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1964-03-31 第46回国会 参議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月三十一日(火曜日)    午前十一時四十三分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     三木與吉郎君    理事            石原幹市郎君            下村  定君            伊藤 顕道君            鶴園 哲夫君    委員            源田  実君            小柳 牧衞君            塩見 俊二君            林田 正治君            村山 道雄君            千葉  信君            松本治一郎君            山本伊三郎君            鬼木 勝利君            向井 長年君   国務大臣    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    文部政務次官  八木 徹雄君    文部大臣官房長 蒲生 芳郎君    文部省初等中等    教育局長    福田  繁君    文部省社会教育    局長      斎藤  正君    文部省調査局長 天城  勲君    文化財保護委員    会事務局長   宮地  茂君    通商産業大臣官    房長      川出 千速君    通商産業大臣官    房参事官    宮沢 鉄蔵君    通商産業省通商    局長      山本 重信君    通商産業省企業    局参事官    馬郡  巌君    通商産業省重工    業局長     森崎 久寿君    通商産業省軽工    業局長     倉八  正君    通商産業省繊維    局長      磯野 太郎君    通商産業省鉱山    局長      加藤 悌次君    通商産業省石炭    局長      新井 真一君    通商産業省鉱山    保安局長    川原 英之君    通商産業省公益    事業局長    宮本  惇君    工業技術院長  馬場 有政君    特許庁長官   佐橋  滋君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    文部省初等中等    教育局財務課長 岩間英太郎君    文部省初等中等    教育局職業教育    課長      河上 邦治君    文部省大学学術    局審議官    村山 松雄君    文部省管理局振    興課長     犬丸  直君   —————————————  本日の会議に付した案件 ○文部省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○通商産業省設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。  文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に続き、これより質疑を行ないます。政府側からは、ただいま文部大臣蒲生官房長福田初等中等教育局長宮地文化財保護委員会事務局長説明員として村山審議官が出席されております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いままで、国立学校定員について大臣に主としてお伺いしてきましたが、この定員にも関連ありますが、きょうは、警備員について二、三お伺いしたいと思います。と申しますのは、最近、全国的に見ても、学校火災が相次いで起こっておることは御承知のとおりです。  そこで、その問題について、一、二お伺いするわけですが、たとえば私の郷里群馬でも、ごく最近、前橋の三中が火災になった。また、吾妻郡の原町小学校が焼けるとか、桐生の高校が焼けるとか、こういうふうに相次いで火災が起こっておるわけです。このことに関連をして、宿直日直教師本務であるのかどうか。この基本的なことからまず大臣にお伺いしたい。
  4. 福田繁

    政府委員福田繁君) 現在、学校教育法規定におきましては、教職員職務として規定がございます。この教職員の主たる職務としては、教育をつかさどるということになっておるわけでございます。ところで、御承知のように、学校長校務をつかさどるという規定も別にあるわけでございます。そういう関係からいたしまして教育をつかさどるという、こういう本来の職務のほかに、校務運営として当然に学校長が担当いたしております校務の一部を分掌するという役目も、当然一般教員についてもあるというように私ども考えておるわけでございます。したがいまして、日直宿直の問題についても、そういう関係から一般教員校務の一部としてこれを分担するというようなたてまえになっておることをまず申し上げておきたいと思います。
  5. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 教員のこの宿直の問題につきましては、従来からも、取扱いと申しますか、法令上の解釈と申しますか、いま局長が申しましたように、校務の一部である、このような考え方をいたしまして今日までまいっておるところであります。このたてまえというものにつきましては、私はそのままに承知いたしておるわけでございますが、まあ問題は学校教員にいわゆる本来の仕事でありますところの教育仕事に専念してもらいますために、いろいろほかの用事をたくさんやってもらうというようなことがあっては教育上もおもしろくないわけでございまするので、そういう観点からいたしまして、教員校務の一部を担当するといたしましても、どの辺のところで一体押えたらよかろうかというふうなことが一つのわれわれとして考えたければならない問題ではないかと思っておるわけであります。ことに先ほど指摘になりましたようないろいろな事故も学校において起こっておることでもございます。学校の何といいますか、警備といいますか、そういうふうな点につきましては特別考える必要があるのじゃないかというふうに私は思っておる次第でございます。そこまでのお尋ねではなかったわけでございますが、学校職員にそういうところまで何もかもやらすというこのたてまえについて検討を要するものと考えております。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうすると宿日直教師本務であるということになると、これは非常に問題があると思うのですね。実際の例で申し上げましょう。いままで、群馬県でも県議会が開かれておりまして、ごく最近です、ごく最近の県会の本会議で大谷という議員の質問に対して田村県教育長は、宿日直教師本務ではないとはっきりと答弁しておるわけであります。各都府県教育長本務でないとはっきり言い切っておるのに、一国の文部大臣が、これは本務の一部だということになると、これはゆゆしい問題だと思うのです。この点はいかがですか。食い違っておってもいいのですか。
  7. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) こういう問題に食い違いがあってはもちろんおもしろくないことであります。中央も地方も同じ考えでもっていかなければならぬものと存じます。どういうつもりで教育長がお答えになりましたのかよく存じませんけれども教師の何といいますか、仕事のうちでその中心をなすものはもちろん教育そのものでございますが、それをまあ本来の任務とでも申しましょうか、そういうふうなことは申すまでもないこと、でありますが、同時にいま申しましたような事柄につきましては、学校長を助けて校務の一部を分担さしておる、このように私は存じておる次第であります。教師仕事ではないのだというふうに言い切れるものかどうか。われわれは少なくとも今日まで校務の一部としてこれを担当せしめて何ら差しつかえないと、このようにまあたてまえとしては申し上げておるところであります。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大臣は日ごろから本務であるというふうに考えてきたと、われわれは本務でないとはっきりそう確信しておるわけです。で、文部省日宿直本務の一部である、いわゆる本務であるということになると、その法的根拠はどこにあるのですか。
  9. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 本務であるかないかという、その本務ということばに問題が実はありはしないかと思うのであります。私どもはこれを学校長を助けて校務分担する仕事と、このように考えておるところでありまして、その法律的な問題につきましては、先ほど初中局長からお答え申し上げましたとおりでございます。なお、初中局長からさらに説明があると思います。
  10. 福田繁

    政府委員福田繁君) 補足して申し上げたいと思いますが、学校教育法の二十八条の三号には、「校長は、校務を掌り、所属職員を監督する。」という規定がございまして、これは学校管理運営につきまして、校長責任をもって校務を掌理するという規定になっているわけでございますが、したがいまして、校長校務をつかさどる関係から、その部下の一般教員についてはその一部を分掌させるということは、これは当然のことだと考えるわけでございます。したがいまして、日宿直の中のいろいろな仕事にも、まあ施設等保全、維持というような仕事ももちろん含まれるわけでございます。一般文書その他の仕事以外にいろいろあると思いますが、そういうところから申しまして、委員会規則等でその分掌等についての規則を定めておるのでございます。このことにつきましては、判例もあるわけでございまして、昭和三十二年東京地裁判例及び熊本の地裁では三十七年に判例が出ておりますが、教員校務の一部として宿直あるいは日直を命ぜられた場合にはそれを守らなければならぬというような判例もあるようでございます。私どもとしては、そのように解釈をいたしております。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますというと、学校教育法の二十八条三号に校務についてはいろいろ規定がある、その校務内容ですが、宿日直校務であると、そういうふうに断定した解釈のようですが、そういう意味ですか。
  12. 福田繁

    政府委員福田繁君) 宿直日直の場合の勤務内容でございますが、たとえば校舎内をいろいろ巡視するとか、あるいは施設、設備、備品等についてこれの保全をはかるとか、あるいは書類の保全をはかるとかというような、そういう仕事から、あるいは緊急文書接受電話接受、それからまた非常事態が発生した場合におきまして緊急の措置をとる準備、その他いろいろな当然学校運営として付随する各種の仕事があろうかと思います。そういうものをひっくるめまして、私どもとしては宿直日直の場合の教職員勤務内容と、こういうように考えておるわけでございます。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 で、この問題は非常に基本的な、しかも大事な問題であるので、これから二、三お伺いするわけですが、最終的にまた要約して重ねてお伺いしたいと思います。いまの説明では納得できませんから。そこで、この学校警備員状態を見ると、国立学校には警備員が配置されているわけです。問題は、公立の小中学校には警備員が配置されていない。ただし、ごく一部の都府県には警備員が配置されておる。東京都をはじめごく一部です。全般的には公立の小中には配置されていない。また、公立高等学校には配置されてあるところもあるし、ないところもある。これが実情だと思う。ところが、実際教職員は、宿日直をやっているのはほとんど強制的にやられるか、あるいは校長との契約で日宿直をやっている。これが現状です。こういう現状大臣としてはどうお考えですか。
  14. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) この問題につきましては、いまお話にも出ておりましたように、必ずしも全国画一的には行なわれておらないと思うのであります。警備員というようなものを置いておる学校もございますし、しかし、まだ数は少ないように思います。それぞれの学校実情によっていろいろ措置いたしておるものと考える次第であります。なお、警備員を置くか置かないかという問題につきましては、先ほどちょっと言及いたしたわけでございますが、私はやはり教師のなすべき事柄の範囲をどの程度まで考えるかというような問題として検討する必要がある問題と、現に考えておるわけでございます。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大体教職員には宿日直をやる義務はない。現在している宿直電話応待とかあるいは来訪者——PTA関係の方とか父兄が来訪するその応待、まあこういったことが大体内容であって、火災とか盗難、そういうものの責任はないことは明確になっていると思うのです、判例で。群馬なんか事実そうです。しかし、実際にもし火災があったような場合は、刑事責任がはたして宿直にあるかないかという調査をするために、警察のいわゆる取り調べを受けなければならぬ。これは実際であります。はたして実情はどうであったかという取り調べを、いわゆる宿直者中心になって取り調べを受けているのが現状です。本人宿直責任があればこれは別ですが、たばこの不始末とか、本人自体責任があればこれは別です。しかし、本人失火責任が全然ない場合でも、やはり取り調べを一応も二応も受けなければならない、こういうのが現状です。こういうことはその問題を解決するためには、どうしても教師宿日直を避けなければこの問題はいつまでも尾を引くわけです。宿日直をやっておる限りは、本人責任でなくても一応も二応も警察取り調べを受けなければならぬ、非常に不愉快な目をしなければならぬ、最近起きた火災でもいつもこういう問題が問題となっておるわけです。こういうところにも教師は、その本務である本来の使命である教育を離れて、そういう問題まで責任を負わされておる、これが現状だと思う。このままでいいのかどうか非常に問題があろうと思う。大臣のお考えどうですか。
  16. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 特別な整備員というふうな者を置いて、それに警備責任を負わしておるところならこれは別でございます。しかし、そういうところでなしに、学校宿直を命じておるという場合には、私はその時間中は学校警備についても宿日直責任がある、かように考えるものであります。ただそのような責任を負わすことがいいか悪いかという問題はいろいろございましょうけれども、現在学校に夜の宿直として教師宿直させておるという場合におきまして、他に警備責任者がいないという場合には、その宿直責任の中に私は学校警備の問題も入っておるものと心得ておるわけであります。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 宿日直に当たった場合は、たとえ盗難とか火災責任がないのだということであっても、やはりその学校に泊まっておれば非常に責任があるわけです。人間として責任を感じないわけにいかぬ。そこでろくろく安眠もできない、翌日は頭のぼやけたそういう状態の中で大事な教育に従事しなければならぬ、これが実態だと思う。これが先ほども申し上げたように本務であるならいざ知らず、教師本務というものは教育そのものである。夜警とか夜警と同じような仕事をするわけです、いわゆる戸締まり、いわゆる盗難火災予防、これは教師のやる仕事じゃない、本務じゃない、教師本務というのはあくまでも教育そのものです。教育そのもの本命を打ち込んではじめて大事な教育使命を果たすことができる、これは文部大臣としてはそうお考えにならぬですか。教師使命教育そのものである、教育そのもの本命を打ち込まなければならぬ、これは当然の常識的なことばであろうと思う。夜警に従事して、いわゆる盗難火災予防まで夜を徹してやる。多くの一般の人は、やったって翌日休みだからいいじゃないかという考えの方もあるようですが、前の晩に宿直をやったからといって翌日休めるわけのもの、じゃない、そういうことは実際できない。また、ぼんやりした頭にむちうって終日つとめなければならぬ、これが実態だと思う。こういうことではなかなか教育の成果を期待できないと思うのですが、この点は大臣としてはどうお考えになりますか。
  18. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) それはもう申すまでもなく、特別に昼間の勤務のほかに宿直をする、その間にいろいろの心配もあるということになりますれば、それだけその教師にとりましては疲労が増すわけでございます。それがある場合とない場合ということになれはば、ない場合のほうがよろしいということは言えるだろうと思うのでございますが、私は従来からの取り扱い、ことにこの問題はもう学校制度改革以前の古い時代からの問題でございますが、それを現在なおやっているので、それがはたして教師としてそこまでやらせるのが一体どうかというような問題についていろいろ御意見があることも承知いたしております。そういうことでありますので、これは検討を要するというふうに考えておるわけであります。もちろんそういうことをしないで、本来といいますか、純然たる教育事務にのみ専念できればやはりそれ、だけその教師にとりましては、何といいますか、楽であるとも言えますが、都合がよろしいということはこれはもう申すまでもないことだと思うのでありますが、ただこの問題を一挙に解決してどうするというふうに簡単に片づけられる実情でもないと私は思うのでございますけれども教師のいろいろな、そういうふうな負担をなるべく緩和して、そうしてあなたのおっしゃるいわゆる本来の任務について、実は教育そのものについて専念できる状態になれば、それだけ私はもちろん効果を期待してよろしいものと思います。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 教師公務員ですから、当然労働基準法によって最低限度労働条件が保障されておるはずなんです。おるはずなんですが、実際にはなかなか保障されていない。たとえば勤務時間一つとってみても、大部分の都府県では一週四十四時間、一日八時間、こういうことにきまっておるのに、文部省調査をちょっとお借りすると、文部省調査でさえも平均一週十時間前後の超過勤務をやっておる、これが現状です。これは文部省調査、だから非常に切り詰めていると思う、実際にはもっと超勤をやっておると思いますが、一応この程度と抑えても、なかなか労働基準法が保障しておる最低労働条件というものは確保されていない、これが現状です。そのほかにまたいまの日直宿直がさらにこれに加わって非常に過重な負担となってあら、われておる、これが教育効果にどういう影響を及ぼすかということは先ほど来申し上げておるところです。この点は、こういう現状については文部大臣もよく御承知だろうと思うのですが、この点はどうですか。
  20. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先ほどお答え申し上げましたとおりでございまして、一つにはそれぞれの教師の努力、あるいは心がまえにもよると思いますけれども、その点一般的に申しまして、夜間勤務というもの、かある場合とない場合ということになりますれば、それは夜間勤務のない場合のほうが教師としては一そう教育のために努力できるということは言い得るだろうと私は思うのでございます。労働基準法との関係について御指摘もございましたが、この種の職務ということになりますれば、なかなか労働基準法どおりにも参らない特別の性格もあろうかと思うのでございますが、やはり労働基準法の精神というものにつきましては、われわれも十分これは尊重しなければならないものと考えております。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま申し上げましたようなことで、非常に教師というのは一般人の知らないような苦労を重ねておるわけですが、たとえば休憩時間一つとって見ても、官庁ならお昼休み一時間、いわゆる専務が対象ですから、随時に手をやめることができる、教育の場はそうはいかない、生きた人間対象ですから。したがって、時々刻々に情勢が変わってくる、したがって、ちょっと手をやめるというわけにいかない、休憩時間も休息時間も全然ない、そのほか金も集めなければならないし、雑務が非常に多いわけです。そういうことは大臣もよく承知しておろうかと思うのです。そういうふうに雑務が非常に多くて教育本来の仕事に非常に支障を来たしておる。かてて加えてまた日直なり宿直がそれに加重されている、こういうのが現状だろうと思うのです。重ねてお聞きしておるように、何とかこれは改めなければ、このままではいいということは許されぬと思う。具体的にどういうふうな対策考えておるか。
  22. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 具体的な対策ということにつきましては、私自身にはまだ格別の用意もございません。しかし、これは前からの問題でもございますし、教師負担をなるべく軽くいたしまして、一そう教育上の効果をあげてもらいますためには、学校宿直という形で警備責任まで負わされておるというような問題につきましては、いわゆる警備員を置くかどうかという問題、こういう問題について、政府としても前向きに検討していかなければならぬ問題だと心掛ているわまでございますので、今後ともひとつ十分検討させていただきたいと思います。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 日本の小、中学校の二分の一、約半数は非常に小さな学校です。これも文部大臣よく御存じだと思うのです。その小さな学校は、ほんの十名以下の、いわゆる教師の人数が非常に少ないわけです。女の先生宿直はやっておりませんから、そこで小学校などは特に女の先生が多い学校もあるわけです。たとえば十人としても、女の先生が七人、男が三人ということになると、三日に一回宿直をやらなければいけない、こういう勘定になるわけです。しかも、こういう小さな学校日本の二分の一を占めておる。こういう実態の中で、三日に一ぺんずつ宿直をしたら一体どういうことになりますか。これだけ考えても、それは事実やったことのない大臣にはわからないと思うのですが、三日に一度ずつ宿直をやってごらんなさい、家庭生活も破れるだろうし、健康にもよくないし、また、そういう疲れた頭の、疲労した状態教育に取り組まなければならないというような状態で、特に大きな学校は、分担は非常に楽になってくるわけですから、これは小さな学校ほど負担過重ではなかろうと思うのですが、そういう小さな学校、特に小学校は女の先生が多いので、女の先生日直を担当して、男の先生宿直を担当するということになると、今日、極端な所では隔日に宿直、三人では三日に一ぺんということです、これが実態です。しかも、問題なのは、こういう小さな学校、これが日本で二分の一を占めておる。こういうところに問題があると思う。そういうことで、私が結局お伺いするゆえんのものは、何とかして警備員を置けばこういう問題は解決するのです。別にむずかしい問題を大臣にお伺いしているわけではないのですが、いろいろ御答弁がございましたけれども、緊急に警備員制度を早く置こう、そういう考えがあるならばいいのです。しかも、公務員公平の原則にも反するのです。国立学校にはみんな宿直警備員を置いている。ところが、地方公務員になると、警備員を置いていない。ここにも公務員公平の原則に反するものがあるわけです。で、警備員を置いている学校はあまり火災がない、統計によると。ほとんど警備員のない学校火災になっておる。火災になればそれだけ国費が、あるいは公の金が消えてなくなるわけです。そういうことをあわせ考えたときに、やはり警備員制度を設けるのは緊急の仕事ではなかろうかということをお伺いしておるわけです。したがって、警備員を緊急に、しかも具体的に、早急に立てたいということになると、この問題は大部分解決するということになるが、大臣自体からそういう御答弁が出てこないから、繰り返しお伺いするわけですが、その点どうですか。
  24. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お話の御趣旨はよくわかっているわけであります。私も先ほど来申しておりますように、そういったふうな仕事まで教師にやらせることがいいか悪いかというところに問題がある。ことに、御指摘になりましたように、小規模学校等におきましては、一そう教師負担も多いわけであります。そういうことでありますので、私としましては、この問題を前向きに検討し、解決をはかっていこう、こういう考えでいるということを先ほど来実はお答え申し上げておるわけでございますが、緊急にというお話でございますが、なかなか実際の状況から申しまして、真ちに全部解決し得るかどうかということにつきましても、いろいろ問題があろうかと思いますが、文部省といたしましては、前向きにこの問題を取り扱ってまいりたい、そうして解決の道に進んでいきたい、こういうような心持ちでいるということを申し上げたつもりであります。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大体世論としても、警備員制度を緊急に設けべきだということは、大新聞をはじめとして、こういう論調は盛んに出ているわけです。二月九日の毎日新聞をはじめとして、こういう世論代表の意向が相当見受けられるわけです。特に冬期間は学校火災が非常に多いので、こういうこと等とも関連して、警備員制度を早急にやる。幸い社会党でも学校警備員の設置に関する法律案というものを出しているわけです。したがって、いまこの法案を審議するのではありませんから、内容については触れませんが、問題は、さような必要から、国立学校に置いてある警備員制度を、地方公務員にも早急に実施することを前向きの姿勢で緊急にこの問題を解決することがしかるべきではなかろうか、こうすることによって、全国的にいまひんぱんに起きている学校火災を防ぐこともできるし、そうして教職員負担過重を防いで、教師の本来の使命である教育そのもの本命を打ち込むことができる、こういうできることから文部省の文教政策を進めるべきであろうと思うわけです。これはやろうと思えばできるわけです。現に予算的に見ても、いま宿日直に払っている宿日直料は大体全国で六十億ぐらいであろう。警衛員を全部の公立学校に置いたとして百二十億、百二十億のうち六十億は現在でもかかっている。あと六十億の奮発があれば、全国の公立学校全部に警備員を置くことができる、こういう根拠もあるわけですから、ひとつ六十億の予算措置ができるかできないかということにかかっているわけです。こうすることによって、全国的にひんぱんに起きている学校火災を防ぐことができると同時に、最も大事な教師本命である教育に専念することによって教育の効来を期待することができる。これは一貫した問題だと思う。だからそういう具体的にできる問題から文部大臣一つ一つ具体的に解決すべきであろうと思いますが、この点についてお伺いして、時間の関係もございますから、私の質問は終わりたいと思います。
  26. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お話の御趣旨はよくわかります。そう簡単にも片づかぬだろうと私は思うのでありますが、しかし、先ほどお答え申しましたように、この問題につきましては、前向きに積極的に解決をはかってまいりたいという所存でいるということをひとつ御了承いただきたいと思うのであります。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もう時間がないから要約しますが、そこで強く、要望申し上げておきます。最初にお伺した宿日直教師本務ではないという文部省考え方ですが、これは大臣も確認しているように、教師本務教育そのものである、こういうことから考えて、当然警備員を置くことによってこういう問題は解決すると思うのです。現に国立学校警備員を置いているから、宿日直教師本務ではない。国家公務員教師については宿日直教師本務ではない。明らかにもう警備員が担当しているわけです。ところが、地方公務員については警備員がないから、結局宿日直までも拡大解釈本務の中に無理やりに入れさせられている。群馬県のごときはそういうことはしておりません。先ほど申し上げたように、県教育長がりっぱに教師本務ではないと県会の本会議で言明しているくらいですから、そこで文部大臣地方教育長との間に見解の相違があるわけですね。こういう問題はきわめて遺憾であると思うのです。地方教育長と中央の文部大臣の意見がこんなに食い違っているということは問題でありますので、今後明らかにしなければならないと思いますので、ここは時間の関係で一応おいておきますけれども、今後重大な課題としてわれわれは考えなければならない、このことを最後にして質問を終わります。
  28. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 時間がだいぶないらしいので、項を追って私質問しますから、なるべく簡明にお答え願いたいと思います。大臣は何か文教委員会のほうにいろいろございますればよろしゅうございます。  最初に、教科書の無償給与の問題についてお伺いしたいのですが、池田総理が四十一年までに義務教育の教科書を無償にするのだ、こう言われておるのですが、さしあたり来年度は一年から三年まで、四十年度として一年から五年まで、こういうことになっておるようですが、中学校まで、つまり完全に九カ年の義務教育の教科書の無償給与ということに対して、文部当局のほうでこれをどういうふうに計画されておるか、その点ちょっとお伺いしたい。
  29. 岩間英太郎

