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1963-06-11 第43回国会 参議院 商工委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月十一日(火曜日)    午後一時三十分開会   —————————————    委員異動  六月十一日   辞任      補欠選任    椿  繁夫君  北村  暢君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     赤間 文三君    理事            川上 為治君            岸田 幸雄君            近藤 信一君            向井 長年君    委員            上原 正吉君            剱木 亨弘君            古池 信三君            豊田 雅孝君            前田 久吉君            吉武 惠市君            北村  暢君            久保  等君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            二宮 文造君            奥 むめお君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    農林省農林経済    局長      松岡  亮君    通商産業政務次    官       上林 忠次君    通商産業省軽工    業局長     倉八  正君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○輸出硫安売掛金経理臨時措置法  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 赤間文三

    委員長赤間文三君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員長より、理事打合会協議事項について御報告をいたします。  本日の議事は、輸出硫安売掛金経理臨時措置法案について質疑を行なうことになりましたから御了承願います。   —————————————
  3. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 次に、委員異動について報告をいたします。  本日椿繁夫君が辞任され、その補欠として北村暢君が選任をせられました。   —————————————
  4. 赤間文三

    委員長赤間文三君) それではこれより議事に入ります。  輸出硫安売掛金経理臨時措置法案を議題といたします。前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  5. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 速記始めて下さい。
  6. 北村暢

    北村暢君 私は商工は初めて参りましたので、勝手がちょっとわかりません。したがって、勝手がわからないで質問をいたしまするので、若干失礼な点になるかもしれませんので、御容赦いただきたいと思いますが、発言の機会をいただきましてまことにお礼を申し上げる次第でございます。  ます、今度の輸出硫安売掛金経理臨時措置法案につきまして、これはいわゆる従来から問題でありました硫安工業合理化対策の一環としての関連する法案でございまするので、したがって、これから御質問申し上げる点もそういう面にわたりまするので、あらかじめ御了承をいただきたいと思います。  まず第一番目にお伺いしたいのは、硫安工業対策としての第二次合理化計画が実施せられている段階において、硫安対策として融資その他の措置が講ぜられたわけでございますが、この第二次合理化計画と今度の硫安対策との関係についてまずお伺いいたしたいと思うのでございますが、第二次合理化計画合理化計画なりに、まあ三十九年までを標目に置いているわけでございますが、これは引き続き合理化計画は実施していく、こういう考え方をいまだに堅持せられておるのかどうなのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  7. 倉八正

    政府委員(倉八正君) 第二次合理化計画というのを立てましてすでに二年半ぐらいになるわけですが、この第二次合理化計画計画としてわれわれは実施していきますし、それから今度立てられた新しいたとえば開銀の融資、そういうことができたわけでございますが、それもあわせて実施していく。いわゆる合理化ということは絶えず続けていくというのがわれわれの基本的態度でございます。
  8. 北村暢

    北村暢君 それでは第二次合理化計画実施状況についてごく簡単に御説明を願いたいと思うわけでございます。
  9. 倉八正

    政府委員(倉八正君) 第二次合理化計画というのは、御承知のように、硫安基本原料であるアンモニア合理化ということで、合理化の典型的な形としまして固体原料から流体原料に変えていきまして、そうしてあわせて尿素も生産するというのが、一口でいえば第二次合理化計画目標でございますが、この流体原料への転換ということにつきましては、もうすでにアンモニア形態としましては九割程度はもう固体原料から流体原料に変えたわけでございまして、また肥料形態転換という点から見ますれば、尿素というのが当時よりも数割も増産したということで、合理化を進めております。ただ価格につきましては、最初政府として打ち出しました価格については、まだその線まではいっていないわけでありますが、これにつきましては今後ますます努力を続けていきたいと、こういうふうに考えております。またそれが現状でございます。
  10. 北村暢

    北村暢君 問題は流体原料に切りかえる点、尿素の増産の点、計画が順調に進んだことはまあ事実だろうと思うのです。で、価格の面はそうはいっておらないということでございますけれども、一体第二次合理化計画の五年目の価格が四十三ドル四十八セントという合理化目標を掲げておったのでありますけれども、——三一八年度の合理化目標であります。これが四十三ドル四十八セントというのでありますけれども、一体現在この価格の面の合理化目標はどのくらいまでになっておるのか、これをまずお伺いいたしたいと思います。
  11. 倉八正

    政府委員(倉八正君) 価格の面でございますが、現在の七百四十六円というのは、ドル換算しますと五十一ドル八十セントぐらいになります。それで今御指摘の四十三ドル四十八セントまでなるということの目標につきましては、四十三ドル四十八セントというのは利潤抜きでありますから、これを普通の五十一ドル八十セントというなみに換算しますと、四十七ドル、大体五十という数字におきかえられるわけでございますが、まだ価格の点につきましては、遺憾ながら最初目標数字には達していないのが現状でございます。
  12. 北村暢

    北村暢君 これは大臣にお伺いいたしたいのですが、まだ第二次合理化計画は完全に終わったわけじゃございませんけれども、合理化計画は一応の目標であることは、まあ間違いないわけでありますが、この利潤を含む場合の四十七ドル五十セントというものは実現可能性があると考えておられるかどうか、大臣にひとつこの点お尋ねします。
  13. 福田一

    国務大臣福田一君) まあ三十九年といえばもう一年しかないわけでありまして、非常に私は目標達成することは困難であろう、かように考えております。なぜそういうことになったかといえば、まあ物価あるいは原料、あるいはまたその他の特殊といいますか、肥料工業というものが硫安から尿素高度化成というような方向に進んでいったこととか、その他まあいろいろの事情もあったと思いますが、来年の今ごろまでにもう四ドルちょっと下げなくちゃいかぬということになりますと、ちょっとそれはむずかしいかように考えております。
  14. 北村暢

    北村暢君 そうしますと目標達成が困難であるということになりますというと、今度の硫安対策によりまして輸出赤字は今後は見ない、今度の措置でもって輸出赤字対策としては終わりである、こういうことで、従来の輸出会社に対する売払価格国内価格でいけば当然赤字出るわけです、輸出すれば赤字は出る。それはもう見ないということでありますから、FOB価格でもって引き渡すということになるわけでありますから、当然その赤字というものは輸出会社ではなしに、硫安工業自体の中に赤字として残ってくるのでないか、これは当然そういうふうになると思う。そうしますというと、この目標達成が困難であるということになれば、現在の輸出価格との差というものは相当あるわけであります。現在の輸出価格が大体どの程度になっておるか、FOB価格でどの程度赤字になるか、この点をひとつお伺いいたしたいのですが、それと同時に、今申した合理化計画設備投資においてはほとんど目標が達成されて、なおかつ価格の問題が残ったわけでありますから、そうすると、輸出価格との差というものは当然硫安工業の中に残って、肥料二法の建前である輸出赤字というものを国内消費価格に転嫁しないという法の精神というものが守られるかどうかということについて非常に疑問になるわけであります。で、肥料二法は来年まで続くわけでありますから、この肥料二法の輸出赤字国内価格に転嫁しないという法の精神が現在の形で守られるのかどうなのか、守られる見通しに立っての硫安工業対策であるのかどうなのか、この点をひとつお伺いいたしたい。
  15. 福田一

