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1965-04-23 第48回国会 衆議院 内閣委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十三日(金曜日)    午後三時三十九分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 荒舩清十郎君 理事 伊能繁次郎君    理事 佐々木義武君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 田口 誠治君    理事 村山 喜一君 理事 山内  広君       天野 公義君    井原 岸高君       岩動 道行君    池田 清志君       高瀬  傳君    塚田  徹君       綱島 正興君    二階堂 進君       野呂 恭一君    湊  徹郎君       大出  俊君    大原  亨君       中村 高一君    楢崎弥之助君       受田 新吉君  出席国務大臣         建 設 大 臣 小山 長規君  出席政府委員         内閣官房長官 橋本登美三郎君         内閣法制局参事         官         (第二部長)  真田 秀夫君         憲法調査会事務         局長事務代理  大友 一郎君         建設事務官         (大臣官房長) 鶴海良一郎君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君  委員外出席者         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 四月二十二日  国立大学教官待遇改善に関する請願赤城宗  徳君紹介)(第二八四三号)  同外一件(亀山孝一紹介)(第二八四四号)  同(浦野幸男紹介)(第二八六〇号)  同(福田一紹介)(第二八六一号)  同(大倉三郎紹介)(第二九〇五号)  同(野呂恭一紹介)(第二九〇六号)  同(藤井勝志紹介)(第二九〇七号)  同(八木徹雄紹介)(第二九〇八号)  同(田中正巳紹介)(第二九二八号)  同(井手以誠君紹介)(第二九八九号)  同(大坪保雄紹介)(第二九九〇号)  同(三池信紹介)(第二九九八号)  同(金子一平紹介)(第三〇一四号)  同(吉川久衛紹介)(第三〇一五号)  同(横路節雄紹介)(第三〇一六号)  同(唐津俊樹紹介)(第三〇三六号)  同(小川平二紹介)(第三〇七〇号)  同(倉石忠雄紹介)(第三〇七一号)  同(下平正一紹介)(第三〇九三号)  同外八件(中島茂喜紹介)(第三〇九四号)  同(原茂紹介)(第三〇九五号)  同(加藤清二紹介)(第三一一八号)  同外八件(谷川和穗紹介)(第三一一九号)  同(横路節雄紹介)(第三一二〇号)  同(赤松勇紹介)(第三一六一号)  同(足鹿覺紹介)(第三一六二号)  同外十件(河野正紹介)(第三一六三号)  同(辻寛一紹介)(第三一六四号)  同(丹羽兵助紹介)(第三一九四号)  同(八木昇紹介)(第三一九五号)  同(増田甲子七君紹介)(第三一九六号)  同(舘林三喜男紹介)(第三三〇六号)  同(横山利秋紹介)(第三四一九号)  旧軍人等恩給に関する請願白浜仁吉君紹  介)(第二八四五号)  同(森田重次郎紹介)(第二八四六号)  同外一件(小川平二紹介)(第二八六三号)  同(山崎巖紹介)(第二八六四号)  同(渡辺美智雄紹介)(第二八六五号)  同(坂田英一紹介)(第二九一〇号)  同外一件(野呂恭一紹介)(第二九一一号)  同外十件(岩動道行紹介)(第二九二四号)  同(小川平二紹介)(第二九二五号)  同外一件(加藤常太郎紹介)(第二九二六  号)  同(田中彰治紹介)(第二九二七号)  同(小川半次紹介)(第二九六八号)  同(進藤一馬紹介)(第二九六九号)  同外三件(田村元紹介)(第二九七〇号)  同(野見山清造紹介)(第二九七一号)  同(小川半次紹介)(第二九八〇号)  同(武市恭信紹介)(第二九八一号)  同外三件(谷垣專一君紹介)(第二九八二号)  同(野呂恭一紹介)(第二九八三号)  同(濱田幸雄紹介)(第二九八四号)  同外三件(山手滿男紹介)(第二九八五号)  同(亘四郎紹介)(第二九八六号)  同(唐澤俊樹紹介)(第二九九一号)  同外五件(木村俊夫紹介)(第二九九二号)  同(田中彰治紹介)(第二九九三号)  同外一件(谷垣專一君紹介)(第二九九四号)  同外一件(安藤覺紹介)(第二九九九号)  同(小川平二紹介)(第三〇〇〇号)  同(木村俊夫紹介)(第三〇〇一号)  同外一件(丹羽喬四郎紹介)(第三〇〇二  号)  同外三件(三池信紹介)(第三〇〇三号)  同外二件(川崎秀二紹介)(第三〇一七号)  同(小坂善太郎紹介)(第三〇一八号)  同(田中榮一紹介)(第三〇一九号)  同外二十七件(田中龍夫紹介)(第三〇二〇  号)  同(福田篤泰紹介)(第三〇二一号)  同(稻村左近四郎紹介)(第三〇二八号)  同外四件(大坪保雄紹介)(第三〇二九号)  同(佐藤洋之助紹介)(第三〇三〇号)  同(武市恭信紹介)(第三〇三一号)  同(森下元晴君紹介)(第三〇三二号)  同外二件(宇野宗佑紹介)(第三〇六四号)  同(草野一郎平紹介)(第三〇六五号)  同(小平久雄紹介)(第三〇六六号)  同外四件(谷垣專一君紹介)(第三〇六七号)  同(福田繁芳紹介)(第三〇六八号)  同(森山欽司紹介)(第三〇六九号)  同外一件(藏内修治紹介)(第三〇九七号)  同外六件(森山欽司紹介)(第三〇九八号)  同外二件(荒舩清十郎紹介)(第三一〇九  号)  同(田口長治郎紹介)(第三一一〇号)  同(高瀬傳紹介)(第三一一一号)  同外一件(三木武夫紹介)(第三一六九号)  同外二十八件(谷垣專一君紹介)(第三一八八  号)  同外一件(中山榮一紹介)(第三一八九号)  同(増田甲子七君紹介)(第三一九〇号)  同(森下國雄紹介)(第三一九一号)  同(森山欽司紹介)(第三一九二号)  同(登坂重次郎紹介)(第三三〇七号)  同外十六件(永山忠則紹介)(第三三〇八  号)  同(前尾繁三郎紹介)(第三三〇九号)  同外六件(青木正紹介)(第三三六三号)  同外三件(小平久雄紹介)(第三三六四号)  同外八件(砂原格紹介)(第三三六五号)  同(綱島正興紹介)(第三三六六号)  同外七件(前田正男紹介)(第三三六七号)  国家公務員に対する寒冷地手当改定に関する  請願卜部政巳紹介)(第二八六二号)  同(卜部政巳紹介)(第二九三〇号)  同外二件(卜部政巳紹介)(第二九六七号)  同(卜部政巳紹介)(第三〇〇四号)  同(卜部政巳紹介)(第三〇三三号)  同外二十二件(竹下登紹介)(第三一六八  号)  同外十九件(大橋武夫紹介)(第三二八七  号)  同外十九件(細田吉藏紹介)(第三二八八  号)  中小企業省設置促進に関する請願田中武夫君  紹介)(第二八六六号)  農林省蚕糸局機構縮小反対に関する請願(前  田正男紹介)(第二八六七号)  同(坂田英一紹介)(第二九〇九号)  同(福田繁芳紹介)(第二九七九号)  同(丹羽兵助紹介)(第三一九三号)  建国記念日に関する請願外三件(長谷川保君紹  介)(第二八六八号)  同外九件(西村関一紹介)(第二八六九号)  公務員退職条件改善等に関する請願五島虎  雄君紹介)(第二八七〇号)  同(五島虎雄紹介)(第二九三一号)  同(五島虎雄紹介)(第三一二三号)  同(五島虎雄紹介)(第三二〇二号)  平和の日制定に関する請願田川誠一紹介)  (第二九二九号)  同(谷垣專一君紹介)(第三〇七三号)  公務員の賃金及び労働条件改善等に関する請願  (河上丈太郎紹介)(第三〇〇五号)  同外四件(大出俊紹介)(第三〇三四号)  同(長谷川正三紹介)(第三〇三五号)  同(原茂紹介)(第三〇九六号)  同(大柴滋夫紹介)(第三一一三号)  同(大村邦夫紹介)(第三一一四号)  同(西宮弘紹介)(第三一一五号)  同(肥田次郎紹介)(第三一一六号)  同(細谷治嘉紹介)(第三一一七号)  同(淡谷悠藏紹介)(第三一六五号)  同(島上善五郎紹介)(第三一六六号)  同(佐野憲治紹介)(第三一九九号)  同(平林剛紹介)(第三二〇〇号)  同外一件(赤松勇紹介)(第三三六八号)  同外五件(有馬輝武紹介)(第三三六九号)  同外十四件(稻村隆一君紹介)(第三三七〇  号)  同(江田三郎紹介)(第三三七一号)  同(岡良一紹介)(第三三七二号)  同(川崎寛治紹介)(第三三七三号)  同(栗林三郎紹介)(第三三七四号)  同外二件(兒玉末男紹介)(第三三七五号)  同外二件(鈴木茂三郎紹介)(第三三七六  号)  同(多賀谷真稔紹介)(第三三七七号)  同(只松祐治紹介)(第三三七八号)  同外十五件(千葉七郎紹介)(第三三七九  号)  同外六件(堂森芳夫紹介)(第三三八〇号)  同(中井徳次郎紹介)(第三三八一号)  同外二件(松平忠久紹介)(第三三八二号)  同外二件(村山喜一紹介)(第三三八三号)  同外一件(森義視紹介)(第三三八四号)  同外三件(山内広紹介)(第三三八五号)  同(山中吾郎紹介)(第三三八六号)  同外十二件(吉村吉雄紹介)(第三三八七  号)  農地被買収者等に対する給付金の支給に関する  法律案成立に関する請願高橋禎一紹介)(  第三〇二二号)  海の日制定に関する請願受田新吉紹介)(  第三〇七二号)  国家公務員に対する寒冷地手当改定に関する  請願外三十一件(竹下登紹介)(第三〇七四  号)  同(卜部政巳紹介)(第三一一二号)  同(卜部政巳紹介)(第三一六七号)  同外二十五件(大橋武夫紹介)(第三四一六  号)  同外五十三件(細田吉藏紹介)(第三四一七  号)  同(卜部政巳紹介)(第三一九八号)  同(卜部政巳紹介)(第三二九一号)  公務員に対する寒冷地手当改定に関する請願  (田中彰治紹介)(第三一〇四号)  元南満州鉄道株式会社職員であった公務員等の  恩給等通算に関する請願外三件(長谷川峻君紹  介)(第三一二一号)  建設省設置法の一部を改正する法律案反対に関  する請願山内広紹介)(第三一二二号)  同(中村高一君紹介)(第三二〇一号)  同外三件(田口誠治紹介)(第三三〇一号)  同(千葉七郎紹介)(第三三〇二号)  同外四十一件(武藤山治紹介)(第三三〇三  号)  同外一件(横山利秋紹介)(第三三〇四号)  同外二十四件(東海林稔紹介)(第三四二〇  号)  同外一件(西宮弘紹介)(第三四二一号)  同外一件(村山喜一紹介)(第三四二二号)  同外十四件(山内広紹介)(第三四二三号)  同外十三件(横山利秋紹介)(第三四二四  号)  国家公務員に対する寒冷地手当改定に関する  請願外五件(増田甲子七君紹介)(第三一九七  号)  同(井出一太郎紹介)(第三二五七号)  同(小川平二紹介)(第三二五八号)  同外三件(唐澤俊樹紹介)(第三二五九号)  同(吉川久衛紹介)(第三二六〇号)  同(小坂善太郎紹介)(第三二六一号)  同(松平忠久紹介)(第三二九九号)  同(井出一太郎紹介)(第三四〇五号)  同(吉川久衛紹介)(第三四〇六号)  同(小坂善太郎紹介)(第三四〇七号)  国家公務員に対する寒冷地手当改定に関する  請願有田喜一紹介)(第三二五三号)  同(清瀬一郎紹介)(第三二五四号)  同(小島徹三紹介)(第三二五五号)  同(堀川恭平紹介)(第三二五六号)  同(三木喜夫紹介)(第三三〇〇号)  同外一件(有田喜一紹介)(第三四一〇号)  同(清瀬一郎紹介)(第三四一一号)  同(小島徹三紹介)(第三四一二号)  同(堀川恭平紹介)(第三四一三号)  国家公務員に対する寒冷地手当改定に関する  請願森田重次郎君外三名紹介)(第三二六二  号)  同(島口重次郎君外二名紹介)(第三二九三  号)  同外二十九件(堂森芳夫紹介)(第三二九五  号)  同(森田重次郎君外三名紹介)(第三三八八  号)  同外十七件(堂森芳夫紹介)(第三四一八  号)  国家公務員に対する寒冷地手当改定に関する  請願伊東正義紹介)(第三二六三号)  同(亀岡高夫君紹介)(第三二六四号)  同(澁谷直藏紹介)(第三二六五号)  同(湊徹郎紹介)(第三二六六号)  同(伊東正義紹介)(第三三九二号)  同(亀岡高夫君紹介)(第三三九三号)  同(澁谷直藏紹介)(第三三九四号)  国家公務員に対する寒冷地手当改定に関する  請願小平久雄紹介)(第三二六七号)  同(高瀬傳紹介)(第三二六八号)  同(藤尾正行紹介)(第三二六九号)  同(森下國雄紹介)(第三二七〇号)  同(森山欽司紹介)(第三二七一号)  同(渡辺美智雄紹介)(第三二七二号)  同(戸叶里子紹介)(第三二九四号)  同(小平久雄紹介)(第三三九五号)  同(高瀬傳紹介)(第三三九六号)  同(森山欽司紹介)(第三三九七号)  同(渡辺美智雄紹介)(第三三九八号)  国家公務員に対する寒冷地手当改定に関する  請願内田常雄紹介)(第三二七三号)  同(金丸徳重紹介)(第三二九二号)  同(内田常雄紹介)(第三四〇四号)  国家公務員に対する寒冷地手当改定に関する  請願宇野宗佑紹介)(第三二七四号)  同(草野一郎平紹介)(第三二七五号)  同(西村関一紹介)(第三二九六号)  同外一件(宇野宗佑紹介)(第三四〇八号)  同外一件(草野一郎平紹介)(第三四〇九  号)  国家公務員に対する寒冷地手当改定に関する  請願池田正之輔君紹介)(第三二七六号)  同(黒金泰美紹介)(第三二七七号)  同(松澤雄藏紹介)(第三二七八号)  同(安宅常彦紹介)(第三二八九号)  同(華山親義紹介)(第三二九七号)  同(池田正之輔君紹介)(第三三八九号)  同(黒金泰美紹介)(第三三九〇号)  同(松澤雄藏紹介)(第三三九一号)  国家公務員に対する寒冷地手当改定に関する  請願稻葉修紹介)(第三二七九号)  同(大竹太郎紹介)(第三二八〇号)  同(高橋清一郎紹介)(第三二八一号)  同(塚田徹紹介)(第三二八二号)  同(村山達雄紹介)(第三二八三号)  同(亘四郎紹介)(第三二八四号)  同(石田宥全君紹介)(第三二九〇号)  同(松井誠紹介)(第三二九八号)  同(稻葉修紹介)(第三三九九号)  同(高橋清一郎紹介)(第三四〇〇号)  同(塚田徹紹介)(第三四〇一号)  同(村山達雄紹介)(第三四〇二号)  同(亘四郎紹介)(第三四〇三号)  国家公務員に対する寒冷地手当改定に関する  請願徳安實藏紹介)(第三二八五号)  同(古井喜實紹介)(第三二八六号)  同(徳安實藏紹介)(第三四一四号)  同(古井喜實紹介)(第三四一五号)  恩給法等の一部改正に関する請願有田喜一君  紹介)(第三三〇五号)  日本赤十字社元看護婦戦時召集期間恩給等  に通算に関する請願前尾繁三郎紹介)(第  三三一〇号)  建国記念日制定に関する請願宇野宗佑君紹  介)(第三三六一号)  旧軍人恩給制度改善に関する請願宇野宗佑  君紹介)(第三三六二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  憲法調査会法廃止及び臨時司法制度調査会設  置法等の失効に伴う関係法律整理に関する法  律案内閣提出第一号)  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二二号)      ————◇—————
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。憲法調査会法廃止及び臨時司法制度調査会設置法等失効に伴う関係法律整理に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。受田新吉君。
  3. 受田新吉

