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1966-03-23 第51回国会 衆議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十三日(水曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 古川 丈吉君    理事 關谷 勝利君 理事 田澤 吉郎君    理事 田邉 國男君 理事 山田 彌一君    理事 久保 三郎君       有田 喜一君    浦野 幸男君       小渕 恵三君    川野 芳滿君       木村 俊夫君    草野一郎平君       高橋清一郎君    高橋 禎一君       南條 徳男君    長谷川 峻君       増田甲子七君    松浦周太郎君       井岡 大治君    勝澤 芳雄君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       山口丈太郎君    内海  清君       竹谷源太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村 寅太君  出席政府委員         運輸政務次官  福井  勇君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      堀  武夫君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君  委員外出席者         日本国有鉄道常         務理事     川上 壽一君         日本国有鉄道常         務理事     豊原廉次郎君         専  門  員 小西  真君     ————————————— 三月二十三日  委員内海清辞任につき、その補欠として稲富  稜人君が議長指名委員に選任された。 同日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として内  海清君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十二日  小型船造船業法案内閣提出第一二〇号) 同月十九日  臨時行政調査会及び地方制度調査会の答申に基  づく運輸行政分断反対に関する請願山田彌  一君紹介)(第一九三九号)  油による海水汚濁防止条約批准等に関する請  願(田川誠一紹介)(第一九四四号)  東武鉄道高架化による余剰地公共利用に関する  請願天野公義紹介)(第二〇三〇号)  紀伊半島縦断五新鉄道調査線編入に関する請  願(早川崇紹介)(第二〇三一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  踏切道改良促進法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八七号)  踏切道改良促進及び踏切保安員配置等に関  する法律案久保三郎君外八名提出衆法第二  五号)      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川委員長 これより会議を開きます。  踏切道改良促進法の一部を改正する法律案、及び、踏切道改良促進及び踏切保安員配置等に関する法律案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。泊谷君。
  3. 泊谷裕夫

    泊谷委員 国鉄から「運転事故件数推移」という資料をいただきました。過去五年の事故件数推移が諸外国との対比において出されておりますけれども、残念ながら踏切事故のほかの国との対比のほうが出ておらないのですが、これは三十九年三月に衆議院の運輸委員会鉄道事故防止対策小委員会に出されました運転事故概況に出されておる資料大差があるかどうか、まずこの点から明らかにしていただきたいと思います。
  4. 川上壽一

    川上説明員 先生がいま御指摘になりました、一昨年の小委員会に出しました数字と概数においては大差ないと思います。
  5. 泊谷裕夫

    泊谷委員 そうしますと、一般に国鉄事故は多いように見受けられておりますけれども、しさいに検討すれば、本来鉄道労使双方で世話をしております列車衝突とか列車脱線トロリー衝撃、これらの件数は、今回出されました数字にも明らかなように、百万キロ当たり日本は〇・四八、それからドイツが一・一二、アメリカが四・〇七、こういうことになりますと、日本の場合を一〇〇にして計算すると、かりに日本で百件事故があるとすれば、ドイツは二百三十二件、アメリカでは八百四十八件というふうに、世界で一番事故が少ない、こういうふうに見られると思うのですが、間違いありませんか。
  6. 川上壽一

    川上説明員 この統計UIC統計によっておりますので、日本外国の場合事故件数のとり方の考え方が若干は違っておりますが、車両も含めました衝突脱線事故数字につきましては、大体各国とも同じような歩調でやっております。しかもUIC統計はかなり権威のあるものでございますから、数字の上からこれを信用して差しつかえないと私どもは思っております。
  7. 泊谷裕夫

    泊谷委員 踏切関係事故資料を昨年委員会に出されたのから拾いますと、五年間で踏切事故平均件数日本の場合二千七百三十二件、カナダが八百三十五、アメリカが三千三百三十六、これを百万キロ当たりで見ると、日本が六・一九、それからカナダが八・四六、アメリカが三・三七ということで、指数に直しますと、日本が一〇〇の場合にカナダが一三六であるけれどもアメリカが五四というので、踏切事故だけは残念ながら世界で二番目の多発の国だ。この資料に出ております七カ国のうちで、指数としてはたいがい四三、あるいは五四、ドイツの九などという数字で、日本踏切事故が圧倒的に多い、こういうことが言えると思うのですが、いまでもこの現状はおよそ変わりありませんか。
  8. 川上壽一

    川上説明員 御承知のとおり、日本の場合は最近踏切事故が漸次減っておりますので、三十九年、四十年の数字日本のほうが多少よくなっておると思いますが、大きな傾向としてはあまり変わっていないと思います。諸外国の場合には、踏切事故傾向は大体横ばいになっておりますから、そういうふうに判断して差しつかえないと思っております。
  9. 泊谷裕夫

    泊谷委員 きょういただきました資料でも、踏切事故漸減数字が出ておることは明らかでありますけれども、この資料で総じて言えることは、列車衡突とか脱線事故というものが世界で一番少ないのに、踏切事故だけは残念ながら世界二位の多発状態を示している、こういうことでありまして、その原因についてひとつお尋ねをしたいのですけれども、具体的な問題として日本とその他の国との踏切間隔踏切踏切の間の距離、それから列車密度、この二つについてお答えをいただきたいと思います。
  10. 川上壽一

    川上説明員 日本におきます国鉄踏切間隔は、大体平均いたしまして五百メートルに一カ所くらいで、これがそのほかの国に至りますと大体千メートル以上というところが非常に多くて、イタリアが七百メートルくらいだったと記憶しております。そういうことで、キロ当たり踏切の数は日本が圧倒的に多いわけであります。それから列車回数は、大体日本を一〇〇といたしまして米国が大体その十分の一くらい、それからカナダがそれよりもやや多く、ヨーロッパで比較的多いのがフランス、イタリアドイツでございますが、それでも大体日本の六〇%から七〇%くらいの列車回数でございます。そういった関係で、踏切が一キロ当たり日本は非常に多いということと、それから諸外国列車密度日本よりも非常に少ないということ、それからもう一つは、この踏切整備促進法が成立をいたします二、三年前から日本における踏切防備施設というものがやっと軌道に乗ったということ、それまでは非常に踏切防備設備が少なかったというようなことが重なりまして、日本の場合に踏切事故割合が非常に多い。もう一つは、日本におきましては自動車の発達が最近になりまして非常に発展をいたしまして、数年前あるいは十年前くらいには、あまり自動車の数がなかったわけでありますので、そういう点で踏切における一たん停止というような考え方が、昔は運転者に十分普及していなかったという点も重なっておるかと思いますが、最近はその点がだんだん改良されてまいりましたので、漸減をしておると承知しております。
  11. 泊谷裕夫

    泊谷委員 川上常務からお話しいただきました踏切間隔の問題について、この前出された資料によると、日本は四百八十八メートルに一カ所あることになっておりますね。カナダは二キロ百六十二メートルに一つ、それからアメリカが一キロ五百六十五メートルに一つということで、ほかの国と比べて日本の場合は、踏切から踏切の間に四カ所、これだけ地域開発にサービスしておるということになると思いますが、鉄道側考え方としてはいかがなものでしょうか。
  12. 川上壽一

    川上説明員 日本踏切の数が多い一つ原因といたしまして、地方におきましては農道が非常に多かったということ、それから外国に比べまして早くから都市計画が進んでおらなかったということで、従来、踏切でなかったところを線路を渡って人が交通をする、それが地方請願によって踏切になっていくというようなことと、いまの農道その他が錯綜しておりますので、地方においても踏切の数が相当あるというような点で、日本踏切数が多くなったのだと私ども考えております。
  13. 泊谷裕夫

    泊谷委員 鉄道以外の自動車その他交通量の増加の問題を切り離して考えてみた場合、列車回数は確かにいまお話にありましたように、昭和三十六年の統計で、日本の場合一日平均七一・一ですね。それからアメリカが七・六、カナダの場合六・一、これはただ単純に計算できませんでしょう。複線化した、複々線化した問題もありますけれども、しかし職場の実態としては、線路保守する保線区職員が、列車間合い従前のようになくて、線路保守が十分でない、限界にきている、こういうことをよく耳にするのですけれども、この列車間合いのないところで線路保守はいかようにしてしょうとしておられるか、この点お聞かせいただきたいと思います。
  14. 川上壽一

    川上説明員 列車回数がだんだんとふえてまいりまして、線路保守をいたします場合に、補修の種類によりましては相当な時間、少なくも四十分以上、あるいはものによりましては二時間とかいうような間合いが必要な場合がございます。これらの間合いが最近だんだんとりにくくなっておりますので、現在の方針は、その線区におきまして最小の保守間合いがとれるようなダイヤと申しますか、それを組むことにいたしておりまして、いたずらにその線路に余裕があるからといって列車を入れないようにしておりますのと、もう一つ複線化あるいは複々線化をいたしますときに、機械保線をやりまして、一つ線路を相当時間使用しませんで、重機械を使いまして重点的に補修をしていくという、その二つ方針保守間合いを確保するようにいたしております。
  15. 泊谷裕夫

