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1963-05-15 第43回国会 衆議院 外務委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月十五日(水曜日)    午前十一時三分開議  出席委員    委員長 野田 武夫君    理事 安藤  覺君 理事 正示啓次郎君    理事 福田 篤泰君 理事 古川 丈吉君    理事 松本 俊一君 理事 戸叶 里子君    理事 松本 七郎君       宇都宮徳馬君    菅  太郎君       北澤 直吉君    森下 國雄君       岡田 春夫君    黒田 寿男君       田原 春次君    西村 関一君       帆足  計君    森島 守人君       川上 貫一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         外務政務次官  飯塚 定輔君         外務事務官         (大臣官房長) 湯川 盛夫君         外務事務官         (アメリカ局         長)      安藤 吉光君         外務事務官         (移住局長)  高木 廣一君  委員外出席者         専  門  員 豊田  薫君     ――――――――――――― 五月十五日  委員勝間田清一君及び細迫兼光辞任につき、  その補欠として西村関一君及び田原春次君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員田原春次君及び西村関一辞任につき、そ  の補欠として細迫兼光君及び勝間田清一君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十四日  アメリカ原子力潜水艦日本寄港等反対に関す  る請願杉山元治郎紹介)(第三七七四号)  同外七十三件(杉山元治郎紹介)(第三九七  二号)  日韓会談即時打切りに関する請願石山權作君  紹介)(第三八〇九号)  同外九件(島本虎三紹介)(第三八一〇号)  同外十四件(中村重光紹介)(第三八五三  号)  同外百八十二件(中村重光紹介)(第三九〇  八号)  同(村山喜一紹介)(第三九三四号)  同(松井政吉紹介)(第三九七三号)  日韓会談即時打切りに関する請願外一件(赤松  勇君紹介)(第三八五〇号)  同(太田一夫紹介)(第三八五一号)  同(加藤清二紹介)(第三八五二号)  日韓交渉即時中止に関する請願外一件(森島  守人紹介)(第三九三五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  日韓会談即時中止に関する陳情書  (第五三三号)  同  (第六  七九号)  同  (第六八〇号)  竹島の領土権確保に関する陳情書  (第五三四号)  非核武装等に関する陳情書  (第六一四号)  米原子力潜水艦佐世保寄港反対に関する陳情  書  (第六七七号)  日韓会談改善に関する陳情書  (第六七八号)  核実験停止協定即時締結等に関する陳情書  (第六八一  号)  全面軍縮等に関する陳情書  (第六八二号)  米原子力潜水艦佐世保寄港に関する陳情書  (第七六三号)  沖繩施政権返還に関する陳情書  (第七六四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本国アメリカ合衆国との間の領事条約の締  結について承認を求めるの件(条約第二三号)  (予)  海外移住事業団法案内閣提出第九九号)  国際情勢に関する件(原子力潜水艦寄港日韓  及びF105戦闘爆撃機の配備問題)      ――――◇―――――
  2. 野田武夫

    野田委員長 これより会議を開きます。  日本国アメリカ合衆国との間の領事条約締結について承認を求めるの件を議題とし、提案理由の説明を聴取することといたします。大平外務大臣
  3. 大平正芳

    大平国務大臣 ただいま議題となりました日本国アメリカ合衆国との間の領事条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国は、アメリカ合衆国との間に領事に関する事項規定するための領事条約締結につき、かねて交渉を行なってまいりましたが、先般最終的に妥結を見、昭和三十八年三月二十二日、東京において私とライシャワー米大使との間でこの条約の署名が行なわれた次第であります。  この条約は、本文二十七カ条からなり、これに条約と不可分の議定書が付属しております。その内容は、派遣国接受国において領事財産について享有する特権免除領事官接受国内で享有する特権免除領事館において事務的または技術的職務を行なう領事館職員特権免除接受国国民である領事官及び領事館職員特権免除等についての規定のほか、領事館の設置、領事官の任命及びその職務範囲認可状交付等に関する事項についての規定を設けております。  わが国アメリカ合衆国との間の経済的、文化的及び人的な交流はきわめて盛んであり、その領事関係も複雑かつ多岐にわたっていることを考慮いたしますと、領事官職務特権等について、単に一般国際法国際慣行のみによって律することとせずに、両国において具体的に取りきめておくことが相互に利益となるものと考えられます。  よって、ここにこの条約締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上本件につきましてもすみやかに御承認あらんことをお願いいたします。      ————◇—————
  4. 野田武夫

    野田委員長 海外移住事業団法案議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。田原春次君。
  5. 田原春次

    田原委員 海外移住事業団法審議について、逐条審議その他おいおい御質問申し上げたいと思いますけれども、その前に、大蔵省から国会に出られ、そして今回外務大臣になっておられます大平外務大臣に概略二、三の点についてお話を申し上げておきたいと思います。  第一は、国会海外移住との関係国会議員南米北米海外移住に対して非常に熱心であった方々を今思い出しております。古いところでは、松岡洋右氏、胎中楠右衛門氏、井上雅二氏、植原悦二郎氏、松本瀧藏氏、山道襄一氏等、いずれも、多年南米北米に居住せられ、帰国国会に出られまして、日本民族海外移住に関してたいへん御熱心な努力をされたことを思い出してもらいたい。  第二は、現在議席を持っておりませんが、これまた多年南米北米等移住地におられて非常な熱意を持たれ、海外在留邦人との連絡等国会で働いた方々を思い出します。それは、上塚司氏、松田竹千代氏、中島太郎氏、降旗徳弥氏、楠美省吾氏、吉川兼光氏等でございます。  続いて、現在議席を持っておられて、海外特に南北米日本人移住地連絡を持ち、常にこれらの人々を激励しておる方々を思い出しますと、参議院において笹森順造氏、藤原道子氏、戸叶武氏、衆議院におきましては、千葉三郎氏、加藤勘十氏、二階堂進氏等があるわけであります。  なお、このほか、北中南米を旅行した程度でありますけれども海外在留同胞に対する識見を持ち、それらの問題について御熱意を持っている方をあげますと、小金義照氏、福永一臣氏、田中龍夫氏、椎熊三郎氏、吉田茂氏、岸信介氏、南條徳男氏、足鹿覺氏、綾部健太郎氏、櫻内義雄氏等が思い出されるのであります。  これらの人々と直接間接に交友しております私といたしましては、そういう方々気持も、故人、今人、前議員等を通じてわかっておりますので、これらを含めて二、三の質問を申し上げたいと思います。  次は、現在私のところに来ておりまする、主として中南米で発行されておる日本字新聞名前をここに並べておきます。これは後ほどの質問関係ありますから申し上げます。第一はブラジルであります。サンパウロ新聞パウリスタ新聞日伯毎日新聞、アマゾニア。第二はアルゼンチンラプラタ報知亜国日報。第三は。パラグァイ共和国パラグァイ新聞。第四はメキシコ。週刊日墨新聞。第五はペルーペルー新報ペルー朝日新聞。これらはほとんど毎号来ておりまして、私もこれを分類保存して読んでおりまして、大体において中南米における日本人社会動き等について記事が出ておることを知っております。  大平外務大臣はこれらの新聞の中でお読みになったことがあるか、まずひとつそれだけをお尋ねしておきます。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 不敏にいたしまして、まだ拝見いたしたことがございません。
  7. 田原春次

    田原委員 大平さんは、人相はあまりよくありませんが、非常に優秀な頭脳を持たれ、また、語学英語たんのうであるというので、外務大臣として期待されておる一人だろうと思います。しかし、ときどきやり過ぎがあって、不信任案等も出すわけでありますが、事海外移住の問題について、きょうはとっくりいろいろ御質問を申し上げ、率直にお答えをいただきたいと思いますが、これらの海外移住、特にラテンアメリカには、合計約七十万の日本人一世、二世、中には五世までおりまして、その国々の法律を守り、勤勉によく仕事をし、たいへん日本人としての評判はいいのであります。今後さらに海外に行くことを希望する人々は大ぜい後続部隊があるわけでありまして、そういう点からいたしましても、実はこれらの新聞ぐらいはときには見てもらいたいと思っておるものですから、その点質問申し上げたわけです。  次に、私の自己紹介をいたします。そうしないと、これもあと質問関係がありますから。私は、青年時代に、姉夫婦移民としてアメリカに行っておったものですから、アメリカへ渡りまして、コロラド州のデンバー大学に二カ年、続いてミズーリ州立大学に転じ、これを正規二カ年卒業して、米国の文学士という肩書きを持っておるわけです。この間、アルバイトの関係でほとんど全米各地日本人社会を回ってみました。その間に、海外に行っておる日本人に対する同情、共鳴、日本に帰ってから友になりたいという気持が起こりまして、ニューヨークからヨーロッパを回って帰るだけの旅費がありましたが、南米に渡りました。南米には約二カ年、これまた日本人社会のほとんどすみずみを第一回は回っております。その後、北米六回、南米四回旅行いたしまして、それぞれ海外在留同胞連絡役をいたしておるわけであります。  海外日系人大会についても、戦前、第一回を、紀元二六〇〇年奉祝大会ということで、松岡洋右丸山鶴吉、これらの人々とともに東京大会を開きまして、そのときは北米南米はもとよりヨーロッパ、東南アジアから千八百人の代表が集まって奉祝申し上げたのが縁となり、その後、戦後、海外日系人大会は、役所方面の費用の規制もありまして、三回続けております。そのうちの三回目には、たしか大平外務大臣官房長官のときで、日系人大会議長岸信介氏がやりまして、加藤勘十氏が副議長でありましたが、政府を代表されて激励され、いろいろな約束をされておることを速記録等でよく承知しておるわけであります。今年は十月に第四回の大会をやりますし、およそ五百人の海外各国在留日本人が楽しみにして待っておる。来年の十月のオリンピックには約五百人以上が来るわけであります。私ども多年の念願であります、海外日本人一世、二世が機会を得て日本に帰り、日本の見学をし、またそれらの国々とのつながりをはかりたいという気持を持っておるわけであります。これもひとつ、自己紹介でありますが、御承知を願いたいと思います。  それから、本日ただいまこの時刻に、衆議院第三議員会館海外移住者留守家族会全国大会というのをやっておるわけです。これは会長田中龍夫氏であり、私は副会長で、質問が終われば午後そちらに出ますが、このほうは、永年海外におって音信不通になっている者に対する調査、連絡、それと青年移民に花嫁のあっせんをする、続いては海外事情自分の居村における宣伝役を引き受けておる仕事でございまして、外務省においても御存じのことと思います。  第三は、日本海外協会連合会の前身ですが、終戦後、当時生存されておられました村田省蔵氏を会長といたしまして、加藤勘十、上塚司降旗徳弥、いま故人となりました今村忠助、それに私の五人で、どうしても海外移住を始めようじゃないか、それには戦前にあった海外協会中央会のようなものを復活させようということで、しばしば会合いたしまして、そういう会名をつくったわけでありますが、資金難その他の関係で、これはただいまの財団法人日本海外協会連合会に引き渡したかっこうになっているのであります。その因縁で、私は、海外協会連合会、しばしばこれから名前が出ますが、海協連、それの顧問もやっておるわけであります。  これらの経歴、縁故から、日本社会党の中に政策審議会海外移住特別委員会というのがありまして衆参両院約七十名の勉強機関でありますが、その委員長を私は三期続けて現在に至っております。それから、内閣にあります海外移住審議会のほうは、一般学識経験者の中にまじって国会議員が三名、参議院一名と衆議院一名が自由民主党、他の一名は私であります。  自分自己紹介が少し長うございましたが、そういう経歴を持って、常にじみではございますが海外在留同胞の世話をするということを一生の使命と考えております。それだけに、これからいろいろ質問する際に率直な質問をいたしますから、どうか大臣も率直な御回答を願って、前向きで海外移住の促進をはかっていただきたいし、それから、できるものかできぬものかまだわからぬけれども、いま審議しようとする海外移住事業団の正体を見きわめて、安心して私どもが賛否を決しなければならぬということになる。たいへん長うございましたが、自己紹介はこれで終わっておきます。  続いて、質問の第一は、三月七日ブラジルサンパウロ新聞社説に、「なぜ移住不振か」という題で長い社説が出ております。その中の要点を申し上げますと、一年間にわずか二千人足らずの移民しかことしは出せないという、予算は一万人分計上しているのに、なぜ一体二千人しかできないかということ、これを海外在留日本人はたいへん心配しておるわけです。その社説の一部には、政府予算の中に占める海外移住予算は、外務省移住局関係十四億四千五百万円(海協連関係経費渡航費貸付金を含む)、農林省農政局関係一億三千五百万円(各県海外協会及び海協連委託業務補助金)、労働省職安局関係技術移住)、建設省計画局産業開発青年隊)などの移住関係予算を加え、さらにこれらの各省の官吏の俸給等を勘定に入れたら合計二十億円にのぼるのではないか、かりに昭和三十七年度の移住者を二千人としてみても、一人当たり百万円以上のお金が移民を送り出すのにかけてあることになっておる、そのくせ移民の援護などは相手国まかせの状態ではないか、まあこういうことを中心に心配した社説が出ておるわけです。そのほか、同じサンパウロで出ております。パウリスタ新聞等にも、ほぼ似たような社説が出ておるわけであります。この数字に間違いがないかどうか、海外移住の数と本年度の予算数字等をまずお尋ねをいたしたいと思います。
  8. 高木廣一

