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1964-03-26 第46回国会 参議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十六日(木曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————    委員の異動  三月二十五日   辞任      補欠選任    上林 忠次君  古池 信三君  三月二十六日   辞任      補欠選任    後藤 義隆君  館  哲二君    小林 武治君  栗原 祐幸君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     竹中 恒夫君    理事            石谷 憲男君            西郷吉之助君            西田 信一君            松本 賢一君    委員            井川 伊平君            栗原 祐幸君            館  哲二君            鍋島 直紹君            松野 孝一君            占部 秀男君            鈴木  壽君            千葉千代世君            林  虎雄君            松澤 兼人君            辻  武寿君            市川 房枝君   国務大臣    自 治 大 臣 赤澤 正道君   政府委員    自治政務次官  金子 岩三君    自治大臣官房参    事官      宮澤  弘君    自治省行政局長 佐久間 彊君    自治省財政局長 柴田  護君    自治省税務局長 細郷 道一君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   —————————————   本日の会議に付した案件地方公務員共済組合法等の一部を改  正する法律案内閣提出) ○地方税法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○市町村民税減税補てん債償還費に係  る財政上の特別措置に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○奄美群島復興特別措置法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  本日は、初めに新大臣からあいさつ伺いまして後、午前中先議案件説明聴取及び地方税関係二案の質疑を行ない、午後は奄美群島復興特別措置法の一部改正案討論採決を行ない、その後地方税二案の質疑を続ける予定でございます。  初めに、このたび自治大臣並びに国家公安委員長に就任されました赤澤正道君からごあいさつをいたしたいとのお申し出がございます。これをお伺いいたしたいと存じます。
  3. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 私、ずっと衆議院外務委員長をやっておりまして、おとといでしたか、さきおとといでしたか、ああいう不慮の事件があったものですから、責任上すぐ虎の門病院にかけつけましてお見舞いをしました。まあ傷がああいう大腿部ですし、そう生命には現在の医学から考え影響ありそうに思いませんので、一安心いたしておりましたが、諸外国の思惑なんかもどうかと、また、この国会でもいろいろこれが問題視されるだろうということを考えておりましたとたんに、はからずも自治大臣並びに国家公安委員長をやってくれぬかというお話を聞いたわけでございます。まことに不敏不才でございまするけれども、私、お引き受けする決意をいたしましたが、しかし、いまの提案されている問題でもまあ比較的むずかしくないものもありはいたしまするけれども、なかなかいまのこういう事故をどうして将来とも絶滅を期するかなどということにつきましては、いろいろむずかしいことがあると思います。皆さま方のお知恵を拝借しながら、大過なく職務を完遂いたしたいと考えておりますので、何ぶんよろしくお願いいたします。(拍手)   —————————————
  4. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 次に、地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案参議院先議)を議題といたします。  提案理由説明を願います。赤澤自治大臣
  5. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) ただいま議題となりました地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  第四十回国会における地方公務員共済組合法の成立の際の両院地方行政委員会附帯決議の次第もあり、地方団体関係団体職員について地方公務員年金制度に準ずる年金制度を設けるものとするとともに、今国会において御審議をいただいておる恩給法の一部を改正する法律等の一部改正に伴い、地方公務員退職年金についても外国特殊機関職員在職期間を通算する等の措置を講ずる必要があります。これがこの法律案を提出した理由であります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  第一は、地方団体関係団体職員共済組合の新設であります。  この組合は、全国知事会等の都道府県、市または町村の長または議長が設けている全国的連合組織国民健康保険団体連合会及び市町村職員組織する健康保険組合等地方団体関係団体職員組合員とすることとしております。  この組合組織及び運営については、地方職員共済組合組織及び運営に準ずることとし、また、その給付内容及び費用負担については、おおむね地方公務員共済組合給付及び費用負担に準ずることとしております。  なお、施行日前の地方団体関係団体職員としての在職期間はこの制度による組合員期間に通算するものとし、これに伴う給付受給資格受給額等について特例措置を設けることとしております。  第二は、恩給制度改正に伴う措置であります。  その一は、旧満洲開拓青年義勇隊訓練機関等外国特殊機関職員としての在職期間を有する地方公務員について、恩給制度改正措置に準じ、これらの外国特殊機関職員としての在職期間組合員期間に通算することとしております。その二は、地方公務員共済組合が支給する退職年金等で六十歳に達するまでその支給を停止されているものについて、恩給制度改正措置に準じてその停止を解除することとしております。  以上のほかに、地方公務員共済組合法及び地方公務員共済組合法長期給付に関する施行法について若干の規定の整備を行なうこととしております。  以上がこの法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  6. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 本案についての質疑は後日に譲ります。   —————————————
  7. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 次に、地方税法等の一部を改正する法律案市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案、両案を一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言を願います。
  8. 占部秀男

    占部秀男君 前回に引き続いて局長にお伺いをしたいと思います。それは、今度の改正の中の一つであります固定資産税についての問題点であります。今度の法律では一応新基準による移行というものは全面的には延ばされておるわけでありますが、ともかくも四十年度にはやらなくちゃならぬ、こういうことになってくると思うのです。そこで、かりに税率をそのままにしておいたとして、いま行なわれておる評価額、新方式による評価額状況についてひとつお伺いしたいのですが、土地建物償却資産、いろいろあるわけですけれども、この新方式による評価の現在までの状況から見て、償却資産のほうは現状の額とどのようなぐあいに違ってきますか、あるいは違ってきませんか。全体的な傾向ですね、新評価による評価額状況ですね、それをちょっとお知らせ願いたい。
  9. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 土地につきましては、売買実例価格基準にして適正な時価を求めるような評価方式をとっておるわけでありまして、その大体の傾向は、田畑いわゆる農地につきましては従来の評価額の一・二倍ないし一・四倍、それから宅地につきましては六倍ないし七倍、山林につきましては三倍ないし四倍といったようなところが大体の傾向でございます。なお、家屋につきましては、再建築費基準といたしまして時価を求める評価方式をとっているわけでありますが、この点につきましては従来からも同様な方法をとっておりますので、おおむね横ばい。それから償却資産につきましても取得価格基準にする評価方式をとっておりますので、評価方法としてはおおむね従来どおりでございます。現実資産といたしましては、個々資産については、在来よりも年数の経ております分だけ経年減価で下がってまいるわけであります。
  10. 占部秀男

    占部秀男君 この固定資産の問題については、従来、評価がえの問題について、われわれは、原価主義で新方式による切りかえを行なった場合には相当な増税になるのじゃないかという点を心配をしたわけですが、今度の税率の問題をかりにいじらないとすると、いまお話しになったような内容だけを見ても相当な増税になる、かように考えるわけですが、そこで、これを増税にしないということを前提として政府のお約束を実現してもらう、四十年度において実現してもらう、こうするためには、税率関係その他もいじらなければならないだろうし、また、いろいろな技術的な措置をしていかなくちゃならぬと思うのですが、そういう点について見通し的なものがございましたら、お願いをしたいと思います。
  11. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほど申し上げたようなことで新評価を実施しておるわけでございますが、その評価固定資産税税負担の面にどう反映させていくかということにつきましては、政府税制調査会検討いたしていっているわけであります。その際、固定資産税税負担にこれをそのまま移すにはいろいろの問題点があるわけでございまして、たとえば土地家屋償却資産、その間に評価上の一応のバランスはとれてまいりましたが、担税力という面から見てこれを同等に取り扱っていいものかどうかといったような問題も出されまして、また、同じ資産、たとえば土地につきましても、農地のような生産手段に使われているようなものと、そうでなくて住宅用土地のようにまあ非生産と申しますか、住宅用土地のようなものに使われるものもございますし、また、それを利用しております人につきましても、サラリーマンのようにその土地家屋収益のもとにしないで、ただそこの土地家屋所有状態を続けておるというような人と、そうでなくて、事業の用に供してそこから収益をたたき出しているという人もある。それらの間の税負担上のバランスはどう考えたらいいものかといったようないろいろな問題点が議論になったのでございまして、それらの問題は何ぶんにも固定資産税が全市町村の全資産に及ぼすところ広範にして大きいものでございますので、その影響等も考慮して慎重に検討をいたしたい。  そこで、当面の暫定的な措置として、今回御提案申し上げたような措置をとるよう答申も得、それに基づいて政府の案をお願いをしておるわけであります。したがいまして、三年後の四十二年、次の基準年度から、これを恒久的な措置にどう持っていくかということは、なお税制調査会におきましても検討段階でございますし、政府といたしましても、その問題の重要性にかんがみまして、税制調査会答申を見つつその措置をきめていかなければならないのではないか、かような態度でおるわけでございます。  ただ、そういたしまして、三年後に行ないます場合におきましても、やはり現実税負担の激変というものについては、今回とられたような措置を考慮しながら進んでいかなければならぬのではないかといったような考え方は一応ございまするけれども内容的にはそういった事情でございますので、検討事項として残されておるようなわけでございます。
  12. 占部秀男

    占部秀男君 この法律によって改正される当面の暫定措置といいますか、そうした点についてはまたあとでお伺いをしたいと思うのです。ただ、暫定措置の問題を考える場合にも、この新方式の切りかえによる将来の影響との関連なしには考えられない点もありますので、そういう点についてはやはりできるだけ明確にしておかなければならないと思うのでありますが、ただいま局長お話の中で、評価上のバランスはとれたけれども担税力問題点があるとか、あるいは、いろいろ性質的な問題からして相当考えていかなければならぬ諸点がある、かようなお話でございましたが、いずれにしても増税にならないようにやろうというからには、この税を支払う者が少なくとも個々増税になったんだという形をあらわさないようにしてもらうということが私は政府約束の中心ではないかと思うので、その点についてまず局長に見解を伺いたい。  というのは、いま、たとえば大ワク的には増税にはならぬけれども個々の人には、たとえば家屋を持っている場合でも、その家屋使い方が消費的な場合と、生産的な場合がある。土地の場合でも同じような場合がある。いまちょっと言われたのですが、そういうような課税対象を使う何といいますか使い方等の差異、そういうようなことによって、大ワク的にはたいして上がらなくても、個々の部面ではぐっと上げていくというような、そういうようなことがあっては私はならぬと思うので、そういう点について、その見通し的な考え方をもしお話しできたらば、してもらいたいと思うわけです。
  13. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 今回の新評価額をそのまま使って現在程度現行制度におきます全体の税収を上げよう、こういうことで、かりに税率だけでこれを計算いたしますと、税率は 〇・七ないし〇・八%くらいというようなことになるわけでございます。ただ、それは総体としてはそういう姿になりますけれども、それによってはたしてそのとおりの担税力を各資産に持たせられるものかどうかという点が検討事項の重要な点でございます。その内容については、そういった点の深い掘り下げを必要とする、かように私ども考えておるのでございます。
  14. 占部秀男

    占部秀男君 なぜ私はこんなつまらないような質問をするかというと、実はこれは非常に大きな問題で、私もこの政府の方針が発表されて以来、ここ一年間ばかり各地をずっと自分自分なりに歩いて、いろいろと調べて、できる限りの調べをしてきたわけですけれども、結局、土地なら土地の問題と法が示しておる評価の新しい切りかえ方に、即そのまま実際は今度一月一日を基準とした評価がえの作業といいますか、作業がなってないのじゃないかという点が全国的に相当あるわけです。たとえば、標準何とか地——あまりむずかしいので、私たち専門家でないのでよくわからない点もあるのですが、この現在の売買価格基準にして標準地なら標準地というあれを出していくと、とてもじゃないけれども宅地の場合などは非常な値上がりになってしまう。そこで、県の審議会ですか、あそこでの何か持っていく報告なんかも相当やはり勘で——水増しじゃなくて、何というのですか、調整をして価格を出していかないと追っつかない。たとえば、私、山形なら山形のほうへも行って、秋田の場合なども、あるいは酒田のあそこら辺も、鶴岡その他調べてきたのですが、結局実際の売買価格よりは三分の一くらいの程度のものをやはりいわば一つの勘的な形で調整をして出しておる、こういうような実態が相当あるわけなんですね。それで、結局今度の法の改正によって原価主義になったということが、実際はやはりそれではやっていけないので、事実上の問題としては、一応原価基準とはするけれども、ある程度調整を行なってそして出してきておる、こういう点が相当あるわけなんですね。そういう点があるのですから、したがって、その法を今後実施をする場合の税率のきめ方やいろいろな技術的な方法いかんによっては、相当私は混乱をしてくるのではないかという心配現実的にはあるわけです。特に宅地問題等ではあると思うのですがね。そういうような情勢については、自治省のほうとしてはどういうふうな状況を察知されたか、あるいはまた、調査といいますか、とらまえておりますか。全国のあがってきた県の、一応県段階価格ですか、それが厳正に現価を基礎としてやられておるかどうか。そういう点についてどうお考えになっておりますか。
  15. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 宅地について申しますと、各府県一つずつの市町村を指定いたしまして、おおむね県庁所在地でございますが、指定いたしまして、そこにつきまして、基準地あるいは標準地、そういったものを幾つか設定をして、その評価については、特に標準となりますいわば基礎になるものでございますので、慎重に評価をいたした。その評価に当たりましても、その近隣の売買実例価格をとりまして、その売買実例価格の中で、その売買に示されております特有条件、具体に申しますれば、買い手が弱い場合には割に高くなる。売り手が強い場合には反対になるといったような条件もあるわけでございます。そういったような、その個々売買実例から固有の特例的な条件を差し引きまして、そして、正常な価格というものを求めて、それと、その土地とその標準になります土地との関係を見てきめてまいる。それがきまりますれば、それに類するところについてはそれに準じてやっていく、こういったやり方をとって評価を実はいたしているわけであります。  そこで、こういう評価によりまして、いわば積み上げ的に各市町村個々評価をしたものが積み上がってくるというような形になってまいります。従来のように、上からおろされていくという評価方式とは御承知のように違うわけであります。したがって、こういう評価方式によっておりますだけに、個々評価については、何ぶんにもそれは人間がやることでございますから、評価についての主観が幾らかずつ働くことはこれはだれがやっても避けられないことであると思いますが、全体として見ますれば、従前アンバランスは大いに是正された姿になってきているものと、こう私どもは見ているのでございます。
  16. 占部秀男

