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1965-04-13 第48回国会 参議院 社会労働委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月十三日(火曜日)    午前十時二十八分開会     —————————————    委員の異動  四月九日     辞任         補欠選任      杉原 荒太君     竹中 恒夫君  四月十三日     辞任         補欠選任      佐藤 芳男君     鈴木 万平君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤田藤太郎君     理事                 丸茂 重貞君                 杉山善太郎君     委員                 紅露 みつ君                 佐藤 芳男君                 横山 フク君                 阿具根 登君                 小柳  勇君                 鈴木  強君                 小平 芳平君                 林   塩君        発  議  者  丸茂 重貞君    委員以外の議員        発  議  者  草葉 隆圓君        議     員  高野 一夫君    衆議院議員        社会労働委員長  小沢 辰男君        代理理事    国務大臣        厚 生 大 臣  神田  博君    政府委員        厚生政務次官   徳永 正利君        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生省公衆衛生        局長       若松 栄一君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省医務局長  尾崎 嘉篤君        厚生省医務局次        長        大崎  康君        厚生省薬務局長  熊崎 正夫君        厚生省援護局長  鈴村 信吾君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○優生保護法の一部を改正する法律案横山フク  君外一名発議) ○医療法の一部を改正する法律案草葉隆圓君外  二名発議) ○戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法案  (内閣提出衆議院送付) ○戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○派遣委員報告社会保障制度に関する調査  (厚生行政基本方針に関する件)  (昭和四十年度厚生省関係予算に関する件)     —————————————
  2. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) ただいまより開会いたします。  優生保護法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、発議者参議院議員丸茂重貞君より、本案に対する提案理由説明聴取いたします。
  3. 丸茂重貞

    丸茂重貞君 ただいま議題となりました優生保護法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  現行優生保護法におきましては、都道府県知事の指定を受けて受胎調節実地指導を行なう者につき薬事法特例を設けまして、その実地指導を受ける者に対し避妊薬を販売することができることといたしておりますが、この販売を認められる期間昭和四十年七月三十一日をもって切れることとなっております。ところで、この特例が設けられました趣旨は、避妊薬の簡易な入手をはかることによって受胎調節指導を全うしようとするものであります。この必要性は、現在なお存続していると思われますので、この期間をさらに五年間延長することといたしたいのであります。  以上、この法律案提案理由について御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  4. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 本日は、本案に対する提案理由説明聴取のみにとどめておきます。     —————————————
  5. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 医療法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、発議者参議院議員草葉隆圓君より、本案に対する提案理由説明聴取いたします。
  6. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) ただいま議題となりました医療法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明いたします。  この法律案内容は、医療法第七十条の診療科名に新たに脳神経外科を加えるとともに、放射線科を独立の診療科名としようとするものであります。  近年における医学の著しい発展と進歩に伴って、現代医学がますます専門分科的に深まっていくという現状から見て、診療科名も、また公衆の利便をはかるためには、当然学問的基礎の上に立って、ともに推移していかなければならないと考える次第であります。  脳神経外科は、脳、脊髄及び末梢神経という重要かつ複雑な構造及び機能についての疾患の診断及び治療を行なうもので、一般の外科とは異なる専門的な知識、技術及び経験が要求されるのでありまして、すでにわが国をはじめとして、諸外国におきましては医学の重要な一分科を占めるに至っているのであります。加うるに、最近における交通量の激増に伴う交通事故、産業の高度成長に伴う労働災害により脳、脊髄等障害は増加しつつあり、これに対する適切な診断治療は、国家的、社会的な重大課題となっているのであります。にもかかわらず、診療科名として、外科系統に認められているものは、外科のほかは整形外科のみであります。これでは患者が脳神経外科の適切な診療を行ない得る施設を知るに支障を来たしますので、新たに脳神経外科医療法規定により標榜し得る診療科名に加えようとするものであります。  次に、現行医療法におきまして、放射線科は、理学診療科の中に含まれて規定されているのでありますが、理学診療科放射線科物理的手段医療に用いるという面では共通性を有しており、また、かつては、このような医療に対する需要も限度があり、同一の診療科で取り扱うことができたのであります。しかしながら、その後におけるアイソトープ等の利用の導入により、放射線領域における医療は大きな変貌を遂げており、放射線科理学診療科とでは、その分野において相当の差異が生じてきているのであります。しかも、最近における放射線医学面への応用はさらに顕著な進展を示し、ガン等治療のため、一そうこの領域充実が期待されているところであります。したがって、放射線科理学診療科から独立した独自の診療科として、医療法規定により標榜し得る診療科名としようとするものであります。  以上がこの法律案提案理由及び内容であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決賜わりますようお願い申上げる次第であります。
  7. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 本日は、本案に対する提案理由説明聴取のみにとどめておきます。     —————————————
  8. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 次に、戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律案戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法案及び戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案一括議題といたします。  右三案に対し、まず、政府より提案理由説明聴取いたします。神田厚生大臣
  9. 神田博

    国務大臣神田博君) ただいま議題となりました戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  戦傷病者特別援護法昭和三十八年に制定され、昨年その一部が改正されて、戦傷病者に対する援護内容改善が行なわれたところでありますが、今般さらにその内容充実をはかることといたしまして、この法律案提案することといたした次第であります。  次に、この法律案概要について御説明いたします。  改正の第一点は、戦傷病者相談員戦傷病者相談業務を委託することについてであります。すなわち、厚生大臣は、戦傷病者の福祉の増進をはかるため、戦傷病者更生等相談に応じ、戦傷病者援護のために必要な指導を行なうことを戦傷病者相談員に委託することができることといたしました。  改正の第二点は、長期入院中の戦傷病者支給する療養手当の額を、月額二千円から三千円に引き上げることとしたことであります。  改正の第三点は、日本国有鉄道無賃乗車船取り扱いをする戦傷病者範囲を拡大することであります。現在、日本国有鉄道無賃乗車船取り扱いをする戦傷病者は、恩給法規定による傷病恩給を受けている者のみに限られておりますが、今回、この範囲公務上の傷病について恩給法以外の法令の規定により傷病恩給に相当する給付を受けている者、たとえば戦傷病者戦没者遺族等援護法規定により障害年金支給を受けている戦傷病者にまで拡大することといたしました。  以上がこの法律案提出した理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに可決されるようお願い申し上げます。     —————————————  次に、ただいま議題となりました戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  過ぐる大戦におきましては、多くの軍人、軍属、準軍属方々が戦闘その他の公務等のために死亡されました。今日、わが国が戦前にも見なかった繁栄の道をたどりつつあるにつけましても、思いますのは、これらとうとい犠牲となられた戦没者方々のことであり、また、肉親を失なわれた御遺族の心情であります。本年は、あたかも終戦二十周年に当たりますので、国として弔慰のためこれら遺族方々に特別弔遺金を支給する必要があると考え、この法案提出することとした次第であります。  まず、第一に、本年四月一日までに戦傷病者戦没者遺族等援護法による弔慰金を受けた遺族に対し、現に恩給法による公務扶助料等給付を受けている者がない場合に限り、特別弔慰金支給することといたしたことであります。なお、その遺族死亡されている場合等で、あと戦没者の子があるときは、その子に対しても特別弔慰金支給することといたしました。  第二に、この特別弔慰金は三万円とし、十年以内に償還すべき無利子の記名国債をもって交付することとし、昭和四十年六月十六日に発行することにいたしました。国債償還金支払いについては、昭和四十一年以後毎年六月十五日を支払い日として、一回に三千円ずつ十年間に支払うことにいたしております。  その他、特別弔慰金についての譲渡の禁止、相続、時効、差し押えの禁止、非課税、実施機関等所要の事項を規定いたしております。  以上がこの法律案提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに可決されるようお願い申し上げます。     —————————————  次に、ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  戦傷病者戦没者遺族、未帰還者留守家族等に対しましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法及び未帰還者留守家族等援護法によりまして各般の措置が講ぜられてまいりましたが、今般これらの援護措置内容改善をはかることとし、別途本国会に提案されております恩給法等の一部を改正する法律案とも関連いたしましてこの法律案提出する運びとなった次第であります。  次に、この法律案概要について御説明いたします。  第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。この改正は、恩給法等の一部改正による傷病恩給及び公務扶助料増額に関連いたしまして、障害年金障害一時金、遺族年金及び遺族給与金の額を増額いたすこととしたものでありまして、増額程度増額実施時期等につきましては、恩給法のそれにならっております。  第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正であります。この改正は、留守家族手当の額を他制度との均衡を考慮いたしまして増額することであります。右のほか、条文の整理等所要改正を行なうことといたしました。  以上がこの法律案提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに可決されるようお願い申し上げます。
  10. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 右三案中、戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律案及び戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法案については、衆議院において修正されておりますので、この際、両案の修正にかかわる部分について、修正案提出者衆議院議員小沢辰男君より説明聴取いたします。
  11. 小沢辰男

    衆議院議員小沢辰男君) 衆議院社会労働委員会を代表いたしまして、両案の衆議院修正にかかる部分について御説明申し上げます。  修正内容施行期日に関するものでございまして、両案が原案の施行期日内に成立しないために、戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法案につきましては、すでにお手元に御提出いたしましたように、この法律は、「公布の日」から施行し、ただし、適用は「昭和四十年四月一日」から、こういうふうに修正をいたしたわけでございます。  なお、戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律案につきましては、一部の規定は「公布の日」からというふうにいたしまして、大部分この十月から、したがって、「昭和四十年十月一日」というふうにいたしました。ただし、医療手当につきましては、医療手当総額改正規定でございますが、これにつきましては「四月一日」から適用する、こういうことにそれぞれ所要修正を行なったものでございます。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたしたいと思います。
  12. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 本日は、右三案に対する提案理由説明及び修正部分説明聴取のみにとどめます。     —————————————
  13. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 次に、派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般当委員会が行ないました日鉄鉱業株式会社伊王島鉱業所爆発事故実情調査のための委員派遣について、派遣委員から御報告を願います。阿具根君。
  14. 阿具根登

