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1965-03-29 第48回国会 参議院 予算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十九日(月曜日)    午後四時五十八分開会     —————————————   委員の異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      小林  武君     小柳  勇君      木村禧八郎君     伊藤 顕道君      加瀬  完君     田中  一君      高山 恒雄君     中村 正雄君  三月二十七日     辞任         補欠選任      小柳  勇君     藤田藤太郎君      田中  一君     加瀬  完君      伊藤 顕道君     木村禧八郎君      鈴木  強君     岡田 宗司君      鈴木  壽君     小林  武君  三月二十九日     辞任         補欠選任      鹿島 俊雄君     二木 謙吾君      加瀬  完君     小宮市太郎君      藤田藤太郎君     横川 正市君      羽生 三七君     大倉 精一君      中村 正雄君     高山 恒雄君      佐藤 尚武君     奥 むめお君      林   塩君     山高しげり君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         平島 敏夫君     理 事                 大谷藤之助君                 迫水 久常君                 日高 広為君                 村山 道雄君                 中村 順造君                 藤田  進君                 鈴木 一弘君     委 員                 井川 伊平君                 植垣弥一郎君                 植竹 春彦君                 江藤  智君                 久保 勘一君                 草葉 隆圓君                 古池 信三君                 郡  祐一君                 佐野  廣君                 田中 啓一君                 竹中 恒夫君                 野本 品吉君                 二木 謙吾君                 山崎  斉君                 吉江 勝保君                 大倉 精一君                 北村  暢君                 瀬谷 英行君                 千葉千代世君                 浅井  亨君                 白木義一郎君                 高山 恒雄君                 向井 長年君    国務大臣        大 蔵 大 臣  田中 角榮君    政府委員        大蔵省主計局次        長        中尾 博之君    事務局側        常任委員会専門        員        正木 千冬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付) ○主査報告     —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告いたします。  二十六日、小林武君、高山恒雄君、木村禧八郎君、加瀬完君が辞任され、小柳勇君、中村正雄君、伊藤顕道君、田中一君が選任されました。  翌二十七日、小柳勇君、田中一君、伊藤顕道君、鈴木強君、鈴木壽君が辞任され、藤田藤太郎君、加瀬完君、木村禧八郎君、岡田宗司君、小林武君が選任されました。  本日、加瀬完君、藤田藤太郎君、中村正雄君、羽生三七君、鹿島俊雄君、林塩君が辞任され、小宮市太郎君、横川正市君、高山恒雄君、大倉精一君、二木謙吾君、山高しげり君が選任されました。     —————————————