    泊谷委員 川上常務理事の話は一般的な話としてはわかりますけれども実態として考えてみれば、列車が通過して次の列車が通過するまでの間隔が少なければ、短時間で保守作業をやるということになれば、人為的に、あるいは機械化することによって保護しなければならぬ。通例として、国鉄機械化近代化されたというようなことになれば、即人員を調整する、減らすという形で、いまの話とは逆行した姿がとられているように思われますけれども、これは後ほどの問題とあわしてその点きめこまかくひとつ御説明していただこうと思います。  それで、今度は国鉄側以外の条件で尋ねてみたいと思いますので、建設省側からお答えをいただきたいと思います。「運輸経済統計要覧」これは運輸省が出したのでありますから、建設省のものと同じとは思いますけれども資料の求め方が違いますが、いまお話のありました自動車生産高がものすごく伸びております。先日のテレビでは生産高百八十七万、毎年の伸び率は二〇%といっておりますけれども、両数にすれば八〇ないし一〇〇というような大きな数字を見せております。道路公団で出した資料を見ましても、自動車台当たり道路延長というものは、世界日本は四十三番目ということでお話にならない仕組みになっておるわけでありますけれども実力大臣といわれた河野さんが五カ年間で四兆一千億の金をかけて道路を直すといたしましても、この道路延長はもちろんのこと、舗装率伸びもイギリス一〇〇%に対して日本は恥ずかしいことにわずか一三・四%。これは全部の道路を含めてですね。この五カ年間のを完成したとしても、二〇・一%にしかならない。まだ六トン積みのトラックが行きかいができない道路が六割五分もある。こういうような情勢の中で、特に道路の幅員あるいは延長、ここらに努力をされたとしても、最大の障害になっておるところの踏切道解消問題があると思うのです。これについて資料はちょうだいいたしましたけれども建設省側のこれについての打開策をまず明らかにしていただきたいと思うのです。
  16. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ただいまお話のように、日本道路が非常に悪うございまして、総合いたしまして、たとえば舗装だけの面で見ましても、世界で四十四、五番目になろうかと思います。そこで私どもは、四兆一千億の道路計画で、どういう方向に指向すべきかということをいろいろ議論いたしたのでございますが、一つ道路近代化という方向であり、他の一つは、おくれております、こういう順位の低い道路をできるだけ早く水準を上げようというふうに考えております。  その一つの重点としましては、ただいま御指摘のような、舗装をできるだけ延ばそうということで、極力この方向に力を入れております。私ども計画では、この五カ年計画で五万キロの舗装をしたいと思っておりますが、それでもなおかつ統計的には、ほかの国に比べましてまだ順位は非常に低いかと思います。私どもは、これでは世界的な水準に達するにはなお十四、五年要するだろう、かように考えておる次第でございます。  そこで、踏切に対する施策でございますが、これは世界水準とかいうことではなくて、現実交通対策といたしまして、どうしても打開しなければならぬ重要な問題点であろうと思っております。そこで、踏切に対しましても、極力これを解消するようにこの計画考えております。大体大ざっぱにいいまして一千億くらいの事業をこれに充てたいと思っております。しかし、非常に残念なことには、私どもが非常にとりたいと思っておりますときには、いろいろの事情で必ずしもとれない。特に都市近辺のものにおきましては、踏切だけの解消ということがなかなかむずかしい。すなわち、区画整理とか都市の改造、そういうようなことをやりませんと、なかなか思うようにいかないというところに、私どもの悩みがあるわけでございます。もちろんそのほかに市町村の費用負担という問題もございますけれども、それらはいわばお金で済む。しかし、いま申しました点は、技術的に、また社会的になかなかむずかしい問題でございます。私どもはできるだけこういう隘路打開危険防止というために極力努力いたしたいと思っております。今後そういうつもりで、舗装とは別途、そういう社会的の施策として踏み切り道解消努力したい、かような次第でございます。
  17. 泊谷裕夫

    泊谷委員 先ほど国鉄側との質疑道路局長もお聞きだと思うのですが、日本の場合は踏切は四百八十八メートルに一カ所なんです。アメリカの場合は千五百六十五メートルに一カ所なんです。カナダは二キロ百六十二メートルに一カ所なんです。これは、別のながめ方をすれば、日本国有鉄道というものは、農道であろうと何であろうとほかの国に見られない、地域産業開発に協力をしているということが言えると思うのです。であれば、道路整備計画とあわせて、どうしても見のがすことのできないのが踏切道始末だと私は思うのです。これをただ単に国鉄私鉄のみにこの問題の始末を押しつけるのは、明治時代のように国鉄が独占化されておる場合なら一つの筋がありますけれども、いま独立採算を強くしいられておる国鉄あるいは私鉄に、その企業の力だけでこれを始末させるという押しつけ方は、あまり芸のない話だ。  それで、今回いただきました資料道路局長のお手元にありますね。道路整備五カ年計画において、踏切除去のみに約二百五十カ所、約四百三十億見込まれておりますというのです。四兆一千億の中に占める四百三十億というのは、何でしょう。あまりにもみみっち過ぎて話にならぬと思うのです。道路整備五カ年計画は本年修正を試みて八兆くらいの規模でやりたいということを、瀬戸山建設大臣予算分科会で私の質問に答えて明らかにされておりましたが、いま現状こうあるとしても、今後の始末として道路局長として踏切道解消のためにどの程度予算を計上しようと考えられておるのか、この点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  18. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 この資料踏切除去のみの費用について約二百五十カ所、約四百三十億と書いてございますように、道路改良事業に伴って改良されるものを合わせますと約一千カ所、事業規模にして一千億くらいになろうかと思います。もちろんこれらも踏切解消に役立つものと考えておりますが、私どもはその程度考えております。  なお今後の改定につきましては、全体の規模がどのくらいになりますか、これからの問題でございますが、先ほど申しましたように、踏切解消ということは非常に社会的な問題でもございますので、私どもといたしましては極力これに多額の投資をするということについて経費を惜しむつもりは毛頭ございません。現実問題として、実際にどの程度この事業計画に乗せ得るかというようなことが問題であろうかと思います。  先ほど申しましたように、非常に解消を要する個所はまた一番やりにくいというような事情にありまして、実はそういうことで私ども頭を痛めておる次第でございます。今後の計画においては、もちろん五カ年計画以上にこれについて努力をいたさなければならぬと思っております。ただいまはそういう新計画についての作業を行なっておりませんので、具体的な数字を申し上げられませんが、そういう態度で臨みたい、かように考えております。
  19. 泊谷裕夫

    泊谷委員 道路局長お話で、道路改良事業に伴って改良されるものを含めるとおよそ千カ所、こうなっておりますね。それにいま局長が言われた国の負担分一千億を計上しておるわけですか。
  20. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ここにございます四百二十億全部含めまして、つまり二百五十カ所のほかに道路改良によって行なわれるものを合わせますと、全部で千カ所くらいになります。これに要する全体の経費が約千億、こういうふうに申し上げたわけでございます。もちろんその千億の中で国の負担にかかわるもの、それから地方負担にかかわるもの、そういうふうになっておるわけでございます。
  21. 泊谷裕夫

    泊谷委員 地方負担にかかわるものというのは、起債のことを意味しますか。
  22. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 道路の場合には起債ではございませんで、ほとんど特定財源並びに交付税、そういうものでまかなわれるものが大部分でございます。
  23. 泊谷裕夫

    泊谷委員 そうすると、いまお話のありました一千億というものは、名称は違っても実体としては国で出す金、こういうふうに理解していいんですか。
  24. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 国並びに地方によって出されるものであります。
  25. 泊谷裕夫

    泊谷委員 国並びに地方の、地方とはどういうものでしょう。
  26. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 地方公共団体でございます。
  27. 泊谷裕夫

    泊谷委員 公共団体はわかるのですが、お金のことを聞いているのです。
  28. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 先ほど申しましたように、国の事業にかかわります地方負担並びに国が補助いたしますものに対する地方裏負担、こういうものは道路計画につきましてはほとんどが道路特定財源——特定財源と申しますのは、地方に税金として入るもの、あるいは国から譲与されるもの、そういうものを含みますが、そのほかに地方交付金、そういうものによってまかなわれておるのが実情であります。
  29. 泊谷裕夫

    泊谷委員 踏切道改良事業による国庫負担額は国道について四分の三、地方道、街路について三分の二、こういうふうに説明されていますね。国が負担しているのは一千億でないでしょう。地方の分が含まれて一千億でしょう。名称のいかんを問わず、国が五カ年間で踏切道を一千カ所廃止しようというのに、国自体幾らお金考えておるものかということを知りたいのです。今度再改定でどのくらいをお考えかということです。
  30. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 道路計画は全体、事業規模でいっておりますので、四兆一千億ももちろん国費地方費、そういうものの合計でございます。そのほかに公団等によります借入金等がございます。千カ所に対しての費用負担が必ずしも明らかでございませんが、かりに四十一年度の事業費で申しますと、四十一年度の全体の踏切立体交差化事業費の額は三百四十億でございます。それに対して国費は二百四十八億。三百四十億に対して二百四十八億国が出しております。したがって残りの額の約百億くらいが地方である、こういう負担割合になっております。
  31. 泊谷裕夫

    泊谷委員 政務次官、いまお聞きのように、世界的に見て、日本踏切間隔は約五百メートルに一カ所で、ほかの国が二キロに一カ所くらいでありますから、ずいぶん地域開発に協力しておるわけですね。ですからこの問題の解消にあたっては、私は国自体として道路事情解消とあわせて考えなければならぬ。いま道路局長のほうから話がありましたのをお聞きだと思うのですけれども地方自治団体としては、また今回の国債発行に伴う経済刺激ということで事業が多いわけですね。そして一つ踏切を廃止するということで国鉄側と長い間折衝して、その事務的なもの、財源措置が困難になっておるこの事情は、政務次官も御理解いただけると思うのですが、こういう中で、国が一千億のうちの約四分の三あるいは三分の二程度負担額であっては、根本的にこの問題を解消することはできないと思うのです。政務次官として、この問題について特に建設側に、新しく策定される道路整備計画の中にこの分を思い切って取り入れさせる、財政面だけの措置だけでも応援するという措置を早急にとらなければならぬと思うが、政務次官考えはいかがですか。
  32. 福井勇

    福井政府委員 大臣とのいまリレーをいたしましたところでございまして、そごする場合があったらお許しを願いたいと思いますが、お話の点はまことにごもっともなことでございまして、外国が二キロに一カ所、日本ではその四分の一の五百メートルに一カ所というようなことは、非常に改革せなければならぬ焦眉の問題でございますので、御指摘のように建設省側に対しましても私のほうは——方法と内容は今後のことでございましょうが、積極的に働きかけたい、こういう気持ちでおるところでございます。
  33. 泊谷裕夫

    泊谷委員 よく聞き取れなかったのですが、政務次官としては運輸大臣と協議されまして、閣内でその方向をとっていただくという筋で話をされたように理解をしたのですが、いいですね。  道路局長にもう一つお尋ねをしておきたいのですが、地方自治団体踏切道改良のために起債を仰ぐということが、現実の問題として出てきますね。ありませんか。特別会計ということの御説明がありましたから関連ないのかもしれませんが、もしそれにあわせて、地方でその財源的な措置を求めるように建設省側要請があった場合、これはやはり佐藤内閣としても物価問題、交通地獄解消、それから景気回復、これが当面の重要な政治課題だと思うのです。なかんずく、人命尊重という旗じるしのもとでは、この種の問題については原則的に、地方から要請があったものについては同意を与えられるというふうに考えておるのですけれども従前の例はどうでありましたか。もし支障があったとすれば、今後はそういう方向をとってもらうのが好ましいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  34. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 先ほども申し上げましたように、地方公共団体踏切道財源のために起債を仰ぐという事実はございません。道路につきましては裏財源を補助並びに国の事業に対しましては十分見てございますので、それについて道路起債を認めておりませんから、そういうことはございません。単独事業であり得るかということでございますが、実は四十一年度は御承知のように、特別事業債を出しております。道路につきましても百数十億のそういう事業債が出てくるかと思いますが、おそらくこれは単独事業でございます。財源の弱い地方公共団体単独事業踏切をやるということは、まずおそらくないだろうと思います。したがいまして、いまお話のような点は、道路につきまして、地方公共団体においてはこれまでもございませんし、おそらく今後もないだろう、かように推測しております。
  35. 泊谷裕夫

