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1964-12-15 第47回国会 参議院 法務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十二月十五日(火曜日)    午後一時四十三分開会     —————————————   委員異動  十二月十五日     辞任         補欠選任      佐野  廣君     迫水 久常君      田中 啓一君     吉武 恵市君      井川 伊平君     増原 恵吉君      江藤  智君     大谷 贇雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木島 義夫君     理 事                 後藤 義隆君                 稲葉 誠一君                 和泉  覚君     委 員                 植木 光教君                 大谷 贇雄君                 鈴木 一司君                 中山 福藏君                 亀田 得治君                 岩間 正男君                 山高しげり君    国務大臣        国 務 大 臣  吉武 恵市君    政府委員        警察庁長官    江口 俊男君        警察庁刑事局長  日原 正雄君        法務政務次官   大坪 保雄君        法務省刑事局長  津田  実君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局刑事局長   矢崎 憲正君    事務局例        常任委員会専門        員        西村 高兄君    説明員        日本国有鉄道総        裁        石田 禮助君        日本国有鉄道常        務理事      河村  勝君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○検察及び裁判運営等に関する調査  (基本的人権捜査活動との諸問題に関する  件)  (大阪国鉄労働組合員に対する人権侵犯事件に  関する件)     —————————————
  2. 木島義夫

    委員長木島義夫君) これより法務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  本日、井川伊平君、田中啓一君、佐野廣君、江藤智君が辞任され、その補欠として、迫水久常君、増原恵吉君、吉武恵市君、大谷贇雄君が選任されました。     —————————————
  3. 木島義夫

    委員長木島義夫君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。  昨日、迫水久常君が委員辞任されましたため理事に欠員を生じておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木島義夫

    要員長木島義夫君) 御異議がないと認めます。それでは、理事迫水久常君を指名いたします。     —————————————
  5. 木島義夫

    委員長木島義夫君) 次に、検察及び裁判運営等に関する調査議題といたします。  まず、基本的人権捜査活動との諸問題に関する件について調査を行ないます。中山君。
  6. 中山福藏

    中山福藏君 私は、この際、裁判官威信に関する問題につきまして最高裁判所刑事局長お尋ねしたいと思うのです。  御承知のとおり、裁判官弾劾法の第二条第二項にこういうことがうたわれております。「その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったとき。」は訴追されれば罷免されると、こういうことになっております。私の質問は、その内容、実体というものがほぼこの線に泊っておるんじゃないかという観点に立ってお尋ねをする次第でございます。御質問申し上げるのは、大体、普通の質問であるならば、世間ではこうだとか、ある人がこういうことを言ったとかいうことを議題としての質問が多く行なわれておるのですが、これは私実際身をもって経験したことを基礎にしてお尋ねをする次第でございます。  この質問に入りまする前提として、一応私の体験した実話というものをこの新聞紙によって皆さま方に御説明申し上げておくほうが御答弁をなさるのに便利じゃないかと思いますから、これをひとつ申し上げておくのであり示す。  実は、京都地方裁判所におきまして泰行事件に関して裁判が開始された。その担当の判事井上という方でございます。この暴力を行なったという被疑者は、大体七ヵ月間京都府下伏見拘置所に拘禁されておる。そこで、これに関して五名の弁護士が依頼を受けまして、公判もたびを重ねてほぼ終結に近づいたということになっております。その際に、この被疑者というものは、伏見拘置所につながれて、ほとんで歩行ができないように衰弱しておる。医者が来て注射をしましても、体力が衰弱してその注射液を汲収する力がない。歩行ができない、出廷しないままに裁判が開かれる、こういうふうな実情であったのであります。そこで、その被疑者兄貴——これは被疑者の職業を一応申し上げておく必要があると思うのですが、ある土建会社の社長をしておる。これがまた言いにくい話でありますが、朝鮮人なんです。そこで、この兄貴という者がたまたま私のうちに参りまして、私の友人に案内されて私のうちに参ったのでありますが、どういうことを言うかと聞いておりますというと、この朝鮮人は、朝鮮人に似合わない非常な奇特な人間であります。私は楠公会の復興の委員長をしておりますが、楠公の菩提寺でありまするところの大阪府の観心寺というお寺があり、これに首塚があるのです。そこに命日には必ず花輪を捧げてそうして一本の興隆というものを願っておりますと、こういう奇特な人間だから、ぜひともひとつ先生に御助力を仰ぎたい、とこういう願いを受けた。そこで、私は青少年の思想善導というたてまえに立っております永井君の言を信じまして、直ちに伏見拘置所に参って、そうして拘置所長面会して、この被疑者の問題というものをいろいろと各方町から検討してお尋ねをした。ところが、からだがようやくよくなって、歩行もようやくできるようになりました。卵も一つや二つは食べるようになりました。そのくらい衰弱していたのだったらどうして保釈というのが許されないかというこういうお尋ねをしたのですが、あまりはっきりした回答を得なんで、そこで私は直ちに京都地方裁判所に参りまして係裁判長面会を求めた。ところが、ちょうど公判が開かれておりまして、面会することができなんだ。それから検事正に御面会をいたしまして、こういうひどい衰弱衰弱を重ねて歩行もできないという者を、逃亡することもないし、すでに七ヵ月というものも裁判が進んで、もうほとんど証拠は全部法廷に出されて明らかになっておるのだ。これはどうかひとつ保釈を許可するということで、反対しないという具申をしてもらいたいと申し込んでおいたのでございますが、結局そういうふうなことでこの保釈というものがいろいろないきさつがあり、また、私がそういうふうな願いをしたにもかかわらず却下されたのです。まあそれまではいい。ところが、私がきょうここに持参いたしました新聞です。京都新聞という新聞です。これは二号活字で出ておる。二号活字でこの内容が出ておる。その劈頭に「議員弁護士からの保釈願い却下」という二号活字で大きく出ておる。そうして私の保釈を願った内容というものはことごとくこの紙面にあらわれておる。私は検事保釈反対の意見を具申したに違いないと思っておるのです。だから、その内容というものがほとんどこの検事から漏れるということはないと思う。しかも、公判廷において保釈決定云々というのをきめるということはまれであります。それで、裁判官が書面に基づいてこれは不許可になったものと思う。その裁判官が必ず新聞記者を呼んで、お得意になって、議員というものの政治力裁判所に及んではたいへんだからというので却下した。近ごろ京都で話題をまいておるという記事であります。  そこで、第一にお尋ねしたいのは、議員弁護士——いわゆる国会議員村会議員町会議員府会議員市会議員各種議員がおりますが、そのうちには多数の弁護士がおられます。こういう記事が出ますというと、議員弁護士事件を依頼したら保釈はことごとく却下になるという印象を私は与えると見ておる。それで、私はまず第一にお尋ねしたいのは、一体全体今日司法修習生というものに対してどういうふうないわゆる研修方法が行なわれておるのであるか。こういうふうな重大な問題は私は相当社会方面の注目を引くものと考えておりまするが、そういう点に立脚して、劈頭に私はその点についてのお尋ねをひとつ当局にいたす次第であります。どうぞ御答弁をお願いいたします。
  7. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 実は、司法研修所の内部における教育方針ないしその実施は、刑事局所管外と申してははなはだ失礼なあれになるかもしれませんでございますが、十分には刑事局のほうとしては熟知していないところなんでございますけれども、しかしながら、われわれ裁判官が後輩の修習生を養育していくというような面におきまして、もちろん、刑事裁判の実際、それからあるべき姿、そうして特に身柄拘束の場合における保釈の取り扱いの実態等につきましては、これはもとより裁判官としてどうあるべきかという立場から十分な教育をいたしているものと信じておるわけでございまして、ただいま中山議員から仰せのようなそういう心配はないものだという方針でもとより十分修習生に対して指導しているということは申し上げることができると存ずるのでございますけれども、何ぶんにも研修所につきましては刑事局のほうとしては直接密接な関連を持っておりませんので、お答えはこの程度で御納得いただきたいと思うのでございますが、さらにもしもその点につきまして深い御質疑がございますようでございましたならば、また所管局長に内部的に連絡することにいたしたいと存じます。
  8. 中山福藏

    中山福藏君 実はですね、この新聞をごらんなさるというと、七ヵ月問五人の弁護士がいろいろと公判廷に出て証拠の提出をしたり、あるいは各種の尋問が行なわれておるのです。おりますが、私が関与いたしましたのは十月の六日なんです。ほとんどその弁論というものは最終弁論があるというまぎわなんです。それでお尋ねをしておきたいのは、一回も顔を出さずに保釈願いを出したから却下したというのです。一回顔を出そうが出すまいが、私は十月六日しか弁護届けを出していない。その一回も顔を出さないというときに弁護士選任届け一緒保釈願いを出したのはけしからぬと、こう言っている。こういうふうな裁判官がおるということは、私はほんとう裁判所威信に関するものと考える。これは法律にあるいは憲法によって何月何日までに出さなければおまえさんはこういう願いを出すことができないよと制限をしていないはずです。それを知りながらこういうふうなことを新聞記者に話して、そしてわれわれの立場というものを台なしにしてしまうということは、これは私はたとえ憲法第十九条の思想及び良心の自由が裁判官に許されて、主観的の立場からものを判断する力が与えられておったとしても、これはたいへんな問題だと思う。こういう独断的なドグマ的なことをやられるということは、今日あらゆる問題について日本において裁判所というものが超然としてわれわれの思想的の指導に立っておるという認識を相当の人が持っている。そのさなかにおいてこういう問題が取り上げられてこういう記事新聞に出て私の名誉棄損をするというようなことは、私ども日本人の一人としてこれはたえられない問題です。これは政党政派を超越して、私は自分が身をもって体験したのでありまするから、間違いない事実を根底としてお尋ねをしておるわけなんです。  そこで、私はお尋ねしたいのは、自分司法修習生の問題についてはどういうことを教えておるのかあまり関知しないというお話ですが、どの方面の方がそういうことを十分御存じでありましょうか、それをひとつお聞きをしたいのです。
  9. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) こちらの最高裁事務当局の中におきましては、司法修習生の養成につきましては、人事局のほうが所管といたしまして研修所のほうとは密接な連絡を持っておるのでございます。そういう意味で、所管と申しますれば人事局所管になるわけでございます。
  10. 中山福藏

    中山福藏君 人事局へ各講師が出てこられるはずですが、その講師という方はどういう方がその講師として出席なさっているのですか、お知らせください。
  11. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 御質問の御趣旨が、おそらく司法研修所に勤務いたしております教官はどういうような者かという御質問だと思うのでありますが、裁判官からと検察官からと弁護士、その三者から教官が出ておりまして、裁判官のほうは、民事専門裁判官刑事専門裁判官がほぼ半数と思われます。それから検察官、この検察官は最高検の検察官としての資格を持っておられる方、それから地検の検察官としての資格を持っておられる方がおられます。それから弁護士は、私の記憶では東京の各弁護士会からしかるべき人数が出ておられて弁護士教官として教えておられるというふうに承知いたしておりまして、そのほか、大学の法学部の教授、それから教養面につきましても大学それからあるいは学識のある方の中から委嘱して講師として教えてもらうというふうに承知いたしております。
  12. 中山福藏

