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1964-02-08 第46回国会 衆議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月八日(土曜日)    午前十時十三分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 愛知 揆一君 理事 青木  正君    理事 櫻内 義雄君 理事 野田 卯一君    理事 井手 以誠君 理事 川俣 清音君    理事 辻原 弘市君       相川 勝六君    荒木萬壽夫君       安藤  覺君    井出一太郎君       井村 重雄君    今松 治郎君       植木庚子郎君    仮谷 忠男君       川崎 秀二君    垂政 誠之君       周東 秀雄君    田澤 吉郎君       中曽根康弘君    古井 喜實君       古川 丈吉君    保科善四郎君       松浦周太郎君    松野 頼三君       山本 勝市君    亘  四郎君       淡谷 悠藏君    久保 三郎君       河野  密君    多賀谷真稔君       中井徳次郎君    安井 吉典君       柳田 秀一君    山花 秀雄君       横路 節雄君    今澄  勇君       小平  忠君    加藤  進君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         厚 生 大 臣 小林 武治君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  福田  一君         運 輸 大 臣 綾部健太郎君         労 働 大 臣 大橋 武夫君         自 治 大 臣 早川  崇君         国 務 大 臣 佐藤 榮作君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    高島 節男君         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局長)  向坂 正男君         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵事務官         (主計局長)  佐藤 一郎君         大蔵事務官         (理財局長)  吉岡 英一君         文部政務次官  八木 徹雄君         文部事務官         (大臣官房長) 蒲生 芳郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君         文部事務官         (体育局長)  前田 充明君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      若松 栄一君         厚 生 技 官         (医務局長)  尾崎 嘉篤君         農林事務官         (園芸局長)  酒折 武弘君         食糧庁長官   齋藤  誠君         水産庁長官   庄野五一郎君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君         運輸事務官         (海運局長)  若狭 得治君         運 輸 技 官         (船舶局長)  藤野  淳君         運 輸 技 官         (港湾局長)  比田  正君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      廣瀬 眞一君         運輸事務官         (航空局長)  栃内 一彦君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      村上 茂利君         労働事務官         (職業安定局         長)      有馬 元治君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      宮澤  弘君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     坪井 為次君         日本国有鉄道総         裁       石田 礼助君         日本国有鉄道常         務理事     山田 明吉君         専  門  員 大沢  実君     ————————————— 二月八日  委員野呂恭一君辞任につき、その補欠として古  井喜實君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和三十九年度一般会計予算  昭和三十九年度特別会計予算  昭和三十九年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和三十九年度一般会計予算昭和三十九年度特別会計予算昭和三十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  柳田秀一君。
  3. 柳田秀一

    柳田委員 私は本日、特に文教問題で、主として町村合併あるいは小中学校統合通学距離が延びたがために、児童化徒に個人的に父兄負担、あるいは市町村通学費補助しておる等の市町村には市町村財政を非常に大きく圧迫している問題を、大蔵文部自治の各大臣にお尋ねしたい。この問題は、単に文部当局だけに追及してみましても、これが国政の上では自治省にも影響がある、また大蔵省とも非常に関連がある、国鉄とも関係があるというようなことで、従来から予算委員会でも尋ねたことがあるのでありますが、一向に進展をしておりませんので、お尋ねをしたいと思うのであります。  最初に、国鉄総裁お越しになっておりますからお尋ねしますが、昭和三十二年と思いますが、参議院文教委員会で、義務教育小学校六年から中学校三年まで延びたのだから、小学生には国鉄運賃半額であるが、中学先にもこれを半額にすべきではないか、こういう決議がなされたのであります。これに対して、国鉄総裁のほうでは、こういう院の決議に対してどう御理解され、どう対処されるおつもりであるか、またどう対処されてきたか、それを承りたいと思うのであります。
  4. 石田礼助

    石田説明員 私は、その時分の詳しいことはよく存じませんので、山田理事をして答弁いたさせます。
  5. 山田明吉

    山田説明員 昭和三十二年度の正確な記憶はございませんが、定期運賃の問題は、国鉄として非常に大きな問題として日ごろからいろいろな意見が出てまいっております。国鉄経営上の問題の一つとして、従来も検討を続けてまいっておりますし、将来も検討を続けて、何とか合理的な結論を各方面の御意見を伺って出したいと考えておる最中でございます。
  6. 柳田秀一

    柳田委員 私のお尋ねしたのはもっと端的なんです。参議院文教委員会決議は、小学生運賃半額ならば中学生義務教育だ、義務教育という観点において同じだから半額にすべきだ、こういう決議なんです。したがって、それからもうこれで七年間たっているわけですから、それに対して国鉄としてはどういう態度できたか。七年間検討してきたのですか。それでまだ結論が出ないのですか。出たら出た、ノーなら、ノーイエスならイエス、それを聞きたいと思うのです。七年間ただ検討しておるということは、何も検討してないというのと同じことなんです。ここは国会ですから、国会を通して国民に訴えるという意味で——私はあげ足をとろうと思わない。率直に、それは要求されても無理なら無理だ、国鉄独立採算制をとっているのだ、しかも赤字で困っているのだ、やりたいけれどもやれないとか、もっと率直におっしゃっていただきたいと思う。ただごまかしだけでは通らないと思う。
  7. 山田明吉

    山田説明員 ただいま、国鉄経営上の問題の一つとして検討してまいったと申し上げたのでございますが、特に定期の問題につきましては、各国の例から見ましても、国鉄定期割引率が非常に高いというのが各方面の御意見と私ども承知いたしておりますし、私どもも、経営上の観点から定期割引率は是正さるべきものではないか、そういう意見で、従来検討してまいった次第でございます。
  8. 柳田秀一

    柳田委員 定期のことはあとで尋ねますが、私は定期のことを言っているのではない。運賃体系で、小学生半額だ、義務教育半額だ。それなら、中学生も同じ義務教育になったんだから、明治時代には小学生半額で、義務教育の者は半額だから、いまは新制中学義務教育は三年延長されたんだから、義務教育という観点から見るならば、当然中学生半額にすべきではないか。定期の問題じゃない。運賃体系の問題なのです。それはどうかと言っているんです。参議院文教委員会決議はそれなんです。小学生国鉄運賃半額だ、だから中学生義務教育だから半額にしろ、こういうことなのです。それはどうかということです。
  9. 山田明吉

    山田説明員 従来の検討ではまだ結論は出ておりませんが、各国の例から見ましても、私ども現在の小児運賃半額を上げるという方向には現在まいっておらないと申し上げるよりいたし方ないと思います。
  10. 柳田秀一

    柳田委員 上げることを言っているのではない、こっちは下げることを言っているのだ。いいですか、小学生義務教育だから、国鉄半額で扱っているでしょう。十二歳未満半額でしょう。小学校というのは六歳から十二歳ですね。その十二歳未満は、国鉄運賃半額でしょう。だから、今度は中学校義務教育で、三年間延びたでしょう。義務教育全額国庫負担義務教育無償という原則から見るならば中学生半額にしろというのが参議院決議なのです。だから下げることはどうかというので、上げることを言っているのではないのです。
  11. 石田礼助

    石田説明員 ただいまの御質問は、私はごもっとも千万だと思います。それですから、私は、もしも中学生徒運賃小学化と同じように半額でないということであるなら、これは国鉄として検討して、できるだけ早い機会において貴意に沿うようにいたしたいと存じております。
  12. 柳田秀一

    柳田委員 私は、石田総裁というのは、ときどき英語を使われる点は気に食わぬけれども、非常に率直にものを言われる方だと思っていたが、いまの答弁を聞いて、いよいよ私はその感を深くした。あなたはやはり官僚出身じゃないから、そういう点が官僚と違うところで、いいと思います。  そこで、それではいまの国鉄総裁言明をもとにして山田理事にお尋ねしますが、こういう運賃の問題は、国鉄の中では、鉄道営業法というものに基づいて旅客運輸規程というものがございますね。その旅客運輸規程で規定しているわけでしょう。そうじゃございませんか。
  13. 山田明吉

    山田説明員 鉄道運輸規程でやっております。
  14. 柳田秀一

    柳田委員 そこで、こういうような、いま国鉄総裁言明のような問題を国鉄がいよいよ実行されるとするならば、運賃審議会というものが国鉄諮問機関としてございますね、そこにおかけになるわけですね。そこにおかけにならずにおやりになるのですか、どうですか。
  15. 山田明吉

    山田説明員 別に運賃審議会というような、先生のお話しのようなものはございません。
  16. 柳田秀一

    柳田委員 運輸審議会にもおかけになりませんか、なりますか。
  17. 山田明吉

    山田説明員 運賃改正考えれば審議会にもかけ、それから運輸大臣の承認ももちろん要りますし、それから運賃法自体改正として考えるとすれば、これは運賃法改正を要します。内容のいかんによると存じます。
  18. 柳田秀一

    柳田委員 いま国鉄総裁言明されましたので、この点はこれくらいにとどめておきます。  そこで、きょう文部大臣はかぜのためにお休みでたいへん残念でありますが、私は文部省にお尋ねいたします。  文部省昭和二十九年以来、小中学校統合をお進めになったわけですね。そして、統合した学校に対しては国家補助をする道を開いて、統合を奨励された。自治省は、やはり同年ごろから町村合併を奨励されたわけです。その結果どういうことが起こったかといいますと、小学校中学校に通う児童生徒通学距離がふえたのです。当然だが、ふえた。小学校統合される、中学校新制中学になり、そうして市町村合併される。そこで、通学距離がふえた。その結果、小学校で四キロ以上、あるいは中学校で六キロ以上から通う児童生徒が非常にふえてきた。ここに詳しい資料もございますが、ふえてきたのです。そうして、最近は交通機関が発達してきたということで、小中学生が汽車、バス等通学に利用する度合いがふえてきたわけです。そうなってまいりますと、遠方から通うところの児童生徒には、時間にも非常なハンディキャップがあるように、経済的にも父兄負担が非常に多い。同時に、小学校統合中学校統合新制中学校をどこにつくるかというような小中学校校舎選定の問題というものは、どの町にいきましてもかなり政治問題になるわけです。そういう政治問題を背景にして、こういう通学費に対しては市町村である程度補助しよう、あるいは市町村である程度持とう、中には全額持っておるところもあります。あるいは、たとえば月二百五十円以上の分は全部市町村で持とうとか、そういうような条件で合併統合したところがあるわけであります。これが市町村財政に非常に負担になってきておるわけであります。  そこで、前から、こういうような市町村に対しては、あるいは通学費一定限、たとえば小学校ならば四キロ、中学校なら六キロ以上通う分に対しては補助をしようという動きがあるわけであります。これに対して、文部省としては、大蔵省とどういうふうな折衝をしてこられたか、それを承りたい。
  19. 八木徹雄

    八木政府委員 大臣が急に発熱をいたしましたので、私がかわってお答えをいたします。  文部省の対策の前に、どういうような実態になっておるかということを先に申し上げる必要があるかと思います。いま御指摘のありましたように、小学校四キロ、中学校六キロで算定をいたしまして、昭和三十八年四月の調査によりますと、実際に通学費を払っておる児童生徒数は、小学校が約五万八千人、中学校が約九万三千人で、その費用は九億円程度でなかろうかと思われます。それに対して補助を出しておる市町村は約六百八十市町村で、その対象は、小学校が二万三千人、中学校が約七万五千人、その費用は大体五億円でないか、こういうふうに見られておるわけであります。そのほかにスクールバス、ボートといったようなものを直営しておるもの、あるいは営業会社に委託しておるもの等があるわけでございますけれども、大体こういう費用がかかっておるかと思うのであります。  これに対して文部省予算として措置できておりますものは、準要保護児童生徒と要保護児童生徒分でございますが、準要保護児童生徒分については、小学校四千人、中学校六千五百人、大体通学費で約六千三百万円、その経費の二分の一を補助しておるわけでございます。要保護児童生徒数は、小学校が千七百人、中学校が二千八百人、約二千七百万円の通学費があるわけでございますが、これは生活保護法による教育補助を行なっておるわけでございまして、両方合わせて大体一億程度ではないか、そういう実態でございます。  いまおっしゃったように、それに対して予算要求をどういうようにしておるかということでございますが、まことに残念ながら、要保護児童生徒並びに準要保護児童生徒だけしかできておりませんので、実は大臣ともけさ連絡をとりまして、その点については大臣も大いに関心を持っておるから、今後これが、交通費についても、予算要求について万全を期するように努力をいたしたい、こういうふうに申されておりますので、どうぞひとつ……。
  20. 柳田秀一

    柳田委員 私は、きょうは決して皆さんのあげ足をとろうとは思っておらないので、少しでも行政国民の幸福のために進歩するならばと思っておったのです。  それから山中さん、これからちょっと日をあけて聞いておってください。この問題は、いま特にあなたの認識を強めたいのは、特に予算委員会でこれを問題にしたのは、幾ら文教委員会でこれを問題にしても、文教委員会にあなたの出席をわずらわすことがなかなかできない。  いま文部省説明のように、要保護世帯、準保護世帯に対しては、これは国庫から補助の道がついたのです。ところが、大蔵官僚はこれに対しては、準保護性帯、要保護世帯にこの補助の道をつけるのすら非常に難色を示したわけであります。ようやくにして三年ごしに文部省が折衝したあげく、要保護世帯、準保護世帯にこの国庫補助がついたわけです。特に私が大蔵大臣に訴えたいのは、今日こういう統合をしたために通学費で非常に困っている市町村は、全部山村僻地市町村なんです。そういうような山村僻地は、大体これは山村僻地ですから一次産業形態のところで、その町の財政が乏しいところです。またそういうととろに限って中学校なり小学校通学距離は非常に長いわけです。はなはだしきは、私の調べたところによりますと、これはある中学校ですが、生徒数は三百七十六なんです。そこで五キロ以下の通学者はわずかに一四%、六キロ以上が八六%あるわけです。その六キロ以上の中には驚くなかれ九キロ以上というのが三七%含まれておる。片道九キロ、往復十八キロなんです。こうなってまいりますと、これは教育機会均等ということから見ても非常に問題が出てくる。しかしながら明治大正時代の区々たる小学校統合した、新制中学校をつくったという教育効果というものは、これはかなり、大きく評価しなければならぬ。小学校適正規模統合した、中学校適正規模統合したという評価はかなり大きく評価しなければならぬと思うのです。したがって、それによって教員数も減りました。それから教室の数も減りました。したがって、人件費がずいぶん浮いてきた。国、府県等においてはずいぶんと学校統合効果というものは、教育効果だけでなしに、財政的効果もあったと思うのです。ところが、財政的効果はあったが、市町村に関しては財政的負担が非常に大きくなったということですから、当然これは全額ということでなしに、ある程度以上は補助の道を出すべきではないか。いま独立採算制をとっておって、しかも赤字で困っておる国鉄運賃の問題ばかり責める前に、市町村にもそういうような補助の道を出すべきではないか。これが、要保護世帯、準要保護世帯だけでなしに、一般の遠くから通ってくる子供補助を出すことは、大蔵省としてはどういう点で支障がありますか。この点を聞きたいのです。主計官等は、この前私は予算委員会分科会で尋ねたのですけれども金持ち貧乏人もおしなべて通学費補助するということは悪平等だ、こういう主計官思想なんです。私は悪平等だとは思わぬのですが、そこに行政をやる者と政治をやる君の感覚の相違もあろうかと思うのですが、大蔵大臣としてはどうお考えになりますか。
  21. 田中角榮

    田中国務大臣 学校統合に基づきまして通学距離が非常に延びるということは、御指摘のとおりであります。現在の状態では要保護児童、準要保護児童特殊教育学校、それから僻地に対しましては措置をしておりますが、この問題は、地方団体でもって補助をしておるものも一部ありますし、また国鉄バスを無料にしておるというような面もございます。これらの問題も、あなたがいま言われたとおり、将来の問題としてはできるだけめんどうを見てやる方向検討すべきだと思いますが、御承知のとおり、国としては教科書無償指貫とか、それから給食の問題とかミルクの問題、しかも、そのミルクも粉乳から牛乳へと、こういう問題を一つずつ片づけておるわけであります。学校教員の給与とか施設に対する補助とかいうものよりも、だんだんと拡大して教育機会均等に資したいという考えでありますので、いまこの問題を直ちに取り上げて国が何とかするということを申し上げるわけにはいかないと思いますけれども自治省文部省当局で十分検討しながら、どういうことにすることが合理的であるかということは検討に値する問題だ、このように考えます。
  22. 柳田秀一

    柳田委員 財政をつかさどる大蔵大臣立場から、一応一般的な答弁としてがそのようなところかと思いますけれども、ただ、私が尋ねるのは、通学費補助するのを貧乏人金持ちも一様に国費をもって補助することは悪平等だ、行政を担当するところの主計官がそういう思想を持っている。自分の目の黒い間は、断じてそんな通学費補助なんかさせてみせぬと力んだところの勇ましい主計官もおったわけです。しかし、私たち政治家の見るところは、必ずしも悪平等ではない。義務教育というものは無償というのが原則なんだ。おまえたち国家子供だ。だから教科書無償でやるのだ。国家にとって有用な人材になれ。こういうのが義務教育無償原則だ。おまえたち国家子供だ。それが片道何キロも通学するのだから、通学貨ぐらいは持ってやろう。全額持つというのではない。私はある一定距離は歩かして訓練するのは当然だと思うのです。しかし、中学生片道六キロをこえる分ぐらいは国でめんどうを見てやろう。学校統合とか、あるいは町村合併というのは国の方針でやったのだ。従来なら、一キロ通ったら中学に行けた、二キロ通ったら中学に行けた。それが、国の方針町村合併をした、国の方針学校統合をしたから、十キロも通わなければならぬ。それならば、六キロぐらいはおまえたちの訓練だ、しかしその六キロをこえる分ぐらいは国が見てやろうということは当然じゃないか、われわれはこう思う。ところがそういうことに対して補助することは悪平等だというのが、あなたの部下の一主計官の勇ましい言動なんです。これに対してはあなたどう思われますか。
  23. 田中角榮

    田中国務大臣 どの主計官がそういう発言をしたかわかりませんが、これは柳田さん、すなおに考えていただいて、何もそう悪平等だという思想に基づいて言っているわけではなく、大蔵省主計官の持つ健全性を強調するためにそう申し上げたと御理解いただきたいと思います。  この問題は絶えず議論になります。教科書無償のときもそうでありますし、また、給食補助費の問題とか、いろいろな問題でいま議論になることでありますが、私はいままでの立場自分思想としては、義務教育であり、低学年人たち教科書とか、それから給食とか、いまの通学とか、もしやるとすれば、そのようなものに差をつけることによって、公平の原則よりもかえって生徒間に要保護とか保護を受けておらないとかという感情的ないろいろなマイナス面が出るので、財政の都合上、年次計画等でやむを得ざる場合は別として、政策としてこれを採用する場合には、できるだけ多感な、ものの感受性の強い子供に刺激をして、その政策よりもよりマイナス面を起こさせないためには、やはり一律的な方策をとるべきだろうということは考えます。しかし、この通学の問題は、学校統合するときに多少無理をして画一、一律的にやったり、町村長が公選であるために、わしが当選すれば絶対ここに学校をつくってやるということで、野っ原のまん中につくったり、そういうことでどうも低学年小学生などでは多少問題のある政治的なベ−スがあるようであります。こういうものに対しては、やはり文部省だけの問題でもなく、大蔵省だけの問題でもなく、地方財政の面からもお互いが協力しながら妥当な調和点を見出すということで検討すべきだと思うわけであります。
  24. 柳田秀一

    柳田委員 そこで、いま地方財政の問題も出ましたので、あと自治大臣にお尋ねしますが、確かに学校統合をしたということは国家から見ると私は非常に大きなプラスがあったと思うのです。一つの例を私の地元の小学校にとってみますと、ここは児童数五百六十一なんです。統合前に小学校が六校あった。その六校の小学校を一校に統合したわけです。児童数は五百六十一、これは増減ございません。教員数は二十九から十六に減りました。学級数も二上五から十三に減ったわけです。それから同じ町で、統合合併前には三つの新制中学があった。これを一校に統合したわけです。その結果、生徒数は六百六十三人、増減はございませんが、学級数で十九から十五に、教員数で三十二から二十三に減ったわけです。こうなってまいりますと、その減った先生が一人当たり大体人件費として五十万円と見て、ここで二十何人減っておりますから、人件費だけでも大体千万円ないし千二百万円の経費が浮いておるわけです。ただし減った先生はそのままそっくり経費が浮いたとは言いません、ほかのほうに回っておりますから。そろばんではこうなっておる。確かにこういう点では教育効果だけの面でなしに財政的に亀岡及び府県ではかなり負担減になっておるわけであります。  それから自治大臣の御所管の交付税から見ると学級数とか学校数、そういうものから基準財政需要額というものが算定される。そのほうから見ましても、こういういまのこの学校で基準財政需要額で約四百万円くらいが減少になるわけであります。人件費の減少と基準財政需要額、交付税からはじき出して、これは交付税のほうは合併後三年間というものは特典があったわけですが、もうしかし三年たっておりますからこの特典もありません。そうなりますと、人件費の減と交付税の減で、国家としてはその市町村に対しては計算上は少なくとも千五、六百万円というものが支出減になっておるわけです。市町村に対しては、これだけの大きな効果があると思うのです。ところが市町村のほうはどうなっているかといいますと、この町は大体人口八千くらいの町でありますが、教育予算が八百万円ないし九百万円、そのうちの六百万円をその町は通学費補助に充てているわけです。これは町の財政で六百万円も出しているから、もうほかの教育の事業はやれない。しかしそれが合併の条件であって、統合の条件であった以上は、いまの町長はどうにもしかたがない、こういう状況なんです。したがってこういうような市町村に対しては、特別交付税か何かでこれを見るワクがあるのか、どういうふうに見ておられるか、その点自治大臣から伺いたいと思います。
  25. 早川崇