    泊谷委員 道路局長、私の尋ねているテンポと局長の答えているテンポとが合わないのかもしれませんが、この法に基づく改良は建設省と運輸省が協議してきめることであって、その限りにおいては、現実の場合を想定してみると、地方からの、立体交差にしてくれとか、また改良工事をやってもらいたいというものの決定権は、運輸省と建設省で持っていると思うのです。ですから、原則的に地方要請がすんなり入ってくるという条件は、一応そこでカットされるのじゃないか。私の感じですが……。地方要請に基づいたもの、地方というと具体的には鉄道側でしょう。地方自治団体と相談をして上げてくるわけです。それがほぼ問題なしに許容される姿になっておるのかどうか。  もう一つは、この法の適用を受けないとしても、本来踏切道を改良しようという法律は、とにかくなくなる人を少なくしようということですね。だから、法の適用を受けない踏切道解消についても、地方としては重大な問題です。いま傾向としても都心部は少なくなって副都心部あるいは郊外、あるいは一般的に交通量が多くないと思われるところに、逆に言えば車を運転するほうは幾らか安心感を持って線路への踏み込みが強くなるところが、踏切死傷が多いのです。ですから、法の適用を受けない踏切の改良についても、地方としては重要な問題です。ですからこの点を含めて、その取り扱いというか、地方自治団体並びに国有鉄道側からの要請の問題について、建設省としては快く協力する体制をつくっていただけるのかどうか、こういうことです。
  36. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 私どもも、さいぜんから申し上げておりますように、踏切道解消についてはできるだけ積極的にやるつもりでございます。ですから、いまお話のように、地方から要請がありまして、私どもがその必要なしということはまずございません。できるだけやるようにしております。むしろ地方の側においてなかなか話がまとまらない、あるいは地元の負担がそんなにかかるのは困るというような気分で、あと回しにされるものが多い。そういうことがないように、もっと積極的に出すように、それからこの法の指定を受けなくても、もしそういう問題があれば私どもはやりたいと思っております。単独の踏切事業としてもやっていいと思います。せっかくこういう法律がございますから、こういう法律の指定に基づいたもののほうが、より国としては重点を置いてやるということでありますので、けっこうでございます。しかしこれでなくても、この指定を受けておらぬからといって取り上げないということもないようにいたしております。かりにもしそうでない事例があったとすれば、私どもが知らないケースかもしれませんが、私が承知しておる限りにおきましては、そういう要請があったものを、予算がないとか、あるいは指定されておらぬということで取り上げなかったことは、現実にはございません。
  37. 泊谷裕夫

    泊谷委員 国鉄側お尋ねをいたします。  踏切を少なくすることについては、実際内部問題としては踏切保安室が地方自治団体との折衝にすべてを費やしておると思うのですけれども、いまお話のありましたような財源措置関係で、具体的にこの問題を推し進める場合悩みがないか、また、当面こういう改善の方策が必要だと思うという意見があれば、この際聞かしてほしいと思います。
  38. 川上壽一

    川上説明員 地方におきまして指定の踏切を立体交差化する場合につきましては、ただいま道路局長からお話がありましたように、地方の財政全体の事情から先方の計画と私ども計画が十分に一致しないで、そのためにおくれる事例と、地元の反対がございまして、つまり道路を上げますような場合につきましては、従来道路のすぐそばで商売をしておられたうちが、その前に立体的の道路ができますので、そういうものの補償の問題その他で相当にごたごたする場合がございます。そういう協議のために非常に時間を費やすのが通例でございます。それから踏切を廃止しましたり、あるいは自動車の通行禁止をしましたり、こういう場合には地方自治団体と警察関係国鉄と三者が協議をいたしますが、これも、踏切道を廃止し、あるいは自動車の車禁をいたしますと、従来通っておりましたところが通れなくなる。そのために迂回をしなければならぬ。迂回をするために適当な道路がない。その道路をつくらなければならないということになりますと、当然従来畑あるいは宅地でありましたところを買収をしまして道をつくるというようなこともございまして、前には国鉄がそういう場合には金を出しておらなかったのでありますが、踏切を廃止しますことによって国鉄が、事故が少なくなるというようなことを考えまして多少とも受益する場合には、国鉄から金を出しまして側道をつくるとか、あるいは迂回路をつくるとかいうことで促進をしておりますが、問題は、そういうための交渉に相当時間がかかりますことと、従来国鉄負担しておりませんでした金を出さなければならない。踏切の場合は、非常に大きな額ではございません。大きな額ではございませんが、そういうものが相当ありまして、踏切道の廃止あるいは車禁というものは、相当な労力を地方に費やさせておるような実情でございますが、私どもとしても、自衛上の問題もありまして、できるだけ近所の方々に御迷惑をかけないで、車禁なり踏切道の廃止ということを進めてまいりたいと思っております。
  39. 泊谷裕夫

    泊谷委員 現状を把握することで、建設省で出しておる白書と、それから警察庁からきょうもらった資料と、あまりにも仕組み方に相違があるので実は驚いておるのですが、交通量調査の問題でひとつ尋ねてみたいと思います。  建設省の白書によりますと、交通渋滞の昭和三十九年の統計が出ております。これによると、この混雑度というのは大体二・〇で、もう車両の運行が不能になるということを基準にしてつくってあるのですが、たとえば、これは昭和三十三年十一月二十日と三十七年九月二十五日に二十四時間の交通量を調べたのですね。これによりますと、数字は別にしますけれども、飯田橋などは昭和三十三年に五・六であったものが一〇・〇になっておる。それから青山一丁目も六のものが九・三というふうに、どうにもこうにも動きがつかないという数字が出ておるのですね。ところが、この警察庁の調べ、きょうもらったものは、昭和三十八年から調べたというのですが、これを延べ時間を三百六十五日で割って個所別に分類してみますと、昭和三十八年、東京、日中で二時間五分、それから昭和四十年で一時間三十分、こういうような、きちっとした計算でなく、ここでさっと計算したのですが、あまりにも実態把握が違うような気がするのです。  そこで、これは建設省、運輸省には気の毒な話なんですけれども、この道路交通法は昭和三十五年に設定されたが、百十一条には、道路交通に関する調査というのを公安委員会に規制しておるわけですね。警察官をもって行なわしめる、こういうことになって、これは法の制限を受けておるわけなんですけれども道路の条件があまりよくならないところに、車がものすごい勢いでふえる。しかもその車はイギリス、フランスと違って国外に輸出はできない。イギリス、フランスであれば半数は国外に輸出していますね。車を売るがためには、一カ月程度の教育で運転免許を交付させなければならない。一切のしわ寄せは一般国民と、あるいは踏切道を世話しておる私鉄国鉄、その衝に当たる踏切保安掛、それから線路保守する施設の関係者、これが一切しわ寄せを受けているわけですね。そして公共投資を見ますと、政府の息のかかる公共投資は、東京から神戸間に七割五分もつぎ込まれておる。これでは新潟とか山形の人が、どんどん東京周辺や神戸周辺に集まってくることはあたりまえでしょう。それで、事故が起きたことばかり、その当事者を糾弾するというのですが、踏切事故昭和三十七年の二千九百四十一件のうち、国鉄職員が責任を問われたものはわずか十五件ですよ。戦前は鉄道事故は職員の責任に帰すべきものが約七割もありましたが、この資料にも出ておりますが、いま国鉄職員が事故の責任を負うものは、三河島事故以来というものは、ほとんどないでしょう。出ておる踏切事故のすべてといっていいくらい、これは第三者的な力によって損害をこうむり、人の命をなくしておるわけですね。  そこで、まず交通実態、その原因を究明してもらうために、道交法百十一条にきめられております交通量調査というものは、一年に八十万両もの車がふえてくるのですから、当然年に一度ないし六カ月に一回くらいは交通量調査は公安委員会でも、それから道路を世話する建設省でも、踏切を世話する国鉄でもしなければならぬと思うのですが、いま警察庁がいません。やむを得ませんから、建設省方針とそれから運輸省、これは堀鉄監局長踏切道交通量調査、これの規制を、道交法百十一条に基づいてうちの省令などでも規制をしなければならぬ必要に迫られてきたと思うのですが、その考えはいかがですか。
  40. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 建設省におきましては、これは道路法の七十七条におきまして、建設大臣道路交通量道路の構造その他道路に関し必要なことを調査するために、建設省の職員またはその命じた者に調査を行なわせることができる、こういう根拠に基づきまして、建設省におきまして交通調査をやっております。大きな調査は大体三年置きに、国勢調査的な全国一斉の交通調査を春秋の二回に分けまして行なっております。それで全国的な交通伸び、あるいは態様、そういうものを把握しておりますし、また、交通量道路構造とのいろいろ因果関係等につきましても分析しておるわけであります。しかしこれ以外に個々に、いろいろ事業計画をやります場合には、どうしても交通実態を把握する必要がございますので、大体その道路工事を計画いたしております区間につきまして別個、道路管理者がこれに基づきましてやはり調査をいたしております。それは個別の調査でありまして、ケース・バイ・ケースでやっておるわけでございます。それらの資料をもとにいたしまして計画を立てておるというのが、建設省で行なっております交通調査の実情でございます。
  41. 堀武夫

    ○堀政府委員 運輸省といたしましては、この踏切道実態の調査を過去において二度、国鉄においても二度やっております。昭和三十四年の十月と昭和三十八年の五月には、私鉄踏切道について実態調査をやっております。それから、国鉄踏切道実態調査も二二十四年の十月と三十七年の十月、この二回やっております。  それで、今度の踏切道改良促進法のこの改正を機会といたしまして、四十一年度におきまして実態調査をやるということで、道路交通量とか、鉄軌道の列車回数とか、踏切道現状はどうなっているか、それから、その立地条件等、そういうものを調査項目として考えております。これは私鉄についての個々の調査のための予算措置も四十一年度の予算に織り込んでございますし、国鉄においても、四十一年度約一億五千万円の予算を予定をされておるようでございます。ぜひこれはしっかりした調査をやらしたいと思っております。
  42. 泊谷裕夫

    泊谷委員 お話を聞きましたけれども建設省は三年に一回、春秋にというのですが、これだけ急激な車両増のところで三年というのは私は、それでもう抜本的な、車両をスムーズに流すという、これは建設側と違うかもしれませんが、資料にもちょっと事欠くと思うのです。これはやはり、これだけ急増する車両に見合って道路事情はあまり急激に伸びていかないのですから、むしろ基礎的なものよりも、可動的な車両群の動きというものが重要な位置を占めていると思うので、交通量調査は少なくとも一年に一回は義務化する必要に迫られてきたと思うのです。それから、鉄監局長お話もありましたけれども国鉄踏切も当然そういうことがなされなければならぬと思うのですが、両者とも一年に一回やるということをこの際明らかにしていただけませんか。
  43. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 三年に一回と申し上げましたが、実は定点観測というのが、これは原則として毎年やっているわけであります。これは重要な地点につきましては自動的な観測装置で定点観測をいたしております。それから、個別にやっておる調査も、実はかなりやっておるわけでございます。たとえば東京なら東京都におきます各路線ごとの調査、問題の起こるような個所の調査というのは個別にやっております。全国的な調査といいますのは、これは大がかりになるし、また、その資料の分析も実はいまの新しい統計機械を使いましても、やはり半年ぐらいかかるわけでございます。そこで私どもは、ただ毎年大がかりな調査をやりましても、その分析に追われるだけでございまして、実態としてはむしろ問題点があるごとに個別の調査を行なったほうがよろしい、そういう感じがしておるわけでございます。もちろん毎年やるに越したことはありませんが、実は従来もっとこのペースも長かったわけでございます。最近ようやくいろいろ財政当局の御協力によって三年にしたわけでありまして、なお今後もそういうことについては努力いたしたいと思います。
  44. 堀武夫

