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1964-08-18 第46回国会 衆議院 法務委員会暴力犯罪に関する調査小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和三十九年六月二十三日(火曜 日)委員会において、設置することに決した。 六月二十三日  本小委員委員会において、次の通り選任さ  れた。       上村千一郎君    大竹 太郎君       鍛冶 良作君    小島 徹三君       田村 良平君    三田村武夫君       坂本 泰良君    細迫 兼光君       横山 利秋君    竹谷源太郎君       志賀 義雄君 六月二十三日  三田村武夫君が委員会において、委員長選任  された。 ————————————————————— 昭和三十九年八月十八日(火曜日)    午前十時三十七分開議  出席小委員    小委員長 三田村武夫君       小島 徹三君    四宮 久吉君       田村 良平君    坂本 泰良君       竹谷源太郎君  小委員外出席者         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      日原 正雄君         検      事         (刑事局長)  津田  實君         警   視   監         (警視庁刑事部         長)      本多 丕道君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 八月十八日  小委員鍛冶良作君七月二十四日委員辞任につき、  その補欠として四宮久吉君が委員長の指名で小  委員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  暴力犯罪に関する件      ————◇—————
  2. 三田村武夫

    ○三田村委員長 これより暴力犯罪に関する調査小委員会を開会いたします。  暴力犯罪に関する件につき調査を進めます。  まず、私から一、二点総括的な御質問をいたします。  警察庁刑事局長にお伺いいたしますが、去る通常国会暴力等処罰に関する法律改正が行なわれ、すでに施行されているのですが、改正法成立後における暴力団動向といいますか、動き、また同時にこの暴力団暴力犯罪検挙についての警察当局の方針なり、その後の検挙状況等、総括して御説明願います。
  3. 日原正雄

    日原説明員 暴力行為等処罰に関する法律改正施行後のこの法律自体に関する適用検挙状況でございますが、これはまだ日が浅いのでございまして、短期間しかとれておりませんが、一応七月十四日から八月十三日までの一ヵ月間の暴力行為等処罰に関する法律検挙状況を申し上げますと、件数で三百八十八件、八百九十二人をこの法律違反として検挙をいたしております。そのうち一条違反が二百七十九件、七百二十八人、一条の二の違反が二十六件、三十六人、一条の三の違反が八十一件、百二十五人、二条の関係が二件、三人というような状況になっております。  それから暴力団犯罪検挙状況でございますが、ことしの前半、つまりことしの一月から六月までの状況と、それから七月の一ヵ月間の状況というものに分けて申し上げたいと思いますが、ことしの前半、一月から六月までの検挙状況は、件数で三万五千六百四十九件、二万七千五百三十六人という状況になっております。これは昨年の同じく一月から六月までの期間比較をいたしますと、件数人員ともに約一割の増加でございます。  それから七月の状況でございますが、今年はオリンピックを控えておることでもございまするし、世論も盛り上がっておるときでございますので、全国一斉に主として七月一ぱいを中心にして暴力団犯罪取り締まり強化月間を設けるように通牒を出しまして、非常に七月中取り締まり強化をはかったわけでございます。その結果、非常に検挙が進みまして、七月一ヵ月間だけで暴力団犯罪検挙件数は一万一千二百三十七件、一万九百七十九人というものを検挙いたしております。これは昨年の七月に比べますと、人員で約倍近くなっております、件数で六割増近くの検挙をいたしております。七月は特に取り締まりを強化いたしました関係件数は非常に伸びたわけでございます。  それから凶器関係状況でございますが、これは一月から六月までの拳銃その他の押収凶器状況を見ますると、昨年の同期に比較いたしまして、拳銃は約倍近くの押収になっております。全体として五割増程度凶器押収状況になっております。七月における凶器押収状況にいたしましても、前年同期の二倍半程度押収状況になっております。  こういう面から見ますると、現在の暴力団取り締まりにつきましては、国民協力も相まちまして、非常に強力な取り締まりが進められておると言っていいんじゃないかというふうに私どもは考えておるわけでございまして、今後ともさらに強い取り締まり態度取り締まり体制を強化してまいりたい、かように考えております。
  4. 三田村武夫

    ○三田村委員長 警視庁刑事部長に伺いますが、七月の中ごろでしたか、改正法成立の直後だったか、その前だったか、いわゆる頂上作戦大物から手をつけられて、非常に世上の関心を呼んでおる。またきょうの新聞でしたか、住吉一家幹部を一斉に検挙された。非常にその御苦心敬意を表するのですが、先般当委員会現地調査のために大阪神戸名古屋に参って、いろいろ現地関係者の御意見を伺ったのですが、非常に皆さん熱意を持って捜査に当たっておられるようです。この頂上作戦といいますか、大物に手をつけられた御苦心といいますか、いろいろ困難な点があると思いますが、どういう点が一番困難か、その効果の点とあわせてひとつお答えを願いたいと思います。
  5. 本多丕道

    本多説明員 警視庁といたしましては、本年の二月に体制を新しくつくりまして、本庁に総監を委員長といたします対策会議というものをつくりまして、その下に刑事部長を長とする組織暴力取締本部というものをつくり、本庁といたしましては、捜査四課を中心といたしまして、その他関係各課協力体制を確立いたしております。それと、各警察署に全部、全署に暴力係と言いますか、暴力団捜査に専従する専従員を置きまして、現在捜査体制を固めつつあるわけでございますが、ただいま委員長の御質問にありましたように、従来の取り締まりを見ておりますと、いわゆる現象的な犯罪というものの取り締まり比較的進んでおるわけでございますが、結局これらは組織の中の比較的低い地位にある者に多いわけでありまして、いわゆる組織中心をなす幹部等についてまで突き上げていくということが非常に困難な状況であったのでございます。結局、その理由というものは、やはり平素から彼らの動きというものを十分に把握しておらなかった、事件が起こってその後に捜査に着手しておるというような実情が従来多いわけてあります。こういった行き方ではとうてい中枢部あるいは上層部に手を伸ばすことが非常にむずかしいということを考えたのでございまして、その結果、ただいま申し上げましたような組織をつくりまして、平素から彼らの動きというものを常時把握しておる、また彼らの実態というものを漸次資料化しておるわけでございますが、そういった関係で、現在、半年余りにしましてようやく体制が整いつつあるという状況で、わりあいに組織自体実態並びに彼らの動きというものが警視庁において把握し得るような体制になってきたわけであります。その結果、いわゆる現象的な犯罪ということのみでなくして、いわゆる隠れた犯罪、知能暴力的な犯罪の把というものが漸次できつつあるというような形が出てまいりました。  その結果、比較上層部にある者の犯罪というものもわれわれにはっきりしつつあるというような状況にあるわけでありまして、この前も住吉会会長をつかまえました場合、また松葉会資金源を担当します志賀三郎検挙した件、あるいは今朝の住吉会の副会長等資金源を担当する者をつかまえました件につきましても、そういった形で、漸次表面から隠れておる恐喝事件等がわかってきた、また一般の方々関心というものが非常に高まってきつつあることと、それから警察の取り組みに対する御理解と言いますか、そういった問題も漸次浸透しておる結果かと思うわけでございますが、比較的従来出てこなかった被害というものの申し出と言いますか、被害警察に話してくれるというような空気が徐々にできておるというように私思うのでありまして、結局、そういった被害がわれわれに把握できますれば常に取り締まりはできるという形になるので、われわれとして一番苦労いたしますことは、そういった被害というものを認知するというところにあるのであります。最近の二、三の例においても、そういったいわゆる被害の申告というものが比較的積極的になされるような状況になってまいったということの結果であろうというふうに存じておるわけでございます。何分、まだ発足以来半年余りで、すべての点において十分とは申せないわけでございますが、各警察署員をはじめ、本庁をはじめ、全署の捜査員が漸次そういった点における協力関係が確立されまして、同時にまた非常に気合いが入ってきつつあるというふうに考えるわけであります。今後一そうそういった点について努力していきたいと思っております。
  6. 三田村武夫

