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1962-03-23 第40回国会 参議院 本会議 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十三日(金曜日)   午前十時三十四分開議   ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十二号   昭和三十七年三月二十三日    午前十時開議  第一 地方公務員共済組合法案   (趣旨説明)  第二 石油業法案趣旨説明)  第三 自治省設置法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送   付)  第四 文部省設置法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送   付)  第五 建設省設置法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送   付)  第六 市町村立学校職員給与負担法   の一部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)  第七 国立学校設置法の一部を改正   する法律案内閣提出衆議院送   付)  第八 阪神高速道路公団法案内閣   提出衆議院送付)  第九 公共工事前払金保証事業に   関する法律の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)  第一〇 水資源開発公団法の一部を   改正する法律案内閣提出、衆議   院送付)  第一一 放送法第三十七条第二項の   規定に基づき、国会の承認を求め   るの件(衆議院送付)  第一二 住居表示に関する法律案   (内閣提出)  第一三 南大東島における高層気象   観測に必要な物品譲与に関する   法律の一部を改正する法律案(内   閣提出衆議院送付)  第一四 日本観光協会法の一部を改   正する法律案内閣提出衆議院   送付)  第一五 北海道地下資源開発株式会   社法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  第一六 訴訟費用等臨時措置法等の   一部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)  第一七 民法の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)  第一八 日本原子力研究所法の一部   を改正する法律案内閣提出、衆   議院送付)  第一九 相続税法の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院送付)  第二〇 通行税法の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院送付)  第二一 印紙税法の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院送付)   ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、国会法第三十九条但書規定に   よる議決に関する件(海外移住審   議会委員)  一、科学技術会議議員任命に関す   る件  一、日程第一 地方公務員共済組合   法案趣旨説明)  一、日程第二 石油業法案趣旨説   明)  一、日程第三 自治省設置法の一部   を改正する法律案  一、日程第四 文部省設置法の一部   を改正する法律案  一、日程第五 建設省設置法の一部   を改正する法律案  一、日程第六 市町村立学校職員給   与負担法の一部を改正する法律   案  一、日程第七 国立学校設置法の一   部を改正する法律案  一、日程第八 阪神高速道路公団法   案  一、日程第九 公共工事の前払金保   証事業に関する法律の一部を改正   する法律案  一、日程第十 水資源開発公団法の   一部を改正する法律案  一、日程第十一 放送法第三十七条   第二項の規定に基づき、国会の承   認を求めるの件  一、日程第十二 住居表示に関する   法律案  一、日程第十三 南大東島における   高層気象観測に必要な物品譲与   に関する法律の一部を改正する法   律案  一、日程第十四 日本観光協会法の   一部を改正する法律案  一、日程第十五 北海道地下資源開   発株式会社法の一部を改正する法   律案  一、日程第十六 訴訟費用等臨時措   置法等の一部を改正する法律案  一、日程第十七 民法の一部を改正   する法律案  一、日程第十八 日本原子力研究所   法の一部を改正する法律案  一、日程第十九 相続税法の一部を   改正する法律案  一、日程第二十 通行税法の一部を   改正する法律案  一、日程第二十一 印紙税法の一部   を改正する法律案   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。    ――――・――――
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  この際、日程に追加して、  国会法第三十九条但書規定による議決に関する件(海外移住者審議会委員)を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  内閣から、衆議院議員田中龍夫君、田原春次君、竹内俊吉君、本院議員赤間文三君を海外移住審議会委員任命することについて、本院の議決を求めて参りました。  これらの諸君が同委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。    ――――・――――
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、  科学技術会議議員任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  内閣から、科学技術会議設置法第七条第一項の規定により、内海清温君、茅誠司君を科学技術会議議員任命することについて、本院の同窓を求めて参りました。  本件に同意することに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  8. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件全会一致をもって同意することに決しました。    ――――・――――
  9. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第一、地方公務員共済組合法案趣旨説明)、  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。安井自治大臣。   〔国務大臣安井謙登壇拍手
  10. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 地方公務員共済組合法案につきまして、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。  御承知のとおり国家公務員退職年金制度は、すでに三年前から、いわゆる恩給制度共済制度に切りかえ、その給付内容を改善し、官吏及び雇用人を通ずる統一された退職年金制度として実施されているのでありますが、地方公務員につきましては、依然として、恩給方式によるもの、共済方式によるもの等、地方公共団体により、また、公務員職種、身分により、その適用される制度が複雑不統一であり、かつ、その納付内容も国の新制度に比して低く、改善を要する点が少なくないのであります。  政府といたしましては、地方公務員生活の安定と福祉向上に寄与し、公務の能率的運営に資するために、地方公務員についても、すみやかに国家公務員に準じて合理的な退職年金制度を確立することが必要であると考え、かねて地方制度調再会に諮問し、その答申に基づき、検討を重ねて参ったのでありますが、ここに成案を得るに至ったのであります。すなわち、地方公務員についても、国家公務員制度に準じて、統一的な共済組合制度を設け、これに長期給付のほか短期給付及び福祉事業を行なわせることとしたのであります。  以上がこの法律案提出した理由であります。  次に、この法律案内容概要を御説明申し上げます。  第一に、地方公務員共済組合組織につきましては、地方公共団体及び職種の別により、地方職員共済組合公立学校共済組合警察共済組合都職員共済組合指定部市職員共済組合市町村職員共済組合及び都市職員共済組合に区分し、さらに市町村職員共済組合及び都市職員共済組合については、それぞれ全国組織連合会を設けることにいたしたのであります。  第二に、すべての地方公務員は、いずれかの組合組合員となることとし、すべての地方公務員共済組合組合員期間または国家公務員共済組合組合員期間は、通算することにしております。  第三に、長期給付制度につきましては、退職給付廃疾給付及び遺族給付を行なうものとしておりますが、その内容国家公務員共済組合長期給付制度に準ずることにいたしております。  第四に、短期 付及び福祉事業制度につきましても、組合は、国家公務員共済組合制度に準じ、保健給付休業給付災害給付等短期納付を行なうものとし、また、同時に福祉事業を行なうものとしております。  第五に、組合給付に要する費用につきましては、組合員掛金及び地方公共団体負担金をもって充てるものとし、短期給付については、掛金百分の五十、負担金百分の五十、長期給付については、掛金百分の四十五、負担金百分の五十五とし、また、組合の事務に要する費用全額地方公共団体負担とすることにいたしております。  その他おもな事項は、組合の資金は、安全かつ効率的な方法により、かつ、組合員福祉の増進または地方公共団体行政目的の実現に資するように運営する建前とすること、組合給付に関する決定等に不服がある者について審査の請求を処理するための審査会制度を設けること、地方公務員共済組合制度に関する重要事項を調査審議するため、地方公務員共済組合審議会を設けることなどであります。  なお、地方議会議員互助年金法附則第四項の規定に基づき、同法を廃止して、地方議会議員年金制度に関する規定をこの法案の中に統合することにいたしました。  以上がこの法律案趣旨及びその概要でございます。(拍手
  11. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑通告がございます。発言を許します。占部秀男君。   〔占部秀男登壇拍手
  12. 占部秀男

    占部秀男君 ただいま上程されました地方公務員共済組合法案につきまして、私は日本社会党を代表して、池田総理を初め各大臣に御質問をいたします。  この法律案は、百八十万に及ぶ地方公務員とその家族の生活権利に大きく影響する内容を持ち、かつ、わが国社会保障制度の中でも重要な位置を占める問題でございます。  まず、政府案内容につきまして安井自治大臣にお尋ねをいたします。  第一に、政府はこの法案社会保障制度の一環として提案をされておりますが、本案によると、年金給付費用につきましては直接国庫負担が行なわれておりません。厚生年金船員保険国家公務員共済組合など現行各種年金制度は、すべて一割ないし二割の国庫負担が実施されているにもかかわらず、本案につきましては、地方団体側が五五%、組合員側が四五%をそれぞれ負担をいたしまして、もっぱら、雇う者と雇われる者との間だけで拠出される仕組みになっております。かかる内容では、国が最終責任を持つ社会保障制度とは言いがたいのでございまして、単なる相互共済社会保険にしかすぎないと考えられます。政府は、交付税でこの分を見ると主張されておりまするが、そもそも交付税は、地方団体一定行政水準を維持させるための財源調整の手段であり、それ以上のものではございません。したがって、不交付団体地方公企業関係には全然支給されませんし、交付団体の場合といえども、将来の地方税収の増減とともに変動する不安定なる性格のものでございます。本来、社会保障制度における国庫負担は、実質的に、国が負担するとか、金の不足を補うとかの単なる財政措置の問題ではないのでございます。国民所得の再配分と国が最終的責任を持つところに、この制度としての意義があることは御存じのとおりでございます。国庫負担のない社会保障制度はとうてい考えることはできません。安井自治大臣は、提案理由説明の中で、社会保障制度審議会の意向を尊重してかような提案をされたと言われておりますが、私が前申しましたような理由があればこそ、社会保障制度審議会答申もこの点を指摘しておりまして、その答申の中では、この案によっては、「本来の目的に沿った配分は困難である」ことを強調し、さらに、「年金に対する国庫負担はすべて社会保障の見地から各制度を通じて一定の原則によって考えらるべきである」と、明確に社会保障制度と言いがたい本質を追及して、本案賛成せず、むしろ反対の意を表明し、答申をいたしておるのであります。