    中山福藏君 この三方面からお出ましになっておる教官がどういうことを教えられておるか。私は、法律の字句の説明とか、あるいは民事刑事の手続についてのいろいろな御講義をなさっておるものと考える。ところが、精神面と申しますか、社会の移動と申しますか流動と申しますか激変と申しますか、その移り行く社会実態を把握して将来裁判所はかくあるべきものだという点についてはあまり教養がいまの裁判官にはないのではないかとはなはだ失礼でありますけれども私は考えております。その結果こういうふうなことがあらわれてくると思うのですが、私どもは御承知のとおり封建制度というものはほとんど影を没して、人間の価値、尊厳というものがいまやすべての問題の討議の基準になっておると私は見ておるのです。それで、ただいたずらに法律をいじくって法律適用というものに満足感を覚えて得々としておるような時代ではないと私は考える。この点について、法務政務次官が来ておられますが、あなたはどうお考えになりますか。
  13. 大坪保雄

    政府委員大坪保雄君) 裁判は法に基づいて事案判決をいたすものでございますが、その法律はある時期につくられるものでございますけれども、その解釈適用は、やはり流動すると申しますか進展する社会事象に応じて解釈をし適用をするという何と申しましょうかある程度の弾力性はあるべきものではなかろうかというように考えます。たとえば、最近の問題になったのがございますが、最高裁である事案について一つ判決をする、数年ないし十数年たってそれと大体同じ問題について完全に違った判決をするということも現実にはあるわけでございます。しかし、あまり社会事象にとらわれて裁判官自体の頭が流動しては困るのでございますけれども、私ども裁判というものはやはりそういうものではなかろうか、これは適用を受ける国民がやはり敬意をもって承服のできるようなふうな判決がなされる、そういうことにまたなされていっていると私どもは見ております。
  14. 中山福藏

    中山福藏君 憲法並びに法律適用するというのは裁判官の生来の任務であるということはよくわかります。しかしながら、その憲法法律背後には、何と申しますか、高い人間としての向上すべき一点を見つめるということが現在各方面に欠かれておるのではないかと私はふだんから考えます。思想の混乱、社会のあらゆる紊乱というものの起点というものがはっきりさせられないから今日の社会の混和がある。いわゆる上海が東京に移動したという非難を受ける、それが起点だと私はふだんから見ておる。だから、いま弁護士会あるいは裁判官検察官の三者からの御講義があるということを承っておりましたが、精神面に関しての講演というものは全然司法修習生の間にはないのでございましょうか、その点をちょっと確かめておきたい。津田さんはそういう点は御研究になっておりませんか。もしなんでしたらお知らせを願いたいと思います。
  15. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) ただいま中山委員から仰せのございましたことは、まことに私ども司法修習生に対する問題ももちろんでございますけれどもわれわれ判事、実際に裁判をやっておる者が常に考えて反省していかなければならない問題でございまして、これはもうほんとうに何と申しますか常に怠ってはならない事柄でございまして、私どもいわゆる修習生先輩に当たるべき者たちにおいて常にそれは考えてやっていく問題でございます。私は全く御同感と申し上げては失礼でございますけれども、まことにそのとおりだと考えるわけでございます。  司法研修所におきましてはどういうようなことをそういう面でやっておるかと申しますと、私のただいま知っております面では、最高裁判所裁判官を招致いたしましてそうしてそこで裁判官をかこむ座談会なり、何と申しますか裁判官の話を聞く会をいたしましたり、それからまた、それぞれの経済なら経済関係を担当しておられる方々を招聘して話を聞きましたり、また在野の弁護士会からの先輩を招いてそういう会を催しましたりして、極力そういうような意味では努力いたしてはおるのでございますが、やはりなかなか人数も多うございますし、所期の目的を遂げるということは事実問題としてはなかなかむずかしいのではないかと思いますが、そういう面ではもちろん十分自覚いたしまして努力しているのが現実の状況でございます。
  16. 中山福藏

    中山福藏君 ただいま刑事局長の御説明、時間がありませんから、私はあまりこれ以上申し上げようとは思いませんが、私はほんとうにお互いに  一個の人間として考えなければならぬことは、社会全部が連帯的にいわゆる社会芸術品というものを——社会の進歩は一極の芸術であるという観点に立たなければだめだと思うのです。ある宗教団体人生芸術なりと言っておりますが、そのとおりだと私は思う。国民全体がちりちりばらばらになって、国民全体がこまかになって、われわれが総力をふるって右手におのを持って社会という木彫を刻むのだといういわゆる人生芸術的な考え方を持たなければ、ほんとうにこういうべらぼうなわけのわからぬ井上判事のようなものが出てくると私は見ておる。これは得々として得意然として私を非難しているわけですよ。議員弁護士だからこれは却下したと、こういう不都合なことが判事にあっていいでしょうか。もちろんこれは新聞記事だから、みんな新聞記者責任だと言うのかしらない。ひきょう人間はみなそう言います。おれはそう言ったと公然と堂々と出てくる裁判官であるかどうかということを私は疑うのです。えてして国民という背後の人を喜ばせようというときには、こういう記事を出させる。おそらく私はこれは新聞社責任だと言うだろうと思う。しかしながら、この記事をごらんくださると、私が保釈願いを出した。カッコ書きに一、二、三と分けて書いてある。これは裁判官が漏らさなければ漏らすことはできません、こういうことは。井上判事がやったに違いないと私は見ている。これは実に議員を侮辱している。これは各種議員保釈願いがこれを前例として却下されたら非常な波紋を描くものだと見ている。裁判官弾効法の第二条第二項のその品位を汚すもの、威信に関するものとしての御認定を仰がなければならぬ問題じゃないかと思っているのですが、これは無理かもしれませんが、その点はどうお考えになりますか。ひとつ参考のために私は聞いておきたいと思う。
  17. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 実は中山議員から御質疑があることを昨日午後伺いまして、そして御質疑内容京都新聞に出ている事件保釈の問題についてだということを承知いたしましてそこで事件報告を全部繰って見たわけでございます。最高裁判所事務局のほうには、非常は社会の耳目を聳動する事件とかそういうような大きな事件につきまして起訴があったということ、それから判決がありましたこと、それからそれに関連して問題となったことについては簡単な通知が参りまして、そして刑事局にそれがま参るわけなんでございますけれども、御趣旨の御連絡がございましてさっそくそれをみなで調査したのでございますけれども、何もございません。どうも困った、何かその新聞が来てないかと思って——この新聞広報課とか総務局のほうに来るべきものなら来るものでございますから、それも調査いたしたのでございますけれども、なかなか見つからず、やっと夕方になりましてこの京都新聞記事が入ったような次第でございまして、現在ここに私が出てまいりますまでにできるだけのことをしてそういうことがあるかどうかを調べたわけでございますけれども、ただいま申し上げたような実情で、新聞記事だけしか結局私のほうには判明することができなかったという現状でございます。どうぞ御了承願いたいと思います。
  18. 中山福藏

    中山福藏君 私はこれ以上くどいことは申し上げませんが、この新聞をごらんくださると——これは私のことだから遠慮しているのです。実は半分しか言っていない。それで、私は、これは辞任したのです。直ちに辞任掛けを出したのです。そういう裁判官なら裁判を受けたくないというのが私の本旨なんです。そして、私が直ちに辞任届けを出して、その後ある弁護士から京都から電話がかかりまして、保釈しそうだからひとつおまえさんも一緒保釈願いを出してくれという要求がございました。これをお断わりした。私の新聞が出て、気の毒だと思って裁判官がその弁護士言つたに違いない。これは私の家内の名前まて出ています。この新聞には何の必要があって私の家内の名前を出すのか。何か妙なことをするのでしょうか。これは実際おかしく思っている。私どもはそういう裁判官裁判を受けるのは実に不愉快なんです。だから、直ちに辞任届を出したのですよ。だけれども、この人間が死ぬか、生きるかというさなかにおいて、しかも楠公精神をくんで精神作興のために韓国人でありながら努力する本人の精神をくんで私は選任届けを出したわけなんです、その内容も聞かずに。京都裁判所といえば、日本でも相当裁判所なんですね、御承知のとおり。そのうちの判事がこういうくだらないことをするということは、私はこれは裁判所威信にとって非常に惜しむものです。これは私は都合によっては訴追委員会に出そうと思っています。そういう次第でございますから、どうかひとつ将来こういう迷惑をこうむる人のないように、議員であり弁護士である人が迷惑をこうむることのないような措置をひとつ最高裁判所においておとり願いますようにお願いしておきます。これは質問やらお願いやら兼ねておるわけですが、非常に反省してもらう必要があるのじゃないか。私はさっさとそういう判事裁判を受けたくなかったので辞任届けを出したのです。どうかひとつその点よろしくお願いしておきます。最高裁判所に対してお伺いすることはこれで終わります。  次に、国鉄の保安問題についての質問を続けさしていただきたいと思うのです。  実は、総裁、私は初めてお目にかかるのですが、あなたは非常にかくしゃくとしておられて、相当に私ども質問に対してお答え得られる頭脳の持ち主とお見受けしてお尋ねするのですよ。  あの先月の十一日から三十日までに山陽本線加古川駅を中心としてひんぴんとして起こりましたあの列車妨害事件信号灯破壊事件、あの件を総裁としてごらんになって、いかにすればそういう災害を防止することができるか、その点についての対策はすでにお立てになっておるのですか、まだお立てになっておらぬのですか。また、これを防止するためにはどういう法律に従ってその防止の方途を講ずるか、そういう点について御検討をしておられると思うが、あらかじめひとつお伺いしておきたいと思います。
  19. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 十一月十一日から山陽線に起こりましたいろいろの事故というのは、これは国鉄にとってきわめて重大な事故であります。一歩間違えば大きな事故を起こす。事故ということは私どもは最も鬼門です。これはできるだけの手段を尽くしてこれを防止する以外にない。まず第一に、一体だれがああいうことをやったのか、その犯人を捕捉するということがこれが一番問題だということで、国鉄といたしましては公安職員、警察官延べ五千三百七十九人を動員いたしまして、そうしてこの犯人の捕捉ということに全力を尽くしたのであります。
  20. 中山福藏

    中山福藏君 五千余人の公安官をお使いになってその捜査に当たった、その結果はどうなりましたか。それをひとつお述べを願いたいと思います。
  21. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) これは新聞ですでに御承知だと思いますが、犯人と目される者一人捕捉できた。ただいまこれは取り調べ中であります。そのうちに結果は判明するだろうと思います。
  22. 中山福藏

    中山福藏君 私が劈頭お尋ねしましたいかなる法律によってそれを防止されるかという問いに対しては、あまり私の質問がぼうばくとしておったために、適切なお答えができぬかとも考えますが、これについてはいろんな法律が設けられてはおるんですね。私は、おそらく、総裁は、道路、交通一般のこういう取り締まりの法規もありますけれども、鉄道、交通の妨害に関するところの法律でお取り締まりになっていると見ている、鉄道公安官あるいは普通の警察官ですね、こういうものが活躍していると見ておるのですが、予備、陰謀、扇動、教唆ということについては、この鉄道公安関係の法規にはそういうものに対するところの取り締まりの規定はないわけですね。それがなくてはおそらく鉄道の妨害事件というのは取り締まりできないと私は考える。御承知のとおり、憲法第三十三条に、現行犯でなければ逮捕できぬと書かれておる。だから、現行犯をつかまえるということは非常に至難なわざなんです。破壊活動防止法の中に予備、陰謀というものが書かれておるのですが、この鉄道の取り締まりにはそういうことがない。こういう規定を置かなければそれは空証文に終わるのじゃないかと思うのですがね。こういうことは御検討になっておりませんか。たいへんな問題です、これは。
  23. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 私は御承知のとおりどうも法律についてはしろうとなんで、ひとつ常務理事から答弁いたさせます。
  24. 河村勝