    受田委員 官房長官が来られるまで、ちょっと事務的な問題について事務当局にお尋ねをいたします。  この憲法調査会法なるものが廃止される法案がいま出ておるのでございますが、昭和三十年の鳩山内閣当時、清瀬国務大臣憲法担当国務大臣として、憲法調査会法案なるものの審議が、大いに与野党の激論の中に戦わされました。私、当時その特別委員の一人として幾つか問題点を指摘して、政府見解をただしたのでございますが、顧みて十年の日月をけみした今日、この憲法調査会答申が昨年の七月三日に出され、膨大な資料調査の一応の結論が出ております。ところが私が指摘したいことは、——長官が来られたので、もう政治的なほうを含めた質問に入りますが、この憲法調査会法なるものが出た当時、基本的問題として大いに討議されたいわゆる法律論一つに、憲法第九十六条に基づくこの憲法改正案提案権発議権というものがどうであるかという議論があったわけです。ところが、憲法改正のための発議権国会の三分の二以上の同意を得て国会発議するとなっておるのでございますが、この考え方について、十年間の日月の間に政府の中においては何らか別の見解があるかどうか、お答えを願いたいのです。
  4. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 原則論といいますか、本質はおっしゃるとおりでありまして、厳格なる意味での発議権は、おっしゃるような意向とわれわれも了解いたしております。ただ、法律上でいう発議権というものはいまおっしゃるとおりでありまするが、いわゆる発案権といいますか、憲法改正というような事柄がいわれておるということに対して、政府がそういうような問題を含めてこういう考え方もあるという意味での案といいますか、これは広い意味になりましょうが、そういう意味でこういう発案権というようなことば、そういうことになりますというと、政府にもあり、かつまた国会にもあると、かようにわれわれは理解いたしておるわけであります。
  5. 受田新吉

