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1966-05-12 第51回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十二日(木曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 日野 吉夫君    理事 池田 清志君 理事 白浜 仁吉君    理事 湊  徹郎君 理事 渡辺 栄一君    理事 井谷 正吉君 理事 稻村 隆一君    理事 山口丈太郎君       井出一太郎君    伊東 隆治君       稻葉  修君    大竹 太郎君       金子 岩三君    壽原 正一君       田澤 吉郎君    田村 良平君       増田甲子七君    森下 元晴君       川村 継義君    中澤 茂一君       松平 忠久君    稲富 稜人君  出席国務大臣         国 務 大 臣 瀬戸山三男君  出席政府委員         総理府総務副長         官       細田 吉藏君         厚生事務官         (社会局長)  今村  譲君         中小企業庁次長 金井多喜男君         消防庁次長   川合  武君  委員会外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  金子 任利君         警  視  長         (警察庁警備局         警備課長)   後藤 信義君         防衛庁書記官         (防衛局第一課         長)      井口 孝文君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局総合研         究課長)    緒方 雅彦君         大蔵事務官         (主計官)   藤井 直樹君         大蔵事務官         (理財局地方資         金課長)    玉置 明男君         大蔵事務官         (銀行局保険部         保険第二課長) 田辺 博道君         大蔵事務官         (国税庁直税部         所得税課長)  林  大造君         文 部 技 官         (管理局教育施         設部長)    中尾 龍彦君         文 部 技 官         (管理局教育施         設部指導課長) 大串不二雄君         文部事務官         (管理局教育施         設部助成課長) 岩田 俊一君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      飯原 久弥君         農 林 技 官         (農地局建設部         災害復旧課長) 松井 芳明君         農林事務官         (食糧庁業務第         一部需給課長) 斎藤 吉郎君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      福森 友久君         通商産業事務官         (中小企業庁計         画部金融第一課         長)      斎藤 英雄君         運 輸 技 官         (気象庁観測部         長)      川瀬 二郎君         運 輸 技 官         (気象庁観測部         地震課長)   木村 耕三君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信参事官)  鳥山 好三君         建 設 技 官         (河川局治水課         長)      渡辺 隆二君         建 設 技 官         (道路局企画課         長)      豊田 栄一君         建 設 技 官         (住宅局住宅総         務課長)    角田 正経君         建 設 技 官         (国土地理院測         地部長)    原田 美道君         自治事務官         (財政局調査課         長)      中井 猛夏君         日本国有鉄道参         事         (施設局土木課         長)      長野 逸人君     ――――――――――――― 五月十日  災害防除対策に関する陳情書  (第四〇八  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  長野松代周辺地震による災害対策      ――――◇―――――
  2. 日野吉夫

