それだけ負担を増しておる、こういうことではございませんので、この点は明確にしておきたいと思うわけでございます。  それから、いまの制度の問題につきましては、滝井さんもすでに御承知のように、相当問題点が煮詰まってきておる。沖中先生等も熱心にこの結論を急いでおられまして、きわめて近い機会にこの結論が出るのではないか、そこで、国家試験を通った医師としての資格を持った者に対する報酬なり手当なりというものと、まだ国家試験を通っていない、医者でない者に対する処遇という場合とでは、だいぶ予算要求の際におきましても、やはりいろいろ話し合いの、この交渉の際に問題もございますので、私は、まず制度の問題を近いうちに結論を出していただいて、そしてそれに基づいて昭和四十二年度の予算編成にあたって措置したい、こういうことを申し上げておるのであります。
  67. 滝井義高

    滝井委員 制度の問題を確立してからといえば、ことし卒業する連中はまた中途半端になってしまうわけです。だから、こういう問題は、思い切って金を出したって七億二千万円ですから、損をしたと思ってもそれはそれで損にならないのです。みんな一緒になるのですから。だから金を出したらいい。いま現実にもらっておるのだから、もらっておるところともらっていないところがあるからいけないのです。だから、もらっていないところだけ出したらいい、こういうことです。私は、いまの積算した診療報酬の中にこのインターンの経費が入っているということを言っているのじゃない。いわゆる診療報酬の支出としてインターンの金を出しているということです。この出しているということはそれだけ支出がふえるのだから、間接的には医療費の拡大になっている。だから、そういうものは全部落として、そういうものは医療費の収入から出すべきじゃないということにしてしまえば、それだけ診療機関には余裕ができる。余裕ができればいい機械を買ったり、いわば優秀な技術者を雇える給料が払える、こういうことになるのです。そういうことを言っているのです。私がロスと言うのはそういうことなのです。ぜい肉と言うのはそういうことです。いわば収入の中から当然出してはいけないような支出が出されておる、こういうことなのです。だからそのことと同じです。さいぜん言ったように、災害のときの金を出すということはやらせません、こういうことと同じなのです。このインターンの養成の経費まで、生活保障費までその病院に出させてはいかぬ、こういうことです。それは国が出しなさい。それは現実に出しているのです。ただ文部省のところだけは、初めは出しているようなことを言っておったのですけれども、出していないと言うから、それならその分を出しなさいということになれば、これは制度的にきちっといくわけです。何も制度を待つ必要はない。制度を待ったときにやるようになったら、その予算を組みかえてもいいし、もしやらぬということになれば来年落としたっていいのですから、こういうものは何も制度を待つ必要はない、一年待ったらまた来年というように、あなたのあとにでも大臣がかわったら、またもう一年待ってくださいということになる。いままでもそうやられてきたのです。これは数年前にやはり同じことを言っておりますけれども、そういうことなのです。だから同じことの質問なら、声をからして大きな声を張り上げて、勉強してやる必要はちっともない。こういうものは即断即決でやらなければいかぬ。予備費を回したらいい、ことしはいままでよりも予備費が多いのですから。これは滝井義高が言うたので思わざる経費になりましたと大蔵大臣に言ったらいい。ことしの予備費は六百五十億、去年は五百億、百五十億ふえているのですから、その中から七億か八億ぐらいの金を出してもらったっていいです。これで保険財政の明確な方向が第一歩としてつくというなら、金としては安いものですよ。だからこういう点、いままで十時十五分から御質問を申し上げておったけれども、ちっとも明確な答弁というものが出てこない。ただかゆいところに手が届かないような状態で、ぐるぐる堂々めぐりの議論をしているようなだけでしょう。おそらく諮問機関でも同じことを言っているだろう。だから、こういうときには大臣が決断して、よろしい、引き受けましょう、大蔵大臣と折衝いたして、まずこれから確立しようぐらいのことを言おなければ、政治家同士の一問一答なんて意味ないですよ。事務官僚同士のやり方ならいいですけれども、これでは、われわれが情熱を傾けて、この日本の千四百億になんなんとする保険財政赤字を克服しようと思ってやったって、意味がないことになってしまう。どうですか、これは。それでは厚生省はしばらくおいて、文部省、他のものが出しておるのですから、文部省もひとつ、これは診療報酬から出してやむを得ぬと思うのです。このくらいの金は大学の経費から出せるはずです。一体、全国の国立大学の病院に預けておるインターン生というものは、いまどのくらいおるのですか。
  68. 若松栄一

