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1964-04-15 第46回国会 衆議院 大蔵委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月十五日(水曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 山中 貞則君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 藤井 勝志君 理事 坊  秀男君    理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       天野 公義君    大泉 寛三君       奧野 誠亮君    押谷 富三君       木村 剛輔君    木村武千代君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       谷川 和穗君    濱田 幸雄君       福田 繁芳君    藤枝 泉介君       渡辺美智雄君    卜部 政巳君       佐藤觀次郎君    田中 武夫君       日野 吉夫君    平林  剛君       松平 忠久君    春日 一幸君       竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    遠藤  胖君         大蔵事務官         (主計局次長) 澄田  智君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      平井 廸郎君         大蔵事務官         (理財局長)  吉岡 英一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   熊田淳一郎君         大蔵事務官         (理財局経済課         長)      塚本孝次郎君         大蔵事務官         (印刷局長)  羽柴 忠雄君         大蔵事務官         (印刷局総務部         職員課長)   山崎桓三郎君         日本専売公社総         裁       阪田 泰二君         日本専売公社職         員部給与課長  柴崎 茂一君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第四〇号)  企業資本充実のための資産再評価等特別措置  法の一部を改正する法律案内閣提出第一一五  号)  国家公務員共済組合法長期給付に関する施行  法等の一部を改正する法律案内閣提出第一二  四号)  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  案(安宅常彦君外九名提出衆法第五号)  専売事業に関する件  印刷事業に関する件  造幣事業に関する件      ————◇—————
  2. 山中貞則

    山中委員長 これより会議を開きます。  専売事業印刷事業及び造幣事業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。卜部政巳君。
  3. 卜部政巳

    卜部委員 ただいま前段の中にも話がございましたように、春闘の問題をとらえて若干質問をいたしたいと思いますが、それに先立ちまして、全然関係のないように思われるかもしれませんが、まず大蔵省橋口銀行課長が七日に、都銀の各行に対しまして、ベース・アップは好ましくないというような発言を行なっておるのでありますが、これはどういう観点からそういう発育がなされたかを一応質問をしておきたいと思います。
  4. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 お答えいたしますが、課長がそういうことを申しましたことにつきましては、実は私もまことに不勉強で十分承知をいたしておりませんが、御当人が参りましたらまたひとつ適当に答弁させていただきます。
  5. 卜部政巳

    卜部委員 政務次官にお伺いをいたしますが、そう言われてしまえば根も葉もないのですが、おそらくここに並みにいる各委員の方が、いまの発言を全然知らないというふうな方は一人もおらぬと思うのです。それを少なくとも大蔵政務次官が、全然知らぬというようなことは、私はちょっと問題がある——問題があるといってもしようがないのですが、何とかやはり色よい返事もあってしかるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。全然わかりませんか。
  6. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 私事を申し上げましてまことに恐縮でございますが、この二、三日東京を離れておりまして、そのために私といたしましては全然承知いたしておりません。
  7. 卜部政巳

    卜部委員 いま政務次官からそういうような御答弁がございましたが、二、三日離れておったからこのことがわからぬ云々じゃございませんで、私も請暇によりまして一週間ほど国に帰っておりましたが、その委員がよくわかっておるのでありますから、政務次官がわからぬということはちょっとおかしいわけです。しかしそのことを繰り返してもしようがないから、私はこの問題はまたあとから質問をいたしたいと思いますが、全然今度の春闘関係はないというふうには考えられないのです。現在労働者のほうがいろいろとストライキを行なうなどと言って、きのうあたりは大橋労働大臣とそれから岩井事務局長との会見などが行なわれて収拾に向かって努力をされておるという、こういう緊迫した状態なのでありますが、しかし少なくともこういうようなきわめて重大な時期にそういう発言を行なうということは、私はきわめて残念だと思うのです。しかもその中で言われておることは、五%ないし六%という定期昇給を除く以外には云々というこの姿勢は、私は率直に言うならば、現在の政府が示しておる定昇のワクから一歩も出ていない、こういうふうな考え方が成り立つと思うのです。そこでひとつ重ねてお伺いをいたしまするが、現在公労協賃上げ要求しておるのですけれども政府は、民間ベースとの関係で決して公労協賃金は高くない、こういうことを盛んに言っておりますが、比較をして大体どのくらいの程度になるのか、だれからでもけっこうでございますから、お答えを願いたいと思います。
  8. 阪田泰二

    阪田説明員 公労協の中の、私ども専売関係賃金の問題についてお答えを申し上げたいと思います。専売公社賃金につきましても、公社法の定めるところに従いまして、物価等の状況あるいは公務員給与あるいは民間給与、こういうものとバランスをとってきめるということになっておるわけでありますが、その関係民間給与専売公社職員給与との比較の問題も検討いたしておるわけであります。ただ御承知のようにこれは専売でありまして、民間に全く同じ業種というものはないわけであります。したがって類似した業種を調べるということになるわけでありますが、従来公社といたしまして比較対象にとっておりますのは、民間職種別賃金のうちで多小とも似たような職種であります。具体的に申しますと、食料品製造業繊維工業ゴム製品製造業パルプ紙製造業印刷業医薬品製造業民生用電気機械器具製造業、こういう業種の、労働省が調べました毎月勤労統計調査報告——これは五百人以上の工場でございますが、こういうものを比較対象にとりまして、検討しております。その調査の結果によりますと、大体におきまして、これらの業種の中には専売よりも多少水準の高いと思われるものもございますが、おおむね専売のほうが賃金水準が高い、こういうような状態にあるわけであります。
  9. 山中貞則

  10. 卜部政巳

    卜部委員 総裁がいまお答えになられましたことについて、総裁に御質問いたしますが、いまのお答えの最後が、専売民間よりも悪くないというふうに聞き取れましたけれども、ちょっとお声が小さいものですから、もしその点が誤りでしたら訂正いたしますが、その点は間違いございませんか。
  11. 阪田泰二

    阪田説明員 業種によりまして多少差があるわけでありますが、おおむね専売のほうが水準が高い、こういうふうに思います。
  12. 卜部政巳

    卜部委員 それは中小企業を含めて民間のものを言っておるのですか、いかがなものでしょう。
  13. 阪田泰二

    阪田説明員 先ほど申し上げましたように、労働省の毎月勤労統計調査、この中で五百人以上を使用しておる工場の分と比較しておるのであります。
  14. 卜部政巳

    卜部委員 少なくとも専売公社は、五百人以上の単位企業調査するのではなくて、千人以上を調査した結果というものはやはり発表すべきではないかと思う。千人以上の場合はどうなんですか。
  15. 阪田泰二

    阪田説明員 私のほうで調査対象にとっております労働省の毎月勤労統計調査、これは五百人以上の人数の区分しかとってありませんので、比較することはこの統計ではできないと思います。大きな工場比較するということになりますと、結局個々の大きな会社、工場等をとって調べてみるほかないと思います。
  16. 卜部政巳

    卜部委員 五百人以上の資料しかない、これによる以外にないのだ、こういうふうなことでありますが、中労委調査室がつくっております資料などによりますと、明らかに千人以上のそれをはっきりさせておるわけですね。その点の調査がなされておるのかどうか、その点をお伺いしたい。全然ないということはないのですからね。
  17. 阪田泰二

    阪田説明員 御指摘のように中労委でも民間賃金調査をしておりまして、その中にはたしかそういうふうなものもあったと思います。ただ組合から要求がされまして、私どものところでその要求に対しまして民間産業との水準比較検討等をいたしまする段階におきましては、まだ中労委のほうの数字は出てまいっていなかったように記憶いたしておりますが、いろいろと個々参考となるような数字は、それぞれ手に入りますものはもちろん取り入れて参考にはいたしております。従来やっておるやり方といたしましては、主として先ほど申し上げました労働省の毎月勤労統計調査の五百人以上でやっておる、こういうことであります。
  18. 卜部政巳

    卜部委員 専売というような企業の場合は、五百人ということになるとこれは中小企業をも含めたという数字だと思うのです。そういう面で、千名単位基準に基づいた資料によってそれを算出していく、また比較していくというのが、総裁というよりも専売公社としては正しいのではないだろうかと思うのです。しかしそのことは別といたしまして、いわゆる中労委の出しました資料モデル賃金の中で調べてみますと、公労協の場合賃金が大体十八歳で一万二千九百三十円、ところが民間が一万四千七百九十一円、これは年をとるに従って格差が出てまいりまして、四十歳の場合に勤続二十三年でもって三万六千八百九円、ところが民間のほうが五万七千八百五十四円ということになって、二万一千円の開きがある。こういうことで厳然とそこに格差が出てきておる。少なくとも総裁は、専売公社職員に対してこういう格差があることについて、当然政府にこれを賃上げしていけ、また賃上げすべきだという要求をすべきだと思う。ところが、その五百人以上の云々から比較をして、水準はある部分においては高うございますと言ったら、専売公社職員は泣くに泣かれぬですよ。その点いままでそういうことでもって政府公社のいわゆる賃金を上げろ、水準を上げろというようなことでもって意見具申をしたことがございますか。その点をひとつお伺いしたい。
  19. 阪田泰二

    阪田説明員 ただいま御指摘ございましたような年齢別民間比較してみたらどうなるかという点につきましては、これも一部分的に調査をして比較をしてみましたことはございます。ただこの問題はなかなか調査がしにくいわけでございまして、それによって十分信頼するに足る結果が得られたということはできませんが、この場合にも大体多少の出入りは業種によってございますが、大体専売賃金水準民間水準と比べて決して低くはない、こういったような結果が出たことは見ております。それでただいまのそういう趣旨専売賃金を上げるということを上司に具申したことはないかといったようなお尋ねでございますが、その賃金問題につきましての経過は、御承知のように昨年の十月に組合から賃上げ要求が出まして、その後両者で交渉をいたしております。その過程におきまして私どものほうでもいろいろと検討いたしました結果、先ほど申し上げましたように物価なりあるいは民間賃金との比較、あるいは公務員給与との比較という面からいいまして、賃金を上げる必要はない。ただ初任給関係が多少民間ベースあるいは公務員給与比較しまして低い点がございますので、その点を調整する。高等学校卒業初任給におきまして六百円を上げる、それに伴いまして多少の調整をその他の給与についてもする、こういったような案を現在出しておるわけでございます。   〔委員長退席吉田(重)委員長代理着席
  20. 堀昌雄

    堀委員 関連して。いまおっしゃった六百円の初任給基準引き上げという問題でちょっとお伺いいたしますけれども、いまの公社予算で見ると、基準内給与はちゃんと予算にきまっておりますね。そうするとあの予算の中にいまの六百円というのは入っているのでしょうか入ってないのでしょうか。
  21. 阪田泰二

    阪田説明員 昭和三十九年度の予算を編成いたします際には、初任給六百円の引き上げということは考慮いたしておりませんでしたので、算定としては入っていないことになっております。ただ六百円初任給引き上げ程度のことでございますので、企業努力によりまして余裕財源を生み出しましてこれを実現したい、かように考えております。
  22. 堀昌雄

    堀委員 主計局伺いますけれども、いまの公社総裁答弁で、公社給与予算の中に入っていないけれども企業努力によって生み出したらその六百円ベースアップできるという法律的根拠をちょっとお答え願いたい。
  23. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 専売公社予算総則政府関係機関予算総則でございますが、その第八条によりますと、基準内給料総額を動かすということになりますれば公社限りで直ちにできるということにはなりません。したがいまして、先ほど総裁の御答弁のございました企業努力と申しますのは、給与総額範囲内において、たとえば実際の運用上若干の欠員が残るとかそういった事態も間々起こるわけでございますが、そういったことをも含めまして、給与総額範囲内においてその財源を生み出していくことは可能であろう、こういうふうに考えております。
  24. 堀昌雄