    高木政府委員 私からお答えいたします。  ただいまの三十七年度の政府渡航資金貸し付け海外移住者が減りましたのは事実でございまして、昨年度は三千三百名であります。一昨年は八千三百名でございましたのが、六千名減ったのであります。その大きな理由は、一つには日本国内の労働力不足、二つにはドミニカ移住者集団帰国の影響、三つには日本移住者が一番多く参りますブラジルが経済不安と為替下落によって雇用条件等もむずかしくなったということであると思います。ただ、最近の情勢を見ておりますと、また本年度は移住者がふえる傾向にございます。こういう意味において、移住に消長があるようにうかがわれます。  それから、移住振興のための予算でございますが、昨年度は外務省移住振興費は十三億八千万円でございまして、そのうち大部分は移住者に対する渡航費貸し付けでございます。昨年度は約八億円余りでございます。その次には、移住者に対する支度金、それから現地におきます移住者のための施設、たとえばトラックとかジープを移住地に備える、あるいはアマゾンあたりですとつくったものを輸送するためにボートを海外移住連合会支部に備えつける、それ以外には、医療、教育費、これが一番大きな予算でございまして、人件費といたしましてはごくわずかでございます。したがって、二十億になるのを二千名で割るというような計算はちょっと大ざっぱ過ぎる計算であると思います。
  9. 田原春次

    田原委員 私は、海外移住の不振の原因を、いま高木移住局長のあげたほかに、少なくとも次の五つを考えておるわけです。第一は、中南米駐在外交官短期性移動ひんぱん性、第二は、海協連海外移住振興会社等外郭機関現地職員の不熟練性短期転任性、第三は、これらの外郭機関職員現地における素行、実務の上のへんぱ、派閥人事等、第四は、東京における移住関係各省のなわ張り争い、第五は、宣伝の不足、私はこの五つをあげます。  第一の外交官短期移動性について、官房長からいままでの行き方を聞き、それから大臣には今後の所見を聞きたいと思っております。  外務省では、戦前には外交官の三分の一は常に船の上にあると言われたくらい、転任と赴任の途中にある者が多く、近ごろは飛行機ですから三分の一は飛行機上にあるかもしれません。大体一カ所に二年ぐらいでいつも移動さしておるようにしか見えない。これはいろいろ原因があると思うのです。たとえば官等を上げなければ俸給が上がらぬというようなことで次々に転任さしていくのじゃないかと思います、ごく最近南米のある国の大使から中近東のある国の大使転任しておる人はロシア語専門家である。それがスペイン語南米の国に赴任されてちっとも仕事はやらぬ。ようやく二年したら中近東転任して行った。それから、移住局のある課長も、これはロシア語です。それで、二年ほど移住局におって、ようやく移住仕事を覚えたときには東ヨーロッパのある国の参事官にかわっている。これは去年の例であります。永年にわたっての外務省の通弊で、永久にしろうとを配置しているように思う。これに反して、イギリスあたりの例を見ますと、たとえば、タイ国在勤して最後には大使になったのですが、クロスビーという大使は、通計四十三年タイ国だけに在勤して、あのむずかしいタイ語のなぞからだじゃれまでわかるようになって、深く政界、財界、学界等に食い込んで仕事をやってきていた。それから、私が青年時代南米アマゾンに行って偶然の機会に訪問しましたイギリスの副領事は、ブラジルだけに通計二十五年、そうしてゆうゆうと顕微鏡で木目なんかを見ているのですね。それで地位は副領事だ。任地に二十五年もおるというのは、奉職年数地位とが日本のように並行していくのじゃなくて、地位は低くても奉職年数が長ければ給料が上がっていくのじゃないかという気がする。だから、必ずしも副領事から領事領事から参事官参事官から公使という出世街道を考えなくてもやっていけるだけの待遇を与えてある。また、戦前イギリスは中国だけで一生の外交をやる外交官を養成したことがあることは御承知のとおりだと思う。奉天の副領事、それから本省に帰る。次は青島の領事、それから本省に帰る。次は天津の総領事、それから本省に帰る。次は北京大使官参事官、それから本省に帰る。したがって、あのむずかしい中国語を北京官話から南方のことばまで知っておる。いわゆる専門家を養成しておったと思うのです。ところが、外務省は、ほかの省も同じでありますけれども、要するに、官等俸給とを並行してやらせるために、どうしてもポストを動かさなければならぬ。それで、たとえば駐米大使館のように、あそこへ行ってみれば五十人からおりますが、ラスクあたりに一喝されるとイエス・サーで引っ込むようなのをただ置いておくだけです。ときたま外務大臣あたりが行って話をするだけだ。そうかと思うと、中南米を見ますと、いま申し上げましたように、大使級でも、あるいは本省課長級でも、ロシア語の大家がやっておる。一体これはどういう意味かというのです。これは、人繰りを、海外移住ということと一般外交つまり政務局関係とを一緒に考えているのじゃないかと思う。非常に優秀な外交的手腕のある者は政務局関係に行くことはいいけれども海外移住などは、戦前には、拓務省などができておって、特殊な技術者、それから語学たんのう者現地経験者等で永年一定地在勤さしたものなんです。まず外務省海外移住に対する熱意を考えるならば、従来のような、ただ欧亜局だとか中近東局と同じように考えてやるのと別にしなければならぬと思うのです。いままでのやり方を一応官房長から聞き、それから、今後の対策について別に希望があるので、せっかく大臣大蔵省から来ていることだから、これをいい機会に、外交官だけ何か特殊な保証を与えて永年同一地帯に居住する制度というものを持たすべきじゃないかと思うのですが、これはあとであなたに聞きますから、まず官房長からいままでのやり方を聞かしてもらいたい。
  10. 湯川盛夫

    湯川政府委員 いろいろ有益な御示唆をいただきまして、大へん参考になったのであります。大体において私どももなるべく、長く任地在勤するようにやっております。極端な一、二の例はございますが、あとは大体において中南米在勤者はほかの地域に比して長い。少し長過ぎてもう少し回転を早くした方がいいのじゃないかという議論もときどき出るわけでございます。しかし、実際問題として相当に長くいたほうがいいということで、たとえばブラジル安東大使も七年近くいられましたし、アルゼンチン津田大使も五年半おられた。また、ブラジルでも、たとえばベレーンの福岡領事は七年というふうに、普通の地域に比すれば非常に長い人が多いのです。また、実際ことば関係等もありますから、なるべく長く置くということでやっております。また、そういった人たちがかわっても、本省南米関係仕事をやってまた行くというような例も非常に多いのでございまして、どっちかと言えば、中南米関係の人は在勤も長いし、同じ仕事に従事して、任地が変わってもまたそれをやっていくというケースが非常に多いのでございます。しかし、外務省にはいろいろなことばの人もおりますし、任地についても、そのことばに限られているような場合に、やはりそういう人たちを持ってくる場所もさがさなければいかぬということで、ロシア語の人がたまたま移住関係仕事をしたというような例もございます。しかし、なるべくそういった専門的なことに長く従事するようにしたいという、一般論としてはそういう方針でやっております。
  11. 田原春次

    田原委員 本省の官制に審議官参事官顧問、あるいは参与とかいろいろあるようでありますが、中南米を志す外交官ができて、そしてそれが長年月おってポストの都合でほかにやるということでなくて、本省に帰ってそういう官職で勉強させたらいいと思うのです。それから、中南米ですから、ヨーロッパにやるならばスペインとかポルトガルにやるのがいいと思う。いままでは、移住局仕事をやってユーゴスラビアの参事官になったり、ある者はアラブ連合共和国の書記官になったりするのが多い。これはこの際改めないと、いつまでもしろうと外交官移住者取り扱いみたいなことになってきて、ほんの思いつきをぱっとやって、失敗したときには帰ってしまうことになる。これは希望です。  次は、外務省の省内に流れておる空気で、私が見ておるのは、移住というものを一段と下に考えておる感じがある。英語で言うとダーティー・ジョブということを口ばしる者さえ出てきておるパリかワシントンの駐在になると何か非常にいいように思う。中南米に行くのは、移民を扱うのは一段下のように見る人がある。ドミニカの問題が起こったときも、ドミニカ移住した人が大使館に行きますと、某大使は、天皇陛下の御名代で来ておるから下がれ下がれというようなことを言ったらしい。そういう時代錯誤の考え方でおるから、何か海外に行った日本人一段下に扱うような感じがどうもしてならない。そういう考えを全北米南米日本人一世はいまだに持っている。そういうことがないように。いま聞きますと、なるほど比較的長年月在勤しておる人もあるようです。それは例外であって、大半は二年くらいでかわっております。そういうことのないように、ラテンアメリカ在勤を志す者に対しては、あらかじめそれだけの教育と決心をさして、家族を同伴して相当長く行かせるようにしてもらいたいと思います。  大臣にお尋ねしたいのは、人事の配置の問題ですが、専門別、語学別あるいは一定地における長年在勤制、こういった問題をこの際移住の問題とともに考えていくべきじゃないかと思いますが、どんなものでしょう。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 いま先生の御指摘がございましたように、官庁人事とその昇進、給与との関連でございますが、これはひとり外務省職員ばかりでなく政府職員全体について御指摘のような通弊があると思うのでございます。昔は官等でやっておりましたが、戦後職階制に切りかえましたが、給与と職階がマッチしていきますので、官職が変わらないと給料が増さないという仕組みになっておりますので、今の公務員制度の制約というものを打破するくふうがなければならないのじゃないか。今の給与法令というのはできるだけそういう思想を入れろというので、一定の官職の者が相当高い水準のペイを受けられるというようにも配慮しつつあるようでございますけれども、根本的にこういう制約があることは御指摘のとおりでございます。  それから、第二点として御指摘のように、熟練した仕事に長くつとめさす、そして能率を上げるということもとより大事でございますし、英国の例でもすぐれた例がいろいろありますことはお示しのとおりでございます。できるだけ熟練度を生かすように人事の方針は考えねばならぬと思うのでございます。ただ、場合によりましては、それがなれてしまたってマンネリズムにおちいり、緊張度を欠くというようなことがあってはいけないと思うのでございまして、お示しのような方針と、それからいつも新鮮な感覚と探究心を持って仕事に当たるように持っていく方針とをどのように調整してまいるかということが、人事の方針でなければならぬのじゃないかと考えます。  問題を移住行政人事に限ってまいりますと、これは実は御批判をいただきたいのでございますけれども、私はこのように考えております。本来政府がやらなければならぬ仕事というものは何かということをきめていかなければならぬと思うのでございます。先生も御指摘がございましたように、官庁の間の権限の争いというようなことが移住不振の一つの原因をつくっておるということでございますが、私も同感でございます。官庁間の争いで移住仕事が進まないなどというのは、これは非常に残念なことでございます。しかし、それも、役所でやらなければいけない職能、機能、ほかには持っていきょうのない機能だというのであればまだしもでございますけれども、私は、移住行政などというものは、これは一つの移住のお世話をする、サービスするものでございますから、どうしても役所でやらなければならぬ性質のものじゃなかろうと思うのでございます。したがって、私の考えといたしましては、これは先ほど申しましたように御批判をいただき、またお教えもいただきたいところでございますが、役所でやらなければならぬ仕事というのはできるだけ限局いたしまして、普通の世話をする機能、役割というものは、いま御審議をわずらわしておりまする事業団にできるだけまかせてしまって、役所があまり干渉めいたことをすべきじゃないと思うのでございます。そうすることによって事業団の方では全責任を持ってやる。役所側があらかじめいろいろ干渉して指示しておりますと、事業団の方の責任意識というものが希薄になるのは当然でございまするので、今後は、そういうことのないように、事業団にもう全責任を持たすんだということで、役所がやらなければならぬ予算仕事等は、事業団が仕事がしやすいようにしむけてやるというように考えるべきじゃないかと思っておるのでございます。その意味におきまして、移住行政人事というものは、機構そのものも非常に簡素でなければいかぬ、膨大な人員を政府が擁してこまかいところまで一々干渉するような仕組みにはしたくないと考えておるわけでございます。
  13. 田原春次

