○
長谷川(正)小
委員 将来の
方向としては、やはり近代的なこうした
学校の
建物等の
管理については
考えていきたい、こういうお
ことばなので、この辺はほんとうは
局長にあまり強く伺うよりも大臣に御所見をただすべきではないかと思いますから、いまかなり前向きの御
答弁もあったと思いますので、この程度にとどめて、またあらためて大臣にさらにそういう点についての御
見解をただしたいと思います。
そこで、近代的な
管理の
方向としてはそういうことを検討したいという
お話でありますし、私は端的にこれは当然そうすべきであるというふうに
考えるわけなんですが、ただ問題はおそらく財政上の問題が一番問題で、
現状の
宿日直の費用の支払いと
警備員制度を設置した場合との国家なり地方自治体なりの
負担する財政上の問題が一応の隘路になって、当然もう確立されなければならない
警備員制度というものが今日まだ実現されていない。
東京都あるいはその他進んだといいますか、そういう点について先見の明のあるというか、あるいはたまたま特殊な事件等に遭遇したことが契機になって、先見の明のある施策を行なうというようなところの市なり町なりが全国的に幾つかある程度にとどまっておると思いますが、しかしこの点についてはもはや今日の段階で幸い国会にもこの小
委員会も設置された段階でありますから、全国の
教職員が
教育の本務に専念する、そして
教育の質を高め、質の高い
教育活動ができるという面からも、あるいは地方自治体がほんとうに血の出るような貴重な税金をつぎ込んで建てておるこの
建物を完全に
管理保全するという
立場からも、これはぜひ
警備員制度というものを思い切って実現すべきときがきている、こういうふうに
考えるわけであります。特に私はこういう点について
教育行政に携わる
方々の認識が案外少ないのじゃないかということを心配いたしますので、そういうことがなければけっこうでありますが、
一つはこの宿直、日直というもの、これが宿直の場合私
どもの
経験では、特に私
どもは戦前はいわゆる御真影というようなものがありまして、非常に重要な
責任を負わされていたということもあったかと思いますが、戦後はそういうことがなくなったにいたしましても、大きな
学校を一人の
先生が泊まって、そして
盗難も
予防し、あるいは
火災を
予防する、こういうことはまず精神的に非常に大きな重圧であります。しかも
子供たちが帰ったあと
学校を一巡する、また寝る前に一巡する、できれば夜中にもう一回起きて一巡をする、そして朝起きたらまっ先に
子供たちの来ないうちにもう一回見て回る、少なくとも三回ないし四回は巡視をしなければならない、そしてやっと
子供たちが来て
学校が始まるとほっとするのですね。これはもうその日は
活動能力が非常に低下するわけです。一晩くらい泊まるのはたいしたことないだろうというふうに簡単にお思いになるかもしれませんが、
学校の宿直の場合、特に大きな
学校などで広い
範囲を回る場合には非常にたいへんであります。それが山間僻地等あるいは農村部の比較的人口があまり稠密でない小規模
学校になりますと、今度は回るのは簡単かもしれないけれ
ども、泊れる男の
職員の数というものがきわめて限られますから、今度は一週間に一ぺん、あるいは二へんとひんぱんにこれがやってくるんです。そうするとこれはまたそれなりに非常な疲労度になります。翌日は惰性で
——ほんとうは一日うちへ帰って寝たいところだけれ
ども、とにかく
勤務時間が終わるまでは
学校にいなければならない。いるというにすぎないような
活動にもなってしまう。そのための
教育の質の低下、
子供たちに対する細心な配慮というものがどうしても鈍ってしまうということは、これは私
ども体験してよく存じているところであります。化学の実験の事故とかいろいろと
学校の中で起こる事故なんかとこういう
宿日直とが、これは正確な統計はありませんが、私は相当関連があるのではないか、こういうことを感ずるわけであります。
また日直の場合にしましても、これは女の
先生が主として当たっていると思いますが、ふだん家庭の主婦として
——今日の日本の家庭生活においては、職業婦人というものは、常に二重の過重労働を背負うというようなかっこうになっているのが現実だと思いますが、そういう中で、また日曜というようなものは特別たまった家事の整理あるいは疲れたからだの休養等で非常に貴重な日なのですが、それが日直のためにまた一日
学校で、ともとう一週間二回日直をやれば、二週間ぶっ続けで
勤務するということになりますから、これが次の週に慢性的に疲労がつながっていく、あるいはいろいろな病気の
原因にもなる、これまた
教育の積極性の欠除と申しますか、惰性でやっと次の一週間をやる、こういうような点に非常に大きな影響を与えていっている、こういうところはもう目に見えないので、つい気がつかないのですけれ
ども、非常に大きいわけであります。
これを私は
東京都におきまして
宿日直をやめてみて、ますますその認識がはっきりした。というのは、もう一ぺん手当がもらえるから宿直をやってみたい、日直をやってみたい、こういう声は全然出ないんですね。僻地の
先生などで、たとえば一週間に二日も泊まるのは、確かにある程度まとまった宿直料が入るというようなこともあって、これが一種の僻地手当にもなるのだというような冗談もかつて言ったこともあるのです。ところがこれをやはり
宿日直を全部廃止して、思い切って踏み切って
実施してみますと、
教育活動において非常にすっきりしてくる、能率もあがってくる、自分の精神的、肉体的な生活、健康の上でもこれは非常にいいことなんだということがよくわかってまいりますので、これはあと戻りの
議論というものは全然出ないわけであります。こういう実例から申しましても、ぜひこの際
警備員制度については、もう積極、前向きの
姿勢でこの法律が成立するような
方向に審議が進められることを私は望んでやまないのでありますが、これについてひとつ再度
——これはまた大臣に御
見解を聞くべきだと思いますが、本日はいろいろな事情があるようでありますが、全然お伺いしないのも何ですから、ひとつ初中
局長の御
見解をお聞きしたいと思います。