運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-03-31 第48回国会 参議院 予算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月三十一日(水曜日)    午前十一時二十五分開会     —————————————    委員の異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      前田佳都男君     鈴木 恭一君      高山 恒雄君     村尾 重雄君      奥 むめお君     佐藤 尚武君      岩間 正男君     須藤 五郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         平島 敏夫君     理 事                 大谷藤之助君                 迫水 久常君                 日高 広為君                 村山 道雄君                 中村 順造君                 藤田  進君                 鈴木 一弘君     委 員                 井川 伊平君                 植垣弥一郎君                 植竹 春彦君                 江藤  智君                 太田 正孝君                 久保 勘一君                 草葉 隆圓君                 木暮武太夫君                 古池 信三君                 郡  祐一君                 佐野  廣君                 白井  勇君                 鈴木 恭一君                 田中 啓一君                 竹中 恒夫君                 野本 品吉君                 二木 謙吾君                 森 八三一君                 山崎  斉君                 吉江 勝保君                 稲葉 誠一君                 大倉 精一君                 木村禧八郎君                 鈴木  強君                 瀬谷 英行君                 千葉千代世君                 永岡 光治君                 羽生 三七君                 山本伊三郎君                 小平 芳平君                 中尾 辰義君                 向井 長年君                 村尾 重雄君                 奥 むめお君                 佐藤 尚武君                 岩間 正男君                 須藤 五郎君                 山高しげり君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  高橋  等君        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        大 蔵 大 臣  田中 角榮君        文 部 大 臣  愛知 揆一君        厚 生 大 臣  神田  博君        農 林 大 臣  赤城 宗徳君        通商産業大臣   櫻内 義雄君        運 輸 大 臣  松浦周太郎君        郵 政 大 臣  徳安 實藏君        労 働 大 臣  石田 博英君        建 設 大 臣  小山 長規君        自 治 大 臣  吉武 恵市君        国 務 大 臣  小泉 純也君        国 務 大 臣  河野 一郎君        国 務 大 臣  高橋  衛君        国 務 大 臣  増原 恵吉君    政府委員        内閣官房長官  橋本登美三郎君        内閣法制局長官  高辻 正巳君        総理府総務長官  臼井 莊一君        中央青少年問題        協議会事務局長  赤石 清悦君        防衛庁長官官房        長        小幡 久男君        防衛庁教育局長  島田  豊君        防衛庁人事局長  堀田 政孝君        防衛庁装備局長  國井  眞君        防衛庁参事官   麻生  茂君        防衛施設庁長官  小野  裕君        経済企画庁調整        局長       高島 節男君        科学技術庁長官        官房長      小林 貞雄君        科学技術庁計画        局長       梅澤 邦臣君        科学技術庁研究        調整局長     高橋 正春君        科学技術庁振興        局長       江上 龍彦君        科学技術庁原子        力局長      村田  浩君        法務省入国管理        局次長      中村 正夫君        外務省アジア局        長        後宮 虎郎君        外務省アメリカ        局長       安川  壯君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        大蔵大臣官房財        務調査官     吉國 二郎君        大蔵省主計局長  佐藤 一郎君        大蔵省理財局長  佐竹  浩君        文部省初等中等        教育局長     福田  繁君        厚生省公衆衛生        局長       若松 栄一君        厚生省医務局長  尾崎 嘉篤君        厚生省薬務局長  熊崎 正夫君        厚生省社会局長  牛丸 義留君        厚生省年金局長  山本 正淑君        農林大臣官房長  中西 一郎君        食糧庁長官    齋藤  誠君        運愉省港湾局長  佐藤  肇君        運愉省鉄道監督        局長       佐藤 光夫君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  深草 克巳君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省婦人少年        局長       谷野 せつ君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        労働省職業安定        局失業対策部長  住  栄作君        建設省計画局長  志村 清一君    事務局側        常任委員会専門        員        正木 千冬君    説明員        日本国有鉄道総        裁        石田 礼助君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告いたします。  本日、前田佳都男君、高山恒雄君が辞任され、鈴木恭一君、村尾重雄君が選任されました。     —————————————
  3. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 昭和四十年度一般会計予算昭和四十角度特別会計予算昭和四十年度政府関係機関予算、以上衆議院送付の三案を一括議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。小平芳平君。
  4. 小平芳平

    小平芳平君 予算委員会も、きょうが最終になる見通しでありますので、初めに総理から、今後の政局に臨む基本的な態度について二、三お尋ねしたいのであります。  初めに、今国会で、いろいろ法案あるいは条約批准が停滞しているように感じられます。たとえば、ILO条約批准、あるいはその他国民生活に直接関係する大事な法案が停滞しているように感じますが、総理としては、国会に提出してあるから国会自体でよろしく進めたらいいではないかという考え方も一つありますけれども、やはり国会の運営は一人や二人でやっているわけではないのでありますので、多数党の総裁としての、また政府の代表としての総理に、今後のそうした進め方についてお伺いしたい。
  5. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 毎度のことですが、国会審議模様につきまして、この四月に入りますと、政府もまた各党におきましても、それぞれ国会審議状況等について注意を持たれるわけであります。御承知のように、私は、もちろん政府の首班として、また与党総裁として、こういうことにつきましても、他党の方よりも上そう敏感である、かように御了承をいただいてもいいのですが、たいへん私も実は心配いたしておりまして、それぞれ関係の者を督励しておるというところでございます。  私が、政府としてまた与党として、かような点について関心を持ちますゆえんは、民主政治のもとにおける議会政治、これは何と申しましても、国民が最も望ましい政治形態だと、この審議につきましては特に国民からも一関心を寄せられておる。さような意味から見ますると、国民にこたえるという立場に立っても、衆参両院審議を円滑に、そうしてそれぞれの主張は別でも、とにかくこの審議が行なわれる、熱心に行なわれるということを期待するのは、これはもう当然のことだと思うのです。だから、非常に極端な言い方をする人は、国会審議がおくれることは、それこそ民主政治破壊だとか、あるいは議会政治破壊だとか、かような極端な説すら出てくる。まあ現状におきましては、さようないわゆる極端な議論を、私はそのまま賛成はいたしませんが、とにかく、だんだんその議論が熱するばかりでなく、今度は非常な冷却した状況において審議が行なわれ、とにかく国民自身国会審議ということについて関心が薄らいでくると、こういうことでももしあれば、これはたいへん私ども心配しなければならないことと、かように思います。そういう意味で、議会政治、これは国民とつながるその場だ、こういう意味で、国民信頼にこたえるということを積極的にやらなければならない。そのためには、審議を通じて国民信頼にこたえる、こういう態度でなければならぬと思います。  また、他の面から見ましても、政府自身から申しますならば、政府は一たん意思決定をして、そうして法律案提案する、そうして御審議を願う、こういうことになっておりますと、その提案した法律案が出てきて、そうしてそれについて十分審議が行なわれ、政府がこれをやってくれるだろう、かような意味国民の期待もあるわけです。もしも、政府がそういう意味において意思決定をしたことについて、それを実行に移すことに不熱心であるならば、政府自身国民から批判を受けることにもなる、かような意味合いにおきまして、政府並びに与党の責任は重いのだと、かように私は思います。ただいま、そういう立場に立ちまして、審議状況なり法案の成立なり、そういうことにたいへん関心を寄せておるわけであります。  ただいまお尋ねになりました、ILOは一体どうなのかと、これは、申すまでもなく、長い間のこれは国際的な信頼にこたえると、こういう意味で、この問題と取り組んでまいりました。今回ようやく国会提案するような状況になってきた。昨日もお尋ねございましたが、これはぜひとも、この国会におきまして、批准、そういう方向にこぎつけたい、かように私ども考えております。これは、もちろん、与党だけがどうこうするものではございません。各党の御協力を得まして、ぜひともその運びにいきたい、かように思って、せっかく努力しておる際でございます。もちろん、こういう重要法案でありますと、各党にはそれぞれの考え方があるだろう、かようにも思いますから、それを全然無視するという考えではございませんが、私はやっぱり、政治のあり方として、国民信頼にこたえる、こういう立場各党が立っていただくならば、必ずや重要法案は、意見は別にいたしましても、結論が出せるのではないか、かように思うのであります。結論を出すことにぜひとも御協力願いたい、かように思います。
  6. 小平芳平

    小平芳平君 いまのILO案件についてですが、国会提案したのは、もう何回かにわたっております。そのつど最終解決になっていないわけです。今回は、調査団の来日、また勧告、そういうような経過もありました。今回は、いままでとは客観情勢も変わっておりますし、また、したがって、政府がこれに対処する態度、背景、そういうものも変わっているのじゃないかと思います。したがって、ただいままでと同じように、努力をいたします、協力を求めますという以外に、もう一つ進んで、熱意をもって解決なさるおつもりがありませんか。
  7. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私の表現があるいは不十分で、その熱意の点に幾分なりとも信頼がおけない、こういうようなことがあれば、私の答弁が不十分なためでございますが、今回はぜひとも成立さしたい、こういうことで、あらゆる努力をしております。この点は国民もよく知ってくださる、かように私は思います。ことに、労働大臣官房長官など、これが一体となりまして努力をしておる、また、党の国会対策等におきましても特段の力をいたしております。これはよくおわかりだろう、かように私は思います。
  8. 小平芳平

    小平芳平君 労働大臣から……。
  9. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ただいま総理の御答弁のとおり、このたびは、この国会におきましてはぜひ批准を完了したい、強い決意をもちまして鋭意努力中でございます。  御承知のごとく、政府は一月にドライヤー提案を受諾いたしまして、そのドライヤー提案に基づきまして、直ちに公共部門における労使関係相互信頼の回復を目的といたしまして、総理のイニシアチブのもとに定期会談を行なうべく呼びかけておるのであります。それについて総評側から回答があり、その回答に対して、また私ども回答して、ただいま総評のそれについての最終的の御回答を待っているところでありますが、とにかく会合をしようというのでありますから、いろいろないきさつや経緯がございましょうけれども会合を通じて懸案を解決していくということに御協力をいただきたいものだと思っておるのでありまして、誠意熱意をもって努力を傾注中であります。  一方、批准案件及びこれに関連いたします国内法に対しましては、特別委員会審議をすみやかに開始していただくように、政府与党を通じまして努力中でございます。満場一致で設置が決定いたしました委員会が、委員の推薦が一カ月半もおくれ、しかも推薦されて委員会が構成されたと思ったら、審議がさらにまた十日もおくれる。われわれとしては、まことに残念に思っておる次第でございます。
  10. 小平芳平

    小平芳平君 そのほかの法案については、またあとでお尋ねしたいと思いますので、次に日韓交渉についてですが、これは、内容については、きのう非常に詳しく御答弁がありましたので、私としてお尋ねいたしたいことは、最終的に妥結する見通し、あるいはこれも御答弁が再三ありましたが、いずれにしても、妥結を急ぐばかりではなくて、わが国の正当な主張は当然通さなければならないと思います。そうして、総理としては、批准国会提案をする、そういう時期についてのお考え、いつごろ今国会へ出すとか、あるいは臨時国会に出すとか、そういうような時期についてのお考えがありましたらお尋ねしたいと思います。
  11. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま交渉している最中でございますので、できるだけ当方の主張が通り、また両国国民が納得がいき、喜びをもって解決を迎える、こういうことでありたい、かように思って、せっかく努力中でございます。したがいまして、でき上がれば、あまり時期を置かないで批准手続をとる、これは当然のことでございます。ただいま、どういう時期を予想しているか、こういうお尋ねでございますが、ただいま申し上げるわけにはいきません。しかし、そのことは、この問題を解決する誠意のあるというか、それを疑うようなことでも困りますから、私ども誠意をもってこの問題と取り組んでおる。そういうものができ上がれば、できるだけ早い機会に批准手続をとりたい、かように私は思っております。
  12. 小平芳平

    小平芳平君 特に、日本の正当な主張を通す、また、国民が喜んでそれを迎えるという点に注意していかなきゃならぬと思います。  それから次に、これも、あまりわれわれが予期した問題でもないわけですが、ベトナム問題についてですが、アメリカ空軍一あるいは南ベトナム空軍爆撃、それに引き続いて、またサイゴンのアメリカ大使館の爆破、これは昨日も御答弁のあったところでありますが、きょうの新聞では、在留日本人にも十人程度のけが人が出た、あるいは在留日本人生命財産を守るということが非常に大事な問題として浮かび上がってくるのではないかと思いますが、在留邦人保護のため、生命財産保護のため、あるいはまた引き揚げというようなことを検討なさるかどうか、そういう点についてお尋ねしたいと思います。
  13. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ベトナム問題は、ほんとうに、ただいまの状況につきましては私も心配にたえません。小平さんと同様の気持ちでおるわけであります。しかもこれは、今後の爆撃その他の状況によりましては、南北両方につきまして、私どももいろいろ考えなければならないのじゃないか、かように思います。北におきましても、ずいぶん日本人がいるようでありますし、また南は、これまた商社その他があるようであります。しかし、今日までのところ、たとえばハノイ自身戦火にさらされるようなこともないようだし、また、いまのサイゴン自身におきましても、これは直接、戦火というか、戦争あるいは戦火が燃え移ったと、こういう程度ではないように思いますし、ただ爆弾爆発というか、時限爆弾、そういうものが使われた、こういうようなことですから、ただいまの状況では、直ちに、いまの引き揚げだとか、その他については、考えなくていいのじゃないか、かように思いますけれども、しかし、現地住民日本人たちが非常な不安にかられ、そうして早急に帰りたい、かような希望があれば、私どもそれぞれ手配をいたしたいと、かように思います。しかし、今日の状態におきましては、そこまでの心配はまずないのではないか。また、そういう事態が起こらないように、あらゆる努力をすべきではないか、かように私は思っております。
  14. 小平芳平

    小平芳平君 松本特派大使が、いま現地にいらっしゃるのじゃないかと思いますが、また、あすですか、帰国なさるというようなことも承りましたが、どのような動きをなさっていらっしゃるか、特に関係はございませんか。
  15. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) この現地在外公館からは、そのつど詳細な情報を受けておりますけれども、インドシナ半島全体にわたって、これを概観するというような点が従来欠けておりましたので、松本特派大使をわずらわしまして、インドシナ三国の状況を見てきてもらう、こういう意味で、同氏をわずらわした次第でございますが、やがて明日、帰国の予定になっております。
  16. 小平芳平

    小平芳平君 これは総理お尋ねしたいのですが、このような事態で、平和解決望みが失われるのじゃないかということを非常に不安に思っている向きが強いわけであります。イギリスは事態収拾のために動いているようなことも聞いておりますが、同じ東洋の日本の国の総理として、このような事態をどう判断し、行動なさるか。少なくとも欧米諸国から見ると、日本の国もまた隣の国として非常な関係が生じてまいりますが、どうでしょうか。
  17. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ベトナム問題につきましては、私ども考え方をしばしば申し上げたのでございます。  昨日のような事件が起こると、さらにまた心配になってまいります。ただいまのお尋ねにありますように、平和への願い、平和への望みが断れるのではないか。かようなお尋ねでございますけれども、あらゆる国が平和への努力を続ける限り、ただいま言われるような望みが断たれる、あるいは願いが断たれる、こういうようなことはないだろう。私ども、同じ考え方を持つ英国、あるいはカナダ、あるいはソ連等も同様のように見受けておりますが、これらの国と思いを一にして、そうして戦火がおさまるように、努力するところは努力していきたい、かように思います。
  18. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 関連。総理にちょっと、日本人財産の問題、生命の問題でお伺いしたいのです。先ほどの爆破されたために、けがを負ったりなんかしたわけでありますが、出先の外務省大使館としては、そういう在留邦人生命財産保護するということが一つの義務であろうと思います。それがあのような災害を受けたわけでありまして、たいしたことがなければけっこうでありますけれども、国に対してそういうような在留邦人が当然、賠償の請求というか、補償請求ができる。あるいは日本国政府としては、相手国——事件のあった国に対して補償を求める。こういうような保護対策ができるのじゃないかと思うのですが、その点の御見解はどうですか。
  19. 後宮虎郎

    政府委員後宮虎郎君) けさ、早朝、現地大使館より爆発事件等について公電がまいりました。大体、新聞に出ておりますとおりの被害状況で、特に邦人商社員に対する負傷の状況等も連絡してまいりました。とりあえず大使館から、この被害を受けました大南公司、丸紅、伊藤忠、日商、東銀東棉等、ほとんど窓ガラスの全部がこわれ、器物の損壊も非常に多数に及んでおるそうでございまして、大使館からさっそくこれらの商社被害見舞いをとりあえず行なっております。日本大使館は、幸いにして震動と暑い爆風を受けましたけれども窓ガラスが一枚こわれまして、壁か一カ所はげ落ちた程度だそうでございます。この補償問題等につきましては、いろいろ国際慣例国際法原則等に照らしまして考慮するものでありまして、すぐにどうという結論が出ないのでございますが、将来の安全保障のために、居留民会と相談いたしまして、いろいろ緊急避難対策等も講じております。すでに緊急な食糧の備蓄等の準備も行なっているわけでございます。なお、引き揚げ等につきましては、先ほど御答弁がございましたとおりでございますが、とりあえず現地大使館——閑職と申しますか、現在の段階において不要、不急の邦人引き揚げる必要があるかどうかという現地大使意見を、至急昨日照会した、そういう段階でございます。
  20. 小平芳平

    小平芳平君 外務大臣、この問題は、必要以上に不安にかられる必要はもちろんないわけですが、現に建物がこわれ、負傷しているわけですから、ただ、たいしたことないというような、そういう考えはよくないと思うのですが、どうですか。
  21. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ただいまアジア局長から申し上げましたが、これらの問題につきましては、従来の国際慣行に従いまして、適宜処理いたしたいと考えております。
  22. 小平芳平

    小平芳平君 とにかく、それは適宜処理するのは当然ですが、たいしたことないなんて、のんきにかまえているのでなくて、積極的な姿勢がなくてはならないと思うのです。  次に、物価問題について総理お尋ねいたしますが、国民が直接関心を持っている物価問題でございます。総理は、必ずしもはっきりした態度をお示しにならないように私どもは感ずるのです。たとえば東京都議会では——水道料金値上げ委員会で否決した、そういうような混乱が現に起きているわけです。また、そういう民衆の声というものを、政府は最もよく把握して、対処していっていただかねばならないと思うのです。  そこで、総理は、物価安定のためにどういうような指示をなさったか。この前の、あの長い閣議決定は——中期経済計画その他の一連の閣議決定はもちろん見ましたけれども、もう一つそこで筋の通った、実際の効果があがるような物価対策というものを、総理が打ち出されていかなければ、どうかと思うのですが、池田内閣時代には物価問題懇談会があって、公共料金一年ストップを含む強力な対策を打ち出されたこともありましたが、ところが、消費者物価安定のための対策で実際の効果があがった対策は、この一年間、公共料金ストップ対策ぐらいではないかというような論評も行なわれているわけですが、佐藤内閣として、そういうような懇談会を持つとか、また、それに基づく一年間ストップに相当するような強力な対策をお持ちかどうか、お尋ねしたい。
  23. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 一月の下旬に、御承知のように総合物価対策、この施策を決定いたしました。その決定によって総合対策を、各省庁を使って、ただいま強力に推進しているわけでございます。私は、ただいまの公共料金一年間ストップ、こういうものの期限が来ましたこの際に、この自由経済のもとにおいてこの種の事柄を強行しても、これは長続きしない。とにかく、やはり自然の姿において物価を安定さしていく、これが望ましい姿なのだ。これが特別に緊急を要するような場合には、緊急措置、あるいは強権を発動しての措置を講じますが、そうでない限り、経済自身がゆがんでいると、どうしたって物価が不正常になる、あるいは需給関係が円滑を欠けばやはり物価は上がってくる。こういう各方面の問題がございますので、まず経済を安定基調に乗せる。同時に、また、ものによりまして流通機構の整備であるとか、あるいは物資を豊富にするようにあらゆる努力もする、場合によれば輸入も、そういう意味でやはり進めていく、こういうようなことで物価対策を立てておるわけであります。これが物価に対する、きき目のある最も有効な手だ、こういうものはなかなかございません。ただいま私の申しましたように、たとえば肉の値段が高くなったと、かように考えれば、場合によれば肉を外国から輸入してくることで安くできるとか、こういうものはございます。また、公共料金を一年間ストップする、これも一つの手のように考えられますが、しからば一体、公共事業はどういう状況に置かれるか。その間、公共事業に従事している従業員の給料も上げないで済むものか、また、そこで消費する品物等も価格については従前どおりの安い値段で買えるのか、かようなことを考えてくると、一年間ストップしたために、公共料金を今度は大幅に上げざるを得なくなったり何かいたしますので、これはやはり一年間ストップする——あの場合においては、一年間ストップすれば、今度は経済の情勢が変わってくるのだ、こういうことを念頭に置いてストップさせたと思いますけれども、どうも、結果におきましては十分な効果をあげることができなかった、かようになっておるのであります。私は、ただいま申し上げるように、公共料金は今度は上げると、かような立場ではございません、どうしても物価はどこまでも押えていくというか、上がらないようにする、やはり庶民の生活を守る、そういう立場でなければ真の政治ではないと、かように私は思いますので、この公共事業の料金の適否等につきましても、特別な考慮をするわけであります。あるいはその施設等については低利の金を融資することができるかどうか、あるいはまた、従業員自身もしんぼうのできるような給与体系のもとにあるかどうか。とにかく経営の合理化をはかり、そうして、なおかつ事業遂行上困難だ、こういう場合に最後の手段として公共料金に手をつける、かような処置をとっていくのが、経済のあり方として当然のことではないかと、こういうことでございます。ただ、いまケース・バイ・ケースで処理する、かようなことを申したのも、そういう意味でございます。  ただいまお尋ねのございました東京都の水道料金の問題、これは政府の直接の問題ではなくて、まず地方自治体としてそのあり方が地方議会において審議される、こういうたてまえで私どもも議会の推移を静観していたわけであります。この点でおしかりを受けたわけでありますが、自治体のする仕事、しかも中央政府において物価の上がることについては非常な関心を寄せて、そうして適正であることを望んでいるその姿について、地方議会がどういうような態度に出るか、こういうことを実は見守っていたのであります。意外な乱闘の地方議会になったようでありますが、この点、私もまことに残念と思いますけれども、とにかく都民の生活を守る、こういうような立場に立って十分問題を審議されること、これが望ましい状況である、かように思います。東京都知事、また副知事等と再三にわたりまして私も会いましたし、自治大臣も会いましたし、経済企画庁長官も会った。かようなことは、この水道料金について政府が特別の関心を持っていた、そのあらわれであることを御了承願いたいと思います。
  24. 小平芳平

    小平芳平君 物価問題懇談会……。
  25. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 一昨年の暮れに、宮澤前経済企画庁長官の時代に、プライベートに相談する、御相談に乗っていただくという意味において物価問題懇談会というものがあったわけでございますが、その後、それがそのままになっているわけでございます。この問題は非常に大切な問題でございますが、それよりももっと広い工場で総理の諮問機関として経済審議会がございます。その経済審議会においては、今後の経済を安定的な基調に持っていくということを課題として、実は先般も経済審議会の委員以外の方にも御参加を願って、拡大された形においていろいろと御討議を願ったような次第でございまして、そういうふうな形で当分物価問題を中心に検討を続けていきたい、かように考えている次第でございます。
  26. 小平芳平

    小平芳平君 要するに、この問題は強力に物価安定、生活安定というものを推進していただきたいことをお願いいたします。
  27. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 物価問題は、ただいま御指摘になりますように、国民生活に重大なる影響を与える問題でございますので、政府はこの上とも一そうの努力をいたすことを、皆さまにこの席をかりましてはっきり申し上げておきたいと思います。今日も、経済企画庁が中心にはなっておりますが、それぞれの現場機関を有する農林あるいは通産等が、各自治体の協力を得まして、そうして物価問題について強力に取り組んでいるので、この点は御了承願いたいと思います。
  28. 小平芳平

    小平芳平君 次に、私は社会保障制度の問題についてお尋ねいたしますので、厚生大臣、大蔵大臣、関係の方から御答弁願いたいと思います。中期経済計画でも、社会保障の給付費の構成を、医療給付が四三・二%に対し、年金保険は八・九%となっている、このように指摘をして、したがって、わが国の社会保障制度の立ちおくれ、また、そうしたびっこ的な姿というものを指摘しております。で、私はいまここで例を上げて申し上げるのは、厚生年金についてであります。で、現在老齢年金給付の額は月額約三千五百円であります。政府は本格的にこの三千五百円というような、問題にならない年金額というものを充実させ、給付額を引き上げようという努力をなさるおつもりかどうか、まずそれをお尋ねしたい。
  29. 神田博

    国務大臣(神田博君) わが国のこの年金制度が諸外国に立ちおくれていることは、いまお述べになったとおりでございます。制度の開設もおそくなってしかれたというような事情もございます。そこで今回、政府におきましては、厚生年金を、いわゆる一万円年金をひとつ実施いたしたい。そうして、いまお述べになりましたような方向にひとつ沿って、年金の拡大をはかってまいりたい、かように考えております。
  30. 小平芳平

    小平芳平君 そこで、その一万円年金の改正案が出てはおりますが、さっきの法案審議と関連してきますが、総理法案審議についてはあらゆる努力をしていく、国民信頼にこたえることが第一だというふうに、御答弁になっていらっしゃるわけですが、実際問題として、厚生年金一万円年金の実現というものを、この四十六万人ですか、約四十六万人の年金をもらっている人たちが、きょうかあすかと待ち望んでいるときに、必ずしも国会審議が順調ではないじゃありませんか。
  31. 神田博

    国務大臣(神田博君) 国会の都合もございまして、おくれておりますことは、お述べになったとおりでございます。しかし、いまの見通しといたしましては、来週ころから衆議院の社労の委員会で御審議願う、こういうような段取りで、いろいろお打ち合せを願っている次第であります。
  32. 小平芳平

    小平芳平君 それから大蔵大臣にお尋ねしますが、この厚生年金の改正が、もしおくれたり、それからまた見送りになったような場合は、これは新聞の記事でありますけれども政府の頭の痛いのは財投計画の狂うことだ、こういうようなことが載っております。ここで、大蔵大臣、大蔵省としても、幾ら財政の担当の大臣であるとはいいながら、厚生年金のこの一万円年金の実現ということが、財投計画云々というようなことでなくて、ほんとうに厚生年金を受けている人たちを、老人福祉を中心にして考えていかなければならない、それが当然だと思いますが、いかがですか。
  33. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私も、そのとおり考えています。これは、財投の原資には五月から組んでございますが、どの原資もさることながら、もうこれは、西村厚生大臣時代からのお話でございますから、早急に国会でも御審議をしていただきたい、こういう考えであります。
  34. 小平芳平

    小平芳平君 それからもう一つは、この改正にあたって、いつも問題にされるスライド制は、これは実施していかなければならない。ということは、資金のほうは着々と運用しておりながら、三千五百円なら三千五百円というものが、いつまでたっても上がらないというようなことだと、全く取り残されてしまって、この前の三月九日の予算委員会で私が一つ例として申し上げた戦前加入の郵便の終身年金、これなどは、年に十二円、一カ月に一円支給されている人がある。そんなことになると、月一円支給するのに要する人件費が幾らになるのか。税金のむだづかいもはなはだしいじゃないかというような批評がありましたが、やはり厚生年金を考えていく場合も、そういうスライド制ということを根本に頭に入れて考えていかなければ、同じような結果になると思いますが、どうでしょうか。
  35. 神田博

    国務大臣(神田博君) お答えいたします。  年金支給にあたって物価にスライドするようにしろという御意見のあることは、私もよく承知いたしております。また、これは一つの有力な考え方だと考えております。しかし、御承知のように、スライドするということになりますると、物価だけを考えていいかどうか。あるいは賃金の面をどのように考えていくかというような問題もあろうかと思います。それからまた、他の制度との関連の問題もございます。そういうようなことでございまして、今回の改正案につきましては、スライド制を採用することをやめまして、なおその点については将来十分検討いたしたい、こういうことに考えております。そして、いまもお話のございましたように、いわゆる一万円年金に踏み切ったということは、いままでの物価上昇より大きく上回る、こういうような考え方でございまして、スライド以上のことを考えて、今回はそういうような措置をとって、御審議をお願いしている、こういうことでございます。
  36. 小平芳平

    小平芳平君 スライド以上の措置と言われますけれども、実際問題が、二万円にしようというときに、現状が三千五百円という、三倍に上げるという、そういう姿自体が不自然じゃありませんか。第一、月給にしても、いきなり月給が三倍に上がるというような、そういう事態は非常に不自然な事態であって、そういう一挙三倍というようなことが起こらないような措置、制度、そういううとが望ましいんじゃありませんか。
  37. 神田博

    国務大臣(神田博君) 御承知のように、厚生年金のこの前の改正は昭和二十九年でございましたが、昭和二十九年の物価を一〇〇といたしますと、いま一三四ぐらいになるんじゃないかと思っております。一万円年金にいたしますと、それを大幅に上回る。今回はそのようにお願いいたしまして、いまお述べになりましたスライドの問題につきましては、これは有力な根拠のあるお話でございますから、十分検討いたしたい、こういうことでございます。
  38. 小平芳平

    小平芳平君 この人たちは、いわゆる老人福祉ということが中心であって、圧力団体とか、そういう世間で、いわれるような行動や動きは、まあできにくいわけです、実際問題としては。ですから、そういう点をよくのみ込んで、先へ先へというふうに、むしろ対処していかなければならないと思うのです。  それからもう一つ。いろいろ問題の中で一つ私お尋ねしますが、現在は、六十歳になって、さあ老齢年金をもらえるかといって期待していた人が、いかにせん、三千五百円では食っていかれないので、会社へつとめる。会社へつとめたら最後、もらえない。いま、ここで一つの例としては、かりに十五年かけたという人が六十歳になった。ところが、三千五百円では食えないからといって、つとめに行った。そうしたら、そこでもう、おまえはつとめに来たから、相変わらず月幾ら幾らの年金保険を差し引く。——それで、まるっきり、いままでかけてきたのは何にもならない。そういうような制度はおかしいじゃないでしょうか。  まあ、法律がそうなっているといえば、そうなっているんですが、それでは、まるっきり政府が年金をただ取りしているみたいで、かりに、六十歳で支給されると思って、十五年、二十年かけてきたわけですよ、すでに。それが、働いたらだめだというんだったら、かりに六十歳になっても一斉に年寄りの人たちが働いていれば、まるっきり、かけてきた金は政府にだぶついてあるはずなんですよ。
  39. 神田博

    国務大臣(神田博君) 現行法におきましては、いま御指摘のとおりでございまして、そういう事情でございましたが、今度の改正案では、六十五歳になりますれば併給できるようなことにいたしたい、そういうような趣旨で改正案をお願いしておるわけでございます。
  40. 小平芳平