  3. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 昭和四十年度一般会計予算昭和四十年度特別会計予算昭和四十年度政府関係機関予算、以上衆議院送付の三案を一括して議題といたします。  この際、先般の理事会において締めくくりの総括質疑の取り扱いについて協議いたしましたその内容について報告いたします。質疑総時間は三百二十分とし、その各会派への割り当ては自由民主党及び社会党おのおの百二十分、公明党三十分、民主社会党二十分、緑風会、共産党、第二院クラブおのおの十分といたしました。質疑順位につきましては、総括質疑順位と同様にすることにいたしました。以上報告のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  5. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、各分科会における審査経過について主査のほうから報告を求めます。第四分科会主査鈴木一弘君お願いいたします。
  6. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 第四分科会における審査経過を御報告申し上げます。  本分科会担当は、昭和四十年度予算三案中、労働文部厚生及び自治各省所管に属する予算でありまして、去る二十六、二十七日と本日の三日間にわたり関係大臣並びに政府委員からそれぞれ説明を聴取し、質疑を重ね、慎重に審議を行ないました。以下、質疑のおもなるものについて御報告申し上げます。  まず、自治省所管予算について申し上げますと、新産業都市建設の問題について、政府昭和五十年度までに総事業費四兆三千億円にのぼる建設基本計画を策定しているが、所要財源に対する国、地方及び民間負担割合及び各年次別事業計画はどうなっているか。四十年度自治省予算では、県に対し地方債起債ワクを四十億円に広げ、その利子補給をし、市町村つにいては補助率かさ上げを行ない、翌年度増額分精算をすることになっているが、この程度財政援助ではたしてこの膨大な計画が達成できるものかどうか、地方財政の実態から見てはなはだ心もとないとの質疑がありました。これに対し政府側から、四兆三千億円は経済企画庁でまとめた新産業都市計画による昭和五十年度までの公共投資の総額であって、この中には国鉄及び電電公社等で行なう分も含まれており、地区別計画は一応きまっておるものの、全体として各年度割り事業量及びその負担区分が幾らという実施計画はまだ明らかになっていない。自治省としては、県の計画もとに三十九年から四十五年までの間の事業費を二兆三千億円と推定しているが、これとて各地における単独事業等関係で多少の誤差はあるかと思う。いずれにせよ、この計画地方公共団体の申請によるものとはいえ、国が承認を与え、国が基本方針を指示して行なうものである以上、国と地方が一体となり、均衡のとれた姿で推進すべきものであり、今後関係各省と緊密な連絡もと産業配置工場誘致適正化努力するとともに、地方負担状況に応じて適切な財源措置を行なうことによって何とかやっていける、目標の達成はできる、との答弁がありました。  さらに、今回の税制改正で、国税である所得税課税最低限引き上げが行なわれたが、住民税はそのままに据え置かれた。その結果、所得税住民税との間に二十万円からの開きが生じたのは不合理ではないかと思うが、政府考えはどうか、との質疑がありましたのに対し、自治当局からは、住民税課税最低限引き上げ税制調査会でも論議されており、将来何とか是正しなければならぬと考えているが、地方財政の苦しいおりからでもあり、かたがた四十年度地方税本文方式に統一する途上でもあるので、四十一年度から改定する方向目下検討中である、との答弁がありました。  次に、労働省関係でありますが、今後の雇用政策あり方をめぐって昨今やかましい中高年齢層雇用問題一つをとってみても、これからの雇用計画産業計画及び教育の問題と密接な連携が必要になった。労働省は「地域別産業別雇用促進計画」なるものを発表しているが、これと政府中期経済計画との間には若干の食い違いもあるようだが、労働大臣所見はどうか、との質疑がありました。これに対し石田労働大臣は、これまでの雇用計画はどこにどういう種類の労働力が必要かということでやってきた結果、人口の過度集中が行なわれ、地域格差が生じた。今後は需要を追っかけるのではなく、むしろ労働力のある地域産業を持っていくようにしたい。事実、現在の労働力需給関係から見て、今後の雇用計画産業計画基礎になるべきだと思うし、教育との関連については、社会の労働力需要に応ずるよう現在の学校制度を改めてもらいたいと考えている。さらに中期経済計画との関係については、その基本になる統計数字のとり方について、先方は、労働力調査統計を使い、こちらの雇用促進計画は、国勢調査の数字によったため、就業労働者総数で二百九十万人の開きがあり、また、推計方法にも違いがあって、両計画の間に若干の食い違いが生じたのは事実である。労働省としては、ただいまの計画は試案として作成したものであり、今後はさらに関係各省連絡を強化し、中期経済計画との調整をはかりたい旨の答弁がありました。さらに最低賃金制の問題に関し、石炭産業においては最低賃金一万六千円の答申がなされておるが、大臣はこれをどう扱うつもりか。