    ○早川国務大臣 へき地教育振興法の適用を受けておる市町村でありましたならば、通学バスの、その自治体が持ち出す費用につきましては、一定の方式によりまして特別交付税を交付することにいたしておりますが、その町がそういう適用になっておる町かどうかによって異なってくると思います。
  26. 柳田秀一

    柳田委員 へき地教育振興法に基づく僻地に指定の市町村は、そういうような特例があります。ところがこのような、いま例として取り上げたようなところでは、とうてい僻地教育指定のところでないところで、全国で幾らでもあるわけです。だから、ことしの全国町村会の議決、要望事項にも取り上げられたのです。私が尋ねたのは、こういうような町村がずいぶんあるわけでです。これに対しては特別交付税の中で何らかめんどうを見るワクがありますかどうか。あるならばどういうように特別交付税の中に算定されるか、その根拠と基準をお示し願いたい。
  27. 早川崇

    ○早川国務大臣 特別交付税というのは、普通交付税と違いまして、かなり弾力性のある交付税でございます。したがって、へき地教育振興法の適用を受ける町村については、もちろん通学バスその他の財政需要につきまして、一定の方式で適用することができるようになっておるわけであります。そうでない一般市町村がそういった通学距離が非常に遠い、そのためにバス運賃補助しておるというような例は、ケース・バイ・ケースでやり得る道もあろうかと思います。それからへき地教育振興法の辺地債という制度がありまして、特にバスを運営する道も開いておるわけでありまして、それに対しましては、バスの運輸費用を交付税で見ることになっております。そういうケースをひとつお知らせいただきましたら、全然特別交付税の対象にならないということはないと思います。
  28. 柳田秀一

    柳田委員 いまの御答弁を裏から見ると、現存ではまだ特別交付税の対象にはしていない、こう理解されるのです。これはあなたの前の、前々々任者でありますか、参議院議員の郡君が自治大臣のときには特別交付税でめんどうを見るには普遍妥当性というものが一つの条件になるのだ、この問題はまだ普遍妥当性の中には入らないのだ、こういうような御答弁があったわけです。郡さんは内務省の専門家ですが、これほどうも私は納得がいかない。特別交付税というものは必ずしも普遍妥当性じゃない。特別交付税は「特別」がつくごとく普遍妥当性でやるものじゃなしに、いまあなたのおっしゃるように、ケース・バイ・ケースで、こういうふうに九百万円の年間予算町村で六百万円も通学費補助に充てておるようなところは当然これは見るべきじゃなかろうか、こう思うのですが、それはどうですか。
  29. 早川崇

    ○早川国務大臣 お説のように、特別交付税は、一般の交付税あるいはその他のいろいろな起債、その他全般のルールに乗らない面を、特別交付税という潤滑油でお金を差し上げるということになっております。したがって、単に通学用に六百万円が要ったというだけで判定をしないで、その町が全体としてどういう財政支出をしいられたかということを総合的に判断した場合に、それも合併の条件で、そういうことが一つの条件になっておるということでありましたならば、特別交付税の対象にならないとは、私は言えないと思います
  30. 柳田秀一

    柳田委員 いずれそういうような具体的事例をあげて、自治省のほうにも要請があると思うのですが、その節は、いま私が申し上げたことを耳にとめていただいて善処していただきたいと私ば思うのです。  国鉄総裁、お忙しいでしょうから、お帰りになってけっこうですが、最後に一つだけ国鉄総裁に言っておきます。  私は、先ほどあなたに率直な言明をいただきましたが、中学校義務教育になったのだから小学校義務教育運賃半額ならば、中学校半額にするということは理論的には考えられるとおっしゃって、そういう善処を約束されたのですが、しかしながら国鉄は今日非常に独立採算制がしいられた上で、しかもその経営必ずしも豊かでないというところですから、私は特に総裁のお耳に入れておきますが、中学校だからといって、必ずしも何もかも全部半額にしろとは私は申さぬのです。少なくとも義務教育として通学あるいは修学旅行、こういうふうな教育と直接関係のあるような場合には半額にしてしかるべきだ、中学比がどこか遊びに行くというものまでも半額にしろ、私はそこまで国鉄には要求しないのです。少なくとも通学に要する費用あるいは修学旅行、そういうふうな国家教育立場から要求するような場合には、国鉄半額ぐらいの道を開いてもいいのじゃないか、こういうふうに私は言っておるわけですから、その点念のためにつけ加えます。御意見は要りません。総裁はお帰りになってけっこうでございますが、そういうふうにひとつ善処していただきたいと思います。  なお、この機会文部大臣にお尋ねしようと思ったのですが、きょうお越しになりませんが、文部省は本年度予算に特殊教育課程で盲学校におけるリハビリテーション課程の設置費として国立と公立に何か国庫補助金をつけられておるようですが、この間の経緯と、どういう目的ですか、その点をひとつ承りたいと思います。
  31. 八木徹雄

    八木政府委員 いま御指摘のありましたリハビリテーション課程でございますが、先年来からの要請が本年ようやく実を結びまして、本年公立盲学校に二課程、補助金で六百六十九万円という補助金の新設のワクがきまりました。それ以外に東京教育大学の付属盲学校にも一課程を設置するということで、三課程ができるということになりました。  以上お答えを申し上げます。
  32. 柳田秀一

    柳田委員 文部省が、特にこのリハビリテーションというものに対する関心を深められたことはたいへんけっこうだと思う。医学というものが、かつては疾病をなおす、あるいはからだの損傷をなおすという形態的なものから、機能をなおす、機能を回復するというところに進化してきたのが近代医学の道であります。そういうふうにいうならば、医学の一番根本は、なおすよりも病人をつくらぬことだということならば、これは治療医学よりも予防医学だ、予防医学ということのほうが、より医学の根本だと思うのです。しかし治療医学も単に疾病をなおすということから、今度は人間の機能を回復するという、リハビリテーション、こういうふうに漸次医学も進みつつあるということは、これは大体近代国家の趨勢であります。すなわち先ほど申しましたように、保健医学、予防医学、治療医学というものに、今度はリハビリテーション、社会に復帰せしめる、これは第四次元の医学だといわれるのですが、文部省がそのリハビリテーションを盲学校に取り入れられたことは、私は非常にけっこうだと思う。そこで、公立あるいは国立の盲学校でそういうリハビリテーション課程をやるには、いわゆるフィジカル・セラピスト、理学療法士とでも訳しますか、PTとよくいわれるのですが、そういうようなPT、フィジカル・セラピスト、理学療法士、そういうものを盲学校で養成される、こういうふうに理解しておるのですが、そういうための課程でございますね。ちょっと文部大臣から、その間の……。
  33. 八木徹雄

    八木政府委員 御説のとおりでございます。
  34. 柳田秀一

    柳田委員 そこで、今度は厚生省にお尋ねしますが、文部省においても、いまはそういうような盲学校においてリハビリテーション課程でいわゆるPTを養成する予算をお組みになったわけです。厚生省のほうも、今度はこの国会にいわゆるPTに対するところの身分法というようなものを、法改正をお出しになるということを聞いておるわけですが、それはどういうような趣旨でお出しになりますか、厚生大臣にお尋ねしたい。
  35. 小林武治

    ○小林国務大臣 お話のように、身体障害者あるいは肢体不自由な者の社会復帰のための機能の回復、こういうことにつきましては、従来とも重要性を認めておったのでありますが、日本ではその点が西欧の諸国に比べて非常におくれている。すなわちお話のように、予防とか治療とか、加えてさらにその予後の社会復帰のための機能回復、こういう治療が第四の治療として非常に大事なものだということは、厚生省当局でも早くから認識を持っておったのでありますが、これのいろいろの手だてが非常におくれておって、遺憾とするものであります。  お話のように、身体不自由な者の機能回復のために、あるいは治療体操をやるとか、電気の刺激をするとか、あるいは温熱の刺激等、いろいろの物理的方法によって機能を回復させる、こういうことが西欧諸国においても非常に盛んに行なわれておりまして、私ども厚生省におきましても、昨年三月医療制度審議会から、こういうものの進歩のために制度化をしろ、こういうふうな答申もありまして、御承知と思いますが、三十八年度におきましては清瀬の国立療養所東京病院にこれの養成所を設置いたしまして、現に四十人の高等学校卒業生を三カ年養成する、それによってこれらの専門職種としての制度を確立しよう、こういうことで出発いたしておるのでございます。それで、昨年すでに出発をしたと同時に、これらの問題の制度化のために厚生省でも打ち合わせ会を開きまして、業務とか身分とか、これらの内容を定める法制をつくりたい、こういうことで、大体一応の案ができましたので、いわゆる理学療法士法と申しますか、かようなものを成案を得たらひとつ提出いたしたいと、かように考えております。
  36. 柳田秀一

    柳田委員 そういう点も詳細承知しているわけですが、清瀬の国立病院にいわゆるリハビリテーション課程、リハビリテーションに対するところの高等学校卒業後三年の課程を設けられた。ところが、その受験資格にはあったのかないのか知りませんが、視力が〇・五の者は採用しなかった、成績が優秀でも〇・五で採用しなかったということを聞いておりますが、これは事実でございますか。厚生大臣どうですか。
  37. 小林武治

    ○小林国務大臣 この問題は、なかなかめんどうな問題でありまして、実は医師とかあるいは看護婦とかあるいはレントゲンの技師とか、こういうふうに直接医療に携わる方々につきましては、全盲の方は一つの欠格条件になっておる、こういう事情もありまして、この種の仕事にいわゆる全盲の方が携わることについてはいろいろ問題がありまして、整形外科学会その他からも、必ずしも適当でない、こういうふうな御意見も出ておるのであります。この問題は、今後こういう仕事に携わる者としまして全盲は全部締め出さなければならぬかどうかということについては、まだ確定的な意見はきめておりませんが、非常に意見の多いときである、こういうふうに申し上げなければなりませんで……。
  38. 柳田秀一

    柳田委員 私の尋ねておるのは、その清瀬の国立病院にリハビリテーション学校を設けられたときに、視力〇・五で、成績優秀な者が落とされておる。いま問題になっておるPTの身分法で、厚生省では盲をどうするかというのは非常に大事な問題になっておるわけです。伝えられるところによると、こういうような線が出ておるというのです。身体陣雲者にして重度の者で、いわゆるPT、OT、そういう業務に耐えられない者には免許を与えないことがあるというのが原案であったところが、最近厚生省は、これを盲ろうあでOT、PTの業務に耐えられない者には免許を与えないというふうに、大体省議で決定されたように聞いておる。現に厚生省の意向は、特に、東大系統の整形外科のお医者さんは盲に対しては比較的寛大でありますが、慶応あるいは九州等の整形外科のお医者さんに非常にきびしい人があって、盲を締め出そうとしておる。確かに盲人というものが、いわゆる従来のようなマッサージというようなものから、さらに、先ほど厚生天臣の御説のように、温熱療法、光線療法、電気療法、水治療法、温泉療法、スポーツ、ダンスそこまでPT等の業務が広がったときに、盲というものがハンディキャップを負っておることは事実です。同時に、盲というものは、晴眼者にないところの独特の勘を持っておることも事実です。しかし、いかに勘が鋭いといえども、あれだけ鋭かった宮城道雄さんが、汽車で、便所の戸と汽車のレールの下に落ちる戸とがわからなかったという悲惨な事実からしても、限度があることは事実です。しかしながら、世界で一番発達しておる、PT制度の先進国であるイギリス——いまここに川崎さんがおられましたが、私は、予算委員会から一九五七年に派遣されてイギリスに行ったときにも、ロンドン病院でリハビリテーション課程を見学してきたことがあります。そのイギリスでも、PTに盲は締め出していないのです。ところが厚生省の意向は、盲を締め出そうという意向にきているわけです。盲人にとっては非常にたいへんな問題だと思う。いまヘレン・ケラーの「奇跡の人」という映画をやっておりますが、厚生大臣、ごらんになりましたか、どうです。ヘレン・ケラーの「奇跡の人」はごらんになりましたかどうか知りませんが、政治にはもう少しあたたかみが必要だと私は思う。文部省のほうは、いま八木政務次官の言明のとおり、盲学校生徒をさらに訓練してPTを養成しようとしておる。厚生省のほうはなるたけ盲をしめ出そうとしておる。これは一体どういうことですか。同じ一つの国の政治で、盲学校を扱っておる文部省のほうは、盲人にもなるたけ勉学の機会を与えて、さらに従来のようなあんま、マッサージより一段と高度の技術を与えさせるところの、医師の指示のもとに行なうところの療術行為、いわゆるパラメデシンというような、パラメディカルの領域ではありますが、そういうようなところまでさらに盲人の技能なり盲人の職域を広げていこう、こういう文部省考え方と逆に、厚生省のほうは盲をしめ出そうとしておる。これは一体どういうことですか。
  39. 小林武治

    ○小林国務大臣 いまの清瀬の養成所には〇・五の人をお断わりしたという事実はあるようでありますが、私どもいま法律をつくるにあたりまして全盲の方、盲をしめ出すという結論はまだ得ておりません。お話もありますので、その点さらに検討いたしたい、かように考えます。
  40. 柳田秀一

    柳田委員 私は厚生大臣にしつこくあげ足をとったり、追及しようというのじゃない。ただ現在厚生省の中においても、これは医務局で扱っておるのですが、社会局の保護課のほうも関連があるわけです。そういうところの意見もかなり調整しなければならぬ。ところが行政の段階では、行政府で立法の過程の段階では、いま盲を締め出そうという方向にきておる。もしもここで大臣というものがでくの坊の、官僚に牛耳られておる大臣ならば、もう行政の段階で、法律作成の段階で全然チェックをせずに、出てきた法案をそのままこの国会に受け継ぐ機関であったならば、これは官僚からなめられる大臣だと思う。そういう立法の過程において大臣のほうから、やはり大所高所から見た国務大臣という視野から、さらに政治家の視野から、これはこういう方向で立法すべきだということを行政官僚のほうにチェックするのが、私は大臣の大きな任務だと思う。そうでなければ、日本はそうでなくても官僚行政だといわれる。官僚行政だけならいいが、官僚政治だといわれる。官僚日本といわれるゆえんだ。そこが私たち政治家と、それからいかに立法能力にはたけておるかもしれませんが、行政官の視野の違うところなんです。いま大臣のおっしゃるように、まだこれは厚生省で固まっていないとするならば、せっかく文部省のほうは盲人にもさらに教育機会を与えよう、高度の技術を習得させようという親心があるならば、それと符節を合わされて、厚生省のほうも、いままだ厚生省段階で固まっていないならば、固まっていない段階において、国会でこういうような議論もあるので、盲というのは確かにハンディキャップはあるけれども、しかしその盲にも発奮の機会を与えるように道は広げておく。しかし、それでできないものは自然淘汰されますよ。宮城道雄さんの例を引きましたが、そうでなくてもやはり盲と晴眼者では、盲のほうがハンディキャップを持っておりますから、自然的に淘汰されるものはされます。能力のない者は自然的に、それは病院においてもどこにおいても採用しないでしょう。社会的、自然的に淘汰されるものはいたしかたがないと思う。それは盲の宿命だと思います。しかし法律そのものが盲をシャットアウトするというようなことは、これは心なき仕事だと思います。この点は厚生大臣、どうですか。
  41. 小林武治

    ○小林国務大臣 お話の点ごもっともなことと存じますので、ただいま申し上げましたように、十分検討いたしたい、かように考えております。
  42. 柳田秀一

    柳田委員 それでは、私はいまここで、佐藤オリンピック担当相が来ておられますから、オリンピック憲章とオリンピック・マークのことで少しお尋ねしたいと思います。  オリンピック憲章にはこういうふうに書いてあります。これの第五十六条に、オリンピックのいわゆる五輪のマークと、それから「より速く、より高く、より強く」という標語があります。これは皆さんも御存じのとおり。この標語とをもって、オリンピックの表章とする。この表章は、国際オリンピック委員会の独占的所有物である、いかなる種類を問わずこれを商業的に使用することを厳禁する、こうなっておりますね。これに対して立法をもって禁止しておるところもあります、このオリンピック憲章を受けて。アメリカ、これは州立法であります。あるいはフィンランド、フィリピン、オーストリア。立法をもって禁止しておるところもある。あるいはイギリスのごとく、立法をもって禁止しなくても、オリンピックとかオリンピア、オリンパスというような類似のことば、あるいはオリンピック・マーク、こういうものは全然商業的に利用しようとしない国民もあります。日本はそういうとお恥ずかしいながら、まだとうていイギリスまではいかないと思う。西ドイツもこの点立法的に禁止してある。こういう点で、たとえて言うならば、赤十字の国際的条約のようなものがあって、赤十字のマークそのものは保護されております。私はこのオリンピックのマークとそれから標語というものは、今後二百日に迫っておるオリンピックで、何らかの法的規制を加えておかなければ、何しろ利にさとい日本人のことですから、これはやたらに使われて、そうでなくてもこの問題は、非常に関心を持っておる国際オリンピック委員会の連中が日本に来たときに、これはどうにもならないというひんしゅくを買うのをおそれるのですが、担当大臣の御所見を承りたい。
  43. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまのお話のように、オリンピック憲章にははっきり書いてありますが、オリンピック憲章そのものはこれは条約というほどのものではございませんから、そういう意味で赤十字の場合とは違う。いずれにいたしましても、立法措置を必要とするかどうかということも一つの研究課題でありまして、その意味で、国会においてもいろいろ研究していただいておるようであります。これは国会におけるオリンピック委員の方々の問題にする以外にはございませんが、私どもまず第一に、何よりも道義的なものがあるのではないだろうか。オリンピックに参加する以上、オリンピック憲章の示す道義的なものを十分民間において理解してもらうということ、これが最も必要なことだ、かように思いますので、いままでも民間の団体においても普及徹底するような処置をとっております。しかしながら、いままで法律をつくっておりませんから、過去にもうすでに権利を設定しておるものもあるし、またこういう機会にそのオリンピック・マークを使いたいというので、かってに使う者がある。そういうことでなかなか法的にこれをきめることがむずかしいのです。ことにこれから使うという場合には、その罰則が問題になると思いますが、罰則をつけることがまた非常に困難だ。いずれにいたしましても、ただいまの研究課題である国会における審議の模様も見たいし、また私どもとしては、国民の間にその道義的な、また商業道徳、そういう意味でこの憲章の趣旨を守るように——ただ、いままでのところその普及徹底が十分でございません。したがいまして、いかがわしいものが次々に出ております。そういう具体的の問題があると、それぞれ私どもが、法律にはよらないが、その道義的な、商業道徳的な意義をよく説明しまして、そして理解を求め、協力をお願いしておる、こういう状況でございます。
  44. 柳田秀一

    柳田委員 さらにオリンピック憲章の二十四条に、国内オリンピック委員会は、オリンピックの旗と表章とを使用する占有権を持ち、これらの使用を「オリンピック」並びに「オリンピアード」ということばの使用とともに、オリンピック競技大会に関係ある活動に限定しなければならぬ、こういうように憲章の二十四条は規定しておるわけです。したがってこれを受けまして、日本の国内オリンピック委員会であるところのJOCは、役員会を用いて八月れた際に、あなたも法制化の必要を確認されておるわけですね。伝え聞くところによると、この法制化の作業が衆議院の法制当局で立法化にかなり進んできておるのですが、文部当局から出向しておるあなたの下の内閣の審議室というのですか、そのほうのお役人さんのほうでかなり足を引っぱっておるという動きを聞くのですが、あなたはお耳に入っておりますか。これがいわゆる体育協会なり日本国内オリンピック委員会ではかなり問題になっておるわけです。そのために、たとい政府提案の法律にならなくても、特別委員会等での議員立法ですら足を引っぱられておるというので、非常に憤激を買っておる事実があるのです。
  45. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 そういう話は私聞いておりませんが、ただいままでのところは、通産省の商標権との関係でございます。過去のものをどうするか、これを禁止する場合に、それらに補償を必要としやしないか、また将来使おうとするものに対して、今度は罰則規定はどうなるか、その二つがそのポイントのようであります。また、言っておりますうちにオリンピックがだんだん近づいてまいりますので、はたしてこのオリンピックに間に合うように法律ができるだろうか。こういうことで、議員の先地方もこの処置にいろいろ頭を悩ましておられるというのが実情でございます。
  46. 柳田秀一