    堀委員 ちょっとそれはおかしいのじゃないですか。その給与総額はあそこにちゃんと予算で計上されておるんでしょう。その計上されている中には入っていないと公社総裁は言っているんですよ。入っていないのに企業努力でどこかから生み出したものが給与総額の中にどこにどうやって入ってくるのですか。
  25. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 給与総額積算の問題になるわけでございますが、確かにただいま申し上げたような初任給調整に伴う経費としては入っておらないことは事実でございます。ただ給与総額範囲内においてやりくりをするということ自体は政府として認めていただいておる。しかも給与総額積算にあたりましては、来年度の予算定員等基礎として考えられているわけでございまして、実際の運用にあたりまして、たとえば中途採用の場合の金額は若干の差があるとか、あるいは欠員があるとかで運用上若干の余裕を生み出すことも可能なわけでございます。
  26. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、いまのはちょっと私非常に重大な問題になっていると思うのです。何点か問題点がある。まず経費を節約をして生み出した財源というものは、これは給与総額には関係がないはずなのであって、これで私は専売公社総裁答弁全然わからないのですね。これはほかのところへ上がってこなければ、経費節約したら、これは給与総額の中に自動的に流れ込んだりするようなことになっているのなら、いまの公社のいろいろな給与の問題というのは非常に簡単になってくる。これは専売公社に限りませんよ。あなた方のほうでは給与総則の中で基準内外賃金の流用すらも禁止をして、きちんと分けてこれとこれだとしている。その積算基礎は、少なくとも定員に対して積み上げてあるはずであって、その定員がもしそれだけいなかったら、それじゃそれだけ給与がふやせるとか、ふやせないとかという、そういうことでいまのベースアップの回答が出ているなんということは、これは全然私は筋が通らない。そうじゃないですか。要するにベースアップをするということは、私はいまの公社予算の仕組みからしたら、よそから持ってくる以外にできるはずはないですよ。そうじゃないですか。できますか。主計局、どうやってできるのか、それをもう一ぺん説明してください。あの予算に計上されたワクの中だけで六百円のベースアップがどうやってできるのか、もう少し詳しく具体的に……。
  27. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 ただいまのベースアップというおことばでございますが、今回の六百円引き上げに伴います予算総額というのは六千万円程度でございまして、一人当たりにいたしますと八十円程度金額になろうかと思います。しかもこれは総員に対するベースアップという形ではございませんので、高校卒以降採用後九年間で初任給調整をする、いわば調整対象者のみに限られた引き上げであるわけでございます。こういったきわめて小規模の引き上げ給与の増額につきましては、先ほど申し上げましたように、実際上の予算定員実行定員との差とか、あるいは採用単価の差、そういったもので生み出していくことが可能であるということでございます。
  28. 堀昌雄

    堀委員 いまのあなたのお話でいくとこういうことが起きますね。基準内給与についてだけは定員——すなわち三万人あるものを、ともかくことし一年で、自然退職したりしたものをあと全然補充しないということにした場合は、それだけのものをベースアップに使ってもいいわけですね。そうすると、あなたのいまのことばを裏返していけば、欠員をどんどんつくりさえすれば、公社としては要するに初めの定員積算基礎の上に立って、これは幾らでもできる、こういうことですね。私は金額のことを言っているのじゃないのです。金額なんということは、これは量的な問題である。  私は質的な問題を言っているのです。制度上の原則の問題を言っているのです。金額の問題でいけば、これはどんどん発展していきまするし、これは大蔵大臣が来てからも私は確認をしていきます。これは重大な問題ですから……。
  29. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 金額の問題に関係のない制度上の問題であるという御趣旨でございますが、これは必ずしも私ども金額関係のない問題とは考えておりません。と申しますことは、先ほど申し上げた程度財源でございますならば、毎年度事実上のフリクショナルな欠員等に伴いまして生み出していくことも可能でございましょうし、したがいまして、これを制度上取り入れていくことは可能であると存じます。ただ金額的にいかなるものであろうとも、欠員さえつくっていけば制度ベースアップが行なわれ得るかということになりますと、これは一たんつくられた給与表なりなんなりは、来年度以降早急に変えるということはできないわけでございますから、そういった形で大幅のものを欠員等によって生み出していくということから直ちにベースアップ財源をすべてそういった欠員でまかなうことは可能だというふうに私ども考えておりません。
  30. 堀昌雄

    堀委員 それではそういう操作のできる金額限界は、公社の場合は一体幾らまでいけるのですか。いまあなたは六千万円まではよろしいという答弁をしておりますけれども、何億までいいのかちょっと答えてください。あなたの話は、量的な限界が質的に変化するという問題を言っておるわけですから、その限界点を出してください。
  31. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 量的な限界から質的な限界への転化という点になりますと、私どもも率直に申し上げて検討いたしたことはございません。ただ少なくとも六千万程度のものについては企業努力によりまして、給与総額範囲内で処理することは可能であると専売公社は判断しておられるわけでございまして、その限りにおいては私ども妥当であろうと考えておるわけであります。
  32. 堀昌雄

    堀委員 いまあなたは、量的なものが質的に転化する点について考えたことはないというのですが、しかしいまの議論はそうじゃないですか。私は質的なものとして議論をしておったら、質的なものではなくて量的なものなら認められる範囲があるのだ、拡大してきたらだめですと、あなたいま言ったでしょう。拡大してきたらだめなら、だめな限度があると思う。大蔵省、それを知らないで、六千万円ならよろしいというなら、七千万はどうですか、聞きます。一つずつずっとバナナたたき売りじゃないけれども、ずっと上げて聞きます。
  33. 中尾辰義

    中尾政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、私から少し補足して答弁さしていただきますと、元来そういうふうな検討をしておらないというのは、そういうことを認めるということは例外的でありまして、原則としては、おっしゃるとおり、これは給与総額基準内、基準外に分けて予算総則ではっきり限定しております。その前提の人員も、定員ではございますが、これは実員に近いもの、こういう前提でわれわれ予算の査定をいたしておるわけでございます。したがいまして、今回ぎりぎりでできるところで六百円の初任給、それを九年間に調整する、こういう線が出るときに、それが一体可能かどうかということを、その具体的なケースとして専売公社のほうで検討し、われわれもそれを伺い、この範囲ならできるであろう、こういうふうに認めたわけでございまして、これが七千万ならどうか、八千万ならどうかという仮定の御質問でございますが、今回の非常に例外的な場合に起こった具体的な措置につきまして検討して、この範囲ならできるであろう、こういうことを申しておるわけでございますので、それ以上具体的に、いまバナナたたき売りと申されましたが、一億ならどうかというふうな御質問にはちょっとわれわれとしてはお答えいたしかねるわけでございます。
  34. 堀昌雄

    堀委員 ちょっと私は話が横道にそらされておると思うのです。私がここで議論しておりますことは、いまの当該ケースの問題が問題の発端ではありますよ。六百円で六千万円というものが発端ではありますけれども、私はそのことをいま議論しておるのじゃないのです。予算総則上の定めがああいうことになっておるにもかかわらず、企業努力によって——企業努力というのは、これはちょっと公社総裁にも伺わなければならぬのですが、企業努力によって何か財源が生み出されるわけでしょう。生み出された財源を使うということじゃないのですか、制度の問題として見るならば。予算総則基準内給与というもののワクがきっちりあるわけです。このワクプラス外から何か持ってくるということは、企業努力によって生み出されるということなんだから、そうやって企業努力によって生み出されるものというのは一体どこから入ったのかということの説明が不十分なんです。  もう一つの点は、今度の六千万円ならよろしいということは、私はよろしくないと思っておる。いまの制度からいったら、そんなこと公社ができる性格のものでないと私は思っておるわけです。ですが、あなた方はそれを認めたというのだけれども、それを認めたというのが、六千万円という量的なものとして認めたというなら、制度例外なら例外でいいですから、しかしその例外には範囲がなければいかぬです。その範囲はどこまでかということはやはりあなた方ここで答える責任がありますよ。これは大蔵省が認めなければ、いまの制度公社の側は出せるわけがないのですから。だから、私は、いまの六千万円という問題じゃないのですよ。しかしそのいまの例外なものに範囲がなければ、それは例外として認めるわけにいかぬです。あなた方が主観的に、何となく六千万円は気持ちの上でがまんしましょう、そんなことで国の予算を右左されたら、国民はたいへんなことですから、私はそこに科学的に客観的な根拠が何かあって、公社についてはいまのようなことをもしやるとするならば、量的な限界が質的に転化するところはどこだということを明らかにせずして、六千万円ならよろしいなんて全然根拠ないですよ。どうですか。これは私非常に重大な開脚だと思う、公社予算原則論として。どうですか、主計局、もう一ぺん答えていただいて、あとは大臣が来てからやります。公社総裁にはもう一つ企業努力について聞きます。
  35. 中尾辰義

    中尾政府委員 いま二つの御指摘がありましたが、あとの点だけについて主計局のほうということでございますからお答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、繰り返しになりますが、きわめて例外的な事態として今回ほかの各公共企業体と同様公社も六百円の初任給引き上げというのが現在の予算総則給与総額の制限という中でできるかどうかということを検討するにつきまして、われわれとしては、その量的な問題として、その程度のものであるならば可能である、こういうふうに判定いたしましたので、現在において御質問のようにそれならどこまでできるか基準がなければいかぬ、こういうことでございますが、われわれは例外的に今回の場合についてそういった判断をいたしましたのでございまして、したがって、どこまでできるかという御質問であれば、今回の場合判断した六千万までは現在われわれはできるということしか申し上げられません。
  36. 堀昌雄

    堀委員 全然説得力ないですね。私はやはり大蔵委員会というところは筋を通して——これは与党の皆さんも聞いていただいてわかると思うのですが、いまのような説得力のない答弁なんて、私はここの委員会では、率直に言って少ないと思うのです。それはまた大臣来てからにしますが、公社総裁にお伺いしたいのは、企業努力によって出てくるプラス何かの金額は、あなたのところの公社予算の中のどこへ出てくるのですか。企業努力という以上は、いまの定員が、いまの主計局の次長の話で言えば、定員といえども実員にきわめて近い条件の中で計算されている、とこう言っているわけですから、だからそれを企業努力で人間を減らしたということになったら、これちょっと答弁としてはおかしくなります。そうすると、企業努力でいろいろな雑費や何かを節減をして金がもし出てきたとしたら、それはそういう予算項目に残ってくるだけであって、それが給与総額の中へ自動的に入るような仕組みにいまの公社予算はなってないと思うのですが、ちょっとその点をお伺いしたいのです。
  37. 阪田泰二

    阪田説明員 先ほど申し上げました趣旨、多少ことばが足りなかったようでありますが、初任給六百円引き上げ財源を生み出す措置といたしましては、御指摘のように、ほかから何ものかを生み出して、それを給与総額あるいは予算にプラスして使う、こういう趣旨で申し上げておるのではございません。給与総額の実施の問題、予算の実施の問題として、現在の予算の中からこの財源を生み出していく、こういう趣旨お答えを申し上げておるわけであります。
  38. 堀昌雄

    堀委員 大蔵省として公社予算を算定をしたときに、そうすると、いまのこの時点で、まだともかく四月が始まったところですから、回答が出たのはたしか二月ごろだと思いますから、予算をやっている衆中じゃなかったかと思うのですが、その中で、それじゃあなた方のほうは、いまの予算定員と実員がきわめて近いという表現があったけれども、六千万円分だけはともかく余分のものを見込んでおった、こういうことになりますね。もしこれが六百円のあれが出なかったら、その六千万円という金額はどうなるのですか。そうすると公社予算というのはきわめてずさんだということになるのですね。
  39. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 先ほどの六千万円という数字に返りまして恐縮でございますが、一応公社の側で六千万円程度財源で六百円という初任給調整ができるという御判断をされたというのは、その金額給与総額に対しまして千分の二幾らという程度数字で、まあまあこの程度でございますと、摩擦的な欠員というものも当然出てくる数字でございまして、その限りにおいては妥当であろうという考え方をとるわけでございます。もちろん非常に厳密な意味において、定員と実員が常に一致しておるということでありますれば、堀先生のおっしゃるとおり、こういったものは出てまいらないわけでございますけれども、いかなる企業の場合におきましても、また公務員の場合においても、ある程度の摩擦的な欠員というものはおのずから出てまいるわけでございまして、その限りにおいてこういったものが見出されることは、この程度のものであるならば、常識的にうなずけるであろう、こういうふうに考えております。
  40. 堀昌雄

