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1964-02-11 第46回国会 衆議院 本会議 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十一日(火曜日)     —————————————  議事日程 第五号   昭和三十九年二月十一日    午後二時開議  第一 昭和三十七年度     昭和三十八年度衆議院予備   金支出の件(承諾を求めるの件)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  災害対策を樹立するため委員四十人よりなる特   別委員会を設置するの件(議長発議)  昭和三十八年度一般会計補正予算(第3号)  昭和三十八年度特別会計補正予算(特第3号)  昭和三十八年度政府関係機関補正予算(機第3   号)  日程第一 昭和三十七年度       昭和三十八年度 衆議院   予備金支出の件(承諾を求めるの件)  経済協力開発機構条約締結について承認を求   めるの件の趣旨説   明及び質疑    午後二時十一分開議
  2. 船田中

    議長船田中君) これより会議を開きます。      ————◇—————  災害対策を樹立するため委員四十人よりなる特別委員会を設置するの件(議長発議
  3. 船田中

    議長船田中君) 特別委員会の設置につきおはかりいたします。  災害対策を樹立するため委員四十名よりなる特別委員会を設置いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  ただいま議決せられました特別委員会委員は追って指名いたします。      ————◇—————  昭和三十八年度一般会計補正予算(第3号)  昭和三十八年度特別会計補正予算(特第3号)  昭和三十八年度政府関係機関補正予算(機第3号)
  5. 小沢辰男

    小沢辰男君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、昭和三十八年度一般会計補正予算(第3号)、昭和三十八年度特別会計補正予算(特第3号)、昭和三十八年度政府関係機関補正予算(機第3号)、右三件を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  6. 船田中

    議長船田中君) 小沢辰男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程追加せられました。  昭和三十八年度一般会計補正予算(第3号)、昭和三十八年度特別会計補正予算(特第3号)、昭和三十八年度政府関係機関補正予算(機第3号)、右三件を一括して議題といたします。     —————————————
  8. 船田中

  9. 荒舩清十郎

    荒舩清十郎君 ただいま議題となりました昭和三十八年度一般会計補正予算(第3号)、昭和三十八年度特別会計補正予算(特第3号)、及び昭和三十八年度政府関係機関補正予算(機第3号)につきまして、予算委員会における審議経過及び結果を御報告申し上げます。  本補正予算三案は、去る一月二十一日予算委員会に付託され、同二十五日政府から提案説明があり、昨日及び本日の二日間審議を行ない、本日、質疑終了後、討論採決をいたしたものであります。  まず、補正予算の概要を申し上げますと、一般会計におきましては産業投資特別会計及び同資金への繰り入れ義務教育費国庫負担金等義務的経費不足補てん、その他を合わせ、総額八百二十六億円を追加計上するもので、その財源としては、所得税法人税等増収額を充てることになっております。また、特別会計におきましては、産業投資交付税及び譲与税配付金失業保険の三会計政府関係機関におきましては、日本国有鉄道予算補正を行なうものであります。  次に、予算委員会審議経過を申し上げます。  質疑は、補正予算計上内容緊要性の有無、産業投資特別会計資金への繰り入れの是非につき行なわれましたほか、補正予算に関連して、消費者物価及び国際収支中心とした三十九年度経済の見通しと、その運営方針漁業協定中心とした日韓会談、対国民政府政策、対中共政策国鉄等政府関係機関予算のあり方、農業政策公害対策、その他各般にわたり行なわれました。また、金融政策につきましては、日本銀行総裁の意見も聴取いたしましたが、その内容の詳細は会議録をごらん願うこととして省略させていただきます。  本日、質疑終了後、討論に入り、日本社会党反対自由民主党賛成民主社会党反対討論があり、採決の結果、いずれも政府原案のとおり可決された次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  10. 船田中

