運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-04-14 第48回国会 衆議院 文教委員会学校警備員小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月十四日(水曜日)    午後二時十二分開議  出席小委員    小委員長 南  好雄君       上村千一郎君    大石 八治君       松山千惠子君    八木 徹雄君       川崎 寛治君    二宮 武夫君       長谷川正三君    三木 喜夫君       鈴木  一君  出席政府委員         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君         文部事務官         (管理局長)  齋藤  正君 小委員外出席者         文 君 委 員 山中 吾郎君         文部事務官         (初等中等教育         局審議官)   安嶋  弥君         専  門  員 田中  彰君     —————————————  四月十四日  小委員二宮武夫君同日小委員辞任につき、その  補欠として長谷川正三君が委員長の指名で小委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  学校警備員に関する件      ————◇—————
  2. 南好雄

    ○南小委員長 これより会議を開きます。  学校警備員に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。長谷川正三君。
  3. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 学校警備員の問題につきまして、文部当局にいろいろ御質問を申し上げ、いま提出されております法案審議の資にしたいと思うのですが、私も戦前戦後にわたって十数年教育現場にありまして、宿日直をやった経験もございます。また戦後東京都の教職員組合委員長を十年余にわたってつとめました際に、この警備員制度東京都として全般的に実施をするようになりました経過については、直接その運動をした者の一人としていろいろ経験しておるわけでございますが、今回この問題が国全体としての一つ制度として立法化されるという方向で小委員会が設けられましたことを非常に喜んでおるわけです。率直に申し上げて、私かつて警備員制度東京都に実施をしていただく運動をやった段階でいろいろ勉強したのでございますが、大体東京都ではこれが実施され、その後も年を追うてその内容も改善の一途をたどって現在にきております。東京都におきまして、いま伊豆七島の一部になお宿日直をしておるところが残っておりますが、これも早晩警備員設置という方向にいく模様で、三多摩の奥の村まで全部警備員が一応置かれているわけでありますけれども、これを立法化していくということについて、基礎的なことを、はなはだ不勉強のそしりを免れないで申しわけないと思いますが、この法案を審議する上に一応おさらいをしておく必要があると思いますので、ひとつお伺いをしたいと思います。  第一に学校教師、特に公立の小中高等の教師が現在全国的には大部分学校宿日直をいたしておりますが、これは法律的にはどういう根拠に基づいて行なわれておるのか、それをひとつ御解明いただきたいと思います。
  4. 福田繁

    福田政府委員 お尋ねでございますが、学校教育法におきましては「校長は、校務を掌り、所属職員を監督する。」というような規定がございます。校務というものの範囲になるわけでございますが、それは学校運営に必要な校舎等物的施設設備保全、あるいは教職員の人的な関係等につきましてのいろいろ学校運営に関連する問題について事務が付随するわけでございます。そういう物的あるいは人的な面につきまして学校の管一理運営上必要なすべての事務校務と一般的に言っておりますが、そういう諸般の仕事校長一人だけではとうていやり得ませんので、校務分掌ということになるわけでございますが、そういう校務分掌校長が各教員に命ずるというようなたてまえから、それぞれの教員校長の命によって校務分掌するということになろうかと思います。また別の規定に、教諭児童生徒教育をつかさどり、事務職員は、事務に従事する。という規定もございますが、これは御承知のように教育を担当する者としての主たる職務を書いたものだ、こういうように私ども解釈いたしております。先ほど申し上げたように校務分掌という見地から、いろいろな学校管理運営に付随する事務教諭分掌する、こういうことになっていようかと思います。
  5. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 ただいまの御答弁で私がかつて教職員立場から教育委員会教育長方々といろいろ議論したことを思い出しまして、当時の解釈と同じだといま思い出したのですが、結局この宿日直ということは、いまの解釈によりますと、「校長は、校務を掌り、所属職員を監督する。」というその中で教職員事務を分担するという中の一つとして、この宿日直という仕事をやらしておる。教諭仕事は「児童教育を掌る。」とあるけれども、これは主たるものであって、その他のものをやる必要がないということではないから、これは法的に校務としてやらすことができる、こういう解釈である、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  6. 福田繁