    堀委員 それではちょっと公社のほうに伺いますが、昭和三十六年の決算における給与の支払われなかった金額、三十七年、三十八年の給与の支払い残になるものがずっと出ておるはずですが、それを一ぺんお答えいただきたい。
  41. 阪田泰二

    阪田説明員 ただいま具体的の数字は持ち合わせておりませんが、大体毎年度給与総額なり給与予算金額には、一応使用残と申しますか、一億円とか、その前後の金額を残しておる現状でございます。これはただいま御説明がございましたように、実行上いろいろ採用できないために欠員が生ずる、こういう問題もございますし、そもそもが公社の事業予算でございますので、たとえば公社のたばこをどれだけ製造して販売していくか、そのためにどれだけの人員が要って、そのためにどれだけの給与が要るか、こういう見方をするわけでございますが、企業の生産性が上がり、成績が上がりました場合には、人数が少なくても、それだけの成績が上げられる、こういう場合があるわけでありますから、そういった意味で、当初予算を計算いたします際に、算定いたしましたとおりの人を使わなくとも事業としては成績が上げられる、こういったような事態も結果としては出てまいるわけであります。予算積算基礎になりましたとおりに事業をいろいろやっていく、給与を払っていくということにはなっていないわけでございます。
  42. 堀昌雄

    堀委員 いまの公社総裁発言で、また新しい問題が出てきた。それはなぜかといいますと、生産性を向上させることによって、定員を十分に満たさなくてもいけるようになったら、その分はいまのそういうことに使えるのだ、こういうことになりますと、いま公社予算の中には、あなた方のほうはどう言っているか知らないけれども、生産性向上手当と称する——予定収入見積もり額より上に出た部分に対して、生産性が向上したのだと称して、これの何%かを年度末に手当として出すというメカニズムが一つありますね。そうすると、いまのあなたの言い方からするならば、毎年残っておるこの一億円の残というものは、言うなれば、そういう生産性の向上その他によって残ったのだから、残った分についてはもう分配するのは正当じゃないかということになる。だから、いまの話はいろいろな面できわめて不合理な問題がたくさん含まれておる。   〔古田(重)委員長代理退席、山中委員長着席〕 なぜかというと、六百円をベースアップをするならば、やはり基準外給与の部分をきちんと改めるということをせずに、そのままの予算の中でやるというやり方は、私は筋が通らないと思うのです。もしそれでなければ、毎年六百円くらいずつやればいいのですよ。そんなことならいまのこんな問題が起こる前にやったっていいことなんです。それを去年はやらないで、ことしはこれだけ出すということは、これはいまの予算の仕組みからいって、私はどうしても納得できないのです。いまの生産性の向上の問題だって、そういうことであなた方のほうは予定収入見積もり額と実収入との差額で、パーセンテージは忘れましたが、生産性向上手当というものを公社は出しているでしょう。これは電電しかないのですか。
  43. 阪田泰二

    阪田説明員 ただいま御指摘のありました生産性向上手当といったような式の給与公社は出しておりません。御指摘のありましたのは、おそらく年度末にその年の業績に応じて出しております業績賞与のことであろうと思います。年度の成績によりまして、成績が予定以上にいいというような場合におきましては、結果といたしましては、業績賞与の額もふえる、またそれ以外に残りました分は、益金の増加という形になって出てくる、こういう形に公社予算といいますか、制度としてはなるわけでございます。
  44. 堀昌雄

    堀委員 主計局にちょっと聞きますが、電電公社が臨時行政調査会の第二専門部会に回答を出しておって、業績手当と生産性向上手当ということばを使っておりますね。これは公社によって違うのですか。そういう二つのものが専売公社と電電公社とに出ている。業績手当というのと生産性向上手当ということばを使っている。これはいまちょっと電電がいないから困るけれども主計局どうですか。そういう生産性向上手当というものは、ごくわずかですが、電電公社には出しているでしょう。
  45. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 専売公社の場合におきましては、業績手当以外のものはございません。電電公社の場合におきましては、仲裁裁定によりまして生産性向上手当というようなものが別につくられておるのでございます。
  46. 堀昌雄

    堀委員 それでは私も関連ですから、これで終わりますけれども、ここで公社総裁に確認をしておきたいのですが、要するにいまのことは、大体主計局の話を聞きながら、基準内給与総額の使用残の部分の範囲ならば公社限りでこういう処置をとることもやむを得ないという判断だと私は思うので、この問題の性格は理解をいたしましたが、今後もそういうことになると、いろいろ大げさな春闘とかなんとか言わなくても、労働組合側が今後もひとつこういうことで、それが初任給六百円になろうと、一人頭二十円になろうと、それはいいけれども、要するにそういうものを一つ出して、団体交渉で申し出があったときに——要するに大体過去のあれから見て、使用残というものが毎年あるわけです。私はこの前、一ぺん決算でずっと調べましたから記憶がありますが、その出ている範囲ならば、こういうことは今後も出させるのだ、こういうふうに確認したいのですが、よろしいでしょうか。
  47. 阪田泰二

    阪田説明員 給与総額なり予算金額範囲内で支出をいたしますことは、公社としてできると思うのでございます。ただ、いまお話がありましたように、初任給を変更いたしますとか、給与制度全般を変える、そういった問題になってまいりますと、それは政府全般の大きな問題になりますし、また次年度以降にも大きな問題になりますので、そういう際には監督官庁の御了解を得てやる、こういうことにいたしております。
  48. 堀昌雄

    堀委員 今度の六百円というのは次年度以降にも影響がありますね。だからそういうことで監督官庁である大蔵省の了解を得た、こういうことですね。
  49. 阪田泰二

    阪田説明員 この初任給六百円引き上げの問題につきましては、監督官庁の御了承を得て、公社としては申し入れをいたしております。
  50. 堀昌雄

    堀委員 政務次官伺いますが、監督官庁としては、私がいままで話をしてきたように、今後大体使用残があると見込まれる場合に、団体交渉によってその分を何らかの方法によって分配をしてもらいたい、こういう要求公社に出される、公社がそれを大蔵省側に要求した場合には、大蔵省側としてはこれを認めますね。
  51. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 ただいまの御質問でございますが、私はいま堀先生のおっしゃるようなわけにはいかぬと思います。
  52. 堀昌雄

    堀委員 なぜいかぬのですか。
  53. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 それはこういうことです。やはりそれぞれの公企体というものは関係がございますので、ただそこの公社だけ必要だといって要求をされても、直ちにそれをのむことはむずかしいだろう、こういうふうに私としては考えます。
  54. 堀昌雄

    堀委員 そうすると公社が団体交渉で話がついたものを大蔵省は認めない、こういうことになるのですか、この場合ですよ。私は具体的な例をあげているので、抽象的に論議しているのじゃないのです。今度ともかくあなた方は認めた。そうでしょう。私はこのルールもおかしいと思っているので、あとでゆっくりやりますが、おかしいと思っていることを例外だといって認めているわけでしょう。例外が一ぺんあれば、これは今度は先例があるということになるのです。それを団体交渉で話がきまってもあなた方はそれを溜めないということだったら——われわれは公社というのは団体交渉権があるということに理解しておるのですが、ないのですか総裁。どうですか政務次官
  55. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 団体交渉の場合については議論がございますから、認める、認めないというのはもう少し検討しなければならぬものと思います。それからいまのような話があって、御承知のように今回の六百円あれしたということは、先ほど総裁からお話があったとおり、大蔵省といたしてあれをやったわけでございますから、もちろんこれに対しましては来年度には当然給与の問題に影響いたしますので、これは当然予算として計上しなければならぬ問題だと思います。大体堀先生のいままでの御質問は、私伺っても理論的には正しいと思います。私はそういうふうに考えておりますが、給与の問題は御承知のようにどこでもさようでございますけれども、途中でベースアップの問題がありましたり、そうでなくともときには不足が出てくる場合もしばしばございまして、これは大体補正予算でそれをあれしているというのがいままでの慣例じゃないかというように私は見ておるわけでございます。そういうことでございますので、給与の問題といたしましては実際不足を生ずればまた補正予算ということでこれを補う、これはあれでございますから当駅のことと思います。そういう扱いもしておるわけでございます。ただいま具体的な問題とおっしゃいましたのは、そういうことでありますれば大蔵省とも話があれでございますから、その線で今回は認めなければならぬと考えております。
  56. 有馬輝武

    ○有馬委員 ちょっと関連して政務次官にお伺いいたしますか、公共企業体等労働関係法の第八条の団体交渉の範囲の中に、いま問題になっております賃金の項があるわけでありますけれども、これを直ちに認めるわけにもまいらないという御発言があったわけでありますが、その根拠をお聞かせいただきたい。
  57. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 財政全体の関係からも考慮しなければならない問題でございます。一応お話がつけばこれは当然認めていいものだ、私はそう思うわけでございます。(「さっき認めないと言ったじゃないか、団体交渉でまとまったものをどうするんだ」と呼ぶ者あり)いや、団体交渉でまとまったものは一応認めなければならぬ問題だと思います。
  58. 有馬輝武

    ○有馬委員 その点をはっきりしていただきたいのですが、公共企業体等労働関係法第八条の賃金に関する団体交渉の結論を、先ほどの答弁では財政上の理由から政府が認めないこともあり得るという御発言がありましたので、それはどういう根拠からおっしゃられるのかお伺いをいたしたわけでございます。これは財政上の理由とかなんとかいう抽象的な概念ではなくして、どういう法律根拠に基づいてできないのか、あるいはできるのか。もしできるとするならばその範囲はどこまでかということをお伺いをいたしておるわけであります。
  59. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 政務次官説明をちょっと補促させていただきたいと思います。団体交渉がまとまりまして、その場合に政府側として何らかの制約を加えることができるかどうかという問題につきましては、公企体労働関係法の第十六条の規定によりまして、予算上、資金上不可能かどうかという判断をすることになるわけでございます。そういう意味におきまして、政務次官が財政上と申し上げたのも当然だろうと思います。ただ先ほど御指摘のありました給与総額範囲内において若干の余剰を生じた場合において、当事者間で団体交渉で決定した場合、これについて制約を加えることが可能かどうかということになるわけでございますが、これは既定の予算範囲内での話でございますから、形式的に申しますならば、その点はチェックすることはなかろうと考えるわけでございます。ただ理事者において、そういった毎年若干の財源余裕が出るから、これを何らかの形の手当において出すことがいいかどうかといった判断をされる場合におきましては、当然当該企業体の事情のみでなく、全般的に公共企業体を通じてそういったことの当否を御検討になるはずでございまして、その場合においてたまたま毎年幾らかの金が余るから、そういったものを制度として認めていいかどうかということになりますれば、これは公企体全体を通じて判断をされる余地があろうかと思うわけでございます。
  60. 卜部政巳

    卜部委員 では引き続いて私の質問に移ります。  ただいまの質問の中で明らかになっておりますように、法律で定められております団体交渉そのもの自体が、その結果として大蔵省あたりにぎゅっと押えつけられてしまうと、その交渉自体が何ら効果がない、こういう結論になりかねないような答弁がるる出てまいりましたが、しかし最終的な結論としては、少なくともいま政務次官政府を代表しておっしゃったように、団体交渉できめられた以上はあくまでも守る、こういうことについてはこの委員会において確認をして進めていきたいと思います。  そこで、私は公労協の立場で質問しておりますが、何も専売ばかりを質問するわけではありませんので、次に印刷局のほうに入っていきますが、その前に、私の質問の最後に総裁があくまでも民間給与との差において専売公社水準が高いのだ、こういうことを言い切られておるわけですが、その五百人以上の問題でもいいから、その点を基準モデル賃金として年次別にひとつ出してみていただけませんでしょうか。基準の差がこうなって、どれだけ多いか、十八、二十、二十二と二年ごとの資料でもいいのですが、それを発表してもらいたい。どれだけ違うのか、十八歳と四十歳の最初と最後でもいいのです。
  61. 山中貞則