    国務大臣福田一君) 御承知のように、バルク・ライン方式というので、肥料価格国内の場合価格を定めております。法が存在する限り、つまり来年の七月までは現にその法律が存在しておるのでありますから、従来と同じようなやり方で価格の決定をいたそうということにいたしますので、輸出赤字国内硫安に転嫁されるということはないと存じますし、させない方針でございます。
  16. 北村暢

    北村暢君 先ほど質問いたしましたが、トン当たり輸出価格輸出相場と現在のFOB価格との間の差というのはいったいどのくらいになっているのか。
  17. 倉八正

    政府委員(倉八正君) 約十五ドル程度でございます。と申しますのは、マル公が五十一ドル八十セント、それから輸出価格が大体三十六ドルから三十六ドル五十セントくらいでございますから、大体その差というものは、トン当たり十五ドル前後でございます。
  18. 北村暢

    北村暢君 国内価格輸出価格の間に十五ドルの差があるという説明でございますが、そうすると、これは膨大な赤字になるわけでございますが、輸出数量とも関連して、現在の輸出数量からいくと年間どのくらいの赤字になるか、ドルと円と両方ひとつ。
  19. 倉八正

    政府委員(倉八正君) 硫安年間輸出は、たとえば八十万ドル前後でございますが、換算そのくらいの数字にしますと千二百万ドル、円に直しますと大体四十億こえるわけでございます。それがいわゆる国内マル公輸出価格の表面上の赤字が四十億以上ということでございます。
  20. 北村暢

    北村暢君 マル公価格は当然利潤を含んでいると思いますから、四十億の赤字の、実質利潤抜き赤字というのはどのくらいになりますか。
  21. 倉八正

    政府委員(倉八正君) 今仰せのとおり、利潤込みでそういう値段でございますから、抜きますと大体半分が実質的な赤字と見込めばよかろうと思います。
  22. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、これは来年までこれが続くわけでありますから、二十億ずつの赤字硫安工業自体でしょわなければならない。と同時に、硫安工業赤字対策融資と今後の合理化融資とで二百何億かの融資を受けているわけでありますが、これは直ちにまあ返済ということにはもちろんならないだろうと思うのですが、この融資の条件と勘案をして、この法律が、二法が来年でなくなるわけでありますから、なくなった後にこの赤字が残るという問題が出てくるのじゃないかというふうに、私は当然そう思うのであります。そうすると、この二法がなくなった後におけるこの赤字処理というものが、法律がなくなったのであるから、今後この赤字国内価格に転嫁しようと何しようとかまわない、こういう結果になってくるのではないかというふうに推測されるのでありますけれども、私はそれでは肥料二法の建前というものは貫かれない、このように思うのであります。したがって、この出てくる赤字というものが肥料二法の存在する期間において処理せられなければならない、このように思うのであります。したがって、お伺いしたいことは、この出てくる赤字、しかも今後の赤字であります、これについて約四十億くらいのものが出てくる、四十億か五十億出てくるわけでありますけれども、これはいったいどのようなことで処理されようとしておるのか。肥料二法が時限立法として来年には終息するという段階にきて、法律効力がなくなるという問題との関連で、どのようにされようとする方針なのか、これをひとつ通産大臣から御答弁願いたい。
  23. 福田一

    国務大臣福田一君) 肥料二法が来年の七月で効力を失うわけでありますが、その後のいわゆる肥料行政といいますか、対策をどう考えるか。硫安工業に対する対策あるいは今度はもっと幅を広げて、硫安だけじゃなくて、肥料全体を考えてみた場合にどうするかというような問題がまず一つあると思います。それから肥料としても、硫安だけに限って見た場合でも、今後どういうふうにしてみていったらいいかという問題があると思いますが、私は根本方針としては、肥料値段を上げない、いわゆる合理化資金も出しておりますが、それでは実際には赤字は吸収することはできないわけでございまして、過去の赤字処理したに過ぎないのでありますから、これから百億出しますが、それもメリットはそうたくさんはありませんということを考えてみますというと、これはどうなっていくかということがあります。  そこで、もし何らの措置をしなかったということになれば、今お話があるように国内肥料に転嫁するという問題が起きるかと思うのであります。国内に転嫁させないような、じゃ工夫は何かあるか。これはもちろん立法措置もあるでありましょうし、あるいは自由化をしてしまうというような考え方もあるかもしれません。まあどういうことになりますか、これらの点は十分これから研究をさしていただき、そうして来年法律が、いわゆる法としてなくなってしまうまでに措置をしなければいかぬということになれば、少なくとも来たるべき通常国会には何らかの政策——私はこれはどういう形で出すか知りませんが、政府としての政策というものを打ち出さなければなるまい、かように考えておるわけであります。でありますから、ただいまかようにいたしますと言うことは、これはなかなか重要な問題でございますから、十分われわれといたしましても研究をし、各方面の意見も聞いた上で慎重に検討をさしていただきたいと思っておるのでありますが、しからば来年までの間に三十億なり四十億の赤字が出るのは転嫁する、こういうことはどうなるかということでございますが、これは先ほど申し上げたように、二法が存在しておる限りは転嫁させない、こういう考え方で進んで参りたいと思うのであります。  ただここで一点、もうあなたは専門家でいらっしゃいますから私が申し上げるまでもなくわかっていただいておると思いますが、実際には硫安を作っておる会社というものは、専業メーカーというものはほとんどございません。世にいわゆる専業メーカーといえども、その会社が作って売っておる品物のうちで、まあ最高三〇%というのはもうなくなりつつあるようなわけで、ほかの仕事をしておるわけであります。これをだんだん、合理化資金等を出しまして、いわゆる販売価格というか、生産価格でもよろしゅうございますが、そのうちの一〇%以内にまで持っていく、ウエートを落としていく、こういう方向に今、業界は進んでおるのであります。そうしてその赤字年間二十億出るとして、たとえば一社で二億なり三億なりを負担しなければならぬような会社も出てくるでありましょうが、そういうところはほかの方面利益によってこれは埋めるという形で、私はこの処置をしてもらうという考え方で、この二法が存在する限りにおいては絶対にこれは認めないということをはっきりいって、合理化資金を出す前の赤字対策資金も出したわけであります。じゃ今度はどうなるんだ、法律がなくなったらどうなるんだということになると、これは決して逃げ言葉で申し上げておるのではないのでありまして、やはり肥料というものは安い値段農家に十分に供給するようにするという一つ方向が一番望ましいと思っておるわけであります。この建前に基づいていかなる政策をとるかということは、十分研究を続け、そうしてその上で皆さんに御審議を願う、こういう方向にやって参りたい、かように私は考えておるわけでございます。
  24. 北村暢