すなわち、本法律案は、社会保障制度の確立に逆行するものであると考えるのでありますが、安井自治大臣所見を承りたいと思います。  また、灘尾厚生大臣にお伺いをいたしますが、近く社会保障制度全般についての総合的な答申が行なわれようとするおりから、本案のごとき行き方は、社会保障制度の将来に対して正しい方向づけを与えるものとお考えになるかどうか、明確にお答えを願いたいと思います。  第二に、この法律案は、ただいまの安井自治大臣の御説明によれば、地方公務員生活向上をはかるためにかくのごとき案を提案すると説明をされておりますが、事実は全くこれと逆でございます。この法律案は、地方公務員現行退職年金制度の諸条件を改悪するものでありまして、自治体労働者既得権を剥奪し、生活低下を引き起こす内容を持つところの重大な問題点を、多々含んでおるのでございます。  その顕著な二、三の内容をあげますれば、まず組合員掛金でございます。現行制度では、都道府県、市町村大半吏員あるいは教員は百分の二の掛金率で実施をされておりますし、雇用員についての最高率でさえ百分の三・八でございまして、地方団体によりましては、吏員雇用員の別なく百分の一程度の掛金率を持つものも相当たくさんあることは、御存じのとおりでございます。しかるに、本案はこれを一挙に百分の四・四に大幅に引き上げるものでございまして、実に従来の掛金の二・二倍になります。政府給付額引き上げたと称しておりまするが、この掛金の大幅の引き上げに見合えるものでないことは、あらためてここに論ずる必要すらないところでございます。働く地方公務員既得権侵害これほど大なるものはございません。しかも、この引き上げによって地方公務員平均月額五百円の支出増となり、今回の給与改訂大半はほとんどこれに食われて、その生活は一そう低下せざるを得ない状態に追い込まれようといたしております。組合員負担は、昭和二十八年の人事院の勧告にあるように、少なくとも百分の二・五以下にすべきであると私は考えます。  また、受給資格の生ずる年限にいたしましても、一般職大半は十七年と十五年とでありまして、本案規定するがごとき二十年を必要とするものは、現在、雇用員の一部にその例を見るだけでございます。国際的にも、ILO条約百二号は十五年を基準として定めておるにもかかわらず、国内的にはこれを一律に二十年に延長しようとするのは、現実を無視した暴挙と言わざるを得ません。  さらに、運営組織民主化が確保されておらず、かつ、同じ普通地方公共団体に勤務する同じ地方公務員について、運営審議会方式組合会方式との二つの区別を設けて、統一がとれていない事実や、積立金の運用についても、組合員負担割合にふさわしい還元方法が確立されておらない事実、特に、婦人公務員については、その勤務実態からして、減額年金等、著しく不利な条件が強化されておりますし、同じ地方公務員の中でも、警察消防関係については特別な扱いが行なわれておる等々、きわめて無原則的でございます。  こうした数々の改悪から地方公務員既得権を確保し、その生活権利を守るためには、総括的に言って、強制力を持った付加給付制度を認めるか、あるいは適用除外制度を活用する等の措置をとる以外に方法はないと、私は信ずるのでございますが、安井自治大臣の御意見をお伺いいたします。  次に、池田総理大臣にお伺いをいたします。  この法律案は、すでに私が述べましたように、きわめて多くの疑点を持ち、世論から全く不評判な法律案でございます。すなわち、この法律案適用される当事者である全国地方公務員は、既得権を奪われ、生活条件低下に追い込まれるために、絶対に反対をいたしております。また、知事や市町村長の多くは、地方財政に及ぼす影響政府の欺瞞的な措置に対する反感とから、根深い不満の色を見せておりますし、その上、地方住民を代表いたします地方議会でも、総理が総裁である自民党の議員さえも含めて、満場一致の反対決議が続々と各地で行なわれつつあることは御承知のとおりでございます。しかも、見のがすことのできないのは、政府みずからが諮問した社会保障制度審議会答申でございます。その答申には、「このような掘り下げ不十分な問題の多い本案を実施し、恒久的に将来を拘束することは、当を得たものとは思われない」と、多くの問題点を具体的に指摘して、その不当を鳴らしております。総理は、常々、謙虚に民意を聞き、世論を尊重し、世論のおもむくところに従って民主的に政治をとることを、機会あるごとに国民に約束されておりました。今日、この法律案を強行せんとするものは自治省以外にはございません。この世論の動向をすなおに受けとって、この際、虚心たんかいに本法案を撤回するのが、国民への約束にこたえる道であると私は考えます。今国会における政府諮問機関無視態度は目に余るものがございます。さきには選挙制度審議会、農地被買収者問題調査会の経緯がございますし、今また、社会保障制度審議会に同じ轍を踏ませようとする政府の独善的な態度は、国民の批判の的となっております。この際、池田総理は、諮問機関尊重という民主政治のルールを回復するためにも、本案をいさぎよく撤回されて、世論に従って練り直すのが、正しい政治のとり方であると私は考えるのでございますが、(拍手総理の率直な御答弁を期待いたします。  さらに、この法律案は、すでに述べましたように、責任ある国庫負担を欠くことによりまして、国の社会保障制度としての性格は完全に失われており、単なる相互共済社会保険の一種にすぎないものとなっております。したがって、本案内容は、地方公共団体組織運営に関する純然たる内部問題となっております。従来、この種の雇用関係における給与の諸条件は、各地方団体ごとに、理事者側組合側との交渉と、地方議会議決によって、自主的に決定されてきたのでありますが、この法律案によって、自主的決定の余地は全く失われることになるのであります。
  13. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 占部君、時間が参りました。
  14. 占部秀男

    占部秀男君(続) すでに、この法案性格社会保障制度としての要件を失い、相互共済内容としておる以上、政府権力統制下に強権的に統一しようとすることは、明らかに憲法に規定された地方自治権侵害であると考えるのでありますが、池田総理所見を承りたいと存じます。  以上をもって、私の本法案に対する日本社会党を代表しての質問を終えます。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  15. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答えいたします。  地方公務員共済制度につきましては、多年の懸案であり、いろいろ考慮をめぐらして今回成案を得たのでございます。お話のように、社会保障制度審議会におきましては、いろいろ問題点を指摘され、これについて十分考慮の要ありという答申がございました。しこうして、お話のように、この制度を設けることは絶対反対だという答申でもないので、いろいろ問題があるから考慮しろということでわれわれは進んでおります。また、地方制度調査会におきましては、多年のこの懸案を解決すべしという強い要望もありましたので、私は、この際、本法案提案した次第でございます。しこうして内容におきまして、これは相互扶助、こういう御議論でございまするが、これは、社会保障である以上、公的負担をいたしまして、そして公的責任を明らかにすることはもちろん必要でございます。しかし、公的責任を明らかにすることは、必ずしも国でなければならぬと限られたものではございません。地方公共団体公的責任を果たす意味におきまして、相互扶助でないことを私は確信いたしておるのであります。したがいまして、地方財政計画影響がございますので、われわれといたしましては、交付税においてこれを考慮いたしておるのでございます。  なお、私は、各種社会保険に対しましての国庫補助、いろいろな点がございまするが、これは、別個の問題として社会保障審議会等に諮問いたしまして、各社会保険統一的措置をとるように、今検討を加えておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣安井謙登壇拍手
  16. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 国庫負担の問題、社会保障制度審議会答申の問題につきましては、ただいま総理お答えのとおりでございまして、国庫負担につきましても、現在でも、国の公共機関、いわゆる公共企業体等共済組合につきましては、国庫負担をしていない例もあるのでございまして、公的負担がそのためになくなっていると言うことはできない、地方団体が持てばこれでよろしいと考えておる次第でございます。  なお、交付税につきましても、〇・四%の増額がこの予算で決定されております。したがいまして、この地方団体負担につきましても、これは適正に配慮されておると思っております。  なお、社会保障制度審議会につきましては、今お話のとおりに、種々問題点を指摘されておるのでありまして、そのうちの相当部分は本法案にも取り入れてございます。また、これは本法案だけでなく、国の公務員法公務員関係についても、共通の問題がいろいろあげられていると私ども考えておるのであります。  なお、既得権を尊重してないじゃないか、こういうお話でございますが、掛金率は、これは、やはり今度の地方公務員建前国家公務員と同列に置くという以上は、掛金そのものにつきましては、同じ率を適用するのはやむを得ない措置であろうと私ども思います。  また、年限等につきましては、十七年の恩給年限が二十年に延びましても、現在勤務している人にとっては、これは特例を設けまして、二十年未満でもいろいろ措置ができる経過措置も十分にとってございます。  また、ILOの百二号の問題につきましては、わが国はまだこれを批准いたしておらぬ状況でございますので、直ちにこれによらなければならぬという理屈はなかろうと思います。  また、婦人等に対する特権がないという仰せでございますが、これは、国のほうの現在の制度におきましても、同様の扱いをされておるわけでございます。  各種組合運営方式についてもまちまちだ、こういうお話でありますが、運営につきましては、例の警察学校教員あるいは道府県の職員共済組合、これにつきましては、従来も国家公務員共済制度のほうの適用を受けておったものでありまして、それを今度も準用いたしております。それ以外の団体につきましては、御承知のように、いわゆる組合会方式というものを今度は確立いたして、非常に民主的な運営をはかっているつもりでございます。   〔国務大臣灘尾弘吉登壇拍手
  17. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お答えをいたします。  御承知のように、社会保障関係につきましては、いろいろな制度が今日併存いたしておる状況でございます。その間に総合調整をはかっていくという必要があると考えまして、政府におきましても、慎重にこの総合調整の方途について検討を重ねておるところでございます。今回提案いたしましたこの法案、これが成立いたしました場合においても、これもいわゆる総合調整の対象となるものと私ども考えておる次第であります、ただ、この制度は、この総合調整結論を得る、そうしてその結論に従って具体的に実施いたしますまでには、相当な期間を必要とすると思うのであります。その間におきまして、この法案は、従来、地方団体関係職員につきましていろいろな共済制度がございましたが、これを取りまとめて合理化しようとするものであります。その限りにおいては、一歩前進したものと私は考えるのであります。これが将来の総合調整の妨げとなるというようなことはなく、むしろ、総合調整の上から申しましても、相当な意義があるものと考えている次第でございます。(拍手
  18. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて質疑通告者発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。    ――――・――――