    受田委員 いわゆる発案権発議権の相違を御説明願いたいです。
  6. 真田秀夫

    真田政府委員 お答え申し上げます。  憲法の九十六条に御指摘の憲法改正手続が書いてあるわけでありますが、この九十六条によりますと、「憲法改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。」と、こうなっておるわけでございまして、つまり憲法改正が行なわれるためには、憲法の定める手続として二段階書いてございます。第一の段階は、国会発議する。第二の段階は、国民に提案してその承認を経ると、こういうふうになっておるわけでございまして、ただいま発議権長官からお答えになりましたのは、この第一段階のほうの国会発議をする、これをさしておっしゃったのだろうと思うのでございます。そこで国会発議をされます際には、当然その発議をされるについての議案として御審議になるわけでございまして、その対象になる議案をだれが出すかということと、憲法に書いてあります発議そのものとはまた別である。したがいまして、国会で御審議になる対象を出すこと、これを先ほど発案ということばでおっしゃったのだろうと存じます。そういう差異でございます。
  7. 受田新吉

    受田委員 そこで、今度は内閣の権能という問題の中に一つ問題が派生する。その他のという仲間に憲法改正起案権というものを含めておるという解釈、これはたいへん矛盾しているということで大いに議論されて、憲法改正というような重大事項をその他の案件の中で論ずるのは不届きではないかという、十年たった今日、この当時に考えたその不届きな考え方が、いまなお生きているかどうか、十年の日月をけみして日進月歩の今日の段階で、依然として旧式の御見解を持っておられるかどうか、進んだお考えで処理されようとしているか、お答えを願いたいです。
  8. 真田秀夫