    占部秀男君 従前アンバランスが相当是正されるような方向になってきたという点については、私たちもある程度はそのとおりだと率直に言えば思っているのですが、その従前アンバランスが是正されたその評価のその基準になる一番根元のところですね。根元のところ、つまり、いま局長が言われた個々特有条件ですね。条件によるプラス・マイナスの点も考えて出されておる。その個々特有条件というのは、これは実は局長考えられているように一つ評価をする場合のいろいろな外的な内的な基準条件というような筋の通ったものでなくして、やってみると、非常にこう高くなり過ぎてしまった。たとえば、私は山形の例ですが、いままで二万円程度のところだったやつが、何か今度のやつでやってみると、とてつもなく十七、八万円になってしまうので、これは五万円程度にちょっと切って、それでもって出さなければとてもじゃないけれども操作はできない。こういうようなことで行なわれておる。こういう点が相当全国的にあるのじゃないかということを私は聞いたりしているわけなんですが、そのこと自体がまあこの法律の示す原価主義に基づくところの評価の筋からいっておかしいじゃないか、こういうことを私は言っているのじゃないのです。実際は、それは無理な点も、法の示しているところに相当無理な技術的には点があると思うのですね。したがって、そのこと自体についての問題をいまさらくどくどしく言うわけじゃなくて、そういうような内容が相当今度の新方式の中にはファクトとして入っておるので、したがって、今後の税率のきめ方やあるいはいろいろな、税率だけじゃない、いろいろな操作が行なわれるのですけれども、そのきめ方のいかんによっては案外逆にアンバランスがかえってふえてしまうというような実態が出てくるのじゃないかということを私はこれは心配をして言っておるわけなんです。したがって、もう一度そういう点については、これは調査、いわゆるお上方式の文章だけの調査では私は出てこないと思うのですけれども、そういう実態もやはり当局としては相当ひとり検討してもらいたいと思うのです。何か、どうもいまのやり方ですと、原価主義によること自身が率直に言えば宅地の場合などは何といったってうんと上がりますからね、いまの宅地土地値上がり状態では。そこで、相当な土地土地によって一つ基準のない、何といいますか勘によるところの操作が行なわれているのじゃないか。いわゆる局長の言われた特有条件、そういう一つの何といいますかな言い方によってその中の内容として行なわれているのじゃないかということを心配しておるわけなんです。そういう点については、局長のほうとしては、どうお考えになっておりますか、また、今後どういうようにされようと思いますか。
  17. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まあ宅地で申しますれば、先ほど申し上げたような仕組みで各県に一つ市町村をきめて、そこの基準地価格をきめていく、そしてあとは、県内の他の市町村については県の段階でこれをとってバランスをとっていく、こういう仕組みになっておるわけでございますが、問題は、いま御指摘のように、売買実例価格をとってまいります場合に、実例価格から取り出す正常な価格をどういうふうに見るかというところにいろいろ問題が起こる可能性があるわけでございます。もっぱら税務職員の経験なり運用の問題にまかされておるわけでございますが、ただ、基準地価格のもとになります路線価につきましては、単に府県あるいは市町村あるいは自治省、そういったいわゆる自治団体系統の役所だけでなく、国税局あるいは法務局といったような関係機関の方の立ち合いも求めたい。そうしてやりました結果、そのもとになっております路線価につきましては、もうほぼ全国的に一致をいたしておるのでございます。したがいまして、それから下への流れ方についてはなお検討を加えるべき部分があるいはあるかもしれません。先ほど申し出のございましたような、あとから直したといったようなところも確かにあったと思います。それは、やはり売買実例価格の見方に、そこだけに偏したものがあって、他と均衡をとる場合にそれでは均衡がとれないといったような注意をされて直したところもあったわけでございまして、そういういろいろな努力によって私どもとしてはおおむね均衡がとれておる、こう考えておるのでございますが、なお、全く明らかに事実に反するというようなところがございますれば、自治大臣に指示の権限もございますので、その辺はよく見てまいりたいとかように考えております。  なお、将来これをもとにしていろいろ税負担の問題を議論することになるわけでございます。税負担基礎として使われる資料につきましては、御注意の点も十分加味して検討を加えてまいりたい、かように思っております。
  18. 占部秀男

    占部秀男君 この問題については、当面の改正の問題はあとでお伺いいたしますが、この問題については、この間の地方税法の一部の改正によって、確定が延びたわけですね。で、新評価の完全に確定するのはいつになるわけですか。
  19. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 市町村長段階で三月末までに行ない、四月一日から普通の場合でありますれば二十回までの縦覧期間を経て、それによって確定をしていくわけでございます。
  20. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、これにかりに異議のあるものは、この縦覧期間に一応異議申し立てといいますか、あれをすることになるわけですか。たしか四月一ぱいでしたか。
  21. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) はい。四月一日から二十日までが原則的な台帳縦覧期間でございまして、その間に新評価額異議がある場合には申し立てをしていただく、かようになっております。
  22. 占部秀男

    占部秀男君 申し立ての最後のあれは四月一ぱいでしたか。
  23. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 申し立てをすること自体は四月一ぱいであります。
  24. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、かりに申し立てがあったとしても、それが最後的に——最後的といいますか、その申し立て問題が訴訟になれば別ですが、決着のつくのはいつになりますか。申し立てをして、その申し立てを今度は審査して、それがいずれにしても却下になるか、あるいはどうなるかということのめどがつくのはいつごろになりますか。
  25. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 申し立てをされてから三十日以内に固定資産評価審査会でその決定をいたすわけでございます。その決定になお不服でございますれば、訴訟ということになるわけでございます。
  26. 占部秀男

    占部秀男君 私は、訴訟の場合はこれは別なんですが、三十日以内、こういうふうな法の示すところですけれども、この申し立ての審査について私はちょっと自治省の、これはうそかほんとうかわかりませんけれども、扱い方について、心配というか、実は疑念が私自身あるわけですが、それは、今度のこの新評価の問題が当面の三年間の問題ははっきりと法律ではさまっておるけれども、その後の問題については、まあ率直に言えば重大なところが全部明らかにされていない。そこで、今度のこの新評価そのものに相当異議申し立てをするという傾向全国的にあるように私は見受けるわけなんです。そうすると、三十日以内に決着をつけなければならないというところから、現在の審査の機関の能力をはるかにというか非常にこえたような申し立てが行なわれるんじゃないかというような情勢をわれわれはキャッチをしておるわけなんですが、そういう場合に、何か自治省としては一括してずっと簡単に審査を持てるような方式というか、そういうものを行政指導をしておるというふうに私はちょっと聞いたのですが、そういうことがあるかないか。もしあるとしたら、どんなことを行政指導したか、それをひとつお伺いしたい。
  27. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 私らのほうとしましては、現在そういったことは一切いたしておりませんし、考えてもおりません。
  28. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、もし三十日以内にその審査の機関の能力では応ぜられないような場合には、これはどういうことになりますか。
  29. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まあ出てまいる件数がちょっと予想ができませんが、かりに非常に出てまいりました場合でも、三十日以内という規定はございますけれども、その後になっても決定はできるわけでございます。したがいまして、その出てまいりました状況に応じてそれぞれの市町村評価委員がどこまでこれに応ずる態勢をとっていくかというのは個々の問題になろうかと思っております。
  30. 占部秀男

    占部秀男君 その三十日以降にも決定することができるというのは、これは何かやっぱり法律上そうなっておるわけですか。それとも、便宜上——私もそれをいけないと言うのじゃないですよ。余ってくれば、これはもちろんそうしてもらうほうが私はいいと思うのですけれども、念のためお聞きするわけですが、それはどういう扱いになりますか。
  31. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 三十日以内ということの規定自体が訓示規定であるというふうに解されておるのでありますが、なお、この期間内に決定がないときには、その審査の申し出を却下する旨の決定があったものとみなすことができるということになっておりますので、それによって却下に対しての不服ということであれば出訴することができるわけでございます。
  32. 占部秀男

    占部秀男君 それは、結局、訓示規定とみなしておるとはいいながら、一応法的には却下されたと。たとえば、能力が、十人は見られるけれども二十人のときにはとても余ってしまうという場合に、あとの十人は法律上まだこまかい審査がないのに却下されたということになるということになるのじゃありませんか、一応法律上は。あとで却下に対しての異議申し立てができるかどうか。これは局長が言われておるようにできるかもしれぬ。しれぬけれども、一応のけじめとしては、何も申し立てをした人が悪いのじゃなくて、こちら側の当局側の能力がない、そういうことから好むと好まざるとにかかわらず、はみ出した部分については却下されると、こういうようなことになってくるのじゃありませんか、その点は。どうですか。
  33. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 期限までに決定がないときには却下されたものとみなして納税者のほうがみなすことができるようになっておりますので、納税者のほうでそれは待ちきれないということであれば次の行動に移れる。しかし、規限までにおってもなお納税者ではその審査会の決定を待とうということであれば待てる。納税者のほうにみなす権限はございます。
  34. 占部秀男

    占部秀男君 その納税者のほうでみなす権利があるということは、結局は今度の改正は四十三年後のところにまた法の改正をして——それで現実にはするわけですね、三年後の部分については税率その他を。そうすると、その間じゅうは、かりにこれは最大限の場合を言うのですが、こういうことはないと思うのですが、その間じゅうは、やはり待っていれば、いずれにしても異議申し立てについての裁定はしてもらえる、こういうことになるわけですか。
  35. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 事実問題はあれですが、法律的には、納税者が待てば、そういうことになるわけでございます。
  36. 占部秀男

    占部秀男君 そうしますと、今度のこの法律で三年間の暫定的な扱いがきまっておるわけですから、かりに納税者が異議申し立てをして、そういうような場合に三年間待ったとしても、待ったことによる実害はないわけでありますな。結局出てこないことになりますね。
  37. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 異議申し立てがございますれば、固定資産評価審査会のほうは当然その職務上急いでこれの処置をすべきものであるわけなんです。万一、その三十日なら三十日の期限以内に評価審査会として決定ができないというような場合には、評価審査会としては当然引き続きその職務上残りの部分について急いでこの処置をすべきものと思います。先ほど申し上げましたのは、三十日の期限がたっても決定がないときには、納税者のほうで待ち切れないという場合に、それを却下とみなして次の行動に移れるというふうにしてあるわけでございます。ちょっと先ほど申し上げたのはことばが足りなかったかもしれません。
  38. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、次の行動というのは訴訟ですか。
  39. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 行政訴訟になると思います。
  40. 占部秀男

    占部秀男君 そこが実は問題なんですがね。その行政訴訟ということになると、これはいわゆる異議申し立ての場合とは違って、手続上もまた金の面についても相当問題が違ってくるんじゃありませんか。何というか、われわれ納税者の立場から言えば、金がかかってひまがかかって複雑になってくる、こういうような情勢が出てきませんか。その点はいかがですか。
  41. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) この異議申し立て自体にも当然申し立てを主張すべき資料は要るわけでございますが、一般的に訴訟になりますれば、おっしゃるように費用その他の問題もあるわけでございます。ただ、ここで先ほど申し上げましたのは、期限の三十日以内に決定がなかったときに、納税者としてどっちを選ぶか、なお決定を待つ態度をとるか、待ち切れなくて出訴に出るかは、納税者として選択権があるわけでございますので、その辺は個々の納税者の事情によって異なるかと思います。
  42. 占部秀男

    占部秀男君 そうなると、くどいようですが、しろうとですからあとあとの問題があるので教えておいてもらいたいと思うんですが、それでは待っておればやってくれるんだ、審査してもらえるんだと、こういうことに事実上はなりますし、それから法律はこの次の改正までの暫定的な措置があるわけですから、したがって、待っているその待ち方が長くなっても別にその意味の実害はない、こういう意味に言えるわけですな。
  43. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 実害のあるなしは個々のケースによると思いますが、おっしゃるとおり、納税者としては決定があるまで待つことができるわけでございます。
  44. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、今度はこの法律の当面の内容の点について、固定資産問題点についてお伺いをしたいと思うのであります。  今度の改正によると、三年後の恒久措置の前に一応三年間だけの暫定的な形、こういうことがとられておると思うんですが、そこで一つ伺いをしたいのは、この暫定措置が終わった三年後には必ず法改正をやはりやるんだと、こういうことですか、それとも、税制調査会作業の情勢もあり、あるいはまた、今度の新規評価によっていろいろ今後全国的に問題点が起きてくると思うが、問題点いかんによってはさらに延ばすこともあり得るように考えていま作業をされておるのかどうか、こういうことをお伺いしたい。
  45. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 税制調査会答申を得て政府の態度がきまりますれば、これは当然法改正を要する内容になると思います。万一不幸にしてそういうなかなか結論が調査会で得られないといった場合におきましても、次の基準年度においてはやはりその際における適宜な措置考えていかなければならない、かように考えております。
  46. 占部秀男

    占部秀男君 その基準年度の次の、これは仮定の事項ですから、何と申しますか、率直に言って局長も答弁しにくいと思うんですが、問題が問題で相当大きな改正ですからね、この固定資産にとっては。それですから私は念を入れておるんですが、かりに基準年度の次の基準年度までに答申がなかったという場合には、このままの、今度の改正なら改正できまった内容をそのまま答申のあるまで押していくというか継続していくというか、そういうような考え方ではないのでありますか。
  47. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 私どもとしましては、今回三カ年間とりました暫定措置は、いわば次善の方策でございまして、本来でありますれば、この際に恒久的な方策をおはかりすべきであったと思うわけであります。先ほど来申し上げましたようないろいろな問題が税制調査会においても議論されておりまするので、今回次善の方策としてこういう方法をとったわけであります。したがいまして、次の基準年度までには何とかしてこれの恒久方策を打ち立て、おはかりをしてまいりたいと、かように考えておるわけであります。  なお、法律的なことでございますが、現在の今回お願いをいたしておりますこの法律がそのまま成立いたしました場合に、そのままの姿でまいりますと、四十二年度以降については何らこういった負担調整措置が講じられない姿になりますので、いきなり現行の評価基準によります評価額に対して現行税率がそのまま適用になるという法律的な姿になるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、恒久的な措置を何とかわれわれとしても生み出してこれが措置考えてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  48. 占部秀男

    占部秀男君 その次に、土地評価方式なんですが、今度農地を従来の何といいますか収益還元方式といいますか、それがとられていないわけでありますね、今度のやつには。自分の使う宅地であるとか、あるいは同じ農地でもそれを開放して宅地にして売ってしまうとか、こういうことは別ですけれども、引き続いて農業を営んでおるそういう農地については、私はこれは土地の値段で評価をするということ事態がこれは相当大きな問題じゃないかと。つまり、農業はやはりその土地を利用してそして生産物をあげて一応収益をあげて暮らしているのですから、したがって、これはやはり収益還元方式でこの評価をしていくことが私は正しいのであって、ほかの場合とは違うじゃないかという感じがするのですが、そういう点についての考え方はどうでございますか。
  49. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 適正な時価を求める方式として何がいいかという問題に帰するわけでございますが、今回、土地につきましては、全面的に売買実例価格による、こういうことにいたしておるのでございますが、そういたしました理由は、一つには、土地の中でもいろいろな地目のものがございます。それらに共通の尺度での評価をいたしたいという点が一つございます。  また、収益還元方式という方式をとれということになってまいりますと、同じ他の宅地につきましても、事業用に使われております土地もございますし、そうでない土地もあるわけでございまして、それらとの権衡をどうしたらいいかというふうな問題も起こってまいるわけであります。反面には、収益還元方式自体をとろうといたしました場合でも、その資本還元率をどのように考えたらいいか、また、特に畑等につきましては、収益をどういうふうに捕捉したらいいか、非常にむずかしい問題も逆にあるわけでございまして、そういった点を考慮いたしまして、今回の措置をとったわけでございます。
  50. 占部秀男

