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1965-04-28 第48回国会 参議院 国際労働条約第87号等特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十八日(水曜日)    午後零時五十一分開会     —————————————    委員異動  四月二十八日     辞任         補欠選任      山崎  斉君     紅露 みつ君      草葉 隆圓君     森 八三一君      鈴木 恭一君     佐野  廣君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安井  謙君     理 事                 亀井  光君                 竹中 恒夫君                 小林  武君                 横川 正市君     委 員                 江藤  智君                 久保 勘一君                 後藤 義隆君                 紅露 みつ君                 佐野  廣君                 野本 品吉君                 長谷川 仁君                 二木 謙吾君                 丸茂 重貞君                 三木與吉郎君                 森 八三一君                 岡田 宗司君                 北村  暢君                 鈴木  強君                 中村 順造君                 渋谷 邦彦君                 田畑 金光君                 佐藤 尚武君    衆議院議員        修正案提出者   藤枝 泉介君        修正案提出者   多賀谷眞稔君        修正案提出者   栗山 礼行君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        労 働 大 臣  石田 博英君        自 治 大 臣  吉武 恵市君        国 務 大 臣  増原 恵吉君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        内閣法制局第一        部長       関  道雄君        人事院事務総局        管理局長     小林  巖君        内閣総理大臣官        房公務員制度調        査室長      岡田 勝二君        文部省初等中等        教育局長     福田  繁君        労働省労政局長  三治 重信君        自治省行政局長  佐久間 彊君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        結城司郎次君        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        自治省行政局公        務員課長     杉浦  功君     —————————————   本日の会議に付した案件結社の自由及び団結権保護に関する条約(第  八十七号)の締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国家公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○地方公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 安井謙

    委員長安井謙君) ただいまより、国際労働条約第八十七号等特別委員会を開会いたします。  結社の自由及び団結権保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案国家公務員法の一部を改正する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の通告がございますので、これより順次発言を許します。岡田宗司君。
  3. 岡田宗司

    岡田宗司君 まず、お伺いしたいことは、このILO第八十七号条約において規定されております結社の自由及び団結権についての政府基本的な考え方でございます。と申しますのは、ILO八十七号条約が問題になりましてから今日まですでに七年を経過している。この条約内容というものは、もし政府が真に労働組合の結成についての自由という考え方について十分に理解を持ち、またこれが当然のことであると考えるならば、とうの昔に、これは政府並びに自民党の考え方によっても、難なく批准されなければならない問題だと思うのであります。しかも、これが七年間もかようにもたもたし、波乱万丈の末、ようやく今日まで至りましたということは、政府結社の自由及び団結権ということについて理解が足りなかった、あるいはまたこれを政府批准することによりまして国内法を改正し、そしてそれに伴って、何か労働組合が特に強い力を得て、そうして社会にとって好ましくないような事態を引き起こすのじゃないかという、そういう疑いがある。またそれに関連いたしまして、労働組合の問題を、やはり治安的な見地からながめて、何とかこれを押えていこうとしたということがあるのではないかと思われるのであります。ドライヤー委員会の来朝がございまして、そうして政府もようやく本気でこれを通すという決意を固められてきたわけでございますけれども、何か根本にいまだ積極的に、この結社の自由及び団結権という問題について積極的な能態度が欠けておるのではないかと思うのですが、この際、政府ははたしてこのILO八十七号条約内容をなす結社の自由及び団結権の問題についていかなる考え方をお持ちになっているか。これは将来の労働組合に対する政府基本的な考え方につながるものでありますので、この際、明らかにしていただきたいのであります。
  4. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ILO八十七号条約ILO基本的な条約一つであると認識をいたしております。そうして労使対等の原則の上に立って、労使関係の諸問題を処理いたしますためには、その労使それぞれの団体が自由な状態において、政府の干渉を受けることなく、制限を受けることなく団結をし得るということが前提にならなければならない、こういうふうに理解をいたしておりまして、わが国ILOに加入いたしますときに、そのILOの精神を尊重するということを約束して加入してきておるのででありまして、その後今日までこの条約批准できなかったのには、それぞれ歴史的な経過的な理由がございますが、しかし、その歴史的、経過的な理由をすみやかに解消して、この条約批准することが、わが国労使関係基本になることはむろんでありますが、国際的な水準に到達する前提であると考えております。
  5. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいまの、石田労働大臣の御答弁によりますというと、この条約批准すること、そしてそれによって国際的にもその義務を果たすことにもなるし、また同町に、その態度が将来日本労働組合に対する政府態度であるというふうに受け取れるわけでございますが、しからば、いま石田労働大臣の言われました歴史的ないろいろな事実、それが今日までこの批准をおくらしてきたわけでございますけれども、そこに見られましたいろいろな事実というものは、今後もどういうふうに影響を持ち、また、それが影響を持たないようにしようとすれば、政府はそれをどういうふうに処置していくか、そしてすっきりとした考え方で将来の労働組合結社の自由ということに臨むか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  6. 石田博英

    国務大臣石田博英君) この条約批准を直接的に困難にいたしておりましたものは、御承知のごとく公労法地公労法規定でございます。公労法地公労法規定がああいうふうに現行法のごとくに規定されましたのには、公共企業体公共の利益を保護するというたてまえから、あの法律制定の次元においては必要であると考えられて成立したものでありまして、今後団結の自由、八十七号条約批准をされました暁においては、その団結の自由の意図するところを労使双方とも正しく理解をいたしまして、それと同時に、公共企業体法におきまして、その社会的任務責任理事者組合側認識をして、その上に立って労使関係の問題を、話し合いにより、そして良識によって処理するという、それぞれの反省と理解がこれからの労使関係を正しく運用する基礎である、こう考えておる次第であります。
  7. 岡田宗司

    岡田宗司君 基本的の問題につきましては、もう一度さらにあとでお伺いすることにいたしまして、次に、私は本年の一月に日本に派遣されましたILOドライヤーコミッション提案、そしてこのILO八十七号条約国会審議並びに批准、その関係についてお伺いしたいと思うのでございます。  ドライヤー委員会提案によりますというと、「委員会は、批准を促進するため、公労法四条二項及び地公労法五条三項の廃止の如き、八十七号条約の条項の完全な実現に直接関係のある事項に先ず注意を集中することが望ましい、という見解に一致をみた。」、こういうふうに言われております。この点につきましては、今回、衆議院におきまして、いろいろもんちゃくはございましたけれども、各会派が満場一致修正案を通過せしめましたことによりまして、そして、これが今日参議院に回付せられ、大体、本国会におきまして、成立を見るであろうということが予想される事態になりましたので、この点は満たされたと思うのであります。その次に、「しかし、批准だけでは相互信頼を生み出さないであろうが、この相互信頼がなければ、公の機関公共企業体等とそれらの職員との間に満足な労使関係を生み出すことはできない。委員会は、現に存在している相互信頼の欠如に対する諸当事者責任の度合について、この段階では、いかなる見解も表明しない。委員会の当面の関心は、将来のためこのような信頼を作り出すについていかなる措置が執られるべきかにある。この成果を達成するためには、双方態度の重要な変更が必要であろうが、そのイニシアティブは、当然最高レベル政府当局が執らなければならない。」、こういうふうに言っておるのであります。この最高レベル政府当局ということは、あとの、後段から見ますならば、これは総理大臣をさすものと思われるわけでございますが、総理大臣イニシアチブのもとに、欠除せる相互信頼を回復するための手段として、次に「政府使用者及び労働者責任のある代表者の間で共通関心事について適当な間隔で定期的に意見交換することを促進しかつ奨励することが、政府一般方針であろうという旨を明らかにすることを総理大臣が可能と考えられるならば、それは一大進歩であろう。かかる意見交換主要目的は、現在なお未解決の問題及び将来発生するかもしれない問題の相互理解による解決に必要な信頼を作り出すことにあるべきである。」、こういうふうに言っております。つまり、この定期的に開かれる話し合いと申しますか、意見交換と申しますか、これのイニシアチブ総理大臣がとれということを示唆しているわけでございます。政府はこれに対して、このドライヤー委員会提案を受諾されておるわけでございますが、総理大臣は、これについていままで、どういうふうな積極的なイニシアチブをおとりになったか、その点について、お答えをいただきたい。
  8. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 政府は、ドライヤー委員会提案を受諾いたしました直後、総理大臣の命令によりまして、官房長官と私が、総評の幹部の諸君に対して、定期会談を開催したいという旨の申し入れをいたしました。そうしてそれについて、現在まで協議を続けているところであります。     —————————————
  9. 安井謙

    委員長安井謙君) ちょっと途中ですが、委員異動がありましたので、御報告をいたします。  草葉隆圓君、鈴木恭一君及び山崎斉君が委員を辞任せられ、その補欠として、森八三一君、佐野廣君及び紅露みつ君が委員に選任されました。     —————————————
  10. 岡田宗司

