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1963-05-16 第43回国会 衆議院 地方行政委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月十六日(木曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 小澤 太郎君 理事 纐纈 彌三君    理事 高田 富與君 理事 丹羽喬四郎君    理事 太田 一夫君 理事 阪上安太郎君       宇野 宗佑君    大沢 雄一君       金子 岩三君    亀岡 高夫君       久保田円次君    前田 義雄君       山崎  巖君    松井  誠君       山口 鶴男君    門司  亮君  出席政府委員         厚 生 技 官         (医務局長)  尾崎 嘉篤君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  佐藤 光夫君         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   松川 道哉君         大蔵事務官         (理財局地方資         金課長)    木野 晴夫君         厚 生 技 官         (環境衛生局水         道課長)    石橋 多聞君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     坪井 為次君         建設事務官         (都市局参事官鶴海良一郎君         自治事務官         (財政局公営企         業課長)    吉瀬  宏君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 五月十四日  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一五七号)(予) 同日  ガス税の撤廃に関する請願浦野幸男紹介)  (第三七四三号)  旧樺太引揚市町村吏員の処遇に関する請願外一  件(渡邊良夫紹介)(第三七四四号)  地方公務員共済組合法の一部改正に関する請願  (五島虎雄紹介)(第三七七三号)  農地固定資産評価方式維持に関する請願外十  二件(猪俣浩三紹介)(第三九三二号)  住民税軽減及び地方税法改正等に関する請  願外四件(小松幹紹介)(第三九三三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  地方議会制度改革反対に関する陳情書  (第五一八号)  地方議会議員の退職一時金制度創設に関する陳  情書  (第五一九号)  同  (第五二〇号)  同  (第五二一  号)  同  (第六七〇号)  地方公務員定年制実施に関する陳情書  (第五二二号)  後進地域開発促進等に関する陳情書  (第五二三号)  同  (第五二四号)  財政負担区分明確化に関する陳情書  (第五二五号)  町村財政拡充強化に関する陳情書  (  第五二六号)  地方交付税制度改正に関する陳情書  (第五二七号)  市道整備費財源賦与に関する陳情書  (第五二八号)  消防組織法改正反対に関する陳情書  (第五二九号)  農業構造改善事業に対する地方交付税わく外  措置に関する陳情書  (第五六  九号)  町村財政強化確立に関する陳情書  (第六〇四号)  同  (第六〇五号)  地方議会制度確立に関する陳情書  (第六〇六号)  国の委任事務に対する財源措置に関する陳情書  (第六〇七号)  同  (第六〇八号)  地方行政水準向上等に関する陳情書  (第六〇九号)  同  (第六一〇号)  地方公務員共済組合法の一部改正に関する陳情  書(第六一一号)  大阪府の交通問題に関する陳情書  (第六一二号)  固定資産税の賦課に関する陳情書  (第六一五号)  固定資産税の再評価に関する陳情書  (第六一六号)  愛媛県に寒冷地補正適用等に関する陳情書  (第六五  六号)  地方自治関係団体職員共済制度法制化に関す  る陳情書  (第六七一号)  市町村税超過課税軽減に関する陳情書  (第六七二号)  特別区民税引下げに関する陳情書  (第六七三号)  農地等固定資産評価改訂に関する陳情書  (第  六七四号)  同  (第七六二号)  住宅金融公庫融資等住宅用宅地に対する固定資  産評価額の据置きに関する陳情書  (第六七五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方公営企業法の一部を改正する法  律案内閣提出第一四五号)      ――――◇―――――
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  地方公営企業法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。通告がありますのでこれを許します。太田一夫君。
  3. 太田一夫

    太田委員 地方公営企業法の一部改正関連をいたしまして、きょうは厚生省関係の方と運輸省の関係の方に主としてお尋ねをしたいと思います。  最初に、厚生省水道課長さんに上水道の件に関してお尋ねをいたしますが、現在上水道の、公営企業法適用団体というのはどれくらいあるでしょうか。これはあなたの方にお尋ねしては少々門違いかと思いますが、あまり適用団体は多くないと思うのですけれども、あなたの方の御認識はどのようになっているのでしょう。何かはっきりした数字がありましたらこの際承っておきたい。
  4. 石橋多聞

    石橋説明員 水道法適用を受けております五千一人以上の、いわゆる上水道と称しておりますものの施設数といたしましては一千九十三カ所、それから五千人以下百一人以上の、いわゆる簡易水道と称せられるものは一万二千三百八十四カ所、それから専用水道と称せられるものは二千六百七十四カ所ございます。これは昭和三十七年の三月三十一日現在の調べでございます。これらのうち公営企業法適用を受けておりますものにつきましては自治省のほうから御答弁願います。
  5. 吉瀬宏

    吉瀬説明員 お答え申し上げます。  水道事業につきまして地方公営企業法の規定を適用しておる事業の数は、三十七年の四月一日現在で三百九十四になっております。
  6. 太田一夫

    太田委員 それから厚生省水道課長さんにお尋ねいたしますが、総配水量の中で適用事業にどれくらいな水が用途別に区分されておるか、この用途別、たとえば家庭用とか、営業用とか、おふろ屋用とか、共同専用とか、あるいは官公署専用とか、学校用とか、工業用、あるいは船舶用、こういうように用途がありますね。この用途別の水の使用区分がわかりましたら、なるべく新しい統計をお答えいただきたいと思うのです。
  7. 石橋多聞

    石橋説明員 水の用途別全国事業体を合計した数字は、目下のところございません。
  8. 太田一夫

    太田委員 わからないということですね。だれかわかる人が——公営企業課長吉瀬さん、もしわかっていたらお答えいただきたいのですが……。
  9. 吉瀬宏

    吉瀬説明員 お答えを申し上げます。  非常に概数でございますが、われわれのほうで調査をいたしたものは三十六年度中の数字でございますが、大体家庭用給水量が十五億トンくらい、それからそのほかに官公署学校の用に供するのが一億八千五百万トン程度、それから営業用給水量が三億八千八百万トン程度、それから工業用給水量が四億一千四百万トン程度、それから湯屋用給水量は一億一千百万トン程度、そのほか若干小さなものがございますが、その程度に理解をいたしております。
  10. 太田一夫

    太田委員 ついで吉瀬公営企業課長お尋ねいたしますが、現在三十六年の統計でよろしゅうございますが、トン当たりの価格、料金は幾らくらいになっていますか。用途別にわかっていたらば、概算でよろしいですが……。
  11. 吉瀬宏

    吉瀬説明員 いま直ちに手元でわかりませんで恐縮でございますが……。
  12. 太田一夫

    太田委員 それではあとでお答えいただくことにしまして、水道課長お尋ねをいたしますが、現在上水道に対しましては補助金制度はありませんでしたね。
  13. 石橋多聞

    石橋説明員 補助金はございません。
  14. 太田一夫

    太田委員 しかるに上水道は、公営企業特別会計でありますと、交通に次ぐところの赤字を出しておるわけであります。水道普及というものはだいぶ進んでおると思いますけれども、さらにこれに拍車をかけるためには、これを全額起債にたよらせるというような方法でなくして、厚生省において環境衛生向上という面から見ましても補助金制度をこの際つくってはどうかと考えられるのですが、そういうお考えはお持ち合わせございませんか。
  15. 石橋多聞

    石橋説明員 上水道につきましては、かなり経営の規模も大きくなりますので、独立採算をもって経営できるものといたしまして、目下のところ補助金考えておりません。ただし五千人以下の小規模の水道につきましては非常に経営が困難なものと認められますので、四分の一の国庫の補助金を出しております。
  16. 太田一夫

    太田委員 五千人以下の小規模というのは、簡易水道のことをおっしゃるのですか。
  17. 石橋多聞

    石橋説明員 そうでございます。
  18. 太田一夫

    太田委員 いわゆる特別会計で何とかやっていけるものと、こう考えていらっしゃるのですが、その特別会計で実はやっていけないのですね。いま私が申し上げましたとおりに、これは一番新しい昭和三十六年度の統計によりますと、水道は三百二十二団体中七十四団体独立採算制度をとっておりますが、八億の赤字を出しておる。これは交通が六十億出しましたのに続きまして、その他病院、下水道あるいは電気ガス等、そういうものに比べまして非常に赤字の多い事業なのです。水道赤字になるということは少々おかしいと思いますが、実は布設費相当にかかりまして、そうして水道料金というのが安くやらなければならない公共性が強いので、したがって、独立採算制をとりますと赤字になるだろうと思うのです。独立採算制というのが一つ水道事業現状というものを的確に示しておるのでありますから、水道というものは独立採算で何とかやっていけるだろうというふうに突き放していただきますと住民も困る、自治体も困る、関係企業体理事者も困るということになりますので、これはひとつこの際、上水道をさらにテンポを早めて普及せしめるためにも、一般的に補助金制度というものをつくる必要があるのではないだろうか。もしそれが必要ないというならば、あなたの方としては水道料金の値上げというのは独立採算に見合うようにこれを値上げしてもいいという御所存であるのかどうか、その辺のところの御見解をこの際伺っておきたいと思うのです。
  19. 石橋多聞

    石橋説明員 水道料金ができるだけ安価であるべきことは、ただいま先生の御指摘のとおりだと思います。私どもにおきましても経営を合理化する、あるいは施設をできるだけ合理的につくるということによりまして、なるべく料金の安くなるような指導をいたしております。ただし補助金を国が助成するという点につきましては、上水道につきましては先ほど申し上げましたように大体一本立ちができるというふうに考えておりますので、目下のところは考えておりません。
  20. 太田一夫

    太田委員 厚生省としては、一般上水道補助金がないというのは、一本立ちができるからという認定、認識のもとに、補助金制度というのはおつくりにならなかった、また将来もその用意がないのだ、こういうふうに理解してよろしいですね。
  21. 石橋多聞

    石橋説明員 そうでございます。
  22. 太田一夫

    太田委員 それでは下水道関係のことでお尋ねをいたしますが、下水道関係もまた、なかなかこれは独立採算で何とかとんとんにするというのにはたいへん苦労があるように思います。昭和三十年前後、この数年前を見ましても、全部おしなべて赤字であったという点を考え、今日なお下水道に至りましては、これまた総体的に見まして赤字を計上し、三十六年度においては赤字を計上いたしておりますが、下水道においては三分の一補助がついているわけですね。その下水道というものに対しては一体どういう根拠から三分の一補助がついたんでしょう。
  23. 石橋多聞

    石橋説明員 下水道は私の課の直接の担当ではございませんが、下水管渠につきましては建設省主管をいたしております。終末処理場につきましては厚生省主管をいたしております。
  24. 太田一夫

    太田委員 あなたのほうと混同しておりまして、たいへん失礼いたしましたが、所管が違うと三分の一の補助が出る。建設省では三分の一補助が出る。終末処理場にも三分の一出る。それから下水管にも三分の一補助が出る。しかしこれも公営企業対象になっており、あなたのほうも公営企業対象になっておる。上水道、水がきれいだとそれに対しては補助金を出さない。何とか一本立ちでやっていけるだろうということでありますが、料金を取って経営するということは、下水道上水道も一緒なんですね。両省において管轄が違うと、考え方が、補助金を出したり出さなかったりというアンバランスがあるわけなんですが、そういう点については今まで何か議論のあった点はないでしょうか。
  25. 石橋多聞