    占部秀男君 いま局長お話の中で、土地についての評価の共通の尺度をつくる、こういう点については、私は自治省側の意欲的な考え方というものをあながち否定をするわけではないのでありますけれども、しかし、この土地そのものの利用する性質の違いから、かりに収益還元方式をとったとしても、いま局長の言われた、それぞれの性質の違った利用され方をしておる土地間の均衡というものははかれない、そういうような問題では私はないんじゃないかというふうに考えるのです。というのは、農地は、御存じのように、農地そのものを収益のいわば面接の何と申しますか手段にしているわけですね。そしてこれが全国的に土地の例から見れば、土地を利用する方法の大部分と言っちゃ悪いけれども、相当部分は、ただいま農地で利用されておると、こういうところからして、たとえば工場が建物を建てて機械を入れてやった場合の土地の利用の性格と、それから農地そのものを耕しておる土地の利用の性格とでは、これは利益を生む立場からいうと、決定的に違うんじゃないか、性格が違ってくるんじゃないか、こういうふうに私は考えるわけであります。むしろ、一般産業部面においては、確かに土地は利用しておるけれども土地よりも、その中の建物、機械、そうした産業設備によって物を加工してそして利益を生んでいく、これが中心になる。農業の場合には、土地そのものがなければ立っていかない。土地そのものを中心にして利益をあげているんで、したがって、収益還元方式をとらない一つ理由として土地の利用のされ方の違いからくる他の土地間との均衡がとれないからという局長の御答弁は当たらないじゃないかというふうに感ずるのですけれども、この点についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  51. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 固定資産税をどう考えるかということが基本にあるわけであります。われわれは固定資産税を個別的な財産税であるというふうに観念をいたしております。したがいまして、それの適正な時価をどうやって求めていくかという場合に、必ずしも収益だけに基礎を置いて求めることは妥当でないのではなかろうか。ほかの土地につきましても、先ほど申し上げられたようなこともありますし、また、収益性というようなことになってまいりますと、たとえば大企業のやっております償却資産等につきましても、これをどう考えていくかといったような問題も実はあるわけでございまして、そういったことを考えた末にいま申し上げたような方式をとることにいたしたわけでございます。
  52. 占部秀男

    占部秀男君 局長の言われたその収益だけが評価基準ではないと、こういう点については、私もそうじゃないかと思うのですが、ただ、私がなぜ収益還元方式農地について固執をしているかというと、いまの事情の中で農民は御存じのようにそうもうかってはいないのですね。それだのに土地評価だけが上がっていくということになると、土地を売る場合にはある程度利益になるかもしれぬけれども、引き続いて農業を営む場合には、公課その他の民間関係のいろいろな負担金その他の関係もあって、私は相当農民には、額の大小はとにかく、他の醵出すべき、あるいは押しつけられるような半義務的な金を出すというような問題に関連をして、農家の出す負担というものは多くなってくるのじゃないかという心配があるもんですから一つはそういうことを言ったんですが、そういう点について何か検討されたことはありますか。
  53. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まあ確かに農業については、農業の特殊的な地位があろうと考えております。したがいまして、同じ評価をいたすにいたしましても、売買実例価格基準とはいたしておりますが、農地売買実態にかんがみて、原価収益補正といったようなことも実はいたしておるわけであります。  それからなお、評価は先ほど申し上げましたようなことでやっておるわけでありますが、御承知のような農業の特殊性というようなことも考慮いたしまして、今回、暫定措置ではございますが、その中でも農地についての税負担を据え置くといったような考慮を払ったわけでございます。
  54. 林虎雄

    ○林虎雄君 関連。原野はどうなるのですか。開拓などの場合に、農林省では、開拓して成功検査を受ければ農地と認められるわけですが、それ以前の畑地ですね、これはどうなりますか。たとえば農地は、課税する場合も現状、そしてその他は約二割というものを見ておるわけですが、農地以前のものはどうなりますか。
  55. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ここで農地と申しておりますのは、現に耕作をしている田畑という考えに立っておりますので、その現況によってこれを判断するものと思います。
  56. 林虎雄

    ○林虎雄君 原野といいますか、採草地も畑地とは認められない場合もあると思いますが、採草地などはどういうふうにごらんになりますか。
  57. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 一口に採草地と申しましても、計画的に経営的な採草地として使っておるものもございますし、自然な状態において採草地になっておるものもあるようでございます。したがって、そういった畑として計画的に使われておるようなものは畑に大体なっておると見ております。それ以外でありますと、あるいは牧場であったり、原野であったりすることがあるわけであります。
  58. 林虎雄

    ○林虎雄君 この原野の場合、現状を見て農地と認めていくか認めていかないかということだと思いますが、個々の農家の経営しておる農地に付属しておるような原野ですね、そういう場合に、これは農地とみなしていく方針ですか、それともそうでないかですね。
  59. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) それを持っている人の属性といいますか、農家が持っていれば農地というふうには見ていないのでありまして、あくまでもその土地の現況で現に耕作をしているかどうかによって農地であるかいなかを判断をする、こういうことにいたしております。
  60. 林虎雄

    ○林虎雄君 そうなりますと、農地以外の原野の場合ですね、価値としては農地より以下の原野に対して認められなければ、課税というものは多くされるということにまあ理屈上なると思いますが、そう解釈していいのでございますか。
  61. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 農地以外の原野でございますれば、今回の暫定措置で三年間は従来の二割増の課税と、こういうことでございます。
  62. 林虎雄

    ○林虎雄君 そうなりますと、価値の出た農地は現状であり、それ以下のまだ価値を持たない原野のほうが二割上がるという理屈になるわけですが、ちょっと矛盾しているような気がしますが、どうですか、この点は。
  63. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 計算上はそういうことになりますが、ただ、税負担という面から見てまいりますと、もとの評価額が御承知のように原野でありますれば非常にわずかなものでございますので、田畑にすれば上がってまいりますので、必ずしも実質的な税負担としてはそれだけでは判断できないかと思っております。
  64. 林虎雄

    ○林虎雄君 確かに局長さんのおっしゃるとおりだと思いますが、それでも、もともと価値が低いからたいしたことはなくても、農地よりは上がるという理屈がちょっと筋としておかしいような気がしますが、どうですか。
  65. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 実際の税負担としては、同じ地積をとれば低いものと思います。
  66. 林虎雄

    ○林虎雄君 それは理屈上ですね。
  67. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いまお話のありましたように、負担といいますか、上昇の率と申しますか、その点では確かに違いがあるわけでございます。ただ、農地として田畑だけをとってまいりましたことは、やはり従来からの一般的な観念もございまして、田畑についての農業の田畑、農業についての特殊性を考慮いたしたものでございます。
  68. 占部秀男

    占部秀男君 次に、固定資産税のこういうような大きな改革を行なうそういうような機会に、私はいまだ利用されてない空閑地についての何といいますか課税の問題を自治省として検討すべきではなかったかと思うんです。つまり、最近土地の投機が非常にはやっておるわけですね。このごろの投機は、単に大都市の周辺というだけじゃなくて、北海道から九州まで相当な全国的な幅でまず買っておく、そしてムードをつくってつり上げる、こういうことで一般に住居のための土地がほしいとか、あるいは実際に土地を必要としておる人たちが、だんだんと手が届かないようなぐあいになってきておるのは、まあ現状は御存じのとおりなんです。土地の経済法則の上からいって自然的に上がっていくという形のやつは、これはあり得るとしても、空閑地をむやみに何というか投機の対象として、特に住居や土地のない国民が多い現状の中でそういうことが行なわれているということについては、われわれはやはり政府としても一つの規制をすべきじゃないかと思うのですが、そういうことにも関連する問題点でもあるのですが、何かそういう点について検討をされたことはございませんか。
  69. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まあおっしゃるとおりの状況でございますので、空閑地についてどうするかということは、われわれとしても検討しなければならない事項であるわけであります。実は、宅地制度審議会におきましてもその問題が同様に出まして、空閑地税を考えてみてはどうだろうか。もとよりほかの施策もあわせて考えなければならないのでありますが、税制の面で空閑地に対して何らかの課税はどうだろうかと、いろいろ研究をいたしてもらっておるわけでございます。何を空閑地と見るか、あるいはその期間をどう考えていくか、いろいろ技術上の問題が非常にむずかしい点が多うございまして、なお検討段階にあるというような状況でございます。ただ、現行の税制のもとにおきましては、土地売買が行なわれてまいりますれば、徴税の面におきましても不動産取得税といったようなものによって捕捉をいたしておるわけであります。  なお御指摘の空閑地の問題については、今後も引き続き検討さるべきものと考えております。
  70. 占部秀男

    占部秀男君 これは細郷さんには私初めてこの問題聞いたんですが、たびたび自治省財政局長にはお伺いをしておるわけなんです。いつも御答弁が、何を空閑地として規定するかということについての捕捉のしかたが非常に問題だと、こういうことでずっとやってきたんですがね、これは。やはり実際問題として政府が投機的な土地の何といいますか売買行為といいますか、そういうようなものを規制しようとする場合には、そういうような意味合いからの捕捉のしかたができるんじゃありませんか。なお、これは法律技術からいくと、われわれはしろうとなんで、どうもむずかしいのだと言われてしまえばそれまでなんでありますが、その点はいかがなもんでしょうか。
  71. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 私どもも感情的には全くおっしゃる御意見はよくわかるのでございますが、何ぶんにも投機的にいくかどうかということは、その人の心の中に持たれておることが多うございまして、外見的にこれを捕捉するということは非常にむずかしいのじゃなかろうかというようなことから空閑地の捕捉がむずかしいというようなことでございまして、何かいい方法があれば私どもとしてもその方式について取っ組んでいきたい、こういう心境にございます。
  72. 占部秀男

    占部秀男君 たとえばこれはしろうと考えかもしれませんが、住宅用土地を買ってまあ三年なり五年なり十年なりほうっておいたと、こういうようなときには、買って二年とか三年とかいうんで、それ以上ほうっておく、住宅を建てないような場合には幾らか税金をかけるとか、こういうようなことはできないものでしょうか。非常に素朴なしろうと論議なんですが、これはだいぶその点大きな問題なんで、われわれも何とかというか、ああいう横行は押えていかなければならぬじゃないかという観点を持っておるのでお聞きするんですがね。
  73. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まあ空閑地といっても、土地を購入してそれをそのままあけておく人もございますし、それをその間空閑地でないように見せるために、たとえば便宜的な駐車場を設けるとか、物の置き場に使わせるとかいったような事例もあるわけでございまして、そこいらの識別が非常にむずかしいのではないか、こう考えておるわけでございます。  なお、不動産取得税は、今回の新評価によります評価額をそのまま課税標準に使うことになります。したがいまして、不動産取得税の面におきましては、そういった投機的な売買がかりにあったといたしましても、それは取引の実態価格に近いもので課税をされていく、こういうことになるわけであります。なお、不動産取得税におきましても、もちろん住宅については、特殊な措置として、御承知のように、住宅用土地については税額控除の額を引き上げる、こういったような措置が、不十分ではございますけれども、いま御指摘のような点について幾らかおこたえできる方法ではないか、こう考えております。
  74. 占部秀男

    占部秀男君 念のためにお聞きしますが、そうすると、今度の新評価は、いわゆる固定資産税そのものについては暫定措置が三年間あるわけですが、ほかの税のはね返りはそのままやるということになるわけでございますな。
  75. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 不動産取得税につきましては、従来から固定資産税評価額と、こういうことにたてまえがなっておったわけでございます。今回の新評価を不動産取得税についてはそのまま使う、こういうことになります。
  76. 占部秀男

    占部秀男君 最後にお聞きしたいことは、固定資産の問題です。特に大規模償却資産やその他の問題で、これは前々から言われておるけれども、非課税措置の問題が相当委員会としてもたびたび問題点となっておるんですが、今度は、それを整理しようというようなことは考えなかったのでありますか。
  77. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 現在行なわれております非課税あるいは課税標準特例措置につきましては、それぞれ非常に固定資産の比率が高い、あるいは非常に大規模な公共的な事業である電気とかガスとかいった公共的な事業である、あるいは料金について特定の規制を受けている事業である、こういったようなものについて、設置当初におきます税負担をならしていくという意味で課税標準の特例をつくっておるわけでございます。これらにつきましては、やはりそれぞれの目的を達し、ひいては国民大衆への均てんといったようなことも考えられますので、一応このまま存置をいたしてまいりたい、かように考えておるような次第でございます。
  78. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 固定資産評価をする場合、土地においては、おそらく一坪当たりあるいは一平方メーター当たりという単位についてやるわけですね。
  79. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 坪あるいは反といったような通俗的な単位でございます。
  80. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 固定資産の課税台帳に登載されております一単位の面積というものがあるわけですね。これはすべて実測ですか。
  81. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 台帳に登記されます地積は、台帳地積ということでございます。
  82. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 そういう場合に、御承知のように、山林のようなものにつきましては、非常にプラス・マイナスのなわ延びがあるわけですね。こういうものの実態はどういう方法で把握されているのですか。
  83. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) たてまえといたしましては、実際を台帳が反映をしておるというたてまえをとっておるわけであります。ただ、現実には、御指摘のように、山林などについては、かなりのなわ延びと申しますか、実測と台帳と違う点もあろうかと思います。こういった点を私どもとしてもやはりだんだんに直していかなければいけない、こう考えておるわけでございます。現実には、明らかに間違っておれば、これを直していくというような行き方をとっておりますことと、一方では、御承知のような国土調査法によりまして順次国土の姿が明らかになってくるというようなことでこれを補ってまいりたい、かように考えております。
  84. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 一せいに実測に直すというのは、均衡の上からいって、それは当然そうなければならぬ。しかも、なわ延びの姿というものは、地方によりまして非常に違うんですね。そこで、これを正しくとらまえておやりにならなければ、いかに正確に単位当たりの評価額を押えてみても、これは全体として不均衡なことになる、こういうことになるんですが、逐次是正されつつあるわけですか。実測に置きかえられつつあるんですか。
  85. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まだ、なかなか全般的というところまで実は行っておりませんが、いま申しました国土調査法等によりまして整備ができておりますところについては、旧来地との均衡を考慮しながら是正していこう、こういう行き方をとっておるのでございます。ただ、国土調査自体が、御存じのように、まだほんの一部分にしか実際には行なわれておりません。いま御指摘の山林の地積の問題につきましては、私どもも大きな課題であると実は考えておるのでございます。
  86. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 いま国土調査法の話が出ましたが、国土調査法によりまして実際実地について当たっておる対象面積というものはきわめて狭いものです。そういうものの成果というものが、お待ちになっておっても絶対出てくるものじゃないと思いますが、やりようによれば、他の方法もあるわけですから、すみやかにやはり実測されましたものに全国的に置きかえられないと、私は正しい税負担というものは得られてこないと思うんです。これは御承知と思いますけれども、極端なところは何十倍ということです。まだ実測よりも低いところもあるんです。こういうことでプラス・マイナスのなわ延びがあるんですよ。それで、必ずしも全国的に奥地に行けば行くほどなわ延び率が高くなるということでもない。したがって、実測したものでもって実態をとらまえるという把握のしかたをする以外にないですね。おそらく、そういうことを申し上げましても、そんなところまではまだまだ行っていないだろうと思いますけれども、何かの方法によって、やはり台帳に登載されておる面積というものを事実あるものに置きかえてもらう方法考えてもらいたいと思います。その努力をぜひともしていただきたいと思います。
  87. 西田信一

