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1964-06-25 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二十五日(木曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐々木義武君    理事 辻  寛一君 理事 内藤  隆君    理事 永山 忠則君 理事 石橋 政嗣君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       岩動 道行君    壽原 正一君       高瀬  傳君    綱島 正興君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       保科善四郎君    前田 正男君       松澤 雄藏君    渡辺 栄一君       稻村 隆一君    大出  俊君       村山 喜一君    受田 新吉君       永末 英一君    山下 榮二君  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         国 務 大 臣 福田 篤泰君  出席政府委員         内閣法制局長官 林  修三君         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官  志賀 清二君         防衛庁参事官         (長官官房長) 三輪 良雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  堀田 政孝君         防衛庁参事官         (人事長局)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (衛生局長)  軽部彌生一君         防衛庁参事官         (経理局長)  大村 筆雄君         防衛庁参事官         (装備局長)  伊藤 三郎君         防衛施設庁長官 小野  裕君         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部長)    沼尻 元一君         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部会計課長) 大浜 用正君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    鈴木  昇君         防衛庁事務官         (防衛施設庁労         務部長)    藤本  幹君         海上保安庁長官 今井 榮文君  委員外出席者         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 六月二十五日  委員永末英一君辞任につき、その補欠として山  下榮二君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 六月二十二日  公務員の賃金引き上げ等に関する請願金丸徳  重君紹介)(第四八七六号)  同(五島虎雄紹介)(第四八七七号)  総理府統計局職員処遇改善等に関する請願(  加藤進紹介)(第四八七八号)  行政整理反対等に関する請願谷口善太郎君紹  介)(第四八七九号)  同(林百郎君紹介)(第四八八〇号)靖国神社  の国家護持に関する請願外一件(逢澤寛君紹  介)(第四九一一号)  同(小金義照君外二名紹介)(第四九一二号)  同外六件(受田新吉紹介)(第四九四二号)  同(佐々木秀世紹介)(第四九四三号)  同(佐藤孝行紹介)(第四九四四号)  同(椎熊三郎紹介)(第四九四五号)  同(篠田弘作紹介)(第四九四六号)  同(壽原正一紹介)(第四九四七号)  同(田口長治郎紹介)(第四九四八号)  同(地崎宇三郎紹介)(第四九四九号)  同(中川一郎紹介)(第四九五〇号)  同(南條徳男紹介)(第四九五一号)  同(本名武紹介)(第四九五二号)  同(松浦周太郎紹介)(第四九五三号)  同(松田鐵藏紹介)(第四九五四号)  生命尊重厚生記念日制定に関する請願河本敏  夫君紹介)(第四九一三号)  元満州国等政府職員の恩給に関する請願外一件  (前田正男紹介)(第四九一四号)  同(愛知揆一君紹介)(第四九四一号)  憲法改悪反対等に関する請願大原亨紹介)  (第五〇〇〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第一一七号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。永末英一君。
  3. 永末英一

    永末委員 防衛庁長官は、六月九日の閣議が終わったあと記者会見を行なって、F104Jの継続生産防衛庁としては決定をして、その措置について大蔵大臣と協議をしてほぼ合意を得た、このように伝えられておりますが、この間の経緯を明らかにしていただきたいと思います。
  4. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 昨年末の大蔵省との防衛庁予算折衝の際におきまして、実は三十九年度に何とか継続生産のめどをつけたかったのでございますが、時間的に非常に余裕がなくなりまして無理になりました。したがいまして、本院におきましてもいままでたびたびお答えいたしておりますが、昭和四十年度予算化することを目標に、その後事務的にいろいろな検討を進めまして、ただいま御指摘閣議あと大蔵大臣との話し合いというのは、その一つ大蔵省との話し合いの実例でございます。大蔵大臣といたしましても、何とかわれわれの要望に沿って継続生産は必要であろうということで、原則的に賛意を表してくれました。ただいま事務的の面におきまして計数を詰めましたり、いろいろ検討いたしております最中でございます。
  5. 永末英一

    永末委員 そうしますと、今回のこの大蔵大臣との話し合いは、防衛庁としては省議として決定をして、そうして申し出た、こういうことに了解してよろしゅうございますか。
  6. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 そのとおりでございます。
  7. 永末英一

    永末委員 二月十四日の予算委員会で私がこれらの点について長官にただしましたときに、ちょうどそのときには、アメリカ日本から撤退する予定になっておりますF102の購入の件について検討中である、こういう答弁がございました。そういたしますと、F104の継続生産省議として決定せられた以上は、F102については購入しないということも同時に決定されましたか。
  8. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 御指摘のとおり、104も102も相関関係がございます。アメリカ側の申し入れに対しまして、数回実は庁内におきましても検討を続けました。大体いまの段階では、購入しないという線が強うございます。まだ全般的に最終的なアメリカに対する回答はいたしておりません。
  9. 永末英一

    永末委員 102のほうはまだ未決定である、こういうことですね。
  10. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 未決定、いわゆる正式な、最終的なアメリカに対する回答は、まだその段階でありませんが、いままでの検討した方向といたしましては、たとえ価格が安くとも不適当ではないか、購入しないほうがいいのではないかというのが、大勢を占めておるような今日の現状であります。
  11. 永末英一

    永末委員 そういたしますと、104の継続生産をするにあたって、まだ政府としては決定をしておらないようでありますが、四十年度からかかるといたしますと、一体これがいつ終了する、このようなお見込みの上で交渉されましたか。
  12. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 大体第二次防の整備計画は、御案内のとおり、昭和四十六年ごろまでに104七スクォドロン維持するというのが目標でございます。これに沿っての生産を続けておるわけでございます。最初は、いろいろな新しい生産でありますので、これは各国とも共通現象でありますが、むずかしい困難な事情もいろいろ出てまいりました。最初予定よりは多少おくれたようであります。大体いま考えております昭和四十年度末の二百機、これは見通しがほぼついておりますのが、今日の現状であります。なお、詳しいことは政府委員から数字的に申し上げます。
  13. 永末英一

    永末委員 政府委員からお答えになる前に、私の伺いたいのは、あなたは、昭和四十六年度末にF104七飛行隊つくるというのが二次防の計画目標である、こういう御答弁でございます。私の伺いたいのは、四十年からかかれば、あと継続生産が完了するのは一体いつになるのか、その計画を伺っておるわけです。
  14. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 継続生産の五十機を四十年度予算必要予算が成立したといたしますと、直ちに準備を始めまして、四十一年の終わりころから継続生産初号機生産されまして、これが終わるのが四十二年の終わりかあるいに四十三年の初めくらい、大体月四機生産程度のペースで考えまして、そのようになるだろうというふうに考えております。
  15. 永末英一

    永末委員 二次防の計画は四十一年度で終結する、このように私ども承知をいたしております。いま、伺いましたところでは、この継続生産機数は五十機であって、その五十機の生産が完了する時期は、四十二年ないしは四十三年である、こういうことになりますと、一体四十二年から始まる第三次防の計画とこの継続生産とがどういうからみ合わせになっておるかということを、われわれとしては承知しなければならぬと思うのです。すなわち、継続生産は、長官お答えによりますと、二次防の中に含まれておるものだ、こういうようなお考えでありますが、一体そうなのかどうか、お答えを願いたい。
  16. 海原治

    海原政府委員 先ほど大臣お答えにありました104の継続生産五十機という機数が、二次計画に一応予定されておるものじゃないか、こういう関連の御質問でございますが、結局、この五十機という機数は、二次防で予定されます。スクォドロン減耗補てんでございますから、七スクォドロンというのは、四十一年度に編成が完了いたします。これは当然その後数年間そういう形において減耗することは予想されるわけでございます。その減耗機補てんということでございますと、私どもといたしましては、二次計画の中で本来当初において措置すべきことであったと思いますが、それが減耗率その他の実績がございませんために、今日まで延びてきておる、こういうふうに判断いたしますので、私どもの立場からは、それは二次計画の中に考えられておった事業一つである。三次計画というものは、前々からお話ししておりますように、現在まだ関係の部局で検討中のものでございます。これは四十二年以降についてどういうようになるかということにつきましては、まだ何ら具体的な案がきまっておりません。しかし、先生御存じのように、長期計画でございますから、その前の計画予定されました事業が、あと計画に一部分ずつ食い込まれてくるということは、これはやむを得ないことでございまして、二次計画ではこれこれのこと、三次計画ではこれこれのことというのが、きちっと分かれるようなものではございません。そういうことは非常にむずかしいことでございますので、二次計画予定されておったものが一部三次計画の期間中に影響といいますか、糸を引いてまいるのは当然のこと、そのようにひとつ御了解願いたいと思います。
  17. 永末英一

    永末委員 そうしますと、今回防衛庁として御決定になった継続生産F104に関するものは二次防の中である、このような御答弁でございますが、そういたしますと、いま簡単に触れられたのでありますが、われわれが了解しているところでは、二次防というのは、その計画中にF104を二百機つくる、こういう非常にラフな数字が示されてある。ところが、その二百機というのも、一体最初飛行隊を何機にするかという場合に、二十五機と言い、ところが、だんだん減じて、いまや一飛行隊十八機でつくる、こういうことになっておりますが、いま防衛局長お話では、まだ飛ばして見なかったので、減耗率がわからなかった、こういう話です。これはしかし受け取れない。一体F104Jの減耗率はわからなくても、F86Fにいたしましても、F86Dにいたしましても、すでに自衛隊がこのジェット機を使ってある程度の減耗率ははっきりわかっておるはずでありますし、しかも新しい飛行機を使おうという場合に、これを計算せずして、実働機数百八十機を目標として第二次防の数字をあげて、そうしていま継続生産をその中身として新たにしなくてはならぬ、こういう計画は、はなはだずさんだと思いますが、一体そういう点について、どういうような計画を立てられておったのか、これを伺いたい。
  18. 海原治

    海原政府委員 私、先ほどの御説明減耗率を申し上げましたのは、一つの例でございまして、これにつきましても申し上げてみますと、二次計画予定しました際には、大体当初は、十万時間当たり六〇とか五〇とか四七、四五、四三と、こういうふうな逐年低下してくる減耗率考えております。従来一万時間で申し上げた例もございますが、これは十万時間当たりであります。これが、その後の検討の結果、非常に高率に過ぎる。したがいまして、四七と考えておりましたところが四四、四五と考えておりましたものが四〇、四三が三七、落ちつきましたときには、大体三五ないし三〇でいけるんじゃないか、こういうふうな推定に変わってきております。こういうことが一つの例でございまして、これだけではございません。当時国会におきまして、104の減耗補充をどうするかという御質問がございましたときには、いわゆるミサイルとの関連においてそのことも考るんだ、これは四十年に近いときに決心をする、こういうことも当時防衛庁からお答えをいたしております。さらには、一応第一次生産というものが終わります際に、引き続き継続生産することのほうが産業面その他においてもベターである、より合理的であるというようなことも次第にはっきりわかってまいりましたので、この時期において決心をしたい、こういうことでございます。
  19. 永末英一

    永末委員 ただいま減耗率お話が出ましたが、私どもは、このF104Jがいろいろな問題のあげく機種決定されたものであることを伺っております。しかも当初の生産においては、アメリカ負担率は四割に達しておったと、私どは承知いたしております。それで、いまの防衛局長お話では、もっと減耗率が多いと思っておったが、その減耗率がだんだん少なくなった。けれども継続生産はやらなくちゃならぬ、こういうお話です。継続生産をするかしないかわからないというのは、減耗率が非常に少いと思っておったにもかかわらず、減耗率が上がってきたから、継続生産しなければ当初の七飛行隊を四十六年度に設置する目標が達成されない、これなら話がわかるけれども、初めはもっと多いと思っておったが、少なくなってきた、だから、新たに生産しなくちゃならぬというのは、私はわからない。そこで、この点が一点と、もう二つは、大体それならば、これは減耗するものであって、百八十機の練習機を除いた機数をそろえたのでは、必ずこれは七飛行隊できないのだということは、一番初めからわかり切っておったはずだ。それにもかかわらず、二百機をきめて、そうして当初アメリカ日本との負担部分を六対四できめて、いま今度新しく生産しようとする場合に、一体アメリカが四割持ってくれますか。この二点を明らかにしてもらいたい。
  20. 海原治

    海原政府委員 ただいまの第一の点についてお答え申しますと、私の先ほどの御説明が不十分でございまして申しわけございませんが、減耗率算定等についても十分な資料がなかったということが、当時決定しなかった事由と申しますか、条件の一つでございますということを申し上げた次第でございまして、多く予定したものが少なくなったからむしろ要らないじゃないか、こういう意味の御質問でございますが、そういう意味で実は申し上げたことでございませんことをひとつ御了解願いたいと思います。いろいろと具体的に104のスクォドロンというものの維持について、不明確な要素が多かったということの例で申し上げたわけであります。その後、たとえばアメリカF104Cにつきましての事故率あるいは事故態様等もわかってまいりました。また、私どもパイロットが具体的に104Jに乗った体験から申しまして、先ほど申し上げましたように、減耗率その他についても、一応これならばまず七スクォドロン維持ということについて間違いがないということの数字が出てきた、こういうことでございます。
  21. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 日米の経費の分担でございますが、第一次の二百機の生産については、日本側分担が、金額にしまして七二・一%、米側が二七・九%でございます。第二次の五十機につきましては、一応日本側だけで負担をしてやるということで考えております。御承知のように、最近のアメリカマップ削減方向から見まして、これについてアメリカ側の援助を期待するということはきめて困難であろうという予想のもとに、日本側だけで生産をするということで予定をされております。
  22. 永末英一

    永末委員 防衛庁長官に伺いたいのですが、いまの二人の局長説明を聞いておりまして、二次防計画で104Jに取りかかったときには、これが昭和四十六年度を目標とするならば、たとえ最初計画された一飛行隊二十五機を十八機にしましても、七飛行隊はできないということは、当初から考えられておったと思う。考えていなかったとすれば、そんな甘い計画はないと私は思う。しかるにかかわらず、その当時に、アメリカがいまお話のございましたような、当初は六、四でありながら、だんだん削られていまのような数字になりました。ほとんど七対三になったのでありますけれども、それにもかかわらず、いままでそれを伏せておいて、今度は日本人の税金だけで全部この継続生産をやらなくちゃならぬというような決定に立ち至ったのは、一体どこに欠陥があるとお考えですか。あたりまえとお考えですか、やり方が聞違ったとお考えですか。そこのところ、ひとつあなたが責任者ですから、お答え願いたい。
  23. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 MASは、御承知のとおり、アメリカ側との第二次防計画樹立の際にいろいろと話を定めたのが発端でございますが、その後ドル防衛その他のアメリカ側事情によりまして、いろんな変更がございました。ないしはまた決定についてもおくれたという部面も出てきたわけであります。したがいまして、いま局長からお答えしましたとおり、最初の七スクォドロン維持というものはやはり十八機あたりが適当ではないか。それにはどうしても減耗が出ますので、約五十機が補充分として適当であろうという、数字的にも結論が出たわけであります。いまアメリカとの関係が、いろいろ負担もおかしいではないかという御指摘でございますが、確かに対米折衝の上において、いろいろな点で不便を感じ、また途中で話も変わるということも間々あることも、やむを得ない事情でございます。このたび、実はマクナマラ国防相の招きで参りますけれども、その場合の議題一つも、その点についてもう少し明確なアメリカ数字なり、あるいは答えを求めたいと事前に実は連絡しておるわけであります。いろいろな見込み違いと申しますか、あるいは数字の手直しと申しますか、やはり日米両国間のことでありますので、ある程度これはやむを得ないことじゃないか、こう考えております。
  24. 永末英一

    永末委員 見込み違いのところは日本側にあったのではなくて、相手方が起こした原因にある、こういうような雰囲気のお話ですが、それではどうもあまりあなたまかせであって、わが国の防衛について責任ある人の答弁ではないのではないか。あっちは変わりますよ。変わることも計算に入れてこちらの防衛計画を立てなければ、あっち側の方針が変わらないのだというので、もたれかかったような形で防衛方針を立てられては、国民は不安でならぬと思うのです。あなたはそうお思いになりませんか。
  25. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 何年か前に話し合いを一応つけたことが、そのまま実行に移されるのが一番理想でございます。しかし、アメリカ側としてもいろいろな事情がございますし、また当方としてもいろんな点で、長期計画は、これはどこにも共通現象として、ある程度の見込み違いも出てくることもまたやむを得ないのではないか。大筋におきましては、局長の答えましたとおり、大体順当に進むのではないか、こう考えております。
  26. 永末英一

    永末委員 過去のことをあなたに責めましても、あなたの在任が短いのでございますから、あなたの御決定をなし得なかった以前の話でございますから、それは別として、いまの時点から考えて、一体これから五十機生産をして、いま防衛庁承知いたしておる減耗率等考え——オペレーション・リサーチにかけるかどうか知りませんが、それで昭和四十六年度に十八機七飛行隊ができますか。百二十六機要りますね。できますか。それをひとつお答え願いたい。
  27. 海原治