    山中委員 卜部君、大蔵大臣理事会の約束で十二時十分前後にはここを出られますから、その間大蔵大臣に主として質問してください。
  62. 卜部政巳

    卜部委員 それじゃそれはまたあとで答えてください。  それじゃ大臣に質問申し上げますが、大臣は今度の春闘に対して重大な発言を行なっておられます。しかもそのことはきわめて大臣にふさわしい発言をされて、その面では敬意を表しておるわけです。それは何とおっしゃっておられるかと申しますと、まず調停の問題ですが、この調停が少なくとも今度のストに間に合わなければ調停委員なんかやめてしまえ、これはちゃんと新聞に載っている。さらにまた、今度の調停は尊重する、こういうような発言をされております。調停を尊重するのはもちろんしごく当然な砧でありますが、この点について現在の公労協の行なっておる賃金要求がほんとうに無理なものかどうか、ひとつ大臣からお伺いをしたいと思います。
  63. 田中角榮

    田中国務大臣 無理なものであるかどうかという問題は、いま第三者調停ということで公労委の判断におまかせしておるわけでありますから、私がここでとやかく申し上げることはよろしくない、こう思います。しかしスケジュール的に毎年毎年同じことをやらないで、合理的にうまく片づく制度というものがないのかということは考えられます。お互いに同じことを毎年毎年十八年間もやっているのですから、ここらで何かいい知恵はないかということは確かに考えられますが、いまの段階において間に合うものではありませんので、お互いに誠意を尽くして本件の解決に邁進をしたいという考えでございます。  さっき公労委に対しては、十七日前に結論が出なければやめてしまえというようなことを私が言ったような御発言でございましたが、そんな荒っぽい話はしておりません。これはただこういうことを育ったわけでございます。もう二カ月の期限もきておるのでありますし、公労協が一大ストライキを戦後初めてやろうということもあるのでありますから、感情とか圧力があるとか、またいろいろなことを顧慮するよりも、使用者代表も労働者代表も、また公益委員もあるのでありますから、事の重大性を考えて、できるだけお互いが歩み寄って解決ができるようにしていただきたい、そうあることが好ましい、こういうことを育ったわけであります。またその結論が出れば誠意を持ってこれに対処したい、こういうことを戦後初めて政府が言ったわけでありますが、そういう意思を表明したのでございまして、公労委の機構とか皆さんを信任しないとか、そういうことではありませんから、誤解のないようにしていただきたい。
  64. 卜部政巳

    卜部委員 後段のほうは大臣がおっしゃっておるのですからこれは間違いがないと思いますので、この水掛け論はやめます。ただしきょうの新聞には、大橋労働大臣岩井事務局長との話の中にはそういうふうに書かれておったので、私はこう申し上げておるのです。  そこで大臣に申し上げたいのですが、毎年毎年繰り返されておるという、この言い方は、大蔵大臣発言にしては若干これは行き過ぎではないかと私は思うのです。少なくとも、今日公労協労働者がストライキをやらなければならなくなったこの環境ですね。この点を十分私はしんしゃくすべきであろうと思うのです。ただその中で、単なる国内的な問題ではなくて、大蔵大臣は盛んに世界情勢のことを経済情勢で述べられておりますからよく御存じだと思いますが、諸外国と比べた日本の労働者の置かれておる賃金というものはどういうふうになっておるか。この点からどういうふうに思われるか、この点どうでしょう。
  65. 田中角榮

    田中国務大臣 その問題がいま参議院の本会議でも出ておりますが、労働者の諸君がそういう立場に立って御発言することもわかりますし、またあなたがそういう御発言をなさることも理解できないことでもありません。がしかし、それが絶対的な考えであるということで絶えずものを詰めていこうとすると、なかなかいかぬ。世界の先進国の水準に近くなるようにお互いが努力しておるということは事実でありますし、またそうあることが好ましいことであり理想であります。いっときも早く世界の最高の水準までいきたいということはわかりますが、日本の特殊性というのもあるのです。こんな狭い国で、しかも一戦争に負けて、一億になんなんとする人がおる、こういう特殊性もあるのでありますが、その特殊性で事実をちゃんと踏まえて、理想は高々と、しかも現実を踏まえて一歩一歩前進するというところにいいところがあるので、一足飛びにぽんと理想が顕現されるような考えを持つことは無理である。ですから使用者側も労働者側も特に政府も国民全体も、お互いの生活がよりよくなることを好まない人は一人もないのですから、ただその道行きにおいて忍びがたいことを忍ばなければならぬこともありますし、あしたのためにあえて縮まなければならぬこともあるのでありますから、やはり事実認識というものをお互いがよく持ちながら、できるだけ早い機会に欧米水準といわず、それより以上のものにしたいという努力をいましておるのですから、いますぐ欧米水準と比べるとこれだけの差がある——欧米水準とは確かに違うかもしれませんが、また日本人は非常に人間がいい民族でありますし、お互いが相互扶助しながら、乏しい中にも豊かな気持ちでこうやっておる。欧米とは違う環境や民族性等があるわけでありますから、数字幾ら違うということだけを突こうとなさらないで、これから大いなる努力をお互いがすることによって一日も早くよくなろう、こういうふうに考えていただきたいし、政府もそのように考えておるわけであります。
  66. 卜部政巳

    卜部委員 聞いておるとたいへんもっともらしく聞こえるわけですが、しかしながら実際問題として、負けた国というなら西ドイツも同じ負けた国ですよ。私は、その面においては日本民族がドイツのいわゆるゲルマンに劣るとは決して思わないが、しかしそういう面における労働分配率あるいは労働者の置かれておる立場などは、ヨーロッパ並みの先進国とは別にしても、そこに歴然たる差があることは大臣御存じのとおりでしょう。そうするならば、実際問題としてなぜ日本がそのことができないのか。やはり私はこのことを指摘しておきたい。大臣はアメリカとかイギリスとか言って西ドイツの場合には故意に触れませんが、このことはどうなんですか。同じ敗戦国です。
  67. 田中角榮

    田中国務大臣 西ドイツともよく比較をされるのでありますが、西ドイツと日本がなぜ違うのかということを私は考えております。これにはいろいろな理由があります。やはり国民の生活、様式そのものが違うということもあります。西ドイツは御承知のとおり四季のある国ではありますが、小さい平坦なところであります。でありますからいままでにもうすでにあらゆる制度ができておりますし、また国の公共投資その他に対しても、日本のように大きくやらなくてもいいということもあります。ところが日本という国は、一億になんなんとする者が住めるような、面積は小さいけれどもなかなかいい国であります。四季もありますし、また南北も長いし、山脈もあり水もあり、なかなかいいところであります。それだけに戦後急速に社会保障とか公共投資とか、いろんな面で国の出費も非常にたくさんございます。それよりも、ここであなた方に考えていただきたいのは、西ドイツのように何回も敗戦の歴史を持っている国は、民族の精神の中に、非常に合理性というものを自然に捕えている。ですから、われわれの生活の中に一つもマイナスがあってはいかぬということで、ドイツの工業自体がどうして発展しておるかというと、ドイツは全部単一部品工業であります。ナットならナット、ボルトならボルトばかりつくっておる。そういうところばかりで、それを大きな会社は組み立てをするだけでありますから、ロスは非常に少ない。ところが日本人は、こういう島国におって、長いこと負けた経験がございませんから、いまの中小企業のような特殊なものができておる。なべがもうかるというと、なべばかりつくる。かまがもうかるというと、かまばかりつくる。そういうロスがあるのも一つの国民性であります。特殊な国柄でございます。そういう中で戦後十八年間こうしてよくなってきたのでありますから、ドイツとは形態が違うんです。ですから戦後の民主化といっても——私は非常に驚いたのですが、西ドイツの技術屋と何回も会いますと、ボルトをつくっていると、ボルトのことしか知らない、政治は知らない。車の運転手は世界一の車の運転手になろうということで、車の技術は大したものであります。しかし政治は政府にまかしておる。日本人はあらゆる人が政治のこと、世界のこと、すべてのことを知っておる。こういう戦後の民主主義の発達は、そういうことを比べてみますと、まあ日本もとにかくこのロスの多い中でよく発達してきたものだ、こういうことが私は偽らざる国民の感情だと思うのです。ですから、すぐ西ドイツと日本を比べるということが無理なんです。イタリアと日本を比べるということ自体無理なんであります。イタリアは、外国に出るよりも外貨を入れようとしており、日本は、人を入れるよりも、まず出よう、逆であります。こういう国民性もあるのですから、やはり国柄に合った政治を前向きにしていくということは事実でありますから、西ドイツと日本とが違うのは政治が悪いのだということではなくて、だんだんと西ドイツのようになり、西ドイツをはるかに凌駕することになることが約束されておるのでありますから、将来に希望を持ってやっていきたいと思っております。
  68. 卜部政巳

    卜部委員 最後に大臣が自分で結論を出されておりますように、いま聞いておる内容の中では、率直に申し上げて、それほど政治の貧困を暴露した発言はないと思うのです。しかし、そのことについて論議をいたしませんが、少なくともいまの日本の労働者の置かれておる立場、ほんとうに賃金が安い、生活も満足にできない、このことはよくわかっていただきたいと思うのです。それと同時に、今度の公労協のこの賃上げ闘争が、いま新聞なりさらに政府が法を守れとか何とか盛んに言っておりますが、法を守る前に政府がやるべきことがたくさんある。このことは十分御認識の上で、大蔵大臣はたいへん実力者ですから、今度の春闘の場合にもその面から収拾をするように、少なくともスト回避に向かっての努力をしてもらいたい、こういうように思います。  そこでひとつ、私はいまは国外の問題を話しましたが、国内の問題について、この公労協要求の問題ですが、いま専売総裁といろいろと討論というよりも、質問をしておりますけれども、食い違いがかなりあります。これは中労委のいわゆる基準モデル賃金の表でございますが、年齢十八歳で、公労協の場合は一万二千九百三十円、民間の場合は二万四千五百五十二円。ところが三十五歳になってまいりますと、勤続十八年で、三万七百三十八円というのが公労協で、民間は三万七千百十三円、ここで六千三百円の差が出ます。四十歳になりますと、これが三万六千八百九円、民間が四万四千三百四十三円であります。これは中学卒業で、高校卒業は五万七千八百五十四円、こういう姿になりまして、少ない数字のほうは二万一千円というふうに差がある。こういうふうに中労委で調べたんです。このように民間公労協とには差があるのです。その点についていままでの論議の中でも出てきますが、堀委員指摘にもありますように、大蔵省はともかく定昇以外は認めないとか、さらには予算総則の中でぎゅっと締めるという中で、団体交渉自体が何ら一つの結論を見出さないというかっこうが出てまいっております。こういう状態の中で大蔵大臣発言ないし態度というものは非常に重要だと思うのですが、そのような状態公労協賃上げを私は決して無理でない、こういうふうに考えますが、大臣はいかに考えられますか。
  69. 田中角榮