    岡田宗司君 しかし、これはいままで実現されておりません。もちろんこの提案には、八十七号条約国会審議並びに批准と並行に開けとか、あるいはそれに先んじて開けとかということは書いてないのであります。しかしながら、少なくとも六月に開かれるILO総会まで、ドライヤー委員会委員長あるいはILO専務総長に対して報告をする責任があるわけでございます。そうすれば、どうしてもそれまでには、この定期的会合は、少なくとも第一回は開かなければならない、そう私は考えるのでありますが、いま、これがなお開かれないということには、やはり、その準備段階交渉において、いろいろむずかしい問題があろうかと思われるのでありますが、まず第一に、政府としては、少なくとも六月のILO総会までに、この定期会合を開いて、そうして何らかの成果報告することを決意しておられるのか。そうしてまた今日、それがなお開かれる段階に至らないのは、どういうそこに障害と申しますか、があるのか。それに対して政府は、それをどういうふうにして乗り切ろうとされて出るのか。それらについて、具体的にお示しを願いたい。
  11. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 政府といたしましては、六月どころではなく、二月中にも策一回の定期会合を開きたい、こういう希望と決意をもって、呼びかけてまいりました。しかし、ドライヤー委員会の提示せられました定期会合は、いろいろの困難な問題を、この定期会合を開くことによって相互信頼を回復しつつ、解決をしなさい、こういう指示である私どもは承っておりましたのでありますが、総評側から、そのいろいろな困難な問題についてあらかじめ話し合いをきめてからでないと、定期会談に臨めない、そうしていろいろな困難な問題につきまして、五つをあげて政府見解を求めてまいりました。その後いろいろ経過がございましたが、話を詰めてまいりますと、二つであります。一つは、文部大臣日教組との話し合いの問題、それから第二番目は、関係法律案に書いてございます——提出いたします公務員制度審議会の運営の問題であります。そこで、前段につきましては、これは定期的会談の積み重ねによる相互信頼の回復を待って処刑をしたい。後世については、これは、公共企業体その他における、いわゆる公共部門における労使関係基本についてこれを審議する。また、昨年の四月十七日の池田・太田会談の際に、取り上げられました、公社、現業及び政府関係機関当事者能力の問題、これもあわせて、この問題で検討をするというようなこととで、大体話は次第に煮詰まってまいったのでありますか、その後、このILO八十七号批准案件及びそれに関連する国内法の取り扱いにつきまして、同時に——前の二つと一緒に、事前了解を行なわれなければ、定期会談に出席できない、こういうお話がございました。つまり、三つ、ワン・セットとして取り扱ってくれなければ困ると、こういうことであります。政府側といたしましては、批准案件及び国内法はすでに国会に提出してございます。したがって、あとで追加されました第三の問題については、これは国会において与野党の間の話し合いで処理をすべきものであって、政府と院外の団体である総計との間で話をすべきことではない、こういうところで、その話し合いが一度中絶をした形に相なっておりました。しかし、御承知のごとく、第三の問題につきましては、衆議院において修正案満場一致で、可決されましたので、これは処理されました。で、第一の問題、第二の問題は、いま申し上げましたような、大体話し合いを進行中でありますから、政府としましては、できるだけすみやかにこの問題を煮詰めまして、そうしてむろん、六月の定期総会と言わないで、五月の終わりに開かれる理事会の前にも、第一回の会合を開くように目下鋭意努力中でございます。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま労働大臣からお話のございました三つの問題、この問題のうち、最後のILO条約批准並びに国内法の改正の問題については、すでに、御指摘のように、衆議院において満場一致修正案ができました。そうして本院に送付されてきて、それで批准の見込みもついたわけでございますが、そういたしますと、これによって、それが衆議院段階で問題になっておりました当時とは、かなり雰囲気も変わってきたと思うのであります。そして他の二つの問題につきましても、私は政府側かもう少し努力をすれば、解決し得る事態にあろうかと思われるのでございますが、この二つの問題につきまして、政府としていかなる態度をもって、この予備交渉に臨まれるのか、それをお伺いしたいので、あります。
  13. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 第一の問題は、どうしてそれがそんなにこじれたかと申しますと、やっぱり相互信頼欠除という問題であります。その相互信頼欠除は何によって処理すべきであると示唆されているかといえば、定期的な会合の繰り返しにより、意見交換によって処理されるべきものだと、こう提案は示唆しておる、私どもはそう受け取っておるのでありますが、外国から日本国内労使関係について相互信頼に欠けているというような指示を受けますことは、まことに残念でありますが、しかし、これはどうもわれわれは事実として認めざるを得ないのであります。この定期会合をわれわれが従来のいきがかりを捨てて、虚心たんかいにその自的に向かって沿うように実現してまいりますならば、これは処理されるものだと思っているのであります。  それから第一の問題は、これはもう審議会の御活動に待つべきものでありまして、それの審議の対象とするものが何かということについては、特に大きな議論はございません。われわれはドライヤー提案の趣旨を尊重して、そうしてこの定期会談を開くよりにあらゆる努力をしてまいりたい、こう考えている次第であります。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 私はいまの石田労働大臣のお答えからして、第二の公務員制度審議会の問題につきましては、それらの構成なり、運用なり、あるいは答申の取り扱い方等については、比較的容易に合意に達し得ると思うので、結局は残るところ、文部大臣日教組との代表との間の階段という問題に帰するのではないかと思うのであります。  そこで私は総理大臣にお伺いをしたいのです。このドライヤー委員会提案には、総理大臣の職名をあげまして、そうして総理大臣イニシアチブをとることを、強くここに表現しておるわけでございます。で、総理大臣といたしましては、この定期的会合を実現するために、積極的なイニシアチブをとるお考えであろうと思うのでありますが、まあ問題が大体文部大臣日教組代表との何らかの形での話ということにしぼられてまいっているようでありますが、これに対する総理大臣イニシアチブはどういうものであるか、それをまずお伺いしたいのであります。
  15. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ドライヤー委員長の勧告に基づきまして、あまりいいことではございませんが、相互信頼、これを欠いているという点を指摘され、政府組合側とで定期的に会合を持って、共通事項について話し合ったらどうだ、こういうことを勧告された。したがって、私どももこの事実を恥ずかしいながらも認めざるを得ない。そこで官房長官並びに石田労働大臣において、ただいまの合同定期会合を持つということでいろいろあっせんをいたしておるわけでございます。ドライヤー委員長報告の中に文部大臣日教組委員長と、こういう名前はメンションいたしておりません、これは御承知のとおり。しかして、ただいまの合同会談が開かれ、そうしてその結果によって、ただいまのような点も同時に解決ができはしないだろうか、こういうことで、まず第一に合同委員会——合同懇談会を持つという、それに全力を注いで、ただいまいろいろあっせん方を両者に委嘱している、かような状態でございます。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 なるほどいま総理の言われたとおりに、このドライヤーコミッション提案の中には、文部大臣日教組代表者との会見のことは示してございません。しかしながら、いま労働大臣お話によれば、これがまあいま一番大きな障害、これができるかできないかということが一番大きな問題になっておるようでございます、といたしますれば、この問題かたとえドライヤー委員会提案の中に書かれておらなくても、少なくともイニシアチブをとるべき、まあ何と申しますか、任務を持つ総理大臣としては、この問題をやはり真剣に考え、そうしてこの問題が、この定期会合を開くことを困難にしているとするならば、それに対するその障害となっていることを除去するためにも、やはり総理大臣としてイニシアチブをとらなければならぬのじゃないかと思うのですが、重ねてこの問題について具体的にどういうふうな態度をもってお臨みになるのか、まず、お伺いしたいのであります。
  17. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま御指摘になりますよりに、文部大臣日教組委員長、これが会合を持たないということが今日の問題である、かような御指摘、私もそれがどういう理由であろうと、少なくとも組合側との話し合い支障になっておる、そういう事実ははっきり認めております。しかうして、ただいま申し上げますように、ドライヤーさん自身はそういう点はメンションはしなかった、しかしながら、政府としてこのことが重大な支障になっておるということは十分承知いたしております。したがって、これがいわゆる権利義務的な関係で処理する、こういうことよりも、もっと実際の問題としてこういう問題が解決される方法はないだろうか、ただいま合同会議を提唱しておるのもその解決への第一歩と、かように私ども理解しておるのでございまして、この点で御協力を得たいと心から願っておる次第でございます。  ただいま申すことをもう一度はっきり申せば、私どもは理屈がどうあろうと、とにかく支障になっておる事実は事実なんですから、その事実を解決する方法はどこにあるだろうか、かように考えてまいりますと、まず第一に、その合同懇談会協議会、それを持つことだ、これがまず第一だ。そうして、そこらで糸口を見つける、かようなものの運び方をいたしたい、かように私は考えております。
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすれば、政府側考えとしては、この問題を先に片づけることが、双方が納得するかしないかは別として、まず第一回の会合を開く、そうして、そこでこの問題についての結着をつけたい、こういうお考えでございますか。それとも、この第一回の会合を開くまでにある程度話し合いをして、この第一回会合の中において、この文部大臣日教組代表との話し合いも行なわれるようにしようというのか、その点を明らかにしていただきたい。
  19. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま言われるように、あるいは事前に何か話し合いをつけるとか、あるいは了解をつけるとか、こういうようなことを望まれるやに伺っております。しかしながら、政府は、国の国政を担当する場合に、これは労使の問題でであろうが、その他一般政治万般にわたろうが、すべて全責任を持つものである。かような意味合いにおきまして、いやしくも労使関係においてこれは相互不信だ、かように外国の人から指摘されることはまことに恥ずかしいことだと、かように思うので、ありまして、そういう意味合いにおいて責作者をもってこういりような状態はできるだけ解消したい。そうして早くこれを解消し、そうしてほんとうの民主化された組合の発展を期そう、こういうわけでございます。これは政府の当然の責任だと思います。組合だからこれは国民ではないかのような感じを持つわけではございません。ここは誤解のないように願いたいと思います。全部の事柄がスムーズにいくように、政府はもちろん責任をもって考うべきだ、かように思います。ただ、いまの問題になりますと、なかなかデリケートに問題が発展してでおる、こういうことがいわゆる不信というような点を他から指摘されることにもなるのでありまして、こういう点が双方おとなにもなる、こういうような意味合いで、もっと虚心たんかいにお互いにそれぞれの立場を守る、こういうことで話し合っていく、そこらに糸口を見つけようじゃないか、これがただいまの私の考え方であります。
  20. 岡田宗司

    岡田宗司君 私がお伺いしているのは、そういうばく然たる話ではないんでありまして、いまこの定期会合の第一回を開くために、予備交渉が行なわれて、そこでこの問題についてある程度の了解に達して、そうしてこの定期会合を開くのか。それともそういう点については意見が一致しないから、何でもかんでも定期会合を開いて、そうしてここでこの問題についてひとつ意見を大いに吐露し合って、そうして難関になっておる問題について解決方法を見出すのか。どちらの態度政府としておとりになるのか。つまり、総理大臣イニシアチブというものは、こういうときに発揮されなければならぬと私は了承するんでありますけれども、どちらの態度をおとりになって定期会合を開くようにお進めになろうとするのか、その点をお伺いしたい。
  21. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これはお互い話し合いをしておりますると、お互の事情は話し合いをしておる者同士はよくわかっておるのであります。そこで定期的会談の積み重ねによって相互信頼を回復することを通じて解決する、そういうことに双方理解をつけて、その上で定期会談を行ないたい、こう考えておるのでありまして、先ほど非常に困難だというお話がございましたが、だんだんと煮詰まっていけるものだ、こう思っておる次第でございます。
  22. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまの石田労働大臣の御答弁を伺いますというと、結局のところは、ひとつ腹と腹でいくよりしようがないんだと、そうしてお互いの腹は大体わかっておるんだからと、こういうことでございますけれども、しかしながら、すでにドライヤー委員会提案というものが公にされ、政府がそれを受諾し、そうして六月までに少なくとも政府報告しなければならない責任を持つとするならば、これらの問題につきましても、もうそろそろかなりな進展を見せなければならないはずでもあるし、またすでに腹と腹との探り合いの段階から、もう少し具体化していい段階に来ておると思うのであります。ここのところしばらく両者の予備的な話し合いというのもとぎれておるようでございますが、近く政府はこの予備的な話し合いを再開して、今度こそこの問題について会合の開けるような具体的な話し合いをされるつもりであるかどうか、その点をお伺いしたい。
  23. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 別に完全にとぎれているわけではございません。いろいろと意見交換あるいは連絡というような、やるべきときにはやっております。それに現在春季闘争をおやりの真最中でございまして、片方で使用者である政府組合との間が対立をしておるときに、片方で仲直りムードというのも御迷惑の節もないとは申せないのでありまして、表にいつでも顔を出しておるというものでもございません。いろいろとやっております。したがって、政一府としましては、きわめて近い機会にドライヤー提案を実現できるような見通しを持っておりますことを申し上げておきたいと存じます。
  24. 岡田宗司

    岡田宗司君 もし石田労働大臣がここで、言明されましたように、近くまた、続いております予備的な話し合いが行なわれまして、そして今度こそこの定期的会合の第一回が開かれるようになりますことを私どもももちろん希望しておるわけでございまして、ひとつこれがほんとうに開かれますように、これは佐藤総理大臣もまた石田労働大臣も適切な指示をお願いしたいわけでございますが、次に、この定期的会合について、一体政府側としては常にこの会合にどういうような、たとえば構成をもって臨むか、労働者側の代表も入るわけでありますが、大体これはどういう構成であるべきかということを政府はお考えになっておるのか、また適当な間隔をもって開くかどうかということは、一体どのくらいの間隔を政府はお考えになっておるのか。いずれこれらは両者の話し合いできまることでございましょうけれども政府としてのお考えというものもあろうから、それをお伺いしたいと思います。
  25. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 政府としての考え公共部門労使関係を所管する閣僚、それから心要がありまする場合は公社現業の主宰者というようなものが必要だろうと思っています。それから定期的会談の間隔は初めは三月ごろ開催するつもりでございましたが、いわゆる春闘もあることでございますし、当初は一カ月に一ぺんぐらいがいかがだろうか、しかし、定期的に行なうのは二カ月に一ぺんぐらいでどうだろうか、こういうような話し合いをしておりました、総評側との話の途中では。しかし、そのうちにいま申しました国内法の取り扱いに問題が移りましたので、しばらく構成、回数等についての話し合いは、その後行なっておりませんが、ごく近い機会に私と官房長官総評側代表といわゆる予備的会談をいたしまして、双方意見の一致を見出していきたい、こう思っております。
  26. 岡田宗司

    岡田宗司君 この定期的会談に臨む政府側代表といいますか、これはいま石田労働大臣指摘されましたのは、これは普通の場合でございます。しかしながら、たとえば両者の間にある特殊な問題が起こる場合もある、そういう場合には、いま石田労働大臣が言われた構成のほかに、随時それぞれの特殊な問題について責任を持つ閣僚というものが、これに出席することはあり得ると思うのでありますけれども政府はそういう場合には、この特殊な問題について責任を持つ閣僚を加える、こういうふうにお考えになりますか。
  27. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは別に何人と何人とか、それから構成員はどれとどれとするとか、そういうようなかた苦しいものであってはならないと思うのであります。したがって、お説のとおり問題によって必要な人が参加する、もっと自由にお互いが信頼し合う空気をつくり出すようにということが最大の目的でございますから、かた苦しい運営のしかたは望ましいことでないと、こう考えております。
  28. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、第一回の会合の場合においても、かなり広範な問題が取り扱われるとするならば、そういう場合もあり得ると、そう了承してよろしゅうございますか。
  29. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 第一回にどういうことを話題にするかというようなことは、これから相談をしてまいりたいと思っておりますが、むろんこだわった考え方で運営するわけではございません。
  30. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、お伺いしたいのは、この定期的会合において、協議の結果、意見の一致をみましたこと、これは政府としてどういうふうにお取り扱いになるのか。  それからもう一つは、次にドライヤーコミッション提案の中に、「国会は、かかる意見交換及びそこから招来される措置によってもたらされる進歩について、随時通報を受けるべきである。」と書いてありますが、これとの関連、これはどういう形で行なわれるか、その二点をお伺いしたい。
  31. 石田博英

    国務大臣石田博英君) この会合の主たる目的はいわゆる相互信頼の回復であります。相互信頼の回復ということは、人間同士でありますから、始終会っておれば、人というものは接触を深めていくに従って、お互いの立場は違っておっても、人間的理解というものは深まるものであります。この人間的理解というものを深めていくことが、まず第一であります。しかも、問題は非常に広範でありますから、的確にすみやかに何か具体的な問題について結論が得られるとかいう性質のものでないかもしれません。しかしながら、その中で意見の一致をみたものについて、これは必要なものは記録にもとどめなければなりませんでしょうし、あるいは記録にとどめるべき性質のものでないものについては、やはり行政的処置なり、そのほかの措置を行なわれることもございましょう。そういう事柄については、議会にどういう方法でこれは報告するか、あるいは質問にお答えをする形をとるか、文書をもってするか、これはこれからその運営にあたって、やはり御相談を申し上げていきたいと、こう思っておる次第であります。
  32. 岡田宗司

    岡田宗司君 私の持ち時間ももう尽きますので、いずれ多くの問題については、また後にお伺いすることといたしまして、このILO八十七号条約批准国内法の改正と相まって、非常に重大な任務を負わされる公務員制度審議会の問題について、それは政府としていつごろから発足せられるつもりであるのか、その構成並びにそれの運用、さらにはその答申に対して、政府はどういう態度をもって臨まれるか、これは基本的な態度をお示し願えればいいのでありますが、それらの点について総理大臣からお答えを願いたいと思います。
  33. 石田博英