    小平芳平君 その改正案もおかしいと思うんですよ。いままでよりも少しましだというだけで、六十歳からもらえる人には、働くからやらないなんという、だれも——ちょっと悪い表現かもしれませんが、よぼよぼしながら働きたいと思って、働いているわけじゃない。食っていけないから働くわけですから。そういう人に対して、八割やるとか、六十五まではやらないとか、二割はやらないとか、そういうこと自体がおかしいじゃないですかね。
  41. 神田博

    国務大臣(神田博君) そういうようにおっしゃると、そういうことになるわけでございますが、しかし、いままでは全然やらなかったのを、今回併給できるように踏み切った。こういうことでございまして、いまよりは一歩前進と……。将来の問題としては、いまお述べになりましたこともあわせて検討してまいりたい、こう思います。
  42. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、大蔵大臣、金を余すことは目的じゃないわけですから、六十才で支給するというたてまえは、六十才で支給すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  43. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 厚生大臣お答えをしたとおり慎重に検討いたしたいと思います。
  44. 小平芳平

    小平芳平君 それは慎重に検討しなければなりませんけれども、年寄りも年寄り、十五年、二十年という長い間自分の働ける時代は全部働いて、しかも、毎月々々もうきちょうめんに克明に掛金をかけてきているわけですから、そういう人たちに満足がいくような、それは何万というような、とてもそういう突拍子もないものを支給しろというわけじゃないのですから、法律上のたてまえくらいは安心をして給付を受けて、老後を安心していかれるような制度にすべきだと思うのです。
  45. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お話はよくわかります。わかりますが、いますぐここで結論を申し上げられることでもございませんので、先ほど厚生大臣が申し上げたとおり、十分慎重に検討いたしたい、こう申し上げたわけであります。
  46. 小平芳平

    小平芳平君 それから、これは慎重に検討するのも大事ですが、とにかく年寄りのことですから、あまり慎重にやっていると、だんだん交代しちゃうんですよ。ですから慎重々々と言っていないで、また急いでもいただきたいわけです。  次に、国民年金についてですが、この国民年金についても同じことが言えるのですが、いま中期経済計画でも、国民年金は厚生年金の一万円年金に見合う改正が必要だというふうに指摘をしております。拠出制年金は二倍にせよ、二倍くらいにしなければならないというふうに指摘をしております。これに対しての政府の準備あるいはお考えお尋ねをしたい。
  47. 神田博

    国務大臣(神田博君) 国民年金につきましても、厚生年金を改正するわけでございますから、これを本来ならば同時にいたしたかったのでございます。いろいろの都合がございまして、まず厚生年金を先にお願いした、それで国民年金につきましてはいま検討をいたしておりまして、できるだけすみやかにひとつ成案を得まして御審議をお願いいたしたい、かように考えております。
  48. 小平芳平

    小平芳平君 あるいは政府委員のほうからでももう少し具体的に御説明願えませんか。
  49. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 国民年金ができましてから、拠出制の国民年金につきましては、来年度で五年になるわけでございまして、この五年たちますと、年金の数字を再計算をする時期になるわけでございます。かような意味におきまして、その機会に厚生年金の今回の改正との関連において、根本的な改正を検討するというようなことで準備をいたしておる次第でございます。
  50. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、その四十一年はすでに目の前にきていますから、もう少し具体的な検討の方法なり内容はありませんか。
  51. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 国民年金の改正の具体的な問題につきましては、現在国民年金の審議をいたします国民年金審議会というのがございまして、その審議会におきまして、昨年からどういうような問題が今日あるか、特に国民年金の対象は農村が多いのでございまして、年齢構成その他が非常に変わっておりますので、さような点を中心といたしまして、今日審議会において御検討願っておる段階でございます。
  52. 小平芳平

    小平芳平君 それでは総理お尋ねしますが、先ほど来、私が申し上げるように、また厚生大臣、大蔵大臣から御答弁がありますように、やはりこの老人福祉対策というものは、老人福祉というものは立ちおくれているわけですが、そこでいつまでも立ちおくれているとか、あるいはそれを研究します、慎重に検討しますとか、そういう段階があまり長くては困るわけです、実際問題として。もうすでに一万円年金も前の国会でも流れているし、本国会で、まだかまだかといって待っている人が多いわけですが、これに対する総理のお考えお尋ねしたい。
  53. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどお答えいたしましたように、政府が出した法律案、しかも国民から喜ばれるようなものはぜひ早く成立をするように御協力をお願いいたします。  また、老人の問題につきましていろいろ御心配をしていらっしゃるようですけれども、先ほど来、政府当局から詳しくお答えいたしておりますように、この問題を十分それぞれの審議会にかけ、そうして答申を待った後に、政府は急ぎつつも慎重にこの問題と取り組んでまいる、かように考えておるわけであります。
  54. 小平芳平

    小平芳平君 ずいぶん慎重のほうが多いわけですよ。ですから、最初に申し上げたように、中期経済計画でそういうふうに指摘しているのですかう、もうそんなに慎重々々ばかりでなくて、また急いで対策を講じなければならないと思うのです。  次に、生活保護費についてですが、この生活保護費についても、いろいろなこまかい議論はいたしませんから、要するに、生活保護費がいまは非常に低い。現行一級地標準四人世帯二万六千百四十七円を、次の予算では一万八千八十四円に一二%引き上げようという提案なわけですね。それで一二%でも引き上げていくことは、たいへんけっこうだと思うのですが、いかんせんあまりにも低過ぎるのが一つと、もう一つは、制度のあり方が、さっきの老齢年金と同じように、働きに行く、そうすると、もう差し引く、それから時計やテレビを持っていると、それはどうかというふうに問題にされる、あるいは家を持っていると、それを売れとか、売ったらどうか、部屋を貸したらどうか、そういうような指図をされる、そういうことでもうちょっと気の弱い人はとても生活保護費を受けるのができなくなっちゃう、いやになってしまう、こういう制度のあり方を根本的に考えなければならないのじゃないか。諸外国の例を見るまでもなく、こういう日本のいまの制度が、いかにして引き締めようかという、金を出すまいかという、そういうように感ずるのですが、いかがですか。
  55. 神田博

    国務大臣(神田博君) 四十年度の予算におきまして、保護基準の引き上げを一二%やった、これは幾度も御説明申し上げておりますように、物価の上昇が四・五%だと、こういうようなことを一つの目安にいたしまして、一二%というようなめどで引き上げを計画いたしたわけでございまして、そこで、これは保護基準でございますから、国民生活の向上あるいは国民経済の動向等によりまして、実質的にこの保護基準というものをできるだけ上げるように努力するということは、いまお述べになりましたように、これは自然のことだと私も考えておりまするし、政府といたしましては、そういう考えのもとに立ちまして、四十年度も一二%ということにいたしました。いま申し上げましたようなことで、将来とも十分この引き上げについては善処してまいりたいと、こう考えております。  それからさらに、この支給の対象といたしまして、いろいろの制約をしているじゃないか、こういうことはひとつ再検討しないかということでございましたが、これも長年そういうことをいわれてまいっております。もうそろそろそういう問題に取っ組んで十分ひとつ考え段階じゃなかろうかと、こういうようなふうに私は考えておりまして、それぞれ担当者に対しましてひとつ資料を集めて検討してみたらどうだ、よくひとつ考えてみようじゃないかというようないま処置をとっておる際でございます。
  56. 小平芳平

    小平芳平君 引き上げることはけっこうだというふうに秋も考えますし、また、制度の検討もお願いしたいと思うのですが、大蔵大臣いかがでしょう。
  57. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 生活保護費に対する増額ということは、あなたがお考えになっておるように、政府もそういう姿勢でございます。でございますから、政府とすれば、非常に積極的にやっておったということは言えるかと思います。三十五年度から四十年度の間に一体どのくらい引き上げられたかということになりますと、二〇七・三%、約倍以上になっているわけであります。一二%の四十年度の改定所要を見ましても五十三億円、こういう金を出しておるわけでございます。でございますし、いままでのものを見ますと、三十六年に一八%、補正で五%、三十七年で一三%、三十八年で一七%、三十九年で二二%、四十年度で一二%。三十五年の基準そのものが低いという考え方がありますけれども、予算の伸び方からいたしましても、こういうふうに生活保護関係の引き上げということに対しては前向きでありますし、将来にも、事実を十分検討しながら適正なものにしていかなければならないという考えであります。
  58. 小平芳平

    小平芳平君 制度について。
  59. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 制度上の問題につきましては、いろいろなむずかしい問題もございます。他にも波及する問題もございますし、いろいろな問題がございますが、こういう制度があるにもかかわらず、いろいろな御指摘のような状況で生活保護法の適用を受けられないというような——この制度の妙味といいますか、制度の精神が生かされるように考えなければいかぬと思います。
  60. 小平芳平

    小平芳平君 農林大臣に……。これは別に生活保護と直接関係があるわけじゃないですが、徳用米制度ということをおやりになっておりますが、一月一日、こういう日を期して消費者米価の値上げをしたとたんに、低所得者向けといって徳用米、これは安いお米を買えるということで出発なさったのですが、大都市では三割というようなたくさんの徳用米を割り当てられて困っている。評判が悪くて買ってくれない。生活困窮者の三食の確保ということは、もちろん大事でありますけれども、そういうような貧乏入用の米みたいな感じで、お米屋さんも困っているというのですが、いかがですか。
  61. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 徳用米制度は、三十三年度米価を引き上げたときに設けた制度でございます。それで、ずっと徳用米制度があったのでございますが、いまお話のように評判の悪い面もございました。今度は、徳用米の品質をよくしようということと、徳用米の価格を普通米の半分しか上げません。今度徳用米の価格は、引き上げ率を半分にとどめて、そして徳用米を普通米と同じような準内地米といいますか、加州米等を加えて配給をする、こういうことで量もふやしました。徳用米のワクをふやしました。そういうことで、いままでよりも改良を加えた次第でございます。でございますので、いまのお話のような点もわれわれ聞いておりましたので、今度は米穀の販売業者等も指導いたし渋して、せっかく価格の点におきましても、量の点におきましても、品質の点においても、需要者、消費者にこたえ得るようにいたしたのでございますから、その線に沿うて販売業者等も督励して、いまのような非難が少なくなるように指導いたしたい、こう思います。
  62. 小平芳平

    小平芳平君 お米は、いまの状態だと大豊作というふうに毎年いわれておりますが、実際には余分の米はない。それから輸入でそこのところを補っていくというような現在の委、それでいて農地はわずかながらも毎年減っているのですが、そういう点について、その徳用米制度ももちろん問題ですが、そういう米に対する将来の考え方はいかがです。
  63. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 本年度のお米の需給計画からいいまするというと、輸入米の買い入れ量は四十八万トンでございます。これは前年度の買い入れ量を若干上回っておりますが、たまたま北海道等におきまして生産量が大きく減収した、二十八万トンばかり減収した、こういうことでございますが、総供総量に占める輸入米の比率、これは三%でございます。でございますので、輸入米に特に依存しているということではございません。そこで、将来はどうなるかということでございますが、確かに作付面積等も減少傾向にありますし、米の需要は人口の増すぐらいの需要は見込まなければなりません。そういう見込みでございますけれども、米につきましては、主食として重大なものでございますので、自給度を確保していきたい、こういう考えから各種の政策を進めておりますが、米の生産につきましては、いま申し上げましたようなことで、輸入に頼るということでなくて、自給度を確保していく、こういうことでやっていきたい、こういう方法でやっていきたい、こういうふうに思っております。
  64. 小平芳平

    小平芳平君 時間の都合で次は文部大臣にお願いしたいのですが、厚生大臣に二つお尋ねしますから……。  時間がありませんので、私まとめてお尋ねします。  一つは、社会保障制度審議会等の医療費についての——今後の医療費の問題解決見通しについて、厚生大臣としては、いつごろをめどにしていらっしゃるかという見通しをお持ちかどうかお尋ねしたい。  もう一つは、厚生省関係の中央医療協その他いろいろな審議会がございますが、もう一つの問題点として、たとえば国立療養所で療養している人たちにとっては、病気をなおすというのが先決問題であって、厚生行政として、そうした医術の研究向上あるいは新薬の研究、そういう点についての厚生行政の重点というものがお留守じゃないかという点を感じますが、いかがですか。
  65. 神田博

    国務大臣(神田博君) お答えいたします。  第一点の、いま社会保険審議会、社会保障制度審議会等に諮問いたしております保険三法の審議見通しはどうかというお尋ねだと思っております。毎週会合を続けていただいておりまして、説明に伺っております。なかなか大きな問題でございますから、早急に答申をまとめるということは、これは無理じゃないかと思っておりますが、しかし、毎週御熱心に御審議を願っておりますので、日ならずして答申がいただけるのじゃないか、かように期待いたしております。  それから第二点でございますが、国立療養所がいろいろたくさんの病人をかかえておるわけでございます。その間、医学的な研究もしておりますれば、また基礎的な研究もしておることは御承知のとおりでございますが、なおこれらの問題は、国立療養所だけの担当でなく、やはり公私立大学その他の研究機関等とも十分提携いたしまして、そして学問的にも基礎的にもひとつ研究して臨床の完全を期したい、こういう考えをもちまして、各療養所とも督励いたしている現況でございます。
  66. 小平芳平

    小平芳平君 いま厚生大臣は力を入れておやりになるとおっしゃいますが、医務局長がお医者さんですからお尋ねしますから、医務局長から御答弁くださってけっこうなんですが、実際に、たとえば結核をなおすという場合に、そうした療養をしている人たちの不安というものは、化学薬品を用いた場合に副作用が起きる。たとえば胃腸障害とか、つんぼ同様の副作用が起きたとか、さらにまたもう一つの深刻な悩みは、結核は手術をしろと言われる。そうすると、からだが不自由になる。それでいてなおるものかどうかも疑問になる等々、いずれにしても結核とかガンとか、こういう病気に対する研究がより徹底していかなきゃならないと思うのですが、いかがですか。
  67. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) お答えいたします。医療におきまして、特に医薬品を用いましたり手術をいたします場合には、その効果とともに副作用のあることは御指摘のとおりでございますが、それにつきまして、どういうふうな薬を使い、どういうふうな手術をすべきかというようなことを、医師がいろいろ患者さんの症状と危険度、また効果というようなものを勘案しながらきめていくわけでございます。で、国立療養所だけでなく一般の病院におきまして、そういうふうな薬の治療効果、副作用というふうなものにつきまして一般的に研究いたしておりますほか、現在においてわかっております知識を利用いたしまして、副作用などが起こらないように、たとえばいまお話がございましたストマイによりますつんぼの発生というふうな問題は、絶えずオーディオメーターで治療の進行とともにそれを調べております。また胃腸障害等の起こることもできるだけ避けるように、また、起こりました場合には使用量を減らすとか、あるいはほかの薬に転換するというふうなことによりまして、患者さんに障害を与えることが少ないように努力しているわけでございます。さらに、いま手術のお話がございましたが、近ごろ結核におきましての手術がだいぶ進歩いたしまして、事故が起こりますのは〇・五プロぐらいのところになっておると思いますが、それにいたしましても事故が起こるということは、はなはだ困ることでありまして、化学療法におきましてやれるものはやっていく。そのほか、手術の必要性とか、患者さんが早く社会に復帰したいというような場合とか、また、化学療法をやります場合に菌に抵抗性がついてきておるというふうな場合には、手術をやむを得ずやる、こういうふうな方法で、患者さんの状態と、手術とか医薬品の効果、副作用というふうなものを勘案しながら医師はこのやり方を決定しておるわけでございまして、さらに、こういうふうないまわかっております知識を一そう進めるようにわれわれのほうも研究を絶えず続けておるわけでございます。  研究のいまの状態はどうかというお話でございますが、これにつきましては、従来はどちらかと申しますと、世界の医学におきまして、長年ずっと、たとえば一つの薬を使っておりますと、その長年の経験によりまして薬の効果、副作用が大体一つの固定したある評価ができるというふうなことになっておったのでありますが、近ごろにおきましては、実験計画法の進歩と申しますか、多数の同じような患者さんに対しまして薬を与える分布、与えない分布をつくりまして、そのほかの薬は同じようにする、そうすることによりまして効果とか副作用の状態を科学的に比較することができる方法ができておりまして、そういうふうな確率論的な評価によりまして、いろいろ薬の効果の状態がわかってきておるのであります。また、副作用の状態もわかってきておるのでありまして、一例を申し上げますと、結核の薬でアイナーというのがございますが、これはアメリカなどでもえらく評価せられておりましたが、日本でやってみますと、東洋人にはこれをわりあい早く体内でこわすものがあって、外国でいわれているほどのものではないということがわかってきた。また、薬の副作用につきましても、たとえばガンの薬のマイトマイシンなどというものが出血を起こしやすいというふうな危険をこわがっておりましたのが、それほどでもないというようなことがわかった、こういうふうないろいろしっかりした科学的なデータが積み上げられておる状態でございますが、まだまだわれわれといたしましては、この仕事を強力に推進していく必要がある、こう思います。それは何も国立療養川だけではなく、大学等の医療機関も一緒になってやっていく仕事でございます。
  68. 小平芳平

    小平芳平君 どうも大学関係は、文部大臣がまだお見えにならないので、厚生大臣と大蔵大臣にお尋ねしますが、こうした医療行政としまして、お医者さんの一人当たりのたとえば国立療養所の研究費は三万五千円というふうになっておるそうですが、こういうようなところを相当力を入れてやらなければならないじゃないか。第一、厚生行政としてのいろいろなそういう審議会、研究、そういう面においても、病気をなおすことが先決問題、これが一番大事な問題なんだから、そっちのほうにこそ集中的に予算もつけ、人員も配置してやらなければならないじゃないですか。
  69. 神田博

    国務大臣(神田博君) 病気の治療に関しまして研究費を充実するようにという御意見、まことにごもっともなことでございまして、私どもといたしましても、その点を十分留意いたしまして予算の措置をいたしておるわけでございます。しかし、いまもお話ございましたように、何しろ予算が少ないことは事実でございます。しかし、年々増加をお願いいたしまして、そして所要の経費を計上いたしているという状態でございます。なお、病気の治療もさることながら、予防ということがなお大事でございますので、その方面にも十分配意いたしまして厚生行政を進めてまいりたいと、かように考えております。
  70. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 医療技術の開発が必要であるということはもう論をまたないところでございます。現在までは国立病院におきまして治療研究費を計上しておったわけでございますが、そのほかに三十九年度は五千万円、四十年度は一億四千万円増額いたしまして一億九千百万円という金額を計上いたしまして、医療技術の研究の助成をはかっておるわけでございます。しかし、人命に関する問題でございますし、これらの問題に対してはより重点的な方法で予算配分を考えなければならないと考えております。
  71. 小平芳平

    小平芳平君 それでは自治大臣に一つお尋ねしますが、公職選挙法の改正についてですが、選挙制度審議会のいま審議が進んでいらっしゃると思うのですが、三月十二日の審議会に、自治省は、政党本位の選挙制度に移行するための改正案要綱というようなものをお出しになったように新聞で拝見しておりますが、こういうやり方について、いままで何か初めからそういう意見を出して、これこれしかじかを審議してくれというようなことはあり得るわけですが、こうした途中でこういうようなことをお出しになる経過についてお尋ねしたいと思います。また、あわせて審議会の見通しについてお尋ねしたいと思います。
  72. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) お答えをいたします。  先般、三月のたしか十二日でございましたか、政党本位の選挙についての試案が発表されました。この経過について申し上げますと、御承知のようにいま第三次選挙制度審議会が開かれております。これは昨年の八月の半ば発足をいたしました。これにつきましては、選挙制度その他選挙の基本に関する事項として諮問をしておるわけでございまして、政府といたしましては、どういう選挙制をとったらいいかどうかということは触れていないわけでございます。あげて審議会の皆さん方の御審議をわずらわしている。その点はいまも変わっていないのでございます。  ところが、数次にわたる総会をいたしまして、第一委員会と第二委員会と分かれまして、第一委員会は主として選挙区制について審議をしよう、それから第二委員会は選挙の実態調査を主にして設けられておったわけでございます。ところが、数次にわたって審議されている途中に、第二委員会で政党本位の選挙制度というものが必要だ、これは総会でもしばしば述べられた議論でございましたが、特に第二委員会でそういう意見が出まして、もし政党本位の選挙制度とした場合には、どういうふうな方法で推薦をするか、ひとつ幹事に考えてみろということで、幹事が考えまして、一つの参考意見として出したのでございまして、政府意見というものでもございません。  お尋ね見通しでございますが、ただいま第一、第二委員会が熱心に審議をされておりますが、任期が一応八月の半ばで終わりますので、それまでの間に何らかの結論を出したい、こういうことでいま進んでいるところでございます。
  73. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 小平君の質疑は午後に継続することにいたします。  午後一時二十分に再開することにいたしまして、これにて休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      —————・—————    午後一時四十六分開会
  74. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) これより予算委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。小平君の質疑を続行いたします。小平君。
  75. 小平芳平

    小平芳平君 初めに科学技術庁、長官のほうから、今度の予算にも原子力研究百三億、宇宙開発七億というような予算が出ておりますが、こうしたわが国の研究が国際的に見てどのような段階にあるか、先進国に比べてどのような研究の段階にあるかお尋ねしたい。
  76. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) まず原子力について申し上げますと、わが国の原子力の研究開発それ自体が米ソをはじめ諸国に非常におくれておりました関係もありますので、一言にして言えば、相当のおくれをとっているように考えられます。具体的に申し上げますと、原子力発電の関係では、前期、後期の十カ年計画をそれぞれ策定いたしておりまするが、これの推進につきまして非常な念を入れた努力を新たにしなければならないと考えております。  それから原子力船につきましては、現在、御案内のように、原子力船の建造計画を進めておるわけでございますが、これも相当の努力を要することと考えております。  それから第三には、動力炉の関係でございますが、これも在来型の動力炉の国産化はもちろんでございますが、高速動力炉の研究開発ということに一段と力を注がなければなるまい。まあ大ざっぱですが、要点を申しますとそういう関係になっております。
  77. 小平芳平

    小平芳平君 宇宙開発。
  78. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 宇宙開発につきましても原子力同様に開始それ自体が非常におくれておりましたが、現在の目標としては、昭和四十五年度に実用人工衛星を何とか飛ばしたいということを一つの目標にいたしまして、各種の研究や開発ができるだけ総合調整されながら成果をあげ、かつ速度を増してまいりたいと、かように考まして、一例といたしましては、東大の研究と、それから科学技術庁との研究を両方とも助け合いながら進めていこうという体制を先般とりましたことなどもその一例としてあげることができるわけであります。
  79. 小平芳平

    小平芳平君 ちょっと時間の関係で具体的に入れないのですが、次に同じく科学技術の研究の問題で、医学の研究それから国民生活に直接密接な関係のある公害問題の研究、こういう点についての研究段階、研究状況を科学技術庁それから通産大臣からお尋ねします。通産省のほうの工業技術院の研究段階についてもお尋ねします。
  80. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 便宜上、ちょっと私から先に申し上げますが、まず第一に、科学技術庁といたしましては、研究あるいは科学技術関係の問題につきましては、たとえば、予算の概算要求を毎年度いたします場合にも、各省庁のそういったような各種の研究費につきましては、見積もり方針というものを、大体科学技術庁が中心になりまして、各省庁と十分な連絡をとるようにいたしまして、四十年度の予算の、各省庁から大蔵省に概算要求をいたします前に、いろいろと総合研究をいたしまして、見積もり方針それ自体を研究するようにいたしておるわけであります。そういったような関係から、ただいまお尋ねの公害防止の関係につきましても、各省庁にわたりまして、これは経済企画庁の関係もあり、通産省の関係もあり、そのほか各省庁に及びますが、それぞれの公害防止についての研究費を、できるだけ総合計画で予算の要求をするようにいたしておりますが、さらにそのほかに、科学技術庁といたしましては、調整費というものがございますので、そのほうからも、年度の経過に応じて、適時適切な援助といいますか、そういうこともやることにいたしておるようなわけでございます。四十年度分は、各省庁の経常的な研究費を除きまして、公害関係の研究費としては、総体で三億五千万程度になっておるわけでございます。  医術の研究促進につきましても、これは、文部省関係が相当大きい関係を持つわけでございますが、厚生省あるいは科学技術庁等とも十分連携をとりまして、文部省といたしましては、大学の学部、大学病院、それから付置研究所、これは数におきましても、相当たくさんございます。たとえば研究所とすれば、十六もございます。病院関係は二十一、その他の研究施設が三十三というようにかなり広範になっておりますので、文部省自体といたしましても、こういうところの研究が総合的な効果を発揮するように、研究費の補助、助成等についても十分考えつつあるわけでございます。
  81. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) お尋ねの工業技術院におきましては、発酵研究所で産業廃水の処理についての研究、それから、資源技術試験所におきまして、工場、発電所の廃ガスの亜硫酸ガス中の硫黄酸化物の除去についての研究、それから、地質調査所におきまして、地下水状況の調査による地盤沈下の防止、あるいはパルプ工場の廃液処理などの研究をいたしておるわけでございます。
  82. 小平芳平

    小平芳平君 そこで、私のお尋ねしたいことは、いろいろな科学の研究が、民衆の幸福を犠牲にするとか、そういうことは、本末転倒であって、科学の進歩が大衆の福祉を増進し、科学の進歩が大衆の福祉に直結しているという、そういう姿が望ましい姿であると思うのです。そこで、科学技術庁長官からは、原子力、それから宇宙開発、そういう点は、先進国に比べたら相当おくれているという御答弁でありましたが、いま、問題の医学の研究あるいは公害の研究については、諸外国に比べてどのような段階にあるとお考えか、お尋ねしたい。
  83. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これも的確に、数字的に比較して申し上げることは、きわめてむずかしいことと思いますけれども、やはりわが国としては、急激な経済の発展に関連いたしまして、各所に具体的な公害の問題も起こっているような状況でございますから、各国に比べて決して進んでいるとはいえないのではなかろうかと思います。そういう点から、先ほどもちょっと触れましたが、科学技術庁といたしましても、科学的な点から、公害防止についてはどうしたらばいいかという、主として科学的の観点に立ちまして、一、二を申し上げますと、たとえば、スモッグ現象の解析に関する総合研究、それから、騒音振動に関する総合研究、あるいは地形、地質等のばい煙拡散に及ぼす影響、そうして、それと並んで水質汚濁防止に関する試験研究と、ただいまのところ、重点としては、科学研究の焦点をこの四点に重点を置きまして、諸外国の例もいろいろ参照いたしまして、今後の計画を進めてまいりたいと考えておるわけであります。
  84. 小平芳平

    小平芳平君 工業技術院の研究ですが、私がお尋ねしたいことは、自動車のたとえば排気ガス、これについての研究をしていらっしゃるわけですが、この自動車の排気ガスの害というものが、どのくらい研究なさって、それで、いつごろになったら排気ガスのそういう被害の実態が明らかにされ、また、どのような段階を経て、それが実際に公害防止に働き出すかということをお尋ねしたいのです。また、そういうものを目標としてやっていかなければ意味がないと思うのです、あるいは亜硫酸ガスの被害についてもいわれております。いま、通産大臣から、その研究もしているというお話がございましたですが、その研究は、電力会社などがやっていて、実際に科学技術庁なりあるいは工業技術院でどのような研究をして、それが実用化されているか、何もやってないわけではないでしょうから、そういう実際に国民生活を守っていくように、どういう研究が行なわれ、実施されているかということをお尋ねしたいのです。  それからついでに——時間がありませんので大蔵大臣に申し上げますが、こういう研究こそ、国が——電力会社や、そのほかの企業は企業でやっておりますけれども、実際に自動車の排気ガスとかそういうような研究は、国が相当の力を入れて投資していくべき問題じゃないか、たとえば、わが国の研究投資は、政府が少ない、民間と政府の比率が、民間六の政府四というふうにもいわれますが、これは逆に、政府のほうが、民間よりも熱意を持って、そういう研究投資をしていくべきではないかということについてお尋ねします。
  85. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 自動車の排気中の一酸化炭素の無害化装置の研究につきましては、その実験には成功いたしております。この実用化には、もう一歩というところでございます。それから亜硫酸ガスの中の硫黄酸化物の除去の研究でございますが、これは現在、中間規模の実験の段階でございます石灰吸収法、活性炭吸着法等について成果をあげておるような段階でございます。
  86. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 科学技術振興費というものが少ないということでございますが、まあ大体、国立学校の予算の中に含まれております研究費、研究施設整備費等、科学技術関係費と認められるものが、大体四十年度におきましては七百九十億、こういう予算でございまして、三十九年度比百四十億ばかりがふえておるわけであります。  それからまた、先ほど科学技術庁長官からも述べられましたが、原子力関係につきましては、そのほかに四百六十九億というものを計上しておるわけでございます。南極観測費等が百五十七億ということでございまして、科学技術振興関係費といわれるものの総額は、四十年度において千四百十七億ということでございますから、対前年度比一六・五%、非常に大幅な増額をはかっておるということでございます。  最後にお述べになりました排気ガスの公害の問題につきましては、公害防止事業団というものをつくったわけです。私はほんとうからいいますと、こういうものは企業者責任ということをもっと強く言わなきゃならぬ。その意味で、昔は工場法の取り締まりを警察がやっておったのですが、このごろは警察がやらないというところにも問題があると思うのです。この交通対策、それから建築の業務許可、工場法の公害の問題、戦前は相当手きびしく取り締まったんですが、このごろなかなかそうもいかないようであります。でありますから、こういう行政所管というものにも問題があるということに着目しなければなりません。まあ、しかし、現在ある企業者責任でもって幾らやれといってもできない点がありますし、現に住民に迷惑をかけてるんですから、こういうものに対しては、特に資力の少ない中小企業というようなものも含めまして、事業団構想を推し進めたわけでございますが、これから公害という問題は非常に重要な問題でございますので、これからも十分検討してまいりたいと思います。  最後に、予算の問題だけでなく、技術開発というような問題に対しても、税制上の問題も、まあできる限りの努力をいたしておるわけであります。
  87. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 時間二分を経過しておりますから、御遠慮願いたいと思います。
  88. 小平芳平