    ○堀政府委員 鉄道の側の調査につきましては、四年あるいは三年に一回という実績になっておりまして、先生のおっしゃるとおり、これはできるだけ詰めてやったに越したことはないと思います。しかし、われわれもできるだけ一年に一回くらいやりたいと思っておりますけれども予算関係もございまして、なかなか意にまかせません。できるだけ今後先生の御要望の線に沿って努力をいたしたいと思います。
  45. 泊谷裕夫

    泊谷委員 鉄監局長、あわせてそこを二度三度なぜお尋ねしたかというと、この道路交通量に合わして甲種線の場合と乙種線の場合と監査を別にいたしまして、踏切を一種、二種、三種などと区分しているのです。数字としては出ていますけれども実態に合わなくなってきているような気がするのです。その点についても、この交通量調査とあわせて再検討の段階だと思うのですが、昭和三十六年以降、特に白紙ダイヤ以降列車の速度が急激に高まってきているという点から考えても、いままでの基準では問題があると思いますので、それについてのお考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  46. 堀武夫

    ○堀政府委員 いろいろな点で現状に即してない点が多いんじゃないかと思います。先生のおっしゃった点を含めまして、今回の調査において十分調査をいたしまして、現在のやり方を変えなければならぬという結論になれば、どんどん改善をいたしていきたい、かように存じております。
  47. 泊谷裕夫

    泊谷委員 川上常務、いま無人踏切の数は幾らありますか。全体の何割になりますか。
  48. 川上壽一

    川上説明員 昨年の十二月末の数字でございますが、国鉄の全体の踏切数が三万七千、その中で三種、ちゃんちゃんがついておりまして人がいないというのが八千八百二十三、それから無防備の踏切が二万五千百五十三、一種自動と申しまして、門扉がありまして人がついておりませんのが千八百四十八でございます。したがって三万七千九百のうちで人がついておりますのが二千七十八、パーセンテージで申しますと……。
  49. 堀武夫

    ○堀政府委員 国鉄私鉄を含めて申し上げますと、三十九年度末の踏切道数が六万四千七十七あります。このうち第四種踏切、いわゆる無防備踏切、これが四万七千五百四十八カ所でございまして、全体の七四・二%、こういうことになっております。ついでですから、三種踏切は一六・一%、一種が九・一%、二種が〇・六%、こういう全体の構成になっております。
  50. 泊谷裕夫

    泊谷委員 政務次官、ずいぶん踏切改良で努力をしておりますけれども実態はいまお聞きのとおりなんです。  そこで、踏切がなぜ事故が多いかということは、もう理由はおおよそのところ御理解いただけたと思います。急激な人口増、列車回数の増加、急増する自動車の生産、これらのことで踏切がたいへん大きな問題になってきたのですが、これらの踏切の改善を国鉄私鉄だけに一だけということばは支障があるのでしょうが、本来これは国として踏切間隔の問題もありまして、地域開発には相当努力をしているわけですから、これは負担さすべきでないと思います。政務次官考えはどうか。  なお、このややこしい問題に私道踏切がありますが、これにも助成の道を開かれてしかるべきだと思うのです。国の負担率の増加、それから私道踏切に助成の道を開くということについて努力を払っていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  51. 福井勇

    福井政府委員 ただいま泊谷委員の御指摘のとおり、なかなかたいへんな増加でございますので、事故もふえていることは御存じのとおりでございますから、御趣旨の点はよく体して進まなければいけないと思っております。私道の踏切につきましては、現在のところ助成をまだ考えておらない段階でございます。また国鉄私鉄、国の負担の率につきましては、それぞれそこの場所に付随しました社会的な状況によってそれぞれ変わっておりますが、十分目的を達するような努力を続けたいと思っております。
  52. 泊谷裕夫

    泊谷委員 御親切に答えてもらったのですが、私道はどうなんですか。助成の道をあける方向努力していただけるということに受け取っていいのですか。
  53. 福井勇

    福井政府委員 おことばでございますが、現段階のところではまだ考えておらない状況でございます。
  54. 泊谷裕夫

    泊谷委員 そこは言いにくそうだったけれども……。そうすると、国鉄私鉄の国の助成率は高めたい、こういうことですね。
  55. 福井勇

    福井政府委員 先ほど申し上げましたとおり、そこの場所の状況に従って考えたいという気持ちを持っております。
  56. 泊谷裕夫

    泊谷委員 道路局長、どうでしょう。大臣が不在で、政務次官はなかなか慎重でお答えがめんどうだとぼくは思うのですが、これは事業団体である国鉄私鉄の助成率を高めるべきだと思うし、それから私道を含めて助成の道をあけるべきだと思うのですが、建設省としてどうでしょうか。
  57. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 国鉄との関係につきましては一応打ち合わせができております。私鉄との関係でございますが、これは実は私鉄の経営状況につきましても私どもでまだ把握できませんし、また、踏切の場合には個々に私鉄と打ち合わせをしなければなりません。実はこれにつきましては、先ほど申しましたように、国道の場合で四分の三、地方道の場合には三分の二という率で、地方負担がかかっているわけであります。この地方負担も、四分の三あるいは三分の二といいましても、残りの四分の一、三分の一がかなり大きな額になるわけでございます。県の場合はよろしいのでございますが、しかし市町村になりますと、なかなかこの負担が簡単でない。特に財政的に非常に苦しい私鉄と市町村というものが、一番問題として残るかと思います。それらについて促進する手段はどうするかということでございますけれども、単に鉄道だけではなくて、市町村においても同様に考えなければならぬ点があると思います。ただ、これは一般的に道路の他の助成の率と非常に関係しておりますので、この問題だけを補助率を上げるというわけには簡単にはいくまいと思います。しかし、そういうところに問題が残っているということだけは実際問題として言えることは言えますけれども、したがってすぐ上げるという問題に直ちに私どもとしては踏み切れない点もあるわけであります。
  58. 泊谷裕夫

    泊谷委員 私が先ほどから申し上げたように、これは本来被害者は私鉄であり国鉄であり、そこに命を奪われる人であり、踏切を世話する人なんですよ。ですから、いまの与党の政策からいっても重要な柱であるだけに、これは思い切った措置がとられるように、また、道路計画を再改定するという時期にきたということを建設大臣も明らかにしているので、この点は前向きでひとつ検討を願いたいと思うのですが、いかがですか、くどいようですが。
  59. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 この問題は、先ほど言いましたように、建設省地方公共団体とそれから鉄道側と三者に関係する問題でございまして、十分検討する余地はあると思いますが、いまの段階ではどうすべきかということを申し上げるデータをまだ私ども持っておりません。そんな回答になるわけでございます。
  60. 久保三郎

    久保委員 関連。いまの私道の問題ですが、いまの道路局長お話では、いまのところ何も考えておらないという答弁だと思うのです。それは別に責めるわけじゃありませんが、そこで聞きたいのは、私道に関係する踏切、そういうものでこの国会で問題にしなくちゃならぬような差し迫ったものは、あるのかないのか。大体私道についてはそんなに張り込んで助成をして踏切道改良まで考える必要はないのだ、こういうふうに御認識であるのかどうか。これは鉄監局長からもお答えをいただきたいのだが、われわれはそういうのがあるかどうかわからぬけれども、南武線の踏切の問題、これは二年ほど前かと思ったのでありますが、これはたしか私道にかかわる踏切でなかったかと思うのです。だから、そういうものがあるけれども、そういうものは別に法律や制度の中で改良促進する値打ちはない、値打ちはないというよりそういうほどでない、こういうふうに理解しているのかどうか、ひとつ簡単にお願いします。
  61. 堀武夫

    ○堀政府委員 非常に交通量が多いために、この法律の対象として特に措置をしなければならぬというような私道につきましては、そういうものがあるということにつきましては、私まだ聞いたことがないのでございます。それで、考えられるのは、たとえば工場の中で、いわゆる側線が入っておる、それでそこは工場の構内でありますから、当然私道という場合、工員その他が非常に数多く往来する、そういう場合はあるのじゃなかろうか。これは工場の構内ですから、当然私道になるわけです。このような場合は、その工場自体が自分の職員なり工員なりの保護のために措置するということが当然考えられますし、もし工場がそういうことを考えないというような場合は、われわれとしては行政指導と申しますか、注意をいたしまして、何らかの措置をとるように指導していきたい、かように存じております。
  62. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 私どもは、建設省の所管でございませんので実態を把握しておりませんけれども、いまお話ございましたように、六万カ所の踏切の中で残っておるものは、実際には農道とか林道へそういうものが多いのじゃないかと思います。ほんとうの私道というものは、しかもそれで立体交差を要するというものはきわめて僅少、例外的なものでないかと思いますが、私どもそういうような管轄でございませんので、統計資料も持っておりませんので、そういうふうに推察するだけでございます。
  63. 久保三郎

    久保委員 それじゃ監督局長に申し上げておきますが、そういうものが実際にあるかどうか、一ぺん参考のために調べてほしいと思います。かなりの件数があるとは私も考えておりませんが、言うならば、私道でそういうものにはそれだけのいろいろな複雑した理由があって、町村の道路にもならぬし県道にもならぬということだと思うのです。そこでいまの問題と違うのだが、あなたの答弁から気がついたのだが、たとえば最近は専用線が非常に多くなってきている。専用線で会社あるいは工場内を走ることは、これは別に問題にする必要はない。この会社、工場の敷地外における専用線の、その線路道路の交差、いわゆる踏切、こういうものの扱いは、一日のうちに、たとえば朝と晩一回ずつぐらいの出し入れがある。あるいはない日は全然ないかもしれない。ところが、従来どおり、レールが優先だというので、その踏切ではやはり道交法に基づいて一たん停車をしておる。これはばかばかしい話なんで、いうなら逆踏切の必要があると思います。専用線のごときものは、そういうものをひとつ考える必要がありはしないか、こう思うのです。一会社工場のために大衆が一たん停車したり、気をつけなければならぬというばかばかしい話は私はないと思うのです。そういう意味で、やはり逆踏切考える必要がある。しかし、そういうものは、いわゆる仮定の問題であって、実際にはさっきも言った私道と同じように、ありませんというなら別だが、一ぺん調べて対策を考えるべきだと思うのです。どうでしょうか。
  64. 堀武夫