    ○阿具根登君 日鉄鉱業株式会社伊王島炭鉱災害に対する委員派遣につき報告申し上げます。  去る四月九日六時ごろ発生した日鉄伊王島炭鉱爆発災害調査するため、石炭対策特別委員会より小柳委員長、阿部、鬼木の両理事、二木、田上の両委員及び社会労働委員会より私が派遣され、災害発生の当日である四月九日出発現地実情調査して昨十二日帰京、本日取り急ぎ報告いたします。  初めに、視察日程を簡単に申し上げますと、四月九日羽田より空路福岡到着、直ちに福岡通産局並び福岡鉱山保安監督局より資料提出を求め、翌十日朝福岡出発長崎伊王島に急行いたしました。現地において宇野日鉄伊王島鉱業所長川原通産省鉱山保安局長及び大関福岡鉱山保安監督局石炭第二課長より説明聴取した後、災害発生坑口におもむき、黙祷をささげて犠牲者冥福を祈り、次いで日鉄伊王島鉱業所病院を訪れ、副島病院長から犠牲者及び負傷者の状況並びに医療処置等について説明聴取した後、病室の被災者を見舞い、次いで日鉄伊王島労働組合を尋ね、大野組合長から意見聴取いたしました。同日は長崎に泊まり、翌十一日長崎発博多経由、十二日帰京いたしました、  次に、視察概要について申し上げます。  日鉄鉱業伊王島炭鉱長崎港の西方約十一キロメートルに位置し、高島炭田に包含され、炭質は一七千六百カロリーの弱粘結原料炭で、推定埋蔵炭量は約一億二千八百万トン、総可採炭量約四千万トンといわれている。出炭量昭和三十九年三十八万トンであり、本年度採炭量は四十万トンが予定されているビルド鉱であります。なお、鉱山労働右は三月末現在で千二百二十人であります。  災害発生個所と推定されているところは、伊王昌鉱業所の本卸し坑口より四千三百メートルの三区D八号払いの地点であります。この炭層は三尺層で、払いの長さは百四十メートル、採炭方式ホーベル採炭であります。当払いの人員は一方四十五人程度で、日産約五百ないし六百トンを出炭しております。通気は木卸しを入気とし、第四木卸し、第四幹線を通り、上述のD八号払いを経て排気口に至っております。通気はD八号払いにおいては毎分約三百立方メートルを確保していたといわれております。  爆発事故は九日六時ごろ発生したものと推定されますが、当日の三番方は百六十三名入坑し、D八号払いは四十五名配番されておりました。三番方は八日午後十一時入坑、九日午前五時四十五分ごろ作業を終了し、ホーベル機等、一切の動力をとめ、交代の準備を始めた。すでに一部の者は作業場から坑口に向かって帰りがけていたが、六時五分ごろ突如としてガス爆発が起こり、四十五名の入坑者中、死亡三十名、重傷四名、軽傷十名の被災者を出し、一名は事故発生前に昇坑のため無事でありました。  事故発生直後、直ちに鉱業所救助隊五十名が入坑し、救助作業を開始し、負傷者坑口から約百メートル離れている鉱業所病院に入院せしめ、応急措置を行なう一方、長崎大学医学部救援を求めたところ、麻酔学教室後藤助教授外二名の医師及び看護婦二名がバード麻酔器酸素吸入器等を持参し、救援にかけつけ、応急措置協力されました。また、負傷者のほとんどが顔、腕、頭に火傷の上、打撲、骨折等負傷を受けていたが、一酸化炭素中毒におかされていることも予想されるので、九州大学神経内科黒岩教授加藤助教授福岡より自衛隊のヘリコプターにて来県、協力を求めました。医療用耐圧酸素容器を必要とする場合には急送できるよう佐世保米軍に依頼したが、医師による負傷者診断では、現在までその必要はないとのことでありました。  以上のほか、長崎大学医学部、日赤、嘉穂鉱業所病院等医師及び看護婦協力を得て応急治療を行なうとともに、三十名の遺体の収容にも全力をあげ、九日午後十一時までに全員を収容したとのことであります。被災者の死因は、爆発時の外傷によるもの及びあとガスによる一酸化炭素中毒死も予想されるが、副島鉱業所病院長等説明によれば、まだ診断所見等が明らかとならないので、明確な死亡原因は発表できる段階に至ってないとのことでありました。  今回の事故被災者は、みな日鉄伊王島鉱業所従業員であって、死亡者は二十九歳から五十歳までの年齢で、四十歳前後の者が最も多く、職種別では採炭夫十六名、採炭係員二名、掘進夫八名、仕繰り夫二名、坑内機械夫一名及び坑内電工一名の合計三十名であります。  次に、今回の被害者の一人当たり平均賃金は千三百六十六円あるから、遺族補償葬祭料療養補償費等合計約五千万円と見込まれており、補償費はこの災害原因に会社の責めに帰すべき理由がない限り、労災保険より支給されることになっているので、長崎労働基準局では、遺族補償及び葬祭料支払いが一週間以内に可能となるよう手配方措置済みとのことでありました。  坑内は十日午前六時ガス排除が完了したので、坑内全域調査を開始したが、十日午後二時現在、爆発事故ガスによるものと推定されるが、何の原因によるガス爆発であるかは明確でなく、現場は捜査中で、まだ保安要員以外の入坑禁止されております。坑内の再開は、保安検査の上安全が確認された後になるので、見通しはつかないとのことでありました。  次に、日鉄伊王島鉱業所労働組合大野組合長は、今度のガス爆発原因はぜひ究明しなければならない、最近三井三池、北炭夕張、次いで今回と、ガス爆発による大災害が再三にわたって発生している。災害発生のたびに同じような事故対策では今後の事故防止は絶対にできない、もうこれ以上労働者犠牲は出さないようにしなければならない。坑内ガス対策についても鉱山保安法改正その他必要な措置をやってもらわねばならないとともに、鉱山保安監督行政も徹底的にやってほしい。また、鉱山保安は労使の区別なく、共通の問題としなければならないとの意見が述べられました。なお、四月十日午後、被災者弔慰金その他の補償について事業主団体交渉を行なう予定であるとのことでありました。  以上が今次災害概要であります。  最近の石炭鉱業におけるガス爆発、三十八年三井三池の大災害、本年二月二十二日北炭夕張の大災害、それに二カ月もたたないうちにまた今回のガス爆発、私は、そのたびに委員会から派遣されて現地調査し、悲しみに包まれた遺族と、悲惨な外傷一酸化炭素中毒におかされた被災者をまのあたりに見舞って、こうして同じように報告するのであります。私は、そのたびに委員会通産大臣に、労働大臣に、予算委員会では総理大臣に、鉱山保安はこれでよいのか、これからどうするのだとただしました。そのつど、総理大臣以下所管大臣局長は、今回の災害はまことに遺憾であります、原因究明全力をあげ、再びかかる災害発生を見ないよう、保安確保に万全を期しますと申します。ガス爆発は、坑内ガスが制限以上あったから爆発したのであります。直接発火の原因は何であったか、常に明確ではありませんが、爆発に都合のいい適量のガス坑内にあったからであります。そして多数の労働者犠牲となっております。今日、石炭鉱業全体が合理化政策進行途上ビルド鉱において相次いで重大な災害発生させたことは、業界全体及び石炭労働者に甚大な影響を与えたものであると考えます。  石炭鉱業における生産と保安関係において政府の施策に何か重大な欠陥が指摘されるのではないかと思うのであります。保安法規の上で欠陥があれば、これを改正しなければなりませんが、要は、これを施行し、運用する所管の上で、石炭鉱業における災害、特にガス爆発事故は、防止しようとすれば防止できるという固い決意をもって安全確保の万全を期すべき対策をもって臨まなければ、将来、石炭鉱業から災害発生を防止しようとすることは不可能であります。  最後に、犠牲となられた被災者冥福を祈り、遺族に対する援護措置の全からんことを念願するものであります。   以上、とりあえず御報告申し上げます。
  15. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) ただいまの御報告に対  し、御質疑はございませんか。——別に御発言も  なければ、派遣委員報告はこれをもって終了い  たします。     —————————————
  16. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 次に、社会保障制度に関する調査中、厚生行政基本方針に関する件及び昭和四十年度厚生省関係予算に関する件を議題といたします。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  17. 阿具根登