    柳田委員 先般ナイロビでIOCの総会がありまして、日本側からこれを国際的な何か条約的なものにしようという提案をしたところが、各国から非常に賛同があったわけです。それからるかどうかと尋ね合わせもきているようであります。これをおっしゃるように、過去のものの既得権益的なものになっているものをどうするか、将来にわたって倫理規定にとどめるべきか、あるいは罰則規定を設けるべきか、むずかしい点があると思う。しかし、パチンコの玉に、あるいはパンツに、あるいはおひなさまに、あるいはワッペンに、最近いろいろと利にさとい商人たちがオリンピック・マークを乱用している事例があるわけです。特に、オリンピックに際して各国からたくさんの外国人が来たときに、みやげものにこういうマークでもつけられたのでは、まるでこれは国の恥を持って帰ってもらうようなことになるわけですね。したがってある程度、必要悪かもしれませんけれども、私は、ある程度の立法化とある程度の罰則はこれはやむを得ぬのじゃないか、こう思うわけです。ただこれを議員立法にまかすのか、政府立法にするのか、その辺のところが少し微妙だと思うのでありますが、あなたのほうでは政府立法にする意思はないわけですか。その辺のところはどうなんですか。
  47. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 政府立法をするという考え方ではございませんで、むしろ議員の方と連絡をいたしまして、議員立法をお願いしよう、こういうことで参りましたが、ただいま申しますように、もうあと日にちがわずかでございますから、これを制定して、その趣旨を十分理解してもらう、それまでにはたして十分効果を上げるだろうかどうだろうか、それよりも、ただいま言われますパチンコの玉であるとか、あるいはパンツであるとか、いろいろの品物にオリンピックのマークを使っておりますので、そういう具体的なものをひとつ征伐してみよう、こういうことのほうが手っとり早いのじゃないだろうかということで、いろいろ努力しております。  今日、こういう問題について御質問を受けましたことも、おそらくこの機会国民の方々がオリンピックの精神を理解し、また憲章の趣旨をより理解して協力する、こういうことであってほしいと思いますが、そういう意味のPRが私はまだまだ十分でない、その点を私どもの責任において、皆さま方の協力を得てこれを徹底させたい、かように思います。
  48. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 質疑は終了いたしましたか。
  49. 柳田秀一

    柳田委員 終了しました。
  50. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これにて柳田秀一君の質疑に終わりました。  午後は一時から再開することといたします。  なお、午後の質疑者は安井吉典君、久保三郎君であります。安井君の要求大臣は、大蔵大臣文部大臣、農林大臣自治大臣であります。久保君の要求大臣は、外務大臣大蔵大臣、厚生大臣、通産大臣運輸大臣、労働大臣自治大臣経済企画庁長官であります。  暫時休憩いたします。    午前十一時十五分休憩    午後一時六分開議
  51. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十九年度総予算に対する質疑を続行いたします。
  52. 安井吉典

    ○安井委員 毎年春の年中行事のようになっております日ソ漁業交渉は、三月三日からモスクワでまず科学技術小委員会から開かれるそうでありますが、ことしはマスの不漁年に当たっておりますし、その上日ソ漁業条約そのものも改定時期が二年後に迫っているという事情もあり、昨年のような早いスピードで妥結がもたらされるかどうか問題がございますが、いずれにいたしましても、これまでは毎年交渉のたびに漁獲数量が減り、あるいはまたいろいろな規制が大きくなるという過去の経験からいたしましても、わが国の北洋漁業が不利な立場に陥らぬよう強く望まれるところであります。この交渉に臨む政府の態度をまず赤城農林大臣から伺いたいと思います。
  53. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 確かにただいまおっしゃるとおりで推移してまいりました。問題は、資源の再生産といいますか、資源保存ということにいつでも交渉の焦点が向いてきております。   〔委員長退席、愛知委員長代理着席〕 そういう点から考えまして、いまのようにマスはことしは不漁年に当たっておりますので、相当その点につきましてソ連側では主張をいたすだろうと思います。昨年の交渉等におきましても、そういう点にいささか触れてきておるということもございます。わが日本のほうといたしましても、専門者同士で科学的に基礎をいま固めております。その基礎に基づいて、いまの御希望に沿うようにぜひ交渉を持っていきたい、こういうふうに考えております。会議のことでありますが、昨年は百日交渉の例を破ってスピード妥結ぶりを示したわけでありますが、一昨年の河野・イシコフ交換公文によりまして次年度のサケ・マス漁獲量の大ワクを同時に決定するという大原則があったのはついに果たされなかったわけです。それがことしに持ち越しとなってしまっており、さらに赤城農林大臣は昨年の秋訪ソされましたとき、イシコフ漁業相と、ことしの一月にあらためて東京で専門家会議を開き検討することを約束してお帰りになった由に承っております。ところが、その専門家会議はとうとう東京では開かれないままになって、モスクワ交渉が始まるわけでありますが、その辺の事情はどういうことでしょうか、ひとつ伺いたいと思います。
  54. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 いまのお話のように、一昨年に河野・イシコフ会談で、当年度の漁獲量だけを決定しないで、次年度の分まで合わせて決定していこうじゃないか、こういう約束が取りかわされておったのでございます。ところが、去年の交渉の際に、いまで言えばことしですが、ことしの漁獲量等のワクをきめずに委員会が終わってしまった。こういう事情でございますので、約束が違う、それについては、通常の両方の委員会が開かれる前にそういうワク等もきめておくべきが筋じゃないか、こういうわけで、昨年モスクワに行きまして、イシコフ漁業大臣にも会いました。そういう理由その他従来の約束等につきましても、どうも守っていない点が相当あるのじゃないか、こういうことを強く主張いたしました。そうすると、向こう側からは、実はまだ統計がまとまっていないんだ、カムチャッカ方面などの統計が集計できないんだ。それだから、いますぐというわけにはいかないけれども、昨年の十二月中ならモスクワで、一月中なら日本で、そこでひとつ交渉をしようじゃないか、こういう取りきめをして帰ったのでございます。その後、十二月になって催促しても、何とも延ばしに延ばしているじめないか、少なくとも一月になったら日本でその交渉等を開きたいと再々外務君を通じて督促をいたしておったのでございますが、いろいろの理由で——その理由は憶測できませんけれども、理由を言って、延ばしに延ばしてきた、こういう事情でございます。まあ、イシコフ漁業相が自分で来られないという理由も一つの中にあったかと思いますが、とにかく去年話し合ったことが履行されないまま現在にきておる、こういう事情でございます。
  55. 安井吉典

    ○安井委員 交換公文が一方的に破られ、また一たん赤城農林大臣とも約束をされましたことがほごになったというふうな、こういう先方の態度はどうも理解ができないわけであります。こういったような点、今度の交渉にあたりまして、まずまっ先に事情を明らかにしてもらうべきであろうと思います。その点いかがですか。
  56. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 全くそれはそのとおりで、交渉の始まる前に、いまの専門家会議も開かれるかとは思いますけれども、その専門家会議等におきましても、この点は明らかにして、私どもは強くその点を難詰と言いますか、しなくちゃいかぬと考えております。
  57. 安井吉典

    ○安井委員 私は、いまのこの事実からも予想されますように、今度の会議におきましても、やはり政治的な圧力やかけ引きや、そういうようなことで方向を誤ってはいけないと思うわけです。やはり、あくまで漁業交渉は、先ほども大臣がおっしゃったように、基本的なサケ・マス資源に対する科学的な解明、これがやはり基礎でなくてはならないと思います。そこで、大日本水産会のほうからもこの漁業交渉に対する一要望事項が幾つか出ているようでありますが、サケ・マスの資源はソ連の主張のように悪化しているとは思われないし、ベーリング海の紅ザケなどもむしろ増大を予想されるような状態であり、ことしの総漁獲量は、納得し得る妥当な数量として、A区域五万五千トン、B区域六万トン、合計十一万五一千トンという一昨年の水準を下回らないこと、あるいはカニについても四船団、二十八万箱以上とすること、さらに来年のこのAB両区域の漁獲量をあわせてことしのうちに事めるという原則を確立してほしい、こういうふうな具体的な要望が出ておるわけでありますが、これについてどういうふうにお考えですか。あるいはお見通しも伺いたいと思います。
  58. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 要望等につきましては、私も要望を受けて承知いたしております。いろいろ見方、要望等もありましょうけれども、やはりこれは委員会で決定する、こう条約面ではなっておりますから、私のほうといたしましても、科学的に本年度の資源状況とか、そういうものをいま調査検討をいたして、大体まとまりかける方向にきております。そういうものを見合った上で、委員会において、そういう要望は要望として頭に入れて折衝をする、こういうことにいたしたいと思います。また、見通しでございますで、これはやっぱり個人的あるいはいろいろな見通しはありますけれども、交渉ごとでございますから、あまり見通しをここで申し上げるのはどうかと思いますので、交渉において最善を尽くす、こういうことに御了解を願っておきたいと思います。
  59. 安井吉典

    ○安井委員 そのほかいつも問題になりますのは、漁具や漁法などの規制措置が毎年こまかくなってくることです。禁漁区域は毎年拡大されていくという傾向にあります。特にマスの全面禁漁を提起するというようなこともまた考えられますし、真剣な取り組みが当然必要でありますが、現在以上の規制の拡大にはもうこれ以上は応ぜられないのではないか、かように考えるわけですが、いかがですか。  さらにもう一点、両国の共同調査の推進の問題ですが、やはり今後の交渉を円滑に続けていくためには、科学的な調査が両国によって、果たされることが大事な問題で、カムチャッカ西海岸の北部の未調査地域、さらに東海岸河川の遡行親魚の状況調査、これにぜひ日本の学識経験者が入るようにすることが必要でありますし、特にオホーツク海の科学調査の問題です。これはもう御承知のように、かつて大企業漁業の漁獲量交渉を有利にするために、オホーツクの中小漁業者を犠牲にしたんだというふうなそういう印象が漁民の間に強いわけです。事実はどうかわかりませんけれども、そういう印象が残っております。それだけにオホーツク海の禁漁を一日も早く禁漁から解放していくということが、これは非常に大切な問題だと思うのですが、この規制の問題と共同調査の問題、この点につきまして交渉にあたってのお考えを伺っておきたいと思います。
  60. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 規制の点では、御承知のようにずいぶん規制がきびしくなってきたことがいままでの推移でございます。いまのお話の点は、頭に入れておくということで御了承願っておきたいと思います。  科学的な共同調査でございますが、これにつきましても、もう数年来共同で科学調査をするということにきめておきながら、実現が十分ではございません。西カムチャッカのほうにはちょっと入っておりますが、東とか、いまのオホーツク海等につきましても、私は非常に残っておる問題があると思います。そういう面におきまして、共同科学調査、それはなお強く進めたい、こういうように考えております。
  61. 安井吉典

    ○安井委員 なお、出漁期の問題ですが、A区域四月三十日、B区域五月十五日というふうになっているわけでありますが、やはりその出漁期までに相当の余裕があるような形で帰期妥結が必要だと思います。年によりましては、もう百日交渉がどうにもならなくなって、出漁期が迫って困ったという過去の経験からも、そういうことが言えるわけでありますが、早期妥結の問題は交渉の進み方の問題にもからみますが、どうでしょう、とにかく早目に妥結をするという、そういう方向で御努力を願わなくてはならないと思うのですが、いかがですか。
  62. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 お話のように、前には出漁期がきまっておりませんので、実際に出漁しなければならないときまで、ぎりぎりまで持っていかれたという例もお話のとおりでございます。一昨年でしたか、出漁の時期がきまりました。できるだけ早期に妥結いたしませんと、準備等の都合もありますし、船団の編成等もいろいろありますから、できるだけ早期に妥結できるような、交渉がきまるように進めたい、こういうふうに腹づもりはいたしております。
  63. 安井吉典

    ○安井委員 もう一つ最後に、この交渉が長引き、非常に困難な状態に陥るような場合も予想されるわけでありますが、農林大臣はソビエトに行かれて直接交渉に当たるというお考えでございますか、その点ひとつ伺っておきたいと思います。
  64. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 従来たいていモスクワでの交渉では、その当時の大臣が行っております。今度私も直接当たるかどうか、これは交渉の推移を見守ってからのことにいたしまして、いまそれを行くとも行かないとも決定しておるという状態ではございません。交渉の委員会の推移その他をよく見守ってきめていきたい、こう考えております。
  65. 安井吉典

    ○安井委員 いろいろ問題がたくさんありますので、この問題はこのくらいにいたしまして、農林大臣おいででございますので、甘味資源対策の問題について若干お尋ねを申し上げたいと思います。  国内の甘味資源保護立法は、てん菜生産振興臨時措置法が三十八年の三月三十一日に効力を失って、それからあと政府が国会に提出いたしました甘味資源特別措置法も、衆議院は通過いたしましたが、参議院で審議未了、廃案となって、およそ約一カ年の法的空白を生じて現在に至っておるのであります。この国会にも甘味資源特別措置法案を政府は再提出されており、その法案審議に際して、深く入った論議をいたしたいと私は考えますが、この際特に二点だけ明らかにしていただきたいと思うのです。  その第一点は、国内産の甘味資源に対する保護措置が何らないままに砂糖の貿易自由化を昨年政府が行なったということです。甘味資源特別措置法案の提出にあたって、政府は、砂糖の自由化に先立ち十分な国内産甘味資源保護措置が必要であるので、その措置を講じようとするのがこの法律であると説明をし、当時の私の質問に対しても重政農林大臣が、この法案が通過するまでは自由化いたしませんということをしばしば言明されているわけです。それにもかかわらず、法案が流れたままの空白の状態で、昨年の十月砂糖の貿易自由化を行なったわけです。私は、これは重大な政府の約束違反でないかと思います。政府は、池田総理を初め口を開くと、開放経済のための心がまえを国民に説くわけです。しかしながら、このように国内政策が全くないままで自由化だけを急ぐというやり方では、政府の経済政策全体に対する国民の信頼を失うことになりはしないか、そういうふうに思うわけですが、これは農林大臣、さらにまた大蔵大臣からもお考えを伺っておきたいと思います。
  66. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 甘味資源法案は衆議院を通りましたが、結果において参議院において審議未了ということになりました。それが通るのを前提として自由化するというふうに御答弁を申し上げてあるかと思いますけれども、自由化の面は自由化の面といたしまして、開放経済下においてどういうふうにするか、それにはやはりタイミングと言いますか、そういう時期が必要であるという考慮をいたしておったのでございます。たまたま、国際的に見ましても非常に出産が不足しており、糖価は高くなっている、こういう状況でございますので、時期としては自由化する時期じゃないか、こういうことで踏み切ったわけでございます。同時に、いまお話がありましたように、甘味資源法、案は審議未了になっておる。しかし同時に、この趣旨と言いますか、甘味資源法案を出したときの趣旨、すなわち国内のてん菜糖、あるいは沖繩の黒糖、こういうものに対しての国内対策というものを、法案がまだできておらぬけれども、この法案の趣旨に沿うた対策をとる、そういう意味で、国内の出産意欲を阻害しないような対策をとるということならば、法案はまだ通っていないけれども、時期的に見てタイミングがいいのだから、ここで踏み切ろうじゃないか、そして前後になりますけれども、法案は次の国会に出して御審議願おうじゃないか、こういう当時の事情がございましたので、法案と前後いたしましたけれども自由化に踏み切った、こういうのが当時の事情でございます。
  67. 田中角榮

    田中国務大臣 砂糖の自由化につきましての経緯は、農林大臣申し上げたとおりでございます。御承知のとおり、政府は国内甘味資源の対策については熱意を持っておりますし、当時はちょうど国際糖価も非常に高く、国民の需要に対して糖業界の合理化の推進も必要とせられておったわけであります。しかも貿易の自由化に対しましては、政府は方針を明らかにいたしておりましたので、時がちょうど来ましたので自由化に踏み切ったわけでありますが、当時、法律案が通らなくとも、政府は、国内糖及び沖繩産糖に対する熱意はありますし、施策も引き続いて行なうわけでありますし、なお国会においては、この種の法律は早期に成立さしていただける、こういう種のものでありますので、それらを勘案しながら自由化に踏み切ったわけであります。その後国内産糖の措置に対しましては、予算上も財政上も措置をいたしておるわけであります。
  68. 安井吉典

    ○安井委員 当時農林大臣は重政さんだったわけでありますが、しかし大蔵大臣はずっと田中さんがお続けになっていた段階でありますから、もう一つ大蔵大臣にお伺いしたいのですけれども、私はこの十月自由化のタイミングの問題は、これはあるいはお考えのとおりだったかもしれないと思います。しかし、国会の審議の中ではっきり約束したことが途中でほごにされるというふうな、そういうふうな事態は私は困ると思うわけです。ですから、もしやむを得ないような事態があった場合には、何か政治的な配慮で野党側の了解を取りつけるとか、何か方法があったのじゃないでしょうか。これはこれからもあることだと思いますので、ひとつお考えを伺っておきたいと思います。
  69. 田中角榮

    田中国務大臣 国会における政府側の発言に対して慎重でなければならない。同時に発言したものに対して責任を負わなければならぬことは、これはもう言うをまたないわけであります。その意味において、いまの御発言によりますと、重政農林大臣が固々申し上げたことと、政府の対策が幾らか食い違っておるようでありますが、かかる状態を起こさないようにすべきであることはそのとおりであります。これからは国会において政府が明らかにした言明と違う措置をとる場合には、何らか了解の措置をとるべきであると、民主政治のたてまえから言っても、当然そうあるべきだと思います。しかし、国会に対しましても、こういう非常に重要な、機を失せずやらなければならない法律案等に対しましては、できるだけ早く御審議をいただいて、次の国会に通ればいいだろうというようなことではなく、国民待望の法律案に対しては御審議に御協力賜わりたいと思います。
  70. 安井吉典

    ○安井委員 もう一つの甘味資源対策についてのお尋ねの点は、いま法律空白のままで一番大事な問題点としてぶつかっておりますのは、砂糖原料のビートの生産者価格の決定の問題です。法律に基づく政府の指示価格の決定の道がないわけですから、生産農民も、原料買い入れ側の製糖業者のほうも施す手がなく立ち尽くしている状態です。一方、春の営農準備の時期が遠慮なく追ってきており、生産者価格が引き合わなければビートの作付をしないという空気すら農村の中にあるわけです。もちろん新法が成立すれば問題がないわけです。いま大蔵大臣も早く成立させればいいじゃないかと言われましたが、しかし貿易自由化前と自由化後との現在では、あの法案は衆議院では全会一致という形で通った経過はございますけれども、段階が違っておりますので、やはり論議が必要であるでしょうし、たとえ衆議院を通っても参議院段階は全く初めての審議ですから、やはり相当時間がかかる。そこで新法の成立まで原料ビートの価格の決定を待つという態度では、ことしの新しい作付に重大な支障を生ずるおそれがあるわけです。農林大臣はこの際、この事態に立ってどういうふうに処置されようとお考えでしょうか。
  71. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 第一番目に期待していることは、先ほどの自由化との関連の問題等についてお気にさわるような面もあろうと思いますが、衆議院は昨年通過いたしましたので、ぜひ参議院のほうに回していただいて、できるだけ早く法案が可決されることを期待しておるわけでございます。法案が可決すればすぐに告示をする、こういうことになっておりますから、第一番目には法案の可決がすみやかならんことを私どもは期待いたしております。しかし、いまお話しのように、非常に法案の審議がおくれて播種前に最低価格の告示が間に合わぬということになりかねない場合もあろうかと思います。そういう場合には、現在は四月にやっておりますが、なるだけ時期を早めて告示ができるようにいろいろな統計資料を収集しておりますから、できるだけ早く告示をいたしたい、こう考えております。
  72. 安井吉典

    ○安井委員 しかし、いまの御言明からすれば、法案が成立するまでは何にもできない、それまでは手をこまねいているよりほかない、そういうふうにとれるわけでありますが、もし法案の審議がおくれて、成立がおくれるというふうなことになりましたら、いまのような態度では作付とぶつかり合って、重大な危機を生ずるおそれもあると思うのですが、法案成立までは何もしないで手をこまねいておる、そういう趣旨でしょうか、いかがですか。
  73. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 というわけではございませんで、法案の審議を待って告示をいたしますから、法案の審議がすみやかであることを私は期待するというか、お願いいたすわけでございます。そして早く告示をしたい、こういう気持らでございますけれども、手をこまねいておるわけではございませんで、いろいろ統計その他の調査等は進めております。法案が早く成立して、すぐ告示できるというのが一番最上の私のほうとしては期待でございますが、の成立がおそいという場合には、従来もやっておりましたように、できるだけ早く、法案の成立とは別にいたしましても、告示をいたしたい、こういうふうに考えております。
  74. 安井吉典

    ○安井委員 原料ビートの価格の決定にあたっては、米麦同様生産費所得補償の算式で決定すべきだと私ども考えているわけでありますが、この点農林大臣のお考えを伺いたいと思います。
  75. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 この砂糖の関係の生産事情その他いろいろ検討いたしますと、米のように単純ではなくて、相当複雑をいたしておるようでございます。それで、これを生産費所得補償方式、米と同じような形で最低価格その他買い上げ価格を決定するということにつきましては、私は相当疑問と言いますか、なかなかむずかしい面が多いと思います。そういう一つの筋でやることも一つ考え方でございますけれども、やはり経済事情あるいは生産事情その他を勘案いたしまして決定いたしますことを——私はその方が、いまのやり方のほうが適当ではないか、一つ考え方としては私も考えてはいますけれども、生産費所得補償方式で進めていくということは、いま適当ではない、こういうふうに考えております。
  76. 安井吉典

