○
中村順造君 第一
分科会における
審査の
経過を御
報告申し上げます。
第一
分科会の
担当は、
昭和四十
年度予算三案中、皇室費、
国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(
防衛庁、
経済企画庁、
科学技術庁を除く)及び法務
省所管並びに他の
分科会の
所管外事項であり、三月二十六日、二十七日及び二十九日の三日間にわたり、
関係大臣及び
政府委員より
説明を聴取した後、慎重に
審議を行ないました。以下、
質疑の
概要について御
報告申し上げます。
まず、皇室費
関係予算について申し上げます。四十
年度は内廷費の定額は改定しないのに、皇族費の定額を改定した
理由、及び宮廷費は前
年度に比し大幅増加となっているが、その
理由は何か等の
質疑がありました。これに対し
政府委員より、内廷費については三十九
年度に定額を改定している。及び義宮が御結婚により独立された等の
理由により、今回は定額を改定しなかったが、皇族費については、皇族の国の内外における御交際が年々ふえてきている、
一般の
経済生活の水準が高くなっている、及び各宮家の職員の
待遇改善が必要である等の
理由により、定額を改定しようとするものである。また、宮廷費に関しては、三十九
年度までは、皇室の公的活動のうち、たとえば国賓の御招待の経費、皇太子の海外旅行の経費等は、そのつど
予備費より支出していたが、四十
年度は、かかる経費は
予備費支出によらず当初
予算に計上することになったため、前
年度に比し大幅増加となったものである旨の
答弁がありました。
次に、会計検査院
所管の
予算につきましては、検査の方法に関して、現在行なわれている簡易証明は、具体的にいかなる経費について行なわれているのか。実地検査の際、簡易証明分も検査しているのか。その
報告はなされているのか。また、沖繩
援助費の検査はどのように行なわれているか等の
質疑が行なわれました。これに対し会計検査院事務
当局より、簡易証明は、計算証明規則第十一条により認められているもので、内閣の報償費、警察庁の報償費、捜査費、公安調査庁の報償費、調査活動費、
外務省の報償費等であり、実地検査を行なう際にはこれらの経費も検査しており、領収書等のないものは
事情を聞き、納得のいくように検査しているが、その
報告については、不正、不当な支出でない限り、全般的な事柄は口頭で
報告するにとどまり、公式記録としては残していない。また、沖繩
援助費の検査は、覚え書きに示された一定の条件が整えば検査できることになっており、昨年五月、人員三名、九日間にわたって検査したのが最初で、その結果は、不正、不当な支出はなかったという
報告がなされている旨の
答弁がありました。
次に、裁判所
所管の
予算につきましては、裁判官十六名の増員に伴う書記官等の増員をなぜ考慮しないのか。また、裁判官室の充実維持をはかるため裁判官
研究庁費一億七千九百万円が計上されているが、その使用目的は何か、等の
質疑が行なわれました。これに対し、最高裁事務
当局より、裁判官の増員と並行して書記官等を増員するのが望ましいのであるが、今回は書記官等の欠員が多かったので、これを補充していけば大体支障はないものと思う。また、裁判官
研究庁費一億七千九百万円の使用目的は、現在裁判官はいわゆる宅調にたよっているので、これを廃止する
方向で裁判官室を充実整備しようとするもので、長期にわたってこの
予算は計上していきたい。さしあたっては、器具、備品、資料等の整備に使用していきたいと思っている旨の
答弁がありました。
次に、法務
省所管の
予算につきましては、さきに問題となりましたかぜの新薬実験による人権侵害事件をめぐって論議がかわされました。すなわち、去る三月二十四日東京法務局にかぜの新薬の人体実験による人権侵害の申し立てがなされたが、その
内容を知りたい。この事件のいかなる点が人件侵害として問題になるのか、また、この事件は刑事事件にもなる可能性が強いと思われるが、法務省の見解はどうかという
質疑が行なわれました。これに対し、法務
大臣及び
政府委員より、この事件は三月二十四日東京法務局に興和株式会社に勤務する
中村晴子という人が申し立てたもので、その
内容は、興和株式会社が
研究中の抗ウイルスの新薬キセナラミンの実験のため、
昭和三十八年十月同社の社員に副作用のあるのを隠して服用させたため、食欲不振、吐き気等を起こし、うち十七名入院、一名死亡するに至った。これは人権侵害だから調査してもらいたいというものである。
一般に、新薬については、最終的には人体実験の必要性は
考えられるところであり、その全部が人権侵害になるとは限らない。しかし、その際には、第一に、副作用は一応ないという確認、第二に、万一生ずる副作用に対する十分なる予防、治療、第三に、服用者に
