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1965-05-27 第48回国会 参議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月二十七日(木曜日)    午前五時二十四分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十八号   昭和四十年五月二十七日    午前零時十分開議  第一 大蔵委員会において審査中の農地買収   者等に対する給付金支給に関する法律案に   ついて速かに大蔵委員長中間報告を求める   ことの動議草葉隆圓君外一名提出)(前   会の続)  第二 千九百六十三年十二月十七日に国際連合   総会決議第千九百九十一号(XVIII)に   よって採択された国際連合憲章改正の批准   について承認を求めるの件(衆議院送付)  第三 医療法の一部を改正する法律案社会労   働委員長提出)  第四 寄生虫病予防法の一部を改正する法律案   (衆議院提出)  第五 労働者災害補償保険法の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院送付)  第六 地方公務員等共済組合法等の一部を改正   する法律案内閣提出衆議院送付)  第七 農地開発機械公団法の一部を改正する法   律案内閣提出衆議院送付)  第八 天災による被害農林漁業者等に対する資   金の融通に関する暫定措置法及び開拓営農振   興臨時措置法の一部を改正する法律案内閣   提出衆議院送付)  第九 積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の一   部を改正する法律案衆議院提出)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、日程第一 大蔵委員会において審査中の農   地被買収者等に対する給付金支給に関する   法律案について速かに大蔵委員長中間報告   を求めることの動議草葉隆圓君外一名提   出)(前会の続)  一、大蔵委員長西田信一解任決議案成瀬幡   治君発議)  一、副議長不信任決議案鈴木壽君外一名発   議)  一、議長不信任決議案伊藤顕道発議)     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、大蔵委員会において審査中の「農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案」について速かに大蔵委員長中間報告を求めることの動議草葉隆圓君外一名提出)を、前会に引き続き議題といたします。  これより順次質疑を許します。成瀬幡治君。    〔成瀬幡治登壇拍手
  4. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 社会党を代表いたしまして、ただいま議題になりました、いわゆる中間報告と言われることについて、若干の質問をいたしたいと思います。  議長報告によりますと、草葉隆圓さんほかと、こうなっておりますが、いまから三年ほど前にも中間報告が行なわれておるわけでございますが、その場合の提案者もやはり草葉隆圓さんというふうに承っております。(笑声)私は、草葉隆圓さんと、幸か不幸か同時選挙でございまして、いままで三べん一緒にやってまいりました。たいへんお人柄の人でございますが、こういうような悪役をみずから進んで買われるような方ではございません。押しつけられておやりになったことと思いますが、一体、こういう中間報告が十八年間のこの参議院におきまして、何べんぐらい、いままでに行なわれたかという点が第一でございます。  二つ目に、これに関連して、若干経費の問題で伺っておきたいと思いますが、一体、こういうことが行なわれますと、昼間報告でなくて、大体夜間にかけて行なわれるわけでございまして、夜間報告とも言われているわけでございますが、(笑声)そこで、こういうことになりますと、職員の方も御迷惑でございますし、報道関係の方にもたいへんな御迷惑をかけるわけでございますが、一体国費はどのくらいむだ使いになるかという点について、お考えになったことがあるかどうか。これが二つ目の問題でございます。  それとからんでお伺いしておきたい点は、一体参議院あり方というものが、中間報告をやることによって品位が高まるかどうかという点でございます。大体、衆議院参議院の置かれている一つあり方として、いわゆる重要法案と称されるものは、大体、衆議院が先議でございまして、そうして参議院に送られてくるわけでございますが、そういたしますと、いつの場合でも、最終的になりますと、何かこの中間報告等をやらないと締めくくりがつかないようなかっこうになるわけでございます。こういうことは、ほんとうに参議院あり方と申しますか、参議院使命と申しましょうか、参議院良識というものを高めるただ一つ方法と考えておやりになっているのか。こういうことは私は非常に悪いことであって、もともと国会議員としてお互いの任務は、審議は尽くすべきものを十分尽くして、そしてその上で、こういう問題についても結論を出すべきだ。たとえば法案取り扱いには、何もかも政府が出した法律案というものは上げなければならないという問題ではございませんでしょう。いままでの例でも、廃案にした例もございましょう。継続審議ということも行なわれているわけでございます。したがって、政府提案をしたものは、なるほど政党内閣であるからといって、自民党諸君は何でもかんでも上げさえすればいいというような、一つの、みずから審議権を放棄して、政府下請機関になって、あげる道具になってしまっては、みずから参議院の権威を放棄しているといわなければならないと思うのでございます。(拍手)したがって、参議院あり方として、こういうやり方というものはいいものかどうか。しかも、こういうことは、与党であり、しかも、多数を持っている自民党諸君責任において——なるほど野党もいろいろな点で考慮せなければならない点はもちろんございますけれども野党よりも、与党がそういうことに対してどういうふうに責任を感じ、参議院あり方というものをどうせなければならないかということについて、結論を出さなくてはならないときにきているではないかと思うわけでございます。こういうことについて、何やらの一つ覚えということがございます。大体、人間は高等動物ということになっております。アミーバというのがございますけれども、これは大体、単純細胞というわけですが、何か、何やらの一つ覚えというようなかっこうで、こういう問題になると、すぐ中間報告をやらぬと気が済まぬという、こういう情けない姿ではいけないと思うわけでございますが、まあ私は、草葉さんがみずから進んでおやりになったわけではなくて、無理やり無体に押しつけられておやりになり、いやいやなったことについては、非常に御同情にたえないわけでございますが、悪役を買われたことについては非常に御同情を申し上げるわけでございますが、何にいたしましても、しっかり伺っておきたい点は、参議院あり方というものから考えたときに、中間報告の是非が承りたい。こういう点が悪いという点につきましては、しばしば、もう今度はやらないというようなことを、いつもおっしゃる。それが繰り返されるところが問題でございますから、こういうような問題について、まず明らかな御答弁をお願いしたいと思うわけでございます。  二つ目に、このいわゆる農地買収法と称されるこの法案についての認識をどういうふうにお持ちになっているかという点でございます。御案内のとおり、旧地主人たちに千五百億の国費を支払うということでございます。なるほど、旧地主方たちがみずから解放された土地が値上がったということは確かでしょう、都市周辺で。そして、そういう問題について、何か土地の値上がりがしたんだから、あの人たちがもうけたということになって、逆に言えば、おれが損をしたというようなところから、この問題の発端があると思うわけでございます。しかし、こういう問題につきましては、たとえば工藤調査会報告もございましょう。あるいは最高裁の判例等もございましたですね。こういうことは行なわないほうがいいと、こういう結論が出ているわけでございます。特に工藤調査会等では、こういう地主方たち生活程度というものは、農民大衆から見て、中以上のお方が多いと報告されているのでございます。したがって、旧地主の方の中で、なるほど、生活にお困りの方もあるかもしれませんけれども、そういうお方たち異例中の異例特例中の特例でございまして、大体、農民上層階級に現在においてもあるわけでございます。そういうお方たちがなぜこういうところに、いろいろと報償の問題と申しますか、そういうものを要求されるかということは、先ほども申しましたように、都市周辺において解放されたその土地が、農地としてではなくて、宅地等に転用される、あるいは工場用地に転用されることによって値上がった、損をしたと、ここに問題があると思うわけでございます。しかし、そういうことがなぜこうなったかと言えば、御案内のとおり、私たち反対にもかかわらず、昭和二十七年の法改正において転売の自由を許したというところに、今日この問題の発端があるわけでございます。(拍手)その責任は、あげて自民党諸君が負わなければならないわけでございましょう。こういうことに対して責任を感じておみえになるのかどうか。こういうことについては、こうなるではないかと私たちが指摘しておったことに対してあなたたちはそうでないと、こういうことになっている。全く見通しのない、あるいは逆に言えば、今日こうなることを期待をしておやりになったかどうか、見通しが誤っておったのか、こういう点についても、明確にしていただかなければならないと思いますが、考えてみれば、地主方たちがいままでみんな、「おきて」と称しますか、年貢と申しましょうか、そういうもので生活をされておった方たちが多いのでございます。みずから働いたのではなくて、小作の方の働くことによって生活をされておった力が多いわけでございます。それじゃ小作お方たちはどうだったかといえば、幾ら働いてもなお足らなくて、自分の娘すら売って年貢を納めなければならなかった人たちのあることも、御承知だと思うわけでございます。こういう人たちの働きに支えられてこうなったわけでございます。しかも、その「おきて」というものは、いつごろからきまっておったかといえば、なるほど徳川時代五公五民でしょう。そして豊臣——徳川以前は六公四民徳川が長く続いたのはなぜかといえば、この「おきて」の六公四民五公五民に引き下げたところにも、徳川の幕府が長く続いた一つ理由を見出すこともできるでしょうけれども、十俵かりに入ったとすると、そのうちの五俵は地主に無条件で取られて……
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 成瀬君、時間がまいりました。
  6. 成瀬幡治

    成瀬幡治君(続) そして小作には五俵しかないというような、こういう「おきて」の中でしいたげられた小作方たちがあったわけでございます。しかも、こういう地主お方たちに今度報償を出すというわけでございまして、無理をして、こうやって国会を通る。たとえば、衆議院単独審議とは言いませんけれども、それに近いもので、質疑打ち切りのようなことをやってまいりました。審議を尽くさずにおって、しかも参議院で今度中間報告でおやりになったわけですが、一体……
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 成瀬君、時間が超過してまいりました。
  8. 成瀬幡治

    成瀬幡治君(続) もらう地主お方たちでも、こういうかっこうでもらわれるなんていうことは、私は快しとしておみえにならないだろうと思う。それが、小作に娘を身売りさせておいて、そしてなお、年貢を取るような強欲非道地主ならいざ知らず、良識のある地主お方たちなら、これほどまでに無理をし、しかも世論はどうですか。新聞論説等を見ましても、賛成をしている論説一つもないのでございます。なぜ、こういうむちゃくちゃなことをやるのだと言っている。世論もそこにきている。政府答弁を伺っても、赤城農林大臣は、この法律案が通りましても私はもらわないと、こう言っている。
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 成瀬君、時間がまいりました。
  10. 成瀬幡治

    成瀬幡治君(続) 良識派地主人たちはもらわないと、こう言っている。何かこういうことをやらぬと——何というのですか、地主お方たちから金を集められた方があるということも、私ども新聞で見ているわけですが、そういう人たちに申しわけないか何とかというところから、こういう問題についてやろうとしているわけですか。とにかく、この法律案に対して中間報告を求めて解決をせなければならないかどうかという、そういうことについての価値判断でございます。いかなる認識を持っておみえになるかという点が、二つ目にお尋ねしたい点でございます。
  11. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 簡単に願います。
  12. 成瀬幡治

    成瀬幡治君(続) もう最後でございます。簡単にします。  三つ目の問題は、草葉さんは、大蔵委員会委員でもなければ、もちろん理事をやっておみえになるわけでもございません。一体大蔵委員会審議経過というものを御承知になっているかどうかという点でございます。
  13. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 簡単に願います。
  14. 成瀬幡治

    成瀬幡治君(続) 一体、私たち大蔵委員会に付託され、あるいは本院に送付されたのが十四日でございましょう。そして十九日は、御案内のとおり、会期延長等もございまして、大蔵委員会で何日審議したか御存じでございましょうか。しかも私たちは、こういう重要法案であるとするなら、当然、こういう問題には、連合審査の申し込みがあるなら、連合審査というものをやらなければならないわけでごさいましょう。
  15. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 発言を禁じます。    〔成瀬幡治君「連合審査参考人、こういう問題について、なぜ審議をしなかったのか。こういう点についても御返事をお願いしたいと思います。」と述ぶ〕    〔草葉隆圓登壇拍手
  16. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 ただいまの成瀬幡治先生の御質問に対しまして、お答えを申し上げたいと思います。  成瀬さんは、ただいまお話にありましたように、私と同郷であり、選挙同時でありまして、最初からずっとお世話になっておる、まことに親しい間柄でございます。したがいまして、ただいまいろいろの問題につきまして御質問がありましたので、私の承知しておりまする範囲において、率直にお答えを申し上げたいと存じます。  一体中間報告は、いままで何べんぐらいあったか。——ちょうど今回で、国会は、戦後の新憲法以来四十八回でございまするが、その四十八回の中で、参議院中間報告をいたしましたことが、いままで九回でございます。したがいまして、いわゆる国会法五十六条の三は、なるべく審議を十分尽くして、やむを得ざるときに、この五十六条の三を適用いたしておると私は承知いたしておりまして、したがって、従来から、審議は十分に委員会中心に、民主的にやるというルールを堅持されてきておると存じておるのであります。  また、こういうことをやって、夜間等を費やして、国費等も相当浪費するのではないか。——これは、みなお互いが国家の費用を十分節約しながら、しかも国民の欲するままの十分な審議をしたいというので、ともどもに、決して浪費はいたしておらないと存じておるのでございます。  また、参議院あり方につきまして、今後は一そう審議を十分にしながら、いたすべきものであり、なるべく、この中間報告等方法じゃないほうが適当ではないか。これも私、ごもっともと存ずるのであります。今回の、この農地買収者等に対しまする給付金支給に関する問題等につきましても、成瀬さん御承知のような経過をたどってまいっておりまするので、大蔵委員会等におきまして十分御審議いただき、われわれは、これは今回は、たいへんこの四十八国会重要法案一つとして大きな関心を持っておりまするので、それが大蔵委員会においてどういう経過をたどり、どういう審議をしておるかということを、この本会議承知をいたしたいために、中間報告を求めたのでありまするから、どうぞ、この点、御了承をいただきたいと存ずるのであります。  また、法案認識についてどう考えるか。これは、ただいま申し上げたように、今回の四十八国会におきまする法案の中でも重要法案の最たるものの一つと考えておる次第でございますから、したがって、この法案取り扱いにつきましては、大蔵委員会に敬意を表しながら、その取り扱い内容を、この本会議で御報告をいただきたいと存ずるのが、私の動議提出したゆえんであります。この法案は、二十七年の改正以来、かえって悪改正になって、それが今日の基になったのではないかという御意見等も、これは法案内容でございますから、十分に大蔵委員会等で御審議をいただいておることと存じまするから、私は、ここでかれこれ申し上げることを差し控えたいと存ずるのでございます。大蔵委員会経過につきましては少々は承知をいたしておりまするけれども、私の承知は不十分でありますから、この本会議におきまして、十分その経過承知をいたしたいと存じましたのが、この中間報告を求めた動議でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)     —————————————
  17. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 瀬谷英行君。    〔瀬谷英行登壇拍手
  18. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 昨日、深更に及んで、このような中間報告を求める動議提出せられ、自民党各位の賛成するところとなりました。しかしながら、このような中間報告にはまことに多くの疑義がございますので、あらためて質問をいたします。  国会法の定むるところによれば、「委員会審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる。」ことになっております。しかるに、ただいま釈明がございました理由は、いずれも、すこぶる根拠薄弱で、問題とするに足りません。また、「議院が特に緊急を要すると認めたときは、委員会審査に期限を附け又は議院会議において審議することができる。」ということになっておりますが、御承知のとおり、国会会期は、野党反対を押し切って、無理やり六月一日まで延長せられました。明けて本日は五月二十七日、昔の海軍記念日であります。(笑声拍手)六月一日までは、計算をしてみますと、たっぷり六日間の余裕がございます。「特に緊急を要する」とは、いかなる角度からも認めようがないはずであります。もし、「特に緊急を要する」ということは何かということになりますと、たとえば、東京都議会における汚職のあと始末、あるいは吹原産業をめぐる黒いうわさ、こういうことこそが緊急を要する問題に該当するのではないかと思われます。自民党みずからが延長した会期をいまだに六日間も残しながら、あわてて中間報告を求めるという、その真意は奈辺にありや、はなはだわれわれは疑問を持たざるを得ないのであります。その点は落ちついてお答えを願いたいと思います。  次に、委員会審議についてお尋ねをしたいと思います。国会法の第五十一条によれば、「一般的関心及び目的を有する重要な案件について、公聴会を開き、真に利害関係を有する者又は学識経験者等から意見を聴くことができる。」ことになっております。一千五百億からの膨大な国費を要する重要な問題は、当然のことながら、利害関係を有する人々の公聴会を開くことが妥当と信じますが、委員会公聴会も省略をした、また、連合審査をも開かなかった。これで慎重な審議を尽くしたということになるのかどうか、はなはだ不可解と言わざるを得ません。何がゆえに粗雑な審議で事足れりとするのか。もし審議を尽くしたとおっしゃるならば、公聴会なり連合審査をすら拒否された理由一体何か、この際、この点も明確にしていただきたいと思います。  私は、中間報告そのものに限ってこのことを取り上げてみましても、どう考えても、きょうあすで会期が切れるということであれば話は別でありますけれども、とにかく約一週間を残しておりながら、ここで、ばたばたと中間報告をやってしまわなければならないのか。いろいろ先ほど草葉さんからお話がございましたけれども大蔵委員長からその間の経緯を述べてもらうんだということを言いましたが、それをここで一回述べてもらって、しかる後にもう一回委員会に戻して、では、われわれがここで注文をつけたように、連合審査もやりましょう、あるいは公聴会も開きましょう、ということが約束をできるのかどうか。おそらくそんな気はないでしょう。ないことがわかっているから、私のほうで申し上げるわけです。  大体、国会というところは、審議を尽くすということが本来の使命なんであります。ところが、審議を全然尽くさない、あるいはおざなりの審議だけでもって済ましてしまうというのは、国民に対するごまかしであります。このようなごまかし国会議員としてはなすべきことではないと思います。たとえていうならば、国会審議を尽くすということは、食いものでいうならば、よく噛んでから呑むということなんであります。それを全然かまずに、あるいは、かんだふりをして、のみ込んでしまうということになれば、これは消化不良を起こして、決して、からだによくない。だから、私はむずかしいことを言っているわけではない。社会党が言っていることは、食いものは、よくかんでから、のむようにしろ、かんだふりをして、のみ込んじゃいかぬ、こういうことを言っているわけであります。消化不良を起こさないためにも、この点は国会議員として十分に留意をしなければならないところだろうと思います。  もし、自民党各位国会議員としての良心をもってこういう重要な法案を取り扱おうというお気持ちがおありになるならば、われわれが言っておりますことは、少しもむずかしいことでもなければ、あるいはまた困難なことを注文つけているわけでもないということを、御理解が願えるだろうと思います。すこぶる単純明快な事柄をわれわれは要求しているのでありまして、それに対してなぜ皆さん方が謙虚な気持ちでわれわれの言うことに耳を傾けることができないのか。これは国民全般が聞いておって不可解ということになるであろうと思いますから、この点を明確にしていただくように要望いたしまして、まず、私の質問の第一段階の終わりにしたいと思います。(拍手)    〔草葉隆圓登壇拍手
  19. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 ただいまの瀬谷先生の御質問に対しまして、お答えを申し上げたいと存じます。  中間報告は、緊急を要する、あるいは必要がある、そういうので中間報告を求めたが、その緊急を要するというのはどういう意味かという意味の御質問の要点が中心であったと存じます。今回私ども中間報告を求めましたのは、五十六条の三にありまするように、「各議院は、委員会審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる。」という意味におきまして、特に必要を痛感いたした次第でございます。この、院においてその必要をお認めをいただいて中間報告が決定いたしましたあとにおいて、緊急性をお認めになって、その取り扱いは、今後の問題に相なると存じまするから、その点御了承をいただきたいと存じます。  第二の問題は、国会法五十一条の公聴会なり、あるいは連合審査なりをせずに進んできておるのではないか。——これは大蔵委員会内容の問題でございまするから、これらの問題の様子も私ども承知をいたしたいと存じまして、中間報告を求めたゆえんでございます。なお、十分かみ砕いてそして食べろ、かみ砕いたふりをして呑んでは、ぐあい悪い。それが審議中心ではないかという御意見に対しましては、私どもも同感でございまして、十分審議は尽くすべきものと考えております。(拍手
  20. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 瀬谷英行君。    〔瀬谷英行登壇拍手
  21. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ただいまお答えがございましたが、特に必要があるとき、緊急を要するときと、こういうことについて、私は先ほども言いましたように、きょうは五月二十七日だ。六月一日まで会期がある。ではなぜ緊急を要するか、なぜ必要があるか、これは幾らだってまだできるわけなんであります。社会党は、慎重審議をやろうと思えば、どんな慎重審議でも、徹夜してでもやる用意がございます。にもかかわらず、ここで中間報告を出さなければならなかった。日にちが十分あるにもかかわらず、何がゆえに、ということをわれわれが聞いているのでありまして、この、何がゆえにという点が、いまの答えではちっとも明確ではございません。それから、私が言いました、食いものはよく噛んでから呑むべきだということは同感だと、こうおっしゃいました。同感ならば同感のようにしてもらわなきゃ困るのです。先ほど申し上げましたように、連合審査もやる気がない、公聴会もやる気がない、おざなりに委員会審議を形式的にやって、そして事を済ませようとすることは、これは、私が言っていることに、ことばの上では同感をしているように見せかけても、実際はそうじゃない、形式だけで事を済ましてしまおう、こういうことにほかならないのであります。これは国民に対するごまかし以外の何ものでもございません。
  22. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 時間が超過いたしました。簡単に願います。
  23. 瀬谷英行

    瀬谷英行君(続) その点、もし私が言っていることに対して、ほんとうに同感をされるならば、なおここで、もう一度委員会連合審査もやりますと、あるいはまた公聴会も開きますということが約束できるのかどうか。できるならできるというふうに、ここでおっしゃっていただきたいと思います。    〔草葉隆圓登壇拍手
  24. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 重ねての御質問に対しまして、お答えを申し上げたいと思います。従来の中間報告もそうでございまするが、中には、なお十五日残っておった場合、二十九日会期が残っておった場合等においても、従来中間報告を求めた例がございます。今回われわれが中間報告を求めましたのは、五十六条の三によりまして、特に必要があると認めた場合、そうして中間報告は、院議によって決定して、その上で、特に緊急を要すると認めた場合には、それぞれの処置をとることになっております。したがって、必要の場合と緊急の場合とを、ここで区別をいたしておる次第でございますので、何がゆえにという点については、その点を御了承いただきたいと存じます。  なお、委員会において、あるいは公聴会なり連合審査会等を開く意思があるかどうか。——これは私の問題ではなく、今後中間報告の結果による委員会での取り扱いの問題に相なってくると存じますから、以上をもってお答えといたします。(拍手)      —————・—————
  25. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 山本利壽君外一名から、成規の賛成者を得て、  質疑終局の動議提出されました。  これより本動議の採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  26. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間がまいりますれば投票箱を閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。——まだ投票なさらない諸君は、すみやかに御投票願います。——時間がまいりますれば投票箱を閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。——まだ投票なさらない諸君は、すみやかに御投票ください。  制限時間に達しました。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  27. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  28. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百四十四票   白色票           九十五票   青色票           四十九票  よって質疑は終局することに決しました。      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名     九十五名       北口 龍徳君    野知 浩之君       二木 謙吾君    天埜 良吉君       鳥畠徳次郎君    大竹平八郎君       鈴木 恭一君    森部 隆輔君       森 八一三君    上原 正吉君       野本 品吉君    最上 英子君       岡崎 真一君    中山 福藏君       三木與吉郎君    野田 俊作君       小山邦太郎君    木暮武太夫君       笹森 順造君    源田  実君       熊谷太三郎君    久保 勘一君       山崎  斉君    井川 伊平君       石谷 憲男君    岸田 幸雄君       谷村 貞治君    川上 為治君       仲原 善一君    坪山 徳弥君       豊田 雅孝君    天坊 裕彦君       竹中 恒夫君    江藤  智君       亀井  光君    山下 春江君       堀本 宜実君    大谷 贇雄君       佐藤 芳男君    青柳 秀夫君       平島 敏夫君    山本 利壽君       堀  末治君    新谷寅三郎君       西郷吉之助君    木内 四郎君       植竹 春彦君    田中 茂穂君       大野木秀次郎君    寺尾  豊君       草葉 隆圓君    西川甚五郎君       重政 庸徳君    谷口 慶吉君       徳永 正利君    鍋島 直紹君       栗原 祐幸君    川野 三暁君       丸茂 重貞君    日高 広為君       温水 三郎君    村山 道雄君       北畠 教真君    大谷藤之助君       柴田  栄君    西田 信一君       稲浦 鹿藏君    石井  桂君       吉江 勝保君    中野 文門君       八木 一郎君    田中 啓一君       高野 一夫君    斎藤  昇君       塩見 俊二君    村松 久義君       小柳 牧衞君    増原 恵吉君       高橋  衛君    吉武 恵市君       林屋亀次郎君    郡  祐一君       安井  謙君    青木 一男君       迫水 久常君    高橋文五郎君       小林 篤一君    佐野  廣君       後藤 義隆君    横山 フク君       白井  勇君    小林 武治君       古池 信三君    下村  定君       小沢久太郎君     —————————————  反対者(青色票)氏名     四十九名       市川 房枝君    林   塩君       鈴木 市藏君    鬼木 勝利君       北條 雋八君    浅井  亨君       鈴木 一弘君    渋谷 邦彦君       辻  武寿君    白木義一郎君       瀬谷 英行君    稲葉 誠一君       渡辺 勘吉君    武内 五郎君       小柳  勇君    伊藤 顕道君       岡  三郎君    松澤 兼人君       大矢  正君    藤原 道子君       野溝  勝君    加藤シヅエ君       鈴木  強君    阿部 竹松君       岩間 正男君    小林  武君       松本 賢一君    佐野 芳雄君       野上  元君    中村 順造君       藤田藤太郎君    横川 正市君       相澤 重明君    森 元治郎君       占部 秀男君    光村 甚助君       田上 松衞君    藤田  進君       亀田 得治君    加瀬  完君       大和 与一君    柳岡 秋夫君       北村  暢君    小酒井義男君       佐多 忠隆君    中村 正雄君       椿  繁夫君    成瀬 幡治君       鈴木  壽君      —————・—————
  29. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。亀田得治君。   〔亀田得治君登壇拍手
  30. 亀田得治

