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1964-05-15 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十五日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 永田 亮一君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       大石 八治君    大西 正男君       奥野 誠亮君    亀山 孝一君       久保田円次君    武市 恭信君       山崎  巖君    和爾俊二郎君       阪上安太郎君    重盛 寿治君       千葉 七郎君    華山 親義君       細谷 治嘉君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局国庫課         長)      稲村 光一君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 五月十五日  委員大石八治君辞任につき、その補欠として天  野光晴君が議長指名委員に選任された。 同日  委員天野光晴辞任につき、その補欠として大  石八治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治及び地方財政に関する件(地方公共団  体の財政運営に関する問題等)      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    ○森田委員長 これより会議を開きます。  地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  地方公共団体財政運営に関する問題等について質疑の通告がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 まず自治大臣にお伺いしたいと思います。  三十九年の五月八日の夕刊に、「不当支出公表せよ福岡財政ヤリ玉に」という見出しのもとで、次のような記事が載っております。「赤澤自治相は八日の閣議地方議員の報酬値上げ問題に関連し「最近、地方自治体財政ズサンである」と述べ、自治省がこのほど行なった調査結果を報告した。これによると山梨福岡県はとくに財政ズサンさが目立ち、福岡県の場合、日教組に二、三億円の県費を出しており、また山梨県では」云々という記事が載っております。このほど行なった調査に基づいて、その内容としてそういう報告がなされたということでありますが、事実かどうか、まずお尋ねいたします。
  4. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私もその新聞を読んで、意外に思ったわけでありまして、事実と全く違います。それで、閣議と申しますのは、何も傍聴しておる者はありませんが、しかしながら、官房長官閣議の全般的な、取り上げた問題につきましては、それぞれ発表をしておるわけでございます。他の新聞ではそういうふうに書いておらないものもありましたが、事実を申しますと、閣議の席上で個々県名などを出してどこがと言ったことはありませんでした。しかし、最近いろいろな情報を総合しますと、やはり県財政の処理のしかたに、自治省から見てあまり正しくないというものが見受けられる様相でございますので、それはやはり適時監査をいたしまして、正しい方向へ導かなければならぬと考えておるということを申しましたところ、それに対しては、厳密に監査をして、そして誤りなきを期すべきである、こういう御意見であった。こういういきさつでございますので、その新聞記事とはまるきり違うわけであります。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 他の新聞ではこういう意味に書いてないというおことばでございますけれども、五月九日の読売朝刊によりますと、「赤澤自治相は八日の閣議で「地方自治体経理調査しているが、予算の乱費や使途の不明朗な例が多い。とくに山梨県では職員ヤミ給与支給したり、出張旅費を水増しし、また福岡県は県政にたいする日教組の圧力が強く、二、三億円の県費日教組へ流れるなど非常に経理がずさんである」と報告した。」とこうなっておりまして、毎日夕刊と同じようなものがやはり読売朝刊でも書いてございます。いま大臣のおことばによりますと、そういう内容報告ではなかったということでございますが、いま例を申し上げました二つの新聞によりますと、やはり調査に基づいて、特定の団体である日教組に二、三億円の県費を流したと報告したと書いてあるわけであります。新聞ほんとうなんでしょうか、自治大臣の言うことがほんとうなんでしょうか。重ねてお伺いしたい。
  6. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 たいへん私としては迷惑をしております。ただいま申しましたように、私が自治大臣になりましてから若干の県の監査を命じております。しかし、いまも閣議がありましたが、きのう山梨県知事に実はおいでを願いまして、いろいろ懇談をいたしました。しかし、その結果についてすら私はきょうの閣議ではものを申しておらぬわけであります。私の立場といたしましては、先ほど印申しましたように、あやまちなきを期さなければなりませんから、指導をいたす責任がございますので、逐次そういう措置をとっていきますが、まだ私、大臣立場になりましてから、福岡県には手をつけておりません。ですから日教組云々などということを私は申した記憶もございませんし、事実とは全く相反するわけでございます。けれども、申し上げておきますことは、そうかといって、決して監査はいたしませんということではありません。いろんなうわさもありますので、逐次誤りなきを期すという意味指導はいたさなければならぬ、かように考えております。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 誤りなきを期すということでありますが、いまのおことばの中に、いろいろなうわさがあるということは、福岡県をさしておっしゃっているのか、全体の地方自治体についてのいろいろなうわさなのか、誤解を伴うといけませんので、それを明確にしていただきたい。
  8. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 全体をさして言っているのでございまして、たとえば一県をとりましても、いや、自分のところのこのやり方は、よくないとは承知しているけれども、全国どの都道府県でもやっていることだと言われることは、はなはだ残念だ。ですから、そういう点は明らかにして、間違いは間違いとして、将来に向かって繰り返さぬような措置だけはしなければならぬ、かように考えております。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの御答弁で、五月八日、九日の夕刊朝刊に出たのは、大臣報告した内容あるいはおっしゃっている意図と、だいぶ違った迷惑なことだというおことばを聞きまして、私もそれを了とするわけでございます。  次にお尋ねいたしたい点は、五月九日、同じ新聞朝刊に、こういうことが出ております。「八日の閣議云々の次に、「これに関連し山村国務相閣議後の記者会見で「福岡県では県費二、三億円を日教組支出している事例があると指摘された」と語った。」というのですから、その閣議の中でこういうことがあったということを山村国務相は裏づけしておるように思いますが、いかがですか。
  10. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 山村大臣とはその後会っておりませんので、私もその新聞を読みまして、私が言ったと書いてあるのもあれば、いや山村行管長官が言ったと書いてあるのもあります。新聞もその点につきましては、やはり多少想像も加わったのじゃないか。ただ総体として、先ほど申しましたような決意を私は持っておりますが、個々にどうだということにつきましてはなかったと記憶いたしますが、あるいはこれは行管長官がどういうふうな御発表をなすったか存じません。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 山村国務相に私は先だってお会いしたのですけれども、この前の選挙の際に、そういう問題が監査要求という形で出されたことがあった、そういう過去の問題があったということを自分は言ったのであって、それ以上のことは何も言っていないということをはっきりおっしゃっておりますから、「指摘された」ということになりますと、自分指摘したんじゃなくて、どなたかおっしゃったんではなかろうか、こういうことを山村国務大臣は裏づけをしておるわけです。言ったとすれば、これは自治大臣以外にないのではないかと、当然な想像として及んでくるわけですが、そのあとのほうに、「地方自治体経理問題について報告したが」これは赤澤自治大臣である、「福岡県の場合は調査もしていないし、閣議でも報告していない。閣僚の間で話題があったのが誤解されたのだろう」こういうふうに大臣が述べております。「また黒金官房長官も同夜「閣僚間でさき福岡知事選のさい、福岡県の経理問題が論議されたことがあると話題が出たが、これはいまの問題として出たものでない」」と語っておりますが、これはこの記事のとおりでございますか。
  12. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 明確には私もそこまでは記憶いたしませんが、察するに、前の福岡県の選挙のときに、そういった問題が、私は知りませんが、いろいろ論議になったようでございます。新聞社の諸君もなかなか秀才ぞろいで、しかも頭のめぐりの早い人ばっかりだから、眼光紙背に徹したと申しますか、何かそういった点で、ここらだろうという見当でもつけられたのではないかと思う。私もそういううがった記事が出ておりますことを見まして、ちょっと異様な感じを持ったわけでございます。そのときのことを逐一私は記憶いたしておりませんけれども、何か御指摘になるような、そういった具体的なことであそこがどうだ、ここがどうだということではなかった、いまの問題としていろいろ御指摘があったということではなかったと私は記憶いたしております。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 ことばの一字一句の記憶というものはないと思いますけれども、これはきわめて重要な問題でありまして、端的に言いますと、いまの大臣答弁にもありますように、こういう事実がないと言っても、新聞にこう出てまいりますと、一般の人は、これがいかにも事実であるかのごとく受け取ります。これは政治を非常にゆがめるものであって、きわめて悪質な政治的意図を持っておった、あるいは持っておらなくとも、その意図はすでに達せられた、こういうことになるわけでございまして、しかも「日教組に二、三億円」と具体的な数字まで出ております。一体日教組ということはどっから出たのか、二、三億円というのはどこから出たのか。きわめてあいまいな数字で、想像もつかないところに数字が並んでおる。こういうのが現況だと私は調査の結果考えておるわけです。  そこでお尋ねいたしたいのでありますが、これはあるいは行政局長さんが適当かもしれませんが、こういう記事に対しまして「福岡県側、強く反論」という見出しでこういう記事が出ております。「同県は山村発言に該当する事実としては、さき知事選にからんで行なわれた監査請求がそのまま閣議話題とされたのではないかとみており、この点について鵜崎知事、桑野県総務部長は「この監査請求は」」云々とこう書いてございます。そうしてこの監査の問題は片づいており、現在は条例を制定してやっていると反論いたしておりますが、この間について行政局長として事情を御存じであるかどうかお尋ねします。
  14. 佐久間彊

    佐久間政府委員 監査請求が片がついたということは報告を受けておりますが、その後の条例云々お話につきましては、私まだ承知いたしておりません。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 三十八年の三月八日付、文字どおり選挙の間ということでございますけれども監査請求がなされたわけです。それは「昭和三十六年度、同三十七年度において、教育費のうち、小中学校費高等学校費養護学校費、古ろう学校費旅費の一部が手当として違法に支出され」云々と書いて、これの違法行為を制限(禁止)措置請求する、こういうものがなされまして、これに基づいて福岡監査委員は、三十八年三月二十七日、調査の結果、「以上の点から請求に係る事実はないものと認める。」三十六年と三十七年度の、教職員に対する旅費として支出したものについては、請求にかかわる事実はないと認めるという監査委員監査の結果が報告されておりますが、御承知ですか。
  16. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御指摘のような監査委員報告がありました事実は連絡を受けております。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 この監査結果が、行政局長にどういうふうに判断されますか。重ねてお尋ねします。
  18. 佐久間彊

    佐久間政府委員 監査報告内容につきましては、私、詳しく承知いたしておりませんが、ただいまおあげになりましたように、支給されましたものが旅費として事実を持ったものでございますれば、それは差しつかえないと存じます。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 そこでお尋ねいたしたいわけでありますが、夏、冬にいわゆる期末手当勤務手当支給されます。その際に、ほとんどの府県においてプラスアルファという措置がなされており、その支給の方法がいろいろございますが、たとえば旅費という形で支給する場合、あるいは特別な条例を正規に設けまして支給する場合等がございますが、山梨県等の問題が先だっての新聞に出ておりましたが、これについて自治省としてはどういう御見解をお持ちなのか、お尋ねいたします。
  20. 佐久間彊

    佐久間政府委員 山梨県につきましては直接調査に当たりました者がおりますので、なお具体的にはそちらからお聞き取りいただきたいと思いますが、一般的に申しまして、いわゆるプラスアルファというものは条例に基づいて支給をすべきものでございまして、条例に基づかない給与その他の給付は地方自治法において禁じられておるところでございます。それが旅費として支給されております場合もいろいろ聞くこともあるわけでございますが、実際に旅費として支給すべきものが、支給の時期が便宜、期末手当支給する時期に固めて支給をされておるということでございますれば、これは差しつかえないわけでございますが、現実旅費支給すべき事実がないのにかかわらず、しかも条例で根拠がなくて、それを旅費という名目で事実は期末手当プラスアルファに相当するものを支給するということになりますれば、これは法律に抵触するものといわなければならないと存じます。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 旅費という形、たとえばから出張、こういうような問題があるようでございます。この点について新聞に大々的に書かれました山梨県の問題について、自治省で御調査なさっておるようでございますので、どこに問題があるのか、調査した内容をひとつ教えていただきたい。
  22. 岡田純夫