  19. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第二、石油業法案趣旨説明)、  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。佐藤通商産業大臣。   〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  20. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 石油業法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  石油は、国民経済上必要欠くべからざる基礎物資であり、今後ますますわが国のエネルギー源としての地位を高めていくものと考えられます。このように重要な意義を有する石油につきましては、総合エネルギー政策の見地に立って安定的にして低廉な供給をはかることが、国民経済上最も強く要請されるところであります。  わが国石油供給の現状を見まするに、石油資源は国内に乏しく、原油の大部分はあげて輸入に依存しなければならないという事情にありますので、石油産業につきましては、国際的な協調関係を維持しつつ、その健全な発展をはかるべきことは、申すまでもないところであります。  石油をめぐる内外の経済環境は、近年著しく変わりつつありますので、今後新しい角度から考えなければならない面が出て参ったのであります。すなわち、国内におきましては、石油需要は急速に増大しており、また近く輸入の自由化が行なわれることとなっておりますので、石油設備の拡張意欲が旺盛となっております。また海外におきましては、新油田の開発などにより、世界的な原油の供給過剰傾向が生じ、原油の販売競争が激しくなってきております。  このように内外の情勢から、今後国民経済的に見て問題が生ずることが考えられます。たとえば、石油供給上における過当競争の問題であります。  これまで申し上げましたように、国内における石油設備の拡張競争と海外からの原油売り込み競争とが結びつきまして、石油製品の行き過ぎた販売競争がさらに一段と激化するものと思われます。これは、石油業の性格から見まして、いわゆる業界内部の自主的な調整のみによって解決することは困難な事情にあります。もちろん、自由な競争による低廉な石油の供給は歓迎すべきことではございますが、事態をこのままに放置しておきますと、かえって石油需給の混乱を招き、石油産業の健全な発展が阻害されるのみならず、国内のエネルギー産業を初めその他の関連産業に対し悪影響を及ぼすとともに、消費者の利益をも害するなど、国民経済上望ましくない結果を招来するおそれがあると考えられます。  政府といたしましては、これまで貿易為替面の調整措置によりまして、石油供給上の諸問題に対処して参ったのでありますが、輸入の自由化によりまして石油業は新局面を迎えることとなるのであります。自由化後におきましては、わが国石油業が自主的な創意を一そう発揮し、自由公正な競争を通じて石油の円滑な供給をはかることが基本的なあり方であることは申すまでもありません。しかしながら、これまで申し上げましたような問題につきましては、国によるある程度の法律上の調整はやむを得ないと考えるのであります。現に欧米各国におきましても、石油業の健全な発展のため、それぞれの国情に応じて法律上その他の措置を講じているのであります。  この法律案は、以上のような考え方をもととし、石油業の事業活動を必要な最小限度において調整するための規定を定めたのであります。  この法律案のおもな点につきまして大略を申し述べます。  第一に、石油の供給数量、設備能力等、石油の供給に関する重要事項内容とする石油供給計画を作成公表し、この法律の運用の基本といたすこととしております。  第二に、石油精製業を行なう者は、その事業計画が適当であり、かつ、的確な事業の遂行能力を有する者とし、石油設備が石油供給計画に即応するようにするため、石油精製業の事業及び設備について許可を要することとしております。また、石油輸入業及び石油販売業につきましては、事業者の実情を的確に把握し、輸入及び販売の秩序を確立するための基礎とするため、事業の届出を要することとしております。  第三に、石油精製業者及び石油輸入業者は、その生産計画及び輸入計画について届出を要することとし、当該事業者が届出をした計画に基づいて自由公正な競争を行なうことを期待しております。国は、その計画の内容が全体の石油供給計画の実施に重大な支障を生じ、または生ずるおそれのある場合に限り、勧告を行ない、企業の社会的責任の自覚に訴えることによって石油供給計画の実施の確保をはかることとしております。  第四に、石油の価格につきましては、石油業が正常な競争を行なうことによって形成される価格を基本とする建前をとっておりますが、特に異常な事態によりまして、価格が不当に高騰したり下落したりする場合には、標準価格を定めて公表し、石油業が自発的にこの価格を尊重することを期待いたすこととしております。  最後に、この法律案では、各方面の学識経験者で構成する石油審議会を設け、石油供給計画の作成等の基本的な事項、はもちろん、その他の事項につきましても諮問することといたしており、いやしくも行き過ぎた規制が行なわれることのないようにいたしております。  また、再検討規定を設け、内外の石油事情その他の経済事情の推移に応じまして、緩和または廃止の方向で再検討する旨を明文をもって定めることとしております。  以上がこの法律案趣旨であります。(拍手
  21. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑通告がございます。順次発言を許します。中田吉雄君。   〔中田吉雄君登壇拍手
  22. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は、ただいま提案石油業法案に対し、日本社会党を代表し、池田総理、佐藤通産大臣及び関係大臣に若干の質問をいたしたいと存じます。  本法案は、最終案に至るまで二転三転、大きく後退いたしました。すなわち、石油と他のエネルギーとの調整や販売価格変更の勧告権の削除、輸入業を許可制から届出制に変更、再検討条項の挿入等、重要な点はことごとく骨抜きになっています。この種法律には当然あるべき立ち入り検査権が削除されていますが、国内の産業には立ち入り検査ができるのに、なぜ外資系石油会社にはそれができないのでありましょう。かくて国際石油資本の意を迎え、国籍不明の石油業法案になりましたことは、わが党の最も遺憾とするところであります。(拍手)また、古典的な自由経済の概念にとらわれ、エネルギー政策において近代国家の果たすべき役割の認識に欠け、国がやらねばならない太い線が一本欠けています点は、わが党の了解できないところであります。しかも、このザル法案といわれます本法案に対してさえ、国際石油資本の意を受けて審議未了にするのであるとの言説が公然となされています。もしそのような事態が起こりますれば、この十月に自由化を控え、石油業界には重大な事態が起こるやもしれません。これに対する池田総理の不動の方針をお伺いしたいと存じます。また、この程度の政策ではとうてい不十分と思いますが、御所見をあわせてお伺いいたします。  第二に、総合エネルギー政策の樹立と、エネルギー審議会の設置についてであります。現在は、石炭から石油、ガスヘと、消費構造が移り、原子力発電は、昭和四十五年には重油発電に対抗できょうといわれております。したがって、エネルギー政策は、単に石油プロパーの問題でありますばかりでなく、第一に、石油と石炭、その他のエネルギー間の調整であり、第二に、その国際性と民族性のかね合いの問題であります。したがって、それぞれのエネルギー源が将来どうあるべきかを明確に位置づけいたしまして、しかる後に、総合政策の一環として、この石油業法案のごとき業種別の対策がとらるべきだと思う次第であります。しかるに、今回の政府のごとく、総合対策なしの石油業法案では、車の両輪の片方を欠きまして、総合性と一貫性がなく、真のエネルギー政策の名に値いいたしません。今日の石炭産業の不況、深刻かつ悲惨な炭鉱労働者の現状は、今日までの歴代保守政府のエネルギー政策に対する無為無定見のいたせる結果と断ぜざるを得ない次第であります。(拍手)  わが党は、本日、自主性、公共性、自給性及び統一性の四原則に基づくエネルギー基本法の要綱を発表いたしまして、近々今国会提案する予定であります。すでに国会でもこの件は決議されていますが、これを尊重される意思がおありであるかどうか。また、少なくとも、エネルギー政策に関する審議会を法律に基づいて設置する必要があると存じますが、池田総理の御所見をお伺いいたします。  第三に、石油自由化と、国産、準国産原油対策であります。わが国が、ひもつきでない純然とフリーハンドに輸入できます石油はわずかに一五%といわれています。したがって、無条件に自由化に移行いたしました場合には、従来、外貨割当制度で調整して参りました特殊原油の取引は重大なる支障を来たし、国産原油、準国産原油は壊滅的な打撃を受けましょう。しかるにこの法案では、この点は全く触れていません。九八%を輸入するわが国が、一定量を国の影響のもとに置かずして、国際石油資本の善意だけに期待いたしまして、石油供給の安定的かつ低廉なる供給を確保するというごときは、全くナンセンスと言わなくてはなりません。世界の中で、日本ほど国産原油に冷淡な国はなく、また、これほど野放しのまま石油輸入を自由化しようとする国はありません。このような政府は、日本国民と国内産業のための内閣でなしに、国際石油資本の代弁者にすぎないと言っても言い過ぎでありません。池田内閣のもと、再軍備費が二千億円以上も計上されていますが、石油在庫二週間分でわが国の安全保障が保てるというごときは、驚くべき錯覚と言わなくてはなりません。それはともかくといたしまして、石油供給の自主性確保のため、特殊原油引き取りの国策会社を設立するかどうか再検討すべきだと思いますが、今後提案の用意があるかお尋ねいたすものであります。  第四に、ソ連石油についてであります。EECの経済的優位性の一つは、加盟六カ国が接続いたしまして、輸送コストが最低であるという点であります。われわれは、運賃コストを最低にいたしますために、体制が違いましても近隣の中ソとの共産圏貿易は不可欠でございます。三十六年度に石油類輸入に約二億ドルの船賃の支払いをいたしましたが、ソ連原油は良質かつ低廉であり、国際石油資本を規制し、海運支出節減のためにも、ソ連石油の輸入は真剣に再検討すべきではないでしょうか。今春ソ連は、イルクックからナホトカまで四千五百キロという巨大なパイプ・ラインの建設用としての油送管と原油とのバーター貿易を提唱いたしています。私は、このパイプと原油のバーター取引こそ、共産圏貿易にともすればありがちな不安定性を除き、ソ連をしてせっかく投下いたしましたパイプ・ライン施設の償却のためにも、石油取引を一そう安定性のあるものにすると言えると思う次第であります。イタリアの石油政策を背負っていますエニーの発展は、ソ連原油の大量輸入によるものであります。同じく自由主義の国でありますイタリアができますのに、日本ができないはずはございません。ソ連提唱のバーター貿易の内容、ソ連原油に対する政府の基本的な態度をお伺いいたします。  第五は、石油と石炭の関係であります。欧州経済協力機構加盟十八カ国のエネルギーの構成比は、一九六〇年石炭六二・三%であって、合理化が一そう進んでいますOEECが、わが国の三八・三%よりはるかに高い割合で石炭を使っている点は、教訓的と言わなくてはなりません。これはエネルギー・コストが工業生産費の中でわずかに一、二%であって、エネルギー源転換による利益は言われるほど多くないからであります。わが国でも全製造業では三・七%であります。しかも、エネルギー・コストの比較は、単に表面上の価格だけでなく、何よりも、石炭関係人口五百万を初めとし、安定的供給の確保、外貨節約、雇用の拡大や地域経済の発展等、より広い意味での経済合理性と、国民経済全体の立場から決定されなくてはなりません。炭労の諸君は、大いに働き生産を上げれば上げるほど自分たちの首を切られてしまいます。それは五千五百万トンの出炭規模の壁であります。また、資材価格の値上がり等もあり、炭価引き下げのためには、出炭規模の拡大は今や必至であります。池田内閣の所得倍増計画の矛盾から、すでに前提条件が狂ってきました今、五千五百万トンの出炭規模、トン当たり千二百円の炭価引き下げの合理化計画は、不可能と言わなくてはなりません。これはエネルギー革命の名のもと、国際石油資本のための合理化計画と言っても言い過ぎではありません。したがって、長期の展望と広い国民経済的視野に立ちまして、出炭規模の拡大、雇用の安定、最賃制の実施等を含む石炭政策を根本的に転換し、もって国内資源の開発と国民経済の発展をはかるべきだと思う次第であります。これに対する佐藤大臣の御所見をお伺いいたすものであります。  第六に、エネルギー対策と財政金融政策についてであります。政府は、電源開発関係には過去五カ年間に三千億の国家資金を出していますが、同じエネルギー産業であります石油精製部門には、たった三十億にすぎません。したがって、石炭産業は、資金不足を、過去十カ年間に一億五千万ドル、三十六年度だけで一億五千万ドルと外資にたよっています。この誤った財政金融政策こそ、わが国石油産業を国際石油資本に従属させ、原油のひもつき買い取りを余儀なくさせたものと言わなくてはなりません。しかも、昭和三十六年度には、油関係で、原油関税百四十億円、揮発油税千六百三十三億円、軽油引取税二百五十四億円、合計二千億からの税収入がある次第であります。道路がよくなれば石油消費が伸びるといっただけではなしに、石油に対しても固有の政策があってしかるべきだと思う次第であります。