    ○亀田得治君 私は、ただいま議題になっている動議反対をするものであります。  先ほど来の質疑応答を聞いておりますと、提案者のほうでは、中間報告を求めて、その報告を聞いた上で自後の問題が発展するという趣旨のことを言われているわけでありますが、これは全くしらじらしい答えだと思うのであります。この中間報告を求めている真意というものは天下周知のことでありまして、ここで直ちに採決にかけて、そうして多数で強行していこう、これが自民党の真意なのであります。私は、そういう「うそ」を言わないことのほうがいいのではないかと思います。(拍手)それで私は、この際、自民党諸君がそういう態度で中間報告を求めていることを前提にして、二、三、問題点について触れておきたいと思うのであります。  その第一は、政府自民党諸君は、よく、法律を守ってくれ、こういうことを言われます。労働者や中小企業者や、たくさんの人たちが自分たちの要求を持っている。なかなかそれが満たされない、生活をやるために、やむを得ずいろんな行動もとる、そういう場合に、よく出てくることばが、法律を守ってくれ、こういうことを言われるのであります。しかしながら、今回皆さんが中間報告まで求めて、そうしてこの法案を強行していこうとしている態度、それは一体、日本の法秩序というものを守っている行動とは断じて言えないと思うのであります。なぜならば、御承知のとおり、農地解放が行なわれた後に、その解放に対しまして、旧地主諸君から、いろいろな異論が出ました。そうして、これらの異論が裁判所に持ち込まれてきたわけであります。最終的に、最高裁判所は、昭和二十八年に、農地改革の合憲性というものを認めて、最終的な決定をいたしたわけであります。法を守るといいますが、しかし、個々の法の前に、三権分立ということが現在の法秩序の基礎になっておるわけであります。争いがあれば裁判所に持ち込む。持ち込むのは権利であります。しかし、そこで決定されれば、だれでもそれに従わなきゃならない。その決定に対して、なおかつ、それに反する行動をとれば、最終的に一体どこで問題の決着がつくのでしょう。一体政府自民党、多数党の方々が、そういう基本的な問題に触れるようなことを、世論を無視してまで行なっておられるのが、この農地報償法案であります。(拍手)  私は、こういう意味で、この法案というものは、はなはだもって、今後悪例を残す問題であろうと思うのであります。  単に、「補償」を「報償」と名前を変え、ことばを変えれば、それで抵触をしないのだとか、そういうものではありません。そういうこまかい点については、いずれ佐藤総理に、この場で聞きたいとも思っておりますが、しかし、そんなことは聞かなくとも、世間の人は、みんな真意を見抜いておるわけであります。こういうことが多数でもってまかり通るということであれば、政府自民党人たちは、今後、大衆に向かって、法を守れだとか、そういったような大それたことは言えません。また、そういうことを言いましても、その効果というものは半減されることを、皆さんは真剣にこれは考えてもらいたいと思うのであります。私たちは、それにもかかわらず、このような法案がどうしても出されてくる。端的に言うならば、これは自民党選挙対策であると言わなきゃなりません。旧地主団体が集まって、そうしてこの判決を内容的に変えていくような要求をなされまして、その過程におきまして、自民党国会議員諸君に働きかけ、そうして個々に判こを集めて回り、そうして自民党諸君は、選挙の際に援助をしてもらう、そういう立場で判こを押されたことは、これもまた世間周知のことなんであります。そのことが今日まで尾を引いているわけであります。私たちは、旧地主団体の中身を見ましても、必ずしも一部の幹部のようにみんなの地主が考えているわけじゃありません。つき合い上、悪いから、自分も分担金を出した。しかし、そんな法律案が通っても、自分は、そんな報償金にしろ補償金にしろ、もらう気持ちはない。だれでも金のほしいのは変わりはありません。しかし、これは農地解放は解放として一つ意味を持って進められたものだから、個人的に損得ということでそのような要求をしたくない。こういうことを言っておられる方々も多々あるわけであります。そういう情勢の中で、一部の者が中心になって金を集め、そうしてそれを与党のほうに働きかけ、ある人は相当その中からお金をいただいておるやに、私たち聞くわけであります。そういう結びつきの中でこの法律案が生まれているのであります。私は断じてこういうことは許せないと思うのであります。現に、どのマスコミの論説を見ても、この法案に賛成しているものは一つもないじゃありませんか。たいがいのことなら、まあ政府の立場も多少は考えて書くのが、普通の書き方であります。しかし、この法案に関する限り、どれ一つとして賛成しているものはないではありませんか。あるいは農政学者の皆さんの意見を聞きましても、同じであります。日本の農政上なさなければならぬことはたくさんあります。しかし、政府は、いつも金が足らない、こういうことで、農民の要求に十分応じておらぬわけであります。千五百億というような金があるなら、なぜ少しでもそういう積極面に出してくれないのだろうか。これが農政学者の一致した意見なのでございます。  政府が、総理府を中心にして、中央調査社にこの問題についての世論調査を委託しました。この世論調査は、ずいぶん政府の立場を認めさせようというような考え方で、議題自身が、質問自身がつくられております。こういうことも、こまかいことですが、はなはだけしからぬことなんですが、しかし、そういう出発点を持った世論調査でありましても、その結果はどうでしょう。決して政府の考え方を支持しておらぬではありませんか。その一番大きな数字が出ているのは、たとえ幾らかの補償、報償をするとしても、ほんとうに困っている人だけにすればいいのだと、これが六〇%の数字を示しておるわけであります。あの中央調査社の世論調査には、項目によっていろいろな数字が出ております。しかし、六〇%近くの数字というのは、どの項目にも出ておらぬわけであります。特に困っている人にだけすれば、それで足りるのだ、この点についてだけ六〇%という数字が出ているわけであります。この点だけを見ましても、それ以前の各種の調査などとも、やはり一致しているわけでありまして、こういう世論反対の中で、しかも、筋の通らない経過を持ったこういう法律案を、中間報告によってやろう、こういったようなことは、いまからでもおそくありませんから、すみやかに私は撤回を自民党に迫るものであります。(拍手)こういう重要問題であるにもかかわらず、衆議院では一体どうでした。委員会審議は混乱の中でやり、本会議は五月十四日、単独審議でこれを強行してまいっております。私は、この法案内容と、衆議院段階におけるそういう審議経過から見まして、参議院こそが、こういう問題については、ほんとうに慎重に審議をしなきゃならぬ問題であると考えているわけであります。
  31. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 亀田君、時間がまいりました。
  32. 亀田得治

    ○亀田得治君(続) もし参議院がそういうことをやらないとするならば、それこそ参議院無用論に通ずるのであります。参議院の政党化とかいろいろな問題があります。政党化が一つの道だといたしましても、その中にも、両院がある以上は、参議院自民党としては慎重にこの点は考えてもらわなければいかぬと思うものであります。
  33. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 亀田君、時間が超過しております。短時間に願います。
  34. 亀田得治

    ○亀田得治君(続) 衆議院でああいう強行採決をやられた、はいと、それに従って参議院自民党がいくようでは、これはもう意味がないと言わなければなりません。
  35. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 簡単に願います。
  36. 亀田得治

    ○亀田得治君(続) 議長は盛んに、簡単に簡単にと言われますが……。
  37. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 亀田君、時間を超過しております。
  38. 亀田得治

    ○亀田得治君(続) こういう重要問題は、そう簡単にはいかないわけであります。第一、参議院審議は一昨日まで順調にまいりました。それまで参議院においては、質問者がすべて、重要問題であるからというので、総理大臣の出席を求めていたわけであります。
  39. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 簡単に願います。
  40. 亀田得治

    ○亀田得治君(続) こまかい点についての質問をしようとするのではない。
  41. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) きまった時間が超過しております。
  42. 亀田得治

    ○亀田得治君(続) こういう法案についてのほんとうに基本的なことについて、総理みずからに答えてもらいたいというのが、木村禧八郎君、野溝先輩……。
  43. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 簡単に願います。
  44. 亀田得治

    ○亀田得治君(続) 私たちの考えでありました。しかるに、委員長はなかなかそういう努力もほんとうにしない。しかしながら、結局、社会党側の理屈に押されまして、五月二十五日の委員会におきましては、それでは五月二十七日の大蔵委員会には、佐藤総理にも来てもらって質問をしていただきましょうと、こういうふうに委員長が約束をされておるわけであります。
  45. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 簡単に願います。
  46. 亀田得治

    ○亀田得治君(続) にもかかわらず、本日二十七日を待たないで、こういう動議を出されてくるということは、はなはだもって私としては遺憾であります。
  47. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) すみやかに願います。
  48. 亀田得治

    ○亀田得治君(続) 私は、こういう経過から見まして、すみやかに、こういう動議は、採決に至るまでもなく、撤回をすることが参議院良識であるということを再度訴えまして、反対の討論にする次第であります。(拍手)     —————————————
  49. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 渡辺勘吉君。    〔渡辺勘吉君登壇拍手
  50. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私は、日本社会党を代表して、いわゆる農地報償法案中間報告を求める動議に対して、反対の討論を行なうものであります。  御承知のように、国民注視のこの法律案は、去る五月十八日の大蔵委員会において、自由民主党は、まだほとんど審議らしい審議をやっていなかったにもかかわらず、突如として質疑打ち切りの暴挙をあえて行なったものであります。しかるに、本日また中間報告の挙に出たことは、議会民主主義のルールをじゅうりんし、国民の信頼を無視した行為と断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  私がまず第一に指摘したい点は、旧藩時代以来、わが国の農業に君臨した、いわゆる地主制というものを、与党諸君は何を考え、これを打破するため実施された農地改革をどう評価しているかということであります。戦前のわが国農業を支配した寄生地主制は、一言にして言い尽くせば、大名の搾取を地主が横取りし、零細農の没落に乗じて耕地を兼併したものでありまして、旧地主は、農業の発展に何ら寄与しなかっただけではなく、多額の現物小作料を収奪することによって、農村の民主化と農業の発展を抑圧するという、一種の社会悪をもたらす役割りを果たしてきたのであり、旧地主は、多かれ少なかれ、この忌まわしい役割りを演じた、にない手なのであります。したがいまして、旧地主に対して、戦争被害者等の他の問題と同じような意味で、単に同情的な見方をすることは、農地改革の真の意味を理解しない浅薄な見方であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)したがいまして、私どもは、かような役割りを果たしてきた旧地主に対し、いまごろになって報償金を出すようなことに根本的な疑問を抱かざるを得ません。  すでに指摘しているがごとく、農地改革は全く合法的に実施され、その買収価格も適正であったことは、最高裁の判決等によってきわめて明白であります。その上、農地改革当時、買収価格のほかに、その三割の報償金をすでに旧地主に支払っているのでありまして、いままた、再び報償金を出す理由が那辺にあるのか、その真意を理解することは、常識をもってしてはとうていでき得ざる暴挙であります。  政府のこのような不公平な甘い考え方には、さらに重要な問題が伏在しております。農地改革が完了して十五年もたってから、理由をあいまいにしたままで報償金を出すような例をつくるということは、政府与党による安易な高度経済成長政策によって、さなきだに上昇しがちな地価を、一そう高騰させているということを考えますときに、非常な悪例をつくるものだと言わざるを得ないのであります。たとえば、今後農地の移動については、政府買収のケースも考えられているごとくでありますが、買収の済んだ農地に対して、長期間を経過してから報償金を出すごとき先例を開くということは、いたずらに耕作農地の地価を高める矛盾をあえてし、今後の農地政策の運用に重大な禍根を残すことを銘記すべきであります。  また、当時の買収価格が供出米価格を基準として算定した収益価格であることに不満を抱く向きがあるようでありますけれども、もし、この買収価格が不当に安かったとするならば、当時の供出米価が不当に低かったことが、まず問題にされなければならぬと思うのであります。そして、何よりも、すべての供出農家が大きな経済的犠牲を払ってきたことが、地主報償よりも先に問題にされ、この報償が先に行なわれなければ、首尾が一貫しないのであります。  さらにまた、政府は、農地改革が、戦前から行なわれてきた自作農育成政策の総決算であるという点を、必要以上に強調して、農地報償がいわゆる戦後処理対策でないことを強弁する立場をとっておりますが、これくらい国民を愚弄する詭弁はないと断ぜざるを得ません。この問題がかくも強調されるに至ったことについては、最近の土地ブームによりまして、解放農地が、特に都市近郊等で、宅地、工場用地等に高い地価でこれが転用されているということが、一つの大きな理由でありましょう。これによって農地買収された旧地主が不満を大きくしていることは、一応理解できないわけでもないのでありますけれども、これは、政府土地政策の無為無策と、地価対策の貧困と失敗とを示すものであって、農地改革とは何らの関係のないことであります。事実、戦後のインフレがなかったならば、この問題は起こらなかったはずでありまして、このような意味からいたしまして、この問題は、政府の強弁にもかかわらず、文字どおり、戦後処理問題の一つであることは、言論界の指摘するとおりであります。したがいまして、私は、この旧地主への報償問題が類似の問題に波及することを、わが国の将来のためにはなはだ憂えるものであります。また、この旧地主への無益な報償によって、国は十年間に約一千五百億円にのぼる国費を負担しなければならないのであります。しかし、この膨大な額の国民の血税は、わが国民経済の建設的な発展のため何らの貢献も期待できないことは言うまでもありません。  このような諸点を考えながら、ひるがえって農業の現状を見ますと、わが国農業はまさにその構造的危機に瀕しており、加うるに、天明三年、百八十年来だと称せられる天候異変による凶作予報に、農村はいまや暗黒のとばりに閉じ込められている実態であります。かくして、農業は他産業よりますますおくれ、その所得の格差が一そう拡大していく問題を、どうすることもできない現状におきまして、なすべきこと、なさねばならないことの多いこのような現下の農業の状況の中において、農地報償のごとき、理由が全く薄弱で、文字どおり、不公平、不合理、不生産的なことに、国民の血税をむだづかいする政府の真意を疑わざるを得ないのであります。(拍手)  私が所属いたしております農林水産委員会におきましては、かように問題のあまりに多い本法案について、連合審査会を開くべきであるという意見が強くて、理事会においてこの問題について協議中であったのでありますが、この問題に最も関連の深い農林水産委員会の意向すら無視して、突如として中間報告を求めるがごときことは、断じて許すことができません。  与党諸君におかれましても、単に政治力の強い旧地主の勢力におもねることなく、すべての疑問を国会の場で国民に対しこれを明白にし、すべての国民の納得を得るようにつとめることこそ、われわれ議会人の任務であることに思いをいたされ、すみやかにこのファッショ的な動議を撤回されることを勧告して、反対の討論とする次第であります。(拍手)      —————・—————
  51. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 山本利壽君外一名から、成規の賛成者を得て、  討論終局の動議提出されました。  これより、本動議の採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  52. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) すみかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間がまいりますれば、投票箱を閉鎖いたします。——すみやかに御投票を願います。——まだ投票なさらない諸君は、すみやかに御投票ください。——すみやかに御投票願います。  制限時間に達しました。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  53. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  54. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        百四十五票   白色票         九十九票   青色票        四十六票  よって討論は終局することに決しました。      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      九十九名       北口 龍徳君    野知 浩之君       二木 謙吾君    天埜 良吉君       鳥畠徳次郎君    大竹平八郎君       前田佳都男君    鈴木 恭一君       森部 隆輔君    森 八三一君       上原 正吉君    野本 品吉君       最上 英子君    岡崎 真一君       中山 福藏君    三木與吉郎君       野田 俊作君    小山邦太郎君       木暮武太夫君    笹森 順造君       源田  実君    熊谷太三郎君       久保 勘一君    山崎  斉君       井川 伊平君    石谷 憲男君       植垣弥一郎君    岸田 幸雄君       谷村 貞治君    川上 為治君       仲原 善一君    坪山 徳弥君       豊田 雅孝君    天坊 裕彦君       竹中 恒夫君    江藤  智君       亀井  光君    山下 春江君       堀本 宜実君    大谷 贇雄君       佐藤 芳男君    青柳 秀夫君       平島 敏夫君    山本 利壽君       堀  末治君    新谷寅三郎君       紅露 みつ君    木内 四郎君       植竹 春彦君    田中 茂穂君       大野木秀次郎君    寺尾  豊君       草葉 隆圓君    井野 碩哉君       重政 庸徳君    谷口 慶吉君       徳永 正利君    鍋島 直紹君       栗原 祐幸君    川野 三暁君       丸茂 重貞君    日高 広為君       温水 三郎君    村山 道雄君       北畠 教真君    大谷藤之助君       柴田  栄君    西田 信一君       松野 孝一君    稲浦 鹿藏君       石井  桂君    吉江 勝保君       中野 文門君    八木 一郎君       剱木 亨弘君    田中 啓一君       斎藤  昇君    塩見 俊二君       村松 久義君    小柳 牧衞君       増原 恵吉君    高橋  衛君       吉武 恵市君    林屋亀次郎君       郡  祐一君    安井  謙君       青木 一男君    迫水 久常君       高橋文五郎君    小林 篤一君       佐野  廣君    後藤 義隆君       横山 フク君    白井  勇君       小林 武治君    古池 信三君       宮澤 喜一君    下村  定君       小沢久太郎君     —————————————  反対者(青色票)氏名     四十六名       市川 房枝君    林   塩君       鈴木 市藏君    鬼木 勝利君       北條 雋八君    浅井  亨君       鈴木 一弘君    渋谷 邦彦君       辻  武寿君    白木義一郎君       瀬谷 英行君    稲葉 誠一君       渡辺 勘吉君    千葉千代世君       武内 五郎君    小柳  勇君       伊藤 顕道君    岡  三郎君       松澤 兼人君    大矢  正君       藤原 道子君    野溝  勝君       鈴木  強君    阿部 竹松君       岩間 正男君    小林  武君       松本 賢一君    佐野 芳雄君       野上  元君    中村 順造君       藤田藤太郎君    横川 正市君       相澤 重明君    占部 秀男君       光村 甚助君    藤田  進君       亀田 得治君    加瀬  完君       大和 与一君    柳岡 秋夫君       北村  暢君    小酒井義男君       佐多 忠隆君    椿  繁夫君       成瀬 幡治君    曾禰  益君      —————・—————
  55. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 大矢正君から、賛成者を得て、  朝食のため休憩することの動議提出されました。  これより本動議の採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕    〔議長退席、副議長着席〕
  56. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) すみやかに御投票を願います。——すみやかに御投票をお願いいたします。——すみやかに御投票をお願いいたします。——ただいま行なわれております……。すみやかに投票をお願いいたします。——すみやかに投票をお願いいたします。——ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間がまいりますれば、投票箱を閉鎖いたします。——すみやかに御投票をお願いいたします。——すみやかに御投票をお願いいたします。  制限時間に達しました。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  57. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  58. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百四十二票   白色票           四十六票    〔拍手〕   青色票           九十六票    〔拍手〕  よって、本動議は否決せられました。      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名     四十六名       市川 房枝君    林   塩君       鈴木 市藏君    鬼木 勝利君       北條 雋八君    浅井  亨君       鈴木 一弘君    渋谷 邦彦君       辻  武寿君    白木義一郎君       瀬谷 英行君    稲葉 誠一君       千葉千代世君    武内 五郎君       小柳  勇君    伊藤 顕道君       岡  三郎君    松澤 兼人君       大矢  正君    田中  一君       藤原 道子君    野溝  勝君       鈴木  強君    阿部 竹松君       岩間 正男君    小林  武君       松本 賢一君    佐野 芳雄君       野上  元君    中村 順造君       藤田藤太郎君    横川 正市君       相澤 重明君    森 元治郎君       占部 秀男君    光村 甚助君       藤田  進君    亀田 得治君       大和 与一君    柳岡 秋夫君       北村  暢君    小酒井義男君       佐多 忠隆君    椿  繁夫君       成瀬 幡治君    鈴木  壽君     —————————————  反対者(青色票)氏名     九十六名       北口 龍徳君    野知 浩之君       二木 謙吾君    天埜 良吉君       大竹平八郎君    前田佳都男君       鈴木 恭一君    森部 隆輔君       森 八三一君    上原 正吉君       最上 英子君    岡崎 真一君       中山 福藏君    三木與吉郎君       野田 俊作君    小山邦太郎君       木暮武太夫君    笹森 順造君       源田  実君    熊谷太三郎君       久保 勘一君    山崎  斉君       井川 伊平君    石谷 憲男君       植垣弥一郎君    岸田 幸雄君       谷村 貞治君    川上 為治君       仲原 善一君    坪山 徳弥君       豊田 雅孝君    天坊 裕彦君       竹中 恒夫君    江藤  智君       亀井  光君    山下 春江君       堀本 宜実君    大谷 贇雄君       佐藤 芳男君    青柳 秀夫君       平島 敏夫君    山本 利壽君       堀  末治君    新谷寅三郎君       紅露 みつ君    木内 四郎君       植竹 春彦君    田中 茂穂君       小林 英三君    大野木秀次郎君       寺尾  豊君    草葉 隆圓君       井野 碩哉君    谷口 慶吉君       徳永 正利君    鍋島 直紹君       栗原 祐幸君    川野 三暁君       丸茂 重貞君    日高 広為君       温水 三郎君    村山 道雄君       北畠 教真君    大谷藤之助君       柴田  栄君    松野 孝一君       稲浦 鹿藏君    石井  桂君       吉江 勝保君    中野 文門君       八木 一郎君    剱木 亨弘君       田中 啓一君    高野 一夫君       斎藤  昇君    塩見 俊二君       村松 久義君    小柳 牧衞君       吉武 恵市君    林屋亀次郎君       郡  祐一君    安井  謙君       迫水 久常君    高橋文五郎君       小林 篤一君    佐野  廣君       後藤 義隆君    横山 フク君       白井  勇君    小林 武治君       古池 信三君    宮澤 喜一君       下村  定君    小沢久太郎君       田上 松衞君    曾禰  益君      —————・—————
  59. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これより草葉隆圓君外一名提出中間報告を求めることの動議の採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  60. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) すみやかに御投票をお願いいたします。——すみやかに投票をお願いいたします。——すみやかにお願いいたします。——ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間がまいりますれば、投票箱を閉鎖いたします。——すみやかに御投票を願います。——まだ投票なさらない諸君は、すみやかに御投票ください。——すみやかに御投票願います。——投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  61. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  62. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百四十三票   白色票           九十八票   青色票           四十五票  よって、大蔵委員会において審査中の農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案について、すみやかに大蔵委員長中間報告を求めることに決しました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      九十八名       北口 龍徳君    野知 浩之君       二木 謙吾君    天埜 良吉君       鳥畠徳次郎君    大竹平八郎君       前田佳都男君    鈴木 恭一君       森部 隆輔君    森 八三一君       上原 正吉君    最上 英子君       岡崎 真一君    中山 福藏君       三木與吉郎君    野田 俊作君       小山邦太郎君    木暮武太夫君       笹森 順造君    源田  実君       熊谷太三郎君    久保 勘一君       山崎  斉君    井川 伊平君       石谷 憲男君    植垣弥一郎君       谷村 貞治君    川上 為治君       仲原 善一君    坪山 徳弥君       豊田 雅孝君    天坊 裕彦君       竹中 恒夫君    江藤  智君       亀井  光君    山下 春江君       堀本 宜実君    大谷 贇雄君       佐藤 芳男君    青柳 秀夫君       平島 敏夫君    山本 利壽君       堀  末治君    新谷寅三郎君       紅露 みつ君    木内 四郎君       植竹 春彦君    田中 茂穂君       小林 英三君    大野木秀次郎君       草葉 隆圓君    西川甚五郎君       谷口 慶吉君    徳永 正利君       鍋島 直紹君    村上 春藏君       栗原 祐幸君    川野 三暁君       丸茂 重貞君    日高 広為君       温水 三郎君    村山 道雄君       北畠 教真君    大谷藤之助君       柴田  栄君    松野 孝一君       稲浦 鹿藏君    石井  桂君       吉江 勝保君    中野 文門君       八木 一郎君    剱木 亨弘君       田中 啓一君    高野 一夫君       斎藤  昇君    塩見 俊二君       村松 久義君    小柳 牧衞君       増原 恵吉君    高橋  衛君       吉武 恵市君    林屋亀次郎君       郡  祐一君    安井  謙君       青木 一男君    迫水 久常君       高橋文五郎君    小林 篤一君       佐野  廣君    後藤 義隆君       横山 フク君    白井  勇君       小林 武治君    古池 信三君       宮澤 喜一君    下村  定君       杉原 荒太君    小沢久太郎君     —————————————  反対者(青色票)氏名      四十五名       鬼木 勝利君    北條 雋八君       浅井  亨君    鈴木 一弘君       渋谷 邦彦君    辻  武寿君       白木義一郎君    瀬谷 英行君       稲葉 誠一君    渡辺 勘吉君       千葉千代世君    武内 五郎君       小柳  勇君    伊藤 顕道君       岡  三郎君    大矢  正君       田中  一君    藤原 道子君       鈴木  強君    阿部 竹松君       岩間 正男君    小林  武君       松本 賢一君    佐野 芳雄君       野上  元君    中村 順造君       藤田藤太郎君    横川 正市君       相澤 重明君    森 元治郎君       占部 秀男君    光村 甚助君       田上 松衞君    藤田  進君       亀田 得治君    大和 与一君       柳岡 秋夫君    北村  暢君       小酒井義男君    佐多 忠隆君       中村 正雄君    椿  繁夫君       成瀬 幡治君    鈴木  壽君       曾禰  益君      —————・—————
  63. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これにて一時間休憩いたします。    午前八時五十分休憩      —————・—————    午前十時二十八分開議
  64. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  これより農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案につき、大蔵委員長中間報告を求めるのでありますが、  成瀬幡治君から、委員会審査省略要求書を付して、大蔵委員長西田信一解任決議案提出されておりますので、まず本決議案についておはかりいたします。  大蔵委員長西田信一解任決議案は、発議者要求のとおり、委員会審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって本案を議題といたします。  山本利壽君外一名から、賛成者を得て、  本案の議事における趣旨説明、質疑、討論その他の発言時間は、一人十分に制限することの動議提出されました。  よって、この時間制限の動議について採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  66. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間がまいりますれば、投票箱を閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。——時間がまいりますると投票箱を閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。——まだ投票なさらない諸君はすみやかに御投票ください。——すみやかに御投票ください。  制限時間に達しました。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  67. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  68. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百三十七票   白色票           八十六票   青色票           五十一票  よって、本案の議事における趣旨説明、質疑、討論その他の発言時間は、一人十分に制限することに決しました。      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名     八十六名       北口 龍徳君    野知 浩之君       二木 謙吾君    鳥畠徳次郎君       大竹平八郎君    前田佳都男君       森部 隆輔君    森 八三一君       最上 英子君    中山 福藏君       三木與吉郎君    野田 俊作君       小山邦太郎君    木暮武太夫君       笹森 順造君    植木 光教君       沢田 一精君    中上川アキ君       源田  実君    熊谷太三郎君       久保 勘一君    山崎  斉君       井川 伊平君    石谷 憲男君       植垣弥一郎君    谷村 貞治君       川上 為治君    仲原 善一君       坪山 徳弥君    豊田 雅孝君       天坊 裕彦君    江藤  智君       亀井  光君    山下 春江君       堀本 宜実君    佐藤 芳男君       青柳 秀夫君    平島 敏夫君       山本 利壽君    堀  末治君       新谷寅三郎君    紅露 みつ君       木内 四郎君    植竹 春彦君       田中 茂穂君    小林 英三君       大野木秀次郎君    草葉 隆圓君       平井 太郎君    西川甚五郎君       谷口 慶吉君    徳永 正利君       鍋島 直紹君    村上 春藏君       栗原 祐幸君    丸茂 重貞君       日高 広為君    北畠 教真君       柴田  栄君    西田 信一君       稲浦 鹿藏君    石井  桂君       吉江 勝保君    中野 文門君       井上 清一君    八木 一郎君       剱木 亨弘君    田中 啓一君       斎藤  昇君    塩見 俊二君       小柳 牧衞君    高橋  衛君       吉武 恵市君    林屋亀次郎君       郡  祐一君    安井  謙君       迫水 久常君    高橋文五郎君       小林 篤一君    佐野  廣君       後藤 義隆君    横山 フク君       白井  勇君    古池 信三君       宮澤 喜一君    小沢久太郎君     —————————————  反対者(青色票)氏名     五十一名       林   塩君    鈴木 市藏君       石田 次男君    鬼木 勝利君       北條 雋八君    浅井  亨君       渋谷 邦彦君    白木義一郎君       瀬谷 英行君    稲葉 誠一君       渡辺 勘吉君    林  虎雄君       千葉千代世君    武内 五郎君       小柳  勇君    柴谷  要君       伊藤 顕道君    岡  三郎君       大倉 精一君    戸叶  武君       松澤 兼人君    大矢  正君       藤原 道子君    野溝  勝君       加藤シヅエ君    鈴木  強君       阿部 竹松君    岩間 正男君       小林  武君    佐野 芳雄君       高山 恒雄君    野上  元君       中村 順造君    藤田藤太郎君       横川 正市君    相澤 重明君       森 元治郎君    占部 秀男君       光村 甚助君    藤田  進君       亀田 得治君    加瀬  完君       大和 与一君    田畑 金光君       柳岡 秋夫君    北村  暢君       小酒井義男君    村尾 重雄君       椿  繁夫君    成瀬 幡治君       鈴木  壽君      —————・—————
  69. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより発議者の趣旨説明を求めます。成瀬幡治君。    〔成瀬幡治登壇拍手
  70. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ただいま山本さんから出ました時間制限の問題があるわけでございますが、こういう不信任の提案理由の説明というようなものは、非常に重大な問題でございまして、しかも、その任に当たる私が、生来口べたで、そこつ者でございますから、こういうときに制限をされますと、人が人を裁くようなことで、手落ちがあってはたいへんだと思います。元来、言論の府である国会が、何かにつけて発言の制限をするがごときは、自縄自縛、自殺行為でありますから、これからは、こういうことをやらないように、くれぐれもお願いを申し上げます。先ほど動議を出された方においても、自後は一切やらないようにしていただきたいと思うわけでございます。そこで、    大蔵委員長西田信一解任決議案   本院は、大蔵委員長西田信一君を委員長の職より解任する。   右決議する。      理 由   農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案は、農地解放の精神にもとり、最高裁判所の判例に照らしても多くの疑義を有する悪法であることは、天下周知のところである。   しかも本法案は巨額にのぼる国家予算をともない、懸案の戦争犠牲者補償問題に影響を及ぼす重大法案であることを考えるとき、参議院としては、第二院の立場から慎重に審議し、その処理にあたるべきが当然である。   しかるに政府自民党提案説明後わずかに一名の質疑を終ったのみで野党各派の発言を封殺して、突如抜打ち的に質疑打切りの挙に出たことは、国会のルールと民主主義を破壊する行為というべきであって、これを強行した大蔵委員長責任はまことに重大である。   しかも、その後、連合審査会、参考人意見聴取も行なわず三名の質疑でこれを糊塗せんとした議事の運営は、公正なるべき委員長の態度ではない。われわれは、院の権威保持のためかかる委員長の解任を要求するものである。(拍手)  以上でございますが、西田委員長は、経歴を読みましても、実にりっぱな方でございます。たとえば苫小牧の助役、町長、北海道議会議員、参議院当選二回、明治三十五年の生まれのようでございまして、不惑の年齢のお方でございまして、この不惑の西田さんを迷わしめたものはだれかというと、これは自民党諸君だと思うわけでございます。大蔵委員会は、なるほど農地補償法案、いわゆる農地報償法案という法律案もございますが、これはしかし、いま世間で一般に関心を持ち、また、皆さんとともにわれわれが重大に考えているものは、ただ単にこの法律案のみではございません。御案内のとおり、山一証券の問題もございます。吹原産業の問題もございます。あるいは外貨が急になくなっている。これが日本の経済にどういうような影響を及ぼしてくるか等々の問題を、いろいろと審議せなければならない時に当たっていると思います。そういうときに、あとでこの審議経過等の問題については若干意見として触れたいと思うわけでございますけれども、何か農地補償だけにとらわれてしまって、こういう国民とともに考えていかなくちゃならない重大な問題について、何ら審議をされないというような点、私たちも理事会で何べんか委員長にお願いをしたわけでございますけれども自民党の圧力に屈服をされて、あの賢明な西田委員長の判断を誤らせるようなことをしたという点は、非常に残念でございます。なぜ山一証券が重大であるかと申しますと、一言だけ申しておきますが、御案内のとおり、今日、山一証券が持っているところの負債総額というものはどのくらいあるかと申しますと、大体、都市銀行、長期、その他いわゆる相銀等を含めまして、大体借り入れ金が三百五億三百万あるわけでございます。そして、運用預かりが五百五十五億あるわけでございます。そして、いままでの累積赤字も二百五十億、そういたしますと、大体、計千百十億の赤字があるということが、ほぼわかっているのでございます。しかも、資本金は、御案内のとおり、八十億なのでございます。そして山一の経常収入は、月にいたしまして約十億、支出は大体九億、そういたしますと、差し引きなるほどそこには一億の黒字が出ることになるわけでございますけれども、しかし、いま申しましたような、こういう都市銀行、長銀、信託、相銀等、その他の借り入れ金あるいは運用預かり金、あるいは、かつての累積赤字等を含めますと、やはり利子負担が月々六億あるわけでございます。したがって、支出総額というものは大体十五億ぐらいあることになります。そこで、大体その十五億ということになれば、当然赤字というものが出るわけでございますが、今回の措置によりまして、なるほど日銀がいろいろと、てこ入れいたしまして、都市銀行の金利のたな上げであるとか、あるいは信託の利子の半額等の問題、あるいは山一自身が店舗を九十を八十にするとか、人員を整理する、そういうような合理化等をやりましても、三億五千万くらいの合理化はできますけれども、差し引きいたしますと、やはりそこに毎月一億五千万の赤字というものは何としても消えないのでございます。しかも、この山一は、投資信託の設定もやっておる。その投資信託の設定額を見ましても、投資信託の設定額は総額一兆一千億といわれている。そのうち山一は大体二千億の設定を持っているわけでございますが、今日の時点では、こういうときでございますから、解約の申し出が出ている。こういうようなことになれば、少々のてこ入れではなかなか問題は解決しないと思う。しかも、そういうことに対しまして、日本銀行が、直接融資ではございませんけれども、間接融資をやっている。こういうことは、銀行が倒産をしたときと同じことです。恐慌の第一歩に入っているじゃございませんか。こういうような問題については何ら大蔵委員会において触れさせないという、そういうことがいいか悪いかという問題を、皆さんに私は判断してもらいたいと思って申し上げているわけでございます。御案内のとおり、企業間の信用手形は大体二十兆といわれている。オーバーローンですよ。こういう問題がなぜ大蔵委員会で取り上げられないのか。なるほど、法案としては、いわゆる農地報償法でしょう。しかし、委員会というものは、単に法案審議するだけがわれわれの任務ではないと思います。こういうような問題についても議論するというのが、私は委員長の任務であると思うわけでございます。  次に、この法律案が付託されたのは、御案内のとおり、十四日の日に送付されてまいりました。それからどういうことになったかといえば、十八日の日に、速記録を見ますと、「〇佐野廣君 委員長、議事進行……」と、こうなって、あとがやがやなんていって、「〇委員長(西田信一君) 暫時休憩いたします。」、こういうことになって十八日は終わっているようでございます。これは何をおやりになったか、よくわからないわけでございますけれども、十八日にはそういうことをやり、そして、二十一日の日に国会対策委員長会談が行なわれまして、国会は正常化となり、大蔵委員会審議を続けてやる、こういうことになってきたわけでございます。したがって、私たちは、その申し合わせにのっとりまして、二十五日には御案内のとおり質疑を実はしたわけでございます。ところが、こういう問題にからんで総理大臣の出席要求をいたしましたところ、総理は御都合が悪くて、おいでにならないというようなことがあり、夜の十時までございましたが、そのときに、委員長としては、総理が二十七日には——なぜ二十七日ということを申しますかというと、御案内のとおり定例日でございまして、定例日にはぜひ総理の出席について努力をするという確約をしておみえになるわけでございますが、二十六日の日に委員長職権で委員会開会の公報掲載がされておるわけでございます。そこで、なぜこういうことをされたのかというので、理事会か理事懇談会か、性格は不明確でございますけれども、そこでいろいろ委員長にお尋ねいたしました。これは、一体自民党の圧力に屈してあなたがおやりになったのか、自主的におやりになったのかと言ったら、自分がかってにやったということでございました。それでは理事会は委員会開会を前提としての理事会ですかとお尋ねしたら、そういう理事会でなければならぬと言いました。その委員会は、一体、きょうは審議をするというのか、本格的に。あなたたちがねらっているところの討論、採決、打ち切り、いろいろなことがあるけれども、そういう打ち切りをやらないということが保証ができますかということをお尋ねいたしました。なぜそういうことを私のほうで念を押さなければならないかと申しますと、御案内のとおり、本会議が開かれておった。そうして、なるほどこれは定例日でございますし、予定の法案もある。法律案が上がったら散会されるかと言ったら、いや、大蔵委員会のほうの形がどうなるかわからないから、散会することはできぬというお話、こういうことを考えてみると、二十六日には、どうやっても召しとりを意図されているように委員長は口では、いや、慎重に審議しなければいかぬとか、ああじゃなければいかぬと言っておみえになりますけれども、召しとりしか考えておみえにならない。しかも、自民党諸君認めておみえになるように、重要法案であるとおっしゃるならば、当然連合審査はやるべきでしょう。参考人意見を徴するというのがあたりまえのことでございましょう。こういうことまで無視してやろうとすることは、一体何のためですか。ただ法案さえ多数の力で通しさえすればいいじゃないか、これこそ多数の横暴というものでございましょう。こういうことは、何と申しましても、よい前例ではございません。悪例でございます。参議院の権威をみずからの手によってこわす、そういうことになります。こういうことを、あやまちを西田委員長にしいるような自民党の方に、実は不信任案が出したいわけでございますけれども、そうはいきません。やはりその責任は、何と申しましても委員長で、運悪くやっておみえになる委員長に負っていただかなければなりませんから、あえて西田委員長解任の決議案を提案した次第でございます。  どうぞ、皆さん方の御賛同を心からお願いを申し上げまして、提案理由の説明にかえさしていただきます。(拍手
  71. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 質疑の通告がございます。順次発言を許します。横川正市君。    〔横川正市君登壇拍手
  72. 横川正市