    小平芳平君 最後に、総理から、いまの大蔵大臣の御答弁でいろいろ範囲があちらこちら行っちゃったんですが、私の申し上げたいことは、技術開発をやっていかなきゃならない。で、公害の問題も、国学の問題も、実際に民衆の生活を守り、健康を守り、福祉を守るという、そういう点で技術がおくれていたのでは、なかなか思うように問題が進まない。そこで、そういう技術開発を政府がやらないと、それは工場や企業を取り締まる範囲で取り締まりのできる問題はいいけれども、実際には、中小企業あるいは一体どこの企業から、どれが原因かわからないというような問題がたくさんあるわけですから、そこで、政府がまず技術開発に力を入れていくべきではないか、こういう点について。
  89. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど来の質疑を伺っておりまして、現在は、申すまでもなく科学技術の時代、そうして科学技術が進歩するところにその国の繁栄があり、経済的伸長も期せられる。しかも、この科学技術の発展は、われわれ国民生活に直結する、そういう方向でなければならない、これはもう御指摘のとおりであります。そこで、新しい科学技術の開発の面におきまして、民間におきましてもそれぞれの機関を通じて熱心に検討してまいりますが、事柄によりましては、国自身が積極的にやるとか、あるいは補助するとか、かようなことでないと十分目的を達することができない、これもまたお説のとおりであります。ただいま御指摘になりますような公害、しかも、その公害は小さい経営者の責任に問う、まかすというわけにいかないじゃないか。たとえば、自動車の排気ガス、さらにまた騒音、そういうことになったり、あるいは震動、こういう問題になりますと、いわゆる積極的に国自身がやらないと困るだろう、かように考えます。今日まで、大蔵当局におきましても、財政上のいろんな制約を受けながらも、この科学技術の大事な点でそれぞれの所要の予算を計上してまいっております。ことに最近、ただいま医学についてのお話がありましたが、医学、これも科学技術、それを取り入れなければならない。新医療技術、あるいは新医療機関、こういうものを考えて、それは結局電子工学を取り入れるとか、あるいは高分子化学の面であったりするような新しいものを考えていかなければならぬ、こうなりますと、これも積極的に政府自身がやらないとうまくいかない。特に今回の予算編成にあたりましても、新技術の技術開発、こういう意味の予算も計上し、あるいはガンのような特殊の病気についても、一億数千万計上いたしたと思いますが、特に政府自身が補助して、これと真剣に取り組んでいく、かような点をやっておるわけであります。各般にわたりまして必要な点に所要の補助金その他を支出したい、かように考えます。ただいままでのところ、もちろん、わが国の財政的支出、これは十分だとは思いません。今後とも一そう努力し、そしてただいま御意見のありましたような方向で万全を期するように進んでいきたいと、かように思います。
  90. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 小平君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  91. 平島敏夫

  92. 村尾重雄

    村尾重雄君 私は、佐藤総理、愛知科学技術庁長官に対しまして、今日の科学技術の振興策についてごく一般的な問題を二、三お尋ねしたいと思うのであります。  佐藤総理は、前の科学技術庁長官であられまして、今日わが国の科学技術振興がどのように必要であり、また緊急性を持っているものであるかということは、ただいま小平議員からの質問に答えられたことにより、また、釈迦に説法的な前赴きは私ははずしたいと思うのです。だが、予算面を見ますと、今年度の科学技術振興費は、わずかに年々増加されていることは認めますが、四百六十九億余円であります。一般会計予算に占める割合は一・二%の少額であります。これではわが国の現下の科学技術は、先進諸国とのおくれを取り戻すどころか、ますますその格差を広げることになると思うのであります。総理は、わが国における科学技術振興はこの程度の予算で是とされているのか、ひとつお尋ねしたい。とともに、常に問題になる研究費の貧困の問題であります。民間をながめますのに、各企業繁栄のあるところには必ず研究投資が十分に行なわれているということであります。恵まれた施設と内容の充実した中に人材を網羅し、十分な研究費を投入して経営されている企業もあるのでありますが、これと対比して、たとえば、国の学校関係の研究施設、研究費、また、国の施設の研究機関及びその研究費というものはあまりにも貧弱であり、あまりにも現在の人人々が次の時代の若い世代の研究員を補充することに苦しんでおられる実態を各所で見受けるのであります。もちろん、われわれ国会議員としての責任も大いに感じているのでありますが、こうした研究費に対する投入費用の増額等についてどうお考えになっているか、佐藤総理のお考え方を伺いたいと思うのであります。
  93. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 総理から御答弁ある前提に、私からちょっと申し上げておきたいと思いますが、確かに科学技術研究費につきましては、ただいま御指摘のように、一応比較いたしますと、三十九年度に対してほぼ一〇%程度の増加でございますから、この点は決して満足すべきものではないと率直にかように考えるわけでございます。  それから、もう一方におきまして、研究投資が少ないではないか、この点もごもっともかと思いまするが、案外これはまたそうでもないのでございまして、三十八年度でございますか約三千二百億くらい、これは国民所得に対して一・八%ぐらいと思いますので、西独にちょっと足りない、フランス並みというぐらいの程度にはなっているかと思います。しかし、同時に、戦後の状況を見ますると、荒廃した中から新技術を取り入れなければならないというので、民間の企業がこうした方面に投資をしたものが多かった。これが一段落してまいりますと、民間のそういった方面の意欲的な投資が比較的減退するおそれもないではない。こういうふうな状況下におきまして、私は先ほど申しました総合的な計画で科学研究開発費を着実に増加するように、この上とも大いに進めてまいらなければならない、かように考えております。  それから、先ほど大蔵大臣がちょっと触れましたけれども、税制の面におきまして従来もいろいろ考えられておりますが、科学研究の準備金制度というようなものも、今後の問題として前向きに取り上げてまいらなければなるまい、かような考えを持っているわけでございます。
  94. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま文部大臣から御説明いたしましたことで御了承いただけると思います。同時に、科学技術庁長官でもあるのですが、御指摘のように、科学技術振興費、これは確かに私は少ないと思います。もちろん、機会あるごとにこれをふやしてていく、かような努力をしていかなければならぬと思います。今日の状況のもとにおいては重点的に予算を使っていく、そういうことに特に気をつけて、この振興費が十分効果をあげるようにいたしたいものだと思います。また、研究投資が不十分だというお話、これまた、ただいま愛知国務大臣からお答えしたとおりであります。私は研究投資、そのうちでもやはり基礎研究に属するものと応用研究、こういうものと二とおりに区別する、区分する必要があるのじゃないか、基礎的なものにつきましてはわりにわかりいいのでありますが、しかし、今日の科学技術をもってしてさらにそれが応用される。そして各方面で実用化される。こういう点に重点を置かなければ研究が十分な効果をあげない、かように思いますので、そういう点については特に注意してまいりたい。御指摘になりましたように、総体の予算をふやすことに気をつけますが、また、使い方についてもいま申し上げたようにくふうし、重点的に使用する、かように考えております。
  95. 村尾重雄

    村尾重雄君 次に、愛知長官にお尋ねするのですが、原子力船開発事業団においてわが国原子力第一船建造計画がかねてから進められておりますが、それは各界並びに国民が非常な関心を持っているのですが、その建造について、造船界において入札の総辞退などのはなはだ芳しくないニュースが流れております。それも幸いにしてようやくまとまって、たとえば予算上三十六億プラスというようなこと等で話がまとまったと伺っているのですが、この原子力船、わが国の第一船の建造計画の進行等についてお伺いできれば幸いと存じます。
  96. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 原子力船の建造の計画の問題につきましては、国民的にもたいへんに関心をお持ちいただき、また、それだけに御心配いただいておりまして恐縮しておるわけでありますが、御承知のように、第一船の建造計画は一昨年の一月に原子力委員会が決定いたしました基本計画に基づきまして、四十三年度末に完成をする計画で進行いたしておるわけであります。三十八年度から設計、仕様の作成等を始めまして、三十九年度末、すなわち今日を目標にして建造契約の締結を計画してまいりましたが、遺憾ながら入札が不調に終わりまして、いまだ成約の運びとならなかったわけでございます。この点は遺憾に思っております。しかしながら、関係者の非常な努力によりまして、今月の二十三日日本造船工業会のあっせんによりまして、石川島播磨重工業が、舶用炉の製作に当たる予定の三菱原子力工業を交え、事業団と具体的な折衝を始めることになりました。石川島播磨並びに三菱原子力ともに非常に意欲的に、積極的にこの国家的の大事業を完遂すべく、今日のところ原子力事業団との間、三者の間に具体的な協議に入ったわけでございます。私のこれは見通しを申し上げますならば、来月中にはこの三者の話し合いがまとまるものと期待しておるわけでございますが、さような場合におきましては、全体の計画に支障なく、四十三年度末の完成ということについては狂いはない、かように見通し、かつ、期待いたしておるようなわけでございます。  なお、そういうわけでございますので、ただいま御指摘がございましたが、三十六億円の船価はもちろん既定の計画で、これは原子力委員会できめます場合にも専門家の非常な研究の結果積算いたしましたものでございますから、その範囲内でできることを期待いたしておるわけでございます。要するに、何らかそれに対するいろいろの話し合いというようなものもあり得るかとは思いますけれども、私は、いま申しましたように、この既定計画の線で建造できることを期待いたしておるわけでございます。  それからもう一つ、お尋ねの範囲外でございますが、従来はいわゆる船機一体と申しましょうか、そういう形式で契約が正式にできることを期待しておったわけでございまして、この点についても、そういう方式でできることを期待いたしておりますけれども、ただいま申しましたように、細部にわたりましては、発注者であるところの原子力事業団と、それから受注予定者になりつつありますところの石川島播磨並びに三菱原子力工業の間でさらに話が煮詰まってくるものと、かように見通しておるわけでございます。
  97. 村尾重雄

    村尾重雄君 私から多く申し上げるまでもなく、わが国は海運国であります。したがって、将来の経済の発展の立場から考えても、高い船賃を利用していては海外貿易の発展はあり得ないと思います。そういうような点から、大いに原子力船の成功を期待してやまないのでありますが、いまのお話で、前から計画されておりまして四十三年度完成、事業団の手によって四十七年度までにこれが運航等の十分な設備を行なうということですが、それが予定どおり遂行されるものととってよろしいでしょうか。
  98. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これは何としても予定どおり完成し御期待にこたえたい、関係者一同先ほど申しましたように、非常に意欲的に考えております。
  99. 村尾重雄

    村尾重雄君 同じことを述べるようですが、サバンナ号が日本を訪れるということで、政府においては港内運航の準備もされております。ソビエトにおいてもレーニン号がすでに就航し、砕永船として活躍しております。また、西ドイツにおいてもタンカーとしてすでに進水が行なわれたと伺っております。国際的に第四船となるわが国の原子力船の完成ということを願う声が非常に強いのでありますので、これが完成をぜひともしていただきたいと思うのであります。そこで、いままでわが国で問題になっておりました、たとえば科学技術基本法の制定でありますとか、わが国の科学技術振興のための長期計画の策定というこの必要性は数年前から各方面から要望されているところであります。それで、私は政府の今後の統一的な指針となるべき基本法なり長期計画がなくては十分な実効が施策の上にあがらないと、こう思うのでありますので、一日も早く制定されるよう希望しておるわけであります。基本法においては、今日までたしか学術会議、また科会学術会議、また衆議院の科学技術振興特別委員会等について腹案を出して、その制定を望まれていると聞いておりますが、もう私は煮詰まっていいときだと思いますので、長官として国会に提出する意思があるやいなや伺いたいと思うのであります。
  100. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 科学技術基本法は、ただいまも御指摘がございましたように、従来まず科学技術会議が立案をいたしておるものの作業はほとんど煮詰まっております。それから、学術会議における成案もほとんど結末に近くなっております。それから、衆議院の科学技術特別委員会におかれての御研究も結論をほとんど得ているわけでございます。あるいは臨時行政調査会でもこうしたものに対する早期の成案化というものが期待されておったわけでございます。そこで、現在の段階は、こうした数本のそれぞれ積極的な意欲によるところの成案というものを総合調整いたしまして、これは私といたしましては、実はこの国会中にでも御提案を申し上げて御審議を願いたい、そのくらいの意気込みでおりましたのでありまするが、細部にわたり、あるいは多少その発想の点においてまだ十分調整できないところがございましたために、国会への御提案ということはあきらめざるを得なかったわけでございますが、次期通常国会までには必ず提出し、かつ、成案を得たい、かように考えておりますが、場合によれば、それよりも早い適当な機会がございますれば、提案をするような気持ちで作業を大いに進めてまいりたいと考えております。それから、これに関連するところの基本計画の問題でございますが、この基本計画につきましても、政府としても、あるいは学術会議におきましても、鋭意作業を進めておるわけでございますし、政府側といたしましても、科学技術会議の専門委員会等におきましては相当作業が進んでまいりました。ところで学術会議のほうの成案は本年の十二月に得られるというふうに承っておりますので、その状況もにらみ合わせて、より良き計画ということになりますと、今年秋から年末にかけて成案を得られるというぐらいのめどになろうかと思っておりますが、これにつきましても、できるだけすみやかに衆知を集めてりっぱなものをつくりたい、かような意気込みで作業を進めておるわけでございます。
  101. 村尾重雄

    村尾重雄君 私は、次に厚生年金保険法の改正について、総理並びに神田厚生大臣にお尋ねしたいのであります。  御承知のように、厚生年金保険法の改正は、今後のわが国の老後保障、所得保障の基本を定めるものでありまして、きわめて重要な問題であります。  そこで、細目にわたってはまたの機会にお尋ねいたすことにして、総理に一点、神田厚生大臣に四点、私はお尋ねいたしたいと、こう思うのであります。  まず総理お尋ねいたすのでありますが、最近人口が非常に老齢化しております。これらの人々の老後保障ということは重要な問題となっておることは申すまでもないと思うのであります。厚生年金というものは、わが国社会保障制度の中核をなすものであり、医療保障における健康保険と同様に、所得保障における厚生年金はきわめて重要な地位にあるのであります。この両制度がしっかりした基礎づくりがなければ、わが国の社会保障制度は崩壊するものであり、その前進というものはあり得ないのであります。そこで、本制度の最も中心となっている国庫負担の問題について総理に——ほんとうは蔵相にお尋ねするのが本筋かもしれませんが、蔵相と厚生省との間においては、十分これは議論がなされて今日の結論になったと伺っておりますので、私はまず総理にこの国庫負担の現行の一五%を二〇%に引き上げる用意があるか、また、お考えなのかどうかということをまずあなたにお聞きしたいのであります。
  102. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの厚生年金についてのその性格、これは御指摘のとおりだと思います。老後に対する保障、これは私どもも、もちろん考えていかなければならない問題であると、かように思います。その結論から申しますが、一五%を二〇%にする用意があるかということでありますが、私はただいまそこまでは考えておりません。ただいま申し上げるまでもなく、御承知のように保険、年金保険、かようなものでありますが、税でまかなうと、また保険料でまかなうと、いずれにいたしましても、国民の負担には相違がないのであります。そういう関係から見ますると、こういうものを、いわゆる国庫で援助することがよろしいのか、あるいは保険者自身で支払うほうがよいのか、そういうことを十分考えていかなければならぬ。ただいままでのところ一五%国庫補助が適当だ、かように私ども考えておるのでございます。ただいまお話がありましたが、直ちに御説のようには引き上げるという考えは持っておらない、かように考えております。
  103. 村尾重雄

    村尾重雄君 いろいろ議論すれば長くなりますので、一応お聞きしておきますが、御承知のように、政府の改正案は一万円の年金ということをキャッチ・フレーズとして非常にこれをば宣伝されておるのであります。これが実質、直ちに一万円年金になるかならないかということを非常に疑っておりますので、これはまた後の厚生大臣との議論に私はおきたいと思いまするが、今度の改正案のこの一万円年金ですが、これは保険料の引き上げによって、あなたがおっしゃるようになっておる。国庫負担が現行制度のままの一五%になっているのでありまして、私は、これでは政府国民の老後保障を積極的に進めていくというような気持ちに私は欠けていると、こう思うのです。厚生年金はたびたび問題になっております。国民年金ですが、これは国民協力を得なければ実際うまくこれは遂行できません。私はこういうような点から、政府は国庫負担の引き上げで国民に厚生年金の改訂に対する意欲といいますか、魅力というものを十分持たすべきだと、こう思うのであります。御承知と思いますが、大蔵当局との折衝のときの厚生省の長終業には、国庫負担が二〇%になっておったというのです。ただ単に書いた原案ということでなくて、最終のこの保険改正に対する原案としての厚生省案に二〇%となっておったことが今日後退を見ていることなんであります。しかも、その二万円年金の柱となっているのは保険者に課せられているという今日の現状からして、これはぜひとも単に厚生年金だけの問題ではないと思いますが、重要な問題でありますので、たって総理のひとつ御考慮を伺いたいと思います。
  104. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 各種年金制度、また保険制度、これはやっぱり社会保障の一環のものであります。政府の助成、これはそれぞれのものにつきましてやっぱり公平な関係を持つことが望ましいのであります。ただいまのこの二万円年金だけについて一五%をさらに二〇%にする、他の社会保障の問題については、いかに政府が助成していくか、こういう問題にもなりますが、そこでいわゆる財政的な問題からもいろいろこれに制約を受ける、そうして根本には、先ほど申しましたように、税だろうが保険料であろうが、これらはひとしく国民の負担だ、さような点も考慮に入れていただきたいのであります。今回のように金額がふえれば、もちろんパーセンテージが一五%にいたしましても、国庫としての負担金額は増加されておることは御承知のとおりだと思いますので、政府も積極的に十分意欲を燃やしておる、これは御了承賜わりたいと存じます。
  105. 村尾重雄

    村尾重雄君 御承知のように、社会保険から社会保障へ移行していることは近代国家として見のがすことはできません。その点で今後の御考慮をひとつ要望しておきます。  次いで、厚生大臣にお聞きいたすのでありますが、まず、保険料率の問題ですが、改正案の保険料率を引き下げる用意をお持ちになっているか、また、あなたは個人として、大臣としてはどうお考えになっているかということです。これは今度の改正案では現行千分の三十五を千分の五十八に引き上げられております。このことは国庫負担の増減等によって、もちろん給付の面等も考慮して、これ以上引き下げられないというのがあなた方の理論だとは思いますが、しかし、今日被保険者、勤労者のこの引き上げの負担率ということを御考慮願ったときに、私はこの際もういろいろなことは申し上げなくても御承知のことと思いまするが、非常に問題となっている保険料率千分の五八を、たとえば五十五までとか、多少でもこれを引き下げる用意を持たれるかどうか伺いたいのであります。
  106. 神田博

    国務大臣(神田博君) お答え申し上げます。年金の保険料率は千分の七十五でございまして、これを今度五十八まで持っていこう、こういうことでございます。この五十八についても現下の社会情勢、また年金保険のかける側からまいりますると高いじゃないかというお説でございます。また、先ほど来総理との間に、政府がいま一五%負担しているものを二〇%負担したらどうだ、こういうお説でございます。おっしゃる意味はよくわかるのでありまして、私どもも被保険者の保険料率はできるだけ低く、できれば国庫財政が許す限り国庫財政が負担をして、そして両々相まって社会保障を充実していくことが好ましい、こう考えております。しかし、一方、財政当局、やはり国の事情もございますので、いろいろ折衝いたしわけでございますが、七十五というのを五十八にひとつとどめる、こういうことではからったわけでございまして、その五十八を、いまお話しのように五十五くらいに下げろということでございましたが、ずいぶん検討した結果、この辺でひとつごかんべんいただいたらどうだろうか。そこで公務員の共済組合等見ますと、千分の八十八でございますが、もっと高度の負担をしている際でもございます。おっしゃられる気持ちはよく私どもわかるのであります。将来、また年金引き上げの際に十分検討いたしまして、そして国の財政状態等も勘案いたして最善の措置をとりたい、かように考えております。
  107. 村尾重雄

    村尾重雄君 改正案によりますと、二万五千円の標準報酬月額の人が、これまでの四百三十七円の保険料が七百二十五円に引き上げられ、すなわち六〇%の引き上げであります。二万五千円の給料取る人が七百二十五円支払うということは何でもないように思われるが、労働者が今日厚生年金だけに入っているものでないということでございます。失業保険があります。また健康保険がございます。なお、その上にこれはあくまで仮定でありますが、児童年金が政府においてもまた自由民主党におかれましても、十分これは実施の段階まで御研究になって、この児童年金というものは、現在やっている国の実際を見ましても、これの年金の国民の負担というものは非常に高い率になるのであります。これもやがて——あくまで仮定でありますが、私の見ておるところでは、この二、三年には必ずしわ寄せが国民に負担されてくる、こう思うのであります。こういう点、考えますと、たとえば健康保険、二万五千円平均として今日八百十九円、失業保険が百七十五円として現在でも合計千七百十九円、すなわち二千円近い保険料を支払っているのでございます。二万五千円のこれは一割に大体当たります。こういうようなことを考えてまいりますと、保険料率の厚生年金の、たとえば政府がキャッチ・フレーズとする一万円年金受給のためにとはいいながら、私は今日の勤労者に与える負担というものは非常に多いと思うのであります。私はこの点、たって厚生当局としては保険料率の引き上げにひとつ考慮をうながしたい、こう思うのですが、いかがですか。
  108. 神田博

    国務大臣(神田博君) いまお述べになりましたような数字になることはおっしゃるとおりでございまして、これをトータルいたしますと、勤労者の負担が相当であるということもお述べになったとおりでございます。そこで、一万円年金の、受給者とまたかける人とは現実に違っておりますから、負担をできるだけ少なくせよという御意見はよくわかるのでございますが、ただいま、政府といたしましてもいろいろな事情できめたわけでございまして、これを今度すぐ改めるというわけにはまいりませんが、今後の改正等もございますので、十分そういう御意見をさらに慎重に検討したいと、かように考えております。
  109. 村尾重雄

    村尾重雄君 時間がないので次に移りたいと思いますが、スライド制、すなわち年金額の自動的変更について伺いたいのですが、御承知のように、制度審議会では明確な基準を定むべきだ、保険審議会でも具体的な方式を確立することと述べております。しかし、政府案では、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるための調査が加えられるべきものとするという、実際きわめて抽象的なものであります。ところが、現行の労災法においても、年金スライドにおいては、附則第十六条でこれを具体的に明文化しているのであります。また、厚生省においても、原案においてはかなり具体的な案をば提示されておったと私も承知しております。これらの点から今後経済の変動についてスライドするということについては、午前中小平さんの質問に対して、近い将来十分に考慮するということでしたが、この肝心の、せかなければならぬスライドについて非常に訓示的な、精神的な解釈をばあらわしておるだけであって、たとえばあとで触れすまが、企業調整年金のように、この際急を要しない問題をばこの改正案においては大部分を占めて重点をされている点は、私はどうしても、了解ができないのであります。私はスライド制について経済の変動について、現在の一万円が将来とも一万円として十分に利用できるような具体的な処置をば講ぜられるべきだと思うが、厚相の意向を伺いたい。
  110. 神田博

    国務大臣(神田博君) 勤労者の老後の保障でございますから、物価の変動等に見合ったスライド制をとるというただいまの御意見につきましては、私も十分了承できると申しましょうか、私も変わりのない意見の持ち主でございます。ただ、しかし、折衝、検討の過程におきまして、物価だけにスライドしていいか、あるいはその幅をどうするか、賃金の変動とどういう関係を持つか、他の制度との関係がどうかというようないろいろな問題が出てきまして、これらの問題をなお一そう検討した上で、いまお述べになりましたような処置をできるだけひとつすみやかに講じていきたい、こういうようなことで折衝が終わったわけでございます。スライド制は、私どももこれはけっこうだと、こう考えておりますが、できなかった事情を申し上げますと、そういうようなことでございますので、御了承願いたいと思います。
  111. 村尾重雄

    村尾重雄君 なお、つけ足すようですが、御承知の加入員が現在千七百万から千八百万に及ぼうとしております。現在受給されている人が四十五万五千人と出ております。すなわち、二・五%の人が受給されているにすぎないのです。残りの九八%の人にとっては、今後このスライドが非常な魅力になると思います。このような点から、速急にスライド制については取り組んで具体化していただきたいと思うのであります。これは答弁抜きでけっこうです。  次に、私は、今度の問題で最も中心課題となっております企業年金との調整についてあなたの考え方をば伺いたいんです。この調整年金は、公的年金としての厚生年金と、私的年金としての企業年金とを一本化しようとするのであって、わが国の公的年金制度にとっては非常に重要な問題であります。この制度の一本化は、保険料の構成を見てもわかりますように、現行の保険料率の構成、千分の三十五は、比例部分が五三%、定額部分が三四%、家族加給部分が一三%の割合になっていて、すなわち、保険料の半分以上は報酬比例部分になっているのであります。したがって、企業年金を考えるということになれば、報酬比例部分の負担はますます大きくなり、公的厚生年金の企業年金による比重が非常に重くなる結果となる、こう思うのであります。このことは、公的年金が企業年金を中心に反対に運営されることになり、公的年金の正格は非常に弱くなると思いますが、私はこのたびの調整年金への改正は非常に逆行するものだ、こう考えるのですが、厚相の意向を伺いたいと思います。
  112. 神田博

    国務大臣(神田博君) ただいまお述べになりましたことを私もよく承知いたしております。そこで、円満に企業年金と調整するという段階におきましては、労使の合意によってやる、こういうことになっております。いまお述べになりましたようなそういう事態が生じないように、もしそういう事態が生ずるならば、労働者なりあるいはまた経営者なりのほうの同意がなかろうと思います。労使の完全なる同意を得た場合にやる、こういう前提に立っておりまして、そういうことの心配のないようにという配慮のもとにやっております。
  113. 村尾重雄

    村尾重雄君 この調整年金の問題について、厚生当局並びに政府が非常に意を用いられていることはわかるのです。また、今日において、調整年金に対する疑問にこたえるということで、厚生年金法の改正についてはかなり十分なPR等を行なっていることも承知しております。そういうことで、このたび調整年金について意を用いられていることもわかるのですが、私はここで百歩を譲って、今日調整年金を制定するとすれば、厚生年金法の改正案には、調整年金の設置のみを改正案において規定し、調整年金の内容については別に法律で定めるというような修正を行なうべきであると私は思うのです。というのは、調整年金がいまどんなに年金改正法案の成立にネックとなっているかということは、もう御承知のとおりだと思うのです。そこで、いま私が申し上げたように、法は法として制定し、すでに審議会においても三者が合意できなかったこの調整年金について、あわてることなく法体制を整えて、別個の機関で企業調整年金について十分に検討し、結論を出すという行き方に持っていかれてはどうかと思うのですが、そういうことに対するあなたの御意見を伺いたいと思います。
  114. 神田博

    国務大臣(神田博君) お答えいたします。  いまお述べになりましたような考え方といいましょうか、御意見も、私は大いに尊重してよろしいというふうに考えております。これは私個人的に言わせていただきます。いろいろの考え方があろうかと思いますが、まあいずれにいたしましても、厚生年金法案は別途法律案といたしまして御審議を願っておりますので、その際にひとつ十分御意見を承りまして検討させていただきたい、かように考えております。
  115. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 村尾君の質疑は終了いたしました。  ちょっと速記をとめて。   〔午後二時四十六分速記中止〕   〔午後三時四十六分速記開始〕
  116. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をつけて。     —————————————
  117. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、瀬谷英行君。
  118. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 最初に、総理に、地方自治と政治の姿勢について質問したいと思います。  東京都議会がその幕切れでたいへんに混乱をいたしまして、新聞等にも報ぜられておりますが、その混乱はとうてい国会の及ぶところではございません。(笑声)この都議会の混乱のきっかけとなったのが、都議会議長の汚職、逮捕事件でありますけれども、どうも都議会の議長のいすは、何か入札制でやっているような感じがするのでありますが、東京都議会だけではなくて、地方議会において、往々にしてこのような現象が見られているわけであります。政府自民党の方針として、地方議会の議長がこういう形でもってたらい回しをされる、あるいは金銭の取引に供せられるということは問題だと思うのでありますが、自民党総裁としての総理の見解を承りたいと思います。
  119. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) ただいま東京都議会の問題についての御質問でございましたが、御承知のように、自治体のことでございまするから、自治体に一々どうこうと言うわけにはまいりませんが、御指摘のように、あのような状態であることは好ましいことではない、かように存じて、何とか正常化はしたいと、かように存じております。
  120. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 自治体の地方議会が混乱したということ、これは都民の期待に反していることである、私はかように考えまして、議会政治あるいは民生政治、その点からまことに遺憾に思います。ただいま御指摘になったような原因があるということですが、これは私ども十分調べないと、ただいまのような結論は出てまいりません。もちろん、私は、私が自民党の総裁であるというそういう立場に立ちまして、党員の問題であれば、十分に今後とも努力してかような事態が起こらないように、また、疑惑を生じないようにいたしたいものだと思います。しかし、地方議会そのものは、与野党あり、それぞれの政党のあることでございますから、各政党ともほんとうに都民のために政治をするのだ、かようなことに御協力を願いたい、かように私は思います。
  121. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 事件の概要がわかりましたら、法務大臣にお答えいただきたいと思います。——法務大臣の質問はあとにいたしまして、東京都がいろいろと問題を起こしますのは、東京の都政というのが非常に複雑多岐にわたっておる、マンモス都政というふうに言われておりますが、ここにも原因があるのじゃないかと思います。となると、過密都市対策ということも一真剣に考えてみないと、現状の東京をどうするかということも解決できないのではないかという気がするわけであります。そこで、一体東京をどうするか、このままでよろしいのかどうか、過密都市対策としての東京の現状は放任されていいのかどうかという問題にもなってくるのでありますが、その点について建設大臣の見解を承りたいと思います。  それでは、東京をどうするかという問題に触れましたから、ついでに東京国際空港の問題について、これは運輸大臣がおりますから、答えていただけると思うのでありますが、一体どうなるかということがまだ見当がつきません。第一、過密都市対策あるいは都市の地方分散ということがいわれておるけれども、東京国際空港の設置ということもこれと無関係では考えられないのだと思うのだけれども、どこにきめるのだということをきめないで、いろいろ細部の事業計画を練ってみてもしようがないのでありますが、総理の見解をお聞きしたいと思います。
  122. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま、第二空港、この空港公団法の御審議をいただいております。場所は早急に決定するはずでございます。
  123. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) お答え申し上げます。  いま総理から御答弁されましたように、公団法を提案いたして審議中でございますが、この法案が成立いたしますと、その第二条を適用いたしまして、その場所の決定を東京を中心にいたしました大体一時間半以内のところに適地を求める方針で、いまその研究をいたしておるところでございます。
  124. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 一時間半以内のところと言われますと、場所が限定されてくるわけでありますが、この空港の設置ということは、日本の都市計画あるいは東京都の将来のあり方と関係してくると思うのでありますけれども、伝え聞くところによりますと、埋め立てを行なうとか、あるいはどこそこは立ちのき住宅が多いのでできないとか、難問がたくさんあるように聞いておりますが、米軍の横田基地であるとか、厚木基地であるとか、こういうところを返還してもらえば問題は解決するということを聞いておるわけであります。このような米軍の基地を返還をするといったような考え方は現在の政府としては考えられないのかどうか、総理にお伺いいたします。
  125. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) お答えいたします。  この新空港の問題に対しまして、関係閣僚会議というものをたびたび開いております。そこで、過日も、いま御指摘になりました点に対しまして、東京の西のほうにはブリュー一四と申しまして、御承知のように四つの基地がございます。その四つの基地のうち一つでも返してもらえないかどうかという点を外務省を通じてひとつ交渉しようということをこの間決定いたしまして、いまその手続中でございますが、東京の近郷にSSTの飛行場を一時間半以内のところにつくるということにすれば、それはいま申しましたように、ブリュー一四の西のほうにはできませんから、限定せられるのは結局東か北の地方でございますので、おのずと場所がきまってくるということになるのでございますが、できるだけ過密都市等に対しましては緩和ができる方法において適地をいま検討中でございます。
  126. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 米軍基地の問題……。
  127. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 米軍基地の問題に対しましては、いまブリュー一四の西のほうにあります四つの基地に対しまして、そのうち一つか二つかを利用さしていただけるかどうかということを外務当局を通じて米軍に交渉中でございます。
  128. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 外務当局から交渉中だそうでありますが、その交渉の経過並びに見通しについてはどうでありましょうか、外務大臣にお伺いします。
  129. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 政府委員をして御答弁いたさせます。
  130. 安川壯