また、新規学卒者は少しでも高い賃金を求めて移動する。その結果、地方青少年がいつかなくなるわけだが、この際、全国一律最低賃金制実施すれば、学卒者自分の育った土地に定着することになる、大橋前労働大臣は、昨年三月の国会答弁で、昭和四十年度末に開かれる通常国会には新しい最賃法案を提出したいと述べているが、現大臣はこれを実行するか、との質疑があったのに対し、石田労働大臣は、石炭労働者の新最低賃金は、答申を尊重して四月一日から実施する。現在の最賃制については、すでに一応の役割りを果たしたと見ており、将来はお説のような方向に進むべきものと考えている。なおまた、前任者国会答弁された点については、自分も全く同感で、できるだけ早い機会実施したい旨の答弁がありました。  次に、厚生省関係について申し上げます。国民健康保険財政赤字については、いまや全国の各市町村国民健康保険赤字問題で苦しんでるが、その原因は、政府が全額補助すべき国保事務費について、実際上一人当たり四百円近くかかるものを二百円の予算しか見ておらず、また、医療費の九・五%値上げに伴う保険者負担増については、四十年度予算においてその四分の一しか計上しておらないこと、さらには家族の七割給付実施にあたって、五割が七割に上がった二割分だけについて、その四分の三を補助するにとどまるといったことなどが、さなきだに窮迫を告げている市町村財政に一そうの拍車をかけるからだと思う。すでに大阪、京都あたりでは、国保赤字を埋めるためにおもな財源をほうり込んだ結果、地方自治体として当然やるべきほかの事業ができず、そのため保険料値上げが行なわれたり、また、一部には、国保返上論すら出ている。この際、厚生行政の面から国保制度考え直す必要はないか、との質疑がありました。これに対し神田厚生大臣からは、市町村国保財政はおっしゃるとおりの状態と思うので、三十九年度の未精算と四十年度赤字見込み額については、大蔵当局とも合議の上、適当の機会国庫負担増額をはかるつもりでいる。同時に、国保制度そのものについても、いまのままの市町村単位運営でいいのか、あるいは都道府県単位にするほうがいいのか、それとも国営にすべきものかなど、抜本的な問題も考えられるので、それらを含めて検討を進めている、との答弁がありました。さらに青少年健全育成という観点から、現在民生委員児童委員は同一人が兼務することになっているが、かつて民生委員方面委員と称した当時と違い、青少年の問題が大きな世論をかもす一方、児童福祉関係仕事も多くなっている現状から見て、一人の民生委員児童委員を兼ねるのは不適当と思うがどうか、との質疑がありましたが、これに対しては、神田厚生大臣並びに政府委員から、児童家庭の一員だという立場から民生委員児童委員にしているわけで、いま直ちにこの兼務制を改める考えはないが、ただ民生委員はこれまで困窮家庭を対象としてきた伝統があるため、今日の児童問題に対しは理解の薄い面があるので、研修などを行なうとともに、婦人の児童委員をできるだけ出すような線で改善につとめていきたい旨の答弁がありました。  最後に、文部省関係について申し上げますと、PTAの現在のあり方に関する質疑がありました。すなわちPTAは戦後日本に駐在した連合軍民間情報局の示唆によって将来とも経済的援助団体にならぬこと、連続して会長の座を独占することによって政治的に利用されることがあってはならぬ等々、性格上の配慮をも指示されて発足したものであるが、以来二十年近くを経た今日、PTA学校経営面に口出しするのみか、人事にまで容喙するようになっている。これは要するに、教育予算が貧弱なところから、学校としてもPTAにたよらざるを得ない事情によるものと思うが、文部当局所見はどうかというのが質疑概要でありました。これに対し愛知文部大臣からは、御懸念の点は全く同感で、かかる事態を招いたのは、国、市町村財政措置が不十分であったためと思い、四十年度予算では、小、中学校に対する施設費の面で建築単価構造比津等々、前年度の実績を尊重して、できるだけの予算措置をしたつもりであるが、もとよりこれで十分とは思っていない、今後とも、PTAが、学校運営面に法外な口出しをするようなことのないよう、まずその前提条件をなくする方向研究もし、所要財政措置もいたしたい旨の答弁がありました。  このほか、各行所管予算にあらわれた幾多の問題にわたって、熱心な質疑が行なわれたのでありますが、それらについては、会議録によって御承知願いたいと存じます。  以上をもちまして、当分科会担当予算の全部の審査を終了した次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  7. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 第三分科会主査田中啓一君にお願いいたします。
  8. 田中啓一