    ○三田村委員長 もう一点、今度は法務省の刑事局長に伺いますが、改正法施行後日が浅いので、統計とかそういった正確な資料などをお持ちじゃないと思いますが、例の保釈ですね、検挙されて検察庁に送られた事件、事案の中で、改正法成立後と成立前と、保釈の扱いが多少違ってきたところがありますか。そういう点まだ何か資料はありませんか。大体の傾向を御説明願います。
  7. 津田實

    津田説明員 新法施行後八月十五日現在におきまして、新法違反事件検察庁の受理及び処理状況は、現在まで一条の二の違反が三件、一条の三の前段のほうが十一件、一条の三の後段のほうが十件、合計二十四件になっております。人数で申しますと三十人でございますが、そのうち現在までに十五人公判請求をいたしております。なお、その余の点ではいま大体捜索中になっておるわけであります。したがいまして、現在のところ保釈関係につきましてはまだ確たる比較ができる余地もございませんし、また保釈関係がどうなっておるかにつきましては、現在のところ本省で報告は得ておりませんので、その点につきましては何とも申し上げかねるわけです。ただいまのところ十五人という非常に少数なわけでございますので、ちょっと比較の対象としてはまだ無理ではないかというふうに考えております。
  8. 坂本泰良

    坂本委員 暴力犯罪につきまして、今回の法改正後にいろいろと取り締まり当局が格別の努力をされておるということは、われわれも敬意を表しておるわけですが、先ほど委員長も言われたような頂上作戦、こういうようなことで、暴力団の大ものの検挙ができないじゃないかと言われていたのが、若干ではありますが、その緒についておる。従来検挙を免れていたかのように見える中心人物検挙摘発を受ける、こういうような点について今後大いにやってもらいたいと思うわけですが、この際せっかく小委員会が開かれておりますから、暴力事犯暴力団の現状について、なお若干所見を伺っておきたいと思います。  その一つは、暴力団による犯罪活発化とその傾向ですが、この点は先般法務委員会大阪神戸名古屋調査に参ってきたわけですが、暴力団員による暴力事犯は、非常な努力をされておりますけれども、ますます多発的の傾向がある。ことに少年犯罪なんかは、一犯をかせげば箔がつくというようなことで、非常に増加傾向にあるというようなことも聞いてまいったわけですが、これに対する対策についてはただいまその一端を伺ったわけです。ここにお伺いしたいのは、第一は、暴力団は優秀な自動車を備え、紛争が発生すると、見舞いまたは調査、こういう名目をもちまして多数の団員が急速な派遣的移動について非常に成功しておる、こういうことが言われておりますが、こういう点について御所見を伺っておきたい。
  9. 日原正雄

    日原説明員 暴力団犯罪に見られる最近の傾向として幾つかあげますと、まず大規模化していっている、それから広域化してきているということが一つあげられる。もう一つは、凶悪化してきているという特徴があげられる。それから三番目の動きとして、スピード化しておるという傾向があるわけでございます。お話の点はまさにこのスピード化しておるという点の御質問であろうと思いますが、特にそういう三つの特徴を、私ども犯罪態様からの傾向として考えておるわけでございます。それは暴力団抗争事件あるいはその応援のために、多数の暴力団員とそれから凶器抗争現場に直ちに調達される。それから犯行も車を利用するというようなことで、人や物の動きが非常にスピード化しておる。そこで私どものほうの対策といたしましても、そういうような傾向になりますと、事件が発生いたしまして、その当初の段階でもって非常に短期間のうちに今度は報復のための襲撃反復襲撃が行なわれるというふうに、短時間のうちに一つ事件が起こって直ちに関連事件が連続して発生するというような事例が、豊橋事件でもそうでありますし、防府の事件でもそうでありますが、そういう意味で私のほう自体暴力団犯罪に対しては一そうスピード化をしていかなければならぬ。それから、その事件の直後に起こる報復あるいは反復襲撃に対して十分な警戒をしていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  10. 坂本泰良

    坂本委員 次に、密輸入の問題です。これは凶器麻薬、その他あるわけですが、麻薬の点は別にいたしまして、密輸入されたピストル、それから銃砲、日本刀、その他危険な凶器密輸入、この点については、過般警視庁からピストルの密造の点について海外まで出張して調査をされたということを新聞で承知しておるのですが、この密輸入した凶器を巧みに隠蔽している、こういうふうに言われておりますが、こういう点についてはどういうふうになっておりますか、わかっておればひとつ見解を披瀝していただきたいと思います。
  11. 日原正雄

    日原説明員 凶器密輸関係、直接は保安局関係でございますが、参っておりませんので一応私から申し上げますと、この前、お話のように警察庁の当時の刑事局の参事官の中原氏と、それから府県保安暴力取り締まり関係の係員二人がフィリピンに出張をいたしまして、そしてフィリピン当局の非常な御協力を得まして、実情をつぶさに視察して帰ったわけであります。これからもこういう密輸関係取り締まりCRS拳銃をはじめといたしまして、外国拳銃その他を密造して、そうしてそれを密輸入する。そしてこれを暴力団組織に密売をするというような事犯が非常に多くなってくるものと思われるわけでございます。そういう方面取り締まりも今後とも十分やってまいらなければならないと考えております。
  12. 坂本泰良