    議長船田中君) 三件につき、討論の通告があります。順次これを許します。辻原弘市君。   〔辻原弘市君登壇
  11. 辻原弘市

    辻原弘市君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になりました昭和三十八年度補正予算第三号、特第三号及び機第三号等につきまして、反対討論をいたしたいと思うのであります。(拍手)  初めに私の申し上げたいことは、現下日本経済における高度成長政策破綻があまりにも明らかになってきた点であります。  そもそも、いわゆる高度成長政策というのは、昭和三十年ごろから自民党政府と財界によってとられた基本政策でありましたが、池田内閣は、その基本政策の路線の上に乗っていわゆる所得倍増計画なるものを開始いたしたのでありました。池田内閣所得倍増政策は、これを一緒にしていうなれば、大資本本位設備投資を急激にふやし、これをモメントとして国民総生産の成長率を高めようということであります。池田内閣は、対外的にはアメリカからの外資の借り入れに、対内的には国民からの租税の収奪、日銀からの通貨増発、及び財政投融資を通ずる国民の零細なる資金の動員、こうした金づくり政策によって生み出した資金を、大資本設備投資と、またそのための産業基盤投資に集中的に注いできたのであります。この結果得られたものは、所得倍増どころではなくて、所得格差拡大物価の急速な騰貴、そして国際収支の構造的な赤字であったのであります。これは全くわれわれ社会党がかねてから警告をしたとおりになったものでありまして、所得倍増計画破綻は、すでにだれの目にも今日明らかであります。  現在の日本経済情勢といたしましては、昨年末から金融引き締め措置がとられております。そこで、指摘しなければならないのでありますが、従来の景気の循環はほぼ四年を周期としており、四年目ごと国際収支危機にぶつかっておるのであります。金融引き締めデフレ政策が今日までとられてきたのであります。しかるに、今回の引き締めは、去る三十六年九月の引き締めから数えてわずかに二年であります。このことは、日本経済国際収支逆調がいよいよ短期化し、しかも、その周期の中で好況期が短くなり、不況期が長引くという傾向を示しているのであります。これは、日本資本主義危機深刻化をあらわしたものにほかなりません。しかも、そのときに、わが国のIMF八条国への移行OECDへの加盟が、池田内閣方針として行なわれようとしておるのであります。すなわち、いわゆる開放経済体制への決定的移行であります。アメリカドル防衛措置を強化し、また、西欧諸国もむしろ種々の輸入制限措置を強めているときに、ひとりわが国開放経済体制移行するというこのすれ違いは、おそらく予想以上に深刻な打撃を日本経済に与えることは間違いありません。  こうした諸般の情勢を総合して判断するならば、いまやわが国経済政策は大きく転換しなければならない機が成熟しているのであります。しかるに池田内閣は、こうした情勢を全く認識しようとはいたしておりません。いわばすでに色あせた所得倍増計画破れ看板にしがみつき、波のまにまにただよっているという姿であります。(拍手)まさに日本経済をあずかる者としては、無能にして無責任のそしりを免れません。  それはこのたびの第三次補正予算を見れば明らかであります。八百二十六億の規模の第三次補正予算のうち、おもなる内容は、三百六十億の産投会計への繰り入れでありますが、このうち六十億は三十八年度輸出入銀行への追加出資に振り向けられるものであります。また、三百億は産投会計資金に積み立て、将来の経済情勢等に応じて弾力的に運用したいと言っているのでありますが、これには多くの問題点があります。  まず第一に、中小企業倒産が続出している情勢を指摘いたさなければなりません。すでに金融引き締めの始まる直前の昨年十一月に、負債総額一千万円以上の企業倒産が、驚くなかれ二百九件にも達したのであります。さらに、引き締め後の本年一月には、同じく一千万円以上の企業倒産は百九十八件、負債総額二百八十億円にも達しているのであります。年明けて早々にこのような多数の倒産が出ることは、まさに異常でございます。東京手形交換所の発表によりますると、一月中の不渡り手形届け出総数は六万枚に達しております。また、社会保障見地から考えてみましても、医療保障年金生活保護失業対策などどれをとってみましても、緊急の予算措置が今日必要であります。ことに、社会保障各種給付の水準は、物価の値上がりによって、実質的には大きく低下いたしておるのであります。農業を見ましても、牛乳、果実の価格問題などが深刻化し、農民は国の予算措置を今日待ち望んでおります。こうした国民生活面緊急性を持った事項には、三十九年度予算案を見てもきわめて不十分であります。したがって、三十八年度予算補正を行なうというのであれば、まず何をおいてもこうした方面に対して適切な措置をとるべきであります。しかるに、ここに提案されている政府案では、三百六十億を産投会計繰り入れるというのでありまするから、全く国民生活無視であります。しかも、その三百六十億のうちの三百億は産投資金に積み立てておいて、将来の経済債勢の変転に対応して弾力的に使うというのでありまするから、全く生きるか死ぬかの状況の中に、政治の救いの手を求めておる国民から見たならば、何というのんきな話ではありませんか。  第二に、この補正財源は何かといえば、それは租税自然増収であります。一体、租税自然増収はどうしてできるのか、このからくりは、今日ではだれでも知らない者はありません。本来、国民所得が実質的に向上して、それによって税の増収が出るのであるならば、これは本来の自然増収でありましょう。ところが、インフレ政策物価上界によって経済成長率が名目的に上昇し、そのために租税増収が出るというのであれば、これは全くの見せかけであり、実質的には増税といわなければなりません。しかも、この増税は、主として勤労大衆の肩にかかるものであります。かくして、池田内閣高度成長政策のおかげで、ここ数年来、勤労大衆自然増収の名のもとに、毎年、大増税をされてきていると申して決して過言ではないでありましょう。所得格差拡大し、企業倒産し、物価が上がり、それに加えて増税をされる、これが今日、一般勤労大衆の置かれている現状にほかなりません。そして、その税金が、今度は予算を通じて大資本のための投資に注がれる、このような姿では、何といっても、政治は片寄り過ぎると批判が起きるのはあたりまえであります。もし、池田内閣に一片の良心があるならば、高度成長政策の結果生まれた租税自然増収は、せめて社会の下層を引き上げ、経済ゆがみを訂正するために支出をしていただきたいと思うのであります。この第三次補正予算案は、まさにこうしたゆがみを是正するための補正予算であるべきが当然ではないでしょうか。私は、これこそ、財政法第二十九条の本来の精神であると確信いたすものであります。ところが、はたしてどうでありましょうか。ここに上程されている三次補正は、その主体が産投会計への資金繰り入れであり、これは輸出入銀行開発銀行を通じて大資本投資資金に振り向けられる、いわゆる格差ゆがみ拡大再生産の予算であると申して決して私は過言でないと思うものであります。(拍手)ここに第三次補正予算基本的性格があると思います。  このような補正予算案にわが党は賛成するわけにはまいりません。したがって、私は、以上述べました理由、以上述べました見地に立ちまして、政府に対して、次の趣旨による予算案の組みかえ再提出を主張するものであります。  すなわち、第一には、物価安定のための積極的な諸政策をとることであります。特に、公営企業における料金値上げを押えるために生ずる各種の矛盾を根本的に解決するための財政上、予算上の措置を講ずることが、今日の段階においてぜひとも必要であると考えるのであります。第二には、中小企業に対する積極的な財政措置、特に融資増とあわせて金利引き下げのための諸政策が必要とされるのであります。  第三には、政府の失政によって犠牲となった国民の諸階層に対して積極的な救済措置をとれということであります。特に年金受給者生活保護者など、物価高の中で生活苦にあえいでいる人たち生活権回復、また、勤労者が今日難渋をきわめておる住宅対策に必要な経費を、この際大幅に確保すべきことが必要であります。  第四に、なおこの際、以上の財政上の措置と相まって、中小企業救済東西貿易拡大のための抜本的な金融上の措置をとることを強く要求するものであります。  私は、以上申し上げました趣旨、また各般理由によりまして、ただいま提出せられておりまする第三次補正予算案には心から党を代表いたしまして反対いたすものであります。終わります。(拍手
  12. 船田中

