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1965-05-28 第48回国会 参議院 本会議 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月二十八日(金曜日)    午前十時四十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十九号   昭和四十年五月二十八日    午前十時開議  第一 農地買収者等に対する給付金支給に   関する法律案中間報告  第二 千九百六十三年十二月十七日に国際連合   総会決議第千九百九十一号(XVIII)に   よって採択された国際連合憲章改正の批准   について承認を求めるの件(衆議院送付)  第三 医療法の一部を改正する法律案社会労   働委員長提出)  第四 寄生虫病予防法の一部を改正する法律案   (衆議院提出)  第五 労働者災害補償保険法の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院送付)  第六 地方公務員等共済組合法等の一部を改正   する法律案内閣提出衆議院送付)  第七 農地開発機械公団法の一部を改正する法   律案内閣提出衆議院送付)  第八 天災による被害農林漁業者等に対する資   金の融通に関する暫定措置法及び開拓営農振   興臨時措置法の一部を改正する法律案内閣   提出衆議院送付)  第九 積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の一   部を改正する法律案衆議院提出)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、日程第一 農地買収者等に対する給付金   の支給に関する法律案中間報告  一、大蔵委員長から中間報告があった農地被買   収者等に対する給付金支給に関する法律案   は、議院の会議において直ちに審議すること   の動議山本利壽君外一名提出)  一、農地買収者等に対する給付金支給に関   する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案中間報告。  大蔵委員長中間報告を求めます。大蔵委員長西田信一君。    〔西田信一登壇拍手
  4. 西田信一

    西田信一君 農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案について、院議をもって中間報告を求められましたので、現在までの委員会審査経過を御報告いたします。(拍手)  本案は、戦後の画期的な農地改革における旧地主の貢献を多とし、これらの人々が経済変動によって心理的影響を受けている現状等を勘案し、農地買収者及びその遺族等に対して報償を行なうため、給付金支給することとし、これに関する必要な規定を設けようとするものであります。  内容を要約して申し上げますと、  第一に、給付金支給を受けることができる者は、農地買収者とその遺族等とするものであり、農地買収者とは、旧自作農創設特別措置法等によって農地を一畝以上買収されたものとし、被買収農地面積算出方法遺族の範囲と、その順位等を定めようとするものであります。  第二に、給付金の額については、被買収農地面積一反以上のものについて、二万円にその反数を乗じて算定するが、面積の増大に従って逓減することとし、最高は百万円で頭打ちとし、また、一反未満の場合は一律に一万円にしようとするものであります。  第三に、給付金昭和四十二年三月三十一日までになされる申請に基づいて、十年以内、一反未満にあっては五年以内に償還すべき無利子の記名国債をもって支給することにしようとするものであります。  このほか、給付金に対する所得税非課税措置支払い実施機関等、必要な事項について規定を設けようとするものであります。  なお、衆議院においては、施行期日を「公布の日」とする等の修正がなされております。  本案は、四月二十三日、本会議において趣旨説明質疑が行なわれた後、委員会予備付託され、五月十四日、衆議院より送付された後、直ちに委員会に本付託されたものであります。  委員会におきましては、本案重要性にかんがみ、審査を十分尽くすため、五月初旬の連休明け早々より予備付託段階審査に入るよう、すでに四月中にしばしば理事会の議題とし、以来、理事各位の間の意見調整に熱心に努力したのであります。しかしながら、諸般理由から、理事各位の間の意見一致を見るに至らず、五月七日、十一日、十三日と開かれた委員会においても、本案審査に入り得なかったのであります。  本案委員会に本付託せられました五月十四日におきましても、委員会開会に終日努力したのでありますが、開会に至らず、委員長といたしましては、会期逼迫等をも考慮し、十五日、十六日の両日委員会開会公報に掲載し、審査促進をはかる努力をしたのでありますが、不幸にして野党委員出席がなく、審査を行なうことはできずに、いたずらに三日間を空費する結果となったのであります。  しかるところ、会期末を二日後に控えました十七日に至り、ようやく各理事の間の意見が調整され、午後の委員会において提案理由説明補足説明を聴取することができたのでありまして、同日は、さらに午後八時三十分過ぎより質疑に入り、十時十分過ぎまで質疑を行ないました。さらに十八日には、午前中は諸般事情によって委員会定刻開会ができず、午後二時過ぎより四時二十分過ぎまで質疑を行ない、一たん休憩に入った後、午後七時過ぎより質疑を続行したのでありまして、九時過ぎに至り、佐野廣委員より質疑打ち切り動議提出され、多数をもって可決されて、直ちに休憩に入ったのであります。  以上の二日間に、木村委員亀田委員より、延べ五時間二十分にわたり、工藤調査会調査結果と本案との関係交付公債財政法上の性格報償金額を一律にしなかった理由本案在外資産等処理との関係等について、熱心な質疑が行なわれたのであります。  しかしながら、質疑打ち切りに対する異議が生じたため、同日は委員会の再開ができず、さらに今期末でありました十九日も委員会開会されないまま、衆議院において会期延長が議決されるに至ったのでありまして、この間の事情は、各位御承知のとおりであります。  会期延長後は、二十日、二十一日、さらに二十二日においても、委員会開会公報に掲載して審査を継続すべく努力を重ねたのでありますが、残念ながら、都合により取りやめと相なり、二十四日に至り、ようやく理事会を開き、本案取り扱い、今後の委員会議事の進め方について協議し、二十五日より質疑を行なうことになりました。  二十五日、理事会の協議の結果に基づき、委員会開会して審査を行なうこととなり、午後二時四十分過ぎよりこれを開始し、亀田委員野溝委員中尾委員田畑委員より、本案総理府所管となった理由買収時の報償金と今回の報償との相違農地転用を認めた功罪と本案との関係財政窮乏下において本案を提案するに至った理由本案が戦後処理ではないとする理由、戦後処理問題への影響在外資産補償問題等について、延べ四時間四十分近く熱心な質疑が行なわれたのでありますが、さらに二十六日にも引き続き審査の必要を認めて、委員会開会手続をとり、審査促進をはかったのであります。  以上の経過でおわかりのとおり、委員長といたしましては、十分に審査を尽くすべく、委員会再会手続をとること十一日に及んだのでありますが、遺憾ながら、野党委員の協力が得られず、委員会再会に至らざること実に八日を数えたのであります。  二十六日の最終の委員長及び理事打ち合わせ会において、自由民主党理事より、すみやかに委員会開会し、審査促進をはかり、おそくとも二十七日中に討論採決を行なうべきことを提案したのに対し、日本社会党理事より、二十六日の委員会開会には応じられない、また、二十七日中の討論採決にも応じられないのみならず、この会期内において本案討論採決を行なう意思がない旨の発言があり、公明党理事より、ただいまの段階では、参考人意見聴取連合審査会等についての考慮の必要があるのではないかとの発言があり、民主社会党理事より、二十六、二十七の両日審査を尽くし、委員会において結論を出すことも、会期等からしてやむを得ない旨の発言がありました。かくて、各党の主張は平行線のまま終始し、理事会において全く意見のまとまる見込みがなく、決裂的な状態となりまして、今日に及んでおるのでございます。  以上、委員会における審査経過を御報告いたします。(拍手発言する者多く、議場騒然
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの中間報告に対し、質疑の通告がございますが、山本利壽君外一名から、賛成者を得て、  中間報告に対する質疑その他の発言時間は、一人十分に制限することの動議提出されました。(拍手発言する者多く、議場騒然)  よって、この時間制限の動議について採決をいたします。(発言する者多く、議場騒然)  表決は記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。(発言する者多く、議場騒然氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行〕    〔「委員長答弁やり直せ」、「審議内容何もないじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票ください。——投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票参事に計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  8. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百五十二票   白色票           九十四票   青色票           五十八票  よって、中間報告に対する質疑その他の発言時間は、一人十分に制限することに決しました。      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名      九十四名       野知 浩之君    二木 謙吾君       鳥畠徳次郎君    青田源太郎君       大竹平八郎君    前田佳都男君       鈴木 恭一君    森 八三一君       岡崎 真一君    中山 福藏君       三木與吉郎君    野田 俊作君       小山邦太郎君    木暮武太夫君       笹森 順造君    植木 光教君       鈴木 一弘君    和田 鶴一君       森田 タマ君    源田  実君       熊谷太三郎君    久保 勘一君       山崎  斉君    井川 伊平君       石谷 憲男君    植垣弥一郎君       岸田 幸雄君    谷村 貞治君       川上 為治君    仲原 善一君       坪山 徳弥君    豊田 雅孝君       天坊 裕彦君    竹中 恒夫君       江藤  智君    亀井  光君       山下 春江君    堀本 宜実君       大谷 贇雄君    佐藤 芳男君       青柳 秀夫君    平島 敏夫君       山本 利壽君    藤野 繁雄君       新谷寅三郎君    西郷吉之助君       紅露 みつ君    木内 四郎君       植竹 春彦君    田中 茂穂君       小林 英三君    寺尾  豊君       草葉 隆圓君    西川甚五郎君       重政 庸徳君    谷口 慶吉君       徳永 正利君    鍋島 直紹君       村上 春藏君    栗原 祐幸君       丸茂 重貞君    日高 広為君       温水 三郎君    長谷川 仁君       村山 道雄君    大谷藤之助君       柴田  栄君    西田 信一君       松野 孝一君    稲浦 鹿藏君       石井  桂君    吉江 勝保君       中野 文門君    井上 清一君       岡村文四郎君    八木 一郎君       高野 一夫君    斎藤  昇君       塩見 俊二君    村松 久義君       小柳 牧衞君    林屋亀次郎君       郡  祐一君    石原幹市郎君       高橋文五郎君    佐野  廣君       後藤 義隆君    白井  勇君       小林 武治君    古池 信三君       宮澤 喜一君    近藤 鶴代君       下村  定君    杉原 荒太君     —————————————  反対者青色票氏名      五十八名       市川 房枝君    鈴木 市藏君       鬼木 勝利君    中尾 辰義君       北條 雋八君    浅井  亨君       小平 芳平君    渋谷 邦彦君       白木義一郎君    瀬谷 英行君       稲葉 誠一君    林  虎雄君       武内 五郎君    山本伊三郎君       小柳  勇君    大河原一次君       伊藤 顕道君    久保  等君       秋山 長造君    岡  三郎君       戸叶  武君    松澤 兼人君       大矢  正君    藤原 道子君       野溝  勝君    鈴木  強君       阿部 竹松君    岩間 正男君       須藤 五郎君    小林  武君       松本 賢一君    佐野 芳雄君       高山 恒雄君    野上  元君       中村 順造君    安田 敏雄君       基  政七君    藤田藤太郎君       横川 正市君    相澤 重明君       森 元治郎君    占部 秀男君       光村 甚助君    田上 松衞君       藤田  進君    亀田 得治君       加瀬  完君    大和 与一君       柳岡 秋夫君    北村  暢君       佐多 忠隆君    椿  繁夫君       成瀬 幡治君    鈴木  壽君       木村禧八郎君    羽生 三七君       松本治一郎君    曾禰  益君      ——————————
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 暫時休憩いたします。    午前十一時二十二分休憩      ——————————    午後二時七分開議
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  大蔵委員長から、報告補足するため、発言を求められました。発言を許します。大蔵委員長西田信一君。    〔西田信一登壇拍手
  11. 西田信一

    西田信一君 先ほどの中間報告補足して御報告いたします。  本案は五月十四日衆議院より本院に送付せられましたが、本案実質審議に入った後の経過を申し上げます。  五月十七日の委員会理事会におきましては、証券取引法の一部を改正する法律案について質疑を続行して、審議を終了し、十八日に採決することをきめ。農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案につきまして、十七日の証券取引法の一部を改正する法律案について質疑を終了した後、提案理由説明補足説明を聴取して、質疑に入ること、さらに十八日は引き続いて質疑し、質問順序は、日本社会党二名、公明党民主社会党よりそれぞれ一名、自由民主党より一名、さらに、日本社会党無所属の順に従い、質疑を行なう段取りをきめたのであります。この決定に従い、十七日は、午前中に証券取引法の一部を改正する法律案について質疑を行ない、その後、いわゆる農地報償法案提案理由説明補足説明を聴取し、質疑に入って、木村委員より質疑が行なわれました。  十八日は、十七日の理事会決定に基づいて、証券取引法の一部を改正する法律案について討論採決を行ない、次いで木村委員亀田委員より、農地報償法案質疑を行ないましたところ、亀田委員等より佐藤総理出席要求があり、政府出席要求したのでありますが、出席できず、臼井総務長官の再答弁を終わった直後、佐野廣委員より質疑打ち切り動議が出され、多数をもって可決された後、直ちに休憩に入り、当日は再開するに至らなかったのであります。  二十一日の自社国会対策委員長会談において、院正常化についての話し合いが成立し、この決定を受けて二十四日に理事会が開かれ、農地報償法案についての審査日程参考人よりの意見聴取連合審査会開催等について議論がなされ、一応二十五日から質疑に入ることをきめ、その順序を、日本社会党公明党民主社会党自由民主党無所属とすることがきめられ、なお、法案採決の見通しや、山一証券問題等取り扱いにつき話し合いが持たれたのであります。  二十五日には、午前中の理事会において、審査細部日程委員会開会方法等について論議し、その決定に基づいて、午後委員会開会するに至り、野溝委員中尾委員田畑委員から、それぞれ質疑がなされたのであります。  二十六日は、委員長職権により、委員会開会公報に掲載いたしました。理事会においては、日本社会党から、委員会定例日以外は認められない。自由民主党からは、会期末につき、二十六日は質疑をし、二十七日には討論採決を要求されました。公明党は、参考人連合審査等を考慮する必要があると述べ、民主社会党は、二十七日の討論採決はやむを得ないとの意見が述べられました。さらに日本社会党からは、本案討論採決に応ずることはできないとの意見が述べられました。委員長といたしましては、何とか意見を取りまとめようと努力をいたしましたが、微力のいたすところ、各派の意見一致を見出すことができず、ついに、決裂の状態になりました。  なお、先ほどの中間報告で申し上げましたおもなる質疑について補足して、工藤調査会本案との関係について、交付公債性格本案在外財産補償との関係買収当時の報償金本案による報償との相違点等について、質疑内容を申し上げます。  「工藤調査会答申農地買収者に対し巨額な金銭を交付することについて意見を差し控える」と木措置は、矛盾しているのではないか」との質問に対し、政府側より、「ひとり農村や農業にとどまらず、わが国の民主化経済発展をもたらした農地改革に対する農地買収者貢献を多として決定された措置である。百六十七万人余に対し、十年間にわたり一千四百五十六億円、一人当たり八万円の給付金支給するものであって、多額ではなく、また、百万円で頭打ちすることにもしている」との答弁がございました。  また、「買収時に払った報償金本案による報償金の差異をどう説明するか」との質問に対し、「買収当時の報償金は奨励的な意味を持たせたものであり、本案による報償金は感謝の意味心理的影響を緩和するものである」との意味答弁がございました。  また、「交付公債財政法上どういう扱いになっているのか」との質問に対しまして、「財政法第四条の公債ではなく、第十五条の法律に基づく国庫債務負担行為と考えられるものである。限度額を法定しないのは、恩給の場合と同様であって、単価や算定方法法律上厳格に定めており、財政法の精神に反するものではない」との意味答弁がございました。  さらに、「在外資産補償問題と関係はないか」との質問に対しまして、「関連性なしというのが内閣統一見解である。在外財産問題は、五百五十億円の交付公債交付をもってすでに処理済みという見解であるが、異論もあるので、なお慎重に検討すべく審議会に付議している。その答申を待って今後の態度をきめる」との意味答弁がございました。以上補足して御報告いたします。(拍手
  12. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより順次質疑を許します。亀田得治君。    〔亀田得治登壇拍手
  13. 亀田得治

    亀田得治君 まず最初に、五月十八日のいわゆる質疑打ち切り性格につきまして、委員長見解をお尋ねいたしたいと思います。ただいまもこの点についての報告がありましたが、事実は、五月十八日午後八時ごろ委員会が非常に混乱をいたしまして、事情がよくわからない状態になりまして、速記録によりますと、「佐野委員 議事進行」、「委員長 休憩」、こういったようなことがあるだけでございまして、一体どういうことがその際起こったのか、少しもわからないのであります。委員長のそばで委員長の行動を十分見ておりましたわが党の議員の諸君から聞きますと、委員長十分ことばを発せられなかったのが、どうも事実のようであります。速記録に載らないのは、その騒音だけの関係じゃなしに、もとがないわけでありますから、載るわけはないのであります。で、この問題を一体どういうふうに扱うかということが、その後、両党間で交渉が行なわれたようでありますが、結局五月二十五日になりまして、ただいま報告のように委員会が開催されたわけであります。そして相当の時間、当日は農地報償法案審議をいたしたわけであります。こういう事実だけを見て判断をいたしますと、結局五月十八日のいわゆる質疑打ち切りというものは、不存在、無効であったのだ、こういうふうにわれわれは解釈をするわけであります。ところが、委員長は、二十五日の委員会開会にあたりまして、この点については何らはっきりしたことを言われなかったわけであります。われわれからも若干質問をいたしましたが、ついに、どういうつながりになるのかということについてのお答えが得られなかったわけであります。私は、質疑打ち切りというものは、これはきわめて重大な問題なのでありますから、その十八日の質疑打ち切りが、もし有効に成立しておるとすれば、二十五日の委員会開会はどういうことになるのか。単なる補足質問としては、あまりにも時間が長いわけであります。こういうことは、きちんとした審議をやっていくというたてまえからいいますと、きわめて重要なことでありまして、あいまいなままで過ごすということは許されないと思うのであります。したがって、私が端的に聞きたいことは、十八日の質疑打ち切りは、あれは違法であった、行き過ぎであった、したがって委員長としては、これは取り消したのだとか、そういった性格のものでなかろうかと思うのですが、先ほどの報告では、そのようには言われておらないわけであります。そうすると、一たん質疑が打ち切られたものが、どうして長時間二十五日に開くことができるのか。一体、委員会なり本会議における打ち切り決定とか、そのほかの決議というものは、そんな権威のないものなのかどうか。もっとざっくばらんに、私は、悪かったことは悪かったこととして、取り消されたらどうかと思うのであります。私は、これらの問題についての本会議がいま開かれておるわけですから、まだそういう悪例を残さないための補正はこの際できると思うわけでありまして、そういう立場から、委員長の決断を促す意味でお聞きをするわけであります。今度の国会においても、農林水産委員会仲原委員長が横暴な打ち切りをやりまして、これも問題になりましたが、仲原委員長は、良識に従ってすなおに陳謝をされて、そうしてもと状態に復元をしているわけであります。少しも私は本質的に変わらないのではないかと思うのであります。はっきりとした委員長見解を求める次第であります。  次に、五月二十五日、委員長は、委員会におきまして、私の総理大臣出席要求に対しまして、二十七日に佐藤総理を呼ぶように努力する、こういう約束をされたわけであります。これは委員会における公の席上でありまして、私もこの約束はかたく守られるものと信じていたわけであります。しかるに、その後この約束が満たされなかったわけでありますが、いやしくも速記録にまで残っているところの約束を、そう簡単に、ほごにされては、今後私たちは何を信頼していいかということになるのであります。そういう立場から二、三これに関連する問題点を確かめておきたいと思います。  その第一は、二十六日に自民党から中間報告を求める動議が出される空気になってまいったわけであります。一体、委員長は、前日の二十五日に、いま私が指摘したような約束を、社会党のわれわれと、しているわけでありますから、当然、委員長としては、そのような中間報告は、院の約束を守るという立場から抵抗をすべきであったと思うのであります。はたして、そのような一体、抵抗をされたのかどうか。非常に委員長の立場から考えて、抵抗したけれども、自民党の強い要求のために押されたということなのか。その間の事情を明確にしてほしいわけであります。  第二は、やはりこれに関連いたしまして、委員長は、いまも報告がありましたように、二十六日に職権で委員会開会する公告をされました。しかし、社会党がこの法案に対する態度、あるいは二十五日には、二十七日に総理を呼ぶとの約束、そういったようなことからして、そんなその中間の二十六日の開会に応ずるわけがありません。一体、社会党でこういう職権開会に応ずるというお見込みでなされたものか、あるいは応じないのを承知で、もっと端的に言うならば、そのことを材料として、自民党が画策しているところの中間報告理由を見つけようという、そういう気持ちでおやりになったものか、なぜ一体この開会される見込みの全然ないそういう職権公告というものをおやりになったのか、その間の委員長の考え方を、ざっくばらんに明らかにしてほしいわけであります。  第三点は、佐藤総理出席の問題でありますが、ついに、社会党の各委員の強い要求にもかかわらず、この重要法案審議するところの大蔵委員会に、一回も出席をされなかったわけであります。一体、委員長は、この佐藤総理出席されなかったことに対して、いかような考えを持っているのか。非常にこれは遺憾であった、こういうふうに考えているのか、あるいは、それほどまでに考えない、軽くこの問題をとっているのか、委員長としての心境を承りたいと思うのであります。さらに、この点に関しまして、委員長は、一体、佐藤総理出席要求に対して、どのような要求のしかたを佐藤総理に対してなされたのか、その内部事情をこの際明らかにしてほしいわけであります。抽象的ではわかりません。具体的に、どういう人を通じて、どういう手順をとったのか、この点を明らかにしてもらわなければならぬと思うのであります。  この法案は、世論からは非常に批判を受けている悪い法律でありますが、しかし、自民党にしてみれば、他の三十件の法案を犠牲にしてでも、これ一本だけは通さなきゃならぬ、自民党としては非常に御執心の法案なんでございます。そういう法案でありますから、ほんとうに委員長が自分の権限に基づいて佐藤総理を呼び出すという気持ちになりさえすれば、私は十分可能だと思うのであります。佐藤総理自身がどうでもいい法案だというふうにお考えになっているのであれば、総理大臣が要求に応じて来ないから、流れてもしかたがない、そうなるでしょうが、そうはならないわけであります。逆の場合であります。委員長が一言、総理が来なければこの重要法案は上げられぬぞという一言を言えば、私は、佐藤総理は、どんな忙しいところにおりましても飛んで来ると確信するのでありまして、一体、委員長は、そこら辺の点につきましてどんなことをされたのか、この点をはっきりとしていただきたいと思うのであります。  それから次は、連合審査に関する問題であります。この点につきましては、たとえば農林水産委員会等においては社会党側からの強いこの要求があったことは、委員長も御存じだと思います。委員長は、この問題について、わが党の理事に対しまして、他の委員会から要求があれば連合審査に応ずると、こういう意味発言を絶えずなさっておられたようであります。
  14. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 亀田君、時間が参りました。
  15. 亀田得治