    石橋説明員 下水道につきましても一部の大きな事業につきましては、公営企業適用を受けておるようでございますが、一般的に申し上げまして、下水道はきわめて独立採算のとりにくい事業でございます。と申しますのは、日本におきまして、まだ下水道に対して高額の料金を支払うという態勢ができておらないものでございますから、下水道につきましては財政措置が非常に苦しいというふうに聞いております。したがいまして、下水道につきましては、相当助成が必要であろうというふうに考えております。
  26. 太田一夫

    太田委員 私はうっかりしておりましたけれども下水道補助は確かに建設省ですけれども環境衛生という点からいくと厚生省だと思い込んでいましたが、厚生省は全然関係ないんですかね、下水道には。どうですか。
  27. 石橋多聞

    石橋説明員 下水道のうち終末処理場と申しまして、下水を浄化いたしまして河海に放流いたします施設につきましては、厚生省所管いたしております。それから下水管渠につきましては、建設省所管をいたしております。
  28. 太田一夫

    太田委員 したがって、終末処理場については、あなたのほうは三分の一補助なさるわけですね。そういう下水道終末処理場は金がかかるから三分の一補助を出そう。なかなかやりにくいから、一本立ちができないから補助金を出そうというならば、上水道においても、これまた水源の施設につきましては井戸の開さくもありましょうし、そのわき出ました水が、もしも飲料水に適さないような要素を若干でも持っておるとするならば、その除去装置というものも、科学的な装置も要るのだろうと思いますから、それはちょっとやそっと、簡単に上水道一本立ちできるだろうとおっしゃっていただいても、これはどうもちょっと実情に合わないような気がするんですが、その点はいかがでございますか。
  29. 石橋多聞

    石橋説明員 上水道につきましては、下水道に比較しまして非常に普及が早かった関係もございまして、相当多くの都市が、すでに古い償却済み施設相当有しておる関係もございまして、特別の助成をいたさなくても何とかやっていけるという態勢になっておるというふうに考えております。
  30. 太田一夫

    太田委員 三百九十と四という、約四百近い上水道があって、その中の二割ぐらいのものは赤字であるというのが、現在の上水道実態なんですね。だから八割近いものは何とかやっていけるということは、これは事実そういうことは言えると思います。けれども、二割からのものが赤字であるということは、その赤字企業体としては非常な苦心をいたしておるのは、それぞれ上水道を布設するのにいろいろな条件がありまして、悪条件があってそういうことになると思うのです。したがって、あなたのほうの上水道担当省としまして、上水道一本立ちできるというもしもかたい御信念があるならば、赤字のところを黒字にするという、こういう何かたとえば一つ経営方針というものか、あるいは何か御忠告なさる、この点を改良したらいいだろうという御意見もあろうと思う。赤字の問題については、二割からのものが赤字であるということについては御承知でしょうから、それに対しては何か御意見があるのですか。赤字のものを黒字化するについては、この点はこうしたらいいんだ、あるいはそれは経営者自身の、あるいは管理者自身経済性の探求の不足に原因しておるのであるとかなんとか、御意見がありそうな気がするんですがね。一本立ちできるというあなたの御意見に基づきまして、赤字団体に対する御所見はいかがですか。
  31. 石橋多聞

    石橋説明員 水道の現在の料金態勢でいきますと、当初の建設費に必要といたしました起債償還金を年々料金から支払っていくわけであります。この分の要素がかなり大きい関係もありまして、一時的に非常に経理が苦しくなるという年度はあるわけでございますが、長い目で見ますと経営のバランスがとれるものというふうに考えております。
  32. 太田一夫

    太田委員 吉瀬公営企業課長さんにお尋ねしますが、いまの話から、いわゆる上水道は約二割強の企業体赤字であるというこの実態は、いま水道課長さんの申されましたように、起債等償還金重圧によるところの短期の現象である、こういう御意見に御同意でありますか。
  33. 吉瀬宏

    吉瀬説明員 この水道事業赤字は、先生の御指摘のように七十四事業になっております。全体としては、三十六年度の末では八億二千万の額であります。その額に比べて事業の数を考えてみますと、ほかの交通あたり等から見れば、赤字の状況は、個々企業は別として、総体的には、一事業平均でとりますと、それほど大きな数字ではないかと思いますけれども、いま水道課長の言われた点も赤字一つ原因になっておるというように考えております。
  34. 太田一夫

    太田委員 もうちょっとそれを突っ込んでいきたいのですが、一つ原因ならば二つ目原因は何でしょう。
  35. 吉瀬宏

    吉瀬説明員 これはそういうような建設改良する際に、資産を取得していろいろ事業をやってまいる、そういう際の事情が一つ原因になるという場合もありましょうし、それから実際の個々事業体経営を始めるにあたりまして、いろいろ仕事を具体的に進めていく計画の進め方、また赤字原因を生ずるような経営のやり方によって、それが原因になることもあり得るか、そう考えております。
  36. 太田一夫

    太田委員 奥野局長さん、いまの二人の話から、上水道に関しましては、これはどうもいまさら補助金制度の設定というのも何だか実情にかえって即さない、これはあくまで独立採算制で推進をしていくのが妥当であるというような結論になっていくのですが、起債重圧ということであるならば、なるべく低利起債をあっせんするということになっていくでしょうが、そういう解決方法もあるのですから、起債ということだけに原因があるとするならば、何らか解決の方便がありそうだ。したがって、補助金制度というのはあなたとしてみても、やはりこの際上水道現状のままでいいというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  37. 奥野誠亮

    奥野政府委員 水道事業について国の援助を多くしていきたいというお気持、非常にありがたいことだと思っております。ただしかしながら、国費を使う場合にどこに使うことが国民全体にとって最も適切かという問題、これは別個にあろうかと思います。もう一つは、国費が出されるといたしますと、それが水道事業を将来伸ばしていきます場合の一つ規制になるかと思うのであります。ふんだんに出せるならよろしいのですけれども、必ずしもそうはまいりません。としますと、国費を出すことがかえって水道事業を伸ばす規制になってしまいはせぬだろうか、こういう心配も持つわけでありまして、独立採算に徹して必要な資金地方債をつけていくというほうが、水道事業を伸ばしていきます場合にはむしろ適当ではなかろうか、こういうふうな考え方をいたしておるわけであります。赤字の額でございますけれども、収益全体が六百億円内外でございますので、八億円という数字は大きいようですが、全体の一%前後でございます。同時にまた職員給与改定をする、自然どうしても料金を改定しなければならないという事態もあるわけでございますけれども料金改定がおくれていく、その過程において赤字が出るという場合もございますので、私たち水道事業赤字についてはそれほど深刻な問題とは考えていないということでございます。ただ問題は何もないのかとおっしゃいますと、そうは考えていないわけでありまして、やはりできる限り低利長期の安定した資金を豊富に供給するようにしていかなければならない、かように考えているわけでございます。その場合に、起債資金についてはなるたけ施設耐用年数償還期間を近づけていくということが必要であろうと考えているわけでございまして、政府資金につきましてはかなり償還期間が長いわけでございますけれども公営企業金融公庫融資にかかりますものの償還期間が短いものでありますから、ぜひこれを延ばしたいということで、政府部内で現在話し合いをしている最中であります。
  38. 太田一夫

    太田委員 そこで公営企業課長さんについでお尋ねしたいのですが、家庭用の水と工業用の水というのは料金はどれくらいの比率になっていますか。どれくらいなんでしょう。片方はどれくらい、片方はどれくらい、最近の全国平均統計、何かありませんか。
  39. 吉瀬宏

    吉瀬説明員 どうも恐縮でございますが、家庭用等につきましては、各自治体においていろいろ現実に料金の差があるということはわれわれ承知いたしておりますが、家庭用なりそのほかの水道につきましてのトン当たり単価というものは、いま手元に資料を持ち合わせておりませんので……。
  40. 太田一夫

    太田委員 水道課長さん、これはちょっと他省に関係することで悪いのですけれども工業用水道というのは最近非常に問題になっています。工業用水に対しては新しい立法として至れり尽くせりの保護があるわけです。地下水くみ上げ規制等関連をし、地盤沈下対策にも関連しておりますから、ある程度補助とか保護があって別に差しつかえないのですが、単価は安いし、建設に対しては援助はあるし、全くもって工業用水道というのは、使う人が大法人であるだけに、少々一般市民から見ると割り切れない気持があるわけです。あなたのほうは、上水道だけは一本立ちでいきなさい、いわゆる水道料金というものは安ければ高くしていきなさい、従業員の給料が高ければあまり上げないようにしていきなさいということで、割の悪い指導というものを基本にして、何とかバランスシートをつくっていきなさい、こういうことなんですが、どうですか、古い水道法というものを今日の新しい立場から考えてみるということは。起債といったっていただけるものじゃありませんからね。政府資金ということでは大体同じことでございましょうけれども、返さなくちゃならない。しかも利子をつけて返さなくちゃならない。そういう点から考えまして、上水道というものに対する今日の割り切り方は、急激なる都市の膨張に備えて、都市住民保健衛生立場から考えて、生命を守ってやるという立場から考えて、その普及をはかる場合は、単に低利起債に待つのじゃなくて、いっそのこと、思い切って工業用水道と同じように補助をなすべきではないかという気が市民の側からするとするわけです。この点いかがなものでしょうか。
  41. 石橋多聞

    石橋説明員 工業用水道につきましては、地下水のくみ上げによりますところの地盤沈下を防止するという国土保全の観点から補助金が出発したというふうに聞いております。先生の御指摘のように、工業用水道上水道を比較いたしますと、その点にちょっと問題があろうかと思いますが、工業用水道は新しくできかかった事業という点もあるのではなかろうかというふうに私ども考えます。
  42. 太田一夫

    太田委員 おっしゃるとおりの見解を私どもも持っているのです。新しくできた法律だから新しいものだ、いわゆるおじいさんの時代に着たモーニングは、今日われわれは着られないというわけです。からだに合わないし、体質に合わないし、そのときそのときの文化水準に合わない、生活水準にも合わない。すべて水準のレベルが違っておるし、規格が違っておるから古いものは合わないのです。古いもので今日なお合っているのは骨とう品以外にないでしょう。骨とう品は古いほどいい。しかし法律の中に盛られておる精神とか理念というものは、新しい時代には新しい時代に即応する法があってしかるべきではないかと思う。工業用水というものは地盤沈下を防止するという国土保全のためのたてまえからいけば、いま井戸を掘っているのはくみ上げをやめなさいといっている以上、片方補助することになったことは当然だとわれわれは考えて、そのほうに異議は申しません。けれども上水道、人間が命を全うするための水というものは、元来ただで供給すべきものではなかろうかと私は思う。国民が命を保つための飲み水だけはただでいいと思うのです。あなたたちはそろそろスモッグ対策に取りかかっていらっしゃるようでありますが、健康上必要な空気を供給するために空気の中にある不純物を取り去るためには、あなたたちは市民なり国民から料金を取ってしようとはお考えになっていらっしゃらない。道路をつくる場合にも、これは一部分においてはそのまわりの人たちから負掛金を取られる場合もありますけれども、あなたは道路を何回歩いたから幾ら取りますというようなことはおっしゃらない。大体道路通行無料の原則がある。空気を吸うにも無料の原則がある。それならば水を飲むのにも無料の原則があっていいじゃないか。こういう気がするのです。だから水道料金を上げてバランスシートをつくれということは、少々過酷なような気がする。だから一本立ちでやっていけるだろうということは、国民の側から見ますと少し涙がないというような感じを受けるのです。厚生省というのは非常にものわかりのいい省であって、国民からいわせると比較的いいのです。医師会からは文句を言われておりますけれども、国民の側から見ると味方になってくれる省だと思っているのですよ。ところが上水道に対して一本立ち一本立ちとおっしゃって、工業用水道のほうだけ補助金を出しておいて、上水道には補助金を出さないということは、片手落ちのそしりを免れない。これは考え直していただきたい。これは課長さんに申し上げても無理なんですが、奥野さん、ひとつ自治省の公営企業をやっていらっしゃる中で八億くらいの金は何でもないとおっしゃったが、八億という赤字はそうたいした問題ではないのじゃなくて、いまの飲み水無料論から出まして、将来無料論に近づくような努力をあなたはなさる決意がありますか。厚生省一本立ち一本立ちとおっしゃっているでしょう。だから水源費用は特別会計に入れない、上水道の中に入れない、切っちゃう。下水道は、終末処理場を切るがごとく、水道管の中間だけなら中間だけとか、公営企業対象とする資金並びに施設というものはもう少し何か限定をいたしまして、なるべく飲み水無料の原則に近づく努力をなさるべきであると思いますが、それはどうですか、同感ですか。
  43. 奥野誠亮