    日野委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、前会に引き続き、長野松代周辺地震による災害対策に関し調査を進めてまいります。  この際、おはかりいたします。  先ほどの理事会協議いたしました結果、長野松代周辺地震による災害対策実情調査のため、現地委員を派遣いたすことに決定いたしたのでありますが、理事会の決定のとおり、委員派遣承認申請を行なうことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 日野吉夫

    日野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  つきましては、派遣地派遣期間、期日、派遣委員の員数及びその人選、並びに議長に対する承認申請手続等に関しては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 日野吉夫

    日野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  5. 日野吉夫

    日野委員長 この際、先般瀬戸山国務大臣を団長とする政府調査団現地を視察され、また、一昨日政府地震対策連絡協議会が開かれたようでありますが、これらの点に関しまして、瀬戸山国務大臣及び細田総理府総務長官から説明を聴取いたしたいと存じます。瀬戸山国務大臣
  6. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 松代周辺地震については、おおむね委員の皆さんも御承知であるわけでありますから、こまかいことは申し上げませんが、この前、四月の二十二口でありますか、さらに現地状況等を見るために、私が松代地震対策連絡協議会長ということで参りまして、それ以来のことを簡単に御報告申し上げておきます。  御承知のとおり、約一年間地震が続いておるわけでございますが、政府はこれについてそれぞれ対策を進めておりましたことは、時々御報告いたし、御承知のとおりであります。ところが、御存じのとおり、最近と申しますか、四月ごろになりましてから——昨年十二月に参りました当時は、気象庁あるいは地震観測所等見方では、おおむね三、四月ごろまでで地震のエネルギーは消滅するのではないか 場合によっては震度五ぐらいの地震が起こる可能性がある、こういう見方でありましたから、それに応ずる対策をそれぞれ地元政府連絡をしながら講じておったことは、御報告しておいたとおりであります。その後、四月に入りましてから、震度がやや強くなってきて、想定されておりました震度五というのが二、三回続いて起こるようになり、また地震回数も多くなってきた。同時に、その範囲と申しますか、震源地と見られるものが範囲が広くなってきた。三十六市町村ぐらいの範囲に広がってきた。こういう状況でありますので、そういう実情等を見るために参ったのであります。  地震の模様は、御承知でありますから申し上げませんが、十二月に参りました当時と、今回見ました状況を比較してみますと、十二月の当時は、外観的には、地震がそれほどあるのかどうかという程度状況でございました。といいますのは、それほど家屋等の損壊もあまり目につかないし、もちろん地割れ等現象はなかった。ただ、人体に感ずる震度程度のものまでで、回数が多いという状況で、いつ何どきどういう状況が起こるかわからないという不安な状態が続いておったということでありました。ところが、今度参りましたところ、震度の強いものが数回起こりましたし、町を見ましても、壁のひび割れ等が相当顕著にあらわれておる。また、落ちておるところがある。屋根がわら等地震のためにくずれておる。あるいは老朽建物等は、やや倒壊と申しますか、傾斜の状況を来たしておる。同時に、公共建物等はもちろんでありますが、一般民家等についても、ほとんどと言っていいくらいに補強工作が講じられておる。こういう状況が一見してわかるような状態になっておる。と同時に、今回は民家あるいは農村部落等できるだけこまかに見たのでありますが、特に地質の違いから生ずる現象であろうと思いますが、山に近いところ、平地との境には相当の地割れを各地に生じておる。こういう状況で、地震震度及び範囲というものが、しろうとながらもわかるという状況でございました。そういう状況でありますから、前よりも地震になれたという一面があると同時に、地震に対する恐怖感と申しますか、心配と申しますか、そういう点が相当強くそういう関係地元住民の方にあらわれておる、こういう状況であります。  政府といたしましては、この前も御報告いたしたかと思いますが、あらかじめ気象庁等専門家の意見を聞いておりまして、先ほど申し上げましたように、昨年の間では、震度五ぐらいが最大であろう、こういうことで、公共建物等については、これはわからぬことでありますから、それを上回る震度六の場合を想定して補強工作等を講ずるという措置をとってまいりましたが、震度五というのが起こった、同時に、地震観測の結果は、場合によっては震度六というものも起こり得る可能性がある、こういう見解でありますから、そういうことを前提にして対策を講ずる必要がある。