    ○安井委員 いま生産費所得補償方式では考えていないという御答弁でございますが、私は、いまの農政の中における農畜産物の価格の支持方式が非常に不統一に行なわれておるという問題を常に考えているわけでありますが、たとえば農産物価格安定法、畜産物価格安定法あるいは大豆なたね交付金暫定措置法だとか、それから何よりも食糧管理法、こういったような農畜産物の価格の支持の法律はありますけれども、しかし米と麦だけは確かに生産費所得補償という形で、他の農産物に比べますと、比較にならないほどの手厚い保護を受けております。しかしながら、その他の農安法、畜安法においても、たとえばでん粉だとか、大豆だとか、なたねだとか、ビートであるとか、あるいは牛乳や肉豚でありますとか、そういうような価格は、きわめて生産費や一般農民の所得補償とはほど遠い姿で決定がなされております。しかも、それらは全部まちまちの決定の方式が行なわれて、いるという事態があります。   〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕 さらに最近は、九州でも蔬菜の大暴落で、九州をあげての重大な問題が起きておりますが、とにかく農業構造改善事業だとか、あるいはこれが成長作物だとか、選択的拡大とか、ことばのあやは非常によろしいわけでありますけれども、現実に農畜産物の価格の安定、支持という態勢がないものですから、せっかくの農業も意図的な経営改善をやっても、すぐにつぶれてしまう、こういう実体があるのではないかと思います。農業構造改善事業といっても、その裏に農畜産物の価格安定の対策がなかったら、それはもう玉の杯の底なきがごとしだと思うわけです。いまの農畜産物全体の価格安定のための対策については、全面的な検討の時期に来ておるのではないかと思うのですが、この点、農林大臣のお取り組みのお気持ちと言いますか、ひとつ伺わせていただいたらと思います。
  77. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 農産物等につきましては、ほとんどすべてにわたって価格支持の法律対策ができています。しかし、これが私は十分ではないと思います。あるいは農産物価格間においての価格の支持方式についてもいろいろまちまちな点が御指摘のようにあると思います。これは逐次支持制度を強化して、そういう弊を除いていきたいと思うのでございますが、しかしこれを、お話にはございませんでしたが、一括的に生産費所得補償方式に持っていくということは非常に困難なことは、生産事情というものが非常にまちまちでございます。工業生産物みたいにすぐにコスト計算が出てくる、工業主産物でもいろいろな会社等によっては違うと思いますが、それどころでなくて、農家のいまの経営形態から、あるいはまた生産事情から非常に複雑しておりますので、これを生産費所得補償方式ということにしていくということには私はいま不適当だ、こういうふうに考えておるわけであります。  なお、御指摘がありました構造改善事業等におきましても、これが進まない理由等につきましては、るる申し上げればたくさんありますが、いまの価格の問題等も、これを推進するについて価格の問題が安定しておるということは重要な要素だと思います。こういう点につきましてはさらに一そう検討して、合理的と言いますか、妥当的と言いますか、そういう方向へ進めていきたいと、こう考えております。
  78. 安井吉典

    ○安井委員 価格政策の問題はきわめて重要で、私どもは、政府が管理できるような、そういうふうな農作物や畜産物については、やはり生産費所得補償方式を貫いていく。あるいはまた会社側との話し合いできまるというふうな問題には、むしろ農民側に団体交渉権を与えていく、そういうような考え方もあり得るのではないかと思います。イタリアのビートの作付についてもそういうような方式がとられているようにも聞くわけでありますが、乳価の問題も二円値下げの問題が非常に大きな政治課題になって、農林省の段階までそれがあがってきているような事態もあるわけでありますが、今後の農畜産物の価格決定の方式に、農民の製造工場側との折衝を有利にするという意味をも含めて、農民側に、農民の団体に団体交渉権を与えていく、こういうふうな方式をもっと強化してはどうかというふうな考え方がありますが、その点いかがですか。
  79. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 団体交渉権ということばで表現されるかどうかは別といたしまして、農業団体として交渉の相手方になるという考え方は、私どもも入れていきたいと思います。これは団体交渉権ということでなくて、独禁法の排除と言いますか、独禁法の例外的なものというようなことで、事実上の団体交渉をするというか、労働法上の団体交渉権ではありませんけれども、そういう傾向にいくことは、私は適当と言いますか、そういうふうに考えています。そうでないと、なかなか交渉の結果がいい方向へいかないという面もあろうかと思いますので、団体交渉権という労働法上の問題ではございませんが、団体交渉的な主体と言いますか、になるということは、私は独禁法の例外として、そういうことはいいというふうに考えています。
  80. 安井吉典

    ○安井委員 独禁法の排除による団体交渉方式と言いますか、そういうような一つの御提案もなされたわけでありますが、ほかにきょうはたくさん問題がありますので、一つの試案として承っておきまして、とにかく価格の問題についてはもう少し深く入った御検討をぜひお願いをいたしたい、そういうところでこの点を打ち切っておきたいと思います。  ところで、このビートにつきましては、生産農民は反収二千四百九十六キロで、反当生産費が二万百六十五円と計算をし、トン当たり八千七十九円を生産農民側は要望いたしております。農林省の側ではこの点、もうすでに数字はいっているはずですが、どういうふうに見ておられるのか。政府自身も、もう法律が通り次第告示をしなければいけないということですから、当然いろいろと原料価格について検討中だと思うわけでありますが、その点はどうなっておりましょうか。それをひとつ伺わせていただきたいと思います。  それからなお、たとえ告示が行なわれなくとも、やはり進んで製糖業者と農民との間に分けて入って、行政指導で一日も厚く価格を決定するというかまえがなくてはならないと思うわけです。聞くところによると、現地の農民では、これまでの政府のビート政策では工場だけはどんどん建っていくが、原料の土産政策というものが非常におくれている。特にビートは多量の労力が必要なわけです。しかし、それに反して生産者価格が安いということで、増産意欲が衰えている段階であり、三十九年度の政府の予算の中では、増産対策の予算はこれまでよりも増加をしております。しかし、いまのような状態ではそれが全部むだになってしまうのではないかとさえ言われております。いまの段階で増産意欲を刺激し得る最大の要素はやはり価格であるわけです。これはぜひ二月中に決定させなければたいへんなことになるというふうに私ども考えているわけでありますが、いまのビート価格についての政府の心づもり、早期決定、この二点について最後にひとつ伺っておきたいと思います。
  81. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 決定は二月ということをはっきりは申し上げられませんが、できるだけ早く決定をいたしたいと思います。価格の決定方法でございますが、最低生産者価格を告示するわけでありますが、これが直ちに取引価格となったり、あるいは農家収入となるという性格のものではないことは、すでに御承知だと存じます。そういう意味で、少なくとも生産費及び所得補償方式による必要はないのではないか。また、甘味資源作物の再生産確保を旨として、パリティ価格を基準として他の競合作物の収益とのバランス、物価その他の経済事情を参酌して、適正な水準にきめていくことが適当である、こう考えている次第でございます。  なお、農家の収入となる取引価格、最低価格でない取引価格につきましては、法十八条により必要な指示をすることができる、こういうことになっておりますので、指示をする際には生産費その他の生産事情、競合作物の取引価格とのバランス等、こういうものも考慮しなければならないのでありますが、砂糖は国際商品でもあり、製糖企業の樹立とか、消費者保護、糖価事情等、また財政上の見地等総合的に考慮いたしまして原料価格を決定しなければならないので、そういう事情等も勘案しなければならないと思いますが、生産費、あるいはそういう面は非常に強く要素に入れて取引価格が決定されることが望ましいし、また指示する場合等におきましても、そういう指示をいたしたい、こう考えております。
  82. 安井吉典

    ○安井委員 端的にひとつ農林大臣、法律がたとえできなくても、それまでの段階において、もう少し積極的な行政指導をなさるというお気持ちはおありですか。その点ひとつ伺いたい。
  83. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 北海道には審議会等もありまして、作業を続けております。同時に、私どものほうといたしましても、法律の制定前におきましても、行政指導は積極的にやりたいと思います。また、つけ加えて申し上げますならば、法律が早く成立することをお願いしたいと思います。
  84. 安井吉典

    ○安井委員 では、私のほうは農林大臣けっこうです。  次に、地方財政の問題につきまして伺ってまいりたいと思うのですが、私ども、今日の地方財政の問題点をいろいろな角度から検討していくべきだと思うのです。きょうは早川自治大臣大蔵大臣もおいででございますので、まず、最近の地方財政実態をどういうふうに自治大臣は理解されておられましょうか。これは、いずれ地方財政計画という形で御説明をいただけるのだと思うのです。地方財政計画は、国の予算審議のためにも一つの裏づけとして重要な資料でありますが、予算委員会のほうの審査はこうやってどんどん進んでおりますけれども、いまだに御提出がないわけです。最近の実態についての御理解の内容と地方財政計画の御提出の時期、それからひとつ伺いたいと思います。
  85. 早川崇

    ○早川国務大臣 全般的には、地方財政はここ七、八年来非常によくなっておりまして、八年前私が政務次官のころは、公債費の元利償還に追われておりました。現在では、そういう点から見ますと、三兆円をこえる三十九年度地方財政計画が見込まれるほどの状態になりました。そうして特徴的なことは、投資的な経費あるいは単独事業というような面に大幅な財政計画を組み得る殿附に参ったということを、御了承願いたいと思います。それからもう一つの特色は、再建が進みまして、赤字団体が昭和三十八年四月現在におきましては二百数十カ町村だと思いますが、一時に比べまして非常に少なくなってまいった決算報告も出ておるわけであります。  なお、三十九年度の地方財政計画は、来週中には最終的な検討を終えまして、御提出いたして御参考に供することができると思っております。
  86. 安井吉典

    ○安井委員 だいぶ楽観的な自治大臣の御説明でありますけれども、私は、地方財政の現在の方向は、決して楽観を許すものではないというふうに見ております。特に、国の公共事業のしわ寄せが、相当強く出ているようです。たとえば北海道の開発予算の数字を拾ってみましても、開発事業費は、前年度に比べて一九・七%ぐらいの増加です。ところが、これに対して地元負担のほうは、道の負担が二六・四%、市町村負担が二六%もふえているわけです。国全体の予算の伸びをさらに大幅に上回る地方負担の増加があるわけです。北海道の場合は、補助率も府県よりは幾らか高いし、直轄事業の地元負担のないのもありますし、だから一般の府県の場合においては、公共事業の負担というものが非常に大きな数字にのぼっておるというふうな気がいたします。さらにまた、最近の新産都市の建設事業、あるいはまた農村では農業構造改善事業、そういったような問題も、そういう国の政策そのものが地方財政に相当大きな負担をかぶせてきている実態があるのではないか、そういうふうに見るわけであります。いまの所得倍増計画で大都市中心の政策が進んだということでしょうか、大都市の人口の激しい増加、そういうものによって、大都市の場合には、清掃事業だとか都市計画に関係のあるいろいろな事業、そういうようなものに全く追われてしまっているし、一方、人が出ていくほうの農村は、これで見放されてはたいへんだということで、行政水準向上のためのいろいろな仕事が進められていかなければいけない。新農政、革新農政といったようなスローガンもそういうところから出てきて、それに見合うような財政措置も、当然市町村に必要になってくるわけです。これらの高度経済成長政策というような問題で、公共事業への膨大な投資、新しい政府の計画、そういうようなもので地方自治体のほうもきりきり舞いをさせられておる。そういう事態があって、そのために、地方の単独事業といったような問題について、政府の起債のワクも思ったほど自治体に渡してくれない、財政の余裕の分もほとんどそういうところにとられてしまう、こういう実態があるように思います。自治大臣の御見解はいささか甘過ぎるような気がするわけですが、その点いかがです。
  87. 早川崇

    ○早川国務大臣 安井委員の御意見、半分は私は真理だと思います。地方自治体は常に不満であります。豊富の中の欠乏ということも言えるのじゃないか。すなわち、経済発展に伴いましてやらなければならぬ事業が山ほど出てくる。常に飢餓状態でありまして、そういう意味におきましては、全般的に見まして、単に農村のみならず、東京都、大阪市というような大都市すら、私は、財政的に豊かではないと言えると思うのであります。先ほど私が申しましたのは、そういう相対的な価値判断におきましては全く安井委員と同じでありますが、絶対的に見ますと、八年前、六、七年前に比べまして、地方財政の体質自体は非常に豊かになってきた、こう申しておるわけでありまして、事業がどんどん国家予算で国道でも何でも発達してまいるわけであります。それに伴って四分の一の大幅な地元負担をしなければならない。その財源、こういう面におきましては、御説のような状況だと私は思っております。
  88. 安井吉典

    ○安井委員 地方財政の問題では、補助金の問題が非常に重大なわけです。特に大蔵省は、補助金等合理化審議会をおつくりになって、昨年暮れにこの答申を得られているわけでありますが、この答申に基づいて、補助金の改廃だとか新設だとか、どういうふうな御措置をなさったか、大蔵大臣のほうからひとつ伺いたいと思います。
  89. 田中角榮

    田中国務大臣 御承知のとおり、補助金等合理化審議会の答申があったわけでありまして、政府もこの答申を尊重してまいる考えでございます。しかし、何ぶんにも三十九年度予算編成中には、これらの問題を全部取り入れるというようなことは時間的にもむずかしい状態でありましたので、さしあたり三十九年度予算案におきましては、整理合理化というような面から廃止したもの六十二件、六十七億円であります。この例は、麦作転換合理化施設費の四億円等を含めましてでございます。それから統合をいたしたものは、百三十七件を五十四件に統合いたしました。これは、御承知の保健所に交付される各種補助金を統合した等の例でございます。しかし、これらの答申に基づいての問題については、前向きで対処してまいりたい、こう考えます。
  90. 安井吉典

    ○安井委員 廃止されました六十二件、六十七億円について、余った額はどういうふうに……。六十七億円は、じゃどういうふうにされたわけですか。切りっぱなしですか、それともそれを別な形で地方自治体にやったわけですか。
  91. 田中角榮

    田中国務大臣 こまかい問題でありますから、政府委員から答弁させます。
  92. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 御説明申し上げます。  もちろん、補助金を廃止いたしまして浮いた財源は、他の全体の財源の中に溶け込んでしまうわけでありますが、御承知のように、補助金、負担金等は、一方においてどうしてもふえなければならないものがございます。それで、総体の額としては、やはり全額そのものとしてはふえております。したがいまして、その財源は他の補助金その他に回っておることになっております。(発言する者あり)ちょっと失礼しましたが、具体的な項目の御質問ですか。
  93. 安井吉典

    ○安井委員 いまの六十七億は、それは地方へ行っていないで、なくなったきりかということです。
  94. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 そういうことではございません。そういう意味では、私が申し上げたとおりでございます。
  95. 安井吉典

    ○安井委員 私は、いまの補助金制度について非常に多くの問題を発見している一人であって、これはもう、ひとつゆっくり時間をかけて後日取り上げてみたいと思います。単価の問題も、それから——単価だって、いまの国が定めている単価は実にでたらめで、農林省のやっと厚生省のやっと単価が違ったり、あるいはまたその内容は地方財政法に違反をして——地方財政法の中では、その一つの事業について完全な形で単価をきめなければいけないと書いてありますけれども、そうではないので、きわめて不十分な計上なものですから、それが地方団体の超過負担になっている。あるいはまた補助率の問題でも、同じような問題について、こちらの省とこちらの省で率が違ってみたり、あるいはまたごく零細な補助金がそのまま残っていたり、こういうふうなずいぶんたくさんの問題があります。特に補助単価の問題は、これはほんとうに真剣に国会が取り上げて審議をしなければならない問題だと思うのですが、きょうはそれだけの時間がありませんので、深く入りませんが、私は特にいま切ったやつは切りっぱなしかとお聞きしたのは、その分だけ地方財政が穴があいていくのではないかというふうな感じがしたから、そういうことを申し上げたわけです。私は、交付税の中にそれを押し込むとか、あるいはまた補助金の全体のプールをつくってそれで交付するとか、そういうふうな形をとることも一案ではないかと思うのですが、あと一つ大事な問題をお聞きしたいことがありますので、この問題はそれくらいにいたしまして、ただ、大蔵大臣に特に伺いたいことは、補助金の問題は、国と地方の財政関連の一部分でありますが、それ以前に処理しなければならない問題は、国と地方との行政事務の再配分ではないかと思うわけです。財政だけの一部を切ったりあるいはふやしたり、それだけで問題が解決できるのではなしに、今日のように国と都道府県と市町村との間の行政の事務が、当然国がやるようなものが市町村に預けっぱなしで、その委託費を十分出してなかったり、地方にやらせて当然なものを国がやっていたり、そういうような行政事務の交通整理が、私は先じゃないかと思うのです。それが終わってから税の問題を、国税と地方税との間の分配がえをやっていく、あるいはまたいまの補助金なども、そういうような際に処理をしていく、こういうことでなくてはいけないと私は思うわけです。それをただ小手先だけで補助金の問題をいじくり回したらそれで問題が解決するという考え方では、私は間違いだと思うのです。いかがでしょう、行政事務の再配分の問題は重大な課題でありますが、自治大臣も、それから財政を扱う大蔵大臣も、ひとつ大きな関心を持って積極的にお取り組みをいただくという御意思はありませんか。
  96. 田中角榮

    田中国務大臣 御説のとおり、国及び地方の行政配分の問題に対しては、検討を必要といたします。地方自治団体と地方制度が戦後つくられてからもう十七年ぐらいになるわけでありますが、戦後の急激につくられた制度との関連において、行政事務の配分その他に対して検討すべきものはたくさんあります。事実ございますので、政府も、その見地に立って臨時行政調査会及び補助金等合理化審議会の答申を待っておるわけであります。何ぶんにも非常に大きな問題であり、複雑多岐にわたる問題でありますので、御説のとおり、できれば法制上の整備も行ないながら、総体的な検討を終わってから合理的に行なうことがもちろん好ましいと思いますけれども、先ほど申し上げたように、非常に大きなものでありますので、答申尊重のたてまえから、できるものから徐々に実現していくという考え方をとっておるわけであります。国と地方との再配分の問題、地方公共団体間の財源調整の問題、その他多岐にわたった問題がありますので、これらの審議会等の答申を尊重しつつ事態に対処し、漸進的な方向をとりたいと考えております。
  97. 早川崇

    ○早川国務大臣 この問題は、私は非常に重要な問題だと思っておりまして、日本の国の成り立ちが、英米と違うわけです。日本は、補助金が二五%を占めている、イギリスは四%、フランスは五%、アメリカは八%、この数字からながめられますように、中央集権国家として急速に先進国に追いつこうと明治以来やってきました。したがって、中央政府の権力というものがずっと日本発展の——特に官僚を中心にいたしまして……。その結果、自治体というものがむしろ従になる、こういう姿がやはりずっと続いてきておる。英米は逆であります。そういう関係で、今回の補助金等合理化審議会がそういった補助金を思い切り統合して、その財源を事務配分をやって自治体自体の財源に持っていくという基本線は、私は画期的なものだと思います。さらに、地方制度調査会ではこの自治体との事務配分の答申も出ておりますが、何ぶん両方とも一般論、合理化審議会考え方も一般論で、さらに具体的に御審議願いたいという答申であります。したがって、その具体案が出ましたが、方向としては、私は、民主国家として大きい、前向きの方向を示しておると思って高く評価しておる次第であります。
  98. 安井吉典

    ○安井委員 そのどちらの審議会も、両大臣とも高く評価をされるわけでありますが、これが日本の今日の行政事務なり財政方向なりを大きく方向づける問題であるとすれば、この地方制度調査会の審議と、補助金等合理化審議会——これはなくなって、今度何か形を変えて発足されるようでありますが、それとは一緒に審議をされて、国全体としての−どうも地方制度調査会のほうは、何か自治省諮問機関のように見える。内閣総理大臣諮問機関ですよ、表面は。しかし、どうもそう見えて、補助金等合理化審議会のほうは、予算を何でも切ってしまいたいほうのなたを持っている大蔵省の審議機関のように見える。こっちのほうは地方で、どうも対立的な印象も受けるわけです。しかし、行政事務の再配分というものは、国がまずその気にならなければいけない。それから地方もその気にならなければいけない。その両方の合体なわけですから、この二つの審議会は、私は一緒にして、ほんとうに真剣にやるのなら、行政事務の再配分、そのための税源をどうするか、これは税制調査会も入ってもらわなければいけないと思います。補助金の問題は、総合的な面から検討すべきだと思う。両大臣の御意見をひとつ……。
  99. 田中角榮

    田中国務大臣 考え方としては、あなたの言われるとおり、行財政全般に対する大きな審議会があって、その中の一つが地方制度調査会であり、その一つ補助金等合理化審議会であり、その一つが臨時行政調査会であり、税制調査会であるということが非常に好ましいのでありますが、なかなかむずかしい問題でして、あまり大きくふろしきを広げますと、制度の上では非常にりっぱでありますけれども、時期的にも何年かかかるということでありますし、いままでの答申でも、こういう問題に対しては個別に審議会をつくって、一つずつでも前進できる体制をとるべきだということを答申しておるわけであります。しかしまた、観念的に制度全体を考えますと、あなたの言われたように、相互関連を持った合理的な審議会、調査会のようなものがあることが好ましいと思いますけれども、現実の問題としては、いまある審議会、調査会等の相互関連を政府みずからもとりながらこれらの問題の解決に当たっていきたいと、こう考えております。
  100. 早川崇

    ○早川国務大臣 大蔵大臣と同じように、これは審議会を新たにつくるかという問題は別問題といたしまして、政府として、せっかくこういう答申が出ておりますし、地方制度調査会もやっておりますので、それを政治にどうこなしていくかということは、必ずしも審議会の設置を待たずして、政府みずからが内閣でやればいいと思いますので、十分検討して、この方向を前進さしたいと思っております。
  101. 安井吉典