石油産業の自主性を高め、その健全なる発展のために、電力産業と同様の措置がとらるべきだと思いますが、水田大臣の御所見をお伺いいたします。  各国とも国内地下資源開発のための探鉱活動に異常な努力を払っています。たとえばフランスでは石油及びガス資源の開発に年間千五百億円以上の投資を行ない、そのうち国内向けに八百億円もの投資をいたしております。イタリア、西独等みなしかりであります。かくて一九四五年、終戦の年に、フランスは石油二万九千トンでありましたものが、一九六一年にはガスを含め二百十七万トン、西独は五十六万トンであったものが六百二十二万トンヘと飛躍的に増大しております。わが国は二十九万六千トンでありましたものが、やっと六十二万トンになったにすぎません。昭和三十七年度の探鉱予算は数億円にすぎません。これで一体何ができるでありましょう。政府には地下資源対策はないと言っても過言でない次第であります。地下資源の開発には長い年月と多額の経費を必要とし、私企業の力のみをもってしては十分な開発は期待できず、特に、探鉱は国の責任において積極的推進と助成が必要だと思います。御所見をお伺いいたします。特に、探鉱助成金は中小企業の探鉱に限るということですが、政府は自由化の影響を正しく評価いたしておりません。国産原油のコストは現在トン当たり七千二百円ですが、この十月石油輸入を自由化いたしますれば、原油輸入価格は五千円を下回るでしょう。一挙にトン当たり二千円以上の値下がりでは、配当をゼロにいたしましても、R・P指数、すなわち埋蔵量確保と生産の関係を正常に保つことは困難になって参ります。税制の根本的な改正か、探鉱費の助成なしには、資産の食いつぶし以外には道がないわけであります。われわれは、国内産業を破壊する自由化に強く反対し、探鉱費の予算について理解のある答弁を求めるものであります。  最後に、石油会社の国際契約の内容であります。外資系石油会社は、石油購入のひもつき契約をたてに、公然とアラビア石油の引き取りを拒否しているとのことであります。かかる契約は、明らかに独禁法第六条一項に違反し、その契約は無効であると言わなくてはなりません。しかるに、佐藤公正取引委員長は、去る三月十三日の衆議院会議において、「現在のところ、外資系会社がアラビア石油会社の原油引き取りを拒否しているとの事実はないように見受けられます」との、はなはだ自信のない答弁をされていますが、いかなる根拠に基づくか、その理由並びに契約内容をはっきりいたしていただきたいと思います。また、国際的協定や契約をした場合は、口頭または文書、いずれの契約たるとを問わず、三十日以内に契約の写しを公正取引委員会に提出する義務を課しています。しかるに、ほとんどの会社は公取を無視いたしまして届出をしないといわれています。もしそうでありますれば、独禁法第六条二項の違反と言わなくてはなりません。外国の石油会社と提携している外資系石油会社は、外資比率の多寡のいかんにかかわらず、完全なひもつきであって、原油の自主買付の割合はゼロと称されています。したがって、石油の自由化は、国際石油資本にとっては自由化であっても、国内の外資系会社には全く不自由化であります。石油の安定的かつ低廉なる供給を確保いたすためには、かかる外国石油会社との不当な提携条件を改めさせるととが先決条件だと思いますが、この点、佐藤通産大臣にも御意見をお伺いしたいと思います。  自由化を控え、石油行政の足がかりを作られようとする努力を認めるにやぶさかではございませんが、不十分きわまるものであることを指摘いたしまして、私の質問を終わる次第であります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  23. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 石油の自由化が予定せられております今日、石油の安定的な、かつ低廉な供給を確保いたしますためには、やはり自由公正な競争が前提であることは、申し上げるまでもございません。しかし、現状からいたしまするならば、これを自由にしていくことは、価格の点その他各方面から非常な支障が考えられますので、ある程度の法律上の調整を加える必要があるのであります。これが先ほど説明いたしました石油業法案提案する理由でございます。われわれは、あくまで自由経済の線に沿って、そうして最小限度の調整で、安定的かつ低廉な石油の供給に努力していきたいと考えております。したがいまして、いろいろ揣摩憶測があるようでありますが、私は、ぜひこれは必要な法案でございますので、今国会におきまして通過を強く期待いたしております。  第二の御質問の、総合エネルギー政策を立つべきじゃないか、こういう御質問でございます。われわれは、長期的観点に立ちまして、各エネルギーの相互関係を検討しながら、たとえば石炭鉱業審議会等におきまして石炭問題をやり、また近く石油業審議会あるいは電気事業審議会等の審議会を設けまして、各エネルギーごとにいろいろ検討いたし、そうして各エネルギーごとの審議会は、他のエネルギーにつきましても検討を加え、そうして総合的かつ有機的な方法によってエネルギー対策をやっていこうといたしておるのであります。今でも、産業合理化審議会エネルギー部会を設けまして、いろいろエネルギー間の調整は加えております。今直ちに総合的政策を法律に基づいてやるということは、まだ尚早ではないかと思います。ただ、総合的な観点に立ちまして、いろいろな各種のエネルギーの調査はいたしておるのであります。(拍手)   〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  24. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  第一は、石油自由化を迎えて、国産原油並びに特殊関係原油、その扱い方をいかにするか、しかもこれは、外資等の関係もあり、非常に困難な状態になるのではないか、そこで特殊の原油引取機関を作ってはどうか、こういうようなお尋ねであったと思います。御承知のように、国産原油並びに国産系原油のあり方につきましては、国内におきましても、ガス源をも含めての開発五カ年計画を持っておることは、御承知のとおりであります。あるいはアラビア原油、あるいはスマトラ原油等につきまして、政府が特別な指導をいたしておりますことも、御承知のとおりだと思います。で、かような意味におきまして、国産系の原油の開発にはこれまでも力をいたしておるのでございますが、今後原油の自由化が行なわれることになりまして、しかも御指摘のように無条件のもとにこれが輸入されるということになりますと、これはたいへんな影響を受けるであろう、これは御指摘のとおりでございます。そこで、ただいま趣旨を御説明いたしましたような石油業法案提案いたしまして、御審議をいただくのでございます。幸いにして成立いたしましたら、この法案の運用によりまして過当競争を防止することができる。また、そういう意味からも、業法の運用を通じまして、国産原油等の引き取りの促進を進めて参るつもりでございます。今日まで、この種の油の引き取り等については、これは断わられたことは実はございません。しかしながら、今後この種の原油の日本国内への輸入が相当多量になるということを考えます場合に、何かと問題が起こりはしないか、かように思います。しかし、おそらく、ただいま申し上げます石油業法の運用によれば、まず引き取り等については問題を起こさないでも済むのじゃないか、かように私どもは期待をいたしております。そういう期待を持っておりますただいまの状況のもとにおきましては、いわゆる特殊原油引取機関、こういうものを直ちに作るという考えまでには、まだ私ども考えは発展はいたしておりません。おりませんが、こういう特殊機関を作るかどうかという、これはまことに重大なことであり、業界の将来のためにも、この種のものの設置を決定するにつきましては慎重でなければならない、かように思います。十分慎重に検討いたしまして結論を出していきたい、こういう考えでございます。  次に、日ソ間の貿易並びにソ連原油のあり方についてのお尋ねがございました。日ソ間の貿易につきましては、すでに御承知のように、三十七年の通商取りきめができておりまして、ことしは、ソ連原油は、原油並びに重油を含めて三百四十万トンを引き取ることになっております。昨年に比べて相当の数量の増加であります。この日ソ間の貿易は、あらゆる面におきまして相互均衡をとるという、その基本的建前で貿易の拡大をはかっております。そこで、今後はソ連としても日本に石油を売りたいし、また日本からはパイプ・ラインを買いたい、こういう話がございます。それはただいま御指摘のとおりに、ソ連としては、一九六七年度以降、一千万トンないし千二百万トン、これをコンスタントに引き取ってくれということを強く希望しておるようであります。また、その商談ができ上がるためには、輸送の必要から見てもパイプ・ラインを作る必要があるだろう。そこでイルクーックからナホトカまでの間、約六十四万トンのパイプ・ラインが必要だということでございますが、この話はその後、昨年ミコヤン副首相が訪日の際にもそういう話は出ておりまして、その後の商談はあまり具体的には進んでいないようであります。私ども、日ソ間の貿易のあり方については前段に申し上げたとおりでございますけれども、この大量の油の輸入計画なり輸出は望ましいことでございますが、これが条件つきであるというような点で、なおこの商談の今後のあり方等についてはひとつ十分見守っていきたい、こういう態度をただいまとっておる次第でございます。ただいまのところでは、あまり具体化しておらないというのが実情であります。  最後に、石炭合理化計画についてのお尋ねでございました。もちろん、石油について、またエネルギー源である国内石炭について、総合的観点に立ちまして私どもがエネルギー政策を遂行していくことはもちろんでございます。すでに石炭につきましては五千五百万トン、千二百円下げという基本的な方針を立てております。まず、当面といたしましては、この合理化目標を実現すること、これが第一の目標でございます。その意味において労使双方並びに関係業界の御協力を得ておるのが今日の実情でございます。私ども、この合理化に成功いたしました暁において、いわゆる石炭の経済性というものが十分確認できる、こういう立場になりました際に、さらにこれが拡大等をはかっていくのが筋ではないか、かように考えて、この石炭、石油、あらゆるエネルギーの総合対策、これを検討しておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男君登壇拍手
  25. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 国内資源の開発と海外開発の石油を確保するということは、これは安定的な石油供給の確保になり外貨節約に寄与することが大きいのでございますから、政府は、ただいま国内の石油資源開発会社の開発、アラビア石油、北スマトラ石油に対して、財政予算的な措置、それから財政投融資という面において非常に協力をしておりますが、その他の国内の石油業者に対しましては、おっしゃられるとおり、これは民間資金と外資にたよらせておって、政府の財政資金を出していないことは事実でございます。しかし、これは国の石油がもっと開発されておりますなら別でございますが、そうでない限り、石油は大規模な装置産業でございますから、どうしても業界から見ましたら、長期に安定した原油を確保するということは、自分の仕事の性質上、もうこれは基本的な要求でございます。したがって、どうしてもここで外資系各社と原油供給者との間にいろいろな関係が出て参りまして、原油鉱業のことしの設備資金を借りるというような関係が出てくることは、これは私は自然だと思っております。で、一方は原油を確保するということが目的であります以上は、設備投資資金を借りることによって原油入手にひもがつけられたという関係になるのか、逆の関係になるのか、わからない形で入っておりますので、したがって、政府資金を出すことによってこの関係が変化するという性質のものではございません。ですから、石油業界の特殊な関係から、こういう形である程度外資が入ってくるというものは、そう一がいに私は非難さるべき問題ではないじゃないかというふうに考えております。  その次に地下資源の開発についての問題でございますが、これはもうお説のとおりでございまして、今年度の予算としましても、この地下資源の開発については財政措置を相当強化しております。天然ガスにつきましては、これは今後積極的に開発を進めることにしまして、今年度の予算措置から申しますと、昨年度の四倍も予算を計上するということをいたしておりますし、それから石油資源開発会社が行なう石油とか可燃性天然ガスの探鉱事業及び開発事業については、国が相当の出資をいたしますと同時に、政府保証のワクを相当大幅に増額しております。アラビア石油、北スマトラ、石油につきましては、これは輸銀と海外経済協力基金から融資をすることにいたしております。また非鉄金属鉱業につきましても、探鉱費の補助を昨年の予算に比べて三倍近く行ないましたが、まだ中小企業に限っておりまして、大手の鉱業についての探鉱補助費は本年度は計上しませんでした。そのかわりに、税制において、探鉱用の機械設備等に対する特殊償却の措置をとるということと、鉱山の鉱業用坑道等の特別償却措置をとる、そのほかいろいろの税制によって探鉱の促進をはかろうというような措置もとりましたし、石炭鉱業につきましては、これは合理化資金を開発銀行に相当の大きいワクを設けて推進をはかるというように、地下資源の開発については、本年度の予算は、予算においても財政措置においても、相当昨年度よりは大幅な措置をとったつもりでございます。(拍手)   〔政府委員佐藤基君登壇拍手