    ○西田信一君 細郷さんに伺いますが、先ほど空閑地税の問題が出ておりましたが、そういう議論がそれぞれの機関において検討されておる。あなた方のほうでも、非常にむずかしさがあるけれども、空閑地税というものは必要があるような御意見のように聞いたわけですが、この空閑地税ということが問題になるのは都会に多いと思いますが、私は、空閑地税というものの考え方もわかるのですけれども、しかし、まあ外国の都市なんかの例によりましても、何か家ばかり建ててしまって、空閑地税というものの考え方が、いわゆる貴重な土地というものを、未利用税というような考え方だと思いますけれども、しかし、考え方によりましては、もう少しやはり何というか空地をつくるというか、そういう必要が相当あるのじゃないかというふうに思うわけです。そういう点はやはり相当考えて、空閑地税をただつくって土地をずっと軒並みに利用してしまうのだという考え方だけでいくということは相当問題があるのじゃないかと思うのですが、そういう点はどう考えておりますか。
  88. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほどもちょっと触れたのでありますが、空閑地という点につきましては、単に税制だけで問題を割り切るわけにいかないと思うのでありまして、都市計画的な立場に立って、公共用地、あるいは宅地、あるいは工業用地といったようなものをどういうふうに配置していくかという計画のもとにやっていく必要があろうと、こう考えておるわけでございます。ただ、先ほどたまたま税制の面だけでいろいろ申し上げたわけでありますが……。
  89. 西田信一

    ○西田信一君 そういう立場から考えることが必要だと思うのですけれども、最近の傾向としましては、どうも空閑地税を設けろというような同じような考え方があるけれども、公園がつぶされて宅地にかわったり、あるいは緑地なんていうものがどんどんつぶされるというような傾向にあるでしょう。そういう点は、むしろ都市計画的な立場からいえば逆な傾向であるとも思うわけです。そういう点で空閑地税なんていうことを考えられるときは、よほどそういう点をお考え願いたいということを希望だけ申し上げておきます。
  90. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 午前中の審査はこの程度にして、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩    ————・————    午後一時四十五分開会
  91. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  地方税関係二案について質疑を続行いたします。  御質疑の方は御発言願います。
  92. 松本賢一

    ○松本賢一君 ちょっとお聞きするんですが、例の減税の補てんの問題ですが、私どもは最初から、初めの年にただし書きはやめるというところまでは行ったほうがいいんじゃないかと考えていたし、また、自治省のほうもそういう考えを持っていられたらしいんですが、それが、結局予算が百五十億しか出なかったということで、これは私の想像ですが、こういうふうなものをあとからつくられたのじゃないかと思うんですが、それならそれでやむを得ないことなんですが、それはそれとして、この際、とんだ不勉強なことを聞きますが、ただし書きをとっているところの市町村は相当な減税になります、そこの住民を本位に考えてみると。ところが、そうでないところの住民はたいして減税にならない。気持ちの上で、何となくそっちのほうへももう少し減税を考えたらいいんじゃないかということを私どもは常識的に考えるんですが、そういう点について、特にどういう考慮が払われたか、概略を説明していただきたいと思います。
  93. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 住民税につきましては、御承知のように、過去においては五つの方式があったわけでありますが、その後、方式が順次整理をされるとともに、国税の影響を遮断をするというようなことで、地方税としての住民税の形を漸次整えてまいりつつあるわけでございますが、その過程におきまして、現在残っております二つの方式の間にあまりにも税負担に激しい差があるというようなことから、住民税自体検討するにあたって、まずそこに手をつけたいというようなことで、若干順序の関係がございまして、御指摘のような方式の統一をいたし、かつ税率が非常に高いものについて是正をするような法的な措置を講じたわけでございます。ただ、この方式の統一並びに税率の是正につきましては、御承知のような財政的な影響もございますので、地方独自においてこれを行なうことには非常にむずかしい点がございまして、今日までそのままに置かれてまいったわけであります。今回、国の応援も得てそれに踏み切ることができるようになったことは、住民税の将来を考えます上におきまして、税制面から見ても非常にいいことではないだろうか、かように考えておるのでございます。したがいまして、今回は、確かにただし書き方式並びに本文でも著しい超過課税をやっております市町村につきましての措置でございますので、その限りにおきましては、住民税全部についてということではございませんけれども負担の不均衡是正ということになってまいりますと、どうしても現行の負担の過重な面からこれを是正していくということは、税負担の面から見てやむを得ないことではなかろうか、かように考えるわけであります。なお、今回の地方税の全体の改正を通じまして、事業税におきます個人事業税の軽減あるいは中小法人の軽減、また電気ガス税におきます軽減、そういったようなものは、これは特にその市町村ごとの差は抜きにして、いわゆる一般的な減税ということになるわけでありまして、地方税全体として見てまいりますと、減税の幅に厚薄の差はございますけれども、緊急なものと一般的な減税とが組み合わさって今回の案ができているような次第でございます。
  94. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、不均衡の是正ということに一番重点が置かれているわけですね、今回のあれはむしろ。その全般的な減税というよりも、重点的に見てみるとそうなるのですね。不均衡の是正というほうにむしろ重点が置かれているわけですか。
  95. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 住民税の所得割りに関しましては不均衡の是正、特にその不均衡も住む市町村ごとによる不均衡の是正、これはやはり全国的な立場でこれを是正しなければなかなか個々市町村としてむずかしい問題であったわけでございますので、そこにまず第一着手をいたしたわけでございます。
  96. 松本賢一

    ○松本賢一君 金額的にいってどのくらいになるのですか、全体としてはたしか四百何十億ですか、ちょっと数字忘れましたが、この改正法による減税額というものは六百億でしたか。
  97. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 府県市町村を通じまして政府原案では初年度四百九十五億、平年度八百八十億でございます。
  98. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、住民税のほうで三百億ですね、その八百の中の。
  99. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 住民税の課税方式の統一と標準税率制度の設定に伴いますものが二百九十六億でございますので、八百八十億のうちにその分が入っておるわけでございます。
  100. 松本賢一

    ○松本賢一君 どうですか、この際住民税の不均衡の是正は最も大事に考えなきゃならないんですけれども、一般の減税というものは行なわれないわけですね。本文方式でやっているところはもう変化なしということですか。
  101. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 本文方式でも税率が非常に超過しておるところは今回の措置になりますが、それ以外のところは、今回の改正法では特に変動はございません。
  102. 松本賢一

    ○松本賢一君 それは一・五に押えられたわけですね。
  103. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 税率につきましては、現在は税率の定めはございますが、御承知の準拠税率でございますので、それを四十年度から標準税率制度にして、その制限税率の幅を一・五倍ということにいたそうとするものでございます。
  104. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、現在特別高いところは大体安いところと肩を並べる、あるいはそれに近いものになってくるんですけれども、一般的にいわゆる本文方式でやっているところというものは、今回の改正では減税にならぬということになるわけですが、もう少し考慮するというわけにはいきませんですか。たとえば扶養控除をもっとふやすとかですね、といったようなことを同時に考えたらと思うのですがね。そういう点どうなんですか。
  105. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 不均衡是正と申しましても、何ぶんにも現状がただし書きの非常に激しいところでは、本文の標準的な姿の場合に比して、六倍、七倍というような過重な負担市町村がございますものですから、それに手をつけたわけでございますが、なお、住民税自体につきましては、現在所得税の影響遮断をいたしておりますが、給与控除につきましては国税の所得税の例によることになっておりますので、本年所得税において給与控除が引き上げられましたのに伴いまして、四十年度以降、これは住民税でも、給与所得者についてだけでございますが、給与控除の引き上げがそのまま影響してまいりますので、その分は若干の負担の減になるわけでございます。なお、住民税自体の将来については、先般も鈴木委員からいろいろ御指摘がございました。私どもとしましても、この住民税自体が一方では地方税であるという特性を生かしながら、一方では住民負担の軽減という、いわば相反すると申しますか、矛盾する要請をどう処理していくかという、かなりむずかしい問題にあるわけでございますが、ただその場合におきましても、やはり国民の経済あるいは社会生活の水準の向上ということは看過することができませんので、そういった面を漸次取り入れつつ、控除の引き上げとか税率の是正とかいうことを考えていかなければならないものと、方向としては思っておりますが、現在のところは、ひとまずこの方式の統一等に力を入れたわけでございます。
  106. 松本賢一

    ○松本賢一君 それから均等割りですね、二百円、四百円、六百円ですか、三つの段階でやりますね。これは何ですか、地方の事情によって現在はこれは動かすことのできないことになっているんでしょう。一定の規模の市町村に対しては一定の均等割りというものは、動かすことのできないものになっているんですね。
  107. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 市町村民税におきます均等割りは、六百円、四百円、二百円という標準税率になっておりますが、個々の団体においても、それぞれ八百円、五百五十円、三百円という制限税率の範囲内では自由に動かせるようになっております。
  108. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、いまの制限税率の範囲内ということは一・五ということですか。
  109. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 均等割りにつきましては、その性質上、一般の所得割りの場合よりも制限の幅は小さいわけでございます。たとえて申しますれば、一般の町村の場合で申しますれば、標準税率は二百円で、これを制限する場合には三百円、しかし五万以上五十万未満の市においては四百円が五百五十円、五十万以上の市では六百円が八百円、こういったような均等割りの性質から来る金額の均等割り高に応じた幅をつくっておりますので、若干ずつ違っておるわけでございます。
  110. 松本賢一

    ○松本賢一君 これは、標準というのですか、この二、四、六よりも、そうやって事情に即して伸ばしていくことはできるけれども、縮めることはできないのですね。ということは、二百円のところを百五十円にするとか、百円にするとかいうことはできないのですか、地方の実情に即して。
  111. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 法制上は可能でございます。ただ、御承知のような財政実態からいたしますと、なかなかその標準税率を下回ることがむずかしいという実態がございますことと、いま一つは、均等割り額の性質が、地方住民税のやはり負担分任制をあらわしている最も顕著な例の税でございますので、そういった面からも、実際問題としてなかなかこの額を引き下げていくということはむずかしいのではないかと思います。法制上のたてまえとしては可能でございます。
  112. 占部秀男

    占部秀男君 関連して。いまの、松本さんから伺いました均等割りの問題なんですが、いろいろ自治省のほうとしては、応能応益という形で、税のつくり方、たて方についての原則的な問題を御苦労されておるようですが、われわれしろうとのものから見ると、この均等割りは、何といっても、どうも人頭割りのような、昔の税金のような感じがするのですが、市町村の住民税といっても、住民税であるから、必ずしも全部、ある程度同じような税金を出さなければならないという理屈はないのであって、むしろ均等割りのようなものは廃止をすることが、低所得者層にとっては、私はいいことじゃないかと思うのですが、これはどうも言い方が少し無鉄砲な言い方かもしれませんが、廃止の方向に向かうというようなことは考えておらないですか。
  113. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 均等割りも、いろいろ学者の間では議論のある点でございますが、やはり自治体といたしましても、地方自治法にもございますように、自治体の施設については、これを使う権利もある半面、その負担についてはみなが持つのだというような原則もございますので、そういう意味合いにおいて、何らかの形の負担分任的なものは必要ではないだろうかと、こういうふうに思うわけであります。そういうことによって、自治体としての税制の特性も達せられるのではないかと、こう考えるのでありまして、現在のきめられております額は、昭和二十六年以来の額でございまして、経済状況のその後におきます変化等を考えますと、実質的な負担としては、当時よりはかなり下がっておるものと考えておりますが、現在、私どもとしては、この均等割り額を廃止するというところまでは考えておりません。
  114. 占部秀男

    占部秀男君 物価が高くなっているのですから、実質的には下がっているという、そういうようなことは私たちもよくわかります。わかりますが、住民が税金を負担するということは、これは大きな原則ですが、何も市町村民税で負担しているばかりでなくて、間接税だってやはり同じように税金を負担しておるので、負担していない国民というものはおそらく一世帯もないと思うのですね。私はこれはこういうような税金こそ、何か近代的な税制のもとでは要らないのじゃないかというような感じをしておるのですがね。近代的な税制のとり方が局長とは違うのかもしれませんけれども、諸外国の例なんかはどうなんでございますか。
  115. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 御指摘のように、間接税でも負担をしておる、確かにそのとおりであろうと思います。ただ、間接税では負担に選択の自由があるといったような問題がございますのと、まあ日本の税制は、御承知のように、どちらかといえば、直接税を中心とする税体系を従来とっておったというようなこともございますことと、それから地方税としては、やはり自治体の住民の自治意識を高めるという意味においては、どちらかといえば、間接税による負担よりも直接税による負担のほうがより効果的ではなかろうかといったようないろいろなことがございまして、実はこういった均等割りなども、額はわずかではございますが、考えられておるのでございまして、やはり自治体におります住民として、全然自治体の税負担に参画をしないということもいかがかと思われますので、われわれとしてはこの均等割りも捨てがたいものと考えておるのでございます。
  116. 占部秀男

    占部秀男君 関連して念のために伺っておきたいのですが、均等割りですか、均等割りが免除されるクラスがありますね。あれは生活保護を受けておるものですか。
  117. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 均等割りを免除されるものは「前年中において所得を有しなかったもの」、それから、「生活保護法の規定による生活扶助を受けている者」、それに「障害者、未成年者、老年者又は寡婦」で、前年中の所得が、今回改正案を出しております二十万円をこえる者を除きますが、それ以下のものについては均等割りを課されない、こういうことになっております。
  118. 松本賢一

    ○松本賢一君 さっきの均等割りの話ですが、これは私がかつて経験したことがあるのですが、均等割りを一部の人に対して安くしたり、あるいは免除したりということを考えられないかと言って私が主張しておったときに、市の税務当局に研究してくれと言ったら、それはできませんと、こう言うのですね。いま局長さんの答弁によると、法制的には安くできることになっているというふうにおっしゃったのですが、そのできる根拠を教えていただきたいと思うのです、法的な。私はできないと聞いているものだから。
  119. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 市町村民税について申しますと、地方税法の三百十条に均等割りの税率の規定があるわけでありますが、そこで標準税率ということで、六百円、四百円、二百円という定めがされておるわけであります。そこで、標準税率というものにつきましては、地方税法の第一条の用語の定義のところで、第一条の第一項の第五号で標準税率についての定義が定められておりますが、「地方団体が課税する場合に通常よるべき税率でその財政上の特別の必要があると認める場合においては、これによることを要しない税率をいい」、こういうことになっておりますので、標準税率自体市町村ではそれを上下する自由はあるわけであります。
  120. 松本賢一