    亀田得治君(続) 簡単にやりましょう。  ほんとうに委員長がこの重要法案性格をお考えになって、そういう要求にはなるべく応じていこうと、こういう考えを持っておられるのであれば、委員長みずから、他の委員長に対しまして、わがほうはこういう受け入れ態勢を持っているからひとつ、いつでも応じますよと、これくらいの積極的な態度をとっていいと思うのであります。どの委員会でも、自民党自身が過半数を持っているわけであります。ところが、実際は、他の委員会が議決をしてくれぬほうがいいんだと、腹の中ではそういうふうに考え、あるいは、私の憶測で恐縮でございますが、議決をせぬようにといったようなことを他の委員長に働きかけたのではないかと思うのであります。
  16. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 時間を超過しております。簡単に願います。
  17. 亀田得治

    亀田得治君(続) そういう変な働きかけがない以上は、普通は、ほかの委員会で、野党からの要求があれば、多数少数を言わず、こういうことは議決されてくるのであります。私のこの憶測が間違っているのかどうか、その辺の事実関係を明確にしてほしいと思うのであります。
  18. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 簡単に願います。
  19. 亀田得治

    亀田得治君(続) 簡単に、最後にもう一点だけお伺いいたしますが、それは参考人の問題であります。この点については、委員長は絶えずわが党の理事に対して消極的な態度をとられたようであります。これは委員長さえその腹になれば、すぐきめなければならぬことでありますから、連合審査の場合には、ていさいのいいことを言っておったようでありますが、参考人につきましては、きわめて消極的な、否定的な態度をとりました。しかし、この法案性格からいって、はたしてそういう委員長の態度は許されるものでしょうか。政府は、この法案が世論の批判を受けていることをよく御存じでしょう。御存じでしょう。ところが、その政府が、自分も世論の支持を受けていると言わんばかりの説明をしているわけであります。世論の取り方が二つになっているわけであります。
  20. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 簡単に願います。
  21. 亀田得治

    亀田得治君(続) そういう法案についてこそ、外部の人たちの意見を聞くべきものなんでございます。どれがほんとうの外部の意見かということを聞くべきなんであります。それをやられなかったのは、一体いかなる理由に基づくものなのか、納得のいく説明を願いたい。  最後に、ほんとうにこれは最後になりますが、一点だけお伺いします。  それは、委員長は北海道の出身でございます。
  22. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 簡単に願います。
  23. 亀田得治

    亀田得治君(続) 北海道はいま冷害で非常に悩んでいるわけであります。それに対する十分な手当てもできなくて困っているわけであります。そういうときに、これほど批判のある法案に対して多くの財源をぶち込む、こういうことは、はなはだ筋が通らぬと思うのでありますが、なかんずく、私は、委員長としては出身地でありまする関係上特にそうなければならぬと思うのでありますが、率直に委員長のこの点に関する見解をお聞きいたしまして、時間がまいりましたので、質問はこの程度にいたします。(拍手)    〔西田信一登壇拍手
  24. 西田信一

    西田信一君 亀田議員の御質問にお答えをいたします。  第一点は、五月十八日の委員会におきまする質疑打ち切り性格がどうなっているかということを明確にしろ、こういう御質問でございました。この委員会におきます質疑打ち切り動議は、適法に提出された動議であります。私が採決をいたしましたのは、先ほど中間報告で申しましたような、本案付託後の委員会の経緯から見まして、そのように判断をいたしたからでございます。(「委員長会議録にもないじゃないか」と呼ぶ者あり)なお、速記録にこの内容が載っておらないという点についてお触れでございましたが、速記録によってすべての議事が掲載されていることが有効の絶対要件ではございません。速記がとれない場合には、議事を行なった委員長の確認によって決定されるべきものであり、先例もさようになっておるわけでございます。  なお、動議提出佐野委員は私の隣におりまして、私には、その動議発言内容が明確に聞き取れたのであります。「本案質疑を終局することの動議提出します。」と述べられました。私は、「佐野君の動議賛成の方の挙手を願います。挙手多数。質疑は終局いたしました。暫時休憩いたします。」と宣したのでございまして、喧騒のために速記に載らなかったことは、たいへん遺憾に存じますが、そこで質疑は有効に終局いたしておるのでございます。  そこで、二十五日に委員会を開いて審議に入ったのは、どういう根拠によるのかという、こういうお尋ねであったかと思います。質疑はすでに有効に終局をいたしておりまするし、また、この間におきまして、自社国対委員長会談あるいはまた理事会におきまして、この扱いがいろいろ検討されましたが、その決定に従って委員会を運営したのでございます。この委員会の運営にあたって、この質疑打ち切りを取り消す何らの決定も行なわれておりません。したがいまして、その後行なわれました質疑は、いわゆる質疑終局後、特に補充的に質疑を行なった先例に当たるものと考えておる次第でございます。  次のお尋ねは、中間報告の動きがあったが、これに対して委員長はどういう抵抗をしたか、こういう御質問でございました。これは、次の質問の、二十六日の委員会開会の職権告示にも関連することでありますが、私は、先ほど経過の御報告の中に申し述べましたように、まだ質疑の御希望がございました。いわゆる補充質問を行なう必要を認めておりましたし、いろいろ会期関係もございまして、重要法案でございますから、慎重審議を遂げる必要があるという意味から、審議促進意味で、二十六日の委員会開会公報に登載したのでございます。そして、二十六日の理事会におきまして、私は、先ほども申し述べましたように、二十六日の委員会開会を何とか実現すべく全力を尽くしたのでございます。なお、その理事会におきまして、二十七日の質疑、さらに二十七日中の討論採決を行なうことについても、わが党の理事から提案がございました。また、これに対するいろいろな意見があったのでございまして、したがいまして私は、あくまでも、委員会において結論を出すべく努力したのでございまして、中間報告等は何ら私の念頭にはございませんでした。  それから、ただいま、もうすでに第二の問題についてはお答えいたしましたが、二十六日の職権公示をいたしました理由は、ただいま申し述べたとおりでございます。  次に、佐藤総理出席問題についてお尋ねがございました。一回も出席しておらないが、この一回も出ないということについて、委員長はどういうふうに見ているか、こういうお尋ねでございました。これは、十八日は突然の御要求でございましたので、連絡をとりましたが、都合でどうしても出られないということでございまして、その点は御了承願ったと心得ております。さらにまた、二十五日の委員会において亀田委員から、さらに総理の出席を求められましたので、いろいろ理事を通し、あるいはまた、官房長官にこれを通じまして、そうして出席の要求をいたしたのでございますが、たまたま第二回AA会議に対する在外大使との重要な打ち合わせが行なわれているために、午後八時まで出席ができないという連絡がございましたので、そのことを申し上げ、そうして亀田委員から、二十七日には出席するように努力しろという御要求がございましたから、私は、はっきり心得ましたと申し上げました。努力するという意味のことを申し上げました。でございますから、私は、二十七日に委員会が持たれるならば、お約束どおり佐藤総理出席を求めて、質疑に応じさせるような考えをずっと持っておったことを、御了承願いたいと思います。  それから、連合審査会の問題についてお尋ねがございましたが、これは亀田議員御承知のとおり、参議院規則第三十六条にその規定がございます。そこで、他の関係委員会から申し入れのございました場合には、これを受けて、開くかどうかということをきめることになっておりまして、理事会におきましても、先ほど申し上げましたように、この問題について協議がなされました。そうして理事会では、他の委員会から申し入れがあった場合は、その日程についてさらに検討しようということになっておったわけでございまして、決して連合審査会をやらないというような考え方はとっておらなかったのでございます。しかしながら、実際問題として、他のいずれの委員会からも何らの申し入れもなく一また、私が働きかけて、これを申し入れさせないというような、とんでもないことをやったのではないかという疑いを持たれたようでございますが、そういう事実は全くございません。  さらに、参考人意見聴取について、委員長参考人を呼ばないように、何か行動した。こういうような意味のお尋ねであったようでございます。これは先ほども、理事会において参考人のことについていろいろ論議のあったことを御報告申し上げましたが、これも理事会において、日程その他の関係からきめられることでございまして、私は、そのようにきまりますれば、日程の範囲内においてその措置をとる考えは十分持っておりまして、委員長みずからが参考人を呼ばないなどというような、そういう大それた考えは毛頭なかったことを、明確に申し上げておきます。(「答弁漏れだ、北海道の冷害だ」と呼ぶ者あり)
  25. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 稲葉誠一君。(「冷害の問題はどうした」と呼ぶ者あり)    〔西田信一登壇
  26. 西田信一

    西田信一君 北海道の昨年に続く今年の冷害のことについて、非常に御同情ある御質問をちょうだいいたしまして、まことに感謝いたしております。何とか冷害を免れるように、天候の回復することを、私は北海道人として祈っておるわけでございますが、その問題と本問題とは直接関係がございませんし、これはこれなりに、それぞれの必要な理由に基づくものであると、私は考えておる次第でございます。(拍手)     —————————————
  27. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 稲葉誠一君。    〔稲葉誠一君登壇拍手
  28. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 私は、いまの委員長中間報告を聞き、答弁を聞いておりまして、実は、あ然といたしました。そして、非常に私自身、恥ずかしく思ったのであります、こういうような形で国会審議が行なわれていいものであるかどうか、私は非常に大きな疑問を持ちます。そこで、時間もございませんから、まず、最初の中間報告に関連をいたしまして、二、三点質問をして、そこから始めてまいります。  委員長中間報告は、どのような手続を踏んであの報告書ができ、委員長はここで発表をするようになったのであるか、これが第一の点であります。  第二に、五月七日、十一日、十三日、これは予備審査段階でありますが、そこで審議に入り得なかったのは、いたずらに三日間を空費したものであるという発言が、中間報告の中でありました。予備審査段階審査に入らないのは通例であると私どもは聞いているのであります。むしろ、この間に入れなかったとすれば、入れなかったこと自身が、大蔵委員長の能力と誠意の足りないところから、この問題が出てきたのであって、むしろ、責任自身は委員長にあるというふうに私は考えるのでありまして、それを、野党社会党の責任であるかのごとき発言については、納得をすることができないのでありまして、いたずらに三日間を空費云々ということについては、大蔵委員長は取り消すつもりがあるかどうか。取り消すべきである、こういうふうに私は考えるのであります。  それからまた、質問に対しまする回答、いろいろございまするが、委員会経過について、最初の中間報告では、その回答の部分が、ほとんど入っておりません。全然入っておらない。これでは、どのような経過で、いかなる質問がなされ、そうして、いかなる回答が行なわれたかという、審議経過は全く明らかではありません。なぜ、そういうような点を、委員長は、その報告の中で省略したのであるか、これが私の聞きたいところであります。  それから、十八日あるいは二十五日に総理を呼ぶということの要求があり、それを、委員長は心得て努力をしますと、ここでいまでも言いましたが、なぜ、そういう重要なことが行なわれたことを中間報告の中で明らかに最初しなかったのであるか、この点について私は、まずお聞きをしていきたいと思います。  内容に入ってまいりますると、いま、五月十八日の質疑打ち切りの問題について質問があり、答弁がございましたが、私は、質疑打ち切りが適法であるとか有効であるとかいうこと、そういう答えもありましたが、それは私どもの見解と全く食い違いますが、そのことについての評価、これを大蔵委員長はどのように考えているかということを、お聞きをいたしたいわけであります。といいまするのは、その後において質疑が行なわれております。ということは、五月十八日の質疑打ち切りが誤りであったということを雄弁に物語っているし、あるいは、きわめて不十分な質疑段階で、この打ち切りが行なわれた、ということを物語っているとしか考えられないわけでございます。(拍手)そうなってまいりますると、それ以後の段階で、なぜ特別に補充できるかどうかは別といたしまして、質疑を続行をしなければならなかっただけの必要性があったのか。質疑打ち切り段階で、十分なものが行なわれておらなかったからこそ、こういうような形のものが当然行なわれたわけであります。それを、単に国対委員会決定であるという形ではなくて、大蔵委員長の自主的な判断の中で、そういうものが行なわれたこと自身は、五月十八日の質疑打ち切りの点について、不十分なものがあった、遺憾な点があったということを、当然物語っているものと判断をするのでございまするが、その点についての評価の点をお聞かせ願いたいと思うのであります。同時に、また、その後、ここにおりまする重宗議長のあっせんがございまして、二十七日あるいは二十八日に質疑を続行するというようなあっせん案が出てまいりました。このこと自身は、いままでの質疑というものがきわめて不十分であって、足りないところがあるからこそ、議長はそのようなあっせん案を出して、二十八日まで質疑を続行しろということになったのだと考えるのでございます。こういうことを考えてまいりますると、質疑打ち切り、あるいは中間報告、それらの間にきわめて足りない点があり、不十分な点があったことを、この議長あっせんみずからが物語っているのであるというふうに、私は考えるのでございまするが、その点はどういうふうに判断をされるのでございましょうか。  それから第三の、この点については、十八日に亀田議員から総理大臣を出せという要求があって、委員長もその点については心得ている。とすれば、二十五日に再開をされたときに、当然総理大臣をそこに呼んでまいって出席をさせ、答弁をさせるだけの手順というものをやっておらなければならなかったはずでございまするが、それをなぜやらなかったかという点をお尋ねいたしたいのであります。同時に、また二十五日のうちにおきまして、二十七日に総理大臣を呼ぶように努力をするということがいわれている。しかしながら、二十六日から中間報告の中に入ってくるということは、すでに総理大臣を呼ぶということを心得ましたと言いながらも、その間、内実においては呼ぶ意思などはなくて、そこで中間報告をするということを考えておりながら、そういうような答弁をしたのではないか、こう考えてまいりまするというと、天下の公党をペテンにかけるような形で、そこで委員長はそういうような発言をしたのではないかということが、当然考えられてくるわけでございます。こういうような私は疑問点を持つのでございますので、この点の解明をお願いいたしたいと考えるのでございます。  さらに、いろいろこの委員会経過の中で論議がございました。私はあらためてお聞きをいたしたいのは、この委員会経過の中で、その問題点として解明をされたものは、一体、何と何と何が解明をされたのであるか。また、いろいろ質疑はあったけれども、なおかつ解明をされないものが、明瞭でないものが、どういう点があるのか。あるいは質疑には至らなかったといたしましても、そこで当然問題にさるべきではあったが、問題にされるまでに、時間的な経過その他で、いかなかったという点は、一体何なのであるか、こういう点について、まず、委員長から私はお答えを願いたいと、かように考えるわけでございます。  さらに、二、三点お尋ねをいたしてまいりまするのは、前の報償金——自作農創設法十三条の報償金と今度の関係について質問があり、論議がかわされました。しかし、それは委員長報告の中ではきわめて不十分でございます。  そこで、私は、これに関連をして、次の三点——一つは、前の報償金と今度の給付金というものについては、性質上、差があるのかどうかということ、その点についてどれだけ論議がかわされてきたのか。第二の点については、その算出の根拠の点について、前の報償金と今度の報償金との間で、根拠はどういうふうに違っているのか。第三は、二重払いになるのかどうかということについての質疑経過、それはどういうふうに委員長自身は考えておられるのか。こういう点についてお尋ねをしたいのであります。  もう一つの問題は、提案の動機が、本法案はきわめて不明確でございます。重要な法案であると言っておりまするが、何がゆえに本法案が、自由民主党なり政府にとって最重要な法案として考えられているのか。他の法案を犠牲にしても重要であるということを考えているとするならば、一体だれのために重要なのであるか。こういう点について、いま、これを自由民主党が多数の力でしゃにむに通そうとしている真意は一体どこにあるか。こういうようなことについて、委員会の中で提案の動機がきわめて不明確でございますだけに、その点についての論議がいかようにかわされたかということについて、私はあらためて委員長にお尋ねをいたしたいわけでございます。
  29. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 時間が経過いたしました。
  30. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君(続) 同時に、地主制度の問題——私も傍聴いたしておりましたが、いわゆる旧地主制度というものの評価との関連において当然今度のこの法案は考えるべきものでございます。そこで、旧地主制度というものをいかに政府側は評価しておったのか。私も聞いておったのですが、赤城農林大臣と臼井総務長官との間では食い違っておりました。私は、旧軍人と財閥、地主制、これらのものが戦争勢力として大きな影響を与えている。これらの復活、一つのものの復活を目ざす気配が本法案の中にあるわけでございますが、その旧地主制度を、政府側はいかに評価し、それに対するいかなる論議が行なわれておったかということについて、お聞きをいたしたいわけであります。  最後でございますが、本法案に対しては、国民は非常な疑惑を持っているわけでございます。御案内のとおり、旧地主団体の圧力に屈して——それらの者がたくさん金を集めているわけでございます。それは旧畝歩により長い間の年月をかけて命を集めている、その金は一体幾らぐらい集まって、その金はどういうふうに使われたか、こういうふうなことについて、私の聞くところでは、その中で相当な使い込み等があったのでございますが、こういうふうな問題は、国民の疑惑を解く上において非常に大きな問題であり、大蔵委員会としては、その審議の中で当然徹底的に追及をして、本法案が国民の間から、自由民主党のためにも、単に選挙対策ということではなくて、それ以上の何かがあるのじゃないかというような疑いすら持たれている現段階におきましては、この点を当然明らかにすべきものであると考えるのでございますが、その点について、いかなる論議がこの委員会の中で行なわれたかということを、あらためてここで明らかにしていただきたいということを考える次第でございます。(拍手)    〔西田信一登壇拍手
  31. 西田信一