    岡田説明員 私、命を受けまして現地に参りまして、いろいろ責任者に会いまして話を聞きました。向こうの意見または書類について検討いたしました。旅費条例が、この県は再建団体でもありますので、長い間国家公務員に比べまして条例の改正がなされていなかったというようなことで、しかしながらその後、年度当初に旅費条例を改正いたしまして、それと予算との食い違い等もございましたので、実質的に予算に不足を来たしておるというようなことで、年度末ぎりぎりになりまして追加予算措置をしたということであります。形式的には一応整っております。整備されておるというふうに受け取れます。しかしながらいわゆるプラスアルファといったような目で見られるような感じが−感じといっては申しわけないかもしれませんが、感触があります。したがいまして、そういうふうな誤解をされるようなやり方——と申しますのは、旅費でありますので、出張命令は当然出るわけであります。出張命令を出すにしても、国民の血税による税金が適正に効果があるように使われるように、時期その他についても措置されるべきものというふうな行政効果に着目した命令の出し方その他について、十分な配慮を欠いておるというふうに考えますので、私ども現地におきまして、今後について運営上十分注意するように注意いたしました。  以上のとおりでございます。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 旅費という形で支出するのは、いまの岡田財政課長答弁によりますと、不当とか違法とかそういうものではないが、今後の注意を要する、こういうおことばでございますが、私が調査したところによりますと、三十八年の夏と冬の手当の際のプラスアルファ支出の状況を見てみますと、超勤という形で県の職員に出しているのが二十四府県、それから冬になりますと、超勤支出しているのが二十九府県旅費という形で出しておりますのが二県、内容山梨県と岐阜県であります。教職員に対してはどうなるのかといいますと、超勤というのはありませんから、旅費という形で夏の場合は二十一県、それから冬の場合は二十八県、警察職員に対しては超勤という形で、夏の場合は二十二県、冬の場合は二十七県、旅費として先ほど申し上げたように山梨岐阜の二県がございます。  そこでお尋ねしたいのは、この旅費という場合に、旅費が足りませんから、打ち切り旅費をやっておる。これでひとつ予算がないからやってくれ。あるいはPTAに立てかえてもらって、修学旅行等について行った、あるいは研修に行った、こういうものを追加して夏と冬の二回に分けて支払うということは、これは何も問題ないでしょうが、大体こういうふうにプラスアルファというものに対して、こういういろいろな形がとられておるということには、自治省責任があるのではないかと考えられる。国家公務員と同じなんだ、プラスアルファというものを出しちゃいかぬのだ、こういう基本的態度指導しておるので、こういう問題が起こってくるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  24. 佐久間彊

    佐久間政府委員 自治省といたしましては、御指摘のように期末手当につきましては、国家公務員に準じて支給するように従来から指導をいたしております。これにつきましては、私どもも誤った指導とは考えておりません。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 私はそのことを聞いているのじゃないのです。何らかの給与なり出す以上は、すべて条例によらなければならぬというのが、自治省規定ですよ。にもかかわらず、たとえばプラスアルファというのは旅費で出したり、幾つかの県はきちんと条例をつくって出しておりますけれども、大部分がそうじゃなくて、旅費という形で出しておる。そうして、そういうことで山梨県等に問題が起こったということは、やはり自治省指導に問題があるんじゃないか。国家公務員に準ずるということがイコールだ、プラスアルファを出しちゃならぬという強力な指導、そういうものがこういう結果を生んでいるのじゃないか。ですから、山梨県等に問題が起こったというのは、自治省指導にやはり問題があるのじゃないかということを私は伺っているのです。
  26. 柴田護

    柴田政府委員 プラスアルファといいます場合に、現実の問題としては御指摘のようにいろいろな形があるのであります。プラスアルファといいましても、ほんとうプラスアルファもあれば、見せかけプラスアルファもあるわけであります。超過勤務手当などを、御発言になりましたように、打ち切り支給のような形でもって出しておって、その問題が起こります際に、それをかためて過去の精算払いのような形で、精算払いでありますけれども、形は何かプラスアルファのような形をとるといったような形がある。それから旅費につきましても、御指摘のように、精算をその時期に行なうといったようなやり方もあろうかと思います。そのこと自身につきましては問題がない。しかし一律にそういうものが、出張の事実がなくして、そういうようなことが行なわれるならば、これはその部分につきましては、やはり違法であるわけであります。そういう措置をほうっておいたのはけしからぬじゃないかというお話でございます。私どもといたしましては、従来からそういう指導をしてきましたけれども現実にさようなことがある。つまり見せかけプラスアルファというようなものがある程度行なわれておる。この部分につきましては、それは一つの何と申しますか、精算の時期をどうこうするというだけの問題でございますので、従来も問題にすることはないだろう、かように存じておりましたが、しかしながら少なくともそれ以外のほんとうプラスアルファというものについて、山梨等につきまして若干見られましたようなことが行なわれたということにつきましては、私どもも深い責任感じておりますし、今後におきましてはさようなことが行なわれないように強く指導してまいりたい、かように考えている次第であります。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 こういうふうに理解してよろしいのですか。そういうプラスアルファを出しちゃいかぬ、そういう指導はしておらぬ、ただ支出というものについては問題が起こらないように支出をするように指導をしている、こういうことでございますか。
  28. 柴田護

    柴田政府委員 手当につきましては、先ほど行政局長がお答えいたしましたような線で指導をしております。そういう指導の線に沿わずに、その結果妙な支出を行なって問題を起こすようなことをやっちゃいかぬ、こういう指導をいたしております。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 プラスアルファ等の問題につきましては、自治省としては国家公務員に準じて支給しろということでありますが、その準じてということは、イコールということじゃなくして、地方公務員法にも書いてありますように、地方公務員給与というのは、まず生計費の問題、国家公務員給与の問題、それからその周辺の自治体の職員給与の問題、その地域にある民間団体給与の問題こういうものを勘案してきめろというのが方針でございますね。国家公務員に準じてということはこういう意味でございますか。
  30. 佐久間彊

    佐久間政府委員 地方公務員法には、お話のように、給与を決定する場合に考慮すべき事項があげてあるわけでございます。それらをいずれも考慮すべきでございますが、ただ、その中の生計費あるいは民間企業との関係につきましては、国家公務員給与が決定されます際のもとになる人事院勧告におきまして、全国的にいろいろ秘密な調査がなされておりますので、私どもは原則的には国家公務員給与人事院勧告というものの中にそれらの点が考慮されて織り込まれている、したがいまして私どもといたしましては、地方公務員給与は原則的に国家公務員に準ずるという簡単な表現でございますが、そういうことで原則的には間違いないというふうに考えているわけでございますし、財政上もそういう観点から財源措置もいたしております関係で、国家公務員に準じてという指導をいたしているわけでございます。準ずるということでございますから、もちろん一分一厘そのとおりでなくちゃならぬというわけではございません。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 国家公務員の場合は、おっしゃるように、人事院勧告に基づいて措置される、こういうことであります。人事院勧告というのはどういうことかというと、民間企業等賃金水準、こういうものとはなはだしい格差を生じた場合にこれを勧告する、こういうたてまえになっております。しかしこれは、やはり全国的な総計の中において出た問題であって、国家公務員は全体のものですから、これは不公平はできませんけれども地方団体というのはもう何千というものがあります。ローカリティというものがあります。そのためにこそ周囲の地方公共団体給与の問題あるいは民間団体——民間産業といってもいろいろ違いがございます。石炭もございましょう。いんしん産業もございましょう。そういう問題もありますから、ローカリティを加味して、あるいはそこにおける物価の問題等も勘案して生計費をきめていくということでありますから、準ずるということであれば、国家公務員勧告の中にそういうものが完全に織り込まれているのだからもう何も考える必要はないのだ、こういうことなら、地方公務員法規定というものを無視した準ずるという考え方ではないですか。いかがですか。
  32. 佐久間彊

    佐久間政府委員 国家公務員のもとになっております人事院勧告の中に、一〇〇%完全に織り込まれているとは私も思いません。地方的に若干の事情の差があることは御指摘のとおりでございます。しかし、原則的には人事院勧告の中に織り込まれているという考え方をいたしております。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 一〇〇%織り込まれておらぬ、したがってある程度のローカリティはあり得るということに理解できるかと思うのです。  さらにお尋ねしたいことは、きのうも安井委員の質問で問題になったわけでありますけれども地方自治法の二百四条で地方公務員給与というものはきまってまいります。その他の給与手当もきまってまいります。手当の種類というのは厳然としてございます。そうして二百四条の二に、この法に書いてある手当以外は出してはいかぬのだという禁止の規定がございます。こういうことで私が先ほど言った不均衡も生じますし、また私が先ほど質問したように、問題になるような支出をせざるを得ないような条件になっているのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  34. 佐久間彊

    佐久間政府委員 お尋ねの御趣旨、あるいは、正確には理解しておらないかもしれませんが、この二百四条、二百四条の二の規定におきまして、地方公務員支給できる給与を明定をいたしておりまして、法律またはこれに基づく条例に基づかなければ出してはいかぬという禁止の規定も設けておるわけでございますから、地方公務員支給いたします場合には、ここに認められました以外のものを支給することは許されないというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、いわゆるプラスアルファがここで申します期末手当であり、それが先生のおっしゃいますように準ずるという範囲内におきまして若干のプラスをするということでございますれば、この法律の規定に示しますとおりに条例できちんと処置をした上で支出すべきものと考えるわけでございます。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 いかに条例できめようとも、二百四条の二でいうのは法律に基づく条例なんです。そういうことでありますから、種類というのは明定をされております。それ以外の手当というのは出せない。そういうところで期末手当プラスアルファ旅費という形で、不足分を追加払いしたという場合はいいでしょうが、から出張というような形で専務処理をとらざるを得ないような原因になっているのじゃないか。したがって、きのうも問題になったように、この二百四条と二百四条の二の関連につきましては、地方自治の本旨にのっとってもっと検討すべき余地があるのではないか、こういうことなんです。重ねてひとつ……。
  36. 佐久間彊

    佐久間政府委員 地方公務員支給をいたします手当の極数につきましては、全国三千余の地方公共団体におきましてばらばらになりますことは私どもは適当でないと考えますので、法律でもってその種類を明定すべきである、しかしそれの額及び支給方法につきましては条例でそれぞれ定めるというたてまえが適切なものであるというふうに考えておるわけでございます。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 このたてまえが適当だと言うけれども、きのう問題になったように、そういう点から山梨県のような問題が不当だという——そういうお答えはありませんが、新聞記事になるような問題が起こるのではないか。地方自治の本旨にのっとってこういう問題については再検討する必要があるのではないかというのが私の意見です。しかし佐久間局長はいやこれでいいんだということでありますが、これでいいんだというところに私は問題があるのじゃないかと思っています。しかしこれはこれ以上追及しません。  次にお尋ねいたしたい点は、これは財政局長さんと思うのですが、西日本新聞の三十九年の四月三十日に地方財政の問題に関連してこういう記事がございます。「赤津新自治相は七月から始める地方団体財政調査の筆頭に福岡県を取りあげ、赤字財政の原因を究明する考えである。」赤字財政を究明することはけっこうでありますが、そういう御方針でいらっしゃいますか。
  38. 柴田護

