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1965-05-11 第48回国会 衆議院 農林水産委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十一日(火曜日)    午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君    理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君       池田 清志君    宇野 宗佑君       亀岡 高夫君    吉川 久衛君       倉成  正君    小枝 一雄君       田口長治郎君    田邉 國男君       高見 三郎君    中川 一郎君       中山 榮一君    丹羽 兵助君       野原 正勝君    藤田 義光君       細田 吉藏君    山中 貞則君       栗林 三郎君    兒玉 末男君       永井勝次郎君    松井  誠君       松浦 定義君    湯山  勇君       小平  忠君    中村 時雄君       林  百郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (園芸局長)  林田悠紀夫君         食糧庁長官   齋藤  誠君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    岡田 覚夫君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 五月十一日  委員栗林三郎辞任につき、その補欠として永  井勝次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員永井勝次郎辞任につき、その補欠として  栗林三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月八日  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法及び開拓営農振興臨時措  置法の一部を改正する法律案内閣提出、第一  三四号) 同月七日  いか釣り漁業不漁対策に関する請願(林百郎  君紹介)(第三五九四号)  乳製品の貿易自由化反対等に関する請願(林百  郎君紹介)(第三五九五号)  西目川流域等土地改良事業促進に関する請願  (笹山茂太郎紹介)(第三六八七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  砂糖価格安定等に関する法律案内閣提出第  一三二号)  沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法の一  部を改正する法律案内閣提出第一三二号)  甘味資源生産振興及び砂糖類管理に関す  る法律案芳賀貢君外三十二名提出衆法第二  七号)  沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法の一  部を改正する法律案芳賀貢君外三十二名提出、  衆法第二八号)      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。  目下内閣委員会において審査中の、内閣提出農地買収者等に対する給付金の支給に関する法律案につきまして、内閣委員会連合審査会開会申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 濱地文平

    濱地委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、連合審査会開会日時等につきましては、内閣委員長と協議の上、公報をもってお知らせすることといたします。      ————◇—————
  4. 濱地文平

    濱地委員長 内閣提出砂糖価格安定等に関する法律案及び沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案芳賀貢君外三十二名提出甘味資源生産振興及び砂糖類管理に関する法律案及び沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案、以上各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。永井勝次郎君。
  5. 永井勝次郎

    永井委員 農林大臣は、日ソ漁業交渉のためにソ連に行かれて、お帰りになった早々であり、新聞等で伺っておるわけでありますが、実は日ソ漁業交渉内容等についてお伺いをいたしたいわけでありますが、本委員会としては別の機会にそれを持っておるそうでありますから、いま議題となりました砂糖類価格安定法案について、若干お尋ねをいたしたいと思います。  この法案性格について、最初伺いたいと思います。この法案は、一定目標があって、その目標を達成するまでの暫定措置としてのものなのか、あるいは国産甘味資源自給度を高める、あるいはそれをささえていく施策の一環として、恒久的な立場で立案されたものなのか、そこらの性格について第一に伺いたいと思います。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 一つ経済立法でございます。経済的な変動というものもありますので、経済立法の性質から、まま暫定的というふうな表現をいたす場合もありますけれども、本制度を考える上におきましては、やはり暫定的というよりも、恒久的の視野のもとに本法案を出しておる、こう御了解願いたいと思います。
  7. 永井勝次郎

    永井委員 この法案産糖対策に対する恒久的な措置だ、そういたしますと、これは恒久的な措置一つの案として出されたのか、あるいは産糖対策に対する恒久的対策の全体としてこれを出されておるのか、このほかに手を打つ考えはないのか、価格対策だけで全部これで完了だ、こういうかまえなのか、その点を伺いたい。
  8. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 もちろん、生産対策等につきましても、政策として考えていかなくてはならぬと思います。しかし、価格対策を通じて生産対策考えるという意味におきまして、本法案は、現在の段階におきましては、全体的に見て一番適当な案だ、こういう考え方のもとに御審議を願うことに相なっておる次第でございます。
  9. 永井勝次郎

    永井委員 どうも政府の行なっておる甘味資源増産対策というものは、そのときそのときの出たとこ勝負で、何かやって、次に問題が出る、そうすると、それを現象的に措置するということで、現象を追っかけることで追われて、ほんとうの姿勢がきちっときまっておらないように思う。たとえば最初寒地ビート関係にいたしましても、工場さえつくれば原料はどんどんできるんだという一つのかまえで、工場をどんどんつくった。それが今日混乱させる原因になっている。さらに暖地ビートについては、これはもう外国でやっているからできるのだというので、その政府刺激によってあっちこっちに暖地ビート工場ができた。ところが、原料はちっとも出てこないということで、つぶれていっているというような状態、あるいは輸入糖国産糖との関連の問題、これらについても、けじめがちっともついておらない。やってみて、そうして問題があると、そこでそれを臨時的に措置する、出たとこ勝負措置するということのずっと繰り返しだ。しかも、今度の砂糖自由化についても、自由化を行ないますためには、自由化がやれなかったのについては、自由化がやれないだけの原因があったはずである。そういう条件があったはずである。したがって、それを自由化するためには、これらの阻害になった条件というものを整理して、そうしてスムーズにこれを運んでいくという措置がなされなければならないにもかかわらず、そういうことはちっともなされないで、急転直下、いきなりこれがなされた。そこにいろいろな問題が出てきた。問題が出てきたので、その問題のしりぬぐいとしての一つ方法として、こういう問題が措置されておるのではないか。決して、この成案の過程においては、またこの案を発足させる一つ政府のかまえの中には、甘味資源に対する恒久的な諸施策というものをほんとうに吟味して、そういうものからしぼり出されてきた政策としてまとまったものではないように思う。もしそういうまとまったものであるとするならば、こういう価格対策だけで国産糖関係輸入糖関係価格の面から操作するだけで、これで十分だ、これが恒久対策だと言えないと私は思うのでありますが、その点をその経過について、またその見通しについて、もっと明確にわれわれが納得できるような一つの解明を願いたいと思います。
  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに、ビートにいたしましても、日本にその生産が始められてから歴史も浅いのでございます。また最近におきましては、あるいは生産割り当て量とマッチしないような工場設立、これは別に法律設立を許可するということではございませんが、御承知のように、農地の転換というような形で、工場等生産に見合わないで過剰に設立されたというような状況もございます。あるいはまたお話のように、暖地ビートにつきましても、この経験が浅いという点などからいいまして、必ずしもよくいっておらなかったということも、率直に認めていいと思います。あるいはまたでん粉類等につきましても、ブドウ糖というようなものに転換することが、ごく最近の事業でございましたので、こういう点につきましても思うようにいかなかったという点があったと思います。しかし、そういう浅い歴史でございますけれども、着々これが対策を講じていく、ことに甘味資源特別措置法を前々国会でしたか、その前でしたかに提出いたしまして、甘味資源につきましての一つ見通しのもとにその政策を遂行していこう、こういう法律を出していく中途におきまして自由化をいたしたわけでございます。砂糖自由化につきましては、国際的な貿易自由化に対する日本の協力あるいは開放経済の要請、こういうものがありまして、何も砂糖に限ったことではございませんが、いろいろ検討をいたしておる最中でございましたが、輸入制限を行なっておるということよりも、自由化利益というもののほうがより多い、こういうような観点から、自由化を行なったわけでございますが、しかし、御承知のように、その当時国際糖価は非常に高かった、こういう事態でありました。でありますので、こういう面からも自由化をしていくことが適当であろうということを考えておったのでございますが、その後、われわれが全く予想できなかったことでございます淡、国際的に糖価も非常に暴落をいたしました。これはいろいろ国際的な生産需給関係が異常であったことだと思います。そういうために、せっかくの甘味資源特別措置法における措置についても欠くるところができてきた。これは実際私どもも、こういうふうに糖価暴落が激しいとは実は予想し得なかったのでございます。そういう意味におきまして、甘味法による政府売買に伴う欠点補正をはかるということが本法案一つ目的でございます。あとからあとからへたな政策のしりぬぐいをするのじゃないかということでございますが、政策として進めてきた甘味資源特別措置法は、当時としまして、こういう国際的な糖価暴落に遭遇するとは考えないで立案したのでございますが、こういう事態にきましたので、政府売買に伴う欠点補正をする、こういうことも目的でございます。しかし、こういういま出してありまする法律案は、そういう補正をはかることも目的でございますけれども、これによりまして、国内甘味資源の保護といいますか、生産対策に対しまして、あるいは国際的な糖価平準化をはかるという意味におきましても、相当恒久的に考えて差しつかえない、こういうふうに考えて御審議を願った、こういう次第でございます。
  11. 永井勝次郎

    永井委員 そういたしますと、この法案は、いままでの政府政策にはいろいろな失敗もあったが、それのしりぬぐいではない、いままでの失敗の体験を生かして、そうしてその足りなかった点を政策的に補正して、新たな発足として、これから間違いのない振興対策をこの法案から出発するのだ、前向きで取っ組んでいくのだ、こういうかまえでこの法案を提案する、こういうふうな大臣の御説明であったと理解するのでありますが、そのとおり間違いございませんか。
  12. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話のような考えのもとに本法案提出して、御審議を願っておる、こう御理解願ってけっこうでございます。
  13. 永井勝次郎

    永井委員 そういたしますと、この法案には暫定措置的なものはない、また一定の時期を限りてという時限的なものはない。そうして、政府考えておる、国産国際競争力を強化し、国際競争力を獲得するまで、この法案を発展させていくのだ、こういうようなねらいを持っておるのだ。たとえば寒地ビートについて、暖地ビートについて、また甘蔗糖について、あるいはブドウ糖について、これらの問題を国内自給度を高めていくという積極的な政策の線に乗せて、そうして価格の点においてはいろいろな施策をして、国際的な価格と競争できるような条件を獲得するまで、そういうものが整備され安定できる条件が確保されるまで、この法案を続けていく、こういうかまえである、こういうふうに理解してよろしいですか。重ねて……。
  14. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そのとおりに考えております。一つは、生産者に対する生産の増強及び価格対策を講じていかなければならぬ。砂糖業者等につきましては、合理化等を進めていかなくてはならぬと考えております。そういう関係で、国内的に国際糖価水準均衡がとれるような形を、急速にはできませんが、逐次進めていく。しかも、生産者生産を進めていく上におきまして支障のないように、より生産に励み得るような形に進みたい、こういう考え方でございます。
  15. 永井勝次郎

    永井委員 世間では、この法案に対しては、消費者不在である、生産農民不在である、こういうふうに批判する向きが多いのであります。また実際において、消費者の消の字もここには出てきませんし、生産農民関係も表面には出てまいりません。でありますから、この法案恒久対策の柱であるということでお進みになりますならば、消費者対策は今後この中でどういうふうな位置づけになるのか。また、生産農民生産費所得補償方式というか、この生活の向上といった関係において、どのような位置づけにおいていま大臣の言った目的を達成するための施策がなされるか、この法案に隠れておるこれらの問題について、明確にひとつ伺っておきたい。
  16. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御承知のように、現在のままであるといたしますと、国際糖価が下がったという場合には、流通過程に吸収され、消費者利益というか、裨益するところが少ないのは、御承知のとおりでございます。また、異常に高いときにおきましては、消費者価格もこれに追随して上がってくる、こういう状況にありますので、輸入糖価格調整によりまして、国内糖価平準化がはかられるならば、これは消費者にとっても、適当な価格によって買い入れられるという恩恵といいますか、安定性があると思います。ただ、現在消費者の方面で騒ぐというような形がございますが、何しろ異常な暴落でございます。自由化したときには異常な暴騰でありましたが、現在においては異常な暴落であります。でありますので、あまりに暴落しておりますので、平準化されることに対しまして、消費者価格が上がるのかということで心配をしている向きもありますけれども、私は、価格というものは、生鮮食料品などでもそうでございますが、あるときには暴騰し、暴落するという形ではなくて、やはり一定水準平準化によって小売り価格が実現されるということが、小売りというか、消費者にとっては最もいいことではないか。砂糖原料として製造するところの菓子業者等につきまして、いろいろ問題があるかと思いますが、これは価格が下がったからといって、下げるわけでもないし、上がったときには上げるというような形で、消費者価格とスライドしないでおるような現状も考えられます。そういう意味におきましては、私は、消費者の面だけをとってみますならば、平準化ということが最も必要だ。その平準化をはかろう、こういうことでございますので、私は、消費にとっても、この法律恩恵——というのは、あまりことばが適当でないかもしれませんが、寄与するところ溝ある、こういうように考えます。
  17. 永井勝次郎

    永井委員 大臣承知のように、自由主義経済の中における価格というものは、需給関係から、自由な形において自然にきまっておるし、それが一番経済の進歩なり発展なり、そういうものに寄与するものであるという原則に立っておるわけである。貿易自由化しましたのも、そういうねらいをもって行なわれたものであるとわれわれ理解する。そういう理解の上に立ってまいりますと、いま大臣の御説明のような、価格を人為的に調整していく、自然の現象の中で経済的な関係できまっていく方法以外に、人為的な方法一つの安定をはかっていく、こういうことはいかがでありましょうか。だれかが人為的にやるから、そこにいろいろな力が働いて、自然の条件とは違った要素が働いて、価格がゆがめられていくのだから、自然の条件にしたほうがいいのだ、こういうことを金科玉条として立っているはずのいまの内閣のその大臣が、それよりは人為的のほうがいいのだ、こういう考えに立つということは、みずからの基本的な政策を否定する結果になるのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、この点はいかがでありますか。
  18. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は、価格形成は、需給均衡価格というような形で自由経済下におきましては形成されるというふうに、もちちん考えております。しかしながら、これを全然放任いたしておきます場合におきましては、あるいは暴騰し、あるいは暴落する。ことに農産物におきましては、あるいは暴騰し、あるいは暴落する。生鮮食料品野菜等につきましてもそういういう傾向がございます。でございますので、価格形成は、需給価格というようなことにはなりますけれども、暴騰暴落を防いで、生産者にもあるいは消費者にもそういう不安を除去していくということは、やはり国の政策として、いかに自由経済立場に立ってもやらなければならない責任だ、あるいは政策だ、こういうふうに考えます。そういう意味におきましては、需給価格に対しまして何も強制力を用いるのではございませんけれども、需給価格のもとで安定をするような政策を行なう。これは自由主義経済も野放しの自由主義経済ではございません。現在の段階におきましてそういうことは必要である、こう考えております。
  19. 永井勝次郎