    ○横川正市君 ただいま提出されました大蔵委員長西田信一君に対する解任決議案に対しまして、私は提案者に対して、以下数点にわたって質問をいたしたいと思います。  西田君の大蔵委員会における委員長としての議事運営に対し、遺憾とする事項が数点指摘されたわけであります。その第一は、審議審議時間から見て不十分であり、総理の出席、他委員会におけるところの連合審査、または参考人意見の聴取を行なっておらない。第二は、個人の人格という点ではこれは認められておりますけれども、そのことは無視されて、党派の利害が優先し、党派の利己心が、混乱を起こしたのではないかという点。第三点は、現在黒いうわさのある吹原事件、経済界に対して混乱を起こしております山一事件、このような重要な問題が山積している大蔵委員会としての審議の選択権に対して、委員長が誤った方針をとったのではないかという点が指摘をされたわけであります。私どもは、議会における案件審議にあたって、与野党間に決定的に対立が皆無だということは、これは求めても求められない問題だと思います。しかし、また、それぞれの党に籍は置いておりましても、その考え方や行動に相通ずる点があるということも、またこれは真理であります。私どもは、よき選良として、議会における活動を通じ、国民に対して責任を果たすということが、われわれの正義であり、そのため、案件に対し、その内容に差異のある場合、従来審議を通じて互いに譲り合い、法案の部分修正等の方法をとりながら、その法律の成立を期すことによって国民生活に必要な法律をつくるために努力する、これがわれわれのあたりまえの任務であります。だから、与党も、野党審議活動、議会活動については、これを認めているわけであります。こういうような議会運営の点から、私は一番大切なのは何かといいますと、これはいろいろ党派その他から問題が起こってまいりますけれども、これらを処理するのに一番大切なのは、やはり個人の良心とか、あるいは個人の他との振り合いの中におけるところの融和であるとか、こういった問題が、私は議会運営にはきわめて大切なことであろうと思うのであります。こういう観点から、大蔵委員会において審議された農地報償のこれらの問題というものを関連させながら考えてみますと、当面問題となっております報償法をめぐっての、しかも、経済の資金事情や予算のいろいろな面からくるところの困難な事情というものについても、さらにまた農業構造改善や本年予想される冷害型に対処する政策、ことに、昨年の冷害の経験から、北海道、東北等に対して、寒地農業の根本的体質改善が叫ばれてまいっておりましたし、これは、あなた方の中にも十分に検討し実施に移すと公約をされておりますけれども、ほとんど見るべき業績を残しておらない問題であります。さらには、消費物価の高騰を来たし、経済のひずみ是正をしなければならない等々の問題を考察してまいりますと、私は、今日この問題をこういう形で審議しておるということ自体に対して、議会の政治的な良心について心の痛みを感ずるわけであります。党派心や利己心のきわめて強い農地報償というような法律案を、私はこの議場で認めるということについて、いさぎよしとしません。中間報告その他に対しても、議会運営上これは軽々に取り上げるべき問題ではない。そういう手段に訴えるべきではない。これは私どもは、何回か問題を通じて、その間違いを正すための反省をいたしたのであります。多数党の無反省によるところの独善的な無理押しによってこういう議事が進行されるということについては、私はきわめて遺憾であると思うのであります。ことに、佐藤内閣が発足をいたしまして、国民の前に明らかにしたといわれております、前内閣、すなわち池田内閣が、重要案件についてはこれを処理、する能力のない無実行の内閣であると批判をし、実行ある内閣一つの方針として、たとえばILO、案件の処理、日韓会談、そしてこの農地報償と、取り上げられたのであります。しかし、わが党が賛成するILOの案件においてさえ、これは一年ないし一年半以降に重要問題は取り残されておりまして、現内閣が実力をもって処理したということは言われないでありましょう。また、日韓や農地報償ということになりますと、前内閣が無力によってこれが今日まで遅延したのでは私はないと思います。すなわち、与党の中にある良心的な分子が圧力団体に抵抗して筋を通したことが、今日見送りとなってきた原因であろうと私は思うのであります。そういうような観点から考えてみますと、この法案処理の高姿勢は、非良心と逆行的な姿勢を強硬に押し出したといわなければならぬと思うのでありまして、佐藤内閣にとってはきわめて遺憾なできごとだと私は思うのであります。今日、新聞世論その他を通してみましても、農地報償ということがいかに悪評であるかということは、皆さんが一番よく知っておられることであろうと思うのであります。  こういう点から勘案してみまして、第一に、この法案審議に当たりました委員会、その主宰者でありますところの西田委員長の解任決議の提案者成瀬さんにお聞きいたしたいのは、私は、西田さんが北海道の出身で、私と同じ出身でありますから、先般大蔵委員長に就任をいたしましたときに、私はこういうあいさつ状をいただきました。これは西田君の後援会の方々が主催をした大蔵委員長就任祝賀会の案内状であります。不幸にして私は出席はできませんでしたが、丁重に祝電を送りました。私は、おそらく西田君は、この祝賀会でのあいさつの中に、今日あるを予期して、かかる事態を惹起することを蛮勇をふるってやるというような約束はいたさなかったと思います。儀礼的であれ、政治家として、議会運営、公正無私、全く党派心を離れ、利己心を離れて議会運営をすると、あいさつしたはずであります。私はそれを信じております。まあそういう観点から、おそらく西田君が大蔵委員長就任の委員会におけるあいさつも、与野党を通じて会議の進行に協力を求めたときのあいさつは、一体、今日のような無謀な審議を行なう、こういうことを予想してのあいさつでは、私はなかったと思います。議事運営について、今日とその所信との間に、一体どのような差が出てきたのか。私はそれがなぜ重要かといたしますと、こういう点が出てくることは、これは人間性の問題から見て許される問題ではないと思うのであります。非常に重要な問題であろうと思いますので、第一点としてこの点をお聞きをいたしたいと思います。  第二は、委員会での審議が、委員長の議事さばきによって運ばれることは、きわめてこれは当然であります。しかし、その議事さばきの途中に、総理の出席を求めてというふうに野党側から要求が出ております。先般ILOの委員会審議がありましたが、安井委員長は、当初に理事を通じて総理の出席を日程にあげながら審議に入ることを求めてまいったことは、私は記憶新たでありまして、かかる案件が出だしたときに、しかも、与党の最重要案件として出された場合に、なぜ、当初に総理の出席を求めて、総理の所信をただすという、そういう議事運びをしなかったのか、これはきわめて私は遺憾な点であると思うのであります。なぜこういう結果になったかについて、第二の質問をいたしたいと思います。  第三点は、議事運営は、これは、人間の知恵と、そうしてまた経験によって前進をいたしていくものであります。そういう前進の中から、今回の中間報告というようなことは、予想もできなかった問題でありまして、この法案それ自体の持っております悪評とあわせ考えてみますと、今日のこの中間報告は、きわめて私の不満とするところでありますけれども、この報告を受けるに至った経緯について、第三点としてお尋ねをいたします。  第四点は、たび重なる委員会審議軽視の問題であります。さきにスーパーマーケット法案で、仲原農林委員長は、委員会において謝罪をし、かかることは再び行なわれないことを公にいたしまして、審議が再開されました。しかも、日ならずして大蔵委員会が同じような審議を行なうということは、私は、与党であります自由民主党の委員に、非常に遺憾の意を表さなければなりませんし、また、こういうことが慣例となるということは、私は議会の自殺行為であろうと思うのであります。こういう観点から、法規、慣例または慣行等は、民主的な議会の運営上、これはあくまでも前進の姿があってしかるべきであろうと思うのでありますが、こういう観点から、各委員会との連合審査参考人意見の聴取が行なわれないまま今日に至った経緯等について、つまびらかに報告を受けたい、かように考えまして、質問をいたした次第であります。  以上四点を御質問申し上げまして、詳細な御回答をお願い申し上げる次第であります。(拍手)    〔成瀬幡治登壇拍手
  73. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 横川君の同郷であり、いろいろと党派を越えてのおつき合いもある、そういう、何と申しますか、同郷のよしみと申しましょうか、同志愛というわけじゃございませんが、何にしましても、とにかく同僚として非常に御心配の上に立ってのまことに御質問でございまして、一々ごもっともな点だと思うのでありますが、そこで、まず第一にお答え申し上げたい点は、西田委員長は委員会を公平に運営をされたかどうかという点でございますが、西田さんそれ自身の方は、私は、最初に申しましたように、経歴その他から推しましても、あるいは風貌から推しましても、まことに私利私欲なんということは離れて、実に公平そのもののお人柄だと思うわけであります。しかも、いま申しましたように六十を少しこえておいでになる、いわゆる年齢で言えば不惑の年齢の方で、もう惑わされないお方なんであります。それを惑わしてしまっている者があるというところに問題があるわけでございまして、この責任はだれかといえば、そのうしろの者がおられるわけでございますけれども、やはり形を整えてということになれば、それは委員長だということにならざるを得ない。こういう点で御了解をいただきたいと思うわけでございます。  第二点の、この法案に対するところの総理の出席問題でございますけれども、これは御案内のとおり、自民党方たち等も、重要法案であるんだから当然総理の出席等は予測されていると思いますけれども、事前にいま横川君が指摘されるような点の取り計らいは実はございませんでした。ただ、亀田委員質問に対して、二十五日の八時には出席が大体可能であるというような御返事を実はいただきましたけれども、二十七日の日には、なお定例日であることであるから、朝からといいましても、まあ十時ないし十一時だと思いますけれども、    〔議長退席、副議長着席〕 そのころに出席するように努力をする、亀田君の質問は二十七日の日に総理に対して出席を要求するということに対して、委員長の御返事は、努力をするという、そういうお話でございました。そこで、二十七日の日に総理が出席されるということを約束されたのかどうかという、二十七日ということが一つは問題点にもなるわけでございますが、受け取るほうの側として、これは亀田委員気持ちなり、あるいは野溝委員もやはり同じように総理の問題もございました、あるいは後刻質問されたところの田畑委員にもそういうようなものがございますが、とにかく総理の出席の問題について事前にそういう話し合いがなされたかということになれば、そういう問題はございませんでした。しかし、委員会等におきましては、委員長は、いま申しましたように、努力するという約束は実はされておるわけでございます。  三つ目に、中間報告大蔵委員長が受けなければならないような羽目になった経緯についてということでございますが、これは、大蔵委員長としては、私は、つとめて審議をされようじゃないかという、その努力の片りんというものは、うかがい知ることができるわけでございますけれども、何としても、これは巷間伝えられていることばでございますけれども、この前の十九日の会期末のときに、まだ法律案が三十件余あったという話でございます、そして、この農地報償法案どうだといったような場合に、いや、ほかの法律はいいけれどもこれだけ何とかしなければいかぬというようなことが伝えられておりますけれども、そういうようなところにも中間報告をせなければならない経緯があるじゃないかという点で、この点については、横川君、まことに、私がちょっとわからなくて、これは自民党諸君に聞いていただかなければわからない点だと思いまして、以上のような点でひとつ御了承がお願いしたいと思うわけであります。  第四点の、連合委員会あるいは参考人の点でございますが、これは当然実はやっていただくものとわれわれは了解をし、またお話し申し上げたわけでございますけれども、理事会等あるいは委員長等の手元におきましては、連合審査はほかの委員会が申し入れたときにこの問題は相談しようじゃないかというようなところで、意見の一致と申しますか、そういうふうなかっこうで、まあまあというふうな形になっております。  参考人の問題については、これは全然実は考慮を払われない。そのことは、審議日程がない、日にちがない、日にちがないということで、私たちといたしましては、日にちということよりも、なるほど、その問題も考えなければならないのでございますけれども、問題は、やはりそれよりも、法案というものがどういうことなんだ、この結果が国民にどういうふうに反映していくのか。あるいは、もろもろの問題に波及はどういうふうにするであろう。あるいは、この公債発行というもの千五百億が、たとえば昭和四十二年には、八百二十億ほどの償還になってまいりますが、こういうようなところが、国の財政とにらみ合わせて、どういうようになるだろうか。もろもろのそういうような問題を実は審議するのが私は当然であり、参考人等の意見は当然聞くべきものと思うのでございますけれども、そういうものがいれられなかったということは事実でございまして、本末転倒している。いわゆる審議を重点に置くか、会期末に重点を置くかというなら、私は、会期末よりは、会期ということよりも、法案審議に重点を置くのが、立法府の実は使命であるというふうに考えているわけでございますけれども、こういうものが呼ばれなかったということは事実でございまして、非常に残念に実は思うわけでございます。  以上、非常に簡単に御答弁申し上げたわけでございます。(拍手)     —————————————
  74. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 北村暢君。    〔北村暢君登壇拍手
  75. 北村暢

    ○北村暢君 大蔵委員長解任決議案に対しまして、若干の質問をいたしたいと思います。  まず第一点としてお伺いしたいことは、委員長が、この法案に対する重要性についてどのように認識されておったか、この点でございますが、提案者成瀬議員は、大蔵委員会の理事として、この折衝に当たってまいりましたので、その立場でひとつお伺いしたいと思うのでありますが、まず、この法案の重要性については、先ほど来から渡辺議員等がこの法案内容等について詳しく述べられておりますように、非常に大きな重要な問題が含まれていると思います。法律的に言いましても、昭和二十八年の十二月の最高裁の判決では、農地改革は合憲であり、その買収価格は適正妥当であるという判決が行なわれております。また、昭和三十五年に総理府に設置せられました農地買収者問題調査会の答申によりますというと、旧地主生活は、旧小作農よりもよいものが多く、田畑山林所有の経営の大きいものが多い、また、社会的地位も高いということを、はっきりと答申をいたし、ただし書きで、これも政府の方針から、協力的なただし書きとして、一部の生活困難な旧地主に生業資金を貸与する、貸し付ける必要がある、こういう答申を出しているのがあります。こういう点からいたしましても、今度のいわゆる農地報償法案は、報償という名前ではありますけれども、明らかに補償の意味を持っておるのであります。こういう点から言って、法律的にも、補償、報償をめぐっての論議、さらに農地改革当時すでに補償の名前において出ている、それが再び報償という名で出る。この点については、亀田委員質問をし、総理の出席を求めて、責任ある答弁を求める、こういう重大な問題を含んでいると思うのであります。それからいたしましても、また、農政上の問題として——西田君は北海道の出身であり、私どもも同じ北海道の出身であります。昨年の北海道の冷害は非常にはなはだしいものであり、その被害額五百三十七億円と言われております。昨年に引き続いてことしも天明以来の大冷害ということで、飢饉が予想せられております。そういうような時期に、今日、農政が破壊の方向に行っている。北海道の冷害農民は、子供が学校給食に行って——給食のない学校では、弁当を持ってこない児童が非常にふえておる、こういう実態である。営農資金も冷害対策も行なわれましたけれども、借金となって、ことしにその期待をかけていると思うのでありますけれども、ことしも冷害ということになれば、この冷害地帯の農民一体どうするか、農業を放棄しなければならないような段階に来ている。こういう実態の中で、いわゆる生活の比較的安定した旧地主に千五百億もの金を、国民の血税を使うということについては、冷害農民は断じて承服ができない。(拍手)これが偽らざる気持ちであろうと思うのであります。そういう点からいたしましても、大いに問題があるのでありますが、一体委員長は、これだけの重要問題について、会期も押し迫った五月の十四日に衆議院から送付されてまいりまして、十九日までの会期の間で、一体これを議了できると考えるのかどうか、このところに私は根本的に誤りがある、このように考えているのであります。委員長は、当然これだけの重要問題については、この会期では議了できないと判断するのがあたりまえであります。常識であります。国会はこれでなくなるわけじゃない。次期国会もあるのでありますから、何もこの国会で議了しなければならないという理由はないにもかかわらず、この重要法案に対する認識不足のために、自民党の党利党略によって委員長の自主性を放棄しなければならない、まことに情けない委員長と言わざるを得ないのであります。こういうことであっては、参議院良識というものを疑われる、権威というものを失墜するという意味において、私は、西田君のとった処置に対して、処置が誤ったことについて、西田君の将来について惜しむものであります。この点について、成瀬理事はどのように判断をされておったのか、この点をお伺いいたしたいと思います。  次に、私は、私の所属しております農林水産委員会において問題になりましたいわゆるスーパー法案、この審議については、わずか年間二十億をもってスーパーマーケットをつくるという法案でありますから、農地報償法案とは比較にならない法案であります。しかも衆議院から、自民、社会、民社三党一致して賛成で通ってきた法案、これが三回の国会に継続をいたしまして、審議日数十五日間、三十時間余にわたって、九回も大臣の出席を求めて慎重審議をして、これが四月四日に単独採決をして、その結果差し戻しとなり、五月十二日に本院を通過いたしたのであります。このように、衆議院で足りなかったところを補うところに本院の良識があり、自主性があり、参議院の意義があると思うのであります。これは参議院良識を発揮したいい例であると思うのであります。このようなスーパー法案ですら、これだけの審議日数をかけたのに、農地報償法案についてわずか十時間足らずのように聞いておりますが、こんなことで議了できるというふうに判断せられたのかどうなのか。それと、審議経過について、もう少し詳しく御報告を願いたいと思うのであります。  次に、会期延長後におけるこの問題の取り扱いでありますが、
  76. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 北村君、時間です。
  77. 北村暢