    田中啓一君 第三分科会における審議経過を御報告申し上げます。  第三分科会担当は、昭和四十年度予算関係三案中、郵政、運輸建設及び農林の四省所管に属するものであります。審議は二十六、二十七、二十九日の三日にわたり、まず所管大臣から説明を聴取した後、質疑を行ないました。その間、各委員出席は非常によろしく、熱心、かつ充実したる質疑応答が行なわれたのであります。かくして、審議時間が短いうらみはありましたが、質疑応答を通じて、関係省も、また政府機関も、今後の行政方針予算編成等に多大の参考になったことを疑いません。その詳細は、速記録によって御承知を願いたいと存じますが、以下、簡単に審議概要を印象的に御報告申し上げたいと思います。  郵政省関係につきましては、郵便、電信、電話、貯金事業等につき、その経理関係人事関係等に対しまして、各方面からさまざまな問答がありましたが、経済成長に伴って急速に進んでいく通信需要の増加に対して、これらの事業は立ちおくれはせぬかとの質問に対しまして、当局からは、万全の努力をしたい旨の答弁がございました。  運輸省関係につきましては、新東京国際空港の問題、都市通勤通学輸送難の問題、船舶運賃国際収支赤字の問題、国内陸運と海運との関係問題等につきまして、熱心なる質疑応答がありました。  次に、建設省関係につきましては、住宅問題、土地価格の問題、建造物耐用年数都市計画問題等につき、これまた、質疑応答がございました。  農林省関係につきましては、日韓漁業交渉日本漁民との関係日本農業の将来、政府農業政策重点いかんというような点につき、これまた熱心に質疑応答がございました。これらを通じまして、主査に印象深く残りましたのは、通信政策にしても、運輸政策にしても、建設政策、また農業政策にしましても、現状をもってしては、日本経済成長に立ちおくれてここらが隘路となるようなことがありはせぬか、こういうことを真剣に御質問になったのでございましたが、各大臣は、それぞれ決意のほどを答えられたのでありましたが、特に印象深かったのは、石田国鉄総裁が連日出席をされて、現状を率直に説明し、熱烈なる抱負と決心のほどを示されたのは、委員一同非常に感銘したところでございました。  以上をもって第三分科会審査報告といたします。(拍手
  9. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 第二分科会主査吉江勝保君にお願いいたします。
  10. 吉江勝保

    吉江勝保君 第二分科会における審査経過を御報告申し上げます。  第二分科会は、総理府のうち防衛庁経済企画庁科学技術庁並び外務省大蔵省及び通産省の各所管に属する昭和四十年度予算担当いたしました。  審査は、二十六、二十七及び二十九日の三日間にわたり、各所管大臣に対し熱心に質疑を行なってまいりました。以下、それらの質疑のうちおもなものについて申し上げます。  まず、経済企画庁所管に関し今度新たに設けられる国民生活局設置の意義、同局の行なう事業内容予算等について質問があり、また、中期経済計画では、期間中、年平均八・一%の成長を見込んでいるが、これは欧米先進国の四・五%に比してかなり高いが、このように高い成長率が見込める根拠は何か。また、このような高い成長率を維持しても、この期間中にひずみを是正することができるか等についての質疑がありました。  これに対し経済企画庁長官から、従来、ともすれば、国民経済運営にあたって、生産者側に起こった問題の解決に目を奪われがちであったが、最近における高度経済成長消費者の側からながめ、経済成長国民福祉に結びつけ、また、今後日本国民生活のあるべき姿を明らかにする必要がある。これらの点の施策を行なうため、国民生活局設置に踏み切った当面の仕事としては、限られた資源をどこに投入したら福祉が向上するか等についての調査研究を主とし、将来国民生活長期計画をつくるための基礎作業を行なっていく方針である。また、中期計画でわが国の経済成長が、今後しばらくの間、欧米に比して高いと判断している理由は、日本経済はまだ青年期にあり、輸出の伸びが大きく、国民所得に対する投資率個人貯蓄率も、西欧に比べ著しく高い、また、労働力についても、若年労働者は逼迫してきたが、農業部門等から流入する新規労働力や、中高年層の能力を教育訓練等の充実によって開発するならば、まだまだ余裕があること等の理由に基づいているとの答弁がありました。  さらに、ひずみ是正の問題に対しては、農林漁業中小企業生産性を伸ばすことに力を注ぎ、振りかえ所得国民所得に対する比重を、基準年次五・三%から七%に伸ばす予定であるので、このような政策努力をすれば、ひずみの是正は相当程度達成できるとの答弁がありました。  次に、防衛庁予算につきましては、米国の無償援助打ち切りに関連して、第二次防衛計画で期待していた無償援助額はどのくらいか、そのうち、打ち切りになる金額はどれだけか、その分については予算が必要とされると思うがどうなっているか、二次防は金額内容とも違ってきているので改訂されるのではないかとの質疑がありました。