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1963-01-29 第43回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十七年十二月二十四日)( 月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 の通りである。    委員長 長谷川四郎君    理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君    理事 田口長治郎君 理事 丹羽 兵助君    理事 山中 貞則君 理事 足鹿  覺君    理事 片島  港君 理事 東海林 稔君       安倍晋太郎君    伊藤  幟君       大野 市郎君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    仮谷 忠男君       草野一郎平君    倉成  正君       小枝 一雄君    坂田 英一君       田邉 國男君    谷垣 專一君       綱島 正興君    寺島隆太郎君       内藤  隆君    中山 榮一君       野原 正勝君    松浦 東介君       松本 一郎君    米山 恒治君       石田 宥全君    角屋堅次郎君       栗林 三郎君    中澤 茂一君       楢崎弥之助君    西宮  弘君       安井 吉典君    山田 長司君       湯山  勇君    稲富 稜人君       玉置 一徳君 ――――――――――――――――――――― 昭和三十八年一月二十九日(火曜日)    午後零時四分開議  出席委員    委員長 長谷川四郎君    理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 山中 貞則君    理事 片島  港君 理事 東海林 稔君       安倍晋太郎君    伊藤  幟君       金子 岩三君    谷垣 專一君       寺島隆太郎君    内藤  隆君       中山 榮一君    野原 正勝君       角屋堅次郎君    中澤 茂一君       楢崎弥之助君    野口 忠夫君       安井 吉典君    山田 長司君       湯山  勇君  出席国務大臣         農 林 大 臣 重政 誠之君  出席政府委員         農林政務次官  津島 文治君         農林事務官         (大臣官房長) 林田悠紀夫君         農林事務官         (農林経済局         長)      松岡  亮君         農 林 技 官         (農地局長)  任田 新治君         農林事務官         (農政局長)  齋藤  誠君         農林事務官         (蚕糸局長)  昌谷  孝君         農林事務官         (園芸局長)  富谷 彰介君         農林事務官         (農林水産技術         会議事務局長) 坂村 吉正君         食糧庁長官   大澤  融君         林野庁長官   吉村 清英君  委員外出席者         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 昭和三十七年十二月二十五日  委員石田宥全君及び西宮弘君辞任につき、その  補欠として野口忠夫君及び稻村隆一君が議長の  指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 一月二十二日  米麦集荷手数料及び保管料引上げに関する請願  外十七件(小島徹三紹介)(第六〇号)  同外二件(早稻田柳右エ門紹介)(第六一  号)  同外三十六件(河本敏夫紹介)(第一二〇  号)  同外一件(安倍晋太郎紹介)(第二八七号)  学校給食用牛乳供給事業恒久的制度化に関す  る請願羽田武嗣郎紹介)(第一二九号)  長野県営かんがい排水事業早期完成に関する  請願羽田武嗣郎紹介)(第一三〇号)  農業構造改善事業補助率引上げ等に関する請  願(羽田武嗣郎紹介)(第一三一号)  農業災害補償法改正に関する請願羽田武嗣  郎君紹介)(第一三二号)  造林事業補助単価引上げに関する請願羽田  武嗣郎紹介)(第一三三号)  農林年金制度改正に関する請願外十一件(青木  正君紹介)(第二二七号)  昭和三十八年度農業共済保険関係予算等に関す  る請願外十件(永井勝次郎紹介)(第二二八  号)  農業共済組合等事務費国庫負担増額に関する  請願外二件(永井勝次郎紹介)(第二二九  号)  バナナ輸入自由化延期中小専業者保護対策  確立に関する請願安倍晋太郎紹介)(第二  八六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  農林水産業基本施策及び昭和三十八年度農林  省関係予算等説明聴取      ――――◇―――――
  2. 長谷川四郎

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件につきましてお諮りをいたします。  今会期におきまして、農林水産業振興に関する事項農林水産物に関する事項農林水産業団体に関する事項農林水産金融に関する事項農業災害補償に関する事項の各事項について、国政に関する調査を行ないたいと存じます。これについて、議長に対しまして承認方を申請いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、承認要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ――――◇―――――
  5. 長谷川四郎

    長谷川委員長 農林水産業基本施策に関し、農林大臣より発言を求められております。これを許します。重政農林大臣
  6. 重政誠之

    重政国務大臣 今国会に提出いたします農林省関係予算案及び法律案につき、各位の御協力を得て御審議をいただくにあたりまして、農林水産施策方針概要につき申し上げたいと思います。  まず、最近における農業動向を振り返りますと、さきに本国会に提出いたしました昭和三十七年度農業動向に関する年次報告において明らかにいたしましたように、三十六年度においては、農業生産の増加、農産物価格の上昇、交易条件の有利な推移等を反映して、農業所得は相当な伸長を示し、また農外所得も引き続き著しく増大したため、農家所得の伸びは目ざましいものがあり、農業従事者生活水準は大きく上昇いたしました。  しかし、他産業と比較した場合には、その急速な成長に農業が歩調を合わせられなかった点も見受けられるのであります。また、農業自体について検討しますと、農産物需給価格の不安定、農家人口の移動に伴う労働力質的劣弱化兼業化の進行、土地、資本、経営担当者等に関する経営条件がなお十分整わないなど、問題と思われる諸現象が見られるのであります。  このような動向に対処して農業の一そうの発展をはかるためには、生産性向上経営近代化条件整備とを指向して、農業構造改善推進することが最も必要であると考えられるのであります。  以上の点は、若干の事情の差こそあれ、林業及び漁業につきましてもほぼ同様であると思われるのであります。  次に、農林水産業を取り巻く国際的条件考えますと、農林水産物に対する貿易自由化の要請がきわめて強いのであります。政府は、これに対処して、農林水産物についてもこれまで段階的に自由化を進めて参りました。  現在自由化されずに残されている物資は、自由化の困難なものが多く、なかんずく、米麦酪農製品牛豚肉等については、農家所得形成上の重要性零細農耕に基づく生産性の低さ等を考慮すれば、現段階においては、早急に自由化することは適当でなく、可及的に輸入制限を存続する方針であります。また加工品についても同様の配慮を必要とするものもあると存じます。このことは、さきにアメリカで開催された日米貿易経済合同委員会においても、また先般わが国で行なわれました日加閣僚委員会においても、私が特に強調いたしたところであります。  しかしながら、今後、農林水産物貿易促進に関する国際的要請がますます強くなることを考慮するならば、いつまでもこのような体制に安住するわけにはもちろん参らないわけでありまして、関税率調整その他所要措置を講ずることにより、自由化が可能なものから逐次実施して参りますほか、基本的には、農林水産物生産流通加工の各部面を通じる合理化により早急に生産性向上し、国際競争力強化することが必要であります。この意味においても、農林水産業構造改善をはかることがきわめて重要であると思われるのであります。  申すまでもなく、構造改善に関する施策は、多岐にわたる関連施策が脈絡ある組み合わせをもって根強く展開されることにより、真の効果が期せられるものでありまして、この場合政府として特に留意すべきことは、農林漁家が安心して構造改善を進めることができるような基本的諸条件を着々整備して参ることであると思うのであります。  このような考え方に基づきまして、昭和三十八年度においては、生産選択的拡大生産基盤整備技術高度化経営近代化等農林漁業構造改善をはかる上において重要と思われる諸施策推進する所存でありますが、特に構造改善を進めるについて不可欠な長期低利資金確保を第一義として取り上げ、同時に価格安定と流通面合理化に関する施策を一段と拡充強化する等構造改善を安定的に進めるための体制整備することを基本方針としておるのであります。  以下、農林水産業施策重点について、その概要を申し上げたいと思います。  初めに、農林水産業にわたる施策として、第一に、農林漁業金融制度の大幅な改善をはかることといたしました。