    海原政府委員 私ども一の現在時点におきます判断では、四十六年度におきましても七スクォドロン維持はできる、こういうふうに考えております。
  28. 永末英一

    永末委員 四十六年度以降には、いつ七飛行隊が保たれなくなるというお考えですか。
  29. 海原治

    海原政府委員 直ちにただいまの御質問お答えをする前に、現在時点におきましてどういうように飛行機が減っていくかということは、全部計算でございます。これは御存じのように、私どもはあくまで計画上の数値を扱っておりますので、一カ月当たりその飛行機が十五時間飛ぶか十二時間飛ぶか、こういうようなことも、いろいろ影響してまいります。さらにはパイロット減耗ということも考えられます。そういうことが少しずつ変わってまいりますと、何ぶんにも長期計画でございますので、若干の数の変動はやむを得ない、こういう点はあらかじめ御了承をいただきました上で申し上げますと、大体四十七年度ころから、いまの計算でまいりますと、一スクォドロン当たり十八機という編成でまいりますが、これが全体的に申しまして数機ずつ減耗していくといういまのところの見積もりでございます。
  30. 永末英一

    永末委員 いま言われたように、四十七年度から一飛行隊十八機が維持できなくなる、こういうことを承知の上でいま継続生産をしよう、こういうことだとわれわれは拝聴するわけであります。はなはだどうもおぼつかないと思うのです。いまおっしゃったように、いろいろな不確実な要素がこれから入ってくる、まだきめられていない要素がある、こういうことでなかなか計算はできないかもしれませんが、四十六年度をセットして二次防の一応の計画目標の達成、その中で104Jが受け持つべき兵力量は七飛行隊である、こう言われた。ところが、第三次防は四十二年度から始めなくてはならぬ。その場合に、いまのお話を伺いますと、四十六年度で七飛行隊は充足されるが、四十七年度からはわからぬ、こういう話だ。そうしますと、三次防をいまの事態から、いわゆる要撃戦闘体制考えなくてはならぬと思いますが、そういうことを考えながらこの継続生産を御決定になったかどうか、伺いたい。
  31. 海原治

    海原政府委員 おっしゃいますように、四十六年度ということを考えますときには、それから先がどうなるかということは、私ども事務当局としては一応検討いたしたわけでございます。それを考えまして、日本の防空のためにどのような体制が必要かということになってまいりますと、先ほど申しました第三次計画の内容の問題になりますけれども、少なくとも事務レベルにおきましては、そのことは一応検討した結果、今度の五十機の継続生産ということを決心した次第でございます。
  32. 永末英一

    永末委員 防衛庁長官は、今国会が終わりますと、すぐにいまお話のようにアメリカ国防長官とお会いになっていろいろお話をされるように伺っております。三次防について、アメリカ一体日本に何を期待しておるか、日本一体何ができるかということが、私は当然テーマの一つになろうと思うのです。そこで、いま防衛局長お話では、事務レベルとしては考えておるということですが、あなたが、防衛庁責任者としても、第三次防はどの辺のときまでに素案をつくり上げなければならぬといま考え——素案ができておるかどうかわかりませんが、腹案を練っておられるか、それをひとつ伺っておきたい。
  33. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 これは先般の本委員会でもお答えしましたとおり、何といいましても非常に総合的な複雑な問題がたくさんございます。したがって、関係の部局で基本的な掘り下げをしておる最中であります。アメリカ側話し合いを具体的にわれわれはまだいたす段階でない、こう考えております。
  34. 永末英一

    永末委員 先ほど継続生産機数は五十機ということを伺いました。価格は、一体どのくらいと考えておられるのですか。
  35. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 価格につきましては、三十九年度の予算要求をいたしました場合には、一応一機当たり約四億五千万という要求を出しております。現在時点でさらにこれをある程度推定した数字がございますが、価格というのは、やはり予算を組むなるべく近い時期に、輸入品あるいは国産品等の値段を検討してきめなければいかぬというふうに考えております。したがいまして、現在時点ではそれほど固めた数字ではございませんが、先ほど申しましたように、三十九年度要求しました約四億五千万の単価に対しましては、一年おくれますので、ある程度の値上りが予想されるのではないかというふうに考えております。
  36. 永末英一

    永末委員 生産が再開されるのは国会予算が通過したあとでございますから、早くとも来年度の四月以降ということですね。
  37. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 四十年度の予算が成立しましたあとから会社に対して内示をし、契約をするということになりますので、生産の準備にかかりますのは、四十年度に入ってからであります。また、生産の段取り、資材の手当て等に相当期間がかかりますので、二次生産の一号機が出るのは、先ほど申し上げましたように四十一年の暮れくらいからではないかというふうに考えております。
  38. 永末英一

    永末委員 この飛行機が当初国会にかかりましたときには、大体一機当たり四億一千万円程度でできるのではないかという説明を私どもは受けておりました。ところがその後、たとえば方向を定めるジャイロにいたしましても、射撃管制装置、ナサールの部品にいたしましても、アメリカ側が非常な単価の値上げをやってくる。しかもこの五年間の池田内閣の経済政策の間違ったやり方のために、日本でつくる部品までどんどん値上がりしてきておる。アメリカ側が一方的につり上げておる。これでは、当初の計画の値段ではでき得なくなってきているのではないか。そういうことが、いわばこの飛行機を飛ばすためにいろいろな支援体制をつくらなければならない、部品の先食いをやっておる、そしてそのために飛行機事故が多い、こういうことでパイロットに不安を与えておるように私は伺っております。そこでいま伺いたいのは、当初計画した値段と、その後技術改善というのでいわゆるECPとかいろいろな金を使っておられる、そういうものを考えると、一体いま幾らかかっておるのですか、これを伺いたい。
  39. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 当初の計画で104J百八十機の平均が、四億八百万円でございます。会社と三十五年度に契約いたしまして、会社のほうでは直ちに資材の手当て輸入品の手当て、国産の完成、部品の手当てというのを実施いたしましたので、その後の値上がりというのは、ほとんど影響ございません。現在までのところ、資材、部品等につきましては、ほとんど会社のほうに納入されておるし、あるいは納入されつつあるという状況でございます。これは最初の契約価格のとおりにいっております。したがいまして、資材、部品等からする値上がりの影響は考えられません。加工賃につきましては、契約当初、毎年の賃上げを年率五%アップということで見込んでおるわけでございます。ところが、実績はそれより上回っておりますが、一方操業度の向上によりまして価格を下げる作用がございますので、そういうものと相殺されまして、現在時点では四億八百万円の飛行機に対しては予算増をしないで済むという予定でございます。  先ほどのECPの点でありますが、いま申し上げましたように、当初の要求性能を満足する飛行機は、最初予算が成立しましたときの状態で済んでおるということでございますけれども、この要求性能を満足した上に、さらに操法上の便宜とか、航空飛行上の安全とか、そういう点からECPを実施いたす。そのECPの金額でございますが、これは本体に対しまして約二%程度の金額でございます。これを外国のカナダの例あるいはアメリカの例等を見ますと、五%ないし一〇%というものをECPに見込んでおるということでございますが、F104Jにつきましては、三十九年度の予算までを実行したということで、大体二%程度をECPに使用しておるということであります。
  40. 永末英一

    永末委員 ECPというのは、いま生産しておる飛行機については、当初要求せられた性能は全部充足されておるけれども、その後もっとよい能率を上げるために使ったものである、こういう話ですが、ちょっとその点が受け取れない。当初これでいけると思ったにかかわらず、その性能が発揮し得なかった。そこで改善を加えなければできないというので加えられた点が、たくさんあるでしょう。それならば、もしそれがECPでないと言われるならば、そういう費用は、一体どういうことになっておりますか。
  41. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 ECPというのは、いま永末先生のおっしゃるとおり、要求性能を満足したその上に、さらに改善を加える、それがいま申し上げましたような金額でございますが、そのほかにいわゆるUR報告というものがございまして、使ってみたらどうもぐあいが悪いという点がございます。そういうものは、操法が悪い場合には操法を改善し、あるいは整備を改善し、あるいは会社側の責任によってそういうできのぐあいが悪い場合には、会社側の責任で直させるというようにいたしております。
  42. 永末英一

    永末委員 その費用は幾らぐらいになっておりますか。この前油圧系統が悪くなったということで、全飛行機についてその点をやりかえた、何か二カ月ほど飛行機をストップさせてやったということで、相当費用がかかっておると思いますが、費用は一体どのくらいかかっておりますか。
  43. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 油圧系統が悪くて全機ストップして点検をしたことがございますが、こういう費用は、会社の負担でやらせております。
  44. 永末英一

    永末委員 その機種が決定されて生産いたしましたのは、池田内閣ができてからでございますが、一般の経済が、池田内閣ができましてから大体二割ないし三割いろいろな値段が上がっておるにかかわらず、このF104Jに関する限り、当初予算でいまもなお完全に納入ができておるという話で、悪いところは、会社側が悪いのだから会社持ちでやっておるということで、非常に無理をしておるのではないか。つまり予算がくぎづけになっておるから、中でどんなにそれぞれの単価が変わってこようとも、それは防衛庁としては支払わない、こういうことをやっておる。それでその分を良心的に充足しようとすると、会社が泣く。もし会社が泣いておらないとするならば、見せかけは最初の設計どおりのちゃんとしたものをつくっておるように見えながら、実は内容を落としておるのではないか、こういうことが考えられる。第三の点は、そうではなくて、いやちゃんと最初計画どおりのものをつくっておるのだというならば、非常な利潤を会社に与えておったから、利潤部分を食っていきながら会社が注文に応じておる、この三つの場合が、私は考えられると思います。ところが、一体、この三つの場合以外に、あなたが言われるような非常にうるわしい状態がございますか。この点のあなたのお考えをひとつ伺いたい。
  45. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 会社の状況につきましては、最初申し上げましたように、原材料とか購入部品というのは、予算成立後早期に契約をいたしております。したがいまして、その後の値上がりによる影響は受けておらない。それから加工賃につきましては、契約をします場合に、賃上げの年率五%アップということを見込んでやっておるわけであります。そういう点から予算増の要はないというふうに考えております。  それから利益がどうかという点でございますが、当初の会社側が考えておったものよりは、あるいは低くなることはあり得るかと思います。と申しますのは、それは最高限度をきめた概算契約でございまして、これを変更しますのは、経済情勢その他著しい変動があった場合、天災地変というような場合に、予算の許す範囲内で変更するということになっておるわけでございます。そういう意味におきまして、最高限度はきまっております。会社の利潤というのは、会社が当初考えておったものよりは低くなるということはあり得ると思います。そういうことによって飛行機の内容を落としておるというようなことはないと私は考えております。
  46. 永末英一

    永末委員 資本主義社会で五年後のことを考えながら部品の手当てをして、それがそのままの姿で動いていくなんということはないでしょう。先に手当てをすれば、金利負担が必ずくるわけであって、しかもその金利負担以上にそれぞれの労働力の対価も、あるいはまた物の値段も上がっておるわけです。もしそういうことが主たる契約者との間に矛盾がないとするならば、主たる契約者の下請のほうにみなしわが寄っておる。現実にそうなっておるじゃありませんか。もしそれをのがれようとするならば、あなたは心配されないというならば、納入される機体自体について、非常に不安要素が入っておると思います。この点について、あなたは一体どう考えておられますか。
  47. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 五年後のことを見込んでということでありますが、原材料とか購入部品というものは、もっと早く納入されるわけでございます。そういう点からいいまして、クライム・コントラクターにしろ、その下請にしろ、そうひどいしわ寄せがいくというふうには考えておりません。また機体の領収につきましては、社内飛行を実施した後、領収飛行を実施いたしております。大体現在のところ、十回程度の飛行試験を実施いたしております。領収飛行は自衛隊パイロットがやっておりまして、そのパイロットが自分で乗ってみてふぐあいの事項があれば、そのつど調整をさしておる。したがいまして、領収飛行として五、六回程度、社内飛行を合わせて十回程度ということに現在なっております。当初は、領収飛行と社内飛行と合わせますと、十五回くらいやったこともございます。これは、初期におきましては製作上のふなれ等もございますので、どうしてもそういう試験飛行の回数がふえるのでございますが、現在のところ、なれてまいりましたので、大体社内飛行と領収飛行と合わせて十回程度やっております。したがいまして、自衛隊としては、十分要求性能を満足するということを確認して領収をいたしております。
  48. 永末英一

    永末委員 防衛庁長官、いまのように局長の話を聞いておりますと、値段はちゃんとセットされておって、十分りっぱなものが入っておる、こういうお話です。ところが、なぜそれならば第一線のパイロットが、その飛行機の安定性について信頼感を失ってやめていったりするのですか。この点はどうお考えですか。もしそれがいまのあなたの内局の局長が言われるように、十分安定性のある飛行機なら、そんな第一線の操縦士が疑惑を起こす余地はない。ところが、それをやっておる人が、現実にそれを不安に思い、安定性を疑ってやめていったり、いろいろの不安要因がここに入っておる。この点について、あなたは責任者としてどうお考えですか。
  49. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 これは第一線の航空自衛隊パイロットの士気の問題に関しますので、はっきり申し上げておきたいと思います。  私も、二回現地に参りました。非常な自信を持っております。非常な信頼を持って、猛烈な、厳重な訓練を受けております。  第一線の者が心配だ、またいろいろ疑問を持っておると言われた例は、おそらくやめた小川二佐が新聞雑誌等で出されました事例ではないかと思います。私どもも、事は重大でありますので、厳重に調査を命じまして、その結果は、小川二佐の述べましたいろいろな——たしか十数点ありました。三分の二は、事実に反しております。三分の一は、事実に当たっております。約五件くらいと記憶しておりますが、これもその後いろいろな点から改良を加えまして、完全に悪い点は直した。したがいまして、小川二佐の当時発表いたしましたいろいろな点につきましては、もう全部解決、ないしは事実に違ったことが伝えられたということが判明したわけであります。現在のところ、私自身も確かめましたし、また空幕その他現地の上級指揮官からも報告を受けておりますが、第一線のパイロットは、非常な自信と安心感を持って訓練に当たっておるというのが、実情であります。
  50. 永末英一

    永末委員 これはあなたが責任者ですから、あなたの御言明を信頼する以外に私ども方法がない。その信頼が裏切られないように、ちゃんと——これは第一線のパイロットの責任ではございません。その飛行機を与える側の責任である。これはちゃんとやってもらわなければ、士気の高揚は精神教育だけではできないと思う。機械力に対する信頼感が第一だと思いますから、これはしっかりやってください。  そこで、この飛行機生産計画とともに、パイロットの養成計画が進んでおる。しかもいままでいろいろ不安要因がございましたので、一体飛行機は、いま急に継続生産を言っているけれども、完全に可動し得るような状態で訓練が行なわれておるかどうか。あなたのほうで立てられた訓練時間、ユーティリティ・アワーを見ましても、非常に少ない。ああいう程度で——猛訓練でという話が先ほど出ましたが、一体それくらいの飛行時間、パイロットがタッチしている時間というので、十分なのかどうか、私はその点非常に疑問なんです。パイロットがいま使用しているユーティリティ・アワーの計画、これがあと継続生産をやっていく上についてどういう関連を持っておるか、この点の考え方をちょっと伺っておきたい。
  51. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 お答え申し上げます。  十分な訓練時間を与えて訓練をしておるかというお尋ねの点でございますが、これは当初立てました104のパイロットの養成計画は、大体計画数どおり実施されております。ちなみに三十九年度の計画を見てみますと、六十三名を計画しております。すでに四月以降十四名でき上がっております。  なお、第二のユーティリティ・アワーの問題でございますが、これも三十七年度一二・五、三十八年度一三・〇、今年度は大体一五・〇に上げることが可能である、かように見通しております。
  52. 永末英一

    永末委員 F104のいろいろな現状を伺ってきたのですが、私の与えられた時間がだんだん少なくなりますので、防衛庁長官にこの際ひとつ伺っておきたいのは、昨年の十一月五日に、カナダの国防大臣が、カナダにおけるF104の生産を、継続生産をすることをやめたということを発表いたしました。このことは、あなた御存じかどうか。
  53. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 記憶にはございません。
  54. 永末英一

    永末委員 カナダは、アメリカとともに、アメリカ大陸の中におる国でございますから、守らなければならない。しかもそのいわば防空要撃のために、日本と同じ母体であるところのF104を生産してきた。しかも、その生産の結果、昨年の暮れにこれの生産を継続することをやめたということは、いろいろな意味合いを持っているとわれわれは思うのです。防衛庁全体として、一体カナダはなぜやめたのか、これをどういうぐあいに判断をしておられるか、聞かしていただきたい。
  55. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 御承知のとおり、自由陣営では大体F104を現役機として最適のものと認めまして、約二千機を目標生産中であります。御案内のとおり、各国とも合計いたしますと、約千機をすでにこしているのが現状でございまして、いまでもF104というものが自由国家の主たる戦闘機であることは、間違いないと思います。  カナダの問題につきましては、防衛局長より具体的に答弁させます。
  56. 海原治

