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1962-03-29 第40回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十九日(木曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    主査      亀田 得治君    副主査     植垣弥一郎君    委員            小柳 牧衞君            館  哲二君            一松 定吉君            湯澤三千男君            高田なほ子君            藤田  進君   政府委員    宮内庁次長   瓜生 順良君    皇室経済主管  小畑  忠君   事務局側    事 務 次 長 宮坂 完孝君    管 理 部 長 佐藤 吉弘君    人 事 課 長 二見 次夫君   衆議院事務局側    事 務 次 長 久保田義麿君    庶 務 部 長 藤野 重信君   裁判官弾劾裁判所事務局側    事 務 局 長 隈井  亨君   裁判官訴追委員会事務局側    事 務 局 長 福島 尚武君   国立国会図書館側    副  館  長 岡部 史郎君   説明員    大蔵省主計局主    計官      赤羽  桂君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十七年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 亀田得治

    主査亀田得治君) これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和三十七年度予算中、皇室費を議題といたします。  まず、説明を求めます。小畑皇室経済主管
  3. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 昭和三十七年度皇室費歳出予算についてその概要を御説明いたします。  本歳出予算に計上いたしました金額は、五億一千七百五十九万二千円でありまして、その内訳は内廷費五千八百万円、宮廷費四億四千六十九万二千円、皇族費一千八百九十万円であります。  これを前年度予算に比較いたしますと、四千五百六十五万六千円の増加となっております。  そのおもなものについて、事項別に申し述べますと、内廷費は、皇室経済法第四条に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上したもので、前年度同額となっております。  宮廷費は、内廷費以外の宮廷において必要な経費を計上したもので、その内容といたしましては、儀典費等皇室の公的御活動に必要な経費三千八十六万八千円、皇居造営準備に必要な経費三千二百五十三万四千円、皇居付属庭園整備に必要な経費八千六百二十八万七千円、その他皇室用財産管理等に必要な経費二億九千百万三千円等でありまして、前年度と比較いたしますと、約四千五百万円の増加となっております。  皇族費は、皇室経済法第六条に基づき、同法施行法第八条に規定する定額を計上したもので、前年度同額となっております。  以上をもちまして、昭和三十七年度皇室費歳出予算概要説明を終わります。  よろしく御審議あらんことをお願いいたします。
  4. 亀田得治

    主査亀田得治君) 質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  5. 藤田進

    藤田進君 きょうは宮内庁長官をお呼びしたわけですが、何か第一日の二十七日はどうも都合が悪いというので本日二十九日に振りかえたつもりでしたが、それでもなおかつだめだということですが、どういう理由ですか。
  6. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) きょう午前中にちょっと両陛下がソニーの工場並びに東京タワーにお出かけになっておりますので、その供奉官としてどうしてもお供しなければならないということで都合が悪かったようです。
  7. 藤田進

    藤田進君 二十七日はどうだったのですか。
  8. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 宮内庁側から二十七日を変えていただきたいということを特に言ったことはないようです。
  9. 藤田進

    藤田進君 何か手違いがあったようで、瓜生次長も長い次長さんですから、ひとつこれからお答えいただきます。  まず最初に、盛んにうわさをされている、この中には、まあ興味本位のものもありますが、皇族としての義宮の御結婚のことですが、その後宮内庁とされてどういう取り運びになり、今後の大体の日取りといったようなことをまずお伺いします。
  10. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 義宮様のおきさきをどうするかという問題につきましては、義宮様はすでに昨年の十一月の御誕生日で満二十六才になっておられますので、御結婚になってもよいまあお年になっておられるわけでありまして、われわれ奉仕しております者といたしましては、適当な方がないかということで義宮様の御意見も聞きながらいろいろ調査をいたしておりまするのでございまするが、それではこの方がどうかというような結論に近づく時期にはまだ至っておらないのでございます。それではその見通しはどうかというようなことになりますると、これはなかなかこういう問題は事務的な処理の問題でもないので、御縁の問題でございまするので、まあいつになりますか、そう遠い将来までそのままになるとは思いませんのですけれども、それじゃいつごろかと言われますと、これはなかなかちょっと見通しとしてそれじゃこのくらいのところでございましょうというふうに申し上げることは非常にむずかしい問題でございます。そういうようなことでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  11. 藤田進

    藤田進君 まあ国民としては、いろいろうわさもされているし、皇太子の御結婚が御承知のようなわけで、今度はどうであろうかということを持つのは当然だと思うのですが、どういう範囲でお探しになっておりますか。
  12. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 調査範囲は、これは以前ですと、まあ皇族関係とかあるいは華族の上のほうとか、そういうような範囲でいろいろ選考しておったことと存じまするが、しかしながら、現在においてはそういうものにはあまり拘泥しないで——もちろんそういうような家庭調査の対象にはなりまするが、それにさらに広げまして、そういうようなことにかかわらないで、やはりしっかりしたよい家庭のお嬢さんでいい方がないかというふうに調査をいたしておりますわけで、調査範囲は相当広いわけでございます。
  13. 藤田進

    藤田進君 今度の場合どうですか、御本人のお気持等皇太子あるいは清宮みたいなそういうケースなのか、周囲の方が適当だと思われる方をおすすめになるという——大きく分けて二つの方法がありますね。御本人同士のとあるいは周囲のと、今度の場合はどちらになりそうですか。
  14. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) それはなかなかむずかしいことでございまするが、御本人として特にこういう方と交際されておってこうというようなこともなさそうでございます。で、まあ結局周囲の者でいろいろ調査いたしまして、御本人のお気持も聞いたりして、そうして進めていくということになると思います。
  15. 藤田進

    藤田進君 大体今のところ何人くらいにしぼられておるのですか。
  16. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これはまだぐっとしぼるというところまできておりません。ぐっと広げて調べておるというようなところでございます。
  17. 藤田進

    藤田進君 今年度予算の増額が大体造営費が中心のように思いますが、これは御結婚なさるということになれば、皇族でありまするし、いわゆる国費所要部分も相当あるのでありますか。
  18. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 御結婚になりまするとすれば、それに伴い、国費予算というものをある程度必要とするということは考えられまするが、しかし、今度の三十七年度のこの予算の中には、そうしたことは見込んではございませんでございます。で、すぐ三十七年度中に必要になったらどうかということでございまするが、そういう場合には、この既定の経費でまかないかねる点につきましては、場合によっては予備費でお願いするとか、あるいは補正予算で組んでいただければ補正予算で組んでいただくと、そういうような方法を考えたいと思うのでございまするが、しかし、経費としてはそう多くの金額にはならないと思います。この前の皇太子殿下の御成婚の際の国の予算としてお願いいたしましたのが、この祝宴費で約千九百万円、造営その他の経費、そういういうものが人件費までくれまして——あの場合は人員の増加がございましたが、その人件費まで入れまして約一千万円、合わせて三千万でありました。しかしながら、皇太子の場合と義宮さんの場合はだいぶ事情が違うと思います。皇太子殿下の場合ですと、御結婚の儀の主要なる部分国事として行なわれまして、これは世継ぎの方というふうにきまっている方でありまして、義宮さんの場合ですと、皇位継承権者ということで、非常に皇位継承権者の方ではずっと上のほうの地位の方ではございますが、やや身分が違いますので、そういうような御結婚の場合にはいまだ方針もきまっておりませんが、しかし、まあ国事として行なわれるのでなくて、宮廷の公事として行なわれるということになるのじゃないかと思います。したがって、祝宴経費というものも披露のときに呼ばれる範囲の方もずっと少ないと思いまするし、したがって、そういう経費も少なくて済むだろうと思いまするが、経費としては、皇太子殿下の場合に比較すると少なくて済むと思っております。
  19. 藤田進

    藤田進君 それにしても予算措置は、多寡にかかわらず必要だということをお認めになっているわけですが、今度きまりまするこの予算で見れば、その費用は計上されておりませんが、可能性としては、あるいは予備費補正予算といったようなことを本年度、まあ三十七年度ですね、行なうような可能性がありそうなんですか。どうも本年度、すなわち三十七年度予算では可能性はなさそうなんですか。予算的にもひとつお聞かせいただきたい。
  20. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは御結婚の問題と関連するので非常にむずかしい問題でございまするが、可能性は全然ないとは申し上げかねるわけであります。しかし、可能性が非常に濃いかというとそうも申し上げかねる。で、あるいは来年度三十八年度のほうにいくかもしれませんし、そこらあたりがまだ今の段階ではちょっとはっきりいたしませんので、可能性はありまするが、しかし、それが濃厚とも申し上げかねるということでございます。
  21. 藤田進

    藤田進君 まあ普通庶民の場合でもいろいろあるわけで、きまりまして間もなく挙式ということがありますが、しかし、皇室のことですし、正式にきまり、かつ、発表されてから御結婚があるまである程度の日子を必要とするだろうと思うのです。準備もございましょう。あるいはお住居のこともございましょう。そういうことから見て、どの程度予定日が必要と思われますか。儀式上その他宮様の私的ないろいろな事情がありましょうし、大体見て皇族の場合どの程度期間があって式をおあげになるという見込みはあるはずであります。どのくらいを予定されておりますか。
  22. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 御婚約がきまり、それから御結婚という間の期間がどのくらいかという御質問かと思いまするが、皇太子殿下の場合の例を申しますると、十一月の下旬に御婚約のことがきまりまして、それから御結婚が四月でございました。ですから五カ月の間であります。で、まあこれはどういう方と御結婚になるか、また、そのおきさきになられる予定のその方の事情もございましょうし、したがって、じゃこれだけの期間がきまった期間だということは申し上げかねまするが、皇太子殿下の場合の例を考えますると、まあ半年ぐらいはどうしても先になるのじゃないかというふうに普通は考えられます。
  23. 藤田進

    藤田進君 そうなると、三十七年度における予算措置ということになれば、大体十月、十一月ごろにはきまると見なければならぬ。その辺はあれですか、本年度中に予算措置が必要になると、言いかえれば御結婚がきまりそうだということは、重ねて伺いますが、ないのでしょうか。
  24. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは先ほど申し上げましたように、可能性はないとは申し上げかねるわけで、しかし、とにかく御結婚のような問題は御縁の問題でありまして、なかなか普通の事務計画するようにきちっとなりかねるもので、また、そういうふうにあまり事務的にやるとともこれは感心しない性質のものでございまするので、何とも申し上げかねるのでありまして、可能性はないとは申し上げませんが、しかし、それが濃厚だとも申し上げかねるというようなことでございます。
  25. 藤田進

    藤田進君 お住居についてはどうなんですか。皇族の今度義宮が御結婚なさるということになれば、これは宮廷費内廷費か、あるいは私的なものに分けて、どういうふうにされますか。住居を新しく建てられるのか、あるいは既設のものを何か利用なさるのか。
  26. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) お住居関係は現在は皇居の中の義宮御殿というところにお住みになっておりますけれども、いずれにしてもあの建物は、宮殿造営する際にはあの一帯の建物は撤壊しなければいけないので、いずれにしてもこれは三十八年度中には撤壊しなくちゃいけないという御予定建物であります。で、御結婚になるならぬにかかわらず、義宮さんはいずれにしてもどこかにお住みになる所を考えなくちゃなりません。そこで現在考えておりまするのは、渋谷の常磐松の前皇太子殿下がお住みになっていた東宮仮御所といった建物、これは現在あいておりますので、とりあえずはそこを少しきれいにしてお住みになることを考えたらどうかというふうに考えております。
  27. 藤田進

    藤田進君 当面はそういった予算措置住居については要らないということですか。
  28. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) すぐには要らない。しかしながら、この常磐松のあの建物は、これは相当古い建物でありまして、で、なお義宮さんがお住みになるには少し広過ぎるのじゃないか。皇太子殿下の場合に比較しますと、他の皇族さんの場合はもう少し御生活の規模が小さいものですから、そういう点で広過ぎるのじゃないかというようなこともあったりして、したがって、先々では適当な広さでお住みやすいような建物を作るというようなことを考えなくちゃならぬのじゃないだろうかというようなことを考えておりまするが、これは先々の問題で、まあ当分は幾らか不完全でも、今あいているところがあるから、そこをきれいにしてお住みを願うというように考えたらどうかというふうなことを考えております。
  29. 藤田進