    奥野政府委員 先ほど申し上げたことを若干ふえんさしていただきたいと思います。補助のしかたにもよるわけでございますけれども補助金制度をつくることがかえって水道普及規制することになりはせぬか、こういう心配を申し上げたわけでございます。昭和二十九年までは上水道に対しましても国庫補助制度がとられておったわけでございます。補助制度がございますと、どうしても補助金待ちといいますか、補助金をもらうことに地方団体が専念する、補助金をもらって初めて事業をやる、こういうような依存的な気持が非常に強くなってくるわけでございます。それがふんだんに出るならよろしいわけでございますけれども、必ずしもそうはまいりませんので、自然規制する働きを持つのじゃないか、こう私が申し上げたわけでございます。現在水道普及率はたしか五〇%くらいだと思いますが、国民の健康を増進する、その他の意味におきまして、水道普及ということは非常に大切なことだと私は考えておるわけでございます。そうしますと、独立採算で自まかないでやっていく、計画を立てた団体がどんどんやっていけるんだという態勢にしておいたほうが普及するのじゃないかと考えておるわけでございます。ただ水道料金が非常に高くつくところが出てまいりましょう。水源地が容易に得られないとか、人口密度が疎であるとか、いろいろな事情がございます。簡易水道はそういう点につきましてある程度補っておると思うのでございます。そうでないところは、一応やはり自まかないでやっていく計画を立てれば、自分の責任で遂行していくのだという態勢にしておいたほうがよろしいのじゃないかと考えておるわけでございまして、そういう意味において太田先生非常に心配していただいているお気持はありがたいのでございますが、やはり水道普及されたほうがよろしいのじゃないかという気持を持っておりますために、あまり国庫補助制度を復活することは賛成しがたいという考えを持っておるわけでございます。
  44. 太田一夫

    太田委員 補助金をつけるのも善政、補助金をつけないのも善政、世はまさに善政時代でございます。あなたのおっしゃるように上水道普及いたしまして、そして多数の方が衛生的な水を飲んで命を長らえる方策を政府として考えていく。あなたのおっしゃるように、金にあやつられて命を粗末にすることはまずいことでございます。この点は同感でございますけれども、逆に利用料の引き上げによりまして生活費の圧迫にならないように——水道料金のことについてちょっとお答えがありませんから私もよくわからないが、できるだけ低廉なる料金によって、できるだけ水道無料の原則に近づけるようなことをひとつ考えていただきたい。上水道については以上で終わります。
  45. 吉瀬宏

    吉瀬説明員 先ほどの御質問に対してお答えを申し上げます。  一例的に申し上げますと、家庭用とか営業用のそれぞれの料金におきましては、たとえば東京都の例を申し上げますと、これは三十六年度の末の例でございますが、家庭用では基本料金が十立方米百四十円、それから超過料金が二十円というようないき方でございます。それから営業用につきましては、基本水量十立米百四十円、それは一緒でございますが、超過料金が三十二円、これは一例でございますがとりあえず御報告申し上げておきます。  それから全体的にわれわれのほうの全部の資料によりますと、たとえば水道はいろいろな用途がございます。家庭用とか、官公署用とか、営業用とか、先ほど申し上げましたような用途がございます。それをおしなべてトン当たり何ぼくらいになるだろうか。概数でございますが、トン当たり大体二十円という数字が出ております。
  46. 太田一夫

    太田委員 水道料金は安いようだが、一般の事業用の水と比べてみますとそろばんのけたが違うようで、これはできるだけ安くしていただきたい。上水道は以上でとめます。  病院のことでお尋ねをいたします。医務局長さんからお答えをいただきたいと思うのですが、医療法によりますと、国庫補助の道がありますね。設置に要する費用の一部を補助することができるというのでありますが、実態はどんなぐあいになっておるのでしょうか。
  47. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 都道府県市町村の持っております医療機関といたしましては、大きく分けますと病院と診療所と、この二つあるわけでありまして、いまお話しの病院関係では、一般病院と精神病、結核、伝染病というような特殊病院、この二つに大きく分けられるわけであります。一般病床に関しましては、おもに都道府県市町村の独自の経費におきましてやってもらうことを原則といたしておりまして、起債関係をお世話をしておる、こういうことでございます。ただベッド数がごくない地域、一つの保健所で病床がない地域、また病床があってもきわめて不足しておる地域に対しましては、この開設費の一部を補助するというようなことにしておりまして、大体六千八百万ぐらいだったと思いますが、補助金を持っております。それから一般病床のうちでも、ガンとか小児病、こういうようなものにつきまして、いまから発展をさしていかなければならないという立場から、ガン、成人病に対しましての病床の新設に対しまして今後補助する。これがおのおの二千万足らず、合計四千万足らずであったと思います。  それと、あと精神病床、伝染病床につきましては、これは公衆衛生局からのほうでありますが補助金がございます。なお、診療所に関しましても、特に僻地に対しましては医務局の方から補助金を出すことをやっておりますが、病院ということでお尋ねでございますから、病院の関係はそういうことでございます。
  48. 太田一夫

    太田委員 地方公営企業法によりまして病院を独立採算経営させるということについては、あなたの方としては、これは医療法の精神に合致しておると思うかどうか、この辺の御見解をひとつ承りたい。
  49. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 医療関係の仕事が、ほかの一般の開業医の方々と同じような状態で現在の保険の制度におきまして運営されておりますところから、またその運営だけでなく、必要に応じて発展を遂げていくことができるような状態に一応たてまえといたしましては保険の点数、医療費が考えられねばならないわけでございますので、そういうふうなことから、都道府県市町村の病院も、大体独立採算でやっていけるのがいいということは一般論として言えると思いますが、しかし、都道府県市町村の病院につきましては、またその独自の役目がございます。採算を度外視してもやっていかねばならないいろいろな役目もあるのでございます。またさらに近代の医学の進展に伴いまして、やはりその地区の高度な医療を行なうための諸設備は、一般の医療の採算ベースにのらないものでもやっていかなければならぬというところも、府県市町村医療機関には持たされておると思いますので、そういうような点から申しまして、独立採算制をとること自体は必ずしも望ましいことではない、こういうふうに思います。現に今度の法改正におきましても、独立採算は病院関係にはとらないようになっておると理解しておるのでございます。
  50. 太田一夫

    太田委員 この間御説明いただきました病院の関係の御統計、六十七病院中二十九病院が赤字でその金額三億円というのが三十六年の統計だとおっしゃった、その六十七病院というのは公営企業法適用しておる病院の数でございましょう。
  51. 吉瀬宏

    吉瀬説明員 その通りでございます。適用している企業について、全般的にこの問御説明を申し上げました。
  52. 太田一夫

    太田委員 ただいまの局長さんのお話から見ますと、病院はやはり病院という特殊な事情から考えまして、医療法の立法の精神から考えましても、あまり公営企業だというような精神を持ち込むことはまずいことである、こういう御返事と承りましたが、それでよろしゅうございますか。
  53. 奥野誠亮

    奥野政府委員 ちょっと私から補足させていただきます。地方公営企業法の規定の中で、独立採算に関する規定が十七条の二として掲げられておるわけでございます。今回地方公営企業法の財務に関する規定の適用範囲を広げるわけでございますけれども、財務に関する規定のうち、この独立採算に関する部分だけを除いているわけでございます。要するに企業会計に準じた経理をやってもらおうということでございまして、病院でありましても、経営成績なり財政状態なりが、それらの経理に関する帳簿を見るだけで一目りょう然とするというような運営をしてもらわなければならない、こういうような考え方を持っているわけであります。そのことと独立採算ということとは別問題だ、こう思っておるわけであります。独立採算は自分の収入だけで自分の経費をまかなっていくということが建前でございましょう。しかしながら、一般会計がある程度援助いたしましても、援助してもらった金をもって経営をしていく場合に、大幅帳式の経理をするか企業経理をやっていくか、やはり企業経理をやって、経営成績が明確になるようにしていかなければならないのじゃないかということが今回の趣旨でございます。
  54. 太田一夫

    太田委員 奥野さんにもうちょっとおっしゃっていただけば私も誤解が解けるのですが、もう少しそれを突っ込んでまいりますと、病院経営ということに対しては、それは特別会計を用いるといたしましても、独立採算という精神だけは持ち込まないのだ、こういう思想であるというふうにこれははっきり理解してよろしゅうございますか。
  55. 奥野誠亮

    奥野政府委員 独立採算に関する規定は、「地方公営企業特別会計においては、その経費は、当該地方公営企業経営に伴う収入をもって充てなければならない。」ということでございます。その規定は適用しない、独立採算考えを持ち込まないのだと言われると、ちょっと語弊があろうかと思うのでございます。やはり経営に当たる者は、できる限り独立採算的な気持を持ってやってもらう必要があろうかと思います。ただ病院事業の中には、いまもお話がありましたように、中心病院として施設を整えていかなければならないとか、あるいは看護婦の養成をあわせてやっていくとか、いろいろなことがございます。そういう分は当然一般会計で負担してしかるべきだ、こう考えておるわけでございます。
  56. 太田一夫

    太田委員 したがって、厚生省のほうにおいては、特殊の病棟の施設あるいは医療不便なところの、僻地の施設に対して補助金を交付するということは、貧弱団体に対する病院設置の容易なる道を開くことであろうと思うのです。あるいはまた医療の水準を維持し向上することだろうと思うのです。そこでそういう思想であるとするならば、自治省におきましても公営企業法のある特殊な条文は適用しない、適用しないが、独立採算のような考え方、いわゆる経営思想というものは、経済性追求ということも必ずしも否定はしないとおっしゃるのですが、そういうことだとにえ切らないと思う。いっそのこと厚生省のおっしゃるように、僻地などにおきましては、採算などということは全然度外視してよろしい。それからまた一般的に病院の施設あるいは改良、修繕等、償却に類するものは、一般会計が負担してもこれは別に差しつかえないんじゃないかという思想で自治省はいらっしゃると私は思うのですが、それでいいんでしょうか。
  57. 奥野誠亮

