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1965-05-07 第48回国会 衆議院 予算委員会防衛図上研究問題等に関する予算小委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月七日(金曜日)    午前十時二十二分開議  出席小委員    小委員長 松野 頼三君       江崎 真澄君    大平 正芳君       小坂善太郎君    重政 誠之君       西村 直己君    石橋 政嗣君       岡田 春夫君    高田 富之君       中井徳次郎君    永末 英一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 小泉 純也君  出席政府委員         国防会議事務局         長       北村  隆君         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官         (長官官房長) 小幡 久男君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  島田  豊君         防衛庁参事官         (人事局長)  堀田 政孝君     ――――――――――――― 五月七日  小委員石橋政嗣君四月二十八日委員辞任につき、  その補欠として石橋政嗣君委員長の指名で小  委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  防衛図上研究問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 松野頼三

    松野委員長 これより小委員会を開会いたします。  防衛図上研究問題等に関する件について調査を進めます。  前会に引き続き質疑を行ないます。中井徳次郎君。
  3. 中井徳次郎

    中井委員 この小委員会も、設けられましてからこれで二月ほどたちますか、その間、同僚委員からいろいろ御質問もございました。御専門の委員の各位でもありまするし、私自身が全くしろうとでもございまするので、少しそういう意味で、重複を避けながらお尋ねいたしたいと思うのでございまするけれども、話の順序といたしまして、やはり重複するところも、あるいは場合によっては、観点は違うかもしれませんが出てまいるかもしれませんので、それはひとつ、政府皆さん並びに同僚委員皆さんお聞きづらいと思いますが、御容赦いただいて、率直に四、五点お尋ねをしてみたいと思うのであります。  まず第一に、二、三日前の新聞拝見をいたしますると、防衛庁におかれましては、新しい国防計画というふうなことの御研究がある、これを策定されるというふうなことを拝見をしたのでございまするが、その辺のところ、どんな事情になっておりまするか、ちょっと長官お尋ねいたしたいと思います。
  4. 小泉純也

    小泉国務大臣 ただいま中井委員が申されました新しい国防計画というのではございませんで、おそらく新聞紙の伝えておるところのものは第三次防衛力整備計画検討を始めておる、そういうことでございまして、その内容について、最近新聞の上に、片りんと申しますか、構想というようなものがときどき出てまいります。しかしながら、これは防衛庁がそういうような検討をしておるとか、あるいはそういう項目が第三次防衛力整備計画の中に盛り込まれるというように責任を持ってお答えできる程度のものではまだございません。おそらく研究をしている各幕僚の方の個人的な見解新聞記者諸君との間の質疑応答の中でかわされて、それが記者諸君の一つの推論と申しますか、そういうことになるだろうというような想定のもとに記事になってあらわれておるものが多いと私ども見受けておるのでございます。実際には、長官といたしましてはことしの正月、正式に第三次防衛力整備計価の検討々始めよという指示をいたしまして、それも六月ぐらいまでをめどとして基本的な構想、大きな柱をひとつ打ち立ててみよ、こういう内容指示をいたしたのでありまして、まだその大綱は私のところには報告に参っておりません。その大綱検討いたしました上、さらに細部にわたって具体的な検討に入るという予定をいたしておりますので、その辺のところ御了承いただきたいと思います。
  5. 中井徳次郎

    中井委員 よくわかりましたが、第三次防衛計画は、そういたしますると六月末、四十年上半期に大綱をきめる、こういうことで承知してよろしゅうございますか。――それができましたら、この防衛計画はやはり国会にお出しを願えるのでございましょうか、その辺のところを伺います。
  6. 小泉純也

    小泉国務大臣 これは慎重、周到な大計画でございまするので、なかなか短期間でその計画がまとまるものとは考えておりませんで、いま六月くらいまでをめどとしては全くの大綱、大きな柱を打ち立てる、それにいろいろな肉づけをいたしていきまして、私の考えておりますところでは、まだこれは省議にはかったわけではございませんが、前例等からいたしまして、第三次防衛力整備計画というようなものは来年度になってから国防会議その他の慎重な検討を経て決定をするのでありまして、もちろん国防会議等検討を経た結果は、国会に御審議を願うということに相なるわけでございます。
  7. 中井徳次郎

    中井委員 六月をめどにして命じたけれども、だんだんできるのがおそくなり、そうして来年あたり大体きまって国防会議にはかる、国防会議にはかりました結果は、これまでも第二次も第一次も国会書類として提出されておるのでありまするか、その辺りところを……。
  8. 海原治

    海原政府委員 ただいま先生から、国会に提出をされております文書についてのお尋ねでございますので前例を申し上げますと、第二次防衛力整備計画国防会議決定されまして閣議の了承を得ましたときには、その大綱と申しますか、第一次防衛力整備計画はこういうものであるという意味説明文書を用意いたしまして、これを公表すると同時に、国会委員会においても御説明したわけでございます。したがいまして、第三次防衛力整備計面がまとまりました場合には、やはりこの計画骨子と申しますか、わかりやすく御説明申し上げましたようなものができまして、これを公表しかつ国会に御説明する、こういうことに相なろうかと思います。と申しますのは、何ぶんにも各自衛隊の五ヵ年にわたる長期の計画でございますし、装備のきわめてこまかい点までいろいろ数字をはじきましたいわば将来計画でございますので、その全部を決定するということではございません。そういう数字の上に立ちまして、大体このようなことになるのではないか、こういうことに防衛力を持っていきたいということを国防会議でおきめいただくことに相なろうかと思いますので、その程度のものが公表され、国会にも御説明申し上げる、こういうことになるものと考えられます。
  9. 中井徳次郎

    中井委員 そういたしますと、大臣、われわれにお示しになりますのは第三次、第二次、第、次国防計画そのものではなくて、その大綱で、説明のようなものである、こういうふうに了解してよろしいのですか。
  10. 小泉純也

    小泉国務大臣 先ほど防衛局長からも申し上げましたとおり、五ヵ年にわたるものでございますのでいわゆる骨子というようなものをば国防会議決定をしていただき、そして国会にも御説明を申し上げ御了承を得ていって、あとは五ヵ年にわたりまして毎年毎年の予算等関係もございますので、その方針に基づいて漸次そういうふうにこれを積み上げてやっていくということになりますので、当初において細部にわたっての決定というものはなかなか困難でもございますし、それを全部にわたって御説明申し上げるというわけにはいかないのではないかと考えておるわけでございます。
  11. 中井徳次郎

    中井委員 それは非常に重大だと私は思うのでございますが、これまで発表されましたものの中に、たとえば昭和四十年度なら四十年度の作戦計画とか、そういうふうなものまで入っておるのか、あるいはこの間皆さんからちょうだいした「三十八年度統合防衛図上研究三矢研究)について」という説明書がございますが、こういう程度のものであるのか、その辺のところをもう少しはっきりと御答弁を賜りたい。
  12. 海原治