    藤田進君 本年度に、新規造営せられるまあ関係予算が若干載っておるのですが、新しく宮殿を建て造営されるという。この従来までの進捗の状況、それから今後この見通しとして大よそいつごろの予算造営費というものを本格的に組まなければならなくなるのか。まあ今その進み工合で、大よそ今の物価その他でどの程度予算を必要とするか。当初よりも若干変わってくるものじゃないだろうか。設計が同じならば物価その他の値上がりというものでかなり増大するのじゃないだろうかと思われるので、その辺をひとつ御説明いただきたい。
  30. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この皇居造営関係では、両陛下のお住まいになるほうのお住居はまあできました。で、今度は、公のいろいろな行事をなさる宮殿造営の問題でありますが、この宮殿造営につきましては、三十七年度中に設計を完了して、三十八年度から工事にかかる。で、三十八、九、十、四十一と、昭和四十一年まで、まあ四カ年ぐらいの間にその工事を行なうというような大体のプランでおります。この経費がどれくらいになりますかというようなことは、設計が固まりませんとはっきりしないわけでありますが、現在盛んにまあ設計をやりつつあります。で、その前に、皇居造営審議会が開かれて、その際にいろいろ御審議を願いましたが、その際に一応何か試みの案がないかというようなお話がありまして、試みのラフな案を一応ごらんにいれたことがございます。その案ですと、ざっとまあ七十億くらいかかるのじゃないかという計算でありました。しかし、現在設計をいたしておりまする分はそれとは幾らかこう小さくしております。それは前庭を広くして、新年ですとか天皇誕生日にも、一般国民が参賀においでになれるようなことにしたほうがいいという御意見皇居造営審議会のほうにありまして、皇居造営審議会の御意見によってさらにやり直した結果、幾らか縮小されて参りました。その経費がどうなりますか、これは今のところまだわかりませんが、いずれにしても数十億はどうしてもかかるのじゃないかと思っております。
  31. 藤田進

    藤田進君 御承知のように、東京都のマンモス都市といったようなことで、諸般の事由でそごを来たしておるので、首都圏整備ということがあるけれども、別に学校あるいは場合によれば皇居といったような大げさなことを言う人もあり、首都の移転といったような抜本的な議論が出ていることは御承知のとおりです。しかし、まあ宮内庁なり両陛下とされては、皇居はもうやはり今宮殿等の造営計画があるようで、現在のところに今後永久的に、今七十億ないしそれ以上かけるわけですから、やはりここにきめていきたいという御決意のもとに設計計画が進んでいると見ていいのですか。
  32. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 宮殿造営の位置につきましては、以前の宮殿のあったその跡へということは皇居造営審議会でいろいろ御検討の上、やはりそこの場所がいいというように御答申に相なっておりまするので、その御答申の線に沿って、焼けました宮殿のその跡へやはり建てるということで計画を進めております。
  33. 藤田進

    藤田進君 これはお建てになる方向ですでにその調査費等も最近は組まれてきておるわけですが、同じことをおやりになるならば、それほど膨大なものでもなさそうに思う。質はいいとしても、そこでオリンピックという、これはおそらく今後いつあるかわからないような国際的な行事もあるのでして、大体ここに焦点を合わせて、東京都の都市計画の実施とか諸般施設等がこれを目標に完成するということなんですね。しかし、皇居における行事もすればあるし、しなければないようなものですが、せっかくおやりになるならば、そういったことにもやはり的を合わせてこれを進行されるということも必要なんじゃないだろうかと思うわけなんですが、オリンピックとは無関係にお進めになるようにも思われる。繰り上げて、どうせやるならば二カ年もあれば十分に今ごろの技術等から言えばできるかとも思うので、どうしてそれに間に合うようにできないのか。国の予算的にできないとも言えないように思う。どういう点にそれが進められない理由があるのかお伺いしたい、
  34. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) オリンピックまでにといいますと、オリンピック昭和三十九年の秋でございまするから、そうしますと、三十八年から九年の一年半くらいの間で完成しないと間に合わないわけでありますが、実際問題として今までのいろいろなそういう建築をされた経験から見て、それではどうしてもちょっと無理だと思います。で、まあ長く残るものであり、大切なものでございまするので、そう無理をしてまでオリンピックに合わせる必要はなかろうと存じております。で、予定として、建築専門家が見て、これだけやはり期間がかかるという、この専門的に必要な期間をやはり見るのがほんとうであろうということで、先ほど申しましたような計画でおります。しかしながら、これはいよいよ、設計がまだ固まっておりませんから、設計が固まった上で、いやそれは四年もかからぬでいい、三年でいいというふうになるかもしれませんけれども、しかし、一年半はこれは無理じゃないか。
  35. 藤田進

    藤田進君 その問題はそれで。  先般皇太子御夫妻が東南アジア方面に御旅行になったわけですが、この動機というのは、これは直接的にはそれぞれ国賓として招待せられたようですが、しかし、そのもとは、やはり行政府、内閣のほうでいろいろと取り運んで、それをそのまま宮内庁日程に載せ、各国にも連絡されたように私は承っておるわけです。しかし、今度の場合を見ますと、不幸にして御病気になられた。私ども見て、われわれと違って常に御健康も執事がおられて見ておられることだし、平素の御健康状態というととも、また、かの地における気候その他の条件を十分、現地についても、また、在外公館を通じても精査された上で、御計画になっていたと私は思うのです。これはもちろん病気のことですから、たれしも急に病気にならないということは言えません。ですけれども、どうもあまりにも今度の計画というものは、唐突でもあったし、そしてフィリピンのごときは、ずいぶん御迷惑をかけて、はたしてああいう結果が国際親善上、いいか悪いかと、まあしばらく来るのを見合わせてくれということになったようにも聞いておるわけですが、もう少し、内閣といったようなものが昔と同じようにきめて、いやがおうでも、御本人たちがどうであっても、無理やりに何か旅立たせるという印象を受け、その結果がまずくなったように思うのです。これらについて、その経過なり、あるいはその後における、おいでにならなかった国との関係、あるいは今後どういうふうに、たとえば旅行計画を立てられようとするのか、しないのか、詳しく聞きたいと思います。
  36. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇太子殿下東南アジアの御旅行につきましては、その計画を立てる際には、これは出先のほうの大使館から、先方の国のいろいろな事情も聞きまして、で、一応の意見が出て参りますと、それに対しまして、外務省、宮内庁、そういうところで十分検討して、部分的にはいろいろ直してもいただきまして、これならよかろうというところで、内閣提出いたしまして、で、内閣のほうでそれではこの計画でよかろうということで、閣議の決定をいただいて、そして実行に移っているというようなことでございまして、内容については、まあ一部には少しくその日程が詰まり過ぎていて無理だったんじゃないかというような御批判もあるようでありますが、しかし、われわれ検討したときには、そうは思わなかったのであります。で、それぞれの国では、国賓がお見えになりますると、大体どういうような行事をして、どこへ御案内して、というようなのが、おおむね御定食のようにきまったような形のものがあるわけでございまして、それを基礎にして、幾らかずつ直して計画を固めるというようなことをいたしたわけで、特にその内容は御無理であったとは考えないのでありまするが、しかし、パキスタンかぜを引かれて、パキスタンかぜを引かれた場合は、半日くらいで一応かぜを押えられて、それからずっとあとを続けてインドネシアに行かれた。インドネシアも、前半は悪くなられなかったのですけれども、ボゴールへおいでになってから、またかぜの熱が出てこられた。で、それから幾らか養生していただいて、それでまたよろしいというのでバリ島へ行かれた。バリ島でおもな行事が済んだところで、高い熱を夜中にお出しになった。これはどうも御無理だというので、フィリピンに御旅行になることを、これは無理だということで、一応先に延ばすことで、一応中止をするということになったわけであります。で、その御病気というのは、やはり東京でも非常にはやりましたが、流行性かぜであったようであります。お供していた人の若干の人も、同じような形のやはりかぜを引いたわけであります。一種の流行性かぜであったようでありまするが、不幸にしてそれにかかられたということのために、計画が完全に果たすことができなくて、フィリピンの御訪問は他日にということで、お帰りになった。非常に残念ではございましたが、これはそういう次第であったわけであります。で、フィリピンのほうの関係は、そこでできるだけ早い機会にフィリピンを御訪問になって、このお約束を果たすということをされようというので、フィリピンのほうの事情もいろいろ、殿下が元気になられてから内々に打ち合わせをいたしたわけでございます。で、こちらのほうの意向としては、三月の中旬ならば、おいでになることができるのだが、どういうものだろうということで、打診をいたしましたが、フィリピンのほうでは、現在のマカパガル大統領は、この一月一日に大統領に就任しておられる。前のガルシア大統領と選挙を争って、勝利を得られて、一月一日に新しい大統領として立っておられるのですが、いろいろそういう新しい大統領として国内を治める上に、いろいろ国事多端で、ちょうど三月のそのころはいろいろ問題も控えているから、ひとつ先に延ばしてほしい、これも、できるだけ近い機会の先にひとつ延ばしてほしいというような御意向が伝えられまして、それで、今フィリピンの御訪問はなさられないで、そのままになっております。フィリピン側の国内事情もありましょうから、どうぞこの次殿下おいでいただきたいというような御意向がフィリピン側からございますれば、こちらとしても御都合がつき次第、いろいろ打ち合わせされて、あらためてフィリピンに御訪問になることと思うわけであります。
  37. 藤田進

    藤田進君 これは、インドネシアバリ島で、予定よりも、だんだん御病気でずれてきたし、フィリピン側の日程も、したがって、ずれるというようなこともあって、御病気はずいぶんよくなられて帰ってこられたように私は思うのですが、あれは、バリ島ですでにお立ちになる日が二日か何かずれて、したがって、フィリピンにそれだけおくれるというようなことにもなったのではないでしょうか。
  38. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) このバリ島で夜中に熱が出ました。その翌日に、普通の予定ですと、ジャカルタのほうにお帰りになって、それからジャカルタで一泊をされて、そうして……、非常に高い熱が出られたのは二月の四日の夜、五日の朝でございます。で、二月六日には、フィリピンのほうへ御訪問になるという予定になっております。で、三十九度何分の熱が出ておられる。あのときには、侍医として佐藤侍医長がついておられました。この人は、殿下のお小さいときからずっとついている侍医でございまして、殿下のおからだを一番よく知っておられる人であります。こういう高い熱が出られたとすると、もう二、三日ですぐに普通の御旅行ができる状態になるのはちょっと無理という判断であります。で、そうすると、六日といいますと、中一日しかございません。どうしても無理だろう、フィリピン側もいろいろ準備しておりますから、歓迎でせっかくいろいろな方が出ておられるのに、いやお着きになれません、ではいけないので、できるだけ早く延期するなら延期するということで、延期になったのであります。そうしてバリ島でしばらく御養生になって、御旅行が可能であるというような状態になって、二月の九日に、ジャカルタに出られて、二月十日に東京にお帰りになった。予定どおりですと、フィリピンの御旅行を終えて、二月十一日に東京へお帰りになる。それを、ちょうどフィリピンに行かれる間、前のバリ島で養生して、そうしてまあ何とか飛行機で旅行ができる程度になって、二月の十日にお帰りになったときも、普通のぴんぴんしておられる状態よりもう少し悪いので、やはり病後の静養は要するというので、東宮御所へお帰りになった後しばらくまた静養をして、元気を回復されたというようなことであったわけであります。
  39. 藤田進

    藤田進君 今後フィリピンはああいういきさつですから、まあ内面的には、内閣のほうが何とか呼んでくれとかなんとか言うのかは別として、御招待があるということになれば、その招待に応じて行かれるということになるのですか。その場合はフィリピンだけの予定になりますか。それとも他の国々もその際は回られるということになりますか。
  40. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 今のところはフィリピンだけになるんじゃ、ないかと思います。
  41. 藤田進

    藤田進君 まあ今後の旅行計画等については、ああいった事情もあったわけですから、十分健康のことも——まあかぜというのもそれは日本でもずいぶんはやりましたけれども、注意されて、皆さんのほうで完全に果たせるような手はずを今後ともとられる必要があろうと私は思います。  それから、最近皇居で天皇が招待されて、外国の総理大臣が来たとか、大統領が来たとかいったときに御招宴がありますね。で、まあ時の内閣総理大臣あるいは両院の議長といった人たちは、これはその席にはべられているようです。ところが、最近私ども感じますのに、吉田茂さんがちょいちょい顔を出しておるわけです。まあかつての西園寺さんみたいなものをあなた方は考えておるんだろうが、前総理の岸さんというような場合もこの間ありましたね。まあ吉田さんは必ず行っておる。まあ前総理ということになれば、石橋さんも片山さんもいたはずだし、その辺が一体どういう基準でああいうことになるのか。あるいは来た人がぜひ吉田を呼んでくれということになったのか、ちょっと奇異な感じを与えているように思うんですが、この辺の事情を伺いたい。
  42. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは昨年の秋の場合、従来とは違って、岸さんだとか吉田さんが晩餐会のときにも来ておられましたんですが、これはおいでになったお客さんとの関係でそういう意見が出たわけでありまして、あれはアレクサンドラ王女が英国から見えた。その場合に日本側から出るのはいつも総理とそれから外務大臣、それから衆参両院の議長とか、最高裁の長官とか、まあそういうような方が出られるわけであります。お客さんも幾らかまあなじみのある人が出られたほうが客をもてなす上にいいんじゃないかということで、岸さんは英国に行かれて英国の王室を訪問されて、まあ王室との関係で一応お知り合いの関係もあるものですから、そういった方も入ってもらう。まあ吉田さんは英国に長くおられた方であります。ずっと前ですね。それから最近もいろいろ英国の関係では顔の広い方ですし、なおこのアレクサンドラ王女が吉田さんの家をおたずねになるということもありまして、それじゃあその前にやはりそういう宮中の晩餐のときに出ておかれてもいいんじゃないかということで入っておられたわけであります。それでアルゼンチンの大統領のときには、これはやはりアルゼンチンの大統領に来ていただきたいという話は、岸総理がアルゼンチンを訪問されたときに言ってきておられるわけであります。そういうような関係があって、そういうことでお呼びした。それから吉田さんのほうは、これもアルゼンチン側から吉田さんに来てもらいたいという話が、今度もおいでになるときまりましたときに、そういう話があって、やはり親しみを深められるというようなことで意味があるというようなことで加えられたわけで、やはりお客様をもてなす精神から、そういうようなまあ縁故のある方で加わられたほうが座席がよかろうということで加わられたわけであります。
  43. 藤田進