    真田政府委員 旧式か新式かという御批判はあろうかと思いますけれども、内閣憲法改正のいわゆる発案権があるという点につきましては、当時といまと考えが変わっておりません。
  9. 受田新吉

    受田委員 これははなはだおかしなことで、憲法改正というような国の基本に関する問題をその他の雑件の中へ入れることが適当であるという御判断かどうか、これもいまの段階でさよう了解してよろしゅうございますか。
  10. 真田秀夫

    真田政府委員 雑件ということばが適当であるかどうかはとにかくといたしまして、それは憲法改正というのはそうしばしばあることではないので、それで憲法の条文上特にそれを摘記して書いてないというだけであるというふうに考えておるわけでございます。
  11. 受田新吉

    受田委員 国の基本に関する問題を討議するこのいまの議論の中で、その他というような雑件の中に憲法改正が入るという考え方、それによって政府提案権があるという、こういう行き方は、これは憲法基本精神をあまりにも軽視した考え方である。憲法尊重の立場で、ひとつこれは、憲法改正ということは国の基本に関するものであるだけに、順位を第一順位に私は考えるべきであると思うのです。それに書いてない以上は、これは政府提案権がないということは、これはきわめて明瞭である。これは官房長官、十年たって日本は成長し、十年前はまだ総理も大国呼ばわりや、多くの新興諸国家を弱小国家呼ばわりした時代じゃなかったのです。しかし、今日は大国として世界に誇っている際に、この国の基本的な憲法改正案なるものを雑件の中でその他で片づけるような考えがまだひそんでおるとするならば、これは法治国家として重大な侮辱を私は受けると思うのです。御答弁願いたい。
  12. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 いま政府委員お答えいたしましたが、雑件雑件でないという議論はともかくといたしまして、御承知のように、もちろん今日の憲法主権在民である。したがって、もちろん国会のいわゆる発議権といいますか、そういうものは当然である。ただ、問題は内容の問題になりまして、論議を重ねるための一つの手段として政府発案権があったにいたしましても——それはもちろん国会にもあります。ありましても、これがいわゆる主権在民の姿の上からいって、必ずしもこれを雑件と同じく扱ったというような解釈をしなくとも、私はそうやかましい問題のようには考えられませんが、なおこまかい点、法律上の技術問題は、ひとつ政府委員からお開き取りを願います。
  13. 受田新吉

    受田委員 私は、憲法調査会法案なるものが出た当時の審議の過程で、日本がまだ独立国としては権威の薄いかっこうであった時代に、この問題を持ち出した。そのことが間違いであるといま思うのです。誤ったことをしたと思う。いまの問題は、法律論争の問題としては非常に重大な基本的問題であるが、長官としてはなかなか御答弁はむずかしいところもあろうと思いまするが、現時点においてひとつどうしても確認をしておかなければならないことがある。それは憲法調査会がいよいよスタートしたとき、これは当時の法律の規定に、内閣憲法調査会を置くという異例の措置をとられたということ、そのときに、願わくは国会の中にそれが置かれるということであるならば筋が辿るが、内閣が置いたのは越権ではないかという議輪も大いにされた。しかし、内閣がよし置いたとしても、今日七年の日月をけみして出された報告書を見てもわかるとおり、改憲論が絶対多数を占めておる。しかし、その中には、改正不要論という良識の意見もあわせて報告されておる。しかも、五十名の委員の定数の中で、三十名は国会議員であって、その国会議員の中に野党は参加していないという形で答申がされた。野党の参加しない調査会でありまするから、結局改憲論は多数を占めるようになるのは、これは理の当然です。したがって、内閣に置いたことは置いたが、その調査会そのものがはなはだへんぱなものであって、そして政府与当と改憲論者の多い学識経験者とで占められたような結論になったために、当時調査会を置いたときの設置理由の中にありました、「日本憲法に検討を加え、関係諸問題を副査審議し、」こうありますけれども、調査、審議する過程においても、改正論に重点が置かれながら調査、審議がなされてきた。そして出された答申を見ると、改憲論者の非常に多い数字で報告がされておる。このことは、この調査会の趣旨の中にある、政府がこの答申を尊重するという、この精神に立脚するときに、片寄った委員で構成され、片寄った答えの出たものを尊重するということになるならば、どういう形のものになるのかを御答弁願いたいのです。
  14. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 先ほど来の御意見といいましょうか、議論の前提は、調査会設置が違法なものじゃないかというための御議論であるように拝聴いたしておりますが、その問題を飛びこえまして、調査会内閣に置かれることは違法ではないか、こういうようなお話のように承っております。  そこで、内閣憲法調査会を置くことが違法ではないかというような御議論の点でございまするが、平たく申し上げますと、御承知のように、民間の中にもそれぞれ、憲法問題は国民にとって重大なる案件でありますから、したがって、民間の関係においてもいろいろ検討を加えておる団体があるやに聞いております。また、研究会もあるようであります。したがって、政府は当初からこの改正を目標として、いわゆるこの前提として、調査会をつくったのではなくして、御承知のように、国内においてもいろいろ憲法に関する論議が行なわれておる。したがって、問題点を明らかにし、かつまた問題点を掘り下げる、こういうような意味合いにおいて、いわゆる内閣憲法調査会をつくり、あるいは国会にその種の憲法調査会がつくられることは、あえて法律上からいいましても違法ではないと、私は解釈をいたしております。したがって、結論的に調査会が出しましたのは、いわゆるこの調査会答申は、多数の意見と少数の意見とを並列して出しております。かような状態であって、政府は、いわゆるこの国民基本法であり、国の基本法である憲法について、無関心であるべきではないし、かつまた、先ほど来から受田さんがおっしゃるように、戦後二十年を経ておるこの時代において、国民の間においても種々の論議が行なわれておる最中に、内閣あるいは国会といえどもこれを等閑に付することは、必ずしも国民考え方と一致しておるものではないとも考えられます。したがって、でき得べくんば、もちろんこれは国会調査会ができまして、各方面の意見を徴してこの問題の究明をされることは、当然国会の使命でもあり、また責任でもある。同時に、行政府である内閣としては、これらの問題を取り上げて、国民が何を考え、今後の新しい日本としてはどういうことを希望するかという点をもあわせ検討することは、政府としても、また国会として毛、当然責任のあるべき姿であろうと思うのであります。その意味では、一刻も早く国会内に憲法調査会ができることを私は希望してやまない次第であります。
  15. 受田新吉