    ○松本賢一君 というと、それよりも上げる場合の制限はあるけれども、下げる場合の制限はないということですか、標準よりも。
  121. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) それを上げる場合の税率の制限はございます。
  122. 松本賢一

    ○松本賢一君 制限はあるわけですね、さっきのお話のように。下げる場合の制限はないわけですね。
  123. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 法的にはございません。
  124. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまのお答えはそれでまずいいと思うのですが、松本先生のお聞きになっておることは、いわゆるその市町村の特別な財政事情、そういうものによるいわゆる標準税率を越えたもの、あるいは場合によってはそれ以下で均等割りを定めることができるということと、特殊な条件にある人たちにそれを下げたりなんかをするということについて研究してみろと言ったらできないということだがどうだと、こういうことですからね。その点では、一般的にはおっしゃるとおりですけれども、特殊な事情のある、あるいは不具とか何かいろいろな条件があるでしょうから、気の毒な方に均等割りを少ない額にしてやりたいということで当時検討さしたけれどもできなかったのだが、できないとすればどういうところであるか、あるいはできるとすればどういう点でできるのかと、こういうような質問でしょう。
  125. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 不均一の課税をしようということだろうと思いますが、不均一課税は、地方団体にその選択権がまかされております。地方税法第六条及び七条において、不均一課税を地方団体が選ぶ道が開かれております。法的には可能でございます。
  126. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、二百九十五条にありますね。さっきおっしゃった生活保護法とか障害者あるいは未成年者、老年者、寡婦といったようなことが、二百九十五条に出ておるのがそれなんですね、さっきおっしゃったのは。「市町村民税を課することができない。」という……。
  127. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 二百九十五条にございます非課税は、法律上の非課税規定でございますので、この部分につきましては、地方団体はいわば課税権を奪われておるわけでございます。その課税権、与えられております課税権の範囲内でも、いま申し上げましたような不均一課税は個々の団体として選択ができる、こういうたてまえになっております。
  128. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、たとえば二十万円以下の所得の者とか、三十万円以下の所得の者とかというところに線を引いて、それより下のところは均等割りを課さないとか、あるいは半額にするとか、そういうようなことは地方団体がやることができるわけですね。
  129. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 第六条で申しておりますのは、いわば個別的なケースについての問題でございますので、抽象的、一律的にやっていくということについては問題がございます。
  130. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、やっぱりできないということですね。
  131. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 個別の態様によると思います。したがって、お聞きになった場合がどういう場合でありましたかにもよると思います。
  132. 松本賢一

    ○松本賢一君 それではもっと具体的に申しましょう。こうなんですよ。所得割りを私のところでは非常に高くかけているのです。ただし書きではないけれども、非常に高くかけている。それを減らそうということで、それを減らすと、所得割りを出している人には減税になるけれども、それ以下の大体市民の半分くらいの人に対しては何ら減税にならない。とすると、均等割りのほうを少しでも負けてやろうじゃないか、下のほうの人には。ということで私が研究してくれと、こう言ったわけです。
  133. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いま御指摘のような例でありますと、むずかしいと思います。
  134. 松本賢一

    ○松本賢一君 できないのですか、やっぱり。わかりました。そうすると、いまの法律ではそれができない。それで私はできるようにしたほうがいいのじゃないかと思うのです。そういう点どうですか。
  135. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) その点につきましては、先ほどもちょっと触れましたように、均等割りの額自体が非常に小さい額でございますので、ことに現行均等割り額のとらえております昭和二十六年以後というようなことを考えてまいりますと、そこまでの考慮をする必要がないのではなかろうかというような気がいたすわけであります。もちろん、特殊な、あるいは災害を受けたといったような場合でありますと、個々減免という方式もございますので、個々個々の納税者についてそれによって負担の軽減をはかるという道は別個にあるわけでございますが、いまのところそこまで考え段階ではないのではないかというふうに感じております。
  136. 松本賢一

    ○松本賢一君 これは、さっき局長さんの最初できるとお答えになったのが間違った答えだということを私言うのじゃないですよ。そうじゃないので、そういうふうにお答えになるように常識ではできてもいいのじゃないかという気が私もするし、おそらく皆さん方にもそういう感じがするのじゃないかと思うのですよ。そうすると、そういった権限を自治体に与えておいても差しつかえない。自治体が無理にやらなくてもいいけれども、やろうと思えばできるということにしておいたほうがいいのじゃないかと思うのですがね。そういう権限を自治体に持たせないという根拠はずいぶん薄弱だと思うのですが、そういう点はいかがですか。
  137. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まあ、均等割りの六百円、四百円、二百円というのを下げてきめること、これは可能でございます、先ほど申し上げましたように。
  138. 松本賢一

    ○松本賢一君 全部に対してね。
  139. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) それは全部に対して可能なわけでございます。ところが、その中で、ある条件を備えた人だけ、あるいはその人の所得の額に差をつけるというようなことになってまいりますと、いわば二段階とか三段階とかいうような均等割りの税率区分にするわけでありますが、そういうことは均等割りの性質上、われわれとしては好ましくないことと、こう考えておるのでございまして、そういうものについてはできない、こういうことでございます。
  140. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと関連して。いまのお話、それでわかりましたが、さっきの松本さんとあなたとの——全部聞かないでしまって申しわけありませんが、あなたが不均一課税ができるとおっしゃったのは、六条、七条、特に七条をそういうふうに読めるんだ、こういう御説明であったと思いますが、七条の不均一課税というものは、個々の人に対するいわゆる不均一課税でなしに、これはやっぱり、たとえばAならAという村の中にあってのある地域、限られた地域、こういうところに、場合によっては不均一の課税をすることができるという規定だと私はいままで読んでおりましたのですが、もっと端的に申し上げますと、市町村合併が行なわれて、A、B、Cの三つのそれぞれのもとの町村、これが合併されることによって、あるところへ高いところへぱっとならされるというようなことは実際上困る。またその必要もないというような問題があった際に、場合によっては、期限を定めて、従来のような税でやらせる、その結果としてのいわゆる不均一の課税をするんだ、こういうことのためのいわゆる不均一課税の規定だと思うのですがね。私はいままでそういうふうに第七条を読んでおりましたが、したがって、いまの局長お話で、いや個々の人たちに対する段階を設けての標準税率より安くするような、そういうことはできないものと考えるということで、まあわかったようなものですがね、確かめておきたいと思うのです、第七条の趣旨というものを。第七条というのは、私がいま申し上げたような理解ではいけないんですか。それとも、いや地域間のアンバランスというか、不均一よりも、そのほかになお個人といいますか、個々の人方に対する不均一ということも含む規定であること、こういうふうに解釈すべきであるのか、その点確かめておきたい。
  141. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 第七条は、むしろ課税をするほうの規定でございます。これにつきましては、特に利益のある事件については、部分的な不均一課税と申しましても、これはふやすほうでございます。そのほうは七条によって、受益による不均一課税ということでできるわけでございます。
  142. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、念のためにもう一ぺん確かめておきますが、第二百九十五条第一項に書かれておる者のその範囲を、地方自治体の独自の立場によって広げるということはできないということですね。そういうことにもなるわけですね。
  143. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 二百九十五条は、もう法定の非課税でございますので、地方団体が何らの意思表示をしなくても、当然非課税、こういうことでございます。
  144. 松本賢一

    ○松本賢一君 だから、さっきの話、こっちの角度から見ていくと、私がその研究をしてみろと言ったことは、結局この課税をふやすということになるわけですね。市民の一部の人に減免をするということは、一律に減らすのではなくて、そういうことになるわけですね。
  145. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 結局、先ほど申し上げましたように、均等割りの段階課税を取るということでございますが……。
  146. 松本賢一

    ○松本賢一君 段階とは限らぬ。段階にする場合もあるかもしれぬけれども段階でなくても、免税の範囲を広げるわけです。
  147. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 免税の範囲を広げても、その場合には、課税権のある範囲内でいわば段階課税ということになると思うのでございますが、その場合は、われわれとしては均等割りの性質から見まして適当でないということで、実は数年前でありましたか、そういうことを意図しようとした市町村もございまして、実例によっても明らかにされている点でございます心
  148. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、この第二百九十五条の一項の第三ですか、「障害者、未成年者、老年者又は寡婦」と、こういうことを書かれて、その中で、二十万円以下の所得の人に対しては課することができないということになるわけですね。そうすると、これが二十万円の所得という、やはりそういう線が一つ引かれておるわけです。これはやはり、何といいますか、いまの均等割りというものに段階をつけることになるのではないですか、やはりそういうことで。
  149. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 二百九十五条自体は、「市町村民税を課することができない。」というので、均等割り、所得割りを通じて課税ができないようにされておるわけでありますが、この十八万円、今回二十万円に引き上げをお願いいたしておりますが、二十万円に引き上げしました根拠は、生活保護法によります生活保護基準の引き上げにおおむね合わせて今回二十万円に引き上げるようにいたしたわけでございます。その点は、第二号にあります場合とのバランスをとってきめておるような次第でございます。
  150. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、「生活保護法の規定による生活扶助を受けている者」と、これと金額を合わせたかっこうですね。それでわかるのですが、先ほどから言うように、これを地方自治体に、もっとほかの人にも均等割りを課さないということをきめる権限を与えたほうがいいと私は判断するのですが、税金を高く取るほうはあるところで線が引かれておるのだけれども、安く——安くと言うよりも、むしろ取らない、あるいは安くするという場合もあろうが、そういうことはやるべきでないということにきめられてしまっている。ということは、どうも地方自治体に対しても、もう少しそういった権限を与えて自由にさせたらいいと思うのですがね。
  151. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 均等割りは、そういうことでわりに広い範囲の住民からこれを徴するようなたてまえになっておるわけであります。それだけにその税率も非常に低い税率に実は定めておるわけでありまして、均等割りのそういった特性からいたしまして、やはりその程度のものは自治体の住民として負担をしていただいていいのではなかろうかという考え方で指導もし、法の解釈も実はしてまいってきておるわけであります。
  152. 松本賢一

    ○松本賢一君 占部さんもおっしゃったように、私どもはどうも均等割りというものは、どちらかといえば、あまりいい税金じゃないという考えを持っておって見ているから、そういう議論も出てくるのじゃないかと思うのですけれども、私はやはりあまりいい税金じゃないと思うのです。実際に均等割りを納めている人たちの中には、免税をしてあげたいような人がたくさんおります。ですから、そういう税金というものを、よくよく特別な生活保護といったような人たち以外からは全部取るのだという考え方は、やはりどうかと思うのですが。
  153. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いろいろ御意見のある点だろうと思いますが、地方税の住民税の前身であります戸数割り、そういったような時代から見てまいりますれば、かなりに負担に応じた合理的な制度に現在はなってきておるのでございまして、いま御指摘の均等割り以外は、ほとんどが、そういった所得割りも今回の改正等によりまして非常に負担の面では合理化されてきておるのであります。そこでいまのような非常に気の毒な人というのにつきましては、別途に減免という方法もございますので、減免の制度を活用することも可能でございます。そういった面で、どうしても市町村内の事情から見て、減免をすべき事情があると見れば、減免ということによって、その人についてのそのときの負担の軽減をはかることが可能なわけでございます。
  154. 松本賢一

    ○松本賢一君 それは、個々の人に対してそういうことができるけれども、これは当然のことだと思うのです。そうでなく、その自治体の事情によってやることができる道だけはあけておくということが、私はいいような気がするのですが、その点はもう考え方の相違ですから、ここで何回繰り返しても同じだろうと思いますから、なるべくそういうふうに考えてもらいたいということを申し上げておきたいと思うのです。
  155. 鈴木壽

    鈴木壽君 関連して。さっき局長から、いわゆる標準税率考え方についてお話があった際に、均等割りの額をもっとふやして取ることも、制限はありますが、上のほうにはふやして取ることもできるし、また逆に、その額よりも低い額を定めることもできるというふうにおっしゃったのでございますが、それは、もう一度お聞きしますが、いかがですか。
  156. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 均等割りの税率を、標準税率を上下することは可能でございます。
  157. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから、さっきの六条、七条の不均一課税の問題、これをひとつはっきりした解釈をお聞きしておきたいと思いますが、私前提を設けないでお聞きしますが、これはこうだとか、これはこうだということなしに、六条の二項、七条の場合の不均一課税の場合、これはどういうことを言っているのか、どういうことを予想しているのか、そういうことをひとつお聞きしたい。
  158. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 六条、七条の具体に使われている事例を見てまいりますと、六条の場合は、たとえば低開発地域と申しますか、その部分の開発のために軽減をするとか、あるいは工場誘致のために軽減をするとかいったようなことで、六条が働いている事例がございます。それから七条のほうでは、ある一部について、道路をつくるとかあるいは下水を整備するとかいったようなことによって、特に負担をよけい求めているといったような使われ方をしているものでございます。
  159. 鈴木壽

    鈴木壽君 その場合、さっきも私ちょっとお聞きした際に申し上げましたが、地域的な問題としては、これは同じ市町村、町なら町の中でもある地域にとって、ときには軽減をする、あるいはときにはもっと多く負担をしてもらう、こういうことじゃないだろうかと私思うのですが、その点はどうです。
  160. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 六条の場合は、一般的には地域的な広狭を予定はいたしていないわけであります。むしろ先ほど申し上げたような事案的なことを予定をしているわけであります。それが地域に結びつく、ある低開発地域であるとかといったような地域に結びつくこともありますが、考え方としてはむしろその事案のほうに主眼が置かれている、こういうことでございます。
  161. 鈴木壽

    鈴木壽君 ですから、低開発地域なるがゆえに税の軽減をするというからには、これは不均一課税というのは、言うまでもなく、ある町なら町の中でのある地域とある地域において均等なら、ざる課税をするのだ、こういうことでしょうから、問題は地域でないとおかしいじゃないですか。事案といっても、低開発地域のどこへどうかぶるのですか。全部にかぶるなら、何も不均一課税ではなくして、その町なら町全部の場合でしょうし、その町なら町、村なら村、市なら市の中である区域に対する軽減措置あるいはもっと税金を何かの施設等によって多くの税金をちょうだいをする。こういうことでしょうから、私はあくまでもやはりその市町村内における部分的な地域の問題として、地域と地域の問題として考えないと、この場合の不均一課税というのは意味がなくなるのではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  162. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 考え方の順番だけの問題になると思いますが、六条で申しておりますのは、その事由をつかまえての適否を判断いたしますので、考え方の順序としては、その事案をとらえるのがまず先である。しかし、それがいまおっしゃるような、ある地域に結びつく場合もございますので、その結果において、地域についての不均一課税が行なわれることもございますけれども、この六条の趣旨とする考え方の順序は、いま申し上げたようなことになるわけでございます。
  163. 鈴木壽