    西田信一君 稲葉議員の御質問にお答えを申し上げます。  第一点は、中間報告はどういう手続を経てやったのか、委員会にはかったのかという御意味だと受け取りました。本会議における委員長報告内容委員会にはからなければならないという法制上の要請は全然ないのであります。規則第百五条によりまして、委員長報告にあたって自己の意見を加えることはできないことにもなっておるのでございまして、その内容委員会にはかる必要はないものと存じております。また、あるいは誤解があってはいけないと思いますから、かつてスト規制法等の中間報告の際に、委員会にはかったという例は一件あるようでありますが、二十九国会以後は、規則の改正がございまして、その必要がないことになっていると御承知願いたいと思います。  次に、十四、十五、十六日三日間空費したんだが、予備付託段階で空費したというのは当たらないじゃないか、こういう意味の御質問であったかと思います。これは稲葉議員の誤解と存じますが、私が申しましたのは、その前の段階において予備審査努力をいたしましたが、十四日、十五日、十六日は、すでに、先ほど申しましたように、大蔵委員会に本付託になって後のことでございまして、本付託になった後は、会期関係等もあって、私は少しでも審議の充実をはかるべく委員会を開きたいと考えたわけでありますが、これが残念ながら開けなかったことを、三日間空費したことを残念に思っている、こういう意味でございます。御承知を願いたいと存じます。  それから、先ほど申しました中間報告の中に補足するようなことになったのは遺憾であるという意味のことでございましたが、私は大体、従来の委員会報告の例にならって報告をしたつもりでございますけれども、なお不十分であるという意見もございましたから、若干の補足をしたのでありますが、内容におきましてはそれを少しく詳しく申したということでございまして、決して内容の間違いあるいはその他のことはなかったと確信いたしております。  第四点は、総理大臣出席努力をすると約束をしておった。ところが、中間報告になったんだが、これは見せかけのものではなかったかという意味の御質問と心得ました。決してそういうことはございませんで、私は、十八日の委員会におきまして亀田委員から総理大臣の御要求がございましたが、このときには突然のことであり、総理に連絡をいたしましたが、これはそういう時間的関係で実現できなかったのでございます。また、さらに二十五日に、先ほど、これは第七問でありますが、あわせて申し上げます。二十五日に総理大臣の要求があったのでございまして、これは先ほどの御質問では、二十五日に総理大臣を呼んできたらいいじゃないか、こういう意味のことでございましたが、二十五日に亀田委員から総理出席の要求がございまして、総理のほうに連絡をいたしましたが、先ほど申しましたような事情がございまして実現ができない。午後八時になればできるということでございましたけれども、それではおそいから二十七日に総理を呼びたいという亀田委員の御要求でございましたので、私はそのように努力をいたすと約束をいたしました。そして、その約束は、残念ながら二十七日委員会が開かれないために実現できずに今日に至っているわけでございまして、この点は誤解のないような御了承願いたいと思います。  それから重宗議長のあっせん案が出ました。たいへん御心配をかけたわけでございますが、重宗議長が二十八日までに議了するようにということであるが、それならば質疑内容に不足があったのじゃないか、こういうことでございましたが、私もこれは、議長のごあっせんは、二十八日、本会議で議了するようにという内容であったと心得ているのでございます。私ども、委員会において審議促進努力いたしまして、委員長としてできるだけ各理事の方々にも懇請申し上げまして努力いたしました内容は、何とか二十六日、七日と続けて、二十七日夜——おそくても二十七日中に審議を終え、そうして討論採決を行なって、二十八日の本会議に間に合うようにということで、私は努力をいたしたわけでございまして、重宗議長のごあっせん案と、その内容において結果的に一致しているように承知をいたしておるわけでございます。  その次は報償金の問題で、二重払いの問題とか、どれが問題点であるかというようなお尋ねでございましたが、いろいろな問題点が、それぞれの立場において問題点があったと存じます。しかしながら、それぞれの問題点につきましては、政府におきまして、私は委員長席におりまして、一分も一秒も委員長席を離れたことはございません。したがいまして、委員の御質疑内容とか答弁内容も大体承知をいたしておりますが、決しておざなりの質問応答とか、そういうことでなくして、真剣に質疑応答が行なわれ、そうして御理解が願えるものと私は聞いておった次第でございます。  それから、この農地報償法案が重要法案であるという理由説明せよということでございました。これは相当の予算を使うことでもありまするし、また、国民の相当数の方に関係を持つことでございまするし、そういう意味におきまして、しかも、長年の懸案を解決するという意味におきまして、私どもは重要法案であると考えておりました。それは決して私どもだけでなくて、どの党におかれましても、この法案を重要法案であるという認識のもとに御審議を願ったと心得ておる次第でございます。  それから、旧地主制度との関係ということは、これは私にお尋ねでございましたが、私がお答えすることが適当かどうか、政府側にお尋ねを願うべき問題ではないかと心得ておる次第でございますから、御了承を賜わりたいと思います。  本法案は、何か非常にたくさんの金がどこかへ行って、国民から非常に疑惑を招いているということでございますが、私はこういう運動についてお茶一ぱいごちそうになったこともございませんし、どれだけの金が集まったかも、一切承知いたしておりません。このことは私からお答えすることは不可能でございますから、御了承賜わりたいと思います。      ——————————
  32. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 山本利壽君外一名から、成規の賛成者を得て、  質疑終局の動議提出されました。  これより本動議採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  33. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間がまいりましたら投票箱を閉鎖いたします。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——まだ投票なさらない諸君は、すみやかに御投票願います。  制限時間に達しました。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  34. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票参事に計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  35. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百五十二票   白色票           九十七票   青色票           五十五票  よって、質疑は終局することに決しました。      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名     九十七名       山高しげり君    野知 浩之君       二木 謙吾君    鳥畠徳次郎君       青田源太郎君    大竹平八郎君       鈴木 恭一君    加賀山之雄君       森 八三一君    上原 正吉君       松平 勇雄君    最上 英子君       中山 福藏君    三木與吉郎君       村上 義一君    佐藤 尚武君       野田 俊作君    小山邦太郎君       木暮武太夫君    笹森 順造君       植木 光教君    沢田 一精君       和田 鶴一君    源田  実君       熊谷太三郎君    山崎  斉君       井川 伊平君    植垣弥一郎君       岸田 幸雄君    谷村 貞治君       川上 為治君    仲原 善一君       坪山 徳弥君    豊田 雅孝君       天坊 裕彦君    竹中 恒夫君       江藤  智君    亀井  光君       山下 春江君    堀本 宜実君       大谷 贇雄君    青柳 秀夫君       平島 敏夫君    山本 利壽君       藤野 繁雄君    新谷寅三郎君       西郷吉之助君    紅露 みつ君       木内 四郎君    植竹 春彦君       田中 茂穂君    小林 英三君       草葉 隆圓君    西川甚五郎君       重政 庸徳君    谷口 慶吉君       徳永 正利君    鍋島 直紹君       村上 春藏君    栗原 祐幸君       丸茂 重貞君    日高 広為君       温水 三郎君    長谷川 仁君       村山 道雄君    鹿島 俊雄君       大谷藤之助君    柴田  栄君       西田 信一君    松野 孝一君       稲浦 鹿藏君    石井  桂君       吉江 勝保君    中野 文門君       井上 清一君    八木 一郎君       剱木 亨弘君    田中 啓一君       斎藤  昇君    塩見 俊二君       村松 久義君    小柳 牧衞君       郡  祐一君    安井  謙君       石原幹市郎君    迫水 久常君       高橋文五郎君    佐野  廣君       後藤 義隆君    横山 フク君       白井  勇君    古池 信三君       宮澤 喜一君    近藤 鶴代君       下村  定君    杉原 荒太君       小沢久太郎君     —————————————  反対者青色票氏名     五十五名       鈴木 市藏君    石田 次男君       鬼木 勝利君    中尾 辰義君       北條 雋八君    浅井  亨君       小平 芳平君    渋谷 邦彦君       白木義一郎君    瀬谷 英行君       稲葉 誠一君    林  虎雄君       千葉千代世君    武内 五郎君       小柳  勇君    大河原一次君       伊藤 顕道君    久保  等君       秋山 長造君    戸叶  武君       松澤 兼人君    大矢  正君       藤原 道子君    野溝  勝君       加藤シヅエ君    鈴木  強君       阿部 竹松君    須藤 五郎君       小林  武君    松本 賢一君       佐野 芳雄君    野上  元君       中村 順造君    基  政七君       藤田藤太郎君    横川 正市君       相澤 重明君    森 元治郎君       占部 秀男君    光村 甚助君       向井 長年君    藤田  進君       亀田 得治君    加瀬  完君       大和 与一君    柳岡 秋夫君       北村  暢君    小酒井義男君       佐多 忠隆君    椿  繁夫君       成瀬 幡治君    鈴木  壽君       木村禧八郎君    松本治一郎君       曾禰  益君      ——————————
  36. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 山本利壽君外一名から、賛成者を得て、  大蔵委員長から中間報告があった農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案は、議院の会議において直ちに審議することの動議提出されました。  よって、本動議を議題といたします。  討論の通告がございますが、山本利壽君外一名から、賛成者を得て、  本動議に対する討論時間は、一人十分に制限することの動議提出されました。  よって、この時間制限の動議について採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行〕    〔議長退席、副議長着席〕
  37. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) すみやかに御投票を願います。——すみやかに御投票を願います。——すみやかに御投票を願います。——すみやかに御投票願をいます。  ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間がまいりますれば、投票箱を閉鎖いたします。すみやかに御投票を願います。——まだ投票なさらない諸君は、すみやかに御投票願います。——まだ投票なさらない諸君は、すみやかに御投票願います。時間がまいります。  制限時間に達しました。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  38. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これより開票いたします。投票参事に計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  39. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百四十一票   白色票           八十八票   青色票           五十三票  よって、議院の会議において審議することの動議に対する討論時間は、一人十分に制限することに決しました。      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名     八十八名       野知 浩之君    二木 謙吾君       鳥畠徳次郎君    青田源太郎君       大竹平八郎君    鈴木 恭一君       加賀山之雄君    森 八三一君       上原 正吉君    松平 勇雄君       最上 英子君    中山 福藏君       三木與吉郎君    村上 義一君       野田 俊作君    小山邦太郎君       木暮武太夫君    笹森 順造君       植木 光教君    沢田 一精君       和田 鶴一君    源田  実君       熊谷太三郎君    山崎  斉君       井川 伊平君    石谷 憲男君       植垣弥一郎君    岸田 幸雄君       谷村 貞治君    川上 為治君       仲原 善一君    坪山 徳弥君       豊田 雅孝君    天坊 裕彦君       竹中 恒夫君    江藤  智君       亀井  光君    山下 春江君       堀本 宜実君    大谷 贇雄君       青柳 秀夫君    平島 敏夫君       山本 利壽君    藤野 繁雄君       新谷寅三郎君    西郷吉之助君       紅露 みつ君    植竹 春彦君       田中 茂穂君    小林 英三君       草葉 隆圓君    谷口 慶吉君       徳永 正利君    鍋島 直紹君       村上 春藏君    栗原 祐幸君       丸茂 重貞君    日高 広為君       温水 三郎君    長谷川 仁君       村山 道雄君    大谷藤之助君       柴田  栄君    西田 信一君       松野 孝一君    稲浦 鹿藏君       石井  桂君    吉江 勝保君       中野 文門君    井上 清一君       八木 一郎君    剱木 亨弘君       田中 啓一君    斎藤  昇君       塩見 俊二君    村松 久義君       小柳 牧衞君    郡  祐一君       安井  謙君    迫水 久常君       高橋文五郎君    佐野  廣君       後藤 義隆君    横山 フク君       白井  勇君    古池 信三君       宮澤 喜一君    近藤 鶴代君     —————————————  反対者青色票氏名      五十三名       山高しげり君    鈴木 市藏君       鬼木 勝利君    中尾 辰義君       北條 雋八君    浅井  亨君       小平 芳平君    渋谷 邦彦君       白木義一郎君    矢山 有作君       瀬谷 英行君    稲葉 誠一君       林  虎雄君    千葉千代世君       武内 五郎君    小柳  勇君       大河原一次君    伊藤 顕道君       久保  等君    秋山 長造君       戸叶  武君    松澤 兼人君       大矢  正君    田中  一君       藤原 道子君    野溝  勝君       加藤シヅエ君    鈴木  強君       阿部 竹松君    須藤 五郎君       小林  武君    松本 賢一君       佐野 芳雄君    野上  元君       中村 順造君    藤田藤太郎君       横川 正市君    相澤 重明君       森 元治郎君    占部 秀男君       光村 甚助君    向井 長年君       藤田  進君    加瀬  完君       大和 与一君    柳岡 秋夫君       北村  暢君    小酒井義男君       佐多 忠隆君    椿  繁夫君       鈴木  壽君    木村禧八郎君       曾禰  益君      ——————————
  40. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これより順次討論を許します。佐野芳雄君。    〔佐野芳雄君登壇拍手
  41. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 私は、ただいま提案されました農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案中間報告に関連して、これを直ちに本会議において採決することに反対し、大蔵委員会においてさらに慎重なる審議を続行し、世論の批判にこたえるべく最善の努力をすべきであることを、強く主張いたすものであります。(拍手)  周知のように、いわゆる農地報償法案は、当院の大蔵委員会においてなお十二分の審議が尽くされておらず、また、その審議の慎重を期するために、われわれが強く熱望してまいりました、内閣、農水等関係委員会との連合審査を行なうことや、あるいは、本法案審議のためにぜひ必要と思われる、学識経験者を参考人として招致してその意見を聴取し、審議について万全を尽くすなど、当然行なうべき国会審議の良識あるよき慣行を無視し、自民党は、去る二十六日、会期なお七日の日程を残しているにもかかわらず、あえて本会議を強行開会し、農地報償法の中間報告を強行して、多数党の圧力によって、しゃにむに本法案を通過させようとする手段に出ているのは、まさしく、来たるべき参議院選挙において旧地主団体の援助を得ようとするための党利党略にほかならないと言わねばなりません。(拍手)これは、単に私がそう思うだけではないのでありまして、本法案政府によって提案されて以来一貫している世論の示すところでありまして、一部の旧地主を除き、国民のひとしく納得しないところなのであります。率直に言いまして、国会において審議される多くの法律案の中には、与野党が鋭く対立する法案も少なくはございません。もちろん、その場合、世論の動向は、それぞれの立場でその見解が異なるものがあるのでありまするけれども、しかし、この農地報償法案に対しては、ほとんどすべての新聞雑誌が筆をそろえて本法案を時代逆行と論じ、また、この法案が農林省でなく総理府から出され、委員会もまた、衆議院では内閣委員会で、本院では大蔵委員会審議されているというところにも、一そう国民に不明朗な印象を与え、その政治的性格に不信感を強く植えつけているのであります。  しかも、すでにして、農地改革を不法不当なりとする旧地主の違憲訴訟は、過ぐる二十八年十二月の最高裁判所の判決で決着がついており、また、当時の買収価格を不当とする補償問題は、根拠を失っているのであります。このため、旧地主の要求によって彼らの要求をいれるものとして設けられましたはずの農地買収者問題調査会の答申においても、ここでも補償すべきだという結論は出ていないのであります。したがって、政府は、今日まで、被買収地主に対しては補償する必要のないことを、しばしば繰り返し主張し、同時に、政府として最高裁判決の正当性を強調してきているのであります。だから、政府与野党は、今度の農地報償法の提案にあたっては、補償ではなくて報償だと言い、佐藤首相もまた、農地報償は、農地改革で主要な役割りを果たした旧地主の貢献に対し報償の道を講じようとするものであり、旧地主に報いるのは国民の当然の義務であると、まことに苦しい答弁をしているのであります。旧地主が農地改革に主要な役割りを果たしたといたしましても、その代価は、最高裁判決が示すとおり、当時においての正当な評価によってすでに支払われており、また、当時、報償金の名目においてその買収価格の三割に相当する金額がすでに給付されているのでありますから、いまになって国民の税金で、しかも千五百億円もの、ばく大な報償金を旧地主にさらに給付するのが当然の義務だというのは、全く理解に苦しむところであります。とともに、これでは報償金の二重払いとなるのであります。  もちろん、こうは申しましても、かつて売却した農地が、その後、転用転売が許され、しかも高価で転売転用されている現実に対して、旧地主に不満があるのも否定できない事実でありますが、だが、この問題は、政府の地価対策の失政から生じたものであって、それは旧地主に対する再補償とはあくまで別個の問題であることを明らかにしなければなりません。  また、さきの工藤調査会答申にもありますように、旧地主の九五%は生活に困窮しておらず、おおむね中流以上の生活をしていると調査会の結果を報告しているのであります。しかし、調査会は、ごく少数の人たちの中にはある程度の救済を必要とする者もあると言っております。それらの人たちに対しては十分の検討を重ねて別途考慮の道を講ずべきであり、基本的には、それは単に旧地主に限ることなく、国民の中に一人といえども生活に困窮する者などがないように、社会保障制度を拡充強化して、すべての人たちにあたたかい援助の手を差しのべ、現在目の前におぼれかけている人たちの問題について、深い思いやりのある政治をこそ実行すべきだと思うのであります。  いま、旧地主に報償されようといたしておりますこの千五百億円という巨額の予算は、農業改善の事業の十年間の予算の半分に当たり、もし、その金額をそっくり回すならば、今日の農村問題の多くが解決できるのであります。また、さらに公共投資や社会保障の充実など、国の財政に依存する仕事はいよいよ大きくなっているのでありますが、国民の税金が、このような場合に、党利党略のもとに一部旧地主にのみばらまかれることは、断じて認めることはできないのであります。  政府は、農地報償は戦争関係のものと違い、他の戦後処理に波及しないと言っているのであります。農地改革も敗戦から占領政策に連なるものである以上、戦後処理と切り離して考えることはできません。在外資産や戦災、強制疎開、学徒動員などの補償ないし報償に波及すると考えなければならないのであって、特に在外資産の補償要求となれば、一兆二千億円という莫大な財源が必要であります。旧地主団体が自民党に圧力をかけ、自民党は選挙票を当てに補償を約束する、この持ちつ持たれつの関係から生まれたのが農地報償法であるならば、他についても同じ経過をたどることが十分に予想され、その補償機運と運動過程そのものは、日本の反動化を促進するだけでなく、わが国財政の明日に大きな危機をもたらす危険を内蔵すると言わねばなりません。  政府がこの農地報償法を通過させるため、自民党が行なった単独採決による会期延長は、明らかに国会法第十二条を乱用するものであって、その横暴ぶりは目にあまるものがあり、委員会もまた、衆議院では内閣委員会で、本院では大蔵委員会というように、この法案の持つ政治的意図がまことに不明朗であり、また、衆議院では曲がりなりにも連合審査が行なわれ、参考人意見聴取も行なわれたのでありますが、本院では、大蔵委員会で私たちの幾たびかの要求にもかかわらず、今日の中間報告にもございましたように、西田委員長は、何ら私たちの要求に耳をかさなかったのであります。しかも、なお会期七日を残しているにもかかわらず、あえて議長職権による本会議を開き、中間報告によって多数による採決を強行せんとする横暴は、断じて許すことができないところであります。
  42. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 佐野君、時間がまいりました。
  43. 佐野芳雄

    佐野芳雄君(続) かくて、いまや参議院の良識はみじんにじゅうりんされ、悔いを千載に残す結果となったのであります。  私はここに、自民党の中の良識ある同僚議員諸君の自省と反省を強く求めますとともに、本法案はあくまで中間報告にとどめ、大蔵委員会においてさらにその審議を続行し、すべての国民が納得のいくような審議を明日からも再び行なわれんことを強く要望いたしまして、本会議において採決することに反対する私の討論を終わります。(拍手)     —————————————
  44. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 占部秀男君。    〔占部秀男君登壇拍手
  45. 占部秀男