    受田委員 私は、発案権という問題、発議権という問題は、もうここで議論してもしかたがないから飛ばしたのです。そしてその他の案件として雑件の中に憲法改正論を云々するという問題も、悲しいことでございまするが、もう議論してもしかたがないので飛ばしたのです。そして内閣に置くことについても、一応あまりもう議論すまいと思ったのですが、いませっかく御答弁がありましたから、ちょっと議論させていただきますが、内閣に置くときになぜ国会議員を入れるのですか。学識経験者だけでやるべきです。国会議員国会の議席の数に比例して、国会議員のほうが三十名、学識経験者が二十名です。これは逆です。これでは公正なる議論——多数党で調査会をどんどん切りまくっていけば、改正論が圧倒的になるのですよ、自民党のような改正論を持っておられる政党でございますから。だから、国会議員を入れたのが間違いなんです。内閣に置くというならば、純粋な学識経験者だけを入れて構成なさればよかった。なぜ国会議員を党派の人数に割り当てたような——しかもそのほうが三十人、学識経験者が二十人というような片寄ったようなかっこうでなぜ置かれたか。いま反省しておられると思いますから、その反省の根拠の上に立つ御答弁を願います。
  16. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 お話でありまするが、もちろんこれは同時に国会にも調査会ができることは、当時でも希望しておられたようでありまするが、いろいろな都合があって内閣にだけできたような状態であります。ただ、いまの国会議員を入れる必要はなかったのじゃないかという御意見でありまするが、必ずしもその点はさようにも私たちは考えておりません。御承知のように、国会議員は、重要なる役割りを国民生活の上においてもあるいは法的規制の上においても持っており、主権のある意味においての代表者といいますか、国民の代表者であるわけでありますからして、その代表者の意見を政府自身が聞くことも、これはまことに必要であり、また当然でなければならぬのでありますからして、国会議員を加えることについては、必ずしも重要な、特別な御異議があろうとは思っておりません。割り当て等につきましては、いろいろの御見解はありましょうけれども、必ずしも自民党が全体の委員の過半数を占めておるわけでもないのでありますからして、したがって、その結果において片寄った結論が、特に調査会として一致した意見が出るとも考えておりませんので、調査会においてはこのような不公平な事態が行なわれたとも、われわれは見ておりません。以上の意味で、国会議員の参加というものは、ある意味においては喜ばしいのではないか。できるだけ国会の代表が重要な機関におられることも、必要であろうとも考えておるわけでございます。
  17. 受田新吉

    受田委員 私は、内閣に置くということになれば、内閣の関係で独自の立場で学識経験者をお集めになって、御相談されればいいと思う。国会議員が参加するならば、国会の中における憲法調査会国会議員が大いに討議すべきです。その国会のほうに置く委員会審議会なるものを抜きにして、かってに内閣のほうに国会議員を引っぱり出すような提案をされたことが、そもそも間違いであった。これは省みてじくじたるものをお感じになっておられると思います。内閣は、内閣で解議会を設ければよい。国会は、国会調査会を設けて、国会議員が大いに議論するという機関を設ければいいです。それを内閣のほうに国会議員を横取りして、しかも自民党だけが参加してやっておられるという、とのあまりにもへんぱな調査会をつくって、七年もかかって膨大な国費を使って答えが出たわけです。議論すると時間がかかりますから、私の主張だけを耳にとどめておかれて、あらためて御議論させていただきますが、まあやむを得ません、今日の時点になったわけです。しからば、今度出たこの報告書に基づいて官房長官は総理大臣にかわって御答弁ができると思うのでございますけれども、この調査会報告書なるものを尊重して今後憲法の取り扱いをされるかどうか、お答え願いたいと思います。
  18. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 先ほどちょいと申しましたが、調査会の目的が憲法改正という前提に立って、そこで調査会を決定したのではなくして、現憲法の諸問題のあり方についての意見を徴したということになるわけであります。私も約束の時間がありますから簡単に答えて申しわけありませんけれども、要するに現時点において政府はこの調査会答申に基づいて憲法改正する意思があるやないや、こういうような御質問のようでありますからして、現時点においては、直ちに改正云々のことは考慮はいたしておりません。ただ、今日いろいろの問題において、憲法全体から考え問題点は幾つかあるわけであります。ことに先ほど来から受田委員がおっしゃっているように、現憲法というものがいわゆる日本国民感情あるいは国民生活不安定な時代制定をせられたということは、御承知のとおりです。そういう前提に立って、将来ともにこれらの憲法一つについても改正する必要がないかといいますれば、必ずしもそうは断定し得ない点は多々あろうと思います。ただ、平和憲法の精神といいますか、いわゆる言われておるような平和憲法の精神、その憲法の精神は当然尊重されなければならぬ。いろいろその他の面において改正すべき点は調査会においても論議が行なわれておるようでありますからして、それらを慎重に検討して今後ともまいりたい、さように考えておるわけであります。
  19. 受田新吉

    受田委員 今度の調査会報告書第四章、「日本憲法改正の要否」に掲げられたお答えなるものは、改正意見が非常に大きな比重を占めておるわけです。改正意見が圧倒的なんです。そうすると、それを尊重するということになるならば、これは憲法改正していかなければならぬということになりますわ。いかがですか。尊重しなければいいのですが、尊重することになると、改正しなければいけない。
  20. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 調査会答申案は尊重するというたてまえで調査会ができておることは、われわれも承知をいたしております。ただ問題は、御承知のように、先ほど来から御意見がありましたように、憲法なるものは国の基本法であり、国民にとってはいわゆる心髄とも申すべき重大な法でありますからして、よくこの国民の声を聞き、あるいは国民の動向を察し、かつまた世界情勢等々を十分に考慮して、これは慎重なる行動をすべきであって、たとえ調査会の結論を尊重するというたてまえでありましても、その尊重のしかたもいろいろあるわけでありまして、国民全体の立場から考え、慎重なる行動をとりたい、かように考えておるわけであります。
  21. 受田新吉

    受田委員 総理府が御調査されている世論調査に基づくと、憲法改正意見というものは少数意見です。そして改正すべきでないという意見のほうが多い。どちらでもないという数も相当数に達しておる。少数意見の国民世論と、それから絶対多数意見の調査会報告書、それを両方をかね合いながら政府が検討したい、こういうことですか。はっきりしていただきたい。
  22. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 いまおっしゃられましたような世論調査でありますが、これもいわゆる法律に従って厳正なる意味での世論調査と違いますからして、必ずしもそれをもって全体の国民のパーセンテージの金科五条としがたい点も、間々あると思います。したがって、その点から云々というような結論も出しにくいのでありまするが、先ほど来申しましたように、国民のいわゆる大事な法律であり、国の基本法でありまするからして、十分政府としては慎重なる態度をもってこれに処したいという基本方針に変わりはないということを申し上げたわけであります。
  23. 受田新吉