    田原委員 第二点の外務省外郭機関職員の問題に移りますが、それが今の御答弁に関連があります。あまり干渉せずにサービス機関としてやらせようということですが、事実は、今まではそうでなくて、報告書のてにをはに至るまで修正する、それから、特に経費等については、非常に時間をかけて、こうしなければ大蔵省はうるさいというようなことで、サービスというより間違いがないようにしようということに重点が置かれていたように見える。これは外郭機関にしても陰ではひとしくこぼしているところであります。  今の御答弁ではっきりしませんが、私がお尋ねしようと思ったのは、外交官領事官としては、今までの慣例もあり、官等俸給令等もあって、なるべく長年月在勤させるということも実際はなかなかむずかしいでしょう。しかし、中南米移住地に関しては、外交官領事官のほかに、新たに移住官といったような独立機関をつくってはどうかという感じがする。そうして、たとえば東大とか一橋を出て外交官試験を通った者でなければいかぬというのじゃなくて、現地の人を多く採用し、有能な者はすべて簡抜して相当上級の職につかせるというふうにやるべきじゃないか。長年月在勤制をとるべき一つの例として、移住は純然たる意味外交ではないと私は思う。外交というのは、移住協約を結ぶとか、移住地の在留民の保護ということが重点になるべきであって、どこの地を幾らやってどう分配するというようなこまかいことは、純然たる意味における外交官仕事じゃないと思う。  そこで、あなたの言われるように、事業団をこしらえられてサービスされようというのだけれども、この事業団のつくり方がまた問題でございます。ただいま質問しようとする外郭機関も、具体的に言えば外務省関係海協連移住振興の両者の統一程度らしいが、このほかにまだ、かっこうは民間でありますが、農林省の補助を得てやっておる団体もあり、また、建設省が直接やっているものもある。それらが統一されて、同じ方角で歩調を合わせて、そして事業団というものがサービス機関になるというなら、これはまだわかると思うのですけれども、ただ外務省の外郭だけの一応の統一にすぎないような感じがする。しかも、その外郭機関は一体いままで何をしておったか。これは軽べつと恨みの的になっておる。山のごとく実例を持っておりますが、時間の関係もありますので、原則的に申しますと、先ほど申しましたように、やはり外務省の着任、赴任に準じてこれらの外郭機関職員も大体二カ年くらいでぐるぐるかわる。そうしてまた東京に帰ってちょっとポスト課長とか次長になる。またそのうちにかわる。ほとんどスペイン語や。ポルトガル語の予備知識もない、はなはだしきは食事の食べ方のエチケットも知らぬような者が行っておる。そうだからこれを改めるということは一つの理由になりますけれども、いま世間でうわさされておるところの、たとえば二つの団体の単なる算術的統一にすぎないのであって、しかも、内部にたいへんな派閥があって、生き残ろうという連中が醜い争いを進めておって、悪口の言い合い、密告のし合い、それが外務省に多少コネがあれば入るとか、そんなものは少しも海外在留同胞を世話するサービス機関にならない。外務省が企画立案すればそれを実行する実施部隊という感じを少しも持っておらない。だから、平面的な統一ならば何をそんなに急ぐかと私は考えるのです。もうちょっとやらしてみて、そうして全統一を目ざしてやってみたらどうかと思うので、海外移住審議会の席においても、私は即時統一は早過ぎるという意見をただ一人出しておる。すでに昨年一年間海外移住者が少ないというのは、海協連移住振興、そこの職員が本気で海外移住者の募集に当たっていないということです。おれの首はどうなるだろうかということがまず先に来て、てんやわんややっておる。実例をあげますと、地方の県の海外協会から海協連の方に朝十時ごろ電話をかけると、ただいま研修中でございますと言う。そうかと思うと、同じ人間に二枚の旅券を発給したりする。それから、神戸の海外移住あっせん所に船待ちのために入ります。いなかで先祖代々の田地田畑を売り、墓、石まで売って、親類と別れて、行かれるものと思って神戸まで来るわけです。そうすると、まだブラジル領事の査証が済んでいないというのもある。中には、その半数くらいは船に乗れない、次の船を待つ、それも見込みがないというような者が現にあります。   〔委員長退席、細田(篤)委員長代   理着席〕 これは、要するに、事業団ができて国分の首はどうなるかということが先になってくるので、浮き足立ってしまって、本来のサービス機関たることを忘れて、もっぱら生き残り運動だけをやっておるものだから、そこに大きな原因があって移住者が行かぬと思う。先ほど局長のあげたドミニカの問題その他の問題もありますけれども、一番大きな問題は、取り扱い実施機関でありサービス機関である外務省外郭機関熱意を失って、もっぱら人事の派閥争いをやっておる。それで本年一年全くブランクになったのだと思う。ですから、このままで、外務省のだれだれの親類であるとか何とかいう者が残っただけでは、できてみたって仕事ができないと思う。事業団をつくって人間を移しただけでは、何もそこに将来への移住者増加の希望は私は持てないと思っておる。でありますから、これらの事業団ができた場合における人事の配置、少なくとも長年在勤させるかどうか、そういった問題についてのはっきりした考えをこの際示してもらいたい。これは特に大臣から聞かしてもらいたい。
  14. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど申しましたように、転業団にできるだけ責任を持たして、内地現地を通じまして一貫した世話機能を充実さしていくという方針でいきたいと思っておるのでございますが、本件につきましては、これは容易ならぬ仕事であるということは御指摘のとおりでございます。外郭団体を一つに統合することが是か非かということについては、いろいろな御論議がありましたことも承知いたしておりますが、私どもしろうとといたしまして、御専門の方々がお集まりで熱心に御審議いただきました移住審議会の御答申というものを尊重して、その方向で施策するのが私のつとめであると考えております。しかし、現実に、その答申に沿ってやるにいたしましても、いま御指摘のようないろいろの弊害が相当根深いものがあるやに聞いておるわけでございまして、したがって、これからの統合ということについては、新たな決意、勇気を持ってやらなければならぬことと思うのでございます。したがいまして、私どもは、まず今度の統合いたしました団体の首脳人事というものはきわめて慎重に配慮いたしておるわけでございます。法案が国会で御審議をいただいておる段階でございますので、何らまだ具体的に固有名詞をあげて折衝をしておるという段階ではございませんで、御審議の経過を吟味いたしまして、国会方面でいろいろ御懸念の点、そういった点を十分頭に置いて、法案を御承認いただきましたあとで考えねばならぬと思っておるわけでございますが、方針といたしまして、過去に因縁というようなものがない清新な人材を登用いたしまして、そしてその方に責任を持たせて事業団のその他の人事というものに当たっていただきたい。幸いに私などは全然いままで移住関係の団体と関係がございませんので、したがって、とらわれずに法案の趣旨によって純粋にやってまいりたいと考えております。  それから、もう一つ、私が特に申し上げて、また御批判を得たいのでございますが、政府と事業団との関係ということは、先ほど申しましたように事業団に全責任を持たすんだという姿勢でいこうというように考えておるわけでございますが、そういたしますと、在外公館も政府でございますから、私ども役人の経験から申しますと、政府に権限がありますと、自然民間の団体に責任を持たすということと矛盾するわけでございまして、したがって、事業団に責任を持たす以上は、事業団に優秀な人、しかも移住に生涯をささげるという情熱と意欲を持ったお方を配して、そして、先ほど申しましたように、政府としてどうしてもお世話しなければならぬ政府仕事というものはちゃんと踏まえて努力するし、また、それの限界を越えないようにして事業団にやっていただくようなくふう、そういうくふうに立って在外公館の人事も考えていくべきではないかというように私は考えております。
  15. 田原春次

    田原委員 大卒さんの答弁はまことにばく然たる普通の国会答弁みたいなもので、どっちにでもとれますが、私はいまのところ首脳人事についてはたいして注文つけたり問題にいたしません。あなたの話を聞いていると、首脳人事にはつらつたる者を入れて全部まかしていこう。これだけではできないですよ。私は一番問題にすべきものは中級人事だと思っておるのです。下級人事のタイピストや通訳の方は別としまして、問題は、部長、次長、課長、係長級です。これらの連中が、たとえ新しいどういう清新はつらつな人材が行くかしらぬけれども、いままで見ておりますが、何もできないのです。移住振興の例も見ておりますし、海協連の例も見ておりますが、たいてい外務省の古手の人が会長委員長になりますよ。それで、あとは組み合わせ人事で農林省から理事だとかまいりますが、ちっともそこに熱意がなくて、会社の会長みたいなかっこうでじっとすわっているだけです。実際の仕事は、次長、課長、係長級がやる。ところが、次長、課長、係長級は、いろいろなコネで外務省その他から入ってきた人でありまして、移住募集の宣伝の第一線に立ったことがない人である。名前は確かに日本海外協会連合会と言いますから、地方の府県の海外協会の連合体のように見えます。われわれが最初につくったのもそういう意図であったのであります。戦前にありました海外協会中央会はまさしくそういう形であった。いまはぽかっと百人ばかり海外協会連合会職員なるものができてしまう。そして外務省で立案企画したものを実施するというけれども、ただチェックするだけの仕事である。地方の海外協会とは人事、予算とも何の関係もありません。むろん組織の関係はありませんね。地方の海外協会の会長が交代で中央の会長になるのではないのです。これが農協中央会なんかになりますと、地方の県の段階の者が中央の理事その他になるわけです。一種の参勤交代で来るわけなんですが、これはそうではない。初めから準官吏、第二外務省として君臨しているわけである。  私はしばしば海協連の講師の一人に入りまして職員とともに地方の各県の移住講演に行ったことがありますが、これは十数県あります。そうしますと、中央では県庁の段階に、いついつ海協連から田原代議士外何名の講師が講演に来るといって知らせる。ところが、県のほうの海外協会には五、六人しかいない。それも兼任が半分くらいで、あとは庶務会計くらいで、実際には二人くらいなんです。それがある町なら町に手紙を出して、何日何日午後一時から移住講演をやるから集まれと言う。それで、役場に行きますと、経済課長が一人くらい、あとは女の子くらいで、それがまた新生活運動なんかとごっちゃにやっている。かつて、移住講演をやるというので意気込んである県の講演に行きましたけれども、聴衆が一人、講師が四人、付き添いが三人なんです。選挙の演説なら流会です。流会じゃかっこうがつかぬから、講演会をやったことにして報告している。そのくせ、夜になると、役場はなけなしの金でビールなんかを出したりする。立て看板も出さなければポスターも張らぬし、何もしない。ただ上から来るからやる。そして、海協連職員などが行って南米の事情を話して、皆さんは海外に行くべし。聞いている者は一人なんだ。その一人もお義理で来ているのです。私の福岡県の例を見ますと、炭鉱労働者が七万人から失業する段階で、われわれはこれを真剣に心配しているのですが、からだも強いし数も多いから南米にやろうと思っても、午後一時に集会したって、そこでちょっと話したくらいで行けるものではないのです。おやじが来て話を聞いたって、それで行けるものではないのです。おやじが決心をし、反対をするおかみさんに決心をさせ、在学中の子供のことを考えて、これはもう一週間くらいすわり込まなければだめなんです。それでも、今度はおかみさんのほうの御両親、じいちゃん、ばあちゃんが来まして、南米へ行くくらいなら別れてくれということになる。そういう程度なんですからね。一家族の海外移住を出すのに、どれほどの努力、苦労をしておるか。これは、外務大臣はもとよりしろうとだからやむを得ぬけれども移住局のおえら方にしたって知らぬですよ。第一、移住局外郭機関でサービス機関であるべきものがまだやったことがない。  大蔵省では、官吏を採用すると、一応地方の税務署長をやらせる。あるいは国鉄でも、一応地方の駅の助役をやらせる。海協連にいきなり入って、幕下付け出しみたいなかっこうでいばられたのでは、外務省に行ってはおじょうずを言うけれども、下の方に一つも同志的な同僚的な愛情がない。いわんや、行く移住者に対して何の愛情もない。ただ、南米へ行くと言う者があると、ここで成績があがったというだけのことです。先ほどあげた数字の二千人の中も、こさいに調べてみますと、海協連の直接の世話で行った者は二、三百人です。あとは、民間の旅券あっせん業者がありまして、これが、現地人たちから、お嫁さんを呼んでくれとか、せがれを呼んでくれと言われて、呼び寄せをやっておる。それから、沖縄のほうから最近行きだした。最近韓国からも行きだした。  そういうのであって、いまの海外協会連合会の中央の中級職員の連中の努力によって行った者はほとんどありません。ところが、これがずっと横すべりに移住事業団に入る。えらい勢いでいろいろ画策しております。そして、たとえば会社の合併にしても、合併までは現在の会社の社長はおらねばならぬのが、移住振興会社の社長は、もう首になったのかやめたのか知らぬけれども海協連理事長もやめてしまった。あとはてんやわんやでやっておる。そんなのを集めたって、あなた方のいかなる善意に基づいてやるといたしましても、実際は動けません。このことは、私のところには二百通くらい海外から航空便で手紙が来ております。必要とあらばごらんに入れます。人名その他もわかっております。  こういうわけでございますから、事業団をサービス機関にされるというアイデアは一応よろしいといたしまして、外務省はなるべく簡素な人事にして企画立案と本来の外交をやる、これもよろしいのですが、しかし、いまの腐り果てた連中を持ってきてやったのでは、これはおそらく動きませんよ。しかし、あなたも来年くらいにはどこかにまた大蔵大臣にでもなって行ってしまうでしょう。局長あたりでもみんなどこかの大使になったりして行ってしまう。私は連年やっているのですよ。岡崎大臣以来やっておるのです、小坂善太郎、藤山大臣、いつも移住問題をやりますが、神妙にノートか何か書いて、御説まことにごもっともでありますなんということを言って、とたんに忘れている。ちっとも実行していない。私はどうだってかまわぬけれども海外に百万から行っておる日本人がじっとこれを見ているのです。またこんな変なものができてきた、いばられてはかなわぬといって見ている。だから、僕はそれらを代表して言っております。  第三点に移りますが、その中級の連中の不適任な理由をここに並べます。必要とあらば人名も出します。人名も持っておりますが、控えましょう。第一は在勤地における素行であります。これをまた三つに分けます。非常に言いにくいことであるけれども、申し上げなければなりません。あなたは知らぬと思う。移住局長も知らぬと思う。第一の素行のうちの一つで、海外在勤赴任の途中において、船内において新移住民の娘さんを、言いたくないことばだけれども、姦した者がある。七人の被害者が私のところに言うてきております。名前も、船の名前もわかっております。あとは、恥ずかしいから言えぬとか、娘の結婚にじゃまになるとか、いろいろな点で伏せておる者が十倍もあるんじゃないかと私は思う。この行く人のおやじさんの気持になってごらんなさい。これから見ず知らずのところに行くのであります。初めて娘を連れていきます。それを、外務省の役人、外務省の人がやったとは思いませんが、そういう外郭機関のやつがいばって、船内で、速記録に載るので非常に言いにくいことであるけれども、やっておるのですね。新聞にも、海外新聞に一部出ましたよ。手紙も来ております。私も問い合わしてもおります。これらは重大なことなんです。それが口をぬぐって部長とか次長、課長、係長にいま現になっておるのですよ。はっきりしたものでも七件ありますよ。第二点は、もっと悪い。在任中に日本移民さんの人妻を妊娠させたものが二件あがっております。これなどは最もひきょうな憎むべきものだと思う。海外へ行って家内を離婚するわけにいかぬ。上の子供もいるし、また、あともなかなか嫁さんが来ない。鳥なき里のコウモリと言うか、悪代官と言うか、外務省の官吏でも何でもないのにいばってそういうことをやっておる。おそらくこれも隠れた事実は二十件、三十件あるのではないかと思います。必要とあらば調べてもいいですよ。第三点は、ある個人でありますが、これも職員でありますが、赴任の途中、はっきりしておりませんが、二号ではないかと思いますが、同伴していきまして、これは妊娠しておって、船が香港に停泊中に香港で堕胎をさせたわけです。それは法律上の問題か知らぬので私は問いませんが、その堕胎費を払わずに行ってしまった。それで、その移住船の方では、香港の医者から請求されまして、一部を払い、ようやく二年ぶりぐらいで払っておるのです。  こういう素行の悪いやつが今度は移住事業団に入り込んだのでは、清新はつらつだとか言っても、私は信用しませんよ。それはおそらくあなたの責任でもないでしょう。移住局長の責任でもないでしょう。外務省では御存じないでしょう。みんな伏せている。だから、若いやつを大学を出てほかに仕事がないから海協連に入れてやれというような程度では私はだめだと思う。海外移住熱意を持って一生を移民のためにやるというような、そういうのが少しおりましたら、定年だというわけでみんなやめさせている。年寄りのほうが昔のケースを知っております。どういう場合は排日があった、どういう場合は土地所有権が失敗だったということがわかっている。若手は知らぬ。こういう実情ですよ。外務大臣は忙しいからそこまでは知らぬと思うけれども、あなたは清新はつらつな高級人事をやると言うが、これは外務委員会でどういう注文をつけるかつけぬか知らぬが、私は、一番重要視すべきものは中級人事だと思います。  きょうは時間が足りないので、もう一回やりますけれども、対策として言うならば、新設とともに現在の移住振興並びに海協連の役職員は一応全部辞職させる。辞表をあなたが全部取る。これが一つであります。これは絶対しなければならぬ。そして、ちょっとでもそういううわさのあった者は何か他に転職さしたらよろしい。私が転職の方法として考えておるのは、各人の出身県に帰して、さしあたり二カ年くらいは給与を出してもいいから、出身県の海外協会の出向職員か何かにして、移民の募集をやらしたらいいと思うのです。炭鉱やら農村を長ぐつをはいてぐるぐる回って、同じうちに十ぺんも行って、生命保険の外交なんかよりはもっとひどいから、それをやって、移住地の話をし、六親眷族をみんな納得させ、そして少なくとも一人当たり一千家族ぐらいを実際に募集して送り出したならば事業団の本部の職員に戻してもいいけれども、いまのままでああいうなまいきな連中をやったのでは、外務省はまた怨嗟の的になります。だから、本来の外務省熱意はよくわかるから、間違いのない人事をするために、全員一切辞表を取って、そして、会社で言えば合併ではなくて新会社創立なんだから、それにまたあらためて入れる。必要とあらばそのときに外務省から優秀な者を出向させるのもよかろうし、また、現地の人を入れるのもいい。  これは話が先へ行ってしまったけれども、対策はこの次に話してもらいますが、ついでだから申しますけれども、事業団の本拠はブラジルに移すべし。東京は支社とすべし。言葉は非常に誤解を招きやすいけれども、ちょうど満鉄あるいは台湾拓殖、東洋拓殖、戦前のことはみんな言わぬけれども、これは本拠は現地にあるんです。それで現地が実務をやるんですね。東京では、予算政府間の折衝、こういうものだけなんですね。満鉄は東京支社というものでやっておった。だから、事業団をもしっくるならば現地にまず移す。そして東京はごく簡素な人にして、しかも現地においては半分くらいは現地人を採用する。現地の日系一世、二世、三世を一定の規模のもとに採用する。これはその土地の事情に詳しいし、ことばもできます。自宅もあります。家族も持っておりますから、先ほど言いました素行の間違いのようなことはいたしません。国内から行く人は、少なくともことばにおいて優秀であり、十年くらいは同じところに在勤する覚悟を持ち、家族も同伴して行くという者でないとやらぬ。単なる見物にやるようなことは迷惑千万だ。ブラジル以外はスペイン語ですが、ある者はよくスペイン語がわからぬ。私はアメリカの大学を一年ほどやったので、まあ旅行用語くらいは知っておりますが、聞いてみるとほとんどことばを知らないんですね。それから、スープの吸い方も、しゅうしゅう音を立てて、みっともない。食事のエチケットも知らぬようなやつが営農指導だとか悪代官みたいなかっこうで行っている。初めはやむを得ぬとして、過去数年間の海協連移住振興の実績にかんがみて、これじゃ募集もできぬ、みんなの怨嗟の的だというので事業団ができるに違いないから、やるならば、あなたの言うように高級人事は清新はつらつで、中級人事は総入れかえくらいの覚悟でやってもらわなければならぬ。そういう覚悟があなたにありますか。これをよく聞いておかぬと、社会党としても簡単に質問が続行できない。私は南米の古き友人の一人として、党派心を越えてこれは真剣に質問申し上げるわけです。
  16. 大平正芳