    福田政府委員 そのように解釈いたしております。
  7. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 一応の一つ法的見解としてわかりますが、少なくともいまの解釈から見ますと、これが宿日直ということが教職員仕事であるということについて、非常に積極的な意味があるというふうにはとれない。ややこじつけというとことばは悪いかもしれないけれども最高度に拡大解釈して、その中にこの宿日直という仕事を包摂して教職員にやらしている、こういうふうに見るのが至当だ、まあそう見るよりしかたがないと思うのですが、御見解いかがですか。
  8. 福田繁

    福田政府委員 御見解でございますが、私どもは、消極的あるいは積極的というような意味合いじゃなくて、校務分掌そのものも、もちろん教諭が積極的に命ぜられれば積極的に担当するものだ、そういうふうに考えております。
  9. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 まあ積極的とか消極的とかということばは抽象的ですが、教職員の本来の任務から見て、宿日直ということ、さらに端的にいえば、学校建物管理保全といいますか、あるいはさらにいうならば、盗難火災、そうしたものの予防ということ、それを守るということが非常に主要な任務である、こういうふうにはどうしても受け取れないと思うのですが、その点いかがです。
  10. 福田繁

    福田政府委員 宿日直仕事範囲そのものは、何も盗難予防あるいは火災予防だけの仕事ではないと私は考えております。と申しますのは、学校そのものがやはり一つ営造物でございますから、そういう物的な営造物保全という面も確かにございますけれども、有機的に活動する、あるいは継続していろいろ授業が継続するというような関係から申しまして、書類の保全だとかあるいは外部との連絡とかいろいろな校務そのものがあるわけであります。そういうものもやはり宿日直の中で仕事として分担するわけでございますから、したがって、おっしゃるような面も一面にはございますけれども、全体ではないと考えております。
  11. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 どうも、私は別に御質問を申し上げて、何かかまかけて言質をとろうとか、そういう気持ちで申し上げているのではないので、あまり身がまえて、極力防御の姿勢というような形で御答弁をいただくのでなくて、   〔小委員長退席上村委員長代理着席〕 ともに教育の正しいあり方というものを前向きの姿勢で進めていく場合に、この宿日直という仕事についてどういうふうに考えるかというふうにひとつ、何と申しますか、教育本来の仕事というものを十分により能率的に生かす立場で御答弁をいただきたいと思うわけなんですが、確かにいまおっしゃるように、ごく一部に文書の整理だとか、緊急な教育上の連絡だとかいうようなことが宿日直についてないとは言えませんが、宿日直というのを実際に現実に行なっている一番主要な任務といいますか、目的は、やはり学校の戸締まりだとか、盗難予防であるとか、あるいは火災その他事故の発生に備えるとか、そういうことではないかと思うのですね。宿日直はそうじゃありませんか、主要な任務は。宿日直ということを考えますと、そうではありませんか。
  12. 福田繁

    福田政府委員 私も、現在行なわれております宿日直の実態に基づいて、先ほど申し上げたとおりでございます。したがいまして、その中でどういう仕事が一体分量的に多いか少ないかということをせんさくすれば、あるいは時間的にはそういう御指摘のような点があるかもしれませんけれども、ただ時間とか割合とかいうことだけで判断すべきものではないと私は考えております。したがいまして、宿日直の中で行なわれます仕事自体は、どれも軽重の差はつけにくいものだ、いずれも大事なものであるというふうに考えております。
  13. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 どらも文部省の方のほうが少し頭がかたいのじゃないかと思うのですが、私どもがかつて東京都においてこの問題についていろいろ議論をした場合に、東京都の教育委員会教育長以下の事務当局方々は、少なくともこの宿日直ということは、教師の本来の主要な任務というものではない、また義務でもないということを原則的には当時確認しておりました。その後この問題が法廷等で争われた場合に、宿日直を対象として命令が出せないことはない、出た以上はやはりそれは一応従う義務は生ずるというような判例もあるようでございますけれども、そういう法廷の論争は別としまして、きわめて常識的にきわめて率直に考えて、この宿日直仕事、そういう問題はやはり教育という仕事の一番中心を占める部分仕事ではなくて、できれば、しなくてよければこれに越したことはないのである。もっといろいろ条件が整備して、しなくてよければ、これはそのほうが望ましいが、現状ではやはりそこまでひとつ先生にもお願いをして——区長なり市町村長なり学校設立者がその管理校長にゆだねる。校長は、それは一人じゃできないし、さればといってその専門の職もないから、まあ先生方にこれをお願いしてやっていただいているのだ、こういうことを、そう議論なしにすなおに確認し合ったところで、それからだんだん、それでは何とかひとつより教育の能率を高めるためにも、宿日直はできるだけ専門の方を置いたほうがいいだろう、こういうことになりまして、現在東京都でそういう方向に一歩一歩進んだことを記憶しておるのですが、そういう考え方は基本的に間違いだと思いますか、望ましいと思いますか。
  14. 福田繁