    北村暢君 そこで、大体この赤字問題についてははっきりしてきたようでございますが、なおかつ、最終的なこの赤字処理の問題が、これはまあ企業の内容の問題ですから、兼業利益でもって、兼業というか、硫安のほうが兼業で、主業のほうがうんともうかるということになれば、そっちの利益で埋めるということは当然考えられることだろうと思うのでありますが、まあ、それでいくならばまた一つ考え方だと思うのであります。しかしながら、私はここで疑問に思うのは、先ほど説明がありましたように、国内価格輸出価格の間に非常な差がある。で、国際価格は今のところ回復して三十六ドル五十セントから相当高値で売れる、輸出ができるというところまではちょっと最近の見通しで、そう簡単にいかないのじゃないかと思うのであります。そうしますと、当面問題になるのは、この硫安工業自体としての今後の合理化の問題ですけれども、合理化も相当程度進んできて、これ以上合理化するといってもそう簡単にいかない段階にきておる。で、この国際競争に太刀打ちできる合理化というものは、一体今後可能であるのかどうなのか。で、そういうような赤字を出してまで今後硫安工業輸出産業としてやっていかなければならないものなのかどうなのか、そこら辺のところをいかように考えておられるか。私は、この新しい硫安工業対策で、融資関係をやりまして、今後また設備投資その他やっていくのだろうと思うのでありますが、それでもなおかつ輸出価格に対抗できるような合理化コストダウンというものはとてもおぼつかないのじゃないか、こう思うのでございますが、一体この関係はどのように把握せられておるか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  25. 福田一

    国務大臣福田一君) 北村さんも御存じのように、硫安のいわゆる国際的輸出価格というものは非常に今までもフラクチュエートしたというか、毎年々々実は下がってきておる。しかもまだ今三十六ドルとか七ドルとかいっておりますが、それよりもっと安く出ておる分もあるやにわれわれは聞いておるのでありまして、これがどの程度で安定するのかということになりますと、非常に私は予測が困難だと思います。たとえば西ドイツのごときは、硫安は相当高値で一応農家に買わせて、そうして今度は補助金を出しておりますから、硫安自体は、農家が使っておる硫安は安いけれども、しかしながら生産価格というものを見れば日本とはたいして違わないことになっておる。それを今度は売る場合にはどうするんだというと、やはり三十六、七ドルあるいはそれ以下ででも売り込もうというようなことをしております。これはどういうところに根源があるかと言えば、大量生産、いわゆる規模を大にすることによってある程度の全体としてのコストを下げることができる。国全体としては今言ったように農業の人たちだけに硫安を渡せば、まあそんなもうからないような仕事はいいじゃないかというような考え方もあるのですが、しかし、大量生産することによってある程度値段を下げることができる。しかも原料になるものは国内における原料であって、よそから買うものではない。だからやっぱりこれはよけい作って、そして農家に供給すると同時に、海外には安く売っても国家経済としてはそのほうがプラスなんだというようなものの考え方が各国の間にひそんでいるわけであります。日本の場合においてもそういう考え方であることは御承知のとおりであります。そういう考え方だから値段をどこで安定させるかということになれば、手持ちしていても困りますから、どうしても売らなければならぬ。売るということになると勢い競争が激しくなって、そしてだんだん値が下がる。需要供給関係で値が下がるというのが現在までの経緯であったと思います。今後もこの動向はやはり続くものと見なければなりませんから、どこで安定するかということは、今ここで私が申し上げることはなかなか困難かと存ずるのでありますが、まあことしの分はどれくらいだと言われれば、まあまあやっぱり三十六、七ドルで、つまり去年と同じくらいで落ちつきはしないか、こういうふうな見方をいたしております。しかし、これも競争が激甚になれば、どこでこの値崩れが起きるか、まだわれわれとしてはわからないというか、申し上げにくいと思うのであります。まあそういうわけでございまして、生産数量価格との問題というのは、輸出価格に関する限りにおいてはあまり相関関係——むしろある意味ではないような形になっておりますというところに問題があろうかと見ておるわけであります。  もう一つ質問いただいたように思いますが、ちょっと聞き漏らしましたので、もう一度御質問をいただきたいと思います。
  26. 北村暢

    北村暢君 ただいまの御答弁で、相当に国内価格輸出価格の差があって、第二次合理化計画目標が四十七ドル五十セント、利潤を含む場合はそうでありますが、それすら先ほどの御説明にもありましたように、非常にむずかしいわけです。したがって、この第二次合理化計画目標達成ができないわけでございますが、それももう第二次合理化計画といっても来年までですから、それが達成できない。一体今後の合理化をしていけば、これはいろいろファクターがあって簡単に言えないでしょうけれども、現在の五十一ドル八十セント、国内価格ですね、これは一体どのくらいまで合理化して、コストダウンができるのか、見通しを持っておるのか、今大量年産によってコストダウンするのだ、こうおっしゃいますけれども、硫安国内消費量というのは逆に減退をしておるという状態です。尿素高度化成に移りつつある、こういう状態ですから、ア系窒素肥料として全体として国内消費が伸びていかない、逆に減退をしておるという状態の中で、この大量生産によるコストダウンということは、私は非常に困難ではないかと思うのです。あらゆる産業の中で国内大量生産によるコストダウンは、やはり国内消費というものを拡大しながら、そしてその国内消費拡大によって大量生産、そしてコストダウン、そうして輸出競争力というものをつけていく、これが普通の行き方だと思うのです。国内消費というものがやはり主体を占めている、輸出というものはそうべらぼうに伸びるということは考えられない。今すでにもう激甚な国際競争をやっておるのでありますから、国際消費が、この国際競争を乗りこえて、そして日本硫安大量生産によって、輸出拡大によって伸びていくといっても、これは硫安自体国際的にだぶついてきている現状であります。そうすれば、この大量生産によるコストダウンというのは今後非常に困難な問題でないかと、このように思うのであります。そうすると、先ほど申しました価格のあまりにも差のある、先ほどの説明によるというと、国内生産費西ドイツとたいして変わらないということのようでございますけれども、それにしても、それほど無理をして輸出拡大をはからなければならない輸出産業なのかどうなのかというところに、私は非常に大きな疑問が起こってくるわけであります。今度の硫安工業対策は、いろいろな産業に対する政府施策をとっておりますけれども、硫安工業に対する施策というものは、これは非常に手厚い対策だと、こう言われているのであります。そういう手厚い対策を講じてなおかつ膨大な赤字を生むようなこの輸出というものが、一体輸出産業として今後大いに助長していくということが言えるのかどうなのかということについて非常に疑問になるのでありますが、一体この点をどのように考えておられますか、お伺いいたしたいと思います。
  27. 福田一