    ○安井委員 最近の事態では、審議会を審議する審議会が必要なぐらい、もうたくさんできているわけですよ、各省まちまちに。しかも、各省が自分の施策をオーソライズした形で国会に出してくる。この審議会の答申なんですよという形で出してくる。そのための審議会ですよ。そういうようなものの形では、全体的な、根本的な問題の解決はできない、そういう立場で先ほど来申し上げているわけですが、またさらにその論議はほかの機会にすることにいたしまして、文部政務次官大臣代理でおいでいただいておりますので、同じくこの地方財政の問題にからんで、国立工業高等専門学校の設置に伴って、地元負担文部省が非常に大きく押しつけている、こういう事態が、常に地方の側から問題として出されるわけです。ことしの予算編成の中に、高専にどのくらいの予算をかけて、何校をお建てになるのか。さらにまた、従来からのこの問題についての経緯等も、お話し願えればと思います。
  102. 八木徹雄

    八木政府委員 国立高専につきまして地元負担を強要しているというお話でございますが、御存じのとおり、地財法十二条、また地財再建特別措置法二十四条によりましても、強要できる筋合いではございませんので、そういうことはいたしてないつもりであります。ただ、高専法の施行以来、地元の要請が非常に多うございまして、いままで三十七年度に十二校、三十八年度十二校、本年度またさらに十二校というふうに、この種のものとしては異例の、何と言いますか、普及率といいますかがあるわけでございます。そこで、主として安井委員の御心配される点は、用地の問題でなかろうかと思うのでございますが、大体校舎設備、運営費については、地元に負担をかけるということは一切いたしていません。ただ、用地については、できるだけ国有地を活用するという方針もやっておりますし、あるいはまた、県有地、私有地を借り上げるというようなこともいたしておりますし、また、ところによっては期成同盟会等から借り上げるといったようなこともいたしておるのでございますが、その点をおそらくおさしになるのだと思うのでございますけれども、何しろ地元の熱意が非常に旺盛で、それらのことはひとつ貸してやってもいいから早くやってくれというような、そういうような場合が非常に多いわけでございます。実際、現実の問題として一校三万坪程度の用地を必要とするわけでございますので、なかなかこの費用というものも多額になりますので、普及率というものを考えた場合には、それらのものは強制的にこの用地を出さすということはいたしていませんが、そのような自発的なものについてはこれを受け入れるといったようなことだけをいたしておりますので、御了承をいただきたいと思うのでございます。
  103. 安井吉典

    ○安井委員 国立学校の敷地の予算は、いままで組んだことがないのですか。大蔵大臣、どうです。
  104. 田中角榮

    田中国務大臣 御承知のとおり、高専校は三十七年、八年、九年で十二校ずつということでありますが、三十九年度の用地取得に対しましては、国有地を使うとか、それから国有地と地方公共団体用地との交換を行なって適地を確保するとか、また民間の自発的寄付、こういうことでありますが、学校の設立に対して用地というのは、長いこと予算に計上してないようであります。
  105. 安井吉典

    ○安井委員 学校の敷地がなくて、一体どこへ建てるのですか。それじゃ、いままでずっと昔からの学校校舎の敷地に関する資料を出していただかなければいけないですね。  その前に、自治大臣、どうでしょう。いままで国立高専の地方負担の問題について、自治省自体が大蔵省文部省等に申し入れをしているはずです。いままで幾度もしているはずです。自治省は、それは正しくないとお考えなんじゃないですか、どうでしょう。
  106. 早川崇

    ○早川国務大臣 常に要請をいたしておる以上、それは正しいと思って要請いたしておる次第であります。
  107. 安井吉典

    ○安井委員 どうも、きょうは文部大臣がおられないので何ですけれども……。
  108. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 しっかり答えられますから、大丈夫です。
  109. 安井吉典

    ○安井委員 いま自治大臣の御答弁がありましたね。これはよくないことだという御答弁です。文部省のほうは、道徳教育で最近は特に教科書までおつくりになるというふうな御熱意の入れ方でありますが、自治大臣のほうは、これは地方財政法違反の疑いがあるし、地方財政再建促進特別措置法の二十四条二項ですか、これにも違反の疑いがあるわけですよ。法律違反の疑いがあるものを、好ましくないと言われているものを、いけないと言っているものを、文部省の道徳教育をそこでやるとかなんとかとは別として、学校の敷地の中に、そういういいかげんなものの上に——いいかげんというより、土地がないのですから……。国が土地を買ってないわけですよ。そういうような上で学校教育をするというふうな、そういう仕組みは、一体どうなんです。私は、ここに大きな問題があると思うのです。いつもどうされているのですか。初めから教育の基礎がぐらついていますよ。いつもそのとおり……(「地元が熱心で出すのだ」と呼ぶ者あり)地元が熱心だというような御意見があります。まあそのとおりでしょう。これは大蔵大臣も害われるし、文部政務次官も言われますけれども、地元が熱心ならば、何でもきめるのですか。地元が熱心ならば、地方財政法違反でもいいのですか。再建措置法違反でもいいのですか。幾ら地元が熱心でも、こういう国の負担を地方にかけることはいけないと、はっきり二つの法律の中に覆いてあるわけですよ。熱心なら、そういうような法律の違反をしてもいいのですか、どうでしょう。
  110. 八木徹雄

    八木政府委員 先ほど申し上げましたように、地財法違反をやろうという気持ちは毛頭ないのでございます。その意味で、できるだけ国有地を活用するというような方法をとっておるのでございますけれども、もちろんそれだけでは間に合いませんから、借り上げをやっておるという実態であるのでございます。借り上げも、それはやはり地元の負担を強要しておるのじゃないか、地方財政法の違反じゃないか、こういうふうに計われると思うのでございますが、私のほうは、ともかく強制をして土地を確保しなければつくってやらぬぞという言い方で土地の負担をさせておるというようなやり方ではないのであります。まあ結果的には、予算措置をしてないというところにひっかかるところがあるのだと思いますけれども、できるだけ国有地を活用する、また私有地等をひとつ借り上げるといったような形で、負担にならないように配慮しながら、要請にこたえるように努力をいたしておる、こういうことでございます。
  111. 安井吉典

    ○安井委員 だから、地元が希望するとか希望しないとかということじゃないのですよ。最初から予算がないのだから。そうでしょう、大蔵大臣。最初から予算を置かないで、そうすれば、やはりだれだって希望しますよ。希望してこい、そうしたらきめてやるといわんばかりです、最初から。しかも、これは地方公共団体が直接出してないという、そういうカムフラージュをとっておる場合がずいぶんあります。私の知っている幾つかの例をいろいろ調べてみましても、きまってから期成会をつくるんですよ。期成会に地方公共団体が金を出して、その市が金を出して、その金で敷地を買ってやるとか、そういうような例がずいぶんあるわけです。そういうようなことで、これは地方財政法違反じゃありません、そういうぬけぬけとした言い方をされようとお考えじゃないかと思うのです。  自治大臣に伺いますが、これは直接地方公共団体の財政から出ようと出まいと、これはやはり問題があると思うのです。これだけ地方財政法の規定の中に、明らかにこれは市町村負担してはならないと書いて、あるわけですよ。そういうようなものの負担をさせるということに問題があるわけです。たとえばここにありますね、第二条にも「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」とはっきり書いてあります。あるいは第十二条の規定にも、地方公共団体が処理する権限を有しない事務に要する経費は、その地方公共団体に対し、その経費を負担させるような措置をしてはならないとはっきり書いてあって、第六号には「国の教育施設及び研究施設に要する経費」、こういうふうにあるわけです。高専については、それだけではないのですよ。敷地だけではないわけです。文部政務次官は、ほかの運営費についてば負担させてないと言っているが、しかし、寄宿舎を建てたりあるいは住宅を建てる等も、その市町村負担をかぶせております。これは私は、いま文部政務次官ばかりを言っているのじゃなしに、農林省も厚生省も各省みんなやっているんですよ。こういう形で。それが地方財政の上に大きな負担になっている。地方財政計画に乗せようがないじゃないか。こういうのは、これはもういかに自治大臣が財源を見てやろうと言ったって、地方財政計画の上に乗ってくる数字ではないわけですよ。だから、それだけにやみ経費が市町村財政を圧迫している、こういうことです。だから、これは三十七年の九月二日の自治省の各省への通知の中にも特に一項を加えて、工業専門学校など国の施設を新設するには、敷地の取得に必要な経費も含めて一切地方公共団体に負担をかけないよう経典の全額を国の予算に計上する、こういうことをはっきり自治省自体も要求されているようです。どうも政府部内において一方が誤りだということを強行するというようなことは、許すことはできないわけです。どうもこういう違法な内容を持っている予算をわれわれ審議しなくてもいいと思うのですが、どうですか、これは。
  112. 田中角榮

    田中国務大臣 予算審議に関係してきましたから、私からお答えします。  この前の国立高等専門学校だけにつきまして、用地の問題は、この前の国会で荒木当時の文部大臣が事情を十分にお答えになられたわけであります。きょうも御出席のようでございますが。これは御承知のとおり、昭和三十七年度から新しく始めまして、初めは五校とか十校とかということでありましたが、日本の経済成長が非常に激しいし、また開放経済に向かって工業高専の設立が必要であるということは、政府も一部検討いたしておりましたが、これはほうはいとして全国的に起こってきたわけであります。そうして、たくさんの御要望がある中で、三十七年に十二校、三十八年度に十二校、さらに三十九年度には六校の新設と久留米工業短期大学の転換と既定の五校を含めて十二校、こういうことになったのでありまして、こちらが考えておりますときには、もういろいろな地方から、こういう土地があります、国有地をこうしてください、こういうことを申し出ておったわけであります。私たちも、地方公共団体に対しましては、御承知のとおり、国有財産の払い下げ、貸与、無償譲与というような方法で、国有財産はたくさん地方公共団体の用にも供しておるわけであります。しかし、地方財政法の規定もありますので、いやしくも法律違反等を行なうことはよろしくないということと、このような画期的な制度を樹立するときに、いまの御発言のようなことがあってはならないというので、特に慎重に配慮したわけでありますが、地元の熱意に国もこたえまして、まあ予算に土地購入費を計上する必要はなかったわけでありまして、法律違反とか、またこれを拡大してあらゆるものに対してこういう制度をやっていこうというような考えは、毛頭ありません。これは国と自発的な地元の意思との結論だというふうに御了解賜わりたいと思います。
  113. 安井吉典

    ○安井委員 初めから予算の計上をしなくて、自発的な申し出があったからと言われますけれども、これは大体一億円出して——小さな市町村でも大体地元負担一億円ですよ。ある市なんかは、総予算が四億円か五億円くらい、それをやはり一億円近くの支出をしています。だから、これは力のあるところだけできて、いまのお話からすれば、財政力の、力のないところには高専も何もできない。こういうことになるわけです。これはむしろそういう力の弱いところに国が校地を出してやる、そこに建ててやる、それくらいの心がまえが国の態度じゃないですか。それが親心だと思うのです。力のあるところだけ建ててやる、こういう政治では、いつまでたったってこれはよくならないと思うんですね。ですから、いまの大蔵大臣の御答弁では、来年も再来年も用地の予算をお組みになるおつもりがないように聞こえるわけです。そうだとすれば、これは委員長、これまでの国立高専の地元負担についての資料をひとつぜひ提出させてください。各市町村ごとのそれをひとつお願いいたしておきます。
  114. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 承知いたしました。
  115. 安井吉典

    ○安井委員 それではだいぶたくさん問題を残しているわけですが、時間がありませんので、最後に一つ、固定資産税の評価がえの問題をひとつ自治大臣に伺って終わりたいと思います。  この評価がえの問題は、一月一日付で全国の市町村を督励していま自治省は実施中で、この間お聞きしても、二月一ぱいに終わられるようです。ところが、三年目ごとの更新時期にちょうど来ているわけですから、ことしの更新は当然かもしれませんが、しかしながら、ことしやられる更新は、固定資産評価制度調査会の答申を得た非常にドラスチックなやり方なわけであります。  土地、家屋、償却資産ともに売買価格にそろえるというような考え方で。しかし、全国平均で、私どもが伺ったところでも、農地についてはまあ大体据え附きぐらいのところから三倍ぐらいのところまで、宅地については三倍増しぐらいから、多いところになると十一倍ぐらい、基準地についても十一倍ぐらいの中があるようです。それから山林等については約四倍ぐらい、しかし、家屋と償却資産だけは大体いまと変わりがない、こういうふうな評価になるというお話でありますが、こういうふうにいまよりも大幅に税金が上がるのではたいへんだということで、全国の農業協同組合も、農業委員会も、全面的に反対の決議をいたしました。各労働組合等も、それによって家賃が上がるのではないかという反対の運動が起きてきた。最近には、資本家の団体も、固定資産が、特に宅地が非常に上がるということに問題を感じて、これも反対の意見書を私どものところに出してきております。特に、全国の各市町村や都道府県の自治体が、自治法第九十九条によるところの意見書という形をもって反対の決議をしてきているわけです。そういうふうな背景で、自治省は税制調査会等のいろいろな審議の過程を経てから、この間この委員会でもお話しになっておりましたように、一月一日付の評価がえはする、しかし税率はいままでどおりでいく、農地については現在よりも税金を上げない、農地以外の宅地その他の土地は現在の二割増しくらいにとどめる、家屋、償却資産は、新評価でも旧評価でも横ばいでいく、こういう三年間の経過的な措置を発表されているわけです。私どもの日から見れば、こういうふうな大きな問題をはらんでいる。三年間の経過的な措置の間は旧評価と同じような姿でいくんですから、そうだとすれば、いま新評価を行なう必要はないのじゃないですか。お使いにならないのなら、三年後におやりになればいいのじゃないですか。評価がえそのものを延期して、その間にひとつ頭を冷やして、この問題をもっと考え直すべきではないか、そういうふうに思うわけです。いかがですか。
  116. 早川崇

    ○早川国務大臣 法律によって、三十九年度評価がえしなければならないということになっております。法律改正をすれば別でありますが、その法律が存する以上、評価がえをやらなければならないわけであります。
  117. 安井吉典

    ○安井委員 私は、法律の改正をしても評価がえは延ばすべきだという右眼をしているわけです。といいますのは、宅地にしても、全国の基準地調査でも、たとえば関東のある県庁所在地の市は、評価が十一倍に上がるわけです。ですから、いま二万五千円くらいのものも、百坪のところに家が建っておるとすれば二百五十万円、これが今度の評価では二十九万円くらいになるようですから二千九百万円、二群五十万円から二千九百万円になるわけです。ところが、一方三倍ぐらいのところもあります。全国平均は六倍半ぐらいでしょう。そういうような形において、いままでの御方針のとおり、固定資産税の総額はそのままにして、税金は激変がしないように措置するといったって、一体どうなさるおつもりですか。いまはその評価をお使いにならないけれども、三年後はこの評価になるわけですよ。それまでに税制調査会等の審議を得て、新しい課税標準なり税率をきめようというふうなお考えだと私は伺っておるわけでありますが、そういうふうなアンバランスな上がり方で、税率やあるいはまた課税標準の問題等をどう処理されるわけですか。
  118. 早川崇

    ○早川国務大臣 土地については、特に宅地ですが、都市周辺におきましては、現在の評価と非常な相違の価値変動が行なわれましたので、評価はあのとおり大体妥当な線で評価されると思います。それは、いろいろ議論すれば意見もございますが。そこでわれわれは、税率を引き下げるという根本的な税制改革によってこれを処理するか、いろいろ検討いたしましたところ、現在の物価の問題、農家の状態を考えまして、三年間はあまり大きい固定資産税の変動を与えないという政治的大所高所からの判断で、農地については据え置き、それ以外は、上がるものでも頭打ち二割増、固定資産税全体としては大幅な増徴にならない。若干自然増その他見込まれますけれども、大幅には上がらない。新しい固定資産も出てまいっておりますから、二千三、四百億になりますか。そういう税だけではなくて、財政的な配慮、またそれ以外の経済政策上の配慮によりまして、経過的に三年間あのような処置をとるということにきめたわけであります。
  119. 安井吉典

    ○安井委員 だから、自治大臣は問題点をお知りになっていないように思うのです。三年間の経過措置はいいですよ。それは問題はありますけれども、まあいいとしましょう。しかし、三年後はどうなさるおつもりなんですか。たとえば東京のどまん中のいま坪当たり、五十万円ぐらいの評価は、三年後は三百五十万円になるのですよ。だから、そのときどうするのかという、その考え方がなしにいま評価を固定させてしまうということに、私は問題があるのではないか。だから、全国を税金そのものを上げないように措置するのだと言われても、一方は三倍上がるのと、一方は六倍上がるのと、十一倍上がるのと、あまり上がらないのと、むしろ下がるのと、こういうふうにアンバランスができてくるわけですよ。これを全国どこも税金が上がらないように措置しますといったって、一体どうなさるおつもりですか。それをもとと同じようにするというなら、これはいまの評価がえをしなかったのと同じことですよ。だから、三年度にどうせし直すのですよ、それまで私はやはり待つべきだと思う。といいますのは、この出だしそのものが、税金というものは、評価額かける税率なわけです。ところが、その評価の問題だけを取り上げて、評価制度調査会で論議をしてきめてしまって、税率の方は税制調査会がやるのですよという、別の方向に追いやってしまった。それがやっと二つ重なり合っているのが、いまの段階です。ぶつけてみたら、えらいとんでもないことになっている、こういう事態です。いま発表されていないからあれですけれども、全国に発表されてごらんなさい。おそらく一カ月延ばそうとしても、四月一日から四月二十日までですが、異議の申し立ては全国的に大きな問題になってきますよ。いま全国の農民団体等も、全国的な評価がえの異議申し立てをしようというふうな動きもあります。これは大きな問題になると思うんですよ。いまのこのやり方自体は、つまり税金というものの本質を考えてない仕組みから始まったものだと、私は思うわけです。  時間がきたようでございますから、もうこれで別な機会に譲りたいと思いますけれども、これはこれからあとの重大な政治の課題になるということだけを一つ指摘いたしまして、この問題についてはもっと真剣に再検討願いたい。  これで終わります。(拍手)
  120. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これにて安井吉典君の質疑は終了いたしました。  次に、久保三郎君の質疑を行ないます。久保三郎君。
  121. 久保三郎

    ○久保委員 厚生大臣に最初にお尋ねしたいのであります。  時間もありませんので、しごく簡単に御質問申し上げるのですが、実はすでに御案内かと思いますが、茨城県の猿島町という特定の町に、流行性肝炎というのが最近出てまいりました。もちろんこれは、まだ決定的な原因が判明しないようでありますが、この特定な地域に多数の肝炎が流行して、言うならば働き盛りの者がどんどん死んでいく。最近日本医科大学の乗木教授が調査をいたしました結果、ビールスによるところの流行性肝炎であろう、こういうようなことで、実は話題と関心を呼んでいるわけであります。そこで、この乗木教授の実地調査によりますれば、その地区における小・中学校の全体の子供に対しても検診をしたそうでありますが、中学生三百九十名が全員でありますが、驚くなかれそのうちの百二十名がいわゆる肝臓に異常を呈しているということであります。こういうことで、地元としては多大の不安を実は持っているわけであります。すでに厚生省からも何らかの指示なり調査がなされていると思うのでありますが、これに対して厚生省はどういう措置と対策を考えておられるのか、一言お答えをいただきたい、かように思います。   〔委員長退席、櫻内委員長代理着席〕
  122. 小林武治

    ○小林国務大臣 ただいまの病気につきましては、実は、あとから聞きますれば、昭和三十七年ごろからさような気病が発生しておった、こういうことでありまするが、世間あるいは衛生当局の注意をひかないできたのでありまして、本年の一月上旬になりまして、ようやく古河の保健所に肝臓疾患が多発しておる、こういうふうな報告があり、また、これと同時に、ただいまお話しの日本医大の乗木教授が現地調査をいたしまして、過去二年間にわたって流行性肝炎のような疾患が継続的に出ておる、こういうことで、私どもも、この報告を受け、非常な注意をし、驚いたのでありまして、さっそく厚生省といたしましても一月二十二日に現地に係官を派遣をし、一方、二月三日には中央におきましてこの問題のために学識経験者による対策協議会を開いたのでありまして、いままでの調査の結果を見たのでありまするが、流行性肝炎だというふうな疑いはあるのでありますが、まだ診断上決定をいたしておりません。これは、これからなお診断上の精細な調査をする、また広い地域にわたって疫学的な検査を実施する必要があると同時に、これらの病気を早くに見つけて早くに治療する、こういうふうなこと。さらに、この病気につきましては、治療というよりか、いまの食餌療法あるいは安静、こういうようことが非常に必要とされておりますので、これらのことについて地元を指導するということと同時に、病気そのものにつきまして、地元の県を督励し、また必要によれば私どもからも人を派遣して調べる。ただいまのところ、私どもの係官が参ったときには病人がなかった、そういうような状態でありまして、過去のものを調べるのはきわめて困難でありますが、どうしてもやはりこれらの問題が多発しておったという事実にかんがみ、またお話のような学校生徒にもいまの肝臓障害の様相がある、こういうことでございまして、できるだけ調査をいたしまして、的確な対策を立てたいというふうに考えております。何分にも流行性肝炎と称するもの自体が非常にむずかしい診断であるそうでございまして、まだ結論に至っておりません。しかも、かようなことが地元に相当な不安をもたらしておるということでありまして、私ども、この問題にはぜひひとつ真剣に取り組んでみたい、かように考えております。
  123. 久保三郎