    ○北村暢君(続) 十八日の採決に、質疑打ち切りと称せられておりまするが、先ほど成瀬委員提案のように、質疑打ち切りかどうかわからない状態であったが、これを政治的に質疑打ち切り、こういうことに言われておりますけれども、しかし前例として、農林水産委員会質疑をして、
  78. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 北村君、簡単に願います。
  79. 北村暢

    ○北村暢君(続) 質疑をして、議長のもとに可決報告書が行ったものが、委員会に差し戻しになって、その後約一カ月間にわたって審議がされているのであります。これは農林水産委員長が陳謝釈明と、いろいろありましたけれども、農林水産委員長は良識を発揮して、その処置をとった。同じ本院において、大蔵委員長がこの質疑打ち切りに対して、どうしてもこれを取り下げず、補充質疑という形でやったということについては、どうしても納得がいかないのであります。委員長は、さらさら責任を感じていないのではないか。これでは、今後の運営について非常に大きな支障があると考えるのでありますが、提案者は、この委員長のとった処置に対して、この質疑打ち切りに対してとった処置について、補充質疑といういきさつについて、詳しく御報告を願いたいと思うのであります。  以上をもって私の質問を終わります。(拍手)    〔成瀬幡治登壇拍手
  80. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 お答えをいたします。  どういうことか、北村君は西田委員長と同郷のようでありまして、非常に御心配になっているわけであります。まず第一は、本法律案の基本的認識についてどうかと、こういうような御質問でございましたが、そうして最高裁がどうだとか、あるいは工藤調査会がどうだとか、あるいは補償は二度あったんだから給付金というような名前に変えたんじゃないか、というようなことでございましたが、御指摘のとおりでございまして、委員会に配られました資料によりましても、実はこのようなことが書かれております。工藤調査会結論に、「暮し向きの自己評価については、戦前の方が現在に比べてよかったとする比率が、被買収世帯は買受世帯その他の一般世帯に比べてかなり高いが、現在においても、「中」より「上」の暮し向きであると見る世帯の比率は、被買収世帯は買受世帯その他の一般世帯に比べてかなり高い。」、こういうふうに報告が出ております。ちょっと注釈を加えますと、自己診断をしているわけです。自己診断をしている。そうして、旧地主はどうだと言ったら、いや、私は戦前よりも戦後のほうがようなりました、そうして、みんなよりも私のほうが、特に、私のところから農地を買っていった、買い受けされたそういう人たちよりも私のほうがなおいいんだ、こういう自己診察をしている人が多いと、こう言っているわけです。ですから、これは人がやったわけじゃない、自分がやったわけですから、非常に自分はいいと、こうお認めになっている。それから、こういう問題についてそれではどのくらい関心を持っておみえになるかということについても、実は資料もいただいているわけでございますから、せっかく北村議員の御質問でございますから、簡単にお答えさしていただきますが、資料といたしまして出ておりますので、念のため申し上げておきますが、内閣総理大臣官房、臨時農地等被買収者問題調査室、ここから出ている資料でございますが、そこの一八ページのところにございます表(12)というのでございますが、「あなたはこの問題に関心がありますか。ありませんか。」、こういうことの問いに対しまして、関心が「ある」と答えたのは千三百八十七名でございます。「少しはある」と答えたのが千八百七十名でございます。「ない」とか「知らない」と言ったのが、「ない」と言ったのが千五百三十八名、「知らない」と言ったのが三千五百八十五名でございます。したがって、まあ、関心があったり、少々ある人が、パーセントにいたしまして三八・九%、全然そんなことは知らぬ、関心がないという人が、どこ吹く風か人のことだから知らぬがよと、おれのところの金を出した税金のほうで負担されるとも知らないあわれな人たち——あわれな人たちと言ったらたいへん失礼でございますが、そういう人たちが六一・一%あるわけでございます。まあ、こういうようなことでございますが、私はこの基本的な性格はこういうことに一番よくあらわれていると思います。一体、この所轄の役所はどこになるのか、農林省になるのか、あるいは大蔵省になるのか、行きつ戻りつして、どういうかげんでなったか知りませんけれども内閣総理府がやるところに、この問題の基本的な性格があらわれているということがおわかりいただけるのじゃないかと思うわけでございます。しかも、こういう問題が議論されて、なるほど参議院におきましては、所轄別ではなくて事項別というようなことで、まあ金が多いからここでやったらどうだというようなところで、大蔵委員会に回ってきたわけでございまして、西田委員長も、率直にこれはたいへんまあ迷惑ではないかというようなふうに、内心喜んでおみえになったとは、私は決して思っておらないのでございまして、これは私の憶測でございますから、あるいは間違っておったら訂正をしなければならないと思っておりますが、そういうふうに考えておりますが、基本的な問題についてはそういうふうに御了解願えばいいじゃないか。あるいは特に北海道の出身である北村君が、北海道農民、特に今回の冷害の、昨年に続いて今度また冷害の問題等に触れられて、いろいろと御意見を申し上げられましたけれども、こういうことについては全く同感でございます。  二つ目に、審議の問題でございますが、例をスーパーマーケット法案にとられまして、六十時間やったじゃないか、二十億の負担をするのに対してこれだけやったのだ、こういうお話でございましたけれども、残念ながら大蔵委員会においては、そういうふうに実は審議の機会も与えられなくて、非常に残念に思っているわけでございますが、この責任をただ単に委員長に負わせるということは、私は情において非常に忍びないものがございます。こういうふうに、だれが彼をそうさせたかというようなことを、ひとつ御判断をいただければ非常にいいじゃないかと思うわけでございます。  第三点として、質疑打ち打りの問題でございますが、この点につきましては、いろいろと速記録等を調べてみれば、私が先ほど申し上げましたような点でございまして、北村君も先刻来御承知のとおりでございますし、また、速記録自身も確認をしておみえになることでございますが、それに対しまして質疑打ち切りがあったとかなかったとか、こういうようなことは、私はここでとやかくせんさくする問題ではなくて、こういう問題は、国会対策委員長同士の間で、両党の委員長の間で話がつけば、私はそれをさらっと受けるというのが両党の信義であり、そして正常化でございますから、私たち委員会としては、議事日程等を定例日に従って立てて、そして、法規、慣行等に従って慎重審議をするというのが任務であるというふうに、また、それが選ばれてきた私たち選挙民に対するところのただ一つのつとめであるというふうに考えておるわけでございますけれども、そういうようなことが十分なし得なかったという点については、実は遺憾に思っておるわけでございますけれども、何にいたしましても、国会対策委員長同士の話し合いにおきまして事は解決いたしまして、正常化されている。しかし、今日正常化されたら、次の日もう一日あって、次の日に中間報告というようなことで、何かこういうようなことが朝令暮改的なことになった。朝令暮改といっても、一日ありますけれども、実質的には朝令暮改みたいなものですが、こういうようなことにならないように、お互いというものがいま少しまじめに問題というものを見きわめていかなければならないという点については、お互いに実は反省をしているところでございます。  以上、答弁にかえさしていただきます。(拍手)      —————・—————
  81. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 山本利壽君外一名から、成規の賛成者を得て、  質疑終局の動議提出されました。  これより本動議の採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  82. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) すみやかに御投票を願います。——すみやかに御投票願います。——ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間がまいりますれば、投票箱を閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。——まだ投票の済まない諸君は、すみやかに御投票ください。すみやかに御投票を願います。——お早く願います。  制限時間に達しました。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  83. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  84. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百四十四票   白色票           九十一票   青色票           五十三票  よって、質疑は終局することに決しました。      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      九十一名       北口 龍徳君    野知 浩之君       二木 謙吾君    天埜 良吉君       鳥畠徳次郎君    大竹平八郎君       森 八三一君    上原 正吉君       野本 品吉君    中山 福藏君       三木與吉郎君    野田 俊作君       小山邦太郎君    木暮武太夫君       笹森 順造君    植木 光教君       沢田 一精君    中上川アキ君       源田  実君    熊谷太三郎君       久保 勘一君    山崎  斉君       井川 伊平君    石谷 憲男君       植垣弥一郎君    岸田 幸雄君       谷村 貞治君    仲原 善一君       坪山 徳弥君    豊田 雅孝君       天坊 裕彦君    竹中 恒夫君       江藤  智君    亀井  光君       山下 春江君    堀本 宜実君       大谷 贇雄君    佐藤 芳男君       青柳 秀夫君    平島 敏夫君       山本 利壽君    堀  末治君       新谷寅三郎君    木内 四郎君       植竹 春彦君    田中 茂穂君       小林 英三君    大野木秀次郎君       草葉 隆圓君    井野 碩哉君       谷口 慶吉君    徳永 正利君       鍋島 直紹君    村上 春藏君       栗原 祐幸君    川野 三暁君       丸茂 重貞君    日高 広為君       温水 三郎君    長谷川 仁君       村山 道雄君    北畠 教真君       大谷藤之助君    柴田  栄君       稲浦 鹿藏君    石井  桂君       吉江 勝保君    中野 文門君       井上 清一君    八木 一郎君       田中 啓一君    斎藤  昇君       塩見 俊二君    村松 久義君       小柳 牧衞君    吉武 恵市君       林屋亀次郎君    郡  祐一君       安井  謙君    青木 一男君       木村篤太郎君    迫水 久常君       高橋文五郎君    佐野  廣君       後藤 義隆君    横山 フク君       白井  勇君    小林 武治君       古池 信三君    宮澤 喜一君       下村  定君     —————————————  反対者(青色票)氏名     五十三名       林   塩君    鈴木 市藏君       石田 次男君    鬼木 勝利君       北條 雋八君    浅井  亨君       鈴木 一弘君    渋谷 邦彦君       白木義一郎君    瀬谷 英行君       稲葉 誠一君    渡辺 勘吉君       林  虎雄君    千葉千代世君       武内 五郎君    小柳  勇君       柴谷  要君    伊藤 顕道君       岡  三郎君    大倉 精一君       戸叶  武君    大矢  正君       藤原 道子君    野溝  勝君       加藤シヅエ君    鈴木  強君       阿部 竹松君    岩間 正男君       小林  武君    松本 賢一君       佐野 芳雄君    高山 恒雄君       野上  元君    中村 順造君       基  政七君    藤田藤太郎君       横川 正市君    相澤 重明君       占部 秀男君    光村 甚助君       藤田  進君    亀田 得治君       加瀬  完君    大和 与一君       田畑 金光君    柳岡 秋夫君       北村  暢君    小酒井義男君       佐多 忠隆君    村尾 重雄君       椿  繁夫君    成瀬 幡治君       鈴木  壽君      —————・—————
  85. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 大矢正君から、賛成者を得て、  昼食と過労のため二時間休憩することの動議提出されました。  これより本動議の採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  86. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) すみやかに御投票を願います。——すみやかに御投票願います。すみやかに御投票を願います。——ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間がまいりますれば投票箱を閉鎖いたします。——すみやかに御投票願います。——まだ投票をされない諸君はすみやかに御投票ください。——まだ投票なさらない諸君はすみやかに御投票ください。  制限時間に達しました。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  87. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  88. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百四十一票   白色票           五十二票   青色票           八十九票  よって、本動議は否決せられました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名     五十二名       林   塩君    鈴木 市藏君       石田 次男君    鬼木 勝利君       北條 雋八君    浅井  亨君       鈴木 一弘君    渋谷 邦彦君       白木義一郎君    瀬谷 英行君       稲葉 誠一君    渡辺 勘吉君       林  虎雄君    千葉千代世君       武内 五郎君    小柳  勇君       柴谷  要君    伊藤 顕道君       岡  三郎君    戸叶  武君       松澤 兼人君    大矢  正君       田中  一君    藤原 道子君       加藤シヅエ君    鈴木  強君       阿部 竹松君    岩間 正男君       小林  武君    松本 賢一君       佐野 芳雄君    高山 恒雄君       野上  元君    中村 順造君       基  政七君    藤田藤太郎君       横川 正市君    相澤 重明君       森 元治郎君    占部 秀男君       光村 甚助君    藤田  進君       加瀬  完君    大和 与一君       田畑 金光君    柳岡 秋夫君       北村  暢君    小酒井義男君       佐多 忠隆君    村尾 重雄君       椿  繁夫君    鈴木  壽君     —————————————  反対者(青色票)氏名      八十九名       北口 龍徳君    野知 浩之君       二木 謙吾君    天埜 良吉君       鳥畠徳次郎君    大竹平八郎君       森部 隆輔君    森 八三一君       上原 正吉君    野本 品吉君       最上 英子君    中山 福藏君       三木與吉郎君    野田 俊作君       木暮武太夫君    植木 光教君       沢田 一精君    中上川アキ君       源田  実君    熊谷太三郎君       久保 勘一君    山崎  斉君       井川 伊平君    石谷 憲男君       植垣弥一郎君    岸田 幸雄君       谷村 貞治君    川上 為治君       仲原 善一君    坪山 徳弥君       豊田 雅孝君    天坊 裕彦君       竹中 恒夫君    鈴木 万平君       江藤  智君    亀井  光君       山下 春江君    堀本 宜実君       大谷 贇雄君    佐藤 芳男君       青柳 秀夫君    平島 敏夫君       山本 利壽君    新谷寅三郎君       木内 四郎君    植竹 春彦君       田中 茂穂君    草葉 隆圓君       西川甚五郎君    谷口 慶吉君       徳永 正利君    鍋島 直紹君       村上 春藏君    栗原 祐幸君       川野 三暁君    丸茂 重貞君       温水 三郎君    長谷川 仁君       村山 道雄君    北畠 教真君       大谷藤之助君    柴田  栄君       松野 孝一君    稲浦 鹿藏君       石井  桂君    吉江 勝保君       中野 文門君    八木 一郎君       田中 啓一君    斎藤  昇君       塩見 俊二君    河野 謙三君       村松 久義君    小柳 牧衞君       吉武 恵市君    林屋亀次郎君       郡  祐一君    安井  謙君       青木 一男君    迫水 久常君       高橋文五郎君    佐野  廣君       後藤 義隆君    横山 フク君       白井  勇君    小林 武治君       古池 信三君    宮澤 喜一君       下村  定君      —————・—————
  89. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。相澤重明君。    〔相澤重明君登壇拍手〕    〔「定足数がない」「計算しろ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然〕
  90. 相澤重明

    ○相澤重明君 ただいま議題となりました大蔵委員長西田信一解任決議案に対しまして、私は日本社会党を代表いたしまして、賛成の討論を行なわんとするものであります。  西田信一君は、私とともに、いわゆる同期生、三十一年に参議院に当選をされたのでありますが、当時の参議院の要覧を見ますというと、北海道選出、自由民主党ということになっております。明治三十五年十月、北海道岩見沢市に生まれ、北海道庁立札幌工業学校土木建築科卒業ということであり、したがいまして、この農地問題については、全くの、まあ関係は少ないということであります。さらに、この学校を卒業されましてから、苫小牧町の土木兼電気課長、苫小牧町の助役、苫小牧町の町長、北海道議会議員等々を歴任をされ、まことに地方自治にも御苦労をされたようであります。越えて、いわゆるこの土木建築科を御卒業あそばされましたので、特にその専門の道は、弥生ブロック株式会社の社長に就任をされて、もっぱらブロックをつくることに懸命になっておるようであります。苫小牧町は、皆さんも御承知のように、陸を掘りまして、運河をつくって、そこに船を入れ、多くの物資を移出をするような施策を講じているようでありますが、その際に使うブロックは最も必要であるということで、これはたいへん売れ行きがよいそうであります。したがいまして、この御商売を始められまして、西田信一君は、選挙資金にはあまり困らないという話も聞くのでありますが、これはいかがでございましょうか。  私は、大蔵委員長に就任をされました西田信一君は、いわゆる自民党諸君の中にも、佐藤内閣になりましてから、あまり国会審議については無理をしないように、社会の問題としても調和政策をとるという方針であるから、今後、いままでいろいろなことが、与党野党の中にあったけれども、できるだけ国会運営については円満にいくという佐藤総理の話で、まあ衆参両院ともそういう方向をとってきたという話を聞いておったのであります。たまたま、西田君はまことに人格円満な人のようにうかがわれるのでありますが、与党諸君も、この農地報償という問題に限っては、きわめて熱烈なる執心を持っているようであります。それは、先ほどども社会党の同僚の議員が質疑の際に明らかにされましたように、千五百億からなるたくさんの金が、特定の旧地主人たちに渡るわけでありますが、そういう点で、これは、いわば選挙対策法と言われても、これは言い過ぎではないと思うのであります。したがいまして、私どもは、もし国民の税金をこの農地報償というような形で出す意思があるということになるならば、もっと他の面も考えてみる必要があるのではないか。この中に、与党諸君の中にも、私ども社会党の中にも、外地におった経験者がたくさんあると私は思うのであります。戦争の被害によって、多くの生命の危険をおかし、財産をなくした人たちもあるわけでございまして、今日、引き揚げ者団体の諸君が、やはり外地におったときのこういう補償を要求していることも、私どもはよく承知をいたしております。あるいはまた、国会議員にいまなられているこの参議院議員の同僚諸君の中にも、軍隊に一銭五厘で徴兵をされた仲間もいるでしょう。もちろん、将校として、いわゆる戦争専門に御勉強をされ、かつ大陸で活躍された方もあるとは存じます。しかしながら、ほとんどは、いわゆる戦前におきましては、一銭五厘のはがきによって徴兵をせられ、あるいはまた、軍需工場のために、一銭五厘のはがきによって徴用工として徴用された人も数多くあるわけであります。これらの多くの人たちは、どんなにか戦争という被害によって困難を来たしているかということは、これはもう諸君が御承知のとおりであります。さらに、いわゆる国会の中における大蔵委員会は、先ほどの金融問題等について、いわゆるほら吹きといわれる吹原産業事件、あるいは山一証券のこういう問題ばかりでなく、国有財産処分の問題についても、重要な任務を負っているところであります。いわゆる高級官僚が国有財産をただのように安く取って、そうして国民には遠慮会釈なく税金を取り上げていくような不逞のやからもいるわけであります。これまた、佐藤総理もすでに発言をしておりますけれども、多くの国民が、土地を購入するにも、高い金で、なかなか思うようにいかない、家を建てるにも土地がない、せめていまのような公害の多い中においては、多くの、私どもあとを継ぐかわいい子供のために、せめて河川敷でも開放したらどうか、こう言うというと、そういう国有財産をむやみに子供のために開放したのではもうからない、ゴルフ場をつくればゴルフの配当金がつく、こういうことで、しかもその上に、いわゆる道路をつくり、あるいは国鉄新幹線をつくるというと、それにばく大な国民の税金を補償金としてその会社に支払う。こういうようなことは、私どもは、特に大蔵委員会でやはり取り上げなければならぬ問題だと思うのであります。しかるに西田君は——西田君、どこへ行きましたかなあ、西田君は、いつ委員長になりましたか、もっぱらそういう点をやらなければならぬのでありますが、農地報償問題だけには、与党諸君のいわゆる強い圧力といいますか、あるいはまた、強硬な御意見によって、ついに、ろくすっぽ、いわゆる審議もしない、こういうことは天下自明の事実でありますから、これはただ社会党だけが言うのではなくて、また、みんなそう思う。しかもその上に、幸いにして公正妥当な報道関係諸君の報道によりまして、国民の前に明らかにされているのであります。この点、与党諸君も反省をしなければいけないと思うのでありますが、特にその運営に当たっている委員長である西田信一君、どうか私は、こういうようなことを再び繰り返さないためにも、また、今回の措置がよくなかったことについても、君のいわゆる不信任をされ、委員長解任をされるという決議案に、私は同調せざるを得ません。私は実は、個人的には西田君とはきわめて親しいのであります。昭和三十四年に東南アジア各国を、参議院の代表といたしまして、親善使節といたしまして訪問をいたしてまいりました。西田君は、なくなりました大野伴睦君と同じように、トラ年、トラがたいへん好きなのであります。トラのコレクションは、おそらく本院におきましても、かなり知名のほうではないかと思うのであります。トラの皮を買うのに、大体五十万くらいのものでも、これはなかなか目がきかないというと、いい悪いはわからないのでありますが、西田君は専門家でありますから、これは大体どのくらいですということが、よくおわかりになるのであります。したがって、まことにそのトラの好きなように、西田君自身はまことにりっぱな人であります。したがいまして、本来ならば、弱い者をくじき、そうして強い者の味方をするというのが、私は西田信一君の心ではない、こう思うのでありますが、本来ならば、多くの国民の中の困っている人たちのために働こうとして、国会議員に選出をされたと、私はかたく信じているのであります。そういう中で、西田君が非常に海外の、互いに行をともにした中におきましても、この人は将来は必ず参議院の中においても有数な仕事をしてくれるであろうと、私は同僚議員といたしまして、実は非常に希望を持っておったのでありますが、はからずも今回このようなことで、私が不信任決議案に賛成することに立たざるを得ないのは、まことに私の不明と申し上げますか、西田君の強行されたことに対して、同僚議員をはじめ、本院の名誉のためにも、これはまことに遺憾しごくだと存ずるのであります。  以上、私は、今回まで参議院大蔵委員会における衆議院から送付されてからの審議の状況等を考え、いま少し国民諸君にこの農地報償法案内容そのものをよく知ってもらうと同時に、
  91. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 時間がまいりました。簡単に……。
  92. 相澤重明

    ○相澤重明君(続) 先ほど申し上げました国有財産の処理あるいはまた金融関係等、大蔵担当委員会といたしまして慎重に審議をして、多くの国民の、困っている人たちのために尽くすべき手段をとってもらいたかったのでありますが、ついに息は切れたのであります。事ここに終わったのであります。まことに残念でありますが、以上をもちまして、大蔵委員長西田信一君の解任決議案に対するところの賛成の討論を終わるものであります。(拍手)     —————————————
  93. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 柴谷要君。    〔柴谷要君登壇拍手
  94. 柴谷要