    海原政府委員 私も詳細には現在記憶いたしておりませんが、カナダは、現在先生御存じのように、104のJのカナダ型をつくっております。これがたしか百四、五十機ということで現在進んでおります。そのあとをどうするかという問題に関連しまして、カナダが昔から持っておりましたイギリス系統の戦闘機との関連におきまして、いろいろ問題があったことは聞いております。その百四、五十機のあと、104はつくらないということになったのではないか、こういうように考えておりますが、これ以上のことは、事実私ただいま資料を持っておりません。
  57. 永末英一

    永末委員 カナダの国防大臣が、カナダ議会におきます国防の特別委員会に対して、昨年の十一月五日に特別のステートメントを発表して、F104Jの生産をやめるということを申しました。その中で、この十年間にカナダ空軍が八スクォドロンを保有することはできなくなった。しかしながら、これをできなくしても、未来の計画に対しても一つと広い範囲にわたる選択の自由をわれわれは持つことができる、そのほうがカナダの防衛のためには有用だ、こういう判定を下して104Jの生産をやめたわけです。これは一体日本にどういう関係を持ちますか。去年の暮れ、F104そのものに対するカナダの判定は、未来に対してその有用性を否定したわけです。ところが、いまやわが国は、これからなおかつもう五十機生産しようと防衛庁考えておる。しかもその終期はこれからあと七年後である、こういうことになりますと、何かズレがありはしませんか。この辺の考えをひとつ伺いたい。
  58. 海原治

    海原政府委員 カナダの生産をやめたということでございますが、私の承知しておるところでは、先ほど申しました現在進行中の百四、五十機の生産の完了は、来年の秋でございます。そのあとどうするかということにつきまして、先ほどのステートメントもございますけれども、いろいろな機種の選択が問題になっておるということは、事実でございます。問題になっておるということが、F104Jを依然継続して生産すべしという考え方も実はあったわけでございますが、カナダはこの104以外に別個の系統の戦闘機もございますので、この際としては将来に対する選択の自由を持ちたいということで、来年の秋以降はもうやらない、こういう決定になったというふうに承知をいたしております。このことと私ども防衛庁生産関係でございますが、私どもは、現在要撃戦闘機で持っておりますのは、104Jだけでございます。これを捨ててほかにかわるということは、現実の問題としてきわめてむずかしゅうございます。先ほど申しました三次計画というものは、まだできておりませんが、私ども事務当局検討段階におきましては、先ほど大臣からお答えいたしましたように、少なくとも四十六年度までは、すなわち三次防の末期までは、104の七スクォドロンというものはどういうふうな変化がありましても、依然有用である、こういう判断をいたしておりまして、そのための五十機生産ということに意味があるわけでございますから、カナダの場合の継続生産の打ち切りということとは意味が違う、こういうふうに私どもは判断いたしております。
  59. 永末英一

    永末委員 およそ対空戦闘というものは、どこの国であろうとも、相手方の機種を想定した場合に、一体どういう機種が有効であるかということは、同じ性格の判断が私はできてくると思う。それであればこそ、防衛庁長官が、いまや全世界にわたってF104型を二千機自由陣営は使うのだ、こういうお話がございました。ところが、防衛局長は、カナダと日本の場合とは違うのだ。それでは私は思想統一ができておらないと思う。どうですか、その点ひとつ防衛庁長官……。
  60. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 いまちょうど思い出したことがありますので、私の答弁を補足させていただきます。ちょうど一カ月半ほど前にカナダの武官の招待でレセプションがありまして、三十分ほどいろいろな航空の話が出たわけです。その中で104の生産はどうなっているかというふうに聞いたところ、私のほうの国では、もうすでに生産を完了して、ほかの国に売っております。こういう答えを得たことを記憶いたしております。したがいまして、当時空幕の最高責任者がおりましたので、帰りまして、一ぺんいま御指摘の議事録、私気がついておりませんけれども、そういうものともあわせまして、もう少し正確にカナダの現状を調べたい、その上でお答え申し上げたいと思います。
  61. 永末英一

    永末委員 カナダは、よその国に売っております。これに関連してちょっと伺いたいのですが、台湾もF104を使っておりますね。
  62. 海原治

    海原政府委員 米国から供与を受けております。  台湾のF104の事故率は、ほかの国に比べて非常に多いと私は聞いております。ところで、その事故を起こし、あるいはまたいろいろな修理を要しなければならない台湾の104機について、日本で修理したことはございませんか。
  63. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 日本で修理したことはございません。
  64. 永末英一

    永末委員 修理するということになると、非常な問題を引き起こしますから、この点はひとつ防衛庁としては十分に、そういうことのないように——いままでなければけっこうですが、監視をしていただきたいと注文をつけておきます。  そこで、先ほど防備局長お話しでは、昭和四十六年には七飛行隊できるが、すぐ欠けそうだ、しかもいま日本として要撃機として持っておるのはこの104Jだけ、こういう話である。では、三次防をお考えになる場合に、この五十機の継続生産だけれども、これは私は当初触れましたように、防衛庁で立てた一飛行隊二十五機を満足するものではございません。そこで、これ以上の継続生産をきめられるようなことがあるかないか、この点は防衛庁長官に聞いておきたい。
  65. 海原治

    海原政府委員 ちょっとただいまの先生のおことばの中に、当初104スクォドロンは二十五機であった、こういうおことばがございましたが、これは二次防をつくります前の事務段階レベルのときの考え方でございます。一応私どもは十八機がいいか、二十五機がいいかということは、D、Jをどういうふうに持ち合わせるかということも関連いたしておりますので、二十五機であったからどうこうということでなしに、ひとつ十八機単位をお考えいただきたいと思います。その点、先生のおっしゃいましたことが若干事実と相違いたしますので、私から一応お答えいたしておきます。
  66. 永末英一

    永末委員 それは、事務段階で二十五機を考えたことは事実です。別に私は否定する必要はないと思うが、要するに、公式にきまったのは十八機だと思う。そこで伺いたいのはその点ではなくて、私から見れば、四十六年度七飛行隊は、当初から充足せられない目標であった。しかるにかかわらず、一応二百機で出発してやってきたが、その目標を充足するためには、いまや継続生産をしなければならないという判断に防衛庁は達しておる。ところで、それでF104はしまいなのか、それともなお続けてこの五十機以上に継続生産をしなくちゃならぬと考えるのか、この点をお聞きしたい。
  67. 海原治

    海原政府委員 先ほど来申し上げておりますように、三次防というものは、まだ正式に決定をする段階でございません。関係各部局でいろいろな考え方についての検討をしておることでございますが、現在の時点において申し上げられますことは、私どもは、一応現在におきまして五十機ということで、その後の継続生産は、考えておりません。
  68. 永末英一

    永末委員 いよいよ三次防をこれからつくっていかなくちゃならぬのですが、この際、アメリカの態度をちょっと振り返ってみますと、マクナマラ国防長官が一月のアメリカ議会において、日本に対する評価をして、日本は極東地域全般にわたってもっと防衛にも責任を持つようになってほしい、こういうようなことを証言をいたしておりました。五月四日、アメリカ下院対外活動分科委員会でバンディ国務次官補が——これは極東担当者でありますが、日本にもっと多くの軍需品を買わすようにやっていきたい、そのための特別訓練をアメリカでやる——これは特にバッジ関係のことであろうかと思いますが、その特別訓練をすることについてはアメリカは援助するが、その他のものには援助しない、もっともっとアメリカでつくったものを日本に買わすのだ、こういうような証言をいたしておる。防衛庁長官は、そういうアメリカの意図について、どうお考えですか。
  69. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 特殊の特別訓練の問題につきまして、新聞報道がございました。直ちに軍需顧問団——マーグ並びに外務省に対しまして、詳細に、具体的な通報をいま要請中であります。実はまだ返事がきておりません。したがいまして、どういうことを言っておりますのか、私も正確にはまだ判断いたしかねる次第でございます。
  70. 永末英一

    永末委員 五月四日ですよ。五月四日に言ったことが、わかりませんかね。しかもそれをきめて、それに対する日本考え方をきめていかなければ、あなたは国会が終わって、マクナマラ国防長官に会われたときに、どういうことが起こりますか。もっと買ってくれと言われて、どうしますか。もう一度お答えをいただきたい。
  71. 海原治

    海原政府委員 実は私、大臣にまだ御報告いたしておりませんが、昨日アメリカのほうから、当時提示されましたものの写しを入手いたしました。これは当時UPI電がその一部分ずつ注釈を入れて送ってまいりましたのに、いろいろな解釈が出たわけでありますが、この証言を見ますと、特別訓練計画というのは、バッジの建設計画関連して、オフィサー及び下士官を教育すると向こうでは言っております。このバッジの関係者について、アメリカ側が多少の経費を負担してもこれを教育することは、バッジの機材につきましては、御存じのようにアメリカからこちらが買うわけでございます。そのためにプラスになるのだ、具体的な言い分は。ある程度の人間は参りますが、こういう費用は当然アメリカ負担してしかるべきものだ、こういう趣旨で言っておるわけでございます。今後も日本に対しては軍需品を売る場合がある。そういう場合の訓練というものは、アメリカ側が当然マップの中に考えていいのじゃないか、こういうことの証言をずっとしておられるのでございます。これが当時のステートメントの内容と承知いたします。
  72. 永末英一

    永末委員 われわれ心配しておりますのは、アメリカには膨大な軍需産業がある。その軍需産業が日本を製品の売り場と心得えられては、私は困ると思うのです。われわれは、われわれの国を自分で守らなくちゃならない。しかし、日本の経済力では守れるか守れぬかは非常にむずかしい問題だけれども、少なくともわが国がアメリカの軍需品の売り場になっては困る。その辺のところをやはり根本的に、わが国の防衛方針を立てるときの基本的な腹がまえとしてつくらなければならぬ。ところが、アメリカ側は、何か自分のところの役に立たなくなったようなものを持ってくる。この前も、この委員会でナイキ・アジャックスはまだアメリカの州兵部隊で使っておりますと言いましたが、これはことしでやめたということを同じマクナマラ長官が一月に証言しておるのですから、いまは使っておるかもしれませんが、今会計年度で廃止いたしますという証言をいたしておる。そこでわが国のほうはどうかというと、なおそのナイキ・アジャックスにたよりながら、わが国の防空システムをつくろう、こういうことをやっております。防衛庁長官、その辺の考え方はどうですか。一体、どんどんどんどんアメリカは売ると言い、日本で独自に生産するとすれば高くつくものは、どんどん買い込むのだ、こういうことで防衛方針を立てられますか。
  73. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 アメリカドル防衛、あるいはまたバイ・アメリカン、これは非常に強いものがあろうかと思います。しかし、それはアメリカ側事情であります。われわれとしては、自主防衛、いわゆる自主的要素の強い今日におきましては、あくまで必要なものは、また日本の技術力あるいは経済力が許すものならば、むしろ多少コストが高いものでも日本の国産に切りかえたほうが、長い目で見て日本のために有利になる、これが私ども考え方であります。ただ向こうの古いものとか、あるいは軍需産業の製品をさばくという立場では、私ども一切考えておりません。ただ、こういう話はまだ抽象的なものばかりでありまして、具体的なものではございませんので、具体的な話が出ますれば、そのときにはあくまでも自主的に、まっ先にわれわれの立場を十分考えることを第一前提として考慮することは、当然であると考えております。  いまの心がまえはまことにりっぱでありますが、あなたの方から具体的にやられた事案を一言申し上げて、ひとつお考えをお聞きしたいと思います。と申しますのは、E104に登載いたしますデータリンク、つまりバッジができまして、これを引き受けてNASAに連係なさるものだと思いますけれども、それを一体どこがつくるかということについて長い間ごたごたしておりましたが、最近あなたのほうが公文書をもって次のようなことをきめて会社に通達をした。すなわち、RCA社の提案が適当だと思われるので、お前の会社にデータリンクをつくらせる。私は、これは自主性がないじゃないかと思う。防衛庁決定してからある会社を選ぶのなら、これは話がわかる。なぜ一体日本防衛庁は、日本の会社にあるものを発注するについて、外国の会社の提案があったのでこれに発注するのだと言わなくちゃならぬか、防衛庁長官はどうお考えになりますか。
  74. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 データリンクにつきましては、RCAめ提案をしたタイプが適当であるので、これを採用するという判断をしたわけであります。RCAが言ったままやるというわけではございません。御承知のように、データリンクにつきましては、RCAほか一、二候補があったわけでございます。その候補のほうは製作をする意図がないということを言ってまいりましたので、RCAの提案しているタイプを採用することに決定をいたしました。しかも、これを輸入するということではなくて、RCAと日本の会社と技術提携をして国産するということをきめた次第でございます。
  75. 永末英一

    永末委員 話が少しおかしいと思う。ARR662型ですか、これを採用するかどうかいろいろ問題があったと思いますが、一体それを日本のどこの会社にやらせるかということについて、私どもが拝聴しているところでは、RCAとの間にいろいろいきさつがあって、したがって、そういうことについて、RCAの側からことしの四月の二十五日付手紙がきた。その中の提案が適当だと思うのでお前の会社に生産をやらせるのだというぐあいに読み取れるような文案なんですね。それではやはり自主性がないじゃないかと私は思う。どこへきめるかわからなかったが、一番初めからRCAが製作しておったデータリンクにきめた。だから、この件について、防衛庁は、自主的にお前の会社にやらせるというように読み取れない、その点について、ひとつ防衛庁長官からお答え願いたい。
  76. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 RCAのタイプを採用することに決定をいたしまして、日本側の会社をどこにするかということでございますが、当時、日本側の会社としては四社希望がございました。この四社を比較しますと、いずれも技術的に見ましても、経営状況から見ましても、どの会社がやりましても、十分でき得るということを判断したのでございますが、技術提携をして生産いたします関係上、その基本的なタイプを研究開発しましたRCAの希望を聞きまして、その希望が適当であれば、その希望を採用するということできめたわけでございます。われわれは、もしRCAのほうで四社以外不適当な会社を推薦してきたというような場合には、もちろんこれは拒否する考えでおったのであります。その四社の中から選んでまいりましたので、その希望を採用してやることが、技術提携をして生産をする関係上適当であるというふうに判断をした次第でございます。
  77. 永末英一

    永末委員 先ほどはRCAの提案というのは型である、こういうお話、いまはそうじゃなくて、提案は日本の会社名である、違いますね。
  78. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 RCAの提案と申しましたのは、タイプについての提案と、それから防衛庁から技術提携の相手方としてどこを希望するかということを聞いたのに対する答え、二つございます。
  79. 永末英一

    永末委員 防衛庁長官一体そういう形で進むのがいいですか。相手方のものを買う場合に、相手方から日本生産会社を指定をさして、そしてそれを受けて指定をする。こういうことは、私は自主性がないと思う。こういうやり方は、防衛庁長官はよいやり方だとお考えかどうか、伺いたい。
  80. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 パテントの関係とか、あるいは技術提携その他でやむを得ないことだという報告を受けております。
  81. 永末英一

    永末委員 先ほど防衛庁長官は、自主的にやっていくのだということで、はなはだけっこうなお話でしたが、具体的に出てくると、はなはだ自主性がないようなぐあいにくくられてくる。これじゃ私はいかぬと思うのです。心はいいですよ。しかし、実際にやる場合には、ちゃんとひもつきになって出てきている。これを事後承認のように防衛庁が承認する。それは一〇〇%悪いことはありませんよ、何でも世の中のことは。自民党のおっしゃることだって、いいことがあると私は思う。しかし、大局的に見て、もし自主防衛の線でいこうというなら、もうちょっと言いようがあるじゃないですか。いまのような文書が世の中にわかった場合に、一体日本防衛庁なんというものは一つも自主性がない、こういうふうにとれるじゃないですか。あなたの心がまえとやられたことが違うから、その点を聞いておる。もう一度伺います。
  82. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 基本的な考え方は、先ほどお答えしたとおりであります。あくまで自主的な判断で、わが国に一番利益になる方針で進めていきたいと考えております。  なお、いまデータリンクが出ましたが、私が受けておる報告では、特殊技術、あるいは特許関係日本では無理である。あまり回答のおそい場合には、日本側全部でできないだろうかということまで、実は一時事務当局に検討さしたことがあるのでございます。それでは時間的に、またいろんな特許関係で、とうてい無理だろうという中間の報告を受けております。今度の問題は、おそらく特許関係あるいは技術提携の面でやむを得ずこういう形をとった、こういうふうに考えております。  104Jの継続生産の問題は、ただ単に二次防の穴をふさぐのだ、減ってきたものを補充するのだというだけの問題では、私はないと思う。四十六年度に対する飛行隊としては、七飛行隊かもしれませんが、わが国の防空システムについては、そのほかナイキあり、ホークあり、あるいはまたハーキュリーズの導入が考えられる。そういう地対空ミサイルの数、配置、その性能とからみ合わせながら、要撃飛行機一体何隊あり、どこに配置すべきかということが、当然問題にならなくてはならない。いわんやアメリカ側が要撃戦闘機を引き揚げて、戦術戦闘機に切りかえてきておるときには、わが国独自でわが国の防空システムをつくらなければならぬことは、必至の勢いだと私は思います。そこで、われわれの観点からすれば、104Jの継続生産は、ただ単にいままでの穴埋めだということではなく、時間的にも、先ほど私が指摘いたしましたように、第三次防に食い込んでいくわけでありますから、その点のからみ合いをさせながら、先ほどF104は採用不適当だというのが大勢であるという御答弁でありますが、一体有人戦闘機というものは、血のこの継続生産以後には大体しないつもりだという御答弁もありましたが、それが必要かどうか、こういう問題をしっかりセットしてかかってもらいませんと、いまさらこの飛行機を七飛行隊四十六年度に充足せられて、そのあと減っていくようなものをつくっていいかどうかということについて、私は国民の支持を得られないと思う。根本は、この前の外務委員会でありましたか、防衛庁長官に申しました。そういうわが国の防御の現状、内容というものを政府が責任を持って明らかにしないために、いろいろな不安要因が加わってきておるのだ、この点についてあなたは明らかにする御用意がないかと言ったら、考えますというお話でしたが、いまや任期がだんだん少なくなりましたが、いつやられますか。最後にこれを承っておきたい。
  83. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 防空の体制が、インターセプターのみならず、あるいはミサイル、あるいは各種の体制なり、飛行機、兵器のあることは、御承知のとおりでございます。先般二名の陸幕からの専門技術者を巡遣いたしまして、NATOを中心としての防空体制を各国別に詳しくいろいろ研究調査したばかりであります。三次防に関連いたしまして、総合的ないわば効率的な防空体制のあり方、私は、御指摘のとおり、非常に必要であろうと思う。単なる104の一要撃機だけの要素でなくて、総合的な、日本の国力、また安保体制下より見た日本の防空の能力と限界、あらゆる点から見て、国民の方の納得のいくようなものをぜひつくりたい。何月ということは申し上げられませんが、なるべく早い機会に総合的なものを煮詰めまして発表いたしたい、こう考えます。
  84. 永末英一