    海原政府委員 第三次の計画につきましては、先ほど大臣からお答え申上げましたように、ただ現在においては各幕僚監部及び内部部局におきましてそれぞれ検討をしておる段階でございます。したがいまして、どういう形において最終的な決定を見るかということはこれからの問題でございます。特に関係各省国防会議事務局等の御意見等もいただきまして、その上で第三次防衛力整備計画の形がきまる、こういう手順のものでございますので、先ほど申し上げましたことも、従来の例で申しますとこうなるという私の見通しを申し上げた次第でございます。御参考までに、第二次防衛力整備計画がきまりましたときにどういう形であったか申し上げますと、発表文書には、大体第二次の防衛力整備計画はどういうふうな考え方に基づいているかということにつきましてずっと説明をいたしております。たとえばこのようなものになっておるわけでございます。「わが国内外の諸情勢推移見通し、わが国に対し起こり得べき脅威に対処して、有効な防衛力計画的、かつ、円滑な整備を図るため、国防基本方針に則り、昭和三十七年度より昭和四十一年度に至る第二次防衛力整備計画を作成する。」これが趣旨でございます。それに基づきまして四つばかりの方針ができております。  第一は、「日米安全保障体制の下に、在来型兵器の使用による局地戦以下の侵略に対し、有効に対処しうる防衛体制の基盤を確立するため、昭和三十六年度末までに達成される骨幹的防衛力内容充実を行ない、併せて科学技術進歩に即応した精鋭な部隊建設のための基礎を培い、もって陸・海・空自衛隊総合防衛力向上を図るものとする。」、これが第一でございます。  第二としては、「骨幹的防衛力内容充実については、装備近代化及び損耗分計画的更新機動力増強後方支援態勢強化、特に、基地等後方施設整備充実、おおむね一ヵ月分の弾薬等備蓄等に重点をおくものとする。」  第三としては、「精鋭な部隊建設に関しては、誘導兵器進歩に即応し、対空誘導弾の導入を図るとともに、その他の近代的精鋭な装備の一部整備及び運用研究を行なうものとする。」  第四としては、「右のほか、防衛力向上に資するため、情報機能整備充実し、技術研究開発を推進するとともに、国土、国民に密着した防衛力とするため、災害救援公共事業への協力等民生協力面施策および騒音防止対策を重視するものとする。」  この四つがいわば方針的なものとしてきめられております。これに基づきまして各自衛隊についての見積もりがございます。  「以上の方針に基づく昭和四十一年度末における整備目標は、陸上自衛隊については自衛官十八万人、予備自衛官三万人、海上自衛隊については艦艇約十四万トン、航空自衛隊については航空機約一千機そのほか地対空誘導弾部隊四隊とする。」  これで大体防衛力の規模がわかります。  その次に、「この計画実施のため必要な防衛庁費については、年平均百九十五億円増ないし二百十五億円増程度と見込まれるが、各年度ごと予算は、その時々の財政経済事情を勘案し、民生安定その他一般の諸施策との均衡を考慮して決定されるものであるが、なお計画実施に際しては、内外情勢推移等に伴って、戦略構想等に基づき、長則的見通しに留意しつつ、随時再検討せられるものである。」  こういうものが方針でございまして、このほか陸、海、空についてどういうことをするということをきめたのが第二次防衛力整備計画の策定当時の様子でございます。おそらく三次防につきましても、このような形に相なろうかと私どもは考えておりますけれども、これにつきましては冒頭申し上げましたように、今後関係各省、特に国防会議事務局の御意見をいただきまして練り上げていきたい、こう考えておる次第でございます。
  13. 中井徳次郎

    中井委員 だんだんわかってきました。いま詳細に御説明のありましたものを承りますと、何か抽象的で、非常に概念的で、結局予算との関係中心にして御説明になっておる。それでいいのでしょうか。私どもの聞いた範囲では、これでいけばどこから攻めてきても防衛力は十分であるとか、質問に応じてそういうかなり詳細なところまで答えておるのかどうか。そういうようなことがなく、何か非常に抽象的ですね。それでいいのですかね。そういう意味で、どうも防衛庁国会関係が非常にぼやけておると私は思うのですが、そんなことでいいのですかね。そういうものを基本にしてこういう三矢研究なんかおやりになっておるわけです。国防基本計画抽象論でやられて、具体的なこういうものはいろいろ御研究なさるが国会に出さない。こういうのでは――国家にはやはり自衛権があるというのがいま定説になっておる。国を守る自衛責任は、最後は防衛庁にも何もなくて国会にあると私は思っている。その国会を何か抽象的な文書で流してしまう、こういうやり方でいいのかどうか。それならば具体的なものを出せといえば、一昨年五ヵ月御研究なすったものはお出しにならぬというのでは、無責任時代ではありますけれども国会としてはもう非常に無責任なことになりはしないかと私は思うのですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  14. 小泉純也

    小泉国務大臣 日本防衛は今日までもそのとおりでございましたし、また現在、将来にわたっても同じと思いますが、やはり国会の御審議を願い、国会の御承認をいただく範囲によって推進されてきておるのでありまして、御承知のような憲法上の制約もございますし、局地戦以下の侵略に対処するということで、ずっと防衛方針を貫いてやってきておるわけでございます。また、安保条約による日米共同防衛体制というようなことからいたしましても、この在日米軍の力も借りて、最小限度防衛任務を果たすというのが現状でございまして、国防そのものをば端的に見ますると、私どももこれで十分であるとは考えておらないのでありまするが、いろいろな制約があるために、今日これをもって日本防衛最小限度任務を果たすということで、漸次予算増強等によりまして、国会の御審議を経て、定員等増加予算増加によって整備拡大強化をはかりながらずっと続けてきておるわけでございます。もちろん中井委員が申されますとおり、あくまでも国会を通じ、国会の御審議国会の御協賛を願ったその範囲でやっていくということには変わりはないのでございます。
  15. 中井徳次郎

    中井委員 大臣、そんなとんちんかんと言っては失礼かもしれぬが、私がお尋ねしたのは、いまは貧弱であるとか、これからりっぱにやるという、そういうことではなくて、国会防衛庁との関係です。これをいまのようなことでいいのか書類は抽象的なものを出して、何年間に何ぼということだが、これは旧帝国憲法時代だって、陸軍大臣宇垣一成以下、みんなここへ来てそんな説明をしましたよ。佐藤賢了氏はだまれなんていうことを言ったことがあります。私は子供のときに聞いておりますが、ちっとも変わっていないじゃないですか。書類を出すか出さぬかということを言っても出さぬ。私は書類を出す出さぬということだって、やり方は十も二十もあると思うのです。ただ、出す、出しません――書類を出さないときめたのはあなたじゃなくて、自民党でしょう。しかし、あなたは自民党からの防衛庁長官でございまするから。その点はどうなんですか。一方は抽象的なものを出して、具体的に三矢研究みたいなものをやっていた。私は内容を見て、あとで大いに疑問があるから伺いますが、それは出さない。それじゃ国会は何を調べるんだということになってくると私は思いますが、どうなんですか。たとえば、書類はお出しするわけにはいかぬが、この場だけでは見ていただいてけっこうであるとか、あるいは、委員会というものは本来秘密会が原則であります。しかし、慣習として皆さんが傍聴しておられるが、新聞記者諸君だけを入れて、あとオフレコにお願いするとか、あるいは発表してもらってもいいとか、書類は困るが、しかし口頭では詳細に説明するとか、幾らでも方法があるじゃないですか。書類は出さぬ、防衛計画抽象論、私に言わせれば、野党は一体どうすればいいのですか。国会技術のよし悪しを私は言っておるのじゃない。帝国憲法時代とちっとも変わらないというような形です。この間自民党の議員さんから、江崎さんですか、逆の面から社会党はもっと熱心にやれ、なぜ自衛のことについて逃げるのかというふうなごあいさつがあったが、調べようと思ったって出さないのだから、それでなぜやらぬのかというようなことを言われたってしょうがない。どうなんですか、この辺のところは。防衛庁としてはもっと積極的にお考えになってちっともかまわない。かまわないどころか、絶対必要だ。いまの自衛隊は、こんな形であると、はなはだ失礼だけれども、昔の平家の軍隊みたいなもので、社会党はまた源氏の軍隊をこしらえなければならぬ。なりますよ、概念的に。そんなものをつくるつもりは全然ありませんけれども、国論が二分というか、そういうようなことになって、そして、それは社会党が悪いのだ、悪いのだ。だって、調べようと思って出せと言ったって出さない。いまも伺ってみたら、防衛計画なんというのは非常に抽象論です。あんなものは旧帝国議会時代でも陸軍、海軍は出したでしょう。私は、これは非常にだれからも言われた問題ですから、念を押して言いたくないようなことなんですけれども、あまりに知恵がないじゃないかというふうに思うのであります。発表のしかたなりはいろいろとあろうと私は思います。大臣として、この三矢問題が起こりましてからあなたもたいへん御心労であったと思うが、そういう点に関する率直な見解を私はこの際伺っておきたいと思うのです。
  16. 小泉純也