    奥野政府委員 病院を経営して赤字が出れば、その赤字は全部一般会計がしりぬぐいするんだというような安易な気持で病院経営に当たってもらっては困る、こういう意味で申し上げておるのでありまして、そう大きな隔たりはなかろうと思います。私たちは病院を経営していきます場合に、どの部分は自まかないでやっていき、どの部分については一般会計で負担をしてもらうと、はっきりしたけじめをつけて経営の出発をすべきだ、こう考えるわけでございます。その場合に一般会計の負担に属するものが、いささかもあってはいけないんだ、こういう考え方はわれわれは毛頭持っておらない。しかし病院によりましては、一般会計の負担に一切よらないんだ、そういうことで出発できる病院もあります。それならばそういう状態で出発してもいいと思います。しかしまた別途いろいろな事情もあって、施設を負担するということもあったりしまして、ある部分は一般会計で持たなければならないものもあるということで出発する、これもけっこうじゃないかと考えております。先日もこの委員会で申し上げましたように、病院経営につきましては先ごろどういうような態度で経営していくべきかというようなことについて、一応調査会の結論も出ておりますので、そういうような趣旨でわれわれは病院経営にあたってもらおう、こういう気持を持っておるわけでございます。
  58. 太田一夫

    太田委員 医務局長にちょっとお尋ねしますが、しからば地方におきまして、病院などで非常に施設が古い。木造の建物であって、そしていかにも病院くさくて、何か薬がしみ込んでおるだけでなく、病気までしみ込んでおるのじゃないかと疑われるような、古い陰気な建物がたくさんあるわけでありますが、そういう病院の施設をりっぱな近代的なものに改良しようとしたときには、厚生省としては補助なり何かの道があるのですか。
  59. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 まず建物の新設とかまた改築の場合の資金の問題の前に、病院経営についての独立採算考え方についてでございますが、これにつきましては、いま奥野局長からお話がございましたように、病院だから採算を度外視していいんだという立場はやはり医務局としてとらないで、どういうふうな経費がどれだけ出ておるかという経理の状況、収支の線は明らかにしておくべきじゃないか。そしてこの線については、当然一般会計が持つべきだという立場を出すべきではないか。またその経営ができるだけ合理的に行なわれるように、経営の状況を分析できるような会計方式をとるべきじゃないか、こういうふうに思っておりまして、自治省とこの問題をいろいろ相談しておりまして、大体意見が一致しておるのでございます。  いまお話の建物の問題でございますが、これにつきましては先ほどお答えいたしましたように、一般病床につきまして、病床が足りないというところに対しまして、これはいろいろそこの地域の状況で建てにくいんだろうということで、それを勧奨いたしますための補助金、はなはだ少額でございますが、八千万円くらいの補助金を持っております。それからガンとか小児病の専門病院をつくるというようなことを推進いたしますための補助金があり、また精神病、伝染病につきましては、特殊な立場から公衆衛生局のほうで成規の補助金を持っております。そのほか、あとは各府県また市町村の力でやっていただくわけでございますが、それに対しまして起債関係を特別地方債といたしまして、たしかワクが三十七年度は七十七億か七十八億くらいのワクを持っておりまして、それのほうでやっております。このほうの建てました病院などは、減価償却等は原則といたしましてはやはり病院の経費である程度考えていくべきじゃないか。しかしなかなか経営状態が苦しい場合もありましょうしするので、一部はやはり一般会計から持ってもらわなければいかぬこともあるだろうというような立場でいろいろ自治省と折衝いたしておる状態であります。
  60. 太田一夫

    太田委員 前のお答えに対する詳細なる御意見の御説明がまたあったと思うのです。そういうことでやっていらっしゃると思うのですが、しかし七十七億に対して八千万とか六千八百万というようなことでは、その単位がやはり一けた違うわけなんでありまして、少し少な過ぎると思うのです。この補助金が少ない理由というのは大蔵省に原因があるのだから、あなたのほうを責めてもしようがない。あなたの方は多々ますます弁ずるで、できるだけたくさんの補助金を出したいと思うのですが、大蔵省のほうはそういうことに対してあまり理解がないのじゃないだろうかという声がありますから、松川主計官がいらっしゃいますが、松川さんもどうでしょう。病院などに対する資金というのは原則として一般会計から出す、ないしは独立採算ではないが、病院経営ということでできるだけは最大の努力をするのだが、しかしその償却並びに新しい建設資金というのは足らないのでありますから、そういうものは起債ということになればあとの重圧がありますから、極力補助金をふやす、こういうことに重点を置くことが医療施設向上ということにつながると思うのですが、その点について大蔵省としてはどうお考えになっておりますか。
  61. 松川道哉

    ○松川説明員 実はただいまの先生の御質問に対しましては、別の主計官担当いたしておりまして、私がお答えするのはちょっと筋違いかと思いますが、もしお差しつかえなければ、私補助金全体の方を非常に具体的ではございませんが担当いたしておりますので、少々理屈っぽくなるかもしれませんが、大蔵省の考え方を御説明させていただきたいと思います。  ただいま問題になっております補助金でやるか融資でやるかということになりますと、財政当局の立場から見ていきますと、御承知のように融資であれば、それを償還しなければいかぬ。償還の財源は、それを利用する人または設置する人、その同のいろいろな形があろうかと思いますが、そういった経過をとりまして実際の金が動くわけでございます。補助金でございますと、かりにこれが国庫から出るということになりますと、これは国民全体が税金として納めましたもの、これが形が変わって出ていくわけでございます。したがいまして、ただいま問題になっております病院のような場合に、一体それを直接受益する人が負担するのがいいのか、それとも広く国民全体が負担をするのがいいのか、こういう問題になろうかと思います。ただ補助金の場合には、もう一つ別な意味で財政的な苦痛を緩和するという作用がありますので、特にただいま医務局長のほうからお話がありましたような、たとえば僻地の診療所であるとか、そういったところにつきましては、そういった財政的に負担を緩和するという意味で国民全体が納めておるところの税金のほうから補助金を出すという考え方があろうかと思います。現にその趣旨の補助金がついておるわけでございます。また、これは伝染病とか、そのほか一般公共にも広く迷惑を及ぼすかもしれないといった特殊の病気に対する医療施設につきましても、同じような観点から補助金が出ておるわけでございます。ただ一般的に地方公共団体が運営しておる病院、これについてどちらがいいかということになりますと、一長一短ございまして、私どものほうの現在とっております考え方は、やはり直接それの受益者の方が当面その負担をするのが適当であろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  62. 太田一夫

    太田委員 松川さんのお話は一般論ですから、大体利用者が負担する、いわゆる受益者負担ということも考えられないわけではない、その御説明はわからぬわけではありませんが、事、病院に関して考えますると、ちょっとばかりいまの受益者負担、病人に負担せしめるという考え方では納得がいかない。私は医療というのは国営でいいのじゃないかと思うのですよ。このごろ民営の医療機関に対して、医療金融公庫ができて、国家資金融資されるという道が、昨年ですか、一昨年から開かれました。これは非常にけっこうなことだと思います。それによって民間の医療施設はどんどんりっぱになって、非常によくなってきた。市民病院とかなんとか、いわゆる公営、地方公共団体経営する医療施設のほうが見劣りがするくらいにこれらの民間の施設はよくなってきつつあるわけです。しかし利益者負担ということになれば、病人に負担せしめなければならない。しかし病人がどのくらい負担するということは厚生省はきちっと一つの基準をつくっていらっしゃる。ですからむやみに、あなたは金持ちだからもっとたくさん置いていきなさいというわけにいかぬ。そこで病人というのは、これは伝染病とかいろいろ社会的な病気もありますから、必ずしもかかった者が悪いというわけではありませんので、尾崎医務局長さん、地方の貧弱な団体に、医者も来ないようなところに安い給料で診療所を建てさせるとか、けちなことを言わないで、そういうものは公営企業的なものにしないで、全部国営にする。民間のものがあってもよろしい、そういうものもありつつ、もう一つ、医療国営というような必要から、病院の経営厚生省直轄の国営でやってはどうか。その御研究をなさったことがあるでしょう。
  63. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 医療の問題につきまして、全部国で医療機関を経営したらどうかという御質問でございますが、国民皆保険のこういうような状態になっております際ですから、そういうようなことも、あるいは考えられないではないと思いますが、しかし現在日本の置かれております自由開業制度、これが根幹になって、いままで発達してきた医療でございますので、そこまで現在踏み切った考え方は検討したことはないわけでございます。また外国におきまして医療が国でせられておりますところにおきましては、官僚的な医療だとか、発展がおくれてくるとか、またサービスが悪くなるとか、能率が悪くたるとか、いろいろな弊害もあるやに聞いておりますけれども、そういうような点、十分いままで研究しておりませんが、いまからの一つの研究課題かとも思います。いまそういうような医療国営というようなことは考えておらないわけでございます。
  64. 太田一夫

    太田委員 建設省都市局の鶴海参事官がおいでになりましたから、先ほどの質問途中でありました下水道関係のことについて、ちょっと質問を続けさしていただきます。  鶴海さん、あとからおいでいただいてはなはだ恐縮ですが、実は下水道事業というのはどうもあまりもうからないようでありますし、金が非常にかかるし、これはどこの下水道赤字ばかりというような状態のように見受けるのでありますが、どうでしょう。三分の一補助というものの的確性、ちょっと足らないのじゃないか、もうちょっと下水道については補助金を増されるのが適当ではないかと思うのです。いま松川さんの補助金一般論からいいますと、受益者負担ということになるのです。しかし、受益者負担論というのは補助金を出すまいとする用語でございますから、補助金を出すことを別に気にする必要はない。受益者負担といったら、下水道の完備しておる都市にくる人は、何もそこに住んでおる人だけではありません。その都市に往来する者全部に関係があるのですから、受益者といえば、国民全部でありますから、その国民に受益することなら、うんと補助金を出してもいいじゃないか。三分の一と言わないで、もっとふやしたらどうですか。あなたの方は三分の一とおっしゃるから、奥野さんのほうも逆算をして、次の起債ということになるのでしょう。起債の推定をなさるわけですから、それは、三分の一ということももう少し引き上げて、二分の一とか四分の三とか、そういうふうに引き上げるべきときじゃないかと思いますが、いかがですか。
  65. 鶴海良一郎

    ○鶴海説明員 下水道の整備が非常におくれておりまして、これを緊急に整備しなければならぬという考えから、本年度より五カ年間の整備計画をつくりまして整備の促進をはかるということで、実は法案を厚生省と共同で出しておるわけでございます。そういうわけで、近々につくりたいという段階でおるわけでございますけれども、実はこの下水道整備の財源の問題になりますといろいろ問題がありまして、現在は御指摘のように三分の一の国庫補助をしておるわけでございます。この下水道等の整備につきましては、先ほど来話題にのぼっておりましたような受益者負担ということも考えてやっておりまして、都市によって違いますが、四分の一とか三分の一とか程度を受益者負担として取っておる都市相当あります。これは下水が整備いたしますと、従来排水の悪かった土地が排水がよくなるとか等の受益があることは明瞭でありまして、そういう意味で受益者負担を取るということも適当であると考えております。そういういろいろの財源をあわせまして、下水道の整備をやっていきたいというふうに考えております。現在のところ三分の一の補助をさらに引き上げるということは考えておらない段階でございます。
  66. 太田一夫