    国務大臣石田博英君) まず最初に私からお答えをいたします。  この審議会は二十名程度の委員をもって構成をいたしたいと思っております。その構成の内容をどうするか、これは直接には総理府の所管でございますから、これから総理府と御相談を申し上げたいと思うのでありますが、できるだけこの問題を処理するにふさわしいような構成を、これを考えていきたい。そしてわが国公共部門における労使関係、いまたくさんの問題がからんでおると思うのでありますが、その問題が根本的に処理せられ、後日いろいろな論議を起こさないようなものをつくり上げるようにしてまいりたい、こう思っております。むろんこうやって法律によってつくられる審議会でございますから、その答申は政府が尊重することはいうまでもありません。
  34. 安井謙

    委員長安井謙君) 佐藤総理大臣何か……。
  35. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 別につけ加えることもないようでございますが、問題はやはり審議会を早く発足さすこと、同時にまた、その審議会の構成につきましては、やはり中立性の方を主にして考えていかなければならないのじゃないか、かように思っております。問題は新しい問題でありますし、こういう事柄で新たな労使関係をつくろうと、その意欲を持っておるわけでございますから、こういう方の人選等につきまして非常に慎重であるということを御了承いただきたいと思います。
  36. 岡田宗司

    岡田宗司君 答申の取り扱い方でございますけれども、まあ政府ではいろいろな調査会あるいは審議会をつくり、それから答申が出されますというと、どうもその答申をはたしてほんとうに尊重したかどうか疑わしい場合があるのです。たとえば、税制等の問題につきましてもそういう例がある。あるいはそのほかいろいろな委員会の答申についても、一〇〇%、でなく、都合のいいところだけとおりになる、こういうことも多いようでございますが、今回の問題は相互信頼を回復し、そうしてまたお互いに納得のできる新しい制度をつくろうということが主であるとしますならば、まず第一に、私は両者の納得し得るような答申を得ること、そしてそれを政府が一〇〇%尊重するという態度でなければ、せっかく回復された相互信頼というものも、そこでもう一度御破算しなければならぬことになろうかと思うのであります。その答申に対する政府態度というものは、やはりあらかじめいいところだけはとるのだ、諮問だから全部とる必要はないのだというようなお考え方でなく、私は今度の問題について臨んでいただきたいと思うのですが、総理、その点はいかがでございましょうか。
  37. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ審議会について毎度言われることであります。政府はそのつど申しておるように、誠心誠意をもってその答申は尊重すると、かように申しております。しかしながら、いま岡田さんが御指摘のように、政府はこういうものを、審議会等を隠れみのにするのではないか、あるいは政府自身が御用審議会をつくるのではないか、あるいはまた、その審議会が気に食わないと政府がそれを尊重しないのではないか、今回に限ってそんなことがあっては困るから、一〇〇%尊重しろ、こういうような御意見かと思います。もちろんそういう点につきましては、十分私ども戒心していかなければならぬと思います。尊重するという、その趣旨が尊重されない。ただいま申するような弊害が繰り返されるということなら、これは審議会で、その道の権威者の意見を徴する、これは何のことかわからない、かように仰せられるのももっともだと思います。しかし、政府自身が審議会責任においてこういうことを処理するのではなくて、政府自身が国会に対し責任を持ち、国民に対して責任を持つ、こういう立場でございますから、完全尊重、こういうことはなかなか言葉どおりにはむずかしいことだと思います。問題は、そういう事態に立ち至った場合に、政府自身が審議会の趣旨を十分尊重しておる、また審議会の答申を尊重しておるのかどうか、それはその背後をなすもの、それについて十分の分析をしてみる必要があるだろうと思います。いずれにいたしましても、この答申の結果、私どもが立法措置を必要とするもの、あるいは予算的措置を必要とすると、かような場合には国会に十分御審議をいただくのでありますから、そういう際に、これは尊重されているかどうか、よくごらん願えればおわかりがいくのじゃないだろうか、かように思います。私は今回の問題につきましても、新しい労使関係をつくる、かような意味合いにおきましてこの答申をどこまでも尊重していく、こういう在来からの態度に変わりはございませんけれども、かねてその点をはっきり申し上げておく次第であります。
  38. 岡田宗司

    岡田宗司君 それでは私の質問はこれで……。
  39. 安井謙

    委員長安井謙君) 亀井光君。   〔委員長退席、理事横川正市君着席〕
  40. 亀井光

    ○亀井光君 きょうは質問時間の制限もございますので、各論は別の機会に譲りまして、ごく基本的な問題につきまして御質問をいたしたいと思います。  ILO八十七号条約は、言うまでもなく、結社の自由と団結権の擁護をいたしておりまする条約でありまして、結社の自由が労働者の最も大切な基本的権利でありますることから、ILOにおきましても、その憲章またフィラデルフィア宣言におきましても、この結社の自由が労働者にとって基本的な問題であるばかりでなく、ILOにおいても基本的な精神であるということを強調しておるわけでございまして、だからこそ百二十をこえますILO条約の中でも最も重要な条約だと言われておるのでございます。しかも、それだからこそILOにおきまして、結社の自由委員会という特別の常置の機関をつくりまして、加盟各国から結社の自由に違反する事案につきまして提訴を受けました場合には、これを審査をして、未批准国に対してでも勧告をして、この自由を守っておるような状況でございます。  わが国におきましても、結社の自由の重要性にかんがみまして、憲法では二十一条で結社の自由を保障し、あるいは第二十八条におきまして勤労者の団結権団体交渉権あるいは団体行動権というものを保障をしておるのでございますけれども、また、労働組合法その他の労働法におきましても、憲法の精神を受けまして、具体的ないろいろな保護をいたしておるわけでございます。したがいまして、わが国の現在の法の中におきましても、一応ILO八十七号条約の精神というものは規定をされているわけでございます。ただ、公労法地公労法の中で、あるいはそのほかの法律の中で、一部これに抵触する部分がありまするために、いろいろ今日までこの批准をめぐりまして問題が生じてきているわけでございます。  で、今日までこの八十七号条約批准がおくれたその理由その他につきましては、先ほど労働大臣から御説明がございましてよくわかりましたが、まあ各党の間のいろいろな事情もさることながら、結局は政府使用者労働組合、こういうものの中の相互信頼が欠けていたということが、またこの八十七号条約批准のおくれた根本的な理由ではないだろうか。その点は先般来日しましたドライヤー委員長が離日の際に出されました声明の中でも、そういう点を指摘されて、そうしてただいま質疑の中にございましたように、定期的な話し合い、これによってお互いの相互理解を高め、日本労使関係の安定に寄与すべきだという点についても、私も全くドライヤー委員長と同感の意思を持つわけでございまして、今後の定期的な話し合いにつきましては、総理大臣も非常に強い熱意をもっておられるようでございますので、その点に私も強く期待をいたしまして、この問題についてさらにお答えを求めないのでございまするが、問題は、公労法の四条三項、地公労法の、条三項、これが今回八十七号条約批准をされて、この公労法四条三項、地公労法五条三項が削除されるといたしますると、いろいろな問題がその中から生じてくるんじゃないだろうか。言うまでもなく、四条三項、五条三項を削除をいたしますると、組合において自由に役員を選任することができまするために、違法な争議行為を行なって当局から解雇された職員が組合の役員になったり、あるいは職業的な過激な組合指導者が組合の役員について、従来よりも一そう公企体の労使関係というものが激しくなるんじゃないかという心配を国民の一部がいたしておると私は思うのでございます。で、民間の労働組合は、戦後二十年間、確かに私は一歩前進をいたしておると思いまするが、これは明らかに、労使の間における企業一体感と申しますか、これは日本労働組合がいわゆる企業別組合でありまするために、こういう感じを根底に持っておるわけでありまして、企業あっての労働組合、企業がつぶれりゃ労働組合の存在はないんだ、こういう意識がありまするから、労働組合の争議にもおのずから自律的な制約が加えられる。こういうことで、おそらく民間の労使関係が戦後二十年間だんだん安定の方向に向かっているんだと考えられるのでございますが、公企体の労働組合は、よく世間で言われまするように、いわゆる親方日の丸の組合でございまして、幾ら過激な闘争をしても企業がつぶれることはないんだという意識のもとに、いろいろな労使関係が運営されておりまするために、先ほど申しましたような違法な争議行為が行なわれておる。現に去る二十三日には公労協の八組合が違法な争議行為を行なって、国民に非常な迷惑をかけた。そういうこともありまして、国民の間には、もし公労法四条三項、地公労法五条三項が削除されて、先ほどのような事態になると、もっと激しいストライキが行なわれて、国民はさらに大きな迷惑を受けるんじゃないかという心配がされるわけであります。  そこで、私は総理にお尋ねをいたしたいのでございますが、この公労法四条三項、地公労法五条三項が削除されるにあたりまして、そういう国民の心配というものを総理はお考えになられたか。お考えになられたとすれば、そういうことに対しまするどういう措置を今回の国内法の改正にあたっておとりになったかどうかという点についてお尋ねしたいと思います。
  41. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、この八十七号の条約批准することによって、組合が完全に民主化されるだろう、こういうことを期待いたしております。したがいまして、ただいま御指摘になりましたような役員がそう簡単にそれぞれ選任されると、かような状態かどうか。民主化された組合員の自由意思によって役員を選任する、こういうたてまえだと思いまするので、それならばそれで組合にまかしてよろしいんじゃないか、かように私は考えております。  ただ、私も、立ち上がりましたので少し労働連動の経過などについて申し上げてみたいと思いますが、私も、国鉄あるいは電通、郵政等の組合の諸君ともしばしば折衝してきたものであります。で、二十年の間によくもこれほど発達した、また発展した、かように私は考えるのでございまして、その組成の当初においては、ただいま亀井君の御心配になるような事態も間々あったかと思います。しかし、今日はりっぱに成長し、そしてりっぱな組合ができつつある、かように私は考えますので、今回のこれを契機にいたしまして、一そう民主化された自由な組合が誕生するように、それを心から実は願っておる次第でございます。私は、これを契機にいたしまして、わが国労使関係にも一転機がくる、また、そういうことでこれを見守りたい、かように感じておる次第でございます。
  42. 亀井光

    ○亀井光君 それに関連しまして、もう一点御説明をいただきたいと思いますることは、違法な争議行為をいたしますること自体は、これは法律で禁止されておるのでございますが、また、組合側の言い分からいたしますると、それなりにまあ言い分があるように私は思うわけでございます。たとえば、公企体の労使関係、一応法律では団体交渉権が与えられておるわけでございます。ところが、現在のいろいろな諸制度の制約を受けてかしりませんが、団体交渉できまるべきいろいろな労働条件というものについて、これをきめるだけの当落者能力が十分当局に与えられていないというふうなことが、この公企体の労使関係が安定をしないまた大きな原因でもあるかと私は思うのでございます。また、最近はそうでもございませんが、過去においては、仲裁裁定が出ましても、政府がなかなかこれを完全に実施しなかった、こういうふうなことから、公企体の労使関係の中に不信感が出まして、それがいまなお違法な争議行為が繰り返される一つの原因でもあるのじゃないだろうかという気がするわけでございます。言うまでもなく、よき労使慣行を確立するためには、違法な争議行為をいたしました労働組合を、まあ処罰をするということだけで、決していい労使関係というものは生まれてこない。私は、違法な争議行為を行なわさせないような条件というものを、政府使用者側もつくっていかなければならない、こういう点につきまして、総理のお考えを伺いたいと思います。
  43. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの問題が、実は基本の問題だと思います。この団結の自由、かように申して、組合は結成されました。またその次には、交渉権を持つ、団体交渉権を持つ。団体交渉権を持つ場合に、いわゆる争議権、ストライキ権を持たなければ、団体協議権としては非常に不一分だ、こういう考え方が片一方であるようでございます。また、片一方で、政府関係機関、これは、全部予算で縛られております。いわゆる一軒者能力を欠いておる、かような状態だと思います。そこで、いわゆる労働関係の方々の見方から見まして、この公企業の団体あるいは政府関係機関と申しますか、一般のものとして非常な不十分な状況、こういうことがしばしば言われるのであります そこで、私ども一番心配をする、ただいまいう、違法な労働争議、こういうことが言われますが、違法な労働争議というのは一体どういうことなのか、結局政府関係機関として責任を持つものなのか、それは公共に対する放恣なのか、こういう点が明確でないと、ただいま言うような点が、いわゆる労働関係の放恣な状況におちいりやすい、かように私は思うのであります。今日は、それぞれの組合がそれぞれ発展してまいりました、発進してまいりましたが、かつて見られたようなわがままな放恣な状態はよほど改善されたと思います。しかし、なお今回のようなILO条約批准するその契機に立ちまして、こういう点についても十分考えてほしいと、こういう気持ちがございまするが、しかしながら、事柄がなかなか基本的な問題でありますだけに、簡単にはきまらないのであります。そこで、いわゆる公務員制度審議会等におきましても、十分それらの点について検討を加えていく、かようなことでございますが、まあ、あらゆる政府関係機関等を動員いたしまして、そして、正常なしかも本来の組合活動も、これならできるのだという点を明確にいたしたいものだと思います。ただ、どういたしましても、先ほども岡田委員からもお尋ねがございましたが、政府自身が最後には予算にこれを縛られておる、こういう問題に入りますので、なかなか最終的な決定はできないように思いますが、ただいままでも政府自身は争議における裁定等については、これを十分尊重し、また、その趣旨を実現するようにあらゆる努力をしてまいりました。予算措置上これができないといって、これを断わるようなことはまずただいまはないように思いますが、労働運動の初期におきましては、そういう事態もあったように思いますが、ただいま言われる点が基本的な問題だろと思います。これが結局、国民の良識、また国会の良識等によりまして、この問題が解決するように期待いたしておるわけでございます。
  44. 亀井光