    説明員(河村勝君) 鉄道公安職員は、鉄道公安職員の職務に関する法律というものがございまして、そこで鉄道地内における一般捜査権を与えられているわけでございますので、その範囲においてはその捜査権に制限はないわけでございます。
  25. 中山福藏

    中山福藏君 こういうことは鉄道交通の妨害に関するいろいろ法規が設けられておりますが、鉄道営業法の第二十八条からずっと順を追ってこの営業法にきまっている。今度の場合は、第三十六条、信号等破棄罪というのがここに掲げられているんですね。こういうふうなことですが、それから鉄道地内不正立ち入り罪というのが第三十七条に規定してある。不正にその地内に侵入した場合は有無を言わさずこれをつかまえるということになっているが、この不正ということと正当に立ち入った区別はだれが認定するんです。
  26. 河村勝

    説明員(河村勝君) 第一次的には、その管理権を持つところの国鉄が判定することになっています。
  27. 中山福藏

    中山福藏君 それは、判定するのに、憲法第三十三条の現行犯じゃなくちゃ不正とか不正でないとかいうことの判定というのはなかなかむずかしいと思うんですよ。ただいま総裁がおっしゃったように、五千それがしの人間を使って、いまこいつは不正に侵入したんだということにならないと、なかなかこれは空文に終わるんじゃないですか、こういうことは。そういうことに対してあらかじめ十分ひとつ御注意なすって、もちろんこれは神経衰弱になるくらいみんな働いている。これは私認めるんですがね。しかし、こういうような法律がある以上は、これをどういうふうにして生かすかということは十分お考えになっておられぬといかぬと思う。ただ法律があるから空念仏に終わっても差しつかえない、つかまえてから正不正を判定しよう、こういうことじゃだめなんじゃないかと思う。これは臨床医学というよりも予防医学というのが必要なんじゃないですかね、いま社会的に。これを私お尋ねするんです。
  28. 河村勝

    説明員(河村勝君) ただいま御質問答弁いたしましたのは、捜査に関することについて答弁申し上げたわけでございまして、その捜査以前に鉄道の内部の輸送の安全のための秩序の保持につきましては、これは鉄道公安職員として当然その捜査以外に警備の責任を持っているわけでございます。したがって、その警備の責任に従ってその行動をし、予防の措置を講じているわけでございまして、したがって、決して予防的措置を怠っているわけではないのでございます。
  29. 中山福藏

    中山福藏君 そこで、総裁に、お尋ねしますが、逆戻りをして、私が先ほど申しました鉄道妨害に対しては、どうしても予備、陰謀、扇動、教唆というような法律がなくてはこの取り締まりはできませんよ。どうですか、おやりになる気はありますか。政府に談判してください。その決意があるかどうかを伺っておきたい。総裁にそれがなくちゃ、あなたは引きぎわをよくしようと考えておられるなら、大きなみやげはなくなると思うんですよ。どうですか。
  30. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) これはどうも実にむずかしい問題なんでして、たとえば一番私どもが困っていることは、子供のいたずらである。年々歳々一つも減りやせぬ。線路の上に石を置く、それがために貨物列車が脱線をする、こういうものに対しては、これはもう国家もやっぱり教育とかいうようなもので指導する以外には道はない。国鉄としてはそこまでどうも手が回らぬですよ。回らぬということをお答えしたい。
  31. 木島義夫

    委員長木島義夫君) ちょっといま吉武国家公安委員長が御出席になられたんですが、所用のため十分間くらいで退席したいというのですが、もしなんなら公安委員長に御質問があるなら御質問していただきたいと思います。
  32. 中山福藏

    中山福藏君 それでは一点だけ国家公安委員長お尋ねしておきたいと思います。  ただいまひんぴんとして惹起されております鉄道妨害事件ですね、たとえば鉄砲を放ってその窓から窓を貫くという事態も起こりました。あるいは路線下のケーブル線を切断しておのずから信号灯が滅してしまうという方途を講じた人間もおる。あるいはまた、信号灯を電信柱によじのぼって破壊したこともございます。こういうことに対して、これはいろんな、たとえば刑法にもそういうふうな取り締まりの一部規定がございます。たとえば百二十五条、百二十六条、百二十七条というようなところにこれはあります。それから破壊活動防止法にもこれに類したものがある。航空法の中にもそういう規定がございますし、鉄道営業法の中にもそういう規定があるんですよ。ところが、いずれを見ましても、どうも帯に短したすきに長しというような法律でございまして、結局、直接関係のありまする法律は、やっぱり鉄道営業法の規定だと思うんです。それで、私がいま総裁にお伺いしておりまするのは、ただ現行犯だけを逮捕するために五千余名の警官を動員してそうしてその防止に当たるということだけではもの足りないのではないか。むしろこれは内閣においてあるいは政府において予備、陰謀というような事前にこれを防止する方途を講ずる必要があるのではないか。それについては、この鉄道営業法の一部を改正してそういう問題を挿入せられるお心組みがあるかどうかということをひとつ一点だけお尋ねしておきたいと思います。
  33. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) ただいまの中山先生のお尋ねでございますが、私も最近ひんぱんとして起こる鉄道の妨害行為につきましては、何とかしてこれを除去する必要があるので、実は非常に苦慮しておるところでございます。これは何といってもそういう犯人を見つけてこれを逮捕するということがさしあたっての問題だろうと思いまして、非常に力をいたしておるわけでございますが、法の不備があれば法の不備を是正することは一向かまいませんけれども、ただいま鉄道営業法を改正して予備、陰謀までもということになりますと、これはなかなかむずかしい問題でございまして、法務省あたりの御見解もあろうかとも思いまするし、また、直接担当の責任者でありまする国鉄あたり、運輸省あたりの御意見もあろうかと思いまして、これにつきましていまお尋ねをいただきましても、私からどうも御返事のしようがございませんですが、要するに、最近のこうしたいわゆる妨害事故は何とかして早く除去したいと、かように感じておるところでございます。
  34. 中山福藏

    中山福藏君 そういう立法措置を講ずるという御熱意はあるんですか、ないんですか、その点を最後に委員長お尋ねしたいと思います。
  35. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 私は、法の不備のためにそういう事故が起こり、またそれが除去できないというふうにはまだあんまりはっきり考えていないんです。問題は現在の法のもとにおいても何とかこれを見つけ除去する方法があるのじゃないか。どうしても法の不備のためにそれができないということであれば、これは法を改正することは一向やぶさかではないと思うのですけれども、私がいままで感じておりますところでは、法の不備ということよりも、法がありましてもなおかつそういう犯罪を犯そうとしている者のあること、それを何とかして早く見出して除去していきたい、こういうことにあるのではないか、かように存じております。
  36. 中山福藏

    中山福藏君 その何とかしてというところをお尋ねしておるわけですが、どうでしょう。
  37. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) これは人目を隠れてやってることでございますので、なかなかそう見出すこともむずかしいかとも思いますけれども現実にそういう妨害行為があるのでありまするから、警察力を動員いたしまして、また鉄道関係職員の御協力を得まして、何とかこれをひとつ早く見つけて除去したい、かように存じます。
  38. 中山福藏

    中山福藏君 それではひとつ法務省の津田さんにお伺いしておきたいと思うのです。津田局長は非常に練達の士であるということは私はよく知っておりますが、一体私がいままで質問した点について、あなたはどうお考えですか。
  39. 津田実

    政府委員津田実君) ただいまお尋ねのような妨害行為がございます現実に対していかに対処すべきかということでございますが、これは後ほどお尋ねもあるかと存じますけれども、ただいまのお話の事件につきましては、一応犯人逮捕をいたしまして勾留捜査中でございます。  そこで、問題といたしまして現在これらに関する法規がどれだけあるかということなんでございますが、まず比較的簡単な表現で申し上げますと、鉄道の線路内に物を置くというような行為に対しましては、御承知の刑法百二十五条一項の往来危険罪、これは二年以上の有期懲役の規定がございます。また、新幹線の特例といたしまして、三条一号に、物を置くだけでございますと一年以下の懲役または五万円以下の罰金というのがあります。しかし、これは物を置くだけのことでありまして、往来の危険を生じたことでない場合ということになります。それから鉄道線路内に立ち入る行為につきましては、鉄道営業法三十七条にございますが、これは科料、同じく軽犯罪法の一条の三十二号に、入ることを禁じた場所に立ち入ることで拘留または科料、新幹線の特例法によりますと、三条二条に一年以下の懲役、五万円以下の罰金、先般この事件の第一号がありました。それから列車に対しまして発砲その他物を投げるというような行為は、鉄道営業法四十条に科料の罪がございます。新幹線の場合は、特例法の四条に五万円以下の罰金ということになっております。しかしながら、この場合場合によりましては、もちろん刑法二百六十一条の器物損壊罪になりまして、これは三年以下の懲役二万五千円以下の罰金もしくは科料、それから信号機に対するいたずらその他の措置は、鉄道営業法の三十六条二項に三年以下の懲役、場合によりましては刑法の往来危険罪ということで二年以上の有期懲役ということになりまして、大体これらの条文がこれらの行為を取り締まる諸種の規定ということになっておるわけであります。  ただいま、これらについては、結果の発生した場合に非常に重大でありますので、もっと重大な罪として考えるべきではないかという御趣旨のように承るわけでございますが、その危険罪につきましてどの程度刑を盛るか。現在、二年以上の有懲役でありますから、十五年まで懲役になるわけであります。そこで、それ以上の刑を盛るかどうか、法定刑をつくるべきかどうかという点もございますが、これは刑法の改正の一環といたしましてただいま法務省におきまして法制審議会において刑法改正の問題が検討されておる段階でございますので、まだまだ結論が出ておりませんわけであります。しかしながら、これらにつきましていま予備、陰謀まで処罰しますかどうかということでございますが、予備罪、陰謀罪というものを本来的に処罰するということは、かなり刑法の面では例外的な場合、すなわち非常に重要な場合、たとえば刑法で申しますると、外患に対する罪でありますとか、あるいは私戦の予備というようなものに認められておる、それからあるいは殺人とかというものにつきましては予備を認める、そういうように重大な罪の場合に予備を考えておるわけでありますが、こういう鉄道関係の事件につきましては、もちろんその予備というようなことをどういうふうに考えていいかということになりますしいたしますが、刑法の全体の基準から申しますと、予備罪を置く程度の罪ということにはなかなか判断しにくいというふうに考えるわけであります。要は、当該妨害を未然に防止し、あるいは妨害があった場合に当該の犯人を直ちに検挙し得る態勢というものがむしろそれよりも必要ではないか。現に、予備あるいは陰謀の現行犯をつかまえるということは、これは非常に至難なことでございますので、予備罪あるいは陰謀罪を認めましても、その現行犯をつかまえることが容易であるとは申しかねるので、その面はやはり鉄道用地の警備と同時に、事件が起こった場合の早期確実な検挙ということが第一ではないかというふうに私は現在では考えておるわけであります。
  40. 中山福藏