    柴田政府委員 最近本委員会におきましてもいろいろ御指摘がありましたが、あちこちに不当支出事件というのが起こっていろいろ地方で問題をかもしております。それからまた最近の地方財政運営状況は、財政の基礎というものは固まってきておりますけれども、なお決算じりにつきましては、財政が多少硬直性を増してきておる傾向を見受けるのであります。従来から財政調査はやっておりますけれども、なおこういう状況にかんがみて少し財政調査をきちっとやる必要があるだろう、府県を督励して市町村の監査もやるかたわら、私どもといたしましても、やはり府県、五大市等について調査をいたしまして、財政が困っておりますれば困っておる原因を究明する必要がある、そしてそれを施策に生かしていく必要がある、こういう考え方を持っておったわけでございますが、大臣からも、そういう試みはけっこうだから、大いに調査をやろうじゃないかというお話が出まして、別に福岡県を筆頭にやるのだというようなことをきめておるわけでもございません。ただどのような方法、どういう手順で調査を進めていくかということは、現在私の手元で検討いたしております。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 自治法の二百四十六条で財政問題については監視指導するという権限があるわけですから、これをとやかく申し上げませんけれども、先ほど冒頭に質問したような関連の中において、しかもこの新聞記事にありますように、筆頭にと、こういう問題になりますと、どうも法律の精神以上の何ものかがあるのではないかという気がするのですが、いかがですか。
  40. 柴田護

    柴田政府委員 非常に疑心暗鬼を生むようなことがあちこちに起こりまして、われわれも迷惑いたしておりますが、昨年東京都の調査をやりまして、十分ではなかったかもしれませんが、効果は確かにあった。その後東京都といたしましてはその線に沿って東京都の事務並びに財政運営の合理化について鋭意努力されておるようであります。そういう意味効果があがってきますればけっこうなことだと思いまして、逐次その手を、東京都のみならず地方の府県についても行なっていくべきである、そういう責任があるのではなかろかというふうに感じております。そのためにいろいろよけいな政治的波紋を起こすことは、私どもとしては避けたいと思いますけれども、しかし政治的波紋が起こりますこととそのことは一応別でございます。財政的観点から見て、どういうところをどういうぐあいに調べていくかということは、なお私ども十分検討いたしたいと思っておりますが、お話しのように妙な勘ぐりをされたり、そのためにいろいろな妙な誤解を受けることは、努めて避けるようにいたしたいという気持ちでございます。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの新聞記事の末尾に「さいきんは石炭に加えて鉄鋼、化学など主要産業の不振から全般に税収入が伸びず、」云々、こういうことがございます。したがって産炭地等、あるいはそういう産業構造を持っているところの地方財政というものが、非常な危機に立っているということは御承知のとおりであります。そういう問題を科学的に、真剣にやはり自治省立場として御調査し、前向きでやることはけっこうでありますけれども、特にそういう問題については、ひとつ御留意を願って御配慮をしていただかなければならぬのじゃないかと思います。  次に、私が質問いたしたい点は、昨日地方財政運営についての事務次官の都道府県知事あてのあれを見たのですが、私はそれを見まして、非常に心配しており、また昨日は朝日新聞に社説が載っております。それによりますと、この社説の記事に、重要な点について誤解を招く誤りがあります。それは字が足らないための問題でありますが、その次にこういうことが書いてあるのです。「自治省調査によると、三十八年度の都道府県の決算は一県残らず赤字が予想されるというし、市町村も赤字団体が急増しそうである。このままでゆけば再び二十七年ごろのどん底時代に逆行する恐れもないわけではない。」という記事がございます。先ほど財政局長のおことばでは、地方財政が最近、硬直化しつつあるということばで表現されておりますが、これによりますと、三十八年は一県残らず赤字なんだ、市町村もどんどん赤字がふえるんだ、そして二十七年のときのようなどん底の財政事情になるんだとこう書いてあります。事実でございますか。
  42. 柴田護

    柴田政府委員 私どもの説明がどうも不十分であったようでございまして、間誤った事実を基礎に社説を書かれたようでございます。私どももまことにPRが悪かったのであろうかと思うのでございまして、恐縮いたしておりますが、その記事のもとになりましたのは、おそらくはことしの三月初めごろに、毎年特別交付税をきめます場合に、その団体の収支見込み額というものを一応とります。そして、その見込み額につきまして検討を加えて、財政的の配慮から特別事情を拾うわけでございます。その際に聴取したものは、大体それは赤字になるような計数が出てくるのが普通の毎年の恒例であります。それは、財源を少しでも保留したいという財政当局の気持ちからいいますならば、これだけどうも穴があきそうだから、ひとつこういう事情を考慮してくれといったような要望が出ることも、これは人情のしからしむるところで、私どもはそれを決してまともにとっておりません。おりませんが、そのときの調査では、大体おしなべてどこもここも赤が出るんだといったような計数でございました。それで、そのことを基礎にして——基礎といいますか、そういう情報のもとにお書きになったのじゃないだろうかと実は思うのであります。ただ私どもは、最初は三十八年度におきましては、おそらくは単年度蓄積分を吐き出して、いわゆる単年度赤字という形態をとる府県がだいぶ出てくるのじゃないか、こういう考え方を持っております。しかし、単年度赤字もいろいろございまして、必要な事業を蓄積によって執行して赤字になる、翌年度からは、それがまた消えてしまうという、いわば臨時的な行政水準向上のために使われる経費のために単年度赤字になったというのなら、別に財政構造的に心配はない。したがって、単年度赤字が出るということの一事をもって、すぐ財政状態が右を向いた、左を向いたという判断はいたしません。しかし、おそらくはそういうことを基礎にして、三月末の決算見込み額という県の報告を基礎にした議論じゃないかと思うのであります。実際は、若干は単年度赤字を出す興がふえるでありましょうけれども、三十七年度決算とそう大きく差異はないんじゃなかろうかと、実は私どもはさように思います。   〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕 先生御承知のとおり、福岡県でもいっときは非常にものすごい赤字が出るようなことを言っておりましたが、逐次それは締まってきております。一事が万事そういうことでございますので、そのときの数字を基礎にしてものを論ずるわけにはいかぬだろうと考えております。
  43. 細谷治嘉

    細谷委員 財政局長の見解は非常に楽観的な受け取り方もできるような答弁でございましたが、従来の例を見ますと、地方財政計画と地方財政の決算額というものを見ますと、十対七、三割くらいのデビエーションがあるわけです。その上、今年度は間違いなく人事院勧告に基づく給与の改定というものがあるだろうと思う。これは地方財政計画に織り込まれておりません。そうなってまいりますと、この財政運営についての警告が指摘しておりますように、硬直性がいよいよ増してくる。端的に言いますと、その社説に書いてあることをそのまま受け取ることはできませんけれども地方財政は硬直化しつつあり、やはり悪化しつつあるのではないか。三十八年度は単年度赤字であったが、三十九年度ではそれを取り戻すであろうという甘い実情ではないのじゃないか、こう思うのです。局長のおことばはずいぶん甘いようでありますが、そんなものじゃないじゃないか。新しく財政需要というものはこの計画のほかにあります。こういう問題についてどう対処されるおつもりであるか。
  44. 柴田護

    柴田政府委員 私は地方財政の前途について、決して楽観的なことを申し上げておりません。むしろ心配をいたしておるわけでございますが、その社説に伝えられておるようなことはない。しかし、御指摘のように、財政需要は無限でございますし、それからまた給与改定というようなこともあるいはあるかもしれません。税の成り行きがどうなるかという問題もございますし、人件費がこのようにふえてまいりますと、やはり財政構造的には全体として心配をしていかなければならぬ事態にあると思います。したがって、また本年度財政運営通達におきましては、従来とは多少趣を異にして、少しきびしくはっきりものを申して、奥歯にもののはさまったような言い方は一切避けたい、こういうつもりでおります。その方向で指導してまいりたい、こう考えております。
  45. 細谷治嘉

    細谷委員 最後に、毎回私はお聞きすることでありますけれども、この朝日新聞の社説にもこういうことが指摘されておるのです。これは大臣のほうがいいのじゃないかと思いますけれども、結びとしてこういうことが書いてある。私も同感なんです。「同時に自治省も、ただ目先の財政運営に警告するだけでなく、地方財政の根本的改革として、懸案の国と地方の事務の合理的配分、税源の再配分など根本制度の確立に努力すべきである。」と結んでおります。これについての基本的態度はいかがでありますか。
  46. 柴田護

    柴田政府委員 根本問題につきましては、この委員会でも大臣はじめ他の政府委員の方々からもお答えを申し上げておりますけれども、全く私どももそのつもりでやっておるわけでございます。地方制度調査会におきましてもそういうことを御議論を願いますし、税制調査会におきましては税源の配分などを含めて御議論を願い、その結論を待って必要な措置をとりたい、こういう態度でずっときておるわけであります。
  47. 細谷治嘉

    細谷委員 終わります。
  48. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 安井君。
  49. 安井吉典

    ○安井委員 大臣が問もなくお帰りになると思いますので、お帰りになってから、最近、地方自治にとって重大な関心を持たなければならない問題もいろいろ起きておりますので、お尋ねしたいと思うわけですが、その前に、十一日に自治政務次官から都道府県知事に対して昭和三十九年度地方財政運営に関する通達が出ておりますことに関連してのお尋ねを二、三いたしたいと思うわけでありますが、きょうは福岡県の問題が取り上げられてまいりまして、そういうふうなローカルな問題が出ておりますので、私どものほうにも地方におけるいろんな問題があがってきておりますうちの二、三を、この機会にお尋ねをしておきたいわけであります。山口県の和木村というところで収人役の公金横領事件が起きた。去年のことのようでありますが、最近まだずっと尾を引いて村の中が大もめにもめておるようです。この事件そのものを私はここで論じようというわけではありませんが、むしろこういうような財政運営のきわめて不十分なことこそ、そういうような問題が起きないようなふうに自治省やあるいは都道府県の監督指導というものが行なわるべきであって、何か別な意図があってではないかと思われるような福岡県に対する指導といったようなものが先になってしまって、どうもその方向が私どもの日から見ると向け先が誤っている、そういうふうな印象を受けるわけであります。これは小さな村のようでありますが、二千五百万円くらい収入役が十二年の任期の最終段階でどうかしてしまったというふうな事件のようであります。山口県の地方課がその後いろいろ調べたところでも、この村では行政組織についても課設置条例が設定されていないので、したがって法的には全く未組織状態である。だから役場の中は村長さんと収入役と助役ですか、それだけがいて、あとの組織は全くないままで運営されていたことが県の調べでわかったということであります。ちょっと例がないのではないかと思うのですが、したがって、課の分掌事務も何もないし、課長の権限も明らかでないわけです。監査委員の事務の補助を収入役がやっていたというふうなことのようです。だから問題が起きないわけはないわけです。ですから役場の中の執行体制も、村長のほうに面属するセクションとそれから収入役のほうとの相互牽制というふうな仕組みで事務が運ばれることによって、公金の処理も正確さが出てくるわけでありますが、そういうような仕組みがないというふうなところから問題が起きているのではないかと思います。これは村上長のリコールというところまで問題が波及しつつあるというような情報を聞くわけでありますが、私は監査だとか、総合的な監督権だとか、そういうようなものの向け先を、むしろこういうようなところにこそ置くべきだということを考えるわけでありますが、その点はいかがですか。
  50. 柴田護