    政府委員(安川壯君) 従来は非常に困難でございましたが、最近閣議の決定がございましたので、あらためて話し合う予定でございます。まだその見通しについては申し述べる段階になっておりません。
  131. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ただいまの答弁によると、運輸大臣は交渉しているように言われましたが、まだやってないということでありますか。
  132. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 過日、いま御答弁のありましたように決定したのでございまして、外務当局といたしましてはこれから米軍と交渉するだろうと思いますが、閣議では一応関係閣僚間において決定いたした次第であります。
  133. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 法務大臣は見えましたか。
  134. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 見えました。
  135. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 法務大臣、先ほど都議会議長の問題で質問したのでありますが、都議会からいろいろと汚職その他の問題で逮捕者を出しておりますが、それらの状況についてお伺いいたします。
  136. 高橋等

    国務大臣高橋等君) ただいまお尋ねの都議会議員の件は、議長選をめぐります贈収賄の疑いで都会議員五名を東京地検に逮捕いたしております。また、ほかに、別件恐喝で都議一名、都の衛生局課長を取り調べをいたしておりますが、いずれも捜査中の案件でございまして、内容につきましては申し上げることをこの際差し控えさしていただきたいと存じます。
  137. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 このような例はあまり聞いたことがないのでありますけれども、地方議会で他にもこういう例があったかどうか、また、こういう事態を生じた都政そのものに何か原因があるのかどうか、こういう事態を生じやすいような条件があったのかどうか、以上の点についてお伺いいたします。
  138. 高橋等

    国務大臣高橋等君) こうした事件は、従前、大阪及び熱海において起こっております。その他のことにつきましては自治大臣から御答弁をお願いさしていただきたいと思います。
  139. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) はなはだ思わしくないことではございますが、ときおりこういうことを耳にすることがございます。
  140. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 はなはだ思わしくない御答弁でありますけれども、原因はどうか、それらの原因ということをよく調べてみないといけないと思うのでありますけれども、そういう点についてお調べになっておりますか。
  141. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) 原因として別に調べてはおりませんけれども、まあ議長というような職をめぐっていろいろと争いがあり、その間にそういう事情が生まれるのではないか、かように存じております。
  142. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 冒頭申し上げましたのは政治姿勢の問題でありますが、総理に今度は物価の問題についてお伺いしたいと思います。  先ほど小平さんからも物価問題について質問がありましたが、結局、ケース・バイ・ケースというようなことで結論づけられたように聞いたわけであります。しかし、本委員会あるいは衆議院委員会等の論議を通じまして、物価が一体どうなるのか、原因と責任を明らかにするはっきりとした御答弁がどうもつかめないような気がするのであります。消費者米価の値上がり、医療費の値上がり、公共料金と、次々に上がっているのでございますが、佐藤内閣としては、この値上がりを黙認をするのか、あるいは、抑制をするのか、どうするのかということを端的にお答えを願いたいと思います。
  143. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 物価は上がらないようにしたい、これが佐藤内閣の考え方であります。したがいまして、一月にすでに総合対策を立てたことは御承知のとおりであります。一般物価については、これは経済安定基調に乗せることによって物価は安定する、そういうたてまえに立っております。したがいまして、経済安定基調に乗せるということについては、総合的な対策が要るということでございます。  ただいま御指摘になりましたような米価あるいは医療費あるいは公共料金等についての御議論でございますが、これらが物価に関係のあることはもちろんでございますが、しかし、それぞれの立場に立っても理由がございます。そういう意味で、自由経済のもとにおいては、こういう問題はケース・バイ・ケースできめていかなければいけないのだ、必ずしも私は一年間公共料金の値上げストップと、かような態度はとらない、こういうことをきょうも午前中にもお話をしたわけでございます。こういう点については、もうすでに私どもが何を考えているかよく御理解いただいていると思いますが、別につけ加える必要はないだろうと思います。
  144. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 木村委員の質問でこの問題について非常にたんねんに質疑応答が行なわれたわけでございますが、企画庁長官の答弁では、今年度は四・八ということにならざるを得ないけれども昭和四十年度では四・五につとめる、その後において中期経済計画の見通しているところの二・五という率に安定させたい、こういう考えを持って、いるという答弁がございました。しかし、この安定させたいという気持ちはわかるわけでありますが、過去における実績というものは、見通しと実績とが全然違っているわけです。この見通しと実績の違いという過去の経験をもとにしてこれからもそういった見通しと実績の食い違いが生じてくればこれは上がらざるを得ないということになるのでありますが、なおかつ押えるという確信が持てるのかどうか、その根拠は何かという点についてお伺いしたいと思います。
  145. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) ただいま御指摘のとおり、ずっと経済の見通しを立てまして、それがたとえば一・二であり二・八であった場合は、それは相当上回った実績となってあらわれてきたことは事実でございます。しかしながら、同時に、先般もお答え申し上げましたとおり、昭和三十五年を境としてその前の五年間においては労働生産性の上昇が賃金の上昇を相当に上回っておった。ところが、その後におきましては、三十五年を一〇〇とした場合に三十九年の実績は賃金において、三十人以上の製造業でございますが四九%の上昇になっておる。ところが、それが生産性の上昇の部面においては、同じく三十人以上の製造業において四一%の上昇になっておるという、そういうふうな観点から一番大きく影響するのがやはり賃金でございますから、そういうふうな関係からやむを得ず結果としてはそういうふうに見通しと違った数字が出てまいったことをこの前お答え申し上げた次第でございます。  なお本年度につきましては、本年度の当初の見通しは四・二%でございました。それがその後今年度の経済の成長率が当初の見通しが実質七%でございましたものが一〇%近くに相当大幅になったというような点、その他各種の経済の指標というものを調べてみますると、相当上がってまいっておりましたので、十二月にこれを四・八%というのに改定をいたした次第でございます。しこうして、今日結果として、まだ三月全部終わっておりませんけれども、私ども見通しではこの四・八%に確実におさまるという見通しを持っておるわけでございますが、四十年度につきましても、過去にあったような単純な見通しじゃなしに、必ずこの方向に向かって努力していくと、そしてこれを実現したいというふうな非常な意欲を持って立てた見通しであることをこの際申し上げておきたいと思います。もちろん自由主義経済でございまして、政府の及ぼし得るところの力と申しますか、たとえば公共料金のウエートは全体の物価に対して二割のウエートを持っているにすぎない問題でございます。経済全体の運営の方向としても、これはもちろん政府考え方でもって変わる問題でございますが、これは先ほど総理からお答え申し上げましたとおり、経済の成長を安定的な基調に持っていくと、そういうことによって総需要、総供給の面からの物価上昇の原因はこれは取り除いていくことができるであろうと、かようにまあ存じておる次第でございますが、その他のたとえば賃金等の関係、その他各種の経済要素の変更については、これはなかなか政府でコントロールしにくい問題であり、また同時に政府が干渉すべき問題でもないようでございますので、そういう意味においては結果としてそのとおりできるという性格のものではございませんが、政府としては何としてもその方向に向かって努力をし、これが実現をしていきたいという非常な熱意を持っておるということをこの際お答え申し上げておきます。
  146. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 熱意を持っておるということはわかりましたけれども、問題は上がるか上がらないか、押えられるかどうかということにあるのです。  そこで、今度は運輸大臣にお聞きいたしますが、先般の分科会でもって国鉄の第三次計画等についていろいろお聞きいたしましたが、結論として、現在の過密ダイヤを解消し、交通の安全を確保するためには第三次計画二兆九千何がしをどうしても達成しなければならぬ、そのためには運賃の値上げもやむを得ない、公共料金の負担等についても限度がある。こういうような結論だったと思うのでありますが、運賃の値上げについてはどうでありましょうか。
  147. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) ただいまの御質問の問題に対しましては、第三次計画に対しましては、御承知のように多額の資金を必要といたしますことは言うまでもございません。その資金源といたしましては、国鉄基本問題懇談会の意見にもございますとおり、財政投融資の増加のほかに運賃の値上げの必要も認められておるのでございます。私といたしましては、現在の国鉄の財政事情から見て、なるべく早い機会に運賃の是正が実現することを望んでおりますが、政府全体の立場からいたしまして、物価政策全体の観点から考えなければならないのでございますから、その時期及び引き上げ率等に対しましては、これは慎重に検討する段階になっておる次第でございます。
  148. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 国鉄総裁にお伺いいたしますが、それではその政府の方針は別といたしまして、国鉄としては、この第三次計画というものはぜひ行なわなければならないし、行ない得るという見通しを持っておられるのかどうか。またそのための資金というものは十分間に合っているのかどうか。運賃値上げというものを見込まずにできるようになっているのかどうか。公共負担等についても、この運賃値上げを考慮せずにあるいは心配できるのかどうかという点についてお伺いしたいと思います。
  149. 石田礼助

    説明員石田礼助君) お答えいたします。  国鉄が第三次計画におきまして二兆九千七百二十億というものを出したのですが、御承知のとおりの幹線における過密ダイヤ、それが第一、第二は都市付近における通勤通学のあの交通地獄の状態、これを解消するということはできないのですが、緩和するためには、少なくとも向こう七カ年に二兆九千七百二十億の金を必要とするということが、これは基本問題懇談会においても結論として出しておるのであります。この点についてはいまさら私が申し上げる必要はないと思います。これをどうしてやるか、こういう問題なんですが、瀬谷さんも御承知だと思うのだが、あの第三次計画の中には通勤通学だとか、それから輸送安全に関する問題だとかいうようなことに要する資金が非常に多いのです。通勤通学だけでもって五千百億、それから輸送安全に関する問題その他を寄せますと、約一兆になんなんとする資金を必要とする。しかもこれらは、金はかかるが、それに対する生まれてくる運賃というものは非常にわずかなものです。したがって、これは利息のつく金をもってしてはとても国鉄としてはやり切れぬ。独立採算制のもとにある国鉄としてはそんな利息のつく金をもってしてはとてもやっていけるものじゃない。じゃ、これをどうするか。利息のつかない金をどこからか持ってこなければならぬということなんです。それにはまず第一に私は大蔵省に対して四千億ぐらいの資本金を出してくれということを申し上げておるのであります。ということは、国鉄の今日における資産負債表をごらんになると、つまり資産において約二兆円以上のものがある。ところが、国が出しておる資本金というものはわずかに四十億円、それも戦前における四十億円にあらずして戦後における四十億円、それでもって国有鉄道という名前をつけておる。これは民有鉄道という名前をつけるべきじゃないかと思います。  それからもう一つ申し上げたいことは、国鉄は公共企業体でありますからして、国鉄にそれだけのことをして、そうして余祐があるならこれを公共事業に使うということは、これはだれも異議がない点だろうと思う。ところが、それだけのこともしないでおいといて、そうして公共負担ということをいうことは私は理屈には合わぬと思う。なぜならば、公共負担というものは政府の政策を国鉄の犠牲においてやっているのである。そういう金が幾らあるかということを勘定いたしてみますと、三十二年から三十九年までに約六千億ある。これは大きなものですよ。それだから、私はあえてこれに対して利息をつけて返してくれとは言いませんよ。言いませんが、とにかく、どこからか政府がつまり資本金を出す、どうしてもそれができなければ、さらに公共負担というものの是正をいたしてもらう、そうしてさらに運賃の値上げというものを、運輸大臣は物価政策の上からいってこれは慎重に考えにやならぬということをおっしゃいましたが、私は運輸大臣と少し意見が違うかもしれませんが、いまの国鉄の運賃というものは安過ぎると思う。あすこにも電電公社の総裁がおりますが、彼氏らは昭和二十八年において昭和十一年に比べて二百三十三倍も値上げをやっておる。国鉄は昭和二十八年以後運賃の値上げはしましたが、それでも一なおかつ旅客運賃というものは、昭和十一年に比べてわずかに百六十一倍です。物価というものは三百五十倍とか四百倍というのにかかわらず、国鉄運賃だけは百六十一倍、だから、これは私は運賃を値上げしたって値上げにはならぬ、これは是正なんだ、安過ぎるからというように考えておる。だから、まず公共負担の是正と運賃の値上げと、値上げといわずに是正だ。そうして大蔵大臣もここにおられるが、いままで国鉄を犠牲にして国家がやっておるのだから、それをお返し下さる意味において資本金を四千億だけ出してください、こういうことをお願いしたのだが、大蔵大臣がんとして言うことを聞かぬ、こういうことが現在の実情であります。
  150. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 公共負担は、政府の政策を国鉄の犠牲でやっておるということでございますから、それならばやはり政府自身が負担をするというのが筋としては当然になってくると思うのであります。その意味で利息をつけて返してくれとは言わないけれども、四千億くらいの資本金を出してくれてもいいんじゃないかというふうに言われましたが、   〔委員長退席、理事村山道雄君着席〕 四千億の資本金を出せないとすれば、運賃値上げというかっこうにならざるを得ないように聞き取れるのでありますけれども、国鉄に対する投資を大蔵大臣としてはどの程度おやりになる気があるのか。全然かまわないとすれば、運賃値上げというのもやむを得ないというお考えなのか、どちらの道をお選びになるのか、大蔵大臣にお聞きしたい。
  151. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 国の出資金は四十億である、こういうことでございますが、鉄道省時代だったものを全部現物出資いたしておるわけでございまして、これが再評価をすれば一体幾らになるか、二兆円のうち六〇%は国の出資でございます、こういうふうに見るべきでございます。また、そういう議論よりも、国鉄というものは当然公共性を帯びておるものでありますから、学童、通勤、そういう者に対する割引、また農産物に対する割引、第三種郵便物等に対する割引、そういうものは公共的使命を持つものでありますから、公共的な使命を果たすということは、これまた当然のことでございます。私鉄がそういうことをやっておるという場合、国が政策目的を達するための犠性をしいておるという場合には国が負担しなければならぬということがございますが、国鉄イコール国でございますから、国鉄が負担をしていくということは、これは国鉄だけではなく、電電の問題とか、また郵便の問題等と同種のものでございます。まあ値上げをしたくないということは、物価対策上あなたと同じ考えを持っておりますが、値上げをしなければならないような状態になっているときに、値上げを押さえて一般国民の税金をもって負担するか、値上げをするか、二者択一という場合には、値上げによってまかなうべき性質のものであります。まあしかし、値上げというのはしたくないということで、いま非常に苦慮しておるわけでございます。国鉄に対して国民の税金をつぎ込むということに対しては、慎重に考えなければならないと思っております。結論的には、時期がくれば値上げもまた一部やむを得ないと、こういう結論になると思います。
  152. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 総理にお伺いしたいと思うのでありますけれども、人間尊重ということが総理の方針だと思う。ところが、いまの国鉄というのは、人間尊重になっていないわけですね、荷物以下なんですから。そうすると、人間尊重の輸送を行なりためには、いま第、二次計画というものは少なくとも行なわなければならぬというふうに聞き取れるわけでありますが、そのための資金というものは、公共負担等についていま国鉄総裁が述べたとおりでありますが、一体国鉄にどれだけの資本出資をするというお考えなのか、これはもう限度があるということになれば、運賃値上げもやむをえない。総裁にいわせれば、値上げじゃなくて是正だそうでありますけれども、事実上はとにかく値を上げるわけでありますが、どっちかにしなきゃならぬと思うのでありますが、この場合に、総理としてはどのような道をお選びになるのですか。
  153. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 国鉄の現状、これはどうしても第三次の輸送整備計画、これがなければいかぬ、これも差し迫っておる、あらゆる知恵をいましぼっておるわけであります。先ほどのお話の出資もその一つでありましょうし、財投から金を回すこともその一つでありますし、さらにまた、ただいまも運賃値上げ、あるいは是正といわれますが、そういう問題があるわけです。で、ただいままでは、とにかく国鉄はあらゆる努力を払って経営の合理化につとめてきた、かように私は思います。したがいまして、ただいまのような次の計画をする場合に、特別に政府が財投その他において援助できるそれは政府もするでしょうが、ただいまみずからの力によって運賃改正、これまたやむを得ないのじゃないかと、かように私は思っております。
  154. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 運賃値上げやむを得ないということでありますが、第三次計画を実施するためには、運賃値上げやむを得ないというのが総理のお答えであります。企画庁長官の先ごろの御答弁でありますが、昭和四十年度については四・五につとめる、あるいは中期経済計画の目標として二・五につとめるということは、運賃値上げというものを見込んだ上で、なおかつ四・五なり二・五という数字にまとめられる確信がおありなのかどうか、お伺いしたいと思います。
  155. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 問題は、その時期と幅の問題であろうかと存じます。中期計画として第三次計画を政府としては認めて、これを実行に移しておる次第でございます。昭和四十年度においては四・五に押さえる、そしてこれにあらゆる努力を傾注し、しこうしてその後においては中期経済計画に示しておりますところの二・五に最大の努力をすると、こういうことを先ほどもお答え申し上げた次第でございますが、その要素の中には、そういうふうな公共料金の問題もその他非常にたくさんの経済の諸要素を全部織り込んで計算した結果がそういう数字に相なっておる次第でございます。
  156. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 運賃値上げを見込んであるということですか。
  157. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) ある程度は見込まれておると、こういうふうにお答え申し上げます。
  158. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ある程度は見込まれているということでありますが、国鉄の計画というのは、先般の分科会では二六%の運賃値上げを見込んだ二兆九千七百二十億であるというふうにお聞きしたわけでありますが、これがある程度というふうに値引きされたり、あるいは割り引きをされた場合には、この計画そのものにそごを来たすようなことになるのじゃないかと思うのでありますが、その点はどうでしょうか。国鉄総裁にお伺いしたいと思います。
  159. 石田礼助

    説明員石田礼助君) お答えいたします。大体国鉄の運賃を上げると、すぐそれが物価に影響するというようなことに考えておられるようですが、私はそれは少し御訂正を願う必要があると思う。ということは、国鉄の運賃が上がるということは、これはまあ二割六分上げるというようなことをいっておりましたが、そのうちの大部分というものは旅客運賃であり、貨物運賃というものは二割六分も上げやせぬ。それからさらに国鉄の運賃の値上げその他の方法によって第三次計画を遂行することにおいて、とにかく輸送力というものはふえてくる、輸送というものは早くなってくる。要するに、物価というものは物資の需要供給のバランスからくるものとすれば、その輸送力が増強して物資がさらに都下に集まるということ、早く集まるということは、それだけ供給という面における力がふえる、ウエートがふえるということになるので、私は物価を下げればとて上げるということは考えられない。ことに、国鉄の運賃がかりに貨物において一割五分上がりましたところで、それがどのぐらい一体物資の値上がりの上において影響があるか。過去における事実を調べてみると、まことにこれはささいなものであります。たとえば昭和三十二年において運賃を一割五分か一割三分か上げましたけれども、それがために物価というものは上がっていやせぬ。昭和三十六年において一割五分を上げたけれども、それがために物価というものは上がっていやせぬ。だからして国鉄が運賃値上げする、即物価が値上がるということは、これは少し訂正を要するのではないかと、こういうふうに考えております。
  160. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 国鉄総裁に申し上げますけれども、私は運賃値上げとすぐに物価と結びつけて言っているわけじゃない。いま企画庁長官は、ある程度の値上げはやむを得ないと、こう言ったんですが、ところが先般の総裁の分科会における答弁は、二六%というものは上げなければだめだ、こう言ったんです。ある程度ということは、二六%じゃない。何かパーセンテージを値切るかのようにいっているので、その値切られた場合、二六%以下であった場合に、なおかつこの第三次計画というものは行ない得るかどうかということをお聞きしたかったわけです。その点どうでしょう。
  161. 石田礼助