    説明員岩間英太郎君) 先生から御指摘をいただきましたように、来年度に一年から三年まで、四十年度に一年から五年までというふうになっております。先ほど指摘がございましたように、総理も四十一年度までというふうなお話でございますので、私どもも一応の計画といたしまして、四十一年度につきましては中学校の一年まで、それから四十二年度につきましては中学校の全学年に及ぼすというふうにいたしまして、一年前向きの予算を組みますので、結論といたしましては、四十一年度に小学校から中学校全体の児童生徒に対しまして無償給与できますような予算を組むというふうなことを考えておる次第でございます。
  30. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それじゃ、池田さんの言われた四十一年までに義務教育の教科書を無償にする、そういうことと食い違いはないか。私は四十一年までにと聞いたのだがね。
  31. 岩間英太郎

    説明員岩間英太郎君) たぶん四十一年度の予算で全学年に支給するような措置を講ずる、そういうような意味ではないかと考えております。
  32. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 四十一年度の予算で全部片づけてしまう、こういうことだな。
  33. 岩間英太郎

    説明員岩間英太郎君) そのとおりでございます。
  34. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それはまあ了解した。それからこの教科書の採用ですね。これは私も過去三十年間教育に携わって校長の経験も持っておる。むろん旧制の中等学校ですから小学校のことは私わかりませんが、都道府県において展示会をやってそうして採択をする。この教科書の採択方法は従来と変わりはないと私は聞いておるのだが、義務教育の教科書の採用種類ですな、検定本の採用種類は大体どのくらいありますか。
  35. 岩間英太郎

    説明員岩間英太郎君) 手元に資料がなくてたいへん恐縮でございますが、かなりの点数になっておりまして、会社も八十社程度でございますし、したがいまして、教科書の数も、全体といたしまして、延べにいたしますと、千点以上というふうなことになろうかと思います。
  36. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いや、千種類以上あるということはそれは私も心得ておるのですがね。それで、会社はどのくらいですか。
  37. 岩間英太郎

    説明員岩間英太郎君) 正確な数字は記憶いたしておりませんが、八十数社と思います。
  38. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 八十数社、そうですか、そこに問題があるのだがな。それは正確なところ、わからなければまたあとでお尋ねしましょう。  それから三十三年の九月から週一時間ずつ道徳の時間が設けられてきておる。ところが、ここ数年、青少年の犯罪はむしろ激増しておるように私は統計で見ておるのだが、過去五年間にわたって三十三年から道徳教育を一時間ずつやられて、その教育効果はどういう面にあらわれてきたか、そういう点を承りたいと思います。
  39. 岩間英太郎

    説明員岩間英太郎君) 教育効果の面ということになりますと、たいへん教育効果が出ますのはあとになってからというふうなことでございますので、はっきり申し上げることはできないわけでございます。文部省といたしましては、かなり効果があがっているのじゃないかというふうに考えておる次第であります。
  40. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いや、それはあなた、そんなことを言わなくたって、あなたたちは机の上で、机上で言っているので、私は実際三十年も教員生活をやった。市会議員も文教委員四年か何かやって、県会議員も文教委員やってきた。教育はきょうやって、きょう効果が出ないなんということは言わなくてもわかっておる。少なくとも三十三年から道徳教育というものを、ああいうけんけんごうごうたる中で文部省がやってきたのだから、それに対してどういうふうな動向になっているというような教育効果のあれは、一応文部省としても考えておらなければならぬと思うのですがね。五年間くらいでまだ効果がありません、もっと先にならなければだめだというようなそういう答弁はちょっとおかしいじゃないですか。それは金と物との取引みたいなわけにはいきません、教育というものは。それはよくわかっていますがね。
  41. 岩間英太郎

    説明員岩間英太郎君) おっしゃるとおりでありまして、たいへん恐縮なんでございまして、どの程度効果があがったかということは、私どものほうでは具体的に把握するまでに至っておらないわけでございます。
  42. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 文部省は本年三月から道徳教育教師用の指導資料というものを作成されているのですが、私もちょっと一べつしたのですが、これで青少年の不良化を防止することができるというあなた方の御自信ですか、確信のもとにそういうことをされているのですか。
  43. 岩間英太郎

    説明員岩間英太郎君) 私どものほうで道徳の資料を出しましたゆえんのものは、道徳につきましては、一時間の時間を特設したわけでございますが、別に教科書というものは用意をしなかったわけでございます。そこで、実際に授業を行ないます場合に、現場の先生方がどういうふうに教えていいかよく具体的にわからないというふうな問題もございまして、また、どういうふうな教材を使って道徳というものを進めていったらいいか、その点もだいぶ現場等では悩んでいるようであります。そこで文部省といたしましては、その授業の参考になるように道徳教育資料というものをつくりまして現場の先生に配ったわけでございます。これとただいま御指摘ございましたような不良化の防止とそういうものとを直接結びつけて考えているわけではないのでございます。
  44. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 その指導資料を作成されたメンバーですね、大体どういう組織、機構のもとにこれを作成されたか。人の名前まで要りませんが、大体のところを……。
  45. 岩間英太郎

    説明員岩間英太郎君) 文部省には教育課程審議会がございまして、そのもとに具体的に個々の教科等につきまして研究をいたします教材等調査委員会というのがございます。そこで具体的に御検討願ったわけでございまして、その教材等調査委員会のメンバーには現場の先生、大学の先年その他を中心にいたしまして、大体現場に最も御理解のある、しかも従来から各教科あるいは道徳につきまして特別に御研究をいただいている方から構成されたものでございます。
  46. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そうしますと、道徳教育の指導資料というものは、その作成にあたっては、天下りでなくして現場の先生方もこれに参加されたと、それから各方面の権威者もこれに入ってきたと、学識経験者も入ってきたと、全部それでは一致した意見のもとにこれはできたわけでございますね。そこをはっきりしてくださいよ。
  47. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) おっしゃるとおり、こちらから圧力を加え、こちらから指導をしということではなくて、そこで一致したものをひとつ取り上げておると、こういうことでございます。
  48. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 その道徳指導資料の中に、小学校六年用の道徳指導の資料一七四ページの「ペンの力」というところに、ノースクリフがデーリー・メール紙に、あらゆる迫害にも負けないで、そういう弾圧にも負けないで国民に真実の報道をしたと、こういうことが非常に賛嘆されている。それはけっこうだと思う。ところが、この内容については、戦争に勝つための手段あるいは戦争に勝つ信念が愛国心の高揚になるんだと、そういうふうに思わせるような危険性があるのですがね。あれを私一べつしたところが。だからノースクリフの愛国精神という、何ものにも負けないで自分の使命を果たした、命をかけてやったと、それは非常に私は賞賛すべきだと思うけれども、戦争に勝つための手段あるいは戦争に勝つ信念、それが即愛国心の高揚になるんだというふうにあれは受け取られるのですがね。ああいうふうな内容検討は十分されたんだろうかとちょっと私は懸念を持つのですがね。あの指導資料には。それは現場の先生方も一緒でやったというようなお話だけれども、まだほかにもこの指導資料の中には、相当封建思想が私はあれには織り込んであるように見受けるのですがね。愛国心の高揚ということを表現するためには、もっと新時代感覚をもって指導すべきじゃないかと、こういうふうに私ちょっと見えるのですがね。どうでしょう、そういうところは。
  49. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) 問題のその文書自体をいまつまびらかにいたしませんので、的確なお答えがしかねるのでございますけれども、おっしゃったような愛国心の問題等につきましては非常に何といいますか、慎重に、誤解のないようにという配属の上に立ってそのことなどが一番やはり検討の材料になっておったことだと思いますので、もし、そういう誤解を受けるような個所があるとするならば、指導上今後十分にひとつ検討し善処してまいりたいと思いますが、いますぐに、その文書を読んでおりませんので、ちょっと判断ができかねるのでございますが……。
  50. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これは受けとるほうの主観の相違だと、見解の相違だということもあるのかもしれませんしね、にわかには私はこれをどうだこうだと言うわけじゃないのですけれども、指導資料というようなものはあらゆる衆知を集めて用得心周到の上にこれはつくられないと、また往年のような道徳教育に対して問題を惹起するようなことがありゃせぬかということを私は憂えているから申し上げるのですがね。もう直ちにあなた方のおつくりになったのが悪いということを申し上げているわけじゃないのです。  次に、きょうはたっぷりお聞きするつもりでしたが、時間が制約されておりますから、定時制と全日制の教育についてでございますが、これはあなた方も御同様そういうお考えであると思うのですが、非常に今日差別されておるように私らは見受けるわけなんですね。高度の教育を行なうべきであり、当然私は定時制をもっと擁護しなければならぬと、優遇しなければならぬと、こう思うのでありますが、なるほどそれは給食なんか補助していらっしゃるということは私も承知しておりますが、もう少しその定時制の教育に対して抜本的に、これが育成擁護ということに何かはっきりしたお考えがあるかどうか、それをちょっと承りたい。なおまた、あとで私意見を申し上げます。
  51. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) 勤労青少年に対する勤労教育というものの重要性はもう言うまでもないことでございます。その意味で定時制教育あるいは通信教育というものに力点を置いてやってまいったことは御理解いただけると思うのでございますが、問題はその教えている教育内容なり、教え方ということというよりも、問題はそれを卒業して後の扱いについてのお話でないかと思います。御案内のとおり、総理も、文部大臣も、たびたびそういうような差別待遇をしてはならぬということを、たびたびの通牒なりあるいは声明というものによって明らかにしておりますし、また、経済諸団体、日経連等の経済諸団体に対しましてもそういうことのないように絶えず申し入れをし、基本的に了承いただいておることだと思いますが、なお、ときどきそういう事例が起こるということがありますので、あったつどそれをひとつ修正する努力を重ねております。これはやはり教育界もそうでございますけれども、社会全体がその機運になってもらうということが必要であろうと思いますので、今後ともそういうことのないように努力を重ねてしむけてまいりたい、このように考えております。
  52. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 卒業後のことも、むろん私も同感です。そのとおり私もお願いしたい。できれば企業体のほうが、つまり事業会社のほうが雇い入れる場合に、定時制と全日制をかりに全日制を五人雇うならば定時制も五人といったようなふうな何かそういう雇い入れ制度というようなものをつくり、規制したらどうか。事業所に定時制はあまりとらない。全日制はどんどんとる。そういうことでなくして、全日制を何人とるなら、定時制も何人というようなふうな雇い入れ規制というようなものをつくっていただくことはにわかにできないとしても、何かそういうことをお考えになっておるか。あるいはまた、事業所に定時制を雇用した場合には、特に事業税の一部減税をするとか、何かそういうふうな方法をとっていただくようなことをお考えになったことがあるかないか。これは私の私見ですから、それをいまやれというわけじゃない。何らかのそういう擁護策をとる。  それから在学中のことなんですが、いま政務次官のお話は卒業後のことなんですが、学資の一部国庫補助をするとかあるいはたとえば夜間なんかグラウンドに照明装置がしていない。体育というものは一応卒業単位は取って卒業はしておるでしょうけれども、ほとんどやっていない。照明装置でもする、そういうような、それは一例なんですが、何かそういうことも私は考えて、昼間の教育といささかも差別のないようにすべきじゃないかと、そういう考えを持っているのですが。
  53. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) 前段でお話しになりましたたとえば定時制と全日制の採用比率を法的に明示するとかといったようなことは、現実の問題としてはなかなかやれないんではないか。われわれいま一番力を尽くしておりますのは、定時制なるがゆえに採用試験に入れささないといったような不合理は許さない、機会均等の上に立ってひとつ十分に採用する余地を残してもらいたいということを中心にやっております。また同時に、学力自体についても、幾ぶんそれはやはり不利を免れないと思いますので、そういう点については、その不利の分について勘案してもらうように申し上げておるというところでございます。おっしゃる減税の問題であるとか、いわゆる採用日にちの問題といったようなことは、法的にはなかなか困難性もあるのではないかと思いますけれども、なお、経済諸団体と積極的に取り組むということにおいて相談し合ってみる課題ではないかと思いますので、検討いたしたいと思います。  それから定時制の諸学校に対する諸施設、その他のことでございますが、いままで主としてやってまいりましたことは、勤労青少年の教育のためにとりあえず学校給食というものの整備をはかっていくということが一点。  それからいま一つおっしゃった夜間照明施設についても、当然これは考えなきゃならぬことでありますので、先年以来、予算措置をいたしまして、漸次、充足をしつつあるところであります。もうそう遠からず年数を経ないで、全部の定時制学校にナイター設備ができるというようなかっこうになっております。今後とも教育的な面に、体育的な面にまだまだ措置しなきゃならぬ面がたくさんあるかと思いますが、前向きの姿勢で取り組んで、御期待に沿うようにしむけてまいりたいと、こう考えております。
  54. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いまのお話は、全部私ごもっともだと思うのです。それでまあ法的に規制ができるかできぬかというようなことは、それはにわかにできるとは私も思いませんし、事業主あたりと就職問題なんかの場合にお話し合いでもいただいて、円満にそういう点は両者話し合いの上で……、あなたの御意見どおりですが、なお、夜間の照明装置のことは一例でございますが、昼間の教育夜間教育は、やはり多極多様に違ってまいりますので、他の諸施設、設備のほうもやはりおのずから変わってくる場合があるわけなんですね。そういうところ、教育施設というような面も、夜間に不自由のないように、向学心に燃えている勤労青年学徒に対して十分の教育ができるように、全般の教育施設に対して、私は遺憾のないようにお願いしたい。そういう点において、やはり学徒自体に、昼間よりも夜間のほうが悪いのだというような卑下をするような気持ちをいささかでも与えたならば、これは私はやっぱりたいへんなことになると、かように考えるから、実は申し上げたのです。そういう点をにわかに完備するということはできないかとも思いますけれども、根本的に定時制の教育ということに対して、もう少し文部省あたりが、抜本的に私はこれは改善していくべきだ、かように考えるわけなんです。
  55. 向井長年

