○松澤兼人君 私は、
日本社会党を代表して、ただいま提案になりました
法律案につき、佐藤総理大臣並びに関係各大臣に若干の質問をいたしたいと思います。
〔
議長退席、副
議長着席〕
本題に入る前に、この
法律案に関連する二つの緊急な問題について質問いたしたいと思います。
その一つは、先ほ
ども同僚近藤
議員から質問がありました、山陽特殊製鋼の会社更生法適用申請の問題であります。同社は、御承知のとおり播磨工特地域にあるものでありまして、同時に、債務額が五百億円に達するといわれ、関連する下請産業や、あるいは関連産業に重大な
影響があるのであります。新産都市あるいは工特地域の
整備の問題がちょうど
議題となっているときに、このような大
企業の
倒産という事態が起こってまいりました。で、この
法律案が望んでおりますところのいわゆる新しい開発
計画が、このような大規模な
倒産が起こることによって、幾多の悲劇を生むのではないかということが私たちの心配とするところであります。総理は、全体の新
産業都市建設あるいは工特地域の
整備という問題の中におきまして、このような特殊鋼のトップメーカーといわれる
経営の
倒産について、どのように考えておられるか、また、一定の地域におきましてこのような大きなメーカーが
倒産することが、新産都市
建設並びに工特地域の
整備にどのような
影響を持つであろうか、この問題につきまして、基本的なお考えを伺いたいと思います。
また、次の諸点につきましては、関係の各大臣から答弁をお願いしたいと思います。
一つは、山陽特殊鋼は、会社更生法の適用を受けて
生産を継続する予定といわれておりますが、将来、
生産がどのような規模で継続される見通しであるか。
第二は、負債のたな上げに伴う関連産業への
金融対策と、将来もし再建されるとするならば、下請産業もまた必要となるわけでありますが、将来の必要
資金の調達について。
第三は、
生産の
縮小やあるいは労働者の解雇などが将来起こるのではないかということを非常に心配されているのでありますが、その
対策についてであります。
第四は、関連下請産業は相当数にのぼり、その再建のためには相当の
資金が必要とされますし、また関連
倒産の
防止ということも考えなければならないと思いますが、
政府の
対策を伺いたいのであります。
もう一つの、この法案に関連する問題は、むつ製鉄の問題であります。
先行投資七億円にも達するといわれておりますこの
計画が、なぜ失敗したか。これは、一つの地域開発のモデルケースといわれておりまして、世間から非常な注目を浴びていたわけであります。地元としては、あらゆる犠牲を払って
資金を調達し、土地造成、住宅、道路、学校等に至るまで、これを
建設いたしまして、誘致につとめたのであります。
政府、三菱、東北開発、地元など一体となって、その開発
計画を進めてまいったのでありますが、この
計画の挫折は、新産都市
計画に対して一つの暗い影を投じているのであります。これにつきまして、次の諸点を明らかにしていただきたいと思います。
その第一に、
計画が失敗した原因。
第二に、当事者の間の
計画と
政府の
施策との調整がどういうふうになっていたのか。
もしもこれが失敗したとすれば、地元が
実施しておりました事業の救済
措置はどうなるのであるか。
さらに、七億円といわれる先行投資の処理についてどのようにお考えであるか。
さて、本論に入りますが、両
計画合計して、
昭和五十年までに所要経費は六兆三千億ということが、ただいま自治大臣から述べられているのであります。この数年間、指定を受けるために地元は猛烈に運動をし、多額の運動
資金を投じてまいっておるのであります。ようやく事業着手のときを迎えることになりました。この
計画の青写真を見て、地元十九の地区の表情は必ずしも活気にあふれたものでなく、その青写真の色あせていくことを非常に憂えているのであります。六兆三千億にのぼる公共投資は、一体どういう負担の区分において、だれがやるのか、あるいは大
企業は地元の希望どおり進出を
期待することができるであろうか、あるいは激しい地価の値上がりにどう対処するか、地元住民が新しい悩みとして考える産業公害の問題をどうするか、というような問題を考えてみますと、新産都市、工特地区は、その出発の門出にあたりまして、いういう山積する難問を前にいたしまして、立ちあぐんでいる状態であります。
以下、私は、地方公共団体並びに地域住民が最も憂慮しているこれらの問題について、総理並びに関係大臣に率直にお答えを願いたいと思います。
第一は、新産都市
建設、工特地域の
整備に対する
政府の基本的な方針についてであります。
そもそも新産都市の
建設は、法が明示しているとおり、国土の均衡ある開発発展と、
国民経済の発展に資ずることを
目的とし、国がイニシアチブをとって積極的に地域開発を推進しようとする、国家的な事業であります。しかるに
政府は、新産都市は地方自身の利益につながる問題であるから、地方でやるべきであるといった態度をとっているのであります。こういう
