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大矢正君 いまの
総裁のお話は、私
どもに言わせると、どうも納得がいかない。納得がいかないというより、あなたは
新聞だとかテレビやラジオで、あなた
自身がどういうことを言われているかということを、あなた
自身、聞いたこと、見たことがありますか。たとえば、テレビではこういうことを言われているのです。あなたは奥さんと新婚旅行で外国へ公の
会議に出かけて行った。おれは
選挙中におらなかったから
責任はない、こういうことを言われているとはとんでもない話だと、評論家が堂々とテレビでもって全国に放送しているじゃないですか。そこまで来ているのだから、あなたはここで、盛んに、しらを切っているかもしらぬが、たとえば、汚職
事件が起きて、汚職で一番その甘い汁を吸た人間が、
自分で金を使っていながら何もしないで、その
部下がビルの屋上から飛びおり自殺した。そういうようなことは、いままで数多く例のあることです。そういう事態になったって、実際に汚職をやらした上の高級役人というものは知らぬ顔で、のうのうとしてやっているという、今日までの幾多の実例があるじゃありませんか。今度の問題だってそのとおりじゃありませんか。あなた
自身が
新聞記者にはっきり言っているじゃありませんか。
法律論をたてにして、おれは公務員じゃないのだから、
選挙運動をやれるのはあたりまえじゃないか。同時に、
自分の身内から候補者が出たら、応援するのはあたりまえじゃないかと、あなた
自身が言っているじゃないですか。そういうあなたの思想であり、そういう
発言のためかもしれませんが、下の者はやはり
総裁はそういう意思だから動かなければならないといって、動いたのが、今度の
選挙違反じゃないですか。四十六都道府県のうちで、つかまったのはすでに三十二府県にわたっているのです。全国にわたって、この
選挙違反が行なわれているかっこうになっている、
違反者がつかまっている形になっているわけです。あなたが言わなければ、あなたにかわるだれかが、
小林章君の
選挙運動をやってやろうじゃないか。だれも最初から
違反を覚悟でやりなさいと言わなかったかもしれませんが
——たまたま、それは、つかまったにすぎないかもしれないが、そういうことを言わない限り、四十六都道府県のうち三十二府県まで、そういう
選挙違反で
逮捕者が出るなんという事態が出てくるはずはないじゃありませんか。あなたは、何かというと、すぐ
法律論をたてにとって、法律云々、法律が明らかになったら云々とおっしゃられますが、今日、法律だけがすべてじゃないのだ。
国民の世論がどこにあるかが問題であって、
国家公務員法があるから、
専売公社法があるから、あるいは公職
選挙法があるから、そういう範疇において法律的に問題を処理すればいいというのは、あなた方や大蔵省の役人だけが考えていることであって、
国民はそんなことは考えていません。だから、われわれが言っているのは、法律上どこに
責任があるとかどうとかいう問題は、これは最終的に裁判所が決着をつけるのだから、そういうことでなしに、道義的に判断できる今日の段階でどうかということを、あなたに聞いているのだから……。あなたの
発言によれば、いや、あれは
部下がかってに
選挙違反をやったのだと、こう言う。とんでもない話です。そんなことでもって、三十二府県にわたる大幅な
選挙違反が出て、
逮捕者が百四十何名まで出てくるはずがないじゃないですか。もし、かってにやったのなら、あなたにかわってだれかが指示していることになるが、一体だれが指示したのか。その人間だっておそらく
——あなたは昭和六年に大蔵省に入ったという、いうなれば大蔵官僚の最たる人でしょう。そこまで言わない限りだれがやるのだ。あなた、ここで、幾ら、しらを切っても、そんなことは政治的に、道義的に許さるべ問題じゃないのだ、私は、こういう憎まれ口をききたくないのだけれ
ども、しかし、今日の
新聞の世論や
国民の
批判や、テレビにまであなたのことがうわさになる今日の段階で、われわれは、やはり国政をあずかる身として、だまっているわけにいかない、そういう行き過ぎがあるときに。きのうあなたからは
責任を痛感しているし、もうすみやかにやめると言わんばかりの
発言もあったし、
官房長官からもそういう
発言があったから、きのうは私はやめたのだ。
官房長官とあなたと、ゆうべ話をされているはずです。
田中議運
委員長もあなたと会っているはずだ。ところが
官房長官や
田中議運
委員長は、むしろあなたにハッパをかけられて、何でおれがやめると言わなければならぬのかという
態度じゃなかったかと、私は推察するのです、きょうのあなたの
態度からいくと。こんなことじゃ
国民は納得がいかないのです。ただの問題じゃないのだから。そうでしょう、民間会社じゃないのだから。確かに
公社であるかもしれませんが、少なくとも国の機関であることは間違いないのだから。あなた方、
専売事業をやっている人が税金をかけて、たばこを売ってもうけた金でもって
選挙違反をやられたら、たまったものではない、
地位を利用し、利益を誘導して。そろそろ、あなたも、ここまで来たら、はっきりと、明確に答えてもらいたい。まず第一に、
責任を感じるということはどういうことなのか。そのことは
責任をとるということを
意味しているのかどうか。
責任をとると、はっきりここで言ってもらいたい。とるとするならば、いっとるのか。具体的な形でこの点は
官房長官にも
答弁してもらわなければ困る。