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1962-12-07 第41回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十二月七日(金曜日)    午前十時二十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石谷 憲男君    理事            西田 信一君    委員            小沢久太郎君            上林 忠次君            西郷吉之助君            館  哲二君            鍋島 直紹君            安井  謙君            湯澤三千男君            占部 秀男君            鈴木  壽君            林  虎雄君            松澤 兼人君            松本 賢一君            鈴木 一弘君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   説明員    中小企業庁長官 樋詰 誠明君   —————————————   本日の会議に付した案件地方行政改革に関する調査  (激甚災害適用基準に関する件)   —————————————
  2. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  本日は、地方行政改革に関する調査を議題といたします。  鍋島委員から激甚災適用及び特別の財政援助等法律実施に関しまして、中小企業適用に伴う諸問題について調査いたしたいとのお申し出がございますので、これについて調査を行ないたいと存じます。中小企業庁からは樋詰長官が出席いたしております。御質疑のおありの方は御発言を願います。
  3. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 先般、激甚災につきまして、特別な財政援助法律が通ったのでございますが、それの適用について、きょう中央防災会議が開かれて、大体その全貌が明らかになるということを聞いております。そのうちで北九州災害北海道災害等が、激甚災の第一段階として指定され、さらにそれに基づいて、その激甚災の第一段階指定に基づいて、地区指定が行なわれる。大体その主力は公共土木事業及び農地等の問題で、大体このことは明らかになっておりますが、激甚災指定が行なわれ、次に地区指定がされる。その地区指定基準は、御承知のとおり、地元負担財政収入額の二〇%をこえる場合が都道府県であり、一〇%の場合が市町村である。そういう基準が一応明らかになっておるのでございますが、この法律によりますと、中小企業関係では、十二条の中小企業信用保険、十三条の同じく振興資金貸付、同じく十四条の共同施設貸付ですか、それから十五条の資金の融通、内容的に見ますと資金ワクの拡大と、それから償還期限延長と、さらにひどくなった場合における利子補給というような問題があるかと思います。この点が、実は激甚災適用を、地区指定を受けた場合、十二条から十五条に至る四条が、実は全部常識的には受けるものというふうに考えておりましたところ、そうでもないようでありますし、激甚災指定を受けた場合、中小企業に対する恩恵というものがどういうふうに行なわれるか。その基準、あるいはその辺の事情をちょっと承りたいと思っております。
  4. 樋詰誠明

    説明員樋詰誠明君) ただいま先生の御指摘になりました中小企業関係激甚災害に伴いましては、四つ特例があるわけでございます。従来この四つ特例を大体適用して参りましたものは、たとえばチリ津波級以上の災害というようなことで、災害の額にいたしまして、相当被害額中小企業にあったというものの中の、実績におきまして八七%、件数におきましては二十八件のうちの八件。ですから残りの二十件は、これは特別な措置は講ぜられておらなかったわけでございます。大体金額にいたしまして、八七%程度のものが激甚災害として特別の措置を受け取ったわけであります。今回政令で規定されましたものに基づきまして基準を作って、本日防災会議にお諮りするわけでございますが、その際には大体従来受けておりましたいろいろな特例措置を少なくとも下回らない、これを若干でも上回るということを目標に作ったわけでございます。  で、具体的には、全国中小企業所得の〇・二%以上の被害があった場合、あるいは全国中小企業所得の〇・〇六%の被害があり、またそれを一つの県について見た場合に、その県の中小企業所得の二%をこえるという県があるといった場合には、従来の激甚災害として考えられてとられましたところの金利の引き下げあるいは保険関係保険料引き下げ、それから保険の別ワク計算、それから填補率を引き上げるといったような保険関係措置、それから組合につきましての協同組合等施設災害復旧に対する補助及び十三条関係振興資金等助成法による貸付金償還期間特例、この四つをやることにいたしております。  で、これはこの四つを全部適用する例でございまして、具体的に申しますと、大体全国中小企業所得と申しますものが、約七兆七千億程度であろうと本年度は推察されます。したがいまして、それの〇・二%ということになりますと、大体百五十億程度ということでございます。したがいまして百五十億程度被害額というものは、それは今申し上げました四つ措置を全部やる、それから百五十億にはいかないけれども、それの三掛け、〇・〇六%でございます、約五十億程度災害であって、しかもその災害が比較的特定の県に集中しておるために、その県の中小企業所得のそれが五十分の一以上をこえているという場合には、ただいまの四つのものを適用するということになっております。そういたしますととにかく五十億程度被害がなければならないということになりまして、相当大きな被害であるわけでございます。で、過去の実例から申しますと、先ほど申し上げましたチリ津波といったようなもの以上ということになりまして、大体それが七十億程度被害ということになっております。ただ、これでは、たとえばこの前の北九州の水害といったようなもの、あるいは福江の大火といったようなものは、一応この基準に入り得ないということになるわけでございます。  そこでわれわれといたしましては、何とかこの福江あるいは北九州というようなものまで入るということにならないかということでいろいろ折衝してみたわけでございますが、これを全部激甚災害ということになりますと、およそ災害を受けたもののほとんどすべてが激甚災害ということになって、激甚という以上は、やはりそれが八割五分とか九割というところで、これが九六%にも七%にもなるというのでは、これは激甚災害というのが激甚じゃなくて、ほかの一般公共施設関係等とのバランスもとれないといったような話がございましたので、四つ適用を受けるのは今のような基準に従い、それまでに至らないものにつきましては、たとえば火災ですっかり特定の地域がやられたといったような場合、あるいは保険料率を下げ、あるいは保険填補率を引き上げ、今まであった保険の限度をこえて、また新しく保険を付するといったような道を講ずることによって、今後の立ち直り資金というようなものが得られるというものについては、できるだけこの信用保険の道を拡充することによって金融をつけてやりたいということから、この十二条につきましては、ただいま申し上げました基準に至らない場合でも、ケースバイケースでひとつ検討して、保険填補率を引き上げたり、あるいは保険料率を下げたりということについて、所要の措置をとっていきたいというふうに考えておるわけでございまして、その基準以下のどういう場合にどうするかということにつきましては、今度、関係行政庁の間でケースバイケース個々案件について処理していきたいと考えております。
  5. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 そうしますと、十二条から十五条まで四つあるわけですが、この四つ適用されるという場合は、市町村あるいは県等激甚災害指定された場合があっても、直ちにそれに伴って自動的に発動するということじゃなくして、繰り返して申し上げますが、今いろいろ基準を言われた全国中小企業所得ですか、これは。
  6. 樋詰誠明