    中山福藏君 ただいま刑法の各条項の要点は、私は一応調べてみたのです。それで、航空、水上、道路、交通、刑法、こういうふうな各種の点についての法規があるということはよく存じております。そこで、いま津田局長仰せられましたその各罰条に従っての刑期ですれ、これを私は申し上げるのじゃないのです。それを申し上げるのじゃなくて、それを防止するためには、予防措置を講ずるためには、どういうふうにしたら法的にこれを処置することができるかという点をお尋ねしておるわけなんです。私は結果論としてこういう犯罪が起きたからこの罰条を適用して懲役何年に処するということをお尋ねしておるのじゃなく、私どもは犯罪人をたくさんつくるということはこれは時勢おくれだと思うのです。犯罪人をつくらないような措置を講ずる現代だと見ておる。そこで、ことに鉄道はそうなんです。何千人と乗っておりまする人命が直ちに消えるわけなんですよ。だから、一人や二人の人命を軽んずるというあれじゃないのです。そんなことはどうでもいいという意味を言うておるわけじゃないのです。何千人と乗っておる人命を事前に防止するためには、たいへん石田総裁には失礼でありますが、現在ののろのろした取り締りじゃだめだということを申し上げておるのです。たとえば憲法第三十三条の現行犯、これを逮捕しなければ調べることはできない。現行犯を逮捕して調べなければならぬ。ところが、ほとんど現行犯というものはないはずなんです、鉄道の妨害に対しては。たまたま二十何人のうちのこれが被疑者じゃないかという人がつかまっておる。これがはたして真犯人なりやいなやということは今後のお取り調べを経なければこれはわからぬ問題なんですね。私は、一人そういう被疑者をつかまえたから、これで事件解決、国民の納得を得ただろうと考えられるのは少し早計だと思うのです。だから、そういうことは一応たな上げにして、事前にそういう何千名かの人名を失わないためにはどうすればいいか、総裁にも局長にもお尋ねしておるわけなんです。ただいまの法規の体裁、法規の内容、法規の適用で鉄道妨害を阻止することができるかどうかという確信を持っておられるでしょうか、その点をひとつ総裁並びに局長お尋ねしておくのですが、これが一番大平なんです。私はそこに刑罰を適用するということをお尋ねしているのじゃない。きょうの質問は事前にいかにして人命を救助するかということを質問をしているわけなんですから、その点をひとつ十分お含みくだすって御答弁をわずらわしたいと思います。
  41. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 犯罪を防止するにはどうしたらいいかということは、これはもう非常に私はむずかしい問題だと思う。事実問題として私が国鉄総裁として一番心配しているのは、新幹線に関する妨害事件であります。何となれば、非常な高速力であるだけに、事故が起こったら非常な大きな事故になるということであります。だからして、われわれとしては考え得られるだけの防御掛買は講じておる。特に新幹線に関しましては、相当人数を要地要地に配置いたしまして、この妨害行為をする人間を捕捉し、あるいはこれを排除するということに努力しておるのであります。しかしながら、御承知のように、国鉄全体からいくというと二万キロもあるのであります。そして、国鉄としては独立採算の上に立ってやはり収支というものを合わせていかなければならないということで、その人間の配置ということもそうすべてのところにやるわけにいかない。これは財政が許さぬ。そういうふうにわれわれ国鉄というものは置かれている。要するに程度なんです、常識の問題ということで最善のことをやっているのでありまするが、これでそれじゃ万全であるかといえばわからぬ。またさらに、私は申しおくれましたが、新幹線に関しましては、レールの上に妨害物がありましても、これを排除するようなわれわれ考え得られるだけの装置がしてあるつもりであります。
  42. 津田実

    政府委員津田実君) ただいまのお尋ねでございますが、現在の往来危険罪の二年以上懲役というもの、それから信号機に対するいたずらのみですと、鉄道営業法によって三年以下の懲役ということでございますが、刑としてはこの程度で相当であるのではないかというふうに考えておるわけであります。要は、現実に行なわれたものがすみやかに確実に検挙されるかどうかということは、ひいてはかような妨害を防止するということにもなるわけであります。したがいまして、まず、仰せのとおり、妨害を未然に防止するということは非常に必要なことでございますが、これにつきましては、もちろんいわゆる警察における防犯的見地、それから鉄道固有のいろいろの防犯的あるいは管理上の措置によりまして防御をしていただくというほかには方法がない。まあ現実に申せば、もちろん国民全体が鉄道を防護するという態度に出るべきでありますけれども、それは義務として要求するわけにはもちろんいかないわけであります。全般的にそういう上に立って、さような職責のある人々によって防護するほかは方法はないと思うのでありますが、さらに、これを法律の面で予防措置が講ぜられるかという点につきますと、現在の刑罰による予防ということになりますと、まず現在の程度で一応適当ではないか。要は、いかに犯罪を予防し、いかに犯罪が起こった際に確実に検挙するかということにあるのじゃないかというふうに考えます。
  43. 中山福藏

    中山福藏君 私はもうこれで質問をやめますが、総裁並びに法務省の御意見は大体わかる。私はそれを予想してきたのです。それで、法律を全部、妨害の問題に関する法規をここに調べてもらい、私みずからも調べて全部持っております。ただいま津田刑事局長のおっしゃったことは全部これに書いてあるわけです。これだけでは不十分だからお尋ねしているわけですが、それで、いままでの法制下においてはこの問題というものを偶発のものとはいえ取り締まりできなんだということは、これは当局みずから大いに反省しなければならん重要な問題だと私は思う。それをしも押し切って、おれのやったことは間違いないという自信があり、またそれだけの確信があるなら、これは何をかいわんやです。しかし、ないはずなんです。その反省と自重を求めて、私はやむを得ず現在の制度の下においてその防止対策を万遺憾ないようにひとつ御処置を願いたいということをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。どうぞひとつ御善処願います。
  44. 木島義夫

    委員長木島義夫君) それでは、本件についてはこの程度にいたします。     —————————————
  45. 木島義夫

    委員長木島義夫君) 次に、大阪国鉄労組員に対する人権侵犯事件に関する件について調査を行ないます。亀田君。
  46. 亀田得治

    ○亀田得治君 今回の山陽線の列車妨害事件は、非常に広範な各種の問題を含んでいるわけですが、私がぜひ質問をしなければならないというふうに考えた、動機を最初に明らかにしておきたいと思うのです。  それは、私は十一月八日に国鉄労働組合の大阪の事務所に用件があって参ったわけですが、その際、世間で問題になっている今回の事件につきましていろいろな角度から説明を聞いたわけであります。私もそれからだいぶじっくり検討もし、考えたわけですが、この事件は部外者がやっている事件だという確信に近い考え方を持ったわけであります。ところが、経過を聞いてみますると、警察はまず部内説、こういう立場に立たれたようであります。国鉄当局もまた大体それに同調されているというふうな感じを私なりにこれは受けております。そういうことでは犯人がみつからんだけじゃなしに、国鉄労使の関係という点を考えましても非常に問題になるのではないかということを実は強く感じたわけであります。そういう立場から、一刻も早く犯人を明らかにするというだけじゃなしに、いま申し上げた国鉄の労使健全な国鉄の経営という面からも、これは捜査当局の姿勢を変えるべきだ、こういう立場でぜひこれは至急一度国会において質問をしなければならんということで、八日でしたか、九日でしたか、稲葉理事連絡をとりまして、委員会の議題とされることを求めたわけであります。これは一つの間違いますと、亀田君もえらい見当違いじゃないかというふうなことにもなりかねない問題でもあります。しかし、私は、事件全体というものをじっくり考えれば考えるほどこれは部外者だ、国鉄の職員がこういうことをやるわけがないという信念に近いものを実は持ったわけであります。それでこの質問になったわけです。ぜひこれは小さい問題じゃなしに、国鉄総裁自身としてもひとつ考え方を明らかにしてもらわんきゃならんと思いまして、総裁の出席も求めたわけであります。まあそういう私の立場をまずここで明らかにして、それからできるだけ具体的にひとつ質問を展開していきたいと思います。時間がありませんので、もう前置きなどは抜きにいたしますまず。  まず最初に警察に、お聞きしますが、犯人内部説という立場を警察がまずとられたようでありますが、その根拠をひとつ明らかにしてほしいわけであります。
  47. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) ただいまのお尋ねでございますが、犯行の状態から言って、全然しろうとといいますか、そういうことになれない者にはできにくかろうということで、そういうものになれている者ということを目標にして捜査方針立てたことは事実でございますが、それが内部の者であるとかあるいは外部の者であるとかいうことを別に説を立てて捜査したことはないそうでございます。
  48. 亀田得治

    ○亀田得治君 いや、そういうことになれておるということは、世間で言う内部説ということになるんじゃありませんか。
  49. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) 犯行になれておるということばはどうかと思いますが、とにかく信号灯なんかをいじることに技術が要り、まあそういうことになれているというような意味合いでの申し方でございます。
  50. 亀田得治

    ○亀田得治君 これはあなた警察が内部説をとっているということは各種新聞等でも報道されておることだし、警察自身も別にその点を否定をいままでされていなかったわけですが、信号灯になれている者といえば、世間的に言えば、内部説ということにやっぱりなるんじゃないですか。いまは外部から犯人が出てきたものですから、何かぼやかすようなことばをお使いになりますけれどもね。これはあなた内部から出てきておったら、やはりわが輩の内部説は正しかったとここで大いに力説されるところでしょうが、逆になっておるものですから、何だかややこしいことをおっしゃいますがね。そんなことじゃなしに、間違いは間違いだったということをはっきり言うべきです。これはだんだん質問をやっていきますと自然にはっきりするんです。内部説というものをとっとったこと自身はこれははっきりしているんでしょう、国鉄内部のもんだというふうに考えたことは。
  51. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) 内部説という説をもちろんとったことはないと思いますが、内部の人を照合したり、あるいは内部といいますか、外部というか、工事関係者ですね、土木関係等の、そういう人々について事情を調べたというようなことがございますから、そういうところを一応の目標として捜査をしたということは事実でございます。ただ、それが、内部に間違いないということでそこだけやったということじゃなしに、やはりそういう場合に、内部からまず消していく、怪しくない者を消していくというのが捜査の常道でございます。そういうことでやったと思います。
  52. 亀田得治

    ○亀田得治君 内部説ということばを避けようとなさっているようですが、まあしいてそんなことばに拘泥されなくてもいいですが、そういう考え方を持たれた具体的理由はどうなんですか。犯行のやり口から見ててというふうにおっしゃるわけですが、もう少しそこのところを、大事な点ですから、具体的にどの点をさしておっしゃっているのか、それをお聞きしたいと思います。
  53. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) 他の政府委員をして答弁させたいと思います。よろしゅうございますか。
  54. 亀田得治

    ○亀田得治君 どうぞ。
  55. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 捜査本部として、国鉄職員の内部に被疑者がおるということを申し上げたことはないと思います。ただ、長官が先ほど申されましたように、この犯行の状態からして、信号灯の関係の操作の知識を有する者に一応の容疑が濃いということは言われておるのでございます、犯行の模様からして。どうしてかと申しますと、信号灯機に上がりまして、そうして信号灯の電球を取る、あるいは施錠をかけてある箱を開いて電球を取ったりあるいは電線をはずしたりしておりますような状況からして、普通のしろうとの者は、多少危険がありますのでそこまでなかなかやり得ない、もっと簡単な方法を選ぶんじゃないかというようなことから、当初そういう信号灯の関係について多少とも知識を有する者というふうに考えたわけでございます。
  56. 亀田得治

    ○亀田得治君 いま説明になった点をもう少し詳しく説明してほしいのです。ただ信号灯に関する犯行だから信号灯に関する知識を持っている者というふうに考えてというのじゃなしに、もっと深い理由等があるわけでしょう。
  57. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 私ども聞いておる範囲内では、信号灯の電球を石を投げたりしてこわすというような形じゃなしに、わざわざ上がって行って施錠の箱を無理やりこじあけたり、そして電球を取り出す、あるいは電線を引き抜くというようなことをやっておるということから、そういう方面の知識を多少とも有する者というふうに考えたのではないかと思いますのですが、それ以上特に理由は聞いておりません。
  58. 亀田得治