    藤田進君 私どもやはり吉田さんとも国会で長いつき会いをいたしましたが、それほどの社交家でもなかろう。私はどう考えても今のような御説明では、アレクサンドラ王女が見えられたときももっと親しい人がいます。国会にもいるし、どうもその辺はその説明がぴったりこない。公式におやりになることだ。もし前総理の資格というのであれば、前々とかそういうことならば、その範囲はおのずからきまる。特定の人を何か理由をつけてということは、何だかどうもその戦前のような印象を受けるわけです。各地へ行ってもわれわれ説明に苦しんでおる。今後十分、公式なそういう場合には、与える影響なり何なりということを十分考えられる必要があろうと思う。今後もそういうふうな扱いをされようとするのですか、お伺いしておきます。
  44. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これはお見えになるお客さんによると思います。で、お客さんをもてなす上にこういうふうなことがよろしいというようなふうにいろいろ研究をするわけですが、お客様によってだと思います。
  45. 藤田進

    藤田進君 しかし、いやしくも宮廷内廷費などをお使いになって公式におやりになる以上、それぞれやはり公式は公式らしき態容がなければならぬ。今後も十分そういう点は注意してもらいたい。  それから行幸啓、最近しばしば出られることは悪いことじゃないと思うのですが、何だか特定な商業関係に大いに利用するように仕組まれているように思うわけですが、これはなにですか、地方における行事、そういう地方庁、県庁とかそういうところが、地域の団体等を含めて、ぜひ行幸していただきたいというものは数あるし、私そういうものはとやかく言いませんが、産業界においてもいろいろな競争関係があるしといったようなので、地方へ行幸されても特定のととろだけというようなわけで、御承知でしょうが、それぞれ地域では自分の工場へ来てもらいたいと、そのこと自体がテレビに今大いに宣伝をしておるが、それ以上のものがあるしというようなことがかなりあります。具体的な例はありますけれども、それはここでは控えますけれども、こういう行事を決定される場合には、どういう基準でおきめになっているのですか。
  46. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 地方に行幸啓になる場合には、その府県の知事のほうから、こういうところへおいでいただきたいというような一応の計画を出していただきまして、それをいろいろ検討し、また県のほうとも打ち合わした上できめる。原案はその地元から出していただいておるわけであります。
  47. 藤田進

    藤田進君 ソニーあたりをきょうもおいでになるそうですが、そういうのはどういう意義、どういう経過で行幸されるのですか。
  48. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) きょうはソニーの工場と東京タワーおいでになっていますが、これはソニーの工場については、よく外国から国賓級の人が日本へ来られた場合もよく見ておられる。いろいろ宮中へ見えた場合に、お話が出た場合にも、やはり陛下もごらんになっていたほうがよろしいというようなお考えによりましておいでになります。それから東京タワー、これはいろいろ放送事業の関係で、だいぶあそこでいろいろな施設を共同でやっておられる。そういうような点をごらんいただきたいということを言ってきておりまするし、なお東京タワーも最近東京の名物になっておって、外国から来る方なんかもあすこへ上っておられるし、やはりそういうところはごらんになっておいたほうが、日本の、あるいはまた東京の現実をいろいろお知りになる上にもよかろうというふうに、両陛下のお気持ももちろんございまして、これのほうは東京都知事のほうで、こちらのほうからもちょっと申し上げたような格好かもしれません。この場合、そういうことで行ったという、やはりいろいろ来ていただきたいということでおいでになったわけであります。
  49. 亀田得治

    主査亀田得治君) ちょっと速記やめて。   〔速記中止〕
  50. 亀田得治

    主査亀田得治君) 速記つけて。
  51. 藤田進

    藤田進君 それでその行幸ということに、何かごく一部ですが、事皇室としてもあやまちないようにしていただきたいということで確かめておきたいのですが、上野動物園に行かれて自衛隊に行かぬのはけしからぬとか、そういうあまりはね上がったのが一人くらいあるようですが、そういうことについてはどうお考えですか。
  52. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 動物園の場合は八十周年の記念というわけですが、そういう行事おいでになりました。それから自衛隊も私はその数ある場合であって、おいでになる意義にあるような場合であればおいでになってよろしいと思います。何も自衛隊だから行ってはならないというふうになさる必要はないと思います。
  53. 藤田進

    藤田進君 従来自衛隊からの要請はなかったわけですか。
  54. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 特別の正式の要請はございません。
  55. 藤田進

    藤田進君 これは憲法上その他の事情もあって、事自衛隊に関する限りは、なかなかめんどうな問題も出てくるわけです。動物園や東京タワーへ行かれるような、そう簡単にちょっと行って見てこようかという、見学のためにというようなことでは相ならぬいろいろな事情もある。国際的にいろいろ与える影響もある。この点は御承知でしょうね。十分ひとつこれは慎重に考えられなければならない。
  56. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その点は十分に承知をいたして慎重に、いろいろな誤解を招いたり変なふうにとられることのないように考えなければならない、慎重に考えていきたいと思っております。
  57. 藤田進

    藤田進君 それから今度の増額分の造営費について、この内容説明して下さい。
  58. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 造営関係経費についてお尋ねでございます。これはおもなものは設備関係、先ほど瓜生次長から御説明申し上げましたように、本年度基本設計を進めております関係で、基本設計者そのほかに対する設計委嘱の人件費と、それから物件費といたしまして準備関係経費、あるいは庁費関係も若干入っておりまして、総額で三千二百五十三万四千円、こまかい数字でございますけれども、そういうふうに入っておりまして、そのうち人件費と物件費、人件費のほうが千七百万、物件費のほうが千三百万、こういうふうに入っているわけでございます。
  59. 藤田進

    藤田進君 これはどこの造営費ですか。
  60. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) これは宮殿造営関係でございまして、先ほど次長が御説明申し上げましたように、現在の吹上のほうは一応おできになりましたので、宮殿のほうの関係経費が入っているわけであります。
  61. 藤田進

    藤田進君 最後に高松宮光輪閣ということで料理屋みたいなものをやっておられる。私は内閣委員長のときに、やり方もいろいろあろうが、クラブだからというあなたの説明がありましたけれども、やはり誤解を受けておるし、必ずしもクラブだけでもない。おやりになるとしても、どうも適当でないように思うので、国民が広く知ってくると、皇室に対する尊敬といったような点にも若干影響があるように思うので、もう少し検討されたらどうでしょうかということだったのですが、依然としてはなやかにますます発展されているようですが、あれはやはりああいうふうに続けていかれるのですか。
  62. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この前の委員会の際に、いろいろ光輪閣について御批判がございまして、その御批判があった点は光輪閣のほうへは伝えておきました。十分経営については間違いないようにやるようにやっておられると思うのでありますが、しかし、光輪閣クラブは今クラブとしての性格を持ってやっている以上、いろいろの会合にあそこを使ってもらうという建前でありますから、そういうふうにやっておりますが、やり方については、いろいろ批判のないように注意するということは申し伝えてございます。
  63. 藤田進

    藤田進君 私の言うのは、皇族もいろいろ経費もかかるでしょう。けれども、もうかれば施設を利用しても、何でも商売やっていいと言っても、なかなかそういうことを言っても、法制上はなくても、そこにある程度の制約があるように思うので、事の性質上、今言われるように、社交クラブ的なもので、クラブの人たちがときには集まってお茶でも飲んで、国政あるいは産業というようなことを国のために相談してまた別れていくというようなことではなくなっていますよ、現在は。御承知ないかもしれませんが。それにはやはりいろいろなデマというか、飛んだりしているのです。それがお堀の中には入ってこないかもしれませんが、今の経営の実態というものを御承知ないと思う。クラブ組織についてあくまでこれは四、五年前と同じようなことを今言われておりますが、もっとお調べになって、そうして適当なものを今後続けられるとしても、まあおやりになる必要があるだろうと私は思うのです。実情を御承知ですか。
  64. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) このクラブのこまかい点をいろいろ調査するというようなことは、これはわれわれのほうもそういう職務権限がございませんものですから、そういうこまかいことは存じませんが、われわれもときどきいろいろ国の独立記念日のレセプションあたりがあそこにありますから、そういう場合に行ったりしている程度で、そういう機会にいろいろ実情を見ておる程度でありまするから、あるいはほんとうの、今、藤田先生がいろいろ言われるようなことを知らないことがあるかもしれませんが、しかしながら、クラブに対してのいわゆる監督といいますか、そういうようなものをわれわれのほうで職務上持っておりませんものですから、いろいろそういった点を参考にして、注意されるようにということを申し上げる程度以上に出ることは、ちょっと職掌柄無理なんじゃないかと思います。
  65. 一松定吉

    ○一松定吉君 ちょっと伺いたいのは、この間ある人が私のところに参りまして、宮中に、宮城を新築するについてわれわれ国民として皇室に忠誠をぬきんずる意味において、金を集めて、そうして宮中に、宮内庁に持っていった。ところが、そのお金を宮内庁内廷費とかあるいは宮内庁のほうで使われずに、それがすぐに大蔵省に入ってしまって、大蔵省の予算に入っちゃって、宮廷へは一文も行かない。これはどういう法律になっているのか知らないが、何とかひとつ改正してもらって、国民陛下に対して、陛下の費用としてお使いになる費用もしくは宮廷新築の費用として、特別に大蔵省等に関係なく、差し出でたものは、陛下が御自由にお使いになることのできるようにするのが国民の忠誠に対する意思を尊重することになるのだが、今の法律ではそうなっておらぬということが非常にわれわれは残念であるということを僕に訴えた。そういう点については実際どういう取り扱いをしているでしょうか。ちょっとその点を承っておきたい。
  66. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この皇居造営に関する国民からの誠意のある御寄付は、これは受けるということで受けておりますが、しかしこの皇居造営国費をもって遂行する事業であって、できましても、これはやはり国有財産——皇室用の財産でありますが、国有財産ができるわけであります。そこで、その御寄付がありました場合は、それは皇居造営に充てるための特別の御寄付ということで、宮内庁で受けて大蔵省のほうの国庫へ入りますが、その部分は特に別にその御寄付をされた方のお気持が生きるように、何かこういうようなところがその御寄付のお金でできましたというふうになるようにいたしたいと、そういうふうに考えております。しかしこれは陛下がお受けになるというと内廷ですが、陛下がお受けになる場合は、これは現在の法律で年額いろいろなもの合わせて、陛下だけでありませんが、内廷の予算は合わせて年間百二十万円ならいい。それをこす場合には国会の議決が要るということになっておりまして、陛下がお受けになるような場合は一々国会の議決が要ります。また陛下がお受けになると内廷費になりますから、あとの維持、管理からその他いろいろな内廷の関係の費用になりますので、現在の予算の建て方からいきますれば、それは御無理であります。やはり国有の皇室財産ができる。だから一たん大蔵省に入りますが、ただ一般の国庫へばらばらとまいてしまって、どこへ行ったかわからないようにするのではなくて、それはもうまとめてお気持の生きるようにして参りたいというふうに考えます。
  67. 一松定吉

    ○一松定吉君 であるからして、その民衆から宮廷建築の費用とかということで献納する人の意思は、陛下の御自由になるようにという意味で献納するのが、法律からいけば、すぐそれが大蔵省の予算に入ってしまって、大蔵省が、宮中の建築費がたとえば一億円とするならば、その一億のうちにそれがみな入ってしまって、そうして国庫の支出が、たとえばそれが五千万円であったとすれば、国庫の費用が一億である。一億から五千万円というものが、国の財産の支出がそれだけ減るわけで、国庫にそれだけ民衆の献納した金額に相当するものが残るわけだね、それが。そうすると、結局民衆は、陛下の金に、陛下にお喜びをしていただくようにというので忠誠をぬきんずる意味で出したものが、その実は国庫の収入になって陛下のところには国で定められた予算以外には渡らない、こういうことになるわけですね、現行法は。
  68. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この御寄付になりました金額、それをまとめてその部分で何か作るということを考えまするが、その場合も、やはりこの国の予算面に持って参ります。たとえば、ここに何億という予算があって、そのうちのたとえば二、三千万円の部分が、こういうものがこれは御寄付をなさった方の気持をくんで特に作るものでありますというふうになりますが、やはり予算面では、国の支出ということになる。これは現在の法制上の建前からいきますると、そうやらざるを得ないわけであります。
  69. 一松定吉

