○国務大臣(
賀屋興宣君) この点については、私ども始終考えております。法務大臣になる前から考えております。大体日本の国民の所得をどういう
程度に持っていきたいか、それからその間に、均一というわけにも参りませんので、どういう差等をもって行くべきか、考えました。私は、客観的に、物価が上がりませんときに、どうしても一世帯五人
標準家族で月五万円、少なくとも年六十万円に達したいという考えを持っておりました。これは四年ぐらい前でございます。しかし、それに行きますのには、日本国民の全体の所得がそれを可能ならしめる
状況にならなくちゃならない。いま正直に申し上げまして、よく税の問題なんかでも新聞に出ておりますが、このぐらいの
生計費が必要だと出ておりますが、あの
標準については存じません。何の根拠でああいうことをやっているか、あれで十分であるのか、日本でああいうことが可能であるのか、そういう十分に検討を経たものと私は考えていないのであります。間違えましたら訂正しますが、ある一つの
委員会とか役所である
標準でこしらえたものがこれである。日本の、あるいは国と申しますか、あるいは
政府として、そこまで行けばいいのだ、そこまで行かさなければならぬということが、今申し上げましたように、日本の全国民の所得の全体の
状況そのほかから割り出して出てきたものと必ずしも私は見ておりません。
それで、常に、まず全国民の所得を増加するためには全資源がふえなければならないという
意味におきまして、経済成長、経済の繁栄ということを考えております。その考えの前提は、これは
政府がしばしば申しますように、
資料をこれはこの一両年明らかにもちろんしております国民の生活の安定向上、別の
言葉でいえば所得のアベレージ、そこには格差の問題もございますが、これを進めるために、経済成長をやっているのだ、こういう
意味で考えておりまして、一面、それで私どもは、所得倍増計画ができましたときにも、配分面が少し
研究が不足ではないか、全体に所得が二倍になりましても、それを国民各層にどう分配されるか、そのときに、スタートしたときの格差をこういうふうにして見て、それをだんだんどういうふうに是正していくのか、こういう基本問題がまだ
研究が不十分でございます。沿革的に申しますと、日本では、個人的にはいろいろ
研究なさっている方もございましょうが、全体的にそういう問題に対する私は観念がまだそう明確に進んでいないと思います。そういう
意味におきまして、私は、ひとり法務官の
給与のみならず、国民全体のそういう問題に非常に何と申しますか、関心を持っておりますが、ただいまのところ、そういう見地から法務官だけの
給与をどうしていくかというのは、あまりに理論と実際のつながりを持つだけの材料がないのでございます。当分は現実の問題としましては、今の
制度によります
人事院勧告というものを基礎にして考えておりますが、別の
言葉で申しますと、今
岩間さんがお示しになったようなそういうことは早く具体的に持ちたい、それも単純に法務官の
給与をよくするというだけでなく、日本の国民全般としてバランスを得た、しかもわれわれの希望に近いものを早くこしらえたいという熱意は非常に持っております。ただいまのところ、すぐ法務官の
給与の問題と具体的に結びつき得ないことを実は私も遺憾に思っておる次第でございます。