○
中川政府委員 この附属書に掲げておりますいわゆる南極地域というものは、まさしく南極
条約の対象になっておるいわゆる南極にある、フランスが
主張しておる一部分があるわけでありますが、その部分とフランスとの
関係はこの
条約の適用外だということをきめており、それを
日本が認めたわけでございますが、しかし、これは、実は、フランスは一貫いたしまして、南極地域についての自国の領有権と申しますか、主権と申しますか、それの
主張を捨てていないのであります。例の南極
条約でも、各国が持っておる、いままで出しておる
主張そのものには直接影響は与えない、しかしながら、今後は全然各国ともお互いに認めないのみならず、また各国とも、そういうほかの国のしておる
主張というものを認める
意味じゃないのだということははっきり言っておるわけであります。したがって、
日本は、南極
条約の署名国といたしまして、このフランスの南極に対する
主張も認めていないわけでございます。にもかかわず、どうしてここに南極地域ということが出てきたかと申しますと、それは、すでにフランスがガットとの
関係におきましてガットでいろいろフランスが除外例を認めてもらっておるわけでございますが、その中にフランスの南極地域との
関係というものがすでにガットで認められて入っておるわけでございます。
日本もガット加盟国としてすでにそれを認めておるわけでございます。それは、結局、
日本から申しますれば、領有権を認めているわけではないけれ
ども、もし万一かりにフランスのいわゆる南極地域とフネンスとの間に貿易がありとすれば、その貿易については例外的に
通商条約最恵国待遇その他の適用外であるということを認めただけでございまして、領有権の
主張は何も認めていないわけでございます。これは、この
条約の適用外になっておる地域にいろいろな領有権に基づく例外もございますし、領有権でなくて、いわば特殊の緊密な
関係があるからということで認めた例外もありますし、あるいは隣接区域だからということだけで認めた例外もあるわけでございまして、いろいろな例外があるわけでございまして、いわばそういう特殊の理由に基づく例外区域として
日本は認めたわけでございます。
なお、この
協定を交渉するにあたりまして、
日本の代表団は、特にこの点につきましてフランスの注意を喚起いたしまして、これは
日本としては領有権を認める
意味ではないのだということを注意を喚起いたしております。したがって、その点ははっきりした形でこういう
規定を認めておるわけであります。