運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-03-17 第48回国会 参議院 本会議 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十七日(水曜日)    午前十時二十六分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第八号   昭和四十年三月十七日    午前十時開議  第一 国会法第三十九条但書規定による議決     に関する件(海外移住審議会委員)  第二 国会法第三十九条但書規定による議決     に関する件(売春対策審議会委員)  第三 国会法第三十九条但書規定による議決     に関する件(在外財産問題審議会委員)  第四 国会法第三十九条但書規定による議決     に関する件(畜産物価格審議会委員)  第五 中央更生保護審査会委員任命に関する     件  第六 国務大臣報告に関する件(中小企業基     本法に基づく昭和三十九年度年次報告及     び昭和四十年度中小企業施策について)  第七 千九百六十三年十二月十七日に国際連合     総会決議第千九百九十一号(XVII     I)によつて採択された国際連合憲章の     改正の批准について承認を求めるの件     (趣旨説明)  第八 新産業都市建設及び工業整備特別地域整     備のための国の財政上の特別措置に関す     る法律案趣旨説明)  第九 所得に対する租税に関する二重課税の回     避及び脱税防止のための日本国とカナ     ダとの間の条約締結について承認を求     めるの件  第一〇 所得に対する租税に関する二重課税の     回避及び脱税防止のための日本国とア     メリカ合衆国との間の条約を修正補足す     る議定書締結について承認を求めるの     件  第一一 所得に対する租税に関する二重課税の     回避及び脱税防止のための日本国と     スウェーデンとの間の条約を修正補足す     る議定書締結について承認を求めるの     件  第一二 製造たばこ定価決定又は改定に関     する法律の一部を改正する法律案内閣     提出衆議院送付)  第一三 日本国アメリカ合衆国との間の二重     課税の回避及び脱税防止のための条約     の実施に伴う所得税法特例等に関する     法律の一部を改正する法律案内閣提     出)  第一四 所得に対する租税に関する二重課税の     回避及び脱税防止のための日本国と     スウェーデンとの間の条約実施に伴う     所得税法法人税法及び地方税法特例     等に関する法律案内閣提出)  第一五 所得に対する租税に関する二重課税の     回避及び脱税防止のための日本国とカ     ナダとの間の条約実施に伴う所得税法     の特例等に関する法律案内閣提出)  第一六 所得に対する租税に関する二重課税の     回避のための日本国政府フランス共和     国政府との間の条約実施に伴う所得税     法、法人税法及び地方税法特例等に関     する法律案内閣提出)  第一七 市町村合併特例に関する法律案     (内閣提出)  第一八 造船法の一部を改正する法律案内閣     提出)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、故議員天田勝正君に対し弔辞贈呈の件  一、故議員天田勝正君に対する追悼の辞  一、日程第一 国会法第三十九条但書規定に   よる議決に関する件(海外移住審議会委員)  一、日程第二 国会法第三十九条但書規定に   よる議決に関する件(売春対策審議会委員)  一、日程第三 国会法第三十九条但書規定に   よる議決に関する件(在外財産問題審議会委   員)  一、日程第四 国会法第三十九条但書規定に   よる議決に関する件(畜産物価格審議会委   員)  一、日程第五 中央更生保護審査会委員任命   に関する件  一、日程第六 国務大臣報告に関する件(中   小企業基本法に基づく昭和三十九年度年次報   告及び昭和四十年度中小企業施策について)  一、日程第七 千九百六十三年十二月十七日に   国際連合総会決議第千九百九十一号(XVI   II)によって採択された国際連合憲章の改   正の批准について承認を求めるの件(趣旨説   明)  一、日程第八 新産業都市建設及び工業整備特   別地域整備のための国の財政上の特別措置に   関する法律案趣旨説明)  一、日程第九 所得に対する租税に関する二重   課税の回避及び脱税防止のための日本国と   カナダとの間の条約締結について承認を求   めるの件  一、日程第一〇 所得に対する租税に関する二   重課税の回避及び脱税防止のための日本国   とアメリカ合衆国との間の条約を修正補足す   る議定書締結について承認を求めるの件  一、日程第一一 所得に対する租税に関する二   重課税の回避及び脱税防止のための日本国   とスウェーデンとの間の条約を修正補足する   議定書締結について承認を求めるの件  一、日程第一二 製造たばこ定価決定又は   改定に関する法律の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  一、日程第一三 日本国アメリカ合衆国との   間の二重課税の回避及び脱税防止のための   条約実施に伴う所得税法特例等に関する   法律の一部を改正する法律案内閣提出)  一、日程第一四 所得に対する租税に関する二   重課税の回避及び脱税防止のための日本国   とスウェーデンとの間の条約実施に伴う所   得税法法人税法及び地方税法特例等に関   する法律案内閣提出)  一、日程第一五 所得に対する租税に関する二   重課税の回避及び脱税防止のための日本国   とカナダとの間の条約実施に伴う所得税法   の特例等に関する法律案内閣提出)  一、日程第一六 所得に対する租税に関する二   重課税回避のための日本国政府フランス   共和国政府との間の条約実施に伴う所得税   法、法人税法及び地方税法特例等に関する   法律案内閣提出)  一、日程第一七 市町村合併特例に関する   法律案内閣提出)  一、日程第一八 造船法の一部を改正する法律   案(内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ―――――・―――――
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。田中清一君から、病気のため二十二日間請暇申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。      ―――――・―――――
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 議員天田勝正君は、去る二月二十七日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。  同君に対しましては、すでに弔詞を贈呈いたしました。  ここに、その弔詞を朗読いたします。    〔総員起立〕  参議院議員正四位勲二等天田勝正君の長逝に対しましてつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます      ―――――・―――――
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 西田信一君から発言を求められております。この際、発言を許します。西田信一君。    〔西田信一登壇拍手
  7. 西田信一

    西田信一君 本院議員天田勝正君は、去る二月二十七日、急性肝炎のため、こつ然として幽明境を異にせられました。君の訃報は、まさに青天のへきれきでありまして、まことに哀惜のきわみでございます。ここに私は、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしんで哀悼ことばを申し述べたいと存じます。  天田君は、明治三十九年埼玉県に生まれ、長じて東京物理学校に学ばれましたが、国民大衆の幸福を念ずるひたむきな心情から、いち早く政治に志し、革新陣営に身を投ぜられました。  戦前、君は無産党初め、日本大衆党結成に参画され、埼玉連合会常任委員日本農民組合中央常任委員等を歴任され、特に、秋田県、青森県の小作争議指導されて、わが国農民運動史の一ページを飾られたのであります。また、労働運動においても、特に、東京埼玉方面においてその指導に当たられ、この間、投獄数回にわたるも、その強固な信念は微動だにしなかったのであります。  昭和二十年、新しい日本建設にあたって、君は直ちに日本社会党結成に参加せられ、中央常任委員宣伝、遊説、出版宣伝の各部長、選挙対策委員長等を歴任せられました。  昭和三十四年、新たに民主社会党結成に参加せられ、中央執行委員選挙対策委員長農林漁業対策委員長を経て、参議院議員会長国会議員団会長党埼玉県連初代会長及び顧問等の要職につかれましたことは、なお私どもの記憶に新たなところであります。この間、農民運動においても、常に幹部として指導を続けられました。  君は、昭和二十二年、本院議員として議席を得られて以来、過去三回にわたって当選せられ、実に十有五年の長きにわたって在職せられました。その間、運輸委員長大蔵委員会及び議院運営委員会理事農林水産委員会及び決算委員会委員等を歴任せられました。なかんずく、大蔵委員会委員理事の御経歴は長く、財政金融等国政審議に深いうんちくを傾けられ、誠心誠意尽瘁せられたのでありまして、その寛容な人柄、豊富な御体験、卓越せる識見、円熟した主張は、私ども同僚議員の常々敬服おくあたわざるものがございました。  最近は、民主社会党参議院議員会長として、院内において重きをなすとともに、大蔵委員会理事として委員会運営に欠くことのできない貴重な存在でございました。このたびの病床にあっても、委員会運営に心を砕かれ、再三の御連絡を受けたのであります。  私どもは一日も早く御快癒せられることを待ち望んでいたのでありますが、思いもかけぬ急逝に会い、再び相まみえることもかなわず、寂寥の感にたえません。  政治家としての君は、常に修養を怠らず、事に当たってはおのれを曲げず、正義のため、国民福祉のためとあれば、あくまで戦う情熱を持ち、政界まれに見る誠実高潔の士であります。  本院における審議もいよいよ本格化しようとするのとき、君を失ったことは、ひとり本院のみならず、国家のために重大な損失であり、まことに痛恨の念を禁じ得ません。  ここにつつしんで天田君の生前におけるありし姿をしのび、数々の功績をたたえつつ、心から御冥福を祈って、追悼ことばといたします。(拍手)      ―――――・―――――
  8. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一より第四までの、国会法第三十九条但書規定による議決に関する件を、一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  内閣から、海外移住審議会委員に、衆議院議員福永一臣君、本院議員青柳秀雄君を、  売春対策審議会委員に、衆議院議員伊藤よし子君、井村重雄君、小林進君、田中龍夫君、中野四郎君、本島百合子君、本院議員柏原ヤス君、藤原道子君、丸茂重貞君、森田タマ君を、  在外財産問題審議会委員に本院議員青木一男君を、  畜産物価格審議会委員に、衆議院議員東海林稔君、谷垣専一君、長谷川四郎君、本院議員温水三郎君、矢山有作君を任命することについて、本院の議決を求めてまいりました。  いずれも、内閣申し出のとおり、各議員がこれらの委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。    「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。      ―――――・―――――
  11. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第五、中央更生保護審査会委員任命に関する件を議題といたします。  内閣から、犯罪者予防更生法第五条第一項の規定により、神田多恵子君を中央更生保護審査会委員任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  本件同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  12. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。      ―――――・―――――
  13. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第六、国務大臣報告に関する件(中小企業基本法に基づく昭和三十九年度年次報告及び昭和四十年度中小企業施策について)  通商産業大臣から発言を求められております。発言を許します。櫻内通商産業大臣。    〔国務大臣櫻内義雄登壇拍手