    ○若松政府委員 卒業すべき数が二千八百人程度でございますが、現実には約三千名出ておりまして、二百六十九施設でインターンが実地修練を行なっております。これは三十九年の実績でございます。
  69. 滝井義高

    滝井委員 二百六十九施設にインターン生が修練に行っているのだが、大学には何人行っておりますか。国立大学に何人預けてありますか。
  70. 木田宏

    ○木田説明員 三十九年度のデータで申し上げますと、三千人の実地修練生の中で、大学でお預かりしておりますのが千二十八人でございます。
  71. 滝井義高

    滝井委員 そうすると三分の一ですね。だから三分の二は、二百六十九施設のうち大学は少ないですから、二百有余のものは出しているわけです。一万数千円出しているわけです。八千円か九千円くらいのところもありますが、出しているわけでしょう。大学だけ出していないのです。そうすると、この三分の一の千人の人は差別待遇を受けているわけです。それは、なるほど大学におまえは行ったからしかたがないじゃないかと言うのだけれども、だからこの千人分の経費をこれは大学が出してもいいわけですよ、他のものは出しているのだから。これは何も予算とかなんとかでなく、診療報酬の中から出したらいいんだから、出せるわけでしょう。これを出してください。ほかのところは出しているのですから、大学が出さぬという理屈は成り立たぬわけです。そうすれば、問題は今年は解決するわけです。そうして来年は、大学も出したからというので予算要求すれば、鈴木さんも予算要求しやすいし、制度的にも確立しやすいわけです。これは、大学の収入の中からやりくりしてやれば出るわけですよ。こんなことをここで言ってはどうかと思うのだけれども、かつて東一で洋服だんすその他を貸してお金を取っていたわけです。私、ここでやかましく言ってやめさせました。その経費は一般会計に入ったわけではなかったわけです。やりくりして、病院のいろいろの運営や何かにやっておったわけです。福祉的なものに使っておったのでしょうね。そういうものは、大学病院はあれだけの大きな機構ですから、一カ所が一億も二億にもなるわけじゃないですから、全国で千人かそこらなら、一万円ずつやったって、全国で一億かそこらあればできることになるわけです。あるいは一万円でなくても、七千円か八千円でもいいです。だから、そういうことを、他のものはやっておるのだから、他のものの実態を調べてやらなければいかぬです。これをやることが、いま難解の無給医局員制度の問題に波及してくる、解決ができるのです。ところが、一挙に無給医局員までやろうとするからできない。だから私は、ことしこれをやったら、今度、来年は無給医局員に挑戦しますよ。だから、ことしはぜひこれを文部省がやるという腹をきめればいいのです。どうですか。これは病院のやりくりの中から出ますよ、全国の病院で一億ですからね。
  72. 木田宏

    ○木田説明員 インターンにどのような手当を出すかという問題は、やはりたてまえの問題ではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。でございますから、現に派遣を受けてお預かりしておるところが、個々にその手当の問題を考えるという筋道のものではないのではないかというふうに考えております。それぞれ現にお出しになっておるところがあることにつきましては、私どもほとんど承知しておりませんけれども、インターン生の手当の問題は、修練の指導を引き受けたところで出すんだというたてまえでありますならば、またそのようなことで私ども考えなければなりませんけれども、現在の段階ではそのようなたてまえになっておるということも聞いておりませんので、私どもが国立大学でお預かりいたしました場合に、その御指導を申し上げるということがお預かりした私どもの責務と考えておりますが、そのインターン生である者に対する手当ということは、たてまえとして別のことではなかろうかというふうに存じております。
  73. 滝井義高

    滝井委員 いや、三千人のうち二千人近くは出しているので、他の施設に行っておる者はもらっておるのだから、それならば、出すたてまえでなければ出す必要はないと言うべきなんです。そうじゃないわけでしょう。他の病院が少なくとも一万数千円出しているということは、医務局長みずから言われておるとおりです。だから、こういうように国の施設は出せない、しかし、民間の施設に行ったら出せるのだということがおかしいですよ。それだったら民間にみなおやりなさい。これからみな出すという通知を出しなさい。どっちかにしないと、のほほんとほおかぶりして、こういうことを言ったってだめですよ。ほおかぶりしたって、それは左と右はほおが手ぬぐいでおおわれるかもしれないが、前のでことうしろのでこが出ておるのだから、そういう政策をとるものではない。しかもこういう学問上の重要な一環でしょう。どっちかおやりなさいよ。どっちですか。このまま制度が確立するまで知らぬ顔をしていくなんて、できるものではない。許されぬです。権力で通すことはできない。文部省がそういうたてまえになっていないと言うようにするか、それともあなたのほうから出してくれという要求をするか、どっちです。制度化するまではやらぬと言うならば、やめさせなければいかぬですよ。そういう何かあいまいもこたる形で、世の中を渡っていくということが間違いなんですよ。これはどうですか。はっきりしてください。鈴木さんが制度を確立するまで、制度になっておらぬから私どもはやらない、文部省はこう言っておる。ところが、現実に他の施設はやっておるでしょう。
  74. 若松栄一