    ○久保委員 ただいまのお話では、真剣に取り組むつもりであるということでありますが、もちろん、原因がはっきりしないという話もあるそうでありますが、一応はこの地域における特殊なものとも言えるし、しかも、言うならば片いなかの農村でございます。そういうことでございますので、多大の不安もあると思うのです。しかも、死亡率から言ってもこれは異常な死亡率を来たしておる。これは御案内のとおりであります。流行性肝炎であろうということに大体落ちついたと私は思うのでありますが、そうだとするならば、厚生大臣は早急に指定伝染病の指定を急がれることが、まず第一の対策ではなかろうかと思うのですが、どうでしょうか。
  124. 小林武治

    ○小林国務大臣 ただいまは、日本では流行性肝炎を指定伝染病といたしておりません。したがいまして、現実にいまどうするかということは、これからまた検討しなければなりませんが、とりあえず、いまの猿島の問題につきましては、まだ病気の断定がついておらない、こういう状態でありまして、これが相当な流行的なものであるとか、こういうようなことが断定せられますれば、やはり考えなければならぬ。何か米国等においては届け出の伝染病になっておる、こういうことでございますので、これらも参考にしてまいりたい、かように考えております。
  125. 久保三郎

    ○久保委員 大臣、あなたの御答弁を聞いていると、厚生省から参られたときには幸い患者がいなかった、こういうお話です。その後死んだ人もたくさんあるんですよ。そういうことから、どうもいまの答弁だと、もう少し様子を見てというか、調査をしてというのでありますが、そういうことでは困ると思うんですね。もちろん、そういうおつもりではないと思うのですが。アメリカではというのだが、アメリカの話を聞いているのではないのでありまして、指定伝染病の指定をしてないのを私、知っているから、指定伝染病の指定をなされたらどうか、こうお尋ねをしておるのでありますが、いかがですか。
  126. 小林武治

    ○小林国務大臣 ただいま申し上げましたように、病気の原因がはっきりしない、また、流行性肝炎と断定できない、こういう段階でありまするので、それをまずもって究明する、こういうことに努力いたしておりまするし、いまの指定伝染病にするかどうかということは、やはりこれからまた検討いたしたい、かように考えます。
  127. 久保三郎

    ○久保委員 せっかくの御答弁でありますが、それでは、その原因究明にどういう手段をいま講じられているのか、いつのころまでに大体の見通しがつくのか、これをお答えいただきたい。
  128. 小林武治

    ○小林国務大臣 ただいまは、茨城県の衛生当局を督励してこの検討をいまさせており、必要に応じて私どもが応援をする、こういうことでやっております。
  129. 久保三郎

    ○久保委員 厚生省の伝染病研究所でありますか、そちらからも調査に行っているんじゃないですか。いかがです。
  130. 小林武治

    ○小林国務大臣 いま衛生研究所からまだ人を派遣しておりません。二月三日に参ったのは厚生省の防疫課の係官が伺ったのでありまして、その後現地からいろいろの資料を持ってきていただいて、衛生研究所等でも検討をしておる、こういうところでございます。
  131. 久保三郎

    ○久保委員 大臣の御答弁ではオフレコのようでありますから、担当の局長から答弁してください。どういうふうにいまやっているのか。
  132. 若松栄一

    ○若松政府委員 ただいまのお話のように、現在の段階では、私ども本省から調査をいたしておるという段階でございまして、現実に参りましたときに患者等もございませんでしたので、具体的な調査ができなかった。それで、患者がもし出て適当な調査ができるような段階であれば、厚生省の予防衛生研究所あるいは国立病院等の専門家を直ちに派遣するという手はずにいたしております。
  133. 久保三郎

    ○久保委員 局長、今日ただいまでも、大体百名ぐらいの在宅患者があるそうですよ。調査できるのじゃないですか。もちろん県の衛生部もやっているでしょうが、それではなかなか問題の解明には力が足りないのじゃないかと私は思うので、そこであなたのほうにお尋ねしておるわけなんです。いかがですか。もう少し積極的におやりになるつもりはございませんか。
  134. 若松栄一

    ○若松政府委員 ただいま百名ほどの患者とおっしゃいましたけれども、現実に発病して療養中の患者は、私ども三名と聞いております。もちろん、昨年来罹患いたしまして、すでに回復している患者は多数おります。したがって、新しい患者で新しい様子を見ませんと的確なことがわかりませんので、現在、医師会等に協力をいただきまして、調査票等を配りまして、もしも新しい患者等が出ました場合には早急に確実な調査、あるいは所見の検討が、できるような手配をいたしておるわけでございます。
  135. 久保三郎

    ○久保委員 この問題は、いずれにいたしましても、県のほうから、いまお話しのように、原因等がはっきりわかったというときには、指定伝染病の指定の申請があるでしょうから、そのときはもちろん問題ないと思うのですが、そういう手続だけではおそいではないかと私は思うので、まずもって指定伝染病として扱ってやっていったらどうかということを私は言いたいのですよ。そういうことはできないのですか。
  136. 若松栄一

    ○若松政府委員 指定伝染病にいたしますことは、家屋の消毒あるいは患者の強制隔離というような強権発動、権利の制限等も伴いますので、できるだけ具体的な効果のある手段をやっていって、強権発動というようなていさいをとらないほうが好ましかろうという点が一点、もう一つは、流行性肝炎ということ自体が、まだ確立された病気といいますか、病源体が発見されておりませんし、世界じゅうで一生懸命努力しておりますにかかわらず、まだ依然として病原体がつかまらない。したがって、何をもって流行性肝炎と称するか、各種の肝臓疾患の中のどこからどこまでが流行性肝炎であるかということの範疇がまだあいまいでございます。そういうために、流行性肝炎と言えば一言なんですが、実際に患者を当てはめた場合には、どれがはたしてそうで、どれがそうでないかということが明確でございません。そういう意味で、指定ということについてはまだ差し控えておるわけでございます。
  137. 久保三郎

    ○久保委員 瞬間も限られておりますから、この問題はいずれ適当な機会にまたお尋ねすることにしますが、ただ、問題は、農林大臣はおられませんが、最近、農村の経済、農家経営というものが、御案内のとおり、兼業にだんだん移行している。そういうところから言って、先ほど申し上げたように、この病気で死ぬ者は三十代から四十代の働き盛りの者が非常に多いというのが特色でございます。この点はやはり関係閣僚も十分聞いておいていただきたい、かように思うわけであります。農業構造改善事業も、先ほど安井委員からの質疑にもあったとおり、問題が多いのでありますが、それと同時に、この猿島地区は、東京にも若干近いという観点から、出かせぎが多い。農家では、構造改善というか、いわゆる選択的拡大というか、そういうことで非常に労力を使いながら、かたがた農閑期には都会に出かせぎに出るというような篤農家が非常に多いそうであります。こういうのも、経済企画庁長官もおられますが、これは経済成長の中の一つのゆがみではなかろうかと私は思うのであります。断定はしませんけれども。そういう点も考えて、早急に対策を確立されるよう厚生大臣に要望して、この問題は私は終わりにします。もう厚生大臣には私は本日は質問ありません。  そこで、運輸全体の問題でお尋ねするのでありますが、限られた時間でありますので、全部じゃなくてその一部分になるかと思うのでありますが、一つ一つ申し上げたいと思うのです。  さしあたり、まず第一にお伺いしたいのは、都市交通の問題でありますが、その中でも公営交通の問題であります。自治大臣おられませんから、都市交通に関連して運輸大臣にまずお尋ねしたいのは、最近におけるタクシーの乗車拒否の問題はどういう傾向になっているか。乗車拒否はどういうふうに見られておるか。最近減ったのかふえたのか、あるいはこれに対する対策はどういうふうになっておるか。いかがでしょう。
  138. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 乗車拒否はまことに遺憾なことでございまして、最近は少し減っております。(「減ってない」と呼ぶ者あり)減っております。  それから、この乗車拒否の原因はいろいろありますが、私どもといたしましては、やはり需給がアンバランスである、すなわち、車が少なくて、お客さんが、人間が多いということが一つの大きな原因であろうと思いますので、三十八年におきましては大幅に四千台ほどやりました。オリンピックに対処いたしまして、三十九年には少なくとも六千台ないし七千台ぐらいを許可して、そうして一番の原因である需給のアンバランスというものを是正していきたいと思います。  そのほか、運転手の素質が悪くなったこと、あるいは運転手の中で非常に乱暴な運転手がおるので、それを処罰しようといったって、その場で警察権を持っている乗車者もいないんだし、ほんとうにその運転手をつかまえるということがなかなか困難で、乗ったお方も、乗車拒否をされた人も、それを直接運輸省なり何なりに言っていただけばいいのだけれども、それも言っていただけぬし、このごろは、私は少し減ったという報告を受けております。  そのほか、空閑地があるところには、ちょうど駅の前で待たすような、いわゆるタクシーベーというものを至るところにこしらえるべく努力いたしておりまして、一番激しかったと称せられる銀座裏には、あそこにできました空地を利用して、タクシーベーをこしらえたために、私自身も体験いたしましたが、だいぶんこのごろでは減ったような気がいたします。
  139. 久保三郎

    ○久保委員 最近は減ったというお話でありますが、何を根拠に減ったと言うか、私はわからぬと思いますね。大体乗車拒否の件数というものを正確に的確につかんでおられないでしょう。大体陸運局なら陸運局に届けられたものは氷山の一角じゃないでしょうか。それじゃ、その陸運局に届けられた件数は大体どのくらいありますか。最近の一月なら一月の月にどのくらいありますか。いかがです、おわかりになりますか。
  140. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 小さな数字でございまして、私いま覚えておりません。後ほど調べてお答えします。
  141. 久保三郎

    ○久保委員 大体、乗車拒否の件数もつかめない。もちろん、これはなかなかむずかしいと思うのです。件数をつかんだところで別に対策にならねと思うのでありますが、われわれも実際に経験しているのでありまして、運輸大臣はいつもこれを御経験かもしれませんが、私はつい最近経験しております。昼の日中実は上野の文化会館の前で実際経験しているのです。それで、私も、おとなげないから、陸運局に届けることは怠りました。というのは、実は、われわれ自身もそういう問題に関心を持っている一人でありますから、むしろこの席で運輸大臣を通じてやはり対策を練るべきだという観点から、これは遠慮申し上げた。その拒否された理由は何かというと、国会に行くのだがと言ったら、あの周辺は混雑しているからだんなごめんください、こう言うのです。私が三人目です、実際言って。そこに一つの問題があります。  そこで、あなたがおっしゃるように、単に車両の増加だけで解決するかというと、これは解決しないと思うのですね。むしろ、言うならば、経営方針と、いわゆる運転手の労働条件、そういうものに問題のメスを入れない限りは、残念ながらだめだと思います。都市交通の混雑緩和について、これは当然解決しなければならない大前提ではありますが、一朝一夕にこれを解決することはしごく困難でありましょう。だとするならば、いわゆる経営方針を変えていく、あるいは運転手の労働条件を変える、さらには運転手の需給関係をどうするか、三つの問題じゃないでしょうか。そういう対策についてまず第一にお考えでありましょうか。いかがでしょう。
  142. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 運転手の需給をよくする、運転手の質をよくするということにつきましては、運輸省もあらゆる努力をいたしておりますが、御承知のとおり、なかなか困難であります。労働条件のみではありません。場合によると精神的な面において何か欠陥があるのでないかとすら思われるくらいで、ほんとうに困難なのです。それをタクシー業者に強く、要請しまして、また、タクシー業者もこのごろは一生懸命でその足どめ策をやっておるのでございますが、これまた、需要が多くて供給が困難で、そのバランスも破れております。こういう点も考えまして、あらゆる施策をやっておるのでございますが、現実の問題としてはなかなか解決できないのをはなはだ遺憾に思います。  なお、いま走行効率が悪いということは、オリンピックを控えまして各種工事が一斉に東京都内周辺に行なわれている、これも一つの原因だろうと思いますが、これは、本年の十月を待ちまして大体完成いたしますから、そのときには、幾らか需給状態も緩和されるし、同時にまた走行効率も上がってくるから、両々相まちまして幾らかは乗車拒否は少なくなりはせぬかというようなことも考えております。
  143. 久保三郎

    ○久保委員 どうも、何もきめ手がないようですね。運航手の不足なり労働条件の改善にしても、どういう御指導をなさっておるのか。聞くところによりますれば、これは日給月給制が多い、あるいは水揚げが主体である、歩合給であるというところに一つの大きな問題があると思うのです。もちろん、こういう業種でありますから、全面的に直ちに歩合給を廃止するわけにはまいりませんけれども、固定給制度がどの程度にいっておるのか、これはおわかりになりますか。これは労働大臣にお聞きしたほうがいいですかな。
  144. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ハイヤー、タクシーの運転手の労働条件につきましては、昭和三十一年に基準法の施行細則を改正いたしまして、自来待にハイヤー、タクシー事業を基準監督としましては重点業種にいたしまして、特別に監督指導をいたしておるのでございます。監督の目標といたしましては、まず時間外労働の排除、すなわち、従来、ハイヤー、タクシーにつきましては、その業務の特質にかんがみまして、一日十時間、一週六十時間という特例を認めておったのでございますが、三十一年以来その特例を廃止いたしまして、一日八時間労働制を確立するようにいたしております。   〔櫻内委員長代理退席、委員長着席〕 それから、割り増し賃金でございますが、この計算がなかなかやっかいでございまして、往々適正に支払われておらない面もございますので、基準監督官といたしましては、割り増し貧血の適正なる支払いを特に留意することにいたしました。また、歩合給制におきましては、保証給が従来はっきりしていないし、定めのないものもあったのでありますが三十一年以来保証給を明確にするようにいたしておるのであります。そのほか、所要の睡眠をとらせますための施設を経営者に整備させるとか、あるいは労働者の健康診断を励行せしめるとか、また、賃金の支払いの状況を監督いたしまするために、賃金台帳を整備させるとかいうような事項、これらを重点として労働基準の監督に留意をいたしておるような状況でございます。
  145. 久保三郎

    ○久保委員 この労働条件の改善でありますが、ある新聞記事によって見ますと、大体水揚げの歩合の問題から言っても、料金改定になったあとでも実は上がっておらぬ、むしろ下がっておるというのが出ておりましたが、そういう指導は運輸省と労働省の二つの省にまたがるわけでありますが、運輸省として適切な指導が経営者にもなされてしかるべきだと思うのですが、こういう点については関心は持っておられないのですか。いかがです。
  146. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 非常に関心を持っております。そうして、陸運局長以下に厳重に、そういうことのためにいろいろな交通行政に影響を及ぼすようなことのないように、あるいは歩合制度であるとか、あるいは月給制度であるとかいうことにつきまして常に業者を監督させております。  なお、先ほどお尋ねの、乗車拒否をしたものを陸運局に届けたものはどのくらいあったかという御質問でございましたが、いま資料が参りましたから、お答え申し上げます。乗車拒否のみではありませんが、要するにタクシーに乗ったために被害を受けられた、いわゆる苦情を持ち込んだ件数は、三十八年度は九百二十四件です。すなわち一月に九十、二月六十二、三月七十六、四月、五十五、五月五十八、六月七十三、七月百五十八、八月百十七、九月百十一、十月五十一、十一月三十七、十二月三十六、合計九百二十四件でございます。
  147. 久保三郎

    ○久保委員 それは、先ほど申し上げたように、三十八年度で九百二十四件と報告があったそうでありますが、氷山の一角でありまして、これも、届けをしてからはたしてそれに対して適切な調査ができて、これに対応する処罰というか、指導ができるのかというと、これはできかねるんですね。何も証拠は残っておらぬのでありますからね。(綾部国務大臣「それで弱っているのです。」と呼ぶ)それで弱っておるというお話でありますが、それでは困るのでありまして、結局、それには、自治大臣国家公安委員長として御列席でございますから、私はお尋ねしますが、現場においての適切な指導あるいは監督、こういうものが強化されてしかるべきだと思うのです。国家公安委員長として、こういう問題についてどういうふうな対策をおとりになっておりますか。
  148. 早川崇

    ○早川国務大臣 この問題は、警察だけではなかなかいきませんので、運輸省が主管でやっていただいておりますが、われわれといたしましては、世論が高まってまいりましたので、特にこの乗車拒否を、重視いたしまして、昨年度七百十三件検挙をいたしました。処置いたしました。  また、警察の対策といたしましては、いま非常に繁華街に近いところにタクシーベーをつくりまして、外堀の土橋のところにつくっておりまして、これは非常に成績をあげております。また、大阪では、府警が中心になりまして、北と南の盛り場にタクシーベーをつくりまして、規定の料金で近距離でもほんとうに正常に乗れるので、非常に利用されておるわけであります。今後そういった面を、新宿とか、あるいは久保委員が拒否された渋谷付近とか、ああいうところにも設置するということも検討してみたいと思っております。
  149. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、時間もありませんから、いずれこの問題はさらに掘り下げをしてお尋ねをしたいのでありますが、運輸大臣に申し上げておきたいのは、大体、運輸大臣の配下、いわゆる現場の指導機関であるべき陸運局以下のこういう方面における指導監督の要員というのは、こと足りているのですか。
  150. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 毎年要員の増員を私どもといたしましては予算、要求にやっておるのでございますが、政府の根本方針が、その増員は非常にきつく否定ざれるので、要望のほんとうの九牛の一毛しか満たされないので、私どもは非常に困っているのです。どうぞ御了承願います。
  151. 久保三郎

    ○久保委員 大体、必要な人間が充足されないでは、何をやっても、ただ報告を、電話で聞いたり書面を役所で待っていたのでは、これは国民的要求にこたえられないと思うのです。大蔵大臣も御列席でありますが、必要なところに人間を配置するということが合理化じゃないでしょうか。ところが、必要なところにはあまりやらぬということの欠陥がここにも一つ出ているのです。  それから、もう一つ運輸大臣にお尋ねしたいと思いますが、たとえばタクシー業界でも増車を要求しているようでありますが、それも先ほどのお話のとおり増車計画があるそうでありますが、ただ、問題は、運転手の量の問題、露給関係です。これは、必ずしも満足でないというよりは、逼迫しておるのです。そこにやはり、悪質運転手のばっこというか、それが出てくる。これを解決しなければならぬ。新規の養成というのは、いわゆる企業の責任としてもやるべきだと思うのです。なるほどある程度はいわゆるタクシー会社なり業界が運転手の養成をやっているようでありますが、必ずしもこれは満足ではないと思うのです。こういう問題について、これは自治大臣のほうにも御関係があると思うのですが、この養成計画とあわせて増車計画をきっちりしなきゃならぬと思うのです。増車申請をするときは運転手がありますということですが、実際裏を返せばない。なくて、いわゆる日雇い運転手を雇ってくるというところにも問題があると思う。こういう対策について何か具体的にございますか。
  152. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 具体的には、業者を督励してなにする以外に、私のほうとしては予算措置でどうするという具体的の対策は持っておりません。
  153. 久保三郎

    ○久保委員 私は直ちに運輸大臣予算でやれとは言っていない。業界にもこういうものをきらんとさせるという対策を立てるべきだと思うのです。さらに、労働条件にしても、全部の業者に対して徹底的に一ぺん洗ってみたらどうですか。そして、給与の関係なり労働条件がはなはだしく悪いものは一定期間停止される。これくらいのきびしい態度で臨まぬ限りは、オリンピックを迎えてそれをおかしなかっこうに私はなると思うのです。関係大臣、労働大臣自治大臣関係でありましょうから、乗車拒否対策について最近のうちに連絡会議を持って具体的な指導方針をお示しいただくわけにはまいりませんか。いかがです。
  154. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 それは、大臣が寄らなくても、その当事者は毎週おそらくは寄って対策を練っているはずでございます。
  155. 久保三郎

    ○久保委員 大臣が寄るほどの問題ではないというお話かもしれませんが、大体問題はちっとも解決していないのですね。乗車拒否は何年から始まったのです。これは大臣就任以前からですよ。失礼ですが、大臣になられてから何年におなりになりますか。ちっとも解決していない。あなたは減ったと言っているが、減ってはいない。自治大臣の御答弁では、七百十三件は検挙したというのですよ。これは現場において検挙したものでしょう。そういうことを見れば、これは事務担当者の間でやっているだけでは問題は解決しない。事務担当者の間でやっているというなら、自動車局長がおられたら自動車局長から何をやっているか聞きたい。自動車局長おられますか。
  156. 坪井為次

    ○坪井説明員 乗車拒否の根本原因は、やはり車の需給状況が非常に悪い……。
  157. 久保三郎

    ○久保委員 答弁中ですが、時間がありませんから、私の質問だけに答えてください。
  158. 坪井為次

    ○坪井説明員 結局は運転者がネックになっている現状でございまして、これにつきましては、警視庁が中心になりまして、警察庁と私のほうでいま業界も入れまして確保の対策をいろいろと各方面から検討しております。
  159. 久保三郎

    ○久保委員 検討しておりますだけでありまして、具体的な方策はないですね、まだ。労働条件その他についてもまだないのですね。こうしましょうということはないのでしょう。あるかないかだけ御答弁いただきます。ないのですか。
  160. 坪井為次

    ○坪井説明員 いま検討しているわけでございます。
  161. 久保三郎

    ○久保委員 検討中、ずいぶんおそい。これでは、大臣、あなたも関心を持っておられるとはちっとも考えられない。時間がありませんからこの程度にしますが、早々のうちにこれは結論をつけてください。いずれ適当な委員会でまた御返事を承ります。以上でこの問題は終わります。  次にお尋ねしたいのは都市交通の問題でありますが、これは早川自治大臣運輸大臣にお尋ねすることでありますが、都市交通の問題については、今日いろいろ大きな問題になっております。前提としては都市改造の問題がありますが、この問題は論議する時間がありませんから一応伏せておきます。  そこで、当面、昨日の地方行政委員会で早川大臣は、公営交通の問題について言及されて、民営論その他をおっしゃったようでありますが、そういうことをお考えでございますか。
  162. 早川崇