    永末委員 いまの防衛庁長官の言明をひとつ期待いたしまして、私の質問を終わります。
  85. 徳安實藏

    徳安委員長 山内広君。
  86. 山内広

    ○山内委員 では、総理が来るまで、防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。  外電は、二十日にこういうことを報じておるのです。アメリカの軍需物資を積んだ海軍の艦船、五隻が、いまバンコックに向かっている。これはLST型三隻と海軍輸送船二隻からなっておるのでありますが、この中に日本人が乗り組んでおると報道しておるのです。こういう事実があるのかどうか。LSTは軍艦ですから、ちょっとわれわれとしては奇異な感じを受ける。内容を御説明願いたい。
  87. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 新聞報道がありましたので、さっそく事務当局に検討させましたので、事務当局から具体的に御説明させます。
  88. 小野裕

    ○小野政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、事実をいま調査中のところで、まだ確定的な結果はわかっておりません。ただ、いままでの状況といたしまして、LSTには日本人の船員は乗ることもあるわけでございますが、私どものほうは、正式に提供した労務者は乗っておらないはずでございます。LSTについては、軍の直用で日本人が乗り組むことはあるのでございますが、その場合は、全日本海員組合との関係においていろいろ規律されておる、こういう状況でございます。
  89. 山内広

    ○山内委員 この問題、もし詳しくおわかりでしたら、この次の機会に何かで御発表願いたいと思う。  まず、総理に最近の国際情勢、特にインドシナを中心とした極東の緊迫した空気がありますので、この問題について、お伺いしたいと思います。  最近の数日間の新聞を見ますると、実に私どもとしては心配にたえない報道がたくさんなされております。フェルト太平洋軍司令官は、中国と戦争の危険をおかす用意があるかという記者団の質問に答えて、もちろんその用意があるという答弁をいたしております。さらにまた、バンディ極東担当国務次官補が議会で行ないました証言の中にも、もし共産側の進出が成功するならば、タイ派兵を余儀なくされるであろう、こういうことも言われております。それからさらにまた、ハーキンス前南ベトナム援助司令官であった人は、これまた南ベトナムを共産側の手に渡さないようにするためには、中共との戦争の危険をかけてもよい、はっきりこういうアメリカ側の軍部の権威ある人たちが、東南アジア武力干渉の決意を示している。これはたいへんなことであります。全面戦争になる危険が、非常に多いのであります。こういう情勢を総理はどういうふうに判断され、この危機を日本の平和を守るために、どういう決意をもってアメリカとの間の調整をはかろうとしておられるのか、その点の決意を明らかにしていただきたい。
  90. 池田勇人

    ○池田国務大臣 南ベトナムあるいはラオスにおけるベトコン、パテト・ラオ対政府関係との間の情勢は、お話のとおり非常に心配な状況にあります。したがいまして、アメリカ政府としては、一九五四年のジュネーブの停戦協定あるいは中立協定、これに違反しないよう声明を発し、そうしてこれに違反し、南ベトナムあるいはラオスの中立を侵す場合におきましては、遺憾ながら武力に訴えることあるべしという声明をしておるようでございます。われわれも、平和をアジアにもたらすために、そういうことのないよう心から祈念すると同時に、アメリカに対しましても、いろんな情勢を知らしてもらい、またわれわれの意見も言っておる次第でございます。
  91. 山内広

    ○山内委員 非常に心細い御答弁ですが、アメリカのこういう態度が強化されれば、現にラオスではもう毎日爆撃が続いておるわけです。拡大するおそれが非常にある。中国封じ込めの政策が、着々と出てきておるわけです。よほど総理はしっかりした信念を持って対処しませんと、この危険の中に日本が巻き込まれる心配があります。  そこで、きょうは、短い時間ですから、少しテンポを早くして、これは防衛庁長官も聞いていただきたい。あなたは近くアメリカに行かれるわけですから、その目的が何であり、またこういうアメリカの極東政策に協力を頼まれるとか、そういう活が出た場合に、どういうふうにして臨まれるおつもりか。これは総理とお二人から御意見を聞きたい。
  92. 池田勇人

    ○池田国務大臣 アメリカ側の言い分では、 ベトコンあるいはパテト・ラオが、中共の指示あるいはホーチミンの指示によりまして、こういう不祥事件が起こっておる。これをやめるべきだということを主張し、そうしなければ不慮の事態も起こり得るということを警告しておるのであります。したがいまして、日本としては、中共あるいはホーチミン政権、アメリカ、これらの関係諸国が十分自粛、反省して、戦乱におちいることのないようわれわれは心から希望しておる次第であります。
  93. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 今般の訪米は、アメリカのマクナマラ国防長官の招待に応じまして、総理のお許しを得て行くわけであります。どういうことが議題になるか、あるいはどういうことを言われるか、現地へ行ってみなければ、私はいまのところわかりません。ただ、エマーソン公使が三日前に来られまして、いろいろ御希望なり、あるいは意見があれば、何でもお手伝いしたいという好意的なお申し出がありました。その程度でございまして、先方に招かれるわけでありますから、参りました上でなければ、具体的にどういう話が出るか、どういうことを答えるか、いまから申し上げることは時期が適当でない、こう考えます。
  94. 山内広

    ○山内委員 いまから申し上げることは適当でないというのは、おかしな話じゃないですか。それは議題の内容についてどうこうとか、それがいまできないのはわかります。しかし、こういう極東の危機を目の前にして、この問題で相談を受けた場合に、あなたはどういう気持ちで——いまも総理は、はっきりと平和を守るためには努力するとおっしゃっておる。その気持ちを明らかにいたすことは、何も時宜を得ないものでもないし、早いということはいえないと思います。先ほど前の質問者からも出ておりましたが、アメリカでは自衛隊の特別訓練を計画しておる。日本自衛隊に何のためにアメリカが特別訓練をやっておるか。これとつながらないとはいえないのです。ですから、あなたのほうでは、ぜひ強い決意を持って臨まなければいかぬと思う。もう一ぺん長官の決意のほどを聞きたい。
  95. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 アメリカの極東の平和を望み、また自由を守るかたい決意は、御承知のとおりであります。私どもとしましても、当然極東の平和、祖国の安全が第一の目的であります。したがいまして、いま仮定の上に一応御質問になりました、こう聞かれたらどうなるかという問題でありますが、これは本委員会あるいはその他におきましても、従来お答えしておりますとおりでございます。日本では、憲法あり、自衛隊法あり、いろいろの制約もありますが、根本はあくまで日米安保体制という立場から、正しいことをお答えしたい、こう考えておる次第であります。
  96. 山内広

    ○山内委員 アメリカが平和を念願しているという話ですけれども、私前段に申し上げておるとおり、政策が変わってきて、強硬にアジア政策を武力で進めてもいいという決意をしておる、こういう段階では平和を守れないのだから、日本防衛庁長官はどういう気持ちでこういう相談に乗られるかということを聞いておるのです。平和の段階であるならば、私はそんな質問をする必要もない。アメリカとの関係からいって、向こうから極東政策に武力を使うことについて相談を持ちかけられたとき、いままでの、あるいは日本の憲法からいっても、そういうことは拒否します。はっきりなぜここで決意を明らかにできないのですか。
  97. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 具体的には、すでに数日前から外務省側ともいろいろ打ち合わせいたしております。したがいまして、もしそういうようなお話が出たと仮定しました場合には、応諾しなければならぬものは当然応諾しますが、またお断わりしなければならぬことはお断わりする、これは常識の問題だと思います。
  98. 山内広

    ○山内委員 不満ではありますが、この問題だけで時間をとっておるわけにいきませんので、その次に移ります。  昨年の春以来、日本アメリカの原子力潜水艦寄港の要請がありました。その後何回かその内容について照会を重ねておられるはずであります。しかし、その後この問題はあまり表面に出てこないのですが、この要請は取り消されたのか、現在どういう段階になっておるのか、その点を明らかにしていただきたい。
  99. 池田勇人

    ○池田国務大臣 たびたびお答えしておるとおりに、われわれは核兵器は持ちません。しかし、原子力を推進力とする原子力潜水艦の寄港は、われわれは安保条約上これを断わるわけにはいかぬ。ただ、日本は唯一の被爆国でございます。国民のこれに対する関心も、各国にその例を見ないほど非常に強いのでございまするから、安全性ということにつきまして、アメリカと十分打ち合わせしておるのであります。その問題につきましては、まだ交渉中でございまして、確たる回答はございませんので、寄港問題につきましての話し合いは、まだベンディングの状態でございます。
  100. 山内広

    ○山内委員 いまの御答弁の範囲であれは、この前も私よく聞いて承知いたしております。しかし、アメリカ側では、もうノーテラス型も核武装するので、全部核武装してしまう。推進力だけを原子力にたよる、そういう潜水艦はもう——現在はどうなっておるかわかりませんけれども、将来はなくなる方向に進んでおることは、向こうの声明で明らかであります。したがって、いまの総理の御答弁からいえば、もうこの問題は、全部核武装するのであるから、潜水艦の寄港というものはあり得ない、こういうふうに考えてよろしいですか。
  101. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は、そういうふうな情報を持っておりませんので、ただいまお答えしたのが、私の考え方でございます。
  102. 山内広

    ○山内委員 これは防衛庁のほうでももう少し調べて、アメリカはこの原子力潜水艦にどういう計画を寄せているか、これは総理にはっきり申し上げたらいいと思います。向こうでは確かに発表しております。その資料は、私は科学特別委員会のほうからもいただいておるわけです。  そこでこの際、これに関連して総理に一つだけお尋ねしたいのですが、御承知のとおり、日本でも、原子力潜水艦ではありません、原子力船をいま建造計画中であります。国会では舶用炉を使えという附帯決議をつけて、しばしばこの問題では、日本の基礎科学を振興するために原研に研究させて、日本の手でつくろうということになっておるわけです。しかし、聞くところによりますと、近くアメリカからこの舶用炉を入れるとのことです。そうしますと、一方では原子力の潜水艦のいろいろな安全性の問題から、私ども危険を感じておるわけですが、それが日本の手でもって、平和利用の商船とはいえども、でき上がるわけです。自分で生む子ですから、この安全性というものは、よほど確認をしないといけないことになります。それで、この点について総則はどういうお考えを持っておるか。せっかくつくるこの原子力商船の建造に、私ども水をさそうとは思っておりません。日本の科学技術の発展のために、社会党も協力しておるわけです。けれども、どこまでも前提は平和利用であり、放射能の安全性というものが確認されるという前提に立っておるのであります。その点についての御見解を承っておきたい。
  103. 池田勇人

    ○池田国務大臣 原子力の平和利用ということは、われわれほとんど全部の人の認めるところであります。また、今後の科学技術の進歩からいって、これを十分活用するようにつとめなければならない。しこうして、これを商船に使う場合においてのいわゆる安全性につきましては、これは十分科学技術の粋を集めて、安全性確保に努力しなければならぬことは当然だと考えて、おります。
  104. 山内広

    ○山内委員 その次に、実は内閣委員会で石橋委員から出された問題でありますが、どうしても当時の質疑応答から見まして、総理の御見解も明らかにしていただかなければならぬ重大な問題があります。それは李ラインの問題でありますが、これは六月二日に閣議でもって海上保安庁の武装へ問題の話が出まして、五日に首相の指示で運輸省が海上警察強化策というものを決定いたしました。これは閣議決定ですから、総理はもちろん内容を御存じだと思います。その後も李ラインではいろいろ問題が起こりまして、黒金官房長官は、武装の侵犯船との問題が起きた場合は応戦することもあり得るという新聞談話を発表しておるわけです。こういう政府の強硬態度を反映して、海上保安庁は武装につとめておる。非常に強硬な方針をとっております。湾上保安庁法二十五条そのほかから解釈いたしまして、禁止されておる軍隊行動をとるようなことで、保安庁長官をここに呼んでいろいろ聞いたのですが、上のほうの閣議決定がそういうことをなされておりますために、やらないとも言えないで、非常に困った答弁をしておるわけです。こういう国際関係を悪化するような問題は、総理の手で解決する以外に方法がないと思う。本来の海上保安庁の姿に呼び戻すために、こういう誤れる強化策というものを撤回して、そうしてこれは海上自衛隊にまかせるものはまかせればいいし、外交交渉で解決するものは解決したほうがいい。この逸脱した海上保安庁の武装の問題をどういうふうにお考えになっておるか、この点を明らかにしていただきたい。
  105. 池田勇人

    ○池田国務大臣 五月三十日対馬付近の日本領海内におけるいわゆる国籍不明の船舶の拳銃その他によりましての領海侵犯につきましては、海上保安庁が当然警備に当たるのでございまするから、領海侵犯の不法行為に対してこれを排除することを閣議決定したのでございます。  いま御質問の点は李ラインの問題と思いますが、李ライン問題についての開議決定ではございません。それを御了承願いたいと思います。
  106. 石橋政嗣

    ○石橋委員 ちょっと関連してお尋ねしたいと思うのですが、いわゆる怪船事件というのが起きて、総理の指示で非常に強硬な態度が打ち出されておるわけですけれども、それ以後新しい事実が次々に出てきていることを総理は御承知かということに、いま山内委員がお尋ねになっておる焦点があると思うのです。というのは、確かに領海内に侵入してきたという事実はあります。これに対して海上保安庁が出動した際に、まず漁船をチャーターして行っておる。向こうは日本の公船とは認めておらないわけです。しかも乗り組んでいった海上保安庁の職員は、五名とも一見漁民と見まがわしい変装をしていっております。この点でも日本の公職にある者という確認は、相手側からはできないわけです。それから拳銃を擬していっておる、しかも暴発をやっておる、こういうことが、総理が強化策を指示したあとで次々と出ておるわけです。  領海侵犯という行為は、確かに相手国の不法行為であるが、それに対応する措置としてはいささか行き過ぎがあり、あるいは向こう側が自動小銃や拳銃で対応する措置を講ずるような、誤りをおかすような、まあそういった態度を日本側もとっておるというような事実が出てきておるのですが、これは御承知ですか。しかも、この怪船といわれるものは、第七管区の本部長も確認しておりますように、韓国側の公船らしいんですね。いかにも海賊船か密貿船のような宣伝をしておられますけれども、実際は韓国の税関の船かあるいは警察関係の船ではないか、とにかく公船だろう、こういうことは、七管の本部長も確認しておるわけだ。いろいろ新しい事実が出ておるにもかかわらず、未確認の情報のまま打ち出された強硬策を推し進めていくということは、いささか問題があるんじゃないか。だから、まず最初に外交折衝を持って、はたして韓国の公船であるのかどうかという事実も確認しなくちゃならぬし、日本側にも行き過ぎがあったのかどうかということも確認しなくちゃならぬ。そして確認の上に立ってさらに再検討すべきじゃないか、こういう意味合いでお尋ねをしておるわけですから、お答えを願いたいと思います。
  107. 池田勇人