これに対しては、第二次防衛計画では、当初八百二十億円ばかりの供与を期待していたが、その後値下がり等があって、現在価格では六百三十億円程度であるが、このうち三百億円分はすでに承認されているので、三百三十億円が打ち切られることになる。このうち、ぜひとも必要なものが百六十億円分あるが、四十年度には国庫債務負担、費を含めて八十三億円分が計上されている。二次防の計画は、四十年度まではそのワク内の操作で行なっている。四十一年度分は予算の面で考慮されるよう期待しているとの答弁がありました。  次に、通商産業省所管につきましては、政府は現在及び今後の中小企業問題の重点をどのように把握してこれに対する対策を立てようとしているのか、また、中小企業基本法では、大企業に対し中小企業を保護するという重要な点が抜けているのではないかとの質疑がありました。これに対して通産大臣より、現在の高度成長の結果、中小企業をめぐる環境が以前より悪くなった。たとえば労働力不足が深刻化するとともに賃金も高騰し、最近の倒産問題に見るように、過大投資資本不足といったような欠陥が出ているが、今後中小企業近代化高度化を実現すべく財政金融面からの援助重点を置いてやっていきたい。資金回収面の困難などは金融引き締め措置緩和等経済全般の向上によって解消すると思うが、なお努力したい。基本法ついてには、確かに中小企業に対する大企業しわ寄せはあるが、しわ寄せ防止措置は、中小企業に対する官公需の確保、支払い手形遅延防止法による措置実施等努力しているとの説明がありました。  大蔵省所管について。明年度予算には予備費五百億円を計上しているが、財源難といわれる年度に二百億円増額したのはどういう理由か、当然一般会計に計上すべきものを予備費にしたものがあるのではないかとの質疑がありました。これに対し大蔵当局より、予備費は総予算の一%くらいであったが、最近の災害の状況等考えると、三百億円では不足を生じているので増額した。一般の歳出に計上すべきものを予備費として計上するようなことはないとの答弁がありました。  外務省所管に関しては、当面の日韓交渉質疑が集中いたしました。すなわち、李外務部長官の在日中に大筋をまとめるということで大幅な譲歩を行なっているのではないか、特に民間経済協力については、従来一億ドル以上という説明であったが、今回三億ドル以上ということであるから、たいへんな後退ではないかとの質問に対し、外務大臣から、相互平等の立場交渉を行ない、譲るべきは譲り、主張すべき点は主張しているのであって、大幅な譲歩を行なっている事実はない。金・大平メモは三億・二億の有償・無償供与が根幹であって、民間経済協力は期待されるとなっているのである。これについて従来一億ドル以上は可能としてきたが、今回漁業資金その他具体的な形を整えてきたので、三億ドル以上といっても非現実的なものではないと考える旨の答弁がありました。また、昨年十二月に決定した対韓緊急経済援助二千万ドルについて、緊急といいながらまだ利用されていないが、その後どうなっているか。最近のベトナム情勢韓国派兵等考えると、アメリカの政策の一環として日本経済力を動員するという軍事的色彩の濃いものではないかとの質疑がありました。これについて、緊急援助はあくまで困難な韓国経済に対する援助であって軍事的なものではない。援助受け入れがおくれているのは韓国内の事情に基づいている。援助受け入れについて、韓国国会の事前の承認は必要としないが、政治的配慮に基づき報告することになっているが、この手続が、朴大統領西独訪問その他の事情でおくれているのである。これらの手続が完了次第実施に移される予定であるとの答弁がありました。  最後に、科学技術庁につきましては、大学や研究機関若手助教授研究員が外国へ行ったまま帰らない、いわゆる頭脳流出になったり、民間企業へ引き抜かれたりしている、待遇上の改善をもっと推進すべきではないかとの質疑がありました。これに対して科学技術庁長官より、科学の国際交流の面からいえば、頭脳交流は必ずしも不適当とばかり言えないが、流出が著しいので、待遇環境の面で整備につとめたい。待遇の面では、初任級五万円以下の研究員等を中心に、昨年の人事院勧告で若干の改善を見たが、まだ民間に比べて八ないし一〇%の開きがあるので、今後とも一そう努力したい。また、環境面でも、海外留学制度の拡張、表彰制度の充実等、研究意欲を燃やすように改善をはかりたい。四十年度は実現しなかったが、研究準備金制度も相当効果があると思われるので、来年は実施したい旨の答弁がありました。  このほかにも各所管事項にわたって熱心な質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  以上報告申し上げます。