    ○亀田得治君 私が信号灯などに関係しておる職員の人たちの専門的な意見を聞いたのによると、ほんとうの専門家がやるんなら、そんなところまでわざわざ登ったり、そういうことをせんでも、下でちょっとケーブル線に適当ないたずらをすれば、妨害できるんだと、こういう説明をだいぶん聞いておるわけです。だから、信号灯に関することだから信号灯に関係ある者じゃなかろうかというふうな考え方は、全くしろうとくさい考えですよ。そういう点をはっきりさせないで、信号灯に関することだからその辺の人だろうというふうなことは、きわめて捜査方法としては粗雑ですね、考え方が。当初は相当強く内部説をとっておったのですから、そういう説を立てる以上は、なぜもっと専門的に突っ込んだ検討をされなかったのかということを非常に残念に思っているのです。私は真犯人が出るまでにその点を直接いろいろな人から聞いて、なるほどというふうに感じていたわけです。そういう点、聞いておりませんか。
  59. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 内部説と申されるのですが、捜査にはあまり先入観を持ってやることを禁じておるわけでありまして、犯人の背後をそういうふうに限定すること自体私ども考え方からすればおかしいのでございます。また、この事件につきましても、先ほど申しましたような意味で、なるほどそれはごく専門家からすれば、上がらずともやれる手段がさらにあるものと思いまするけれども、しかし、また、全然下から石をほうりなげたようなかっこうじゃなくて、わざわざ登って電線をいじっているというようなことからすると、多少とも知識を有する者と考えるのも無理からぬことと考えたのであります。また、同時に、そういうような考えを持ちながらも、内部説というような考え方で決して捜査はいたしておらないのでございまして、こういうようなことをするおそれのある人物につきましてはそれぞれ捜査をいたしておるわけでございまして、これは国鉄職員に限って捜査をしたというような事実は決してないのでございます。当初からあらゆる考えられる容疑者についての取り調べなり捜査なり並行してやってまいっておるわけでございます。
  60. 亀田得治

    ○亀田得治君 当初は内部説なんですよ。いわゆる内部説なんです。捜査の重点をそこへ置いていたわけなんです。後には多少変わったでしょう、後には。当初が一番大事なんですね。当初そういう間違った見当をつけておらなければ、犯人はもっと早くあがっているわけです。それを、とんでもないところにばっかし力を入れていたことは、これは事実なんです。そこで、その点をお聞きしますが、たとえば今回の事件で指紋をずいぶん集めましたね。合計どれくらい集めたですか。
  61. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 二百二十三名です。
  62. 亀田得治

    ○亀田得治君 国鉄職員以外の指紋はどうですか。これは警察から……。
  63. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) 私の手元のは十二月八日現在となっておりますが、下請業者につき八名、それから警察官につき二十四名という数字でございます。それからもう一つ、これははなはだ遺憾でございますけれども、もう一つの数字は、計十七名というのがございますが、これはとった日にちがあるいは違うかと思います。とにかく最後の数字は、計三十二名という国鉄職員以外の数字に相なっております。
  64. 亀田得治

    ○亀田得治君 この数字から見たって、警察がどこへ重点を置いておったかはっきりするのですよ。だから、そこでさらにお聞きしますが、国鉄の二百二十三名の指紋をとった日はいつですか。
  65. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) お答えいたします。十一月の十九日以降であります。
  66. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは何日かはっきりわかりませんか。
  67. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 何日というのははっきりわかっておりません。
  68. 亀田得治

    ○亀田得治君 もっと早いのじゃありませんか。もっと早いはずです。警察ではどうですか。
  69. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) ただいま総裁からお答えになりましたのは、国鉄自身が国鉄の公安官で国鉄の職員についてとられた数字だと考えます。その以外に、国鉄職員十二名について警察自体で、これは日にちは書いてございませんけれども、もっと事件発生の直後にとっております。
  70. 亀田得治

    ○亀田得治君 その発生直後警察自身の手で十二名とったという日時をおっしゃってください。
  71. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) その日時は、いま直後ということだけでございますから、はっきり申し上げられませんが、捜査に当たった直結した時期だと考えます受け持ちの職務等はここでわかっておりますけれども、それを何月何日の何時にとったかということはちょっとわかっておりません。
  72. 亀田得治

    ○亀田得治君 先ほど下請業者八名と言われたがこれはいつとられたわけですか。
  73. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) ちょっとその日時はわかりません。
  74. 亀田得治

    ○亀田得治君 警察官二十四名はどうですか。
  75. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) これも、ペンで書き加えてあるところを見れば、その捜査に従事した人間をそのつどとったのじゃないかと想像されます。
  76. 亀田得治

    ○亀田得治君 計十七名も日時はわかりませんか。
  77. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) これも日時は判明いたしません。
  78. 亀田得治

    ○亀田得治君 いまこの指紋をとった数、並びに日時の関係、一部不明な点もあるわけですが、この具体的にあらわれておる行動から見ても、とにかく内部だということでかかっていたことは、これはもう隠すことのできない事実なんです。そういうふうに言うと、捜査というものは、疑わしい関係はあらゆる方面に目を配ってやるのだと、こういうふうに逃げ口上をおっしゃるのでしょうが、そうじゃなしに、この場合は、それはともかく内部で間違いないというわけでやっきになっておる状態なんですよ、指紋のとり方から見ても。それで、もう少し先へ進む前に、ちょっと指紋のことに関連してお尋ねしておきますが、二百二十三名の公安官がとられた指紋ですね、これはどんな経路でとることになったのでしょうか。
  79. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) それはとにかく万難を排してひとつこの犯人の捕捉をしにやならぬと、その問題の早期解決のためには捜査上ぜひとも指紋をとることが必要である、こういうことで国鉄の公安官がとったのであります。
  80. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは警察からやはり要請が公安官にあったのでしょうか。あるいは、公安官独自の考えで、公安官にも捜査権があるというそういう独自の考え方でやられたんでしょうか。
  81. 河村勝

    説明員(河村勝君) この事件の捜査につきましては、関係の警察署と公安室とが合同で合同捜査本部をつくっておりまして、その捜査本部で捜査上指紋をとることが必要であるということがきまりましたので、したがって、国鉄としても国鉄公安職員としてもそれに協力をしたわけでございます。
  82. 亀田得治

    ○亀田得治君 そういう方針はいつきまったんでしょうか。
  83. 河村勝

    説明員(河村勝君) きまりました日時については、ちょっとここに記録を持っておりません。
  84. 亀田得治

    ○亀田得治君 非常に古いことではないわけでして、いつきまったかということが非常に重要なんです。そういう点は全然わかりませんか。
  85. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 指紋をとったのがさっき申し上げたように十一月十九日以降でありまするから、つまりこの方針が決定直後にとり始めたと。そうするというと、やはり十一月の十九日からとり始めたと、こういうように察せられるのであります。
  86. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは十日と十九日の間であることは間違いないわけだが、本日は指紋のことについて特に聞くというんだから、そこら辺はもう少しやっぱりちゃんと資料を整えてきてもらいませんといけないと思う。せんだってから本社のほうからも現場のほうへ行かれたりいろいろしておるわけですからね。  そこで、警察と協議の上でそういう方針をきめられたようですが、指紋をとるにあたってどんな措置を職員に対してなされたんでしょうか。
  87. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) この指紋をとるにつきましては、昼の休憩時間に国鉄公安職員が各詰め所に出向きましてとったのであります。非番なんかでいなかった者に対しては、自発的に公安室に来てもらったのであります。それで、指紋をとるにつきましては、捜査に協力を求めたものであって、強制はしないと、こういうような報告が参っております。
  88. 亀田得治

    ○亀田得治君 私も、こういう質問をする以上は、若干指紋を押した人にも会って聞いているわけですが、彼らは、疑われてはいやだと、そういう気持ちもあって押しておるわけだ。そういうところに強制という要素は少しもないというふうに当局考えておるんでしょうか。
  89. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 要するに、犯行はその結果において実に危険千万な事故を起こすことになる、そういうことに思われますので、それだけに、国鉄としては、その犯人の逮捕ということに関しては、公安職員それから警察官等工千四百人も動員いたしました。国鉄職員としても当然この目的遂行には協力するということが当然である。事実大いに協力してくれたんです。ただ、いまおっしゃるように指紋をらとれるということは、善良なる職員から考えればある程度いやな気持ちは私はするだろうと思う。自分が多少嫌疑を受けているというようなことでいやだという気持ちはわからないわけじゃありませんが、しかし、犯罪捜査の技術上、やっぱり指紋をとるということが必要だということであれば、国鉄職員としては協力する意味において忍んでもらわなければならぬ。と私は考える。その意味からいいまして、人権無視だとか刑に無理をしたわけじゃない。要するに協力を求めた、国鉄のために協力を求めた、いやいやだろうがひとつ協力してやってくれ、こういうことでよく理を説いて、そうして指紋をとった、こういうのであります。
  90. 亀田得治

    ○亀田得治君 総裁のただいまのお答えは、非常に人情の機微をうがったお答えで、私非常にいいと思ったんです。総裁は、いやいやあるかもしれぬが協力をしてくれというふうな意味のことばを使っておられる。ところが、この問題について地元の組合なり当局とが交渉をすると、ある場合には当局から、いやだったら断わったらいいじゃないかとか、あたりまえのことをやったんだとか、そういう暴言めいたことがずいぶん言われておるわけなんです。こういうことははなはだもって人情の幾微な点を無視した言い方なんですね。そういうことは聞いておりませんか。そのために非常に指紋問題というものがもめておる。総裁のいまおっしゃったような相手の立場考えた懇切な説明であれば、これはたとえいやなことであってもしんぼうしていこうというふうなことにもなるでしょうし、これはどうですか。
  91. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) そこでつまり了解を求めたわけです。これは私自身がかりに指紋をとられる場合にも、決していい気持はしません。けれども、犯人をさがし出すにはやはり国鉄職員というものの指紋をとることがぜひ必要である、しかもこの犯人というものは極力早く捕捉しなければいかぬということで、これは気持はわかりますが、ひとつ忍んでやってもらいたいということを、どこまでも穏当に了解を求めて協力してもらう、こういういう態度でやったのでありまして、無理やりにいやというものをひっつかまえて指紋をとるということをやっているのではないのであります。
  92. 亀田得治