    福田政府委員 東京都でおやりになった事柄を私が批評、批判しようとは考えておりません。ただ、先ほど来質問のありました点が、法律的な見解をお問い合わせになりますので、私は法律的に申し上げただけでございまして、教育的にそれが別であるのかどうかという問題はまた別個の問題であろうと私は思っております。
  15. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 では、法律的な問題はきょうはその程度にとどめまして、それではその法律的な問題を離れて、教育行政なり教育そのものを本質的に考える場合に、さっき私が最後にお聞きしたように、宿日直教師が行なうということが望ましいと思うのか、できればこれは専門の職があったほうがいい、教師はもっと教育そのものに専念できたほうがいいとお考えか、これは教育的な意味で御見解を伺いたいと思います。
  16. 福田繁

    福田政府委員 教育的な意味とおっしゃいますが、私どもとしては、やはり学校管理運営という立場考えざるを得ないと思います。したがいまして、この学校運営という面から考えますと、警備とか消防とかというような点は、これは別にいたしましても、やはり校務というものはあるわけでございますから、やはり校務につきましては、ある程度先生あまり負担にならない限界においては分掌していただきたい、かように考えておるわけであります。
  17. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 まあここから先は大臣にでも、ひとつ高い見地からの御見解を承らなければならないところであります。局長としてはいろいろお立場もあって、個人としての見解を率直にお述べになるということは御無理なんではないかと思いますから、この点をこれ以上お尋ねすることは一応本日はとどめます。  次に、これもこの問題を討議する場合に一つの基礎的な材料になると思いますが、学校盗難があった場合あるいは火災——もちろん火災にもいろいろな原因火災があると思いますが、先生方宿日直しておって火事が起こった場合、その責任はどういうことになりますか。
  18. 福田繁

    福田政府委員 これは個々ケースによってきめなければならないと思いますが、私は学校の直接の運営をまかされておる校長責任であろうと思います。
  19. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 その校長命令をして、校務分掌といいますか、職員の監督の一端として宿日直を命じているのだ、それが法的な根拠なのだというふうにさっきおっしゃったと思いますが、そうしますと、校長の直接の責任でありますが、同時に宿日直をした先生にもその責任はかかるということになりゃしませんか。
  20. 福田繁

    福田政府委員 個々ケースでもって判断いたさなければならないと思いますが、もちろんその宿直を命ぜられました教師故意または過失があれば、当然に責任はあるだろうと私は思います。
  21. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 いまのお話は、これは法務大臣を相手にしていませんから、ここで議論することはあまり適当でないと思うのですが、しかし故意または過失の場合には責任があるといまちょっとおっしゃったのですが、そうすると故意または過失——過失というのは非常に範囲が広いかと思いますが、故意とか特別の過失というものがない場合には、宿日直をやっていた先生責任がない、こういうふうに一応解釈して運営されているというふうにとってよろしいですか。
  22. 福田繁