    ○占部秀男君 私は、日本社会党を代表して、中間報告があった案件について直ちに本会議において審議することのこの動議に対し、絶対に反対をいたします。  今度の農地報償法の問題性につきましては、ただいま同僚佐野議員が指摘したとおりでございます。千四百五十六億にものぼる膨大な国費を、すでに補償済みとなっておりまする一握りの旧地主に、ただで再び出そうとする無謀な内容でありますから、事のよしあしが身近にわかります働く農民の方々はもちろんのこと、中小企業者、労働階級、国民の大部分は、あげて猛烈に反対をいたしております。いまこの場限りではわれわれの目には見えてはおりませんけれども、世論のごうごうたる非難はこの国会に突き進んでおりますし、この国会はそうした非難に包まれていると思うのであります。  本来、この種の重要法案については、その成立の結果が社会の動向に決定的な影響を及ぼすことを考えて、たとえ通すにしても、あるいは、つぶすにしても、十分に審議を尽くして国民の前にその内容を明らかにさせることが、国政を負託されたわれわれ国会議員の任務でありまして、このことこそが議会政治の常道であると思うのであります。しかるに、自民党は、多数の暴力によって中間報告を強行したのみでなく、いままた一切の委員会審議を封殺して、直ちに本会議で、審議しようとする無謀な非常手段をとろうとしているのであります。毒を食らわば皿までというこの態度には、言うべきことばもございません。同じ議院に籍を置くわれわれとしては、これが日本の議会の実態であり、これがわが国政治意識の最高水準ともいわるべきものの実態であることを思いましたときに、怒りをこえて、悲しみの念さえ抱かざるを得ないのでございます。(拍手)  一体、自民党は、なぜこんな非常手段をとらなければならないのでありましょうか、まことに理解に苦しむところであります。確かに国会法は、第五十六条の三で、「中間報告があった案件について、議院が特に緊急を要すると認めたときは、委員会審査に期限を付け又は議院の会議において審議することができる。」と規定をしております。直ちに本会議審議することは認めているのでございますが、しかし、それには条件がついておりまして、特に緊急を要すると認めた場合にだけ限られていることは、皆さまも御案内のとおりでございます。一体、この場合に緊急を要する事情がどこにございますか。きょうやらなければ、国会がなくなるというわけでもございません。きょうやらなければ、旧地主の諸君が飢えて死んでしまうというわけでもざいごません。緊急の事情はどこにも見当たらないのでございます。察するに、緊急を要する事情は、この法律案内容にあるのではなくて、自民党の内部の党内事情の中にあると思うのであります。強行採決中間報告と、多数の力を使った余勢をかって、きょうじゅうに通してしまわなければ、燃え上がる世論の反対に押されて、この法律案が流れてしまう可能性が生まれてくる、それでは結局、旧地主の諸君にもすまないし、選挙対策にもならぬからというところに、自民党特有の緊急な事情があると思うのでありまして、しかし、これは国会法に規定された緊急な事情とは、われわれは認めがたいのでございます。(拍手)かりに、会期が足らないので、あわてて非常手段をとったというのなら、その行動の是非は別にいたしましても、まだまだ恕すべき幾分の余地はあると思うのでございますが、会期はあり余るほどあるのであります。自分できめた延長でありますから、多分お忘れにはなるまいと存じますけれども、六月一日まで会期はございます。きょうは五月の二十八日でありますから、まだ足かけ五日間あるのであります。これを最近はやっております秒読み風でいくならば、ただいまちょうど五時十五分前でございますから、実に百三時間と十五分まだ時間が残っていることになります。審議を尽くす余裕はなかったということは、自民党の諸君といえども口にすることのできない事実でございまして、みずから議会政治の使命を完全に放棄したものとして、国民から非難されても弁明の余地は全くないと私は考えるのであります。  私は、自民党のためにも、この動議が出されたことをまことに惜しむものの一人でございます。言うまでもなく、自民党は議会第一党でございます。議会運営の全責任をになった絶対多数党でございます。議会政治の民主的なルールを誠意をもって守り続けることこそが、自民党に本来課せられた任務であると私は思うのであります。かりに、審議を放棄したり、正常な審議をはばむような、だだっこ議員がたまには出たとしても、大きなあたたかい親心をもってなだめすかして、正しい軌道に乗せてやることこそが、自民党の当然の役割りであると思うのであります。しかるに、きょうのこの事態を見ますと、あたかも逆に、親がだだをこねて、わが子にさとされているような、(拍手)全くさかさまの現象を呈しているのであります。俗に、「親の意見と冷や酒はあとからきく」ということばがございますが、親に意見をしている子供のきょうのこの意見は、いま直ちにきく速効薬でございます。この無法な動議を直ちに撤回をされて、この法律案に対する審議を十分に尽くして、国民の負託にこたえられるよう、自民党は議会運営の正常化をはかられるように、私は衷心から望むものでございます。  以上をもって、本動議に対し反対討論を終わります。(拍手)      ——————————
  46. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 山本利壽君外一名から、成規の賛成者を得て、  討論終局の動議提出されました。  これより本動議採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  47. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票を願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間がまいりますれば投票箱を閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。  投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  48. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これより開票いたします。投票参事に計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  49. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百四十九票   白色票           九十三票   青色票           五十六票  よって、討論は終局することに決しました。      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名     九十三名       野知 浩之君    二木 謙吾君       鳥畠徳次郎君    青田源太郎君       大竹平八郎君    鈴木 恭一君       森 八三一君    上原 正吉君       松平 勇雄君    最上 英子君       中山 福藏君    三木與吉郎君       村上 義一君    野田 俊作君       小山邦太郎君    木暮武太夫君       笹森 順造君    植木 光教君       鈴木 一司君    沢田 一精君       和田 鶴一君    源田  実君       熊谷太三郎君    山崎  斉君       井川 伊平君    石谷 憲男君       植垣弥一郎君    岸田 幸雄君       谷村 貞治君    川上 為治君       仲原 善一君    坪山 徳弥君       豊田 雅孝君    天坊 裕彦君       竹中 恒夫君    江藤  智君       亀井  光君    山下 春江君       堀本 宜実君    青柳 秀夫君       平島 敏夫君    山本 利壽君       藤野 繁雄君    新谷寅三郎君       紅露 みつ君    植竹 春彦君       田中 茂穂君    小林 英三君       寺尾  豊君    草葉 隆圓君       西川甚五郎君    谷口 慶吉君       徳永 正利君    鍋島 直紹君       栗原 祐幸君    丸茂 重貞君       温水 三郎君    長谷川 仁君       村山 道雄君    鹿島 俊雄君       木島 義夫君    大谷藤之助君       柴田  栄君    西田 信一君       松野 孝一君    稲浦 鹿藏君       石井  桂君    吉江 勝保君       中野 文門君    八木 一郎君       剱木 亨弘君    田中 啓一君       高野 一夫君    斎藤  昇君       塩見 俊二君    村松 久義君       小柳 牧衞君    増原 恵吉君       林屋亀次郎君    郡  祐一君       安井  謙君    石原幹市郎君       青木 一男君    迫水 久常君       佐野  廣君    後藤 義隆君       横山 フク君    前田 久吉君       白井  勇君    古池 信三君       宮澤 喜一君    近藤 鶴代君       杉原 荒太君     —————————————  反対者青色票氏名     五十名       山高しげり君    鈴木 市藏君       石田 次男君    鬼木 勝利君       中尾 辰義君    北條 雋八君       浅井  亨君    小平 芳平君       渋谷 邦彦君    辻  武寿君       白木義一郎君    矢山 有作君       瀬谷 英行君    稲葉 誠一君       林  虎雄君    千葉千代世君       武内 五郎君    小柳  勇君       大河原一次君    伊藤 顕道君       久保  等君    秋山 長造君       戸叶  武君    松澤 兼人君       大矢  正君    田中  一君       藤原 道子君    野溝  勝君       加藤シヅエ君    鈴木  強君       阿部 竹松君    須藤 五郎君       野坂 參三君    小林  武君       松本 賢一君    佐野 芳雄君       野上  元君    中村 順造君       藤田藤太郎君    横川 正市君       相澤 重明君    森 元治郎君       占部 秀男君    光村 甚助君       向井 長年君    藤田  進君       加瀬  完君    大和 与一君       柳岡 秋夫君    北村  暢君       小酒井義男君    佐多 忠隆君       椿  繁夫君    鈴木  壽君       木村禧八郎君    曾禰  益君      ——————————    〔副議長退席、議長着席〕
  50. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより、山本利壽君外一名提出の、議院の会議において直ちに審議することの動議採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  51. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  52. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票参事に計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  53. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百五十票   白色票           九十六票   青色票           五十四票  よって、農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案は、議院の会議において直ちに審議することに決しました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名      九十六名       野知 浩之君    二木 謙吾君       鳥畠徳次郎君    青田源太郎君       大竹平八郎君    鈴木 恭一君       森 八三一君    上原 正吉君       最上 英子君    中山 福藏君       三木與吉郎君    村上 義一君       野田 俊作君    小山邦太郎君       木暮武太夫君    笹森 順造君       植木 光教君    鈴木 一司君       沢田 一精君    和田 鶴一君       源田  実君    熊谷太三郎君       山崎  斉君    井川 伊平君       石谷 憲男君    植垣弥一郎君       岸田 幸雄君    谷村 貞治君       川上 為治君    仲原 善一君       坪山 徳弥君    豊田 雅孝君       天坊 裕彦君    竹中 恒夫君       江藤  智君    亀井  光君       山下 春江君    堀本 宜実君       佐藤 芳男君    青柳 秀夫君       平島 敏夫君    山本 利壽君       堀  末治君    藤野 繁雄君       新谷寅三郎君    紅露 みつ君       植竹 春彦君    田中 茂穂君       小林 英三君    寺尾  豊君       草葉 隆圓君    西川甚五郎君       谷口 慶吉君    徳永 正利君       鍋島 直紹君    栗原 祐幸君       丸茂 重貞君    日高 広為君       温水 三郎君    村山 道雄君       鹿島 俊雄君    木島 義夫君       大谷藤之助君    柴田  栄君       西田 信一君    松野 孝一君       稲浦 鹿藏君    石井  桂君       吉江 勝保君    中野 文門君       八木 一郎君    剱木 亨弘君       田中 啓一君    斎藤  昇君       塩見 俊二君    河野 謙三君       村松 久義君    小柳 牧衞君       増原 恵吉君    林屋亀次郎君       郡  祐一君    安井  謙君       石原幹市郎君    青木 一男君       迫水 久常君    高橋文五郎君       佐野  廣君    後藤 義隆君       横山 フク君    前田 久吉君       白井  勇君    小林 武治君       古池 信三君    宮澤 喜一君       近藤 鶴代君    杉原 荒太君     —————————————  反対者青色票氏名     五十四名       鈴木 市藏君    石田 次男君       鬼木 勝利君    中尾 辰義君       北條 雋八君    浅井  亨君       小平 芳平君    渋谷 邦彦君       白木義一郎君    矢山 有作君       瀬谷 英行君    稲葉 誠一君       林  虎雄君    千葉千代世君       武内 五郎君    小柳  勇君       大河原一次君    伊藤 顕道君       久保  等君    秋山 長造君       戸叶  武君    松澤 兼人君       大矢  正君    田中  一君       藤原 道子君    野溝  勝君       加藤シヅエ君    鈴木  強君       阿部 竹松君    須藤 五郎君       野坂 參三君    小林  武君       松本 賢一君    佐野 芳雄君       野上  元君    中村 順造君       藤田藤太郎君    横川 正市君       相澤 重明君    森 元治郎君       占部 秀男君    光村 甚助君       向井 長年君    藤田  進君       加瀬  完君    大和 与一君       柳岡 秋夫君    北村  暢君       小酒井義男君    佐多 忠隆君       椿  繁夫君    鈴木  壽君       木村禧八郎君    曾禰  益君      ——————————
  54. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 午後七時まで休憩いたします。    午後五時五十三分休憩      ——————————    午後七時九分開議
  55. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。
  56. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 本案に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。亀田得治君。    〔亀田得治登壇拍手
  57. 亀田得治