    説明員樋詰誠明君) そうであります。中小企業所得であります。
  7. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 所得の〇・二%、あるいは所得の〇・〇六%、今度の場合は五十億、その場合において、一県のまた所得の〇・二%に満たない……。
  8. 樋詰誠明

    説明員樋詰誠明君) 二%です。
  9. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 それに満たない場合があれば、自動的には、その条件にかなわぬ限り、中小企業恩典というものは四つの条項では出てこない。したがって、第一の十二条でございますが、この信用保険協会関係ですね、中小企業信用保険関係ケースバイケースでやるけれども、その他の場合が自動的に激甚地指定されても、今の条件に満たない限りはできないようになっておる、こういうことになるわけですね。それが、実をいうと、常識的には激甚災指定される、そこは農村もあろうし、都市部もあろうが、特に農村の場合は非常に弱い中小企業がたくさんある。したがって、被害額としては非常に災害地の五十億に満たない場合も多いと思いますが、それは結局十二条だけで、あとの三条というものは発動されないわけだから、恩典が何か少ないような感じを常識的に受けるわけです。しかし、それも今言われるように、従来の過去の、実績によってそういう基準を設けたのだからやむを得ない、こういうことなんであろうと思いますが、この点がひとつ、やはり今後問題として残されていくんじゃなかろうかと私は思います。  そこで、伺いたいのは、そのほかに何か——それが適用されなくて、全然適用しないのだといってつっぱなしてしまうのですか。それとも何かほかに、一応の基準をきめたものの何か激甚地中小企業、特に農村であって五十億に満たないものであっても、現実に農村の弱い中小企業災害を受けたところがあるわけですから、救い道がないかどうか、この点のひとつ御見解を承りたい。
  10. 樋詰誠明