すなわち、農林漁業構造改善を強力に促進するに必要な長期かつ低利資金を円滑に供給することをねらいとする農林漁業経営構造改善資金融通制度を創設する所存であります。  本制度は、資金種類としては、農業及び沿岸漁業構造改善事業推進資金果樹園経営改善のための果樹植栽育成資金畜産経営拡大のための資金農地未墾地及び林地の取得資金等であり、利率は構造改善事業推進資金は三分五厘、土地取得資金農業構造改善事業関連するものは四分、その他のものは四分五厘、果樹園経営改善及び畜産経営拡大資金据置期間中は五分五厘、償還期間中は六分とし、また償還期限は、農業構造改善事業推進資金は二十年以内、土地取得資金は二十五年以内にそれぞれ延長し、貸付限度額は、農業構造改善事業推進資金については個人の場合二百五十万円、また果樹植栽育成及び畜産経営拡大資金については二百五十万円、土地取得資金については八十万円とする等貸付条件の大幅な緩和をすることとし、また、この制度融資ワクとして三百億円を予定いたし、農林漁業金融公庫を通じてこれを運用せしめることといたしております。  なお、このほか、農業近代化資金につき融資機関範囲拡大等によりその整備をはかるとともに、農林漁業金融公庫資金農業近代化資金を初め各種制度金融貸付ワク拡大をはかることといたしております。  第二に、構造改善を安定的に進めるための体制整備一環として、価格安定と流通合理化に関する施策整備強化することといたしております。  まず、畜産物につきましては、畜産振興事業団業務に必要な資金充実するとともに、その需給調整をはかり、産地における処理販売合理化施設拡充し、また小売段階における流通経費の節減をはかるため、牛乳及び食肉につき共同保管ないし共同処理保管施設設置に対し、新たに助成する考えであります。  また、青果物については、青果物生産安定事業を引き続き促進するほか、野菜の大都市への供給確保をはかる等出荷調整措置充実し、また果実の安定的供給のための措置整備する所存であります。  次に、水産物については、引き続き産地における貯蔵運搬施設整備を進め、産地加工施設等設置についても新規に助成するほか、新たに消費地における大衆魚貯蔵のための冷蔵庫の新設をはかる考えであります。  そのほか、中央卸売市場についてもその施設整備を強力に推進することとしております。  以上の流通合理化に関する諸施策は、消費者物価安定対策としても政府が特に意を用いているところであります。  さらに、構造改善事業については、農業関係では引き続き実施している農業構造改善事業促進対策の円滑な推進をはかることとし、これがため、前に述べた事業推進に必要な長期低利資金を融通するほか、地方交付金あるいは起債に関し、必要な財源措置を講じ、政府補助のほかに、地方公共団体補助する道を開き、農家負担の軽減をはかるとともに、計画の樹立と事業実施について、指導体制強化して計画的に推進する所存であります。また、圃場整備事業推進開拓パイロット事業拡充農業機械化促進等農業構造改善関連施策整備することとしております。なお、以上の構造改善施策実施にあたっては、近く設置する地方農政局において具体的に実情に即し推進するように配慮して参りたいと存じます。  次に、沿岸漁業については、金融措置及び指導体制強化しつつ、沿岸漁業構造改善事業を引き続き計画的に推進するとともに、大型魚礁設置事業公共事業として実施することとしております。  なお、林業については、林業経営基盤整備林業経営改善のために必要な林業構造対策調査を新たに実施することといたしております。  この際特に強調いたしたいことは、次代農林漁業をになうべき青少年の問題であります。  近時、農林漁家の人口が相当な勢いで流出しておりますが、そのうちで次代をになうべき優秀なにない手が離村しつつあることはきわめて重視しなければならない問題であると思います。  このような事態に対処するには、農山漁民所得を増大し、その生活を豊かにすることが根本でありますが、同時に、青少年に対し、実地に近代的経営を担当するに必要な教育研修を行ない、新しい農林漁業経営について魅力と自信と希望を持つようにすることが必要であろうかと存じます。全国農村青少年教育振興会に対する活動の助成経営伝習農場充実等各種措置を講ずることとしておりますのもこのような配慮に基づくものであります。  以上、施策根本方針につき申し述べたのでありますが、以下、農業林業及び水産業施策内容につきまして、その概略をご説明申し上げます。  まず、農業についてでありますが、第一に、農業生産選択的拡大に関する事項として、畜産については、自給飼料基盤整備及び飼養規模拡大を目途として家畜の導入施設等整備推進するとともに、国、都道府県及び民間の密接な連携のもとに家畜改良増殖推進する体制確立することといたしております。  また、果樹については、その生産安定的発展をはかるため、計画的かつ集団的な果樹園経営を育成するための措置強化し、野菜についても生産安定化に資する措置を講ずることとしております。  さらに、てん菜等甘味資源作物について、貿易自由化の方向に即応し、生産性向上に努めつつ、生産振興をはかることとし、従来に引き続き養蚕、菜種及び大豆省力技術導入とその普及推進して生産合理化を進めることとしております。  なお、麦類については、他の農産物生産伸長により、作付の合理化をはかることとし、稲作については、労働生産性向上及び水田利用高度化推進し、農業生産選択的拡大を円滑に進めるよう配慮する所存であります。  第二に、農業生産性向上に関する事項として、まず、農業基盤整備事業につき、国、県営の各事業を通じ事業進度調整に留意しつつ既着工地区早期完成重点を置き、事業計画的かつ効率的な実施をはかり、また既着工事業完了状況を勘案し、新規事業の採択に努めたいと考えております。また土地改良事業種類及び範囲拡充計画樹立の方式及び事業実施の仕組みの改善等をはかるため、土地改良制度につき整備改善を行なうことといたしたいと思っております。  次に、試験研究については、その重点水田作を初めとする機械化作業体系確立並びに畜産、園芸及び利用加工の分野に置き、また基礎的研究充実することとし、その一環として植物ウイルス研究所を新設することといたしております。  さらに、農業技術普及については、特に農業改良普及員等任用資格引き上げ、研修の強化農業改良普及員等への手当の支給等により、農業改良普及事業刷新強化をはかる所存であります。  第三に、農産物価格の安定及び農業所得確保に関する事項でありますが、米、麦、カンショ及びバレイショ、畜産物、繭糸、大豆菜種等については、引き続き現行制度により価格の安定と所得確保措置を講ずることといたしておりますが、最近における食糧需給事情その他経済事情の推移にかんがみ、食糧管理制度について検討を進める所存であります。  また、甘味資源関連する農産物については、その生産振興の諸施策とあわせて、価格支持等のための措置を講ずる考えであります。  以上申し述べた施策のほか、農業従事者福祉向上その他従来から継続実施しております各種施策についても、その充実と円滑な推進をはかりたいと存じます。  林業についての施策としましては、第一に、今後における木材需要の増大に対処し、森林資源の開発を促進するため、林道開設改良事業拡充実施し、長期的に森林資源の保続培養をはかるため、造林事業計画的に推進することとしております。特に林道事業については、利用区域が広く、道路網構成のかなめとなる林道基幹林道として新たに助成の道を開くことといたしました。  第二に、災害の発生に備える国土保全対策としましては、治山事業を効率的に実施するとともに保安施設制度適確な運用をはかり、災害の防除に万全を期する考えであります。  第三に、林業金融円滑化をはかるため、農林漁業金融公庫による融資を拡充するほか、新たに林業信用基金設置して素材及び種苗等生産流通に必要な運転資金につき債務保証を行なうこととし、政府がこの基金の一部を出資することといたしております。  また、林業経営合理化をはかるため、林業改良普及事業強化林業機械導入促進森林組合の合併の促進等に努めたいと存じております。  水産業についての施策といたしましては、すでに述べた通り沿岸漁業振興流通改善のための施策推進して参りますが、このほか、まず遠洋漁業については、関係諸国との協調をとりつつ資源の保持に努め、また資源の科学的な調査研究推進し、漁場維持開発を行なうことといたしております。  次に、水産資源対策としては、前に述べた海洋漁場調査実施並びに内水面主要資源維持培養、サケ・マスの人工孵化放流事業等拡充するとともに、前年度瀬戸内海に設置した栽培漁業センターを増設し、漁民の実践活動を通じて沿岸重要魚種保護培養をはかるほか、新たに水産資源保護に関する啓蒙普及活動調査研究等促進をはかる措置を講ずる考えであります。  さらに、漁港整備については、漁港整備計画を改定し、新計画に基づいて漁港重点的整備をはかり、また、新たに漁港改修事業計画的に実施することとし、局部改良事業とあわせて漁港施設整備拡充をはかり、この際特定第三種漁港については、その重要性にかんがみ、補助率引き上げを行なうことといたしております。  以上、三十八年度の農林水産業施策重点について申し述べたのでありますが、以上の重点施策を初め、農業基本法を具体化する諸施策適確推進をはかるため、農林関係予算充実をはかるとともに、必要な法制上の措置を講じたいと存ずるのであります。  以上、農林水産事業概要を申し上げたのでありますが、各位の御協力を得まして農林関係予算案及び法律案の御審議が円滑に行なわれ、すみやかに御賛同を得られますようお願いをいたす次第であります。(拍手)     ―――――――――――――
  7. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次に、第四十三回国会提出予定法律案について説明を聴取いたします。林田官房長