    国務大臣福田一君) お説のとおり、硫安というものは、世界全体から見てもある意味では過剰生産なりつつあります。それはどういうことかと言えば、後進国においてすでに工場を作ってこれを生産することが一つ。もう一つは、尿素高度化成というふうにアンモニア系の肥料転換が行なわれつつあるという、この二つの事実からお説のようになっておると思うのであります。そのようなときにおいて、しからば硫安というものをどういうふうに国内の生産と輸出関係を考えるか、さらにまたこれが農家に供給される事態をどう認識していくかということになるのでございますが、これは私は法制的に何らかの措置をとらなければ、何といいますか、国内に転嫁されるおそれがあるのじゃないかという議論も十分考えられる。また考え方によっては、必ずしもそういう、これはあなたへのお答えにはあるいは的をはずれるかもしれませんが、たとえば、この硫安というものは、そこの会社の生産品の中の一割以内であるということになれば、ある会社が十の品物を作って、そうしてその中の一つ硫安、あとの八つはほかのものを作るということが考えられるわけであります。そのときに硫安に関する設備というものを持っていれば、その一つを全然使わない場合が得か、やはりその一つ分だけ作ったほうがいいか、あるいは一つ半だけ作ったほうがいいか、一つ半作ったのと一つ作った場合の損得の比較、こういうことはやはり経済の、会社経営の形からいって当然考えられてしかるべきだと思うのであります。もうすでに設備ができておるのに、全然その設備使わないでほったらかして置くのがいいか、あるいはまたその設備は使ったほうが、幾分は損するけれども設備を使ったほうがプラスになるか。設備をフルに動かして一・五のものを作って、そうして一は国内で五は海外へ出すということのほうが、場合によっては得かということは、これは経済のそこの会社考え方で私はきまっていくのではないかと思うのでありますが、やっぱり看板として今まで硫安というものを作ってきたというのに、急にやめるということは、会社としてもようしないところであろうとも思うし、それからまた、そういう場合において、会社全部が相談をして、そうして、硫安値段は絶対に上げない、お互いに上げないようにしようというような、まあこれは公取との関係でどういうことになりますか、まあ値段上げないというほうだから、値段上げるほうじやないから、あまり問題ないと思いますけれども、値を上げないという協定を結んだという形において、国内には一定のものを必ず一定の値段以下で供給する、そうしてそれ以上に作ったところは、自分の好きでよけい作っているのですから、それは海外へ売ってもいいけれども、その赤字は自分で吸収する、こういうようなこともあり得ると思う。私はこれは、いいと申し上げているのじゃありません。そういうこともあり得るというわけでありまして、今後の硫安工業というものは、まあいろいろのやり方もあろうかと思いますが、しかし、だんだん、世界的に見て、硫安自体の需要が、それだけ伸びるかどうか。まあ未開発国がどんどん農業化されて、そしてまたそこでどんどん硫安使うということになった場合でも、ほかの、尿素とかあるいは塩安とかその他のものを使うというところで、硫安使わなければそのほうはふえませんから、そういうことを見るとそうはふえるとは思いませんけれどもが、しかしまあ私たちとしては、一応硫安を作って相当なこれは赤字であります。ずっと赤字相当出た。これからも年に一応二十億ぐらい出ると見なければならないですから、ある程度はやはり国としてめんどうを見ておく。しかしこれ以上はもうめんどうを見ませんよという形で私たちはこの問題の処理をはかっていこう、こういうのが今度の計画であります。  大体北村さんも御存じのように、この法律を作ったときには、需要が非常に多いのに供給が少なかったからできた法律であります。今日におきましては、供給が非常に多くなって需要のほうがむしろ少なくなったというときの法律でありますから、いずれにしても、この法律については再検討せざるを得ないと思いますが、私は、いかに合理化をしていっても、国際値段、今のいわゆる輸出価額の三十六、七ドルまで合理化ができるということはちょっと考えられない。それは私は困難であろうと思います。困難だからといって、全然作らないかということになると、そういうことではない。今言ったような考え方も成り立つのではないか、こういうことを一応申し上げてみたわけであります。
  28. 北村暢

    北村暢君 私が先ほど来質問していることが通産大臣はどうもぴんとこう答えていただけないのですけれども、今後の合理化によって、第二次合理化計画目標が四十三ドル四十八セントだったんですから、それがまだ実現しない。したがって、合理化に向かって第二次合理化計画は今後も続いてやつていくのですと、こう答弁になっておるから、そうすれば、合理化が進んでいけばコストダウンはできるだろう、合理化メリットというものが出てくるだろう、こういうふうに思うのです。そこの点を先ほどからお伺いしているのですが、その点の答弁がどうもないようなんですが、私は現在の肥料二法の建前からいって、これを来年まで存続する限り堅持していく、こういう建前に立っているとすれば、合理化されていけば当然この価格引き下げという問題が出てくる、このように思っておるのです。したがって、一体どの程度まで合理化によるコストダウンができるかと、この点について先ほど来お伺いしているのですが、この点は一体どのようにお考えですか。
  29. 倉八正

    政府委員(倉八正君) 第二次合理化計画の最終年度である明肥料年度、八月一日から始まります明肥料年度におきましてどのくらいの価格が下がるかということは、今農林当局と両方で検討中でございまして、七月の審議会に御提出申し上げて御審議願いたいと思います。で、今検討中でございますから、一かます何円下がるということはまだ出ておりませんから、それは遺憾ながらお答えいたしかねます。  それから第二の先生の御質問の、今後やる合理化目標は幾らかということでございますが、これの算定というのがまあいろいろの要素がありますことと、従来の合理化と違いまして、企業形態ないし肥料形態というのが非常に変わっておりまして、その過程におきまして、それを的確に把握するということがこれは至難と申しますか、不可能に近いのではなかろうかと、こういうふうに考えられまして、したがって、先般閣議決定を見ましたあの方策による合理化目標が何ドルになるということは、遺憾ながらわれわれとしましては今のところは持ち合わせない次第でございます。
  30. 北村暢

    北村暢君 どうもその価格の問題は肥料審議会できめるのですからそれは言い得ないというのは、幾ら下がるとか何とかということは言い得ないと思うのです。が、しかし、第二次合理化計画を進めていくというのですから、それは施設の近代化やっていくのも当然ですし、価格というものについても一応の目標というものを持っておったのでありますから、それに向って努力をすることは当然のことだと思います。したがって、私はその方向へ行くのか行かないのかということ、それから私は、この国際価格との差があまりにもあり過ぎる。しかも今大臣がおっしゃっているように、この法律というものは、硫安が窮屈なとき、特に国際価格が非常に高くて輸出すりやどんどんもうかった時代の法案ですわね。で、内需に充てるよりも輸出したほうがもうかるということで、内需を圧迫するのじゃないかということでできた、こういう法律ですから、逆に言えば、現在は国際的にも余っているし、国内的にも余っている。余っているのだから、これは、かえって法律のあること自体が価格を支持しているような結果になっているのじゃないか。法律なくしちまったほうがかえって硫安価格というものは値が下がるのじゃないかというくらいに言われておるのです。売れない肥料がだぶついてあるのですから。この法律があるために、かえって硫安が高く価格支持されているという結果になっている。そうすら言われておるのであります。でありますから、好むと好まざるとにかかわらず、硫安工業としては合理化を要来せられておると思うのですね。したがって、年々歳々硫安価格というのは、まあ合理化のせいもありますし、下がってきていることは事実なんですね、非常に微々たる価格の引き下げでありますけれども、下がってきていることは事実なんです。したがって、今の情勢からいっても、経済の需要供給の原則からいっても、価格が下がるというのは、これは常識でないかと思うのです。そういう点からいって、私はこの肥料審議会できまることでございますけれども、そういう方向というものは、やはり常識的に考えて、あり得ることでないかと思うのですね。そういう点のことをお伺いしている。幾ら幾ら下がるとか何とかいうことを聞いているわけじゃない。これは肥料審議会でやればいいのですから……。
  31. 福田一