    永井委員 われわれは自由主義経済を必ずしもいいと認めてはおりません。これを否定して、計画経済こそが、ほんとうにわれわれに正しい物価なりあるいは生活の保障なりをしてくれるものだ、こういう立場に立っておるわけでありますが、自由主義経済の上に立っているいまの内閣が、それが一番いいのだという主張の上に、その土台の上に組み立てられている。でありますから、物が少なくなれば上がっていく、余ってくれば安くなってくる、これは鋭敏に価格に影響してくるわけです。その鋭敏に価格に反映して、反応してくるところに、自由主義経済一つ刺激がそこに生まれてきている。少なくなれば、それでは増産をどうしたらいいか、少なくなった原因はどこにあるかということが、これは隠さずに出てくるから、それに対する次の対策がそこに出てきて、それを克服して次の発展に行く、こういうことが自由主義経済の私は長所だろうと思うのです。でありますから、なぜ砂糖が非常に上がったのか。国際価格が下がっているにもかかわらず、日本国内砂糖価格は非常に高い、そういう時代がずいぶん長く続いた。これらについては、外貨割り当てというようなへんちくりんなことをやって、そこで、政府砂糖業者との政治献金とかなんとかという、いろんな忌まわしいうわさが出る。それほど理不尽ないろんな条件国内価格関係に出たから、われわれはそれを攻撃してきた。自由化して下がってきた。下がったら、今度はまた人為的なことをするというようなことは、必ずしも物価の、砂糖価格の高低に対して正しい反応を示すやり方ではなくて、しりぬぐい——政府のほうはしりぬぐいでないと言っているけれども、現実にはしりぬぐいの形において措置されている。これがいまの価格対策ではないか、こういうふうに思われるので、私は重ねてお尋ねをしたわけでありますが、価格は御承知のように現象ですから、その基礎にはいろいろな経済的な諸条件があります。でありますから、砂糖恒久対策価格の面の操作でやろうとしますためには、価格を通して、生産条件なり価格をきめるいろんな経済的なファクターに対して冷厳な分析をし、措置をし、そうしてそれを組み立てて価格を動かすという方策をしなければ、力づくで価格だけを操作するというのじゃいかないと私は思う。そこで、いまの政府政策は、価格対策で操作していこうというのですから、これは価格の面だけで場当たりで措置されたらたいへだ。価格という窓口を通して経済施策を適正に実行していただかなければ、またそういうかまえがなければ、この法案は悪法であって、われわれは何も期待することはできないということになるわけです。  そこで、いまの法案の中には、輸入糖が入っている、寒地ビートが入っている、暖地ビートが入っている、甘蔗糖が入っている、カンショでん粉が入っている、あるいはバレイショでん粉が入っている、もう異質なものが雑居しているわけです。いろいろなものが利害が必ずしも共通でありません。甘味という点では共通でありますけれども、企業という点においてはこれは複雑多岐であります。そういうものが一つ法律のワクの中で雑居していて、これを価格政策一本で操作していって、そうしてこの経済政策としての目的を達成する、こういうためには、これはもう相当な配慮と努力と、それからあやまたない分析が必要だと思うのですが、それらに対して政府はどのような基本的な態度で臨もうとされるのか。このいろんな個々の問題については後ほどまた触れてまいりますが、これらに対する基本的な態度について、価格政策を通して甘味資源振興をはかっていく、安定をはかっていく、こういうことに対する基本的な態度について明確にしていただきたい。
  20. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに、価格対策そのものだけで農業政策をやっていくということは、私はとらないところであり、私も、かかる価格政策を通じて生産対策とマッチしなければならぬ、こういうふうに考えております。ところが、砂糖につきましては、これは私から申し上げるまでもなく、国際的商品でもございますし、自由主義国家では、各国とも砂糖に対して自由主義経済をとっておりましても、砂糖に対してある程度の統制といいますか、ある程度の介入といいますか、そういう政策をとっておるのは、申し上げるまでもないのであります。そこで、輸入糖が何といたしましても日本における砂糖の七割を占めております。でございますので、国内的に甘味資源に対しての特別措置法等によりまして、価格対策を通じ、生産政策も行なうといたしましても、七割の輸入糖というものの影響力が非常に大きいので、そういうものだけではなかなかまかない切れないといいますか、やはり通し切れない、こういう実情にあると思います。そういう意味におきまして、こういう法律補正いたし、そうして国際的な糖価水準にもマッチさせるように国内糖価水準もきめていく、こういうことによりまして万全を期していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。  なお、生産条件その他につきまして、もし差しつかえございませんければ、事務当局からも個々的に御答弁申し上げることにいたしますけれども、私の答弁だけでよろしければこれでとどめます。
  21. 永井勝次郎

    永井委員 大臣が十二時半にお出かけになるということで一あと時間があまりございません。大臣に対する質問を重点に進めて、時間が相当かかると思うので、後ほど事務当局等に対してはお伺いをしていきたいと存じております。  そこで、いま大臣の御答弁の中で、ちょっと聞き漏らしたと思うのですが、輸入糖が多いから、国産糖については自給度を高めていくという従来の政策を頭打ちにして、輸入糖相当ウエートを置いて考えていかなければいけないというふうなお話であったのではないか、この点、もっとはっきりとひとつ聞かせていただきたいと思います。
  22. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そういうことに申し上げたわけではございません。輸入糖が七割を占めているから、国内甘味資源価格政策を通じての生産対策だけでは不十分である、こういうふうに申し上げまして、自給度を高める点につきましては、依然として高めていかなければならない、こういう考えを持っております。
  23. 永井勝次郎

    永井委員 そういたしますと、この法案の土台になっております、この法案が取っ組む甘味資源というのは、昭和三十四年度に政府が立てました長期目標、そういうものは動かない、こうおっしゃるわけですね。これは三十四年度の計画を推進するための一つの突っかい棒なんだ、こういうふうな理解でよろしいわけですか。あるいはほかに何か政府の基本的な政策の中で変わっている点があれば、どの点が変わったのか、それを示していただきたい。
  24. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 三十四年度に需給見通しというものをつくりました。しかし、最近におきまして、これも御承知と思いますが、基本法によります四十六年度の見通し、またそれより前の四十三年度の需給計画——私のほうでは計画ということばは使っておりません。そういう意味におきましての計画でございますが、そういうふうなものは変わりございません。
  25. 永井勝次郎

    永井委員 それじゃ食糧庁長官から、変わっているか、変わっていないか、はっきりさせるために、数字でひとつ答えていただきたい。
  26. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 ただいま御質問になりましたように、三十四年度の甘味資源自給力強化総合対策におきまして、十年後の需給目標を立てたことがございます。このときにおきましては、総需要量を百五十二万トン、国内生産量を七十五万トン、自給率四九・三、こういう目標を立てたわけでございますが、その後におきまして、すでに百五十二万トンの需要量は、現在におきましてもはるかにこえておるというふうな事態になってまいりましたので、これの改定を行なっておるわけであります。  その第一は、いま大臣からお話がありました昭和四十六年度における砂糖の需要の見通しを立てたものがございます。これは農業基本法に基づきまして、重要農産物の生産及び需要の見通しを立てたものでございますが、この数字によりますと、四十六年度におきまして、経済成長率が七%の場合と七・八の場合と八・七の場合を想定いたしておりますが、そのおのおのにつきましての四十六年度における需要は、二百九万一千トン、二百十九万八千トン、二百三十二万四千トンというふうに相なっておりまして、三十四年度の策定当時よりも需要量は相当に伸びておるわけでございます。その際、四十六年度の生産見通しといたしましては、てん菜糖のみを掲げておりますが、これは二百十五万六千トンという生産量の見通しを立てております。  その後、四十六年度よりも、もう少し短期の中期の計画を立てるべきであるという要請もございまして、去る四月に甘味資源審議会を開きまして、四十三年度における国内産糖類の生産の見込み量を立てたわけでございます。これはお手元に「糖類の価格安定等に関する法律案参考資料」をお配りいたしておりますが、その一四ページにございます。これによりますと、四十三年におきまする総需要量を、個人消費支出の成長率六%の場合は二百十一万八千トン、七%の場合は二百十八万六千トンという想定をいたしております。これに対しまして国内の供給量といたしましては、てん菜糖が二十五万六千トン甘蔗糖が十三万九千トン、ブドウ糖が十四万三千トン、国内の供給量といたしましては五十三万八千トン、したがいまして、国内の自給率は二五’四ないし二四・六ということになるわけでございますが、これに四十六年と同じように沖縄産糖の本邦に対する輸入見込みを——御承知のように、沖縄産糖の生産量はほとんど本邦に輸入されておる状況でございますので、二十八万九千トンというふうに想定いたしますと、自給率は約三八ないし九%、こういうふうに現在のところ見通される、こういうことになっておるわけでございます。この計画に従いまして、現在は甘味資源特別措置法に基づく振興計画を進めておる、こういうことに相なっております。
  27. 永井勝次郎

    永井委員 経済的諸施策でありますから、経済環境がどう変わろうと、たとえば最初に立てた自給度七〇%なら七〇%を確保するのだというようなことで進んでやれないことはもちろんであります。そこには経済的な可能の限界があろうと思うのです。その限界をどういうところまではやるのだ、どういうところはそんな不採算なことはやれないのだ、こういう点は明確にしておきませんと、間違いを起こすと思うのです。こういうたとえば需要量というような数字は、いろいろそのときの国民所得や生活水準で違ってきますが、これで見ますと、先行き自給率がだんだん低くなっていく。だから、政府の言うような、先行き自給率は高くなっていくのだ、自給度を高めていくのだという政策とは、逆な方向にこれは動いているわけですが、その点は、このような自由主幾経済下における目標というものが、どうしてこういうふうに最初うたったものとは違って逆行していくのか、そしてそれを高めていくのにはどういう限界を置いているのか、その点をひとつ明確にしていただきたい。
  28. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 お話しのとおり、このような生産あるいは需要の見通しにつきましては、経済事情の変動によりまして、動く要因が多々ある。需要量につきましては、先ほど申し上げましたように、三十四年の当初の需要量よりも、現在はるかに需要量がふえてまいる、また将来もふえるだろうというふうなことが、大きく変わった一つの点でございます。その結果、生産量としてもふえておりますけれども需要量はそれ以上に伸びておるということから、当初の自給率四九%よりも下がっておるような事態に相なっております。国内生産量の考え方につきましては、すでに甘味資源特別措置法が本委員会で論議されました際に申し上げたところでありますが、やはり農産物につきましては、適地適作ということが中心でなければいけないということで、寒地におけるビート、あるいは西南諸島における甘蔗糖、あるいは沖縄におけるサトウキビの生産といったように、それぞれの地域におきまして、農家の農業経営あるいは農業の立地条件等を考えました、その地に即した生産計画を立てて、そしてその振興をはかっていく必要があるのじゃないか、こういう考え方に立っておるわけでございます。したがって、甘味資源特別措置法におきましても、生産振興地域を定めまして、その地域ごとに生産計画を立てて進める、こういう考え方をとっておるわけでございます。その結果、それぞれの地域におきます生産の諸条件から今後見通される生産計画を立てまして、そして先ほど申し上げたような四十三年度の需要と生産目標とを立てたということに相なっておるわけでございます。この生産計画に対応いたしまして、生産振興に対する生産面の助成あるいはその他の措置を進めるほかに、価格対策については価格支持の措置をとって進める、こういうことで現在までまいっておるような事情にあるわけでございます。
  29. 永井勝次郎

    永井委員 将来の目標はどうですか。
  30. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 将来におきましては、さしあたり、いま申し上げました四十三年度の生産目標並びに需要の見通しが、一応甘味資源審議会に諮問いたし、御了承を得ておりますので、この生産の実現に向かって自給度を強化するように進めてまいりたいというのが、現在の考えでございます。
  31. 永井勝次郎

    永井委員 この甘味資源の中に、ブドウ糖甘味資源として入っておるわけです。将来砂糖国際価格が非常に暴騰した場合は別でありますが、平常の場合、ブドウ糖砂糖と競争して経済的に成り立つ条件をつくるということは、私は不可能だろうと思うのです。これが自給度を高めていくという中へ入っておるわけです。そうしますと、経済的に成り立たないものをこの中に入れておるのですから、入れておる以上は、国内自給度を高めていくのだ、ビートや甘蔗だけでは七割なら七割という自給度に達しないから、その足りない分をブドウ糖で補っていくのだ、採算も何も度外視して自給度を高めていくのだというところにウエートを置けば、このブドウ糖甘味資源というのは意味があると思うのです。ところが、経済には一つの限界があるのだ、経済性を越えた無理なことはできないのだ、こういう限界を置いて、この法案の今後の運営をやっていくということになりますと、ブドウ糖はどこまでもウドウ糖として砂糖と競争する、そういう条件の中では、代替品ですから、とてもかないっこありません。そういたしますと、ブドウ糖をこの法案によって守ってほしいという願いと、先行きこれを切り捨ててしまわなければいけないという条件と、逆な結果が出てくるんじゃないか。ですから、政府政策の中で、自給度を高めるという点に重点を置けば、ブドウ糖意味があるし、生産性の点にウエートを置いて、それを基準としてやっていくということになれば、これは将来切り捨てられる心配がある、こういうことになるわけです。その辺の事情について、ひとつ大臣のかまえをはっきりと伺っておきたいと思います。
  32. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御承知のように、ブドウ糖は、でん粉の過剰対策として進められた経緯がございます。そういうような関係でございますので、必ずしも他の甘味資源と比較して採算上有利だというようなことはなく、むしろ不利のほうが多いと思います。でございますので、私は、合理化が進みませんと、自給度を増していくことは困難だという見通しを持っております。しかし、現在におきまして、現在量を減らすというような考えはありません。現在程度のものは生産をされていくように進めていきたいと思います。しかし、自給度を増すということには、なお合理化をしなくてはならぬという要請にぶつかります。でございますので、現在としての見通しらいいますならば、現在程度のもので進めていく、減らすというような考え方は持っておりません。
  33. 永井勝次郎

    永井委員 それはおかしいじゃないですか。大臣、農業基本法が出ました場合は、カンショあるいはバレイショ、こういうものの作付はたんだん減らしていく、そうして選択的拡大として、果樹であるとか酪農であるとか、そういった方向を拡大していくのだ、これは減らしていくのだという基本的な政策を打ち出しているんじゃないですか。それから現実にいまでも、長官の言うように適地適作が原則だというならば、鹿児島なんかカンショは適地適作です。どんどんふやさなければいけません。北海道なんかバレイショはもっとふえてしかるべきです。ところが、バレイショがふえると、農林省はいやな顔をする。もう苦り切って渋い顔をする。決して喜んだ顔なんかしません。いやな顔をします。そんなものがふえるのは迷惑千万だ、こういう顔をして水をかける。ことにことしのようにもう春先から凶作だということになりますと、現実にビートとかバレイショがうんとふえるのです。ふえていくと、なまでイモを食べるとか、あるいはジュースに使うとか、そういった関係のでん粉の消費というのは、大体コンスタントにそう多くない。そうすると、増産された分はどうしたって生産過剰ですから、最後のでん粉処理としてブドウ糖、こういう大臣のお考えですが、そうなりますと、ここに一定の限界を置きませんと、将来はどんどん鹿児島にはもっとイモがふえてくるでしょう。北海道にもイモがふえてくる。そうしたら、いやでもおうでも、これはブドウ糖増産していかなければならない体制になってくるわけです。その関係をここで明確にしていかないと、ただ価格の点から、砂糖類価格安定という点で問題を見ますと、そういういろいろな狂いが出てくると思うのです。実際、生産の諸体制とそれの終末処理の関係との間に、非常な違いが出てくるのですが、その点をひとつ、まだ基本的な問題の分野ですから、こまかく入ることは私は避けたいのですが、一つの事例として、その関係は明確にしておいていただかなければ困ると思うのです。
  34. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私申し上げたのは、カンショあるいはバレイショのでん粉としての価格支持を農安法でやっています。ところが、御承知のように、一時相当でん粉が過剰になりました。その過剰対策をどうするか、私は農林大臣を前にもやっていたことがありますが、ブドウ糖に転換したらよかろうということで研究をさせまして、ブドウ糖経済的に成り立つということになったわけでございます。でございますので、私は、これを価格支持をしていけばますますふえていくじゃないか、ふえていけば、もっとやらしたらいいじゃないか、こういうような御指摘かと思いましたが、私が申し上げたのは、生産の点で、現在程度のブドウ糖生産というものを、需給見通しらいったならば、見通しをつけるべきじゃないか、それ以上の見通しをつけるというのには、いまのコストが低下されるというような合理化がされない以上は、ブドウ糖につきましては、価格支持をいたしましても、なかなかいまの生産以上には無理じゃないか、生産の面では現状程度にとどめたほうがよい、こういうふうに申し上げたわけであります。
  35. 永井勝次郎