    柴田政府委員 組織の問題につきましては、行政局長からお答えしたほうがいいかと思いますが、私どもも、おっしゃるように当委員会でも、いままで何回か村の使い込み事件というものについて問題にされ、議論になったことがございました。最近こういう事例があちこちで村長交代の機会にあったり、あるいは選挙に関連してそういう事実が明るみに出たりということがいろいろ起こります。   〔渡海委員長代理退席、田川委員長代理着席〕 従来から再建団体につきまして財政監査というものを毎年やっておるわけであります。その他の団体につきましても必要なものにつきましては必要なときに財政調査をすべしということは指導してまいっておるのでございますが、どうも調査が多少おざなりになっておる。書類調査、書類監査中心になっておるようなところもあるわけであります。で、再建団体等につきましてはやはり監査のしかた等につきましても問題があるのじゃなかろうか。そういう県の調査一におきましてもそういったようなところにまだ十分の配慮がどうもないのじゃなかろうかというような感じがいたしますので、少し調査やり方等につきましても私ども深く研究をして必要な指導をしてまいらねばならぬというように実は考えておるわけでございますが、そういうような状態でもありますので、この運営通達におきましては、監査をもっとひんばんにやって、そしてそういう間違いが起こらないように積極的に指導してもらいたいという趣旨を明確にいたしておるわけでございますが、このことにつきましては私ども立場におきましても従来より増して重要な事柄として力を入れてまいるつもりでございます。
  51. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいま御指摘のございましたように、市町村の行財政の不当につきまして、今後検討してまいらなければならない点が多々あるように私どもも考えておるわけでございます。御指摘になりました事件につきましては、詳しくは承知をいたしておりませんけれども、私どもといたしましては、昨年御審議をいただきましてこの四月一日から施行になりました財務会計制度の改正におきまして、若干の配慮はいたしたわけでございます。例を申しますと、監査委員を全市町村につきまして必置制にいたしましたこと、さらに監査委員の権限につきまして従来よりも拡充をする、さらに監査委員の事務組織につきまして、市町村におきましても監査委員の書記その他の職員を置くということを法律に明記をいたしたわけでございます。先ほどのお話では監査委員の補助職員が収入役をやっておるようなことでございましたが、そのようなことは避ける趣旨でかような規定をいたしたわけでございます。しかしなお実際の運用の状況を見まして、欠陥がございます点につきましては、さらに制度的にも検討してまいりたいと思います。
  52. 安井吉典

    ○安井委員 市町村の場合でも都道府県の場合でもそうですが、国やそれから市町村の場合については都道府県知事の監督権といいますか、そういうような仕組みの前に、やはり自治体が本来持っております監査機構を充実強化してそういう中で問題を解決していく。私はそれこそが正しい地方自治の姿であろうと思うわけです。だから福岡県の先ほどの問題においても、自治省が何とかかんとかという前に、やはり本来ある監査機構があるのですから、それが中心になって問題の解決をはかっていく。それからこの村の場合などはいま申し上げましたような例からいっても、監査機構がきわめて弱いわけです。なかなか監査についての練達をした人というのが小さな村の中で幾人もいるというわけではないでしょうから、それだけに小さな町村の場合には行き届かないために問題が起きがちだ、こういうふうな例があると思いますので、昨年の改正されましたその趣旨が十分に生かされているかどうか、そういうような点についてさらに再検討を願っておきたいと思うわけであります。こういう公金横領があるから地方財政が非常に困っているのだというわけにはいかないと思うのですが、最近も盗難によってなくなったお金を市長が弁済をする、そうしたら市長だけにまかせるのはあれだというので職員の人もお金を出すとか、そういうような例が新聞にも報道されていたわけであります。この種の盗難だとか横領だとか、そういうような事件によって生じた財政の欠陥については、どういうふうな処置をするように自治省指導されておるわけですか。
  53. 柴田護

    柴田政府委員 私どもはさような事態が起こらないようにするのが本筋であって、そういうことが起こったときにはとうしろといったようなことは特別指導をいたしておりません。
  54. 門司亮

    ○門司委員 関連して。ちょっとそのことで聞いておきたいのですが、さっきもお話のあったように、会計経理制度の改革を行ないました。その後この状態はどうなっておりますか。まだ依然として旧式の大幅帳式の現金出納だけをやっておるところがありはしませんか。これは調べられたことがありますか。私はその現金がなくなるということは、往々にしてそういうところに問題がありはしないか。せっかく法律を改正しておきながら、役場の金庫の中に依然として現金が眠っておるということが、問題発生の一つの原因ではないかと考えられるわけです。法律が改正されたのだから、その法律が忠実に実行されているかどうかということを調査されたことがありますか、もしあるとするならその結果をひとつ報告をしていただきたい。
  55. 柴田護

    柴田政府委員 御指摘のような御心配、実はわれわれも心配しておるわけでございます。ことしの四月から動いておるわけでございます。国会でも済みましたら至急にその新制度の運営の状況等についてどうなっているか実地に調査をいたしたい、そういうつもりでございます。また調査いたしました結果明らかになりましたことにつきましては、御報告申し上げたいと思います。
  56. 安井吉典

    ○安井委員 いまのような場合における財政措置指導も、これはやはりそこに住んでおります住民感情もあると思いますので、一般的にどうせよというふうな措置は出ないかもしれませんけれども、ひとつ適切な指導が必要ではないかと思います。その点だけちょっと申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ地方問題で、私どものほうにこういう問題も出てきております。これは姫路の市営でモノレールを敷こうというふうな計画のようでありますが、これそのものを私は問題にするわけではありませんけれども、地方公営企業の中に、今度の通達の十八ぺ−ジに、地方公営企業等の新設でありますとか改良だとか、そういうような問題については住民福祉の増進に対する効果を考えなさいというふうな規定、それから建設の経済性を十分考えなさい、こういうような点を強調されているようであります。その姫路の問題がそのままこれに当てはまるかどうかわかりませんが、ただ仄聞するところによりますと、地元では相当強い反対運動もあるそうです。地方公共団体の今後の経営のあり方の中に、そういうふうな住民の立場から見て問題の多い公営企業ができていく、こういうような点について私どもも関心を持っていなければならないと思いますので、この扱いについての御見解をひとつ伺っておきたいと思うわけです。
  57. 柴田護

    柴田政府委員 私ども指摘の姫路の問題につきましてはまだ十分承知いたしておりません。ただ何かその問題をめぐって地元のほうでいろいろ問題があるということはかすかに耳にしておる程度でございます。しかし公営企業につきましては、御承知のように今日非常に大きな赤字がありますし、悩んでおります。したがいまして、企業をやります場合に、それがどうしても公営でなければならぬものかどうか、それから公営であります場合に、一体採算がどうなんだという、この二点を中心に考えるべきである。もうかるなら何をやってもよろしいといったような指導をするつもりは毛頭ございませんし、といってどうしても地方住民の福祉を増進する場合に必要だということでございましても、それが経営的にどうなのか、公営企業として経営するのがいいのか、そうでない形で経営するのがいいのかといったような問題もありますので、そういった点を十分調査してから取りかかる、こういった方向で指導してまいるつもりでございます。しかしながらなお基本問題につきましては、先般来当委員会で御議論がございましたように、非常に大事な問題でございます。これにつきましては公営企業のあり方の問題について調査会をつくって、そこで十分御討議いただいて、その結果に従って措置いたしたいと考えております。
  58. 安井吉典

    ○安井委員 姫路の問題についてはほのかに耳に入っている程度で、まだ詳しいお話財政局長もお聞きになっていないようでありますが、人口もそう多くないし、あるいはまた財政規模も十分でない。しかしちょうど羽田から東京湾のふちをくるあのモノレールぐらいの大きな規模の計画を市が持って、観光的な経営から十分に経済採算を考えて経営ができるのだ、そういうような見通しを市民に示して、計画を市当局が持ったらしいのですが、しかしそれよりも住民の立場からすれば、水道の問題も十分ではないし、あるいは市民の直接の足になる公営企業的な交通事業でさえ十分にいっていないような現状であるから、それは困る、こういうような運動のようであります。   〔田川委員長代理退席、委員長着席〕 私も内容はよくわからないのですけれども、したがいまして、こういう一つの例だけを申し上げたわけですけれども、公営企業そのものがきわめて苦境に立っております一般的な情勢のもとにおいて、こういうような新しい問題については、十分自治省財政局当局では御検討を願っておかなければならない問題だと思います。いかがですか。
  59. 柴田護

    柴田政府委員 お話しよくわかりますので、十分注意いたしたいと思います。
  60. 安井吉典

    ○安井委員 道路法の改正の問題が建設省の当局において作業が進められているということでありますが、伝えられるところでは、いまの二級国道まで一挙に直轄の管理に移していく。しかし国と都道府県の負担割合のほうは従来のままであって、都道府県、つまり地方の側は、負担だけは減らないが、管理権だけが国に取られていく。そういうような内容も含んでいる改正のようにも聞くわけでございますが、地方自治のたてまえからいいまして、非常に問題のある改正点を含んでいるように私も考えます。自治省もこういうような問題について十分建設省と意見の調整をはかっておられると思うのでありますが、現在までの段階における動きについてひとつこの際お聞かせをいただきたいと思います。
  61. 佐久間彊

    佐久間政府委員 まだ政府部内で折衝中の問題でございまするので、詳しく経過を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、自治省といたしましては、ただいま御指摘のような点につきまして、地方自治のたてまえからいろいろと建設省に意見を申し上げておる状況でございます。
  62. 安井吉典

    ○安井委員 いまのお答えでは、まだ作業はそう大きく前通をしていないということのようでありますが、ただいま御答弁にもありましたように、河川法の改正についてもそうだったし、また今度の道路法の改正というふうな問題の出され方は、相変わらず地方自治に対する圧迫といいますか、国がどんどん地方自治を奪おうという、そういうふうな傾向がありますことを私どもきわめて遺憾と考えるわけで、そういうような趣旨で、そういうような考え方に立って、自治省もひとつ建設省のほうとの話し合いに臨んでいただきたい。そのことだけをひとつお願いをしておきたいと思います。  それから次に、新産業都市の建設の問題でございますが、ここで三十九年度財政運営について、自治省は都道府県知事を通しまして指導をされているわけでありますが、その問題につきましては、私もずっと読んで見ましたけれども、お触れになっていないようであります。しかし、現実の都道府県なり市町村なりにおいては、この指定地区ではこの問題こそが財政運営の最大の問題点ということになっておるのではないかと思うわけであります。私が見たところで、大ざっぱな見方ですから、どこかにあったかもしれませんけれども、大ざっぱな見方では、一言もお触れになっていないようです。それはどういうお考えから出ているものか、その点ちょっと伺いたいわけです。
  63. 柴田護

    柴田政府委員 新産業都市の問題につきましては、御承知のように建設計画の策定の基本が示されまして、目下関係地方団体で建設計画をつくっておるまつ最中であります。それが出てまいりまして、今度は承認という運びになるわけでございますが、私どもはこの建設計画がどのようなものが出てまいって、どのように落ち着くかということはわかりませんが、ともかく、それによって地方財政に非常に大きな問題が巻き起こるであろうということを考えまして、これに対しまして、必要な財政措置が要るんじゃないかというようなことで、巷間伝えられておりますような措置をしようとして関係各省と話し合いをいたしておるわけでございますが、現在までなかなか話し合いがつくような段階に至っておりません。まあその計画もはっきりいたしておりませんし、それに対する財政的な措置につきましても明確を欠いておる、こういう段階でございますので、おそらくは計画はおそくとも本年中でございましょうが、早ければ夏ごろかもしれませんが、要するに計画がきまりましても、初年度分としてはそう大きなものが出てこようはずはないのでございまして、そうなってまいりますと、その計画と合わせてその場合の財政措置を検討していく、既定のワクで措置できるかできないか、できなければ何らかの措置を少しでもとらなければならぬということになるわけでございますが、そのようにすべて未確定な状態でございますので、本通達からはその問題は意識的に除いてあるのでございます。
  64. 安井吉典