    ○柴谷要君 私は、大蔵委員長解任決議案に対し、賛成の討論を行なわんとするものでございます。  提案者の趣旨説明にあるように、農地報償法案なるものは、国民多数が重大な関心を持っている法律案でございます。その額は申し上げるまでもなく千四百数十億という、膨大な国の費用を使う法律案でございまするから、慎重の上にも慎重を期していかなければならない重要な法案であると考えるのでございます。その重要な法案取り扱いについて、西田委員解任決議案提案説明に当たられました成瀬委員は、大蔵委員会におきまする理事でございます。私どもは、委員会に臨むにあたりましては、理事会の決定の線に沿って忠実に委員会に臨んでおったのでございますが、今回の解任決議案提案するにあたって、私ども委員会に臨んでおります以外の問題を知ることができたのでございます。と申し上げますのは、大蔵委員会になぜこのような法律案が回されてきたのか、私は当然主管事項であるから大蔵委員会にこの法律案が問題なしに来たと思ったら、実は、内閣委員会なり、あるいはその他の委員会で全部毛ぎらいをして、その結果、大蔵委員会に押しつけられたというような、うわさが、実は知れてきたのである。こうなってまいりますというと、西田さんは、たいへん迷惑をこうむった一人、被害者になるかと思うのでありますけれども、それほど毛ぎらいをされた法律案を受け取ったからには、少なくとも、与党野党のこの法律案に対する考え方を何とか取りまとめて、そうして委員会の場を通じて、国民に堂々とこの内容を知らしめ、そして国会の権威の中でこれを議決するという方向になぜもっともっと努力をされなかったのでありましょう。私はこの点、非常に残念にたえないのでございます。と申し上げますのは、五月十四日に衆議院を上げて、参議院に送付されてまいりました。私どもが、残された期間が、十九日が国会の終了でございまするから、日数が短い。しかしながら、短い日数の中であっても、これら重要法案十分審議をするという心がまえで委員会に臨んでおったのでございます。それについては、短い期間であっても、合同審査もし、参考人も呼んでもらおう、その中で審議を尽くして、審議を尽くし切れないようなら、あるいは継続審議もあるでありましょう、廃案になることもあるでありましょう。しかし、誠心・誠意この法律案と取っ組んでいくうちにおいては、私は、与党野党を問わず、必ず一つの方向が見出せるものと確信をもって臨んでまいったのであります。しかるに、委員長の職にありながら、なぜその努力をもっともっと注ぎ込んでいただけなかったかどうか、私は残念にたえないのであります。大蔵委員の一人として、大蔵委員長を不信任する解任決議案を出し、これに賛成討論をする苦衷は、皆さんおわかりいただけると思うのであります。私は、単に野党であるからこの解任決議案の討論に加わったわけではありません。重要な法律案であるだけに、国民大衆のために十分参議院がその任務を果たし、そしてこの法律案が最終的には国会で議決されたといたしましても、私は国民の前にその真相が明らかになりさえすれば、その審議の場というもので十分に尽くされていくならば、私は本院の一員として任務を遂行したと私は自負できると思うのであります。しかし、その重要な法律案を、最初から参考人も呼ぶ意思はない、合同審査をする意思もない、こういうことでは、委員会にわれわれが臨んで十分審議を尽くすわけにはまいりません。そういう事情の中から、今回とられました西田委員長の大蔵委員会におきまする運営は、まことに欠けたものが多々あったと思うのであります。かかる意味におきまして、私どもは、この場を通じて中間報告をなさんといたしまするこの暴挙に対して、不本意ながら西田大蔵委員長解任決議案に賛成の意を表せざるを得なかった次第でございます。(拍手)  さて、問題は、私は時間制限をされておりまするから、本院の決定に従って時間で終わりたいと思いますけれども大蔵委員会にいま課せられておりまする問題は、農地報償法案ではございません。それ以前にもっと大きな問題があると思うのであります。と申し上げますのは、農地買収者問題調査会の答申にありますように、「生活上または生業上困難な状況にある者に対し、生業資金の貸し付けの措置を講じなさい」また、「その子弟を進学させるのに困難な状況にある者に対し、育英その他の制度の運用において配慮を加える等必要の措置を講じなさい」と答申をされております。この答申にこたえるのが、いま大蔵委員会継続審議となっておりまする国民金融公庫法の一部改正という問題が、まさしくこの答申案に沿う線ではございませんか。その国民金融公庫法の一部改正は全然審議する意思もなく、これを放擲しておいて、そうして農地報償法案を先にやるという暴挙は、これは私ども委員といたしましても許すべからざる行為であると言わざるを得ないのであります。皆さん、審議の実情というものは野党与党を問わず、与えられた法律案十分審議をし、そして国民の負託にこたえることが、われわれの任務ではございませんか。私はあえて野党でありながら、今日まで大蔵委員会において、どれだけ皆さん方に協力をしてきたか、皆さん方おわかりのはずでありましょう。それは、単なる私は反対のための反対ではなくて、皆さん方に再考していただき、できる限り国民の総意を結集したりっぱな法律案をつくり上げるための努力であったと、私は自負いたしております。かかる意味に立ちまして、西田委員長がもう少し慎重に配慮されるならば、このような問題を惹起しなかったと考えながら、残念ではございますけれども解任決議案に賛成の討論をせざるを得なかったことを申し述べて、私の討論を終わる次第でございます。(拍手)      —————・—————
  95. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 山本利壽君外一名から、成規の賛成者を得て、  討論終局の動議提出されました。  これより本動議の採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  96. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) すみやかに御投票願います。——御投票を願います。——すみやかに御投票を願います。——ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間がまいりますれば投票箱を閉鎖いたします。——すみやかに御投票願います。——まだ投票なさらない諸君は、すみやかに御投票ください。——まだ投票されない諸君は、すみやかに御投票ください。  制限時間に達しました。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  97. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  98. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百四十一票   白色票           九十四票   青色票           四十七票  よって、討論は終局することに決しました。      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      九十四名       野知 浩之君    二木 謙吾君       天埜 良吉君    大竹平八郎君       森部 隆輔君    森 八三一君       上原 正吉君    野本 品吉君       最上 英子君    中山 福藏君       三木與吉郎君    野田 俊作君       小山邦太郎君    木暮武太夫君       笹森 順造君    植木 光教君       沢田 一精君    中上川アキ君       源田  実君    熊谷太三郎君       久保 勘一君    山崎  斉君       井川 伊平君    石谷 憲男君       植垣弥一郎君    岸田 幸雄君       谷村 貞治君    川上 為治君       仲原 善一君    坪山 徳弥君       豊田 雅孝君    天坊 裕彦君       竹中 恒夫君    江藤  智君       亀井  光君    山下 春江君       堀本 宜実君    大谷 贇雄君       佐藤 芳男君    青柳 秀夫君       平島 敏夫君    山本 利壽君       堀  末治君    新谷寅三郎君       西郷吉之助君    紅露 みつ君       木内 四郎君    植竹 春彦君       田中 茂穂君    小林 英三君       草葉 隆圓君    西川甚五郎君       谷口 慶吉君    徳永 正利君       鍋島 直紹君    村上 春藏君       栗原 祐幸君    丸茂 重貞君       日高 広為君    温水 三郎君       村山 道雄君    北畠 教真君       大谷藤之助君    柴田  栄君       松野 孝一君    稲浦 鹿藏君       石井  桂君    吉江 勝保君       中野 文門君    井上 清一君       八木 一郎君    剱木 亨弘君       梶原 茂嘉君    田中 啓一君       斎藤  昇君    塩見 俊二君       河野 謙三君    村松 久義君       小柳 牧衞君    増原 恵吉君       林屋亀次郎君    郡  祐一君       安井  謙君    青木 一男君       高橋文五郎君    佐野  廣君       後藤 義隆君    横山 フク君       前田 久吉君    白井  勇君       小林 武治君    宮澤 喜一君       下村  定君    杉原 荒太君     —————————————  反対者(青色票)氏名      四十七名       鬼木 勝利君    北條 雋八君       浅井  亨君    鈴木 一弘君       渋谷 邦彦君    白木義一郎君       瀬谷 英行君    稲葉 誠一君       渡辺 勘吉君    林  虎雄君       千葉千代世君    武内 五郎君       小柳  勇君    柴谷  要君       伊藤 顕道君    岡  三郎君       戸叶  武君    松澤 兼人君       大矢  正君    藤原 道子君       加藤シヅエ君    鈴木  強君       阿部 竹松君    岩間 正男君       小林  武君    松本 賢一君       佐野 芳雄君    高山 恒雄君       野上  元君    中村 順造君       基  政七君    藤田藤太郎君       横川 正市君    相澤 重明君       占部 秀男君    光村 甚助君       永岡 光治君    藤田  進君       加瀬  完君    大和 与一君       柳岡 秋夫君    北村  暢君       小酒井義男君    佐多 忠隆君       椿  繁夫君    成瀬 幡治君       鈴木  壽君      —————・—————
  99. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これより本案の採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本案に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  100. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。  ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限をいたします。時間がまいりますれば投票箱を閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。——まだ投票をなさらない諸君は、すみやかに御投票ください。  制限時間に達しました。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  101. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  102. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百四十票   白色票           四十五票   青色票           九十五票  よって、本案は否決せられました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名     四十五名       鈴木 市藏君    石田 次男君       鬼木 勝利君    北條 雋八君       浅井  亨君    渋谷 邦彦君       白木義一郎君    瀬谷 英行君       稲葉 誠一君    渡辺 勘吉君       千葉千代世君    武内 五郎君       小柳  勇君    柴谷  要君       伊藤 顕道君    岡  三郎君       戸叶  武君    松澤 兼人君       大矢  正君    藤原 道子君       加藤シヅエ君    鈴木  強君       阿部 竹松君    小林  武君       松本 賢一君    佐野 芳雄君       野上  元君    中村 順造君       藤田藤太郎君    横川 正市君       相澤 重明君    占部 秀男君       光村 甚助君    永岡 光治君       藤田  進君    亀田 得治君       加瀬  完君    大和 与一君       柳岡 秋夫君    北村  暢君       小酒井義男君    佐多 忠隆君       椿  繁夫君    成瀬 幡治君       鈴木  壽君     —————————————  反対者(青色票)氏名      九十五名       野知 浩之君    二木 謙吾君       天埜 良吉君    大竹平八郎君       森部 隆輔君    加賀山之雄君       森 八三一君    上原 正吉君       野本 品吉君    最上 英子君       中山 福藏君    三木與吉郎君       野田 俊作君    小山邦太郎君       木暮武太夫君    笹森 順造君       植木 光教君    沢田 一精君       中上川アキ君    源田  実君       熊谷太三郎君    久保 勘一君       山崎  斉君    井川 伊平君       石谷 憲男君    植垣弥一郎君       岸田 幸雄君    谷村 貞治君       川上 為治君    仲原 善一君       坪山 徳弥君    天坊 裕彦君       竹中 恒夫君    江藤  智君       亀井  光君    山下 春江君       堀本 宜実君    大谷 贇雄君       佐藤 芳男君    青柳 秀夫君       平島 敏夫君    山本 利壽君       堀  末治君    新谷寅三郎君       西郷吉之助君    紅露 みつ君       木内 四郎君    植竹 春彦君       田中 茂穂君    小林 英三君       草葉 隆圓君    西川甚五郎君       谷口 慶吉君    鍋島 直紹君       村上 春藏君    栗原 祐幸君       丸茂 重貞君    日高 広為君       村山 道雄君    北畠 教真君       大谷藤之助君    柴田  栄君       松野 孝一君    稲浦 鹿藏君       石井  桂君    吉江 勝保君       中野 文門君    井上 清一君       八木 一郎君    剱木 亨弘君       梶原 茂嘉君    田中 啓一君       斎藤  昇君    塩見 俊二君       河野 謙三君    村松 久義君       小柳 牧衞君    増原 恵吉君       高橋  衛君    林屋亀次郎君       郡  祐一君    安井  謙君       高橋文五郎君    佐野  廣君       後藤 義隆君    横山 フク君       前田 久吉君    白井  勇君       小林 武治君    古池 信三君       宮澤 喜一君    下村  定君       高山 恒雄君    田畑 金光君       村尾 重雄君      —————・—————
  103. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これにて一時間休憩いたします。    午後二時五十二分休憩      —————・—————    午後五時十一分開議
  104. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  鈴木壽君外一名から、委員会審査省略要求書を付して、副議長不信任決議案提出されました。  おはかりいたします。  副議長不信任決議案は、発議者要求のとおり、委員会審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  よって本案を議題といたします。  山本利壽君外一名から、賛成者を得て、  本案の議事における趣旨説明、質疑、討論その他の発言時間は、一人十分に制限することの動議提出されました。  よって、この時間制限の動議について採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  106. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) すみやかに御投票を願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  107. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  108. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百四十六票   白色票           九十七票   青色票           四十九票  よって、本案の議事における趣旨説明、質疑、討論その他の発言時間は、一人十分に制限することに決しました。      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      九十七名       野知 浩之君    二木 謙吾君       天埜 良吉君    青田源太郎君       大竹平八郎君    鈴木 恭一君       加賀山之雄君    森 八三一君       上原 正吉君    野本 品吉君       松平 勇雄君    岡崎 真一君       三木與吉郎君    村上 義一君       野田 俊作君    小山邦太郎君       木暮武太夫君    笹森 順造君       植木 光教君    沢田 一精君       和田 鶴一君    源田  実君       熊谷太三郎君    久保 勘一君       山崎  斉君    井川 伊平君       石谷 憲男君    植垣弥一郎君       岸田 幸雄君    谷村 貞治君       川上 為治君    仲原 善一君       坪山 徳弥君    豊田 雅孝君       天坊 裕彦君    竹中 恒夫君       江藤  智君    亀井  光君       山下 春江君    堀本 宜実君       大谷 贇雄君    佐藤 芳男君       青柳 秀夫君    平島 敏夫君       山本 利壽君    堀  末治君       藤野 繁雄君    新谷寅三郎君       紅露 みつ君    木内 四郎君       植竹 春彦君    田中 茂穂君       平井 太郎君    西川甚五郎君       井野 碩哉君    谷口 慶吉君       徳永 正利君    鍋島 直紹君       村上 春藏君    栗原 祐幸君       川野 三暁君    丸茂 重貞君       温水 三郎君    長谷川 仁君       村山 道雄君    木島 義夫君       北畠 教真君    柴田  栄君       松野 孝一君    稲浦 鹿藏君       石井  桂君    中野 文門君       井上 清一君    岡村文四郎君       八木 一郎君    剱木 亨弘君       田中 啓一君    斎藤  昇君       塩見 俊二君    河野 謙三君       村松 久義君    小柳 牧衞君       増原 恵吉君    吉武 恵市君       林屋亀次郎君    郡  祐一君       安井  謙君    迫水 久常君       高橋文五郎君    小林 篤一君       佐野  廣君    後藤 義隆君       横山 フク君    白井  勇君       古池 信三君    宮澤 喜一君       杉原 荒太君     —————————————  反対者(青色票)氏名      四十九名       鈴木 市藏君    石田 次男君       鬼木 勝利君    二宮 文造君       白木義一郎君    瀬谷 英行君       稲葉 誠一君    吉田忠三郎君       渡辺 勘吉君    林  虎雄君       武内 五郎君    小柳  勇君       大河原一次君    伊藤 顕道君       岡  三郎君    戸叶  武君       松澤 兼人君    大矢  正君       藤原 道子君    野溝  勝君       鈴木  強君    阿部 竹松君       岩間 正男君    須藤 五郎君       野坂 參三君    小林  武君       松本 賢一君    佐野 芳雄君       高山 恒雄君    野上  元君       中村 順造君    安田 敏雄君       基  政七君    横川 正市君       相澤 重明君    占部 秀男君       光村 甚助君    向井 長年君       亀田 得治君    大和 与一君       柳岡 秋夫君    北村  暢君       小酒井義男君    佐多 忠隆君       村尾 重雄君    椿  繁夫君       成瀬 幡治君    鈴木  壽君       羽生 三七君      —————・—————
  109. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより発議者の趣旨説明を求めます。鈴木壽君。    〔鈴木壽登壇拍手
  110. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、成規の賛成者を得まして、ここに副議長重政庸徳君の不信任決議案を提出するものであります。  まず最初に、決議案の本文並びにその理由を朗読いたします。    決議案   本院は、副議長重政庸徳君を信任しない。    右決議する。      理 由   副議長は、議長を補佐し、院の秩序保持と議事の運営のためには厳正公平でなければならない。   しかるに副議長は、農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案審議をめぐる紛争に際して終始傍観し、職責遂行の熱意もみせず、しかも本会議の主宰にあたり、その運営は一党に偏して公正を欠き、副議長の行為として許し得ないところである。   また副議長は、改選を前に明らかに院の役員に空席の生ずることを知りながら便々としてその職にとどまろうとしている。このことは、院の枢要な地位にある副議長としてとるべき態度ではない。   われわれは、かかる副議長を信任することはできない。  以下、若干、趣旨を説明いたします。  副議長重政庸徳君は、昭和二十八年に参議院議員として当選せられ、三十四年再び当選し、やがて副議長となり、今日に至っておるのであります。われわれは、副議長が、彼の経歴の示すとおり、りっぱな人間として、さらに議員としては、農政通として、農業問題に対する権威者として知られておりまして、その限りにおいて尊敬をいたしておったのでございます。しかし、副議長となりましてからの副議長としての重政君の態度は、先ほども申しましたように、まことに不適格の方であると申さなければならないのであります。一体、副議長の職責は何であるのか。申すまでもなく、国会法の中に、議長、副議長の職責をはっきりしるされているのであります。「議長に事故があるとき又は議長が欠けたときは、副議長が、議長の職務を行う。」、そして、常時議長を補佐し、議長の職責が公正にりっぱに果たせるように、これを助けていく、そういう努力をしなければならない責務を持つものが副議長でございます。しかるに、重政副議長は、これまでの態度をわれわれずうっとながめてまいりまして、との重責を果たしている方とはいえないのであります。ときたま、議長にかわって本会議でこの議長席にすわって、だれかの書いた原稿を読んで議事を進めるということだけが、副議長の仕事ではないはずであります。  今回の農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案、この審査取り扱いについては、衆議院段階におきましても、問題が問題だけに、多少の紛争があり、特に、当参議院に参りましてからも、その大蔵委員会におけるいろいろな問題、紛争があったことは、いまさら私が申し上げるまでもないところでございますが、一体こういう中で、副議長はこれらの事態を収拾するためにどのような努力をしたのか、どのような手を打ったのか、どういう態度で臨んだのか、われわれは副議長の態度を遺憾とせざるを得ないのであります。しかも、去る二十六日以来、いわゆるこの中間報告を求める動議の扱いにあたって、自民党の圧力に屈し、副議長としての立場を忘れ、当然の職責を果たさないで、かえって自民党あるいは議長と、ぐるになって、このような事態を招いていることは、これは見のがすことのできないところであります。このたびの中間報告を求めるというこの取り扱いは、いかなる点からしてもわれわれの納得しないところであります。無謀なものであり、不当なものであるにもかかわらず、このような無謀不当な取り扱いを、一体議長、副議長として、どう正しく思量しなければならないか。院の権威の保持から、あるいは正常な運営という立場から、議長は、あるいは副議長は、全力をあげてこれに当たらなければならなかったにもかかわらず、先ほども申しましたように、単に最終的には自民党の無謀なそういう圧力に屈して、このような事態になったのであります。われわれは、こういう副議長としての果たすべき職責を果たさない副議長というものを、絶対に容認することはできません。中間報告は、いわば非常な事態における手段であり、非常の措置であるのでありますが、一体、今回のいわゆる中間報告という、こういう取り扱いを迫るのは、どこにその非常な、あるいは異常な事態があって、このようなことをするのか。緊急性一体あるのか。法案内容からいっても、むしろ慎重に十分の時間をかけ、あらゆる手段方法を尽くして審議検討をすべき議案なのであります。しかも、会期は六月一日まで延長されております。この延長されている会期の中に、何を血迷って二十六日の時点において中間報告を求めなければならないのか。とすれば、当然これは、議長、副議長の段階において、この正常な取り扱いについて積極的な努力が払われなければならなかったのであります。副議長議長を助けて、ほんとうに献身的な努力をしなければならなかったのにもかかわらず、しばしば申し上げますように、何らのそういう動きをしておらないという、こういう点において、私は、まず重政副議長は副議長としていわゆる適格性を欠いたものと言わざるを得ない。われわれは信任することができないということを、まず申し上げたいのであります。中間報告は、これで最近におけるものを数えてみましただけでも三度目でございます。第四十二国会、いわゆる石炭国会といわれた際の三十七年度の補正予算三案をめぐっての中間報告、さらに、四十三国会における失対法の一部改正案の扱いをめぐっての中間報告、議会における、参議院における議事運営上の汚点であると思うこういうような取り扱いが、重宗議長、重政副議長、このコンビのもとに、三回にわたって、いままた、ここに行なわれようといたしているのであります。このような暴挙をあえて行なわせる議長、さらにそれを補佐して正しく運営をさせるようにしなければならない副議長、われわれは、こういう点からどうしても、私情においては忍びませんけれども、副議長の不信任案を出さざるを得ないのであります。  第二の問題として、私は、こういうことが一体なぜ起こってくるのかということから考えまして、われわれが、議長、副議長は党籍を離脱すべきであるということを主張をし、それを迫ったのにもかかわらず、いまだ党籍を離脱せずして、自民党の党員として副議長の職にあるという、このこと自体が、私はこのようなことを招く大きな原因であろうと思うのであります。公正なる議事の運営、あるいは議会の秩序、こういうものを保つ責任のある者は、少なくとも現在の時点においては、私は、党籍を離脱して、その上で、それこそ厳正公平なる立場においてなされなければならないと思うのでありますが、そのことがなされておらないのであります。われわれは現在においても、議長、副議長の党籍離脱の問題をさらに今後追及してまいりたいと思いますが、現時点におきまして、こういうことに反省もしないで、依然として党籍を持ったまま副議長の席に居すわろうとする副議長に対しては、信任できないということを、不信任案の決議の第二の理由としてあげたいのであります。
  111. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 鈴木君、時間がまいりました。
  112. 鈴木壽

    鈴木壽君(続) 最後に一つ、副議長はやがて任期満了に伴う選挙があります。にもかかわらず、いまだに副議長を辞任をして後任の副議長を選ばせようとする、その気配が全然ないのであります。このままでいけば、六月一日からは参議院には副議長がおらないという、こういう事態が発生するのであります。議長は気にさわるかもしれませんが、議長もなま身でございます。もしものことがありました場合に、事故がありました場合に、一体どうするのか、これは、あけてはおかれない席なのであります。それをいま言ったようなことから、あけざるを得ないという、こういう事態が目に見えているのに、いまだにやめようとしない、後任者を出そうとしない、この副議長というものは、みずから国会の権威あるいは国会の信頼というものを失わせる結果を導いているということを、私は指摘せざるを得ないのであります。(拍手)院のためにたいへんな問題であるということを私は指摘をいたしたいのであります。これが副議長として、これはもう何をおいても——
  113. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 鈴木君、簡単に願います。
  114. 鈴木壽

    鈴木壽君(続) 適格者でない、信任することができないという大きな理由として、第三にあげまして、私の不信任決議案の趣旨の説明といたしたいのであります。  何とぞ御賛成をいただきたいと思います。(拍手
  115. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 質疑の通告がございます。順次発言を許します。藤田藤太郎君。    〔藤田藤太郎君登壇拍手
  116. 藤田藤太郎

    ○藤田藤太郎君 私は、ただいま議題となりました重政副議長不信任の件の提案者鈴木壽議員に対して、若干の質問をいたしたいと思います。  ただいま提案者お話によりますと、副議長不信任案の第一の理由は、二百五十名の参議院議員の議長議長、特に重政副議長は、議長を補佐して、厳正公平なる参議院の運営をするというたてまえを忘れている。それから、いままでにも、失対法をはじめ、同じような中間報告を便々として、自由民主党の圧力に屈して、言いなりになってやっている。もう一つの問題は、任期が六月一日に切れるのに、もしも、この国会が終わり、任期が切れて選挙に入る、空白な状態が予想をされるようなときにおいても、まだ副議長のいすに便々としている。こういうことはけしからぬことである。こういうことをいま提案理由として述べられたのであります。私は提案者にお聞きしたいのでありますけれども、重政副議長は、いまこの国会中間報告議題になっている農地報償法案、いわゆる農地報償法案取り扱いについて、厳正公平に欠けるという、これは提案者と私も全く同じ心境にございます。重政さんは長年、国の農政に携わってこられた人でありまして、農民生活、農業については、普通の人たちより、より多くの知識を持った人であると私は思います。ところが、農地報償法案大蔵委員会で十分に審議も行なわれていないのに、この自由民主党の中間報告という、数の多数によって圧力をかけて、委員会審議をしないで、昨日からこの本会議委員会審査を省略して、ここで直接、数の多数で押し切ろうとしていることは、重政副議長という人が、長年この参議院においでになる前に農政にタッチされて、農民生活や農業のことについては、私は非常によく知っておられる方だ。この重政さんが副議長である限り、この農地報償法案参議院にかかってきたら、おそらく——おそらく農民の実態、感情に沿って、そしてこれは慎重審議して、国民の三分の一近い農民のほんとに実態に沿ったような、この意見に沿ったような、多くの農民が願っているような立場で、慎重に審議をして、そしてこの法案に取り組まれると、私は思っておったのでございます。ところが、どうも重政さんが、農政にタッチしておられたけれども、偉い人で、農民には号令だけをしておられたようでありまして、実際の農民がどう苦しんでおったかということには、どうもお知りにならなかったんじゃないかというような気がいたす次第でございます。  そこで、私は少し提案者の鈴木さんに、こういう心境でお出しになったのかどうかということを、ひとつお聞きしてみたいと、こう思うわけであります。で、私は小作農の次男坊に生まれました。そうして、もう一人前になってきたら、私自身の生活が、小作農の生活には、だんだん成長に応じて受け入れられないほど貧困でございました。私ばかりじゃなしに、小作農の長男はあとを継がすけれども、次男、三男はどうなのか。私とか小さい間は育てるけれども、もの心づいて少し大きくなったら、どうして口減らしをし、どうして、この次男、三男を——同じかわいい子供であるけれども、この子供の行く末についてどうしたらいいかといって、小作農の皆さんは非常に長年地主の圧力に屈しながら苦しんできたところだと私は思います。たとえば、昔からよく言われるのでありますが、六公四民とか、五公五民とか、こういう日本の歴史がございます。しかし、今日、六百万戸の農家が五百四十万戸ぐらいになってまいりました。昨年度も八十九万人農民が離農いたしております。そういう今日は状態でありますが、ちょうど農地改革が行なわれた当時のことを私は思い起こすわけでありますけれども、たとえば、収穫の六割までは地主が取る。四割は小作人が取る。そして、よく小作争議があちらにもこちらにも起きたのでありますけれども、不作のときに、それじゃ地主小作人の生活を見たかというと、なかなか見ない。もう少しまけてくれいと言っても、まけてくれない。それでいて地主は、私は、私の見た、調べた範囲でありますから、全部とは言いませんけれども、その小作人を、ちょうど、でっちのようにして使って、めしを食べさすだけで、盆から、暮れから、正月から、何か行事があるときには無料で使って、めしだけ食わして小作人を使うてきたのであります。もしもこれを断われば土地は取り上げられる。やむを得ず農民は、つけものと御飯とだけを食って生存をしてきたのでありますから、そこで、五十歳ぐらいになったら農民の腰はほとんど曲った。いまこそ違った状態になっておりますけれども、私らの若い当時はそういうことであったと思うのであります。それが耕す者に土地が提供されて、農地改革がやられて、戦後のあの混乱のときに、日本の食糧というものは、みずからの土地をみずから耕して生産をして、そして日本九千万の国民生活をまかなってくれたのは、長い間苦しめられた小作人が、みずからの土地を耕して生産をしてきたたまものだと、私は思うのであります。(拍手)その農民が、それじゃ、いまよい生活をしているかというと、これまた非常に気の毒な状態であります。皆さん、あの所得倍増計画を思い起こすのでありますけれども、あのときに政府がどれだけ計算しても、十年たったら所得を倍にしようとしても、十年たって二割ぐらいしか上がらないというので、あの六割農民首切り法案が出たくらいであります。私はそれを思い起こすのでありますが、昨年度も八十九万人の人が離農しておられるほど、いまみずからの土地で食糧生産をやって国民を守ってきた農民も、そういう悲惨な状態にございます。一方、地主はどうかというと、山林は開放される、多くの人は、山林の利益をもってゆうゆうと生活しておられる方が地主に多いのではないかと、私はそう思うわけであります。当時賃貸価格で売り渡されて、それにプラス三〇%の報償が行なわれて、問題がちょこちょこ出てくるのは、昭和二十七年に土地転売の問題が出てきてから、ここに問題が出てきたのであります。これは自由民主党の責任でございます。自分の責任をたなに上げて、そして、いままたこの地主国民が納得するような理由も十分に説明をしないで、強引に多数で地主を守る農地報償法案を通そうとするのは納得がいかないのであります。あの倍増計画で、十年たったら国民の所得は倍にすると言った政府は、生産設備だけは二倍半からにしたけれども国民生活は、所得は多少上がったけれども、物価値上げで資金調達をして工場づくりをしている政府の経済計画の犠牲になっている。このような外郭的な状態をつくるために、千五百億円も旧地主に与えるというのが、この報償法案の魂胆であろうと、私はそう思うのでございます。
  117. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 時間が超過いたしております。簡単に願います。
  118. 藤田藤太郎

    ○藤田藤太郎君(続) ですから、私は、鈴木議員の提案されたのは、このような重要な法案を、ただ自由民主党の圧力に屈して、そして中間報告委員会審査省略をした——私も同じ気持ちになります。けしからぬ。私はそう思う。この鈴木提案者の心境を私は第一に聞きたいのであります。  それからもう一つの問題は、この党籍離脱の問題でありますけれども、この党籍離脱の問題は、何回も院の中で申し合わせをして、厳正公正な議会の運営をするためには、どうしても党籍を離脱してやらなきゃ公正が期せられないということは、百ぺんも言ってきたことでございますけれども……。
  119. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 簡単に願います。
  120. 藤田藤太郎

    ○藤田藤太郎君(続) それが実行されてない。それが今日のような中間報告を強引にやったという、私は全く提案者と同じでありますが、このことについても、もう一度御説明を願いたい。こう思うわけであります。
  121. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 簡単に願います。
  122. 藤田藤太郎

    ○藤田藤太郎君(続) それからもう一言だけ言わしていただきます。
  123. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 簡単に願います。
  124. 藤田藤太郎

    ○藤田藤太郎君(続) 簡単にやりますが、提案者が触れられておりましたように、私は、二百五十人の議員というのは、国民から選ばれた二百五十人の議員によって何事もきめていく、当然のことであります。そこの議長と副議長は、二百五十人の議員の心が通じて、議論を通じて、そうして運営をしていかなければ、国民の負託にこたえることができない。そういうことをどうも忘れて、どうも特権意識のようなかっこうで副議長の座にすわっているというようなことはけしからぬと、こういう御説明であったと思いますが、間違いございませんか。  三つをお尋ねしたいと思います。(拍手)    〔鈴木壽登壇拍手
  125. 鈴木壽