    ○早川国務大臣 そうではなくて、公営企業というものが非常な経営難になっておるので、政府といたしましては、地方公営企業制度審議会を設ける、そこには、公営が非常に経営上ルーズならルーズで、民間の民営論者も入れる、そして、公営、私営いずれが是か、また、いまの公営の企業管理においては近代的経営理論も浸透しておらない、そこで経営の専門家も入れる、そこで根本的に御審議願って、公営企業をどうするかということを審議してもらう、こういう意味でございます。
  163. 久保三郎

    ○久保委員 公営企業全体のお話でありますが、私は、公営交通の問題、特に都市交通の問題でお尋ねをするわけですが、これは運輸大臣にまずもってお尋ねしたいのでありますが、都市交通の面で当面やらねばならぬのは、都市交通をいかに編成するかという問題だと思うのであります。そこで、たとえば東京都一つとりましても、その中にあるものは、国鉄、さらには営団になる地下鉄、あるいは東京都の交通局の所管する地下鉄、路線バス、路面のいわゆる電車、軌道ですね、あるいはトロリーバス、さらに私鉄関係の軌道並びにバス、こういうふうに、乱雑な経営形態が今日あるわけであります。これはもう一つには経営形態が乱雑であるばかりじゃなくて、いわゆる経営形態によって運賃の問題が調整されていないという問題があるわけです。でありますから、言うならば、最小限、たとえば東京都一つとりますれば、東京都におけるところのまず営団と、東京都における公営交通、この一元化をまず第一にやって、地下鉄と路面電車の調節をはかるべきではなかろうか。それから、もう一つは、私鉄、国鉄その他ございますが、そういうものと全体をプールしたいわゆる運賃調整をやって、それによる運送調整をして、この都市交通の円滑化をはかるべきが当面の課題ではないかと思うんです。こういう点について運輸大臣はいかように考えておりますか。
  164. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 都市交通の一元化につきましては、都市交通審議会の、最初三十二年だったかと思いますが、答申がございまして、いろいろ議論をされまして、ただいま久保委員が御指摘のような運賃プール計算その他御議論がありましたが、現状におきましては交通難を緩和する妙手がないというので、さらに三十六年にあらためて交通審議会にその対策を諮問いたしております。われわれはその答申を待ちまして善処いたしたいと考えております。いまの地下鉄の問題にいたしましても、それから、一元化する問題にいたしましても、プール計算にいたしましても、そうやるほうがいいが、いまやったんでは混雑をしてかえって現在の交通緩和対策にならないという意見もありまして、あらためて三十六年に交通審議会に聞いております。その答申を尊重していきたいと思っております。
  165. 久保三郎

    ○久保委員 時間もありませんから、さらに先へいきましょう。しかし、都市交通のいまの諮問をしているというのでありますが、諮問をしている最中に、もうそれぞれ御案内のとおり交通の渋滞は来たすし、あるいは事故は続発するということでありますので、これは、やろうという考えができれば、できる面からだんだんできると思うんですね、実際は。なぜできないのか。私が申し上げたようなことがなぜできないのか、一言だけ聞きたいのです。どうしてだめなのか。
  166. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 久保委員のおっしゃることは、それによってこの非常な交通地獄とさえ称せられておる都市交通の問題を早く解決したいというのが御趣旨であると思いますが、その趣旨に速急に沿わないという点が概括した意見でありますゆえに、さらにその意見をみな列記しまして、そうして、さらに三十六年に交通審議会へ諮問をいたしておるんです。できるような状態にないんです、交通事業者の状態が。
  167. 久保三郎

    ○久保委員 できるような状態にないと言われるが、それはまあいろいろ考えようでありまして、むしろ政府の考え一つの問題じゃなかろうかと私は思うのであります。まあこの問題はあとにしましょう。  そこで、最近政府は六大都市の運賃のストップをかけました。これは、心理的に物価に影響するものも多大でありますから、そうあるべきだと思うんです。しかし残念ながらこれが時期的には非常におそい、この批判は別にしまして、それはそれでよろしいとしても、最近、特に、関連産業というか、多角的な経営をやっておらない公爵交通経営は、御案内のとおり多大の赤字を持って経営難におちいっておる。そこで、これに対する対策が欠けていたのでは円満な施策とは私は言い得ないと思うんです。そこで、先般運輸委員会で運輸大臣から御答弁いただきましたが、まあ融資などを考えておられるというのですが、そういうもので解決する事態では今日ないと私は思うのです。たしか公営交通だけで八十二億くらいの赤字に実はなっておるのではなかろうかと思うのでありますが、この際一年間ストップということになりますれば、当面三十九年度の予算も編成できかねるものも中には出てきておるというのが実態だそうであります。そこで、早川大臣にお尋ねしたいのであります。その料金ストップはよろしいが、ついては、これに対する対策は何かお考えかどうか。いかがでしょう。
  168. 早川崇

    ○早川国務大臣 現在のままの料金であと一年ストップいたしますと、六大都市の交通、バスに四十八億円の赤字が出るという計算になるわけであります。したがって、政府の施策でこれを押えたわけでありますから、政府として、その間公営交通事業の運営が円滑にできるように何らかの処置を講じたいと思って、いま関係各省と検討中でございます。
  169. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 私営のバスにつきましては、やはりこの一年間に収入の減が大体二十五億円と予定されておりますからして、その二十五億円をどうするかについては、やはり関係事務当局の間において案を検討いたしておる次第でございます。
  170. 久保三郎

    ○久保委員 公営交通に限りますが、早川大臣にお尋ねを再度しますが、いまのお話の結論はいつのころ出す見込みですか。すでに地方自治体も来年度の予算編成をして地方議会にかける段階になっておりますが、いかがでしょうか。
  171. 早川崇

    ○早川国務大臣 できるだけ早く結論を出したいと、せっかく努力中でございます。
  172. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 関連して、安井吉典君。
  173. 安井吉典

    ○安井委員 自治大臣のいまのお答えでありますが、地方公営企業は現在全体的に非常に困っておるわけですね。交通事業で事業体の七割が赤字、水道事業で三割が赤字、病院が五割ですね。こういう実態があるわけであります。いま久保委員に対する料金ストップに対する対策のお答えは、交通事業だけではなしに、地方公営企業全体に対する措置のお考えと、そういうふうに解してよろしいですか。
  174. 早川崇

    ○早川国務大臣 水道、病院を含めまして、公営企業の累積赤字は大体二百五十億円、その中で六大都市のバス公営企業の赤字は、累積は百七十億円、さらに、それが本年度、三十九年度四十八億円ふえるということで、主として公営バス問題について進めておりますけれども、同時に、水道あるいは病院を含めて対策を練りたいと思っております。
  175. 久保三郎

    ○久保委員 次に、経済企画庁長官にお尋ねしたいのでありますが、御承知のように、この国鉄あるいは道路、港湾、こういう交通投資が非常に投資不足でおくれておる。そのために、言うならば輸送の渋滞あるいは交通事故の頻発ということが言われておるわけでありますが、いままで、ものの考え方として、交通運輸というものは他産業に従属したものであって、独立した産業としての扱いというか、ものの考え方がされておらなかったところにも一つの問題があると思うのです。さらに、もう一つは、倍増計画の中でも、今日までやってこられて、実は民間投資の過熱については、それぞれ中途において今日もブレーキというか、そういうものをかけておる。ところが社会資本というか、交通投資、特に交通運輸の投資の問題とのいわゆるバランスについては、あまりお考えがなかった。だからアフターケアの中間検討の中でも報告されておるようでありますが、なるほど計画あるいはそれ以上に上回った投資はしたが、実際はこれらの民間投資というか、一般の経済成長には追いつかね形になっておるというのが結論のようであります。今後アフターケアの中でどうされるつもりでございますか。いかがでしょう。
  176. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 結論として、久保委員が仰せられたことは私は正しいと思います。各種の公共投資計画、その実施の実績は、所得倍増五カ年計画で当初ございましたものの年度よりはかなり進んでおります。鉄道の場合には、大体五割くらい昭和三十八年度までで上回っております。もっともその中には、用地費なり労賃なりの当初予定いたしました以上の値上がりがございますから、実質五割ということは申し上げられませんが、金額的にはそうなっております。それにもかかわらず、これらの公共投資の量が、民間設備投資その他民間経済活動をささえるのには不十分であるということは、もういかにも明らかであります。したがって、たとえば道路のようなものにつきましては、すでに御承知のように、新しい五カ年計画を発足いたすことになりました。またその他の環境衛生、あるいは港湾等につきましても、昭和三十九年度私どもが所得倍増計画の中期実施計画を樹立いたしますと同時に、新しい五カ年計画を発足いたすことにしておるわけでございます。結論的には、全体の経済成長率が早かったために、各種の公共投資計画も、計画を上回る実施をいたしておりますけれども、両者のバランスがはずれてきておるということは御指摘のとおりだと思います。
  177. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、これからの安定成長というか、池田内閣の看板でありますが、安定成長を考えるならば、いまの問題にこたえる必要があると私は思うのです。民間企業のいわゆる投資調整というか、そういう民間同士の過当競争を抑えることは、もちろん当然でありましょう、国家資本の浪費というか、そういうことがありますから。しかしそういうことだけではいまの問題は解決しないと思うのです。むしろ、アフターケアの中で強調さるべきは、民間と政府と統一された投資調整、そういうもののコントロール、いわゆる資金のコントロールというか、そういうものを全体的に立ててやっていくということでなければ、やはりいままでの繰り返しをこれからも続けていくだろう、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  178. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは中期実施計画を立てますときに、それらの公共投資計画を一括してバランスをとって考えるわけでございますが、その際に、将来の民間投資がいかようにあるであろうか、いかようにあったらいいかという想定は、これはいたします。いたしますが、かくあるべきだといって、それを資金の面を通じて統制をするという考えは、私ども持っておりませんので、したがっておそらくかくあるであろうという蓋然性を考えながら、それを十分にささえるだけの公共投資計画をつくる、こういうことに帰着せざるを得ないと思います。
  179. 久保三郎

    ○久保委員 もちろん計画はそのとおりになると思うのですが、実施の段階においてやはりコントロールする機関を置かない限りは、いまのような問題の繰り返しにならざるを得ないのではなかろうかということです。たとえば国鉄一つをとりましても、投資不足は幾らになっていますか、今日現在で。投資不足が一兆四、五千億になっておるでしょう。そういうものを、これからも野放しと言っては語弊があるが、民間投資に追いつくということは、これは国家財政あるいは国鉄財政の中で可能だと思いますか。私はなかなかむずかしいと思うのです。だから実施段階においては、そういう民間、政府を統一したところのコントロール、いわゆる資金のコントロールの機関をつくってやっていくべきだと思うが、それはどうかということなんです。計画については、あなたのおっしゃるとおりでありましょう。いかがでしょう。
  180. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 コントロールということばの考えようであると思います。つまり、たとえば財政というものは、わが国の場合、民間の経済活動にある程度の、あるいは場合によってかなりの影響を与え得るものでございます。また日本銀行の通貨政策というものも、相当な影響を与え得るものでございます。それらを通じまして、経済の基調をある程度政府なり政府機関というものがつくってまいることができますし、それは過去においてもいたしましたし、これからもいたすつもりであります。しかしながら、具体的に民間資金としてこれだけのものを流すべきである、またこれに限るべきであるといったような、いわゆる資金計画をつくって、それによって民間の経済活動を左右しよう、あるいは支配しようという考えは持っておりません。
  181. 久保三郎

    ○久保委員 次にお尋ねしたいのは、国鉄予算についてであります。三十九年度予算要求から見て、国鉄の五カ年計画の第四年目に入ったわけでありますが、第三年目の三十八年度一ぱいで大体四割程度の改良工事ができた。これはいままでたびたび政府並びに国鉄から言われているように、東海道新幹線さえ完成すれば、あとの二年でこの改良計画のおくれを取り戻すということであります。でありますから、それがいわゆる政府並びに国鉄国民に対する公約であったわけです。国民は、もちろんこれに対して多大の不満を持っていた。しかし東海道新幹線も多額の金を使って完成間近というならば、多少であるからがまんもしようという声もあった。ところが三十九年予算を見ますれば、残念ながらその公約はみじんに打ちくだかれた、こういうふうにわれわれは見ているわけです。たとえば要求から見て、実は改良工事九百七十九億、約一千億に近いものが削減されている、これが一つ。もう一つは、それでは削減されたいわゆる国鉄予算がこの計画どおり実施できるかというと、残念ながら運輸収入の見込みは、対前年六百億増になっている。これは大体三十八年決算見込みは五千五百億台でしょう、運賃収入は。それをさらに六百億増すということは、どういう計算か私にはふに落ちないのです。もちろんこの計算のことを事こまかに聞くつもりは今日ありません。いずれにしましても、大体来年度の国鉄予算は、運輸収入というか、損益勘定収入からくずれてくるだろう、減らされたいわゆる工事勘定は、さらにこれは計画どおりに実施できないで、運賃の値上げと同時に、国鉄並びに政府が国民に公約した国鉄の再建整備ということは、もう三年目で終わるということです。来年度並びに四十年度はもうこれば全然できない。そこで最近では、大体第二次五カ年計画は三十九年度、来年一ぱいで打ち切って、あらためて四十年から第三次計画をやるというふうに、何回計画の練り直しをしましても、こういうことでは国民は納得しないと思う。しかも今年度、三十九年度予算の中で、債務負担行為四百億を最終段階で大蔵大臣はつけたということですが、これはそのとおりでございますか。
  182. 田中角榮

    田中国務大臣 予算説明書につけておりますとおり、三十九年度に債務負担行為四百億円をつけました。それからいま御審議を願っております補正予算で百億の財投追加をやっております。
  183. 久保三郎

    ○久保委員 三次補正の百億は——三十八年度東海道新幹線の予算不足、これによりまして改良費二百五十億の流用、そのうちの百億は補正をいたしました。さらに今回百億補正でありますから、これは決して三十九年度の前貸しとか、前渡しではございません。むしろ三十八年度改良工事は、今度三次補正で百億入れても、帳面づらは五十億減っているわけです。  さらに、この債務負担行為ということについて大蔵大臣にお聞きしたいのでありますが、債務負担行為というのは、財政法によりますれば、発注をしてから年度内に完成引き渡しはできないから、そういうものに対して、国鉄でいうならば、これは債務負担行為であります。予算が足りないから、債務負担行為でやれというのは、財政法からいって脱法行為ではないでしょうか。いかがでしょう。
  184. 田中角榮

    田中国務大臣 予算が足らないから債務負担行為四百億をつけたのではありません。御承知のとおり、改良工事費につきましても大幅な増額を認めておりますし、なおまた、保安工事につきましては、要求どおり二百七億全額認めておるのであります。しかも三十八年度の補正百億はあとから考えたことでありまして、三十九年度の予算折衝のときには、三十九年度以降、四十年度以降に竣工するような工事費が削られておりますので、それに対してどうするかということでありました。何に使うのかということになりますと、長大隧道というようなものは債務負担行為で契約ができないと、一万メートルの隧道に対して千メートルずつ契約をするというわけにはいきませんので、ちょうど防衛庁費で軍艦の建造に対して債務負担行為をつけて契約だけを行なうように、そのような方法をとることによって、三十九年度以降に完成する仕事に対しても計画を進められるという要求がありましたので、五百億のうち四百億認めたわけであります。
  185. 久保三郎

    ○久保委員 債務負担行為の中身は、おおむね明確になっているはずであります。ところが、実はつかみで四百億債務負担行為で帳じりを合わせたというのが真相ではないかと思うのです。いま大蔵大臣から具体的に隧道の話が出ましたが、来年度、債務負担行為で隧道は五十七億ですよ。これは目的に明示してあるのであります。全部目的に明示してあるのですが、少なくとも予算案確定の時期においての四百億というのは上積みでしょう。いうならば、国鉄のこれこれは、かかる理由によって債務負担行為が必要だという要求に上積みしたのです。とにかく約一千億減らしたから、百億は三十八年度三次補正であげます、あとの四百億は債務負担行為でやる、これで大体差し引きして五百億ほど足りなかったのだが、まあこれでがまんしろというのが予算実態ではないかと思うのです。  そこで、石田総裁がおいででありますからお尋ねいたしますが、あなたが総裁になられる以前には、御案内のとおり、諮問委員会のメンバーでもあったし、監査委員長でもおありでありました。そこで、ここに私は持ってまいりましたが、三十八年の五月十日に出しました国鉄経営のあり方についての答申書、これは運輸大臣、総理大臣大蔵大臣等にもそれぞれ諮問委員会からお話をしたはずであります。この諮問委員会の答申、さらには御承知のように、鶴見事故に対するところの諮問委員会からの答申、これまた、昨年十二月にあなた並びに運輸大臣、政府に全部答申という形で出ました。さらに最近、これは出おくれた証文みたいでありますが、しかし中身はかなり貴重な報告書になっております。運輸大臣の手元にありますところの、国鉄の監査委員会からの鶴見事故の特別監査報告書、こういう関連した三つ、四つの答申なり報告書に三十九年度予算はこたえておりますか。いかがでしょう。
  186. 石田礼助

    石田説明員 遺憾ながら、われわれの要求というものはだいぶ切られまして、結局、大蔵大臣に三拝九拝して、債務負担で四百億の予算、さらに百億円の予算と、こういうことで満足しなければならなくなったのでありまして、私としては、これはもう国家財政の大勢からしてやむを得ぬ、したがってこれでもって何とかひとつやっていこう、こういう覚悟でいろいろ工作をやっておる次第であります。
  187. 久保三郎

    ○久保委員 こたえておらないということであります。しかし石田総裁もかどが取れまして、非常にまるくなりまして、国家財政上やむを得ぬ、これで何とかやっていこう、前の総裁と同じ答弁になりまして、はなはだ残念であります。これでは最近続発する事故に対しても、国民的要求にこたえられているとは私は考えておりません。これはどういう原因かというのです。大体あなたのほうで立てる五カ年計画というのは、どこでオーソライズされているのですか。第一次五カ年計画、第二次五カ年計画、いずれも中途はんぱでございますが、何が原因でこれは中途はんぱになるのでございますか、お考えはどうでしょう。
  188. 石田礼助

    石田説明員 久保さんも御承知のとおり、国鉄が何がゆえに第一次五カ年計画を立てたか、何がゆえに第二次五カ年計画を立てたかということでありまするが、第一次五カ年計画というものは、結局、終戦後における過小の投資というものによって国鉄というものは修繕もろくすっぽできておらぬ、いわんや輸送力の増強もできておらぬ、こんなことではとても国鉄としてその使命を達することはできぬというところで、つまり第一次五カ年計画というものを立てたのですが、その後における物価の騰貴、人件費の増その他でもって、第一次五カ年計画をもってしてはとてもだめだ、こういうところで、第三次五カ年計画に乗り移ったのでありまするが、ところが、それをやってみるというと、またぞろ同じようなことなんです。たとえば第二次五カ年計画にいたしましても、三年を経過した三十八年度の末において、わずかに四割しか達成できぬ。そこで、私が国鉄総裁になりましてから、国鉄としては、これまではなはだ遠慮した予算を要求したのでありまするが、私としては、要求すべきものは遠慮することはないんじゃないかということで、思い切った予算を出した結果、御承知のとおりのような予算になっておるのでありまして、これは大蔵省としても私は非常に驚いたと存じますが、まあさっき申しましたような財政上の大勢いかんぜんということで、目をつぶって、つまり悪戦苦闘しよう、こういう次筋であります。
  189. 久保三郎

    ○久保委員 どうも石田総裁の御答弁は、大蔵大臣運輸大臣がおられるせいかまるくなり過ぎちゃって、実際は答弁になりません。私に対する答弁は、それで国会答弁で終わっていいのですが、実際に、たとえば最近起きた事故は何件あります。一日おき二日おきでしょう。これはもちろんいろいろな原因がありますよ。ありますが、いうならば、指摘された、この幾つかの諮問なり報告書に盛られた、要約した意見というのは、大体過密ダイヤに表現されるところの輸送力不足の問題、さらには、保、安対策の問題がやってくる。いわゆるいうならば投資不足ですね。五カ年計画というのは、私が聞きたいのは、これはだれがオーソライズしたものかと、こう聞いておるのですよ。国民に対する公約じゃないですか。三十六年の運賃値上げのときに、第二次五カ年計画ということで乗りかえたのですよ。ところが、この要求にこたえられないばかりか、最近は、百何十万の足どめまで朝出勤時にやる、こういうことでいいかというのです。もちろんこれは総裁だけの責任じゃないでしょう。私は政府に聞いているのですから。私は、もちろん国家財政に限りがあることも知っています。知っていますが、今度の予算ぐらいふまじめな予算はないだろうということなんですよ。債務負担行為四百億、これは財政法上の脱法行為、不当ですよ。これは精神を確かに踏みにじったものです。もちろん今度の予算全体を見ましても、われわれの関係するようなものでは、まあ運輸省の予算の中で見ますと三兆二千五百五十四億のワクで押える。ミンナニイイヨサンということで、押えるのに苦労して足を踏み出したことがたくさんあります。たとえば自動車検査登録特別会計とか、国立大学の特別会計とか、あるいは地方のいわゆる減税補てんの債券とか、こういうのがいろいろあります。しかしそれはそれでいいけれども、四百億の債務負担行為はどうも納得しかねる。大蔵大臣、これはあなたおっしゃるけれども、それを何といったって最後は政治的に解決したということですよ。言うならばいわゆる政治的に解決した。それが証拠に、仄聞するところによると、そのときにいわゆる三十八年度百億三次補正する、四百億は債務負担行為でつけましょう。しかも今度はそのあとにあなたがおっしゃったことは、優先補正の措置を講ずるということを言われたそうですね。優先補正を講ずるというんでは、三十九年度予算ではとうていできないから、まあまあできないときには優先的に国鉄には補正をしてやるから、これで引き下がれということでこれは解決したと聞いています。それからもう一つ閣議の申し合わせ事項で、今後来年度、いわゆる四十年度から国鉄の基本問題についてやはり考えなければいかぬということで、政府と党がひとつ基本問題について委員会をつくる、資金計画にあわせて……。これは言うならば三十九年度まで何もやらなかった、三十八年度一ぱい遊んでいたということ、この問題には関心を持たなかったという証拠ですよ。だから、私はことばが過ぎるかもしれませんが、ことしの国鉄予算ぐらいふまじめな予算はない。続出するところの交通事故、渋滞するところの輸送に対する何らの誠意も見られないということが私の言いたいところなんです。大蔵大臣いかがでしょうか。
  190. 田中角榮