    ○安井委員 自治省はこの中に除いておられましても、現実の都道府県の、あるいは関係市町村の新年度予算論議の中では最大の焦点なんですよ。それについての考え方が全く政府の指導の中からないということは、私はこれは問題だと思うわけです。政府が指導されなくても——政府と申しますのは、同じ政府当局の中でも自治省のことでありますが、現実に建設計画の作業は進められつつある、そうしてまたそれに先行してあるいはまた建設計画の一部としての先行投資がどんどん進んでいる、こういうような実態ではないかと思うわけです。建設計画の段階においても、地方財政という立場から計画そのものにチェックをしていくとか、そういう作業が必要なんではないでしょうか。財政運営措置も、国会の強い要望にもかかわらず政府はとうとう今度の国会にお出しにならなかった。まだこれからお出しになるのかどうかわかりませんけれども、今日まではそうであったわけであります。それがきまらないから建設計画はもうしょうがない、野放しにしておくのだということでは私はいけないと思うわけです。いま地方でやられているような計画が、地方財政のわれわれの常識的な目から見て、はたしてこれは将来実行できるものかどうかということについて大きく疑問を持たざるを得ないわけです。どうなんですか。その建設計画については地方財政のたてまえからいって、こういうふうな方向ですべきだというふうな考え方は、自治省としてはもう私は出てもいいころではないかと思いますが、いかがですか。
  65. 柴田護

    柴田政府委員 経済企画庁では、計画策定方針を示します前にはやはり私どもに相談がありまして、その相談の際に、自治省といたしまして地方財政上の立場から申すべきことは申し上げてありますし、話し合いをすべきことは話し合いをして話をつけてあります。今度はそれに基づいて計画が出てまいりますれば、その承認の際にやはり私どもとしては言うべきことは言い、相談すべきことは相談してもらうということになると思いますが、まだその段階に至っておりません。私どもが考えて、しょっ中申しておりますことは、やはり新産業都市を建設するということになりますれば、地方財政からのチェック、あまりむちゃくちゃなものであればチェックということもあるかもしれませんけれども、むしろやはりある期間にある量の公共投資、これを集中的にやっていく、それが可能なようないろいろな措置を講じていくという方向でものを考えていくべきではなかろうか、それでなければ特定地域開発をやっているのかやっておらないのかわからぬようになってしまうじゃないか、それでは新産業都市は法律までつくってやる意味がないじゃないかというような気持ちをずっと持っているわけでございます。したがって、計画の承認の段階においてどうせ相談がありますし、私どもとしてはそういうような気持ちでいろいろ意見を固めたい、こう思っておりますが、新産業都市の建設事業が始まりましても、それについて財政運営上の特別のものがあろうはずがないのであって、これはあるとすれば、各種の事業を特に総合的にテンポを合わせ実行していく、つまりちぐはぐにならないような実行をしていくという形ぐらいのものでありまして、それらになりますと、やはり中心は財政措置の問題になるだろう、したがって運営通達といたしましては特別のものはないのではないか、一般的なものを新産業都市建設事業について集中的に適用するということしかないのじゃないかというように考えまして、特にこの問題には触れておらぬわけであります。しかし触れておりません最大の問題といたしましては、それに対する財政的な措置が明確になっておらない段階においてそういうことを運営指導方針として打ち出すべきものじゃない、このように考えておりますので、さよう御了承いただきたいと思います。
  66. 安井吉典

    ○安井委員 私は別に新産都市のほうの建設を促進しなさいとか縮めなさいとか、そういうことだけに問題を集中して申し上げているわけではないわけです。そこで、これは自治大臣のお考えをお聞きしたいのですけれども自治省のお考えはいまの財政局長の御答弁からいえば地域格差の是正とか、あるいはまた産業の分散だとか、そういうような意味からの新産業都市の建設の方向は正しいし、現に行なわれております建設事業もぜひ成功させたい、そういうような願いに満ち満ちているというふうな御答弁であります。もう一つは、地方財政における運営の健全化という大きな命題もあるわけです。その二つを固定しますと、あとはその二つを完全に全うさせるような国の財政措置だけが残るわけです。完全に事業を果たさせたい、地方財政には欠陥を全く生じさせたくない、そうなれば残るものは国の財政援助ということでありますが、その二つが固定されるということになりますと、国の財政援助は自信を持って必ず二つの目標にそごがないような措置を講ずる、そういう御措置大臣は決意されている、こういうふうにとって差しつかえないわけですね。
  67. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 すでに計画は進んでおりますのでもちろんそのつもりでございます。御案内のとおりにこれは各地区で建設計画を立てましたものを最終は総理大臣が承認するわけでございます。財政的な裏づけなくして承認いたしましてもこれは実行が不可能でございますので、その段階までに地方財政の状況もよく勘案いたしましてやり得るような状況にしなければならぬと考えまして、実は私どももいろいろその面の配慮をいま積み重ねつつあるわけでございます。
  68. 安井吉典

    ○安井委員 私が申し上げているのは、地方財政の欠陥を絶対に生じさせないという確信をお持ちならどんどん進めていただきたいし、しかし、それが将来地方財政における問題点になるというなら、いまのうちから考え直すべきだと考えるわけです。それを先ほどは、事業は完成する、地方財政にはちっとも心配をかけない、こういう大みえを切られる以上、財政援助についても確信をお持ちにならなければいけないと思うのです。その意味を私は申し上げているわけで、大臣の御答弁は少し弱々し過ぎるように思うのですが、どうですか。
  69. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 昨日も当委員会で御質問がございましたが、東京のこういう過密な人口、また集中する富というものをどうして将来さばくのか、こういうことが御質疑にあったわけでございまして、私はそれの一環として新産業都市ということも考える必要があるということを申し上げた記憶もございます。ですから、これは国全体についての一つの大きな命題であるとその意味からも考えておるわけでございまして、何としてでもやりおおせなければならぬという考え方を持っておりますが、そういたしますと、ただいま安井委員からは、地方財政の面からこういう膨大な公共投資に対応して、はたして健全な地方財政運営の面から確信が持てるのか、こういうことを御指摘になっておるわけでございます。どうも弱々しい答弁だという御指摘でございますけれども、しかしここでいたずらに強がりを申し上げてみてもいたし方ありません。しかしこれは、いまの段階で日本に課せられたいろいろなやっかいな問題を解決する一つの重要な点であると考えておりますので、地方財政そのものを混乱に導かない措置だけはいたしておかなければならぬと考えておる次第でございます。
  70. 安井吉典

    ○安井委員 あと私は議員報酬の問題だとか、その他の問題に触れたいと思いましたが、これはあとで阪上委員や華山委員からの御質問がありますのでこれでやめたいと思います。  ただ一点だけ申し上げておきたいことは、先ほどの通達の中の五ぺ−ジにあるのですが、国及び地方公共団体の間、または都道府県及び市町村間の経費負担区分の正常化並びに住民の税外負担の解消による財政秩序の確立は、地方財政法等にしっかりきめられているので、財政秩序確立のために一段の努力を払われたい、こういうふうな示され方をされているわけですが、しかし国と地方公共団体との財政秩序の問題は、幾ら都道府県が努力したってできないのです。これは政府の問題なわけです。政府も一生懸命にやるがというお気持ちがこの中にないのです。その点、私はこれはいささか言葉じりをとらえて申しわけないのですけれども、そういうようなことが先で、政府も一生懸命やるからひとつ地方もやりなさい、いつも問題になりますたとえば国立高専の金を地方に持たせたり、それからきのうもちょっと申し上げましたけれども、農業改良普及員やそういったような手当の負担も法律違反をして地方によけいかぶせている、そういうような問題のほうがむしろ地方財政を苦しめているわけです。政府もそういう実態を踏まえて通達をお出しにならないと、地方のほうはこういう通達を出されたって、肝心の政府のほうが地方財政法違反をやっているじゃないか、こういうことになるわけでございますので、この点ひとつ自治大臣は政府部内において他の省庁の地方財政に対する誤った負担転嫁の方向に対して、こういう通達を出される反面、ぜひ強く御活動願いたい、そのことだけ申し上げて終わります。
  71. 森田重次郎

