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中山福藏君 私は、この際、
裁判官の
威信に関する問題につきまして
最高裁判所の
刑事局長に
お尋ねしたいと思うのです。
御
承知のとおり、
裁判官弾劾法の第二条第二項にこういうことがうたわれております。「その他職務の内外を問わず、
裁判官としての
威信を著しく失うべき非行があったとき。」は訴追されれば罷免されると、こういうことになっております。私の
質問は、その
内容、実体というものがほぼこの線に泊っておるんじゃないかという
観点に立って
お尋ねをする次第でございます。御
質問申し上げるのは、大体、普通の
質問であるならば、世間ではこうだとか、ある人がこういうことを言ったとかいうことを
議題としての
質問が多く行なわれておるのですが、これは私実際身をもって経験したことを基礎にして
お尋ねをする次第でございます。
この
質問に入りまする前提として、一応私の体験した実話というものをこの
新聞紙によって
皆さま方に御
説明申し上げておくほうが御
答弁をなさるのに便利じゃないかと思いますから、これをひとつ申し上げておくのであり示す。
実は、
京都地方裁判所におきまして
泰行事件に関して
裁判が開始された。その担当の
判事は
井上という方でございます。この暴力を行なったという
被疑者は、大体七ヵ月
間京都府下の
伏見拘置所に拘禁されておる。そこで、これに関して五名の
弁護士が依頼を受けまして、
公判もたびを重ねてほぼ終結に近づいたということになっております。その際に、この
被疑者というものは、
伏見の
拘置所につながれて、ほとんで
歩行ができないように
衰弱しておる。医者が来て
注射をしましても、体力が
衰弱してその
注射液を汲収する力がない。
歩行ができない、出廷しないままに
裁判が開かれる、こういうふうな
実情であったのであります。そこで、その
被疑者の
兄貴——これは
被疑者の職業を一応申し上げておく必要があると思うのですが、ある
土建会社の社長をしておる。これがまた言いにくい話でありますが、
朝鮮人なんです。そこで、この
兄貴という者がたまたま私のうちに参りまして、私の友人に案内されて私のうちに参ったのでありますが、どういうことを言うかと聞いておりますというと、この
朝鮮人は、
朝鮮人に似合わない非常な奇特な
人間であります。私は
楠公会の復興の
委員長をしておりますが、
楠公の菩提寺でありまするところの
大阪府の観心寺というお寺があり、これに
首塚があるのです。そこに命日には必ず花輪を捧げてそうして一本の興隆というものを願っておりますと、こういう奇特な
人間だから、ぜひともひとつ先生に御助力を仰ぎたい、とこういう
願いを受けた。そこで、私は青少年の
思想善導というたてまえに立っております永井君の言を信じまして、直ちに
伏見の
拘置所に参って、そうして
拘置所長に
面会して、この
被疑者の問題というものをいろいろと各方町から検討して
お尋ねをした。ところが、からだがようやくよくなって、
歩行もようやくできるようになりました。卵も
一つや二つは食べるようになりました。そのくらい
衰弱していたのだったらどうして
保釈というのが許されないかというこういう
お尋ねをしたのですが、あまりはっきりした回答を得なんで、そこで私は直ちに
京都地方裁判所に参りまして
係裁判長に
面会を求めた。ところが、ちょうど
公判が開かれておりまして、
面会することができなんだ。それから
検事正に御
面会をいたしまして、こういうひどい
衰弱に
衰弱を重ねて
歩行もできないという者を、逃亡することもないし、すでに七ヵ月というものも
裁判が進んで、もうほとんど
証拠は全部法廷に出されて明らかになっておるのだ。これはどうかひとつ
保釈を許可するということで、反対しないという具申をしてもらいたいと申し込んでおいたのでございますが、結局そういうふうなことでこの
保釈というものがいろいろないきさつがあり、また、私がそういうふうな
願いをしたにもかかわらず
却下されたのです。まあそれまではいい。ところが、私がきょうここに持参いたしました
新聞です。
京都新聞という
新聞です。これは二
号活字で出ておる。二
号活字でこの
内容が出ておる。その
劈頭に「
議員弁護士からの
保釈願いを
却下」という二
号活字で大きく出ておる。そうして私の
保釈を願った
内容というものはことごとくこの紙面にあらわれておる。私は
検事は
保釈反対の意見を具申したに違いないと思っておるのです。だから、その
内容というものがほとんどこの
検事から漏れるということはないと思う。しかも、
公判廷において
保釈の
決定云々というのをきめるということはまれであります。それで、
裁判官が書面に基づいてこれは不許可になったものと思う。その
裁判官が必ず
新聞記者を呼んで、お得意になって、
議員というものの
政治力が
裁判所に及んではたいへんだからというので
却下した。近ごろ
京都で話題をまいておるという
記事であります。
そこで、第一に
お尋ねしたいのは、
議員の
弁護士——いわゆる
国会議員、
村会議員、
町会議員、
府会議員、
市会議員、
各種議員がおりますが、そのうちには多数の
弁護士がおられます。こういう
記事が出ますというと、
議員弁護士に
事件を依頼したら
保釈はことごとく
却下になるという印象を私は与えると見ておる。それで、私はまず第一に
お尋ねしたいのは、一体全体今日
司法修習生というものに対してどういうふうないわゆる
研修の
方法が行なわれておるのであるか。こういうふうな重大な問題は私は
相当社会各
方面の注目を引くものと
考えておりまするが、そういう点に立脚して、
劈頭に私はその点についての
お尋ねをひとつ
当局にいたす次第であります。どうぞ御
答弁をお
願いいたします。