    ○亀井光君 ただいまの総理の御説明で、政府として非常にこの問題についての強い御決意を伺いまして、私も安心をしたのでございますが、ぜひともそういう方向で労使関係の安定へさらに努力をすることをお願いをしたいのでございます。  次に、公務員の問題につきましてお伺いいたしたいのでございますが、公務員が、憲法で十五条に書いてありまするように、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者でない、あるいは国家公務員法百一条で職務に専念する義務があると、こういうふうにまあ身分的な特殊な制約を受けておりまして、この点一般労働者と違う点でございまするが、憲法二十八条の「勤労者」というものの中にはもちろん公務員か入っていることについては、最高裁の判例もこれは認めているわけでございます。したがいまして、国家公務員につきましても、労働基本権というものは認められておると思うのでございます。ただ、 いま申しました身分上の制約、あるいは公共の福祉との観点から制約を受けておる、まあこういうことになるんではないだろうか。その半面におきまして、国家公務員につきましては、その賃金については人事院の勧告制度がある。あるいは使用者の不当な処分につきましては、人事院がこれを保護救済する、こういう裏づけが別になされておるのでございます。したがって、現在の制度からいえば、国家公務員の労務管理は、いわば人事院がこれに当たっておるというのが実態ではないかと思うのでございます。しかし、労務管理というものは、元来労働者を使用する使用者が直接行なってはじめて効果があるのでありまして、またこの労務管理のよしあしというものが結局労使関係が安定するかどうかということにかかってまいる重要な問題でございます。御承知のとおり、民間の企業におきましては、まあ担当の重役を置いてこの労働問題の処理に当たらせるという措置をとっております。ところが、民間の企業に比べて非常にたくさんの職員を使っておる政府が、はたしていままでこの労務管理について自分自身で組織をつくり、自分自身で機構をつくって、ほんとうにやられたかどうかということを振り返ってみますると、人事院にまかせておられることは、これは法律上そういう形になっておりますが、行政庁みずからそういう労務管理というものについて十分な措置がとられていない。それは機構上の問題、組織上の問題もございましょうが、そういう労務管理をやるという心がまえ自体に大きな欠如があったのじゃないだろうか、私はそういうふうに考えるわけでございます。したがって、今回国内法の改正にあたりましては、国家公務員について、この点について、一体総理はどういうふうにお考えになり、どういうふうに処置されようというふうに考えておられまするか、お伺いをいたしたいと思います。
  45. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま御指摘のような点が過去において見られた——労務管理が適正でなかった、あるいは各省それぞれがやっているために本来同一であるものが、これが二途、三途に出ていた、こういうところでいろいろな問題を起こしたと、私はかように思います。今回人事局をつくるというのも、ただいまのお述べになりました御趣旨のようなものを尊重して、そしてこれをつくれば、片一方で公共の奉仕者であるというその立場もはっきりするし、また各省によって扱い方が二途に出ないと、かようにもなるだろう、かように思いまして新しい制度の人事局に私は非常な期待を持っておるような次第でございます。
  46. 亀井光

    ○亀井光君 ただいま総理の御答弁にございましたように、いままで各省庁で、何方人と使う役所でも、わずか数十人の人事課あたりか労務管理をやっているような状態では、決して私はいい労務管理はできない。しかも、民間の会社にたとえまするならば、本社にも当たる内閣に、そういう組織、機構がないということは、私はこれはほんとうにこの二十年間一体何をしていたのだということを言いたくなるくらいでございまして、今回の国内法の改正で、総理の御答弁によれば、総理府に人事局をつくり、また総理府総務長官を、国家公務員の労務管理の最高責任者である総理大臣の補佐役として、国務大臣として格上げをして、国家国務員全体の労務管理の調整と統轄をやっていく、こういうお話でございますので、この点も私は非常に力強く思うのでございますが、問題は、仏つくって魂を入れずでは、これは意味はない。機構あるいは組織が整備されただけでは、これは意味がない。結局は最高責任者である総理大臣の心がまえ、労務世理に対する心がまえというものを、ぜひとも自信をもっておつくりいただきまして、そうしてそれを各省庁にお流しいただきたいとお願い申し上げます。  そこで、もう一点国家公務員に関しまして御質問をしたいのは、現在の国家公務賞制度は、言うまでもなく、終戦向後、占領軍の強力な指導によってつくられた制度でございます。戦後二十年間、社会も経済も実は進歩してまいっておりまするのに、公務日制度のみがそのまま二十年前と同じだというところに、また矛盾がいろいろ出てまいっております。たとえば、職員団体の組織の問題についてもそうでございまするし、あるいは職員団体の登録の問題についてもそうでございましょう。あるいはまた職員団体交渉の手続、内容等についてもそうでございましょうし、またいわゆる在籍専従制度といりものについても、いろいろ問題が生じてきておる。いままでこれらの諸問題につきましては、法律解釈だけで運用されてきておりますから、いろいろ明確を欠きまして、中央、地方を問わず困っておられる向きもあるようでございますが、今回ILO八十七号条約批准するにあたりましては、この条約の精神に照らし合わせまして、適当でないいろいろな国家公務員の諸制度が実はあろうかと思います。こういう問題につきまして、この機会にぜひとも改めてまいらなければならぬ問題がたくさんあろうと思います。行政管理庁長官がおられますから、時間がございませんので、ごく概要だけ、それはどういう点が、今回のILO八十七条約批准するにあたって、その精神からいって直さなければならないか、あるいは今後の国家公務員の労使関係の安定をはかるには、この機会にこういうところを直さなければならぬという点につきまして、御説明いただきたいと思います。
  47. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 御質問のILO八十七号条約批准に開運をして、当然抵触をして法律を改めるべき点があるのは、ただいま御指摘のような精神に照らして改革を要する点があるわけでございます。このたびの国家公務員法の関連する改正につきましては、ただいまも御指摘がございましたが、職員団体の構成についての問題、登録についての間問題、チェックオフの問題は、地方公務員関係の問題でございます。国家公務員としては、従来からその制度をとっておらないわけでございます。それと在籍専従の問題等につきまして、国家公務員法の改正をいたそう、条約批准の趣旨に沿って、労使双方不介入であり、また自主的な組合育成のできまするような方向に沿っての改正をいたそうというわけでございます。さらにこれの全体をおおう問題としましては、公務員制度審議会をつくりまして、ここで公務員等の労働関係基本について審議をしていただこうというふうに改正をいたした次第でございます。
  48. 亀井光

    ○亀井光君 いま行政管理庁長官から御説明ありました点か、私もまあいろいろ今回改正しなければならぬ問題点だと思うのでありますが、まあ先般衆議院における審議段階で、これらの問題点が取り上げられまして、その施行が政令で別に定める日まで実は延期されたわけです。これは衆議院の中におけるいろいろな交渉の中から生まれた妥協案でございまするから、きょうはもう時間もございませんので、その経過の御説明もいただかなくてけっこうでございますが、ただ私、ここで考えなければならぬことは、これらの条項というものが、先ほど申し上げましたよりに法律解釈だけでいろいろ問題を生じ、疑義を生じて、労使関係の混乱を来たしておるもとになっている問題ばかりでございます。そこで、政令で定める日までその施行が延ばされる——これはまあ公務員制度審議会でこれからじっくりと再議をして、そしてきめるという裏づけがあるようでございます。まあそのこと自体は、私やむを得ぬかと思うのでございますが、たとえば交渉一つとりましても、非登録団体との交渉をどうするのか、あるいは交渉方法、手続が現行法では不明確でございます。それをどうするのか。あるいは交渉の対象をどういうふうにきめていくのか。いろいろ実は現行法の中に問題——あいまいな点がたくさんある。これは延びれば延びるほど、私は、国家公務員なり地方公務員の労使関係の安定を阻害していく要因がだんだん精み重なっていくもとになるんではないかという気がいたしますので、この公務員制度審議会が一日も早くこれらの問題について十分な話し合いを遂げて、りっぱな結論を得られることを期待をするのでございますか、今後、この公務員制度再議会をつくりますること、あるいはその運営は全部政府責任において実は行われるわけでございまするから、一体どういうふうにこの審議会を運営し、そうして結論を、まあできるだけ早くという抽象的ではなくて、どれぐらいの目途に置くのか。私はILO八十七号条約が発効するまでには、おそくともこの問題の解決をはからなければならぬと思うので、 その点についての御決意をお伺いしたいと思います。
  49. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 公務員制度審議会は、この法律が御可決をいただきまするならば、全体としての九十日以内といり公布の時期をもちまして、なるべくすみやかに発足できるような準備を福々進めていきたいと思います。公務員制度審議会審議それ自体は、自主的な審議をしていただくわけでございまするが、しかし、政府としては、お述べになりましたように重要な事項が施行延期ということになるわけでございまするので、これは慎重な御権蔵のうちにも、ひとつ十分すみやかに結論を出していただくように——まあ政府といたしましても条約が発効いたしまする一年以内というところで結論を出していただくことを期待いたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  50. 亀井光

    ○亀井光君 大体質問の制限時間がまいりましたので、これで質問を終わりまするが、私の質疑を通じましてわかりました、このILO八十七号条約は非常に大切な条約である、また、この条約批准に伴って国内法をりっぱに改正いたしませんと、今後の公企体にしましてもあるいは国家公務員の関係にしましても、労使関係が円滑にいかないというふうなことがはっきりしてまいったわけでございます。したがいまして、きょうは委員長がお出ましでございまするが、委員長にちょっとお願いをしたいのは、そういう重要な条約批准承認案件でありまするし、関係国内法の改正であります。まあ参議院の良識に従って十分審議を尽くしていただきたい。そうすることによって、本委員会の運営を円滑に処理していただきたいということを委員長にお願いいたしまするとともに、   〔理事横川正市君退席、委員長着席〕 佐藤総理大臣以下関係の名大臣におかれましても、本委員会審議が円滑に、しかも手ぎわよく行なわれるよう御協力をお願い申し上げまして私の質問を終わる次第であります。
  51. 安井謙

    委員長安井謙君) 小林武君。
  52. 小林武

    小林武君 ただいま亀井委員の質問をお聞きしておりまして、この問題については非常に慎重にやらなければならない、特に、やはり結末が、三党の修正案がついたわけでありますから、その意味では、やはり共同の責任を負うという意味もあります。そういうことでは、だれもがみんな責任を感ずるという立場で成功させるということになりますと、やはりいい加減なことでは、なかなかうまくいかないのじゃないか、御答弁の中にも、なるたけすみやかにというようなお話もありましたが、すみやかをあまり強調いたしますというと、そのために破綻を起こすというようなことも起こらないとも限らない。そこで、まあちょっと私は妙なことを尋ねるのですけれども、御提案なさったその関係四大臣の方々が、いずれもそれぞれの提案の趣旨を御説明になって、最後のほうに来てから、御審議の上すみやかに御承認あらんことをというようなことを希望された、この御承認あらんことをということをおっしゃったことは、みんないわゆる衆議院提案した原案なんですね、一字一句も違わない衆議院の原案。私は、先ほど申し上げているように、参議院に来たのは修正案修正案が原案であると、こう考えます。このことについては、きのう私もいろいろ関係のそれぞれの専門の方たちと非常に調べてみた。私は、そのことの手続上のことをいろいろかれこれ言うのではない。しかし、関係閣僚の方たちが、少なくとも原案は政府原案なんである、選ぶのは参議院でどっちか選べばいいのだということであるならば、私はちょっと問題を感ずる。これはちょっと世間の常識では言われない、いわゆるその院の一つの慣例とかあるいは扱い上の解釈とかがあるのでしょうけれども、常識的に考えれば大臣の提案修正案をよろしくと、こりいうところになるのだろうと思うのだけれども、その点については間違いないのでしょうね。これはどこまでもわれわれの主張しているのは原案であってというような腹がまえでおっしゃるのではないと思うのですが、先ほどちょっと亀井さんの質疑の中にありまして御答弁なさったことについて、若干心配があるものですから、その点、どなたか代表してお答え願います。
  53. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 政府側から提案をいたしまして衆議院において修正になりましたものが、内閣提出衆議院送付として参議院に送られてまいるわけでございます。その場合は、参議院において御審議になる基本は、修正案ということになるものとわれわれも了解をいたしております。ただ、そういう場合は、提出者としての内閣各国務大臣としては、原案の説明をするという従来のまあ慣例と申しますか、そういう形をとって説明をいたしたわけでございます。政府として、あくまでも原案をお願いしますという趣旨で参議院における説明をした趣旨ではございません。その点は御了承を願いたいと思います。
  54. 小林武