    ○阿具根登君 中性洗剤について御質問を申し上げます。  すでに三十七年、三十八年と参議院の本委員会及び衆議院において審議され、厚生省においても事終われりとの態度のようですが、不安は解消されるどころか、ますます大きくなっておる、こういう実情であります。私が知りたいことは、野菜やくだもの等をこの中性洗剤に短時間つけて、その上に水洗いを非常に強調されておるようでありますが、家庭の主婦は、この中性洗剤を使ったあと、五回から六回水洗いをしておる。それだけの水洗いをするならば中性洗剤を必要としないかもしれない。確かに中性洗剤を使えば、回虫卵あるいはその他のものが洗浄されることは事実でありますが、その結果、厚生省が言っておるのと全く反対な結果が出ておることを指摘しなければならないわけであります。ある学者中性洗剤毒性を強く叫ぶとともに、その資料を添えて通産省に陳情されておるが、通産省からは何らの返事もよこしておられない。一体これはどういうことなのか。この学者は、そういう営利学者と何らの利益関係のない中正な立場から、医学的に見て人体に非常な害毒を及ぼすということでこの毒性を突いておられるわけであります。かてて加えて、三十七年に庵島という人が誤飲によって死亡したことは御承知のとおりです。これは衆議院で問題になったようでありますが、その際、東京地方検察庁石井検事から、庵島氏の妻栄子さんを過失致死の疑いでこれを解剖検査をしていただいたわけです。その解剖検視をされた方々は、東京都監察医務院の医学博士の方が三名、薬剤師の方が一名、この四名の権威ある方が、この死因は中性洗剤による中毒死であるということをはっきり証言されておるわけです。こういう権威のある、しかも、これは検察庁からの委嘱によって検査されておる。その死因が中性洗剤中毒死であるということになるならば、これは厚生省が今日までとってきた態度は一体どうであるのかという点が一点です。  それから、最近の新聞もごらんになったと思うのですが、業者はばく大な宣伝費を使って、テレビ、ラジオでこの中性洗剤を宣伝しておる。ほとんどの家庭では、この中性洗剤を使えば一切のものが無害になって、非常に家庭的に助かるというような考え方から、その使用量が非常にふえてきた。ところが、そのために、最近の新聞を見てみますと、多摩川水系にこれが流れ込んで、白いあわが多摩川の水面に非常に浮き上がって、風が吹くとそのあわが飛んでいくくらいに非常に大きな汚水になっておる。これを玉川浄水場の水質課の調査では三PPM、一リットル中一ミリグラムが一PPMと注釈が出ております。三PPMに上がっておる。しかし、アメリカでは〇・五PPMということが許容量になって、これ以上は規制されておる。ところが、日本はその六倍もの量が出ておる。そういうことを厚生省は故意にか知りませんが、私は故意にだと思うのだけれども、この業者をあと押しするがごとく、非常な力を入れてこれをPRされている、こういうことが言えると思うのです。一体どういうことでそうなるのか、考え方はどこにあるのか。一方では、これは毒性があるから使ってはならないという学者が、非常に強く資料もそろえてやっておられます。またこの学者の問題はあとで十分お聞きいたしますが、そうしてこれでもかと、いやでも使わねばならぬようにPRをして、そうしてほとんどの家庭がこれを使うようになってきた。ばく大な利潤をあげておるこの業者が、結果は今度は水道の水、井戸水にこういうよごれを生ぜしめて、そうしてこの責任はだれがとろうとしておるのか。厚生省は一体これに対してどういうお考えなのか。  もう一つ、こういう点を考えて婦人団体が非常に心配をいたしまして、三千名の人に対してアンケートをとっておる。生活協同組合の婦人部が心配をして、主婦に対して三千名の方々に、あなた方は中性洗剤を使っておりますか、手は荒れてはきませんでしたかということをアンケートをとってみましたところが、千二百名余りの人が手が荒れてきたということをはっきり言っておる。さらに柳沢博士のことばを借りるならば、そういう主婦の方の皮膚に斑点ができてきた。その斑点は手から侵入したABS、口から入ったABSが肝臓をおかして、その肝班が顔に出てきたんだ、こういうことをはっきり証言されておるわけなんです。こういうものに対して三十七年の厚生省の考え方が今日もそのままであるかどうか、まずお尋ねをいたしておきます。
  18. 神田博

    国務大臣神田博君) ただいま阿具根委員から中性洗剤の使用に関しまして、いろいろ例をあげての御意見でございますが、厚生省といたしましては、いまお話のありましたような陳情と申しましょうか、それぞれの意見も十分承知いたしておりまして、これはひとつ容易ならぬような感情を持っておるから十分調査してお答えしたい、こういうことで、先般来、実は指示をいたしておるような実情でございます。まあいろいろ学者に異論もあることもこれは承知いたしておりますが、この段階で水道等の特に被害が多いようでございますし、また、人体の問題もいま述べられた例もございますので、一そうひとつ検討して早急に結論を出せぬものかどうかというようなことを実は指示した際でございます。詳細なことは、ひとつ政府委員からお答えさせたいと思います。
  19. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 中性洗剤、ことにその主成分をなしますABSの毒性に関しましては、昭和三十七年に当国会でも問題となりまして、科学技術庁が中心となりましてその毒性の検討が行なわれたわけであります。その結果、昭和三十七年の十一月に、通常の使用の範囲におきましては毒性はない、かような答申が出たわけでありますが、その際も、専門家の方々の御検討の中には、この中性洗剤毒性に関して種々御意見のある先生方の資料も参考にした上での御決定があったわけでございます。現在使われておりますこのようなABSに限りませず、各種添加物につきましても同じでございますが、きわめて大量または使用の方法によりましては毒性のあるものが大部分でございまして、それを通常の使用状態では障害を生じない範囲の基準に基づいて使用されておるわけであります。したがいまして、もちろんABSを濃厚に、また、使用方法をあやまって使用すれば、これは人体に障害があることはもちろんでございますが、問題は、これが通常の使用状況において人体に障害があるかどうか、かような問題であるわけでありまして、この実験によりましては、決してそういう心配はないということであるわけでありますが、ただ、通常の使用状況におきましても、阿具根先生のお話のように、本来この製品は脂肪を非常に除去する力がございますので、皮膚の脂肪分を除去するということから、その使用後の手の保護というようなこと、あるいは水洗いというようなことの適性を欠く場合には皮膚炎を起こし、あるいはその他の障害が生ずる場合が実際あり得るわけでございまして、お話のように、ある程度主婦の手が荒れるというような事態が現実に起こっていることは御指摘のとおりでございます。で、現在使われておりますABSを主成分といたします中性洗剤は大部分家庭用でございまして、もちろん工場等において機械類を洗うのに使われないわけではありませんが、大部分は家庭用でございまして、それも大部分は洗たくでございます。御指摘のございました食品、野菜等の洗浄に使われますものは家庭的に使われるものの約二割と私ども推定いたしておるのであります。この点について使用をあやまるときにはお尋させるねのような事態があるわけでありまして、十分私どもとしても指導の適正を期する必要があると、かように思うわけであります。  御指摘のございました寄生虫卵子を落とすというような効力のほかに、近年は農薬の問題がございまして、その意味合いからしても、このような洗剤を使って十分洗浄効果を発揮することは、わが国の今日の事態としては必要なことかと私どもは考えておるわけでございますけれども、ただ、特に先生御指摘いただきました河川における中性洗剤によるあわ、これが水道に入り、あるいは下水道に入って下水の終末処理能力を落とすという問題は、これは十分考慮しなければならない問題と私どもも考えているわけでありまして、すでに西独あたりではハードの中性洗剤からソフトの中性洗剤法律をもって切りかえているわけでありまして、世界的な傾向もその傾向にあるように私ども考えるわけであります。したがって、わが国としても十分それらの点は配慮する必要があるということを慎重に検討中でございます。  御指摘がございましたように、多摩川における中性洗剤の含有量は相当濃厚でございまして、日によりますと一〇PPMにも達することがあるわけでありまして、このために相当多額の化学処理費を東京都は玉川水道に投じておりまして、これが相当水道料金の原価に影響している事実があるわけであります。私どもとしても、これは今後真剣に取り組む必要があるということで、最近も、実は科学技術庁を中心にこの問題の検討に入ったわけであります。
  20. 阿具根登

    ○阿具根登君 いま言われましたように、会社はPRを思うままにやっている。これはテレビをごらんになればわかっている。そうしておいて多額の利潤を受けて、そうしてそのあげくは水道や井戸に大きな汚水をもたらす結果になる。それを活性炭で浄化する、そうすると活性炭一トン当たりに十二万円から十三万円の金がかかります。ばく大な費用がかかる、それが都民の肩にかかってくる。そうすると、都民はそういう毒性のおそれのあるものをどんどん宣伝されて、高い金でそれを買って、そのあとは今度は水がよごれ、その水道料金まで自分が払わなければならぬ、こんなばかな話がありますか。この責任は一体どこにあるか、だれが責任を負うべきなんですか。これは三十七年十一月三十日に厚生省の食品衛生課長が出した通達、これが最後になって、これにどういうことが書いてあるか、読んでみましょうか。「標記のことについては、すでに昭和三十一年九月二十九日環衛発第四九号をもって「野菜類、食器等の合成洗剤による洗浄について」が通知告され、中性洗剤をなるべく活用して食生活をより衛生的にならしめるよう指導してきたところであるが、」こうなっておるわけです。こうやってきた、今日まで。ところが、中に一部反対者があったので、慎重審議の結果そういうことはないので、前のとおりに指導せいということを、いまでもこれをうんと使いなさいと指導しているじゃございませんか。何年たっておりますか、それから二年たっていますよ。これは厚生省が奨励しておるのです。いま局長の言われたように、水道料金まで今度上げるようになったのは、これは困る、何とかしなければならぬじゃ、これ困ります。なぜ業者に負担させませんか、ばい煙だって公害だって、炭鉱だって鉱山だって、みんな公害は業者の負担が原則です。なぜ業者に負担させないのです。そういうことはできないのですか。二年前にこういうことを出されておる、その前にはもっとひどいものが出されております。これもあとで読み上げましょう。どうお考えですか。
  21. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 確かに玉川の水道におきまして、現在ABSの除去のために活性炭を相当大量使っておりまして、この費用は相当な額にのぼるわけでございます。もちろん玉川水道におきまして使用いたしております汚濁を防ぐための化学用の製品を投ずるための費用は、活性炭のみでございませんで、トン当たり九円、その中の活性炭分は三円少々、かように算定できるわけでございますが、その三円の分を、理論的にはABSから生じたものであるというところから、業者に負担さしてはどうか、こういうお考えのようでございますが、私どもとしましては、この問題は水道だけではございませんで、下水道にも影響いたしておりまして、下水道の浄化能力といいますか、そういうものを低下させるおそれもあるということから、慎重に検討はいたしておりますが、この費用を全部業者に負担させるということはいかがかと思うわけでございますが、むしろ早急に、これはドイツ等と同じように、ソフトに切りかえる措置を考えたい。今日のわが国の現状で、この中性洗剤の国民一人当たりの使用量は、外国に比べてわが国はほぼ半分ほどでございますが、したがいまして、今日の日常生活で中性洗剤系の洗剤を中止することはできかねることかと思いますので、より合理的なソフトのものに一刻も早く切りかえる処置をとってまいりたい、かような考えで進んでおります。
  22. 阿具根登

