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1966-03-24 第51回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十四日(木曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 原   茂君    理事 纐纈 彌三君 理事 前田 正男君    理事 岡  良一君 理事 田中 武夫君       大泉 寛三君    加藤 高藏君      小宮山重四郎君    野呂 恭一君       渡辺美智雄君    松平 忠久君       三木 喜夫君    内海  清君  出席政府委員         科学技術政務次         官       田川 誠一君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  高橋 正春君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    橘  恭一君  委員外出席者         総理府技官         (国立防災科学         技術センター所         長)      和達 清夫君         文部事務官         (大学学術局審         議官)     木田  宏君         文 部 技 官         (管理局教育施         設部指導課長) 大串不二雄君         文部事務官         (管理局教育施         設部助成課長) 岩田 俊一君         通商産業技官         (地質調査所         長)      佐藤光之助君         運 輸 技 官         (気象庁観測部         地震課長)   木村 耕三君         運 輸 技 官         (気象研究所         長)      大谷 東平君         建 設 技 官         (国土地理院         長)      安藝 元清君         建 設 技 官         (国土地理院測         地部長)    原田 美道君         参  考  人         (東京大学地震         研究所長)   萩原 尊礼君     ————————————— 三月二十四日  委員米内山義一郎辞任につき、その補欠とし  て松平忠久君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松平忠久辞任につき、その補欠として米  内山義一郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(地震予知に関す  る問題)      ————◇—————
  2. 原茂

    原委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  地震予知に関する問題調査のため、本日東京大学地震研究所所長萩原尊礼君を参考人として意見聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原茂

    原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 原茂

    原委員長 この際、萩原参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用のところ本委員会に御出席下さいまして、どうもありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。なお、御意見聴取質疑応答の形式で行ないますので、さよう御了承願います。  質疑の通告がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  5. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私たち科学技術振興対策特別委員会に所属する委員の者は、二月二十三日の科学技術振興対策特別委員会決定によりまして、三月の十一日と十二日にかけまして、松代地震状況現地においてつぶさに調査もし、関係者からいろいろ意見聴取をいたしたわけであります。一行は原委員長を筆頭にいたしまして、私たち委員の者、それに地元の社会党の松平代議士も特別参加いたしまして、視察を行なったわけであります。そういたしますと、端的に申し上げまして、その後田中委員の報告しましたように、いろいろな問題を含んでおりますけれども現地が非常に不安に思っておるということ、焦燥感を持っておるということ、それがひいては政治に対する、科学に対する不信感に発展しておる、こういうことを感知いたしまして、これはたいへんなことだと思ったわけであります。  そこで、きょうは以下、気象庁なりそれから研究機関調査機関、こういうところに対して順次質問していきたいわけでありますけれども、私は、何よりも早く現地の不安を解消するために学問的な実証をやり、そうして地震予知がすみやかにできるような対策が立たぬものだろうか、あるいは研究は成り立たぬものかということを思うわけであります。  それから質問の大きな第二点といたしましては、現地では予算的に非常に苦慮されておる。県当局といわず当の松代町といわず川中島町においてもいろいろ苦慮のあとがあります。地震が起こってしまって、大災害が起こってから後、幾らお金を出してもこれは何にもならぬと思うので、予防措置として、災害が起こったものと考えて、何とか防災施設をするなりお金を出す方法はないものだろうか、政治的にいいまして、この二つの問題が焦点になるわけです。  そこできょうは、幸い東大地震研究所からおいでいただいておりますので、まず学問的な見地からこの松代地震をどのようにとらえておるか。さらにいま現地でもう一つ不安の問題といたしましては、豊野町におきましては土地隆起がある、その土地隆起が、かつて歴史的にいいまして、県の北のほうはずいぶん地震多発地帯になっておりますが、その地帯土地隆起し出しましたので、さらに不安を持って長野県人は見ておるわけであります。そこで、こういう問題と松代地震とがどんな関係があるのか、こういう点をひとつ基本的にお聞かせをいただきたいと思うのであります。なるほど学問的な問題は、信濃毎日新聞社から出しておる「松代地震」こういう冊子によって、いろいろ模索されております。思索されておりますけれども、一番実証的な意味合いにおいて、現地に即応したところの考え方を立てていただかなければならぬと思いますので、きょうはその点をお伺いしたいと思うのであります。  それから気象庁のほうといたしましては、この地震に対するところの考え方は、今度の地震というものは、多発性地震であるけれども、漸次衰退期に入った、さらに東大におかれても、これは衰退期に入った、こういっておられるにもかかわらず、いまなお、びっくりするような地震が続いておるので、この点もちょっとあやしくなってきたわけであります。  そこで、私は質問の要点を要約いたしますと、いままで種々論議されてまいりました火山性地震か、さらに構造性地震かということの論議はしばらくおいて、原因を一体どこに求めるのかということ、それから松代地震豊野付近に起こっておる土地隆起、これとの関連をどういうように考えたらよいのかという問題、さらに学者あるいは調査官が、この松代地震というものはもう衰退するであろう、大体一巻の終わりだという予想を立てたにもかかわりませず、いまなお活発に動いておる、これは一体どうしたことか。まず最初東大先生からこの三点をお伺いいたしたいと思います。
  6. 萩原尊礼

    萩原参考人 ああいう松代地震のような地震頻発ということは、これまでしばしば日本では起こったことでございます。特に昭和の初めに伊豆の伊東で起こりました頻発地震が非常に有名でございますが、そういうたくさんの頻発地震を私ども経験しておりますけれども松代のようにああいう非常に長期間にわたって地震があれだけ頻発したという経験を私どもは持っておらないのでございまして、まことに初めての事態にぶつかったわけでございまして、いままでの経験からいろいろ割り出して判断をしていく資料に欠けているのでございます。  最初は、この松代地震が、かつての伊東頻発地震のように大体三カ月くらいで終わるのではないかというようなことを考えておったのでありますが、それがなかなか終息いたしませんで今日に至っておるわけでございます。そういうわけで、まことに初めての事態、これは日本で見ましても非常に珍しい現象であり、もちろん世界的に見ても非常に珍しい現象であって、学問的にも非常に興味のあることでありますので、私どもは全力をあげましてこの観測測量測定等を行なっておるわけでございます。  しかし、何分にもこの地震現象ということは、研究の上から見て非常にむずかしい問題でございまして、まず地震がどうして起こるかという地震原因論がございますが、これも今日、学界におきまして幾つかの説があるような次第であって、私どもはそういう地表における各種の観測測定によってこれを明らかにしようと努力しておるわけでございまして、松代の場合もこういうことで地震が起こっているのだということを端的に申し上げる段階ではないのでございます。実際いままでに行なわれました観測などを照らし合わせてみましても、あるものはいわゆる構造地震であるというようなことを裏書きするような資料も出ております。また一方、いわゆる溶岩説と申しますか、マグマ説と申しますか、そういうものを裏書きするような資料幾つか出ておるというような次第で、いま専門家の間でも毎日議論が行なわれているようなわけで、はっきりどちらということをいま言える段階ではないのでございます。  松代地震衰退期に入ったということがいわれておりましたが、最近、この三月八日及び十日に震度四の地震がございました。ちょうどそのころから再び地震回数が増してまいりまして、今日の状態を見ますと、昨年の十一月二十二日、二十三日に非常に地震回数が多く、そうして震度四という地震幾つか続けて起こった時期がありますが、それが最盛期というふうにいわれておりましたが、昨日あたりまでの地震の起こり方を見ますと、はるかにそれをしのぐような状態になっておりまして、まだ終息どころか、非常に勢力が大きくなっている。ただいまのところは地震回数だけがふえておりまして、非常に大きい地震、マグニチュードの大きい地震がまだ起こっておりませんが、これも大きいのが起こるのではないかというようなことを思わせるような回数の増し方をいたしております。こういうような状態でございまして、私どもできるだけのそういう観測測定ということを行なっておりますが、これは今日そう簡単に結論を、つまり原因論に対して結論を出すということはできない状態であります。これは松代観測をこの半年くらい行なったからといって、そういったいろいろな発震機構の問題、いわゆる地震原因論というものがそう簡単に片づくとは思っておりませんが、こういう地震原因といったような問題は非常に長期間、何年にも何十年にもわたった非常に粘り強いそうした観測の結果はっきりしてくるものだと思っております。そういうわけで、今日早急にそういう問題が解決するとは思っておりませんが、しかし非常に浅いところでああいう地震が起こっているということは、とにかく原因が浅いのでありますから、それだけ調査しやすいことで、これは地震学研究にとりましてはまたとない機会だとわれわれ思っておりまして、できるだけの調査研究をいたしたいと思っております。  なお豊野町の隆起の問題でございますが、これは御承知のように、昨年の国土地理院測量によりましてはっきりしてまいったのでございまして、最近の八年間に、過去に比べて非常に隆起の速度が高まったということでございます。これは地震の前にそういう地殻の変動の異常があるということは考えられることでありまして、そういうことから測量をひんぱんに繰り返せば地震予知に役立つであろうということを私ども主張してまいったのでございますが、こういう国土地理院測量は、元来は日本の正確な地図をつくるということが目的でございまして、そうひんぱんに測量繰り返しをやる必要はないのでありまして、いままでは三十年に一回の割合で行なわれていたような次第であります。地震予知ということが重要視されまして、地震予知計画というようなものができましてから、国土地理院ではその間隔をできるだけ短くするように努力を続けられてきたのでありますが、それとてもごく最近のことでありまして、われわれは非常にひんぱんな測量繰り返しによって——地殻がどういうふうに動いているかというこまかいことに対する知識がまだ不足しておるわけであります。そういうわけで、豊野にああいう隆起が起こったからといって、これは確かに異常であるが、こういう短い間隔日本じゅういままで何回もやられて、日本全体のそういう短い期間の動きというものがもっとはっきり知れておれば、もう少しはっきりした結論を申し上げることができると思うのでありますが、何分にもそういう資料にまだ乏しい状態であります。こういうような次第でございまして、今後こういうふうに測量がひんぱんに行なわれますれば、こういうことに対する学問は急速に発達していくことと思うのでございます。  こういう次第でありまして、まだ残念ながら非常に不明な点、もうろうとした点が非常に多いのでございます。このためにいろいろの報道関係、それから現地方々、そういう人から御質問を受けたときに申し上げる答えが、何か奥歯にもののはさまったような、非常になまぬるい表現になってしまうのだと思います。そのためにそういうなまぬるい表現現地方々の不安のもとになるのではないかと察するのでありますが、そういうただいまの学問の現状といたしまして、そういう地震予知研究計画がまだスタートしたばかりでありまして、その計画によりますと、そういう計画が全部スタートして今日から全部行なわれたとしても、十年そういう観測なり測定が続けられて、そこで初めて地震予知にこれがどういう形で実用化できるか、そういうことに対してはっきりとした見通しができるということを申しておるのでありまして、今日地震予知というものがまだ実用の段階にはるかに遠いところにある状態におきまして、われわれの世間に発表することばがどうしても非常にはっきりとした表現を欠くということになるのだと思います。
  7. 三木喜夫

    三木(喜)委員 良心的な立場からいろいろ御見解を承ったわけなんですが、私たちとしては現地を見てき、現地住民感情からいたしますと、どうしても早くわかる方法がないか、災害を未然に防ぐ方法はないかという見地から急な要求をいたしまして、まことに恐縮なんです。  この次、気象庁のほうにお伺いしたいのですが、気象庁では幸いこの皆神山の下に観測所を設けられて、竹花所長が懸命な努力を払っておられる。この御努力には私たち感謝もし、敬服いたすわけでありますけれども、先般お伺いしたときに、地震頻発しておる回数がだんだん少なくなり、しかも地下に起こっておる地震原因がだんだん上層部に上がってくる、地殻の上のほうに上がってきて、いま百メートルくらいのところで鳴動をやっておる。だからもう上に上がってくればおしまいだ、こういうようなお説を聞いて、まあまあ一つは安心したわけですけれども一つは、さてそのようになるだろうかと思って心配しましたが、いまやはり続いていて、私たちの心配が当たった。そうして聞くところによると、竹花所長は頭をかかえておられる、こういうことなんですけれども、国の施設でこうしたりっぱな研究所観測所を持って、そして的確な皆神山の真上にあるのですから、こういうことではちょっと私も心細い感じがするんですが、どういうように気象庁としてはこの問題をとらえておるか、お聞かせいただきたいと思います。
  8. 木村耕三

    木村説明員 この前二月二十三日のこの委員会のときに、萩原先生も、一応もうこれでだんだんやまるだろうということを申されました。さっそく私たち終結宣言と申しますか、やまるだろうという宣言をしようと思って現地研究を命じたのでありますが、そのときにある一つの説が出てまいりました。一応見かけ上は弱まっておるけれども、これは下のほうでまず地震原因が起こりまして、だんだん、だんだん上に上がってきまして一応消えていく。そうするとまた下のほうにできている。その繰り返しが行なわれているらしくて、一月に深いところで起こっておる。上がってくるのに三カ月くらいかかるから、三月はあぶないからいま終結宣言を出すのは早いということを言う人がありまして、事実はそのとおりになったのでありますが、現在また深いところに多少出てきたようであります。そうしますと、けさも竹花所長がテレビで言っておりましたが、もういつ終わるかわからないことになってしまって、現在ではわれわれ全然見通しを持っておりません。何ぶん先ほど萩原参考人が言われましたように、われわれ知識を持っておりません。ただ統計的に何とか皆さまの御要望に沿おうと思って苦労しておるところで、たまたまいろいろな発言をするわけでありますが、残念ながらまだ的確な見通しは持てないような状態であります。
  9. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そのほか国土地理院からも来ていただいておるようであります。防災センター所長にもおいでいただいておりますので、短いことばでひとつお考えを承らせていただきたい。
  10. 安藝元清