    ○一松定吉君 現在の法律上の建前は、今あなたのお話しのようであろうが、民衆のほんとうの誠意を込めた献金は何か除外例を設けるというようなことはお考えにならぬでしょうか。もしそういう必要があれば、そういうひとつ立法をすればいいわけなんだから。今の現行法ではそれができなくて、民衆が幾ら陛下に差し上げたいと思って出しても、みな大蔵省の国庫の予算に入ってしまって、国庫から宮廷費なりその他の費用を出すのは予算から出すということになると、民衆がせっかく陛下に献納しようと思ったものがほんとうは届かぬで、国の費用になってしまうというようなことが現行法であるならば、それはやはり改正して、そういう意味において、特別に法律をこしらえて、民衆の意思どおりに陛下が自由にお使いになることができるようにという立法が必要ではないだろうか、それを一つ聞いておるわけです。必要があれば、われわれの方で立法すればいいわけだけれども、大蔵省のほうで、取り扱いについて、とにかくそういう点を何とか考えていないか、そういうことを聞いておるわけです。
  70. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 結局、内廷費のほうへ特に向けられる。こうすれば特に国会の議決を経て内廷費を受けられるというような道はあるわけでありますけれども、しかし今度できます宮殿全体として相当の金額、数十億円かかるわけでありまして、その御寄付はそのごく一部分金額になります。で、したがって、それで全部できるというわけのものではございません。それで、やはり内廷費を受けて、その部分は内廷の分だ、こちらのほうは国有財産だというような、建物が分割されるようなことは実際問題として不可能だと思いまするし、適当だと思いません。いずれにしても皇室用財産になるわけであります。国有財産ではありますが、皇室の用に供する財産でありますから、その中で御寄付になった方のお気持が生きるように、特にその分でこの部分をいたします……で、まあ普通の大蔵省の予算の査定だといろいろな振り合いもあって、こういう仕事にはちょっと出せぬとかいうようなむずかしい部分があっても、これは、じゃ、その部分はぜひ御寄付の分でやろうというように、お気持が生きるように考えていきたい、それが一番いい方法だ。ここで法律上別なものを作っても、それで宮殿ができるわけではございませんものですから、やはりこれは適当じゃないと思っております。
  71. 一松定吉

    ○一松定吉君 そうすると、極端な例をあげると、たとえば宮殿建築する上において、ここに百億の金が要ると仮定します。そうすると、民衆から巨億の金を陛下に差し上げるということで募金を募って差し上げた。陛下のところに入らぬで大蔵省のふところに入った。予算は大蔵省でも百億出す。それは民衆から出した金でなくて大蔵省が予算として出したということになると、民衆から出した金というものは陛下のお気持に合わないことになるように思うのだが、そういう点は、国民の忠誠の意思を明らかにするためには、国庫から出す費用以外に、これは民衆から陛下に献納した費用であるということを明らかにするように、今の現行法はそこまで行っていないならば、それはそういう一つの立法をするようにしてはどうであろうかと、こういうことをあなたに意見を聞いてみるだけだ。現行法をかれこれ言うんじゃない。あなたのおっしゃるところは、民衆が百億の金を出せば、その民衆の出した百億の金は民衆の出した意味として陛下のほうに献納することになるからと言っても、献納されていない。一ぺん大蔵省へ入って、国庫の中へ入ってしまうから、国庫の金になってしまう。そうすると、民衆の出した金ということでなくて、国庫が経費を法律に従って出したということになると、民衆のせっかくそこまでやったその行為が表面に現われないことになるということは、その寄付した人の意思にそむくような結果になるが、そういう点については、あなた方のほうでは何か法律でもこしらえて、それらの人の意思を明らかにするような方法を講ずるお考えはありませんかと聞くんです。
  72. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) まあ、現在のいろいろの建前からいって、特にそういう法律を作る考えは今持っておりませんです。一たん国庫へそれらの寄付金が入って、また出てきますけれども、しかしこれは国——国というのは国民全体のもので、まあ民衆と別のものでもありませんので、その事務をそこで扱うだけでありますから、そういう方が特別の気持で御寄付をなされたのは国庫へ入って、そういうものはそういう気持で出す金ですということで支出されて適当なものができ上がることになりますれば、やはりまあ御寄付をなすった人の気持が無視されたことにはならないと思います。国庫というのは、要するに国民の金庫なんですから、そう別のものじゃないと思いますので、お気持が生きるようにさえすれば、陛下が直接それを全部お受けにならぬでも、今の建前から、憲法の解釈もありますけれども、終戦のころに、皇室財産はすべて国有とするというので、皇室では固有の財産は原則としてお持ちにならないというような憲法の規定の関係もありまするし、ちょっといろいろ無理な点が出てくると思います。
  73. 一松定吉

    ○一松定吉君 このことは、あなたと議論したって仕方ないから、ただ私があなた方のお考えを聞くだけで、今の法律は、そういう点にまで考えを及ぼしていなくて、全部国庫に入ってしまって、民衆がせっかく陛下に献上しようと思ったものは大蔵省に入って、国庫の費用として国庫のほうから出す金の中に吸収されてしまうというようなことは、せっかく献納した民衆の意思がじゅうりんされる結果になるからと思うのは、われわれの立法府におるものだけが考えるだけで、ただ、あなた方がどういうことを考えておりますか、そういう点について何とか改正する必要がありゃせぬかなあというお考えがあるかということを聞いただけで、これ以上議論する必要ありませんから、もうこれでやめます。
  74. 亀田得治

    主査亀田得治君) 以上をもって、皇室に関する質疑は終了したものと認めます。     —————————————
  75. 亀田得治

    主査亀田得治君) 次に、国会所管を議題といたします。順次説明をお願いいたします。  それじゃ藤野衆議院庶務部長。
  76. 藤野重信

    ○衆議院参事(藤野重信君) 昭和三十七年度衆議院関係歳出予算につきまして御説明申し上げます。  昭和三十七年度国会所管衆議院関係歳出予算の要求額は四十二億九百一万七千円でありまして、これを前年度予算額三十三億三千五百二十八万円に比較いたしますと、八億七千三百七十三万七千円の増加となっております。  次に、この要求額のおもな事項について御説明申し上げます。  まず、国会の運営に必要な経費といたしまして、三十三億七千六百二十四万八千円を計上いたしております。これは、議員に関する経費及び事務局、法制局の所掌事務を処理するため必要な経費でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、五億三千三百三十四万円の増加となっております。  次に、衆議院営繕工事に必要な経費といたしまして八億二千五百七十六万九千円を計上いたしております。これは、議員会館新営及びこれに関連する施設費並びに議員宿舎の改築等に必要な経費であります。  最後に、予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。  以上、簡単でございますが、概略の御説明を申し上げました。
  77. 亀田得治

    主査亀田得治君) 次に、佐藤参議院管理部長。
  78. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 昭和三十七年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は、二十二億八千三百二十万四千円でありまして、これを前年度予算額十八億九千八百五十八万三千円に比較いたしますと、三億八千四百六十二万一千円の増加となっております。  次に、この要求額を事項別に申し上げますと、  まず、国会の運営に必要な経費といたしまして二十一億三千六百四十四万八千円を計上いたしております。これは、議員に関する経費及び事務局、法制局の所掌事務を処理するため必要な経費でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、三億三千七百五十万五千円の増加となっております。  次に、参議院営繕工事に必要な経費として一億四千百七十五万六千円を計上いたしております。これは、参議院の議員会館の新営及びこれに関連する施設費並びに議員宿舎の増築等に必要な経費であります。  最後に、予備金に必要な経費として、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、概略の御説明を申し上げました。
  79. 亀田得治

    主査亀田得治君) 次は、隈井弾劾裁判所事務局長。
  80. 隈井亨

    ○裁判官弾劾裁判所参事(隈井亨君) 昭和三十七年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の御説明を申し上げます。  昭和三十七年度国会所管、裁判官弾劾裁判所の歳出予算要求額は一千九十九万九千円でありまして、これを前年度予算額一千二十二万四千円に比較いたしますと、七十七万五千円の増加となっております。  その増加は、職務雑費及び人件費等の給与改訂に基づく自然増加によるものであります。  次に、要求額を事項別に御説明申し上げますと、まず、裁判官弾劾裁判所の運営に必要な経費といたしまして、一千四十二万七千円を計上いたしております。これは、当所の運営に必要な裁判長の職務雑費、裁判員の調査旅費並びに事務局の人件費事務費等であります。  次に、裁判に必要な経費といたしまして、五十七万二千円を計上いたしております。これは、裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に必要な旅費、庁費等であります。  以上、簡単でありますが、概略の説明を終わります。よろしく御審査下さいますようお願いいたします。
  81. 亀田得治

    主査亀田得治君) 福島訴追委員事務局長。
  82. 福島尚武

    ○裁判官訴追委員会参事(福島尚武君) 裁判官訴追委員会の予算につきまして御説明申し上げます。  裁判官訴追委員会における昭和三十七年度歳出予定経費要求額は九百七十一万七千円でありまして、これを前年度予算額八百八十九万一千円に比較いたしますと、八十二万六千円の増加となっております。  この経費は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうちおもなるものは、委員長の職務雑費及び委員旅費の定額改訂に必要な経費増加並びに職員俸給等の増加によるものであります。  以上、概略御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議いただきたいと存じます。
  83. 亀田得治

    主査亀田得治君) 最後に、岡部国会図書館副館長。
  84. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 昭和三十七年度国会所管国立国会図書館の予定経費要求について御説明申し上げます。  予定経費の要求総額は八億一千七百四十万一千円でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二億八千八百三十二万九千円の減少と相なっております。この減少は、新庁舎の完成に伴いまして、庁舎の施設費が前年度に比較いたしまして三億四千三百七十七万二千円減少しておりますためでございますが、管理運営に要する経費といたしましては、五千五百四十四万三千円の増加と相なっております。  次に、要求の内容を御説明申し上げます。  国立国会図書館の管理運営に必要な経費といたしまして七億七千六百三十三万二千円が計上いたしてあります。この経費のおもなるものは、人件費事務費等の管理運営に必要な経費であります。  第一に、人件費といたしまして四億六千七百七十五万一千円となっており、そのうちには、科学技術関係要員二十名の増員分が含まれております。  次に、事務費といたしまして八千三百八十一万円、光熱水料として三千九百十一万三千円、図書その他資料購入費一億四千三百八十六万六千円、その他四千百七十九万二千円となります。これによりまして、昭和三十七年度の重点項目である国政審議に対する奉仕態勢の強化及び科学技術関係資料の整備充実をはかることになります。  次は、国立国会図書館庁舎の施設費といたしまして、四千百六万九千円が計上いたしてあります。この経費は、第一期工事の補足的工事といたしまして、図書搬送用のエレベーター、コンベヤー等の機械の増設並びに書庫内の床仕上げに必要な工事費であります。  以上、まことに簡単な説明でございますが、よろしく御審査のほどお願い申し上げます。
  85. 亀田得治

    主査亀田得治君) 質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  86. 藤田進

    藤田進君 ちょっと速記を止めてもらえませんか。
  87. 亀田得治

    主査亀田得治君) ちょっと速記やめて。   〔速記中止〕
  88. 亀田得治

    主査亀田得治君) 速記をつけて。
  89. 一松定吉

    ○一松定吉君 参議院と衆議院の関係で、議員に関する経費ということが両方に計上されておって、非常に金額がふえておるということは、どういうように、何がふえるのですか、具体的に。
  90. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 具体的には、議員の待遇といいますか、実費弁償の分の増額が非常に多額になっております。つまり、通信手当とか、議会雑費でありますとか、立法事務費でありますとか、そういったものの増額が大半でございます。
  91. 一松定吉

    ○一松定吉君 予算の上でどうなっているか。幾ら出ている。
  92. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 内容を申し上げますと、通信手当につきましては、従来月額一万円でございましたのが五万円になるわけでございます。それから、議会雑費は日額千円が千五百円、それから、審査雑費が二万五千円が三万円になるわけです。それから、立法事務費が二万円が三万円になるわけでございます、その他議員秘書の滞在雑費の増額でございますとか、議員秘書の関係のものを加えまして、衆議院におきまして三億一千二百七十三万余円、それから、参議院におきまして一億六千七百九十一万余円の増額となっております。
  93. 一松定吉

    ○一松定吉君 その増額は、衆議院と参議院と同じでありますね。
  94. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) さようでございます。
  95. 一松定吉

    ○一松定吉君 その通信費が一万円が五万円になり、四万円ふえる。そんなに月に四万円もふやすのかね、議員の通信費を。
  96. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 議員の通信費につきましては、昭和二十七年でございましたか、以来郵便費その他が相当値上がりをしておるわけでございますのと、議員の方がお使いになっております通信費の実費をいろいろ計算いたしてみますと、一万円ではとても足りないのみならず、大体五万円ぐらい御支出になっておられるということから、五万円に増額することになったわけでございます。
  97. 一松定吉

    ○一松定吉君 これは、われわれに直接関係のあることだから、これ以上追及しませんが、その次に、この弾劾裁判官、訴追委員会の委員長ですね、この職務雑費というのは何ですか。裁判長や委員長に対するものだね。それはどうなんですか。
  98. 隈井亨

    ○裁判官弾劾裁判所参事(隈井亨君) 職務難費と申しますのは、弾劾法の規定にございます。委員長、裁判長の職務雑費は開会中の職務雑費でございます。これは、両院における国会役員の議会雑費と同じような趣旨でございます。
  99. 一松定吉