政府の態度が、当該地方公共団体やあるいは住民を非常に不安におとしいれているのであります。法制定の経緯、法の内容から考えても、新産都市
建設は国が主体になって進めるべきものであります。したがって、国は大きな
財政責任を負っていると考えますが、総理はいかようにお考えでありますか。これは、御承知のように、前
内閣の政策の踏襲でありますが、佐藤
内閣となりまして根本的にこの問題を検討されてきたか、そうして、この膨大な
計画をほんとうにやる自信があるのかどうか、率直にお答え願いたいと思います。
第二に、国の責任と関連して、
財政調達の問題についてであります。
新産都市、工特地域の性格上、先行投資を含む各種の公共投資を、短期間に、かつ集中的に行なって、各般の都市施設と工場立地
条件を早急に
整備しなければならないことであります。このための公共事業と、これを補充する単独事業の量は、すでに述べたように、ばく大なものとなり、これを
実施するための地元負担は巨額な額に達すると思うのであります。
政府が出された地方
財政計画が示しているように、地方公共団体の
財政はますます
悪化しております。この
計画を遂行するために、
財政力の貧弱な地元地方公共団体が
財政上の負担を非常に重くいたしまして、将来どうなるかということを非常に心配をしているのであります。現在、総事業費中に占める国、道、県、
市町村及びその他の負担をどういうふうに区分するかということは、明確でありませんが、地元公共団体の
財政負担は、平均して三〇%から五〇%にのぼると想像され、地元民を不安におとしいれているわけであります。各地方団体から、新産業都市法にうたっている国による特別の
財政援助をほしいという要望が起こってくるのは当然であります。世上、新
産業都市建設はバラ色の夢にすぎないといわれるゆえんも、まさにここにあるのであります。夢破れて地元の
財政負担のみ残る結果とならないかを、私
どもはおそれるのであります。自治大臣は、
財政窮乏の自治団体の現状から、将来この
計画の
実施に伴って生ずる
財政上の長期見通しについて、どのようにお考えであるか伺いたいのであります。
三十八年八月、全国知事
会議で、池田前総理は、こと新産都市
建設に関する限り、別ワクをもって地方団体の
財政を援助すると約束してまいりましたが、この
計画をみて、はたして池田前総理の言われたとおりになっているのかどうか。佐藤総理は、この
政府の約束をどのように果たそうとされるのか、伺いたいのであります。新産都市
建設が国の責任であるとするならば、
政府は思い切った
財政措置を行ならべきであると思いますが、どうでありますか。
また、事業を進めるには、各地区について全年度にわたる事業
計画を、事業主体及び負担区分に従って計算集計しなければならないのであります。また、その際、事業効果の
財政への反映を含めて、
財政の見通しを持たなければならないのであります。基本
計画には、全事業費の総額をうたったのみでありまして、
政府は、はたして年度区分、事業主体負担率等の区分をいつ
決定する予定であるか、自治大臣にお答えをお願いしたいのであります。
新産都市
建設、工特
地域整備の今後を取り上げる上で見のがしてはならないのは、地価の高騰であります。地元の膨大な開発構想を著しく圧縮したにもかかわらず、公共投資の総額が当初
計画の倍近くなったのは、指定によって地価が高騰したことがおもな原因なのであります。地価騰貴が、社会的、
経済的に引き起こしているひずみは、大きな
政治問題であります。
政府は、地価
対策にどのような手を打とうとするのか、
建設大臣、
経済企画庁長官に伺いたいと思います。
第三は、
企業誘致の見通しであります。地価の高騰と
経済情勢の
悪化は、
企業進出に赤信号を出しており、各地とも難問をかかえている状態であります。冒頭で述べましたように、ある有力地区では、某重工業が進出を取りやめ、ある地区では工場
建設計画の変更をするというように、非常な問題が起こっているのであります。誘致の失敗による開発
計画の行き詰まりは全国的に問題となってまいりました。立地
条件の悪いところでは、用地造成、税の減免、住宅
建設など、
企業への優遇
措置が
強化されることになると思います。そうなった場合には、失敗の場合の
影響が深刻であります。
政府は、この点どう考えておられるのか、また、各地区への工場の立地につきまして自信があるのかどうか、自治大臣並びに
経済企画庁長官にお尋ねいたします。
最後にお尋ねいたしたいのは、新
産業都市建設及び工特
地域整備の基本的なあり方の問題についてであります。私たち社会党は、本二法
審議を通じて、
生活基盤の重視、地域雇用の安定、大、中、小三拠点同時開発などを強調してまいったのであります。また、その趣旨に従って修正を行ない、附帯決議をつけているのであります。いまこれらの基本
計画を見ますと、
計画の主体は依然として産業基盤に重点が置かれ、しかも、その
実施は
計画の前期に集中して、住民
福祉の関係は第二義的に取り扱われているのであります。