    大平国務大臣 中級人事のやり方、事業団の体制の作り方等につきまして、たいへん徹底した示唆を、具体的な例証に基づきましてちょうだいいたしましたこと、私も感謝いたします。実は、私が今日の段階で考えておりますことは、先ほど申しましたように、まず高級人事というものを清新な人材を与えて、それに責任を持たしてということで今日まで考えてまいったわけでございますが、御指摘のように、中級人事にメスを入れないと、それはとても私どもが願っているような方向に事業団の機能の発揮はむずかしかろうというお示しでございますので、この点は特に私どもの問題として早急に検討さしていただきます。国会の御審議の途次におきまして、私どものほうでまとまりましたものはまた申し上げまして、御批判をいただきたいと存じます。要するに、いま先生が御指摘されたこと、容易ならぬ仕事である、しかし、容易ならぬ仕事であるが、やらなければならぬという性質のものでありますので、お示しの点も十分考慮いたしまして、私どもは積極的にしばらく検討さしていただきたいと思います。
  17. 田原春次

    田原委員 その中級人事の点で、まだ現地における実務のいろいろな実例、補助金の不正使用あるいは経理の不正等もありますが、これはいずれ第二回の次の審議かなんかでまた申し上げることにします。資料もありますし、また次々に人をかえて質問申し上げます。  特に大臣にこの際御注意を喚起しておきたいことは、海外移住ということは外務省だけではないということなんです。一番重点は大蔵省です。海外移住いたしますと、まず独立営農資金が要ります。それから、ブラジルだけの例をとりましても、平均いたしまして八へんかわっております。どこかいいところはないかというのでかわる。国際協力とかなんとか上品なことで行くんじゃない。国内でめしが食えないで行くのですから、いいところの土地があったらそれをさがして買う、またしくじってまた買うという、移住者移動回数は平均八回と言われております。それほどひんぱんなんですね。そのつど資金を必要とします。それから、移住地は、ただ農民だけじゃありません。たとえば、かじ屋あるいは倉庫業者あるいは自動車の修理工、そのほか小さな町工場等も必要といたします。これをやったらいいなと思っておっても、その資金がない。いままでの海外移住振興会社の貸し付け規程では農業の独立営農資金だけなんです。それで、はるばる四日もかかってサンパウロ市に行きますと、確かに商業銀行があります。たとえば富士銀系の南米銀行、住友銀行の支店、三菱系の東山銀行、それから在留民設立の日伯銀行、それから為替関係は東銀があります。しかし、これは短期の商業資金でありまして、長期の不動産金融等は実際上できない。したがいまして、ここで大蔵省に特に考えてもらわなければならぬと思うことは、国内におれば、国民金融公庫あり、中小企業金融公庫あり、農林漁業金融公庫あり、大規模なものなら開発銀行がある。さあ行けといって海外に行ってしまうと、単なる独立営農資金しかない。それも非常に時間がかかる。それで有能な人が農民から出て町の商工業者になってみても、資金の裏づけがなくてたいへん困っておる。だから、私は、海外移住に関しては、まず大蔵省、特に銀行局、為替局、理財局、ものによったら管財局等に真剣に取り組んでもらわなければならぬと思っておる。  次は農林省でございます。現在移住者の八割は農民であります。また、あまり成功はしておりませんが、国内で農業改善事業というものを考えております。これがかりに予定どおりいけば、農村の人口を都会に集めるか、次三男を海外にやるか、一家こぞって行くか、いろいろ問題が起こるわけであります。したがいまして、農林省が真剣に海外移住に取り組むならば、これももう少し積極的な熱意と指導に協力すべきものじゃないかと思う。沿岸漁民もまたしかりです。最近、大森海岸で工場ができまして、何百億という金ができた。しかし、ただ現金を持っておるだけで、どうにも方法がつかぬ。これらも、サービス機関がほんとうにいまのように派閥人事でなければ、さっと行って南米移住ならこういう道がありますと言ってやるべきなのに、やったことはない。ですから、農林省の積極的な協力が必要と思う。  次は労働省です。特に、先ほど申しました七万の炭鉱労働者、これはからだは強い。モグラモチみたいに下で働いておった者が今度は南米の天日のもとで働く。一本草をとればそれだけ収入がふえる。子供も働ける。日本では炭鉱内で仕繰りで働いていて、大工の仕事もできるし、かじ屋もできる。私は、日本の炭鉱労働者は、適当な資金の援助とそれから計画移住の方法を誤らなければ、海外では成功する見込みがあると見ておる。したがって、労働省が積極的にこれをやらなければいかぬ。労働省の第二点としては、技術移住でありまして、それはもうさまざまなものがあります。あなた一ぺん行かなければいかぬと思う。見てくればわかりますが、日本のこまかい技術関係、飾り職に至るまでそれは有望なんですから、これらにひとつ適当な海外移住の道を開くようにしてもらいたい。  次は建設省。建設省はすでに多額の予算をもちまして建設青年隊というのを何名かずつ派遣しております。ただ、いままでのかっこうが、行ったとたんに農業移民になってきている。これはおかしいので、むしろ技術移民として測量とか設計、現場監督をやらして、道路、橋梁、住宅をつくるようなことに向けたらいい。これもやはり積極的にその熱意を続けさせていかなければならぬ。  次は通産省。特に中小企業庁関係。御承知のように、ブラジルのウジミナス製鉄所というものができて、私ども行ってみましたが、これは第一次製品ですから、第二次製品、第三次製品となりますと、こまかい経験と技術は日本の中小業者には及びません。またそんなもののない野っ原にいきなり製鉄所ができているのですから、したがいまして、あそには針金からトタンからくぎあるいは食器類等もつくることができるようになることが望ましいし、ブラジルも喜ぶことであります。したがいまして、日本の通産省は積極的に熱意を持って中小企業者を実際に具体的に出すような便宜をはかってもらわなければいかぬと思う。  次は厚生省であります。医者が足りません。もちろん歯科医師も薬剤士も足りません。これはさまざまな例を私は知っております。私が青年時代に行っておりましたときに、サンパウロのドアルチーナという小さな村に小学校がありまして、私はその日本の小学校に学生時代泊まったことがあるのですが、そこに奈良県の師範学校を出た先生が一人おった。夜中の二時ごろにおじいちゃんがドアをたたいて、先生、先生、いまうちの家内が子供を産みますから来てくださいと言う。先生は二十二歳で、私は二十六歳でした。田原さん、どうしましょうと言うから、行け、かまわぬ、この教科書の生理衛生のところを見て行ってこい。——これは戸叶さんには済まぬけれども、上の方から押していけば出てくるだろうからというので、一人で行った。私は留守番しておった。奥さん、私が来たからだいじょうぶだ、安産ですということで、心理的作用でうまく出せるだろうというので行った。すると、翌朝鶏を三羽持って帰ってきまして、田原さん、子供は産まれましたよと言う。いまではお医者さんも相当行っております。この間のように細江博士のようなりっぱな人が行っておりますし、それからつい四、五日前大阪医科大学で二人の医者が行くというので私は送別に行って激励してきましたが、まだまだ二人や三人じゃ足りません。アマゾンだけ見たってどえらいところだ。神田錬蔵博士の「アマゾン川」という本をごらんになればわかります。医者も歯医者さんも出さなければならぬ。それから看護婦と産婆さんが要ります。ボリビアでは、医者がいないために、お嫁さんに行った看護婦さんが西部劇みたいに馬に乗って巡回診療をしております。たいしたものです。でありますから、厚生省が積極的に努力して、日本医師会ともタイアップして医者を出す。野心ある助教授級は博士論文の原稿書きにでもいいから三年くらい行ってくるといい。そしてそういう拠点をつくってもらいたい。これは外務省の腕ですから、折衝して、試験研究所、調査所をつくり、それから巡回診療もできるようにしてもらわなければならぬ。それから、養老院あるいは託児所、精神病院、あんま、指圧、こういったものも厚生省関係では必要であります。いまアルゼンチンのブエノスアイレスに青木さんという人が指圧の先生として行っておりますが、私が呼んでどうだと言ったら、いやたいしたものです。ブエノスアイレスの医師会はむずかしい神経痛やリューマチをみんなそこへ出すのだそうです。それからパラグアイに一人おります。これは大統領専用みたいになってやっております。日本人が行くと、あなた方はただでいいからというぐらいにやっておる。ペルーでは、どこかの貿易会社の支店長が行ったのですが、もう戦前の話ですが、指圧を知っておったらしい。その当時のペルー大統領がどうも神経痛で困るというので、日本人は神秘的なわざを知っておるということで呼んでやったら、なおった。それで、あなたは貿易商をやめて医者になってくれと言われ、東京に帰ってあんま、はり、きゅうの本を買って、向こうでりっぱな医者になってやっておる。八十幾つです。こういう例はたくさんあります。メキシコでも、これはお医者さんで私の同県人だというので、あなたどこの学校出ましたかと聞いてもはっきり言わない。言葉をそらしてしまう。私は気がつかぬで何度も聞いたら、机の上に麻布獣医畜産学校——獣医さんなんですね。それがともかく行ってりっぱな医者になって感謝されている。なおるというのですから。アスピリンと重曹とヨードチンキがあればたいてい間に合いますよと言う。ほんとうですよ。そこへ持ってきて、いつまでもそれではいけませんから、やはり厚生省の各機関が積極的に出ていってやってもらわなければいかぬ。  海外移住地における最も必要なことは、医者、教師、宗教、金融です。この四つがそろわなければいけません。アフリカのシュバイツァーのように、医者であり、教師であり、宗教家である人は一人三役もできますけれども、そうでない限り、こういう人たちを出さなければいかぬ。しかし、なかなか旅券が取れない。あんまさんが行くといったって旅券が取れない。だから、サービスというなら、事業団をつくるというなら、やはり日本の小社会を移すくらいの気持でやらなければいかぬ。そのためには、これは対策のところで言うつもりでおったのだが、府県単位、もっと言えば町村単位で移動した方がいい。隣人眷族で行っておりますと相互扶助で金の貸し借り、農具の貸し借りをいたせますが、いまのようにただ全般的に募集してばらっと集めていく程度では親切心がない、便利がよくない、そういう希望もあります。  さらに言えば文部省です。文部省は、戦前には、宇都宮高等農林学校、盛岡高等農林学校、岐阜高等農林学校、それから三重高等農林学校、宮崎高等農林学校、鹿児島高等農林学校に拓植科というものを置いておりまして、これらの高等農林学校出身者が中南米に行って、黙々としてその地区における日本人の指導者になって、産をなしております。それから、北大あたりから行った者もあります。しかるところ、敗戦とともに、マッカーサーが来て、いきなり海外移住はまかりならぬとおどかしたものですから、文部省はそれをばか正直に二十年後の今日まで守ってきておる。海外移住についで全然教科書もなければ専門の先生もつくっておりません。科もありません。ですから、海外移住の民間の大先達である永田稠日本力行会長がしばしば書いておるのは、文部省をまず口説いて、海外移住を中学校時代から普及させるということ、それから、地方の大学の農学部等にはそういう拓植コースを置くとかあるいは南米事情というものを教えなければならぬ、こういうことを言っております。  それから、次は郵政省。ラジオは比較的普及しております。これは、交通が不便でありますから、向こうの民間ラジオの時間を買いまして、きょうはだれが来るということをちゃんと放送している。しかし、テレビは残念ながら大都会までしか入っておりません。したがいまして、この間アルゼンチン大使に会いましたところ、ラジオやテレビが発達している日本からはなかなか行ってくれぬでしょうねと話しておった。これは一面は見ておるのですね。でありますから、海外移住については、現在よりも低い生活条件のところに行くということであってはならない。現在以上のものにならなければいけません。それには、こういう国内に住んでおると同様の利便が伴うようにしなければいかぬと思うのです。したがいまして、移住事業団法の審議にあたりましては、いずれ逐条審議をいたしますが、まずここへ関係各省の局、課、長に来てもらって、とっくりわれわれの意見も聞いてもらい、また、すすめたいこともあるわけであります。  こんな話をしておりますと時間が幾らあっても足りませんので、私は第一回の質問をこの程度にしておいて、関係各省の局課長もいずれお呼びいただいて、さらに質疑をいたしたいと思います。また、この質問の最初に申し上げましたように、衆議院におきましても海外移住に御熱心な方も与野党にたくさんおられまして、たまたまそれがあるいは建設委員会あるいは農林委員会等でやっておりますので、関係委員会の連合審査をやって、謙虚な気持ちでお聞き願って、りっぱなものをつくってもらいたい。さらに進んでは、参考人としても、民間で半生を海外移住に尽くしている人がたくさんおりますので、そういう方々の率直な意見も聞きまして、そしてせっかくつくるならよいものをつくるという気持になってもらいたい。御承知のように、移民保護法が明治二十九年にできましたが、敗戦とともに廃止になりまして、自来ありませんから、何かよるべき法律が必要と思います。そこで、海外移住審議会では、移住基本法と移住者援護法とこの事業団法、この三法を同時に答申してあります。これらの問題については議論になりますからこの次にいたしますけれども、一つだけ出して、あと出さぬという気持ちは私にはわからぬ。全部出して、悪ければあるいはこの外務委員の練達たんのうな諸君の御審議によって修正するなら修正する、こうしてくれればよいのであって、まずいから出さぬ、事業団法だけ出しておこうなんという、そういう態度で海外移住問題を扱われては困る。  大へん失礼なことをいろいろ言いましたが、私の真意はおわかりと思います。少なくとも、中南米には、単に年に一万二千なんということでなくて、戦前には二万六千人行った年もあるのですから、各省国会、民間団体が協力して移住促進に努力して、年に三万や五万は出せるようにしたいと思うのです。イギリスは、少なくなっておりますが、豪州、アメリカ南米等には十四、五万は出しております。イタリアも出しております。だから、日本も、これまた議論になりますが、量より質なんということを言う必要はないのであって、だれが一体質をきめるのか。大ぜい行けば、そこで質もよくなるのでありますから、移民を出すにあたって質を厳選するというようなけちなことを言わぬで、行きたい者は行かせる。行ってから資金が必要なら、資金を貸してやる。その中で十人に一人返せない者が出ても、ちょうど国民金融公庫の貸し出しがそうであるように、その程度のものを考えていくというぐらいな、親切な厚みのある移住政策が望ましいし、そのための事業団であるならば、われわれは真剣に取り組んでこれを審議したいと思っております。  以上で私の質問の一部を終わって、あとまたちょくちょく出すことにいたします。
  18. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員長代理 午後二時三十分より再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ————◇—————    午後二時三十七分開議
  19. 野田武夫