    亀田得治君 私は、日本社会党を代表して、農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案(以下本法案と呼びます)につき質問をいたします。  まず、私は、この重要法案が大蔵委員会で十分審議を尽くされないまま、中間報告に引き続き本会議で最後の審議をすることになったことに対し、強い怒りを表明しておきます。(拍手)本法案の重要な点につき、順次、佐藤総理にお尋ねいたします。  第一に、旧地主制の評価と農地改革関係についてお尋ねいたします。すなわち、日本の旧地主制は、小作人より現物で五割以上の小作料を徴収し、いつでも耕作権を小作人より取り上げ得るような制度、小作人は幾ら働いても奴隷のような生活をしいられ、自殺者、娘売りなど、まことに恥ずべき制度でありました。当然のことながら、農民運動が農民の生活と権利を守るために起こりました。しかし、当時の支配層は、警察をはじめ国家権力による弾圧によって、ようやくこの制度を持ちこたえてきたにすぎないのであります。したがって、史的に観察するならば、そのような旧地主制は当然遠からず廃止される運命にあったと言えるのであります。農地改革は行なわれるべくして行なわれたものであります。農地改革は実際に働く農民の手に土地を返させることであります。その得た所有権は完全なものであります。耕作者に返された土地を取り巻く社会的事情がその後どのように変わりましても、少なくとも旧地主にはこれに介入する権利はないのであります。旧地主制の否定の上に農地改革を働く農民の立場に立って評価すれば、以上のような結論になるのであります。反対に、心の中では旧地主制を擁護し、農地改革に消極的立場に立ちますと、改革後に地主の介入を認めることになるのであります。本法案がつくられた基礎には、このような農地改革に逆行する反動的なものがあることを見のがすわけにはまいらないのであります。総理は、旧地主制度は悪い制度であり、農地改革は当然の帰結であるとの明確な信念を持っているのかどうかを、まず明らかにしてほしいと思うのであります。  第二点は、政府は、本法案提出の一つの理由として、農地改革における農地買収者貢献を多として、それに報いるためということをあげているのであります。しかし、旧地主にも三通りあります。すなわち、第一グループは、旧地主制度の反省の上に、農地改革は当然のこととして、これに何らの要求をも持っていない人々であります。そして、彼らの中には、このような法案に対して反対している人も多々あるのであります。第二グループは、旧地主制度を反省することなく、農地改革に対し、ことごとに反対し続けてきた人々であります。第三グループは、その中間といえる人々であります。この第三の人々が、政府から金がもらえるなら、それにこしたことはないとして、追随しているのであります。これら三グループの旧地主の中で、いわゆる第二グループの人々が、旧地主団体結成の音頭とりを行なったのであります。  彼らのやったことを大別すると、  一、農地改革期間中、少しでも解放面積が少なくなるように、あらゆる社会的地位を利用して動き回りました。そのため、当時の農地委員会でも各種の紛糾を起こしたのであります。  二、農地解放された後には、彼らは、これをどしどし法廷闘争に持ち込んだのであります。そのため、関係農地委員会関係農民、裁判所に、多大の迷惑をかけたのであります。  三、その後、農地改革を合憲とする最高裁判所の判決が出されてからは、この判決を事実上無視するような法律をつくる運動に移ったのでありますが、それでも、なおかつ、裁判所への提訴を続けて現在に至っているのであります。すなわち、農民は何ごとによらず訴えられることを本能的にいやがるのであります。そこをねらって、彼らは農地改革無効の前提に立って土地の返還を求める訴えを、いまでも行なっているのであります。勝敗が問題なのではなく、全くのいやがらせであり、幾らかでも旧小作人より金を出させようとの考えでやられているのであります。  このように見てくると、本法案は大きな矛盾にぶつかるのであります。すなわち、第一グループのほんとうに農地改革に協力した人々は、政府から新しく金を出してくれとは言っていないのであります。この法案を要求しているのは、第二グループの農地改革に協力的でなかった人々なのであります。報償ということの本来の意味から言えば、第一グループの人々にこそ出さねばならぬのに、それらの人々はほしがらない。したがって、この法案は、農地改革を妨害した人々に奉仕することになるのであって、大きな矛盾といわなければならないのであります。(拍手農地改革における貢献に報いるという提案理由説明は事実に反するものといわなければなりません。総理は、農地改革を妨害した人々との関係をいかに理解しているのか、明確にしてもらいたいのであります。  第三点、政府はこの法案を出した理由として、世論の動向を勘案したと言うのでありますが、もし政府が正しく世論をつかんでいるならば、このような法案は断じて出せないのではないかと思うのであります。政府の言う世論の把握のしかたは、あまりにも便宜的であります。総理は次の諸点についていかに見ておられるのか、明確に答えてもらいたい。  一、昭和三十八年、総理府に臨時農地等被買収者問題調査室が設けられ、中央調査社に委託して、世論調査を行なったのであります。この調査質問の出し方には多少誘導的なところもありますが、その点は別として、結論的に出された質問として、「もし、かりに旧地主に対して報償するとしたら、農地買収された旧地主全部に対して報償すべきだと思いますか。それとも現在生活に困っている人だけに報償すればよいと思いますか」という問いに対しまして、「困っている人だけに」というのが五九・六%、約六〇%という数字を示しているのであります。この中央調査社の調査はいろんな項目がありますが、これだけの数字が出ているのはこの項目だけであります。総理はこの点をいかに解しているか、明らかにしてもらいたい。さらに、昭和三十七年の五月二十二日の農地買収者問題調査会、いわゆる工藤調査会答申を見ましても、調査結果の概要の第一項目として、「被買収世帯の収入は買受世帯及びその他の一般世帯に比べて必ずしも低くない。」、こういうふうに書かれているわけであります。この二つの調査の結果を総合してみますると、結局は本法案のようなことは必要がないということが明確に出ているわけであります。総理は、多大の国費を使って設けられたこれらの機関の結論というものをどうして率直に取り入れようとしないのか、はっきりしてもらいたいのであります。  さらに、政府は、現在のマスコミのこの法案に対する批判をどのように見ているか、お聞きしたい。いかなるマスコミの論調を見ても、この法案に対し、反対ないし批判的であります。総理はこれらに目を通しておられるのかどうか。総理の言う世論の動向を勘案するということの中には、このような論調は入っていないのかどうかを明確にしてほしい。  さらに、本年五月十四日、政府がこの法律案衆議院において単独議決をした日に、在京の農業問題の専門家三十五名の人々が、政府国会に、本法案反対する要望書を出されました。政府はこの要望書をごらんになっていると思いますが、こういう要望書は専門家筋の高度な世論の動向を示すものだと思うのでありますが、いかようにこれをとっておられるか、明確に答えてもらいたい。  第四は、本法案は最高裁判決を実質的には無視するものではないかという点について、お尋ねいたしたいと思います。総理も御承知のとおり、最高裁は、昭和二十八年十二月二十三日の判決によって、農地改革の際支払われた対価は正当であるとし、地主の憲法違反の主張を退けたのであります。総理も、この最高裁の判決を尊重しないわけにはまいりませんので、形式上は判決を尊重すると言い、対価は正当に支払われたと言っているのであります。しかしながら、それは表面上のことであって、この法案は、実質的には最高裁判決をくつがえすものであると思うのであります。すなわち、本法案によりますと、解放面積の広さによって旧地主の受け取る金額が異なるのであります。もちろん三十五町歩以上は頭打ちとなっておりますが、原則的に解放面積を基準として国費を支出することは、その実質は代金の追加払いの性格を持っていると言わなければなりません。政府は「補償」という名称を使用することによって代金の追加払いになることを避け、「補償」という名称を使用すれば代金の追加払いの感じを与えるので、ことさらに「報償」であると呼んでいるのであります。これはあたかも、男性に女装をさせ、これは女性であると強弁しているようなものであります。呼び名を変えただけで、実質が変わるものではありません。このような政府のやり方は、全く三百代言的な詭弁と言わなければなりません。一体、公の機関がこのようなごまかしをしていいものでしょうか。政府はよく、国民大衆が、日本の平和のため、あるいは生活と人権を守るために大衆行動を起こすとき、「法律を守れ」ということを呼びかけます。しかし、以上指摘したように、政府みずから詭弁を弄して、紛争の最終的処理機関である最高裁の判決を実質的に無視するようなことを行ない、三権分立の憲法機構を乱しながら、国民に法を守ることを説いても、むだであります。(拍手)国民は政府の詭弁にごまかされるほど無知ではありません。政府のこのようなやり方こそ、法秩序をみずから破壊するものであります。総理の所見を承りたいと思うのであります。  本法案は、自民党の選挙対策でないかという点についてただします。旧地主団体の幹部は、旧地主の諸君に働きかけて、政府から金を取ってやると言って入会させ、分担金を納入させ、合計額は相当なものになっていると言われております。この金を使い、彼らは自己の代弁者たる国会議員をつくることを計画し、自民党に対し働きかけてきたのであります。そのようにして、国会議員個々人によってその厚薄の度は異なりますが、選挙等の際にだんだんと両者の関係が密接になり、旧地主の要求を満たすために署名させられてきているのであります。このようにして、いまや自民党は、完全に旧地主の圧力からのがれることのできない状況に追い込まれてしまっているのであります。旧地主団体のある人は、自民党がいつまでもこの法案を成立させないなら、旧地主団体と自民党の関係を暴露するとまで言っているようであります。政府、自民党が世論を無視し、最高裁判決を破壊してまでこの法律に執着するほんとうの理由は、この点以外にはないと思うのであります。(拍手)国民こそいい迷惑であります。国民は税金で自民党の選挙対策が行なわれることにがまんすることはできないのであります。総理は、この国民の疑惑にはっきり答えることができましょうか。旧地主団体と自民党及び自民党国会議員との関係について、私が指摘したことを、総理は一体、はっきり否定するだけの材料をお持ちかどうかを示してもらいたいのであります。  第六、本法案は、報償金の二重払いになるではないかという点であります。すなわち、農地改革当時、農地を買い上げた対価は、自作農創設特別措置法第六条によって支払われたのでありますが、その他に同法第十三条の三項と四項により報償金が支払われたのであります。しかも、その報償金の額は、正規の対価の約三分の一に当たる金額であります。報償金としてはむしろ多過ぎると思われるくらいであります。しかるに、さらに本法案を出されることは、これは明らかに報償の二重払いと言わなければならないのであります。総理府長官は委員会において、当時の報償と本法案報償とは意味が異なるようなことを言われましたが、ことばだけ少し違えれば報償を何回も出せるということをおっしゃるのでございましょうか。総理の明確な答えを求めます。  第七に、政府の地価対策について伺います。最近、特に大都市近辺では、農地が宅地等に転用される場合に、ずいぶん高い値段で売買されるようになりました。このことが旧地主の不満を誘っている気持はわかるのであります。しかしながら、だからといって、すぐ旧地主報償を出すということは筋が通らないのであります。旧地主の不満が起こらぬように地価対策を考えることこそが、政府の任務ではないかと思うのであります。しかるに、従来政府の地価対策には全く見るべきものがないのであります。一体、政府は、今後、具体的にどのような施策をやろうとしているか、この際、明らかにしてほしいと思うのであります。  第八、この法律による千五百億の財源は、当面、急を要するその他の政策実現のために使うべきではないかという点であります。政府の財源は、御承知のとおり、最近、急に苦しくなっておりますが、その反面、要求される支出はますますふえているのであります。農業の部門だけを見ましても、政府が基本的な問題として取り上げた農業構造改善事業も、不十分な財源のために途中で返上されるものがずいぶんあらわれております。緊急な問題としては、今年の大冷害、これに対して政府は完全な手当てができる見通しがついておりません。このような状況の中で、世論の反対を押し切り、この千五百億もの財源を旧地主に回すということは、全く非常識といわなければなりません。総理は、一体、他の政策との関係というものをどのように考えておられるか、お答えを願いたいのであります。  最後に、総理以外の三大臣に一点ずつお尋ねいたします。  まず、法務大臣にお尋ねいたします。  地主が農地改革に対する妨害行為として多々農地訴訟を起こしたのでありますが、その農地訴訟の件数、並びに類型別にその数字を、この際、明らかにしてほしいと思うのであります。  農林大臣にお伺いしたい一点は、赤城農林大臣は、この法案で通りましても、自分は報償金をもらう意思がないことを表明されたのでありますが、ほんとうの農林大臣の腹は、このような法律案は成立してもらいたくない、こう腹の中では考えているのではないかと思うのでありますが、率直な考え方をあらためてお聞きしておきたいと思うのであります。  大蔵大臣に一点お伺いいたします。  自民党の内部では、先年、旧地主報償の財源として、解放農地に対する転用税をかけるという意見がありました。現在は多少消えているようでありますが、しかし、今度財源が苦しくなりますと、再びそのような意見が台頭してくるのではないかと思うのでありますが、この点に関する大蔵大臣の所見を承っておきたいと思うのであります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  58. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  この農地改革は、農業生産力の発展と農村の民主化促進するためにたいへん貢献があったものだと、私は感じております。このことはすでに、過日の本会議におきましてもお答えしたところであります。その点で見ますると、旧農地制度というものについては、当時、小作争議があったり、あるいは農地解放運動等があったり、なかなか批判を受けているものであった、かように私は理解しておるのでございます。  第二の問題といたしまして、旧地主は全部が農地改革に協力した者ばかりではない、こういうことで、一、二、三と三つに分けていろいろ説明をされました。しかし私は、新しい制度、農地改革をするという場合におきまして、その一、二、三、それに該当するのだと、かような意味で小分けすることは、はたして適当なりやいなや、国民を全体として見ていく、そういうことが政治のあり方ではないかと、かように私は考えますので、せっかくのお話がございましたが、お説には賛成することができません。私はむしろ、こういう問題に取り組む場合に、前提として、その多数の意見を尊重していくということが望ましいのではないか。そこに私の言う調和の理念もあるように思います。(「農地報償は少数意見だ」と呼ぶ者あり)  ただいま地主報償は少数意見だということがございますが、総理府におきまして行ないました世論調査の結果によれば、これはすでに御承知のことだと思いますが、報償に積極的に反対しているという意見は二六・一%、報償を「すべきだ」、または「してもよい」、こういうような意見は五〇%をこしておる、この点は御承知のことだと思います。そうして、その点でなお御指摘になりましたように、生活に「困っている人だけに」、これに報償をすべきだ、その者だけに報償すれば足りるとする意見も、これはお説のように多かったと思います。しかしながら、報償という性格からして、私どもは、かような意味にこれを区分してはとらなかったということを申し上げるのであります。  ただいま、この点で、マスコミの動向はどうだとか、こういうことを言われますが、問題は、私どもこの問題を理解し、また国民が支持するやいなやということは、それこそ世論に問うべき事柄だ、かように私は思うのでございます。近くそういう点が明確になる、私はかように考えている次第でございます。  また最高裁の判決につきましては、この点では、かつての本会議で私も触れたとおり、最高裁の判決はりっぱに私どもも尊重しており、またこれは正しいものである、かように考えております。しかし、今回の報償制度そのものはそれとは違って、いわゆる農地改革貢献した、その旧地主の方々の貢献を多として国民の気持ちを率直にあらわしていく、かような意味でございますので、この裁判所の判決とは、これは違っているという点を御了承いただきたいと思います。  また、報償と補償という点につきまして、報償といっても、これはやはり補償ではないかというお話がございますが、それこそ私は無理な牽強付会な議論だ、かように思いますので、報償報償、補償は補償、かように区分をして考えていただきたいと思います。  また、この案は自民党の選挙対策ではないか、かように言われるのであります。私はさような考え方はいたしておりません。先ほど来、社会党の方々が、この種の事柄は、何らいわれのないことだ、そうして、国民の支持を得ないことだ、かように言われる。わが自由民主党が国民の支持を得ないようなものを選挙対策にするという、そんなばかなことはないはずであります。この点は明確にしておきたいと思います。社会党の方々御自身は、言われることに矛盾を感じていらっしゃらないか。このことこそこれは正しいのだ、これはりっぱに国民の支持を得るのだ、かように考えるからこそ、ただいまのように、これは自由民主党の選挙対策ではないか、かように言われるのであります。私は、これはとんでもない謬論だと言わざるを得ないのであります。  それから、報償金が二重払いではないかというお話でございます。これは旧自作農創設法の十三条の規定によるもの、この場合にいわゆる報償というものを出したということでございますが、これはむしろ、その当時のことは、奨励金的な性質が多分にあったということを、御了承いただきたいと思います。今回私どもが実施しようという報償とは性質が違うということでございますので、二重払いにはならない。  また、地価対策につきまして、これは最も大事な事柄だと、かように考えております。ただいままで、経済閣僚を中心にいたしまして、宅地審議会等において調査研究しておる、ただいまの経済問題の一番中心をなすものが地価問題である——地価対策、かような意味で、私どもが真剣にこれと取り組んでいることを御了承いただきたいと思います。  最後に、千五百億の予算を出すならば、もっと必要緊急を要するものがあるのではないか、こういうことでございますが、私どもこれは遺憾ながら所見を異にするのでありまして、私どもは今回これを計上することが最も望ましい、かように考えて計上いたした次第でございます。(拍手)    〔国務大臣臼井莊一君登壇拍手
  59. 臼井莊一

    ○国務大臣(臼井莊一君) 私に対する御指名は別にございませんでしたし、また、ほとんど全部にわたって総理が御答弁申し上げましたので、私からあらためて申し上げる必要もないと存じますので、私からは御答弁を申し上げません。(拍手)    〔国務大臣高橋等君登壇拍手
  60. 高橋等

    ○国務大臣(高橋等君) 農地改革の実施に伴いまして提起された農地関係の訴訟は、昭和二十二年以降昭和三十六年十二月末までに八千百八十五件である。その処理済みの件数は六千九百三十一件、未済件数は千二百五十四件となっております。お尋ねの年度別の件数でありますが、昭和二十二、三年度合計千九百十五件、昭和二十四年度二千二百五十四件、二十五年度九百四十五件、二十六年度六百七十件、二十七年度五百四十五件、以下二百件台から百件台でありまして、漸減の傾向にあります。  事件の内訳は、農地買収不服等の事件が最も多く、全体の約六三%に当たります五千百二十件となっており、農業用付帯施設買収不服等の事件が七百六十八件、牧野買収不服等の事件が百六十一件、未開墾地買収不服等の事件が千二百二十件、その他九百十六件となっております。(拍手)    〔国務大臣赤城宗徳君登壇拍手
  61. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) お答えいたします。申し上げるまでもなく、農地買収者に対する今回の措置は、農地改革における農地買収者貢献を多とするとともに、その受けた心理的影響をも考慮して、これを実施することが適切と考えて提案されたものでありますので、私はこの法律案の通過することを願っております。  私自身がこの報償金を受け取る意思を持っておるかどうか、こういうこととこの法律案とは関係がない、こういうふうに思います。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  62. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 私がお答えいたしますものは一点でございます。将来、解放農地が他に転用せられた場合、転用税を課するかということでございます。現時点におきまして、解放農地を他に転売をした場合、税法上どうなっておるかといいますと、取得をいたしました当時の価格と、売却をいたした価格との差額は、所得税におきまして、譲渡所得ということで、現在、課税の対象にいたしております。この上になお転用税を課税するということは適当ではないわけであります。(拍手
  63. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 亀田君。    〔亀田得治登壇拍手
  64. 亀田得治

    亀田得治君 わずかの時間ですから、簡単に、ただいまの答弁に対して、一、二点お伺いします。  まず第一に、基本的な点につきまして、総理の考え方がきわめてあいまいであるという印象を受けたわけであります。旧地主制が批判を受けているものであるといったような、何かよそごとのような表現を用いて言われたわけでありますが、どうも総理には、旧地主制は悪いものであった、非常に恥ずべき制度であったといったような、はっきりとした信念がないのではないかという印象を受けました。このことは、今後のいろいろな制度に関連するわけでありまして、もう一度この点を明確にしてもらいたいと思います。たとえば、平和を守るためには、無謀な過去の侵略戦争、これに対して、はっきりとした批判ができないようなことでは、できぬと一緒だ。はっきりしてもらいたい。  それから第二点、ただいま法務大臣からも言われましたように、ずいぶんたくさんの訴訟が起こされました。そのために、解放農民は、ずいぶん苦しんだ人がおるわけです。現在でも、そのために苦しんでいる人が多々ある。総理大臣にはわからないのですか。一体、この法律は、そういう人にも給付金を出す法律でしょうか。少なくとも私は、そういう関係の人に対しては、当然これは、法律の趣旨からいって省くベきものではないかと思う。どうなんですか。旧地主団体等との関係につきましては、総理は、声を大にして反駁されましたが、旧地主団体の要請に応じて、多数の国会議員の方が署名をされております。この署名の点についてだけ、総理に明らかにしてほしいと思うのであります。  それから第三には、五月十四日に、在京の、非常に進歩的な学者だけでなしに、政府の立場などもよく平素から了解をしている学者三十五名、名前を申しましょうか、わからなかったら。
  65. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 亀田君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
  66. 亀田得治

    亀田得治君(続) 連名で、この農地報償法案に対する撤回を求めているわけです。理由は多々理論的に書かれております。先ほど総理大臣は、この意見書に全然触れられなかったわけでありますが、はたして、こういう意見書をごらんになっているのかどうか。まず、それから聞きたいわけであります。ごらんになっておらぬとすれば、これは普通の意見書とは違う重要な内容を持った意見書である。こういうものも見られるような内閣の体制になっておらなければいかぬと思うのです。一体見ているのかどうか。見ていてこれに同意できないというのであれば、その理由を明確にしてほしい。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  67. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 旧地主制度、これはいいものか悪いものか、考え方が非常にはっきりしないという御意見でございます。しかし、私は、先ほど来申しましたように、相当の批判があっだきたいのでございます。この点、特に大蔵大臣にお願いをいたします。  第二に、この交付公債が財政負担に及ぼす影響についてでございます。単純に考えれば、毎年度の負担は、一般会計総額に対して〇・四%程度で、たいしたことはないように見えまするが、問題は、国債償還の財源への圧迫でございます。大蔵省の国債償還計画を見ますると、四十年度は三百五十億円、四十一年度は四百億円、四十二年度は九百三十五億円と、順次激増をするのでございます。政府は、このような償還財源の圧迫にかかわらず、今国会財政法改正し、国債整理基金特別会計への繰り入れを前々年度の剰余金の二分の一から五分の一に引き下げているのでございます。すでに圧迫されている財政状態もとで、さらに、要求総額一兆二千億円にのぼる在外財産その他の補償などに波及することは必至でございましょう。今後、予算編成をますます困難にいたすことが予想されるのでございます。財政は硬直病状を露呈しています。政府は、このようないわゆる財政の危機にかかわらず、多額の、しかも他への波及を呼ぶことは必至である報償金の支出を、どのような計画のもとでなされたのか、長期的な計画を、この際、明らかにされることを要求をいたすものでございます。  第三に、最も心配される点は、この農地報償によって、他の戦後処理事案、すなわち在外財産補償問題をはじめ、学徒動員、強制疎開等、戦争による人的物的損害を受けた戦争犠牲者への補償要求に、油を注ぐ結果になりはしないかという点でございます。政府は、これらの問題に対していかなる態度で国民に対処されようとしておられるのか。この際、明確な方針を承りたいと思うのでございます。  第四に、交付公債性格と経済的影響についてでございます。一般的に交付公債は赤字公債とは異なるものといわれています。ところが、五年、十年で国が買い入れ償還を約束しておれば、ことばの表現は別といたしまして、実質的な赤字公債でありましょう。戦後発行されました各種の赤字公債が累積をして財政を圧迫していることは事実であり、さらにこのことが公債発行への遠因になるということは、最も注意を要する点と思います。交付公債は譲渡禁止その他の制約がありまするが、法定の担保貸し付けによって企業間の信用をさらに膨張させます。また、相当量は、いわゆる町の金融機関で現金化されているといわれています。その実体を御承知ならば承りたいと存じます。  また、交付公債はときどきにおいて予算外の支出手段となるため、ややもすれば安易な発行におちいりやすいのであります。政府は、交付公債財政法の債務負担行為であることを認めています。しかし、予算総則に限度額を設けていないのは、はなはだ不都合でありましょう。交付公債は実質的に赤字公債の発行ではございませんか。  以上の観点でお尋ねをいたしますので、明快な御答弁をいただくことをお願いをいたしまして、私の質疑を終わる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  68. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろお尋ねがございましたが、事がだいぶ専門的でございますから、大蔵大臣からお答えいたします。    〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  69. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 財政豊かなら、さるときにあたって、千四百五十億にも及ぶ交付公債をなぜ出すのかということでございます。いままでのように対前年度比一五%とか一八%、二〇%、二四%というような大幅な一般会計の予算を組んで、その上になお人事院勧告等の補正財源を満たして、なおその上に自然増収があったという状態でないということは、御指摘のとおりでございます。もちろん、安定成長に入ってまいりますれば、自然増収も多額に予定できないというのは、財政の常態でございまして、これから財政もいよいよ本格的な常態に入るという御指摘も、そのとおりでございます。しかし、財政に余裕がないからといって、必要な政策を行なわないということでは、政府の責任は果たし得ないのでございます。でございますから、もちろん国民の税金を投資をするわけでございますから、効率的に投資をしなければならないということは、論をまたないところでございます。限られた財源の中で取捨選択を行ない、その間の比較を十分行なった後、より国民のためになるような施策を考えていかなければならぬことは、政府の責任でございます。その意味において、先ほどから総理大臣からもるる申し述べられておりますとおり、農地報償のこの法案は、ただに報償をしようというのではないのであります。世界の歴史にも御承知のとおり、非常にむずかしい問題ではございますが、敗戦の日本におきまして、この農地の解放が円滑に行なわれたということで、農村の民主化のみならず、今日の日本の民主化の礎石をなしている。これは国民全体すべてが評価をしておるものでございます。この経済的な、精神的な負担に対して、政府が何らかの処置を行なうというのが、本報償法案の趣旨でございますので、この報償法案提出をした価値を判断をしていただいて、財政事情の中ではたいへん苦しい中でございますが、あえて踏み切った政府の真意を、御理解、評価を願いたいと思います。  それから千五百億にのぼる財政支出の見通しということについてでございますが、一反歩未満は五年間均等償還でございますから、四十一年から四十五年までは、年間平均百四十七億ずつを予定いたしております。その他のものは十カ年、百四十三億平均を考えておるのでございます。これは過去の集積の中から均等償還を行なう予定でございます。  なお、国債残高等につきましては、柴谷さんも御存じのとおり、先進諸国に対して非常に少ない状態であるということは事実でございます。先進諸国と比べますと、日本のように、どうして一体こんなに超健全な財改方針をとっておるのか、他国は全部驚いておることは御承知のとおりでございます。経常収入をもって経常支出をまかなうなどということは、先進国には例がないという、この超健全な状態でございまして、現在四千数百億の残高はございますけれども、これが支払いにこと欠くというようなことは全くないということは、一般会計の規模と、国債の残高の比較は、世界で最も低い数字であるということでございますので、国債の支払いを十分考えながら、この報償法案を御審議をいただいておるのでございます。以上、御了承いただきたいと思います。  第三は、本法律案が成立をした場合に、他の戦争被害に波及せぬかという御心配でございます。当然の心配でございまして、政府もこの問題に対しては慎重に検討をいたしまして、波及をしないという原則的な考え方をとっております。それは、先ほども御指摘がございましたが、恩給未亡人加給、引揚者交付金、また傷痍軍人恩給、その他、戦争に直接関係のあるものに対しては、乏しい財政の中でございますが、その時期における状態を十分勘案し、効率的な処置をいたしておるということは御承知のとおりでございます。しかも、この農地報償問題は、戦争被害と直接関係はないという基本的な姿勢をとっておりますので、本法が成立をした結果、他の戦争被害に対して影響が及ぶということは考えておりません。しかも、最も重大である引き揚げ者の問題につきましては、御指摘のとおり、すでに五百億になんなんとする措置を行なっておるわけでございまして、政府は本件に対しては措置済みという統一見解をとっておりますが、しかし、世の中にはいろいろな議論もございますので、再び総理府に審議会を設けまして、慎重に御審議をいただいておるわけでございますので、すべてこの審議会の検討待ちという態勢でございます。  それから、この交付公債の問題が赤字公債ではないかということでございますが、もちろん御指摘のとおり、譲渡も担保も処分も禁止をいたしておりまして、流通できないことを前提といたしておりますので、赤字の要因になるということは考えておりません。しかも、財政法四条、十五条の問題で、大蔵委員会でも申し述べましたとおり、国が将来における均等した債務を負担するというために交付する公債でございますから、財政法で言う公債ではないということでございます。もちろん赤字公債ではないわけでございます。(拍手)     —————————————
  70. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 白木義一郎君。    〔白木義一郎登壇拍手
  71. 白木義一郎