    鈴木壽君 しつこいようだが、結びつかないような場合というとどういうことがあるのですか。
  164. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 結びつかないような場合は、たとえば工場誘致といったような場合で、ある工場が来る。その工場に対してそこの所在のいろいろな条件がありますが、課税を不均一課税をするといったような場合は、必ずしも地域に結びつかないと思います。
  165. 鈴木壽

    鈴木壽君 それがいわゆる、そこで言う不均一課税なのかな。その工場なら工場に対する一つの特別な措置としての税の軽減等があるけれども、それがいわゆるここで言う不均一課税であるのか。特殊のものに対する、私は特殊の特別な措置としての、それだとすれば理解できるのですが、ちょっとその点私わからなくなりますね。それは、たとえばもっと工場等に対する場合には、特別にやはり一つの税法なら税法のほかに、特別にその何かの条例なんかつくらなければいけませんよ。で、そういう限りにおいてのものは私は不均一課税というものじゃないと思うのです。私はそう思う、これは。
  166. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 通例は、工場誘致の不均一課税という場合には、工場誘致条例というようなものをつくるわけでございますが、その条例の中で、税について不均一課税をすることができる条項を入れることが多いわけであります。そういう不均一の条項を入れられます根拠になりますものが六条になる、こういうことでございます。
  167. 鈴木壽

    鈴木壽君 その点はそういうふうにお聞きしておきましょう。  それから、私先ほど申し上げましたように、ここで言う不均一課税は、もちろん事案といいますか、ある一つの何か問題条件があって、その地域についての不均一課税をやらざるを得ないということになるでしょうから、いわゆる事案そのものを否定するわけではありませんが、あくまでもやはり私は同一市町村内におけるある地域、ある地域というこういうものがここで言うところの不均一課税のそれでないかと、こう思っておった。そういう意味で、たとえば私もさっき申し上げましたが、町村合併促進法、あるいはいまの直りました建設促進法ですか、建設促進法の中の第二十二条に不均一課税の定めがある。こういうのが事例としてはあるのだから、それの根拠規定がまあここに置かれて、これからいま言ったような特例なり、不均一課税をすることができるのだというそういうものを生み出すためのものではないだろうかと、いままでは私なりに、あるいは間違っておったかもしれません、そういう解釈をとっておったわけですがね。
  168. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 新市町村建設促進法でも、合併した場合に不均一ができるわけであります。その場合の不均一課税は、その法律に根拠を置いて現実に行なわれている、こういうことでございます。
  169. 鈴木壽

    鈴木壽君 その法律というのは、二十二条があるからそこでやられるのだと、そういうふうに不均一課税をすることができるのだと、こういうことでしょう、もちろんそれは。でしょうが、そういういわば地方税の特例を、特例としての不均一課税を認めることができるというその根拠として、もとにある地方税法の六条、七条というものがあるからそこから出てきた、すらっと出てくることであって、あまり抵抗を感じないでそこでそういう条文をつくれるのだというふうに私見ておるわけですよ、そこの点。
  170. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほど申し上げましたように、地方税法の第六条から必ずしもすぐに出てまいりませんものですから、合併につきましては特例的な規定を特に入れたわけでございますが、なお地方税法第六条についていえば、たとえば国際観光ホテル整備法等で、これに基づく不均一課税ができるようにいたしておりますが、それなどは六条に規定をいたしております不均一課税の場合になるわけでありまして、国際観光ホテル整備法にもそれと同じ規定はございまするけれども、むしろ法的な根拠といえば、それはこの地方税法六条にあると、こういうふうに解釈しております。
  171. 鈴木壽

    鈴木壽君 くどいようでありますが、最後にもう一点。  そうしますと、町村合併促進法なり、あるいはいまの新市町村建設促進法にある、合併した場合のいわゆる不均一課税というような場合のそれは、何も六条、七条を受けたものではなくて、そこから根拠を発したものではなしに、独自の法律のたてまえとして地方税法の特例としてそこに置かれてあるのだと、こういうことでございますか。
  172. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) そういうことでございます。
  173. 占部秀男

    占部秀男君 住民税の先ほどの松本委員の質問に関連をしてもう一度お伺いしたいことがあるのですが、それは今度のこの住民税の改正は、従来のとは相当私の持っている資料の限りでは方式が違っていて、三十九年度だけが第一条でずっとやられておって、四十年度以降はというふうに二段階になっておるわけですが、この二段階、結局は第三十九年度では、ただし書きのものについて基礎控除のほかに扶養控除その他やって、少しずつ下げていくと、そして四十年に至ってはじめて完全に本文方式に統一をして、今度は標準税率制度に同時に変わると、こういうふうな形になっておるわけですね。そこで、きわめてどうも、何というか、やるほうはいいのですけれどもね、やられる市民の側に立つと、何だか二回も三回も問題が変わっているような感じがするのですが、むしろもっとはっきりと、本年は本文方式なら本文方式に全体を統一して、ただし書きはやめてしまう、かりに二年に分割する場合にしても、これは財政的な関係があるのだろうと私は思うのですが、かりに二年度にやるにしても、本文方式なら本文方式に第一年度はやってしまう、それで第二年度に現在の準拠制度標準税率に変えるとか、まあいろいろとあると思うのですが、そういうふうに税率関係をいじると、こういうようなはっきりと区切ったようなやり方はこれはできなかったのですか。また、そういう点についてどういうふうにお考えになっていますか。
  174. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 今度御提案申し上げております改正案は、おっしゃるとおり第一条で三十九年度の施行分について書き、第二条で四十年度施行分について書くと、こういった方式をとったのでございますが、もちろん立法の技術といたしましては、本文と附則で、まず本文では本則を、統一後の姿を書き、附則で三十九年度の経過措置を書くというような方式も可能だと思います。その点につきましては、この方式のほうがいわば改正された条文を見ていく姿においてはわかりやすいのではなかろうかといったような立法技術上のことがございまして、法制局でいろいろ検討の末、こういった形式をとったものでございます。したがいまして、私どもも、よくその点は市町村関係者に間違いのないように十分指導をしてまいりたい、かように思っております。
  175. 占部秀男

    占部秀男君 立法技術上の問題というふうに何か仰せられるのですが、私はただそれだけじゃないような感じがするのですがね。というのは、この現在の、現行のやつが三十九年度で変わる場合は、この控除の中の扶養控除だけが取り上げられていて、ほかの諸控除が、ただし書きを使う場合にやはり残っておるわけですね。で、控除なら控控を全然、何というか、それと同じように一律に問題を結着をつけたというなら話はわかるけれども、扶養控除だけ取り出して、あとのほうへは付け加えておらないでしょう。扶養控除だけが付け加えているのでしょう。控除の分だけが入ったのですから、どうもそういうようなあり方は、何か立法技術上の問題だけじゃなくて、金の計算の上からやむを得ずこうしたのじゃないかという私は気がするのですがね。その点はどうなんですか。
  176. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) おっしゃる点は、一ぺんに本文に直してしまえということかと思いますが、その点につきましては、やはり国の財政援助の都合もございますし、また、もし完全補てんでないとしますと、市町村自体負担がかかる問題にもなるわけでございまして、あれこれ考慮いたしました結果、二ヵ年でおおむね均等額でやるというようないき方をとったわけでございます。その場合に、初年度にどういった内容のものを持っていくかということにつきましては、確かに扶養控除あるいは専従者控除、それ以外に生命保険料控除とか社会保険料控除とか、いろいろあるわけでございますが、扶養控除を特にとりましたのは、扶養控除を持っておる所得階層が非常に広いということで、これによりますほうが減税の均てんに浴する幅も広い。それから同時に、扶養家族を持っておる世帯の負担が、いまの事情から見まして一番きつい部類に属しておるのではなかろうかといったようなことを考えまして、扶養控除をまず第一番に取り上げることにしたわけでございます。それに関連いたしまして、専従者控除をバランス関係でとったわけでございます。
  177. 占部秀男

    占部秀男君 なお関連してお伺いしたいことは、この今度の住民税のあれは、市町村民税についてはいじっておるのですが、道府県民税ですね、道府県民税はそのままになっておるわけですね。道府県民税の所得割りのあれ、これは先ほど局長の言われるには、やはりバランスをとるのだ、一つの県内における市町村バランスをとるのだ、こういうようなことからこれは必要であるというふうに言われたのですが、いわばこれは減税の一環になっておるわけですわね、この市町村民税の今度の改正も。単にそれだけじゃなくて、減税という大きな旗じるしのもとにこれが行なわれておるわけですね。だからこそ、国からも市町村の減収分については補てん分についてある程度措置をしよう、こういうことになっておるわけなんですね。そうなれば、これはやはり減税の問題点として、一応市町村府県とのバランスというものも考えて、現在のこの府県標準税率のあり方、あれは二段階になっておりますね。百五十万円以下と百五十万円以上とこういうような点を、いわゆる市町村市町村民税における金額の刻み方、ああいうふうにやや累進課税的に改正をする必要が私はこの際あったんじゃないかと思うのですが、その点については検討されたことがあったのですか、また、検討したとするならば、どういう経過で道府県民税の問題については今度触れなかったか、こういう点についてお伺いしたい。
  178. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 道府県民税につきましては、三十七年度から現行の制度がとられたわけであります。その際、考え方としましては、所得税、県民税、市町村民税三つの同じ所得課税の中で、道府県民税については比例税率的な負担を求めていくようにしたいという考慮から、税率につきましてもいわば比例税率的なものをとろうと、こう考えたわけでありますが、その際に、国税の所得税からの税源の移譲も御承知のとおり受けたわけでございまして、そういった移譲を受ける関係で、所得税とこの県民税とを通じて、総合の負担においてやはり累進的な効果を持たなければいけないというようなことで、所得税の税率についてもその際考慮され、県民税についても累進効果を持たせるという意味で百五十万超の部分について高い四%税率をするというようなことで現在の制度ができておるわけでございます。したがいまして、いまの県民税につきましては、いわば本文方式市町村民税でいえば本文方式内容的になっておりますし、かつ、その負担関係においては、所得税との総合負担関係を考慮して定められた税率区分でございますので、われわれとしては県民税だけについてこれをいじっていくというわけにはいかないというのが現在の段階にある姿でございます。したがいまして、今回は県民税は本文方式になっておりますが、市町村民税についてはその本文方式でないただし書きの部分があるということで、全体から申しまして、先ほどから申し上げておりますような、負担の一番実質的に重くかかっておる部分を排除していこうというようなことで、市町村住民税所得割りの方式の是正にまず手をつけたと、こういうことでございます。
  179. 占部秀男

    占部秀男君 所得税との関連において、府県民税については比例税率的なやり方をしておると、こういう意味でおっしゃるのですけれども、その関連が二段階でなければならぬような関連なんですか、その点はいかがですか。
  180. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 御承知のように、当時の立法されて結論が出ます経過におきましては、当初は府県民税については一本の比例税率でやり、累進効果はすべてあげて所得税でこれを処理していくというような考え方を実はとったのでありますが、いろいろやってみますと、所得税だけで累進効果を達することが非常にむずかしいので、所得の高い部分については県民税にも二段階税率をつくることによって、あわせて累進、総合的な累進効果をする、いわば具体的には高額の人にはそれなりの重い税負担をしてもらうというふうないきさつがございまして、現在の二段階になっておるわけでございます。
  181. 占部秀男

    占部秀男君 もちろん比例税率と累進税率ですから、性格的にその二つを平面的に比較することは無理だと思うのですけれども、これは現在の規定では、百五十万円以下と百五十万円をこえる金額ということで、百五十万円で一つの分れ目になっておるだけですね。片方が百五十万円以下は百分の二、百五十万円以上は百分の四と、税率の上では倍のようになっておりますけれども、これでは百五十万円で、たとえば市町村民税などを見ると、これは累進的な形ですから、刻み方が非常にこまかくはなっておると思うのですけれども、ともかく百五十万円段階までは五段階あるわけですね。そして百五十万円以上の段階は八段階だと思いますが、あるわけですね。かような姿の中で、これではあまりに私は均衡を失するような形があるのじゃないか、せめてこの百五十万円以下についても、一段階百分の一程度税率のものをつくり、百五十万円をこえる金額の上の段階においても、逆に税率を、もっと百分の五なり六なり七なりにし、金額は大きいのですから、税収面では非常に大きいと思うのですが、そういうようなもう一段階ぐらいづつの刻みをつくっても不思議ではないような私は気がするのですが、そういう点はどうなんでございましょうか。
  182. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほど申し上げましたように、県民税のこの税率をつくる過程においては、所得税も合わせた姿での負担の累進効果をねらっておるということでございますので、具体的に申しますれば、百五十万円以下のものについて、府県民税では二%の税率になっておりますが、そこの以下の刻みにつきましては、所得税のほうで刻みをつくって、その部分の税率を順次低いほど下げておるわけでございますので、俗に言えば、低い所得の人は所得税で軽くなって、県民税でその部分が重くなっている。重いということばの表現は悪いのですけれども、そういった姿になっておるわけです。それによって、合わせることによる総合的な累進効果をねらっておる。合わせてこれによって県民税の所得の税収の分布が、わりに全国的にひどい偏在度をあらわさずに可能になってくるというような効果があってできたものでございますので、いますぐこれだけをいじることはむずかしいことだと思っております。
  183. 鈴木壽

    鈴木壽君 住民税の今回の方式統一ということから、超過課税の解消についてのそれを一、二お聞きしたいのですが、さっき占部委員からも指摘がありましたように、今回のただし書き方式から本文方式へ移るための過渡的な一つ方法として、扶養家族控除というものだけを取り入れて、専従者控除の問題もありますけれども、それだけを取り上げたというようなことは、どうも少しかっこうとしてはよくないのだと思うのですが、それは補給金等の問題もありますし、やむを得ざる範囲内でやるためには、かくせざるを得ないということもあるだろうと思います。そういうこともわかりますが、何か中途半ぱな、しかも一年限りですけれども、変なかっこうの課税方式がここに生まれてきたのですが、これはそうしますと、来年度は統一という方針によって全部いまの本文方式にする、こういうことでございますね。その点はいかがでしょう。
  184. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 四十年度においては一本になるわけでございます。扶養控除額もそのとおりになるのでございます。
  185. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから四十年度においては準拠税率をやめて標準税率にする、そうして三百十四条の三の三項によれば、今度の改正案のいわば、従来よく使っていたことばで申し上げますと、制限税率というものを設けて、それを一・五倍の率として、その率を越えたそれ以上の課税ができないというふうになるわけなんですが、この一・五倍というものの幅を、どういうことでそういうふうにお定めになったのですか。
  186. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 純粋に考えますれば、制限税率という規定もしないで地方自治体の自由にするというのも一つ考え方でございますが、ただ現実の問題といたしまして、現在やっております負担状況を見てまいりますと、標準世帯について見ましても、ただし書きのところでは七倍にもなっており、あるいは本文のところでも三倍にもなっておるといったような状況がございますので、これを一・五倍にまでに制限をするようにいたしたわけであります。一・五という、いわゆる五割増しにいたしましたことは、市町村の税制の中で現在固定資産税についても五割増しの制限税率を設けております。市町村税制の中で固定資産税と並んで重要な柱となっておりますこの住民税について、いま申し上げたような激しい超過課税の状況を直すにあたっては、五割程度にして市町村の幅をもっと置いてもらうほうがいいんじゃなかろうか、こういう判断で一・五倍ということにいたしたわけであります。
  187. 鈴木壽

