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多賀谷委員 そういうようにいたしますと、移動等についても激しくなくなるし、この
組夫自体が安定をする、こういうように思います。そして逆の面から言えば、それが規制になる、かように考えるので、ぜひお願いをしておきたいと思うのです。
最後にビルドについて、大臣から所見を承りたいのですが、先ほど
石炭局長に
質問をいたしまして、一体役所で考えるビルド山というものは、どのくらい新
鉱開発に経費が要るのかということを聞きましたところが、確実にどこの山という
指摘はなかりたわけですけれ
ども、それはもちろん役所ですから、ある山を想定しておられると思いますけれ
ども、モデルとしてたとえば六十万トンの
炭鉱をつくるため九十一億要る。それは七年間大体
投資をして、七年後にやっと軌道に乗る。そうしてそれが三千五百円
程度の山元の価格になる。
近代化資金あるいは開発銀行の資金、市中銀行その他合わせて大体金利は四分三厘になる。これで何とかいくんじゃないかという話があったわけです。しかし九十一億
投資をして、六十万トンですから、大臣、ざっと計算されて年間二十一億でしょう。そうすると半期に十億ですね。これで一体、九十一億も七年間
投資をして、その七年間の間に利子がかさむのですよ。利子がかさんで、売り上げ金が半期にたった十億しか出ないような
炭鉱企業というものが、一体成り立つかというのです。昔は
炭鉱は斜坑をうがって、手っとり早いところから掘って深部に入っていった。ですから深部を、もう採算が合わなくなれば資源を捨てるのだという
考え方であるならば、いまでもできるでしょう。いまの
炭鉱方式でも私はできると思う。しかし、立て坑を打って、主要坑道をつくって、かなり資源を掘り尽くそうとするならば、最初から
投資が要る。いわゆる近代的な
炭鉱にするには最初
投資が要る。そうすると金利と償却で
相当のものですね。しかも、これは完全にうまくいったときの話ですよ。ところが、先ほ
ども私が申し上げましたし、また総理大臣のときにもちょっと
質問をしたわけですが、戦後開発された
炭鉱で、
相当失敗をしておる
炭鉱がある。総理大臣が通産大臣のときにみずから筑豊において、この
炭鉱だけは残るといって入った田川の伊加利坑も、これはスクラップです。あるいは住友
炭鉱がやった秋吉
炭鉱というのも、これも十数億金をかけたのですけれ
ども、三十八年に竣工して、三十九年には閉山ですよ。それから明治がやりました庶路
炭鉱も、二十二億も金をかけて、そうして三十二年から開発をして三十七年に終わって三十九年に閉山、それから香焼
炭鉱も、十四億も
投資をして、そうして三十二年に開発を始めて、三十七年に竣工して、三十八年に閉山。とにかく、こういうように、
炭鉱企業というのは非常に危険性がある。ですから新
鉱開発をやろうと思っても、その新
鉱開発で失敗をしたら、本体まであぶなくなるのです。
現実にあぶなくなってきておるのです。ですから、これで一体私
企業でやれるかというのですよ。幾ら条文を変えて新
鉱開発をするといって
調査団が書きましても、こんなあぶない仕事をだれもやりませんよ。こういう
状態になっておる。しかも、先ほど申しましたように、約百億の
投資をして、半期に十億しか売り上げ金がない。益金じゃないのですよ。ですから少なくともいまのような方式ではできないんじゃないですか。ですから私は、通産省としては一体将来やっていけるかどうかということを十分考えて、そしてやるとするならばどういう方式でやらなきゃならぬか、こういうものを出すべきではないか。新
鉱開発でいまの
炭鉱がやれるんだというような認識は私は誤りではないか、こういうように思うのです。ですからひとつ通産大臣としては、いますぐとは言いません、これは長い間の懸案ですから、やはり根本的な問題を考えられる必要があるのではないか、こういうように考えるわけですが、ひとつ御所見を承っておきます。