    太田委員 鶴海参事官のお答えの点、それは無難なお答えですけれども下水というものは、排水がよくなるというけれども、一体一番多く下水を利用するのは何だといったら、意外に工場であるとかで、個人よりも法人の場合が多いのではないか。もう一つは罪なき天というのがありますね。天から雨が降るのです。雨というのがみんな下水に行くのでしょう。雨に罪を科さないとするならば、コンクリートははいでおいて、天から降った雨は全部地球に吸い込ませればいいのです。それを下水管に流し込むものだから、下水管の容量は大きくなってくるし、それがまた最後の終末処理場まで影響してくるわけですから、地域の特定の番地に住んでいる住民だけというのはいささか問題だと思う。だから、極力補助金をふやすというのは、今日のような事態において当然だと思うのです。それをあなたのほうの主管省があまり小さくなって、三分の一以上に引き上げることにあまり熱意をお示しにならないと、大蔵省は何も無理に出したがらないのですよ。これは松川さんがいらっしゃるのですが、松川さんはそんなことはないと思うのですが、批評によると、あまり出したがらないという評判なんです。だから、あなたのほうは、必要なものは必要だとおっしゃってくれなければ困ると思うのです。三分の一だとおっしゃるから、自治省は三分の二というように逆算されてしまって、地方自治体が三年でやるのは五年に延びてしまう。困るのです。なるべく三分の一というのは引き上げるように私はしてもらいたいと思うが、新しく計画をプッシュされておるというお話でございますから、その計画の中にひとつほんとうに躍進的な思想でも盛り込んでいただきたいと思うのです。  下水道のことについては以上にとどめまして、時間の関係上運輸省の方にお尋ねいたしますが、運輸省の佐藤民営鉄道部長お尋ねいたします。  都市交通というのが地方公営企業では最大なる赤字のもとでありまして、三十六年度六十億円の赤字を出しておるわけですが、都市交通というのは、一体どういう方針をもって運輸省としては指導していらっしゃるのか。現在のところ、東京都におきましては、民営と営団組織と東京都という地方公共団体、この三つのものに、さらに国鉄が加わった四者がともえとなって交通を択一しておるわけでありますけれども、それでもどうも需要に追いつかない。しかもその中におきましては、都市交通におきましてはほとんどが赤字だということをいわれておりますが、一体運輸省の指導方針はどういう方針でございましょう。
  67. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 都市交通における高速鉄道の状況でございますか、先生御指油川のように、路面輸送の混雑、輸送需要の増大ということで、その対策としては、まず急速に高速鉄道を整備する必要があるという点におきまして、運輸省に設置されております都市交通審議会等に諮問をいたしまして、その高速鉄道の整備計画をつくりまして、その実施を推進いたしておるところでございます。われわれとしては、一日もすみやかにこの計画の高速鉄道の完成をするという観点から種々施策を講じておるという現況でございます。
  68. 太田一夫

    太田委員 部長さん、このようなことはあまりはっきりおっしゃっていただくことは困難かと思いますが、都市交通の経常の一元化という問題については、運輸省としては、何かはっきりしたほうしんがあるのでしょうか。
  69. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 都市交通経営主体の問題につきましては、従来いろいろ御議論があったわけでございます。先生の例に出されました東京につきましては、御承知かと思いますが、高速交通機関を一元化する経常主体を新たにつくって、それに全部統合してやらせるという考え方で、帝都高速度交通営団というものが中心になって地下鉄を経営しておったわけでございます。ところが、その後地下鉄建設の急速整備という問題が起こりまして、その急速建設ができるならば、そのためには、あるいは経営主体を分けても、そういう方法もあるのではないかということで、現実には経営主体といたしましては、帝都高速度交通営団のほかに、東京都が直接地下鉄の建設経常をするという状態に現在なっております。ただ、これにつきましては、先生指摘のように、その後の情勢の変化等を考慮して、経営主体を一元化したらどうかというような御意見もございまして、先ほど申しました、現在運輸省に設置されております都市交通審議会に、この経営主体のあり方については、御諮問をして慎重に御審議をしていただいておる段階でございます。
  70. 太田一夫

    太田委員 地方資金課長の木野さんおいでになりますね。この際、地方自治体に関する交通関係資金のことでお尋ねいたしますが、たとえば東京都の都営地下鉄と営団の地下鉄の二つの建設が並行して進められるようになりまして以来、いわゆる政府資金といたしましては、営団自体のときよりは飛躍的にそれが増大しておるのかどうか、この点をひとつ……。
  71. 木野晴夫

    ○木野説明員 東京都営の地下鉄でございますが、全体百七十億組んでおりますうち、東京は約半分の八十五億を三十七年度組んでおります。三十八年度は全体二百億ですが、うち百億は東京分だと考えております。なお帝都高速度交通営団でございますが、資金運用部といたしましては三十七年度から七十考えでございます。三十八年度が八十億組んでございます。三十七、三十八両年度比べてでございますが、帝都高速度のほうにつきましても相当資金をつけておりますが、都営につきましても相当重点を置いて配意しておる、そういった形でございます。
  72. 太田一夫

    太田委員 私は、営団と都営の地下鉄と二つになれば、資金の供給がふえたのかということをお尋ねしたいわけなんです。先ほどの佐藤さんがお話しになりました東京都の交通の問題につきまして、営団が一本であったときよりも、都営地下鉄の制度をつくりましたときには、二つになれば資金がふえるから、したがって整備が早くできる、これに重点が置いてあったと当時説明を聞いておるわけです。だから東京都営地下鉄が建設されるようになってから資金ワクが全体にふえたのかと思ってお尋ねしたのですが、いまお話しにたりました数字は私の理解する数字と少々違うのです。これは吉瀬さんからお答えいただたきましょうか。昭和三十二年以降三十七年までの資金は、私の聞きましたのは営団が三十二年五十億に対して都は十億、三十三年は営団六十二億に対して都は二十三億、三十四年度は営団八十一億に対して都は五十四億、三十五年度は営団百四十八億に対して都は六十五億、三十六年度は営団百八十億に対して都は百億、三十七年度は営団三百二十億に対して百五十三億の都営地下鉄の資金だ、こういうようなぐあいに聞いていたのです。これは政府資金以外の一般鉄道債、市場資金もあるのかもしれませんが、政府資金のほうからいいますと、東京都営は三十七年度に八十五億も出ておるということでございますね。そうして営団に対しては七十億しかない。そうすると営団は三十七年度、三百二十億も資金をまかなったとするなら、二百五十億はその他の方法によっておるわけです。この点については古瀬さん、何か御見解ありますか。
  73. 木野晴夫

    ○木野説明員 先ほど申しましたのは運用部資金について申し上げたのでございまして、帝都高速度につきましては吉瀬課長から後ほどお話し願うといたしまして、七十と申しましたほかにいろいろその他の資金がございまして、三十七年二百十、三十八年が政府資金八十のほかにいろいろ足しまして二百三十、こういうふうになっております。
  74. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 いまの先生数字をちょっとあとで正確に照合してみなければなりませんが、お伺いした数字建設に要した資金総額を先生、おっしゃっておられるのじゃないかと思うのです。したがいまして、営団につきましては政府資金のほかに、御承知のように公募債、増資による自己資金、市中借り入れ等がございまして、それの合計額が大体いま先生のおっしゃいました金融に見合う数字かと存じます。したがいまして先ほど私が申し上げました資金の調達につきまして、総体の実績を振り返ってみますと、都が始めました三十一年当初、地下鉄の建設に東京都営において投入せられました資金総額は四十四億でございましたのが、先ほど来お話しがありましたように、三十八年度の計画においては営団において二百三十億、そのほかにいまお話しがございました約百億、そういうような全体の資金量になるかと存ずる次第でございます。
  75. 太田一夫

    太田委員 資金がどんどんふえていくということは、政府資金であれ、民間資金であれ、出資団体資金であれ、別にとやかくのことは問いません。現在東京都の地下鉄だけを例にとりましても、東京都の交通をどうするかということについては幾多の審議会の答申もありますが、地上交通から地下交通へと移動させられつつあるように思うのです。しかしそれはそれといたしまして、運輸省の民営鉄道部長といたしましての御見解を承りたいのは、いわゆる公営企業としての都市交通というのはおしなべて赤字であるということです。その赤字を克服する方法は何だというと、経常の一元化というような点に一つの目標があるわけですが、それに対して運輸省としては一体どうお考えになるのか。あなたは民営鉄道部長でいらっしゃるからぐあいが悪いかもしれませんが、運輸省の立場からおっしゃっていただきたいと思うのです。民営という言葉ががついておりますから、あなたが公営企業の反対側の公述人としておいでになったようにみなが聞きますとまずいのですが、運輸省としてひとつお答えいただきたいと思うのです。バスも電車も赤字だ、もちろん地下鉄も赤字だ、そこで交通一元化ということがこれを解決する処方せんだ、この考え方に対して運輸省の的確な御意見ですね。
  76. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 経営主体を中心としての公営企業のあり方のお尋ねでございますが、われわれとしてはそれぞれ関係事業法規によりまして免許等の措置をとって現在運営をせられておるのでございまして、それについて特に経営主体についてどうこう特別に考えるということもございませんし、それからこれを一元的にするのがいいかどうかということは、個々の具体的な問題であるかと思いまして、先ほど来申し上げておりますように、東京につきましては都市交通審議会でいま慎重に御検討を願っている。この答申をいただきましてわれわれとしても将来の地方鉄道のあり方を見きわめて行政をしていくという考え方をとっておるわけでございます。ただもう一つ、地方公営企業でこういうように新しく投資をしていく関係以外のものにつきましても、経常上の問題がいろいろあるわけでございまして、それらにつきましてやはりそれぞれ関係のところでいろいろ御検討願っているといういうふうにわれわれは聞いている次第でございます。
  77. 太田一夫

    太田委員 佐藤さん、免許をとってそれぞれ経営されているから、とやかくのことを、おっしゃらないで、あなたのほうはそれぞれの分野と使命に応じてがんばってもらいたいということだと思うのですよ。いわば赤勝て白勝ての指導方針と思うのですが、昭和十三年に陸上交通事業調整法というのが施行されておりますね。これは生きておるのでしょう。かって廃止されたということを聞いたことはありませんが、いかがですか。
  78. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 仰せのとおりでございます。
  79. 太田一夫

    太田委員 その点からいったら、部長さんどうですか、そうむやみに武蔵町鉄道を免許したり、羽田−東京間の高架鉄道ですか、ああいうものを免許したり、それから東京都営地下鉄を免許したりすることは、この調整法に違反するじゃありませんか。そういうことになりますね。
  80. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 調整法はございますけれども、この運用につきましては、われわれとしては調整法に違反した運用でなく実施をいたしておるわけでございまして、合法的な免許であるというふうに考えて処置しておるわけでございます。ただ、いまお話の中で都営の地下鉄でありますが、これは先ほど申し上げました急速整備の方針から、営団等で持っておりました免許権を都に譲渡いたしまして、都が運営しておるというのが現状であります。
  81. 太田一夫

    太田委員 それは昭和十三年ころの、いわば戦前の法律ですから、古いといえば古いのですけれども交通一元化という思想からいったらこれほどりっぱなものはないじゃありませんか。この精神を生かして、これをさらに完成させていくというところに、陸上交通のむだの整理があり、合理化があろうと思うのですよ。だからそれぞれ分野を守って、それぞれ使命を全うし、公共性に足りない点があるなら、公共性の完遂ということはあなたのほうで十分指導監督されたらいいのじゃないでしょうか。だからむやみに当時の分野を侵害するがごとき既成事実をつくり上げていくというところが交通経営の混雑となって、今日赤字増大のまた副原因じゃなかろうかと思うのですが、これは違うのですか。
  82. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 仰せのように陸上交通事業調整法のできたときの趣旨は、経営を一元化して、合理的だ、能率的な運営をするということでございまして、現在やはり実体的に同じような——他の理由も加わっておりますけれども、同じようなことで経営一元化の問題がいろいろ議論せられておるところでございます。したがいまして、われわれもこの問題を慎重に、多数の方の意見を聞くというたてまえから現在御検討願っておるというのが現状でございます。
  83. 太田一夫