    小泉国務大臣 私どもは、いままで、あくまでも国会にすべてにわたって詳細に御報告を申し上げ、国会の御審議をいただいて防衛計画を進めてきておるわけでございます。旧憲法時代あるいは旧軍時代と少しも変わらぬではないかというようなことでは決してないと私は考えております。十分に御説明も申し上げており、またことに与党野党の区別などは、前の時代にももちろんあったわけでございませんし、私が長官になりましてからもそういうことは何一つあるわけではございませんし、また私どもは、与党にはこういう内容を申し上げるけれども野党の方にはこういう程度しか申し上げない、そういうことは夢にも考えたことはございませんで、これは全く国会というものを中心にして、詳細にわたって予算等も御審議をお願いをしておるわけでございますから、旧軍時代、旧憲法時と全く根本的に違っておる。また違っていなければ民主主義体制下防衛ではないのでございまして、ぜひその点の御理解をいただきたいと思うのでございます。  それに関連をいたしまして、三矢研究文書資料としての御要求に応ずるわけにいかないで出さなかったということと結びつけて、何もかも防衛の問題を秘密にしておるというようなことはないのでございまして、この三矢研究文書というものは、もうたびたび申し上げましたとおり、防衛計画でもないし、また防衛庁責任を持って決裁をした書類でもない、いわゆる幕僚作戦研究、勉強の成果でございますので、これは防衛庁責任を持って国会に提出すべき資料ではないという見地から御提出申し上げなかったわけでございますので、これを提出しなかったから何もかも秘密にしておるという誤解はぜひ解いていただきたいと私は考えるわけでございます。三矢研究文書につきましても、これはたびたび申し上げておりますとおり、われわれはこれで十分であったとはもちろん考えておりません。今後用語その他研究の課題、設問の出し方等につきましても十分反省をし、検討していかなければならない。また長官はじめ内局のそれぞれの責任者が、細部にわたって、こういう図上研究実態についても十分緊密な連絡をとり、また長官実態を把握してその十分な指導もしなければならないということを私はたびたび率直に申し上げておるわけでございまして、その後注意をいたして、いろんな会議にも長官ができるだけ出席をして、幕僚諸君とも意見を交換していくというようなことに現に私はいたしておるわけでございまして、これを契機として、われわれ反省すべき点は大いに反省をし、改善をしていかなければならない点は改善をしてまいっておるつもりでございまして、この文章そのもので、防衛庁が何事も国会秘密にしているというようなことはないのでございまするのでその点はどうぞ御了承いただきたいと存じます。
  17. 中井徳次郎

    中井委員 そんな御答弁をいただくと、入口で簡単にと思ったんだが、そういうわけにいかぬが、それでは旧憲法時代と大いに違うというのはどこが違うのか、具体的に……。
  18. 小泉純也

    小泉国務大臣 私も戦前代議士を十年間ほどつとめて経験があるのでございますが、前は全くいま中井委員が申されたとおり、陸海軍それぞれの政府委員の方が来られまして、簡単な説明でほとんど終わり。もしいろんな質問があれば、いわゆる軍の秘密というようなことでほとんど拒否されておったというような実情でございますが、もういまの防衛というものは、全くガラス張りの中で行なわれておる。予算についても細部にわたって御説明を申し上げ、いろいろな質問に対しましても十分お答えをして、もう旧軍時代、旧憲法時代と全く天地の相違があるぐらいに私は考えておるわけでございます。
  19. 中井徳次郎

    中井委員 具体的にそれはどこが違うのかと私は言っている。親切丁寧に答えたとか、はいお答えします、黙れと言わぬとか、そんなことと違います。具体的にどういうところが違うか。ただ丁寧に答えるだけ、時間がかかるだけ、しかし内容は同じ。大体なんでしょう、作戦関係とか軍の実際の動きとかいうもの、軍事という面について、ここ二十年間、それはもう与党の独裁みたいな形であったからということもありましょうけれども、ほとんど論じられておらぬじゃありませんか、実際問題として。たまたまこういう三矢研究の問題が具体的に出てきて、それが正しいかどうか、こういうことは現実にあり得るかどうか、あるとして、こんなまずいことでいいのかどうかということになってくると資料を出さないと、こう言う。ここに元外務大臣もおられるが、外交と軍事は、総合的に判断して、日本はそういう意味において非常な欠陥があるといわれておる、そういうことで私はお尋ねをしておるんだ。そうするとベ-ルをかぶせる。旧軍時代と、旧憲法時代と実際は変わらない。どうなんだということに入ろうとすると、それは軍の秘密だ、作戦だというふうなことになる。毎年の年度計画も出さない。この間からたびたび海原君が言うておるが、なぜ出さない。それを踏んまえて政治をやる者は考えていかにゃいかぬ。ベトナム問題等世界動乱の徴ありといわれておる今日、見方は違う、立場は違う、しかし同じ日本国の将来というものを考えての政治家としての判断の材料を与えない。どうして判断できる。違うといえばどこが天地ほど違うのか、具体的に十ほどあげてください。こういうところが違う、こういうところが違うと言って、われわれは自衛隊を見に行くと言ったら、それは案内しますというかもしれません。そういうところが違っているかもしれませんが、総合的に、ことし日本はどうだ、どうなるかというふうなことを四百六十七人の政治家はあまり知らぬ。ごく一部の人が知っている。これは失礼だけれども、特に与党も非常に怠慢だと思うのだ。非常に偸安の夢だな。そういうことについてもっと突っ込んで議論をする。そうして議論の場は、先ほど言いましたようにいろいろな形が考えられるわけです。書類を出すか、出しません。そんな簡単なことでいいのかどうか。小泉さん、大いに違っているならどういうところが違っているのか、こまかいおじぎのしかたとか、そんなことじゃありませんぞ、それをひとつお尋ねいたします。どういうところが違うか。
  20. 小泉純也

    小泉国務大臣 これはどなたも御理解いただくと思うのですけれども、旧軍時代は、いまの自衛隊になりましてからみたような詳細な予算面説明があったことも、私はいまだかつて聞いておりませんし、質問等にあたりましても、もう兵器のことから何から細部にわたって質問応答が繰り返される、こういう状況は一日もなかったのでございます。もうほとんど国会の空気というものは、陸海軍に対しましては、兵器とか、予算面の小さい質問はむしろしないのがあたりまえだというような空気であったことは、中井委員も私は御承知だろうと思うのでございまして、どこがどう違っているかと言われますと、全体にわたって私はもう大きな違い、があったというふうに考えているわけでございます。
  21. 中井徳次郎