  8. 林田悠紀夫

    林田政府委員 第四十三回国会提出を予定しておりまする法律案につきまして、概略説明を申し上げます。  ここに資料をお配り申し上げておりますが、法律案の件数といたしましては、十八件を予定しておりまして、そのうちで検討中の法律案が三件でございます。  まず農林省設置法の一部を改正する法律案でございまするが、これは植物に関するウイルス基礎的調査研究促進しまするために、本省の付属機関として植物ウイルス研究所を新設するということが第一点であります。  第二点としましては、農業土木試験場水産土木に関する試験研究等を行なうことができるようにさせたいということであります。  それから第三点といたしましては、輸出品検査所におきまして輸入にかかる農林畜水産物、飲食料品及び油脂の依頼検査を行なうことができるようにいたしたいということであります。  それから第四点としましては、農山漁村振興対策事業が終了いたしましたので、その中央審議会を廃止いたしたいということであります。  それから第五点としましては、食糧庁業務一部及び業務二部の所掌事務を整理いたしまして、業務一部ではもっぱら主要食糧米麦関係仕事をする。業務二部におきましては、食料品行政が次第に重要性を帯びて参りましたので、もっぱら食料品関係仕事をする。従いまして、従来業務二部におきまして輸入関係仕事を行なっておったのでありまするが、主要食糧につきましては業務一部で輸入関係仕事を行ないまして、業務二部は食料品関係輸入関係仕事を行なうというようにいたしております。  それから第六点といたしましては、日光に養魚場がありまして、主としてニジマスの養殖にかかる稚魚を配付しておりますが、それを廃止いたしまして、淡水研究所の支所にいたしたいということであります。  第七点といたしましては、定員につきまして所要の変更を行ないまして、三十一人の増員をするということであります。  それから次の、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法案でありまするが、これは、まず資本金を二百二十億円増額するということが一つと、それから公庫業務範囲拡大いたしまして、農林漁業経営構造改善資金を特に新たに設けまして、ここでそのための新たな制度を設けるということが中心でございます。  それからその次の林業信用基金協会法案でございますが、これは林業信用基金法案というものに現在改めるように考えております。その内容といたしましては、三億五千万円 林業関係生産並びに木材等流通に要する運転資金債務保証を行ないまするために国の予算がつきまして、林業信用基金をつくりましてそれに出資をする。同時に県と林業者から出資をいたしまして、ほぼ七億円程度の基金にいたしたい。それによりまして保証をやっていくという法案であります。  その次の、漁港法の一部を改正する法律案でございまするが、これは漁港審議会があるのでありますが、その中の委員水産庁長官が入っておるのであります。それで、これはむしろ漁港羅議会はいろいろ審議をしていただく審議会でありまするから、その委員から水産庁長官を除外することにいたしたいということが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、国以外のものが特定第三種漁港について、漁港修築事業を施行する場合におきまして、基本施設修築に要する費用について、従来国の負担割合が五割であったのであります。それを六割にいたしたいという特例措置を講ずるための改正でございます。  それからその次に、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案でありまするが、これは耕作の業務に必要な資材とかまたは施設を取得するとかあるいは設置するのに必要な資金を政令で定める。既入植者に対し貸し付ける場合の貸付金の償還期間を長くする。それからまた金利を安くするというための法案でありまして、償還期間据置期間を含めまして二十一年にする。据置期間は六年、それから年利は従来五分五厘でありましたのを、五分の均等年賦償還の方法によるということにいたしておるのであります。  それからその次の森林組合合併助成法案でありますが、農業協同組合と水産業協同組合につきましては、合併助成のための法律がすでにできておる次第でございまして、それで森林組合合併助成法案がおくれておりましたので、今回これを提出いたしたいという考えでございます。  それでまず森林組合が合併のための計画を立てることにいたしておりました、その計画を作成して知事に提出をする、その期間は大体昭和四十二年の十二月末までに、今から五年間でやっていこうということであります。予てして知事がその計画を認定をする。その場合に、政府予算範囲内におきまして、都道府県に対しましてこの合併のための経費につきまして補助金を交付する。補助金は、第一にはその必要な施設を改良しましたり、造成しましたり、または取得するのに要する経費を都道府県が補助をするという場合に、その一部を国が補助するというのが一つと、もう一つは、都道府県が組合に対しまして、計画樹立とかあるいは実施につきまして指導を行なう場合に、その指導に要する経費を補助するということであります。  森林組合は現在千七百十八ほどありまして、これを五カ年計画で五百七十六組合程度にいたしたいということを考えております。  それから別に、税法上の優遇措置といたしまして、本法に基づきまする合併組合につきまして、租税特別措置法による法人税とそれから登録税の特例を検討中でございます。  それからその次が農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案でありまして、これは従来農業近代化資金融資機関は農協系統の金融機関であったのでありまするが、それを銀行その他の金融機関で、政令で定めるものを加えるということにいたしております。  本年度は、従来五百億円の融資ワクを五百二十億円にいたしまして、特に農協系統以外の金融機関をも融資機関に加えたいということでございます。  それからその次の農業災害補償法の一部を改正する法律案、これにつきましては、先般の国会におきまして、衆議院で御修正願いまして、参議院で審議未了になったという経過があるわけでございまするが、現在この法案をいかにしていくかということにつきまして検討をいたしておる段階でありまして、まだ最終段階には至っていないような次第でございます。  一応現在考えておりますることは、ここに書いてありますように、画一的強制方式の緩和とか、農業共済組合等の共済責任の拡充と無事戻しの強化、あるいは共済掛金率設定方式及び共済掛金国庫負担方式の合理化とか、水稲の病虫害防除事業推進、共済掛金の割引等の改正を行ないたいというようなことで検討をいたしておる次第でございます。  その次に、土地改良法の一部を改正する法律案、これは相当大部の法律案になろうと思う次第でございますが、農業基本法の趣旨に即応すること、それからまた社会的な経済的諸条件の変化に対応いたしまして、土地改良事業の合理的なまた円滑な実施をはかりたい。そして農業生産基盤の整備強化に積極的に資するようにいたしたいというような観点から、土地改良制度改善合理化する必要がありますので、これこれの改正を行ないたいということを考えておる次第でございます。  それで、その内容といたしましては、まだ最終的に固まってはいないわけでございますが、新たに草地の改良とか開発及び保全に関する事業土地改良事業に加えまして、土地改良事業を農用地の改良開発及び保全に関する事業とする。それから農用地とすることが適当な土地についての土地の取得とか、または利用権の設定についての関係者の協議、及び都道府県知事の調停に関する規定を設けたいということが一つでございます。  それから農用地の集団化を促進して、かつ集団化とあわせて各種土地改良事業を一体的に実施いたしますために区画整理事業と、これに関連する各種土地改良事業の工事を総合一体的に実施することができるようにいたしますとともに、これに伴って換地計画樹立の方式、及び換地処分の実施の方法を改善いたしたい。それから土地改良事業の総合的、効率的実施促進するとともに、いわゆる弱小土地改良区の乱立防止に資しますために、二種以上の土地改良事業をあわせて行なう土地改良区の設立が円満に行なわれるように規定を整備いたしたい。  それから農地のみならず、草地についても交換分合を行なうことができるようにいたしますとともに、土地改良事業の施行に伴いまして、必要がある場合には市町村も交換分合の事業主体になり得るように規定の整備を行ないたい。  次に国とか都道府県営事業につきましては、従来の申請に基づく計画樹立方式のほかに、国または都道府県みずからが計画樹立し得る方式をとりますとともに、これらの事業についての計画樹立は、関係都道府県または関係市町村と協議の上で行なう仕組みに改めたい。それから国営事業の農民負担金の徴収につきましては、都道府県及び市町村を通じて、都道府県営事業の農民負担金の徴収は市町村を通じて行なう仕組みに改めたい。  次に、これは目下慎重に検討しておるところでございますが、長期計画樹立するということであります。  その次に、土地改良施設の維持管理の改善合理化をはかるということでありまして、国営事業によって生じました土地改良施設につきましては、受益地域が二つの都府県にまたがるもの等、政令で定める基幹的な施設は、国の直轄管理とするとともに、事業施行の際あらかじめ地域内の資格者及び管理者たるべきものの同意を得まして、土地改良施設の管理に関する基本的事項を定めまして、これに基づいて県とか土地改良区等に対して管理を委託することができるようにすることによりまして、管理主体の明確化と管理の適正化に資することができるようにする。それから都道府県営事業によって生じました土地改良施設につきましても、そのようなこれに準ずる方法によって管理することとしまして、このために必要な規定を新設施行いたしたい。  