    白木義一郎君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっている農地報償法案について、総理及び関係大臣に若干の質問をせんとするものであります。  まず初めに、本法律案については世論が強い反対を示していることであります。すなわち、政府設置の調査報告によりましても、各民間の調査によっても、旧地主全部に対し報償すべきだとする意見は二割、困窮地主だけにすべきであるとするものが六割と圧倒的に多く、旧地主の生活は一般的に困っていないと判明しております。すなわち、金銭的なごほうびは要らないことが判明しているのであります。これが認められるならば、膨大な在外財産、戦災、強制疎開など、戦中戦後の被害に対する補償問題が次々に起こることは必定であり、したがって、巨額な金額を旧地主のみに交付することは、諸般の情勢上適当でないと世論は反対しているのであります。しかも、千五百億円という財政支出は、旧小作人、一般労働者などの税負担によってまかなわれなければならず、その税負担は相当重いにもかかわらず、あえてこれら世論に反対して、無理やりにこの法案を成立させんとする理由を、お伺いしたいのであります。  また国会審議では、衆議院においては単独採決、参議院では審議打ち切り中間報告強行であります。昼夜を問わず、長時間にわたり国会を混乱におとしいれ、本院に対しては、野党の再三にわたる要望にもかかわらず、総理は多忙を理由に、ついに委員会答弁に立たなかったのであります。総理は、総理であると同時に与党の党首でもあります。その意向一つで、今日までの混乱を防止する実力を持っている方であります。それにもかかわらず、みずからうたい文句の調和の精神を破ってまで本法案を通そうとするのは、いかなるわけでありますか。わが党は一貫して、困窮地主を救済せよ、ただし民主化に逆行する一律報償反対であると主張してまいりました。以下、ここに本法案がいかに当を得ないものであるかについて、具体的に質問申し上げるものでございます。  第一に、政治姿勢であります。政府の農政は、八方ふさがりであります。農家は、食えないために八割が兼業に進み、最も必要な構造改善はお先まっ暗、冷害に打ちのめされた自殺農民が続出しているありさまであります。何ら経済事情が悪くない旧地主へ出す金があれば、冷害で困っている農家の救済などに向けられるべきであります。最近続発している炭鉱災害は、あと百人の検査官を増員すれば、常時検査を実施して、予防の実をあげられると、通産省は言っておりますが、これに要するわずか千五百万円さえ政府は出さないのであります。そして無用無効の千五百億円は乱発し、山陽特殊鋼、山一証券等の手当ては、間髪を入れずに出すのであります。かかる政治姿勢は、国政上全くさかさま、かつ無慈悲ではないか。これら政治の基本課題をどう考えておられるのか、総理に明らかにしていただきたいのであります。  次に、総務長官に伺いますが、政府はこの千五百億円のほうびの意味で出すと言っております。それならば、旧地主の半数以上がすでに死亡している事実は考慮に入れたのかどうか伺いたいと思います。そこで、旧地主の総数、そのうちの生存者数、むすこの代になった数、孫の代になっている数をまず示してもらいたい。叙位、叙勲にせよ、何にせよ、ほうびというものは本人に限るものであって、他に及ばないものであります。しかるに、ほうびを受ける本人が死亡していれば、他に出すべきではない。まず、この見解はいかがですか。  また、子供や孫を受け取り人にすれば、相続税はどうなるのか。現在の法律では、遺産相続は、配偶者が半分、あと半分を子供の数で等分するのが民法のたてまえであります。このたてまえを守れば、百万円を十年がかりで配分したらどうなるか、言わずとも全くの死に金でございます。一子相続的に処置すれば、法の精神にもとり、民法的に配分せよというトラブルもたくさん起こって、社会に無用の混乱を起こすものでありますが、これに対する総理並びに大蔵大臣の見解はいかがでありますか。  次に、昭和二十八年、最高裁は、農地解放も、買い上げ価格も、報償金も、合法適正であると判決を示しました。これを聞いた旧地主は、感情のしこりはあっても、それを理性で乗り越えて、わが民主化のため十分納得したのであります。それなのに、なぜこの問題が再発したのか、ここが大事な点であり、からくりがひそんでいるのであります。それは、農村を地盤とする自民党の衆参両院議員が、選挙のために地主を結集し、一部旧地主の不満をあおって、焼けぼっくいに再び火をつけ、もって選挙目当ての農地買収者同盟にまとめ上げたためであります。そして、自分たちがつくった圧力団体の力にみずから抗しかねて、ついに補償要求を強化し、今日再び選挙用に無理やりいま国会を通そうとしているのが、同問題の実体であり、現在の国会混乱の原因であります。もしそうでないと強弁するならば、来たる参議院選挙を通じて国民の厳正なる批判を仰ぎ、それに従って次回の国会で慎重審議すべきが正しい政治のあり方であります。これに対し、政府の責任ある答弁を求めるものであります。  また、最高裁の判決は、以前の報償金報償そのものとして妥当と認めたもので、政府が強弁するようにインフレによる追加埋め合わせの意味とは認めていないのであります。ゆえに、ほうびの支払いもすでに完了しているのであります。それをあえて再び出すのは、明らかに二重払いであり、行政府が立法府の権威をかりて司法府の権威をじゅうりんし、三権分立の民主国家の根本を破壊する行為となるのでありますが、総理はそれでもよしとする気でありますか。事は重大でありますから、筋を通して詳しくお答え願いたい。  最後は、実際に困っている地主への対策であります。政府設置の調査会が出した問題、すなわち、一、生活上、生業上の困窮者に対し、生業資金を貸し付ける。二、子弟の進学困窮者に育英措置を講ずる。この二問に対し、過去二十年間放置して、何ら顧みていないが、その政治責任をいかがいたしますか。  また、応召、徴用等の手不足で、やむを得ず小作に出し、戦後返還交渉中に解放を受けて、一律解放の被害者となって泣き寝入りした農民への対策こそ必要であったのが、今日までいまだに放置されたままであります。これをどうするのか、お伺いいたします。  旧地主の一人一人には何の足しにもならず、しかも総額としては膨大な国費の乱費となる本法の性質にかんがみ、本法案の撤去を要求して、私の質問を終わる次第であります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  72. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 世論を無視してこの法案を出したということでございますが、私どもは、先ほど亀田君の御質問についてお答えいたしましたとおり、私どもでは、この世論の支持、それを得てこの法案を出した、これは内閣調査室の世論調査の結果でございます。  また、この重要なる法律案に対して、総理は出てこなかったのはけしからぬということですが、確かに私が出席できなかったことはまことに遺憾でございます。今後とも議会の審議が民主的に行なわれることにつきまして、私も一そう注意するつもりでございます。  第二に、政治の姿勢についてお話がございました。この零細農業については何ら考慮されてないとか、あるいは最近の冷害に対する対策がないとか、あるいはまた、石炭鉱害等が次々に起こっているが、これらについてのわずかの予算の計上もない、一体、政治の姿勢はこれでよろしいのかということを言われました。私は、政局を担当いたしまして以来、いわゆる人間尊重の政治をする、また国民とともに政治を行なうということを申しております。したがいまして、各分野においてそれぞれ万全を期するように施策を講じておる次第でございます。農業につきましては、農業基本法を骨子としてそうして万全を期していく、また石炭鉱害等の災害についても、通産省におきまして、これが再び起こらないようにあらゆる努力をしておることを御了承いただきたいと思います。  また最後に、この旧地主の報償と言っているが、本人ばかりでなく、子孫に対してもやっているじゃないかということを言われております。これは、今回の農地報償制度、農地報償の趣旨からも、ただ単に本人だけに限るのでなくて、これによりまして、心理的な影響を受けた方々に対しましても、私どもが農地改革の意義を高く評価し、これに対しても国民のお礼心をあらわしたい、かような考え方でございます。  また、これが選挙のためだということを言われましたが、先ほどもお答えしましたように、これは選挙のためではございません。やはり選挙のためだというように御心配ならば、積極的に、むしろ賛成をなされば、国民の支持は必ず皆さんのところにもくるだろう、かように思います。  また二重払い、あるいは最高裁の判決について議論なさいましたが、先ほど来お答えしたとおりでございますから、これもお許しいただきたいと思います。(拍手)    〔国務大臣臼井莊一君登壇拍手
  73. 臼井莊一

    ○国務大臣(臼井莊一君) お答え申し上げます。私に対しまする御質問は、旧地主の買収当時の総数、現在数、また子孫の数等を明確に示せ、こういうことだと思います。  旧地主の買収当時の総数は二百六万人でございます。昭和三十八年に行ないました調査によりますと、このうち約二割五分がすでに死亡しているということになっております。なお、この対象数は、今度百六十七万人でございます。これが一割ぐらいは申し出もないであろうというようなこととか、あるいは除外法人とか、一畝未満の人は、これは除いてございますし、また売り渡しと買ったのと差し引きしてゼロ、こういうものを除いて百六十七万人が対象と考えております。  また、もう一つの御質問は、困っている地主を二十年も放置しておいた理由はどうかというような意味の御質問であったと思います。これは、先刻来からの御質疑答弁にもございましたように、農地改革自体は憲法上も適法であり、また価格も適正である、こういう判決になっておりまして、政府もこれをそのとおりに支持いたしておりますが、また、旧地主の生活も一般に比べればそれほど苦しくはない。しかしながら、農地改革の成果に立ちまして、今日の経済の復興、これは先刻来総理もお答え申し上げましたように、何といっても、農地解放によって、当時の困難な食糧事情も克服できるような非常な生産意欲を増強し、また農村の民主化も進んだという、そこでこの農地改革の意義を再認識いたしまして、その功績、貢献を多とする、さらにはまた、この農地改革によって旧地主が非常に心理的に受けたものの影響、こういうようなことを、総理府に設けられました臨時農地等被買収者問題調査室におきまして慎重に調査を行なってまいりました。その結果、相当年数がかかった。これは慎重に扱った結果でございますので、右お答え申し上げます。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  74. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 私のお答えいたすべきものは、相続問題に関してでございます。  御承知のとおり、受給権は四十年の四月一日に発生をすることにいたしております。その意味で、四月一日前に被買収者が死亡いたしましたときには、受給権者は遺族ということに法定いたしておりますので、相続税問題は発生しないわけでございます。しかし、本法が成立をしました四月一日後に受給権者がなくなったという場合は、当然相続財産となるわけでございますので、税問題は発生するというわけでございます。(拍手
  75. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終局した本のと認めます。     —————————————
  76. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。木村禧八郎君。    〔木村禧八郎君、登壇拍手
  77. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は、日本社会党を代表して、本法案の非常識きわまる強行採決に対し、憤りをもって抗議いたしますとともに、全く世論を無視した一大利権法案である本案に対し、断固として反対をいたします。  反対の第一の論拠は、さきの本議場での亀田、柴谷両わが党の同僚議員及び公明党の白木君からの質疑を通じて、明らかになりましたとおり、また、私も予算委員として予算委員会におきましてその質疑を通じて明らかにいたしましたが、全くその緊念性のない本法案を、あらゆる他の重要法案を犠牲にしてまで成立させようといたし、さらに会期延長を強行し、大蔵委員会におきましては、総理大臣出席を要求したにもかかわらず全然出席もしない、また、農水、内閣の合同審査の要求あるいは参考人意見聴取に対しましても、われわれの要求を拒否いたしました。なぜこうしてまでも数にものをいわせて非民主的に強引に成立させようとするのか。この点につきまして、国民を納得せしめる正当にして合理的な理由を何ら見出すことができない。したがって、どう弁明いたそうとも、参議院選挙目当ての党利党略的一大利権法案であると断ぜざるを得ない点にあるわけであります。(拍手)その理由をこれから明らかにいたしたいと思います。  理由の第一は、先ほど来議論になっておりましたように、提案理由が矛盾をしていることでございます。政府提案理由を見ますると、「この問題に対する世論の動向等を勘案いたしまして、この際、農地改革における農地買収者貢献を多とするとともに、その受けた心理的影響をも考慮して、これらの人々に対する報償を実施することが適切であると考え、この法律案を提案することとした次第であります。」と述べております。つまり本法案提案の根拠は三つございます。その第一は、世論の動向を勘案いたしたということであります。第二は、農地改革における旧地主の心理的影響、いわゆるショック賃であるとも言っております。第三は、農地改革に協力したその貢献に対する報償である、この三つが提案理由となっているわけであります。  ところで、その第一の、世論の動向でございますが、先ほど総理大臣も、この法案は国民の世論に従って出したのだ、こういうことを言っております。また、私も予算委員会臼井総務長官に、世論の動向を勘案してこの法案を出したと言われるが、世論の動向とは具体的に何かということを御質問したわけであります。ところが臼井総務長官は、中央調査社のこの世論調査もとにしまして、都合のいい部分だけを答弁したのであります。つまり、この農地報償をすべきである、してもよい、こういう回答が合計で約五〇%に達している。しないほうがよい、すべきでないという回答が大体二六%くらい。してもよい、すべきだという、そういう回答のほうが多いのである、この点しか答弁をしなかったのであります。世論の動向を勘案したということは、この世論調査によって、農地報償をすべきである、あるいは、してもいいという、こういう回答が多かった、これを根拠にしておられたわけです。しかし、この中央調査社の世論調査の結論です。一番最後のこれは結論であります。結論におきまして、先ほども指摘されましたように、「仮りに旧地主に対して報償するとしたら、農地買収された旧地主全部に対して報償すべきだと思いますか。    〔議長退席、副議長着席〕 それとも現在生活に困っている人だけに報償すればよいと思いますか。」という、こういうアンケートに対しまして、全部に報償すべきだという回答は二三・二%、困っている人だけに報償すべきだという回答が五九・六%、つまり六〇%に達しているわけです。これが結論なんです。なぜ臼井長官はこの中央調査社の世論調査の結論を言わないのか、こう申しましたら、いや、失礼いたしました、その点は忘れておった、落としておったというので、あとでまた、あなたはこれに考えましたが、さらに加えて、こうあなたは説明しました。この世論調査におきまして、困っている人だけに報償すべきだという回答が約六〇%あるが、この法案は社会保障の観点から出すのではないから、したがって、生活に困ってない人にも報償をやるのだと、こういうあなたは答弁をされたんです。ところが、この世論調査は結論でありまして、この結果は、結局報償するとすれば、生活に困っている旧地主だけにすべきこと、つまり社会保障の観点からやるべきだという、そういう結論なんです。社会保障の観点からやるべきなんだという結論なんです、これが。それであるにもかかわらず、あなたは、社会保障的観点からこれをやるのではないということは、世論の動向にかんがみてやったといいますけれども、この世論の動向に反してやっているわけであります。そうして、いわゆる工藤調査会でも、旧地主が生活に困っているかいないか、この調査につきましても、非常にはっきりと、所得におきましても、あるいは耐久消費財の普及都合におきましても、旧地主の生活、所得、あるいは生活水準、これは一般世帯よりも所得は多く、生活水準も高いという結論なんです。で、こういう世論の動向を勘案してこの法案を出したといいながら、世論の動向を無視しているわけでありまして、したがいまして、この提案理由は、私は事実と矛盾していると思うのであります。  さらに、また、心理的影響につきましては、これは何も旧地主のみが農地解放によって心理的影響、ショックを受けたわけではございません。それより、先ほど亀田議員が指摘いたしましたように、農地が解放される前に、長い間にわたって旧地主から搾取され圧迫された、そうした農民の長い間におけるショックのほうが、心理的打撃、苦痛のほうが、よっぽど大きいわけでありますね。旧小作人の、地主から圧迫された農民のショックのほうが、もう比較にならぬほど大きいわけであります。また、この戦争中あるいは戦後処理におきまして、いろいろ心理的影響を受けた者は旧地主だけではないのであります。ただ旧地主という特権において、そういう地位にあったから、その心理的影響を補償するということになれば、これは憲法にも違反するんですね。そういう地位の区別はしてはいけないのでございます。  さらに、また、土地の値上がり──安い値段で旧地主は買い上げられた。ところが、その売り渡しを受けた小作人が、その後、高い値段で、この土地を売って非常に大もうけをしている、これに対する非常な不満がある、こういうことでございます。これについては、昭和二十七年の法律によりまして、自民党の政府もと、また、自民党の提案によりまして、農地を他に転用してもよろしいと、こういう法律を自民党自身の手でつくりまして、それから農地は転用され、そうして高い値段で売られて問題をまあ起こしたと、こういうことになっているのでありまして、その責任は自民党政府にあるわけです。そういう責任を負わないで、これを国民の税金負担でそういう責任をのがれようとしていることは、これも提案理由に矛盾していると思います。  それから、第三に、旧地主の農地改革に対する貢献、その後、農産物の増産に対する貢献に対してごほうびをやるということでございますが、しかし、これは耕作農民の増産意欲によって増産になったのであって、旧地主のおかげではないのであります。したがって、これも全く提案理由としては合理性がないわけであります。  さらに理由の第二といたしましては、先ほど亀田議員も指摘いたしましたが、昭和二十八年の最高裁の判決を無視しております。これは実質的補償であります。実質的補償といたしますれば補償の二重払いでありますし、また百歩譲って、政府の言うとおりに報償であるといたしましても、先ほどこれまた亀田議員が指摘しましたように、報償の二重払いになるわけでございます。こういう点から見ても、この法案の合理性を疑わざるを得ないわけであります。  それから、理由の第三は、旧大地主が多く報償を受けるということは、先ほど総理大臣、非常にあいまいな答弁をされましたが、旧地主制度が悪いものである、旧地主は罪悪を行なっておったのであるという認識に立てば、悪いことをしておった、またその悪いことをたくさんしておった、そういう旧地主ほどたくさんほうびをもらうということは、これはまた矛盾していると言わざるを得ないわけであります。  さらにまた理由の第四といたしましては、旧地主は生活に困っていないのでございますから、この法案提出する緊急性がないということであります。  さらにまた、第五といたしましては、緊急性がないわけでございますから、千四百五十六億千八百万円、このような非常に大きな金額につきましては、まだ緊急的に施策をしなければならない部門はたくさんにあるのでございますから、そちらのほうに当然支出すべきであると思うわけであります。そういう点から申しましても、この法案には、正当な、合理的な論拠というものはないわけでして、したがって、どうして、こうした正当な、あるいは合理的な論拠がないのに、また緊急性のないのに、無理をして、この際、参議院選挙を控えて強行しようとしているのか。これは何といっても参議院選挙を控えての党利党略的利権法案と言わざるを得ないわけであります。  反対の第二の論拠は、今後のわが国の財政金融に重大な悪影響を及ぼすという点であります。その第一は、納税思想に非常に悪い影響を私は与えると思います。たとえば千四百五十六億千八百万円、これはみな国民の税金によってまかなわれるわけです。しかも、この税金の中には、日雇いのおばさん、一日五百円そこそこの日当の人のそういう所得の中にも、間接税等の形で税金が取られるわけです。そういう税金を、生活に困っていないそういう地主にほうびとしてやる、こういうことが具体的に国民にはっきりわかりましたならば、これは納税思想に非常に悪い影響を及ぼすものではないか、私はこう思うわけであります。特に四十年度の税制改正におきまして、税制調査会の答申を無視してまで、無視してまで、配当とか利子につきまして、租税特別措置によりまして千十九億の減税を行ない、そうして大衆一般国民には八百二億の所得税の減税と言いますけれども、実質的には消費者米価を上げたり、医療費を上げたりして、ほんとうは大増税になっている。そういうような状況のもとに、またこういう悪法を出すことによりまして、ますます国民に税金を納めることのいかにばかばかしいものであるか、こういう考えを起こさせる危険があると思うのであります。  それから第二は、この佐藤内閣の人間尊重、先ほども佐藤総理大臣が言われましたが、人間尊重の政治と矛盾することであります。人間尊重の政治は、具体的には、佐藤総理大臣は社会開発であると言っております。社会開発の重点は、やはり社会保障を中心としたものであると思うのであります。そういう面から、社会保障に回すべき財源を生活に困っていないそういう旧地主に回すということは、これは人間尊重の政治に全く相反するものであるといわざるを得ないわけであります。  第三の財政上の問題点は、すでにこれは柴谷議員も指摘されましたが、千四百五十六億、十年間均等償還、前半の五年は毎年百四十七億、そのあとの五年間は百四十三億ずつ、これは一般会計に計上され、償還するわけであります。特に、昭和四十二年には、これは公債償還が非常に多くなりまして、全体の交付公債——この被買収者に対する交付公債以外の国債償還が八百四億に達するわけであります。これに農地買収者に対する交付公債の償還百四十七億、特別弔慰金国庫債券の償還十五億を加えますと、九百六十六億、ざっと一千億円に達するわけであります。このように、公債償還が昭和四十二年にピークに達すると一千億にものぼりまして、どうしたって、これは一般会計からこの公債償還に振り向けなければならなくなってくるわけであります。そうしますと、一般会計の歳出がそれだけ押えられるわけでありまして、しかも、三十九年度で、もうすでに税収の欠陥を生じております。八百億か九百億ぐらいの税収の歳入不足であります。これが四十年度にも、今年度にもそういう現象が出ることは明白であります。四十一年、四十二年も、いままでのように、高度成長下におけるような自然増収を多く期待できるような経済状態ではないのでありまして、そうした、今後の歳入に非常に不足を生ずるような際に、多額の公債償還を毎年、しかも不急な支出に対しまして行なうということは、日本の財政の健全性を失わしめるものであるといわざるを得ないわけであります。  それよりもさらに重大な問題は、先ほど何回も指摘されましたが、これがきっかけとなりまして、引き揚げ者の補償その他の戦時補償、あるいは戦後の善後処理のいろいろな補償、これに対する要求が今後出てきた場合、政府は、これを拒否する理由が一体あるのかどうか。これは、今後わが国の財政に重大な影響を及ぼすと思うのであります。自民党の議員の人でさえ、良識ある、心ある人は、これはたいへんなことになった、とうとう寝た子を起こすようなことになるのではないかと、非常に心配している人も、自民党の議員の人の中にもいるのであります。良識のある、心ある人は、そう心配しているわけであります。  第五は、交付公債につきまして、この法案の第七条四項では、この譲渡や担保を禁止しているのです。しかし、政令で定める場合は、これは担保に供してもいいということになっているのです。「政令で定める場合」というのは何か。質問しましたら、これは政府が、担保に供する場合、ある銀行を指定するというのです。その銀行は何かといえば、国民金融公庫である。国民金融公庫に対しまして……。
  78. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 木村君、時間が超過いたしておりますから、簡単に願います。
  79. 木村禧八郎