    ○安藝説明員 お答えいたします。国土地理院の現在地震予知についてやっておりますことは、測地学的な面から、地図をつくるために必要な基準点があります。たとえて申しますと、一等三角点とか、一等水準点というのがございますが、その測量は、先ほど萩原先生からお話がございましたように、昔は三十年ピッチでやっておったわけでありますが、地震予知ということが非常にやかましくなりまして、一等水準点は大体二万キロの延長にあるわけでありますが、それを五年の周期でやる。それから一等三角点は三百三十点余りございますが、それは十年くらいのピッチでやろうということで、現在測地学的な調査を進めておるわけでございます。それがひいては地震予知観測の一助にもなるのではないか、かように考えておるわけでございまして、簡単に申し上げますと、水準点につきましては土地上がり下がりがはっきり出てくるわけであります。それから三角点につきましては、その点の水平的な移動というものがどうなっておるかということがわかるわけでありまして、そういうものを基準といたしまして、基準点調査ということを中心としてわれわれは地震予知ということに御協力を申し上げて曲るわけでございます。  それで松代につきましては、特に水準点測量というものがわりあいに簡単に行なわれます関係で、昨年の十一月から暮れにかけまして、松本から中野市を結ぶ間におりまして水準測量を行なったわけでございます。その結果、先ほど申されましたように、豊野付近で非常に隆起が見られる、こういうことであります。現在も水準測量につきましては、三月に入りましてまた新しい測量繰り返しております。こういうふうに反復調査いたしまして、先生方の御意見を聞きながら、どういうふうにこれが地震予知と結んでいくかということについて今後の研究を進めてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  11. 和達清夫

    和達説明員 先ほど来松代頻発地震について、特に地震予知に関してお話があったと思いますが、防災センターとしましては、こういうような地震予知に関しましては、現在の状態では何よりも研究が大切であり、その研究もできるだけ総合的に行なわれることが望ましいわけであります。防災センターの任務は、そういうような総合的な研究が行なわれる場合に、それを計画的に推進する、あるいは必要に応じて援助することでございます。  現在、松代に対しましては、何よりも地下における地震活動状況、広い意味の地震活動状況でございますが、そういうものを推進する必要がある、つまりいまの松代付近地下の実態を確かめることが大切ではないかというようなことで総合研究計画し、実施しようといたしておりますが、そのうちのおもなものは、あの地区の最も適当な場所でボーリングを行ないまして、できるだけ深いところまで実際に掘ってみて確かめるということでございます。このボーリングに関しましては、まず新しい年度におきまして、直ちにその予備的調査として二百メートルの深さまでボーリングをしまして、いろいろ調べ、その結果に応じてできるだけ深いボーリングをその次に行ないたいと思っております。
  12. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それぞれ所管の方々から御意見を承ったのですが、この中で私が注目しなければならないのは、衰退期に入ったのだが、再び回数がふえて、さらに大きなのが起こるのではないか、こういう御意見があったわけです。これに対処するには、やはり研究体制調査体制の一元化をやらなければならない。いま和達防災センター所長のほうから御意見がありましたが、やはりそういうふうにしなければならぬと思うのです。それから科学技術振興対策特別委員会としてもこの研究を推進して、そして結論を早く出すような手だてをしていかなければならぬ、これが責任ではないかと思うのです。原委員長現地におきまして、われわれは総合研究体制の確立を推進いたします、こういうように言って帰ってきております。それから皆神山ボーリング計画については、国立防災科学技術センター気象庁建設省建築研究所、それから同じく建設省国土地理院、通産省の工業技術院地質調査所、これらが合議をされたようでありまして、そして学術的なメスを加えるために科学技術庁に二千万円の特別研究費を置いてボーリングをやろう、こういうことなんですが、科学技術庁からもおいでいただいておりますが、これの推進方法と目あてをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  13. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 ただいま三木先生からお示しのございました松代地震観測に関する総合的研究でございますが、実は昨日局内で防災センターでお示しいただきましたドラフトにつきまして検討しております。したがいまして、現時点決定とは申し上げられませんけれども、大体の概要を申し上げますと、大きな柱が三つございまして、一つは先ほど和達先生からお話がございましたような地下二百メートル程度ボーリングによりまして、将来さらに深いボーリングをする必要があるかどうかということは、その結果によってきめることでございますが、そういう予備的な調査と、それからあわせましてひずみ計でございますとか温度計等も設置いたしまして観測をあわせて行なう、それからもう一つは、地質調査所にお願いいたしまして、いろいろ物理的な探査あるいは露頭的な調査というようなものによりまして地質学的な究明をやっていただく。  それから国土地理院には、これは先ほどお話がございましたように、水準測量の頻度の問題がございますけれども経常費によりましての調査をおやりいただきまして、さらにことしの秋を目標といたしまして特別研究促進調整費によりますところの調査をお願い申し上げよう、こういうことになっております。  現時点におきますドラフトでは、四月、できるだけ早い時期に予算を各省庁に移しかえいたしまして、研究の発足を早める、ボーリングによりますところの観測を、大体土地交渉その他ボーリソグをするときには多少の事前の準備もございますけれども観測ボーリングの井戸を大体百日程度のところで完成いたしまして、それから測地測機の張りつけ及び第一回の観測を直ちに開始いたしたい、このように考えております。  それから地質調査所におきますところの物理的探査につきましては、重力探査を約二カ月、それから解析等に一定の期間を置きまして、さらに深部電気探査を七十日余りやっていただくということで、さらに先ほど申しましたところの露頭調査をそれと並行、あるいはただいま申し上げました重力探査並びに深部電気探査の結果に基づきまして露頭的な調査をやる、  それから国土地理院のほうにおきましては、先ほど申し上げましたが、秋を一応目標として測量を開始していただく、これはその間に六月に国土地理院の経常予算で一度調査をなされる時点がございますので、その次の秋の期間において調整費をもって調査いたしたい、大体こういうふうに考えております。
  14. 三木喜夫

    三木(喜)委員 学問的な立場とかそういうことはよくわかるのですが、これを人体にたとえますと、いま病人があって、この病人が死ぬかあるいは生きるかというような状況にあるときに、これを医者が学術的に研究することも必要でしょうけれども、まずその病気に対して適確な薬を与えてまみがえらすことが大事ではないかと思う。現地では、非常に大きな地震があって死ぬかもしれない、こういう不安におびえているわけです。それでそういう施策については早いことやってもらわなければいかぬ。計画はそのとおりですけれども、二千万円の費用というものがはたしてはっきりとれたのかどうか。そしてそれにかかる準備ができたのかどうかということが私の質問で、計画は大体いままでも聞いておりますし、現地でも聞きましたのですが、そういう点をひとつお聞かせ願いたいのと、それから地下に起こっておることで、いま研究中、いま調査中というものに対して、秋までかかって、秋から始めればその間大きな地震が起こらないのかどうか。私は、とにかくせっかちな考え方で申しわけないのですけれども、たくさんこういう研究機関があって学者がおられて、それを的確に言えぬというもどかしさを感じるわけなんです。  その二つは、どうしても今度科学技術庁として責任を持ってやってもらわなかったら、全体を総合したのですから、秋から始めた、それまでにがちゃがちゃやられてしまっておった、学術的な研究はできておったかもしらぬけれども現地はそれによって恩恵をこうむらなかったということであればこれは何にもならぬと思うので、そういう現実性と学問的な理想性というものと、二つのかみ合わせが非常にむずかしいと思うのですが、その点、もう一回お聞きしておきたいと思うのです。
  15. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 御説明が足らないで申しわけなかったのですが、予算の確保につきましては、三木先生御承知おきのとおり、特別研究促進調整費の緊急分ということで支出するわけでございますけれども、事務的には大蔵省の承認を得なければならないという段階でございますが、できるだけ早い時期にと思いまして、四十一年度早々に交渉を始めるということで実は下交渉を始めております。できるだけ早い時期に支出をいたしたい。金額につきましては大蔵との折衝もございますけれども、できるだけ御計画が完遂できますような金額を確保したい。  それから秋と申し上げましたのは、私は、水準測量のことを申し上げましたので、その他につきましては、もう年度当初からもちろん研究を開始するわけです。それで水準測量につきましては、六月に経常研究費で国土地理院のほうでおやりになりますので、その次の秋にもう一度私のほうの調整費でやっていただくという意味でございまして、御了解願いたいと思います。
  16. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大体わかるのですけれども研究調整費によって特別に費用をとるというんですか、いまから始めるということで、それがとれる見通しやら、いつからボーリングを開始するかということが私たちの聞きたい一番大事なところです。いつからかかられるんですか。実際に掘りかけるんですか。
  17. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 事務的な時間、要するに各省庁に予算を移しかえるという事務的な時日を要しますことは実に残念でございますけれども、一応形の上では大蔵から内示がございまして、それから各省に移しかえるという事務的な段階がございます。これをできるだけ急ぐつもりでございますけれども、いまのところはっきりといつからということは、その交渉の過程もございますので、正確には申し上げられないと思いますけれども、第一・四半期のできるだけ早期にという程度で申し上げることしかできないと思います。ただボーリングそのものの工事は、地点選定その他の基礎調査等を行ないました後に、五十日目ぐらいから工事を開始するということにはなっております。
  18. 三木喜夫

    三木(喜)委員 こんなことでとやかく申し上げるのは恐縮ですけれども、そんな見通しではちょっと困ると思うのです。現地的な感覚からいえば、いつやってくれるかということで首を長くしておるわけなんです。現地の町長さんにお会いいたしますと、学問への不信が非常に大きいんです。宇宙開発だということで空に伸びる科学もよいけれども、地球の三寸下ぐらいは早く知らせてくれ、こういうことなのです。いま学問的に説明することはむずかしいだろうと思うのです。しかし現地人の感情といたしましては、それに対する措置を早くしてくれなかったら安心がならないのです。そうしておいたら、あすにでも大地震が起こっても、これは現地の人は納得をしてくれると思うのですけれども科学技術庁がいまから予算をできるだけ早く移しかえて、そして地質の予備調査をやって、それからボーリングを始めるのに五十日かかりますというと、その危険がもしあるとすれば、その間に起これば何をしたかということになってしまって、これはたいへんなことです。そこでそういうようなマンマンデーなことでは私は困るので、この日までにとります、この日くらいからやりますという見通しをきょう立ててもらわないと、おそらく現地からおいでになっておると思うのですが、どうしてくれるのだ、たくさん研究機関があって国の費用を使っておって、こういう不信感があるのです。高橋さん、こういうことだったら科学技術庁不要論が出ますよ。あなた方に総合して施策するところのこういう権限なり仕事がまかされておって、いまのような答弁だったら、私は非常に不満です。私は現地人でありませんけれども、ここに松平さんが、地元の代議士さんが見えているのですけれども、あなたがそういうことを言うておられたら非常に不信感を持ちますよ。私たちは、科学技術庁という役所は最近できた役所ですから、何とか盛り立てて科学技術の振興に役立つ役所にしたい、できれば各省庁の上に、気位の高い省庁にしたい、こういう考え方を私たちは常に科学技術振興対策委員会におって持っているものです。しかしいまのお話では私は納得いたしません。もう少し端的に詰めた話をしてください。
  19. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 四十一年度の予算にかかわりますものでございますので、四十一年度になりませんと支出できないということは当然でございますけれども、先ほど申しましたとおり、すでに大蔵とは下交渉を始めておりますので、そう期日をはっきり明定するということはむずかしゅうございますけれども、できるだけ四月中に移しかえができるように一番早くやるだけの努力は重ねるつもりでございます。  それから五十日と申し上げましたのは、これは具体的に観測工事をいたします前にいろいろな基礎的な調査がどうしても必要でございますので、そのために必要な期日でございまして、先ほど申し上げましたような地質的な調査というようなものは、五十日を経ませんでも当然最初から始めていただく、ボーリングだけはその前の地盤調査その他の基礎的な調査が必要でございますので、本格的に掘り始めますまでにはそれだけの日にちが要るということでございます。その他の調査研究は当然最初からかかるわけでございます。予算の移しかえにつきましては、できるだけ大蔵省のほうを督促いたしまして急いでやるということにいたしたいと思います。
  20. 松平忠久

    松平委員 ちょっと関連して。いまお話を聞いておると、何か四月中にできるだけ予算の折衝を大蔵省側とやる、それからあと五十日だと言うのですけれども、この間閣議で、昭和四十一年度の予算はなるべく早く使えということを決定しておるはずです。したがって、予算が成立しなくても成立することを前提として今日大蔵省と事務的に折衝をして、四月になったらすぐ大蔵省の了承を得るということはできないというのですか、そんなことはできるはずじゃないですか。それからもう一つは、五十日かかるというけれども、一体ボーリングをやる前の事前調査というのは五十日もかかるのですか。一週間か十日でできないのですか。どうです。一体幾日かかるのです。ボーリングする前のいわゆる研究調査というのは、あそこをボーリングする、ここをボーリングするということで、要するに現地調査するわけでしょう。それが五十日もかかる、そんなとぼけたことはないですね。少しまじめに答弁して下さい。
  21. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 予算につきましては、先ほど申し上げましたとおり、すでに大蔵省当局とは下打ち合わせをいたしておりますので、松平先生お示しのとおり四月中に移しかえをいたしますように努力をいたしまして、可能かと思います。
  22. 松平忠久

    松平委員 いや、ぼくの言うのは四月中じゃなくて、四月早々できるじゃないか。予算が三十一日に、あるいは自然成立をするとしてもわかっているのだから……。
  23. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 ただ、特別調整費は一応各省庁の組織に移しかえるという事務的な手続が要りますので、それに必要な期日だけは必要かと思いますが、それを除きましてできるだけ急いでやるということでございます。  後段の五十日につきましては、研究者のほうからのドラフトにそうなっておりますが、和達先生からお答えいただければありがたいと思います。
  24. 和達清夫

    和達説明員 こういう予算の使い方の事務的の面がいろいろありまして、私のほうとしては調査して、そしてこれから地主等に折衝したりいろいろあると思いますが、そういう手続をおよそ勘定しましてきまったとしても、かかるのにはこのくらいの日にちが要るのじゃないかということを、この計画を出したときに言っただけでありまして、実際に急いでやろうという場合にはできるだけのことをしてきめようと思います。
  25. 松平忠久