  14. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 中小企業基本法に基づきまして、先般政府国会提出いたしました「昭和三十九年度中小企業に関する年次報告」及び「昭和四十年度において講じようとする中小企業施策」の概要を御説明いたします。  まず、中小企業の最近の動向を見ますと、その生産等事業活動の面につきましては、大企業のそれとほぼ軌を一にして、昭和三十八年の景気回復期には順調な上昇を示し、景気調整下にありました昭和三十九年におきましても堅調に推移いたしました。しかしながら、この間、中小企業の多くは財務内容悪化を続け、収益性低下傾向を示し、これを反映して、特に昭和三十九年には、企業倒産、手形の不渡り等が著しく増加いたしました。  中小企業につきましてこのような特徴的な動きをもたらしたものといたしましては、金融機関からの借り入れの伸びが縮小したこと、売り上げ債権の著しい増大に対し買い入れ債務がそれほど増加しなかったことなど、金融引き締め影響と申すべき要因があげられます。しかしながら、昭和三十八年度の景気回復期におきましても、中小企業経営は困難の度を加えていったことからも推測されますとおり、より基本的な構造的要因がそこに働いていることを指摘しなければならないのであります。  わが国経済が急速に拡大する過程におきまして、中小企業は、これに適応するため多くの努力を払ってまいりまして、全体として相応の発展を示し、その従業者所得もかなりの向上を見たのでありますが、資本技術の点でなお大きな格差があるため、その国民経済に占める地位は低下せざるを得なかったのであります。このような状況のもとで中小企業と大企業との間の付加価値生産性格差も、昭和三十五年までは年々拡大してまいりました。しかし昭和三十六年から三十八年までの三年間におきましては、格差は徐々に縮小傾向を見せているのであります。このような格差縮小傾向は、中小企業体質改善が進みつつあることを示すものでありますが、また最近は、重化学工業部門の大企業昭和三十四年から三十六年までのような急速な生産性向上を見せなかったことによる面も大きいと見られるのでありまして、今後とも格差縮小傾向が続くとは必ずしも断定しがたいと考えられます。しかも、格差の絶対的な水準の開きが、製造業を例にとりますと、大企業に対して四七%と、なお大きいことが問題でありまして、このような大きな格差存在にあらわれております中小企業近代化のおくれが、中小企業経営に困難をもたらす最も基本的な要因となっているのであります。  このような生産性格差存在とともに、中小企業をめぐる外部条件にも大きな変化が生じつつあるのであります。  第一に、労働力需給関係は、特に若年労働力を中心として最近一そうきびしくなってきております。このような情勢に適応ずるため、中小企業は、賃金上昇福利厚生費増大等を余儀なくされており、賃金格差も年々縮小するとともに、中小企業従業者生活及び福祉向上には見るべきものがありますが、他方、企業自己資本の蓄積という点に影響が及んでおりまして、このため生産性向上必要性がますます強まってきているのであります。  第二に、技術革新消費パターン変化などが急速に進展いたしましたが、これに伴って、中小企業におきましても、設備近代化合理化が必要となってきており、また生産流通を通じて企業の大規模化が進展し、中小企業の分野に大企業が進出する例もかなり見られるに至っております。  第三に、開放経済体制への移行を契機としまして、親企業合理化が進むとともに、下請中小企業に対する品質向上コスト引き下げ要請がきびしくなり、これに対応するため合理化必要性が強まってきています。  以上述べてまいりました外部条件変化も、また、最近における中小企業経営に困難をもたらした構造的要因であると考えられるのであります。  このような状況に適応するため、中小企業は、設備投資技術水準向上あるいは経営管理改善等近代化合理化努力を行なってまいりました。しかしながら、このような過程におきまして、すでに述べましたような財務状況悪化あるいは投資効率低下などの問題が出てきております。これは、総合的な経営管理体制とその機能の整備がおくれていること、良質な資金の調達が困難なことなどを反映するものでありまして、今後一そう診断指導拡充金融税制関係の諸施策充実等により事態を改善するとともに、協業化により中小企業の効率的な近代化をはかる必要性が強く認められるのであります。また、成長性商い中小企業におきましては、近代化が比較的進んでおりますが、下請企業産地企業あるいは商業などの小規模企業の多い部門におきましては、外部的諸条件変化過程におきまして近代化のおくれと経営不安定性が強く認められるのであります。  産業構造変動外部条件変化による近代化要請は、単に製造業のみならず、流通部門にも強まっておりまして、商店大型化流通経路短縮等動きが見られるほか、商品多様化に対応して一般小売商などでは扱い商品専門化傾向も進んでおります。このような趨勢に対応するため、卸売り業でも小売り業でも、協業化団地化など、幾つかの合理化動きが出てきております。  以上述べてまいりました諸問題に適応しようとする中小企業者努力を支援助長するため、政府といたしましては、昭和三十九年度において、まず最も基本的に必要とされます近代化高度化を推進するための資金供給円滑化技術及び経営指導事業充実労働力確保のための職業訓練福利厚生施設設置目的とする融資の拡充、また総合性を持った業種別近代化計画作成推進、さらに小規模企業者のための経営改善普及事業等措置強化いたしましたほか、特に、金融引き締め下における中小企業金融円滑化をはかるため、財政投融資の増額、下請企業取引条件に関する指導監督等施策を進めるとともに、大企業進出に対する事業活動調整のための措置を制度化いたしました。     ―――――――――――――  次に、昭和四十年度におきましては、中小企業基本法の定める諸施策を着実に強化し具体化することを基本的な態度として、次のような諸施策を推進いたしたい所存であります。  中小企業施策の重点といたしましては、まず第一に中小企業生産性向上市場競争力強化をはかりつつ、経済構造変動に即応してその存立基盤を確立するため、設備近代化中小企業構造高度化を一そう強力に推進するものとし、特に中小企業近代化促進法に基づき近代化計画の策定された業種につきましては、その計画に沿って業種別実態に即した近代化を総合的に推進いたします。また、立ちおくれの著しい流通機構合理化をはかるため、卸商業団地の造成、共同施設設置等流通経路合理化をはかりますとともに、小売り商業店舗共同化資金による寄り合い百貨店共同スーパーー等協業化商店街近代化資金による町ぐるみ近代化を強力に促進することといたしております。  第二に、中小企業技術向上経営合理化を推進するため、診断指導事業管理者技術者研修事業を積極的に実施いたしますとともに、開放試験室巡回技術指導等による技術指導事業拡充日本中小企業指導センター事業内容強化拡充をはかることといたしております。  第三に、中小企業の需要の増進取引条件向上をはかるため輸出の振興中小企業者事業活動の機会の確保下請取引適正化下請企業育成振興等施策につきまして、適切な施策を講ずることといたしております。  第四に、中小企業従業者福祉向上をはかるため労働条件改善労働環境整備を促進し、あわせて技能者教育等充実をはかるなど、中小企業における労働力確保をはかることといたしております。  第五に、中小企業のうち大きな比重を占める小規模企業につきましては、一般的な近代化施策に加え、特にその経営改善発達をはかるため、経営改善普及事業強化いたしますと同時に、小規模企業従事者生活水準向上に資するよう金融税制上特別の配慮を加えることといたしております。さらに、新たに、小規模企業者退廃業者生活の安定と福祉増進目的とする小規模企業者の拠出による共済制度実施し、あわせて小規模企業振興に寄与するため、小規模企業共済事業団を創設いたします。  第六に、以上の諸施策を推進してまいるためには、中小企業金融の一そうの円滑化租税負担適正化をはかることも必要であります。すなわち、政府関係中小企業金融機関に対する財政投融資を増額いたしますとともに、中小企業者の信用力不足を補らため、特別小口保険制度を創設する等、信用補完事業充実することとし、あわせて民間金融機関に対して、中小企業金融適正化円滑化をはかるよう指導強化することといたしております。  また、税制面におきましても、中小企業自己資本充実設備近代化及び中小企業構造高度化等をはかるため、同族会社留保金課税軽減法人税率引き下げ等措置を講じますとともに、家族専従者控除事業主控除引き上げ等小規模事業者税負担軽減をはかることといたしております。  以上、年次報告及び昭和四十年度中小企業施策について、その概要を御説明した次第であります。(拍手
  15. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。近藤信一君。    〔近藤信一登壇拍手
  16. 近藤信一

    近藤信一君 私は、日本社会党を代表して、ただいま御報告になりました中小企業年次報告、並びに昭和四十年度施策に関し、若干の質問をするものであります。  この年次報告は、中小企業基本法による白書としては第二回目のものであります。昨年は第一回目の白書でありましたから、過去十年間にわたり中小企業動向を浮き彫りにし、基本法の精神を強調して、非常な意気込みを見せていたのでありますが、今年は第二回目ではあるし、その意気込みはどんなふうに展開しているかということに、大きな期待を寄せていたのであります。ところが、それが期待はずれに終わったようであります。なぜ、白書期待はずれに終わったか、それは、白書をめぐる諸情勢が非常に変化しているにもかかわらず、白書があまりそれを意識しなかったように見えるからで、白書の名のとおり、それがしらじらしい報告になった、全体に血が通っていないという感が深いのであります。  御承知のとおり、昨今の中小企業の問題といえば、だれでも第一に企業倒産を口にします。中小企業として最も心配しているのは、いつ倒産あらしが自分の身に振りかかってくるかということであります。ところが、本書は、その倒産という現実を見ながら書かれたという実感がわいてこない。通産大臣は、衆議院予算委員会で、倒産のことは今度の白書に詳しく書いてあるから読んでもらいたいと答弁しています。確かに倒産のことは書いてあり、「総論」で二ページ、「動向」のところで四ページ書いてある。そのほかのところにもときどき出てきます。しかし、全体として、倒産旋風のさなかに書かれたという危機感不安感がなく、対策においても、倒産という現実あらしに対処しようとする気魄に欠け、むしろ政策の貧困を言いわけするのにきゅうきゅうとしている、こういう感じであります。  次に、意外に感じたことは、この白書が佐藤内閣のもとで発表されているにもかかわらず、佐藤内閣の一枚看板である社会開発に触れておりません。社会開発ということばも、実は何を言っているのか、私どもは理解に苦しむ点ですが、それでも、中小企業対策は社会開発の一環であるということは、しばしば耳にしているのであります。したがいまして、社会開発と中小企業の関係について佐藤内閣はいかなる見解を持っているのか、それを本書によって知ることができるだろうと思ったのですが、本書では、ただ中小企業動向施策がきわめて平板的に書かれているだけで、その点に触れるところが少ないのであります。わずかに、中小企業の「健全な成長発展こそ、全国民的な福祉向上につながるものと信ずる」と言っているだけであります。そこで、よい機会でありますから、この際、総理に、社会開発とはいかなる輪郭を持っているのか、それと中小企業との関係はいかなるものであるか、さらに、健全なる中小企業というもののあるべき姿について、ここに御説明を願いたいと思うのであります。  今回の白書の特徴は、中小企業の直面している困難が、景気変動から来るものと構造変動から由来するものとあり、特に構造変動によるものを重視し、これに対応する重要な施策として、企業構造の高度化を強く打ち出していることがうかがわれるのであります。このことはきわめて適切でありますが、構造変動に伴う中小企業の困難性を強調したことが、中小企業は、現在の中小企業の形では、もはや、やっていけなくなってきていることを示すものとも受け取られるのであります。白書には、盛んに、共同化、協業化、集団化、合併、合同というような文字を使って、中小企業が幾つか一緒になって数を減らすことを説いています。確かに、現在の中小企業の中には数の多過ぎる業種もあり、過当競争の弊害に悩んでいる業種もあります。そういう業種では思い切って転換する必要があるのかもしれない。白書も、零細企業などで事業転換についての要請がやがて強まるものと見ているが、その事業転換についての施策はほとんど示していないのであります。いままで設備近代化ということによって中小企業は救われると思っていたが、それでは救われず、たまたま優秀企業があらわれると、その企業に需要を奪われ、数多くの同業者が得意先を失うようになる。その過剰になるものに対し、合併、合同等をすすめているとしか思われないので、政府には、その間の分析をして転換対策を打ち出すだけの用意があるのかどうか。  前回の白書では、設備近代化を特に強調し、特に中堅企業の育成強化に力を入れてきていることを述べている。そのためか、多くの中堅企業が脚光を浴びて登場したのでありますが、それら中堅企業の中に、あるいは倒産し、あるいは金融難に直面しているのがかなり見られるのであります。それは政策の不徹底さにも原因があり、倍増計画という景気のよい政府のかけ声に応じて、若干の近代化資金を得て設備投資をしても、流動資金まではめんどうをみてもらえず、多くの場合は設備資金そのものも不足して、結局は無理な借金にたよったために、金繰りに苦労する。こうして政府の景気のよいかけ声に踊らされた企業が、かえって困っているのが実情だといってよいのであります。政策の不徹底さは、工場団地や商店近代化が少しも予定どおりに進行していないことでも明らかであります。近代化資金において政府の負担分と同額を地方自治体にしいることも、貧乏県の財政難に拍車をかけるだけだということを一考すべきだと思うのですが、この点について通産大臣の御所見を伺いたいのであります。  生産性賃金における大企業との格差縮小しつつあることを白書は誇らしげに書いているのですが、はたしてそれは縮小しているのかどうか、すこぶる怪しいのであります。その端的な例は、労働者が決して中小企業に就職したがらない。それは中小企業賃金が表面的に高くなったとしても、実質的には、はるかに大企業より低いからであります。それから、格差縮小の陰に、生産性の低い、あるいは賃金の低い中小企業倒産没落して、統計上は格差是正という形を見せているのではないか、この点をおそれるのであります。政府は、中堅企業を育成して弱小企業は切り捨てる、これが基本法の行き方ではないかということは、私ども基本法審議の際に最も心配した点でありました。ところが、現在の倒産旋風を見ますると、これが現実の姿になってきているように思うのであります。これは政府として最も簡単な合理化対策であり、格差是正策かもしれませんが、とれほど人間尊重の精神を踏みにじったものはなく、経済上悲惨なことはないのであります。倒産前に対策を講ずべきであり、四十年度の対策は、その方針が前面に押し出されてしかるべきではなかったか、通産大臣の所信を伺う次第であります。倒産も、自己の経営放漫からくる倒産ならば、まだ、がまんができます。これが他の企業倒産のあおりを食って倒産するのでは、まことに気の毒にたえないのであります。昨年暮れから順次金融が緩和されてきているので、今年は倒産旋風もゆるむだろうと見られていたのですが、この予想はみごとにはずれたことは御承知のとおりでありまして、去る六日、資本金七十三億の山陽特殊製鋼が負債総額五百億をもって会社更生法の適用を申請した事件は、耳新しい事件であります。これが零細企業ならば、破産した経営者は当然路頭に迷うことになるのですが、こういう大会社になると、経営者は別に生活に困ることもなく、債権者を泣かし、下請業者を泣かして、自分の会社だけは更生するのであります。大企業の無責任さは驚くべきものがあります。会社更生法適用が中小企業に及ぼす影響の甚大なことを考えますると、その適用を今日のように軽々に許してよいものかどうか、この点は、政府においても十分検討しておられるように思いまするが、通産大臣及び法務大臣の所見をお伺いいたします。  それから会社更生法の際には、下請業者が下請代金のたな上げで過去何カ月かにわたる代金がもらえないことになる。しかも、下請代金と申しましても、実は労働者に対する賃金が大部分でありますので、これは何とか優先的に支払ってやることが至当だと思うのですが、この優先権の認められないことは、更生法そのものの不備といえるのではないかと思うが、いかがでしょうか。また、従業員の社内預金のごときも、その払い戻しを優先させるべきであると思いますが、この点もあわせて法務大臣の御所見をお伺いいたします。  会社更生法では、小さな債権者が多く泣かされて、大きな債権者はそれほどでもない場合が多いのであります。山陽特殊鋼の場合でも、三菱、神戸の両銀行から重役が入っていた由であります。こういう重役が事前に経営の不始末を探知できなかったというのは怠慢であるとともに、実は銀行がこういう重役を通じて大部分の債権を回収し、その後に更生法適用を申請するのではないかとさえ疑いたくなるのであります。