    永井委員 そこに私は、単にでん粉だけではなくて、ビートの場合でも、国産甘味資源生産の上に問題が出てくると思う。生産の基盤から、原料はどれだけなにしていく、こういうふうに積み上げていかなければ——大臣の言うような、数量を現状程度にチェックしていく、それ以上にふえないようにする、価格関係が有利だとどんどんふえるからというので、価格の上で不利な条件を置いて、そうして価格操作で切り捨てていく、押えていく、こういう政策は、これは簡単に行なうことができるわけですよ。ブドウ糖目標価格はこれだ、それ以上はチェックするのだ、砂糖についてはこうだ、こういうふうにこれをやられますと、何もその価格の計算根拠というものはないのですから、いわゆる上限、下限それぞれの価格の問題がここに出てきます。出てきた場合、計算基礎というのをはっきり伺っておかなければならないのですが、そういう価格政策で簡単に財政負担はなにしたくないのだ、輸入糖関係も、差益金をあまりチェックされたくないのだというようになってきますと、だんだんこれは生産の体制に圧迫を加えてきます。圧迫を加えていけば、損をしない程度においてまかなっていこうということになれば、あまり金をかけないで生産をやっていこうということで、政府はいまのその価格操作を簡単にやる。そういうところで頭打ちをやるという簡単な操作が行なわれる心配が多分にあるのです。政府にはそういう考えはございませんか。十分に生産が成り立つように、そうして自給度を高めていくという政策に変わりはないのだ、それをやるためには、一定の合理的な条件が整備するまでの間は政府が見てやらなければいけない。原料が足りない間はそのコストが高くなるから、やっていかなけれぱならぬし、土地改良なりなんなりどんどんやって、そうしてそういう条件をつくり上げていって合理化していくという、回り遠いけれども、基礎からやるというかまえでないと、価格の操作だけで合理化をやられたらたまったものではないと思うのです。その点ひとつ伺っておきたいと思います。    〔委員長退席、仮谷委員長代理着席〕
  36. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かにそのとおりでございます。こういう制度をしいて、価格の面からあるいは切り捨てたり、あるいはふやしたり、そういうことはこの法律のねらいではございません。でございますので、需給見通しに従って、それをするのにはどの程度の平均価格等が適当であるかというようなことを——学識経験者等の知恵を借りまして、上限、下限価格等をきめるわけでございますが、そういう上におきまして、一つ生産目標に従って、それとマッチした価格対策でなければならぬ。一面におきましては、国際的な価格水準もございます。こういうような見通しのもので、財政支出をきらって合理化をしいるということでなくて、財政支出はそのきまったものに従ってしていく、合理化は逐次合理化をしていく、こういうことで、出血を最少にさせるというような考え方は全然ないわけであります。
  37. 永井勝次郎

    永井委員 経済的な問題ですから、経済的な条件というものはどんどん動くわけです。環境も動きますし、それからこの法案の中に所在する輸入糖国産糖ブドウ糖、こういう一つ関係も、お互いに利害が一致いたしませんから、この法案の運用が、経済的な諸条件の中で力関係で動いてくる条件が出てくると思います。その場合に、政府の意図がどうあろうと、政府が銭金かまわないで国産糖をどんどんやるというかまえでなくて、そこに経済的な諸条件を置くということになれば、やはりチェックする面が当然出てくるわけです。そうして、この法案の中にある輸入糖国産糖とブトウ糖との関係、これはやはり力関係で弱いものにしわ寄せされてきます。そういう場合、この法案の運用について、弱いものへのしわ寄せにならないよう政府はどういうふうに運営をし、また、価格の決定その他についてどんな形でこれをやっていくお考えですか。そこにやはり自給度を高めるという原則がきちっと確立されておりませんと、ブドウ糖は最低このくらい生産するのだ、寒地ビートはどのくらい生産する、暖地ビートはどのくらいだ、こういうものが明確にありませんと、これは価格関係で簡単に動いてきます。その点を明確にしていただきたい。
  38. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 先ほど四十三年度の生産目標を申し上げたわけでありますが、一応甘味資源審議会におきます御論議によりまして、四十三年度の目標を立てましたので、われわれとしては、てん菜、甘蔗、ブドウ糖についての目標見込み数量につきまして、生産の達成をはかるようにしてまいりたいという考えを持っておるわけであります。したがいまして、その間におきましては、この生産を達成するような条件を前提としまして、各企業別の生産コストというものが出てくるわけであります。その生産見通しまして将来における合理化の目標というものを立て、これに逐次向かっていくように毎年の価格支持をやってまいりたいという考えを持っておるわけであります。いまお話にありましたように、いきなりこの目標的なコスト価格を頭に置いて、それで財政的な負担の限度をきめる、こういう考え方は毛頭持っておらないわけであります。いま申し上げた生産量を踏んまえて、将来の生産目標を定め、逐次それを達成する間におきましては、当然必要な財政負担をして価格の支持をはかっていく、こういう運用のしかたをしていきたい、こう考えております。
  39. 永井勝次郎

    永井委員 大臣から御答弁いた、だきたいのですが、そうしますと、合理化については、現状の自主性を尊重していく、それを土台に踏んまえて、漸次合理化をやっていく、こういうことなんですか。はっきり言ってください。
  40. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 もちろん、そうでございます。現状を土台として、逐次合理化を進めていく、こういう方針でございます。
  41. 永井勝次郎

    永井委員 そうしますと、現状を一つの土台にしてやっていくと、合理化刺激は何んでやるのか、合理化を刺激していく一つの指導は何でやるわけですか。
  42. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 一つは、やはり生産量を増大するということがコストを低下させていく、もう一つは、やはりコスト低下の一般的な工業面等において行なわれているような合理化の対策を逐次講じていく、こういうふうに考えます。
  43. 永井勝次郎

    永井委員 それは、たとえば国産ビートの場合の合理化は増産することだというならば、原料がふえなければできないことです。工場の責任ではございません。責任の一端は工場にあるにしても、工場だけの責任ではない。政府施策、土地改良、その他いろいろな基礎的なことから始めなければならない問題があります。それには輪作形態におけるローテーションをどうやるか、こういう問題もあります。農業経営上のいろいろな問題がここにあるわけです。そういうものが伴ってこなければ、増産刺激にはなってきません。それから工場の中におけるコストの問題は、たとえば十五万トンのキャパシティーでいくのか、十八万トスのキャパシティーでいくのか、原料との結びつきでどうなっていくか、多ければ多いほど、私はコストダウンになっていく、こう思うのです。品種の改良ももちろんであります。歩どまりを大きくするとか、そういういろいろな問題がある。それから運賃がよけいかからないように、工場の周辺に主産地が形成されていくとか、いろいろな問題があるわけです。  そういう問題は、政府施策でやりますが、そういうものを能率的にどんどん刺激していくには、価格をえさにして、価格操作でいかなければ、実際はできないのじゃないですか。現状で安定させるということならば、これは先の合理化というものの刺激にはならないわけです。合理化をやればやるほど、その努力するメリットは、自分のところの価格の引き下げになって、企業の運営を苦しくするという、相反する条件がここに出てくるのですから、企業におけるマクロとミクロの関係は明確にしておかなければ、間違いを起こします。その関係はどういうふうに考えるわけですか。
  44. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに生産対策、これは企業ではございません、企業外の生産対策につきましては、生産費を償うような価格でもあり、あるいはいま御指摘のような土地改良等によりまして、政府の投資といいますか、こういうことも必要でございますので、そういう面からも、企業の合理化によるコスト低下の援助になると思います。同時に、企業内部における合理化、こういうことは、企業者としては当然やらなくてはならぬ問題だと思いますけれども、そういうものを促進するにつきましての方途を指導していく、これは法律ではございませんで、そういう面から指導していくよりほかないと思います。
  45. 永井勝次郎

    永井委員 経済問題は、口で指導するだけでなくて、経済の問題は経済で処理しなければ、指導にもなんにもならないわけですから、結局価格操作でいかなければならぬでしょう。価格操作によるのでしょう。いかがです。
  46. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この法律により、あるいは甘味資源特別措置法等によりまして、もちろん買い上げの価格等が決定されるわけであります。その価格が適当であるということでありますならば、その価格面から合理化のほうにも進むということと思います。したがいまして、単なる行政指導ではなくして、経済面で、指導ということばが適当であるかどうか知りませんが、そういう役割りを果たさせなくてはならぬ。それにつきましては、価格の面について十分考慮しなければならぬ。お説のとおりに思います。
  47. 永井勝次郎

    永井委員 その価格が適正であるか、適正でないかということは、第三者の批判にまたなければいかぬことなんですが、合理化を刺激していくには、価格をえさにして、価格で引っぱっていかなければ、合理化は刺激できない。価格操作をやるということです。そうなってまいりますと、現状では、これだけのコストがかかるけれども、これだけはこの価格でやれるはずだという押しつけが始まるわけですね。私は、口では簡単に言いますけれども、そういう関係価格の面で、一定の基準できちっとやるのは何ですが、米の価格にいたしましても、麦の価格にいたしましても、価格問題についてこれだけ大騒ぎしている実例から見ましても、ビートの問題なんか、価格をきめるのだ、きめるのだというけれども、そのきめる中には、現状を維持するんだ、現状を踏まえると言いながら、そこには合理化基準がねらいで、その中に価格がファクターとして入ってくるのだということになれば、今後この問題も相当問題になってくると思いますが、いまはそういう問題は深く触れず、後ほどこれらの問題に触れていきたいと思います。  答申の中には、合理化がうたわれておるわけですが、合理化答申は出てないわけです。合理化については、別なところで何かもっと具体的におやりになるのですか、あるいはこの法案の運営の中で具体的にやっていくというお考えですか。合理化問題の取り扱いがいままだ報告されておらないわけです。その関係の取り扱いはどうなさいますか。
  48. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 詳しくは食精庁長官から御答弁いたさせますけれども、国内糖につきましては、御承知のように、合理化目標ができておるわけでございますので、その合理化目標に沿うてやっていくつもりでございますが、これを具体的にやる場合には、相当学識経験者等の意見も聞いてやらなければ具体化しないと思います。  なお、詳しくは食糧庁長官から答弁いたさせます。
  49. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 お話の合理化の問題につきましては、国内産糖の企業の合理化の問題、それから輸入糖の企業の台理化の問題と、二つあると思うわけでございますが、ただいま大臣からお話がありましたとおり、国産糖につきましては、この法案におきましても、五年をこえない一定期間ごとに、将来の合理化目標価格というものを定めることになっておるわけでございますので、この合理化目標の達成をはかるべく、一つには、外ほどお話がありましたように、生産量の増大それに伴う操業度の向上、あるいは企業身体としての合理化に対応していくような態勢を誘導してまいる、こういうことを当然考えていかなければならないものと考えておるのでございます。そういう線に従いまして、具体化につきましては、今後の運営の面におきまして検討してまいりたい。  それから輸入糖の企業につきましては、この法案自身におきましても、相当上下限の幅のある糖価水準考えておりますので、その間におきましては、当然企業の競争も行なわれることになろうかと考えるわけでございますが、いわば上下限の一定価格の幅ができますと、企業競争におけるいわば土俵ができることになるわけでございますので、その土俵の中におきまして、秩序ある合理化を今後進めていく必要があろう。ことに輸入糖につきましては、六十数社の多きを数えておるわけでございますので、当然その間におきまして合理化が行なわれましょうし、また行なっていく必要もあろう。これらの具体的措置につきましても、ただいまお話がありましたように、学識経験者等の意見を聞きまして、その具体的な検討を進めてまいりたい、この法案の制定を待って進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  50. 永井勝次郎

    永井委員 合理化におきましては、輸入糖関係では、いま国際価格よりも国内価格は下回っておる。安くなっておる。これは国内における過度の競争の結果である。そういう点においてもこれは何とかしなければならない問題であるとともに、私は外国の市場関係もあると思う。日本の外糖輸入は、主として国際の自由市場からこれを輸入している。イギリスなんかは、自分の国のものと連邦との関係をきちっとやる。アメリカも特恵国ときちっとやる。そうして弾力的な輸入は自由市場を利用する、こういうふうにしておる。日本はそういうことではなくて、自由市場を相手市場としておる。でありますから、上がったときはぐっと一番上がったところのあおりを食う、下がったら下がったやつのあおりを食う、こういう国際市場における日本の不利な条件というものを整とんする必要があると思うのですが、これはどうでありますか、これが一つ。  もう一つは、輸入糖不況の状況に照らしまして、メーカーが商社と相当資本提携し、経営を提携していく一こういうふうになりますと、向こうから砂糖を輸入する、輸入するかわりに、こっちから機械なり何なり向こうへ輸出してやるという、砂糖は全く犠牲になり、こちらの向こうへ輸出するものを主にした取引状況が行なわれる危険が、今後相当ふえてくるのではないか。その関係は、一体外糖輸入の面における合理化の面でどういうふうにお考えになっておるのか、そうして国内における合理化は、合理化、合理化というのですが、どういう基本的な基準でこれをお進めになるというお考えであるか、この三点について……。
  51. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 第一点の、日本の粗糖の輸入条件が非常に不利な条件にあるのではないか、その点はまさにそうであろうと私も考えておるわけでありまして、自由市場にもっぱら依存し、かつ、自由市場の非常な価格変動のあおりをそのまま国内糖価に反映するような事情にあるということは、御指摘のとおりだろうと思います。それがゆえに、企業といたしましては、とかく投機的な性格を持ってきて、健全な企業の育成ということが妨げになるおそれが多々あるわけであります。そこで、今回の法案によりましても、糖価水準平準化するような措置をとることによりまして、これらの投機的な輸入の思惑というものがある程度是正される可能性もそこから出てきますと同時に、価格変動におきましても、異常な変動が是正されるということになりますれば、その間におきまして、企業の本来のあり方としての合理化が進められるような条件がそこに出てくるのではなかろうかということを考えておるわけであります。すなわち、国際自由市場における大きな価格変動のあおりを、国境におきまして事業団の売買という価格操作を通じまして、国内価格についての平準化をはかってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから第二点の、商社活動に伴って、これを今後どのような企業の合理化と結びつけていくか、これはいろいろ国内販売の面におきましても、あるいは国内の金融の面におきましても、だんだん最近におきましては商社金融と精糖企業との関連が緊密化しつつある傾向にあるように考えておるわけでありますが、いずれにいたしましても、今後六十数社と考えられる企業の状況から見ますと、現状におきましてはいかにも不合理な状態にあるということは、これは御指摘のとおりであろうと思うのであります。過当競争によりまして、国際価格水準以下に国内糖価が下がっておるような状態を現出している点も、その原因はそこに一端はあろうかと考えるのでありまして、そこで、今後におきましては、現状におきまして必ずしも設備が非常に不足するという事態にはない。特に地域的に見ますと、非常に不均衡な状態にあるのじゃないかというふうにも考えられる。したがって、いま申し上げたような価格についてのある程度の平準化の土俵ができました暁におきましては、この中におきまして合理化を進めます場合に、無秩序な設備拡張というようなことにつきましては、今後やはり是正していく必要もあろうし、これらの見通しにつきましての合理化計画も将来に向かって検討していくことが必要ではないかというふうに考えております。これらの合理化の検討につきましては、十分関係者の意見を聞きまして進めてまいりたい、こう思っております。
  52. 永井勝次郎

    永井委員 国際糖価暴騰した場合は弾力的に関税で考えていく、こういうふうにこれはうたってあるわけですが、具体的にはどのような措置をとるのですか。この相場というものはこういうふうに激しく動くわけですから、そういうような場合に、それに適応した即刻行なえるような条件なのかどうか。具体的にそういう場合にどういうふうな措置をなさるのか、示していただきたいと思います。
  53. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 国際糖価が安定上限価格を越えて騰貴するような場合におきましては、一般的に高い価格で買って、国内には安く売るということによって、安定上限価格以上に国内糖価が上がらないように措置いたしたいというふうに考えておりますが、しかし、長期的に見まして、国際糖価自身がどんどん上がってくる、また事業団としては、いま申し上げたように、高く買って安く売るというような価格調整によっては、十分安定上限価格の維持ができないというような事態におきましては、関税によって操作したい。関税は、御承知のように、現在粗糖一キロについて四十一円五十銭という比較的高い関税がかかっておるわけでございます。そこで、糖価が著しく高くなりましたような場合におきましては、安定上限価格に見合う程度に関税を下げていく、こういう操作をとってまいりたいというように考えておるわけでございますが、その関税の下げ方につきましてはいろいろの方法があろうと思います。四十一円五十銭を時の相場に合わせまして十円下げるとかあるいは五円下げるとかというふうに、固定的に関税を下げる方法もあろうかと思いますが、一番いい方法は、いまの関税定率法の中にありますような弾力関税という方法一つございます。これは糖価にスライドして関税率を下げる、こういう方法をとる道が開いてあるわけでありますが、おそらく今後とる方法としては、弾力関税の方法をとることが望ましいというふうに考えておるわけでありまして、これはいずれ関税定率法の改正になるわけでございますので、今回の法案の中におきましては、政府が、上限価格を越えるような時価が出現した場合におきましては、それを下げるような措置をとるという責任を明らかにした規定を置いているだけでございます。具体的には関係定率法の改正によって対処する、こういうことに考えておるわけでございます。この定率法の改正につきましては、今国会におきましては提出は困難でございますが、次の機会におきまして、関税定率法の改正という措置によって弾力関税の方法が望ましいと考えておりますので、そういう措置を関税定率法の改正でやっていきたい、こう思っております。
  54. 永井勝次郎