    松平委員 大蔵省の話ですけれども、移しかえをするのに内規か何かありまして、一定の期間を経なければ移しかえができないということをいまあなた申されておりましたが、そういうことですか。そういう規則があるのですか。
  26. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 そういうことではございません。具体的に実は特別研究促進調整費がたとえば五億七千万円でございますけれどもワクがございまして、その中から各研究に支出いたします場合には、そのつど大蔵省と協議をすることになっておりますので、その点の時日、それからあとは事務的な問題、それだけでございます。
  27. 松平忠久

    松平委員 それだったら一日か二日でできるじゃありませんか。できませんか。
  28. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 技術的な内容等につきましては一応大蔵当局がチェックをいたしますけれども、そういう時期をできるだけ急ぐということは可能だろうと思っております。すでに現時点におきまして予備的な交渉は開始いたしておりますので、四月に入りましたらできるだけ早くその期間を短縮いたしまして、御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
  29. 田川誠一

    ○田川政府委員 三木委員松平委員に補足して私のほうから申し上げますが、ただいまお話しになりました予算につきましては、一般の公共事業と違いまして、事緊急を要しますので、われわれといたしましてもできるだけ早く予算を執行できるように努力をいたすわけであります。いま局長が言われましたのは、事務的にはいろいろかかるわけですけれども、大臣もこの松代の問題については非常に心配をしておりまして、政治的にも早く新しい年度に入ってから実施ができるように心配をしておりますので、この点はできるだけ早く実施のできるように私ども誓って努力することを申し上げて御了解を得たいと思います。
  30. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ああいう決意の表明がありましたが、私は、特別研究調整費というようなものは四十年度の中でも全部使い切ってないだろうと思うのです。まだ会計年度の途中だと言ってもいいのですが、そういうのがどうなっておるかということも思うわけで、四十一年度を待っておれば、そういうのんきなことを言わなければならぬことになると思うのですが、そういう研究もされておるかどうかお聞きしたいのですが、それはいまの決意でおきましょう。  そこで、四十年八月三日からこの地震が起こりかけたのです。そこで各省庁からどういうような調査、視察に行っておられるかということをチェックしてみると、気象庁はいま申しましたとおり現地観測所があるのですから、ずっとこれにタッチしている。東大地震研究所、これは文部省関係です。それから国立防災科学技術センター、これも関係しておられる。国土地理院、これは建設省です。それから通産省の工業技術院地質調査所ですか、調査に行かれております。それから政党なり大臣で見てみますと、社会党、それから自民党、これは党を代表して調査に行っております。瀬戸山建設相も行っておられる。科学技術振興対策特別委員会は三月十一日に調査に行った。こういうぐあいに行っておるわけなんですが、調査や視察ばかりしてその結論を出すことがおくれたら、現地では非常な不安と焦燥と不信感を持っておるところへそういう調査にばかり行っておって施策がおくれたら、そういうような不信感を持つのです。科学技術庁は行きましたか。今後総合的な施策を立てる一つのあらわれとしてボーリングをやるというのですが、私たちの望むのはこの研究調整機関をすみやかに設置してもらいたい。研究会議でもよろしい。総合的な役割りをしてもらいたい、統合的な役割りをしてもらいたい、こう思っておるのですが、科学技術庁は行きましたか。いま次官は、大臣は非常に心を悩ましておる、早急にやりたい、こう言っておるのですけれども、それをお聞きしたいと思います。
  31. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 先生御指摘のとおり、防災センターからは部長あるいは和達所長現地の御視察をお願い申し上げましたが、内局のほうから参りましたのは、総合研究課長が過日の先生方の御視察の際に同行いたしましたのが初めてでございます。
  32. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そういうかまえ方で研究全体の調整をしたり、統合したり、推進するというようなことは私はできないと思う。この松代地震というものを不幸中の幸いとして、不幸中のできごとではありますけれども、これをやはり学術的に大きく取り上げて、そうして日本地震研究の大きな資料にし、そうして成果をあげようとするならば、文部省からも出ておるようですし、東大からも出ておる、この御努力も側面的に必要といたしますけれども科学技術庁が先頭を切ってやらなかったらいかぬと思うのです。だから、いま松平さんからおっしゃったように、こういうふやけたというか、なまぬるい説明に終わってしまう。現地の緊迫感とあなたのとらえ方というものは感度が合ってない。松代、あるいは長野県の県当局にいたしますとたいへん心配しておるのですよ。それに対処するのに私はあまりにマンマンデーの考え方だと思いますので、今後統合的に研究も進める、こういうことについて所信を聞かしていただきたいと思います。これは次官でいいですから。
  33. 田川誠一

    ○田川政府委員 御指摘の統一的な機関をつくれというお話でございますが、現在も連絡会議をつくって、各省の調整その他をやっておりますが、どういう機関をつくるか、いまここで申し上げることはちょっとできませんが、お互いによく連絡がとれて、また調整ができるようなことでやっていくことを申し上げて御了解を得たいと思います。
  34. 木田宏

    ○木田説明員 蛇足のようなお答えになるかと思いますけれども地震予知の問題につきましては三十八年の日本学術会議の御建議をいただきまして以来、文部省の測地学審議会が中心になりまして、その体制を関係各省の方々とも相談をしながら進めてまいりました。四十年からその総合的な地震予知のための予算もつけまして、現在の見通しでは、三木委員御案内のように、一応十カ年の見通しのもとで具体的には五年くらいの見通しで全国的な網を張りまして、四十年度には各省庁を通じまして一億七千万円の経費をこの地震予知計画のために投じております。ちょうど四十年の夏からいま御指摘のような松代の問題が起こりましたので、松代の体制のことも加えまして、四十一年度には全体といたしまして二億四千万円ほどの経費を各省庁それぞれ用意したわけでございます。なおそうした全般的な地震予知の体制のもとで、特に昨年から松代地区に起こりましたものについて、特別の観測の体制ということを進めてまいる必要がございまして、測地学審議会の地震予知部会でとりあえずの体制の御相談をいただきました結果、一応文部省は国立大学の関係の既定経費約二百万円ほど、四十年度の既定経費のワクをさきまして松代周辺の四地点とさらに少し広い地域に観測関係調査の体制を一応整えたわけでございます。この経費も、いまさっき萩原所長からお話がありましたように、一月ぐらいを目途にしておりましたのですが、なおその後も経費が続きますので、とりあえず学術関係調査につきましては二月、三月と今年度の予算の残を若干加えまして、なおそうした周辺地区の観測の体制は続けておるわけでございます。その過程で、地殻ボーリング等の必要も起こってまいりまして、これは科学技術庁のほうからそういう特別の研究調整費の御心配をいただくというようなことでやっておるわけでございますが、もともとこうした地震予知研究を始めましたのが、世界でもわが国がやはり初めてのことでございまして、いまの体制としては、当初の出発のときから一応十年の見通しのもとの事業として進めております。たまたま昨年の八月以来、こういう松代地区の特別の問題がありましたので、関係研究者の方々が一生懸命やっておられるわけでございますけれども、私どもの学術の体制といたしましては、やはり当初の予定をあまりせっかちでなくて進めていかざるを得ないのじゃないかというふうに思っておりますが、政務次官からも御答弁がありましたように、この地震予知の体制全体の問題もあわせまして、私どもといたしましてもせっかく努力をしたいと考えております。
  35. 三木喜夫

    三木(喜)委員 木田さんのほうから、ああいう補足的な御答弁がある。私はこの学術の研究については、文部省と科学技術庁とが緊密な連絡をとってもらわなければいかぬ、そういうことを非常に望むわけですけれども地震予知するということについては、私たち現地状況を見てなるべく的確に知りたい、こういうあせりを持つからしてこういう質問になっておるわけですけれども、しかし現地人の感覚といたしまして、さらにまた政府の各機関といたしまして、その間にやっぱりズレというものが私はあると思います。そのズレがどこから来ておるかというと、これは一松代に金をかけておるのだ、あるいは長野県に金を持っていかれるのだ、こういうような予算を分け取りするようなかっこうで考えると、これは考え方が違うと思います。たまたま松代にそういう地震研究する好材料を提供された、それに対して金を惜しむべきでないという私は見解をとるわけなんです。そういう意味合いで文部省も対処していただき、科学技術庁も対処していただく必要があると思うのですが、それにしても先がた申しましたように、研究調整の機関は早くしなければいかぬと思うのです。そういう機会を早くとらえてもらいたいと思うのです。これは現地に対応するところの間髪を入れずに研究体制を整備する好機会じゃないかということを言っておるので、いま田川次官にお伺いしたんですけれども、その見通しは私から言えません、それじゃ大臣に来てください、大臣に来てもらってそういう機会を早くとらえてやりますと言ってもらうのが私たちは気持ちがいいし、現地もやはりそれに対して反応を示してくれたということで、政治に対するところの信頼感を持つわけです。あるいは学問研究に対する信頼感を持つわけです。たとえできなくともですね。これは木田さんが言われるように、予知というものをせっかちにやってもだめなんですから、早く調整する、いっその調整する会議を持つのですか。いま私がこうしてたたみかけてものを言うから、それはいつにしましょうというような相談になるのでは困ると思うのです。ボーリングを一方で打ち込むことをやるのですよ。それだけやったら、もう研究調整がやれたんですか。それは一つ施設に対する研究調整じゃないですか。学問全体の地震予知という立場に立っての研究調整は、いまやらなければやるときがないでしょう。それを聞いておるのです。
  36. 田川誠一

    ○田川政府委員 ちょっと私のことばに説明が足りなくて誤解を持たれたようですけれども、大臣がいなければ答弁できないということではなくて、いま三木委員の言われたような機関を一体どういうものをつくるかということは、いまここで私も申し上げることができない、これはおそらくみなそうじゃないかと思うのですが、何らかいまおっしゃられたような統制をする一つの機関をつくらなければならないという必要性は十分感じておりますし、お互いに連絡をし調整をし合うようなものをつくる必要があるんではないか、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  37. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そういう必要観に立っての話はもうわかるんです。そんなまどろっこしい話をしなくても。連絡会議くらいはすぐにできるでしょう。そんな見通しくらいは。きょうこうやっておいでておる、その方々が寄っていただいて、どういうぐあいにしようかということは、このあと三十分くらいでもできると思うのです。そんなことができないから、きょう帰ってしもうたらまたばらばらです。金もたった二千万円ぐらいはとれるが、長い期間をかけなければいかぬというようなマンマンデーの答弁になる。一松代の問題も重要ですけれども日本にとっても重要な問題です。現地にとっても重要な問題ですけれども、その松代だけの問題を言っておるわけじゃないのです。これを契機に、研究に対処する日本科学陣、技術陣の心がまえをいま言っているわけなんです。それに答えてもらうのにこれでは私は非常に不満足です。しかしこういうことを言うて、ひとりおこっておってもしかたがありませんから、このあとで、ひとつ、次官もおられるのですから、研究調整局長もおられるのですから、それくらいのことは、きょうやってください。早急にやれますか。
  38. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 松代地震自体の研究につきましては、すでに研究連絡会をつくってございます。
  39. 三木喜夫

    三木(喜)委員 何回持ったのですか、連絡会を。
  40. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 十二月六日以降三回でございます。
  41. 三木喜夫

    三木(喜)委員 その結論が、そういうような二千万円を五月くらいになって、それから五十日たたなければ掘れないという結論になったんですか。ボーリングだけじゃないでしょう、ボーリングだけですか。
  42. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 これは全般に松代地震研究に関するところの情報を交換するということを主にいたしております。それからたとえば三月十九日、先週の土曜日に開催いたしましたけれども、これはこの前の会議録でお示しいただきました報告書の中に御要望されました七事項でございますが、こういうようなものにつきまして今後どうするかというような、そういう点の相談などもいたしております。
  43. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それでは三番目の問題に入りたいと思いますが、今度は防災の立場で予算をつけてもらうということについてお伺いしたいのでございます。文部省の管理局から大串指導課長が見えておりますが、プレハブの建築をして地震に備えて子供の安全を守っておられる、こういうことはいいわけなんですけれども、危険校舎があります。これは一つの例として申し上げるのですが、危険校舎がそれに対応するために、老朽校舎の予算をとるよりも、災害対策として災害対策費をとるほうがいい、このほうが補助が多いですから、こういうような考え方現地は持っておるようです。しかし、その調査にあたっては写真をつけろとか、いろいろめんどうくさいことがあるようです。天井の板をはずしてどういうぐあいにはりがゆがんだか、あるいはささえがゆがんだか、写真にとれということで、わざわざ天井がついておるものまではずしてやっておる、こういうような非常に矛盾した状況でありますが、それでもいいです。災害としてこれを認められる、あるいは老朽校舎としてのおざなりのやり方をなさる。それは現地においても非常に関心を持っておるところですので、そういうところをひとつ文部省からお聞きしたいと思うのであります。
  44. 大串不二雄

    ○大串説明員 助成課長からお答えいたします。
  45. 岩田俊一

    ○岩田説明員 建物につきまして災害として改築するものにつきましては、災害によって全壊かまたは半壊になった場合に、これは公立学校施設災害復旧費国庫負担法の規定によって限られておるのでございまして、本年、現地からの御要望によりまして、去る三月十日に技術官を派遣いたしまして現地調査をさせましたのでございますが、現在の被害の状況では、全壊または半壊といったような、いわゆる建て直しを必要とするような被害状況ではないというようなことでございまして、補修程度の被害のものでございますので、現在のところ、これを改築復旧の対象としてとらえることは困難であるということでございます。
  46. 三木喜夫