    小林武君 先ほども、まあせっかくここまできたものですから、端的にいえば双方がやはり信頼の気持ちを持って、そうして多年生みの悩みを続けてきた、その結論をやはりここらでつけるべきだと考えるわけでありますが、しかし私は、幾多の問題点を持っているということを申し上げましたが、総理大臣としては、その点で相当私は御決意をいただかなければならないようなことか多々あるのではないか。そういう具体的なことは後ほど申し上げますけれども、この点について、いわゆる修正案が御破算になるというような事態の起こらないよう、総理大臣としても相当な決意をお持ちになっているかどうか、この点について御意見を承りたいわけであります。
  55. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ここで御審議いただく原案は修正案だと、これは衆議院送付のものである、これは御承知のとおりであると思いますが、ただ、政府がその修正案に触れなかったことは、あるいは落ち度で、あったかもわかりません。一院で修正を受けた場合に、その修正に触れた例もありますし、触れない場合のほうがむしろ多いようであります。そういう点でございますから、その点には御心配なく、ことに三党でこれが修正案満場一致可決されたのでございます。参議院は、もちろん二院制でございますから、参議院の独自性というものも尊重しなければなりませんが、しかし、ただいまの政党のあり方等から見まして、私は、参議院におきましても、この三党で満場一致妥結を見た修正案というものは尊重されるだろう、かように期待をいたしまして、ただいま御審議を願っておるような次第でございます。
  56. 小林武

    小林武君 先ほど来、岡田委員との間にいろいろの質疑がございましたか、私この三党で修正されたものを、これをとにかく成功させるということになりますというと、私は、やはりかなり十分の準備か必要だと思うのでありますが、その中で、一番この問題解決のために私どもが考慮しなければならない問題は、労働問題に対する基本的な考え方の問題だと思うのです。先ほど来相互不信をなくしたい、こういう総理決意は私は妥当だと思います。しかし、その相互不信の原因というのは一体どこにあるのか。具体的には一体何なのかということは、 この際、やっぱり私どもとしては言ってはぐあいが悪いという式のことではなくて、やはり問題として出すべきものは出して、これを乗り越えていくというやはり決意がなければ、問題解決というものは生まれてこないのではないか。ことによると、そのことのために途中で話がこじれてくるというようなことになる。審議会の問題でも、審議には入ったけれども、事実審議会はうまくいかなかったということになる。これであっては、私はかえってこの三党修正案というものが将来の労働問題に悪い影響を与えるというような結果にもなるかとも思うのであります。したがって、私はこの労働問題に対する基本的な態度としてお伺いしたいのは、一体その労働問題というようなものを治安問題として考えたり、あるいはこれを何か教員組合のことでいえば教育問題と関連して考えたり、関連というよりかも教育問題そのものに考えたりする。こういうところにまあ不信感の原因があるのではないかと思うのですけれども、一体、労働組合使用者との間におけるところの不信感あるいは政府労働者との間におけるところの不信感というものは、どういうものなのか。その点についてひとつ総理から御説明をいただきたいわけであります。
  57. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 基本的には、ただいま言われる小林さんの考え方と私の考え方と変わりはないと思います、施政演説の中にも「話し合いによる合理的な解決を望む」ということを申しておりますし、また私自身、調和の精神を説き、同時に人間尊重を説いております。そういう点からしまして労働問題に取り組む場合の姿勢は、別に小林君とは変わった与え方でいるようには思いません。ただいまお触れになりましたよりに、これは治安問題であったり、あるいは政治問題であったり、あるいはただいま言われるような教育問題自体であったり、かような問題ではないんだと思います。したがいまして、こういう問題との取り組み方も自然にわかってくるんじゃないか。私は、先ほど、いろいろ相互不信ということを言われました、相互不信外国人から指摘される、こんな恥ずかしいことはないということを申したのでございます。これがどれが悪いとか、いままでの経過がどうだったとか、こういうことももちろん大事なことでありますから、それをたずねるのもけっこうでございますが、しかし、われわれがこの問題を解決するにあたっては、絶えず前向きでなくてはならない。そうしてりっぱな労使関係をつくるのだ。そうして国民に迷惑をかけない。こういうことでありたい。その建設的な意欲、その方向で努力をするならば、必ず、いかにむずかしいと申しましても、解決はできる。私はかような強い信念のもとにこの問題と取り組んでまいりたい。かように思っております。
  58. 小林武

    小林武君 私どもは、定期的な会合政府総評との間に持たれて、そしてその中から不信感をだんだんぬぐい取っていきたい。こういう考え方は、これはけっこうだと思うのですよ。しかし、その中に入るためには、やはり一つ前提になる条件があるというのが総評側のいままでの意向だと思うのです。特にそこで日教組の中央交渉などという問題が出てきた。この中央交渉の問題が出てきたんですけれども、そこらが私は労働問題についての基本的なやはり考え方に立ち返るものがなければ、これはなかなか解決がつかないような気がするのです。憲法二十八条を見ても、あるいはすでにわれわれが昭和二十八年ですか、批准いたしましたILO九十八号等を見ても、これは日本労働者というものが、どういう一体基本的な権利を持つべきかということについては、保障されている問題です。それがなかなか解決をつけられない、このことなしに、ただ話し合いをするということであれば、なかなか問題は深まっていかないのではないかという、この労働者の意向というのは、私はよくわかるのです。でありますから、定期的会合をこれからやろうとする。先ほど話に出ましたが、ドライヤーの調査団の報告というのは、五月十日くらいまでに報告をしなければならない。これは調査団としての報告です。二十二日ごろにはILO理事会が開かれるというようなことになりますというと、その前後に、少なくとも定期的な会合というものは開かれなければならないだろうというような、こういう岡田さんの質問もありましたが、私は、その日限等を考えましても、やはり総評から出てまいりました、労働者の側から出してまいりました効果のある定期的な会合というものをやるならば、これだけの前提的な条件が要るというようなことについて、思い切ったやはり態度に出てもらいたいと思うのです。これについては、衆議院委員会等における質疑を私は傍聴いたしましたりいたしまして、総理の御答弁なども承って、なかなかいいところまでいくなというようなことを考えたこともあるのですけれども、もう少しこの点——もう三党修正案ができたという現状にきましたですね、もう少しその点については、総理の言われる一歩前向きのお話がここらであってしかるべきだというふうに考えるのでありますが、いかがでありましょう。
  59. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 専門の労働大臣がいまちょうどいませんから、先ほど亀井君の場合は与党からというのでございましたが、しかし、小林君相手にただいまのようなお話をすることもいかがかと思いますが、先ほど岡田君と労働大臣とでやりとりをしてそういう点もだんだんおわかりがいっておるのじゃないだろうか、まあ言外の御理解があるのじゃないか、かように私は思っておるのです。問題は、とにかく労使双方の不信というものはまことに根強いものでありますし、ただいまのお話にありますよりに、日教組文部大臣会合というような事柄にいたしましても、たいへんな理屈を双方で言っている。これは先ほども申し上げたように、この会うことがただいまのガンになっておる、かように御指摘になっておりますが、そうしてそれについては双方で非常な理屈っぽい話をしている。まず合同話し合いをする、かようになりますと、その理屈っぽさがまずなくなるのじゃないだろうか。私どもも同じように国民相手に仕事をしておるのでありまして、政治をしておるのでありまして、そこらで区別する筋のものは全然ないのでありますから、ことごとに顔を合わすと角突き合わす、そうしてこれが闘争であるとか、あるいは戦い取るのだとか、こういうような考え方ですべての話に臨まれると、どうしても不信というか、あるいは話がスムーズにいかない。こういう点をとにかく払拭するのだ。相互信頼し、やはり大事な一翼をになっていただいておる労働者の方々と、こういう立場で話を進めていく。そうすれば、ただいまのような問題はなくなるのじゃないだろうか、かように実は思っておるのであります。先ほど来申すように、まずその会合を開こうじゃないか。この会合自身が、ただいまあっせんはしながらも、また労働大臣官房長官が私の意を受けて話し合っていながら、どうも進行しない。いいところまでいっているが、どうもうまくならない。まだどうも隔靴掻痒の感があるのであります。いま、歩双方におきましてその辺を忌憚なく飛び込む、こういう姿勢が望ましいんじゃないか、私かように考えますので、そういう点については、政府としても一そう努力をしてまいるつもりであります。組合側におきましても、今日の民主化された組合、そういう立場に立って、どうか円満な話し合いのつきますように御協力のほどをお願いしておきます。
  60. 小林武

    小林武君 理屈が先に立って、双方がよいと言えば話し合う、あるいはまた闘争の話が出ましたけれども、まあそういう点もあるでしょうけれども日教組に対して文部大臣が話し合うことを拒否しているという理由は、もうはっきりしているわけであります。その理由は、いまここで申し上げません。もうすでに何べんかたくさんの人によって申し上げられたことですから言いませんが、しかし、そういうものの考え方も、とにかくあるということだけは事実です、政府側に。しかし、その考え方は間違いである、不当であるという考え方労働者が持つのも、これはまあ当然なことだと。そこで私は、まとめるということになるというと、それぞれたとえば両者の会談が行なわれ、総理が出てこられてその話し相手にもなるということになりましても、集まってくる人というのは全部じゃないわけです。代表なんです。その代表に出られた人というものは、自分の背後にある人たちを説得する力を持たなければいけないのです、これは。その責任を負わないで会談に臨むということは、これはおかしな話だと思うのであります。労働組合代表であるならば、四百何十万の労働者総評代表であるならばその労働者代表として出て、そうして話し合いをして、その話し合いかついた場合には、四百何十万の人間を説得する責任がそこに生じておる、道義的責任も出ておる、また、それだけの力量がなければ話し合いには臨まれないということになるわけです。この点で、私は佐藤総理が出られるということはたいへんけっこうですね。私は、まあ話し合いをして、もみほぐしていけば、筋はとにかく立つようになるだろうと思うのです。しかし雑音が多過ぎる、世の中には。この雑音をお互いがとにかく消すということ、少なくとも自分の背後にある者については説得するというような責任と、それだけの力を持たなければ、私は話し合いは進まないと思うわけでありますが、そういう点ではひとつ十分お考えいただいて、とにかく、やはり労働者はいままでいろいろなとにかく問題をかかえておりますから、話し合いをするについては、定期的な懇談に入るには、これだけの条件が必要だと言っておるのでありますから、前向きのほうは、やはり総理のほうが一歩先んじておやりになって、前提条件は十分立ててやって、そうして一日も早く両者の話し合いが始まるようにひとつ希望をいたします。これについて総理が何かそうしょうというようなあれがありましたら、ひとつ承りたいと思います。
  61. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほども申しましたように、政府は、国会に対し国民に対し最高の責任を負うものでございます。そういう意味で、小林さんから、まず政府のほうからおとなになった処置をしろ、こういうお話だと思います。そういう点につきましても十分私ども考えてまいりました。事態を前進さすような方向でこの問題と取り組みたい、かように思っております。
  62. 小林武

    小林武君 今度のこの修正上案を出された衆議院の方々に御質問をいたしますが、私は、やはり先ほど亀井委員の御質問の中にありましたけれども、結論の出る時期というのは、きわめて重大な時期だと思うわけであります。その結論が一体いつ出るか、これはもう慎重かつすみやかにやってくれというのは、これはことばの上では、たいへん慎重、すみやかにやることについて、だれも異存がないのであります。しかし、この間——私はこれはあなた方からは一度も承ったことはありませんけれども——この間国会討論会を見ておりまして、私は社会党の所属の議員として、これはどうもうらの国会対策委員長から聞くのと言うこと——それはそのとおり国会対策委員長は言いましたけれども、なかなか三者三様のやはり解釈があるのではないかということを心配したわけです。私は、ここでせっかくきまったものについて、いろいろな波乱を起こすことを好まない。なるたけまとめようという角度から申し上げておるのですけれども、この期限の問題というのは、なかなか私は微妙な、この三党の修正案を成功させるかどうかということについて、結実させるかどうかということについて、非常な影響を及ぼす問題だと思うのでありますが、この点については、一体十分な話し合いがつかれておって、問題を将来に残すようなことがないかどうか、ひとつ御三人それぞれお答えをいただきたいと思います。
  63. 藤枝泉介

    衆議院議員(藤枝泉介君) 先般の本委員会におきまして衆議院修正案について説明申し上げましたその中にもございますように、国内法改正の四法案中の問題点については、第三者機関たる公務員制度審議会審議の上、答申が行なわれた場合、これを尊重して所要の改正を行なうため、その問題点の各条項の施行を延期する、こういう趣旨でございます。ただ、この延期をいつまでするかということは政令にゆだねられておりまするけれども衆議院のこうした修正案の趣旨、あるいは本委員会における皆さま方の御論議の趣旨を十分尊重して政府は善処されるものと心得ております。
  64. 多賀谷眞稔