    田中国務大臣 確かに月給が安いことはある意味で真実だと思います。同時に、安い賃金だと言われるような状態でも、地方財政の中、一般会計の中において、また日本の各企業状態においても、貸金の占める比率というものは非常に大きい。赤字再建整備をやっている地方公共団体などは、総予算の五〇%も人件費が払われているものもあるわけです。現在の平均は三六%でございます。そうしますと、地方公共団体の現在の時点における状態を考えますと、三万円の月給を払っており、地方財政支出の四割近くです。しかも十年再建をやってやっとその程度になった。これは治安維持をするために国民一人に警察官を一人つければ確かに治安維持は完璧になるという議論はできますが、一体国民一人に一人の警察官をまかなっていけるような歳出ができるか、こういう問題を考えていただかなければならぬわけであります。戦後確かにいろいろな施策が相当強く進められましたが、人間が非常に多くなった。ですから、いまは確かに人間も多いかわりに給与も最高の水準ではない、こういうことになるわけです。これが実態であります。  だから、労使代表のほかに公益委員もいるのですから、公益委員が現実を十分考えながら大衆のために労使の紛争を解決していけるという調停機関をつくっておるのでありますから、ここでいろいろなことを考えて、ここいらで労使ともがまんをしてもらいたい、こういうことが公益委員から出るわけでありますから、その決定を待っている、こういうことでございます。  いままでですと、そういうことが出ましても、財政上許さなければ、実行できるかどうかわかりませんよ、こう言っておったんですが、今度は百歩を進めて、決定がなされたならば、政府も誠意を持って対処いたしたい、こう申し上げておるのでありますから、政府はこれらの問題についてどう考えるかという問題は、これで御了解いただきたい。
  70. 卜部政巳

    卜部委員 いま大臣が結ばれたことばの中で、確かにいままでは調停案に対しては政府予算的な問題を勘案して云々ということを言っておりましたけれども、今度は大蔵大臣が、政府は尊重するといったこのことばに私は敬意を表したいと思う。  ただお伺いしたいことがあるのですが、ともかくこれも本会議でちょっと質問がありましたように、いままで公労協の各単産に対して、政府自体はいままで、賃金が低い、だからこれだけの賃金を上げてやろうなどといったことが、過去において実際問題としてございませんね。これはすべて公益機関にまかせる、こういうことですか。
  71. 田中角榮

    田中国務大臣 すべてまかせるというわけにもいかぬわけであります。私たちが自分でもって自分の企業をやっておるということじゃありませんから、国民の税金を預かっておる立場から考えますと、やはり国の情勢、財政の事情、こういうものも十分勘案をしな、がら裁量していくわけでございますが、今度は、少なくとも私がなぜこのようなことを申し上げたかということは、お互いに労使とかということではなく、戦後最大ともいうべき、また初めてのゼネストをやろう、こういう事実があるわけでありますから、少なくともこれを排除したい、回避したいという考えをもちまして、いろんな問題はございます、いま使用者側として公労委に呼ばれて、こういう事情でございますというほんとうにさいふの底をはたいたような話もしておるわけでありますから、それも事実でございますが、政府としてはより高い立場から正しい前向きの姿勢を出すべきだという考え方からいまの態度を表明したわけでございまして、何でもかんでも第三者調停があれば全部のむということが原則だとは申し上げられない立場にございますが、しかし、人事院勧告等に対しても非常に乏しい財政の中からこれを尊重しておるのでございまして、政府の実績がずっと証明しておるわけであります。でありますから、できるだけこういうものは合理的に片づけて、国民に無用な摩擦や迷惑をかけないようにという立場に立っておるわけであります。
  72. 卜部政巳

    卜部委員 大蔵大臣、私指摘をいたしたいのは、いまゼネストをやるのであるから云々というようなことがございました。しかし実際問題として、ゼネストをやらざるを得ない状態に至ったいきさつというものがあるわけです。それは、少なくとも、いろいろとこういうような状態に置かれておるから、実際問題としてなんぼ出せるのか、こういうような、団交が煮詰まり、さらに政府の最高首脳部との会見がなされた中で出てきた問題は、絶対にそういうものは上げることはならない、開放経済に向かう状態の中でそういうものは上げることはならぬという、こういう状態が出てきて初めて、じゃわれわれの生活はストライキによる以外にないということになっておるのですよ。この点は、ストライキをやって、それで賃上げをやって、政府の誠意があるのをゆさぶっていく、さらにそれを水高を増すためにやっておるというのではないのです。政府自体がけ飛ばしてきたのです。それは事実なんです。そういう点を十分認識をしてもらいたい、こういうふうに思います。  それから最後ですが、大臣おられなかったので、関連の人がたくさんおられますので、簡単に質問いたしますが、生産の伸びが一〇・六%、所得の伸びが九・六%ですね。そうすると、私は当然上げていってもいい姿としては、これからいっても三千三百円は上げてもいいということになるのだと思うのです。その点はどうでしょう。
  73. 田中角榮

    田中国務大臣 これはただ見通しでございまして、こうあるだろうと想定したにすぎないのでございます。これはもし想定をしたものが金融引き締め等がきき過ぎて五%か六%になってしまったという場合もあり得るわけでございますから、九・何%、一〇%伸びたらという考えだけでもって片づけられるものではないと思います。同時にそこまでの問題になりますと、誤解があるといけませんから申し上げておきますが、生産が九・何%伸びますから、九・何%全部賃上げに持っていく、こういう考え方自体も問題じゃないかと思います。それは、少なくとも生産が上昇したら、生産性の上昇というもののうちで、私たちが子供のときに教わったのは、三分の一は労働者にやるべきだ、それから三分の一は大衆サービス、料金を下げるため、あと三分の一は企業が将来の状態において波濤に対処するように積み立てたり、また株主にも返さなければならぬ、こういうことを私たちは教わっておったわけですが、このごろはどういうことか、生産性が上がると全部渡す、こういうことで、これは企業もお互いに悠久なのでありますから、やはりいまのままで全部前取りしてしまうということは、実際からいえば、一年間くらい前にあがった実績を見て給料に精算をする、もう一年くらいたってまた実績があがったらまた精算をするというような新しいルールでもできるならばこんな問題は回避できるのかなあと、実際私も寝ないで考えておるわけであります。そういう意味でひとつ御理解いただきたいと思います。
  74. 平林剛

    ○平林委員 関連して。いま大蔵大臣は、公労協をはじめとするストライキが戦後最大のものであって、これを回避するために、政府としても真剣に検討し、そしてまた調停案を尊重する態度を打ち出した、こういう答弁のように聞こえたのですけれども、若干筋が違うんじゃないかと私は思うのです。つまり今日一般の勤労者なりあるいは政府関係の機関の職員の生活状態から考えまして、物価の上昇も相当あるし、そのために生活も苦しいだろう、同時にまた企業における生産性の向上もあり、これに対して見合う賃金も考えねばならぬ、そういうことを含めて考えて、政府としてはこの際真剣に取り組まねばならぬ、こう考えられて、そこで調停案尊重ということを打ち出すようになった、こういう御説明がないと、あなた、ストライキをやれば考えなければいかぬということになりますよ。私は、そういう意味では、今日までの政府の態度が欠けていた点があった、物価上昇に対する国民の生活あるいは企業体の職員の条件が低下していったことについて少し気がつくのがおそ過ぎた、こういうことがいえるのじゃないですか。そして紛争を今日まで拡大してきたという責任はやはり政府にもあるということをあなた自身腹の中に入れておかなければならぬと思うのです。その認識、そういう考え方がある程度わかってきたので、ひとつストも回避せねばならぬし、同時にまたこの際調停案を尊重して、少しは待遇の改善に貸そう、こういう考えが政府によみがえってきたのだ、こういうふうにひとつ御答弁を直してもらいたいと私は思います。
  75. 田中角榮

    田中国務大臣 そのとおりでございますと申し上げればいいのでございますが、そうじゃないのです。やはり逆なんです。それは私のほうでは初任給六百円というのを出しておるのですから、政府は、私のほうとしては、労働者に対するものは、もう十分配慮はいたしておりますが、しかしどうもいまあなた方が申されるように、労働者だけの問題を考えておるわけにはいかないのです。われわれはやはり国民全体を考えてやらなければならない立場にありますので、いろいろ考えた末、まあこういうことだということで出しておるわけです。そうして私はほんとうに腹を申し上げると、いままでわれわれが気づくことおそかったんではなく、八条国移行という歴史的な事態を迎えておるのですから、分けるならば来年まで延ばして、もう少し世界の波動も見ながら来年になってから分けようというのがほんとうの腹なんです。そうでなくて、戦後初めてのゼネストをやる、国民の血で血を洗うようなことはいまはなるべく避けたい。あなたのほうでもほんとうにつらいからストライキを打つのだと言うし、こっちも打てば違法性でもって処罰しますよ、国民にこんなことを言わなければならない事態にやはり目をおおうてはならない、こういう考えで、お互いがこんな事態を迎えれば国民が迷惑するのだという考えに立って、こっちも忍ぶべからざることを忍ぼう、ないものでも仲裁をされるならば、第三者調停があるならば、誠意を持って考えましょう、こう言ったのでありまして、われわれがいまままで出すべきものを出さぬでおって、悪いことに気づいてやったというような考えは遺憾ながら違うのであります。これはどうぞひとつ御理解願います。
  76. 平林剛

    ○平林委員 あなた大蔵大臣として、また民主政治家としてそういうようなことが許されますか。要するにストライキをやったから賃金引き上げるのだ、あるいは尊重するような態度も出したのだ、大蔵大臣、あなたも民主政治家としてそういうことだけでございますなんということが言い切れますか。大体六百円くらいの定昇分で、今日の国民生活が、たとえ公共企業職員といえども国民ですよ、それがそれでもできるなんという考え方が第一間違っていたんです。こういう点を政府としてもしっかり反省しなければいかぬ。ゼネストをやったから出したんだ、こういうことはむしろ悪例ですよ。私は、そういう意味ではむしろ政府といたしましては、今日の物価上昇が三年間に二五%になった、ことしもまたいろいろ施策をやってみたけれども物価上昇で国民の生活も苦しいが、同時に公共企業体の職員も同じように苦しい。そういうことを考えると、六百円程度では、これはあなたがそんなことを考えたら調停委員会が出される判断というものは、またその認識の度合いを判断されますよ。私は今度の場合に、やはり政府の責任というのは非常に大きかったと思うのです、公共企業体の職員をここまで追い込んできたということが。ところが国民生活の実情ということを知らなかった政府はそういう責任をやはり追及されなければならぬと思うのです。あなたの答弁、もう少し——ただ政府の今日置かれている立場だけを考えてものを考えちゃいけませんよ。私はその点、政府に対しても警告を発しておきます。
  77. 卜部政巳

    卜部委員 では先ほどの続きですが、ちょっと……。十八歳と四十歳でいいです。
  78. 阪田泰二

    阪田説明員 先ほど御質問のありました点、まずお答え申し上げたいと思いますが、私ども申し上げておりました民間企業労働省の毎月勤労統計調査報告でありますが、この分で、一番わかっております近い時期の一年の平均をとりまして比較をしてみたわけでございますが、この中のたばこ製造業の現金給与総額比較であります。たばこ製造業が三万八千二百九十八円ということになっております。これに対して類似業種の平均給与比較してみますと、たとえば食料品製造業におきましては三万二千五百六十七円でございますので、食料品製造業は、専売を一〇〇といたしますと八五%といった給与になっております。同様なことで比較してみますと繊維工業専売の五四・七%、ゴム製品製造業が六三・二%、紙製造業、これは専売よりやや高いのでありまして一〇九・八%、同じく印刷業もやや高いのでありますが、一〇二・六%、医薬品製造業は九五・九%、民生用電気機械器具製造業六五・八%……。
  79. 卜部政巳

    卜部委員 ちょっと総裁モデル賃金で言ってください。いま私が質問したようなことで……。
  80. 阪田泰二

    阪田説明員 わかりました。まあそういう数字になっております。それを毎月きまって支給する給与と、あるいは生産労働者、事務労働者というふうに分けてやってみましても大体同じような数字が毎勤の調査によると出てくるわけでございます。  それから先ほど御指摘ございました中労委調査でありますが、この調査は現実の賃金調査でありませんので、モデル賃金調査といいますか、一体こういう給与制度のもとにおいてこういう年齢、こういう経歴の人がどういう賃金、どういう収入があるかということを想定して調査して比較してみたもの、こういうように承知しておりますが、その調査の内容を拝見いたしますと、多少いろいろと見方が、比較するにはどうかと思われるような点がございまして、たとえば専売職員給与につきましては、これは組合員に適用される給与体系だけを認定し、また基準内給与だけを計上しておるように見られますが、民間のほうのモデル賃金調査におきましては、全体の職員につきまして、給与体系につきまして算定し、かつ基本給以外にいろいろの、特殊作業給、役付給、将励給としまして精勤給、皆勤給、通勤手当あるいは住宅手当、いろいろそういったような式のものがすべて含められて計上されておるようであります。いろいろそういう内容に立ち入って分析してみますと、必ずしも中労委調査による賃金比較そのものが正鵠を得たものというふうには私どもは考えていないわけでございます。
  81. 卜部政巳