    ○池田国務大臣 日本の領海内に侵入して、不法行為をすることを排除することは、日本の当然なさなければならぬことでございます。しこうして、私は先般対馬付近に侵犯した船の国籍は、とこの国であったかということをまだ聞いておりません。調査中のように聞いております。その後のいろいろなできごとにつきましては、私は聞いておりませんが、少なくともどこの国であろうとも、わが国の領海に立ち至って不法な行為をすることを排除することは、日本の当然の権利であり、義務でなければならぬと考えるわけであります。したがいまして、そういう事例が起こりましたので、閣議におきまして、海上保安庁の警備につきまして万全を期するよう指示をしておるのであります。
  108. 石橋政嗣

    ○石橋委員 領海侵犯というのは、確かに不法行為です。しかし、それに対応するのにどんな措置をとってもいいということじゃないのです。防衛庁の場合で、領空侵犯に対応する措置を考えていただけばわかります。とにかく第一の目標は、出ていかせることですよ。排除させることですよ。領空を侵犯したら直ちに攻撃してよろしいなんということは、自衛隊の場合だってあり得ないのです。今度の場合でも、確かに領海侵犯という不法行為が行なわれておりますが、それ以上にどうしたこうしたという事実はない。だから、出ていかせればいい。その出ていかす方法としてとられた措置が、いささか穏当を欠いておったんじゃないかということを申し上げているわけです。たとえば漁船で行ったとか、漁民に化けていったとか、しかもそういう漁民と見間違われるような服装をしていって、ピストルを突きつけた、しかもそれが暴発をしておるということになると、相手方は発砲されたと思いますよ。そういう事実が出てきているんですから、新しい事実の上に立って、あまりそう強硬一点ばりという形は好ましくないのではないか。あくまでも国際紛争というものは平和裏に話し合いで解決すれば一番いいんですから、とにかく武器を積め、訓練を強化しろ、力づくで二度とそんなことせぬようにしろというふうな、そういうことをおやりにならないで、もう少し——わがほうにも若干落ち度があったということも、その後わかっているんですから、話し合いで、外交折衝で解決するという本来の姿に戻る、そこに重点を置く、こういうふうにお考えになるのが至当じゃないか、こうお尋ねをしておるわけです。
  109. 池田勇人

    ○池田国務大臣 具体的の問題はつまびらかに聞いておりません。しかし、領海侵犯に対しましてこれを排除するということは、先ほど申し上げたとおりであります。排除の方法につきましては、いろんなやり方もございましょう。その点は、海上保安庁で十分検討を重ねていくべきと思います。また、国籍がはっきりすれば、その国に対して警告することは、当然のことでございます。
  110. 山内広

    ○山内委員 与えられた時間が幾らもございませんので、最後になろうかとい。この国会防衛庁の省昇格の問題の御提案を思いとどまった、非常に賢明な措置をとられたわけですが、しかし、いろいろ総理の立場を新聞などで拝見しますと、まあこの次の国会というお考えらしい。そこで私どもは非常に心配いたしますことは、日本の平和を守る自衛ということで、私どもはまあ反対しておるわけですが、せめてもの安心感はシビル・コントロールをどういうふうに強化していくかということであります。ところが、どうも新聞の報ずるところによりますと、この省の問題は、それの逆コースをたどる心配が多分にあります。省に昇格の理由としてまああげられておることは、隊員の士気の問題と、あるいは予算の獲得が非常によくできるというふうなこともあげられておるわけですが、しかし、私ども心配するのは、実は「国防」というこれはあなた方のほうからお出しになっている雑誌の三月号に、アメリカのシビリアン・コントロールを紹介しております。それをここでいろいろあげて申し上げる時間はないわけですが、財政的にいっても、シビリアン・コントロールというのはさいふのひもを抑えることなんだ、これができなかったら、シビリアン・コントロールというものはできないんだということをちゃんと書いてある。ところが、この省昇格のねらいがさいふのひもをゆるめるところにあるとすれば、われわれはその一角でも心配せざるを得ない。そのほかいろんな問題が考えられるわけですが、ぜひひとつこの軍事に政治が優先する文官優位の原則だけはくずしていただきたくない。そういう意味ひとつ……。これはまあ省昇格が出たら、私どもはからだを張ってでもけんかはしますけれども、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  111. 池田勇人

    ○池田国務大臣 過去の歴史から申しましても、また憲法の精神から申しましても、政治が軍事に優先することは、民主主義の国からいって当然のことであります。これはあくまで堅持しなければならぬ。また、それを堅持してまいっております。政府防衛庁防衛省に閣議決定したるゆえんのものも、もちろんこういう基本的考え方に一指も染めない、とにかく政治優先、そうしてあくまで総理大臣が出動命令権とか指揮権を持つというたてまえのもとに、われわれは省に昇格することを考えておるのであります。
  112. 山内広

    ○山内委員 まあことばとしてはきれいなことをおっしゃっておりますけれども、ここまで踏み切るために——あなたの党の一部の方々の圧力に屈してここまできたことは、これは事実です。これはもう新聞もそう報じておる。総理が党内の一部のそういうものを押えることもできないで、そうして文官優位、政治優先と言ったって、そういうことは私はあまり信用できないと思う。もっとき然とひとつやっていただきたい。  じゃ、時間がないので……。
  113. 徳安實藏

    徳安委員長 村山喜一君。
  114. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、与えられた時間の中で総理にお尋ねいたしたい点は、七月の三日になると、憲法調査会の報告書が出る。これを受けてどういうような形で今後の政治を進めるかという問題をめぐりまして、今回提案をされております防衛庁設置法並びに自衛隊法の一部改正、これとの関連性で総理に質問を申し上げてみたいと思うのであります。  一九六〇年の八月、安保闘争で失脚をいたしました岸政権のあとを受けて池田総理が内閣をつくってこられたわけでありますが、この池田総理は、憲法改正をしないということを言明をされておるわけです。ところが、最近六月一日に衆議院の予算委員会の席上におきまして、辻原君の質問に対して、憲法調査会の報告が出た場合には国会に特別委員会を設けて検討をするのが適当だ、こういうふうに考えるという旨の発言をなさっておいでになる。これは自民党の内部に、非常に強い憲法改正の意欲を示している人たちがおります。これは素心会に対するところの妥協へ歩き始めたのではないだろうかという見方が、マスコミあたりにも流れておるわけであります。そういうような池田首相の持っている慎重論というものが、自民党の党内情勢の中においては許されない段階に来ているのでないか、池田首相はよろめいているのではないかという報道がなされておりますが、今日まで内政外交を通じまして、保守の中に進歩主義をという立場をとってこられました池田総理としては、この憲法調査会の報告書を受けて、やはり国会にそういうような特別委員会を設置して検討をするという方向でいかれる考え方であるのかどうかという点を、第一に承っておきたいと思うのであります。
  115. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は、憲法を改正すべからず、しないというはっきりしたことは言っておりません。いろいろ憲法の発生の経過から申しまして、これについて検討を加える必要はある。そしてこの検討の結果、国民が改正すべきものなりやいなやということにつきまして、十分お考えいただけるだろう。もし改正するとすれば、どういう点について改正を要するか、どういう点は改正すべからずということにつきましての国民の総意が、あらわれると思います。私は、そういう意味におきまして、憲法調査会の報告が内閣あるいは内閣を通じて国会に出されました場合におきましては、内閣において十分この問題について検討を加えることを考えたいと思います。また、国会におきましても、わが党といたしましては、八年間にわたっての憲法問題を十分審査された結果につきまして、願わくは各党  与野党を通じてそういう調査機関を設け、真剣にこの問題を考慮すべきことであると私は考えておるのであります。したがいまして、調査会の報告が出ましたならば、党とはかりまして、国会内の各政党に共同の調査機関を設けることを申し入れてはどうかということを、私は党の総裁としてはかるつもりでおるのであります。あくまでこれは一般の法律その他とは違いまして、国の基本法、でございます。そして憲法におきましても、国民の総意によって——議会の三分の二以上の議決がありましても、国民投票によってきまるということになっておるのでありますので、私は、十分国民の総意をあらわしてもらうよう、いろいろの方策はとらなければならぬと考えております。
  116. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 憲法改正をしないと言ったことはない、これは検討を加えるべきであるという考え方である、憲法調査会の報告書が出た場合には、これを国民に周知させて、国民がどのような意見をとるかを慎重に見守りつつ処理をするのだ。世論に従うという形をお出しになっていらっしゃる。ということは、来年行なわれます参議院選挙において、池田総理は、自民党総裁として憲法改正の運命をかけての提案をし、国民に信を問うという考え方をおとりになるつもりであるのかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思うのでございます。
  117. 池田勇人

    ○池田国務大臣 何も来年の参議院の選挙を云々するまでもなく、いままでの選挙におきましても、そのことは私は常にはっきり国民に訴えております。憲法改正というものは、社会党さんの言われるように、三分の二以上とったならばこれを改正するのだ、私は、こういうふうな数字の問題じゃないのです。これは国民全体が一体となって考うべき問題だと、こう言っておるのであります。したがいまして、社会党さんの言うように、三分の二以上一院でとったらすぐ危険がある、こういうふうな憲法の本質に関するものを、三分の二を一院でこえるかこえないかによってきめるべき筋合いのものじゃないのです。憲法に、はっきり国民投票によってきめるということが明記してあるじゃございませんか。これを考える場合に、三分の二を云々することは私はどうかと思います。だから、政治に当たる者は、十分その点を考えて措置をとることが、いわゆる憲法を守る気持ちが出てくると思うのであります。三分の二以上とか以内ということは、これは二の次のことであると私は考えておるのであります。
  118. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 池田総理の政治の姿勢を聞いておりますと、憲法は国の基本法であるから慎重に取り扱うべきであるという考え方を、やはり基本的にはお持ちであるようです。それに対しまして、われわれが自由民主党内の党内情勢を云々するのもいかがかとは思いますけれども、事憲法に関する問題でありますのであえて申し上げまするならば、七月の党の総裁選挙が近づいている。この候補者の選定をめぐりまして、素心会を中心にして、共産主義に対する考え方や憲法改正についての態度を検討した上でだれに投票するかをきめる、憲法改正に熱意を示さない候補者はボイコットしよう、こういう動きもあるやに聞くのであります。また、現に憲法調査会の内部におきましては、そういうような即座に憲法改正の手続をとるべきであるという主張をしている自民党の議員の人たちも、中にはおります。そういうようなのを考えてまいりますると、一体池田総理がとっておるそういう慎重な姿勢というものが、今後はたして持続できるという自信がおありなのかどうか、この点をお答えを願いたいのであります。
  119. 池田勇人

    ○池田国務大臣 こういう問題で私が答えることは、いかがなものかと思います。先ほどのお答えは、私が自民党の総裁とし、あるいは内閣総理大臣として、はっきり国民に公約していることでございます。だから、わが党の方方も、私の気持ちは十分御存じと私は考えております。
  120. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで私は、自衛隊の最高指揮官であり、そして行政組織法上は主任の大臣であり、また国防会議の議長であります池田総理に、戦力との問題をお尋ねいたしたいのであります。  今日、自衛隊が、第二次防備力整備計画に基づいて着々として充実計画を進められております。今回の法律案の改正の中におきましても、二千百七十一名の増員計画が示されているわけであります。憲法上持っておりますいわゆる自衛力、実力というものが、今日まで憲法第九条をめぐりまして、制定をされてから三つの段階にわたって変化をしていると私は思うのであります。しかし、池田内閣になりましてから、これをめぐる解釈が変わってきているとは見ないのでありますが、岸内閣以来の憲法第九条に対するところの解釈は、今日まで変わりがない、池田内閣発足以来今日までとっている憲法第九条の解釈の問題については、変わりがないというふうに考えて差しつかえございませんか。
  121. 池田勇人

    ○池田国務大臣 変わりはございません。
  122. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、三十四年の三月十九日参議院の予算委員会で、当時の岸総理から八木幸吉議員に対しまして、戦力の問題で次のような答弁がなされているのであります。それは必要最小限度の実力の中に、米駐留軍を含むという意味答弁がなされております。もちろん在日米軍は、これは憲法でいうところの戦力に当たるというものではないと法制局長官も述べておるわけでありますが、実際上日本防衛を進めていく場合において、禁止されている戦力というのは、自衛のための最小限度のものであれば、これに含まれない、必要最小限度の実力の中には、アメリカ駐留軍を実質的には含むんだ、こういう解釈が当時なされておりますが、この点は、池田総理としてもそのとおりおとりになっていらっしゃるわけでありますか、どうでありますか。
  123. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は、池田内閣になりましての考え方は、変わっていないと言っておるのであります。岸内閣、すなわち私は、三十四年三月と申しますと、岸内閣にいなかったと思います。そのときのやりとりにつきまして十分つまびらかにせずに、これに対して批判を加えることは差し控えたいと思います。私になりましてからは、憲法第九条の関係、解釈、並びに自衛力の問題につきましては、考え方を変えていないということをはっきり申し上げます。
  124. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 自衛力の見解は、これは第二次防の整備計画の程度であれば、いわゆる保持できるところの実力である、こういうふうな解釈でございますか。
  125. 池田勇人

    ○池田国務大臣 この自衛力というものは、やはり国力、国情に沿い、また世界の情勢、科学の進歩等を考えてきめるべきものでございまして、観念的に、あるいはまた数字的にこうだということは、なかなかきめにくい問題でございます。したがいまして、われわれは、ただいまの情勢では、第二次防衛計画でこれが必要であり、そして国情からいって適当な最小限度のものと考えております。
  126. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、私がさきに岸内閣当時の発言を引っぱり出してまいりましたのは、御承知のように、米陸空軍のビッグ・リフト作戦の成功、クイック・リリース作戦の成功によりまして、極東の駐留米軍の削減という問題が出てまいっておることも、御承知のとおりでございます。この問題は、アメリカの、ドル防衛あるいは軍事費削減という問題が出ると同時に、同盟与国の防備努力を向上させるというねらいを持っているアメリカの戦略でございましょうが、この立場から、御承知のようにジョンソン大統領、マクナマラ国防長官の発言をかりまするならば、六七会計年度までには軍事費を四十億ドル切り下げる。六五年の七月一日までに国防総省の文官を二万五千人減らす。六四年六月三十日までに海外の駐留軍司令部要員を一五%以上削る。さらに海外の軍事援助使節団関係の文官及び現地採用外人要員を一〇%程度削減をする。こういうような形の中で、すでに日本におきましても、駐留軍労務者の解雇の問題等が出てきているわけであります。現在、日本における米軍は四万六千名おるけれども日本には将来重装備を置くだけで、兵員は大幅に引き揚げる。さらに米第五空軍の輸送機はすでに本国に帰還をしているが、今後F105戦闘爆撃機等の戦術空軍を漸次引き揚げる。三番目といたしまして、在日米陸軍は、在韓師団の補給の基地から——韓国からの一個師団引き揚げによって、在日米陸軍はさらに縮小をされる。四番目に、沖縄、フィリピンは重機材の補給地としての性格が強くなり、兵員は大幅に減じ、一朝事あるときに空輸される。こういう計画が進められていると聞くのでありますが、このことは事実であるかどうか、この点について総理がお答えできなければ、防衛庁長官でも答弁を願いたいのであります。
  127. 池田勇人

    ○池田国務大臣 アメリカ合衆国の政策といたしまして、世界各地にありまするアメリカ軍の随時引き揚げということは、世界の平和と安全を確保する上において必要なものをとどめておいて、漸次引き揚げるということは、これは従来からの考え方でございます。また、昨年二月でございましたか、来られた国防次官のギルパトリックから、私直接にそういうことも聞いております。そしてそれが日本におきましても、だんだん実現されております。しかし、このことは、日本の安全と独立を脅かすような撤退のしかたは、もちろんアメリカ考えていない。十分相談をしながらやっておるということは事実でございます。ただ、お話しのように、どこでどの部隊をどうということにつきましては、私個々には存じておりません。方針としては私も了承しております。
  128. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 アメリカの世界戦略体制が、ポラリス潜水艦の配置等によりまして、先ほどの作戦計画の成功等もございますから、変化してくることは事実だと私たちも思うのでありますが、その中で、在日米軍と軍事施設の削減という問題が出てまいったら、それを埋め合わせをするために、日本の第二次防衛計画が変化をしなければ、実質的に力のバランスがくずれるので、極東の平和及び日本の、平和を保つことができない。そういう事態が出てきたら、第二次防衛計画は変更をするのだ、こういう考え方をおとりになっていらっしゃるわけでありますか。
  129. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほど来申し上げておりますごとく、日本の独立と安全は、日米安保条約によりましてただいまのところ確保しておるのであります。われわれは、あくまで自分の力で国を守りたいという気持ちは持っておりますが、先ほど来申し上げておるごとく、国力、国情に沿ってやらなければなりません。しこうしてまた、世界の情勢、科学技術の進歩等々も考えていかなければなりません。われわれは、日本の国防につきましては、安保条約のたてまえからいきまして、十分アメリカとも考え、相談し、日本の国情を参酌いたしまして、将来善処いたしたいと思います。ただいまのところ、第二次防衛計画を変更するという具体的の考えを持っておりません。あくまで第二次防によってこれを遂行していく。そして情勢の変化によりましては、第三次——あれは五カ年計画になっておりますから、五カ年済んだ場合の計画につきましても、われわれは考えなければならぬということは、当然のことでございます。
  130. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 もちろん情勢の推移によって、今後保持すべき戦力が変わってくる、自衛力の力関係が変わってくる、これは池田総理が現在の憲法第九条を改正をするよりも、解釈、運用によってやっていこうという考え方をとっておられる以上、そういうような結果が出てくると思うのでありますが、私はここで池田総理にお尋ねをしておきたい点は、アメリカのそういうような戦略上の体制変化が生まれてまいりました場合において、アメリカ軍の引き揚げというような問題が出てきた。その場合には、空白を埋めるのは自衛隊の力によらなければならない。その場合に、その空白を埋めても戦力として自衛力の範囲内にとどまるのかどうかということであります。これはいままでの答弁を承っておりますと、そういう事態が出たら、アメリカの持っている戦力まで含めたものが自衛隊として持ち得ても、なお憲法上いうところの自衛力の範囲内にとどまる、こういうように解釈できると思うのでありますが、その点はいかがでありますか。
  131. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほど申し上げましたごとく、自衛力というものは、観念的に、また数字的にきめ得られるものじゃない。国力、国情あるいはまた世界の情勢、科学技術の進歩等によってきめるべきものでございます。いまわれわれは、第二次防衛計画によってわが国の安全独立は確保できる、こういう考えできておるのであります。将来の問題につきましては、先ほどのいろいろな情勢変化によって考うべきものだと考えております。
  132. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういうような戦力、実力というようなものは、将来科学技術の進歩によって考えが変わっていくのだということになりますと、この問題を発展をさしていくならば、当然憲法の範囲内においても、核兵器の保持も自衛のため必要な限り許される。これは池田内閣になりましても、そういうような解釈をしておいでになるわけでありますから、装備の上においてそこまで考えられるということは、これは政策的には持たないんだということとの間において、矛盾はないですか。
  133. 池田勇人