    鈴木壽君 藤田議員のお尋ね、この中には、過去の農民の、特に小作農民といわれる方々の非常に苦しい生活、みじめな生活、こういうものに対する心からなる同情と、そしてこれに対する御心配をもとにしたところの、頭の下がるような御意見がございました。その中で、そういう苦しみを知っておられる副議長だと思って、そういう副議長であるから、この法案の扱いについては、よもや、むちゃなことはしないであろうと、こういうことをお前期待をしておったが、その期待を裏切られたので、不信任ということを考えたのではないかと、このようなことに、私、受け取ったのでございますが、私は副議長の経歴を詳しく調べたのでも、したがって、承知いたしているのでもございませんが、知り得たところからいたしますと、私は、農民に対し、農業に対し、特に農地解放の意義、こういうことに対しては、人一倍の理解を持っておられるであろうと、こういうことを実は期待をいたしておったのであります。したがって、そういう意味におきましては、御質問の方の指摘されましたことと同一でございます。さらに、私はこの問題につきまして、かりに過去の経歴がどうであれ、職業がどうであれ、しかし、少なくとも議員として、また院を代表する一人である副議長として、院の運営、議案の扱い、こういうことに対しては、かりに理解があるとかないとか、それに賛成とか反対とかということがあるにしても、それを抜きにして、ほんとうに正しい、公正な、厳正な立場で当たっていただけるものと期待をしておったのでありますが、そういうことが裏切られたということも、強く私の心に対して一つの動揺を与えたことなのであります。  第二の問題は、党籍離脱の問題でございますが、私どもは、先ほど申しましたように、いまの時点において厳正公平な立場をとろうとすれば、やはり党籍を離脱して、議長、副議長というものがその上に立って議会の正常な運営をはかるべきである。そうでなければ、先ほど来、私、申し上げましたように、必ずや自分の党から、その党が大きくて、人数が多くて、そうしてわがままであればあるほど、議長、副議長は、それによって動かされる。こういうことをしばしば実際の例で見て感じておりますので、私どもは党籍離脱を要求してきたのでございますが、それをなおかつ渋って、何のかんのと言って、しがみついているところに、副議長としての、私は人間としてのそれをも疑わざるを得ない。このように考える次第でございます。特権をもって云々ということばがございましたが、まあこの点になりますと、おそらく副議長といえども、特権をもって何でもやろうという、そのことまではなかろうというふうに、私は善意に解しておったところでございます。(拍手)     —————————————
  126. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 瀬谷英行君。    〔瀬谷英行登壇拍手
  127. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 最初に、議長と副議長との関係、重政副議長の立場等について質問をしたいと思います。  国会法の第十九条によれば、「各議院議長は、その議院の秩序を保持し、議事を整理し、議院の事務を監督し、議院を代表する。」ことになっております。しこうして、副議長は、議長に事故あるとき、または議長が欠けたときに、議長の職務を行なうよう国会法に明記をしてあります。重宗議長は、思想的、精神的にはともかくとして、肉体的には、入れ歯を除いては、すこぶる健全であるというようにお見受けいたしました。したがって、重政副議長議長の職務を行なう機会は比較的限られておったというふうに考えます。このような場合に、副議長一体何をなすべきか。議長に対する補佐の義務は特にないと解釈してよいのかどうか。もしその義務ありとするならば、重政副議長は、はたして副議長の立場にふさわしい働きをなされたのかどうか。もしなされたとするならば、どのような働きをなされたのか、これをまずお伺いしたいと思います。  次に、議長の職務が第一に議院の秩序を保持することは明瞭でありますが、副議長としても当然その職責の一端をになうべきであると考えます。しかりとするならば、今回の中間報告動議に端を発した与野党の激突は、議院運営の正常な姿から離れた状態であり、議院の秩序という点から見ても好ましくないと考えます。副議長は、いたずらにこの事態を傍観する以外に能がなかったのかどうか、あるいは、何らかの努力を尽くされたのか。なし得なかったとすれば、それは能力の問題か、良識の問題か、いずれとみなすべきか、お伺いしたいと思います。  第三に、議長、副議長の公的な立場と役割りであります。議院の秩序を保持し、議事を整理するのは、党利党略を離れ、公平無私な立場を堅持することが望ましいことは当然であります。そのことは自民党といえども十分御承知の上、公的な地位にふさわしい人物を選出されたはずであります。もちろん、自民党の場合、東京都議会のようなかんばしからざる例もございましたが、よもや、良識の府参議院においては、かかることはないものと信じます。そこで、もしも人格識見ともにすぐれた人材が、議長、副議長のような地位にあるとするならば、筋道の通らない悪法の通過に、その地位を忘れて便宜を供与するはずはないと信じますが、どうでしょうか。議長については、あとになりますので触れませんが、特に重政副議長は農政関係の権威と聞いております。農民に対する思いやりも、それだけ深いと信じますが、今日の農村部におけるハイクラスに該当する旧地主階級に特別の恩恵を施すような措置は、重政氏のいさぎよしとしないところではないかと思いますが、どうでしょうか。問題となっております農地報償法案のごとき、厚顔無恥なたくらみに対しては、与党といえども、断固として首を横に振る勇断が重政氏にはあったのではないかと思います。もしそうだとすれば、信任に値する名副議長ということになりますが、その点は最も重要と思いますので、詳細にお答えを願いたいと思います。  第四に、重政副議長の人間性と、その期待される人間像について質問をいたします。重政氏が副議長という権威ある立場にあって、その地位にふさわしい能力を示したかどうか。党利党略に動かされて、その立場を忘れるようなことがなかったかどうか。問題となっている農地報償法案に対し、いかなる態度で臨んだか等については、さきに質問をいたしましたが、さらに、個人重政の人間性について知ることができれば、今日以後、その期待される人間像の政治的評価も可能になってくるわけであります。自民党が必死となっている農地法は、結局、中以下の貧乏人をも含めてかき集めた税金を、上以上のいい身分の地主階級に適当に分かち与えるのと、結果的には同様であります。その思想は、強きをくじき弱きを助けるということばの全く逆をいくところの、落ちぶれやくざの考えを一歩も出ておりません。(拍手)  今日、東北、北海道では、冷害のため自殺をする農民が出ております。ほんとうに血の通う農政は、このような農民を救うことが第一であって、左うちわで暮らしているところの、生活に困らない旧地主に、百万円の金を恵み、選挙資金として有効に票を期待することではないはずであります。(拍手)昔話の悪代官、今日の落ちぶれやくざ、ぐれん隊のように、弱い者いじめを処世の術としている徒輩を心から憎む正義感を、重政副議長が持ち合わせているかどうか。そのような正義感を、人間重政の期待される人間像の中に、今日までのもろもろの言動の中からくみ取れるかどうかをお伺いいたしたいと思います。  最後に、任期満了の点でございますが、いま提案者からお聞きするところによると、今回重政副議長は任期満了されるということであります。そうしますと、参議院議長という地位は、セミの抜けがらのようになってしまうわけであります。はたして、これでいいのかどうかという不安は、提案者と同様に私も持っておりますが、一体自民党には、重政氏以外に副議長の適任者がいないのかどうか。副議長は、ぜひ今回は社会党にやってもらいたいというお考えなのかどうか、その点をあわせてお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔鈴木壽登壇拍手
  128. 鈴木壽

    鈴木壽君 お尋ねは数点にわたっておりますので、あるいは答弁漏れも出るかもしれませんし、あるいはまた、意に沿わないというようなこともあるかもしれませんが、もしできましたら、そのようなことがございましたら、再質問をお願いいたしたいと思います。  議長と副議長の立場、任務、職責と、こういうことから、副議長議長を補佐する必要がないのかどうか。そうして、補佐の必要があり、補佐されたとすれば、どのような形でその補佐が行なわれたかと、このような御質問であったと思います。国会法にあります議長、副議長の職責任務についての規定の中には、別にこれは補佐というようなことが、はっきり明文化されているわけではございませんが、あの文章の裏にあるところ、そうしてまた、通常、議長と副議長との関係、これは単に参議院だけでなしに、すべての場合に通じますことは、これは議長の補佐を副議長がするということが、ぜひ必要なことであるというふうに考えるものであります。ただ、この場合、重政副議長がどのような補佐をしたかという一々のこまいことについては、私、実は承知いたしておりませんが、少なくとも問題になった事柄についていえば、私は正しい補佐が行なわれておらなかったと、こういうふうに見ているのであります。たとえば、いわゆる農地報償法案の、このいろいろなトラブル等につきまして傍観をしておったということは、能がないのかどうか、あるいは良識がないのかどうかと、こういうようなお尋ねでございました。まあ私は、能がないとは必ずしもいえないと思いますが、それをようやらなかった。したがって、良識を持ち合わせておらなかったと、こういうことになろうかと思います。  第三番目に、院の秩序の保持は、あくまでも、議長、副議長が公平無私に行なうべきである。人格識見ともにすぐれた人を、議長、副議長にしなければならないという御質問者の趣旨に、全く私も同感でございます。農地報償法案について、副議長は首を横に振らなかったか、こういう話でありますが、そこまで私、見ておりませんが、ただ、この取り扱いを見ておりますと、振らなかったということだけは事実でございます。  あるべき人間像という、たいへんむずかしいことでございまして、ちょっと的確なお答えができるかどうか、私自身心配でございますが、私は、重政さんは無能な人であるとは思っておりません。しかし、その無能でない重政さんが、副議長としてほんとうに厳正公平な立場、公平無私の立場、こういうことでやるだけの勇気のなかった方ではなかったか、こういうふうに私は思うのであります。だからこそ、党利党略といわれるようなことに、あるいは多数の自分たちの党の、そういう、いわば無法なる力の圧迫にたえかねて、今回のようなことに立ち至った。したがって、その面におきましては、議長に対する補佐も十分なされなかったということを、私は申し上げたいと思います。  落ちぶれやくざを憎むというような正義感を持ち合わせているかどうかという、こういうお尋ねであったようでございますが、落ちぶれやくざを憎むか憎まないかは、私はどうとも申し上げられませんが、ほんとうに、正しいものを正しいとし、正義を愛し、悪を憎むという、そういう勇気があるならば、私は、今回のようなことにならなかったではないか、こういうふうに考えております。  自民党に、重政氏以外に副議長に人なきかと、こういうことでございます。それと同時に、人がないならば社会党から副議長にならしめるべきであるというふうに考えておるのではないかと、こういうことでございますが、もう自民党も、人材雲のごとくおられることでございますから、人なきとは言えないとも私は思いますが、しかし、この場合、後段の、副議長社会党に渡すべきでないかというこの御意見に対しては、私はそれは確かにそのとおりで、野党第一党の社会党が副議長を占むべきであるという、そして、これをまた、わが党は常に要求をしているということを、あわせて申し上げておきたいと思います。(拍手)      ─────・─────
  129. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 山本利壽君外一名から、成規の賛成者を得て、質疑終局の動議提出されました。  これより本動議の採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  130. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  131. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  132. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百五十二票   白色票           九十八票   青色票           五十四票  よって、質疑は終局することに決しました。      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      九十八名       北口 龍徳君    野知 浩之君       二木 謙吾君    天埜 良吉君       鳥畠徳次郎君    青田源太郎君       加賀山之雄君    森 八三一君       上原 正吉君    野本 品吉君       松平 勇雄君    三木與吉郎君       村上 義一君    野田 俊作君       小山邦太郎君    木暮武太夫君       笹森 順造君    植木 光教君       沢田 一精君    和田 鶴一君       源田  実君    久保 勘一君       山崎  斉君    井川 伊平君       石谷 憲男君    植垣弥一郎君       岸田 幸雄君    谷村 貞治君       川上 為治君    仲原 善一君       坪山 徳弥君    豊田 雅孝君       天坊 裕彦君    竹中 恒夫君       江藤  智君    亀井  光君       山下 春江君    堀本 宜実君       大谷 贇雄君    青柳 秀夫君       平島 敏夫君    山本 利壽君       堀  末治君    藤野 繁雄君       新谷寅三郎君    西郷吉之助君       紅露 みつ君    木内 四郎君       田中 茂穂君    小林 英三君       大野木秀次郎君    草葉 隆圓君       谷口 慶吉君    徳永 正利君       鍋島 直紹君    村上 春藏君       山本  杉君    栗原 祐幸君       川野 三暁君    丸茂 重貞君       日高 広為君    温水 三郎君       村山 道雄君    木島 義夫君       大谷藤之助君    柴田  栄君       松野 孝一君    稲浦 鹿藏君       石井  桂君    吉江 勝保君       中野 文門君    井上 清一君       岡村文四郎君    八木 一郎君       田中 啓一君    高野 一夫君       斎藤  昇君    塩見 俊二君       河野 謙三君    村松 久義君       小柳 牧衞君    高橋  衛君       林屋亀次郎君    郡  祐一君       安井  謙君    石原幹市郎君       青木 一男君    迫水 久常君       高橋文五郎君    小林 篤一君       佐野  廣君    後藤 義隆君       横山 フク君    白井  勇君       小林 武治君    近藤 鶴代君       下村  定君    小沢久太郎君     —————————————  反対者(青色票)氏名      五十四名       鈴木 市藏君    石田 次男君       鬼木 勝利君    二宮 文造君       鈴木 一弘君    瀬谷 英行君       稲葉 誠一君    吉田忠三郎君       渡辺 勘吉君    林  虎雄君       武内 五郎君    小柳  勇君       柴谷  要君    大河原一次君       伊藤 顕道君    岡  三郎君       戸叶  武君    松澤 兼人君       大矢  正君    藤原 道子君       野溝  勝君    加藤シヅエ君       鈴木  強君    阿部 竹松君       岩間 正男君    須藤 五郎君       野坂 參三君    小林  武君       松本 賢一君    佐野 芳雄君       高山 恒雄君    野上  元君       中村 順造君    安田 敏雄君       藤田藤太郎君    横川 正市君       相澤 重明君    森 元治郎君       占部 秀男君    光村 甚助君       藤田  進君    加瀬  完君       大和 与一君    田畑 金光君       柳岡 秋夫君    北村  暢君       中田 吉雄君    小酒井義男君       佐多 忠隆君    村尾 重雄君       椿  繁夫君    成瀬 幡治君       鈴木  壽君    羽生 三七君      —————・—————
  133. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。占部秀男君。    〔占部秀男君登壇拍手
  134. 占部秀男

    ○占部秀男君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案をされております副議長不信任決議案に、心から賛成の討論を述べたいと思います。(拍手)  元来、私はまことに人がよいせいか、同僚議員からただいま副議長に対するいろいろな批判のことばがございましたが、私自身はそれほどまででもないと、実は考えていたわけであります。これは、二つの理由から、副議長の人柄に率直にいって好意を持ち、ある意味では尊敬をさえしていたといっても過言ではないのであります。  その一つは、副議長がきわめて有能であるか無能であるかは別にして、議事の扱い方について賢明に扱いをされている、かように私には見えたからであります。参議院要覧によりますと、重政庸徳氏は明治二十八年一月に生まれておりまして、満七十歳であります。おせじにもお若い年であるとはいえません。世の中には、七十になれば、孫どころか曽孫さえある人がございます。しかるに、副議長は、この老齢にもかかわらず、議事の取り扱いについては、まことに、はたで見る目もいじらしいほど懸命な努力を払っておられるように私には思えます。元来、本院は、まことに奇妙ではございませんけれども、重宗議長がごらんのように精励恪勤の議長でございますから、副議長の出る幕はきわめて少ないのでございます。この少ない機会にもかかわらず、副議長は少しもいやな顔をせずに、小刻みに頭の運動を続けながら、いろいろなむずかしい議事を整理されているあの姿は、まことに胸を打つものがあるように私には感じられるのであります。  もう一つ理由は、副議長は私の郷土の先輩であるということにも関連をいたしております。副議長は、参議院要覧によりますと、広島県深安郡神辺町に生まれておられまして、広島県福山を郷土に持つ私にとりましては、いわば郷土の先輩でございます。皆さまも御案内のように、元来、広島県人には悪人はまことに少ないと言われております。勤勉で、まじめで、れいろう玉のごとき人格の者たちがまことに多いと言われております。その広島県を郷土に持つ私といたしまして、同じ郷土の先輩である副議長の人格はどんなものであるかということだけでなくて、農政通として、農業の権威である、農業問題の権威である、こういうところに、私は党としての立場は違っても、イデオロギーは違っても、いい先輩を持ったものだと、率直に考えておりました。ところが、今度の国会に際して、私の、この尊敬しているこの考えが、根底からくつがえされたのであります。私はいまさらながら、自分のお人よしであったことを、くやし涙をもってしみじみと反省をいたしているのであります。  ところで、もちろんこういうふうに言うことは、個人としての重政庸徳氏の問題ではございません。参議院の副議長としての重政氏についてであります。昔から、人には添ってみろ、馬には乗ってみろというたとえがあります。また、人は見かけによらぬものだということばもございます。人間のほんとうの価値は見かけだけではわからない、その人の行動に触れなければはっきりとしないという、たとえでございます。私は、まさにそのとおりであると思いました。重政副議長の今国会における行動は、副議長として、まさに見かけ倒しの、まことにふさわしくない行動の連続であったと私は思うのであります。同僚鈴木議員は、副議長の不信任案の提案の説明にあたりまして、三つの理由をあげております。その第一の理由は、議長の補佐の任を全うしていないということであります。鈴木議員の説明をいま見てみますと、こういうふうに言っております。副議長は、議長を補佐し、院の秩序保持と公正なる議事の運営のために、常に厳正公平なる態度を堅持すべきである。しかるに重政副議長は、農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案審議をめぐる紛争に際し、終始拱手傍観の態度をとり、ついに自民党の圧力に屈したことは、議長補佐の任を全うしていない。だから不信任を出すのだということばであります。私は全くそのとおりであると思うのであります。  具体的に申し上げます。去る十八日の日に大蔵委員会で、皆さまも御案内のように、強行採決が行なわれました。あの日に副議長一体どうしていたでしょうか。この大蔵委員会委員長は、言うまでもなく西田氏でございます。すでに西田氏その人の個人的な人格、人柄については、午前中の大蔵委員長解任決議案の、あの問題のときに、同僚議員から述べられましたように、私としては、一点非の打ちどころのないりっぱな人格者であると思っております。しかし、同僚議員とちょっと考えの違うところは、同僚議員は、西田氏が党の圧力によってああしたことへ持っていかれたと言っておりますが、私の見るところでは、西田氏は、本来、党のそうした問題にはたびたび先頭を切っていたのではないかと考えるのであります。私の九年間の参議院におけるいろいろな生活あとを振り返ってみますと、強行採決が行なわれたり、両党が激烈に対抗して、なぐり合いの近くまでいった場合は相当ございました。私は、元来が気の弱いほうでありますから、そういう席上へはなるべく行きたくないと思っておりますけれども、やはり国政に参与する者として、大事なところへ行かなければならない。こういうところから、行っておりますが、そのたびそのたびに西田氏とはぶつかっているのであります。その西田氏は、強行採決とか、そういう場合には、いつも先頭を切って紙をぱっと出すその人であります。したがって、副議長は、西田氏のそうした従来の体験といいますか、まことに経験に富んだ闘士ぶりをよく勘案し、しかも、大蔵委員会における自民党委員の方々は一騎当千の方々だけであって、マッチをつければぼっと燃え上がるような、非常に元気のよい方々が多い。こういうところから、もしもこの委員会で強行採決が行なわれるようなことになると、まことに国会史上一つの汚点を残すことになるので、そうしたことにならないように配慮すべきことが必要だったと思うのであります。そのためには、委員会議長がそのまま出ていくわけにまいりませんから、副議長として委員会にはやはり出ていって、強行採決をするような場合には、それをとめるような指導の態度があってよかったと思うのでありますが、そういう点は全く今回は欠けておりました。  また、きょうも、一つの例を申し上げますと、午前中に、同僚大矢議員から朝食のために休憩動議が出されましたが、その際にも、議事の取り扱いについてとまどってしまって、皆さんも全部ごらんのこの壇上で、「ただいま行なわれております……」と、そこまで言ったけれどもあとが続かない。私は、おそらく、投票はもうこれで終わりです、こういう宣言をしようとしたと思うのでありますが、そこにおられた宮坂事務総長が、そでを、もっとも洋服ですから、そではありません。何か、着物のそでではないけれども、そでを引かれて、はっとして、どうもぶざまな、あわてたあの姿、あれでは参議院の副議長はちょっと荷が重いのではないかと考えるのであります。
  135. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 占部君、時間がまいりました。
  136. 占部秀男

    ○占部秀男君(続) 第二に、鈴木議員からの不信任の理由は、副議長の席にしがみついていること。
  137. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 占部君、時間がありません。
  138. 占部秀男

    ○占部秀男君(続) はい、少しであります。第三には、党籍の離脱をしない、そのために党の圧力に屈していること、こういう例をあげておりますが、私はそのとおりであると思います。  最後に、その点について、私自身、この不信任案に賛成する最も大きな点として主張をしたいことは、申すまでもなく、副議長は農政のいわゆる大家でございます。本来、農政は、米をたくさんつくるとか、麦をたくさんふやすとか、牛乳をたくさんしぼるとか、そういうことだけではございません。
  139. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 簡単に願います。
  140. 占部秀男

    ○占部秀男君(続) 偉大な哲学者であり、実践的な農政家である二宮尊徳は、その二宮尊徳翁夜話の中で、「農は人なり」と喝破しておりますが、まさにそのとおりでございまして、農政の本質は、まず農民を生かすところにあると私は考えます。
  141. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 時間が超過いたしております。
  142. 占部秀男

    ○占部秀男君(続) ところが、今回の法律案は、農民を生かすどころか、殺すものであることは、申すまでもございません。この道理を知らない副議長ではないと私は考えます。それにもかかわらず、かような結果になることは、結局、党籍を離脱していないために、党利党略、党の圧力に屈して節を曲げたものであると、私は思わざるを得ないのであります。以上の三点から、鈴木議員の提案されました重政副議長不信任決議案に、満腔の賛意を表して、私の討論を終わります。(拍手
  143. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 大河原一次君。    〔大河原一次君登壇拍手
  144. 大河原一次

    ○大河原一次君 私は、ただいま議題にのせられました重政副議長不信任に関する案件に対して、占部議員同様の立場で賛成の討論を行ないたいと存じます。  まず、中間報告議題になりました農地報償、すなわち農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案であります。この法律案は、幾多の問題点をかかえていることは、今日までのたびたびの指摘にあって明確にされているわけであります。重政副議長も御承知のごとく、農地買収者に対しては、買い上げの価格並びにその手続の上におきましても、明確に合法的であるという最高裁の判決のあることは、すべに御記憶に新たなるところと感ずるわけであります。しかるに、佐藤総理のわが党木村君の本会議におきます質問に答えた中でも、また、同法案提案説明の中におきましても、旧地主農地解放は、日本の民主化と日本経済の発展の上に大いに貢献したとか、あるいはまた、説明の中における、農地改革における農地買収者の貢献を多とするとともに、その受けた心理的影響も考慮して、これらの人々に対する報償を実施したいのである、という、いわば理由にならぬ理由をつけているのでありまするが、しかも、この説明の中に、報償というここが書かれているにもかかわらず、給付という形で表現されているような、きわめてあいまいもこな性格づけが行なわれていることも、皆さん御承知のとおりでございます。私は、この総理のことばや提案の説明で納得のいく者は、給付の対象となる旧地主のみでありまして、一般国民大衆は、とうていこの説明や性格づけでは納得するものではなくて、むしろますますその疑問を深めつつある現状であります。ましてや、一千五百億にのぼる国民の血税がむざむざと旧地主に給付されたとあっては、なおさらであるといわなければなりません。  私は、先般、郷里の農村に参りまして、わずか二十名程度の農村部落民の集会でございましたが、この集会の中に、たまたま今回の農地報償の問題が提起されまして、いろいろと話し合いが行なわれましたけれども、この中には、零細な地主ではありましたけれども、一人おりました。いろいろと、この話が重なって出てまいりましたけれども、だれ一人といたしましてこの農地報償に対して心から賛意を傾けるというような人は、一人もなかったのであります。口をそろえて言われることは、このような千五百億という、いわばわれわれの税金が全くむだなところにやられるのではないか。今日われわれの必要なものは——この地域はたまたま開拓農民の地域でございました、この方々が要求しているものは、今日の酪農民のため、たとえば乳価の安定であるとか、あるいはまた開拓営農の振興のためのそういう資金をもっと出してもらいたい、あるいはまた、借金や利子に苦しんでいる貧困開拓者のための生活資金なり、そういう面にもっと回してもらいたいものである、ということが期せずして叫ばれ、切実な要求としてこの会議の中に入ったのであります。私は、先ほど理由なき理由」ということばをあえて使いましたけれども、佐藤総理や臼井長官の説明さるるように、日本の旧地主農地改革による日本の民主化や経済発展に寄与貢献したから、その報償だと言われておりまするが、私は、日本の民主化や経済発展は、一握りに足らない旧地主の協力にあらずして、労働者、働く農民をはじめとする数多くの国民が、敗戦直後の幾多の労苦や犠牲的な努力の上に築き上げられた結果にほかならないものである、と信じて疑わないのであります。敗戦からくる心理的な影響を考慮したというならば、なぜ国民大衆を対象として考慮されなかったかということも、あわせてつけ加えたいのであります。むしろ私は、現状における日本の政治や経済を考えますときに、旧地主に対して求めるものの多きこそあれ、与えられるべきものは何ものもないと考えているわけであります。  すなわち旧地主による農地解放が日本の民主化に貢献したと言われまするけれども、一方には、戦後における農村の封建性は山林の中に逃げ込んだということもいわれておりまして、皆さんの御承知されるところだと考えております。すなわち、なるほど農地は解放されましたけれども、山林はそのまま保有され、依然として今日、山林地主として農民の上に君臨し、日本の民主化を阻害する大きな要因となっている現状を見のがしてはならぬのであります。私は、そういう事実を幾多の面で今日まで見てまいりました。すなわち、新しい農地制度が確立された今日といえども、依然として土地による土地の支配が今日行なわれている傾向が見られ、このことによる幾多の問題も今日惹起されているわけであります。さらに、このことは、人による人の支配が、これまたいろいろな部面において行なわれているということも、私ども承知しているのであります。具体的な事例をここで私は詳しく申し上げる時間はございませんが、たとえば、土地取り上げ売買の問題、あるいはまた、特に私ども関心を持っておりまする各種選挙の場合における、多くの農村の地域において見られる現象であります。詳しくは申し上げません。こういうような一連のいわゆる封建的な支配が、かつての地主、今日の山林地主において依然として封建性が除去されずにいるという、この実態をわれわれは考えましたときに、今後の日本の農村のあり方とあわせて、日本全体の民主化の上に、きわめて私は重大な問題を残しているのではないかと言わざるを得ません。  さらに私は、この際申し上げたいのは、御承知のように、この国会にはたまたま農地管理事業団法が提出されているのであります。これは、簡単に申し上げまするならば、全額政府出資におきまして、三十年償還、三分の利子ということで、管理事業団による土地売買のいわゆる信託業務が行なわれるわけであります。これによりまして、今後二町以上あるいは二町五反以上の農家を、自立経営農家を育成していくのであるということが取り上げられております。一方にこのような法案が出されているときに、一つには地主に対する報償案件が取り上げられている。私は、これは決して別々のものではない。やはり一つに関連した問題として、今後地主の復活ということも予想されるような、そういう重大な問題が包蔵しているやに、私なりに受け取るわけであります。  私はここで重政副議長の問題について一言言わなければなりませんが、重政副議長は、先ほど占部議員もその経歴の中で言われましたように、旧東京帝国大学の農業経済科を卒業され、その後、農林省開墾課長、岡山県農地事務局長を経て、昭和二十八年退官され、その後、参議院選挙に当選後は、自民党政策審議委員、政務調査会副会長をされ、農林水産常任委員長をされまして、その後……
  145. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 時間が経過いたしましたので、簡単に願います。
  146. 大河原一次