この点、大蔵大臣の御答弁をわずらわしたいのであります。  もう一つ大蔵大臣に伺いたいのは、こういう大会社が、倒産前まで、なぜに利益を計上して配当を継続していたのか。大会社には公認会計士の監査が必要と聞いておりますが、公認会計士がそういう粉飾した決算をなぜ認めてきたのか。そういう無能な、あるいは悪質な公認会計士に対しては何も制裁がないのかということであります。  昨年の白書には、この倒産問題は全然といってよいほど書いてありませんでした。昨年のきょう、十七日ですが、日銀は公定歩合を一挙に二厘も引き上げたのです。私は当時、これを池田経済政策の破産だと申し上げ、倒産対策白書に書いてなくとも、三十九年度の施策には大々的に取り上げなければならぬと警告しておいたのであります。事態は、まさにそのようになりましたが、実際には見るべき対策がなく、その後もひんぴんとして倒産が起こり、記録が毎月更新される状態で、昨年十二月に衆参両院は、中小企業の危機打開に関する決議を全会一致で可決するほどでありました。そうして、通産大臣は、そのとき、しおらしくも、御趣旨を十分尊重して今後の施策に反映していく所存であると、この席で述べられたのであります。しかし、実情はどうか、その後三ヵ月、危機はますます深刻になっていくばかりであります。そのときの決議にありました倒産防止のための相談機構についても、倒産の実情調査についても、税の猶予、延分納の措置についても、白書は具体的の方策を示していない。歩積み、両建て等による不当な拘束預金についても、実効性ある措置を約束しながら、まだ具体化しておらぬのが現状であります。下請代金の支払い促進については、法律改正案を提出するとのことでありますが、これもまた、ざる法にならなければ幸いだと思うだけで、中小企業は依然として救われないというのが真相ではないかと思うのでありまして、それぞれの所管大臣並びに公取委員長の所信をお伺いいたします。  さらに、中小企業対策は依然として中企業に偏し、工業に偏して、商業と零細企業に対する配慮が少ないように思われることであります。零細企業については、特別小口保険と小規模企業共済制度の創設で、若干の進歩が見られるけれども商業については、団地、店舗共同化、商店近代化等が特殊の地域について考慮されるだけで、数多い一般小売り商に対する施策としては少しも進展していないのであります。商業生産性向上は、物価対策の上からも早急に対策を講ずべきだと思いますが、通産大臣の御意見を伺っておきたいのであります。  最後に、言いたしまするならば、昨年の白書近代化を提唱し、今年は企業構造の高度化を叫んでいるけれども、来年の白書企業倒産白書にならなければよいがと懸念するものであり、この際、政府の決意を促して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  17. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 社会開発とは何かというお尋ねでございますが、御承知のように、経済開発、これについてはもらすでに議論も尽くされておると思いますが、人によりましては、この経済開発と対立する意味に社会開発のことばを使っておるようでありますが、しかし、これは私はさような意味で使っておるわけではございませんで、経済開発をする場合の心組み、ものの考え方、これをやはり社会開発の理念を取り入れてくれと、こういうことを主張しておるのであります。これが第一の問題であります。御承知のように、経済開発は、全体が調和のとれた、また均衡のとれた発展をすることによりまして、経済の発展の効果を国民の福祉に結びつけることができる、かように考えます。もしもそこに懸隔があり、あるいはたとえば住宅の問題であるとか、あるいは産業公害の問題など、これに思いをいたさないで経済開発だけをいたしますならば、いわゆる社会開発という意味から見まして、経済開発が国民生活に直結しないことになるわけであります。どこまでも国民の福祉向上、この点に思いをいたして経済開発をすべきだ、かように私は考えておるのであります。具体的な各項目についての話はしばらく預かっておきまして、また他の機会に譲りたいと思います。  中小企業の真のあり方はどういうことかということをお尋ねでございますが、申すまでもなく、設備技術と人と、いわゆる三位一体になりまして、そうして近代的な高度化された経営規模に、また経営形態に持っていくことであります。今日わが国中小企業は、最近の経済の発展が急速でありましただけに、これについていけない。ただいまお話のような幾多悲惨な事態を起こしておりますが、今後は、ただいま申し上げるような三位一体の方向で体質の改善をし、欧米先進国のそれにも劣らないような生産性をあげてまいりたい、かように思います。この点は中小企業基本法がそれぞれの方向を定めておりますので、具体的に政府もこれらの指導援助等に当たるつもりでございます。(拍手)    〔国務大臣櫻内義雄登壇拍手
  18. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 中小企業の転換のことについて最初にお尋ねでございました。これは、促進法の十条に基づきまして、企業診断、産地診断、技術指導を通じ、具体的な指導助言を行なっております。かつ転換に必要な資金の融通あっせんにつとめておるような次第でございます。  近代化資金についての御批判でございました。これは御承知のように、貸し付け率が二分の一でございますが、不足分については、中小企業金融公庫あるいは市中金融機関からの協調融資を求めておるわけでございますが、本年度は、さらに信用金庫からの協調融資もお願いをして万全を尽くしていきたいと思います。  それから、格差縮小のことについての御批判でございますが、私としては、中小企業の全体としての生産向上によっておるのでありまして、一部の弱小企業の没落によるというふうには考えておりません。  労務対策につきましては、厚生施設その他労働条件や環境の緩和に鋭意つとめてまいりたいと思います。  倒産防止のことについての相談所などはどうしたかということでございますが、これは、しばしばこの席上から申し上げておりますように、各地方通産局においての地方公共団体、政府関係金融機関等による金融懇談会によって、倒産等の相談あるいはそれに対する指導をいたしておるようなわけでございます。  山陽特殊鋼の問題について御指摘でございました。今回の影響するところが非常に広範囲であり、また深刻な面があることについては、憂慮にたえないところでございます。私としては、下請に対し、あるいは、その他の中小企業に対する影響をできるだけこれを防いでいきたい。そのためには、会社更生法の二百二十九条の弾力的な運用あるいは保全処分について、特に考慮をしていきたいと思うのであります。  最後に、物価対策上の観点からの中小商業対策についてのお尋ねでございました。目下、産業構造審議会の流通部会において鋭意検討しておるのでございますが、現在の高度化資金の活用に伴う諸施策に加えまして、この答申による新しい施策を加えてまいりたい、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣高橋等君登壇拍手
  19. 高橋等

    国務大臣(高橋等君) 会社更生手続開始決定については、法律上種々の要件が定められておりますことは御承知のとおりであります。裁判所としては、職権で調査するなど、開始にあたって、御意見のごとく慎重な取り扱いをいたしておると承知をいたしております。  次に、従業員等からの預り金は、共益債権として保護せられております。  会社の下請企業関係の利益の保護については、運用の面のみでなく、法制上も考慮を要する問題がありますので、会社更生法について、現在関係省と打ち合わせ検討を進めておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  20. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 第一点は、山陽特殊鋼等、銀行派遣の重役は、なぜ一体このような状態になるのに、わからないのか、こういうことでございますが、本件に関しましては、私も、銀行当局等にも注意をいたしたり、この実情を聞いたわけでございますが、高い地位にある重役が、会社の内容をつまびらかにしなかったということに対しては、相当問題があると思います。山陽特殊鋼につきましては、一体どうしてわからなかったのかということを、事実をただしましたところ、この会社は、特別ワンマン経営でありまして、この銀行から派遣をされてまいった重役、すなわち、お目付役ともいうべき人に対して、君は将来自分にかわって会社を主宰するのだから、まず金融などを考えるよりも、工場の第一線に出て十分働けということで、その代表者は、大いに第一線を勉強しているらちに、会社がこういうことになった、こういうことであります。全く私は、こういう事態に対しては、これで一体いいのかということをまじめに考えております。これがただ単に一つの金融機関から派遣をされるというところに、このような状態が出るのだと思いました。  将来の問題としては、会社経営に対するコンサルタントというようなものをつくって、そこから企業内容監視のために派遣をするとか、いういう諸外国の例も考えながら、自分の貸し付けた命の回収だけのお目付役というような無責任な立場で重役を送るべきではない、こういう考え方で、将来十分正してまいりたいと考えます。  第二は、公認会計士の制度と粉飾経理に対してでございますが、公認会計士制度そのものが完ぺきであるとは考えておりません。しかし、御承知のとおり、産業規模が急速に大きくなっておりますので、公認会計士が十分調べるということになれば、大体のことはわかるわけでありますが、この山陽特殊鋼とか、いうような問題、会社にありますように、全く簿外で二重帳簿というようなものがあるということになると、現在の公認会計士の制度では、十分その真相をつかむことができないわけであります。公認会計士の独立性とか監査基準の強化とか、こういう問題に対しましては、現在、証券取引法の改正も考えて御審議をいただいておりますので、この過程において、実情に合うように、粉飾決算に対しては、公認会計士が十分見破れるような体制を築かなければならないと考えております。  税の延納等に対しては一体どうしておるかということでございますが、法人税の総額に対して、大体延納の利用状況は、現在の段階において約四五%、約半数に近いものが延納の利用をいたしておるわけであります。昨年十二月末現在において、納税の猶予を受けております者大体五万人、百八十五億と、こういう状態でございます。  歩積み、両建ての問題につきましては、毎々申し上げておりますが、昨年から金融機関の自粛体制によりまして、都市銀行等におきましては今年の五月、また、相互銀行、信用金庫等におきましては来年の五月を目途にいたしまして、過当、不当ともいわれる歩積み、両建ての排除に努力をいたし、企業の金利負担の軽減に資したい、こう考えておるわけであります。(拍手)    〔政府委員渡邊喜久造君登壇拍手
  21. 渡邊喜久造

    政府委員(渡邊喜久造君) お答えいたします。  第一の歩積み、両建ての問題でありますが、この点につきましては、さしあたりの措置としまして、大蔵省の行政指導による金融機関の自粛状況を常時監視することにしております。大蔵省の特別検査の結果は、先ごろ報告されましたが、それによりますと、相当の改善を見ているようであります。しかし、これは、いわば貸しているほうの立場の数字でございますので、公正取引委員会としましては、借り手である中小企業者の側から見て、この金融機関の自粛状況はどの程度裏づけされているかということを知る必要があると思いまして、本年三月末現在でアンケート調査を実施する予定でおります。また、今後とも金融機関の自粛状況の監視を続けまして、必要と判断される場合には、いつでも特殊指定を行なうことができるよう、その具体的基準について引き続き検討を進めております。  次に、下請代金支払遅延等防止法の問題でございますが、この法律の運用につきましては、現在の経済情勢にかんがみまして、中小企業庁の協力を得てできる限りの努力をしております。調査の対象となった親事業者について見ますと、相当改善の実をあげているように思いますが、しかし一般的に言いますと、遺憾ながら、下請代金の支払い状況は依然改善されておらず、最近においては下請代金の支払いに手形を充てる率はふえておりますし、また、サイトも長期化しておるように思います。  問題の一つは、一体どの程度取り締まりが行き渡り得るかということにあると思います。公正取引委員会としましては、与えられた人員、予算を万全に活用しまして、今後ともこの法律の厳正な運用につとめる所存であります。  また、同法の改正につきましては、過般、中小企業審議会の部会であります下請小委員会から中間報告がありました。この報告を参照しながら、目下この改正案について準備を進めておる過程にあります。(拍手
  22. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ─────・─────
  23. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第七、千九百六十三年十二月十七日に国際連合総会決議第千九百九十一号(XVIII)によって採択された国際連合憲章の改正の批准について承認を求めるの件(趣旨説明)、  本件について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。椎名外務大臣。    〔国務大臣椎名悦三郎君登壇拍手
  24. 椎名悦三郎

    国務大臣(椎名悦三郎君) 千九百六十三年十二月十七日に国際連合総会決議第千九百九十一号に(XVIII)よって採択された国際連合憲章の改正の批准について承認を求めるの件につきまして、趣旨を御説明いたします。  一九六三年十二月十七日、国際連合第十八回総会の本会議は、国際連合憲章の一部を改正し、安全保障理事会及び経済社会理事会の理事国の定数を増加すること等を規定する総会決議第千九百九十一号を採択いたしました。  この総会決議による改正は、安全保障理事会の理事国の定数を現行の十一から十五に増加すること、これに伴い、同理事会における決定に必要な賛成投票の数を七から九に増加すること、経済社会理事会の理事国の定数を現行の十八から二十七に増加すること並びに両理事会の理事国の定数の増加のために必要となる経過措置を内容としております。  この改正は、憲章第百八条の規定に基づき、安全保障理事会の五常任理事国を含む国際連合全加盟国の三分の二によって批准されたときに、すべての国際連合加盟国について効力を生ずることになっております。国際連合加盟国は現在百十四カ国で、昭和四十年一月二十日までにこの改正の批准書を国連事務局に寄託した国は五十四カ国であります。なお、安全保障理事会の常任理事国のうちで批准を行なった国は現在のところソ連一カ国でありますが、他の常任理事国も遠からず批准するものと予想されております。  この決議は、すべての加盟国が昭和四十年九月一日までにこの改正を批准することを要請しておりますが、わが国といたしましても、本件改正は、国際連合加盟国の増加に伴い、安全保障理事会及び経済社会理事会による任務の遂行を一そう適切ならしめるものとして妥当と認める次第であります。  以上が、千九百六十三年十二月十七日に国際連合総会決議第千九百九十一号(XVIII)によって採択された国際連合憲章の改正の批准について承認を求めるの件についての趣旨でございます。(拍手