    太田委員 あなたの立場からいえばそれでいいと思うのですが、いろいろと都市交通という新しい事態が出てきましたから、昭和十三年当時の法律では十分でないという点があったのだろうと思うのです。それはあなたもはっきりおっしゃっていただければいいと思うのでありますが、いわゆる郊外ターミナルかできて、池袋であるとか、新宿であるとか、渋谷で、都営の交通機関と郊外から来た国鉄並びに私鉄等の乗客が乗りかえる制度なんというのはおよそナンセンスなことでありまして、これがラッシュにさらに拍車をかけておることは御承知のとおりでございますね。したがって、そういうような事態は今日の都市交通の事態に合わないから、いかに交通需要に対して供給するかという立場から見ますならば、経営主体のいかんを問わずして、都心を通過する交通機関を早急に整備しなければいけない。それは場合によっては京浜急行電鉄の地下鉄乗り入れでありましょうし、あるいは小田原急行電鉄の乗り入れということだろうと思うのです。東武鉄道がどこか都営地下鉄に乗り入れておるということも聞いておりますが、そういうことは非常にけっこうなことだと思うのです。そうして郊外から都心を通過するところの交通機関の供給というのをふんだんにすれば、いまの交通地獄は救われていくだろうと思います。だからそのためには地下鉄の開発を進めていかなければなりませんから、二つの機関にしたということは、少なくともそのための建設資金が飛躍的にふえる、ここにねらいがあったならば、ひとつ大いに資金はふやしてもらわなければならない。だから、確かにふえておりますねということを先ほどお尋ねしたのでありますが、大蔵省の地方資金課長さん、どうですか。あなたのお考え方として、いまは東京都を例にとってみたのでありますが、東京都の地下鉄の開発資金は、営団だけの当時よりは都営地下鉄をつくったことによって非常にたくさんの資金が用意されておる、テンポは進んでおるのだ、こういうふうにお考えになっていらっしやるかどうか、この点をもう一度お答えをいただきたいと思います。
  84. 木野晴夫

    ○木野説明員 地下鉄は都営ができましていかによくなっておるかというお話でございますが、資金がどうついておるかということは先ほど申しました。それで事業がどういうふうになにしてこうなっておるかということは、運輸省なりからお話し願いたいと思っております。  資金について申し上げますと、都営地下鉄につきましては先ほど申しました。三十四年度が全国で四十五億、それから三十五年度が八十三億、三十六年度が百四十億、三十七年度が百七十億、本年度の三十八年度は二百億と組んでおりまして、このうちの半分を東京に考えております。  なお、東京都営地下鉄の建設の進捗を見まして、資金に不足のないように、そういった点は十分配意しておるつもりでございます。
  85. 太田一夫

    太田委員 東京都営の地下鉄に十分の資金を配慮しておるかという点を言っておるわけではない。東京都営の地下鉄ができて、そのために営団一本のときよりは地下鉄の開発のために資金がよけい投入されることになったのではないか、それをねらって東京都営地下鉄というものを免許したはずであるから、そういうことを御説明いただきたいと思ったわけです。たとえば名古屋の地下鉄だけでも、これは昭和六十年まで、といえばちょっと長い計画でありますが、一千億に近い資金の需要が計画されていたのでありますから、地下鉄に対してはなかなかばく大な資金が要るのです。百億やそこら何だ。こんな小さな数字では問題にならない。だから私の言っておりますのは、都営地下鉄をつくった以上、それが地下鉄開発のスピードを急激に増したということをみんなが理解しなければ、そんな赤字を地方団体がしょうだけだったら何にもならないじゃありませんか、それを言っておるのですが、その辺どうですか。
  86. 木野晴夫

    ○木野説明員 都営についたものについては申しましたが、一方営団につきましても相当についておりますから、全体としまして都営ができたことによってよくなっておる、こういうふうに考えております。
  87. 太田一夫

    太田委員 私は、都営ができて、都営のほうに力が入って、営団のほうの力が抜けたから、はっきり言ってプラス・マイナス・ゼロだと見ておる。それは東京都の交通需要というものを解決するための資金の手当としては、少々不徹底ではなかろうかと思うのでありますが、これはいま大蔵省のいろいろな御事情もありましょうから、なるべくテンポを早めていただくということでいいのですが、都市交通というものがいま赤字で悩まされておるときに、その資金というのは極力低利のものでなければなりませんから、極力低利、長期の資金を供給するのは、単に公共的な民間企業だけではなくして、新産業都市とかいうところにできる会社を対象にするのではなくして、都市交通の開発と再建のためにもその資金をふんだんに出してもらいたいと思う。ふんだんに出すということについてはいいでしょうね。低利、長期の資金をふんだんに出すということについての心がまえは、木野さんどうですか。
  88. 木野晴夫

    ○木野説明員 私の所管地方債関係についてのことでございますので、財投全体、営団その他財投でございますが、これをどうするか、ちょっとなんでありますが、都市交通は重要である、地下鉄に力を入れるべきだ、また資金についても重点的にかつ十分に配意すべきだという点につきましては、ごもっともだと思います。
  89. 太田一夫

    太田委員 松川さん、どうですか、いま自治体というものの全体から見まして自治体に、先ほどから上水道赤字だ、下水道赤字だ、病院も赤字だ、そしてさらに都市交通という莫大な赤字がある。そこで、地方自治体の財政を確立するためには、資金の手当というものはよほど思い切って、ある程度指導的な資金の供給があっていいと思う。縁故債などにたよっていては金利が高いのですから、なるべく金利の面だけでも負担を軽くするか、そうでなかったら、公営企業が出した赤字は全部基準財政需要額に算入して、そして交付税の対象とする。そのためには、場合によっては交付税の税率も引き上げるというところまで、思い切った措置が必要だろうと思うのです。それはどうですか。これは松川さん、主計官としてどうですか。
  90. 松川道哉

    ○松川説明員 ただいま太田先生御質問の問題は、二つあったかと思います。一つは財政資金をもっと投入して、赤字が起こらないようにしたらどうかということ、それから二つには、その赤字をどうするかという問題であろうと思います。  初めの点につきましては、御承知のように財政資金、これは融資で使われる場合にも、低利であるということが非常な魅力ではございますが、その低利であるゆえんのものは、それが特別な形態で集められたものであるというところにあるかと思います。したがいまして、財政資金の総ワクというのは毎年毎年ある程度の限度があるわけでございまして、これをいかに配分するかということで、財政当局は毎年苦労をいたすわけでございます。御指摘のように、都市交通の問題が非常に緊急な要務である、これは私どもよく理解をいたしております。また別途環境衛生の観点から、いろいろございましたた水道の問題、そのほかの問題につきましても、いろいろの需要が差し迫って、山積しておるということもよく理解いたしております。したがいまして、その限られた低利に回し得る資金を、いかに配分するかということでございますので、これを赤字解消のために飛躍的に増大するという、結果論としては赤字を若干少なくする面に役立つとは思いますが、そういう目的のために、これを端的に、短い期間に非常に多額に増加するということは、なかなか望むべくして実行はむずかしいんじゃないかと思います。  第二番目の赤字の問題につきましては、御指摘のように資金的、すなわち金利を払わなければいけないという問題が、相当公営企業体におきまして、財政負担になっておるかと思います。しかし赤字原因は、そのほかにも種々あろうかと思います。その点につきまして明確に分析いたしまして、地方団体がその公営企業を運営するのに、ここをもう少しこうやれば何とかなるのではないか、そういう面がもしございますれば、それを十分に解消するような努力を、まず地方団体がやってもらわなければいけないんじゃなかろうか、このように考えております。現在のところ、赤字のうち一体どの要素がどのくらいの貢献をしており、どの要素がどのくらいかということを、まだ私どもはっきり把握いたしておりませんので、それを前提にいたしまして、さらに財政措置でどういうものをとるかということは、現在のところはっきり御説明いたしかねる次第でございます。
  91. 太田一夫

    太田委員 いまのお話ですと、地方団体赤字克復の責任は、地方団体にあるということになるわけで、まことにどうも解決方法にならないわけでありますが、時間がだいぶ差し迫っておりますので、運輸省の自動車局の坪井さんにお尋ねをいたしますが、最近バスは、私は公営企業があんなに赤字になるというのは、全く不採算路線の設定が急であったということに原因していると思いますけれども、地方公営企業の中のバス部門も非常に赤字なんです。そこで、あなたの方の国鉄バスと地方公共団体経営のバスと、民営バスとの収支の比較、これはキロ当たり収支ぐらいのところでおっしゃっていただきたいと思いますが、どんなぐあいに最近なっておるのでしょうか。国鉄の経営するバスが一つある。それから地方公共団体経営するバスが一つある。それから民間会社が経営するバスがある。それを平均いたしまして、国鉄バスはキロ当たりの収入がどれくらいで、キロ当たりの支出はどれくらいになっているか、そして人件費は、収益に対してどれくらいの割合になっているかというような、そういうものがございますでしょうか。
  92. 坪井為次

    ○坪井説明員 ただいまの御質問ですが、全国的なものとしての平均は、いまとっておりませんが、都営と民営の関係につきまして資料がございますが、ちょうどこの資料では、キロ当たりには出ておりませんが、人件費の構成を申しますと、都営につきましては五七・九%、それから民営九社につきましては四二%。キロ当たり収入は、都営の方がちょっと上位ではないかと思っておりますが、正確な数字はいま持っておりません。
  93. 太田一夫

    太田委員 これはある資料にあったのですから、不正確だと思うのですが、キロ当たり収入は、国鉄が六十七円、公営企業が七十七円、民営が六十三円、こういうふうに出している。公営企業が一番多く、その次が国鉄で、その次が民営になっている。キロ当たり支出になると、国鉄が八十一円で、公営企業は八十四円、民営六十三円となっているわけです。そして人件費の割合というのは、国鉄が六九%、公営企業が六一%、そして民営企業四三%、こういうことになっている。だから民営、公営については、大体さっきおっしゃった数字と大差ないのです。そういう点から見まして、いわゆる公営企業が不経済経営だ、経済性追求に不十分だというふうには考えられない。どちらかというと、人件費の割合から見ますと、国鉄バスが一番人件費の割合は高いのであり、しかも支出の割合も高く、収入が低い、こういうことになっております。公営企業は非常に収入が多い。そういうふうでありまして、人件費の割合も、国鉄に比べて公営企業が高いというわけじゃありませんから、まさか人件費の赤字原因だとはちょっと申されない。問題は、キロ当たり支出の点におきまして、公営企業の多いのは何であろうか、こういう点に一つあるのですが、これは、私どもも一番そこを分析していかなければならないと思っております。それでいま運輸省としては、公営企業の中のいまのバス部門については、運輸省からごらんになって、何か勧告——と言ってはおかしいが、経営改善の要素というのはこういう点にあるのだ、というようなことについて、何かお気づきになった点がおありでしょうか。
  94. 坪井為次