    ○大河原一次君(続) 自民党総務、全国土地改良事業団体連合副会長、全国開墾建設促進同盟会会長というように、前弁士も言われたような、このような経歴を示す重政副議長は、りっぱな農政家であると私どもは信じて疑いません。今日の日本の農業はきわめて重大な転機に立っていることは、申し上げるまでもありません。重政副議長に対しては、釈迦に説法であるかもしれませんから、多くは申し上げませんけれども、しかし、今日の農民は、あるいは農業は、何を考え、何を求めているかということであります。
  147. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 簡単に願います。
  148. 大河原一次

    ○大河原一次君(続) かつては、もの言わぬ農民が、今日はものを言わざるを得ない農民になっています。さらに、ものを言う農民から行動する農民に進んでおります。これはみんな、今日までの日本の農政の貧困から、農民をしてふるい立たしめているという現状であります。その例が、米価の問題にあらわれ、あるいはまた乳価安定のいわゆる闘いの中にあらわれており、あるいは開拓営農、蚕糸振興という、皆さん自身、身をもって体験するところであろうと考えざるを得ません。このようなことを考えましたときに、全人口の四割近くを占め……
  149. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 時間が経過しております。
  150. 大河原一次

    ○大河原一次君(続) 九千万国民の食糧を担当している重大な日本の農業に対して、全くなっていない農政が今日とられていると言わざるを得ません。
  151. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 大河原君、時間が経過しております。
  152. 大河原一次

    ○大河原一次君(続) このようなことを考えましたときに、今回のいわゆる農地買収者に対する給付の問題について、中間報告というがごとき、いわゆる不当なる暴挙、非民主的な措置に出られたことに対しては、全く許すことのできない事態であると言わざるを得ないのであります。  しかも、重政副議長は、この件に対しまして、十分なる院の秩序を守ろうとせず、あるいはまたスムーズなる審議の促進をはかるということを忘れまして、ただ議長に対する追随ということであります。副議長は、本来ならば、もちろん議長を補佐するということでありまするが、補佐するということは追随することではなくて、是非善悪に対するけじめをつけるということが、最も私は大事な問題であると言わざるを得ません。これを忘れて、今日の事態を招いた重政副議長に対しましては、強くその責任を追及し、ここに賛成討論を終わる次第であります。(拍手)      —————・—————
  153. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 山本利壽君外一名から、成規の賛成者を得て、  討論終局の動議提出されました。  これより本動議の採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  154. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票を願います。——ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間がまいりますれば、投票箱を閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。——まだ投票なさらない諸君は、すみやかに御投票ください。——すみやかに御投票願います。  制限時間に達しました。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  155. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  156. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百五十五票   白色票            百一票   青色票           五十四票  よって、討論は終局することに決しました。      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百一名       北口 龍徳君    野知 浩之君       二木 謙吾君    天埜 良吉君       青田源太郎君    大竹平八郎君       鈴木 恭一君    加賀山之雄君       森 八三一君    上原 正吉君       野本 品吉君    松平 勇雄君       三木與吉郎君    野田 俊作君       小山邦太郎君    木暮武太夫君       笹森 順造君    植木 光教君       沢田 一精君    和田 鶴一君       源田  実君    熊谷太三郎君       久保 勘一君    山崎  斉君       井川 伊平君    石谷 憲男君       植垣弥一郎君    岸田 幸雄君       川上 為治君    仲原 善一君       坪山 徳弥君    豊田 雅孝君       天坊 裕彦君    竹中 恒夫君       江藤  智君    亀井  光君       山下 春江君    堀本 宜実君       大谷 贇雄君    青柳 秀夫君       平島 敏夫君    山本 利壽君       堀  末治君    藤野 繁雄君       新谷寅三郎君    西郷吉之助君       紅露 みつ君    木内 四郎君       植竹 春彦君    田中 茂穂君       小林 英三君    寺尾  豊君       草葉 隆圓君    西川甚五郎君       谷口 慶吉君    徳永 正利君       鍋島 直紹君    村上 春藏君       栗原 祐幸君    川野 三暁君       丸茂 重貞君    温水 三郎君       村山 道雄君    木島 義夫君       北畠 教真君    大谷藤之助君       柴田  栄君    松野 孝一君       稲浦 鹿藏君    石井  桂君       吉江 勝保君    中野 文門君       井上 清一君    岡村文四郎君       八木 一郎君    剱木 亨弘君       田中 啓一君    斎藤  昇君       塩見 俊二君    河野 謙三君       村松 久義君    小柳 牧衞君       増原 恵吉君    高橋  衛君       林屋亀次郎君    郡  祐一君       安井  謙君    青木 一男君       迫水 久常君    高橋文五郎君       小林 篤一君    佐野  廣君       後藤 義隆君    横山 フク君       白井  勇君    小林 武治君       古池 信三君    近藤 鶴代君       下村  定君    杉原 荒太君       小沢久太郎君     —————————————  反対者(青色票)氏名     五十四名       鈴木 市藏君    石田 次男君       鬼木 勝利君    二宮 文造君       鈴木 一弘君    白木義一郎君       瀬谷 英行君    稲葉 誠一君       吉田忠三郎君    渡辺 勘吉君       林  虎雄君    武内 五郎君       小柳  勇君    柴谷  要君       大河原一次君    伊藤 顕道君       岡  三郎君    戸叶  武君       松澤 兼人君    大矢  正君       田中  一君    藤原 道子君       野溝  勝君    加藤シヅエ君       鈴木  強君    阿部 竹松君       岩間 正男君    須藤 五郎君       小林  武君    松本 賢一君       佐野 芳雄君    野上  元君       中村 順造君    安田 敏雄君       基  政七君    藤田藤太郎君       横川 正市君    相澤 重明君       占部 秀男君    光村 甚助君       向井 長年君    藤田  進君       亀田 得治君    加瀬  完君       大和 与一君    柳岡 秋夫君       北村  暢君    中田 吉雄君       小酒井義男君    佐多 忠隆君       椿  繁夫君    成瀬 幡治君       鈴木  壽君    羽生 三七君      —————・—————
  157. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本案の採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本案に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  158. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  159. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  160. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百六十票   白色票           五十六票   青色票            百四票  よって、本案は否決せられました。      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      五十六名       鈴木 市藏君    石田 次男君       鬼木 勝利君    二宮 文造君       鈴木 一弘君    白木義一郎君       瀬谷 英行君    稲葉 誠一君       吉田忠三郎君    渡辺 勘吉君       林  虎雄君    千葉千代世君       武内 五郎君    小柳  勇君       柴谷  要君    大河原一次君       伊藤 顕道君    岡  三郎君       大倉 精一君    戸叶  武君       松澤 兼人君    大矢  正君       田中  一君    藤原 道子君       野溝  勝君    加藤シヅエ君       鈴木  強君    阿部 竹松君       岩間 正男君    須藤 五郎君       小林  武君    松本 賢一君       佐野 芳雄君    野上  元君       中村 順造君    安田 敏雄君       基  政七君    藤田藤太郎君       横川 正市君    相澤 重明君       森 元治郎君    占部 秀男君       光村 甚助君    向井 長年君       藤田  進君    亀田 得治君       加瀬  完君    大和 与一君       柳岡 秋夫君    北村  暢君       中田 吉雄君    小酒井義男君       佐多 忠隆君    椿  繁夫君       成瀬 幡治君    鈴木  壽君     —————————————  反対者(青色票)氏名      百四名       北口 龍徳君    野知 浩之君       二木 謙吾君    天埜 良吉君       青田源太郎君    大竹平八郎君       前田佳都男君    鈴木 恭一君       加賀山之雄君    森 八三一君       上原 正吉君    野本 品吉君       松平 勇雄君    三木與吉郎君       野田 俊作君    小山邦太郎君       木暮武太夫君    笹森 順造君       植木 光教君    沢田 一精君       和田 鶴一君    源田  実君       熊谷太三郎君    久保 勘一君       山崎  斉君    井川 伊平君       石谷 憲男君    植垣弥一郎君       岸田 幸雄君    川上 為治君       仲原 善一君    坪山 徳弥君       豊田 雅孝君    天坊 裕彦君       竹中 恒夫君    江藤  智君       亀井  光君    山下 春江君       堀本 宜実君    大谷 贇雄君       青柳 秀夫君    平島 敏夫君       山本 利壽君    堀  末治君       藤野 繁雄君    新谷寅三郎君       西郷吉之助君    紅露 みつ君       木内 四郎君    植竹 春彦君       田中 茂穂君    小林 英三君       寺尾  豊君    草葉 隆圓君       黒川 武雄君    西川甚五郎君       谷口 慶吉君    徳永 正利君       鍋島 直紹君    村上 春藏君       栗原 祐幸君    川野 三暁君       丸茂 重貞君    温水 三郎君       村山 道雄君    木島 義夫君       北畠 教真君    大谷藤之助君       柴田  栄君    松野 孝一君       稲浦 鹿藏君    石井  桂君       吉江 勝保君    中野 文門君       井上 清一君    岡村文四郎君       八木 一郎君    剱木 亨弘君       田中 啓一君    斎藤  昇君       塩見 俊二君    河野 謙三君       村松 久義君    小柳 牧衞君       増原 恵吉君    高橋  衛君       吉武 恵市君    林屋亀次郎君       郡  祐一君    安井  謙君       石原幹市郎君    迫水 久常君       高橋文五郎君    小林 篤一君       佐野  廣君    後藤 義隆君       横山 フク君    白井  勇君       小林 武治君    古池 信三君       近藤 鶴代君    下村  定君       杉原 荒太君    小沢久太郎君      —————・—————
  161. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 暫時休憩いたします。    午後八時五十六分休憩      —————・—————    午後十時三分開議
  162. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  伊藤顕道君から、委員会審査省略要求書を付して、議長不信任決議案提出されました。  おはかりいたします。  議長不信任決議案は、発議者要求のとおり、委員会審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。よって、本案を議題といたします。  発議者の趣旨説明を求めます。伊藤顕道君。    〔伊藤顕道登壇拍手
  164. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は、成規の賛成者を得まして、ここに議長重宗雄主君の不信任決議案を提出するものであります。  まず、決議案の本文並びにその理由を朗読いたします。    決議案   本院は、議長宗雄三君を信任しない。    右決議する。      理 由   参議院議長は、参議院の代表者であってその行動は公正でなければならない。   しかるに今般議長は、農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案の取扱いに際し、大蔵委員会での審議が未だ不十分であることを熟知しながら、本法案の成立を急ぐ政府及び与党の圧力に屈し、職権をもって本会議を開会し、与党と呼応して中間報告を求めるの手段をもって強引に可決せんとしている。これは、第二院としての参議院の任務を放棄し、議会制民主主義を破壊するものであって厳正公平なるべき議長の行動としては容認し得ないところである。   われわれは、このような議長を信任することはできない。  以上が、決議案の本文並びにその理由でございます。  私は、この不信任決議案を提出するに至らなければならなかった理由、また、人格高潔にして識見また豊富な重宗議長に対し、この不信任決議の提案趣旨説明に立たねばならない、この私の苦衷、私は、かかる私情を乗り越えて、以下、重宗議長不信任について、考えの一端を申し述べたいと存じます。  議長重宗雄主君は、明治二十七年二月、山口県岩国市岩国に生まれ、東京工業大学附属工業高等学校電気科を卒業され、大正八年五月渡米、欧米各国の工業界を視察し、大正十年帰朝され、昭和二十九年には、米国連邦議会及び州議会の運営状況を視察され、帰朝されたのであります。そうして、福島県棚倉電気株式会社、特許権保有株式会社、明電商事株式会社、重宗産業株式会社、株式会社明雄社、明電水晶株式会社等の取締役社長を歴任され、現在、株式会社明電舎取締役社長であります。わが国電気工業界の発展のために尽くされた、その大御所であり、財界においても、きわめて重きをなしておられたのであります。  また、その政治歴を見ますると、昭和二十一年には、勅選議員として貴族院に議席を得られたのであります。次いで、新憲法が施行せられるに際しましては、昭和二十二年四月、全国区より立候補、みごとに当選され、それ以来、昭和二十五年、三十一年、三十七年と連続当選されまして、実に戦後二十年に及ばんとするこの長期間、政界に活躍されてきておるのであります。私たちは、かような観点からも、政治家重宗として高くこれを評価し、特に尊敬してまいったのでございます。  この重宗雄主君は、昭和三十七年八月六日、議長になられますや、たしか、同日の本会議の席であったと思いますが、就任のあいさつのことばを述べられ、かようにおことばがあったわけであります。「ただいま議員諸君の御推挙により、はからずも私が議長の職につくことになりました。まことに身に余る光栄でありまして、感激にたえないところであります。微力短才、この重任を全うすることができますかどうか、はなはだおそれておるのでございまするが、その職務を行なうにあたりましては、常に公正無私、最善の努力を尽くして、議院の正常にして円滑なる運営をはかり、もって国民の信頼にこたえたいと念願いたしております。どうか議員各位におかれましては、私のこの念願を了とせられまして、今後一そうの御援助と御協力を賜わりまするよう、ここにお願いを申し上げまして、はなはだ簡単でございまするが、就任のごあいさつといたします。」、このようにあいさつをされておったのであります。あのときのことばは、いまなお、はっきりと私のこの耳朶に残っているのであります。さらに、あのときのことを思い出してみますると、さきに申し上げましたように、私たちは、政治家重宗雄主君をかねがね畏敬しておりましたし、その上、あの就任のおことばを拝聴いたしまして、重宗さんが議長になられた上は、今後、必ずや参議院あり方に新しき道が開かれ、その良識をもって、きわめて当然のことながら、社会党からの副議長も近く実現いたしましょう。また、社会党の副議長が実現することによって、国会の運営はここに一段と刷新正常化をされるでありましょうし、国権の最高機関として本来の使命を完遂いたすであろうことを、心から期待いたしまして、重宗さんの議長就任を喜んだ者の一人でございました。思うに、日本の民主主義もようやく根をおろしたように思われるのであります。いまから二十年前の私たち日本国民は、戦争による廃墟のうちに、過去の軍国主義に対する深い反省と、天皇制という上からの権威主義に対しまして、鋭い自己批判をしてまいりました。私たち国民が日本国の主権者であり、政治は、私たちの力で、私たちのために行なうべきものだという、明るい強い認識の上に立って、新憲法を生み出してまいりました。そこで、明治憲法下における帝国議会のような、中途はんぱな代議制ではなく、近代民主主義の典型ともいうべき、衆議院参議院の二院制からなる国会を打ち立ててまいったのでございます。自乗、幾多の紆余曲折はございましたが、若い民主主義を育てながら、話し合いの政治を実現することを、国会を通じて育て守ってまいったのでございます。特に、上院としての日本の参議院は、諸外国に例を見ない、特異の存在であります。その役割りいかんは、日本の民主主義、議会主義の消長に関係するところ、きわめて大であると言わなければなりません。しかるに、参議院発足以来、私たちの先輩各位は、よくその責を自覚され、ために、良識の府・参議院として、その声望を高められてきたのであります。かかる伝統ある参議院において、また、かような声望ある議長のもとにおいて、今回のごとき、まことに嘆かわしい事態が何ゆえ起こったのでありましょうか。私たちは、この了解に苦しむものであります。今回の重宗議長のとられているあの態度については、私たちはまことに失望を感ぜざるを得ないのであります。特に重宗議長は、自民党の党籍を離脱していなかったこと、こういうことが根本的な誘因となりまして、重宗議長は、参議院の院の代表ではなくして、政府自民党の代表として最近行動しておったことが、こういう混乱の一つの根本的な理由となったことを強く指摘しなければなりません。(拍手)  このように、すでに重宗議長は、あやまちをおかされてしまったのであります。言うまでもなく、ただいまも御指摘申し上げましたように、これが、多数党の数の暴力に屈服いたしまして、公正中立であるべき議長の職権がゆがめられたことも明確でございます。しかも、この誤りは、振り返ってみますと、いま初めてではございません。一昨年の第四十三国会、その前の四十二国会等、事例がありますが、重宗議長は聡明な方であられましたので、その後深く反省するところがあって、自来、名議長として今日までつとめてまいられたのであります。しかし、ここ皆さん方先ほど来御指摘になっておるように、このような混乱、さきには、あのような無謀のうちに会期延長を画策し、また相次いで中間報告、こういうような、議会政治上に、このようなゆがめられたことどもが、ここに混乱を起こしたのでございますが、このままにしておいては、憲法に定められた国権の最高機関としての機能を麻偉させるものであって、また、根本から傷つけるものであって、こういうことをおそれればこそ、ここに重宗議長の不信任決議案を提出した次第でございます。この趣旨をよく了とせられまして、全員これに賛成あらんことを心からお願いする次第であります。(拍手
  165. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 質疑の通告がございます。順次発言を許します。光村甚助君。    〔光村甚助君登壇拍手
  166. 光村甚助

    ○光村甚助君 ただいま社会党の伊藤議員から提案になりました本院議長宗雄三君の不信任案に対し、いささか納得のできない点がございますので、二、三御質問を申し上げたいと思います。  たいへん私事を先に申し上げて申しわけありませんが、私も本年還暦を迎えました。家に帰ると。孫があって、いいおじいさんでございますが、もうこの年配になりますと、人に憎まれ口をきいたりするよりか、やはり、人に好かれるということを心がけるように、最近なっております。そういう面から、私は別に、重宗さんに一ぱい飲まされたわけでもないし、重宗さんに借りがあるわけでもございませんが、どうしても、この不信任案に、もう一つ納得できない理由は、重宗さんという人は、先ほど伊藤議員からもお話がございましたように、勅選議員となり、あるいはまた実業界に進出されて、相当の産をなしておられる。また、議員となられてからは、本院の副議長になり、また国務大臣となり、本院の議長の要職につかれております。われわれといたしましても、一たん政治に志した者としましたならば、副議長になり、大臣になり、議長になるのが、われわれ政治家の夢ではなかろうかと思っております。そういう面から、私はかねて、自分も重宗議長のような人間になりたいということを心がけていましたので、ここに不信任案が出たということは、実に青天のへきれきでございました。そういう面で、社会党の一員としまして、わが党の伊藤議員の出した提案に賛成すべきかどうかを迷いましたが、社会党の一員としまして、やはり賛成しなければならない。それには、やはり自分の重宗議長を崇拝する心に打ちかたなくちゃいけないと考えまして、二、三の疑問の点を御質問申し上げたいと思います。  先ほどからこの演壇の上から、いろいろな点で民主主義の話が出ておりますが、重宗議長は、民主主義というものをどう解しておられるのでしょうか。一つ例をとりますならば、私が一昨年、本院の常任委員長になったときに、いまの議運の委員長の田中茂穂君は、私にこういうことを言いました。委員長になったんだから、少しは、やじを慎んで、おとなしくしなくちゃいけない、こういう忠告でございましたので、私は一年間この言を守って、実際おとなしくしてまいりました。しかるに、本院の議運の田中委員長のあり方はどうですか。自分が議運の委員長でありながら、やじを飛ばし、議長に時間の命令をしたり、全く民主主義を守らないというのも、はなはだしいじゃないかと私は思っている。(拍手)そういう委員長に対して、重宗さんは一体注意したことがあるかどうか、御存じございませんでしょうか。  またもう一つは、この中間報告動議を出されました草葉さんという人は、僧籍に身を置かれておるということを私は承っております。私と同じ宿舎に、大谷贇雄君という東本願寺の坊さんがおられます。また、西本願寺からも北畠君という人がおられます。私はこの人たちに常に申し上げている。西本願寺や東本願寺の坊さんというのは、私たちが子供のときには非常に神さまくらいに思っていたのです。そういう人たちが、いまや国会に出て、一党一派に偏するのはけしからぬのじゃないかと、私はたびたび申し上げている。君たちが、いわゆる僧籍の身を忘れて政治に熱中し過ぎて、自民党のために働き過ぎるから、いわゆる創価学会がどんどんどんどんふえてきている。君たちの努力が足りないせいだと思う。こういうことを私は、いつも大谷君に忠告をしています。いわゆる僧籍にある人々は、一党一派に偏して政治に首を突っ込むよりか、やはり善男善女を導くというのが僧籍にある人の道じゃないかと、私は思っている。こういう面で、いわゆる草葉隆圓君という人は、いつも自民党悪役を引き受けておられますが、そういうことをするよりか、早く元の僧籍に戻って、一生懸命宗教のために活動するように、重宗さんは忠告したことはないだろうかどうかということを、お聞きしたいと思います。  それからもう一つは、思想の問題でございますが、ここに中間報告でいわゆる農地報償法案が出ておりますが、中間報告動議を出して、あくまで強引にこれを通さなければならないものか、また社会党は、牛歩戦術をやって、これを強引に阻止しなければならないものだろうかということも、私は一つの悩みであります。日本人の思想がそんなに右から左に私は違っているとは思わない。共産党から自民党に入った人もおるし、共産党から社会党に入っている人もあるのです。逆に、自民党から共産党に行った人もおれば、社会党に行った人もおる。こんなに幅が日本人の中にはたくさんあるのだ。ただ一つ法案を争うのに、自分の意見だけが正しいのだ、自分の思想だけが正しいのだと言って、国民に迷惑をかけて、深夜国会までやらなければ話し合いができないのかということも、一つの私は問題点だろうと思っております。こういう点で重宗議長は努力されたかどうかということを、御質問申し上げたいと思うのであります。衆議院議長も本院の議長も、議長の権威云々を言われますけれども、おれは議長であるからえらいのだと言う前に、ほんとうに自分が国家国民のために一生懸命働いているかどうかということも、反省してもらいたい。先ほど伊藤議員のお話の中でも、重宗さんの議長就任のあいさつを聞きましたが、ほんとうに一党一派のために偏せず、国家国民のために働きたいと言っておりながら、党籍も離脱しない、そして自民党の言うがなりになって、ここに中間報告をお出しになった。去る十七、八日ころの国会が荒れたときに、衆議院の船田議長は、自民党の出した延長国会の要求に対して、最後には屈しましたが、一時は拒否しております。重宗さんは、一時にせよ、この中間報告を出すべきじゃない。もっと慎重審議すべきじゃないかというお考えはなかったのかどうかということも、伊藤さんにお聞きしたいと思います。(笑声)大体、中間報告というようなものが、いわゆる世界の国の国会にあるかどうかということも、私は聞いたことがございません。日本だけの悪例じゃないかということを考えております。この前の中間報告のときにも、重宗さんは、二度とこういう中間報告のようなことはやりたくないのだ、こういうことを言っておりながら、また今度おやりになったということが、私にはどうしても納得できないのであります。いろいろな点で納得できない点がございます。そういう面から、ただ一がいに重宗議長が悪いのだということばかりも信用できませんが、社会党の一員として、同僚議員から出された不信任案には賛成せざるを得ませんので、私がいままで申し上げました私のわからない不明な点を解明していただきますならば、この不信任案に賛成することとなると思いますので、何とぞ私の質問をぜひとも解明していただくようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔伊藤顕道登壇拍手
  167. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ただいま光村議員から、まことにごもっともな御質問がございましたので、大体先ほど私が重宗議長不信任決議案の中で特に理由に重点を置いて御説明申し上げたわけでございますから、この理由をよくかみしめていただくことによって、この理由の大綱は少なくとも御理解いただけると思うわけです。だがしかし、まれに見る名御質問でございますので、大事な内容を含んでございますから、以下二、三点についてお答え申し上げたいと存じます。  特に基本的なことを最初申し上げておきたいと存じますが、先ほど瀬谷議員からも御指摘があったと思いますが、国会法の十九条です。これが今回の問題をゆがめたその根本的な一つの根拠であるというふうに解釈できるわけでございます。「各議院議長は、その議院の秩序を保持し、議事を整理し、議院の事務を監督し、議院を代表する。」まことに簡単のようでございますが、特に「秩序を保持し」と、最初と最後のところに大事な要素があるわけです。「議院を代表する。」、これは文字どおりきわめて大事な点でございます。なぜこのようなあやまちがおかされたか。重宗議長が結果的にはこの十九条を無視した結果になるわけです。その人物といい、識見といい、力量といい、私どもが高く評価しておったこの重宗議長はなおかつ、結果論として、この十九条をおかす結果となったわけです。と申しますのは、先ほども一部御指摘申し上げたように、参議院を代表するものでなくして、政府自民党を代表しての行動を今回とったから、ここにこのような混乱の根源があったということを、私どもは強く指摘したいわけでございます。  それと、今回のこの問題を解明するためには、農地報償法案の性格を頭に置かないとどうも納得できないわけでございますので、簡単にこのことについて触れておきたいと思います。昭和三十五年、時あたかも安保国会のさなかでございました。この法案のもとともなりました農地買収者問題調査会設置法が、私の所属しておりました内閣委員会にかかりました。その際、時の総理は岸総理でございましたが、まあいろいろ問題もございましたけれども、私ども委員会に総理はすなおに出席に応じておられます。今回は、亀田委員が佐藤総理を要求しても、とうとうこれをけってしまった。こういうことと比べると、先者に一つうなずける点があったわけです。その岸総理は、この農地買収者問題調査会設置法の問題について、私の質問に答えて一これを言うのが目的じゃございませんから、一点だけ申し上げておきますと、私の質問に答えて、いかような名称にあれ、絶対に、国庫から金を支出するようなことは絶対にいたしません、こういう意味答弁をされておるわけです。そこまではいいわけですが、これが安保国会のあの混乱にまぎれて、まず内閣委員会単独審議で上げてしまったわけです。この本会議でも、自民党単独審議で、あのどさくさに農地買収者問題調査会設置法は成立してしまった。さて、そういう姿で成立して、その上でこの調査会が答申を出した、この答申の精神をけり散らして今度のような悪法ができたわけです。それでは、なぜ、何ゆえに自民党はこのような法案に強く拘泥しているのか、ここがきわめて大事な点でございます。これは皆さんも、もうすでに指摘されてございますが、いわゆる党利党略から割り出した、これなくしては選挙を有利に戦えない、この法案を成立させることによって相当選挙戦を有利に展開することができる、こういうことが頭にこびりついてございますから、他の三十ばかりの法案は流してもやむを得ない、こういうようなお考えで、この法案に取り組んでこられたということ。これからこの中間報告とか無謀なる会期延長、こういうことが、すべてこの法案の性格から生まれ出てきたということを、私どもはしっかりと頭に置かなければならないわけでございます。こういうような意味合いで、光村議員からのいろいろ御質問がございましたけれども、まず光村議員には、この法案はかような性格の法案であったということをまず頭に置いていただいて、しかも重宗議長は、この十九条の根本を結果としておかしている。さらに申し上げなければなりませんのは、このようなりっぱな重宗議長が、それではなぜ自民党政府のこのような圧力に屈服してしまったのか。十九日のあの段階で、会期延長は必要ない。衆議院の船田議長は、最終的には圧力に屈服したわけでございますけれども、また、船田議長としてはある程度までは抵抗してきたということがうかがえるわけです。そうして、最後になってついに自民党の圧力に屈服してしまったわけですけれども、このわが参議院の重宗議長は、最初からもう自民党の圧力に屈服して、十九日の段階で衆議院に対して会期延長を要請している。しかも、議長の立場で、議運とか議事協議会、こういうところで十分各会派の代表の皆さんの御意見に耳を傾けなければならないのに、まだその各派の意見がまとまらぬうちにかような結論を出したということ、こういうところにも大きな問題があるということを指摘せざるを得ないわけです。  なお、こういうような問題のございましたとき、いま一つ大きなあやまちの禍根は、重宗議長が早く党籍を離脱しておけば、自民党から圧力を受けるような心配はなかったわけです。現実に自民党の議員だから、自民党に籍がある重宗議長自民党の皆さんから圧力をかけられる。自民党の籍を離脱しておけば、何ら自民党から圧力を受けことはなかったわけです。せめて私はこの機会に、非常に遺憾に思っている。社会党のあまりにも正当な要求である——議長社会党へ、この要求をもし通しておったならば、このような混乱の際も、良識に富む社会党の副議長は、必ずや重宗議長の、この混乱を十分に説得して、議会の運営をよく収拾して正常化し得たであろうことを思うだけに、きわめて遺憾に思うわけです。  そこで、あやまちを改むるにおそいときはないという、ことわざもございますが、自民党皆さん方良識ある方は、この機会に、社会党の副議長をなぜつくっておかなかったか、これが失敗だった、そういう反省をする方も多いことであろうと思いますので、ひとつこの機会に十分反省していただきたいということを、強く自民党の皆さんに要請申し上げて、光村議員の御質問に答えます。(拍手)     —————————————
  168. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 松本賢一君。    〔松本賢一君登壇拍手
  169. 松本賢一