    永井委員 そうすると、法律改正によるわけですか。あるいは国際的な関係もあるので、そういうガットなり何なりの関係もあるのではないか。あるいはそういう一つの動く相場の中で、速戦即応の経済措置がとられないということは業者としても非常に困るわけですが、その手続としての関係は、大体どのくらいの日時、どの機関にかけてどういうふうにきめるのか、その点をはっきりしてもらいたい。
  55. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 これは法律によって措置するということになります。関税定率法の改正という措置になるわけでございます。  それから国際的にはどうだという点は、すでにそういう弾力関税の規定は現在あるわけでございまして、すでに鉛と亜鉛がこの弾力関税の措置をとっておるわけでございます。したがって、国際的には改正することについては別に問題はないというふうに考えております。
  56. 永井勝次郎

    永井委員 暖地ビートの合理化というのは、どういうふうにおやりになるのですか。合理化基準を示していただきたい。
  57. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 暖地ビートにつきましては、御承知のように、当初九州南部におきまして、これが適地であるということで、鹿児島を中心とし、宮崎、大分等において生産がされたわけでありますが、その後の状況で、現在では鹿児島一県が暖地ビート生産地域になっておるわけであります。ところが、現状の生産量をもっていたしますると、なお鹿児島に一工場を建てて合理化するというふうな段階までに至っておらないわけでございまして、現在におきましては、岡山の工場でできたビートの処理をいたしておるわけでございます。将来におきまして、一応四十三年度の目標から見ますと、約六万町歩くらいの面積までにはふえてまいるであろう、こういう見通しが立っておりますので、今後の生産状況を見まして、将来は鹿児島県にビート工場を建てるという一応の現在の計画を持っておるわけでございます。その際、どのような合理化コストが出るかということにつきましては、なお検討をいたしてまいりたい、こう思っております。
  58. 永井勝次郎

    永井委員 寒地ビートにおける合理化基準を示していただきたい。北海道の場合、それから東北の場合、地域に分けて、合理化基準、どういう基準で今後合理化をやるのか、あまり抽象的でなくて、具体的にひとつ、たいていのことはわかっておるわけですから、その中で、どこに重点を置いて、どういうふうにやるか、この点お示し願いたい。
  59. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 それではお尋ね寒地ビートに対する合理化の目標でございますが、先ほどからお話がございましたように、昭和四十三年度におけるてん菜につきましての生産目標が、甘味資源審議会で御承認を得ておるわけでございます。これは四十三年の目標といたしまして、北海道につきましては、五万二千ヘクタール、ヘクタール当たり収量が三十トンでございます。原料生産量が百五十四万トンでございます。府県につきましては、面積といたしましては一万一千八百ヘクタール、ヘクール当たりの収量は二五・三四トン、原料生産量が二十九万九千トンということになっておりまして、合計といたしまして、面積は六万三千八百ヘクタール、ヘクタール当たり収量は二八・八〇トン、それから原料生産量が百八十三万九千トンということになっておるわけでございます。そこで、この目標に向かいまして、優良品種の普及だとか、機械の導入、土地改良事業等の推進をはかりまして、作付面積の増大と反収の増大をはかることといたしておるわけでございますが、これによりますと、おおむね一工場当たりの操業量は、てん菜につきましては十七万トンないし十八万トンということになるわけでございます。この目標に向かって合理化を進めていくということを当面の目標として進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  60. 永井勝次郎

    永井委員 政府のその計画の合理化基準というのは、それは願望なんです。これだけありたいという願いなんです。その願いに階段をつけて、そこまでいくためには、生産の面においては、土地改良なり品種改良なりあるいは輪作形態の確立なり、こういう基礎的な問題をがっちりやらなければ、ただそこの数字を変えてこれだといったってできるものじゃない。その合理化基準の中に、たとえば砂糖の歩どまりにしたって、一躍非常な高い率を期待している。だから、砂糖の歩どまりが多い。そういう計算の数字の遊戯では私はだめだと思う。  そこで、伺いたいのは、一体、ことしは五万幾千町歩のビートが冷害見通しのもとに消化されたわけですが、この実情をどういうふうに見るのか、これが通常の入り方だというふうにお考えになるのかどうか。それでバレイショとの関係はどういうふうにお考えになるのか、輪作はどういうふうにお考えになるのか、どういうふうなローテーションでこれを回転していくのか、その原料生産関係を合理化基準をここで明確にひとつ示していただきたい。
  61. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 ただいま御質問になりました点は、非常に専門的であり、また各方面にわたっておりますので、内容をここで私から答弁する用意をいたしかねておるわけでありますが、これらの昭和四十三年度におきまする目標の面積並びに原料生産量等につきましては、御承知のように、北海道のてん菜振興審議会におきまして、地域別に詳細な検討を重ねられた結果、このような数字として報告を受けたわけでありますが、農林省におきましても、園芸局の所管でございますが、園芸局におきましては、さらにそれを検討した結果、一応妥当じゃないかということにいたし、さらにこれに裏打ちする資金計画あるいは財政投融資等も一応の計画を立てまして、この程度の計画ならばできるではないか、こういう見通しのもとに審議会で御審議を願い、御了承をいただいたわけでございます。われわれとしては、ぜひともこういう目標に向かって生産を上げてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  62. 永井勝次郎

    永井委員 園芸局と食精庁で数字をいじくればそういうことになるかもしれない。その数字の基礎にある科学的な基礎、すなわち、農事試験場なり何なり、そういうところの技術者の意見を聞きましたか。農事試験場は、こんなこと言ったって消化できるものじゃない、こう言っているのですよ。一体、ビート増産ビートの分野だけで増産しよう——農業経営として、農業経営の中にビートがどのくらい入って、どういうローテーションの中でビートのこれだけの消化と生産が可能だという、こういう経営的な条件というものは何も出ていない。何町歩あって、何町歩年次計画でふやしていくか、それではビートの相手方の作物は一体何なのか、何かあるのですか、ないでしょう。そうしてバレイショはどんどん入っていく。バレイショは渋い顔して、つくるな、つくるなと言っておる。あるいは禾本科のもの、あるいは赤クローバー、こういうものを入れる。この禾本科については麦でしょう。亜麻なんか従来あったけれども、もう亜麻は工場がつぶれたから、これはだめでしょう。あと何がありますか。豆が入ると言ってみても、豆の入れようがないでしょう。豆はつくるな、つくるなと言っている。それじゃ寒地経営形態で何年輪作形態をとるのか知らないが、そういう中で、もう北海道でも伊達町の周辺においては、連作したために地力消耗して、非常な減産の事実が一つの病気としてあらわれているのです。そういうのが各地にあります。ことしはぐんとふえました。この次はどうしてこれを回転するかというローテーションが技術的にできていないのです一こんな合理化基準では、われわれはこの法案の中でのみ込めないと思うのです。そうしてこれらのものをやる前提条件がいろいろあると思うのです。園芸局がやると言っても、土地改良をこれだけやりなさい、それから機械化をこういうふうにやりなさい、農村における省力化のための機械化をこれだけやりなさいと、ただこの数字がのまれたのではなくて、その前提条件は必ずあるに違いない。その前提条件を明確にしてもらいたい。  それからこの法案を通すにあたって、大蔵省から何か注文がついていませんか。合理化について、大蔵省との間に、ブドウ糖はどうするのだ、寒地ビートはどうなんだ、北海道の寒地ビートはどうなんだ、こういうのがなければ、大蔵省としては金が出せないとか、あるいは価格についてはこうだとか、条件がついているはずだ。その関係はひとつ明確にしていただきたい。
  63. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 前段の計画の内容につきましては、食糧庁が園芸局と机上で筆をなめてつくったというようなものでは絶対ないのであります。北海道庁に設けられておりまする審議会におきまして、技術関係の専門家も加えまして、非常に慎重に検討をされたものでございます。したがって、いまのお話にありましたような問題があることもいろいろ承知しておりますが、ローテーションの合理化、あるいは品種の改良、あるいはぺ−パーポットの導入、もちろん、その前に、土地基盤の土地改良というふうないろいろな計画を前提といたしまして、一応当初の五ヵ年計画よりもはるかに縮小いたしまして、七万数千ヘクタールのものを五万三千ヘクタールに改め、百五十四万トンというふうに見通しを立てたものでございますから、単なる机上の数字を合わせた計画であるというふうには、今回はわれわれは考えておりません。のみならず、この目標は少なくとも実現したい、こういうことで、甘味資源特別措置法による振興対策も今後進めてまいりたいということにいたしておるわけでございますので、御了承願いたいと思います。同時に、いろいろ裏打ちになる資料等については、後刻差し上げたいと存じます。  それから合理化の目標の設定につきまして、大蔵省との何らかの条件がついているのかどうかということでございますが、これについては何ら条件はございません。ただ、方向としましては、法案に合理化目標価格というものを設けるということがございますので、今後においては十分合理化はやっていく必要がある。つまり、現在の百三十円程度のコスト価格を将来に向かってはだんだんに下げていく。これはもう明らかにわれわれもそうすべきであるというふうに考えておるわけでありまして、しからば、どのような合理化をすべきであるか、あるいは価格についてもどのような価格でなければならないのかというふうなことは全然ございません。これからこの法案の成立を待ちまして、われわれとしては、そういうことについての検討を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  64. 永井勝次郎

    永井委員 長官せっかくの答弁ですけれども、長官が、これは自信を持ってきめたのだ、これは理解してほしいというためには、あなたのいままでの実績、キャリアが私を信頼せしめるものならば、これに信頼しますよ。いままでのあなたのなには、ずっと歴史を見てごらんなさい。失敗歴史です。一つとしてやったことが失敗しなかったことはないでしょう。どうですか。北海道に工場ばかりやたらにつくって、そして原料がなくて、工場が現実に行き詰まっております。そこへ持ってきて、さらに三つも四つもの工場まで認めて、そしておまえは認めるから増産をやりなさい、それを取り消していかなければならないような状態。暖地ビートは世界でやっているのだからできるといって、雲をつかむような話でやった。あんなあやまちというものは、決して常識のある、責任のある人のやることではない。出たとこ勝負で、めくらめっぽう、夢見ているのか、何だかわけわからないようなああいうやり方、そういう実績の上に立ってこんなことを言うから、何をまた言っておるのかと、私はそういうことは信用しません。信用するためには、この数字がいままでとは違いますよという、もっとしっかりした根拠を明示してもらいたい。その資料を出してもらわなければこれは承認できません。過去の実績なんです。ほんとうは過去の実績からいったら、こんな法案をぬけぬけとまた長官が持ってくるほど厚顔であっては困るとぼくは思うのです。過去の手近な自由化の問題でも、自由化したすぐ翌日からこういうしりぬぐいのような政策を立てなければならない。糖業政策に関する限り政府はなっていません。その意味において、私はいまの数字なんか信用しない。  それではあらためて次にいたしますので、本日はこの程度にいたします。
  65. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長代理 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      ————◇—————    午後二時四十八分開議
  66. 坂田英一

    ○坂田(英)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。永井勝次郎君。
  67. 永井勝次郎

    永井委員 長官にお尋ねいたしますが、国内産糖合理化目標価格、これをきめることになっているわけですが、どういう基準で、どういう手続で、どういう時期にこれを行なうのか。価格決定の順序、手続、時期等について明確にしていただきたいと思います。
  68. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 国内産糖の合理化目標価格のまず時期について申し上げますと、法律の第三条に、農林大臣は、毎砂糖年度の開始前の十五日までに定めるということになっておりますが、砂糖年度は十月から九月までをもって一砂糖年度といたしております。したがって、九月の中旬までには毎年農林大臣が定めるということにいたしておる、こう考えております。  それから考え方は、どのような考え方できめるのであるかという点でございます。法律の第三条の三項に、そのおおよその考え方を書いておるわけでございますが、まず、国内の合理化目標といえども、将来におきましてはやはり国際糖価水準というものを考慮しながらきめてまいる必要があろう。そこで、国内糖価につきましては、安定上限価格、安定下限価格をきめるわけでございますが、この範囲内において、まず合理化目標価格というものをきめたいという原則のもとに、具体的な価格はどのような基準によるかということになりますと、一つは、国内甘味資源生産見通し、それから第二は、国内産糖の製造事業の合理化の目標、これはたとえば一企業の操業度をどの程度にするか。先ほど二部長から申し上げましたように、四十三年度におきましては、一企業の操業度を約十七万トンないし十八万トンにするというような目標になっておるわけでありますが、そういう生産見通しに基づく一企業当たりの操業度。それから第三は国際価格の方向を考慮いたじまして、そうして国内産糖のおおよその目標生産費を定めるということにいたしたいというふうに考えております。この目標生産費国内円価として出るわけでございまして、たとえばキロ当たり百二十五円とか百二十円とか、こういうことで出てまいるわけでございますが、この生産費自身につきましては、大体五年を一期限といたしまして、五年をこえない期間ごとにこの目標生産費をきめたい。目標生産費がきまりますと、今度は毎年度の合理化目標価格をきめてまいりたい。この合理化目標価格は、今度は輸入糖との調整の基準になりますから、粗糖価格で換算するということになるわけでございます。これは毎年きめることにしたい。それから目標生産費は、いま申しましたように、五年をこえない範囲内において、その  一定期間ごとに目標生産費をきめたい、こういう考え方をとっております。  そこで、これらの価格をきめます場合におきまして、今後の生産見通しにつきましては、生産者のみならず、企業における自立の一つ目標になりますから、企業にも関係するし、また流通関係にも関係いたしますので、法律の第三条の五項におきまして、これらの価格をきめようとする場合におきましては、砂糖の製造、販売、輸入または消費に関し、学識経験を有する者の意見を聞いてきめることにいたしたいというふうに考えておりまして、きめれば、これは直ちに告示をする、こういう手続を考えておる次第でございます。
  69. 永井勝次郎

    永井委員 そうしますと、何か委員会をつくって、その委員会にはかって出すとか、あるいは委員会価格決定の機関であるとか、どういう性格のものであるのか、機構をつくるならば、その辺を明らかにしていただきたい。
  70. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 この委員のきめ方につきましては、必ずしも委員会を設けるというふうには考えておりません。同時に、この目標価格ばかりでなしに、安定上限価格あるいは安定下限価格等も、これらの学識経験者の意見を聞いてきめたいという性質のものでありますので、非常に利害関係関係するところが多い。そこで公正を期する意味で、これらを適切に代表し得る学識経験者を呼んで、そして農林大臣が意見を聞きたいという考えを持っております。したがって、委員会に決定権を与えるというふうな考え方ではなくて、いま申しましたような製造、販売、輸入、消費に関する学識経験者を広くお願いいたしまして意見を聞きたい、こういう考え方でございます。
  71. 永井勝次郎

    永井委員 そうすると政府で必要だと思う者を個人的に名ざして、そうしてお集まり願いたいということで聞くのか、あるいは委員を委嘱してそういう会を開いて聞くのか、そういう場合に、だれとだれとどういう人を——たとえば個人というものでなくて、たとえば農業生産者、農民の代表はだれというふうなきめ方があると思うのです。具体的にどういう人方の意見は必ず聞くというような基準があるなら、この際明確にしていただきたい。お菓子屋さんでもなんでも、ただちょっちょっと聞いて、ああ聞きましたといって、言いわけの手続だけでやるのか、ほんとうにそういう実情をまとめてきめるという手続、順序を経てやるのか、その辺のところを明確にしていただきたい。
  72. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 いま申し上げましたように、委員会を設けて委員会に諮問し、委員会の決定、答申を待ってきめるというふうな手続を必ずしも考えておりません。むしろ、いま先生がおっしゃいましたように、これらを代表し得る学識経験者にできれば一堂にお集まりを願って、そこで、十分意見を述べていただいて、まとまった意見として出ればそれにこしたことはないし、またそれぞれの立場からの学識経験者から貴重な意見を述べ七いただければ、それ自身としても拝聴する、こういうことで考えていきたいと思います。しかし、できればこれらの方を価格決定にあたりましては招集いたしまして、もちろん正式の委員に委嘱をいたしまして、そうして招集の手続をとり、そこで御意見を聞く、こういう形式をとりたいと考えております。
  73. 永井勝次郎