    ○一松定吉君 幾らですか。
  100. 隈井亨

    ○裁判官弾劾裁判所参事(隈井亨君) 開会中一日千五百円でございます。
  101. 一松定吉

    ○一松定吉君 これは裁判長だけだね。
  102. 隈井亨

    ○裁判官弾劾裁判所参事(隈井亨君) 裁判長だけです。それから、裁判長も含めまして、裁判員の職務雑費というのも規定がございまして、それは、この弾劾法の十六条に規定がございますが、ところが、要求はいたしましたけれども、大蔵省のほうで認めていただけなかったわけでございます。
  103. 一松定吉

    ○一松定吉君 裁判長だけに開会中一日千五百円のものをやって、弾劾裁判所の裁判員には一円もやらぬのかね。
  104. 隈井亨

    ○裁判官弾劾裁判所参事(隈井亨君) 裁判長には開会中の雑費がございます。ところが、普通の裁判員は、開会中はありませんけれども、閉会中の職務雑費というのは規定がございます。しかし、国会の両院の常任委員会の委員の審査雑費、あれを月額で定めてありますが、それを受ける場合にはこちらを受けられない、そういうことになっておりますので、実際お払いする場合は生じないということで予算を組んでおります。
  105. 一松定吉

    ○一松定吉君 審査雑費というのは、裁判長も審査雑費を受けるでしょう。
  106. 隈井亨

    ○裁判官弾劾裁判所参事(隈井亨君) さようでございます。
  107. 一松定吉

    ○一松定吉君 それならば、普通の裁判官も審査雑費が二万五千円ふえる。裁判長もふえる。その裁判長に開会中一日千五百円というと、月に四万五千円になる。何に使うのですか、裁判長がそれだけのたくさんの金を。
  108. 隈井亨

    ○裁判官弾劾裁判所参事(隈井亨君) 裁判長が開会中に受けます職務雑費一日千五百円でございますが、これは、やはり弾劾裁判所を代表し、いろいろそのお仕事上、その立場における経費もお要りになるということで、以前にこれが一日千円でありましたのが、今度、三十七年度から千五百円になったわけであります。
  109. 一松定吉

    ○一松定吉君 裁判長が開会中に審査費というものを普通の議員と同じように受けておる。それに、一日千五百円、月に四万五千円の金をやる。それは多過ぎやしないかね、経費節約のときに。裁判長は何か特別に、裁判長であるがために一日に千五百円ずつ、何か費用が特別に要るということなら、これは別だよ。特別に要りやしない。僕は去年裁判長を一年やったが、こういうことは、裁判長にもし特別に費用が要るならば、同じように裁判員にも、千五百円はなくても、たとえば千円とか五百円というものを審査雑費以外に支給するということなら公平でよくわかるが、裁判長だけに特別に一日千五百円、月に四万五千円というものを普通の委員よりやるというようなことはどういうわけですか。
  110. 隈井亨

    ○裁判官弾劾裁判所参事(隈井亨君) これは、ただいまも申し上げましたように、開会中の裁判長手当の趣旨でありまして、裁判員の方には、開会中はこれはないのでございます。
  111. 一松定吉

    ○一松定吉君 そこが不公平だということなんです。裁判長に裁判長という職務手当をやって、国会議員としての歳費を取っているじゃないか。それなのに、これだけのものをやるということであれば、普通の裁判官にも相当のものをやるということならよくわかりますよ。裁判官には何もやらんで、裁判長だけに四万五千円もやる。しかして審査雑費というものは、裁判長も同じように二万五千円ずつもらっている。その点どうですかね。
  112. 隈井亨

    ○裁判官弾劾裁判所参事(隈井亨君) 裁判長は、弾劾裁判所の事務を経理し、弾劾裁判所を代表するために毎日事務を見ておられるわけです。他の裁判員の方は、毎日事務を見ておられるわけではないわけです。それから、との裁判長にこういう職務雑費が開会中出ますというのは、両院の常任委員長、特別委員長の役員の方と同じ趣旨で出ておるかと心得ております。それからそのほかに、開会中に裁判長にはそのほかには職務雑費はないわけです。閉会中に職務を行ないました場合には、普通の裁判員も職務雑費はございます。しかしそれは、先刻申し上げましたように、両院の常任委員会における審査雑費を月額で受けられる場合には、弾劾裁判所の審査雑費が受けられないということになるわけであります。
  113. 一松定吉

    ○一松定吉君 それから、訴追委員会のほうにも今の点を伺います。この委員長の職務雑費というのは、やはり一日千五百円というのですか。
  114. 福島尚武

    ○裁判官訴追委員会参事(福島尚武君) 訴追委員会におきましても、委員長には、ただいまなれば一日千円、それから、来年度からは千五百円の職務雑費を受けられる、こういう建前になっております。これは結局、両議院の役員並びに特別委員長には、国会開会中に限って、日額、現在では千円の職務雑費を議会雑費として受け取られておる。それに対応いたしまして、訴追委員会の委員長も、やはり国会の開会中に限りまして、今申し上げました金額定額による職務雑費を受けられる、こういう建前になっておる次第でございます。
  115. 一松定吉

    ○一松定吉君 どちらがお答え下さってもいいですが、そういう職務に従事しておるがために、今までの千円が少なくて、五百円増額しなければならないわけは、どういうわけですか。
  116. 福島尚武

    ○裁判官訴追委員会参事(福島尚武君) それは、ただいま申し上げました国会における委員長の議会雑費が日額千円でありましたのが千五百円に増額されるということに対応いたしまして、訴追委員会の委員長の職務雑費も、それと同額に引き上げられるという次第でございます。
  117. 一松定吉

    ○一松定吉君 委員長や裁判長だけに千五百円やって、普通の委員や普通の裁判員にはどうもしないということは、それはどういうわけかね。
  118. 福島尚武

    ○裁判官訴追委員会参事(福島尚武君) さような職務雑費を受けられるという制度ができましたのは、結局議院の各委員長、議院の役員をやっておられる方と同じような待遇をしよう、同じように雑費を受けられるようにという建前からさようになっておるのでございまして、同一歩調をとっておる考え方でございます。
  119. 一松定吉

    ○一松定吉君 あなたと議論はしないが、そういうことは不公平だと思わないかね。
  120. 福島尚武

    ○裁判官訴追委員会参事(福島尚武君) これは、国会の開会中に限って職務雑費を受けられる。私たちの訴追委員会における事務局の考え方といたしましては、先ほど弾劾裁判所のほうでも御説明がありましたが、訴追委員会といたしましては、国会の開会中に限らないで、年間を通じて相当多数の事件を処理しておるわけでございます。ですから、国会開会中だから委員長の職務が非常に忙しい、閉会中であるから比較的ひまであるというような関係もございませんので、年間を通じて訴追委員会はそれぞれ仕事をやっておるわけでございますので、でき得れば開会中に限らないで、年間を通じてさような職務雑費を受けられるという制度のほうが好ましく思いますけれども、これは、やはり各議院の役員や特別委員長の方々の議会雑費と見合う制度になっておりますので、現在におきましてはそこまでは運んでおらない、かように考えます。
  121. 一松定吉

    ○一松定吉君 私の言うのは、国会議員というのは、国家からたくさんの歳費や実費をもらうのがほんとうの仕事じゃない。金を一文ももらわないでも国家のために働くというのが国会議員のほんとうの任務です。それを、今まで千円やっておるのを千五百円というようなことは、それは、実費が、物価が上がったからやるということなら、裁判員や委員にも相当のやはり物価が上がったということでやるということなら公平だが、裁判長と委員長だけにそういうことをやるというようなことは、これはひとつ、きょうは私はこれ以上追及しないから、今度ひとつ来年の予算のときには考えて下さい。それだけのことを言っておきます。  その次には、図書館長見えましたか。
  122. 亀田得治

    主査亀田得治君) 館長はまだ来ません。副館長がおります。
  123. 一松定吉

    ○一松定吉君 館長が見えなくてもいいから聞きます。この説明によると、科学技術関係要員二十名を増員するということがありますね。これは、科学技術関係の要員というのは、今までは国会図書館にはなかったのですか。
  124. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 現在の図書館の資料のうちで、特に科学技術関係の資料を収集し、整備し、充実し、利用しやすくするということは大事な方針でございますので、これについて必要な人員を、目下のところ科学整備三カ年計画を立てまして、その充実をはかっております。現在のところ、科学技術関係に従事している職員が五十名おりますが、さらに二十名増員していただく予定でございます。
  125. 一松定吉

    ○一松定吉君 現在、科学技術関係要員五十名いるのかね。
  126. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) さようでございます。
  127. 一松定吉

    ○一松定吉君 そういうようなことは、主として国会図書館としてどんな仕事をしているのですか。
  128. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 科学技術関係につきましては、科学技術に関する標準的な一般図書のほか、三十六年度におきましても、全世界から科学技術関係の新聞、雑誌、特に雑誌について申し上げますと、七千種を収集しております。これを日本全国の大学あるいは会社その他の調査研究機関、一般の学者、それから民間の方々にいろいろな方法で利用していただいております。閲覧のほか、これを写真複写であるとかいうような、非常に大量な利用方法をとっているわけでございます。
  129. 一松定吉

    ○一松定吉君 そういうもので今五十名いるところへ、また二十名要るわけは……。
  130. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 今申し上げましたとおり、科学技術関係の資料というものは、非常に急速にふえて参っておりますので、これを利用しやすく整備する、あるいは出し入れする、閲覧に供するというために、現在の五十名ではどうしても足りませんので、業務量を十分勘案いたしまして要求いたしまして、その必要が原案として認められたわけでございます。
  131. 一松定吉

    ○一松定吉君 そういうような技術関係等についての外国から資料を集めるとかいうようなことについて、集めた資料を国会議員に何か周知せしめるような方法をとっておりますか。
  132. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 国立国会図書館は、何と申しましても、第一に国会議員の国政審議に奉仕するのを建前にいたしておりますので、科学技術資料のみならず、あらゆる他の社会科学部門につきましても、御利用に相なるように、いろいろな資料を作って御配付申し上げておりますと同時に、調査及び立法考査局というのがございまして、ここに専門家百人も備えてありますので、御質問にお答えする、あるいはあらかじめ資料を作るというようなことで、レファレンスというような雑誌もございます。そのほかいろいろな資料を発行しておりますが、お手元に差し上げておきまして、御審議の資料に御利用いただいております。
  133. 一松定吉

    ○一松定吉君 必要なことは必要と認めるといたしましても、とにかく経費節約の今日において、いたずらにただ人数をふやしてやるとか、それは、仕事が非常にふえて、今のままでは手も足も出ないというようなことであれば、増員をして国家の費用を支出するのはやむを得ませんが、どうも少し私は、二十名をふやすということは、今日の経済界の状況や、特に資源の立場からどうかと思う。これは会議論はしませんから、やはりこういうような意見もあったということで、ひとつ来年の予算を組むときには考えてもらいたいということをつけ加えて質問をやめます。これ以上やりません。
  134. 亀田得治

    主査亀田得治君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  135. 亀田得治

    主査亀田得治君) 速記始めて。
  136. 藤田進

    藤田進君 それでは、両院について伺いましょう、時間の都合で。かねて臨時職員ということが問題になってきて、定員増、ことに衛視の増員といったような議院警察職の増員はだいぶ前にやったことでありますね、国会図書館と一緒に。しかし、依然として臨時職というのが残っておる。長い人になると十年以上の人もいるようですね。それから大学を出ても臨時職というのが六名、まあ一々数は言いませんが、こういう臨時職について定員化するようにするのが当然だろうと思う。国会のように、事業予算のある建設省などと違い、その建設省でも大幅な定員増を今度やるわけです。これは少し灯台もと暗しで、以下順次申し上げる各数字について同様ですが、もっと事務当局は、これらについて考え直す必要があろうかと思うのです。臨時職の実態について、何年ぐらい勤めた人が何人、合計どのくらいいるといったようなことからひとつお答えをいただきたい。
  137. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) ただいま事務総長が議運の理事会、庶務小委員会と、連続して開催されて、そちらに出席しておりますので、私がかわって参りました。  本院の臨時職員につきましては、もう相当長い間非常な問題を重ねておったのでございますが、御承知のとおり、新国会になりましては、閉会中も委員会で相当活発に継続審査を行なわれるのでありまして、これらに対処いたしまして、古い議会とは違いまして、職員も閉会中に多量を擁しなければならない情勢でありますので、事務当局といたしましては、そのつど大蔵当局にこの臨時職員の定員化を要求しておったのでございますが、幸い本年度は、議運の理事の方々の御配慮をいただきまして、三十七名に上る定員化をいただいたわけでございます。この点につきましては、今、藤田先生お述べになりましたような、あまり極端な例は最近ございませんが、逐次それらの職員の事情と能力を勘案いたしまして常勤職に振りかえたいと思います。今回の三十七名につきましても、できるだけすみやかにこれを定員の中に繰り入れようと、毎日会議を開いておるわけでありますが、一面、簡単に全部残っているのをその場で入れるというような事情には相なっておらないのでございまして、個人の事情を勘案いたしまして、できるだけすみやかにこれらの職員を定員に振りかえていきたい、こういう方針であります。
  138. 藤田進