  11. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいま委員の変更がございました。佐藤尚武君が辞任され、奥むめお君が選任されました。     —————————————
  12. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 第一分科会主査中村順造君にお願いいたします。
  13. 中村順造

    中村順造君 第一分科会における審査経過を御報告申し上げます。  第一分科会担当は、昭和四十年度予算三案中、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(防衛庁経済企画庁科学技術庁を除く)及び法務省所管並びに他の分科会所管外事項であり、三月二十六日、二十七日及び二十九日の三日間にわたり、関係大臣及び政府委員より説明を聴取した後、慎重に審議を行ないました。以下、質疑概要について御報告申し上げます。  まず、皇室費関係予算について申し上げます。四十年度は内廷費の定額は改定しないのに、皇族費の定額を改定した理由、及び宮廷費は前年度に比し大幅増加となっているが、その理由は何か等の質疑がありました。これに対し政府委員より、内廷費については三十九年度に定額を改定している。及び義宮が御結婚により独立された等の理由により、今回は定額を改定しなかったが、皇族費については、皇族の国の内外における御交際が年々ふえてきている、一般経済生活の水準が高くなっている、及び各宮家の職員の待遇改善が必要である等の理由により、定額を改定しようとするものである。また、宮廷費に関しては、三十九年度までは、皇室の公的活動のうち、たとえば国賓の御招待の経費、皇太子の海外旅行の経費等は、そのつど予備費より支出していたが、四十年度は、かかる経費は予備費支出によらず当初予算に計上することになったため、前年度に比し大幅増加となったものである旨の答弁がありました。  次に、会計検査院所管予算につきましては、検査の方法に関して、現在行なわれている簡易証明は、具体的にいかなる経費について行なわれているのか。実地検査の際、簡易証明分も検査しているのか。その報告はなされているのか。また、沖繩援助費の検査はどのように行なわれているか等の質疑が行なわれました。これに対し会計検査院事務当局より、簡易証明は、計算証明規則第十一条により認められているもので、内閣の報償費、警察庁の報償費、捜査費、公安調査庁の報償費、調査活動費、外務省の報償費等であり、実地検査を行なう際にはこれらの経費も検査しており、領収書等のないものは事情を聞き、納得のいくように検査しているが、その報告については、不正、不当な支出でない限り、全般的な事柄は口頭で報告するにとどまり、公式記録としては残していない。また、沖繩援助費の検査は、覚え書きに示された一定の条件が整えば検査できることになっており、昨年五月、人員三名、九日間にわたって検査したのが最初で、その結果は、不正、不当な支出はなかったという報告がなされている旨の答弁がありました。  次に、裁判所所管予算につきましては、裁判官十六名の増員に伴う書記官等の増員をなぜ考慮しないのか。また、裁判官室の充実維持をはかるため裁判官研究庁費一億七千九百万円が計上されているが、その使用目的は何か、等の質疑が行なわれました。これに対し、最高裁事務当局より、裁判官の増員と並行して書記官等を増員するのが望ましいのであるが、今回は書記官等の欠員が多かったので、これを補充していけば大体支障はないものと思う。また、裁判官研究庁費一億七千九百万円の使用目的は、現在裁判官はいわゆる宅調にたよっているので、これを廃止する方向で裁判官室を充実整備しようとするもので、長期にわたってこの予算は計上していきたい。さしあたっては、器具、備品、資料等の整備に使用していきたいと思っている旨の答弁がありました。  次に、法務省所管予算につきましては、さきに問題となりましたかぜの新薬実験による人権侵害事件をめぐって論議がかわされました。すなわち、去る三月二十四日東京法務局にかぜの新薬の人体実験による人権侵害の申し立てがなされたが、その内容を知りたい。この事件のいかなる点が人件侵害として問題になるのか、また、この事件は刑事事件にもなる可能性が強いと思われるが、法務省の見解はどうかという質疑が行なわれました。これに対し、法務大臣及び政府委員より、この事件は三月二十四日東京法務局に興和株式会社に勤務する中村晴子という人が申し立てたもので、その内容は、興和株式会社が研究中の抗ウイルスの新薬キセナラミンの実験のため、昭和三十八年十月同社の社員に副作用のあるのを隠して服用させたため、食欲不振、吐き気等を起こし、うち十七名入院、一名死亡するに至った。これは人権侵害だから調査してもらいたいというものである。一般に、新薬については、最終的には人体実験の必要性は考えられるところであり、その全部が人権侵害になるとは限らない。