    ○若松政府委員 先ほど来も申し上げましたように、私ども予算編成の途中でいろいろ検討いたしました段階では、そういうふうないろいろな見方がございますので、一人前の俸給というわけにはいかぬけれども、若干の手当を出したほうがよかろうという気持ちはかなり動いております。しかし、現実にはいろいろな問題を考慮して、直ちにできないということであきらめざるを得なかった。したがって、私の気持ちとしては、現在でもある程度のものは出してやりたいという気持ちはございます。そのために、できるだけ宿舎は提供できるようにしてくれというようなことを申しておりますし、手当等についても、できれば若干でも出してくれということをむしろ指導をいたしております。
  75. 滝井義高

    滝井委員 それなら大学病院にも、病院としてはあなたの所管ですから指導したらよい。他の病院が、診療報酬の収入の中からやりくりして出しておるわけですから、大学病院も、診療報酬の収入があるはずだから、できぬはずはない。他の公的医療機関ができて、大学病院ができないというはずはないわけですよ。それならば、他のものも会計検査をしてやめさせなければいかぬ、そうでしょう。
  76. 若松栄一

    ○若松政府委員 これは法律、規則等で規制して出せ、出すなという問題ではございませんので、法律で禁止するとか、あるいは法律で支給を強制するとかいうことになっておりませんので、もっぱら道義的の問題であり、また実際上の問題でありまして、若干の手当を出すことによって、インターン生が非常に落ちついて勉強することが、その病院にとっても教育にとってもいいという判断を持てば、その施設がある程度の手当を出しておる。そういうことは結果において望ましいとわれわれも思っておりますので、そういう指導をする。しかし、これを画一的にこうしろ、こうしろという規制をするわけにはまいらぬのでございます。
  77. 滝井義高

    滝井委員 それなら、他の病院にそういう指導をしておるのなら、大学病院みな指導したらいい。大学病院、できるでしょう。その方針で御指導できるでしょう。まず足元の大学病院から始めなければ話にならないわけですよ。だから、そういう点になると厚生省は非常に弱くなるのですね。だから、まずお互いに権力を持っておる同士のところで指導して——指導する権限はあるのだから。大学病院も指導する権限はあるのでしょう。どうですか。
  78. 若松栄一

    ○若松政府委員 インターン問題については、文部省を通じてそのようなことをする権限はあると思います。しかし、何ぶんに私ども役所の内部のことを知っておりますと、文部省にこれをお願いしても、予算の裏づけなしでとても不可能であるということもまた存じておりますので、積極的にそこまで申し上げておりません。
  79. 滝井義高

    滝井委員 いや、たとえば一万円やったとしても、千人にしても一億一、二千万円あればできるわけでしょう。そのくらいの金をやれば制度の確立の方向もスムーズにいくし、それから、いま言ったように来年の予算編成の要求の橋頭堡もできるということで、政策的にも一石二鳥、三鳥、四鳥、五鳥ですよ。そういうところを、ほんとうに優柔不断で、何もやらずに、じんぜん日を過ごしているということが日本医療行政ですよ。こういうことを、学問をやろうとする文部省が、他のものがやるのにそこまでやらずにほおかぶりしておるということは、けしからん話だと思うのですよ。だから、これは留保しておきましょう。次回に私、文部大臣に来てもらいます。とにかく、医療保険のそもそもの初めの供給体制の人間の問題にアンバランスを置いておって、そうして根本的なものをやります。何だかんだ言ってもおかしくてやれぬですよ。そうでしょう。だから、次回はもうちょっと上の責任あるところでやってください。文部大臣も来てもらって少しこれはやってもらわないと、佐藤内閣が人間尊重の政治だとか社会開発だとか言っても、そもそも人間をこれから扱っていこうという人の待遇が、初めから差別待遇が行なわれておるということじゃ話にならぬわけです。きょうは、ようやく医療供給体制の八分か九分くらいで終わったのですが、まだこれから診療報酬体系医療需要体制、それから赤字の原因のもろもろの要素にメスを入れなきゃいかぬのですが、全然そこまで触れませんでした。まだ私はやってもいいと思いますけれども、これで、一応本会議があるそうですから留保して、次回にします。
  80. 田中正巳

    田中委員長 次会は明十八日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十二分散会