    ○阿具根登君 なぜ中止することができないのですか。あなた業者の立場からものを考える必要はないのです。少なくとも一学者があらゆる資料をそろえて反対をしておるならば、これをひとつ公式な場所で賛成の人と反対の人がどれだけ違うのか、どうなるかをひとつ一ぺんやってみたらどうですか。疑義がある場合は、そういうものを何ゆえ許可しなければならぬか、何ゆえ奨励しなければならぬか、許可するどころじゃない、厚生省は奨励しておるのです。この実験等を見てみると、白ネズミの実験等では、わずかの量で皮膚からぬって白ネズミは死んでおるのです。そういうこともお認めになるでしょう。そうすると、先ほどの公害ばかりでなく、公害とこれを切り離しましょう。公害だったらこれは分解しないから、あなたがおっしゃったように、あらゆる下水道も上水道等も、一切の問題に害を与えているのです。これは百も知っているのです。あなたが先ほど水道料金をおっしゃったから一足飛びにそこまでいったのです。あなたは知った上で、これをとめることも業者に責任を負わせることもできないのですね。だから私らはおかしいと思うのです。とめることもできない、公害を与えておるのに対する賠償もさせない。ところが、ドイツだけではない、アメリカも御承知のように規制された。イギリスも今度規制されたということを聞いております。諸外国がどんどん規制しているのに、日本の厚生省はなぜ奨励しているかというのです。ただ許可をしているだけではないですよ。日本の厚生省は奨励しているんですよ。だから私はおかしいと思うんですよ。たとえばライポンFにしたところでその他のものにしたところで、これはあなたが言われるように、適正な使用をしなければ毒になりますよということはどこにも書いてない。あなたは農薬をおっしゃったけれども、農薬は劇薬です。毒物です。そんな農薬は毒物という指定をしている。これのどこに間違えたならば毒になりますと書いてあるか。それじゃあこれは毒にならないのか。毒と言っても、それは一服飲めばすぐ死ぬ毒もあります。たび重なれば非常に身体に影響する毒もあります。だから、そういう毒と言ってもピンからキリまでありますけれども、これは毒性があるかないかという問題が一点。  それから、この庵島弘敏さんは、これは一体どうなったか、その後。この人はABS中毒死ということを、権威あるところからこういう死体検証調査書が出ている。これは一体うそなのかほんとなのか。こういうのが一例でもあったとするならば、これは厚生省が今日これを奨励しているのがおかしい、そこを私は言っている。なぜ厚生省はこんなに奨励しているのか。たとえば薬の場合でもそうでしょう、神田大臣、よく聞いてくださいよ。テレビを見ていれば、この薬さえ飲めば病気にかからないというようにうんと宣伝しているのですけれども、宣伝したでしょう、かぜひきの薬も一切合切。ところが、七人も八人も死んじゃった。これは予算委員会で質問しましたから、あまり追及したくないのですが、それを厚生省は許可している。ところが、人が死んでからあわててこれを回収させた、これもいまこれと同じような結果になるのではないか、食紅だってどうです、何十年厚生省は使わしてきた、このごろになってこれは使うなと言う。死人が出なければあなた方は中止もさせないし、どうしてこれだけ奨励するのですか、そこがどうも私はふに落ちない。どうなんです。
  23. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 私どもの立場は、あくまで国民の健康を守るということを念願すべきでございまして、したがいまして、国民に非常な危険な状態が考えられれば、当然洗剤であれ色素であれ、とめるべきであるということはお尋ねのとおりでございます。昭和三十七年の専門家の調査によりまして、通常の使用方法では障害がないということでございますので現在使用されておるわけでございますが、ただ、使用を誤る場合には、先ほどお話がございましたように、皮膚炎を生ずることもございましょうし、また、誤って飲むというようなことがございますれば、それが死亡に至るかどうかは別といたしまして、下痢を生ずるというようなことも、あるいはあり得るかもしれません。したがいまして、その使用の適正はあくまでも私どもとしては努力しなければならぬことでございまして、これは洗剤に限らず、他の一般的な添加物につきましても同じでございまして、使用を誤れば使用基準をはずれるわけでございまして、あるいは障害を起こす場合もあり得るということでございまして、私としては、絶えずそれらの点は注意してまいる必要があるかと思っております。  なお、色素についてのお話がございましたが、色素については、私どもとしましても、障害が起こったらとめるということでは手おくれでございますので、あらかじめ動物実験で出ました結果から、まだ最終結論が出ませんけれども、その懸念でこの使用をとめるようにいたしたわけでございます。
  24. 阿具根登

    ○阿具根登君 食紅はそんなに毒性があるのですか。それほど毒性があるのを今日まであなた方は許可しておったが、これは食紅よりも毒性がないのですか。あなたはいま食紅を動物実験をしたところが、まだ結果はわからないけれども、危険があるからとめたとおっしゃった。私は食紅で死んだという診断をまた見たことがないが、ありますか、教えてください。一方は死んだというやつまで起こってきている。そうして私が持っております本には、婦人の皮膚がただれてしまっている、銭型という、こういう症状までこの中性洗剤のためにあらわれておる、こういうことまで出ている。しかし、これは人間の身体ですから、非常な健康な人と非常に弱い人とおりますから、あなた方非常な健康な人のことばりか考えてものを言われたら困る。私は一番弱い人のことを考えてもらいたいのです。そうすると、食紅でさえも少し心配があるからというので中止された。これは学者  からも、あるいはあなたがおっしゃると思うので、まだ言っておりませんけれども、科学技術庁の一千五百四十何万の金を使った調査報告にも、これの毒性ということが書いてある。それが中止されない、食紅は中止した。すると、食紅はこれよりももっと毒性があるのですか、どうですか。食紅は中止したけれども、これを中止できない理由は何なのか、ひとつ教えてください。
  25. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) この中性洗剤につきましては専門家の御調査を願ったわけでございます。その結果、昭和三十七年に、通常の使用方法では障害がないという御答申をいただきましたので、使用方法には十分注意することにして使用を認めておるわけでございます。  なお、色素につきましては、今日そのようなはっきりした一連の調査ができておるわけではございません。実は、今回の色素の結果は、長期試験の一部にそのような結果があらわれたわけでございまして、なおこれを継続して長期試験をする必要があるわけであります。そうするには、さらに一年ないし二年の期間を要するということから、もしもこれが障害を与えることが一年ないし二年の後に明白になった場合には、色素のようなものは、一般国民が知らず知らずの間にからだに残るものであるということ、もしも手が荒れるような人であれば洗剤を使わないということが能動的にあるということであればできるわけでございますけれども、色素のようなものでございますと、知らず知らずの間に食品によって口に入るというようなことが予想されますので、できるならば、この際、予防的に使用を見合わせたほうがよろしいということでとめたわけでございます。
  26. 阿具根登

    ○阿具根登君 色素の場合は知らず知らずとおっしゃるけれども、そんなら中性洗剤の場合は知ってやっているのですか。これは知らず知らずやつているのです。だって、厚生省がこういうふうにあなた非常に奨励されておりますもの、これを。私が読み上げましたように、奨励されておるのですよ、厚生省が。何で厚生省が奨励までせにゃいかぬかということを私は言っておるのです、最初から。これは色素よりも私はこのほうがあぶないと思っておる。少なくとも、これに対しては権威ある学者がちゃんとデータをそろえて、これは毒性がありますということを言っているわけなんです。それをあなたは奨励しておって、一方は中止する。どこにそんな差があるかと私は言うわけなんです。何かあるからそういうことになるのか。私が聞いておるのは、紅のほうは、これを飲んだらどうなりますとか、あるいはだれか死んだということを聞いたことがない。また、そういうことになる前にやめるのがあたりまえ、それが正しいと思う。そういう正しい考えを持っておられるあなたが、何で中性洗剤になったらこれを奨励の立場からちっとも引かないのか、それが一点私にはわからない。食紅についてさえも中止させるものが、これが中止させられないわけがないのです、公害から見ただけでも。公害はあなたは否定しなさる。公害を否定する人があったら、多摩川に私が連れていって見てもらう。だれも公害が目に見えるから、否定する者はございません。どんな御用学者だって、あれはABSだとだれだってこれは肯定します。だからあなたもそれは認められておる。そういう現実にほかの面からはっきり出ておるやつはとめない。食紅でどこの水道がよごれましたか、どこの井戸水がよごれましたか。それを聞いてないのだ、私は。そういうやつでさえも、国民の健康から考えるならとめるというあなた方は親心を持っていなさる。また、佐藤内閣の人間尊重、その人間尊重の中の、人間の健康をつかさどっておられる神田厚生大臣は、私は、人間尊重の一番先頭に立っておられると思うのです。その神田厚生大臣は、私いま質問しておる問題をどうお考えになりますか。あなたは人間尊重の現内閣の中で、一番人間の命に近い立場におられる方なんです。それがどうして中性洗剤のことに対してこういう昔ながらの奨励をされたそのままでほうっておかれるのか。いまも、いつもテレビでは、これはもう毎日朝から晩までやっておりますよ、これは一体どうなんでしょうね。
  27. 神田博