同時に、不測の事態を防ぐためには、すべての対策地元長野県の知事さんにお願いすると申しますか、一任する。方針をきめた大綱に基づく諸般の対策は、臨機応変を要しますから、知事に一任する、こういう方針をきめまして、現場に参りましたときも、地元団体及び県等にその旨をお伝えして、知事のほうでもその措置をとる、こういうことで現在にきておるわけであります。  そこで、こまかい点はあと総理府長官から御説明いたすと思いますが、政府といたしましては、あらかじめ関係各省協議をいたしまして、地元から出ておりました問題点についておおむね方針をきめて、いま申し上げましたようなことを伝えてあるわけでありますが、その後具体的に計数等についてもいろいろ調査をいたしまして、地元市町村あるいは県等とも打ち合わせまして、その様子に基づいてそれぞれ具体的に関係各省打ち合わせて、そしてその方針をさらにこまかくきめて地元指示する、こういう状況にいたしております。昨日でありましたか、一昨日でありましたか、連絡協議会をさらに開きましておおむねの方針をきめまして、あしたの閣議に報告をしてその措置をとりたい、かように考えておるわけであります。  おおむねのことを御報告いたしまして、あとでまたお答えいたすことにいたしたいと思います。
  7. 日野吉夫

  8. 細田吉藏

    細田政府委員 ただいま建設大臣から概略の御報告がございましたが、私は補足いたしまして、お手元の資料を中心に、これまでとってまいりました政府のこの災害に対する施策につきまして御説明を申し上げたいと思います。  前回の本特別委員会並びに本委員会懇談会で、いろいろの点につきまして御指示をいただき、御示唆をいただいたのでございますが、これらの問題も含めまして、実は一昨日五月十日に、第三回目の松代周辺地区地震対策連絡協議会を開きました。たいへんおそいようでありますが、この五月十日は最終的にきめたいと思いまして、各省でいろいろ調整をはからなければならない点をはかった結果を持ち寄る、こういうことにいたしましたので、五月十日に開いたような次第でございます。  そこで、資料の第一の応急仮設施設設置でございますが、これは避難用応急施設の問題でございまして、災害救助法が発動になりますと、いわゆる応急復旧住宅というような形のものができるのでございますが、今回の場合は災害救助法を発動いたしておりません。しかし、避難用施設建設する必要がある、こういうことでございまして、この場合におきまして県がこれを建設いたしますに際しましては、経費の五分の三の国庫補助をいたすことにきめました。現在まで二百戸の計画がございまして、すでに百七十九世帯が入っております。残りも短期間にでき上がる予定になっております。なおさらに地元長野県のほうから追加要望があるようでございまして、この追加数字はまだはっきりいたしておりませんが、地元で必要を認めておられるものでございますので、早急に追加計画をいたす、かようなことに相なっておるわけでございます。  それから公営住宅建設でございます。これにつきましては、ここに書いてあるとおりでございますが、老朽危険住宅に居住しております者を収容しますために、地方公共団体公営住宅建設する、これに対しましては、いわゆる公営住宅国庫補助を行なうわけでございます。  それから住宅金融公庫の融資でございます。これにつきましても、これは当初から特に手続を簡便にいたしますとか、優先貸し付けを行なっております。さらに、災害復興住宅貸し付けという特別なものもいたしておりまして、これは災害の起こったときと同じ取り扱いをいたしておる次第でございます。  それから、三番目の公立文教施設の問題でございます。仮校舎のプレハブの問題でございますが、これは昨年すでに五分の三の国庫補助を行なっておりまして、仮設校舎をどんどん進めておりまして、大きな地震が四月なり、また五月にもまいっておりますけれども、非常に有効であるというふうに現地から承っておるわけでございます。  新たな問題といたしまして、先般の懇談会等でも問題になりました、屋根をふきかえるという工事がございます。校舎かわら屋根トタン屋根にふきかえまして、頭を軽くする、そしてけが等がないようにする、両方の立場からそういうことをやりたい、こういう見地からの御要望でございまして、これにつきましても、(1)と同じ五分の三の国庫補助を行なうことに決定いたしました。これは新しく決定いたしたものでございます。  次に、四番目の国有林材による公立文教施設等補強の問題でございます。公立文教施設社会福祉施設公的医療機関補強用材として、国有林材を県が購入してこれらの施設設置者に対して供与する場合、県に対し、国有林材価額の二分の一の国庫補助を行なうということにいたしました。  さらに、個人住宅補強につきまして、みずからの資力をもってしては応急修理ができない者に対して、県が現物給付をもって実施するという場合には、同じく二分の一の国庫補助を行なうことになった次第でございます。実は、災害救助法が発動され、しかも被害が甚大なる場合におきましては、林野特別会計から安く払い下げる、こういう法律があるわけでございます。