    鈴木壽君 制限税率というものを設けるということもわからなくはないのですが、従来の住民税の各市町村におけるほかの実態からしますと、これはまたもう一度こういうものを設けることによって不均衡が出るのだというようなことで、もう一度手直ししなければいけないというような事態が来ると思うのですが、というのは、少し先を見通したような話をして恐縮でありますが、三十七年度からのいわゆる本文方式とただし書き方式、この二つに実は合わした方式がいわば整理されたかっこうで残りました。その際、本文方式でやることがそれが趣旨なんだ、特別の財政の事情、財政の必要のある市町村に限ってただし書き方式のそれをも認めるのだ、自治省は指導としてあくまでも本文方式を中心にしてやるのだ、こういうことをこの委員会の席でおっしゃっておるのです。ところが、結果はいま非常に問題になって、こういうふうな手直し、不均衡是正というようなことをしなければならないような状態で、いわゆる特別な財政の事情とか、あるいは財政上の必要とかいうことが、これが本来のそれのようになってしまって、全市町村の八一%もただし書き方式をとっている。しかも、準拠税率をはるかに越えた税率で課税をしておる。これは本文方式、中心であるべき本文方式をとっておるのはわずか一九%しかないという、こういう事態があるとして、これを考えた場合に、これはいわば公認みたいなかっこうになって、一・五倍までは取っていいんだと、こういうことにいまの情勢からしますといくんじゃないかと私心配します。いや、それは地方税法だからその地方の財政事情等によって自由にそういうことをやればいいんじゃないかと、こうしてほっておけない私は問題が出てくると思うのです。一・五倍、いわゆる五割増しということ。簡単に言うと、なに五割程度だと言うのですが、かりに一万円の住民税を納める人は五割増しですと一万五千円という額になりますね。これは決してその住民にとっては小さい額じゃないのです。せんだっても、現在の住民税がまだ私は負担の点からいって重いと、こういうことを申し上げて、それに対して対策がないかということをお尋ねしましたが、やっぱりこういう際に、いわゆる不均衡是正をするんだという、こういうたてまえの際には、かりに制限税率というものを設けるにしても、その幅というものは極力小さいものにすべきじゃないのだろうかと。そうでないと、繰り返して申し上げますが、さっき申したような、これがもう一・五倍まではいいんだということで、七割も八割もの町村がこういうかっこうになってしまったら、どうもこれはねらった不均衡是正ですね。それはある程度は是正されたにしても、依然としてやっぱり問題として残るんじゃないかと、こういうことを私は心配するのですがね。この点の見通し等についていかがでございますか。
  188. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 五割増にいたしましたのは、先ほど申し上げたような事情で、非常に激しい超過課税に対して国の補給も得てこれをやるという現段階においてこれをいたしたわけでございますが、今後住民税の負担についてどうこれを考えていくかということにつきましては、従来といえども、われわれとしてはやはり本文方式ということが本則であるという考え方のもとの指導を実はいたしておるわけであります。具体的にも、御承知のような交付税の計算等におきまして、本文方式を使っておるというふうなことがそのあらわれでございますが、それによる方式の指導を実はいたしておるわけであります。今後も、やはり市町村財政問題にもからんでまいる問題でございますので、順次交付税の財政需要を引き上げていくというようなことによって本来の姿に通常の場合は立ちいけるようにすべきものと、こう考えておるのでございます。ただ、五割の制限税率の幅につきましては、先ほど申し上げました固定資産税の現行の幅の五割ということも考え、また市町村の税制の中で、やはり所得に対する税制が一番弾力的な余地が強いものであるというようなことを考えて、現在の五割にいたしておる次第でございます。
  189. 鈴木壽

    鈴木壽君 住民税が弾力性を持ってくるとかいうことで、そういう点を押し進めていきますと、前にもちょっと触れたように、やはり標準税率とかなんとかいうものを定めること自体がおかしくなってくるのですよ。これはいまの準拠税率だっていいじゃないか。それは確かに地方税のあり方、考え方の中にはそういう考えもあるけれども現実はそういうことでいけないのだということで、かってな弾力性を持たせては困るというようなことで、こういうふうな法定の率をきめたりなんか、いろいろな控除の問題をきめたりなんかしておりますから、考え方一つのそれとしてはそういうふうなお話でやってもいいと思いますけれども、しかし、こういういまの税金の場合に、いわゆる不均衡負担というものを解消しなければならぬというときに、五割もの幅を認めるというようなことは、私はそれこそ仏つくって魂を入れないというような、こういう結果になると思うのです。それからもう一つは、あなた方が指導は、いわゆる今度は本文方式ということばはないでしょうが、その一つ方式に、現在の本文方式によって指導する。そして標準税率ということによっての指導ということをおっしゃるのですが、事実、さっきもちょっと触れましたように、三十七年度、三十八年度における指導というものは、そういうきちっとした指導じゃなかった。なかったところに、ただし書き方式をとるものが八割をこすというような事態になってきた。それからもう一つ、あなた方そういう指導をすると言いながら、あなた方の指導もおそらくきかないだろうと思われるのは、減収補てんの問題です。今度のいわゆる減税によって減収を生ずる、それに対する補てんをあなた方は考えているのだが、一・五倍までの、それまでの上にある部分をそこまで切って、その上の減税した分については起債等を認めていくのだが、それをくぐった一・三倍程度にしたやつの、一・五と一・三との間のそういうところの減税というものの減収補てんというものは見ないというような、起債の上では見ないというようないまの考え方であるように聞きますから、もしそうでないとすれば、そのいまの私の話は取り消しをしますが、もしそうだとすれば、ますますもって、事実上、これは減税したって制限税率一ぱいでやったほうがいいし、それより下になるような、かりに一・二倍とか一・三倍程度でやったってその減収分は見てもらえないのだと、こういうことから、気持ちのいい、いさぎよい不均衡の是正のためにも、いま言った標準税率に近づけるというような努力は大部分の市町村はしませんね。私はそういうことを心配しているのです。一方ではこれでやっていろと言っていながら、しかし事実上いわゆる財政的な、財源的な措置ではこれしか見てやれないのだと、こうなると、いまの市町村財政事情とかあるいは考え方からしますと、これは指導は効果をあげることはできないだろうと思うのですがね。そういうこともあるのですから、この制限税率を一・五倍にするというようなことは、これは少しどうしても、固定資産税等とのつり合い上とおっしゃいますけれども考えるべきことじゃないだろうかと思うのですがね。そこで、私最後の意見を申し上げましたが、減収補てんの問題ですね、これはいま私が申し上げたようなことでおやりになりますか。それともとにかく減収した、減税した分を全部起債で見てやる、こういうことでやりますか。その点ひとつ。
  190. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 今回の起債を起こすことのできる範囲は、おっしゃるとおり、税率で言えば一・五倍超の部分についてでございます。そこでわれわれといたしましても、これだけ画期的な住民負担の軽減をはかった機会でもございますので、これを機会に、やはり将来市町村においてもできるだけ財政上の特別な事由による超過課税というものを正常な姿に持っていく、そのような市町村についてはできるだけそれをはずすようなくふうをしていかなければならない、かように考えておるのでございまして、交付税の財政需要の見方等につきましても、今後十分くふうをして、それが徐々にできますように努力をしてまいりたい、かように考えております。
  191. 鈴木壽

    鈴木壽君 交付税の問題になりましたがね、きょうは交付税についていろいろお聞きするわけにもまいりませんが、一方ですね、交付税の、今度の三十九年度からの交付税の税法の改正の中に、基準税率のそれが上がりますね、今度ね。そういうような問題もいまの問題とは無関係でなくなってくるのですね。いろいろな問題で、これは交付税で見るとかなんとかとこうおっしゃっても、一体どういうふうに見ていくのか。これはいずれあとでお聞きしましよう。しかし、そういう問題はともかくとして、財政的には減収補てんというような形においても、一・五倍をこえた部分の減収分は見るしというようなことになると、さっき言ったただし書き方式をとっている八一%ですかの町村で、なおその中のほとんど大部分が標準税率を越した、準拠税率を越した率で課税している。こういうところの人たちは、簡単に標準税率に近づけるというようなことはできませんよ。もしほんとうに標準税率を本体とし、それによることをあなた方も指導する、このとおりやるとしたら、減収補てんの分についても、そこまで見るということでなければこれはできませんよ。そうでないですか。減収分を何も見てくれないというようなやつは、とてもじゃないがやれっこはないんじゃないかというのが、これは偽らざるあれだと思うのですね、町村での考え方だと思うのですね。どうもそういうところに不十分なというか、今回のやり方というものはちょっとおかしいので、せっかく不均衡是正——私どもは二年でやることはやむを得ないと思います、一挙に三百億の金、ほんとうにやれば三百億をこすのですが、三百億もの金を一挙にというようなこともなかなかたいへんだと思うから、二年でやることはやむを得ないと思いますけれども、その二年後には、三年目からはやはりいまの本文方式に全部行き、きわめてわずかな、いわゆる特殊な団体以外は標準税率によって住民税を課税をする、こういうところへ持っていかなければこれはうそになりますよ、話が。私はそう思うのですがね。そういう意味で減収補てん債等についても、実はいろいろお聞きしなければならぬことがありますが、もし関連でしたら……。
  192. 松本賢一

    ○松本賢一君 関連。そうするとですね、いま鈴木さんが質問なさったのの答弁を聞いて、私は実はびっくりしたのですが、あれですか、起債というものは標準税率の一・五倍をこえたものに対して見るわけですか。
  193. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 今回の改正が二つ中身があるわけでございます。一つは課税方式の統一、一つ税率の制限を付す、この両方あるわけでございます。課税方式の統一によりますものは、その減収分に対して補てん債を見る、税率につきましては、一・五倍をこえたものについては一・五まで見る、こういうことでございます。
  194. 松本賢一

    ○松本賢一君 ちょっといまのおことば。ピンとわからないのですがね。そうすると、この補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案というのがもう一つ出ておりますね。これとも関連すると思うのですが、今年度百五十億、平年度三百億の減税になるということは、そうするとどっちなんですか、その金額は。標準税率で見た場合に三百億ということになるのですか、それとも一・五までを見たものが三百億になる。どっちなんですか、それは。
  195. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 現在ただし書き方式をとっております市町村が本文方式に変わるための減収、それと税率を一・五超過している場合の一・五までの減収額合計が約三百億でございまして、内訳的に見てまいりますと、課税方式の統一のものがそのうち約二百四十億、税率関係しますものが五十数億、こういう姿でございます。
  196. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、かりに現在ただし書きをとっている市町村が本文方式に戻った場合、そこのところから、一・五までは取れるということですか、そうじゃないですか。
  197. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ただし書きから本文に変わった場合には、その変わったことによる減収額は全部補てん債を見るわけでございます。
  198. 松本賢一

    ○松本賢一君 全部見る……。それからそうでない市町村に対するものは一・五のところまで見るということですか、一・五をこえたものだけを減収として見るということですか。
  199. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 一・五をこえているものについて一・五まで見る。
  200. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、一のところまで減税はしなくてもいいということなんですね。
  201. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) それは結局五割の幅はそこの市町村の運用に残されておるわけでございますので、今回とりますこの法律によるいわばこれは強制措置でございますから、強制措置に伴う減収分は補てん債を見ていく、こういう建て方でございます。
  202. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、私どもはこう理解しておったのですよ。一応の強制で一のところまではやるべきだ、しかし、よくよく特殊な事情があるところはそれ以上一・五のところまでは——一・五は幅が大き過ぎると私ども考えますが、一・五のところまでは独自の財源としてお取りなさいということだろうと理解しておったのですが、いま話を聞きますと、少し違うように思いますね。それは日をあらためてまたお聞きします。
  203. 鈴木壽

    鈴木壽君 いま明らかになったのですが、そういうふうな今回の減収補てんのやり方であるとすれば、これはあなた方、準拠税率によることを本体とすべきであるという、そういうことの指導をやるのだと、こうおっしゃっても、事実上これはできないことなんです。ということを私はあらためて申し上げなければならぬと思う。現にさっきも例としてあげましたように、二つの方式をとった場合に、これが正しいやり方なんだ、これで指導すると、こうおっしゃっておりながら、ただし書き方式をとるものが八一%、本文方式をとるものわずかに一九%と、こういう事態からして、しかも市町村はあの人方から言わせると、とても苦しいのだ、取らなければいけないのだ、こういうことなんですね。こういうときに制限税率も五割増しにし、そうして実際のいわゆる減税による減収補てんもその五割の分は何も見ないのだ、こうなったらどこの町村でももう標準税率どおりやるということはなくなりますよ。そうすると、標準税率と制限税率の一・五倍の、その五割のところで、もしそれを減税するとしたならば一体どの程度の減収額が出てきますか、その点はどうですか。
  204. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 三十九年度で約百億です。
  205. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまのその標準で三百億、方式統一によると二百四十億と、税率超過課税をした場合、初めはこれは標準税率にするつもりだと思っておったから、そのために五十六億とか八億とか、どうもこれはあれだと思っておりましたが、だんだんいまの言うことがわかってみると、むしろ標準税率に近づけさせるためにほんとうにそれをやるとすれば、いまの五十何億でなしに、いまのお話のおそらく百億もっとあるのじゃないかと思いますが、これは私は別に正確に積み上げて計算したわけじゃありませんから、いわば腰だめ的な見方ですから、これは責任のあることは言えませんが、私は少なくとも百億を下らないものがあるだろうと思っておりましたが、そうしますと、これはいままでの、何といいますか、私どもが期待をした税法の改正によって不均衡是正ができるのだというようなことは、これはこれから雲散霧消していくようなかっこうになりますね。
  206. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) すでに御承知のことばかり申し上げることになりますが、現在は本文方式とただし書きと二つの方式がございまして、それには制限的規定は全然なく、いわば青天井の税制になっているわけであります。その結果が、現状におきましては標準世帯について、ただし書きのところの高いところでは本文、標準の場合に比べて七倍にもなっている、こういったような全くはなはだしい不均衡状態を今回直そうということでございますが、その場合に、一方ではこういった問題の処理は、従来の地方税制のたてまえからいけば一体だれの責任といいますか、だれの負担において処理すべきであろうかということになると、いろいろ議論があると思いますが、税制のたてまえとしては市町村自分自身でやっていくということが一つ考え方になるわけであります。といいますことは、本文方式が本則のたてまえになっておって、ただし書きは財政上特別の事情、こういうことでございまして、交付税の計算におきましても、本文方式をもって交付税の計算をしているし、現にそれによって本文方式をとっている町村もあるわけでありますから、その場合の市町村間の均衡考えてまいりますと、標準税率にするまでを、これをすべて国の措置によって行なうことが妥当であるかどうか。これは従来から努力して本文をとってまいりました市町村とのバランスの問題もあるわけであります。そこで一方には、この所得割りについて五割の弾力的な姿としての制限税率を設けたわけでございますので、国として応援をし、また地方税制として強制をする幅までの援助をしていくというのが、いわば地方の自主性とのかね合いの判断の一つのいき方ではないか。かつて、御承知のように、固定資産税について制限税率を越えて著しい課税をしておりました場合においても、これを法的に直すと同時に、やはり制限税率までの減収分について今回と同じように補てん債を認めるという例もあるわけでありまして、それらを考えて今回の措置をとったわけであります。
  207. 鈴木壽