    野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。  森島守人君。
  20. 森島守人

    森島委員 私は主として原子力潜水艦の日本寄港問題等を中心にして御質問いたしたいと思います。  この問題につきましては、さきに帆足委員が本会議で緊急質問をやっております。また、当委員会におきましても、両三回論議しておりましたが、いずれも政府から明快なる御回答を得てないと思う。私が第一に質問したいのは、日米両国間に、四、五回と外務大臣は言っておられましたが、何回くらい往復がございましたか。口頭、書面あわせまして何回くらい応答がありましたか。ひとつお聞きしたいと思います。
  21. 安藤吉光

    安藤政府委員 米側に対して、安全性あるいは補償の問題等に関連いたしまして、大体五、六回質問書を出しております。同時に、われわれのレベルあるいはさらには課長レベルで、向こうの館員あるいは科学アタッシェもおることでありますから、そういう方ともいろいろ話して、応答をやっております。
  22. 森島守人

    森島委員 すでに数回日米両国政府間で応酬があったものと見るのですが、これを何ゆえにそのつど御発表にならないのですか。
  23. 安藤吉光

    安藤政府委員 関係各省といろいろ相談いたしまして、これこれの点についてひとつアメリカに聞いてみたいというようなことがございまして、総括的にいろいろなことを質問したわけです。それでやっておりますうちに、この点についてもう少し聞きたいという点が関係省の間でやはりいろいろ議論になりました。もちろん、たびたび国会等でも御説明いたしておりますとおり、事柄によりましては軍事機密に属するものもありまして、出せないものもあります。しかしながら、いろいろな点、角度から、そういったものをいろいろ問いただしておるわけでありまして、それらのものを総合しまして全体が大体はっきりしてくるというようなときに関係事項をまとめたい、そういうふうに考えまして、種々なる質問を出しておるわけでございます。
  24. 森島守人

    森島委員 すでに学術会議等でもたいへんな問題になっておることは御承知のとおりであります。むしろ、学術会議等でいろいろな意見を発表するのには、これらの関係各省間のおまとめになった意見やあるいはこれに対するアメリカの回答というものは大きな示唆になると思う。正確なる資料に基礎を置いて正確に意見を述べるというふうな点におきましては、私は相当りっぱな資料になると思う。これを政府が独断で、ある一定のときまでは発表しないのだというふうな態度をとられることは、私は官僚独善だと思う。これは官僚外交の極なるものです。私は、むしろそのつど御発表になって、学界の人だとか科学者とか、その方面の権威者の意見を立てる上において資料にすることが必要だと思う。それを、外務大臣は、結論が出たら発表するのだと言われる。これでは、結論を出すまでに科学者、学者等が自分の意見を形成する上においては、私は参考にならぬじゃないかと思うのであります。この点についてもひとつ御一考を促したい、こう思っておりますが、外務大臣の御意見はいかがですか。
  25. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せごもっともでございまして、私どもの心組みでは、いま照会中のものもございますので、それが参りまして、取りまとめて発表し、御参考にするというようにいたしたいと思っておったのでございますが、森島先生の御意見もございますので、全部がまとまらない段階におきましても、ひとつ何らかの方法でお示しするように考慮してみたいと思います。
  26. 森島守人

    森島委員 それなら、私一案があるのでございますが、この委員会でもこの問題を討議しているのですから、国会を通じて国民の意見を聞くというふうな趣旨で、国会を通じて御発表になったらいかがですか。  委員長、私から要求いたしますから、考えてみるじゃなしに、至急外務省として意見をまとめていただいて、この委員会を通じて全員に御発表になっていただくほうが、私はこの問題の審議を進める上においても有効と思いますので、さようにお取り計らいを願いたいと思います。
  27. 野田武夫

    野田委員長 森島君にお答えいたします。御趣旨はよく了承しましたから、理事会において御相談の上、お答えいたします。
  28. 森島守人

    森島委員 けっこうでございます。それでは、大臣、そういうふうなことで、理事会で相談するそうですから、それに従ってひとつ御提出を願いたいと思います。  私は、もう一つお伺いしたいのは、従来、政府は、核兵器を日本に持ち込まぬということを、これは歴代内閣が言っておりました。この点について御異議がないと思います。ただ、これが憲法に違反するかいなかということについては、答弁を差し控えておったようであります。あるいは近代兵器の発達によって核兵器が通常兵器に用いられるというふうな時代になれば必ずしも憲法に違反するとも思われぬというふうな御趣旨も答弁の中にはあったようでございます。ただし、政府はこれを政策としてあくまで拒否するのだというのが政府の態度だったと思いますが、この点については御異存はないと思いますが、いかがでございましょうか。
  29. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのように心得ております。
  30. 森島守人

    森島委員 私たちの見解からいたしますと、一城を譲って一城を取られるというおそれがないとも限らない。特に極東における国際情勢等も相当機微な問題もありますので、これは楢崎委員がお話ししましたように、既成事実をつくっておいて、知らず知らずのうちに持ち込まれるんじゃないか、日本に寄港するんじゃないかというふうな懸念も、私は国民は非常に持っていると思う。学術会議方々の意見も、この点も相当な理由になっておる、こう私は思っておるのでございますが、私は、むしろ、こういう有力な国論が寄港に反対しており、そこにやはりわれわれとしても聞くべきものがあるならば、政府としても謙虚に重要なる世論に従ってこれを御研究になるのがいいんじゃないかと思います。政府の態度を見ておりますと、これは違反しないのだ、寄港を認めぬということは条約違反になるのだということを当初からきめて、そのきめた方針を国民に押しつける上に都合のいい材料をいま集めているのだというふうな印象しか私は持ち得ないので、この点については、政府においても世論の重大なる動き等を考慮しましてなお一段の御検討を必要とするのではないか、こう思っておりますが、この点に関する御見解を伺いたいと思います。
  31. 大平正芳

    大平国務大臣 初めからきめてかかってそれを押しつけるというようなつもりは毛頭ないのでございまして、私どもは、ただいま申しましたように、日本政府の政策として核兵器の持ち込みというものは認めないということを言っておるので、それをすなおにおとりいただいたらいいわけだと思うのでございます。しかしながら、政府がそういう不動の決意を持っておるにかかわりませず、まだ疑点が晴れないということは残念なことでございますので、機会あるごとにこれを周知してまいる、政府の決意を徹底して周知してまいるということを怠ってはならぬと思いますし、今後もそのように努力いたしたいと思います。
  32. 森島守人

    森島委員 いまの御意見、私大体賛成ですが、周知させるといっても、政府が全部イニシアチブをとって十分に周知させる方法がありますか。それだから、私は冒頭に述べましたように、そのつどアメリカ側との公文なり何なりを発表して、有識者の研究にまつことが私は得策だと思う、こう申し上げておるので、政府のいまの態度を見ますと、周知させるというのは言葉だけのことであって、何ら周知させるような方法をとっていないじゃないですか。それだからこそ、私は公文の発表をこの際一刻も早くおやりなさいということを求めておるので、私は私の言うことには、十分の理屈があるというふうに信じております。  それから、もう一つ私はお聞きしたいのは、軍事の秘密があると言われる。なるほど秘密はありましょう。しかし、これをアメリカ側だけで決定することについては、これは国際慣例上すなおに受けるのが順当なんだというのが大臣のお考えのようでございましたが、この点についても、はたしてどれだけの軍事上の秘密があるのかないのかについても、私は、日本側としてはそれを研究し結論を得るだけの何らかの方法はなければならぬ、こういうふうに思っておるのでございますが、外務大臣アメリカの言明に信頼する以外に道はないのだというお考えでございますか。何らかまた研究する方法等もお考えになる余地があるのでございますか。この点もお聞きしたい。
  33. 大平正芳

    大平国務大臣 私どもアメリカ側に対する照会は、軍機に触れるとか触れないということとはかかわりなしに、疑点を照会いたしておるわけでございます。それで、先方からの回答では、これは回答できないというものも確かにございます。そういう点が触れる個所だろうと思うわけでございます。日本側におきましては、もとより、外務省しろうとばかりが検討しておるのではなくて、政府部内の科学者の方々に御参加いただいて回答を検討いたしておりますので、そういう検討を通じまして、科学者の側にはそれぞれ専門的な眼識から御意見がありますので、そういう点は何回でも照会するにやぶさかでない態度を私どもはとっておるわけであります。
  34. 森島守人

    森島委員 私は外務省の役人だけではそういう問題は解決しないと思うので、科学技術庁なり関係方面の方を総動員しておやりになっておることは私は賛成なんです。  そこで、私がお聞きしたいのは、外務大臣とはちょっと方面が違いますけれども、総務長官が学術会議とやりとりをやっておるわけです。それを見ますと、実にくだらぬことをやっておられる。一つは法律技術的な点。政府機関なんだ、政府機関がなぜ政府のやったことに対してああいうような措置をとるのだという、技術的なと申しますか、法律的な見地から見解を発表しておる。もう一つは、私は、それ以上にやるべきことは、実質的な方面で日本の安全性に対してどういう問題があるのかという点にわたって総務長官としてはやるべきものだと思いますが、総務長官のおとりになっている態度に対しては外務大臣としていかなる御感想を持っておられますか。はなはだ伺いにくい点でございますけれども、お聞きしたいと思います。
  35. 大平正芳