    ○坪井説明員 バス運賃につきましては、公営企業につきまして、大部分は運賃改定は完了しましたが、五大市につきまして、いま企画庁と協議中でございます。それで五大市につきまして、どこが問題になっているかと申しますと、大体五大市は、収入の財源としては非常に恵まれた路線を持っております。国鉄その他は赤字相当かかえているという事情もございますが、五大市の公営企業が行なっているものについては、収入源としては、私営バスよりもむしろ恵まれている。また法人税あるいは固定資産税、そういった点においても、相当有利な立場に置かれている。それにもかかわらず、東京都におきまして乗り入れ九社と公営バスを比較したときに、片方赤字が著しく大きいということで、この原因は何であるかということから非常に問題になっておるわけであります。企画庁のほうといろいろ協議しておるわけでありますが、やはりその大きな原因は、経済性といいますか、支出面における経済性が、私営バスよりも能率が悪いのじゃないか、しかもその原因は、やはり人件費が相当高いことになるのではないか、こういう観点からただいま公営交通企業財政調査会、こういうところでこの問題について御検討願っておるわけであります。
  95. 太田一夫

    太田委員 坪井さん、それは宮澤さんかだれかの説だろうと思うんですが、一般の私営バスなどに比べて東京都のバスは非常に経済性が低い、それは支出の中にあらわれておって、その支出の中から分析すると、人件費が非常に高いのじゃないだろうかという説がありますが、なまで平均したものを比べてみて、新聞に出ておりましたが、東急バスの運転手は幾らで都営バスの運転手は幾らだ、そんな単純比較をして高い高いというのはしろうとごまかしであっていかぬですよ。あなた方は専門家だから、平均年齢は幾つ、家族構成はどうだ、あるいは勤続年限は幾ら、あるいは勤務時間はどれだけだという要素というものを加味し、加重平均をしていかなければ、そんな統計なんて出ない。なまで平均して、片方は高い、片方は低い、そういう議論を経済企画庁がやっているとすれば、経済企画庁は統計学上はしろうとだと言わざるを得ない。だから人件費が高いという説を業務部長さん、あなたまでが本気になっておっしゃったとすれば、これは見のがすべからざる詐術だ、あるいはとんでもない誤解が流されておると言わなければなりませんので私は残念だ。そんなものではない。もしも勤続年限あるいは平均年齢、家族構成その他等を考えましてウエートをつけて加重平均をいたしますならば、これは東京都営のバスの従業員といえども決して高くない。逆に一般民営の従業員よりも低いというような数字が出てくるわけであります。これはひとつ十分御検討いただきたいと思います。  そこで、私は、いろいろ御議論いただきまして長くなりましたので、最後に、どっちみちいまのお話からいきまして、それぞれの主管省においても、経営赤字になってもそれに対する克復対策はもはや自治体に一任ということに結論はなってしまいました。私は自治体がこれをやらなければならないことだとするならば大へんなことだと思いますが、経営難に対する赤字対策はどういう解決方法があるだろうかと思うんです。  そこで、この際自治省に戻りまして、奥野さんの御見解をこの際皆さんの前でおっしゃっていただきたいと思うんですが、交通関係企業体が一番赤字が多いとするならば、その赤字を克復するにはどうしたらいいのだ、現在がらがらで走っておるから赤字だというならば乗せればいい。ところが東京都営のバスを考えてみても、がらがらで走っているということは考えられない。いわゆる満員輸送をしながら赤字だということになると、どこに赤字解消の最大のポイントを求めるのか、こういう点があると思う。この前からあなたの御意見では、人件費という支出の面に着目をしながら、経済性の追求と言い、かたわら運賃というものを再検討する必要があるだろうという御意見があったように承っておりますが、一体その辺しかないのか、満員のバスと満員の電車と満員の地下鉄で、なお赤字だ、どうしたらこの赤字が克復できるか、これに対する御考察がありましたらこの際ちょっとお聞かせいただきたい。
  96. 奥野誠亮

    奥野政府委員 おっしゃっているように、交通事業赤字を出している団体が多いようでございます。しかしその赤字原因は、各自治体によってまちまちだと考えております。東京都の例で申し上げますと、やはり人件費等についても私は問題があると考えております。できる限り経営の合理化をやってもらわなければならない、これが根本だと思います。根本だと思いますが、しかし料金改定に手をつけない以上問題の解決にならない。十一、二年来据え置かれておるわけでありまして、その間国家公務員の給与改定が七回も行なわれております。一般の燃料費その他につきましても相当な高騰があるわけであります。したがいまして、経営のあり方について根本的な改定をやってもらわなければなりませんが、同時に料金改定も行なわなければ経営を軌道に乗っけることはとうてい不可能だと思います。しかしそれと同時に、単にいまの交通事業だけを見ておってもならないのであって、たとえば道路が非常にふくそうしておるものですから、年々回転率が低下してまいっておるわけであります。道路の問題もありましょう、あるいは地下鉄経営に移行する問題もございましょう、あるいは一元的な経営の問題もございましょう。いろいろ問題もございましょうが、やはり根本的に考えなければならないような大きな問題を腹蔵しておるのではないだろうかというふうに思っておるわけございます。
  97. 太田一夫

    太田委員 いまの件ですが、大蔵省としてはどうでございますか。赤字が出て非常に困っておる、三十六年度の統計でありますが、たとえば交通関係で六十億、とにかく八十四企業体の中の六十は赤字でありますから、こういうふうにふえてきたのに、人件費の縮小なんという手を考えられたら、これは非常に労働混乱を起こすことは火を見るよりも明らかだ。特にバスなどに至りましては縮小をすれば離職するばかりです。他に幾らも市場はあるのですから……。そういうことを考えますと、人件費というようなけちなことを考えるのではなくて、もっと不経済経営というものの徹底的な改善と同時に、公共性ということを考えてみますならば、公共性の発揮のゆえに出た赤字というものは地方公共団体がめんどうを見る。めんどうを見るということが不可能な場合には大蔵省としても十分めんどうを見るという、そういう心がまえがあってもいいと思いますが、その点はいかがですか。
  98. 松川道哉

    ○松川説明員 ただいま交通の部門を例におとりになりまして、赤字が出た場合にどうするかという御質問でございますが、ただいまの例で申し上げますと、交通機関というのは非常に地域性の強い行政分野でございます。したがいまして、そのことが交通機関を地方公共団体が直接運営しておるという現実につながるわけでございます。そういう地域性の非常に強い場合に、そこで生じました赤字を、直ちに国庫に求めるというのは私ども非常に疑問であると思います。先ほども御説明いたしましたとおり、その赤字原因がどこにあるかといったようなことを徹底的に究明いたしまして、その改善によって赤字の解消に努力すべきではないかと考えます。ただいまの例の交通問題で申し上げますと、道路の事情が非常に悪くなってきておる、その他いろいろの、何と申しますか公営企業を取り巻く環境の問題があろうかと思います。この中には、国が国の立場でいろいろ手を尽くしていかなければならない問題も含まれておるかと思います。そういった意味で、公営企業赤字のうち、国が国の立場から見ての行政をもう少し推し進めればその解消に役立つであろうと思われる分野がございますれば、そういったところには財政事情が許す限りにおきまして、極力その改良をはかっていくのが国としてのつとめではないか、このように思います。
  99. 太田一夫

    太田委員 運輸省の佐藤部長さんとしてはどうでしょう。先ほど奥野さんの御意見の中に、運貸値上げ以外に道がないという、大きなウエートがそこにある、その間ベースアップも七回という数を経過しておるにかかわらず、据え置かれておる運賃というものは不当なものであるという前提があるのですが、そういう方法についてあなたのほうの御所見はいかがですか。
  100. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 先ほど財政局長がお答えしたのは、主としてバスの問題についておっしゃっておられるのだと思いまして、われわれの所管ではございませんので、特に所見を申し上げることは差し控えたいと思います。
  101. 太田一夫

    太田委員 坪井さんとしてはいかがですか。
  102. 坪井為次

    ○坪井説明員 バスの運賃につきましては、先ほど申し上げましたように、運輸省としましては、一応原価計算をいたしまして、現在においては赤字である、またこのままでは赤字が解消しないということで、改定の必要性は認めておるわけであります。ただ、物価抑制の方針に従いまして、運輸省としてただ安易に改定を行なってはいかぬということで、その内容についてさらに検討を命ぜられておるわけでございます。やはり最後はもちろん改定によらなければならぬと考えております。
  103. 太田一夫

    太田委員 企画庁は来ていらっしゃいませんけれども、いまのお話によって、それは十分慎重な検討をされるということ、当然のことだと思いますが、さてそれは、慎重な検討というのは、このままずるずるといって、赤字がずるずると増大するという危険性を含む。そこで公営企業法の一部改正が出てきて、赤字に対する補助金とかなんとかいうことが出てきたのですけれども、これは早急に抜本的な対策を講じていただきませんと、なかなか公営企業赤字というものは克服できないと思うのです。自治省に一任せずして、またそういうものを一企業体独立採算制に押しつけずして、大蔵省も運輸省も自治省もともに共同して、この赤字克復のためにはもっと前進的な対策を用意されるように私は希望したいと思います。これはこれ以上やっても、企画庁がいらっしゃいませんから、物価抑制の立場から見る運賃の問題は論議が尽くされませんので、あとへ保留しておきますが、一応、以上でお尋ねを終わります。
  104. 永田亮一

    永田委員長 松井誠君。
  105. 松井誠

    ○松井(誠)委員 先日来太田委員からいろいろ質問がありましたけれども、まだ独立採算制をめぐってふに落ちないところがございますので、骨組みだけをお尋ねしたいと思うのです。  この間、奥野局長の御答弁ですと、この公営企業法の基本原則である経済性の発揮と公共の福祉の増進とは矛盾するものではないのだという御説明であったわけです。常識的に考えると、しょっちゅうそういう矛盾をする二律背反があるというふうに常識的には考えられるのですが、経済性というのはどういうことを意味するのかというところからお尋ねしたいと思います。
  106. 奥野誠亮

    奥野政府委員 一般的な表現でしますとお役所仕事というような表現でいわれますように、公営企業はとかく非能率的になりやすい、こういうことだろうと思います。やはり経済の原則に従って能率的に運営していかなければならない、そういう配属が不十分な面が見受けられる、そういうこともございまして、経済性ということばをことさら地方公営企業経営原則の中に取り入れたということでございます。
  107. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そうしますと、能率性といいますか効率性といいますか、そういうことをいうのである、そうすれば私企業の場合の言ってみれば経済性というものの中には、営利の追求といいますか利潤の追求、そういうものが欠くべからざる要素として含まれておると思うのですけれども、この公営企業という場合には、そういうものが入っておるかおらないかは別として、やはりとりあえずは、少なくとも中心には能率性、効率性、そういうことが眼目だというように考えていいわけでございますか。
  108. 奥野誠亮

    奥野政府委員 そのように思っております。
  109. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そうしますと、その経済性というものと独立採算制というものとの関係はまたどうなるのか。つまり経済性というものの中には独立採算制というものは欠くべからざる要素ではなくて、いわば地方公営企業の中で独立採算制をとらなければならないものととる必要のないもの、あるいはとることのできないものという区別があるわけですから、独立採算制というものは経済性というものの中で欠くべからざるものではないわけですね。
  110. 奥野誠亮

    奥野政府委員 そのように考えております。要するに、利益の追求というようなことじゃございませんで、一定のサービスをする、その一定のサービスをする場合には、最小の経費でそれを達成しなければならないということでございます。最小の経費で達成すればよろしいのであって、そこにプラスある程度の財源を持ってやらなければそのサービスができてないという場合があっても差しつかえないのではないだろうか、こう思っております。とにかく経済的にその仕事をやるべきだということだと思います。利益の追求ということとは別問題だ、かように考えております。
  111. 松井誠