    三木(喜)委員 現地視察におきまして原委員長も、非常に急を要する予算措置とかあるいは防災措置とかいうものを言っておられましたけれども、そういう意味合いにおいて、私は特別交付金の問題もお聞きしたかったわけですけれども、その係の方が見えておりませんので、この点はよしたいと思います。要は、どの省庁にいたしましても、事故が起こってから、災害が起こってから、幾らお金を出してもこれは死に金になります。そういう見地に立って、これはもう特異な存在ですから、いままでの基準とかなんとかいうものを特別手直しをするという考え方でぜひこれは進めていただかなければならないのではないかと思います。一日に千何百回も地震があって、少しずつゆれてくずれていっても、千何百回もやられたら、これは一ぺんに大きなのをやられたのと同じことですからね。千二百回、二千回としていっておるのです。まあそれは人体に感じる程度と、そうでないのとあるだろうと思いますけれども、そういう意味合いで、今度松代の町長さんも言っておられましたが、特交として千四百五十万円、まだ四百五十万円が不足しておる、こういうお話でありましたが、私はこのことにこたえていかなければならないと思います。わざわざ政治家がたくさんきびすを接して現地を視察したのですから、学術的なみやげと、現地の不安を解消するところのみやげと、予算の措置と、さらに大きく考えて、日本地震科学研究のための推進、これの予算措置、これもとってもらわなければいかぬと思います。その点について田川次官がおいでになっておりますから、ひとつ決意を聞かしていただきたいと思います。
  47. 田川誠一

    ○田川政府委員 地震予知を含めて地震全般に対する予算をもっととらなければならないということは、私どもも常々考えておりまして、四十一年度予算を編成する際におきましても、科学技術庁としては地震の問題、たとえば大型耐震実験装置をつくる問題にいたしましても、かなり力を入れたつもりでございます。しかし残念ですけれども、十分な予算をとることができませんでした。日本における地震研究ということは、これは単に日本だけの問題ではなくて、全世界の地震研究に対する一つの大きな指導力にもなるわけでありまして、この問題については今後も政府の内部で十分に促進をするように、私ども全力をあげて努力をするつもりでございます。
  48. 三木喜夫

    三木(喜)委員 地元の松平さんがおいでになっておりますので、私はこの程度でおきたいのですが、ただ一つ、先がた申しました研究連絡会議のことです。高橋究調整局長にお聞きしておきたいのですが、いままで三回持たれたのは、ボーリングのことだけですか。高次な地震予知研究という問題に対しても、研究体制をどう進めようか、そういう会議を持たれたのですか、どうですか。内容を言ってください。
  49. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 地震に対します調査研究の総合的な推進という立場では、先ほど申しました松代地震対策連絡会のほかに、従来から地震防災総合研究一つの重要な柱でございますので、経常的に各省連絡会を別個に持っております。これによりまして、各省庁が地震防災に対します研究をいたしますための予算措置をとります場合に、大蔵省に対しますところの予算の見積もりの調整を私どものほうでやっておりますので、これは従来から全部やっております。ただし、地震予知に関しましては、これは文部省の測地学審議会のほうで統括的におやりになっておるわけでございまして、測地学審議会は各省の大臣に意見を申し述べることができるというような、各省に対しまして調整権限をお持ちであります。地震予知のほうは測地学審議会、それから地震防災のほうは軽減あるいは復旧関係でございますが、こういうものにつきましては私どものほうで関係各省の連絡調整を従来からもやっております。  それから先ほど申し上げました三回と申しますのは、松代地震に関しますものだけでございます。これは研究の情報の連絡が主となっております。
  50. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いや、それをいままで恒常的にやられることはわかるのですけれども、今回緊急にやらなければならぬということで、情報の交換を三回やっておるだけでは結論はないじゃないですか。何かやはり具体的な推進をするためにやらぬといかぬのですが、ボーリングのことはそこで話をされておるのですか。
  51. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 ボーリングの点につきましては、これは防災センターが中心になりまして研究者をお集めいただきまして、関係各省の研究者の間でドラフトを御作成いただく、この連絡会のほうは行政ベースの者が入っておりますので、そこにおきましてさらにそのドラフトについての検討を行なう、これもあわせて行なっております。
  52. 三木喜夫

    三木(喜)委員 基準、たてまえはわかるのですけれども、どういうぐあいに具体的にやられたかということなんです。防災センターのほうで何回そういう会議を持たれたのですか。
  53. 和達清夫

    和達説明員 回数をちょっと私つまびらかにいたしませんが、そういうような総合研究を組織するために相当の回数関係者が集まり、あるいは個別に連絡して、そういうような計画案をつくって、科学技術庁に提出したわけであります。
  54. 木田宏

    ○木田説明員 先ほど高橋局長からの御答弁にちょっと補足させていただきますが、地震予知研究体制につきましては、高橋局長から申し上げましたように、文部省の測地学審議会で各省の研究体制との御連絡をとっておるところでございます。測地学審議会にはいろいろな部会もございますが、特に地震予知のためには地震予知部会というのを設けておりまして、松代の案件に関しまして最近二回ほどその地震予知の連絡会も開いております。なお全般的な地震予知研究体制を進めていきます基本は、学術会議に地球物理の地震予知委員会があるわけでございますけれども関係者研究の実施の体制は、測地学審議会で各省間の連絡をとります。その各省は、先ほどからお話が出ておりましたような通産省の地質調査所建設省国土地理院、それから運輸省の中の気象庁あるいは水路部、気象研究所、それに私ども関係では緯度観測所という独立の研究所がございますし、国立学校自体の研究体制地震研究所、その他の付置研究所の体制があるわけでございます。これらの全般を、それぞれ研究分野を分担して、測地のための事業をいま進めていただいておるわけでありますが、なお松代地震のような異常現象、突発現象に対します調査研究体制をどうするかということも、また測地学審議会でいま関係者の御検討をわずらわしておるところでありまして、できるだけ御趣旨の点を考えながら私どもも進めて、関係者の体制がとれるように御協力をしていきたいというふうに考えております。  なお、いままでの研究発表につきましては、実際問題が具体的なその専門の研究分野にわたるところでございますから、それぞれの事項の研究所研究者が中心になって関係部分の御連絡をとっていただく。地震予知研究の体制といたしましては、そういうふうに研究者の研究活動にゆだねる以外にございません。現在の段階では主として東京大学の地震研究所が中心になっていただきまして、この研究成果の横の連絡調整を毎月一回やっていただいておるような状況でございます。ちょっと補足をさせていただきます。
  55. 三木喜夫

    三木(喜)委員 だんだん聞いておると、私はしつこく言うて悪いですけれども科学技術庁の研究調整局長は、ボーリングの問題は防災センターのほうへまかしておるのだ、それから地震予知については文部省だ、文部省はそれを東大にまかしておるのだ、突発事項、こういう特異な事態に対しては一体どうずるかということについては、いま寄り寄り研究中である。こうなったら、私が申し上げる緊急性、これに対処するやり方として質問しておるのですが、そのことと一つもかみ合っていないわけです。しかし長いことこれをやるのも恐縮なんですけれども、あなた方にお伺いしておると、話がどんどんぼけたほうにいってしまって、どうも満足しにくいのですけれども、最後に防災センターにお聞きいたしますけれども、その松代の問題としてボーリングを打つための会合の回数を忘れられたと言いますけれども、どこどこを呼んで何回くらいやられたかということが、一番せんじ詰めたところです。それはどうですか。
  56. 和達清夫

    和達説明員 はなはだおそれ入りますが、あとで資料提出でよければいたします。と申しますのは非常にたびたびやりましたが、関係者が寄って、あるいは電話等でやったりしてこしらえ上げ、やったので、私いまつまびらかにいたしておらないのはまことに申しわけないと思います。しかし私どもそういうような総合研究一つこしらえ上げるのに、研究者が非常に多いので、会合も実際にたびたびいたすのでありまして、この計画におきましては地質調査所国土地理院、そして気象庁、それと私どもというのがおもなる研究機関になっております。
  57. 三木喜夫

    三木(喜)委員 研究機関はいいのです。それをどういうぐあいにやられたかということを聞いておるのです。電話というような話がまた出てきて問題が横にそれたわけですが、これはいいです。私もしつこくは申し上げません。何もあなた方をとっちめるのが私の役目ではありませんし、きょうの質問の要旨ではありません。そういう恒常的な高次な地震予知という目的に対しての連絡調整会議というものと、この特異なものとに分けて、特異なものに対しては科学技術庁にその責任があるように思うので、そこで高橋さんにいまお願いして、これを早くやっていただかなかったら、現地に行った者としてたまらぬ気持ちになっておるのだ。あれの責任だ、これの責任だと言って、責任をばらばらふりまかれるだけが役所の仕事ではないと思いますので、それをお願いしておきたいと思うのです。そういう意味合いで申し上げるのです。  それから現地的な感覚、不安の様子を一ぺん見てこられたらどうですか。研究を総まとめされようという考え方なら、現地に行って一ぺん見てきていただきたいと思います。現地においては緊迫感というものが、だいぶ長いこと持ち続けたためにこのごろは弛緩しておる。これは原委員長現地に行かれて、あまり緊迫感がないな、そういう感想を漏らされておりましたけれども、それは長い間そういう不安におびえて、そういう緊張を持ち続けておったために、こういう状況が出ておるのではないかと思いますけれども、ここにおけるところの政治の責任者にとってみましたならば、住民のいろいろな不安にこたえなければならぬ非常な焦燥感を持っておりますから、これはぜひ現地に行っていただいて、学問的な立場からも、研究的な立場からも、緊急措置をやるという立場からも、見てきてもらわなかったらだめですから、その点をお願いして私の質問を終わりたいと思います。
  58. 原茂

  59. 松平忠久

    松平委員 ちょっと教えていただきたいのですが、現在の地震予知段階と申しますか、それはどの程度わかっておるのですか。全然わからぬというのか、あるいは三割くらいはわかっておるというのか、あるいは五割わかっておるのか、どうですか。
  60. 萩原尊礼

    萩原参考人 現在は地震予知はまだできないということになっております。
  61. 松平忠久

    松平委員 それで地震予知は現在できない。明治二十四年に国会で決議をして震災予防調査会というものをつくったはずでありますが、あれは何をする機関でしたか。
  62. 萩原尊礼

    萩原参考人 お答えいたします。震災予防調査会は地震に関する研究を進めるということでできたように聞いております。それができましたときに、すでに地震予知ということが当時問題になったと聞いております。しかし当時としましては、まだ地震予知ということの研究よりも、地震に対する基礎の知識をはっきりすることが大切であるということになって、以来地震予知ということはあまり取り扱われないで、もっぱら地震の基礎的研究に力が向けられてきたように聞いております。
  63. 松平忠久

    松平委員 当時の議事録を見てみますと、三十年、四十年後、われわれの子孫がおとなになって、社会に出て生活をするころは地震予知をするという、そういう考え方でこの震災調査会というものができた。提案者は貴族院の菊池大麓であります。菊池大麓がそういうことを国会でしゃべっております。それが一体どうしてその機関というものがなくなり、どうしてそれが発展的解消をして現在のような東大地震研究所になったのか、そのいきさつはどういうことですか。
  64. 萩原尊礼

    萩原参考人 震災予防調査会は特別ないわゆる委員制度でございまして、最初は非常にたくさんの委員が熱心に研究を続けたのでありますが、長い間たちます上に、だんだんある部門におきましては熱が失われてまいりまして、最後におきましては、大森房吉博士、それから今村明恒博士のような地震学者だけが残って、総合的な研究からは遠のいた状態になりました。そこへ関東の大地震がありまして、そこで地震研究所がその震災予防調査会の研究面を受け継ぐことになりまして、地震研究所ができましてから、ここに新しい地震学が起こってまいりました。それと同時に、そのほか当時は中央気象台でございますが、その他の機関でも地震研究熱が非常に盛んになりまして、ここで初めて日本の近代地震学というものができあがったと思います。  ただ、そのときから今日まで、地震予知ということは絶えず地震研究者の頭の中にあったわけでありますが、しかし、その当初の方針である、まず地震予知ということのためには、地震の基礎的な知識をもっとはっきりしなければいけないという精神がずっと受け継がれてきたようでありますが、次第に地震予知ということの関心が強くなりまして、地震予知に直接関係する研究もだんだん行なわれるようになりました。しかし、そういう研究が進むにつれ、地震予知というものは、ただ一人の学者が単独で幾らやってもできない。それからまた、どんな精巧な器械を一カ所に据えつけただけで、たとえば天体望遠鏡のようなものでありますと、非常に大きな望遠鏡を一カ所に据えつけますと、それによって非常に大きな観測資料ができ、宇宙に対する知識が格段と進展するわけでありますが、そういうものは地震学においては成り立たない。そういう個人の研究だけ、あるいはそういういい器械を一カ所だけに置いたようなそういう観測のやり方、そういうことではどうにも地震予知ということができないということがわかってまいりました。  そういう結果、ここに地震予知研究計画グループというものができまして、ああいう地震予知計画ができ上がったのでありますが、それによりますと、この地震予知というものは、そういうような個人の研究ではとてもできない、あるいはただ一つ地震研究所といったような、そうした単独の機関の研究ではどうしてもできないものである。どうしてもそれは国家的な規模においてやらなければできない。しかも、日本の全域にわたってそういった調査とか観測とか測定をやらなければできない。しかも、そういうことを相当長い間しんぼう強く、粘り強くやって初めてできるのである。そういうことがわかりまして、学者も研究者も、そういう地震予知ということはみな非常な大きな関心を持っておったのでありますが、そういう抜けがけの功名はもうやめにして、みな協力しなければできない、協力してやろうじゃないか、そういうことからでき上がったのがあの地震予知研究計画でございます。しかも私は、研究者あるいは研究機関の協力だけでもこの地震予知というものはできないと思っております。それにはやはり政府も一緒になり、また国民の強い支持があって初めてできるものだ、それほど非常に困難な一つの仕事だと思っております。
  65. 松平忠久