    ○向井長年君 関連して。その定時制の差別待遇の問題ですが、大体定時制といえば、職を持っている人が多いわけです。まあ昼、どこかで働いて夜、学校に行く、こういう人たちが多いのですが、その人たちが一応中学校卒業程度の待遇を受けているのですよ。定時制を卒業して、少なくとも高等学校待遇で、給与、待遇の問題、この問題は直ちに上げないのですな。だから、そういう差別というものが、やはり出てきておると、こういう問題については、将来、文部省として経営者団体なり、そういうところへ、通産省の関係もあるかもしらぬが、どういう態度を持って臨むのか、先ほど、言ったように、まず採用のときの差別という問題もありましょうが、いわゆる現在働いている職場で、定時制高等学校を出て差別があるわけなんですから、待遇上の。これを卒業した後においても、やはり従来のやつはそのまま引き続いていく、この問題をどう打開するか、具体的にひとつ御説明願いたい。
  56. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) 無理解な経営者の中にはそういうような者がいるのではないか、そのことは、一番基本的な問題として修正しなきゃならぬ課題だと思います。中学を卒業して入った、入社した。その後、定時制に入って高等教育を受けたというのに、それが何らも生かされない姿というものは、不合理だと思います。これはやはり経営者団体を通じて、そういうムードをつくるという行政指導というよりほかにないのではないかと私は考えます。引き続き——いままでも決して無関心でおったわけじゃございませんけれども、引き続き努力を重ねて、お互いが期待できるような職場環境にするようにいたしたい、こう考えます。
  57. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 次に、私は特殊教育のことについてちょっとお尋ねしたいのですが、特殊教育の重要性というのは各方面から叫ばれておるのでありますが、現実においてはその普及度が非常に低いため、就学率はきわめて僅少であると私らは考えておるわけなんですが、多少これは私の数字は間違っているかもしれぬと思いますが、全国の学齢児童の中には約八十万からの精神薄弱者などがおると、こういわれておるのですが、現在特殊教育を受けているのはわずかその五%から六%にすぎない、こういうふうに聞いておるのです。  そこで御承知のとおり、学校教育法の七十四条、七十五条ですか、あれは特殊教育に対しては、精神薄弱者あるいは青ろうあるいは肢体不自由者のために都道府県においては養護学校設置の義務があるのですね、学校教育法にですな。それでこれに対して文部省は、もう少し積極的に私はこれに乗り出すべきだと思うのですが、現在都道府県において養護学校のない所、都道府県立の養護学校ですね、どこでしょうか、わかっておりますか。「都道府県は、その区域内にある学齢児童及び学齢生徒のうち、盲者、聾者又は精神薄弱者、肢体不自由者若しくは病弱者で、その心身の故障が、」とあって、「就学させるに必要な盲学校、聾学校又は養護学校を設置しなければならない。」と、七十四条に載っておりますね。七十三条も、これは「監督庁が、これを定める。」という規定なんですな。七十五条は「小学校、中学校及び高等学校には、」「特殊学級を置くことができる。」と。性格異常者、精神薄弱者、ろう者、難聴者、盲者及び弱視者、言語不自由者その他の病弱者、身体虚弱者、こういうように載っておるようですがね。こういう点があまり私は等閑に付されているのではないか。池田さんは人つくりだ、人つくりだということをかね太鼓をたたいて言っておられるけれども、どうも人つくりがはっきりしないようで、もう少し文部省はこういうところを積極的に私は推進されるべきではないか。こういうところが一番大事じゃないか。世の中から見捨てられるようなことがあったらこれはたいへんだ。
  58. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) 御指摘のとおり、特殊教育につきましては、主としていままで盲ろう学校の整備充実振興ということが重点的になされてまいりまして、これはある程度所期の目的を達成できていると思うのでありますけれども、おっしゃるとおり、養護学校については施行期日がまだ政令で公布されておりませんといったようなこともございまして、まだ設置できていない府県が相当ございます。肢体不自由養護学校については二十県程度、精神薄弱養護学校については四十県にもなっておる、病弱養護学校については三十四県、こういうように設置されておらない所がたくさんあるわけでございまして、まことに申しわけないことだと考えておるわけでございます。実はこの三十五年度から年次計画を策定いたしまして、毎年前向きの姿勢で進めてきておるわけでございますけれども、三十九年度から今度新たに新五カ年計画をつくりまして毎年十六校程度、いま申し上げ未整備の養護学校について施設設備の助成をしながら充足するようにつとめてまいりたい、本年の予算から再スタートをする、こういうふうな姿になっております。今後一そう努力を重ねまして、できるだけすみやかに整備をいたしたい、こういうように考えておるわけでございます。
  59. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 先ほども申しましたように、池田総理の人つくりという面からいたしましても当然なことであって、文部大臣はいらっしゃいませんけれども、真に慈悲ある親心をもってこうした気の毒な児童、生徒、学童をして前途に明るい希望を持たせて人生を楽しませるように私はすべきである、これが最も教育の根本であると、私は考えるわけなんです。いまの政務次官の御答弁で私大いに意を強うしますから、なるべくこれは早急に解決をしていただきたい、こういう希望をいたしておきます。  次に、育英会の奨学資金の問題についてちょっとお尋ねしたいのですが、これは相当未納、焦げつきがあるようにお伺いしておるのですが、これはどういうふうになっておるのですか。
  60. 村山松雄

    説明員村山松雄君) 御説明申し上げます。日本育英会の奨学金を借りた者で、返還すべき金額は、三十七年度末で九十三億三千四百四十一万円でございます。これに対しまして三十七年度中に返還いたしました金額が五十四億八千四百二十一万円。パーセンテージにいたしまして五八・八%になっております。三十八年度の計画によりますと、返還を要する全額が百十四億八千九百九十一万円で、返還見込み額が七十七億七千五百二十一万円、パーセンテージにいたしまして六七・七%となっております。これは必ずしも満足すべき数字ではございませんけれども、五、六年前に比べますと五〇%未満の返還率でございましたので、それに比べましてかなり返還率は向上しておるということが言えるのが現状でございます。
  61. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 あなた方を責めるわけじゃないのですが、住友銀行であるとかあるいは松下電器等は企業主が協力して返還をしておる、また、返還組合をつくっておるところの企業体もあるというふうに聞いておりますが、これはやはり積極的に返還させる方法、処置をとらるべきじゃないかと私は思うわけなんです。  その次に、この育英資金の補助の決定基準ですが、どのようにして基準設定、貸与の基準ですね。
  62. 村山松雄

    説明員村山松雄君) 育英資金を貸与する基準は、日本育英会法によりまして、学徒であって、優秀であって、かつ経済的に困難なる者というのが基本的な基準であります。そこで、まあどの程度の優秀性、どの程度の経済的困窮度を具体的な基準にするかにつきましては、日本育英会におきまして具体的な選考基準を実施して、大学の推薦等にらみ合わせまして選考しておるのが実情でございます。
  63. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 中には、育英資金を受けておる人が貯金をしておったり、あるいはマージャンとかパチンコなんかをしている人がたくさんおるんだというようなふうな話も聞いているのですがね。相当あるそうです。だからそれが、貸与基準審査といいますか、基準によって審査されるんでしょうが、これはよほど考えられなきやならぬのじゃないかと思うのですが、大体それは各大学あるいは高等学校、そういうところへまかせておるんですか。
  64. 村山松雄

    説明員村山松雄君) 育英資金でございますので、在学する高等学校及び大学が、第一次的には育英会の基準に合わせて選考いたしまして、育英会に推薦いたします。最終決定は、日本育英会においてなすわけでございまして、いわば、大学と育英会が協力をして選考するというたてまえになっております。
  65. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 日本育英会法の第三章の十六条に、「学資ノ貸与ヲ受クル学徒ノ輔導」「修学上必要ナル施設ノ設置及経常」、これは業務として載っておるようですが、「学資ノ貸与ヲ受クル学徒ノ輔導」は、どういうことをしてらっしゃるか、「修学上必要ナル施設ノ設置及経営」と、内容はどういうことなんですか。これをちょっとお伺いしたい。
  66. 村山松雄

    説明員村山松雄君) 育英会におきましては、関係の大学、高等学校と連絡をとりまして、選考基準に当てはまるかどうかを、単に育英会としては書面上でやらざるを得ないわけでございますけれども、在学学校としては、単に書面審査だけではなしに、できるだけ内情も、把握できる限りにおいて把握した上で選考すると、採用された学生、生徒が、育英会の奨学生たるにふさわしくないような行為に及ばはないように、できるだけ補導すると、たとえは、学業成績におきましても、低下することのないように、それから、ただいま御指摘のありましたように、育英資金をかりにも修学以外の目的に使うことのないように、連絡協調いたしまして、指導するような態勢をとっておるわけでございます。そのために必要な大学等との連絡会を設けたり、あるいは機関紙を発行して指導したり、指導には、与えられます条件の範囲内で、できるだけ万全を尽くしておると考えられる次第でございます。
  67. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記とめて。  〔速記中止〕
  68. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記つけてください。  では、午前の質疑はこの程度とし、午後は本会議休憩後再開し、質疑を続行することとし、これにて休憩いたします。    午後一時四分休憩    ————・————    午後四時四十分開会
  69. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を再開いたします。  文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続きこれより質疑を行ないます。政府側のただいまの出席者は、八木文部政務次官蒲生官房長、斎藤社会教育局長、天城調査局長宮地文化財保護委員会事務局長説明として村山審議官でございます。  では、午前に引き続いて、鬼木委員質疑から議事を進めます。
  70. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 先刻お尋ねしました件ですが、貸与基準についてちょっとお尋ねしたんですが、十分優秀な学生で就学困難な人がたくさんあると思うんですが、目的にも、「優秀ナル学徒ニシテ経済的理由ニ因リ修学困難ナルモノニ対シ学資ノ貸与其ノ他之ガ育英上必要ナル業務ヲ行ヒ以テ国家有用ノ人材ヲ育成スルコトヲ目的トス」、こういうふうに育英会法の第一章第一条に載っておるようですが、この貸与の基準を決定する際に、全部学校にまかせて、文部省としては書類審査をなさって、実情調査なんかはあまりやっていらっしゃらないかどうか、そういうふうな点について、もうちょっと御説明順いたいと思います。
  71. 村山松雄

    説明員村山松雄君) 奨学生の決定は、大学の推薦に基づきまして日本育英会で決定いたします。文部省では直接、選考の過程につきまして、いろいろ指示をしたり監査をしたりはいたしておりません。
  72. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そうすると、学資の貸与を受けた学徒に対しては補導をされ、貸与する場合には全然学校側にまかしている、そういうふうに解釈していいんですか。
  73. 村山松雄

    説明員村山松雄君) 文部省では、育英会につきましては、奨学生の種類ごとに、貸与すべきものの数をきめまして、その数に応じた貸与資金を育英会に貸し付けを行なうわけでございます。育英会は貸し付けられた資金並びに奨学生から返還されたものを資金といたしまして、各大学、高等学校の推薦に基づいて奨学金の決定をするわけでございます。したがいまして、奨学金の決定につきましても、また、決定された奨学生の補導につきましても、文部省では直接、指示、監督等をいたしておりませんので、学校と育英会との間で奨学生の決定なり、あるいは事後の補導なりもいたしておるわけでございます。
  74. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これは少しおわかりにくいかもしれぬと思いますけれども、補助基準を決定される場合に、給与所得者については、税金によって給与を掌握することが比較的簡単にできると思いますが、農業とか、あるいは商業というような自家営業を行なっている方々についての所得、これも事業所得なんかでもわかるかとも思いますけれども、そういう経済的基準はどういうふうになっておるんですか。
  75. 村山松雄

    説明員村山松雄君) 御指摘のように、所得の態様によりまして所得の捕捉が違うわけでございます。したがって、育英会では、経済的困難度を査定する場合に、所得体系の違いに応じまして給与所得者につきましてはほとんど全額に近く捕捉される、商業所得や農業所得につきましては所得の何%しか捕捉されないということを考慮して経済的困窮度を査定しておると聞いております。
  76. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私は、この育英資金の貸与の場合の補助基準が、どうも学校によって推薦がまちまちであったり、あるいは、その間において、当然受くべき人が受けられない、非常に優秀な学徒で経済困難なために行けない、そういう点がありゃしないかどうかというような点を懸念するのですが、そういう点に文部省としては、学校に一任しておるから、われわれは関係ない、こういうふうで、いいのですか、そういうふうに解釈して。学校側から出てきたものを、それをもう最も妥当なものだとしてわれわれは処理するだけだ、こういうことですね、結局、あなたの先ほど述べた答弁では。
  77. 村山松雄

    説明員村山松雄君) 学校一任ではございませんで、育英会で奨学金貸与の基準をある程度きめております。その基準に大体のっとりまして大学では推薦をいたします。最後的には、育英会のほうで査定をして決定するわけでございますので、学校一任ではございません。学校の推薦と育英会の査定とが一致いたしまして奨学生が決定されるわけでございます。
  78. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 その最後の決定は、会長である文部大臣がやるわけでしょう。
  79. 村山松雄

    説明員村山松雄君) 日本育英会は、日本育英会法によって設立されました特殊法人でございまして、会長は現在、森戸辰男氏でございます。文部省とは別の法人格を持った団体でございます。
  80. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 この育英資金について、現在までまだ未返還の人、あるいは九年以上の延滞者はどのくらいおりますか。おわかりだったらちょっと。
  81. 村山松雄

    説明員村山松雄君) 昭和三十八年度におきまして返還すべき者の人数は約六十万人と推定されます。金額にいたしまして百十四億円にのぼっております。なお、延滞者につきましては、返還すべき者の中で、六七%程度は三十八年度に返還する見込みになっておりますので、残り約三三%は延滞者ということになるわけでございます。
  82. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 時間がありませんので急ぎますが、この奨学金を、受けた学徒で、公共性を帯びた職業につくような場合に、返還免除等の方法は、この規定ではそういうことがないようですが、公共性を帯びた職業につく場合は返還免除をするというふうな御計画はありませんか。
  83. 村山松雄

    説明員村山松雄君) 現在、一定の条件に該当する者につきましては、返還免除の制度がございます。一定の条件と申しますのは、大学で貸与を受けました奨学金につきましては、大学を卒業後一定期間内に高等学校、中学校または小学校教員になりまして、一定年数以上在職した場合には、受けた奨学金を将来に向かって返還を免除されます。それから大学院におって受けた奨学金につきましては、大学の教員または文部大臣の指定する研究所等の研究機関に就職いたしまして、一定期間在職した場合には、将来に向かって返還が免除されることになっております。
  84. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それはこの規定に載っておるようですが、小学校と中学校は八年在職すると返還を免除する。高等学校、大学の教職員は十二年在職するとこれを返還を免除する。こういうふうにあるようですが、たとえば奨学金を受けた医学生などがへき地の無医村なんかに就職した場合、返還免除を適用するというようなお考えはありませんか。
  85. 村山松雄

    説明員村山松雄君) 現在のところ、医学生につきまして無医村、就職というような条件で返還免除するというような考え方はございません。
  86. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 ただ規定がないからお尋ねしているので、そういう考えはないか。規定にないことはわかっている、見ているんだから。そういうことを研究されたことはないかということをお尋ねしている。
  87. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) 返還免除については、いま言った無医村地区に対する医者の問題あるいは幼稚園の先生の問題等まだまだ検討しなければならぬ課題があると思うのでございます。それらのことを全体を通じまして均衡のとれた措置をとりたいということでいま検討中でございます。
  88. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 よくわかりました。それをお尋ねしているのです。そうすると、大体三十八年、三十九年度の返還命の見込みはどのくらい見込んでいらっしゃいますか、この点ちょっと。
  89. 村山松雄

    説明員村山松雄君) 三十八年度につきましては要返還額百十四億に対しまして、返還見込み七十七億円を見込んでおります。三十九年度につきましては、まだ御説明申し上げるような確たる計画が立っておりません。
  90. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それで次に、現在科学技術者の需要が企業全体に非常に要望されておりますが、高等学校つまり工業専門学校ですね、あるいは工業高校、理工科系の技術員養成に対してどういう案を持っていらっしゃるのですか。三十五年、三十六年、三十七年と三カ年計画で中学校高等学校に対する技術員の養成ということに対しては、この前、案を見せていただいたのですが、つまり産業教育文部省の計画ですが、三十五年度四千人、三十六年度が一万人ですか、三十七年度が二万四千、三十八年度が四万五百、三十九年度が四千人、四十年度が二千人、これは高等学校における産業教育、中学校における産業教育の模様を、これは三カ年計画でたしか行なわれたと思っておるのですが、その辺のところを少しお話ししてもらいたいと思います。
  91. 河上邦治

    説明員(河上邦治君) 中級技術者の養成につきましては、昭和三十五年から四十五年の十カ年間にわたりまして四十四万人の総数、それから定員は、ただいま先先のおっしゃいましたように八万五千人の定員をふやす、こういうことが所得倍増計画によりまして設定されたわけでございまして、現在ただいま進行中でございまして、この中級技術者につきましては四十年度の定員を充足いたしますと、八万五千人の定員増の計画はほぼ達成できる見通しに相なっております。これは中級技術者と一般的に申しまして、いろいろ定義の問題もあるようでございますが、大体工業高等学校の卒業生をこのように呼んでおるわけでございます。ただいま後段に御質問の中学校でございますが、御承知のとおり、中学校は義務教育でございまして、中学校の技術教育はどうなっておるかという御質問だろうと思うのでございますが、それにつきましては、技術家庭科と申しまして、技術の関係は男子向き、家庭科の関係は女子向きと、こう呼んでおりますが、技術家庭科という教科が三十七年から全面実施になりまして、毎週男子女子とも三時間ずつの義務教育段階においてこの技術科と——男子向きでは技術科というものにつきまして、どのような教育を施したらよろしいかということが検討されました結果、内容は大体工的な——工業的の工でございますが、工的な内容を主とした教科を現在実施いたしております。こういう実情でございます。
  92. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 次に、私学振興についてちょっとお尋ねしたいのですが、近来、私学の入学金とか、あるいはいろいろな名目のもとに、むろん授業料も上がっておるようですが、非常に出費がかさんでおる。それに対して本年度も予算書を見てみるというと、私学振興の予算は相当——相当といってもたいしたことはないのですが、増額はしてあるようですが、私学振興費が本年度の額が三十八年度の倍額になっておる。そうして、ことに私大の研究設備に対して補助率が二分の一から三分の二に引き上げられた、こういうことで私学振興に対する意欲を現内閣は示したと、こういうように考えられておるようですが、数字的に見た場合にはたいした助成にもならないように私は受け取れますが、その点どういうふうにお考えですか。
  93. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) 私学の充実強化につきましては、御存じのとおり、いままで振興会に対する出資金を中心施設の整備を一方に推進していく。それからまた、一方理科教育、科学教育の振興のための助成措置を講ずる、そういうような方向でやってまいっておるわけでございます。御指摘のとおり、現在の私学に、特に大学教育において私学に負うところは非常に大であるわけであります。ほとんど大半が私学でまかなわれておるという傾向でございますから、その財政に対する要求も非常に大きいものがあるわけでございますが、三十八年度から財投の金をこれを回すというように、振興会出資金のほうに、出資金だけではなくて財投の金を回すという方途を講じまして、昨年は一般会計から出資金が十二億、財投から二十億という形で措置をいたしたわけでございますが、三十九年度には一般会計からの出資を十五億、財投から四十億。いま御指摘になったように倍額にしたというのは財投の金でございます。合わせて五十五億の振興会に対する原資というものを与えるという方途を一方とってまいっております。一般会計の出資金は、これで累計いたしまして二百二十億になったわけでございますので、それらの返還金と相まちまして施設の整備につとめておるわけでございます。しかし、お話のありましたような入学金あるいは授業料の値上げというものがこの程度のものによって措置できるか、カバーできるかということになりますと、なかなかそうはまいらぬと思うのであります。現在の私学の経営の困難性というものは、一方において施設設備の近代化、充実という問題がある。それはある程度いまの振興会からの融資によってカバーできるのでございますけれども、一方経常費について、いわゆるベースアップその他の関係を通じて非常に大幅な経常費がかかるわけでございますので、その意味でその経常費をどのようにまかなっていくかということになりますと、現在の方途の中では、経常費に対する文部省からの助成という道を開いておりません。これは私学の自主性の問題、私学の学問研究自由の問題等とも関連してまいるわけでございますので、伝統的に経常費の助成はしないということになっております。そのようなことで施設設備の整備のために要する費用、あるいは金利負担等、人件費の高騰等から、自衛上やむを得ず私学側は入学金あるいは授業料値上げをせざるを得ないというかっこうになっております。そこで現在文部省といたしましては、振興会の金をもっとふやして、施設の面から起こってくるところの金利負担というものをできるだけ軽減するという方途を一方において考えていかなきゃならぬ。なお、私学の一部分だけから希望の出ております経常費助成については、私学の自主性というものを尊重しながらその道が講じられるかどうか、いま検討しておるところでございまして、昭和四十一年度から大学急増の時期にも入りますので、その急増対策ともあわせその問題の調整をどのようにするか——でき得べくんば今年の秋までには一応の方向というものを出したいということでいま検討をいたしておるところでございます。
  94. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 大体経常費は、それはあなたのおっしゃるとおり助成の道が開かれてないと思いますが、去年は四十三億五百万円が一般会計から、財投が二十億と、ことしは財政投融資から四十億にして倍にした、一般会計は六億二千四百万円の増しだということのように私は調べておるんですが、大体私学振興会のほうからの要求といいますか、どの程度の希望が出ておったのですか。
  95. 犬丸直