    卜部委員 まあ答弁されておらないわけですが、そうすると中労委調査を無視するとあなたはおっしゃるのですね。こんなものはもう権威がない、こういうことが断言できるわけですね。
  82. 阪田泰二

    阪田説明員 無視するとは申しておりませんので、このモデル賃金がどういう算定方法によりまして調査されたものか、そういう内容に立ち入って検討してみますと、直ちにこの表面に出てきた数字のみを比較して高い、安い、どういう比較であるということを論ずることは適当でないのではないか、こう申しておるわけであります。
  83. 卜部政巳

    卜部委員 ことばをかえて言うならば、やはりこの点については適切でたい、こういう御答弁だと思うのです。そのことは別にあとから申し上げることにしまして、そういたしますと、あなたのほうの資料に基づく私の質問の十八歳と四十歳の平均をひとつ出してみてください。
  84. 阪田泰二

    阪田説明員 ただいまの件でありますが、公社といたしましては、中労委のやったような形による調査というものはいたしておりませんので、ただいまのような数字はちょっと私から申し上げかねます。
  85. 卜部政巳

    卜部委員 各企業におきましては、これはみなやっているんですよ。そういうことをやっておらなくて中労委のその資料云々だなんと言うことは、私は口幅ったい言い方じゃないかと思うのです。しかしまあその点については、あまり追及してもしようがありませんが、少なくとも私の持っておる公社資料でございますが、これは二十五年に採用された方ですが、この方が現在二万二百円ですね。この基準賃金、いわゆる公労協のこの基準賃金のそれにも二万五千百五十一円というのが、これが十二年でそのとおりであります。にもかかわらずもうこれは十五年ですか、三年オーバーして二万二百円、こういうような賃金でありながら、公社職員民間よりもいいと、こういうふうなことを言われる。   〔委員長退席吉田(重)委員長代理着席総裁のセンスを私は疑いたくなるわけですが、この点についてひとつ印刷のほうも来られておりますが、どうですか、印刷局長、この点印刷のほうはどういう水準になっておりますか。
  86. 羽柴忠雄

    羽柴政府委員 印刷局のほうは、高いとか低いとか、いろいろございますので、必ずしも一概には申し上げるわけにはいきませんが、五百人以上、これは労働省の毎勤統計でございますが、規模五百人以上の常用労働者の月間給与額の比較という資料がございますので、それに基づきまして御答弁いたしますと、印刷局の月間給与額が二万九千七百四十三円ということに相なっております。それから製造業につきましては二万四千二百四十九円、印刷局を一〇〇といたしますと八丁七%という数字が出ております。それから紙パルプ製造業を例にとりますと、二万八千三円、これは印刷局を一〇〇といたしまして九五・八%でございます。しかし出版、印刷、新聞、雑誌関係をとりますると、三万三千二百七十一円、印刷を一〇〇といたしますと一二・九%でございます。かような状況でございますので、一概に印刷局と民間給与との比較を申し上げるようなことは、ちょっと困難かと思うわけでございます。
  87. 卜部政巳

    卜部委員 いま印刷局長説明、というよりも御発言によりましても、民間のほうが指数としてはるかにいいということになっておりますね。その点について総裁のほうは、これはいわゆる専売公社は絶対に大丈夫だなどという発言なんですが、これでは公社のほうの職員は浮かばれないと思うんです。そのことをまあ盛んにやってもしようがありませんが、しかし少なくとも今度の公労協のいわゆる要求について、専売公社自体が、労組が要求していることについて、総裁はどう思われますか。これはやはり上げてやるべきだ、五千円ですね、いまの状態ですから六千円ですか、これについてはどうですか、総裁のお気持ちですよ。
  88. 阪田泰二

    阪田説明員 これにつきましては先ほど申し上げましたように、専売公社といたしましても十分検討いたしました結果、これは公労法、日本専売公社法に定めるところによりまして、当然物価の状況あるいは民間給与との比較あるいは公務員給与との比較、こういったようなものを基礎にして判断すべきものであると思いますが、そういう検討をいたしました結果上げる必要がないという結論を出して、そういうことで組合と交渉もいたしておるわけでございます。ただ先ほど申し上げましたように、初任給の点につきましては、公務員給与あるいは民間の実情と比べましてやや低いという点が認められますので、この点につきましては、これも最初に申し上げましたように六百円を引き上げる、それに伴って必要な改定をする、こういうことでただいま考えておるわけでございます。
  89. 卜部政巳

    卜部委員 主計局次長質問いたしますが、大蔵省にも予算の締めつけという問題がいままで出てまいっておりましたけれども定期昇給分は何%入っているわけでありますか。
  90. 澄田智

    澄田政府委員 三・五%でございます。
  91. 卜部政巳

    卜部委員 従来は何%でございましたか。
  92. 澄田智

    澄田政府委員 大体三・五%でございます。三・六とかその前後で多少動いている年はあるようでございますが、三・五%前後とお考えになっていただいて間違いないと思います。
  93. 卜部政巳

    卜部委員 三・六か五くらい、そういうふうに思っていただければ間違いない、このことばは完全に間違いないということでいいのですか。
  94. 平井廸郎

    平井政府委員 三・五%ないし三・六%というのが間違いがないかという御質問でございますが、これは一応現在職にあります者が毎年一回ぐらい定期昇給をするという場合におきまして、理論昇給値というものが一応計算されるわけでございます。ただ一方におきまして新陳代謝等が行なわれて、新陳代謝によりますと大体給与は下がるわけでございますので、そういったものも総合勘案いたしますと三・五ないし六で足りるということになろうかと思います。もちろん公社等の特殊性といたしまして、給与体系自体労使双方の団体交渉できまるわけでございますから、その給与表のつくり方いかんによっては絶対に足りるとか足りないということは言えないわけでございますが、そう大きな人員の異動がない限りにおきましては、大体過去の経験等から見まして十分であろうと考えております。
  95. 卜部政巳

    卜部委員 この間の一番最初の質問のときに、銀行課長発言の中にもありましたが、定昇は五%並びに七%までは云々、この点はどういうことなのですか。五%まではいいということを認めているのじゃないですか。いかがなものですか。
  96. 澄田智

    澄田政府委員 ただいまの銀行局のそういうふうな発言というのは私よく知りませんのでわかりませんが、これは関係行政の範囲ならばおそらく銀行、金融機関の給与についてのことだろうと思うのでありますが、金融機関でもいろいろございますし、それがこの場合の定昇というものと関係のある問題とは思われませんので、発言自身も存じませんが、かりにそういう発言があったとしても、その点については全然別個のものであろうと思うのであります。
  97. 卜部政巳

    卜部委員 公労協の内部にさえこの五%の定昇の問題が出てきているわけです。現実に三・五%で締めつけをされておるのが現状だと把握しているわけです。そのことは別問題といたしまして、ともかく三・五%で抑えておる定昇の問題と、先ほど堀委員のほうから予算総則の問題でもって質問をされておりました問題とをからめてみますと、さらにまた専売公社総裁発言等をからめて考えてみましても、とにかく大蔵省がすべてをぐっと押えつけちゃって、もちろん予算がそうなんですからどうにもならぬわけですが、その中には企業の自主性、独自性というものが全然無視されておる、こういうことが私は言えると思うのです。そういう点もありますが、さらにそういう問題についていろいろ追及していきますと、数限りないことでございますが、時間もまいりましたので、最終的な結論として、ともかく生活が向上したとはいいながら、カロリーの問題、さらには食生活の問題の中からながめてまいりますと、労働者の置かれている立場がいかにみじめであるかということを十分に私は勘案していただいて、各事業局のほうにおきましても、単に大蔵省から頭を押えられておるから、身の安全をはかるために正直なことも言わぬというようなことじゃなくて、やはり自分の使っておる部下がほんとうに豊かに潤いのある生活ができるように堂々と発言をすべきでもあるし、さらに政務次官にも申し上げておきますが、その面に向かっては少なくとも先ほど平林委員のほうからも指摘したように、ストライキをやるからということで、自分たちの責任を労働者に転嫁しながら法律を守れとかなんとかいっておりますが、結果的には自分たちの政治の貧困と、さらにまた労働者に対するあたたかい愛情がない結果がそういう結果をもたらすのだということをひとつ十分に御認識をしていただきまして、今度の春闘についても、いま違法だとかさらには国民に迷惑がかかるというようなことが言われておりますが、国民に迷惑のかかるようなストであるならば、それだけに重要な役割りを持つ職員に対しては、もっと配慮をすべき必要があるのではないか、この点を強く申し上げまして私の発言を終わりたいと思います。
  98. 吉田重延

    吉田(重)委員長代理 有馬輝武君。
  99. 有馬輝武

    ○有馬委員 総裁にお伺いしたいと存じますが、公共企業体等労働関係法の第八条に言うところの団体交渉に関しまして、専売公社は何%くらいの当事者能力を持っておられるか、これを最初にお伺いしたいと思います。
  100. 阪田泰二

    阪田説明員 公労法八条に書かれております団体交渉につきましては、これは専売公社側といいますか、使用者側になります専売公社としては、一〇〇%団体交渉の権限を持っておるわけでございます。
  101. 有馬輝武

    ○有馬委員 一〇〇%持っておられるのですか。
  102. 阪田泰二

    阪田説明員 もちろん私ども法律範囲内あるいは国会できめられました予算なり予算総則、そういったものの範囲内でやらなければならないわけでありますが、そういう意味の権限という意味においては一〇〇%持っておる、こう考えております。
  103. 有馬輝武

    ○有馬委員 次にお伺いしたいのでありますが、毎年度給与準則を定めることになっている、これについて現状認識をどのようにしておられるかという問題であります。これはよその例でありますけれども、最初に給与課長にお伺いしたいと思います。実は平井さんも見られただろうと思いますが、けさの新聞で「走る国電運転士が狭心症発作危うく新橋で急停車」そういうことが出ておりまして、私は堀君みたいな医者にこれは十二分に承らなければならぬと思うのでありますが、狭心症が出るというその原因、これは過密ダイヤに対する、三秒間に一回ぐらい信号を確認しなければならないといった情勢の中で、たとえば二十五年勤務で手取りが家族五人くらいあって三万円くらいしかない、そういう状態の中でこういった重労働に追い詰められてしまうと狭心症にもなろうと私たちはしろうと考えに考えるわけでありますが、この給与準則について、各公社で定められたものについて大蔵省はどの程度の示唆を与えられるのか、これを給与課長のほうからまず第一にお伺いしたいと思います。
  104. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 御質問趣旨、ちょっと必ずしも明確でないと思いますが、過去の経緯によりますと、過去数年間は常に公労委の仲裁裁定によりまして給与ベースアップの率等は定まっておるわけでございます。これに基づきまして各公共企業体の当事者間におきまして団体交渉が行なわれて、これによりまして給与準則は決定されるのが例でございます。これによって決定されました給与準則につきましては、私どもとしては特に御意見は申し上げておらないわけでございます。
  105. 有馬輝武

    ○有馬委員 大蔵省としての考え方は全然いまだかって申し述べたこともないし、今後も申し述べるつもりはないということですね、給与準則に対しては。
  106. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 締結されました給与準則についてどうこう言うということは、これは公企体労働関係法の十六条に抵触しない限りにおきましては、御意見を申し上げる考え方はございます。
  107. 有馬輝武

    ○有馬委員 総裁にお伺いいたしますが、公社法の第四十三条の二十二で給与準則を定められる、その基本的な考え方についてお伺いをしたいと存じます。
  108. 阪田泰二