  25. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。佐多忠隆君。    〔佐多忠隆登君壇、拍手
  26. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となっております国連憲章の改正案に関連し、政府に対してその所信をただしたいと思います。  第一の問題は、現在の国連の欠陥是正の問題であります。発足以来二十年の歴史を経た国連が、今日重大な転機に立っておることは、御承知のとおりであります。制度の上でも、運営の面でも、是正改善を加えねばならぬ幾多の点があるわけであります。  一九四五年、国連が発足いたしました当時は、明らかに大国優位の原則に立って、国連の組織ができ上っておりました。当時五十一カ国の加盟国は、今日では百十四カ国に増加しております。しかも、加盟した国の大部分は、アジア・アフリカの新興諸国であります。国連憲章は、一方では主権平等の原則の尊重をうたいながら、他方では大国の特権を制度化しております。ただいま議題になっております国連憲章改正案を見ますと、安全保障理事会と経済社会理事会の理事国数を増加し、その増加分は、アジア・アフリカ諸国に割り当てるという趣旨のもののようであります。この改正案は、これまでの大国優位の原則を、制度の上から改善していこうとする趣旨のものであると承知してよろしいかどうか、これが質問の第一であります。  さらに、国連の欠陥是正のためには、理事国の議席数の改正のみでは、容易にその目的は達しがたいと思われます。そこで政府は、国連の欠陥是正のために、従来どのような項目についていかなる努力をしてきたのか、また、今後どのような点について改善努力をしようとしているのか、具体的に承りたい。政府は従来、事あるごとに、国連尊重とか国連強化とかいうことばを口にしてきたようでありますが、実際にはおそらくこの種の努力はほとんど何もせずにきたでしょうし、また今後も努力の用意はないのではありますまいか。もしあるならば、この機会に具体的にお述べを願いたい。  第二の問題は、国連における日本とアジア・アフリカ諸国との関連についてであります。  国連は、米英ソをはじめとする五十一カ国により、一九四五年六月二十六日、国連憲章を採択し、発足しました。それ以来二十年の周に、加盟国の増加に伴い、その性格、運営の面で多くの変化を見せております。その前半十年においては、第二次大戦における反枢軸国を中心とした国々による国際平和と安全の確保という、理想主義的な目標を掲げ、新加盟国の資格を制限する方針をとってまいりました。しかし、後半の十年、最近の国連の動向は、加盟申請国の政治傾向経済状況によらず、できるだけ多くの国々を国際機構に迎え入れる、いわゆる普遍主義に移っております。国連の運営の面におけるこの変化は、米ソの冷戦対立を緩和し、国際的緊張を取り除こうとする国際世論の力によるものであり、世界の国々が平和共存の路線に移行しようとするあらわれであります。また、それに伴い、アジア・アフリカの新興独立諸国が大挙して国連に加盟をし、現在国連加盟国百十四カ国の過半数に及ぶ五十八カ国を数えております。これらアジア・アフリカ諸国は、国連をしてこれを中立主義的性格として位置づけることにより、世界の平和と安全を確立しようとしています。また、その発言力を強めることによって、後進国に対する経済開発、援助活動を、国連のもとに統合し、義務的、組織的行動として実現させる努力を行なっております。ビルマのウ・タント氏が国連の事務総長をつとめ、アフリカのケソンサッキー氏が十九回総会の議長に選ばれたのも、これらアジア・アフリカ勢力の増大のゆえでありましよう。  また、今回の国連憲章改正にあたっては、安保理事会の非常任理事国は六カ国から十カ国にふえ、そのうち五カ国をアジア・アフリカ諸国に与えられる予定であります。これは、アジア・アフリカ諸国の発言力の増大が国連の中で組織的にも制度的にも確立したものと言わねばなりません。  こうしたアジア・アフリカ諸国の、植民地から民族独立へ、そして経済開発へと進むたくましい前進に、われわれは深い別心を払わなければなりません。  アジアに位するわが日本が、アジア・アフリカ諸国の一員であることは、まぎれもない事実であります。とすれば、今後日本は、特にアジア・アフリカ諸国の一員であることの自覚に徹し、これらの諸国と緊密な連携をとりつつ、歩調を一にして、アジアの平和と安全のために活動することが、何よりも肝要だと思われます。従来、日本が、ともすればアジア・アフリカ諸国と離れ、孤立しがちであった事実は、この際、深く反省さるべきだと思いますが、どうお考えか、お答えをいただきたい。  第三の問題は、国連憲章の根本的改正についてであります。  第十九回国連総会は、二月十八日に、九月一日まで長期休会に入りました。今次総会が、軍縮、宇宙開発、中国代表権、原子力利用、植民地独立、低開発国開発援助など数多くの重要な議題について、何ら実質的な討議を行なうことなく終わったのは、まことに遺憾であります。今次総会が無為にして閉幕しなければならなかった原因は、言うまでもなく、国連軍経費の分担金問題で、アメリカとソ連がお互いにその主張を譲らず、妥協が成立しなかったためにほかなりません。その妥協が容易に成り立たないのは、これまで国連がコンゴや中東で行なった平和維持活動のために生じた赤字を埋める、埋めないという、財政上の問題だけでなく、将来の国連の平和維持活動に関する決定を安保理事会だけにまかせるか、総会にもその権限を認めるかという、原則的な問題を含んでいるからであります。  インドネシアは、「大国によってあやつられている国連は、全面的に改組しなければならない」と唱えて、国連を脱退したままになっております。他方、ドゴール・フランス大統領は、大国の権威を重視して、国連創設にあたって同意したとおり、憲章発足当時の精神に戻るよ合意するために、五大国会議を提唱しました。国連はいまや未曾有の危機に直面をしております。  佐藤総理は、さきに施政方針演説で、「インドネシアの国連脱退は、国連史上初めての事件であり、まことに遺憾である。国際連合の権威と機能を高めるために、積極的に貢献することは、わが国外交の基本である。私は、ウ・タント事務総長に対し、国際連合強化につき、日本が全面的に協力することを話し合ってきた」と言明されました。また、椎名外相は、さきの国連総会の演説において、「いまや、国連憲章を全面的に再検討することもわれわれの重要な課題だと言わねばならぬ。国際連合創設二十周年を控えたいま、憲章の再審議を真剣に考慮すべき好機と言えよう」と述べておられます。  佐藤総理は、どういう方向で、どんな手段をもって国連を強化しようとされるのか、椎名外相は、いかなる態度をもって憲章の再検討をされようとするのか、具体的にお示しを願いたい。  国連憲章の再検討を要請しているウ・タント事務総長は、次のように述べております。「平和が脅かされたときに、国連安保理事会に兵力を使用する権限を認めた国連憲章の規定は、前大戦の旧枢軸諸国が再び世界平和を脅かすようになるのをおそれてつくられたもので、いまでは時代おくれになっておる」と、また、「国連が二十年の歴史を持つ憲章を改正するかどうかを決定し、国連安保理事会と総会の機能の配分についてきめるときがきた。現在の論争は、諸大国が安保理事会の働きを通じて、国際平和と安全に独占的な責任を負い、一方、総会が政治問題に関する栄光ある討論の場となるか、または、これらの二主要機関の機能の配分について、状況変化に照らし、特に一九四五年当時の五十一カ国から六五年現在の百十四カ国に増加したことを念頭に置いて、公正かつ明白に定義するよう試みるかどうかである」と言っております。つまり、安全保障理事会と総会、大国と小国との役割りについて、全面的再検討を迫られているのであります。これらの問題について、佐藤総理、椎名外相はどんな見解をお持ちであるか、御答弁を願いたい。  最後に、各国の批准について、椎名外務大臣にお尋ねをします。  国連憲章の改正は、憲章第百八条の規定に基づき、安全保障理事会の五常任理事国を含む国際連合全加盟国の三分の二によって批准されたときに、すべての国際連合加盟国について効力を生ずることになっております。提案理由の説明によりますと、国際連合加盟国は現在百十四カ国で、現在までに、改正の批准書を国連事務局に寄託した国は、五十四カ国であります。なお、安全保障理事会の常任理事国のうちで批准を行なった国は、現在のところ、ソ連一カ国であります。批准要請されている一九六五年九月一日までに、所要の国の批准が得られる見通しがあるのかどうか、御説明を願いたい。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  27. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 第一に、今回の改正は、国連の主権平等の原則を確認したことになるのかということのお尋ねでございますが、御承知のように、五大国による安保常任理事国の拒否権という問題は残っております。したがいまして、その意味では、御指摘になりましたとおり、今日、いわゆる主権平等は完全に行なわれてはおりません。しかし、だんだん小国の数が多数になりましたので、この多数の意見が、今回のような改正によりまして、国連内に影響を持つ、取り上げられると、かように、私、考えますので、順次、いわゆる大国の優位が失われつつある、この優位を小国が取り返しつつあると、かように考えてもいいのではないかと、かように思います。また、経済社会理事会のほうはすでに平等であることは、よく御承知のことだと思います。別に投票その他について、大国だといって数が多いというようなものではない、平等でございます。  次に、わが国は、お説のように、もちろんアジアの一員でございますし、こういう意味におきまして、アジアの諸国と特別な友好親善関係を深める、かようにいままで努力してまいりましたが、今後とも、その態度で進みたいと思います。御指摘のように、アジア・アフリカ諸国におきましては、いわゆる新興国――最近独立したばかりの国が非常に多いのであります。これらの国は、それぞれの特殊事情を持っております。これにつきまして、十分の理解を与え、そうして、その上で協力するということが、わが国の真の望ましい態度ではなかろうか、かように、私、考えますので、十分理解し、そうして、お互いに協力するという関係でいきたいと、かように思います。  次に、国連憲章の再検討の問題でございますが、お説のように、もうできてから二十年たっておりますから、私も、こういう問題については、忌憚のない再検討が加えられてしかるべきだろうと思います。もちろん、この憲章は、一足飛びには、なかなか目的を達するわけにはいかないことだと思います。しかし、あらゆる機会に再検討するのだ、どういう態度は日本が堅持してしかるべきだと、かように思います。申すまでもなく、国連は、ただいま、唯一の世界の平和維持機構だといわれております。しかしながら、平和維持機構ではありますが、御指摘になりましたように、安保理事会の常任理事国が拒否権を持っている、そのために、発足した当時のような協調関係が維持されない、そのために、国際平和を維持する上において、その機能を十分発揮することができない、こういう場合に、どういうふうにしたらいいか。今日まで日本努力してまいりましたのは、ただいま申すような五大国自身が、みずからも自制をし、そうしてお互いに協調するような努力を払うことだ、そうして安保理事会がどうしてもその機能を発揮することができなかった場合に、総会がこれに取ってかわる方法があるかないか、これを研究すべきではないか、かような主張をいたしているのであります。第十九回総会におきましても、わが国の態度は、ただいま申し上げるように、まず第一に、安保理事会が協調関係に立つこと、同時にまた、どうしてもできない場合は、国連総会がこれにかわる、補う、こういうようなことはできないかという意味で、努力をいたしているのであります。今後も、この政策は依然変わりなく、どこまでもこの態度で検討してまいりたいと思います。憲章再審議のためには、全体会議が開催されることが最も望ましいのでありますので、こういう意味で、また私ども努力を続ける、これが椎名君の前回の説明だと、かように思います。(拍手)    〔国務大臣椎名悦三郎君登壇拍手
  28. 椎名悦三郎

    国務大臣(椎名悦三郎君) 国連強化、国連憲章の再検討、こういう問題につきまして、一、二補足して申し上げます。  今回の十九回の総会におきまして、最終段階におきまして、国連の中に、新たに平和維持活動に関する特別委員会が設置されることになったのでございまして、これにわが国委員として加盟することに決定いたしました。で、この特別委員会の活動は、全く今後の問題でございますが、これらの場におきまして、この国連強化、憲章再検討を十分にいたしまして、そうして、いま総理から申し上げました、常任理事国の拒否権のあり方について、あるいはまた、平和維持機能の、常任理事国と総会との権能――機能の配分をどうするかというような問題につきまして、十分検討してまいりたいと存じております。  なお、いま総理からもお話がございましたが、憲章の再検討の場としては、最終の決定権を持つのは全体会議でございます。従来、日本といたしましても、全体会議を開いて、すみやかにこの再検討をすべしという提案をいたしておるのでありますが、まだ国際環境が全体会議を開く段階に達しておらぬ、こういう理由で、その実現を見ないままに今日に至っております。しかし、だんだん情勢が推移してまいりまして、一日も早くこの国連の機能というものを改善しなければならぬという状態に直面しておりまするので、今後もこの提案を強く主張いたしまして、できるだけ早くこれらの問題の解決に前進せしめるようにいたしたい、かように考えております。  それから最後に、批准の見込みはどうかというお話でございます。ただいま常任理事国でわずかに五分の一の批准がある。それからまた、百十四カ国のまだ半ば程度の批准でございますが、今年の九月までには十分に批准が行なわれる予想でございます。(拍手
  29. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ―――――・―――――
  30. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第八、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案趣旨説明)、  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。吉武自治大臣。    〔国務大臣吉武恵市君登壇拍手
