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河野(密)
委員 与党に十分の
理解が行き渡っておるならば私はけっこうでありますが、われわれの仄聞するところによりますると、必ずしもそうでないように見受けられまするので、私はこれを単なる労働問題の見地からだけでなしに、もっと広い視野からこの問題を
考えてほしい。そういう問題をぜひとも大いにPRしていただかなければならないんじゃないか。もし
与党に必要がないとすれば、少なくとも
国民にはそういうPRをしていただく必要があろうと存ずるのであります。
次に私が御
質問申し上げたいのは、この
ILO八十七
号条約と
国内法との
関係でございます。
ILO八十七
号条約は、御
承知のように
結社の自由についての問題を取り扱ったものでありまするが、その
結社の自由について
ILO八十七
号条約においてその
精神とするところはどういうところにあるか。こういうことを申しまするならば、本
条約の
骨子は、私の見るところによれば、
労働者及び
使用者ともに
結社の自由、
団結の自由が保障されるということ。
第二に、これらについて何人からも制約を受けないこと。自主的、独立的に
結社の自由を確保し得ること。
第三に、何人から、いわゆる
行政機関から解散を命ぜられることがないということ。
第四に、
連合体の組織は自由であるし、
国際連合体に加盟することも自由であること。
労働者及び
使用者の
団体は、
権利の行使にあたって、
国内法を尊重するという
義務を持つけれども、
国内法はその
条約の
精神に反するものであってはならないこと。
次に、本
条約適用の
除外例は警察官と軍隊であること。
それから、
団結権の自由を確保し得るよう適当な措置を講ずる
義務を負うこと。
こういうのが大体本
条約の
骨子であると私は思うのであります。
そこで私がお尋ね申し上げたいのは、本
条約と
国内法の
関係は、以上述べたように、
国内法に対して尊重の
義務を負うけれども、しかし
国内法は
ILOの
精神に反するものであってはいけない。この点が
ILO条約と
国内法との
関係の最も重要な問題であると思うのであります。
そこで、
ILO八十七
号条約と
国内法との
関係を見るにあたって、まず第一に本
条約と直接抵触するような、昨日も
質問がございました
公労法四条三項とか、
公労法四条一項ただし書きとか、
地公労法五条三項、
地公法五十三条一項などというものは排除しなければならないということ。
それから第二番目に、本
条約の
精神に合致しなければならないこと。
団体交渉の
制限であるとか、あるいは
政治活動の
制限であるとかいうような問題は、本
条約の
精神に合致しないものであると
考えられること。
第三に、本
条約の
眼目である
結社の自由が侵害されるようなことがあってはならない。従来
労働組合や
職員団体等が有していた諸
権利は、
条約が
締結されるということを
機会としてあくまでも保障されなければならない。ゆえなくしてこれを剥奪したり、剥奪を企図したりするというようなことがあってはならない。たとえば
在籍専従とか
チェックオフとかいう問題に対して、従来の
慣行上許されておるものを、本
条約締結を
機会としてこれを除去するというような企てはなさるべきものではないということ。
団結権の裏づけとして、
団体交渉権というものは認められなければならない。
こういう点が、本
条約と
国内法との
関係においてきわめて重要な点であると私としては思うのであります。
この一々について
総理にお尋ねするのはもとより適当でないかもしれませんが、少なくとも
国内法との
関係において、いま私が申し上げましたように、本
条約の
眼目である
結社の自由の
精神というものが、前向きに解決されなければならない。そういう
方向で
本国内法の
改正というものはなさるべきものである、こういう点について
総理の御意見を承りたいと思います。