    坂本委員 この密輸入取り締まりですね、これはやはり船が港に着けば、そこに密輸されているという情報か何か入る。そうすると、それをどういうふうにして捜査をするかという点について非常に困難性があると思うのです。と申しますのは、逮捕状捜査令状を持って船に行った場合に、船全体についての捜査令状、こういうのはいまの刑事訴訟法のたてまえから困難じゃないかと思うのです。そうすると、部分的のものになれば、たとえば船員ですと、船員の働く場所と、それから寝る船室があるわけですね。その二カ所に捜査に行っても、横のほうに、隣か別なところに隠してしまえば、そこにない。結局全般的の捜査ができない。この間、神戸に行って聞くところによると、そのほかのところはやはり船長ですか、あるいはお客さんがおればお客さんの協力を得て捜査をする。そういうのは非常に困難であるということを聞いてきたわけですが、捜査について考える、あるいは実施しよう、そういうような点について何かあるかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  13. 日原正雄

    日原説明員 保安でやっておるものですから、特殊な、いま考えられますような方策を何か研究しておることをまだ聞いておりませんが、確かにお話のとおり、上陸する前に押えられれば一番いいわけなんですが、隠し方も非常に巧妙をきわめておりまするし、それから不良船員等も関与しておるというような場合もございまするし、また情報それ自体が事前にキャッチできておるような場合はよろしいのですが、それも十分でないという状況で、非常に苦心をしておると思うのであります。税関等協力して、できるだけのことはやっておりますけれども、陸揚げする前にこれを完ぺきに押えるということは非常に困難があるという状況にあろうと思います。ただ、われわれとしては現行法の範囲内でできるだけの努力を尽くして陸揚げされる前につかむ。陸揚けされたならば、その流れたところで、あらゆる個所でこれを検挙していくという努力を続けていかなければならないと思います。また一丁でも出てまいりますれば、それをさらに遡及していくというような手段も、これもなかなか口を割らないので苦労をいたすわけでございますが、そういう方面努力もさらに続けていかなければならない。外国との連絡と相まって、そういうような流れのそれぞれの段階現行法をフルに活用して取り締まりを続けていくより現在のところいたし方ないのじゃないかというふうに考えております。
  14. 坂本泰良

    坂本委員 この点は重要な問題ですが、調査に参りましたから、調査報告等も本委員会であると思いますから、その際にまた関連して検討もし善処しなければならぬと思っておるわであります。  次に、暴力団組織化ないし再編成の問題ですが、最近各地暴力団の間におきまして、組織拡大強化ないし再編成傾向が著しいといわれておる。先般名古屋に参りますと、名古屋では東京のほうからの大きい団体が出てきておる。それからまた大阪のほうから大きい団体が出てきておる。あそこは両方出てきて、地元暴力団は影をひそめて、東西からやってきた暴力団組織が非常に強化されつつある、こういうようなことも聞いてまいりました。大阪神戸では、地元暴力団と、東京のほうの暴力団勢力が伸びてきて、それと組織的に協力をする、こういうようなことも一部聞いてまいったわけです。そこで、このような点についてどういう対策が講じられておるか。その一つは、各地暴力団の間に、いま申しましたような提携をする、それから縁組みをする、その他の手段を通じて暴力団組織系列化組織化が目立っておるし、先ほど御説明もありました大規模化しておる。こういうような点が見られるのですが、こういうような点についていかなる対策を講じられておるか、お伺いしておきたいと思います。
  15. 日原正雄

    日原説明員 ここ数年、暴力団組織の伸長、それから活動領域拡大傾向お話のように非常に顕著でございまして、全般的な状況統計で見ますと、百人以上の構成員を持っておる団体を年別に見ますと、昭和三十五年に五十八団体であったものが、三十六年には八十三団体、それから三十七年には百三団体、三十八年には百十団体というように毎年増加を示しておる。これはやはり組織が大規模化しておる、あるいは広域化しておるという証拠であろうと思います。それからまた二都道府県以上にまたがる組織、なわ張りを持っておる暴力団体、これも昭和三十五年の六百七十団体から三十六年には八百七十三団体、三十七年に千二十団体、三十八年に千百五十八団体というふうに累年増加をしておりまして、広域化傾向が顕著であります。特にお話のように、大都市を拠点とする大規模な暴力団体が、なわ張り勢力拡張のために地方にある小規模な暴力団体を吸収することにつとめまして、その結果各地系列化が活発になされておる状況でございます。  これに対する私どものほうの対策でございますが、結局基本的には、暴力団都道府県の区域を越えて組織拡大していくということになりますると、私どものほうは一応警察法のたてまえで都道府県がそれぞれ公安委員会のもとで取り締まりに当たっておるわけでございますが、こういう広域的な団体取り締まりにつきましては、やはり緊密な連絡をとっていく、各都道府県相互に、情報の面におきましても、あるいは検挙の面におきましても、あるいは対立抗争事件が起きた、それがすぐほかの府県団体に、影響を与えるわけでございますので、そういう面におきましても、情報検挙、あらゆる面を通じて各都道府県が緊密な連絡をとっていくということが根本ではないかというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味で十分に各都道府県の間の連絡情報面その他あらゆる面においてとっていくように、警察庁としては指導してまいっておるつもりでございます。
  16. 坂本泰良

    坂本委員 これは先日調査に参りまして、名古屋関係報道関係方々について意見はないか、こういうようなことについてある新聞の方の発言によりますと、第一は、暴力団政治権力中枢と組んでおる、つながりがある。第二は、従来のいわゆるやくざと違って、仁侠の道から離れていわゆる企業化した組織になっておる。第三は、その暴力団の親分は王侯貴族生活をやっておる。こういうようなことも聞いたわけですが、政治権力とのつながり等については、暴力団組織化、再編成等についてありはしないかと思うのですが、警察検察庁当局はいかなる対処を持っておられるか、また具体的にそういう問題についてやっておられるならば、その点について聞かしていただきたいと思います。
  17. 日原正雄

    日原説明員 御質問趣旨をはき違えておるかもしれませんが、一応私どものほうは、暴力組織動向として、本年に入って政治活動活発化してきておるというような面を特徴として考えておるわけでございますが、特に昨年の暮れから本年初頭にかけていろいろな形で政治活動をやってきておる、あるいは政治結社の届け出をしておるというような傾向を一応つかんでおります。ただ、これに対して、これが犯罪に直接関連しておるものならば別でございますが、いまのところそれですぐどうこうということは考えておらないのでございますが、ちょっと御質問趣旨がその点わかりませんでしたので、もう一度お尋ねいただきたいと思うのですが……。
  18. 坂本泰良