    議長船田中君) 玉置一徳君。   〔玉置一徳登壇
  13. 玉置一徳

    玉置一徳君 私は、民社党を代表いたしまして、政府提出にかかります昭和三十八年度予算第三次補正の三案につきまして、反対趣旨を明らかにしたいと思います。  御承知のとおり、前回の補正は、主として公務員給与の引き上げ、食管会計農業共済会計への繰り入れ災害復旧費追加、並びに国鉄電電公社に対する追加融資等政策的な歳出補正であったのでありますが、今回の補正は、義務的経費既定経費不足補てん政策的補正としては、わずかに産投会計へ三百六十億円の繰り入れ国鉄に対する融資であります。  一般会計予算補正義務的経費十二項目既定経費不足補てん並びに不用額の削減についての補正は、行政当局として当然の措置でありまして、とれについて何ら問題があるのではございません。しかしながら、ただ一つ政策上の補正でございます産投会計への三百六十億円繰り入れに関連いたしまして、政府の第三次補正予算編成の基本的な態度につきまして、私たち民社党はこれを容認することができないのであります。そもそも財政法第二十九条によりますと、補正予算編成は、第一に経費不足補てんであり、第二に当初予算作成後に生じた事由に基づく経費支出または追加追加以外の予算の変更の場合に行なうことができることになっております。すなわち、補正予算編成は、単に経費不足補てんにとどまることなく、財源余裕は、当初予算編成後の新たな政策上の必要に基づきまして、積極的に補正予算編成すべきでございます。かように見てまいりますと、政府案の三百六十億円産投会計への繰り入れは、財政法上より見ましても、また政策的に見ましても、賛成することができないわけであります。(拍手)  政府案によりますと、三百六十億円の繰り入れのうち、日本輸出入銀行出資分は別といたしまして、その大部分はそっくりそのまま産投会計資金の中に、いわゆる備荒貯蓄としておこうというのでありまして、さしあたり特定の出資目標はないが、とにかく余裕財源をここにプールしておこうというのであって、このような措置は、財政法で規定する「歳出とは、一会計年度における一切の支出をいう。」という財政法の規定のおよそ無理な拡大解釈であり、単年度制財政制度という財政法上の本質を、行政当局みずから自分かってに破壊をしておるというほかはないのであります。(拍手)このことは、産投会計が毎年度ガリオア・エロア債務支払い百五十八億一千万円を義務づけられているところから、歳出補正の重点が、三十九年度並びに四十年度における対米債務支払い資金プールにのみ限定されておるということは、私たち容認すべきでないと思います。  第三次補正提出されておる現在は、ただいまも述べられましたとおり、経済情勢としては、昨年十二月以来の苛烈な金融引き締めによって、中小企業倒産、内整理、不渡り手形の発行が激増しているときであります。一月の東京における不渡り手形の枚数は実に六万枚に及び、前年一月より二割増であり、倒産件数また百九十八件、前年一月の二倍にのぼっております。最近、負債金額を見ますと、実に二百八十二億円で、戦後の最高を記録しておるのであります。政府は、このような情勢に対処しまして、資金運用部資金百億円の融資、市中に対する特別買いオペ百億円の対策を用意すると公表されておるようでありますが、この双方にも、短期融資方針でしかありません。政府金融引き締めが相当長期にわたることが必至になっているということは、先日の日銀総裁委員会における発言を見ましても明らかでありますが、現在このような短期融資中小企業金融難が糊塗され得ないことは皆さん承知のとおりであります。いわゆる中小企業の三月危機は、この程度政府方針ではとうてい救済し得べくもございません。今回の補正措置のうちで、中小企業に対する財政投融資が計上されていないのは、まことに不可解千万といわなければなりません。(拍手政府のいう中小企業に対する革新施策などは、まことにどこにいったかといわざるを得ないと思います。  また、政府は、首相の施政方針演説におきまして高度福祉国家建設を声高く主張されておることは皆さんの御承知のとおりでありますが、国民福祉最低必要条件ともいうべき住宅、上下水道、し尿じんかい処理等清掃施設につきましての予算額があまりにも不十分であることは、政府当局みずからが認めておいでになるところであります。  この程度の狭い範囲を一べつしただけでも、第三次補正について余裕財源のすべてを投入して果たすべき歳出補正項目は山積しておるのであります。民社党は、現在における国の施策としても、かつまた財政法に規定する補正予算編成制度論といたしましても、政府案が全く消極的である点をはなはだ遺憾と存じます。  わが党が、ここで政府に対しまして要求したい点は、  第一に、産投会計資金への三百億円繰り入れを中止し、このうち百五十億円を公営住宅建設費とし、残りの百五十億円を国民金融公庫に対する出資に切りかえることであります。  第二に、本年度郵便貯金簡保資金の伸びに見合って資金運用部資金よりの融資追加を行なうことは可能となっておりますので、この際、中小企業金融公庫に三百億円、商工中金に百億円の財政融資追加することであります。  右の二点について政府は思い切って予算を計上すべきであったと思います。この修正をいれない政府案に対しては、わが党は断じて反対をせざるを得ないのでございます。補正予算編成は、単なる行政上の事務であってはなりません。政治の血の通った全力投球でなければならないのでありまして、かかる見地から、補正予算編成に対する政府態度には全く気魄が見られないことは、私たちまことに遺憾に思うところでございます。  以上の見地をもちまして、私たち民社党政府案反対をいたすものでございます。(拍手
  14. 船田中