    説明員(犬丸直君) 当初、振興会の融資につきましての、私学団体として要求しておりました金額は、出資金に関しまして百三十九億円の要求を団体のほうから出しておりました。この線に沿いまして予算折衝をしたわけでございますけれども、国家財政の観点等からやむを得ず、先ほど政務次官からお答え申し上げましたような線でおりたという状況でございます。
  96. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私もそういうふうに、実は私学に私は関係しておるんですが、百三十数億の要求をしたのに対して、本年度はこういうふうで非常に不満のような意思を漏らしておったのですが、四十一年度には高校生がピークになりまして、大学受験とか、御承知のとおり、大学生の急増問題に、ちょうど四十一年度がピークだと思うのですが、四十一年、四十二年が。そういうことからしても、ますます私は私学は振興しなければならぬ、官公立の大学に行けない人は、やはりそっちに入るだろうと思うのです。大学生の急増問題に対しては、先般伊藤委員からも御質問があっているようでしたが、それに対して文部大臣の的確なお答えもなかったように私は記憶しております。これは責めるわけではないですけれども、よりより協議しているというような程度の御答弁であったと思うのです。当然これはわかっていることなんですから、一番ピーク時代に対する大学受験者の受験数予想ですね。これは大体二五%から二八%、九%くらいで、これは大体わかっているんだから、そういうところから算定されて、それに対する対策はどういうふうな対策を立てられるのか、よりより協議中だなんというのんきなことじゃあ、この前の高校急増対策のように私はうろたえなければならぬと思う。もう学生、児童でもことし小学校に入った者は何人いるんだ、それが十何年先にはどうするのだということは、そんなことは当然わかっていることなんだから、のんきなことを言わないで、もう少し的確なところをひとつ御説明願いたいと思うのですがね。
  97. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) お答えいたします。  四十一年から急増時期に向かうわけでございますから、昭和四十年度予算では最終的に措置しなければならぬものだと思います。で前に大臣からもお答え申し上げたと思いますが、四十一年の急増時期に、それではどれだけを国の責任において入学できるようにすべきかという立場に立って大ざっぱに言えば、検討中というふうになるのですけれども、その検討中のしかたなんですけれども考え方に二つあるのではないかと思います。一つは将来の日本の社会において、大学卒業生を要請する職場といいますか、そういう需要の面からいって供給をはかっていくという考え方が一点あるかと思います。そしてもう一つは、そうではなくて、現在の進学率というものを低下しないように、社会の進運に従って就学意欲というものは上昇するわけでございますから、その上昇するカーブもにらみ合わせながら、いまよりも競争が激化しないような形の収容を考えてやろうという考え方と、この二つがあるのではないかと思うのであります。実際問題としてこの所得倍増計画等の推進の過程においてどれだけの技術者が必要であるか、あるいは文化系統にどれだけの卒業生の社会的需要があるかといったような計算はなかなか的確にできにくいし、それを経済企画庁の判定を待って後に措置するということはなかなかまた時期おくれになるというおそれもありますので、そこで現在文部省がことしの秋までに結論を出したいという気持ちで措置しておる基本的な方向は、後者の段階、すなわちいままでよりも競争を激化させないような形で受け入れ態勢を準備するためにはどの程度の措置をしたらよろしいか、それはそれぞれの分野に分かれて措置しなければならぬと存じますが、いまその作業を進めつつあるところでございます。来年の予算の要求時期、すなわちことしの八月までにはその結論を得て、そしてまたそれについては国でどの程度措置するか、私学側にどのようにお願いをするか、その中には短大をどうするか、あるいは高等専門学校をどうするか、あるいは人文その他文化、理科系統に分けてどうするかといったようなことはなかなか相当な作業を要する課題でございますので、いま鋭意検討を加えておりまして、われわれの結論としては、八月中にその結論を得るような方向で措置をいたしたいということで準備をいたしておるところでございます。
  98. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それで幾らか具体的な話を承ることができたのですが、まあこの点についてはわれわれ苦い経験があるから申し上げておるわけなんですがね。高校急増対策なんかであんなに国をあげて騒がなきゃならぬというようなことがないように、なぜそういうことを申し上げると申しますと、これはやはり池田内閣は人つくりということが一枚看板なんだから、高等学校浪人が大学に行けなくてちまたにあふれるということになるというと、これは自然悪を求めて青い灯赤い灯を求めていくということは、これは当然のことで、そういうことをわれわれは憂えるから、官公私立ともに万全の対策を立てていただいて、そして教育の機会均等という意味から全部を収容していただくというようなことを憂えるから、実はそういうことをお尋ねするわけなんですね。その点はひとつ万全を期していただきたいと思います。  まだたくさん質問があるのですが、あとは割愛しまして、いま一つ最後にお尋ねしたいことは最近中学校教育において進学者と就職希望者、いわゆる進学組と就職組を完全に分離して、そして教育をしているというような姿が非常に多く見受けられるのですが、これは義務教育に反した差別教育という、ことばは当たらないかもしれませんが、そういうことが行なわれているようですが、これは根本的に教育方針というものを私は考え直す必要があるのじゃないか。あくまで今度義務教育は生活に即した人間教育であって、そういう秀才教育ではないのだから、御承知のとおり。ところが、そういうことが中学教育で行なわれている。こういうことに対して文部省あたりは地方教育委員会にまかせきりで、そして指導、補導、助言はなされないのか。その点ちょっと承りたい。
  99. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) 御指摘のような少し行き過ぎた傾向があるかもわからぬと思うのでございますが、それは御案内のとおり、新しい教育課程におきましてその生徒の特性と進路に即して教育が行なわれるように文部省が指導しておる。こういうことでございます。決して進学と就職というような形でこの選択教課がなされるということでなくて、個々の生徒の特性と進路とを十分考慮して適正に選択されるようにということにいたしておりますが、あるいは入学難といったようなことによって行き過ぎた進学教育といったようなものが出てくるようなことがあるのではないかと思いますが、その点については十分に指導、助言をして行き過ぎのないようにいたさなければならないのではないかと思います。どこまでも一方に基礎学力というものをつけるということ、一方に人間形成を果たしていくということ、この大命題の上に、その上にいま言った特性と進路に即した自主的な教育をやらそうという意図でございますので、足らざるところは今後十分に指導、助言いたしまして、行き過ぎのないようにはかってまいりたい。こう考えるわけでございます。
  100. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 時間がございませんので、大体私の質疑はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  101. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記とめてください。   〔速記中止〕
  102. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記を起こして。
  103. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 文部省の設置法で伊藤さんがずっとやられたわけですが、ひとつ定員の減るところ七十一名減、この問題についてお尋ねをいたしたいわけです。これは衆議院の内閣委員会の議事録もちょっと目を通してみましたが、七十一名減、この姫路城の修理工事が修了すると七十一名減るというわけですが、これは三十八年度で仕事が完了することになっておるわけですか。
  104. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 姫路城のこれは国の直覚の修理工事でございますが、この三月末をもちまして大体当初予定いたしました計画を終了いたしまして、三十九年度には若干残務処理的な工事を残しておりますが、一応三十八年度でほぼ完了するという状況でございます。
  105. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 三十九年度は予算はついておるわけですか。
  106. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 定員関係では八十八名のうち、七十一名が今年度末をもって削減されるということで、十七名の定員が三十九年度残ります。したがいまして、それの人件費、それから残務処理等に若干の予算がついております。
  107. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 三十九年の三月末で仕事がほぼ完了をする。そこでいままで八十八名いた者が七十一名減になる。そこで七十一名の、これはどうなるのかという点につきまして、これは衆議院の会議録を見てみますと、こういうふうになっているのですが、この七十一名減になるのだが、この内訳は十四名、これはどこかの役所の国家公務員になる。死亡者が二名おる、欠員が一名おる、計十四名。それから三十四名姫路城の管理のために姫路市で地方公務員になる。それ以外に八名が公務員として発令済み、それから九名が国宝重要文化財等社寺、これの修理の補助事業に回す、それから休職が三名、退職を希望している者が三名、こういう数字になっております。これに間違いありませんですか。
  108. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 七十一名の者が、三月末をもって一応定員上は減になるわけがございますが、これらの方々は、今日まで姫路城の修理に従事された職員でもございますし、それから今日のような状況、すなわち、工事が終わりますれば定員が削減されるという事態もあらかじめわかっておりましたので、私どもといたしては、これらの人々の国家公務員としての配置転換等を含めました就職あっせんということを、この一年来、非常に努力してまいったわけでございます。したがいまして、先ほど鶴園委員からおっしゃいましたそれぞれの配置先の数字でございますが、これは毎日々々就職あっせんをいたして、一日ずつ動いております。したがいまして、衆議院で御質問がありました時限においてお答えしたのはそのとおりでございます。しかし、本日は三月三十一日でございますが、今日までいろいろ努力いたしまして、さらに配置先がきまった方々もございます。したがいまして、御質問の点はそのとおりでございますが、より一そう今日の時限において詳細を申し上げたほうが、より一そう適切かと思いますので、簡単に申し上げさしていただきたいと思いますが、七十一名の内訳は、三十四名が姫路市に参ります。それから国家公務員等を含めまして、いままで発令済みの者もございますし、四月一日に発令して他の公務員にかわっていただく人もありますが、その人々が十九名でございます。それから補助事業を申しますのは、私どものほうで国宝重要文化財等の建造物の修理を国庫補助でやっておるのがございますが、そういった職場にあっせんする者が九名でございます。ただ、この九名の中には、六名の方は確定いたしておりますが、三名の方がはっきりそこへ行くということには、まだ御本人の承諾が得られておりません。で、その他すでに死亡された方が二、すでにやめられた方が一、それから今回のことで、もう公務員になるとか、あるいはその他の就職先に世話をもらわぬでもいいと、やめていくとおっしゃる方が三名、それから休職の者が三名ということで合計七十一名ということでございます。
  109. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 休職の三名ですね、これは十七名残るやつに入るのですか。
  110. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 御承知のように、休職者は一応定員外の措置ができますので、十七名の外数になります。ですから、休職者のほかに十七名の残留者があるということでございます。
  111. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 休職者は定員の外に置ける、そうですが、それははっきりしていますか。
  112. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 間違いないです。
  113. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこで、この補助事業というのは、どういう仕事をするのですか。
  114. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) これはいろいろの形があるのでございますが、一応予定いたしておりますのは、七十一名減になります方々を、できる限り私どものほうでは、いままでせっかく姫路城の修理をやっていただいた方ですから、これらの人の希望をできる限りかなえて就職先をあっせんしたい、こういうふうに考えまして、したがいまして、これらの人々がおっしゃいますのは、国家公務員ないし地方公務員で、しかも宿舎があるということ、それからそういうことでなければ、幾ら国家公務員でも宿舎がない、自宅から通えない、そういう遠い所には行けないというようなお話でございます。したがいまして、私ども、自宅から通える場所、あるいは自宅からは通えないが、宿舎がある場所の公務員をごあっせんしたのですが、しかし、全員の方々のそのような御希望に沿えないということで、姫路の自宅から通えるところの補助事業ということで、具体的に申しますと、広峰神社というのと、円教寺という社寺がございます。これを国が補助金を出して、三十九年度から修理いたしました。それの大工の方には大工職をやっていただく。その他とび、土工の方はそれに近い仕事をしていただくという予定でおります。
  115. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは雇用主はだれになるのですか。
  116. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 一応形式的には、その社寺が工事をするという形をとっておりますので、形式的には社寺でございます。しかしながら、実質的にはその社寺の修理のために出される予算額よりも、国なりあるいは地元の公共団体が出す補助金の金額のほうが多いわけでございます。したがいまして、形式的にはその社寺がされるのでございますが、予算的にも、また実際の修理の指導も、これは国が相当関与いたすような形になっております。
  117. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうすると、これは公務員じゃなくなるわけですね。
  118. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 形式的には公務員ではございません。
  119. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私はよくわからないのですが、いまの修理事業というのは国が金を出し、自治体も金を出す。これは社寺自身も出すわけですか。
  120. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) これは一般学校建築等も同じでございまして、国が補助金として、学校のように三分の一とか二分の一といった定率ではございませんが、一応その所有者負担原則で所有者が持たれる。しかし、実質的には国が補助金を出し、また、地元の市町村も補助金を出すという形になっております。
  121. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは職場としては相当安定しておるのですか。
  122. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 私どもといたしましては、やはり今度減員になります方々の職種がほとんどが大工、とび、土工といったような労務者の方々でございます。したがいまして、職業が安定しておるかというお尋ねでございますが、私ども考えといたしましては、いままでやっておられたような仕事ができる、それから給料もいままでもらっておった給料よりは上がっても下がるようなことはしない。自宅から通える場所というようなことで、まあ常識的には——形式的に公務員ではございませんが、実質的には公務員あるいは考え方によってはそれに劣らない職場であろうかと思っております。
  123. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私の伺っているのは、そういう面もありますけれども、もう一つ、何年ぐらい続くものか、簡単に終わるものなのか。姫路城は相当長くかかったのですよ。十年ぐらいかかったのではありませんか。これは相当長く続くわけですか。
  124. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 私あまり厳密なところをはっきり覚えていないのですが、大体いま申しました四月一日からすぐにでも行っていただくために、話し合いの済んだ人、あるいはそのようにおすすめしている人の行き場としての広峰神社、円教寺、これは大体三年ぐらいであったと思います。ただ、三年たちまして、三年たったからさようならというわけではございませんで、この場所ではございませんが、次にまだ他の場所にも補助事業は続いておりますので、御希望がございますればそちらにまた将来お世話してもいいのではないかというふうに考えております。
  125. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この文化財保護委員関係で七十一名減、そうして平城宮社ですか、ここが二十一名増加するわけですね。この平城宮へ行かれる、あっせんをする人はいないのですか。増員するのですか。ここへ行く人はいないのですか。
  126. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) お尋ねは、姫路城の今度減員になる職員が平城宮に配置がえで行かないのかという御質問と存じますので、そういう意味でお答えいたします。実は、平城宮社の発掘調査の増員が、これは奈良の文化財研究所でございますが、二十一名の増員が四月一日から認められる予定になっております。ただ、この二十一名は、いわゆる大学で考古学ないし歴史等を勉強された人が発掘調査調査員、研究員的な仕事をなさる人がほとんどでございまして、ただ二名だけが守衛ということになっております。したがいまして、私ども当初大工、とび、土工の姫路におられる方々が、御希望であれば守衛にごあっせんしようかというふうに考えたのでございますが、これらの方々は国家公務員であっても、そこに宿舎を提供してくれないと困る、そうでなければ自宅から通えるところでなければ行けないのだというお話がございました。それと、それとは別に奈良の研究所のほうでは、ここ五、六年前からあの地元の方々を毎年五、六十名ばかり、これはほとんど一年完全にフルに働いているわけではございませんが、ほぼ一年間フルに働いてもらっておるんですが、いわゆる人夫として働いてもらっています。で、これらの人々は自分らも長年人夫として働いておるのだ、定員がつくんなら自分らから優先的に定員にすべきだ、守衛などが定員につくのなら自分らの中から守衛にしてほしいというような御希望が姫路とは別の問題としてございます。まあそういうようなことから、ここには家もございませんし、また一方においては、地元の人々がそれほど希望をしておられるところへ無理々々姫路の方を配置転換するというのはいかがであろうかというような考えから、現実の問題としては、ここは姫路の方には配置転換を考えておりません。
  127. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこの点に少し問題がありそうに思うんですが、いま事務局長答弁にありましたように、二十一名ふえるんだと、二十一名増加するんだが、その中は部長が一名で研究員が十七人だと、そして技官が一人、それに労務職員と書いてありますが、守衛さんが二人、これでちょうど二十一人になるわけですね。そうすると、これはあと実際いま働いておる人の中から定員に繰り入れるという余裕は全くないということになんるでございますか。あるんですか。全然ないということになりますか。
  128. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 先ほども申しましたように、姫路の方々はほとんどが労務者でございます。したがいまして、平城の二十一名の定員のうち配置転換でできるのは、先ほど労務者とおっしゃいましたのは、実態は守衛でございますが、その守衛しか、姫路の人がかりに行きたいと言ってもその行けるポストは平城では二人の労務者しかないということでございます。ところが、その二人は、結論的には、姫路の人を配置転換しなかった理由は、先ほど申し上げたような理由によりまして配置転換をしなかったということでございます。
  129. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま事務局長お話を伺っていますと、すらりと理解できるわけなんですがね、ところが本来同じ保護委員会の中で、姫路では七十一名減る、そしてすぐそう遠くない奈良では二十一名増加するんだと、それでは七十一名の減の人たちをあちこち就職あっせんするよりもこの二十一名ふえるところに回したほうがいいじゃないかというような理屈が出てくるわけですよね。いまおるという定員を首切って新しく雇うということになると何か本末転倒したような話、いまおる者は首切って定員やめてもらって、そのほかによい仕事をあっせんして、そしてあとはふえるところは別な人を新しく採用するというようなやり方は、何か本末転倒したような印象を受けるのですが、実際問題として、この姫路におる七十一名の減になる人たちは、そういう認識を持っておるんじゃないでしょうか。よくその点は承知しておりますか。
  130. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) これは数字だけ見ますと、片一方が七十一名減って片っ方が二十何名ふえる、同じ国の職員ではないかということで、数字だけを見ますと、鶴園先生のおっしゃるような理屈も成り立つかとも思いますが、実態は国といたしましてやりかけた仕事がそこで完了する、で、別の場所に仕事ができる、その場合に完了するところに働いておられる方々が、そのまま行けるような内容仕事であれば、これは当然そのようにすべきだと思います。しかし内容が、先ほどから申し上げておりますように違うわけでございます。したがって、予算的にも姫路でやっておられる方々の職種内容は、とび、大工、土工、こういった行(二)の労務者の方々がほとんどでございます。ところが、今度ふえますほうの奈良研究所のほうの増員の内訳は、これは研究職のいわゆる大学院等を出ました者、まあ若くても大学の学部を出た人でなければできないような職務内容でございます。したがいまして、私ども鶴園先生のおっしゃいますようなことも考えたのでございますが、どうしても減員になるところの人をもっては、増員になるところの仕事ができないという実態がございますので、そういうことは姫路の職員にもるる説明して、まあ了解につとめているわけでございます。それでまあ姫路の方々も、とび、大工、土工あるいはその他の行(二)のような職種内容のところがふえるのなら、まあいろろい御意見もあろうかと思いますが、そうでもございませんので、大体御了解いただけて、私どもがあっせんいたしましたいろいろな場所に行っていただけるように、了解されたものと思っております。ただ数名の方は、まだはっきりしたことをおっしゃっておられない状況でございます。大部分の方々はまあ御了解いただいているわけでございます。
  131. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この新しく平城宮でふえる二十一名というのは、私が先に読み上げたような、部長が一名で研究員が十七名、技官一名、それで労務職員というのはおかしいですが、行(二)の人が二人、これに間違いないわけですね。
  132. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) そのとおりでございます。