    国務大臣福田一君) 幾ら下がるかしりませんが、合理化をしていくというのでありますから、私は、下がる方向にあると思います。
  32. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、私は念を押しておきたいと思うのですけれども、昨年は無理をして、実際は上がる要素が、賃金とか何とか上がる要素があったものを押えて、実際からいえば二十何円上げなければならないものを、逆に下げたのだ。したがって、ことしは、この前の肥料審議会の、これは懇談だったか何か忘れましたけれども、大臣は、去年は上がるべきものを上げないで下げたのだから、ことしはかんべんしてもらって据え置きぐらいだろうなんという政治的な発言をされておったようでありまするけれども、今の大臣の答弁からいくと、経済の実勢からいっても何からいっても、下がると、こうおっしゃったのだが、そういう、今私が申したようなことを入れても、なおかつ下がる、こういうふうに理解していいですか。
  33. 福田一

    国務大臣福田一君) 今あなたがおっしゃったように、経済の実勢ということから見て、私は、下がるだろうと……。ということは、去年は確かに、あなたのおっしゃったように、上がるべき要素があったのを、上げなかった。ところが、今日におきましては、上がるべきその要素が解消をしたわけであります。相当輸出がふえたわけでありますから、生産量がふえたということになる。私は、この生産量は来たるべき肥料会計年度においても続くものと考えております。そうすると、上がるほうの、いわゆる、何といいますか、材料はなくなった。今後は合理化のほうのメリットというものがあるわけですから、その分はある程度これは下がる。その分は下げなければならない。こういう意味で、それは私はそう言っても、数字が今考えておる数量になるか、その数量によりますが——でありますが、それは経済の実勢というものから考えてということで、予想でございますが、ことしくらいのいわゆる生産数量であるということになれば、この合理化のメリットが何がしか出れば、そのほうを見なければならない。それだから下がる方向にある、こういうふうに申し上げておるわけでありまして、あなたが考えておられる含みを十分考慮した上で御答弁を申し上げておるつもりであります。
  34. 北村暢

    北村暢君 それでは、私も、現在の肥料二法の続く限り、赤字は転嫁しないという原則からいえば、今言ったような合理化のメリットというものは当然、国内価格に反映されて、国内価格というものは下がってくる、こうあるべきだと思います。また、そういうように考えておられるということのようでありますから、これは数字の問題ではなしに、当然過ぎる考え方だと思いますから、これ以上は申し上げませんが、そこで、次にお伺いいたしたいのは、今まで質疑を繰り返して参りましたような状況の中で、肥料二法は来年の七月で切れるわけでございますが、私は、来年の通常国会において先ほどの答弁にもありましたように、この肥料二法がなくなった場合に、いかに対処するかということについて政策的に検討しなければならない段階にきている、こういうふうな含みのある答弁がございましたが、私も当然来年度予算がこの夏からもうすでに検討せられるのでありますから、そういう点からすれば、そろそろこの肥料二法というものがなくなったあとに一体どういうふうに対処するかということについて、私は考え方が示されなければならないのじゃないか、このように思うのであります。特に最近の肥料事情からいって、この二法制定当時、硫安というものが肥料の中における中心的なもので、硫安価格を決定すれば自動的に尿素なり塩安なり価格というものが大体目安がつく、こういう時代にできた二法と、今日ではもう肥料の需給の面においても、また肥料形態においても、また肥料の生産過程における構造的な変化においても、非常に変わった要素が出てきておる、これに対して一体この肥料二法がなくなったあと、どういうふうに対処するか、もうそろそろ私は具体案が検討されてしかるべきでないか、このように思うのであります。したがって、この点について私はひとつその準備が一体どのように進んでおるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  35. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  36. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 速記を始めて下さい。
  37. 福田一

    国務大臣福田一君) これは、お叱りを受けるかもしれませんが、私が先ほど申し上げた範囲を出ないのでありまして、非常に重要な問題でございますから、われわれとしては、通産省としては、農林省その他ともよく研究いたさねばなりません。また政府全体として調整すべき政策であろうかと私は考えております。同時に、これは今先ほどあなたが御質問のうちにも述べられたとおり、こういう二法があるからかえって肥料値段が高いのだという議論があり、あるいはまたこういうふうな法律がなくなったら逆に輸出赤字が転嫁されて高くなるという議論もあります。いろいろあるのでありまして、どういうふうにしていったらいいかということを、これから慎重に私は研究をさしていただきたい。どうも私は検討大臣という名前をちょうだいしておるのでありますが、これはどうも、最後にきまるまではいかにしてやるかということを申し上げることはいささか私の独断に過ぎるので、また事実問題としてそういうことは申し上げられない。まだそこまで行っておりません。私自身も今から勉強しなければなりません。通産省も勉強しなければなりません。農林省も勉強しなければなりません。またあなた方も勉強して……。それで、いい知恵があったら教えていただきたいというのがわれわれの考えでありまして、広く皆さんの御意見を十分聞かせていただいて、そして万遺憾ない対策を立てるようにいたしたいというのがただいまの私がお答えできる範囲でございます。
  38. 北村暢