    ○松井(誠)委員 先ほど太田委員の質問で、今度の改正で百名以上の病院などが公営企業法の財務関係の規定の適用を受ける、しかしいわゆる独立採算制という点についての適用だけははずす、しかし独立採算的な考え方まで捨てるというのではないのだという御答弁でありましたので、ちょっと私疑問になるのですけれども、なぜこの経済性というところから独立採算的な考え方というものが必要だということになるのか。これは能率性、効率性ということはわかるわけです。しかしそれは言ってみればむだを省けということであって、さて不足の分はどこから補うかということとは一応別だと考えなければならぬと思うのです。そうしますと、独立採算的な考え方がたとえば病院経営の場合になぜ必要なのか。つまり経済性という問題、そして先ほど言われたように効率性、能率性ということだけを考えればいいのであって、独立採算的な考え方というものをとらなければならないという理由が私はわからない。
  112. 奥野誠亮

    奥野政府委員 先ほど私は、病院につきまして独立採算を強制しないのだ、こう申し上げたのでございます。独立採算でやっていける病院もあるし、一般会計から相当の負担をしなければならない病院もあるだろう、しかしそれは病院経営にあたってはっきりした計画を立てるべきだ、野方図に赤字を出したりすべきものではない、こういう趣旨でございます。もともと地方公営企業法公営企業について規定をしてまいったわけでございます。しかしながら準公営企業に属するものについても、少なくとも経営成績や財政状態が明確になるように経理していかなければならないのではないか。そこで、準公営企業とされております病院や下水道事業のようなものでありましても、規模の大きなものについてはこの経理を強制していこう。しかしもともと準公営企業なんであって、一〇〇%独立採算を予定しているものではないのだからその規定は適用しません、こういう趣旨でございます。しかし病院でございましても、ちゃんとりっぱに独立採算経営していけるところもあるわけでございまして、そういうような病院についてまで一般会計で負担させる必要はないのではないか、またそれが可能な病院でありますならば、そういう気がまえで効果をあげていけばよろしいじゃないか、こう思っているわけであります。
  113. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そこのところが私はちょっとわからないというわけなんです。公営企業だから独立採算制が必要だということ自体も私はよく理由がのみ込めませんけれども、準公営企業であっても、独立採算的なたてまえで考えるべきだという意味がよくわからないわけです。というのは公営企業というのは公共の企業ですから、いわばむだを省くという意味で、国民的な立場から見て浪費をするなという意味で効率的でなければならぬ、能率的でなければならぬという意味はわかる。そして、それはまさにそれでなければなりませんから、そういうことを明らかにするために企業会計というものが大いに役に立つということも、それはわかります。そこまでは私は問題ないと思う。そのこと自体は言ってみれば中立的なのであって、さてそこから出てくるそのあとの問題、つまりその結果、いまずっと言われましたように財政状態ということのほかに経営成績を明らかにする——財政状態を明らかにするということは必要だ。しかし経営成績を明らかにして、さて成績がいいというのは一体どういう意味か、成績が悪いというのはどういう意味かということを、私企業の場合と同じように判断するわけにはいかないのじゃないか。ですからここで企業会計で経理を明らかにするということ自体は必要ですけれども、さてその結果、赤字を一体どうして埋めるかという問題が出てくるわけですけれども、そのときにたとえはこの間——きょうも言われましたけれども、病院の財政についての調査会の意見が何かがありまして、それを私もちょっと読んでみましたが、たとえばその中に病院の会計の赤字は一体どこからきておるのか、そのことについて国や地方はどういうところから出てくる赤字については、これは責任を持つべきであるというような、言ってみれば負担の区分を一応やっておるわけです。そういう問題について、たとえば病院会計というものが企業会計に変わった場合に、いま言ったような形で国や地方団体が負担をすべき赤字の分、そういうものについておよそのめどがついておって、この企業会計に立てるというなら話はわかるのですけれども、そういう問題についてのめどがはっきりしないときにその経理を明らかにする、財政状態を明らかにするということ自体は抽象的には必要なんですけれども、さて明らかにしたそのあとで、その赤字を埋める問題として一体何が出てくるかということが一番問題だと思う。そのときにやはり権力を持っておるたとえば国や地方公共団体というところへその赤字の補てんがいかなくて、先ほど来から問題になっておるように料金を上げるか、あるいは労働者の賃金を抑えるかという形で、いわば権力を持ってない国民や労働者の側にしわ寄せがくるということになっては困ると思う。ですから企業会計という形で財政状態を明らかにすることは必要ですけれども、それは独立採算という形を前提にしての話ではなくて、むしろ一体何がそこから引き出されてくるかということは、いわば別の問題だ。つまり独立採算という問題を前提にしての企業会計の採用ということではないのだということを、ひとつはっきりさせていただきたいと思うのですが。
  114. 奥野誠亮

    奥野政府委員 具体の例で申し上げさせていただきたいと思います。たとえば病院経営につきまして、官公庁の会計によっておるといたします。そういたしますと、病院会計で借入金をして建物をつくった、その元利を償還していかなければならない。その元利が歳出に立っていくわけであります。歳入としては診療報酬などが入ってくるわけでございます。ところが建物の寿命から考えていきますと、そこまで一挙に償却する必要はないんだという程度まで元金の返還が先に立ってくるわけでございます。そういたしますと、元金の支払いが多いものですから、官公庁会計によっておりまする限りは、当然赤字経営になってしまうのであります。赤字経営だから料金を上げなければならない、あるいは人を減らさなければならない、これは的確な判断にならないわけであります。しかし企業経営によっていきますと、元金の支払いは歳出に立たないのであります。これは別個の資金繰りの問題であります。企業経営でやっていきますと、まず費用に建物の減価償却費が立つだけのことでございます。したがいまして建物の寿命に応じた現年度への割り当て分、これが減価償却費として歳出に立ってくるわけでございます。診療報酬等が歳入に立ちましょう。そういう見方をしていきますと、必ずしも赤字にならない。しかし元金を返していかなければならないわけですから、資金繰りとしては苦しいでしょう。しかしこれは損益とは別の問題であります。元命の支払いは、大福帳経営でありますと、官公庁経営でありますと、歳出に立ってくるわけであります。立ってくるものですから赤字になる。形式上赤字になるものでありますから人を減らさなければならない、こういうことになってしまうのであります。それを損益計算でやっていきますと、これは資金繰りの問題でございますから、費用には立たないのであります。損金にはならないわけであります。費用に立ちませんから赤字にはなりません。したがって一時の資金繰りというものは一般会計でやってもいいじゃないか、こういうことになるわけでございまして、不当な圧迫を病院経営に加える必要はないわけでございます。そういう意味において、やはり損益がはっきりわかるように、財政状態がはっきりわかるような経理をやらしていきたい、こういうことが今回の改正の中心になっておるわけであります。
  115. 松井誠

    ○松井(誠)委員 財政状態をはっきりさせるというその目的、それのために企業会計を採用するのだというそのこと自体はよくわかるし、そのこと自体は必要だ。ですから問題は、明らかになったあと、さてそれをどうするかという次の方法、それが必ずしもはっきりしないうちにこういう形で明らかにさせるということは、言ってみれば料金を上げなければならぬじゃないか、あるいは労働者の賃金を押えなければならぬじゃないかというところにしわ寄せがくる危険性はないのかということです。先ほど病院会計ですか、自治体病院の財政の調査会というものの中で、国や地方自治体が元来負担すべき赤字のおよその区分というようなものを一応分析をしておる。それが十分かどうか別としまして、ともかくそういったような形で、さて赤字になった場合に、一体どういう形でその赤字を解消すべきか、それのめどをつけるのが先ではないかということです。そういうことがはっきりしないうちに——企業会計で財政状態を明らかにするというそのこと自体は、抽象的にはいいのですけれども、そこからくるあとの危険性、それがいわば独立採算という形で、したがって料金を上げざるを得ない、労働者の賃金を押えざるを得ないというところにくる危険性はないのかということをお聞きしたのです。
  116. 奥野誠亮

    奥野政府委員 これもたいへん失礼なのですけれども、具体例で申し上げたいと思います。病院の状態がはっきりしないのに薬の盛りようがないと思うのです。いまのような経理でやっておりますと、病因がどこにあるかわからないわけであります。それは私は元利の償還と減価償却費を一例として申し上げたわけであります。まず病気はどういうところに原因があるか、それをはっきりしなければ薬の盛りようがない。おっしゃっておるところを聞いておりますと、薬の盛り方をきめなければ、こういうような状態をはっきりさせる方向にいってみても何にもならない。こういうことをおっしゃっておるのではないか、どうも逆ではないかと思うのでございます。もちろんおっしゃっておる点は、政府として十分な配慮をしていかなければならない、そのように考えます。
  117. 松井誠

    ○松井(誠)委員 個々の病院の病源がどこにあるかという問題については、これは一つ一つが明らかになってはいないと思います。しかし全般的な、いわば病院財政の調査という形では、いわゆる調査会のそういう形では結論を出せたということだと思う。自治体病院の一般的な財政状態がどうであるかということは一応わかった。ですから、およそのめどがついた、およその診断がついた。だから、診断がついて、さて処方が出るというところで、その処方が全然はっきりしない、処方の方法がどだいいまのところはっきりしてないだけに私はそれが心配だ。  ちょっと問題はそれに関連をするわけですが、病院が企業会計を採用する、そうして独立採算の規定は適用しないというのは、新しいあれでいけば、十七条の二の規定を適用しないということであって、たとえば公営企業の二十一条の中に料金のきめ方の原則を書いてある。収支の均衡をはかるように配慮しなければならないというような形の規定がありますけれども、これはやはり病院の会計にも適用されるということになるわけですね。
  118. 奥野誠亮

    奥野政府委員 そのとおりでございます。
  119. 松井誠

    ○松井(誠)委員 これは独立採算というものと直接つながった規定ではないのでしょうか。つまり独立採算という規定は適用しないけれども、しかし料金は収支の均衡を目的としろということでは、何か結局同じようなものではないかという気がするのですが、どうですか。
  120. 奥野誠亮

    奥野政府委員 公営企業が得ます収入でございますから、当初の出発にあたりまして一般会計から補助金を交付する、あるいは国から補助金を交付する、そういう予定の収入がございますならば、それも予定して均衡をはかっていけばよろしい、こう考えておるわけでございます。
  121. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そうしますと、この料金が収支の均衡云々というのは、つまり料金だけで支出をまかなうという意味ではなくて、ほかの収入とあわせて料金が収支の均衡を償うようにしろ、そういう趣旨だということですね。
  122. 奥野誠亮

    奥野政府委員 そのとおりであります。
  123. 松井誠

    ○松井(誠)委員 この改正の結果、一応病院を例にとりますと、たとえば百名以上で結局この規定の適用を受けるという病院は、現在の自治体の病院の中でおよそどのくらいになりますか。
  124. 奥野誠亮

    奥野政府委員 百四十程度だそうでございます。
  125. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そうすると全体の何割くらいですか。
  126. 奥野誠亮

    奥野政府委員 一三、四%でございましょうか。
  127. 松井誠

    ○松井(誠)委員 最後に、これは自治省ではおわかりにならぬかもしれませんが、準公営企業に働いておる労働者で、地方公営企業法第四章の規定の適用を受けるものの統計はございましょうか。もしございませんでしたら、ひとつこの次に提出をしていただきたいと思います。
  128. 奥野誠亮

    奥野政府委員 数字を整理する必要がございますので、この次お答えさせていただきます。
  129. 永田亮一

    永田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五分散会