    ○亀田得治君 ともかくこの犯行は国鉄関係がくさいと、こういう立場に立って、そうして警察と公安官が相談して、ともかく全部指紋をとってしまおう、こういうふうなことになってきますと、押さない人は何か疑われるというふうなことになって異様な空気におおわれてくる、これはだれでも人間の感情というものがわかる人なら想像してもらえると思うんですよ。そういう空気の中でこの指紋がとられておるわけです。で、私が会った人でも、あなた何か少し文句言うたかと言ったら、いやそうじゃない、それはすなおに押しました、形式は。私にそうおっしゃっておる方もあります。しかし、それでも自分の気持ちに対する見えざる圧迫があるわけなんです。でから、もっと極端に言えば、いやならもう押してもらわぬでもいいんだというくらいのことをおっしゃってもらえば、これは一番いいわけなんです。正式な刑事被疑者として逮捕、勾留されたって、調べ官がちゃんと黙秘権のあることを告げるのです。いわんや、逮捕もされていない人に指紋というような問題について押さぬ者はどうもぐあい悪いというような空気の中でやることは、非常に私は感情的に問題があとに残るんだ、こう思っているんです。国鉄総裁国鉄当局自身も、犯人が内部にあるかもしれぬというようなことを考えていたものだからそういうようなことにもなったのじゃないかと思うんですね。この民主主義の時代に、いやなことを押しつける。どうしてもいやなら押さんでも差しつかえないだがというふうに説明してやれば、これは押さぬ人もできてきます。そんなことは何もそれほど捜査の上に響く問題じゃないでしょう。なぜそういうふうな機微に触れた措置をおとりにならなかったんです。二百二十三名といったら、一網打尽ですね、神戸信号区の人たちは。どういうふうにそこを総裁としてお考えですか。
  93. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 私はしろうとだからよくわかりませんが、指紋をとられた人間の大多数は国鉄人であった、門外漢はわずかだというだけの数字上の度合いにおいて、警察並びに公安官というものが犯罪人は国鉄内部にあり、こういうことに断定した結果であるというふうに考えるということに対しては、私はしろうとでございますが、不賛成であります。要するに、門外漢がやったかやらぬかということを調べるについては、どうしたってこれはやはり国鉄の職員の指紋をとるということはぜひ必要なんだ、それをやってみて違ったやつがあった場合にこれは門外漢だということがはじめてわかるということなんで、質問者が考えられておるように、国鉄として犯罪人は内部にありということに断定した結果が大多数の国鉄人の指紋をとった、こういうようなことに結論が下されていることに対しては、私は同意することはできないのであります。
  94. 亀田得治

    ○亀田得治君 総裁がおっしゃるようなあたたかい気持を持っているのであれば、この指紋のとり方、扱い方というものは相当私は変わると思うのですよ。それから、現にそれじゃ本件について指紋をたくさんとったんだが、国鉄の職員の人に聞きますと、定期検査で信号区の人があそこへ登りますね、あるいは、電球なども入荷した場合にそれを抜き取って調べてみる、そういったようなこともしょっちゅうやっているようです。だから、国鉄の人の指紋が信号灯なりあるいは関係の物品についておるということは、これはもう当然だと、こう言うているわけですね、当然だと。それから一方犯人のほうは、これは必ずしもついておらぬかもしれぬわけですそのつもりでいたずらをやるのでしたら、これは手袋をはめてやるかもしれませんね。現に、これはあとからわかったことですが、手袋をはめてやっているから犯人の指紋がないのでしょう、本件は。だから、結果から見ても、何も指紋が唯一のきめ手だというふうな捜査の段階ではないんですね。だから、そういうときに、指紋というような人権に関する問題をともかくむぞうさに異様な雰囲気の中で集めてしまうということは、これは反省してもらわなければ私はいかんと思う。これしか手段がないというのじゃない。それは捜査というものはそんなものですよ、人権と捜査の関係というものは。捜査の面から言えば、あれもやりたい、これもやりたい、やりたいことはみんなやりたいでしょう。そうしてまた、社会的に関心を持っておる事件であれば、早く犯人をさがし出せという空気がありますから、そういうことに便乗してあれもやるこれもやる。ということは反省してもらわなければいかん。ただし、私は条件を申し上げておく。だれそれの指紋をとることが現に起きている問題のキーポイントになっている、そういう段階であればそれはまた違うでしょう。国鉄総裁は、いや部内説には私は同意せぬという意味のことをおっしゃっておりますが、肝心の捜査の関係者はその立場に立って動いたのですよ。総裁だけがそういう気持でいたって、捜査関係者のほうは違った角度で動いておるのですから、実際に動いている人たちの感じというものが職員のほうに伝わるわけですからね。非常なギャップがあるのです。そういう矛盾を全然感じておらんのですか、総裁は。
  95. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) これは私はどうもこのほうの専門家じゃないので、要するに、この捜査につきましては、警察と公安官との協議の結果でやられたものです。もち屋はもち屋なんです。やっぱりもち屋の言うことに従って国鉄としては行動するということ以外には方法がないのであります。そういうことでやったことについて、結果論から見て国鉄外から出たからといって、やっぱり捜査本部からこういうふうにやれと言われれば国鉄としてはやらざるを得ぬ。そこがしろうとの悲しさと言えば悲しさなんですけれども、これはどうもしかたがないと私は思います。
  96. 亀田得治

    ○亀田得治君 いや、総裁はしろうとの悲しさと言われますが、総裁の内部の者じゃないというそのしろうと考え、これが実は大事なんですよ。警察なり検察庁というものは、ややもするとやっぱり捜査の技術的な面には詳しい。しかし、案外抜ける場合があるわけなんです。それを私は言いたいところなんです。それはなぜかといいますと、私も今回起きた事件全部十一月十日からのやつを説明を聞いたわけですが、こんなことを国鉄職員がどうしてやるもんか、ほんとうにそう感じましたよ。それは、国鉄職員といえども、中には多少何か間違いがあって、酔うたかげんかなんかの場合に、ちょっといたずらでもする、これはどこの社会でも絶対ないとは言えません、絶対ないとはね。だけど、今回のは、これだけ多くのことがずっと続いてきているんでしょう。もしこういうことが列車の事故などに結びつけば、自分たちが働いておる同僚が傷つくんです。お客さんが傷つくんです。そういうことを人情としてやれるものじゃない。国鉄総裁はその信念を持っていると思うのですが、捜査当局が、信号灯がだいぶ取られておるから、平生から信号灯に関係のある方面だ、だから大体あの方面だといったようなことを考える前に——それ自身も私専門家から聞くと、そんなことはしろうとのやり方なんですが、しかし、それ以前に私は問題があると思う。はたしてこういうことを連続して実際に列車の運転あるいはそれに関係しておる人たちがやれるものかどうか、その点を警察庁長官に聞きます。
  97. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) お答えいたします。まあ同僚に大きな迷惑をかけるようなことでありますから、常識的にはもちろんやれないことだと思います。しかし、犯罪というものは必ずしも常識の線に沿ってばかり行なわれるものではありませんから、私たちは内部説というものを初めからとったとは思いませんけれども、しかしながら、これは絶対内部じゃないという考えで捜査をやったものとも思いません。内外ともとにかく捜査の対象になったということは事実だろうと思います。  それからもう一つ、範囲が非常に広うございますから、あるいは御指摘のような疑問が起こると思いまするけれども、捜査の常道として、何かの事件があれば、その関係者と思われる者の指紋と対照して、それを一々消していってそしてわからない指紋について、これがどこから入ったものであるか、だれがやったものであるかという指紋を確定していくのが普通の犯罪捜査のやり方でございます。今度調べた指紋というものは、むしろ一致したものが疑わしいというよりもこれはああいう掛の人だから指紋がついていないないのはおかしいというような形で落としていった。現にまだ容疑者その者が自供はいたしてはおりますけれども、一致しない点もございますので、捜査が終結したとも言えませんけれども、まだ疑問の点が多少残っておる。指紋の関係ではこういう事情でございますから、指紋をとっていったということについては、とった数が多いから云々というような、先ほど石田務裁もおっしゃいましたけれども、そういうことで内部に間違いないという気持でやったとは私はいまでも考えておりません。
  98. 亀田得治

    ○亀田得治君 しかし、犯罪捜査の大きなめどを立てる場合には、こまかい専門的なことも必要だが、同時に常識ですね、そういう点が非常に大事だと私は思うんです。全体のやり口から見て、どう大方針立てるか。それをちょうど何か警察のやっておるのをたとえて言いますと、銀行の中に金の紛失事件があった、金庫が破られた、どうもこの金庫は外部の者じゃわからぬ、内部らしい、こういうのとはこれはだいぶ性格が違うわけなんですね。金を取るというのは、それはその人個人とのつながりだけなんです。だから、そういう場合には内部説という立場に立つことはこれは常識的ですね、ところが、今回はそうでない。こういう同僚との関係なり、それから平生から労働者の人々が安全運転をいまやかましく言うておるのでしょう。安全運転は当局だけじゃない。不安全になったら当局よりも労働者のほうが死んじゃうのですから、やかましく労働組合は安全運転の問題を言うておるわけでしょう。だから、そういう社会的なものの見方というものが警察に全然抜けているんじゃないですか。その観点がありますと、この重点の置き方が違ってくるわけなんです。私はそれを言うておるわけなんです。本件が起きた直後にやはり労働組合は労働組合なりに当局に申し込みをして、自分らも協力をするから早くひとつ万般の手を打ってくれ、やっぱりそういう申し込みもしておるわけです。ほんとうの汽車を動かしておる人たちの気持ちですね。それを警察としてはちょっとこう無規しておるように私は思うのですがね。そういう点は一体捜査の方針をきめる際に論議の対象になったですか、ならぬのですか。ならぬものですか。
  99. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) たびたび内部説等のお話が出ますが、私ども警察と国鉄との合同会議の状況、その決定事項、捜査方針、それぞれ見ておりますが、一切そういうようなものはないわけでございます。いろいろな関係リストから容疑者洗いにつとめたり、あるいは聞き込み、張り込み等のことをきめておりますが、これをどちらに重点を置くというようなことは捜査方針としては何らきめていないわけで、あらゆる面から捜査を進めていくという方針を貫いておるわけでございます。
  100. 亀田得治

    ○亀田得治君 いや、私が聞くのは、国鉄の職員の心理状態、そういうものとこういう犯罪の関係といったような点を討議の対象にしていたかどうか。何でもかんでも関係のありそうな人はみんな管囲に入れてしまうというのじゃなしに。いまの質疑から私まあ感ずるのは、率直に言ってそういう点はあまり検討しないで、ともかくまあ関係のありそうな者はみんな一応範囲に入れていく。しかも、常識とは反対に国鉄のほうに重点を置いていった。で、まあ国鉄当局も腹の中ではちょっと変だなあと思うような感じもあったかもしれぬが、どうもそういう点についての実際の労働者の気持ち、そういうものをもっとくんだ態度なり措置というものが足らなかったように私は思うのですよ。あとからでもいいからそういうことは大いに反省をいただきたい。これはまあ人間だれでも間違いはあるわけですから、反省さえあれば指紋をとられた諸君にしたって気分はなおるわけであります。これはじっくりひとつ検討を要請しておきます。  そこで、いろいろ個人個人で問題があるんですが、代表的に一つお聞きしておきますが、十一月十九日ごろだと思いますが、小村進という人の指紋をとっておりますね。これは国鉄がとったんか警察がとったんか、小村進、これは西明石班の所属の人ですね。こういうことはわかっておるんでしょうね。
  101. 河村勝