    北村暢君 今、大臣の御答弁をいただいたように、この問題は非常に激しい状況の変わり方をしておるので、簡単に対策として出てこないのかもしれませんけれども、しかしこの問題は、輸出赤字の問題をめぐって、御存じのようにこの硫安対策がきまるまで約一年以上もすったもんだして、ようやっと締めくくりをつけた。しかも硫安工業の従来のいきさつからいって、これはたいへんな政府としても、保護をしてきた工業であります。現実に、今たいへんな融資もしておるわけでありますから、これが簡単に今後何らかの対策なしに、自由にほうってしまうということは、ちょっとこれは常識的に考えられないのじゃないか、こう思っておるのであります。でありますから、私は、今大臣がおっしゃったように、まあ衆知を結集して対策を考えられるということでございますから、一体そのために何かの機関を持って、行政的な成規の機関になるか、特にこの問題は通産省だけで解決できない問題でありますから、各省に関係が出てくるという点において、通産省の中でなしに、内閣にその組織を置いて検討をするとか、何かの調査会とか審議会というようなものを設けて、対策を民主的に立てる、こういう御意思があるかないか、この点をお伺いしたい。
  39. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、皆さんの意見を聞くというやり方は、何らかの機関を作って聞くやり方も一つの方法であると思うし、そうでなくても私はすなおに、あなたのところへ、会館へ行ってでも話を聞かしてもらうというのも私は一つだと思う。私は何も機関ということにこだわる必要はないかと思っております。しかし、機関を作ってやったほうがいいという御意見も相当あるかもしれません。こういうこともまだ、実はそこまでいっておらないのでありまして、ただいまのところは、援護措置のこの法案を早く通していただいて、そこでひとつゆっくり勉強さしていただく、こう考えておるわけでありまして、そういうわけでありますが、ただ、方針として申し上げられることは、実際を言えば、肥料値段というものは、米価のうちに含まれておるのでありますから、これは肥料値段の高低とか、硫安値段の高低とかいうことは、米価の問題で、これを決定すればいいじゃないかという考え方もあるかと思いますが、しかし何といっても、お百姓さんが何百年何千年来考えておったことは、いつも肥料の問題だったわけです。その肥料の問題を考えるときに、根底になっておるのは、いい肥料を安くたくさん手に入れたいというのが、これが素朴な農村の考え方である。私は、この農村の持っておられる素朴な考え方ではあるけれども、しかし、非常にこれはやはり尊重すべき考え方であると私は思っておるのです。米価の中で全部を解決するのも一案と思いますけれども、だからできるだけいい品物を、いい肥料を安く提供するような方法を考えていきたい、こう考えております。しかし、それじゃもうどんどん下げていってただにしてしまうのか、そういうことはないのでありまして、やっぱりこれは程度というものがあります。ほかの物価が上がっていくのに、肥料はどんどん下げていくのだということは、これはまたおかしな理屈であります。少なくともその肥料値段が上がらないような工夫だけは、少なくとも硫安については、してあげなければいけない、かように私は個人的には今ここで申し上げておきます。しかし、それをどういうやり方で、どうしてやるのだということになりますと、これはいろいろ議論の分かれるところで、先ほどあなたからも御意見の提案があった、提案というか、一部で考えている人の説明があったわけであります。こういう点は十分に研究をさしていただきたい。したがって、機関を設けてこれをするかどうかということは、内閣全体のことでもございますし、今後御質問の趣旨も体して十分に研究をさしていただきたいと存じます。
  40. 赤間文三

    委員長赤間文三君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  41. 赤間文三

    委員長赤間文三君) それでは速記を立てて。
  42. 北村暢

    北村暢君 それでは経済局長にお伺いいたしますが、今度の硫安対策で、いわゆる従来の行き詰まっていたものが解決したのでありますけれども、しかし、これは先ほど来いろいろ論議したのでありますけれども、私はここで経済局長にお伺いしたいのは、いろいろこまかい問題は、もう時間がございませんので省略いたしますが、今後の問題なんですが、御存じのように、来年でこの肥料二法というものがなくなるわけであります。そこで今大臣にお伺いいたしましたならば、いろいろ検討しているけれども、まだどうという具体案というものはないと、こういうふうに言われておるのであります。それで農林省としては、今通産大臣が言われているように、安い肥料農家がほしいときに、適期に十分な肥料が確保できる、これがこの肥料二法の建前で、そういう需給の関係からいってできていることは御存じのとおりですが、先ほど来申しているように、肥料二法の制定当時の状況と今日とでは、非常に変わってきている。変わってきているので、一つの問題は、今度の硫安工業対策によっても、なおかつこれから出る赤字、これに対しては何らの処置をしてない。先ほど来説明を聞きましても、ことし、来年にかけて、四十億から五十億、実質五十億程度赤字は出るのではないか、輸出赤字というものが出るのではないかと、こう言われている。したがって、これについては大臣は、肥料二法の続く限りは、国内に転嫁しない、こういうことを明言されているわけです。私も法の建前からいって、そうだと思う。したがって、肥料二法の存する来年の七月末までの間に、この赤字問題というものが企業内で吸収して迷惑かけないということになるのかどうなのか知りませんけれども、とにかく肥料二法の続く中でこの赤字というものは何らかの方法において結論を出さなければいけない。法の建前からいって輸出赤字国内の生産者に転稼しないという原則があるのでありますから、当然そういうふうに考えなければならないと思います。したがって、これに対して一体農林省は通産省との間でどんなような折衝をなされているのか、農林省としては一体どういう考え方をもってこれに対処しようとしているのか、この点をひとつお伺いしたいと思います。  それからもう一つは、来年七月でこの法律が失効するわけでありますから、その後における対策として、肥料事情が非常に変わって参った段階において、農林省は肥料行政として、硫安工業対策でなしに、農林省は農民に対する肥料の供給ということが円滑にいくということが問題でありますから、そういう面において一体農林省はどういうふうに対処しようとしておられるか、この二点についてお伺いいたしたいと思います。
  43. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 肥料二法の失効後におきまする措置につきましては、実は今後通産省と折衝することになるわけでございますが、私どもとしましても、その折衝以前に、今後の行政に対するいろいろな資料の収集、それから見通しを十分立てまして、その上で通産省ともよく話し合いたい、かように考えておるのでございますが、今御指摘がありました今後生ずべき輸出赤字をどういうふうに考えるかという点でございますが、これはさしあたりの三十八肥料年度につきましては、これは脂料二法が現存しておりますから、問題はない。通産省も同様に考えておられると思います。それ以後におきましては、もちろん硫安工業基本対策が実施されまして、それによってコストが下がり、経常が多角化されて吸収される可能性が従来よりは大きくなるということ、それからもう一つは、回収硫安あるいは副産硫安が今後相当増加の見込みでございます。これは基本対策目標にも含められておるわけです。回収硫安なり副産硫安が増加するということは、赤字をなくするあるいは非常に少なくさせる原因になると私ども考えておるわけでございますが、しかし、一面においてそれはまだ期待の段階でございますし、一面においては今後硫安なり窒素肥料の輸入の自由化をどうするかということがかなりこれは大きな問題であろうと思います。それのいかんによりましては、赤字が転稼する可能性もないではないということも多少危惧いたしておるのでございます。それらの重要な要因が今後に残された問題として残っておるのでありますから、これは十分今後検討いたしまして、通産省とそれらの点を十分明らかにして今後の措置をきめて参りたいと考えております。  それから肥料二法失効後の農林省としての肥料行政をどうするかという問題でございますが、これは肥料二法失効後において、従来の肥料二法にかわるべき制度を作るか作らないかということと重大な関連を持っておりますから、切り離して考えられない問題でございます。しかしながら、お話がありましたように、農家に安く豊富に、しかも適期に肥料を供給するということは、農林省としての肥料行政の根本でございますから、それをどういう形で確保するかということを今後の問題として考えなければならぬ、これは肥料工業に関するいろいろな今後のカルテルの問題であるとか、あるいは国内の配給といいますか流通対策、そういうものを十分考えまして、考え方をきめて参りたい、かように考えております。
  44. 北村暢