ところが、これを即適用ができませんので、林野庁としては、半額で払い下げる方法が、新たな立法がない限り、できない、こういうことでございまして、この点で、立法すべきかどうかというような点について、対策協議会でいろいろ協議をいたしたのでございますが、結局、実質的に同じ効果であればいいわけでありまして、これは財政当局の英断をお願いしまして、二分の一を国庫が補助する、したがって、林野会計としては通常価額で払い下げる、しかし、受けるほうからは同じ効果になる、こういうことに実はいたしたような次第でございます。  次に、五番目の消防施設の整備でございますが、消防力強化市町村が行なう場合には、昭和四十年度と同様に、経費の二分の一の国庫補助を行なうことにいたしました。通常三分の一でございます。これは対象は、消防ポンプ、それから水槽、こういうものに対しまして、現地とそれぞれ連絡をいたしました上、二分の一の国庫補助を行なうことにいたした次第でございます。  次に、先般問題になりましたかんがい用ため池補強等でございますが、これにつきましては、懇談会等でもいろいろ御議論が出ましたように、実情が非常にいろいろな種類があるようでございます。したがいまして、ここに書きましたように、いろいろため池状況によりまして対策を個別に立てなければならぬ、こういうことでございまして、現在、この点につきましては、農林省と地元とさらに連絡を密にいたしておりまして、地元の御要望に沿うように国庫補助を行なう。一つ一つ説明は省略いたしますが、ここに書いてございますように、場合を分けまして措置を講ずることにいたした次第でございます。  次に、七番目の地震観測研究等強化でございますが、気象庁関係の可搬型地震計その他の地震観測器材等を整備する、あるいは地下構造調査研究、いわゆるボーリングをやる、あるいは測地基準点測量等、これは気象庁、それから地震研究所国土地理院、それぞれのところが地震観測研究強化いたすわけでございますが、これらのものにつきまして、関係のところからの予算要求がございまして、ほぼ一〇〇%大蔵省のほうでそれぞれ支出を認めるということにいたした次第でございます。  八番目の公共土木施設補修等でございますが、これは具体的な問題でございまして、道路河川その他公共土木施設、そのほか、文教施設もございますし、いろんなものがあるわけでございますが、これにつきましては、一般防災措置でございまして、それぞれ具体的な問題として措置をいたしておる次第でございます。  それから、文化財につきましては、これは実はすでに早く実施をいたしておりまして、ここには全部網羅的にあげておりますので、一応書いてございますが、すでに文化財補強、あるいは疎開と申しましょうか、移転と申しましょうか、そういうものはつとに一応終了いたしておる次第でございます。  それから、十番目の公共土木施設等災害復旧、これにつきましても、被害額確定次第所要措置を講ずるわけでございまして、このほうは被害が起こった場合のあと始末のことでございまして、これは法規も、それからやり方等につきましても、前例その他もございますので、これにつきましては、被害額確定次第所要措置を講ずるということでございます。  それから交付税関係でございますが、普通交付税につきましては、四十一年度六月交付分の一部を四月二十八日に繰り上げ交付をいたしております。しかし、今後も必要に応じまして繰り上げ措置を講ずることにいたしたい、かように自治省のほうで考えておるわけでございます。また、特別交付税につきましては、昭和四十年度に措置をいたしたのでございますが、本年度につきましても同様の措置を講ずる考え方でございます。  起債許可等でございますが、地震対策に要する経費に対する資金運用部財政調整資金によるつなぎ融資、これにつきましては、すでに四千六百万円ほどつなぎ融資を出しておりますが、必要があればさらにつなぎ融資を出すということでございます。  さらに、仮設校舎消防施設等事業に対しては、現年発生災害復旧事業債扱い起債要望団体に許可する、これは四十年度と同様の方式で起債措置が行なわれるようにいたす、こういうことでございまして、昨年度とりました措置を続けてまいるということでございます。  次に、中小企業金融対策でございますが、政府関係中小機関災害融資につきましては、手続簡易迅速化並びに償還期限据え置き期間及び担保等貸し付け条件につきまして優遇措置を講じてまいっておるのでございまして、さらに五月二日より、三機関において、長野市、松代等北信地方に対して、資金使途融資率等貸し付け条件を優遇した融資を行なうことにいたした次第でございます。  以上が、これまで政府としてとってまいりました、また、さらに今回新たにきめたものでございまして、具体的な数字等がございますけれども、これは後刻御質問等があればお答えをしたい、こう考えまして、繁雑になることを避けて、数字を申し上げませんでしたが、いずれにいたしましても、当委員会における決議の御趣旨もございます、また、松代周辺地区地震による災害が非常に異例なものでございますので、政府といたしましては、災害が起こっておる、災害救助法が適用される、そういうことに準じました措置をとってまいったような次第でございます。なお漏れておる点があるいは若干あろうかと思いますが、いずれにしましても、現地実情に応じまして適切に措置がとられますように、知事が弾力的にいろいろなことができますように、先ほど大臣からもお話がございましたが、政府としても十分考えてまいりたい、かように思っておるような次第でございます。  以上、概略でございますが、御説明を終わります。     —————————————