    中井委員 よくわかりました、小泉さんの考え方が。しかし、私はちっとも違っていないと思うのです。いまのこの審議の状況を見ますと、私も専門ではありませんから、名前が間違うかもしれませんが、ナイキがどうやったらとか、サブロックがどうやったら、潜水艦がどうやったら、そういうことばかり言うておりますが、肝心の総合的な判断についての議論がちっとも行なわれないし、行なう材料がないのです。それではただ予算審議ですよ。今度五台何やら買います、何やらF104戦闘機二十台買います、どっちのほうが速いかおそいかというふうなことばかり言って、何か新聞や雑誌に書いてあることを質問して、それに答えておる。しかし、日本はどうなるのだ、日本自衛は、というふうなことについての材料がないから与党委員だって聞けない。私はもうこれくらいにして、これは研究してもらいたい。こんなことじゃだめです。よくひとつその方法その他について、これは委員長にも私は申し上げておきたいと思うのです。この三矢問題小委員会の一つの私はねらいといいますか、この間から承っておりまする一つの結論として、こんな形ではいけないということを私は申し上げておきたいと思います。  それで次に入りますが、私は皆さんがそこで書類を出さないというものであるから、三矢研究についてという、こういうパンフレットを拝見をいたしました。そういたしますると、一、二疑問の点がございまするので、一、二どころじゃない、たくさんあるのですけれども、まずお尋ねしたいのだが、この二ページの「年度統合防衛計画そのものとはこれは全く別個のものである。」というふうな言いのがれをしておる。こんなものはだめじゃありませんか。こんなものは関係あるにきまっておる。そういうふうな言いのがれの回答。それから「この研究は、昭和三十八年二月一日から六月三十日に至る間、」と、こうはっきり書いてある。三ページにございますね。五ヵ月ですか、二、三、四、五、六、五ヵ月間五十数名の日本防衛の頂点にある諸君が研究をして、それは単なる研究であって、大臣がよく知らぬ、まああとでちょっと口頭で報告を聞いた、こういうふうなこの間からの御報告であったが、ぼくら聞いた話によると、当時の大臣の志賀さんが、御苦労であったと言うて金一封を出したとか出さぬとかいう話まで聞いておる。まあそんなことはよろしいが、そうして五ヵ月もこうやって、その内容ですね。冒頭申し上げたように私はしろうとでございます。しろうととしてずっと拝見すると、四ページに「遂に西日本方面に対する武力侵攻が開始され、」こうあります。その前にいろいろなことが書いてあるが、自衛隊というのはセルフ・ディフェンス、フォ-セスなんでありますから、表に出す文書としては、武力侵略が開始されたところから始めるのが筋じゃないか、いかがですか。この点非常に素朴な質問ですけれども、開始されてから立ち上がる。世界の情勢をずっとこう書いて、それが間違うておるわけですから、これはあとで申し上げますけれども自衛隊としては、武力侵略が開始されてから、いつ何日北九州地方に某国の飛行機が何台か飛んできて爆弾を投下をした、そこで調べてみるとこうこうである、こういう形で書くのが筋じゃないか。そういうふうに書くのと、いまのようにアメリカと一緒になって大きなことをずっと書くのと実質的に変わらない。変わらないどころか、私はそれのほうが実はいい、結論としてあとで申し上げるが、そう考えておる。なぜそんなふうにいろいろと前提条件を考えるのですか、これをちょっとお尋ねしたい。
  22. 海原治

    海原政府委員 ただいま先生が、武力の行動が開始されてからのことを考えればいいじゃないか、こういうお立場での御質問がございましたが、私ども研究をいたします場合には、ただいまおっしゃいましたようなことも一つの場合として考えることはございます。ちょうど日本が真珠湾を急襲しましたように、某日突然日本が急襲される、これはあり得るわけです。その場合にどうするかということは当然研究しなければなりません。と同時に、そういうことばかりが過去の例ではございません。やはり世界情勢というものがどこからか悪くなってくる。それが日本の周辺に及んでくる。それが逐次武力侵攻になる。こういうふうに変わってくる場合もあるわけでございます。私どもとしましては、国の安全と秩序の維持のための責任を持っております。万一の場合を考えていろいろと勉強せねばなりません。その万一の場合を単一の事態に想定するわけにはまいりません。したがいまして、いろいろな場合を考えましての研究を行なわねばならないということは先生も御了解いただけると思うわけでございます。たまたまこの三矢研究の場合には、先般も御説明申し上げましたが、私どもは朝鮮事変というものを目の前に体験いたしております。そこで、そういう朝鮮事変というものを体験した私どもといたしましては、そういう場合の例を頭に描きながら具体的な例として考えることが研究者の勉強に便利であるので、たまたまそういう例をとったわけでございます。三矢研究の場合にはそういう想定を考えた。先生のおっしゃいますようなことにつきましても、私どもは当然勉強しなければならない、こういうふうに考えております。
  23. 中井徳次郎

    中井委員 私が言いますのはたいへん形式論であるかもしれません。しかし自衛隊としてあります限りは、世界の形勢が、あっはこうで、こっちはこうで、こうならねばならぬとか、こうなるであろうとかいろいろなことを想定して、ああすればこうするとかいうことよりも、現実に国を守るわけでありますから、海外派兵をするわけでもなし、他国を攻撃するわけではないのでありますから、攻められてから立ち上がるという形が非常にすなおでないか。攻められてからではおそいと考えること自体が非常に問題があるのではないか。この想定をずっと見ますと、たとえば七ページに「本来、想定として示すべきものを、問題の形で研究員に解答させ、」とあります。「これをそのまま想定として、次の問題に進んだ」ので誤解を招いた、こうある。これは、いまの海原さんのような頭だからこういうことになっていくのだ。いかがですか。その辺の私が言うておりますようなことは、書類として残しますときには、自衛隊であるのですから武力侵略がありましてからのことを書いて残しておく、これがほんとうじゃないですか、長官どうです。
  24. 海原治

    海原政府委員 私の先ほどの説明が不十分でありましたので、補足させていただきますが、先生は、武力攻撃を受けてから立ち上がる場合とあらかじめ準備する場合と実態には違いないじゃないかということを先ほどおっしゃったように思うわけでありますが、実は自衛隊にとりましては違うわけでございます。と申しますことは、隊員の状況にいたしましても、あるいは弾薬の状況等にいたしましても、たとえばあした敵から攻撃されるということを考えます場合には、隊員の配置変更の問題、あるいは弾薬の分配状況、みな違うわけでございます。いま現在の状況におきましては、あした日本がどこからか襲撃されるということを考えておりません場合には、学校に隊員を入れておりますし、飛行機の稼働状況等につきましても、いわば平時の状態において準備をしておるわけです。ところがいよいよあしたどこからかやられるということになりますと、まず自衛隊といたしましては、たまの手当てをしなければならぬ。たまを運ぶための飛行機であるとか、砲であるとか、そういうものも準備しなければなりません。したがいまして、いきなり全然予告なしに、何らの前兆なしに、前ぶれなしに襲撃を受けた場合の自衛隊の行動というものと、ある程度の余裕期間のありました場合の自衛隊の行動というものは、そこに非常に違ってくるわけでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、私どもは両方の場合に備えていろいろ勉強しなければならない、これは事実でございます。先生のおっしゃいますような、いきなり武力行動が始まった場合についても、私どもは勉強をし、準備をしなければならないわけでございますが、たまたま三矢研究におきましては、先ほど申しましたようなことで想定が進められた、こういうことでございますので、ひとつ内容的に非常に差異があるという点をぜひ御認識いただきまして私の考えをお聞きいただきたい、このように思います。
  25. 中井徳次郎