    ○池田国務大臣 御質問の点がちょっとわかりませんが、核兵器は、日本は持たない、また国内に持ち込むことを拒否する、こう言っておるのであります。私は、核兵器を持つとかいうことを言ったことはございません。御質問の点がわかりかねますから、もう一度……。
  134. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 問題は、岸内閣の当時、核兵器について原爆、水爆、こういうような攻撃型の原水爆というものの保持は憲法上許されないけれども防衛的なものは憲法上許される。しかしながら、わが国としては政策としては核兵器を保持しないという政策をとる、こういうことを答弁をされておるわけです。池田内閣も、憲法解釈上は、核兵器を保持するということは自衛の範囲内において認められる。しかしながら、そういう政策はとらない。これは、私はいままでとっておいでになった見解だろうと思うのであります。しかしながら、先ほどからの御答弁を承っておりますと、科学技術の進歩に応じて、自衛のあり方、実力の保持のあり方については変わっていくんだ、こういうことでございますから、科学技術の進歩につれて、そういう核兵器、攻撃兵器の保有の問題、これは武装、装備との関係が出てまいりますので、その限界線をお尋ねをしているわけであります。
  135. 池田勇人

    ○池田国務大臣 御質問の点はわかりました。自衛力とは何ぞやという場合に、法理論的に自衛力のために核兵器というものが入らないということは、憲法上、また法則論上言えない、こう言うのであります。法理論上、憲法論上、自衛力の範囲内に核兵器というものは入るか入らぬかといったら、法理論的には自衛力の範囲内、自衛力のうちに、核兵器というものでの自衛ということが法理論的には入り得る、観念上の問題であります。これは私は通説だと思います。しかし、われわれのただいま言っている自衛力というものにつきましては、国是として核兵器を自衛力に使いません、こう言っておるのでありますから、一つも矛盾はないわけであります。
  136. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 それは矛盾があるのですよ。政策として持たないということと、憲法というものをそういうように自由自在に駆使して考えていくというところには、これは明らかに矛盾点がある。これはすでに外国の雑誌等においても、次のような点が指摘をされているわけであります。「エコノミスト」の六月十三日に書かれた国際評論の中にも、今度の憲法改正の問題に関連をいたしまして、「九条の反戦条項と、陸海空三軍の建設を禁じた点を、非現実的だといっている。これらの人びとは現在の自衛隊の権威を高めるためにも改正が必要だと主張する。防衛庁を省に昇格させようとする圧力が加わりつつある。第九条の改正は、きわめて遠い将来の問題ではあるにしても、少なくとも理論的には日本がこれからさき核兵器を持つことへの道を開くことになろう。」、こういうような外国の論評も加えられておる段階であります。したがいまして、私はここで憲法調査会が答申を出したときのその受けとめ方という問題について、池田総理にお尋ねをいたしたのでありますが、現在の第二次防衛計画整備計画以上に、科学技術が進んでくるならば、核兵器は持たなくても、攻撃用のミサイル兵器等はどしどし備えていくのだという考え方をお持ちになっているのか、この点をお聞かせ願っておきたいのであります。
  137. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私はいま法理論上、自衛力というものについて、核兵器は防御用にも使えないか、使えるかという議論につきましては、自衛力は、防衛上のためにある種の核兵器は使って悪いという理論的根拠はない。しかし、日本は国是として使わないのだ、これははっきりしていることで、もしそれに疑いを持つ人があるならば、もしそういう考えに疑いを持つ人があるならば、この核兵器のおそろしさを知らぬのだろうと思います。だから、われわれはそれをはっきり言っている。だから、外国では核兵器を持っている人は、日本はそういうことをやるのではないかということを言う人があるかもしれません。そういうところにわれわれは惑わされてはいけない。唯一の被爆国でありますわれわれは、そういう心の悩みを持たずにはっきりいこうではありませんかと、私は申し上げておるのであります。そうして、今後におきまして、いまの国際情勢その他の点からいって、われわれ何としても日本の独立と平和と安全を守るということは、政治の根本じゃありますまいか、私はそれを言っておるのであります。
  138. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 池田総理がそういうような決意であればけっこうでありますが、しかしながら、自衛隊防衛大学における学生の世論は、先般も石橋委員指摘をいたしましたように、日本がやはり核武装の道を歩むであろう、こういう予想をし、それを期待をしているような動きがすでに出ておる。アメリカの世論を見てください。これも六一年の秋にアメリカの世論調査をとってみたら、八一%は原水爆戦争はあり得るだろうという想定をしている。こういうような問題を考えてみると、私は今日着々として進められつつあるところのこの自衛隊のいわゆる潜行的な膨張政策というものが、そういうような意識というものを生み出してくる。その点は、もっと自衛隊の最高指揮者であります総理大臣考え方というものが、それぞれの機関に十分反映できるような形にしてもらいたいということを要望申し上げまして、時間がまいりましたのでやめます。
  139. 徳安實藏

    徳安委員長 田口誠治君。
  140. 田口誠治

    田口(誠)委員 先ほど山内委員質問に答えられた答弁が不十分でありましたので、なお再確認をいたしたいと思いますが、山内委員は、アメリカでは、原子力潜水艦ノーテラスにも全部核武装をするという発表をいたしておるし、このことは、この国会の科学技術特別委員会でも発表されたことである。こういう点を指摘をいたしまして、この原子力潜水艦の寄港は、こういう状態になっておるのだが認めるかどうかということについて、池田総理は、まだそういうことは聞いておらないからという、非常にぼやけた答弁をされておったわけです。ところが私は、今日の段階では、そういう答弁では了解はできないと思うのです。実際にノーテラス潜水艦でも核武装をするというアメリカ国防省の発表があり、そして日本国会においてもそういう点が発表された今日において、まだその内容を知らないから云々ということでは、いけないと思うのです。したがって、私はここで再確認をいたしたいと思いますが、いずれにいたしましても、ポラリス潜水艦にしてもノーテラスにしても、核武装をするということになりますれば、原子力潜水艦の寄港は認めないのだ、こういうことが正しいと思うのですが、その点、総理大臣はどういうようにお考えであるか、明確にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  141. 池田勇人

    ○池田国務大臣 はっきりしているじゃありませんか。ポラリスでも、ノーテラスにしても、何であろうとも、核兵器は持ち込んではいかぬ、こういうのでありますから、ポラリスは悪い、ノーテラスならいいということは、だれも言ったことはありません。ただ、いままではノーテラスが核兵器を積んであるかどうかということにつきましては、われわれは聞いていないということであります。だから、問題はポラリス、ノーテラスの問題ではありますまい。核兵器を日本に持ち込むことを許すか許さぬかということでございます。許しませんというのですから、名前は何であってもよろしいじゃありませんか。
  142. 田口誠治

    田口(誠)委員 そのようにはっきり答弁されればよろしいのですけれども、総理のいままでの答弁からいきますと、日本には核武装はしない、それから核の持ち込みはしないということは、たびたび答弁で明確にされております。ところが、先ほどの山内委員質問に対しましては、まだそういう内容は聞いておらないからと言って、ぼやけた答弁をされておりますが、私は、ただいまの答弁を聞いて、ノーテラスの核武装をした潜水艦は寄港を拒否する、こういう点は明確になったと思いますので、その点はそれでよろしいです。  それからなお、遺法調査会が答申を出した場合の政府の態度について、先ほど各委員がお聞きをされたわけでございますが、そのときに、これは当然国民の総意によらなければならないのだ、こういう点から答弁をされております。それで答弁のことばの端くれからいきますと、答申が出た場合には、別にこれを閣議検討をしたり、国会で審議するということでなしに、国会を解散して、そして信を国民に問うてこの問題を審議するのだ、こういうような受け取り方をしたわけでございますが、その点には間違いございませんか。
  143. 池田勇人

    ○池田国務大臣 憲法改正が非常にたやすくできる、そしてまたしたがって非常におそれておられるが、そんなにたやすくできるものじゃございませんよ。そしてまたそんなにおそれるものじゃない。われわれは国民の代表として、この基本法につきましては、慎重の上にも慎重を重ね、国民に十分わかってもらって結論を出すべきだというのが、私の考え方であります。したがいまして、報告が出ましたならば、内閣におきましても、特定の職員に私は検討を頼みたいと思います。また国会におきましても、先ほど答えたとおり。また国民にも十分知ってもらいたい。そして世論のおもむくところによって考えたいと思うのであります。政治家は、自分一人の考え方で、国民の世論を聞かずに国の根本法である憲法を云々するということは、いかがなものかと思います。
  144. 田口誠治

    田口(誠)委員 憲法を改正するということの重大なことは、これはだれしも知っているわけなんです。小学校の生徒でも知っているわけなんです。したがって、こういう重大な問題を、調査会の答申として出された場合に、どういうように取り扱われるかという点をお聞きしているわけです。その取り扱いの内容について先ほど総理から答弁がございましたけれども、あの答弁では非常に明確を欠いておりましたので、私は再確認の意味質問を申し上げたのでございますので、答申の出たあとどうされるのかということを聞いているのです。
  145. 池田勇人

    ○池田国務大臣 速記をごらんくださったら、はっきりしておると思います。内閣におきましては、報告が出ましたら、専門の人に検討をさせる局を置きたい、あるいは既存の法制局で専担の人をこれに従事させる。国会にも報告がありますから、国会におきましては、私は自民党の総裁として、国会各党に共同の調査機関を設けられたらどうかという申し入れをするつもりであります。わが党におきましても、十分検討をし、国民に知ってもらう。また、そういうことと別個に、私はいろいろな方法で国民に、日本の憲法の成立の経過、その後の運用、そして調査会におきまする各種の意見を十分知ってもらって、りっぱな国民の判断が出るよう努力するつもりでございます。
  146. 田口誠治

    田口(誠)委員 一つの方法として、国会内に調査会を設けて、そして十分に検討してもらう、こういうお考えのようでございますが、おそらくこういう案が出ましたときには、現在の野党は反対をするであろうということは確実だと思うわけです。そういうような場合に、どういうような処理をされようとされるのか、この点も伺っておきたいと思います。問題が重大なだけあって、非常にこういう点に関心が持たれておりますので、その点も明確にしていただきたいと思います。
  147. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は、日本国民として憲法改正の議論がある限りにおきましては、国民全部がこれについて十分検討することが、国民としての立場と考えます。自分らの趣旨に合わぬから人の言うことは聞かぬのだというのは、民主主義じゃありません。憲法改正に反対なら、国会で機関を設けて、反対することを十分主張することが、民主主義じゃありますまいか。私は、自分の考えでほかのことは耳に入れぬということは、民主主義、あるいはりっぱな議会政党じゃない。十分私はお考え願いたい、こういうつもりでおります。
  148. 田口誠治

    田口(誠)委員 池田総理の答弁は、これは本会議において与党の議員からもu指摘されたように、非常に一方的で、ワンマンであると言われておりましたが、ただいまの答弁も、民主主義的にものを論じた場合には、政府から与えたも一のに応じなければ民主主義でないという考え方は、誤っているわけなんです。やはり議論は幾つかあるわけでございますので、私は、こうした大きな問題を検討する場合には、少なくとも国会の三分の二以上の賛成がなければ審議をrべきでないと思う。こういうような考え方からただいまの質問を申し上げたわけでございますが、総理の言われる民主主義から立脚した審議会を設ける云々というこの考え方は、私は当を得ておらないと思います。これは議論になりますので終わります。  そこで次に、総理に確認をいたしたいと思いますことは、御案内のとおり、昭和二十五年の八月九日に、警察予備隊が七万五千で創設された。それから保安隊あるいは自衛隊に改編改称されて、そのつど職務内容も変更され、そうして内容的に拡充強化されております。したがって、今度提案されておりまする防衛庁設置法の改正の内容を見ますると、これは制服、私服も含めて総員が二十七万六千五百八十二人という、こういう大世帯になるわけでございまするが、そこで、今国会には国防省の昇格の問題はあきらめられたけれども、国防省に昇格をして、そうして日本の自衛力を強化していこうとされておるのでございまするが、私は、ことばの上にはどういうことばの使い方もあろうと思いまするけれども、現在、法律上からは、日本には軍隊というものは慰められてはおりませんし、軍隊はないはずでございます。ところが、実質的には軍隊は存在しておるわけなんです。この点はどうお考えですか。
  149. 池田勇人

    ○池田国務大臣 日本の自衛のための実力を持つということで、防衛庁を設け、自衛隊を設置してやっておるのであります。これを戦力というか、あるいは軍備というか、いろいろ考え方はございましょうが、われわれは自衛力と、こう言っておるわけでございます。
  150. 田口誠治

    田口(誠)委員 実質的には軍隊になっておるんじゃありませんですか。
  151. 池田勇人

    ○池田国務大臣 軍隊という定義があれでございますが、自衛力とわれわれは言っております。
  152. 田口誠治

    田口(誠)委員 自衛力を持つために軍隊をつくっておるということなんですが、その点どうお考えですか。
  153. 池田勇人

    ○池田国務大臣 わが国の自衛力のために防衛庁を置き、自衛隊を置いておるということであります。
  154. 田口誠治

    田口(誠)委員 まあこういう質疑のやりとりはやめます。  そこで、総理にここで明確にしておきたいことを二、三点御質問申し上げたいと思いまするが、先ほど村山委員質問の中で、戦力ということについて、国力、国情に応じて云々という御答弁をされておりましたが、そこで、私は、憲法上からいきまして、武力の行使というものはいかなる範囲内のものであって、どういうものをさしておるのか、この点をひとつお聞かせをいただきたい。
  155. 池田勇人

    ○池田国務大臣 御質問の点がはっきりわかりませんが、自衛力の範囲でございますか。いわゆる防衛のための実力の範囲ですか。
  156. 田口誠治

    田口(誠)委員 憲法九条の条文そのままを見ていただけばわかりますが、この九条の一項には「武力による威嚇又は武力の行使は、」とこう書いてありまするが、武力による威嚇ということは、これはわかりますけれども、武力の行使ということは、相当範囲が広いと思うわけなんです。したがって、これの使い分けということについては、いろいろと拡大的な解釈もあれば、狭義、広義の解釈も出てくると思うので、この点を明確にしておきたいと思います。
  157. 池田勇人

    ○池田国務大臣 これは憲法にありますように、国際紛争を武力によって解決することはいけない、こういうことでございます。しかし、わが国の自衛のために自衛力を行使することは、憲法違反でない、こう考えております。あくまで自衛のためであります。
  158. 田口誠治

    田口(誠)委員 そのことは、憲法の九条の中に、「国際紛争を解決する手段としては、」ということが書いてありまするから、ただいまの答弁どおりでありますけれども、「武力による威嚇」ということと、「武力の行使は、」というこの使い分けがしてあるわけなんです。したがって、この内容は違っておるわけなんです。だから、これはどのように解釈をされており、どの程度の範囲のものであるかということをお聞きしておかなければ、これは間違いが起きる場合があろうと思うのです。
  159. 池田勇人

    ○池田国務大臣 これは、わが国の自衛のためにのみ実力を行使するということでございます。
  160. 田口誠治

    田口(誠)委員 それは自衛のための武力行使といえば、これは憲法に載っておる国際紛争解決の手段云々とは違ってきまするが、この武力の行使ということの範囲というものは、どの範囲であるかということなんです。ただいま一つ答弁になりましたね。それだけですか。
  161. 池田勇人