    説明員(河村勝君) 名簿をここに持っておりませんので、わかっておりません。
  102. 亀田得治

    ○亀田得治君 この人は十一月十六日ごろに盲腸で入院をしたんですな。それで、警察官が三、四名でその病院に出かけていってその本人からいろいろのことを聞いておりますな。本人だけじゃなしに、妻にも交番まで来てもらって相当長時間いろいろ聞き出しております。そんな事実があったかどうか。
  103. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 私のほうではこちらに個々の人名まで持っておりませんのでよくわかりませんが、指紋の関係から申しますと、六十数個現場指紋がございまして、掌紋も数個でございました。ただ、対照鮮明でないものが大部分でありまして、指紋の一部分でございますが対照可能なものが指紋で二個、掌紋で二個、これはほんとうの一部分でございますが、二個ずつございまして、そのうち関係者の指紋なり掌紋と一致いたしまして、これは現場に修理にかけつけた職員のものであるということで落としまして、それで現在では指紋一個と掌紋一個、これが不明になっておるわけでございます。
  104. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちょうどお答えになったから聞きますが、いま逮捕されておる辻野これの指紋はあるのですかないのですか。
  105. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) ございません。
  106. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ辻野がうまくつかまったからいいようなものの、いま御説明のような今回の指紋は、捜査との結びつき、関係からいうと、どれだけ役に立つのかはっきりせぬ。うっかりすると、そういうものが自白強制の手段になったり指紋のある人でたとえば自分のアリバイがよく説明がつかないというような場合も偶然の一致でなきにしもあらずだ。実際はアリバイがあっても、いろいろ個人の交際の関係なりそんなことで言いたくないという場合もある。そうこうしておるうちにそういうものが間違った方向に調書がつくられてしまうというような、むしろ危険なものなんですね、へたに使いますとこういうものは。だから実際問題としても、いまの御説明でわかったわけですが、この指紋はとった指紋はたいした役に立っておらぬわけですが、先ほど申し上げた小村進、これは任意捜査の段階であるにもかかわらず、病院にまで警察が来る。奥さんは駐在所へ呼ばれて調べられる。それから主人も奥さんもおらぬときに家宅を捜索されたらしい。これは奥さんが駐在へ行って、主人は病院へ行っているのですから、もうちょっとそこをはっきりするように私も頼んであるわけですが、どうもそういう形跡があるらしい。それで、こうなりますと、やはりいわゆる内部説という立場に立って相当動かれたということが方々に出ておるわけです。だから、この小村進の問題、個人名は報告がまだ来ておらぬとかおっしゃいますが、一ぺん調べてみてください。それだけの事実が令状も何も持たないでやられておるのですよ。そんな、この事件が犯人がはっきりしてきそうだからまだいいものの、犯人がはっきりしなかったらどうするのですか。ああいういなかじゃなかなかいやなものですよ。ほかの点は一々申し上げることを省略しますが。  次に、本件について労働組合から国鉄当局に対して申し込みがあったはずですが、先ほど私申し上げたとおりですが、これはどういう申し込みを受けたでしょうか。
  107. 河村勝

    説明員(河村勝君) 十二月の七日に集団陳情がございまして、その際大阪地本の平山という書記長から口頭で四つ申し入れがございまして、その一つは指紋採取を中止すること、二番目に関係職員に陳謝すること三番目に指紋の利用方を説明すること、それから、とった指紋を返還すること。これに対しまして、当局部内では、指紋採取の趣旨説明をいたしまして、採取にあたっては強制的にならないよう十分配慮した旨を回答いたしました。なお、実情については日を改めて話をしたいという答弁をしたというふうに聞いております。
  108. 亀田得治

    ○亀田得治君 とった指紋は今後どうされる方針ですか。
  109. 河村勝

    説明員(河村勝君) これは指紋だけは警察側に渡してございますから、あと要らなくなればどうされるのか、それは私どもにはわかりません。
  110. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) 御参考まででございますが、警察としましては、公安官のとられた指紋をこちらがとりました指紋と合わせて照合したわけでございますが、返還してくれというお話でございましたので、たぶん十二日でございましょう、国鉄側に返還をいたしておりますから、あるいは本人に返ったか、破棄されたかということだろうと思います。
  111. 河村勝

    説明員(河村勝君) 私、いま失念をいたしまして、警察側から返還を受けたものを本人に全部返したそうでございます。
  112. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ河村さん、しかし、さっきのお答えでは、警察に渡したものは向こうさんがどうされるかわからぬと、あなたまかせというような意味に私とれて、はなはだこれまた水くさいことをおっしゃる人だなあと、こう思ったわけですが、これはしかし国鉄のほうから警察のほうに、みんなが騒いでおるし、返してやってくれぬかという話をしたんじゃないですか。
  113. 河村勝

    説明員(河村勝君) さようでございます。
  114. 亀田得治

    ○亀田得治君 そんなあなた担当常務理事が大事なところで失念しておるようなことじゃ、それは困りますよ。しかも返却されたことを失念していたとしても、何とか国鉄職員の気持ちがおさまるように努力したいと思うとかというんなら、これはわかります。どうも河村さんの心境は了解に苦しみます。すでに返ってしまっておるのですね、いまの話ですと。それをあなた失念してしもうて、しかもそれに対し善処するとも何とも言わぬ、突き放すようなものの言い方、これは国鉄の職員諸君が聞いたら非常にいやな気持ちがしますよ。総裁、どうです、その点。そんなことでいいんですか。
  115. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) それは私は国鉄業務として大いに考えなければならぬことかと思います。
  116. 亀田得治

    ○亀田得治君 総裁は、やはりなかなか苦労人じゃから……。(笑声)そのための総裁かもしれぬが、ほんとうにこれはあたたかく考えてやってほしいと思います。  それで、私もう一点聞きますが、この事件が起きた直後、十一月十日に事件が起きてそれから二、三日して、労働組合のほうから当局に意思表示をしているはずですが、そのことは御存じでしょうか。
  117. 河村勝

    説明員(河村勝君) 組合側から、人数を動員して捜査に協力しようという申し出がございましたが、一応その段階では警察と公安官と協力してやればやれるだろうから、ひとまず動員までには及ばない、そういう返事をしております。
  118. 亀田得治

    ○亀田得治君 だから、その辺も私経過として労組から聞きまして、非常にふに落ちぬ点があるわけなんです。せっかく自分らが扱っている列車について間違いがあっちや困る、みんなでひとつ協力しようじゃないか。そうして、労働組合のほうでも、ずっと指令を出して、もし仕事中に変なものがあったらすぐ知らすようにしてくれ、こんなようなことを下に流しておるわけですね。それをそのまま受け取って、ひとつ一緒にやろうとなぜこう率直にそのときに答えが出ぬのか。それはやはり、いや、あいつはああいうことを言うけれども、どうもあっちのほうがくさいと、こういうふうに片寄った考えがあるから、やはりそういう機微なところが間違うのじゃないかと私は思うのですがね。どうです、総裁
  119. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 大体、組と国鉄との関係につきましては、何といったって事業は人なり組合員が協力してくれなかったら国鉄の仕事はうまくいきやせぬ、こういうことで、私が総裁になりましてから組合側のほうとよく話もし、われわれとしてできるだけのことは私やっておるつもりでありまするが、しかし、何といっても四十五万の大世帯なんでございますからして、すみからすみまでというようなぐあいにはなかなか手が回らぬ、こういうことで、今度起こった事件やなんかにつきましても、一々私のところへ持ってくるわけでもないし、また、そんなところへ持ってこられてもとても処理すべき時間もないということで、これは関係常務理事、それからさらに関係の局長、支社長というようなことでまあわれわれの意を体してやる、こういうことで進んでおる次第でありまして、決して国鉄としてはすべきことを怠っておるわけじゃないのです。最善のことはやりたいと、こういうふうに考えております。
  120. 亀田得治

    ○亀田得治君 ともかく、そういうぎしぎししたことをやられるものだから、そこへ今度は指紋ということがからんできて、よけい刺激するわけですね。そして、一般の新聞から見ると、警察と公安官が一生懸命犯罪捜査しておる、国鉄の労働組合は指紋問題とかいうて文句を言うておるというような印象を与えるような記事も出てくるわけだ。こんなことはあなた国鉄の労働組合の諸君にとってもはなはだ迷惑です。そうして、国鉄の労働組合がひとつ自分からも一緒にやろうといったようなそういう善意というものが少しも書かれないんですね。当局の扱い、警察の扱いが悪いためにこじれてきた。そのこじれてきたところだけが新聞に出て、何かこう犯罪捜査それ自身に文句を言うておるような印象を与えかねないような部面すら出ておるわけですが、私ははなはだこれは遺憾だと思います。国鉄全体にとってもそんなことはマイナスになります。  それからこの事件が十一月十日に起きましてあと、国鉄のほうの信号灯なんかの警戒、これはずいぶん厳重にされたわけですが、人はほとんどふやしておらぬでしょう。みんな超過勤務でやったわけですね、それは。そうですか、河村さん。
  121. 河村勝

    説明員(河村勝君) 公安官は、他の公安官室からも動員をしておりますので、ふえてはおります。
  122. 亀田得治

    ○亀田得治君 公安官じゃなしに、保守関係をやる信号区の関係の人のことをきいているのです。
  123. 河村勝

    説明員(河村勝君) これはふやしておりません。
  124. 亀田得治

    ○亀田得治君 ふやしておらぬでしょう、その信号区の関係の人は。これは、一番信号を大事にする立場の人なんですよ。この人たちはもう昼夜兼行だったらしいですよ。しかも当局は人を一人もふやさない。普通は、そういう場合には、労働組合に当局が事前に話をして、こういうふうにやりますよと一種のやはり交渉になるわけですよ。ところが、そういうことについても、これは非常事態だということで労働組合は黙認してきているわけです。そうでしょう、事実は。どうなんです。
  125. 河村勝

    説明員(河村勝君) 警備のためには、特に増員が必要でございますけれども、信号区の保守要員の保守の仕事はべらぼうにふえるわけではございませんので、したがって、先生のおっしゃるような、非常なオーバーロードがかかったというふうに私は聞いておりません。
  126. 亀田得治

    ○亀田得治君 こわれたら補修する、それは保守の要員だ。しかし、こういう事件が起きているんですから、神戸信号区の全員というものが非常な緊張状態に入っているんですよ。それはそんな軽く考えておったら実情の把握が足らぬですな。それを公安官以外はたいして負担をかけなかったようなことをおっしゃるのは、これははなはだもって心外ですな。第一、辻野発見に至った経路というのは一体どういうことなんです。警察から説明してください。これは神戸信号区の人がまず気づいているわけでしょう。
  127. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 辻野検挙に至った経緯でございますが、十二月十日の六時八分ごろ、加古川駅の上りのブザーが鳴りっぱなしという被害急報に接しまして、捜査本部要員がすぐに被害現場の確認を急ぐために加古川から宝殿間の鉄路に急行いたしまして、十二月十日の被害現場の東方約百七十メートルの出張中踏切に到着したところ、西方から線路南沿いの待避線路上を歩いてくる被疑者を発見して職務質問をした。ところが、言動に不審な点があったので、加古川署に任意同行を求めて取り調べた。その日は物証等の裏づけが……。
  128. 亀田得治

    ○亀田得治君 あとはいいです。そうすると、なんでしょう、ブザーが鳴りっぱなしということで信号区の人が連絡を合同捜査本部にしたわけでしょう。そうなるでしょう。
  129. 河村勝

    説明員(河村勝君) それは信号区の人間ではございませんで十七時五十七分加右川駅の助役からの通報によりまして、姫路の公安室長外一名が現場を捜索して発見したということでありまして、これは駅の助役でございまして、信号区ではございません。
  130. 亀田得治

    ○亀田得治君 駅の助役……だから、公安官並びに警察以外の人であることは間違いない。まあそれはたまたま駅の助役であったかもしれぬ。しかし、全部があそこは緊張状態に入っているんですよ、駅長も助役も信号区の人も含めて。だから、そういうことをそれほど負担かけなかったというふうな認識だったら、これはそんな速記録を見たら関係者は憤慨しますよ。そんなら、いままで黙っておったけれども、超過勤務からみんな計算して出そう、必ずそんなことになってきますわ。そんなことは取り消してもらわぬといかぬですな。
  131. 河村勝

    説明員(河村勝君) 私もそう非常なオーバーロードではなかろうというふうに考えますと申し上げたんですが、実情を数字的に調査したわけではございませんで、もし実際がそうでなければ取り消さなければならぬと思います。
  132. 亀田得治