    ○堀政府委員 そういうものを一ぺん調べてみたいと思います。  それから、逆遮断機ですか、そういうものについては、よく外国にもある例でございまして、そういうものも今後検討しなければならぬと思います。  それから、その踏切の信号機を交通信号機によるということも最近若干やっております。特にそういう側線のような、列車の通行の回数が非常に少ない場合については、交通信号機でやるのも一つの方法だと思います。現にそういう側線の場合とか、あるいは警察、鉄道業者、陸運局、三者の協議によってそういうような交通信号機でやるということに適したような場合には、協議によってやっております。今後、そういうことをやってみまして、支障がないということになりますと、そういうものをだんだんふやしていきたい。しかし、ここで問題なのは、交通信号機を使った場合に、信号機が故障した場合が一番心配になるわけでありまして、そういう故障した場合における危険防止措置というものも十分研究をいたしたい、かように存じております。
  65. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これは政務次官川上常務お尋ねしますけれども、五年間踏切の合理化を急いできたわけですね。そこでこの踏切の合理化されたあとの姿を見まして、私はこういうことを検討してみる必要があるのではないかと思います。一昨年の三月十一日の運輸委員会日本国有鉄道事故防止対策に関する小委員会で、おいでの川上常務が、私の質問に答えてこういうことを言っているのです。  踏切事故は「自動車類と列車回数の両面の増加によりまして、逐年一〇%くらい」増加し、総件数は二千九百四十一件であります。「これを原因別に見ますと、職員の過失によるものが一五件あるほかは全部通行者の不注意によるものであって、特に、そのうち七五%が直前横断といいますか、三種踏切で警報機が鳴っておりますにもかかわらず、横断をするとか、あるいは遮断機が締まっておりますのを突破して入ってくるというようなのが七五%もございます。」こう述べておるのです。機械化されましても、門扉を破って入ってくるのが七五%もあるそうです。踏切道を支障したら、一番大事なことは、後続列車、隣接する線を走っておる列車を、どうしてとめて被害を少なくするかということが、いま踏切保安係が最も緊急にして手を打たなければならぬ仕事なんです。  同じ三月二十五日のこの委員会で、参考人に招いた、NHKの解説委員である村野さんも次のようなことを言っている。「機械化いたしましてそれを合理化してほんとうに人員が機械に置きかえられるまでには、ある一定期間は必要である。そういたしますと、特にこの人命を預かる、安全につながる問題点におきましては、機械化直ちに人員削減というのは非常に私は無理があろうかと思います。」こういうふうに述べておるのです。同じ日、動力車労組の白水さんも述べておりますが、現状のスピードアップに伴いまして、二百二十メートルないし二百三十メートルに信号一つずつ確認していかなければならないわけです。ところが、二百二十ないし二百三十というのは、時間にして十秒です。十秒に一つずつの信号を確認して進路を求めていかなければならぬわけでありますから、機関車乗務員あるいは列車乗務員から踏切を支障した事実に基づいて防護手配、緊急手配をするということが困難なことは、これをもってもわかると思うのです。でありますから、踏切が立体交差になろうと、一種機械化に格上げをされようと、当分の間は二千九百件、三千件近い、七割五分も門扉を突破して突入してくるという事態があります限りにおいては、合理化したからすぐ人をはずすということについては危険だ。むしろ合理化されたとしても、その補完作用として踏切保安掛の配置というものは絶対的に必要でないかと私は思うのです。政務次官、いかがなものでしょう。国鉄側として川上常務理事のほうからもお答えをいただきたい。
  66. 福井勇

    福井政府委員 合理化のあとの検討を怠るなという御指摘はまことにごもっともなことでございまして、一つのことを改革したあとは最も大事なことだと私たち思っております。直ちに右から左にその人員をなくするというようなことについても、十分これは注意しなければならぬことだと思っております。
  67. 川上壽一

    川上説明員 踏切近代化、合理化に伴いまして、先生の御指摘のような事実があるわけでございまして、先生がいま御指摘になりました数字を三十九年度で見ますと、一種の踏切で遮断機をくぐる、あるいは遮断機が締まっておるのを突破する、あるいは一種自動で半分遮断しておるところがございますが、これは締まっておりましても通ろうと思えば通れるわけでございまして、これをS字横断と私ども言っておりますが、それが一七%、それから三種の踏切で警報無視で入ってまいりましたものが五七%、それから一種、三種、四種の別を除きまして、列車が通っておるのに列車の横にぶつかってきたというものが八%、その他が一八%というような数字でございまして、チャンチャンが鳴っておりまして遮断機がないものよりは、遮断機があったほうがいい、遮断機がある上に人がついていたほうがなおいい、そういうお話であろうと思いますが、人が、従来の一種の手動の踏切におきまして責任事故になっておりますのは、踏切を締める時期になりましてもうっかりして締め忘れたとか、あるいは早く上げてしまって対向列車が来て、それに衝突するとかいう例もございますが、中には道路事情が非常に悪いために当然締めておかなければならないのに、通行人その他にわずらわされましてあけてやるというような気持ちであけたような事故もございますので、今後踏切を一種の連動化にいたしまして機械的に締める場合につきましては、そういう交通の非常に激しいところで、幅員の大きいような場合につきましては、自動車が中にとりこになる、あるいは人が中でうろうろしている間に締まってしまうというようなことを防止するために、遮断の時期をちょっとずらすというような人為的な操作が必要になる場合がございますので、そういう場合には人をつけたいと思いますが、そういった場合よりもやや簡単な場合につきましては、できるだけ人為的の事故を防ぐ意味におきまして人員を廃止したい、そういうふうに考えております。
  68. 泊谷裕夫

    泊谷委員 川上常務お答えからいきますと、段階をつけてと、それもわからぬわけではありませんけれども、この前川上さん自身がおっしゃられたことを会議録で見まして、とにかくむちゃなことをして踏切を支障するのが全体の七割五分もあるということであるとすれば、この原則的なかまえは、やはり政務次官お答えになりましたように、一応当分の間は人為的に補完作用をさせるということを前提にして考えていただくのが好ましいのじゃないかと思いますが、どれがいいか悪いかはここで議論すべきものではなくて、お互いに持っております組織で話をして認定してもらえばいいわけですから、原則としてはそういう方向でお考えおきをいただくということが必要だと思うわけです。政務次官からもお答えがありましたように、ひとつ御配慮をいただくようにしたいと思うのです。
  69. 野間千代三

    ○野間委員 ちょっと。川上さん、この前の委員会のときに、これは至って本質的な話なんですが、いま泊谷委員が質問したのと似たような質問をしたのです。そのときの川上さんの答えと、いまの答えと少し違うのです。ぼくが質問をしたのは、踏切近代化する。そして一種自動になる。一種自動になると、大体いまの傾向では踏切保安掛はなくしていくというのが原則のようです。問題は、最近の踏切実態が、たとえば自動のカンカンがついておっても、いま言うように侵入横断をするのが非常に多い。しかもそれは数字をあげて、一割何分になるというふうに川上さんも説明をされました。そこでぼくのほうで、たとえば踏切の近くの道路の状態であるとか、あるいは踏切が二重になっておるとか、あるいは踏切そのものが匂配であるとか、そういう七つばかりの例をあげて、たとえばこういうものが幾つか重なっておったり、あるいはそういう要件が一つあったり、あるいは過去に、自動化をする前に相当事故があったとか、そういう例をあげて、そういう際などは踏切監視員といいますか、制止をするための監視員、防護要員、そういう者を置く必要があるというふうに見解を述べて、それはそのとおりだ、そういうことについて十分に検討したいという方向に重点を置いたお答えがあったのです。それはそれでよろしいのですか。
  70. 川上壽一

    川上説明員 いまの先生のお話のとおりで間違いありません。連動化をいたします場合に、私どもは連動化の甲、乙、丙というふうに三種類の考え方を持っております。連動化甲は、自動的にチャンチャンが鳴りまして踏切が遮断される場合でも、常時人がついておる。それから連動化乙は、夜間など道路交通量も非常に少なくなるし、列車回数も非常に少なくなるというような場合は、昼間だけ時間を切ってついておる場合を乙にいたします。それから先ほど最後に申し上げました比較的簡単な場所は、一種自動にいたしまして、従来手動であったものも人を取ってしまう。これが連動化丙でございます。この三種類に分けまして、状況に応じて判断をしてきめてまいりますので、先生の御趣旨のように進めるつもりでございます。
  71. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これは先日も議論がありましたけれども、野間君の質問に答えて川上常務理事が話しておりましたね。いまの踏切保安掛の実態は、相当の年代の人と若い層の人とによって運営されておる、特に若い層の皆さんが担当した場合に事故が多い傾向を示しておる、こういうふうにお話がありましたのですが、鉄道では総じて保安掛というと、鉄道に採用になって同時に持っていくのが多いですね。大半です。それで、これは採用職で、国鉄部内でいう階梯職の位置づけにはなっておらないのですけれども、ただ、私、実際に駅の業務を担当してみて感ずることは、鉄道公安の諸君がありますね。これは旅客整理とか、車内の犯罪防止なんですが、いまの保安掛のほうは、人の命に直接かかわる重要なポイントの仕事をするとして、公安職員と同等くらいの条件、言って者みれば、年齢とか経験年数とか、それからその他一定の要件を備えるということが必要であり、それらの一応の訓練をされた者が配置されるのが好ましいと思うのですが、この法的措置をする考えがあるかどうか、この点ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  72. 豊原廉次郎

    ○豊原説明員 ただいまの先生のお話で、踏切保安掛には職員としてのある程度の経験年数を持った者を充てるべきではないかというお話一つございます。この点につきましては、私どもただいま実は組合と話し合いをしておる最中でございますので、ここで私が決定的なことを申し上げることはいかがかと思いますが、考え方といたしまして、確かに踏切保安掛の職務は重要なものでございますし、経験があったほうがいいということは一般的には言えると思います。ただ、ああいう御承知のような職務でございますから、必ずしも何かの経験がなくても、適格性のある人も十分にその個人を検討すればあり得る、こういうふうな考えを私ども持っておりますので、一律に何々の職を何年経験した者でなければいけないというほどの厳格な考えは持っておりません。  それから、もう一つの職務である公安官との御比較がございましたけれども国鉄の職員の職務その他は、法律にありますように、その職務の内容と責任の度合いでいろいろ給与その他を考えていくということになっておりますので、それらの実情に即したものを考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  73. 泊谷裕夫