  26. 佐藤基

    政府委員(佐藤基君) お答えいたします。  外資系会社がアラビア石油の原油引き取りを拒否している事実は、現在のところ認めておりません。しかし、今後そうした事実が明らかになりますれば、その引き取り拒否が独禁法上不当であるかどうかを十分検討いたしまして、独禁法第六条第一項の違反の事実があれば、同法により、必要な措置をとります。  石油会社の外国会社との国際契約の内容は、株式の取得にかかわる契約、融資契約、原油の供給契約、技術援助契約等であります。石油会社が独禁法第六条第二項の届出を怠っておるのではないかというお話でございますが、もしそういうものがありますれば、従来の方針によりまして、提出を促進するとか、その他必要な措置をとるわけでありますが、現在のところ、そういうものがあると認めてはおりません。  最後に、外国石油会社とわが国の石油会社との契約で、わが国の石油会社が不当な条件を押しつけられているかというお話でありますが、現在のところは、かくのごときものはないと思っております。ただし、将来原油の引き取りにあたりまして不当な条件が強いられるというような、独禁法上問題となるようなことが発見できますれば、同法によって必要な措置をとりたいと思います。(拍手)   ―――――――――――――
  27. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 田畑金光君。   〔田畑金光君登壇拍手
  28. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は、民主社会党を代表し、ただいま提案されました石油業法案に関し、総理並びに通産大臣に、以下二、三の質問を行ないたいと思います。  政府は、本年十月から石油輸入を自由化する方針を決定しております。もし今日、石油業に対し何らの規制も行なわないままに自由化を実施する場合には、次のような危機を招くおそれが強いと思います。  すなわち、現在並びに近い将来も世界的な原油の供給過剰傾向が続くので、石油消費が大幅にふえているわが国では、今後も激しい石油販売競争が必至であること。第二に、わが国では、石油の九八%は輸入に依存しており、かつ石油精製業者の多くが国際石油資本と直接間接の資本提携をしているか、または原油ひもつきの借金をしておるので、国内業者間の自主的な販売調整が困難であること。第三は、わが国が、国内または国外で開発している石油資源、わが国の石炭資源は、輸入自由化によって存立そのものすら脅かされるおそれがあること。したがって、わが国経済の今後の発展にあたって、石油輸入の自由化を何らの準備なしに迎えることは、わが国経済の自主性侵害のおそれすらあることでございます。以上の見地に立ちまして、わが党は石油業に対する国の規制措置を立法化する必要を認めるものであります。  さて、石油業法案に対し最も敏感に反対の動きを示したのは、言うまでもなく、国際石油資本と結んだ外資系の会社と大手筋需要業界であったわけであります。貿易自由化という点では、わが国よりも数歩先んじている欧米の主要国が、事エネルギー資源ということになると、保護助長ないし徹底した規制措置をとっていることは注目すべき現象であります。フランスは、一九二八年の石油業法により完全な規制を行なっております。イタリアは、一九三三年の統制法により石油の規制を行ない、また、国策会社であるENIが、内外石油資源の開発、精製、販売、輸送等、広範な分野にわたり強力な事業活動を行ない、石油の低廉かつ安定的な供給確保をはかっております。自由主義経済の本家であるアメリカすらもが、一九五九年以降、国内原油の保存と国防上の理由から、石油輸入には許可制をとっております。これら諸国の石油政策に比較いたしますとき、わが国の石油市場は、まさに無政府状態といわなければなりません。国際石油資本が石油業法制定に反対したのも、うなずけるものがございます。政府は、これら外資系会社の圧力に押され、大口需要者の反対にあい、後退をきわめたのが、今回の石油業法案であります。  そこで、私は総理にあらためてお尋ねいたしますが、本法律によりまして、石油業界の過当競争を防止し、石油の安定供給を確保しながら、新しい秩序を確立することができると総理はお考えになりましょうか。  第二にお尋ねいたしたいことは、附則第四条の再検討条項についてであります。政府は、内外の石油事情その他の経済事情の推移に応じ、緩和または廃止の目的をもって再検討するというのでありますが、もし強化する必要が生じた場合にはどうなりますか。経済は生きものであります。予測に反した場合は、かえって強化しなければならなくなるでございましょう。なぜ再検討条項を入れざるを得なくなったのか、その経緯と本条の趣旨を通産大臣から明らかにしていただきます。  次にお尋ねしたいことは、石油製品の販売価格については、通産大臣が必要な場合には販売価格の標準額を定め、告示することになっておりますが、石油市場の乱売競争や少数支配の危険性を予測いたしますときに、この程度の措置では不十分であり、少なくとも標準価格の支持ないし勧告をなし得ることにすべきであると私は考えます。このことは、エネルギー懇談会も認め、政府の当初の案にも大臣の勧告権を認めておりましたが、これを削除された理由を明らかにしていただきます。  第四にお尋ねしたいことは、本法案によれば、石油輸入業者は通産大臣に届け出ることで足りるとされておりますが、これまた許可制にしなければ所期の目的を達し得ないと私は考えます。政府の当初案は、輸入許可制をとっていたのでございますが、これまた業界の圧力に屈しまして骨抜きになったのでございますが、通産大臣の見解を承ります。  第五にお尋ねいたしたいことは、ただいま中田議員質問に対しお答えになりましたが、国産原油の保護育成について、政府のもっとはっきりとした方針を承りたい。わが国の国産原油価格は、現在一キロリットル当たり六千六百五十円で、本年十月、自由化以後は、キロリットル当たり六千円まで引き下げるべく、合理化目標に向かって業界は全力をあげております。ところが、ここでも石炭産業と同じように、通産省は合理化を要求するだけで、必要な財政資金の裏づけ等もなされておりません。エネルギー懇談会も指摘するように、石油関税収入は、あげてエネルギー対策に充当すべきであります。三十七年度関税収入二百四十億は、石炭、国内石油に大幅に投入すべきであると私は思います。ことに石炭産業は、五千五百万トン出炭規模の確保と、千二百円引き下げをめぐり、あらたな困難に直面しておりまするが、この際、政府は国産原油ないし国内石炭の保護育成に関し、もっと積極的な手を打つ用意があるかどうか、承っておきます。  次に、お尋ねしたいことは、原油買い取り機関としての国策会社の設置につきまして、ただいまの御答弁によりますると、この石油業法の運用によって目的が達し得るであろう、ないしはまた慎重に検討して参りたいという御答弁でございまするが、私はエネルギー懇談会の中間報告を見ましても、その冒頭におきまして、「石油は国際商品であり、またわが国にとってきわめて輸入依存度の高い商品であるから、その低廉かつ安定的な供給を確保するためには、国内石油市場の一定割合を国の影響下に置き得ることを基本として、石油政策を総合的に推進する必要がある」と申しております。私は、消費者を保護し、石油市場の秩序をはかるためには、国策会社としての買い取り機関を設置することは焦眉の急務であると考えておりまするが、これまた業界の圧力に屈しまして、慎重に検討するという態度で逃げていこうとする政府態度を、私は非常に遺憾に思います。あらためて通産大臣所見を承っておきます。  最後に、私は、政府に総合エネルギー政策を早急に確立していただきたい、そうしてエネルギー基本法を制定して、エネルギー相互の地位を確立していただきたいということを申し上げておきます。エネルギーはすべての経済活動の基礎物質であり、低廉にして安定的な供給はわが国産業発展の基礎をなすものであります。しかも、今日はエネルギー消費構造の革命のときといわれ、固体エネルギーから流体エネルギーへ、そうしてエネルギーの大宗は石油に移りつつあります。同時にまた、国産資源については、各国とも、単に経済性の立場からだけでなくして、エネルギー供給の安定性、セキュリティの立場から、強い保護措置をとっているわけであります。私は、政府が石油、石炭、電力、ガス、さらに将来は原子力開発等を含めまして、総合エネルギー政策を確立し、この基本計画の上に立ちまして、電力、石油、石炭等相互の調整をはかりながら、エネルギー政策を打ち出すべきであると考えます。このことによって初めて、無用な混乱摩擦を防止することができましょう。強くこのことを政府に要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  29. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答え申し上げます。  われわれは自由経済主義をとっております。したがいまして、公正自由競争を前提として、安定的に、また低廉な価格でこれを供給することを建前にいたしておるのであります。しかし、先ほど申し上げましたごとく、現状から申しますると、やはりある程度の法律上の規制を必要といたしますので、本法案を出したのでございます。これによりまして、御心配の過当競争は私は起こらないと考えております。  なお、総合エネルギー対策につきましては、所得倍増計画とも見合い、先ほど申し上げましたように、各エネルギー間の関連を長期的に見まして、そうして経済原則に従うと同時に、国内資源の確保、雇用、国際収支等、万般の考慮を払いながら、今後エネルギーに対しまして対策を講じていきたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  30. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 附則第四条の規定は、これは逆に再検討した場合に強化になるのじゃないかという御意見であったかと思いまするが、御承知のように、今回のこの石油業法案は、自由な立場においての公正な経済活動ができるという基本的建前においての調整規定でございます。そういうことを考えますると、本来ならば本筋に返るということが望ましいのだと思います。そういう意味から、特殊な事情等経済上の推移等に応じまして、十分事態を検討して、必要があれば緩和または廃止する、そういうことで検討すべきだということを、念のため規定いたしておるわけでございます。私は、この石油業法ができまして、運用して十分の効果をあげることができますならば、この種の特殊立法はそのうち改廃して差しつかえないものじゃないかと、かように実は考える次第でございます。したがいまして、強化云々の必要は、これはまあ別途なことだ、かように思います。  その次に、石油製品の販売価格について勧告ないし指示権を政府が持ったらどうかというお尋ねでございます。この法律案では、石油製品の販売価格が不当に高騰したり不当に下落したり、いわゆる非常な変動があると、こういうことは、経済活動のために望ましいことでございませんので、そういうことを避ける意味で、いわゆる標準額、これを定めまして公表し、各企業か自主的にこれに協力していただくということを建前にいたしております。この考え方でまず十分目的を達するのじゃないか、かように実は考えておるわけでございます。いわゆる政府が強制的な規制を行なうということはなるべく避けるべきである。こういうような考えでございます。  第三番目は、石油の輸入は届出制でなく、これまた許可制にしたらどうかという御意見でございます。石油の輸入の引き取りは、自由取引を尊重すべき分野であると、かように考えます。したがいまして、私どもとしてはこの届出で十分じゃないか、この法律によりまして、石油供給計画の作成及び精製業に対する規制、これが適正に行なわれていくことを期待しておりますので、これで目的を達すると、かように実は考えておるわけでございます。  次に、国産原油の保護育成についての御意見でございました。御承知のように、国産原油につきましては、五カ年計画におきまして、ガスをも含めて二百万トンの開発計画並びに六千円の合理化計画を指示いたしております。ただいま、これについての財政的な措置あるいは政府資金等による援助等によりまして、この開発を進めておるわけであります。また、出ました原油の引き取り等については、行政あっせんによりまして今日目的を達しておるわけであります。これに関連いたしまして、将来の問題だと思いますが、田畑さんは、ただいま緊急の措置として原油引き取り機関を作れ、こういうことを述べられたのでございますが、私は先ほどお答えいたしましたように、この石油法案、この運用によりまして引き取り等が円滑に行われるならば、その種のものを作らなくてもいいんだということをお答えしたとおりであります。将来、しかし、十分検討いたしまして、こういうことについての態度をきめていきたい、かように考えておる次第でございます。(拍手