  133. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほど事務局長お話を承っておりますと、一年以上引き続いて実際労務者の人が働いている。その人たちが自分らを、新しい人間がふえるのなら、定員にしてもらいたい、こういう気持ちもあるのだというような話が出るものですから、そうするというと、二十一名の中には相当数の行(二)の職というのがあるのじゃないか、そうすれば姫路のほうから転勤させてもいいのじゃないか、こういうふうに感ずるのですよ。この中見てみるというと、内容はそうじゃないのですね、どんぴしゃり守衛さん二人しかいないということになるわけですね。
  134. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 私が先ほど申し上げましたのは、あるいはことばが足りなかったかと思いますが、二十一名の中にいわゆる行(二)——実態は守衛でございます。これが二名定員がつくことになっているのですが、そういう定員がつくのであれば、自分らは長年地元で発掘調査の手伝いもしておったし、五、六年公務員と同じような仕事もしておったのだから、よその人をとらないで、その二名の守衛には自分らの中からしてくれないかという希望でございます。
  135. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう一つ奈良研究所、これはいま二十九人定員がある、で、そのうちの十五人は発掘調査に従事している、その十五人の問題はどうなんですか。これはこの十五人の中には姫路から持ってこれないわけですか、これは満ぱいになっておりますか。
  136. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) これは現実に人がおって、これも研究員でございますが、現実に人がおって働いているわけです。それでは足りませんので、今度研究員をある程度大量に増員するということでございます。で、この平城のほうはこれは内閣委員会でなくて文教委員会等ではいろいろ御質疑が出ておる問題でございますが、この平城宮跡の発掘調査が当初の予定によりますと、まあいまのような形で掘っておったのでは五十年もかかるのだ、そういうことではこれはいけないから、できる限り早く発掘調査をすべきだというようなこともございまして、今回のような増員を見たわけでございます。
  137. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 結論として姫路城が仕事が終わって七十一名減員になるのだが、その中から平城宮社のほうに行きたいという希望を持っている者がいるけれども、事実上の問題としてこれはできないということですか。
  138. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 結論を先に申し上げますと、できないわけでございます。ただ姫路から平城に行く希望者があるかどうかということを、実は私のほうは一月ころでしたか、姫路の職員にただしました。ところが、先ほど申し上げましたように、自分たちは国家公務員ないし地方公務員で、しかも自宅から通えるか、さもなければそこで宿舎を提供してくれるところでなければ行けないということで、一月末ころか二月初めだったと思いますが、希望者はないというふうに了解せざるを得ないような意思表示があったわけでございます。しかしその後、私どもがそういうことも考えましてその守衛の二名を予定したわけでございますが、まあ最近になって平城でもいいというようなことを言っておられる方があるやに聞いておりますが、結論を申し上げますと、以上のような経過で、現実にはもう姫路から平城には行く余地がないということでございます。
  139. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私のところに手紙が来ておるわけです。それで問題は、姫路から平城宮のほうへ行きたいのだと、こういう意味ですね。それはいまお話のように、定員関係からいくとできないということになるわけですね。そこへちょっと住宅問題がどうだとか、中にいま働いている者を定員化しなければならぬとかいうようなよけいなことがつくものだから、何かあいているんじゃないかという感じがある。そうじゃなくて、この定員を見た場合には、ここに移れるという可能性はないということですか、どういう意味ですか。
  140. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 結論を申し上げますと、そのとおりでございます。入る余地はございません。
  141. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 当初二名ほど平城官のほうに持っていこうというふうにされたのは、この守衛の問題ですか、二名ほど持っていこうというふうに話をされたようですけれども、それは守衛さんの問題ですか。
  142. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 実はいろいろいきさつがございまして、大工さん、あるいはとび職の方、こういろいろ姫路にはおられるわけなんです。できる限りこういう人に、特に大工の人等は、いろいろ平城でも小屋をつくったりしますので、大工仕事もございます。したがって、実態は大工のようなことをしてもらいたい、しかし、定員的には予算上これは守衛ということになっておりますので、守衛と大工と両方ができるような意味で人選をいたしたことはございます。ところが、先ほど申し上げましたように、宿舎がなければ行かないという話がございましたので、これはそれほど無理をしてとる必要もない、片方には地元で希望者もあることだからということでとらない。それから平城の二名は奈良の地元からとるという方針を決定したわけでございます。その後またいろいろ御希望が出ておることは先ほど申し上げましたように、あるようには聞いております。
  143. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私、いまいろいろ内訳を見て感ずるのですが、結局問題はこの二名ですね、要するに、守衛さんという名前になっているこの二名。そうすると、二名の者がそこへ行きたいと思っているの、だが、住宅がないと困る。その住宅なら、わしは大工だ、大工ですよ、みんなこれ。大工だから廃材が何ぼでもあるだろう、簡単にわしがつくる、住宅くらいは、こういう考え方があるわけなんです。それはどうなんですか。
  144. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) それぞれの人々が内心どのようなお考えを持っておられますか、私のほうはよくわかりませんが、ともかく先ほど来申しておりますように、場所だけでは行かないのだ、ともかくそこに研究所が宿舎を提供あっせんしてくれなければ行かないのだという意思表示が、全員に希望をとったわけでございますが、そのときそういう意思表示が一月末ごろあったわけでございます。これは平城に限りませんで、いろいろな国立大学に姫路の職員をとってくれないかということをお願いいたしまして、東京あたりの大学でもそれほど困るならとってもいいという話はあったのですが、そういうことも姫路の職員に申しました。ところが、東京へ行っても、宿舎がなけれぱ行かないというような話がございまして、いま平城のことだけおっしゃいますが、平城以外に国立大学でいろいろあっせんしたところを、あの人々は宿舎がないということで断わられたわけでございます。
  145. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣見えたですね。そうすると問題は、この補助事業に行く六名、この中の三名がまだ承諾をしていないということでありましたが、この問題にしぼられるように思うのですが、そこで大臣、衆議院の三月の十二日の会議録を見ますと、石橋委員大臣に対しまして、この姫路の問題についての最後の質問をしているわけですね。それによりますと、石橋委員の質問は、つまり就職をあっせんしたり、その国家公務員地方公務員にあっせんをしたりすることによって実際職を失う者がないということ、それから給与は現状を保障するのだということ、こういう質問をしておるわけですね。それに対しまして灘尾国務大臣は、三月末までに責任をもって就職をあっせんいたさせる、その場合給与等についても現給より下がるようなことはしないようにする、こういう大臣の発言なんですが、そこでいま当の問題を事務局長にお尋ねをしてきたわけです。そして最後に残っております者はこの補助事業に行く六名、でその中の三名が承諾をしてないというのでありますが、きょうは三十一日であります。大臣のおっしゃった三月末までに大尉として責任を持って就職のあっせんをすると、こういうことでありますが、しかしながら、これは相手のあることでありますから、就職をあっせんしたいと思ってもそこはいやだということで残ることもあると見なければならないのですが、きょうは三十一日、こうなっておるわけでありますが、一体この三人はどうなるわけでしょう。これは事務局長でまだいいです。この三人の問題はどうなるのですか。
  146. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 先ほど来しばしば申し上げておりますように、私どもはできる限り姫路の職員の希望に沿う職場に責任を持って、誠意を持ってあっせんしようという態度で今日まで臨んでまいりました。ところが、先ほど来申しておりますように、国家公務員ないし地方公務員でしかも自宅から通勤できるか、さもなければそこの大学で宿舎をあっせんしてくれなければ行けないという原則のようなものがあるわけでございます。で、そこまでおっしゃいますと、先ほど申しましたように、自宅から通勤できるといってもそうたくさんございませんし、東京なら大学はございます。したがって、公務員になれます。しかし、御本人は家がないから行かないというようなことで補助事業を、先ほど鶴園先年六名とおっしゃいましたが、実は私先ほど九名と申し上げたはずですが、九名補助事業をあっせんいたしました。それは公務員ではないが実質的には公務員のようなもので、自宅から通うこともできますし、また、宿舎をあっせんせいとおっしゃるならいたしますということで、円教寺、広峰神社というところをいまあっせんしておるわけでございます。九名のうち六名の方はそれで了承された。ところが、三名の方は自宅から通えてもこれは公務員ではない、だから公務員でしかも自宅から通える、宿舎のあるところをあっせんせよとおっしゃいまして、どうも完全にあの人々の御満足のいけるところまでなっておりませんので、まだ三名の方が了承されていないのですが、やはり私ども責任と誠意を持ってごあっせんしておるのですが、完全に一〇〇%御満足のいくというところはちょっとむずかしいので、その他の人々が承諾されておるのですから、残った三名の方も多少歩み寄ってくだされば、私どもの誠意と責任をもってあっせんするという期待に沿っていただけるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  147. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 事務局長はじめ委員会の方々が、この問題でいろいろ努力してこられておるという点については私ども承知しております。いまお話のように、九名——私間違えまして、九名が補助事業に行く、その中の六名は決定をしておる、承知をしておる、三名がまだ承知をしていないということでありますが、やはり事務局長としても問題は残っておるというふうに判断をされるだろうと思う。それは文部大臣答弁にもありますように、三月三十一日までの間に、本日までの間にそういう処理をしたいということで努力してこられたのでしょうが、三名が何となく残ったという、本日で定員が切れるわけですが、四月一日から定員がなくなるわけですが、その場合にこの三名は国家公務員法の七十八条第四号によって分限免職になるわけですか。
  148. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) そのとおりでございます。
  149. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこで、形としては残った。努力をしたけれども残った。残ればこれはきょうこの法案が成立するということになれば明日から定員がなくなる。そうすれば国家公務員法の七十八条の四号によってこれは分限免職、こういうことになるわけですね。そうするとどうでしょうか。それで、もう万事終わるのですか。
  150. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) これは法律的には定員が改廃になりましたし、過員ということになりますので、形式的にはこの七十八条四号によりましてそういう免職の扱いをいたさざるを得ないと思います。ただ私どもとしましては、法律が通ったからもうそれで万事終わったのだというふうには考えておりません。この人々がまだ、法律は通りましても私ども先ほど来申しております補助事業をつくりまして、そこに来ていただくような仕事もございますし、待っておるわけでございます。ですから法律が通ったからもう話は終わったというようなことではなくて、できる限り法律とはかかわり合いなく今後もお話し合いをして就職あっせんに応じていただければ誠意を持って当たりたいと思っております。ただこの人々が法律が通りました暁どのような態度に出られますか、そういうことを見ませんとわかりませんが、気持ちとしては続いて就職に応じてくださるならお世話もしたいというふうに考えております。
  151. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは大臣のこの衆議院の三月十二日の言明にありますように、三月三十一日までにいま問題になっておりますようなことをひとつ片づけようということだったわけですね。ところが、遺憾ながら三十一日になった。いまの事務局長答弁にもありますように、三名というのがまだ意見が一致しない。で、あす分限免職になるわけですね、この三名は。しかしながら、それはまあそうだからといってそれっきりで終わるのではない。できるだけのやはり就職あっせんはやっていきたい。また、仕事も待っているのだというような事務局長の話で、大臣としてはそういうことで、この答弁と食い違ったような印象を受けるのですが、どういうお考えですか。
  152. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私としましては、三月三十一日に全部就職を見るというところまで至らなかったことは残念に思っております。われわれとしましては、この問題につきましては誠意を持って努力いたしたつもりでございます。相当な就職先を見つけまして、そうしてそれに就職せられるように話をしたわけでありますが、遺憾ながらどうも聞いてもらえない。そういうことでやむなくこのような状態になったわけであります。われわれとしましてはまことに残念に思っております。しかし、どうしても御本人が聞かなければ何ともしがたいことですし、さらに法律上の問題としてはいま事務局長の申したとおりに思いますが、われわれとしましてはなおできるだけの努力はいたしたいと存じております。願わくば該当者の諸君もひとつこれに対しまして、やはり相当なところであればわれわれあっせんに協力していただきたいと、かように存じております。
  153. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 衆議院の文部省設置法が通ったあと、事務局から聞かれたようでありますが、そうして二十三日の日になっておりますが、この三名につきまして生糸検査所、これは農林省ですね。それから第三港湾建設局、これは運輸省ですね。それと県の教育委員会、こういうところにあっせんをされたようでありますが、これはだめだったということになるわけですね。事務局長いかがですか。
  154. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 私のほうでは、実は建造物課長と同補佐が姫路にきょうも行っておりますが、その三名の方々が自宅から通えても補助事業では御満足いただけないということで、いま鶴園先生がおっしゃいましたような職場を二人でかけ回らせたわけでございます。きょうもまた行って、そういうお願いをしておるわけでございますが、いずれもそれでは受け入れてやろうとおっしゃっていただくところがあのかいわいではないわけでございます。
  155. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この九名の人が補助事業に行かれるのですが、その中の六名が確定しておって、この六名というのは当初ですね、補助事業には相当年配の人に行ってもらう、六十前後の年配の人に行ってもらうということでやっておられて、この九名の中で承諾しておる六名というのはわりあいと年配の人じゃないんですか、残っているのはわりあいとまだ壮年というか若いという気がするんですが、どうなっておりますか。
  156. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 私ども公務員の場合、まあ六十歳以上といいましょうか、六十歳近い方は、大工さんが大工さんとして行かれるならそういうところもあるわけでございますが、公務員として大工を、ぜひとりたいからというようなところも少のうございます。したがいまして、同じ行(二)で、大工ではあるが守衛になっていくとか、あるいは用務員になっていくとかいったような、いわゆる行(二)の職種の範囲内での配置転換をお願いするわけです、が私のほうは年をとっておってもおらなくても差別をする気持ちはございませんが、やはりとるほうとしますれば、少しでも若い人がいいという考えがございます。そういうような関係で、できる限り公務員でとっていただけないときは補助事業に回そう、そういう場合に一般論としては勢い年をとった方が補助事業に行かざるを得ないであろうという考えはございます。それでいまおっしゃいました六名が全部というわけではございませんが、お説のように、年をとった者が多うございます。
  157. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは三名の問題というのは、これは本人承知しないというのが、合意ができない、両方の話が合わなくてこのまま残るというのは、法案があがる際に私どもとしましてもはなはだしく、この法案を審議する者としまして非常に不安を覚えるわけですね。大臣も衆議院で答弁をなされた。そのときは三月の十二日ですからだいぶあります。その間事務当局は非常に努力せられたわけであるけれども、しかしぎりぎり一ぱいの今日になってみますと、どうも引っかかっちまうのですね。ですからこれはやはり今後、事務局長のほうでもそうですが、これは相当のやはり努力を願わないというと、私どもとしては、この法案を審議する者としては、不安を感ずるわけですね。今度かかっております文部省の設置法の場合は、定員の増で、あそこもふえる、ここもふえるということで非常に努力されておられる。減りますのは、ただ減りますところが一カ所、姫路城ということになっているわけでありますが、このふえる分について私どももいいことだと思っておりますが、減る場合にわずかに三名という数字でありますけれども、しかしながら、この問題が、法案があがりますときに残るという点については、私非常に不安を感ずるわけなんです。ですからこの問題についてどういう考えを持っておられるのか。先ほど大臣答弁もございましたが、それから事務局長のほうからも答弁がございましたが、そうするとやはり責任を持って御努力をいただきたいというふうに思うのですがね、いかがでしょう。
  158. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先ほどお答えをいたしましたとおりでございまして、われわれとしましては極力就職あっせんに努力するつもりでございます。まあ問題は、ただ相手方のあることでありますし、また、御本人がそれで満足せられるかどうかという問題もありますので、こちらがいいと思ってお話をしても受け入れてもらえないということでは、なかなか片づかないと思います。私どもとしましては誠意を持って努力するつもりでおります。
  159. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう少しこまかいことを伺いますが、この三名の者は国家公務員法の第七十八条の第四号にいう、現に第四号に該当するというふうに見ておられますか。
  160. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 私のほうは七十一名が減員になります。その場合に、七十一名が具体的には姫路の仕事がなくなって、姫路の仕事に従事しておられる方が該当するわけですが、まあ厳密にその三名の人とその他の人とどうやって分けるか、三名の人がなぜ七十八条第四号に該当するのか。これはけさほどの現地からの電話によりますと、その他の人々はみな辞職願いを出されたそうであります。したがいまして、大体合意に達しまして、それならあっせんした就職先に行こうということで辞職願いを出していただきました。ただ三名の方は辞職願いを出していただいていないということでございますので、やむを得ませんので、七十八条四号で「官制若しくは定員の改廃」で過員を生じたということで発令せざるを得ないというふうに考えております。
  161. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 辞職願いを出した人は、これは国家公務員法の退職のあの普通退職になるわけですか、第三条の普通退職になりますか。
  162. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) これは私どものほうといたしましては、姫路につとめておられる方々は、一般の五十歳以上で二十年以上つとめたといったような場合に、特例として退職のときに特別昇給ができるといったような規定がございますが、そういうふうに二十年もつとめられた方々はございません。したがいまして、分限免職の場合等で特に成績優秀な人は特別昇給ができるというような規定もございますので、辞職願いをお出しになられましたけれども、実質的には過員を生じてやめていただくというふうに考えられますので、できる限り優遇的な措置を講じたいというふうに考えております。
  163. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この姫路城の場合においては七十一名減員をするのだが、平城宮の場合には二十一名ふえるということになるわけですね。これは保護委員会としての定員として組んであるわけですが、中身はそうなっているのだけれども——まあこの三人の人が現に七十八条の四号に該当するかどうかという点については問題もありますが、ただ、現実の問題として、どうもこっちにも行けない、あっちにも行けないということなんですよ。そうすると、三人残ってしまった、どうも引っかかってしまいますね。これは分限免職ということになると、これはどうしますかね、事務局長
  164. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 三名残りました人の措置につきましては、先ほど大臣のほうからお答えがあったとおりでございますし、私ども誠意を持っていたしたいと思っておりますが、ただ先ほど申しましたその他の三名以外の方々も、辞職願いを出されてみんな気持ちよく笑って別れようということになったようでございますが、これらの方々も全部理想どおりで勇躍してそれぞれの職場へ出て行くのではないと思います。まあ人によりましては、しょうがない、減員になったのだから、このくらいな就職先で満足しようかというような、まあ私どもから申しますと、私どもも誠意を持って就職あっせんしている、あの人々も一〇〇%満足ではないが、多少は私どもの誠意にこたえて歩み寄ってくださるという形があったと思うわけであります。したがいまして、これらの残された三名の方々も、その他の方と同じように多少私どもの誠意を認めていただいて歩み寄っていただければ、何か措置ができるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  165. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 あまりこの問題で時間をとりましても何ですが、しかし、当委員会としては、定員を扱っている委員会としては、これをこのままというわけにもなかなかいかないわけです。したがいまして、これは、ほかの人は辞職願いを出した、三名の人は意見が合わないのでまだ辞職願いを出していないということになるのですが、ぜひひとつ大臣もそうですが、大臣におかれましても、事務局長の立場からも、この問題については感情を含めないで一そうのひとつ努力をしてもらって、ぜひほかの人たちと同じようなことになるように強く要望いたして、あと大臣の時間の都合もあるようでありますし、また、千葉委員の質問もございますので、終わりたいと思います。
  166. 千葉信