    北村暢君 ただいまの答弁で、肥料二法の続く限り輸出赤字の転嫁の問題についてはそういうことのないようにやっていきたい、それから肥料二法失効後においては、このままの形とはいかないかもしれませんが、とにかく対策として何か考えなければならないということのようでございます。で、先ほども通産大臣にお話し申し上げたのですが、何か考えなければならないということは私もそうだと思う。しかし、それは段階としてはもうそろそろ検討していい時期でないか、来年の七月失効して、四十年度の肥料年度からはどうするか。これは予算に直接関係が出てくる問題でありますから、当然予算を検討するもう今日の段階で何とかしなければならない差し迫った問題だと思う。したがって、前回の肥料審議会等におきましても、今度の価格決定の審議会には具体案をひとつ出せ、それについては努力しますということであったのでありますから、私どもはその機会に何らかの形のものが、要綱的なものでも出てくるんじゃないかということを期待しているのですが、今の話を聞くというと、そこまで全然いってないような感じを受けるのであります。まだ通産省と農林省との話し合いもなされておらないというふうに聞こえるわけでございます。これはやはり今申したように、時期的にいけばもうそろそろ突っ込んで話をしなければならない段階だと思う。まあ国会が開かれているので、うるさいからやらないのかどうだか知りませんけれども、とにかく時期は来ていると思うのです。ですから、この点については、今とやかくないものを話せと言ったって無理ですから、それは申し上げませんけれども、意見としては私はその段階に来ていると思いまするので、十分検討して次の肥料審議会等において要綱的なものでもひとつ出せるように準備をしていただきたい。これは要望を申し上げておきます。  次に、軽工業局長にお伺いいたしますけれども、先ほど来質問しましたように、第二次合理化計画もまだ進行中であるし、今度の硫安対策も並行して実施していく、こういう点からいけば、国際競争に太刀打ちをしていくためには、現在のままでいいということには私はならないと思う。したがって、今後一体合理化方向というのは設備的にもいろいろやって、流体原料というのはもう九〇%まで来た、こういう段階で、先ほど回収硫安、副産硫安の問題が出ましたけれども、これらを含めて技術的にもあるいは産業の構造の面からいっても、一体どういうような形で今後合理化をしていこうとしているのか、そして国際競争力というものをどうやってつけようとするのか、この点について当然考えなければならない段階にきているのではないかと思うのであります。この国際競争力をつけるための方針といいますか、そういうものがありましたならば、ひとつお示しをいただきたい。
  45. 倉八正

    政府委員(倉八正君) 今の硫安輸出が毎年々々一割程度下がっていっておりまして、さっき申し上げましたように、三十六ドル前後に今なっております。国際的にはもっと安いわけでございますが、これをいわゆる一般論でいきまして、生産費輸出価格ということから見ますと、とうてい輸出競争はできない。いわゆる硫安そのものの物理的な合理化によって国際価格に応ずることは、これはだれが見てもできなかろうと思います。したがいまして、ドイツにおきましても、イギリスにおきましても、膨大なる農民補助金を出しまして、これは裏から見れば全く輸出補助金でございますが、そういう政策をとっておるわけでございます。したがって、今後日本といたしましては、そういう農民補助金を出すかどうかということも一つの大きな論議になろうかと思いますが、端的に合理化ということを取り上げますと、企業の経営形態合理化以外には大体なかろうというのが常識ではなかろうかと思います。さっき大臣もちょっとその意味のことを触れましたが、いわゆる、できるだけある企業体の肥料のパーセンテージを低めていって、そうして肥料の破損というのは他部門においてそれを吸収する。そうして、少なくとも直接費をカバーするというくらいの程度硫安値段をもっていって、残りの経営というのはいわゆる企業全体としてやるのがいいかどうかという形態にもっていくのが正しい、それが当然だと自分は思うと言われましたが、私も全くそのとおりだと思います。外国の例を見ましても、硫安輸出している会社硫安の比がきわめて少ないのでございまして、日本でもたとえば先般も申し上げましたが、副産硫安を八幡製鉄なんか一番大きい生産をいたしておるのでありますが、御承知のとおり、八幡製鉄なんかのように、去年の売上高が二千五十億でありますが、その中でわずか二万トンか三万トンの副産硫安を作っておりますと、その輸出価格にしろ国内価格にしろ、そう別にとやかくいわないでも、できるだけの経営形態として成り立っているわけであります。こういう経営形態にしていくのが私は輸出の、事硫安については目標ではなかろうかと思います。で、さっき先生がちょっとお触れになりましたように、そういう安いものはやめたらどうかということでございますが、これはああいう装置工業でございますから、少ないだけの硫安を作って輸出をやめるということにしますと、特別なる措置を講じない限り、かえって高くなるだろうと思います。したがいまして、輸出もやるし国内的には潤沢に安いものを供給するという、この二つの命題を達するためには、経営体としての合理化をはかるべきではなかろうかと、こういうふうにわれわれ考えております。
  46. 北村暢