    田中国務大臣 御発言の中であげ足をとるわけじゃありませんが、ふまじめな予算というよりも、全くまじめであり積極的な予算であるということだけは、ひとつ御理解賜わりたいと思います。これは法律に基づいて債務負担行為をつけたのでありますから、昭和四十年度以後に必ず落とすのであるということだけ申し上げておきます。  御承知のとおり改良費を見ましても千七百五十四億円、三十八年度の改良費に対して二九%増であります。いままでのこの委員会における一般会計及び財政投融資等の規模に対する御質問でも、前年対比二〇%余の財政投融資を組むとは何ごとであるか、こういうことのおしかりを受けておるわけでありますが、鉄道その他はこれでもなお不足だという事情もございますので、こういうことを申し上げておるわけでありまして、対前年度二〇%の中で改良費のみでも二九%増の予算を組んでおるということに対しては、政府の前向きの施策を理解いただきたいと思います。  それから五カ年計画の問題でありますが、確かに国鉄が五カ年計画をおつくりになっておりまして、この問題に対してこれが大きいとかどうとかということを申し上げるわけでありませんが、当初の五カ年計画をつくりましたときにはわれわれも関知をいたしておりましたし、大蔵省も乏しい財政の中からこれが完成に対して努力を惜しまなかったわけであります。ところが、東海道新幹線の工事の途中におきまして、千八百億の大幅追加が行なわれたわけであります。でありますから、この追加なかりせばという観点で計算をしていただくと、当初の五カ年計画は完全に遂行せられるぺ−スに乗っておるわけであります。しかし、その後の事故の問題その他に対しましても、十分対処しなければならない責任を感じておりますので、乏しい財政の中からもできる限りの努力をいたしたわけであります。国鉄総裁運輸大臣等の折衝においても、新幹線が済めば来年度六百億に近いワクがあくのであるから、もう一年間なんとか待ってもらえないかということも申したわけでありますが、鶴見事故の例に徴しても、このままで引き下がるわけにはいかぬということの発言があり、私もその事情を認めて今年度百億、来年度すなわち三十九年度に債務負担行為を四百億つけたわけでありまして、在来の予算のつけ方としては前向きであるということは言い得ると思います。ただ先ほどからお話のあるとおり、都市交通の現状、国有鉄道に対する総合的な判断に基づく問題につきましては、先ほどもあなたが御発言なされたとおり、政府も新事態に対処して鉄道の将来はどうあるべきか、こういうことを真剣に検討したい、このように考えておるのであります。何ぶんにもことしは公共料金のストップとか、いろいろな問題がありまして、最も条件の悪い中で国鉄予算に対してできる限りの努力をしたという誠意は、ひとつ認めてもらいたいと思います。
  191. 久保三郎

    ○久保委員 まあ大蔵大臣のせつないお話でありますし、一応時間もありませんからさきにまいりますが、ただ五カ年計画は、これは運輸大臣に前の委員会でもお尋ねしましたが、もう一ぺん確認したいのです。石田総裁のお考えは前に聞いておりますからよろしいのですが、五カ年計画は国鉄独自で立てて、それで予算の要求は毎年度やったのでは実際に計画どおりいかない。これはやはり道路、港湾と同じように、五カ年計画というものは政府そのものがオーソライズするというところにいかなければ、これは経済企画庁長官もおいでですが、そういう格好にしなければ実際はコントロールがきかぬのです。いかがですか、運輸大臣
  192. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 私もさように考えまして、この予算がきまりました予算決定の閣議に発言をいたしまして、国鉄のすべての問題につきまして根本的に調査をし、そうして政府として善処する方法について根本的に考えてみようというので、内閣に調査会をこしらえてもらうように要求いたしまして、着々その構成方について官房長官の手元において目下検討中のように伺っております。石田総裁も催促されたようだし、私も催促いたしたい、そういう見方をいたしております。
  193. 久保三郎

    ○久保委員 私は調査会をつくることに別に反対はいたしません。いたしませんが、私がお尋ねしているのは、調査会をつくるのは中身について御検討いただくことはけっこうでございますが、道路や港湾と同じように五カ年計画というものを政府がコンクリートするという責任がまず確立さるべきだという話をしているのですよ。その中身について、どう五カ年計画なり十カ年計画をやるべきかは、これはその財源措置について調査したほうがいいです。それはいいです。しかし、少なくともいま国鉄は自前でやっていて、かってにやっているというと語弊がありますが、ほんとうを言えば、かってに立てた五カ年計画です、政府から見れば。予算は毎年度要求によって調理するというのでしょう。そういうやり方ではだめだと言うんです。いかがでしょう。道路や港湾と同じように、言うならば整備再建措置法というものでもつくって、五カ年計画は閣議決定にするというところまで持っていくべきではなかろうかというのが私の主張です。いかがですか。
  194. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 そういうことを含めまして調査をしようということであります。
  195. 久保三郎

    ○久保委員 次に、この国鉄事故——事故は国鉄ばかりじゃありませんが、時間もございませんので国鉄事故で二、三念を押しておきたいのであります。鶴見事故についてはいわゆる貨車の車両列、これに対する研究をひとつしろということがございます。それからもう一つは新進貨車車両、こういうものは量産体制に入るその前に、徹底的な試験研究をしろというのです。ところが聞くところによれば試験研究、この勧告に従っているかいないかはわかりませんが、車両は量産体制とか、そういうもので発注しているそうでありますが、これはどういうことなんですか、石田総裁
  196. 石田礼助

    石田説明員 最近における貨車の脱線というようなことにつきまして、貨車そのものに非常に欠陥があるのじゃないかというようなことについては徹底的に研究をしておるのでありまして、これから量産する場合においては、十分テストした上で量産に移る、こういうことについて慎重な態度をとってやっておるのであります。
  197. 久保三郎

    ○久保委員 それでは、いま発注の段階ではないというふうに承知してよろしいでしょうか。すべての車両について、安全性についてもう少し検討を加える、それから量産体制に入るということでありますか。
  198. 石田礼助

    石田説明員 研究した上で、いま発注しておる貨車に欠陥があるということが明らかになりました場合には、これを取り消して、改定するなり何なり、適当の方法をとりたいと存じております。
  199. 久保三郎

    ○久保委員 総裁に、もう一つだけお尋ねします。  特に最近事故に対する対策は真剣になりつつあるようでありますが、実際問題として、たとえばこれは大蔵大臣もおいででありますが、保安対策については大体五カ年計画の計画どおりぐらいの予算しかつけていないのですよ。これで足りるのかどうかということです。これは足りないというのが常識になっております。二百七億来年度つけているわけでありますが、それでは実際に足りない。われわれの計算でも、どうしてもそんなものでは足りない。もう少しこれを、重点的にワクを広げるお考えはございますか。石田総裁並びに運輸大臣からお聞きしましょう。
  200. 石田礼助

    石田説明員 保安対策の問題につきましては、幸いに大蔵省も非常に同情してくださいまして、われわれの要求というものは大体においていれられておるのでありまして、たとえば自動停止機の問題、その他踏切の問題ということにつきましては、大体四十年の終わりにおきましては、まずわれわれが企図するようなことはできるのじゃないかということに考えております。
  201. 久保三郎

    ○久保委員 総裁、こまかいことでおわかりにくいのではなかろうかと思うのでありますが、四十年度までには大体できるというのですか。計画全体は六百七十何億の予算ですよ。これではとても足りないということですよ。たとえば車内警報機一つ、なるほどこれはできましょう。新たな事故がたくさん出ているのですね。そうなりますと、こんな額ではとても足りない。保安対策の全体計画を練り直す、検討をするという考えは今日持っておられませんか。
  202. 石田礼助

    石田説明員 車内警報機の問題、それから信号保安設備に関する問題、踏切に関する問題につきましては、大体ただいまの予算でもっていくのじゃないか、足りなかったところでたいしたものじゃないということに考えておりますので、これは久保さんが御心配なされるようなことはないと私は存じております。ただ、お断わりしておきますが、かりに踏切をわれわれがだいじょうぶだと思って適当の設備をいたしましても、なかなか勇敢なる運転手が多いのだ。遮断機をかけておる、それを突破して渡ろうとする人もおりますし、遮断機をかけても、その下をくぐって渡ろうとするような勇敢な少年もおる。こういうようなことで、設備をしたから即そこに安全があるということには、これはできない。これはひとつ十分御了承を願いたいと存じます。
  203. 久保三郎

    ○久保委員 それは石田総裁の領分外でございまして、あなたは自分の身を守るというのがまず第一だと私は思うのであります、これはたいへん失礼な言い分ですが。私の言いたいのは、なるほど踏切はそうかもしれませんぞ。しかし、たとえば鶴見の事故、それからこの間の事故一つとってみても、実際には完全じゃないのです。そういう対策についてもっと万全を期すべきだ。  それから、もう一つは、過密ダイヤからくるところの運転士の過労、これ一つとりましても六百何十億には入っていないのですよ。二分ヘッドあるいは一分五十秒ヘッドで走る運転士は、二秒間に一本の信号機を見ておる。ブザーが鳴りどおしでは、残念ながらどのブザーが鳴っておるかわからぬという状態ですよ。そういう根本的な保安対策を考えた場合に、そんなみみっちい計画では、残念ながら私は不可能だと思うのです。  そこで最後にお尋ねしますが、これは諮問委員会の答申にもあったように、国鉄は言うべきことは国民並びに政府、国会に向ってはっきりものを言えというのが、あなたも加わった諮問委員会の答申ですぞ。はっきりものをおっしゃったがいいのじゃないですか、いかがでしょう。
  204. 石田礼助

    石田説明員 国鉄の事故、ことに大きな事故の根本原因は、何と言っても過密ダイヤ。いかに信号装置を完全にしましても、いかに踏切装置を完全にしましても、その他自動停止機だとかやってみても、この過密ダイヤというものの上にスピードアップして運転せねばならぬ。世界の人が見て、いわゆる軽業芸をやっておる間は、事故が起これば大きな事故になる要因はちゃんと潜在している。これは久保さんも御承知のとおり。これを解決するにはどうするか、これは大きな問題ですよ。これは一年、二年で解決がつくものではない。なぜ一体こうなったか。これは過去における過少投資の累積ですよ。たとえば昭和二十四年ころにはたった二百億しか投資していないのだ。二十四年から、三十一年まで、投資という目新しい投資はやっていない。ようやく三十二年から第一次五カ年計画というものに移った。これはなかなか一朝一夕に解決がつく問題ではない。これをやろうというのが今度の第三次計画。それで、私は少なくともこの一端として、三十九年度においては、第二次五カ年計画を三十九年、四十年に完成したい、こういうことで思い切って要求をしたのでありますが、どうも国家財政の大勢で、やむを得ず口をつぶって引き下がらざるを得なかったということで、この過密ダイヤの解消ということにつきましては、久保さんも十分御承知のことだろうと思う。ついでに私は言うのだが、ああいう過密ダイヤがあるゆえに大きな事故が起こる。そのたびに国鉄はひとり火つけ強盗になるのだ、佐倉宗五郎になるのだ。一方国会も政府もこれには同情してくれはせぬ。私は国鉄総裁を引き受ける時分には、大石内蔵助になる覚悟で引き受けた。またこれから起こりますよ。これは政府、国会というものがよく国鉄の事情を御理解下すって、そして今後来たる第三次五カ年計画の場合には、これを解消するような十分な予算をちょうだいしたいということを、あらかじめお願いしたいと思います。
  205. 久保三郎

    ○久保委員 国会というか、私は、あなたと同じくらいによく理解しているから申し上げているのですよ。ただ、大蔵大臣もおられますが、先ほどの御答弁で、来年度予算は改良費も約四百億くらいよけいつけた。伸びも多いということでありますが、これは残念ながら五カ年計画全体から見れば、来年度予算満ぱいでありましても六割ですよ。これはなるほど大蔵大臣、三十九年度予算だけ見ていれば、ずいぶん骨を折って上げたということになりますが、全体計画から見れば、実際言うてちっとも多くはなっていません。これは時間の関係がありますから御答弁は、要りませんが、少なくとももう少し真剣になって扱うべきだ。  それからもう一つは、経営者の責任とい亀のは、国会も政府ももう少し理解してくれと石田総裁はおっしゃるが、理解させられないのはあなたの責任ですぞ。事故が起きた場合には、いわゆる従業員の責任もあります。過失、錯誤に基づく事故は、当然その職員が負うべきです。それと同時に、経営全体の責任は、やはり経営者にあるということを、これは私が申し上げる必要がないほどあなたは御承知のはずでありますから、だから責任が負えないときには、責任が負えないとおっしゃるべきでないかというのが私の主張なんです。私は、三十九年度予算は、大体において責任は負えないのではなかろうかと思うのです。このとおりの計画は実行しかねる。しかも五カ年計画は、これは残念ながら公約に反してできませんということでありますよ。天下に向かって公表すべきです。さらに、保安対策については、できます、とんでもない話だ。六百何十億、そういうことをあわせて考えないと、単なる国会答弁で、これは帳じりを合わせていくべき問題でないと私は思う。なるほど事故の原因についてはいろいろありましょうが、そのいろいろな原因を集約したものはその一点に尽きるのではないかと私は思います。以上申し上げてこの問題を打ち切ります。  時間がありませんから、委員長、もう少し海運問題についてお尋ねいたしますが、海運問題は一つだけここで通産大臣にお尋ねしたいのでありますが、OECD加盟に伴って外国用船規制の問題は、御案内のとおりタンカーは二年、専用船一年の猶予期間をおいて自由化するということに今回なったわけなんです。ところが昨年の二月でありますか、海運二法が上程されたときに、御承知のようにあなたは本会議において、これは存続するというような考えでおる、そういう御答弁をなさったと思うのでありますが、これはだいぶ違うと思うのですが、いかがでしょうか。
  206. 福田一

    福田(一)国務大臣 昨年の本会議において御答弁申し上げました趣旨は、OECDではなくてIMFの貿易為替の問題に関連して御答弁いたしたつもりでございまして、その場合におきましても、この海運の問題については、IMFに入る場合においても八条国移行をした場合においても考えなければならぬ、こういうことは申し上げました。しかしOECDの場合は、これは久保さんもよくおわかりと思うのですが、これは入るときにあたっては、やはりある程度の制限をつけなければいけないということで、種々政府の間でも考慮いたしまして、結果的に入ったほうが効果があるというので、一定の制限をつけて入ることにいたしたわけでありますので、御了承願いたいと思うのであります。
  207. 久保三郎

    ○久保委員 時間もありませんからなんですが、なるほどIMFの問題にからんでそういう御答弁でありました。しかし、問題は同じですね。この問題についてはまたあとでやりますが、少なくとも海運政策に対する大きな変更だと思うのです。運輸大臣はどう考えておられるか、簡単に御答弁をいただきたい。  それからもう一つ申し上げたいのは、このOECD加盟に伴って用船規制をはずす、それによって今度はいわゆるタンカーその他の計画造船に融資比率を上げたというのは、これでOECD加盟の条件と大体とんとんで、再建整備は成り立つのかどうか。  さらにもう一つの問題を申し上げますが、現在海運会社は六つのグループで集約、合併の段階にありますが、先般運輸委員会でもお尋ねしたように、どうも不明朗なものがたくさん出てきている。善後措置はとられるかどうか。それからもう一つは、重役陣営のいわゆる合理化というか、そういうものはちっともなされておらないように聞く。機構は膨大になる、幾つかの会社が合併すれば、重役がそのまま居残るということでは、残念ながら前向きの海運対策にはなり得ないと思う。こういう機構の問題あるいは経営陣の問題について適切な指導があってしかるべきだと思うが、いかがでしょう。
  208. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 そういう点につきましては、御承知のように海運再建整備審議会がございますから、その審議会で適当と思うところに持っていきまして、私どもは海運の再建を推進いたしたいと存じます。  OECDに入ることによってこれと矛盾しやしないかとおっしゃいますが、OECDに加盟するということにつきましては、海運政策の面からいえば、あるいは制限ができなかったことに若干の狂いはあるかもわかりませんが、それを償うために、国家財政におきまして非常なる意欲を見せられまして、御承知のように、近年にない建造資金の財投をふやしていただきました。その他いろいろな方策が講ぜられておるから、私はこれで海運再建が不可能になったとは考えておりません。
  209. 久保三郎

    ○久保委員 そこで海運の問題は、あなたはいま審議会にはかってと言うが、審議会にはかる段階ではなくて、これははかる以前の問題でしょう。経営陣がどうあるかとか、あるいは退職金の問題とか、そういう指導がなされないで、審議会を通してからでは事は終わりますよ。それでは、この間私が質問した退職金の問題は善処しますというのは、その善処はどういうふうにされましたか。
  210. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 今後私どもは、あなたの趣旨に従いまして、その退職金その他の問題につきましては指導していきたいと思っております。
  211. 久保三郎

    ○久保委員 時間がありませんから、最後に一つだけ申し上げて終わります。先ほど石田総裁から御答弁がありました中で、これは今後も事故がなくならぬということは保証しがたいというお話がありましたが、これはたいへんだと思うのですがね。これに対して大蔵大臣運輸大臣はどういうふうに考えられますか。
  212. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほども申し上げましたように、乏しい財政の中から可能な限り最大限の努力をいたしておるのでありますから、国鉄当局も運輸省と十分連絡をとりながら、いやしくも事故を起こさないように万全の態度で、国民が毎日利用せられておる国鉄でありますから、もう起きてもしようがないのだ、起こるだろうというようなことはいやしくも考えず、万全をひとつ尽くしていただきたいと思います。しかし、きのうの運輸委員会でも申し上げたとおり、今年度はいろいろな問題があり、制約もありますが、国有鉄道のどうあるべきかという姿に対しては、道路と港湾と鉄道という面から十分検討して、できるだけ早い機会に新しい角度に立った国鉄再建策を考えようということを政府も言っておるのでありますから、今年度の予算のうちは、少なくともこの予算によって大きな事故を起こさないようにぜひお願いしたいと思います。
  213. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 石田総裁の言われたような心がまえでいくことは私はどうかと思いますが、とにかく事故を起こさないように上下一致して、国家財政の許す範囲内の投資額において国鉄を守っていくということこそ、私は運輸行政に携わる者の心得と考えておりまして、そうするように努力いたしたいと考えております。
  214. 久保三郎

    ○久保委員 終わりますが、両大臣おられますが、あの石田総裁のお話は、実際言うと政府不信任ですよ。そうおとりになりませんか。とにかく責任を持っていけないような話ですよ。われわれもそう思うのです。別にことばじりをつかまえてどうこう言うわけではありませんが、そこまでのいわゆる事態にきていることを閣僚は認識されなければ困ると思う。いずれにしましても、海運の問題についても、大蔵大臣もお聞きいただきたいと思うのですが、前向きで考えるというなら、もっと経営陣は真剣になるべきだ。重役は両方の重役がそっくりそのまますわるとか、重役の漸減計画もない。ただ社員の漸減計画は五年間つくる、退職金は目一ぱいつくっていこうというような根性では、自由化の中で海運、しかもシップ・アメリカンの中でやっていけるはずは実際いってないのですよ。私は最後にそれだけ警告して質問を終わります。
  215. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これにて久保三郎君の質疑は終了いたしました。  この際御報告いたします。来たる二月十日月曜日及び十一日火曜日は、昭冠三十八年度補正予算三案の審査を行ないますから、御了承願います。      ————◇—————
  216. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 次に、この機会におはかりいたします。明後十日の昭和三十八年度補正予算の審議に際し、日本銀行総裁山際正道君を参考人として本委員会に出席を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次会は来たる二月十日月曜日、午前九時三十分から開会し、昭和三十八年度補正予算に対する質疑を行ないます。  質疑者は午前井手以誠君、午後中井徳次郎君であります。井手君の出席要求大臣は、総理大臣、法務大臣、外務大臣大蔵大臣、農林大臣通商産業大臣運輸大臣、郵政大臣自治大臣及び経済企画庁長官であります。中井君の出席要求大臣は、総理大臣、外務大臣大蔵大臣文部大臣、厚生大臣運輸大臣及び自治大臣であります。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十一分散会