    福田政府委員 先ほどの御質問刑事責任を御質問になっていると思いましたので、私はそう答えたわけでございますが、行政上の責任は当然に校長が持ち、また校長から命を受けた教員行政的には責任を分担するものかと考えております。これは刑事責任というものと別個の問題であります。
  23. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 次に、これは地方自治体のほうの立場に立っていろいろまた問題があると思いますが、一つお伺いしておきたいのは、火災学校が焼失した場合、東京都の場合は非常に優先的に、ほとんど最も優先的に次の補正予算においてその校舎予算をとるようにしておりますが、国のほうで、火災学校が焼失した場合、特に義務制の場合にはどういうふうになっておりますか。
  24. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 これは地方団体におきまして、火災によって焼失しました校舎をすぐ復旧して、そうして授業に差しつかえないようにしなければならないわけでございますので、その部分起債をもって充当するように従来取りはからっておるわけでございます。
  25. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 そうしますと、起債をもってまかなうということは、つまり市町村に金を貸してやるということですね。そして小中学校の場合三分の一あるいは半額とございます。そうすると実際支出としてはそれを一歩も出ていないわけですね。
  26. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 理論上はそういうことになるわけでございまして、一応いま実施されておりますのは長期低利の借金をして、それによって肩がわりして建てるというのが実情でございます。
  27. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 いま市町村は、特別の税収のあるところは別として、大部分、私ども地元東京のことなんか考えますと、特に三多摩市町村等において、人口急増の中で、乏しい市町村財政の中で義務教育学校の用地の買収や建物を建てるということで、国庫補助負担があるにしましても非常な苦労をしているわけです。そういうものが燃えてしまった場合も、起債はあるけれども、結局は半額なり三分の二は自分の負担として長い間その返済に苦しむということになっておると思うのですが、これについては何らそれ以上の手は打たれていないわけですね。
  28. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 ただいま申しましたように、大火等によって一種の災害と見られます場合には、災害に関するいろいろな規定が適用になることもございますけれども、たとえば失火により、放火によりそこの学校がたまたま焼けたという場合には、起債をもって措置するという運用をずっとしているわけでございまして、それに対して他の原因による教室不足、あるいは社会増に伴う教室不足については国庫補助措置を講じておりますが、火災だけを原因にして国庫補助措置を講じていないというのが現状でございます。ただ将来の問題としてこの問題をどういうふうに取り扱うかということは検討してまいりたいと存じます。
  29. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 いま起債というお話がずっと出ているわけですが、これは自動的といってもいいくらい優先的に直ちに行なわれるようになっておりますか。
  30. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 これは従来の実施経過から見て、迅速にかなり確実に割り当てられるように私たちは存じております。
  31. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 次に、教員勤務量調査、きょう資料をいただいたのですが、これを見ますと、校長、教頭それからいわゆる学年担任複式学級、こういうところは小学校においても四十八時間あるいは四十四時間以内というのはほとんどなくて、教職員部分オーバーになっているということが言えると思うのですが、中学校におきましてもさらにその数はいずれもオーバーになっていると思うのです。この基礎調査から文部省はどういうふうにお考えになりますか。
  32. 福田繁

    福田政府委員 これは昭和三十二年に教職員勤務量調査抽出調査でやったわけでございまして、ただこの表をお目にかけても御理解がいただけないと思いますが、なお詳しく申し上げますと、この抽出調査の際には教職員学校における教育活動すべて、それからまた自宅に帰ってからのいろいろな仕事、あるいはまたPTA活動に伴う仕事あるいはまた組合活動に従事した時間、そういうものを一切がっさい含めた全勤務量調査ということになっているわけでございます。したがいまして、この数字そのものをもってどうということはございませんが、全体の傾向としては、必ずしも当時におきましても教員勤務時間は少なくないというような感じを受けるわけであります。しかし、この調査自体は、いま申し上げましたようなすべての活動時間を含んでおりますので、必ずしもこれから直ちにある結論を引き出すというわけにはいかないと思います。
  33. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 一つは、いますべてのということを盛んにおっしゃっているのですが、要するに教師として教育仕事をする上に、やる仕事の量というものはこれだけの分量があるということ、それはうちに持って帰ってやろうと、学校の中でやらなくても、教師は現在はしばしばそういうことがあるわけですから、その量を全部入れたのですから、すべての量だということが、何か多くても別にあまりふしぎはないようなお考えでそうおっしゃっているとすれば、それはたいへん問題だと思うのですが、すべてを含んでいるということを盛んに強調されるのはどういう意味ですか。
  34. 福田繁

    福田政府委員 これは注をつけておくべきだったと思いますが、注はございませんので御説明申し上げただけでございます。
  35. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 それじゃ私の憶測で、何かすべてのというので、実際にはたいした勤務ではないのですよというふうに響いたものですから、これは私の思い過ごしであればけっこうなんで、要するにこの時間というのは、学校において、あるいは家庭に持ち帰って、あるいは場合によれば児童生徒自宅にたずねていって教育上の仕事をする。それらの教育的な仕事の、勤務のすべての時間の合計である、こういう説明だ、こういうことですね。
  36. 福田繁

    福田政府委員 そのとおりでございます。
  37. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 これは、いまから見るとたいへん古いのですね。三十二年十一月ですか。最近こういう調査はなさっておりませんか。抽出か何かで。
  38. 福田繁