    藤田進君 そうすると、三十七名が、予算的には四月一日からということのようですが、これは四月一日から事務的処理がついて三十七名の繰り入れができ、そして残りは何人臨時が三十七年度に残るのか、お聞きしたい。
  139. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) 三十七名の定員をいただきましたが、これを全部四月一日から即座に実施はちょっと事情でいたしかねるのでございまして、その約二十二、三名は即座に取り入れて、あとは、その個人の事情を勘案いたしまして、便宜閉会中、次の臨時会の開会を見て常勤の職員に振りかえる、こういう方針でございます。
  140. 藤田進

    藤田進君 何人残る。
  141. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) 三十七名でございますが、二十二名入れまして、あと十五名くらい残ります。
  142. 藤田進

    藤田進君 それで現在の臨時職はみな定員化、三十七名はできないのですか、依然として臨時の人がいる。
  143. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) こういう事情でございまして、閉会、開会の差があるのでございますから、やはり大蔵省としても、全部いただくわけにいかなかったのであります。今年、三十七年の十二月の常会の開かれるころには、約二十名くらいの臨時職員をやはり擁して新常会に対処いたすことになっております。まだ二十名はやはり臨時でまかなっていかなければならない情勢になっております。
  144. 藤田進

    藤田進君 どうして四月一日からできないのですか、事務が進まないのですか。
  145. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) 配置転換等の事情もございまして、定員をいただいた三十七名中二十二人は文句なしに四月一日から定員に入れるわけでございます。その残った十五人につきましては、いろいろな配置転換等もございまして、例を具体的に申し上げましてもよろしいのですが、たとえば、ある課のところにたまたまおりましても、その課の仕事が常勤的な職務であるから、そこにたまたまおったというので、すぐそこの場の常勤職員にいたしかねるわけでございます。たとえば、ほかの部課にもっと長年の勤続者がおれば、それを連れてきて、そこのところにぶち込まなければならない。これは、今の開会中ではちょっとできかねるので、閉会になったら、早々そういう組みかえをやって、三十七名中二十二名は四月一日から実施いたしますが、十五名は、そういうような点を勘案いたしまして、閉会後処理いたしたい、こう考えております。そういうふうに処理いたしましたあとにおきましては、先ほど申し上げたとおり、次の常会の始まるころには、振り出しには、二十人くらいはやはり臨時でやっていかなければならないんじゃないか。まだ二十名くらいが臨時として残ります計算になっております。
  146. 藤田進

    藤田進君 閉会中というと、とりあえず今度の会期は五月七日で、まだこれから先があるわけですが、開会中はそれができないということになるとすれば、残り十五名はいつごろをめどにやられるのですか、閉会中といっても期間も長いが。
  147. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) 御趣旨に沿って、閉会直後すみやかにやります。
  148. 藤田進

    藤田進君 そうすれば参議院選挙に入るまでは、六月中くらいまでは……。
  149. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) その見当でございます。
  150. 藤田進

    藤田進君 この定員化する場合に、いろいろ事情があったろうけれども、原則としては、長く臨時でしんぼうしてくれた人たちを優先的にやっていくというのが、その基準にならなければならないと思いますが、それはそのとおりに、古い順で機械的にとっていくということになりますか。
  151. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) 大体御趣旨の点はそういうふうにしていきたいと思いますが、特殊な事情もあるのでございます。多少例外もあると思います。
  152. 藤田進

    藤田進君 特殊な例外、人の名前はいいが、どういう理由ですか。どうしても本雇いになりたくないというのがいるのですか。
  153. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 今のところ、特殊な事情でもって該当しないという者はちょっと考えられませんが、ただ、従来の人事の方針といいますか、人事のやり方が、臨時に来ている者がだんだん古くなりますと、当然に定員の中に入るというわけではなかったのであります。なぜかと申しますと、たとえば、男子の職員につきましては、試験をして採用をする、あるいは人事院の上級職試験を通ってきた者を別に採用をする。つまり臨時職員として採用いたしましたときの能力の判定というものは、臨時でございますから、相当ルーズと申しますか、臨時としての能力だけをためしておるわけでございますから、これを定員の中に繰り入れますには、定員内の職員としての能力を判定することが必要なわけでございます。したがいまして、単純な労務に服するような者は、原則としてそういう能力を必要といたしませんので、これは、今回定員化されました者はすべてこれを定員の中に入れる。しかし、事務的な能力を備えなければならぬ事務を行ないます者におきましては、必ずしも臨時に古くおるから優先して採用する、むろんそのことは考慮はいたしますけれども、別途選考の方法を講じて採用したい、こういうふうに考えておるのであります。
  154. 藤田進

    藤田進君 しかし、実際あなたの子供だと思って扱っていけば、毎日、朝早くから夜おそくまで通勤するのもなかなか楽でない。そうして五年なり八年なり十年なり国会に勤めてきて、そうしてやがては本採用、定員化できるという楽しみを持って来ている人たち、その面から見れば、経験等から相当買えるところがあるのです。そう言っちゃ悪いけれども、あなた方、今東大の入学試験を受けさせたら合格しますか。佐藤さんの場合は秀才だけれども、必ずしもみんな東大の入学試験にパスできるかどうか、僕は疑問に思っている。かようなもので、かといって、その人が能力がないというのではない。ですから、やはり原則として、特に例外ということがあり、とにかく職員組合なり、ある場合は討議もされて円満なる人事をやっていかれる、試験万能でいかれることがはたしていいかどうか、各省庁における定員化の問題でも、問題が非常に起きているのですが、定員化というものは相当重要視されてきている。これはもっと大量に定員化すると、どこでもそうです。そうしてその場合に繰り入れるときに、従来臨時に入ってきてからのバック・ペイするわけじゃないのだしするにもかかわらず、従来の実績を格づけされた場合には三分の二しか見ておらなかった。これはやはり当該年次卒業生の均衡ということも考えられて、その俸給表等における待遇、格づけというものは、従来のそういう考えでなしに、百パーセント見てやるというのが筋じゃないだろうか。今回の定員化についてはどういう措置になりますか。
  155. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) ただいま申し上げましたのは、原則を申し上げましたわけでございまして、先ほど次長が答弁申し上げました中で、配置転換等と申し上げておりますのも、そういうことを含みまして、つまり、あるところでは、ある臨時で働いている職場ではちょっと能力に欠けているところがあると、かりにいたしましても、他に配属転換をする等のことによりまして救済し得る道はないか、そういう検討をいたしまするには、開会中もう日も少なくなりましたので、四月一日から直ちに実施するよりは、閉会になってからそのことを専心措置したほうがよいのではないか、こういうことから、若干の者を四月一日以降に延ばすわけでございます。それから、ただいまのような、こういう臨時職員の定員化と申しますか、臨時職員の中からだんだん定員内の職員に入っていく、こういうやり方が、従来とも非常に事務局の人事の採用の仕方の欠陥であったわけでございますが、今回三十七名の者が定員の中に入りますと、そういった職場、つまり開会中も閉会中も通じて同一人がずっと勤務していなければならない職場、そういう職場につきましては、大半の者が定員の中に入ることができるわけでございまして、今後は、人事の運用の面におきまして、定員の中に臨時職員を順次組み入れていくという従来の弊害がなくなるのではないか、こう考えております。なお、開会中と閉会中とにおきましては、確かに単純な労務に服する職員がどうしても多い少ないが生ずるのはやむを得ないことと思いますけれども、現在のように、開会中のほうが閉会中よりもはるかに長い、すなわち、一年のうちで七割くらいのものは開会中であるというようなことになりますと、臨時職員と申しましても、そういう形態で働かせておきますことは、人事の管理の面から申しまして、非常によろしくないことでございますので、今後ともこれらの定員化には努めていきたい、こう考えるわけでございます。
  156. 藤田進

    藤田進君 従来の勤務日数の総計に対して三分の二を見てやったんでしょう、従来は。それを今度は百パーセントにやってやりなさいよ、切りかえるときに、定員化するときに。
  157. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) その点につきましては、一般職の基準というものがございまして、これに準拠して実施しますものでございますから、今、人事課長からそのこまかい基準を申し上げたいと思います。
  158. 二見次夫

    ○参事(二見次夫君) 国会職員の給与に関しましては、特に定めのある場合のほか、一般職の政府職員の例によるとなっておりまして、政府職員の給与関係の規定を準用いたしておるわけでございます。一般職につきましては、人事院細則の中に、過去の経験年数の算定につきましては、十八カ月をもって一号とするという定めがございますので、これを準用いたしますと、定員として採用するにあたって、その人の過去の経験年数を一般の職員並みに、十二カ月をもって一号とする、そういうふうに扱うわけにはいかないわけでございます。
  159. 藤田進

    藤田進君 だけれども、それがどの程度強制力を持っておるかという議論もあるが、そうすると、他の部分一般職と同じようになっておるかどうか。たとえば時間外、国会がおそくまでやって、割当時間内で各課で処理せざるを得ない。次長あたりはそういうことを経験されると思うが、議運なんか毎日のようにおそくまでやって、割当の時間外、オーバー・タイム、それ以上を越すことはできない。ただ働きを相当さしておるのです。これはおしなべてそうです。そういう点もあるので、必ずしも人事院の言っておるとおりにはなっていない。悪いところだけ取り上げて、本人らに有利になるところは取り上げないというのでは、これはやはり筋が通らない。時間外などでもそうなんですよ。実際に残業をした、仕事を残ってした、朝早く来てしたというものについて、それぞれ個人についての厳密な計算をしての支払いをしていないでしょう、やっていますか。
  160. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 臨時の職員につきましては、臨時の職員の日給の中に六時間分だけ超過勤務手当が算入してございます。そういたしまして、六時間といえば非常に少ない時間でございますので、臨時職員は努めて定時に帰せるように運用しておるわけでございます。
  161. 藤田進

    藤田進君 それは、定時に帰せるのは、予算からきた制約であって、仕事はある、また翌日やるなりといったことなんでね。議会というのは、モーターのスイッチを入れれば工場の機械が回って、とめれば——という状態ではない。それから臨時職以外の場合だって同じことになる。これは不合理だと思いませんか、実際問題としては。これは衆議院でも同様です。実際に働かせておいて、ただ職制だけで監督していくということじゃなしに、必要なやっぱりペイを払っていくというのが建前じゃないですか。そうして、かりに臨時の者の場合に、日数の格づけ、期間の格づけに三分の二しか見てやらない、それは人事院の示していることだというのでは、筋の通らぬ話じゃないですか。
  162. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) 藤田委員のおっしゃることは、わからぬことはないのですが、われわれと行政職の諸君と単純な比較というわけではございませんが、われわれのほうは、長いこと職員を勤めておる者が多うございますから、なるべくこの行政職に劣らない待遇をしていこうということで、今まで、過去精一ぱいだったわけです。たとえば、警務を担当する職員にしても、このような状況のもとで働いておるのでございますが、警視庁の第一線に活躍しておる者と同様な待遇をしていく、どうしてもそのとおりにしてくれということをわれわれ過去主張し続けてきておったのでございますが、一般職員につきましても、同様にやって今日に至ってきたわけであります。いろいろな格づけ問題等につきましては、一般職の基準を持ってきてやっておるのが今の実情でございまして、これは予算の面でも縛られますが、そういったことにつきましては、こまかいところではいろいろなるべく職員に有利に裁量してやっていこうと思っておりますけれども、大局的の大きな基準にはどうしても縛られざるを得ないので、こういうことに相なっておりますが、この職員の特殊事情も主張いたしまして、超勤等については、相当者が大蔵省に御了解を得て、相当過分の、ほかの官庁に比較しますれば過分の超勤をいただいておるわけでありますが、そういうところはそういうところで手当をしておるわけでございます。なるべく実地につきましては、御期待に沿うように努力しておるわけであります。
  163. 藤田進

    藤田進君 努力して下さい。
  164. 高田なほ子

    高田なほ子君 関連。臨時職員の一日の日給は幾らですか。
  165. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 大学卒業者四百四十円、短期大学卒業者四百五円、高等学校卒業者三百八十円であります。
  166. 高田なほ子

    高田なほ子君 この単価、低過ぎるとお考えになりませんか。
  167. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) この単価につきましては、予算単価が非常に低いこともありまして、非常に苦労いたしたのでございますが、この改定につきましては、逐年努力をいたしまして、従来から比すれば相当に大幅に増額をいたしたのでありまして、今後ともベースアップ等の機会をとらえまして増額に努力したい、かように考えております。
  168. 高田なほ子

    高田なほ子君 一般の日雇い労務者の一日の賃金は、御承知のとおり、上がって、四百幾らかになっておりますね。国会に十年以上も勤めておられる親切な用員のおじさんに私尋ねてみたのですが、何か二百五十円くらいらしいのですね——三百五十円ですか、それで十年間に百円ぐらいしか上がらないのだという説明をしてくれました。このおじさんは、とても私たち議員にとっては親切な、国会の中ではとてもいい用員のおじさんなんです。それが十年以上も勤めていて、三百五十円という日給なんですね。そんなのは日雇い労務者よりももっと低い、これではいけないと思います。日雇い労務者並みくらいまでには私は上げなければならないと思うのです。これどうですか。
  169. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) ただいま御指摘の用員につきましては、現在お聞きになったんではないと思いますが、現在では四百三十円と四百五十円になっております。
  170. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは、それは四百三十円と四百五十円とに上がったわけでありますか。
  171. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) さようでございます。
  172. 高田なほ子