    衆議院議員(多賀谷眞稔君) 御存じのように、衆議院議長裁定によって、三党それを承認をする、こういうことになりました。衆議院議長の裁定は、「関連四法案の問題点に関する条項は、公務員制度審議会の答申を得るまでその施行を延期し、審議会の答申はこれを尊重して所要の改正を行なうものとする。」、こういうことでございまして、さらに衆議院の本会議におきまして、三党を代表して栗山礼行君からその修正案提案がございましたが、いま私が読みましたとおりの文章で修正案提案がなされております。その際に、自民党から希望意見として、自民党の賛成討論の中に、「一年後の八十七号条約の効力発生と同時に、今回の修正により施行を延期された冬条項も効力を発生するように措置されることを希望する」と、こういう希望意見が若干述べられたことは事実であります。また、わが党といたしまして、議長裁定を受けるに際しまして、問題点については施行が延期されたという趣旨に基づいて、前向きで解決されるということに努力をしたい、こういう希望意見を述べております。さらに民社党は、運営については慎重に行ない、結論を尊重する、こういう希望意見を述べております。しかし、これらはみな希望意見でございまして、あくまでわれわれは議長裁定、さらに本修正案提案どおりと、かように承知をしているわけでございます。
  65. 栗山礼行

    衆議院議員(栗山礼行君) 自民党の藤枝先生、社会党の多賀谷先生が御答弁申し上げましたように、私の理解も完全に一致をいたしております。若干ニュアンスの問題について、いろいろ御理解の上に問題点があったかと思うのでありますけれども、この問題については、三党共同の提案でございまして、三者の意見が完全に一致をいたしておるという御理解をいただけばけっこうかと思います。
  66. 小林武

    小林武君 ただいま御三人からの御答弁によって、そうたいした大きな食い違いもないようでありますことは、たいへん私ども安心をいたすのでございますけれども、何しろもう舞台はこっちのほうに移ってまいりまして、高みの見物と言っちゃ悪いですけれども衆議院のほうはわりあいに気楽でありますが、われわれのほうはそう気楽ではないわけでありまして、それで、先ほども申し上げたように、気楽でないからいいかげんなことを言うという意味ではなくて、やはりせっかくここまで持ち込まれたものは、やっぱりこちらのほうでまとめをしなければならない、そういうことを痛感した場合、あの場合この場合というような、よけいなこともやっぱり考えてみることが私は必要だと思うのです。そういうことから申し上げまして、もう一つ念を押すようでおそれ入りますけれども、たとえば、いよいよ一つのめどをもって、とにかく期間というものがあるということはこれは当然のことだと思う。無際限というようなことはこれはあり得ないと思います。一応めどをもってやられたということはよろしい。しかし、そのめどのところへ来て、もしよりよいものを生むためにまだ問題が残されたというような場合になったときに、そこで三者ばらばらの意見が出てきて、そうして問題が、とにかく振り出しに戻るどころかそれ以上に悪化する状態——総理の言われる相互信頼感をこれから強めていくのだと、いままでの不信感を解消したいというやつが逆になっちゃって、一そう不信感の二乗みたいなものになっちゃって、抜き差しならぬそういう対立感をかもし出すということは、われわれとしては避けなければならぬと考えますので、そういう点については大体どうですか、絶対に間違いないというようなところまでいったものであるかどうか、この点をもう一ぺんしつこいようでありますけれども、これは藤枝先生にひとつお尋ねをいたします。
  67. 藤枝泉介

    衆議院議員(藤枝泉介君) 先ほども申しましたように、三党の意見は一致をいたして、修正をいたして本院にお送りした次第でてございます。ただ、先ほども申し上げましたように、この延期をした条項の施行の期日は、あげて政令にゆだねておるわけでございます。しかしながら、政府とされては、当面の本委員会の御議論、あるいはわれわれの修正の意見を十分尊重してやるものと期待をいたしておる次第でございまして、その点は三党一致してさような期待を持っておる次第でございます。
  68. 小林武

    小林武君 なお、審議会をつくり上げると、たとえば一番重大な問題の期間の問題が一つ解決をしたとしましても、この運営のしかたは、先ほど来の質疑の中にありましたように、やっぱりいろいろあると思うのです。たとえば、その中で多数決というようなことをやっていくのかどうか、そういうやり方をやるのかどうか。あるいは一体どこでこれを所管するとかというようなことは、これは政府責任でやることでありましょうけれども、一体構成にあたってはどんな配慮が必要であるとかいうような、そういう点まで審議会という問題について三党において十分話し合いをなさったものかどうか、話し合いをなさったものがあるとしたら、ここでひとつ説明をしていただきたい。
  69. 藤枝泉介

    衆議院議員(藤枝泉介君) 特に制度審議会の構成あるいは運営等について三党でお話し合いをいたしたことはございません。ただ、私どもは、この審議会が公な人選を得られ、そうして適正な答申ができるように運営されることを三党とも期待をいたしておりますことは事実でございます。
  70. 小林武

    小林武君 まあいまのようなお話ですというと、審議会をつくれば、その審議会の中に持ち込んで大体ものごとが解決するというようにお考えになったように思うわけでありますけれども、たとえば、この種の問題でありますから、それぞれこれは意見のある人たちが統一した見解を持とうというのでありますから、結論が出た場合に、一体どうなければならないか。たとえば、総理は、これは政府責任という立場から、これはうのみにするというわけにはいかないというような意味の御発言があった。まあごもっともなような気もする。これはあなたまかせですというようなことを総理大臣が言えと言ってもなかなか言えないかもしれないけれども、私は、ひとついわゆる十分お聞かせいただきましょう。あとのところは私のほうで適当に解釈してというようなことであるならば、 これは私は絶対まとまらない問題だと思うのであります。どっちかといったら、わりあいに同じような意見を持った人たちの集まりではないのです、これは。率直に言ってかなりの開きのある人たちが集まっておるのですから、ここで話し合ってやるというからには、相当の決意を持ってやる、責任を感じてやるわけでありますから、私はそういうことを考えますときには、出た結論というものについては一体どうなのか。そういうことについて一応何か頭になかったとしたら、はなはだ申しわけないのですけれども、あなたたちもちょっと考え方が甘いといったら悪いのですけれども、そんなような気がするのです。そういう結論が出た場合にはどうするのか、そのことを政府がとにかく尊重するというが、尊重の度合いについてもどうでなければならぬというようなことを話し合ったのかどうかというようなことになるわけです。その点については、これは審議会をつくればいいだろうという式のあれですか。そこらを……。
  71. 藤枝泉介

    衆議院議員(藤枝泉介君) これはすでにお聞き及びと思いますが、衆議院議長の裁定の中にも、この帯議会の答申は尊重するということを特に入れておるわけでございます。尊重するということばの問題でございまするけれども、われわれは、十分これが尊重さるべきものと考えております。ただ、たとえば法律事項につきましては、われわれ国会審議をするわけでございますので、何もかにも審議会の言うとおりであると、いまから申し上げるのはいかがかと存じます。しかし、そういうことを抜きにいたしますれば、文字どおり尊重するということをわれわれは十分期待をいたし、また、考えておるわけでございます。
  72. 小林武

    小林武君 前にも申し上げましたように、せっかく三党が修正案を出して、事態解決はこれによって、やり方いかんによっては私はできると思います。そう考えますというと、これからの参議院における審議、それは私は何といっても問題をもうあらわに出すものは出して、そうしてそれを相互理解するという立場でながめて、その上に立って一体両者がどういう結論を出すか、歩み寄るべき問題なのか、あるいはこの立場で理解してもらうということになるのかということを、私はこれははっきりさせなければならぬと思うのであります。そういう点で総理大臣にもひとつこの問題について十分そういう角度からの慎重な配慮をお持ちいただきたいし、その案をおまとめいただいた衆議院の三党の方々にもぜひとも今後ともそういう面でのお力添えを、ある意味では責任をお感じになっていただきたいと思うわけであります。  以上で私の質問を終わります。
  73. 横川正市

    ○横川正市君 一問関連して。
  74. 安井謙

    委員長安井謙君) 時間がもう来ておりますから、それじゃ一問だけ。
  75. 横川正市

    ○横川正市君 これは私は総理にお聞きをいたしておきたいと思うのでありますけれども、それは、ILO案件が参議院側に回ってくる段階でのいまの形ですね。これは衆議院段階ではこういうことを一応段階として踏まなければ問題の解決がつかなかったかどうかという点について、たとえばILO特別、委員会委員会におけるところの審議の実態、それから議長裁定一党修正、こういう一つ段階を踏まなければこれらの問題が解決できなかったというそのことについて、総理としてはどういうお考えを持っておられますか。こういう段階を踏まなくても、私はILO案件についての審議は、現状におけるような形で結論が出されたのではないかというふうに思うわけでありますけれども衆議院における審議のその状態について、総理のお考えをお聞きいたしておきたいと思うのです。
  76. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 衆議院におきまして議長あっせん案が出て、そうして本会議がそれによりまして三党可決といいますか、共同可決、こういうことでできたのでございまして、その経緯等は、これは十分御承知のとおりだと思います。参議院のようにこういうなごやかな審議を続けておれば問題なかった、かように思いますが確かに参議院の良識の結果によることで、たいへんありがとうございました。
  77. 安井謙

    委員長安井謙君) 渋谷邦彦君。
  78. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 ILO案件につきましては、今日まであらゆる角度から論議されておりますので、あるいは重複もあろうかと思います。ただし、この際、政府の意向を確認するというそういう意味も含めてお伺いしたいわけであります。  まず最初に、先ほど来からも論議されておりましたが、今回の八十七号条約批准をめぐって、回内法改正もそれに伴って改める必要がある、こうしたことから与野党がそれぞれの立場から激突をしてきて、今日まで解決を見なかった。非常に遺憾なことだと思うわけであります。政府側としては、先ほども労働大臣お話ありましたように、公務員の問題につきましては団交権、団結権、あるいはスト権の問題については公共の利益というものを阻害する、こういう立場から、また労働者側の立場からいえば根本的な権利というものを侵害される、それぞれ相いれない両極点に立って今日まで論議が繰り返されてきたわけであります。もう一歩立ち至って、それが解決の糸口すらも見出せないまま経過してきたということの一つ理由づけとして、何度となくそれは相互不信によるものであるということが強調されてまいりました。しからばこの相互不信というものの奥底に隠されておる根強い対立感情というものは何であるか。それが単なる感情としてあったのか、あるいは思想的な対立、こういうところにその基本的な原因があったのか、その点からひとつお伺いしたいと思うのであります。
  79. 石田博英