    阪田説明員 専売公社といたしましては、給与に関する事項、これは基本給に限らず各種の給与がございますが、すべて労働組合との団体交渉によりまして決定しております。団体交渉の結果できました賃金給与に関する団体協約が非常に多数にのぼってございます。その内容が現在におきましては給与準則そのものになっておるわけでございます。
  109. 有馬輝武

    ○有馬委員 問題は、先ほど初任給引き上げの問題について卜部君、堀君からいろいろ論議がされておるのでありますが、私がお伺いしたいと存じておりますことはただ一点だけでありまして、いまの専売公社の当事者能力という問題に限ってであります。先ほど第八条の労働協約の締結内容について一〇〇%の当事者能力を持っておられるということでありましたが、それにただし書きがついておる。問題は予算上あるいは能力の範囲内でという限定がついておりますが、その予算上という意味はどういうことなんですか。
  110. 阪田泰二

    阪田説明員 団体交渉の当事者能力としては私ども一〇〇%持っておると考えておりますが、先ほど申しましたように、公社として団体交渉して当事者として実行できないことは約束できないわけであります。そういう意味におきまして、予算上できないというようなことにつきましては、当方もそういう団体交渉でさような提案をして協約をするということはできないわけでございます。
  111. 有馬輝武

    ○有馬委員 その点がわからないのでありますが、団体交渉してたとえば第八条第二項の賃金について一つの結論が出る。その際にその出た協約の内容というものがフリーパスで公社予算として組まれる性格のものであるかどうか。ことしは第八条で三十九年度の基準内給与の額、基準外給与の額、そしてその総額が定められておりますが、これはいま総裁がおっしゃったような経緯を経て団体交渉できまってくれば、それがそのままこの額となって出る、そういうぐあいに理解してよろしいかどうかという問題であります。
  112. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 この点については二つの制約があるわけでございます。第一は、先ほど私が申し上げましたように、公企体等労働関係法の第十六条によって、予算上、資金上不可能な場合においては政府は拘束されないということを明記いたしております。そこで予算上、資金上可能になるかならないかという問題でございますが、先ほど堀委員の御質問の際にございましたように、給与総額範囲内において団体協約が締結される場合におきましては、これは予算上可能であるということは当然言えるわけでございまして、その場合におきましては当然政府としてもこれを認めることになろうかと思うわけでございます。ただ、給与総額を動かさなければならない、こういう場合におきましては、それぞれ予算総則におきまして総額を動かし得る場合を限定いたしておるわけでございまして、その限りにおきまして必ずしも直ちに公企体の締結された団体協約をそのまま実施し得ることにはならぬかと思います。
  113. 有馬輝武

    ○有馬委員 時間的にずらした論議は避けていただきたいと思うのです。同じ時点においてこの問題をとらえなければいかぬと思うのですが、そういった意味で第十六条の予算上、資金上の問題についてはどこが判断するのですか。
  114. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 これは十六条にはっきり書いてございますように、政府を拘束するものではないということでございますので、政府として判断するわけでございます。
  115. 有馬輝武

    ○有馬委員 政府を拘束するものではないけれども予算上、資金上可能か不可能かというのはどこで判断するかということをお伺いしているわけです。
  116. 澄田智

    澄田政府委員 結局政府が判断するわけでございますが、その場合の政府というのは、国庫大臣としての大蔵大臣、場合によってはもちろん内閣、こういうことになるわけであります。
  117. 有馬輝武

    ○有馬委員 それは国会じゃないのですか。その点はっきりしてください。
  118. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 公企体労働関係法をごらんになるとおわかりになりますように、十六条第一項におきまして、「公共企業体等の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。又国会によって所定の行為がなされるまでは、そのような協定に基づいていかなる資金といえども支出してはならない。前項の協定をしたときは、政府は、その締結後十日以内に、事由を附しこれを国会に付議して、その承認を求めなければならない。」というふうに書いてございます。したがいまして、最終的に予算上、資金上不可能であるかどうかという点の御判断は、あるいは国会においてされることになろうかと思いますが、少なくとも予算上、資金上不可能であるかどうかを判断して国会に承認を求める行為をする責任は政府にあるわけでございます。したがいまして、その前段階として政府としてこれが予算上、資金上不可能かどうかという判断を下すことになるのは当然であろうと思います。
  119. 有馬輝武

    ○有馬委員 先ほど大蔵大臣からも答弁がありましたけれども初任給の六百円引き上げ程度であるという判断を出された根拠を、この際お聞かせいただきたいと思います。
  120. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 初任給を六百円引き上げ初任給調整を行なうことが妥当かどうかということは、公社のほうからおっしゃっていただいたほうがいいであろうと思いますが、このような措置をとるために財源が要る、そういった財源措置をとることが妥当かどうかということについて判断した根拠についてお答えを申し上げたいと思います。  これは堀委員にも先ほどもお答えしたわけでございますが、今度公社で考えておられます初任給調整というのは、先ほども一申し上げましたように、六千万円程度の所要原資でございます。給与ワクに対しまして、千分の二何がしという程度のきわめて微々たる金額でございます。したがいまして、公社予算の実行上、給与ワク範囲内において、その程度のものを捻出することは可能であろうと公社も判断しておられるわけでございます。私どもといたしましても、この程度のものであれば可能であろう。しかも初任給引き上げ自体は、民間企業等に対抗して職員採用してまいるためにも、緊急やむを得ない措置であると考えたわけでございますので、こういった点を総合勘案して、政府として妥当であろうという判断をいたしたわけでございます。
  121. 阪田泰二

    阪田説明員 初任給の点につきましては、公務員初任給、あるいは民間の各会社で実行しております初任給、いろいろ調査いたしました結果、現在の初任給水準が、民間に比べ、あるいは公務員に比べてやや低いのではないかという結論を得ましたので、六百円の引き上げという案をつくりました。なおこれに伴いまして、関係のある調整を要する点につきましても、若干の調整をいたす、こういうことにきめましたわけでございます。
  122. 有馬輝武

    ○有馬委員 それでいまの点について、先ほど卜部君、平林君からも、現在の給与水準がはたして妥当かどうか。たとえば家族構成が二・七人くらいで、経歴が二十年くらいで、現在もらっている賃金がはたして妥当かどうか。これは一つの例にすぎませんけれども、現在の給与水準について、専売公社総裁として先ほど当事者能力は一〇〇%あるとおっしゃったのだけれども、その一〇〇%ある総裁がどのような判断を下しておられるかということを、この際お聞かせいただきたいと思います。
  123. 阪田泰二

    阪田説明員 先ほど卜部委員の御質問に対して申し上げましたように、公務員給与との比較、あるいは民間給与との比較等も検討いたしまして、初任給の点につきましては研究を要しますが、一般的な賃金としては決して低くはないという結論を出しておるわけでございます。
  124. 平林剛

    ○平林委員 関連。いまの総裁の御答弁はきわめて不満足でありますから、別な角度でお尋ねします。  あなたのお答えを聞いておると、初任給を六百円上げれば、現在の専売公社給与水準は妥当であるというふうに聞こえるわけです。  物価の上昇、あるいは生産性の向上、企業に対する貢献等を考えますと、やはりこの際相当思い切った給与引き上げ措置が妥当であるし、そういうことを求めるのは無理がない、こう判断するのでありまして、総裁とは全く見解が違います。  そこで、国鉄総裁がこの間国会においでになって発言をされたのを阪田さんお聞きになったと思います。国鉄の総裁は、現在の国鉄職員給与というものは生命をかけてそして働いている。それに対して現存のような給与は低過ぎる、上げるべきである。例をあげて専売公社を言われました。たばこをつくっておるようなところと比較して、国鉄の職員はうんと上げねばならぬ。私は、これは国鉄総裁の放言だと思いますけれども、しかし少なくとも国鉄の総裁は、その職員の働きぶり、あるいは労働条件等を考えて、給与引き上げをせねばならぬと積極的に発言をされておるわけであります。専売公社総裁どうですか。そいういうことは私はまことに遺憾と思うので、現在の専売公社企業能力、国家の財政に寄与する割合、そして最近も企業の合理化によって、相当能率の高い機械が入り、工場状態は革命的様相を示しております。一分間に二千回転も回るような機械、そういうものが続々とでき上がって、そして労働密度というものも急激に強化しておる。こういうことを認めて、公社総裁も国鉄の総裁も、八分や九分くらいの発言をしてもらわなければ困る。もう少し専売公社総裁はハッスルしなければならぬ。国鉄の総裁に比べていまの御答弁はきわめて不満足です。私はやはりほんとうの腹は、専売公社阪田さんともあろう人は、予算上、資金上いろいろな都合があれば、給与は相当に大幅に上げたいというお気持ちがあると思いますけれども、いかがでしょう。そういうお気持ちは全くない、六百円上げればそれでいいと思っていますといまでもお答えになりますか。ほんとうの腹をお示し願いたい。
  125. 阪田泰二

    阪田説明員 公社職員給与の問題につきましては、私ども公社企業内容を向上さしていく、生産性を上げていく、こういった状態に伴いまして解決していかなければならないと思います。将来の方向としてはそういう方向を考えております。ただ、いまの段階におきまして、いろいろな公社法その他に定める基準検討いたしました結果、引き上げる必要があるかというと、こういうことはない、こういうことを申し上げておるわけであります。   〔古田(重)委員長代理退席、委員長着席〕
  126. 有馬輝武

    ○有馬委員 きわめておおらかに答弁されるのですけれども、非常にこれは問題でありまして、私は何も一専売公社の問題じゃないと思います。これは給与課長にぜひこの際お伺いしたいと思いますが、たとえば、いま平林君から国鉄の例も出されましたけれども、その国鉄職員で、四十歳で二十五年勤続小学校五年をかしらに子供が三人あって、それに母親、それで三万二千円の手取りだ。だから奥さんが結局輸出用セーターの編みものの内職をして、月四、五千円を取ってこなければどうともならない。これが私は一般の現在の公企体労働者の置かれておる給与の実態ではないかと思うのであります。それでなければ、幾ら総評の幹部が旗を振っても、十七日のストライキなんていうものは組めるものじゃないのです。私がここでお伺いしたいのは、政府として、こういった職員の実態をどのように把握しておられるか。いま専売公社総裁がおおらかに答えられみけれども、そういう認識のしかた、それ自体が今度の十七日のストライキを組まなければならなくなってきた。二カ月間も団体交渉の中でゼロ回答しかしなかった、その政府の態度が出てくる認識それ自体に問題があるのじゃないか。いま私が具体的な例をあげましたけれども、こういったものがほんとうに妥当なのかどうか、ほうっておいていいのかという点についての給与課長の見解を伺いたいと思います。
  127. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 給与水準がどれ程度であるべきかという点については確かに御議論のある点だと思いまかが、ただいまの公社法等のたてまえからいたしますと、公社職員給与というのは民間給与並びに公務員給与とのバランスをとって考えるべきだという観点に立っておるわけでございまして、その限りにおきましては現在のところそれを引き上げることについてはなかなかむずかしい問題があると私どもは考えております。
  128. 有馬輝武

    ○有馬委員 ぼくが伺っておるのは、確かに賃金の問題を考える際にバランスということは非常に必要です。がしかし、まず大蔵省として見なければならないのは、大蔵省給与担当課長として見なければならないのは、それだけで食えるか食えないか、抽象論じゃなくて、これは私課税最低限の問題で論議をしましたときにも、また前に村山さんが主税局長だったときも論議をいたしたのでありますが、とにかく一週間ラーメンだけ食っても足りないような算定の基礎をする、そこに問題があるというのです。バランスも必要です。がしかし、いまあげたような例ではたして妥当かどうかということを私は具体的にお伺いしておる。
  129. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 具体的の事例に限ってどうこうという点は私ども率直に申し上げてお答えできないと思うのでございますが、全般的な水準議論として私どもとしては考えざるを得ないわけでございます。具体的な事例はさらにその配分の問題として御議論をいただくべきであろうと考えておるわけでございます。その全体の水準といたしましては、先ほども申し上げましたように、ただいまの公共企業体のたてまえはあくまでも民間給与並びに公務員給与とのバランスをとって考えていく、そういう観点に立っておるわけでございまして、その限りにおいて先ほど公社総裁並びに政府委員からも御答弁がありましたように、現在の段階では初任給調整程度でやむを得ないのではないかというふうに考えております。
  130. 有馬輝武