    木村禧八郎君(続) はい。生活に困っていない人でも、政府が国民金融公庫を指定すれば、この千四百五十六億につきましては、これは担保として貸し出しを受けることができるたてまえになっているのであります。そうしましたならば、国民金融公庫に対しまして、一般の中小業者、零細業者が生業資金を借りる場合の、そのほうの資金が圧迫を受けます。影響を受けます。それに対して大蔵大臣は、いや、あとでこれは一般会計から国民金融公庫の原資を補給するということを言っておりますけれども、そうすれば、一般会計でこれは社会保障その他の予算がそれだけ削減される、圧迫されるわけでありまして、これは一般国民の犠牲になるわけであります。  このように、あらゆる点から見ましても、この農地のいわゆる報償法案に対しまして、合理的な、あるいは正当な理由を見出すことが困難なわけであります。したがって、このように正当な理由もない、合理的な理由のないものを、そうしてまた、急を要しないこういう問題に対しまして、なぜこの際、会期延長してまで、また、強行採決をしなければならないか。したがって、結論としては、どんなに、自民党の人たち、あるいは政府が弁明しようとも、これは参議院選挙を控えての党利党略的な一大利権法案であると断ぜざるを得ないわけでして、こういう立場から、日本社会党はこの法案に対しまして反対する次第でございます。(拍手)     ─────────────
  80. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日高広為君。    〔日高広為君登壇拍手
  81. 日高広為

    ○日高広為君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案について賛成の意を表するものであります。  戦後行なわれました農地改革は、昭和二十一年に制定された旧自作農創設特別措置法等に基づき、百八十万町歩にわたる農地を国が買収し、これを農民に売り渡すことによりまして、わが国の農村並びに農業に偉大なる変革をもたらしたのであります。この農地改革なくしては、終戦直後の農業生産面における混乱を脱し得なかったばかりでなく、今日における農村の民主化はもちろん、農業生産力の飛躍的発展、農家経済の安定向上を見ることはできなかったのであります。わが国の農村並びに農業の社会的、経済的地位から見まして、農地改革が、単に農村、農業にとどまらず、わが国の民主化、戦後経済の基盤をなし、今日の発展に大きく寄与したことは、ここにあらためて申し述べるまでもないことであります。  かくのごとき偉大なる農地改革が、当時占領政策下という特殊な事情があったとはいえ、流血を見ることなく平静のうちに、しかも短期間に行われましたことはひとえに被買収者の協力によるものということができるのであります。しかしながら、この農地改革があまりにも画期的なものがあったために、農地買収された人々の中には、その生活及び経済状態に著しく変動を来たした者も存在し、さらには、父祖伝来守り続けてきた農地を手放し、その対価として得た農地証券も、激しいインフレ下にあって一枚の紙片と化するがごとき、当時の経済事情もとにおきまして、相当の心理的衝撃を受けた事実を看過することはできないのであります。特に、本人が耕作する意思があっても、耕作権を持つ者が所有権を得ることとなったため、被買収者のうち多くを占める小地主あるいは海外引き揚げ者、復員軍人等でも、その道を閉ざされ、買収されるに至ったという、まことに気の毒な事例も多々生じたのであります。さらに、その後、日本経済の成長とともに、急激な地価高騰の状況下にありまして、農地を宅地あるいは工場敷地等に転用することにより、一挙に巨額な土地売却代金を取得する事例が数多く見受けられますが、農地改革により農地を譲り受けた人々の中にもこのような例が存在し、これが、被買収者に与えている心理的影響は、はかり知れないものがあると考えられるのであります。  今回、農地買収者等に対しまして報償を行なうことになったのは、かかる旧地主の貢献を多とするとともに、心理的な苦痛にこたえようとするものでありまして、広く国民が支持する公平な措置であると考えるものであり、(拍手)大いに賛意を表するとともに、ただいままでの質問並びに討論を通じ、指摘、反対されました中で、次の諸点につきまして、わが党の考え方を披瀝いたしつつ、賛成討論をするものであります。  まず第一は、工藤調査会答申に対する意見でありますが、答申の結びに、「なお、農地改革が被買収者に与えた心理的影響が強く残っていることは調査の結果からも明らかとなっているが、それにしても、巨額の金銭を被買収者交付することは、諸般の情勢上適当でないとする見解が多かった。ただ意見相違がある状況にかんがみ、これについての本調査会の結論を差し控える。」と答申いたしているのでありまして、何も被買収者に金銭を全く交付してはいけないという意味ではなく、農地改革により農地買収者に与えた心理的影響が強く残っている事実を認め、意見相違があるからこれについての本調査会の結論を差し控えたと解するのであります。したがって、政府は、工藤調査会答申も考慮に入れつつ、さらに内閣に臨時農地買収者問題調査室を設け、調査の結果、生業資金の貸し付けというような社会保障的政策のみでは旧地主の精神的苦痛をねぎらうことはなおかつ不十分であるといたしまして、このような報償法案提出されたものと思量するものであります。したがって、工藤調査会答申を全く無視しているかのごとき論拠は、当を得たものではないと思うのであります。  第二は、農地改革における買収価格が最高裁で合憲判決されたことを取り上げまして、再補償をすべきでないという意見が出されておりますが、買収価格の当時におきまして合理的であったことについては、最高裁判決を尊重するまでもなく、わが党としましても、これを認めるにやぶさかではありません。しかしながら、最高裁判決と報償の可否を同列に論ずることは、法と政治を混同するものでありまして、政治の何たるかを知らざる者の主張と言わざるを得ないのであります。報償農地買収対価の再補償でないことは、委員会におきましても、再三にわたりまして政府から答弁されましたごとく、また、法案内容を見れば明白なのであります。すなわち、交付金は面積比例ではなく、減退率を適用し、百万円の頭打ちの制度を採用していることにも、これが端的に表明されているのであります。当時におきまして買収価格は適正であった、これは最高裁判決のとおりであり、また、わが党もこれを認めております。しかし、前にも述べましたように、改革後の経済変動による旧地主の心理的影響と、いまだに残存する農村の対立を緩和するために、立法の府たる国会が、新たに法律をもって、報償の形で手を差し伸べることは、国民大多数がこれに心からの賛意を表するものと確信するものであります。(拍手)  第三に、昭和二十七年の農地改正農地の転用を認めたことが、地価の高騰を招いて旧地主を刺激したのであって、その失政を糊塗するために報償を行なうのではないかという意見がありますが、これは委員会におきましても意見がございましたが、しかしながら、農地の転用は、当時諸般の必要から講じられました高度の政策でありまして、また、そもそも、地価の上昇は、農地の転用そのものが原因でもありません。旧地主の精神的苦痛を深めたのは、農地の転用それ自体ではなく、地価の上昇にあります。要するに、当時の政策の功罪をいま引き出して、それが失政であり、その失政をカバーするために報償を行なうのであるとする論拠は、いささか論理の筋を踏み違えたものと言わざるを得ないのであります。  第四は、今回の措置が他の諸問題への波及を過大に懸念する見解でありますが、報償が戦後処理でないということは明白であります。戦後処理とは、申すまでもなく、戦時中という特殊な環境のもとに起きた事柄を処理することであり、農地改革は、歴史の示すとおり、……
  82. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日高君、時間がまいりました。簡単に願います。
  83. 日高広為

    ○日高広為君(続) 戦前施策の延長であって、占領軍からの覚え書きもありましたが、昭和二十年、いち早く、第一次農地改革を企図した経緯から見ましても、戦後処理でないことは明らかなのであります。したがって、在外資産補償問題等とは、おのずから別個の政策的必要から出たものであり……
  84. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日高君、簡単に願います。
  85. 日高広為

    ○日高広為君(続) 他への波及をことさらに強調し、報償を不当な施策ときめつけることは、事の理をわきまえないものと考える次第であります。
  86. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日高君、簡単に願います。
  87. 日高広為

    ○日高広為君(続) 第五に、財政窮迫下におきまして、一千四百五十六億円もの財政負担をしいられることから、報償反対する意見もありましたが、国の歳出を認めるには、その必要性、支出効果、他との権衡等、厳格に検討されなければなりません。しかしながら、農地改革に生じたひずみの解消を行なおうとする施策が、いまにして講じられなければ、誇り得る農地改革の歴史に悔いを残すことになるのであります。十数年来うっせきされました懸案が、これによって解決されることを考えれば、一千四百五十六億円は、一人当たり平均、十年間で約八万円、年間に直して約八千円であり、しかも、無利子の記名国債交付する程度の報償は妥当なものであり、財政当局も、さような観点から認めたものと考えるのであります。  以上の諸点を明らかにするとともに、さらにつけ加えますならば、今回、農地買収者等に対し報償を行なうため、給付金支給しようとすることは、農地改革のかくかくたる成果に……
  88. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日高君、簡単に願います。
  89. 日高広為

    ○日高広為君(続) 一段と有終の美を添えるものであります。また、その必要性や、社会的衡平性から見ましても、きわめて妥当なものであり、むしろこれを行なうことは国の当然の義務であると確信し、私の賛成討論を終わるものであります。(拍手)     —————————————
  90. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 中尾辰義君。    〔中尾辰義君登壇拍手
  91. 中尾辰義

    中尾辰義君 私は、公明党を代表いたしまして、農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案反対討論をいたします。  この法案は、戦後の農地改革に協力した旧地主に、千四百五十億円の報償を与える趣旨のものでありますが、国民の納得しがたい、多くの不可解の問題点が多く、第四十六国会においても、会期末にあわてて提案をされ、審議未了、廃案になった、いわくつきの法案であります。かかる法案を、政府提案として再び今国会提出し、しかも、本院大蔵委員会におきましては、わずか二日間の審議で、二人の質疑者のみをもって審議を打ち切ったことは、わが公明党や他党の発言を封じようとするもので、民主政治のルールを逸脱した、政府与党の多数を頼む一方的な暴挙であり、断じて許しがたいのであります。この打ち切りのため、各委員会審議はストップし、国会は空白状態が続き、ついに衆議院における自民党の単独採決をもって、会期は十三日間延長になったのであります。しかも、このような重要法案審議に際して、本院におきましては、佐藤総理は一度も委員会審議に応ぜず、延長国会になって、わずか一日の委員会審議をもって本会議において中間報告を求め、一挙に採決を強行して強引に本法案の成立をはかり、旧地主に報償を与え、参院選を有利に導こうとする、全く自民党の党利党略にほかならないのであります。  以下反対理由を申し上げます。  その第一点は、農地買収者等に対する報償の根拠やその意義が、全く理解しがたいからであります。政府は、戦後の画期的な農地改革が輝かしい成果をおさめたのは、旧地主の協力があったからこそ、農村の民主化が確立され、農家経済の安定、ひいては、わが国の社会、経済の再建と、今日の発展があったものとして、この旧地主の貢献を多とし、さらに、農地解放が旧地主の生活に変動を与え、その後の地価の高騰により旧地主が心理的苦痛を受けているので、この際、報償を与えるものであると説明をしております。しかしながら、わが国の農地改革は、農地の自作化あるいは小作権の安定強化策として、戦前から徐々にその対策が講ぜられてきたものであり、必然的に起こり得べくして起こった歴史の流れであります。また戦時中、戦後を通じて、強制疎開、企業整備、戦災、インフレ等による被害は、大多数の国民がひとしく味わわされた経験であります。旧地主のみを取り上げて恩情主義を振りかざし、報償を行なうことは、何人も法の前に平等であるとの原則に反するものであり、むしろ、いままで地価抑制に何らの対策も講じ得なかった政府の無能ぶりこそ、責任を問われるべきが筋道であると思うのであります。  第二点は、当時の買収対価は、いまさら申すまでもなく、昭和二十八年十二月の最高裁大法廷において、正当な補償によって行なわれ、合憲であると判決を下されたものであります。戦後における貨幣価値の下落によって、債務がスライドして履行されなければならなかった例もないし、しかも、買収に際しては、別途報償金すらすでに支払われておるものであり、旧地主に対しては十分に報いられておるのであります。また、民主化や、経済の再建発展に寄与したものは、旧地主のみではありません。むしろ、飯米まで削って食糧の供出に協力した農民こそ、報償の対象となってしかるべきものと考えられるのであります。  しこうして、三十五年から設けられた農地買収者問題調査会、いわゆる工藤調査会や、内閣に置かれた臨時農地買収者問題調査室等の調査答申によりましても、旧地主の生活状態は、一般の農民に比べて、はるかに高く、良好であると判断されているのであります。確かに、旧地主の中に生活困窮者がいることも事実であります。その対策といたしましては、社会保障の範囲の中で、白木議員の質問にあったごとく、強力な対策を講ずべきであると思われるのであります。したがって、冷静に考察して、今回の報償を行なわんとする客観的な根拠は、何ら見当たらないのであります。  第三点は、財政が窮乏しているおりから、一千四百五十六億円にものぼる財政負担を、何ゆえに行なわなければならないかという点であります。もともと、反当たり二万円の根拠も全く不明確であり、したがって、千四百五十六億円の総額にも、何らの根拠はありません。理由も不明確な、腰だめ数字であります。このような多額の財政負担を、今後十年間にわたって強要されることは、国民としては納得できないのであります。最近の経済は、企業の倒産の続出、証券界の不振が示しているように、不況の域から脱し切れない根深い不況状況にあります。したがって、財政面からの景気のてこ入れ等の刺激策が取り上げられ、また、税収減による国庫資金のやりくりに、すでに千数百億円の大蔵省証券を発行しているような状況のもとにおいて、全く根拠を誤った報償金の支払いを、今後十年にわたって、しかも、一般国民の税金をもってまかなうがごときは、決して時宜適切な措置とは言えないのであります。ましてや今年度は、北海道や東北に深刻な冷害の発生が心配されております。冷害が今後一番問題になるのは、農産物の輸入が急増して、ひいては国際収支にはね返ることでありまするが、こうなると、今年度の農産物輸入は二十億ドルにも達することが予想されるのであります。この際、政府は、うしろ向き政策に、このような多額な財政負担をせずに、立ちおくれた農業の近代化や、地価抑制対策に充当すべきであると思うのであります。  このように問題の多い本案を、いまだ会期もあるというのに、何ゆえ、中間報告を求め、その成立を急ぐのか。十二分に慎重審議を尽くすことこそ、参議院の良識であり、全く了解に苦しむのであります。言うなれば、参院選を前にした自民党の露骨な選挙対策としか受け取れず、全く許しがたい非民主的暴挙と言わざるを得ないのであります。  わが党は、今後再びかかる暴挙を繰り返すことのないよう、政府並びに自民党に強く要望いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)     —————————————
  92. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 田上松衞君。    〔田上松衞登壇拍手
  93. 田上松衞