    説明員石田礼助君) さっき私が申し上げましたように、国鉄の今度の投資というものは、都市通学の問題その他について、借りた借金をもって、利息のつく金をもってきてはとてもいかぬ、やはり自己資金をもってしなければいかぬ、そういう意味からいって政府に出資をしてもらうとか、あるいは公共負担で是正をしてもらうとか、あるいは運賃の値上げをしてもらうとかということでありまして、この運賃値上げの二割六分という中には、公共負担の是正というものも入っているわけでございまして、純然たる運賃値上げというようなものは、ことに物価の上に及ぼす貨物等に対しては二割六分なんというそんな大きな値上げはしない。せいぜい私は一割四、五分くらいのものじゃないか。さらにまた、いまの運賃制度というものをかえまして、いまの運賃というものは、負担力制度になっている。値段の高いものに対しては運賃を高くする。それで負担力の少ないもの、安いものに対しては運賃を下げるということになっておるのでございますが、その結果はみんな高いものはトラックにとられている。国鉄にくるものはない。こういう運賃の制度というものを改正することによって運賃収入を上げる、そういうようなことを引っくるめて二割六分というようなことがこの間懇談会の問題になったのであります。
  162. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 二六%というのは、これは動かしがたい、この計画のためには必要だというふうに聞きとれるわけでありますが、企画庁長官は、ある程度というふうに言われた。ある程度ということは、二六%という数字とは別だという意味ですか。
  163. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 国鉄基本問題懇談会の答申におきまして、途中二六%を年度当初からという考え方が出ておったことは事実でございますが、私どもといたしましては、その程度並びに時期については全然未定にいたしまして、とにかくある程度の値上げは、いつのときかに必要であろうということは、私どもも基本問題懇談会全体の意見として、最後にまとまった見解としては、そういうところに結論が出ている次第でございます。
  164. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 どうもその辺が、奥歯にもののはさまったように聞えるわけでありますが、いろいろにいわれますけれども、いままではともかく単純な——今度は単純な見通しではなくてやっていくのだから、いままでは単純な見通しであったということになるのですか。今度は大丈夫だというふうに聞きとれるわけでありますが、建設大臣がみえたらあわせて質問したいと思ったのですが、地価騰貴の現状と見通し並びにその対策についてといり見解が経済企画庁で昭和三十五年に発表しておられる、所得倍増計画とともにですね。その中で、最近地価の暴騰が問題になっているけれども、これは全国的な現象ではなくて、旧市価地の地価を代表するものであって、最近における地価上昇の実勢を反映していない。庶民は安い土地を求めて都心あるいは駅から遠いところへ移行しているけれども、通勤距離、時間等の限界があるから、購買力にも限界があるから、地価の騰勢は間もなく鈍化すると思われる。都心部に近い地点ほど上昇率は頭打ちに近づいている。はたしてこの見解どおりになっているかどうか、今日の地価の騰勢はどうでしょうか。
  165. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 先般も御質問に対してお答え申し上げたのでございますが、これは政府の確実な統計はございませんが、日本不動産研究所の統計がございますが、その統計によりますと、相当大幅にその後上昇を示していることは事実のようでございます。言いかえれば、三十五年当時に見通した数字よりは相当急速に大幅な値上がりを示しているというふうに私どもは見ている次第でございます。かるがゆえに、今年春の物価対策考えました際にも、閣議決定の中の一項目として地価の問題を取り上げた次第でございます。
  166. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 結局いろいろいわれますけれども、地価も上がってしまった。見通しからはずれて上がってしまったということでしょう。そうすれば、これから大丈夫だということをしばしば言われましたけれども、企画庁長官の言っていることを聞くと、押えるのだ押えるのだ、といって、結局上がってしまっているわけです。抑えられないでいるのですね。あらゆる消費者米価をはじめいろいろなものは上がってきているわけです。しろうとのウナギ屋と同じで、能書きだけは言うけれども、ちっとも押えられない。そのうちにはしごをもってこいというようなことになってしまうのじゃないかと思いますが、こういうふうに物価がどんどん上がっていく、地価がどんどん上がっていく、特にその中でも地価が値上がりがひどいということになってまいりますと、地価抑制についてのきめ手をはっきりここで打ち出さなければなるまいと思うのでありますけれども、その点総理が確固たる決意を示さなければ私はできないと思う、いままではむずかしいむずかしいという答弁ばかりで、実際にはおざなりの小田原評定ばかり繰り返していた。何もできなかったわけです。佐藤内閣が善政を二つぐらい残したいと思ったならば、地価の抑制ぐらいのことは、ことしじゅうに私は目鼻をつけて実行に移してみなければならないと思うのでありますが、その決意があるかどうか、お伺いしたいと思います。
  167. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 地価の一つぐらいはと、かように仰せられるが、瀬谷さんいい案があったらひとつ教えていただきたい。私は、前内閣におきましても、地価問題はなかなかたいへんだ、これは地価の一つぐらいはというふうな簡単なものではないということはしばしば申したと思います。今回建設大臣や、また経済企画庁長官が真剣にこれと上取り組むということでございまして、ただいままでのところ、具体的な案はまだ得ておりません。しかしながら一その方向はおよそある程度はっきりつかめるように私は思っております。この問題について、真剣に急ぎその結論を出すようにしたいと思います。今日までのところ、地価がどういうわけで上っておるか、また、その地価の基準になるものは一体何があるか、これが一つの問題だと思います。これをひとつ提供して、そういう意味考えてみたいと思います。ただいままで、地価を隣で売買された価格その他でやっておる、そういうところ、あるいはまた買収——強制収用とは申しませんが、道路ができる、あるいは鉄道ができる、そういう場合の買収価格、こういうのが一つの基準になっている。しかし一方で、やっぱり地価をある程度評価してそうして課税しておる、税金をかけておる。この税金をかけておる地価というものが一番所有者が納得のいく金額ではないかと、かように思います。これを基準にして、ここからスタートしていくと案外適当な地価というものが考えられるのではないか。私はそういうことをただいま考え、そういうものが今日の憲法上あるいは他の法律、その他に関係なしにやり得るかどうか、そういう点を十分に考えてみたいと、私はかように思っております。
  168. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 歴代の大臣が言っておることは、むずかしい、たいへんだということばかりなんです。むずかしいことはわかっているのです。そのむずかしいことはやらないで、やさしいことだけやるのなら、大臣なんて小学生だってつとまる。そのむずかしいことを承知の上であえてやらなければならぬと思うから、私らは何回も言っているわけです。私権の抑制である。私権の抑制ということがからんでくるので憲法上いろいろむずかしいとか、税法上の問題もどうとか、右顧左べんするばかりで何一つやってない。だから私権の抑制もある程度はやむを得ない。税法上の措置もやってみて、土地利用計画を立て、土地を投機の対象にはしない、こういう線ぐらいははっきりとした覚悟で打ち出していかないことには、私はできないと思うんですよ。年がら年じゅう、むずかしいですけれども検討します——検討はかりやってみたって何にも私はできないと思う。だから、その点の決意をやっぱり少なくとも総理がはっきり示して、実行に移すということが、私は必要じゃないかと思うのでありますが、その決意がおありかどうかということをお伺いしたいと思います。
  169. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま私の考えのその一端を披露したわけであります。先ほど申しますように、建設大臣あるいは経済企画庁長官、同時に関係閣僚が集まりまして、いわゆる事務当局にあらずして、大臣レベルでこの問題と真剣に取り組んでいる。こういうことでいろいろ調査をし、また準備を取り運んでおるのであります。したがいまして、ただいま瀬谷君の御指摘になりましたような点は、これはもちろんそのうちに入っておるのでありまするが、もっと根本的な問題はどこにあるかということを、ただいま検討して、まだただいま発表する段階になっておらない、かようなことを申しておるのであります。真剣に取り組むつもりであります。
  170. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 二年も三年も前から同じような答弁ばかり聞くわけなんです。で、予算審議最終日に当たる今日においても、まだそういう研究の段階を一歩も出ないというところに、地価政策が進まない根本原因があるんじゃないかと思うのであります。今後の物価の問題を考えてみたならば、国民は物価が上がるのかあるいは押えられるのかという点に非常な関心を持っているわけです。その中でも地価は一番大きいのですから、これは具体的に——幾ら答弁でうまいことを言ったって、数字でもってあらわれるのですから、ごまかしはきかないのです。このごまかしのきかない点をやはりはっきり数字でもって、こういうふうにやってみましたというふうに実績を示してもらわなければならぬと思うのであります。その意味である程度の見解を、地価対策について具体的にどういうふうにやっていくか、都市の地方分散等について、あるいは過密都市対策等についてどういうふうにやっていくかという点についてお伺いしたいと思います。
  171. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) 地価の問題が、過密都市の問題あるいは住宅の問題に非常な障害になっておることは、瀬谷委員が仰せのとおりであります。そこで、政府も真剣になってこの問題と取り組んでおるのであります。ここで瀬谷さんにも御承知願っておきたいことは、土地を安く手に入れようという願望が一方においてあります。住宅をつくるためにも、工場をつくるためにも、あるいは道路をつくるためにも、土地は安くほしい、一方にそういう願望があります。ところが一方において、欧米諸国と違いまして、日本の地主は非常に零細な地主で、そこで地価以下に、時価よりも低く抑えた場合には、手放した人たちの生活保障の問題が出てくるわけであります。土地を十町持っている人が、一反歩か五反歩を安く提供しても生活に支障ありませんけれども、五反歩か七反歩しか持っていない人が、五反歩七反歩全部提供しなければならないというようなときに、一体どういう値段の定め方をするのがいいかという問題が出てまいります。生活保障の問題が出てくるのでありまして、そこで、いま土地収用などにおいても時価主義というものをとっているわけであります。この時価を一体どうやってそれでは押えていくのかといえば、結局は供給量が増大する以外に方法はないのでありますが、土地は生産されるものじゃありませんから、需要よりも供給するほうが、どうしたって少ない。そこで、これをどうやってその急激な上昇を押えるかというところに、地価問題の根本問題があるのでありまして、そこで具体的には、しからばどういうことを考えているかと申しますと、土地の利用計画をつくることがまず第一なんであります。ところが、土地の利用計画をつくります場合に、土地の利用計画といえば農地と住宅地、あるいは工場用地をどう区別するか、農地ときめたところは、一切の住宅まかりならぬというようなきめ方をしていかなければなりませんし、そこに今度は、一体農業用地として日本全体としてどの程度の用地があればいいかという、大きな国土計画の問題が出てまいります。この土地の利用計画は、一体どのように定めていくことが一番合理的であろうかということが、非常な苦心を要しますので、いま宅地審議会などに学者先生方を総動員しまして、この問題にどのような解決を下したらよかろうという点を諮問をし、われわれ共同で研究をしているわけであります。そのほかの問題としましては、総理が先ほど申しましたように、土地にはいわゆる時価というものがなかなかきめにくい。隣の人が売った値段が標準になってしまう。あるいは政府が買った値段が標準になってしまう。そこで一体その特価をどうやってきめるのかという制度上の問題を解決しなければならぬ。これは制度上一体どうあるべきものかという問題を解決しなければなりませんが、その問題についてもいろいろな意見がありますので、それを宅地審議会等にはかりながら、時価をどうやってきめるか、また、それをどうやって公示をするか、その公示に従わせるのか従わせないのかという問題が出てまいります。そういう問題もあわせて検討を進めているわけであります。  また、もう一つは、土地の値段はとかく投機によって、つまり不必要な土地を持っていることによって、持とうとすることによって値上がりする場合があります。また、これが非常に多かったのであります。その問題としましては、政策全般といたしまして、経済の安定的成長ということを佐藤内閣で申しておりますのは、土地問題についても言えるのでありまして、急激な土地の需要が出てくれば、どうしても急激な土地の値上がりを来たしますし、思惑やあるいはブローカーの活躍の余地も出てまいりますから、そこで安定的な成長ということは、地価問題を解決をするための最大の課題なんでありますが、そういう問題を一方において考えると同時に、また、このブローカーの暗躍をしますのは、結局は民衆が土地の値段に対して不知——不和といいますか、非常にふなれであるという点もありますので、そこで鑑定評価制度というものをつくりたいというので、これはもうすでに制度としてでき上がっておりますが、これはどのようにしてこれを推し進めていくかという問題などを検討いたしておるわけでありまして、総合的に地価問題がむずかしいだけに、私どもは最大の努力を払って、学者の意見を聞いたりいたしまして、いまその問題点を煮詰め、そうして佐藤内閣としてこの方向で行くのであるという、その方向をいま見出しつつある現状でございます。
  172. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 では、外交問題についてお伺いいたします。  新聞の報ずるところによれば、インドシナ派遣の松本特使が、ベトナムにおけるガス使用に対してアメリカに抗議すべきであると言っておる、こういうことが伝えられましたが、ベトナムにおける毒ガス使用については、当委員会外務大臣は、毒ガスではなくて、国際法規には違反しないのだ、こういうふうに言っております。これは松本特使の言い方とちょっと違うわけでありますが、総理としてはどのようにお考えになりますか。
  173. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、外務大臣のお答えしたとおりに考えております。
  174. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 松本特使は、ベトナムに派遣をされて現状をいろいろと見聞をした上で、ガス使用についてはアメリカに抗議すべきであるという見解を漏らしているのだと思うのでありますが、政府としては、その必要なしというようにお考えになるのでありますか。
  175. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 松本特使がどういうつもりでそういうことを申したか、私どもに連絡がございませんのでわかりません。いずれ明日あたり帰ってくるそうでありますから、とくと松本君から聞いてみたい、かように思います。
  176. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 帰ってきて、やはり抗議したほうがよろしいというふうに言っておったならば、政府としては、今度あらためて抗議するのですか。
  177. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) どうも、ただいま米軍が使ったものというものは、いわゆる国際法上不当な、不法なものだと、かような判定はないようであります。松本君とよく意見を交換してみたいと、私かように思います。
  178. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 国際法上違法ではないというのは、一体どういうところからそういう意見が出てくるのでありますか。
  179. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 事務当局から御答弁いたさせます。
  180. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 一番毒ガスについてよく引用される条約は、一九二五年の「毒ガス等の禁止に関する議定書」でございます。これには「窒息性、毒性又はその他のガス」と「その他の」と書いてあるのが、いかにもガスは全部禁止するような印象を与えるものですからこの議定書が問題になるわけでございますが、「その他の」というのは、やはりその前に書いてある「窒息性」とか「毒性」とか、そういうものと類似のガスと考えるべきであって、たとえば催涙ガスのごときまで禁ずる趣旨ではないと考えるのが適当である、かように考えます。実は、この議定書は、英文とフランス語と両方が正文でございますが、フランス語のほうは、現に「その他の」というところが「類似の」となっておるのでございまして、この英文のほうの「その他の」というのもやはり「類似の」と同じような意味に解するのが妥当であろう、かように考えております。
  181. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 防衛庁長官にお伺いいたします。  先般の委員会で防衛庁長官は、毒ガス等の使用はやるべきではないと考えておる、好ましくないという御答弁がございましたけれども日本の自衛隊も毒ガスの訓練等を行なっているのかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  182. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 自衛隊におきましては、ガスの防御訓練は行なっております。それはあくまでも相手方が使用した場合の防御、探知、除毒というような訓練でございます。しかし、当方からガスを使用という考えはなく、また、さような研究も訓練も行なっておりません。
  183. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 アメリカが使っておるガスは催涙ガスであって、国際法規に違反をしておる毒ガスではないというのは、何を根拠にして認定をされるのでありますか。アメリカが言っておるからそうだと思うんだということなんでありますか。その点はどうでしょう。
  184. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 軍事当局並びにアメリカ本国においても、今回用いたガスについての説明を世間に発表しておるのでありまして、これを根拠にして、もしそれが真実であるならば、いわゆる国際法上の毒ガスではない、かような判定をしたわけであります。
  185. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それは真実であるかどうか、どうやって確かめたのですか。外務大臣、自分でベトナムへ行って臭いでもかいできたようにおっしゃいますが、これは認定のしょうがないじゃないですか、アメリカの報道を聞いただけでは。あるいは、くさめガスあるいは催涙ガスだけでなくて、窒臭性のガスを使っているかもしれないですね。そういう点はどうなんですか。
  186. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 日本で直接これを実験したわけではございません。当局の発表を真実なりという前提のもとに、そういう意図であるならば、国際法のいわゆる毒ガスではない、さような判断をしたわけであります。
  187. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それはアメリカの弁明でしょう。私は軍隊にいたときに毒ガスの訓練を受けたことがありますが、そのときに、実際にくさめ性ガスあるいは催涙ガス等を使って防毒面をかぶり訓練をやらされたことがあります。そのときに上官が言うには、これは支那事変等においてもないしょの話だけれども、使ったことがあるのだ、しかし、これは国際法に違反する毒ガスなんだから大きな声では言えないのだ、こういうふうに言われたのをいまでも記憶しておるのです。そうすると、催涙ガスであろうとくさめ性ガスであろうと、あれはまともにかげたものではないですね。実際にやってみますと、私が体験をしたのは戦前の話ですから、いまもっとこれは進んでおるのじゃないかと思います。これはその中に窒息性ガスを用いられても識別のしょうがないし、死んだ者が、あれはかぜ薬じゃないけれども、死んだあとで異常体質だから死んだのだというふうに言い開きをされても、これはしょうがないわけですね。だからこそ、毒ガスというものは、その内容については窒息性ガスであるとか、びらん性ガスであるとか、あるいはまた、くさめ性ガスとかいうことを言わすに、毒ガスとして禁止しておるのじゃないですか。その意味から言うならば、アメリカの一方的な弁明をそのまま真に受けてこれを許容するというのは、私は態度として間違っているのじゃないかと思いますが、その点はどうでしょう。
  188. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ただいまのところでは、それを真実なりと信頼、信用いたしまして、そうして判断する以外にはないわけであります。   〔理事村山道雄君退席、委員長着席〕
  189. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 いま外務大臣に聞いたところでありますが、毒ガスについては、外務大臣の言うようにアメリカの弁明をそのまま信用しているほかないのだと、こういうふうに言われました。そうすると、毒ガスの問題についても、あるいはまた、アメリカが北ベトナムを爆撃をするという問題についても、すべてアメリカ側の言明というものを信用して、そうしてアメリカの爆撃行為等については、正当なりというふうに判断していくよりほかに日本政府立場としてはないのでありますか、どうでありましょうか。
  190. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) アメリカ自身のいろいろの声明発表等もございますが、イギリスあるいはその他の各国のやはり国際世論というものが、こういう問題については正しい評価をしていると、かように私は思います。ただいま、これは毒ガスなりやいなやという御議論でございますが、いずれにいたしましても、こういう意味のガスを使ったということ、それはイギリスからも、同情的な言い方をしておりますが、イギリスでは、どうも国際世論等を納得さす上において、それが国際法上不法なものでなくともまずかったじゃないか、かようなことを言っておるようでございます。私は、これなどは最も正しい見方をしているんじゃないか、かように思って、アメリカの発表、またイギリス、そのそばにいるところから、こういうような判断をしておるわけであります。
  191. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 これも新聞で見たのでありますが、ドイツでも、アメリカの毒ガスに対して抗議のデモが行なわれているという写真が出ておりました。プラカードには「ホイテ・ガス、モルゲン・アトム」何とか、というふうに出ておりましたが、「きょうはガスであしたは原爆だ」と、こういう意味なんですね。これはドイツでもこういうことを言われておる。そうしてアメリカの国内でも非難をされておる。こういうふうに、ほめておるところはない。ほめておるのは椎名外務大臣だけだ。これはまことに私はまずいと思うのですね。日本総理としてやはり、じゃ、東京なりニューヨークに、催涙ガスだから、窒息性じゃないから、ぶん投げられて平気でいられるかどうかという問題が考えられると思うのでありますが、やはりこれは抗議すべきものは抗議すべきだ。抗議するということがおっかなくてできないというなら、たしなめるくらいのことはやるべきじゃないかと思うのでありまするが、どうでしょう。
  192. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまあげられましたデモがこういうことを書いている、これでこれはやっぱり毒ガスだ、そのような認定は私はいたしません。もちろん責任のある諸君の言い方のほうを私はとるのでありまして、瀬谷君にしてもデモがどう書いたというだけでは、この問題を非難するには当たらない、かように思います。
  193. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 結局、そうすると、総理考え方も、アメリカの言うことをそのまま信用するということになる。ここにアメリカの国務省の報告として「北からの侵略」というパンフレットがあります。このパンフレットを見ますと、北から南に対する浸透作戦、侵略が行なわれるから、だからアメリカは北ベトナムを爆撃するのだということを、いろいろと立証した文章が書いてあります。しかし、その写真を見ますと、これは「北ベトナム陸軍が所属将兵に発行した身体検査記録」であるというので、その写真が載っている。ところが、ザ・ピープルズ・アーミー・オブ・ベトナム、こういうようなことを書いてある。フルネームが何々で、ポジションがどうで、ランクがどうだ、みな英語で書いてある。北ベトナムの陸軍の発行するこういう記録が英語で書かれてあるというようなことが、はたしてほんとうかどうか疑問を持つわけです。日本の陸軍でも軍隊手帳というのがありましたけれども、英語じゃ書いてなかった。たいがいこれは自国のことばで書いてある。これはアメリカの人間に見せるためにつくったんじゃないかなという疑問も出てくる。北ベトナムで、それじゃ英語でもって、ローマ字でもってこういったような記録を一切発行しているかどうか、こういうようなことを考えてみますと、アメリカの国務省のこのパンフレットも、どうも信用できないということになる。その点はどうでありましょうか。あくまでも信用するというふうにお考えですか。
  194. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまお示しになったパンフレット、これはどういうときにどういうふうにしてつくったか、これは私は見ておりませんからわかりません。しかし、今日までアメリカ側が北を爆撃した。これは南に対する間接侵略、あるいは直接侵略等が行なわれた、それに対して行なっておることは、その事実は認めていいだろう、かように私は思います。さらに昨年など、ああいうサイゴンで爆破事件が起こる、こういうことがいわゆる関節侵略にあらずして何ぞやと言いたくなるような気持ちだろうと思うのです。こういう点もよく冷静にものごとを判断していかなければいかぬ。私は、その原因がどこにあろうと、とにかくこういうふうな戦火がだんだん拡大していく、こういうことは好ましい状態ではない、かように私は思いますので、私ども日本政府態度をはっきり表明はいたしております。また、しかしながら、かように私どもが平和をいかに念願すると、かように申しましても、ただいまの現地にいる諸君は、なかなかこれには耳をかしてくれない、これも現実であると、かように私は判断をしております。したがいまして、このベトナム問題について、平和への道を念願しておるものはひとり日本ばかりではなく、ソ連もイギリスも、大国等はみなさような考え方をしておりまするが、これが実現しない。現実に現地における双方の対立、これはまことに激化しておる。私どもはその渦中にないだけに、判断は冷静にはいたしますが、冷静にしたというだけでは、これが説得力を持たない、これを現地で取り上げてもらえない、こういうところに私どもの悩みがあるのであります。これはたびたびいままで説明したとおりでございます。まことにそういうような実情にあることを御了承いただきたいと思います。
  195. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それなら、もしこのアメリカのパンフレットをそのまま信用するとしても、この中には「軍事作戦の進展につれて、ベトコンは南ベトナムで政府軍から捕獲した兵器に大きく依存するようになった。これは今日も依然としてベトコンにとって重要な兵器弾薬の供給源となっている。」と、ここに書いてある。政府軍から捕獲した兵器に大きく依存しておるのだ、こういうことを書いてあるのです。そうすると、必ずしも北の武器ばかり使っているという意味じゃないわけですね。この点を考えてみるならば、南ベトナムにおける醜態というものは、南ベトナムの国内問題であるというふうな認識を持つことも、これは誤りではないと思うのでありますが、そういう点はどうでありましょうか。
  196. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ちょっとその前に、あなたの例証されたこの身分証明書でございますが、この右側に書いてあるのが、いわゆる翻訳であって、左側のが本物の証明書でございます。それで英語で翻訳するとこういうことが書いてある。左のほうは本物でございます。
  197. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 じゃ、左のほうは、これはベトナム語なんですか。
  198. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) どうもフランス語でもなさそうですから、ベトナム語——ベトナム語だそうでございます。
  199. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 発音はベトナム語であっても、書いてあることは全部ローマ字で書いてあるわけなんですよ。これをなおかつこのまま信用していいかどうかという問題はまだ残ると思うのです。  それから今度は、韓国の南ベトナム派遣ということが現実に起こっておるのでありますが、これは正しいとお考えになっておるでしょうか。
  200. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 両国間の間のことでございますから、とやかくわきから批判することはいかがかと思いますが、先般私が訪韓をいたしました際に、二千名の柳国の軍隊をベトナムの現地に派遣するという計画を聞いておるのだが、はたしてそれは真実であるかということを外務部長官にただしてみたのであります。それによりますと、二千名の部隊は、これは非戦闘部隊である。そしてどういう使命を持って向こうに行くかといいますと、これは橋梁であるとか、道路であるとか、そういったような公共施設が相当に破壊され、荒廃しておる。で、とにかく軍隊、軍用にも使うでしょうけれども、一般のともかく国民がこの荒廃したところに住んでおる。これを自分らの協力によって早く元のように復旧したい、こういう考えであり、これはベトナム政府の要請によるものであるという説明を向こうで聞いております。そういうことでありますので、それ相当の理由があるものと私は聞いて帰ってまいりました。
  201. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 日本もLSTをはじめ相当多くの船が行っているようでありますが、この南ベトナムの一方に加担をするようなことは、少なくともやめるべきではないか。その意味からするならば、日本の船舶が北ベトナムだけでなくして、南ベトナムに対しても船を派遣したり、あるいは人員を派遣するというような点については差し控えるということのほうが、現状においては妥当じゃないかというふうに考えられるのでありますが、その点は総理としてはどうお考えになりますか。
  202. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 相当の数の貨物船が、補給のために日本からベトナム方面に運航されておりまして、これに船員として日本人が雇われておるのであります。これは日本の基地から補給輸送をやっております。これは当然日米安保条約のワク内において行なわれておる問題でありますから、したがって、これに雇われておる日本人船員がありましても、やはり日米安保体制のワク内であるというので、これを不当視することはできない次第であります。
  203. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 安保体制だから、ある程度米軍の行動に対して協力をするのは、その地域戦場であってもこれはやむを得ないというふうにお考えですか。
  204. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 戦場であるか職場でないかという判断はしばらくおくといたしまして、ベトナムに輸送船に従事する日本の船員がおりましても、これは安保体制のワク内であるから、これを不当なものとして、これに対する措置をとることは考えておらないのであります。戦場であるかどうかということについては疑問でありますが、少なくとも瀬谷さんの質問の要旨が、非常に危険を感ずる地域ではないかというふうな意味が含まれておるかと思いますが、ただいまの状態では、さような、非常に近づけば必ずしもやられるというような危険な地域ではない。もっと危険なところに各新聞社の報道員がどんどん行っているのでありまして、そういう場合に危険であるからやめろというような措置はとっておりません。しかし、だんだんそういうふうな客観情勢になりますれば、適当にそれに注意を与えて、みずからの判断によってポストを去るか、続けるかということを自由選択させるということもあり得るかと考えております。
  205. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 危険な場所じゃないというふうに言われますけれどもサイゴン爆発事件があったですね。サイゴンがやられるようじゃ、もう最後だというような気もするのでありますが、それでもなおかつ危険じゃないというのは、どういうわけです。ジャングルや何かに探険に行くのとわけが違うのです。これは、アメリカ軍に付随をして行動するということ自体が、相当危険を伴うというふうに考えていいのじゃないかと思うのでありますが、その意味では、やはり日本人が、船員であれ何であれ、近づいていくということは、ほぼ戦場に行くのと同じものと考えていいのじゃないでしょうか、その点はどうでしょうか。
  206. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 船員は自由意思をもってアメリカの運送船に雇われているのであります。これを強制してやめさせるというようなことは、これは行き過ぎであると思います。そこで、危険の客観的な情勢がもっと濃くなってまいりましたならば、あるいは当人はそういうことを知らずに自分の仕事に従事している場合もあり得る。そういう場合には適当な注意を与えて、そうして自発的に措置をするという機会を与えるのが親切である、かように考えております。
  207. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 二十九日に、李ラインで日本の漁船が韓国の警備艇に追跡されたというニュースがありましたけれども、この期に及んでなおこういうことをやっているわけでありますが、政府としては抗議をいたしましたか。
  208. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 政府委員をして答弁させます。
  209. 後宮虎郎

    政府委員後宮虎郎君) 御指摘のような情報がございまして、気をつけたのでございますが、探照灯で照らして、何をしているのか確認した上で去ったということでございまして、普通こういうことがございました場合、海上保安庁から、不当な追跡を受けたりなんかした場合、連絡があるのでございますが、それが今度の場合まだございませんので、一応その外電の報道のとおりであるか、というふうに信じているわけであります。
  210. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 総理は、将来に疑義を残さないように、閣議でこの日韓交渉については要望したというふうに伝えられておりますが、疑義を残さないような形で妥結の方向にいっているのでありますか、その点お伺いしたい。
  211. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 疑義のある点は、お互いにこれをきびしくただしているようないま状況でございます。かような態度で会談が進行する限りにおいては疑義が残らない、かように考えております。
  212. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 妥結の見通し等に至っているのかどうかということを聞いたのであります。その点どうでしょうか。
  213. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) すでに入っておりますが、いろいろやはり広範な条約でございますので、なかなかはっきりした、きょうにできるかあるいはあすにできるかというようなことにつきましては、まだ的確なる見通しはつきませんが、大体において終局の場面に入っている、こう申し上げることができると思います。
  214. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 最後に、三矢研究問題について総理の見解をお聞きしたいと思います。ついにこの具体的な資料は、政府としてはひた隠しに隠して出さなかったのでありますが、明らかになったことは、あのような研究が総理をはじめ閣僚の知らないまに行なわれたということであります。これは非常に問題だと思うのでありますが、こういうことで、はたしてシビリアン・コントロールが確立できるかどうか、その点不安はないかどうかについて、総理の見解をお聞きしたいと思います。
  215. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いわゆるシビリアン・コントロールというのは、政治優先と申しますか、このほうがよくわかる、政治優位という立場だと思います。それからただいま、そういう計画があった、そういうことが行なわれたということを言われますが、これは瀬谷さんの御承知のとおりですが、私はあれは単なる演習であったということは明らかであり、これが具体的に決定を見たとか、あるいはこれが採用されたとか、こういう事実でないということは、これはだんだんわかってきたと思います。したがって、いわゆるシビリアン・コントロール、その原則に抵触したような事態ではない、かように私は思っております。なお私がお答えしたことで不十分であれば、防衛庁長官から補足いたします。
  216. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 三矢図上研究の問題につきましては、従来たびたび申し上げておりましたが、幕僚の研究の答案を集めたのでございまして、これを結論を得て、あるいは問題を調整して防衛庁の正式見解にするとか、これを取捨選択というような段階になりますると、当然シビリアン・コントロールが働かなければならないのでございますけれども、そのずっと前の問題でございますので、この点については、文民優位の原則が侵されておるとは私ども考えないのでございます。わが自衛隊はあくまでも文民優位の原則を貫き、民主主義体制のもとにおいて、隊員も国の防衛にその力をいたすということに鋭意努力をいたしておるのでございまして、今日、文民優位は完全に貫かれておると、私は自信を持って申し上げることができるのでございます。なおまた、将来の問題等については、今回のことを契機としまして、大いにわれわれもさらに注意をしていかなければならない。年度の恒例の図上研究をやりましても、でき得れば内局と部隊とがさらに出そう緊密に連絡をする、長官もこの実情というものをよりよく把握しまして、細心慎重に注意を払ってこういうことを行なって、世上誤解のないようにしていかなければならないということを、私は痛感をいたしておる次第でございます。
  217. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 単なる研究だというように言われましたけれども、単なる研究というには、しかし内容がこれは大き過ぎると思う。研究は職務に反映するんだということを海原防備局、長も答弁しているわけです。そうすると、単なる研究とはわけが違うのです。問題は、こういうことを閣僚をはじめ国防会議のメンバーに至るまで全燃知らなかったというところに、私は問題があるんじゃないかと思うのです。この研究を突き詰めていくならば、憲法をそのままにしておいたのではどうにもならぬということになるでしょう、内容的には。そうすると憲法というものを改めるか、あるいは無視するかしないと、これらの研究を、いざという場合には実行に移せないということになるわけです。そうすると、そういう研究を、総理大臣をはじめだれも知らなかったということになると、これはえらい問題だと思うのです。たまたま今回はばれたから騒ぎになったけれども、もしばれなければ、そのままいってしまったかもしれない。佐藤総理が、これはシビリアン・コントロールは確立をされているというふうに確信をするだけ、はたしてほんとうに文民優位ということが確立できるかどうかという保障はないわけです。特にこの研究の結果というものをひた隠しに隠して、ついに今日に至るまで内容を明らかにしなかったわけです。こういう秘密の保障というものを自衛隊に与えておったのでは、これは極端に言えば、自衛隊の中に明智光秀が出たならば、佐藤総理だって簡単に寝首をかかれるということになってしまうのじゃないか。防衛庁長官が、そのようなことはないと思います、そういうふうにいかに忠誠を誓うつもりでも、その場になれば、たかだか森蘭丸の役割りしかできないのじゃないか。そういうことは、これは自民党、社会党の問題じゃないと思うのです。そういうことを真剣に考えなければならぬと思うのでありますけれども、これらの研究の内容を、単なる陸特等にまかせ、その陸将というものは、どこと連絡をとっておるかわからぬというような現状で、はたして今後文民優位、シビリアン・コントロールというものが確立できるかどうかという点について、われわれは不安を持つわけであります。だから国会をコントロールしたり、あるいは閣僚を単なる飾りものにするというような風潮は、厳に戒めなければならぬと思うのでありますけれども、それらの点についての今後の対策、あるいは今後の方針というものは、どのように確立をされておるのか、確信をもって国会に答えられるのかという点について、総理の見解を再度お伺いしたいと思います。
  218. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は過去におきましても、文民優位、この原則は守られておる、また今後も必ず守られる、かように私は確信を持っております。どうも瀬谷君は、たいへん懐疑的であられるようですけれども、私はどうも懐疑的なこともけっこうな面があるかもわかりませんが、どうも行き過ぎると賛成しかねます。
  219. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 時間が終了いたしておりますから簡単に……。
  220. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 行き過ぎと言われますけれども、過去においてクーデター等はなかったわけじゃない。犬養さんが殺されるときだって、そういうことを予期していたわけじゃないのです。あるいは二・二六事件高橋蔵相がやられた場合でも、そういうことをよく承知した上でやられたわけじゃないと思うのです。こういう事態が起きてしまってからじゃ間に合わないと思うから、私はあえて申し上げるわけであります。これはむしろ念には念を入れて、憲法に違反をするような行為は、公務員としては行なうべきではないという考え方を自衛隊に徹底をするという点で、いささか今回は不十分であったというふうに考えられるのでありますが、その点についての反省がはたしてなくていいのかどうか、最後にお伺いしたいと思います。
  221. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 御注意は御注意として承っておきます。
  222. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 瀬谷君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  223. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、奥むめお君。
  224. 奥むめお

    ○奥むめお君 議事進行についてちょっと伺います。  ただいま一時間の空白がございました。われわれ小会派の者は十分しか与えられていない、質問の時間が。一時間空白になったということは、これを全部に割ったら議事進行がスムーズにいったのじゃないか、いかがでございますか。
  225. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 時間の割り当ては、会において決定いたしますので、委員長としては理事会の決定どおり執行しております。
  226. 奥むめお

    ○奥むめお君 それでは私の質問に入ります。  緑風会の一員といたしましてここで質問いたしますわけですが、私は総理に、消費者行政のあり方について、粉飾のない御答弁を承りたいと思います。  消費者行政とは、このごろやかましく言われておる社会保障制度のすべてを含むものと思いますけれども、いまの世の中あるいは政府の立脚点が古い資本主義のワクを出ておりません限りは、こういうことは求めても得られないものだと思います。総理はその中で何をしようとしていらっしゃるか。国民は消費者行政の推進に悲願を持っております。これを御存じでないとは思いませんが、総理は何からそれをしようとしていらっしゃいますか、それを伺いたいと思います。
  227. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま消費者行政についてどう考えるかというお尋ねでございます。最近の経済事情あるいは政治の問題にしましても、たいへん非常にはっきりしてまいったことは、すべて人が最終的には消費者、やはりそれにつながる意味において経済活動もし、また政治活動もすべきだ、それで初めて資本衣も労働者もまた同じような立場に置かれたことになる、そういう意味で、経済活動も政治活動も、すべてが消費者に直結する、こういうことにならなければならない、こういうことが言われております。ただいまの時代は、そういう意味では消費者中心の政治はかくあるべきだ、かように言われておると思います。私の言ういわゆる人間尊重あるいは社会開発という面も、やはりそういう意味合いのものだというふうに、私みずからは理解しております。
  228. 奥むめお

    ○奥むめお君 私どもが願っておりますことは、命を大切にすること、働いて得た金をむだに使わせないようなことを進めること、またこのために指導監督を強化すること、せっかくよい法律をつくりましても、それはわずかなものですけれどもPRの予算がない、国民は一向に知らない、こういうふうなことがずいぶん多いのでございますが、先進諸国では消費者委員会というものを各国が置きまして、国政なり市政なりに家庭の声を反映させることに努力しておりますが、日本でも消費者行政がばらばらにあったのをまとめるために国民生活局を置く、こう説明されました。ところがそれが一年たなざらしになりました。これはいかなる理由によったのでしょうか、総理からお伺いをいたします。
  229. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今回ようやくそれが御審議をいただいておるということでございます。奥さんはたいへん的からこの点については御熱心でございまして、私が通産大臣時分にも、消費者行政について、JISマークその他についてお尋ねをいただき、当時からいい品物をまた安く提供する、こういう意味の、政府自身が裏書きをする、保証する、こういうようなことをいろいろやっておるということを申しましたが、それが積極的でないと、たいへんだしなめられた。ただいまも国民生活局、その発足自身につきましても同様でございます。まあ今回ようやくこれが法案提案して御審議を願う、こういう段階になりましたので、おそまきながらまずまずその線に沿っておるんじゃないか、かように思っておる次第でございます。
  230. 奥むめお

    ○奥むめお君 時間がないのでたいへん残念ですが急ぎます。で予算の上で見ますと、三十九年度と四十年度は大体公平に一割増で、ほとんど重点政策がないのでございます。新しく登場された新総理は、人づくりとか社会開発とかいろいろおっしゃっていらしゃいますけれども国民は何をしようとするのであろうか、当惑しながらも期待しております。  期待の第一は、物価を下げてくれる政策をとるか、池田内閣が各種のひずみを残していきましたが、佐藤総理は十二分に御承知であったし、その上に台所の安定、物価の安定には全力をあげるとの言明でした。しかるに今日まで値上げされた品目は、米をはじめ三十以上に及びますのに、安定、抑制のための政策なり対策が打ち出されていないのはなぜでしょう。庶民は三十五年以来現在まで上がり続ける物価を、政府はただながめているにすぎないんじゃないかとため息をついております。多少ふえた賃金や収入は、すべて高い物価で消されていきます。いまからどのような物価対策を出されるかお示しを願いたい。
  231. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) なかなか手きびしい御批判をいただいておりますが、もちろん、佐藤内閣は物価と真剣に取り組むということを、組閣冒頭から実は申しております。今日までいろいろ努力してまいりましたが、それがために直ちに効果があがるというような名案があるわけでもありません。この政治の姿勢、経済と取り組んでいる姿勢、これによりまして経済が安定成長の方向に向かっていく。同町にまた、それぞれの部門において本来の軌道へ乗せるというようなことで、着々と準備を進めておる次第でございます。私は、この準備が進めば、その次は物価が上がらないで進んでいくんじゃないか。必ずしもいわゆる公共料金の一年間ストップ、こういうようなことがいいわけではない。一年経過した後には、必ず——当時そういう議論も出たのでございますが、一年経過したら必ずそういうものを上げなければならなくなる。賃金そのものはストップはしていない。こういうことを考えてまいりますと、ずいぶん無理があるんじゃないか。やはり経済自身を安定基調に乗せるということでない限り、本来の姿は取り戻せないのではないかと思います。ただいまは経済界も一時のような非常な活発な動向を示しておりません。そういう意味から、だんだん物価が沈静してきておる、そういう道をたどっておる。最近の卸売り物価が弱含みである。その状態等も、今後の物価の動向を見きわめることができるのではないか。また新聞などが報道しておりますように、旭硝子なども値段を下げるというようなことが出ておりますが、順次安定の方向にいくのではないか。また消費者物価、ことに台所用品等については、食生活、その方面の蔬菜、肉あるいは魚等については、これは特に農林省あるいは地方自治体等の協力を得まして、積極的にそれぞれの手を打っていく。こういうことで、こういう際にかかわらず順次沈静の方向に向かっているのじゃないか、私はかように考えておる次第でございます。
  232. 奥むめお