    坂本委員 これは従来の暴力団関係も含んでの発言じゃないかと私聞いたわけですが、暴力団政治権力中枢とつながっておる、それからまた、これの発言にはありませんでしたけれども都道府県会議員、これにやはり暴力団と非常に近いかあるいは裏面的には関係のあるようなのを議員に出しまして、そうして組織化等を志す、あるいはいろいろな点について各地方議会において、そういう点について合法化してやるとか、いろいろな便宜をはかる。これは全国的の問題と思うのですが、ちょうど、土建屋がたくさん金をつくって、県会議員とか府会議員に出るわけなんですね。そして兼業禁止ということで、自分は土建業者の会社をつくるのですが、細君かあるいは関係者を社長にしておいて、県会議員なんかになった者はそれの顧問になりまして、県の土木事業請負等については、実際はそれが権力を持って、これに請け負わせなければ問題だぞというようなことでやっておる。暴力団も、いままででも若干そういう傾向がなきにしもあらず、こういうふうに考えられるわけですが、今後大規模化して、あるいは合法的行為をやって、その裏面において暴力行為を行なう。けさ検挙されました住吉会問題等も、これは政法権力との関係はないようですが、やはり債権の取り立てという事務所をつくって、それを中心にして債権譲渡を受けてやる。債権者訴訟を起こして強制執行で取るということになると、期間もかかるし、半分くらいも、あるいは債務者がなければ取れない。だから半分あるいは三割ぐらいでも、その債権譲渡をする。譲り受けた暴力団は、暴力団の威勢によってまるまる債権の弁済を受ける。そういう点は、私は今度の住吉会なんかの場合には大いにありはしないかと新聞を見たわけですが、この政治権力暴力団が結託してやるところに非常な危機が来るし、国民生活を脅かすということになりやしないかと私は思うのです。そういうような点で従来でも政治権力とつながりを結んでやっておる。今後もそういうふうにして、やはり暴力団検挙その他に当局が強力にやれば、それを合法的に免れる。また、その当局に対して、政治権力に圧力をかけて免れる。そういうようなことがありはしないかというようなことも考えての、この政治権力との関係を断たなければ、暴力団の絶滅なんというのはできぬのじゃないかというような発言じゃないか、こういうふうに考えたわけです。そうしてさらに、その暴力団の親方というのは、王侯貴族のぜいたくな、権力ある生活を送っておる。これをやはり撲滅しなければ暴力団の撲滅はできないのじゃないか、こういうようなふうに私はとったわけ、ですから、そういうふうに中央、地方政治権力と結託し、あるいはうまくこれを利用して、そうして暴力団組織化あるいは再編成、こういうような傾向がありはしないかと思うのですが、そういう点についての考え方に立って処置をされておる点があるか、あれば聞かしてもらいたいし、また今後そういうような問題についてどういうような方針を持っておられるか、この点は検察当局のほうとしても所見を承っておきたいと意います。
  19. 日原正雄

    日原説明員 御質問趣旨がよくわかりました。暴力団の中には合法的な企業をやって、しかも裏面でいろいろな悪質な不法事犯を起こしておるというのがむしろ大部分とも言えるわけでございまして、これは最近の取り締まり強化によって資金源が枯渇してきておることから、資金獲得の方法もいろいろ多様化しておりまして、相手の弱点につけ込んで組織と暴力を背景に強引に敢行される事案が非常に多いわけでございます。あるいは債権取り立てに籍口したり、あるいは建設工事の請負施工に介入したり、あるいは商取引を仮装した取り込み詐欺等の事犯が非常に目立って増加をいたしておるわけでございます。また、政治との関係につきましては、あるいはお互いに利用し合うというような関係で結びついておるものもあろうかと思います。  私どものほうの取り締まりの態度でございますが、これはもう遠慮なしに取り締まっていきたい。そういうことに仮借なしに、不法事犯があれば厳重に取り締まっていきたいということでございます。お話のようにあるいは政治権力から圧力をかける、あるいは政治的に合法化するというようなことがあれば、もうそういうことを世論に訴えてでも強力な取り締まりを施行していきたい、そういうことに遠慮せずに不法事犯そのものについて厳重な取り締まりをやっていきたいという覚悟でおるわけでございます。
  20. 津田實

    津田説明員 ただいま警察庁から御所信についてお話がありましたが、法務省におきましても、暴力団の根絶を期するということにつきましては、すでに御承知のように暴力係検事も配置いたしたわけであります。さらに今後は暴力団組織等につきまして、あらかじめ関係資料調査いたしまして、これを収集するというような体制をかためてまいるわけでございまして、来年度予算におきましてもその充実をはかるということにいたしております。そういう暴力団暴力犯罪に対しては全く厳重な体制をとってまいっております。御指摘のような問題につきましてはもちろんのこと、それがいかなる関係にありましても厳重な態度でもって処理したいというように考えておりますし、全国の検察庁におきましても、もちろんその態度を保持しておるわけでございます。
  21. 坂本泰良

    坂本委員 次に、暴力団員による局地的な小さな紛争の背後には常に大きな暴力団があって、この局地的な小さな紛争が場合によって大きな紛争となる危険性があるわけですが、こういうような点についての対策はどう講じておられるか、伺っておきたいと思います。
  22. 日原正雄

    日原説明員 先ほどからのお話にもありますように、非常に組織が大規模になり、それから広域化してきておる、同時にまたスピード化しておるというような傾向が非常に顕著でございまするので、私どものほうのこれに対する対策としては、取り締まり体制を確立していき、何よりもまず十分な視察、内偵の体制を強化していかなければならない。と同時に、何か事件が起きたときには初動捜査、これを十分充実して強化していく必要があるということで機動力を確保する、あるいは現場急行換置を徹底するというようないろいろな面の強化に努めておるわけでございます。相手方がスピード化する、あるいは広域化してくる体制に応じて、われわれのほうも都道府県間の連絡を十分緊密にして、しかも初動捜査体制なり、あるいは視察、内偵体制を強化して、これに対応していこうということで、この点はことしの初めにつくりました暴力取り締まり対策要綱にもそういう方針を掲げておるわけでございます。
  23. 坂本泰良

    坂本委員 次に不良少年の問題ですが、この対策については冒頭に見解なり対策なりを述べられたいと思うのですが、この不良少年は暴力団の予備軍化してきておる。暴力団は常に大きな予備軍を持っておる形勢があり、不良少年はその予備軍の大きな役割りを演じておるのじゃないか、こういうふうに言われておるし、そういうような形勢にあると考えられますが、そのような対策について講じられておる点があればお聞きしたい。
  24. 日原正雄