    中井委員 内容的に差異があるということは私もわからぬわけではありません。にもかかわらずそれは避くべきではないか。岡田君がこの間暴露しましたこの文書、私は二ヵ月ほど前にも申し上げたが、岡田君さえ手に入るのですから、これはもうみんなの手に入っていますよ、いわゆる専門家には、全世界の手に入っておる、日本はこんなことを考えておるじゃないかということになるわけです。私どもは攻撃されたら初めて立ち上がる、これが自衛です。攻撃されて初めて立ち上がる、この姿を自衛隊基本の姿として持つべきではないか。そのために一時間かかるとか、どこからたまを運ぶのに一日かかるとか、そういうことはやむを得ない。交戦権は持っておらぬのです。自衛権のみあるのです。自衛隊としてはやむを得ない。先制攻撃しなければ勝てぬというのは旧思想。民主主義というものは、国民の皆さんがほんとうにこれじゃたまらぬと、いかりを発して、ともに手をつないで国を防ぐということでないと、国民はちっとも知らぬうちに興奮しちゃってやる。この三矢研究に内蔵しております思想は全部それですね、私の言う逆の。万全を期して大手抜かり。相変わらず日本はこんなことを考えておる。海原君の言うこと、私はわかりますよ。それは少しでも犠牲を少なくする。しかしそんなことは、いまの憲法上のたてまえ、あるいは自衛隊の性格からいってやむを得ない、えらい冷酷なことを言うようですけれども。そして立ち上がるというのでないと筋が通らぬじゃありませんか。そうなればなかなか攻めてこないということ。いかがです。この辺のところ、ぬけぬけと、もう当然のことのようにして書いてありまするから、私は非常にぴんとくるのです。いかがですか。もう一度、大臣、この辺のところをひとつ……。
  26. 小泉純也

    小泉国務大臣 中井委員が申されますとおり、わが自衛隊防衛任務に専念すべきものでありますので、先制攻撃などがあってはならないのでございますし、また現在のわれわれ自衛隊として、先制攻撃なんかは毛頭考えておらないのでございます。あくまでも防衛任務に終始すべきであります。ただ御承知のように、自衛隊法にもございますとおり、出動待機というようなこともございますので、あくまでも防衛でいかなくちゃならないのでございまするが、あらかじめ想定される侵略等に備えて待機するというようなことは、やはり防衛の一つの任務を達成する大きなワク内のできごととして研究をする。こういう三矢研究等におきましてそういう点が研究されたことは当然のことでありまして、心持ちの上において、基本的な観念の中において、進んで攻撃をするというようなことはないのでございまして、考え方の基本といたしましては、私も中井委員の申されることに全く同感でございます。ただこの三矢研究は、先ほども申し上げておりますとおり、幕僚の想定に基づく研究でございまするので、まあ出動待機というような考え方から、防衛任務を完遂する上においてこういうところにまで研究が及んでおるのでございます。これがあるからといって先制攻撃をかける考え方をしておるとかなんとかということではないのでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  27. 中井徳次郎

    中井委員 海原さんもいまの長官も、実態というものと、それから私の言うていることとは非常に遊離しているように聞き取っておられるが、そうじゃありません。こういうものこそ遊離しておるのだ。初めから調子に乗って攻めてくるだろうなんといって、そして七ページには、「たとえば、いわゆる総動員体制については、有事にあっては国家の一致した体制がとられるであろうと想定して、」いると、かってに書いてあるのです。こんなもの、何ヵ月もかかりますよ。いわんや実際問題を想定いたしましても、いまの日本の国民に、法律をつくろうが何つくろうが、青年たちに赤紙百枚出して百人来ますか。その認識が政治家の、政治をするものの最も基本的な問題だ。若者はひきょうだから来ないんじゃないのですよ。納得しないと来ないのですよ。こんな計画で、そしてずっと前からどこの国はどうしたこうしたというようなことを書いて、そして攻めてきたら、今度はすぐに体制ができる。とんでもないことだ。そこで私は、こういう計画を立てる人の頭が第一間違うておる、やられてからの計画にしなさい。それから艱難辛苦をして、そうして国論をまとめてもらうことにだんだんなるのでしょう。初めからまとまるようにきまったようなことを書いておる、非常に独断に満ちたものだと私は思うのです。だからそんなものは、そんな先のことを考えたり、あり得ることを考えて部隊をどうこうするというふうなことは、あとのほうがいいのです。やられてから立ち上がるというのは民主国家の基本の立場です。黄海海戦や真珠湾攻撃は天皇制のもとにおいて初めてできる、統帥権独立のもとにおいて初めてできるので、いまの日本ではそんなものは絶対できやせぬですよ。そういう思想、あなた方がやるとかやらぬとかいうのじゃないですよ、そういう思想をひっくり返さないことには自衛はできないということをぼくは言っているのだ、あなた方は相変らず前からこれで想定をしてやるとかなんとか、そんなものはいよいよ爆弾が落ちた、それからぼつぼつどうだということになるでしょう。そこで外交と軍事との相関関係なり国内政治との相関関係がいろいろ問題になって、それに報道機関の統制をやる、統制どころか報道機関を大いに自由にさして、言論も自由にさして、それで初めて立ち上がるというのが民主国家である。その基本を聞違えておる。私はこういう計画をした人と一人でもいいから討論をしたいです。そしてみんなやめてもらう、そういう民主主義がわからぬような人は。どうです。そういう意味でぼくはとぼけたような質問をしました。武力侵略が開始されてからの計画を立てなさいというその思想は、そういうことであります。それは皆さん海外へ旅行なさったり、御見物なさったりすることはけっこうでしょう。しかし、自衛隊文書としてそんなものは残すべきではない。これは、あなた方の説明海原さんがお書きになったんでしょう。皆さんでお書きになったこの説明拝見しても、なおかつ私はそれを思いまするから申し上げておるのです。いかがですか、こういう考え方については。
  28. 海原治

    海原政府委員 先ほども私からお答え申しましたように、先生のおっしゃっておりますような考え方は確かに一つの大事な点でございます。(中井委員「一つじゃない、基本だ」と呼ぶ)基本的な考え方でございますので、私どもはそういう点も考えておるということを申し上げた次第でございますが、なお私、防衛局長として大臣を補佐する立場でございますので、よく考えてみたいと思います。
  29. 中井徳次郎

    中井委員 がんこな海原君まで考えてみたいと言ったんですから、ひとつ大臣、それは実際国の政策として、大きな観点から見て、自衛隊というものの立場から見て、やはり私は譲るべきところは大いに譲らなければならぬし、しんぼうすべきところはしんぼうしなければならぬ。そうして、交戦権を持たぬのですから、いかにすれば日本国の安全をはかれるかというそういう思想的な、理念的なものから出発して、それがずっと自衛隊の中に入って思想になっておらないことには、さあいざ始まったというようなことになったら逃げてしまいますよ、月給取りの集団みたいになりますよ。これはちょっと言い過ぎた点もあったかと思いまするけれども、申し上げておきたいと思って……。  最後に、最後というのはこの書類に対するものです。シビリアン・コントロールについての考え方です。まだまだあるのです。これなんかもるる書いてありますが、シビリアンコントロールというのは、要するに国民がコントロールすることでございましょう。そうしてその国民の代表であります――いろいろな分子も入っておるのでありましょう。ありましょうが、ともかく国会がコントロールするということでありまして、防衛庁の中の文官がコントロールしたり、それも入らぬわけではありませんでしょうけれども、悪口を言わしてもらえば、官僚御出身の人がコントロールして、それでシビリアンコントロールということではないと私は思うのです。だから、そういう面でもう少し謙虚なお考えをぜひお願いをしておきたいのです。  それで、防衛庁出しました図上研究についての説明書拝見してお尋ねしたいことは一応おきまして、今度は同僚の岡田議員が手に入れられましたものにつきまして、私は先ほどの立場から二、三お尋ねをしたいが、この岡田君の文書の五ページに間接侵略ということが書いてある。この間接侵略とは何ぞや。これは保安隊ができたり、初めていろいろなものができましたときからもう十数年たっておりますが、いまの日本で武力による間接侵略なんということが考えられますか。これを防衛庁長官お尋ねいたします。
  30. 麻生茂