    永井委員 その場合、国会議員から何名というようなことを考えておるか、国会議員は全く考えないでいるのか、その辺をお聞かせ願いたい。
  74. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 これは非常に専門的、技術的だというふうな面が一つ、それから公益を代表するという面と、二つあるわけでございますが、たとえば安定上限価格をきめるということになりますと、国際価格の異常の変動の幅をどのように算定したらよろしいかとかいうようなことになろかというふうに思いますので、いまのところは^学識経験を有する者ということで考えておるわけでございます。一方、一般の生産振興対策につきましては、御承知のように、甘味資源特別措置法甘味資源審議会がございます。この審議会には、国会議員の方も委員として入っていただくことになっておりますので、この法案における学識経験を有する者の中には、国会議員というものを考えておりません。
  75. 永井勝次郎

    永井委員 目標生産費の計算は上限、下限の幅の中できめられる、こうなっております。そうしますと、目標生産費を決定する場合には、上限、下限の価格がきめられて、その中で目標生産費価格がきまる、上限下限の価格が先行する、こういうふうに理解して、よろしいわけですか、あるいは同時的にこれらの問題がきまるという順序なのか、その辺の関係を明確にしていただきたい。
  76. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 法律の第三条の二項にございます安定上限価格、安定下限価格は、国内産糖合理化目標価格とは一応別個にきめられるのでありまして、安定上限価格、安定下限価格は、粗糖の国際価格の通常の変動の上限あるいは下限を基準としてきめよう、こういう考え方をとっておるわけでございます。したがって、上限、下限をきめます場合における基準となるべき国際的な価格水準というものが一応想定されまして、この想定された国際価格の上下に安定上限価格、下限価格をきめてまいりたい。その幅の中に合理化目標価格が入るようにいたしたい、こういう考えでおります。
  77. 永井勝次郎

    永井委員 そうしますと、上限、下限の価格決定は別個であるけれども、先行するというふうに理解していいのかどうか。  それから平均輸入価格、これは海外相場の平均額に運賃諸掛かりを加えて、そして大臣がこれをきめて告示する、こういうことになっているようでありますが、その海外相場の平均額という、非常に変動の多い相場を、いつの時期にどういうふうにこれはなすのか、正確に平均額計算基礎を示していただきたい。
  78. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 まず、前の質問に対しましてちょっと補足いたしますと、観念としては、安定上限価格、下限価格と、それから合理化目標価格というものは、別の観念でありますということは申し上げました。時期としましては、大体毎年砂糖年度の始まる前にきめることになりますので、これはおそらく同時期にきめるということになろう、こう思っております。  それから粗糖の平均輸入価格につきましては、これは最近時の価格をとりましてつまり、毎回輸入するつど、輸入する価格をとるのが、本来の価格としては一番いいんじゃないかというふうに考えますけれども、この平均輸入価格によって事業団が買い入れるそれと、合理化目標価格との差額につきまして、価格の調整を行なうということになりますので、これを毎日そのつど変動さした価格で調整するということは、技術的に非常に困難でございます。そこで、この平均輸入価格は、国内糖価に一番反映するような国際糖価をつかまえ、それを一定期間で押えるということが、まず技術的には一番望ましいし、また実行しやすいのではないだろうか、こういう観点から、これもひとつ専門家の意見を最終的には聞いてきめたいと思っておりますが、大体は適用する輸入価格決定時の二週間くらいの平均相場をとるというふうに考えたらどうだろうか。なお、これだけでは、輸入価格、つまり国際価格自身では必ずしも十分でない、むしろ通関価格をとるべきではないかという意見もありまして、通関価格をとるということになりますと、大体いままでの関連から言いますと、国際糖価と——通関価格というのは、大体三ヵ月ぐらいの平均をとると、国際糖価に一番近似値をもって動いておる。そこで、通関価格一定期間の平均と、それからいま申し上げました国際糖価の大体二週間ぐらいの平均価格と、これらを両方にらみ合わせてきめたらどうだろうかというふうな意見が、現在においては一番有力でございます。いずれの方法をとるか、大体は、糖価の変動があまり激しい期間をとりましてもいかがかというふうに思いますので、最近時の一定期間をとりまして、これを平均輸入価格といたしたい。この平均輸入価格を適用するにあたりましては、事前に予告する必要がありますから、大体、適用期間の三日前に公表するということにいたしたい。平均輸入価格自身については、これは取引の関係もありますので、だれでもこれが客観的に把握できるようにする必要があるということで、だれが計算してもすぐ出てくるというような形で、たとえばニューヨークならニューヨークのいつからいつまでの何日間の平均、それに標準の運賃をかけたものが平均輸入価格、こういうふうなことにしたいというふうに考えております。しかし、これは原則でありまして、きめた期間におきまして著しい価格の変動があります場合におきましては、改定をするというふうにしたい、こう考えております。
  79. 永井勝次郎

    永井委員 どこの価格をとるということは、実はまだきまっておらない、通関価格をとれという話もある、そういうふうに理解してよろしいですか。まだきまっていない。  それから一定期間とはどういう期間なのか。それから適用期間というのは、ちょっと私もよくわからないので、わかるようにひとつ説明してください。
  80. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 あるいは十分御理解願えなかったかと存じますが、どの価格をとるかというのは、大体とるとすれば、ニューヨークの国際相場をとるか、あるいはロンドンの相場をとるか、あるいは両方を平均したものをとるか、その辺はまだ確定的にはきめておりませんので、これらもひとつ専門家の意見を聞きたい。大体は、最近では、ロンドン相場をとればいいのじゃないかというのが有力な意見になっております。  それから、その平均輸入価格の平均をすべき期間をいつとるべきか、それを一定期間というふうに私は申し上げたわけでありますが、その一定期間をとる方法としまして、その国際相場の過去二週間と、それから過去三ヵ月の通関価格を平均した価格をもって平均輸入価格にしたらどうだろうかという意見が有力でございますが、その期間をどの程度とるべきかが、これも専門家の意見を最終的には聞いてきめたいというふうに考えております。それからその平均輸入価格を適用すべき期間、これは大体将来に向かってでありますが、これも約二週間を適用期間にしたらどうか、こう考えております。
  81. 永井勝次郎

    永井委員 わかりました。そうしますと、その平均輸入価格のきめ方が大体見当がついたのですが、そこで、目標生産費の計算であります。これが上限、下限の幅の中できめられて、差益金徴収の基準になるわけでありますから、これは相当重要な意味を持ってくると思う。そこで、具体的に大体どんなところ、たとえば本年ならば、五ヵ年というけれども、四十三年度までということになるのじゃないかと思うのですが、その辺はどうでありますか。そして具体的に目標生産費は幾らなのか、また、上限、下限はいまのところどんなところを考えておるのか、数字で示して説明をしていただきたい。
  82. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 まず、その上限と下限の価格の幅をきめる基準となるべきものが、先ほど申し上げたように、国際糖価だというふうに考えておるわけでありますが、この国際糖価をどのように見るかについても、いろいろ議論のあるところがございます。そこで、われわれの現在までのいろいろの計算をした結果だということでひとつ御了承願って、今後十月施行されるまでの間にさらに研究と検討を加えてきめたいと思っておりますので、あらかじめお含みおき願いたいと思います。  現在、いままでの試算によりますと、大体過去十年をとりますと、ニューヨークの国際相場は大体四セント一一、十五年をとっても四セント一〇台である。大体四セント程度というのが、国際価格水準としてはいままでの経緯ではなかったろうか、こういうふうに考えられるわけでございます。そこで、この四セントというものにつきまして、これをかりに円貨に直しまして、さらにそれに消費税なり関税なり、あるいは製造コストなり加えたいわゆる製品コストとしては、どのくらいになるだろうかということになるわけであります。いまの平均約四セントとしますと、大体基準価格としては、粗糖ベースでは四十円前後、製品ベースにこれを直しますと大体百二十円から百二十一円というようなところになるのではなかろうかというふうな計算をいたしております。そこで、これを中心として上下幅をどのように考えるかということでございますが、まあ通常の価格変動の幅を見ます場合に、平均に対するフレを見るというのが通常の考え方でありますが、そのフレを見ますと、つまり、価格についてのフレの見方といたしまして、平均値からのフレを標準偏差という形であらわす方法があるわけでございますが、その偏差で見ますと、四セントといたしますと、大体その偏差が一セント三三から一セント七〇くらいまでの開きになっておりまして、これを円貨で直しますと、大体十円から十五円くらいの上下幅に換算されるわけでございます。こういう計算を一つの目安といたしまして、上限、下限をきめていくということになろうかと思いますが、なお、これについては、いろいろ生産者立場消費者立場で、相互の利害の対立する面もやはりあり、また、これを非常に狭めるということ、幅を小さくするということになりますと、糖価水準自身の維推がなかなかむずかしいということにもなってくるわけでございます。いま申し上げたような一つの計算はありますけれども、よく学識経験者等の意見も聞いてきめていきたい、こういうことであります。
  83. 永井勝次郎

    永井委員 計算のファクターはできているわけでしょう。一定の基準で計算して出すわけですね。どういうふうになっていますか。たとえば従来寒地ビート生産については計算の基礎があったわけですがああいう基礎によってやるのかどうか。本年やるとすれば、午前中の質問で、操業度が十七万から十八万トン、そういう操業度で、歩どまりはどのくらいと見て、償却をどういうふうにして、それから利子その他どういう計算の基礎になるのか。もしわかれば、これがこれからやっていく上における重要な基礎になりますから、ひとつその計算の基礎を示していただきたい。
  84. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 合理化目標コストをつくります場合に、一応国内産の砂糖類の計算コスト……。
  85. 永井勝次郎

    永井委員 もし書いた表があれば、一部こちらにもらいたい。
  86. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 ちょっとございませんので、口頭で申し上げます。  大体、先ほど午前中に御説明申し上げましたように、操業量が十七万トンないし十八万トン、こういうふうな想定をいたしておるわけでございます。それからロスが大体二%程度、それから歩どまりは、年次によりまして相当違うわけでございますけれども、一応試算といたしましては、いろいろな歩どまりがとれると思うのでございますけれども、一四・五程度の歩どまりをひとつ考えてみたらどうかということにいたしておるわけでございます。そういうふうなことで、現在、国内産糖類の買い上げのコストの計算をいたしておるわけでございますが、そのコスト計算の方法に従いまして一応の試算をいたしますと、大体百二十円程度が可能になるのではなかろうかというふうに実は試算ができるわけでございます。もちろん、先ほどからお話がございましたように、この点につきましては、なおいろいろなファクターをどのようにとっていくかということにつきまして、学識経験者等の御意見も十分拝聴して、合理的なものにきめていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。一応の試算といたしましては、百二十円程度の価格になり得るのではなかろうかという試算ができるわけでございます。
  87. 永井勝次郎

    永井委員 これは私、少し調べが足りないので、十分でないかもしれませんが、たとえば五年以内を単位にしてきめるという場合、五年先を目標にしてきめるのか、それからこの五年を平均するのか。そういうふうにしますと、出発点の初年度は相当シビアーな状態になってくると思うのですが、そういう関係と、実際の運営にあたって、どういう目標価格ができて、それをどういうふうに現実に運営していくのか。また、豊作あるいは凶作というような天候条件等もいろいろあります。あるいは労働賃金が急激に上がるというような特別な条件も出てくる可能性がある。そういう場合のその調整というのはどういうふうにするのか、その関係の運用をひとつ明確にしていただきたい。
  88. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 御説明申し上げますと、大体三十九年度の現行のコストを基礎にして、それで先ほど申し上げましたのは、一応四十三年産の見通しについて申し上げたのでございます。四十三年の見通しにつきまして申し上げますと、大体先ほどのような操業量を確保するということにいたしまして、ロス、歩どまり等を見ますと、おおむね現行百三十円程度のものが百二十円程度になるという見通しが一応できるわけでございます。もちろん、その間にいろいろ事情が変わって、たとえば労賃が上がるとか、原料代をどう見るかという点につきまして、いろいろ問題があるかと思うのでございますけれども、それは買い上げ価格として毎年きめられるわけでありますが、一応四十三年産の目標として正常な場合を想定いたしまして、目標価格をはじきますと、試算としてただいま申し上げましたようなことになるということでございます。
  89. 永井勝次郎

    永井委員 先ほど来の答弁では、現状を基礎にしてという話であったのですが、現状においては、原料代はトン実勢取引価格は七千二百円、それを告示価格で計算している。こういうのはどういうわけですか。その告示価格も本年の告示価格ではなくて、前年の告示価格を適用するということがはっきりしている。そういうふうに一つのあらわれたファクターの問題として、そういうふうな現状を無視した、実勢を無視したやり方は、何か特別の根拠があるわけですか、御説明を願います。
  90. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 いま御質問になりました点は、昨年度取引価格が七千二百円、政府の最低生産者価格が六千四百五十円、ことしはまだ製糖価格はきめておりませんが、取引価格は大体七千二百円、それから最低生産者価格は、昨年よりも百円上げの六千五百五十円ということにいたしたわけであります。この法律によりましては、製糖の価格をきめます場合におきましては、最低生産者価格に標準経費を加えて製糖価格を出す、こういうたてまえにいたしておるわけでございます。その間、工場の経費につきましては、各社別の個別の価格ではなくして、標準的な経費、標準的な操業度というものを前提として製糖価格を出す、こういうことにいたしておるわけでございます。しかし、甘味資源特別措置法価格のたてまえは、すべて取引価格を一本にするという考え方でなくして、再生産確保のための最低生産者価格というものをきめて、生産者に対しては価格の支持をしたい、しかし、現実の取引価格は、会社の支払い能力あるいは会社としての操業率を高めるための各種の増産の奨励措置というようなものについては、企業家と生産者との間の取引にまかせる、こういうたてまえになっておるわけでございます。お話のように一本価格にするということも、これは考え方としてないわけではないと思いますけれども、甘味資源特別措置法のたてまえとしましては、政府のきめるのは生産者に対する最低支持価格、そのほかに、企業と生産者との間におきましては、協議によりまして取引価格というものが別にきめられる、こういう形になっておるわけでございます。したがって、製糖の価格をきめます場合におきましては、いま申し上げた最低生産者価格に標準経費を加えて製糖価格をきめる、こういう措置をとったわけでございます。
  91. 永井勝次郎

    永井委員 そうすると、実勢取引の七千二百円というのは、政府が告示した最低価格に対して、各企業がかってにやっているのだ、自分たちの企業努力としてかってにやっているのだから、それはそれで考えがあってやっているのだから、計算として見る必要はない、こういうお考えに立つわけですか。もしそうであるとするならば、たとえば十七万トンから十八万トンの操業度、こういう基準にしましても、場所によってはへこむ場合もある、何もあるというのも、その基準でやっておるのだから、おまえのところは価格の面で見てやる必要はない、こういうふうに、一つの標準が出たらそれを基準にして、あとはおまえらの企業努力でやれ、かってにやっていることはおれのほうは知らぬ、こういうやり方でおやりになるのですか、その点はいかがですか。もしそうであるとするならば、原料の問題だって、価格の面だけではなしに、どういう地域を割り当てるか、これは自由にできないわけです。企業としてかってにできないわけですから、そういう地域は指定した場合に、そのいろいろな条件というものをやはり見ていかなければならない。土地の悪いところは面積でふやしてやるとか、土地のいいところは面積で縮めていくとか、そういう平均的な一つ条件というものを具備させて、その上で価格操作というものがなされなければならぬ。そういう問題を無視して価格一本でやるということになれば、今後いろいろな矛盾ができてくると思うのですが、その間の調整という経済的操作はどういうふうにお考えになっているのか、伺っておきます。
  92. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 甘味資源法を施行する前提といたしましては、いま先生御案内のように、企業の自立というものを前提といたして運営しておるわけでございます。したがいまして、個々の企業別に——いわは原価からすべてを国家管理するというような形において運営されていないことは御承知のとおりであります。したがって、たてまえといたしましては、その間において企業の努力もあれば、あるいは努力によるメリットもそこに生じ得る、同時にまた、逆に不利なものについては、その間に合理化をはかっていく、あるいは操業度を高めるための原料集荷面についての努力もする、こういうことを前提といたしておるというふうに考えておるわけであります。  そこで、先ほど申し上げましたように、価格計算をいたします場合においては、標準的な操業量を基準にしまして、標準経費に基づいて算定するという方法をとったわけでございます。でございますから、先生のお話のように、きわめてドライに言えば、一定価格のもとにおいて企業間において非常に格差が出てくる、こういうこともやむを得ないところじゃないかというふうにも見られるわけでありますが、しかし、ビートにつきましては、やはり一定の安定した原料の供給源があって、初めて企業の安定ということが考えられるわけでありますので、いま将来の生産目標については、それに応ずるような合理的な集荷区域が定められることが一番望ましいというふうにも考えるわけでございます。現にまた、この生産目標につきましては、北海道庁におきまして、それぞれ将来の集荷区域というものが、いまお話しになりましたような考え方で、会社別の集荷区域ができているというふうに私は承知いたしておりますし、また、その間におきましても若干の数量の調整を行なうというような措置もとられておるわけでございます。これはおのおの企業についての管理工場的な形をとらない限りにおいては、そういう方向をとるのはやむを得ないところではないか、こう考えておるわけでございます。
  93. 永井勝次郎