    議長船田中君) これにて討論は終局いたしました。  三件を一括して採決いたします。  三件の委員長報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  15. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、三件とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)      ————◇—————  日程第一 昭和三十七年度       昭和三十八年度衆議院予備金支出の件(承諾を求めるの件)
  16. 船田中

    議長船田中君) 日程第一、昭和三十七年度昭和三十八年度衆議院予備金支出の件を議題といたします。     —————————————
  17. 船田中

    議長船田中君) 議院運営委員長報告を求めます。議院運営委員長福永健司君。   〔福永健司登壇
  18. 福永健司

    福永健司君 議題に供せられました昭和三十七年度及び昭和三十八年度衆議院予備金支出の件について御報告申し上げます。  今回御承諾をお願いいたしますのは、昭和三十七年十二月二十四日から昭和三十八年十二月十九日までに本院で支出した予備金千二百三十八万円でありまして、その年度所属は、昭和三十七年度五百三十八万円、昭和三十八年度七百万円となっております。その費途は、いずれも在職中なくなられました議員の遺族に贈った弔慰金であります。  以上の経費は、そのつど議院運営委員会承認を経たものでありますから、御承諾くださいますようお願いいたします。(拍手)     —————————————
  19. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本件は承諾を与えるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、承諾を与えるに決しました。      ————◇—————  経済協力開発機構条約締結について承認を求めるの件の趣旨説明
  21. 船田中

    議長船田中君) 議院運営委員会決定により、経済協力開発機構条約締結について承認を求めるの件の趣旨説明を求めます。外務大臣大平正芳君。   〔国務大臣大平正芳登壇
  22. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 経済協力開発機構条約締結について国会承認を求めるの件につき、その趣旨を御説明いたします。  経済協力開発機構、すなわちOECDは、戦後十三年にわたる活動を通じて貿易自由化通貨交換性回復及び欧州経済復興に多大の貢献をした欧州経済協力機構、すなわちOEECを改組し、新たに米国及びカナダを加えて、一九六一年九月、その規模においても活動分野においても全く新たな機構として発足したものであります。同機構は、高度の経済成長、低開発国経済援助及び貿易拡大を基本的な目標として掲げ、現在西欧の二十カ国を加盟国として、経済金融貿易科学技術農業漁業、海運、原子力、教育等きわめて多岐な分野にわたる活動を行なっておりますが、その活動加盟国相互協調的関係を基礎とし、主として情報の交換、検討、多角的協議及び勧告の形で進められている点に独自の意義を有するものであります。  わが国は、同機構下部機関のうち、三大委員会一つに数えられる開発援助委員会、すなわちDACにはその発足当時から参加し、積極的に機構への加盟の態勢を整えてまいりました。ところが、昨年初頭からわが国加盟問題が次第に具体化し、同年五月から七月にかけ東京及びパリで行なわれました加盟交渉の結果、同年七月二十六日、機構理事会全会一致決定をもってわが国に対し正式に加盟を招請し、次いで前記交渉結果をまとめた了解覚え書きの署名が行なわれたのであります。  今次国会におきまして加入の御承認を求める経済協力開発機構条約は、OECD目的目的を達成するための基本的方針主要活動組織等の大綱を定めたものであります。また、前述の了解覚え書きは、わが国がいかなる条件のもとで機構加盟国となるかを具体的に示すものであります。その主たる内容は、総計二百三十二にのぼる機構の文書のうち、そのいずれについてわが国が適用を免れるかを明らかにし、他方、経常的貿易外取引及び資本移動自由化規約に関し、わが国が今後なお一そうの自由化を進めるが、総計八十二の自由化項目のうち、十七項目については一定の留保を付する旨を規定しておるのであります。かかる留保を通じて、自由化規約の受諾により、わが国経済特に中小企業等に好ましからぬ影響が与えられぬよう十分に配慮いたしておるのであります。  現在わが国は、IMF八条国移行、ガット関税一括引き下げ交渉への参加、貿易及び貿易外取引の自由化の促進等により、自由世界の開放経済体制の確立に努力しつつありますが、さらに経済協力開発機構への加盟により、欧州諸国、米国及びカナダを包括する世界の先進工業国の協力の場に入ることとなり、このことは国際的協調による繁栄を助長し、真にわが国経済を利すると確信するものであります。他方、自由世界の開放経済体制の進展に伴い、重要国際経済問題の多角的解決に際してわが国の利益をより積極的に反映せしめる必要があることは言をまたないのであります。経済協力開発機構における十分な協議、調整は、そのための好個の機会であると考えられるものであります。  最後に、わが国経済協力開発機構への加盟に関し看過してならないのは、加盟を契機として従来日米欧間に存在した連帯性を一そう緊密化し得るということであり、かつ、かかる先進工業国のみにて構成される機構における唯一のアジアからの加盟国としてのわが国は、アジア諸国の経済的利益を機構活動に反映せしめ縛ると考えております。  以上が、経済協力開発機構条約締結について御承認を求めるの件についての趣旨説明でございます。(拍手)      ————◇—————  経済協力開発機構条約締結について承認を求めるの件の趣旨説明に対する質疑
  23. 船田中

    議長船田中君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。松平忠久君。   〔松平忠久君登壇
  24. 松平忠久