    ○池田国務大臣 武力の行使は、自衛権の範囲ということでございます。
  162. 田口誠治

    田口(誠)委員 まあこういう質問に対しては、相当デリケートな面がございまするので、答弁も非常に抽象的で、わからずにわかったような態度をとらなければならぬ場合がありまするが、私は、この武力の行使ということの範囲というものは、やはりもう少し明確にしておかなければ、いずれにしても間違いが起きようと思いまするので、そういう点についてただいま何回か繰り返しお聞きをいたしましたけれども、同じような答弁でございまするので、これもこれ以上何回聞いても同じ答弁をされると思いますので、時間の節約上、この点は省略をいたします。
  163. 石橋政嗣

    ○石橋委員 ちょっと関連して質問さしていただきたいと思うのですが、抽象論議でなかなか微妙でございますから、具体的に提起してみたいと思います。  まず、当面日本が直面いたしております李ラインをめぐるごたごたですね、これは国際紛争というもののワクの中に入る、こういうお考えですか。
  164. 池田勇人

    ○池田国務大臣 そのこと自体は、李ラインというものは国際紛争の原因になりましょう。しかし、われわれは、政治的にそういうものにつきましていわゆる国際紛争として、取り扱っていないということでございます。
  165. 石橋政嗣

    ○石橋委員 憲法の九条でいう「国際紛争」というものの中に当然入ると思うのですが、いかがですか。
  166. 池田勇人

    ○池田国務大臣 理論上は入るようでございますが、武力を使う問題ではないと思います。こういう憲法あるいは具体的な問題につきましては、法制局長官からお答えいたさせます。
  167. 林修三

    ○林政府委員 いまの御質問の御趣旨でございますが、要するに、李ライン問題を日本に有利に解決するためにかりに武力を使うということは——まあ李ライン問題は、これまで何年間の間において両国の懸案になっております。それを結局、いま交渉しているわけでありますが、その交渉を打ち切って、一方的に武力を使ってそれを解決するというのは、まさに国際紛争を解決する手段として武力を使った、こういうことになると思います。  それで、これはあとから御質問のあることかもしれませんけれども、李ライン付近においてかりに海上保安庁の船に攻撃が加えられた、それがゆえなき攻撃であるという場合の、そこの局部的においての正当防衛という問題は、これはいわゆる国際紛争を解決する手段としての問題とは別問題でございます。これはあるいは御質問があるかと思いましたので、お答え申し上げておきます。
  168. 石橋政嗣

    ○石橋委員 先に先にと、言いますが、私がいま聞いておるのは、李ラインをめぐってもう何年間とトラブルがあるわけです。これは憲法でいう国際紛争の概念に入ると思います。総理も大体認めておられるのです。法律的にお聞きしておるのです。この李ラインをめぐるトラブルというのは、憲法九条でいう国際紛争に入りますか、それだけ答えていただきたい。
  169. 林修三

    ○林政府委員 憲法九条一項は、御承知のように、国際紛争を解決する手段としての武力行使を認めないということですね。ですから、その国際紛争を解決する手段として武力を使うことはいけないわけです。そういう意味において、いまの李ライン問題は、まさに国際紛争だと思います。それを日本話し合いをせずに、一方的に武力で解決することは、それは「国際紛争を解決する手段として」ということでございます。
  170. 石橋政嗣

    ○石橋委員 先の質問を用心して、要らぬことまで言わなくていい。憲法九条で言う国際紛争に入る、これだけ聞けばいいんですよ。  そうすると、この国際紛争を解決する手段として、武力による威嚇や武力の行使は禁じられているわけですね。
  171. 林修三

    ○林政府委員 国際紛争を解決する手段としての武力の行使、武力による威嚇は、おっしゃるとおり禁止せられております。
  172. 石橋政嗣

    ○石橋委員 そうしますと、自衛隊が出動して李ラインの近辺で威嚇をやるということは、憲法九条で当然これは禁止されているわけです。ところで海上保安庁がこの武力の威嚇、憲法で禁止されておる行為をやることはいいのかどうか。自衛隊がやらぬで海上保安庁がやればいいというような解釈は、出てこないと私は思うのです。海上保安庁であろうとも、三インチ砲を積んで、あの辺に行って、相手側の韓国に威嚇的にとられるような行為をとれば、明らかにこれは憲法九条に違反する行為だと思うのですが、いかがですか。
  173. 林修三

    ○林政府委員 武力による威嚇を行なう主体は、もちろん自衛隊に限りません。国家機関であればどれでも当たりますが、現実の問題として、海上保安庁が李ライン付近に出ておりますのは、これは要するに日本の漁船の保護でございます。海上における人命及び財産の保護というたてまえで出ておるわけであります。何ら威嚇の要素は含んでおらないと思います。
  174. 石橋政嗣

    ○石橋委員 法律的に海上保安庁の規定というものを一つ一つ見ていくと、できない行為、やっちゃならぬ行為を現実にやろうとしておる、またやっておる。典型的な例が三インチ砲の積載ですよ。海上保安庁が巡視艇に三インチ砲を積むなどということは、一体海上保安庁法のどこから出てくるのか。また、威嚇射撃をやってもよろしいという指令を出しておる。こんなことが一体どこから出てくるのか。韓国側が、これを武力による威嚇だというふうにとるおそれは十分にある。非常に微妙な問題なんです。だから、先ほど関連質問で、ちょっとそういうふうにお尋ねしたのですが、事実を確かめないうちにあまり強いことばかりおっしゃらないほうがよろしゅうございませんか、憲法に違反するおそれすらございますよと申し上げておる。領海を侵すという行為は、確かに不法です。だから、これを立ちのかせるという措置をとることは正しい。しかし、事実を確かめてみたら、日本側の海上保安庁がとった措置も、必ずしも妥当といえない。巡視艇が行ったのじゃなくて、漁船を雇っていった、漁民に扮していった、しかも拳銃を擬した、これが暴発をやって、攻撃を加えられたというふうに向こうにとられた一面もある。われわれの側にも、どうも芳ばしくない行為があらわれてきている。そういうことをろくに確かめもしないうちに閣議を開いて、不法な怪船が領海侵犯をやったのだから、こういうことを排除するためにも、一段と武装を強化しなくちゃならぬ、訓練も強化しなくちゃならぬ、えらい強いことばかり——そういう強い態度は、外交折衝のほうで示してもらいたいですよ。肝心の日韓会談では、私どもから見れば、どうも自主性がなさそうだ。外交折衝のほうでは弱腰で、そうして海上保安庁や海上保安庁の職員にまるで軍隊まがいの行動をさせようとする態度は、好ましくないし、憲法九条の禁止規定、武力による威嚇というものにすら入るおそれがある。そこでより慎重に再検討をお願いしたい、こう申し上げておるわけです。  田口さんは非常に抽象的な議論をやっておられましたが、具体的に当面の問題が出ているのです。総理が海上警察の強化というような形で指示を出して、いま具体的に行動を進めておることが、憲法九条との関連すら持っておるということを頭によく置いていただいて、事態を冷静に見きわめ、あまり海上保安庁の職員に妙なことをしいないでもらいたい、本来の使命をはずれた軍隊まがいのことをやらせないようにしていただきたいというのが、私の質問の要旨です。
  175. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほど答えたように、この前の閣議決定での問題は、日本の領海内に国籍不明のものが侵入いたしまして不法な行為をやろうとしておるので、これを取り締まれということの閣議決定でございます。何も公海に出てどうこうという、他国を威嚇するというようなことの閣議決定はいたしておりません。
  176. 石橋政嗣

    ○石橋委員 総理が知らないと言ったのですよ、あの事実を。漁船をチャーターしていったという事実、漁民に扮していったという事実、拳銃を擬していった、こちらの側が、私服で。しかも暴発をやったという事実、しかもその相手の怪船と称するものは、韓国の公船らしいということ、これはまだ確認されていないわけですが、こういう一連の閣議決定以後にわかりました事実は、全然知らないと言ったじゃないですか。こんな肝心なことを知らないままで、あまり強気なことばかりやるのは不自然ですよ。保安庁なり保安庁の職員は迷惑ですよ。権限外のことをあなたはやらせようとしておる。自衛隊を使えば、どうも国際的にも国内的にも問題が大きいから、海上保安庁に自衛隊まがいの、軍隊まがいのことをやらせようとしておる。職員は非常に迷惑がっておりますよ。われわれは、本来そういうことは任務にはしておらぬ。海上における国民の人命、財産の保護、これがわれわれの任務である。官房長官のごときは、応戦するなんという全く不穏当な表現まで使っておる。こんなことをやらされてはかなわぬという気持ちが、下部の職員の中にあるのです。あなたはさっきから民主主義を説いておられますけれども、国民の声を聞くどころか、公務員の気持ちすらくんでおらないじゃないですか。非常に動揺を来たしておるのですよ。こういう行き過ぎた行為は、早急に事実確認の上、再検討願いたい、こう申し上げておるのです。
  177. 池田勇人

    ○池田国務大臣 領海侵犯の場合に、その衝に当たる公務員がこれを排除することは、公務員の当然の義務じゃありませんか。それが暴発したとか、いろいろな具体的なものは知りませんが、日本の領海内に国籍不明のものが侵入していろいろなことをした、こういうことは違法な事実なんです。これを取り締まるのは、海上保安庁の職員の当然の責務じゃございませんか。(「取り締まり方が悪い」と呼ぶ者あり)その取り締まり方につきましてのことは聞いておりませんが、それは海上保安庁において十分検討いたすべき問題だと思います。ただ侵犯に対しての、不法行為を排除しろということは、私は何ら行き過ぎた問題ではないと思いす。
  178. 石橋政嗣

    ○石橋委員 公務員が侵犯を排除するにあたってどんなことをやってもいいということを総理大臣が言ったら、たいへんですよ。排除するためには排除するに相応の順守規定がありますよ。海上保安庁の職員の場合ならば、海上保安庁法の十七条を読んでください。漁民に化けてやってよろしいなんということがどこに書いてありますか。制服を着ていけと書いてあるじゃないですか。その事実を御承知ですか。
  179. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は、そういうことを言っておるのではございませんよ。日本の領海を他国の怪しき船が侵犯したら、これを排除しろということが、閣議決定でございます。そうしてその排除のしかたにつきましては、先ほどお読みになりましたような法律とか、あるいはいろいろな規定できめてあります。そのきめたことでやるべきだ。これは規定したとおりをやらないということで、閣議決定は不当な決定じゃないのです。それは規定のとおりをやらない行為が悪い。これは改めなければなりません。閣議決定は何ら改める必要はない、当然のことだと私は思います。
  180. 石橋政嗣

    ○石橋委員 その領海に入ってきた不法行為を正させるためにこちらが違法の行為をやったのじゃ、話にならないわけですよ。明らかに違法だと私が指摘しているのは、制服を着ていかなかったということです。漁船をチャーターするとか、そういうことは、ある場合には許されるかもしれません。とにかくそういう不法な行為をやっておる事実を知らないままに、領海を犯した、けしからぬ、けしからぬという先ばしった行為を、少なくとも行政の最高責任者である総理大臣閣議で、事実を確かめないままにやるなんということは、いささか軽率です。  時間が参りましたから、この程度にとどめますが、あくまで国際紛争ですから、慎重に対処してもらいたいと思います。
  181. 田口誠治

    田口(誠)委員 大臣の時間も参りましたので、私は一言申し上げて質問を終わりたいと思います。
  182. 田口誠治

    田口(誠)委員 私の申し上げたいと思いますことは、昭和二十五年に警察予備隊ができたときにも、その任務というものは、あくまでも暴動、一定限度の政治スト、悪質な政治陰謀、こういうようなものに備えまして、国家地方警察、自治体警察等と密接な連携をとって、その当時あった警察力を補うという任務であったわけでございますが、それから保安隊になり、自衛隊になって、今日のような大きな軍隊に相なっておるわけでございます。  そこで、この警察予備隊のできた当時でも、これが違憲でないか云々の討論が国会でなされておりますし、それから鳩山総理大臣のときには、これは違憲の疑いがあるというので、憲法を改正する必要があるというような答弁もなされております。それから後、なお日本自衛隊というものは非常に内容が強化され、拡大をされておるわけでございます。したがって、私はこういう点から考えでみますと、完全に憲法九条に違反をしておる行為だと考えますが、政府はいろいろな解釈をして違憲でないといっておりますけれども、やはり日本は平和憲法をつくった精神にのっとって、政策面でこういう面は国民の納得のいくような自衛力というものを備えておかなければならないと思いますし、野放しに拡大をして、そうしてこれを国防省に昇格をしてやっていこうというようなことは、大それた考え方であろうと思いますので、この点について御注意を申し上げておきます。  それから最後に、先ほどの答弁の中で不十分であったところの——武力による威嚇ということは、これは明確でございますけれども、武力行使ということについての範囲を御質問申し上げたのでございますが、これは時間がございませんので、御答弁は要りませんが、憲法で武力といっておるのは、これは九条の二、項に書いてある戦力よりも範囲が広いというような解釈の武力であるから、こういう点をやはり考えていただいて、そうして政策面でこれに逸脱するようなことのないような諸方策を講じていただきたい。この点を最後に希望申し上げまして、私の質問を終わります。
  183. 徳安實藏

  184. 受田新吉

    ○受田委員 十五分間を厳守させていただいて、総理に対する質問をさせていただきます。  総理大臣池田さんは、岸内閣のときの国務大臣でいらっしゃり、安全保障条約を日本アメリカの間で締結されたときの責任者でいらっしゃる。ところが、この日米安保条約は、六月二十三日でまさに満四年間をけみしました。そしてあと六年で期限満了でございます。そろそろこのあたりで、池田三選を目途として敢闘これつとめておられる池田さんの胸中を去来するものは、日米安保条約のあり方をいかにするかという抱負経綸であろうと思います。そこで一言お答えを願いたい。一九七〇年の日米、安保条約期限満了時には、同じくNATOの一九四八年に二十年の期限を持たれた条約期限の前後でもございますので、国際的にもたいへんな問題が起こりそうな時期でございますけれども、池田総理大臣としては、日米安保条約の期間満了を目途として、日本の自衛力を漸増し、その時点においては安保条約を廃止してもいい方向日本の自衛体制を固めていくという目標をお持ちであるかどうか、お答え願いたいと思います。
  185. 池田勇人

    ○池田国務大臣 たびたび申し上げておりますごとく、国連において世界の安全保障を確保するだけの名実ともに力があれば、安保条約を廃棄してもよろしゅうございますが、それがない場合において、単に一九七〇年が来たから、これは廃棄するというたてまえではございません。すでに御承知のとおり、安保条約は、一九七〇年が過ぎたら一方的にこれを廃棄できるというだけで、当然なくなるたてまえにはなっていないのでございます。しかしてまた、わが国の安全独立ということは絶対に必要なことでございますから、われわれは、その場合の国際情勢、また日本の置かれた立場等を考えてきめるべきだと思います。  ただ、率直に申しますと、いまの情勢では、私は安保条約を一九七〇年に通告してやめるという情勢ではないと考えます。
  186. 受田新吉

    ○受田委員 その情勢になっていない、四年たってあと六年、その六年を迎えようとする二、三年前ごろから延長するかどうかという話し合いをしなければならぬのですが、いまの情勢ではこれを再延長しなければならぬ情勢であるという御判断のようです。  そこで、私お尋ね申し上げたいのは、日本自衛隊のあり方、自衛力の増強計画の第二次のものがいま実施されつつあるわけでございますが、第二次の防衛力の整備計画を見ますと、在来型の兵器の使用による局地戦争以下の侵略に対する防衛体制を固めるということがうたってありますが、さらに第三次防衛計画におきましては、安保体制が期限満了という段階になるわけでございますから、この範囲を越えた防衛力増強計画を目途とせざるを得ない情勢にあると御判断されますかどうか。
  187. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は、いま第三次防衛計画につきまして具体的にどうこうという案を持っておりません。まだ第二次防衛計画が途中でございますので、これに専念する状態でございます。先ほど来申し上げましたごとく、五カ年のあれでございますから、もうあと三年ですか、たってから後の計画につきましては、専門家におきましては検討しているかもしれませんが、国防会議を開く段階にまだ至っておりません。
  188. 受田新吉

    ○受田委員 第三次防衛計画の中には、対日軍事援助費というものがもう期待できないというその情勢、近く長官も渡米されるようでございますが、この現実は、一応肯定せざるを得ぬ情勢だと御判断されますかどうか。
  189. 池田勇人

    ○池田国務大臣 何年後に対日軍事援助を打ち切るかということは、まだはっきりしておりません。漸減されるということは、われわれも聞いております。そこで、いつから全部なくなるかということにつきましての公表は、聞いておりません。
  190. 受田新吉

    ○受田委員 漸減されるということについて何らか手を打ちたいということでございますが、自主防衛体制を固めようという池田さんにいたしましては、国産品をうんと高めて、国内で装備等も間に合わせるようにしたい、援助というよその力を借りていくという行き方は、本筋ではないという原則はおとりになっていらっしゃるでしょうか。
  191. 池田勇人