    永井委員 私は、何もいまの政府計画経済を要求しているのではない。自由主義経済の上に立っておるのですが、自由主義経済の上に立ってやるとすれば、いまの糖業政策なんて、工場を建てるについても、原料を集める集荷地域をなにするにも、自由なんてものは何もないのですよ。政府が指定して、指定した区域からは自由にできないのですよ。その地域割り当ても非常にゆがめられた——長官は非常に合理的に措置されているという理解の上に立ってということだが、いまの地域割りを非常に合理的だと理解するならば、不合理というのは一体どういうことなのか。合理ということと不合理ということの、ひとつことばの吟味からしてみなければならぬ。そして実態と当てはめて、それが妥当かどうか、まず幼稚園のところから始めなければならぬと思う。ばかでもわかることなんです。たとえば十勝でやっている日糖の区域というのは、ずっと二百何十キロ離れた離れ島の北見の西紋の地区が割り当てられているのですよ。そして二百何十キロ原料を運んでそこまで持ってくるのですよ。そういう地域割り当てが合理的なのか。それからまた、従来ほとんど独占していた日甜の地域が、あとから出てきた工場に全部いいところを割り当てられて、そして釧路、根室のほうとか、あるいは標津のほうとか、端々に残ったそういう地域を割り当てられて、長距離原料輸送をしなければ、近距離の地域では原料が不足であるという実態がもう現実にできているのですよ。ばかでもわかるのですよ。長官の明晰な頭脳をまつまでもなく、ばかでもわかることですよ。あほうでもわかることなんです。そのばかでもあほうでもわかることを、これはもう非常に合理的なんだという前提に立って、これであとは自由競争をやりなさい、こういうことは、私は、自由主義の範囲でもないし、計画経済の範囲でもないし、これはその以前の問題だと思う。そういうことで、そういうものを調整をしないでやるというならば、私は、そういう基礎条件をもうひとつ平均的な条件で整備する必要があると思うのですが、これはいかがですか。これはひとり長官の手元だけでできることではありませんが、そういう理解は私はおかしいと思う。ばかでもあほうでもわかることがわからないというのなら、たいへんなことだと思うのですね。
  94. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 私が申し上げたのがあるいは誤解されていただいては困りますが、現在各工場別につきまして、北海道庁としては、できるだけ工場間の原料所持量を平等化する、あるいは平均的なものにするような考慮のもとに、関係者と協議の上でできたものであるというふうに了解しておるわけでございます。したがって、あれが一番合理的であるということを必ずしも申し上げたわけではございません。したがってまた、いま先生がお話しになりましたような数量調節をする上から見て、やむを得ず交錯的な集荷の区域ができておるというようなことに、経過的に相なったというふうに承知いたしておりますが、考え方といたしましては、各工場におきまして到達された姿においては、できるだけ平均的な扱い量になるように、こういうことで配分がきまったというふうに承知いたしておるわけでございます。現在においては、その間における経過的な措置として、いろいろいまお話しになりましたような点が出ていることも承知いたしておりますが、考え方としては、できるだけ平均的な操業度になるような状態を頭に置いて指導されておることだ、こう理解しておるわけでございます。
  95. 永井勝次郎

    永井委員 現在の現状がどういう経過をとって成り立ってきたかという経過については、長官がいやというほど知っていますから、説明の要はないと思う。そういう一つ過程の中でいろいろ不合理なことが積み重ねられた結果、新しくつくるやつは押えて、この現状になった。大蔵省あたりは、現状においても、もっと合理化せよ、工場を削れ、こういうことまで言われている現状です。そういう原料工場との間におけるアンバランスもあるが、さらにそれを下の生産の場におろしてみれば、原料生産工場との結びつきにおける不合理というものは、これはばかでもあほうでもわかるほど不合理がひどい状態です。それを国際競争力を強化して、今度この法案によって生産合理化目標を高くきめて、そしてこれを目標生産費の目安にして誘導して合理化していくというためには、私は、こういう窓口を通して、価格操作を通して、そういう生産の諸体制を合理化する、こういうねらいと、それから推進力、そういう計画を持っておるのだ、こういうふうに思ったら、そうではなくて、そういうことは計画経済の範囲に入るから、おれのほうでやらないのだ、価格のところだけやるんだ、そうして従来のところはそのままにしておくんだ、こういうのならば、こんな法律はつくる必要はありません。もっとばかでもあほうでもわかるくらいの不合理な面は直すということが、もう第一に着手するのでなければ、何ぼ価格に合理化目標という文字を使ったところで、合理化目標生産費というものを何ぼ使ったところで、合理化じゃありません。中身は不合理だらけです。ですから、その点はもっと明確にシビアーに問題を追及しなければいけません。その点は長官の答弁ではだめです。長官、もっと自分たちがやってきた実態はどうだということを詳しく知らなければいかぬと思うのですが、どうですか。園芸局長、御存じのとおりですが、原料工場との結びつきは、きわめて平均的な合理化の基盤に調整されている、ここから出発してけっこうだ、もう合理化の余地はない、こういうふうに生産の面で園芸局長考えでありますかどうか、お伺いいたします。
  96. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 ただいま答弁がありましたように、必ずしも生産の面積と工場との結びつきというものが合理的だとは思われないような状況でございますが、これは今後推移におきまして十分検討しながら改善していこうということだと思っております。また、私たちのほうにおきましても、できるだけその地域の工場原料が行きまするように、原料生産の面において努力をしなければいかぬというふうに存じております。
  97. 永井勝次郎

    永井委員 検討するといって、何を検討されるのですか、不合理化の部分を検討するというのですか、不合理化の部分をすみやかに調整するために、実行の計画について検討するというのですか、どうなんですか。
  98. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 その点は、主として価格の問題になろうかと存じますので、食糧庁で算定をいたしておりますので、私たちのほうといたしましては、その工場にできるだけ、原料が多く行きますように、生産の面において十分な努力をするということでございます。
  99. 永井勝次郎

    永井委員 園芸局上長の分野ではないかもしれないけれども、たとえば日糖と北見における西紋との関係をいえば、二百何十キロの距離があるんですよ。そこの地域で増産すれば増産するほどマイナスになるんですよ、輸送費その他不合理で。その地区は増産をしなければ、数量が少なければ少ないほど、会社にとって利益だ、国民にとって利益だ、こういう結果になるんですよ。これほどはかでもわかることが——そういうものを検討したり何かする段階ではなくて、すみやかに盲腸のようなところは切るとか、なおすとか、合理化するとか、こういう前向きで実行する段階ですよ。実行に移すべき段階ですよ。  それはそれとして、そこで、午前中、いろいろ原料生産の問題について質疑がなされたわけでありますが、ことしは非常にビートはふえました。冷害見通しということで、バレイショとかビートがふえたわけであります。しかし、一時にこうふえるという事柄は、北海道全体の中でふえ方がふえるのではなくて、たとえば、従来ビートの主産地であった、そういうところにぐっとふえる、こういうことで、集中してそういう地域にふえているわけです。そういう地域は連作の形でふえていく。すなわち、健康な形ではなくて、不健康な形で一時的な現象としてふえている。こういうもののローテーションが今後非常に問題になってくると思うのです。そこで、園芸局長は、一体北海道のビート耕作の場合、ビートとバレイショ、そうしてそのだき合わせの相手の作物をどういうふうな割合で回転し、輪作形態をどういうふうに組んでおられるのか、その点を明確にしていただきたい。北海道は、去年の冷害、凶作等にあったにもかかわらず、それに反比例しまして、一番冷害、凶作に弱い水田がどんどん伸びているのです。山田の関係でことにどんどん伸びている。北海道は平地はどんどん水田が伸びている。そうして畑作はだんだん山に登っていく。こういう形で、そういう傾向においていまなにしておるわけです。でありますから、畑作の合理的な経営をするというには、あるいはこの中にビートを相当入れていくというためには、その前提として、土地改良というものが絶対に不可避な条件です。そうして、そういう畑作の経営を安定させるための輪作形態、それの相手になるところの作物、こういうものの組み合わせというものの指導がほとんどなされていない。そういう点について、われわれが、こうなれば原料がどんどんふえていくのだ、そして畑作経営は安定していくのだという納得のいくような明快な答弁をひとついただきたいと思います。どこでだれがどういうふうにやっているのか、思いつきでなしに、実際にやっていることに対して責任を持った答弁をひとつ願いたいと思います。
  100. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 仰せになりますように、やはり土地改良がまず基本になると思うのであります。したがいまして、土地改良をやってまいりまして、昭和四十三年には実は五万二千ヘクタールくらいということを考えているわけでございますが、そのときのてん菜の作付可能地というものが四十二万七千ヘクタールくらい考えているわけであります。したがいまして、四十二万七千ヘクタールのうちの五万二千ヘクタールにてん菜をつくろうということでございまして、大体作付率といたしましては一二・五%、輪作でいきましたならば、八年輪作というような程度が目標として掲げられておるわけでございます。もちろん、北海道の各地域を支庁別にいろいろ検討をいたしまして、その積み上げ計算でございまして、仰せになりますように、輪作率のきわめて高いところもございます。網走方面におきましては五年輪作を考えておるような次第でございます。それで、昭和四十年、ことしにおきまする作付見込みというものを道庁からとっておるのでございますが、やはり網走とか十勝とかいうところがふえておるのでございまして、これは昨年の冷害あるいはことしの冷害というような点からふえておる次第でございますが、網走におきましても、大体五年輪作のところは五年輪作程度を維持いたしておるという状況でございます。  それから、この輪作形態の指導あるいはてん菜そのものの指導でございますが、これは農林省と北海道庁と両方でやっておりまして、主として北海道庁が中心になっておるということでございます。それで、輪作の場合にどういう作物をどういうふうに入れていくかということでございますが、これも各支庁別にいろいろ検討をいたしておりまして、それによって輪作形態、作付形態というものを一応考えまして、それに従って指導をしておるということでございます。たとえば北海道の石狩管内におきましては、大体六年輪作程度を考えておりますし、空知のようなところは五年輪作、長いところになりますと、根室あたりは七年輪作、そういうようなことで作付形態を目標として組みまして、それに従って指導をやっておるというところでございます。
  101. 永井勝次郎

    永井委員 園芸局長伺いますが、ビートの耕作適地が四十二万町歩ある、こういう話。その面からいえば、八年輪作形態ができるというのですが、一体適地基準はどういうところに置いておるのですか。ビートをつくればつくれるというのですか。つくって他の作物よりも収入をうんとあげて、農業経営の上から優位だから、ビートをつくるのだという経済の優位性も含めた基準で、四十二万町歩をはじき出しておるのですか。その基準を伺いたい。四十二万町歩というのは私は初めて聞くのです。五年輪作に現在なっておるということは初めて聞くわけです。農事試験場あたりには、農林省は、三年輪作でやれないかということを費用を出して研究させておるのじゃないですか。少ない面積の中で濃密に突っ込んでやろうという方向にいまなっていて、そんなゆるやかな条件なんてありやせぬと思う。ですから、ビートをつくれば幾らでもつくれるのだ、そろばんに合わなくてもできるのだという基準じゃ問題にならない。どんなところでもつくればつくれます。ほかの作物よりは経営上有利なんだという条件がなければ適地とはいえない。明確にしていただきたい。
  102. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 ただいま私が申し上げましたのは、舌足らずの点があったわけでございますが、ほかの作物よりこれが有利であるというような基準ではございません。それは先生おっしゃいますように、いま一応ビートの適地面積としてあげましたのは、畑の面積が七十五万町歩ほどであるわけでございますが、その中で、たとえば積算温度が二千四百度以上、あるいは傾斜度がゆるやかであるとか、あるいは土壌が中性または微酸性であるとか、そういうような、ビートが一応つくれるところということを考えまして、それがビートの作付可能地というようにして数字を出したのが四十三万町歩程度ということでございます。
  103. 永井勝次郎

    永井委員 それはそれだけでは農業経営はできませんね。できるということだけであって、やはりそろばんをとってやるには、経済的な優位性がなければならぬ。そういうところ、実際にビートを耕作させる農家に、そのほうが有利だという条件は、一体その中からしぼってどのくらいあるのですか。
  104. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 ちょっといま質問の趣旨がよくわからなかったのでございますが、この四十三万町歩程度の中で、大体ビートの作付率を四十三年の目標としましては一二・五%くらいに実は押えておるわけでございます。したがいまして、確かにほんとうビートをつくるのが最もいいというところを算定をいたしましたならば、この率よりも、五万二千ヘクタールというのは高くなるわけでございますが、それを五万二千ヘクタールに押えまして、そして、それは各支庁別に積み上げてまいりまして、それから支庁別の今後の土地改良がどういうふうに進んでいくだろうか、あるいは、たとえば上川のようなところにおきましては、水田とかあるいは野菜畑がふえていくであろうとか、いろいろそういうような条件を勘案いたしまして、つくり上げておるような次第でございます。   〔坂田(英)委員長代理退席、仮谷委員長代理着   席〕
  105. 永井勝次郎

    永井委員 どうも局長の答弁、何かぴんとこないのですが、現地におけるビート耕作の問題は、それほどビートの適地が造成されていない。だから、前提として土地改良を相当強力に早目にやらなければ、ローテーションがうまくいかないという実情にある。それからもう一つは、かりにそういう適地がそこにあっても、農家は今日労力不足であって、非常に手のかかるビート耕作はなかなかできない。労力が競合して間引きその他の関係一があってできない。相当機械化その他が伴っていかなければ、前向き増産はなかなかできないというような実情にある。ことに輪作でのローテーションを合理的にやりますためには、相手方の作物がなかなかない。だから、その点を、局長はどういうふうな組み合わせで五年の輪作の型をつくっているのか、八年の輪作の型をつくっているのか。たとえば技術的にそういう組み合わせがいいといっても、農家はそれで生活できるのじゃないですから、採算をとって経営をするわけですから、燕麦をつくれ、禾本科の作物はこれを入れたらどうだ、燕麦を入れる、麦を入れる、こういったって、採算が合わなければそういうものをつくれない。豆を入れるといったって、豆ができるような条件がなければつくれないわけですから、そういう関係を組み合わせて、どういうふうな増産体制を、主産地である北見なり十勝なり、そういう地域でお考えになっているのか。そういう北海道の一地域の問題が局長としてわからないというなら、その職域に対して怠慢であります。そのくらいのことがわからないで、農業指導なんかできないわけですから、はっきり答弁してください。
  106. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 私たち考えておりますのは、やはりいま先生の仰せになりましたように、土地改良、それから労力を節約いたしまして、できるだけ機械化をしていく、あるいは輪作をいたしまして生産性を上げてまいる、そういうことでございますが、まず土地改良につきましては、三十九年度におきましても国費を十三億円ほど支出をいたし、四十年度におきましても十四億を支出をいたすことにしておりまして、土地改良を今後とも推進してまいるということにいたしておる次第でございます。それから労力を節約するということが必要でございますから、この土地改良のほかに、トラクターを入れましたり、あるいはてん菜の省力集団化栽培ということを推進いたしますために、そういう推進地区を設けましたり、あるいはてん菜の共同育苗圃を設けたり、いろいろそういう対策を打ち出しておる次第でございます。  それから、最後に、輪作のことでございますが、確かに農作物をつくれというようなことは、実は作付まで規制をしておるということもございませんので、そこまではできないわけでございますが、たとえば六年輪作でございましたら、やはり燕麦とか麦を最初入れまして、それから牧草を二年間ぐらい入れるとか、それから工芸作物を入れ、あるいはバレイショ、そうしててん菜を入れるというような、そういう考え方でやっておるような次第でございまして、てん菜によって深耕が可能でございますから、そういう有利な耕作条件としててん菜を入れまして、またそこにできるだけ牧草をも取り入れまして、酪農とも結びつけていきたいというようなことで考えておる次第でございます。確かに十分なことをやっておるということではない次第でございまして、今後におきましてもできるだけの努力をつぎ込んでいくというような次第でございます。
  107. 永井勝次郎