    国務大臣神田博君) この中性洗剤の問題につきましていま議論になっておりますが、私は一部新聞やテレビなどでも承知をいたしておりまして、なかなかこれは公害も与えておるようで、いろいろ議論もあるようだから、もう一度ひとつ引き続き各個に検討を加えて、使用の目的を十分気をつけてやれば支障がないのだということでございましたが、公害の問題も込めて、ひとつもう少し深く検討してみる必要があるのじゃないかということを、実はつい最近、一月くらい前でしたか、至急検討を加えるようにという内示をしておる際でございます、禁止まで近く持っていくかということにつきましても、ただいまそこまでは私も自信がないわけでございます。しかし、騒がれていることは御承知のとおりでございます。それから、また、水道等にも非常な公害を与えておることは事実でございます。そういう意味も込めまして、ひとつ検討しようじゃないかということを命じた際でございます。すぐやめるというきめ手はまだつかんでないというところでございます。
  28. 阿具根登

    ○阿具根登君 なぜやめることができないんですか、何がやめることができないんですか。やめたら国民が直ちに病気になりますか。あるいは何かほかに、やめたら昔の生活——というのは、これが入ってからまだ三、四年にしかならないんですが、三、四年前に入った、これをやめたら国民の食生活が一ぺんに急変するようなことになるのですか。何か極端な問題がありましたか。そうじゃなかったなら、先ほど言いましたように、食紅でさえもとめなさった皆さんが、なぜこんなにはっきりしたやつをとめることができないか。何がその原因なんですか。
  29. 神田博

    国務大臣神田博君) 実は、私は食生活ということに非常に気を使っている一人でございまして、日本の国民の体位の向上というようなことを考えますと、やはりなま野菜というものを食べることを奨励したいというのが私のかねがねの念願でございまして、洗浄薬にいいのがないかということを非常に考えておったわけでございます。まあそういう意味で中性洗剤は大きな役割りを持っているのではないかと私は思っております。しかし、これが体位向上に貢献している問題と、その反面に、いろいろいま議論がありましたようなこととをあわせて検討いたしまして、そうしてこれは使用方法がなかなか守れないというようなものであれば、体位向上どころか、むしろ人体に与える悪い影響が多いというような問題もあろうかと思いますので、あるいは、また、体位向上には非常に役立っておるが、現下の水道等の問題、あるいは下水の終末処理というような問題を考えると、これはすでに限界にきておるというようなことがあれば、その方面からこれはひとつ考えてやらなくちゃならぬのじゃないか、こう考えております。ただいまの段階では、実は昨年の夏も私、玉川水道を視察いたしまして、中性洗剤のいろいろ欠点につきまして、水道に与えておる被害の大きいのをまのあたりにいたしまして、何か処置いたしたいという感じだったのでございますが、水道当局の話を聞きますと、この害は、多少は金はかかるが、しかし、国民がなま野菜を食べるという効果と考え合わせてどうであろうかというようなことを議論いたしまして、ついその結論を得ていない、こういう事情でございます。問題は、やはり回虫駆除といいますか、なま野菜の洗浄の効果というものは、私、中性洗剤が相当貢献しているのじゃなかろうか、こう考えているわけであります。しかし、それが弊害が多いということがもう少しはっきりとしますれば、これはむろんとめなくちゃならぬと思っております。
  30. 阿具根登

    ○阿具根登君 どうも私は納得できない。くどいようですけれども、それならなぜこういう奨励じゃなくて、これは非常に疑義がある、確かに回虫卵その他はきれいに落ちるけれども、疑義があるから、だからよく水洗いをしなければだめです、間違えば毒性がありますというくらいのことをなぜPRしないのですか。PRしたらだれか困るのですか、だれか困る者がおるでしょうね。あなたがおっしゃったとおりなぜできないの。あなた方は奨励されておるのです。そしてもう一つ、なま野菜を日本人は食べにゃいかぬとおっしゃるなら、それは清浄野菜か何かをうんと奨励すりゃいいんです。そんなもので洗わなければならぬようなやつをあなた方は言っておられるけれども、それなら清浄野菜をうんと奨励すりゃいいじゃないですか。それをなま野菜を日本人に食わせなければならぬからといって、くだものから皿類から、一切がっさいをこれで洗え、そして先ほど言いましたように、もう現実公害は出ておる、そして医者の間では、これは毒になるということが言われておる。何回も言いましたから次へ進みます。  それじゃお尋ねしますが、日本食品衛生協会とは一体何ですか。どういう機構で、どういう人がやっておるか。それから、食品衛生調査会とは、これは何か。厚生大臣の諮問機関ということだけれども、どういう方がやっておられ、どういう機構なのか、ひとつ教えてください。
  31. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 日本食品衛生協会は、会長は足立正さんで、食品衛生向上のための法人、団体でございます。それから、いま一つお尋ねのございました食品衛生調査会は、法律に基づきまして厚生省に設置せられておりまして、厚生大臣の諮問に応じて食品衛生行政に関する重要な事項を審議する機関でございます。会長は阿部勝馬先生でございます。
  32. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、日本食品衛生協会とは、これは業者の団体ですな。業者の団体に厚生省のお役人が、あなたはどうか知りませんけれども、何かの形で参与されていると聞いていますが、ほんとうですか。
  33. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) ただいまは厚生省の役人は何らの形でも参与しておりません。
  34. 阿具根登

    ○阿具根登君 それは現在のことで、三十七年にこの前のやつが出されたときは一緒だったんですね、そうでしょう。
  35. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) ちょっと三十七年のときを承知いたしておりませんので、また必要に応じて調べてお答えいたします。
  36. 阿具根登

    ○阿具根登君 その当時に公告というのが出されておる。あまり小さい字だからよくわからないですがね。これに、「品名ライポンF、右の名称で当協会に提出された洗滌剤について審査したところ次の理由に基き野菜果実及び飲食用器具等の洗練に優れた効力を有するものと認めこれを推奨する」、こうなっております。そうして付記のほうに、「協会が行う推奨は極めて大きな意義を持つものでこの審査にあたっては厚生省関係官をはじめ学界、国家機関等の権威者が審査委員として厳密な審査を行って決定することになっておるので食品衛生の向上に資するは勿論のこと推奨を受けた商品も非常に価値づけられ宣伝、販売等にも影響するところ尠くないものと思われるので業界の進んで利用されることを切望します。」、こういう公告が出ておるわけなんです、最初。これで国民はみなこれに食いついたわけなんです。そうして、これが国会で問題になって、そしてその次に出されたのが先ほど読み上げましたこれです。同じことなんです。そうしてこれを見てみますと、おもしろい事実にぶつかるわけなんです。いわゆるこれは毒性がないのだ、毒じゃないんだと言われる方はどういう方だろうかと思って見てみるんですね、——ちょっと資料が見つからなくなりましたから、あとでさがします。  もう一つ次に進めておきます。厚生省の食品衛生課と厚生省外郭団体である日本食品衛生協会の出した本ですか、これは「中性洗剤と食品衛生」ですな、これに、「モチはモチ屋にまかせておけばよい。」、こういうことを最初書いてあります。それから最後に、「最後に強調したいことは、今後このようないいかげんな発表により国民を不必要に不安にかりたてないように願いたいものである。」、こういうことが書いてあるわけなんです。これは一体どういうことなんですか。ほかの学名はもの言うなということなんです。もちはもち屋にまかせておけ、いいかげんなことを言って国民に不安を与えるな、こういうことを言っておられるのです、厚生省関係の方が。一体どういうことなんですか、これをひとり御説明願います。
  37. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) ただいま手元にその本がございますが、ちょっとその記述の場所が発見できませんけれども、学者が公正な立場で種々御批判をなさり、御意見を発表されることはたいへんけっこうなことでございまして、政府なり国の検査機関なりはその疑問に十分こたえ、疑問を解消する努力をすべきでございまして、総括的には、私どもとしては国民の疑念ということは十分排除する努力を従来も続けてまいりましたし、今後とも努力してまいりたいと、かように考えております。
  38. 阿具根登