    ○松平忠久君 ただいま趣旨説明のありました経済協力開発機構条約締結について承認を求めるの件に関して、私は、日本社会党を代表し、おもなる点について質問をし、政府の所信をたださんとするものであります。  質問の第一は、OECDの性格についてであります。  この条約は、欧州経済協力機構を改組して、加盟国をふやし、低開発地域援助の仕事を加え、加盟国経済の高度成長と、世界貿易拡大の推進力たらんとするものであります。その、歴史的発展の経過から見て、この条約は、第一に、共産圏の外側にある加盟国が、その高度成長と貿易の開放体制を推進し、共産圏と対立して優位な立場に立つこと、第二に、アメリカのドル防衛のために、低開発国援助にあたってアメリカの援助の肩がわりを行ない、低開発国を共産圏の影響から切り離して、自由諸国側に引きつけること、これを主眼とするものであり、大きな意味でアメリカの共産圏包囲政策の一環として役立たせんとする改組であったのであります。すなわち、軍事的に対共産欄包囲陣を続けてきたアメリカは、ドル不足の危機を切り抜けるための一つの方法として、軍事費や対外援助費を削減せざるを得なくなったやさきに、ソビエトにおいても、あるときは徐々に、あるときは急激に、非スターリン化の政策が行なわれ、対外的には戦争不可避論を引っ込めて、平和共存政策を前面に押し出し、内政面でもマルクス・レーニン主義の解釈を都合のいいように改め、国民生活の面でアメリカに追いつき追い越すことをスローガンとして、経済競争に重点を移しかえてきたのであります。この変化に対応するために、OEECをこの条約のような性格に改組したものがすなわちこのOECDであることは、世間周知の事実であります。  しかるに、総理は、一月二十四日本院における平岡議員の質問に対して、OECDが派閥機構だとかNATOのかわりだとかおっしゃるが、それはOECDの実体を御存じないからだと思います、こういうふうに答弁をして、この性格を否定いたしました。  そもそも、この条約が締結されたその翌年、すなわち一九六一年三月二十二日、ケネディ大統領は対外援助教書を提出しましたが、この教書において、低開発国を共産圏の影響から守るためには、軍事援助だけではだめで、経済援助が必要であると説き、その基礎はOECDの創設によって築かれていると述べております。さらに、その年十一月、OECD第一回閣僚会議において、アメリカ代表ボール国務次官補は、加盟国国民総生産を九年間に五〇%引き上げるべきことを提案しましたが、この提案は、ソ連共産党第二十二回総会の決定を意識し過ぎた提、案であるとの批判がスイス並びにスウェーデン等の代表からなされたために、年限を延長したいきさつがあります。さらに、その会議において議長をつとめたカナダの代表フレミングは、自由社会の連帯性とOECDの世界的使命を強調しましたが、そのことは、共産主義勢力に対応する旗じるしとして受け取られたことは今日常識となっているが、総理はこれらの事実を御存じないのかどうか、まず総理の認識の程度を承っておきたいと存じます。(拍手)  質問の第二点は、日本がこの条約に加盟せんとする真の動機及び理由は何か、また、何ゆえにこのように加盟を急いだかということであります。  この条約の成立後、政府加盟についてアメリカの意向を打診し、池田総理も一九六一年渡米の際に、ケネディ大統領にこれを持ちかけたけれども、時期尚早の答えであったようであります。自来二年間、事務的な、あるいは政治的な折衝が進められて、総理みずからも、先年渡欧の際に、熱意を傾け加盟に努力を傾倒いたしました。  一体、かように条約加盟に努力してきた理由は何であるか。条約の内容を熟読しても、日本の負うべき義務ばかり多くして、日本の享有すべき権利はほとんどございません。ただ、皮膚の色も違い歴史も違う戦敗国日本が、欧米の先進工業国と肩を並べて話し合いができ、一流工業国のクラブに加盟でき、国際的地位が上がるという満足感を味わうことと、情報交換を行なうことがその効果であるようであります。わが国において受け入れ体制もできていないのに、多くの犠牲を払って、加盟を急ぐ重大な理由は見当たりません。一昨年来、消息通の意向は、日本は加盟を急ぐ必要はない、黙っておれば、先方からぜひ入ってくれと言ってくるに違いない、こちらから頼んで入れてもらうようなことをすれば、よけいな義務を背負わされるだけだという見解でありました。はたして今日はそのような結果になっております。総理や内閣の功名心を満足させるために加盟を急いだとするならば、国民の迷惑を顧みない行為として非難されなければなりません。(拍手)総理の真意を問わんとするものであります。  第三点として、OECD加盟によって、日本の外交、経済にとり、将来心配になる点が多々ありますが、その中のおもな点について、逐次質問をしたいと存じます。  その第一は、海運問題であります。OECDにおいては南北問題があり、これに関連して、アメリカのドル防衛の片棒をかつがなければならないということがあるので、その運営にはアメリカの意向が初めから強く反映しておるのであります。すなわち、アメリカは最初からシップ・アメリカンの方針を条約付属文書によって加盟国承認をさせました。これに反して、日本は加盟の交渉において、長期用船契約について五年間の自由化延期を申し出たけれども断わられ、これを三年間に短縮したが、これもけられ、結局タンカーは二年間、石炭、鉄鉱石専用船一年間の猶予を認められただけであります。  さらに政府を糾弾しなければならないことは、昨年の国会において、五年間の日本の海運業を整備、統合する目的をもって、うかつにも海運業整備臨時措置法並びに関連法を制定したことであります。政府は、OECD加盟に際して五年間の延期を認めさせ得るとの観測があったのか、この整備法を出し、当時政府もこのような答弁をいたしておりました。しかるに、終局において、OECD加盟にあたって、この法律の内容とは違った国家意思を約束してしまったのであります。外交と内政との不統一をまのあたり暴露したこの不始末の責任はだれが負うのであるか、まことに重大といわなければなりません。運輸省の試算によると、今後四年間に毎年二百万トンずつ建造し、かつ積み取り率を大幅に引き上げなければ赤字は解消しないといっております。しかるに、来年度の計画造船は六十四万トン、一方海運の赤字は本年度四億一千万ドル、来年度は五億五千万ドルと逆にふえる見込みであります。総理は、一月二十四日本院において、貿易外取引の赤字は四、五年のうちに解消できるようなことを答弁しましたが、海運関係だけでも初めから見当違いの法律を出して、見込み違いの予算を計上して、一体どうやって赤字を解消するつもりであるか、総理のプログラムをお聞きしたいと思うのであります。(拍手)このような前代未聞の外交と内政との不統一の責任の所在と、海運業整備臨時措置法のあと始末と、赤字解消の具体的方法について、総理並びに関係大臣のまじめな答弁を要求します。  さらに、この際、昨年十一月十五日アメリカ政府海事局から出された命令第二十一号についてお尋ねいたします。  太平洋航路の外国船の運賃がアメリカ船より高いというので、これを下げさせる意図のもとに、まず必要な文書の提出を命じたのがこの第二十一号命令であります。日本の海運会社十一社もこれを受け取っております。運輸大臣は、かかる命令に従う必要はないという趣旨行政指導を行なったそうでありますが、そもそもこのような命令を外国の船会社に出せるようなアメリカの海事法そのものが、国際法もしくは国際慣行に違反し、OECDの精神にも違反すると思うが、この海事法制定の当時において、政府は一体いかなる措置をとったか、いままたいかなる措置をとらんとしておるのか、外務大臣並びに運輸大臣の答弁を求めたいと存じます。  わが政府が、先進工業国の一流のクラブに加入できると思ってうちょうてんになっている間に、外貨は流れ出し、運賃の低下を迫られて収入減となり、赤字を増大するという事態が発生せんとしておるのであります。政府政策に大きく一本抜けたところがあることは、国民にとりまことに不幸といわなければなりません。  その第二は、対米輸出自主規制の問題であります。これは、明らかにアメリカの要求に基づく日本側の規制であり、との条約においてアメリカ留保していないとするならば、明らかにOECD条約違反の行為であると思われるけれども、外務大臣はどう考えておるのか、見解を承っておきたいと存じます。  その第三は、アメリカの要請に基づき、その肩がわりのために行なうところの低開発地域援助の件でございますが、この傾向は今後ますます増大するものと思われますけれども、この傾向に対し、政府はその独自性を主張し、みずからの計画を立てて加盟国をリードする自信と用意があるか、これもあわせて伺っておきたいと思います。  第四の心配は、国際収支であります。本年度すでに当初の予想以上の赤字が出ており、来年度も大幅赤字になる予想であります。赤字の大きな要素は海運関係をはじめとする経常取引の赤字でありますが、まずその一つである技術導入についてお伺いいたします。  技術導入は、今日まで約二千件に達し、年間一億ドル以上のロイアルティーを支払っております。しかも過当競争が激しく、値段をつり上げるのみならず、技術提供者から種々の条件、制約を受けておるのであります。この点について、条約付属の了解覚え書きにおいてわが政府条件をつけております。しかしながら、最終的には完全自由化を認めておるのであります。また、日本の制度ではこれを資本取引としているけれども、OECDでは経常取引としておわ、考えが違っておるのであります。したがって、今日加盟国でこの留保をしている国は一国もございません。この条約において、加盟国が棄権をすれば、その国には適用されないというたてまえでありますけれども、しかし、この条約の精神から見て、早目にこの種の自由化を迫られることは必至であります。  また、貿易につき、日本の成長産業、たとえば造船業のごときは、加盟国の造船業者が国際カルテルをつくって、日本の造船業をこの中に入れて、縛りつけてしまうようなことが考えられています。すなわち、有利な産業はこうして押えられ、弱体産業に対しては遠慮会釈なく圧迫してくるおそれが十分看取されるのであります。  しかも、昨日外務省筋が明らかにしたところによると、三月中旬OECD事務局の経済部長を団長とする予備審査団が派遣されて、わが国経済の現状を調査し、経済政策に対する勧告を報告書の形で取りまとめる意向であるようでございます。しかるに、政府においては、貿易・為替並びに産業全般の対策について、大蔵省と通産省の間に意見の違いがあり、したがって各省がそれぞれの立場において法律の手直しをする、こういうことをもくろんでおって、統一を欠いているように看取されるわけでございます。