    永井委員 自由経済だから、どういう作物をつくれということを農家に押しつけられない——ごもっともです。では、農家はどういうものをどういうふうに選択したらいいか。選択の自由があるといったって、選択のしようがないじゃないか。燕麦つくってそろばんとれますか。牧草をつくって十分そろばんがとれますか。限られた狭小な面積の中で、ネコの額のようなところでも、有利にこれを作付けてやらなければならない。牧草をつくったり、燕麦をつくったり、それから工芸品作物というが、おそらく亜麻かなんかでしょう。亜麻をつくったら、工場のほうもつぶれて、原料なんかも入手できないという状態でしょう。何を選択したらいいか、教えていただきたい。押しつけてもいいから、こういうものをつくれば一番合理的なんだ、そういう押しつけものがあれば押しつけて、そろばんとって、こういう有利な条件だから、十分成り立つはずだというものを示していただきたい。牧草つくって酪農と結びつける——冗談じゃないですよ。酪農をやるのにどのくらいの労力が要ると思いますか。牧草をつくったら——えさとして使うために牛でも飼えというなら別です。しかし、牛だって、一頭二頭、三頭じゃそろばんがとれるものじゃないのです。十頭以上でなければ酪農としての採算に乗らない。それだけの牛を飼いましたならば、これはビートはつくっていられないですよ。酪農専門の農業形態に変えていかなければならない。書物の上で、酪農と結びつけなさい、何と結びつけなさい、輪作形態はこう、あるいは禾本科形態はこう、赤クローバーはこう——そんなことは百も承知です。そういうものを入れてそろばんがとれるかどうか、どういう農業形態でこれはローテーションしていけばいいか、こういう問題です。そういうところの採算性と合理性と、そういうものが明確に示されなければ、ただ言いっぱなしで、そろばんに合うか合わないかはおまえのかってだ、こんな指導というものはないはずです。酪農と結びつける、ただでさえ不足な労力関係で、そういう酪農もやる、ビートもうんとやる、そういうことができますか。できるというなら、どういう労力配分でできるのか、示していただきたい。
  108. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 農家がどういう作物を、取り入れるかということにつきましては、これは確かにむずかしい問題でございまして、単に土地の性質とかあるいはそういう作物の組み合わせが、生産性を上げる上からはいいだろうということばかりでは、机上の空論になることと存じます。結局は、そのときどきのそろばん関係とか、あるいは気象条件考えたり、そういう社会条件が非常に重要な要素になるであろうということは考えられる次第でございます。また、酪農を入れるにいたしましても、労力が一番問題になる次第でございます。労力を節約をするための共同作業あるいは機械化ということをすすめてまいろうということをやっておる次第でございます、ビート作農家で酪農と結びつけてということも、なかなか簡単に進んでいない状況でございます。ようやく六割程度の農家がそういうようになってきておるというのが数字の上であらわれております。そういうことで、いろいろむずかしい問題でございまするが、とにかく四十三年におきまして五方二千ヘクタールの確保という目標につきましては、実はことしは冷害ぎみだからふえておるということもございますが、ちょうど四月十五日現在の報告によりますと、五万二千ヘクタールを少しオーバーしておるような数字も出てまいっておりまして、これくらい目標はできるのじゃないか、こういうようなことを考えておるようなわけでございます。
  109. 永井勝次郎

    永井委員 ことしは冷害見通しなものですから、そろばんに合わなくても安全にとれるものということで、ビートとバイショに集中してきておる。そういう一つの特殊な条件を見て、ほうっておいたってこうやってできるじゃないか、こういうふうにこれを評価するなら、とんでもない間違いだし、それから長官の言うように、現在、工場についての地域配分なり、原料との結びつきなり、そういう非常に合理的な基礎条件が整備されておる、あと価格操作でやっていけば、合理的な国際競争力がその中から生まれるだろう、基礎条件は整った、こういうふうに現実を無視してやって、今後シビアーな価格操作で締めつけをやっていこう、こういうなら、とんでもない間違いだ。原料の面を見ても、工場生産の分野を見ても、弱い業者、弱い農民にただ問題を押しつけて、そうして、やればできるというふうに安易に問題をここで理解したら、とんでもない間違いだと強く警告をしておく次第であります。  次の問題に移ります。  差益金の徴収基準でございますが、これは平均輸入価格が下限価格との間にあるときには、差益金がその三分の一、そうですね。それから下限価格以下の場合は、下限価格百十円以下の差益金は全額、それから下限価格の上のものはこれに三分の一をプラスする、こういう徴収のしかただと思うのですが、こういう方法で大体政府はどのくらいの金を徴収できるのか、大体現状を基礎にして、特別な非常な変動は別として、どのくらい見ているのか、その金額やなんかをひとつ示していただきたい。それから事業団等について予算が何にも組んでないのですが、こういうのはどういうふうに操作されるのか。それから上限価格をこえたような場合、暴騰の場合においては、不足財源は政府がこれを財政措置することになっているわけですが、そういう予算化も何もできていない。こういう法律はあるけれども、実際は何も裏付けるものは持たない、こういう関係なんですが、これはどういうふうに運営されるつもりなんですか。
  110. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 実は先ほどお話しのございましたように、安定下限価格以下で平均輸入価格が推移しております場合には、下限価格との差額と下限価格目標価格との間の差額に一定の率を乗じたものということになっております。それから平均輸入価格が安定下限価格より上にあります場合には、目標価格との差額の一定割合というものが、事業団の差益になっているということでございます。  そこで、一体、糖価安定資金なり国産糖価格調整をいたします資金が幾ら要るかということでございますが、これは実は安定上限価格なり安定下限価格、それから目標価格というものをいかにきめるかということに一つはかかってまいるわけであります。それからもう一つは、糖価がどのように動くかということによって非常に違ってまいるわけであります。御承知のように、糖価の変動というのは、従来から非常に激しい変動をいたしておりますので、どういう時点をとりまして計算をいたしますかということは非常にはっきりはいたしませんので、そこで、いろいろな場合を想定いたしまして試算はいたしておるわけであります。試算はいたしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、上下限がはっきりきまりませんと、それによりましてとる金額というものは非常に違ってまいりますので、現在のところ、はっきりこうだということは実は必ずしも申し上げられないわけでございます。ただ、国産糖価格調整の資金につきましては、一応輸入いたします砂糖国産糖との比率がはっきりわかっておりますので、その比率に見合うような差益をとるということになりますので、理論的にはこれは収支が均衡するということになるわけでございます。もちろん、輸入の時期、それから国産糖の買い上げの時期が違いますので、若干の差は出ますけれども、この差につきましては、短期借り入れ資金をすることができるようになっておりまして、短期借り入れ資金によってまかなうということにいたしますので、長期的には均衡するということになると思うのであります。  それから安定下限価格からとります糖価安定資金につきましては、糖価が上がりまして安定上限価格をこえます場合に、その蓄積しました資金を出しまして補給するという形になりますので、これも糖価の変動が、いままでの糖価の変動に規則性がございませんので、どの程度になるかということにつきましては、なかなか計算することはむずかしいわけでございますが、この場合も、下限価格以下で蓄積した資金が枯渇をいたしますと、その場合には、先ほどからお話がございましたように、弾力関税が適用になりまして、関税を引き下げるということになるわけでございますから、理論的にこれは均衡するということになるわけでございます。一応の試算はございますけれども、そのときどきによりまして非常に違いまして、幾らということは申し上げにくいわけでございます。申し上げにくいわけでございますが、計算上は、いずれの場合におきましても、収支が均衡するという形になってまいるわけであります。  それから事業団の事務的な経費でございますが、事務的な経費につきましては、これは一応政府事業団に対しまして出すということにいたしておるわけでございますが、一部につきましては、資金の中から事務費に一部使うことができるようなたてまえになっておりますので、若干の事務費は資金から出せるわけでございますが、残りの大部分につきましては、政府事業団に交付するという形にいたしておるわけでございます。
  111. 永井勝次郎

    永井委員 まあ、相場は動くわけですから、固定した条件で試算して出せといっても、責任ある答弁はむずかしいかもしれません。それではここに固定した条件を出して、そうしで何千何百万というのではなくて、何億単位でいいですから、およその大体のめどでいいですから、たとえば目標生産費が四セントと見て百二十円、上限が五セントとして百三十円、下限が三セントとして百十円、こういう場合における現状において試算した場合、差益金の徴収がどのくらいになって、そうしてどのくらいの相場が動いた場合に、赤字補てんを財政でしなければいけないということになるのか。そういう関係を抽象的でなくて、数字で答弁してもらいたい。
  112. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 いまお話しのような条件一つ条件としてきまりますと、もう一つ条件は、市価がどういうふうに変動するかという問題がございまして、現在の市価を一定として一年間見るかどうか、こういうことになるわけです。(永井委員「一年間固定して見て……」と呼ぶ)固定してみた場合にどうなるかということになりますと、ここでそういう計算をしたのがございませんので、計算をいたしまして、それで大体こういうことになるという数字は申し上げられると思いますけれども、いま直ちにこういう条件のもとにおいて幾らになるかということは、ちょっとこれは輸入数量をたとえばどういうふうに見て……。(永井委員「百三十万トンと見て……」と呼ぶ)百三十万トンと見ますと、そういうふうな与えられた条件がフィックスいたしますと、これは計算ができるわけでございます。したがいまして、そういうふうなフィックスした条件のもとにおいてどうなるかということであれば、計算をして、その結果をお話し申し上げることができると思います。
  113. 永井勝次郎

    永井委員 次に、ブドウ糖、水あめの扱いの問題ですが、これは対糖価比で伸びたり縮んだりするものです。対糖価比を幾らに見ているのかを示していただきたい。それから将来砂糖の合理化が進めば進むほど価格が下がっていくが、それに合わせてブトウ糖も対糖価比で下がらざるを得なくなってくるわけですか。そのように比例して下げていくのかどうか。ブドウ糖は今日のような対糖価比できめるという基準ではなく、別個な基準で考えるのかどうか。それからブドウ糖はまだいいとして、水あめがいまほったらかしになっておるわけですが、相当の消費量を持っておる。そういう関係をどういうふうに見ていくのか。対糖価比の関係をどういうふうに合理的な操作として考えておるのか、その点を伺いたいと思います。
  114. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 ブドウ糖の対糖価比は、実はそのときの糖価状況によりましてかなり違っておるわけでございまして、従来六五%から六七、八%ぐらいまでいろいろな段階があるわけでございますが、従来おしなべて見ますと、大体糖価が商いときは六七、八%から七〇%ぐらいになる場合があるわけですが、糖価が低い場合はおおむね六五%というふうな形になっておると思うのであります。最近、三十九年の場合におきましては、おおむね対糖価比六七%というふうに想定をいたしてきたわけでございますが、将来ブドウ糖のコストを合理化していくというたてまえから考えまして、七〇%程度に引き上げていくべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
  115. 永井勝次郎

    永井委員 午前中の大臣答弁食糧庁長官答弁等で、四三年度まではブドウ糖は大体二十万トンぐらいを維持するというようなふうに私は伺ったのですが、間違いないかどうか。それから四十三年後は、これから伸びるのか縮むのか、伸びる条件がきたらブドウ糖は伸ばすのか、二十万トンで頭打ちにして伸ばさないのか、だんだんとシビアーに締めつけていくのか、その辺の関係伺いたい。
  116. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 ブドウ糖の四十三年におきます目標は、午前中に申し上げましたように、砂糖換算で十四万三千トン、でん粉の量として約二十一万トンというふうに想定いたしておりますが、これは大体現在の生産量に見合うわけでございます。これを二十一万トンといたしました考え方は、現在におきますブドウ糖工場の操業度から見まして、また需要先から見まして、大体現在程度で推移するのではないかと考えておるわけでございます。しかし、御承知のように、ブドウ糖原料二十一万トンのでん粉はカンでんだけでございますが、カンでんの生産量は大体七十四、五万トン程度でございますが、ブドウ糖が今後伸びるとすれば、原料でん粉としては十分あるわけであります。問題は、むしろブドウ糖の新しい用途開拓が、今後どのようにできるかできないかということにかかっていくことになろうかと存じます。午前中も申し上げましたように、総需要量としては、二百十一万三千トンないし二百十三万六千トンの砂糖の需要量があるわけでありまして、今後ブドウ糖が大いに伸びるというような状態になりますならば、でん粉の原料は十分あると見て差しつかえない。生産量はふえる可能性を持っておりますが、しかし、現状の需要量、それから現状の操業度、設備能力等から見ますと、ほぼ現状程度で推移するのではないかと見ておるわけでございます。しかし、つけ加えて申し上げますと、やはりせっかくの国内甘味資源といたしまして、でん粉があり、また、でん粉に関係するイモ作生産農家も、三百五十万以上もの農家がこれに携わっておるわけでございます。これをせっかく甘味資源として活用し得るならば、それだけ自給度というものは高まることになるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、現状を推移する上におきましても同様でありますが、今後におきましても、税制の面、あるいは液糖、混和糖というような形の消費分野の拡大なりということについては、できるだけの奨励措置を講じてまいりたいと考えておるわけであります。したがって、四十三年以降どうなるかという御質問に対しましては、四十三年までの経済事情によって動きますから、それらの情勢を見きわめた上で、さらに検討をしてまいりたいと思っておるわけであります。
  117. 永井勝次郎

    永井委員 コーンスターチの輸入関係を野放しにしておいて、それがバでん、カンでんを圧迫しておるという状態ですが、これはやはり御承知のように、鹿児島その他においてはカンショは絶対必要作物で、北海道におけるバレイショは寒地農業として絶対必要作物ですが、そういう国内の農業経営、農民生活を無視してまで輸入する必要はないと思いますが、その関連はどういうふうに考えておるのか。あなたのところでこれは操作できる問題ですが、どうして野放しにしておくか。
  118. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 御承知のように、コーンスターチの用途とバでんあるいはカンでんの用途とは、当初におきましては必ずしも競合関係にはなかったと思うのであります。コーンスターチはコーンスターチの固有の用途として、たとえば繊維であるとか、あるいは製紙であるとか、あるいは加工でん粉だとかいうような用途の需要が伸びてまいった関係で、コーンスターチというものが伸びてまいったのが、当初における大きな理由でっあたというふうに思うのであります。しかし、その後におきましては、コーンスターチの生産量が、御承知のように、八万トンから十四万トンになり、さらに能力から見ますと、二十七、八万トンから三十何万トンになるというような形で、どんどん伸びてまいりましたので、この間、過当競争も手伝いまして、でん粉の用途と競合し、あるいは価格引き下げの要因になっておるというふうな事態も生じてまいったわけでございます。そこで、これらの事態に対しまして、われわれといたしましては、できるだけ用途の分野の調整をはかるように業界の指導をしてまいったのでありますが、遺憾ながら十分の効果を発揮し得なかったわけでございます。そこで、今国会におきまして、コーンスターチにつきましても、関税定率法の改正を行なって、御承知のように、関税の割り当て制度をコーンスターチについてはとったわけでございます。去る四月上旬に、コーンスターチにつきましては、これによりまして第一次関税割り当てを十八万トンというふにいたしまして、第二次関税率は二五%ということにいたしたわけでございます。したがって、でん粉の分野の調整あるいは生産との調整は、これによって相当コーンスターチ業界に対してはきびしい規制になっておると存じますが、いずれにいたしましても、そういう調整措置をとったわけでございます。今後におきましても、でん粉とコーンスターチの用途の競合するというようなことにつきましては、できるだけ円滑に調整の措置をはかっていきたい。特にブドウ糖等に対する原料としてコーンスターチが使用されるというようなことについては、できるだけ調整をはかってまいりたい。今後伸びるとすれば、固有用途としてできるだけ伸びるものは伸ばしていく、こういう考え方をとっておるわけでございます。一応関税割り当てによりまして、二ヵ年間は輸入の規制措置をとることにいたしておりますので、現段階におきましては、これによって十分効果が発揮できる、こう思っております。
  119. 永井勝次郎