  31. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) 新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案について、その趣旨を御説明します。  御承知のとおり、地域格差の是正対策の一環〉して、さきに新産業都市建設促進法及び工業整備特別地域整備促進法が制定され、これら二つの法律に基づく基本計画は、それぞれ昨年末及び今春に、内閣総理大臣の承認を受け、いよいよ具体的に計画実施する段階となった次第でありますが、これらに要する事業費は、関係十九地区二十道県を通じて、昭和五十年度までに、総額六兆三千億円に及び、これに伴う関係地方公共団体の財政負担は膨大となることが予想されるのであります。  これらの公共投資を集中的かつ短期間に行なうことに伴い、地方負担が急激に増大し、しかもこれらの対象地域における関係地方公共団体の財政力も十分でない事情を勘案いたしますと、これらの地方負担に対し、国が国家的見地に立って財政上の特別措置を講ずる必要があるのであります。  よって、今回この法律により、可及的に必要な援助措置を定め、もって新産業都市の建設並びに工業整備特別地域の整備の促進に資することといたしたい所存であります。  次に、本法律案の内容の要旨につきまして御説明いたします。  第一は、地方債の利子補給であります。  国は、都道府県に対して、新産業都市建設基本計画または工業整備特別地域整備基本計画に基づいて行なわれる国の直轄事業または国庫補助事業のうち、住宅、道路、港湾等、基幹的な施設の整備にかかる事業に要する経費について、その都道府県の通常の負担額をこえる負担額を支出するため、その財源に充てるものとして発行を許可された地方債に対し、その利子支払額の一部を補給することといたしました。この利子補給は、地方債の利子支払額のうち、年利三分五厘をこえる部分を年利八分までを限度として補給することといたしました。なお、そのために増加を要する地方債については、別途地方債計画に特掲いたすことといたしました。  第二は、国の負担割合の特例であります。  新産業都市建設基本計画または工業整備特別地域整備基本計画に基づいて行なわれる市町村にかかる国の直轄事業または国庫補助事業のうち、住宅、道路、港湾、下水道、教育施設及び厚生施設等、基幹的な施設の整備にかかる事業について、市町村に対する国の負担割合を引き上げることといたしました。その引き上げ方法は、ただいま申しました事業に要する経費を支出するため、関係市町村の負担額が標準的な負担額を超過する場合におきまして、当該市町村財政力を勘案しつつ、当該超過額に応じて、国の負担割合を最高二割五分を限度として、逐次引き上げることといたしました。この場合におきまして、関係市町村の負担割合が百分の二十未満となるときは、最低百分の二十は市町村が負担することとなるように、国の負担割合を定めることといたしております。  なお、関係市町村のうち、財政再建団体であるものに対する国の負担割合は、地方財政再建促進特別措置法の規定による国の負担割合と、この法律による国の負担割合とを比較いたしまして、いずれか高い国の負担割合によることとし、また、北海道の区域における関係市町村に対する国の負担割合は、北海道以外の区域における通常の国の負担割合を先ほど申し上げました方法によって引き上げた国の負担割合と、現行の北海道の区域における国の負担割合とを比較して、いずれか高い国の負担割合によることといたしました。  第三は、これらの措置の適用期間であります。  地方債の利子補給は、昭和四十年度から昭和五十年度までの各年度において起こされた地方債について、昭和四十年度から昭和五十五年度までの各年度において支払われる利子について行なうこととし、国の負担割合の特例は、昭和四十年度から昭和五十年度までの各年度において行なわれる事業について行なうことといたしました。  なお、これらの諸措置とあわせて、後進地域の開発に関する公共事業にかかる国の負担割合の特例に関する法律の一部を改正して、新たに空港及び農地にかかる事業を同法の対象事業に加える等、関係法律に所要の改正を行なうことといたしました。  以上が、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案の趣旨でございます。(拍手
  32. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君)ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。松澤兼人君。    〔松澤兼人君登壇拍手
  33. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案になりました法律案につき、佐藤総理大臣並びに関係各大臣に若干の質問をいたしたいと思います。    〔議長退席、副議長着席〕  本題に入る前に、この法律案に関連する二つの緊急な問題について質問いたしたいと思います。  その一つは、先ほども同僚近藤議員から質問がありました、山陽特殊製鋼の会社更生法適用申請の問題であります。同社は、御承知のとおり播磨工特地域にあるものでありまして、同時に、債務額が五百億円に達するといわれ、関連する下請産業や、あるいは関連産業に重大な影響があるのであります。新産都市あるいは工特地域の整備の問題がちょうど議題となっているときに、このような大企業倒産という事態が起こってまいりました。で、この法律案が望んでおりますところのいわゆる新しい開発計画が、このような大規模な倒産が起こることによって、幾多の悲劇を生むのではないかということが私たちの心配とするところであります。総理は、全体の新産業都市建設あるいは工特地域の整備という問題の中におきまして、このような特殊鋼のトップメーカーといわれる経営倒産について、どのように考えておられるか、また、一定の地域におきましてこのような大きなメーカーが倒産することが、新産都市建設並びに工特地域の整備にどのような影響を持つであろうか、この問題につきまして、基本的なお考えを伺いたいと思います。  また、次の諸点につきましては、関係の各大臣から答弁をお願いしたいと思います。  一つは、山陽特殊鋼は、会社更生法の適用を受けて生産を継続する予定といわれておりますが、将来、生産がどのような規模で継続される見通しであるか。  第二は、負債のたな上げに伴う関連産業への金融対策と、将来もし再建されるとするならば、下請産業もまた必要となるわけでありますが、将来の必要資金の調達について。  第三は、生産縮小やあるいは労働者の解雇などが将来起こるのではないかということを非常に心配されているのでありますが、その対策についてであります。  第四は、関連下請産業は相当数にのぼり、その再建のためには相当の資金が必要とされますし、また関連倒産防止ということも考えなければならないと思いますが、政府対策を伺いたいのであります。  もう一つの、この法案に関連する問題は、むつ製鉄の問題であります。  先行投資七億円にも達するといわれておりますこの計画が、なぜ失敗したか。これは、一つの地域開発のモデルケースといわれておりまして、世間から非常な注目を浴びていたわけであります。地元としては、あらゆる犠牲を払って資金を調達し、土地造成、住宅、道路、学校等に至るまで、これを建設いたしまして、誘致につとめたのであります。政府、三菱、東北開発、地元など一体となって、その開発計画を進めてまいったのでありますが、この計画の挫折は、新産都市計画に対して一つの暗い影を投じているのであります。これにつきまして、次の諸点を明らかにしていただきたいと思います。  その第一に、計画が失敗した原因。  第二に、当事者の間の計画政府施策との調整がどういうふうになっていたのか。  もしもこれが失敗したとすれば、地元が実施しておりました事業の救済措置はどうなるのであるか。  さらに、七億円といわれる先行投資の処理についてどのようにお考えであるか。  さて、本論に入りますが、両計画合計して、昭和五十年までに所要経費は六兆三千億ということが、ただいま自治大臣から述べられているのであります。この数年間、指定を受けるために地元は猛烈に運動をし、多額の運動資金を投じてまいっておるのであります。ようやく事業着手のときを迎えることになりました。この計画の青写真を見て、地元十九の地区の表情は必ずしも活気にあふれたものでなく、その青写真の色あせていくことを非常に憂えているのであります。六兆三千億にのぼる公共投資は、一体どういう負担の区分において、だれがやるのか、あるいは大企業は地元の希望どおり進出を期待することができるであろうか、あるいは激しい地価の値上がりにどう対処するか、地元住民が新しい悩みとして考える産業公害の問題をどうするか、というような問題を考えてみますと、新産都市、工特地区は、その出発の門出にあたりまして、いういう山積する難問を前にいたしまして、立ちあぐんでいる状態であります。  以下、私は、地方公共団体並びに地域住民が最も憂慮しているこれらの問題について、総理並びに関係大臣に率直にお答えを願いたいと思います。  第一は、新産都市建設、工特地域の整備に対する政府の基本的な方針についてであります。  そもそも新産都市の建設は、法が明示しているとおり、国土の均衡ある開発発展と、国民経済の発展に資ずることを目的とし、国がイニシアチブをとって積極的に地域開発を推進しようとする、国家的な事業であります。しかるに政府は、新産都市は地方自身の利益につながる問題であるから、地方でやるべきであるといった態度をとっているのであります。こういう政府の態度が、当該地方公共団体やあるいは住民を非常に不安におとしいれているのであります。法制定の経緯、法の内容から考えても、新産都市建設は国が主体になって進めるべきものであります。したがって、国は大きな財政責任を負っていると考えますが、総理はいかようにお考えでありますか。これは、御承知のように、前内閣の政策の踏襲でありますが、佐藤内閣となりまして根本的にこの問題を検討されてきたか、そうして、この膨大な計画をほんとうにやる自信があるのかどうか、率直にお答え願いたいと思います。  第二に、国の責任と関連して、財政調達の問題についてであります。  新産都市、工特地域の性格上、先行投資を含む各種の公共投資を、短期間に、かつ集中的に行なって、各般の都市施設と工場立地条件を早急に整備しなければならないことであります。このための公共事業と、これを補充する単独事業の量は、すでに述べたように、ばく大なものとなり、これを実施するための地元負担は巨額な額に達すると思うのであります。政府が出された地方財政計画が示しているように、地方公共団体の財政はますます悪化しております。この計画を遂行するために、財政力の貧弱な地元地方公共団体が財政上の負担を非常に重くいたしまして、将来どうなるかということを非常に心配をしているのであります。現在、総事業費中に占める国、道、県、市町村及びその他の負担をどういうふうに区分するかということは、明確でありませんが、地元公共団体の財政負担は、平均して三〇%から五〇%にのぼると想像され、地元民を不安におとしいれているわけであります。各地方団体から、新産業都市法にうたっている国による特別の財政援助をほしいという要望が起こってくるのは当然であります。世上、新産業都市建設はバラ色の夢にすぎないといわれるゆえんも、まさにここにあるのであります。夢破れて地元の財政負担のみ残る結果とならないかを、私どもはおそれるのであります。自治大臣は、財政窮乏の自治団体の現状から、将来この計画実施に伴って生ずる財政上の長期見通しについて、どのようにお考えであるか伺いたいのであります。  三十八年八月、全国知事会議で、池田前総理は、こと新産都市建設に関する限り、別ワクをもって地方団体の財政を援助すると約束してまいりましたが、この計画をみて、はたして池田前総理の言われたとおりになっているのかどうか。佐藤総理は、この政府の約束をどのように果たそうとされるのか、伺いたいのであります。新産都市建設が国の責任であるとするならば、政府は思い切った財政措置を行ならべきであると思いますが、どうでありますか。  また、事業を進めるには、各地区について全年度にわたる事業計画を、事業主体及び負担区分に従って計算集計しなければならないのであります。また、その際、事業効果の財政への反映を含めて、財政の見通しを持たなければならないのであります。基本計画には、全事業費の総額をうたったのみでありまして、政府は、はたして年度区分、事業主体負担率等の区分をいつ決定する予定であるか、自治大臣にお答えをお願いしたいのであります。  新産都市建設、工特地域整備の今後を取り上げる上で見のがしてはならないのは、地価の高騰であります。地元の膨大な開発構想を著しく圧縮したにもかかわらず、公共投資の総額が当初計画の倍近くなったのは、指定によって地価が高騰したことがおもな原因なのであります。地価騰貴が、社会的、経済的に引き起こしているひずみは、大きな政治問題であります。政府は、地価対策にどのような手を打とうとするのか、建設大臣、経済企画庁長官に伺いたいと思います。  第三は、企業誘致の見通しであります。地価の高騰と経済情勢悪化は、企業進出に赤信号を出しており、各地とも難問をかかえている状態であります。冒頭で述べましたように、ある有力地区では、某重工業が進出を取りやめ、ある地区では工場建設計画の変更をするというように、非常な問題が起こっているのであります。誘致の失敗による開発計画の行き詰まりは全国的に問題となってまいりました。立地条件の悪いところでは、用地造成、税の減免、住宅建設など、企業への優遇措置強化されることになると思います。そうなった場合には、失敗の場合の影響が深刻であります。政府は、この点どう考えておられるのか、また、各地区への工場の立地につきまして自信があるのかどうか、自治大臣並びに経済企画庁長官にお尋ねいたします。  最後にお尋ねいたしたいのは、新産業都市建設及び工特地域整備の基本的なあり方の問題についてであります。私たち社会党は、本二法審議を通じて、生活基盤の重視、地域雇用の安定、大、中、小三拠点同時開発などを強調してまいったのであります。また、その趣旨に従って修正を行ない、附帯決議をつけているのであります。いまこれらの基本計画を見ますと、計画の主体は依然として産業基盤に重点が置かれ、しかも、その実施計画の前期に集中して、住民福祉の関係は第二義的に取り扱われているのであります。
  34. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 松澤君、時間が超過しております。
  35. 松澤兼人

    ○松澤兼人君(続) 政治の要諦は、住民の福祉向上生活環境の整備にあることは、論をまたないところであります。したがいまして、佐藤総理のいわゆる社会開発とこの地域開発の調和の問題につきまして、お伺いいたしたいと思います。
  36. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 松澤君、簡単に願います。
  37. 松澤兼人