    ○千葉信君 私はこの際、灘尾さんに質問をしたいと思います。私の以下質問する内容は、国家行政組織法という法律の条文に関する問題です。おそらく印象としてはずいぶんこまかい法律のすみをほじくった質問だと思うかもしれません。これは職員団体との会見の問題で、どこにどういう政治的な理由があるか知りませんけれども、たてにとっておられる法律解釈については、かなり非常に厳格な解釈灘尾さんがとっておられます。そういう意味で、これから私が質問する内容は、灘尾さんの教えた手を私が逆に使えるものですから、そのつもりでひとつ答弁してもらいたいと思います。  まず第一ににお尋ねしたいことは、在来文部省の中にありました、たとえば騒音対策協議会等六つの文部省の中にありました附属機関を、昨年の十二月二十八日に、いずれもこれを同じ日に廃止をされたようですが、その廃止の理由をまずここでお聞きしておきたいと思います。
  167. 蒲生芳郎

    政府委員蒲生芳郎君) 昨年の通常国会におきまして、千葉先生から八条機関によらない協議会等について、これはこの行政組織法の違反ではないかという趣旨の御質問、御意見がございまして、当時の荒木文部大臣は、よく検討した上でそういうまぎらわしいものがあれば次の国会に何らかの措置をいたします、こういうふうに答えておったかと思います。で、実はこの六つのそれぞれ協議会、委員会等につきましては、三十八年度の予算なりあるいは事業が予定しておりましたので、できるだけ早く予定されたそれぞれの協議会等の仕事を終わりまして、そうして一斉に早く終わったところもありますし、おそくまでかかった協議会もございますけれども、これは大臣裁定で実はつくった協議会等でございますので、この大臣裁定を一斉に廃しまして、協議会を廃止した次第でございます。
  168. 千葉信

    ○千葉信君 国会における私の意見等の経過等にかんがみてというお話ですが、そういう点も根拠になったのでしょうが、もう一つは、三十六年の四月十二日、この問題に関して行政管理庁から各省庁に対し通牒が出ております。この通牒によりますと、文部省のこの廃止された機関等は明らかに抵触をしております。明らかに抵触しておる。ところが、私の了承できない点があるのは、この行政管理庁の通牒が出た三十六年四月十二日以降に、いま廃止をされたという六つの協議会と別にこの通牒以後に二つ設置された。一つは学外実習中央連絡協議会、これは三十六年六月二十七日、通牒以後です。それからもう一つは騒音対策協議会、これは三十六年の八月一日。この文部省の態度というのは、この通牒を受け取っておきながら、その以後においてこういうものを設けたということは実にけしからぬ態度だと私は思うんですが、その点は文部省としてはどう釈明されますか。
  169. 蒲生芳郎

    政府委員蒲生芳郎君) いま先生指摘の三十六年四月十二日の行政管理局長からの通達でございますが、その中におきまして、御承知のように、「国家行政組織法第八条の審議会、協議会は合議制の行政機関として委員個々の意見とは別個独立な機関意思を決定することが所掌事項として定められているものであるのに対して、いわゆる懇談会等は個々の個人の意見を聞くのみで行政機関(行政組織内の単位)として意思の決定を行なわないものであるというのが」云々ということがございまして、実はこの当時の考え方といたしましては、その独立な機関意思を決定するものではないという考え方に立ちましてこの協議会を設置した、かように存じております。
  170. 千葉信

    ○千葉信君 そんなごたごた弁解しちゃだめだよ。この問題については、この委員会で、この通牒を出した行政管理庁を呼んで、この通牒の内容についてももっと突っ込んだ質疑が行なわれている。もう話はわかっているんだ、この通牒の内容について若干問題があることは。ただあなたいまこの通牒の二番目か三番目の内容について、何か文部省のやったことが間違いでないような答弁をされましたが、それならなぜあわてて去年の十二月全部廃止したんですか、おかしいじゃないですか。
  171. 蒲生芳郎

    政府委員蒲生芳郎君) 実は、当時はそういう考え方でつくられたものと思いますが、しかし、八条機関の協議会等とそれからいま御指摘になっております協議会等が非常にまぎらわしいものであるということを検討いたしました結果、文部省でもそれを認めまして、それで早急に廃止をしようと。ただ、先ほど申し上げましたように、予定されたやはり作業、仕事が残っておりましたので、それをやった上で一斉に廃止をした、こういう次第でございます。
  172. 千葉信

    ○千葉信君 きょうはあまりのんびりと論議をしている時間の余裕がないようですから、私はこの程度で先へ進みますが、いまの答弁だけでは済まない問題なんです。それは何かというと、文部省の設置法施行規則というのがあります。その規則の十四条に「史料館に評議会を置く。」という一項がある。それからもう一つは、第二十二条には「(国民体育館の評議会)」という附属機関があります。これどうして十二月二十八日に廃止の措置を講じなかったんですか。これのほうは法律違反の疑いなしという判断で残されたのですか。
  173. 蒲生芳郎

    政府委員蒲生芳郎君) ざっくばらんに申し上げますと、実は文部大臣裁定でできております文部大臣の所管のこうした協議会等につきましては検討して、これは附属機関とまぎらわしい点があるということで廃止をしましたのは、いま申し上げたとおりでございますが、そのほうに実は気をとられておったということが一つ、それからこれは弁解がましくなりますけれども、この史料館あるいは国民体育館に置かれている評議会は、文部大臣の相談機関として相談に応ずる協議会というものでございませんで、それぞれの官庁が、その館の運営について専門的な方たちの意見を徴しようとしたものでございましたので、御指摘のような八条機関にまぎらしいものとは考えなかったという点と、二つありまして、実は見落としておったわけでございます。この点につきましては、あとから私ども気がつきましたので、これはごく近い機会に廃止いたしたい、かように存じております。
  174. 千葉信

    ○千葉信君 ただいまの答弁大臣よろしゅうございますか、間違いに気がついたので、近い機会に廃止したいという官房長答弁ですが。
  175. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 実は私もざっくばらんに申し上げますと、いろいろ文部省関係のこの種の機関につきまして、問題があるということを伺いまして、私はどちらかというと、きちょうめんにやりたい、だからそこであまりあいまいな性格のわけのわからないのを持っておって、かれこれ御批判を受けるということは、避けるべきだというので、問題をひとつ解決するようにしたらどうだと、実は私が申したのです。そういうこまかいことは実はよく承知しないで、いままで懸案になっております。ことに千葉さんからいろいろ御指摘を受けておりますような問題について、あいまいなものはひとつはっきりしたらよかろうということで、整理をしてもらうつもりでおったわけでございます。最近のことでございますが、こういうものが残っておるということを伺いまして、私としても不本意であります。したがって、官房長が申しましたように、近く何らかの処置をとりたいと思います。
  176. 千葉信

    ○千葉信君 もう一つあるのです。それはいま申し上げた二つと、これは大臣の訓令等で設けられた機関ですが、昭和三十一年の四月十七日の閣議決定で、文化財保護委員会国立劇場設立準備協議会、これも内容等からいいますと、明らかにもう国家行政組織法第八条に抵触する機関なのですが、これに対してはどうされますか。
  177. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 国立劇場設立準備協議会につきましては、相当古くなりますが、三十一年の閣議決定で、こういう協議会をつくりました。これは当時国立劇場の建設につきまして世論もございましたし、これを国でつくるとなります場合、その性格なり、規模なり、そういったような準備的な事項については、国が独自できめないで、広く関係者の御意見等も聞き、また御協力も求めたい、こういう趣旨でこの準備協議会が設けられたものでございます。それからこの劇場の設立につきましては、ただ文部省文化財というだけでなくて、他省にも関係するところが非常に多うございますので、初の国立劇場として政府全体の支持を受けて準備を進めるといったような必要性もございまして、閣議にはかりました。ただこの協議会は国、家行政組織法にいいますように、法律の定めるところにより設置する協議会になっていないのは、まことに遺憾に存じております。ただこの協議会は、つくりましたときに、いまから見ますと非常に長くなりますが、当時は今日まで長いといったようなことも考えませんで、国立劇場の開設されるまでの暫定的な機関というふうにも考えたようでございますし、また、他の一般の審議会のように、審議会として組織としてのお考えをいただくというよりも、いろいろ委員のような方をお願いしておいて、必要なつど適当な方々の御意見を聞いていくといったような、運営もそのほうが現実に即するのではないかといったような考えもあったようでございます。したがいまして、他の一般協議会や審議会と違ったような考えもあったようでございますが、一応国家行政組織法の規定するところから見ますると、まことに遺憾なことだと存じております。ただ国立劇場も、御承知のように、いよいよ三十九年度から建築にもかかりますので、ほぼこの協議会の、形は協議会でございますが、いろいろそのつどそのつど御意見をお聞きしても参りましたし、早晩この協議会の目的も達成される日も間近いのではないかというふうにも考えておる次第でございます。
  178. 千葉信

    ○千葉信君 あなたの答弁を聞いておると、質問に答えているのではなくて、単に付属機関についての、特に準備会についての必要の場合とか経過だとかをごたごた並べるだけで、質問のポイントには正確に答えていない。これはそういう態度は文部省みずから文部省設置法が時間切れになってもかまわぬというかっこうで、審議の引き延ばしをやってるような態度に、ぼくのほうでは判断せざるを得ない。私の聞いているのはそうじゃなくて、この協議会は閣議決定で設けられ、そして必要がどうあろうと、これは本来国の機関をどういう形で設けるかということについて、はっきりした基準を示して行政組織法に違反しているという存在だから、したがって、これはそこで弁解がましいことを言うよりも、さっきの二つの問題で言われたように、なら遺憾だと、そして法律に触れているという疑いがもしあれば、それは法律に切りかえるとか、もしくは廃止するとか、そういう点を簡明率直に答弁しなさい。よけいなことをあとからあとからと議論するつもりはないのだから。
  179. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 閣議決定に基づきました事実上の機関として運営いたしておりますが、国家行政組織法の規定法律の定めるところによりという形をとっていないのは、まことに遺憾に存じております。したがいまして、これが今後の存続等につきましては、存続さしていくものならば、いかに暫定的であっても法律によらざるを得ないであろう。そうでないとすれば、しかるべき措置をとるべきであろうというふうに考えております。
  180. 千葉信

    ○千葉信君 灘尾さんにお尋ねしますが、いまお聞きのとおりなんです。そこで問題になりますことは、予算額も計上されていますから、先刻から申している三つの機関の関係では予算は史料館評議会は五万四千円、それから国民体育灘評議会は八万四千円、国立劇場設立準備協議会は二十三万四千円、これだけの予算がきょう通過している。予算が通過しているという立場を考えてみると、大臣法律に抵触するこの問題をどう処理するか、はっきりと私はこの際聞いておきたいと思う。
  181. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 国立劇場の設立準備協議会につきまして、同じような問題がございますが、これはあるいは、かつて私が文部大臣時代に関係があったことじゃないかと思いますが、今日まで存続しておるものでございます。これにつきましては、かれこれ釈明がましいことは申しません。結論だけ申し上げたいと存じます。  今日の段階になってまいりますれば、これを存続するかしないかということは考えていい時期じゃないかと思うのでございます。ことに法律との関係もございますので、早急にひとつ検討いたしまして、御趣旨に沿うように善処いたしたいと考えております。予算の問題につきましては、この協議会とか評議会とかいう会のために予算を使うということは、これは考えなければなりません。関係当局とも打ち合わせをいたしまして、これが善処いたしたいと思います。
  182. 千葉信

    ○千葉信君 そうしますと、確認の意味で重ねてお尋ねするのですが、先刻来問題になっております国民体育館評議会、史料館評議会、それからもう一つの国立劇場設立準備協議会、このいずれに対しても文部省としては法律に抵触する疑いがあるということを率直に認めて、早急に何らかの措置を講ずる、こういうことに了解してよろしゅうございますか。
  183. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 史料館、国民体育館の問題につきましては、これは廃止すべきものである、その方向でひとつ善処したいと思います。それから国立劇場設立準備協議会の問題につきましては、こういうものがなお存続する必要があるかないかということを一応検討さしていただきたいと思います。これ以上存続させる必要がないということでありますれば、すみやかに廃止する措置をとることにします。もしまた、存続する必要があるということでありますれば、御趣旨に沿って法律を改正するということになろうと思います。早急にひとつ検討いたしまして、態度を決定いたしたいと思います。
  184. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御質疑がございませんか。——他に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  文部省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  185. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願います。  ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  186. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけて。  では、七時三十分まで休憩いたします。    午後七時五分休憩    ————・————    午後七時四十三分開会
  187. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を再開いたします。  通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  政府側から福田通商産業大臣、川出官房長、宮沢官房参与官、山本通商局長、馬郡企業局参与官、倉八軽工業局長、新井石炭局長、川原鉱山保安局長、宮本公益事業局長、馬場工業技術院院長、佐橋特許庁長官、森崎重工業局長、磯野繊維局長、加藤鉱山局長が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  188. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案に関連して、大臣に二、三お伺いをしたいと思いますが、ただその前に一言申し上げておきたいことは、この法案は本委員会でも初めて、ただいまから、審議が始まるわけです。しかもこの法案を即日、わずかな審議時間で上げてもいいと考えておるわけですが、これは異例中の異例であって、今後絶対にこれを前例としない、こういうことは委員長はじめ自民党の皆さんもしっかりとかみしめておいていただきたい、こういうことをまずもって明言申し上げて、若干の質問に入りたいと思います。  最初は、順序としてこの法案そのものについて一、二お伺いいたします。この提案理由の説明によりますと、国際経済部と産業立地部を新設したいということでございますので、まずこのことからお伺いいたしますが、二つの新設に伴う部長の定員については、現在通商局に二人の定員を持っている。通商参与官を、そのうちの一人をこれに充てると、こういうことであるようです。それから企業局に設けられている参与官一人、この定員を産業立地部長の定員に振りかえているようでありますが、このそれぞれの参与官の定員振りかえによって通商局の参与官はあるいは一人となり、企業局の参与官は全くなくなる、こういう事態となろうと思うのです。一体この二つの局の参与官という職はどのような職務を行なう職務であるのか、現在置かれているこの部を設ければその職は必要なくなるのか、新たに国際経済部と産業立地部、それぞれ部を新たに設けることによって参与官という職の使命はなくなってしまうのか、こういうことをお伺いせざるを得ないようなことになっておるようなんで、この点をまずもってお伺いしたいと思います。
  189. 福田一

    国務大臣福田一君) 官制の内容でございますので、政府委員から答弁をいたさせます。
  190. 川出千速

    政府委員(川出千速君) お答え申し上げます。現在通商局には参与官が御指摘のとおり二名おりまして、命を受けて局の事務を総括整理することになっておるわけでございます。それから企業局には参与官が一名置かれておりまして、同じく上司の命を受けて局の仕事の一部を総括整理するというのが官制の規定でございますが、実際問題といたしまして、通商局の参与官の一人は現在今度部をつくります国際経済関係仕事を命を受けてやっておる次第でございます。したがって、振りかわりましても仕事の範囲の中では同じことでございまして、支障を生ずることはないわけでございます。  それから企業局の参与官は、現在産業立地関係の課が四課ございますが、その四課の仕事を命を受けて処理しておるわけでございまして、したがって、これが振りかえになりまして部長になりましても事務に支障はないわけでございます。
  191. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、この参与官の職というのは、部長振りかえのための要員にすぎない、こういう、結果論からいうとそういうことになるのでありますか。
  192. 川出千速

    政府委員(川出千速君) 参与官は、そのときどきの情勢に応じまして局の事務の一部を総括整理することでございますが、現在の通商局では国際経済関係仕事がいわゆる開放経済に対処いたしましてだいぶ前から非常に忙しく重要な仕事になってきたものですから、現在はその仕事に専心する命を受けてやっておる次第でございます。  それから企業局のほうの参与官も、産業立地の関係が、これはまあ工業用地でございますとか、工業用水道あるいは産業公害の問題でございますとか、そういうような仕事が非常に繁忙をきわめかつ重要になってまいりましたものですから、その仕事に現在専心をしておるわけでございます。これは当面の問題ではなくて、今後長期的に、継続的にそのウエートが高くなっていく見通しでございますので、いわゆる振りかえをしたわけでございます。
  193. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、通産省にはこのほか大臣官房に審議官がたしか六人、参与官がたしか一名おると思うのですが、この際であるので、このそれぞれの職務については関係がございますので、どのようなものか、この際御説明を願いたいと思います。
  194. 川出千速

    政府委員(川出千速君) 御指摘のとおりに、大臣官房には審議官が五名置かれておりまして、省の仕事に参画することになっておるわけでございます。それからなお大臣官房に参与官が一名置かれておりまして、官房の仕事の一部を総括整理することになっておるわけでございます。官房審議官と参与官とは、仕事の表現のしかたが、一方は「参画する」となっており、一方は「総括整理する。」ということになっておるわけですが、どちらかといいますと、審議官のほうが横から見ておるといいますか、スタッフ的な仕事をしておるわけでございまして、随時当面の起きてきたいろいろな問題を臨時に処理する仕事をするように実際問題としては運用しておるわけでございます。それから官房の参与官は、官房の仕事の、人事を除くほとんどすべての仕事をまあ現実の問題として、命を受けてやっておる次第でございます。
  195. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この国際経済部と、産業立地部、この二つの部の内部組織を拝見いたしますと、現在既設の課を統合しているというだけであって、特に課の増設や人員の増は行なっていないようでありますが、これではたして効果的な事務処理の実をあげることができるのかどうか。ただ課を統合したという結果に終わっておるように、結果的に見るとそういうことが言えるわけです。したがって、考えようによっては、特定の者に部長の職を与えるための、ただそれだけのねらいであるかのごとく考えられる。部を二つ設けたということだけであって課を統合した、課の増設も人員の増もないわけですね。間違いがあったら御訂正いただきますが、課の増設もないでしょう。また課員の増もない。他の課を幾つか統合したというだけであって、そこに新たな部を設けた、この人はぜひ部長にしなければならぬというような、かねがねのねらいがあって、そのために二つの部を設けた、そういうふうにも一応考えられる、この点を明かにしてください。
  196. 川出千速

    政府委員(川出千速君) 国際経済部につきまして、国際経済課と通商関税課という二課を国際経済部の中に入れたわけでございます。将来このままの機構でいいかどうかということは、だいぶ問題があると思います。御指摘のとおりに、さらに拡充しなければならない見通しもあるわけでございますが、現状としましては、ここでスタートするということに、政府部内のいろいろな交渉の段階で結論としてきまったわけでございます。なお、人員につきましては、通商局の中のやりくりと、それから若干名の定員増で、現在の国際経済課及び通商関税課の人員よりは、約十名くらいふえておるわけでございます。  それから企業局のほうの四課でございますが、これも将来の問題としてはまた別でございますけれども現状では四課で何とかやっていけるのではないかというように考えておるわけでございます。なお、部組織にしまして、省の内外の事務のやり方につきまして、責任の所在がはっきりしますのですが、実際名前が変わったということだけではなくて、仕事の遂行をしていく上に、非常に私はプラスになると考えておる次第でございます。
  197. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、産業構造審議会の新設が考えられておるようですが、このことで一、二お伺いしますが、現在、三年の期限つきで設けられている産業構造調査会を、産業合理化審議会と統合して、産業構造審議会を新たに設けようとしておるようですが、現在の産業構造調査会の目的は、法二十五条によりますと、「廃業構造に関する基本問題を調査審議する」、こういうふうに見受けられるわけです。改正案の審議会の目的は、「産業構造に関する重要事項を調査審議する」、こういうふうになっておるわけです。で、要約すれば、両者の目的には「基本問題」をただ「重要事項」に改めただけの相違しか見受けられないわけです。実質的にどんな相違があるのか。形式的にはいま申し上げたように、基本問題をただ重要事項に書き改めたということにしか考えられないので、それは名目だけの変化なのか、それとも実質的にどのような変化があるのか、この点を明らかにしてもらいたい。
  198. 川出千速

    政府委員(川出千速君) 御指摘のとおり、産業合理化審議会は、「産業合理化に関する重要事項を調査審議すること。」にただいまの規定でなっております。それから産業構造調査会のほうは、「産業構造に関する基本問題」を三年間の期限つきで調査審議してまいりました。実際の運用といたしましては、産業合理化審議会のほうはどちらかといいますと、当面に起きておりますいろいろな問題を処理する審議会として運用されてきたわけでございます。たとえば、最近の問題でいいますと、流通問題でスーパーマーケットの問題が非常に取り上げられておりますが、これをどういうふうに処理すべきかを産業合理化審議会の流通部会で、審議をしておるわけであります。これに対しまして、産業構造調査会のほうはもっと基本的な長期的な日本経済の問題と取り組んで調査審議をしてきました。昨年の暮れに答申が実は出ておるわけでありますが、いろいろ長期的な問題も短期的な問題も、重要な問題も基本的な問題も考えてみますと、相互に密接な関係があるわけでございます。この両者の機能を両方とも生かして一本の審議会に統合するのが能率的であり、また、実際的であるという決断に到達いたしましてこれを統合しようとしておるわけであります。
  199. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは産業合理化審議会を改組して統合しておりますが、従来の産業合理化、審議会の任務を新しい産業構造審議会が全面的にこれを受け継ぐようになるのか、この点はどうですか。
  200. 川出千速