    永井委員 園芸局長お尋ねいたしますが、いま長官のお話があったように、ブドウ糖は四十三年までは二十万程度おつき合いしましよう、砂糖の分野でおつき合いをしましょう、その先はわからない、こう言うが、現状は、寒地農業を安定し、振興していくということになれば、バレイショは絶対必要作物、ふえていきます。ふえなかったら安定しないですから。そういう条件の中で、こちらのほうにくると、園芸局長はじめ、イモをどんどん増産するというと、いやな顔をする。あっちできらわれ、こっちできらわれという状態になっているわけですが、園芸局長はバレイショに対してどういうふうにお考えになっておるか。これは農業基本法あるいは農業構造改善においては、これはできるだけ減らしていくという方針を出しているようですが、そういうことは寒地農業の安定というものと逆行するものである、こう思います。それでブドウ糖の分野において頭打ちだということは、一定のものはしかたがないが、ある程度以上になれば、これはやはりバレイショそのものの領域における消費刺激していく、開拓していくということが必要だ。ヨーロッパなんかイモを常食にしているわけですから、日本でもイモがたくさん出てくれば、まずなまイモで消費する、そうでなければ、刻んで干して、そうしてスープその他で使う、さらにそれで余るところはプレスなり何なりして乾燥して、家畜飼料として消費するというように、もっと何か新しい消費の分野を開拓していって、農民の要求にこたえていく努力が必要だと思うのですが、その点はいかがですか。バレイショに対する当局の方針をこの際伺っておきたい。
  120. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 ブドウ糖原料でございますカンショにつきましては、最近は栽培面積がだんだん減ってきておるという状況でございますが、この北海道のバレイショにつきましては、北海道の畑面積が最近は次第にふえておるというような状況でございまして、バレイショの作付が今後減るということはあまり期待できなくて、むしろふえるのじゃないかというような状況であろうと存じております。それで、バレイショにつきましても、やはり労力を省いていくということが必要であろうということでございまして、バレイショの栽培合理化の実験集落というものを北海道にあっちこっちにつくりまして、省力機械化集団栽培というような方法をとっておるような次第でございます。そういうことで、バレイショがなかなか減らないであろうということでございますから、生産性をできるだけ上げていくという方向においてバレイショに努力をするということにいたしまして、もちろん、その販路の拡張という問題につきましては、今後におきましても十分研究をしていかなければならぬ、かように存じておるわけでございます。
  121. 永井勝次郎

    永井委員 需要がなくて、生産過剰で困って、でん粉につくって在庫になっている。それを消流するために、ブドウ糖にするというふうな状態なのに、面積は減らない。それを反収をさらにふやしていくというような対策をとられるならば、何か値段を切り下げていこうという底意があるわけですか。でん粉の値段を下げるというのは、大蔵省が相当要求しているわけですか。どうも局長の言うことは、われわれが聞いていても、何を言っているのか、そんなことを聞いたら、農民は、局長はまたでん粉を下げる気だなと、こういうふうにぴんとくるわけですね。そういうことを園芸局長が言っておっていいのですか。それは価格を下げろというわけか、それとも反収で補え、こういうわけですか。
  122. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 価格を下げるということは、実は申していない次第でございます。生産性を上げるということで、できるだけもうかるバレイショ生産に持っていく、そういうことでございます。
  123. 永井勝次郎

    永井委員 そんなよそゆきのことを言ったって、畑作の場合、増産すれば豊作貧乏というのが通常なんですよ。この上また、農民がその心配をしているのに、さらに増産をして、そして豊作貧乏のしわ寄せを農民にしようなんて、そんな甘いわけにはいきませんよ。それはいいかげんな考えでなくて、農民もほんとうに離農するかどうかという、損得かけて、命がけでやっているのですから、いいかげんな扱いをしないようにしていただきたい。  次に、糖価について共同行為を独禁法の適用除外をするという点、これは、不況カルテルは、現状においてもこういう規定がなくともできるわけですが、特にこの法案の中でそういうことをうたわなければならないということは、不況カルテルだけでなくて、ほかに何か意図するものがあるのかどうか。独禁法に穴をあけていこうというような考えがあるのかどうか。その点を伺います。
  124. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 お話のように、現在におきましても、企業が不況の条件を備えるならば、不況カルテルによる共同行為は現状においてもできるわけでございます。この法案で特に共同行為を認め、これを独禁法の適用除外といたしましたゆえんのものは、企業対策としての不況のカルテルを認めるという趣旨ではなくして、糖価の安定をはかってまいりたい。したがって、下限価格の維持ということの必要が生ずる。その際におきましては、なかなか共同行為の自主的な行動によってのみでは価格の維持ができないというのが現在の砂糖業界の実情でございます。特に今回の法案によりましては、数量の調整、輸入量の調整については規制を特に加えていないわけでございます。そこで、場合によりますと、通常の場合は、価格調整を行ないますならば、それに見合った国内価格というものが実現する筋合いではございますけれども、しかし、企業の競争の結果、下限価格を割るような市価が生ずる場合も起こり得るわけでございます。そのような事態に備えまして、不況要件が備わった場合における共同行為の要件にさらにつけ加えまして、需給の状態が、砂糖需給が著しく均衡を失して、そして精製糖の価格が平均の生産費を下り、精製糖の製造業者の相当部分の事業の継続が困難となるに至るおそれが生じた場合であって、なおかつ、その精製糖の価格が安定下限価格に見合う価格以下に市価が下がった場合におきましては、農林大臣が製造数量または販売数量の制限についての共同行為を指示することができるということにいたしたわけでございます。したがって、これは価格安定の公共目的のために農林大臣が共同行為の指示をする、こういう考え方でございます。結果的には、それによりまして企業が反射的な利益を受けるということも想像されますけれども、不況カルテルのように、企業自身のための共同行為というものではないわけでございます。
  125. 永井勝次郎

    永井委員 そうしますと、この法律ができますと、現在国内における過当競争のために、国際価格よりも安い価格国内の市場価格ができる、こういう国内のダンピングは防止ができるわけですか。
  126. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 需給が非常に不均衡になり、なおかつ、国際価格を割って下限価格をも下回るというような事態がありました場合においては、この共同行為によって、いまお話しになりましたような効果を期待いたしておるわけでございます。
  127. 永井勝次郎

    永井委員 自由競争を認める以上は、この自由競争が公正に行なわれる条件がなければならない。そこで、この独禁法にどんどん穴をあけて、自由競争でない条件、共同行為をどんどんつくっていく、具体的にやるというこの行き方に対しては、われわれは賛成いたしませんが、こんなものはなくても、実際はやっているのですね。先年、鉄鋼なんか不況カルテルを行政指導によってやった。それによって価格が安定して、値上がりの状況になってきた。そうすると、その翌年は今度は鉄鋼の値段を上げないためのカルテルをまた行政指導でやった。そして一応の安定をした。そうすると、第三年目からは、今度は価格を安定するためにという長期のカルテルをやった。こんなふうに、上がったら上がったで、それを理由にしてカルテルをやる、不況なら不況でやる、そしてそれを安定するためにこういうカルテルと、今度は何でもやる、こういうことなんです。ですから、かえってこんなものはないほうがいい。大手を振ってやろう、皆さんはこういう考えだとすれば、われわれはこれにはあまり賛成できません。しかし、次の問題に移ります。  砂糖消費の六〇%は、これはお菓子屋さんその他にいって、値段が高くても安くても、そんなに家庭消費関係は伸びないという状況にある。そういうところから卸売り価格は非常に下がっておるけれども、小売り価格はちっとも下がっていない。私は先年来予算委員会その他で砂糖の問題をずいぶんやったのですけれども、国際価格暴落しているにかかわらず、日本では大手を振って高い価格で出しておる。そしてどうしてこうなんだというと、二年も三年も前から長期の買い付けをやるから、高いときに買い付けた砂糖国内に入ってきているのだ、こういうような口実をつけて、大手を振って高い価格を出しておる。その後、もうけがあり過ぎるというので、超過利潤という問題が国会で問題になったら、七十億か八十億利潤があるが、この半分くらいは課徴金として取り上げる、取り上げるときめたのは国会できめただけで、これは実行していない。半分くらいよりとらないで、まかせっきり、こういうことで、砂糖の問題については、これは政治力もからみ、あるいは政治献金もからんで、非常にゆがめられて、消費者を犠牲にしてずっとやってきているのですが、今日このように政府価格政策の上から何とかしなければいけないというほど国際的に暴落している砂糖を、国内消費者には高い価格でぶっかける、こういうやり方というものは、消費者不在と言ってもよろしい。こういう一連の政策を今度とるのでありますが、その効果が、輸入業者のぱくりをやる、輸入業者からぱくってしまう。また消費者からぱくる、両方からぱくって、そしてほんとうにこの法案できめているような、小売り価格にそれが影響してくる、安くしてくる、あるいは今後における国内産糖の安定的な振興の基盤をつくる、こくいう効果くらい結果しないならば、何のためにこの法律をやるのか、またやろうとする政府の真意がわからなくなるわけです。真意は、消費者を犠牲にして業者を助けるという非難をされても、これはやむを得ないと思うのですが、そういう意味において、一体、この卸売り価格がこんなに下がっているにかかわらず、消費者価格がこういうふうに高いのをどういうふうに見るのか、これを承りたいと思う。  それから目標価格百二十円、それから下限が百十円、この上限が百三十円とすると、値幅が二十円からあります。二十円というと、そうたいしたことでないようでありますけれども、百十円という価格の中の六十一円は税金です。関税と消費税、卸売り価格における実際の砂糖の原価というものは四十円前後です。砂糖の原価四十円前後における二十円の値幅というものは、とてつもない値幅だ。現在の卸売り価格小売り価格の値幅というものは、税金を差し引いたならば、原価に対して膨大な暴利をむさぼっておるといわざるを得ない。こういう関係について、長官、どういうふうにお考えですか。長官のこれに対する所見を伺いたいと思います。
  128. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 第一点の小売り価格と卸売り価格との格差が生じておる、しかもその格差が相当大きい格差であるということについて、いかなる理由によるものであるか、こういう御質問かと存じます。確かに砂糖類の卸売り価格小売り価格の変動を見ますと、その間の価格差というものが、ときによって非常に大きな幅を示してきておりまして、下がったときにおいてもそれほど下がらない。上がったときにはとたんに上がってくるというような傾向を示しておるわけでございます。一般に小売り価格と卸売り価格につきましては、卸売り価格需給に非常に敏感である。しかし、末端の小売り価格については、とかく消費物資については硬直性を持っておるということが指摘されておるわけでありますが、やはり砂糖についても、一般の消費物資と同じように、小売り段階における価格の硬直性ということが一つの理由になっておると思います。いま一つの大きな理由といたしましては、いままでの傾向を見ますと、卸売り価格が安定しておるときにおきましては、大体一定の幅を持って小売り価格も安定しておる。ところが、卸売り価格の変動が激しいときに、小売りと卸売り価格との格差が急速に生じておる、こういうことでありまして、砂糖のように変動の激しいものについては、それが顕著にあらわれておるというふうに思われるわけでございます。そういうことで、今回も卸売り価格についての価格平準化ということをはかることが、結果においては消費者に裨益するところになるのじゃないか。つまり、平準化された価格に見合って、小売り価格一定の幅で安定したところに推移するのではなかろうか、こういうふうに期待いたしておるわけでございまして、理由といたしましては、いま申し上げたような二点が、小売り価格一つの特色になっておるのじゃないかというふうに思われるわけでございます。  第二の、現在の砂糖税制の中におきまして、小売り価格に占める税制がきわめて高い地位を占めておる。これはまさに御指摘のとおりでありまして、おそらくイタリアと日本は大体匹敵するような税制になっておるわけでありまして、他の英、米に比べますと、高い税率を示しておるわけでございます。このような税率が高いということにつきましては、過去においては財政収入の面もあったと思います。消費税が関税に振りかわって、十四円の関税が四十一円五十銭に上がったといったような傾向もありますけれども、過去においてはそのような財政収入という面もあったと思います。同時に、これらの消費税が関税に振りかえられた後における姿を見ますと、これがやはり国内甘味資源価格に対する法的な措置になっておることも御承知のとおりでございまして、だんだんに国内自給度一定のところまで高まり、また、それによって企業の合理化が進んでいくならば、当然税率も下げ、国際価格にだんだん近づくような方向にいくべきであるというふうに考えるわけでありますが、当面の現状におきましては、やはり国内保護の観点から見ますと、合理化に至る期間としては、このような税制もやむを得ないのじゃないかというように考えるわけであります。しかし、われわれといたしましても、この税制、特に消費税のような税制につきましては、できるだけ早い機会にだんだんに縮減していくことが望ましいというように考えるわけでございます。
  129. 永井勝次郎

    永井委員 長官、いま砂糖国際価格を現在のニセント五十とします。ニセント五十とすると、一キロの砂糖の原価は二十円よりしないのです。その二十円の粗糖の原価に対して、加工賃がかりに倍の二十円かかっても、これは四十円です。二十円なんかかかりっこありません。それに六十一円の税金をとって、そして消費者は百十円、百二十円という砂糖をなめなければならない。有史以来いまだかってないというような砂糖の値上がりのときに、こんな砂糖をなぜなめなければならぬのですか。こういうところに政治の正当性と経済の妥当性というものがありますか。消費者をばかにするのも休み休みしろという消費者の怒りも、私は当然だと思います。いつのときに安い砂糖をなめたことがありますか。原価はわずか二十円の砂糖ですよ。それが税金を含めて百何十円なにしなければいかぬ。そして卸売りと小売りとの聞の利潤が何十円あるのですか。二十円の原糖に対して暴利をむさぼるにもほどがあるじゃありませんか。私は、単に事務的にやるのだというのではなくて、事務をやりながらでも、これはわかっておるのですから、こういうひどいやり方については義憤を感じなければならぬと思う。輸入業者からぱくり、消費者からぱくって、何をやっているのですか。これはぱくり案じゃないですか。  その意味において、もう少し消費者に、この法案によって、こういうふうに輸入の波打ちぎわで砂糖価格平準化しましたよ、平準化しました結果は、皆さんのところにもこういうふうに値下がりしてお届けしますよ、そういうことが具体的にもう少しできないのですか。農民は額に汗して、ひどい労力不足の中でビート生産しているのです。農民に対する生産者価格はどういうふうにこたえていますか。け飛ばし、け飛ばし、踏みつけて、まじめに働く農民だけはひどい目にあっているのです。それから、この原料を処理する現地における生産メーカー、これなんかも、輸入してただ粗糖をクリーニングしてぼろもうけするのとは違います。農民と接触して非常な苦労をしてやっている。そういう苦労しているものはちっとも恵まれない。ぼろもうけするのは、政治力でうまく取引してぼろもうけしている。こういうひどい砂糖行政というもの、こんな悪政は世界じゅうありません。もう少し筋の通った政策というものをなにして、及ばずながら農民に届ける、現地で苦労しているビート製糖工場のメーカーに届ける、消費者に届ける、こういうことをやらなかったら、こんな悪法はありません。園芸局長なんかも、原料ビート価格を、こんなに物価が上がっているときに、労力費が上がっているときに、これでけっこうです、何だかわけのわからない、頭がどこで、しっぽがどこかわからないような答弁で、その場その場をごまかしていたのではだめだ。もっと農民の苦しい立場に立って、バレイショの問題でもビートの問題でも取っ組んでいただきたい。砂糖行政につながる暗いいろんなうわさ、あるいはそれに伴うところの政治の正当性と経済の妥当性のない、ゆがめられたなにに対して、強い怒りを感じながら、今後におけるこの法案を中心にして改めていただきたいことを強く要求する次第です。  終わります。
  130. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長代理 次会は明十二日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十八分散会