    ○田上松衞君 民社党を代表して、本法案に対し絶対反対の意思を明確にいたします。  反対の第一の理由は、本法案は、その名称のいかんにかかわらず、実質はあくまで農地買収価格に対する追加補償であるという点であります。農地改革が、昭和二十年法律第四十三号による旧自作農創設特別措置法に基づいて行なわれた制度改革であることは言うまでもありません。しこうして、同法の定める農地買収価格は、自作農の収支採算を基礎といたしまして定められた統制価格、すなわち、田については賃貸価格の四十倍、畑については賃貸価格の四十八倍以内とされたのであるが、特に、自作農創設のために農地を提供する小地主に対しては、この買収価格が、当時の小作料から換算した農地価格に比較いたしまして、やや低かったために、これを補償する意味で、田については一反歩当たり二百二十円、畑については一反歩当たり百三十円が報償金として、買収価格に追加して支払われていることも、先刻来論議されたとおりであります。最高裁は、旧地主から提起された違憲訴訟に対しまして、これらの経過等も参酌いたしまして、農地改革は適法になされたものであり、かつ、自作農創設法の第六条に基づく買収価格は、憲法二十九条三項の、いわゆる「正当な補償」に該当する旨を明示したことも、また周知のとおりであります。法律の合憲性あるいは違憲性は、最高裁が終審裁判所としての責任と権威にかけまして、終局的かつ有権的に判断することになっている限り、農地改革の合憲性と買収価格の適正を明確にされたものに対して、立法機関も政府も、これを否定することは、少なくも三権分立の民主体制の根本を乱る危険千万なことであると信ずるのであります。本法律案の実体は、報償という名の衣を着せた補償措置であって、政府及び自民党がどのような詭弁を用いましょうとも、明らかに最高裁判決の精神を踏みにじるものでございまして、著しき違憲、違法、不当きわまるものであると断ぜざるを得ません。  第二の反対理由は、本案内容が法のもとの平等の原則に反するという点であります。すなわち憲法は、その第十四条におきまして、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と厳粛に規定いたしまして、法のもとの平等の大原則を高らかに掲げているわけでありまするが、ここでうたう法のもとの平等ということは、単に法を不平等に適用することを禁止するだけでなくて、差別待遇ないし差別取り扱い内容とする法律の制定を禁止する趣旨と解すべきであります。さらにまた、憲法十四条が示す「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」というのは、決して限定的に列記したものではなくして、差別待遇ないし差別取り扱いを禁ずるための代表的なものを例示的に列挙したものと解することが、常識かつ当然でありまして、これら先天的条件、宗教的信仰、根本的思想等を理由とするもののほか、すべて民主主義的理念に照らしまして不合理と見られる差別の一切を含むものと解すべきことも、異論のないところであります。法のもとの平等の大原則をこのように理解する限り、本法案のごとき旧地主報償なるものは、明らかに旧地主たる地位及び身分を理由とする差別待遇ないし差別取り扱いに該当するものでありまして、必然に法のもとの平等の大原則の精神に違反し、違法かつ不当の措置であること疑う余地はございません。  第三の反対理由は、政府の財政運営に対する点にあります。政府提案理由説明によりますれば、本法案のねらいは、帰するところ、旧地主の貢献を多とし、心理的影響を考慮しての報償措置であると言っておりますけれども、報償とは、元来、人の功労、功績、善行をほめて、これに報いることを意味するものであるはずであります。善行表彰等に金一封を贈ることは、古来、世の常識であり、慣行でもあるから、何びともすなおに了承を与えておりまするけれども、本案のように、単純な報償という名のもとに一千五百億円にのぼる巨額の国民の血税を提供することは、およそ常識にはずれたはなはだしいものであり、国民のほとんどが自民党の選挙対策以外の何ものでもないときめつけるその批判は、まさに当を得たものと言わざるを得ません。憲法は国の収支について国民の納税義務を規定しておりまするが、課税をするには、法律または法律の定める条件によることを必要とし、租税法律主義を規定していると同時に、国費を支出し、国が債務を負担するには、国会の議決に基づかなければならない旨を規定しております。これらの規定を受けて、租税法規や財政法規では、国民の税金をいかにして徴収するか、また国民の血税を国家目的に適合するように、効果的に、効率的に、むだづかいのないように、いかに使用すべきかについて、詳細に、国家機関を規制する規定を設けているわけであります。したがって、政治の場において、特に立法機関としては、国の収入及び支出を決定するにあたっては、国民に課税することによって生ずる社会的犠牲と、これを財源として国費を支出することによって生ずる社会的効果を比較考慮し、少なくとも両者がプラス、マイナス均衡する点を綿密に探究しなければならないことは、当然の要諦といわなければならないと考えるのであります。この観点に立って見るとき、旧地主報償案は、社会的犠牲と社会的効果が均衡を得ているものと、何びとがまじめに信じましょうか。この点に関しても、国民の答えがノーであること明白であります。国民の意思に反し、国民に対して不当な課税を強行し、その血税を不当に乱費し、財政法規をじゅうりんする本法案に対しては、少なくとも、良心を失わず、良識を持つ国会議員は、党利党略を乗り越えて、全国民に忠実に奉仕するの責任感に徹して、堂々と反対するの勇気を出すべきだと信ずるのであります。  反対理由の第四点は、政府説明による本案提出の余儀なきに至った原因と理由の一つに、戦後のインフレをあげていることであります。インフレの影響は等しく国民全般に及んだものでありまして、決して旧地主だけの問題にとどまるものではありません。国民の中には、インフレのために不当に利得を得た者もあれば、不当に損失をこうむった者もありますが、このような不当な利得を得た者に対しては、重税を課して公平を期するなどの前向きの措置を講ずべきであって、ひとり旧地主に対してのみこのような報償を行なうことは、明らかに他の戦争犠牲者との均衡を著しく失するものでありまして、断じて国民の容認するところではありません。引き揚げ者の在外財産をはじめ、企業再建整備法に基づく債権者、株主の損失や、金融機関再建整備法に基づく預金者、保険契約者、株主の損失等の問題、さらにはまた、戦時補償特別措置法によって打ち切られた請求権喪失の問題等々、これらの深刻な問題には目をそらして放任しながら、旧地主問題だけに異常な執着を示してきたことは、この法案の党利党略性を端的に物語るものであります。  これを要するに、党あることを知って国家国民を忘れた保守自民党政権のもとに意図された、きわめて露骨な選挙対策の一つにすぎない有害無益な本法案に対して、国民的怒りを込めて強く反対の意思を表明して、私の討論を終結いたします。(拍手)     —————————————
  94. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 渡辺勘吉君。    〔渡辺勘吉君登壇拍手
  95. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっておりますいわゆる農地報償法案に対し、反対討論を行なわんとするものであります。    〔副議長退席、議長着席〕  本論に入る前に、まず指摘したいことは、この法案の目的が全然わからないということであります。現在の法律は、すべて第一条にその目的を明示して、国民の理解を求めているのでありますが、本法律案は、その第一条に「給付金支給に関し必要な事項を規定するものとする。」と書いてあるだけでありまして、ごく簡単な法律であればともかく、これほどの矛盾に満ちた、問題の多い法律案に、目的を明示できなかったということは、この法案がいかに無性格であるかということを如実に物語っていると言わざるを得ないのであります。  反対理由の第一は、農地改革の社会的な意義にかんがみて、農地報償を問題にすること自体が根本的に間違っているということであります。農地報償法案は、農地改革で強制的に土地を買収された旧地主の精神的苦痛に対して、また、農地改革を民主的に成功させ、それに協力した旧地主の功績に対して、ねぎらう気持ちで見舞い金を出そうというものであります。一体、このような法案を、是が非でも多数の暴力をあえてしても通そうと考えている自由民主党諸君は、農地改革なるものをいかに評価し、いかなるものとして理解されているのか。旧地主だけが、その精神的苦痛をねぎらわれ、農村民主化の協力者、功労者として見舞い金をもらえる筋のものかどうかということを、とくと勘案を願いたいのであります。一体、旧地主は何をしてきたとお考えでありますか。農地改革後二十年を経過したとはいえ、今日なお忘れてならないことは、旧地主が、その小作地の上にあぐらをかいて、小作人が一年間、額に汗して生産した米を、現物で、しかも二石の反当の生産があれば、そのうち一石を、自分の、地主の倉に運ばせていたということであります。この制度は、女郎屋の亭主が、女郎の売春代金の半ば以上を搾取していたと同様の悪制でありまして、断じて見舞金を出したり後世においてねぎらったりする性質のものではないのであります。そうして、そのような旧地主に報償金を出すならば、女郎を解放した女郎屋の楼主にも報償金を出し、ばくち打ちを解放したばく徒の親分にも報償金を出すべきでありましょう。まさに誤解されてならないことは、農地改革の評価であり、その歴史的な意義であります。御承知のように、高率の現物小作料から耕作農民の解放は、いわば農奴解放に匹敵するものでありまして、欧米諸国では、すでに十七世紀から十八世紀の初頭において農地改革を実施いたしているのであります。このように、諸外国におきましては、農民から現場で貢納を強制していた封建制度が崩壊した時期に、農地改革を行なって、小作農民を解放し、農村の民主化と農業の生産力の上昇を促し、資本主義的な経済制度の発展をはかってきたのであります。しかるに、わが国におきましては、すでに明治維新による開国が欧米の先進国に立ちおくれて発足した関係もありまして、現物小作料を踏まえた旧地主制度をかえって温存し、とりわけ、低賃金、低コストによる資本蓄積の槓桿となったのであります。このためわが国では、数百年にわたる封建的な貢納がそのまま地主への小作料として引き継がれ、小作農民は実に、終戦直後の農地改革の時期まで、過酷な、高率の現物小作料を納め続けてきたのであります。このため、多少の例外はありますが、地主は資本家となって不在地主化し、わが国の資本主義は、各国に類例を見ない高い剰余価値を蓄積し、世界のAクラスの資本主義国家に発展してまいったことは、御承知のとおりであります。しかし、農民は貧しく、ますます零細化し、出かせぎや日雇いを兼ねて、やっと生活を維持してまいってきたのであります。農地改革によってわずかばかりの農地を得、自作農にはなりましたけれども、精神的に苦痛が償われなければならないのは、旧地主ではなくして、むしろ旧小作人であります。(拍手)もしも報償金を旧地主に出すならば、理論的には資本の利潤から支出すべきでありまして、一般の税金、国民の血税でしりぬぐいされる金で支払われるべきでは断じてないのであります。先ほど、わが党の亀田議員の質問に対して、佐藤総理が旧地主制度の認識について答弁をされたのでありますが、その内容はまことに不徹底、不明確、不まじめきわまるものであって、本法案の無理論、無内容に通じるものであり、選挙スポンサーに対する屈従と反動性もゆえあるかなと理解した次第であります。  反対理由の第二は、解放農地の旧地主だけになぜに給付金を支払わなければならないか、その根拠が全くないということであります。農地改革が文字どおり合法的に実施され、その買収価格が適正であったことは、最高裁の判決を持ち出すまでもなく、きわめて明白であります。その上、旧地主は、別に三割の報償金をすでに受け取っているのであります。政府提出した本案提案理由を見ますと、「世論の動向等を勘案いたしまして、この際、農地改革における農地買収者貢献を多とするとともに、その受けた心理的影響をも考慮して、これらの人々に対する報償を実施することが適切であると考え」たと述べております。そもそも、農地改革貢献したことを認めるのであれば、未墾地や採草放牧地の買収の対象になった旧地主を除外することは不合理ではありませんか。また、未墾地などの買収価格は時価を基準とした対価であるのに対して、農地の場合は、売買価格ではなくて、供出米価格によって算出した収益価格によったからだとしておりますが、その基礎となった供出米価格が不当に低かったこと、したがって、この低い米価に甘んじてきた供出農業の大きな経済的犠牲をまず問題とし、その報償が先に行なわれなければ、すこぶる不合理であると断ぜざるを得ないのであります。  また、第三に、その心理的影響という、あいまいもことした理由をあげるに至っては、あいた口もふさがらないと言わざるを得ないのであります。この農地改革心理的影響の問題は、最近の土地ブーム等により、解放農地が、特に都市近郊等で、あるいは宅地、あるいは工業用地等に転用され、高い地価で売買されていることにおそらく影響していると思われるのであります。解放農地の旧地主がこのブームによって不満を強めていることは、一応わからないわけではないのでありますけれども、これは農地改革とは何の関係もないだけではなく、土地ブームの利益を享受できなかったすべての人々が受けた一般的な心理的影響に帰すべき問題であり、政府の宅地政策の無為無策と地価対策の貧困を物語る以外の何ものでもないのであります。  反対理由の第四は、この措置がいわゆる戦後処理問題を誘発するおそれがきわめて強いということであります。政府は、本法案を提案したころから、この農地改革が、大正十五年の自作農創設維持補償規則以来進められてきたところの自作農育成対策の延長であり、その総決算であるとして、或後処理問題でないということを強調しております。確かに農地改革にはかかる面のあるということは、従来から言われておりましたけれども、農地報償の問題がなぜ起こったかということをよく考えてみるならば、これくらい厚顔無恥な詭弁はないと思うのであります。農地報償の問題が政治の舞台に登場したのは、政治的には、戦後経済の復興に伴い反動的な風潮を生じたことや、また、旧地主が経済力と政治力を回復したことなどをバックに展開された地主運動であることは、申すまでもありませんし、その経済的な主たる理由は、戦後のインフレと土地ブームであります。したがいまして、これらは軍人恩給その他の戦後処理問題と同じ性格のものであるということは、明明白々たる事実であります。政府は、工藤調査会設置以前から、機会あるごとに反対を表明する言論界をあえて無視し、心ある人々の良識をじゅうりんしてこれを強行しようとするのでありますけれども、今後予想される在外財産、戦災者補償等の問題に対して、一体どう対処しょうというのでありましょうか。言うまでもなく、わが国の発展のため国がなさなければならない施策は、実に多いのでありまして、理由のあいまいなこの種の措置は、この際、絶対に排除しなければならぬのであります。  反対理由の第五は、この措置が今後の農地政策上重大な禍根を残すということであります。従来、政府は、農地報償は農政と関係のない社会問題だとする立場をとっておりましたけれども、決して無関係ではないのでありまして、農地改革が完了して十五年もたってから、農地報償のごとき不合理な例をつくるようなことは、今後の農地制度の健全な運営のために絶対に容認できないことであります。  反対理由の第六は、農地報償が多額の国費を要するにもかかわらず、うしろ向きで、全くもって非生産的、非建設的であるということであります。申すまでもなく、この農地報償により、国は十年間に千四百五十六億円という膨大な負担を義務づけられます。しかも、報償を受ける旧地主にとっては、最高でも反当二万円で、地主側の当初の主張に比べてまことにこれは貧弱な内容であり、利子もつかない十年間の記名国債であって、今後政府が従来とりきたった信用インフレ政策を一そう強行することによって、相対的な貨幣価値の低下をあわせ考えると、はたして彼らにどれだけの利益をもたらすものか、その効果は、はなはだ疑わしいと言わざるを得ないのであります。さらに、何よりも重要なことは、この膨大な国民の血税は、わが国社会経済の建設的な発展に何らの貢献も期待できないことであります。政府与党の高度経済成長政策の失敗により、経済の危機的様相を迎えている今日、この措置は国費の乱費であり、国の大きな損失であることを指摘せざるを得ないのであります。  反対の第七の理由は、以上のように不合理、不公平、非生産的な措置であるにもかかわらず、あえて提案されるに至った経緯が、きわめて不明朗であるということであります。農地報償の問題は、よく知られておりますように十年来の懸案であって、この間、政府は、あしたに一城を抜かれ、夕べに一城を落とされ、ついに本法案を提案したのでありますけれども、先ほど来申し上げましたような各般の理由から見て、本法案を提案せしめた原動力は……
  96. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 渡辺君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
  97. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君(続) 自民党の選挙対策以外の何ものでもないと断ぜざるを得ないのであります。  このような諸点を考えながら、あらためてわが国の現状を顧みますならば、一体わが国の現状は、本法案のような非生産的な国費を乱費する報償などを考えるべきときではないのであります。中小企業は言うに及ばず、大企業まで相次いで倒産し、あまつさえ天明三年、百八十年以来の凶作予報や水産異変等に、零細農山漁村民はおびえている昨今であります。いまや農山漁村は暗黒のとばりに包まれており、農村の構造的な危機に対処して、抜本的、建設的な前向きの施策を断行しなかったならば、その反動反発がおそろしいことを、政府は銘記すべきであります。一体、農民でも、中小企業者でも、常に社会の下積みになって抑圧されてきたものは、一定の限界までは不満をみずから押えて歯を食いしばっております。このような不満の爆発は、時の権力者が権力に酔いしれて、大衆の憤りを肌で感知しない間に爆発したことは、……
  98. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 渡辺君、時間が超過いたしております。範囲に願います。
  99. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君(続) 世界各国の歴史に徴しても明らかなのであります。このため、このような下層農民の声なき声に耳を傾け、抜本的対策を講ずるために、二重構造の底辺に沈でんして日の当たらない場所で勤労に汗して働く者を解放するための、重点施策を講ずる必要が、今日より大なるときはないのであります。(拍手
  100. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 時間が超過しております。
  101. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君(続) しかるに、地主のおかげで農地改革が行なわれ、農村の民主化が行なわれたがごとくに錯覚し、一握りの旧地主だけに報償金を出すこととし、そのため、千四百五十六億円もの国費をむだ使いしようとしているのであります。すでに提出された本年度の政府のグリーンレポートは、その実態からして、実は緑の報告ではなくして灰色の報告だと言われております。
  102. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 簡単に願います。
  103. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君(続) わが国の構造的危機とすべての戦争犠牲者、働く者の社会福祉をあと回しにし、このような党利党略の見えすいた農地報償法案を無理押しするならば、国民の批判はどちらに向けられるかを、自民党の諸君は覚悟しなければならないでありましょう。
  104. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 時間が超過しております、簡単に願います。
  105. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君(続) 灰色のレポートはダークレポートとなり、権力の美酒に酔いしれている支配者がみずからの基礎を崩壊する結果になることを、私は強く警告して、反対討論を終わるものであります。(拍手
  106. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。  表決は記名投票をもって行ないます。本案賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  107. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。  投票漏れはございませんか。——票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  108. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票参事に計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  109. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百九十票   白色票          百二十一票    〔拍手〕   青色票           六十九票    〔拍手〕  よって、農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案は可決せられました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名      百二十一名       北口 龍徳君    野知 浩之君       二木 謙吾君    鳥畠徳次郎君       青田源太郎君    大竹平八郎君       前田佳都男君    鈴木 恭一君       加賀山之雄君    森 八三一君       上原 正吉君    野本 品吉君       松平 勇雄君    最上 英子君       岡崎 真一君    中山 福藏君       三木與吉郎君    村上 義一君       佐藤 尚武君    野田 俊作君       小山邦太郎君    木暮武太夫君       笹森 順造君    植木 光教君       鈴木 一司君    沢田 一精君       和田 鶴一君    中上川アキ君       源田  実君    熊谷太三郎君       山崎  斉君    井川 伊平君       石谷 憲男君    植垣弥一郎君       岸田 幸雄君    谷村 貞治君       川上 為治君    仲原 善一君       坪山 徳弥君    豊田 雅孝君       天坊 裕彦君    竹中 恒夫君       鈴木 万平君    江藤  智君       亀井  光君    山下 春江君       堀本 宜実君    大谷 贇雄君       佐藤 芳男君    青柳 秀夫君       平島 敏夫君    山本 利壽君       堀  末治君    藤野 繁雄君       新谷寅三郎君    西郷吉之助君       紅露 みつ君    木内 四郎君       植竹 春彦君    田中 茂穂君       小林 英三君    寺尾  豊君       草葉 隆圓君    平井 太郎君       黒川 武雄君    西川甚五郎君       井野 碩哉君    重政 庸徳君       谷口 慶吉君    徳永 正利君       鍋島 直紹君    村上 春藏君       山本  杉君    栗原 祐幸君       川野 三暁君    丸茂 重貞君       日高 広為君    温水 三郎君       長谷川 仁君    村山 道雄君       木島 義夫君    柴田  栄君       西田 信一君    松野 孝一君       稲浦 鹿藏君    石井  桂君       吉江 勝保君    中野 文門君       井上 清一君    八木 一郎君       剱木 亨弘君    梶原 茂嘉君       田中 啓一君    高野 一夫君       斎藤  昇君    塩見 俊二君       河野 謙三君    村松 久義君       小柳 牧衞君    増原 恵吉君       高橋  衛君    吉武 恵市君       林屋亀次郎君    郡  祐一君       安井  謙君    石原幹市郎君       青木 一男君    迫水 久常君       高橋文五郎君    佐野  廣君       後藤 義隆君    横山 フク君       前田 久吉君    白井  勇君       小林 武治君    古池 信三君       宮澤 喜一君    近藤 鶴代君       下村  定君    杉原 荒太君       小沢久太郎君     —————————————  反対者青色票氏名     六十九名       市川 房枝君    山高しげり君       鈴木 市藏君    石田 次男君       鬼木 勝利君    中尾 辰義君       北條 雋八君    鈴木 一弘君       渋谷 邦彦君    辻  武寿君       白木義一郎君    矢山 有作君       野々山一三君    瀬谷 英行君       稲葉 誠一君    渡辺 勘吉君       林  虎雄君    鶴園 哲夫君       千葉千代世君    武内 五郎君       小柳  勇君    柴谷  要君       大河原一次君    伊藤 顕道君       久保  等君    秋山 長造君       戸叶  武君    松澤 兼人君       大矢  正君    田中  一君       藤原 道子君    野溝  勝君       加藤シヅエ君    鈴木  強君       阿部 竹松君    岩間 正男君       須藤 五郎君    野坂 參三君       小林  武君    松本 賢一君       佐野 芳雄君    野上  元君       中村 順造君    安田 敏雄君       基  政七君    藤田藤太郎君       横川 正市君    相澤 重明君       森 元治郎君    占部 秀男君       光村 甚助君    田上 松衞君       向井 長年君    藤田  進君       亀田 得治君    加瀬  完君       大和 与一君    柳岡 秋夫君       北村  暢君    中田 吉雄君       小酒井義男君    佐多 忠隆君       中村 正雄君    椿  繁夫君       成瀬 幡治君    鈴木  壽君       木村禧八郎君    松本治一郎君       曾禰  益君      ——————————
  110. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 本日はこれにて延会いたします。    午後十時五十五分延会