    松平委員 関東震災後、震災予防調査会が廃止されて、東大地震研究所ができた。そのときの衆議院における提案を見ておりますと、やはり同じことを言っております。三十年、四十年後には地震予知をするんだ、できるんだ、だから予算を出すんだということを当時の国会では言っておるわけでありますが、すでに三十年、四十年経過しておる。その間において東大地震研究所あるいはそれらの大学の研究所というものは、やはり地震予知ということを目的として研究をされておったわけですか、その点を伺いたい。
  66. 萩原尊礼

    萩原参考人 地震予知というものを直接の目的とした研究もやっておりましたが、そのほかに、いわゆる地震に対する基礎の知識を得るという、そういう基礎研究も行なわれておりました。
  67. 松平忠久

    松平委員 そこで、地震予知研究というものが、明治二十四年以来、やるといっていままでできないというところの最も大きな原因はどこにありますか。
  68. 萩原尊礼

    萩原参考人 最も大きな原因と申しますか——地震予知研究と申し上げましたが、地震予知研究という学問はないのでありまして、あらゆる地震に対する基礎的な知識が積み重なって地震予知というものができ上がってくるのだと思っております。
  69. 松平忠久

    松平委員 その地震予知が今日まだできないという根本的な原因はどこにあるかと聞いておるのです。
  70. 萩原尊礼

    萩原参考人 なかなかお答えがむずかしいんですが、地震予知がどうしてできないかという、つまり地震予知はどうすればできるか、もしできるとすればこれだけの方法しかないということを述べているのが地震予知計画でありまして、それが現在できないというのは、日本全域にわたる観測なり測量なりが現在まだできておらないということになると思います。
  71. 松平忠久

    松平委員 そういうことは予算の関係ということが一つあるのではないか、もう一つ研究の総合性というか、そういうものが確保されておらないというところに一つ原因があるのではなかろうか、こういうふうに思いますが、私のしろうと考えは間違っていますか。
  72. 萩原尊礼

    萩原参考人 間違っておらないと思います。ただ、もちろん予算が要るのでありますが、今日急に何百億という予算を出したとしてもやはりあすできるというものではありませんで、そういう計画が実現するためには人間の養成も必要でありますし、やはりそういった計画というものをしんぼうづよく続けていかなければならないと思っております。
  73. 松平忠久

    松平委員 そのことはよくわかりますけれども、あまり長くしんぼうしちゃって明治二十四年には、この予算を当時の金で二万円出したのです。大正の七、八年ごろにこれが三万円に上がりました。いいですか、明治二十四年から大正の七、八年までずっとただ二万円出しっぱなしだ。当時の政府はこういうやり方をしておったわけです。あなたの東大地震研究所の予算を見てもよくわかります。そういうことで何十年も経過してきたのでは、私は幾らたっても思うようなことができないのはあたりまえだと思うのです。それが地震予知計画ということであらためて皆さん方がそういう計画を立てられて、その計画に従って今後やっていこう、こういうことでありましょうけれども、私たちが見ておりますと、十カ年計画で百億だといっておるのに、それじゃ初年度一億七千万円、二年度三億七千万円、そういうことで一体できますか。十カ年計画でその予知ができるような体制というものができるわけですか。これは文部省どう思いますか。
  74. 木田宏

    ○木田説明員 予知の実際のお仕事は研究者の方々にやっていただかなければなりませんので、私どもといたしましては、測地学審議会に寄せられました各方面の権威者の方の御意見によってお世話する、事務側としてできるだけの努力をしていくという所存で考えておるつもりでございます。しかし、実際に十年という期間を見ればできるかどうかという点については、これは私ども専門でもございませんので、何ともお答え申し上げられないわけでございます。
  75. 松平忠久

    松平委員 それは専門家でないから答えられない。専門家も答えられないかもしらぬ。しかしながら、一応計画として十カ年で百億というのなら一カ年に十億出したらどうです。どうして十億出せないのですか。文部省はどうして十億出さなかったのか、これを聞きたい。
  76. 木田宏

    ○木田説明員 十カ年で一応のそういうお見通しもあるわけでありますが、現実には五カ年間でどことどこにどういう観測点を設ける等のことを御相談いただきまして、それを年次別に進めておるわけでございます。現在地震予知研究計画のワクとして一応考えられておりますことは、一つには測地、検潮関係の仕事がございます。これは水路部、気象庁建設省国土地理院が御担当になっております。それからもう一つ地殻変動の連続観測という事業がございまして、これは文部省の緯度観測所、それから国立学校の研究所東大その他の付置研究所が中心になってこの体制を整えております。それから地震活動につきましてはこれまた大中小、あるいは微小地震、極微小地震等、分野別の調査研究活動がとられておりまして、比較的大きい地震につきましては気象庁が御担当でございますし、微小地震につきましては大学の研究者が担当しておる。そのほか地磁気でありますとか地殻の活構造でありますとか、あるいはまだ手がついておりませんが地熱等のいろいろな各部面からの研究を進めていかなければなりません。それをそれぞれ御担当のところで具体的にプラニングをしていただきまして、全体としての地震予知計画を進めていくわけでございます。  一応の気がまえといたしまして、大きくかまえてまいりますが、毎年の予算といたしましては、関係者がそれぞれその前後に集まりまして具体的な予算の措置、それから実際のその次の年度に行なうべき事業計画等を御相談くだすって、それぞれの大ワクをきめて予算化していく、こういう経過をたどるものでございますから、具体的な課題といたしましてはそのときの状態で金額がきまっていくというような次第でございます。
  77. 松平忠久

    松平委員 それでは測地学審議会の地震予知部会というものは一億七千万円でよろしい、そういう計画を出してきたのですか。その計画をあなた方のほうが大蔵省と話しをして大蔵省が全額承認した、経過はこういうことになっていますか。
  78. 木田宏

    ○木田説明員 各省それぞれの事業とのかね合いもありまして、そうした計画を持ち寄られるわけでありまして、文部省といたしましてもこの測地学審議会におはかりをして、優先度その他のことも御相談をしながら、計画全体のあり方については大蔵省にも説明していくわけでございます。一〇〇%取れている、こう申し上げることは事実と違うわけでございますけれども関係者努力をしておりますものについて、これは研究者の方でどうお考えになりますか。私どもとしては腹八分目くらいのところで一歩一歩進めておるというつもりでございます。
  79. 松平忠久

    松平委員 当初の予算要求とそれから確定した予算とは幾ら違うのですか。腹八分目なんという変な答弁をせずにもっと正確な答弁をしてください。
  80. 萩原尊礼

    萩原参考人 地震予知計画の一番の責任母体は学術会議の地球物理学研究連絡委員会地震予知委員会でございますが、そこで立てました予算の大体四分の一が実現しております。
  81. 松平忠久

    松平委員 文部省、腹八分目でなくて四分の一だというじゃないですか。君ら一体どういう態度で答弁しているんだ。少しまじめになったらどうですか。おかしいぞ、その態度は。じゃ、どうして君らは大蔵省ともっと折衝しなかったんだ。一体どういう折衝をしてくれたんです。
  82. 萩原尊礼

    萩原参考人 私からちょっと。四分の一でありますが、測地審議会等で扱うようになります前には各省を経て出ますので、みなおのおの各省の事情によっていろいろ整理されますので、そこでいわゆる学者の立てた計画よりも減りますので、測地審議会でもってさらにそれを検討して圧縮していくといった場合、別に測地審議会が四分の一にするわけでは——腹八分より少しは少ないかもしれませんが測地審議会が四分の一というわけではありません。
  83. 木田宏

    ○木田説明員 先ほど、要求した当初の数字を私ちょっと記憶しておりませんでしたものですから、腹八分といったようなばく然としたあいまいなことをお答えを申し上げましてたいへん恐縮でございました。四十一年度関係省の概算要求といたしましては三億三千万ほど要求をいたしまして、実現を見たものが二億四千万円でございまして、約七割でございます。どうも失礼しました。
  84. 松平忠久

    松平委員 その場合に、科学技術庁はどういうことをしているのです。その予算要求に対して測面的な援助をするという立場にあるのですか、それとも黙って見ておるのですか。
  85. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 測地学審議会におきまして、地震予知は総合的に調整をされるわけでございますけれども、そのうちで大学を除きます各省庁の研究につきましては、これは当庁の調整の範囲内に入ってありますので、見積もり方針の調整時に私のほうで調整なり推進をいたすということになっております。
  86. 松平忠久

    松平委員 調整というのは予算を削ることですか、どういうことですか。調整というのは何ですか。
  87. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 特に重複いたしますような場合におきましては、御指摘のような削るということもございますけれども、実体的には促進と申しまするか応援を申し上げるということが実体だと思っております。
  88. 松平忠久

    松平委員 科学技術庁で、もう少し予算をよけいにしたらどうか、こういうことはやりますか。
  89. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 特に予算増というような意見をつけたことは、従来ないと思います。
  90. 松平忠久

    松平委員 それじゃ調整じゃないじゃないか。調整というのは、ある場合にはよけいにつけるかもしらぬし、ある場合には削るかもしらぬ、それが調整だ。君は、なぜそういうことばを使うんだ。
  91. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 見積もり方針の調整でございますので、具体的にこの予算額が多いとか少ないということではございませんで、その研究の内容自体と申しまするか、方針を調整するということでございます。
  92. 松平忠久

    松平委員 それでは、文部省以外のものの調整ということは、具体的にどことどこの省ですか。
  93. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 地震予知につきましては、通産省、建設省、運輸省。それから防災関係につきまして、たとえば構造物の耐震対策につきましては、建設、運輸、農林の各省。それから軟弱地盤の対策につきましては、建設、運輸、農林、通産の各省。なお多少関連がございますか、非常火災対策というようなものも中に入れておりますが、これは建設、自治の各省でございます。
  94. 松平忠久

    松平委員 科学技術庁の態度は、地震予知ということと防災ということをどういうふうに分けておられるのですか。そのときにごたごた一緒くたに調整してそれでサポートしている、こういうことですか。予知予知、あるいは防災防災、そういう考え方で区別して考えておられますか。
  95. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 地震予知地震防災とを一応別の柱に考えております。
  96. 松平忠久

    松平委員 防災センターボーリングをするということは、これは予知ですか、あるいは防災ですか。
  97. 和達清夫

    和達説明員 防災の基礎になる研究の総合だと思っております。
  98. 松平忠久

    松平委員 それは予知には関係ございませんですか、そのボーリングをすることは。われわれはいままで、これは何か予知関係がある、こういう感じを持っておったのですが、いまお聞きすると、予知には関係がないようなお話なんですが、どうですか。
  99. 和達清夫

    和達説明員 私ども予知防災の主要なる部分だと思っておりますので、そういう意味においては地震予知に非常に関係がございます。
  100. 松平忠久

    松平委員 そうすると防災というものと予知というものは、あなたの御答弁によりますと、何か一体化されておるような感じを受けますね。そこらのところの政府における区別のしかたというものはどういうふうになっておりますか。たとえば耐震耐火の研究なりあるいは予知研究とかいうものをどういうふうに分類して、どこがどういうものを担当して、おのおのはどういう連絡をとりながら研究しておるのですか。
  101. 和達清夫

    和達説明員 私の前の答弁は、防災センターということにとらわれて申し上げたので誤解を招いたと思いますので、もう一度申し上げさしていただきます。地震予知は、ただいま地震予知研究計画でありまして、地震予知研究が主であります。したがって、私のほうの防災科学技術センターは、そういう防災の基礎になる研究を推進するためにボーリングも行ないます。したがって、地震予知にも貢献を十分したいのはやまやまでありますが、これはひいては遠く防災関係するという意味でございます。  なお、防災地震予知と別の柱になっておるのは、防災というのはわりあいに基礎から始まりますけれども、応用の面が強いのでありますが、地震予知は、現在の段階では研究と申して差しつかえないかと思います。
  102. 松平忠久

    松平委員 測地学審議会の地震部会には、防災センターもメンバーに入っておられるわけですか。
  103. 和達清夫

    和達説明員 私が委員として入っております。
  104. 松平忠久

    松平委員 そこで、いろいろお聞きするとだんだんとわかってきたのですが、防災のほうはしばらくおきまして、その計画をつくられておる測地学審議会のもとにおける地震予知部会、この計画に参画しておる学者の数は何人おりますか。
  105. 木田宏

    ○木田説明員 いま測地学審議会の地震予知部会に関係をしておられる学者の方々は二十一人でございますが、しかしその大ワクに基づきまして現実に関係し、この地震予知計画に従事をしておられます学者は、数でちょっといまお答えを申しかねますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、文部省所管では緯度観測所の活動、国立学校——六大学ございますが、それから大学付置研究所、さらに通産省、運輸省、建設省等先ほど申し上げましたような関係機関がそれぞれ分担をしておられるわけでございまして、いまちょっとその数という点ではお答えをいたしかねます。
  106. 松平忠久

    松平委員 その予算は、人件費はそれぞれの所属のところで出しておられるわけですね。そうするとその研究費の使い方というものは、どういう部面にどのくらい使う、どこにどのくらい使うのだということはだれが決定するのですか。
  107. 木田宏

    ○木田説明員 各省それぞれの御事業との関係があるわけでございます。たとえば測地なり検潮の仕事といたしますと、水路部の検潮等のこともございますし、国土地理院の一般的な測地活動との関連もあるわけでございます。その中で地震予知関係するものとして、このような体制をとっていこうというそれぞれの各省の協力を持ち寄って測地学審議会の地震予知部会でその事業の大きさ等を御相談いただいておるのでございます。
  108. 松平忠久

    松平委員 そうすると地震予知部会というものが決定権を持っておるわけではないわけですね。しからば、予算については、それはどういうことをする機関ですか。
  109. 木田宏

    ○木田説明員 測地学審議会は、そのような各関係研究機関調査機関等の全体的な活動について一応打ち合わせをし、調整し、必要があれば関係大臣に建議をするという役割りを持たされておるものでございます。ですから、そこに関係各省の関係者並びに研究者は入ってこられますので、大体御自分の関係のところで考えるべき事業、それがほかの研究部門とのバランスの上でこの程度といったようなことをお互いに御相談いただくわけでございますが、関係大臣にそうしたことでお骨折りをいただくという建議をすることはできるわけでございます。
  110. 松平忠久