    国務大臣石田博英君) わが国の、これは必ずしも公共部門だけには限りませんが、労使関係の間にありまする相互不信というものには幾つかの事例があげられるだろうと思います。一つには、私は、日本の労働運動の歴史的過程、これがやはり一つの大きな問題じゃないかと思います。御承知のごとくわが国において労働運動というものが連合体の形をとって登場いたしましたのは、大正の初めにおける友愛会、その時代はいわゆる幸徳秋水事件のあった直後でありまして、社会とか労働とかいうようなことばさえも使えなかったような時代、しかも選挙は制限選挙、さらに労働者保護の立法といえばわずかに工場法があるだけという時代、そういう時代に、労働運動というものは、やはり議会を通して法律制度を改正するということよりは、社会改革を一ぺんにやらなければだめだというような攻撃に、動きに、走りがちであり、そうしてそれに対処する方法としては泊安警察法、治安維持法というようなもので対処するという歴史が長く続いておりました。そういう両方の歴史的経過というものがやはり一つの大きな相互不信の根底であろうと思います。いまは、むろん一般普通選挙でありまして、改善すべきものは議会制度を通して改善できるのでありますから、したがって、その舞台において漸進的に改善せられる可能性を十分に内包しておると思うのでありますけれども、やはりそういう歴史的経過というものを私ども一つの大きな原因として、それが今日まで続いているのではないだろうか、こう思うわけでございます。しかしながら民間におきましては、やはりしょっちゅう経営と労働というものは同じ舞台において接触もし、交渉もいたしております。その間に相互の協力関係相互の利害関係も生まれるのでありまして、ときに争うことがありましても、やはりそれはそのワクの中で、正常に戻ることもまた早かったのであります。公共部門において相互の不信関係が出ましたということについては、私は、やはりそういう相互の立場の意思の疎通を欠いておった、歴史的経過とともに特にその意思の疎通を欠いておったということに大きな理由があるだろうと思います。したがって、ドライヤー提案というものは、そういう意味においてわれわれ日本の労政をあずかっておるものとしては、まことに恥ずかしいことではありますけれども、そういう意味において私どもは時宜を得た提案であろう、こう考えておる次第でございます。
  80. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 ただいまの労働大臣の御答弁によりますと、まことに歴史的な過程から説き起こされて、今日まで意思の疎通がなかった。しかるに、あとで述べますが、いまだにやはりネック・ポイントになっている問題を検討してみますと、はたして今後の交渉段階において政府並びに労働者の間において意思の疎通ができるかどうかということを非常に疑問とする点もあるのでありますが、これは総理にその所信のほどを伺いたいのでありますが、これはそういうような意思の疎通をはかるための最善の努力をされて、また、それには具体的にはどういう方法があるというような考え方がございましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  81. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私自身も終戦後鉄道にいたり、あるいはその後郵政省にいたり、電電に関係したり、また一般職員とも交渉を持ったのであります。これらの経過から見まして、確かに二十年の間によくここまで発達したものだ、かように私は驚歎するほうであります。したがって、今後の発展、それに対する期待というものは、これは必ずすばらしい結果を生ずるのではないか、かように思います。ただいま言われるように、相互不信ということをドライヤーさんに指摘される、かようなことはほんとに恥ずかしいことでございますが、お互いに、ただいま申し上げるように、新しい労使関係をつくるんだ、これをそうしてりっぱなものにするんだ、かような意気込みを持ってこれにぶつかっていくならば、私は必ずこれはよくなる、かように思うのでございます。もちろん利害ときに衝突することはございますけれども、しかし、それも大きな立場におきましては、結局国家、国民という観点に立って初めて衝突しておるのであります。お互いがそういう点に思いをいたせば、必ず妥結の道があると、かように私は信じております。また、今後ともそういう意味で相互不信をなくすようにし、また、対立関係というものも解消していくようにいたしたいものだと、かように思います。
  82. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 その点については今日まで七年の経緯をもつていまだに解決しないという事実にかんがみまして、今後とも努力されるという総理の御所信のようでありますから、その点は大いに私ども期待しておるところでてありますから、その点はぜひお願いしたいと思います。最善の努力を払っていただきたい、こう思うのであります。  第三点として、これは確認の意味でお伺いしたいわけでありますが、この八十七号条約は、もう内容それ自体は憲法二十八条と比較して見た場合、むしろ憲法二十八条のほうが非常に幅の広い団結権交渉権、争議権というものを認めておる、こう解釈せざるを得ないのでありますが、なぜいままでこの憲法二十八条というものが完全に実施されなかったのか。もしも完全に実施されていたとするならば、今日八十七号条約批准をめぐって問題が起きるようなことはなかったのではないか、こういうことを考えるのでありますが、その点について、なぜ今日までこの憲法二十八条というものが順守されなかったのかということを総理からお伺いしたいと思うのであります。
  83. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 憲法二十八条におきまして、むろん労働者団結権、団交権、争議権というものを認めておりますが、同時に、十二条、十三条の規定がございまして、公共の利益というものとの相関関係で、ある程度の制限を受けておるのであります。したがって、現在までございました公共企業体等労働関係法及び地方公営企業体労働関係法の規定は、その意味におきましては適法なものだと思うのでありますが、しかし、その後の事態の改善を待ちまして、現在八十七号条約批准を適当と認めるに至った次第でございます。そういうふうに御理解をいただきたいと存じます。
  84. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確かにその十二条等の問題を考えますと、公共の福祉に反する場合というようなことが規定されております。しかしまたその反面に、労働者の当然の権利である点も、これは主張できるはずだ、これは憲法の精神であろうと思うのであります。そうすれば、当然この二十八条の解釈のしかたについても、今日まであるいは裁判所等におきましても論議されてまいりました。あるときにはこれは合憲だとされ、あるときにはそれが高裁あるいは最高裁という段階を経ることによって、これは違憲であるというようなこともあったやに記憶しておるのでありますが、こうした法律上の解釈をめぐって、同じ二つの問題に対して、下級裁判所においては、これがときによっては合憲だとして、あるいは上級裁判所においてこれがくつがえされ、違憲であるというようなことは、何かそこに不純なものを感じないわけでもないわけなんであります。それぞれの専門的な立場に立っての解釈によって、ときには判決がくつがえされて最終決定を見る場合も、それは十分承知してはおりますけれども、こうした、特に労働問題等に限ってそういうようなことが今後起こるということになりますると、労働者の立場としては非常な不安というものを免れないということにかんがみまして、そうしたような法律上の解釈によって憲法が著しくゆがめられるのではないかということをお伺いしておきたいと思うのであります。
  85. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いままで二十八条と十二条、十三条との関連に関する訴訟事件、これはすべて高級裁判所においては合憲という決定を見ておるのであります。下級裁判所において違った判決の事例もございますけれども、最終的にはそういう決定をされておることは事実であります。それからまた各国におきましても、公正性の強いもの、あるいは公務員、そういうものについて労働の基本権に、ある程度の制限を受けておるものは多いのでありまして、このことについては、わが国の労働法というものは憲法にもむろん合っておりまするし、各国の例に比べて不当なものであるとは思っていないのであります。ただし、その間において公共部門労使関係についてなお幾つかの問題が残っておることは事実でございまして、そのほかに、たとえば公共企業体及び政府関係機関労使関係問題の処理に関する当事者能力についても問題がございます。そういうようなことは、あげて公務員制度審議会で、御心配のようなことが将来起こらないように、ひとつ十分の御検討をいただきたい、こう考えておる次第でございます。
  86. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 特に今後の批准をめぐっての大きな争点は、公務員のいろんな行動について、団交権、団結権というものについてでありますが、これがいままで認められていなかったというようなことから、公務員自体も同じ労働者としての立場に立てば、当然主張すべき、保護さるべき利益というものはあり得るはずである、これは民間と比較して何ら変わりがない。本質的にはもちろん大きな違いはありましょうけれども、生活権だとか、そうしたようなものを守る立場においては変わりはない、こう考えているわけでありますが、今日までこの公務員等に対しての不当労働行為に関しての問題あるいは労働条件の改善という問題等については、非常に制約されたワクしか設けられていない。こうした問題に対して、公務員としても縛られた法律の中で、あるいは違法と知りながらもスト権を行使して、ときに国内の秩序をあるいは混乱におとしいれるというような場面もあったかと思うのであります。われわれとしてそうしたような不測の事態を招来するということは決して喜ばしい現象ではない、特に、公労法あるいは地方労法において束縛されており、正当な労働者としての権利を主張するという、そうした問題が、いままでほとんどといっていいくらい抹殺されている現状にかんがみて、今後おそらく公務員制度審議会あるいはこれからのいろんな交渉過程において、そういう問題も是正されていくだろうと私は思うのでありますが、この点について、明らかに公務員が自分の主張する生活権の擁護であるとか、そういう問題等に対しては、しかるべき改善の措置が、いろんな法律はもとよりでありますが、実際の運営の上で必ずそれは期待できる方向に解決されていく、このように判断していいかどうか、お伺いしたいと思うわけであります。
  87. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 公共部門におきまする従業員の労働の基本権に制限があります。それはわが国現行法でもそのとおりでありますが、国際的に見ても、先ほど申しましたように、一般的に行なわれていることであります。ただし、その制限に対しては代償措置がとられているのであります。たとえば、公共企業体においては公労委の仲裁裁定の実施、公務員はおいては人事院勧告の尊重それから法定保障というようなものが行なわれているわけであります。これが国際的にも通例であり、また、わが国においても実施されているのでございます。それは憲法十二条、十三条あるいは二十八条等の規定との関連において設けられているわけであります。政府は、この代償保障措置については、いままでも仲裁裁定は実施し、人事院勧告は尊重いたしてまいりました。そこで、法律に違反する行為、これはやはり厳に慎んでいただかなければならぬのでありまして、法律が悪いからといって、自分の気に入らないからといって、それを無視していいというものではない。それでは法治国家のたてまえが貫けないのでありますから、悪い法律であるならば国会を通じてこれを改正していくという努力こそが議会政治のもとにおいては必要である。私ども現行法規はやはりあくまで守っていく、悪いものは直して改めていく、こういう態度で進みたいと思っておる次第であります。  さらに、公正部門だけではございませんが、一般的に申しますと、労使関係の紛争によりまする労働稼働日数の喪失というものは、昭和二十七年の雇用労働者一人当たり一・六日というものを最高といたしまして、漸次減ってまいりました。昭和三十八年には〇・一日という数字になりました。約十分の一に減ったのでありますが、このことは労使関係の紛争を争議手段その他に訴えないで、なるべく話し合い解決をしようという労使間の慣行が次第に確立された。私は一般的に見て、そこ方向について非常にいい方向にだんだんいきつつある。それとともに、われわれがやっぱり労使間の話し合いの機会をつくり、お互いが努力をすることによって、お話のような方向へ持っていけるものと考えておる次第であります。
  88. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 今度の国内法改正問題の最大の焦点といわれています中火交渉、先ほども若干お話があったようでありますが、この中央交渉権の問題は、いろいろ権討すればするほど、いろいろと矛盾が生じてくる可能性があるのではないか、このよりに感ずるわけであります。そこで今後においても、この中央交渉権は、いままでの政府基本方針どおりに絶対認めないかどうかということについて、まず最初にお伺いしたいと思います。
  89. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは、文部行政としての問題は私のお答えする範囲ではございませんが、いわゆるおことばの中央交渉権ということばは、私どものほうでは適当でないと思っております。労使関係にむける交渉というものは、任命権者、そうして雇用者の代表とのことを言うのでありまして、そういう意味においては文部大臣日教組との間にそういう意味における交渉関係はないと、私どもはこう考えておるのでありまして、私ども、いま定期会談その他において話題にいたしておりますのは、話し合いの問題だと解釈いたしておるのであります。この話し合いの問題が非常に困難に相なっておりますることは、やはり労使間の相互の不信が基礎でございますから、この不信解消のための定期会合を行なうことによってこれを処理してまいりたい。これが政府考え方でございます。
  90. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 ただいまの御答弁でありますと、その砧し合いによることはわかりました。ただ、やはりそれがうまくいってないという最大の原因として、相互の不信と、こりいうふうに申されたのでありますが、政府側が一方大局観に立たれて、むしろ改心のほうから積極的にあるいは話し合いの場並びに話し合いの相手、また交渉に応じられるいろいろな構成というものがあるだろうと思うのでありますが、むしろそうして政府のほうからその話し合いに積極的に応じていくという——いまのお話では何か双方ともに不信想があって、文部省には文部省の会わない、会えないという、そういう背景があるよりに考えられるのですが、当然また日教組のほうでもそうしたようなことからこじれて、どうしても会わせろ、話し合いに応じろ、こんなふうになっているんじゃないかというふうに理解するわけであります。その点、政府として、もっと積極性があるべきではないか、このように感じられるわけでありますが、この点あわせてもう一度お願いしたいと思います。
  91. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これはどちらが悪いとか、どちらがいいといいますよりは、やはり長い間のいろいろないきさつが積み重なりまして、こじれにこじれた問題でございます。そこでドライヤー委員会も、まずこじれたものを先に片づけてやるか、そのこじれた原因を先にやるか、やはりこじれた原因をひとつ解きほぐすのか先ではなかろうか、そのこじれた原因というものは、やっぱり長い積み重ねによって生じましたお互いの不信感、そのお互いの不信感をひとつ除去するために定期的な会合をやりなさい、こういう勧告と承っているのであります。私ども考えますと、具体的な問題の処理、たとえば教員の労働条件と申しましても、学校の校舎あるいはその他のことについては地方自治体とも関係があることもある、文部省とも関係があることもございましょう。したがって、そういうものも一緒に会えばいいじゃないか、定期会合で一緒に会ったほうが話し合いが案外つくのじゃないか、どうしても一人と一人で会わなきゃならぬといりのかお互いのちょっと意地の張り合いみたいなところもあります。こういうことはお互いが解きほぐせば処理できることではないだろうか。そこで定期的会談をやることが先なんだ、それを通してお互いの信頼感を回復しつつひとつ処理をしてまいりたい、こう考えておるのであります。
  92. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 時間もありませんので、またこまかいことは後日の委員会等においてお伺いすることといたしますが、今後、この一年間に新設される公務員制度審議会で、いろんなことが検討されるかと思うのでありますが、先般衆議院において強行採決というような非常手段に訴えてまで採決をはからなきゃならなかった事情はあったろうと思うのでありますが、決していい姿であったとは思えないのであります。先ほど来から審議会の答申は十分尊重する、その尊重もいろんな解釈をなされたようでありますが、設けた以上は十分この審議会の答申というものも尊重していただきたいと思いますし、また同時に、各派が納得と理解のいく、そうしたような姿でもって法律の改正というものに踏み切っていただくように、特に政府当局の方々にその点を強く要望しておきたいのであります。また、いたずらに混乱を起こすことによって、将来においてあるいは健全な労使慣行というものが一そうこじれたようなことに相なりますと、日本の産業の発展の上から見ても、あるいは労働運動の健全な発展の上から見ても、きわめて遺憾な事態が引き起こらないとは限らないということを非常に強くおそれるものであります。この点強く要望するものでありますか、その点について総理としての所信をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  93. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの御要望にこたえますが、私は衆議院段階においてかような状態が起きたことはまことに遺憾に思っております。しかし、衆議院におきましても議長あっせんにより、ようやく軌道に乗った、これはやはり国会そのものが審議がまず第一だ、かような意味において良識ある結果をもたらしたことだと思います。私は今後とも努力をいたしまして、本来の職責を両院が果たせるように、そういう状態を心から望み、また政府としても努力するつもりでおります。
  94. 安井謙

    委員長安井謙君) 田畑金光君。
  95. 田畑金光

    ○田畑金光君 初めに総理にお尋ねいたしますが、いままでの質問とある程度重複するかもしれませんが、確認という意味で特に総理にお尋ねいたします。三党共同修正がしごくなごやかなうちに話し合いがついて、参議院に送付になった、こういうお話でありましたが、しごくなごやかでなかったところに、党共同修正という形にまで発展したわけです。ある面から見れば、問題点は一年後か一年半後に残したにすぎない、これに私は尽きると思うのです。したがって、私は、将来ともなごやかにいくかどうかということは、公所員制度各議会の答申を文字どおり——先ほど与党の藤枝議員は、文字どおり尊重してもらいたい、期待しておる、こういうお話でございましたが、総理にも、文字通り審議会の答申は尊重する、はっきり確認されることが大切だと思うのです。
  96. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは何度もお答えいたしたとおりでございまして、政府はもちろんこの種の審議会の答申、これは誠意をもって尊重していくという、これに変わりはございません。
  97. 田畑金光