それから土地改良施設の管理の適正を期するために国、都道府県、市町村、土地改良区等が一定の土地改良施設を管理する場合には管理規定を定めまして、管理を行なうよう規定の整備をいたしました。  それから次に、土地改良区の整備及び運営の強化をはかりますために土地改良区の設立の規制とか、あるいは役員の責任の教化等の必要な規定の改正を行ないたい。  それから、そのほかに土地改良事業の適正かつ円滑な実施をはかりますために必要と認められる事項について、まず土地改良区の事業計画の変更とか、または新たな土地改良事業の施行のため地区を拡張する必要がある場合におきましては、定款変更と事業計画の確定を、一つの手続によって同時にこれを実施することができるように規定を整備いたしたい。そして国と県も、その事業の施行のため、必要がある場合には、換地処分を行なうことができるようにいたしたい。  次に、特定土地改良工事特別会計によりまして行なうことができる事業に、灌漑排水事業とあわせて工事を行なうことによって土地改良事業の効率が著しく高められ、かつその事業の施行にかかる地域内の土地におきまする農業経営合理化に寄与しますとともに、国土資源の保全に資することが明らかである場合におきまする農用地の保全の事業で政令で定めるものを加えたい、そういうふうなことをおもな内容といたしております。  その次に、農業改良助長法の一部を改正する法律案でございまするが、御承知のように専門技術員及び改良普及員に対しまして、農業改良普及手当を支給するということになりまして、専門技術員と指導主事につきましては、給料の月額に八%を加算する、改良普及員につきましては、一二%を加算するということになっておるわけでございますが、そのために、農業改良普及手当を創設するということを主にいたしまして所要改正を行ないたいということでございます。  その次に、農薬取締法の一部を改正する法律案でありまするが、これは過般PCPによりまする被害が水産関係に及びまして、相当な問題を起こしたわけでございまするが、そういう農薬の使用に伴なう魚介類の被害の実情等にかんがみまして、これらの被害を防止するために農薬の使用制限等の措置を講じたいということでございまするが、これもなかなか問題がございまするので、目下慎重に検討をいたしております。  その次に、甘味資源生産振興及び糖業の合理化等に関する法律案でございまするが、これも御承知のように、目下国内の甘味資源振興、糖業の合理化につきまして、いろいろ国会におきましても議論が行なわれておるような段階でございます。そういうことに対応いたしまして考えておりまする案といたしましては、まず生産振興地域を指定いたす、農林大臣生産振興地域を指定いたしまして、てん菜の生産振興地域とする、またはカンシャの生産振興地域というようなものを指定するわけであります。そうしますると、その指定を受けた区域を管轄する都道府県知事がてん菜またはカンシャの生産振興計画を立てまして農林大臣の承認を受けるようにいたしまして、そういう場合に国は都道府県に対しましてその生産振興計画実施に要する経費につきまして補助する等の助成措置を講ずるようにする。そうして一方てん菜糖の製造施設とかカンシャ糖の製造施設設置等につきまして、農林大臣の許可制度を採用することも検討しておるわけであります。それから、てん菜糖及びカンシャ糖の政府買い入れ、特に必要があると認められるような場合に、国内産糖の製造業者から最低生産価格を下らない価格で買い入れる。買い入れましたてん菜またはカンシャを原料として製造されたてん菜糖またはカンシャ糖の買い入れをすることができるようにする。それから、ブドウ糖工業の合理化促進することによりまして、カンショ澱粉及びバレイショ澱粉の長期的な需要の確保をはかりますために特に必要があるというように認められるときは、その行なう事業を早急に合理化する見込みが確実であるというように認められるブドウ糖製造業者からブドウ糖の買い入れをすることができるようにしたい。こういうてん菜、カンシャの生産振興とか砂糖類製造工業の健全な発展あるいは砂糖類の需給価格の安定というようなことに関しまする重要事項調査審議しまするために、甘味資源審議会農林省に設けるというようなことが現在中心になりまして検討をされておる次第でございます。  その次に狩猟法の一部を改正する法律案でありまするが、この内容といたしましては、特に鳥獣保護の制度整備いたしまして、それにあわせて狩猟免許制度改善するということが中心であります。  まず、鳥獣保護制度に関する改正といたしましては、鳥獣保護の事業計画をつくる。都道府県知事が鳥獣の保護、繁殖を目的とする事業実施しまするために、農林大臣が定める基準に従いまして鳥獣保護事業計画を立てる。国は都道府県に対しまして鳥獣保護事業実施するため必要な勧告とか指導とか援助を行なうように努めまするとともに、都道府県知事は鳥獣保護事業計画の達成をはかりますために所要措置を講ずる。それから鳥獣保護の実効を確保しますために、禁猟区を廃止いたしまして鳥獣保護区に統合する。そして鳥獣の保護、繁殖をはかるため特に必要があるときは、鳥獣保護区の区域内に特に保護地域を指定する。  それから狩猟制度に関する改正といたしましては、まず狩猟免許でありまするが、都道府県知事は講習会の課程を終了したことを証する証明書の所持者に対しまして当該都道府県の区域内における鳥獣の生息状況等を勘案しまして狩猟免許を与えるものとする。従来は住所地で免許を受けまして、その県の免許があればよかったわけでありまするが、今度は狩猟を行なう県ごとに免許を受けるということになるわけであります。すなわち狩猟免許の効力はその免許をした府県の知事が管轄する区域内においてのみ有効にするということであります。これと同時に、狩猟者税というのがあるのでありまするが、狩猟者税を各県でとりまして、一部を鳥獣保護のために目的税のようなものにしたいということを別途税法の上で考えておるわけであります。  それから猟区事務の委託、猟区の維持管理に関する事務の委託を受けた猟区内におきまして、狩猟しようとする者から委託にかかる事務に要する費用に充てるべき金額を徴収しまして、その収入とすることができるようにいたしたい。  それから都道府県鳥獣審議会設置したい。大体そういうふうなことがその内容でございます。  それからその次に中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案でありますが、これは目下大蔵省と折衝中でございまして、まだ検討中の段階でございます。  この内容として考えておりますことは、信用事業を行なう漁業協同組合を、この制度の上の金融機関に追加いたしたい。そうして漁業協同組合のその組合員に対する融資漁業信用基金協会が保証する道を開こうということが一点であります。  それから現行制度におきましては、漁業信用基金協会の保証を受け得るものは、みずから出資しましてその協会の会員となっているものに限られておるのでありますが、漁業協同組合が協会の会員となっている場合には、その組合の組合員は、みずから出資して協会の会員とならなくても、協会の直接保証を受けることができるようにしたい。  それから第三点といたしましては、漁業信用基金協会は、定款の定めるところによりまして水産加工業協同組合及び水産加工業者の金融機関に対する債務の保証を行なうことができるようにいたしたいということであります。  その次は、沿岸漁業振興法案でありますが、これは先般の国会におきまして審議未了になったのでございますが、この法案と同じ内容のものをもう一度提出をいたしたいということでございます。  特に沿岸漁業等といたしまして、沿岸漁業のほかに必要な中小漁業も含めまして、それを振興するための基本的な施策につきまして内容を変えている次第でございます。  それから検討中の法案といたしましては、臨時食糧管理制度調査設置法案、これは農林省の設置法とともに内閣委員会提出をされるものと考えているのでございますが、目下これにつきましては検討をいたしておるわけでございます。  その趣旨といたしますところは、食糧需給事情その他経済事情推移にかんがみまして、食糧管理制度に関しまする重要事項調査審議いたしたいというようなことでございます。  それからその次に、林業振興法案でありますが、これは農業基本法とかあるいは漁業におきまする沿岸漁業振興法のような基本的な法案に対応する林業振興をはかりますために、林業に関する国の講ずべき基本的施策の方向を定めたいということから、目下検討をいたしているのでありますが、林業につきましては、御承知のように階層が非常に分かれておるというような問題もございますし、なかなかむずかしい問題も含んでおりますので、目下その内容につきまして慎重に検討をいたしております。  それから最後に森林法の一部を改正する法案でございます。これは森林法の中に規定しておりまする森林組合制度の一部を改正いたしたいというために、森林法に所要改正を加えるということで目下検討いたしております。  その内容といたしましては、経済事業と指導事業を目的として並列させたいということが一つ。  それから組合員資格の整備を行ないたい。  それから第三点としましては、組合事業整備拡充を行ないたい。すなわち必須事業と選択事業に分かれておるのでありまするが、この別を廃止する。それから組合員のための林地取得の中継を行なう。それから森林信託関係規定の整備を行なう。それから施設組合の分収造林への参加をやるわけであります。  それから第四点といたしましては、組合の管理運営の円滑化でありまするが、参事制度を創設するとか、役員の競業禁止の強化を行なう。剰余金の出資割配当限度の引き上げを行なう。その他総会議事項整備等を行なうわけであります。  それから第五点としましては、生産組合の組合員の従事要件の緩和等を行なう。  第六点といたしましては、行政庁の監督指導の強化を行なう。  第七点といたしましては、森林組合共済会によりまする共済事業制度化を行ないたいというようなことでございます。以上であります。      ――――◇―――――