    日原説明員 少年の問題は直接には保安局関係になりますが、一応暴力団関係で申しますと、暴力団の年齢別の人員を見ますと、二十才未満の少年層が約一割、九・三%という構成比率になっております。ただ、やはりこういう少年層が実際的な姿としては暴力団の前衛的な役割りを果たしておる。また一部の暴力団ではこういう非行少年を結集して二軍的な組織を形成するというような動向も幾つか見られるわけでございます。そういうふうに少年層が暴力団の行動面のたてとして、あるいは組織面の予備要員として悪用されるという傾向は、暴力団対策を考える上において、あるいは少年問題を考える上において見のがすことができない事柄であると思います。これに対する対策としてはいろいろな面が考えられるわけでございますが、一応この暴力取り締まり対策要綱の面におきましては、暴力犯罪の温床に対する取り締まりあるいは存立基盤に対する取り締まりということで、環境の浄化、社会的な有害環境の排除ということを掲げておるわけでございますが、もちろん、これだけの措置で十分防止できるわけでもございませんので、少年対策全般について不良化防止の各種の施策が講ぜられなければならないと考えておるわけでございます。
  25. 坂本泰良

    坂本委員 次に、暴力団の資金入手の関係についてお聞きしたいと思います。  この点についてはいろいろ説明があったようでございますが、一、二お聞きしておきたいのは、麻薬密輸入と売りさばきの関係ですね。これにいつも暴力団が関与して有力な資金源になっておる、こういうふうにいわれておりますが、その点についての取り締まり対策はどうであるか、お聞きしたい。
  26. 日原正雄

    日原説明員 冒頭に申し上げました暴力団犯罪検挙状況で、麻薬関係を見ますと、麻薬取締法違法が一月から六月まで百三十七件、百三十三人ということで、ことしに入ってから非常に減っております。それから七月における取り締まりも二十九件、二十二人ということで、現在さしあたりの状況としては、暴力団犯罪取り締まり麻薬取締法違反検挙するということは件数としては減っておるわけでございますが、しかし、お話しのように一つの有力な資金源として麻薬を利用しておるということも考えられるわけでございますので、なお今後とも十分この面については監視の目を光らせてまいりたいと考えております。
  27. 坂本泰良

    坂本委員 その他いろいろあるわけですが、けさの新聞に出ておりました住吉会問題等頂上作戦ですか、こういうような点で取り締まりが厳重になりますと、結局、暴力団資金源という点もメスを入れるというようなことにもなると思うのです。  セックスの売りものですね。こういうような行為を売りものとする興行なんかについて、暴力団が進出する事実が目立っておるといわれておりますが、そういうような対策はいかがですか。セックスを売りものとする興行といってもあまりよく私自身も知らないわけですが、そういうふうにいろいろなスタジオですか、そういうものについての対策ですね。
  28. 本多丕道

    本多説明員 この仕事は私のほうではなくて、実は保安のほうの仕事なんですが、確かに最近の状況はヌードスタジオとかあるいはエロ写真、エロ映画等の問題もぼつぼつ出ておるように思いますけれども、特に最近それが非常にふえてきたというような状況は、警視庁管内では見えておらないわけでございます。
  29. 小島徹三

    小島委員 私、ちょっと一、二点お聞きしたいのですが、けさの住吉会新聞記事なんですけれども、私間違いかもしれませんが、あそこに細田某という人間がいて、それが高血圧かなんかで保釈されて出ていた、それが逮捕されているのですが、そういう者は医者の証明書が出ていて保釈されたと思うのですけれども、そういう者に対する監視というのですか、逮捕するくらいな状態なんですから、おそらく細田という人間は相当活躍していたに違いない。病気で保釈されて出た者がまた逮捕されるということになると、一体その間のあれはどういうことになっておるのですか。どこかの新聞にそういうふうに書いてあったと思うのですが、保釈中の者がまた逮捕されておるのですね。そうすると、医者の証明書それ自体が相当疑問があるのではないかと思われる節もあるのですが、一体保釈で出したらそれっきりで、ほうりっぱなしで少しも見もしなければ監視もしない。したがって今度の場合も、また犯罪で逮捕しなければならぬ。そんなことでは私はちょっと問題だと思うのです。医者も脅迫されて書いたとか、あるいは不良な医者がおって証明書を書くというようなこともあると思うのですが、そういう者に対する取り締まりとか監視とかいうものはどうしておるのですか。
  30. 本多丕道

    本多説明員 確かに御指摘のように、保釈ということが非常に問題があるわけです。従来保釈中にかってなまねをしたり、さらに犯罪を犯すというような例も非常に多かったのでありまして、われわれといたしましては、これを何とかしなければいかぬということで、まず第一には今度の暴力法改正においてもそういう点がよくなったわけですが、なるべく保釈させない、特に暴力関係者については必ずいろいろなことを言って保釈を要求してくるし、また非常に金を持っておりますから、保釈の場合の金の問題は非常に楽に解決する。また非常に有名な弁護士がたくさんついておるわけです。これらがいろいろな手を用いて保釈を請求する。また特に幹部の連中はわりあい病人が多い。いろいろな病気を持っておる。そういうようなことで、保釈とか執行停止とかいうようなことを非常に要求してくるわけですが、われわれのほうも、その保釈は権利保釈に当たらないのだという材料をできるだけ出しまして、また検察庁のほうとしてもわれわれのほうといろいろ協力しまして、なるべく保釈させないという形には現在しております。いまのお話は、私まだ調べておりませんが、この前逮捕いたしました磧上が保釈になった。保釈の請求は前々からずっとしておったわけですが、われわれのほうと検察庁保釈をなるべくしないようにということを裁判所側にも言っておったのですが、これはからだは非常に悪いわけです。ずっと病監に入っておったのですが、どうしても裁判所側としても保釈しなければならぬだろうということで保釈したわけです。それには必ず住居制限その他の条件をつけておる。私どものほうとしては、ともかく暴力関係者保釈というものについては厳重に見張る、いやしくも条件違反ということがあれば直ちに取り消すという方向に持っていくという態勢を現在整えております。
  31. 小島徹三

    小島委員 そのとおりだろうと思いますが、実際問題としては、そういうように保釈中にさらに第二の活動をしておる者がたくさんありますから、そういうような者に対する取り締まりをもう少し厳重にしてもらいたいと思うのです。この間大阪に行ったときに、そういうことはないと思いますがという話を聞いたから、あるいはないのかもしれませんが、何かうわさに聞きますと、大阪方面暴力団の大将で、何組か知りませんが親分で、そして懲役刑の執行中にからだが悪いということで出ている。出ておって、実際においてその男はもう一つ犯罪で何ヵ年かの懲役を受けておる。にもかかわらず本人は出て、堂々といろいろなことをしている。実際において過去の刑を執行停止をされておるままに、その次の犯罪を犯しておるという場合がある。それについては相当のあれがあるんじゃないか、バックグラウンドといいますか、とにかく何らかの背景があってそういうことになっているんじゃないかということをちょっと耳にしたことがあるのです。先般大阪に参りましたときに、そう聞いてみましたら、まさかそういうことはないでしょうという話は聞いたのですけれども、はっきりしたことはわかりませんが、そういうことは確かにあったような——現在はないのかもしれませんが、ごく近い以前にそういうこともあったような話を聞いたわけです。そういうようなものに対して、もっと厳重にやってもらわないと、保釈中の者を逮捕しなければならないということになってまいりますから、そういうものについてもう少し厳重にやっていただきたい。ことに医者自体が脅迫されて書いておるということがあるでしょうし、また不良の医者なら平気で書くこともありましょうし、そういう点についても、もう少し突っ込んで調べていただきたいと思います。それをお願いします。
  32. 本多丕道