    福田政府委員 最近の資料はございません。
  39. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 これについて、年を追うごとに学校仕事というものが非常にふえ、先生方は苦しんでおる。一方にいろいろ整備も進んでおるのですけれども、このほうは遅々としてあまり進んでいない。定員の問題にしても、いろいろな専門職の配置の問題にしても。ところが学校というところはたいへん便利なところなので、社会的ないろいろな要求までしばしば、——文部省その他でそういうことについてときどき注意はうながしているようですけれども仕事が持ち込まれたり、また学校自体運営も、昔なかった給食の問題、あるいはPTA活動の問題、その他非常に仕事が多くなってきておって、この三十二年の調査から見て、その後最近に至っては勤務時間がもっともっとオーバーになっているのじゃないかという印象を私は持っておるのですが、そういうことについて、具体的な資料はお持ちでないというのですが、どういう見方をなさっていますか。
  40. 福田繁

    福田政府委員 大体同じくらいじゃないかと私ども考えております。
  41. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 それはどういう根拠によるのですか。
  42. 福田繁

    福田政府委員 正確な資料はございませんので申し上げかねますけれども、いま御指摘のありましたように、大体の傾向はお述べになったようでございます。私どもとしては、昭和三十五、六年ごろから漸次学級編制改善を加えてまいってきております。したがいまして、先生の定数もわりあい充実してまいっております。そういう関係から申しまして、若干ふえたといたしましても、それらによってある程度負担は軽減する面も出ているのじゃないか。時間的にははかりかねますが、そういうことをあわせ考えますと、大体同じくらいではないかというような感じを持つわけであります。
  43. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 これはやはり教育行政が科学的に行なわれるためには、絶えずこういうことについて相当正確な調査資料が整えられるということが基礎条件ではないかと思います。ただ私ども現場にいたときの経験から見ると、こういうことを支部当局に要求するにしても、すぐ頭にぴんとくるのは、これがまた煩瑣な事務となって、教職員のほうにはねかかってくるのではないかということを、すぐ私どもはからだで感ずるほど、いろいろそういう仕事では——子供を教える教材の研究をする、また教育のためのいろいろな、子供がきわめてスムーズに学習活動に入っていけるような諸準備をする、そういう仕事に専心したいのに、いろいろな雑務に追われて、ほんとに苦しんだ経験から、資料の提出を要求するにも、ちょっと考えてしまうという気持ちが一面あるのですけれども、しかしやはり基礎的な資料というものは整っていなければ、水かけ論や想像論や、多分同じだろうというようなことでやられては困る面もあると思いますから、やはりあまり煩瑣な、またすべての先生にのしかかるような形でなく、抽出等方法で、これは毎年といかなくても、適当な間隔を置いて、きちっとこうした基礎調査ができるような態勢というものが必要ではないかと思うのですが、御見解はいかがですか。
  44. 福田繁

    福田政府委員 おっしゃるとおりに私どももできる限り新しい最新の資料を得たいと思っております。しかしこれをやっていくについては、やはり非常に困難も伴いますので、いろいろと検討しておる最中でございます。
  45. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 いろいろ学校警備員設置の問題に関連して、外郭的なことをお尋ねしてまいったわけですが、やはり端的にいって、これは他の官庁にしましても、あるいはまた一般銀行会社等にしましても、少し近代的なシステムのところは、建物管理保全ということについては、特に夜間の問題等については、やはり専門警備員を置いて行なうというのが一般的傾向だと思います。教育の問題も、それは若干その宿日直の時間にそういう問題が皆無とは言いませんけれども、やはりこの問題は校長住所連絡系統というものさえきちっとしておれば、あるいは教職員住所なり電話連絡方法なりが、ある程度必要の範囲で整っておれば、何も学校宿日直を置かなくても問題は十分処理できますし、また緊急の事態でないものは、翌日平常の勤務時間の中で十分処理されるのが当然のことでありまして、たまたまある学校子供運動場でけがをしてこうなっておるとか、あるいは集団的な悪事を働いて逮捕されたというようなことが起こることが、たまにはあるかもしれませんけれども、そうでない限り、一般的な建物管理保全盗難予防、こういったものは専門職でやらせるということのほうが、これは現在の時代の趨勢でもあるし、近代的な管理の当然のあり方だというふうに考えますけれども、その点はいかがですか。
  46. 福田繁