    ○奥むめお君 住宅の問題、政府は四十五年度までに一戸一住宅をたてまえとして建てていく、こう発表していらっしゃいますが、もうすでに民間では三畳ないし四畳半くらいの一月一住宅のスラム街ともいうべきそまつなバラック・アパートが建っております。統計で見ましても、こういうふうなものが半数以上を占めているということでありますけれども、これが人間の住む家であろうか、このように思われるのでありますが、しかも一年ないし二年契約で、期限がくれば家賃を上げられて、権利金あるいは敷金、お礼金をまたとられて、貧乏な国民はいよいよ困るわけでございます。これらの契約は一切法律的な保護も受けられないし、また子供ができたからといって妊娠中の女が貸し間さがしをしなければなりません。子供ができると入れてくれないからでございます。これらにつけ込む不良住宅やあるいは不良周旋屋や違反建築がどんなに多いか、政府は実態を調査して至急対策を立ててほしいと思うのでございます。国際連合では、住宅は営利の対象にしてはならない、国家または地方自治体がこれを建てるべきだということを申しておりますが、日本はまるで民間の搾取にさらされていると言わざるを得ないのでございますが、こういう問題について、総理は、いかに、かわいそうな、営利の対象にされている薄給なんたちを保護しようとしていられるか、私はこの問題で聞きたいと思います。
  233. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 住宅問題につきましては、奥さんの御指摘のように、私もこれと真剣に取り組もうという政治態度を明らかにしてまいっております。この住宅の問題を、戦後の状態で考えますと、この際は、住む家、そういう意味で、その広さなどについてもほとんど注文がなかった。これはちょうど災害を受けたあとの緊急住宅というような意味のものが非常に多かった、かように思います。しかしながら、世の中がだんだん落ちついてきて、そうして今度は住宅の中身についても注文をつける。ただいま、三畳、四畳、そういうものは、だんだんつくるほうの住宅公団等で取り組むにいたしましても、最近の規模は、これが六畳だとか、八畳だとか、あるいは三間にする、四間にする、こういうようにだんだん大きくなってきております。これは私、いままでの経過から見まして、不足のときから見て、これはやむを得なかったと思う。とにかく数をふやすということに非常に力を入れる。しかし今度は、だんだん数がふえてきた、それならば中身をひとつ整備していこう、こういうことでやっておる。もうそれだけではなく、今度は持ち家、家を持ちたい、そういう希望に沿うように家をつくろうじゃないかということに政府が踏み切った。ことしなどは、そういう意味法案提案し、審議をいただいておるような次第であります。もともと住宅の問題になれば、年齢的にふさわしい規模が要る、また内容等も、一ぺんに若いうちに一生住む家はなかなか見つからない、これが皆がたどってきた住宅の問題ではないかと思います。そういう意味で、ただいまのような御批判を受けるのでありますが、本筋から申して、私の考えておるこの考え方には御賛成いただけるだろうと思いますが、ただ現状におきましては、周旋屋その他ずいぶん信頼のできないものも多く横行しております。そういう点で、借家人を保護するのにまだこと欠いている、こういう点を注意したらどうかと、こういうお話でありますが、今後、住宅を提供するだけでなく、それが正しく利用されるように、その間にいかがわしいことが行なわれないように、私ども一そう注意してまいりたいと、かように考えております。
  234. 奥むめお

    ○奥むめお君 私はたくさん質問があるけれども、何しろ一時間も空費しながら、質問時間は制限されました。これは委員長に、先ほど申し上げたように、善処してもらいたいと思います。  生活協同組合について総理はどう扱われるかということを伺いたい。私、議員生活の間、生活協同組合の問題が出るたびに、消費者として非常に目ざめた人たちだ、この仕事を育成助長しなければ、政府の物価対策は困るんじゃないかということをいつも申しておりましたが、今度たまたま租税特別措置法で、森林組合も恩典に浴するようになりましたが、私たちの生活協同組合だけがはずされているのでございます。総理は、こういう不公平な扱いを政治家としてお認めになりますか、何とかその問題に御返事が伺いたいのであります。
  235. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 生活協同組合につきまして租税特別措置法の特典を与えよという年来の御主張でございます。御承知のとおり、中小企業関係の協同組合等につきましては中小企業基本法等ございますし、また森林組合につきましても農業基本法等がございますので、そういう意味でこの特例を認めてまいったわけでございます、この生活協同組合が、中小企業等との競合等いろいろな問題がございまして、いままでは、生活協同組合につきましては、この特例を認めるわけにはまいりませんと、こうお答えをしてまいったわけでございますが、非常に長いこと御主張になっておりますし、私たちも本件に対しては検討、研究をしてまいりまして、税制調査会にひとつ諮問をいたしまして、何とか考慮してみたいという考えに現在立ち至っております。
  236. 藤田進

    ○藤田進君 奥委員から、しばしば一時間の空費を指摘されるのでありますが、事情を御存じないと思うので、簡単に説明したいと思います。奥委員の前に瀬谷委員が順序になっておりましたが、瀬谷委員は、今朝来、建設委員会委員長代理でその席に着き、審議を進めているので、そこで奥委員に繰り上げてやっていただこうといろいろ手配いたしましたところ、主婦会舘においでになってどうにもならないというようなことで手間どったのでありまして、いたずらに空費したわけでもないので、この点御了承をいただきたい。
  237. 奥むめお

    ○奥むめお君 委員長、さよう御承知でございますか。——どうぞよろしくお願いいたします。  私から言いますと、生活協同組合は、消費者教育の一番の本筋をいくものだと思います。政府がなすべきことを生活協同組合がしている。たとえば、家計簿をつけましょうということも、日銀のつくっている家計簿でわれわれは教えている。家計簿のまとめ方も私どもが教えている。それから物価調べもやっている。品質の研究もやっている。こういうふうに、生活協同組合のやっていることに政府が感謝しなければならないほど、物価安定のために働いているわけであります。しかるに、いま大蔵大臣から言われましたように、何ともこれが明るい解決方法をまだ示されていない。まことに残念だと思うのでございますが、総理大臣いかがでございますか。生活協同組合が、このように、政府ができないことを、物価安定のために働いている。これを育成保護することは、しかも税金の上でわずかに五千六百万円のものでございます。租税特別措置法に、ほかの非営利の組合がみんな恩典にあずかったのに、なぜ生活協同組合だけがはずされたか。これはおそらく自民党の中にこの対象を毛ぎらいなさる人があるのじゃないか、私はこのように邪推しておりますが、総理はそういう誤解を解いて、予算をお出しになることができませんか。
  238. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  ただいま大蔵大臣がお答えしておるように、今度税制調査会にその意見を徴して、そして十分検討したい、かように申しております。申すまでもなく、政府自身が単独にやるとかいうことよりも、こういう制度そのものですから、調査会の意見を徴して、そうしてこれに処していくというのが望ましい姿のように私は思います。  ただいま、消費者生活協同組合、これについてのいままでの功績をるる述べられましたが、私はこの種のもの、みずからがみずからを守る、そういうことが今日やむを得ないような処置であるかのように見受けられますが、もっと世の中が落ちついてまいれば、ただいま申し上げましたような、消費者がその立場においてみずからが、みずからを守るのだ、こうじゃなくて、いまの世の中の機関、経済社会の機構そのものが消費者中心の方向で動いておれば、おそらくここまで考えなくても済んだのじゃないか、かように私思いますが、どうも私どものような考え方にはなかなか世の中がなっておらない。そういう意味から、協同組合が発足し、そうしてみずからが近代的な家庭をつくる方向への努力をしておられる、同時にまた安い品物を消費者に自分たちの組合で直接提供する、こういうようなことをやっておられるのだと思います。私は、協同組合自身がこれはりっぱな仕事をしておられる。偏見は持っておりません。しかして、ただいま申し上げるように、税制調査会の意見を徴し、しかる上にこれを処置していくというのが望ましい姿だと、かように思っております。
  239. 奥むめお

    ○奥むめお君 来たるべき税制改正のおりには、租税特別措置法の、生活協同組合関係の予算を組んで、改めてくださるということを約束してもらいたい、いかがでございますか。
  240. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 奥さん、非常に長いこと御主張になっておりますから、ここでそういたしますとお答えしたいのでございますが、この問題には非常に経緯がございます。先ほど申し上げましたように、農業、漁業、林業、こういうものには農業基本法がございますし、それから中小企業等協同組合につきましては中小企業基本法がございます。もう一つは、消費生活協同組合と中小企業とは非常に競争関係にあります。そういう意味で、なかなか、理論的にも、税の公平論からいいましても、むずかしい問題があって、今日に至ったわけでございますが、私としては、相当前向きに先ほど答弁を申し上げたわけであります。ひとつ、長いこと御主張になっておりますし、私たちも、四十一年度の税制改正までには、税制調査会にも諮問を申し上げて、できるだけ善処をいたしたい、こう申し上げておるのでありまして、ここでいたしますと、こう言えば一番いいのでありますが、ここらでひとつ御了解をいただきたいと思います。
  241. 奥むめお

    ○奥むめお君 総理も御賛成でございますか。
  242. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま大蔵大臣からお答えしたとおりで、私も大蔵大臣に聞いておりますが、そのとおり進めてまいりたいと思います。
  243. 奥むめお

    ○奥むめお君 どうも感謝いたします。よろしくお願いします。  私の質問はこれをもって終わりといたします。
  244. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 奥君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  245. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、岩間正男君。
  246. 岩間正男

    岩間正男君 私は時間の関係から率直に質問いたしますから、総理も率直にお答え願いたいのであります。  第一の問題は、金聖恩韓国国防相がベトナム戦線視察のためサイゴンにおもむく途中、羽田で、これは二十八日夜ですが、日韓会談が妥結すれば日本自衛隊との協力関係も生まれてくるだろうと言ったということを伺っています。これこそ、会談成立を急いでいる真のねらいがここにあるのじゃないか、こういうふうに思われるのですが、この点いかがでしょうか。
  247. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 国防長官がさようなことを話したということを新聞承知しておりますが、これはまあ全然日本といたしましては関知しないことでございまして、さような御推測は全然事実に相違しておると、かように申し上げたいと思います。
  248. 岩間正男

    岩間正男君 関知しないと言うが、非常にこれは重大な問題です。これは日韓会談のねらいがどこにあるかということが非常に問題になっておるときです。その矢先です。したがって、これについてあなたは確かめたかどうか。少なくとも、このようなものを談話で、しかも日本の玄関の羽田で言っておる。羽田で、場所もあろうに日本の玄関の羽田で、しかも国防大臣ともあろうものが根拠もなしに軽々しくこういう言明をするとは考えられません。したがいまして、当然これは、日本と韓国の間で、当事者間で常にこういうことを話し合っておるのです。心やすだてに日本に来たついでにこういうことを言われたんじゃないか、こう言われてもしかたがないと思うのですが、いかがですか。
  249. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 全然関知いたしません。
  250. 岩間正男

    岩間正男君 こう言ったことについてはどう思いますか、総理に聞きます。
  251. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 率直に申し上げますが、全然知らないのでございます。
  252. 岩間正男

    岩間正男君 こういうことを言ったことについて、どういう見解を持つか。
  253. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 向こうが言ったということは、私は知らないのです。
  254. 岩間正男

    岩間正男君 知らぬ存ぜぬで済む問題ではないのですね。国の玄関に来て、そしてこのような重大な発言をしたことに、知らぬ存ぜぬで済む問題ではないのです。非常にこのことをわれわれは重大に考えておるし、国民も非常に心配しております。日本でいまこの自衛隊の問題でこんなに騒いでおるじゃないですか。三矢問題を中心としてかってないほど大きく騒いでいるとき、私は単純なことばではないと思う。二月の二十七日の韓国国会の本会議の緊急質問で、民政党の姜文奉議員は、日韓会談の早期妥結をめぐる日米秘密取りきめを暴露した。その内容は第一に、米国が担当してきた極東の対共産国への防衛を日韓両国にまかせる。第二は、日韓両国に米原子力潜水艦の寄港地を設ける。第三には、韓国軍の装備は、日本の軍需工場で生産、調達する。この三点であるといわれております。総理はこれは御存じないですか。日本とも非常に深い関係のある問題ですが、いかがですか。
  255. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 岩間さんにお答えしますが、先ほどの国防長官、これが羽田で何と言ったか私知りません。しかしながら、いまお述べになりましたような事件、事柄について、私ども日本にりっぱな憲法があることをはっきり記憶しておるのであります。これは国民全部が銘記しておる、かように私は信じております。確信しております。したがいまして、ただいまのような話が出ましても、一体、それは何を意味するか、かようなことをわが憲法に照らしてみて、一体どういうことだろう、かような疑問を持つだけで、りっぱにこの憲法を守る、こういう立場日本国民は行動しておる、かように私は確信しております。
  256. 岩間正男

    岩間正男君 われわれも憲法の立場から心配しておる。日本の平和のためにこれは心配しておる。ところが、どうですか。たとえばこの国会最大の疑問は三矢でしょう。三矢の中には、日米共同作戦はじめ、たくさんの秘密協定があるだろうと言われておる。これに対して、はっきり国民の前にこれを解明するだけの何らの措置もしていない。暗箱の中に投げ込んで、疑惑は依然として疑惑で残しておる。こういうかっこうでしょう。そうすると、韓国の国会でこういう質問がなされた。当然これは国民の疑惑はここに向いてくるのはあたりまえでしょう。それを代表して私が質問するのはあたりまえでしょう。これをやらなければ私は怠慢なんだ。こういう形で私は質問しておる。私はこういう問題と関連して、十二月に取りきめた韓国への緊急援助二千万ドルの借款、これはどうなったのか。  それから今度の日韓会談の妥結にあたって、一億ドル以上を三億ドル以上に改めようとしております。きのうの総理答弁では、三億ドル以上も一億ドル以上の分に入るのだからさしつかえないのだというような答弁があったと思う。そういうことでは、国民はこれは納得しませんよ。先ほどの韓国国会で問題になった、韓国軍の装備は日本の軍需工場で生産調達する、こういうような事態と非常に深い関係があるのじゃないか。これが日韓会談をめぐっている背景じゃないか。日本の経済情勢を考えても、はっきりこれと平仄が合うような感じがするのですが、この点いかがですか。
  257. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 二千万ドルの問題は、なおいろいろな韓国の政情のためにおくれておるようでございますが、最近これがいよいよ具体化することになっておりますが、その内容は、今日、韓国の諸工場が原材料不足、あるいはまた設備の摩耗等によって、完全に動いていない。そこで設備を補修したり、あるいはまた原材料を補給いたしますと、工場がフル運転に近い操業をする。こういうことが、国内の経済及び対外経済の面において非常に大きな貢献をするというので、その二千万ドルの金をどういうふうに使うかというようなことにつきまして、詳細に事務的な折衝が行なわれおるような状況でございまして、決してそれを軍需方面に使うというような性質のものでないのであります。  それから一億ドル以上というのは、民間ベースの資金供与は多額にこのほかに期待されるというのを、まあ一億ドル以上、こういう表現を向こうの要請によって使ったのでありますが、今回の会談を進めてまいります過程において、漁業協力資金あるいは普通船舶の建造資金、そういったようなものが逐次具体化してまいりました。これら具体化したものだけでも一億数千万ドルにのぼるのでございますから、これはすなわち一億ドル以上の民間供与の資金というものに該当するものであって、それがすでに一億ドルをこえて具体的に固まりつつある、こういうような状況からいたしまして三億ドルということにいたしましても、決してそれは空漠とした数字のもてあそびではない、現実性を持っておるという点にかんがみまして、これを三億ドル以上ということにいたしたのであります。
  258. 岩間正男

    岩間正男君 第一の問題は、十二月、緊急だ、急ぐのだと言って、それから四カ月おくれていまだにこの問題がはっきりしておらない。こういうことですから、これは国民が疑惑を持つのはあたりまえです。  第二の問題は、一億ドル以上ということで三億ドル以上、そうすると、漁業関係、船関係で一億二千万ドル、あとの一億八千万ドル、さらにそれ以上、これがどうなる。これが非常に、いまの日韓会談妥結をめぐる背後の情勢として、重大な問題なんだ。いろいろな答弁をされたけれども、とても、そこのところ、これは解明できないのじゃないのですか、どうですか、一億八千万ドルというのを。
  259. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 韓国の現在の経済建設の面からいいまして、まだまだ膨大な数字にのぼらなければならぬのでありますけれども、しかし、そのうち最も厳選して、大体合わせて三億ドル以上ということならば、これはきわめて固いところである。そうして、しかも、きわめて現実的なことになってくるのでございますので、ただいまは、その内容を具体的に発表するまだ段階ではございませんが、韓国の五カ年計画の情勢から見ましても、十分にこの数字は説明がつくものである、かように考えております。
  260. 岩間正男

    岩間正男君 私の質問に対する答弁になっていないですよ、どうもいまのようなことでは。ことに船の建造費なんといっても、この船を何に使うかという問題も、これは新たに出てくるわけですから……。  私は、時間の関係で次に移りますけれども、過般、韓国軍が二千人ベトナム派兵をやったわけです。ダナンに上陸をした。これは事前に日本政府に知らせがあったかどうか。当然アメリカを通じてそういうことがあったのじゃないか。また、一個師団の増派について、これは目下検討中と言われておりますけれども、これについてどういうふうな情報をつかんでおられるか、これは総理大臣にお聞きしたい。
  261. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 事前に何らの情報も通告もございません。
  262. 岩間正男

    岩間正男君 協力だけさせられて、あとは何も知らされない……。
  263. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) あと一個師団の問題は何にも聞いておりません。
  264. 岩間正男

    岩間正男君 知らぬ存ぜぬ、それでまかり通る。それで予算はあと一時間後に通る。平仄が合っているのだ。そんなことでは、とても話になりませんよ。国民を愚弄するものだ。今度のベトナムの北爆について、知らせがあったかと私はこの前ここで聞いた。そうしたら、全然ないのです。単なる情報提供です。それで、きのうはあなたは、ちゃんと公式な通告がありましたと。うそですよ。あれはだめですよ、あんなことでは。あなた、きのうそう言いましたよ。ちゃんと私聞いていた。完全にとれないから、黙っていたけれどね。そういうことですよ。私は、こういうやり方で、しかも、もう準備がどんどん進められているのですよ。今度は、NATO方式に韓国の出兵の様子が改められた。あるいは李承晩や張勉など在で追放解除になって、そうして、もうそういう体制をとろうとしている。まさにこれは非常事態体制を韓国はとろうとしている。こういう体制の中で、背後が、ベトナム問題を中心とした戦略体制をアメリカがずっと大きく準備してきたのは、これは明らかだと思う。そういう中で、兵員は韓国、兵たんは日本ということで、日米韓三国間で話し合いがついているというふうに思うのですが、これはいかがですか。総理いかがですか。あなたアメリカに行ってきたのですから、どうですか。そんな話はないですか。
  265. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) それはもう全然私どもの関知しないところでございます。
  266. 岩間正男

    岩間正男君 関知しない関知しないで日が暮れて、とんでもないことになりますよ。  私は、いま見ますと、こういう情報がはっきりこれはしているでしょう。日韓会談の妥結で、日本の軍需工場が急に活発に動き出すのではないか。舞台裏では話し合いがちゃんと進んでいるのではないか。私はここで、この具体的なことを申しません。しかし、そういう事態が動いて、日韓会談が非常に促進されている事実、総理は御存じないと、こうおっしゃいますか。いかがですか、総理
  267. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 日韓交渉はできるだけ早く妥結したいということを、私は念願しておりますが、しかし、最近のベトナム問題とは全然関係がございません。御承知のように、これは十余年前から取り組んでおる交渉でございます。ただいまのように、最近起きたベトナム問題、それで急いでいるのだ、かように言われるのは、非常に迷惑です。この点は、予算委員会を通じて、私ども態度を明らかにしておきたいと思います。
  268. 岩間正男

    岩間正男君 関係ない、ないと言っておられますが、あとで具体的に申しましょう。  それでは、その次に移りますが、LSTに乗り組んでいる日本人船員が最近ダナンで傷を受けたという問題が、新聞で報じられております。この点についてお伺いするんですが、現在LSTの船員の担当はどこですか。それから、どういう管理をしているのか。それから、現在これに乗り組んでいる人員は何人なのか。契約条件は何なのか。そうして、このような傷を受けたような場合に、補償条件はどうなのか。旅券の問題。これは時間の関係から一括お聞きしましたから、関係者、みな答えてください。
  269. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 政府委員より答弁いたさせます。
  270. 安川壯

    政府委員(安川壯君) お答えします。  LSTの乗員の督督官庁と申されましたけれども、これは米軍が直接雇用いたしておりますので、雇用主としては日本政府は何ら関係いたしておりません。  それから人数でございますが、約八百人と承知しております。  それから雇用条件でございますが、これは運輸省の船舶局のほうで担当しておりますので、私は具体的にこまかいことは存じておりませんが、大体日本の船員と——補償その他につきまして、日本の一般の船舶に乗船する船員と同等の待遇が与えられている上に、ベトナム地区に行くという特殊事情のために、危険手当その他についても、日本の法規に照らして、適当なものがきめられておると承知しております。
  271. 岩間正男

    岩間正男君 運輸省いかがですか。
  272. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 大体、ただいまアメリカ局長答弁されたので尽きておりますが、船員手帳の問題に対しまして、少しつけ加えておきたいと思いますが、これは三十七年四月から七月の間に、いままで調達庁——いまの防衛施設庁があっせんいたしまして、その時分には責任がありましたが、全部解雇して、このLSTに乗りかえたのでありますから、全く自由の雇用になっておるのであります。しかし、船員手帳の問題は、当時持っておりましたものをそのまま持っておりましたが、それをもって、いま外国一般の船員、乗り組み員と同じように見ておりましたけれども、去年の十一月から年末にかけまして、これは一般外国の船員の取り扱いを統一する必要があるということを考えまして、旅券にこれは改めることとし、現在、旅券に切りかえの準備中でございます。  以上答弁いたしました。
  273. 岩間正男

    岩間正男君 人数は、補償は、旅券の……。
  274. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 人数は、去年の七月現在は七百二十五名であります。そのほかに百人追加されまして、八百二十五人になっております。
  275. 岩間正男

    岩間正男君 傷を負った場合の補償のほうは。身体障害起こした場合の補償
  276. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) これは自由雇用でございますから、向こうの雇い主との間にきまっておりますが、それはいま答弁のありましたように、日本の海員組合があっせんいたしまして、海員組合と同様のいろいろな関係を受けるようになっております。
  277. 岩間正男

    岩間正男君 旅券はどうなんです。旅券の期間、期限。
  278. 高橋等

    国務大臣高橋等君) LST乗り組み員は、出入国管理令にいうところの乗員でありますから、同令の規定によって、旅券を用いないで適法に出入国ができることになっています。LST乗り組み員であることは、船員手帳の要式を利用した運輸大臣の証明によって確認をされております。
  279. 岩間正男

    岩間正男君 佐藤総理にお伺いしますが、どうですか、いまのように、まるで人身売買みたいに、向こうに身柄を渡して、傷害を受けても補償もないというような形で、しかも、これは現在、韓国軍の輸送のときにもこれが当たったでしょう。ダナンに上陸して、それから銃撃を受けて、傷を受けている。いわば日本の官庁の中でも、はっきりここのところを自分の責任だというようなことじゃないのです。こういうかっこうでいいのですか。これどうなんですか。これで戦争協力を実際にやっているんでしょう。どうなんですか。
  280. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 韓国軍隊の輸送には、日本人は従事しておりません。
  281. 岩間正男

    岩間正男君 あなた、この前衆議院で言われたとき、そうちゃんと認めているじゃないですか。認めている。総理どうですか。
  282. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) LSTの乗り組み員、この問題をいろいろいまお尋ねのようですが、これは契約に基づいていまやっておるのでございますね。先ほど来の説明で、よくおわかりだと思います。これは別に、政府が直接これに関与しておるわけじゃありません。強制的にこれに乗り組めというようなことをやっているわけじゃない。これは先ほどの説明で、おわかりだと思います。したがって、人身売買ではない。これは誤解だと、かように思いますが、しこうして、ただいま事故が起きた。それは、契約に基づいてどういう処置になるか。それがまた非常に不満だと、こういうような場合だと、日本政府日本人の味方をいつもしますから、十分この主張を生かすように、私ども協力するということでございます。ただいままで、さような問題が起きたと——事故は起きたが、あとの賠償、補償等については問題が起きたと、かようには伺っておりません。
  283. 岩間正男

    岩間正男君 これは労務基本契約から始まったと思うのですが、これはその後どういう状況で変わったのですか。  まあ先ほども話が出ましたけれども、北爆に際して、何らのこれは通知さえ受けていない。これがいまの姿です。そして協力させられている。これでは、私は、日本の安全と平和は守れないと思うのです。これに対するはっきりした態度について聞いているのだけれど、もう二度あらためて、どういうふうにそれを考えているか、お聞きしたい。
  284. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) ベトナム情勢につきましては、わが防衛庁としても関心を持って見守っておりまするけれども、別に日本の防衛体制に何ら変更を加える必要もございませんし、また、さようなことを考えておりません。
  285. 岩間正男

    岩間正男君 そんなことを聞いているのじゃない。聞いていることに答えて……。
  286. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私もちょっとどういうお尋ねだったかよくわからないのですが、すわったままでけっこうですからおっしゃっていただきたいと思います。
  287. 岩間正男

    岩間正男君 どういうふうに対処するかです。
  288. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 何にですか。
  289. 岩間正男

    岩間正男君 戦火はあなた不拡大だと言っていながらどんどん拡大している。実際は中国爆撃の危険だってこれははらんでいるんですよ。こういう問題についてどうなんです。何回も聞かれているけれども、ああいう根本の問題をはっきりつかまないで、そして何しても問題にならぬ。もう少しもっと突っ込んだお話をやってください。
  290. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま小泉君がお答えしたように、日本の防衛については、この問題でどうこうということはないと思います。これはもう御安心が得ただろう、かように思います。また、ただいまベトナムにおいて北に対する爆撃が行なわれておる、こういう事態は一日も早くやめるようにということを、毎度私は声明というか、申し上げておりますので、私の考え方はこれは岩間君も御了承だと思います。ただいまこれが中共に対する爆撃までも発展する、かような御意見のように……。
  291. 岩間正男

    岩間正男君 危険性がある。
  292. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そういう危険性があるというような御意見のようですが、私はただいままでのところさような事態はない、かように私は見ておるのであります。しかし、いずれにいたしましてもベトナム住民が、この戦火、この戦いが長く続くために非常な不幸な状態に置かれておる。これは人道的見地からも、心から一日も早く戦火がおさまるようにというふうに願っておるような次第でございます。
  293. 岩間正男

    岩間正男君 まあそういう御答弁だけれども国民心配していますよ。協力しているんじゃないんですか、実際は。準備を進めているのです。ですから三矢の正体を明らかにし、また防衛大学であなたがなされた最近のあの発言などというのは、非常にこれ国民心配している。こういう点はどうですか。こういう点をはっきりさせなければだめですよ。
  294. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は憲法を守るということを何回も申し上げております。国民は全部が、この平和憲法が守られる、こういうことについて何らの疑念を持たなければ安心するはずであります。私はこれが完全に守られ、また私自身が総理としてこれは守っていくんだと、かような態度を声明しておりますので、国民は何ら疑問を持たない、かように私は信じております。
  295. 岩間正男

    岩間正男君 最後に一問だけ。非常に時間のない者の質問というものは、どんなにこれはつらいかということを同僚諸君ははっきり理解してほしい。今日こういう形で、そうして民主主義を守るとか何とか言いながら、少数がなかなか発言できない。われわれはほんとうに尽くしたいことがあるのです。最後に、しかしそんなことを言っていても始まりませんからやります。  それで、ベトナム戦争のこの真の解決策は、第一にこれは米軍の無条件即時撤退——ベトナムからですね——これはもうジュネーブ精神を守るという立場からも当然そうなる。こういう点からはっきりこの解決策の根本策についてわれわれは考えるべきときに到達している。で、最近のこれは世論調査を見てください。これは某新聞に出た世論調査ですが、「この戦争に日本が巻き込まれる心配があるかどうか」、これに対してどうです。「心配はない」というのは一三%、「ないとはいえない」というのは六六%、「巻き込まれる可能性が多い」というのは一五%、第二に、「南ベトナム戦争を終わらせるのに、まず必要なこと」は何か、これに対しましては、「アメリカ軍の撤退」、これが四八%、「国際会議を開く」四二%、「ベトコンの戦闘停止」、わずかにこれは四%、そうして、北爆を強化せよというのはたったの一人もいないのです。圧倒的多数が、これは戦争を終わらせる条件としてアメリカ軍の即時撤退を支持し、そうしてさらにまた国際会議を開けというようなことを言っておるのです。私はこのような世論というものの中に、いまのベトナム問題の真の姿というものがはっきり出ていると思うのです。そうしてまた国民解決策もまことに正しい方向に動いている。アジアの情勢を見る、そうしてアジア諸国民の真に民族解放、独立、こういうものを目ざし、平和を目ざして戦っているこの姿の中にはっきりこれは出ていると思うのです。こういう点から最後に総理の見解をただしたいのですが、日韓会談を妥結して、火中のクリを拾う、あわよくば朝鮮特需の二の舞いを、甘い汁を吸おうなどというけちな考えは今日持ったらたいへんなことになるということ、第二に、やはりベトナムからの米軍の即時無条件撤退というものをはっきりと私たちは今日掲げて、アジアの真の平和、これを確立するために明確にそのような態度を私は進めるときがきていると思う。そうでないととんでもないことに私はなると思うのですが、この点について総理のはっきりした御答弁を伺って私の質問を終わりたいと思います。はっきり答えてください。
  296. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 日韓交渉妥結を心から願っておるのはこういう問題とは全然関係がない。これだけはっきり申し上げておきます。したがって、ただいま言われるような危険な状態にはさらされない。また私はそういう状態には持っていかない。これだけ、憲法を守ってそういう方向には持っていかない、はっきり申し上げておきます。  さらに、いまのベトナム問題については、日本共産党の岩間君がたいへん御意見を交えてのお話でございます。私は別にこれに対してお答えする必要はない、かように思っております。
  297. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 岩間君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  298. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、山高しげり君。
  299. 山高しげり