  9. 長谷川四郎

    長谷川委員長 この際、新設されました園芸局富谷局長より発言を求められております。これを許します。
  10. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 ただいま委員長から御紹介がございました園芸局長の富谷でございます。何とぞよろしく御指導下さいますようにお願いいたします。(拍手)      ――――◇―――――
  11. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次に、昭和三十八年度農林省関係予算について説明を聴取いたします。津島農林政務次官
  12. 津島文治

    ○津島政府委員 昭和三十八年度農林関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計における農林関係予算の総体について申し上げます。  農林省所管合計といたしましては、二千二百五十七億円となっておりますが、これに総理府、大蔵省、文部省、労働省及び建設省所管を加えた農林関係予算合計は二千五百三十一億円となり、これを昭和三十七年度補正後の予算二千四百九十三億円に比較すると三十八億円の増加、また昭和三十七年度当初予算二千四百五十九億円に比較すると七十二億円の増加となっております。なお、対前年増加額につきましては、ただいま申し上げました三十八億円のほか、前年度の経費で減額となりますものが、食糧管理特別会計繰り入れで百七十五億円、伊勢湾高潮対策及び災害復旧事業等で七十二億円、農山漁村建設総合対策で十六億円、大豆菜種交付金で十億円、合計二百八十五億円ありますので、これらを加えて三百二十三億円が実質的な増加額となっているわけであります。  この予算の編成にあたりましては、農業につきましては農業基本法を基軸といたしまして、同法に定める諸施策の具体化を強力にはかることとし、林業水産業につきましても同様にそれぞれの施策の充実をはかることとしたのであります。  以下、本予算編成の重点事項について申し上げます。  まず最初に、農業関係予算について申し上げます。  第一に、農業生産選択的拡大推進し、食糧需要の動向に対応して成長農産物の伸長と生産合理化をはかるための予算について申し上げます。一、最初に畜産生産振興につきましては、畜産経営の基盤となる飼料自給制度向上に必要な草地改良事業計画的に推進するため、前年度に引き続き、事業量を拡大するほか、補助対象の拡充、事業単価の引き上げ等補助内容の充実をはることといたしており、これに要する経費十二億一千五百万円を計上しております。なお、農業構造改善事業の一部として行なうもの二億一千三百万円を含めますと、草地改良事業に要する経費は総額十四億二千八百万円となっております。   このほか既耕地における飼料作物の生産性向上に資するため、新たに乾草ミールの生産促進をはかるモデル施設及び北海道酪農経営における飼料の効率的利用促進のためのモデル施設設置について助成するほか、飼料作物生産改善施設設置補助等各種の自給飼料対策を実施することとし、これらに要する経費六億五百万円を計上しております。なお、このうちには、新たに草地の造成、管理の指導を担当する補助職員の設置費が含まれております。   また、家畜導入、家畜衛生対策、家畜改良増殖等の事業につきましては、寒冷地等特殊地帯に対する県有家畜貸付事業、肉用素畜導入事業、乳用雌仔牛共同育成事業等を継続実施するほか、肉牛の積極的な改良増殖を行なうための肉牛改良増殖基地、優良な乳用種雄牛を確保するための保証乳用種雄牛制度等を新たに実施いたすこととしております。さらに、各県の家畜保健衛生所の整備、家畜集団衛生の普及指導体制の強化、国立種畜牧場の施設整備等所要の措置を講ずることとして二十億四千四百万円を計上しております。なお、畜産農家の振興生産性向上に積極的に寄与するため、新たに農林漁業金融公庫において長期低利畜産経営拡大資金三十億円の融通を予定いたしております。二、次に園芸の振興につきましては、生産流通を通ずる行政の円滑かつ強力な実施を期し、去る一月二十日園芸局を設置してその推進をはかることとしておりますが、果樹農業生産振興につきましては、果樹農業振興特別措置法に基づき果樹園経営の集団化を促進し、果樹農業生産性向上をはかるため、農林漁業金融公庫資金農林漁業経営構造改善資金の一環として三十億円に拡大するとともに、融資条件についても改善をいたしております。このほか果樹園経営計画の樹立実施果樹栽培適地調査果樹種苗対策、果樹病害虫発生予察事業果樹栽培研修施設設置等を継続実施することとし、これらに必要な経費として三千九百万円を計上いたしております。三、甘味資源作物生産振興につきましては、貿易の自由化に対処し、甘味資源総合対策の一環として、てん菜のみならず、カンシャ及び澱粉原料用カンショ、バレイショにつきましても積極的にその生産振興に力を注ぐことといたしております。   まず、てん菜につきましては、日本てん菜振興会に対する政府出資、北海道におけるてん菜採種事業に対する助成、内地におけるてん菜栽培機械施設設置、適地調査検定圃、てん菜生産技術研修、てん菜集団化栽培対策等の諸事業に対する助成を継続実施するほか、新たに北海道てん菜について、ペーパーポットによる共同育苗圃の助成、深耕用土層改良機械の導入助成等の振興措置を講ずることとし、これらに要する経費として四億七千六百万円を計上いたしております。なお、以上のほか、北海道につきましては、てん菜生産振興のために行なう土地改良事業を大幅に拡充することとし、十億八千五百万円を予定しております。   次に、種子ヶ島、屋久島等西南諸島におけるカンシャにつきましては、従来農業基盤整備事業を除き特に国の助成措置は講じていなかったのでありますが、甘味資源総合対策の一環として、新たに優良種苗の原苗圃の設置、土壌改良のためのトラクターの導入、技術の向上等についての助成措置を講ずることとし、これがため一千六百万円を計上いたしております。なお、別に土地改良事業として三千万円を予定しております。   以上のほか、澱粉原料用カンショ、バレイショにつきましても積極的に生産振興をはかるため、カンショ、バレイショ原種事業、バレイショ原々種農場等を強化するとともに、新たに高澱粉品種の種イモを急速に普及するための事業に助成を行なうこととし、これらに要する経費として三億六千九百万円を計上いたしております。   以上、甘味資源作物生産振興対策として、合計八億六千万円、別に土地改良事業として十一億一千五百万円を計上いたしております。四、このほか、農業生産選択的拡大促進するためのおもな予算措置といたしましては、特用作物の振興について優良種苗の確保、耕種基準圃の設置等に要する経費として二千四百万円、養蚕生産合理化について農業構造改善事業において実施される桑園集団化事業のほか、一段厚飼による飼育技術の普及、軟化病の防除調査等に対して八百万円、菜種の生産改善対策について前年度に引き続き菜種生産改善施設設置する等のため二千八百万円をそれぞれ計上いたしております。また、急激に増加している飼料の需要に対処するため、トウモロコシの晩播・密植・多肥による多収省力技術普及、ビール等の消費の増大に応ずるための醸造用原料麦の作付促進等につきそれぞれ新たに助成を行なうこととし、これらに要する経費一千八百万円を計上しております。 第二に、農業生産性向上と総生産の増大に関する経費について申し上げます。 一、農業基盤整備事業につきましては、生産選択的拡大の方向を考慮しつつその計画推進をはかるため、総額六百五十六億五千六百万円を計上いたしております。  (1) まず、土地改良事業につきましては、総額三百九十六億七千八百万円となっております。その重点について申し上げますと、特定土地改良工事特別会計で行なう事業については、その計画期間内完了を目途として一般会計から四十九億五千四百万円の繰り入れを行ない、これに借入金等を加え八十億六千万円の事業実施することとし、また、一般会計国営事業及び県営事業については事業効果の早期発現と経済的施行を配慮し、特に国営付帯県営事業については国営事業の進度との調整を考慮して三十八年度から一般都道府県営事業とは別に事業の着工採択を行なうとともに、一般都道府県営事業については残事業早期完成を目途として事業推進をはかることとしております。団体営事業につきましては、農地の集団化と末端の圃場条件整備との有機的連携をとりつつ事業の拡充をはかるとともに、農道について補助率引き上げを行なうことといたしております。また、非補助の小団地等土地改良事業につきましては、農林漁業金融公庫の三分五厘資金融資ワクを百五十四億円に増額いたしております。   なお、すでに申し上げました通り、北海道におけるてん菜、西南諸島におけるカンシャ生産等と関連いたしまして、その生産基盤整備をはかるため、灌漑排水事業、耕地整備事業促進することとしております。   さらに、三十八年度におきましては、区画整理事業を基軸とし、各種土地改良事業を総合的に実施するため、団体営土地改良事業とは別に圃場整備事業を設け、自然的条件の良好な地帯につき極力大区画圃場の形成をはかるとともに、このうち受益面積の大規模なものにつきましては都道府県営事業として施行することといたしました。   また、愛知用水公団事業につきましては愛知用水の管理とあわせて、豊川用水事業の一貫施行とその早期完成をはかることにいたしており、篠津泥炭地開発事業につきましてもその事業促進いたすこととしております。   以上のほか、水資源開発公団が行なう群馬用水事業及び印旛沼事業について、補助することといたしております。  (2) 次に干拓事業につきましては、農家の経営規模の拡大をはかるとともに、国土の造成及び保全に資するため事業計画推進をはかることとし、特定土地改良工事特別会計においては一般会計からの繰り入れ九十七億七千五百万円に、借入金等を加え百四十三億二千九百万円の事業を行なうこととしておりますが、特に八郎潟干拓事業については年度内干陸を目途に五十四億五千万円の事業を行なう予定であります。また一般会計事業については九億七千七百万円を計上いたしております。  (3) 農用地開発事業につきましては草地改良事業を含め、総額百四十八億九千六百万円を計上いたしておりますが、振興地区の建設工事と開墾作業の促進、入植施設の拡充に重点を置いて事業実施するとともに、一般農家の経営規模の拡大をはかる見地に立って開拓パイロット事業推進に努めることにいたしております。なお、新規入植戸数は、前述の事情を考慮して、既着工地区で営農の安定が確実と認められる地区に限定して六百戸といたしております。  (4) また農地開発機械公団に対しましては、建設機械の購入、更新等の経費に充てるため一億円の出資を予定いたしております。 二、次に、農業生産性向上農業高度化を達成するために必要な技術的基盤を確立するための試験研究事業及び技術の普及指導事業等に関する予算について申し上げます。  (1) 試験研究事業につきましては、農業関係において六十一億円を計上し、研究の重点を水稲作を初めとする機械化作業体系の確立、畜産、園芸、利用加工等の成長部門における技術の高度化農業構造改善推進に置くこととし、他方技術革新のための基礎的研究を充実し、その一環として植物ウイルス研究所設置することといたしております。また、試験研究機関の施設、機械等の整備拡充をはかる所存であります。   一方、都道府県の農業関係試験研究機関に対する助成につきましては、普及の技術センターとしての機能を十全ならしめるために総合助成方式の継続実施を行なうほか、新たに総合実験農場の設置等につき助成を行ない、普及に直結した実用研究の強化をはかることといたしております。  (2) 技術の改良普及に関する経費のうち農業改良普及事業につきましては、生活改善事業も含め三十四億五千五百万円を計上いたしておりますが、普及指導主事の振替増、機動力の充実、特技研修終了者に対する大学留学研修の新規実施を含む研修事業の拡充等普及事業効率化の措置を講ずるほか、新たに農業改良普及職員に対する手当を支給することといたしております。また、生活改善事業については、専門技術員及び普及員の増員と農山漁家の生産改善の実習施設としての生活近代化センターの増設を行なうことといたしております。   また畜産技術の指導事業といたしましては、国、都道府県を通ずる畜産技術の講習研修事業整備をはかるとともに、畜産会の行なう畜産技術経営診断事業のほか、生乳品質改善事業を継続実施することとし、これらに対し一億八百万を計上しております。   一方、一蚕糸技術改良事業についても、蚕業技術指導所職員及び蚕業普及員の活動の強化と資質の向上により、蚕業技術及び経営高度化とその普及推進をはかるほか、新たに養蚕依存度の高い低位生産地域につき濃密指導を実施することとし、これらに要する経費として四億八千六百万円を計上しております。  (3) 以上のほか、主要農作物の優良種子の確保、地力全、農業改良資金、植物防疫事業等の諸事業につきましては十一億五千六百万円を計上してその充実をはかったのでありますが、三十八年度におきましては、米の買い入れ価格の時期別格差の合理化に伴って影響を受ける北陸等諸県に対して、大規模の米穀乾燥調製施設設置を助成して、産米の改良と米作経営合理化をはかることといたしております。  第三に、農業構造改善農業近代化をはかるための予算措置について申し上げます。 一、農業構造改善事業につきましては、その計画に従い強力な指導助成を行なうこととし、総額七十八億九千六百万円の予算を計上いたしました。   まず、農業構造改善事業推進の拠点となるパイロット地区につきましては前年度に引き続き第二年度としての助成を行ない、一般地域につきましては前年度に事業を開始した二百市町村における事業に対しても引き続き助成を行なうとともに、新たに三百市町村の事業に対して第一年度としての助成を行なうほか、別に全国四百市町村において農業構造改善事業計画の樹立を促進することといたしております。また、三十八年度においては、地元負担軽減のため農業基盤整備事業費の二割に見合う額を普通交付税の交付に際し都道府県の基準財政需要額に算入することとしており、三十七年度実施分についてもこれに準ずる配慮を行なうことにいたしております。さらに本事業推進体制を強化するため都道府県補助職員の増員、全国農業構造改善事業協会の活動助成等を新たに行ない、指導体制の強化と相待って事業の強力な推進をはかることといたしております。   なお、本事業に対する融資措置を強化し、ただいま申し上げました補助と一体をなしてその効果を高めるため、新たに長期、低利農林漁業経営構造改善資金融通制度を設けることとして、その融資額は三十六億円とし、これに土地基盤整備事業に対する資金十七億円を加え、本事業に関する公庫の融資総額は、五十三億円といたしております。 二、農業機械化関係の経費として、農業近代化の根幹となる農業の機械化を強力に推進するため、深耕用、土層改良用、重粘土土層改良用等の大型トラクター等の導入をはかるとともに、機械化栽培実験集落による実験調査農業研修室の充実及びヘリコプターの農林水産業への利用促進事業等を含め五億四千六百万円を、また農業機械化研究所に対する政府出資二億五千万円と事業費の補助五千八百万円を計上いたしております。 三、次に農業近代化資金融通制度の拡充強化について申し上げます。   本制度につきましては、農業者の資金需要の実情にかんがみ、地方銀行等を融資機関に加えることといたし、貸付資金ワクを五百二十億円に拡大することといたしました。このため農業近代化助成資金に百六億七千二百万円の追加繰り入れを行ない、運用益十一億四千一百万円をもって利子補給の財源に充てるとともに、債務保証を行なう都道府県信用基金協会に対し七億五千六百万円の出資補助を行なうこととし、これらに要する経費として合計百二十六億四千五百万円を計上いたしております。  第四に、農産物流通合理化、加工及び需要の増進並びに輸出振興に必要な予算について申し上げます。 一、農産物流通改善対策といたしましては、まず家畜及び畜産物のうち、食肉について、新たに産地において食肉センター、消費地において食肉処理保管施設設置を助成して食肉取引の近代化、食肉小売業者の経営合理化等をはかることといたしました。このほか、家畜市場の再編整備、食鶏出荷合理化施設の助成等を継続実施することといたしております。生乳については、取引改善生産出荷の調整をはかるため、前年度に設置した酪農会議等の機能の充実、クーラーステーション及び生乳検査施設整備に対する助成等を行なうほか、新たに消費地における牛乳共同保管施設設置補助を行なうこととしております。また、ハチみつの共同出荷施設設置を助成すること等、以上に要する経費として二億五千万円を計上いたしておりますが、畜産物流通改善関係の事業として畜産振興事業団の行なう助成事業を充実するため、同事業団に十五億円の交付金を交付することとしております。   また、青果物流通改善については、自主的な出荷調整促進するための出荷調整対策協議会等に対する助成のほか、前年度からタマネギについて実験的に開始した青果物生産安定資金にかかる事業を継続強化いたすこととしており、さらに青果物の品質、包装の統一規格の普及促進のための助成、大都市への蔬菜の安定供給確保のための助成、リンゴのガス貯蔵モデル施設設置のための助成等を新たに行ない、流通改善に万全を期することといたしており、一億五百万円を計上いたしました。   なお、生鮮食料品の適正かつ円滑な流通確保するための中央卸売市場の新増設及び改設を行なう都市に対する施設費の助成として、二億五千万円を計上いたしております。 二、農産物の加工及び需要を増進するための予算としては、総額で十五億八千一百万円を計上いたしておりますが、関係企業の経営技術の高度化促進するため、前年度に引き続き中小企業種別振興臨時措置法に基づく実態調査及び改善指導を行なうほか、米穀配給制度合理化の一環として、新たに米穀搗精モデル工場の設置につき助成を行なうことといたしております。また、日本農林規格の普及推進のため社団法人日本農林規格協会に対して新たに助成するほか、パンの学校給食を継続実施することとしております。 三、農産物の輸出振興のための予算としては、総額で十億一百万円を計上いたしております。これは、輸出品検査所、生糸検査所の運営費のほか、生糸の海外需要増進をはかるため日本絹業協会に対する助成、輸出ミカン・カン詰の原料確保に資するため新たに設立予定の債務保証基金に対する助成等であります。  第五に、農産物価格安定と農業所得確保に必要な予算について申し上げます。  食糧管理特別会計における食糧管理及び農産物価格安定事業につきましては、国内米麦及び輸入食糧の管理を現行方式により実施することとし、食糧管理特別会計の調整勘定に対して一般会計から四百九〇億円の繰り入れを行なうことといたしております。  また、澱粉、カンショ、なま切りぼし、てん菜糖、飼料等の価格安定事業につきましては、これらの事業によって見込まれる損失補てん額として四十五億円を食糧管理特別会計の農産物等安定勘定に繰り入れることとしております。  なお、大豆輸入自由化に伴う国内産大豆及び菜種の保護措置としては、前年度に引き続き生産者団体等に対する交付金十五億円を計上いたしております。また畜産振興事業団に対してはその価格安定事業拡大するため五億円の追加出資をするほか、糸価安定特別会計においても前年同様に蚕糸価格の安定をはかるための措置を講ずることといたしております。  