    ○森田委員長 阪上安太郎君。
  72. 阪上安太郎

    ○阪上委員 大臣は何か十二時半にぜひ退席したいということでありますので、簡単に質問いたしたいと思います。   〔委員長退席、中島(茂)委員長代理着席〕  昨日来新聞等で発表されておりますように、すでに政府としては特別職の職員の報酬に関して、ことに地方議員の報酬について、最近非常な勢いでもって平均三〇%ないし三七%近くの報酬の引き上げが行なわれておる。はなはだしいところに至っては六〇%に近い報酬の引き上げが行なわれておる、こういうことで、過般私が御質問申し上げた際にも自治大臣は、何とかこれに対しては措置を講じなければならぬという気持ちだというお話がありました。その後、新聞等の発表で見ますと、政府としても腹をきめられて、この際法的に規制するということについては、最上の策とは考えないけれども、そういった風習が改められない限りにおいては、これは法で規制せざるを得ないんじゃないかということで踏み切られたようでありまして、それが昨日の新聞によりますと、再びへこんでしまった、こういうことになっております。私は非常にこの機会に感じておるわけなんでありますが、私どもも場合によれば、法的規制をしなければならぬのじゃないかという考え方を実は持っておったわけなのであります。そこで、一体ああいった強い決意を閣議等でもしておられながら、急に引っ込められることになったいきさつを聞きたいと思いますが、そのいきさつの中でわれわれが承知しておりますのは、全国都道府県議会議長会議の名において、自治大臣にこの種の規制を法律によって規制することについては、地方自治の侵害であるというような考え方で抗議が出てきておる、こういうことでありました。その間のいきさつを若干お伺いしておきたいと思います。
  73. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ちょうどいい機会でございますから、実はこの問題は政府・与党の間では緊密に連絡をとっておりましたが、社会党、民社党の方々には、正式には御協議を申し上げておりませんでしたので、この機会にいきさつについて一応申し上げて御了解いただきたいと思います。  たまたま、この前に、ただいま御質問の阪上委員から、ごうごうたる世論を背景として、まことに適切な御質問があったわけでございます。そこで、私もこれを思い切って踏み切る決意をいたしましたのは、実はこの地方議員の報酬はお手盛りで行なわれておる。これは当然提案者すべて議決権を持っておる者がなれ合いでいたすわけですから、世間でお手盛りと評するのは当然のことでございます。引き上げのパーセンテージが最近数年にわたって毎年、他の公務員あるいは国会に比較いたしましても非常にひどい状態が見受けられましたので、自治省といたしましては、行政局長の通達で、大体このくらいのところでおさめていただくように指示はしておりましたけれども、完全に無視されておった。しかも、最近はこの東京都の一角では、このことがはなはだやかましくなりまして、住民がリコールでもやるべきじゃないかといったような報道も耳にいたしておりますので、やむを得ず自治法の一部を改正いたしまして、審議会をつくって、そしてこういう行き過ぎに対して一つの反省の機会をつくるべきであるという考え方になったわけでございます。最初、公聴会という意見もありましたけれども条例をつくる過程になってしまいますと、なかなかうまくいかぬであろう。だから、提案者が提案するときに、一応審議会にはかるという形が一番すなおであろう。ただ、いま御指摘になりました、自治権がそれによってゆがめられるんじゃないかということですが、ですから、住民のうちからそれぞれ公共的団体等の代表者であるとか、あるいは住民のうちから学識経験のある人を審議会のメンバーにしてやれば、あえてこれは自治権の侵害にもならぬ、こういう判断のもとに一つの構想をつくりまして、実はきょうの閣議で決定してもらうつもりでおりました。ところが、一昨日、都道府県議長会が緊急総会を開かれまして、そのあとで決議文を持って全部の方が来られました。そのときに、決議と申しますか、意見書とありましたが、それの中には、ただいま阪上委員が御指摘になるようなことや、それからまた、国会議員がこうやっているんだから、国会議員に反省がなかったら困るじゃないかといったような、顧みて他を言うようなことがずっと書かれてあるわけでございます。私はたいへんこれを残念に思ったわけでございます。しかしながら、いろいろ議論をいたしておりますうちに、議長の方々もだんだん、よしわかった、そういうことなら、やはり私たちもすなおにのみましょう、ただ、おきゅうをすえるような形で法改正をやって締められるということはまことに面目ないことであるから、自主的にやらしてほしい、こういう御発言があった。私どもは、党でもすでに決定をしておる形ですし、閣議でもはかるばかりになっておりますし、私としてもずいぶん慎重に判断いたしましたけれども、やはり自発的にそういう自粛の状態が行なわれることになれば、政治の上においては、これが一番賢明な策ではないかという判断をいたしましたので、すぐに官房長官、また私の党の行政部会長にも連絡をいたしましたが、やはりそれがいまの段階においては当を得たものであろうという御判断でございましたので、そういう決定を実は腹の中でいたしたわけでございます。そこで、私どもといたしましては、これが忠実に行なわれるかどうかということに、多分の疑念がなくもなかったわけですから、それにつきましていろいろ打ち合わせいたしました結果、実は今月の二十六日にまたこの問題について緊急総会が開かれるそうでございます。その席で、自治省としても指導してほしいということでございましたので、私どもは法案を決して引っ込めたわけではありません、準備はいたしております。しかし、この二十六日に全都道府県議長が一致してやろうということで、しかも六月の議会にかけて条例をきめようということになるのなら、私はあえてこういう法案の提出はいたしたくないと考えて、これを実はいま見守っておるわけでございます。  実は、われわれの構想といたしましては、市議会にもこれを及ぼすべきではないかということで、案はそういうふうにしておりましたが、しかし、私どもといたしましては、そう全国の地方議会の方々はわからずやばかりではないはずなんだ、都道府県のほうがここまで自粛してまいりますならば、これは市議会でもそういう要請があったとすれば、右へならってもらえるのじゃないか、またならうところも出てくるはずだ。なお、だだをこねてそういうことを無視される方々は、次の段階でおそらくまたお手盛りの報酬値上げなんかをした場合には、それこそ世間に袋だたきにされるであろうということは、私は内心期待もしておるわけであります。ただ、これは言わずもがなのことでございますけれども、じゃ提案者であるものはどうか。知事会もきのうはいろいろな議論をされたらしくて、けさ新聞を見ましたら、何か私らの意図誤解したようなことを議論しておられたようでございますが、だんだんこういうことについて、全般的に自主的に自粛していただけることになれば、私はそれで目的を達したものであると判断いたす次第でございます。  社会党のほうでも、実はこれについていち早く党のほうで党員に通達をなさったということを漏れ承っておるわけでございますが、この点につきましてはやっぱり憂慮を同じくするものであると考えますので、私はこういったいまの段階、処置につきましてはひとつ御了承をいただきたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  74. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私は、実はこの法案の提出を見合わせたということについて非常に危惧をしておったわけであります。その理由がいま大臣が解釈されたようなものでない、新聞等を見ましたときにはそういう気持ちを持ったわけなんで、実は質問申し上げておるのですが、いま承りますと、そういった自治権侵害という考え方に同調したのではない。しかしながら、みずから自分で自主的にやっていこうという誠意が見えたので、やはり政治の最高の理念にのっとって、自治体がみずからそういう態度に出たということであるならば、あえて法規制をする必要はないのだ、こういう考え方です。しかしながら、私はこの申し出の段階を通じて自治権侵害のおそるべき考え方があるということがわかったわけです。それは何かというと、最近、中央集権に対するところの地方自治権という一つの問題が提起された。そのこと自体がやはり自治権を侵すものの一つだということが言える。しかしながら自治権侵害という場合に、いま一つ深く考えなければならぬのは、地方自治の本旨であるところの住民自治ということを忘れてはならないということであります。こういうふうに思うわけであります。そして住民が反対して、それが具体的な世論となってきているというこの種の問題について、一顧だに与えないという地方議会のあり方というものについては、大いに反省を求めなければならぬ。ただ単に、中央と地方との対立によるところの権限の剥奪あるいは委譲というような問題をめぐってのみ地方自治権の侵害があるのではなくして、むしろ真剣に考えなければいけないのは、団体が、すなわち理事者と議会が、住民の意思というものを十二分にそんたくしなければならぬという、そのことが行なわれなければ、いかにりっぱなことを言ってみたとしても、基本的に地方自治権というものは空に帰してしまう。こういう重大な問題がひそんでおるにもかかわらず、それを全然ほおかぶりして、ただ単に、中央でもって法的規制を加えてくると、地方自治権の侵害だ、こういう即断をしておるということに私は非常な憤慨を覚えておるのです。この問題については、御案内のように、現在の憲法が保障している地方自治、そしてその中にある地方自治の本旨というものはそういうものではないはずなんです。一番大切なことは、住民自治だということなんであります。それを団体自治でやっていけば、住民などの考え方はどうでもいいのだという考え方だとすれば、たいへんな間違いを犯している。だから理事者と都議会あるいは府県議会がきめたことについては住民は文句言うなということでありますならば、これほど地方自治を侵害しているケースはないだろうと思う。したがって、この間の申し入れ等の文面の中に、ただ革に首長の提案権理事者の提案権というものを無視するのだ、最高の議決権を持っておるのは地方議会であるというような単純な考え方で、地方自治というものが守られていくものじゃないだろう。その場合にも、特に考えなければならぬのは、住民自治であります。したがって、自治法のたえまえからいうと、明白に住民自治の考え方というものは打ち出されておりまして、その結果、直接請求もあればリコール制度というものもちゃんと認められておる。そういった住民の自治の本質というものを忘れてしまって、何か国権の最高機関が国会であるのと同じように、地方政治の最高機関は地方議会であるというような考え方になっておるというところに、私は問題があると思うのであります。ただ幸いにして、自治大臣はそういった申し出の分については同調されていない。ただ単に自分のところで自発的に住民の意思を尊重する意味において、審議会という第三者機関を設けていきたいと思うので、この際そういうことをやめてくれということであったのでこれは引っ込めた、こういうことであるので、私は了承しますが、繰り返して言いますけれども、何か自治権の侵害が地方議会と中央との間で、権限が中央のほうに多く行ったから自治が侵害された、あるいはまた中央でもって法的規制を加えたから直ちにそれは地方自治の侵害である。そんなことを言えば、税金の賦課徴収条例等につきましても、これは地方自治侵害であると言わざるを得ない。そういう考え方で今回の問題を地方議会が取り上げてきたことについては、私はどうしても納得できない。そういう意味でいまの大臣の御答弁で一応われわれとしては納得いたします。  そこで問題になりますのは、こういった場合に、ただ単に府県の議会議員だけを対象としていいかどうか。したがって市町村議会はどうするのか、同時に都道府県ないし市町村の特別職の理事者側のほうは一体どうするのか。もちろんその値上げにつきましては、この場合は歳費でありますが、かなりな額を値上げしております。われわれはその値上げそのものがどうこうと言うわけではありません。住民自治の手続を経ているかどうかということであります。それで、今回そういう誓約といいますか、自主的な申し入れがあったのは、単に都道府県議会でありますから、一体市町村はどうするのか。ことに東京で問題になっておるのは、区の問題ではないかと思います。区は、そういう場合に自治法の第二編の中の市町村の条項に準じてやることになっております。したがって市町村の問題を取り上げなければ、区の問題は取り上げられないと思うのであります。この場合、多くの市町村の中にはまだ低いところにあって、むしろ上げてやったほうがいいのではないかという配慮も大臣はされたために、先ほどのような発言があったのではないかと思うけれども、一体区はどうしますか。こういう場合、あれほど大騒ぎをして今日たいへんな世論が沸騰しております。これに対して区の態度を見ておりますと、わが党の議員の中にはやはり第三者的な審議会というものを設置して自主的にやるべきだという声も出ておりますが、しかしあの直接請求をやって出てくる結論というものは、われわれとしては相当注目しておりますけれども、これに対して何らかの指導的な態度をとられない限りは、非常な片手落ちになってくるのではないかと思うし、住民も納得しない。この場合どういう指導をなさるのか。彼らとしては自治省に対して別段の自主的な方向を打ち出すのだという意思表示もしていないのでございますが、どういうふうにするのか、これを伺っておきます。
  75. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この問題についての住民の自治というただいまの阪上委員考え方は、私は全面的に同感でございます。その点を私も当然頭に置いてこの問題を処理しておるわけでございますが、先ほど申しましたように、提案の準備はいたしておりますので、自粛の実があがるかどうか、いまこれを注目している最中でございます。完全に自粛できるという見通しがつけば、私は提案はいたさぬ。ただ今月の二十六日は間もなく来るわけでありますが、そのと幸の状態な見まして、これはどうもいかぬということになれば、またここで新しい自治法の一部改正をお願いしなければなりません。  そこで一番問題になっておるその他の東京都の特別区であるとか市、町村は別に最初私らの原案にいたしましても、全部これを画一的にやるということは避けたい、できるだけそういったことをやってほしいということを言うだけにとどめたいということにしておったわけでございます。  実は私どもが準備しております、じゃどういう方向で条例をつくってもらいたいかということは、先般おいでになった議員の諸君は、これは議員立法としてやらしてほしいという御要請がある。知事会のほうでは、そんなことは聞いたことがないということで、けさの新聞で見ますと、あまりいい気持ちを持って聞いておられぬようですが、知事が何と言おうと、議員の自粛のために議員立法としてすることは悪いはずがないわけでありますので、このことは議会の方々には自信を持ってやっていただきたいと思っております。  大体背後にどういうことが指導の要綱となっておるかと申し上げますと、一つは、第三者機関をつくる、審議会を設けて、公聴会でなく、審議会の形式をとるということ。それからその審議会の設置は、必ず条例でやってくださいということ。もう一つは、審議会の委員の選び力で、これが妙なことになってはまことにまずいことになりまするので、地域内に住んでおります公共的団体等の代表者及び学識経験のある住民をもって審議会をつくってほしい。この三点がおもなことですが、こういう指導をやってどういう反応を起こすか。それから他の市、区についてはこの過程で一つの見通しを得たいと思う。国会も、きょう聞くところによりますと、相当大幅な延長になることでもございますし、この間の動きというものをよく見て、しかもいまリコールなどが準備されているような見苦しいところで、これに対してどういう反応が起こってくるかは、私はよく見ていきたいと思います。場合によっては、なお準備しておりますので、あるいはこれを法的に規制しなければならぬことになるかもしれませんが、そういうことにならないで自主的にやっていただくということを実は内心期待しておるわけであります。
  76. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこで私は、理事者に対してもやはり別段議会議員と区別して考える必要はないと思うのです。この場合提案者は、理事者のほうから提案してくる、それをきめるのが議会である。その場合にはお手盛りにならないのだ。しかるがゆえに、議員だけがお手盛りということになるので、これは規制しなければならぬ、こういう考え方は少し現実に当てはまらない、同じことじゃないかと私は思うわけであります。法的な手続としては多少違ったニュアンスも出てまいるでありましようが、この場合、議員のほうは押えておくけれども理事者のほうはいいんだということであってはいけないのじゃないかということ。市町村に対して手心を加えてやりたいという気持ちはわかります。しかしながら、これもことしだけの問題じゃないと私は思うわけであります。したがって、これに対してもやはり同じような扱い方を考えていく必要がある。ただ、審議会を設けたら報酬は上がらないのだという考え方も私はおかしいと思うのでありまして、審議会を設けても審議会自体が正当な判断をいたしまして、わが自治体においてはもう少し上げてやらなければいけないという考え方が出てくれば、これを答申していくということであってしかるべきだと思うのであります。いま非常に低いところに置かれて、年間二千円程度で議員の報酬がきまっているような市町村もございますけれども、そういったところはむしろ思い切って上げてやる必要があるのじゃないか。それから、そういう措置を講じていく過程において、さらに地方自治法等を改正いたしまして、審査雑費の問題であるとかいうような、いわゆる国会議員が持っておりますうちのある程度のものについて、同様の、議会活動をやるための必要なものについては法的に措置してやる必要もあるのじゃないだろうか、そういうことを考えておるわけなんであります。現実にすでに都道府県は全部、上げるべきは上げてしまった、こういうことになって、いま東京都その他におきましても六月まではとにかく延期しておる。六月以降にこれは上げるのだという態度を持っておるようであります。その場合に審議会の議を経てと申しますか、あるいはそれが答申によってというような措置によってやっていくのじゃないかと思いますが、上げることは間違いないのじゃないかという気がするわけであります。むしろいま問題になるのは、いま上げてないところの措置だと思うのであります。  そこで、私は重ねて申し上げますけれども、この際やはり市町村に対しても、区に対してもやはり指導なさったらどうでしょう。別段差しつかえないのじゃありませんか。やはり審議会を、府県も設けようとしておるし、政府としてもぜひ設けてもらいたいと考えているし、市町村もやはりこれに準じてやってもらいたいと思うというようなことを指導なさったって私は毛頭差しつかえないと思うのですが、この点はどうでしょう。
  77. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 もちろん指導するつもりでおります。私が考えましたそれは、まず市までやって、町村は任意でと考えておったのですが、やはり市町村もならうであろうということは実は期待しておるわけでございまして、それから、全体がもう上げてしまったあとでということをよくいわれるわけですけれども、しかし審議会をつくって自粛するということは、今後長くこういうことが残るわけでございますので、いま少ないところはむしろそれは上げることも望ましいと思います。また上げたところを下げろとまでは申しませんけれども、長い将来にわたってやはりそういう自粛した形でこういう報酬がきめられるということに一番期待をかけておりますので、現時点ではおかしいと思われても、これは将来はよかったという日が必ず来るということを私は考えておる次第であります。
  78. 阪上安太郎