    大平国務大臣 学術会議という行政機関に対する行政は、これは私の所管じゃございませんで、私としてはとやかく言う立場にないわけでございます。ただ、本問題を取り扱うにあたりまして、科学者の皆さんが心配いたしまして、いろいろな点に言及された御意見が開陳されておりますことは、私どもとしてもすなおにそれを聞きまして、疑点とすべきものは最大限に話してまいるというふうに努力したいと思います。
  36. 森島守人

    森島委員 御意見を承れぬのは私はなはだ遺憾なのですが、しかし、政府の、要人である外務大臣として、この問題について学術会議と総務長官との間の話し合いの結論はどうなったのか、その点をおそらくお聞き及びのことと思いますが、ごく大略でもお知らせ願えればけっこうです。
  37. 大平正芳

    大平国務大臣 おしかりを受けるかもしれませんけれども、私、実は、学術会議と総理府との間の問題につきましては、聞いたこともございませんし、御相談いたしたこともございません。
  38. 森島守人

    森島委員 外務大臣の御答弁をこの間から聞いておりますと、相互信頼というものが国際関係を律する上において基本的な要件だということで、私そのとおりと存じます。しかし、これについても限度がある。昭和三十五年にU2機が墜落しましたときに、アイゼンハワーは一体どういう態度をとったか、御承知でございましょうか。
  39. 安藤吉光

    安藤政府委員 昭和三十五年のころ墜落と申しますと、例のソ連での墜落でございますか—— 私、ちょっといま、資料もございませんし、詳細に承知いたしておりません。
  40. 森島守人

    森島委員 これは重大な問題で、日米関係を考慮する上においても私は重大な資料になると思うのです。それをいま資料がないとかおっしゃるけれども、資料なんかなくてもわかるのです。それは、初めU2機が行くえ不明になったということが新聞紙上で発表になりました。そうしますと、アメリカは、これは気象観測に使っておったのだという答弁で終始しようとした。ところが、ソ連領内へU2機が墜落しまして、その操縦士がソ連側にとりこになっておるということをソ連で発表いたしますと、アイクは機を逸せずして、その事実を認め、U2機というものはこういうことをやっておったという事実を率直に認めたというのが事実でございまして、私は、この一例だけから考えましても、外務大臣のごとく、アメリカの言うことなら何でかんでも相互信頼のもとに信用していいのだという態度をとって国際関係を律するのが正しいかどうかということについて、私は非常な疑問を持っている。この点につきまして外務大臣の御所感をお伺いしたいと思います。
  41. 大平正芳

    大平国務大臣 私は、たびたび申し上げておるように、外交関係は、形にあらわれた条約、協定等ももとより大事でございますけれども、その根底にありまする相互の信頼というものが絶対的な要件だと思っておるわけでございまして、これは、対米関係ばかりでなく、わが国外交関係を律する上におきまして、終始私が尊重しかつ擁護してまいらなければならぬ不動の方針であると心得ておるわけであります。アメリカ政府と他の国との関係いかんということにつきましては、私は論及いたしたくはございません。
  42. 森島守人

    森島委員 これは外務大臣としてはごもっともなお答えだと思う。しかし、同時に、アイゼンハワーの、二、三日前に言ったことをまるでひっくり返して真実を認めるというふうなやり方等もありますから、必ずしもアメリカ政府の声明なり言明なりをそのままあくまで信用するということも、私はいかがかと思うのです。私も、安保条約審議されました際、日米関係六十年間の歴史を調べまして、この点についても二、三点外務大臣の所見を求めております。しかし、いずれも私の満足すべき回答を得ませんでした。しかし、いかにアメリカを信用するといっても、六十年間の日米交渉の間において、二回も日本と正式に調印をし批准もした条約を向こうが一流の解釈でもって破ったこと、この点を考えますと、アメリカに対しても一片の疑いもなくして一〇〇%信用するなんということは、日本外交を進めていく上において必ずしも得策であるとは一がいに断定できないと私は思う。私はこれは必要がありますればいつでもその当時の会議録を出しまして私のやった質問を再びここで繰り返してもいいのですが、それは過ぎ去ったことでもありますから、私はいま避けたいと思っておりますけれども、これらの点についても御一考を促さなければならぬと思っております。岸総理がそのときに私に言ったのでは、あなたと多少ニュアンスの違った答弁をやっております。岸さんは、「先ほどもお答え申し上げましたように、政府は、一片の通告だけで安心しておるという考えではございません。しかし、一応は、先ほど来申しましたような経緯でもって、アメリカが誠意を尽くして十分言っておることであるから、われわれとしては一応これに信頼を賢く、しかしながら、十分われわれが調べ得る限りにおいてこのU2機の実情、使命等もこれを明らかにする方法を講ずる、また、将来の保証につきましても、十分に監視をいたしまして、さらに必要があるということであれば、必要なる措置をとる、こういうふうに先ほど来お答え申し上げておるのでありまして、政府としては、こういう心組みでございます。」、こういうふうな答弁でございまして、まだ外務大臣からはこの程度の答弁も得ていないのでございますが、おそらく外務大臣としても当時の岸総理の答弁と同様な御心境にあることと私は存じますので、この点も一応念のためにこの席でお確かめしておきたいと思います。
  43. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど申しましたように、相互の信頼ということを基調に外交を進めてまいらなければならぬと思います。万が一若干でも疑点が出るようなことがありますならば、これは現在ある信頼関係というものが完ぺきでないことになりますので、万一そういうことがございますれば、なお一そう相互に反省いたしまして、より完ぺきな信頼関係に持っていくというのが私の気持ちでございます。
  44. 森島守人

    森島委員 この事項が事前協議の事項にわたるかいなかについては、御承知のように、意見の違いもありますし、そういう疑うべき余地もあるかと思いますけれども、私はさしあたりその点を問題にしないでも、アメリカ側の新聞電報を見ておりますと、もし日本の承諾を得ることができないならやめてもいいのだという趣旨の新聞電報も来ておった。あるいは日本国内における世論の反発等を考慮しまして大局的にアメリカがそういうふうに考えておることも想像し得ないわけではないと思いますので、私はむしろ日本の世論の動向に従ってこれを一応拒否されたほうがよくはないかと思いますが、この点に関しましても外務大臣の御意見を伺っておきたい。
  45. 大平正芳

    大平国務大臣 原子力潜水艦の寄港問題という問題の評価でございますが、つまり、これが安全性の見地から不安でたまらぬというお考え方もございますれば、もう一つの見方として、これが国際情勢の緊迫化を招来する契機になりかねないというような見方と、大きく分けて二つあると思うのでございます。で、私どもといたしましては、第一の安全性の問題につきましては、国民の感情を考えまして、最大限にこれを解明いたしまして不安を解消するような措置を講じたいということで、せっかく手順を踏んでおるわけでございます。  第二の点につきましては、私はそのように評価しない。ということは、この前本委員会におきましても他の委員の皆さまからの御質問に対しまして答えておいた信念に変わりはございません。
  46. 森島守人

    森島委員 そのほかに私はもう一つ懸念があるのですが、国際情勢に及ぼす影響と安全性の問題、さらに、一つは、ずるずるべったりのうちに持ち込みがなされる、その下地ができるんじゃないか。その点が懸念されておるもう一つの大きな理由だと私は思います。国際情勢の悪化を来たすというふうな点と合わせまして、知らず知らずのうちに既成事実ができるという点。また、F105の問題にいたしましても同様でございますが、そういうのが二つ三つ重なっていくところに既成事実がすでにできやしないかということを私たちは憂えている。この点につきましてはさらに慎重な御検討を願いたい、こう思うわけでございます。  もう一つ私聞きたいのは、先ほど私申しましたように、安全保障条約の問題のときに指摘したように、アメリカが六十年の日米外交史上において前後二回既存の通商条約に違反をやっております。最後の一九二年の条約のごときは明らかな条約違反であるということで、当時の日本政府はこの調印された日を記念しまして国恥記念日として、終戦後に至って移民法の改正が実現いたしますまで毎年国恥記念日を順守しておった事実がございます。こういうふうな問題についても外務大臣は一体いかにお考えになっておるか、これもあわせてお聞きしたいと思います。
  47. 大平正芳

    大平国務大臣 外交史上御指摘のようなことがあったということのお示しでございますが、私は実はそういうケースにつきましての知識を十分持ち合わしていませんので、何とも申し上げられませんけれども、ただいまの日米関係というのは非常に広範なかつ分厚い協力関係にあるわけでございます。それで、ただいま安保条約を中核としての協力体制をとっており、その運営に当たっておる私といたしましては、ただいま御指摘のような対米不信というような事実には遭遇いたしておりません。核兵器の持ち込みというようなことにつきましては、アメリカ側も非常に神経質でございまして、対日接触にあたりまして非常に周到な配慮をいたしておるわけでございまして、今度の寄港問題につきましても事前に御相談があったということも、その一つのあらわれだと思うわけでございます。ただいまの日米関係には私は厘毫の不信もないと思うのでございます。今後もそういうことがあっちゃならないと思うわけでございます。問題は、これからの日米関係をより一そうりっぱなものに仕上げていくというときに、御指摘のようなことが過去においてずっと以前にあったということがかりにありとしても、その旧悪に言及するというようなことは、信頼関係を深めてまいる上から、言っても望ましいことじゃないと私は考えます。
  48. 森島守人

    森島委員 日米町田の関係が非常に分厚いとおっしゃることは、私、そのとおりだと思います。いま御懸念になっておる点も私も十分考慮しておりますけれども、同時に考慮すべきことは、アメリカの国務省とアメリカの軍部の関係です。アイゼンハワーの例でも、軍部が政府の決定に違反してやったか、あるいはそういうふうなところに原因があるんだと思いますけれども、国務省が何も知らぬうちに軍部がかってなことをやったのがU2機なんかの活動の状況だと思いますが、そういうふうな点は現在のアメリカの国内政治においても必ずしも絶無とは私は言えぬと思う。特に、近代兵器の発達、戦争方法の変更等から、軍部の発言権が大きくなりますと、とかく、管見者流と申しますか、大局的にものを見ない軍部の人にはややともいたしますとこの傾向のあることは、大東、亜戦争中の日本の軍部の行動から見ても、私は免れぬと思う。これは軍部の特質であって、私はアメリカだけとは申しませんけれども、ソ連についても同様な状況があると思います。私は、これらの軍部の状況等考慮いたしますと、よほど慎重にやっていただかぬと、軍部の独自の政策によってアメリカ外交政策が誤るというふうなことも絶無ではないと思っておる。これは私の言うことは必ずしも御採用にならぬと思いますが、私は、軍部の動向に対しても十分な考慮を持たないと、とんだあやまちをおかすことがあるというふうに信じておるのでございます。この点についても十分慎重な御考慮をお願いしたい。  あと一問だけ、これは戸叶さんもお尋ねになりましたのですが、日韓交渉の問題ですが、日韓交渉というのは事実上中絶しておるのじゃございませんか。中絶するという一片の通告を出した出さぬの問題じゃなしに、事実上中絶状態にあることはだれも疑わぬ事実だと思いますが、この点につきましての外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
  49. 大平正芳

    大平国務大臣 私どもの手順から申しますと、今度は漁業問題の討議に入ることになっておるわけでございます。日本側の考え方はすでに先方にお伝えいたしてございまして、先方からの御提案を待っておるという段階で、一番中心課題である漁業問題が、先方の提案を得ましていま討議に入っておるという段階でないということは、申し上げられると思うのでございます。しかし、予備交渉は依然として定例的に続けておりまして、先方の御提案を待っておるという状況でございます。
  50. 森島守人

    森島委員 漁業問題とおっしゃいますが、それじゃ、向こうから正式な提案があるわけなんですか。
  51. 大平正芳

    大平国務大臣 わが国の考え方は、先ほど申しましたように、先方にお知らせしてあるわけでございまして、先方からの御提案を早く出していただきたいということで、こちらも慫慂いたしておるという段階でございます。
  52. 森島守人

    森島委員 それじゃ交渉の段階に入っておると必ずしも言えるものではないと私は思いますけれども、その点別にいたしましても、外務大臣の御見解をこれまで承っておりますと、外交交渉である以上は、先方に現存する政権がある、その政権を相手に外交交渉をやるのは当然なことなんだというお考えのようでございますが、その点、間違いございませんか。
  53. 大平正芳

    大平国務大臣 現存の政権が外交主体しての権威と能力を持っておるということは、これは当然外交交渉の前提になると思います。
  54. 森島守人

    森島委員 それじゃ、いまの韓国政府外交交渉をやる能力と意思を持っておるという御判断のもとにいま話し合いを続けておられる、こういうことでございますね。
  55. 大平正芳

    大平国務大臣 さようでございます。
  56. 森島守人

    森島委員 それなら、私はその点については非常な疑問を持っている。いやしくも十年以上にわたる日韓間の重要問題を討議するのには、私はいまの政府ではだめだと思う。これは理由は抜くといたしましても、もし話し合いをきめますれば、将来にわたって、恒久的といいますか、相当大きな影響を持たなければなりませんし、外交上の処理の問題等も起きてくると思う。どうなるか見通しもつかぬ、あしたひっくり返るかわからぬような政府を相手にして、しかも韓国内においてはいろいろな動きもあるようでございますが、こんな政府を相手にして、将来両国の関係を恒久的に束縛するような重要な交渉をやるのがはたして得策であるかいなかという点は、私は別個の考慮が要ると思います。あしたひっくり返るような政府を相手に何をおやりになっても、効力はないと思う。ただ調印を済ましても、批准の手続等もできぬような国内情勢にある以上は、先方にりっぱな政府ができて調印から批准の見通しまでできる政府ができなければ、交渉は名実ともに一時打ち切るという態度をおとりになった方がいいんじゃないか。漁業交渉といいましてもいろいろ技術上の問題もございましょうが、そういうふうな問題からずるずるべったりに深みにはまっていくような態度は、外交交渉としては決して賢明ではない、私はこういう見解に立っておるのです。この点については、先方の政府につきまして確たる見通しをお持ちになっておるかどうか、これもお聞きしておきたい。
  57. 大平正芳