    受田委員 池田総理も、しばしば当委員会でも御答弁になっておりました。憲法調査会答申を待って、それを尊重して処置をすると言われた。もう答申が出てしまった。にもかかわらず、今日それに対して確固たる御所見がまだない、こういうことになっておる。何のために調査会を、ばく大な国費を使ってあれだけの人々に御苦労かけたか、意味がないわけです。これはただ単に気休めにこういうものを調べておいてやったのなら、これはかえって国民の血税を不当のものに使ったということになるわけです。私は、官房長官が総理大臣にかわって、この調査会報告書は単なる参考資料であって、これは憲法改正論議の中においてははなはだウエートの薄いものである、しかも委員会の構成が与党に限られておったということで、むしろこの答申はまことに困ったものが出たというような、やっかいな存在であるというくらいの考えをお持ちになるならば、私は筋が通ると思いますが、いかがでございましょうか。
  24. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 受田委員のおっしゃることもよくわからないでもありませんけれども、先ほど来からお話のありましたように、政府は学識経験者、りっぱな人をそろえ、かつまた社会党さんのほうは参加は願えませんでしたけれども、国民の代表である国会議員も加えて、そうして長年月にわたっての検討の結果でありますからして、必ずしも受田委員のおっしゃるような考え方とは一致いたしませんのは恐縮でありますが、やはりりっぱな検討がなされており、これらは十分にわれわれは今後の処置の上においても、りっぱな貴重なる検討の資料として、政府が今後国民——今度は国民との間に十分なるこの問題に関する情勢等も判断し、あるいはその他の方法によって、少なくとも憲法問題については慎重なる態度で臨みたい、かように考えておる点をひとつ御了承願います。
  25. 受田新吉

    受田委員 この機会に資料要求をしておきます。  内閣の調査に基づく憲法改正是か非かという世論調査の答えだけを、ごく簡明に御提出を願いたい。  それから委員の構成で賛否の系列に従ってその委員会委員の御意向なるものを、これもごく簡単な表として御提出を願いたい。  長官も御多忙でございますから、私もう質問をやめますが、最後に一言。大体日本憲法の精神というものについては、これはもう別に、いま長官が言われたように、二十年たったからということでなしに、平和主義、民主主義、基本的人権の尊重というこのりっぱな三本の柱をもとにした憲法というものは、私は決して押しつけじゃないと考えております。みながこぞって待望したものが、歴史的な宿命として、これまで戦争という悲劇の中ではあったけれども、悲劇の所産としてすばらしいものが得られたと私は思っておるのです。その意味において、自民党の内部には、この憲法を、特に九条を中心に改正すべしという意見が圧倒的に多くなっておるかどうか、党内の事情を一つ。  もう一つは、国務大臣というものは、憲法第九十九条によって現在の憲法を尊重し、擁護する義務を負うておるわけです。あなたもその一員として、当然国会議員ですから負うておられる。したがって、五月三日は憲法記念日、終戦後満二十年を迎えました。新しい憲法のもとに二十年、われわれは新時代的感覚の国家をつくっておるわけですが、終戦二十年を契機として、五月三日に歴史的な憲法普及大会を——普及というのはもう過ぎて、憲法を大いに尊重する大会を、九十九条のこの憲法の精神に基づいて、総理以下国務大臣が一致して歴史的な記念式典でもおあげになってはいかがですか。国民の祝日は生まれたけれども、ほかの日は、あるいは子供の日にしても、その他の文化の日にしても、勲章を与えたり、今度、四月二十九日には春の叙勲が出る。それからその他の祝日には、いろいろな行事を国家自身が各省を通じてやっておられる。にもかかわらず、内閣みずからが手を打たなければならぬこの憲法記念日なるものには、最初の数年間は、政府みずからが陣頭に立って、国費を費やしていろいろな行事をやられたけれども、その後、吉田内閣の末期以来、この憲法記念日を尊重する行事も行なわれておらぬのですが、いまからでもおそくないんまだ十日以上ありますから、このあたりで憲法記念日に国家的行事を行なうことを提案します。官房長官、まだいまからでも間に合います。大急ぎで、どこか、日比谷の公会堂か何かで、政府みずからが、憲法を大いに擁護する行事を御計画になってはどうですか。
  26. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 第一点でありますが、自民党には、憲法第九条を改正することに賛成の意見が多いか、少ないかという御質問でございますが、私も一人一人の意見は聞いておりませんけれども、自民党の総裁である現総理大臣の佐藤榮作氏は、国会におきましても、その他の公式の席上におきましても、自分は平和に徹するの精神をもって国内、国外の政局に当たりたい、かようなことを言明いたしておりますので、総裁の精神をもって党の精神と御理解願えればけっこうだろうと思います。  第二の行事の問題でありますが、御承知のように、皆さんのお力によって、国民祝日の中にいわゆる憲法の日が定められたということは、これは国民がひとしく心からこの日に対して尊敬の念を持っておられることでありまして、形の上においてどういうような行事が行なわれるかどうかということも、もちろんこれは必要なことではありますけれども、国が国民祝日の一日に加え、かつまた、われわれ心から平和憲法といいましょうか、平和主義というものに徹しておるこの精神は、形の上よりもなおりっぱなものがあろうと思いまするが、なお受田さんがおっしゃられましたことも、重要なる御意見として心の中にとめて考えてまいりたいと思います。
  27. 受田新吉

    受田委員 これで質問を終わりますが、そうすると、佐藤総理は、現行憲法第九条はそのままでよろしいという御所見ですね。さように了解してよろしゅうございますか。
  28. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 御承知のように、九条の精神、その精神問題でありまするが、日本は平和に徹するの政策を国内外でとっていく、こういう精神であることを御了解願って、九条云々のことは、もちろんこれは法律的な問題がありますけれども、平和主義といいましょうか、平和の精神に徹してやってまいりたいと、かような考え方を十分に御理解願えれば、それでおわかり願えるだろうと思うのです。
  29. 受田新吉