事情を
説明し、完全なる同意を得るというように、きわめて慎重なる取り扱いが必要である。この三点が十分でないときは人体実験は避くべきである。このたびの事件も、この三点に問題があるものと思う。いずれにしろ、人間に試薬を服用させることは重大な問題なので、その取り扱いは慎重にせねばならぬ。目下、詳細なる
事情を調査しているが、その重要性にかんがみ、重大な人権侵犯事件として早急に結論を出すよう指示している。調査の上、刑事事件として取り扱う確信が出れば捜査に着手する旨の
答弁がありました。
次に、
国会所管の
予算につきましては、
国会職員の
待遇改善に関し、現在恵まれていない行政職(二)の撤廃問題、議院警察職、速記職の俸給表の改訂問題について、さらに、
国会図書館の滞貨書物の整理
問題等について
質疑がありました。これに対し、各
関係当局より、行政職(二)俸給表は、現在破綻を来たし、抜本的改正が必要であると
考えている。そこで、
人事院にも要望し、
大蔵省にもその旨を主張している。しかし、行政職(二)を撤廃するかいなかについては、国家公務員全般の問題として
人事院において解決されるべきものと思う。特別職とはいえ、
国会独自で異なった取り扱いをするのははなはだ困難である。したがって、行政職(一)への移行を認める等、その
運営において極力その
改善に
努力している。議院警察職俸給表は、他の職種相互間の均衡を保持しつつ
改善するという
考えの
もとに
検討している。昨年の給与改定においては議院警察職は有利に改定されており、さらに現在初任給の
改善について両院の間で話し合いが行なわれている。一方、速記職俸給表は、
国会独自できめているが、その一等級は行政職(一)の二等級と新三等級とを折衷して作成している。今後ともその
改善を
検討していきたい。また、
国会図書館の滞貨書物は、現在約二十六万冊であるが、整理能力は年に六万冊であり、新刊図書の整理もあり、その一掃に八年ないし十年を要するので、四十一
年度を目途に電子計算機による整理を企図しており、その一掃に
努力したい旨の
答弁がありました。
次に、内閣及び総理府
所管の
予算につきましては、沖繩
援助に関し日米協議
委員会の権限拡大が要求されているが、施政権、
自治権の問題についても論議していきたいと
考えているか。総じて
政府の沖繩
援助に対する態度は十分でない。今後どのように
努力していくのか。また、沖繩産糖の買い上げ問題について、さきに決定された買い上げ
価格は、沖繩農民に強い不満を抱かせている。砂糖は、沖繩農業の主要農産物である。
政府は沖繩産糖の安定、農民の
所得向上にどのように対処していくつもりか、等の
質疑が行なわれました。これに対し、総務長官及び
政府委員より、日米協議
委員会の権限拡大については、佐藤総理訪米の際の共同声明にうたわれたが、これに基づき交換公文を作成中であり、取り上げる問題についてはその都度論議していきたい。施政権、
自治権の問題も、取り上げる
方向で進みたい。施政権の返還についてはあらゆる
機会にアメリカに要請しており、沖繩を内地の県に対応するように民生の
引き上げをしたいのが
政府の念願である。今後とも、日、米、琉三者協力して一そう
努力していきたい。また、沖繩産糖の買い上げ
価格はキロ八十円であり、三十九
年度においては五万七千トン、四十
年度予算における買い上げ見込み量は十万三千トンであるが、当初予想より総生産量が増加しているので、買い上げ量の増加の要望が強く、今後善処していきたいと思っているが、国際糖価下落の今日、国内産糖と同様に、沖繩産糖についても糖価安定
政策を
考える必要があるので、目下
研究中である旨の
答弁がありました。
さらに、最近、警察官の非行、犯罪が多発している。この原因は何か、対策はあるのか、等の
質疑がありました。これに対し、国家公安
委員会
委員長より、警察官の規律については、平素より特に意を用いているところであるが、非行等があとを断たないのは遺憾である。その対策としては、採用の厳正化、採用後の規律訓練、非行等があったときの適正なる
措置が必要と思う。最近の警察官の規律、素質、ともに向上してきているように思うが、今後とも非行を犯さないよう十分注意したい旨の
答弁がありました。
このほか、各
所管事項にわたりまして各
委員より熱心な
質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は
会議録によって御承知願いたいと存じます。
以上をもちまして、当
分科会担当予算の
審査の全部を終了した次第であります。
以上、御
報告申し上げます。