    ○松澤兼人君(統) 新産都市や工特計画が、民生に重点を置いて住民の福祉を第一義とするよう、強く希望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  38. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 山陽特殊鋼の問題は、先ほど来説明いたしておりまするごとく、これは経済界においての、まれな、特殊なケースでございます。これを特殊なケースとして考えて、はじめて山陽特殊鋼の不始末が理解ができるように思います。問題は、経営者のやはり経営態度、これが慎重を欠いておったということに尽きると思います。しかしながら、かような会社が会社更生法を適用されるようなことになれば、これに関連する、あるいは下請産業等に重大な影響のあることは御指摘のとおりでございます。今回の問題につきましても、特殊な事情による山陽特殊鋼の不始末ではあるが、中小企業、下請産業等に及ぼす影響については、金融の面で特別な手当てをして、連鎖倒産などは絶対に引き起こさない、かような措置をとるつもりでございます。同時にまた、この機会に、下請代金支払遅延等防止法などの法律等につきましても検討を加えて、いわゆる中小企業を完全に保護するように、政府はさような必要なる措置をとるつもりでございます。今回の問題によりましても、明らかになりましたごとく、最近の倒産事件などは、いわゆる経済不況、経済の循環の影響、かように見るべきものはきわめてまれでありまして、多くは、その設備投資の過大あるいは経営の積極的政策、そういう点が赤字累積等をもたらしておる、いわゆる金融引き締めが原因ではない、かように私は見ておるのであります。問題は、国連産業の健全な会社が、こういう悪影響を受けることをできるだけ避けるように、政府努力するつもりでございます。  次に、新産都市に対する政府の基本的態度でございますが、これは前内閣以来この政策をとってまいりましたが、御承知のように、過密都市対策、あわせて地方の開発に積極的に政府は取り組んでおるのであります。今回の指定地域なども、それぞれの特殊的な立地条件等がございますが、おおむね中央の審議会等におきまして、これを考究し、そうして適当なる地域として指定したのでございます。もちろん、新しい内閣になりましたからといって、この基本的な態度を変えるつもりはございません。これはわが国の重要施策の一つである、かような立場で真剣に取り組んできたつもりであります。長期にわたる十カ年計画としてのこの開発計画を、長期であるだけに、強力に進めていく決意でございます。  次に、地元の財政負担、これについてどういう処置をとっておるか、――詳しくはいずれ大蔵大臣から説明をいたしますが、利子補給及び国の補助率のかさ上げ、あるいはまた、起債充当率の引き上げ等の特別考慮を払って、そうして計画の遂行に遺憾なきを期するつもりでございます。  最後に、今回のこの問題と、いわゆる社会開発とは、どういう関連になるかというお話でございましたが、これは、ただいま申し上げますように基本的政策の一つである、今回の地方開発に即しては、いわゆる社会開発の理念も構想のうちに十分織り込んで、そうして進めていくべきではないか、かように考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣櫻内義雄登壇拍手
  39. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 私へのお尋ねは、山陽特殊製鋼の今後の生産の見通しはどうか、特に減産、解雇のおそれがあるんじゃないかというお尋ねでございました。今回、会社更生法の適用に通産省が同意をいたしましたのは、さような事態を避けるためでございます。特に、御承知のように、特殊鋼業界あるいは軸受け業界における大きなシェアを持っておるのでございまして、もし生産を停止をいたしますと、それによる非常に大きな影響がございます。したがって、現在、山陽特殊鋼が生産を大幅に取りやめるとか、あるいはそれに伴う解雇が起きるとか、そういう事態は考えておりません。また、この山陽特殊鋼の会社更生法適用によりまして、中小企業、下請に対する影響が種々起こりますが、この点については、ただいま総理のお答えのとおりでございますが、私としては、更生法適用に際しまして、二百二十九条のただし書きを適用するように、また保全処分に際しては、これを弾力的に運用いたしまして、中小企業、下請に対する影響がないように配慮するよう、地裁のほうに申した次第でございます。(拍手)    〔国務大臣高橋衛君登壇拍手
  40. 高橋衛

    国務大臣(高橋衛君) 最初に、むつ製鉄の問題につきましてお答え申し上げます。  昨年の十二月二十一日に東北開発の伊藤総裁から、経営の実質的な責任者でありますところの三菱グループから企業提携を辞退いたしたいという申し出があった、という御報告がございました。そのために、実際上、むつ製鉄の実現ということが非常に困難になったという事態に相なった次第でございますので、その旨を閣議に報告いたしまして、今後の措置について検討をただいま進めておる次第でございます。しこうして、なぜそうなったかという理由でございますが、これを認可いたしましたのは一昨年の四月でございます。その当時におきましても、ずいぶん問題はあったのでございますが、各方面の専門家の非常な慎重な御検討を得た後に、しかも、三菱グループが技術的にも資本的にも参加して一半の責任をとるということでございましたので、これを認可いたしたのでございますが、その実質的な責任者の三菱グループが、そういうふうな辞退を申し出るというようなことがございましたために、こういう結果になったわけでございます。その根本的な理由といたしましては、最近、日本特殊鋼または山陽特殊製鋼というふうな会社が、会社更生法の適用を申請するに至ったという事情でもわかりまするように、特殊鋼業界におけるところの競争が非常に激化してきておる。同時に、技術的に従来できなかったところの、高炉銑――高炉溶銑を利用するところの方法によって、きわめて良質な特殊鋼の原料がどんどん大量に、しかも廉価に得られるという、非常に重大な技術革新が行なわれてまいったということが、その後の、これを困難にする非常に大きな事情と相なったような次第でございます。しかしながら、何ぶんにも、ただいまお話にもありましたとおり、地元、国、または関係方面によって、七億円に近いところの、道路の設備であるとか埋め立てであるとか、いういうな施設をしてまいりましたし、また、下北地方の方々は、これに対していわば非常な熱望、たいへんな希望をかけて、そうしてその実現を要望しておられた事情もございます。そういうような関係もあり、また一つのテストケースとして下北の開発のためにはこれが一番いいというふうな判断でもって計画を進めた事情もございまして、今後、何とかそれが生かされるような方向で今後の措置を考えていくという考え方のもとに、政府としてはいうような検討をただいま進めておる次第でございます。  なお、御質問もございましたが、認可になりましてから今日までの経過において、政府は一体どんなことをやったのかというお話もございました。実は会社から出された計画が今回で五回目のものに相なろうと思いますが、一つ一つの問題について、技術的にもまた経営的にも、各般の面からずいぶん詳細にこれが検討を続けてまいったのでございますが、なかなか企業的に採算のとれると申しますか、成り立つ案ができ上がってきてないというのが現状でございます。  次に御質問でございますが、先ほど総理から御答弁がございましたけれども、この新産都市、工特というものを、国の責任でやるべきではないかというお話がございました。それは立法の段階におきましても、その議論は相当あったわけでございますが、法律のたてまえといたしまして、地方の盛り上がるところの熱意と申しますか、それをまず政府のほうで調整をいたしまして、基本方針を指示し、基本計画政府承認するという形で、その地域の発展をはかっていこうというたてまえに相なっておることは、松澤先生御承知のとおりでございます。しかしながら、同時に政府といたしましても、基本計画承認するという措置をとっておることであり、また、地域開発という非常に大きな国策的な見地からこの法律ができ上がっている次第でもございますので、先ほど自治大臣のほうから御説明申し上げましたような法律もつくり、また。そのほか実際上国の施策を実行する上におきまして、後ほど建設大臣からお答えがあろうかと存じますが、国の公共投資をそういう方向に有効に集中的に使えるような努力をいたしていきたい、かように考えておる次第でございます。しかしながら、どこまでも中心は地方に置いておく、政府はそれをできるだけ助成をしていく、という考え方を持っておるわけでございます。なお、経済企画庁におきましても、四十年度の予算には四十五億円の調整費を計上いたしまして、その間の実際の企業の進行の状況または各公共投資の間のアンバランスがありました場合には、そういうものの調整にこの経費を振り当てていきたいと、かように考えておる次第でございます。  地価の問題につきましては、建設大臣のほうからお答えを申し上げたいと思います。  なお、立地条件等の関係から、企業の誘致というものが思ったとおりにうまくいっていないじゃないか、という御指摘がございました。最近までに企業が確実に来るということがきまりましたのが、大体百四十二工場に相なっておるのでございます。最近と申しますか、昨年の中ごろから全般的に設備投資が横ばいというふうな状況になり、相当にその機運が鎮静をしてまいりましたような関係もございまして、ある程度のスローダウンの傾向は見られますが、全体として私どもは、この十年の間にこれだけの目標は十分に達成し得るものだと、かように考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣吉武恵市君登壇拍手
  41. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) お答えをいたします。  第一点は、今度の新産業都市及び工特地域に対する計画は、先ほど私が申しましたように、六兆三千億にのぼるといっているが、それの負担区分並びに年度の計画はどういうふうになっているかというお尋ねでございます。これは十年間における民間の投資と国の投資と、地元府県及び市町村の投資を合わせまして、六兆三千億でございます。その内容につきましての年度割りは、目下企画庁において検討中でございます。いまのところまだ決定をいたしておりません。(「今の数字は間違っていやしないか」と呼ぶ者あり)  このような膨大なる財政投資をする上において、地方負担も相当の額にのぼるのであるが、これに対してはたして今日窮乏している地方団体においてやれるかどうかというお尋ねでございます。先ほど御説明申し上げましたように、今度の新産都市及び工特地域に対する財政措置は、府県につきましては、普通の公共投資について普通の起債を考えた上に、さらに増加する部分を四十億来年度見まして、それに対し利子補給をするというものでございます。なお、これにつきましては、そのほかに、御承知のように、後進地域の補助のかさ上げがございまするので、それと相まって、府県の投資につきましては、これで相当の財政援助になると思います。なお市町村につきましては、今回の法律の中にございまするように、普通の補助につけ加えまして、さらにその二五%を補助のかき上げをするということでございまするから、相当の財政援助になるものと考えております。  なお、その次に、今度の新産都市及び工特地域の促進について、工業整備に重点が置かれて、住民の福祉は考えられていないじゃないかというお尋ねでございましたが、実は今度のこの計画につきましては、もちろん工場の整備というものも重要な項目でございまするが、同時に、そのほかに住民の住宅でありまするとか、あるいは環境衛生でありまするとか、あるいは教育施設、幼稚園あるいは保育所等につきましても、この点を考慮いたしまして財政援助をすることにいたしておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  42. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 新産関係につきましては関係大臣から申し上げましたから、山陽特殊鋼のその後の資金の状態、資金手当て等についてだけ申し上げます。  山陽特殊鋼の問題につきましては、この影響が関連中小企業に波及することを極力避ける、こういう基本的な態度で諸般の措置をとっておるわけであります。  第一点といたしましては、財務局で、管内の全金融機関に対しまして、関連産業の倒産防止のために、金融につき遺憾なきを期せられるよう協力を要請いたしました。各金融機関は、山陽特殊鋼の振り出した手形の期限が来たものにつきましても、買い戻しの要求をすることを差し控える。なお、当面の運転資金の融通につきましても、十分配慮をいたすようにしております。  第二点としましては、政府関係三中小機関におきましては、倒産防止のために、特に配慮をいたすことにいたしまして、資金の融通、企業貸し付けの条件緩和等、積極的な態度で臨んでおるわけであります。  第三点としましては、信用保証協会の債務保証を円滑に行ないますために、兵庫県につきましては、中小企業信用保険公庫のてん補率七〇%をこえる部分についても損失を補償するということを、いま検討いたしております。  いずれにしましても、非常に大きい問題でありますので、大蔵省も各金融機関に対して特別の配慮を求めておりますし、また、日本銀行総裁も特別談話を出されて、本件のために、資金的に必要がある場合には、特に日銀貸し出しもいたすという態度を明らかにいたしております。  山陽特殊鋼の更生会社適用について、関連中小企業等に影響のないように、また、将来事業再開に対して支障が起こらないよう、金融上の措置は十分にいたしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣小山長規君登壇拍手
  43. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) 新産、工特地域における地価の問題についてお答え申し上げます。  この新産、工特都市の指定によりまして、地価が高騰し、工場の誘致等によって、さらに地価が高騰しておる、そのために民間企業が必要とする用地の取得が困難になる、あるいは合理的な工業都市化をすることが困難になっておる、これは事実であります。そこで、これに対しましては、埋め立てなどを促進しまして、工業用地の団地の大量供給をはかる必要があるというので、政府としましても、地方債に対する配慮をするとか、あるいは開発銀行を通ずる融資などによって、これが解決に当たっておるわけであります。  また、地価一般の高騰につきましては、一般の問題としまして、たとえば不動産鑑定士制度の創設などを強力に推進する等の方策を講じつつありますが、さらに一方、現在、住宅地につきましては、新住宅市街地開発法によりまして、先買い権、収用権を与えられまして、住宅地の確保ができるようになっておるのでありますけれども、工業用地については、まだその法律がありません。そこで、この工業用地につきましても、首都圏や近畿圏と同様に、そういう法令を考えられないかということで、ただいま検討中でございます。  もう一つ、公共投資につきましては、四十年度の予算の配分にあたりましても、基本計画の作成の検討の際考えました点を尊重いたしまして、配分する予定でございます。(拍手)     ―――――――――――――