    北村暢君 私も輸出工業としてやめろなんて言っているのじゃないのですよ。今までも相当保護してきた産業ですから、私はもう無為にやめてしまえとかなんとかということを言っているのではないので、国際競争力というものをつけていく上に、非常にむずかしい問題が今日出てきているのではないかということを言っているのであって、直ちにやめろとかなんとかということを言っているのではない。問題は今、企業の形態の問題、こういうことを言われましたけれども、一部に企業の形態といっても、いわゆる現在のような専業八社、兼業八社のような、こういう企業体ではもう吸収できなくなってきているのではないか、企業体そのもののあり方というような面で、一部には企業合同をやっていったらいいじゃないかというような意見も出ておる。ところが、私はそれが直ちに合理化になるかならないかという問題については、そう簡単にはいかないのであって、各企業がそれぞれの地域にそれぞれの工場を持っておる。でありますから、企業合同したら直ちにこれがとんでもなく進むという形には残念ながらならないわけでありますね。したがって、工場自体を比べれば、欧米の工場にひけをとらないくらい合理化が進んでおるという形もあるわけであります。でありますから、そこら辺のところが非常にむずかしい問題なんで、私は最近における硫安工業ばかりでなく、合成化学全体に、化学工業全体について合理化が進められ、しかも各企業において最近だいぶ企業の整備のための人員の整理というようなことが行なわれているわけです。したがって、これはやはり第二の石炭問題とまでは御承知のようにいきませんけれども、しかし相当これは労使関係の問題もあってむずかしい問題だと思うのです。そういう点からいって、企業の形ということで、他の硫安以外のものも含めていくということももちろん考えられるが、それ以外の企業合同なりなりという問題について考えられているのかどうなのか、その点が聞きたかったわけなのです。それから、それでもなおかつ国際競争には、とても国際価格まではいかない、各国が、欧米先進国でも農民に補助金を出しておる、こういうようなことをやって国際価格政策的に引き下げているというようでありますが、一体そういう面からいくというと、これはもう肥料工業自体の問題としてはまあそういう政策でいくのかもしれませんが、農業関係としては一体どのように考えるかということなんです。ということは、先ほど言ったように、もう合理化しても何しても副産硫安、回収硫安やってもなおかつ国際価格までは、赤字が出ないような形にはいかない、こう軽工業局長言っておるのでありますから、そうすれば、当然輸出赤字というものは将来も出てくるということが考えられるわけです。その場合に、一体農林省は肥料行政としてこの補助金というのか、何というのか知りませんけれども、そういうような立場に立って、この合理化が、国際価格がそこまでいかないということになれば、農林省としては一体どういうふうにされるのか、合理化してもしても赤字が出るということがはっきりしておるのでありますから、また今の肥料二法の建前からいくというと、輸出赤字というものは国内価格に転嫁しない、こういう原則に立って肥料二法というものはできている。したがって、そういう点からいえば、農民保護の立場から考えれば、方法はいかようあろうとも、考え方肥料二法を廃止された後においては、考え方としては農民保護の考え方でいかなければならないのではないか。この考え方が貫かれるかどうか、また先ほどちょっと触れられましたカルテルに対して農民がどのように対処するか、これはまた肥料二法のない場合における重要な問題だと思うのです。あれやこれやあるわけでありますが、一体そういうような問題についても、まだ全然検討されておらないのかどうか、今後の方針をひとつお伺いいたしたい。
  47. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) それでは私のほうから先に答弁いたします。  まず最初に、肥料補助金の問題でございますが、これは外国の事例が二、三ございますけれども、国によってやり方が違っておるようでございます。たしかイギリスであったかと思いますが、これはちょっと記憶が確かではございませんが、これは特定の階層の農民に肥料補助金を出すというようなことで外国の事例は必ずしも赤字補てんということでもない、そういうものもあるようでありますけれども、そういうことのようであります。で、農林省の考え方としまして、これはいろいろ議論はございますけれども、大体同じ補助金を出すのに肥料に対して出すというやり方は、はたして目的とする農業政策を推進する上からいってどういうものであろうか、むしろ構造改善とか、あるいはほかの特定の農業の経営の改善のやり方に対して補助金を出していくというほうが、農業の進歩のためには効果的ではないか、単に肥料価格差の補給金という形で出すよりは、そのほうが補助金政策としては好ましいんじゃないかという考え方が強いのでございます。  それから輸出赤字に対する補助金という場合に、これははたしてガットの協定の違反であるか、通則はそうでございますけれども、輸出する相手がそうでない場合、はたしてこれはガット協定の違反になるかというような点についても、疑義を持っております。そういうことから、現段階においては肥料に対して補助金を出すということについては、事務的には消極的でございます。  それからカルテルにつきましては、これは現にカルテルがございませんので、仮定の議論になってしまうわけでございますが、これにつきましても、これはカルテルにもいろいろ内容がございますが、原則的には農林省としてはなかなかこれは了承しがたい性格のものじゃないか、しかし、そのカルテルが肥料工業を健全な輸出産業あるいは国内への肥料の供給産業として確立するために必要だということが納得できますならば、これは絶対に、必ずしも排撃するほどのことでもない。それらは国内においてどういう肥料の行政をやるかということとも関連する問題でございます。まだ仮定の上のことでございますので、この程度のお答えしかできません。
  48. 倉八正

    政府委員(倉八正君) 生産費関係でございますが、これを国内にたとえば五十ドルで売って、海外に三十ドル台で売るということは、そのことから見れば二重価格でございますし、しかも、今お前の言っているのは生産費もカバーできないようなものを今後輸出するというその態勢自体が非常に疑問じゃないかという御質問だろうと思いますが、一般論からいいまして、たとえば百トンのアンモニアの設備を持っておった。その場合に国内需要が八割の八十トンであるというような場合に、会社、これはありとあらゆる工業に共通す奇問題でございますが、その場合に八十トン動かして、国内だけに売ったほうがいいか、あるいは百トンをフルに生産させまして、八十トンは国内のたとえばマル公ならマル公で売り、二十トンはいわゆる比例費を稼げばそれで十分である。したがって、国内価格よりもはるかに安い値段で海外に出したほうが会社全体としては得だ、あるいは国民生活、経済全体としてもそれがいいというのが、ある場合によって、あるいはある時代によって非常に違うと思います。それで、硫安の問題も生産費をもとにした国内価格がたとえば五十ドルのときに、輸出が三十ドルになったというから、即それはカバーできなくて、赤字国内に転嫁するものだということは、理論的にはそういう結論になりがちでありますが、実際上は装置工業の特徴としまして、必ずしもそうはいえないという面が多かろうと思います。今のほかの化学工業品でも、フル生産をやりまして、国内には一定で出して、海外には海外の市況に応じて出したほうが、会社全体としてもずっと楽だという点もございますから、今後の硫安の問題にしましても、今後の海外相場のいかん、あるいは国内の需給の数量のいかんというものがそこで非常に決定的な要素になろうかと思います。
  49. 北村暢

    北村暢君 今私お伺いしているのは、そういう面もあるだろうけれども、企業合同その他でそういうような指導をやっていくというようなことが起こるのかどうなのか、また、現実に人員整理第が起こっているわけです。したがって、企業合同その他をやって、そういう面の人員整理を含んだところの合理化というようなものを指導していかなければ、やっておっても持たないというようなことになるのか、どうなのか、そこら辺の指導方針についてお伺いしているわけです。
  50. 倉八正

    政府委員(倉八正君) 企業合同といいましても、あるAの工場とBの工場が、別の会社がやっておった、それを一緒にして、一つのAならAという会社にしただけでは、先生の御指摘のように、何ら合理化なりません。ただ、いわゆる会社の管理費というのが何がしか助かるということで、実際は問題になりません。ほんとうに合理化するというならば、一つの工場をつぶしまして、Bという工場をつぶしてAだけに集中するというのが一番よかろうと思いますが、そういうことは、今御指摘のような労務者の問題そのものに影響いたしまして、また、それだけをやりましてアンモニア工業というものがはたして所期の成果をあげるかどうかということもなかなかはっきり言いがたいのでありまして、われわれの今の指導としましては、いわゆるコンビナート形態もひとつ考えないか、先生十分御承知だと思いいますが、たとえば小名浜のある工場は一番悪い工場だと思いますが、隣に酸化チタンの廃硫酸を持ってきますと、非常にコストが下がるわけであります。ですからそういうコンビナートも一つ形態でありますし、それからもう一つは、一つの系列に入れる、ある大きい会社の系列に入れるということになりますと、資金の調達も非常に便利になります。したがって、合理化機械の購入もそこで便宜が与えられる、こういう行き方が現実に即した方針ではなかろうか、こう考えております。
  51. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 速記をとめて。    〔速記中止
  52. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 速記を起こして。  本日は、この程度で散会いたします。     午後三時十一分散会    ————————