    ○山高しげり君 私はこれから家庭生活問題審議会を中心に、主として総理に御質問申し上げたいと思います。  近く総理府に設けられようとしております家庭生活問題審議会は、総理の諮問機関でいらっしゃって、二年間ぐらいの予定で設けられるということを聞いておりますが、その審議会の性格はどのようなものでございましょうか。また、その審議会に対する総理の御期待のほどを承りたいと思います。
  300. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 臼井総務長官からお答えさせます。
  301. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) 私のほうの担当でございますから、私からお答えさしていただきます。  家庭生活問題審議会を総理府に設ける理由でございますが、御承知のように、最近の科学の進歩、また戦後におけるいろいろ憲法との関係もありましょう、日本の家庭におきまする責務といいますか、非常に重要性を一そう増しつつございますし、また、家庭が人間形成の場として、ことに最近のように青少年のいろいろ対策等、家庭教育、こういうような問題等を考えますと非常に重要でございますので、そこで、これらの問題を含みまして、そうしてまあ家庭のあるべき姿と申しますか、そういうような問題についても十分ひとつ審議をして、新しい観点に立っての家庭のあるべきビジョンといいますか、そういうようなものもひとつ御審議をしていただきたい、こういうふうに考えまして審議会を設ける次第でございます。
  302. 山高しげり

    ○山高しげり君 長官のお話はよくわかりましたけれど、佐藤総理としても、その審議会にいまの長官の御説明のような期待をかけておいでになるのでございますか。
  303. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そのとおりでございます。
  304. 山高しげり

    ○山高しげり君 それではその次に承りたいと思いますけれど、私は昨年の国会で、家庭問題の重要性にかんがみまして、池田さんに家庭対策審議会というようなものをおつくりになってはいかがですかと申し上げたものでございますから、似たようなものができることはけっこうには思っております。ただ、私は家庭に問題があるから家庭問題審議会ないしは家庭対策審議会というようなものがほしいと思ったのでございますけれど、今回、政府がおつくりになるものは家庭生活問題審議会という名称でございます。私が考えますのに、家庭と言えばだれにでもわかることばは家でございましょうけれど、家庭生活となりますと、暮らしというような意味も入ってくるようでございますので、その辺をわざわざ家庭生活問題というふうに表現をなさいましたその名称の点につきまして承りたいと思います。
  305. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) お答え申し上げます。山高先生の御提案になりました審議会というのは、家庭生活対策審議会、こういうふうに御提案ではなかったかと思います。
  306. 山高しげり

    ○山高しげり君 生活は入っておりません。
  307. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) そうでございますか、何か家庭対策というような審議会をというようなふうに私ども考えておったのですが、そこで、今度設けますのは、家庭生活問題と、こうなっておりますけれども、もちろんいま御説のように、家庭につきましては新しい観点からいろいろまあ対策を講ずべき問題がたくさんございます。したがいまして、そういう意味においては今度設ける家庭生活問題協議会において、当然、先刻申し上げましたように青少年の問題とか、あるいは婦人のいろいろ地位の問題でありますとか、これらのいろいろの問題につきまして対策を講ずるようになるわけでございます。したがいまして、先生のおっしゃるような家庭の対策につきましても当然この中で審議をせられるもの、かように考えております。
  308. 山高しげり

    ○山高しげり君 先ほど私が申しましたように、私が望んでいたのは家庭対策審議会もしくは家庭問題審議会でございまして、その内容は家庭の中にございます諸問題を審議をする、その対策を立てる、こういう意味でございますけれど、家庭生活問題と表現をしたときには、生活という字の響きが庶民にとっては暮らしというふうに響いてまいりますので、家庭生活問題のほうが家庭問題より少し狭いのではないか、広くても狭くてもそれはそれでよろしいのでございますが、私はまあそういうふうに解釈をしているわけでございます。  時間がございませんから先へ進みたいと思いますけれど、ことばというものはむずかしいと考えますことは、佐藤総理が社会開発ということばをおっしゃったときには、庶民大衆には何のことやらよくわからなかったらしいのでございます。このごろ少しずつおぼろげながら何となくまあわかってきたと、こういうようなふうに町の人たちは申しておりますが、人づくりなどということばは、これは例でございますけれど、たいへんによくわかりましただけに、また町の声をお取り次ぎをすれば、もう池田さんがおやめになったから人づくりもやめかなと、こんなふうに受け取っておるのでございます。それで、せっかく大きな期待をかけて新しい審議会をおつくりになるのに、やはり名称に私がこだわるわけではございませんけれど、なるべく内容をそのまま的確にあらわした名称のほうがよいのでないかという意味でいままで申し上げたわけでございますが、そこで、もう一つ伺いたいのは、総理は社会開発懇談会というものをお持ちのようでございますが、そこで明るい豊かな国民生活というテーマを持っておいでになって、いろいろお話が出ているように承っておりますが、その点はいかがでございましょうか。
  309. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 社会開発懇談会、まあ二回開きまして、二カ月にわたって二回、大体ただいまのところ総論的なものだけは済んだような気がいたします。まあこの次までに部会らしいものをつくって、そしてそれぞれのテーマに基づいての各界の意見をまとめよう、かように考えておるわけであります。その中に、ただいま山高さんの御指摘になりますような家庭、同時にまた今度は働く場所、そういうものの立場からいろいろなテーマが出るわけでございます。たいへん広範囲にわたっての意見でございますので、まあ公害というような非常にまとまった問題は取り扱いやすいのでございますが、この懇談会で取り扱いますものも非常に広範になりますので、それがうまくまとまればいいがと、かように私ども考えておる次第でございます。
  310. 山高しげり

    ○山高しげり君 社会開発懇談会の幅が広くて、その中には明るい豊かな国民生活といったような意味で、生活の場としての家庭の問題も出てくれば、消費者行政というものも出てくるらしく承っております。ところが、経済企画庁では国民生活局を近くやっぱり発足をおさせになると、先ほどお話が出ておりますけれど、その場合——その場合というより、もうすでに国民生活審議会というものが経済企画庁の中にあると思うのでございます。これは先般までは国民生活向上対策審議会という長い名前であったかと思いますが、今回は国民生活審議会というふうに呼ばれているかと思います。ここでも国民生活のあるべき姿をつくる、そしてその内容は消費生活の合理化であるというようなふうに伝わっておるのでございますけれど、一方に国民生活ということばがこのように方方から出てまいりますると、私ども国民は自分たちの生活の中にいろいろな面があって、家庭生活もその生活の中の一つの部面だというふうに私は解釈しておりますが、その解釈で家庭生活問題審議会を解釈してよろしゅうございましょうか。
  311. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 非常に似かよった審議会であると、こういうことでございますが、山高さんの御提案になりましたものが今回私どもが出しております総理府所管のものと同一であるかどうか、これは中身についてさらに審査するというか、そういう必要があろうかと思いますが、しかし、総理府にこの問題を、今回、家庭生活問題審議会というものを取り入れましたのは、私は経過的にみまして、おそらく山岡さんの御意見、御提案を採用したのじゃないかと、かように私は思います。ただいま御指摘になりますもの、これは国民生活、かように申しておりますが、これは国民生活はいわゆる国民経済に対応するもの、こういう意味でありますし、家庭生活対策審議会のほうは社会構成の一単位、基礎単位である家庭と、かような意味から問題を発展さしてみよう、したがって、これは夫婦の家づくりの問題もありましょうが、同時にまた家庭環境をめぐるいろいろ。問題があるということで、これはいわゆる国民経済を対象にしたものとやや違っているのじゃないかと思います。したがいまして、この二つができます際に、この所掌する役所同士でも十分その範囲について打ち合わせをして、お互いにその領域を犯さないように、しかし、お互いに緊密な連携をとって十分の実績を上げるようにいたしたいと、かように申しておりますから、ただいまのところ私が申し上げるようなおおまかな活動の範囲、これは自然にきまってきたんではないか、かように思います。
  312. 山高しげり

    ○山高しげり君 だんだんはっきりしてまいりましたけれども、文部省の中央教育審議会から御発表になりました「期待される人間像」の中では、この家庭の問題につきましては、家庭人として家庭を愛の場とせよとか、開かれた家庭であれとか、家庭をいこいの場とせよとか、家庭を教育の場とせよとか、一応ごもっともなお考えのようでございますけれども、世の中の家庭にはそういう愛の場にするとか、いこいの場にするとか、教育の場にすることのできない家庭というものが相当数あると思うのでございます。その場合に、できない家庭に向かって、なぜやらないか、やらないかと責めても、私は問題の解決にはならないと思います。それよりも、なぜできないのか、そこに問題があるので、その問題の分析こそが必要ではないだろうか。そういう意味で、私は家庭問題とか家庭対策とかと言ってみたまででございますけれども、まあいま総理がお話しのように、何でございますか、総理府のほうのは婦人の地位とか青少年問題とか、それから経済企画庁のほうは経済生活というふうに分けていらっしゃるようでございますけれども、私ども家庭におりまする者はその両面があるわけでございまして、そこで、文部省がお求めになるように愛の場、いこいの場、教育の場、それからまたよく出ます人間形成の場、もちろんそうと思いますけれども、その家庭のもう一面は台所ということばで表現される消費生活でございまして、この二つの面が厳然としてあり、そのどちらのほうが現在問題が多いかというと、台所のほうにたいへん問題が多いわけでございまして、まあ物価の問題がいま一番深刻でございます、台所から申せば。  そこで、少し極端に申しますと、あすのお米がなくちゃ家庭は愛の場でもなければ、いこいの場にも、教育の場にもなれないんだと、こう言うこともできるくらいでございまして、この二つのものの総合性ということが私どもは非常に大事だと思うのでございます。二つに分けてそれぞれ御注文が出てきて、家庭がこま切れになるということでは全くやりきれない。これがもう町のおかあさんたち、主婦たちの声でございますが、私の心配佐藤総理は無用とおっしゃいましょうか、いかがでございましょう。
  313. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 山高さんの御心配はしごく現状においてはもっともだと、かように思います。それだからこそ、私ども政治のあり方といたしまして物価問題と真剣に取り組む、ことに消費者物価については特に意を用いて、また食生活についてはこれは一そう力をいたすということを言っておりますので、よくわかります。  ただ、私はこういう感じを——ただいまの問題と取り組みます場合に基本的にこうあってほしいと思うのです。最近の青年男女の意見を聞きますと、大多数というか、そのなにはりっぱな家庭をつくりたい、結婚だとかいうようなことでなしに、りっぱな家庭をつくりたい、その家庭というものに対して若い人たちが持つビジョンというものは、これはりっぱなものがあるのじゃないか。これにやはり私ども、老人また政治家もこたえることが必要だと。こういう意味から、それが住宅問題として発展したり、同時にまた、結婚なども簡単にできるようにし、あるいは共かせぎの場であるというようなことについての労働の環境についてもよく考えてみたり、あるいは家庭という点から幼児の保育所、あるいは幼稚園等につきましても思いをはせていく。さらにまた、健康でなければならないというような意味で、やはり生活環境の整備、あるいはまた医療費等についての考慮も払っていく。あるいはまた、ただいま御指摘になりますように、消費者としての立場から、ことにその消費者が家庭の主婦としての消費者——ただいま私が申し上げますのは、いわゆる主婦だとか、あるいはお働きになる男性とか、かような意味でなしに、ほんとうに夫婦平等の立場に立って考えるものでございますが、それにいたしましても、台所でいかにまかなうか、これはたいへんな問題だと思いますので、そういう点についての考慮が払われる、こういうことをいろいろ各般にわたって考えていこう。  このことが政治的に見れば、あるいはもっと消費者行政でどうなるだろうか、あるいは国民経済の立場からどうなるだろうか、いろいろ広げれば広がるようなあり方はあると思います。しかしながら、われわれの身近な場で、また青年男女の希望するところのものと真剣に取り組んでいく。それはしかし、他の官庁にも非常に関係を持つ。そうしてそれが総合性を発揮するということでなければならない。したがって、二つ、三つの審議会等とも十分連携をとっていくということでないと、目的を達しないことはもちろんで、ありますが、しかし、わりに入りやすいというか、青年諸君に意見を徴するにしても、取り組みやすいような、そういうような課題を投げかけたと、かように思います。この点は山高さんの御主張になりましたことあるいは期待が少し違うかと思いますが、私は、おそらくただいま申し上げるような気持ちで先生もお話しになったのではないだろうか。そういう意味で、これにひとつ新しい家庭についてのビジョンを与える、こういうような方向で進めていきたい。その審議会、それをまた自分だけでかってに考えないで、各方面の意見を徴していくような、こういう気持ちでございます。
  314. 山高しげり

    ○山高しげり君 私が心配しておりますことは総理もよくお考えのようでございますから、だいぶ安心はしたのでございますけれども、まあ消費者生活のことなんかやはり消費者行政が非常に問題になりますけれども日本で消費者行政というものはこれから始まっていくところで、ほんのまだ芽ばえのようなものがそれぞれのお役所にぽつぽつできておりますが、それをわれわれもみんな育てていかなければならないと思いますけれども、きょうまでのところで台所の側から見ておりましても、やっぱりお役所というものにはセクト主義といいますか、これはやむを得ないと思いますが、それぞれ引き出しに入っていらっしゃって、そこから呼びかけていただくものですから、どうも台所がこま切れになるうらみがないわけではございません。  私どもの体験で、いままで一番つらい、こま切れになった問題は子供の問題でございまして、子供の教育の問題は文部省、働く子供は労働省、それから福祉の問題は厚生省と、ある意味で子供がこま切れになっておるわけでございますけれども、それが臼井長官のおいでになる総理府で現在青少年問題協議会というものができておりまして、これが一種の総合の形と思いますけれども、総合ということは、言うことは楽でございますが、実際にはなかなかまとめる、横の連絡をとるということはむずかしいようにも思えるのでございます。  まあ時間が来たようでございますが、いま触れましたのですが、なぜ総理府に設置される予定であった青少年局というものが実現をしないのか。私どもの見るには、やっぱりそれがお役所同士の摩擦の結果であるかもしれないという風も吹いてきておりますので、この際そのこともちょっと明らかにしていただきたいと思いますが、私の質問の要旨は、要するに家庭というものには二つの面があるのですから、やはりお役所の仕事も、分担はやむを得ないと思いますけれども、いま総理がちゃんとおっしゃいましたように、連絡とか調整とか総合とかいうことだけには特別に気をつけてやっていただきたいと思うわけでございます。  それでは、長官からでけっこうでございますが、青少年局はなぜできないのでございましょうか。
  315. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) 青少年局の前に。ただいま総理がお答え申し上げましたように、次庭生活問題審議会を総則府に設けましたのも、ただいま山高先生のお話のとおり、各省にわたりましてこれらの問題が関連をいたしております。そこで、経済企画庁につくりました今度の国民生活局からさらにそれを取り出しまして、そうして家庭というものに重点を置いて、一方は国民経済的な見地からいろいろ消費生活そのものを審議する、総理府におきましては家庭問題を中心に、家庭生活問題を中心にして各省間の連絡総合調整、これが総理府の役目でございますから、特にいま先生の御指摘のような点に留意をして審議をしたい。さらに、各省庁間の連絡につきましては、来年度から新しく婦人問題連絡協議会、これを総理府に設けます。これは各省の次官クラスの人が集まりまして、そうしてまあ私がその会長になると、座長になると思うんでございますが、特に家庭生活の中でも一番問題になるのは婦人問題で、いまお説のように、幾らビジョンをつくってもそのビジョンをつくり符ない御家庭があり、勤労方面の御婦人もおいでになる、こういうことで、その連絡総合調整を御指摘のように十分ひとつ注意しててやっていきたいと考えております。  それから、総理府に青少年局をなぜつくるのを見送ったかという問題でございますが、これは従来、御承知のように、中央青少年問題協議会において、これも青少年問題の重要性にかんがみて、これまた各省庁いろいろ行政が分かれておりまするのを、この協議会においてすでに十年以上も任務を果たしてきたんでありますが、さらにこの機構を整備してもっとこれを強力に進めたいというふうな意味で実は局をつくったらよかろうというのが考えで、いろいろ計画を進めてまいったのでございますが、ところが、臨時行政調査会のほうで必ずしも局をつくらぬでも調整官というものを置いたならばその連絡総合調整の役目は十分果たせるじゃないか、こういうような最終的な答申が出てまいりました。それにはもちろん機構等の整備というような問題もありますけれども、この問題につきましては、調整官については、やはり臨調からの答申に基づきまして現在行政改革本部がございまして、私も委員の一人になっておりまするけれども、行政改革本部におきましては、やりいいすみやかにできる問題から本年の八月までに大体案をまとめて、そして逐次実行していこうと、こういうことでございます。そこで、調整官を置くにいたしましても、たとえば総理府あたりの機構をさらに総務庁とかいろいろのあれに機構を変える場合にあわせて考えるべき問題ではないか、こういうようなことで、まあ四十年度においてはこれを一応見送って行革の本部の結論を待ってからひとつさらに検討してみたい。しかし、その検討をする間におきましても、従来あります中央青少年問題協議会において、当面重要な青少年対策については総合調整の機能を十分果たしてまいりたい。  なお、閣内ほかの省から何か意見があったということでございますが、これはもう政府部内におきましてもいろいろな意見審議の際出ますから、これに対するまた御意見等もあったことも当然でございますが、しかし、見送った理由は、ただいま申し上げたようなわけであるということを御了承いただきたいと思います。
  316. 山高しげり

    ○山高しげり君 符少年局のことは一応その御説明を承っておきますが、婦人問題連絡協議会のことは聞いております。けれども、いま長官のおっしゃったように、そういう協議会ができましても、婦人の委員は一人もいないわけでございまして、各省次官、それに長官がお加わりになる。それで結局、私ども婦人は自分の問題を遠くのほうで扱われておるという実感はどうしてもぬぐい去ることができないわけでございます。つきましては、家庭生活問題審議会は数人の委員をおあげになって、いま佐藤総理がおっしゃいましたように、上から押しつけるのでなく、みんなの意見をよく聞こうとおっしゃいましたので、どうぞその場合は婦人大衆が納得のいきますような御人選をなさっていただいて、ほんとうに町のおかあさんたちに、あの人に出ていていただければ私たちの気持ちもわかっていただける、私たちの悩みも述べてもらえるといったような婦人の委員も数人御人選を願いたいという希望を申し上げます。  ビジョンばやりでございますけれど、何となくビジョンを押しつけられるというような国民感情がございますことを総理に最後に申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。  私の質問はこれで終わります。
  317. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 山高しげり君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、締めくくりの総括質疑通告者の発言は全部終了いたしました。よって、総予算三案の質疑は終局したものと認めます。  午後七時三十分まで休憩いたします。    午後六時五十五分休憩      —————・—————    午後七時五十六分開会
  318. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) これより予算委員会を再開いたします。  委員の変更がございました。  奥むめお君、岩間正男君が辞任され、佐藤尚武君、須藤五郎君が選任されました。     —————————————
  319. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) これより三案の討論に入ります。通告がございますので、順次発言を許します。賛否を明らかにしてお述べを願います。  まず、中村順造君。  (拍手)
  320. 中村順造

    中村順造君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました昭和四十年度一般会計予算特別会計予算及び政府関係機関予算の三案に対し、反対の立場を表明し、討論を行なわんとするものであります。  佐藤内閣は、さきに三十九年度補正予算を編成されましたが、これは内閣成立直後でもあり、前池田内閣のあと始末ともいうべきものでありました。今回提出されました四十年度予算三案こそ、佐藤内閣の真価を問うべき最初の予算として内外の注目を集めたものであります。  政府の予算編成方針によりますと、この予算は、わが国経済の長期にわたる安定成長をはかることを主張とし、人間尊重の理念に基づき、国民生活の向上と社会経済の各分野にわたり均衡のとれた社会開発を期することを基本としているといわれております。  私は、まず第一に、深刻なる現下の経済情勢に対し政府のとらんとする財政経済政策が、はたして長期安定を目ざした姿勢であるかどうかを問題にしたいと存ずるのであります。  政府は、昨年来の経済情勢を軽微な調整過程だと見ており、本年後半からは景気もよくなるというような楽観的見通しに立っております。経済企画庁をはじめとする官庁エコノミストの間には、マクロ的経済指標のみを見て、日本経済は好景気だとさえ言っておりますが、これは全く誤った認識と言わざるを得ません。  倍増計画が始められて以来の異常な無計画なる設備拡充競争は、われわれのしばしば警告したように、過大生席力化し、基幹産業は全面的に操業短縮を余儀なくされ、工業生産指数、出荷指数、輸出や在庫の状況だけから見て、好況かといえば、企業は借金で設備をつくっておりますので、生産は落とせない。だから、製造したものを無理に押し出す。そこで企業間信用は増大して、日銀の調査によれば二十兆円から二十三兆円にのぼるともいわれておるのであります。これは日本の製造工業製品の一年数九月分のものが中間市場に滞留していることを示したもので、生産過剰の隠れた姿なのであります。輸出の好調が伝えられていますが、その中には出血輸出も少なくなく、金融千段として在庫を国内から海外に移したにすぎぬものもあります。昨年来の記録的な企業倒産は信用限度を越したところから破綻を生じたものでありまして、企業破綻による商社や銀行の焦げつき債権はばく大な数にのぼり、社会不安にまで発展せんとしつつあるのでありますが、日銀が裏から救済をしてかろうじて恐慌とはならない現状であります。山陽特殊鋼が倒産をいたしましてから明るみに出たように、大企業といえども決算面を粉飾しなければならないという実態から見て、政府、日銀がいかに株価対策を請じようとも株価は暴落の一途をたどり、ダウ平均はいまや千百円も危うしという状況であります。  政府にしてもし冷静にこの情勢を認識いたしますならば、高度成長を安定成長のペースにスローダウンすることなく、成長政策の看板を下ろし、過剰生産力の整理と企業信用の正常化に最大の精力を傾けるべきであります。しかるに、佐藤内閣は中期経済計画を内閣の基本政策として採用する旨を決定いたしました。この計画は本来、所得倍増計画の行き過ぎを反省し、成長政策の手直しをするのが使命であるはずでありましたが、作成されたのが池田内閣の時代であったため、その内容は依然投資主導型の成長促進計画となっているのであります。池田政策の批判者として政権をとられた佐藤総理ですから、このような中期経済計画には断固としてつくり直しを命ずべきであるにもかかわらず、佐藤総理が修正を命じられたのは、この計画をさらに大きくするため弾力的運用云々の字句を加えさしたのであります。このように佐藤路線は池田路線を踏襲するものだとしますと、日本経済の前途は膨大なる過剰生産をはらんだままインフレの深みに入ることは必至で、中小企業の没落と農業生産の荒廃、物価の続騰は不可避であるのであります。  次に、本予算の財源を見ますと、大蔵当局は予算編成の前から財源難ということを大きく言ってまいりました。はたして財源雑なのでありましょうか。四十年度は減税前の税の自然増収が四千六百四十七億円、税外収入の増と剰余金の減を調整すると、合計四千八百四十億円が新規財源であります。三十九年度はこれが四千八百九十億円ですから、わずかに減ってはおりますが、四千八、九百億円といえば決して少ない領ではありません。しかるに、財源が苦しいというのは、新規財源のうちから当然増経費に大部分が食われる結果になるのでありますが、しからば何ゆえ当然増経費が年々増大するかといえば、従来、財政当局は自然増収と剰余金は当然あるものと期待をし、ルーズに歳出増加を認めたこと、また次年度以降の財源先食いのようなやり方で安易に経費膨張を認めてきたため、今日のような歳出の硬直化をもたらしたのでありまして、もし真に財源難とするならば、不急の、既定費の整理をすべきであります。  補助金整理については、補助金等合理化審議会からの答申があり、行財政整理については臨時行政調査会の権威ある答申もあり、その線に沿うた整理を断行すれば相当の財源が浮くはずであるにもかかわらず、政府はこれに対し全く熱意を失っておるのであります。さらに、大企業への補助金、資産家への恩恵である租税特別措置を整理廃止することによっても財源はできるのでありますが、これら一切を行なわずして、政府は低所得と高物価に悩む国民大衆をねらって、本年一月から消費者米価を値上げをし、医療費を引き上げました。これが人間尊重を説かれる佐藤内閣の政策であり、その本質であります。さらに田中大蔵大臣は、四十年度予算のつじつまを合わせるため、さまざまなトリックを使っておられるのであります。すなわち財政法第六条の改正を行ない、剰余金の中から国債償還充当分を五分の一に切り下げることにより、約二百億円を一般財源に回し、住宅金融公庫、住宅公団、農林漁業金融公庫に利子補給をつけることにより、産投出資を一般融資に切りかえ、一般会計から産投会計への繰り入れを三百億円程度減らしました。このような方法は、当面四十年度の財源調達としては効果はありませんが、反面、後年度における財政負担を増加するものであり、慎重な財政家であれば絶対に採用しない手段であります。私は、四十年度予算は、田中大蔵大臣の食い逃げ予算であると断ぜざるを得ないのであります。  さらに、四十年度政府の減税案でありますが、佐藤総理総裁立候補の際、所得税は重い、国民を富ませるため三千億の減税を行ない、その財源は公債発行でもよいと公約をされ、さらに総理大臣として、人間尊重の政府を打ち出されたのであります。しかるに、今回の減税規模は、平年度でも千百十六億円、うち所得税の一般減税は四十年度八百二億円にすぎないのであります。しかも、このうち物価上昇による名目所得に対する増税分を調整するときは、わが党の木村委員が明らかにされたごとく、実質的減税ともいうべきものはわずかに百九十四億円にすぎないのであります。このほかに消費者米価の値上がり分子五百三十八億円、医療費九・一五%引き上げの四百億円等を計算に入れますと、実に千七百四十四億円の国民大衆への増税となり、収奪となるのであります。三千億減税も、人間尊重の政策も、全く予算の中には見当たらないのであります。政府はこのような低所得の勤労国民に冷酷でありますが、大資本、大資産家の不労所得の課税についてはすこぶる温情を示しておるのであります。今回の税制改正に当り、税制調査会は、利子所得も原則的に総合課税とする案をつくり、利子と配当で平年度五百二十億の増収となる案をつくったのに対しまして、政府案ではこれと逆に、株式配当も利子と同様に分離課税とするようにすりかえ、増収は四十八億円にすぎないことといたしました。この差額四百七十二億円は大資本家への奉仕となっておるのであります。このような不合理、不公正な税制改悪は従来かつてその例を見ず、田中大蔵大臣の名はわが国税制史上の一大汚点として長くその名をとどめることでありましょう。  歳出につきましては、詳細な討論をする余裕がないので、社会保障と社会開発の関連だけにとどめますが、従来の政府は、岸、池田両内閣でも、社会保障の充実と公共投資を予算の二大支柱としてきましたが、佐藤内閣となってから、社会保障の充実にかわって社会開発ということばを用いたのであります。しかし、具体的にこれといって示されたものもなく、今回の予算の中にも、佐藤総理の言われる社会開発費はどこにも見当たらないのであります。われわれは、どれだけ佐藤内閣が社会開発に積極局であるか、将来十分監視するでありましょう。社会開発という場合、社会保障と物価の安定とは、これが前提であり、これがくずれては何の意味もないことは当然であります。社会開発を推し進めるという名目のもとに、社会保障の前進を怠ったり、これを後退、改悪するというようなことは断じて許せないのであります。しかるに、佐藤内閣の最初の予算において、すでにその傾向が顕著となっておることははなはだ遺憾であります。たとえば生活保護基準引き上げについて、毎年二〇%の引き上げが望ましいというのが社会保障審議会の答申であります。が、かつて二〇%引き上げを見たことは一度もないのでありまして、三十八年度一七%、三十九年度一三%、四十年度においては一二%と次第に下降の傾向をたどっておるのが現状でありまして、しかも、四十年度社会保障費の増加の大半は診療費値上がりの関係で占められ、給付改善の面では既定計画によるもののほか、実質的な前進はありません。この医療費については、政府がルールを無視して健保法の改悪を強行せんとしたため、重大な社会問題化したことは周知のとおりであります。政府は、中央医療協の答申を無視して九・五%の医療費値上げを行ないながら、このため生じる保険諸会計の赤字に対し、政府管掌健保では三十億円、日雇い健保では三億円、国民健保では十五億円を追加負担するのみで、残りはことごとく保険料と患者負担の増加を企てておりますが、これに対し佐藤総理は、一歩後退二歩前進のつもりと言われたが、まさに十歩も二十歩も後退で、このまま強行すれば日本の医療保険制度は崩壊するおそれさえあるのであります。政府国民大衆の反対の世論に屈しまして、衆議院段階においてわが党の協力を求め、健保の赤字対策は白紙に戻し、社会保険審議会の答申を待ちまして、国庫負担を大幅に増加することを約束せざるを得ないことになったのであります。  このほか、本予算の欠陥につきましては多くの指摘すべき点がありますが、時間の関係で省略をいたします。  さらにまた、本予算委員会を通じまして明らかとなりましたことは、佐藤内閣の南ベトナム問題に対する無能さ、軟弱、無原則なる日韓交渉、対中共政策の混迷など佐藤内閣の外交の失敗、さらには三矢図上研究に関し暴露されました問題として、佐藤内閣の憲法否認的態度、自衛隊に対する文民優位性の欠除等、大いに糾弾すべきものが多々あるのでありますが、これもまた時間の関係で省略をいたします。  要するに、本予算案は決して国民大衆のための予算ではなく、あくまで一握りの独占資本のための予算であると断定をいたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
  321. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に日高広為君。(拍手)
  322. 日高広為

