○
政府委員(八木徹雄君) 私学の充実強化につきましては、御存じのとおり、いままで振興会に対する出資金を
中心に
施設の整備を一方に推進していく。それからまた、一方理科
教育、科学
教育の振興のための助成措置を講ずる、そういうような方向でやってまいっておるわけでございます。御
指摘のとおり、現在の私学に、特に大学
教育において私学に負うところは非常に大であるわけであります。ほとんど大半が私学でまかなわれておるという傾向でございますから、その財政に対する要求も非常に大きいものがあるわけでございますが、三十八年度から財投の金をこれを回すというように、振興会出資金のほうに、出資金だけではなくて財投の金を回すという方途を講じまして、昨年は
一般会計から出資金が十二億、財投から二十億という形で措置をいたしたわけでございますが、三十九年度には
一般会計からの出資を十五億、財投から四十億。いま御
指摘になったように倍額にしたというのは財投の金でございます。合わせて五十五億の振興会に対する原資というものを与えるという方途を一方とってまいっております。
一般会計の出資金は、これで累計いたしまして二百二十億になったわけでございますので、それらの返還金と相まちまして
施設の整備につとめておるわけでございます。しかし、
お話のありましたような入学金あるいは授業料の値上げというものがこの
程度のものによって措置できるか、カバーできるかということになりますと、なかなかそうはまいらぬと思うのであります。現在の私学の経営の困難性というものは、一方において
施設設備の近代化、充実という問題がある。それはある
程度いまの振興会からの融資によってカバーできるのでございますけれ
ども、一方経常費について、いわゆるベースアップその他の
関係を通じて非常に大幅な経常費がかかるわけでございますので、その意味でその経常費をどのようにまかなっていくかということになりますと、現在の方途の中では、経常費に対する
文部省からの助成という道を開いておりません。これは私学の自主性の問題、私学の学問研究自由の問題等とも関連してまいるわけでございますので、伝統的に経常費の助成はしないということになっております。そのようなことで
施設設備の整備のために要する費用、あるいは金利
負担等、人件費の高騰等から、自衛上やむを得ず私学側は入学金あるいは授業料値上げをせざるを得ないというかっこうになっております。そこで現在
文部省といたしましては、振興会の金をもっとふやして、
施設の面から起こってくるところの金利
負担というものをできるだけ軽減するという方途を一方において
考えていかなきゃならぬ。なお、私学の一部分だけから希望の出ております経常費助成については、私学の自主性というものを尊重しながらその道が講じられるかどうか、いま
検討しておるところでございまして、
昭和四十一年度から大学急増の時期にも入りますので、その急増
対策ともあわせその問題の調整をどのようにするか——でき得べくんば今年の秋までには一応の方向というものを出したいということでいま
検討をいたしておるところでございます。