    ○阪上委員 次に、国会議員の歳費の問題であります。国会議員の歳費と地方議会議賃の報酬とは、法的に性格が違うということははっきりいえると思うのであります。この点はなお国民全般の中では認識が十分でないと思いますから、これは今後とも大いに認識をあらためていく努力はしなければならぬと思いますが、現在の社会通念としては、これは明らかに同じようなものだ、こういうふうにとられておる。そうして国会議員が上げたからこれに右へならえすべきだという論がやはり出てくる。この間あなたがお会いになった都道府県議長の中にもそういう発言をしたものがあるんじゃないかと私は思うのであります。そこで、これを説明するのには相当長いことばを用いなければなかなか理解されない、そういった場合に、やはりこういった措置を打ち出していく段階において、われわれは政治として考えなければならぬのは、やはり国会議員が一体どうするかということだと思うのです。しかし、このことについては、自治大臣からなかなか言いにくいことだと私は思うのであります。しかしながら、わが党におきましては、すでにそういった点につきましても十分配慮いたしまして、わが党の議運の理事等を通じてひとつ考えてみてくれというようなことを実は要請しているわけなのであります。これは政府としてはなかなか議会には言いにくいことだと思いますので、差し控えますけれども、ただここで、ぜひひとつ大臣にお願いしておきたいのは、大臣も議員でありますから、そういった議員としての立場から、やはり自民党内におきましてもそういった機運を醸成していくような努力をしていただくことが必要ではないか、こういうふうに思うわけなんです。いかがでしょうか。
  79. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 個人としては全く同感でございまして、よりより私どもの党内でも実は協議をいたしておりますが、これは政府として特にこのことについて要請をしたりなどする筋合いのものではありません。国会は国会で自主的にきめるべき性質のものだと思うのですが、そのことがなかなか一般の方には理解がいきません。国会議員というのは国権の最高機関であるということはちゃんと憲法にも明確に規定もしてありますし、ですからずいぶん自粛してやった結果が、やはり世間からはお手盛りだお手盛りだというふうにいわれておるわけです。地方議会がその地方における最高機関だというような妙な認識を持っておやりになるとすれば、これはたいへん考えが間違ってくる。その点はやはりこういう質疑を通じて国民に立場の違いというものを納得していただかなければなりませんが、しかしながら、現に世論としては国会議員の歳費についてもたいへんやかましいわけでございます。特に例の税法上の何か特典を受けているかのごときことを盛んに、流布してこれを非難をしておられるようでございます。そこで、私も議員といたしましては、こういった点をやはり批判されないように、歳費の額をきめるにいたしましても、またいろいろな立法調査費であるとか、あるいはいろいろなその他のものが加わってまいっておりますが、こういったものもやはり明確にしておいたほうが私はいいと判断をしております。しかし、議長の諸君が来られましたときに、その話が確かに出ました。出ましたけれども、私は考え方の間違いというものを指摘しておきましたけれども、世論と申しますか、一般のこの問題についての知識というものを理解をしていただくということは必要であろうと思います。
  80. 中島茂喜

    ○中島(茂)委員長代理 華山君。
  81. 華山親義

    ○華山委員 大蔵省のほうからおいで願っておりますので、お尋ねいたしたいのでございますが、私、前に、東京都のドル建ての起債をヨーロッパでやられるということは、ユーロダラーというのは大体短期のものであるはずである、そういう短期のものをもとにいたしますのは、従来の経験から徴しましても今後いろいろの点で非常に問題を起こしやすい、そういうふうなものを短期のもので求められるということは、不安定のものであって危険ではないかということを御質問をいたしましたところ、大蔵省の方はユーロダラーといっても短期のものには限らない、ホットマネーには限らないのであって、このたびのものは長期のユーロダラーである、したがってだいじょうぶなものだ、もしも短期のものであるならば、これは非常に危険なのでやめなければいけないけれども、このたびのものはそうではないという御答弁を明確になすっている。今日の朝日新聞には、このドル建てのヨーロッパでの起債は、大部分が短期のものであって、ヨーロッパの金融界では非常に評判が悪いということが書いてある。私の心配したとおりのことでございますが、これは心配でなければよろしいのでございますけれども、前に大蔵省の方が御答弁になった要旨からいえば、観察が、あるいはものの考え方が間違っていたのではないか。やはり短期のものだったのではないか。もしも短期のものだとすれば、この前大蔵省の方がおっしゃったとおりとすれば、この起債は再検討を要すべきものではないか、こういうふうに考えますが、けさほどからその点御研究を願っておりますので、ひとつ明確にお答えを願いたいと思います。
  82. 稲村光一

    ○稲村説明員 ただいま御質問の東京都のドル建て外債のお話でございましたが、先般大蔵省から私自身御答弁申し上げたと記憶しておりますが、私といたしましてこの前御答弁申し上げましたとおりでございまして、特に東京都外債が短期のユーロダラーであるから非常にあぶないんだというふうには全く考えておりません。本日の朝刊、私も拝見をいたしましたけれども、そこで言っております意味が必ずしもはっきりいたしておりませんが、元来非常に短期のユーロダラーであれば当然——東京都外債、これは期限十五年でございます。それで途中から減債基金で償還をいたしますから、平均いたしますと十年半くらいになるかと思います。いずれにしましても、そういうものに対して、短期のユーロダラーが応募してくるということは、これは実はあり得ないわけでございます。それで、いわゆるホットマネー的なユーロダラーというのは、元来非常に短くて、預金金利の動向に応じまして、右に行ったり左に行ったりするというものでございます。ところが東京都外債に応募しておりますものは、これは先般も申し上げましたとおり、アメリカ以外にあるドル資金と申しますか、おもなものはヨーロッパと思いますが、このほか世界の各国にまたがっておるわけでございます。要するに、アメリカ以外にあるドル資金の中で、そういう長期の債券に応募してくるものを対象としてやっておるわけでございます。またそういうものでなければ、十五年期限の、長い外債に応募してこないわけでございます。ただけさの新聞にありましたとおり、短期のものだから非常にあぶないのだということではなしに、本年に入りましてから、いろいろと日本の民間債等で相当ユーロダラーというので発行いたしておりますものがたくさんございます。そのほか、他の国の政府あるいは政府機関等のやはり同じようなアメリカ以外にあるドルを対象とした債券というのがたくさん出ております。おそらくことしに入ってから、すでに一億数千万ドル相当になっていると思います。こういうものが非常に多く出過ぎているのじゃないかという声は確かにございます。しかし、それは趣旨が若干違いまして、要するに多く出過ぎているということは、本来そういう長いものに向かうべき資金がどのくらいあるか、これはわからないわけでございますが、そういうものに対してあまり多く出ますと、これはどうしてもあとがよくない、非常に無理してくるということにはなるかと思います。しかし東京都外債につきましては、その後七月の半ばに発行いたしましてから最近まで、正式の上場はまだ行なわれておりませんが、気配相場等によりますと、相場もだいぶ上がっております。したがいまして、評判もたいへんよいということで、たしか発行のときは九十六・五で出したわけでございますが、それがいま九十八をこえて、九十九くらいにまでいっております。これは非常に人気がよくて、非常に発行が成功したというふうに言えるかと思われます。この原因といたしましては、確かにドイツが資本収益税というものを非居住者の外債応募者に対してかけるという措置発表いたしましたために、いままでドイツの国内債に向かっておりましたそういう長期資金が乗りかえを行ないまして、外債に向かってきたという点もございますので、そういうために特にいま調子がいいということは言えるかと思われます。いずれにしましても、東京都債のユーロダラーによる発行につきましては、ただいま御指摘のような心配は私のほうでは全然いたしておりません。
  83. 華山親義

    ○華山委員 しかし、新聞にはちゃんと東京都債はその大部分の原資が短期のものであって、評判が悪いと書いてあるじゃありませんか。新聞は間違いでありますか。
  84. 稲村光一

    ○稲村説明員 もし新聞がそういうふうに書いてあるとすれば、新聞は間違いであると思います。いま読んでみました。私の読みました限りでは、「このため欧州金融界の一部には「短期的な性格のユーロ・ダラーで外債を消化するのは好ましくない」との声が強まっているという。」こういうふうになっております。
  85. 華山親義

    ○華山委員 その新聞を見せてください。——「金融筋によるとこれらの外債のうちドル建て分は消化にはほとんどユーロ・ダラーが振り向けられているようで、このため欧州金融界の一部には「短期的な性格のユーロ・ダラーで外債を消化するのは好ましくない」との声が強まっている」と書いてある。これは東京都債じゃございませんか。長期のユーロダラーというのがほかにありますか。
  86. 稲村光一

    ○稲村説明員 ユーロダラーが短期であるか長期であるかということにつきましては、先般もお答え申し上げたかと思いますが、長期のユーロダラーというのは当然あるわけでございます。それで確かにかつてユーロダラーというのが問題になってきたときには、ホットマネー的なものだけが問題になっておりました。したがって、その当時は、ユーロダラーといえば非常にホットマネーだということになっておったわけでございます。しかしアメリカで利子平衡税の法案が昨年発表になりましてから、要するにヨーロッパにあるドル資金で、ドル建てでアメリカ以外で長い外債を出すという傾向が強くなってきたわけでございますが、これはアメリカ以外にあるドル資金の中で長期のものがみんな応募してきているわけでございます。これは、したがって、ユーロダラーという意味が前と変わってきたというふうにお考えになっていただいたほうがいいかと思いますが、その点につきまして補足いたしますと、従来ニューヨーク市場でドル建ての外債を各国が出しております。わが国に関しましても、政府債それから政府保証債が出ておりますが、そういうものにつきましてニューヨークでドル建てで発行いたしますけれども、一回の発行額の二割あるいは場合によっては四割というものが、アメリカ人だけでなくてヨーロッパ筋から消化しているというものはずっとあったわけでございます。昨年の平衡税の関係で、いわばそのうちのヨーロッパ分と申しますか、アメリカの分につきましては、アメリカ人が消化しますとこれは平衡税がかかるという問題が起こります。ところがアメリカ以外の人が応募するのであればこれは平衡税がかからない。それで最近非常に盛んになっております。いわゆるユーロダラー債というのは、従来からニューヨークでドル建てで発行されていたときに応募されていたようなアメリカ以外にあるドル資金が応募している、それが非常に多くなってきているということであろうかと思われます。
  87. 華山親義