    泊谷委員 私は、営業関係事故というものは後日修正ができるのです。運転に従事する者は、その瞬間人の命を奪うとかなんとかいう取り返しのつかない始末をするわけですからね。これは別の問題もありますけれども、門扉を飛び越えて入ってくる者に対して——先日制止権の問題が出ました。駅の駅長、私は営業助役もやったけれども、これは司法警察吏の職務を行なう章を持たし、法的保護を与えているでしょう。公安の諸君もそれを法的根拠にしてやっていると思うのです。ですから、片やその制度が許容されておって、いま一番対社会的に問題の多い、世界でも二番目の発生率を見ておるこの踏切の世話をするという者についての性格は、当然公安の諸君と同じような措置がとられることが制度としてあってしかるべきだ。また、国鉄のほうとしても、一般通行人に対するその措置が必要だと思いますけれども、この制止権を含めまして考慮されてよいのではないか。道交法では、信号がどうあろうとおまわりさんが規制することができる。先日皆さんと一緒に隅田へ行きましたね。山谷の連中が、あの門扉がおりているところへ、日中でさえものいいをつけているのを、委員長はじめ皆さんごらんをいただいたはずであります。日本人の一般的な教養がまだ、立ち小便すると衛生上よくないからすべきでないという考えよりも、おまわりさんにとがめられるからしないというほうが強いように私は思うのです。であれば、この踏切保安掛に対する制止、それからこの保安員の持つ力量というものについて特に考慮の必要があると思うのですが、いかがですか。
  74. 川上壽一

    川上説明員 ただいま先生のお話しになりました点につきましては、前回の委員会で運輸省の見解を述べられておりますが、私どもも、保安掛につきまして交通の指示権を与えるという点につきましては、指示権を与えますと、もしもの場合にそのまた責任がまいりますという点と、警察官との関連がなかなかやっかいでございますのと、もう一つは、踏切におりまして仕事をしております場合に、まず列車防護が重点になりますので、道路交通の整理をするというようなたてまえになりますと、なかなか両方の仕事ができにくいというようなことで、ただいまの段階では、一般的には交通の指示権を与えるのはいかがかと存じておりますが、特殊の踏切につきましては、先生のおっしゃいますように指示権を与えませんでも、十分な力量と素質を持ちました保安掛を配置することによって、まあ山谷の例が出ましたが、それでなくても、十分な威厳を持ってやるというような点につきまして、制服を変えるとかという点も従来から議論をしておりますので、その方向でもう少し検討さしていただきたいと思います。
  75. 泊谷裕夫

    泊谷委員 川上さん、社会党の議員だから言っているのじゃないのですよ。われわれも実際に駅にいて、制止権というけれども、確かに服装も直観的に影響します。公安の諸君が来たときに、一番私が乗客掛をしておって苦労したのは、乗客掛というのは全く埋没してしまいました。それはわかりますよ。服装なども整備してやることによって違いを見させるというのですけれども、確かに司法権を持った者が事故を起こした場合罪が倍加されるのじゃないかというけれども、それは刑法上の過失と自分の意思に基づいてやるものとは違うので、前段のほうの心配は、完全にないとは言えませんけれども、一応お考えになる節はわからないわけではないけれども、しかしどこの踏切保安掛も、人がけがしたらいいとか、なくなったらいいという考え踏切に立っているものはないのですよ。むしろその事故を少なくするために必要措置は、指示権であろうが誘導権であろうが、これはやはり公安の諸君でさえこれだけ規制されておりますし、道交法ではもう警察官万能になっています。これについてはどうでもやはりぼくは考えてもらう必要があろうと思うのです。ですから、ここでおおよそ前提をそのことにして、先ほど豊原常務からありましたように、内部でどうしたらいいかということをきめこまかく相談されようということについては触れようと思いませんけれども、あるべき姿としては、公安の諸君というものは二年以上実務に携わった者でなければだめだ、教育をして、しかも国家公務員の一般職俸給表の七級以上でなければならぬ、こういう措置をしておる。これは公安職員に激励を与えて仕事をさせるものでしょう。一番ひどい服を着せられて、採用職で、どうして一般の通行人を誘導したり制止したり、そういうことができるものじゃないと思うのですよ。根本的な問題だけに私は、前向きで検討するということでお答えをいただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  76. 久保三郎

    久保委員 関連して簡単に申し上げますが、一つは、この前も堀鉄監局長からお答えがあった踏切監視員というか、警手の職務権限、そういうものについてであります。  いま川上常務からきわめて政治的な御発言がありまして、言いにくいことでありますが、ものの考え方にあまり進歩がないようであります。しかし考えてみるのに、踏切保安員というような者が残るような踏切は、今後立体交差もできにくい、しかも交通量列車の運行も非常に多い、むずかしい踏切だけが残るわけでしょう。合理化を何度しようとしても、合理化のしようがない。たとえば、先般委員長以下が視察いたしました隅田川のごときは、金をどんなに積んでも、技術的に見ても、今日ただいまではちょっとできかねるという。そうなれば、ああいう踏切が残っていくことになると、やはり踏切監視員というか保安員というか、そういう者の資格要件については十分私は考えなければならぬと思うのです。この合理化の中で警報機付き踏切りに移行できるような踏切におけるところの踏切保安員の職務内容と、隅田川のごとき、いわゆる合理化をしても絶対残さなければならぬ、そういう一種踏切の保安ではだいぶ違うと思うのです。それはお認めになると思うのです。だから、認めるかどうかということが一つと、二番目には、そういう意味からいっても、それらに対しては当然何らかの、車両その他の通行に対する権限——私は極端なことを言うならば、列車の運行に対しても権限が必要になってきやしないかとさえ思うのです。しかし、そこまでは大体職務系統からいって、鉄道の職員でありますからそれはいいとして、少なくとも、やはり踏切道を改良しても、幅員がこれ以上延びないというとき、しかも前面を見渡した場合に、全部がここで待っている、ふさがっている、こちらにも同様に待っている。この場合、両方上げれば両方がすべて入ってくるわけです。そうなったときに、踏切の中間において衝突というか、そういうことが間々あると思うのです。そうなった場合に、たとえば一分でさばけるものが五分かかるということ、あるいはそこで車がとまって、今度は始動する場合にエンストというような事故がないとも限らない。だから、そういう場合には当然片側ずつ半分——片側というかわかりませんが、そういう通行を許してさばかざるを得ないのではなかろうかと思うのです。だから、前回と今回の答弁では、そういう資格権限については、勘案するけれども要らない、間違った場合には処罰されるからいやだ。間違ったらどんな人でも処罰されるのはあたりまえだ、当然ですよ。間違ったときに責任をのがれようとするために権限をやらないというならば、これはまさに本末転倒もはなはだしいと思う。これは詭弁です。詭弁というのはそういうものをさすのです。安全を守るために踏切保安員というものを配置する。単なる遮断機の上げおろしのためのみに配置するのならば、これは必要ない。それをはき違えて答弁するがごときは、断じて国会に対しての正当な答弁ではない。だから、検討するということが単なる政治的発言ならば、この法案を通すわけにまいらぬ。しかし、真剣に検討するなら別です。私が言いたいのは、検討すると同時に、そういう踏切道上において交通が渋滞して事故があったか、または全然なかったか。全然なかったならば、話は別です。あったとするならば、それに対して踏切保安に対する権限の保有については反対だ。いわゆる交通の円滑化をはかるものは当然交通巡査だ、警察官だ。それでは、警察官の配置を鉄道事業者として要請したためしがあるかどうか。もしないとするならば、それは国鉄当局も運輸省当局も職務怠慢である。要請したためしがあるか、そして現に交通巡査がその踏切について行き交通整理をしておるかどうか。しておるならば、私がいま申し上げたように、あなたのほうの政治的発言はそのまま認めます。そうでない限りは、そういう権限は必要ない、いやだというならば、警察の配置について、政府部内においてきちっと配置するという制度に直してほしい。いかがですか。結局、踏切保安員の最後まで残るのは、さっき言ったように交差のむずかしい踏切になる。よって、新規採用した者を一週間か二週間実務訓練して配置するような踏切は残らないことになると思うが、いかがですか。
  77. 豊原廉次郎

    ○豊原説明員 いま久保先生のおっしゃいますように、踏切近代化がどんどん進みまして、最後に残るようなものについては、確かに御説のような状態といいますか、そういうむずかしい踏切だけが残ってくる傾向にあるということは、そのとおりだと存じます。ただ現状においてそういうむずかしい踏切ばかりかというと、必ずしもそうではないということも言えると思うわけでございます。そういう非常に困難な踏切だけが残った場合において、そういうところに配置する人の資格なりその他の条件をどうするか、または、いまでもむずかしい向きがあるわけでございますから、そういうものをどうするかということは、私どもとして慎重に検討いたさなければならないと思うわけでございまして、過去の踏切保安掛というものと、現在または先生のおっしゃるような将来の大きな踏切というものとはおのずから質的にも変わってきておるし、また変わるべきものであるということについては、そういうふうに考えるわけでございます。  もう一つの、過去において踏切に警察官の応援を求めたことがあるかという御質問に対しましては、その求め方が正式書面で求めたかどうかということにつきましては、ただいまここに資料を持ち合わせておりませんが、少なくとも、そういう書面とかなんとかいう意味でなく、出勤を求めまして応援を得たことはあるように記憶をいたしております。ただ、これは常時置いてくれということではございません。  それから先ほどの、道路交通鉄道交通との交差点における鉄道職員としての踏切保安掛にいかなる資格を与えるべきかという問題につきましては、これは非常にむずかしい問題でございまして、国鉄だけでこれをどうこうするというわけにまいりませんので、政府の関係御当局と御相談をいたしまして、将来の問題として検討いたさなければならない問題であると考えております。
  78. 堀武夫

    ○堀政府委員 法律的な権限としての制止権と申しますか、指示権というものを踏切保安掛に与えるべきではないかという御意見でございますが、これは前回の委員会においても野間委員の御質問に答えていろいろやりとりがあったわけでございます。法律的な指示権というものを与えることによって、ほんとうに真実の実効性があるということであれば、私はそれを規定することもいいと思うのでありますが、たとえば社会党案のこの指示権というものの内容を見ますと、「危険がさし迫っていると認めるときは、」という、いわゆるとっさの場合の指示権というふうに理解されるのでございまして、こういうようなとっさの場合にそれを防止するため、必要な限度において行なうというような指示権であれば、これはとっさの場合でございますから、法律的に規定してあるなしにかかわらず、その実効というものはあるのではないか。あぶないと言うて人をとめるというようなことでありますれば、法律の権限としてやる、やらぬにかかわらず、実質上あまり違わないのじゃないかという感じがいたすわけであります。しかし、非常に大きな踏切で、非常に交通量が多くて、その踏切線路が複々線くらいであって、非常に幅広い。交通量が多いと、まん中のところで非常に交通の混乱が起きて、もたもたしておる間に電車が来るというようなことを整理するために、権限を与えたほうがいいのではないか、それはもっともな話だと思うのです。いままで、こういう指示権がなければどうしても整理できない、ぜひそういう指示権を法律で規定してもらいたいというような実際の現場からの注文といいますか、そういう要望ということは、まだ私聞いたことがございません。将来そういうような実際の必要性と申しますか、そういうものが出てくるならば、これは十分やはり検討する値打ちのある問題だと私は思います。今回の改正にあたりましても、やはり前回と同じようにこの点を検討いたした。こういう指示権を持たすべしという意見が前からありましたので、この改正の際にももう一度検討をしてみました。しかし、やはりまだそういう必要を痛感するというところまではいかなかったものでございますから、そこまで改正ということに踏み切らなかった次第でございます。  それから、踏切保安掛にはもっと現在よりも高い資格要件が必要ではないかという御意見でございますが、だんだん踏切交通量がふえてきますし、列車の速度も速くなってきますと、非常に機敏な判断と同時に正確な判断が必要になってまいります。それに応じて踏切保安掛の質的な向上ということは、これはもう当然のことでございます。国有鉄道運転規則の第五条に「係員の教育及び訓練」というところで規定がございまして、「必要な保安のための教育を施し、作業を行うのに必要な知識及び技能を保有することを確かめた後でなければ、作業を行わせてはならない。」ということで、その六号に「踏切道の遮断機を取り扱う作業」ということで踏切保安掛の仕事を規定しております。この規定を見ますと、その質的な要件というものを考えておるわけでございまして、十分その踏切をさばく能力をつけてから配置するということは、現実の問題として国鉄でも心がけておれらるというふうに考えております。それから私鉄の場合につきましても同じような規定がございまして、実質的にそういう能力を十分備えた人を配置するということであって、形式的に何年経験があるからどうということでなしに、実質的にその資格を備えた、要件を備えた人を配置するという努力は、国鉄私鉄両方においても行なわるべきであるし、また行なわれておるというふうに私考えております。
  79. 泊谷裕夫