    本多説明員 医者はいいかげんなことはないと私は思います。それははっきりとした医者にやってもらっておりますので、そういう点でいいかげんになるということはないと思いますが、確かに従来は御指摘のような面が私もあったと思います。保釈になって出てきた者が、十分に目が届かずに、知らないうちにまた犯罪をやっておるというようなケースが確かにあったと思うので、今後そういうことは一切させないようにということが、やはり私ども一つ取り締まりの重点の中に入っております。これは各警察署において、管内にそういう者がおるということははっきりとつかんでおりますので、十分に監視していきたいと思います。
  33. 四宮久吉

    四宮委員 二、三点お聞きしたいのです。坂本委員からもいろいろ出たし、小島委員からも聞かれたのですが、こういうふうにずいぶん取り締まりがやかましく論議され、社会からも非常に暴力団に対する批判を受けるような形になっている。新聞論調あたりも、最近は非常に暴力団に対するものが多いので、社会的に見ても、相当各方面から批判を受けながら、だんだんこれが組織化され大きくなり、全国に広がっていく。しかも、一体彼らは将来どうしてもこれのみで生きていくという態勢にあるのか、また何とか彼ら自身の生きる道が他に講ぜられないのか、こういう点について御研究なされたことがありましょうか。
  34. 日原正雄

    日原説明員 やはり暴力団がはびこってくる、そのまま組織拡大していく、あるいは構成人員がふえていくということは、この仕事が——仕事というとおかしいのですが、大体割りに合うという点が根本原因ではないか。それだけ組織拡大していっても、なおかつ組織を維持していけるということは、やはり相当な資金源を持っておる。そして普通の生活よりも割りが合うという考え方で入っておるんじゃないかということからして、私どものほうは、ことしの取り締まりの重点に、小暴力の取り締まり強化ということと、凶器取り締まり強化ということのほかに、この資金源をたたいていかなければ、根本的には壊滅できない。資金源一つ一つ剥奪していく、不法資金源をどんどん摘発していくことによつて組織を少なくとも縮小させることができるということで、資金源取り締まりに非常な重点を置いて考えておるわけでございます。社会的、経済的にいろいろな面でこういう組織が発生してきておるのであろうと思いますけれども、私どもとしては、不法資金源を十分摘発し、これを壊滅させていこう、そういうことによって組織全体が大きくなり得ないような形に持っていこうというふうに考えておるわけでございます。
  35. 四宮久吉

    四宮委員 資金源の問題は、これは当委員会でも前々から相当の論議になり、問題になり、三田村委員なんかも、いままでこの暴力法の改正に当たるその以前からもこの問題についてはいろいろな追及をされておるかと思います。そういうような状況にあるが、なおかつこれは根本的なきめ手というものはないものですか。この場合には、いろいろな業態もあるし、商売もいろいろ変えてやるのであるからむずかしいと思いますが、しかし、これも暴力さえ用いなければ、一般国民がやる仕事ですから、これに対して警察が手を加えるということも困難でありましょうが、少なくともこれがいま言うように、間尺に合うという点があらゆる面から観察されながら、これに対して手の打ち方がどうも——というのは、逆にこういうものが大きな組織になっていくという状況を見ても、私はどうしても資金源に対する追及というものの態勢が徹底していないんじゃないかと思われる節があるのですが、どうでしょう。
  36. 日原正雄

    日原説明員 これはまたさらにその資金源関係の摘発を進めていくと、やっぱり国民全体が暴力団に金を出さない、とにかく暴力その他で取られたならばすぐ警察に言ってきていただいて、警察取り締まりをしてもらうという形になって、国民全部が暴力団に金を出さない、また取られた場合には検挙するんだ、こういう態勢が完全になってくれば、もう暴力団の存在していく余地はなくなってくるのではないかというふうに考えるのですが……。
  37. 本多丕道

    本多説明員 その問題は、私ども一番大きい問題として考えておるわけです。結局、いま刑事局長が言われたように、みんなが何にも出さないということになればけっこうですが、実情からいうとなかなかそこまでいくことはむずかしい。一面においては、要するに恐喝とか犯罪行為によるもの、これは結局先ほどもお話ししましたように、被害者が私どものほうにそういう被害を出していただければいけるわけです。これは結局警察というものに対する全面的な信頼が打ち立てられてくれば、だんだんにそういう傾向は出てくると思う。しかし、彼らの資金源というものは、必ずしもそういった表面的にはっきりした犯罪行為にならないものが相当あるわけです。これらの問題はまた警察取り締まりだけではいかんともなしがたい。結局私どもが現在考えておりますことは、これはこの前一つの例があるのです。警視庁管内で城北地方暴力団を根こそぎ検挙したわけです。その場合に彼らの数億の財産があるわけです。その資金源が結局パチンコその他いわゆる上納金、こういったものがどんどん入ってくるということがはっきりわかってきた。これらに対しては全部脱税をしておるという面から、結局国税庁と話し合いをして、もっと税をかけるということも手じゃないかということで、現在国税局の方にも検討していただいておるわけですが、私どもが見ておりますと、先ほど来話がありますように、特に親分といわれる者はふところ手して常に金が入ってくる、こういう状況です。これが彼らの結局地位を維持する唯一の根源です。これをはっきりたたかない限りは、幾ら人間をつかまえてもどうにもならぬ。結局親分株をつかまえるということは、それによって非常に精神的な打撃を与えるわけです。また彼らが結局つまらぬやつらであるということが、一般の者にもはっきりするというような点における価値が非常にあるし、またそれ自体、悪い者をつかまえるということはけっこうな話ですが、それだけでは暴力団組織というものは破壊することはできない。やはり組織の根源は金である。金がなくなればあんなものは雲散霧消してしまうということで、何とか吸い上げるということは、警察取り締まり以外にやはりそういった手を強力に打っていかなければならぬということは、私考えております。  いま、現在の法律的な制度のもとにおいて許されることは、いま言ったような手があるわけですけれども、これは将来の問題としてはもっと根本的に、たとえば恐喝した金を数千万持っていることはわかっても、これはいかんともなしがたいという問題があるわけですね。こういった矛盾というものは、私どもはもっと検討しなければならぬのじゃないかという感じを持っておるわけです。そういった面が徐々に改善されていけば、相当成果というものはあがってくるんじゃないかというふうに考えます。
  38. 四宮久吉