    福田政府委員 ずっと以前から、学校のいろいろな管理運営のやり方を見てまいりますと、改善すべき点は御指摘を待つまでもなくいろいろな面にあるだろうと思います。そういう事柄につきましても、私どももやはり今後近代的な学校制度のもとにおける管理運営というものをもう少しいろいろと検討してまいりたいという点は同感でございます。しかし学校の規模だとかあるいは建築様式だとか、地域の状況とか、それらによっていろいろ実態が違うものですから、いろいろな点でむずかしい問題があるわけでございます。私どもも将来の方向としてはいろいろ研究してまいりたいと考えております。
  47. 長谷川正三

    長谷川(正)小委員 将来の方向としては、やはり近代的なこうした学校建物等の管理については考えていきたい、こういうおことばなので、この辺はほんとうは局長にあまり強く伺うよりも大臣に御所見をただすべきではないかと思いますから、いまかなり前向きの御答弁もあったと思いますので、この程度にとどめて、またあらためて大臣にさらにそういう点についての御見解をただしたいと思います。  そこで、近代的な管理方向としてはそういうことを検討したいというお話でありますし、私は端的にこれは当然そうすべきであるというふうに考えるわけなんですが、ただ問題はおそらく財政上の問題が一番問題で、現状宿日直の費用の支払いと警備員制度を設置した場合との国家なり地方自治体なりの負担する財政上の問題が一応の隘路になって、当然もう確立されなければならない警備員制度というものが今日まだ実現されていない。東京都あるいはその他進んだといいますか、そういう点について先見の明のあるというか、あるいはたまたま特殊な事件等に遭遇したことが契機になって、先見の明のある施策を行なうというようなところの市なり町なりが全国的に幾つかある程度にとどまっておると思いますが、しかしこの点についてはもはや今日の段階で幸い国会にもこの小委員会も設置された段階でありますから、全国の教職員教育の本務に専念する、そして教育の質を高め、質の高い教育活動ができるという面からも、あるいは地方自治体がほんとうに血の出るような貴重な税金をつぎ込んで建てておるこの建物を完全に管理保全するという立場からも、これはぜひ警備員制度というものを思い切って実現すべきときがきている、こういうふうに考えるわけであります。特に私はこういう点について教育行政に携わる方々の認識が案外少ないのじゃないかということを心配いたしますので、そういうことがなければけっこうでありますが、一つはこの宿直、日直というもの、これが宿直の場合私ども経験では、特に私どもは戦前はいわゆる御真影というようなものがありまして、非常に重要な責任を負わされていたということもあったかと思いますが、戦後はそういうことがなくなったにいたしましても、大きな学校を一人の先生が泊まって、そして盗難予防し、あるいは火災予防する、こういうことはまず精神的に非常に大きな重圧であります。しかも子供たちが帰ったあと学校を一巡する、また寝る前に一巡する、できれば夜中にもう一回起きて一巡をする、そして朝起きたらまっ先に子供たちの来ないうちにもう一回見て回る、少なくとも三回ないし四回は巡視をしなければならない、そしてやっと子供たちが来て学校が始まるとほっとするのですね。これはもうその日は活動能力が非常に低下するわけです。一晩くらい泊まるのはたいしたことないだろうというふうに簡単にお思いになるかもしれませんが、学校の宿直の場合、特に大きな学校などで広い範囲を回る場合には非常にたいへんであります。それが山間僻地等あるいは農村部の比較的人口があまり稠密でない小規模学校になりますと、今度は回るのは簡単かもしれないけれども、泊れる男の職員の数というものがきわめて限られますから、今度は一週間に一ぺん、あるいは二へんとひんぱんにこれがやってくるんです。そうするとこれはまたそれなりに非常な疲労度になります。翌日は惰性で——ほんとうは一日うちへ帰って寝たいところだけれども、とにかく勤務時間が終わるまでは学校にいなければならない。いるというにすぎないような活動にもなってしまう。そのための教育の質の低下、子供たちに対する細心な配慮というものがどうしても鈍ってしまうということは、これは私ども体験してよく存じているところであります。化学の実験の事故とかいろいろと学校の中で起こる事故なんかとこういう宿日直とが、これは正確な統計はありませんが、私は相当関連があるのではないか、こういうことを感ずるわけであります。  また日直の場合にしましても、これは女の先生が主として当たっていると思いますが、ふだん家庭の主婦として——今日の日本の家庭生活においては、職業婦人というものは、常に二重の過重労働を背負うというようなかっこうになっているのが現実だと思いますが、そういう中で、また日曜というようなものは特別たまった家事の整理あるいは疲れたからだの休養等で非常に貴重な日なのですが、それが日直のためにまた一日学校で、ともとう一週間二回日直をやれば、二週間ぶっ続けで勤務するということになりますから、これが次の週に慢性的に疲労がつながっていく、あるいはいろいろな病気の原因にもなる、これまた教育の積極性の欠除と申しますか、惰性でやっと次の一週間をやる、こういうような点に非常に大きな影響を与えていっている、こういうところはもう目に見えないので、つい気がつかないのですけれども、非常に大きいわけであります。  これを私は東京都におきまして宿日直をやめてみて、ますますその認識がはっきりした。というのは、もう一ぺん手当がもらえるから宿直をやってみたい、日直をやってみたい、こういう声は全然出ないんですね。僻地の先生などで、たとえば一週間に二日も泊まるのは、確かにある程度まとまった宿直料が入るというようなこともあって、これが一種の僻地手当にもなるのだというような冗談もかつて言ったこともあるのです。ところがこれをやはり宿日直を全部廃止して、思い切って踏み切って実施してみますと、教育活動において非常にすっきりしてくる、能率もあがってくる、自分の精神的、肉体的な生活、健康の上でもこれは非常にいいことなんだということがよくわかってまいりますので、これはあと戻りの議論というものは全然出ないわけであります。こういう実例から申しましても、ぜひこの際警備員制度については、もう積極、前向きの姿勢でこの法律が成立するような方向に審議が進められることを私は望んでやまないのでありますが、これについてひとつ再度——これはまた大臣に御見解を聞くべきだと思いますが、本日はいろいろな事情があるようでありますが、全然お伺いしないのも何ですから、ひとつ初中局長の御見解をお聞きしたいと思います。
  48. 福田繁