政府は、開放経済に対処するための準備が著しくおくれているこの際に、赤字解消を目途として為替、通商についていかなる作業を進めておるのか、それぞれ明らかにしていただきたいと存じます。  さらに第五点は、共産圏貿易に対してOECDが文句をつけてきはしないかということであります。通産大臣は、過般の予算委員会において、横路委員の質問に対して、中共貿易の延べ払いのワクを三千万ドル程度にきめたということを答弁いたしております。これは、ある国際機関が対共産圏貿易の延べ払い輸出に一定のワクを設定するよう申し入れ、わが政府もその要請に応じてワクをきめたことは明らかであります。政府は、一体いかなる国際機関からこのような要請を受けたのか、また、その機関にいかなる回答を出したのか、関係大臣の答弁を求めると同時に、OECDについても同様の懸念があるように思えるが、あわせてこの点についてもお答えを願いたいと存じます。  最後にお伺いしたい点は、OECD加盟に決意された池田内閣としては、よもやILO八十七号等の国際的な約束をそのままにして、ほっかぶりをして、そしてこのクラブにのこのこ入っていくようなぶざまなことはなさらないと思うが、国際的感覚を全く欠除している方々も自民党の中にはおいでになるようなので、この際伺っておきたいと思うのであります。(拍手)  本条約第一条には、財政金融上の安定をはかりながら、雇用と国民生活の向上を強調し、バランスのとれた成長政策をとるべきことを要請しております。さればこそ、ただいまも外務大臣から趣旨説明の中に言及されておりましたが、OECDの下部機構として労働委員会を設置しておるのであります。この労働委員会に参加しておる国際自由労連においては、昨年九月十三日付をもって、OECD事務局次長に対して、日本政府が真にOECD加盟することを望んでおるならば、まずILO八十七号条約のごとき重要な国際約束の批准を済ませてから堂々と加盟を申し込んできてしかるべきである、この点に関して日本政府に厳重な警告を発せられたいと要請をいたしております。政府は、OECD事務局よりこの種の警告を受けているかどうか。受けていると思うが、その真相を明らかにするとともに、この点に関する所信を総理並びに労働大臣から解明していただきたいと思います。  いまや政府は、わが国の受け入た体制の整わないうちに背伸びをしてこの加盟を行なわんとするものでありますが、そのしわ寄せは必ずや国民大衆に及んでくるのであります。政府は、この点について深い反省を加えつつ、まじめな答弁をしなければならないことを要求して、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人君登壇
  25. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。  経済協力開発機構の性格につきましては、一月二十四日平岡議員の御質問に対して答えたとおりでございます。すなわち、従来より共通な経済基盤に立つヨーロッパ各国が、お互いの経済の成長と貿易拡大と、そして低開発国への開発援助という三つの大きい問題で随時協議をする機構をつくり、後にアメリカ合衆国並びにカナダが参加した。そして今回、アジアから唯一の加盟国として日本が参加することになったのであります。あくまで経済協力あるいは経済開発等を主眼とするものでございまして、対共産圏の対策でやっておるのじゃございません。だから、いわゆるNATOとは違いまして、スウェーデンとか、スイスとか、オーストリア等も入っておりますし、また、共産圏といわれるユーゴスラビアも入っておるではございませんか。これは入っているといっても臨時の加入で、オブザーバーとして行っておるので、決して共産圏対抗のものでないということは、ユーゴが入っておることを見てもおわかりになると思うのであります。  次に、何ゆえに日本が急いで入るか、こういうこと。背伸びということばがございましたが、それはあなた方が日本の実力を御存じないからでございます。(拍手)決して外国の人は背伸びとは言わぬ。日本こそ入ってもらいたいと言っておるではございませんか。私は、日本が世界経済、世界の平和に寄与する最大の機会と考えまして申し込みましたところ、向こうは喜んで受け入れたのでございます。あくまでこれは、いわゆる先進国の一員としてガットあるいは国連の場における世界の重要経済問題に対しまして、何といいますか、その先行機関として有力な経済各国が参加しておる、そこで日本が発言して、世界の問題をスムーズに解決しようということでございまして、私は、日本の使命からいいまして、また、日本の発展からいっても、おそきに過ぐるとも決して早くはない、こう考えておるのであります。(拍手)  なお、船の問題につきましては、あくまで海運自由の原則にのっとりつつ、適切な海運政策を講じて世界の期待に沿いたいと考えております。  また、ILO八十七号条約の批准につきましては、御審議を願っておりますので、早急に御解決をお願いいたしたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣大平正芳登壇
  26. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) アメリカの海事法に基づく文書提出の問題でございますが、これは一九一六年の海事法第二十一条によりまして、連邦海事委員会が、船舶運航事業者に対しまして、その業務に関して文書の提出を命ずる権限を定めた規定がございます。この規定それ自体は特に問題になりませんが、米国外にある文書の提出を求めるということになりますると、これは松平さんがおっしゃるように、確かに国際慣行に反するわけでございますので、私どもといたしましては、そのつど対米抗議をいたしておりまするし、そういう文書の提出を差しとめるように指示いたしております。  なお、御指摘の昨年十一月の文書提出命令でございますが、これは連邦海事委員会が、十六の海運同盗及び加盟会社に対しまして、米国の輸出入運賃の格差を是正する要求とともに、これに関連する文書の提出を求めてきた問題でございます。アメリカ側は、この命令は、一九六一年の海事法の改正法、いわゆるボナー修正によりまして追加された連邦海事委員会の規制権限の規定によるものであるという説明でございますが、右ボナー修正の規定は、多数の国の利害に関係がございまする海上運賃に一国の政府が一方的に干渉せんとするものであることは明らかでございまするので、この法案の審議の途次におきましても、わが国といたしましては厳重な抗議を申し入れましたが、アメリカ側がいれるところとなっていないことも事実であります。しかし、その後、私どもは機会あるごとに抗議を続けておりまするし、欧州のほうの海運諸国と共同いたしまして、昨年の十二月、西欧海運国十カ国と共同いたしましてアメリカ側に抗議を行なっておりまするし、さらに、ことしの二月十二日には、パリで、いま問題になっておりまするOECDの特別海運会議がございますので、アメリカ側の説明を聴取し、この会議を通じて反省を求める手順を定めておるところでございます。(拍手)   〔国務大臣田中角榮君登壇
  27. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) OECDに対する加盟の利益があるかということでございますが、その問題に対しましては、総理大臣、外務大臣からお答えになりましたが、大蔵省関係としまして、財政金融、特に国際流動性の問題、経済貿易等につきまして、これから国際的に開放経済に対処して、いろいろ日本も前向きで利益を守っていかなければならぬことは言うをまたないわけであります。これらの問題につきましては、御承知のとおり、国際連合及びIMFで討議をされるのでありますが、この討議に先立ちまして、主要国はOECDで特に議論をいたすのであります。その意味において、日本が事前に討議をせられるOECD加盟をすることによって、国際通貨の問題、財政金融経済貿易等の問題に対して協議に加わるということが、いかに大切であり、日本のためになるかということは言うをまたないわけであります。その問題が一番OECDに対する加入の必要性だとさえ考えておるのでございます。特に、このOECDの第三作業部会で行なわれる財政金融政策が重要なものであるということは、皆さんも御承知のとおりであります。  第二点は、OECDに加入することによって、資本、経常両面により自由化義務を迫られることによる国際収支の悪化に対してどう対処するかということでございますが、御承知のとおり、自由化義務につきましては、十七項目にわたる留保をいたし、免除を受けておるのであります。なお、この免除を前提としてOECD加盟をいたしますと、今度は満場一致の決議を必要とするわけでありますから、日本に対して不利益になるようなものに対しては日本の発言力が非常に強く確保せられることも、皆さま御承知のとおりでございます。  それから第三点は、貿易外収支のうち、特にロイアルティーの問題についてのお話でございましたが、技術導入は経済の発展に大きく貢献するものでありますので、政府は、従来とも、簡単にかつ迅速に承認をする政策をとってきておるわけであります。しかし、特に、わが国固有の問題、すなわち、過当競争の広範な存在及び中小企業等の問題がありますので、最終目的としては完全なる自由化を考慮する旨を表明しておりますが、期間一年以上、対価三万ドルをこえる技術契約につきましては、自由化留保しておるわけでございます。このような措置をとっておりますので、実際の承認にあたっても、また、審査にもこのような立場をとっておりますので、御質問のような心配はないと存じます。  それから次に、海運収支の対策についてのお話でございましたが、OECDに加入をするということで、まず外航船腹の拡充をはかることによって、国際競争力を強化して、海運収支の長期的改善をはかろうといたしておるわけでございます。具体的な問題につきましては、御審議を願っておりますとおり、開銀融資建造は、三十八年五十万トンを六十四万二千トン、融資ワクは二百三十億から二百八十三億、また、開銀の融資比率七〇%を八〇%に、このように行なっておりますし、新造船の金利は、開銀において四%、市中において六%になるように利子補給等を行なっておりますので、OECD加盟をすることを契機として、とくに船腹拡充により長期の貿易外収支の改善をはかろうとしておるのであります。(拍手)   〔国務大臣福田一君登壇
  28. 福田一