    松平委員 いま言われました地震予知計画ですか、その計画はどなたがおつくりになっていますか。
  111. 萩原尊礼

    萩原参考人 地震予知計画は、そもそもの発端は地震予知計画研究グループという任意団体がつくったものでありますが、その後、日本学術会議の地球物理学研究連絡委員会地震予知委員会がその責任母体として、その計画をもとにして、さらに具体的な計画をつくっております。これがもとになっておりまして、それによっていろいろ予算等をつくりまして、関係各機関より予算を出しまして、それを測地学審議会の地震予知部会で一括審議をしておる、そういう状態でございます。
  112. 松平忠久

    松平委員 その計画に基づいて実施をするという段階では、だれが命令権を持っているのですか。
  113. 萩原尊礼

    萩原参考人 この地震予知というものは、まだ実施の段階ではありませんで、したがって、まだ研究段階でございまして、特に各大学のほう、要するに、一つのまとまった機関で地震予知ということを事業としてする段階ではありませんので、各機関が協力して研究を当分の間進めていこうということでありますので、各機関の自発的な協力に待っているわけであります。
  114. 松平忠久

    松平委員 それでは、各機関がてんでに自分でやりたいことをやる。ただしそれはダブってはいかぬから、一応調整もする、そういうようなことをやっておられるわけですか、この部会というものは。
  115. 萩原尊礼

    萩原参考人 いや、てんでというわけではありませんが、各機関、たとえばある大学では自分のところではこれだけのことは受け持てる、地震研究所では現在の能力でこれだけのことは引き受けられる、そういうことを相談し合ってこの計画というものをまとめていくわけであります。
  116. 松平忠久

    松平委員 それの部会の招集権者はどなたです。どこが持っているのですか。
  117. 木田宏

    ○木田説明員 これは測地学審議会の会長がお集めになるわけでございまして、予知部会の場合には予知部会の部会長がお集めになります。
  118. 松平忠久

    松平委員 それから、この間松代へ行ってみますと、各大学あたりがばらばらに松代へ来ていろいろ研究して、そして地震観測所長は、繁雑で困るということをわれわれに言っていました。その中には個人的な研究のために来る者があって、いろいろな資料等を要求して、その応接にいとまがないのだ、こういうことを言っておりました。私はそれじゃしょうがないと思うのですよ、実際いうと、ばらばらで。そうして、たとえば東北大学なら東北大学は飛行機でやってみる。京都大学は京都大学でやっている。その結論というものはどこかでまとめているのかどうか。それから、来る場合にも、そういうふうにてんでんばらばらになって来るということはむしろ現地で迷惑するということになるわけです。やるのだったら、みんながあらかじめ相談をして、そして現地調査にしても、それぞれのグループ、グループが一緒になってやっていくならば、私はもっとよく現地も受け入れができるだろうと思うのです。それを各大学がばらばらでやり、各研究所がばらばらに行って現地に迷惑をかけるような研究体制というものは、どうしてそれがそういう結果になってくるのか。心棒のようなものがこの研究体制にどこか抜けておるのではないですか。それはどうでしょうか。そういう現象に対する皆さん方の御答弁を伺いたいと思います。
  119. 萩原尊礼

    萩原参考人 各大学がばらばらに行って研究を行なったというお話でありますが、これは昨年の十二月に各大学が合同で極微小地震観測をいたしました。これは松代地震に対して、松代を取り巻いた十カ所において極微小を一週間合同で観測する。これは従来極微小地震研究グループというものがございまして、各大学から研究者が集まってやっておったのでありますが、これをこの機会にやるということで、文部省の科学研究費をいただきまして、それでやりまして、これは十班がそこに参加したわけでありますが、これは何回も会合を重ねて十分話し合って計画を立て、松代を中心にして半径約二十キロの円周の上に十班散らばりまして観測を行ないました。ただそれは一週間が義務でありまして、それ以上残って研究をしたい者はしてもよろしいということでやりまして、てんでばらばらにやったわけではありませんで、また現地方々の御協力は得ましたが、現地方々に迷惑をかけた覚えは全然ございません。なぜ松代観測所長がそういうことをおっしゃったか私には理解できないところでございます。
  120. 松平忠久

    松平委員 それは皆さんのほうの研究体制の方方は、あるいはいまおっしゃったようなやり方をしておったかと思います。しかしそういう研究グループに属さない研究者もおるのではなかろうかと思う。それは個人的に地震学研究しておる助手や何かがおると思うのです。そういう人が来て、そしてばらばらにいろいろな資料要求したり何かする、こういうことだろうと思います。また、そういうようなニュアンスで観測所長がおっしゃいまして、応接にいとまがない、こういうことを言われておりまして、そういうところはもっと何らか調整してほしい、こういう要望があったわけであります。おそらく皆さんの測地学審議会に所属しておる方々ではないとは思いますけれども、しかし現象はそういう現象がある、こういうふうに私たちは承っておるわけであります。  そこでもう一つ承りたいのは、科学技術庁といまの文部省関係の学術会議並びにその下にある測地学審議会との関係でありますけれども、先ほどの御答弁によりますと、予算その他の研究等について文部省以外のことについてこれは調整するのだ、こういうことをおっしゃいましたが、文部省を加えなければ、実際は調整できないと思うのだけれども、なぜ文部省は除外しておられるのでありますか。
  121. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 設置法上、大学の研究にかかわるものは除かれておりますので、そのようになっております。
  122. 松平忠久

    松平委員 何で除かれておるのですか。
  123. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 設置法上大学の研究にかかわるものは除かれておりますので……。
  124. 松平忠久

    松平委員 現行法で除かれておるが、それは不便ではありませんか。片方は片方で研究しておるのだが、片方は設置法で除かれておるのだから、あなた方調整しようと思っても調整も何もできないじゃありませんか。こういうことについてはどういうふうにお考えですか。それは政務次官どうです。
  125. 田川誠一

    ○田川政府委員 そういう考え方もございます。しかし実際に現実はそのようになっておりますので、大学関係科学技術庁が実際にやるというわけにはまいらないことでございまして、いま述べられた考え方というのも確かにございます。
  126. 松平忠久

    松平委員 現行法上できないので正式にはできないが、何か別の方法をもって非公式に連絡調整ということはするわけですか。
  127. 木田宏

    ○木田説明員 地球物理の関係のことにつきましては、基本的に学術の研究として進めていかなければならない領域がかなりたくさんございますので、政府部内の扱いといたしましては、一応地震予知のこと等も含めまして、地球物理諸現象の常時観測につきましては、文部省にあります測地学審議会というところを中心にして、関係省の御協力を得、政府部内の体制を整えていくということを、これまた古くから実施いたしてきておるわけでございます。したがいまして、先ほど来申し上げておりますような当面の地震予知研究計画自体は、測地学審議会を中心にして一応の研究者間の調整と申しますか、お打ち合わせを願って仕事を進めておるような次第でございます。
  128. 松平忠久

    松平委員 そうすると、その測地学審議会での地震予知の調整をする、こういうお答えであったわけですが、先ほど来そういうお答えをいただいておるわけですけれども科学技術庁のほうは、文部省以外の研究について関係各省の調整をするのだというお答えを得ているわけであります。一方、いまの測地学審議会は、文部省をもちろん含めて、各関係の省庁の地震予知に関する総合調整を行なっておる、こういうわけであります。そうすると、そこに組織上妙にダブっているような変なところがあるんじゃないですか。つまり測地学審議会というものは全般のことをやっているが、科学技術庁はその中の文部省を除いたものを調整している。この両方の機関の調整ということはやっていないわけですか。そこのところはどうなっているんでしょう。どうも私よくわからないんだが。
  129. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 実質的には、御指摘のとおり、私どものほうで調整をいたします場合に、これは大学にかかわります研究も含めましての御計画が一番必要でございますので、そういう点から測地学審議会で調整をなさいましたものが一応全体のバランスがとれているわけでございます。したがいまして、大学を除きます各省庁の調整ということにつきましては、実質的には測地学審議会のお定めのものを、そのまま私のほうで受け取るということが実情でございます。
  130. 松平忠久

    松平委員 もう一つ伺いたいのは、測地学審議会というものが各大臣に建議をすることができるという先ほどの御答弁であったのですが、現在までに測地学審議会でどういうような決議をなされて、どういう勧告を各省庁大臣にやられましたか、そういう事例をここで示してください。
  131. 木田宏

    ○木田説明員 現在、各関係大臣に建議をしてこられましたのは、地球内部開発の問題、それから地震予知研究、それから太陽極小期の観測研究、それから国際地球観測研究、いろいろとほかにもあろうかと思いますが、そういうような事業でございます。
  132. 松平忠久

    松平委員 その中に地震予知研究についての観測というものがありましたが、それはどういう内容ですか。
  133. 木田宏

    ○木田説明員 一応地震予知計画につきましては、先ほど萩原所長からも御説明がありましたように、学術会議でその基本の構想を御相談いただいておるわけでありまして、その構想を受けまして、どういう事項を関係省庁が分担して、十カ年間の見通しでおよそどの程度までやるというような御相談ができましたものを、各大臣に建議ということで、御連絡を申し上げておるわけでございます。
  134. 松平忠久

    松平委員 それで各大臣がそれを実行するかどうかということを、だれかが監視しておるというような役目を持っておるわけですか。
  135. 木田宏

    ○木田説明員 この地震予知の部会には、その関係の省庁で現実に研究のことに当たられます方々が事実上御参加くだすっておるわけでございます。ですから、それによりまして、常時御自分のところの研究体制とよその関係研究体制との進行状況も御相談をいただく、こういうことになっております。
  136. 松平忠久

    松平委員 最後にもう一つ伺いたい点は、地震予知十カ年計画というものがあって、それを実施に移していくということで予算要求をして、そういう研究体制を整えていくということであります。それを先ほど五カ年間云々というようなお話がありましたが、その計画というものを今後政府側が実施していく上においてはかなりの予算が要るんじゃないかと私は思うのです、もしかりに百億円ということになれば。そういうことについてはどういうお考えを持っておるのか。さっき七割ということでありましたが、そういうことであれば、もっと予算をつけて十カ年の間にやるというのか、あるいはそれがばらばらにいってしまって、そうして十五年も十六年もかかるということになるのか。その辺の皆さん方の考え方の姿勢といいますか、そういうものをこの際伺っておきたいと思います。
  137. 木田宏

    ○木田説明員 私ども文部省として測地学審議会のお世話をいたしてまいりますものの立場といたしましては、できるだけ研究者の方の研究活動に全幅の信頼を寄せまして、私どもとしてできるだけの財源措置を講じていくということをいたさなければならないと思います。それが十年間でどのようなことになるかどうかにつきましても、これはやはり研究者の真摯なお骨折りに信頼をしていくという立場で私どもは進みたいと思っております。
  138. 松平忠久

    松平委員 それはわかりました。その学者、研究者の態度によってそれが十年間になるのかどうかはわかりません。それは必ずしもわかりませんが、いま文部省側の態度としては十年間にこれを完成するのだ、こういう意気込みで取り組んでおるかどうかということなんですよ、私の聞かんとするところは。
  139. 木田宏

    ○木田説明員 せっかく国際にも非常な注目を浴びております、世界で初めての本格的な研究をやってくだすっておるわけでございますから、具体的に本年度のことで申し上げましても、四十一年度、観測点を微小地震につきましては四つ、地殻変動につきましては二つ新たにつくる。四十年度におきましてもすでにそういう観測点は五つ設けてまいっております。今後も一応四十四年まで御計画を立てておられます観測点につきましては、できるだけ引き続き努力をいたしまして最善を尽くしたいというふうに考えております。私どもの立場でそれ以上大きなことを申し上げましても、かえって失礼かと思いますが、精一ぱいの努力をさしていただきたいと思っております。
  140. 松平忠久

    松平委員 つけ加えて文部省の助成課長にちょっとお尋ねします。  松代よりもむしろ周辺の地区、最近はだんだん地震が北のほうへ移ってきたというふうなことを聞いております。そこで松代におきましては大体プレハブで、今日はみんなも非常に喜んでおるわけなんだが、その周辺の地区はプレハブもつくらない。そのうちにがたがたきて、ゆるんでくるわけですね。それをある場合には修繕もする、突っかい棒もするということをやっていますけれども、しかし老朽で、すでに校舎を建て直さなくちゃならないという年限がきておる、あるいはもう一、二年の間に年限がくるが、実質的にいえば、もう年限がきたと同じように建物がいたんでおるという町村が周辺の地区にはかなり多いと思うのです。これは災害じゃございません。老朽校舎を建て直すということなんであって、したがって、そういう場合においては、年限等には関係なく、実質的に老朽になって、すでにどうしても建て直さなければならぬ、年限までは一、二年あるけれども、これをやらなければならぬという問題が最近はぼつぼつ発生してきておるわけです。こういうのに対する文部省側の考え方はどういうふうな考え方を持っておりますか。
  141. 岩田俊一

    ○岩田説明員 老朽建物に対する文部省の補助対象とするかどうかということについての考え方の問題の御質疑がございますが、老朽建物につきましては、耐力度の測定ということを技術的にやっております。これはただいま年限のお話がございましたけれども、老朽建物というのは必ずしも年数ばかりではいかないわけであります。卑近な例を申しますと、人間にたとえて申しましても、年はとっても非常にじょうぶな人もあるし、若い人でもちょっとの病気でもぶつ倒れてしまうというような弱い人があるのと同じように、建物につきましても、つくられたときのじょうぶさの度合いと、それからその後の保存度、それから外的条件といったようなものにつきましても、もちぐあいや危険度の度合いというものは違ってまいります。そのために、そのような条件を考えまして、大体新築の場合、完全なものを一万点としている。それがだんだんいたんできまして、しまいには老朽化してしまうわけでございますが、大体四千五百点以下は、これは改築をしたほうがよろしいということで、その点を区切って補助いたしております。したがいまして、この松代周辺の地区の学校につきましても、耐力度の測定をやっております。これは全国的にもやっておるわけでございます。それでその耐力度の測定につきましては、地震というようなこと等につきましても十分配慮が払われておりますので、一定の度合いに達したものにつきましては、これを補助の対象とする、そして改築を促進するという方策をとっておるわけでございます。来年度の改築計画につきましても、今回の松代地震にかんがみまして、相当多量の改築の申請が地元から出てきております。これは優先的に採択することにいたしておりまして、去年よりも長野県下の改築の度合いというものは相当の段階で先に進むだろうというふうに考えております。
  142. 松平忠久