第六に、農業資材の生産流通合理化及び価格の安定に必要な措置といたしましては、肥料及び飼料の品質を保全し、その公正な取引を確保するため、肥飼料検査所において肥料及び指定飼料の検査を拡充実施するとともに、農薬検査事業、動物医薬品検査事業等を継続実施することとし、また流通飼料につきましては、飼料需給安定法に基づく輸入飼料の買い入れ売り渡し措置に伴う差損額として、前述の食糧管理特別会計農産物等安定勘定への繰入額中に三十五億円が見込まれておりまして、これを含め以上の諸事業に必要な予算額として三十七億四千二百万円が計上されております。  第七に、農業経営担当者の養成確保農業従事者の就業促進及び福祉の向上に関する予算について申し上げます。 一、農業近代化推進のにない手となる農業経営者の養成につきましては、農業講習所、農村青年研修館の整備促進するとともに、経営伝習農場における近代的経営の研修施設の充実をはかるほか、新たに大型トラクターの運転技術者養成のため都道府県の研修施設設置につき助成することといたしております。また、農村青年建設班等の農村青年対策と農村青壮年海外派遣事業を継続実施するほか、新たに全国農村青少年教育振興会の行なう先進地農家留学研修等の事業を助成することとし、これらについて三億五千七百万円を計上いたしております。 二、農業従事者の就業促進につきましては、前年度と引き続き農業委員会組織による農業労働力調整協議会の開催に対して一億二百万円の助成を行なうことといたしておりますが、新たに同協議会に農業近代化省力部会を設け、省力技術の総合的な普及浸透をはかるほか、日本海外協会連合会等の行なう農業移住促進事業に対して補助するため一億四千一百万円を計上しております。 三、農業従事者福祉向上に関する農林省関係予算といたしましては、すでに述べました生活改善事業のほか、開拓地の振興対策、離島振興対策、僻地農山漁村電気導入、農山漁村同和対策等の経費があります。 1 開拓地の振興対策としては、既入植者の営農安定と生活環境の整備重点を置き、開拓者資金融通特別会計による融資ワクを三十五億五千三百万円に増額いたしております。また開拓営農指導員等による営農指導事業の充実、過剰入植地対策として入植者の移転整理のための奨励金の交付を継続実施することとし、これらに要する経費として十五億二千三百万円を計上しております。 2 離島の後進性を除去し、島民の経済力の培養と生活安定、福祉の向上をはかるための農林関係予算としては三十三億五千一百万円を計上いたしておりますが、これはすでに述べました農業基盤整備費に含まれる農業基盤整備事業のほか、治山、造林、林道漁港修築、海岸等の事業及び離島電気導入等の公共事業でありまして、離島振興法に基づき計画的に事業推進をはかることといたしております。 3 僻地農山漁村における未点灯集落の解消のための僻地農山漁村電気導入事業につきましては、三十八年度は八千三百五十二戸を対象とし、また自家用共同受電方式の一般供給への切りかえに対して引き続き助成を行なうほか、北海道における老朽化した公共自家用発電施設に対して、新たにその改修についても助成を行なうこととし、以上に要する経費として三億六百万円を計上いたしております。 4 最後に農山漁村の同和対策といたしましては、前年度に引き続き、政府の同和対策の一環として、同和地区内の農山漁家四千五百戸を対象として営農の振興と生活環境の改善に必要な土地整備事業及び共同利用施設設置に対し六千九百万円の助成を行なうこととしております。  次に、林業関係予算について申し上げます。 一、まず、林道事業につきましては、森林資源の開発と林業生産性向上重点を置いて、特に三十八年度からは利用区域が広く道路網構成のかなめとなる基幹林道制度を設けて助成を強化するとともに、一般林道及び山村振興林道の拡充、改良工事の対象の拡大をはかるほか、森林開発公団林道事業への助成を引き続き実施することとし、これらに要する経費として、四十二億七千万円を計上いたしております。 二、治山事業につきましては、治山治水緊急措置法に基づく治山事業前期五カ年計画を着実に実施することとし、国有林野事業特別会計治山勘定において民有林の治山事業計画的に実施するため、一般会計から同勘定に九十九億一千一百万円を繰り入れることとしております。また水源林造成事業につきましては、前年度に引き続き森林開発公団によりその事業実施するため、必要経費二十億円を一般会計から同公団に出資することといたしており、合わせて百十九億一千一百万円となっております。 三、造林事業につきましては、五十八億六千九百万円を計上しておりますが、前年度に引き続き拡大造林に重点を置き、人工造林計画推進することとし、この実施にあたっては、事業単価の引き上げ、カラマツ先枯病被災跡地造林を行なうほか、融資造林の拡充をはかるため農林漁業金融公庫に対する一般会計からの出資を十四億円とし、融資ワクを四十一億六千万円に増額いたしております。 四、以上は公共事業によるものでありますが、これ以外の林業振興及び林業構造改善対策に関する予算について申し上げます。   まず、林業が地域経済上重要な地位を占めているいわゆる林業地域におきまして、生産性向上等をはかるため林業構造改善を積極的に推進する所存でありますが、三十八年度は六ブロックについて必要な調査を行なうための経費七百万円を計上いたしております。   また、素材、種菌等の生産流通合理化円滑化に資するため林業者等が必要とする運転資金債務保証を行なう林業信用基金(仮称)を設立することとし、これに対し三億五千万円の出資をいたしますほか、近代的機械の導入等により林業経営改善をはかるため、林業経営協業化促進および製炭事業合理化に必要な経費一億四千二百万円を計上いたしております。このほか、森林組合の合併促進のための経費を含め、森林組合の育成対策費として四千一百万円を計上いたしております。 五、次に、森林資源の維持増強に関する予算でありますが、森林計画制度につきましては、林産物の弾力的供給と森林資源の積極的維持培養をはかるためその合理的な運用をはかることとし、三億四千三百万円を計上いたしております。また、保安林の国土保全機能を特に強化するため、保安林管理体制整備充実をはかることとし、七千七百万円を計上いたしておりますほか、森林病害虫等防除に必要な経費二億二千六百万円、優良種苗の確保に必要な経費七千一百万円、野生有益鳥獣の保護等に必要な経費五百万円をそれぞれ計上いたしております。 六、林業試験研究及び普及事業の強化に関する予算について申し上げます。林業経営合理化推進するため林業普及指導職員の活動の強化、国及び都道府県の試験指導機関による試験研究の拡充をはかるほか、林業普及指導職員等の資質の向上に資するため三十八年度から二カ年計画で中央に研修施設を設けることとし、これらに要する経費十二億六千万円を計上いたしております。  次に水産業関係の予算について申し上げます。 一、まず、沿岸漁業構造改善対策といたしましては、前年度に引き続き沿岸漁業生産基盤の整理開発、沿岸漁業近代化のための施設導入等の構造改善事業を地域の特性を生かして計画的、総合的に実施することとし、前年度からの継続地域のほか、新規に七地域について調査指導を、また八地域について近代化促進事業を助成するとともに、全国四十二地域において行なう並型魚礁、築いそ、ノリ漁場の造成等に対しても助成することといたしております。また、漁業基本対策の推進をはかるため必要な普及浸透事業について都道府県に対し助成するほか、新たに沿岸漁業構造改善対策事業を担当する都道府県の職員二十八人の設置について補助することとし、以上に必要な経費として合計十億三千六百万円を計上いたしております。  なお、沿岸漁業構造改善事業推進するため、農林漁業金融公庫が融資を行なう農林漁業経営構造改善資金として十億円を予定いたしております。 二、次に大型魚礁設置事業について申し上げます。前年度までは沿岸漁業構造改善対策事業の中で実施しておりましたが、三十八年度からは漁場の整備開発を積極的に推進するため、公共事業として実施することとし、内地二十一地区、北海道十地区を対象に予定いたしており、三億六千二百万円を計上いたしております。 三、次に水産資源の対策といたしましては、全体で五億八千二百万円を計上いたしておりますが、まず、瀬戸内海における漁業資源維持培養と漁民に対する漁業の栽培化教育を推進するため、稚魚の初期飼育及び漁民研修のための栽培漁業センター施設一カ所の増設、前年度に設置した施設の運営のための委託職員十二人の設置、都道府県の行なう稚魚の後期飼育及び放流事業に対し助成することとし、これに要する経費一億八百万円を計上いたしております。さらに水産資源保護に関する啓蒙普及調査研究等を行なう公益法人を設立し、その事業実施についても二千万円の補助を行なうことといたしております。  また、前年度に引き続きアユ、サケ、マスの放流等により内水面重要資源の維持増殖をはかるとともに、内水面漁業振興に資するため主要内水面漁業地域四地区について調査を行なうこととし、これらの助成に要する経費三千五百万円を計上いたしております。このほか北海道サケ・マス孵化場における人工孵化放流事業の規模を拡大することとし、二億六千四百万円を計上いたしております。  一方、海洋漁場の開発を促進するため、中型底びき網漁業の新漁場の開発調査、日本海北方冷水域開発調査及び国際漁業生物調査実施、国際印度洋調査への参加等に必要な経費一億五千四百万円を計上いたしております。 四、水産物流通対策といたしましては、多獲性大衆魚価格安定をはかるため、前年度に引き続き生産者団体に対し、主要生産地における冷蔵庫及び冷蔵自動車の設置、盛漁期における冷蔵運搬船の用船料を助成するほか、新たに魚かす製造施設、魚油貯蔵施設設置を助成するとともに、東京、大阪に設置する冷蔵庫各一カ所についても助成を行ない、生産価格、消費者価格の安定をはかることとし、これらに要する経費三億六千九百万円を計上いたしております。 