    福田政府委員 いろいろ御指摘になりましたような点、確かに私ども教師負担というものは考えることができるわけでございます。したがいまして、そういう点につきましては将来やはり改善を要する点がたくさんあるだろうと思います。いま直ちにこれをどうするというようには、私ども方策がございませんけれども、逐次そういうものを改善していくような考え方をとってまいりたいというように考えております。
  49. 三木喜夫

    ○三木(喜)小委員 関連して。教職員一人当たりの一週間の勤務量が提示されたのですが、小学校の場合と中学校の場合とに分けて、校長、教頭・分校主事、第一学年担任教員、以下各学年担任教員複式学級教員、その他の教員、養護教員事務職員、これを各学年別に見てどのような人数になっておるか、あるいは平均はどのようにして出されるか、その辺をひとつ聞かしてもらいたいと思います。調査されたのを全部寄せて、全部の平均が一体どれくらいになるか、これが問題だと思います。中学校も同じことであります。  それから中学校の一番下の注の2のところに「宿日直については、校内巡視等は勤務量に含まれるが、いわゆる手待ち時間は含まれていない。」とありますが、この手待ち時間というのはどういうことをさしておるか、この辺もちょっと明らかにしてもらいたい。
  50. 福田繁

    福田政府委員 これは私どものほうの調査局で調査をした報告書に出ておるわけでございまして、実は私はあまりこまかいことを勉強いたしておりませんので、いまお尋ねになりました点、もしここでわかるならばほかの者からお答え申し上げますが、もしわからなければ、また後日係の者から詳しく申し上げたいと思います。
  51. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 学校段階別に大体二%前後の学校抽出いたしまして、それを合計し、平均したのがお手元にお配りした数字でございます。小学校の場合について申しますと、全体の調査校数が三百二十入校でございますが、一学級の学校が三十四校、二学級から五学級のものが三十八校、六学級が四十四校、七学級から十学級が四十四校、十一学級、十二学級が四十六校、十三学級から十六学級が三十八校、十七学級、十入学級が三十四校、十九学級から二十四学級が二十五校、二十五学級以上が二十五校といったふうに、各規模別に二%前後の学校数を抽出いたしまして調査いたしております。ただいま申しましたのは小学校でございますが、中学校につきましてもほぼ同様の取り方をいたしております。  それから資料の注の2でございますが、校内巡視等の時間と申しますのは、これは宿直をいたしまして現実に校舎を巡回しておるその時間でございます。したがいまして、たとえば晩方の八時から朝の八時まで宿直いたしましても、その間の十二時間ということではなくて、巡視をいたしました一時間なら一時間、一時間半なら一時間半を勤務量に算入しておる、こういうことでございます。
  52. 三木喜夫