    ○日高広為君 私は、自由民主党を代表して、昭和四十年度予算三案に対して賛成の意を表明せんとするものであります。  本年は、終戦後二十年目に当たりますが、この間、新生日本は世界の奇跡といわれるほどの経済発展をなし遂げ、国際経済社会においても重要な地位を占めるに至ってまいりました。このことは、もとより国民のすぐれた能力と、たゆまざる努力の結晶でありますが、あわせて、長年にわたり政権を担当してきたわが自由民主党が適時適切な政策をとってきた成果にほかなりません。かかる経済発展の基調の上に、通貨価値の維持と国際収支の均衡を確保しつつ、わが国経済の長期にわたる安定成長をはかって、先進諸国に比肩し得るような質的強化をなし遂げることこそ、昭和四十年代の課題であります。  私は、政府提出にかかる予算三案はこの課題に十分にこたえるものと確信し、賛成の趣旨をさらに明らかにしてまいりたいと思います。  まず第一に、今度の予算には佐藤総理の提唱する社会開発が十分に盛り込まれているということであります。元来、社会開発とは政治的な姿勢であって、予算の個々の費目に数字をもってこれを示されるようなものではないと存じます。要は、わが国経済を成長発展せしめる過程におきまして、国民生活の社会的、文化的側面にわたっても総合的調和をはかることと考えます。すなわち、経済的所得の増加のみでなく、国民福祉の向上を目ざす点に、佐藤総理の提唱される人間尊重の理念が見出されるのでありますが、いずれの場合にも経済の成長を通じて国民生活の発展をはかるという考え方はいささかも変わらないのであります。これに引きかえ、社会党の諸君は、ともすれば、経済の成長よりも分配の平等を主張したのであります。これは角をためて牛を殺すことにもなりかねません。わが自民党は、従来、経済成長の上にこそ国民生活の発展が実現できるという信念のもとに、各種の経済政策を進めてまいりました。  今回の政府提案にかかわる予算三案も、このような基本思想に合致するものであり、その中に盛り込まれた諸施策は、わが国経済の成長発展に適切な効果をもたらすものと考えます。一方、その予算内容をしさいに検討いたしますと、社会開発を推進するに必要な経費につきましては、特に大幅な増加がはかられ、今回の予算が社会開発に力点を置いたことがおのずから明瞭になっております。すなわち、従来とかく立ちおくれぎみでありました住宅の整備、生活環境施設の充実につきましては、一般会計においても、財政投融資計画におきましても、前年度を二〇%以上上回る経費が計上されておりまして、そのほか一般会計における社会保障関係費の対前年度伸び率一九・九%及び財政投融資計画における厚生福祉関係の伸び率三二・一%等、社会開発に十分の配慮を加えているのであります。これらの経費は四十年度予算の中核をなす部分でありますので、四十年度予算全体を社会開発のスタートとなる予算と言うことができると存じます。  第二に、今回の予算案により、国民の負担が増大するという誤解に満ちた意見があります。国民負担の軽減をはかることは、わが自由民主党が年来主張し、また実行してきたところであります。すなわち、本格的減税の始まりました昭和二十五年以降減税いたしました国税の額は、単純に合計いたしましても約一兆二千億円にのぼり、しかも、そのうちの八〇%余が所得税減税であったのであります。ことに近年におきましては、経済成長によりまして増大した租税収入を背景に、毎年引き続いて大幅な減税を実施いたしております。三十九年度におきまして、国税、地方税を通じ平年度二千億円に及ぶ大幅減税を行なったことは皆さまの記憶に新しいところと存じますが、国税だけをとってみますと、四十年度の減税も所得税、法人税等の一般的減税においてはこれに匹敵する規模のものであります。すなわち、所得税の基礎控除、扶養控除等を引き上げて、給与所得者の標準世帯における免税額を現行の四十八万五千円から五十六万四千円に引き上げるとともに、中小法人を中心とした法人税率の引き下げ等により、平年度一千二百四十億円に及ぶ一般的減税となっておりますが、これを三十九年度の一般的減税額千二百七十億円に比較してみますれば、政府が例年にないきびしい財政事情にかかわらず、国民負担の軽減に対し、なみなみならぬ考慮を払ったことがよくわかるのでありまして、私はその努力を高く評価いたしたいと存じます。  社会党の諸君は、このような政府努力に対し、その減税内容が税制調査会の答申と若干食い違った点をとらえ、一部の金持ちに奉仕する減税のごとく宣伝いたしておりますが、これはまことに的はずれの議論でありまして、政府国民負担の軽減に対する熱意努力を故意に国民の目からそらせようとするものであります。すなわち、利子所得、配当所得に対する特別措置の改正は、社会党も賛成されておる少額貯蓄非課税限度の引き上げを除けば、減税ではなくて平年度で約百億円に及ぶ増収となるのであります。  さらに、中小法人の負担軽減を主とした法人税率の引き下げをとらえて、資本家に奉仕する減税と称し、また過ぐる衆議院審議段階におきまして提出された組みかえ動議にかかる予算案においては、租税特別措置を全面的に改廃して八百億円をこえる増税を主張されておりますが、これらはいずれも分配にのみ着眼いたしまして、わが国の経済の成長発展を度外視した議論でありまして、わが自由民主党は断じて認めることのできないものであります。  次に、今回の予算案の規模、性格に対しまして誤まれる認識、いわれもなき非難があるということであります。すなわち、野党の諸君は、今回の一般会計予算及び財政投融資計画をとらえてインフレ的と称し、その証左として、予算の対前年度伸び率が経済成長率を上回ることをあげております。しかしながら、一般会計予算の伸び率一二・四%と対比すべきは国民総生産の三十九年度当初見込み額二十四兆七百億円と四十年度見込み額二十八兆一千六百億円との比一七・〇%でありまして、このように一般会計の伸びが国民総生産の伸びを下回ったのは、昭和三十六年度以来昨年度に引き続きまして二回目であり、この点ではむしろ引き締まりぎみの予算と言えましょう。  また、国民総生産に対する一般会計予算規模の比率についてみますと、最近四カ年中最も低く、さらに一般会計と財政投融資を通じた純計額の国民総生産に対する比率においても、三十九年度より低下いたしておるのであります。  以上の諸点から見まして、今回の予算を膨張予算と非難することは全く当たらないのであって、むしろ安定成長の中核となる予算と称すべきものと考えます。  私はこの機会に、当委員会審議において議論の焦点となりました日韓問題及び三矢問題について一言触れておきたいと思います。  地理的にも一衣帯水の間柄にあり、歴史的にも、経済的、文化的にも密接な関係にある韓国との国交を正常化し、両国間に善隣友好関係を確立することはきわめて当然のことであると思います。長年にわたる日韓交渉も最近に至って妥結への機運が盛り上がりまして、韓国の李外務部長官、車農林部長官の来日によりまして、請求権、漁業、法的地位等各種の懸案についての相互理解が深まり、会談妥結に向かって大きく躍進しつつありますことは、日韓両国民の将来にとっても、アジアの繁栄と平和のためにも、まことに喜ばしいところであります。日韓両国が、両国の長い将来にわたる友好関係の確立という大局的見地に立ってお互いに歩み寄りをはかるならば、両国民が納得する合理的な解決が達成されることを信じて疑いません。したがいまして、私は日韓交渉の早期妥結に賛成するものでありますが、今後とも政府が合理的な内容を確保しつつ、交渉の早期妥結のためさらに一そうの努力をなされんことを希望いたします。  次に、三矢研究問題についてであります。三矢研究については、それがあたかも制服が政治に介入し、クーデターを計画しているものではないかという問題が出されましたが、しかしながら、これは質疑が進むに従いまして、それが全くの誤解であることが明らかにされたのであります。すなわち、三矢研究は、一昨年統合幕僚会議の事務局長が臨時に長となって行なった一つの幕僚研究に過ぎず、自衛隊が任務遂行上当然行なうべき研究において、部隊運用の立場からその前提となるべき関連事項を想定として取り上げた事項が、何か特別の意図を持った政治介入計画のごとく曲解されたことも明らかにされたのであります。したがって、われわれは、シビリアン・コントロール、すなわち政治の高い次元の了解のもとに行なわれる限り、国防に関する研究はひとり防衛庁にとどまらず、政府段階におきましても有事に備える基礎的研究を行なうことが国家と国民に対する義務であると考えるのであります。  以上、野党のおもなる批判に反論を加えつつ、本案に対する賛成の意を表したわけでありますが、ひるがえって考えますと、近年、年とともに、一方において減税要求が多くなり、地方において各種の財政需要が強くなってまいりました。また、各般の社会保障制度など後年度負担の大きい諸措置が次々と取り上げられました結果、予算内容がかなり固定化しつつあるにもかかわらず、地方、あるいは国際収支対策あるいは中小企業対策あるいは石炭対策といったぐあいに臨機応変の財政措置を要求せられ、その財源捻出に苦労することが多くなっております。野党諸君のように、その場その場でいずれか一つを取り上げて政府案を上回る要求を主張されることは簡単、容易なことであります。これに引きかえまして、長期の見通しに立ちつつすべての要望を受け入れて円滑に解決をしていくことはきわめて困難なことであります。私は、政府が今回の予算編成に示された努力はこのような立場からみてなみなみならぬものであったと思うのでありまして、心から敬意を表するとともに、政府原案に対し賛成の意を表するものであります。(拍手)
  323. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に鈴木一弘君。
  324. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和四十年度一般会計等の三案に対し反対の討論をするものであります。  新年度の日本経済は、昨年の開放経済への移行に続いて再編成の年であると言われ、昭和三十九年一カ年の景気調整の結果、金融の逼迫は企業全般にわたり、倒産、不況のあらしを巻き起こすに至ったのであります。このような不況下に迎える四十年度予算でありますが、その性格は均衡予算と言いながら背一ぱいの伸びをした破綻を招くおそれのある予算であると言えるのであります。いま四十年度予算の前提となる昭和三十九年度予算の執行状況を見てみますと、不況を反映して、二月末の収入額調べから逆算しますと、法人税で四百八十億円、酒税、砂糖消費税、物品税、揮発油税などの消費税で二百十億円という補正後予算額に対しての不足を生ずる見込みであり、半分に見積っても一般会計分で四百億円をこえる歳入欠陥が予想されるのであります。これに対して大蔵大臣は、一月末の情勢から予算額までは何とか充足できると答弁されたのであるが、事態はさらに窮迫して、歳入欠陥は必至であります。このようなことから予測されることは、四十年度の予算も先行きの経済事情のよほどの好転がない限り一ばいか、やや余る程度であるということであり、医療費、公務員のベースアップなどの事態に対処できなくなると見ざるを得ないのであります。このような結果を招いたのも、政府が間度成長を急ぐあまり、一般会計からの大きな財政支出による投資をして、有効需要を喚起させ、その結果、設備過剰、不景気を招いたと言えるのであります。そこで、昭和四十年度の予算も均衡のとれたものでなくてはならないのでありますが、表面上では均衡がとれてはいるが、歳入難にもかかわらず、与党や圧力団体の要求のために、四十年度に少し顔を出し、四十一年度以降には大きな支出を予定しているものも見られ、このままでいけば四十年度を終わるとともに、いよいよ国家財政は行き詰まりとならざるを得ないと思われるのであります。公債を発行し、公共投資の増大をはかって景気の回復をはかるか、均衡緊縮財政の立場をとって不況の克服に正面から取り組むかの、いずれかの道を選ぶときに差しかかっていると言えるのであります。しかるに、四十年度予算案は、そのいずれをもとらず、一面では、なしくずし的に公債発行への理由づけを得られるよう、硬直化した財政支出を持ち、一面では均衡の名によって緊縮にも踏み切れないのである。このような性格のあいまいな予算案は、四十一年度以降に大きな問題を残すのであり、その点から見て、当座をつくろうにすぎない性格の予算と言わざるを行ないのであり、はなはだ不満を禁じ得ないのであります。さらに財政の方向を確立した予算案を強くここで望むものであります。これが反対の第一の理由であります。  次に、減税についてみましても、国民の最も熱望しているのは所得減税でありますが、国際競争力強化に名をかりた企業減税にその重点がおかれている点に大きな不満を持つものであります。今回の所得減税は、政府では標準五人世帯の所得税を、現在の四十八万五千円から五十六万四千円に免税点を上げ、国民生活の公定を期していると自画自賛しておりますが、現実の生活は、総理府の家計調査でも明らかのように、標準生計費は五十六万円をこえているのであります。したがって、今回の所得減税は、地方税を考えると、最低生活維持も困難な減税であると言えるのであります。看板は国民生活の安定であると言っていながら、電気ガス税も若干の免税点の引き上げにとどまっただけで、内容は企業減税に重点がかかっており、四十年度の税負担率は二二・一%と前年とほとんど変化なく、横ばいの現状となっているのであります。総理政治家として公約された租税負担率二〇%はどこにも見られないのであり、大衆は裏切られた感を禁じ得ないのであります。これが反対の第二の理由であります。  また、国民生活に大きな関心を与えている物価安定についても、本年度の予算にもほとんど対策らしい措置は見えないのであります。総理は消費者物価の安定に政策の重点を置くと強調してきたようでありますが、政府の四十年度の経済見通しでは、経済成長率は鈍くなって七・五%になるから、消費者物価は四・五%しか上昇しないと見ている。しかし、不況と倒産のあらしの中の景気調整下の昨年でさえ、成長率は一三%に達し、物価は五%も上昇しているのであります。したがって、金融引き締めを緩和した四十年度は、一千九年度より成長しない、物価の伸び率が下がってくるとはどうしても考えられない。初めからその見通しが狂っていると言わざるを得ないのであります。予算の面にも積極的な姿が見られず、政府の物価政策の方策も一向にその効果があらわれず、かけ声だけかけているだけで、ほんとうにやる気があるのか疑わしいのであります。さきの消費者米価の大幅な値上げに始まる医療費の値上げ等、国民生活を圧迫する物価の高騰はメジロ押しであり、生活苦の浸透は国民全階層に及んで、大衆はきめ手を持つ物価対策を早々に示すよう切望しているのであります。これが反対の第三の理由であります。  次に、具体的内容についてでありますが、近代化をうたわれている中小企業、農業の対策も全く不十分であるといわざるを得ないのであります。中小企業対策費は、三十九年度当初に比べ三〇%増と大幅に強化されたと言われているが、政策は総花的であり、企業倒産と関連してその充実が叫ばれています。下請対策を見ても、下請代金支払遅延等防止法違反に対し、その立ち入り検査費のごときはわずか百五十万円計上されているだけであります。そのほか、中小企業に対する政府三機関の貸し付け額も、前年度比一九・八%の増で、僧加率はほとんど変化していなく、市中銀行の中小企業に対する貸し付けが減っている現状から、金融環境は非常にきびしく、今後もその倒産は増加の傾向をたどることが予想されるのであります。そのほか今回は小規模企業に対し、金融の道や共済制度の対策考えられているようではありますが、このようなつけ焼き刃でない金融ルートを確立して、総貸し出しに占める中小企業への貸し出し率の増加など、真の対策をせよと言いたいのであります。  また、農業問題にしても、現在の構造改善事業を停滞させている農地の交換分合に対し、農地管理事業団の設立はあるが、それには農地法改正による農地売買の緩和と、農地を手放し、離農する農家に対する対策が不十分であると言いたいのであります。その他、後継者問題等、当面解決を迫られる問題に対し、十分な力を入れていくべきであると思うのであります。  また、社会保二障についてでありますが、均衡のとれた社会保障制度の整備を目標とすると総理は言っておりますが、その内容を見ても、当然過ぎる生活扶助基準の引き上げについても、東京など七大都市と、その周辺の一級地の標準四人世帯で一万八千八十四円と、千九百三十七円アップはされたのでありますが、現在の物価高のおりから、はたしてこれだけでどのような生活ができるか、疑問であります。  また、国民健康保険の世帯に対する七割給付についても、その年次計画を進めていくことをたたえていますが、結果として、その財政圧迫は保険税の大幅な値上げとなって国民生活をおびやかしているのであります、、政府管掌健康保険を見ても、四十年度は六百五十九億円の赤字を見込んでおりながら、国の負担はわずか三十億円だけであり、この赤字の残りを全部被保険者が背負わされることになれば、四十年度の減税分は軽くこれだけでなくなってしまうのであります。いまや社会福祉の進歩のために、国庫負担による大衆保護に真剣に取り組むべきであります。その点の姿勢はまだまだの感があり、はなはだ不満であります。  以上のように見てきましても、政府の姿勢は、あくまでも大企業優先を改めていくことが第一であるはずでありますが、それを差しおいて、大企業発展の犠牲となって発生した社会問題を補足的に対処していることは許しがたいのであります。  最後に、外交について一言述べてみたいと思いますが、佐藤内閣は自主外交を訴えてこれまでやってきたと言っていますが、対中共政策については前内閣の踏襲で終わっておると言えるのであります。アジアの平和のためには、中共をめぐる国際環境の整備が必要であり、そのイニシアチブは日本が持っておると言えるし、また、そうあらねばならないと思うのでありますが、総理のたびたびの発言にも見えますごとく、前内閣の踏襲で終わっているようでは、自主外交の名にそむく行為であると思うのであります。南ベトナム問題についても、アメリカの報復爆撃は当然であるとの発言をするなどは、平和に対する無定見な外交のあらわれであると言わざるを得ないのであります。  また、日韓交渉は、外相訪韓などによって妥結の機運がみなぎり、重要な懸案問題の一つであった基本条約、漁業問題について意見の一致をみたことは、両国の国交正常化にとっては一歩の前進ではありますが、いまだ解決されていない諸問題に対してもすみやかな解決をはかり、同時一括解決政府に強く要望するものであります。  その他、開放経済体制下の経済外交においても、差別待遇の撤廃、関税一括引き下げ問題等、対処しなければならない問題が山積しております。佐藤外交も、欧米追随外交の域を出て、地球の民族は一体であるとの理想を掲げ、わが国独自の外交路線を打ち立てなければならないと考えるのであります。このような姿勢が見られないことは、はなはだ遺憾であります。  以上、若干の意見を述べまして、反対討論を終わります。(拍手)
  325. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に佐藤尚武君。
  326. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 私は、緑風会を代表して、ただいま議題となっております政府提出昭和四十年度予算三案に対し、時局の現状にかんがみ、これに賛成するものであります。私は賛意を表するにあたり、二、三の要望を申し述べておきたいと思います。  政府は、外交上の問題については最善を尽くしておられるようでありますが、きわめて緊迫した東南アジアの情勢を控えて、わが国としても、この際、できる限りの努力を払って、事態が取り返しのつかないところまで落ち込むことを防止しなければならないと思いまするし、また、日韓問題につきましても、同国の利益を調和して、善隣の平和関係を実現すべきであると思うのであります。  なお、今朝来の諸般の報道によりますれば、四月中句にジャカルタで開催されるAA会議十周年記念式典に、政府は、自民党副総裁川島正次郎氏を派遣される模様でありまするが、同氏は、その機会に各国代表と会談の機会を持たれるやに推測されております。もしそのように各方面との接触が行なわれるとすれば、これはまことに重要な結果をもたらすことになろうかと思われますので、いわゆる釈迦に説法のたぐいではありますが、十分慎重な態度をもって臨まれるよう希望いたします。ことに一部の国々の間の紛争に仲介の労をとるがごとき問題は、きわめて困雑な立場におちいることなきを保せずと思われます。日本が調停役を引き受けるためには、前世条件として、関係国間に調停を望む空気が十分に盛り上がった上でのことにいたすべきであると思われるので、軽々しく乗り出すことは十分注意を要する次第と思われます。よって、この点、一段と慎重な考慮を払われんことを要望します。  次に、このところ経済界に不況が続いて、多数の会社が倒産する一方、物価値上がりによる生活圧迫等のため、人心が不安におちいっている今日でありますので、本予算の執行にあたりましては、これらの事情をとくと考慮に入れて、一日も早く不況が立ち直り、落ちついた国民生活ができるように善処されたいのであります。  さらに、世情不安の一因として非行少年の問題、暴力の問題があります。これらに対しましても適切果敢な対策を進めて、健全な社会をつくることにつとめられたいのであります。  以上、要望を付して賛意を表します。(拍手)
  327. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に向井長年君。
  328. 向井長年

    ○向井長年君 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府提出の昭和四十年度の予算三案について反対の意向を明らかにいたします。  一月末以来、今日までの衆参両院にわたる予算審議の期間を通じて、私が非常に遺憾に思いますことは、政府答弁が現在の不況の本質と物価高に苦しむ国民生活の実態につき、十分なる検討がなされていないことであります。なお、また、この反省が非常に足らないことであります。  私が政府案に反対する第一の理由は、不況と物価高の克服について真剣に取り組む方針もなければ、具体策も貧弱な政府案に対して、基本的に賛成する余地が全くないからであります。昨年秋から最近に至る大企業倒産の続出は、山陽特殊製鋼の整理という、負債五百億、関係企業三百社以上の広範囲なものにまで発展しました。この事件については、地元下請企業に対してあまりにも深刻な影響が及んでいることであります。経営者側に非難事項が多過ぎることなどのために、経営者の責任追及に問題の焦点があるかのごとき感がありますが、問題の本質は、供給過剰、設備過剰のもたらした当然の結果をまざまざとさらけ出したものにほかなりません。このような不況矛盾の爆発的な展開につきまして、私ども野党も政府も、お互いに中小企業救済、下請対策の強化、会社更生法の改正などを提案し、かつ、検討しておりますが、現在の経済政策の最重点はそこだけにあるのではなく、生産過剰、設備過剰のわが国経済をいかにして健全化するかというところにあるのであります。その意味においてのわが国経済構造の体質改善策は何であるか、そのために政策の最先端に立つ財政はどうすべきであるか、これこそわが国経済政策並びに予算編成の最大の問題点であるべきはずであります。  また、物価問題について申し上げますならば、政府の物価政策は、コスト主義の一言に尽きております。すなわち、原価が高くなれば販売価格も高くするのが当然だという考え方であります。この方針のもとに、政府は、消費者米価、医療費をはじめ、各種の公共料金の値上げを軒並みに容認しております。本年一月、四月に公共料金値上げの大波が押し寄せ、五、六月から秋にかけて、今度は民間商品やサービス料金の値上げの大波が必至となりましょう。現在の物価政策にとって最も緊要なことは、物価高の根本原因、すなわち、金融面の信用膨脹の行き過ぎによる通貨のふえ過ぎ、これを金融政策としていかに抑制するかに並行して、公共料金の上昇を財政の力でどこまで吸収し、コントロールするかの当面の政策にかかっておるのであります。現在、不況に対する生産と設備投資の調整対策として、鉄鋼業界を先頭に、各産業界では大手メーカーの間に調整の話し合いが進められております。これは企業間の休戦協定でありましょうが、政府はこの話し合いに、経済政策の基本であるべき新しい産業秩序づくりを一任した形であります。  物価政策につきましては、政府は、コスト高のしわ寄せをはっきりと消費者価格の引き上げに求めております。このように、不況対策は大企業まかせ、物価対策は消費者にしわ寄せ、これが佐藤内閣の経済政策の基本であって、明年度予算は、この二つの問題に触れようとしないものをもって特徴としております。これでは政府案に賛成することは全くできないのであります。政策上の根拠が皆無といわなければなりません。  私が政府案に反対する第二の理由は、政府案は、今後の財源調達について何らの見通しも持たずに、国民の税金を食い散らかしているからであります。私から申すまでもなく、経済発展と国民生活水準の高度化に伴って、歳出予算は大型となりまして、歳入財源がこれに追いつけなくなっております。四十年度歳出予算は、前年度に比べて四千二十六億円の増額となり、そのうち、約三千五百八十億円は自然増であり、新規政策に充て得るところの財源はわずか五百億円にすぎません。政府は、このような歳出構造の変化を漫然と見送って、わずかな新規財源のワクの中に政策項目だけをたくさん並べ立てておるのであります。いまやこのような不明確な、その日暮らしをするのではなく、中央、地方を通ずる大胆な行政機構改革をもって冗費を節約すべきであります。また、超過利得と浪費的な支出に対しては、勇敢に課税して、税負担の公平を期し、かつ、ここに新財源を求めるべきであります。ところが、政府案は、臨時行政機構調査会の答申に真剣に取り組んで、行政の簡素化の努力が全く足らないのであります。税制改正としては、配当課税の源泉課税採用に見るように、株式配当の多い高額所得者に有利な減税をあえて行なっております。また、年所得三百万円以上の法人について、法人税率一%引き下げを行ない、この面からでは大会社に対する大減税を断行しております。政府は、一体今後の財源確保にいかなる道を選ぶのか、国債発行やむなしの方向に追い込むつもりなのか。昭和四十年度は、医療費赤字処理、農業用ガソリン税負担引き当ての新規予算の計上、生産者米価の引き上げ、公務員給与のベースアップ、IMF増資に対する出資金負担など、現在すでに歳出補正必要額は一千億をこえているはずであります。政府は、参議院選挙が済めばこれらの財源確保に苦労しなければならないのは目に見えておるのであります。おそらく政府の方針は、財源がないから何もできないとの消極方針でありましょう。このような予算編成は、まさに財政不在の予算と称すべきであって、われわれはこの事態を深く憂慮するものであります。昭和四十年度予算編成にとって何よりも必要なことは、政府の決意、政治力の結集であります。佐藤政治は前向きの姿勢であるかのごとく見えますけれども、実際はあとぜりしているという批判が町々に流れておるのであります。そのような政治姿勢をされて一番困るのは国民であります。政府は、一日も早く不況対策を確率すべきであります。この意味において、まず、重要産業の生産と設備投資の調整についての国の責任体制を確立する重要産業基本法の制定、オーバー・ローンと大企業向け集中融資に流れている金融機関のあり方を是正する銀行法の改正、勤労者向け所得税の五人世帯年収七十二万円までの免税、行政事務費用の大幅節減、公共料金据え置きのための財源補てん、少なくともこの五つの政策の柱を政府が一日も早く確立するよう、強く要望いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
  329. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に須藤五郎君。
  330. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、昭和四十年度予算三案に反対するものであります。  今日、日本にとって最も重大な問題は、アメリカ帝国主議が南北ベトナムヘの侵略をますます拡大し、東南アジア全域はもちろん、中国に対する侵略戦争を開始することも辞さない危険な道に踏み出したことであります。アメリカ帝国主義は、恥知らずな集団自衛という口実のもとに、ジュネーブ協定をじゅうりんして、ベトナム民主共和国に連続的な爆撃を行なうとともに、国際法を無視して、ナチス・ドイツさえやれなかった毒ガスの使用まで始めました。アメリカ帝国主義のこうした残虐、狂暴な侵略行為は全世界の人民の非難の的になり、アメリカ国内においてさえ、激しく糾弾されております。しかるに、佐藤内閣は、このアメリカの不法、暴虐な措置に対しどのような態度をとっておりますか。政府は、アメリカのベトナム民主共和国に対する爆撃を正当なことであると公言したばかりでなく、彼らが毒ガスを使用することまでこれを肯定し、みずから進んでこの侵略戦争にに協力する体制をとっております。それだけではありません。佐藤総理は、韓国軍隊二千名の南ベトナム派遣を支持し、日本におけるアメリカの軍事基地の使用を許し、特に沖繩を最大の拠点として使用させております。こういう侵略と戦争に加担し、協力する体制こそ日米安保条約の正体であります。本予算案はこのような性格そのもののあらわれであり、また、それを一段と強めるものであります。  さらに、今日しゃにむに押し進めておる日韓会談に至っては、言語道断であります。すなわち、アメリカは、東南アジアにおける干渉と侵略が敗北必至の様相を呈するや、米、日、韓、台をつなぐ東北アジア軍事同盟の陰謀を押し進めるために佐藤内閣に圧力を加え、佐藤内閣もまたこれを受け、日朝両国人民の反対を無視して、四月調印、五月批准を目ざしてあらゆる取引を行ない、ついに日韓基本条約の仮調印とともに、対日請求権その他の仮調印を行なおうとしておるのであります。金韓国国防相は、去る三月二十八日、日韓会談が妥結すれば韓国軍と日本の自衛隊との協力関係が生まれると述べましたが、これこそ米、日、韓、台の軍事同盟国をでっち上げ、日本の自衛隊をアメリカのアジア侵略の道具にしようと急ぐ米日反動の陰謀をはっきりと暴露したものであります。その基本条約においては、アメリカのかいらいである韓国を朝鮮唯一の合法政府と認め、わざと条約の適用区域を明記せず、厳然たる独立国である朝鮮民主主義人民共和国を完全に否定しております。漁業協定においては、事実上李承晩ラインの存続を認め、在日朝鮮人の法的地位の問題に至っては、一方的に韓国籍を強要し、これに従わない朝鮮人に対しては無国籍の外国人として、無法な差別をたくらんでいます。特に朝鮮人民の対日請求権の問題については、朝鮮人民を代表する何らの資格もない朴一派に、有償、無償その他を加え、八億ドル以上の援助を提供しようとしております。これらはアメリカ原子力潜水艦寄港の承認、三矢作戦計画、憲法改悪の陰謀、自衛隊の増強、第三次防衛計画等とあわせて、朝鮮を中心とする新しい侵略戦争の準備そのものであるといわなければなりません。これらすべてがアメリカのアジア侵略計画の一翼をになって、軍国主義を復活させ、アジアへの帝国主義的進出をはかろうとする佐藤内閣の基本政策をあらわしており、この基本政策に基づいてつくられたのがこの予算案であります。したがって、政府は、三兆六千億円に及ぶ膨大な予算案を組み、一兆六千億円をこえる財政投融資を計画しておりますが、その内容たるや、安保条約の日米経済協力に基づいて、軍国主議復活の経済的基礎を固め、アメリカの戦争政策への協力と、日本独占資本の海外進出をいよいよ本格化しようとするものであります。年々増大して、ついに三千億円をこえた直接軍事費、一千四百億円にのぼる旧軍人恩給費、その他軍事目的を含む科学技術費の大幅増額、さらに、南ベトナム、台湾など、アメリカのかいらい政権に対する巨額の援助等は、佐藤内閣の反人民的、反民族的な性格を端的に示しているものであります。  さらに、巨大な公共投資は、独占資本本位の、いわゆる高度経済成長の破綻を人民の犠牲によって切り抜け、独占資本の一そうの集中強化とあわせて、軍事目的をも追求しているのであります。これらの戦争準備と独占資本本位の政策のためにこそ、生活費に食い込む過酷なる重税、消費者米価、水道料、授業料その他の値上げを行ない、人民に対する収奪を一そう強めているのであります。こうしてアメリカ帝国主義の戦争政策に協力し、日本独占資本に奉仕する佐藤内閣は、労働者に対しては賃金の抑制、合理化、労働力の流動化、権利の剥奪など、ますます収奪を深め、労働災害を激増させております。  農民に対しては、農業基本法に基づく農村からの追い出し、農地管理事業団による土地取り上げ、自由化の名によるアメリカ余剰農産物の無法な押しつけと、農民の生活のみならず、日本農業そのものを破壊する政策を遂行しております。その上、社会保障に至っては何らの施策をも講じておらないばかりか、逆に削減を行なっているのであります。たとえば医療費の値上げ、各種保険料、年金等の掛け金の引き上げ、失業対策の打ち切り、生活保護の実質的引き下げなど、社会保障を全体にわたって改悪するとともに、独占資本に対する財政投融資の財源確保につとめております。このような予算案は、日本の独立、平和、民主、人民の生活の向上に何の役にも立ちません。逆に、人民生活を破壊し、アジアの平和を攪乱し、日本のアメリカへの従属を一そう深め、民族の運命を危険におとしいれる予算であります。  以上の理由によりまして、われわれは人民とともに、本予算案に反対するものであります。
  331. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 以上をもちまして討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって総予算三案の討論は終局したものと認めます。  これより三案の採決に入ります。  昭和四十年度一般会計予算昭和四十年度特別会計予算昭和四十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して問題に供します。  三案を衆議院送付どおり可決することに賛成の方の御起立を願います。   〔賛成者起立〕
  332. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 起立多数と認めます。よって三案は、衆議送付どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、三案の議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  333. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後九時三分散会