    松平委員 終わります。
  143. 原茂

    原委員長 内海清君。
  144. 内海清

    ○内海(清)委員 時間の制約がありますので、簡単にお聞きします。  御承知のように、わが国は非常な地震国でございます。したがって、地震学につきましては、世界で一番研究されておるということであります。この地震学研究が始まりまして、八十年以上たっておるということでございますが、一体、地震学者の最終的な目的は、地震予知ができる、そこまで研究がいくことが一番必要なことじゃないかと思うのであります。しかし八十年以上たった今日、なおなかなか予知できないということであります。ところが地震予知研究計画グループが三十六年にそういうものを出され、そうして今日までやってきておられる。それによりますと、いまはできないが、国家的な立場に立って十分なる金を出すならば十年後にはそれはできるのではないか、こういうことでいわゆる百億というものを提唱されたわけです。ところがそれには金額が膨大だということでそのまま放置されておったのだが、三十九年に新潟地震が起きて、そして地震の問題がやかましくなったためにこれがまた取り上げられてきた。そうして大体十年百億というが、五年計画として三十四億四千万ですか、その程度になった。そして四十年を初年度に一億七千万ほど出たということで、これは三十六年、七年からいいますと三、四年おくれておるわけでありますが、しかし四十年度を初年度としましても、大体このグループで計画されました百億が出るならば、十年後に地震の予報というものはできる、こういうことには今日なお変わりございませんか。
  145. 萩原尊礼

    萩原参考人 大体御説のとおりだと思います。
  146. 内海清

    ○内海(清)委員 そういたしますと、この百億というものは、十年後の地震予報をいたすためにはこれだけの予算は必ず必要である、こういうことでございますか。
  147. 萩原尊礼

    萩原参考人 十年百億ということがいわれておりますが、この百億という数字は、これはだれ言うとなしに百億という数字がいわれておるのでありまして、これは書いたものには百億という数字は何も載っておりません。大体そのくらいはかかるだろうという、当初いわれたことが伝えられたのだと思います。具体的な数字としましては、学術会議地震予知委員会がつくりました第一次の五年計画で、三十四億円でございますか、これは昭和四十年を第一年としておるのでございますが、これが具体的な数字でございます。ですから十年としますと大体その倍になりますか、ですから百億よりは少ない数字だと思いますが、そういうことになると思います。
  148. 内海清

    ○内海(清)委員 そうすると、このグループで計画を立てられたときは百億という数字ではなかった。そういう数字的なものはこのときにはさらに御検討にならなかったわけですか。
  149. 萩原尊礼

    萩原参考人 最初地震予知計画ができましたときは数字は入っておりませんでした。それで学術会議の小委員会で初めてはっきりした数字を五カ年について出したわけであります。
  150. 内海清

    ○内海(清)委員 そういたしますと五カ年計画で三十四億四千万ですか、そうすると約七十億程度、それだけの予算があれば今後四十年を起点として十年後には地震予知はできる、こういうことでございますね。
  151. 萩原尊礼

    萩原参考人 御説のとおりでございます。
  152. 内海清

    ○内海(清)委員 それではもし五年間の予算が三十四億四千万、十年間で約七十億というのが、五年間で五十億になるとかあるいは七年間で七十億であるとかいうふうに金額的に各年度に多く出れば地震予知は十年よりも早くできるかどうか、こういうことは言えますか。
  153. 萩原尊礼

    萩原参考人 そういうことは言えないと思います。それは人間の養成、それからそうした間にいろいろ得られてくる資料の蓄積ということには年数をかけなければなりませんので、そういうことを考えに入れまして十年の計画を立てたのでございまして、七十億なら七十億が一年に出れば一年でできるかというと、そういうものではございません。
  154. 内海清

    ○内海(清)委員 もちろん一年ではできぬと思いますが、予算を年次を短くして多く出せば予定年次よりも早くできるかということをお尋ねしたわけでございます。それにももちろん限度がございましょうが、それができぬということでございますが、そうすると、この七十億程度十年間に予算が獲得できれば、そのときには地震予知ができる、こういうことに考えていいと思います。  そこで、今日までわが国の地震予知の問題というものが実に放置されておる。ことに予算的にも初年度のごときはわずかに一億七千万円である。この点につきましては、関係の各省庁にもずいぶん考えていただかなければならぬ。これは諸外国の例を見ましてもアメリカあたりでは三十九年にアラスカ地震である、あるいはカリフォルニヤ地震というようなことで非常な熱意を持っておる。地震学者の中では日本の金にして五百億円くらい要求しているのじゃないかというふうなこともいわれておるのであります。したがって、そういうふうな非常な熱意というものがわが国にも観測器を送ってきて、そうしていろいろそれに関する費用までも向こうが持ってやろう、これだけの熱意を持って進めておるのだと思うのでありますが、ことにわが国は地震学というものでは世界で一番進歩したところでありますので、もしわが国におきますこの地震予知などの問題が、いわゆる予算面、金の面などにおいて制約されるようなことがあっては相ならぬと思うのであります。でありますが、今日七十億あれば十年後には予知できるということでありますから、この点につきましては、今後におきましてもさらに一そうの勉強をして、もし金の面でこれができなくなったというふうなことがあってはまことに相ならぬと思うのであります。その点につきましては、関係各省庁に強く要望しておきたいと思うのであります。  それから、先ほど来いろいろ説明がございましたが、私も先般現地に参りましたが、やはり一番問題は、いろいろの研究調査というものが有機的に統一されてやられておらない、そういう感じを現地の人が非常に強く受けておる。地震というものに対する不安と、それから科学といいますか、これに対する不信感——われわれはいまそういう研究をしてもらう段階ではないのだ、われわれは今日の事態に処してどういうふうなことを考え、どういうふうにしたらいいか、特に一番関心の多いのはやはり予知という問題であると思うのであります。今日いろいろ地震等がございますならば、そのつど気象庁観測所所長あたりからいろいろなことが人心安定のために発表されておるようであります。私どもの参りました時分にはすでに衰退期に入っておる。おそらくこれで落ちつくのだろうというのが、また活動が始まったということで、先ほど長官から話がありましたように、そのことは外部には発表していないようでありますけれども、しかし、そういうことは地元の諸君はみな大体知っておるのであります。でありますから、いま一番重要なことはやはり人心の安定ということ、不安感を持たせないということである。そして、それらの政府のいろいろ調査研究でやられて発表されることに信頼を置かせるということであると思うのであります。そういう点で、今日までそういう外部に対する発表などはどういうふうな形で行なわれてきたのか、それをお伺いいたしたい。
  155. 木村耕三

    木村説明員 発表の問題は、いろいろな形で報道されておりますが、正式な発表といたしましては、長野地方気象台の発表いたしますものが唯一のものであります。その他のものは、談話もしくは研究結果の発表、個人的なものというふうにお認め願いたいと思います。
  156. 内海清

    ○内海(清)委員 正式のものは長野の気象台、その他のものは談話その他という形でそれぞれ行なわれておるということですが、このことがかえって人心の動揺を来たすのだと思うのです。そういう点で外部に発表いたします際にも、何かここに一つの窓口を設けて一元的な発表を行なわれる、このことが必要なのではないかと思うのでありますが、その点についての御所見を伺いたい。
  157. 木村耕三

    木村説明員 おっしゃるとおりでございまして、私ども地震研究所長その他から情報をいただきまして、それを私のほうで検討いたしまして、長野の気象台に指示をいたしまして、それで長野の気象台から発表するという形でありますけれども、言論の自由、研究の自由というものがございまして、それから報道機関がその資料を得たときに黙っているわけにいかないということで、そちらのほうまでは統制ができない状態であります。
  158. 内海清

    ○内海(清)委員 言論の自由、研究の自由、報道の自由ということでその統制ができぬということでございますけれども、それはそれぞれの関係者がそういう一つの統一した思想のもとにやっていけば、私は万全までいかぬかもしれませんけれども、ある程度できると思う。だからそういう自由によって人心が撹乱されるということは、これは非常に問題だと思う。この点につきましては、いろいろむずかしい面もございましょう。ございましょうが、今後ひとつ十分に一これは実際現地理事者などはかなわぬと思う。一つの、何かそういう話が出てくれば、すぐどうなんだということなんです。でありますから、この点はやはり今日の状態におきましては十分注意されなければならぬことであると思うのであります。今後その点につきましても何かの方法によってできるだけそれが一元化されて発表になるように要望しておきたいと思う。  それから先ほどもお話がございましたが、各大学あたりから向こうに研究調査にいかれる、これについては十分な計画のもとにやられたようでありますけれども、実際聞いてみますと、あるいは個人的な研究かもしれません。その他いろいろでしょうけれども、ずいぶんの人が行かれるようであります。したがって、この気象庁地震観測所あたりでは今日の人員、さらにあるいはあれほどのいろいろ問題があるところでやっていきますにつきましては、研究費と申しますかあるいは助成費と申しますか、そういうものにもかなり苦心があるようであります。これは気象庁の長官にもすでにお話があっておるかもしれませんけれども、こういう場合におきましては、何かの方法でそういう方面を十分考慮することが、これがまた十分なる研究の助成にもなり、さらに万全な体制で研究を進めていくという形に相なるのであろうと思いますので、予算の面と申しますか、補助あるいは助成、あるいは鳥島の観測所がなくなったので人もふえたようでありますけれども、なお非常な労力を費やしておるという現状であります。これらの点につきましても、ひとつ十分お考えいただきたい、こう思うのであります。  それから、これはいま建設省がおられませんからわからぬかもしれませんが、ああいう地震の場合に、建築の問題であります。建築は今日建築基準法によってやられておるわけであります。私がちょっと聞きましためどは、建築基準法では何か横ゆれの場合には相当な安全度を見てあるけれども、上下動に対してはあまり考えてないというふうなことをちょっと聞いたのです。これは文部省の助成課長おられますが、あるいは御存じかもしれませんが、どなたかそれらの点について御存じの方があればお知らせいただきたい。
  159. 大串不二雄

    ○大串説明員 文部省の教育施設部の指導課長でございます。この問題につきましては建設省のほうからお答えするのが至当かと存じますけれども、私の知っております範囲でお答えいたします。  大体地震の動きというものが建物に加わります力というのは非常に複雑な動きをするわけでございます。単純に横からだけ力が加わるとか、上下だけ力が加わるとかいうようなことではございませんで、おそらく斜めのほうから加わってくるというような力が複雑に作用することが普通だと思います。これを構造力学的に簡単にそれに対する対策を考えるために、横の力と縦の力というふうに分解してそれの対策を考えるわけでございますが、これは常識的に考えましてもおわかりかと思いますけれども、たとえばこういう建物がありまして、これに対してこういうふうに上下にかかる力に対してはおりあいに建物は安定しているわけでございます。これに対して横から力が加わるというものに対しては弱いわけでございます。特に建築基準法などで建物の強度を規定いたします場合には、建物に対して一番弱い、建物が一番弱点になっております横の力に対してできるだけ安全なようにというふうに規定されておるわけでございます。縦の力というものに対してはわりに建物というのは安定性がございますので、もちろん上下に加わります力に対しても、ないがしろにしているということではございません。それに対しましても十分な規定はしてございますけれども、特に横の力に対して安全なように相当厳密な規定をしているわけでございます。ただ墓石なんかが地震にあいましたときの動きをごらんになればおわかりになるかと思いますけれども、横から力が加わりますと倒れるということはございますけれども、上下の力が加わりました場合に、倒れませんけれども働く、回転するというようなことがございます。それで、木造の建物など特にそうでございますけれども、建物が、上下の力が加わっておる間に回転するということで、基礎からはずれて倒れるということがございますので、基礎からはずれないように、これはおもに木造についてでございますけれども、土台——土台と申しますのは、コンクリートで基礎がありますと、その上に横の木材が乗っかっておりまして、その上に柱が立っているわけでございますけれども、その横の木材がはずれないようにアンカーボルトというもので基礎コンクリートにしっかり緊結するということが規定されております。それによりまして、上下の力が加わっても建物がはずれないように規定されておるわけでございます。はずれなければ、かなり上下の動きに対しては強いわけでございます。  それからもう一つは、地盤が浮動沈下をした場合でございます。そういうような場合に基礎が横に通っておりますが、これが地盤の浮動沈下によりまして亀裂を生じて割れるというようなことがありますと、またかなり危険ですから、それを防ぐために横のコンクリートでつくります基礎に対しては中に鉄筋を入れまして、それが割れたりしないように規定しているわけでございます。そういうようなことで、上下のゆれというものに対しては、建築基準法でも十分考慮されておるはずでございます。なお詳しい問題につきましては、建設省のほうからお答えしていただくのが至当かと思いますが、私の知っております範囲でお答え申し上げました。
  160. 内海清

    ○内海(清)委員 私も、大体上下動に対しては建物が強いんじゃないかというふうなことを考えておったわけでありますが、そういうことが現地では十分知られてないということ、震源地は上下動が多いわけでございましょう。周辺に行くに従って左右のゆれがある。ところが、そこらあたりに多少誤解がある面があるのじゃなかろうか。横のゆれほど、上下のゆれに対して建築基準法では考えられてないんじゃないか、こういうふうなあれがあるようでございます。したがって、こういう面はやはり現地におきます人心の安定の面からおきましても、こういうこともやはり十分PRする必要があるのじゃないか、こういうふうに考えるのであります。これらはどういう省庁からこれらに対して十分地元民を納得さすかという問題もございましょうが、この際にこの点もひとつあわせて考えておいていただきたいと思うのであります。  いずれにいたしましても、私ども現地に参りまして現地の人のいろいろの話を聞きましたり、その他から考えますならば、この際ひとつ研究の体制の一元化ということであります。総合研究体制の一元化、さらには外部に対します発表、PRの一元化、こういう点が最もこの際重要なことではないかというふうに考えるのであります。それらの点を早急に関係各省庁で御相談の上で、早くそういう体制を確立していただきたい、こういうことを強く要望して終わりたいと思います。
  161. 原茂