    ○三木(喜)小委員 先がた質問したことについて答えていないのですが、これは一人当たり何時間かということです。小中一人当たり平均ですね。
  53. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 実はお手元にお配りいたしておりますように、全部職種別でございまして、通じた一人当たりという数字はございません。
  54. 三木喜夫

    ○三木(喜)小委員 私のほうの資料では、一人当たりが三十二年で十一時間という数が出ておるのですが、そうすると、これからも出そうなものだと思うのですが、一人オーバー十一時間……。
  55. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 ただいま御指摘の数字は勤務時間外の勤務量の数字かと思います。ただいまお手元にお配りいたしておりますのは、これは服務時間の内と外を合計した数字でございます。勤務時間外だけの数字をとりますれば、大体御指摘のような数字が出るわけでございます。
  56. 三木喜夫

    ○三木(喜)小委員 そうすると勤務外が十一時間、それでいいですか。
  57. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 その時間も職種別にそれぞれ出ておりまして、職種によって違うわけであります。小学校校長の場合でございますと、十・五五時間という数字が出ております。それから一学年の担任教員について申しますれば、十一・八八時間というものが出ております。先ほどから申し上げましたように、全体を通ずる時間がございませんので、一々について申し上げるほかないわけですけれども、大体十時間から十四時間くらいの幅があるようでございます。
  58. 三木喜夫

    ○三木(喜)小委員 十時間から十五時間をオーバーしておる、こういうように見ればいいですね、安嶋さん。
  59. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 十五時間弱でございます。
  60. 三木喜夫

    ○三木(喜)小委員 先がたの長谷川委員質問の中で初中局長お話によりますと、校務の延長としての宿直勤務、こういうようなお話であったわけなんですが、校務の延長ということになりますと、これはかなり内容も持っておると思うのです。先がたその内容もおっしゃったと思うのですが、そういう内容を持ったものはやはり私は校務と見るべきじゃないかと思うのです。しかしながら、宿直というのはこれは断続的勤務として取り扱われておって、単純労務ということに相なっていますね。単純労務と校務との関係、それを明らかにしていただきたいと思うのですが、そこにちょっと疑問があるのです。単純労務として断続的に労規法の上では許されているわけです。しかしながら校務分掌するということになれば、ことによれば子供が夜死んだとか、あるいは逃げたとかいうようなことが起こりますと、これは校務分掌的に取り扱わなければならぬと思うのです。そうすると、いわゆる法律の解釈として、これは断続的な勤務にならないということが一つ、その辺の違いも一ぺんはっきりしておく必要があると思います、それから物的管理というのは、これは非常に単純な労務だと思うのです。その物的管理というものと校務というものが、いまの御答弁では私のほうでははっきりしないわけです。全部校務として物的もあるいは教育の延長として見るか、この辺ですね。学校警備員法を今後財的にも裏づけをし、法律的にも解釈を下していこうとするならば、そのことはやはり解釈の分岐点になると思うので、お伺いをしておきたい。
  61. 福田繁

    福田政府委員 先ほど私申し上げましたのは、現在の学校教育法からくる解釈を申し上げたわけでございまして、それによりますと、校務範囲は、もちろん学校教育を行なうところでありますから、教育そのものも入るわけでございますが、物的あるいは人的な管理運営に関連する仕事の一切は、やはり校務としてこの中に含まれるということを申し上げたわけでございます。宿日直の場合に校務分掌するという制度になっておりますから、したがって宿日直の中の仕事そのものもこれは校務として扱われておるわけでございます。ただこの宿日直勤務の態様が断続的な勤務でございますから、したがって断続的な勤務をする場合におきましては、人事委員会の許可が要るという制度になっているにすぎないと思います。したがいまして断続的な勤務であっても、そうでなくても校務という内容には変わりがないというように私は考えておるわけでございます。
  62. 三木喜夫

    ○三木(喜)小委員 もう一つ聞いておきたい。  断続的勤務というのは単純労務を指すのではないか、こういうように労基法の解釈上申し上げたのです。しかしながらいまの点は、校務ということになってくると単純労務でないですね。それでいいかということを聞いておるのです。
  63. 福田繁

    福田政府委員 私は単なる単純労務とは考えておりません。ただ勤務の態様が断続的な校務だということにすぎないと考えております。
  64. 三木喜夫

    ○三木(喜)小委員 以上です。
  65. 上村千一郎

    上村委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十三分散会