  31. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて質疑通告者発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。    ――――・――――
  32. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第三、自治省設置法の一部を改正する法律案、  日程第四、文部省設置法の一部を改正する法律案、  日程第五、建設省設置法の一部を改正する法律案、   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長河野謙三君。   〔河野謙三君登壇拍手
  34. 河野謙三

    ○河野謙三君 ただいま議題となりました法律案三件につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、自治省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、自治省に置かれている参与及び職員の定員を改正しようとするものであり、その内容は、最近における国及び地方を通ずる長期経済計画に関連する地方行政の伸展に伴い、この方面の専門家を参与として新たに加えるため、参与の定員を二名増員して十二名以内とすること、及び自治省職員の定員を三十三名増加して四百九十六名とすることであります。なお、定員三十三名増加のうち十三名は定員外職員の定員化によるものであります。  本委員会におきましては、参与二名増員の理由、参与の任務及びその手当の額、新規増員の理由、特に地方公務員共済組合制度の実施に伴う増員等について質疑が行なわれ、安井自治大臣及び政府委員より、それぞれ答弁がありましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、別に討論もなく、直ちに採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。   ―――――――――――――  次に、文部省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、文部省の付属機関及び文部省の定員につき所要の改正をしようとするものであり、そのおもな内容は、第一に、国立科学博物館の自然史関係の研究部門を拡充整備し、自然史、科学研究センターとしての機能をも営ませることとしたこと、これに伴い、従来文部本省において運営管理してきた国立自然教育園を同館の付属機関とすること、第二に、国立近代美術館に分館を設け得ることとしたこと、第三に、現行の著作権審議会にかえて、現行の認否事項のほか、新たに著作権制度重要事項について調査審議する著作権制度審議会を設けること、第四に、文部省の定員を、定員外職員の定員化五千六百三十一名を含めて八千四百十一名増加することであります。  本委員会におきましては、昭和三十三年に日本学術会議よりの勧告があったにもかかわらず、国立科学博物館の機構改正が今日まで遷延した理由、国立学校における定員外職員の定員化、特に、国立大学付属病院及び理工系大学におる無給職員の定員化問題、新設高専の定員及び用地問題、著作権審議会の改組の内容等について質疑が行なわれ、荒木文部大臣及び政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、別に討論もなく、直ちに採決の結果、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。   ―――――――――――――  最後に、建設省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、建設省の機構及び定員につき所要の改正をしようとするものであり、そのおもな内容は、第一に、河川局に砂防部を設置すること、第二に、臨時に宅地制度審議会を設置すること、第三に、東北地方建設局及び九州地方建設局に用地部を設けるとともに、中部地方建設局の海岸部を廃止すること、第四に、建設省の定員を定員外職員の定員化等により四千五百九十人増加すること等であります。  本委員会におきましては、砂防部設置の効果及び砂防部の設置と農林省所管の砂防事業との関連、大都市再開発問題懇談会を法律によって設置しなかった理由、宅地制度審議会と地価問題、定員外職員の定員化等について質疑が行なわれ、中村建設大臣及び政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、別に討論もなく、直ちに採決の結果、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  35. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  三案全部を問題に供します。三案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  36. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって三案は可決せられました。    ――――・――――
  37. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第六、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案、  日程第七、国立学校設置法の一部を改正する法律案、   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。文教委員長大矢正君。   〔大矢正君登壇拍手
  39. 大矢正

    ○大矢正君 ただいま議題となりました二法案について、文教委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  まず、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、高等学校の工業教科担当教員に対し、本年度から支給されている初任給調整手当について、その支給範囲をさらに拡大して、明年度からは、市町村立の義務教育諸学校の新規採用教員にもこれを及ぼすこととし、その負担を他の給与と同様に都道府県とする旨を定めたものであります。したがって、本改正によって新たにつけ加えられたこの手当の半額は、当然、義務教育費国庫負担法による国庫負担の対象となるわけであります。  委員会におきましては、教育基本法第六条の教員の身分尊重と待遇の適正化という規定本案措置との関係、教育における人的条件整備の問題、初任給調整手当の支給拡大の範囲等について質疑が行なわれ、政府側からは、本案措置は臨時的なものであり、教員の待遇の向上適正をはかるため今後とも努力したい、また、手当支給の範囲は、新たに採用される四年制大学卒業の教諭全部であるとの答弁がありました。  かくて質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して豊瀬委員より、本案措置は、その意図は了とするが、こそくであり、抜本的改善策に眼をつぶり、これを後退させるものであるとの反対意見が表明され、また、自由民主党を代表して北畠委員より、本案は社会の進運に対処するための妥当な措置であるとの賛成意見が述べられました。討論を終わり、続いて採決をいたしました結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。   ―――――――――――――  次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、昭和三十七年度から、海洋に関する基礎的研究を行なうため東京大学に共同利用の海洋研究所を、産業経済に関する総合研究を行なうため京都大学に経済研究所を、中堅技術者の養成をはかるために、函館、旭川、平、群馬、長岡、沼津、鈴鹿、明石、宇部、高松、新居浜、佐世保の計十二校の国立工業高等専門学校を新設することを規定いたしております。  以上のほか、東京大学付置の生産技術研究所を千葉県から東京都へ移転すること、東京農工大学の繊維学部を工学部に改めること、及び国立大学に包括されている旧制大学の廃止等について定めております。  委員会の審議におきましては、国立工業高等専門学校の設置の条件並びに新設の経費、共同利用研究所運営の基本方針、いわゆる論文博士の今後の取り扱い等について熱心な質疑応答が行なわれましたが、その詳細は速記録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して米田勲委員より、本案措置は全面的に用意不十分であり、特に国立工業高等専門学校の新設が地方に相当の負担をかけようとしていることは問題であること等をあげて、反対意見が表明され、また、自由民主党を代表して近藤鶴代委員より、本案は科学技術振興の見地からきわめて適切な措置であるとの賛成意見が述べられました。かくて採決の結果、本法律案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  40. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  41. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ――――・――――
  42. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  43. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ――――・――――
  44. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第八、阪神高速道路公団法案、  日程第九、公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案、  日程第十、水資源開発公団法の一部を改正する法律案、    (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。建設委員長大河原一次君。   〔大河原一次君登壇拍手
  46. 大河原一次

    ○大河原一次君 ただいま議題となりました阪神高速道路公団法案外二件につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、阪神高速道路公団法案について申し上げます。  本法案は、最近の阪神地区における自動車交通量の激増に対処し、大阪市及び神戸市並びにその周辺地域において、有料の自動車専用道路の建設及び管理等を一括実施するため、阪神高速道路公団を設立し、これらの地域における自動車交通の円滑化をはかろうとするものであります。  その内容として、公団の資本金は政府及び関係地方公共団体の出資とし、政府は、公団設立の際、二億円を出資することとし、公団に、事業の議決機関として管理委員会を設置すること、その他、公団の役員、業務、財務、会計等について所要の規定を設けております。  委員会におきましては、まず、現地に実情を視察し、地元利害関係者の意見を聴取する等、慎重審議いたしたのでありまするが、詳細は会議録に譲ることといたします。  かくて質疑を終了、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して内村委員から、次の附帯決議案を付して賛成する旨の発言がございました。附帯決議案は次のとおりであります。   政府は、本法施行に当っては次の  諸点を考慮すべきである。  一、本計画の早期完成を図るため、十分なる財政措置を講ずること。  一、車両交通激増の傾向にかんがみ、高速道路の構造については、将来に対応した方法を考究すること。  一、本事業施行に当っては市民に対し周知徹底をはかり、特にその積極的協力を得るよう適切な措置を講ずるとともに、不当に私権を侵さざるよう充分配慮すること。  次いで、民主社会党を代表して、田上委員から、本案及び附帯決議案に対して賛成する旨の発言があり、採決の結果、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定、さらに内村委員提案の附帯決議案を採決の結果、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。   ―――――――――――――  次に、公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  本改正案は、建設事業量の増大に伴い、最近における保証事業会社の自己資本の充実と、経営基盤の安定の現状にかんがみまして、保証事業会社が前払金の保証をすることのできる公共工事の範囲の拡大と、保証基金制度の廃止を行なおうとするものであります。  すなわち、第一点は、前払金保証事業の対象となる公共工事の範囲に、国及び地方公共団体等の発注する土木建築に関する工事の設計、調査及び土地の測量等を加えるものであります。  第二点は、保証事業会社の保証債務の弁済能力を充実するために設けられておりました保証基金を廃止するものであります。  このほか、以上の措置に関連して所要の改正を行なっております。  当委員会における質疑内容会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。   ―――――――――――――  次に、水資源開発公団法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本改正案の第一点は、水資源開発公団の資本金を三億円とし、政府が全額出資するものといたしております。  第二点は、河川法及び特定多目的ダム法に基づく建設大臣の施行する直轄事業、あるいは土地改良法に基づく国営または都道府県営の土地改良事業のうち、特定のものについて、公団がこれを承継して工事を施行することとし、この場合、国または都道府県が有する一定権利及び義務は、公団が承継するものといたしておる等であります。  質疑のおもなる点は、現在までの公団設立準備の経過、資金計画、事業計画及び事業の承継等についてでありますが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  47. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  三案全部を問題に供します。三案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  48. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって三案は可決せられました。    ――――・――――
  49. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十一、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長安部清美君。   〔安部清美君登壇拍手
  50. 安部清美

    ○安部清美君 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件について、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、日本放送協会の昭和三十七年度収支予算、事業計画及び資金計画について、国会の承認を求めんとするものでありまして、その内容を申し上げますと、まず、収支予算につきましては、収入支出ともに総額五百七十五億一千四百余万円でありまして、これを前年度に比べますと、それぞれ百十八億二千八百余万円の増加となっております。  受信料収入については、三十七年度よりラジオとテレビジョンとを包括したものは月額三百三十円、ラジオのみについては、月額五十円として算出しております。  次に、事業計画につきましては、その重点をテレビジョン放送の放送網及び放送番組の拡充、放送施設の整備等を推進することに置いております。  資金計画につきましては、右収支予算及び事業計画に基づいて、年度中における資金の出入りに関する計画をいたしてあります。  これら収支予算等に対し、郵政大臣は、おおむね適当と認める旨の意見を付しております。  逓信委員会におきましては、郵政省及び日本放送協会につき、詳細かつ熱心に質疑を行ない、慎重審議をいたしたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、直ちに採決の結果、全会一致をもって原案どおり承認すべきものと議決いたしました。  なお、本案に対し日本社会党の野上委員より、日本社会党、自由民主党、及び参議院同志会の共同提案に出かかる附帯決議を付すべしとの動議が提出され、採決の結果、全会一致をもってこれを付することに決定いたしました。     附帯決議   政府並びに日本放送協会当局は、左に掲げる事項の実施につとむべきである。   一、難視聴地域の解消対策を積極的に推進すること。   二、国際放送の充実並びに拡張をはかること。   三、放送番組の向上、とくに教育、教養番組の充実につとめること。   四、経営の合理化、能率の向上をはかり、もつて従業員の待遇改善に努力すること。   右決議する。  以上御報告申し上げます。(拍手
  51. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本件を問題に供します。本件を承認することに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  52. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本件は承認することに決しました。    ――――・――――
  53. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十二、住居表示に関する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長小林武治君。   〔小林武治君登壇拍手
  54. 小林武治

    ○小林武治君 ただいま議題となりました住居表示に関する法律案について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  本法案は、従来の地番にかえて合理的な住居表示制度を確立して、公共の福祉の増進に資することを目的に掲げ、その内容は、(一)従来地番を住居の表示に用いていることが現在混乱の原因ともなっていることにかんがみ、今回これを改めて、市街地における住居表示は、住居番号によることとし、この場合、市町村内の町名、街区符号及び住居番号を用いる表示方法、いわゆる街区方式、または道路名及び住居番号を用いる表示方法、いわゆる道路方式のいずれかによることとしたほか、(二)この住居表示を実施するために必要な手続を定め、(三)新住居表示制度の順守について、国民、国、地方公共団体の機関等の義務を明らかにし、(四)自治省に、諮問機関として、住居表示に関する重要事項を調査審議するため住居表示審議会を置くこと等を骨子とするものであります。  委員会におきましては、本法案が、国民、住民の実生活に広く深く関係する重要な内容を有する点にかんがみ、言論報道機関、実務関係者等から四名の参考人を招いて意見を聞き、また政府側との間に質疑応答を重ねる等、慎重審査を行ないましたが、その詳細については会議録によってごらんを願います。  三月二十日質疑を終局し、討論に入りましたところ、基委員は民主社会党を代表して本法案賛成の旨を述べられ、なお、各派共同提案にかかる次の附帯決議案を提出されました。すなわち、    附帯決議(案)   住居表示制度の確立とその急速な実施は、さきに本委員会において決議し、政府に根本対策を講ずべきことをうながしたところである。   政府は、本法に基いて画期的重要性ある米事業を実施するについては、特に左の諸点に留意し、関係各省の積極的協力の下に、遺憾なきを期すべきである。  一、住居表示は、すべての国民の実生活に直接的に関係すること多大であるから、周知徹底についてはあらゆる方策を採り、住民の理解と協力を得るに遺憾なさを期すること。  一、大都市その他町名地番の混乱が著しい地域から重点的に実施し、出来得るかぎり短期間に完了し得るよう計画的に行なうこと。  一、市町村の必要とする経費については充分に財源措置をするほか、国および関係機関は財政援助につき十全の配慮をすること。  一、本事業の処理については、専門的、技術的知識を要し、また、関連して町および字の区域あるいは名称の合理化、平明化をはかるべきものであるから、臨時に所管の組織を設け、あるいは専門職員の養成配置をする等の方策を講ずる事こと。   右決議する。 というものであります。  かくて討論を終わり、採決の結果、本法案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、基委員提出の附帯決議案は、これまた全会一致をもってこれを委員会の決議とすることに決定した次第であります。  なお、右の附帯決議に対し、安井自治大臣は、決議の趣旨の具現化に努める旨を述べられました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  55. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  56. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ――――・――――
  57. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十三、南大東島における高層気象観測に必要な物品譲与に関する法律の一部を改正する法律案、  日程第十四、日本観光協会法の一部を改正する法律案、   (いずれも、内閣提出衆議院送   付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」呼ぶ者あり〕
  58. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長村松久義君。   〔村松久義君登壇拍手
  59. 村松久義

    ○村松久義君 ただいま議題となりました南大東島における高層気象観測に必要な物品譲与に関する法律の一部を改正する法律案および日本観光協会法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、南大東島における直属気象観測に必要な物品譲与に関する法律の  一部を改正する法律案について申し上げます。  現行法は、琉球政府の行なう南大東島における高層気象観測に必要な物品譲与することができるよう、財政法第九条の規定の特別立法として措置されたものでありますが、今回の改正案は、同様の趣旨により新たに石垣島を追加しようとするものであります。  政府説明によれば、石垣島は、沖繩本島より西南方、海上約四百キロの地点にあり、石垣島で高層気象観測をすれば、日本の天気変化の主たる原因である東シナ海南部に発生する低気圧の発生、消滅、進行の予想や、台風の予想に大きな役割を果たすとのことであります。  本法律案についての審議の詳細は会議録により御承知願いたいと思います。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、別に御発言もなく、直ちに採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、日本観光協会法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、日本観光協会を充実強化し、今後さらに国際観光事業を振興し、あわせて貿易外収支の改善に寄与することを目的としたものでありまして、その改正の要点は、日本観光協会の資本金を一億円とし、政府がその全額を出資することとしたこと、日本観光協会の運営の適正化をはかるため、総合観光案内所の設置等、業務の範囲を拡大するとともに、協会の組織、財務等を整備することといたしたことであります。  委員会における審議の詳細については、会議録により御承知願いたいと存じます。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、別に御発言もなく、直ちに採決の結果、全会一致をもちまして原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  60. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  61. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。    ――――・――――
  62. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十五、北海道地下資源開発株式会社法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。商工委員長武藤常介君。   〔武藤常介君登壇拍手