    ○阿具根登君 しかし、私がただいま申し上げましたように、「中性洗剤と食品衛生」という本が衛生協会から出ておるわけなんです。それの最初に、「モチはモチ屋にまかしておけばよい。」、「最後に強調したいことは、今後このようないいかげんな発表により国民を不必要な不安にかりたてないように願いたいものである。」、こうきめつけておるわけなんです。いいかげんなものであるかどうかです。そうすると、一方的にこういうようにきめつけてあるこれが私はおかしいと思うのです。学者の中にも二色あって、一人の方は三十グラムくらいのABSなら飲んでみせると、こうおっしゃっておるわけです。一人の方はまたおかしいので、十五グラムくらいならおれも飲んでみせるとおっしゃっておるわけです。毒のないと言う方々です。その毒のないと言う方々が、一人は三十グラムまで飲む、一人は十五グラムまで飲む、こうおっしゃるのもおかしい。これは大体厚生省関係方々です。今度そうじゃないところは、これは毒性があるから、飲むことなんかもってのほかだと言っておる。そういうことはできない、皮膚から入っただけでも肝臓がおかされてきておるのではないかということを言っておる。そうして千五百何万か使ってこの特別研究報告をした科学技術庁のこれの中でも、皮膚から入って、そうして体内を通って尿となって出てくるということを認めておるわけです。これに書いてあるやつは一応毒性を認めてある。非常にはっきりこれを飲んだらどうだこうだということはないけれども、これは毒性を認めてある。国費を使って権威ある調査したこれが認めてある。そうすると、今度これを出されたこいつも、これを基礎にして、調べたとおっしゃっているわけです。そうするとおかしい。考えてみると、厚生省関係の人は、これは毒はないと言っている。飲んでも毒はないと言っておられる。一方は、今度はこれは毒があるから、使うのにも注意しなければならないと、こう言っている、そこが私はおかしいと思う。というのは、あまり憶測して質問するのはまずいと思うのです。私もそう思っている。思っているけれども、事、人命の問題だから、これを推薦される方は、こういうことを書類に書いて、書籍に書いて出版されるだけの自信がおありになるんだから、だから私はこういうことを言っているのですが、ひとつどうでしょう、これはそういう毒がないから三十グラムおれは飲んでみせるとおっしゃる方もおられるのですね。名前も何も発表していいですよ。もう一人の方は十五グラムまでならおれは飲んでもよろしいとその方はおっしゃっておられるそうです。一方は全然そういうものを飲んではならないとわざわざおっしゃっている。私は医者でも何でもないから、あなた飲んでみなさいと言うことはできません。できませんけれども、それだけ自信のある方々が同じ学者で対立されておるならば、どうしてその学者方々を十分納得させるだけの研究なり何なりをしないのか、こういうことを私は考えるわけです。それで、極端に言えば、やはり先ほどの論争からお気づきになっていると思うのですが、一般国民から見れば、何かこれは業者の圧力があるんじゃないかという気を一般国民は持つと思うのです。食紅なんかばっさり切られた。だれもまだ中海した者もおらない、死んだ者もおらない、公害を与えておらない、それがばっさり切られた。一方は公害が目に見えて出てきて、諸外国では全部それを切っておる。それだけならいざ知らず、毒性があって、学者の間でまだまだ論争が続いている、それを切ることができない、何かありはせぬかと疑問を持つでありましょう。だから、そういうことのないように、ここでばっさり切るなら切る、あるいはその推奨が悪かったのでこれはこういう誤解を生むならば、これはこういう毒性があるから注意して使ってくださいと、なぜわかるようにもう一ぺんやり直さないのか、その上で白か黒かをはっきりして、そうして反対の学者なら反対の学者に学問的に究明させればわかると思うのです。そうしてこれは毒じゃないと納得さして、毒じゃないということを安心させればよろしい、しかし、現在のところではまだ不安が皆あるんだから、その不安があるならば、それは解消するまでに時間がかかるとおっしゃるならば、何かの手を打たなければならないでしょう。当時、高野委員も二年前に質問した、そのときから調査します調査しますということばなんです。だから私はいまこれを持ち出して皆さんにお尋ねしているのは、国民の健康をほんとうに考えておられる皆さんですから、私も皆さんに負けないように国民の健康というものを考えていきたい、これが本委員会の一番大きな任務だと思っておりますからこういう口ぎたないことまで申し上げるのです。犠牲者が出てからではおそいのです。かぜ薬でも、あれが続けば厚生省の責任があるのです。じゃんじゃん飲め飲めと飲まして、これさえ飲んでいれば医者は要らないといって飲ました。そうしたら七人も八人も死んだじゃないですか。死んだ人はだれが補償するか、薬屋は知らぬ顔、それを許可した厚生省も知らぬ顔、死んだ人はどこで浮かばれますか。今度の場合、この死んだ人が中毒死だということがはっきりされているのだから、そうじゃなかったらそうじゃないようにあなた方は立証してもらわなければならない。あなた方が推薦して飲ました。これは誤飲ですからまた違います。誤飲でも、飲んで死ぬということになるならば、三十グラムぐらいなら飲んでも死なないという人もおるのだから、これはひとつ皆さんの前で実験して見なければわからぬのじゃないか、こういう気持ちもするのです、しかし、お互い学者だから、私は学究的に、学問的な立場から論争されるならば、おのずからこれは出てくるものだと思います。その出てくるまでに厚生省が先に立って、国民の健康保持のために業界にこれを推奨する、そういうようなことはたいへんな間違いだと私は思うのです。どう処置をされますか、お尋ねしておきます。
  39. 神田博

    国務大臣神田博君) 先ほど来からいろいろ御意見を承ったわけでございます。ことに最後にいろいろ御注意をいただいたわけでございまして、私の考えを申し上げましてひとつお答え申し上げたいと思います。  中性洗剤が有毒性である、手が荒れるというようなことについて、これは疑いのない事実でございまして、使用等につきましても、ゴムの手袋を使うようにというような注意が出ておるとおりでございます、それが十分に守られるようにあるいは使用方法を厚生省が注意しておらぬということについては、私は、これはもう全くおっしゃるように、手落ちだと思います。ですから、十分使用が正常に行なわれると申しましょうか、気をつけて扱うような注意をあらためてとりあえず直ちに実施いたしたいと思います。  それから、基本的には、いまもいろいろ御意見がございましたように、議論のあることはそのとおりでございますから、私も一カ月ほど前からひとつ検討しろということを申した際でございます。もうしばらくひとつ——そう時間をかけようとは思っておりません。十分ひとつ調査いたしたいと思っております。ことに先ほどもお話がございましたように、西ドイツ等では、ハード型をソフト型に変えておるというようなことも、昨年の秋以降、そういうようなことも伝わってきておりますから、これも私は何かやはり変えるということについては事情があったと思います、おそらくいまお述べになったようなことも含まれておるのじゃないかと想像できるわけでございます。そういう関係もございますから、この点はひとつ早く調査いたしまして、切りかえるべきものであるならば、直ちにひとつそういう措置をいたしたい。とにかくこの中性洗剤の今後の扱い方は慎重に、しかも、大胆にと申しましょうか、急いでひとつ措置いたしたい。たいへんいい御注意をちょうだいいたしまして、私どもも心配しておったことをずばりずばりと御注意をいただいたわけでございますから、ひとつ十分善処いたしたいと、かように考えます。
  40. 阿具根登