    四宮委員 大体御趣旨わかりますが、いずれにいたしましても、暴力法の法改正については、相当国会のほうでも強力に推進したいきさつもあるし、それがこれだけ社会に批判されながらもだんだん拡大され、大きな組織のものが、数がだんだんふえてくるという状況は、これはわれわれが法は改正したが、かえってその法というものが意味をなしていないというような社会から批判を受けるおそれもないとも限らぬ。それを私たちは非常に憂うるものです。そういう観点に立って、ひとつここで当局者が十分御配慮願いたい。  それと、いま坂本委員からもお話がありましたが、少年の問題ですね。少年の問題がこれだけやかましい中に、この間も数字をいろいろ拝見しますと、だんだんふえつつあるというのは、どうも私たちは理解に苦しんでいるわけです。これには何か欠陥があらゆる面にあるのであろうと思いますけれども、特にこれがふえるというおもだった原因はどこにあるのか、お調べになった結果があればお答え願いたい。
  39. 本多丕道

    本多説明員 これはいろいろな原因が私あると思うのですが、いわゆる暴力団組織にそういう若い者が入っていくということの一つの理由は、やはりそこに魅力がある。結局、先ほども局長が話しましたが、これは非常にいい商売になるのです。若い者が比較短期間に金をもうけ、しかも地位も上がっていくという一つの大きな魅力がある。そういう組織としての仕組みになっておるものですから、これが私はやはり一つの問題であると思うと同時に、やはり暴力団というものが非常におそれられている。ある意味で非常に強いものであるというような一つの誤った気持ち、そういうものから引かれていくということもあるように思います。私ども取り締まりというものは、やはりそういった少年問題に対して暴力組織というものが魅力のないものであるという方向に持っていかなければならぬ。やはり彼らの存在というものがいかにつまらないものであるか、決してそんな強者ではないのだ、非常にくだらぬ連中だということを、やはり取り締まりによって見せていく、示していくということによって、少年の誤ったそういった暴力組織に対する見方を是正していくということが、やはり相当影響を持ってくるというように私は考えるわけです。もちろん、少年自身がその他においていろいろ魅力のある生活ができないというような面も、当然考えなければならぬと思いますけれども、少なくとも暴力組織に入っていくということに関しては、やはりそういった当然入っていくべき理由といいますか、根拠があるわけですから、それを暴力組織から排除する、それを破壊するということが私ども一つのねらいであります。
  40. 四宮久吉

    四宮委員 そこで私は聞きたいのだが、これだけ社会から批判を受け、取り締まりは現にやって、あらゆる努力を重ねておりながらも、かつ、せめて現状を維持するとか幾らか減っているという形なら納得いくのですけれども取り締まりは厳重にやっておるのだ、十分気をつけてあらゆる指導をやっておるのだ、間尺に合わさぬようにしてというようなこと、あるいはまた英雄観を抱かさないように苦心されておると言いながら、その何が逆効果の結果を来たしておるというところに、何か再検討される余地がないものでしょうか。
  41. 本多丕道

    本多説明員 ふえておるということは、いまほんとうに非常にふえておるということよりも、警察統計というものは警察が把握する人数ですから、これがふえてきておる。要するに警察の目がだんだん浸透していくということで、過渡的に私はふえると思います。しかし、いまのような取り締まりを、まだ実際の問題としては半年程度なんですが、これがもう少し継続してずっと続いていくならば、その数というものは減ってくる時期が必ずくるというふうに考えております。現在では、警視庁におきましても、従来わからなかったような構成員がどんどん把握されてきております。そのために去年に比べますとふえております。これは去年にはなかったわけではなく、警察がはっきりつかんでなかったという面が相当あるように思います。
  42. 四宮久吉

    四宮委員 青少年問題では各府県に相当条例ができたと思うのですが、いま条例ができておる府県はどのくらいありますか。
  43. 日原正雄

    日原説明員 いまちょっと資料を持ってまいっておりませんが、三十数県くらいじゃないかと思います。
  44. 四宮久吉

    四宮委員 かりに東京都の青少年条例、これが施行された結果、あなた方に対してはどういう結果が出ておるか、感じられたことありましょうか。これについてちょっとお聞かせ願いたい。
  45. 本多丕道

    本多説明員 いわゆるぐれん隊条例でございましょうか。
  46. 四宮久吉

    四宮委員 今度できた青少年条例……。
  47. 本多丕道

    本多説明員 それはまだ結果が出ておる段階ではないのですが……。
  48. 四宮久吉

    四宮委員 以前のぐれん隊条例は……。
  49. 本多丕道

    本多説明員 あれは非常に街頭の取り締まりに役立ちまして、あれができてから数は非常に減っております。街頭におけるダフヤとかその他、あそこにあげられた目につくあれは、確かに相当減っておると思います。
  50. 四宮久吉

    四宮委員 今度のこの青少年条例は、あなた方見て相当効果のある結果が得られるというふうな考え方あるのですかどうですか。あなた方の観点から見て……。
  51. 本多丕道

    本多説明員 私の所管ではないので、あまり私研究しておらないのですけれども、おそらく相当成果があるだろうと思います。
  52. 三田村武夫

    ○三田村委員長 ちょっと、その問題について警視庁に伺いたいのですが、この間ある婦人の会合に出たのです。そうしたら、深夜喫茶なんかなくしたって当然のことだと言うのです。ところが、深夜喫茶をなくしたが、映画館の深夜営業はある。二、三日前のテレビでもやっておりましたが、深夜食堂はますます繁盛している。一体十二時過ぎ、二時、三時、五時ごろまで営業を続けなければならない理由がどこにあるのだ、どうしてこういうでたらめな、野方図なことをやっておくのですか、幾らやかましく少年の非行化防止と言ったって、ああいう遊び場所、徹夜で夜っぴて遊べるような場所をつくっておくことが間違いだ、こういうこともがんがん言われたのですが、警察庁刑事局長もおられますが、御意見はどうですか。
  53. 日原正雄

    日原説明員 これも実は保安局の所管なんです。しかし、私の考えを申し上げますと、やはりあの法律改正の途中や何かで、少年のことばかりで一本やりでいけばいいのですが、あるいは夜働く人が困るじゃないかとか、駅に夜中降りた人が困るじゃないかとか、タクシーの運転手が困るじゃないかとか、いろいろ必要な面もあるものですから、そこでそれじゃ食堂をやらせる、食堂をやらせれば、また食堂へ非行少年が集まるということで、簡単に割り切れないところに問題があるのじゃないか、非行少年の環境をよくするために一本やりであらゆる施策ができればいいのですが、そうでないほうの面も考えていかなければならないというところに、何か多少イタチごっこみたいな感じの面が考えられるので、なかなか取り締まりとしては徹底できないのじゃないかというふうに考えます。
  54. 四宮久吉