    政府委員(川出千速君) 産業合理化審議会は、昭和二十七年に設立されまして現在まで先ほど申し上げましたような方針に基づいて運用されてきたわけでありますが、新たに新設される産業構造、審議会にその機能を承継するつもりでおります。
  201. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この産業構造調査会は十二の部会と数多くの小委員会を持っております。その委員もきわめて多数にのぼっておるようですね、これを見ますと。非常に数が多いわけでございます。また、産業合理化審議会の十三の部会とそれからこれも数多くの委員からなっておるようですが、これを統合して新しい審議会の構成は一体どうするつもりなのか、その点をお伺いしておきたい。
  202. 川出千速

    政府委員(川出千速君) 御指摘のとおりに、調査会は十二の部会、三十二の小委員会を設けました。産業合理化審議会のほうは、現在活動中の部会は六つでございますが、部会としては先ほど委員のおっしゃいましたように、十幾つございます。いま新しい産業構造審議会の構想としましては、総合部会以下十七の部会を予定いたしまして、委員の数も約百三十名、そのほかに臨時委員、専門委員等の相当の数で構成をする予定でございます。
  203. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、この一部に説明がございます定員増についてお伺いします。まず特許庁の定員増、ここにしぼってお伺いしたいと思います。昨年の第四十三国会で、当内閣委員会で、通産省設置法が審議された際に、特に特許庁における審査とか審判の状況、それから膨大な未処理件数を解消するための対策等について当内閣委員会で相当突っ込んだ質疑が行なわれたわけですが、特に附帯決議がなされておるわけです。その後の特許事務の処理状況を見ますると、附帯決議であれほど強調したにもかかわらず、未処理件数は昨年よりもさらに増大して、昭和三十七年末における審査未処理件数は三十六万四千、これが三十八年末にはさらにふえておるようですね。四十六万六千というふうに特許の実用新案の未処理滞貨は昨年の二年八カ月分に比べて三年五カ月分にもなっておる、こういう事態があるわけです。これは、いま申し上げたように、昨年の当内閣委員会で附滞決議がなされて、定員増をして未処理の件数のないようにこれを一刻も早く解消すべきである、こういう趣旨の附帯決議がなされたわけです。こういう趣旨に応じて、今回、通産省としても定員増をはかったその点だけはわかるわけですが、にもかかわらず、現在なお未処理件数はふえる一方で、いささかも解消されていない。これは一体どういうわけなんですか。この点を明らかにしていただきたい。
  204. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) ただいま御指摘のとおりに、昨年の附帯決議以降、特許の未処理案件は非常に累増いたしておりまして、三十八年十二月末で四十六万六千という非常な膨大な数字になっております。これは、三十七年の後半から非常に出願が増加をいたしました。いわゆる日本の敗戦後十年たちまして、三十年以降やや出願は、十五、六万件のところで安定をいたしておったわけでございますが、三十七年の後半から急激に増加をいたしまして、三十八年は当時の特許庁の見通しでは二十一万件ぐらいの出願になるのではないかというふうに考えておりましたところ、実際は予想をはるかに  オーバーいたしまして二十六万件にも及んだわけでございまして、一挙に三十七年末三十六万件に比べまして十万件の滞貨がふえたわけでございます。出願が、ただいま申しましたように、急激に増加しましたのに対しまして、処理能力は大体前年度と同様でございまして、その間のギャップがこういうふうな滞貨増ということに相なったわけでございます。
  205. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 また、審判の面についてみても、未処理件数の処理所要期間は昨年末ですが、三年六カ月分に比べて四年五カ月分となって、その渋滞が目立って顕著になっておる、こういうことがうかがわれるわけです。もちろん出願件数や請願件数も確かに年ごとに増加しておることはわれわれも認めておるわけですが、にもかかわらず、その増加よりむしろ未処理件数の増加のほうが非常に大きくふえておるわけですね。これは一体どういうわけなんですか。
  206. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) これも審査と全く同様でございまして、特許に対する査定あるいは取り下げのいわゆる審判要求がふえておるのにかかわらず、審査の能力は大体前年と幾らも変わっておりませんので、その間の関係で、ただいま先生指摘のように、非常に長い期間かかるような状況になって、まことに申しわけないと考えております。
  207. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この際ひとつお伺いしておきたいと思うんですが、三十七年末の出願件数はどのぐらいか。また、未処理件数はどれくらいか。それから三十八年末の出願件数、それと未処理件数、大体どんな数字になっていますか。
  208. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 三十七年の出願件数は、特許、実用新案、商標を引っくるめまして二十一万四千二百五十三件の出願がございました。同年末における未処理案件は三十六万四千百六件でございます。三十八年は、出願件数が二十六万二千六十四件になっておりまして、三十八年末未処理案件は四十六万六千百四十二件であります。
  209. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、概第でもって出願件数は四万八千ふえておりますが、それに対して未処理件数は九万以上もふえているという結果になる。要すれば出願件数の増より未処理件数の増のほうがはるかに上回っている、こういうことが言えると思います。これは一体どういうことで、こういうふうになっているのか。
  210. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) これは日本ばかりでございませんで、先進国の特許の審査状況にも同じようなことが見られるわけでございますが、最近の出願案件は、何と申しますか、技術革新の影響を受けまして、非常に高度化し、技術内容が複雑化している点がまず一つ考えられるわけであります。そのほか、日本が外国から見まして有望な市場だということで、外国からの特許出願が非常にふえてまいりました。これは何といいますか、いわゆる翻訳が未熟であるとか、非常に難解であるというようなこともございまして、審査能力は年々低下をいたしているわけでございます。そのほかいわゆる各企業が特許に相当関心を持ちまして、特許管理部等を漸次新設いたしておりまして、そういう方面から、特許庁の審査官の引き抜き等がございまして、年間の自然減耗は、大体特許の審査官定員に対して約二十名程度は減少するわけでございます。それやこれやで一体に審査の能力が若干ずつ低下をいたしておりまして、三十七年よりも三十八年のほうがむしろ逆に一万件程度減っているわけでございます。そういうことで、未処理案件が累増している状況でございます。
  211. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、審判について、三十七年末の請求件数はどのくらいで、未処理件数はどのくらい、三十八年度末の請求件数、そして未処理件数はどのくらいになっておりますか、概算でけっこうです。
  212. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 審判の請求は、三十七年が約五千三百件でございます。いわゆる年度末の未処理案件が一万五千件、三十八年度は六千百件の請求がございまして、未処理は一万七千件でございます。
  213. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そういう数字であるならば、請求件数は八百ふえている。請求件数が八百ふえて、未処理件数が約二千ふえている、こういうことになっている。依然として未処理件数はふえている。どうも了解に苦しむわけですが、これは一体どういうわけですか。
  214. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 審査の処理は、三十七年は四千八百件の処理を年間しているのでございますが、三十八年はこれが四千件になっておりまして、一年間に前年度より八百件処理がむしろ減っているわけでございます。未処理案件が、そのために請求案件の増と相待ちまして、ただいま御説明申しましたように、一万七千件と、約四年に及ぶ件数をかかえておるわけであります。これもいわゆる請求をいたします異議申し立ての案件がだんだんむずかしくなりまして、これに所要の期間が従来よりも少しずつ延びておりまして、まことに申しわけない次第でございますが、そういう状況でございます。
  215. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ここで問題なのは、処理件数を比較しますと、こういうことになるのですね。三十七年の審査が十七万六千、これに対して三十八年は十六万五千というふうに、むしろ処理件数が減っておるわけですね。また、審判について見ても、四千八百に対して四千一百というふうに、処理件数についても減少しておるというのは、これは能率の低下としか考えられない。これはきわめて重大な要素であろうと思いますが、特に大臣のお考えをお伺いしたい。処理件数の数字のことは大臣は一々御答弁できぬでしょうが、これは数字のことでなく、処理件数が三十七年のそれと三十八年と比較すると、いま私が申し上げたように、処理件数が減っておるというのは一体どういうわけなんです。
  216. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいま長官からもお答え申し上げましたように、だんだんと特許の内容が複雑化し、専門化し、それからまた、一方におきまして外国からの特許などが出てきますと、まずこれを翻訳しなければならない、日本だけのものじゃございませんから。そうすると、その翻訳が間違っていたんじゃいけませんから、それが間違っていたというようなことでやり直すとか、いろいろそういう複雑化してきたということが一つは原因になっている。それからもう一つは、先ほど長官が申し上げましたように、熟練した人が抜けていったということがいささかその原因になっておるわけでございます。ところが、去年ああいうふうにして相当数ふやしていただきましたが、新しく入った者はすぐ審判はできないのであります。二年なり三年なり勉強いたしまして、それからようやく審判に入れる、こういうことになるものでございますから、新しくふえたほうはあまり事務はやれないし、古い人で抜けていった人のやっていた仕事は停滞する、こういうような事情が重なり合いましていまのような結果になっておるのであります。私としては、まことにこういうことは遺憾に考えて、何とかひとつそういうよくなった人が、もうすでに仕事のできる人が職場を離れないようにというようなことも考えておりますが、待遇問題その他等いろいろなこともございまして、なかなか思うにまかせない、こういう事情でございます。
  217. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年特許審査審判の事務を、いわゆる促進をはかるために、たしか四十一名の定員増を行なっているわけですね。定員増を行なっているのに、なおかつ処理案件が減っておる。その理由の一つとして、どうも翻訳が間違うので——どうもこれは大臣の御答弁としては適当でないと思うのですがね。初めから、翻訳というものは初めは間違うものだという前提に立っての御説明で、別にことばじりをとらえるわけではありませんが、まあそれだけの理由ではなくて、いろいろ熟練者がわりあいに少ないとか、外国のものを翻訳しなければならぬと、まあいろいろ事情はわかるわけですけれども、ただ、結果からいって、定員は四十一名ふやした。ところが、処理件数は減ってくる。滞貨がふえるというのは、これは事業はどんどんふえますから、これはわかる。しかし、処理件数は年々減るというのじゃ、定員をふやして仕事の量が減るというのでは、一応結果からいうとどうも納得できないわけです。で、翻訳を間違えないように、ひとつ語学の力の十分ある者を優遇して採用すればいいので、そういうことは理由にならぬと思うのですね。もう翻訳というものは間違うものだということの前提に立ってやったのでは、これは言いわけにしかならぬと思うのですが、もちろん待遇の関係もございますから、どうも民間のほうへ優秀な者はとられちまって、どうもそう意にまかせないという事情はわかりますけれども、せいぜいひとつこういう特殊な面ですから、十分優遇して、そして定員を確保してどんどん処理件数の少なくなるように、これは当然の本務であろうということから、昨年当内閣委員会でも附帯決議がなされておる。それに応じて、今回定員増ということはよくわかるのですけれども、したがって、筋の通った点もございますけれども、繰り返し申し上げるけれども、どうも処理件数が年々減るのじゃ、これは遺憾だ。この点どうですか。
  218. 福田一

    国務大臣福田一君) 先ほどもちょっと御説明申し上げたのでございますが、新しく入った者は二年ぐらいは審判に間に合わないのであります。間に合わないという意味は、いろいろ専門的なことを教えて、審判事務をやりますまでには二年間ぐらい予備教育、というとおかしいが、部内のいろいろの勉強をさせなきゃいけない。そこで、四十一人は昨年ふやしていただいたのでありますが、それが間に合ってくるのは来年の初めごろから処理に入れる。ところが、一方において、いままでやっていた人が二十人減ったのは実損になりますから、そのほうはまあ処理件数にすぐ影響してくるというような事情があると、まことにどうも申しわけないことでありますが、そういう事情がございますので、非常に弱っておりますということを実は申し上げた次第でございます。
  219. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほどから申し上げておりますように、昨年の当内閣委員会でいろいろ各面からの質疑が行なわれたわけですが、そのうちで、特に重要な点は、繰り返しお伺いしておる特許庁の職員定員の増をはかるべきだ。これは今回定員増をしてきたわけですから、これはよくわかるわけです。それと同時に、待遇改善の面についてもこれを強く要望してまいったわけです。そこで、定員増については、具体的に今回提案してきておりますから、これはわかるとして、この職員の待遇改善については、通産省としてはその後どのように具体的な努力をし、現在どのように改善されたか、その点を具体的に承りたいと思います。
  220. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 待遇の問題でございますが、現在特許庁の技術職員も行政職の俸給表を受けておるわけでございますが、特許の特別な業務に関連しまして、何らかのプラス・アルファをつけるということでいろいろ努力した結果、三十五年から審査官につきましては特別調整額として八%オンすることになり、官補につきましては四%プラスということで、現在に至っておるわけでございます。で、この八%及び官補について四%という調整額をつけますと、大体国家の研究公務員とバランスがとれておるわけでございます。まあ特許自身の審査官が非常にじみな、しんどい仕事でございますので、さらに人員の確保するために待遇の改善を要求いたしまして、調整額を、上級審査官につきましては一六%、審査官につきましては一二%、官補については八%という要求をことしいたしたわけでございますが、これはまだ認められておりませんので、今後の研究課題ということになっておりますが、ただいま申しましたように、研究公務員との振り合いもございまして、技術職員全体について、いま一歩の、何といいますか、待遇改善をはからないと、国に技術職員の確保というのは非常に困難な事情になっている、こういうふうに考えております。
  221. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほど大臣からも御答弁あったように、やはり一年、二年はあまり役に立たぬということになると、やはりある程度熟練の職員は必要なわけです。で、そういう方はあまり待遇悪ければほかへ行ってしまいますから、重要な職員を確保するためには、やはり何といっても処遇改善が先決である。したがって、定員増をはかるとともに、それと並行して処遇の改善ということが強く昨年も要望されたわけです。そこでそれにこたえて定員増のほうは、繰り返し申し上げるように、ある程度これにこたえておるわけですが、ただ処遇の問題についてはどうもいまの御説明だけでは納得いかぬわけですが、これは時間がございませんから、これ以上深追いしようとは思いませんが、やはり昨年問題になったのは定員増と、そうして処遇の改善によって未処理件数を解消する、こういうところに本旨があったと思うのです。したがって、この点については一般の努力が必要であろうと思うのです。なお、このことに関連して、政府は五カ年計画でこの未処理の解消をはかる、こういうことであったのですが、この五カ年計画は具体的にどのように進展し、どのように具体化しておるのか、その概要をひとつ御説明いただきたい。
  222. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 先ほど説明の中でちょっと補足をさしていただきたいと思いますが、一昨年から昨年に処理件数が確かに減っておりますが、これはわれわれのほうでいわゆる最終処分でございまして、審査官がいわゆる何と言いますか、審査決定をいたしまして、これを出願公告をいたした、いわゆる拒絶査定をし、出願公告をした数字がただいま申したように十六万件、十七万件というような数字でございまして、審査官の手元では査定が終わりまして、いわゆる公発といいますが、公報の発行の段階で非常に昨年は公発日が少なかったために五カ月以上の滞貨が残っておるわけでございまして、これは年内に二カ月以内に切り込むつもりでございますが、この審査官の手元を離れて発行にならないという数字が六万件以上ございまして、これを三カ月なり四カ月詰めますと、いわゆる、審査処理の案件というのが最終的にはぐっとふえるわけでございます。これは、ことしは公報発行日が昨年に比べまして四〇%の増加を見ましたので、ただいま申しましたように、いわゆる最終処理の数字がぐっとふえてくる勘定になるわけでございます。これを補足さしていただきます。  ただいま先生指摘の五カ年計面でございますが、三十九年から四十三年までの一応のわれわれのほうとしての計画をつくっておりまして、これには、相当な定員の増加を逐年要求をしなければならないわけでございます。それで、従来は大蔵省とのいろいろの話の最中にも、特許は定員をつけても、実際問題として人員の確保が困難ではないかというような点もございまして、ただいまお話のありました四十一名の定員につきましても、実際は充員ができておらない、と申しますのは、三十八年の定員がつきましても、実際に技術官の採用はその前の年の十月にやっておかないと、取れないわけでございまして、結局特許の定員増加というのは、一年ずつずれる形になっておるわけでございます。たまたま、今年は民間の景気の関係もございまして、特許庁が所要する技術官の確保ができたわけでございまして、今年は今度の定員増加を見合っても、すでに昨年採用いたしておるわけでございまして、そこで、今度百十名ふえたわけでございますが、来年以降特異関係では九十名、それから意匠、商標の関係で二十名、大体百十名、それに若干の事務職員がつけ加わりますので、百十名ないし百二、三十名というものを逐年定員増加をいたしてまいりまして、大体四十三年には特実、特許、実用新案の関係では、現在の二年十一カ月の処理日数を一年十一カ月というふうに、短縮をいたしたい。で、意匠につきましてはこれは二カ月、それから商標につきましては一年、こういうふうの予定で現在計画を進めておるわけでございます。
  223. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まあ問題は、膨大ないわゆる未処理件数を完全に解消する、ここに問題があるわけです。そこで、五カ年計画であろうと、六年計画であろうと、そういうことはあまり重要ではないと思いますが、要するに、短期間に非常な膨大な数にのぼった未処理件数を何とか早く解消する、そうして解消の暁は年々そういう滞貨のないように、もう年内にこれを解消して手ぎわよく事務の処理をはかるということがねらいでなければならぬと思うのです。にもかかわらず、先ほど来質問申し上げたように、出願件数等はふえているけれども、処理件数も逆に減っているというような実態、こういうことになると、よほどじみちな具体的な対策を講じない限りは、この膨大な数にのぼって、しかも年々ふえようとしている、こういう難問を解消することは容易なことではなかろうと思う。そこでこのことに関する大臣としての基本的なお考え方をこの際伺っておきたいと思います。
  224. 福田一

    国務大臣福田一君) お説のとおり、とにかく未処理件数が現実にふえているという姿は、まことにわれわれとして申しわけないことであると思っております。したがいまして、人員を増員するなり、またそういう人たちがほかに転職しないような措置をとるなり、いずれにしても処理機能をもっと充実をいたしまして、そうしてすみやかに、少なくとも今年出願のあったものは、その次の年ぐらいにはもう処理ができるという態勢になるべく早くもっていくように努力をいたしたい、かように考える次第でございます。
  225. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題は大体方向はわかりましたので、次に、この提案の説明を見ますると、こういう項目を拝見できるわけですが、貿易の自由化とか、あるいはIMF、あるいはOECD、こういうような関係で、わが国の経済は開放経済体制に向かって大きく前進した、こういうことから関係して、こういう情勢の中で、国際経済部を置く、要約すれば、そういうことになるだろうかと思うのですね。そこで、一、二この機会ですから、大臣にお伺いしたいと思いますけれども、この問題を解明するためには、貿易の自由化というのは世界の大勢であるといわれておる、こういうことなんですが、そこでまずお伺いしたいのは、はたして貿易の自由化というものは世界の大勢であるのかどうかという点からお伺いしたいと思います。
  226. 福田一