    ○亀田得治君 大体大まかな質疑はそれで終わりますが、警察の今回のずっと捜査の経過を見ますと、だいぶミスがあるように思いますね。若干の点はいま京で指摘はすでにしておるわけですが、たとえば犯人はバイクを持っているに違いない、こういう考え方をとっておったようですね、短時間にずっと起きているものだから。やっぱりそうだったんですか。
  133. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 現場付近に数個の車轍痕があったというようなことから、そういう方面にも疑いを持って捜査したものでございます。
  134. 亀田得治

    ○亀田得治君 電車をじょうずに乗り継ぎすればこういうふうにもやれるというようなことは考えてもみなかった、こういうことですか。
  135. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 車轍痕の上からそういうことを考えただけでございます。それから目撃者の見た容疑者、その何人か事情を聞いておりますが、その中で容疑者らしい者が単車で北上したとかいうような情報のあります参考人もありまして、そういうような面からそちらのほうにも一応犯人の逮捕の端緒を得ようとしたということでありまして、決してそれに限定して考えておるわけではなかったようでございます。
  136. 亀田得治

    ○亀田得治君 だから、限定しないで考えるのであれば、なぜ電車の乗り継ぎというふうなことは浮かんでこぬのでしょうか。結果がこういうふうにあらわれているわけですが、このことはバイクだけでしかやれぬ行動だというふうにきめてかかっているように私たちは報告を聞いておるわけですがね、経過の報告として。
  137. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 私どものほうでは、限定してかかっておったように聞いておりません。ただ、目撃者の証言、それからこれも犯人のものともどうともわからないのでございますが、現場付近に新しい車轍痕が数個あったというようなことから、そういうバイクに乗っている者かもしれないということで考えただけでございまして、それ以外の場合を全然想定しなかったことではないと思います。
  138. 亀田得治

    ○亀田得治君 だから、具体的に乗り継ぎというようなことは規定はしなかったんでしょう、バイク以外のこともあり得るということはあったんでしょうが。もっと積極的に時間表をずっと研究してみると、乗り継ぎということもやれるぞというふうなところまでは考えなかったんでしょう。事実。
  139. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) そこまでは私も聞いておりませんが、そういうような場合もあり得る場合でございますので、捜査方針にはもちろん出てきておりませんけれども、あらゆる場合を想定してやったものだと考えております。
  140. 亀田得治

    ○亀田得治君 どうも、あらゆる場合を想定してやっておると言いますけれども、あらゆるものが入っておらぬのですよ、捜査の大方針というものはあらゆるものを総合してやらなければならぬにもかかわらず。ことばではそう言う。ところが、実際は、信号区の専門家から聞くと、そんなことはしろうとのやることですよというふうに言われるようなことを簡単にこれは相当そっちの方面だというふうなことに重点を置いてやったりしているが、犯行の方法としては乗り継ぎといったようなことは全然頭になかったのが真相じゃないかと思うわけでして、ずいぶんそういう点で抜けておると思うのです。  警察は、途中から非常に世間がやかましくなってきたんで、パトロールを非常に強化しましたが、初めはやっておりませんね、事件が起きた直後は。パトロール強化の経過を説明してください。
  141. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 第一次事件のときに、十一日午後四時に国鉄と県警の合同捜査本部を加古川署内に設置いたしまして、県警本部の捜査一課員二十二名、関係各署十四名、鉄道公安官五名で一応合同捜査本部を設け、業務を開始いたしたわけでございます。十二日は午後六時から翌日の午前零時まで、関係警察職員八十名、鉄道公安官五十名、合計百三十名で明石−姫路駅間の鉄道信号機に対する潜伏、張り込みを行なっておったやさきに、未警戒の地区で第三次事件が発生しております。それから第二回の合同捜査会議を十三日午後一時に開きまして、そのときの捜査方針として、関係各署各室の警察官、公安官を可及的に多数動員して完全張り込みによる現行犯逮捕をはかる、その他、聞き込み、あるいは容疑者のリストからの洗い出し、それから各現場の再見分、再鑑識の徹底その他の事項をここできめております。それ以後もそれぞれ鉄道と合同いたしまして、沿線の張り込み、聞き込み、潜伏というようなものをやっております。
  142. 亀田得治

    ○亀田得治君 そうすると、十三日から始まったんですか、十二日からですか、パトロールは。
  143. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 十二日は人数が百三十名でございます。十三日からは本格的に動員をして完全に張り込みをやっておるわけでございます。
  144. 亀田得治

    ○亀田得治君 人数をもう一ぺん言うてください。一日何名なんですか。
  145. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 合計五百四名、鉄道公安官二百名と関係警察署員三百四名で、当分の間毎日やるということで潜伏、張り込みが続いたのであります。
  146. 亀田得治

    ○亀田得治君 、五百四名がずっといつまで続いたのですか。途中でもっとふえるのですか。
  147. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 十一月の二十六日から信号機に対する張り込みを中止しまして警報機設置の踏切に対して午後六時から十時まで公安官百七十名が張る、それから踏切の間を私服警官百七十名、それから列車の機関車警乗公安官八十名というような態勢でございます。
  148. 亀田得治

    ○亀田得治君 それから二十四日以後はケーブルの切断だけですね事故は。信号灯の事故は起きておりませんね。これはどういう関係でそういうふうになったのですか。
  149. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) この点については、私どものほうの考え方では、信号機のほうに対する警戒が厳重になったので、ほかの手段によったものではないかと当初は考えておったわけでございます。
  150. 亀田得治

    ○亀田得治君 そうじゃなしに、国鉄のほうが信号機についてのふたのかぎとかそういうものをきちんと整備したのと違うのですか。これは国鉄、どうなんです。ふたが簡単にあくようだったんですね。大体そういうことも不注意だと思うのですが、この事件が起きてから信号灯のふたなどは整備したんでしょう。
  151. 河村勝

    説明員(河村勝君) どうもその辺はよくわからないのですが、ふたを特にかえたというふうには聞いておりません。
  152. 亀田得治

    ○亀田得治君 いや、あそこにかぎがかかるようになっておるわけですね。
  153. 河村勝

    説明員(河村勝君) それはもともと……。
  154. 亀田得治

    ○亀田得治君 そのかぎが雨にあったりして十分きかぬようになっておったり、いろいろしているわけです。こういうことは総裁、ちゃんと覚えておいてもらわぬと。それで、至急あの辺を整備したのと違いますか。また、整備していないとしたら、けしからぬじゃないですか。それは簡単に手が入るようにしておくことがおかしい。
  155. 河村勝

    説明員(河村勝君) かぎを取りかまして、いままでのかぎと違うものにしたというふうに聞いております。
  156. 亀田得治

    ○亀田得治君 そうすると、結局、今度は簡単に外部のしろうとの者があけられぬようにしたわけでしょう。それは保証できぬのかいな、そんなこと。
  157. 河村勝

    説明員(河村勝君) どうも、その辺になりますと私もよくわかりませんのですけれども、あの程度の箱のかぎというのは、ドライバーその他で何とかこじあけようとすればこじあけられないようになかなかできないので、絶対にこじあけられないようになったということは私はないと思います。
  158. 亀田得治

    ○亀田得治君 この犯人はドライバーやそんなもの使うておらぬのや。そのことがわかって管理局のほうでそれはやっておるはずです。それで二十四日以後はとまっているわけやね、信号灯は、ところが、警察はだね、辻野がつかまってあと、どうも信号灯とケーブルの切断とは別犯人らしいというふうな考え方も一時しているわけですね。だから、どうもそこら辺が、何か一生懸命やっているようであるが、われわれの目から見てもふに落ちぬところがあるわけですね。別犯人なんじやなしに、現場がそういうふうに変わったから、ただ下におりてきているだけの話なんです。事実はそうなのと違うのですか。
  159. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 辻野は、当初、最初の信号機の事件につきましては自供しておらないわけであります。自分が犯人じゃないということを言っておるわけであります。一番最初には全部自供したのです。また途中で引っくり返しまして、また最後には信号機まで全部自供したというような状況でございます。
  160. 亀田得治

    ○亀田得治君 信号機は違うと辻野が言うので、どうも別のようだという考えを警察自身が一時的に持っておったのじゃないですか。新聞等にそういう報道が流れておるわけです。それは担当の捜査の発表する人が言うから新聞が書くわけで、私は国鉄の人からちょっと説明を聞いておったもんだから、これはおかしいなあと思うていたのです。それが、かぎをきちっとしたから、今度はできぬようになったから下におりるようになったので、本人がどう言おうと、やはりそこにつながっているものがあるはずだ、こういうふうに一応考えるのが、あらゆる可能性を考えてやるというなら、ほんとうの捜査の立場じゃないかと思う。それが何か簡単に両者が別であるというような考えを持つ。だから、あなた方、いやに的のはずれたところには強いし、ぴちっといかなければならないところにはいやに簡単に引き下がっているんだなという感じを、これは報道ですけれども、しかし捜査の担当者が言うのを新聞が伝えておる報道ですから、ぼくはそういうふうにとっておったわけです。それはどうなんですか。
  161. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 決してこのあとのほうだけが辻野の犯行であろうという先入観を持っておるわけじゃないので、最後に自供をいたしましたのも、捜査官の取り調べで全部自供をいたしたわけでございますから、その点では決してそういうふうに先入観を持っていたとは考えられないわけであります。ただ、最初は信号灯のことは自分じゃないと、こう言っておったということだけでございますので、新聞等の記事でどういうふうに書かれているか、私も記憶しておりませんが、捜査の経過としては、全部の犯行について一応自供を求めて、実際はそうなった、ただ途中において信号灯のことは自供しなかった、こういう経過であると考えております。
  162. 亀田得治

    ○亀田得治君 十二月十日、辻野を結局つかまえたわけですが、それまでに本件についての捜査の目星の中にこの辻野というのは警察のリストの中に入っていましたか。入っていないのじゃないですか。
  163. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) その点は確認いたしておりませんが、入っていなかったのではないかと思います。
  164. 亀田得治

    ○亀田得治君 入っていないようですな。あらゆる可能性を考えてあちらこちら手を伸ばしておられたとしては、ちょっとこれはやはりだいぶ漏れている。私が最初申し上げたのは、そういうところにもっとなぜ早朝に手を伸ばせないのか。それは人間捜査能力には限度がありますから、国鉄内部というようないらざらんところに大量の目を向けているものだから、実際は肝心なところが抜けている。公正に当初から進んでおれば、あとのほうの事故、妨害などはなくて済んだかもしれんし、もっと早くあがったかもしれんし、ともかく沿線に何度もあらわれたことは事実なんですから、だから、そういう点で本件は私は捜査のやり方について非常に問題を残したと考えております。今後、捜査のいろいろな教習、教授などをされる場合があるでしょうが、そういう場合にひとつ教科書の材料に使ってもらって、こういうことはいかんのだぞという、そういう材料にこれを使ったら非常にまた役に立つのじゃないかというふうに逆に思っているくらいなんですが、兵庫県に行きますと、県警本部でもほとんどからっぽになっているような状態で、捜査課長も加古川に行っているし、もうカッカしているのだね。それは一生懸命やっていることは十分私も感じました。が、遺憾ながら、大事な人間の心理、働く人の気持ち、立場、そういうところを少しつかまえそこなったところに大きなミスがあったように思いますね。  まあこの程度にいたしまして、先ほど質問の途中で出ました小村進さんの件につきましては、お調べの上で適当な機会にひとつお答えいただきたいと思います。
  165. 木島義夫

    委員長木島義夫君) それでは、本件についてはこの程度にいたしまして、本日はこれをもって散会いたします。    午後四時二十七分散会