  63. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいま議題となりました、北海道地下資源開発株式会社法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案の要旨は、北海道地下資源開発株式会社の事業量が、当初の見込みに反して伸び悩み、会社の収支が年々赤字を累積しているので、この改正により、会社の事業範囲を拡大し、主務大臣の認可のもとに、北海道以外の地域における受託探鉱事業、北海道内外における地質調査事業等を行ない得るようにしようとするものであります。  商工委員会においては、きわめて慎重に審査いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  次いで採決の結果、本法律案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお討論中において附帯決議案が提案され、その要旨は、一、当会社のあり方を根本的に再検討すること、二、当会社の事業範囲の拡大が民間業者を圧迫しないように措置すること。探鉱について国が総合的助成策を樹立すること等の諸施策を政府に要請するというものでありましたが、この附帯決議案もまた全会一致をもってこれを当委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上御報告を申し上げます。(拍手
  64. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  65. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ――――・――――
  66. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十六、訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案、  日程第十七、民法の一部を改正する法律案、   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。法務委員長松野孝一君。   〔松野孝一君登壇拍手
  68. 松野孝一

    ○松野孝一君 ただいま議題となりました訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案、及び民法の一部を改正する法律案について、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  最初に、訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案趣旨は、第一に、訴訟における証人の機能の重要性にかんがみ、民事及び刑事の証人等の日当の最高額を、現行の三百円から千円に増額すること。第二に、今回の国家公務員等の旅費に関する法律改正に対応して、証人等の宿泊料についても、これに準じて、その最高額を、いわゆる六大都市については現行の千二百二十円を千五百円に、その他の地については九百八十円を千二百円にそれぞれ改訂すること。第三に、執行吏の恩給算定の基礎となる俸給年額を、一般公務員のいわゆる二万円ベース給与の俸給に見合う金額である十二万八千円に引き上げることであります。  委員会においては、日当の本質、本案の日当等の算出基礎、支給の実情等について、各委員から熱心な質疑がなされましたが、詳細は会議録に譲ります。  三月二十日質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して亀田委員より、証人の日当等の支給方法の合理化、及び強制執行制度の根本的改革のすみやかな実現を要望して本法案賛成する旨、自由民主党を代表して井川委員より、強制執行制度の改革については、本来、民事訴訟は、個人の自由に処分し得る私権の保護を目印とするものである点に十分考慮を払われるよう希望して、本法案賛成する旨の、それぞれ意見が述べられました。  討論を終了し、採決いたしましたところ、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。   ―――――――――――――  次に民法の一部を改正する法律案について申し上げます。  まず、本法律案内容は、現行民法中さしあたって解釈上疑義があって実務上不便を生じている幾つかの点を改正しようとするものであります。  すなわち、そのおもなものを申し上げますと、危難失跡の場合における失踪期間現行の三年を一年に短縮し、死亡の時期を危難の終わった時とし、同時死亡の推定規定を設け、また、十五才未満の養子の離縁の際の協議者を明確にしたこと、被相続人の孫以下の直系卑属は、すべて代襲相続により相続することとし、相続の放棄者は初めから相続人とならなかったものとみなすことにしたこと、相続人が存在しない場合には、家庭裁判所の裁量によって、被相続人と特別の縁故があった者に相続財産を分与する道を開いたことなどであります。  委員会におきましては、三月二十日及び二十二日の両日にわたり、失踪期間、危難失跡における危難終了時点、相続人不存在の際の財産分与の根本趣旨及び分与の基準並びに民法の根本改正作業の現状と見通し等について熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録に譲りたいと存じます。  三月二十二日質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  69. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  70. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案全会一致をもって可決せられました。    ――――・――――
  71. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、民法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  72. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ――――・――――
  73. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十八、日本原子力研究所法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。まず、委員長の報告を求めます。科学技術振興対策特別委員長森八三一君。   〔森八三一君登壇拍手
  74. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま議題となりました日本原子力研究所法の一部を改正する法律案につきまして、科学技術振興対策特別委員会における審査の経過並びに結果についてご報告申し上げます。  本法律案は、放射線化学の研究開発を強力に推進するため、三十七年度に日本原子力研究所内に放射線化学中央研究所を新設することになっており、そのために日本原子力研究所の理事を一名増員し、その一名は新設研究所の所長を兼ねさせようとするものであります。  委員会におきましては、新理事の人選、研究所の設置場所、放射線源国産化の見通し等の諸問題について熱心な質疑応答が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終わり、討論の後、採決いたしましたところ、本改正案は全会一致をもって衆議院送付の原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告を申し上げます。(拍手
  75. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  76. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ――――・――――
  77. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十九、相続税法の一部を改正する法律案、  日程第二十、通行税法の一部を改正する法律案、  日程第二十一、印紙税法の一部を改正する法律案、   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長棚橋小虎君   〔棚橋小虎君登壇拍手
  79. 棚橋小虎

    ○棚橋小虎君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、相続税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、昭和三十三年度の改正以来据え置きとなっておりました相続税の負担につきまして、最近における資産価格の推移等に顧み、相続があった場合の遺産にかかわる基礎控除額を引き上げ、中小財産階層の負担軽減をはかろうとするものであります。  すなわち、従来の百五十万円に相続人一人当たり三十万円を加算した額を、二百万円に相続人一人当たり五十万円を加算した額に改めることとするものであります。なお、この改正によりまして、相続人五人の世帯におきましては、その遺産額が四百五十万円までは課税されないこととなっております。  委員会の審議におきましては、基礎控除の引き上げ理由、財産評価の国税、地方税の統一化、土地価格の推移、相続税の課税状況、及び、本案に関連して、税制面から土地高騰を抑制する方法はないか等について質疑がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。   ―――――――――――――  次に、通行税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、今回の税制改正の一環として、通行税の負担を軽減するため、その税率を引き下げることとした関係から、現在通行税を課することとなっている国鉄の一等及び汽船の特等並びに一等の急行料金、寝台料金に対する税率についても、現行の二〇%から一〇%に引き下げることといたしております。その他罰則に関する規定の整備をはかっております。  本委員会の審議におきましては、今回の税率改正によって、その減税分だけ料金が下がるのか、政府の行政指導はどうか、また、両罰規定と国税通則法との関係等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。   ―――――――――――――  最後に、印紙税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案改正点の第一は、零細な金額の手形について、印紙税の負担を軽減し、取引の円滑化に資するため、現行の免税点一万円を五万円に引き上げ、十万円以下の金額の手形の税率の二十円を十円に引き下げることとし、一覧払いの手形、外国通貨表示の手形等についても二十円の税率を十円に引き下げようとするものであります。  第二は、相互銀行等の掛金通帳について、その形式も整備されて参りましたので、印紙税法上掲名し、その税率も、預貯金通帳との均衡上、二十円を十円に引き下げようとするものであります。  第三は、一定表示による現金納付の方法については、増資新株発行の場合、株券印刷の都合上、事前に印紙税を納付することとなっており、失権株については過誤納問題を生じますので、株券数の確定日である払込日に印紙税を納付することに改めようとするものであります。  委員会における審議の詳細は会議録によって御承知願います。   ―――――――――――――  かくて質疑を終了し、三案を一括して討論に入りましたところ、荒木委員より、「人格なき社団等に対する罰則規定については疑問があるが、大蔵大臣等からなされた国税通則法案の不成立の場合は死文化するという答弁を了承し、三案に賛成する」との意見が述べられ、次いで須藤委員より、「罰則規定は人格のない社団等に課税することを明確化するものであり、租税法定主義に違反するものである等の理由から三案に反対する」との意見が述べられました。  討論を終了し、三案を一括して採決の結果、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  80. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  三案全部を問題に供します。三案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  81. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって三案は可決せられました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時一分散会