    ○池田国務大臣 兵器を国産にするという原則は、とっておりません。やはり日米安保条約のもとにお互いに助け合っていく。しかし、兵器というものが、一般の科学技術の進歩あるいは発展、産業の復興に影響があるということは、認めなければなりません。したがいまして、日本の国力、国情に応じまして、できるものなら安く日本でつくることが望ましいということだけであって、これを全部日本でつくるなんということは、なかなかむずかしい問題でございますので、そういう原則は立てておりません。
  192. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、防衛庁計画しているロケット打ち上げ、これはこの七月に新島で御計画があるようですが、しかしながら、これはやがて国産化しなければならぬという方向に必ずいくと思うのです。私は、ここで特に三選を期待される総理にはっきり腹をきめていただきたいのですが、防衛庁の持っている宇宙開発の計画を少なくとも平和利用へ集中させる、この宇宙開発推進本部が、本国会で通る見通しになっております。将来宇宙開発局という形になるかどうか、NASAに通ずることになるかどうか、いずれにしても、われわれとしては国連にも強く訴えて、宇宙、空間を、平和利用するという強い主張——委員会もできておるのですから、ここでわが国の猛烈な熱意を訴えて、少なくとも宇宙開発の科学技術の発展は、平和利用一本に集中するという大目標を総理みずからが全世界の良識に訴えて、日本が陣頭に立つという決意をお持ちかどうか、お答え願います。
  193. 池田勇人

    ○池田国務大臣 宇宙開発につきましては、ソ連あるいはアメリカ等いろいろ共同でやっていこうという機運が、醸成しております。また、日本のこの宇宙開発に対しまする技術につきましては、非常に進んだものもありますが、なかなかそうでないものもある。しかし、平和利用のために宇宙開発に一役買うということは、われわれ日本人の頭とあれからいって、私はでき得ないことじゃない。また、そうするかっこうでいかなければいけない。しかるに、わが国の現状におきましては、東大を中心としてやっておるのもありますし、また防衛庁でこういう研究もしておりますが、科学技術庁を中心といたしまして宇宙開発をし、平和的にこれを利用するというたてまえのもとに邁進していきたいという気持ちを持っております。
  194. 受田新吉

    ○受田委員 すでにインドすらも一年以内に国産品のロケット打ち上げを計画しておるようです。そういう情勢なので、国産品の宇宙開発が五年も六年も先ということでなくして、できるだけ期間を縮めて平和汎用の実績を示すこと、さらに国際的世論に訴えて、その実績をあげることを、総理として十分推進していただきたい。  そこで、もう一つ防衛に関する基本問題として、現行安保条約の中にある第、五条の共通の行動、第六条の施設及び区域の提供において、最近アメリカの極東政策など見ると、だんだんと、原子力潜水艦の発展等あるようでありますが、常時駐留から有事駐留へ動いておるのではないかという示唆を与える向きがあります。したがって、現行条約をそのままにして、協議の上において常時駐留を有事駐留と切りかえても、条約上の疑点は起こらないかどうか。
  195. 池田勇人

    ○池田国務大臣 いま常時駐留を有事駐留ということに切りかえようということは、私はまだ聞いておりません。ただ日本に駐留する兵力が漸減しておるということは聞いておりますが、私は、これは今後そういう話があったときに研究すべきであって、日米共同防衛というたてまえで十分検討しなければならぬ問題だと思います。
  196. 受田新吉

    ○受田委員 法律論から見て可能かどうか。
  197. 林修三

    ○林政府委員 これは別に私は不可能ではないと思います。両国の話し合いがつけば、できることだと思います。
  198. 受田新吉

    ○受田委員 そういうところでこの問題は一応打ち切って、今度は、総理大臣、あなたにひとつ行政権の行使の最高責任者としてのお立場でお尋ねしたい点があります。  憲法の七十条には、総理大臣の欠けたときは総辞職をしなければならないという規定がある。あなたも、失礼でございますが、なま身でいらっしゃいますから、法律はいかなる状態も想定しなければなりません。したがって、あなたに万一のことがあったという場合に、総辞職をしなければならないのでございまするが、その総辞職はだれが発議して、どこで発動するか。また国会への通知も、国会法六十四条に書いてあります。だれが通知されることになるのか、お答え願います。——法制局長官はなるべく入れ知恵しないでください、重大なことですから。
  199. 池田勇人

    ○池田国務大臣 ごらんのとおり、なま身ではございますが、健康に留意して、そういうことをまだ考えておりません。外国旅行その他私が国内にいない場合におきましては、そのつど措置をとっております。
  200. 受田新吉

    ○受田委員 法律はすべての場合を想定して、りっぱなものをつくっていなければならない。総理大臣の欠けたときは、そのあらかじめ指定する国務大臣がその職務を行なうと書いてあります。したがって、いわゆる内閣総理大臣臨時代理というものが、終始置かれていなければならない内閣法の規定がある。アメリカにも、ケネディさんがなくなればジョンソンさんが、副大統領がすぐ就任されるという、きわめてりっぱな手続ができている。一国の行政権の最高責任者がその行政能力を喪失した場合における代行者というものが、法律的にちゃんと規定してあり、またそういう事態になったときには、さっさと手続をされなければならない。わしは元気だ、死なないから、あとのことを心配するなというのは、これは行政権の最高責任者としては、はなはだふまじめな態度だと思うのです。万一の場合にはどういうことになるかが、ちゃんと法律的にも根拠がなければいけない。だれが責任者か。いまは佐藤さんと河野さんがおられるわけだ。万一あなたが今晩でも交通事故でおなくなりになれば、そういう場合には——これは事実問題としてあり得る可能性があるわけでございますから、法律というものはあらゆる場合を想定しなければならない。その場合に、佐藤さんと河野さんが、おれが臨時代理をやるのだと、閣議で混乱におちいる危険があるわけです。ちゃんとした法律的根拠が必要であると思うが、総理大臣答弁願います。
  201. 池田勇人

    ○池田国務大臣 そのことは知っておりますが、まだそういう事態に至っておりません。事態に至ったときにはどうするかというお尋ねでありますが、万全の方法をとることは、必要とあれば将来考えてもよろしゅうございますが、今晩交通事故ということは、まだ想像しておりませんので、ただいまのところ、きょう、あすのうちにどうこうという——しかし、これはやろうと思えばすぐできるわけでございますから、そういう場合がないことを念願して努力しておるわけでございます。
  202. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは国防会議の議長である。国防会議の設置法に国防会議の議長は総理大臣であり、議員の第一順位は、いま私が言ったように内閣法九条の臨時代理が、議員の第一順位である。国防会議の中においても、一番重要なポストは臨時代理が第一順位、それから外務大臣と、こういうふうになっているのです。したがって、国防会議構成の一番大事な人間が、いまおらぬじゃないですか。国防会議法は、いま空文に終わっておるじゃないですか。こういう状態で、重大な国防の基本方針が討議できますか。あなたが副総理を任命されないことに対する非常な不満を私は持っておる。行政権の最高責任者であるがゆえに、欠けた場合のことを終始検討しておく必要がある。しかも私がここで特に御指摘を申し上げておきたいことは、あなたの親分でいらっしゃいます吉田さんも、終始副総理を益谷さんにされたり、林さんにされたり、緒方さんにされたりした。また、鳩山さんも、終始最後まで重光さんを副総理にされておる。岸さんでさえも、益谷秀次さんと石井さんを副総理にして、総理にかわってどんどん答弁をしておられる。このやっかいな国会質問に、総理にかわって副総理が十分役割りを果たしてきた。あなた一人が全部を引き受けようとされるから、問題が起こる。この点は、あなたは外国旅行のときだけ一時ちょっと置いておるが、欠けた場合の臨時代理は一向置いておらない。これは内閣法第九条の違反である。あらかじめ指定する国務大臣内閣総理大臣にすることになるのです。職務を行なうことになるのです。こういう法律をあなたは無視している。最高責任者が無視しているということは、非常に問題です。国防会議の議員構成を無視し、内閣法を無視しておる。これでは総理大臣、三選をされても国民の信頼はかち得られませんよ。私はあなたに御注意をしておくが、このような内閣法第九条はあっても、これを使わなくてもいいとお考えかどうか。副総理を置く必要はないと、内閣法九条を無視したかどうか、お答え願います。国防会議の議員構成の第一順位をなぜ無視するか。防衛に関する基本問題ですから、お答え願いたい。
  203. 池田勇人

    ○池田国務大臣 置くことができるとなっておりまして、置かない場合にそれが違法だという判定は、いかがなものかと思います。私は、お話しの点もありますので、今後におきまして考えてみたいと思います。
  204. 受田新吉

    ○受田委員 お話しの点は、三選と同時にお考えになるようでございますけれども、三選はまだきまったわけじゃないですよ。これからが大事なんです。  いま総理大臣はたいへん誤ったことを言われておる。内閣法の第九条は、置くことができるとあって、置いても置かぬでもいいという任意規定ではありません。総理大臣の欠けたときは、あらかじめ指定する国務大臣内閣総理大臣の職務を行なうと明定してあります。憲法七十条の関係等から見て、いいかげんなものでない。置いても置かぬでもいい規定じゃない。「できる」じゃありません。「行う。」と書いてあるのです。非常に大事なことですから、それだけはっきりしておいてください。行政権の最高責任者だから……。
  205. 池田勇人

    ○池田国務大臣 前提として、総理大臣に非常な、欠けるとか、あるいは意思能力、決定ができない、そういう事態があればと書いてある。だから、私は、置かなければ違法であるという考え方はとらないのであります。
  206. 受田新吉

    ○受田委員 大事なことですから、これだけ。総理大臣、内閣法の第九条には、「内閣総理大臣事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、」と前提はきわめて明瞭です。「その予め指定する」だから、そのときにあらかじめ指定した国務大臣が職務を行なうと書いてあるのです。だからこそ、あなたの先輩の吉田さんは、終始これを実行した。石橋湛山さんでさえも、途中でこれは病気になられると同時に、岸さんにやられた。あなただけはこれは全然やっておられない。これは行政権の最高責任者であるだけに、ほかの国務大臣が総理大臣を兼務するわけにいかないですからね。臨時代理しかできないのです。あらかじめ指定しておかなければならない。あなたが大臣の任免権を持っておられる、非常に重要な最高の行政権の長官です。おわかりですか。
  207. 池田勇人

    ○池田国務大臣 わかっているから、そう答えておるのです。「事故のあるとき」はと、こう書いてある。「予め指定」してある、設けてあるということの「予め」でありまして、先に置けと書いてない。事故のあるときは、前もって指定しておった人がやるということであって、前もって指定しておけというのではない。事故があったときには前もって指定された人がかわって、やるということであります。あらかじめ置けと書いてあるんじゃないと私は思います。
  208. 受田新吉

    ○受田委員 おかしいです。これは総理大臣であるがゆえに、私は特に法律の不備があるということであれば、法律の不備を直さなければいけないと思う。必ずこれを置かなければなりません。「総理大臣が欠けたときは、その予め指定する」、欠けたときに指定したのがおらなければ、だれが閣議責任者になるか、だれが閣議を招集するかもわからないじゃないですか。総理大臣、わからぬでしょう。あなたが万一今晩でもということだって、事実上わからないでしょう。これは法律上、事実何とかしなければならぬという法律論の問題と——総理はこの次に置くという意思はいま持っておられるのですが、法律論から見たらどうですか。何かしなければいけないでしょう。
  209. 林修三

    ○林政府委員 これは何回か受田先生にお答えしたことで、よく御承知だと思うのでございますが、結局問題は置かなければ違法かという問題と、置かない場合にそういう事態が起こった場合にどうなるかという問題と、二つあるのでありまして、二つに分けてお答えしたことがございます。  置かなかった場合に直ちに違法かということについては、必ずしも違法というまでのことではなかろうということをお答え申し上げております。置くのがたてまえであるけれども、置かない場合には、それが違法措置だということまではないだろうということをお答えしてございます。  それから万一そういう事故が起こった場合に一体どうするのか。これは、その場合に内閣が構成できないというのはおかしいので、そういう場合にはそういう場合の法理が働いて、やはり内閣、閣員全体として内閣、閣議をやり、国会を召集して後任の総理大臣が指名される手続をとる、そういうことは、当然その場合の法理によって考えるべきことだと考えております。
  210. 受田新吉

    ○受田委員 法律の不備はありませんか。この問題は何とかしなければならぬでしょう。
  211. 林修三

    ○林政府委員 御承知のように、あらゆる法律が、たとえば別の例を出して恐縮でございますが、都道府県知事がやるべきことをやらない場合にどうするとか、市町村長がやるべきことをやらない場合にどうするとか、あらゆる場合に、すべてのことを書いてございません。これは当然そういうことをやるたてまえで書いてございます。かりにやらない場合には、やらない場合の法理でやる。
  212. 受田新吉

    ○受田委員 総理に注文しておきます。あなたは行政権の最高責任者であるがゆえに、特に私は固執するのです。ほかの者が兼ねる場合とは違うのです。あなたがおられなければ、すべての行政権の行使、すべての行政行為というものが非常に難渋を来たすわけです。ですから、ひとつあなたがすなおに法律のたてまえを順守していただけば、解決する問題です。法律の順守を要望しておきまして、質問を終わります。
  213. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて本案に対する質疑は、終了いたしました。     —————————————
  214. 徳安實藏

    徳安委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  215. 大出俊

    ○大出委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行ないます。  理由の第一として、平和憲法第九条は、明確に戦争の放棄と軍備の全廃と交戦権の否定をきめております。この法案による防衛庁総定員二十七万六千五百八十人、あるいは第八航空団の新編及び航空団に飛行群の新設を行なう等は、明らかに自衛の名に隠れた軍備であり、軍隊であり、憲法第九条の違反であります。  理由の第二は、米国がすでにドル防衛に伴う戦略変更、有事駐留への全面的切りかえを明らかにしております。第二次防によるこの案は、昭和四十二年ないし四十六年にわたる第三次防との関連によりまして、次々に自衛隊をもって米軍の肩がわりをさせていく意図を示しております。これはまた、円資金の提供の事務を大蔵省より防衛施設庁に移すこととともに、国防省設置の意図さえ明らかであります。  理由の第三は、自衛隊の学校において外国人を教育訓練するということであります。昭和二十六年以来、約十年間にわたって厚木基地等においてCIA直属といわれる連合技術顧問団というものがあり、スパイ訓練が行なわれていた記録があり、さらにベトナム、タイ等には、日本で訓練をされた兵隊が送られているという疑わしい記録さえあるわけでありますが、これらのことを公然と自衛隊が行ない得るという結果になることであります。  理由の第四として、予備自衛官一万九千人を五千人ふやし、呼称と制服等の規定を整備するというものであります。これはまさに旧軍隊の予備役、在郷軍人制度と何ら選ぶところはないと言えましょう。  理由の第五は、南極観測の輸送業務を海上保安庁から取り上げて自衛隊に移すということであります。文部省、防衛庁等は、海上保安庁にはこの運送業務をやる気も、やる能力もないので、防衛庁に移すのだと言っておりますが、海上保安庁長官は、本委員会において海上保安庁としてはやる気も、やる能力もあるのだけれども政府の最高方針によってこれがきめられたと述べております。したがって、これは明らかに別な意図が存在する。日本人の目の届かぬところで、南極において自衛隊にいかなる訓練を行なおうとするのか、全く疑わしい次第であります。  以上、要するに、この法案が憲法を改悪し、第九条を削除し、自衛隊を合法化し、徴兵制度や紀元節の復活を意図し、再び軍国主義への道をたどろうとする、その道程の一つであろうと判断いたします。したがって、平和憲法の名において、日本の将来の安全と平和を守りますために、この法案に明確に反対いたします。(拍手)
  216. 徳安實藏

  217. 受田新吉

    ○受田委員 民主社会党を代表いたしまして、ただいま提案されている法案に対しまして、反対の討論をさしていただきます。  私たちは、この現状における自衛隊のあり方、防衛庁のあり方というものは、すでに完全な軍隊の姿を持って国土の防衛に当たろうとされ、侵略に備えられようとしております。われわれは、憲法第九条に規定する平和を愛好する人々の立場からの戦争放棄の規定に、どの解釈をもってしても、現状防衛庁の姿が、単に自衛のためという美名のもとに隠れた事実上の軍隊としての行動隊であることを否定できません。私たちの国連の将来の平和機構を拡充、強化するために、自衛隊は増強をしてはならない、現状においては増強計画を取りやめて、そしてこれを漸減する方向に持っていくという主張とは、おおむねかけ離れた漸進的な軍隊の強化であるという意味におきまして、党の立場より、遺憾ながらこの法案に対する反対の態度を宣明さしていただきます。
  218. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて討論は終了いたしました。  採決いたします。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  219. 徳安實藏

    徳安委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり決すべきものと決しました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  221. 徳安實藏

    徳安委員長 次会は、明二十六日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時五十一分散会