    大平国務大臣 御意見でございますが、どういう政府を持つかということはそれぞれの国の国民の問題でございまして、われわれとしては、現存する政府が合法的な政府である以上、いろいろな問題につきましてそれと討議してまいることは当然と心得ております。問題は、具体的に韓国の政権の安定度の問題でございますが、これはいろいろの見方もあるでございましょうが、私どもは韓国の政情が安定度を高めていくように希求いたしておるものでございますが、と同時に、韓国の政情の推移という点につきましては注視を怠っていないつもりでございます。  そこで、たびたび申し上げておりますように、外交交渉というのは、大前提として、外交主体としての行為能力を持ち、そして、今度妥結した場合にその妥結内容を将来にわたって保障する能力がなければならぬということは当然のことでございまして、これは日韓交渉についてもその例外ではないわけでございます。私どもは初めからそういう態度で臨んでおるわけでございます。
  58. 森島守人

    森島委員 外務大臣のおっしゃることは、日韓問題ばかりではなしに、国際関係全般にわたってそのとおりです。しかし、私が特に問題にしておるのは、韓国についてはたしてそれだけの確信をお持ちになれる基礎があるかないかということなんでございます。この点についても、政権も長続きし、合法的に成立しておるとおっしゃるのですが、はたしてこれと結んだものがそのまま実行ができるというお見通しはしっかりお持ちでございますか。
  59. 大平正芳

    大平国務大臣 現在の段階は各種懸案の検討をやっておるという段階でございまして、私が申し上げましたのは、万国に対して共通の外交的態度を堅持いたしておるわけでございまして、韓国は例外だというように心得ていないということを申し上げたわけでございます。
  60. 森島守人

    森島委員 私はその点について再度外務大臣の慎重な御考慮を願わなければならぬと思うのですが、この点につきましてはまたいずれ機会を得ましたときに質問することにいたしまして、一応これで私の質問を打ち切ります。
  61. 野田武夫

    野田委員長 戸叶里子君。
  62. 戸叶里子

    戸叶委員 私は、森島議員が質問されました原子力潜水艦の関係で、関連して二、三点伺いたいと思います。  最初に伺いたいことは、先ごろこの委員会で私が要求した資料と申しますか、アメリカで原子力潜水艦の建造中に火事を起こして死者を出したという事件が二度あったわけでございますが、それについて外務省にはどういうふうな情報が入ってきておるか、この点をお知らせいただきたいと思います。この前の委員会で、私はなるべく早くその資料を提供していただきたいということを申し上げておきましたが、もう一週間以上になりますけれども、何の資料の提供もありませんので、そちらでおわかりの点を説明していただきたいと思います。
  63. 大平正芳

    大平国務大臣 駐米大使館の方から公電が入っております。これは建造中たまにある通常の火災事故であるという報告になっておりますが、詳しくは、いま電報を見ておりますから、後刻申し上げます。
  64. 戸叶里子

    戸叶委員 次の質問をしている間にどうぞそちらの方でお調べになっておいていただきたいと思います。  実はきょう核兵器及び通常兵器についてという資料をいただいたわけでございますが、これは昭和三十三年四月十五日に防衛庁から参議院内閣委員会に提出したものとしてここに出されているわけです。これは外務省として出されているわけでございますが、こういう定義というのはたいへんに古いので、三十二年ごろの定義ですけれども外務省はこれは権威あるものとしてこういう解釈をそのまま持っていらっしゃるのかどうか、この点も伺いたいし、もう一つは、これはやはり軍事学者等の意見も聞いた上でのこういう定義であるか、この点も伺いたいと思います。
  65. 安藤吉光

    安藤政府委員 先般御要求がございました直後、防衛庁とも念のために協議いたしまして、防衛庁の専門家も交えて、この定義がやはり妥当なものであるということでございましたので、協議の上提出した次第でございます。
  66. 戸叶里子

    戸叶委員 そうしますと、これは日本のいわゆる権威ある軍事学者等との意見の調整は行なわれているかどうか、この点も念のために伺っておきたいと思います。なぜならば、私どもは、先ごろ委員長にもお願いしておきまして、今後そういう学者の方々の核武装に対する定義等も伺いたいと思っておりますので、この点を念のために確かめておきたいと思います。
  67. 安藤吉光

    安藤政府委員 御存じのとおり、防衛庁には軍事専門家がたくさんいるわけでございます。そして、防衛庁が部内においても種々検討し、その結果そういった専門家の意見も取り入れてできたのが、いわゆる防衛庁と協議し提出したこの定義でございます。
  68. 戸叶里子

    戸叶委員 外務大臣にお伺いしたいと思いますが、そうしますと、核兵器及び通常兵器についてというこの定義、これは日本で権威あるものとして国会に提出されたわけでございますが、アメリカなりあるいはその他の国と交渉する場合においてもこの定義に基づいて交渉されているのかどうか。アメリカ日本で核兵器というものはこういうものである、——たとえば核弾頭をつけ得る兵器でも核弾頭をつけないときには核兵器ではないというようなふしぎな解釈を日本政府はしているわけですけれども、それと同じ解釈で先方でも了解しているのかどうか。この点を伺いたいと思います。
  69. 大平正芳

    大平国務大臣 先方もそのように了解いたしております。
  70. 戸叶里子

    戸叶委員 そうすると、沖縄ではF105につきましては核兵器と言うのですけれども日本ではそれを核兵器と言わないわけですか。
  71. 大平正芳

    大平国務大臣 沖縄でF105をどういう状態において核兵器と言っているのかよく存じませんけれども、私どもは、ただいまの見解に沿って、F105が核兵器であるとは考えておりません。
  72. 戸叶里子

    戸叶委員 そうしますと、アメリカの国内でも、F105というものは核弾頭をとったときは核兵器ではない、それからまた、原子力潜水艦も核弾頭をつけてこなければ核兵器ではない、アメリカ合衆国でもそういうふうな解釈をしているし、これは国際的に通じる解釈である、こう理解してもよろしいわけですか。
  73. 安藤吉光

    安藤政府委員 先般来種々御説明申し上げておりますとおり、このF105戦闘機はいわゆる多用性戦術航空機でございます。したがいまして、普通戦闘行為もいたしますし、また、その能力の一つといたしまして核兵器を積み込み得るというだけでございます。日本にはもちろん持ってこないわけでございます。この核兵器を積み込み得るというプロバビリティーがあるというだけのものでございまして、ほかの目的もたくさんあるわけでございます。ほかの兵器も積んでおりまして、自動砲とかいろいろ持っております。アメリカでこれを単純に核兵器と言っておるということは承知いたしておりません。
  74. 大平正芳

    大平国務大臣 これは、日米安保条約を運用する場合、わが日本政府といたしましては、いま申しましたような基本線に沿いまして、そこにうたわれておる核兵器の持ち込みは認めないということで進んでまいりました。日本の国民感情から申しまして、また、日本側の政府がただいままでやっておる政策から申しまして、支障がないという判断に立ってやっているわけでございます。
  75. 戸叶里子

    戸叶委員 いま外務大臣は日米安保条約の六条の交換公文のことをちょっとお触れになったわけでございますが、そうしますと、具体的にこの交換公文の解釈の問題といたしまして、「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更」とあります。この「同軍隊の装備における重要な変更」ということは、もっと具体的に国民にわかるように説明をするならば、たとえば核弾頭とかあるいはIRBMとかICBM、それだけがこの文句に該当するものであって、ほかのものは該当しない。こういうふうに了解していいわけでございますか。この点を具体的に説明していただきたい。
  76. 安藤吉光

    安藤政府委員 「装備における重要な変更」というものは、いまおっしゃいましたようなものを意味しているのだということが条約改定のときの交渉の経緯において了解されております。
  77. 戸叶里子

    戸叶委員 装備の重要な変更には、いま具体的に例をおっしゃった以外のものは何もないわけでしょうか。外務大臣にお伺いしたいのです。
  78. 安藤吉光

    安藤政府委員 重要なる変更というものの具体的内容は、いまお話のありましたその三種類のものをさしておるということが了解されております。
  79. 戸叶里子

    戸叶委員 それでは、もう一つお伺いしたいのですが、「配置における重要な変更」というときに、たしか安保条約審議で陸軍の場合は一個師団くらいというお話でございましたが、海軍とかあるいは空軍の場合においては内閣委員会等におきましては、その答弁が明確になっていかなかったように思います。その点はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  80. 安藤吉光

    安藤政府委員 空軍におきましては一個空軍師団、海軍におきましては大体一機動部隊、そういうふうに話し合っております。
  81. 戸叶里子

    戸叶委員 今日の戦闘作戦ということから見ますと、陸軍とか空軍とか海軍とかということをばらばらにとって考えるということはちょっと無理じゃないかと私ども思うわけです。したがって、今度の場合にも、原子力潜水艦の寄港をまず問題にして、その次に原子弾頭の積めるような体制に空軍の状態を置く、そういうふうに考えざるを得ないのでございます。これは一連のつながりがないということは言えないと思いますが、この点はいかがでございますか。外務大臣にお伺いしたいと思います。
  82. 大平正芳

    大平国務大臣 たびたび申し上げておるわけでございまして、なしくずしに核兵器の持ち込みを招来するような手順を踏んでおるのだというようなつもりは毛頭ないのでございます。持ち込みを認めない、また持ち込まないという約束でやっておるわけでございまして、その点は、何回申し上げても同じでございますが、御信頼いただきたいと思います。
  83. 戸叶里子

    戸叶委員 いま核兵器は持ち込まないということをたびたびおっしゃったということでございますし、また、先ほど森島委員に対しましても、持ち込まないということは政策として考えており、それを機会あるごとに周知させている、そして今後もその努力をしたい、こういうことをおっしゃいましたが、その大平外務大臣のおっしゃることをそのまま信用するといたしましたならば、私どもがふしぎに思いますことは、それだけの御決意を持っておりながら、国際的にアメリカとの間に核兵器は持ち込みをいたしませんという具体的な条約なり取りきめなりをなぜなさらないかということを私どもは非常にふしぎに思うわけです。そういうことは信用上の問題だからしないでもいいということでは、今日のこの段階に来てはとても私どもは信用することはできないと思います。それだけの強い決意を持っていらっしゃるのですから、せめてアメリカとの間に何か書いたもので核兵器の持ち込みは決していたしませんというような取りきめをされてもしかるべきではないかと思いますけれども、この点についてのお考えはどうでございましょうか。
  84. 大平正芳

    大平国務大臣 昭和三十五年の一月に岸・アイゼンハワー声明が出ておりますことは御承知のとおりでございまして、事前協議におきましては日本政府の意思に反したことはやらぬということがはっきりと最高首脳の間で合意されておるわけでございます。したがって両政府とも、この趣旨に沿いまして、これに反したようなことは一切やらぬということで今日までやってきて、ちっとも支障がないわけでございまして、たびたびこの旨は申し上げておるわけでございます。御質問が幸いにあれば、そのたびごとに申し上げて、国会を通じて国民の皆さまに御安心いただこうというよすがになると思います。
  85. 戸叶里子

    戸叶委員 私ども了承しているのは、重光・アチソン会談において口頭においてはそういうことはされており、それから、いまおっしゃった、岸さんのときに、文書といいましても一片の紙きれを取りかわしているわけでございますけれども、今度になりまして、こういうふうな原子力潜水艦の問題とか、あるいはF105の問題等が起きましたときを機会に、しかも国民が非常に不安に思っております関係もありますから、あらためてアメリカとの間に、国際的な意味から、核兵器は持ち込まないというような何らかの取りきめをはっきりとすべきではないか、しかもそれがうやむやのうちにされないような形において取りきめをすべきではないかと思いますが、この点についてはどうお考えになりますでしょうか。
  86. 大平正芳

    大平国務大臣 ただいま申しましたように、その声明がありまして以来、安保条約の運営上先方もその意図を持っていないということをたびたび申しておりますし、わがほうもそれに疑点を持っていないわけでございます。そういう条件におきまして、あらためてひとつ書きものにしようじゃないかなんと言うのはおかしいじゃないかと思うのです。この大方針を皆さまによく御理解いただくようにしていけば、それで足りると思っております。
  87. 戸叶里子

    戸叶委員 いま大平大臣はあらためてそういうふうな話に持っていくのはおかしいとおっしゃいますけれども、決しておかしくないと思う。おかしいとお考えになるような感覚で原子力潜水艦の寄港とかF105を日本に入れるということが私は問題だと思います。国民は非常にそれを心配しております。おそらく、政府アメリカを絶対的に信用して寄港を認め、そして板付のジェット機をF105にかえても、それはいまのうちは核弾頭をつけていないとか核兵器の持ち込みではないとか言っても、そのうちに必ずそういうふうなことが起こるのじゃないかということは、だれでもこれは心配していることであります。これはアメリカの戦略体制の一部に持っていかれるのだということを非常におそれているわけでございまして、こういう点から申しましても、せめてそのくらいのことは私はアメリカとの間にやるべきではないかというふうに考えますけれども、尋ねて外務大臣にお伺いしますが、そういうことはいまするのはおかしいというお考えでございましょうか。もう一度念のために伺っておきたいと思います。
  88. 大平正芳

    大平国務大臣 あなたのおっしゃるようなことをやると、なおおかしくなるのです。問題は、そういう事態にならぬために日米間の信頼をちゃんとしておかなくてはいかぬわけでございまして、もしかするとずるずるといくかもしれないなんということで、あぶないからひとつ文書をかわしておこうじゃないかというようなことは、私はあなたが希求している目的を達成するために賢明じゃないと思います。
  89. 戸叶里子

    戸叶委員 先ほど森島さんの質問を伺っておりまして、アメリカを絶対に信用していたけれども、こうこうこういうふうに失敗した例があるではないかということをおっしゃっていました。こういうことを私どもは心配するわけです。いかに日本政府だけが絶対信頼だと言ってみたところで、現実の問題としてそうでなかった例がたくさんあるわけでございまして、私どもは、いままでのそうでなかった例、信用を裏切られたような方向に持っていかれるのじゃないかということをだれでも危惧しているわけです。ですから、この点はよくお考えになってやっていただきたいと思います。いかがですか。
  90. 大平正芳

