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須藤五郎君 私は、
日本共産党を代表しまして、ただいま議題となっております本
法案に対しまして、
反対の討論をいたしたいと存じます。
まず第一に、本
法案は、今次第四十六通常国会における
逓信委員会としましては一番重要な
法案であり、しかも、過去二回にわたって流れ、三たび提出されてきた最も重要な
法案であると思います。参議院段階におきましては実質的な審議を十分にせずして、ただいま採決されようとしておりますれ
ども、これは国会の審議権を束縛する行為であると言わなければならないと思うのです。しかも、衆議院段階における
大橋労働大臣と
古池郵政大臣との間における本
法案に対する見解の相遠も、まだ未解決のままであります。さらに深く追及され審議されなければならない原則的な問題点が、何ら審議されることなく、電通
労働者はじめ各
労組及び
国民には、不安と疑惑が取り残されております。これをほおかぶりして今日採決するのは、
国民の期待に反し、国会の民主主義を破ることと言わなければならぬと残念に思うものです。
第二に、
大橋電電公社総裁と
全電通笠原委員長との間に行なわれました会談は、
全電通あるいは全逓
労働者、さらには、本
法案の審議を見守る数外くの
労働者から疑惑の目が向けられております。現に、私のところにも数十名の
労働者から、あの会談は事実か、あんなことがやられては
労働者が大量に首を切られることになる、われわれの声を聞いてもらいたいというので、私は電通
労働者とも数回にわたって懇談をいたしました。現場で働いている
労働者は、この
法案に対して非常に大きな不安を持っております。本
法案の成り行きを注目しているわけです。私は、
大橋電電公社総裁に対しまして、会談の
内容を
質問いたしましたが、
大橋総裁は、明らかにこれをしておりません。
本
法案の本質は、決して
退職金をふやすというようなものでなく、
賃金の一部であり、かつ労使の自主的な
団体交渉によって決定すべき
退職金を、無謀にも
法律によってきめ、
団体交渉権をじゅうりんしようとするところにあると
考えます。もし
退職金が
団体交渉によって決定されず、
法律によってきまるなら、さらには、三
公社五現業の
賃金そのものを
法律できめることも、理論的には可能になり、ついには
労働組合そのものを骨抜きにし、破壊することも可能になるのであります。きわめて反動的な、
労働組合の破壊
政策がこの
法案の中にあらわれており、これは断じて許すことのできない問題だと私は
考えます。
また、本
法案にあらわれた
政府の政治的意団が重要であります。本
法案は、第三次五カ年計画、続いて行なわれる第四次五カ年計画に伴うものである。これらの五カ年計画は、米日独占資本のための通信の、軍事的側面を持ち、また、
池田内閣の所得倍増
政策の根幹中の根幹であります。さらに、米日独占資本の利潤蓄積の源泉であり、五カ年計画は、一口で言えば、反民族的、反人民的
性格を持つものでありまして、わが党は、かかる
合理化計画自体に
反対せざるを得ません。決して妥協することを許しません。
以上のような
性格を持つ本
法案が成立するならば、次は国鉄であります。現に、すでに昭和三十五年、国鉄の要員対策
委員会は、四十年度から、四十歳以上の人員を、年平均一万五千人ずつ整理すべきであり、そのためには、
退職金の
特別措置が必要であると答申しております。現在電通で行なわれている本
法案と全く同じ
性格の
法案が国鉄に出されることは必至であり、これを通じて国鉄
労働組合の団交権を骨抜きにし、形骸化しようとしていることは明らかであります。国鉄だけではありません。臨時行政調査会における審議の中でも明らかなように、
公務員も、各省、各局、各部間の配置転換を強要し、いままでの経験、能力を失わせ、
職場にいたたまれなくし、ついには、いわゆる自発的
退職を強制し、
公務員の
人員整理を巧妙にやり、さらに
公務員労働組合の権利を骨抜きにし、破壊しようとしているのであります。
以上のような反動的、反
労働者的なものが本
法案に初めてあらわれてまいりました。きわめて重要なことだと
考えます。
以上の点につきまして、私たちは、断固としてこれに
反対するものであります。