  9. 日野吉夫

    日野委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。山口丈太郎君。
  10. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 簡単に一、二の点を御質問申し上げたいと思います。  いま建設大臣並びに官房長官から、視察された結果、並びに、とられておりますその後の具体的な施策について御説明がありまして、この委員会要望いたしましたものはほとんどいれられて実施に移されておるようでありまして、私ども非常に感謝いたしておるところでございます。  一点だけお伺いをいたしますが、この施策の中で、前の懇談会あるいは本委員会において要望いたしました、知事臨機応変措置がとれるようにという要望に対しまして、大臣も行かれ、中央でもその措置がとられておるようでありまして、たいへんけっこうなんでありますが、一つ懸念されますのは、この中で、現地から要望されますところの緊急措置について、最高指導部のほうではこれは了承されておるのでありますけれども、実務に携わる中間幹部と申しますか、中央庁の課長もしくは部長といったような実務の層と、それから現地事務官と申しますか、現地のその衝に当たる部署の間に、若干意思の疎通をなお欠いている点があるのではないか。たとえば、いまも報告にありましたが、政治的にはうまい措置を講じていただいておるのでありますけれども、実際にそれが中央官庁の所轄の事務浸透していないために、法規的にこれは処置ができないというので往々にして受け入れられない、こういうような結果が見受けられるということを聞いておるのでありますけれども、これらはやはりいまの報告にありましたように処置をしていただきますならば、決してそういうようなことは起こらないはずなんですが、事務に対する浸透ということはなかなかむずかしいことでありますので、理解がいくわけでありますけれども、これについては十分そごのないような事務的浸透措置を講じていただく必要があるのではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか、処置をお伺いしたいと思います。
  11. 細田吉藏

    細田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま山口先生の御指摘のように、中央で考えておりますことがほんとうに末端現場まで徹底しておるかどうかというような点につきましては、かねがね連絡協議会会長瀬戸山大臣も非常に心配をしておられまして、むしろ、方針あとからきまるものでもやるだけはやれというふうに実は指示をしておられますが、しかし、おっしゃるような心配がないとは私も言えないと思います。実はそういう点につきましては今回の措置は非常にきめこまかく現地要望に応じてやっておるわけでございますが、そういう点でいろいろまだ具体的に抜かっておるような点がないとは言えないと思うので、そういう点はむしろ一般論として厳重に各省に申しておるわけでございますが、具体的なものがございますれば御注意をいただきたい、かように思っております。なお今後十分気をつけさせます。  それから、特に一点お断わりしておかなければならぬ点は、ただいま御説明申し上げました木材の払い下げの問題にいたしましても、それから、たとえばかわらぶきの問題にいたしましても、関係各省と財務当局との間で実はいろいろ折衝をいたしておりまして、やっと一昨日きまった、昨日きまったというようなこともございますので、そういう点がおくれておったというようなことはあるいはあるんじゃないかと思いますが、それは今度きめましたので、急速にその点は進むと考えております。一般的には、先ほども申し上げましたように、十分今後とも注意をいたしたい、かように思っております。
  12. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 いまの答弁で了承をいたしましたが、これはひとつ逐次浸透をさしていただきまして、現地とのそごのないようにお願いしたいと思います。  それからもう一点だけお伺いをいたしますが、この地震対策上からいいましても、名称の点で——名称はどうでもいいじゃないかというようなものではありますが、決してそうではなくて、やはりその対策につきましては名称がしっかりときめられるということが必要でありますし、また、そのことはいわゆる人心に与える影響というものもきわめて重大であります。