    ○阿具根登君 以上で本問題については終わりますが、ただ、先ほどハードをソフトに変えるというようにおっしゃったけれども、確かに分解の点についてはソフトはやはり公害は少なくなると思います。しかし、毒性の問題については、これはよりひどいということを学者に言っておられますので、その点も十分ひとつ研究していただきたい、かように思います。  次に、療術の問題で質問いたします。これはこのあと理学療法士の法律案がかかるそうですが、私はその問題については質問を保留しておきますので、この点ひとつ委員長にお計らいを願っておきます。  それに関連した問題として、先般国会で非常に問題になりました療術の問題について、一、二これとの関連で質問しておきたい、こう思うわけです。非常に賛成、反対があり、お互いに自分の利益を主張して、あるときは反対し、あるときは賛成されて陳情に見えておる方々もたくさんございます。お互い人間生活のために、自分の利益のために動かれることは、これは当然のこと。しかし、そういう立場からお互いが繁栄しなければならない、お互いが生活の確保をしなければならない、そういう立場から一方を排し、一方を助成する、そういうような考え方であっては私はうまくいかない、かように思うわけなんですが、理学療法士とこの療術師というのは非常に似かよった仕事をやるものだと私は思うのです。おそらく理学療法上というから、電気や温熱やマッサージや、そういうものを一切含めておられると私は思うのです。そうすると、これは一体どういうふうになりますか、まずそれひとつお聞きしておきます。
  41. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) 理学療法の療法士の仕事の内容に関しましては、あとで御審議を願います理学療法士法の第二条に書いてありますように、身体障害者、からだの障害のあります方々の基本的動作能力の回復をはかりますために治療体操を行なわせる、これが相当大きなウエートを占めております。また、電気療法とかマッサージその他の物理的手段を加えるというものでございまして、お話のとおりに、マッサージ等がその一部にございますが、そのマッサージにつきましても、機能回復の初期の段階におきまして、運動療法の準備と申しますが、併用して行なう。さらにその効果等を絶えず測定しながら、症状の変動、改善に応じて医学療法の補助行為として行なっていくという立場でございまして、従来のマッサージ関係の仕事がその中の一部に入っておりますが、このあんま、マッサージ関係は、従来は医療補助という目的以外に、慰安というような問題で行なわれる方々も含まれておるというようなところで、多少ぴったり全部、一部として入っているわけでなく、食い違いが外部に出ておるところもある、こういうように思うものでございます。
  42. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、そういう食い違いもある。それでは現在使っておる電気とか光線というものは、理学上使うやっとどう違うのですか、お伺いします。
  43. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) いま私はあんま、マッサージについて申し上げましたが、電気その他の物理療法、光線療法というふうなものにつきましても、物理理学療法の一部のところと重なり合っているところがございますが、先ほど申しましたように、一方のほうは医師医療行為の一端として、その補助手段としてやるというふうなことが、また療術師の方々のいままでおやりになりましたのは、御当人の責任においてと申しますか、権限においてやっておられるというようなところにも違いがあると思います。
  44. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、その電気治療、光線治療というのは、その道のお医者さんがおいでなんですか。一応お医者さんが治療して、そうしてその治療が終わって、これから先はいわゆるいまおっしゃった体操だ、あるいは刺激だ、こういうことをそういう理学療法士というのですか、それにおまかせになる、こういうことなんですか。そうすると、それは医者がだれを指名するか指名せぬかということは別として、そういう状態になったものをやるのに、電波はどの電波を使わねばならぬ、この光線を使わねばならぬ、その光線はその理学療法士以外には使ってはならぬとか、あるいはマッサージは医者の許可を受けなければやっちゃならぬとか、こういうようなことになるのですか。それとも現行のままですか。
  45. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) 理学療法士が行ないます電気、光線療法等は、先ほどから申しておりますように、医療の一部として身体障害者の基本的動作能力の回復をはかるための方法として、治療体操などと併用してやるものでございますが、それにはもちろん医師治療を行なっておりますときからスタートしていく、医師の指示に基づいてやるわけでございますので、医師が個々のこまかい指示を出します場合と、包括的な指示を出します場合というふうにいろいろあり、中ではその理学療法士の愚見によりまして、また医師相談していろいろやっていくという場合も起こり得ると思います。このことは、先ほどから申しておりますように、神学療法の広い範囲のうちの一部として、電気刺激とか光線刺激の物理手段がその一部として使用せられるということを申し上げておるわけでございまして、いまの療術師の方々のおやりになっておりますことがその一部としてダブってくるというようなことはあると思います。ただ、先ほどから申しておりますように、療術師の方々は、従来その力の責任において医師の指示なしでもやれておられたというふうなことが違いがあるということを申し上げておったわけでございまして、この点はいままでの既得権と申しますか、おやりになっておりました仕事を、理学療法士法が成立いたしましても、従来のお仕事の権限等を奪うものではない、そのままやっていただいてけっこうだ、こういうわけでございます。
  46. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、同じ仕事をやっておるんですね。マッサージならマッサージ、同じ仕事をやっておる、そうして一方は理学療法士だと、一方は町のマッサージだと、こういうことになるんですか、同じ仕事をやっておって、同じ仕事をやっておる、光線も電気も同じことなんです、同じ周波数のものを使ってやっておる。一方は理学療法士、一方は町の療術師、一方は町のマッサージと、何十年来の歴史を持ってやってきておる人に、一方は理学療法士だと、そういうことになるんですか。同じ技術で同じように貢献しておって、そうして歴史を何十年も持っておる方々をそういう仕分けするんですか。
  47. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) 従来のあんま、マッサージその他療術士の方々は、身分、資格というふうなものについては何ら変わりはないわけでございます。ただ、その方々は、あんまなりマッサージなりという個々の規定せられました範囲内において自分の責任でお仕事ができるというのに対しまして、今度の理学療法士はもう少し広い範囲内におきまして、たとえば先ほどから申しております治療体操とか電気刺激、マッアージその他の物理的手段を使うとか、一部には医療の介助というふうな問題までも入る点がある、こういうような広い範囲でいままでのあんま、マッサージ関係のお仕事の一部としてその中に同じようなところがございますが、それよりもずっと広い範囲で仕事ができるというところに違いがあり、また、その仕事の範囲というのも、ほかの方々のお仕事を排除するものではなくて、名称は理学療法士という名称を使ってやるということに差があるというだけなのでございます。仕事の範囲がずっと広い、こういうわけでございます。
  48. 阿具根登

    ○阿具根登君 逆に言えば仕事の範囲が狭いと私は思うんですが、同じ仕事をやるのに、なぜ一方は理学療法士、一方は町のマッサージ師と分けなきゃいかんのですか、なぜそれだけの試験に通れば、全部そういうことをやろうとやるまいと、自分の病院であろうと自分の家でやろうと、療法士なら療法士ということをなぜつけられないのか、なぜそこに差をつけようとするのかですね。たとえばマッサージの場合は、医学上これでなければならぬというマッサージの一つの規格があれば教えてもらいたい。いまのマッサージでどこが悪いのか、電気光線の場合はどれだけの光線を使わなければいかぬ、どれだけの電気を使わなければいかぬということはあるかもしれません。しかし、同じ電気、同じような光線を使って治療をするのに、なぜ一方はそういう学士さまみたいな名前をつけなければならないのか。一方はあんま師、マッサージ師、指圧師だ。同じ電気光線だ、あなた方の考えの中に、何かこの人たちを下に見た考えが私はあると思うのです。そういう人たちにも、こういう医師の指示に従ってりっぱに治療できる方がたくさんあって、いまもやっているはずなんだ。なぜそれをこういうふうに一方的にきめるのか。あとまだたくさんありますけれども、私の質問は保留をしているのです。ひとつそのおつもりで御答弁願います。
  49. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) これはあとで理学療法士の法案の御審議を願いますときに、その資料等でごらん願いますとわかると思いますが、身体障害者の基本的動作能力を回復するための一つの医療体系と申しますか、といたしまして、相当治療体操、また、電気マッサージとの作用、また、それと身体機能の状態というようなものに対しての高度ないろいろ勉強もすることになっておりますし、そうしてその実習等におきましても、かなり専門的な実習もすることに考えておりますが、そういうふうな方々と、いままでやっておられました方々との全体の態勢が少し違うのではないか、また、範囲におきましても違うというようなところが今度の新しい身分法を出したいと思っているところでございまして、現在病院等で働いておられますマッサージ師その他の方々でこれだけのことが十分できるというふうな方につきましては、試験をいたしまして、そうしてこの名称を使ってもらっていいように、経過規定と申しますか、そういうふうな点は考えておるわけでございます。
  50. 阿具根登

    ○阿具根登君 委員長のほうから、時間が来たということですから、あまり長く言えないのですが、そうすると、現行のままで現在の自分の施設の中で理療士として仕事ができる、こういうことですか、試験さえ受けて通れば。そういうことになると思いますけれども。——それで了解いたします。  それから、あとこれは厚生大臣にお尋ねしますが、政務次官もお見えになっておるから。この前の療術士の期間がいま切れて、失格者の問題が相当それぞれ陳情があったと思うのです。そのときにも私は個人的にお願いをしたのですが、その当時の警察官の証明を持ってこい、これはまあ言えばそのとおりだけれども、そういう前の警察官がおるかおらぬか、そうして特にこれは静岡県から来ておりますから、神田厚生大臣のところなんですが、昭和二十二年の十二月二十日に第百十七号が発令されて、それは三カ月前にさかのぼって発効した。だから二十二年九月二十日から十二月二十日までの三カ月間の人は、これは失格でどうにもならぬ、こういうことがあるわけなんです。体こういうことにして、これはどういうお考えなのか。これはこの発令が三カ月さかのぼったための失格者であって、決してこれは本人の届け漏れでもなければ何でもない、こういうものがあるわけなんです。それから、また、警察官がおらないならば、これは市町村長の証明等でやってどこが悪いのか。何かもぐりをとめようと思って、私どもはこれをきめた場合に、もぐりを許しませんということできめておるのです。もぐりをとめるために、こういう法の犠牲になっておる者まで失格者にしておる例が非常にある。少し延長されたようですから、この機会に与えてもらおうと思うのですが、その点はどういうふうにお考えなのか、お尋ねしておきます。
  51. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) まず、警察官の問題でございますが、これはこの法律が通りましたときに、附帯決議といたしまして、やむを得ない事情を相当厳重にしろという附帯決議もございましたが、その当時の届け出を受理しておりました方といたしましては当時の警察官というふうに、ほかの公の証明機関がないというところからこういうふうに考えたものでございますが、実際に運営してみますと、なかなかその警察官がつかまえにくい、発見できにくいというような問題があり、また、なくなっているのではないかというような方まであって、その点われわれも頭を悩ましておるところであります。しかし、それからといいまして、証明にあまりルーズになってしまうということも、逆に役所側でこれを調べるのはなかなかむずかしい問題で、その点はいい方法がないかと研究しておりましたが、期間がまいりましたので、一応この点は、証明書がなくても、証明書はあとから考えるということにいたしまして、期間を延長しておった。受付も、文書だけで受け付けば一応やっておきます、こういうふうな方法をとったわけであります。いろいろ御意見を承りまして、助力をいたしてまいりたいとわれわれも思います。  なお、三カ月の問題は、この法律公布の際、引き続いて三カ月以上という、ここのところではないかと思いますが、昔この法律ができましたときに三カ月以上というので、ちょっといまのお話がわかりかねるのでございますが、できますればあとでよくお教え願いまして、考えさしていただきたいと思います。
  52. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは、あとからまた説明申し上げますけれども、昭和二十二年の九月二十日から十二月二十日までに申請した人は全部却下されておる。そうして三カ月さかのぼって二十日以前の人は全部許可されたわけです。だからその三カ月間の人は申請の持っていきようがなかったというわけです。二十日までの受け付けば全部受け付けて、それ以後のは受け付けないというのが二十二年の十二月二十日に発令された。ですから、その三カ月待っておった人は却下されたわけです、三カ月間の人たちは。そういう人たちは、自分が故意にやったとか、あるいは知らずに届けなかったということではなくて、届けておったけれども、それは三カ月以前にさかのぼって許可されたので、その三カ月間だけは許可されなかった、こういうことがあるわけです。それでそういう人たちは、何も自分が届けなかったとか、あるいは知らなかったとか、そういうことじゃなくて却下されたのだから、だから当然これは法の責任ではないか。それで、十二月の二十日に発令された日までというなら、その三カ月間の人は全部入っている。それを九月二十日まで受け付けるということにされたので、いままで出しておった人が全部受け付けられなかった、こういう点があるわけです。そうすると、そういう者に対しては、これはわずかな人間です。また、警察官をさがしておらなかった人も何千人も何百人もおるわけじゃないのです。わずかな人なんです。やはり法にはそういうあたたかみを持ってもらって、そうしてもうこれ以上はふえないのだから、だから私はなぜそんなに片意地になって警官を追い回したり、あるいはそういう法の不備によって資格を得られなかった人まで泣かせるか、こういうことはひとつ考え直してもらいたい、こういうことなんです。これはおそらくどの法律の場合でもそういうのが出てくる。マッサージさんの場合でも、今度この場合でも、今度この法律が通るということになれば、おそらくそういう陳情が確実に出てくる。
  53. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) 法律的にはちょっとむずかしいところもあるようでありますが、よくお話を承りまして、できるだけ弾力的に考えてやってみたいと思います。十分研究さしていただきたいと思います。
  54. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 岡野一夫君より委員発言を求められております。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議なければ、さよう決定いたします。高野一夫君。
  56. 高野一夫