    国務大臣(福田一君) お答えをいたします。  技術導入の問題につきましては、ただいま大蔵大臣から御説明があったとおりでありますが、われわれは、自由化をいつするというような時期について何ら明言を与えておらないのでありまして、日本産業がそれに耐え得るようになったというところまで、われわれはそれを主張してまいりたい、かように考えておるところであります。  一方、国際カルテルの問題につきまして御質問でございますが、強い産業は国際カルテルで押えられはしないかということでございますけれども、しかし、国際カルテルなどということができて、これが自由化、関税引き下げというような効果を減殺するようでは、これは困るのであります。したがって、われわれは、そういうカルテルに入るようなことはさせない。また、たとえそういうことを業界がやったといたしましても、それは独禁法がございまして、国内においては、ここで初めて独禁法が強力に発動できることになりますから、私は、そういう問題は十分措置し縛るものであると考えております。  なお、共産圏の貿易の問題でございますが、これについて、何かワクをきめられた、向こうから、NATOとかチンコムというようなところからでも何か言われて処置をしておるのではないかという御質問のように承りましたが、われわれは一切そういうものを受けておりません。日本独自の立場におきまして、昨年においてプラントを二千万ドル輸出しておりますから、低開発国との貿易とも関連をいたしまして、大体貿易は順次伸ばすという形でございますので、大体二千万ドルから三千万ドルくらいのところならばよかろうではないか、ただし、具体的な問題については、申請が出てきたときに処理をいたしたい、かようにお答えをいたしておる次第であります。(拍手)   〔国務大臣綾部健太郎君登壇
  29. 綾部健太郎