しかし、その際には、第一に、副作用は一応ないという確認、第二に、万一生ずる副作用に対する十分なる予防、治療、第三に、服用者に事情説明し、完全なる同意を得るというように、きわめて慎重なる取り扱いが必要である。この三点が十分でないときは人体実験は避くべきである。このたびの事件も、この三点に問題があるものと思う。いずれにしろ、人間に試薬を服用させることは重大な問題なので、その取り扱いは慎重にせねばならぬ。目下、詳細なる事情を調査しているが、その重要性にかんがみ、重大な人権侵犯事件として早急に結論を出すよう指示している。調査の上、刑事事件として取り扱う確信が出れば捜査に着手する旨の答弁がありました。  次に、国会所管予算につきましては、国会職員の待遇改善に関し、現在恵まれていない行政職(二)の撤廃問題、議院警察職、速記職の俸給表の改訂問題について、さらに、国会図書館の滞貨書物の整理問題等について質疑がありました。これに対し、各関係当局より、行政職(二)俸給表は、現在破綻を来たし、抜本的改正が必要であると考えている。そこで、人事院にも要望し、大蔵省にもその旨を主張している。しかし、行政職(二)を撤廃するかいなかについては、国家公務員全般の問題として人事院において解決されるべきものと思う。特別職とはいえ、国会独自で異なった取り扱いをするのははなはだ困難である。したがって、行政職(一)への移行を認める等、その運営において極力その改善努力している。議院警察職俸給表は、他の職種相互間の均衡を保持しつつ改善するという考えもと検討している。昨年の給与改定においては議院警察職は有利に改定されており、さらに現在初任給の改善について両院の間で話し合いが行なわれている。一方、速記職俸給表は、国会独自できめているが、その一等級は行政職(一)の二等級と新三等級とを折衷して作成している。今後ともその改善検討していきたい。また、国会図書館の滞貨書物は、現在約二十六万冊であるが、整理能力は年に六万冊であり、新刊図書の整理もあり、その一掃に八年ないし十年を要するので、四十一年度を目途に電子計算機による整理を企図しており、その一掃に努力したい旨の答弁がありました。  次に、内閣及び総理府所管予算につきましては、沖繩援助に関し日米協議委員会の権限拡大が要求されているが、施政権、自治権の問題についても論議していきたいと考えているか。総じて政府の沖繩援助に対する態度は十分でない。今後どのように努力していくのか。また、沖繩産糖の買い上げ問題について、さきに決定された買い上げ価格は、沖繩農民に強い不満を抱かせている。砂糖は、沖繩農業の主要農産物である。政府は沖繩産糖の安定、農民の所得向上にどのように対処していくつもりか、等の質疑が行なわれました。これに対し、総務長官及び政府委員より、日米協議委員会の権限拡大については、佐藤総理訪米の際の共同声明にうたわれたが、これに基づき交換公文を作成中であり、取り上げる問題についてはその都度論議していきたい。施政権、自治権の問題も、取り上げる方向で進みたい。施政権の返還についてはあらゆる機会にアメリカに要請しており、沖繩を内地の県に対応するように民生の引き上げをしたいのが政府の念願である。今後とも、日、米、琉三者協力して一そう努力していきたい。また、沖繩産糖の買い上げ価格はキロ八十円であり、三十九年度においては五万七千トン、四十年度予算における買い上げ見込み量は十万三千トンであるが、当初予想より総生産量が増加しているので、買い上げ量の増加の要望が強く、今後善処していきたいと思っているが、国際糖価下落の今日、国内産糖と同様に、沖繩産糖についても糖価安定政策考える必要があるので、目下研究中である旨の答弁がありました。  さらに、最近、警察官の非行、犯罪が多発している。この原因は何か、対策はあるのか、等の質疑がありました。これに対し、国家公安委員委員長より、警察官の規律については、平素より特に意を用いているところであるが、非行等があとを断たないのは遺憾である。その対策としては、採用の厳正化、採用後の規律訓練、非行等があったときの適正なる措置が必要と思う。最近の警察官の規律、素質、ともに向上してきているように思うが、今後とも非行を犯さないよう十分注意したい旨の答弁がありました。  このほか、各所管事項にわたりまして各委員より熱心な質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  以上をもちまして、当分科会担当予算審査の全部を終了した次第であります。  以上、御報告申し上げます。
  14. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 以上をもちまして、各分科会主査報告は全部終了いたしました。  本日はこの程度にいたしまして、明三十日午前十時委員会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十九分散会