いままでとられました政府の名称といいますか、呼称は、松代周辺地区地震対策、こういうことになっていたと思うのでありますが、実はこれはいままでもそういうことで簡単に松代地震とか、いろいろ言っておったのが、北信地震とか、だんだんと名前が拡大されて、したがいまして、人心に及ぼす影響ということもまた深く考慮をしなければならない、こういうような事態にあったと思うのであります。ところが、報道によりますと、東大地震研究所あるいは国立防災科学センター等の権威者も集まられまして、この地震を、松代群発地震というように、きわめて呼称の範囲を縮めたような名称にして対策を講ぜられるというように報道されておるわけでありますが、政府におきましてはこれはどういうふうにお考えになりますか。北越後地震とか、あるいは北信地域地震とか、いろいろ名称といいますか、こういうものが報ぜられておるわけで、この新聞報道にしましても、従来なかなか一致した名称がない。ところが、今度、これは一応仮称でありましょうが、松代群発地震、こういうように地震の呼称をきめられたようですけれども、これは政府はどういうふうにお考えになりますか。今後のこの地震対策の名称についてしっかりしたものをお示し願いたい。
  13. 細田吉藏

    細田政府委員 お答え申し上げます。  実は今回の地震の名前につきましては、新聞紙上等にもいろいろ出ておりますので、この機会にはっきりさしておきたいと思います。  昨年の秋、政府のほうでは、正式の機関としてでなくて、一応の対策のための連絡会をつくりました。そのときは、松代地震と称しておったわけでございます。ところが、本年春になりまして、地域も非常に拡大をいたしまして、単に松代町だけではない——もとから松代町だけではございませんけれども、その範囲が三十六カ市町村に及ぶというふうに拡大をされまして、そこで、正規に政府の中に連絡協議会をつくった。その際に、長野松代周辺地区地震対策連絡協議会という名前を採用したわけでございます。今日までそれをずっと続けておるわけでございます。そのきめます際に、実はこれは私自身のことを申してはたいへん何ですが、北信と言ったほうがむしろいいんじゃなかろうか、これはしろうと考えで言ったわけでございますが、北信という名前では少し広いんじゃないかということで、松代周辺という字を入れたわけでございます。松代松代といわれてもおりますし、そのほうがよかろうということで名前を決定したわけでございます。  そこで、先般気象庁が中心になりまして、いま新聞記事をいろいろおっしゃいましたが、言うならば観測、研究専門家の皆さんがお集まりになって会合が持たれた。これも実はこの連絡協議会で、瀬戸山建設大臣がお帰りになりましてから、研究、情報、そういうものを統一的にやってもらわなければいかぬ、こういう結論がございましたので、いままでももちろんやっておったわけですが、さらにそれを強化しようということで、気象庁の肝いりでそういう学者、研究者の方々が皆さんお集まりになって、大いにやろう、こういうことになったわけでございます。その際に、どうも学問的に言って少しいままではっきりした名前をつけておらないけれども、どうしたらいいか、こういう御議論になったわけでございます。そこで、話が複雑になりますからやめますが、二段に実は分かれておりまして、現在その学者、研究者のグループで御決定になりました研究の最終結論は、今回の地震松代群発地震と称することが適当であろうということだそうでございます。いままで名前は、伊勢湾台風とか新潟地震とか、大体気象庁が中心になりましてそういうところできめていただいておるわけでございますので、私どもが、学者の皆さんや研究者の皆さんがおきめになったものを、それはどうもというようなことを言うことは筋違いだと思います。それで、地震としては松代群発地震、それから、そうした研究、情報、そういうものをいろいろやるにつきましては、北信地域地殻活動情報連絡会という名前を使う。これは学問的にいろいろな御意見があるようでございまして、これは気象庁もまいっておりますので、御質問があればお答えさしていただきますが、研究あるいは観測の結果を持ち寄っていろいろ情報をやる——情報を流すのは気象庁がやるわけですが、その会は、やはり相当広範囲な地殻活動の問題なので、北信地域地殻活動情報連絡会という名前でやらしてもらいたい、こういうことでございましたので、これは学問的にそういう名前でやることが厳密に言って適当だ、こういう御意見なら、もうそれで私ども何も申し上げることはないということでございまして、地震としては、北信地域地震というにはこれは少し大き過ぎるといいましょうか、実態はそうでない、こういうことだそうでございます。詳しくは専門の方からお答えを願いたいと思いますけれども、そこで、いわゆる対策連絡協議会のほうは、これによって名前を変える必要があるかどうかということについて検討いたしましたが、対策といたしましては長野松代周辺でいいのじゃないか、この際名前を特に変えなければいかぬということはいまの事態ではないということで、連絡協議会の名前はそのままで続けてまいることにして何らの不都合はない、こういうことに一昨日最終的に確認をしたような次第でございます。
