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吉田参考人 お答え申し上げます。
海外経済協力基金は、ちょうど三年前の三月十六日に設立されました。その前身と申しますかは、東南アジア開発基金というのが、そのたしか二年くらい前から、例の三十一年か二年でございましたか、予算が余ったのを積み立てておくという形で設けられまして、それが輸出入銀行に特別勘定として預託されております。当時は東南アジアにおける国際的な開発金融
機関をつくるためにその基金を活用するということでございましたけれ
ども、そういった国際
機関がなかなか実現いたしませんで、一方
経済協力に対する要請もだんだん強くなってまいりましたので、ただいま申しましたとおり、三年前の三月に
海外経済協力基金として発足したわけでございます。いままでのそれ以前の基金は一種の特別勘定にすぎなかったわけでございますが、今日の基金は法律によりまして一個の法人格、特別法人として設立されたわけでございまして、そして目的は東南アジアその他開発途上にある国々に対する産業の開発に必要な資金を供給するということが目的とされたわけでございます。しかし同時に、その場合において、市中銀行並びに輸出入銀行が通常の
条件で融資することが困難な場合に発動するのだというふうな法律の規定のもとに動いておる次第でございます。したがって目的は
海外、ことに低
開発国の産業開発に資するための開発
事業に資金を供給するというのが目的でございまして、そして単なる金融
機関と異なりまするのは、単なる融資ばかりではなく、必要がある場合には融資にかえて出資することができるという点と、そういう低
開発国の開発に関する調査をすることができるという点が、普通のところと多少違った色彩を持っておるわけでございます。同時に資金といたしましては、当初、先ほど申しました特別勘定である開発基金として積み立てておられました金額のほかに五十億を追加するというような形で、約百億余りの資金で出発したわけでございます。それからその後、その翌年
資本金がさらに増額されまして、現在では百六十九億余りの
資本金と相なっております。
それで
事業のほうでございますが、
事業につきましては、そういう
意味では各低
開発国の産業開発ということでございます。それも従来輸出入銀行で普通めんどうを見ておられるような案件ではないと申しますか、輸出入銀行では見切れないというような事案ということに相なっておったわけでございます。ということは、輸出入銀行がめんどうを見られる、通常の
条件で融資できるという事案は、比較的
経済的にも、あるいは国際的なつき合いの上でも非常にわかりやすいケースが多かったわけです。協力基金が
対象として取り上げなければならない事案というのは、いわば非常な難問がたくさん残されておったわけであります。したがいまして、これらの事案につきましては、国内における難問ばかりでなく、むしろ相手方との交渉上の難問、たとえば低
開発国で
中央銀行といってもぐらぐらしておって、なかなか話が通用しないか、あるいは政治不安がいろいろある。あるいはインフレが思いもかけずに起こってくるとかいうようなことにわずらわされまして、最初の二年間で大体二十億の資金を支払い承諾するというところまでしか進んでおりませんでした。これはむしろ問題
自体が平明な問題でなかったということによるかと存じますが、そういうことで、ある
意味では資金をいたずらに要しているんじゃないかというふうなおしかりをしばしば受けておったわけでございます。しかし同時に
政府からお預かりした大事な資金でございますので、ある
意味ではできるだけ有効に、むだのないように運用させたいというような方向でも努力してまいりました。しかし、だんだんときがたつにつれ、個々の案件ごとの難問も
一つずつ解消されたというようなことで、本
年度に入りまして比較的話が進捗いたしまして、支払い承諾と申しますか、これだけお貸ししましようという約束の段階ではその後六十億あまりふえまして現在大体八十五億くらいの残高になったかと存じます。しかしこれは約束をいたしましても、いわば工場の建設にいたしましても、工場の建物ができて初めて機械が送られるというようなことで、現実の資金の供給についてはまだそれよりもかなりおくれております。そういうことで、現在の貸し出し残高は大体三十八億でございますが、承諾額はすでに八十七億というふうに了承してまいりました。初めの二年間は年間大体十五億というきわめて低い率でございましたが、今年に入って仕事がとけ始めたと申しますか、そういう
意味で六十数億の承諾がいたされております。なお、このほかにも、長い問題で、現に検討中の問題も多々ございます。
それからなおただいま中
南米とアジアとの
関係の数字でございますが、大体いま申し上げました承諾ベースで申し上げますと、正確に申しますと八十七億五千万円というものが二月末の承諾金額の合計でございますが、このうち三十三億七千四百万円がアジアであり、四十億五千二百万円が中
南米であるというような計数に相なっております。