  44. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 二宮文造君。    〔二宮文造君登壇拍手
  45. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は公明党を代表して、引き続き政府の見解を尋ねるものであります。  太陽と緑と空間の都市という、はなやかなキャッチ・フレーズで迎えられました新産都市建設計画ではありますが、その地域指定が政治的なかけ引きに終始して、総花式となり、工業整備特別地域を含めると十九地区になったこと、また、実施のための膨大な財政負担と産業界の不況ムードを前にして、今日では、すでに、かつての特定地方総合開発計画のように、一片の机上プランに終わってしまうのではないかとさえいわれておりますし、また、その面で政府の態度もなまぬるいと言わなければならないのであります。したがって、ここに重点投資、思い切った財政措置、あるいは投資効率向上が、関係方面から強く望まれておるのでありますが、総理はどのように考えておられるか、お尋ねしたいのであります。  基本計画によりますと、新産十三地区における昭和五十年の工業生産目標は七兆三千億円で、その公共投資総額は四兆三千億円となっております。しかし、一般には、基本計画は作文調にすぎないとの批判もあり、事業別内訳、あるいはその資金計画が明らかでないのであります。この際、基本計画策定の趣旨を示していただきたいのであります。また、事業実施にあたっては年次計画を策定する必要があると思いますが、政府の見解を承りたい。  総理にお伺いしますが、政府は、道路、港湾、鉄道建設など、それぞれの事業について年次計画を持ち、その推進に当たっておりますが、それと新産計画事業をどう関連させるおつもりか。そのためにも年次計画策定が必要と思いますが、どうですか。また、新産都市については、基本計画経済企画庁で担当するとしても、現行制度では、実施は各省所管となっております。その総合調整をはかり、かつ、責任体制を明確にするための機構が望まれるわけですが、見解を伺いたいのであります。  次に、基本計画では、公共投資総額は四兆三千億円、工業整備特別地域を含めて六兆三千億円といわれておりますが、先ほど自治大臣がお答えになられましたけれども、国と地方団体との年次別の負担区分はまだ明らかでない、このような答弁であります。地方団体は、御承知の上らに、すでに、公務員の給与引き上げについてもその措置に困るほどの財政逼迫の状態であります。このような安易な計画のもとに地方団体の財政負担が可能ですか。あわせてお伺いしたいのであります。  そこで、自治省としては、予算折衝の段階で、地方団体、特に府県分について六十億円の国庫補助という財政措置要請したと聞いておりまするが、最終的には、この法案に基づいた四十億円の起債ワクと八千余万円の利子補給となったのであります。これでは事業実施にそごを来たすのではないかと心配されるわけですが、この間の経緯について、大蔵大臣に説明していただきたいのであります。  地価値上がりについては、先ほど建設大臣から答弁があり、検討中であるということでありますけれども、特にこの地価対策、用地確保については、特別立法の必要があるのではないかとさえいわれております。さらに、国あるいは地方団体が用地を先行収得する資金について、財政措置を講ずるお考えはないかどうか。さらに、その場合、租税特別措置法の改正などによる所得税減免の道を開くお考えはないか、お尋ねしたいのであります。すでに各地区においては相当額の先行投資もあり、岡山県倉敷市では、特別会計で十億円の赤字を出し、再建団体準用の申請をするなど、その支出は、それぞれの財政規模からすれば、かなりの負担割合となっております。一方、企業誘致は、立地条件、景気の動向などにより、地元の思うように進捗しない現状であります。工業用水にしても、岡山県のように、総工費十八億六千万円で、一日当たり十二万五千トンの給水能力は確保したが、現在の売り上げは三万トン足らずであり、その企業会計は昭和五十五年にならないと収支計算が合わないといわれております。基盤整備はできても企業は来たいとすれば、地方財政は明らかに破綻します。しかも企業誘致の責任はひとり地方団体にかかっているわけでありますから、その面での地方団体のリスクは大きいと言わなければなりません。総理は、そのような事態に対しては、地方団体の財政に抜本的な措置をとるお考えがあるかどうか。また、一歩進めて、国がその総合的立場から、該当地区に対して積極的に企業誘致をはかるお考えはないかどうか、承りたいのであります。  さらに、従来、企業誘致については、それぞれの地方団体は奨励金の交付あるいは税の減免措置など優遇策を講じ、倉敷市では、それが地方交付税の算定から除かれているために、大幅の収入減となって、財政を強く圧迫しているのであります。基盤整備が進むにつれて、より激しい誘致競争が予想されるおりから、自治大臣はどう対処されるお考えか、承りたいのであります。  次に、国の公共投資部門において、新産都市分としての毎年度の事業量が決定していないことは、計画実施における致命的な欠陥であります。さしあたり、四十年度における道路、港湾、住宅などについて、新産都市分の事業計画ほどうなっておりますか。また、いつ決定するつもりか伺いたいのであります。さらに、府県分として決定している四十億円の起債ワクの算定基準は何か、事業量の増加などのため不足を来たすおそれはないか、その場合、地方債計画の運用で優先的に措置できるのかどうか、また、その額を明示していただきたいのであります。ざらに、市町村分についても、該当部分に対して次年度に精算払いすることとしておりますが、建設事業の基礎が明らかでないと、どれほど精算払いの対象となるのか見当がつかないのであります。建設事業の基礎をどのように算定しているか、お伺いしたいのであります。要するに、新産都市建設計画は、今日、日本が当面している過密都市の問題の解決、地域開発のための重要な施策であります。一片の政策的運営にとどまらないで、政府の熱意ある施策を強く要望して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  46. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 新産都市の数が多いので、これを重点的にやらないか、かようなお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたように、地方開発の急務であり、また、国の重要施策の一つとして、今回の新産都市並びに工業整備特別地域、これを指定しておるのでございます。政府は決意をもってこの実施に当たっておる、かように考えていただいて、このうちから特に重点的というような考えはいたしません。この点を御了承いただきたいと思います。  また、第二に、道路、港湾、鉄道、それぞれの担当省におきましてそれぞれの長期計画を持っている。今回の地方開発の計画とその間の調整はよくできているかというお尋ねでございますが、十分調整を了した上でただいまの新産都市計画を進めておるのでございます。もちろん、さらに実施の状態によりましては、年度計画を必要とするようになりますか、各毎年度そういうような計画を必要とするようになりますか、これはしばらくいまの経過を見まして、その上で必要があればさような処置をとりたい、かように思います。  また、ただいまは、経済企画庁が、各省の新産都市開発計画に協力しておりますものを取りまとめて、中心になりましてそれぞれ計画を進めておるのでございますが、これだけで今日のところ十分だと考えております。二宮君が、何か新しい機関でもつくるかというお尋ねがありましたが、ただいまの状態ではその必要はない、かように私は考えております。また、最後に、もう一つ、計画実施、これは申すまでもなく、企業の立地条件、景気の動向を見きわめ、しかも現実に即して、ある程度の弾力的な運用をいたしまして、そういう立場でいわゆる先行投資をいたすのであります。したがいまして、ただいま御心配になりますように、先行投資はしたが工場は来ない、かような事態は起こらないと思います。ただいま経済企画庁を中心にしていろいろ進めておりますのは粗漏な計画、あるいは場当たり的な計画だけではよくない、これは十分その計画が具体性を持った計画を樹立すること、その点が特に大事だ、かように考えるのでございます。お答えいたします。(拍手)    〔国務大臣高橋衛君登壇拍手
  47. 高橋衛

    国務大臣(高橋衛君) 私に対する御質問は、大体、総理からお答え申し上げましたので、付言をさしていただきますが、御承知のとおり、昨年の春に、政府全体として基本方針だけを政府がきめまして指示をいたしました。その基本方針に基づいて、各道府県が具体的に基本計画をおつくり願い、もちろんその間、各省並びに経済企画庁が常町連絡をとりながらその問題の検討を続けてまいったような次第でございまして、そのために相当長期間を要して基本計画というのができ上がり、昨年の末にどうやらこれが承認をみるに至ったような次第でございます。この計画は、申すまでもなく、昭和五十年度までに至るところの相当長期の計画でございます。相当遠大な先の見通しを考えながらつくり上げた計画でございまして、したがって、具体的に今年度どうするかというふうな問題につきましては、これまた別途にいま一度検討を要する点が相当あるわけでございます。  ただいま総理大臣からお答え申し上げましたように、企業の誘致という問題につきましても、今日まで、すでに誘致され、あるいは誘致の確定したものが、百四十二工場に及んでおりまするが、これからの問題につきましても話が相当煮詰まっておるものが相当ございますけれども、こういう問題についてもある程度の見通しをつけながら、先行投資をいたすにいたしましても、それがむだにならないようにという点を特に注意をしたから、地方と中央と連絡をとりつつ、すべての施策を円滑に進めていきたい、かように考えておる次第でございます。  しこうして、そういう問題につきましては、もちろん、あらかじめ予算の実行上その処置をする次第でございますが、不足の分等につきましては、経済企画庁に持っております四十五億円の調整費をもってこれが処置をしていきたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣吉武恵市君登壇拍手
  48. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) 最初に、松澤さんの御質問に私がお答えいたしましたうち、今度の新産業都市並びに工特地域に対する投資の規模が六兆三千億円と申しました内訳は、新産都市が四兆三千億円で、工特地域が二兆円でございます。この計画は、すでに新産都市はさきに決定をいたしておるところでございますが、工特地域につきましても、去る二月二十七日に承認決定をいたしておるところでございます。  なお、二宮さんの御質問にお答えを申し上げます。  いまの六兆三千億の年度別、事業別についての具体的の計画はどうかというお尋ねでございましたが、これは、先ほど松澤さんにお答えいたしましたように、まだ決定をいたしておりません。十年間の総額がただこのようだという程度でありまして、これは目下企画庁において計画を立てられつつあるところでございます。  次に、工場誘致について、各地方団体等においては租税の減免の措置を講じておるが、財政窮乏のおりから、これらに対してどういう措置をするかというお尋ねでございます。私ども、工場誘致はしたし、しかし誘致するためには、何らかの減免の措置をしなければ、なかなか来ないということで、地方団体ではそういう措置をとられておるところもあるように聞いております。私ども決して好ましい措置とは思いませんが、そういうことのありますることは事実でございます。これらにつきましては、地方交付税等においてその一部を見ていかなければならないかと、かように存じておる次第でございます。  なお、府県の今度の起債のワクを四十億見たが、その内容の事業計画はどうかというお尋ねでございましたが、これも、先ほど申しましたように、まだ具体的には決定しておりません。初年度でございまするので、この程度ということでございます。しかし、これは年度を重ねるに従いまして相当大きくなるものと予想いたしております。  次に、市町村の補助額の精算払いはどういう基礎でやるかということでございますが、これは、先ほど申しましたように、市町村の普通の補助の上に補助のかさ上げをするわけでございます。普通補助の上にさらにその補助の二五%をかさ上げするということでございますから、別に特別の基礎をつくるわけじゃございません。  以上お答え申し上げます。(拍手)    〔副議長退席、議長着席〕    〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  49. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 自治省案を四十億に削減したのはどうか、その理由を明示しろということでございますが、ただいま自治大臣の申されたとおりでございます。いずれにしましても、初年度でございまして、他の地域開発事業とのバランス等もとりながらやってまいるのでございまして、年を追うとともに拡大すべきものと考えます。(拍手)    〔国務大臣小山長規君登壇拍手
  50. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) 地価問題につきましては、先ほど申し上げましたように、確かに指定によりまして用地が上がったりいたしまして、民間用地の取得が困難になったり、あるいは区画整理や秩序ある市街地ができなかったり、非常に困難をいたしておるのであります。そこで、これに対しましては、先ほども申しましたが、埋め立てなどによる工業用地の大量造成などというような方法をとるということで、あるいは区画整理事業を推進するというようなことでありますが、これに対しましては、地方債の配慮をするとか、あるいは開発銀行を通じての融資をするとか、そういう施策を現在進めておるわけであります。  また、地価一般につきましても、先ほど申しましたように、これは思惑等いういうな問題が出てまいります。そこで、これに対しましては、公示制度であるとか、あるいは不動産鑑定制度の創設というように、いろいろ考えておるのでありますけれども、さらに進んで、この立法措置をしたらどうかというお話でありますが、いま住宅用地につきましては、収用法が発動できるところの新住宅市街地開発法という法律がありまして、これは新産、工特都市にも適用できるのであります。ところが工業用地については、まだこの法律の適用ができないことになっておるのでありますけれども、いまお話のように、工場用地についてもこの収用権の発動ができるような法制をやるべきではなかろうかということで、ただいまこれを検討いたしておるところであります。  それから、新産都市についての公共投資の配分を急げというお話でありますが、まだ予算も国会を通らないことでありますので、直ちにというわけにはまいりませんが、予算が通過次第、配賦できますように、準備は鋭意進めております。また、配賦の方針としましては、建設基本計画作成過程における検討の結果を尊重して、新産、工特都市の建設が円滑に推進し得るような配慮を加えて配分をいたす所存でございます。(拍手