    鈴木壽君 地方税の減税によるいわゆる減収補てんの問題について、一体いずれの責任においてそういうものを考えるべきかというようなことについての論議はこれはいろいろありますよ、おっしゃらなくても。私どもも、考え方としては、責任はやはり地方自治体だし、その中でやるべきだという考え方もあることは承知いたしております。いまはしかし、そういうのではなしに、いわゆる不均衡を是正するために国が見てやろう、こういうところに踏み切ったところなんですね、そういう前提に立って。だから、その前提までの論議はいろいろあります。ありますけれども、そういう国が何かの形でめんどうを見るということで今回のような措置が行なわれるとすれば、その前提に立ってものごとを考えていかなければならないと思います。そういう意味で補てんのしかたがまことにおかしなものじゃないかと、こういうことなんです。さっきもちょっと言いましたように、五割の幅を、制限税率というものも私はある意味においては認めなければいけないこともあると思います。しかし、その幅は極力小さいものにすべきだ、今回のようなやり方をするときには。ねらいが、あくまでも市町村間の不均衡を是正するというたてまえに立つ以上。かりに私がA市で一万円、B市になると税金を納めると一万五千円になる。こういうことが今度公然と行なわれるわけですね。それでは、六倍、七倍のものは是正されるかもしれないけれども、依然として大きな幅の不均衡があるし、不均衡が是正されたとは言えない。一割、二割、せいぜい三割程度ならばやむを得ないと思いますが、そういうことは、地方税といっても、日本国民としてやっていく場合には許されないと思います。そういう、居住地によって、あるところでは一万円納めればいいのを、隣の町にかりに居を移した場合には一万五千円だ。これはとんでもない話だ、日本人としては。市町村のいろいろの仕事の関係とか、あるいはサービス給付関係によって多少の差があることは私はやむを得ないと思いますが、その多少の差ということは、できるだけ他との均衡が失なわれない形において幅の小さいものでなければならない。これは現在におけるいまの住民税を考える場合の一つの至上命令だと思います。それをやらないで、ただ、原則はこうだしこれでやれなんと言っても、実際にやれるようにするための補てんの措置が、やらなくてもいいようにして置くということはこれは許されないのじゃないか、こういうことなんです、私の言うのは。
  208. 占部秀男

    占部秀男君 答弁の前にちょっと一つ。今度の措置の性格からして、鈴木委員の言ったようなことが正しいと思うのだが、その前に、いま局長お話では、〇・五の部分については特別事情があるから、それぞれの市町村でとったのだからと、こういうようなことなんですが、特別の事情ということは、たとえばこれは百の市町村のうちの一つか二つがそうなったというならば、これは話はわかる。八〇%もただし書きを使っているというからには、その原因は、単に個々の特別な問題以外に、共通した一つの大きな問題点がその中にはあると思います。その中の大きな問題点をいうと、議論になるから私は言いませんが、少なくとも国と地方との財政的な関係、仕事の関係、地方負担の問題、いろいろな問題が大きくそこに制度的にもその中に含まれておる。そんなことは初めからわかっておる。わかっておることを前提として今度のこの措置をしようというのですから、したがって、一・五に対する補てんというものを考えてやらないというのはおかしいし、考えてやらなかったならば、大部分がやはり鈴木委員の言われるような形になってしまって、結局、今回の減税の効果というものは相当部分が失われるということになるわけです。これはやはりもう一ぺんはっきりした答弁をいただいて、こういう点は将来にかけて直していくというようにしていかなければ私はならぬというふうに思うのです。いま直せば一番いいのですが、そういう点についての御答弁もひとつあわせてお伺いをいたしたい。
  209. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほど申し上げましたように、法律でそういう道をふさぐ——方式の選択の道をふさぐ、また税率の上げる限度を規定する、法律で規制された範囲までのものについての減収補てんをこの際はするということによって均衡化をはかってまいりたい、こういう考え方にあるわけでありますが、ただ、いろいろおっしゃるように、現実の問題としては、やはり相当の市町村がただし書きをとっておるという実態は、われわれもこれを非常に重視しなければならないと考えているのでございまして、年々交付税の財政需要の計算等におきましても傾斜配分をいたすようにいたしております。今回も御提案申し上げておる中で、それをかなりきつくいたしておりますが、今後将来とも、これらのただし書き方式市町村がおおむね財政的に貧弱な市町村であるというようなことから、そういった傾斜配分的な措置、そういう方面の財政需要をもっとよけいに見ていく方法をずっと続けてまいることによって、順次負担均衡化がはかれるようにやってまいりたい、かように考えております。
  210. 鈴木壽

    鈴木壽君 交付税のお話を持ち出していますけれども、いまあなたがおっしゃったいわゆる傾斜配分等の問題ですね、これと何か引きかえみたいなことをやっていらっしゃるのですがね。それはそれとして、別にこういう問題とは別な問題として、いま傾斜配分の問題が——未開発地帯とか、あるいはおくれておる地帯、財政力の弱い町村等にやるという別な問題——別というか、全然切り離しては考えられないでしょうが、これは別の問題として考えておる問題なんですよ。この問題に対して傾斜配分によってなんということはおかしいことなんですよ。この問題に関する限りは、今度百五十億の補てん債の三分の二は国で別途元利補給をするでしょうし、三分の一は交付税で見る、これだけの話なんです。その見る分は依然として、さっき言ったように、一・五倍をこえた部分の減税をして減収を生じた部分に対する起債の分、それしか見ないのですから、ですから、問題が交付税のほうで何かうまく見ていくような話をしたって、これはちょっと違うのですよ。交付税で、この減収なら減収ということに対してはっきり見るならば、私は見ることについてちょっとすぐには賛成とは言えないけれども、しかし、見るならば、はっきりこの減収分に対してどうするのだということでもない限り、一般的な低開発に対する、あるいはおくれた、財政力の弱いところに対する傾斜配分という問題だけでは、この問題の解決にはならぬですよね。それは全然無縁ではないでしょうが、いまの問題とは違った時点で論議をしなければいけない問題だと思う。
  211. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 従来も自力で本文に移ってきておる市町村も年々あるわけでございますし、また、前から本文をとっておる市町村もあるわけでございます。したがいまして、そういうものとの均衡の問題も、実は全市町村を通じて見て考えなければいけないところだろうと思うのであります。したがいまして、われわれもこの交付税の財政需要ということを考えておりましたのは、結局、自力でやったところは、やはり従来交付税あるいは自分市町村税それの自然増等によってこれを処理してまいっているわけでございますので、今後もその姿自体は依然として残していくべきではなかろうか。同時に、交付税の需要におきましても、こういった特殊な地帯に対しましては、従来にも増して需要を貧弱市町村に見ていくことによって処理をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  212. 鈴木壽

    鈴木壽君 最後に、これでやめますが、細郷さん、率直なところ、あなた方も実は苦しいだろうと思うのです、何しろ金が出ないものだから。ここでいろいろな理屈を立てて御答弁なさることはつらいだろうと思います。したがって、この問題、あなたに対してどうのこうのというより、もっと私は大臣なりそういうところで、ひとつどう処理するかという問題になってきていると思うので、はなはだ失礼な言い分ですけれども、きょうはこの程度にしておきたいと思います。なお、ただ減収補てんの補てん債の扱いの問題なんかも、交付税で見るとかあるいは逓減方式とかいろいろあるのですね。これはたとえば二〇%ずつ下げていく、そのあと一体どうするのか。いま百五十億を見ますと、四十年度にはまた百五十億出てきますよ。三十九年度で出る百五十億というものを見た場合には、その次の年は百二十億になり、九十億になり、六十億になる。一体それをどう処理するのか、あるいはまた交付税というものを考えておられるようでありますが、交付税で見るといっても、これは交付税のたてまえからいっていろいろ問題があると思う。しかし、これはいま言ったように、あなた方としては非常につらい立場にあると思うので、これ以上あなたに対してはきょうのところはお聞きすることをやめておきますが、どうもやり方というのがおかしいし、依然としてさっきも言ったように、不均衡是正が是正されるどころでなしに、これは幾ぶんは是正されますけれども、依然として残る。こういう問題をほうっておけない問題として私ども考えておりますから、いずれまたにして、きょうの分は以上で終わります。
  213. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 両案についての本日の審査は、この程度にいたしたいと存じます。   —————————————
  214. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 委員の異動について御報告いたします。  三月二十六日、小林武治君辞任栗原祐幸君選任、以上であります。   —————————————
  215. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回質疑を終了いたしておりますので、これより討論を行ないます。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のおありの方は、討論中にお述べを願います。
  216. 林虎雄

    ○林虎雄君 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となっております奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたします。   以下提案理由とその趣旨について申し述べます。  奄美群島復興特別措置法第十条の二によりますと、奄美群島復興信用基金への出資の追加は、そのつど資本金額の改正を要する法律事項となっておりますが、今回政府提案した奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案によりますと、奄美群島復興特別措置法を奄美群島振興特別措置法とし、奄美群島復興信用基金を奄美群島振興信用基金と改めるほか、資本金については、政府が必要と認めるときには、予算に定める範囲内で出資の追加ができるように改めようとしております。その理由とするところは、出資金を増加することだけのために、そのつど法律改正するのは妥当でなく、また予算の審議などを通じて明確にされるからそれで十分ではないかということであります。しかしながら、予算措置のみで自動的に出資金が増加するように改正することは、奄美群島振興信用基金の出資金額の審議には、奄美群島の振興の実情または奄美群島振興信用基金の現状ないしそのあり方についても審議しなければ十分な審議をしたとは言えないという必然性を無視した方法であり、政府の判断にのみ重点を置いて一方的に出資金を増加することになることとなり、まことに不妥当な改正であると考えるのであります。また、予算委員会における審査は、その問題のとらえ方が大きく、時間の制約などもあり、十分な審査を尽すことができないというのが過去の実例でもあるようであります。これらの点を考慮いたしますと、出資金の規定は、現行法のように法律上資本金額を明確にしておくほうがより妥当であると考えるのであります。  以上の理由によりまして、修正案のように、出資の追加は現行法どおり資本金額の改正を要するものとして第十条の二および第十条の三の改正規定に所要の修正をいたしました。  この修正に関連しまして昭和三十九年度予算におきまして奄美群島振興信用基金に五千万円を追加出資することとしておりますので、現在の資本金額の三億七千万円を四億二千万円とする修正をいたしました。  なお、第十条の二および第十条の三の修正部分のほかは、これらの修正に伴う条文の整理であります。  以上が修正案を提出した理由とその趣旨であります。
  217. 西田信一

    ○西田信一君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいまの修正案に反対し、原案に賛成するものであります。  この法律案は、第四十三国会において、本委員会が行ないました附帯決議の趣旨に沿い、奄美群島の特殊性を考慮して、復興計画に引き続き、振興五カ年計画を策定し、その実施によって復興計画の補完と主要産業の振興をはかろうとするものでありまして、きわめて妥当なものと考えます。  しかしながら、今後、群島住民の生活水準を鹿児島県、本土並みに引き上げるためには、政府は、振興計画の完全遂行に必要かつ十分な予算措置を講じ、補助率の引き下げ等によって、財政力の弱い地元県、市町村に対し、財政困難におちいらせることにならないよう、必要な財源賦与の方途を講じ、財政能力の増強をはかるとともに、また、群島経済の発展の要素である産業資金の融通の円滑をはかるため、今後さらに、奄美群島振興信用基金の出資金の増額、貸し付け利率の引き下げ、償還年限の延長等についても配慮する必要があると考えます。これらの点については、今後の問題として十分に御検討お願いいたし、奄美群島振興になお一そうの努力を要望して、本法律案に賛成をいたすものでございます。  次に、日本社会党の修正案は、信用基金の融資業務に要する資金に対して、法律上資本金額を明示し、国の出資額を追加するときは、そのつど法律改正によることとするものであります。しかしながら、政府の追加出資は、一般会計予算に計上され、当然国会における審議を経るのでありまして、あえて政府案を修正する必要はないと考えるのであります。  以上の理由によりまして、修正案には賛成いたしかねる次第であります。
  218. 辻武寿

    ○辻武寿君 私は、公明会を代表いたしまして、政府原案に賛成し、修正案に反対の意を表明するものであります。  本法案は、奄美群島の産業の振興及び島民の生活水準の向上をはかろうとするものであります。また、奄美群島の特殊な事情を考えますときに、復興十カ年計画に引き続き、振興五カ年計画を策定して、こうした奄美群島の事業を実施し、所要の規定に基づいて整備を行なうことは、実に時宜にかなったものと考えるものであります。  修正案によりますと、同法案中十条に規定される奄美群島振興信用基金の出資金をそのつど法文化して明らかにしようとするものでありますが、これは五カ年の間計画が変更されない限り、国会の場で十分な審議がされないことを心配されてのことと思います。しかし、同基金の出資額につきましては、一般会計に計上されますので、予算審議など十分に国会審議がなされるものと考えるのでございます。むしろ、弾力的に運用することが妥当ではないかと思うのであります。  以上の理由によりまして、政府原案に賛成し、修正案に反対するものであります。
  219. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ほかに御意見ございませんか。——他に御意見もないようでございますので、本案についての討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  まず、討論中に述べられました林君提出の修正案を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  220. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 少数であります。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  221. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 多数であります。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の審査報告書につきましては、委員長に御一任願います。  本日の審査は、この程度にいたしたいと存じます。次会は明二十七日金曜日一時三十分、地方税関係二案について参考人の意見を徴し、並びに質疑の予定でございます。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十七分散会    ————・————