    国務大臣福田一君) 戦争後の世界の貿易の動きは、何といってもアメリカがその指導者ではございましたが、貿易を自由化して、お互いが自由な姿で売買をし合うということが、一番国際分業の目的を達し、また、社会生活を充実する道である、こういう方向で進んでまいりまして、今日までのところ先進国はおおむね、ある程度といいますか、相当程度の自由化率を達成いたしました。日本の場合はつい五、六年前からそういう計画に移りまして相当急ピッチで進めてまいりました。今日の段階では、きょうもう八品目自由化いたしましたから百七十四品目を残すのみとなりまして、大体先進国と同じ程度になってきたと、かように考えておる次第であります。
  227. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ここにも説明がありますように、貿易の自由化率は九二%にも達して云々と、そういうことでその点わかるんですが、世界の大勢となっておるという、この世界の大勢というのは、世界というのは一体どこをさして説明なさっておりますか、その点を明らかにしてください。
  228. 福田一

    国務大臣福田一君) これはやはりいわば先進工業国間における動きが特にそういう方向に向いておる、こういうことかと思っております。
  229. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、貿易の自由化は世界の大勢になっておるということの、その世界というのは要約すれば、いわゆる資本主義国をさしておる、特に先進資本主義国を。そうすると、アジア、アフリカとか南米等の後進国にはその貿易の自由化というのは何ら影響を与えてないわけですね、アジア、アフリカとか南米。まあ資本主義といっても特に先進資本主義国、こういう世界をさしておるということであればよくわかるんですが、そういうふうに解釈していいわけですか。
  230. 福田一

    国務大臣福田一君) お説のとおりでございまして、東西貿易というような問題はまた別の範疇に属しているわけでございます。
  231. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 御説明があったように、確かに先進資本主義諸国の動きとしては自由化を世界の大勢としようとする方向に向かっておる。こういうことはわれわれにもわかるわけです。ただ、日本の自由化についてはアメリカの強力な圧力があったのではないか、こういうふうに断定せざるを得ない、われわれの立場から見ますと。この点はいかがですか。
  232. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、これは日本は自主的なたてまえでそれをやったと思います。実際問題としてやはり池田総理が通産大臣当時、何としても、どうしても自由化をしていかなければ、日本の、いわゆる工業力を伸ばすといいますか、日本の産業をほんとうに強化し、また輸出入をふやし、これによって日本の国民の生活を、いわゆる福祉国家といいますか、そういうふうに充実していくには何としても貿易によるよりしかたがない。貿易ということであれば、これは障壁をお互いに設けておってはうまくいかないから、できるだけ障壁を取り除くという自由化の方向へ進んでまいらなければならない、こういうことで、これは私はアメリカの強制によってやったものではないと心得ています。
  233. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 このことについてはアメリカが世界の置場上の優位を確保するために日本に貿易の自由化を押しつけたんだと自民党の実力者である河野一郎さんもこういうことを言ったことがあるわけです。このことはわれわれの考えと全く一致しておるわけなんです。同じ自民党の実力者でこういう名言を吐いておるわけなんです。これはどういうふうにお考えですか。
  234. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は河野先生から実はそういう話を承ってはおりませんが、事実そういうことをいつおっしゃったか明らかでありませんが、いまはそういうお考えではないんじゃないかと考えております。
  235. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはその当時のことばとしていまここでそういうことをやりとりすることが目的じゃございませんから、他日に譲りたいと思いますが、その当時河野さんはそういうことをおっしゃっていたわけです。ただわれわれとしても、貿易の自由化にまっこうから反対しているわけじゃないのです。押しつけられた貿易の自由化には反対しておるわけですね。そこで、国際競争力のあるものについては自由化、これはやったほうがいいと思います、国際競力のついたものについては。あるいはまた、この自由化によって外国の品が日本に入ってきて、非常に物価を引き下げる、こういう安いものを、しかも国民文化生活上に必要なものをどんどん入れて安くなる、こういう国民生活に福祉をもたらすものについてはもちろん必要でしよう。ただ、ここで問題なのは、国民大衆の犠牲になるようなそういう意味の押しつけの、まだ競争力のできていないものについて、あるいは中小企業とか、あるいは一般消費者、あるいは特に農民については相当のまだ問題があろうと思うのですね。こういうものについては漸を追うて、急激に自由化一本で進まないで、漸進的に無理のないように進めていく、そういうことによって貿易の自由化は漸進的に進むべきである、こういうふうな基本的な考え方をわれわれは持っておるわけです。ただ、何でもかんでも無理やりにもう九二%にもなっておると、説明がここにあるわけですけれども、相当無理がこの中にあるんではなかろうか、こういうことをお伺いしておるわけです。
  236. 福田一

    国務大臣福田一君) お説のとおり  の趣旨でやっておりまして、いままでのところ、いわゆる力がついてきたものから自由化をしておるわけでございまして、お説のような、この中小企業、農業等の関係等においては特に慎重を期してまいりたいと考えておるわけでございます。
  237. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、きょうだけの時間であるので、相当量お伺いしたいと思って準備してきたわけですが、同僚の鶴園委員も若干お伺いしたいということであるので、私はまあこの辺でやめておきたいとは思いますが、最後に一点だけお伺いしておきたいと思うのです。特にこれは大臣のお考えを明確にしていただきたいのは、いまの体質改善という名のもとに過酷な企業合理化が促進されておるわけです。それに伴って、あるいは首切り、あるいは労働強化が強行されるのではなかろうかというようなことをかねがねわれわれ憂慮しておったわけですが、現実にいま労働組合が盛んに春闘を進めておるわけですが、この中で大資本がいわゆる賃金ストップの方向でいま動いておるわけですよ。こういうことは体質改善という名そのものはけっこうなんですが、ややもするとそういう首切りとか、あるいは労働強化、それで賃金ストップ、こういうような事態が憂慮されるわけなんですが、こういうことについて大臣としては、いま現在の問題としてどのようにお考えになっているか、このことを最後にお伺いして、時間の関係もございますから、私の質問を終わりたいと思います。
  238. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいまの問題でございますが、ただいま問題になっておるのは春闘関係が特にあれだと思います。特に御質問は賃金ストップの問題にあると思いますが、われわれとしては賃金ストップなどということは望むところではございません。できれば賃金はむしろだんだん上がらなければいけない。生産性が増すに従ってどんどん上がったほうがいいわけでございますから、そういう考えは毛頭ないわけであります。また、合理化によって馘首が行なわれるような姿になるということは、われわれとしても好むところではないのでありまして、ただ産業の力をつける上で、そういうことが出た場合において、いまちょうど石炭などでございますように、スクラップ・アンド・ビルドというような形であれした場合において、われわれとして十分の手当てをいたしておりますが、石炭同様のことはできないまでも、そういうことがあった場合においては、十分労働者といいますか、労務者の利益ということを十分擁護するという考え方のもとに、今後とも施策全般を進めていかなければならない、かように考えておるわけでございます。
  239. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま賃金の問題を問題にする内容じゃございませんので、もうこの程度にとどめますが、大体労働者としては、ヨーロッパ並みの賃金ということで要求を出して現在おるわけですね。それに対して、分配の問題を見ると、はるかに日本のほうが少ないわけですね。現実にヨーロッパの国に比較してはるかに少ない。こういうことから、結局物価はウナギ登りにのぼる。小幅な賃金引き上げでは、プラス、マイナス、結果としては、むしろ賃金引き下げの結果になっている。こういうのが現実の姿です。だから、ヨーロッパ並みに賃金を引き上げてもらいたいと、こういう要求をいま現在出しておるわけです。これはい左給与法をやっておるわけじゃないのですから、この得度にとどめますけれども、結局、いわゆる体質改善ということはけっこうなことなんですが、それにこと寄せて分配の問題がそこで出てまいりますし、また、合理化というふうな名のもとに首切りが行なわれ、あるいは賃金ストップ、こういうような問題があるのでは、働く者の立場からすれば、大幅な賃金引き上げと、こういう運動を展開せざるを得たいわけなんです。こういうことについて、通産大臣としてのやはりお考えがあろうと思いますので、この点を最後にお伺いして終わりたいと思います。
  240. 福田一

    国務大臣福田一君) これはまあなかなか重要な問題でもあるし、なかなかいまここで一言で申し上げるわけにはいかないと思いますが、われわれとしては、貧血の上がることは、これはまあ賃金の問題は労使双方で相談をしてきめられるのがいいと、こういうことでございます。それからまあ欧米並みの賃金ということになりますと、欧米の持っておりまする経済力、それからまたその産業の持っております力、それから生産性等々もございまして、日本のようなまだ経済の底の浅いと言われる、しかもまた借金の非常に多い、こういう産業と同じにしていくという意味でございますれば、なかなか困難な問題があろうかと思いますけれども、われわれとしてはできるだけ順次賃金も上がっていくということは、これはこいねがうところだ。これはひとつ労使の間で相談してきめていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  241. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 特許庁長官にお尋ねをいたしたいのですが、いま伊藤委員のほうから、特許庁の定員増の問題についてお尋ねをしたわけですが、これは三十七年のときにおきましても、詳細にわたって私、当時の特許庁長官大臣は佐藤さんでしたが、お尋ねをしたわけです。そのときにも非常に未処理件数は多うございまして、とても見通しがつかないような状態でしたから、定員の増加と、それから処遇改善、こういう問題について、大臣なり、特許庁長官が努力される必要があるということで、附帯決議をつけようということだったのですが、石原理事が、わしがひとつ大臣に質問して終わろうということで終わったのです。昨年もやはりこれが問題になりまして、昨年の場合におきましては、やはりどうもまたはっきり思わしくないということで、今度は附帯決議をつけましてやったのです。結果、百十名という人員増加、特許庁の定員からいいますと、一割近い数字でありまして、その意味では非常に努力をなさったというふうに思います。ところが、先ほど伊藤委員もお尋ねをしたんですが、昨年四十一名とにかく増加をした、ところが、処理件数は減ったと、そういうわけです。審判の場合においても、審査の場合においても、両方とも減ったというので、伊藤委員がいろいろ伺ったのですが、滞貨が四年半分もあるというのでは、これはどうにも……。私はここでお尋ねをしたいのは、この欠員は一体幾らあるだろうということなんです。昨年は四十一名増加されたんですが、なかなか充足しないというお話ですが、欠員は一体どの程度あるか。
  242. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 現在三十八年の末で三十八名の欠員でございます。
  243. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは三十八名といいますと、定員に対しまして三十八名ですか、審査官とか審判官の話ですか、これは定員がともかく三十八名欠員だという意味ですか。
  244. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 特許庁の定員全部に対しまして三十八名欠員であります。
  245. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 若干これは自衛隊の欠員にだんだん似てきましたね。これは三十八名の欠員があるというのは、一般行政官庁としましては、びっくりするくらいの大きな数字だと思います。なかなか充足はいかないし、それから抜けると、抜けるといいますか、民間に引き抜かれるということですね。これはやはり根本的には処遇の問題があるのではないか、その処遇の問題については、先ほど長官の答弁にございましたように、努力をしておられ、さらに、今回も努力されましたけれども、今回のやつは成功を見てないという話でありますが、どうも私待遇の問題が、処遇の問題が大きいのではないか、先ほど研究職とほぼ同じくらいになったというお話ですが、実は去年の場合もお尋ねをしたのですけれども、この調整号俸がついているために、八%ですね、この調整号俸がついているために、本省の技官よりも、特許庁の技官のほうが昇格がおくれているという点も指摘をしたわけですが、そういう問題では片づかない問題のように思うのでありますけれども、これはもう少しやはり行政職俸給表(一)を適用するということにしても、何らかの改善をしないことには問題ではないかというように思っておりますけれども、いかがでございましょうか。
  246. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 御指摘でございますが、調整額がついておるために、本省の技官よりも昇進、昇格がおそいということではございませんので、特許庁につきましても、人事院がそれぞれの等級に応じて級別定数をつけておるわけでございまして、この級別定数が本省とやや似ておるというために、特許庁では同年次に相当の技官がたくさん一括して入るわけでございまして、そのためのいわゆる級別定数が十分とりきれないというところに昇任昇格が、何といいますか、人によって若干ずつおくれざるを得ないという状況になっておるのはまことに遺憾であると考えております。
  247. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 去年も審判官、審査官と本省の技術官と同年次の者を全部引っぱり出しまして伺ったわけです。ですから、私が昨年指摘したときには間違いなかった。全部引っぱり出して指摘をしたと思います。ですからそこのところも長官ひとつ配慮を願っておきたいと思います。  それからやはりいま本年努力をされましたというこの調整号俸ですが、これはやはりつけて優遇する必要を、処遇を改善する必要があるのではないかと思っておりますが、一段とひとつ御努力を要望しておきたいと存じます。  それから百十人ふえますが、審査官の七十名、それから審判官の六名ですか、これは新しく卒業した者を採るわけですか。
  248. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 審判官は審査長から上がるわけでございまして、審査官から審判官になりますので、結局審査官の七十名に審判官の六名の定員を加えた七十六名を新しいので採るというわけでございます。
  249. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 新しく学校を出た者で……。
  250. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) はい。
  251. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうしますと、また二年ぐらいはこの百十名というのは能力を発揮しないということになるわけでしょう。そうしますと、審査件数では三年五カ月分、審判件数は四年五カ月分、これの処理はなかなかたいへんだというような印象を受けるわけですけれども、新しく採用するわけですから二年くらいはあまり役に立たないということになりますと、これはやはりどうもここ一年は見通しは立たないという感じがするわけですけれども、その辺についてはどういうふうに考えていらっしゃるわけですか。
  252. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 先ほど伊藤先生の御質問に対して五カ年計画を申し上げましたが、われわれのほうとしては、初年度に採用しました新しい技官は初年度では一〇%処理ができる。いわゆる一人前の審査官に対して一〇%。二年目は六〇%、三年目から一人前の審査官になるという計算を織り込みまして、大体逐年百二十名程度の増員があれば五カ年計画のわれわれの考えておるようないわゆる、何といいますか、滞貨状況になるというふうに考えておるわけでございます。
  253. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これはいま三年にわたっておるわけですから——一昨年論議をいたしまして、去年論議をいたしまして、ことし論議をいたしまして、この特許庁の問題については同じ問題ですね。ですから私は百十名という数字で、さらにまたいまの処遇状況と今後その見通しがあるのかどうか。また、来年論議しなければならないというのでは四年ごしになりますので、そこら辺を伺っておきたい。
  254. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 先ほど本年度末の欠員が三十八名あると申しましたが、先ほど伊藤委員の御質問にもお答えしましたように、その年の四十一名ふえたというのが、どうしても前年の、いわゆる学士の、何といいますか、大学を卒業した者の採用時期というのは前の年の六、七月ころから十月になるわけでございますので、いわゆる四十一名増員になるというのがいつも一年おくれになりまして、三十八年度にはそれが定員化されない、実員化されないという状況であったわけでありますが、ことしは昨年の十月までにことしの定員増加の分も大蔵省とあらかじめ了解を得まして採用をいたしまして、ことしは約百五十名近く四月一日から入ってまいりまして、四月一日からいま御審議を願っております百十名が一ぱいになるという形になっているわけでございます。いろいろ問題はありますが、特許のいわゆる出願案件自体もこの趨勢というものがなかなかわれわれのほうとしては何といいますか、予測が困難てございまして、一応ただいま申しました五カ年計画につきましては年間五%ずつ増加するという数字をはじいて、ただいま申しましたような五カ年後にはやや望ましい実情になる、こういうふうに考えておるわけでございまして、できるだけこの線に沿って努力いたしたいと、こう考えておるわけであります。
  255. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 なかなか定員をふやそうといたしましてもふえないような実情もありますし、処遇の改善問題についてもそうだと思います。どうかひとつこれは毎年問題になっておりますので、大臣におかれても、長官におかれてもひとつ人員の問題、ことに処遇問題について御努力いただくことを要望しておきます。
  256. 福田一

    国務大臣福田一君) たいへんけっこうな御注意をいただきましてまことに感謝にたえないわけであります。ひとつ一生懸命秘方をいたしまして御期待に沿うようにいたしてまいりたい所存でございます。
  257. 向井長年

    ○向井長年君 時間もございませんし、伊藤委員鶴園委員から御質問がありましたので、重複を避けますが、大体特許庁の特許申請は年間どれくらいであって——これは先ほど聞きましたから……。それに対して普通いろいろの業種があると思いますが、一体申請して認可するまで認可といいますか、これまでどれくらいの期間がかかっているのですか、平均して。
  258. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) これは特許は実用新案が一番詰まり方が激しいわけでございまして、現在の処理能力でいわゆる未処理案件を終わりますと特許実用新案につきましては現在三年五カ月、平均的にかかる、意匠につきましては一年九カ月、商標につきましては一年十カ月、こういうふうになっているわけであります。
  259. 向井長年

    ○向井長年君 大臣こういうことを知っていますか。大体最近非常に特許侵害の係争がふえております。こういうことはどういうところに原因があるか、一応お聞きしたいと思います。特許侵害に対する係争問題が実際にふえている、この点はひとつ大臣なり長官からどういうところに原因があるか……。
  260. 福田一

    国務大臣福田一君) 過当競争といいますか、そういうところに原因があるのじゃないかと思っております。
  261. 向井長年

    ○向井長年君 長官に。
  262. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 特許の申請、それから出願公告にありますように、いわゆる権利の範囲といいますか、というものについては、いろいろまあ論争の余地があるわけでございまして、ただいま大臣答弁されましたように、日本の場合には出願公告になるものの中でかなり、いうところの防衛特許というのがあるわけでございまして、一人が特許を持ちますと、ある段階で、同じような発明を同じような段階でやっておるのがたくさんございまして、そういうのが、何といいますか、設定されました出願公告に対しまして、いわゆるまあ何と申しますか、異議を申し立てるというケースが非常にふえてきておるわけございます。
  263. 向井長年

    ○向井長年君 過当競争って、そんな抽象的じゃなくて、実際はこれに出願公告して認可されるまでに、それをまねてどしどしと製造するのですよ。そして、それを売却していく。したがって、本来であるならば、認可が早ければそういう問題起きない。しかしながら、特許申請してから三年五カ月もかかるから、したがってその間に、こういう品物はよく売れると思えばぞろぞろまねてつくり出す。そういう中から結局認可がおそくなっておりる。これは侵害ではないか、こういう係争が非常に多いと思う。こういう点は、少なくとも、やはり先ほどからいろいろと質問もございましたが、結局これがおくれておるために、出願から認可までの間がおくれておるために、そういう問題がやはり行政上の欠陥ではないかと私は思うのですよ。この点どうですか。
  264. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 仰せのとおりに、技術革新のテンポが非常に速いわけでございまして、特許の出願がありましたときに、ただいま申しましたように、三年以上もかかるということでは、ただいま向井先生の御指摘のようにいろいろ問題が起こるわけでございまして、できるだけ早く、われわれとしましては、まあ少なくとも二年以内には特許実用新案については処理をしたい。それから意匠なんかにつきましては、これは非常に御承知のように流行の激しいものでございますので、意匠などについて、現在のように一年九ヵ月もかかるということでは問題になりませんので、これは二ヵ月くらいに短縮いたしたい。商標につきましても、一年以内ということを目標にせっかく努力中でございます。
  265. 向井長年

    ○向井長年君 そういうことで努力してもらわなければいかぬと思うのですが、結局係争は裁判所でかってにやったらいい、こちらはできるだけやっているけれども、そういう時間的な問題があるからこれはしかたがないんだ、こういうことではいけないと思うんですよ。したがって、先ほどからいわれるように、定員の増加、あるいは処遇改善という形からやはり促進するというその立場に立って、そういう係争問題なり、あるいは侵害もなくしていく、こういう立場に立って努力をしていただきたいと思います。
  266. 福田一

    国務大臣福田一君) 御趣旨に沿って善処したいと思っております。
  267. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御質疑はございませんか。−他に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言がなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  通商産業省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  268. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、前例により委員長に御一任願います。  本日はこれにて散会いた一まず。    午後九時五分散会    ————・————