  51. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ―――――・―――――
  52. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第九、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国カナダとの間の条約締結について承認を求めるの件、  日程第十、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国アメリカ合衆国との間の条約を修正補足する議定書締結について承認を求めるの件、  日程第十一、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国スウェーデンとの間の条約を修正補足する議定書締結について承認を求めるの件、  以上三件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。外務委員長小柳牧衞君。    〔小柳牧衞君登壇拍手
  54. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 ただいま議題となりました条約三件につき、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、カナダとの条約は、従来わが国がヨーロッパ諸国との間に締結している租税条約とほぼ同様の内容を有しております。そのおもなるものとしては、相手国に設置した恒久的施設から生ずる利得に対する課税上の原則、配当、利子、使用料に対する課税限度、船舶、航空機の運用所得に対する免税、政府職員、短期滞在者、教授、教員、学生等の受け取る報酬、手当に対する免税、二重課税回避の方法、条約及び関連国内法の実施に必要な情報の交換等を規定しております。  次に、アメリカ及びスウェーデンとの間の議定書は、いずれも現行条約を修正補足するものでありまして、おもな修正点は、配当、利子、使用料に対する課税限度の設定、引き下げ等規定したことであります。特に日米間におきましては、現在、米国投資家の受け取る配当がわが国で免税とされておりますのを改め、相互に課税されることとなるのであります。  これら条約締結により、それぞれ当事国間の経済技術、文化の面における交流が一そう促進されることが期待されるとの政府の説明でありました。  委員会におきましては、これら諸国との間の貿易傾向、商社の相互進出状況等につき質疑がございましたが、詳細は会議録によって御承知願います。  採決の結果、カナダとの条約については多数をもって、アメリカ及びスウェーデンとの議定書については全会一致をもって、それぞれ承認すべきものと決定いたしました。  右御報告いたします。(拍手
  55. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  三件全部を問題に供します。三件を承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  56. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって三件は承認することに決しました。      ―――――・―――――
  57. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第十二、製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、  日程第十三、日本国アメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税防止のための条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律の一部を改正する法律案、  日程第十四、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国スウェーデンとの間の条約実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法特例等に関する法律案、  日程第十五、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国カナダとの間の条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案、  日程第十六、所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国政府フランス共和政府との間の条約実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法特例等に関する法律案、  (いずれも内閣提出)  以上五案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長西田信一君。    〔西田信一登壇拍手
  59. 西田信一

    西田信一君 ただいま議題となりました五法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、最近におけるフィルターつき紙巻たばこの需要の増大等に対処し、現在、日本専売公社が試製販売中のフィルターつき紙巻たばこ、ロング・サイズの「ホープ」、「とうきょう64」及び「ひびき」の三銘柄をさらに継続して販売するため、製造たばこの価格表にこれらの銘柄を追加するとともに、近年、消費者の嗜好の変化等に伴い、その需要が著しく減少し、現在販売を中止しております。パイプたばこ「月光」、葉巻たばこ「アストリア」及びきざみたばこ「富貴煙」の三銘柄を、同価格表から削除しようとするものであります。  本委員会におきましては、銘柄変更等を弾力的に行ない得るような制度に改める必要性、葉たばこ及びフィルターつき紙巻たばこの需給調整策、製造たばこの品質の改善と種類の数の妥当性、小売り手数料区分の是正等について質疑がありましたが、詳細については会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     ―――――――――――――  次に、日本国アメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税防止のための条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律の一部を改正する法律案、  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国スウェーデンとの間の条約実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法特例等に関する法律案、  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国カナダとの間の条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案、  所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国政府フランス共和政府との間の条約実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法特例等に関する法律案について申し上げます。  わが国フランスとの間の所得に対する租税に関する二重課税回避のための条約は去る二月二十六日に、アメリカ、スウェーデン及びカナダとの間の条約は、ただいま承認せられましたが、四法律案は、この条約規定されている事項のうち、特に法律規定を要するものについて、所要の立法措置をそれぞれ講じようとするものであります。  以下、四法律案について申し上げますと、  第一は、非居住者または外国の法人が取得する配当、利子、使用料等の所得に対しては、原則として二〇%の税率で源泉徴収所得税が課されることとなっておりますが、今回の条約締結に伴い、配当については一五%とし、アメリカ及びスウェーデンの親子会社間のものについては一〇%に、また利子、使用料等について、カナダは一五%、他の三国は一〇%にそれぞれ軽減しようとするものであります。  第二は、非居住者または外国の法人がわが国に支店等を有して事業を行なっている場合については、通常、その支店等に帰属する他の所得と総合課税することになっておりますが、条約規定を受けて、アメリカを除く三国の場合、支店等を通じて行なわない部分の配当所得等に見合う所得税、法人税の税率について、さきの軽減税率よりも高くならないよう所要の軽減措置を設けることといたしております。  第三は、スウェーデン及びフランスについては、所得に対する地方税をも租税条約の対象とすることとなっておりますので、総合課税の場合の軽減措置を講ずるにあたっては、法人税割りの住民税をも含めて制限税率をこえることのないよう、所要の措置を講じております。  委員会審議におきましては、条約署名後の相手国における審議状況資本技術の海外進出に対する基準、その調整等について質疑がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、それぞれ採決の結果、いずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告いたします。(拍手
  60. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  五案全部を問題に供します。五案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  61. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、五案は可決せられました。      ―――――・―――――
  62. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第十七、市町村合併特例に関する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。地方行政委員長天坊裕彦君。    〔天坊裕彦君登壇拍手
  63. 天坊裕彦

    ○天坊裕彦君 ただいま議題となりました市町村合併特例に関する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、最近における市町村の広域化の要請に対処し、市町村のそれぞれの地域の特性に応ずる自主的合併の実現を円滑にするため、広く市町村合併一般について、当分の間、所要の特例措置を講じようとするものでありまして、市町村合併に関し、町村合併促進法、市の合併特例に関する法律、新産業都市建設促進法等においてとられたものとほぼ同様の関係法律特例を定めることとし、その他、関係法律についての規定の整理をいたしているのであります。  本委員会におきましては、二月九日、吉武自治大臣から提案理由の説明を聞き、その後、標準市町村の規模内容、事務配分、市の人口規模その他市町村合併に関してきわめて活発な論議が行なわれ、慎重審査いたしましたが、その詳細は会議録によってごらん願いたいと存じます。  かくして質疑を終了し、討論に入りましたところ、竹中委員から、各派共同による修正案が提出されましたが、その要旨は、最近における市町村の人口の実態にかんがみ、地方自治法第八条第一項第一号に規定する市の人口要件人口五万以上に特例を設け、昭和四十二年三月三十一日までに処分の申請がなされたものに限り、人口四万以上をもって足りることとするというものであります。  次いで、林委員から、これまた各派共同による本法律案に対する附帯決議案が提出されましたが、その要旨は、今後の市町村合併については、強制にわたることのないようにすること、及び、国、都道府県、市町村の間における行政事務の配分を根本的に再検討することというものであります。  以上の経過により、採決の結果、本法律案は、修正を加えて全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次いで、附帯決議案につきましても採決の結果、これまた全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、附帯決議に対し、吉武自治大臣から、その趣旨を尊重してまいりたい旨の発言がありました。  以上、報告を終わります。(拍手
  64. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本案の委員長報告は、修正議決報告でございます。  本案全部を問題に供します。委員長報告のとおり、修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  65. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は委員会修正どおり議決せられました。      ―――――・―――――
  66. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第十八、造船法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。運輸委員長松平勇雄君。    〔松平勇雄君登壇拍手
  67. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 ただいま議題となりました造船法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。  造船法は、造船技術向上をはかるため、造船造機業者の要求に応じて、船舶の推進性能試験またはエンジンもしくはボイラーの性能試験を行なうことを、運輸大臣に義務づけ、この場合、法律に定める最高限度額の範囲内において省令で定める額の手数料を納めなければならないものと規定しております。  改正法案は、最近における船舶の大型化、高速化等に伴う性能試験の複雑化に対応して、弾力的に適切な試験の手数料の額を定めることができるようにするため、その最高限度額を確定額をもって定めることを改め、試験に要する費用の範囲内において省令で定めることとしようとするものであります。  委員会におきましては、わが国造船業の現状、船舶性能試験の効果等について質疑が行なわれた後、討論に入りましたところ、別に発言もなく、直ちに採決の結果、全会一致をもって本法案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  68. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  69. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十一分散会