    国務大臣(綾部健太郎君) お答えいたします。  私に質問が二つございました。海運業の再建に関しまして、OECDに加入することによって困りはしないかという御質問でございましたが、大蔵大臣が先ほど説明いたしましたように、海運業再建につきまして影響絶無とは申しませんが、それよりも、OECD加盟することによりまして、日本の縛る利益が大なりと考えまして、私はこれに加入することに踏み切った次第でございます。しこうして、それの除去の方法といたしましては、あるいは金利の低減、あるいは融資比率の拡大、あるいは計画造船を順次強力に推進していくということによってこの被害を免れることでふきると考えております。  次に、シッピング・アクトの問題でございますが、これまた外務大臣が詳細に御説明しましたような次第でございまして、このシッピング・アクト、アメリカの法律の不当なことを一九六一年のボナー法による改正が不当であることを日本は毎期述べておりまして、今後も執拗にこれを続けていくつもりでございます。しこうして、これによりまする国内の船舶に対するいろいろな要求に対しましては、去る二十五日付をもちまして、関係会社に対し、そういう文書提出に応ずる要なしという通達を私としてはいたしておるところでございます。(拍手)   〔国務大臣大橋武夫君登壇
  30. 大橋武夫

    ○国務大貫(大橋武夫君) ICFTU、ヨーロッパ地域組織の書記長から OECD事務当局あてに、OECD加盟に際して、日本がILO八十七号条約を批准することを希望する趣旨の書簡が出たということにつきましては、日本政府OECDからこのことについて伝達を受けた事実はございません。政府といたしましては、総理大臣から申し上げましたるごとく、ILO条約批准は、OECD加盟条件ではもちろんありませんが、この際、既定方針どおり、できるだけ早期に同条約を批准いたしたいという強い熱意を有しておる次第であります。(拍手
  31. 船田中

    議長船田中君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  32. 船田中

    議長船田中君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時二十四分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         厚 生 大 臣 小林 武治君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  福田  一君         運 輸 大 臣 綾部健太郎君         郵 政 大 臣 古池 信三君         労 働 大 臣 大橋 武夫君         建 設 大 臣 河野 一郎君         自 治 大 臣 早川  崇君         国 務 大 臣 佐藤 榮作君         国 務 大 臣 福田 篤泰君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君         国 務 大 臣 山村新治郎君  出席政府委員         内閣官房長官  黒金 泰美君         内閣法制局長官 林  修三君         総理府総務長官 野田 武夫君         法務政務次官  天埜 良吉君         外務省経済局長 中山 賀博君         通商産業省通商         局長      山本 重信君         運輸省海運局長 若狹 得治君