    高田なほ子君 いつごろ上がりました。
  173. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 昨年のベース改定のとき上げたものと承知しております。
  174. 高田なほ子

    高田なほ子君 それじゃ、ボーナスはどうなっておりますか。
  175. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 日給者と申しますか、臨時職員のボーナスは、この六月十五日におりませんと夏季は支給できないわけでございます。それから、十二月の十五日におります者につきましては、定額によりまして、これはそう多額ではございませんが、支給しております。ちょっと速記をとめてほしいのですが……。
  176. 亀田得治

    主査亀田得治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  177. 亀田得治

    主査亀田得治君) 速記を始めて。
  178. 高田なほ子

    高田なほ子君 用具の方でも、十年以上も私たち議員にたいへん親切にしてくれる方が、ほんとうにもう日雇いの方よりももっと以下の待遇だということは、問題だろうと思うし、今藤田委員から定員化の問題が出ましたけれども、これは十年以上、あるいは十年近くもお勤めになった方は、それは定員化されるべきだと思うのです。十年以上も勤められて、それこそもち代も出ないという、そんなことはあまりにも不合理だと思うのですね。この点については、十分考慮をされたいと思う。
  179. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 今度の定員化につきましては、十分考慮いたすつもりで考えております。
  180. 藤田進

    藤田進君 衆議院の方針は、今まで参議院が答弁されたと同様ですか。
  181. 久保田義麿

    ○衆議院参事(久保田義麿君) たいへんおくれまして、議院運営委員会をやっておりまして、おくれまして申しわけありません。事務総長は本日本会議がございます関係上、出席できませんが、御了承願いたいと思います。私事務次長でございます。ただいま拝聴いたしておりまして、臨時職員の問題につきましても、ほぼ参議院と同様な状態になっておりますが、できるだけわれわれのほうも臨時をなくして定員化いたしたいという希望のもとに年々やっておりますが、なお幾らか残っておりますことを非常に遺憾に思っております。日給額の問題につきましても、参議院とほぼ同様の程度にベース改定をいたしております。それから、用員関係で十年以上というようなお話もございましたが、私のほうでは、大体三カ月くらいで常職員のほうに切り上げておるように私は存じております。今後とも先生のおっしゃいますとおり、われわれも一生懸命にそのほうの解決に努力したいと考えております。
  182. 藤田進

    藤田進君 参議院のほうはどうしてそんなに長いのですか、用員等の臨時期間が。事務次長の腕次第……。
  183. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 衆議院の事情と若干違いますのは、衆議院におかれましては、用員の勧奨退職をいたします年令を六十三才とされておるわけでございます。私どものほうでは、これを六十七才としておるわけでございます。そういう意味から若干新陳代謝がおくれた点がございます。のみならず、この用員室は、どういうものか、居心地がよいものとみえまして、なかなか自然退職者が少ないのでございます。それでそういう結果にもなるわけでございますが、今後は、すべて用員は定員の中の職員でやって、臨時職員は置かないという方針で運営したい、かように考えております。
  184. 藤田進

    藤田進君 衆議院のほうがそれでは居心地が悪いのですと言わぬばかりだけれども、そうでもなかろうと思います。  次に進みますが、議院の衛視さんですね。これはいつもやかましく言われるのですが、臨時に来て、あとは失業保険もらって、ボーナスも何かもらえないというようなこと、これはもうひとつ臨時制度というものは廃止していかれる必要があるのじゃないか、数から見て。私の調査では、参議院のほうで十名、衆議院が二十名ですか、そんな程度なんですし、こういう人たちが外へ出て、臨時に来ていないときに外で何か仕事ができるかというと、そういうわけのものでもない。さなきだに安い本俸なのに、失業保険が六割とかなんとかいうことです、かりにもらったとしても。こういうことで、産業資本家でも今はそんなことはしない。ところによっては、臨時なるがゆえに給与はいい、臨時だからいいというのはかなりふえてきましたよ、今。それが国会でこういう実態では、時代おくれもはなはだしいですよ。衛視の臨時制度については撤廃すべきだと思いますが、どうです、両院事務次長
  185. 久保田義麿

    ○衆議院参事(久保田義麿君) 藤田先生のおっしゃるとおりに、われわれも臨時でなしに正式の衛視としてあげたい、またそうあるべきだとわれわれも考えておりますので、できるだけその方向に持っていきたい、今後努力を続けていきたいと思います。
  186. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) 衆議院同様に努力をいたしておりましたが、うちは三十人の定員をかかえておりますので、実際は十人ということでやっておりますが、逐次人数を減らしていきたいと思っております。
  187. 藤田進

    藤田進君 そこで、大蔵省から担当主計官が来ておりますが、そうすると、大体来年度はこれは解消できますね。
  188. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 来年度予算におきましては……。
  189. 藤田進

    藤田進君 来年度、三十八年度
  190. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 三十八年度におきましては、解消し得ると思っております。来年度、三十七年度につきましても、ちょっといいところまで参りましたのですが、ちょっと事情がございましておっこちてしまいましたが、再来年度には解消できるものと考えております。
  191. 藤田進

    藤田進君 衆議院どうです。
  192. 久保田義麿

    ○衆議院参事(久保田義麿君) われわれもその方向に努めて参りたいと思いますが、相手もあることでございますので、はなはだ今ここで確約をするという御答弁をちょっといたしかねます。その方向に努力していきたいという気持だけは持っております。
  193. 藤田進

    藤田進君 ああいう状態ですが、主計官どうですか。
  194. 赤羽桂

    説明員(赤羽桂君) 一般的に申しまして、臨時職員につきましては、事の本質から、十年とか五年とかいった、そういった人があるべきものではないわけであります。まあ、しかしながら実際問題として、長い臨時職員が国会のみならず各省にいろいろ出て参りまして、そのために行管を中心にいたしまして、ここ二、三年来定員化をやってきておるわけであります。もちろんそれぞれ全部百パーセント片づくというようなことには参らない点も若干残ってくるとは思いますが、だんだんそういった方向に進んできておるわけでございます。ただいまいろいろ御質疑、御答弁のございました臨時衛視の問題につきまして、今年度もまあ概算要求の段階でいろいろ検討をいたしたわけでございます。さらに来年度、三十八年度におきまして検討いたすつもりでおります。ただ、なかなか実際問題といたしまして、何と申しましても開会中と閉会中におきます必要の人数が非常に違いますものですから、それを全部定員化いたすということについては、若干さらに今後考え方を整理いたしまして、定員化するならその辺の考え方を割り切ってからやるというような方向で考えたらいかがかというようなことで事務的には検討いたしておる次第でございます。
  195. 藤田進

    藤田進君 それは仕事の繁閑があるでしょう。しかし、これは使うほうだけの勝手で言っておる。使われるほうとしてみれば非常に困るのですよ。付随する給与もうんと少ない。ことに議院警察職の俸給表を見ると、警視庁関係は十八才で七等級一号一万八百円、こっちの衛視になると二十二才で四等級の一号で一万八百円、これはどうしてこういう差をつけなければいけないですか。
  196. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 当初、従来からの経過がございまして、二十一才でございましたか、以上でなければ衛視の資格がないとされておったわけでございます。しかしその点は不合理でございますので、昨年から十八才、つまり高校卒と同時に採用するという方針に切りかえまして、現に昨年からそういう運用をいたしております。
  197. 藤田進

    藤田進君 昨年からもう是正されたのですね。
  198. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) さようでございます。
  199. 藤田進

    藤田進君 それではお聞きいたしますが、前歴について、ことに戦後はいろいろな人が就職されておるけれども、衛視について言っても、前歴というものはあまりウエートを持っていないんですね。非常に入ってきてからアンバランスが出てくる。こういう点も是正しますか。
  200. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) おっしゃっておりますのは、衛視として、あるいは警察官として以外の経験のことだと存じますけれども、衛視につきましては、これは、議院警察といたしまして執行力を持っております関係もございますので、前歴は従来から見ておらないわけであります。ただ、臨時衛視の期間だけはこれを考慮に入れて給与を決定しておるわけでございますが、その他の者は執行力を持った警察職というものには該当しない、つまりたとえば特殊な技術を要する自動車の運転手であるようなものは、かりにこれが事務を長くよそでとっておりましても、運転手としての前歴には考慮しないわけでございまして、それと同様の考えで考慮をいたしておらないわけでございます。
  201. 藤田進

    藤田進君 これは不合理ですね。したがって、だんだんと国会へ就職するという希望者が減ってくるのじゃないだろうか。これは官庁も今そういう傾向が強いのですけれども、臨時衛視についても、定員——従来のやってこられたものに対しての実際の希望者なり就職というものがかなり減ってきてはおりませんか。参議院の場合どうです。
  202. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 志望者はだいぶ減ってはきております。これは一般的な現象でもございますけれども、ことに用員でございますとか、あるいは機械類の保守関係の技術者、こういうものは極度に苦労しておるわけでございます。
  203. 藤田進

    藤田進君 衆議院はどうです、同様なことについて。
  204. 久保田義麿

    ○衆議院参事(久保田義麿君) 衆議院も大体同じでございます。
  205. 藤田進

    藤田進君 国会へ人材を集めるということについては、相当やはり苦心されなければならぬと思うのです。そういう実態が出てきて、また今後その事情はさらに深刻になると考えられるときに、今後その原因を逐次なくしていって、人材が集まってくるという方策を立てなければならぬ、その方策はどういうふうにお考えですか。集まってくるということになれば、国会という職場がいやだという人はまれだと思う。結局一般社会の待遇と比較して、当面よくないということが根本の原因だろうと思うのです。ことに技術職についてもそうですね。だから、特段のここで待遇改善ということを、過去のいろいろな例にとらわれないで、抜本的に改善をしていくという具体策がなければ、この解決はできないと思うのです。今後の対策についてお伺いしておきたい。
  206. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 冒頭に臨時職員についての御答弁の中でも申し上げましたが、臨時職員の制度というものがございますと、臨時で何年も来た職員が、順次古くなると定員の中に入る、こういう運用をしております限りは、なかなか今おっしゃいましたような人材を得るということが困難なわけでございます。今回三十七名の定員化をいたしました機会に、根本的に採用する人事のやり方を、従来臨時をルーズに採用していたようなやり方から改めたいというのが一点でございます。  それから待遇の点につきましては、これは公務員というもの一般について申せることでございまして、公務員にはやはり国の政治なり行政なりを担当して参りますものでございますから、非常に人材を得ることが必要でございますが、国会職員と一般の公務員の間におきましては、これは公務員として国から給与を受け、国のために奉仕をいたします以上は、同種の職員については、国から受ける給与もほぼ同額でなければならない、こういう考えから、給与表その他もすべて一般職の国家公務員と同様のものを用いておるわけでございます。今おっしゃいました国会に人材を得るということは、一般的に申しまして、経済界が好況でありますときには、公務員に人材が得られない、こういう結果になることはやむを得ない、遺憾ではございますが、やむを得ないことかと思います。
  207. 藤田進

    藤田進君 これはまあ議運のほうでも、国会あるいは図書館等を通じて人事交流をひとつ考えてみようとか、先般申し合わせもできたようだけれども、他の公務員も、これはもう待遇がいいとは言わないですよ、どこの官庁も。ここで分科会で続けてみたのですが、人手不足、採用困難という事情で、なかんずく国会は、非常に働く者の立場から見れば職場が狭い。およそ入れば事務総長、事務次長、部長、課長には、退職するまでになれるという楽しみの人は少ないでしょう。まことに狭い職場ですね、これは。そういう点は十分、これは、人事交流といっても限度もありましょうし、十分考えられて、待遇というものは、必ずしも公務員一般ということでなく、それ以外のことも考えられる必要があると思います。  それから最後に、最近、従来もそうでしょうが、勧奨退職ということをやられているのですね。これはあれですか、法制上そういうものがどこにあるのか知らないが、そのやり方、あるいはそれをやってこられての困難の点、どうもあまり評判のよくないものがわれわれの耳に入るので、部長や課長さんがかなり強制的に引かせる、御熱心に自宅まで行って、お前引けというようなことで。これはやはり勧奨される以上は、本人の納得ということがまず第一になければならぬでしょうし、勧奨退職の場合には、それ相当の退職時における条件もよくしなければならぬでしょうし、まあ地方庁では、小中学校の先生の勧奨退職というのをやっておりますが、そのかわり退職金はどうだとか、こういう実情についてまずお伺いしたい。
  208. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 勧奨退職につきましては、別段そういう特に規定があるわけではございませんが、勧奨によって退職した者につきましては、特別に退職金の法律の五条の適用を受けまして、高額の退職金が払われるというだけでございます。したがいまして、勧奨をいたしまして、本人が納得しないものを退職させるということは絶対にできないし、そういう考えは持っておらないわけでございます。ただ、この勧奨の運用のしからば方法でございますけれども、勧奨いたしますということは、人間がだんだん年をとりますと能力が劣ってくる、あるいは年をとらなくても、病気その他によって能力が劣る者もあるわけでございます。そういう場合に、しからば能力が劣ったから勧奨して退職させるということになりますと、これは、ある勧奨する者の恣意によりましてある者を勧奨してやめさせる、特定の者を選んでやめさせるということになるわけでございまして、これは弊害が生ずるのではないか。したがいまして、参議院におきましては、年令を、事務職員につきましては六十三才、それから単純な労務に服するわけでございますから、別段そう能力を必要としない用員関係につきましては六十七才という線をもって勧奨をすることにいたしておるわけでございます。この六十三才とか六十七才とかいう年は、非常にこれが低過ぎるではないか、あるいはもっと早くやればいいじゃないかという議論もあるかと思いますけれども、従来普通の会社、官庁でやっておりました五十五才という定年から比しますれば、相当高い年令をとったわけでございますし、その年令につきましては、ちょうど中庸を得たものと考えましてやっておるわけでございます。
  209. 藤田進