五、次に、水産研究の強化につきましては、国立水産研究所における増殖研究、加工利用研究の強化等を行なろほか、都道府県水産試験場が行なう漁況海況、指定試験及び幼稚魚調査に対し引き続き助成を行なうこととして、六億二千八百万円を計上いたしております。このほか沿岸漁業改良普及事業の拡充のため七千五百万円、漁村青壮年実践活動促進のため一千九百万円及び水産大学校の運営のためめに二億五千四百万円を計上いたしております。 六、漁業生産拠点である漁港整備につきましては、三十八年度からおおむね八カ年間にわたって実施する第三次漁港整備計画を三百八十港について樹立し、これに基づいて漁港重点的整備をはかるほか、三十八年度は改修事業の新設、第三種特定漁港補助率引き上げ等を行なうこととし、これに要する経費は六十八億九千九百万円となっております。  次に、農林漁業経営構造改善資金融通制度の創設と農林漁業金融公庫資金の拡充について申し上げます。  三十八年度からは、農業及び沿岸漁業構造改善事業計画的に推進して、農林漁業経営拡大発展と農業生産選択的拡大促進するため、新たに長期低利農林漁業経営構造改善資金融通制度を設けることといたしました。その資金ワクは三百億円でありまして、内訳は農業構造改善事業推進に要する資金三十六億円、果樹園経営改善資金三十億円、畜産経営拡大資金三十億円、土地取得等による経営拡大資金百八十四億円、沿岸漁業経営構造改善推進に要する資金二十億円となっております。  三十八年度における公庫資金融資ワクは、さきに申し上げました三百億円のほか、土地基盤整備事業に必要な資金十七億円、土地改良事業資金二百六十一億二千万円、造林資金四十一億六千万円、漁船建造資金五十一億円等従来からの分五百七十億円を加えますと八百七十億円となり、公庫資金全体では前年度に比し百六十億円の増となっております。  この八百七十億円の融資ワクを設けましたことに伴い、三十八年度の資金交付額は、新規融資ワク八百七十億円に対応する五百二十二億円と前年度分の資金で三十八年度に交付予定となっております二百八十四億円とを合計いたしますと八百六億円となるわけであります。  この八百六億円の原資は、産業投資特別会計及び一般会計からの出資金二百二十億円、資金運用部資金特別会計等からの借入金三百六十六億円、自己資金二百二十億円となっております。  次に、その他の重要施策について申し上げます。  一、まず、農業団体の整備強化に関する予算といたしましては、農業委員会農業協同組合等関係団体の活動を促進するための指導援助を行なうとともに、前年度に引き続き農業協同組合の合併を積極的に推進するほか、農業協同組合の整備特別措置等を継続実施することといたしております。   また、開拓農協の事務処理を補強するとともに、財務整理事業を進める一方、前年度に引き続き土地改良区のうち借入金の返済に困難を来たしているもの等の再建をはかるため実態調査及び再建方策の指導を行なうこととし、これら団体関係の予算として十九億七百万円を計上いたしております。  二、次に、農業災害補償制度につきましては、三十九年度から農作物共済を中心に、組合段階における責任の拡充、画一的強制方式の緩和等の改正を行なうことを目途とし、三十八年度は農作物共済について単位当たり共済金額の引き上げ実施するほか、蚕繭共済について料率の改定及び単位当たり共済金額の引き上げ、家畜共済について料率の改定、家畜加入推進奨励金の交付を行なう等所要の改善を加えることとし、また果樹共済について試験調査実施することといたしております。なお、農業共済団体等の事務費につきましては、新たに団体職員の期末手当一・二カ月分を国庫負担の対象とする等により農家負担の軽減をはかることといたしております。以上により総額百四十四億八千五百万円の農業保険費を計上いたしております。  三、災害対策公共事業推進のための経費百九十三億八千万円について御説明申し上げます。   災害による国土の荒廃を防止するための海岸事業につきましては二十一億三千七百万円を、伊勢湾高潮対策事業につきましては十八億八千六百万円をそれぞれ計上して、前年度に引き続き事業推進をはかることといたしております。なお、伊勢湾高潮対策事業は三十八年度で予定通り完了させることにいたしております。また、三十七年以前の台風、豪雨等による農地、農業施設、林野、漁港等の災害復旧事業につきましては、その復旧進度を確保して事業促進をはかることとし、災害関連事業を含め、災害復旧等に要する経費百四十四億三千万円を計上いたしております。  次に三十八年度の農林関係特別会計予算について御説明いたします。  第一に食糧管理特別会計について申し上げます。  まず、国内産米の管理につきましては、現行方式を継続することとして、三十八年産米の集荷目標は六百九十万トン(四千六百万石)、売却数量は現行の配給限度数量を維持して六百七十九万九千トン(四千五百三十三万石)とするとともに、三十八年産米の政府買い入れ価格予算単価)は百五十キログラム当たり一万二千百七十七円(三十七年産米についての決定価格と同額)、消費者価格は現行通りといたしております。  国内産麦の管理につきましては、現行方式を前提として三十八年度の買い入れ予定数量は、大麦、裸麦、小麦の三麦を合わせて百四十七万トン、売却数量は、飼料用として売却される大麦、裸麦を含めて百六十八万四千トンとするとともに、三十八年産麦の政府買い入れ価格予算単価)は、前年産麦の買い入れ決定価格と同額といたしております。  輸入食糧の管理につきましては、国内における米麦の需要及び国内産米麦の供給事情を勘案して必要限度の数量(外米十一万五千トン、外小麦百七十六万三千トン)を輸入することとし、輸入食糧の買い入れ価格は最近の実績及び今後の見通しにより算定しました。  なお、卸、小売業者の販売手数料及び保管料については三十八年二月から、集荷手数料については三十八年産米麦から、それぞれ諸経費の増加等を考慮し、必要な改定を行なうこととしております。  また、澱粉、カンショなま切りぼし等の農産物につきましては、従来の方針を継続してその価格の安定をはかることといたしております。飼料につきましても畜産の進展に対応する所要量の買い入れ、売却を行ない、その需給安定をはかることといたしております。  なお、この会計の三十八年度における当初損益見込みにつきましては、食糧管理勘定、すなわち国内米、国内麦、輸入食糧の三勘定の損失額は合計六百四十三億円と見込まれ、前年度の損失見込額七百一億円に比べ五十八億円の減となっておりますが、この損失額の処理に充てるべき調整資金といたしましては、百六十八億円が三十八年度に持ち越されますので、三十八年度予算としましては、一般会計から四百九十億円を新たに繰り入れることとした次第であります。  また、農産物等安定勘定につきましては、三十八年度において四十五億円の損失が見込まれますので、その補てんのため一般会計から同勘定へ四十五億円を繰り入れることといたしております。  第二に農業共済再保険特別会計については、農業勘定といたしましては、歳入、歳出ともに十二五億七千万円でありまして、うち一般会計よりの繰り入れば八十四億八百万円となっております。また、家畜勘定につきましては、歳入、歳出ともに三十四億二千四百万円で、うち一般会計からの繰り入れば、家畜加入推進奨励金二億二千万円を含め九億三千一百万円であります。  第三に開拓者資金融通特別会計につきましては、現行の開拓営農振興対策に改善を加え、既入植者の営農の安定と生活環境の整備促進をはかるため、この特別会計による三十八年度の融資ワクを三十五億五千三百万円、一般会計からの繰り入れ八億六千三百万円を予定してこの会計の歳入、歳出はともに五十八億五千一百万円といたしております。  第四に国有林野事業特別会計について申し上げます。  国有林野事業勘定につきましては、三十六年度に策定した国有林における木材増産計画に基づき、歳入状況の見通しを考慮して、三十八年度予算を編成いたしており、総収穫量は二千三百五万三千立方メートルを予定いたしております。  なお、この会計の資金を活用いたしまして引き続き民有林行政への協力をいたすこととし、特別積立金の取りくずしにより、融資造林の拡大のための農林漁業金融公庫への出資十四億円、水源林造成事業を森林開発公団に実施せしめるため同公団への出資二十億円、及び近く設立予定の林業信用基金(仮称)への出資三億円、その他の林業振興費財源を含めて四十二億円を一般会計を通じて支出することといたしております。このため国有林野事業勘定の歳入、歳出は九百三十三億七千二百万円となっております。  次に、治山勘定につきましては、その歳入歳出額は、一般会計からの繰入額九十九億一千一百万円のほか、地方公共団体の負担金収入等を含めまして百八億三千二百万円を計上いたしております。  以上のほか、特定土地改良工事特別会計につきましてはさきに御説明申し上げましたが、森林保険、自作農創設特別措置、漁船再保険、糸価安定、中小漁業融資保証保険等の各特別会計につきましては、それぞれ前年度に引き続きほぼ同様の方針予算を計上いたしております。  最後に財政投融資計画について御説明申し上げます。  三十八年度における農林関係財政投融資計画は、農林漁業経営構造改善資金融通制度の新設に伴い、農林漁業金融公庫への出資を一般会計から十四億円、産業投資特別会計から二百六億円、計二百二十億円に増額いたしますほか、資金運用部資金等からの借入金は、農林漁業金融公庫三百六十六億円、愛知用水公団十八億円、開拓者資金特別会計三十八億円、特定土地改良工事特別会計七十五億円で、財政投融資総額は七百十七億円となり、前年度に比し百五十四億円の増となっております。  以上をもちまして、農林関係の一般会計予算及び特別会計予算並びに財政投融資計画概要の御説明を終わります。
  13. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次会は追って公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会