    ○麻生政府委員 それでは長官からお答えになります前に、私から自衛隊法で間接侵略というのは何を考えているかということをお答えいたします。  自衛隊法で申しておりますところの間接侵略につきましては、従来政府といたしましては、旧安保条約にこういう表現があったわけであります。  一または二以上の外国の教唆または干渉による大規模な内乱または騒擾という表現があったわけでございますが、このことばに該当するようなものを自衛隊法にいう間接侵略ということで理解をしてきておるわけでございます。
  31. 中井徳次郎

    中井委員 内乱または騒擾ということでありまして、いろいろな事件もあったでしょうけれども、実際は警察力で全部過去におきましてはかっこうがついておるわけでございまして、自衛隊がそんなことで一度も出たわけではない。あれからさらに十数年たっておりますから、いわば武力による間接侵略なんというものはないと思う。なぜ大胆にそういうふうなかっこうを打ち出さないのか。「七月上旬以来の朝鮮総連、安保反対国民会議下の対象勢力の大胆な行動、あるいは中共の日本革命指令書押収事件、日共朝鮮総連の軍事組織の存在等からみて国内革命勢力の動向は容易ならざるものがあり、暴力革命を企図しているものと判断される。」どうですか、いまの世界情勢から見て、日本の国内の治安状況から見て、私はこういうようなことはどうも信じられないのです。中国では日支事変等におきまして共産党が延安にこもる、あるいは内乱が起こりまして、国民党と十数年の争いがあって、そこへ日本がちょっかいを入れるというようなことの中で、長征等がありまして延安等にこもる、ああいうことは日本に考えられますか。長野県にこもるとか、北海道にこもるとか、四国の山の中とか、赤城の国定忠治じゃあるまいし、そんなものは近代国家になっております日本としてあり得ない。こういうことをやること自体がかえってけんかをしかけておるような印象さえ私は実は受ける。どうです。こういう思想だからわれわれに向かっても書類を出さない。向こうに行っちゃったら困ると言うけれども、もう先にちゃんと行っているんだ。長官、どうですか。
  32. 小泉純也

    小泉国務大臣 世の中のできごとは何人も絶対にないと断言はできるものではございませんけれども、私も中井委員が申されますとおり、いまの日本の現状において武力による間接侵略などがあろうとは考えません。また、あってはならないことであると考えております。いま御指摘のような、この三矢文書において朝鮮総連とかなんとかいういろいろな固有名詞等をあげたことは、たびたび申し上げますとおり不穏当、不適当であった、こういうふうにお答え申し上げておるわけでございまして、全体を通じては、設問の出し方または回答等においても不適当や不穏当なこともあったということをわれわれは反省をいたしておるわけでございまして、その点の考え方においては、中井委員のお考えと私も同様でございます。
  33. 中井徳次郎

    中井委員 初めて同感の御回答を得たわけでありますが、追い打ちをかけるようで申しわけないですが、とにかくこういう考え方をしておるような人たちがいままだ自衛隊中心におるということは、私は労多くして功少ないというか、非常にどうも時代おくれで、勉強が足りないというか、寒々とした、何をしておるのだというような感じを持ちますので、この点についてはもっと深く、私に言わすと研究するなというのではなくて、もっと深く判断をされたい。こんなことは起こりません。起こすようなばかは私はあまりないと実は判断しておる、日本みたいなところで。それだけの民主国家としての日本のあり方――昔なら知りませんよ。いまほそんなことをしなくても、どこへ行ってもビラを張ったり演説したり、何でもできるのですから、武力による間接侵略、そういうことは私はどうもわかりません。  そこで、次に直接侵略のほうを拝見していきますと、こういうことが書いてあります。五ページの終わりのほうでありますが、「中共および北鮮のみをもってしては本格的海上作戦は困難で主として西日本海域中心の小規模のものとなろう。」したがってこれが実施にあたってはソ連の介入が必要である、ソ連が介入した場合にはいろいろなことが起こる、こう書いてある。そういたしますと、あとに出てきますが、空爆はあると書いてある。ありますが、海上作戦というふうなのは困難だ、敵は弱い、よう来やせぬとちゃんと書いてある。どうもこういうものをずっと見ますと、アメリカさんとなぜ一緒に防がねばならぬのだという感じを私は持つのです。非常に持ちます、これをずっと読みますと。アメリカの基地が日本にたくさんありますから問題が起こるのだという感じを持ちます。特に六ページの六行目に、「それ故、対馬、津軽、および宗谷三海峡の封鎖は、日米両国にとって重大な問題となるであろう。」こういうふうなことを書いてありますが、これはどういう意味ですか。
  34. 海原治

    海原政府委員 初めにお断わり申し上げたいと存じますのは、これはあくまで、従来申し上げておりますように、この研究を行なった幕僚の想定でございますので、しかも大臣からもたびたび申し上げておりますように、ことばその他きわめて未熟なものがあり、それがどういうことであるかということになりますと、先般、私ならこうは書かないということを申し上げたこともございます。ただいま先生がお読みになりました文書につきましても、たとえば特定の国の名前、すなわち中共と北鮮が出ておりまして、この二つの国では、本格的な海上作戦実施は困難ということばの意味がよくわかりません。ただ中共と北鮮の現在の海軍の兵力から見て、それが困難だということを前提にした海上作戦は何かと逆に考えてみますと、これは従来のように、船団を組んでこれを護衛する護衛部隊がついている、こういうことをいうのかとも思います。しかし海上作戦というのは、何もそればかりではございませんし、潜水艦によりますところの海上作戦というものは、たいへんに本格的なものでございます。そうなりますと、中共にはいま二十九隻、三十隻等の潜水艦もあるわけでございますから、中共ではできないんだという評価は、これは私はおかしいと思う。と同時に、それをやるためには、どうしてもソ連が入ってくるんだという考え方もおかしいわけであります。したがいまして、これは答案を書いた人がそう考えたということでごさいますから、したがって、これはどういう意味だということを政府委員である私どもにお聞きになりましても、これは責任を持ってお答えできないのであります。それゆえにこそ、国会のほうに資料として提出できないということを申し上げておきます。ただ日本防衛ということを考えます場合に、日本は対馬、津軽、宗谷という三つの海峡をもって隔てられまして、ほかの国と分かれておりますので、こういう海峡の防備ということはきわめて重要なことである、これは軍事的な常識としていえることかと存じます。その程度のことであります。
  35. 中井徳次郎

    中井委員 長官、御感想はありませんか。
  36. 小泉純也

    小泉国務大臣 私も前提として、この三矢文書というものが、たびたび申し上げておりますとおり、冒頭から正式の防衛庁見解でもなく、決定したものではございませんので、一幕僚のいわゆる想定に基づく研究ということで、いろいろ私ども拝見しましても、どうしてこういうことを書いたんだろうかとわからない点が多々あるのでありまして、いまの問題につきましても、防衛局長申しますとおり、実態の把握についても、また想定そのものの考え方が理解できないというような未熟なものもあるわけでございまして、この三矢研究文書というものはあくまでもそういうものであるということで、ひとつ御了解をいただきたいのでございます。
  37. 中井徳次郎