    藤田進君 まあ年とれば能力が落ちるということできめられるということにも問題はありましょう。まず両院議長に勧奨退職を願わなければならぬようなことになるので、総理大臣もそろそろやめてもらうということで、必ずしもこれは、年だからというわけにもいかないのですね。そこで、生活の実態ということも十分考慮されて勧奨退職の限界というものを十分心得えて、ひとつ無理のないようにやっていただきたいと思います。  それから図書館について一点、ほかの委員からもありましょうから、お伺いします。今度国会図書館は夜間も閲覧することになるのですか。
  210. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 国会図書館の夜間開館につきましては、現在の利用制度といたしましては、当初から八時半まで夜間開館をするという規則になっておりますが、ただ昨年十一月二十日以後、開館当初は準備その他が整いませんので、当分の間は現在五時までとするということにしておりまして、夜間開館の時期は、夜間開館の準備が整うのと見合いましてきめることにしておりまして、現在いつからこの夜間開館をやるということはまだきまっておりません。方針としては、なるべくこの国会図書館でなければ利用できない方で、勤務時間中に利用できない方に利用していただくというためには、夜間開館の希望も多いことでございますので、夜間開館をするという方向で目下準備やいろいろな打ち合わせをしておりますが、まだいつからやるということはきまっておりません。
  211. 藤田進

    藤田進君 これは高度に施設を利用して、より広く学問の役に立つということから見れば、夜間開館の希望者の多いことはよく知っております。ただ、今準備せられる中で、現状の態勢で事務的に夜間開館ということになれば、サービスも低下するでしょうし、また長期にわたってこれに耐えられないでしょう。ですから諸般準備もありましょう、照明がどうだとかありましょうが、それにふさわしい人員の充足というか、予算的な措置といったようなものも考えられなければならないと思うのです。これらの点についてはどういう措置を考えておりますか。
  212. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 全くお説のとおりでございまして、夜間開館をやるということは、広く国民に便宜を与えるという図書館サービスの精神からいって当然やらなければならぬことでございますが、同時に、夜間開館をやるということにつきましては、職員の負担が増すことでございますので、この間の調節をとって、御利用される側からがまんしていただく範囲、また夜間開館の目的から照らしまして、俗に言えば、単に夜間の学生の勉強室のために夜間開館をするというのではなしに、この国会図書館の貴重なる資料をどうしても昼間利用できない専門家調査員、研究者のために夜間開館をしたいという方向で考えておりますので、それを実施するのにあたりましては、職員が過労にわたらないように、合理的な仕事の配分ができる範囲において実施したい。また、それについて必要な光熱水道料、そういうようなものにつきましては、今御審査いただいております予算の中におきまして必要な経費が認められております。
  213. 藤田進

    藤田進君 人的にはないでしょう。
  214. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 人的には、現在閲覧部が二百五名の定員がございまして、その閲覧部を中心といたしまして夜間開館にも当たるわけでございますので、大体現在のところ、この二百五名の時間の割り振りによりまして無理がいかないように、すなわち、開館いたしましても職員が一週間に一回、三時間程度の超過勤務で夜間開館ができる程度の、これならば職員も無理にならない、あるいは利用者にも御迷惑をかけないというような規模でやろうというような方向で検討いたしております。
  215. 藤田進

    藤田進君 私の調査では、夜間開館に耐えるような態勢では人的にもない。したがって、夜間開館をそういうままでされたのでは困るという強い要請も来ているのです。ですから、その点は十分検討された上で、最後の決定をしていただきたいと思います。
  216. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 御趣旨の意を十分考えに入れまして検討いたしたいと思います。
  217. 高田なほ子

    高田なほ子君 一、二問、もう時間もありませんから……。ただいまの御答弁は了といたしますが、どうもここでの御答弁というのは信用があまりできないわけですね。準備が整ってから夜間開館をすると言われるけれども、準備が整うという、その条件というのはどういう条件ですか。
  218. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 夜間開館と申しましても、これは閲覧態勢が整備されなければなりません。閲覧態勢の整備のためには、資料が整備され、利用できるような状態にもなければなりませんので、いわば図書館職員、現在七百七十名おりますが、これがフルにやはり働く、そしておのおのその職務を尽くして、そうしてそれが具体的に閲覧を最も能率よくできるという態勢に持っていくわけでございます。もちろん今まで長い間の人員不足とか準備の不足でいろいろな実際上の手の足りない不準備のところは、一挙に全部が解決するということはできないと思いますけれども、無理のない範囲において夜間開館をする、しかも、先ほど申し上げましたような趣旨で夜間開館をするのについては、どの程度準備したらいいかということは、今図書館内にそれぞれ委員会を設けて検討しておりますので、その結論を待ってきめたいと思っております。
  219. 高田なほ子

    高田なほ子君 今の定員ではできないから、ことしの予算ではパート・タイマーを要求したのじゃないですか。
  220. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) お示しのとおり、パート・タイマーの予算もついておりますが、パート・タイマーにふさわしい仕事が若干あるものでありますから、パート・タイマー、つまり臨時、非常勤の者、学生のアルバイトを若干利用したほうが経済的だろうと思いますので、これは若干認めてございます。それは万全を期するという意味においてでございます。
  221. 高田なほ子

    高田なほ子君 私はパート・タイマーの制度には必ずしもこの場合賛成しかねるのです。国会図書館で人手が足りないということになれば、現在いる人がオーバー・ワークをしいることはよくないと思うから今質問したわけです。  次にお尋ねしたいことは、この夜間開館をするために、その準備のために、今たいへんな大仕事を皆さんでしていらっしゃるようですが、これらの人たちに対する待遇は、去年も私この席で問題にしたところですが、どういうわけで国会職員から比べて、こういうひどい待遇をして、そして夜間開館だとか、お手元に五分間で届くサービスというようなキャッチフレーズばかりで、その犠牲をみんな職員に負わせておるのですね。国会の職員と同じような待遇になぜできないのですか。
  222. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 昨年も高田先生から、この職員の待遇につきましてお尋ねがございまして、まことにありがたく存じた次第でございますが、そのときも申し上げたのでございますが、国会職員として国立国会図書館職員が他の行政部門の職員に比べて待遇が少なくとも悪いということがないようにすることが、最小限度の第一点。それから他の衆参両院の事務局の職員とも均衡のとれる待遇に是正するということを申し上げたわけでありまして、その方針を逐次実施して参りました。そして、それを実施するための基本的な方法としては、何と申しましても、この待遇の悪化というものはどこから出てきたかと申しますと、常勤労務者制度が多かったということでございます。それで三十六年度におきましては、常勤労務者及び長期非常勤、常勤的非常勤と申す職員合わせまして九十一名でございますが、この全員を定員化いたしまして、三十五年度以来は試験制度によって採用しておりますので、衆参両院と全く同じような待遇をいたしておるわけであります。ただ、従来常勤労務者として採用された者は、数年前においては8の3でとっていた時代がありますが、それも一昨年矢嶋委員からも御指摘がありましたので、とりあえず大急ぎで8の4に直し、一昨年の四月でございますが、8の4に直し、七月から8の5にして、行政府内の職員と同格にいたし、この8の5にしたことによって、第一段階のお約束を果たしたわけでありますが、さらに、これらの者につきましても、長年勤務しておりまして成績優秀な者もおりますので、これも試験採用の者と、採用後長くたてば区別をいつまでもつけておくのもいかがかと思います。よく働く者が多いのでございますので、これも待遇をよくしたいと考えておりましたところ、昨年高田先生からも御指摘がございましたので、これらの者も逐次なるべく早く試験採用の者と同じようにしようということで、昨年度におきましては七十数名を特別昇格の措置をとりまして、長い間実はこのアンバランスというものが生じておりましたが、現在、本年度も含めまして、三カ年でこの問題を解決する計画を立てております。
  223. 高田なほ子

    高田なほ子君 それじゃ、三カ年でもって国会職員と同じになさるというわけですね。短く答えて下さい、時間がないから。
  224. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 御承知のとおり、今後はアンバランスの職員は出ないのでありますから、今まであった職員を三カ年計画で是正するというわけであります。
  225. 高田なほ子

    高田なほ子君 ことしはどういう点のアンバランスを直すのですか、主として。詳しく言うと、超勤も、衆参では開会中は五十時間です。図書館は超勤は十五時間しか見てないし、閉会中は衆参は十五時間だが、国会図書館の場合は五時間ですね。それから、まかない雑費等も千三百円ですが、その千三百円もらえるのも、全部の定員がもらっているわけじゃない。ほんの一握りの人がもらっている。初任給も衆参は一万三千二百円でしょう。ところが、図書館のほうは一万七百円という、こういうアンバランスが出ている、私のいただいた資料では。みんな同じですか。
  226. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 図書館職員の大学卒業の初任給は、一万四千二百円と一万三千二百円の二つあるわけでございます。
  227. 高田なほ子

    高田なほ子君 高校卒は。
  228. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 高校卒は8の3でございますから、九千五百用でございますし、短大卒は一万七百円でございます。  それから、その待遇と申しますと、こういう給与の問題もございますが、超過勤務につきましては、何か開会中十五時間、閉会中五時間というお話がございましたが、国会図書館といたしましては、新年度からは超過勤務が平均して、一年を通じて全職員十八時間になっておりますが、しかし、これは事務量によるものでございまして、実働時間につきましては、私のほうは超過勤務手当は百パーセント支給しております。  それからなお、まかない雑費につきましてもお話がございましたが、これも、まかない雑費というものは、国会関係の業務に関しまして国会開会中特に支給していただく経費でございますが、国立国会図書館は過去十三年間、まかない雑費の支給がなかったのでございます。それを昨年初めて、国会関係の職員に対しまして千三百円、すなわち、従来の衆参両院の約半額を支給することが認められたわけでございますので、今後は国立国会図書館も新館ができまして、国会のそばに参りまして、一そう国会の御審議に奉仕する体制を確立する予定でございますので、今後まかない雑費につきましても充実していただきたいと考えておりますし、このたびは昨年よりももっとふやすようにお願いしてございます。
  229. 亀田得治

    主査亀田得治君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  230. 亀田得治

    主査亀田得治君) 速記を始めて。
  231. 高田なほ子

    高田なほ子君 結論的に言うと、あなたはいろいろ弁解していらっしゃるようでありますけれども、やはりアンバランスがあるということは認められておる。三年間にこのアンバランスをきっと是正することを約束して下さいますか。これが一つ。
  232. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 過去に発生したアンバランスの存在を十分認めますので、これが是正に最大の努力を尽くしたいと思います。その是正の計画を三年計画で、三十六年度から三年計画で立てております。
  233. 高田なほ子

    高田なほ子君 最後に、まかない雑費の問題ですけれども、衆参両院から伺いたいのですが、物価がたいへん上がってきていますね。ですから、従来のこの二千五百円というのを踏襲するのも若干無理があるのじゃないかと思います。これの是正については、何らかの方針はお立てになっておるだろうと思いますが、この点について。
  234. 久保田義麿

    ○衆議院参事(久保田義麿君) 私のほうも、できるだけ額を上げたいと思いまして、目下努力をいたしておる次第でございます。今回も、幾らか上回って出せるのじゃないかという見通しでございます。
  235. 高田なほ子

    高田なほ子君 参議院もそうですが。
  236. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) 参議院も同様に……。
  237. 高田なほ子

    高田なほ子君 いつ結論を出しますか。
  238. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) 議運の関係もございますから、その席で結論を出したいと思います。
  239. 高田なほ子

    高田なほ子君 議運の関係と相待って結論を出す、こういうわけですね。
  240. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) きょう、あすでございます。
  241. 亀田得治

    主査亀田得治君) 質疑応答の状況は赤羽主計官も十分お聞きになったと思いますから、ひとつ不自然な問題はぜひ、できるだけ早く直してもらいたい。これは主査として要望いたしておきます。  以上をもちまして、国会所管に属する質疑は終了したものと認めます。御苦労さん。  昭和三十七年度予算中、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府のうち、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁を除く全部、及び法務省並びに他の分科会所管外の事項の審査は、全部終了いたしました。  なお、予算委員会における報告の内容及び審査報告書の作成につきましては、主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  242. 亀田得治

    主査亀田得治君) 御異議ないと認めます。  これにて散会いたします。    午後一時二十九分散会