    ○有馬委員 ここであなたとこうやって熱を出して論議をしている間に、実は黒金氏はもう申し入れの趣旨を十分に検討するし、出せるだけの資料は出してあるというので、大体どの程度の調停が出るかということも頭の中に入れながら論議しているわけです。ただ問題は平生の——公企体労法で規定されておるこの団交の内容なりなんなりというものをいまあなたが答弁したような形で制約していく、当事者能力を完全に失わせておいて、そしてただ法律の順守だけを説くその政府の根本的な態度が出るその基準に問題があると私は考えますから、私はいまみたいな質問をいたしたのでありますが、やはり現実というものを見つめて、公企体職員の貸金だけではなくして、国家公務員諸君の賃金についても常に考えていくという態度に立ち直ってもらうことを強く要望いたしまして、私のきょうの質問は終わりたいと思います。手
  131. 山中貞則

    山中委員長 国民金融公庫法の一部を改正する法律案企業資本充実のための資産再評価等特別措置法の一部を改正する法律案国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法等の一部を改正する法律案、及び安宅常彦君外九名提出国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案の各案を一括議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。平林剛君。
  132. 平林剛

    ○平林委員 私は、昨日企業資本充実のための資産再評価等特別措置法につきまして、政府提出をいたしました資料がかなり相違をいたしておりますから、その点について指摘したことをきょうはけじめをつけていただいて質問を終わりたいと思うのであります。  政府大蔵省調査として提出をいたしました再評価積立金の資本組み入れ状況、昭和三十八年九月現在によりますと、再評価の差益が第一次、第二次、第三次に累積をされて一兆三千四百三十五億円、そして再評価税及び取りくずし額が八百八十五億円、資本の組み入れ額が五千四十一億円、再評価積立金残高が七千五百九十億円、資本組み入れ割合がしたがって四〇・二%と説明がございましたけれども、私昭和三十四年度の調査を当時の資料でいたしました。そうすると、再評価の差額の一兆三千四百三十五億円、これは変わりはございませんけれども、再評価の税及び取りくずし額は当時の調査で一千九億円になっておるわけであります。資本組み入れ額は二千百十七億円、当時の再評価積立金残高はしたがって一兆三百九億円になっておるのです。これはやはり同じ大蔵省提出した資料です。どうして三年たつとこういうふうに変わるのかという点を指摘いたしたわけであります。少なくとも、資本組み入れ額は今日までの努力によって二千百十七億円から五千四十一億円まで組み入れられた事績はわかります。しかし、再評価税及び取りくずし額が千九億円と八百八十五億円では相当な開きがある、これはどういうわけかということを指摘しておいたわけであります。調査するようにお願いしてありましたが、その結果いかがですか。
  133. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 お答え申し上げます。  前会平林委員から御指摘がございましたので、調査いたしました。三十四年にお話しのとおりの資料提出しております。私どもそのことについて十分承知しておりませんために、前会十分に御説明ができなかったことをたいへん恐縮に存じております。そこで、この両者の違いの点でございますが、三十八年現在申し上げました数字、再評価差額が一兆三千四百三十五億円、これに対しまして資本組み入れ額が五千四十一億円、再評価株立金銭荷が七千五百九十億円、再評価税及び取りくずし額が八百八十五億円という数字を申し上げたわけでございますが、この数字は全法人についての数字でございます。再評価差額の一兆三千四百三十五億円の数字は、お話のとおり変わっておりませんが、その他の資本組み入れ額あるいは再評価積立金銭高は、法人企業統計あるいは発行株式統計季報等によりまする全法人の数字から算出いたしたわけであります。法人企業統計あるいはただいま申し上げました発行株式統計季報というものは全法人の数字を出しておりますが、数十万にのぼります全法人の個々数字を、悉皆調査をいたしまして集計いたしたものではございません。サンプリングによりますある程度の推計をいたした数字であるわけでございます。その結果多少の誤差が出てまいる性質の数字でございます。そういう意味で、前回も同じような方法で数字を出したわけでございますが、基礎になっております法人企業全体の統計自体に、サンプリングによる一部推計の方式が取り入れられておるという結果、御指摘のような一兆三千四百三十五億の再評価差額に対しますると、一千億と八百八十五億、約九百億というような五%程度の誤差が出てくるわけでございます。そういう意味で今回の数字が正しい、あるいは前回の数字が誤りである、あるいはその逆であるというようなことを申し上げかねるわけでございまして、一部推計があるために数字全体について一、二%の誤差があるというふうに御了解をいただきたいと思います。そういう意味で多少の誤差はございますが、本法律案議論基礎になりました資本組み入れ額の数字が、全体に対して大体四割であるという数字については、あまり違いはないというふうに考えております。
  134. 平林剛

    ○平林委員 大体私ら、大蔵省提出した資料というのは、相当権威のあるものとしていままで委員会の審議に臨んでおるのです。ところが三年たつとこういうふうに違ってくるということは、結局大蔵省当局が——再評価税はあまり動かないと思いますけれども、取りくずし額についてわりあいと甘い考え方を持っているのじゃないか。せっかく再評価した差益は本来株主に返るべきものですよ。それをいろいろな理由をつけて取りくずすということは、大体経営者としてはふらちな考え方なのです。そういうことに対する大蔵省の管理というものがずさんであるということの証明です。  大体今回提出した資料だってそうでしょう。いま法人企業統計あるいは発行株式統計季報から逆算をして、再評価税及び取りくずし額は八百八十五億円だというけれども、算術計算してごらんなさい、八百八十五億円にならぬじゃないですか。八百四億円でしょう。これは子供の算数だって出てくるのです。これは印刷の間違いというわけじゃないでしょう、きのうからさんざん説明されておるわけですから、委員会において正式に訂正をしておいてください。
  135. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 たいへん恐縮でございます。いままで申し上げましたのは印刷のミスプリントでございまして、再評価積立金残高七千五百九十億円となっておりましたが、数字が逆になっておりまして七千一五百九億円の誤りでございます。訂正させていただきます。
  136. 平林剛

    ○平林委員 私は、結局これは政府がせっかく資本構成の充実をはかるために再評価積み立て金の資本組み入れをやらせるにあたりまして、取りくずしについてかなり厳格な調査というものができていない証拠だと思う。数字のミスプリントはあまり追及しませんけれども、千九億と八百八十五億という違いが出てきたということは、そこに根本的な原因があると思う。私はそういう意味で、この再評価税及び取りくずし額の内容について、この機会に明らかにしておいていただきたい。
  137. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 再評価積立金の取りくずしにつきましては、資産再評価法の百七条に法律で規定をいたしてあります。それによりますと、再評価積立金の資本組み入れの場合のほかに、第一は再評価を行なった資産の譲渡等により譲渡損が生じた場合、第二に同じく資産の評価減が生じた場合、第三に欠損てん補に充当する場合、第四に資本準備金へ繰り入れる場合というようなことが法定されております。したがって、この法律に規定をしております事由に基づいて取りくずしが行なわれておるわけでございます。  そういう意味で、法律に基づいて企業法律の許す範囲内でやっておることでございまして、大蔵省の管理がまずいから誤差が出たというふうな問題でないと考えております。いまの誤差は、先ほど申し上げましたとおり、法人企業統計全体の推計の結果出てまいりますやむを得ざる誤差かと考えております。
  138. 平林剛

    ○平林委員 取りくずしにつきましては、この法律案趣旨から見まして、ある程度政府においてもその全体を把握していくという立場をとらなければ、せっかくこういう法律を出したって意味がないですよ。ですから、私その点は注意を喚起しておきたいと思うのです。  特に今後再評価積立金の残高七千五百九億円ございます。この法律によりまして資本組み入れを促進していくわけでございますが、この場合に、今後におきましても取りくずしが、いまいろいろあげられた欠損補てんだとかその他の事由で行なわれるということになりますと、せっかく出された法律趣旨を曲げることになるわけです。こういうことに対して、私は、政府が基本的な調査をしっかりしてもらいたいということと、取りくずしの場合にどういうような基準で取り扱っていくかということをこの機会にはっきりさしておいていただいたほうがいいのじゃないかと思うのであります。この基本的な取り扱い方について御説明をいただきたい。
  139. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 ただいまのいろいろ調査を十分にするようにという点は、これはもう十分いたしたいと存じます。  それから再評価積み立て金の取りくずしについてどういうような基準で、やるかというお話でございますが、ただいま申し上げましたように、資産再評価法第百七条に、法律ではっきりこういう場合に限り取りくずしができるという規定がございまして、これによって取りくずしをいたした場合には、企業から報告を出してくることになっております。したがって、この報告によりまして、法律に規定しておる事由による取りくずしであるかどうかを審査をいたすことになっております。
  140. 平林剛

    ○平林委員 そういう基準であれば、調査ができていないということ自体がおかしいですよ。しっかりやってもらいたいと思います。  そこで、今度の再評価積み立て金の資本の組み入れをしない会社千三十八社、実際には配当率との関係がございまして、この法律の適用を受けるのはしぼられて四百十九社ほどになるという御説明がありましたが、この四百十九社の中で、当たってみて、どういうような会社なんでしょうか——まあきわめて資本金の小さい中小企業の場合は、特に例をあげなくてもよろしゅうございますけれども、あなた方が考えられて、どうもこれは問題があるぞと思われるような企業等について、代表的なものはどんなものがございますか。産業的にお諾しになってけっこうですけれども、どういうものであるか。全般を少し把握をしておきたいと思いますから、検討した結果の様子を明らかにしていただきたいと思います。
  141. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 今後の配当の程度その他によって多少変わってくると思いますが、ただいま私どもが一応検討いたしました結果、概略を申し上げますと、業種的に見ますと機械工業、これが比較的多い、十以上、それから繊維も比較的多くて十以上、それから輸送機器、その次が金属製品、化学工業、食料品、それから商業関係、その辺が六、七、八という程度の推定をいたしております。個々の会社につきましても一応の推定はいたしておりますが、個々の会社名をあげることは差し控えさせていただきたいと思います。
  142. 平林剛

    ○平林委員 大体質問は終わります。再評価積立金を資本に組み入れるということは、資本の構成をよくするという意味の一助にもなるわけですから、法案の趣旨に従ってこれを促進するということは大いにけっこうなことだと思います。それによって資本金が大きくなれば、対資本金の利益率は下りますが、見せかけの利益率がなくて今後の無償交付とか有償交付という形で株主に還元されるわけでありますし、また配当水準が下がることは逆に言えば増資が多くなる、しやすくなるというような形で、特に趣旨としては反対すべきものじゃございません。ただ私ども日本の資本構成の中におきましては、これだけでなく、また他にも考えるべきものがたくさんあると思いますし、もっと大きく言えば、単に企業資本の構成だけをよくするということでなくて、そのまわりの環境、日本経済の体質全般について大きな目でお互いに考えていかなければならぬ点がかえって多いということだけを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  143. 山中貞則

    山中委員長 ただいま議題となっております各案中企業資本充実のための資産再評価等特別措置法の一部を改正する法律案に対する質疑は、これにて終了いたしました。
  144. 山中貞則

    山中委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。  おはかりいたします。本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  147. 山中貞則

    山中委員長 連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。  逓信委員会において審査中の電話設備の拡充に係る電話交換方式の自動化の実施に伴い退職する者に対する特別措置に関する法律案につきましては、本委員会の所管と関連がありますので、連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、連合審査会の開会を申し入れることに決しました。  なお、開会の日時につきましては、逓信委員長と協議の上決定いたしますから、委員長に御一任願います。  次会は、来たる二十一日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会