  14. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私がなぜこういうことをお尋ねしたかといいますと、やはり同じ地震でも、政府の発表される名称と、それからこういう研究機関、学者グループ、あるいは国家の研究機関も入った研究機関が発表する地震の呼称がまちまちで違っておるということは、これはただ単に名称が違うということだけではないので、やはりそこにいろいろ疑心暗鬼を生む結果を生じ、ひいては人心の不安等にも影響を及ぼしますので、したがいまして、でき得れば、いままでとられておりました長野松代周辺地区地震というような呼称がついたのでありますから、公式の発表には、そういった統一的な名称を付していろいろのことを発表するほうがいいのではないか。あまりにもすなおに学説的あるいは学問的な呼称を発表されましても、それが一般市民等に与える影響等を考えますと、そこまでついていっておりませんから、そこに混乱を生ずる原因がある、生じないとも限らないと思いますので、お伺いをしたわけです。いかがでありましょうか。そういう学問的な研究機関、そういうものは別として、事態が発生をいたした場合、一般的には政府の呼称に準じた発表をしてもらう、研究機関内において使われる呼称については、それはその部内にとどめるというように、ひとつ統一的な名称の発表ができないものかと思うのでありますが、これはいかがでしょうか。
  15. 細田吉藏

    細田政府委員 お答え申し上げます。  実は今回の地震は、しばしば申し上げておりますように、いままで起こった地震と非常に違うわけであります。福井地震と称する、新潟地震と称すると言うときには、新潟で地震が起こった、福井で地震が起こった、それでおしまいになっておるわけであります。今度の場合は、一方におきまして松代群発地震と称しながら、一方で北信地域地殻活動情報連絡会というものをつくる、すなわち、地震が現実に起こっておる、それから起こるかもしれないという範囲になるともう少し広い、こういう形になっておりまして、そういう研究者、学者の皆さんがお集まりになっても、二つに分けないと誤解を招く、こういうふうに実は言われておるわけなのでありまして、これはおっしゃるように、統一的な名前ができれば一番望ましいと思いますが、たとえば私どものほうの松代周辺地区地震対策連絡協議会を、では松代群発地震対策と言ってよろしいかといえば、それでは足りないのではないか、もう少し広範囲なものについて考えなければいかぬじゃないかということになりますし、それでは北信地域地震と言うと、またあまりにも、北信が全部地震が起こっておるようにも見えます。そういうことでございますので、私どもの連絡協議会としては松代周辺という名前でいいじゃないか、こういうことなのでございます。ただ、一般の国民が受け取る感じとしては、これは同じ名前を使ったほうがいいということは、おっしゃるとおりだと思います。ただ、新聞等でも、学者がこういうものだと言うのに、しろうとが、そういう名前はいかぬと言うのはおかしいじゃないかという論調もございますので、この点はさらに相談をしたいと思いますけれども、私どもは、研究者、学者のそういった自主性といいましょうか、厳密に科学的におやりになっておる点は、これは十分尊重しなければならぬ、かように思っておるわけでございます。ただ、発表の際にどういうふうな形がよろしいかというような点については、発表は気象庁がやっておりますので、御趣旨のような点がどういうふうになりますか、さらに十分今後相談をさせていただきたい。事情はそういう事情でございますので、たいへんおかしなかっこうになっておりますけれども——いままでですと、どんずばりきまってしまうわけで、伊勢湾台風なら伊勢湾台風、関東地震なら関東地震、それが今度の場合は非常に特異な例でございますので、ちょっと私どもも何か割り切れないような感じがいたしておりますが、そういったような事情にございます。御趣旨のように、国民の皆さんがこれによって非常に迷わされるとか、必要以上の不安があるということになってはいかぬと思いますので、そういう点を十分考えまして研究さしていただきたい、かように思います。
  16. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 これは、いま副長官が言われますように、非常に熱心に学理的にも研究をされておりまして、その努力につきましては非常に感謝をしておるわけでありますので、したがいまして、その権威者の方々が使われます名称あるいはその他学問的なものにわれわれがとやかく言う問題ではないのであります。でありますから、その点については誤解のないように受け取っていただきたいと思います。  あとまた懇談会がありますから、そこでいろいろ伺うことにいたしまして、この辺で質問を終わりたいと思います。
  17. 日野吉夫

    日野委員長 それでは、質疑はこの程度にとどめ、これより懇談に入りたいと存じます。  暫時休憩いたします。    午前十一時二十九分休憩      ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