    ○松本賢一君 光村さんから、まれに見る名質問をなされたあとでございます。また、今夜は、せっかく先ほどのような不正常な形から、ひとまず、のがれまして、正常な状態で行なわれているときでございます。われわれ戦う姿勢は決してくずすわけではございませんけれども、時間も、皆さん方の制限は現在は受けておりませんが、だいぶおそくなっておりますので、重複を避けて、簡単に質問をいたしたいと思います。  実は、私、最初に皆さま方にお願いを申し上げたいのですが、昨日来私どもが行なっております牛歩戦術、これを英語ではスネイル・ペースと言うそうでございますが、カタツムリと言うほうが、表現としては、うまいかもしれませんが、ああいったあまりかっこうのいいものでないことをやらざるを得ないということは、やっぱり自民党皆さん方が私どもの言論を封じてしまわれる。演説は一人十分間でやれというようなことで、十分を超過すれば議長さんからしかられるというようなことになりますので、十分に論議を尽くすことができません。それで、私どもとしては、それに対抗するために、ああいったあまりかっこうのよくない形をとらなければならぬということが起きるわけでございまして、あしたからまた、ああいうことが起こる可能性が非常に強いわけなんでございますけれども、どうか、皆さん方が、おまえたちの演説は十分間でやめいというような、そういうことをおっしゃらないで、大いに言論の自由を許していただきますならば、私どもは、おそらく社会党のほかの諸君も、ああいうことはやらないで、堂々と言論をたたかわすことによって、国会を正常な形に持っていくということになると思いますので、どうぞ皆さん、明日もああいう形で私どもの言論を封じ込めになりませんように、ひとつお願いを申し上げたいと思うのでございます。  議長さんの不信任案に対します質問は、先ほど来相当尽くされておりますので、重複を避けてお聞きしたい点が一、二ございますので、お聞きいたしたいと思いますが、先ほど来申されておりますように、重宗議長さんのような、ああいう人格高潔であり、かつ識見の高い方が、われわれがこうして不信任をしなければならないような行動をとられるに至ったということは、これはひとつ、ぜひとも自民党の皆さま方に御反省をいただかなければならぬということは、もう先ほど来しばしば論じられておりますので、重ねて申し上げませんが、私は、先般の会期を延長された際にとられました重宗さんの行動の中で、どうしても「ふ」に落ちない点が一つあって、まだ今夜ここでは話題にのぼっておりませんので、その点をまず提案者の方にお聞きしてみたいと思うのでございますが、会期延長を重宗議長さんが自民党の要請によって行なわれたということでございますが、行なわれたというのは、つまり衆議院に対して要請をされたということでございます。その際に、衆議院議長がなかなか首を縦に振らなかったということで——これはある新聞で私は見たのでございますが、重宗議長は、衆議院議長がなかなか首を縦に振らなかったということで、行政府の長である佐藤首相をたずねられて、そうして会期延長をすることに対する助力を頼まれたということを、私は新聞で見たのでございます。私は、これが事実であるとしたならば、国権の最高機関である参議院の権威というものを全く失墜したと言わざるを得ないのでございまして、私は、この点、あのりっぱな重宗議長のために惜しみても余りあることと思うのでございますが、どうか提案者の方はこの辺の事情を御存じでございましたら、ひとつ詳しくお聞かせいただきたいと思うのでございます。まあ中間報告等につきまして、先ほど来いろいろと、もうすでにお話が出ましたので、私は、重複を避け、もう質問を打ち切りたいと思いますが、重ねて、先ほど来の話と重複するかもしれませんけれども、一応、再確認をしていただきたいことは、何と申しましても、このような状態を招来し、そうして私どもが不信任案を出さなければならないというような悲しい事態に立ち至ったということは、これはどうしても私は現在の参議院議長あり方というものを何とかしなければならぬ。ずばり申しますと、先ほど来申し上げましたように、議長さんはぜひ党籍を離脱していただいて、そうしてこれを助ける副議長は必ず第二党から選ぶということにして、これも党籍を離脱する。そうして相寄り相助けて公平な参議院の運営をやるということによって、初めて私は良識の府である参議院の真価がますます高まっていくと思うのでございますが、この点について提案者のはっきりした御意見を承ることにいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)    〔伊藤顕道登壇拍手
  170. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 松本議員にお答え申し上げます。  いろいろの角度から御質問がございましたけれども、要約いたしますと、例の会期延長に際しまして重宗議長のとった態度、衆議院の船田議長のとった態度、これとの比較をも含めて、その間の経過、情勢をお知らせいただきたいと、こういうような意味であったと思うのです。そこで、先ほども申し上げましたように、議長——まあいろいろ誘因を申し上げたわけですけれども、党籍を離脱しておったら、いわゆる国会法の十九条はりっぱに守れたでありましょうし、また、不当な自民党からのいわゆる圧迫もりっぱに避け得たでありましょうが、そこであやまちが起きてきた、党籍を離脱しないということが何といっても今回のこの問題の大きな禍根の最も基本的なものであるということを、いま一度申し上げなければならぬと思うのです。それなくしては、なかなかこの問題を解決できない。だから、ずるずると、考える余裕もなく、あるいは会期延長、あるいは中間報告のこの問題に、議長としての本来の使命を忘れて、いわゆる自民党の代表者としての行動に終始したということは、自民党の強い要請があったわけです。十九日の段階で会期を延長するということについて、これをあまり噛みしめないで直ちに衆議院に要請したという、そういう事情、しかも、衆議院の船田議長も最終的には社会党からいわゆる不信任を問題にされているくらいですから、もちろん、不当弾圧、自民党からの圧力に屈服したことには間違いないが、ただし、程度にいささかの差があったというふうに私どもは解釈しているわけです。初めの段階では自民党のいわゆる圧迫をある程度けっておったわけです。そこが重宗議長と違うところ、程度の差であろうと思う。最終的にはどちらもとにかく屈服してしまったことには変わりがない。ただし程度に差があった。そういう程度の差と言う以外に説明はつかないと私は思うのです。  それと第二の問題ですが、院の正常化の問題、これは私が繰り返し申し上げているように、正副議長は何党からなろうとも必ず党籍を離れて、党の代表という観念をかなぐり捨てなければ、院の公平厳正なる運営をはかる議長として副議長としての職責は当然つとまらない。これは自民党の皆さんといえども、よく胸に手を当てて御一考いただきますならば、あまりにも当然な考え方だと思うわけです。そこで、今後これを契機として、この機会を禍いを転じてしあわせにしなければならない、お互いの協力によって。そこで、正議長自民党のほうにお譲りしましょう。副議長は、過去にも事例がございましたように、こういう混乱の際に野党第一派の社会党から副議長が出ておれば、必ずや事態をうまく収捨して、院の混乱を防ぎ、この十九条で指摘しておりますように、いわゆる秩序を保持して、院の代表としての——自民党社会党の代表でなく、参議院の代表としての本来の使命を、十二分に達成し得るであろうことを再び強調することを、御答弁としてお答えいたしまして、私の答弁を終わりたいと思います。(拍手
  171. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。     —————————————
  172. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。小林武君。    〔小林武君登壇拍手
  173. 小林武

    ○小林武君 私は、ただいま提案されました重宗参議院議長の不信任決議案に対しまして、社会党を代表して、賛成の討論をいたします。  言うまでもなく、議長の職責は、院を代表し、院の秩序の保持と議事の整理を行なうことにあります。主権在民の憲法のもとにおける国権の最高機関である国会使命の重大性を考えるとき、議長責任はきわめて重大であると言わなければなりません。国会両院の議長内閣総理大臣と同等の栄誉と待遇を受けるいわれも、またそこにあるのであります。すなわち、議長に対する栄誉、待遇は、国会そのものの権威に出発するものであり、また、議長が、人民意思の代議体としての議会が国家権力の最高機関としての本質を逸脱することのないよう、その正常な運営を責任づける意味を持つことにあるものと考える次第であります。議会政治が、単なる見せかけでなく、真に国民代表の原理に立つならば、議会における国家意思の形成過程に慎重な討論を反復させて、議員が国民の代表であることの意義を具体化するとともに、これらの事実を通して一般国民の議会並びに選挙に対する政治的判断を容易ならしめ、主権者としての立場を明らかにしなければならないと考える次第であります。議員が国民の代表としての基本的性格を貫き通すためには、この審議の上の原理によらなければならないものと考えます。したがって、この基本的原則は、かりそめにも単純な数的優位をもってじゅうりんさるべき性格のものではありません。議会内における多数の意見と少数意見とが、自由な言論によって縦横に討論され、その過程の中で国民の立場に立つ結論を発見していくという、議会政治の政治的慣行を前提としてのみ、多数決の議事方法が民主的な手続として生きてくるのであります。わが国の国会に頻発する、議事促進に名をかりた暴力的単独審議の横行や、一方的議事打ち切りに見られる審議の原理の無視は、人民の意思の代議体としての国会そのものの否定と、あるいは特殊な利権との結託という、議会腐敗につながる危険性を包蔵するものとして、厳に戒めるべきであると考える次第であります。このような現状にある日本の国会として、厳粛な自己批判を必要とすることを率直に認めるべきであると考えます。特に、その運営に権限を有する議長は、いかなる権力にも屈するべきでなく、また、断じて一党一派に偏することがあってはならないのであります。議長は、議会政治を守るために全身全霊を傾けるべき時点にみずからが立っている自覚と、それに伴う行動とを要請されていると言わなければなりません。このような観点から、議会政治の擁護のため、議長重宗雄主君の不信任案の提案に賛成討論を行なわなければならないことは、まことに遺憾とするところであります。  昭和二十二年以来今日に至るまで連続当選し、その間、運輸大臣、自由民主党役員、参議院正副議長を歴任して、保守党政治家としてはきわめて豊富な政治的経歴を有するとともに、巨大な資本を擁する明電舎の首脳として、財界に不動の座を占める、典型的保守陣営の人物ではありますけれども、公平枯淡の人柄がかもし出すところの雰囲気は、院内において、思想、党籍を越えた信頼を得てまいったことも、また事実であります。しかも過去において、悪法と言われる法案の処理にあたって、参議院の政党的構成の特殊な事情があるにしろ、党利党略の立場を離れ、参議院良識を主張し、行動した点は、私どもも敬服に値すると思う次第であります。議長宗雄三君こそ、率先、自由民主党の党籍を離脱し、議長としての二院制の妙味の発揮に寄与するものと期待しておったのであります。しかしながら、党籍離脱も実現されず、このたび重宗議長みずから院内の信頼と過去の名声とを一挙に泥土にまみれさす挙に出たことは、まことに遺憾と言わなければなりません。  今四十八国会は、参議院選挙を目の前にして、しかも佐藤内閣が、農地補償、祝祭日法案をはじめとする、反動的、党利党略的数々の法案提案いたしまして、国民のまゆをひそめさしているのは、どうでありましょうか。この党利党略あって国民不在という政治の当然の帰結として、政治の腐敗堕落の頻発があるのであります。東京都議会に起こった汚職の問題、吹原事件等に象徴される、保守党と財界をめぐる黒いうわさ、これであります。かかる事態に対する国民の不安と不信は、当然の結果として政治的不信を呼び、いまや国民の政治に対する不信感は広く国内にびまんしつつあると言って間違いでありましょうか。かかる事態の中にあって、国会は最も厳粛なる態度をもって審議を尽くし、国民世論を反映した結論を出すべき責任を、われわれは負わされていると考えなければなりません。したがって、党利党略の払拭こそ、議会の当面する課題であり、それに対する議長責任は重大であるということを言わなければなりません。衆議院における農地補償法の審議も、このような観点から、与党である自民党の暴力的単独採決を議長の裁断によって無効とし、会期延長をしないという確約のもとに、院の正常なる運営をはかることにしたのであります。両党間のこの約束のもとに、農地補償法案は本院に持ち込まれました。わが党は、この公党間の約束を忠実に守り、かつ、院の審議に誠実に協力し、また、会期末における他の法律案等の審議にも能率的に当たってまいったのであります。しかるに、自民党は、審議を進めれば進めるほど、農地補償法案の悪法なる事実が国民の前に露呈されることをおそれ、両党間の約束を破棄し、さらに、多数の暴力的力をもって、中間報告審議打ち切りを強行するに至ったのであります。  重宗議長は、このような院の秩序を無視した暴力的運営を援護する立場に立ち、また、さきには、両党間の約束である会期延長をしないという約束の破棄を、衆議院議長にみずから強硬に申し入れるなど、議長の職責を放棄し、全く一党人としての党利党略的立場をとったものと考えるわけであります。(拍手)全く重宗雄主君の本領を忘れたものとして、深くその態度を惜しむとともに、これに対して私ども責任の追及をいたさなければなりません。数にものを言わせる暴力的議会運営の公認、さらに、農地補償という悪法のための会期延長、この法の通過によってもたらされる数々の国政上の悪影響を考えるとき、重宗議長は、過去の政治的信念を放棄したものと認めざるを得ないのであります。私は、以上の理由によって、議長不信任決議案に対し、賛成するものであります。  以上をもって私の討論を終わります。(拍手)     —————————————
  174. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 鈴木強君。    〔鈴木強君登壇拍手
  175. 鈴木強

    ○鈴木強君 私は、伊藤議員の提案いたしました重宗雄三議長を信任せずの決議案に対し、賛成の討論をいたしたいと存じます。  すでに提案者並びに同僚議員から、重宗議長の御経歴につきましてはお述べになっておりますから、私は触れませんが、その人格、識見、経歴におきまして、私どもひとしく尊敬し、信頼し、また、敬愛をいたしておったのでございます。議長に御就任以来、私どもは、たった一つ心配をいたしておりましたのは、このようなりっぱなお人柄であられます議長が、はたして国権の最高機関の議長として、自由民主党の党籍をお持ちのまま、厳正、公正、中立な議長の職責が果たされますかどうか、危惧をいたしておったことは事実でございます。案の定、すでに例の石炭国会といわれましたときの木内四郎委員長の場合の補正予算、さらに、また、私が社会労委員長でありましたときの失対法の中間報告等、明らかに、委員会に付託をされ、提案理由の説明を聞いたのみで、何らの審議もいたしませんものを、国会法五十六条の三をかってに解釈いたしまして中間報告を求めてまいっておるのであります。これは明らかに、私どもが心配いたしました、自由民主党の圧力に屈して議長がおやりになりました、議会政治にあってはならない暴挙であったと存ずるのでございます。しかし、一つ私が感心いたしましたのは、先般の北村議員が論及になりました、俗称スーパーマーケットの審議の際、これは本年の四月二日でありますが、社会党、公明党、民社党の委員のおらない中で自由民主党は単独審査を強行実施いたしたことがございます。これは非常に問題になりまして、国会対策の場におきましてもいろいろと協議がなされました。すでに仲原委員長は、議長の手元に可決報告書を送っておったのであります。しかし、重宗議長は、この場合には、佐藤総理の単独審査はしないということ、民主主義の原理に立って、この可決報告書を委員会に差し戻し、委員会審議をもとに戻して再出発されたことであります。私は、この措置はまことに議長として適切なものであり、過去二回の中間報告の暴挙は、この一つの事実によって、私は必ず今後重宗議長の信条として、議長でいらっしゃる間は、必ずやらないことを実現していただけるものと信頼をしておったのでございます。ところが、今回の農地報償法案審議に際しまして、この私の強い信頼は一挙にくずれ去ったことは、まことに遺憾と言わなければなりません。本来、この法案の重要性は、いまさら論ずる必要はないと私は思います。少なくとも千五百億の血税が一部の人たちに二重払いになるという大事な法案であります。私たちは、与野党を問わず、予算案と並べて今国会のきわめて重要法案として、この審査に当たってまいったはずであります。御承知のとおり、衆議院におきましては、先般十三日、わが党の川俣清音代議士が質疑中に、強引な自由民主党の質疑打ち切り、討論、採決によって、これが可決されたと称し、十四日の本会議に通過をして、こちらに回付されました。私どもはのこ審査につきましては、問題が問題だけに、しかもまた、衆議院段階におけるあのような不正常な形において採決をされました法案であるだけに、いまこそ、参議院の本来の使命かんがみ、衆議院の足らざるところを補い、慎重審議をいたし、国民の前にわれわれの責任を果たしたいと、かように考えておったのでありますが、御承知のとおり、今日中間報告をされます段階において、三つ問題が残されております。その一つは、少なくとも衆議院段階がきわめて横暴、無謀な審査をいたしておりますが、それでも連合審査参考人の皆さんの意見だけは聴取をいたしております。しかしながら、参議院におきましては、この連合審査参考人皆さん方の御意見すら聞けなかった、聞かなかった、聞く耳持たなかった。さらにまた大事なことは、亀田得治議員あるいは野溝勝議員等があの委員会において、この法律案の一番重要であります国民の血税二重払いの問題に対して、農地解放以来の歴史的な見地から、提案者である臼井総理府総務長官に質疑をいたしましたが、その答弁は何びとも納得できない答弁でありました。したがって、政府責任者である佐藤総理大臣に御出席をいただき、所信をただすべく、亀田議員はその主張をいたしておったのでありますが、御承知のとおり、十八日午後九時八分、自民党の多数横暴によって質疑の打ち切りが敢行されました。ですから、こういう大事な法案で、尽くすべき審議も尽くさなかった。私は非常に残念に思います。民主主義というものは、少数は多数に従う、しかし、多数は少数を尊重することであります。私は、かつてILOの総会に日本の労働代表として出席をしたことがございますが、ここにお集まりの皆さんより以上に多くの、全世界の百数十カ国の代表が集まっております。その皆さんが、本会議場で論議する場合には、どんな小さな国でも自由に発言をし、時間制限やそんなことはありません。そして、議長は、最後に、もう発言はございませんか。言いたいことはありませんか——ここまで意見を聞きます。そうして採決をいたします。その場合に、少数の人たちは、われわれの意見を十分に聞いてくれたということによって、その採決に不満はあっても従っていくのであります。私は、願わくば、この民主主義の原理というものが国権の最高機関である国会の中に築き上げられることを願うものであります。ですから、言論の自由を封殺し、時間制限によってこれを押えようとするその行き方が、私は間違いだと思うのであります。そういう幾つかの問題点を残したこの農地報償法案に対して、草葉隆圓さんは、ちょうど失対法のときにも、あなたは中間報告動議を出しました。私はまだ忘れられない。そういうわけで、そういう動議がもし出たとしても、私は、議長は少なくともそこにおいて最善の努力をすべきであります。国会法五十六条の三に、中間報告の制度はございますが、これはレア・ケースでありまして、本来軽々に発動すべき規定では私はないと思います。日本のように、恒常的に、恒例的にこれが行なわれるということは、これは民主主義のまだ未発展な段階におけるきわめて遺憾な現象だと、私は思うのであります。したがって、あのとき議長は、なるほど、各党の責任者を議長室にお呼びになりました。そうして一つの案を示されましたが、それは、私たちに死刑の宣告をするような、自由民主党の立場に立った一方的な考えを押しつけようとしたものでありまして、これでは私たちは絶対に納得できません。ですから私は、かりに百歩を譲って、この中間報告を発動したとしても、この内容の中には、時間をかけて委員会において審査をすることのできるものもあります。このようにして、いままで審議のできなかった点を十分に審議を尽くすことを、なぜ議長はわれわれに言っていただけなかったのでしょうか。そういうふうな当然わかり切っていることをおやりにならないで、自由民主党の力に押されて、議長があえてこの中間報告を取り上げ、議長職権によってこの本会議を招集したということは、議長責任を私は果たしておらないと思うのであります。  かような立場に立ちまして、私ども信頼しておりました重宗議長が、スーパーマーケット法案のときは、ほんとうの気持ちではなくて、再びもとに戻ってしまった。これでは私たちは、今後信頼をして重宗議長のもとにこの運営をすることはできない。これが私のこの信任せずの決議案に賛成する大きな理由一つでございます。  なお私は、たいへん恐縮ですが、もう一言だけ触れさせていただきたい。これは他の議員からも論及されておりましたように、少なくとも私は、議長、副議長は党籍を離脱すべきであるし、また、副議長は第二党である社会党に渡すべきである。この考え方は、ぜひ今後国会の中で私は実現したいものだと思うのであります。そうすることによってお互いに相協力をし、この中に融合を見出し、統一を見出して、必ず私は、もっとよりりっぱな国会の運営ができることを信ずるのであります。  重宗議長は、最初当選されたときは無所属で出られまして、したがって、その後自民党に入られておりますが、他の議長と違って、たとえば議長になられる場合でも、確かに重宗さんの心の中には、どこかに党籍を離脱しようという気持ちのあったことを、漏れ承っているのであります。しかしながら、それができなかった。それから、また、副議長の問題につきましても、かつて重宗さんが自由民主党の議員会長であらせられましたときに、前の私どもの千葉会長との間に、この副議長の問題についても、国会正常化の大きな柱として寄り寄り御相談がございました。私たちは当時の千葉会長から、そのことについては、重宗議長も了解を大体されている、そうして機会を見て実現するというお考えだということを、私たちは伺いまして、まことにりっぱなお考えを持った方だと思っておりました。ですから、そういったこともお互いにひとつ考えてもらう。そうして重宗さんが勇断をもって私は自由民主党の党籍を離れ、公平の立場に立ってやってもらうことと、もう一つは、副議長をぜひ第二党である社会党に渡してもらって、今後の正常化のために努力するように、私は期待するものであります。  以上をもちまして私は賛成の討論といたします。(拍手
  176. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。  表決は記名投票をもって行ないます。本案に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  177. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  178. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  179. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百六十一票   白色票           五十六票   青色票            百五票    〔拍手〕  よって本案は否決せられました。      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名     五十六名       鈴木 市藏君    石田 次男君       鬼木 勝利君    北條 雋八君       浅井  亨君    柏原 ヤス君       白木義一郎君    野々山一三君       瀬谷 英行君    稲葉 誠一君       吉田忠三郎君    渡辺 勘吉君       林  虎雄君    鶴園 哲夫君       千葉千代世君    武内 五郎君       山本伊三郎君    小柳  勇君       伊藤 顕道君    岡  三郎君       大倉 精一君    戸叶  武君       松澤 兼人君    大矢  正君       田中  一君    藤原 道子君       野溝  勝君    加藤シヅエ君       鈴木  強君    阿部 竹松君       須藤 五郎君    小林  武君       松本 賢一君    佐野 芳雄君       野上  元君    中村 順造君       安田 敏雄君    基  政七君       藤田藤太郎君    横川 正市君       相澤 重明君    森 元治郎君       占部 秀男君    光村 甚助君       向井 長年君    藤田  進君       加瀬  完君    大和 与一君       柳岡 秋夫君    北村  暢君       小酒井義男君    佐多 忠隆君       椿  繁夫君    成瀬 幡治君       鈴木  壽君    羽生 三七君     —————————————  反対者(青色票)氏名      百五名       野知 浩之君    二木 謙吾君       鳥畠徳次郎君    青田源太郎君       大竹平八郎君    前田佳都男君       鈴木 恭一君    加賀山之雄君       森 八三一君    上原 正吉君       野本 品吉君    松平 勇雄君       最上 英子君    岡崎 真一君       三木與吉郎君    野田 俊作君       小山邦太郎君    木暮武太夫君       笹森 順造君    植木 光教君       沢田 一精君    和田 鶴一君       源田  実君    熊谷太三郎君       久保 勘一君    井川 伊平君       石谷 憲男君    植垣弥一郎君       岸田 幸雄君    谷村 貞治君       川上 為治君    仲原 善一君       坪山 徳弥君    豊田 雅孝君       天坊 裕彦君    竹中 恒夫君       江藤  智君    亀井  光君       山下 春江君    堀本 宜実君       大谷 贇雄君    佐藤 芳男君       青柳 秀夫君    平島 敏夫君       山本 利壽君    堀  末治君       藤野 繁雄君    新谷寅三郎君       西郷吉之助君    紅露 みつ君       植竹 春彦君    田中 茂穂君       寺尾  豊君    草葉 隆圓君       平井 太郎君    黒川 武雄君       西川甚五郎君    谷口 慶吉君       徳永 正利君    鍋島 直紹君       村上 春藏君    栗原 祐幸君       川野 三暁君    丸茂 重貞君       日高 広為君    温水 三郎君       村山 道雄君    木島 義夫君       北畠 教真君    大谷藤之助君       柴田  栄君    西田 信一君       松野 孝一君    稲浦 鹿藏君       石井  桂君    吉江 勝保君       中野 文門君    井上 清一君       岡村文四郎君    八木 一郎君       剱木 亨弘君    田中 啓一君       斎藤  昇君    塩見 俊二君       河野 謙三君    村松 久義君       小柳 牧衞君    増原 恵吉君       高橋  衛君    吉武 恵市君       林屋亀次郎君    郡  祐一君       安井  謙君    石原幹市郎君       青木 一男君    迫水 久常君       高橋文五郎君    佐野  廣君       後藤 義隆君    横山 フク君       白井  勇君    小林 武治君       古池 信三君    近藤 鶴代君       杉原 荒太君      —————・—————
  180. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 本日はこれにて延会することとし、次会は明日午前十時より開会いたします。  これにて延会いたします。    午後十一時二十六分延会