    泊谷委員 鉄監局長と常務から話がありましたけれども、常務も現場見習いをやっていたときは、理屈は理屈として、御承知いただいていたと思うのですね。終戦後混んでどうにもならぬときに、乗客掛の手に余るときでも、公安職員が出てくるとぴしっと旅客が並ぶのですね。今度二兆九千七百億かけて大改良工事をやるわけですけれども踏切道をはさんで、この間の赤羽もそうですが、工事をやるわけですね。相手は今度は車に乗っておる者が多いのですから、あそこに立っておる者はどなり散らされるのが精一ぱいだと思うのです。こちらから、鼻を出してはあぶないとかなんとか言えない条件にあるのです。外見的な服装もありますけれども、これはひとつ法的な保護策をつけなければ、これだけ混んできた踏切道を中心にする交通の問題は、さばき切れないと私ども考えているのです。これは先ほど常務から話がありまして、きょうの時点でそういうふうに踏み切れないという話でありますけれども現状はもうすでに、職場から出てきている皆さんはごらんいただいていると思うのです。確かに効果のあることは間違いない。この点でひとつ考慮いただきたいと思います。  次の問題ですが、踏切保安掛の勤務というものはいたって単調なんですね。単調であるだけに緊張、弛緩、その波にちょっと乗ると大きな事故が出てくる。この間の隅田川もあれだけのところに四名配置していますけれども、後ほどまた野間君のほうから話が出ようと思いますが、二十四時間いま勤務をしているのですが、複線区間とか繁忙なところなどは、勤務状態を縮めてやる必要があるだろう。だから人員としてはあまりありませんけれども、工場で採用しているような三交代システムを考えて、勤務上からも弛緩の度合いを考慮してやるということが当面必要な措置でないかと思うのですが、いかがなものでしょう。
  80. 野間千代三

    ○野間委員 関連して。先に、いまの勤務の問題なんですが、わが党のほうで提案をしているのは、特に踏切保安要員の配置ということで、配置の状態を重要視しているわけです。これは、この前当局から出された資料なり、あるいはきょう提出をされた資料を見ても、最近の踏切実態が、性格が非常に変わってきておるというふうにぼくは見るのです。これは一種自動化をしてもなおかつ事故がある。しかもその事故が、全体の事故数の一割七分もあるという実態です。これはもちろん基本的にはもっとほかの問題があるでしょうけれども実態としてはそうですね。しかもだんだん改善をしている。改善をしているが、どうしても改善のできない踏切があるということになっているわけですね。そういう関係で、踏切を見詰める見詰め方を少し観点を変えなければいけないのではないかというのが、ぼくらが提案をしている内容なんです。そういう意味では、さっき久保委員の質問に対する運輸省の御答弁あるいは国鉄の御答弁は、そこまでまだ徹底をして踏切実態について見詰め方が足りないのじゃないかとぼくは思うのです。  そこで最初に、鉄監局長のいまの職務内容の答えですが、社会党が提案をしておるのは切迫したとき、こうなっておりますけれども、それはそのとおり。これは指示権なり誘導権なり、そういうものは法律上権限として与えておく。しかし、実際上使うのはもちろん差し迫ったときです。そういう意味です。問題は踏切保安要員が差し迫っていると考え考え方、時点と、一般の通行人、運転者が差し迫まっていると考え考え方と、次元が相当違うのです。相当の開きがあるから事故があるのでしょう。ですから正確にいまのスピードがどのくらいであり、そういう列車の状態と通行人の状態をきちっと把握している踏切保安要員が差し迫ったと考えたときには、まだ一般の人たちはそういうことを考えていない。ですから、そういう意味でそれだけの認識の違いがありますから、したがって一般の人はまだ通れると思っているわけです。そこでとめるのですから、当然そこにいさかいが起こるのです。いまはそういう権限が与えてないから、通行してしまって事故が起きてくるというのが実態ですね。したがって一種自動化をされた踏切においても、やはり踏切保安要員の監視が必要であり、特に指示権を持ったという職務内容の充実された——これは踏切保安要員は人格ではなかなか整理ができない。どんなにりっぱな人がおっても、人格だけではなかなか整理のつくものではない。したがってきちっとした法律的な権限を与えられておる者が、自分の見た目で制止をする、通行を指示するということが必要なのですね。そういう意味でひとつお考えをいただいて、職務内容については御検討願いたいと思うのです。  それからもう一つ、いまの問題ですが、いま調べてみますと、ぼくはこの問題で、この間隅田川に運輸委員会が行ったとき、それからぼくの近くの生見尾、それから滝坂、生麦、貨物の駅の近くでは入江、そういう駅の踏切実態を多少調べてみたのです。これで見ると、一番特徴的なのは隅田川のところのこの間見た踏切。駅長さんが苦労されて、零時から二十四時までの踏切を閉鎖する回数、それから時間を記録してくれております。この表は皆さんにも配られておると思いますが、こういう実態の中で、いま泊谷君の質問で指摘されたように、四人の人が交代で勤務をしておる、こういう実態です。ですからこれは、私は全部が全部の踏切ということは言いませんけれども、少なくとも特徴的な隅田川の駅の踏切、あるいはいま例をあげた滝坂であるとか生見尾であるとか二重になっておる踏切とか、そういうところはもう少し勤務体系を変えて、少なくとも三交代勤務くらいにして、十分な、両方に踏切保安要員が立ち、まん中に監視員が立つというような、常時そういう体制に置いて、しかもこれはいま問題になっておりますように、踏切自体が変わってまいりまして、昔のようにただ番をしておればいいというわけではありません。それぞれ非常な神経を使い、通過列車の監視をしながら通行人の監視をするというように、職務内容が非常に先鋭化しているわけです。そういう実態ですから、おそらく精神的な疲労も非常に強いと思う。そういう意味では監視体制、踏切保安要員の配置についてはもう少し十分な配置をする必要がある。いまのような一交勤務でない、三交代勤務の保安要員の配置を、これは国鉄私鉄に限らずする必要があるのじゃないか。いまは国鉄私鉄も全部おそらく一交だと思うのです。これでは十分な配置ができない、監視ができないというふうに思うので、そういう方面についてどう考えておられるか、運輸省、次に国鉄というふうにお答えをいただきたいと思います。
  81. 堀武夫

    ○堀政府委員 これから踏切の性格がだんだん変わってくる、非常に交通量も激しくなりますし、電車、列車の通行回数も多くなる。ただいま野間先生のおっしゃったような踏切にもっと人を多く配置して、そうして手厚くやるべきである、ごもっともでございます。考え方としては、できるだけ機械化なり自動化によってカバーできるものはカバーし、なおそれで不十分であるというものにつきましては十分の配置をする。一人で足りないところは二人、二人で足りないところは三人というふうに、その実態に即して考えていくべきだというふうに考えております。
  82. 豊原廉次郎

    ○豊原説明員 ただいま鉄監局長からお答えのあったとおりの考え方でございますが、私どももここ数年来踏切に対する認識を改めてきたつもりでございますが、さらに今後とも踏切の重要性というものは増す方向にある、こういうふうに考えておるわけであります。したがいまして、それに対します職員の配置なり勤務時間の問題につきましては、私どもといたしまして、御承知のように国鉄には踏切のほかにもいろいろ緊張を要する職種もたくさんあるわけであります。そういう職場も多いわけですので、そういう踏切そのものの一つ一つの具体的な問題、または他の職種との均衡というものを十分に考えながら、個々具体的に、必要のあるものにつきましてはいまの勤務体制を変えなければいけませんし、人員の配置も変えなければいけないというものがあることは、そういうふうに考えておりますので、個々具体的に処置をしてまいりたいと思っております。
  83. 泊谷裕夫

    泊谷委員 個々の問題で検討されるということになりましたから別ですが、この隅田の最近の駅のダイヤは皆さんもらったのですが、これじゃ実際問題として食事をとる時間もないですよ。ですからこれは三交代にでもしなければ救済の道がないだろうと思いますので、それらの対策について、先ほどお尋ねした筋で御検討いただくことにしたいと思います。  もう一つ、先日、全部ではありません、私の見たのは隅田と赤羽ですが、保安掛に直接聞けば、見通しは七十メートルもないんですね。そうして照明灯もない。ですから白バイという普通の車両とは違って白く塗ってある車が踏切道に飛び込んだのを、保安掛のほうから目撃できないという事態にあるのです。一般的に、隅田でも見ましたけれども、あの場合も一人の保安掛は、本来そばになければならない便所も、工事のために電気が切れておりましたので、日通の便所を利用したというようなことを説明しておるのですけれども、照明とか電話とか、それからふろとか便所なんというものは、これだけ密度の高くなった踏切保安掛の詰め所のそばに整備されてしかるべきだと思うのです。当然考慮されていると思うのですが、いかがですか。
  84. 川上壽一

    川上説明員 踏切道の照明につきましては、一昨年三種以上の踏切には全部整備し直しまして、赤羽の場合照明設備があるはずでございますが、あるいは当時切れておったのかもしれません。便所は、場所によりまして、場所がないということで遠くまで便所へ行かなければならない例がまだ少し残って駆りますが、休養設備につきましては、線路からできるだけ近くて、しかも静かなところということで、隅田の場合はごらんになったと思いますが、約百メートルばかり離れましたところにつくってある。ふろにつきましては、駅付近につきましては駅のふろを利用している場合が多いわけでございますが、中間の踏切につきましてはまだふろのついていないところがございます。しかし、昨年以来職場環境の整備を大きく取り上げておりますので、ことし、来年、再来年くらいには相当そういうものも整備されるつもりでおりますので、漸進ではございますが、いい方向に向かっていることを申し上げておきます。
  85. 泊谷裕夫