    ○華山委員 あなたのお話を聞くと、この新聞は間違いだということになる。この新聞はもう一度読んでみますと、こう書いてあるのです。何も私はあなたを責めたりなんかするのではございません。世の中には新聞が間違えることはございますし、あるいは外国のそういう評判が間違えておることもございますから。そうでなければけっこうなんでございますが、私は心配だからお聞きするのです。「ドル建てが東京都債など四千五百万ドル、西独マルク建てが大阪府、市債二千五百万ドル、スイス・フラン建てが政府の産業投資特別会計債千二百万ドルに上っている。しかし金融筋によるとこれらの外債のうちドル建て分は消化にはほとんどユーロ・ダラーが振り向けられているようで、」ここまではユーロダラーには長いものもあるという御説でございますが、そのあとが問題だと思うのです。「このため欧州金融界の一部には「短期的な性格のユーロ・ダラーで外債を消化するのは好ましくない」」こういうことについてどういうふうにこの新聞記事を評価なさいますか。大丈夫なら大丈夫でよろしゅうございますが、これはどういうことでございますか。
  88. 稲村光一

    ○稲村説明員 ただいまの新聞記事の中の、欧州金融界の一部には短期のものでユーロダラー債をやるのは危険であるという意見もあるということであるかと思われます。これは確かに大蔵省といたしましてユーロダラー債に踏み切るべきかいなかということを検討いたしました際に、ユーロダラーというのは短期じゃないか、したがって危険ではないかという意見もございましたし、それから現実問題といたしまして、ヨーロッパの金融界の有力者の意見もいろいろ聞いて検討いたしたわけでございますが、確かにヨーロッパの金融界の一部には、短期のユーロダラーでやるというのはあぶないのではないかという意見があることは事実でございます。しかしわれわれのほうといたしましても、そういう意見は十分検討いたしまして、いろいろとその他の状況も勘案したわけでございますが、今度の東京都債の発行に踏み切るにつきましては、確かにユーロダラーであるという点で今回政府関係債としては初めてであるわけでございます、したがって、それに踏み切るまでには、慎重な検討をやったわけでございます。結局ただいままで申し上げましたとおりのユーロダラー債というのは必ずしも短期のものをもととしたあれではない。かつての米国で出していた米貨債につきましても相当部分先ほど申し上げましたとおりヨーロッパ筋が消化しているわけでございます。こういうものには少しの不安もございません。ただ違いますのは、ドルの本拠であるところの米国の国内からの応募がないという点は、確かにこれは従来のニューヨークで利子平衡税の前に出しておりましたドル建て債とは違うわけでございます。しかし、その点を考えまして今度の東京都債につきましては、いままでほかの国がやったことがない方式でございますが、ニューヨークの証券取引所に止揚をするという新しいことをいたします。これはドル債でございますから、どうしてもアメリカ以外の人が応募しているにしましても、やはりドル債の市場としてはニューヨークが一番いい、これは当然でございます。それで今回の東京都債につきましては米側のアンダーライター及びニューヨークの証券取引所当局、関係の連邦政府当局との打ち合わせもいたしまして、ニューヨークの証券取引所に上場をするという、これはまだほかの国がやったことのないことを初めて先例を開いたわけでございます。その意味におきましてもこれは非常にいままでのドル債に近いという性格を極力持たしております。ただ一つ違います点は、利子平衡税の関係でアメリカの人には応募できないようにしてあるという点でございます。
  89. 華山親義

    ○華山委員 その外貨債、長期のユーロダラーというのは、金融界で応募するのでございますか、個人が応募するのでございますか。
  90. 稲村光一

    ○稲村説明員 実は最終的な応募者がだれであるかということは、いずれの外債につきましても明確になっておりません。と申しますのは、主として各個人の場合でも銀行を通じて応募が出てまいります。したがって、具体的にはそれをだれが持っているかという点は、ユーロダラーに限らずすべての債券がそうでございますが、この東京都債の場合につきましても、おそらく個人も相当あるでございましょうし、その他の金融機関も応募しているかと思われます。どういうところがどの程度持っているのだろうかという点につきましては、これははっきりいたしておりません。これは何も東京都債に限らずすべての外債につきましてそうでございます。   〔中島(茂)委員長代理退席、委員長着席〕
  91. 華山親義

    ○華山委員 長期のユーロダラーがあるというお話でございますが、どういう性質のものがユーロダラーとして、アメリカから出ているダラーか、どういうところが長期で持っておるのでございましょうか。
  92. 稲村光一

    ○稲村説明員 これは長期、短期という点で申し上げておりますが、アメリカ以外にあるドルというのはたくさんございまして、たとえばヨーロッパの銀行は、ヨーロッパに限りませんが、ヨーロッパ以外でも相当銀行にはドル預金というのがございます。それから、それ以外にヨーロッパなりアメリカ以外の人がドルの債券なり、その他有価証券を持っております。ですから、そういういわばアメリカ以外のところにあるドルの預金なり、あるいはドルの債券がこのユーロダラー債に応募してきている。債券がという意味は、債券を売ってそして乗りかえて東京都債を買っている。その場合には必ずしもドルに限りません。いま御承知のとおり通貨は交換可能になっておりますから、あるいはドイツマルク建ての債券を持っておる人がそれを売りまして、そしてこれをドルにして、東京都債券に応募していくということも非常に多いケースかと思われます。
  93. 華山親義

    ○華山委員 新聞紙等によりますと、ルクセンブルグが応募の市場といいますか、そういうことになっておるということのいろいろな話がございますが、ルクセンブルグはどういう関係で、どういうわけであのルクセンブルグという名前が出てくるのでございましょうか。
  94. 稲村光一

    ○稲村説明員 これは法律問題でございまして、御承知のとおり各国いろいろな為替管理上の規制でありますとか、起債許可の関係の規制その他、ニューヨークにしましても、ロンドンにしましても、ヨーロッパのその他各国にしましても、いろいろなこまかい規則がございます。制限もございます。今回の場合は先ほど申し上げましたとおり、米国以外の人を対象として募集をいたしたわけでございます。しかし、ニューヨーク証券取引市場に上場するということをしたわけでございます。そういたしますと、ニューヨーク証券取引所のいろいろな規則なり、法律関係がございます。それからまた、先ほど申し上げました利子平衡税の関係もございます。いずれにしましてもルクセンブルグはそういう点で法律上一番支障が少ない。非常に自由にできる国でございます。それで一応、これは各国の法律が抵触をいたしますので、技術的に考えられます最も簡便な方法といたしまして、形式的にはルクセンブルグで発行、収入金の受領をいたしまして、そしてルクセンブルグで発行したというようなかっこうをとったわけでございます。
  95. 華山親義

    ○華山委員 専門的なことでございますから、それがよければ、日本のためになるならば、それでいいんでしょうけれども、ずいぶんお役人というものはいろいろな方法をお考えになるものだと思いますけれども、そういうふうな方向で、堂々たる東京都がそういうふうないろいろな方途でおやりになるというふうなことは、非常に私は心細く思う。ドルはああいうふうになっておりますから、アメリカは別といたしまして、堂々とほかの西独マルクなり——どういうわけでそれができないのでございますか。もうこれでできないんだということになればこれからは、みなそういう方法でやらなければいかぬ。どういうわけでそういうふうないろいろな方法をお考えになって、またここに書いてあるとおり評判の悪いような方法で、そしてユーロダラーをもととするドル建ての外債かなんか、そういうような方法をおとりになるのですか。非常に私は心細く感ずるのですが、どういうわけですか。
  96. 稲村光一

    ○稲村説明員 ただいまの御質問でございますが、まことに評判が悪いユーロダラー債をなぜやったかということに関しましては、先ほどからも申し上げておりますとおり、その東京都債が世界的に各国の資本市場の目から見て評判が悪いとは全く思っておりません。逆にむしろ最近までの気配相場その他から考えまして、これは非常な成功であったというふうに考えております。  それから第二の点でございますが、それじゃなぜドイツマルクなり普通のすらっとしたやり方をとらずにこういうことをやったのかという点でございます。それは御承知のとおり、今年度財政投融資計上画に基づきます外債の発行計画くがございますが、国債四千万ドル、それからその他東京都、電電公社、開発銀行政府保証債があるわけでございますが、こういうものをいかに有利に、しかもいい時期に出していくかということで常に、大いに頭を痛めているわけでございます。したがいましてたとえばドイツマルク建ての外債につきましては、すでに御承知のとおり、国債を出すということで六月ごろを目途に準備をいたしているわけでございます。それ以外にさらに来京都を出すということは——大阪府市につきましてやはりドイツマルクで出さなければならぬ、出す計画にしているという点がございまして、まだドイツの資本市場それ自体が、それほど、国債と大阪府市債をやって、さらにまた東京都債までやれるというぐらいには大きくなっておりませんので、そのドイツの資本市場を利用できる限度では一ぱいに今年度発行いたすつもりで努力はいたしております。  それからドル建てにつきてましては、もしも普通の、ニューヨークで発行するという従来の方式をとりますと、御承知のとおり、ただいま利子平衡税の関係がございまして、発行者にとって貧打が非常にきつくなるという問題もございます。そういう点は避けつつ、しかも先ほど申し上げましたとおり、いろいろ検討の結果だいじょうぶだという結論に立っておりまして、ユーロダラー債というかっこうで発行するということにいたしまして発行いたしました。これは幸いにして先ほど申し上げましたとおり、ただいままでのところ非常な成功であるというふうに考えられます。  その他むろんロンドン市場における発行とか、オランダ、ベルギー、いろいろ考えられますが、いずれもまだ外債市場といたしまして十分に発行できるということになっておりません。いずれもその国の為替管理の問題、その国の金融情勢その他で、これはいまのところ、たとえばロンドンで英ポンド建ての外債を出すということは不可能だ、昨年日本の国債の借りかえ債を八月に英ボンド建てで発行いたしましたが、これは非常な例外的なケースで、借りかえでございましたのでできたわけでございます。新しいのはまだ出せない。これは日本に限らずスターリング地域以外の国の起債につきましては、まだロンドンのポンド建ての起債というのは非常に限られております。
  97. 華山親義

    ○華山委員 釈然といたしませんけれどもこれでやめますが、私はこの記事を見て非常に不愉快だ。そういうようなこと、またこの記事を見ますと、最近のこういうふうなユーロダラーというものは、イタリアと日本に非常に多く入ってくるということが書いてある。現在御承知のとおり、イタリアはあのように財政、経済の困難なときにきている。ちょうど並んで日本は多い、こう書いてある。これは一つのバロメーターです。東京都の外債が評判がいいからといって、そういうことでいばっていられる問題じゃないと私は思うのです。私はもうこれ以上お聞きいたしましてもなんでございますが、間違いのないように、またいろいろもがきにもがいて、そして何とか外債を集めなければいけないなどというふうなことは、私はまことに日本の前途のためにさびしい気持ちがいたします。ひとつ、この新聞を見ましたので、もう一度念のためにお聞きしょうと思ったわけでございますけれども、釈然といたしませんが、これでやめます。
  98. 森田重次郎

    ○森田委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十一分散会