    受田委員 いや、わからぬです。それは、つまり佐藤総理は、もう調査会答申が出たのだから、出た以上は——改正点として、九条改正を大幅にうたっておる、そういう段階で、当面現行憲法の九条の規定でいいとお考えになるのが平和主義に徹しているのか、あるいはこの状況を平和主義に基づき何らかの形で変えていくという御意見があるのか、これは大事な問題であると思いまするから、現行憲法九条はこれでけっこうだ、これで十分平和主義は徹せられるとお考えかどうか。  それから最後のお答え願わない分、つまり御検討願うことになったけれども、十日後ですから、非常に朝日が迫っておるのですから、心していただくだけでは間に合わなくなります。早く憲法二十周年記念式典というようなものを——やはり名は体をあらわすということになっておるのです。だから、何か名目的な行事をやることによって、非常に国民憲法尊重の観念を植えつけると思うのです。遊び半分の憲法記念日でなくして、政府みずからがそういう行事をやって憲法尊重の陣頭に立つということは、私は筋が通ると思うが、その二つをもう一度……。
  30. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 第九条の具体的な問題につきましては、いろいろの解釈もあり、いろいろの問題があろうと思います。ただ、御承知のように、これはいずれの国民一人一人に関しましても当然でありまして、みずからを守るという考え方——われわれはいわゆる第九条関係の関連法案にいたしましても、日本自身には自衛権はある、自分を守る権利はあるというたてまえをとっておるのでありまして、したがって、この第九条の問題をあくまで平和的精神によって解釈することには間違いはありませんけれども、ただ、それがためにみずからを守る力を失ってよろしいかという問題は、これは別個の問題になります。したがって、九条に関連する事項の内容については答弁の限りではありませんが、少なくとわれわれは、佐藤総理の平和に徹するの精神をもってやっていくという考え方は、御理解願えるだろうと思うのです。
  31. 受田新吉

    受田委員 御理解は願えない。長官、私はいまの……。(「見解の相違だ」と呼ぶ者あり)見解の相違じゃないのです。つまり、憲法改正答申が圧倒的多数で、政府みずからがつくった調査会で出されておる。第四章です。そうなってくると、それを頭重することになれば、当然これは改正すべきものである、そしてみずからの力をつちかうという考えに立つのか、同時にもう一つ考え方は、現行憲法によって十分政府考えておられるような意図を果たすことができるとお考えになっておるのか、考え方だけは私はわかると思うのです。改正をしなくても——まあ調査会答申は圧倒的に改正意見であるが、現在のところ改正する意図がないということなら、それでけっこうです。そのくらいのことははっきりしておかぬと、国民が心配しておりますからね。
  32. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 これは先ほど来の受田君の御意見の中にもありましたように、憲法改正発議権は、国会すなわちいわゆる国民、こういうものに——これはまあ法律上もそうでございます。総理大臣の地位において、九条云々、どうするかというようなことは、申し上げることのほうがかえって問題があろうと思いまして、総理はみずから皆さんにもお話しした機会があろうと思いますけれども、憲法問題については国民とともに歩む、こう言っておりますから、総理大臣一個の見解を明らかにすることのほうが、いわゆる憲法に規定する発議権の問題にも関連いたしますので、ただ、是非論として、総理は、平和を愛し、平和主義の外交をもっていく、こういう考え方を持っておることで御理解が願えると思うのであります。
  33. 受田新吉

    受田委員 橋本先生では御答弁がむずかしいでしょうから、それはあらためて総理大臣にお尋ねすることにいたします。      ————◇—————
  34. 河本敏夫

    河本委員長 建設省設置法の一部を改正する法律案を議題と、質疑を行ないます。永山忠則君。
  35. 永山忠則

    永山委員 建設省設置法の一部を改正する法律案について、質疑をいたします。  前国会で御提出になりました点と、今国会で提出していただいている点のどこがどういうように違っておりますか、お尋ねいたします。
  36. 小山長規

    ○小山国務大臣 間違いがあるといけませんから、官房長からその点御説明申し上げます。
  37. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 前国会に提出いたしました法案と違います最も大きい点は、計画局に宅地部を置くという点でございます。これは、従来宅地行政につきましては、住宅局、都市局あるいは計画局におきましてそれぞれ所掌いたしておりましたが、宅地行政の重要性にかんがみまして、これを一本にまとめまして宅地部にいたしたという点が、最も大きな相違点でございます。なお、前国会におきまして問題になりました分掌事務の地建委譲の点につきましては、これは前国会と同様の規定にいたしております。
  38. 永山忠則

    永山委員 それでは、いまの御説では、宅地部を設置したというだけですか。用地部の関係はどうなんですか。
  39. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 詳細につきましては違った点もございます。たとえば本省の事務を地建に委譲いたします場合に、そのために地建につくります部の名称を、前国会で出しました案によりますと、計画管理部という部を設けるというようになっておりましたが、新たに提案いたしましたものは名称を変えておりまして、計画部というふうにいたしております。なお用地部の点でございますが、これは前国会におきまして提案をいたしたものと全く同じでございます。
  40. 永山忠則

    永山委員 計画管理部というのを計画部にかえた理由は、どういう点でございますか。
  41. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 計画管理部という部で所掌いたしますのは、本省の仕事でいいますと計画局、都市局、住宅局、この三局の仕事でございます。しかしながら、従来建設省におきましては、計画局という名称の毛とにおきまして、本省の計画局、都市局、この二つの局にまたがるような仕事をいたしております。そういう関係もございまして、計画部という名称で仕事の相当部分がカバーできるということが一つでございます。それからもう一つは、計画管理部という長い名称を簡略にしたほうがいいだろう、ほかの部が道路部でありあるいは河川部であるというような例もあるのでございまして、簡潔な名称にいたしたわけでございます。
  42. 永山忠則

    永山委員 この簡潔な計画部ということは非常に私はいいと思うのでありますが、そこでこの計画部の仕事ですね、これはどういうふうな範囲のものですか。総合計画を立てていくということであると思うのですが、本省の計画局とこの地建の計画部との関連性は、どういうようになるわけですか。
  43. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 本省の計画局で所掌いたします仕事のうちで、総合計画あるいは地域計画という仕事がございます。この関係につきましては、地方の出先といたしましては、地建の計画部にやってもらうということを考えております。なお、本省の計画局におきましては、建設業関係の仕事、建設業の登録とかそういうことをやっておりますが、こういう仕事の出先といたしましても、やはり地建では計画部を使っていきたい、かように考えております。なお本省には都市局がございますが、過去におきましては、現在の計画局の総合計画、地域計画部門と一体になって計画局として仕事をいたしておりましたのでございますが、その都市局の仕事も、地建におきましては計画部でやっていただこうというふうに考えております。また、住宅行政の問題につきましても、計画部でやっていただこうというふうに考えております。
  44. 永山忠則