    ○田畑金光君 誠意をもって尊重するということだけでは納得できない、と申しますのは、先ほど岡田委員も例にあげておられましたが、税制調査会の答申を見てもそのとおり、昨年の九月、御承知のよりに臨時行政調査会が答申を出しております。その中には、労働関係と労働基本権について明確な方向を示しております。また、大体ILO八十七号条約批准がこんなにこんがらかったのは、昭和三十四年二月十八日に労働問題懇談会が時の岸内閣に答申を出した。その答申の骨子は、条約公労法地公労法の改正で十分だと、それを尊重しなかったところに問題が発端を起こしているわけです。だから、私かもう一度総理の御答弁を求めるのは、答申については完全にこれを尊重するという御意思があるかどうか、この点。
  98. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 政府は誠意をもって尊重する。これで尽きるように思います。
  99. 田畑金光

    ○田畑金光君 「誠意をもって」、「尽きる」というのは、一文字どおり尊重するという意味に解してよろしいのですね。
  100. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 誠意をもって尊重すると、はっきり申し上げておきます。
  101. 田畑金光

    ○田畑金光君 ことばでは問題は処理できないのです。また、総理の従来の答弁の精神から言うならば、一年後か一年半後に問題を引き延ばしたにすぎない、こう考えるわけで、藤枝議員が特に文字どおり尊重すると与党の藤枝議員が言われたことを、よく総理は肝に銘じていただきたいと思うのです。  次にお尋ねしたいことは、公務員制度審議会の発足については、先ほど御答弁ございましたが、この成立後三カ月以内に、また委員の構成もおおよそ二十名、こういうお話がございましたが、構成の内容についてはどのようにお考えになっておられますか。
  102. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは直接には私の所管ではございませんけれども、この構成については、やはり各方面と御相談もしなければならぬと思っておりますが、できる限り公正な人選を行ないまして鋭意審議会の目標を達成したい、各方面の意見が反映できるようにいたしたいと考えております。
  103. 田畑金光

    ○田畑金光君 国会代表を入れますか。どういうお考えを持っておられますか。
  104. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 現在のところは入れないつもりでおります。
  105. 田畑金光

    ○田畑金光君 公務員制度審議会に諮問する内容、これは当然国内法の改正の問題点について、たな上げした部分は当然諮問されると思いますか、そのほかいかなる対象を予定しておられるか。
  106. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ただいまお話のことのほかに、公共部門特に公共企業体及び政府関係機関における当事者能力の問題、その他公共部門における労使関係基本的な問題について御研究を願いたい、こう思っております。
  107. 田畑金光

    ○田畑金光君 要するに、今日問題となっておる非現業職員の団交権、団体交渉権の問題、あるいはいまお話の公企体の当事者能力の問題、あるいは公企体職員の労働基本権の問題等々であると解釈してよろしいのですね。
  108. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 公共部門における労働基本権、それと公共部門の持っておりまする役割りその他との関連を考慮いたしました上での基本権全体と考えております。
  109. 田畑金光

    ○田畑金光君 そうしますと、今後、政府と労働団体、特に総評といろいろ話し合いを進めていくというお話でございましたが、その対象としてはどういう対象を、あるいはテーマを今後取り上げて話し合いの主題になさるのか。少なくとも公務員制度審議会政府に答申した事項については、これは当然いわば国会にかわる機関として審議会審議をし、政府に答申をするわけでありまするから、そういう意味合いにおきましても、今後の政府総評話し合い内容というものは、おのずから制約を受ける、こう私は理解するわけでありますが、いかなるテーマを話し合いの主題になされようという予定なのか。
  110. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは政府総評と申しますよりは、政府公共部門における労働者団体代表者との話し合いであります。いま総評との間で話をいたしておりますのは、定期会談をいかにしていかなる構成でやっていこうかということでありまして、この定期会談の目ざします目的は、共通の問題について定期的に意見交換を行って、相互の不信感を除去していこうということでございます。したがって、議題のその他についてあらかじめ定めて話をするときもありましょうし、あるいは一般的なフリー・トーキングというようなこともありましょう。要は、会合を積み重ねることによって、意思の疎通をはかり、信頼感を回復していきたい。したがって、総評系の公共部門の労働団体代表ともむろん定期的会談を持ってまいりますと同時に、それ以外の同盟傘下の方々とも大いに会ってまいりたい、こう考えている次第であります。
  111. 田畑金光

    ○田畑金光君 総理にお尋ねいたしますが、先ほど来総理は、私は郵政省にもいた、その他にもいたと、その時代から比べると、この二十年のうちにわが国労働組合は非常に画期的と言えるほど健全になった、こういうお話でありました。確かに日本労働組合運動全体としては画期的によくなりました。私もそれは認めます。しかし、またそうでない面も私はあると思うのですね。率直に申して、私は総理見解を伺いたいのは、三十日には御承知のように公労協がストライキをやるかもしらぬ、ストライキをやるということをはっきり指令しているわけです。去る二十三日は、国鉄を除く八組合は現に三時間あるいはそれ以上の、部分的でありますが、ストをやっております。こういうことも、あなたのお話の画期的によくなったという中に入るわけですか。この点どうですか。
  112. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) とにかく三十日にどういうことが行なわれるか、それは私ども労働大臣を通じていろいろ実情等を報告をいただいております。しかして、在米のような気持ちとはよほど変わっておるようです。双方話し合うことにまず第一に主眼を置いておるようであります。軍状におきまして、先ほど来お答えいたしましたように、あるいは当事者能力を欠くとか、そういうような点がしばしば今日の混乱の原因であるかもわかりません。必ずしも組合だけを責めるわけにはいかない、かように私は思うのであります。こういう問題は、いわゆる総体としての発達程度、それを見て、そして云々すべき問題ではないか。特殊な団体等についてそれはとやかく言うことは差し控える、政治家として、特に総理大臣は注意すべきだ、かように私は思う次第であります。
  113. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は限られた時間ですから、詳しく申し上げるわけにいきませんが、私が総理に望むことは、事実は事実として率直に見られて、そこに立って総理はどう思うかということについて総理としての見解を承りたい。それは、私これから申し上げますが、特殊の団体を批判するとか、そういう意味じゃないのです。例年このような傾向が繰り返されておることについて、もっと堀り下げて考えてみる段階にきているのじゃないか、私の申し上げたいのは以下にあるわけです。まあ要するに、私は公企体関係でこういう傾向が繰り返されるのは、政府の労働政策の貧困、公企体労使関係の非近代性にある、こう申し上げたい。すなわち、現行の公労法公共の福祉を強調するあまり、必要以上にこれら労働者基本的な権利を制約し、これが公企体労働者をして、法に対する不信になり、順法精神の怪視、こういうことに私はなっていると思う。わが国公労法上の労働基本権の制約は、西欧諸国の水準に比べ、またILOの国際水準に比べて、はるかにきびしい。私の持に念を押したいことは、もうすでに法律のもとにおいては禁止されておる、しかし私は悪法なるがゆえにじゅうりんしてもよろしいという態度にはくみしません。これは反対です、はっきり。問題は、にもかかわらず、昨年もことしも——しかし昨年は御承知のように四・一七ストは池田・太田会談によって未然に防止された。本年はそういうような具体的なものは何も出ていないわけです。二十三日は現に行なわれている。三十日また行なわれるかもしれぬ、こういう事態に立って、こういう問題については、やはり私はいやしくも一国の総理が、団体についてとやかく議論はできないなんていうお話だが、私は、こういう問題こそ総理責任を持ってどうするかということを処理すべき問題じゃなかろうか、こう思うのです。私は、そういう意味においてILO八十七号条約批准に関連して、問題は、かえって法律的に縛ることによって労働者の不信か起きておるとするならば、そういう問題等についても、この際根本的に掘り下げて、政府としても考えてみる必要があるのじゃなかろうか、これを私は問いたかったわけです。
  114. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私が経験したその当時から見まして隔世の感がある、かような私は表現を使いたいのであります。御承知のように、私自身、終戦直後、国鉄の組合の諸君ともいろいろ折衝を持ちました。そのころは団体交渉といえば、百人も二百人も来て、そして時間をかまわず相手に交渉をする、あるいはもう全然それらの秩序がなかった、そういう点がいまはよほど民主化されまして、それぞれの団体がそういう意味では秩序正しく交渉を始めておる、かように思います。これはたいへんな変わり方だと思います。今日ILO条約批准するという、それは過去におきましてかような状態が起こらなかった、批准を見なかった、そのゆえんもこういう点にあったのではないかと思います。これが、ただいま労働大臣は、労使双方の不信ということばで片づけておりますが、しかし、労使双方の折衝の状態なぞ考えてみますると、よほど変わってきている、これは事実であります。これは確かにそのとおり認めなければならないことじゃないか、かように思います。私は、そういう意味から見まして、ただいまの公共企業体職員のストというようなことも、そう簡単な表現はしないものだと、今日かように私は考えております。そういう点につきましては非常な慎重な態度をとっておられるように思います。ただいま三十日に云々と言われますけれども、ただいままでも非常な慎重な態度であるように見受けますので、こういう事柄が間違いなく一そう慎重である、そしてそれぞれの法的手続を経て、そして最終的な結論を得るような、そういう方向に進んでいく、これが望ましい姿だと、かように思いますが、しかし、それぞれの立場において、またそれぞれの主張もあることでございますから、それを一方的に権力によりこれを押えるとか、あるいは一方的な批判によってどうこうするということでないほうが望ましいのではないか。ただいまも自主的しかも民主的な組合のあり方として私どもが望むものはございますけれども、そういう点については十分な自制も自粛もまた反省もある、かように私は考えておる次第であります。
  115. 田畑金光

    ○田畑金光君 昨年、池田・太田会談において、当事者能力についても政府としては十分検討する、こういうようなお話があったわけですね。もう一つは、また調停段階において処理できるように政府努力をする、こういうようなこと等があって、昨年の四・一七ストというのは未然に防がれた。その以後の経過を振り返ってみるならば、こういう面における政府の具体的な約束の履行がなされていない、こういうところに私はことしの公労協におけるあるいは公企体関係における紛争が強く出ておる、こういうことは私は率直に認めなければならぬと思うのです。問題は、政府が約束したことは実行するということこそ労使関係の私は不信感を除去する、信頼感情を回復する唯一の道だと思うのです。そういう点から見るならば、あるいはドライヤー委員会の勧告があった、提案があったから、話し合いを始めることによってこれから信頼関係が樹立されるのではなくして、日常お互いのすべての行動の中で公約したことは実行する、こういうことが私は労使信頼関係を回復する唯一の道だと思いますが、この点、どうですか。
  116. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 昨年、池田・太田会談におきまして、いまお話のようなことが約束されたのでありますが、それについて、政府はまず第一の当事者能力の問題につきましては、関係次官会議を開き、種々の問題について検討を続けてまいりました。しかし、それは法律の改正を要する問題あるいは制度的に根本的に検討を要する問題等、多々ございました。にわかに根本的に一挙に解決することは困難な状態にございますので、そういうことは今度設けられまする公務員制度審議会において御検討を願って、すみやかに御答申をいただきたい。しかし、それまでの間は現行法の運営によってあとう限りその池田・太田会談話し合いの精神を生かす、そういう趣旨にのっとって、今回はまだ何ら民間の回答も出ていない二月におきまして団体交渉段階において有額回答を出し、さらに調停段階においてもできる限り調停段階話し合いがつくように第二次の回答を各公社、現業の当事者がいたすように政府努力をいたしました、したがって、これは不十分であるとかなんとかいうことは、これは別問題でございますが、政府としては、現行制度下において、あとう限りの努力をいたしました。一ぺんに到達はいたしませんけれども、その方向に向かって努力と前進をしておることは事実でありまして、私は、政府が公約を違反したものだとは考えておりません。しかしながら、この問題の処理については、すみやかに根本的な検討を加えなければならぬということは、先ほどから申したとおりでありまするし、また、労使関係信頼関係を回復いたしますためには、政府は約束をしたことは実行するということが前提であるということもむろん同意見であります。しかし、そういうものが一ぺんに百点満点の回答や結論が出るものではなかなかないのでありまして、やはりあとう限りの努力をいたしまして、漸進的にしていくこともやはり公約に沿うゆえんであると考えております。
  117. 安井謙

    委員長安井謙君) 田畑君、時間が切れましたのでここいらでひとつ……。
  118. 田畑金光

    ○田畑金光君 わかりました。最後に、私は希望として申し上げたいことは、幸い、今度公務員制度審議会においては、非現業職員についての労働俵本権について、あるいはまた公企体職員等においては争議権を含む労働基本権の問題について、審議会において十分慎重な審議がなされると思うのです。それが一年後になるか一年半後になるか知りませんが、しかるべく答申が出ると思う。したがって、私はそういう段階においては、繰り返し総理に希望申し上げますが、答申については一〇〇%尊重するという立場に立って、既存の法律についても、やはり社会的な事実が進行しておるわけでありまするから、その事実の進行に即して、改めるべきは改めるだけのひとつ雅量を持って政府は取り組んでもらいたい。このことだけを強く要望して私の質問を終わります。
  119. 安井謙

    委員長安井謙君) これにて質疑通告者の発言は全部終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十四分散会