    泊谷委員 踏切内部の関係は大体これでおしまいでありますけれども、他動的な力で踏切を通過する車両——国鉄バスなどは発炎筒を積んでおるのですけれども踏切を通過する車両については、運転者はもちろんのこと、雇用関係のある者は雇い主が発炎筒を積むということを義務づける必要があるのじゃないか。もちろんこの間のように白バイが入って赤のランプも回さないのじゃ話になりませんけれども、ともあれ踏切を通過する車両は、不測の事態に備えて発炎筒の積載を義務づける方向をとるべきだと思うのですが、鉄監局長いかがですか。
  86. 堀武夫

    ○堀政府委員 バス等に対する義務づけでございますので、私一存の考え方を申し上げるわけにはまいりませんが、自動車局長ともよく相談をして研究をいたしたい、かように考えます。
  87. 泊谷裕夫

    泊谷委員 バスは、国鉄バスなどは積んでいますよ、実態として。ところが、ミキサー車とか大型車両、それからこのごろは小型車両でも飛び込んで困るわけですが、私の言うのは四輪の車両、三輪も含めまして発炎筒の積載を条件としてつげてはどうか、こういうことでありますので、そういうことを御検討いただくことにいたしたいと思います。  もう一つは、この間も議論がありまして、この機会に明らかにしておいたほうがいいと思うのですが、国民に向けてでありますが、接近ブザーが鳴った。しかし、保安掛がいる。そのために、門扉の開閉の五秒、十秒が問題になったりするのです。接近ブザーは大体総じて千メートル先あたりから回路を踏んで鳴ってくるのがいままでの国鉄内部の事情だと思うのですが、国鉄考え方としては、あくまでも接近ブザーが鳴ったのが最優先であって、そこに配置される踏切保安掛というものは補完的な位置に置かれていることで、大体社会的な周知というものは接近ブザーが最優先にあるというふうに私は理解しているのですが、間違いありませんか。
  88. 川上壽一

    川上説明員 接近ブザーが最優先になるわけでございまして、それによって踏切保安掛が門扉の開閉をするということで、通行者にはその接近ブザーの音が聞こえる場合もございますし、聞こえない場合もございますが……
  89. 泊谷裕夫

    泊谷委員 川上さん、それは通らないのだよ。道交法で一切のバスは禁止条項があるのですから、踏切で一たん停止して聞こえないということはない。その車両に乗っておる者が聞けなければ、保安掛も聞けないのです。だから、それはないのですよ。だから対社会的に、国鉄との整理区分は接近ブザー——最優先という筋をきっちりしておいてもらわなければいけないと思うのです。
  90. 川上壽一

    川上説明員 いま私が申し上げましたのは、一種の手動の踏切踏切保安掛に対する接近ブザーでございまして、三種踏切のフラッシュランプがつきましてチャンチャン鳴りますのは、先生のおっしゃるとおりでございます。
  91. 泊谷裕夫

    泊谷委員 豊原常務にお尋ねしますが、これだけ踏切問題がうるさくなってまいりまして、国鉄内部でも踏切の管理体制について考慮の時期ではないかと思うのです。これに対する一元的な管理方式というものが考えられているのかどうか、これをお答えいただきたいと思います。
  92. 豊原廉次郎

    ○豊原説明員 国鉄の組織の中で踏切保安部というものが従来あったわけでございますが、これは最近において施設局の中に移しました。ただし、そういう組織の問題ではなく、国鉄といたしましては、随時また毎月定例に総裁以下首脳部全員が集まりまして安全の問題を検討いたしておりますが、その中における一つの重要な問題といたしまして踏切問題を取り上げておりますので、私ども仕事の体制において踏切に対する問題がばらばらになって、そのために対策が不十分であるというおそれはない、こう考えております。
  93. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これで最後ですけれども、今回踏切の改良をやりまして人員の異動をするというので、従前のあった合理化とは違うのですね。私もずいぶん電務区や、あるいは船舶の問題は扱ってまいりましたけれども踏切保安掛の諸君は、この前も話がありましたように、相当高年齢と若い層と大きく分かれておりまして、特にじみな仕事であっただけに、この人たちはいま、新しい機械化されることによって、合理化されることによって自分の位置づけがどうなるかということの心配をしておる。これは場所が場所だけにやはりぼくの気になるところです。国有鉄道と電電公社と考えた場合に、国会に出してもらってからながめるとあまりに差があるのに驚いておるわけなんですが、たとえばもう相当の年配になって配転も都合が悪い、そこで休職の措置をとっても結果的に退職しなければならぬ人たちには、電電公社の場合のように特別退職措置法というものを出して上積みして、それで身を引いてもらう措置をとったり、退職の際に一号加算したり、また配転の手当にしましても、ほかの公社と違いを見せているわけです。特に電務区自動化や何かと違って、踏切であるだけにこの操作がたいへんむずかしいと思うのですが、そういうことで国有鉄道としてもしかるべき配慮があってよいのではないか。そのために国会でまた審議をわずらわして措置しなければならぬものはならぬものとしても、一応企業体の国鉄として当面踏切の合理化に伴う異動などという場合に対する配転手当とか、あるいは身を引いていく人に対する一号加算とか、こういうものについて考慮されてもよいのではないかと私は強く感ずるのですけれども、豊原常務理事いかがなものですか。
  94. 豊原廉次郎

    ○豊原説明員 ただいまの問題は、いま組合と話をしておるところでございます。一般的に申しまして配転の場合に、いま組合と協約を締結しております近代化に伴う配転のものがあるわけでございまして、私どもといたしましては、いまから話し合いをするところでございますけれども、いままでにある協定によって措置ができるのではないか、いまのところそういうふうに考えております。あと休職の問題その他も要求の事項として出ておりますので、十分に話し合いをしたい、こういうふうに考えております。
  95. 久保三郎

    久保委員 質問もだんだん終わりでありますが、ただ一つ、これは聞いてもらいたいのですが、政務次官では悪いわけじゃありませんが、基本的な問題でありますので、これは大臣にいてほしかったと思うのです。大臣はどういうことでおいでにならぬかわかりませんが、大臣はどうして政務次官とおかわりになったのか、単純なかわり方ですか、複雑ですか、どっちなんです。(「参議院の予算委員会だろう」と呼ぶ者あり)そういうふうにわからぬことを話してはいけません。政府部内でどうなっておるのですか。これはどういうわけで大臣を入れられなかったのですか。代理されておるのはわかります、政務次官がおりますから。ただ、大臣がなぜおいでにならないのかお尋ねをしている。なぜそういうことを言うかというと、これは最後に勝沢君から質問する予定でありましたが、所用のために私が代理でいま質問するのです。  昭和三十九年度の決算報告書で、踏切の立体交差について特に言及している。この問題は、言うなればこの法案の盲点ともいうべき大きな問題だと思うし、一番大事なところです。要点はすでに読んでおられると思うが、そこにおられる人は大半は読んでいないと思う。道路局長は読んでいるかもしれない、鉄監局長もそうかと思うのだが、読んでいるならば時間がありませんから中身は言わぬ。読んでいなければ、しかたがないからぼくから言う。どちらですか。
  96. 堀武夫

    ○堀政府委員 踏切道の整備の進捗が悪いというように私聞いております。
  97. 久保三郎

    久保委員 大体それは読んでない証拠なんです。では、その進捗率が悪い原因は何かというと、これは政府部内におけるところの、言うなら中央におけるところの計画あるいは調整、こういうものがだめで、たとえば道路が早くできて使いものにならぬまま、そのままある。私が現実に知っているのは、立体交差の部分はできているのだが前後の道路ができぬので、これは一年半か二年ぐらいかかりましたが、やっと最近道路をやっている。これは現実に私が見ているわけです。これに言及しているので、これはこの席で全部読み上げるわけにはいかぬから、帰ったらすぐ二人ともこれを読んでもらいたい。昭和三十九年度の決算検査報告、これは会計検査院から出ているわけです。これをたいへん失礼だが読んでほしい。国会議員の私が読むのだから、政府委員であるあなたのほうが読むのは当然だと思うのですが、一三九ページから一四〇ページに書いてある。要点は、少なくともいま言ったように、どうしておくれているか。たとえば三十六年からこの法律は始まった。今度四十一年四月一日から五カ年間延期をするわけだが、その五年間における立体交差を指定した。ところが四十年度までに、着工したもので、できないものがある。これは大体概算すると十二億の金が遊んでいるかっこうになるのです。十二億のことはこの中には書いておらぬが、大体見当をつけると十二億になる。だからそういうことの原因は、言うまでもなく中央におけるところのいわゆる実施計画の不備、それから調整のしかたが悪い。だからこれは指摘しています。「年度開始に先だって相互に予算措置を講じ、必要に応じて現行基本協定」基本協定、そういうものがございますね、「基本協定における費用負担割合および負担方法を検討するとともに、実施部局においては相互に連絡調整の緊密化をはかり、現地で協議が難航する場合はすみやかに中央において早期解決をはかるよう処置するなど協定の締結を促進し、ひいては立体交差化工事等の促進に努める要があると認められる。」そのとおりぼくも思うからここで言明してほしいが、この決算報告にのっとった措置を、少なくとも年度開始までに第一回は折衝を開始すべきだと思うが、その意思が運輸省、建設省両方ともあるか、いかがですか。国鉄も含めましょう。
  98. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 個々の踏切の整備につきまして、出先でございます道路管理者と出先の鉄道の責任者といろいろ協議をいたして中央にあげてくるわけでございます。従前そのようなところで非常に時間がかかっておりまして、中央に上がってくるのもおそかった、また中央へ返ってくるのもおそかったというケースが確かにございます。そこで先般来私ども国鉄のほうと再三協議を重ねまして、新年度におきましてはそういうことができるだけないようにということで、採択する個所について、常時いろいろ情報交換会議を行なっております。そういう方向でできるだけこういうことが今後ないように私ども努力いたしたいと思っております。
  99. 堀武夫

    ○堀政府委員 ただいま道路局長がおっしゃったようにやっていくということは当然でございます。地方においてもすでに運輸、建設それから警察の三者で、踏切協議会というものを定例的にやっております。今後ともさらにひんぱんにやって、円滑にいくように進めていきたい、かように存じております。
  100. 川上壽一

    川上説明員 ただいま鉄監局長のおっしゃったとおり、国鉄からも十分に連絡をいたします。
  101. 古川丈吉

    古川委員長 踏切道改良促進法の一部を改正する法律案に対する質疑はございませんか。——ほかに質疑もないようでありますので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  102. 古川丈吉

    古川委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  踏切道改良促進法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  103. 古川丈吉

    古川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 古川丈吉

    古川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  105. 古川丈吉

    古川委員長 次回は、明後二十五日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十八分散会