    中井委員 この三矢研究につきまして、私ども言っておりまするのは、あなた方の答弁と筋かいになって困るんだが、あなた方の、用語の選択とか文章の表現に誤解を招く個所がございます、これは、冒頭の私ども同僚委員説明と違いまして、一応これを私はきょうは認めておる。認めておった中で、内容を私はちょっと……。認めておるというのは、あなた方の言うことは、それはそれとして聞いておる。内容を聞いておるんだ、内容を。そうすると、案外正直な面があるわけですね。中国や北朝鮮は海軍はあまり強くないのであるし、はっきり言うと、大体中国民族は船に乗ったことのない人、ばかりです。大連に来て、大きな川じゃなと言ったというのですからね。川は揚子江あれ一本だと思っておるというふうなことで、よほどのことのない限りは船に乗って日本を攻めていくなんて、二千年の長い、歴史の間で、元寇以来ないでしょう。それも、あれはシナ民族ではありません。あれは蒙古族です。ここにはしなくもそういうことが出ている。そんなものはなかなか日本に攻めてきやしませんよ。そういうようなことについて、私はかってな放言のように言いますけれども、これはやはり歴史的な事実、現在の兵器関係その他から考えて私はこないと思う。それで、こう読んでいってはっと思いましたのは、対馬、津軽、宗谷、これは何ですか。日本と中共あるいは北鮮と事があるとすれば、こんな海峡が何で必要ですか。すぐに九州へ行き、能登半島へ行き、新潟へ行って――これはアメリカとの関係だから必要なんです。それを回って東京へ出てくるという議論もありましょう。それから瀬戸内海へ入ってくるという議論もありましょうけれども、根本はやはりアメリカとの共同作戦だから、これは必要になってくる。単独ならこんな必要はないと言うのです。それは憎まれ口は言いますし、口は悪いし、いまも世界中は毎日宣伝戦をやっておりますが、しかし、現実にそれでは戦闘行為にどうするかというようなことのときに、ぼくはこれを読んで、ああ語るに落ちて、やはりその程度のことはもうちゃんとわかっておるというふうに思うのです。  そこで、この三矢作戦の全体をずっと見ますと、たとえばそれからあとにもあるのですが、「現在の中共および北鮮の能力から直らに日本に対し本格的上着陸作戦実施することは困難であろうから、当面、間接侵略あるいは海空攻撃と関連し、西日本方面とくに離島に対し潜入し、あるいは小規模コマンド作戦が予想される。」こういうことを書いてあるのです。ソ連が介入した場合にはどうこう、こうこう。それも、しかし北日本方面に対しては一ヵ月、西日本方面に対しては四ヵ月ぐらいあとになる。ソ連が参画してもそうなる。こういうふうに書いてあるのですから、全体の空気といたしまして――私は冒頭申し上げたように、軍事の問題についてはしろうとでありますが、ずっと読みましての印象といたしましては、これはやはり安保条約があるので、逆にどうも日本が足かせ手かせみたいなことになって、心配せぬでもいいことを心配して一緒にやらなければならぬ。こういうふうな形を非常に感じるわけでございます。いまの外交上の関連からいきましてどうでございますか。中国とソ連の仲はいまあれだけ隔たりがあります。そういう中でどうなりましょうか。そういうことを考えますと、この研究も、それはけっこうでありますが、皆さんにおかれまして安保条約防衛関係について――終戦の講和条約を結びまするとき、その他いろいろ事情があったでありましょうが、私ども社会党は反対をいたしました。いたしましたが、今日、この作戦研究を見ましても、外交だけではない、軍事的立場からちょっとべっ見しただけで、どうやら逆に重荷になっておりゃせぬかというふうなことを私は感じましたが、いかがでございますか。
  38. 小泉純也

    小泉国務大臣 安保条約があるいは防衛任務に従事しておりまする自衛隊の重荷になっておるというようなことはございません。むしろ逆に、やはり私は本国会においての質問に対しましても、いまの陸海空の自衛隊日本の防備は万全であると思うかという御質問に答えまして、日本の陸海空三自衛隊も年々整備充実の一途をたどっておるけれども自衛隊だけでは日本防衛が万全であるとは考えられない、やはり安保条約による在日米軍の協力ということによって、自分らは一応の安心をしておるのであるというお答えを私はしたことがあったのでございますが、さようなふうにやはり考えておりますので、いま中井委員が申されるような重荷というようなことは考えておりません。わが政府方針といたしましても、安保条約を堅持して、日本の安全、平和の確保ということに進んでいかなければならぬというのが、政府の堅持しておる方針でもございまするので、もちろん防衛庁当局、自衛隊においては、その方針を堅持して進んでおるわけでございます。
  39. 中井徳次郎

    中井委員 あなたは重荷になっていないと言うが、実際の作戦を見ると、中共及び北鮮のみをもってしては本格的海上作戦は困難である。アメリカがおるとかなんとかということと関係ない。非常に困難であると書いてある。それからこっちはどこを守るのだ、津軽、対馬、宗谷を守る。能登半島やら隠岐の島やら新潟やら秋田はどうするのか。あなたは重荷になっていないと言うが、そういうところを守らなければならぬということはどうも重荷ですね。どうなんですか。ここにちゃんと書いてあるのだ。とにかくアメリカがいやはるから、これはたいしたことない、来やせぬというふうな思想がずっとある。核の持ち込みどうこうと言ったって、それは日本だけなら日本に核なんてだれも落としゃしません。  そこで、まあこの点はあなた方と私ども議論の根本が違うところでありますが、一つだけきょう私はお尋ねをしたいのは、皆さん安保条約が終了したあとでどういう計画を立てるか、終了後のことについて研究をなさったことがありますか。
  40. 海原治

    海原政府委員 研究したことはございません。
  41. 中井徳次郎

    中井委員 そういうことは非常に困るじゃありませんか。どうですか。一九七〇年、昭和四十五年には、いまの三矢問題は仮想の問題ですが、これは現実にくるのですよ。なぜ研究しないのですか。
  42. 小泉純也

    小泉国務大臣 安保条約決定というものは、これは国会の御審議を経て、いわゆる政府の最高方針となっておるのでございまして、私どもはこういう大方針が将来どうなるであろうというような予想をし、そういう想定のもとにまだ研究はいたしておらないのでございまして、またわれわれがそういうことを想定する立場でもないと考えておるわけでございます。  なおまた昭和四十五年には、安保条約の一応の期限がくると申されることはそのとおりでございますが、これは安保条約のたてまえからいたしまして、期限がきたからこれが廃止などというべきものではないし、その時点においてて政府が考え、国会において決定されることでありまするので、私どもは、現在のところはやはり安保条約が存在をしておる、これが堅持されることが政府方針であるというこの方針にのっとって、防衛任務に万全を期しておるようなわけでございます。
  43. 中井徳次郎