    原委員長 岡良一君。
  162. 岡良一

    ○岡委員 質問は大体尽きたようでありますので、当委員会としても、こうして熱心にこの問題を取り上げて討議を尽くしましたので、当然委員会としての意思の表示が必要かと思いますので、その関係上、若干の資料の御提出を願いたいと思います。  第一の点は、先ほど来るる述べられておる予算に関連しまして、学術会議の地球物理に関する委員会の中に設けられた地震予知に関する小委員会の何らかの決定があるようでございましたら、予算を含めての方針なり構想なりを資料として御提出願いたい。それから一昨年新潟地震のときに、政府も百億のオーダーをこえる相当な予備費を支出しておる。民間等の実害はおそらく一千億になんなんとするであろうというあのときに、測地審議会のいわゆる建議が政府によって無視されたというふうなことがかなり当時の世論においてはきびしく批判をされておりました。そういう関係上、その測地審議会の建議というものをひとつ資料として御提出を願いたい。  第二の問題は、萩原教授も御指摘のように、われわれがこうした自然災害に対して科学的な何らかの対策を講ずるためのマンパワーの不足ということが当然考えられます。そこで、わが国においては地震、気象災害をも含めて自然災害についての国立大学における学部はあるのかないのか。一つの学部があれば、それにはどういう講座があるのか、また自然災害あるいは気象学に伴う付置研究所はいかなるものがどことどこの大学にあるのか、そして現在そこにつとめて研究開発に従事しておられる研究者、助手、副手あるいは講師、教授等の数もあわせてお示し願いたい。  同時に、私は他の国との比較をしてみたいと思いますので、アメリカとの比較をぜひお願いしたい。アメリカは国立大学が主ではないようでありますが、アメリカにおいては気象学部が設置され、学部が四つ五つの専門の講座に分かれたものを持っているというふうな研究体制が各大学においてはかなりとられております。これに対して、私の知る限りでは、日本のこの問題に対する研究体制としての取り組み方は私は非常に弱いのではないかと思いますので、アメリカのそれと日本のそれとの資料をひとつ御提出を願いたい。  もう一つは、先ほど来各委員からいろいろ御指摘をされておりましたが、これはまさしく地震といい、あるいは台風といい、集中豪雨といい、いわば地球の病気と言える。地球の病気であるから、これはガンで言えばビールスで起こるのか、その他別なもので起こってくるのか、その原因というもの、発生機転というものが科学的に究明されなくては病気の早期発見はできない、地震予知はできないわけです。そういう意味で、先ほど来の御答弁を聞いておると、たとえば研究調整費を出しても文部省が阻害されておるということです。また測地審議会の建議というものも科学技術庁には、木田君の御答弁では伝達されていないということです。こういうことでは、私ども委員会が極力防災科学センターの設置を推進した意味がないわけです。防災科学センターは単に災害を早期に予知するだけでなく、科学的にその予防対策をも考えられ得るような方向に発展をしてもらいたいというのが、防災科学センターの設置を当委員会が強く推進し、また賛意を表したゆえんでありますから、この点について防災科学センターとしての立場から、一体大学の研究というものを除いてはたして防災科学の真の発展というものがあり得るのかどうかという点を、これは文部省、科学技術庁の統一された御見解であればなおさらよろしいが、それらについてそれぞれの省庁の御見解、また同時に、防災科学センターの責任者としての和達さんの御見解、これだけをぜひ次の委員会までに御提出を願いたい。  以上です。
  163. 原茂

    原委員長 この際、私から三点ばかり一括してちょっとお伺いしておきたいのですが、時間がないようですから、全部三点申し上げますので、順次お答えを願いたいと思います。  第一に、これは高橋局長に御答弁願いたいのですが、前に科技特が現地調査に行ったわけです。そして八項目にわたる調査団の意思表示をいたしました。これに対して松代中心の研究会がある種の結論をお出しになったようですが、その結論がどういうものであったかというのをお聞かせ願いたい。  それから二つ目に、これは萩原参考人あるいは柴田さんなり仁科さんなりのお立場でお答えいただきたいのですが、現地へ参りますと、すでにしろうとがみんな学者みたいになっておりまして、松代は火山説で理解すべきである、あるいは豊野など北に向かっていま隆起などが起きております、その豊野中心である種の地震が起きておるが、これは地殻変動説によるべきではないかというようなことを、すでに現地ではアマチュアが学者らしくいろいろと取りざたをして、これも大きな不安の原因になっておる。そこでお伺いしたいのですが、予知という問題と直接関係はないかもしれませんが、一体松代あるいは豊野中心の隆起等を含めまして、率直に、気がねなしに、東大の側で研究をされた結果は、この両個所を分析したときに、火山説かあるいは地殻変動説のどちらかをおとりになっているのか。また仁科さん、柴田さん方の立場、気象庁の立場で、この同じ問題を率直にお知らせをいただきたい。同時に、さきに起きました新潟地震ですが、すでに総合的な研究あるいは結果の取りまとめも済んでいるのじゃないかと思うのですが、一体新潟地震というものはどういう性質のもので、その後の検討の結果、これをいわゆる火山説、地殻変動説といいますか、その他の説があるなら、そういうものになったのかをお答えをいただいて、同時に、新潟地震と比べたときに、一体今回の松代なり豊野中心の隆起なりが一どちらがどういうふうな類似性があるのかということを二つ目にお聞かせをいただきたい。  三つ目に、先ほどから論じられておりますような、現地にせめて一元的な研究指導機関というものがありませんと、われわれが考えても非常なむだがあると思うのですが、これも萩原参考人なりあるいは別の立場では和達所長なり、気象庁の立場でお答えをいただきたいのですが、もし現地に、やはり即物的といいますか、最も効果的な、ちょうど中央にある松代地震中心の研究会なり各省連絡会議なりがあると同じようなものを持つとしたら、現地ではどこが中心でこの種の一元的な連絡会議等の指導体制をつくったほうがいいとお考えになるか。つくるならこれが中心でつくるべきだろうというような御見解を三つ目にお伺いしたい。
  164. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 当委員会の御報告でございます七項目につきまして、去る三月十九日に各省連絡会を開催いたしましたので、そのときの審議の結果を簡単に御説明申し上げます。  まず第一に、観測施設設備の拡充及び人員の増員。本件に関しましては、気象庁といたしましても、現状におきましてできる限りの措置をとっておりますけれども、震源域の変化等も考慮いたしまして、観測体制の強化拡充をはかるべく今後とも努力を続けていくということでございます。  それから二番目のボーリング計画につきましては、これは先ほども申し上げましたとおりに、二百メートル程度ボーリングを骨子といたしますところの総合研究を早急に開始することにいたそうということでございます。  それから三番目の観測陣の機動性及び自動観測器の必要量の設置につきましては、気象庁といたしましては、現段階においては、現在の観測設備で一応十分であると考えておられるのでございますが、将来も突発事態の発生が考えられますので、移動観測班でありますとか、自動観測器の整備というようなものを含めました、最も有効と考えられますところの方法について目下検討を加えてまいるということでございます。  それから四番目の観測情報の収集及びその円滑化につきましては、これは現在各省庁が資料の収集整理をそれぞれ個々に行なっているわけでございますが、できるだけ各方面の研究者がこの解析の結果等を使いやすいようにいたしますために、防災センターが従来もこういう資料の収集、保管の機能を持っておりますので、防災センターのほうで今後こういう資料の収集を十分に行ないたい。なお、これらの研究の結果を、七月ごろに一応総合報告会というようなものをセンターが主宰いたしまして、各般の研究者を一堂に集めまして、研究の総合発表を行ないたい。  五番目は、観測記録の整理解析の促進でございますが、現在地震記録はすす紙に記録している方法が用いられておりますので、機械で行なうことができませんので、どういたしましても非常に熟練をしたところの人間がたくさん必要なわけでございます。気象庁としてもだいぶお困りのようでございますけれども、できるだけ人員の配分等につきまして、弾力的、重点的な方法によりまして、内部的に操作して対策をお立てになるということでございます。  それから、六番目の現地各種の観測陣の総合的研究及び有機的連携でございますが、これは先ほど文部省の木田審議官がおっしゃいましたように、全般的な地球物理に関する観測研究につきましては、測地学審議会におきまして観測研究の調整を行なっておる。松代地震のような、こういう突発時の緊急研究につきましては、どのような調整をなされますか、その方法論等につきましては、目下測地学審議会のほうで御審議中の由でございます。  それからなお、研究結果につきましては、学会等では、先ほど萩原先生からお話がございましたように、地震研究に毎月一回懇談会というものが開催されておりますので、この場を通じまして連携がとられる。  なお、松代地震に関しましての大学の観測研究結果は、これも先ほど地震課長からお話がございましたように、すべて気象庁に報告されておりますので、国家機関と大学との連携というものは、現時点におきましても保たれていると考えられるわけであります。  それから、七番目の現地及び中央における地震研究機関の一元化、これは非常に重要な問題でございますが、こういうことの研究組織の一元化につきましては、今後別途考慮すべきものであると考えるということでございます。大学自体のなさいます発表というものは、先ほどお話がございましたように、これは一つの見解でございまして、正式の見解、情報等につきましては、これは全部気象庁のほうの権能であるということの再確認がございました。  大体以上でございます。
  165. 萩原尊礼

    萩原参考人 先ほどの委員長の御質問にお答えいたします。  構造性火山性かということは、現にわれわれ研究者の間でもいろいろ議論をしておりまして、なかなかきまりのつかない問題でございます。と申しますのは、いろいろ現在までに観測をいたしました結果が、あるものは構造性を指示し、あるものは火山性でなければ説明のつかないようなことが起こっております。たとえば光でもって距離をはかる器械によりますと、皆神山の周辺の土地が南北だけにどんどん伸びている。こういうものは構造性ではちょっと説明がつかない。これは地質学的の研究によりますと、従来はあの辺は東西から強い力が加わっているというのでありますから、東西に縮まっていいわけなんですが、そういうものがどうも見られないのでございます。しかしそれと、今度地震の波の発生のしかたを見ますと、これはどうも構造性で説明できるものであります。ところがまた、地震が起こっている皆神山周辺の地域は隆起をいたしております。それからまた、土地の傾斜をはかる器械を据えておりますが、その変化の状態を見ますと、昨年の十一月二十二、二十三日あるいは最近は三月八日、九日、こういう大きい地震が起こりましたときに、その少し前からそちらのほうが持ち上がる、そうして活動が済むとまたもとに戻る。そういったような変動、これを見ますと、何か下のほうから力が加わっている。これはいわゆる火山性のようなものである。そのほかいろいろございますが、観測資料のほうからは構造性で説明しやすいもの、あるいはあるものは火山性で説明しやすいもの、こういうものがございまして、いまどちらともその解決はつかない。  ただ、それはその力の働く原因の問題でありまして、要するに、岩石の急激な破壊という点ではこれは変わりないわけであります。そしてそういうようなことから考えましても、とにかく地表から二キロメートルくらいのところで盛んに地震が起こっておるのでありますから、ボーリングということは、そういうことを確かめる上にはこの上もない方法だと思っております。  第二に、新潟地震との類似性でございますが、新潟地震の数年前から水準測量によって震央付近の異常の隆起が認められた。そうして新潟地震が起こったということで、また今度豊野におきまして異常隆起が認められたというのでありますが、何ぶんにも、先ほども申し上げましたように、水準測量のひんぱんな繰り返しということが従来行なわれておりませんので、いままで非常に偶然なことから二、三地震の前に土地の変動があったということがいわれておりますが、その地震の規模も非常に小さく、そうした変動量も小さかったのでありまして、新潟地震の場合に初めてそういう結果が得られたのであります。そういうわけで、こういう新潟地震のようなこと、つまり、いままで過去において日本じゅう五年に一ぺんというような割りで水準測量が行なわれておりましたら、われわれはそういうことに対する非常に豊富な知識を持っているわけでありますが、ただ一つのはっきりした例といえば新潟地震だけなのでありますが、これとても非常な貴重な資料だと思っております。そういうことから、大きい地震の前に地殻変動の異常があるということがこの新潟地震の根拠としていわれるわけでありますが、そういう点から見て、豊野の異常の隆起は、とにかく隆起としては非常に大きいので、これをまず異常と認め、一応の対策を考えておくべきだと思うのでございます。  あと、この研究連絡会議というようなお話がございましたが、大学は研究が任務でございますので、この結果をなるべく早く気象庁に連絡申し上げておるのでありますが、気象庁から発表していただくというたてまえをとっております。  以上でございます。
  166. 原茂

    原委員長 気象庁はいいですか。意見はありますか。
  167. 木村耕三

    木村説明員 気象庁長官にかわって地震課長がお答えいたします。  現在、気象庁地震研究所その他大ぜいの学者の方にとにかく観測したものを早くお渡しするということが最大の任務だと思っております。もちろん私ども方々でやっておりますけれども、その結果を萩原先生とか専門の方に見ていただいて、そこから結論を出していただいて私のほうに教えていただくという立場をとっていますので、これがどうなるかということは、現地ではもうせかされますので、竹花所長あたりはいろいろと発言しておりますけれども、一応皆さんの前にお見せして、学者の先生方にお見せして、それからお答えをいただくということになっておりますので、先生意見は全然同じでございます。
  168. 原茂

    原委員長 この際、萩原参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる三月三十日水曜日午後一時より理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。    午後二時一分散会