    永山委員 計画部の仕事の関係で、計画部を担当する部長といいますか、責任者は、技術者を持っていくことが好ましいか、あるいは事務屋のほうが好ましいか、計画部の事業の性質上どういうようにお考えになっておられますか。
  45. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 その問題につきましては、事務屋でなければならぬとか技術屋でなければならぬというふうに考える必要はないのではないかと思います。やっておる仕事も非常にバラエティーがございますし、最もたんのうなる人がありますれば、その人をつければいいのでございまして、過去の経験が、技術の専門であるとかあるいは事務の専門であるとかということには、必ずしもとらわれる必要はないというふうに考えております。
  46. 永山忠則

    永山委員 この点は非常に意見を異にしているわけですがね。とにかく建設関係の計画を立てるのは、やはり技術の上に立ってやるということが、非常に必要だと思うのですよ。旧来技術が行政に奉仕するという傾向が、一般の関係においてあるわけです。ところが、現段階におきましては、やはり行政に技術が奉仕するのでなくして、技術がむしろ行政を指導していくというように、少なくとも建設関係は進むべきではないかというように考えるのですが、大臣、どうですか。
  47. 小山長規

    ○小山国務大臣 いま官房長から答えたのは、一般論であります。要するに、たんのうであれば事務官であっても技術官であってもよろしいというのが一般論でありますけれども、実際問題として、いままで企画室は技術の人がやっておったわけですが、その人たちが当然今度はこの計画部長になる、こういう方向で動かしていくのが一番望ましいのじゃないか、こういうふうに思っておるわけであります。なお、将来事務の人でいわゆる技術的なことにも明るい人が出てくれば、そのときには、事務の人を当てることもあるかとも思いますけれども、当分のところは、おそらくいまの企画室長といわれる人たちをこの計画部の仕事に当たらせることにすることが円満にいくのではないか、こういうふうに思っておるわけであります。
  48. 永山忠則

    永山委員 大臣のお考えのように、やはり技術関係が建設関係では行政を左右するという旧来の伝統を、どこまでも堅持をしてお進みになることが好ましいと思うのです。たとえて申しますと、最近交通対策の問題でも、やはり建設省の技術というものが、これがもう決定的な要素になってきているわけです。旧来は事務系統で交通関係をやっておりましたけれども、技術的立場に立ってこの対策を講じるという科学的な面が出てこなければならぬほど、交通がふくそういたしてきているわけです。そこで、やはり技術関係が優先していくということが好ましい、まあ交通の問題だけでいいましてもそうだと思うのです。さらに、かりに砂利採取の問題にいたしましても、われわれのような立場で一応状態を見て、ここは適当だとか不適当だとかいうようなことを、事務的の判断でなしに、技術的立場でこれを科学的に説明していけば、ここはもう適当でないのだからがまんしろといえば、やはり業者も納得できますし、また政治的に左右されないという結果を——私は現段階でもそういうような状態だと思うのです。ことに、やはり政治的な圧力で技術が歪曲されるということもないこともないわけですよ。そういう状態でございますから、技術が行政を指導していく。行政に技術が奉仕するということにならないように、この点では大臣のほうで十分御考慮を願いたいのです。  建設省設置法に対しては、技術者に安心して積極的に協力をせしめなければならぬと思うのですが、これに対して大臣のほうでは、部内において技術関係を行政の奉仕者にはさせないのだということに対する力強い何らかを、ひとつ保証していただきたいと思うのですが、どうですか。
  49. 小山長規

    ○小山国務大臣 おっしゃるとおり、この計画部でやる仕事は、技術的な知識がないとむずかしい面が非常に多いと思うのであります。そういう意味で、かりに将来事務官がなる場合でも、よほど技術的な知識でもある人でないとむずかしいだろう。そういう意味では、おっしゃるように、まだ訓練途上にある段階では、どうしても技術を身につけた人が計画部の部長になることが望ましい、こういうふうに考えておりますので、今後の行政あるいは部長の任命というものは、そういう方向で考えていく、そういう考えでありますので、この点は部内にも徹底しておると思います。御安心を願いたいと思います。
  50. 永山忠則

    永山委員 総合建設行政の実をあげるためにも、計画部長には専門家を充てて、能率よき行政をやるということに対して大臣の力強い言明をいただきましたので、将来におきましてもこの方針を堅持してやっていただきたいと考えるものでございます。  次にお問いいたしたい問題は、地方建設局が分掌する事務として、新たに所管事業の助成及び監督に関する事務を加えるということになっておるのでございますが、この点は二重行政にならないか、あるいは臨時行政調査会答申と矛盾しないかという点に対して、御意見を承りたいのであります。
  51. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 地方建設局に新たに委譲いたします事務、これは十二条の改正規定の各号に書いてございますが、従来直轄工事を専門にやっておりましたことに、行政監督の事務あるいは助成の事務をつけ加えたのでございます。地建に委譲いたしました事項につきましては、これは地建限りにおきまして処理できるようにしまして、二重行政の弊の起こらないように措置したい、かように考えております。  それから臨時行政調査会答申と矛盾しないかというお話でございますが、臨時行政調査会の国の機関に関しますものの考え方につきましては、方々で出ておりますけれども、一貫してあらわれております思想は、本省におきましては企画、総合、調整の仕事をやっていく、実施事務につきましてはできるだけ地方支分部局に移していく、そういう思想で組み立てられております。今度の建設省設置法改正の趣旨も、方向といたしましては全く同じでございまして、本省は企画的な仕事をやっていく、実施事務的な仕事はできるだけ地方建設局におろしていくというたてまえでできております。
  52. 河本敏夫

    河本委員長 この際暫時休憩いたします。    午後四時三十七分休憩      ————◇—————    午後六時四十一分開議
  53. 河本敏夫

    河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  憲法調査会法廃止及び臨時司法制度調査会設置法等失効に伴う関係法律整理に関する法律案を議題といたします。  山内委員より発言を求められておりますので、これを許します。
  54. 山内広

    山内委員 ただいま議題になりましたこの法案は、将来憲法改正とも関連いたしまして、非常な重要な法案だと私ども思いまして、総理の御出席をお願いしていろいろお尋ねしたいこともあったわけであります。しかし、会期末もだいぶ迫っておりますし、審議案件もたくさん残っておりまするので、審議に協力するという意味で、今回この法案についての私ともの質問は、後日総理府設置法の一部を改正するときに総理の御出席をお願いして質問することにして、今回は残念ながら私どものほうとしては質疑を省略したいと思います。
  55. 河本敏夫

    河本委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  56. 河本敏夫

    河本委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  57. 河本敏夫

    河本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 河本敏夫

    河本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  59. 河本敏夫

    河本委員長 次会は、来たる二十七日、火曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十三分散会