    説明員樋詰誠明君) 結論から先に申し上げますと、この基準は一応防災会議で御承認いただきまして決定していただきましたら、先ほど申し上げたものにちょっと該当しないものは、保険以外は無理だという格好になっております。ただ、われわれはできるだけ、中小企業被害を受けられた方々が、将来立ち直るのに少しでも便利になるようにということで、政府金融機関につきまして貸付条件緩和でございますとか、あるいは既往貸付支払いの猶予でありますとか、あるいは償還条件緩和でありますとか、いろいろなことを今まで指導をいたしてきております。また、各金融機関それぞれの実情に応じて、本部から、今回はこういう措置をとれというようなことをそのつど流したり、あるいは支店長のほうに、ここまではひとつ支店長限りで裁量して、個々事情に応じて、できるだけのごめんどうをみるようにということを、あらかじめ渡してございますので、われわれ政府金融機関に関します限りにおきましては、こういう行政指導の面において、できるだけ条件緩和する、借りやすいように、また返しにくい方には、ある程度期間を待ってゆっくり返していただくようにということでやっていきたい、そういうふうに考えます。
  11. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 そこで、その基準は一応きょう防災会議にかかるので、ここでどうだこうだといって論議してもしようがないからやめます。ただ問題は、今私が申し上げましたように、激甚災というものが北九州災害北海道災害——今年の場合、国がそれを認め、さらに地区指定が行なわれて、A県あるいはB市C町村というふうに、それぞれ激甚災が行なわれる。公共災害についても、農地災害等々についても法律適用されてくる。しかし、そういう実態にありながら、それとは全然別個の問題として、中小企業については今のような条件に満たないから、信用保険の十二条の恩典を受けるけれども、あとの十三、十四、十五条の恩典は、何か基準があって受けられない。そういう点に実はまだ納得できない矛盾を感じるのです。激甚災法律というものは、やはり地区指定がされれば、常識的には、これは各市町村も県も、地方においては一応そういう政府指定があれば、中小企業であろうと、農地であろうと、公共土木であろうと、公共施設のものであろうと、すべてのものが激甚地としての国の恩典を受けるというふうに考えるのが当然じゃなかろうか。にもかかわらず、一番弱い中小企業の点に何か基準があって、何といいますか、恩典が受けられないという点に矛盾を感じます。今いろいろ申し上げることはやめますが、いろいろ議論してもしようがないですから、一応その事情を伺っておきますが、この点についてまだ常識的に納得できない点を留保しておきたいと思います。  それで次の質問ですが、そのほかに今、長官が、言われましたように、特に償還期限延長などは、この十三、十四、十五条が正式適用を受けなくても、何とかやっていただきたいし、やるような方法ができないものかどうか。そのほかに、これはこの適用を受けないからといったって、激甚地の五十億に満たない中小企業実態というものは、災害地なんですから、やはり困っておるにきまっておるわけで、特に償還期限延長などをやっていただかぬ限り、これは中小企業対策としては非常に困るのじゃないかということが一つ。それから激甚災適用を受けないような集中豪雨などの局地的なもの、ある町、ある二カ村、三カ村、そういうような場合におけるその地区というものは、激甚災適用を受けませんけれども、非常に被害が甚大で、金額がそうわからないかもしれませんが、農村地区であれば、そういう点に対する中小企業恩典というか、そういった点をお考えになっておるかどうか、この二点を伺いたい。
  12. 樋詰誠明

    説明員樋詰誠明君) 激甚災害指定されませんでも、たとえば政府金融機関あたりからの支払い条件償還条件緩和、あるいは借り入れ条件緩和期間延長といった点につきましては、これはたとえばこの北九州災害等につきましても起こったときにすぐに本部のほうから別ワクを配付し、あるいはこれについては特に待ってやれというような指示もいたしております。で、われわれといたしましては、従来激甚災害といったようなもので特に指定にならないでも、先ほど来申し上げておりますように、できるだけ政府金融機関の金繰りのつく限りはひとつめんどうをみるようにということで指導いたしております。また現に実施もいたしておりますので、今後ともたとえ激甚災害として指定はされなくても、そういう金融機関がむりやりに取り立てたり、あるいは非常にむずかしいことを言って金を貸さなかったりというようなことにならないように確保していきたい、そういうふうに考えております。
  13. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 償還期限延長等はある程度できますか。
  14. 樋詰誠明

    説明員樋詰誠明君) これは可能でございます。また、やっているはずでございます。
  15. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 やっておりますか。
  16. 樋詰誠明

    説明員樋詰誠明君) はあ。
  17. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 大体全貌が明らかになりましたので、私はきょうはこの程度でやめますが、今後どうしてもこの激甚災指定が具体化していくときに、その一つ一つ条件に合わないと中小企業対策が抜けたり、あるいはほかの条文のやつが抜けたりするような関係で、今申し上げた点、何となく、まだ私は納得いきません。これは今後ひとつもう少しこちらも勉強し、防災会議がきょうありますから、ここで論議を進めておっても無理ですから、さらにこの点について再質問を留保することにして、きょうはやめます。
  18. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) ほかに御発言もないようでございますから、本日の調査はこの程度にいたしたいと存じます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  19. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 速記を始めて。  臨時国会での調査承認要求のための委員会は明十二月八日午前十時三十分に開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時四十三分散会