    中井委員 そんなら安保条約を読んでみますよ。安保条約の第十条「この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を免じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。もっとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、」こうあるわけですね。五年後に必ずこういう時点がくるのですね。これは必ずくる。通告することができる時点がくる。それを日本国政府機関でありまする自衛隊が、五年後にくることについて全然研究しないで、この三矢研究みたいなことばかりやっている。これはおかしいじゃありませんか。そういう場合に、たとえばいまの自民党といえども安保条約を破棄をしても日本国を守れるという判断をしても、それでも政府安保条約を結ぶのですか。自民党に対しても諸君は資料を出さねばいかぬでしょう、どうなんですか。自民党の諸君は、自衛隊が国を守れるようになっておっても安保条約を続けるのですか。続ける必要がないでしょう。安保条約昭和四十五年に問題になる最も基本的な問題は、自衛隊がまず国を守れるか守れぬかということではないのでしょうか。自民党自体としてもそうじゃないのでしょうか。それをかってに、私に言わすとあなた方はかってに、安保条約をまだまだ続くと考えている。社会党が百名ふえたらどうするんです。あと二回選挙がありますよ。社会党がふえなくても、公明党もふえる、民社党もふえる。こんなことはないことでは絶対ありませんよ。最近の腐敗した政界の状況を見なさい。それをあなた方研究してないのですか。まことに怠慢じゃありませんか。(「自民党がふえたらどうするんだ」と呼ぶ者あり)自民党がふえて、おれらは独力で国を守るのだ、守れるかどうか、はいこれから研究します、そんな自衛隊じゃいかんでしょう。私はそういう言いのがれ、まだやったことはありませんなんて、それは君、聞こえませんよだ。幾らシビリアンといえども、それこそ国を守ることは制服にまかせておけ、おれらは判を押しておればいい、それです、その思想です。だめですよ。なぜ調べないのです。なぜいまから研究しないのですか。いまは二十四万おるのでしょう。二十四万おったら、昭和四十五年になったらみずからの手で自衛隊が守るのだなんといったら、欠員なんかできやしませんよ。逆にたくさん志願者が出てくるかもしれぬ。私は、こういうことについてもっと大胆に、すなおに皆さんが行動されていいんじゃないか。社会党が天下をとったときにどうするんです皆さん。どうして調べないのですか。これまた、それは非常にうかつでごさいました、今後早急に調べます――たとえば私が要求したいのは、少なくとも一年以内に研究の成果を国会出してもらいたい、それは、安保条約に対するもっと基本的な立場だ、それを忘れている。国防会議でもどこでもいい、天下に公表すべきものを、やっておりませんというようなことはいけませんよ。いかがですか。
  44. 海原治

    海原政府委員 先ほど私から、日米安保条約という体制を前提にしない、いわゆる日本独力だけでの防衛体制についての研究はいたしておりませんと申し上げましたのは、事務当局の考えを申し上げた次第でございます。先生御存じのように、昭和三十二年五月二十日に国防基本方針というものがきめられております。この国防基本方針の第四号には「外部からの侵略に対しては、将来、国際連合が有効にこれを阻止する機能を果し得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する。」これが明瞭に日本国防方針としてきめられておるわけであります。したがいまして、私どもはこの方針に従って事務を行なっている次第でございます。  さらに安保条約が一応の期限が来る、そのあとはどうするかということにつきましては、私の記憶が正しければ、総理大臣からも、引き続きアメリカとの間の安全保障体制を継続していきたいという旨の御発言もございます。と申しますことは、私ども事務当局としましては、当然にアメリカとの安全保障体制を前提にものを考えていくべきであるというお示しがあるわけでございまして、これと異なる上からの指示がございません。したがいまして、そういう指示がない限りは、私どもとしてそういう研究はすべきでない、こういう考え方で研究いたしておりません。国防会議のほうでそのような研究をすべきであるという御決定がありました場合には、私どもも当然にそういう研究を行なうことになるかと考えますが、従来のところはそういう状況でございますので、私どもとしては研究いたしておらないということをお答えしたいと思います。
  45. 中井徳次郎

    中井委員 国防会議ではこの問題をどういうふうに扱っておりますか。
  46. 北村隆

    ○北村政府委員 国防会議基本方針に触れる問題は、私一人で申し上げられることではございませんので、これは十分上司の御方針も承って…。
  47. 中井徳次郎

    中井委員 ぼくがお尋ねしたいのは、国防会議においてそういうことの研究がなされるとか、研究をすべきだという判断をしたとか、そういうことはあったのかなかったのかということです。それをお尋ねしているのです。
  48. 北村隆

    ○北村政府委員 国防会議の事務局長といたしましては、まだそういう検討を加えておりません。
  49. 中井徳次郎

    中井委員 大臣、あなたのうしろにおる連中はいまのような答弁ですが、政治家たる防衛庁長官としてこの問題をどう考えておられますか。私は、やはり早急に研究をすべきものである、あなたの一存でいけなければ、国防会議の議に出してもいいと思うし、そういうことを秘密裏にやるということはいけない、もっと堂々とそういうことはやっていく、国民とともにそういうものを研究していく、突如出てきて云々じゃ間に合わない、そういうふうに思うのでお尋ねするのですが、先ほどからの答弁を聞いておって私案は非常に悲観をしました。しかし、それは事務当局の皆さんの御意見でありましょうから、政治家としての小泉さんの意見を何っておきたいと思います。
  50. 小泉純也

    小泉国務大臣 私ももちろん国務大臣であり、政治家でございまするが、防衛庁長官でございますので、やはり国防基本方針にのっとって防衛庁長官としての責任を果たしていくという立場にあるわけであります。それで、先ほど来申し上げましたとおり、内閣、国会方針というものが、現時点においてはやはり安保体制を堅持する今回の国会の総理大臣の施政方針の演説の中にも、たしか、この安保体制を堅持するという方針が示されておるのでございまして、私は国務大臣とし、防衛庁長官として、この内閣の最高方針にのっとってやっておるわけでございますから、いま当面、安保体制がいわゆる廃止された場合のことをばまだ研究をいたしておらないのでございます。まだそういう指示も受けておりませんし、そういう重大な問題については、当然防衛庁自衛隊の最高指揮官であり内閣の首班である総理大臣からの指示を待ってやるのが妥当であると考えておるものでございます。
  51. 中井徳次郎

    中井委員 小泉さんは政治家であると同時に忠良なる何か下僚という感じを持つのですが、いま、総理から指示がないということでありまするならば、前回の小委員会でも永末君から総理の出席の要求がありました。私も、この問題はやはりとくと総理に伺ってみたいと思いまするので、総理の出席を要求いたしたいと思います。やむを得ぬです。私は、こんな小委員会に総理を呼ぶということについてどうかなという気持ちもありますが、これは根本の問題です。  あなたは安保体制を堅持すると言う、堅持する前提は何ですか。国民として、その前提は堅持しないでいい、軍事的に必要ないという答えがもし出てくれば――それさえできないような、こういうことを思いますが、ないしょで調べているかと思ったら、ないしょでも調べてないというから、実にのんきですね。もう五年あと必ず来る問題でございますし、そうして失礼だけれども、先ほども江崎さんからお話があったが、自民党の得票は残念ながら五〇%を割っておるようなことになってきておるのです。われわれのほうも伸びたり縮んだりしておりますが、長期的観点をもって見れば伸びてきております。それをまじめに考え、真剣に両方でよく話し合って――きょう私朝日新聞を見たら、わが党はきのう大会をやって、その際委員長に対して三木幹事長から、共通の広場を持とうじゃないかという提案があったと出ている。私の質問もその一つだと私は思っている。四十五年にだって自衛できないとかってにきめちゃっているとは何と情けないことだ。武器がどうの、鉄砲のたまの口径がどうの、何のかんのといっているが、そんなことじゃなくて、もっと基本的な面で、私は日本自衛をいまやるためには、いまの自衛隊でいいか悪いか、どの程度手直ししたらできるのか、あるいは、私の判断ではもっと減らしてもできると実は思っています。これはしかしきょうは言いません。きょうは言いませんけれども、二十三万人も持って、アメリカさんがおるのでいつもけんかが起こりますというふうな形であるなら、なぜ研究なさらぬか。あなたが研究せぬと言うならば、研究さすように私は総理大臣に直接質問をいたしまするから、そういう意味で総理への質問を保留いたしまして、ちょうど十二時でございまするから、きょうはこの程度にいたしておきます。
  52. 松野頼三

    松野委員長 本日はこれにて散会いたします。    正午散会