    四宮委員 もう長引いたから、この程度にいたしますが、いま当局の説明によりますと、いわゆる各府県において緊密なる連絡をもってという御説明を何度も承ったのですが、緊密な連絡というのはどういう方法でやっているのか、ちょっと承っておきたいと思います。
  55. 日原正雄

    日原説明員 一つは、全国的な組織を持つ約十団体くらいを指摘いたしまして、警察庁自体情報を収集し、収集した情報関係のある府県に流していく、あるいはそれぞれの大きな暴力団の根拠地付近で関係府県が集まって、お互いの情報を交換する。それから、どこかで事件が起これば、すぐによその県もそれに関連した暴力団というものの視察を強化していく、あるいは応援にかけつけるようなときは途中で食いとめるというような、いろいろな面が連絡緊密化ではあると思います。考えられるだけの手を打っていって、向こうも組織化していくなら、こっちもできるだけ——そういう組織については、警察法では一応府県分立になっておりますけれども、こっちも組織的に考えていこう、こういうことでございます。
  56. 坂本泰良

    坂本委員 いろいろありますけれども、切りがないから、一つだけお聞きしておきたいのは、この暴力法に基づいて非常に強硬な捜査を進められ、暴力団の撲滅に非常に努力されておることは、冒頭に申し上げましたように敬意を表する次第です。ただ、これは新聞なんかを見ますと、逮捕は銃砲刀剣不法所持とか、あるいは従来やった刑罰で逮捕状が請求され、逮捕されていて、暴力法によるところの逮捕というのは新聞なんかでいままで見ないわけです。さっき申されたように、相当検挙数もあるようですが、暴力等処罰法も今度改正になりました。これに基づいて逮捕状を請求し、捜査令状を執行し、あるいは検察庁に回して起訴するというような関係はどうなっておりますか。概略的の統計でけっこうですが、承っておきたい。
  57. 日原正雄

    日原説明員 暴力行為処罰法を適用して暴力団犯罪検挙した数字でございますが、最初に申し上げました暴力団犯罪検挙状況を数字で申し上げますと、ことしの一月から六月までに三万五千六百四十九件、二万七千五百三十六人でございますが、そのうち暴力行為処罰法違反で千二百二十五件、千九百七十人を検挙いたしております。それで、この暴力団検挙いたしました一番多いものから申しますと、件数で申しますと、やはり傷害が一番多い。傷害、窃盗、恐喝、暴行というようなものに次いで暴力行為処罰法違反というものが出てまいっております。  それから七月中における暴力行為処罰法違反状況は、一万一千二百三十七件、一万九百七十九人の中で、この法律違反件数は四百九十八件、九百八十三人ということでございます。これもやはり件数人員で申しますと、傷害、恐喝、暴行、銃砲等不法所持の関係等に次いで暴力行為処罰法違反検挙が出てまいっております。  それから昨年同期と比較いたしますと、ことし前半期の状況で申しますと、やはり暴力行為処罰法違反で一月から六月までに検挙した者が、昨年同期に比較して一割強の増加を示しております。増加している罪種別の人員から申しますと、賭博が非常に驚異的に増加をしております。賭博、暴行、銃砲刀剣類不法所持の関係に次いで四番目に位しております。  それから七月中の取り締まり状況で申しますと、暴力行為処罰の法律違反の分が昨年の約倍近く検挙をいたしております。
  58. 坂本泰良

    坂本委員 実はわれわれは各県からいまのような統計は、調査に行ったところはもらってまいりました。そこで全国的にはどうなっているかという表をこの小委員会へ提出していただくようお願いいたします。
  59. 三田村武夫

    ○三田村委員長 それでは私から一、二点、たいへん時間がおそくなりましたが、伺っておきたいことがあります。  けさの新聞にありましたように、今度のオリンピックは、参加国九十三カ国で、史上最大のスポーツの祭典と言われておりますが、九十三カ国の選手及び見物人が東京に集まるのですが、このオリンピックを中心にして何らか暴力ざたでも起こるとたいへんな問題になると思うのです。これはひとつ声を大にして、オリンピックを中心にした暴力退治を断固として徹底的にやるのだということをひとつ言ってもらいたいのですが、具体的に何かそういった御検討なり御計画をお持ちであるかという点が一点。  それから先ほど、近ごろの暴力団は政治運動に非常に強力に乗り出してきたという御説明がございましたが、私は、暴力団政治活動を始めると、必ず政治暴力というものを誘発することをおそれるのです。かってもそういうことはたくさんあったのですが、実はそういう意味できょうは警視庁の公安部長にも出てもらって、そういった点のお話を願いたいと思っておったのですが、政治運動に暴力団が乗り出してきたその背景と言いますか、趣旨それから動向、そういったものをどのように警視庁は見ておられるのか、この二点について伺っておきたいのです。  まず第一にオリンピックに対する対策、特に選手や見物人に対する暴力ざた、これはどうしても徹底的にやらなければいけないのですが、何か具体的に対策をお持ちですか、伺いたいのであります。
  60. 本多丕道

    本多説明員 オリンピックの問題につきましては、私ども非常にいま検討をいたしております。委員長の言われましたように、この機会に絶対そういった事故を起こさないということをたてまえにいたしまして、本部と警察署、特に盛り場等を管轄する警察署体制を強化いたしまして、その他の犯罪もあるわけですが、特に暴力的な犯罪がもし起こったという場合には、直ちに十分な手が打てるように現在体制をつくっておるわけです。この間、六月、七月の暴力団の、一斉ではありませんが、集中的な取り締まりを行なったのもその一環としてやっておるわけですが、今後も暴力取り締まりという、できるだけ彼らを隔離してしまうという方向を第一といたしまして、それからその次には、もちろん予防的な措置も防犯等と一緒にやるわけですけれども、いやしくも事故が起こったら、直ちに現場で完全な措置をするという初動体制を思い切って強化していくという体制で現在検討いたしております。  それから暴力団政治活動ですが、これは特に最近そういう傾向が強くなったということではないと思います。むしろ今年に入りましてからは、そういった傾向が弱まっておるというふうに私見ております。御承知のように、暴力団と言いましても右翼とすれすれのそういったものがおるわけですが、これらと純粋の暴力団と申しますか、そういったものとのつながりとか、また特に暴力団自身が自分の存在を正当化するという趣旨から政治的な擬装をするというような傾向も見えておったのですが、最近ずっと見ておりますと、そういったことをやることが取り締まり強化を招くのだということから、むしろそういうことはやめようじゃないかという風潮がだいぶ出てまいっておるように見受けられるのでありまして、特に最近強くなってきておるという状況はないと思います。
  61. 三田村武夫

    ○三田村委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十四分散会