    委員以外の議員(高野一夫君) 私は、いまの阿具根さんの御質問に関連して質問をするのですが、いずれ理学療法士法が正式に議題に供されたときに、あらためて私も審議に参加したいと思っている。そこで、ひとつ、あんまマッサージ指圧師の問題が出ましたが、その理学療法士が医師の指示を受けていろいろやる、電気療法、光線療法、それからマッサージをやる。端的に言って、従来十人のお客を持っておったところのあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律に基づいて試験を受けて免許をもらった指圧師なんかが十人のお得意を持っておった。今度は医者にかかって、医師の指示があるがゆえに理学療法士にかかる。そうすると、その他のものは、従来のマッサージ指圧師からお得意が減ることになりますね。そこで医者にかかるか、かからないか、それはその人の考えだから、医者にかかって理学療法士のマッサージを受ける人もあるだろうし、かからないで従来のマッサージをしてもらう、指圧をしてもらう、これは各個人の随意です。それならば、私は思うのに、医師の指示を受けてマッサージをしちゃいけないとか、マッサージをしたほうがいい、こういうならば、そのマッサージは、いまの法律によって免許を受けたマッサージ師でいいじゃないか。何もあらためて理学療法士というものがそれのマッサージをやらなくても、学校へ入って試験を受けて免許を受けている。私が患者で医者に行く、電気療法やれ、光線療法やれ、これは医者の専門的なことになるから、医者の指示を受けてマッサージをやれ、これは普通のマッサージでいいわけじゃないか、いいわけだ。それなら、何も理学療法士の中にマッサージというものをおく必要はないじゃないか、現在あるのですから。光線療法、電気療法というのはこれにはないのです。除いている。それは理学療法士でかまわない、理学療法士でやるということになる。だけれども、一般のマッサージというものは、現在の法律で免許を与えたマッサージ師がある。それなら患者高野が医者の指示を受けて、免許を受けたマッサージ師にやれ、こう言うのか。私は、いまの免許を受けたマッサージ師でやればいいと思うのです。その点は、私はこれは実際問題としておかしいと思うし、法律的に考えても、何か理解しにくい点がありますね。理学療法士へマッサージ師を入れる必要はない。電気療法、光線療法だけでたくさんだ。ほんとうに専門的な療法をやって、現在の法律にないものをやらせるために理学療法士をおいてやる、現在の法律でマッサージ師の免許を与えてやれるものを、何もまた理学療法士の中に入れる必要はない。現在の人から業務を奪うことになります。だから、医者の指示でやらせるならマッサージにかかりなさいというので、町の現在のマッサージ師にかかればいい、ちっとも差しつかえない。なぜそれを理学療法士でなければいけないのか、そこの中にそういうものを入れなければいけないのか。あの仕事をやらせる、そういう意味からいっても、私はこれは法律のたてまえからいってもおかしいと思う。これは詳細にはいずれ正式に法律案議題に供されたときに当委員会発言を求めて審議に参加したいと思いますけれども、一言だけ、私がいま言った点についてどういうふうに考えられるか、私は現在の法律をたてにとって質問をしている。
  57. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) 従来のあん摩マッサージ指圧師、柔道整復師等も、大体は病院等におきまして、治療医師の指示を受けて医療の一環としてやっておられる場合もありますが、また、独立して開業し、診療に当たっている、治療に当たっているというふうな方々もおられるわけでありまして、今度の理学療法士におきましては、その点、病院内をおもにいたしまして、自分で開業してというようなことはあまり考えていないのでございます。そういう病院内において医師の指示のもとに、新しいと申しますか、日本で従来あまり十分効果を発揮していなかったメディカル・リハビリテーション、医学的リハビリテーションの面におきましての専門家として、医師の補助者として働いてもらう、こういうところから、その仕事の範囲といたしまして考えられるのは治療体操が大きな部門でございますが、それと同時に、電気刺激、マッサージ等の仕事も、物理療法等も加えてやはりやってもらえるような仕事の範囲の方法で、そして目的は、基本的動作能力の回復をはかるというところに必要ないろいろな仕事がやれるように、その意味におきまして、あんま、マッサージさんの方々のやっておられた仕事の範囲と、確かに病院内においての仕事の範囲はかち合う場合もありましょうし、また、ある場合においては看護婦さんの医療介助の面とかち合う面もあると思いますが、そういう面におきまして、できるだけ現在そういうふうな面に資格を持って働いておられる方々とよく協調し、そしてその方々を決して排除するものではない、こういう立場で、しかし、必要なときにはそのほうもやれるというふうにしていく、業務独占を理学療法士にやらせるのではなくて、名称独占をやらしていくというだけなのでございます。しかし、同時に、保健婦、助産婦、看護婦におきまして医療の介助が業務独占になっておりますし、また、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師におきまして、その法律との関係等もありますので、そういうふうなこともやれるというふうに法文には書いてございますが、決して従来から働いておられます方々をこれでやれないようにするというふうな意味ではないのでございます。その点ひとつ誤解を解いておいていだきたいと思います。
  58. 高野一夫

    委員以外の議員(高野一夫君) 私はあなたの答弁要りませんよ。この次に正式に法案が出たときにさらに突っ込んで答弁を求めますから、要らない。そうすると、あん摩マッサージ指圧師で、現在法律の免許を受けた者は専門家ではないのですか。法律で専門的に資格を与えた以上は、その人の業権を守ってやらなければいけませんよ。それは同じような仕事をあちこちでそういうふうな法律をつくるということはおかしい。医師だって、薬剤、看護婦、みんな同じようなことをまた別な法律医療がやれるというような法律をつくるというのと同じようなことになるのです。そういうことはいけないのです。一定の学校を出て試験を受けて免許を受けて、現在の法律でそうすると免許を与えて、そしておまえは安心してあん摩マッサージ指圧師としての仕事をやれといった以上は、その人たちの仕事を守ってあげなければいけないじゃないか、それをくつがえすような、じゃまになるような仕事を何かほかに理学療法士としてやらせる必要はないじゃありませんか。それで理学療法士は医師の指示を受けてやるのだから、専門的マッサージをやるかやらぬかといったって、これは専門家です、現在。それはマッサージをやっちゃいけないからだが、マッサージをやることも、それは医者にかからなければだれだってそうです。飲んじゃいけない薬を飲んじゃうということもある。だから医者にかかって、それじゃマッサージをひとつやったほうがいいというならば、現在のあん摩マッサージ指圧師にかかってあなたやってもらいなさいよと、それでいいじゃないですか。それで何が悪い。光線療法なり電気療法というのならばいろいろむずかしい点があるから、学問的だから、それは理学療法士でいいですよ。それは私は否定はしない。しかし、それにマッサージもやれると、やれるだろうけれども、やらなくてもいいだろうが、やれるということは私はおかしい。ここにあるのだから、医者は、あなたマッサージをやりなさい、患者の高野、おまえマッサージをやったほうがいいと言ったら、私はいまのあん摩マッサージの免許を持っているこの人々にかかってやってもらったらいい。何も理学療法士にかかる必要はないです。電気療法をやり、光線療法を続けろといったら理学療法士にかかる、これはそういう仕事はやれませんからね。だから理学療法士がやるマッサージと、あん摩マッサージ指圧師がやるマッサージと違うなら別です。マッサージそのものは同じです。それをこっちにも一つの権利を与えておいて、それと同じことがこっちにもやれるということ、そういう考え方は私はおかしいということ、実際問題としておかしいと同時に、法律のたてまえからもおかしいですよ、これは私はもっと例をあげて正式に議題に供されたときにやりますが、きょうはあなたひとつ研究しておいてください。どうしてもこれはおかしい。
  59. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  60. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 速記を起こして。     —————————————
  61. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 委員の異動についてお知らせいたします。本日、佐藤芳男君が委員辞任され、その補欠として鈴木万平君が委員に選任されました。  他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後雰時二十三分散会