    大平国務大臣 そういう間違いが将来において起こってはいかぬから、それであなたが御心配しておるような事態が起こってはいかぬから、そのためにどうビヘイブするかということは、これはよほど考えていかなければならぬことでございまして、間違いがあってはいかぬからひとつ書きものにしておこうじゃないかというようなことは、私が先ほど申しましたように、賢明な策ではないと思っております。非常に事態を重大と考えておるから私はそう申すわけでございます。
  91. 戸叶里子

    戸叶委員 外務大臣はそうおっしゃいますけれども、国民のほうから言わせると、いざというときには核兵器でも何でも持ち込めるようなふうにしておきたいからきちんとした条約なり何なりを結ばないのではないか、こういう考えのほうが一般に行き渡っておる、それが国民の大部分の考え方であるということをどうぞお考えになっておいていただきたいと思います。  もう一点だけ伺いたいと思いますが、アメリカが先ごろキューバへのミサイルの持ち込みに対しましてアメリカの脅威であるという立場をとったのは御承知の通りでございますが、今度は、中共なりソ連から、原子力潜水艦の日本の寄港あるいはまたF105の板付への入れかえというようなものは中ソにとっての重大な脅威になるというようなことをもしも日本に対して申し入れられるようなことがあったら、一体外務大臣としてはどういうふうな処置をおとりになりますでしょうか。
  92. 大平正芳

    大平国務大臣 兵器科学が時代とともに進んでまいるわけでございますから、軍備をいたしておるどの国も新しく進歩した兵器科学によりまして機種の変更、更新等をやるのは当然でございまして、私がたびたび申し上げておるように、そのような兵器の近代化をやること自体が国際緊張を激化する媒介要因になるんだと私は見ていないのだということを申し上げたわけでございます。いずれの国から御照会がございましても、私はそのように答えていくつもりでございます。
  93. 戸叶里子

    戸叶委員 私は関連質問ですから打ち切りますが、もう一つお伺いしたいことは、この国会も会期が延長されても六月一ぱいかかるかかからないかだと思いますけれども、その後において寄港をさせるというようなことはおやりにならないで、やはりそういう問題が直接起こったときには国会で御報告になっていただけるわけでございますね。その点を確かめておきたいと思います。
  94. 大平正芳

    大平国務大臣 いま進めております手順が私どもの判断でこのあたりで一応でき上がったという段階までは、いままでのような照会をいたしたり、検討いたしたりする時間があるだろうと思います。そういうことを見きわめた上で、最後にどのような姿にするか、これはよく考えてみなければならぬと思っております。国会の開会とか閉会とかいうことにかかわりなく、この問題の処理につきましては終始慎重にやってまいるつもりです。
  95. 戸叶里子

    戸叶委員 国会開会とか閉会とかに関係なくというたいへん重大な発言をされているわけでございますが、私はこの程度で次の方に譲りたいと思います。  先ほどの問題について説明をしていただきたいと思います。
  96. 安藤吉光

    安藤政府委員 骨子は先ほど大臣から御説明がありました通りでございますが、ワシントンに照会いたしましたところ、きわめて最近回答が参りまして、プロトンのゼネラル・ダイナミックス社工場で建造中の原子力潜水艦フラッシャー号において火災事故が起きたが、これは原子炉はこの事故の中に含まれてないということでございます。それは七日のことでございますが、八日のカリフォルニアのメア・アイランド海軍工廠で建造中であった。ポラリス潜水艦のウッドロー・ウィルコン号、これは原因は配電盤にケーブルが接触したためであって、原子炉とは関係がない、こういうことであります。これだけが取り上げられております。
  97. 野田武夫

    野田委員長 川上貫一君。
  98. 川上貫一

    ○川上委員 外務大臣にお尋ねをいたします。私の主たる質問は三点であります。時間もたくさんありませんから要点だけを質問します。答弁も簡潔に願いたい。  F105の問題。F105という飛行機は原水爆による攻撃を主目的とする長距離、超音速の最新最鋭と言われる核攻撃戦闘爆撃機であります。これは御承知のとおりであります。だから、原水爆投射用の高度の原子投射装置を持っておるこのF105が何月何日に板付その他で水爆、原爆を何個持っておるか持っておらぬかというようなことは問題にならぬと思う。そうではなくて、問題は、核攻撃を主たる目的とするF105を日本の本土に配置したということ、問題はこれなんです。この戦闘爆撃機は、その高度からして、その速度からして、その構造からして、その機能からして、地上作戦の援護には役に立たぬものである。これは長距離、高度の核兵器の爆撃機なんです。繰り返して言いますが、このF105を配置したということ、ちょっと立ち寄るという問題ではないので、配置したのです。これは明らかに原子力潜水艦の寄港とともに公然と日本の本土を核攻撃の基地にしたこと以外の何ものでもないと思う。外務大臣はこれをどうお考えになっておるか、これが一点であります。アメリカ局長に聞いておるのではない。外務大臣に聞いておる。
  99. 大平正芳

    大平国務大臣 たびたび申し上げておりますように、兵器の近代化計画に沿いまし、老朽化いたしました飛行機をF105にかえたというにすぎないので、これは、アメリカ本土はもとより、欧州におきましても、太平洋地域においても、順次そういう更新が行なわれておることの一環であるということは、この前の委員会でも申し上げたとおりでございます。原子力を推進力とする潜水艦ができた、それが就航しておるということと同様に、これは兵器近代化計画一般の趨勢でございまして、これが極東における戦略体制に新しい異変をもたらすというようには私は見ていないということは、川上先生にもたびたび申し上げたとおりでございます。
  100. 川上貫一

    ○川上委員 外務大臣に聞きますが、しかし、政府は、もう繰り返して、核兵器の持ち込みは断わる、こう言うておられる。これはどういう意味ですか。この核兵器を断わるという意味は、言うまでもないことですけれども、一朝事があった場合に、日本の本土が核攻撃の基地になる、これを全国民が反対しておるからでしょう。物理的な問題ではありますまい。政治的な問題でしょう。しかるに、このF105というのを配備したのです。この配置は、すなわち肝あるときには日本が核攻撃の基地になること明瞭です。これを明瞭じゃないと言われますか。明瞭でしょう。あなた方はこれを許しておる。ただ口の先で核兵器の持ち込みは断わると繰り返しておられる。これはどういう意味があるのですか。無意味じゃないですか。核兵器を断わるという意味はどういう意味なんです。一朝事あるときに日本が核攻撃の基地になってはならぬから核兵器の持ち込みを断わる、こう言うておられる。F105を配置しておられる。これは核兵器攻撃を主目的とする戦闘爆撃機なんです。日本が核攻撃の基地になっておる。この前提に立ってものを考えたらよかろうと思う。核兵器は断わるということは何にも意味がない。いつ断わるのです。私は続けて言うが、一朝事あるときに、アメリカは、これから核を持ってくる、こんなことを言いますか。そんなことじゃ戦争にならぬ。言いっこないです。外務大臣、どう思いますか。まじめに答えて下さい。これは国民が最も心配しておることですから。
  101. 大平正芳

    大平国務大臣 最高度にまじめな意味で、私は、いまの兵器の発達、近代化ということは、戦争を避けるために、戦争を抑制するために、平和を守るためにやっておるわけでございまして、兵器科学が発達してまいったときに、アメリカだけが日本においては古い通常兵器でやるのだというようなことはきわめて非常識だと思うのです。在日米軍も機種をかえるとか、近代化計画の一環として兵器が更新されていくということは、当然の筋道であろうと思うのでございます。日本を守るという義務を持っておるアメリカに対しまして、日本だけはひとつ老朽化したものでやってくれというようなことは、私はこれは常識的じゃないと考えております。  それから、第二点の、核の持ち込みは認めないということにつきましては、先ほど戸叶さんにも申し上げましたように、政府はこういう方針でおりますということを本委員会に申し上げておるわけでございまして、資料も配付いたしておるわけでございます。こちらもこれを認める意思はないということ、先方も持ち込む意図はないということでございまして、今日までそのように、やってきておるわけでございます。今後もこの方針で対処して間違いはないと思っております。
  102. 川上貫一

    ○川上委員 その答弁がむちゃくちゃなんですよ。核を認めない認めないとおっしゃいますが、核攻撃を主目的とする戦闘爆撃機を配置したのを承知したのです。平和のためとおっしゃるが、それなら105はまさかの場合に絶対に戦争をしないのですか。そんなことはあり得ない。そうすれば、事前協議をいつするのですか、一朝事あるときには、これから核兵器を持ってきますとアメリカが言うのですか。外務大臣、ほんとうにどう思いますか。そんな戦争というものがありますか。これを国民はおそれておるのでしょう。核弾頭を物理的におそれておるのじゃない。これを使われて日本が攻撃基地になるということをおそれておるのです。なるじゃないですか。配置を認めて、攻撃基地にされてしもうたじゃないですか。この点については外務大臣のいまの御答弁はちっとも答弁にならぬ。どうです。
  103. 大平正芳

    大平国務大臣 川上先生は、兵器があれば戦争が起こるということで、戦争と兵器との関係において若干私よりポジティブな考え方のようでございます。私は、兵器というのは戦争を抑制するためにあると思っておるわけでございます。兵器が精強になればなるほど戦争に対する抑制力はふえてくるというように考えております。
  104. 川上貫一

    ○川上委員 奇妙な答弁です。これほど奇妙な答弁はめったに聞いたことがない。われわれは戦争を好みません。絶対反対です。反対ですが、われわれが反対をする、好まぬということと、戦争というものはあり得ないんだということは違います。時間もありませんから、この問題で押し問答をしません。あなたの答弁はそれを繰り返すだけで、政府の醜態をさらすだけなんです。  第三点。あななた方の御答弁によると、今後F105が横田へ来ようが三沢へ来ようがどこに来ようが、野放しですから、事前協議はないはずです。事態は明瞭じゃないですか。すなわち、日本全土が核攻撃の基地になろうが、どんな重大な戦略配置の変更があろうが、どんな大きな装備の変更があろうが事前協議の対象にはならぬ。事前協議というものが行なわれるときはありません。いざ非常事態だということになれば、ボタン一つ押したら行きおるのです。どこで事前協議をするのですか。ありはせぬです。また、核攻撃を目的とするF105が核弾頭を持っておらぬとあなたはおっしゃる。どこへ取りに行くのですか。いざ非常事態という時分に、グアムまでひょろひょろ取りに行くのですか。それを政府は調べる権能はないのでしょう。こんなことを許しておいて、核兵器の持ち込みは断わると言う。これは国会と国民を愚弄することです。こんなことは通用しません。私はこれを心配するのです。このことは一体何を物語っておるかという点です。これはこうじゃないですか。安全保障条約に縛られておる限り、日本は、アメリカの戦争政策に基づくことなら、どんな要求をされても、何でも一切がっさい承諾しなければならぬ、ここへ落ち込んでいる証拠じゃな  いですか。これは証拠でないとは言えないと思う。これが安保条約に縛られておる正体です。いわゆる事前協議の正体です。これが原子力潜水艦の寄港です。F105もこれです。つけ加えて言えば、これが日韓会談なんです。さらにつけ加えて言えば、これがあなた方がねらっておる軍国主義復活の下地なんです。私は時間がないから多く言いませんが、外務大臣、あなたは日本をアジアの憲兵にするつもりですか。日本アメリカの核戦略の基地にしてしまつて、平和の問題じゃありません。この祖国がアジアにおける戦争と侵略と、干渉の原爆の基地になり、拠点になる。外務大臣日本を平和のとりでにするために尽くすべきだ。アジアにおける憲兵にするために尽くすべきではない。これをどう思いますか。一議員の質問だからいいかげんに答えればよいという問題ではありません。日本民族の運命をになう外交を担当する外務大臣は、こういう問題については率直に考えられる必要があると思う。私は、反対のために反対をしておりません。実際上の問題について外務大臣の反省を促しておる。私の質問をこれで打ち切りますが、外務大臣の所見があればおっしゃってください。
  105. 大平正芳

    大平国務大臣 兵器の近代化それ自体と安保条約は別に関係はないと思います。在来の兵器がだんだんと進歩してまいりまして、新しいものに置きかえていくということ自体は、直接安保条約関係はないと私は思います。  それから、安保条約の評価でございますが、私は、いま日本の置かれた環境から申しまして、わが国の平和と安全を守る最も有効かつ賢明なこれは体制であると考えておるわけでございます。その証拠に、過去十数年間わが国の平和、安全は保障されて、私どもは経済その他の領域におきまして大いにみずからの力を培養することができたわけでございますので、このメリットは高く評価すべきものと心得ておるわけでございます。遺憾ながら川上先生と所見を異にすることをやむを得ないと考えております。
  106. 野田武夫

    野田委員長 戸叶里子君から一言だけ関連しての質問がありますから、これを許します。
  107. 戸叶里子

    戸叶委員 さっき確かめておきたかったことを忘れましたので、これはあとで重要な問題になりますからちょっと伺っておきたいと思います。  先ほど装備の重要な変更というものを具体的に伺いましたところ、核弾頭とかIRBM、ICBMだけであるということをお話しになったわけでございます。そこで、第六条の交換公文をきめるときに、こういうふうな問題について触れられて、これを想定して第六条の交換公文ができたのかどうか、この点を念のために伺っておきたいと思います。つまり、交換公文をやりとりする場合に、IRBMとかICBM、それから核弾頭、これだけが装備の変更を意味するのだ、そういう話し合いで交換公文ができたのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  108. 安藤吉光

    安藤政府委員 先ほども申し上げました通り、安保条約交渉の過程におきまして、この交換公文に関連いたしまして、重要な装備の変更とは、具体的に言えば、核兵器ということ、それから中長距離ミサイルの導入を意味するのだというふうに了解はなっております。
  109. 野田武夫

    野田委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十七分散会